(実施の形態1)
図1〜図7を参照して、本実施の形態におけるレンズ駆動装置100を説明する。
レンズ駆動装置100は、図1、2に示すように撮像素子を有する撮像装置1、電子機器2等に設けられ、自動焦点調節(Automatic Focus:AF)機構と手振れを防止するための手振れ防止機構(例えば、Optical Image Stabilizer:OIS)とを備える。撮像装置1は、デジタルカメラを含むカメラ、監視カメラ等であり、電子機器2は、撮像機能を有するスマートフォンを含む携帯端末、ラップトップ型パーソナルコンピュータ等である。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のイメージセンサ等である。
レンズ駆動装置100は、図3に示すように、ベース部10と、OISフレーム部30と、フレーム支持部40と、レンズ保持部60と、レンズ支持部70と、カバー部80とを備える。
ベース部10は、ベース11と、リードフレーム24、25A、25B、25C、25Dと、OISコイル22A、22Bと、OIS位置検出部23A、23Bとから構成される。OISコイル22A、22Bのそれぞれは、後述するOISフレーム部30のOISマグネット32A、32Bのそれぞれと、OISフレーム部30を駆動するOIS駆動部を構成する。
また、OIS位置検出部23A、23Bは、OISマグネット32A、32Bの磁場から、ベース部10に対するOISフレーム部30の位置を検出する。
OISフレーム部30は、枠体であるフレーム31と、OISマグネット32A、32Bと、AFマグネット35Aと、AF位置検出部36とから構成される。OISマグネット32A、32Bのそれぞれは、ベース部10のOISコイル22A、22Bのそれぞれと、OISフレーム部30を駆動するOIS駆動部を構成する。AFマグネット35Aは、図5、6に示すように、後述するレンズ保持部60のAFコイル62と共にAF駆動部92を構成する。
また、AF位置検出部36は、後述するレンズ保持部60のAF用位置検出マグネット65の磁場から、ベース部10に対するレンズ保持部60の位置を検出する。
OISフレーム部30はレンズ保持部60を収納して、保持する。また、OISフレーム部30は、レンズ保持部60を、レンズ保持部60に取り付けられる1つ以上のレンズを有するレンズバレル(図示せず)におけるレンズの光軸AXに直交する方向に、レンズ保持部60を揺動する。これにより、レンズ駆動装置100は手振れを防止する。
フレーム支持部40は、サスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dと、上板バネ41A、41B、41C、41Dとから構成される。フレーム支持部40はOISフレーム部30を揺動可能に支持する。
レンズ保持部60は、略八角形の筒状部材61と、AFコイル62と、ヨーク63と、AF用位置検出マグネット65とから構成される。AFコイル62は、OISフレーム部30のAFマグネット35Aと共にAF駆動部92を構成する。
レンズ保持部60には、レンズバレルが取り付けられ、レンズ保持部60は、レンズの光軸AXの方向に移動する。これにより、レンズ駆動装置100は焦点調節を行う。
レンズ支持部70は、一組のベアリング73A、73Bと、ベアリング73Cであり、図3、6に示すように、OISフレーム部30とレンズ保持部60との間に配置され、レンズ保持部60を支持する。
カバー部80は、図4、5に示すように、ベース部10のベース11に取り付けられ、OISフレーム部30とフレーム支持部40とレンズ保持部60とレンズ支持部70とを覆う。
以下、レンズ駆動装置100の具体的構成を説明する。
なお、理解を容易にするために、レンズバレルのレンズからみて物体側を「前」として説明し、レンズバレルのレンズの結像側を「後」として説明する。また、レンズの光軸AXをZ軸とし、Z軸に直交し、互いに直交する方向をX軸、Y軸とする。
(ベース部)
ベース部10は、略矩形の樹脂製のベース11と、ベース11に設けられたリードフレーム24、25A、25B、25C、25DとOISコイル22A、22BとOIS位置検出部23A、23Bとから構成される。
ベース11は中央部に円形の開口部15を有し、レンズバレルのレンズを透過した光は、開口部15を通過して後方に配置された図示しない撮像素子に達する。ベース11には、OISフレーム部30とフレーム支持部40とレンズ保持部60とレンズ支持部70とを覆うように、カバー部80が取り付けられる。
OISコイル22A、22Bのそれぞれは、ベース11の隣り合う2辺のそれぞれに沿って設けられたコイル支持部20A、20Bのそれぞれに取り付けられている。OIS位置検出部23A、23Bは、それぞれがコイル支持部20A、20Bに隣接するOIS位置検出支持部21A、21Bに取り付けられている。
OISコイル22Aは、OISフレーム部30をY軸方向に移動させる磁界を発生させる。また、OISコイル22Bは、OISフレーム部30をX軸方向に移動させる磁界を発生させる。OISコイル22A、22Bのそれぞれは、OISフレーム部30のOISマグネット32A、32Bのそれぞれと対向し、共に、OISフレーム部30を駆動するOIS駆動部を構成する。OISフレーム部30の駆動と手振れ防止については、後述する。
また、OIS位置検出部23A、23Bは、それぞれOISフレーム部30のOISマグネット32A、32Bに対向し、それぞれがベース部10に対する、OISフレーム部30のOISマグネット32A、32BのY軸方向、X軸方向における位置を検出する。これにより、OIS位置検出部23A、23Bは、ベース部10に対する、OISフレーム部30のY軸方向とX軸方向における位置を検出できる。OIS位置検出部23A、23Bは、例えばホール素子等の磁気センサである。
ベース11に設けられるリードフレーム24、25A、25B、25C、25Dは、例えば銅合金から成り、ニッケルメッキ、金メッキがこの順に施されている。なお、リードフレーム25A、25B、25C、25Dは、それぞれがベース11の四隅に設けられ、それぞれにフレーム支持部40のサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dが接続される。
リードフレーム24、25A、25B、25C、25Dは、それぞれ外部の図示しない制御部に接続し、制御部からの電力、信号等を入出力する。リードフレーム24、25A、25B、25C、25Dに供給された電力、信号等は、リードフレーム24に接続する図示しない配線とサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dを介して、ベース部10のOISコイル22A、22BとOIS位置検出部23A、23Bと、OISフレーム部30のAF位置検出部36と、レンズ保持部60のAFコイル62に入出力される。
(フレーム支持部)
フレーム支持部40は、上板バネ41A、41B、41C、41Dと、上板バネ41A、41B、41C、41Dのそれぞれと接続するサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dとから構成される。
サスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dは、弾性と導電性とを有する金属から成る。
サスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dは、それぞれ、前端部で上板バネ41A、41B、41C、41Dのそれぞれに接続され、固定されている。また、サスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dの後端部のそれぞれは、ベース部10のリードフレーム25A、25B、25C、25Dのそれぞれに接続されている。
上板バネ41A、41B、41C、41Dは、それぞれ、直角三角形の枠状の板状部材である。上板バネ41A、41B、41C、41Dは、弾性と導電性とを有する金属から成る。
それぞれにサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dが接続された上板バネ41A、41B、41C、41Dは、それぞれ、後述するOISフレーム部30のバネ支持部37A、37B、37C、37Dのそれぞれに取り付けられている。
以上のような構成により、フレーム支持部40はOISフレーム部30を揺動可能に支持している。
(OISフレーム部)
OISフレーム部30はレンズ保持部60を収納して、保持する。OISフレーム部30は、レンズ保持部60を、ベース部10に対してX軸方向とY軸方向に揺動する。OISフレーム部30は、フレーム支持部40によって揺動可能に支持される。
OISフレーム部30は、略矩形形状の枠体であるフレーム31と、フレーム31に設けられるOISマグネット32A、32BとAFマグネット35AとAF位置検出部36とから構成される。
OISマグネット32A、32Bは、それぞれ、フレーム31の隣り合う2辺の後側(ベース部10側)のマグネット配置部33A、33Bに設けられる。
OISフレーム部30は、OISマグネット32Aがベース部10のOISコイル22AとOIS位置検出部23Aと対向し、OISマグネット32Bがベース部10のOISコイル22BとOIS位置検出部23Bと対向するように、配置される。
AFマグネット35Aは、フレーム31の角部38Bに設けられたマグネット支持部35Bに固定される。ここで、フレーム31の角部とは、フレーム31の角を形成する2辺に挟まれた、角の周辺領域をいい、フレーム31の角の形状は任意であり、図示するように直角に形成される場合に限らず、例えば丸く(曲率を有して)形成されてもよい。フレーム31の角部38Bは、OISマグネット32Aが配置されている辺とOISマグネット32Bが配置されている辺とからなる角部となる。
図5、6に示すように、AFマグネット35Aは、レンズ保持部60のAFコイル62に対向し、共に、レンズ保持部60を駆動するAF駆動部92を構成する。レンズ保持部60の駆動と自動焦点調節については、後述する。
AF位置検出部36は、AFマグネット35Aが配置された角部38Bに対向する(対角線上に位置する)フレーム31の角部38Dに設けられたAF位置検出支持部36Cに固定される。
AF位置検出部36はレンズ保持部60のAF用位置検出マグネット65と対向し、ベース部10に対する、レンズ保持部60のAF用位置検出マグネット65のZ軸方向における位置を検出する。これにより、AF位置検出部36は、ベース部10に対する、レンズ保持部60のZ軸方向における位置を検出できる。AF位置検出部36は、例えばホール素子等の磁気センサである。
フレーム31は、開口31Aにレンズ保持部60を収納する。
フレーム31には、図6に示すように、AFマグネット35AとAF位置検出部36とが配置される角部38B、38Dと異なる対向する角部38A、38Cのそれぞれに、ベアリング摺動部72A、71Aのそれぞれが形成されている。ベアリング摺動部71A、72Aのそれぞれは、Z軸方向に延び、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cのそれぞれが配置される溝を有する。ベアリング摺動部71A、72Aは、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cと、後述するレンズ保持部60のベアリング摺動部71B、72Bとを介して、レンズ保持部を保持する。レンズ保持部60の保持については、後述する。
さらに、フレーム31の四隅には、フレーム支持部40の上板バネ41A、41B、41C、41Dを取り付けるバネ支持部37A、37B、37C、37Dがそれぞれ形成されている。
バネ支持部37A、37B、37C、37Dのそれぞれには、上板バネ41A、41B、41C、41Dがそれぞれ取り付けられている。上板バネ41A、41B、41C、41Dのそれぞれにはフレーム支持部40のサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dの前端部のそれぞれが接続され、固定されている。サスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dの後端部のそれぞれはベース部10のリードフレーム25A、25B、25C、25Dに接続され、固定されている。このような構成により、OISフレーム部30は、フレーム支持部40によってX軸方向とY軸方向に揺動可能な状態で弾性的に支持される。
(レンズ支持部)
レンズ支持部70は、一組のベアリング73A、73Bと、ベアリング73Cであり、レンズ保持部60を支持する。図3、6に示すように、ベアリング73A、73Bは、ベアリング摺動部71Bの溝とフレーム31のベアリング摺動部71Aの溝との間に配置され、保持される。また、ベアリング73Cは、ベアリング摺動部72Bの溝とフレーム31のベアリング摺動部72Aの溝との間に配置され、保持される。レンズ保持部60の支持については、後述する。
(レンズ保持部)
レンズ保持部60は、Z軸方向に移動して焦点調節を行う。レンズ保持部60は、フレーム31の開口31Aに収納され、OISフレーム部30に保持される。
レンズ保持部60は、略八角形の筒状部材61と、ヨーク63と、AFコイル62と、AF用位置検出マグネット65とから構成される。
筒状部材61には、筒の内側面にレンズバレル取り付け部74が形成され、レンズバレル取り付け部74にレンズバレルが取り付けられる。
