<第一実施形態>
第一実施形態は、被嵌合部に嵌合させた嵌合部の端部が基板のグランド層と電気的に接続される接続構造に関する実施形態である。
なお、以下において説明する実施形態の接続構造は、嵌合部と被嵌合部とを嵌合させることにより嵌合部の所定の端子と被嵌合部の所定の端子とを電気的に接続させる接続構造である。
ここで、実施形態の説明における被嵌合部及び嵌合部の区別は互いに嵌合される二つの物の一方と他方とを意味するだけの区別である。従い、実施形態の説明における嵌合部が被嵌合部であり、かつ、実施形態の説明における被嵌合部が嵌合部であっても構わない。
[構成と動作]
図1は、第一実施形態の接続構造に適用し得る被嵌合部の例である被嵌合部11aの構成を表す概念図である。
被嵌合部11aは、本体部108aと導体111aとを備える。
なお、図1(a)は、本体部108a及び導体111aの上面図である。また、図1(b)は、本体部108a及び導体111aの図1(a)に表す矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図1(c)は、本体部108a及び導体111aの図1(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
本体部108aは、部材131と端子群136とを備える。
部材131は、本体部108aの、図1(c)に向かって左右の側面以外の側面を形成している。当該左右の側面には部材131は存在しない。部材131は導電性の部材である。部材131は、例えば、導電性の板状の部材であり典型的には金属板である。
端子群136は、例えば図2及び図3を参照して後述するように、図1では図示しない非導電性の部材により部材131に固定されることが想定されている。端子群136の形状及び端子数は任意である。ただし、本体部108aと図4を参照して後述する嵌合部とが互いに嵌合された状態において、端子群136の所定の端子は当該嵌合部が備える所定の端子と電気的に接続されることが想定されている。
また、端子群136の所定の端子は、図示しない配線により、被嵌合部11aの外部と電気的に接続され得る。
導体111aの形状は例えば図1に表すように直方体であるが、他の形状であっても構わない。導体111aは例えば金属である。
図2及び図3は、図1に表す被嵌合部11aを基板に設置しさらに当該基板を筐体内に設置した構造体の例である構造体21aの構成を表す概念図である。
図2(a)は、構造体21aの上面図である。また、図2(b)は、構造体21aの矢印191aが表す向きを見た場合を想定した図である。また、図3は、構造体21aを図2(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
構造体21aは、被嵌合部11aと、基板121と、筐体部材101とを備える。
被嵌合部11aは図1に表すものである。
基板121は、内部にグランドに接続された導電層であるグランド層126を備える。基板121におけるグランド層126と接する上下の層は絶縁体である。基板121は、図示しない配線群を備える。当該配線群は、基板121の内部又は上面に形成されている。基板121は、図示しない筐体の内部に設置され、図示しない部材により筐体部材101に固定されている。また、グランド層126には、図示しない電子回路のグランドと接続すべき部分が電気的に接続されている。
筐体部材101は前記筐体の一部である。筐体部材101は典型的には絶縁体である。
図2(b)及び図3に表すように、筐体部材101には、開口部113aが形成されている。開口部113aの開口の大きさは、図2(b)に表す見方をした場合の本体部108aの大きさよりもやや大きい。そのため、図2(b)及び図3に表すように、本体部108aと筐体部材101との間には隙間296が存在する。
ただし、開口部113aの開口の大きさは、図2(b)に表す見方をした場合の本体部108aの大きさと等しくても構わない。その場合は、図2(b)及び図3に表す隙間296は存在しない。
被嵌合部11aの本体部108aは、基板121上に設置され、基板121に固定されている。図1に表した端子群136の所定の端子は、前述の、基板121に形成された図示しない配線に電気的に接続されている。
被嵌合部11aの導体111aは、基板121に挿入され、基板121に固定されている。導体111aはグランド層126に電気的に接続されている。
図示はしないが、導体111aは、基板121上に固定されその上でグランド層と電気的に接続されていても構わない。
図2(a)及び図3に表すように、本体部108aの端部182aと導体111aとの間には、隙間297がある。このため、構造体21aにおいては、本体部108aは導体111aとは電気的に接続されていない。すなわち、構造体21aの本体部108aはグランド層126とは電気的に接続されていない。
被嵌合部11aの端子群136は、部材152により導体111aに固定されている。部材152は絶縁性の部材である。端子群136の所定の端子は、部材152及び導体111a内に形成された図示しない配線により、基板121に形成された前述の配線に接続されている。
ここで、筐体外部から開口部113aを通じて筐体内部への放電があった場合を想定する。その場合、当該放電による電流は、本体部108aには伝わる確率が高いが、本体部108aを経由して、本体部108aとは電気的に接続されていないグランド層126に伝わる確率は低い。当該放電は、主として、筐体外部と本体部108aとの間の電位差により生じるものである。当該放電は、より具体的には、例えば、人の指等の帯電したものが開口部113aの近傍に近づくことによる、当該帯電したものと開口部113aとの間の電位差により発生する。
前述のように、グランド層126には電子回路のグランド部が接続されている。そのため、仮にグランド層126に前記放電による電流が流れた場合には、当該電子回路の動作不良が生じる可能性がある。構造体21aは、前述のように、前記放電による電流がグランド層126に伝わる確率が低い。そのため、構造体21aは、前記放電による前記電子回路への悪影響を抑え得る。
図4は、図2及び図3に表す構造体21aの被嵌合部11aとの嵌合が想定される嵌合部の例である嵌合部12aの構成を表す概念図である。
