JP6562338B2 - 静電容量測定システム、及び、センサユニット - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、白蟻の侵入経路に設置し、白蟻の食害を検出する白蟻検出装置において、白蟻を誘引する検出サンプルと、前記検出サンプルに加圧される検出端子と、前記検出端子を所定の力で加圧するための弾性体と、前記検出端子が取り付けられ前記弾性体の弾性による加圧力によって変位可能な移動機構とからなり、前記検出サンプルが白蟻の食害によって空洞化し脆弱となったとき、加圧力によって前記検出端子が前記検出サンプルに陥没し、前記移動機構が初期の位置より変位することによって白蟻を検出する白蟻検出装置が開示されている。
その結果、測定対象空間内における害虫の存在の有無による静電容量の変化を検出することにより、害虫の有無を判断することができるのではないかとの着想を得た。
このような着想に基づき、検討を重ねたところ、害虫の存在の有無により測定対象空間内の静電容量は変化するものの、その変化量は極めて小さく、確実にかつ高精度で上記静電容量の変化を検出することは困難であることが明らかとなった。
また、本発明によれば、害虫の存在の有無の検出のみならず、測定対象空間の静電容量の変化を測定することにより、測定対象空間の状況変化も検出(観察)することができることを合わせて見出した。
この場合、測定対象空間を外部の影響を受けにくい測定精度に優れた測定空間とすることができ、異物の侵入等の測定対象空間の変化をより確実に検出することができる。
この場合、上記第1の導体と第2の導体との間を主な測定対象空間とすることができ、特定の領域に焦点を当てて、異物の侵入等の測定対象空間の変化を検出することができる。
これにより、センシング素子の静電容量の変化量が微小であっても、その変化量をより確実に、かつ精度良く、静電容量検出器で検出することができる。
本発明は、上述した通り、センシング素子の静電容量の微小な変化を検出することを目的の一つとするものであり、上記静電容量測定システムの構成は、上記範囲の微小な静電容量の変化を検出するのに適している。
この場合、上記発振回路や上記センシング素子の周辺で、温度変化等の環境変化が生じても、正確に静電容量の変化を測定することができる。
上記周波数検出器と上記静電容量検出器とを有線で接続した場合、このような有線の存在が上記センシング素子の静電容量に影響を与えるおそれがあるが、上記周波数検出器と上記静電容量検出器とをワイヤレス接続することにより、このような不都合を回避することができる。
加えて、上記の構成の場合、センサユニット(発振回路、センシング素子、周波数変換器、及び、周波数検出器)と静電容量検出器とが分離しているため、センサユニットのみを容易に持ち運ぶことができ、測定対象空間の選択の自由度が高く、また、測定対象空間の変更も容易である。よって、ポータブル性に優れることとなる。
安価で、安定性に優れ、かつシステムの小型化にも適しているからである。
本発明のセンサユニットでは、本発明の静電容量測定システムと同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る静電容量測定システムの一例を示す構成概略図である。
本発明の実施形態に係る静電容量測定システム1は、図1に示すように、LC共振回路21を有する発振回路20と、センシング素子10と、周波数変換器30と、周波数検出器40と、静電容量検出器50とから主に構成されている。
図2(a)に示すセンシング素子10及び発振回路20において、センシング素子10(センシングパッド11及びグランドパッド12)の静電容量をC0、LC共振回路21におけるコンデンサ22の静電容量をC、コイル23のインダクタンスをLとすると、LC発振器24の出力周波数(共振周波数)frは、下記式(1)
そのため、LC発振器24の出力周波数の変化量を検出することにより、その変化量に基づいてセンシング素子10の静電容量の変化量ΔCを測定することができる。
静電容量測定システム1において、LC発振器24の出力周波数の検出は、一般的なFM受信機で採用されているスーパーヘテロダイン方式を利用して行う。
