JP6562644B2 - 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム - Google Patents

眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム

Info

Publication number
JP6562644B2
JP6562644B2 JP2015022473A JP2015022473A JP6562644B2 JP 6562644 B2 JP6562644 B2 JP 6562644B2 JP 2015022473 A JP2015022473 A JP 2015022473A JP 2015022473 A JP2015022473 A JP 2015022473A JP 6562644 B2 JP6562644 B2 JP 6562644B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood flow
imaging
fundus
flow information
area
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015022473A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016144531A (ja
Inventor
泰幸 沼尻
泰幸 沼尻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2015022473A priority Critical patent/JP6562644B2/ja
Publication of JP2016144531A publication Critical patent/JP2016144531A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6562644B2 publication Critical patent/JP6562644B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Eye Examination Apparatus (AREA)

Description

本発明は、被検眼の眼底を撮像する眼科装置及びその制御方法、並びに、当該制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
共焦点レーザー顕微鏡の原理を利用した眼科装置である走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)は、測定光であるレーザーを被検眼の眼底に対してラスタースキャンを行い、その戻り光の強度から平面画像を高分解能かつ高速に得る装置である。以下、このような平面画像を撮像する装置を「SLO装置」と記す。
近年、SLO装置において、測定光のビーム径を大きくすることで眼底に対するスポット径を小さくし、分解能を向上させた眼底の平面画像を取得することが可能になってきた。しかしながら、測定光のビーム径の大径化に伴い、眼底の平面画像の取得において、被検眼の収差による平面画像のSN比及び分解能の低下が問題になってきた。
この問題を解決するために、被検眼の収差を波面センサでリアルタイムに測定し、被検眼において発生する測定光やその戻り光の収差を波面補正デバイスで補正する補償光学(Adaptive Optics:AO)系を有する補償光学SLO装置が開発された。以下、この補償光学系を有する補償光学SLO装置を「AO−SLO装置」と記す。
このAO−SLO装置は、高分解能な平面画像の取得が可能であり、被検眼の眼底の毛細血管や視細胞を観察することができ、更には動画で撮像することによって血管内の血流の動態を観察することができる。非特許文献1には、AO−SLO装置で眼底の毛細血管中の白血球の動きを観察してその速度を算出する技術が開示されている。被検眼の眼底の毛細血管における実際の眼底血流を画像で観察して血流速度を算出するので、物理単位で表示できる絶対値としての血流速度を算出することができる。そして、血管径を測定することによって、絶対値の血流量も算出することができる。
ここで、血流速度は拍動によって変化することが知られている。このとき、1拍動中において複数の血流速度を求めることにより、1拍動分の血流速度の変化を求めることができれば、あるタイミングで得られた血流速度が1拍動中のどのタイミングのものであるのかを知ることができる。これにより、例えば、あるタイミングで得られた血流速度と、その基準値とを比較することにより、正常・異常を判断することができる。ところが、AO−SLO装置は、一般的に、眼底の広範囲に亘る領域を撮像するものではないため、撮像領域内に含まれる血管の数が少なく、このため、1拍動中において何度も血流速度を求めることが難しい。そこで、特許文献1には、同様にAO−SLO装置で白血球の速度を算出する際に、拍動中のそのタイミングを知るために脈波計を被検者の耳朶に付けることが開示されている。
特開2013−169308号公報
J.A.Martin and A.Roorda, "Direct and noninvasive assessment of parafoveal capillary leukocyte velocity", Ophthalmology 112, 2219−2224(2005)
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術のように、脈波計のセンサを耳朶に付けたり、或いは指先等に付けたりして、その拍動を知る方法では、SLO装置以外に別個に脈波計を用意しなければならず、高価なシステムになってしまう。また、被検者にとっては、脈波計のセンサ部を装着されるのが煩わしいという問題もあった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、脈波計を必要とせずに、拍動における被検眼の眼底の血流速度や血流量等といった血流情報のタイミングを把握することが可能な仕組みを提供することを目的とする。
本発明の眼科装置は、被検眼の眼底を第1の照明光を用いて走査するとともに前記被検眼の収差を補正して前記眼底の第1のエリアを撮像する第1の撮像手段と、前記眼底を第2の照明光を用いて走査して前記第1のエリアよりも広い前記眼底の第2のエリアを撮像する第2の撮像手段と、前記第1の撮像手段による撮像により得られた画像を用いて前記第1のエリアの中の少なくとも1つの位置における第1の血流情報を算出するとともに、前記第2の撮像手段による撮像の際に得られた信号であって前記第2の照明光の前記眼底からの戻り光によるドップラー信号に基づいて第2の血流情報の時間変動を算出し、前記第2の血流情報の時間変動に基づいて拍動における前記第1の血流情報のタイミングを算出する算出手段と、を有し、前記第2の撮像手段は、前記眼底に入射する前記第2の照明光の光軸に対して受光の光軸が傾斜する位置に配置されたディテクターを有して構成されている
本発明の眼科装置における他の態様は、被検眼の眼底を第1の照明光を用いて走査するとともに前記被検眼の収差を補正して前記眼底の第1のエリアを撮像する第1の撮像手段と、前記眼底を第2の照明光を用いて走査して前記第1のエリアを含む前記眼底の第2のエリアを撮像する第2の撮像手段と、前記第1の撮像手段による撮像により得られた画像を用いて前記第1のエリアの中の少なくとも1つの位置における第1の血流情報を算出するとともに、前記第2の撮像手段による撮像の際に得られた第2の血流情報の時間変動に基づいて拍動における前記第1の血流情報のタイミングを算出する算出手段と、を有し、前記第2の撮像手段は、前記眼底に入射する前記第2の照明光の光軸に対して受光の光軸が傾斜する位置に配置されたディテクターを有して構成されている
