図3は、冷凍サイクルシステムの一例に適用された本発明に係る絞り装置の第1実施例の構成を示す。
絞り装置は、例えば、図3に示されるように、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。絞り装置は、後述するチューブ本体10の一端10E1で、一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出されるチューブ本体10の他端10E2で二次側配管Du2に接合されている。一次側配管Du1は、凝縮器6の出口と絞り装置とを接続し、二次側配管Du2は、蒸発器2の入口と絞り装置とを接続するものとされる。蒸発器2の出口と凝縮器6の入口との間には、図3に示されるように、蒸発器2の出口に接合される配管Du3と、凝縮器6の入口に接合される配管Du4とにより、圧縮機4が接続されている。圧縮機4は、図示が省略される制御部により駆動制御される。これにより、冷凍サイクルシステムにおける冷媒が、例えば、図3に示される矢印に沿って循環されることとなる。
絞り装置は、図1(A)に拡大されて示されるように、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ18と、ガイドチューブ18における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部を構成する弁座18V、および、ニードル部材20と、ニードル部材20を弁座18Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部12と、後述するニードル部材20の大径部20PSを受け止めるストッパ部材22と、を主な要素として含んで構成されている。
所定の長さおよび直径を有するチューブ本体10は、例えば、銅製パイプ、ステンレス鋼パイプ、または、アルミニウム製パイプで作られ、冷媒が導入される一端10E1で、凝縮器6に接続される一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出される他端10E2で蒸発器2に接続される二次側配管Du2に接合されている。
チューブ本体10の内周部における一端10E1から所定距離、離隔した中間部には、ガイドチューブ18の外周部が固定されている。ガイドチューブ18は、かしめ加工によるチューブ本体10の窪み10CA1により形成される突起がその外周部に食い込むことにより固定されている。
ガイドチューブ18は、例えば、銅製パイプ、真鍮製パイプ、または、アルミニウム製パイプ、あるいは、ステンレス鋼パイプ等で作られている。ガイドチューブ18は、チューブ本体10の他端10E2に近い端部に、ばね受け部12を有し、チューブ本体10の一端10E1に近い端部に、ストッパ部材22を内周部に有している。ばね受け部12は、かしめ加工によるガイドチューブ18の窪み18CA1により形成される突起がその外周部に食い込むことにより固定されている。付勢部材支持部としてのばね受け部12は、コイルスプリング16の一端が係合されるばねガイド12bを有している。
また、ストッパ部材22は、かしめ加工によるガイドチューブ18の窪み18CA2により形成される突起がその外周部に食い込むことにより内周部18aに固定されている。ストッパ部材22は、図1(B)に拡大されて示されるように、略長方形断面を有し、例えば、金属材料で作られている。ストッパ部材22は、冷媒の流れに沿って互いに向かい合う一対の平坦面22fsを有している。これにより、略半月形断面の流路が、ストッパ部材22の各平坦面22fsとガイドチューブ18の内周部18aとの間に、向かい合って形成されることとなる。ストッパ部材22における冷媒の流れに直交するように形成される両端面も、略平坦な面を有している。ストッパ部材22の両端面のうちの一方の端面には、後述するニードル部材20の大径部20PSが当接されている。
図1(A)に示されるように、ばね受け部12とストッパ部材22との間には、ガイドチューブ18の内周部をチューブ本体10の内周部とガイドチューブ18の外周部との間に連通させる第1の連通孔18b、第2の連通孔18cが形成されている。第2の連通孔18cの直径は、第1の連通孔18bの直径に比して大に設定されている。
ガイドチューブ18におけるストッパ部材22と第2の連通孔18cとの間に形成される弁座18Vは、後述するニードル部材20における先細部20Pが挿入される弁ポート18Pを内部中央部に有している。弁ポート18Pは、所定の直径を有し弁座18Vの中心軸線に沿って一端10E1に向けて末広に形成されている。
ニードル部材20は、例えば、真鍮、または、ステンレス鋼で作られ、円柱状の本体部20Bと、本体部20Bにおける弁座18Vに向かい合う端部に形成される先細部20Pと、本体部20Bにおけるコイルスプリング16の他端に向かい合う端部に形成される突起状のばねガイド部20Eと、から構成されている。
本体部20Bは、図2(B)に示されるように、中心軸線から所定距離、離隔した位置に平坦面20Dを有している。平坦面20Dは、本体部20Bの中心軸線に沿ってその端から端まで形成されている。これにより、ニードル部材20が移動中、ガイドチューブ18の内周面18aと平坦面20Dとの間にある冷媒の作動圧力が、本体部20Bの半径方向に作用し本体部20Bにおける平坦面20Dに向き合う外周面の一部を、ガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けることとなる。即ち、ガイドチューブ18の内周面18aと平坦面20Dとの間に形成される隙間が、上述の外周面の一部をガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けるように冷媒の圧力を誘導する制動手段を形成することとなる。従って、摺動抵抗が本体部20Bの外周面とガイドチューブ18の内周面18aとの間に形成され、しかも、ニードル部材20の姿勢は、傾くことなく、内周面18aとの接触面積が大となるので本体部20Bの磨耗に関し有利となる。
本体部20Bと先細部20Pとの結合部分は、第2の連通孔18cに向かい合っている。ニードル部材20のばねガイド部20Eには、コイルスプリング16の他方の端部が係合されている。また、コイルスプリング16の一方の端部には、ばねガイド部12bが係合されている。ばねガイド部20Eの先端とばねガイド部12bの先端とは、所定の距離、離隔されている。これにより、仮に、ニードル部材20が、ばねガイド部12bに向って所定値以上、移動せしめられた場合、ばねガイド部20Eの先端とばねガイド部12bの先端とが当接するのでニードル部材20の移動が規制されることとなる。従って、コイルスプリング16が、所定値以上に過剰に圧縮されることが回避される。