図4(a)は、嵌合部12aの上面図である。図4(b)は、嵌合部12aの矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図4(c)は、嵌合部12aを図4(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
嵌合部12aは、挿入部13aと、部材151、153と、配線群146とを備える。
挿入部13aは、部材132と、端子群137とを備える。
挿入部13aは、図2(b)及び図3に表す開口部113aから、筐体内部に挿入されることが想定された部分である。挿入部13aは部材151に固定されている。
挿入部13aの図4(c)に表す左右の面以外の面には、部材132が形成されている。部材132は導電性の部材である。部材132は、例えば、導電性の板状の部材であり、典型的には金属板である。
端子群137は、嵌合部12aが図1に表す被嵌合部11aと嵌合した状態で、図1に表す端子群136の所定の端子と電気的に接続されることが想定された、端子群である。端子群137は、部材153を介して部材151に固定されている。端子群137の形状及び端子数は、嵌合部12aが図1に表す被嵌合部11aと嵌合した状態で、図1に表す端子群136の所定の端子と電気的に接続可能な限りにおいて、任意である。
図5及び図6は、図2及び図3に表す構造体21aの被嵌合部11aと図4に表す嵌合部12aとを嵌合させた接続構造の例である接続構造31aの構成を表す概念図である。
図5(a)は接続構造31aの上面図である。図5(b)は接続構造31aの図5(a)に表す矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図6は、接続構造31aを、図5(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
接続構造31aにおいては、嵌合部12aの挿入部13aは、筐体部材101に設けられた開口部286aから筐体内に挿入されている。そして、挿入部13aは、さらに被嵌合部11aの本体部108aに挿入されている。この状態において、挿入部13aは、本体部108aと嵌合している。当該嵌合の状態で、挿入部13aの部材132の少なくとも一部は、本体部108aの部材131と接触している。部材131及び132はともに導電性なので、部材131と部材132とは電気的に接続されている。
図5(a)及び図6に表すように、挿入部13aの端部182bは、本体部108aの端部182aよりも左方にある。そして、端部182bは導体111aの接触部133aに接触している。
前述のように、導体111aは、基板121のグランド層126と電気的に接続されている。そのため、接続構造31aにおいては、嵌合部12aの挿入部13aは、被嵌合部11aの本体部108aとともに、グランド層126と電気的に接続されている。
一方、部材151の端部182cは筐体部材101に接触するか、又は、近接している。図5(a)及び図6には、部材151の端部182cは筐体部材101に接触している場合を表してある。
図示はしないが、接続構造31aにおいては、嵌合部12aの端子群137の所定の端子は、被嵌合部11aの端子群136の所定の端子と、電気的に接続されている。そして、嵌合部12aの配線群146の所定の配線と、基板121に形成された前述の配線との間で、端子群136の所定の端子と端子群137の所定の端子との接続を通じての電流(以下、「接続電流」という。)が生じ得る。
接続構造31aにおいては、前記接続電流は、被嵌合部11aの導体111a及び部材131と、嵌合部12aの部材132と、により形成される導体部分の内部において生じる。そして、当該導体部分は、前述のように、いずれもグランド層126に接続されている。そのため、前記接続電流により生じる電磁波等の電磁界は、前記導体部分により低減される。
そのため、接続構造31aは、前記接続電流により生じる電磁界による、前記筐体内部の電子回路等や筐体外部の電子機器等への悪影響を抑えることができる。
また、接続構造31aは開口部113aが嵌合部12aの部材151により塞がれている。そのため、接続構造31aは、開口部113aからの放電の進入を抑え得る。
[具体例]
以下、第一実施形態の具体例を、図1に表す被嵌合部11aとしてUSBコネクタを、図4に表す嵌合部としてUSBプラグを用いた場合について説明する。
図7は、第一実施形態の被嵌合部の具体例であるUSBコネクタ260を表す概念図である。図7には、筐体内に設置された基板に設置されたUSBコネクタ260を表してある。
図7(a)には基板121を、図7(b)には基板121及び前記筐体の一部である筐体部材101を併せて表してある。図7(a)においては筐体部材101の表示は省略してある。基板121は、図示しない部材を介して前記筐体に固定されている。前記筐体には開口部113aが形成されている。
なお、基板121の内部にはグランド層126が形成されている。また、導体111vの下部の基板121には、基板121を貫通する金属であるスルーホールビア266が形成されている。スルーホールビア266はグランド層126と電気的に接続されている。また、基板121の上部には、配線265が形成されている。
図7(a)は図7(b)に表す開口部113aの側から見た場合を想定した図である、また、図7(b)は、図7(a)に表す線196dに沿って切断した場合を想定した断面図である。
USBコネクタ260は、導体111vと、コネクタシェル261と部材263aとコンタクト262とを備える。
導体111vは、図2及び図3に表す導体111aに相当する部材である。導体111vは金属である。導体111vは基板121上に固定されている。導体111vの下部はスルーホールビア266の上部と図示しない半田により電気的に接続されている。
導体111vには、絶縁体である部材263aが固定されている。部材263aは、図2及び図3に表す部材152に相当する部材である。
部材263aの上部には4つのコンタクト262が固定されている。4つのコンタクト262の集合は、図2及び図3に表す端子群136に相当する。コンタクト262は金属であり、典型的には金メッキが施されている。4つのコンタクト262のうちの一つは、配線264を介して、配線265に電気的に接続されている。他のコンタクト262のそれぞれは、図示しない配線のそれぞれに接続されている。