また、筒状部材61の対向する側面部67、68のそれぞれには、Z軸方向に延び、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cのそれぞれが配置される溝を有する、ベアリング摺動部71B、72Bが形成されている。
ヨーク63は、筒状部材61の側面部64に筒状部材61と一体に設けられる。また、AFコイル62は、筒状部材61の側面部64にヨーク63を挟んで設けられる。AFコイル62は、図5、6に示すように、OISフレーム部30のAFマグネット35Aに対向し、共に、レンズ保持部60を駆動するAF駆動部92を構成する。
AF用位置検出マグネット65は、側面部64に対向する側面部66に設けられる。AF用位置検出マグネット65は、図5、6に示すように、OISフレーム部30のAF位置検出部36と対向している。
ここで、図7に示すように、AFコイル62が設けられる側面部64とAF用位置検出マグネット65が設けられる側面部66は、筒状部材61を平面視した場合、側面部64から側面部66への垂線L1が、ベアリング摺動部71B、72Bのそれぞれが形成される側面部67から側面部68への垂線L2と直交する位置関係にある。したがって、垂線L1と垂線L2との交点Cを中心とする筒状部材61の外周上には、例えば、ベアリング摺動部71BとAF用位置検出マグネット65とベアリング摺動部72BとAFコイル62が、この順で約90°間隔で配置されていることになる。
OISフレーム部30のフレーム31に収納されたレンズ保持部60の配置と、レンズ保持部60の支持と保持について、説明する。
図6に示すように、レンズ保持部60は、フレーム31の開口31Aに、AFコイル62とヨーク63とがOISフレーム部30のAFマグネット35Aに対向し、レンズ保持部60のAF用位置検出マグネット65とOISフレーム部30のAF位置検出部36とが対向する、ように配置され、収納される。
また、レンズ保持部60のベアリング摺動部71Bの溝とフレーム31のベアリング摺動部71Aの溝は対向し、ベアリング73A、73Bを保持する。レンズ保持部60のベアリング摺動部72Bの溝とフレーム31のベアリング摺動部72Aの溝は対向し、ベアリング73Cを保持する。そして、レンズ保持部60は、保持されたベアリング73A、73Bとベアリング73Cとによって、支持される。
さらに、レンズ保持部60は、対向して配置されているヨーク63とOISフレーム部30のAFマグネット35Aとの磁気的吸引力によって、保持される。
(カバー部)
カバー部80は、底面が略矩形状のカバーである。カバー部80は、OISフレーム部30とフレーム支持部40とレンズ保持部60とレンズ支持部70とを覆って保護する。カバー部80は、ベース部10のベース11に取り付けられる。
カバー部80は、上面の中央に開口部82を有する。撮像対象物からの光は、開口部82を通過してレンズバレルに入射し、後方に配置された撮像素子に達する。
(自動焦点調節)
次に、レンズ保持部60の駆動と自動焦点調節について説明する。
OISフレーム部30のAFマグネット35Aとレンズ保持部60のAFコイル62は対向して配置され、AF駆動部92を構成している。また、OISフレーム部30のAF位置検出部36とレンズ保持部60のAF用位置検出マグネット65は対向して配置され、AF位置検出部36は、ベース部10に対するレンズ保持部60のZ軸方向における位置を検出する。
レンズ保持部60のAFコイル62は、コイルの巻き方向がOISフレーム部30のAFマグネット35Aの磁界と直交するように配置されている。したがって、AFコイル62に電流が流れると、発生する磁界がAFマグネット35Aの磁界と作用して、AFコイル62にZ軸方向へ力が働く。AFコイル62が固定された筒状部材61は、OISフレーム部30に対して、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cとよって摺動可能に支持されているので、レンズ保持部60はZ軸方向へ摺動移動する。AFコイル62に流す電流の向きを制御することにより、レンズ保持部60の移動方向(前後方向)を制御できる。
以上のように、レンズ保持部60はAF駆動部92によって駆動される。
AF駆動部92は、AFコイル62に制御部から供給される電力によって、例えば撮像素子で得られた画像のコントラストが最大となる位置に、レンズバレルが取り付けられたレンズ保持部60をZ軸方向(前後方向)に移動させる。これにより、レンズ駆動装置100は自動焦点調節を行う。この場合、AF位置検出部36が検出したレンズ保持部60の位置から、制御部がレンズ保持部60の位置をフィードバック制御することにより、レンズ駆動装置100は、Z軸方向におけるレンズ保持部60の位置、すなわちZ軸方向におけるレンズバレルの位置を高精度で制御できる。また、フィードバック制御により、レンズ保持部60を安定して保持できる。
(手振れ防止)
次に、OISフレーム部30の駆動と手振れ防止について説明する。
ベース部10のOISコイル22AとOISフレーム部30のOISマグネット32Aは対向し、ベース部10のOISコイル22BとOISフレーム部30のOISマグネット32Bは対向して、それぞれOISフレーム部30をY軸方向、X軸方向に駆動するOIS駆動部を構成する。また、ベース部10のOIS位置検出部23A、23Bは、それぞれOISフレーム部30のOISマグネット32A、32Bに対向して配置される。OIS位置検出部23A、23Bは、それぞれベース部10に対するOISフレーム部30のY軸方向、X軸方向における位置を検出する。
ベース部10のOISコイル22Aは、コイルの巻き方向がOISフレーム部30のOISマグネット32Aの磁界と直交するように配置されている。したがって、OISコイル22Aに電流が流れると、発生する磁界がOISマグネット32Aの磁界と作用して、OISマグネット32AにY軸方向へ力が働く。OISフレーム部30は、フレーム支持部40によってベース部10に弾性的に(Y軸方向に揺動可能に)支持されているので、OISフレーム部30は、ベース部10に対してY軸方向へ揺動移動する。OISコイル22Aに流す電流の向きを制御することにより、OISフレーム部30の移動方向を制御できる。
また、ベース部10のOISコイル22Bは、コイルの巻き方向がOISフレーム部30のOISマグネット32Bの磁界と直交するように配置されている。したがって、OISコイル22Bに電流が流れると、発生する磁界がOISマグネット32Bの磁界と作用してOISマグネット32BにX軸方向へ力が働く。OISフレーム部30は、フレーム支持部40によってベース部10に弾性的に(X軸方向に揺動可能に)支持されているので、OISフレーム部30は、ベース部10に対してX軸方向へ揺動移動する。OISコイル22Bに流す電流の向きを制御することにより、OISフレーム部30の移動方向を制御することができる。
以上のように、OISフレーム部30はOIS駆動部によって駆動される。
OIS駆動部が、OISコイル22A、22Bに制御部から供給される電力によって、例えば、手振れを相殺するように、レンズ保持部60を保持しているOISフレーム部30を揺動移動させる。これにより、レンズ駆動装置100は、手振れ防止を行うことができる。
この場合、OIS位置検出部23A、23Bが検出したOISフレーム部30の位置から、制御部がOISフレーム部30の位置をフィードバック制御することにより、レンズ駆動装置100は高精度で手振れを防止できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1のレンズ保持部60がZ軸方向に移動する場合に生じる、レンズ保持部60のXY平面に対する傾きについて説明する。
本実施の形態1においては、図1、6に示すように、レンズ支持部70であるベアリング73A、73Bは、レンズ保持部60のベアリング摺動部71Bとフレーム31のベアリング摺動部71Aとによって保持され、レンズ保持部60を支持する。レンズ支持部70であるベアリング73Cは、レンズ保持部60のベアリング摺動部72Bとフレーム31のベアリング摺動部72Aとによって保持され、レンズ保持部60を支持する。
また、フレーム31のベアリング摺動部71Aとベアリング摺動部72Aのそれぞれは、フレーム31の対向する角部38C、38Aのそれぞれに形成されている。
したがって、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cは、それぞれ、フレーム31を平面視した場合に、開口31Aにおいて最も間隔が広い(最も距離が長い)角部38Cと角部38Aとに配置されることになる。
本実施の形態では、レンズ保持部60を支持するベアリング73A、73Bとベアリング73Cとを、最も間隔が広い位置に配置できるので、レンズ保持部60がZ軸方向に移動する場合に生じるレンズ保持部60のXY平面に対する傾きを抑制できる。
また、レンズ駆動部92は、図6に示すように、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cが配置されるフレーム31の角部38C、38Aと異なる角部38Bに配置されている。
これにより、AF駆動部92とベアリング73A又はベアリング73Bとの距離と、AF駆動部92とベアリング73Cとの距離との差が小さくなり、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cには、AF駆動部92からの駆動力が均等に掛かる。ベアリング73A、73Bとベアリング73Cに均等な駆動力が掛かるので、レンズ保持部60がZ軸方向に移動する場合に生じるレンズ保持部60のXY平面に対する傾きを、より抑制できる。
さらに、本実施の形態では、図7に示すように、略八角形であるレンズ保持部60の筒状部材61において、ベアリング摺動部71BとAF駆動部92を構成するAFコイル62とベアリング摺動部72Bは交点Cを中心として約90°間隔で配置されているので、AF駆動部92とベアリング73A又はベアリング73Bとの距離と、AF駆動部92とベアリング73Cとの距離との差がさらに小さくなる。したがって、レンズ保持部60がZ軸方向に移動する場合に生じるレンズ保持部60のXY平面に対する傾きを、さらに抑制できる。
なお、レンズ保持部60のXY平面に対する傾きをより抑制するためには、交点CがZ軸上にあることが好ましい。
以上のように、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cとを、それぞれ、対向する角部38Cと角部38Aとに配置することによって、実施の形態1におけるレンズ駆動装置100は、レンズ保持部60がレンズのZ軸方向に移動する場合に生じるレンズ保持部60のXY平面に対する傾きを抑制できる。
また、レンズ駆動部92を、ベアリング73A、73Bとベアリング73Cが配置されるフレーム31の角部38C、38Aと異なる角部38Bに配置することによって、レンズ保持部60がZ軸方向に移動する場合に生じるレンズ保持部60のXY平面に対する傾きを、より抑制できる。
さらに、略八角形であるレンズ保持部60の筒状部61に、ベアリング摺動部71BとAF駆動部92を構成するAFコイル62とベアリング摺動部72Bとを交点Cを中心として約90°間隔で配置することによって、実施の形態1におけるレンズ駆動装置100は、レンズ保持部60がZ軸方向に移動する場合に生じるレンズ保持部60のXY平面に対する傾きを、さらに抑制できる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1におけるAF位置検出部36が、レンズ支持部60のZ軸方向における位置を検出する精度について、説明する。
本実施の形態1においては、図5、6に示すように、AF駆動部92のAFコイル62が設けられる筒状部材61の側面部64と、AF用位置検出マグネット65が設けられる筒状部材61の側面部66は対向している。また、AF駆動部92のAFマグネット35AはAF駆動部92のAFコイル62に対向し、OISフレーム部30のAF位置検出部36はAF用位置検出マグネット65に対向している。
したがって、レンズ駆動装置100を前側から平面視した場合、AF位置検出部36とAF駆動部92は、筒状部材61のレンズバレル取り付け部74を挟んで対向している。すなわち、AF位置検出部36は、AF駆動部92と、レンズと筒状部材61とを挟む位置に設けられている。
本実施の形態1においては、AF位置検出部36が、AF駆動部92と、レンズと筒状部材61とを挟む位置に設けられているので、AF駆動部92のAFコイル62とAF位置検出部36との距離が遠くなり、AF位置検出部36が受けるAFコイル62が発生する磁場の干渉は減少する。
したがって、AF位置検出部36は、ベース部10に対するレンズ保持部60のZ軸方向における位置を高い精度で検出でき、実施の形態1におけるレンズ駆動装置100はレンズ保持部60のZ軸方向における位置を高い精度で制御できる。
また、レンズ保持部60のZ軸方向への移動において、レンズ保持部60のXY平面に対する角度(AFコイル62を支点とする傾き)が変化する場合がある。この場合、本実施の形態においては、AF駆動部92がAFコイル62から遠い位置に設けられているので、AF位置検出部36は、フィードバック制御において、レンズ保持部60のAFコイル62がZ軸方向へ移動した距離よりも大きな値を、レンズ保持部60の変位として検出できる。これにより、レンズ駆動部92は、レンズ保持部60のZ軸方向への移動距離をより短くするように制御されるので、実施の形態1におけるレンズ駆動装置100はレンズ保持部60のZ軸方向における位置をより高い精度で制御できる。