所定のテーパ角度を有する円錐台状の先細部20Pは、図2に拡大されて示されるように、弁ポート18Pの直径よりも大なる直径を有する基部を弁ポート18Pから離隔した位置に有している。本体部20Bと先細部20Pの基部との間の境界部分には、先細部20Pの先端に向かうにつれて外径が小となるテーパが、施されている。このテーパは上述のように第2の連通孔18cに向かい合っており、後述の絞り部を通過した流体が第2の連通孔18cに流れ込みやすくなるように、面取りが施されている。先細部20Pにおける最小径となる端部には、一様な直径を有する円柱部が所定の長さだけ形成されている。先細部20Pにおける弁ポート18Pの開口端部に対応する位置から上述の円柱部までの長さは、所定の長さに設定されている。これにより、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)に応じて弁開度を大きくでき、しかも、流体の流れの乱れが小さいので冷媒が通過するとき、発生する音圧レベルが抑制される。
ストッパ部材22に向けて延びる先細部20Pの最先端部には、その円柱部近傍の直径よりも大であって弁ポート18Pの直径よりも若干小なる直径を有する大径部20PSが形成されている。大径部20PSの厚さは、所定の値に設定されている。
ニードル部材20の先細部20Pの外周部における弁ポート18Pの開口端部に対応する位置において、先細部20Pの外周部が、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し所定の隙間を形成するように配置されている。大径部20PSは、コイルスプリング16の付勢力と一次側配管Du1からの冷媒の圧力との差に応じた所定の圧力でストッパ部材22の平坦面に当接されている。ニードル部材20の先細部20Pの外周部が、上述のように、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し離隔される場合、ニードル部材20の先細部20Pと弁ポート18Pの開口端部との間には、絞り部が形成される。絞り部とは、弁ポート18Pの周縁から先細部20Pの母線への垂線と、先細部20Pの母線との交点が、弁ポート18Pの縁から最も近い箇所(最狭部)をいう。この垂線が描く円錐面の面積が、絞り部の開口面積となる。
これにより、絞り部を通過する所定のブリード量が設定されることとなる。また、ニードル部材20の先細部20Pの大径部20PSは、ストッパ部材22の平坦面に当接されているのでニードル部材20に不所望な圧力が作用しニードル部材20の先細部20Pが弁座18Vの弁ポート18Pの開口端に食い付くことが回避される。
また、ニードル部材20の先細部20Pの外周部が、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)により、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対しさらに離隔し始める離隔開始タイミングは、コイルスプリング16の付勢力に基づいて設定される。コイルスプリング16のばね定数は、所定の値に設定されている。
ストッパ部材22の平坦面におけるニードル部材20の大径部20PSの接触面積は、面圧を小さくするように先細部20Pの端部の断面積よりも大となるため、ニードル部材20の大径部20PSの磨耗が抑制され、ブリード流量の経年変化が起こりにくい。
また、ストッパ部材22に大径部20PSが当接した際、ストッパ部材22と大径部20PSとの当接面にはコイルスプリング16による弁閉方向の付勢力が作用するが、先細部20Pに一次側配管Du1からの冷媒の圧力と二次側配管Du2からの冷媒の圧力との圧力差により弁開方向の力も作用するので、これによっても、ニードル部材20の大径部20PSの磨耗が抑制され、この事によってもブリード流量の経年変化が起こりにくい。
コイルスプリング16の付勢力の調整、即ち、各冷媒に応じたコイルスプリング16の基準高さ(セット長)の調整は、例えば、以下のような手順で行われる。その基準高さとは、各冷媒に応じたニードル部材20の先細部20Pの上述の所定の離隔タイミングとなるように、設定されたコイルスプリング16の高さをいう。
先ず、ストッパ部材22がガイドチューブ18に固定される場合、まず、ニードル部材20が、ガイドチューブ18の内周部に挿入される。そして、コイルスプリング等を用いてニードル部材20を弁座18Vに押し付けた状態とし、その後、ストッパ部材22が挿入されたガイドチューブ18が、例えば、空気を流体としたブリード流量測定装置/かしめ装置(不図示)に配された状態で、目標ブリード流量と等しい空気流量となるようにガイドチューブ18に対するストッパ部材22の位置を調整した後、ストッパ部材22がガイドチューブ18にかしめ固定されることにより、ブリード流量の調整が完了する。
そして、ばね受け部12が固定される場合、ストッパ部材22が固定されたガイドチューブ18が、例えば、空気を流体とした所定の性能測定/かしめ装置(不図示)に配された状態で、あらかじめ規定された圧力が印加された状態での空気流量の検出に基づいてガイドチューブ18に対するばね受け部12の位置を調整した後、ばね受け部12がかしめ固定されることにより、コイルスプリング16のばね長さの調整が完了する。
従って、コイルスプリング16のばね長さの調整を行う調整ねじ等が不要とされるので各冷媒に応じた弁開き始め圧力を調整することができ、しかも、絞り装置の構造を簡略化し、製造コストを低減できる。
斯かる構成において、図3に示されるように、冷媒の圧力によるニードル部材20に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超えない場合、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給されるとき、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、ストッパ部材22の各平坦面22fsとガイドチューブ18の内周部18aとの間、上述の絞り部を通過することにより減圧され、その後、冷媒が第2の連通孔18c、ガイドチューブ18の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間を通じて他端10E2から所定のブリード量で排出される。
さらに、冷媒の圧力によるニードル部材20に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超える場合、上述の絞り部を通じて流れる冷媒が、弁ポート18Pの周縁からさらに離隔する方向にニードル部材20を押圧することとなる。これにより、冷媒の流量Qが、図4に示されるように、差圧DPが増大するにつれてブリード量よりも徐々に特性線Laに従い増大し、上述の差圧DPが例えば、所定の値PA(0.2MPa以上0.9MPa以下の範囲の値)、流量Qが所定の値QA(数リットル/分)以上となるとき、差圧DPが増大するにつれて流量が特性線Laに従い急激に増大することとなる。また、ニードル部材20が弁ポート18Pに対し離隔された後、1次側の圧力が低下し、コイルスプリング16の付勢力と後述する摺動抵抗との差の押圧力により、ニードル部材20が弁ポート18Pに対し近接する方向に移動せしめられる。その際、ガイドチューブ18の内周面18aとニードル部材20の平坦面20Dとの間にある冷媒の作動圧力が、本体部20Bの半径方向に作用し本体部20Bにおける平坦面20Dに向き合う外周面の一部を、ガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けることによる摺動抵抗が生じるので流量Qが、差圧の減少に応じて徐々に減少した後、特性線Laに対し略平行であって特性線Laとは異なる経路となる特性線Lbに従い減少せしめられる。これにより、差圧DPが所定の値PAに戻った場合、流量が所定の値QA以上の値となり、差圧DPが所定の値PAよりも小となるとき、流量が、遅れて所定の値QAに到達する。従って、流量の変化が所謂、ヒステリシスをもって変化するのでハンチングの発生が抑制される。
