JP6557998B2 - トナー用ポリエステル樹脂バインダー、トナー、現像剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂バインダー、トナー、現像剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、トナー用ポリエステル樹脂バインダー、トナー、並びに該トナーを用いた現像剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
従来から、電子写真方式の画像形成装置等において、電気的又は磁気的に形成された潜像は、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と称することもある)によって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーにより現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、紙等の転写材上に定着される。トナー像を転写紙上に定着する定着工程においては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ローラ定着方式や加熱ベルト定着方式といった熱定着方式が広く一般に用いられている。
近年では、画像形成装置の高速化、省エネルギー化に対する市場からの要求は益々大きくなり、低温定着性に優れ、高品位な画像を提供できるトナーが求められている。トナーの低温定着性を達成するためには、トナーの結着樹脂の軟化温度を低くする必要があるが、結着樹脂の軟化温度が低いと、定着時にトナー像の一部が定着部材の表面に付着し、これがコピー用紙上に転移する、いわゆるオフセット(以下、ホットオフセットとも呼ぶ)が発生しやすくなる。また、トナーの耐熱保存性が低下し、特に高温環境下においてトナー粒子同士が融着する、いわゆるブロッキングが発生する。
これらの問題を解決する技術として、トナーの結着樹脂として、ウレタン基やウレア基を有する変性ポリエステル樹脂を使用することが従来より提案されている(特許文献1、2参照)。また、トナーの小粒径化や粒度分布のシャープ化、形状の均一化を行い、高品位な画像を得るために、様々なケミカルトナーが提案されているが、ウレタン基やウレア基を有する変性ポリエステル樹脂を使用した溶解懸濁重合トナーや、ポリエステル伸長トナー等が提案されており、これらは低温定着性に加えて粒状性に優れた高品位な画像を得ることができる(特許文献3、4参照)。さらに、前記のウレタン基やウレア基を有する変性ポリエステル樹脂を使用したトナーの分野において、近年ではガラス転移点(Tg)が0℃以下のような低Tg且つ高分子架橋構造を有するウレタン変性ポリエステルを使用したトナーが提案されており、非常に優れた低温定着性と耐熱保存性を得ることができる(特許文献5参照)。
しかしながら、上述のウレタン基やウレア基を有する結着樹脂を使用したトナーは、負帯電性が低くなりやすい特徴を有している。このため、現像装置の撹拌ストレスによって帯電機能の低下が早く発生し、現像剤の寿命に悪影響を与えていた。特に、前記低Tg且つ高分子架橋構造を有するウレタン変性ポリエステルを使用したトナーは、極めて低温定着性と耐熱保存性に優れていたが、常温での分子運動性が非常に高いポリエステルであるため、帯電量が低く、経時の帯電量低下も大きかった。このため、帯電制御剤などの添加による帯電量の底上げが必要であったが、帯電制御剤はトナー中での存在位置やサイズによっては、現像器へのトナー収支の過程での帯電量分布を大きく変動させたり、環境条件による帯電量変化にも悪影響を与える場合がある。さらに、トナー同士の融着を阻害するために低温定着性が悪化したり、トナーのコストも上昇する。このような観点から、優れた帯電機能を有し、且つ、低温定着性と耐熱保存性に優れたトナーや、トナー用結着樹脂が求められていた。
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、適正且つ高い帯電量水準を有しながら、現像器内における帯電量の変動が少なく、高寿命であり、且つ、低温定着性と耐熱保存性を高いレベルで実現可能なトナーを提供することができるトナー用結着樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、結着樹脂として下記一般式(1)で表される構造を含み、示差走査熱量測定(DSC)による昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移温度が、−60℃以上20℃以下であるトナー用ポリエステル樹脂バインダーを用いたトナーの帯電機能、即ち帯電量、帯電量の経時変動が、従来の技術より優れていることが判明した。
Figure 0006557998
[式中、Xはウレタン結合またはウレア結合を表し、Y1、Y2、Y3、Y4は水素原子、ウレタン結合またはウレア結合を表し(但し、Y1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも1つ以上がウレタン結合またはウレア結合であること)、m、n、o、p、qは0から3の整数である。]
即ち、本発明は、以下のとおりである。
<1> 下記一般式(1)〜(3)で表される構造のうち少なくとも1種の構造を含むことを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂バインダー。
Figure 0006557998
Figure 0006557998
Figure 0006557998
[式中、Xはウレタン結合またはウレア結合を表し、Y1、Y2、Y3、Y4は水素原子、ウレタン結合またはウレア結合を表し(但し、Y1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも1つ以上がウレタン結合またはウレア結合であること)、m、n、o、p、qは0から3の整数である。また、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5は水素原子、ウレア結合またはウレタン結合を表し(但し、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、2つがウレア結合またはウレタン結合であること)、V1、V2、V3、V4、V5は水素原子、ウレア結合またはウレタン結合を表し(但し、V1、V2、V3、V4、V5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがウレア結合またはウレタン結合であること)、W1、W2、W3、W4、W5は水素原子、ウレア結合またはウレタン結合を表し(但し、W1、W2、W3、W4、W5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがウレア結合またはウレタン結合であること)ている。]
本発明によれば、本発明のトナー用ポリエステル樹脂バインダーを用いることにより、適正且つ高い帯電量水準を有しながら、現像器内における帯電量の変動が少なく、高寿命であり、且つ、低温定着性と耐熱保存性を高いレベルで実現可能なトナーを提供することができる。
本発明のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置における現像手段の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置における現像手段の他の例を示す概略図である。 図3の現像手段における現像剤の送り込み部及び受け渡し部を示す概略図である。
<トナー用結着樹脂>
本発明のトナー用ポリエステル樹脂バインダーは、下記一般式(1)〜(3)で表される構造のうち少なくとも1種の構造を含み、本発明のトナーは、前記ポリエステル樹脂バインダーを含有する。前記ポリエステル樹脂バインダー(以下、第1のポリエステル樹脂とも言う)は、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリエステル樹脂バインダーと共に、その他の樹脂を併用していても良い。前記その他の樹脂としては、テトラヒドロフラン(THF)に可溶なポリエステル樹脂(以下第2のポリエステル樹脂とも言う)を使用することが好ましい。
Figure 0006557998
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Figure 0006557998
[式中、Xはウレタン結合またはウレア結合を表し、Y1、Y2、Y3、Y4は水素原子、ウレタン結合またはウレア結合を表し(但し、Y1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも1つ以上がウレタン結合またはウレア結合であること)、m、n、o、p、qは0から3の整数である。また、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5は水素原子、ウレア結合またはウレタン結合を表し(但し、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、2つがウレア結合またはウレタン結合であること)、V1、V2、V3、V4、V5は水素原子、ウレア結合またはウレタン結合を表し(但し、V1、V2、V3、V4、V5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがウレア結合またはウレタン結合であること)、W1、W2、W3、W4、W5は水素原子、ウレア結合またはウレタン結合を表し(但し、W1、W2、W3、W4、W5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがウレア結合またはウレタン結合であること)ている。]
−ポリエステル樹脂バインダー−
前記ポリエステル樹脂バインダーは、ウレタン変性及び/又はウレア変性されたポリエステル樹脂である。前記ウレタン変性されたポリエステル樹脂としては、分子末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂とポリオールとを反応させてなる樹脂が挙げられる。また、前記ウレア変性されたポリエステル樹脂としては、分子末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂とポリアミンとを反応させてなる樹脂が挙げられる。
前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂は、線状であっても非線状であっても良い。前記非線状とは、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかによって付与される分岐構造を有することを意味する。
前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂は、例えば、活性水素基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物などから製造される。前記活性水素基を有するポリエステル樹脂は、例えば、ジオールと、ジカルボン酸と、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかとを重縮合することにより得られる。前記3価以上のアルコール及び前記3価以上のカルボン酸は、前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂に分岐構造を付与する。
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらのジオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物や低級(炭素数1〜3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物を用いても良い。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8以上20以下の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記炭素数8以上20以下の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
これらの中でも、ポリエステル樹脂バインダーのTgを20℃以下に制御する観点から、炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
これらのジカルボン酸は、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、3価以上の脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記3価以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものなどが挙げられる。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物や、低級(炭素数1〜3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物を用いても良い。
前記3価以上の芳香族カルボン酸としては、炭素数9以上20以下の3価以上の芳香族カルボン酸が好ましい。前記炭素数9以上20以下の3価以上の芳香族カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
本発明における前記一般式(1)〜(3)で表される構造は、それぞれ下記一般式(4)〜(6)で表されるイソシアネート化合物に由来する構造であることが好ましい。
Figure 0006557998
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[式中、R1、R2、R3、R4は水素原子またはイソシアネート基を表し(但し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも1つ以上がイソシアネート基であること)、m、n、o、p、qは0から3の整数である。また、S1、S2、S3、S4、S5は水素原子またはイソシアネート基を表し(但し、S1、S2、S3、S4、S5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、2つがイソシアネート基であること)、T1、T2、T3、T4、T5は水素原子またはイソシアネート基を表し(但し、T1、T2、T3、T4、T5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがイソシアネート基であること)、U1、U2、U3、U4、U5は水素原子またはイソシアネート基を表し(但し、U1、U2、U3、U4、U5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがイソシアネート基であること)ている。]