また、本発明は、上述した眼科装置の制御方法、及び、当該制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを含む。
本発明によれば、脈波計を必要とせずに、拍動における被検眼の眼底の血流情報のタイミングを把握することができる。
本発明の実施形態に係る眼科装置の概略構成の一例を示す図である。 図1に示す固視灯の表示面の一例を示す図である。 図1に示すコンピュータの内部構成の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、図1に示すAO−SLO部における平面画像(AO−SLO画像)の取得方法を説明するための図である。 図1に示すWF−SLO部内のディテクターの位置関係の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る眼科装置において、被検眼の眼底における血流測定の手順に係る制御方法の一例を示すフローチャートである。 図6−1に引き続き、本発明の実施形態に係る眼科装置において、被検眼の眼底における血流測定の手順に係る制御方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態を示し、図1に示すWF−SLO部で得られる血管からのビート信号の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、Iの合計Isの時間変動とIvのプロットの一例を示す図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。以下に記載する本発明の実施形態では、本発明に係る眼科装置として、上述したSLO装置を適用した例について説明する。
<眼科装置の概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る眼科装置100の概略構成の一例を示す図である。
眼科装置100は、図1に示すように、AO−SLO部110、及び、WF−SLO部120を有して構成されている。
AO−SLO部110は、被検眼Eの眼底Erを測定光106−1(第1の照明光)を用いて走査するとともに被検眼Eの収差を補正して眼底Erの第1のエリアを撮像する第1の撮像手段である。このAO−SLO部110は、補償光学系を備え、眼底Erの高分解能の平面画像(AO−SLO画像:第1の画像)の撮像を行うためのものである。本実施形態では、AO−SLO部110は、被検眼Eの光学収差を空間光変調器159を用いて補正してAO−SLO画像を取得できるものであり、被検眼Eの視度や光学収差によらず良好な平面画像が得られるようになっている。ここでは、高分解能の平面画像を撮像するために、AO−SLO部110に補償光学系を備えているが、高解像度を実現できる光学系の構成であれば、補償光学系を備えていなくてもよい。
WF−SLO部120は、被検眼Eの眼底Erを測定光106−2(第2の照明光)を用いて走査して前記第1のエリアよりも広い眼底Erの第2のエリアを撮像する第2の撮像手段である。このWF−SLO部120は、眼底Erの広範囲に亘る(広画角の)平面画像(WF−SLO画像:第2の画像)の撮像を行うためのものである。ここで、本実施形態においては、WF−SLO部120で撮像する第2のエリアはAO−SLO部110で撮像する第1のエリアよりも広いエリアとしているが、より好適には、第2のエリアは第1のエリアを含むエリアである。
<AO−SLO部110の全体>
まず、AO−SLO部110の全体について説明する。
光源101−1から出射した光は、光カプラー131によって参照光105と測定光106−1とに分割される。測定光106−1は、シングルモード光ファイバー130−4、空間光変調器159、XYスキャナ119−1、ダイクロイックミラー170−2等を介して、検査対象である被検眼Eに導かれる。また、固視灯156からの光束157は、被検眼Eの固視を促す役割を有する。
測定光106−1は、被検眼Eによって反射或いは散乱された戻り光108となり、光路を逆行し、光カプラー131を介して、検出器であるディテクター138−1に入射される。ディテクター138−1は、戻り光108を受光してその光強度(光量)を電圧信号に変換する。この電圧信号を用いて、パーソナル・コンピュータ(以下、単に、「コンピュータ」と記す)125において、被検眼Eの平面画像であるAO−SLO画像が生成される。
本実施形態では、光学系の全体を、主にレンズを用いた屈折光学系を用いて構成しているが、レンズの代わりに球面ミラーを用いた反射光学系によっても構成することができる。また、本実施形態では、収差補正デバイスとして、反射型の空間光変調器159を用いたが、透過型の空間光変調器や可変形状ミラーを用いても構成することができる。
<AO−SLO部110の光源>
次に、光源101−1の周辺について説明する。
光源101−1は、例えば、代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)で構成されている。光源101−1の光の波長は830nm程度、バンド幅は50nm程度である。本実施形態では、スペックルノイズの少ない平面画像(AO−SLO画像)を取得するために、低コヒーレント光源を用いている。また、光源101−1として、ここではSLDを用いるが、低コヒーレント光が出射できれば他の種類の光源でもよく、例えば、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等を用いることもできる。
また、光源101−1の光は、被検眼Eを測定することから、近赤外光が適する。さらに、その波長は、得られる平面画像(AO−SLO画像)の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは830nm程度としている。検査対象の測定部位によっては、他の波長を選んでもよい。
光源101−1から出射された光は、シングルモード光ファイバー130−1と光カプラー131とを介して、参照光105と測定光106−1とに、例えば96:4の割合で分割される。また、光ファイバー130−1〜130−4には、それぞれ、偏光コントローラ153−1〜153−4が設けられている。
<AO−SLO部110の参照光105の光路>
次に、参照光105の光路について説明する。
光カプラー131によって分割された参照光105は、光ファイバー130−2を介して、光量測定装置164に入射される。光量測定装置164は、参照光105の光量を測定し、測定光106−1の光量をモニターする用途に用いられる。
<AO−SLO部110の測定光106−1の光路>
次に、測定光106−1の光路について説明する。
光カプラー131によって分割された測定光106−1は、シングルモード光ファイバー130−4を介して、レンズ135−4に導かれ、ビーム径4mm程度の平行光になるよう調整される。
そして、測定光106−1は、ビームスプリッタ158−1を通過し、レンズ135−5〜135−6を通過し、空間光変調器159に入射する。空間光変調器159は、ドライバ部180内の空間光変調器駆動ドライバ181を介して、コンピュータ125により制御される。