以上のように、平面視において、AF位置検出部36がAF駆動部92と、レンズと筒状部材61とを挟む位置に設けられているので、実施の形態1におけるレンズ駆動装置100はレンズ保持部60のZ軸方向における位置を高い精度で制御できる。
(実施の形態4)
実施の形態1では、平面視において、AF位置検出部36がAF駆動部92と、レンズと筒状部材61とを挟む位置に設けられているが、AF位置検出部36は、平面視において、AF駆動部92とレンズを挟む位置に設けられていればよい。
例えば、図8、9に示すように、筒状部材61のAF用位置検出マグネット65に代えて反射板120が設けられ、ベース11の反射板120に対向する位置に、レンズ保持部60のZ軸方向における位置を検出する光センサ122が設けられてもよい。これにより、実施の形態1と同様に、レンズ駆動装置100はレンズ保持部60のZ軸方向における位置を高い精度で制御できる。なお、図8、9では、理解を容易にするために、ベース11、AF駆動部92、反射板120、光センサ122のみを簡略化して示している。
さらに、レンズ保持部60はレンズを直接保持してもよい。
(実施の形態5)
本実施の形態では、図10〜13を参照して、実施の形態1におけるレンズ駆動装置100のベース部10とカバー部80について説明する。
ベース部10とカバー部80は、ベース部10とカバー部80との間に形成される隙間230を、接着剤240により短時間で確実に封止する構造を有している。
まず、図10(a)、図10(b)を参照して、本実施の形態に係るベース部10とカバー部80について、その全体的な構造を説明する。
図10(a)に示されるように、ベース部10は、略矩形かつ平板状のベース11を備える。ベース11の4つの辺には、ベース側壁212がベース11の上面から立ち上がるように形成されている。このベース側壁212は、ベース11の4つの辺から少しだけ内側に離れた位置から立ち上がっており、ベース11の上部から観察すると全体として略矩形状である。
ベース11の4つの辺とベース側壁212との間の平面部は、カバー部80の当接部224が当接する当接部216である。ベース側壁212は4つのベース側壁212a、212b、212c、212dから構成されており、それぞれのベース側壁212a、212b、212c、212dは、ベース11の4つの辺に沿って長手方向に延在するように形成されている。このベース部10は、例えば熱可塑性樹脂等の樹脂から形成される。
図10(b)に示されるように、カバー部80は、略矩形状の底面を有するカバー221と、カバー221の4つの辺からカバー221に対して垂直方向に延在し、カバー221と対向する端部に当接部224を有するカバー側壁222とを備える。このカバー側壁222の内面とベース側壁212の外面とは、接着剤240により互いに接着される。カバー側壁222を構成する4つのカバー側壁222a、222b、222c、222dは、それぞれカバー221の4つの辺に沿って長手方向に延在するように形成されている。
そして、カバー側壁222a、222b、222c、222dには、それぞれ接着剤240をベース側壁212とカバー側壁222の隙間230に注入可能な開口部223が形成されている。この開口部223は、カバー部80がベース部10に取り付けられた際に、カバー側壁222a、222b、222c、222dのうち最も高さのある部分と対応するように、長手方向の中心部付近に形成される。カバー部80は、例えばステンレス等の金属または熱可塑性樹脂等の樹脂で形成される。
次に、ベース部10のベース側壁212の形状について、その詳細を説明する。図11(a)〜図11(d)は、本実施の形態に係るベース側壁212の側面図であり、これらの図面を必要に応じて参照する。
図11(a)〜図11(d)に示されるように、それぞれのベース側壁212a、212b、212c、212dは、全体として長手方向の中心部付近が最も高く、長手方向の両端部に向かって次第に高さが減少するように形成されている。ベース側壁212a、212b、212c、212dの高さは、長手方向の中心部付近から両端部に向かって連続的に減少するように形成することができる。例えば、図11(a)、図11(b)に示されるように、ベース側壁212a、212b、212c、212dの上面215がそれぞれ台形状または円弧状となるように形成しても良い。
また、ベース側壁212a、212b、212c、212dの高さは、連続的に変化するものに限られず、段階的に変化するように形成することもできる。例えば、図11(c)に示されるように、ベース側壁212a、212b、212c、212dの上面215が階段状に減少するように形成しても良い。
ベース側壁212a、212b、212c、212dは、その高さが長手方向の中心部から端部に向けて連続的または段階的に減少するものに限られず、ベース側壁212a、212b、212c、212dの高さが全体として長手方向の中心部から両端部に向けて減少していれば、いかなる形状であっても良い。高さが全体として長手方向の中心部から両端部に向けて減少するベース側壁212a、212b、212c、212dには、長手方向の中心部から両端部に向けて減少していない部分を部分的に備えるものも含まれる。例えば、図11(d)に示されるように、不規則な凹凸部213が形成された部分を部分的に含むように形成することができる。また、ベース側壁212a、212b、212c、212dが、長手方向の中心部から端部に向けて高さが増加する部分、不規則に高さが変化する部分、ベース部10の平面に対して垂直な方向に突出する部分を含むように形成することもできる。
ベース部10とカバー部80とを封止するために、ベース側壁212とカバー側壁222の隙間230には接着剤240が注入される。接着剤240としては、ベース側壁212とカバー側壁222との間の狭い隙間230を浸透可能な程度の粘度を有する熱硬化性樹脂が好ましい。接着剤240としては、ベース側壁212とカバー側壁222との間の隙間230に浸透可能であれば良く、熱硬化性樹脂に限られない。例えば、接着剤240として紫外線等により硬化する光硬化性樹脂を用いても良い。接着剤240として光硬化性樹脂を用いる場合、カバー部80の少なくとも一部を透光性の樹脂から形成する必要があることは言うまでもない。
次に、図12(a)〜図12(d)を参照して、ベース部10とカバー部80を組み立てる方法について説明する。図12(a)〜図12(d)は、本実施の形態におけるベース部10とカバー部80の組み立て方法について順を追って模式的に示した図である。
図12(a)に示されるように、最初にカバー部80をベース部10に取り付ける。ベース11にはベース側壁212が設けられているため、カバーの当接部224をベース11の当接部216に向けて移動させた場合、当接部224はベース側壁212の外面によって案内される。このため、当接部224を確実にベース11の当接部216に当接できる。
次いで、図12(b)に示されるように、カバー側壁222に設けられた開口部223から接着剤240を注入する。ベース側壁212とカバー側壁222との間には所定の隙間230が形成されており、図12(c)に示されるように、開口部223から注入された接着剤240が毛細管現象により隙間230の両端部に向けて次第に浸透する。接着剤240の注入後しばらく経過すると、図12(d)に示されるように、接着剤240はベース11付近を這うように浸透し、隙間230の両端部に到達する。カバー側壁222に設けられる開口部223は、ベース側壁212のうち最も高さがある部分に対応するように形成されている。このため、注入された接着剤240がベース側壁212を超えて、ベース側壁212の内側に入り込むおそれがない。
ベース側壁212とカバー側壁222の隙間230の全域に接着剤240が広がった後、所定の方法で接着剤240を硬化させ、隙間230をしっかりと密封する。接着剤240が熱硬化性樹脂の場合、ベース側壁212及びカバー部80の当接部224の周辺をヒーター等で加熱する。接着剤240が光硬化性樹脂の場合は、ベース側壁212及びカバー側壁222の周辺に光を照射する。
次に、図13(a)、(b)を参照して、接着剤240が毛細管現象によりベース側壁212とカバー側壁222の隙間230に広がっていくメカニズムについて説明する。
毛細管現象は、液体分子間で働く凝集力に対して物体表面と液体分子との間で働く付着力が打ち勝つことにより、液体が物体表面に引き寄せられて移動する現象である。開口部223から注入された接着剤240は、付着力によりベース側壁212及びカバー側壁222に引き寄せられて、隙間230を広がるよう移動しようとする。
本実施の形態に係るベース側壁212のように、ベース側壁212の高さが全体として長手方向の中心部から両端部に向けて減少する形状に形成されていると、図13(a)に示されるように、ベース側壁212に付着した接着剤240が両端部に向かうにつれてベース11付近に集められ、隙間230の両端部に向かって押し出されると考えられる。また、接着剤240がベース11付近に集められると、ベース側壁212との付着力だけでなくベース211との付着力の影響を受けやすくなると考えられる。このため、ベース側壁212の高さが一定の場合と比較して毛細管現象が促進され、接着剤240が隙間230に短時間で広がっていく。このため、開口部223から注入された接着剤240は、図13(b)に示されるように、毛細管現象による浸透力によりベース側壁212の両端部に向かってスピーディかつ確実に広がっていく。
このように、本実施の形態に係るレンズ用駆動装置100では、ベース側壁212の高さが全体として長手方向の中心部から両端部に向けて減少する形状に形成されているため、毛細管現象による浸透力が増大し、隙間230のうち開口部223から離れた部分にも、接着剤240がスピーディかつ確実に入り込む。このため、ベース部10とカバー部80との隙間230を短時間で封止することができる。
(実施の形態6)
次に、図14〜図16を参照して、本実施の形態に係るレンズ駆動装置130について説明する。本実施の形態においては、実施の形態5とは異なり、ベース側壁212とカバー側壁222の隙間230の形状を工夫することより、毛細管現象による接着剤240の広がりを促進している。その他の構成については、実施の形態5の構成と概ね同様であり、以下、同一又は同等する部材には同一の符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図14(a)は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置130の構成を概念的に示した側面図であり、図14(b)は、図14(a)のレンズ駆動装置130をC−C’線で切断した断面図である。
図14(b)に示されるように、本実施の形態においては、ベース側壁212のうちカバー側壁222に対向する面を傾斜面214としている。この傾斜面214は、ベース側壁212の上面215からベース11に向かってベース部10の外側に伸びる方向に形成される。ベース側壁212の外面とカバー側壁222の内面とのなす角は45°以下であることが好ましい。一方、カバー部80をベース部10に取り付けた際、カバー側壁222はベース11に対して略垂直方向に配置される。このため、ベース部10にカバー部80を取り付けた際、ベース側壁212とカバー側壁222との隙間230は、ベース側壁212の上面215付近で最も広がっており、ベース側壁212の裾に向かうにつれて徐々に狭くなるように形成される。
本実施の形態においては、実施の形態5とは異なり、ベース側壁212の高さが全体として長手方向の中心部から両端部に向けて減少する形状に形成される必要はなく、ベース側壁212の上面215はいかなる形状であっても良い。また、カバー部80の開口部223は、接着剤240の広がりやすさを考慮して、カバー側壁222の長手方向の中心部に設けられていることが好ましいが、必ずしもカバー側壁222の長手方向の中心部に限られない。接着剤240の注入作業の効率等を勘案し、カバー側壁222の長手方向の端部に設けても良いし、1辺に2箇所以上の開口部223を設けても良い。
次に、図15、16を参照して、本実施の形態に係るベース部10に対してカバー部80を取り付ける方法について説明する。
図15は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置130の側面図であり、図16は、図15のレンズ駆動装置130をD−D’線で切断した断面図である。図15(a)と図16(a)はカバーの開口部223に接着剤240を注入している状態、図15(b)と図16(b)は接着剤240が毛細管現象による浸透力により拡散している状態、図15(c)と図16(c)はベース側壁212の端部に接着剤240が到達した状態を示す図である。
まず、本実施の形態においても、実施の形態5と同様に、ベース部10にカバー部80を組み付ける。次いで、図15(a)、図16(a)に示されるように、カバー側壁222の開口部223から接着剤240をベース側壁212とカバー側壁222の隙間230に向けて注入する。このとき、ベース側壁212の外面が図15(b)に示されるような傾斜面214として形成されているため、ベース部10及びカバー部80の形状に多少のバラツキがあったとしても、隙間230のいずれかの高さにおいて、毛細管現象による浸透力を確実に発生させることのできる適切な間隔を得ることができる。このため、図15(b)、図16(b)に示すように、ベース側壁212とカバー側壁222の隙間230において接着剤240が確実に広がってゆく。