なお、図4は、縦軸に上述の絞り部を通過する冷媒の流量Qをとり、横軸に上述の冷媒の差圧DPをとり、冷媒における差圧に応じた流量の変化をあらわす特性線LaおよびLbを示す。
図5(A)は、本発明に係る絞り装置の第2実施例の構成の要部を示す。なお、図5(A)において、図1(A)に示される例と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図5(A)において、絞り装置は、例えば、図3に示されるように、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。また、絞り装置は、後述するチューブ本体10の一端10E1で、一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出されるチューブ本体10の他端10E2で二次側配管Du2に接合されている。
絞り装置は、図5(A)に拡大されて示されるように、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ28と、ガイドチューブ28における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部を構成する弁座28V、および、ニードル部材30と、ニードル部材30を弁座28Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部12(不図示)と、ニードル部材30の大径部30PSを受け止めるストッパ部材22と、を主な要素として含んで構成されている。
ガイドチューブ28は、かしめ加工によるチューブ本体10の窪み10CA1により形成される突起がその外周部に食い込むことにより固定されている。ガイドチューブ28は、例えば、銅製パイプ、真鍮製パイプ、または、アルミニウム製パイプ、あるいは、ステンレス鋼パイプ等で作られている。ガイドチューブ28は、チューブ本体10の他端10E2に近い端部に、ばね受け部12を有し、チューブ本体10の一端10E1に近い端部に、ストッパ部材22を内周部に有している。
ばね受け部12とストッパ部材22との間には、ガイドチューブ28の内周部をチューブ本体10の内周部とガイドチューブ28の外周部との間に連通させる第1の連通孔(不図示)、第2の連通孔28cが形成されている。第2の連通孔28cの直径は、第1の連通孔の直径に比して大に設定されている。
ガイドチューブ28におけるストッパ部材22と第2の連通孔28cとの間に形成される弁座28Vは、後述するニードル部材30における先細部30Pが挿入される弁ポート28Pを内部中央部に有している。弁ポート28Pは、所定の直径を有し弁座28Vの中心軸線に沿って一端10E1に向けて末広に形成されている。また、図5(B)に示されるように、略V字状の断面を有する切欠部、即ち、溝28Gが、弁ポート28Pの周縁における1箇所に、形成されている。溝28Gは、例えば、その溝に対応した突起部を有する専用治具が弁ポート28Pに所定の圧力で押し込まれることにより、形成されてもよい。
これにより、ニードル部材30の移動中、図5(A)に示される矢印の示す方向に溝28Gに起因した圧力が、ニードル部材30の先細部30Pに作用することによってニードル部材30の姿勢が傾く状態となり、ニードル部材30の本体部30Bの外周部のA部およびB部とガイドチューブ28の内周部との間に摺動抵抗が生じることとなる。即ち、溝28Gと弁ポートの周縁との隙間が、上述の外周部のA部およびB部をガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けるように冷媒の圧力を誘導する制動手段を形成することとなる。
ニードル部材30は、例えば、真鍮、または、ステンレス鋼で作られ、円柱状の本体部30Bと、本体部30Bにおける弁座28Vに向かい合う端部に形成される先細部30Pと、本体部30Bにおけるコイルスプリング16の他端に向かい合う端部に形成される突起状のばねガイド部30Eと、から構成されている。
本体部30Bと先細部30Pとの結合部分は、第2の連通孔28cに向かい合っている。ニードル部材30のばねガイド部30Eには、コイルスプリング16の他方の端部が係合されている。また、コイルスプリング16の一方の端部には、ばねガイド部12bが係合されている。ばねガイド部30Eの先端とばねガイド部12bの先端とは、所定の距離、離隔されている。これにより、仮に、ニードル部材30が、ばねガイド部12bに向って所定値以上、移動せしめられた場合、ばねガイド部30Eの先端とばねガイド部12bの先端とが当接するのでニードル部材30の移動が規制されることとなる。従って、コイルスプリング16が、所定値以上に過剰に圧縮されることが回避される。
所定のテーパ角度を有する円錐台状の先細部30Pは、弁ポート28Pの直径よりも大なる直径を有する基部を弁ポート28Pから離隔した位置に有している。本体部30Bと先細部30Pの基部との間の境界部分には、先細部30Pの先端に向かうにつれて外径が小となるテーパが、施されている。このテーパは上述のように第2の連通孔28cに向かい合っており、後述の絞り部を通過した流体が第2の連通孔28cに流れ込みやすくなるように、面取りが施されている。先細部30Pにおける最小径となる端部には、一様な直径を有する円柱部が所定の長さだけ形成されている。先細部30Pにおける弁ポート28Pの開口端部に対応する位置から上述の円柱部までの長さは、所定の長さに設定されている。これにより、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)に応じて弁開度を大きくでき、しかも、流体の流れの乱れが小さいので冷媒が通過するとき、発生する音圧レベルが抑制される。
ストッパ部材22に向けて延びる先細部30Pの最先端部には、その円柱部近傍の直径よりも大であって弁ポート28Pの直径よりも若干小なる直径を有する大径部30PSが形成されている。大径部30PSの厚さは、所定の値に設定されている。
ニードル部材30の先細部30Pの外周部における弁ポート28Pの開口端部に対応する位置において、先細部30Pの外周部が、弁ポート28Pの開口端部の周縁に対し所定の隙間を形成するように配置されている。大径部30PSは、コイルスプリング16の付勢力と一次側配管Du1からの冷媒の圧力との差に応じた所定の圧力でストッパ部材22の平坦面に当接されている。ニードル部材30の先細部30Pの外周部が、上述のように、弁ポート28Pの開口端部の周縁に対し離隔される場合、ニードル部材30の先細部30Pと弁ポート28Pの開口端部との間には、絞り部が形成される。絞り部とは、弁ポート28Pの周縁から先細部30Pの母線への垂線と、先細部30Pの母線との交点が、弁ポート28Pの縁から最も近い箇所(最狭部)をいう。この垂線が描く円錐面の面積が、絞り部の開口面積となる。