コネクタシェル261は、図2及び図3に表す部材131に相当する部材である。コネクタシェル261は金属板であり、コンタクト262を囲むように筒状に形成されている。コネクタシェル261は、導体111v及びグランド層126とは電気的に接続されていない。
図8は、第一実施形態の嵌合部の具体例であるUSBプラグ160を表す概念図である。USBプラグ160は、図7に表すUSBコネクタと嵌合することにより配線間の電気的接続を行うことが想定されたUSBプラグである。
図8(a)は、図8(b)に表す矢印191cの向きを見た場合を想定した図である。また、図8(b)は、図8(a)に表す線196cに沿ってUSBプラグ160を切断した場合を想定した断面図である。
USBプラグ160は、プラグシェル161と、部材163a、163bと、コンタクト162と配線164とを備える。
部材163bは、図4に表す部材151に相当する絶縁性の部材である。
部材163aは、図4に表す部材153に相当する絶縁性の部材である。部材163aは、部材163bに固定されている。
4つのコンタクト162の集合は、図4に表す端子群137に相当する。コンタクト162は、USBプラグ160を図7に表すUSBコネクタ260と嵌合させた状態で、USBコネクタ260のコンタクト262と接触することが想定されたコンタクトである。コンタクト162は、部材163aの下面に固定されている。コンタクト162は、金属であり、典型的には金メッキが施されている。4つのコンタクト162のうちの一つは配線164に接続されている。他のコンタクト162のそれぞれは、図示しない配線のそれぞれに接続されている。
プラグシェル161は、図4に表す部材132に相当する部材である。プラグシェル161は金属板であり、コンタクト162を囲むように筒状に形成されている。
次に、図8に表すUSBプラグ160を図7に表すUSBコネクタ260に嵌合させる動作について説明する。
図9乃至図11は、図8に表すUSBプラグ160を図7に表すUSBコネクタ260に嵌合させる様子を表す図である。
まず、図9に表すように、USBプラグ160の先端部194を開口部113aに向ける。そして、USBコネクタ260及びUSBコネクタ260を固定している基板121及び筐体を固定し、USBプラグ160を矢印191bの向きに移動させる。
すると、図10に表すように、先端部194は開口部113aを通過し、コネクタシェル261の上側と下側との間に入り込む。その際に、下側の先端部194は部材263aと下側のコネクタシェル261との間に入り込む。
プラグシェル161を矢印191bの向きにさらに移動させると、図11に表すように、先端部194は導体111vに接触する。また、コンタクト262はコンタクト162と電気的に接触する。プラグシェル161とコネクタシェル261とは嵌合することにより接触している。
この状態において、プラグシェル161、コネクタシェル261及び導体111vはスルーホールビア266を介してグランド層126に電気的に接続されている。
また、配線164と配線264とは、コンタクト162とコンタクト262との接触により電気的に接続されている。[効果]
図2及び図3に表す構造体21aは、被嵌合部11aと図4に表す嵌合部12aとを嵌合させる前は、本体部108aは基板121のグランド層126に電気的に接続されていない。そのため、前記筐体の外部から本体部108aへの放電があったとしても、当該放電による電流がグランド層126に流れる確率は低い。そのため、構造体21aは、前記筐体外部からの放電により発生するグランド層126の電位変動に伴う、グランド層126にそのグランド部が電気的接続された電子回路の誤動作等を抑え得る。
また、図2及び図3に表す構造体21aの被嵌合部11aと図4に表す嵌合部12aとを嵌合させたものである接続構造31aにおいては、接続電流は、主に、導体部分の内部において生じる。当該導体部分は、被嵌合部11aの導体111a及び部材131と、嵌合部12aの部材132と、により形成される導体部分である。そして、当該導体部分はグランド層126に電気的に接続されている。そのため、前記接続電流により生じる電磁波等の電磁界は、当該導体部分により低減される。
そのため、接続構造31aは、前記接続電流により生じる電磁界による、前記筐体内部の電子回路等や筐体外部の電子機器等への悪影響を抑えることができる。
また、接続構造31aは開口部113aが嵌合部12aの部材151により塞がれている。よって、帯電したものはグランド層126と電気的に接続された本体部108aには近づけない。そのため、当該帯電したものと本体部108aとの間の放電は生じにくい。よって、接続構造31aは、放電等による、開口部113aから本体部108aを介してのグランド層126への電流の進入を抑え得る。
<第二実施形態>
第二実施形態は、被嵌合部に嵌合させた状態で嵌合部の底部がグランド層と電気的に接続される接続構造に関する実施形態である。
[構成と動作]
図12は、第二実施形態の接続構造に適用し得る被嵌合部の例である被嵌合部11bの構成を表す概念図である。
図12(a)は、被嵌合部11bの上面図である。図12(b)は、被嵌合部11bの図12(a)に表す矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図12(c)は、被嵌合部11bの図12(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
被嵌合部11bは、本体部108bと導体111bとを備える。
本体部108bは、部材131と端子群136と部材152bとを備える。
部材131は、本体部108bの、図12(c)に向かって右側面以外の側面(後述の部材不在部129を除く)を形成している。当該右側面には部材131は存在しない。部材131は導電性の部材である。部材131は、例えば、導電性の板であり典型的には金属板である。
部材131の底面には、部材131が存在しない部材不在部129が存在する。
端子群136は、非導電性の部材である部材152bにより部材131に固定されている。端子群136の形状及び端子数は任意である。ただし、端子群136の所定の端子は、本体部108bと図16及び図17を参照して後述する嵌合部とが互いに嵌合された状態において、当該嵌合部が備える所定の端子と電気的に接続される。