次いで、測定光106−1は、空間光変調器159にて変調され、レンズ135−7〜135−8を通過し、XYスキャナ119−1のミラーに入射する。ここでは、簡単のため、XYスキャナ119−1は、1つのミラーとして図示しているが、実際には、XスキャナとYスキャナとの2枚のミラーが近接して配置され、眼底Er上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106−1の中心は、XYスキャナ119−1のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
ここで、Xスキャナは、測定光106−1を紙面に平行な方向に走査するスキャナであり、ここでは、例えば共振型スキャナを用いる。このXスキャナの駆動周波数は、約7.9kHzである。また、Yスキャナは、測定光106−1を紙面に垂直な方向に走査するスキャナであり、ここでは、例えばガルバノスキャナを用いる。このYスキャナの駆動波形はのこぎり波、駆動周波数は約64Hz、デューティ比は81%程度である。このYスキャナの駆動周波数は、AO−SLO画像の撮像のフレームレートを決定する重要なパラメータである。XYスキャナ119−1は、ドライバ部180内の光スキャナ駆動ドライバ182を介して、コンピュータ125により制御される。
ここで、上述したデューティ比について説明する。
一般的に、デューティ比とは、オンとオフとを周期的に切り替える場合において1周期の時間に対するオンの時間の割合である。本実施形態では、SLO部により2次元画像を取得するためにXスキャナ及びYスキャナの2つのスキャナを用いて走査を行うが、副走査において、例えば、1枚の2次元画像を取得するために、上から下への走査(オン)と当該走査の後に2次元画像を取得せずに下から上に素早く戻る動作(オフ)とが切り替わる。このとき、本実施形態におけるデューティ比は、上から下に走査して上まで戻る全走査(オン+オフ)の時間に対する上から下への走査(オン)の時間の割合を示す。なお、デューティ比が大きい程、全走査に対して2次元画像を取得しない時間が短いため、走査時間が同じ場合、毎秒のフレーム数が多くなる。
レンズ135−9〜135−10は、眼底Erを走査するための光学系であり、測定光106−1を角膜Ecの付近を支点として、眼底Erを走査する役割がある。測定光106−1のビーム径は4mm程度であるが、より高分解能な光画像を取得するために、ビーム径をより大きくしてもよい。また、電動ステージ117は、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ135−10の位置を、調整することができる。電動ステージ117は、ドライバ部180内の電動ステージ駆動ドライバ183を介して、コンピュータ125により制御される。レンズ135−10の位置を調整することにより、被検眼Eの眼底Erの所定の層に測定光106−1を合焦し、観察することが可能になる。また、被検眼Eが屈折異常を有している場合にも対応できる。
そして、測定光106−1が被検眼Eに入射すると、眼底Erからの反射や散乱により戻り光108となり、再び光カプラー131に導かれ、シングルモード光ファイバー130−3を介して、ディテクター138−1に到達する。ディテクター138−1は、例えば高速・高感度な光センサであるAPD(Avalanche Photo Diode)やPMT(Photomultiplier Tube)を用いることができる。ここでは、ディテクター138−1としてAPDを用いるものとする。
また、戻り光108は、空間光変調器159で再び変調される。また、ビームスプリッタ158−1において分割される戻り光108の一部は、波面センサ155に入射され、被検眼Eで発生する戻り光108の収差が測定される。波面センサ155は、コンピュータ125に電気的に接続されている。ここで、角膜EcとXYスキャナ119−1と波面センサ155と空間光変調器159とは、光学的に共役になるよう、レンズ135−5〜135−10等が配置されている。そのため、波面センサ155は、被検眼Eの収差を測定することが可能になっている。また、空間光変調器159は、被検眼Eの収差を補正することが可能になっている。さらに、コンピュータ125は、波面センサ155の測定結果により得られた収差に基づいて、空間光変調器159をリアルタイムに制御することにより、被検眼Eで発生する収差を補正し、より高横分解能な平面画像(AO−SLO画像)の取得を可能にしている。
なお、レンズ135−10は球面レンズであるが、被検眼Eの収差(屈折異常)によっては、球面レンズの代わりにシリンドリカルレンズを用いてもよい。また、新たなレンズを測定光106−1の光路に追加してもよい。
また、ここでは、測定光106−1を用いて、波面センサ155を用いた収差の測定を行っているが、収差の測定のために他の光源を用いてもよい。また、収差の測定のために他の光路を構成してもよい。例えば、球面レンズ135−10と角膜Ecとの間から、ビームスプリッタを用いて、収差の測定のための光を入射することもできる。
固視灯156は、発光型のディスプレイモジュールからなり、表示面(□27mm、128画素×128画素)をYZ平面に有する。ここでは、液晶、有機EL、LEDアレイ等を用いることができる。被検眼Eに固視灯156からの光束157を注視させることにより、被検眼Eの固視が促される。
図2は、図1に示す固視灯156の表示面の一例を示す図である。
例えば図2に示すように、固視灯156の表示面には、任意の点灯位置に十字のパターン165が点滅して表示される。
固視灯156からの光束157は、レンズ135−13〜135−14、ダイクロイックミラー170−2、レンズ135−10を介して、眼底Erに導かれる。また、レンズ135−10,135−13及び135−14は、固視灯156の表示面と眼底Erとが光学的に共役になるよう配置される。また、固視灯156は、ドライバ部180内の固視灯駆動ドライバ184を介して、コンピュータ125により制御される。
<コンピュータ125の内部構成>
次に、コンピュータ125の内部構成について説明する。
図3は、図1に示すコンピュータ125の内部構成の一例を示す図である。
コンピュータ125は、図3に示すように、CPU211、RAM212、ROM213、外部メモリ214、入力デバイス215、表示部216、通信インタフェース(通信I/F)217、及び、ADボード176を有して構成されている。また、図3に示す各構成は、バスを介して相互に通信可能に構成されている。
CPU211は、例えば、ROM213或いは外部メモリ214に記憶されたプログラムやデータを用いて、当該コンピュータ125の動作を統括的に制御する。RAM212は、ROM213或いは外部メモリ214からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するエリアを備えるとともに、CPU211が各種の処理を行うために必要とするワークエリアを備える。ROM213は、変更を必要としないプログラムや各種のパラメータ等の情報などを格納している。外部メモリ214は、例えば、オペレーティングシステム(OS)やCPU211が実行するプログラム、更には、本実施形態の説明において既知としている情報などを記憶している。なお、本実施形態においては、本発明の実施形態に係る処理を実行するためのプログラムは、外部メモリ214に記憶されているものとするが、例えばROM213に記憶されている形態であっても適用可能である。入力デバイス215は、例えば、当該コンピュータ125に備え付けられたスイッチ(電源スイッチを含む)やボタン、マウス及びキーボード等で構成されている。表示部216は、CPU211の制御に基づいて、各種の画像や情報等を表示する。通信I/F217は、当該コンピュータ125と外部装置G(本例では、眼科装置100に構成された各構成部)との間で行われる各種の情報等の送受信を司るものである。ADボード176は、CPU211の制御に基づいて、ディテクター138−1やディテクター138−2で得られた電圧信号をデジタル値に変換する。