これにより、絞り部を通過する所定のブリード量が設定されることとなる。また、ニードル部材30の先細部30Pの大径部30PSは、ストッパ部材22の平坦面に当接されているのでニードル部材30に不所望な圧力が作用しニードル部材30の先細部30Pが弁座28Vの弁ポート28Pの開口端に食い付くことが回避される。
斯かる構成において、図3に示されるように、冷媒の圧力によるニードル部材30に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超えない場合、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給されるとき、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、ストッパ部材22の各平坦面22fsとガイドチューブ28の内周部28aとの間、上述の絞り部、溝28Gを通過することにより減圧され、その後、冷媒が第2の連通孔28c、ガイドチューブ28の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間を通じて他端10E2から所定のブリード量で排出される。
さらに、冷媒の圧力によるニードル部材30に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超える場合、上述の絞り部を通じて流れる冷媒が、弁ポート28Pの周縁からさらに離隔する方向にニードル部材30を押圧することとなる。その際、溝28Gに作用した冷媒の作動圧力が、先細部30Pの半径方向に作用し本体部30Bの外周部におけるA部およびB部を、ガイドチューブ28の内周面28aにおける対応する部分に対し押し付けることによる摺動抵抗が生じるので流量の変化が所謂、ヒステリシスをもって変化し、ハンチングの発生が抑制される。
図6(A)は、本発明に係る絞り装置の第3実施例の構成の要部を示す。なお、図6(A)において、図1(A)に示される例と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図6(A)において、絞り装置は、例えば、図3に示されるように、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。また、絞り装置は、後述するチューブ本体10の一端10E1で、一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出されるチューブ本体10の他端10E2で二次側配管Du2に接合されている。
絞り装置は、図6(A)に拡大されて示されるように、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ38と、ガイドチューブ38における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部を構成する弁座38V、および、ニードル部材40と、ニードル部材40を弁座38Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部12(不図示)と、ニードル部材40の大径部40PSを受け止めるストッパ部材22と、を主な要素として含んで構成されている。
ガイドチューブ38は、かしめ加工によるチューブ本体10の窪み10CA1により形成される突起がその外周部に食い込むことにより固定されている。ガイドチューブ38は、例えば、銅製パイプ、真鍮製パイプ、または、アルミニウム製パイプ、あるいは、ステンレス鋼パイプ等で作られている。ガイドチューブ38は、チューブ本体10の他端10E2に近い端部に、ばね受け部12を有し、チューブ本体10の一端10E1に近い端部に、ストッパ部材22を内周部に有している。
ばね受け部12とストッパ部材22との間には、ガイドチューブ38の内周部をチューブ本体10の内周部とガイドチューブ38の外周部との間に連通させる第1の連通孔(不図示)、第2の連通孔38cが形成されている。第2の連通孔38cの直径は、第1の連通孔の直径に比して大に設定されている。
ガイドチューブ38におけるストッパ部材22と第2の連通孔38cとの間に形成される弁座38Vは、後述するニードル部材40における先細部40Pが挿入される弁ポート38Pを内部中央部に有している。弁ポート38Pは、所定の直径を有し弁座38Vの中心軸線に沿って一端10E1に向けて末広に形成されている。
ニードル部材40は、例えば、真鍮、または、ステンレス鋼で作られ、円柱状の本体部40Bと、本体部40Bにおける弁座38Vに向かい合う端部に形成される先細部40Pと、本体部40Bにおけるコイルスプリング16の他端に向かい合う端部に形成される突起状のばねガイド部40Eと、から構成されている。
本体部40Bと先細部40Pとの結合部分は、第2の連通孔38cに向かい合っている。ニードル部材40のばねガイド部40Eには、コイルスプリング16の他方の端部が係合されている。また、コイルスプリング16の一方の端部には、ばねガイド部12bが係合されている。ばねガイド部40Eの先端とばねガイド部12bの先端とは、所定の距離、離隔されている。これにより、仮に、ニードル部材40が、ばねガイド部12bに向って所定値以上、移動せしめられた場合、ばねガイド部40Eの先端とばねガイド部12bの先端とが当接するのでニードル部材40の移動が規制されることとなる。従って、コイルスプリング16が、所定値以上に過剰に圧縮されることが回避される。
所定のテーパ角度を有する円錐台状の先細部40Pは、弁ポート38Pの直径よりも大なる直径を有する基部を弁ポート38Pから離隔した位置に有している。本体部40Bと先細部40Pの基部との間の境界部分には、先細部40Pの先端に向かうにつれて外径が小となるテーパが、施されている。このテーパは上述のように第2の連通孔38cに向かい合っており、後述の絞り部を通過した流体が第2の連通孔38cに流れ込みやすくなるように、面取りが施されている。先細部40Pにおける最小径となる端部には、一様な直径を有する円柱部が所定の長さだけ形成されている。先細部40Pにおける弁ポート38Pの開口端部に対応する位置から上述の円柱部までの長さは、所定の長さに設定されている。これにより、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)に応じて弁開度を大きくでき、しかも、流体の流れの乱れが小さいので冷媒が通過するとき、発生する音圧レベルが抑制される。