また、端子群136の所定の端子は、図示しない配線により、被嵌合部11bの外部と電気的に接続され得る。
導体111bは、例えば、図12に表すような形状である。導体111bと本体部108bとは、基板に設置される前は固定されていない。導体111bと本体部108bとは、例えば、図13及び図14を参照して後述するように、図12に表す位置関係になるように、基板を介して互いに固定されることが想定されている。
図13及び図14は、図12に表す被嵌合部11bを基板に設置しさらに当該基板を筐体内に設置した構造体の例である構造体21bの構成を表す概念図である。
図13(a)は、構造体21bの上面図である。図13(b)は、構造体21bの矢印191aが表す向きを見た場合を想定した図である。また、図14は、構造体21bを図13(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
構造体21bは、被嵌合部11bと、基板121と、筐体部材101とを備える。
被嵌合部11bは、図12に表すものである。
基板121の説明は、図2及び図3を参照して説明した基板121の説明と同様である。
筐体部材101の説明は、下記を除いて、図2及び図3を参照して説明した筐体部材101の説明と同様である。
図13(b)及び図14に表すように、筐体部材101には、開口部113bが形成されている。開口部113bの開口の大きさは、図13(b)に表す見方において被嵌合部11bの大きさよりやや大きい。図示は省略するが、開口部113bの開口の大きさは、図13(b)に表す見方において被嵌合部11bの大きさと等しくても構わない。その場合は、開口部113bと被嵌合部11bとの間の隙間は生じない。
被嵌合部11bは基板121上に設置され基板121に固定されている。
被嵌合部11bの端子群136の所定の端子は、基板121に形成された図示しない配線に電気的に接続されている。
被嵌合部11bの導体111bは、基板121に挿入され、基板121に固定されている。導体111bはグランド層126に電気的に接続されている。
図示は省略するが、導体111bは、基板121上に固定され、その上で、グランド層と電気的に接続されていても構わない。
図13(a)及び図14に表すように、本体部108bの底部と導体111bとは電気的に接続されていない。すなわち、本体部108bはグランド層126とは電気的に接続されていない。
ここで、筐体外部から、開口部113bを通じて筐体内部への放電があった場合を想定する。その場合、当該放電による電流は、本体部に108bには伝わる確率が高いが、本体部108bを経由して、本体部108bとは電気的に接触していないグランド層126に伝わる確率は低い。当該放電は、主として、筐体外部と本体部108bとの間の電位差により生じるものである。当該放電は、より具体的には、例えば、人の指等の帯電したものが開口部113bの近傍に近づくことによる、当該帯電したものと本体部108bとの間の電位差により発生する。
前述のように、グランド層126には電子回路のグランド部が接続されている。そのため、仮にグランド層126に前記放電による電流が流れた場合には、グランド層126の電位が変動することにより、当該電子回路の動作不良が生じる可能性がある。
構造体21bは、上述のように、前記放電による電流がグランド層126に伝わる確率が低い。そのため、構造体21bは、前記放電による前記電子回路への悪影響を抑え得る。
図15は、図13及び図14に表す構造体21bの被嵌合部との嵌合が想定される嵌合部の例である嵌合部12bの構成を表す概念図である。
図15(a)は、嵌合部12bの上面図である。図15(b)は、嵌合部12bの矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図15(c)は、嵌合部12bを図15(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
図15に表す嵌合部12bの説明は、寸法が異なる点を除いて、図4に表す嵌合部12aの説明において、嵌合部12aを嵌合部12bと、図1を図12と、それぞれ、読み替えたものである。従い、ここでは、嵌合部12bの説明を省略する。
図16及び図17は、図13及び図14に表す構造体21bの被嵌合部11bと図15に表す嵌合部12bとを嵌合させた接続構造の例である接続構造31bの構成を表す概念図である。
図16(a)は接続構造31bの上面図である。図16(b)は接続構造31bの図16(a)に表す矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図17は、接続構造31bを、図16(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
接続構造31bにおいては、嵌合部12bの挿入部13bは、筐体部材101に設けられた開口部286bから筐体内に挿入されている。そして、挿入部13bは、さらに被嵌合部11bの本体部108bに挿入されている。この状態において、挿入部13bは、本体部108bと嵌合している。そして、挿入部13bの部材132の少なくとも一部は、本体部108bの部材131と接触している。部材131及び132はともに導電性なので、部材131と部材132とは電気的に接続されている。
図16(a)及び図17に表すように、挿入部13bの部材132の接触部133bは、導体111bの図16(b)及び図17に表す上部134bに接触している。
前述のように、導体111bは、基板121のグランド層126と電気的に接続されている。そのため、接続構造31bにおいては、嵌合部12bの挿入部13bは、被嵌合部11bの本体部108bとともに、グランドと電気的に接続されている。
一方、部材151の端部182cは筐体部材101に接触するか、又は、近接している。図16(a)及び図17には、部材151の端部182cが筐体部材101に接触している場合を表してある。
接続構造31bにおいては、嵌合部12bの端子群137の所定の端子は、被嵌合部11bの端子群136の所定の端子と、電気的に接続されている。そして、嵌合部12bの配線群146の所定の配線と、基板121に形成された前述の配線との間で、端子群136の所定の端子と端子群137の所定の端子との接続を通じての電流(以下、「接続電流」という。)が生じ得る。