<AO−SLO部110の測定系の構成>
次に、AO−SLO部110の測定系の構成について説明する。
AO−SLO部110は、眼底Erからの戻り光108の光強度(光量)から構成される平面画像(AO−SLO画像)を取得することができる。眼底Erにおいて反射や散乱された光である戻り光108は、レンズ135−4〜135−10、空間光変調器159、光カプラー131等を介して、ディテクター138−1に入射され、その光の光強度(光量)に基づき電圧信号に変換される。
ディテクター138−1で得られた電圧信号は、コンピュータ125内のADボード176においてデジタル値に変換される。そして、コンピュータ125は、ADボード176において変換されたデジタル値に対して、XYスキャナ119−1の動作や駆動周波数と同期したデータ処理を行い、平面画像(AO−SLO画像)を生成する。ここで、ADボード176の取り込み速度は、約15MHzである。
また、ビームスプリッタ158−1において分割される戻り光108の一部は、波面センサ155に入射され、戻り光108の収差が測定される。波面センサ155は、例えばシャックハルトマン方式の波面センサであり、その測定レンジは−1D〜+1Dとなっており、測定レンジが狭く、測定精度が高い仕様となっている。この波面センサ155で得られた収差は、ツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼Eの収差を示している。なお、ツェルニケ多項式は、チルト(傾き)の項、デフォーカス(defocus)の項、アスティグマ(非点収差)の項、コマの項、トリフォイルの項等からなる。
<AO−SLO画像の取得方法>
次に、平面画像(AO−SLO画像)の取得方法について説明する。
図4は、本発明の実施形態を示し、図1に示すAO−SLO部110における平面画像(AO−SLO画像)の取得方法を説明するための図である。ここで、図4において、図1に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。
AO−SLO部110は、コンピュータ125の制御に基づきXYスキャナ119−1を制御し、ディテクター138−1で戻り光108の光強度(光量)を取得することにより、眼底Erの平面画像(AO−SLO画像)を取得することができる。ここでは、眼底Erの平面画像(光軸に垂直な面に係るAO−SLO画像)の取得方法について説明する。
図4(A)は、測定光106−1と被検眼Eの模式図であり、眼科装置100によって観察されている様子を示している。図4(A)に示すように、測定光106−1は、被検眼Eの角膜Ecを通して眼底Erに入射すると、様々な位置における反射や散乱により戻り光108となり、図1のディテクター138−1に到達する。
さらに、図4(B)に示すように、XYスキャナ119−1をX方向に駆動しながら、戻り光108の光強度を検出すれば、各X軸の位置毎の情報を得ることができる。
さらに、図4(C)に示すように、XYスキャナ119−1のX軸とY軸とを同時に駆動し、眼底Erのある撮像範囲192に対して、測定光106−1を軌跡193のようにラスタースキャンしながら、戻り光108の光強度を検出する。すると、戻り光108の光強度の2次元分布が得られ、これは、すなわち図4(D)に示す平面画像(AO−SLO画像)177である。
測定光106−1は、図4(C)に示す左上の点Sから右下の点Eに向かってスキャンされ、その間の戻り光108の光強度が平面画像(AO−SLO画像)177の生成に用いられる。点Eから点Sへの軌跡193は、次の平面画像(AO−SLO画像)177の撮像のための準備である。ここで、スキャンにかかる時間は、図4(C)中の軌跡193に対して、点S→点Eが81%程度、点E→点Sが19%程度であり、この比は上述のYスキャナの駆動波形のデューティ比に基づいている。また、図4(C)では、簡単のため、軌跡193におけるX方向のスキャン回数を少なめに記載している。
ここで、図4(D)に示す平面画像(AO−SLO画像)177は、その大きさが700μm×350μm、取得に要する時間が約15.6msである。この時間は、Yスキャナの駆動周波数に基づいている。また、図4(D)に示す平面画像(AO−SLO画像)177中には、戻り光108の光強度が比較的大きい視細胞群179が明るく、戻り光108の光強度が比較的小さい血管178が暗く描出される。また、血管178に白血球(不図示)が明るく描出される。
<WF−SLO部120の全体>
次に、WF−SLO部120の全体について説明する。
WF−SLO部120は、補償光学系と参照光路を備えないことを除けば、基本的にAO−SLO部110と同様の構成となっている。そのため、ここでは、AO−SLO部110と重複する部分については、説明を省略する。
光源101−2から出射した光である測定光106−2は、レンズ135−11〜135−12,135−2及び135−1、XYスキャナ119−2、ダイクロイックミラー170等を介して、検査対象である被検眼Eに導かれる。
測定光106−2は、被検眼Eによって反射或いは散乱された戻り光108となり、光路を逆行し、ビームスプリッタ158−2等を介して、検出器であるディテクター138−2に入射される。ディテクター138−2は、戻り光108を受光してその光強度(光量)を電圧信号に変換する。この電圧信号を用いて、コンピュータ125において、被検眼Eの広域の平面画像であるWF−SLO画像が生成される。
<WF−SLO部120の光源>
次に、光源101−2の周辺について説明する。
光源101−2は、例えば、光源101−1と同様にSLDで構成されている。光源101−2の光の波長は910nm程度、バンド幅は10nm程度である。本実施形態では、AO−SLO部110の光路とWF−SLO部120の光路とをダイクロイックミラー170を用いて分離するために、それぞれの光源の波長を異ならせている。
<WF−SLO部120の測定光106−2の光路>
次に、測定光106−2の光路について説明する。
光源101−2から射出された測定光106−2は、レンズ135−2、XYスキャナ119−2、ダイクロイックミラー170−1等を介して、検査対象である被検眼Eに導かれる。
ここで、XYスキャナ119−2の構成要素であるXスキャナは、測定光106−2を紙面に平行な方向に走査するスキャナであり、ここでは、例えば共振型スキャナを用いる。このXスキャナの駆動周波数は、約3.9kHzである。また、XYスキャナ119−2の構成要素であるYスキャナは、測定光106−2を紙面に垂直な方向に走査するスキャナであり、ここでは、例えばガルバノスキャナを用いる。このYスキャナの駆動波形はのこぎり波、駆動周波数は約32Hz、デューティ比は81%程度である。このYスキャナの駆動周波数は、WF−SLO画像の撮像のフレームレートを決定する重要なパラメータである。XYスキャナ119−2は、コンピュータ125により制御される。
また、測定光106−2のビーム径は1mm程度であるが、より高分解能な光画像を取得するために、ビーム径をより大きくしてもよい。