スーパーヘテロダイン方式のFM受信機100では、アンテナ101で受信し、RF増幅器102で増幅された信号を、水晶振動子132に接続された局部発振器131より出力される信号とともにミキサ103に通すことにより信号の周波数変換を行い、更に、周波数変換された信号をローパスフィルタ104及びIF増幅器105に通し、その後、検波器106を通した後、スピーカ107から出力する。
スーパーヘテロダイン方式では、高い周波数の信号を比較的低い周波数の信号に変換することができる。
周波数変換器30では、LC発振器24の出力周波数(共振周波数)をダウンコンバートする。なお、周波数変換器30には、図示しないがローパスフィルタが組み込まれており、所定の低周波数信号のみが増幅器34に出力されるように構成されていてもよい。
この場合、出力周波数の変化率は、約50倍に増幅されることとなる。
従って、周波数変換器30の出力周波数を検出する周波数検出器40では、出力周波数の変化を高感度で精度良く検出することができる。
センシング素子10の静電容量の変化ΔCに応じて、周波数検出器40で検出される周波数が変化することは上述した通りである。
例えば、静電容量Cが1.8pF、インダクタンスLが1.5nHのLC共振回路では、静電容量の変化量ΔCと、周波数変化量Δfとは、図4に示す関係(理論値)を有する。従って、このようなLC共振回路では、10aFの静電容量の変化が起こると、約300Hzの周波数変化を得ることができる。
静電容量検出器50としては、例えば、周波数検出器40によって検出される周波数の変化に基づいて静電容量の変化ΔCを検出するためのソフトウエアがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)を用いることができる。このPC(ソフトウエア)では、例えば、図4に示したような静電容量の変化量と周波数変化量との関係を取得したテーブルと、検出された周波数の変化との比較により、静電容量の変化を検出することができる。
これに対し、上記周波数検出器と上記静電容量検出器とをワイヤレス接続することにより、このような不都合を回避することができる。加えて、センサユニット(発振回路、センシング素子、周波数変換器、及び、周波数検出器)のみを容易に持ち運ぶことができ、測定対象空間の選択の自由度が高め、測定対象空間の変更も容易となる。
周波数検出器40と静電容量検出器50とのワイヤレス接続は、周波数検出器40に接続された発信器(図示せず)と、静電容量検出器50の接続された受信機(図示せず)により行う。
静電容量測定システム1では、測定対象空間内に異物(測定対象物)14が侵入すると、センシング素子10の静電容量が変化するため、この静電容量の変化を測定することにより、測定対象空間内における異物(測定対象物)14の存在の有無を検出することができる。
これにより、センシング素子の静電容量の変化量が微小であっても、その変化量をより確実に、かつ精度良く、静電容量検出器で検出することができる。
本発明に係る静電容量測定システムは、上述した通り、コンデンサを含む共振回路を有する発振回路と、上記発振回路の出力周波数をダウンコーバートする周波数変換器とを備えており、特にセンシング素子10における微小な静電容量の変化を検出するのに適している。そして、上記静電容量測定システムにより検出するのに適したセンシング素子10の静電容量の変化量ΔCが、1aF以上、1000aF未満である。
上記静電容量の変化量ΔCが1aF未満では、静電容量の変化量ΔCが小さすぎて、その変化量を確実に検出することが難しい場合がある。一方、上記静電容量の変化量ΔCを1000aF以上の場合は、勿論、本発明に係る静電容量測定システムでも測定することができるが、他の静電容量測定システムであっても測定することができる。
このようなシールドを備えることにより、測定対象空間を外部の影響を受けにくい測定精度に優れた測定対象空間とすることができる。
図5、6に示すような静電容量測定システム201を構築し、その性能を評価した。
図5(a)は、実施例で作製した静電容量測定システム201の模式図であり、(b)は、(a)に示した静電容量測定システム201のセンサユニット部分の斜視図である。