接続構造31bにおいては、接続電流は、主に、被嵌合部11bの導体111b及び部材131と嵌合部12bの部材132とにより形成される導体部分の内部において生じる。そして、当該導体部分は、前述のように、いずれもグランド層126に接続されている。そのため、前記接続電流により生じる電磁波等の電磁界は、当該導体部分により低減される。
そのため、接続構造31bは、前記接続電流により生じる電磁界による、前記筐体内部の電子回路等や筐体外部の電子機器等への悪影響を抑えることができる。
また、接続構造31bは開口部113bが嵌合部12bの部材151により塞がれている。そのため、接続構造31bは、開口部113bからの放電の進入を抑え得る。
以上説明したように、図16及び図17に表す構造体21bは、被嵌合部11bと図15に表す嵌合部12bとを嵌合させる前は、筐体の開口部113b近傍に位置する本体部108bは基板121のグランド層126に電気的に接続されていない。そのため、前記筐体の外部から本体部108bへの放電があったとしても、当該放電による電流がグランド層126に流れる可能性は低い。そのため、構造体21bは、前記筐体の外部からの放電により発生する、グランド層126の電位変動に伴う、グランド層126にそのグランド部が電気的接続された電子回路の誤動作等を抑え得る。
また、図16及び図17に表す構造体21bの被嵌合部11bと図15に表す嵌合部12bとを嵌合させたものである接続構造31bにおいては、接続電流は、主に、導体部分の内部において生じる。当該導体部分は、被嵌合部11bの導体111b及び部材131と嵌合部12bの部材132とにより形成される導体部分である。そして、当該導体部分は、前述のように、いずれもグランド層126に接続されている。そのため、前記接続電流により生じる電磁波等の電磁界は、当該導体部分により低減される。
そのため、接続構造31bは、前記接続電流により生じる電磁界による、前記筐体内部の電子回路等や筐体外部の電子機器等への悪影響を抑えることができる。
また、接続構造31bは開口部113bが嵌合部12bの部材151により塞がれている。よって、帯電したものはグランド層126と電気的に接続された本体部108bには近づけない。そのため、当該帯電したものと本体部108bとの間の放電は生じにくい。よって、接続構造31bは、開口部113bからの、本体部108bを介してのグランド層126への、放電による電流の進入を抑え得る。
[効果]
第二実施形態の被嵌合部11b及び嵌合部12bは、互いに嵌合させる前は、被嵌合部11bのうちグランド層126に接続されている導体111b以外の部分である本体部108bはグランド層126に電気的に接続されていない。そして、被嵌合部11bと嵌合部12bを互いに嵌合させることにより、導体111b、本体部108b及び嵌合部12bが互いに電気的に接続される。上記動作は、互いに嵌合されていない第一実施形態の被嵌合部11a及び嵌合部12aを互いに嵌合させる際の動作と同じである。従い、第二実施形態の被嵌合部11b及び嵌合部12bは、第一実施形態の被嵌合部11a及び嵌合部12aと同じ効果を奏する。
また、前述のように、第一実施形態の被嵌合部11aと嵌合部12aは、互いに嵌合させる際に、嵌合部12aの先端において導体111bに接触する。これに対し、第二実施形態の被嵌合部11bと嵌合部12bは、互いに嵌合させる際に、嵌合部12bが底面において導体111bに接触する。そのため、本実施形態の被嵌合部11b及び嵌合部12bは、互いに嵌合した状態においてグランド層126とのより確実な電気的な接続を確保し得る。
<第三実施形態>
第三実施形態は、被嵌合部に嵌合させた状態で嵌合部の張り出した部分(出張り部)がグランドと電気的に接続される接続構造に関する実施形態である。
[構成と動作]
図18及び図19は、第三実施形態の接続構造に適用し得る被嵌合部の例である被嵌合部11cの構成を表す概念図である。
図18(a)は、被嵌合部11cの上面図である。図18(b)は、被嵌合部11cの図18(a)に表す矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図18(c)は、図18(a)に表す被嵌合部11cの部分186bの拡大図である。また、図18(d)は、図18(a)に表す被嵌合部11cの部分186bの拡大図である。また、図19(a)は、被嵌合部11cを図18(a)に表す線196aに沿って切断した場合を想定した断面図である。また、図19(b)は、被嵌合部11cを図18(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。また、図19(c)は、図19(a)に表す部分186bの拡大図である。
被嵌合部11cは、部材131と、端子群136と、部材152bと、導体111c、111dと、絶縁材106a、106bとを備える。
被嵌合部11cは、図18(c)及び図18(d)に表すように、図18(a)に表す部分186bに、導体112bと、弾性材116bと、部材131の一部である部材131a乃至131fとを備える。
部材131は、被嵌合部11cの、図18(a)及び図19(b)に向かって右側面以外の側面を形成している。当該右側面には部材131は存在しない。部材131は導電性の部材である。部材131は、例えば、導電性の板であり典型的には金属板である。
部材131の、図18(b)に表す部材131の側部184a及び184bには、外側に張り出した張出部187a及び187bが形成されている。
図18(c)及び(d)に表すように、張出部187aは、部材131a乃至131fにより囲まれた部分である。ここで、部材131eは、図18(d)に表す見方における張出部187aの右側下方に、図18(c)に表す見方における張出部187aの長手方向に沿って形成された部材である。また、部材131fは、図18(d)に表す見方における張出部187aの右側上方に、図18(c)に表す見方における張出部187aの長手方向に沿って形成された部材である。
図18(c)、図18(d)及び図19(c)に表すように、張出部187aは、部材131a乃至131f以外に、導体112bと弾性材116bとを備える。