そして、時間の経過とともに、図15(c)、図16(c)に示すように接着剤240は隙間230の両端部にまで到達する。このとき、隙間230に注入された接着剤240は中心部から両端部まで必ずしも完全に均一に浸透せず、隙間230の両端部付近に浸透する接着剤240は、中心部付近に存在する接着剤240に比べて少ないことも想定される。しかし、隙間230が上方からベース11に向けて狭くなるように形成されていることから、両端部付近に到達した接着剤240は、重力により隙間230の下方に向けて集められる。このため、ベース11付近に集められた接着剤240は確実にベース側面212とカバー側面222とに連続して接着する。このため、ベース側面212とカバー側面222の隙間230に注入された接着剤240は、確実かつスピーディに両端部まで浸透できる。
このように、本実施の形態においては、ベース側壁212には、上面215からベース11に向かってベース部210の外側へ伸びる傾斜面214が形成されているため、隙間230に注入された接着剤240には毛細管現象による浸透力が確実に作用し、ベース側壁212とカバー側壁222の隙間230を短時間で封止することができる。
また、ベース側壁212の外面が傾斜していない場合、開口部223に注入する接着剤240の量によっては、隙間230からオーバーフローし、ベース側壁212の内側に接着剤240が流れ出すおそれがある。しかしながら、本実施の形態においては、ベース側壁212の外面が傾斜面214であり、ベース側壁212の上方に向かうにつれてカバー側壁222の内面との間隔が広がるように形成されている。このため、隙間230を流れる接着剤240の流量が多少変動したとしても接着剤240の高さの変化を押さえることができ、接着剤240がベース側壁212の内側にオーバーフローすることを防止できる。
さらに、本実施の形態においては、ベース部10にカバー部80を取り付ける際に、ベース側壁212に傾斜面214が形成されているため、傾斜面214がカバー側壁222を誘い込むようガイドの役割を果たすことになる。このため、本実施の形態に係るレンズ駆動装置130の組み立て性の向上を実現できる。
(実施の形態7)
実施の形態6に係るレンズ駆動装置130では、ベース部10のベース側壁212を傾斜させることにより、隙間230が上方では幅が広くなるように、下方では幅が狭くなるように形成していたが、これに限られない。例えば、図17(a)に示されるように、カバー部80のカバー側壁222の内面の一部を傾斜させても良い。また、図17(b)に示されるように、ベース部10のベース側壁212とカバー部80のカバー側壁222の両方が下方に向かって互いに漸近するように傾斜させても良い。
また、実施の形態6に係るレンズ駆動装置130では、ベース側壁212の傾斜面214を1つの平面で形成していたが、これに限られない。例えば、傾斜面214をカバー側面222に向かって凸状または凹状となる曲面に形成しても良い。また、傾斜面214を複数の平面から構成し、途中に折れ曲がり部を設けても良い。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1において、サスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dのそれぞれとはんだ付けされる上板バネ41A、41B、41C、41Dについて説明する。
図18に、上板バネ41Bが取り付けられる角部38Bを示す。なお、角部38Bにはマグネット支持部35Bが形成されている点で角部38A、38C、38Dと異なっているが、上板バネ41A、41B、41C、41Dの取付けに対して角部38A、38B、38C、38Dの構造はいずれも同等である。
図3、18に示すように、角部38Bにおけるフレーム31のL字形の壁部311は、角部38Bにおけるバネ支持部37Bの面よりZ軸方向の高さが低くなっている。また、バネ支持部37Bを含む部分も別の壁部を構成する。これらの壁部に取り囲まれるように、開口部312が形成されている。また、バネ支持部37Bには2つの円柱状で前側に向けて突出する突起部313が形成されている。突起部313の先端には面取りが施されている。
本実施の形態の上板バネ41A、41B、41C、41Dは、いずれも同一の形状及び大きさを有する一体の板状部材である。以下、本実施の形態では上板バネ41Bとして説明する。応力集中を避ける等の目的で、上板バネ41Bの平面視での角部及び隅部にはそれぞれ丸みが付けられている。
図19に示すように、上板バネ41Bは、斜辺部333と、辺部335、336と、辺部336と、から概ね直角三角形に形成された枠体を外周部に有する。辺部335と辺部336とは、同一の所定幅を有し、斜辺部333を底辺とした山の頂部334で直角をなすように接続されている。斜辺部333と辺部335との接続部には、円形の位置決め孔331が形成されている。斜辺部333と辺部336との接続部には、組み立てを容易にするよう斜辺部333の長手方向と平行に延びた長円形の孔である位置決め孔332が形成されている。
枠体の内側には変形の五角形である開口部343が形成されている。開口部343の内側には、頂部334から斜辺部333に向かう方向に腕部337が進出している。腕部337の斜辺部333側の端部には、外周部338と、連結部339と、はんだ接続部340と、貫通孔341と、スリット342と、が形成されている。
外周部338は、円形の外形を有する環状の部分である。外周部338は、外側の1箇所で腕部337の端部と接続されている。
連結部339は、外周部338における腕部337から周方向に最も遠い位置の1箇所から、外周部338の内側に向かって帯状に延びている短い帯状の部分である。
はんだ接続部340は、連結部339の端部と接続されている。はんだ接続部340は、円形の外形を有する環状の部分である。はんだ接続部340の中心部には、サスペンションワイヤ42Bが通る程度の大きさの貫通孔341が形成されている。
外周部338とはんだ接続部340との間には、連結部339の位置で開口するC字形のスリット342が形成されている。本実施の形態では、スリット342は、外周部338とはんだ接続部340とが同心になるように設けられる。また、連結部339は、スリット342の幅と同じ長さを有する。腕部337、外周部338及び連結部339は、図示の例では辺部335、336よりやや狭い、それぞれ所定の幅を有する。
上板バネ41Bは、腕部337が全体の弾性において支配的となるように、形状及び寸法が決定されている。外周部338と連結部339とは、それぞれ上板バネ41B全体と比較して剛体に近いバネ定数を有する。とりわけ、腕部337に対して、連結部339は十分に大きなバネ定数を有するような形状で構成されるため、弾性は腕部337が支配的となる。
図20に、フレーム31の角部38Bにおける上板バネ41Bとサスペンションワイヤ42Bの組立状態を示す。
角部38Bの2つの突起部313が上板バネ41Bの孔331、332をそれぞれ挿通することにより、上板バネ41Bは、バネ支持部37B上の所定の位置に載置される。上板バネ41Bは、接着剤によってバネ支持部37Bと固定される。
上板バネ41Bの辺部335、336は、それぞれ壁部311の1辺に対応する位置でフレーム31から浮いている。上板バネ41Bの開口部343は、開口部312とほぼ対応する位置に配置される。
サスペンションワイヤ42Bは、上板バネ41Bの貫通孔341を挿通している。はんだ321は、はんだ接続部340上に載置されている。なお、ここでいう載置は必ずしも重力方向の上方に限らず、はんだ接続部340の面に接していることを指す。サスペンションワイヤ42Bは、前側の端部付近において、導電性を示す結合部材である上板バネ固定はんだ321によって上板バネ41Bとはんだ付けされている。また、サスペンションワイヤ42Bの後側の端部は、リードフレーム25Bとはんだ付けされる。
はんだ321は、例えば糸はんだ又はクリームはんだとして形成される。はんだ付けをする場合、例えばはんだごて、オーブン、熱風又はランプ等を適宜に用いて加熱することができる。はんだ321は、熱溶融性成分として導電性のはんだとはんだに練り込まれたフラックス361(後述)とを備えるものが好適に用いられる。しかしながら、上記のようにはんだとフラックスとが一体化又は混合された形態の他、例えばはんだ付けの際にフラックスを用いるはんだ等の形態としてもよい。
このような組立状態において、上板バネ41Bは、斜辺部333の部分でバネ支持部37Bに固定された板バネとして機能する。なお、本明細書における上板バネ41A、41B、41C、41D(板バネ)は、図20で示したように板面上に上記結合部材等の部材が載置されるバネである。ここで、図3及び図19等に示すように、上板バネ41A、41B、41C、41Dは、貫通孔341等のようにバネ領域に孔又は開口部を有する形態を含む。
次に、比較例(図21)と本実施の形態における構造(図22)とを比較して説明する。図21に示す板バネ350において、上板バネ41Bと異なる参照符号を用いて説明した部分を除き、簡便のため上板バネ41Bの場合と同様と仮定する。
図21に示す比較例の板バネ350では、本実施の形態の腕部337に対応する腕部351が延びている。腕部351の先端には、本実施の形態のはんだ接続部340と同様に中央部に貫通孔を有する円形の接続部352が設けられている。外周部338及び連結部339に対応する部分は形成されていない。
サスペンションワイヤ42Bと板バネ350とを接続部352上ではんだ付けすると、広い領域の接続部352から比較的幅が狭い腕部351上にフラックス361が濡れ広がりやすくなる。図21及び後述の図22では、理解を容易にするためはんだ321の成分の内フラックス361のみを表示している。比較例の板バネ350の方では、図示のように、場合によってはフラックス361が頂部334、及び辺部335、336の領域まで広がる場合もある。また、フラックス361の濡れ広がり方のばらつきが出やすくなる。
フラックス361が濡れ広がることにより、腕部351のバネ定数が変化する。腕部351は、頂部334から開口部343に向けて進出する各部、及び、板バネ350全体において支配的な所定のバネ定数を有する。従って、複数個の板バネ350における腕部351へのフラックス361の濡れ広がり及びそれらのばらつきは、バネ定数の変化及びそれらのばらつきとなる。これにより、板バネ350を手振れ補正機構に用いたとき、支持機構の傾き等をもたらすことによって、安定した性能が得られなくなるおそれがある。
他方、図22に示す本実施の形態における上板バネ41Bは、はんだ接続部340(第1の面)と、第1の面の外縁部から突出した連結部339(第2の面)と、第1の面及び第2の面を包囲する環状体に形成され、環状体の内側で第2の部分の一端に接続された外周部338(第3の面)と、一端が環状体の外側で第3の面に接続された腕部337(第4の面)と、を備える。第1〜第4の面は、板状体の一平面として形成される。腕部337は、板バネ350の場合における腕部351と同様、前述したように頂部334から開口部343に向けて進出する各部、及び、板バネ350全体において支配的な所定のバネ定数を有する。
上記の構成とすることにより、サスペンションワイヤ42Bと上板バネ41Bとをはんだ接続部340上ではんだ付けしたときに、フラックス361が連結部339を通って外周部338まで流出したとしても、フラックス361の濡れ広がりは、図22に示す程度となり腕部337まで及ぶことが防止される。外周部338を設けることで、腕部337までに比較的広い領域を設けることができるとともに、腕部337から最も遠い位置で連結部339を設けることができるためである。
その結果、フラックス361の濡れ広がりによる、バネ定数が変化する要素が製造上加わったとしても、上板バネ41B全体のバネ性能への影響が抑制される。従って、本実施の形態によれば、支配的なバネ領域である腕部337のバネ定数の変化及びばらつきが防止されるので、上板バネ41Bのバネ定数及び手振れ補正機構について安定した性能が得られる。
また、本実施の形態のような構成とすることで、フラックスの流れをせき止めるための特段の立体的な付加物又は加工を必要とせず板状体の一平面として形成することができる。これにより、板バネの製造コストの増加を抑制することが可能となる。本実施の形態のように、全て一平面の上板バネ41Bの場合に特に好ましい。
なお、本実施の形態では、一例としてフラックスの流出による濡れ広がりについて説明した。しかしながら、フラックスと同様に、熱によって温められたはんだ自身もある範囲で濡れ広がり得る。従って、上述のフラックスの濡れ広がりが抑制されるのと同様に、本実施の形態の板バネによってはんだ自身の濡れ広がりが抑制される効果があることは言うまでもない。
また、本実施の形態では、一例として結合材料としてはんだを用いている。その他にも、はんだの代替として導電性接着剤(例えば銀ペースト等)を用いても良い。導電性接着剤は、はんだ接続部340と同じ領域に塗布される。導電性接着剤を用いる場合、クリームはんだと同様に、オーブン、熱風又はランプ等によって加熱することができる。熱によって温められると、熱溶融性を有する導電性接着剤は、ある範囲で濡れ広がり得る。従って、導電性接着剤を用いる場合も、上述のフラックス又ははんだ自身の場合と同様に、本実施の形態の板バネによって導電性接着剤の濡れ広がりを抑制することができる。
