JP6559507B2 - コルゲートフィン型熱交換器コア - Google Patents
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Description
その熱交換器コアの前記偏平チューブの長手方向の両端には一対のタンクが配置され、その各タンクに前記偏平チューブの両端が挿通されており、
そのコルゲートフィンは、フィン幅方向の一端から他端にかけて、各ルーバのルーバ切り起こし角度が単調に漸変(漸減または漸増、以下同じ)し、
その一端におけるルーバ切り起こし角度をθin、他端におけるルーバ切り起こし角度をθoutとし、
前記コルゲートフィンのフィン幅方向の一端から他端までの寸法である、コアのフィン幅方向の厚さをTとし、
前記一対のタンク間の離間距離(一対のタンク間の空間部の高さ)である、コアのチューブ長手方向の高さをHとし、
コアの有効伝熱領域比をξ、実効経路長さ比をηとしたとき、
伝熱向上率R=ξ・ηが、R>1の範囲にある熱交換器コアである。
ここで、有効伝熱領域比ξとは、ルーバ切り起こし角度が一定のコアの場合の伝熱領域に対する、漸変したコアの場合の伝熱領域の比率であり、
ξ=[H/T−{Ln(cosθout)−Ln(cosθin)}/(θin−θout)]/(H/T−tanθin)
である。
また、実効経路長さ比ηとは、ルーバ切り起こし角度が一定のコアの場合の実効経路長さに対する、漸変したコアの場合の実効経路長さの比率であり、
η=2・(P2/P1)−(P2/P1)2
P2/P1=1/2・(cosθin)/(θin−θout)・[Ln{(1+sinθin)/(1−sinθin)}
−Ln{(1+sinθout)/(1−sinθout)}]
である。
この伝熱向上率Rを、R>1となるように構造を設定したことにより、ルーバ切り起こし角度が単調に漸変するコアにおける伝熱性能が総合的に向上する。
この熱交換器コアは、金属製の帯材が平面部と湾曲部とに交互に曲折されて波形に形成され、その平面部の幅方向に並列して多数のルーバが切り起こされたコルゲートフィンを有しており、そのコルゲートフィンの湾曲部に接する偏平チューブとが交互に配置されている。そして、その偏平チューブの長手方向の両端には一対のタンクが配置され、その各タンクに偏平チューブの両端が挿通されて、熱交換器コアを形成している。
本発明の説明においては、図5に示す通り、コルゲートフィンのフィン幅方向の一端から他端までの寸法である、コアのフィン幅方向の厚さ(以下、コアの厚さと表記する)をTとし、また、一対のタンク間の離間距離(一対のタンク間の空間部の高さ)である、コアのチューブ長手方向の高さ(以下、コアの高さと表記する)をHとする。
本発明の一方向ルーバフィンにおいて、ルーバ切り起こし角度が、フィン幅方向の流体入口側から出口側にかけて、概ね線形に漸変(漸減または漸増)している場合を例として説明する。
図1には、ルーバ切り起こし角度(以下、ルーバ角度と表記する)が漸減する場合の断面略図が記載されており、図2には、漸増する場合の断面略図が記載されている。
ここで、コアに対する流体の流入方向を逆にしても流体流路の形状は同じなので、本発明における作用および効果は、ルーバ角度が漸増する場合においても、ルーバ角度が漸減する場合と同様である。よって、以下、ルーバ角度が漸減する場合を例に説明し、ルーバ角度が漸増する場合についての説明は省略する。
図4には、そのルーバ角度の漸減の一例が示されている。図4において、横軸はフィン幅方向の位置(すなわち、コア厚さ方向の位置)Xであり、縦軸はその位置Xにおけるルーバ角度θを示す。この例では、コアのルーバ角度θは、フィン幅方向の流体入口側から出口側にかけて、θin=30°からθout=20°に漸減している。
なお、ルーバ角度が漸減する場合の定義域は、0<θout<θin<90°(π/2 [rad])である。
ルーバ角度が漸減する場合、従来のコアの場合と比べてルーバによる偏向量が減るので、流体(図5の例では空気)がコアを通過する際のコア高さ方向の変位量が小さくなる。
そのため、コアの上部および下部に生じる通風不良領域(図5において網部で示した領域)が減少する。
ここで、コア全体の通風領域から通風不良領域を除いた部分が有効伝熱領域である。この有効伝熱領域の増加がルーバ角度漸減コアのメリットであり、それは、ルーバ角度一定のコアの有効伝熱領域に対するルーバ角度漸減コアの有効伝熱領域の比ξで表される。有効伝熱領域比ξの詳細については後述する。