一般式(4)で表される化合物としては、例えば、2,5−または2,6−ジイソシアネートノルボルナンおよびこれらの異性体混合物、2,5−または2,6−ジイソシアネートメチルノルボルナンおよびこれらの異性体混合物等のジイソシアネート化合物;2,5−または2,6−ビス(イソシアネートメチル)−2−イソシアネートプロピルノルボルナンおよびこれらの異性体混合物、2−イソシアネートメチル−3−イソシアネートプロピル−5−イソシアネートエチルノルボルナンまたは2−イソシアネートメチル−3−イソシアネートプロピル−6−イソシアネートエチルノルボルナンおよびこれらの異性体混合物等のトリイソシアネート化合物等が挙げられる。以下に、前記一般式(4)で表されるイソシアネート化合物の具体例の一例を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 0006557998
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一般式(5)で表される化合物としては、例えば、2,4−または2,6−トルエンジイソシアネートおよびこれらの異性体混合物等が挙げられる。以下に、前記一般式(5)で表されるイソシアネート化合物の具体例の一例を示すが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 0006557998
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一般式(6)で表される化合物としては、例えば、2,2’−または2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの異性体混合物等が挙げられる。以下に、前記一般式(6)で表されるイソシアネート化合物の具体例の一例を示すが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
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前記ポリエステル樹脂バインダーは、前記イソシアネート基を有するポリエステル樹脂と水や活性水素基を有する硬化剤との伸長反応により得ることができる。前記ポリエステル樹脂バインダーは、伸長反応させたものをトナー用結着樹脂として用いても良い。また、トナーの製造過程で前記イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(反応前駆体)と水または前記硬化剤と伸長反応させて、前記ポリエステル樹脂バインダーをトナー中に形成させながら導入しても良い。
前記活性水素基を有する硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記活性水素基としては、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、反応速度やウレア結合を形成可能な点で、アミン類が好ましい。ウレア結合が結着樹脂中に適度に存在している場合、機械的耐久性や耐熱保存性に優れた結着樹脂が得られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミン類としては、例えば、ジアミン、3価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のアミンとの混合物が好ましい。
前記ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ジアミン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式ジアミン;エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
前記3価以上のアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ノルボルナントリアミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタンとしては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミン類のアミノ基をブロックしたものとしては、例えば、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらのアミン類の中でも、特にノルボルナン構造を有する脂環式ジアミン及びトリアミン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミンなどのポリアミン化合物が好ましく、本発明の効果がより得られやすい。具体的には、下記一般式(7)〜(9)で表されるものであることがより好ましい。
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[式中、Q1、Q2、Q3、Q4は水素原子またはアミノ基を表し(但し、Q1、Q2、Q3、Q4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも1つ以上がアミノ基であること)、m、r、s、t、uは0から3の整数である。また、N1、N2、N3、N4、N5は水素原子またはアミノ基を表し(但し、N1、N2、N3、N4、N5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、2つがアミノ基であること)、O1、O2、O3、O4、O5は水素原子またはアミノ基を表し(但し、O1、O2、O3、O4、O5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがアミノ基であること)、P1、P2、P3、P4、P5は水素原子またはアミノ基を表し(但し、P1、P2、P3、P4、P5はそれぞれ同じであっても異なっていても良いが、1つがアミノ基であること)ている。]
一般式(7)で表される化合物としては、例えば、2,5−または2,6−ジアミノノルボルナンおよびこれらの異性体混合物、2,5−または2,6−ジアミノメチルノルボルナンおよびこれらの異性体混合物等のジアミン化合物;2,5−または2,6−ビス(アミノメチル)−2−アミノプロピルノルボルナンおよびこれらの異性体混合物、2−アミノメチル−3−アミノプロピル−5−アミノエチルノルボルナンまたは2−アミノメチル−3−アミノプロピル−6−アミノエチルノルボルナンおよびこれらの異性体混合物等のトリアミン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式(8)で表される化合物としては、例えば、2,4−または2,6−トルエンジアミンおよびこれらの異性体混合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式(9)で表される化合物としては、例えば、2,2’−または2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジアミンおよびこれらの異性体混合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステル樹脂バインダーは、樹脂構造中にウレタン結合および/またはウレア結合が存在してなり、結着樹脂およびトナーの機械的耐久性や、耐熱保存性、耐ホットオフセット性などに効果が得られる。特に、ウレア結合はウレタン結合に比べ、少量であっても高い効果が期待できる。一方、樹脂構造中にウレタン結合とウレア結合が多すぎると、低温定着性や定着画像の光沢度が悪化したり、帯電機能が低下するため、適正な量範囲が存在する。具体的には、結着樹脂中におけるウレタン基濃度は、1.5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。また、結着樹脂中におけるウレア基濃度は、0.3質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
ウレア結合を有するポリエステル樹脂は負帯電性が低いことが知られているが、ウレア結合の周囲の構造によって帯電性の水準が異なる。理由は定かではないが、前記一般式(1)〜(3)で表される構造のうち少なくとも1種の構造を有すると、負帯電性の低下を抑制でき、優れた帯電保持性を得ることができる。
本発明におけるトナーおよび結着樹脂中のウレタン基およびウレア基の存在の確認および含有量の定量は、窒素分析装置によって測定されるN元素量と、1H−NMRによって測定されるウレタン基とウレア基の比率から算出して求めることができる。具体的には、特許第5101574号公報に記載の方法を参考にして行った。
前記ポリエステル樹脂バインダーは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定における重量平均分子量が104未満のような低分子量もしくは中分子量の樹脂であっても、104以上の高分子量の樹脂であってもよいが、104以上の高分子量体である方が、耐熱保存性や耐ホットオフセット性に高い効果が得られる。具体的には、前記重量平均分子量は20,000以上10,000,000以下が特に好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂バインダーは、テトラヒドロフラン(THF)溶媒に不溶である程の高分子量体を有していることが好ましく、架橋構造を有していることがより好ましい。前記架橋構造は、前記ポリエステル樹脂バインダーの樹脂構造中に、前述の3価以上のアルコールまたは酸成分を使用することで得ることができる。特に、前記ポリエステル樹脂バインダーのガラス転移温度が20℃以下の場合、常温の環境下でゴム状状態を保持し、樹脂の流動を抑制させるために十分な高分子量体であることが重要である。
本発明における、前記ポリエステル樹脂バインダーがテトラヒドロフラン(THF)に不溶であること、及び後述する第2のポリエステル樹脂がテトラヒドロフラン(THF)に可溶であることの確認は、以下のように行った。
まず、樹脂2gを秤量し、100mLのTHF中に投入し、25℃の環境下にて撹拌子を用いて6時間撹拌した。次いで、目開き0.2μmのメンブランフィルターにて濾過し、得られた濾過物を、120℃、10kPa以下の環境下で乾燥させ、THF不溶分を得た。前記THF不溶分を秤量し、樹脂中のTHF不溶分率(質量%)を算出し、前記THF不溶分率が10%以上であれば、前記樹脂がTHFに不溶であると判断し、10%未満であれば、前記樹脂がTHFに可溶であると判断した。
前記ポリエステル樹脂バインダーの示差走査熱量測定(DSC)による昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移温度は、−60℃以上70℃以下が好ましいが、常温の環境下でゴム弾性を有する樹脂であることが望ましい。従って、前記ポリエステル樹脂バインダーは、テトラヒドロフラン(THF)溶媒に不溶であり、20℃以下の領域にガラス転移温度(Tg)を有し、室温以上の環境下ではゴム状状態を有するような粘弾性挙動を示すものが好ましく用いられる。この場合、前記ガラス転移温度は、−60℃以上20℃以下がより好ましく、−50℃以上10℃以下が更に好ましく、−40℃以上0℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度がこのような範囲の前記ポリエステル樹脂バインダーは、ウレタン結合またはウレア結合の分子間凝集力の効果もあり、常温でのゴム弾性に優れる。
前記ポリエステル樹脂バインダーは常温の環境下でゴム弾性を有していない樹脂であっても問題ないが、その場合の好ましいガラス転移温度は、耐熱保存性や低温定着性の観点から20℃以上70℃以下であり、40℃以上65℃以下が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂バインダーのガラス転移温度を20℃以下に制御する観点から、前述のポリエステル樹脂のジオール成分の中でも、炭素数3以上12以下の脂肪族ジオールが好ましい。また、前記脂肪族ジオールは結晶性を有さない方が更に好ましい。
前記ポリエステル樹脂バインダーのトナー中における含有量は、特に制限は無いが、前記トナーに対して、10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。
本発明における、樹脂の分子量分布や重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100μL注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35mL/分間で測定した。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて計算を行った。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズおよびトルエンを用いた。
以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作製し上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成した。
溶液A:S−7450 2.5mg、S−678 2.5mg、S−46.5 2.5mg、S−2.90 2.5mg、THF 50mL
溶液B:S−3730 2.5mg、S−257 2.5mg、S−19.8 2.5mg、S−0.580 2.5mg、THF 50mL
溶液C:S−1470 2.5mg、S−112 2.5mg、S−6.93 2.5mg、トルエン2.5mg、THF 50mL
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
分子量100,000以上の成分の割合、および分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000、および分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
−その他の結着樹脂−
本発明における結着樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリエステル樹脂バインダーと共に、その他の樹脂を併用していても良い。
前記その他の樹脂としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂など、及び活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂類が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の樹脂としては、本発明におけるトナーのガラス転移温度と、前記トナーの貯蔵弾性率を特に好ましい値に制御する観点から、前記ポリエステル樹脂バインダーと相溶可能な樹脂であることが特に好ましく、ポリエステル樹脂であることが特に好ましい。
前記相溶可能なポリエステル樹脂の示差走査熱量測定(DSC)による昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移温度は、トナーのガラス転移温度の制御上の観点から、30℃以上80℃以下であることが好ましく、40℃以上75℃以下であることがより好ましい。