また、本実施の形態ではサスペンションワイヤ42Bに通電を行う前提であったため、結合部材には導電性を備える部材を選択していた。しかしながら、サスペンションワイヤ部に通電を行わない実施の形態においては、使用する接着剤は必ずしも導電性を示さなくてもよい。例えば、光硬化接着剤又は熱硬化接着剤などの、濡れ広がりが発生し得る結合部材を用いてもよい。これらの場合も同様に、本実施の形態の板バネによって結合部材の濡れ広がりを抑制することができる。
また、本実施の形態では、外周部338及びはんだ接続部340はいずれも円形の環状として形成されている。これは、手振れ補正機構の動作においてはんだ付けの箇所に応力が集中しやすいことを考慮したものであるが、バネ定数の観点からは円形に限らず例えば多角形、長円形等の環状としてもよい。
また、腕部337のバネ定数に影響を及ぼさないように各部の形状及び寸法を変更することは本発明の範囲内である。例えば、連結部339は外周部338とはんだ接続部340との間に1箇所設けられているが、フラックス361の濡れ広がりを抑制可能な前提で複数個設けてもよい。
(実施の形態9)
図23〜図25を参照して、本実施の形態に係るレンズ駆動装置400を説明する。
実施の形態1のレンズ駆動装置100では、OISマグネット32A、32B、AFマグネット35AがOISフレーム部30に備えられ、AF用位置検出マグネット65がレンズ保持部60に備えられている。つまり、互いの相対的位置関係がZ軸方向に変化する2つの部材であるOISフレーム部30とレンズ保持部60とにマグネットが分散して配置されている。したがって、AF駆動部92がレンズ保持部60を駆動する際に、AF用位置検出マグネット65と、OISマグネット32A、32BあるいはAFマグネット35Aとの間に働く引力や斥力よって、レンズ保持部60を精度良く駆動制御できない場合がある。また、AF用位置検出マグネット65をOISフレーム部30に固定し、AF位置検出部36をレンズ保持部60に固定すると、電源端子と制御用端子を合わせた6端子をレンズ保持部60に配線する必要がある。しかし相対的位置が変化するレンズ保持部60に6端子を配線する経路を確保することは困難である。
本実施の形態では、AF用位置検出マグネットを、他のマグネットが備えられているOISフレーム部に固定することによって、レンズ保持部とOISフレーム部との間にマグネットによる引力又は斥力を生じさせず、レンズ保持部を精度良く駆動制御する構成を提供する。また、AF用位置検出マグネットをOISフレーム部に固定し、AF位置検出部とAFコイルをレンズ保持部に固定したときに、4つの配線をレンズ保持部まで配設することにより制御可能な構成を提供する。
本実施の形態に係るレンズ駆動装置400は、図23に示すように、ベース部410と、OISフレーム部430と、レンズ保持部460と、レンズ支持部470と、カバー部480と、を備える。
(ベース部)
ベース部410は、図示しないリードフレームを備える略矩形の樹脂製のベース411とOISコイル422A、422BとOIS位置検出部423A、423Bとから構成される。
ベース411は中央部に円形の開口部415を有し、レンズバレルのレンズを透過した光は、開口部415を通過して後方に配置された図示しない撮像素子に達する。ベース411には、OISフレーム部430とレンズ保持部460とレンズ支持部470とを覆うように、カバー部480が取り付けられる。
OISコイル422A、422Bのそれぞれは、ベース411の隣り合う角部のそれぞれに設けられたコイル支持部420A、420Bのそれぞれに取り付けられている。OIS位置検出部423A、423Bのそれぞれは、コイル支持部420A、420Bにそれぞれ対向する角部に設けられたOIS位置検出支持部421A、421Bに取り付けられている。
ここで、フレーム431の角部とは、フレーム431の角を形成する2辺に挟まれた、角の周辺領域をいい、フレーム431の角の形状は任意であり、図示するように直角に形成される場合に限らず、例えば丸く(曲率を有して)形成されてもよい。
OISコイル422Aは、OISフレーム部430をY軸方向に移動させる磁界を発生させる。また、OISコイル422Bは、OISフレーム部430をX軸方向に移動させる磁界を発生させる。OISコイル422A、422Bのそれぞれは、OISフレーム部430のOISマグネット432A、432Bのそれぞれと対向し、共に、OISフレーム部430を駆動するOIS駆動部を構成する。
また、OIS位置検出部423A、423Bは、それぞれOISフレーム部430のOISマグネット434A、434Bに対向し、それぞれがベース部410に対する、OISフレーム部430のOISマグネット434A、434BのX軸方向、Y軸方向における位置を検出する。これにより、OIS位置検出部423A、423Bは、ベース部410に対する、OISフレーム部430のX軸方向とY軸方向における位置を検出できる。
ベース411には、レンズ支持部470の上板バネ471A、471B、471C、471Dのそれぞれに電気的に接続されるサスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dのそれぞれを、保持するための孔425A、425B、425C、425Dが設けられている。
孔425A、425B、425C、425Dに保持されたサスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dのそれぞれの端部は、リードフレームに接続される。リードフレームは、それぞれ外部の図示しない制御部に接続し、制御部からの電力、信号等を入出力する。リードフレームに供給された電力、信号等は、サスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dと、上板バネ471A、471B、471C、471Dとを介して、レンズ保持部460のAF位置検出部469に入出力される。
(OISフレーム部)
OISフレーム部430はレンズ保持部460を収納して、保持する。OISフレーム部430は、レンズ保持部460を、ベース部410に対してX軸方向とY軸方向に揺動する。
OISフレーム部430は、略矩形形状の枠体であるフレーム431と、フレーム431に設けられるOISマグネット432A、432B、434A、434BとAF用位置検出マグネット435Aとから構成される。
OISマグネット432A、432B、434A、434Bは、それぞれ、フレーム431の角部のマグネット配置部433A、433B、439A、439Bに設けられる。
OISフレーム部430は、OISマグネット432A、432B、434A、434Bのそれぞれが、ベース部410のOISコイル422A、422B、OIS位置検出部423A、423Bのそれぞれと対向するように、配置される。
AF用位置検出マグネット435Aは、フレーム431の1辺の内側に設けられたマグネット支持部435Bに固定される。
フレーム431は、開口431Aにレンズ保持部460を収納する。OISフレーム部430は、レンズ支持部470のサスペンションワイヤ472A、472B、472C、472DによってX軸方向とY軸方向に揺動可能な状態で弾性的に支持される。
(レンズ保持部)
レンズ保持部460は、Z軸方向に移動して焦点調節を行う。レンズ保持部460は、フレーム431の開口431Aに収納され、OISフレーム部430に保持される。
レンズ保持部460は、略八角形の筒状部材461と、AFコイル462と、AF用位置検出部469とから構成される。
筒状部材461には、筒の内側面にレンズバレル取り付け部474が形成され、レンズバレル取り付け部474にレンズバレルが取り付けられる。
AFコイル462は、筒状部材461の側面に巻き付けられたコイルである。AFコイル462に電流が流れると、AFコイル462は、OISマグネット432A、432B、434A、434Bの磁界により、光軸方向に力を受ける。レンズ保持部460は、AFコイル462が磁界から受ける力と、上板バネ471A、471B、471C、471D、下板バネ473の弾性力により、保持される。
AF位置検出部469は、レンズ保持部460の1辺の外側に配置される。AF位置検出部469は、OISフレーム部430に配置されたAF用検出マグネット435Aの位置を検出することにより、ベース部410に対する、レンズ保持部460のZ軸方向における位置を検出できる。
(レンズ支持部)
レンズ支持部470は、上板バネ471A、471B、471C、471Dと、上板バネ471A、471B、471C、471Dのそれぞれと接続するサスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dと、下板バネ473と、から構成される。
サスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dは、弾性と導電性とを有する金属から成る。
サスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dは、それぞれ、前端部で上板バネ471A、471B、471C、471Dのそれぞれに接続され、固定されている。また、サスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dの後端部のそれぞれは、ベース部410のリードフレームに接続されている。
上板バネ471A、471B、471C、471Dのそれぞれは、図24に示すように、直角三角形の枠状の板部Bと、略S字形に成形された弾性部Sと、円弧状に成形されたリード部Lとを含む。上板バネ471A、471B、471C、471Dのそれぞれは、AF位置検出部469と電気的に接続される。上板バネ471A、471B、471C、471Dは、弾性と導電性とを有する金属から成る。
それぞれにサスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dが接続された上板バネ471A、471B、471C、471Dは、それぞれ、レンズ保持部460を収納したOISフレーム部430の前側(撮像対象物側)に取り付けられている。
なお、板部B、弾性部S、リード部Lの形状は上述した形状に限られない。例えば、板部Bは、サスペンションワイヤ472A等を、いわゆる片持ちの構造で支持することができるように形成しても良い。また、板部Bは、板部Bは、応力集中を避ける等の目的で、角が丸みを持った形状であっても良い。また、弾性部Sは、一定の弾性をもって板部Bとリード部Lとを接続することができれば、例えば波型の形状、又は屈曲を持たない形状であっても良い。
図23に戻り、下板バネ473は、弾性を有する金属から成る。下板バネ473は、レンズ保持部460を収納したOISフレーム部430の後側(撮像素子側)に取り付けられている。
以上のような構成により、レンズ支持部470はレンズ保持部460を揺動可能に支持している。
(カバー部)
カバー部480は、底面が略矩形状のカバーである。カバー部480は、OISフレーム部430とレンズ保持部460とレンズ支持部470とを覆って保護する。カバー部480は、ベース部410のベース411に取り付けられる。
カバー部480は、上面の中央に開口部482を有する。撮像対象物からの光は、開口部482を通過してレンズバレルに入射し、後方に配置された撮像素子に達する。
上述した構成を有するレンズ駆動装置400によれば、レンズ保持部460とOISフレーム部430との間にマグネットによる引力又は斥力が生じないため、レンズ保持部460を精度良く駆動制御することができる。
(給電方法)
次に、図25を用いて、レンズ保持部460に備えられたAFコイル462とAF位置検出部469への給電方法について説明する。
本実施の形態では、AF用位置検出マグネット435Aを他のマグネットが備えられているOISフレーム部430に配置するため、AF用位置検出マグネット435Aによる磁界を検出するAF位置検出部469をレンズ保持部460に設ける。
AF位置検出部469をレンズ保持部460に設けると、レンズ保持部460に電力又は信号を供給するために必要な端子の数は、磁気センサ駆動用の端子が4、AFコイル462の駆動用の端子が2であり、合計6である。
本実施の形態では、AF位置検出部469にドライバICを設け、AFコイル462を駆動する。そのため、レンズ保持部460に外部からAFコイル462を駆動する端子2つが不要となる。レンズ保持部460に電力又は信号を供給するための端子の数を4にすることにより、4つの板バネ471A、471B、471C、471Dからの給電を可能にする。以下、ドライバICを設けたAF位置検出部469の構成を説明する。
AF位置検出部469は、FPC(Flexible Print Circuit)上にコントローラ469aと、磁気センサ469bと、AF制御部469cと、ドライバ回路469dと、を備える。
コントローラ469aは、上板バネ471A、471Bから電源の入力を受け付け、磁気センサ469bに供給する直流電流の量を調整する。また、コントローラ469aは、上板バネ471c、471dから、制御信号を受け付け、AF制御部469cに供給する。この制御信号は、例えば、撮像画像のコントラストが最大になるようなレンズ保持部460のZ軸方向の位置を示す信号であり、AF制御部469cがAFコイル462に供給する電流量を制御することにより調整するレンズ保持部460の位置の目標値を示す信号である。
磁気センサ469bは、ホール素子等からなり、コントローラ469aから供給された直流電流が、AF用位置検出マグネット435Aによる磁場を受けることにより生じる電圧を検出する。磁気センサ469bは検出した電圧の値をAF制御部469cに出力する。
