圧縮機の部分間の相対的な移動により、ロータ先端部クリアランスや圧縮機内の他のクリアランスが変化し、圧縮効率が低下するおそれがある。さらに、入口ケースによって圧縮機を支持すると、入口ケースの近傍の配管連結部へのアクセスが複雑になることがある。
ガスタービンエンジンにおいて、圧縮機の各部分の間の相対的な移動を減少させるとともに、配管連結部へのアクセスを簡単にすることが望ましい。
従来より、ファンと低圧圧縮機は、2つの方法のうちの一方で駆動されてきた。第1に、周知のガスタービンエンジンの一種は、3つのタービン部を備え、1つのタービン部が高圧圧縮機を駆動し、第2のタービンロータが低圧圧縮機を駆動し、第3のタービンロータがファンを駆動する。他の典型的な装置では、低圧圧縮機とファンの両方を駆動するために低圧タービン部を使用する。
近年、低圧タービンによって低圧圧縮機とファンの両方を異なる速度で駆動することができるように、ファンの駆動のためにギア減速装置を組み込むことが提案されている。
特徴的な実施例では、ガスタービンエンジンは、ファン部と、ファン部を駆動するように設けられたギア装置と、低圧圧縮機部と高圧圧縮機部の両方を含む圧縮機部と、を有する。タービン部が、圧縮機部とギア装置を駆動するように設けられている。総圧力比が、低圧圧縮機部にわたる圧力比と、高圧圧縮機部にわたる圧力比と、の組み合わせによって提供され、約35よりも大きい。低圧圧縮機部にわたる圧力比は、約3〜約8である。高圧圧縮機部にわたる圧力比は、約7〜約15である。ファンは、空気の一部を圧縮機部に導くとともに、空気の一部をバイパスダクトに導くように設けられている。
上述の実施例に係る他の実施例では、低圧圧縮機部にわたる圧力比は、約4〜約8である。
上述の実施例に係る他の実施例では、低圧圧縮機部にわたる圧力比は、約4〜約6である。
上述の実施例に係る他の実施例では、高圧圧縮機部にわたる圧力比は、約8〜約15である。
上述の実施例に係る他の実施例では、高圧圧縮機部にわたる圧力比は、約8〜約10である。
上述の実施例に係る他の実施例では、総圧力比は、約50以上である。
上述の実施例に係る他の実施例では、バイパス比は、圧縮機部に入る空気量に対するバイパスダクトに入る空気量として定義され、約8以上である。
上述の実施例に係る他の実施例では、タービン部は、4段または5段の低圧タービンを含み、この低圧タービンは低圧圧縮機を駆動する。
上述の実施例に係る他の実施例では、タービン部は、2段の高圧タービンを含み、この高圧タービンは高圧圧縮機部を駆動する。
上述の実施例に係る他の実施例では、ファン部にわたる圧力比は、約1.45以下である。
他の特徴的な実施例では、ガスタービンエンジンは、中心軸を有するファン部を備える。圧縮機を収容する圧縮機ケースと、圧縮機に空気を導く入口ケースと、が含まれる。圧縮機ケースは、入口ケースよりもファン部から軸方向に離れて配置される。支持部材がファン部と圧縮機ケースとの間に延在し、入口ケースに対する圧縮機ケースの移動を制限する。圧縮機ケースは、上流の圧縮機ケース部と、下流の圧縮機ケース部と、を含む。下流の圧縮機ケース部は、上流の圧縮機ケース部よりも入口ケースから軸方向に離れている。支持部材は、ファン部と上流の圧縮機ケース部との間に延在し、入口ケースは、圧縮機ケースとは別にファンエンジンから取り外し可能である。
上述の実施例に係る他の実施例では、圧縮機ケースは、低圧圧縮機部と高圧圧縮機部を含み、低圧圧縮機部と高圧圧縮機部の組み合わせによって提供される総圧力比は、約35以上である。
上述の実施例に係る他の実施例では、総圧力比は約40以上である。
上述の実施例に係る他の実施例では、総圧力比は約50以上である。
上述の実施例に係る他の実施例では、低圧圧縮機部にわたる圧力比は、約4〜約8であり、高圧圧縮機部にわたる圧力比は、約8〜約15である。
他の特徴的な実施例では、ガスタービンエンジンは、ファン部と、低圧圧縮機部と高圧圧縮機部の両方を含む圧縮機部と、を有する。低圧圧縮機部と高圧圧縮機部との組み合わせによって、約35以上の総圧力比が提供される。総圧力比は、低圧圧縮機部にわたる約3〜約8の圧力比と、高圧圧縮機部にわたる約7〜約15の圧力比と、によって提供される。ファンは、空気の一部を圧縮機部に導くとともに、空気の一部をバイパスダクトに導き、バイパス比が圧縮機に入る空気量に対するバイパスダクトに入る空気量として定義され、約8以上である。ファン部にわたる圧力比は、約1.45以下である。