前記相溶可能なポリエステル樹脂としては、テトラヒドロフラン(THF)に可溶なポリエステル樹脂(第2のポリエステル樹脂)であることが好ましい。
また、前記第2のポリエステル樹脂としては、前記ポリエステル樹脂バインダーとの相溶性を高める観点から未変性ポリエステル樹脂が好ましい。前記未変性ポリエステル樹脂とは、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステルなどの多価カルボン酸又はその誘導体とを用いて得られるポリエステル樹脂であって、イソシアネート化合物などにより変性されていないポリエステル樹脂である。
前記多価アルコールとしては、例えば、ジオールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数1〜10)、エチレングリコール、プロピレングリコール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数1〜10)などが挙げられ、特に、トナーの帯電性や、前記ポリエステル樹脂バインダーとの相溶性を向上させる観点から、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましく用いられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸などが挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸;ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸価、水酸基価を調整する目的で、前記第2のポリエステル樹脂は、その樹脂鎖の末端に3価以上のカルボン酸及び3価以上のアルコールの少なくともいずれかを含んでいてもよい。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、又はそれらの酸無水物などが挙げられる。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
前記第2のポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量が低すぎる場合、トナーの耐熱保存性、帯電性、現像機内での攪拌等のストレスに対する機械的耐久性に劣る場合があり、分子量が高すぎる場合、トナーの溶融時の粘弾性が高くなり低温定着性に劣る場合がある。GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定における重量平均分子量(Mw)は3,000〜30,000であることが好ましく、4,000〜10,000であることがより好ましい。また、数平均分子量(Mn)は1,000〜10,000であることが好ましく、2,000〜7,000であることがより好ましい。また、Mw/Mnは1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜3.5であることがより好ましい。
前記第2のポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mgKOH/g〜50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜30mgKOH/gがより好ましい。1mgKOH/g以上であることにより、トナーが負帯電性となりやすく、更には、紙とトナーの親和性が向上し、定着性が良好となる。50mgKOH/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。
前記第2のポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mgKOH/g以上であることが好ましい。
前記第2のポリエステル樹脂のトナー中における含有量は、特に制限は無いが、前記トナーに対して、40質量%以上80質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下がより好ましい。
本発明におけるトナー用結着樹脂として、前記ポリエステル樹脂バインダーと共に結晶性樹脂が含有されていても良い。
前記結晶性樹脂は、定着温度付近において、融解するものが好ましい。このような結晶性樹脂をトナー中に含有させておくことによって、定着温度では、結晶性樹脂の融解に伴って結着樹脂と相溶化し、トナーのシャープメルト性を向上させ、低温定着性に優れた効果を発揮する。
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結晶性樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上100℃以下であることが好ましい。前記融点が、60℃未満であると、結晶性樹脂が低温で融解が始まりやすいため、トナーの耐熱保存性が低下することがある。100℃を超えると、低温定着性への効果があまり得られない。
<トナー>
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂として前記トナー用ポリエステル樹脂バインダーを含有してなることを特徴とするトナーである。また、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂や着色剤、離型剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などのその他の成分を必要に応じて含有していてもよい。
本発明における結着樹脂として使用される前記ポリエステル樹脂バインダーは、ガラス転移温度が常温以下で、かつ高いゴム弾性を有していても良い。さらには前記ポリエステル樹脂バインダーは架橋構造を有していることが好ましい。また、その際には前記第2のポリエステル樹脂を併用することが好ましい。このような構成にすることで、トナー中において、前記ポリエステル樹脂バインダーの三次元網目構造の中に、前記第2のポリエステル樹脂が相溶化した状態が形成され、優れた低温定着性を発現するとともに、過度の樹脂の流動が抑制され、良好な耐熱保存性と耐ホットオフセット性を得ることができる。また、ガラス転移温度が低いポリエステル樹脂は、電荷保持性が低下し、帯電機能が悪化することがあるが、本発明の前記ポリエステル樹脂バインダーは高い電荷保持性を有する。
−トナーの特性−
本発明のトナーの表面に露出する結着樹脂由来のウレタン基、特にウレア基、アミノ基に由来する窒素元素(N)の量は、負帯電性の観点からできるだけ少ないことが好ましい。
トナー表面の窒素元素量は、X線光電子分光法(以下、XPSとも呼ぶ)を用いて測定することができる。本発明においては、X線光電子分光装置AXIS−Ultra(Kratos社製)を用いて測定を実施した。トナー試料は、アルミ皿内に詰め込み、カーボンシートで試料ホルダに接着させて作製した。測定X線源としてはAlα線(出力105W)を用い、Hybrid測定モードにて、0.9mm×0.6mmの分析領域を測定した。また、相対感度係数としては、Kratos社の相対感度係数を用いた。
表面窒素元素量は、得られた試料のXPSスペクトルにて検出される全元素のスペクトルのピーク面積に対する、N(1s)スペクトルのピーク面積から求められる。N(1s)スペクトルの結合エネルギーは、結合状態にもよるが、通常390〜410eVにて観察される。この内、ウレア結合に由来するピークは399.9eV、ウレタン結合に由来するピークは400.3eV付近に観測される。
本発明におけるトナーの表面窒素元素量は、特に限定されるものではなく、通常は0〜10atm%(原子個数%)であるが、優れた負帯電性を得るためには0〜1.0atm%であることがより好ましく、0〜0.2atm%であることが特に好ましい。0.2atm%以下の表面窒素元素量を得るためには、前記ポリエステル樹脂バインダーのウレタン基やウレア基濃度や、ポリエステル樹脂バインダーの使用量を極端に少なくする必要があるが、その一方で低温定着性や耐ホットオフセット性、耐熱保存性などの品質において、本発明の効果が悪化する傾向にある。このため、必要十分なウレタン基濃度、ウレア基濃度を有するポリエステル樹脂バインダーを用いたとしても、ウレタン基もしくはウレア基がトナーの表面に配向されないようにする手段を講じることが特に重要となる。
ウレタン基もしくはウレア基をトナーの表面に配向させない手段としては、トナーの製造工法や製造条件、ポリエステル樹脂バインダーの組成や特性等で制御が可能である。
前記トナーの製造工法としては、ウレタン基やウレア基の配向性制御のしやすさから、水系媒体中にてトナー粒子を造粒するケミカル工法であることが好ましい。
ポリエステル樹脂バインダーの組成としては、ウレタン基やウレア基の電荷密度が小さくなるような構造を有する組成であることが特に好ましく、ウレタン基やウレア基に電子求引性が高い構造が隣接している組成、例えば、前記一般式(2)および一般式(3)で表される組成構造が挙げられる。これらの組成構造は、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDIなどのイソシアネート化合物を、アミノ基や水酸基を有する化合物と反応させることで得ることができる。
ポリエステル樹脂バインダーの特性としては、ウレタン基やウレア基を有するポリエステル樹脂バインダーと共に、その他の結着樹脂を併用する場合は、それら樹脂の溶解性パラメータの差(Δsp値)が特に重要であり、前記Δsp値は0.2〜0.8、より好ましくは0.2〜0.5である。0.2より小さい場合、ポリエステル樹脂バインダーの組成による制御における感度が小さくなるため、表面窒素元素量を低く抑えられなくなる場合があり、また、0.8より大きい場合は、ウレタン基やウレア基のトナー表面への露出量が大きくなりやすい。
前記溶解性パラメータ(sp値)は、異なる材料同士での溶けやすさを示した数値である。sp値は、互いの分子間の引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Density)の平方根で表される。なお、前記CEDとは、1mLのものを蒸発させるのに要するエネルギー量である。
本発明におけるsp値の計算は、Fedors法により下記式(I)を用いて行うことができる。
溶解性パラメータ(sp値)=(CED値)1/2=(E/V)1/2 式(I)
前記式(I)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm3/mol)であり、原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとしたとき、各々下式(II)、式(III)で表される。
E=ΣΔei 式(II)
V=ΣΔvi 式(III)
具体的な計算方法や、各原子団の蒸発エネルギーΔei及びモル体積Δviの諸データは、「接着の基礎理論」(井本稔著(高分子刊行会発行) 第5章)およびR.F.Fedors,「Polym.Eng.Sci.」14,147(1974)を参照した。
前記Fedors法は、樹脂を構成するモノマーの種類と比率を特定すれば、いかなる樹脂であってもsp値の算出が可能である。例えば、異なる樹脂の複合体であっても、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により分離を行い、その分離した各成分について組成分析すれば良い。具体的には、THF(テトラヒドロフラン)を移動相としたGPC装置を用いて得られる溶出液をフラクションコレクターなどにより分取を行い、溶出曲線の全面積分のうちの所望の分子量部分に相当するフラクションをまとめる。分取された各溶出液は、エバポレーターなどにより濃縮、乾燥を行い、得られた固形分を重クロロホルムや重THFなどの重溶媒に溶解させ、1H−NMR測定を行い、各元素の積分比率から、溶出成分における樹脂の構成モノマー比率を算出することができる。また、他の手法としては、溶出液を濃縮後、水酸化ナトリウムなどにより加水分解を行い、分解生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより定性定量分析することによっても、樹脂の構成モノマー比率を算出することができる。
なお、本発明におけるsp値の算出においては、上記の定性、定量分析により特定されたモノマーの内、最も比率が高いモノマーから順に各々の組成比を加算し、その総和が全体の90モル%に達した時点でのモノマー構成から算出したものである。つまり、残余のモノマーについてはsp値の算出において考慮しないこととした。
以下に、トナーを分析してsp値を算出する具体例を示すが、分析手法は一例であってこの限りではない。
まず、トナー1gを100mLのTHF中に投入し、25℃環境下にて30分間攪拌しながら可溶分が溶解した溶解液を作製し、得られた溶解液は目開き0.2μmのメンブランフィルターにてろ過を行う。次いで、これをGPCに注入し、GPCの溶出液排出口にフラクションコレクターを配置して、所定のカウントごとに溶出液を分取しておき、溶出曲線の溶出開始(曲線の立ち上がり)から面積率で5%毎に溶出液を得る。次いで、各溶出液をエバポレーターにて濃縮し、得られた固形分30mgを1mLの重クロロホルムに溶解させ、更に基準物質として0.05体積%のテトラメチルシラン(TMS)を添加する。得られた溶液を5mm径のNMR測定用ガラス管に充填し、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製JNM−AL400)を用い、23℃〜25℃の温度下、128回の積算を行い、スペクトルを得る。トナーに含まれる結着樹脂等のモノマー組成、及び構成比率は得られたスペクトルのピーク積分比率から求めることができる。
本発明のトナーにおける前記ポリエステル樹脂バインダーはTHFに不溶であることが好ましいことから、前記トナーのTHF不溶分中には前記ポリエステル樹脂バインダーが含まれていることが好ましい。
また、前記トナーのTHF可溶分中には前記第2のポリエステル樹脂が含まれていることが更に好ましい。
前記トナーのTHF不溶分の示差走査熱量測定(DSC)による昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移温度(Tg)は、−60℃以上20℃以下であることが好ましく、−50℃以上10℃以下がより好ましく、−40℃以上0℃以下が特に好ましい。−60℃未満であると、耐熱保存性が悪化し、また、20℃を超えると、低温定着性が悪化する傾向がある。
一方、トナーとしてのガラス転移温度は、30℃以上70℃以下が好ましく、40℃以上65℃以下が特に好ましい。前記ポリエステル樹脂バインダーのガラス転移温度が常温以下であっても、ガラス転移温度が常温以上の前記第2のポリエステル樹脂を併用して用いることで、トナーのガラス転移温度を前述の範囲に制御することが可能である。トナーのガラス転移温度が30℃未満であると、耐熱保存性が悪化し、また、70℃を超えると、低温定着性が悪化する傾向がある。
また、トナーとしての50℃における貯蔵弾性率(G’(50))は、5×106Pa以上であることが好ましく、3×107Pa以上であることが特に好ましい。また、80℃における貯蔵弾性率(G’(80))は、5×103Pa以上2×105Pa以下であることが好ましく、5×103Pa以上5×104Pa以下であることが特に好ましい。トナーの貯蔵弾性率をこの範囲に制御することで、耐熱保存性を担保しつつ優れた低温定着性を発現させることができる。