ルーバ角度が漸減する場合、従来のコアの場合と比べて流体(図5の例では空気)がコアを通過する経路の長さが短くなり、流束が触れるフィンの面積およびルーバの枚数が減少する。
この実効経路長さの減少がルーバ角度漸減コアのデメリットであり、それは、ルーバ角度一定のコアにおける実効経路長さに対するルーバ角度漸減コアにおける実効経路長さの比ηで表される。実効経路長さ比ηの詳細については後述する。
上述のメリットおよびデメリットを考慮した総合的な伝熱向上効果は、有効伝熱領域比ξと実効経路長さ比ηとの積である伝熱向上率R=ξ・ηで表される。
この伝熱向上率Rが1より大きくなるように、ルーバ角度(θin, θout)、コアの厚さ
(T)、およびコアの高さ(H)を設定することにより、伝熱性能が総合的に向上する。設定の詳細については後述する。
有効伝熱領域比ξの導出について、以下説明する。
ルーバの配置は離散的であるが、一般に、コアの厚さTに対してルーバピッチ(隣接するルーバの切り起こし間隔)および、フィンピッチ(コルゲートフィンにおいて隣接するフィン平面部の間隔)は小さいので、連続的に一様に配置されたものとして近似可能であり、フィン幅方向の流体入口側から出口側にかけて、θinからθoutにまで線形に漸減するルーバ角度は、フィン幅方向位置Xにおいて、
θ(X)=θin−(θin−θout)/T・X
と表される。
ルーバ角度一定の場合の流体経路と漸減の場合の流体経路との比較を図6に示す。
フィンの位置Xにおける流体は、ルーバ角度θ(X)に従って図示された曲線のように偏向される。
フィン幅方向の位置Xにおいて、
df(X)/dX = tanθ(X)
= tan{θin−(θout−θin)/T・X}
であり、両辺をXで積分すると、
f(X)= T/(θin−θout)・Ln[cos{θin−(θin−θout)/T・X}]+C
(C:積分定数)
となる。ここで、X=0 のとき f(X)=0 なので、
0=T/(θin−θout)・Ln[cos{θin}]+C
∴ C=−T/(θin−θout)・Ln[cos{θin}]
したがって、
f(X)=T/(θin−θout)・[Ln{cos{θin−(θin−θout)/T・X}}−Ln{cosθin}]
f(T)=T/(θin−θout)・[Ln{cosθout}−Ln{cosθin}]
となる。
通風不良領域の大きさは、図5においてコアの上部および下部に網部で示された領域の面積に比例し、その合計S1およびS2は、
ルーバ角度一定の場合には、
S1=T・(T・tanθin)
=T2・tanθin
ルーバ角度漸減の場合には、
S2=T・f(T)
=T2/(θin−θout)・{Ln(cosθout)−Ln(cosθin)}
となる。
よって、ルーバ角度一定の場合の有効伝熱領域に対する漸減の場合のそれの比(有効伝熱領域比)ξは、次式になる。
ξ(H/T, θin, θout)
=(T・H−S2)/(T・H−S1)
=[H/T−{Ln(cosθout)−Ln(cosθin)}/(θin−θout)]/(H/T−tanθin)
実効経路長さ比ηの導出について、以下説明する。
まず、温度差による伝熱効果を考慮しない幾何学的な経路長さP1およびP2を導出する。
ルーバ角度一定の場合、
P1=T/cosθin
ルーバ角度漸減の場合、
T
P2=∫{1+(df/dX)2}1/2dX
0
T
=∫[1+tan2{θin−(θin−θout)/T・X}]1/2dX
0
=1/2・T/(θin−θout)・[Ln{(1+sinθin)/(1−sinθin)}
−Ln{(1+sinθout)/(1−sinθout)}]
したがって、幾何学的経路長さ比は、
P2/P1=1/2・(cosθin)/(θin−θout)・[Ln{(1+sinθin)/(1−sinθin)}
−Ln{(1+sinθout)/(1−sinθout)}]
となる。
フィン流通流体とチューブ流通流体との温度差は、フィン流通流体の経路長さに従って概ね線形に減少し、コアの出口では十分に小さくなるので、ルーバ角度一定コアの出口における温度差は0として近似して良い。
ルーバ角度一定の場合には、
図7における、底辺ΔTin、高さP2/P1=1の三角形の面積A1に比例し、
A1 ∝ ΔTin・1・1/2=ΔTin/2
となり、
ルーバ角度漸減の場合には、
図7における、下底ΔTin、上底ΔT(P2/P1)、高さP2/P1の台形の面積A2に比例し、
A2 ∝ (ΔTin+ΔT)・P2/P1・1/2={2・(P2/P1)−(P2/P1)2}・ΔTin/2