上述の実施例に係る他の実施例では、低圧圧縮機部にわたる圧力比は、約4〜約8である。
上述の実施例に係る他の実施例では、低圧圧縮機部にわたる圧力比は、約4〜約6である。
上述の実施例に係る他の実施例では、高圧圧縮機部にわたる圧力比は、約8〜約15である。
上述の実施例に係る他の実施例では、高圧圧縮機部にわたる圧力比は、約8〜約10である。
本発明の種々の特徴および利点は、以下の実施例の詳細な説明によって当業者に明らかとなる。詳細な説明に付随する図面について、以下に簡単に説明する。
図1は、(直列に連通する)ファン部14と、低圧(または第1の)圧縮機部18と高圧(または第2の)圧縮機部22を含む圧縮機部19と、燃焼器26と、高圧(または第2の)タービン部30と低圧(または第1の)タービン部34を含むタービン部21と、を有する例示的なガスタービンエンジン10を概略的に示している。ガスタービンエンジン10は、エンジンの中心線Xを中心に周方向に配置されている。動作時には、空気がファン部14によってガスタービンエンジン10に引き込まれるとともに、圧縮機18,22によって加圧されて燃料と混合され、燃焼器26で燃焼される。燃焼器26で発生する高温の燃焼ガスは、高温の燃焼ガスからエネルギを抽出する高圧タービン30および低圧タービン34を通って流れる。本明細書では、“高圧”の圧縮機またはタービンは、対応する“低圧”の圧縮機またはタービンよりも高い圧力を有する。
二軸設計では、高圧タービン30は、高温の燃焼ガスから抽出したエネルギを使用して高速シャフト38を介して高圧圧縮機22を駆動し、低圧タービン34は、高温の燃焼ガスから抽出したエネルギを使用して低速シャフト42を介して低圧圧縮機18とファン部14を駆動する。しかし、本発明は、上述のガスタービンの二軸構造に限定されるものではなく、一軸設計、三軸設計などの他の構造とともに使用することができる。つまり、ガスタービンエンジンには種々の種類があり、その多くがここで開示した例の利益を享受することができ、このような例は示された設計に限定されるものではない。
例示的なガスタービンエンジン10は、ナセルまたはファンケーシング46内に取り付けられた高バイパス比タービンエンジンの形態であり、ナセルまたはファンケーシング46は、コアエンジン54を収容するエンジンケーシング50を囲んでいる。ファン部14によって加圧される空気のかなりの部分は、コアエンジン54をバイパスして推進のための推力を発生させる。ファン部14に入る空気流は、ファンバイパス通路58を通ってコアエンジン54をバイパスすることができ、ファンバイパス通路58は、ファンケーシング46とエンジンケーシング50との間に延びて排気流れF1を受け入れて連通させる。高バイパス流れ構造は、航空機を動かす十分な量の推力を提供する。
ガスタービンエンジン10は、ファン部14の回転速度を制御するために歯車列62を含みうる。歯車列62は、公転する遊星歯車を有する遊星歯車装置、公転しない遊星歯車を有する遊星歯車装置または他の種類のギア装置などのあらゆる周知のギア装置とすることができる。低速シャフト42は、歯車列62を駆動することができる。開示された例では、歯車列62は、一定の歯車比を有する。しかし、上述のパラメータは、ギア付きガスタービンエンジン10の単に例示的なものであることを理解されたい。つまり、本発明の形態は、従来のタービンエンジンならびに他のエンジン構造に適用可能である。
エンジン10は、一例では高バイパスギア付き航空機エンジンである。さらに他の例では、エンジン10のバイパス比は、約6よりも大きく、例示的な実施例では10よりも大きく、ギア付き構造体62は、ギア減速比が約2.3よりも大きい遊星歯車装置または他のギア装置などの遊星歯車列であり、低圧タービン34は、約5よりも大きい圧力比を有する。一例では、ギア付き構造体62は、太陽歯車と、内歯車と、太陽歯車の周りに周方向に配置され、太陽歯車および内歯車と噛み合う中間歯車と、を含む。中間歯車は、軸Xを中心とする回転に対して固定された星形歯車である。太陽歯車は、低速シャフト38によって支持され、内歯車はファン14に接続されている。