本発明におけるトナーのTHF不溶分および可溶分を得る手段としては、溶解濾過法や、一般的なソックスレー抽出法を用いて、抽出残渣を得る方法などがあり、いずれの方法でも問題なく利用できる。本発明では以下に記した溶解濾過法を用いてTHF不溶分および可溶分を得た。
まず、トナー1gを秤量し、100mLのTHF中に投入し、25℃の環境下にて撹拌子を用いて6時間撹拌し、トナーの可溶分が溶解した溶解液を得た。次いで、前記溶解液を目開き0.2μmのメンブランフィルターにて濾過し、濾過物を再び50mLのTHF中に投入し、撹拌子を用いて10分間撹拌した。この作業を2、3回繰り返し、得られた濾過物を、120℃、10kPa以下の環境下で乾燥させ、THF不溶分を得た。また、トナーの可溶分が溶解した溶解液を、120℃、10kPa以下の環境下で乾燥させ、THF可溶分を得た。
ソックスレー抽出法を用いる場合は、トナー1部に対してTHF100部にて、6時間以上還流を行い、THF不溶分と可溶分に分取することが望ましい。
なお、前記THF不溶分中に前記ポリエステル樹脂バインダーが含有されていることの確認、および前記THF可溶分中に前記第2のポリエステル樹脂が含有されていることの確認は、従来公知の樹脂構造の同定分析手法を用いることができる。例えば、1H−NMR、13C−NMRなどの各種NMR;熱分解ガスクロマトグラフィー(熱分解GC/MS)などの各種質量分析、赤外分光法(IR)などが挙げられる。
本発明におけるトナー、トナーのTHF不溶分、および樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、Q−200(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。
具体的には、対象試料5.0mgをアルミニウム製サンプルパンに入れ、ホルダーユニットに載せて電気炉中にセットする。リファレンスはアルミナ10mgを用い、試料同様にアルミニウム製サンプルパンに入れて用いた。測定は、窒素雰囲気下にて、−80℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱する(この過程を昇温1回目とする)。次いで、150℃から降温速度10℃/minにて−80℃まで冷却して(降温過程)、再び昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱した(この過程を昇温2回目とする)。この過程の吸発熱変化を測定し、温度と吸発熱量とのグラフを描き、DSC曲線を得ることができる。得られたDSC曲線は、Q−200システム中の解析プログラムを用いて解析を行った。1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、吸熱量のエンタルピー緩和より低い温度におけるDSC曲線のベースラインの延長線と、エンタルピー緩和における最大傾斜を示す接線との交点から、対象試料のガラス転移温度を求めた。また、融点を有する試料においては、1回目の昇温時におけるDSC曲線の吸熱量ピークトップ温度を融点として求めた。
本発明におけるトナー、トナーのTHF不溶分、および樹脂の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。
具体的には、まず、対象試料を直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型する。加圧成型の場合には、ペレット内部に空隙が発生しないように十分に加圧を行う。また、必要に応じて試料を加熱溶融させながら成型した。得られた試料は、装置内にセットされた直径8mmのパラレルプレートに固定し、試料のガラス転移温度以上の温度でパラレルプレートに密着させた後、30℃で安定させた。測定は、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて、30℃から200℃まで昇温速度2.0℃/minで行った。
前記トナーの重量平均粒径(Dv)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、粒状度、鮮鋭性、細線再現性の優れた高品位の画像を得るには、重量平均粒径は3〜10μmが好ましく、4〜7μmがより好ましい。前記重量平均粒径が3μm未満であると、画像の鮮鋭性や細線再現性に優れるが、トナーの流動性や転写性が悪化することがある。また、重量平均粒径(Dv)と個数平均分子量(Dn)との比(Dv/Dn)は、トナーの粒度分布を表し、値が1に近い程、シャープな粒度分布であることを示している。前記Dv/Dnは、鮮鋭性、細線再現性の観点から、1.20以下が好ましく、1.15以下がより好ましい。
ここで、前記トナーの重量平均粒径(Dv)および個数平均分子量(Dn)は、以下のようにして測定することができる。
測定機:コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)
アパーチャー径:100μm
解析ソフト:ベックマン コールター マルチサイザー 3 バージョン3.51(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンIII(ベックマンコールター社製)
分散液:10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)
分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mLと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から重量平均粒径を求める。
−トナーの成分−
本発明のトナーは、結着樹脂以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、離型剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などのその他の成分を必要に応じて含有していてもよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用の着色剤、マゼンダ、シアン、イエロー等のカラー用の着色剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
マゼンタ用着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリp−クロロスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合乃至混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合乃至混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が特に好ましい。前記融点が40℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分間で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分間で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましく、3質量%〜7質量%が特に好ましく。前記含有量が、20質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましい。そのような帯電制御剤としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等);金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、疎水化された金属酸化物微粒子、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、例えば、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。また、前記酸化チタン微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ株式会社製)などが挙げられる。前記疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子を得るためには、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子等の親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。
また、前記外添剤として、シリコーンオイルで、必要ならば熱を加えて無機微粒子を処理したシリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが使用できる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記外添剤の添加量としては、前記トナーに対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記重量平均粒径が3nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。前記重量平均粒径が70nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
前記外添剤としては、前記無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径は、1nm〜100nmが好ましく、中でも、5nm〜70nmの無機微粒子を少なくとも2種含むことがより好ましい。更に、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20m2/g〜500m2/gであることが好ましい。
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。該樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系重合体粒子;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
前記流動性向上剤は、前記トナーの表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても前記トナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
−トナーの製造方法−
本発明におけるトナーは、その製法や材料は条件を満たしていれば公知のものが全て使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、混練粉砕法や水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法がある。特に前記ケミカル工法は、トナーの製造過程で前記反応前駆体と水または前記硬化剤と伸長反応させて、前記ポリエステル樹脂バインダーをトナー中に形成させることによって、容易に原材料をトナー中に均一に分散できるため好ましい。
前記水系媒体中にてトナー粒子を造粒するケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等;樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散乃至乳化させる溶解懸濁法;樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる転相乳化法;これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられ、特には溶解懸濁法が好ましい。
本発明においては、特に、前記結着樹脂を含むトナー組成物を、水系媒体中に分散乃至乳化して前記トナーの母体粒子を造粒する方法が好ましい。また、高いゴム弾性を有するポリエステル樹脂バインダーを、トナー中に均一に配合することが好ましく、この観点から、前記結着樹脂及び前記反応前駆体を含むトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散してなる油相を、水系媒体中に分散乃至乳化して前記トナーの母体粒子を造粒する方法がより好ましい。
水系媒体中への乳化乃至分散に際しては、必要に応じて、界面活性剤や、高分子系保護コロイド等を用いることもできる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤などが挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。前記フルオロアルキル基を有する界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級又は2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、及びこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子乃至その複素環を有するもの等のホモポリマー乃至共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類などが挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
前記トナー組成物を溶解乃至分散させて得られる油相の固形分濃度としては、40質量%〜80質量%が好ましい。濃度が高すぎると、溶解又は分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらく、濃度が低すぎると、トナーの製造量が少なくなる。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
前記水系媒体の前記トナー組成物100質量部に対する使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常50〜2,000質量部であり、100〜1,000質量部が好ましい。前記使用量が50質量部未満では、トナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがある。また、前記使用量が2,000質量部を超えると経済的でない。
前記水系媒体中には、無機分散剤乃至有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させていてもよく、粒度分布がシャープになるとともに分散安定性の観点で好ましい。
前記無機分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