図18(c)及び図19(c)に表すように弾性材116bの左端は部材131bに固定されている。また、弾性材116bの右端は導体112bに接続されている。そして、弾性材116bは、図18(c)及び図19(c)に表す見方における左右方向に伸縮可能である。図18(c)及び図19(c)には、伸縮していない状態の弾性材116bを表してある。
導体112は、図18(c)、図18(d)、図19(a)及び図19(c)に表すように、部材131a乃至131fにより囲まれた部分の内部に設置されている。そして、導体111cは、当該囲まれた部分の内部を、図18(c)及び図19(c)に表す見方における張出部187aの長手方向に移動し得る。そして、弾性材116bが縮んで、導体112が導体111cの上部に位置した場合は、導体112と導体111cとは電気的に接続される。
導体111cは、図18(d)、図19(a)及び図19(c)に表す見方における導体111cの上方の周囲を絶縁材106bで囲まれた状態で、部材131dに固定されている。
なお、張出部187bは、図18(b)における左右が反転しただけで、張出部187aと同様の構成を備える。
端子群136は、非導電性の部材である部材152bにより部材131に固定されている。端子群136の形状及び端子数は任意である。ただし、端子群136の所定の端子は、本体部108bと図16及び図17を参照して後述する嵌合部とが互いに嵌合された状態において、当該嵌合部が備える所定の端子と電気的に接続され得る。
また、端子群136の所定の端子は、図示しない配線により、被嵌合部11cの外部と電気的に接続され得る。
図20及び図21は、図18及び図19に表す被嵌合部11cを基板に設置しさらに当該基板を筐体内に設置した構造体の例である構造体21cの構成を表す概念図である。
図20(a)は、構造体21cの上面図である。図20(b)は、構造体21cの矢印191aが表す向きを見た場合を想定した図である。また、図20(c)は、図20(b)に表す部分186cの拡大図である。また、図21(a)は、構造体21cを図20(a)に表す線196aに沿って切断した場合を想定した断面図である。また、図21(b)は、構造体21cを図20(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
構造体21cは、被嵌合部11cと、基板121と、筐体部材101とを備える。
被嵌合部11cは、図18及び図19に表すものである。
基板121の説明は、図2及び図3を参照して説明した基板121の説明と同様である。
筐体部材101の説明は、下記を除いて、図2及び図3を参照して説明した筐体部材101の説明と同様である。
図20(b)及び図21(b)に表すように、筐体部材101には、開口部113cが形成されている。開口部113cの開口の大きさは、図20(b)に表す見方における被嵌合部11cの大きさよりやや大きい。ただし、開口部113cの開口の大きさは、図20(b)に表す見方における被嵌合部11cの大きさと同じでも構わない。その場合は、開口部113cと被嵌合部11cとの間の隙間は生じない。
被嵌合部11cは、基板121上に設置され、基板121に固定されている。
被嵌合部11cの端子群136の所定の端子は、基板121に形成された図示しない配線に電気的に接続されている。
被嵌合部11cの導体111c及び111dは、基板121に挿入され、基板121に固定されている。導体111c及び111dはグランド層126に電気的に接続されている。
図20及び図21に表すように、部材131と導体111bとは電気的に接続されていない。すなわち、部材131はグランド層126とは電気的に接続されていない。
ここで、筐体外部から開口部113cを通じての筐体内部への放電があった場合を想定する。その場合、当該放電による電流は、部材131には伝わる確率が高いが、部材131を経由して、部材131とは電気的に接触していないグランド層126に伝わる確率は低い。当該放電は、主として、筐体外部と部材131との間の電位差により生じるものである。当該放電は、より具体的には、例えば、人の指等の帯電したものが開口部113cの近傍に近づくことによる、当該帯電したものと部材131との間の電位差により発生する。
ここで、前述のように、グランド層126には電子回路のグランド部が接続されている。そのため、仮にグランド層126に前記放電による電流が流れた場合には、グランド層126の電位が変動することにより、当該電子回路の動作不良が生じる可能性がある。
しかしながら、構造体21cは、上述のように、前記放電による電流がグランド層126に伝わる確率が低い。そのため、構造体21cは、前記放電による前記電子回路への悪影響を抑え得る。
図22及び図23は、図20及び図21に表す構造体21cの被嵌合部との嵌合が想定される嵌合部の例である嵌合部12cの構成を表す概念図である。
図22(a)は、嵌合部12cの上面図である。また、図22(b)は、嵌合部12cの矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図23(a)は、嵌合部12cを図22(a)に表す線196aに沿って切断した場合を想定した断面図である。また、図23(b)は、嵌合部12cを図22(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
嵌合部12cは、挿入部13cと、部材151と、配線群146とを備える。
挿入部13cは、部材132と、出張り部141a、141bと、端子群137とを備える。
挿入部13cは、図20(b)及び図21(b)に表す開口部113cから、筐体内部に挿入される部分である。挿入部13cは、部材151に固定されている。
挿入部13cの図12(a)及び図13(b)に表す見方をした場合の左右の面以外の面には、部材132が形成されている。部材132は導電性の部材である。部材132は、例えば、導電性の板であり典型的には金属板である。
挿入部13cの、図22(a)に表す見方をした場合の上下の面には、出張り部141a及び141bが形成されている。出張り部141a及び141bは導電性材料であり、典型的には金属である。出張り部141a及び141bの形状は、図20及び図21に表す構造体21cとの間で後述のような組合せが可能な限りにおいて任意である。