開示された一実施例では、エンジン10のバイパス比は、約10(10:1)よりも大きく、ファン直径は、低圧圧縮機18よりもかなり大きく、低圧タービン34は、約5:1よりも大きい圧力比を有する。低圧タービン34の圧力比は、排気ノズルの前方の低圧タービン34の出口における圧力に対する、低圧タービン34の入口の前方で測定された圧力である。ギア付き構造体62は、ギア減速比が約2.3:1よりも大きい遊星歯車装置または他のギア装置などの遊星歯車列とすることができる。しかし、上述のパラメータは、ギア付き構造体を有するエンジンの一実施例における例示的なものであり、本発明は、直接駆動のターボファンを含む他のガスタービンエンジンにも適用可能であることを理解されたい。
高バイパス比により、かなりの量の推力がバイパス通路58を通るバイパス流れによって提供される。エンジン10のファン部14は、特定の飛行条件、典型的には、約0.8マッハでの約35000フィートの巡航に対して設計されている。エンジンの燃費が最大である0.8マッハおよび35000フィートの飛行条件は、“バケット巡航推力当たり燃料消費率(‘TSFC’)”とも呼ばれており、燃焼される燃料(lbm)をその最小点でエンジンが発生する推力(lbf)で割った業界標準パラメータである。“低ファン圧力比(low fan pressure ratio)”は、ファン出口ガイドベーン(“FEGV”)装置を含まないファンブレードのみにわたる圧力比である。ここで開示する限定的でない一実施例における低ファン圧力比は、約1.45よりも小さい。“低ファン先端補正速度(low corrected fan tip speed)”は、実際のファン先端速度(ft/秒)を業界標準温度補正値[(Tambient deg R)/518.7)^0.5]で割ったものである。ここで開示する限定的でない一実施例では、“低ファン先端補正速度”は約1150ft/秒よりも遅い。エンジン20の上述のパラメータは、例示的なものである。
図2に示すように、例示的なエンジンケーシング50は、一般に、少なくとも入口ケース部64、低圧圧縮機ケース部66および中間ケース部76を含む。入口ケース64は、低圧圧縮機ケース66に空気を導く。例示的な従来のガスタービンエンジン80では、低圧圧縮機ケース66は、複数の圧縮機ステータベーン68を支持する。低圧圧縮機部18および高圧圧縮機部22、そして低ロータ70と高ロータ170の構成は、それぞれ従来技術の一部ではない。低ロータ70は、中心軸Xを中心に回転し、圧縮機ステータベーン68とともに低圧圧縮機ケース66を通過する空気を圧縮するのを補助する。空気は、低圧圧縮機の下流で高圧圧縮機部22に入り、高圧圧縮機部のロータ170によってさらに圧縮される。図2に示す圧縮機の取り付けは従来技術であるが、低圧圧縮機部18、高圧圧縮機部22およびロータ70,170は、従来技術の一部ではない。
複数のガイドベーン72によって、中間ケース76がファンケーシング46に固定されている。ガイドベーン72は、少なくとも後方接続機構74と前方接続機構78をそれぞれ備えている。後方接続機構74は、中間ケース76に連結され、前方接続機構78は入口ケース64に連結され、かくして低圧圧縮機ケース66は、中間ケース76と入口ケース64によって支持されている。
従来技術では、後方接続機構74と前方接続機構78との間に配管連結領域82が配置されている。配管連結領域82は、圧縮空気連結部や油連結部などのガスタービンエンジン80の整備および修理に使用される連結部を含む。前方接続機構78は、少なくとも1つのガイドベーン72から入口ケース64まで延在し、配管連結領域82の部分を覆う。カバーの一種であるファン流れスプリッタ86が、配管連結領域82を覆うために典型的に前方接続機構78に取り付けられる。