先細部40Pは、図6(B)に示されるように、中心軸線から所定距離、離隔した位置に平坦面40Dを有している。平坦面40Dは、先細部40Pの中心軸線に沿ってその中間部近傍から円柱部との境界まで所定の長さだけ形成されている。これにより、ポート38Pの周縁と平坦面40Dとの間にある冷媒の作動圧力が、先細部40Pの半径方向であって矢印の示す方向に作用し平坦面40Dに向き合う先細部40Pの外周面側に位置する本体部40Bの外周面のA部、および、A部に対し左斜め上方となるB部を、ガイドチューブ38の内周面38aに対し押し付けることとなる。これにより、ニードル部材40の移動中、摺動抵抗が本体部40Bの外周面とガイドチューブ38の内周面38aとの間に生じる。即ち、平坦面40Dと弁ポートの周縁との隙間が、上述の外周部のA部およびB部をガイドチューブ38の内周面38aに対し押し付けるように冷媒の圧力を誘導する制動手段を形成することとなる。
ストッパ部材22に向けて延びる先細部40Pの最先端部には、その円柱部近傍の直径よりも大であって弁ポート38Pの直径よりも若干小なる直径を有する大径部40PSが形成されている。大径部40PSの厚さは、所定の値に設定されている。
ニードル部材40の先細部40Pの外周部における弁ポート38Pの開口端部に対応する位置において、先細部40Pの外周部が、弁ポート38Pの開口端部の周縁に対し所定の隙間を形成するように配置されている。大径部40PSは、コイルスプリング16の付勢力と一次側配管Du1からの冷媒の圧力との差に応じた所定の圧力でストッパ部材22の平坦面に当接されている。ニードル部材40の先細部40Pの外周部が、上述のように、弁ポート38Pの開口端部の周縁に対し離隔される場合、ニードル部材40の先細部40Pと弁ポート38Pの開口端部との間には、絞り部が形成される。絞り部とは、弁ポート38Pの周縁から先細部30Pの母線への垂線と、先細部30Pの母線との交点が、弁ポート38Pの縁から最も近い箇所(最狭部)をいう。この垂線が描く円錐面の面積が、絞り部の開口面積となる。
これにより、絞り部を通過する所定のブリード量が設定されることとなる。また、ニードル部材40の先細部40Pの大径部40PSは、ストッパ部材22の平坦面に当接されているのでニードル部材40に不所望な圧力が作用しニードル部材40の先細部40Pが弁座38Vの弁ポート38Pの開口端に食い付くことが回避される。
斯かる構成において、図3に示されるように、冷媒の圧力によるニードル部材40に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超えない場合、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給されるとき、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、ストッパ部材22の各平坦面22fsとガイドチューブ38の内周部38aとの間、上述の絞り部、平坦面40Dと弁ポート38Pの周縁との間を通過することにより減圧され、その後、冷媒が第2の連通孔38c、ガイドチューブ38の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間を通じて他端10E2から所定のブリード量で排出される。
さらに、冷媒の圧力によるニードル部材40に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超える場合、上述の絞り部を通じて流れる冷媒が、弁ポート38Pの周縁からさらに離隔する方向にニードル部材40を押圧することとなる。その際、平坦面40Dと弁ポート38Pの周縁との間に作用した冷媒の作動圧力が、先細部40Pの半径方向に作用し本体部40Bの外周部におけるA部およびB部を、ガイドチューブ38の内周面38aにおける対応する部分に対し押し付けることによる摺動抵抗が生じるので流量の変化が所謂、ヒステリシスをもって変化し、ハンチングの発生が抑制される。
図7は、本発明に係る絞り装置の参考例の構成の要部を示す。なお、図7において、図1(A)に示される例と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図7において、絞り装置は、例えば、図3に示されるように、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。また、絞り装置は、後述するチューブ本体10の一端10E1で、一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出されるチューブ本体10の他端10E2で二次側配管Du2に接合されている。
絞り装置は、図7に拡大されて示されるように、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ18と、ガイドチューブ18における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部を構成する弁座18V、および、ニードル部材50と、ニードル部材50を弁座18Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部12(不図示)と、ニードル部材50の大径部50PSを受け止めるストッパ部材22と、を主な要素として含んで構成されている。
ニードル部材50は、例えば、真鍮、または、ステンレス鋼で作られ、円柱状の本体部50Bと、本体部50Bにおける弁座18Vに向かい合う端部に形成される先細部50Pと、本体部50Bにおけるコイルスプリング16の他端に向かい合う端部に形成される突起状のばねガイド部50Eと、から構成されている。
本体部50Bと先細部50Pとの結合部分は、第2の連通孔18cに向かい合っている。ニードル部材50のばねガイド部50Eには、コイルスプリング16の他方の端部が係合されている。また、コイルスプリング16の一方の端部には、ばねガイド部12bが係合されている。ばねガイド部50Eの先端とばねガイド部12bの先端とは、所定の距離、離隔されている。これにより、仮に、ニードル部材50が、ばねガイド部12bに向って所定値以上、移動せしめられた場合、ばねガイド部50Eの先端とばねガイド部12bの先端とが当接するのでニードル部材50の移動が規制されることとなる。従って、コイルスプリング16が、所定値以上に過剰に圧縮されることが回避される。
所定のテーパ角度を有する円錐台状の先細部50Pは、弁ポート18Pの直径よりも大なる直径を有する基部を弁ポート18Pから離隔した位置に有している。本体部50Bと先細部50Pの基部との間の境界部分には、先細部50Pの先端に向かうにつれて外径が小となるテーパが、施されている。このテーパは上述のように第2の連通孔18cに向かい合っており、後述の絞り部を通過した流体が第2の連通孔18cに流れ込みやすくなるように、面取りが施されている。先細部50Pにおける最小径となる端部には、一様な直径を有する円柱部が所定の長さだけ形成されている。先細部50Pにおける弁ポート18Pの開口端部に対応する位置から上述の円柱部までの長さは、所定の長さに設定されている。これにより、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)に応じて弁開度を大きくでき、しかも、流体の流れの乱れが小さいので冷媒が通過するとき、発生する音圧レベルが抑制される。