端子群137は、嵌合部12cが図18及び図19に表す被嵌合部11aと嵌合した状態で、端子群137の所定の端子が図18及び図19に表す端子群136の所定の端子と電気的に接続されることが想定された、端子群である。端子群137の形状及び端子数は、嵌合部12aが図18及び図19に表す被嵌合部11cと嵌合した状態で、図18及び図19に表す端子群136の所定の端子と電気的に接続可能な限りにおいて、任意である。
図24及び図25は、図20及び図21に表す構造体21cの被嵌合部11cと図12及び図13に表す嵌合部12cとを嵌合させた接続構造の例である接続構造31cの構成を表す概念図である。
図24(a)は接続構造31cの上面図である。また、図24(b)は接続構造31cの図24(a)に表す矢印191aの向きを見た場合を想定した図である。また、図25(a)は、接続構造31cを、図24(a)に表す線196aに沿って切断した場合を想定した断面図である。また、図25(b)は、接続構造31cを、図24(a)に表す線196bに沿って切断した場合を想定した断面図である。
接続構造31cにおいては、嵌合部12cの挿入部13cは、筐体部材101に設けられた開口部286cから筐体内に挿入されている。そして、挿入部13cは、さらに被嵌合部11cに挿入されている。この状態において、挿入部13cの出張り部141a及び141bを除く部分は、被嵌合部11cの張出部187a及び187bを除く部分と嵌合している。そして、挿入部13cの部材132の少なくとも一部は、被嵌合部11cの部材131と接触している。部材131及び132はともに導電性なので、部材131と部材132とは電気的に接続されている。
図24(a)及び図25(a)に表すように、挿入部13cの出張り部141aは導体112aに、出張り部141bは導体112bに、それぞれ接触している。
また、導体112aは導体111dに、導体112bは導体111cに、それぞれ接触している。
そして、導体111c、111dは、グランド層126に電気的に接続されている。
以上により、部材132、部材131、導体112a、112b、導体111c、111dは、いずれも、グランド層126に電気的に接続されている。
一方、部材151の端部182cは筐体部材101に接触するか、又は、近接している。図16(a)及び図17には、部材151の端部182cは筐体部材101に接触している場合を表してある。
接続構造31cにおいては、嵌合部12cの端子群137の所定の端子は、被嵌合部11cの端子群136の所定の端子と、電気的に接続されている。そして、嵌合部12cの配線群146の所定の配線と、基板121に形成された前述の配線との間で、端子群136の所定の端子と端子群137の所定の端子との接続を通じての電流(以下、「接続電流」という。)が生じ得る。
接続構造31cにおいては、接続電流は、主に、被嵌合部11cの導体111c及び部材131と嵌合部12cの部材132とにより形成される導体部分の内部において生じる。そして、当該導体部分は、前述のように、いずれもグランド層126に接続されている。そのため、前記接続電流により生じる電磁波等の電磁界は、当該導体部分により低減される。
そのため、接続構造31cは、前記接続電流により生じる電磁界による、前記筐体内部の電子回路等や筐体外部の電子機器等への悪影響を抑えることができる。
また、接続構造31cは開口部113cが嵌合部12cの部材151により塞がれている。そのため、接続構造31cは、開口部113cからの放電の進入を抑え得る。
以上説明したように、図20及び図21に表す構造体21cは、被嵌合部11cと図22及び図23に表す嵌合部12cとを嵌合させる前は、筐体の開口部113c近傍に位置する部材131は基板121のグランド層126に電気的に接続されていない。そのため、前記筐体の外部から部材131への放電があったとしても、当該放電による電流がグランド層126に流れる可能性は低い。そのため、構造体21cは、前記筐体の外部からの放電により発生する、グランド層126の電位変動に伴う、グランド層126にそのグランド部が電気的接続された電子回路の誤動作等を抑え得る。
また、図24及び図25に表す接続構造31cにおいては、接続電流は、主に、被嵌合部11cの部材131と嵌合部12cの部材132とにより形成される導体部分の内部において生じる。そして、当該導体部分は、前述のように、いずれもグランド層126に接続されている。そのため、前記接続電流により生じる電磁波等の電磁界は、当該導体部分により低減される。
そのため、接続構造31cは、前記接続電流により生じる電磁界による、前記筐体内部の電子回路等や筐体外部の電子機器等への悪影響を抑え得る。
また、接続構造31cは開口部113cが嵌合部12cの部材151により塞がれている。よって、帯電したものはグランド層126と電気的に接続された部材131には近づけない。そのため、当該帯電したものと部材131との間の放電は生じにくい。よって、接続構造31cは、開口部113cからの、部材131を介してのグランド層126への、放電による電流の進入を抑え得る。
[効果]
第三実施形態の被嵌合部11c及び嵌合部12cは、互いに嵌合させる前は、被嵌合部11cのうちグランド層126に接続されている導体111c及び111d以外の部分はグランド層126に電気的に接続されていない。そして、被嵌合部11cと嵌合部12cとを互いに嵌合させることにより、導体111c及び111d、被嵌合部11cの導体111c及び111d以外の部分及び嵌合部12bが互いに電気的に接続される。上記動作は、互いに嵌合していない第一実施形態の被嵌合部11a及び嵌合部12aを互いに嵌合させる際の動作と同じである。従い、第二実施形態の被嵌合部11bと嵌合部12bとは、第一実施形態の被嵌合部11a及び嵌合部12aと同じ効果を奏する。
それに加えて、第二実施形態の被嵌合部11cと嵌合部12cとは、互いに嵌合させる際に嵌合部12cが接触する導体が導体111cと導体111dの2つある。そして、嵌合部12cが導体111cと導体111dとの少なくとも一方と接触すれば、嵌合部12cとグランド層126との電気的接続が確保される。そのため、第二実施形態の被嵌合部11b及び嵌合部12bは、互いに嵌合した状態においてグランドとのより確実な電気的な接触を確保し得る。
図26は、本発明の被嵌合部材の最小構成である被嵌合部材11xの構成を表すブロック図である。
被嵌合部材11xは、第二の導電性部材131xと、第二の端子群136xと、第三の導電性部材111xとを備える。