となる。
ここで、A1およびA2の比例係数は共通なので、実効経路の長さの比(実効経路長さ比)ηは、
η(θin, θout)
=A2/A1
=2・(P2/P1)−(P2/P1)2
となる。
総合的な伝熱向上効果は、上述の、有効伝熱領域比ξ(メリット)と実効経路長さ比η(デメリット)との
積R(H/T, θin, θout)=ξ(H/T, θin, θout)・η(θin, θout)で表され、R>1であれば、伝熱性能が総合的に向上する。
まず、コアの厚さTで規格化された流体経路は図8のようになり、
実効経路長さ比ηは、η(θin,θout)=0.998177となる。
このηの値において、X/Tに対する伝熱向上率Rを図9に示し、R>1となるH/Tの範囲を図10に示した。
白抜き枠内は、R>1.001となる部分であり、斜線枠内は、R>1.002となる部分である。
この場合、H/T<60となるようにコアの厚さTおよびコアの高さHを設定することにより、伝熱向上率R>1となり、伝熱向上効果を得ることができる。
さらに、H/T<35となるようにコアの厚さTおよびコアの高さHを設定することにより、伝熱向上率R>1.001となり、さらなる伝熱向上効果を得ることができる。
さらに、H/T<25となるようにコアの厚さTおよびコアの高さHを設定することにより、伝熱向上率R>1.002となり、よりいっそうの伝熱向上効果を得ることができる。
即ち、H/T=28.125のルーバ角度漸減コアにおいて、伝熱向上率RがR>1となるθinおよびθoutの範囲を図11に示す。
さらに、24°≦θin≦33°にθinを設定することにより、伝熱向上率R>1.001となり、さらなる伝熱向上効果を得ることができる。
さらに、27°≦θin≦30°にθinを設定することにより、伝熱向上率R>1.002となり、よりいっそうの伝熱向上効果を得ることができる。
上述の例では、フィン幅方向の流体入口側から出口側にかけてルーバ角度が漸減する場合について記したが、流体経路は可逆的であり、流体流通方向を逆にした場合、すなわちルーバ角度が漸増する場合においても同様の効果を得ることができる。
Claims (3)
- 金属製の帯材が平面部と湾曲部とに交互に曲折されて波形に形成され、その平面の幅方向に並列して多数のルーバが切り起こされたコルゲートフィンと、その湾曲部に接する偏平チューブとが交互に配置された熱交換器コアにおいて、
その熱交換器コアの前記偏平チューブの長手方向の両端には一対のタンクが配置され、その各タンクに前記偏平チューブの両端が挿通されており、
そのコルゲートフィンは、フィン幅方向の一端から他端にかけて、各ルーバのルーバ切り起こし角度が単調に漸変(漸減または漸増、以下同じ)し、
その一端におけるルーバ切り起こし角度をθin、他端におけるルーバ切り起こし角度をθoutとし、
前記コルゲートフィンのフィン幅方向の一端から他端までの寸法である、コアのフィン幅方向の厚さをTとし、
前記一対のタンク間の離間距離(一対のタンク間の空間部の高さ)である、コアのチューブ長手方向の高さをHとし、
コアの有効伝熱領域比をξ、実効経路長さ比をηとしたとき、
伝熱向上率R=ξ・ηが、R>1の範囲にある熱交換器コア。
ここで、有効伝熱領域比ξとは、ルーバ切り起こし角度が一定のコアの場合の伝熱領域に対する、漸変したコアの場合の伝熱領域の比率であり、
ξ=[H/T−{Ln(cosθout)−Ln(cosθin)}/(θin−θout)]/(H/T−tanθin)
である。
また、実効経路長さ比ηとは、ルーバ切り起こし角度が一定のコアの場合の実効経路長さに対する、漸変したコアの場合の実効経路長さの比率であり、
η=2・(P2/P1)−(P2/P1)2
P2/P1=1/2・(cosθin)/(θin−θout)・[Ln{(1+sinθin)/(1−sinθin)}
−Ln{(1+sinθout)/(1−sinθout)}]
である。 - R>1.001の範囲にある請求項1に記載の熱交換器コア。
- R>1.002の範囲にある請求項1に記載の熱交換器コア。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015171073A JP6559507B2 (ja) | 2015-08-31 | 2015-08-31 | コルゲートフィン型熱交換器コア |
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