先細部50Pにおける上述の面取りに隣接した位置には、図7に示されるように、先細部50Pの半径方向に貫通する溝50Gaが形成されている。略U字形の断面形状を有する溝50Gaは、向かい合う第2の連通孔18cのうちの一方の第2の連通孔18cに向けて開口している。溝50Gaの深さDpは、先細部50Pの中心軸線に到達しない程度の深さに設定されている。これにより、溝50Gaに作用する冷媒の作動圧力が、先細部50Pの半径方向であって矢印の示す方向に作用し溝50Gaに向き合う先細部50Pの外周面側に位置する本体部50Bの外周面のA部、および、A部に対し左斜め上方となるB部を、ガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けることとなる。これにより、ニードル部材50の移動中、摺動抵抗が本体部50Bの外周面とガイドチューブ18の内周面18aとの間に生じる。即ち、溝50Gaが、上述の外周部のA部およびB部をガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けるように冷媒の圧力を誘導する制動手段を形成することとなる。なお、溝50Gaは、斯かる例に限られることなく、例えば、向かい合う第2の連通孔18cの双方にも向き合う必要がなく、他の方向に向けて開口するものであってもよい。また、第2の連通孔18cの数量は、斯かる例に限られることなく、第2の連通孔18cは、少なくとも一つだけ形成されるものであってもよい。
ストッパ部材22に向けて延びる先細部50Pの最先端部には、その円柱部近傍の直径よりも大であって弁ポート18Pの直径よりも若干小なる直径を有する大径部50PSが形成されている。大径部50PSの厚さは、所定の値に設定されている。
ニードル部材50の先細部50Pの外周部における弁ポート18Pの開口端部に対応する位置において、先細部50Pの外周部が、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し所定の隙間を形成するように配置されている。大径部50PSは、コイルスプリング16の付勢力と一次側配管Du1からの冷媒の圧力との差に応じた所定の圧力でストッパ部材22の平坦面に当接されている。ニードル部材50の先細部50Pの外周部が、上述のように、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し離隔される場合、ニードル部材50の先細部50Pと弁ポート18Pの開口端部との間には、絞り部が形成される。絞り部とは、弁ポート18Pの周縁から先細部50Pの母線への垂線と、先細部50Pの母線との交点が、弁ポート18Pの縁から最も近い箇所(最狭部)をいう。この垂線が描く円錐面の面積が、絞り部の開口面積となる。
これにより、絞り部を通過する所定のブリード量が設定されることとなる。また、ニードル部材50の先細部50Pの大径部50PSは、ストッパ部材22の平坦面に当接されているのでニードル部材50に不所望な圧力が作用しニードル部材50の先細部50Pが弁座18Vの弁ポート18Pの開口端に食い付くことが回避される。
斯かる構成において、図3に示されるように、冷媒の圧力によるニードル部材50に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超えない場合、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給されるとき、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、ストッパ部材22の各平坦面22fsとガイドチューブ18の内周部18aとの間、上述の絞り部を通過することにより減圧され、その後、冷媒が第2の連通孔18c、ガイドチューブ18の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間を通じて他端10E2から所定のブリード量で排出される。
さらに、冷媒の圧力によるニードル部材50に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超える場合、上述の絞り部を通じて流れる冷媒が、弁ポート18Pの周縁からさらに離隔する方向にニードル部材50を押圧することとなる。その際、溝50Ga内に作用した冷媒の作動圧力が、先細部50Pの半径方向に作用し本体部50Bの外周部におけるA部およびB部を、ガイドチューブ18の内周面18aにおける対応する部分に対し押し付けることによる摺動抵抗が生じるので流量の変化が所謂、ヒステリシスをもって変化し、ハンチングの発生が抑制される。
図8は、本発明に係る絞り装置の参考例の構成の要部を示す。なお、図8において、図1(A)に示される例と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を略する。
図8において、絞り装置は、例えば、図3に示されるように、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。また、絞り装置は、チューブ本体10の一端10E1で、一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出されるチューブ本体10の他端10E2で二次側配管Du2に接合されている。
絞り装置は、図8に拡大されて示されるように、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ18と、ガイドチューブ18における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部を構成する弁座18V、および、ニードル部材60と、ニードル部材60を弁座18Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部12(不図示)と、ニードル部材60の大径部60PSを受け止めるストッパ部材22と、を主な要素として含んで構成されている。
ニードル部材60は、例えば、真鍮、または、ステンレス鋼で作られ、円柱状の本体部60Bと、本体部60Bにおける弁座18Vに向かい合う端部に形成される先細部60Pと、本体部60Bにおけるコイルスプリング16の他端に向かい合う端部に形成される突起状のばねガイド部60Eと、から構成されている。
本体部60Bと先細部60Pとの結合部分は、第2の連通孔18cに向かい合っている。ニードル部材60のばねガイド部60Eには、コイルスプリング16の他方の端部が係合されている。また、コイルスプリング16の一方の端部には、ばねガイド部12bが係合されている。ばねガイド部60Eの先端とばねガイド部12bの先端とは、所定の距離、離隔されている。これにより、仮に、ニードル部材60が、ばねガイド部12bに向って所定値以上、移動せしめられた場合、ばねガイド部60Eの先端とばねガイド部12bの先端とが当接するのでニードル部材60の移動が規制されることとなる。従って、コイルスプリング16が、所定値以上に過剰に圧縮されることが回避される。