図6(a)は、図5(b)に示したセンサユニットを模式的に示す側面図であり、(b)は(a)の平面図である。
図7は、図5(b)に示したセンサユニットが備えるセンシングモジュールの構成概略図である。
センサユニット202は、図6、7に示すようなセンシングモジュール260と、図6に示すようなセンシングパッド211及びグランドパッド212からなり、センシングモジュール260に接続されたセンシング素子210と、センシングモジュール260に接続されたシールド213とを備える。
上記センシングモジュール260は、図7に示すように、LC共振回路221及びLC発振器224を有する発振回路220、水晶振動子233、局部発振器232及びミキサ231を有する周波数変換器230、増幅器234、周波数検出器240、並びに、アンテナ271に接続された発信器270を備えている。
ここで、各部材の接続及び機能は既に説明した通りである。
また、静電容量測定システム201において、LC共振回路221の定常状態での出力周波数は98MHzとし、局部発振器232の発振周波数は100MHzとした。
この検証実験では、測定対象物が存在しない状態で、ヒトが徐々にシールド213側からセンサユニットに近づき、その際の周波数変換器230の出力周波数の変化を検出した。ここで、ヒトは、センサユニットから4m離れた位置から徐々にセンサユニットに近づき、0.25m近づく毎に周波数を測定した。
更に、シールド213を取り外し、同様の手法で周波数を測定した。
図8に示したように、シールドを設けることにより、外部からの影響を抑制することができることが明らかとなった。
計測結果を図9に示した。なお、図9には、通路61の観察画像も同時に掲載した。ここで、画像(a)は、センシングパッド211とグランドパッド212との間に蟻がいる時の画像であり、画像(b)は、センシングパッド211とグランドパッド212との間に蟻がいない時の画像である。
この結果から、静電容量測定システム201用いることにより、センシング素子の測定対象空間を蟻が通過することを検出することができることが明らかとなった。
第1実施形態に係る静電容量測定システム1において、センシング素子10は、離間して配置されたセンシングパッド11とグランドパッド12とを有するが、本発明の実施形態に係る静電容量測定システムにおいて、センシング素子は、必ずしもグウランドパッドを有していなくてもよい。
図10は、第2実施形態に係る静電容量測定システムの一例を示す構成概略図である。
図10に示すように、第2実施形態に係る静電容量測定システム301では、センシング素子310は、LC共振回路21に接続された第1の導体(センシングパッド)311のみを有する。なお、静電容量容量測定システム301において、センシング素子310以外の構成は、図1に示した第1実施形態に係る静電容量測定システム1と同様である。
そのため、静電容量測定システム301では、センシング素子310の静電容量の変化を検出することにより、測定対象空間内への異物の侵入を検出することができる。
その場合、上記測定対象空間(空間A)のうち、配置されたシールドよりも第1の導体(センシングパッド)311側の空間が測定対象空間となる。
本発明の実施形態に係る静電容量測定システムは、上述した通り、シールドを備えていてもよい。ここで、上記シールドの形状は、第1実施形態に係る静電容量測定システム1では、図5(b)に示すようにリング状のシールドであって、リングにより囲まれた部分の面積がセンシングパッドの面積よりも大きいシールド用いていたが、上記静電容量測定システムがシールドを備える場合、その形状は特に限定されず、種々の形状のシールドを用いることができる。
図11(a)及び(b)は、シールドの他の形状を示す正面図であり、(c)は、(a)及び(b)のそれぞれの形状のシールドの性能を評価したグラフである。
上記シールドとしては、例えば、図11(a)に示すようなワイヤをメッシュ状に配置したシールド(ワイヤメッシュシールドとも称する)413や、図11(b)に示すようなワイヤを平行に配置したシールド(パラレルワイヤシールドとも称する)513等であってもよい。