前記有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水系媒体中への乳化乃至分散の方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。これらの中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1,000rpm〜30,000rpmであり、5,000rpm〜20,000rpmが好ましい。分散時の温度としては、通常、0℃〜150℃(加圧下)であり、20℃〜80℃が好ましい。
前記トナー組成物が前記反応前駆体を有する場合、前記反応前駆体が伸長乃至架橋反応するのに必要な前記活性水素基を有する化合物などを、水系媒体中で前記トナー組成物を分散する前に油相中にあらかじめ混合しておいてもよいし、水系媒体中で混合してもよい。
前記有機溶剤を得られた乳化分散体から除去するためには、公知の方法を使用することができ、例えば、常圧又は減圧下で系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
前記水系媒体中で凝集法を用いる場合は、上記の方法で得られた樹脂微粒子分散液、及び必要に応じて、着色剤分散液、離型剤などの分散液を混合し、一緒に凝集させることにより造粒される。樹脂微粒子分散液の種類は、単独でもよいし、二種類以上の樹脂微粒子分散液を加えてもよく、一度に加えてもよいし、何度かに分けて加えてもよい。その他の分散液に関しても同様である。
凝集状態の制御には、熱を加える、金属塩を添加する、pHを調整するなどの方法が好ましく用いられる。
前記金属塩としては特に制限はなく、ナトリウム、カリウム等の塩を構成する一価の金属;カルシウム、マグネシウム等の塩を構成する二価の金属;アルミニウム等の塩を構成する三価の金属などが挙げられる。
前記塩を構成する陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンが挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウムや塩化アルミニウム及びその複合体や多量体が好ましい。
また、凝集の途中や凝集完了後に加熱することで樹脂微粒子同士の融着を促進することができ、トナーの均一性の観点から好ましい。さらに、加熱によりトナーの形状を制御することができ、通常、より加熱すればトナーは球状に近くなっていく。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。
即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返す。これにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いてもよいし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にしてもよい。
<現像剤>
本発明の現像剤は、前記トナーを含んでなり、更に必要に応じて適宜選択した、キャリアなどのその他の成分を含む。
前記現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支、即ち、現像剤へのトナー供給と現像によるトナー消費とが行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
−キャリア−
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する被覆樹脂、無機酸化物微粒子からなる被覆層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(重量平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがある。また、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記被覆樹脂の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン樹脂および/またはグアナミン樹脂とヒドロキシル基を有するアクリル樹脂との縮合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メラミン樹脂および/またはグアナミン樹脂とヒドロキシル基を有するアクリル樹脂との縮合物が特に好ましい。
本発明における前記メラミン樹脂としては、例えば、メラミン(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)とホルムアルデヒド付加物および付加縮合物、これらの化合物のアルコキシアルキル化物などが挙げられる。
アルコキシアルキル化メラミン樹脂としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、ブトキシメチル基等に代表されるアルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも一種以上の基で置換されたメラミン樹脂が挙げられる。
本発明における前記グアナミン樹脂としては、例えば、グアナミン(1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン)、ベンゾグアナミン、アルキルグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物および付加縮合物、これらの化合物のN−アルコキシアルキル化物などが挙げられる。
N−アルコキシアルキル化グアナミン樹脂としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、ブトキシメチル基等に代表されるアルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも一種以上の基で置換されたグアナミン、アルキルグアナミン、ベンゾグアナミン樹脂が挙げられ、特にN−アルコキシアルキル化ベンゾグアナミン樹脂が靱性に優れており好ましく用いられる。
前記メラミン樹脂およびグアナミン樹脂の重合度は2以下のものが好ましく用いられる。重合度が3以上となると、自己縮合やクラスター構造を形成し、樹脂が脆くなる。特に、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミンは、耐久性や層状無機鉱物のキャリア汚染に対し極めて良好な結果を示し、帯電量の環境安定性に関しても優れており好ましい。
前記ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂は、前記メラミン樹脂及びグアナミン樹脂と良好な反応性を示し、前記アクリル樹脂と架橋構造をとることで、柔軟性と高い硬度を併せ持つ樹脂が得られる。
前記アクリル樹脂としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのエチレン及びプロピレン付加物等が挙げられる。また、その他共重合可能な単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、塩化ビニル、プロピレン、エチレン等が挙げられる。
前記被覆層は、被覆層中に無機酸化物微粒子を含有することにより、その皮膜強度を高めることができる。前記無機酸化物微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化クロム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく、これらの中でもアルミナがより好ましい。アルミナは皮膜強度を向上させるだけではなく、抵抗値が高い為、キャリア上に発生した電荷の保持性に優れる。また、前記無機酸化物微粒子は、疎水化処理等の表面処理を実施していても問題ない。
前記無機酸化物微粒子の前記被覆層における含有量は、2〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
前記無機酸化物微粒子の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。
前記被覆層には、必要に応じて導電性微粒子を含有させてもよく、該導電性微粒子としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、アルミナなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。
前記導電性微粒子の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記被覆層の製造方法としては、例えばメラミン樹脂またはグアナミン樹脂を必要に応じて加熱しながら非水溶媒中に溶解する。溶解した溶液に、無機酸化物微粒子を混合し、ホモジナイザー等の分散装置を用いて、均一に分散する。得られた分散液を別途用意したアクリル樹脂の非水溶媒溶液と混合し、同様にホモジナイザーで攪拌し、必要に応じて帯電調整剤、抵抗調整剤などを混合し、得られた被覆液を芯材表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテートなどが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記被覆層の前記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記被覆層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記被覆層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
本発明トナーとの組み合わせにより高画質な画像形成が可能なキャリアとして、キャリア用結着樹脂中に磁性体微粒子を分散させてなる磁性体分散型樹脂キャリアを使用することも好ましい。前記磁性体分散型樹脂キャリアは、キャリアの比重が小さく、磁気ブラシが柔軟になりやすいことから、現像剤を長時間放置させた後の帯電量、もしくは立ち上がりの帯電が高くなる。本発明のトナーは、帯電低下の要因となる含窒素樹脂を含むが、トナーの表面窒素元素量を少なくすることができ、環境変動による帯電低下特性に優れ、特に放置後の帯電特性が安定したトナーとなる。したがって、本発明のトナーと前記キャリアを含む現像剤は厳しい環境での長時間放置後の帯電量が他のキャリアとの組み合わせ以上に良好である。
−−キャリア用結着樹脂−−
以下に本発明を達成するに好適に用いられるキャリア材料につき詳細に説明する。まず、キャリア用結着樹脂について説明する。本発明の磁性体分散型樹脂キャリアに用いられる結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル系モノマーを重合して得られる熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記ビニル系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスチレン、o−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン及び不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ジオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸及びアクリル酸メチル、アルリル酸エチル等のアクリル酸エステル類;マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体;アクロレイン類などが挙げられる。
これらは、1種単独で重合させてもよいし、2種以上併用して重合させてもよい。
また、前記結着樹脂としては、前記ビニル系モノマーから重合して得られる熱可塑性樹脂以外に、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物などを用いることができる。
−−磁性体微粒子−−
前記磁性体微粒子としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、希土類磁性粉末及び異方性フェライト磁石粉末の少なくともいずれか1種であることが好ましい。
前記希土類磁性粉末としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、異方性のSmCo系、SmFeN系、NdFeB系などの希土類−遷移金属系の磁性粉末を用いることができる。また、希土類−遷移金属系磁石合金であれば、例えば、希土類−鉄−窒素系の各種磁石粉末等を使用でき、前記希土類元素としては、Sm、Gd、Tb、及びCeから選択される少なくとも一種、或いは更にPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbから選択される少なくとも一種を含むものが好ましい。
これらの中でも、希土類元素としてSmが含まれるものを用いると、本発明の効果を著しく発揮させることが可能となる。
前記希土類元素は、単独でも混合物としても使用することができるが、その含有量としては、5at.%〜40at.%が好ましく、11at.%〜35at.%がより好ましい。
前記遷移金属としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Fe、Co、Ni、Mnなどが挙げられる。これらの中でも、Feが好ましく、Feを50at.%〜90at.%含有するものが特に好ましい。また、更に磁気特性を損なうことなく磁石の温度特性を改善する目的で、Feの一部をCoで置換してもよい。
また、保磁力の向上、生産性の向上及び低コスト化のために、Mn、Ca、Cr、Nb、Mo、Sb、Ge、Zr、V、Si、Al、Ta、Cuなどから選ばれた一種以上を添加してもよい。この場合の添加量としては、遷移金属全重量に対して7質量%以下が好ましい。
また、不可避的不純物として炭素、ホウ素などが5質量%以下含有されていてもよい。
前記希土類−遷移金属系磁石には、フェライト、アルニコなど通常、ボンド磁石の原料となる各種の磁石粉末を混合してもよく、該磁石粉末の異方性磁場(HA)としては、50kOe(4.0MA/m)以上が好ましい。
前記磁性体微粒子の平均粒径としては、0.5μm〜8μmが好ましく、1μm〜3μmがより好ましい。前記平均粒径が、0.5μm未満であると、加工性、特に樹脂への分散性が悪化しやすく、8μmを超えると、磁性体分散粉体内で分布にバラつきが生じやすくなり、その結果、粉体個々の磁化の強さにもバラつきが生じやすい。
前記磁性体分散型樹脂キャリアに用いられる磁性体は強磁場を印加する事により磁場配向し、異方性を持つ磁性体、例えばSm2Fe173、SmCo5、Sm2Co12などのサマリウム化合物を代表とするを強磁性体を用いることが好ましい。
樹脂中に分散された前記磁性体の磁場方向が全て揃うことにより粉体個々に磁場異方性が発生する。
磁場方向を同一方向に配向させるには、所定の粒度分布及び形状に作製された磁性体分散樹脂粉体に、1T(テスラ)以上の磁束密度で磁場を1分以上付与することで作製可能となる。
結着樹脂と磁性体の混合比率は質量比で、65:35から85:15が好ましい。電子写真用二成分現像剤キャリアとして用いた場合、65:35より小さいと比抵抗値が小さくなりすぎることがあり、85:15より大きいと磁性体量が不十分で磁化の強さが不足することがあるため、現像領域でキャリア付着が顕著に発生する傾向にある。