測定光106−2が被検眼Eに入射すると、眼底Erからの反射や散乱により戻り光108となり、ダイクロイックミラー170−1、レンズ135−1、XYスキャナ119−2、ビームスプリッタ158−2等を介して、ディテクター138−2に到達する。
図5は、図1に示すWF−SLO部120内のディテクター138−2の位置関係の一例を示す図である。具体的に、図5には、実質的な、入射する測定光106−2、眼底Er、ディテクター138−2の位置関係の一例を示している。
なお、図5では、眼底Erに垂直な面を示している。そして、図5に示すように、ディテクター138−2は、その受光の光軸(戻り光108の受光の光軸)が、眼底Erに入射する測定光106−2の光軸に対して傾斜する位置に配置されている。これは、眼底Erの血管は眼底面に沿っている血管が多く、測定光106−2が眼底Erに垂直に入射する場合に、ディテクター138−2の受光の光軸が測定光106−2の光軸と一致すると、その血管の血流による、測定光106−2の眼底Erからの戻り光108に基づくドップラー信号が受信できないためである。このように、眼底Erに入射する測定光106−2の光軸に対して受光の光軸が傾斜する位置にディテクター138−2を配置しても、血管の方向によってはドップラー信号が受信できないこともあるが、多くの場合に受信ができればよい。また、この傾斜の角度は、角度が分かっていて受光系からはずれない限り、任意の角度で構わない。
<WF−SLO画像の取得方法>
次に、広域の平面画像(WF−SLO画像)の取得方法について説明する。
WF−SLO部120は、コンピュータ125の制御に基づきXYスキャナ119−2を制御し、ディテクター138−2で戻り光108の光強度(光量)を取得することにより、眼底Erの広域の平面画像(WF−SLO画像)を取得することができる。ここで、眼底Erの広域の平面画像(光軸に垂直な面に係るWF−SLO画像)の取得方法については、上述したAO−SLO画像の取得方法と同様であるため、その説明は省略する。
<AO−SLO画像の取得手順>
ここで、AO−SLO部110を用いた平面画像(AO−SLO画像)の取得手順について説明する。
眼科装置100(コンピュータ125)は、まず、WF−SLO部120を用いて、測定光106−2を眼底Erへ合焦をさせて、WF−SLO画像の撮像を行う。そして、眼科装置100(コンピュータ125)は、合焦させた時の電動ステージ117の位置から、被検眼Eの視度を算出する。さらに、検者がWF−SLO画像においてAO−SLO画像を取得したい位置を指定すると、眼科装置100(コンピュータ125)は、先ほど取得した被検眼Eの視度に基づいて固視灯156の表示位置を算出して表示を行い、所望の位置のAO−SLO画像の取得を行う。
<血流測定の手順>
次に、眼科装置100による被検眼Eの眼底Erにおける血流測定の手順に係る制御方法について説明する。
図6−1及び図6−2は、本発明の実施形態に係る眼科装置100において、被検眼Eの眼底Erにおける血流測定の手順に係る制御方法の一例を示すフローチャートである。この図6−1及び図6−2に示すフローチャートは、例えばコンピュータ125内のCPU211が、例えば外部メモリ214に記憶されているプログラムを実行することにより行われる。
検者が、コンピュータ125の入力デバイス215を介して、AO−SLO部110での撮像位置を指定し、かつ、血流測定開始の入力を行うと、まず、コンピュータ125のCPU211は、これを検知する。そして、図6−1のステップS101において、コンピュータ125のCPU211は、WF−SLO部120とAO−SLO部110の走査を開始させる。
続いて、図6−1のステップS102において、コンピュータ125のCPU211は、WF−SLO部120を制御する。具体的に、コンピュータ125のCPU211は、戻り光108のうちダイクロイックミラー170−1で反射された光をディテクター138−2に受光させる。その後、コンピュータ125のCPU211は、ディテクター138−2で取得した光量を表す受光信号を基に1フレーム分のWF−SLO画像を生成する。そして、コンピュータ125のCPU211は、生成した1フレーム分のWF−SLO画像を、表示部216に表示するとともに、例えば外部メモリ214にその画像データを保存する。
続いて、図6−1のステップS103において、コンピュータ125のCPU211は、AO−SLO部110を制御する。具体的に、コンピュータ125のCPU211は、戻り光108のうちダイクロイックミラー170−1を透過した光を、ディテクター138−1で受光させる。その後、コンピュータ125のCPU211は、ディテクター138−1で取得した光量を表す受光信号を基に1フレーム分のAO−SLO画像を生成する。そして、コンピュータ125のCPU211は、生成した1フレーム分のAO−SLO画像を、表示部216に表示するとともに、例えば外部メモリ214にその画像データを保存する。なお、本実施形態では、WF−SLO画像及びAO−SLO画像のフレームレートは、それぞれ、約26及び約52となっている。このため、本実施形態では、WF−SLO画像を1フレーム分取得する間にAO−SLO画像を2フレーム分が取得することができるので、本ステップでは、2フレーム分のAO−SLO画像を生成して表示及び保存を行うものとする。
続いて、図6−1のステップS104において、コンピュータ125のCPU211は、予め定められた規定フレーム分の画像取得が終了したか否かを判断する。ここで、本実施形態では、WF−SLO画像及びAO−SLO画像は、それぞれ、2秒間の撮像分の52フレーム及び104フレームの画像取得をする設定になっている。なお、両者の時間に対する走査位置が特定できさえすれば、別のフレームレートでも構わない。
図6−1のステップS104の判断の結果、規定フレーム分の画像取得が未だ終了していない場合には(S104/NO)、図6−1のステップS102に戻り、再度、ステップS102及びS103の処理を行う。
一方、図6−1のステップS104の判断の結果、規定フレーム分の画像取得が終了した場合には(S104/YES)、図6−1のステップS105に進む。
図6−1のステップS105に進むと、コンピュータ125のCPU211は、WF−SLO画像のフレームごとに、各画素におけるディテクター138−2での受光信号のFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を行う。このFFT処理の結果、周波数fに対するスペクトルS(f)すなわち光量との関係が求められる。そして、被検眼Eの眼底Erの血管があるところの画素からは、流れている血液中の赤血球からの散乱光(戻り光108)に基づくドップラー信号と血管壁からの散乱光とのビート信号が、周波数の低い部分に現われる。
図7は、本発明の実施形態を示し、図1に示すWF−SLO部120で得られる血管からのビート信号の一例を示す図である。ここで、血流速度が高いと周波数が高いビート信号になる。そして、血流速度に応じてこのビート信号が、図7の矢印の方向に変化する。
続いて、図6−1のステップS106において、コンピュータ125のCPU211は、対象画素でのFFT信号に、以下の(1)式で表される周波数fによる積分を行う。
Figure 0006562644