所定のテーパ角度を有する円錐台状の先細部60Pは、弁ポート18Pの直径よりも大なる直径を有する基部を弁ポート18Pから離隔した位置に有している。本体部60Bと先細部60Pの基部との間の境界部分には、先細部60Pの先端に向かうにつれて外径が小となるテーパが、施されている。このテーパは上述のように第2の連通孔18cに向かい合っており、後述の絞り部を通過した流体が第2の連通孔18cに流れ込みやすくなるように、面取りが施されている。先細部60Pにおける最小径となる端部には、一様な直径を有する円柱部が所定の長さだけ形成されている。先細部60Pにおける弁ポート18Pの開口端部に対応する位置から上述の円柱部までの長さは、所定の長さに設定されている。これにより、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)に応じて弁開度を大きくでき、しかも、流体の流れの乱れが小さいので冷媒が通過するとき、発生する音圧レベルが抑制される。
ストッパ部材22に向けて延びる先細部60Pの最先端部には、弁ポート18Pの直径よりも若干小なる直径を有する当接部60PSが形成されている。また、上述の円柱部および当接部60PSは、所定の勾配を有する斜面部60PDを有している。図8において、斜面部60PDは、例えば、左上方から右下方に向けて円柱部および当接部60PSを横切るように形成されている。これにより、斜面部60PDに作用する冷媒の作動圧力が、先細部60Pの半径方向であって矢印の示す方向に作用し斜面部60PDに向き合う先細部60Pの外周面側に位置する本体部60Bの外周面のA部、および、A部に対し左斜め上方となるB部を、ガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けることとなる。これにより、ニードル部材60の移動中、摺動抵抗が、本体部60Bの外周面とガイドチューブ18の内周面18aとの間に生じる。即ち、斜面部60PDが、上述の外周部のA部およびB部をガイドチューブ18の内周面18aに対し押し付けるように冷媒の圧力を誘導する制動手段を形成することとなる。
ニードル部材60の先細部60Pの外周部における弁ポート18Pの開口端部に対応する位置において、先細部60Pの外周部が、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し所定の隙間を形成するように配置されている。ニードル部材60の先細部60Pの外周部が、上述のように、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し離隔される場合、ニードル部材60の先細部60Pと弁ポート18Pの開口端部との間には、絞り部が形成される。絞り部とは、弁ポート18Pの周縁から先細部60Pの母線への垂線と、先細部60Pの母線との交点が、弁ポート18Pの縁から最も近い箇所(最狭部)をいう。この垂線が描く円錐面の面積が、絞り部の開口面積となる。
これにより、絞り部を通過する所定のブリード量が設定されることとなる。また、ニードル部材60の先細部60Pの当接部60PSは、ストッパ部材22の平坦面に当接されているのでニードル部材60に不所望な圧力が作用しニードル部材60の先細部60Pが弁座18Vの弁ポート18Pの開口端に食い付くことが回避される。
斯かる構成において、図3に示されるように、冷媒の圧力によるニードル部材60に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超えない場合、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給されるとき、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、ストッパ部材22の各平坦面22fsとガイドチューブ18の内周部18aとの間、上述の絞り部を通過することにより減圧され、その後、冷媒が第2の連通孔18c、ガイドチューブ18の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間を通じて他端10E2から所定のブリード量で排出される。
さらに、冷媒の圧力によるニードル部材60に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超える場合、上述の絞り部を通じて流れる冷媒が、弁ポート18Pの周縁からさらに離隔する方向にニードル部材60を押圧することとなる。その際、斜面部60PDに作用した冷媒の作動圧力が、先細部60Pの半径方向に作用し本体部60Bの外周部におけるA部およびB部を、ガイドチューブ18の内周面18aにおける対応する部分に対し押し付けることによる摺動抵抗が生じるので冷媒の流量の変化が所謂、ヒステリシスをもって変化し、ハンチングの発生が抑制される。
図9は、本発明に係る絞り装置の参考例の構成の要部を示す。なお、図9において、図1(A)に示される例と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
絞り装置は、図1(A)に示される例と同様に、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器の出口と蒸発器の入口との間に配置されている。絞り装置は、後述するチューブ本体10´の一端10´E1で、一次側配管に接合されており、冷媒が排出されるチューブ本体10´の他端10´E2で二次側配管に接合されている。
絞り装置は、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10´と、チューブ本体10´における一次側配管に近い端部10´E1における内周部に設けられ、冷媒の流量を調整する冷媒流量調整部を構成する弁座48V、および、ニードル部材70と、ニードル部材70を弁座48Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するとともに、コイルスプリング16の付勢力を調整する付勢力調整用ねじ機構と、ニードル部材70の先細部70Pの最先端に形成される当接部を受け止めるストッパ部材32と、を主な要素として含んで構成されている。
所定の長さおよび直径を有するチューブ本体10´は、例えば、銅製パイプ、ステンレス鋼パイプ、または、アルミニウム製パイプで作られ、冷媒が導入される一端10´E1で、凝縮器に接続される一次側配管に接合されており、冷媒が排出される他端10´E2で蒸発器に接続される二次側配管に接合されている。
図9に示されるように、チューブ本体10´の内周部における一端10´E1から所定距離、離隔した中間部には、弁座48Vの外周部が固定されている。弁座48Vの外周部は、かしめ加工によるチューブ本体10´の窪み10´CA1により形成される突起がその外周部に食い込むことにより固定されている。
弁座48Vは、後述するニードル部材70における先細部70Pが挿入される弁ポート48Pを内部中央部に有している。弁ポート48Pは、所定の直径を有し弁座48Vの中心軸線に沿って一端10´E1に向けて末広に形成されている。弁座48Vの弁ポート48Pを形成する内周面が延在する円筒部としての円筒状部の雌ねじ部48fsには、ストッパ部材32の雄ねじ部32msが捩じ込まれている。円柱状のストッパ部材32は、例えば、ステンレス鋼等で作られ、所定の円周上に所定の間隔をもって複数個の貫通孔32aを有している。貫通孔32aは、ストッパ部材32の中心軸線に沿って貫通している。なお、図9においては、代表的に1個の貫通孔32aが示されている。