次に、図3に示す本発明の例を参照すると、タービンエンジン90において、前方接続機構78が低圧圧縮機ケース66の前方部分に取り付けられている。この例では、前方接続機構78は、低圧圧縮機ケース66を支持するためにガイドベーン72から延在する。前方接続機構78とガイドベーン72は、共に低圧圧縮機ケース66のための支持部材として機能する。(圧縮空気連結部や油連結部など、ガスタービンエンジン90の整備および修理に使用される連結部を含む)配管連結領域82は、前方接続機構78の上流に配置され、配管連結領域82へのアクセスが容易となっている。対照的に、従来技術の実施例の配管連結領域は、典型的に後方接続機構と前方接続機構との間に配置されており、前方接続機構は、典型的に少なくとも1つのガイドベーンから入口ケースまで延在して配管連結領域の一部を覆っており、配管連結領域へのアクセスが複雑になっていた。また、このような複雑な構造は、配管連結領域を覆うために前方接続機構に典型的に取り付けられていた、カバーの一種であるファン流れスプリッタによってさらに複雑になっていた。
図3に示す実施例では、作業者は、ファン流れスプリッタ86を取り外した後で配管連結領域82に直接アクセスすることができる。配管連結領域82は、典型的に潤滑装置82a、圧縮空気装置82bまたはこれらの両方へのアクセスを提供する。潤滑装置82aと圧縮空気装置82bは、典型的に歯車列62と流体的に連通している。
歯車列62の整備および修理は、歯車列62をエンジン90から取り外すことを要しうる。配管連結領域82を前方接続機構78よりも前方に配置することで、歯車列62の整備およびエンジン90の他の部分から歯車列62を取り外すことが簡単になる。例えば、取り外す前の歯車列62からの油の排出は、配管連結領域82で実施可能である。配管連結領域82は、典型的に歯車列62と共に取り外される。従って、この構成によって、オンウィングで歯車列62を取り外すこと、または低圧圧縮機ケース66とは別に入口ケース64をガスタービンエンジン90から取り外すことが可能になる。これにより、連続的な収益を得るためにエンジンを準備するのに要する時間が短縮され、作業者の時間および費用が節約される。
前方接続機構78を低圧圧縮機ケース66に取り付けることは、ファン部14が動いた場合でも、ファンの回転中に低圧圧縮機ケース66の内部に対するロータ70の位置を維持するのに役立つ。この例では、中間ケース76が、圧縮空気抽気弁75の近傍で低圧圧縮機ケース66の後方部分を支持する。
図4に示すように、“W形”のシールなどのシール88が、入口ケース64と低圧圧縮機ケース66との間の流体の移動を制限しうる。この例では、シール88は、全体として入口ケース64と低圧圧縮機ケース66との間の境界を形成するとともに、ケースの間のいくらかの移動を許容する。
図5は、ギアボックス62などの減速装置を介して低圧圧縮機に接続されたファン14を備えるギア付きターボファン構造の燃料燃焼効率を改善するために考え出された新規の仕事分担(worksplit)を示している。ギア減速装置62は、ファン14と低圧圧縮機18との間に組み込まれているため、従来の二軸直接駆動構造に比べて低圧圧縮機の速度を増加させることができる。これにより、低圧部18と高圧部22との間における圧縮量の分担に自由度が生じ、図1,図2で示したギア付きターボファン構造における燃料燃焼効率を改善するために独自の方法で利用可能となる。結果的に得られる仕事分担は、図5に示すように、これまでの二軸および三軸の直接駆動構造とは明らかに異なる。
歯車列62は、ファン14に軸方向に隣接して示されているが、さらに下流に位置することができ、低圧タービン部34の後方に位置してもよい。知られているように、図2,図3に示されている歯車により、ファン14は圧縮機ロータ70,170と同じ方向あるいは反対方向に回転しうる。
(海面の高さ、かつ静的な最大定格離陸推力で測定した場合に)少なくとも35:1の総圧力比が望ましく、約40:1の総圧力比、さらに約50:1の総圧力比がより望ましいことが従来技術で知られている。すなわち、低圧圧縮機18の前方におけるファン14による圧力上昇の後で、低圧圧縮機部18に入る空気の圧力は、高圧圧縮機部22の出口に達する時点までに35倍以上加圧される必要がある。低圧圧縮機および高圧圧縮機によるこのような圧力上昇を、ガス発生器圧力比と呼ぶ。
図5は、このような高い圧力比が従来技術の2種類のエンジンでどのように達成されているかを本出願人のエンジン構造の場合と対比して示している。