AF制御部469cは、磁気センサ469bから出力された電圧の値によりOISフレーム部430に対する、レンズ保持部460の位置を特定する。また、AF制御部469cは、コントローラ469aから、レンズ保持部460の位置の目標値を示す制御信号を受け付ける。
AF制御部469cは、特定したレンズ保持部460の位置と、コントローラ469aから供給された目標信号とに基づいて、レンズ保持部460を適正位置に移動させるための制御信号をドライバ回路469dに供給する。
ドライバ回路469dは、上板バネ471A、471Bから電源の入力を受け付け、さらにAF制御部469cから、レンズ保持部460を適正位置に移動させるための制御信号を受け付ける。ドライバ回路469dは、受け付けた制御信号に基づいて、レンズ保持部460を適正位置に移動させるために必要な強さの電流をAFコイルに供給する。
本実施の形態に係る給電方法では、AF用位置検出部469に駆動、制御回路を内蔵することにより、レンズ保持部460に電力又は信号を供給するために必要な端子の数を4とした。これにより、レンズ保持部460は、4つの上板バネ471A、471B、471C、471Dを利用して、外部の図示しない制御部から、電源又は信号の供給を受けることができる。以上の構成により、外部からレンズ保持部460まで4つの配線で制御可能となり、それぞれ4つのサスペンションワイヤ472A、472B、472C、472Dを介することにより容易に配線することができる。
なお、上記では、便宜的に上板バネ471A、471Bが電源を供給し、上板バネ471C、471Dが信号を供給するとしたが、これら符号の順はこれに限られず任意である。
(手振れ防止機構を持たない構成)
なお、レンズ駆動装置400は、手振れ防止機能を持たない構造であっても良い。この場合、ベース部410とOISフレーム部430は一体となって形成されており、OISフレーム部430は、ベース部410に対して、X軸方向、Y軸方向に揺動しない。このため、レンズ駆動装置400は、OISコイル422A、422B、OIS位置検出部423A、423Bを備えない。
また、レンズ駆動装置400が手振れ防止機能を持たない場合、OISフレーム部430は、内部に図示しないリードフレームを備える。このリードフレームは、OISフレーム部430の前側で4つの板バネ471A、471B、471C、471Dと、はんだ等により電気的に接続される。
AF位置検出部469の4つの端子のそれぞれには、板バネ471A、471B、471C、471Dとリードフレームとを介して、外部装置から駆動、制御信号が供給される。
本実施の形態に係るレンズ駆動装置400の前側にシャッターを配置する場合であって、AF位置検出部469がカバー部480から突出する場合には、シャッターに、AF位置検出部469の突出部分を受け入れるギャップを設けてもよい。このように構成することによって、全体の薄型化を図ることができる。
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
レンズ枠と、
該レンズ枠を、板バネを介して光軸方向に弾性支持する支持枠と、
前記レンズ枠の光軸方向の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部が検出した前記レンズ枠の光軸方向の位置に基づいて、前記レンズ枠を光軸方向に駆動する駆動部と、を備え、
前記位置検出部は、
位置検出用マグネットと、
前記位置検出用マグネットの位置を検出することにより前記レンズ枠の光軸方向の位置を特定する位置検出センサと、を備え、
前記駆動部は、
駆動用マグネットと、
前記駆動用マグネットによる磁場により力を受ける駆動用コイルと、を備え、
前記位置検出用マグネットと前記駆動用マグネットは、前記支持枠に備えられている、
レンズ駆動装置。
(付記2)
前記板バネは、外部装置に接続されており、
前記位置検出センサと前記駆動用コイルは、前記レンズ枠に備えられ、前記板バネを介して前記外部装置から給電を受ける、
付記1に記載のレンズ駆動装置。
(付記3)
前記位置検出センサは、前記駆動用コイルに給電するドライバ回路を備え、
前記駆動用コイルは、前記ドライバ回路と前記板バネとを介して、外部装置から給電を受ける、
付記2に記載のレンズ駆動装置。
(付記4)
前記位置検出部は、前記レンズ枠の光軸方向に直交する方向の位置を検出し、
前記駆動部は、さらに、前記位置検出部が検出した前記レンズ枠の光軸方向に直交する方向の位置に基づいて、前記レンズ枠を光軸方向に直交する方向に駆動する、
付記1から3のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
(付記5)
付記1から4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置を備えたカメラ。
(実施の形態10)
図26〜図32を参照して、本発明の実施の形態10について説明する。
OISフレーム部30は、前述の通りフレーム支持部40のサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dによってベース部10に支持されている。具体的には、図26に示すように、ベース11のリードフレーム25B、25Dのそれぞれにサスペンションワイヤ42B、42Dの下端部がそれぞれリードフレーム(支持プレート)固定はんだ511B、511Dで固定されている。
リードフレーム25B、25Dは、サスペンションワイヤ42B、42Dを固定するための支持プレートである。
またフレーム31の上板バネ41B、41Dにサスペンションワイヤ42B、42Dの上端部が上板バネ固定はんだ321で固定されている。上板バネ41Bとサスペンションワイヤ42Bとを固定するはんだを上板バネ固定はんだ321Bという。以下同様である。
なお図26においては、サスペンションワイヤ42Bとサスペンションワイヤ42Dのみを図示したが、図示しないサスペンションワイヤ42Aとサスペンションワイヤ42Cにおいても同様な構造である。つまり、サスペンションワイヤ42Aはリードフレーム25Aと上板バネ41Aにそれぞれリードフレーム固定はんだ511Aと上板バネ固定はんだ321Aとで固定されている。またサスペンションワイヤ42Cはリードフレーム25Cと上板バネ41Cにそれぞれリードフレーム固定はんだ511Dと上板バネ固定はんだ321Dとで固定されている。以下同様であり、以下の説明では1つの部材で代表して説明する。
サスペンションワイヤ42Bとリードフレーム25Bと上板バネ41Bとの接続構造を図27に示す。図27に示すように、リードフレーム25Bには、サスペンションワイヤ42Bの下端部(光軸方向の前後でいうと後端部)が貫通する貫通孔514Bが設けられ、上板バネ41Bにはサスペンションワイヤ42Bの上端部(前端部)が貫通する貫通孔341Bが設けられている。上板バネ41Bの中央部の上板バネ固定はんだ321Bが載置される部分をはんだ接続部340Bという。他の部材も同様である。
サスペンションワイヤ42Bは、図28に示すように、貫通孔341Bに貫通した部分が、はんだ接続部340Bに載置した上板バネ固定はんだ321Bで固定され、貫通孔514Bに貫通した部分がリードフレーム固定はんだ511Bで固定されている。他の部材も同様である。
図29に示すように、リードフレーム固定はんだ511Bは、リードフレーム25Bの下側(後側)の面523Bに配置されている。この面523Bはリードフレーム25Bの上板バネ41Bに対向する面の反対側の面、あるいは単にリードフレーム25Bの「一方の面」ともいう。
また図29に示すリードフレーム25Bの上側(前側)の面522Bは、リードフレーム25Bの上板バネ41Bに対向する面、あるいは単にリードフレーム25Bの「他方の面」ともいう。
図31に示すように、上板バネ固定はんだ321Bは、上板バネ41Bのはんだ接続部340Bの上側(前側)の面520Bに配置されている。この面520Bは上板バネ41Bのリードフレーム25Bに対向する面の反対側の面、あるいは単に上板バネ41Bの「一方の面」ともいう。
また図31に示す上板バネ41Bの上側の面520Bの反対側の面521Bは、上板バネ41Bのリードフレーム25Bに対向する面、あるいは単に上板バネ41Bの「他方の面」ともいう。
リードフレーム25Bとサスペンションワイヤ42Bとは、図29のようにリードフレーム25Bの一方の面523B側だけに載置したリードフレーム固定はんだ511Bで固定されている。
その理由は、サスペンションワイヤ42Bの、リードフレーム25Bの他方の面522Bから、対向する上板バネ41Bの他方の面521Bまでの部分(バネ部分)は、弾性を有するバネとして機能する部分であり、この長さによってバネ定数が決まるからである。そのため、サスペンションワイヤ42Bの他方の面522Bの側にはんだが付かないようにしている。
具体的には、リードフレーム25Bの他方の面522Bはニッケルメッキ面であり、リードフレーム25Bの一方の面523Bは金メッキ面で構成されている。
ニッケルメッキのはんだ濡れ性は、金メッキのはんだ濡れ性よりも悪い(濡れにくい)。そのため、リードフレーム固定はんだ511Bが貫通孔514Bを通ってリードフレーム25Bの一方の面523Bから他方の面522Bに流れた場合でも、他方の面522Bには広がりにくい。そのため、サスペンションワイヤ42Bを伝って他方の面522Bよりも前側に広がろうとするリードフレーム固定はんだ511Bを引き留める力が働く。その結果、図29に示すように、リードフレーム固定はんだ511Bは他方の面522Bまでで止まる。
例えば図30に示す比較例のように、リードフレーム25B’の一方の面523B’と他方の面522B’ともに金メッキとすると、リードフレーム固定はんだ511B’が、貫通孔514B’を通ってリードフレーム25B’の他方の面522B’にも付着する。そして他方の面522B’より上側(前側)のサスペンションワイヤ42B’に付着する。すると、サスペンションワイヤ42B’の弾性を示すバネ部分の長さが変わり、バネ定数が変化する。このような現象がそれぞれのサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dで生じると、OISフレーム部30の揺動のしかたが方向により変化するなどして精密な手振れ防止制御がしにくくなるおそれがある。
図29に示すリードフレーム25Bは次のようにして製造される。リードフレーム25Bは素材が銅(又は銅合金)の板材からなり、その両面522B、523Bをニッケルメッキ、次いで金メッキで積層する。そして他方の面522Bの金メッキだけをレーザ(又は他の任意の方法)により除去する。
このような製造方法により、リードフレーム25Bの一方の面523Bの表面は金メッキ層であり、他方の面522Bの表面はニッケルメッキ層が露出している。ニッケルのはんだ濡れ性は金のはんだ濡れ性よりも悪いため、はんだは他方の面522Bまで広がらず、サスペンションワイヤ42Bを伝って上側に流れることがない。
図31に示す上板バネ41Bとサスペンションワイヤ42Bとのはんだ結合についても同様である。つまり、上板バネ41Bとサスペンションワイヤ42Bとは、図31のように上板バネ41Bの一方の面520B側だけに載置した上板バネ固定はんだ321Bで固定されている。
図31に示す上板バネ41Bの他方の面521Bはニッケルメッキ面であり、上板バネ41Bの一方の面520Bは金メッキ面である。ニッケルメッキのはんだ濡れ性は、金メッキのはんだ濡れ性よりも悪い(濡れにくい)。そのため、上板バネ固定はんだ321Bが貫通孔341Bを通って上板バネ41Bの一方の面520Bから他方の面521Bの方向に流れた場合でも、図31に示すように他方の面521Bには広がらずに留まる。
上板バネ41Bの製造方法は以下の通りである。素材が銅(又は銅合金)でできた上板バネ41Bの両面520B、521Bをニッケルメッキ、次いで金メッキで被覆する。そして他方の面521Bの金メッキだけをレーザ(又は他の任意の方法)により除去する。その結果、上板バネ41Bの一方の面520Bは金メッキであり、他方の面521Bはニッケルメッキ層が露出している。
例えば図32の比較例に示すように、上板バネ41B’の一方の面520B’と他方の面521B’ともに金メッキとすると、上板バネ固定はんだ321B’が、貫通孔341B’を通って上板バネ41B’の他方の面521B’にも付着する。そして他方の面521B’より下側(後側)のサスペンションワイヤ42B’に付着する。そのためサスペンションワイヤ42B’のバネ部分の長さが変わるという問題が生じる。
材料に対するはんだ濡れ性を評価する方法としては、濡れ広がり試験法、メニスコグラフ試験法、グロビュール法、一端浸漬法、回転浸漬法などの種類がある。このうち、濡れ広がり試験法やメニスコグラフ試験法はIEC(国際電気標準会議)、JIS、EIAJ(現電子情報技術産業協会)により規格化されている。例えば濡れ広がり試験法はJIS Z 3198−3に規定されている。これらのうち、いずれかの方法で測定されるはんだ濡れ性を比較すれば良い。
上記のような実施の形態により、サスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dのバネ定数が均一化され、方向によってバネ定数が変わることがなく、また製品ごとのバネ定数のばらつきも抑制できる。その結果、特に装置全体を薄型化するためにサスペンションワイヤの長さを短くすることが要求される、携帯端末機器等に搭載されるレンズ駆動装置において、精密な手振れ防止制御を行うことが可能となる。