(1)式において、Pは、対応するディテクター138−2で受光された全光量である。(1)式に示すように、全光量Pで除することで、測定光106−2或いは戻り光108の光強度の影響を除くことができる。ここで、本実施形態では、積分範囲は100Hz〜60kHzとしている。0Hzに近い周波数ではノイズの影響が大きいので、最小周波数を100Hzとしている。また、最大周波数は、想定される血流速度とディテクター138−2の照射光軸からの傾斜の角度とに応じて充分な周波数を選択すればよい。
続いて、図6−1のステップS107において、コンピュータ125のCPU211は、図6−1のステップS106で算出した各画素のIを合計する。ここで、各画素のIの中には、血管がなくドップラー信号がないもの、照射の方向と受光の方向と血管の方向との兼ね合いでドップラー信号がないものもあるが、その判断をせずに合計して構わない。
続いて、図6−1のステップS108において、コンピュータ125のCPU211は、対象フレームのすべての画素について上記の処理ステップが終了したか否かを判断する。この判断の結果、対象フレームのすべての画素については未だ上記の処理ステップが終了していない場合には(S108/NO)、図6−1のステップS105に戻り、未処理の画素について図6−1のステップS105以降の処理を行う。
一方、対象フレームのすべての画素について上記の処理ステップが終了した場合には(S108/YES)、図6−1のステップS109に進む。
図6−1のステップS109に進むと、コンピュータ125のCPU211は、走査開始から対象フレーム走査時までの平均的な時間に対するIの合計Isをプロット表示する。
続いて、図6−1のステップS110において、コンピュータ125のCPU211は、すべてのフレームについて処理を終了したか否かを判断する。この判断の結果、すべてのフレームについては未だ処理を終了していない場合には(S110/NO)、図6−1のステップS105に戻り、未処理のフレームについて図6−1のステップS105以降の処理を行う。
一方、図6−1のステップS110の判断の結果、すべてのフレームについて処理を終了した場合には(S110/YES)、図6−2のステップS111に進む。このとき、Iの合計Isは2秒間分のプロットが終了し、時間変動グラフとしてIの合計Isの時間変動を算出することができる。
図8は、本発明の実施形態を示し、Iの合計Isの時間変動とIvのプロットの一例を示す図である。ここでは、図8(A)に示すように、Iの合計Isを2秒間分プロットして、これを線でつないだ時間変動グラフが得られる。
図6−2のステップS111に進むと、コンピュータ125のCPU211は、入力デバイス215を介して、検者から或る時間のAO−SLO画像の指定及び血管(例えば毛細血管)上の場所(ここでは、少なくとも1つの場所(位置))の指定があるか否かを判断する。この判断の結果、検者から或る時間のAO−SLO画像の指定及び血管上の場所の指定がない場合には(S111/NO)、これらの指定があるまで、図6−2のステップS111で待機する。
一方、図6−2のステップS111の判断の結果、検者から或る時間のAO−SLO画像の指定及び血管上の場所の指定がある場合には(S111/YES)、図6−2のステップS112に進む。
図6−2のステップS112に進むと、コンピュータ125のCPU211は、指定されたAO−SLO画像とその前または後のAO−SLO画像を用いて、指定された血管上での場所における血流速度Vを、白血球を追跡する画像処理によって算出する。
続いて、図6−2のステップS113において、コンピュータ125のCPU211は、入力デバイス215を介して、検者から血流速度の算出終了の入力があるか否かを判断する。この判断の結果、検者から血流速度の算出終了の入力がない場合には(S113/NO)、図6−2のステップS111に戻り、図6−2のステップS111以降の処理を行う。
一方、図6−2のステップS113の判断の結果、検者から血流速度の算出終了の入力がある場合には(S113/YES)、図6−2のステップS114に進む。
図6−2のステップS114に進むと、コンピュータ125のCPU211は、以下の(2)式を用いて、対応する各時間のIの合計Isと血流速度Vとの比率Rを算出する。この際、算出された比率Rが複数個ある場合には、さらに、その平均値Raを算出する。なお、算出された比率Rが1個の場合には、その比率Rを平均値Raとする。また、対応する各時間は、走査開始から、血流速度Vの算出に用いた2枚のAO−SLO画像フレームの走査時の中間時点までの時間とすればよい。
Figure 0006562644
続いて、図6−2のステップS115において、コンピュータ125のCPU211は、まず、以下の(3)式を用いて、対応する各時間の、血流速度Vに平均値Raを掛けたIvを算出する。次いで、コンピュータ125のCPU211は、算出したIvを、図6−1のステップS109でプロットしたIの合計Isの時間変動グラフにプロットする。図8(B)は、図8(A)に示すIの合計Isの時間変動グラフに2個のIvをプロットした例を示すものである。
Figure 0006562644
続いて、図6−2のステップS116において、コンピュータ125のCPU211は、Iの合計Isの時間変動グラフから拍動を検出し、整数拍動分の範囲を求め、その整数拍動分の範囲におけるIの合計Isの平均値Isaを算出する。ここで、図8(B)に示すIの合計Isの時間変動グラフでは2拍動が検出でき、その範囲を矢印で示したものが図8(C)である。図8(C)では、Iの合計Isの時間変動における極小値を2拍動分求めているが、極大値や、極大値と極小値との中間値等の、整数分の拍動を捉えられるものであれば何でもよい。
続いて、図6−2のステップS117において、コンピュータ125のCPU211は、以下の(4)式を用いて、整数拍動範囲(整数拍動内)における血流速度Vの平均値Vaを算出する。本ステップでは、例えば、Iの合計Is(第2の血流情報)の時間変動における血流速度V(第1の血流情報)のタイミングを含む1拍動の血流速度Vの平均値Vaを算出する。
Figure 0006562644
本実施形態に係る眼科装置100では、コンピュータ125(具体的にはCPU211)において、AO−SLO部110(第1の撮像手段)による撮像により得られたAO−SLO画像を用いて眼底Erの第1のエリアの中の少なくとも1つの位置における血流速度V(第1の血流情報)を算出するとともに、WF−SLO部120(第2の撮像手段)による撮像の際に得られた信号であって測定光106−2(第2の照明光)の眼底Erからの戻り光108によるドップラー信号に基づいてIの合計Is(第2の血流情報)の時間変動を算出し、このIの合計Isの時間変動に基づいて拍動における血流速度VのタイミングIvを算出するようにしている。この際、血流速度V(第1の血流情報)とIの合計Is(第2の血流情報)とは、同じ時間において取得されたものである。
かかる構成によれば、脈波計を必要とせずに、拍動における被検眼Eの眼底Erの血流情報のタイミングを把握することができる。これにより、安価で被検者の煩わしさを軽減しつつ、得られた血流情報に基づき正常・異常の判断を行うことが可能になる。
また、本実施形態においては、WF−SLO部120で撮像する第2のエリアはAO−SLO部110で撮像する第1のエリアよりも広いエリアとしているが、より好適には、第2のエリアは第1のエリアを含むエリアである。これは、第1のエリアを含まない第2のエリアよりも、第1のエリアを含む第2のエリアの方が、上述した第1の血流情報と第2の血流情報とが近接した位置での情報となるため、拍動における第1の血流情報のタイミングの算出精度が向上するからである。