第二の導電性部材131xは、図示しない第一の端子群と前記第一の端子群の少なくとも一部を覆う図示しない第一の導電性部材とを備える図示しない嵌合部材の前記第一の導電性部材との嵌合が行われ得る。
第二の端子群136xは、少なくとも一部が前記第二の導電性部材に覆われ、前記嵌合により前記第一の端子群の所定の端子と電気的に接続され得る端子を備える。
第三の導電性部材111xは、第二の導電性部材131xとは電気的に接続されていない。また、第三の導電性部材111xは、グランドと接続されることが想定された図示しないグランド部材との電気的接続が予定されている。
そして、前記嵌合により、前記第一の導電性部材は前記第三の導電性部材と電気的に接続され得る。
前述のように、第三の導電性部材111xは第二の導電性部材131xとは電気的に接続されていない。そのため、前記第一の導電性部材が第二の導電性部材131xに嵌合される前に、外部からの放電等により第二の導電性部材131xの電位が変動したとしても、当該変動の影響は第三の導電性部材111xには伝わりにくい。そのため、第三の導電性部材111xが前記グランド部材に接続されていたとしても、前記グランド部材のグランド電圧レベルは、前記変動の影響を受けにくい。
次に、前記第一の導電性部材が第二の導電性部材131xに嵌合されると、前記第一の導電性部材は第三の導電性部材111xに電気的に接続される。前記第一の導電性部材は前記嵌合により第二の導電性部材131xと電気的に接続されるので、第二の導電性部材131xは前記グランド部材に接続され得る。そして、前記グランド部材がグランドに接続された場合には、第二の導電性部材131xは前記第一の導電性部材とともに、グランドに接続される。
前述のように前記第一の導電性部材は前記第一の端子群の少なくとも一部を覆っている。そして、第二の導電性部材131xは第二の端子群の少なくとも一部を覆っている。ここで、前記嵌合により、前記第一の端子群の所定の端子が第二の端子群の所定の端子との接続が行われ、当該接続により、当該接続の部分を介しての信号の授受により電磁波が発生した場合を想定する。その場合、前期第一の導電性部材と第二の導電性部材131xとは、当該電磁波の放射を抑え得る。
そのため、被嵌合部材11xは、上記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記A1)
第一の端子群と前記第一の端子群の少なくとも一部を覆う第一の導電性部材とを備える嵌合部材の前記第一の導電性部材との嵌合が行われ得る第二の導電性部材と、
その少なくとも一部が前記第二の導電性部材に覆われ、前記嵌合により前記第一の端子群の所定の端子と電気的に接続され得る端子を備える第二の端子群と、
前記第二の導電性部材とは電気的に接続されておらずグランドと接続されることが想定されたグランド部材との電気的接続が予定された第三の導電性部材と、
を備え、
前記嵌合により、前記第一の導電性部材が前記第三の導電性部材と電気的に接続され得る、
被嵌合部材。
(付記A2)
前記第三の導電性部材が、絶縁材を介して、前記第二の導電性部材に接続されている、付記A1に記載された被嵌合部材。
(付記A3)
前記嵌合により前記嵌合部材の先端部が前記第三の導電性部材に接触する、付記A1又は付記A2に記載された被嵌合部材。
(付記A4)
前記嵌合により、前記嵌合部材の先端が前記披嵌合部材を貫通する、付記A1又は付記A2に記載された被嵌合部材。
(付記A5)
前記嵌合により、前記嵌合部材の側部が前記第三の導電性部材に接触する、付記A1又は付記A2に記載された被嵌合部材。
(付記A6)
前記第一の導電性部材の側面に側面から外方に張り出した部分である出張り部を備え、前記嵌合により前記出張り部が前記第三の導電性部材に接触する、付記A1又は付記A2に記載された被嵌合部材。
(付記A7)
前記第二の導電性部材が可動の導電性部材を備え、前記嵌合により、前記出張り部が前記可動の導電性部材を前記第三の導電性部材に接触させる、付記A6に記載された被嵌合部材。
(付記A8)
前記可動の導電性部材が、弾性部材を介して前記第二の導電性部材に接続された、付記A7に記載された被嵌合部材。
(付記A9)
前記可動の導電性部材が、前記弾性部材の伸縮をともない前記第三の導電性部材に接触する、付記8に記載された被嵌合部材。
(付記A10)
前記嵌合を行った後に前記嵌合を解除した場合に、前記第三の導電性部材が、前記嵌合の前の位置に近い位置に移動する、付記9に記載された被嵌合部材。
(付記A11)
前記グランド部材が基板のグランド層である、付記A1乃至付記A10のうちのいずれか一に記載された被嵌合部材。
(付記A12)
前記披嵌合部材が前記基板に設置された、付記A11に記載された被嵌合部材。
(付記A13)
前記基板に前記グランド層に接続された回路が設置されている、付記A11又は付記A12に記載された被嵌合部材。
(付記A14)
前記基板が筐体に接続された、付記A11乃至付記A13のうちのいずれか一に記載された被嵌合部材。
(付記A15)
前記嵌合が前記筐体に設けられた開口部を通じて行われることが想定された、付記A14に記載された被嵌合部材。
(付記B1)
第二の端子群と、前記第二の端子群の少なくとも一部が覆う第二の導電性部材と、前記第二の導電性部材とは電気的に接続されておらずグランドと接続されることが想定されたグランド部材との電気的接続が予定された第三の導電性部材と、を備える被嵌合部材の前記第二の導電性部材との嵌合が行われ得る第一の導電性部材と、
前記嵌合により前記第二の端子群の所定の端子と接続され得る端子を備える第一の端子群と、
を備え、
前記嵌合により、前記第一の導電性部材が前記第三の導電性部材と電気的に接続され得る、
嵌合部材。
(付記C1)
第一の端子群と、前記第一の端子群の少なくとも一部を覆う第一の導電性部材と、を備える嵌合部材と、
前記第一の端子群の所定の端子と電気的に接続され得る端子を備える第二の端子群と、前記第二の端子群の少なくとも一部を覆い前記第一の導電性部材との嵌合が行われ得る第二の導電性部材と、前記第二の導電性部材とは電気的に接続されておらずグランドと接続されることが想定されたグランド部材との電気的接続が予定された第三の導電性部材と、を備える被嵌合部材と、
を備え、
前記嵌合により、前記第一の導電性部材が前記第三の導電性部材と電気的に接続され得る、
接続構造。