上記実施の形態では、レンズ駆動装置100のOISフレーム部30をベース部10に支持するサスペンションワイヤ42Bと結合される上板バネ41Bとリードフレーム25Bについて説明した。しかしこれに限らず、線状部材結合用の板状部材であれば任意の部材に適用可能である。即ち、2つの面を連通し線状部材が貫通する貫通孔を有する線状部材結合用の板状部材の、当該2つの面の一方の面のはんだ濡れ性と他方の面のはんだ濡れ性とが異なるように構成することができる。
上記実施の形態では、上板バネ41Bとリードフレーム25Bとは、素材が銅(又は銅合金)であり、それにニッケルメッキ、次いで金メッキで被覆したものを用いた。しかし使用する材料は任意である。またメッキ(被覆)する層数は任意である。例えば、ニッケルメッキではなく亜鉛メッキを用いてもよく、要求される部材の機械的特性に応じて、素材としてニッケルや鉄材を用いてその表面に金メッキを施したものでもよい。また最表面の材料として金メッキを用いたが、金メッキに限らずはんだ濡れ性のよい銀、錫、はんだ等をメッキその他の方法で被覆したものでもよい。
またメッキを積層する範囲はそれぞれの面の全面ではなく、部分的でもよい。またメッキを除去する範囲も全面ではなく、部分的でもよい。
上記実施の形態では、表面の金メッキ層をレーザ等で除去して下層を露出させることにより、2つの面のはんだ濡れ性を変えるようにしたが、2つの面の材料を変える構成、方法は任意である。例えば異なる材料で2つの表面をそれぞれ別々に形成してもよく、その方法はメッキに限らず、貼り合わせ等でもよい。2つの面の材料の組み合わせは2つの面のはんだ濡れ性が異なるようにすることができれば任意である。
また2つの面の片面に表面処理を行うことではんだ濡れ性を変えてもよい。例えば片面に酸化処理を施す、表面の粗さを変える、酸化物や窒化物をコーティングする等してはんだ濡れ性を異ならせてもよい。
上記実施の形態では、リードフレーム25B及び上板バネ41Bの両方の部材で、2つの面のメッキ層の種類を変えてはんだ濡れ性が異なるようにしたが、どちらかの部材だけをこのような構成としてもよい。
(実施の形態11)
図26〜図28及び図33〜図39を参照して、本発明の実施の形態11について説明する。
OISフレーム部30は、前述の通りフレーム支持部40のサスペンションワイヤ42A、42B、42C、42Dによってベース部10に支持されている。具体的には、図26に示すように、ベース11のリードフレーム25B、25Dのそれぞれにサスペンションワイヤ42B、42Dの下端部がそれぞれリードフレーム(支持プレート)固定はんだ511B、511Dで固定されている。
リードフレーム25B、25Dは、サスペンションワイヤ42B、42Dを固定するための支持プレートである。
またフレーム31の上板バネ41B、41Dにサスペンションワイヤ42B、42Dの上端部が上板バネ固定はんだ321で固定されている。上板バネ41Bとサスペンションワイヤ42Bとを固定するはんだを上板バネ固定はんだ321Bという。以下同様である。
なお図26においては、サスペンションワイヤ42Bとサスペンションワイヤ42Dのみを図示したが、図示しないサスペンションワイヤ42Aとサスペンションワイヤ42Cにおいても同様な構造である。つまり、サスペンションワイヤ42Aはリードフレーム25Aと上板バネ41Aにそれぞれリードフレーム固定はんだ511Aと上板バネ固定はんだ321Aとで固定されている。またサスペンションワイヤ42Cはリードフレーム25Cと上板バネ41Cにそれぞれリードフレーム固定はんだ511Dと上板バネ固定はんだ321Dとで固定されている。
サスペンションワイヤ42Bとリードフレーム25Bと上板バネ41Bとの接続構造を図27に示す。図27に示すように、リードフレーム25Bには、サスペンションワイヤ42Bの下端部(光軸方向の前後でいうと後端部)が貫通する貫通孔514Bが設けられ、上板バネ41Bにはサスペンションワイヤ42Bの上端部(前端部)が貫通する貫通孔341Bが設けられている。上板バネ41Bの中央部の上板バネ固定はんだ321Bが載置される部分をはんだ接続部340Bという。他の部材も同様である。
サスペンションワイヤ42Bは、図28に示すように、貫通孔341Bに貫通した部分が、はんだ接続部340Bに載置した上板バネ固定はんだ321Bで固定され、貫通孔514Bに貫通した部分がリードフレーム固定はんだ511Bで固定されている。他の部材も同様である。
サスペンションワイヤ42Bを図28に示すようにリードフレーム25Bと上板バネ41Bとにそれぞれはんだで固定するには、まず図27に示すようにサスペンションワイヤ42Bをリードフレーム25Bの貫通孔514Bと上板バネ41Bの貫通孔341Bに挿入する必要がある。他の部材も同様である。
以下に、サスペンションワイヤ42Bとサスペンションワイヤ42Dの2つを同時に、それぞれ貫通孔341B、貫通孔514Bと貫通孔341D、貫通孔514Dに挿入する方法について説明する。まずフレーム31とベース11との位置を合わせる位置合わせを行うので、その方法について説明する。
なお以下の説明に用いる図の座標系は、図中の座標軸に示すように図の左右方向をX軸、図の手前側から奥側に直交する方向をY軸とし、X軸とY軸に直交する方向(図の上下方向)をZ軸とする。なお、Z軸方向は作業を行う場合の上下方向であり、「上」方向又は「下」方向ともいう。
まず図33(a)に示すように、上板バネ41B、41Dを取り付けたフレーム31を作業台505の上に置く(通常、上板バネ41A、41B、41C、41Dを全部取り付けたフレーム31を用いるが、ここでは2カ所に限って説明する)。この位置は任意である。作業台505の作業面はXY平面と平行である。フレーム31にはレンズ保持部60を取り付けている。なお、図33は理解を容易にするために簡略化しており、以下同様である。
またリードフレーム25B、25Dを取り付けたベース11を作業台505の所定の位置に置く(通常、リードフレーム25A、25B、25C、25Dを全部取り付けたベース11を用いるが、ここでは2カ所に限って説明する)。この位置は後述の第1カメラ535の直下の位置である。
上板バネ41B、41Dはそれぞれ上板バネ貫通孔341B、341Dを有している。またリードフレーム25B、25Dはそれぞれリードフレーム(支持プレート)貫通孔514B、514Dを有している。
次に、図33(b)に示すように、上板バネ41B、41Dを取り付けたフレーム31(以下、単に「フレーム31」という。)をフレーム保持ロボット530で上から保持して持ち上げる。保持する方法は任意である。
次に図33(c)に示すように、リードフレーム25B、25Dを取り付けたベース11(以下、単に「ベース11」という。)を予め設置してある第1カメラ535を用いて上から撮影する。またフレーム31を予め設置してある第2カメラ536の上にフレーム保持ロボット530で持って行き、第2カメラ536で下から撮影する。なお、第1カメラ535と第2カメラ536の位置は固定されており、第1カメラ535と第2カメラ536の位置を含めた3次元空間の座標は予め決められている。
次に、第1カメラ535で撮影した画像を画像解析し、リードフレーム貫通孔514B、514Dの中心を結ぶ線分S1を決定する。線分S1を決定するとは、線分S1の両端(リードフレーム貫通孔514B、514Dのそれぞれの中心)の座標を決定することであり、これにより線分S1の長さL1と方向が決定される。
そして図33(d)に示すように、線分S1をその長さL1と方向を保ったまま、ベース11の底面から距離H1だけ離れた鉛直上方に置くように仮想的に設定(座標を決定)する。これにより、リードフレーム貫通孔514B、514Dと線分S1との相対的な位置関係が決定される。
同様に、第2カメラ536で撮影した画像を画像解析し、上板バネ貫通孔341B、341Dの中心を結ぶ線分S2を決定する。線分S2を決定するとは、線分S2の両端(上板バネ貫通孔341B、341Dのそれぞれの中心)の座標を決定することであり、これにより線分S2の長さL2と方向が決定される。
そして図33(d)に示すように、線分S2をその長さL2と方向を保ったまま、フレーム31の上面から距離H2だけ離れた鉛直下方に置くように仮想的に設定(座標を決定)する。これにより、上板バネ貫通孔341B、341Dと線分S2との相対的な位置関係が決定される。
次に図34(e)に示すように、フレーム31と線分S2の相対的位置関係G2を保持したまま、ベース11との相対的位置関係G1を保持している線分S1に線分S2を重ねるために、線分S2を移動するための移動経路を計算する。そしてその移動経路に従って、フレーム31をフレーム保持ロボット530を用いて移動させる。
線分S2と線分S1とを重ねるとは、図34(f)に示すように線分S1の中点M1(又は中点M1付近、以下合わせて「中点M1」という。)と線分S2の中点M2(又は中点M2付近、以下合わせて「中点M2」という。)とを一致させ、かつ線分S1の方向と線分S2の方向を一致させることである。よって中点M2を中点M1の位置まで移動させる平行移動と、方向を合わせる回転移動を行う。
なお、「付近」とは実質的に線分両端の位置についての誤差が生じない範囲の近傍を意味する。
具体的に説明すると、中点M2を中点M1の位置まで移動させる経路を決定するには、中点M2と中点M1の座標から、X軸、Y軸、Z軸方向のそれぞれの移動距離と移動方向を計算する。同時に、中点M2を中心に、線分S2を線分S1と一致させるための回転角度と回転方向を計算する。なお、線分S1と線分S2はいずれもXY平面上にあるので、回転はXY平面内で行われる。
このように計算された各軸移動距離と移動方向、回転角度と回転方向にしたがって、フレーム保持ロボット530を用いてフレーム31を移動させる。
線分S1の中点M1と線分S2の中点M2とを一致させる理由は以下のとおりである。線分S1と線分S2とはその長さが同じになるように設計製造されているが、製造時の誤差及び画像撮影と画像解析時の誤差により必ずしも一致しない。その誤差を均等に各線分S1、S2の両端に配分して、上板バネ貫通孔341Bとリードフレーム貫通孔514Bのずれ、及び上板バネ貫通孔341Dとリードフレーム貫通孔514Dのずれに振り分けるためである。
例えば、線分S1と線分S2の各端部を合わせて一致させると、反対側の端部に誤差がしわ寄せされる。そのため、誤差を吸収する余裕度を反対側の端部の貫通孔に持たせる必要がある。しかし各線分S1、S2の中点で一致させると、両側に誤差を配分できる。これにより、片側にすべての誤差をしわ寄せする場合に比べて、貫通孔の直径の余裕度を少なくすることができる。
次に図34(g)に示すように、線分S1と線分S2とを一致させた後、フレーム31を保持したフレーム保持ロボット530を、その方向を保ったまま鉛直下方に降下させ、所定の厚さを有するスペーサ538の位置まで来たらフレーム31を解放してベース11の上にスペーサ538を介して載置する。
以上の操作により、リードフレーム貫通孔514B、514Dと、上板バネ貫通孔341B、341Dとが、それぞれ鉛直方向に一致するよう位置合わせされて配置される。
以上の位置合わせ方法をフローチャートで示すと図39のようになる。
まず2点以上の第1の対象点群と、第1の対象点群と同じ数の第2の対象点群をそれぞれ撮影する(ステップS1)。上記の実施の形態では、第1の対象点群はリードフレーム貫通孔514B、514Dであり、第2の対象点群は上板バネ貫通孔341B、341Dである。
次に第1の対象点群及び第2の対象点群を画像処理する(ステップS2)。次に第1の対象点群及び第2の対象点群の座標をそれぞれ決定する(ステップS3)。
次に第1及び第2の対象点群をそれぞれ結ぶ第1及び第2の線分又は多角面を決定する(ステップS4)。上記の実施の形態では、第1の線分はS1であり、第2の線分はS2である。
次に第1の対象点群と第1の線分又は多角面の位置関係を決定する(ステップS5)。上記の実施の形態では、線分S1はベース11の底面から距離H1だけ離れた鉛直上方に置くことである。
次に第2の対象点群と第2の線分又は多角面の位置関係を決定する(ステップS6)。上記の実施の形態では、線分S2はフレーム31の上面から距離H2だけ離れた鉛直下方に置くことである。
次に第1と第2の線分又は多角面を重ねる移動経路(各軸移動距離と移動方向、回転角度と回転方向)を計算する(ステップS7)。上記の実施の形態では、線分S1に線分S2を重ねるために、線分S2を移動させる移動経路を計算することである。
次に第2の対象点群を移動経路に従って移動させる(ステップS8)。上記の実施の形態では、計算した移動経路に従って、フレーム31(上板バネ貫通孔341B、341D)をフレーム保持ロボット530を用いて移動させることである。
このような操作によって、第1の対象点群と第2の対象点群とを精度良く位置合わせすることができる。
次に、図34(g)の状態から、サスペンションワイヤ42B、42Dと上板バネ貫通孔341B、341Dとを合わせる位置合わせ方法を説明する。基本的には上記のフレーム31とベース11との位置合わせ方法と同様である。
図35(h)に示すように、ベース11の上に載置したフレーム31を第1カメラ535を用いて上から撮影する。また、サスペンションワイヤ42Bを保持したワイヤ保持治具532Bと、サスペンションワイヤ42Dを保持したワイヤ保持治具532Dとを保持した治具保持ロボット531を、第2カメラ536で下から撮影する。