前記磁性体の粉体の比抵抗は108〜1013Ω・cmの範囲が好ましい。108Ω・cm未満では、バイアス電圧を印加する現像方法では現像領域においてスリーブから感光体表面へと電流がリークしやすく、良好な画像が得られにくくなる。また、1013Ω・cmを越えると、低湿の如き条件下でチャージアップ現象を引き起こしやすく、濃度薄、転写不良、カブリ等の画像劣化の原因となりやすい。
キャリアの比抵抗は前記磁性体の混合比や分散状態により変化する。また、抵抗を調整する為にカーボンブラックや酸化チタンなどの導電性微粒子を結着樹脂に混練分散することも可能である。
前記異方性磁性体分散型樹脂キャリアの円形度は、0.85以上0.94以下が好ましい。強磁性粉体である為円形度が0.94より大きいと自己凝集がほどけにくくなり、0.85より小さいと流動性の低下、粉体の破損が発生しやすくなる。
前記円形度はボールミルやジェットミルなどの粉砕機を用い所定の粒径まで粉砕する手段を用いて粒子化することにより容易に作製可能である。
前記異方性磁性体分散型樹脂キヤリア粒子の平均粒径は10〜100μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは30〜80μmである。10μmより小さいと、自己凝集が解け難かったり感光体へのキヤリア付着が生じ易くなったりし、100μmを越えると現像極における磁気ブラシが粗になり高画質な画像が得られにくい。
前記磁性体分散型樹脂キャリアは、結着樹脂に磁性体微粒子を溶融混練する工程、該混練物を所定の粒子径に粉砕・分級する工程、粉砕・分級された磁性体分散樹脂紛体に結着樹脂のガラス転移点以下の温度で1T(テスラ)以上10T以下で磁場を1分以上付与する工程を経て製造される。
樹脂に磁性体微粒子を溶融混練する工程とは、例えば2本オープンロール混練機や2軸混練押し出し機などで樹脂と磁性体とを溶融混練する工程であり、溶融混練温度は樹脂の軟化点温度Tm+10℃以下が好ましい。
該混練物を所定の粒子径に粉砕・分級する工程とは、前記溶融混練工程で得られた混練物を樹脂のガラス転移点以下冷却したのち、粗粉砕後にボールミルやジェットミルなどの粉砕機を用い所定の粒径まで粉砕し、微紛及び粗紛を狙いの粒度まで篩やエルボジェット分級機、サイクロン分級機などを用いて分級する工程である。
前記工程を経て作製された磁性体分散粉体を非磁性体の容器内に封入した後、1T以上の均一平行磁場をたとえば強磁場発生装置(住友重機械工業社など)にてガラス転移点以下の温度下で1分以上付与する工程を経ると、樹脂内に分散された磁性体は磁気異方性が付与される。
本発明のキャリアの嵩密度は、3.0g/cm3以下が好ましい。好ましくは2.0g/cm3以下が良い。3.0g/cm3を超えると現像剤中のシェアが大きくなりトナーによるスペント化、あるいは樹脂被覆層の剥がれを生じやすくなる。なお、キャリアの嵩密度の測定は、JIS K5101に記載の方法に準じて行う。
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90質量%〜98質量%が好ましく、93質量%〜97質量%がより好ましい。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤が、本発明の現像剤である。
更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。また、前記現像手段は、内部に固定された磁界発生手段を有し、本発明の現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有していることが好ましい。
−静電潜像担持体−
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。
−帯電手段−
前記帯電手段は、前記静電潜像担持体表面を帯電させる手段である。
前記帯電手段としては、前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)静電潜像担持体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)静電潜像担持体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
−露光手段−
前記露光手段は、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する手段である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系などの各種露光器が挙げられる。また、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像手段−
前記現像手段は、静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記現像剤が本発明の現像剤であることを必要とする。
前記現像手段は、例えば、前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、前記現像剤を収容し、前記静電潜像に前記トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置等が好適に挙げられる。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
また、現像装置としては、縦攪拌型の現像装置を好ましく用いることができる。本発明における縦攪拌型の現像装置とは、静電潜像を担持する像担持体と対向配置され、磁界発生手段を内包する現像剤担持体と、該現像剤担持体の下方に位置し、現像剤を当該現像剤担持体に供給しながらその回転軸線方向に沿って搬送する第1搬送部材を備えた現像搬送室と、前記現像剤担持体の下方に対向するように配設され、前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、前記像担持体と対向位置を過ぎた位置で、前記現像剤担持体上から離脱した現像剤を回収し、前記現像剤担持体の回転軸線方向に沿って前記第1搬送部材と逆方向に搬送する第2搬送部材を備えた撹拌搬送室とを有し、前記現像搬送室と前記撹拌搬送室とが隔壁で仕切られているとともに、前記撹拌搬送室が前記現像搬送室より上方に配置されており、前記撹拌搬送室の現像剤搬送方向下流側に前記現像搬送室へ現像剤を送り込む送り込み部が設けられ、前記現像搬送室の送り込み部よりも現像剤搬送方向上流側に前記撹拌搬送室へ現像剤を受け渡す受け渡し部が設けられている現像装置とする。前記現像剤が、本発明の現像剤である。
縦攪拌型の現像装置では、現像に一度使用された現像剤は上部の撹拌搬送室に回収されるため、現像に一度使用された現像剤が再びスリーブに供給されることが無く、スリーブ上のトナー濃度が安定する。また、現像剤が上下に搬送される機構により、トナーが現像剤と混合されずにスリーブに供給されるいわゆる「上すべり」が発生しにくい。従来の課題であった攪拌不十分な弱帯電トナーが現像ローラに供給されて発生するトナー飛散、地汚れの問題が特に起こりにくい。
また、前記現像装置は上下に搬送される機構のため攪拌ストレスが高く、トナー固着などの課題が発生していたが、本発明のトナーは表面に窒素原子が出ていないことによりストレス性に強く、前記課題が起こりにくい。
また、縦撹拌型の現像装置は、現像搬送室と撹拌搬送室とが鉛直方向上下に配置されているため、その水平方向の占有スペースが小さくて済み、例えば複数の現像装置を水平方向に並列搭載するタンデム方式等のカラー画像形成装置において装置の小型化に寄与する等の利点が得られる。
−転写手段−
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段である。
前記転写手段としては、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別される。いずれの転写手段でも特に制限されるものではなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができる。
−定着手段−
前記定着手段は、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段である。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
前記定着手段としては、(1)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(内部加熱方式)と、(2)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(外部加熱方式)とに大別される。なお、両者を組み合わせたものを用いることも可能である。
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものなどが挙げられる。このような加熱手段としては、例えば、ヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
前記(2)の外部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される態様が好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好ましい。前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好適に挙げられる。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルト等)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
<プロセスカートリッジ>
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有する。
前記現像手段は、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記現像剤が本発明の現像剤であることを必要とする。
前記現像手段としては、前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させる前記現像剤層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。前記現像手段は、前記二成分現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された二成分現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有することが好ましい。具体的には、上記画像形成装置で説明した現像手段のいずれかを好適に用いることができる。
また、前記帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段としては、上述した画像形成装置と同様なものを適宜選択して用いることができる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
以下の製造例1〜21では、イソシアネート化合物により変性されたポリエステル樹脂をポリエステル樹脂(A)とし、変性されていないポリエステル樹脂をポリエステル樹脂(B)とした。
製造例1〜7および13〜18で得られるポリエステル樹脂(A1)〜反応前躯体(a6)およびポリエステル樹脂(A11)〜反応前駆体(a16)が本発明のトナー用ポリエステル樹脂バインダーとなる。
(製造例1)
<ポリエステル樹脂(A)[ポリエステル樹脂(A1)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、アジピン酸9質量部、イソフタル酸56質量部、無水トリメリット酸1.5質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物121質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物33質量部、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチル0.4質量部を入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に8時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら1時間反応させた。その後、5mmHg〜15mmHgの減圧下にて3時間反応させ、重量平均分子量が3,200の[中間体ポリエステル1]を得た。
次いで、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル1]と、2,5−および2,6−ジイソシアネートメチルノルボルナンの異性体混合物(NBDI)を、NBDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、0.66となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温し、5時間反応させた。得られた反応溶液は、酢酸エチル量が100ppm以下となるまで、50℃環境にて減圧乾燥し、ウレタン変性された[ポリエステル樹脂(A1)]を得た。
得られた樹脂は、特性値としてガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例2)
<ポリエステル樹脂(A)[ポリエステル樹脂(A2)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル1]と、2−イソシアネートメチル−3−イソシアネートプロピル−5−イソシアネートエチルノルボルナンおよび2−イソシアネートメチル−3−イソシアネートプロピル−6−イソシアネートエチルノルボルナンの異性体混合物(NBTI−1)を、NBTI−1のイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、0.52となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例1と同様にして、ウレタン変性された[ポリエステル樹脂(A2)]を得た。
得られた樹脂は、特性値としてガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例3)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a3)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル1]と、2,5−および2,6−ジイソシアネートメチルノルボルナンの異性体混合物(NBDI)を、NBDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温し、NCO%が0.85%となるまで反応させ、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a3)]の酢酸エチル溶液を得た。