また、例えば、脈波計のセンサを耳朶や指先等に付けてその拍動を知る方法では、心臓からの距離が眼底Erまでと異なるために、得られる拍動と眼底Erの血流の拍動とではタイミングが異なる。被検者によって、また、被検者の状態によっても異なるが、例えば指先の場合には、数十ミリ秒の差が生じる場合がある。この差は、血流速度の変動の急峻な部分では10%くらいの差になる可能性がある。この点、本実施形態では、眼底Erでの拍動を使うため、タイミングの差が生じることがない。
なお、本実施形態では、整数拍動範囲における血流速度Vの平均値Vaを算出しているが、必要に応じて、整数拍動範囲における血流速度Vの最大値Vmaxまたは最小値Vmin(例えば、1拍動の血流速度Vの最大値Vmaxまたは最小値Vmin)や、これらの差、或いはこれらの比を算出する形態も本発明に適用可能である。さらに、図6−2のステップS115においてIsの時間変動グラフにタイミングIvをプロットして、拍動の中の最大、最小、或いは、中間に近いのか等、拍動の中でのタイミングを知るだけで十分な場合もある。
また、本実施形態では、WF−SLO画像全体のすべての画素について積分値Iを算出して合計を行っているが、算出を簡単にするために、WF−SLO画像の中の一部、例えば血管が存在する可能性が高い中央部分を対象にしてもよい。或いは、WF−SLO画像全体のすべての画素ではなく間引いたり、画像処理によって血管を認識した上でその部分のみを抽出したりして、すべての画素について積分値Iを算出しなくてもよい。
また、血管を認識する方法としては、以下のことも可能である。
まず、各血管の血流の変動を求めた上でその変動の大きさ(例えば最大値と最小値の比)が閾値以上なら動脈、未満なら静脈と判断する。次いで、対象の毛細血管は、それらの判断された動脈或いは静脈まで毛細血管から連続する血管をたどって、動脈側の毛細血管なのか静脈側の毛細血管なのかを判断し、これに対応した血管の血流の変動を用いる。これにより、対象の毛細血管の血流速度の変動により近い血流の変動を参照することができる。
また、本実施形態では、AO−SLO画像から算出する第1の血流情報としては、血流速度Vのみであるが、本発明においてはこの形態に限定されるものではなく、さらに、血管径(血管の内径)を測定して血流量を算出する形態も、本発明に含まれる。
また、ドップラー信号が受光できない場合が多くなってデータ量が減り、血流の変動の精度が悪くなるが、ディテクター138−2を傾斜させない通常の配置にすることも可能である。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、または、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100 眼科装置、101 光源、105 参照光、106 測定光、108 戻り光、110 AO−SLO部、117 電動ステージ、119 XYスキャナ、120 WF−SLO部、125 コンピュータ、130 光ファイバー、131 光カプラー、135 レンズ、138 ディテクター、153 偏光コントローラ、155 波面センサ、156 固視灯、157 光束、158 ビームスプリッタ、159 空間光変調器、164 光量測定装置、170 ダイクロイックミラー、176 ADボード、180 ドライバ部、181 空間光変調器駆動ドライバ、182 光スキャナ駆動ドライバ、183 電動ステージ駆動ドライバ、184 固視灯駆動ドライバ、E 被検眼、Er 眼底、Ec 角膜

Claims (13)

  1. 被検眼の眼底を第1の照明光を用いて走査するとともに前記被検眼の収差を補正して前記眼底の第1のエリアを撮像する第1の撮像手段と、
    前記眼底を第2の照明光を用いて走査して前記第1のエリアよりも広い前記眼底の第2のエリアを撮像する第2の撮像手段と、
    前記第1の撮像手段による撮像により得られた画像を用いて前記第1のエリアの中の少なくとも1つの位置における第1の血流情報を算出するとともに、前記第2の撮像手段による撮像の際に得られた信号であって前記第2の照明光の前記眼底からの戻り光によるドップラー信号に基づいて第2の血流情報の時間変動を算出し、前記第2の血流情報の時間変動に基づいて拍動における前記第1の血流情報のタイミングを算出する算出手段と、
    を有し、
    前記第2の撮像手段は、前記眼底に入射する前記第2の照明光の光軸に対して受光の光軸が傾斜する位置に配置されたディテクターを有して構成されていることを特徴とする眼科装置。
  2. 前記第2のエリアは、前記第1のエリアを含むエリアであることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記算出手段は、さらに、前記第2の血流情報の時間変動における前記第1の血流情報のタイミングを含む1拍動の前記第1の血流情報の平均値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
  4. 前記算出手段は、さらに、前記第2の血流情報の時間変動における前記第1の血流情報のタイミングを含む1拍動の前記第1の血流情報の最大値または最小値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
  5. 前記第1の血流情報と前記第2の血流情報とは、同じ時間において取得されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の眼科装置。
  6. 被検眼の眼底を第1の照明光を用いて走査するとともに前記被検眼の収差を補正して前記眼底の第1のエリアを撮像する第1の撮像手段と、
    前記眼底を第2の照明光を用いて走査して前記第1のエリアを含む前記眼底の第2のエリアを撮像する第2の撮像手段と、
    前記第1の撮像手段による撮像により得られた画像を用いて前記第1のエリアの中の少なくとも1つの位置における第1の血流情報を算出するとともに、前記第2の撮像手段による撮像の際に得られた第2の血流情報の時間変動に基づいて拍動における前記第1の血流情報のタイミングを算出する算出手段と、
    を有し、
    前記第2の撮像手段は、前記眼底に入射する前記第2の照明光の光軸に対して受光の光軸が傾斜する位置に配置されたディテクターを有して構成されていることを特徴とする眼科装置。
  7. 被検眼の眼底を撮像する眼科装置の制御方法であって、
    前記眼底を第1の照明光を用いて走査するとともに前記被検眼の収差を補正して前記眼底の第1のエリアを第1の撮像手段を用いて撮像する第1の撮像ステップと、
    前記眼底を第2の照明光を用いて走査して前記第1のエリアよりも広い前記眼底の第2のエリアを第2の撮像手段を用いて撮像する第2の撮像ステップと、
    前記第1の撮像ステップによる撮像により得られた画像を用いて前記第1のエリアの中の少なくとも1つの位置における第1の血流情報を算出するとともに、前記第2の撮像ステップによる撮像の際に得られた信号であって前記第2の照明光の前記眼底からの戻り光によるドップラー信号に基づいて第2の血流情報の時間変動を算出し、前記第2の血流情報の時間変動に基づいて拍動における前記第1の血流情報のタイミングを算出する算出ステップと、
    を有し、
    前記第2の撮像手段は、前記眼底に入射する前記第2の照明光の光軸に対して受光の光軸が傾斜する位置に配置されたディテクターを有して構成されていることを特徴とする眼科装置の制御方法。
  8. 前記第2のエリアは、前記第1のエリアを含むエリアであることを特徴とする請求項に記載の眼科装置の制御方法。