治具保持ロボット531は、ワイヤ保持治具532Bと532Dとを、サスペンションワイヤ42B、42Dの設計上の間隔で保持している。
次に、第1カメラ535で撮影した画像を画像解析し、上板バネ貫通孔341B、341Dの中心を結ぶ線分S3を決定する。線分S3を決定するとは、線分S3の両端(上板バネ貫通孔341B、341Dのそれぞれの中心)の座標を決定することであり、これにより線分S3の長さL3と方向を決定することができる。
そして図35(i)に示すように、線分S3をその長さL3と方向を保ったまま、上板バネ貫通孔341B、341Dの上面から距離H3だけ離れた鉛直上方(Z軸方向上方)に置くように仮想的に設定(座標を決定)する。これにより、上板バネ貫通孔341B、341Dと線分S3との相対的な位置関係が決定される。
同様に、第2カメラ536で撮影した画像を画像解析し、図35(h)に示すサスペンションワイヤ42B、42Dの先端540B、540Dの中心を結ぶ線分S4を決定する。線分S4を決定するとは、線分S4の両端(サスペンションワイヤ42B、42Dの先端540B、540Dのそれぞれの中心)の座標を決定することであり、これにより線分S4の長さL4と方向を決定することができる。
そして図35(i)に示すように、線分S4をその長さL4と方向を保ったまま、ワイヤ保持治具532B、532Dの底面から距離H4だけ離れた鉛直下方(Z軸方向下方)に置くように仮想的に設定(座標を決定)する。これにより、先端540B、540Dと線分S4との相対的な位置関係が決定される。
次に図35(j)に示すように、先端540B、540Dと線分4との相対的な位置関係G4を保持したまま、上板バネ貫通孔341B、341Dとの相対的な位置関係G3を保持している線分S3に線分S4が重なるように移動経路を計算し、矢印のように治具保持ロボット531を移動させる。
線分S4と線分S3とを重ねるとは、図36(k)に示すように線分S3の中点M3(又は中点M3付近、以下合わせて「中点M3」という。「付近」は前述の通りである。)と線分S4の中点M4(又は中点M4付近、以下合わせて「中点M4」という。「付近」は前述の通りである。)とを一致させ、かつ線分S3の方向と線分S4の方向を一致させることである。線分S4と線分S3とを重ねるための移動経路を決定する方法と、線分S3の中点M3と線分S4の中点M4とを一致させる理由は前述のとおりである。
以上の操作によって、サスペンションワイヤ42B、42Dの先端540B、540Dが、上板バネ貫通孔341B、341Dにそれぞれ位置合わせされる。このとき、サスペンションワイヤ42B、42Dの先端540B、540Dと上板バネ貫通孔341B、341Dとの間隔は、挿入操作を考慮するとできるだけ小さいほうがよい。そのため、H3とH4の距離の合計が許容できる範囲でできるだけ小さくなるようにH3とH4の距離を設定する。
最後に図36(l)に示すように、ワイヤ保持治具532B、532Dからそれぞれサスペンションワイヤ42B、42Dを鉛直下方に挿入又は落下させると、サスペンションワイヤ42B、42Dがそれぞれ上板バネ貫通孔341Bとリードフレーム貫通孔514B、上板バネ貫通孔514Dとリードフレーム貫通孔341Dに貫通挿入される。
以上のように、挿入するサスペンションワイヤ42B、42Dと上板バネ貫通孔341B、341Dを位置合わせすることにより、2つのワイヤと2つの貫通孔を同時に精度よく位置合わせして挿入することができるので、サスペンションワイヤ42B、42Dの直径に対して上板バネ貫通孔341B、341Dの直径の余裕度を小さくすることができる。
従来技術では、2つのワイヤを2つの貫通孔に同時に挿入しようとすると、サスペンションワイヤの直径を1として、それが貫通する貫通孔の直径は5を超える必要があった。例えば、サスペンションワイヤ42Bの直径を0.05mmとし、上板バネ貫通孔341Bの直径を0.25mmよりも大きくする必要があった。
しかしこの実施の形態では、サスペンションワイヤの直径を1とした場合、貫通孔の直径を5.0以下とすることができ、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、より好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。
また、貫通孔の形状は、断面円状の形状に限らずに、サスペンションワイヤが挿入できる形状であればよく、例えば、多角形の形状、楕円の形状が挙げられる。この場合、サスペンションワイヤの断面積を1とした場合、貫通孔の面積を25.0以下とすることができ、好ましくは9.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは1.1以下である。
(実施の形態12)
次に、3本のサスペンションワイヤ42A、42B、42Cを同時に挿入する方法について説明する。なお、基本的な手法は2本の場合と同様であるので、上述の説明と重複する部分は適宜説明を省略する。
まず図37に示すベース11を第1カメラ535を用いてリードフレーム貫通孔514A、514B、514Cを上から撮影する。また図38に示すフレーム31(下側から見た図)を第2カメラ536の上にフレーム保持ロボット530で持って行き、第2カメラ536で下から上板バネ貫通孔341A、341B、341Cを撮影する。
次に第1カメラ535で撮影した画像を画像解析し、図37に示すようにリードフレーム貫通孔514A、514B、514Cの中心を結ぶ3角面D1を決定する。3角面D1を決定するとは、3角面D1の各頂点(リードフレーム貫通孔514A、514B、514Cのそれぞれの中心)の座標を決定することであり、これにより3角面D1の形状と方向を決定することができる。
そして3角面D1をその形状と方向を保ったまま、ベース11の底面から所定の距離だけ離れた鉛直上方に置くように仮想的に設定(座標を決定)する。これにより、リードフレーム貫通孔514A、514B、514Cと3角面D1との相対的な位置関係が決定される。
同様に、第2カメラ536で撮影した画像を画像解析し、図38に示すように上板バネ貫通孔341A、341B、341Cの中心を結ぶ3角面D2を決定する。3角面D2を決定するとは、3角面D2の各頂点(上板バネ貫通孔341A、341B、341Cのそれぞれの中心)の座標を決定することであり、これにより3角面D2の形状と方向を決定することができる。
そして3角面D2をその形状と方向を保ったまま、フレーム31の上面から所定の距離だけ離れた鉛直下方に置くように仮想的に設定(座標を決定)する。これにより、上板バネ貫通孔341A、341B、341Cと3角面D2との相対的な位置関係が決定される。
次にフレーム31と3角面D2の相対的位置関係を保持したまま、ベース11との相対的位置関係を保持している3角面D1に3角面D2を重ねるために、3角面D2を移動するための移動経路を計算する。そしてその移動経路に従って、フレーム31をフレーム保持ロボット530を用いて移動させるための経路を決定する。
3角面D2と3角面D1とを重ねるとは、3角面D1の中心(又は中心付近、以下「中心」という。)と3角面D2の中心とを一致させ、かつ3角面D1の形状と3角面D2の形状を一致させることである。形状を一致させるとは、中心を一致させたときに、3角面D1の頂点と3角面D2の対応する頂点とのそれぞれの距離の合計が最も小さくなるように回転配置することである。
3角面の中心は重心としてもよい。なお、「付近」とは、実質的3角面の頂点位置についての誤差が生じない範囲の近傍を意味する。
3角面D1の中心を3角面D2の中心の位置まで移動させる経路を決定するには、X軸、Y軸、Z軸方向のそれぞれの移動距離と移動方向を計算するとともに、3角面D1の中心を中心に、3角面D1と3角面D2を一致させるための回転角度と回転方向を計算する。
3角面D2と3角面D1は、XY平面上にあるので、形状を一致させるための回転はXY平面内で行われる。
そして計算された各軸の移動距離と移動方向、回転角度と回転方向にしたがって、フレーム保持ロボット530を用いてフレーム31を移動させる。
このようにすることで、3つの上板バネ貫通孔341A、341B、341Cと3つのリードフレーム貫通孔514A、514B、514Cとをできるだけ誤差を分散させた状態で重ね合せることができる。
次に、3角面D1と3角面D2とを重ねた後、フレーム31を保持したフレーム保持ロボット530を、その方向を保ったまま鉛直下方に降下させ、所定の厚さを有するスペーサ538の位置まで来たらフレーム31を解放してベース11の上にスペーサ538を介して載置する。
以上の操作により、リードフレーム貫通孔514A、514B、514Cと、上板バネ貫通孔341A、341B、341Cとが、それぞれ鉛直方向に一致するよう位置合わせされて配置される。
次に、サスペンションワイヤ42A、42B、42Cと上板バネ貫通孔341A、341B、341Cとの位置とを合わせる位置合わせ方法を説明する。
ベース11の上に載置したフレーム31を第1カメラ535を用いて上から撮影する。また、サスペンションワイヤ42Aを保持したワイヤ保持治具532Aと、サスペンションワイヤ42Bを保持したワイヤ保持治具532Bと、サスペンションワイヤ42Cを保持したワイヤ保持治具532Cとを保持した治具保持ロボット531(図示せず)を、第2カメラ536で下から撮影する。
治具保持ロボット531は、ワイヤ保持治具532A、532B、532Cを、サスペンションワイヤ42A、42B、42Cの設計上の間隔で保持している。
次に、第1カメラ535で撮影した画像を画像解析し、上板バネ貫通孔341A、341B、341Cの中心を結ぶ3角面D3(図示せず)を決定する。3角面を決定するとは、3角面の各頂点(上板バネ貫通孔341A、341B、341Cのそれぞれの中心)の座標を決定することであり、これにより3角面D3の形状と方向を決定することができる。
そして3角面をその形状を保ったまま、上板バネ貫通孔341A、341B、341Cの上面から所定の距離だけ離れた鉛直上方に置くように仮想的に設定(座標を決定)する。これにより、上板バネ貫通孔341A、341B、341Cと3角面との相対的な位置関係が決定される。
同様に、第2カメラ536で撮影した画像を画像解析し、サスペンションワイヤ42A、42B、42Cの先端540A、540B、540Cに対応する3角面D4(図示せず)の座標を決定し、所定の位置に仮想的に設定し、相対的位置関係を決定する。
次にそれぞれごとの相対的位置関係を保ったまま、3角面D3と3角面D4とを重ねるように治具保持ロボット531を移動させる。そして3角面D3と3角面D4とを重ねた状態で、サスペンションワイヤ42A、42B、42Cを鉛直下方に挿入又は落下させることにより3つのサスペンションワイヤ42A、42B、42Cを同時に精度良く挿入することができる。
これにより、サスペンションワイヤ42A、42B、42Cを挿入するときの貫通孔の直径の余裕度、即ちサスペンションワイヤの直径に対する貫通孔の直径の比率をより小さくすることができる。
上記の構成により、2つ以上の対象点とそれに対応する異なる2つ以上の対象点との間の位置合わせを同時に精度よく行うことができる。上記実施の形態のように、サスペンションワイヤを貫通孔に挿入する工程に適用することにより、貫通孔の直径のサスペンションワイヤの直径に対する比率を小さくしても、サスペンションワイヤの挿入を確実に行うことができる。
手振れを防止する機構を有するレンズ駆動装置におけるサスペンションワイヤの挿入工程に適用した場合、貫通孔の直径をよりサスペンションワイヤの直径に近づけることができ、貫通孔とサスペンションワイヤとの間の隙間から接合用はんだが流れ出ることを抑制でき、サスペンションワイヤのばね定数が変化しにくくなり、精度の高い手振れ防止機能を有するレンズ駆動装置の製造が可能となる。
上記実施の形態では、所定の2本又は3本のサスペンションワイヤをそれぞれ同時に挿入した。しかし挿入するサスペンションワイヤの本数と組み合わせはこれに限らず任意である。例えば、サスペンションワイヤ42Aと42Bを同時に挿入するようにしてもよい。ただし2つの対象点の間はできるだけ長いほうが、誤差を小さくするという観点で好ましい。
また3本の場合、サスペンションワイヤ42A、42C、42Dを組み合わせてもよい。また4本を同時に位置合わせ、挿入してもよい。4本の場合、4角面の中心は重心としてもよく、2つの対角線の交点としてもよい。頂点の合わせ方は、3角面と同様に行えばよい。
上記実施の形態では、サスペンションワイヤ42Bの端部540B等を対象点とした。しかし対象点はこれに限らない。例えば、ワイヤ端部が小さく画像認識が困難である場合は、ワイヤ保持治具532B等の端部(端部を円として認識できる場合はその中心)を対象点として選択してもよい。
上記実施の形態では、線分S1、S2や3角面D1、D2等はXY平面上にある。つまり1つの対象点群は1つのXY平面内にある。しかし対象点群の配置はこれに限らず任意である。つまり、1つの対象点群が互いにZ軸方向に離間していてもよい。この場合、中点や重心を一致させた後、方向や形状を重ねるための回転は3次元での回転とすればよい。
上記実施の形態では、線分S2を線分S1に一致させるように、フレーム31を移動させた。しかし移動させる対象はこれに限らず任意である。ベース11を移動可能な状態に保持して、線分S1を線分S2に一致させるようにベース11を移動させてもよい。また両方を移動させて任意の位置で一致させるようにしてもよい。
以上の実施の形態及び変形例は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。