上述した性能の比較では、ワイヤメッシュシールド413及びパラレルワイヤシールド513ともに、外周のサイズを20cm四方とし、両者の総ワイヤ長は同一とした。
これらのシールドの性能評価は、図5、6に示した静電容量測定システム201において、シールド213に代えて、ワイヤメッシュシールド413又はパラレルワイヤシールド513を配置することにより行った。なお、このとき、シールドとセンシングパッド211との距離は8cmとした。
その結果、図11(c)に示したように、ワイヤメッシュシールド413の方が、パラレルワイヤシールド513よりもシールド性能に優れることが明らかとなった。
勿論、上記シールドの形状は、静電容量測定システムにおける測定条件に応じて適宜選択すれば良い。
本発明に係る静電容量測定システムの用途(使用方法)は特に限定されず、種々の用途、例えば、測定対象空間における異物(測定対象物)の存在の有無を検出するセンサとして使用することができる。
具体的には、例えば、第1実施形態で説明したような虫の検出や、第2実施形態で説明したようなヒトや動物等の侵入を検知するセンサ、測定対象空間内へのゴミや埃等の浮遊物質の流入を検知するセンサ等として使用することができる。
その他、例えば、センシングパッドとグランドパッドとを備えた静電容量測定システムにおいて、センシングパッドとグランドパッドとの間を物品を搬送するベルトコンベアが通過するようにセンシング素子を配置することで、物品をカウントしたり、物品中への異物の混入の有無を検査したりすることも可能となる。更に、複数種類の物品が同一のベルトコンベアで搬送される場合、予め物品毎に静電容量の変化量を取得しておくことにより、搬送された物品の種類を判別することも可能となる。
10、310 センシング素子
11、211、311 第1の導体(センシングパッド)
12、212 第2の導体(グランドパッド)
14 異物(測定対象物)
20、220 発振回路
21、221 共振回路
22、222 コンデンサ
23 コイル
24、224 LC発振器
30、230 周波数変換器
31、231 ミキサ
32、232 局部発振器
33、233 水晶振動子
34、234 増幅器
40、240 周波数検出器
50 静電容量検出器
60 柱
61 通路
202 センサユニット
213 シールド
214 蟻
260 センシングモジュール
270 発信器
413 ワイヤメッシュシールド
513 パラレルワイヤシールド
Claims (6)
- コンデンサを含む共振回路を有する、LC共振回路である発振回路と、
前記共振回路に接続された第1の導体を含むセンシング素子と、
前記発振回路の出力周波数をダウンコンバートする周波数変換器と、
前記周波数変換器の出力周波数を検出する周波数検出器と、
前記周波数検出器によって検出される周波数の変化に基づいて、前記センシング素子の静電容量の変化を検出する静電容量検出器と、
を備え、
前記第1の導体に隣接する空間を、前記静電容量の変化を検出する測定対象空間とし、
前記静電容量検出器は、前記発振回路の周波数ドリフトを計測し、検出された前記周波数ドリフトをキャンセルし、
前記周波数検出器によって検出される周波数の変化に基づいて、前記センシング素子の静電容量の変化を検出する
静電容量測定システム。 - シールドを更に備え、
前記第1の導体に隣接する空間のうち、前記シールドより前記第1の導体側の空間を前記測定対象空間とする請求項1に記載の静電容量測定システム。 - 前記センシング素子は、前記第1の導体と離間して配置され、グランド接続された第2の導体を更に含む請求項1又は2に記載の静電容量測定システム。
- 前記発振回路が有する前記コンデンサの静電容量は、前記静電容量検出器が検出する静電容量の変化量の104〜106倍である請求項1〜3のいずれかに記載の静電容量測定システム。
- 前記静電容量検出器が検出する静電容量の変化量は、1aF以上、1000aF未満である請求項1〜4のいずれかに記載の静電容量測定システム。
- 前記周波数検出器と前記静電容量検出器とは、ワイヤレス接続されている請求項1〜5のいずれかに記載の静電容量測定システム。
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