ストッパ部材32の両端面は、略平坦な表面を有している。ストッパ部材32の両端面のうちの一方の端面には、ニードル部材70の先細部70Pの最先端に形成される当接部
が当接されている。
付勢力調整用ねじ機構は、チューブ本体10´の内周部に固定され雌ねじ部44fsを有する調整ねじ支持部44と、コイルスプリング16の他方の端部に係合されるばねガイド部42bを有する調整ねじ42とを含んで構成されている。
調整ねじ42は、外周部に雄ねじ部42msを有し、内側中央部に貫通孔42aを有している。その雄ねじ部42msは、チューブ本体10´の内周部に固定される調整ねじ支持部44の雌ねじ44fsに嵌め合わされている。調整ねじ支持部44は、かしめ加工によるチューブ本体10´の窪み10´CA2により形成される突起が食い込むことにより固定されている。調整ねじ42におけるチューブ本体10´の他端10´E2側の端部には、ドライバーの先端が係合される溝が形成されている。これにより、ドライバーの先端により、調整ねじ42が回動され送られることによって、コイルスプリング16の撓み量が調整されるので冷媒の設計圧力に応じたコイルスプリング16の付勢力が調整されることとなる。即ち、所定の差圧(一端10´E1側の冷媒の入口圧力と他端10´E2側の冷媒の出口圧力との差)のとき、ニードル部材70の先細部70Pにおける位置が、ニードル部材70の規定リフト量の位置となるようにコイルスプリング16の付勢力が調整される。
ニードル部材70は、例えば、真鍮、または、ステンレス鋼で作られ、円柱状の本体部70Bと、本体部70Bにおける弁座48Vに向かい合う端部に形成される先細部70Pと、本体部70Bにおけるコイルスプリング16の他端に向かい合う端部に形成される突起状のばねガイド部70Eと、から構成されている。
本体部70Bは、その中心軸線から所定距離、離隔した位置に平坦面70Dを有している。平坦面70Dは、本体部70Bの中心軸線に沿ってその端から端まで形成されている。これにより、ニードル部材70が移動中、チューブ本体10´の内周面10´aと平坦面70Dとの間にある冷媒の作動圧力が、本体部70Bの半径方向に作用し本体部70Bにおける平坦面70Dに向き合う外周面の一部を、チューブ本体10´の内周面10´aに対し押し付けることとなる。即ち、チューブ本体10´の内周面10´aと平坦面70Dとの間に形成される隙間が、上述の外周面の一部をチューブ本体10´の内周面10´aに対し押し付けるように冷媒の圧力を誘導する制動手段を形成することとなる。従って、摺動抵抗が本体部70Bの外周面とチューブ本体10´の内周面10´aとの間に形成され、しかも、ニードル部材70の姿勢は、傾くことなく、内周面10´aとの接触面積が大となるので本体部70Bの磨耗に関し有利となる。
ニードル部材70のばねガイド部70Eには、コイルスプリング16の他方の端部が係合されている。ばねガイド部70Eは、半径方向に沿って横切るスリット(溝)70Egを先端に有している。これにより、ばねガイド部70Eの先端とばねガイド部42bの先端とが当接した場合、冷媒がスリット70Egおよび調整ねじ42の貫通孔42aを通じてチューブ本体10´の他端10´E2に排出される。また、コイルスプリング16の一方の端部には、調整ねじ42のばねガイド部42bが係合されている。ばねガイド部70Eの先端とばねガイド部42bの先端とは、所定の距離、離隔されている。これにより、仮に、ニードル部材70が、ばねガイド部42bに向って所定値以上、移動せしめられた場合、ばねガイド部70Eの先端とばねガイド部42bの先端とが当接するのでニードル部材70の移動が規制されることとなる。従って、コイルスプリング16が、所定値以上に過剰に圧縮されることが回避される。
所定のテーパ角度を有する円錐台状の先細部70Pは、弁ポート48Pの直径よりも大なる直径を有する基部を弁ポート48Pから離隔した位置に有している。本体部70Bと先細部70Pの基部との間の境界部分には、面取りが施されている。先細部20Pにおける弁ポート48Pの開口端部に対応する位置から上述の当接部までの長さは、所定の長さに設定されている。これにより、差圧(一端10´E1側の冷媒の入口圧力と他端10´E2側の冷媒の出口圧力との差)に応じて弁開度を大きくでき、しかも、流体の流れの乱れが小さいので冷媒が通過するとき、発生する音圧レベルが抑制される。
ニードル部材70の先細部70Pの外周部が、上述のように、弁ポート48Pの開口端部の周縁に対し離隔される場合、ニードル部材70の先細部70Pと弁ポート48Pの開口端部との間には、絞り部が形成される。絞り部とは、弁ポート48Pの周縁から先細部70Pの母線への垂線と、先細部70Pの母線との交点が、弁ポート48Pの縁から最も近い箇所(最狭部)をいう。この垂線が描く円錐面の面積が、絞り部の開口面積となる。
これにより、絞り部を通過する所定のブリード量が設定されることとなる。また、ニードル部材70の先細部70Pの当接部は、ストッパ部材32の平坦面に当接されているのでニードル部材70に不所望な圧力が作用しニードル部材70の先細部70Pが弁座48Vの弁ポート48Pの開口端に食い付くことが回避される。
また、ニードル部材70の先細部70Pの外周部が、上述の差圧により、弁ポート48Pの開口端部の周縁に対しさらに離隔し始める離隔開始タイミングは、上述のコイルスプリング16の付勢力に基づいて設定される。
斯かる構成において、図3に示されるように、冷媒の圧力によるニードル部材70に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超えない場合、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給されるとき、冷媒の圧力は、チューブ本体10´の一端10´E1、ストッパ部材32の貫通孔32a、上述の絞り部を通過することにより減圧され、その後、冷媒がチューブ本体10´の内周面10´aと平坦面70Dとの間に形成される隙間、調整ねじ42の貫通孔42aを通じてチューブ本体10´の他端10´E2から所定のブリード量で排出される。
さらに、冷媒の圧力によるニードル部材70に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超える場合、上述の絞り部を通じて流れる冷媒が、弁ポート48Pの周縁からさらに離隔する方向にニードル部材70を押圧することとなる。その際、チューブ本体10´の内周面10´aとニードル部材70の平坦面70Dとの間にある冷媒の作動圧力が、本体部70Bの半径方向に作用し本体部70Bにおける平坦面70Dに向き合う外周面の一部を、チューブ本体10´の内周面10´aに対し押し付けることによる摺動抵抗が生じるので冷媒の流量の変化が所謂、ヒステリシスをもって変化し、ハンチングの発生が抑制される。