  9. 前記算出ステップでは、さらに、前記第2の血流情報の時間変動における前記第1の血流情報のタイミングを含む1拍動の前記第1の血流情報の平均値を算出することを特徴とする請求項またはに記載の眼科装置の制御方法。
  10. 前記算出ステップでは、さらに、前記第2の血流情報の時間変動における前記第1の血流情報のタイミングを含む1拍動の前記第1の血流情報の最大値または最小値を算出することを特徴とする請求項またはに記載の眼科装置の制御方法。
  11. 前記第1の血流情報と前記第2の血流情報とは、同じ時間において取得されたものであることを特徴とする請求項乃至10のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
  12. 被検眼の眼底を撮像する眼科装置の制御方法であって、
    前記眼底を第1の照明光を用いて走査するとともに前記被検眼の収差を補正して前記眼底の第1のエリアを第1の撮像手段を用いて撮像する第1の撮像ステップと、
    前記眼底を第2の照明光を用いて走査して前記第1のエリアを含む前記眼底の第2のエリアを第2の撮像手段を用いて撮像する第2の撮像ステップと、
    前記第1の撮像ステップによる撮像により得られた画像を用いて前記第1のエリアの中の少なくとも1つの位置における第1の血流情報を算出するとともに、前記第2の撮像ステップによる撮像の際に得られた第2の血流情報の時間変動に基づいて拍動における前記第1の血流情報のタイミングを算出する算出ステップと、
    を有し、
    前記第2の撮像手段は、前記眼底に入射する前記第2の照明光の光軸に対して受光の光軸が傾斜する位置に配置されたディテクターを有して構成されていることを特徴とする眼科装置の制御方法。
  13. 請求項乃至12のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
JP2015022473A 2015-02-06 2015-02-06 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム Active JP6562644B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015022473A JP6562644B2 (ja) 2015-02-06 2015-02-06 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015022473A JP6562644B2 (ja) 2015-02-06 2015-02-06 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016144531A JP2016144531A (ja) 2016-08-12
JP6562644B2 true JP6562644B2 (ja) 2019-08-21

Family

ID=56684981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015022473A Active JP6562644B2 (ja) 2015-02-06 2015-02-06 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6562644B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11113847A (ja) * 1997-10-08 1999-04-27 Canon Inc 眼科装置
EP2430973B1 (en) * 2009-05-13 2014-09-17 Kyushu Institute of Technology Blood flow image diagnosing device
JP6101048B2 (ja) * 2012-02-20 2017-03-22 キヤノン株式会社 画像処理装置及び画像処理方法
JP5955020B2 (ja) * 2012-02-21 2016-07-20 キヤノン株式会社 眼底撮像装置及び方法
EP2829219B1 (en) * 2012-03-12 2020-09-09 Kabushiki Kaisha Topcon Optical image measurement device
JP6086345B2 (ja) * 2012-11-29 2017-03-01 国立大学法人大阪大学 眼科装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016144531A (ja) 2016-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101514253B1 (ko) 촬상장치 및 촬상방법
JP6039908B2 (ja) 撮像装置及び撮像装置の制御方法
JP5721412B2 (ja) 眼科装置、血流速算出方法およびプログラム
EP2460462B1 (en) Determination of the retinal blood flow velocity
JP5843542B2 (ja) 画像処理装置、眼科撮影装置、画像処理方法及びプログラム
KR101477591B1 (ko) 광학 단층촬영 화상 촬상장치 및 그 제어 방법
KR101506526B1 (ko) 안과장치 및 그 제어방법
US8899749B2 (en) Image processing apparatus, image processing method, image processing system, SLO apparatus, and program
WO2010074098A1 (en) Optical tomographic imaging apparatus and imaging method for optical tomographic image
JP6108811B2 (ja) 撮像装置
WO2019225290A1 (ja) 撮影装置及びその制御方法
JP2013063216A (ja) 画像処理装置及び画像処理方法
JP2019201951A (ja) 撮影装置及びその制御方法
JP2017158836A (ja) 眼科装置および撮像方法
JP2017042602A (ja) 血流計測装置
JP2016144530A (ja) 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム
JP6611593B2 (ja) 情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
JP2016106962A (ja) 眼科装置及びその制御方法
JP6562644B2 (ja) 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム
JP2016036364A (ja) 検査装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181010

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190723

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6562644

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151