なお、前記NCO%は、三角フラスコに得られた反応前駆体の酢酸エチル溶液2.0gを入れ、0.1Mに調整されたジブチルアミンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を15mL加えて十分に撹拌し、次いでTHF85mL、ブロモフェノールブルー液を滴下し、0.1Mに調整された塩酸のメタノール溶液にて滴定を行って算出した。
[反応前駆体(a3)]は、以下の実施例ではトナー作製時にアミンと反応し、アミン伸張物となる。得られたトナーから[反応前駆体(a3)]のアミン伸張物を取り出して物性を測定することは困難である。そこで、トナー作製時に[反応前駆体(a3)]のアミン伸張物が作製される条件と同様の条件で、以下のように[反応前駆体(a3)]のアミン伸張物を作製し、得られた[反応前駆体(a3)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
[反応前駆体(a3)]は、まず[反応前駆体(a3)]が20%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて調整し、撹拌しながらイソホロンジアミン(IPDA)の20%酢酸エチル溶液を、[反応前駆体(a3)]のイソシアネート基とIPDAのアミノ基のモル比(NH2/NCO)が1.1となる量を滴下し、十分に撹拌した。得られたアミン伸長物の酢酸エチル溶液を、テフロン(登録商標)シャーレ上にキャストし、80℃の環境下で10時間乾燥し、更に120℃、10kPa以下の環境下で減圧乾燥し、十分に溶媒を除去し、[反応前駆体(a3)]のアミン伸長物を得た。
尚、前記反応前駆体のアミン伸張物の作製、及び以下の実施例においては、反応前駆体は基本的に完全にジアミンと反応するような条件となっている。前記[反応前駆体(a3)]のアミン伸張物の作製におけるイソシアネート基とIPDのアミノ基のモル比は1.1であり、実施例5においては0.98であるのは、トナー製造時は油滴中に水相の水が僅かに入り込むため、一部のイソシアネートが潰れてアミンとなりアミン過剰となるためで、その分を考慮して実施例5では0.98に設定している。
(製造例4)
<ポリエステル樹脂(A)[ポリエステル樹脂(A3)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[反応前駆体(a3)]の酢酸エチル溶液を入れ、20%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて調整し、窒素気流下にて撹拌しながらイソホロンジアミン(IPDA)の20%酢酸エチル溶液を、[反応前駆体(a3)]のイソシアネート基とIPDAのアミノ基のモル比(NH2/NCO)が1.1となる量を滴下し、40℃の環境下で3時間撹拌した。次いで、得られた反応溶液は、酢酸エチル量が100ppm以下となるまで、50℃環境にて減圧乾燥し、ウレタン変性およびウレア変性された[ポリエステル樹脂(A3)]を得た。
得られた樹脂は、特性値としてガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例5)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a4)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル1]と、2−イソシアネートメチル−3−イソシアネートプロピル−5−イソシアネートエチルノルボルナンおよび2−イソシアネートメチル−3−イソシアネートプロピル−6−イソシアネートエチルノルボルナンの異性体混合物(NBTI−1)を、NBTI−1のイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、1.5となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温し、NCO%が1.6%となるまで反応させ、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a4)]の酢酸エチル溶液を得た。前記NCO%は、製造例3と同様にして算出した。
[反応前駆体(a4)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a4)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例6)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a5)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル1]と、2,5−および2,6−ビス(イソシアネートメチル)−2−イソシアネートプロピルノルボルナンの異性体混合物(NBTI−2)を、NBTI−2のイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、1.5となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温し、NCO%が1.6%となるまで反応させ、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a5)]の酢酸エチル溶液を得た。前記NCO%は、製造例3と同様にして算出した。
[反応前駆体(a5)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a5)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例7)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a6)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、アジピン酸26質量部、テレフタル酸37質量部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール47質量部、トリメチロールプロパン1.1質量部、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチル0.2質量部を入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に8時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら3時間反応させた。その後、5mmHg〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、重量平均分子量が12,500の[中間体ポリエステル6]を得た。
次いで、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル6]と、2,5−および2,6−ジイソシアネートメチルノルボルナンの異性体混合物(NBDI)を、NBDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル6]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温し、NCO%が0.85%となるまで反応させ、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a6)]の酢酸エチル溶液を得た。前記NCO%は、製造例3と同様にして算出した。
[反応前駆体(a6)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a6)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例8)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a7)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル6]と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を、IPDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル6]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例7と同様にして、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a7)]の酢酸エチル溶液を得た。
[反応前駆体(a7)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a7)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例9)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a8)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル6]と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を、HDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル6]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例7と同様にして、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a8)]の酢酸エチル溶液を得た。
[反応前駆体(a8)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a8)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例10)
<ポリエステル樹脂(A)[ポリエステル樹脂(A9)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル1]と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を、IPDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、0.66となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例1と同様にして、ウレタン変性された[ポリエステル樹脂(A9)]を得た。
得られた樹脂は、特性値としてガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例11)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a10)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル1]と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を、IPDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例3と同様にして、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a10)]の酢酸エチル溶液を得た。
[反応前駆体(a10)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a10)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例12)
<ポリエステル樹脂(A)[ポリエステル樹脂(A10)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[反応前駆体(a10)]の酢酸エチル溶液を入れ、20%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて調整し、窒素気流下にて撹拌しながらイソホロンジアミン(IPDA)の20%酢酸エチル溶液を、[反応前駆体(a10)]のイソシアネート基とIPDAのアミノ基のモル比(NH2/NCO)が1.1となる量を滴下し、40℃の環境下で3時間撹拌した。次いで、得られた反応溶液は、酢酸エチル量が100ppm以下となるまで、50℃環境にて減圧乾燥し、ウレタン変性およびウレア変性された[ポリエステル樹脂(A10)]を得た。
得られた樹脂は、特性値としてガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例13)
<ポリエステル樹脂(A)[ポリエステル樹脂(A11)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル1]と、2,2’−、2,4’−、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物(MDI)を、MDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、0.52となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例1と同様にして、ウレタン変性された[ポリエステル樹脂(A11)]を得た。
得られた樹脂は、特性値としてガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例14)
<ポリエステル樹脂(A)[ポリエステル樹脂(A12)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル1]と、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)を、TDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、0.52となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例1と同様にして、ウレタン変性された[ポリエステル樹脂(A12)]を得た。
得られた樹脂は、特性値としてガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例15)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a13)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル6]と、2,2’−、2,4’−、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物(MDI)を、MDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル6]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例7と同様にして、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a13)]の酢酸エチル溶液を得た。