領域S1は、背景技術で説明した三軸構造の典型的な動作を示している。低圧圧縮機の圧力比(すなわち、低圧圧縮機の出口における圧力を低圧圧縮機の入口における圧力で割った値)は、8よりも大きく、場合によっては15に達する。つまり、1の圧力が低圧圧縮機に入ったとすると、8〜15倍加圧されることになる。
図からさらに分かるように、この構造における高圧圧縮機比(すなわち、高圧圧縮機の出口における圧力を高圧圧縮機の入口における圧力で割った値)は、組み合わさったガス発生器圧力比が35よりも大きくなるように、5程度と非常に低くて良い。例えば、低圧圧縮機比が10であり、高圧圧縮機比が3.5であれば、組み合わさった総圧力比(“OPR”)は、(10)(3.5)=35となる。さらに、三軸設計は、同軸の3つのスプールを支持するために複雑な機構を要する。
他の従来技術の構造は、領域S2に示されている。領域S2は、直接駆動のファンを備える典型的な二軸設計における典型的な圧力比の分担を示している。図示のように、ファンが低圧圧縮機に直接連結されているために低圧圧縮機の速度の自由度が小さい。よって、低圧圧縮機は、総圧縮量の小さな部分しか担うことができない。図示のように、圧縮比は典型的に4倍よりも小さい。これに対して、高圧圧縮機は、40(または50)のOPRに達するために、典型的に20倍よりも大きい圧縮量を提供する必要がある。
領域S2では、高圧圧縮機に望ましくない高い応力が加わり、これにより、高圧スプールの取り付けに難題が生じる。換言すると、領域S2を画定する直接駆動の装置によって、望ましくない量の応力およびこのような高圧力比を提供するために高圧スプールを適切に取り付けるのに要する望ましくない量のエンジニアリングが発生する。
本出願人の最新の低圧圧縮機/高圧圧縮機圧力分担が、領域S3に示されている。ファンは、低圧圧縮機とは異なる速度で駆動され、領域S2に比べて低圧圧縮機部で高い圧縮比が得られる。よって、図示のように、低圧タービンにわたる圧力比は、4〜8とすることができる。これにより、高圧圧縮機で行われる圧縮の量は、8倍〜15倍でよくなる。
領域S3は、これまでの三軸および二軸の直接駆動構造の複雑さを回避すると同時に、図1,図2のギア付きターボファン構造が非常に高いガス発生器OPRを達成することを可能にする設計的特徴である。領域S3は、領域S1,S2の両方に比べて改善されている。例として、領域S3では、領域S1に比べて3〜4%の燃料効率が達成される。また、領域S3では、領域S2に比べて4〜5%の燃料の節約が得られる。
実際に、ギア駆動式であるが、領域S2の圧力比で動作するガスタービンエンジンに比べて、領域S3ではさらに2%の燃料燃焼の節約が得られる。
従って、領域S3は、燃料の燃焼を減少させるとともに、比較的高温の高圧スプールと比較的低温の低圧スプールとの間でより有利に仕事を分配することによってエンジニアリングを簡単にする。
つまり、本発明では、約35よりも大きく、いくつかの実施例では約40よりも大きく、いくつかの実施例では約50よりも大きく、いくつかの実施例では約70に達するOPRを共に提供する低圧圧縮機と高圧圧縮機との組み合わせが提供される。この高いOPRは、低圧圧縮機にわたる約4〜約8の圧力比と、高圧圧縮機にわたる約8〜約15の追加の圧力比と、の有利な組み合わせによって達成される。
ファンが低圧であり、約1.45以下の圧力比を有する場合に、燃料消費量をさらに改善することができる。コア空気流の空気量に対するバイパス通路58に入る空気量として定義されるバイパス比は、巡航推力で約8以上である。低圧圧縮機は、3〜8の圧力比、より狭くは4〜6の圧力比を有してもよく、4段または5段の低圧タービンによって駆動することができる。高圧圧縮機ロータは、7〜15の公称圧力比、より狭くは8〜10の公称圧力比を有してもよく、2段の高圧タービンによって駆動することができる。このような動作パラメータで動作するガスタービンエンジンは、従来技術に対して利点を提供する。
本発明の一実施例を開示したが、当業者であれば分かるように、特定の変更も本発明の範囲内に含まれる。従って、本発明の真の範囲および内容を判断するためには以下の請求項の検討が必要である。