[反応前駆体(a13)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a13)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例16)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a14)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル6]と、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)を、TDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル6]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例7と同様にして、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a14)]の酢酸エチル溶液を得た。
[反応前駆体(a14)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a14)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例17)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a15)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、アジピン酸12質量部、1,10−ドデカン二酸74質量部、無水トリメリット酸1.5部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール47質量部、トリメチロールプロパン1.1質量部、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチル0.3質量部を入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に8時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら3時間反応させた。その後、5mmHg〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、重量平均分子量が13,000の[中間体ポリエステル15]を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル15]と、2,5−および2,6−ジイソシアネートメチルノルボルナンの異性体混合物(NBDI)を、NBDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル15]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例3と同様にして、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a15)]の酢酸エチル溶液を得た。
[反応前駆体(a15)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a15)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
(製造例18)
<ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体[反応前駆体(a16)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、イソフタル酸66質量部、無水トリメリット酸1.5部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール47質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物25質量部、トリメチロールプロパン1.1質量部、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチル0.3質量部を入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に8時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら3時間反応させた。その後、5mmHg〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、重量平均分子量が12,200の[中間体ポリエステル16]を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、前記[中間体ポリエステル16]と、2,5−および2,6−ジイソシアネートメチルノルボルナンの異性体混合物(NBDI)を、NBDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル16]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.1となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解したこと以外は、製造例3と同様にして、ポリエステル樹脂(A)の反応前駆体である[反応前駆体(a16)]の酢酸エチル溶液を得た。
[反応前駆体(a16)]のアミン伸長物を、製造例3と同様にして得た。
得られた[反応前駆体(a16)]のアミン伸長物のガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性の測定を行った。結果を表1に示した。
Figure 0006557998
(製造例19)
<ポリエステル樹脂(B)[ポリエステル樹脂(B1)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、アジピン酸12質量部、イソフタル酸53質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物129質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物25質量部、縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.4質量部を入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃でまで昇温し、更に8時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、5mmHg〜15mmHgの減圧下にて1時間反応させ、180℃まで冷却させた後、無水トリメリット酸1.5質量部、テトラブトキシチタネート0.1質量部を入れ、常圧にて180℃で1時間反応させた後、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて3時間反応させ、[ポリエステル樹脂(B1)]を得た。
得られた樹脂の特性値として、ガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性を測定し、結果を表2に示した。
(製造例20)
<ポリエステル樹脂(B)[ポリエステル樹脂(B2)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、アジピン酸3質量部、テレフタル酸63質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物61質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物99質量部、縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.4質量部を入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃でまで昇温し、更に8時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、5mmHg〜15mmHgの減圧下にて1時間反応させ、180℃まで冷却させた後、無水トリメリット酸1.5質量部、テトラブトキシチタネート0.1質量部を入れ、常圧にて180℃で1時間反応させた後、更に5mmHg〜20mmHgの減圧下にて3時間反応させ、[ポリエステル樹脂(B2)]を得た。
得られた樹脂の特性値として、ガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性を測定し、結果を表2に示した。
(製造例21)
<ポリエステル樹脂(B)[ポリエステル樹脂(B3)]の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、アジピン酸9質量部、イソフタル酸56質量部、無水トリメリット酸1.5質量部、2,5−ノルボルナンジオール6質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物121質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物33質量部、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチル0.4質量部を入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に8時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら1時間反応させた。その後、5mmHg〜15mmHgの減圧下にて3時間反応させ、[ポリエステル樹脂(B3)]を得た。
得られた樹脂の特性値として、ガラス転移温度、重量平均分子量、THF溶解性を測定し、結果を表2に示した。
Figure 0006557998
(製造例22)
<着色剤マスターバッチ(P1)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]100質量部、シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)100質量部、及びイオン交換水50質量部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス/三井鉱山(株)製)にて混練を行った。混練温度は80℃で行い、その後、120℃まで昇温し、水を除去し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P1)]を得た。
(製造例23)
<着色剤マスターバッチ(P2)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A2)]を使用したこと以外は、製造例22と同様にして、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P2)]を得た。
(製造例24)
<着色剤マスターバッチ(P3)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B1)]を使用したこと以外は、製造例22と同様にして、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P3)]を得た。
(製造例25)
<着色剤マスターバッチ(P4)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を使用したこと以外は、製造例22と同様にして、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P4)]を得た。
(製造例26)
<着色剤マスターバッチ(P5)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A9)]を使用したこと以外は、製造例22と同様にして、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P5)]を得た。
(製造例27)
<着色剤マスターバッチ(P6)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B3)]を使用したこと以外は、製造例22と同様にして、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P6)]を得た。
(製造例28)
<着色剤マスターバッチ(P7)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A11)]を使用したこと以外は、製造例22と同様にして、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P7)]を得た。
(製造例29)
<着色剤マスターバッチ(P8)の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A12)]を使用したこと以外は、製造例22と同様にして、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチ(P8)]を得た。
Figure 0006557998
(製造例30)
<ワックス分散液の製造>
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製)20質量部、及び酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒間、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、酢酸エチルを加えて固形分濃度を調整し、固形分濃度20%の[ワックス分散液]を作製した。
(製造例31)
<粒径制御剤[樹脂微粒子エマルション]の製造>
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌した後、75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間加熱し、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルナトリウム塩の共重合体からなる粒径制御剤[樹脂微粒子エマルション]を得た。[樹脂微粒子エマルション]をLA−920で測定した体積平均粒径は、50nmであった。
(製造例32)
<キャリア1の製造>
芯材として、Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm)5,000質量部、並びに、被覆材として、トルエン300質量部、ブチルセロソルブ300質量部、アクリル樹脂溶液(組成比 メタクリル酸:メタクリル酸メチル:2−ヒドロキシエチルアクリレート=5:9:3、固形分50質量%トルエン溶液、Tg38℃)60質量部、N−テトラメトキシメチルベンゾグアナミン樹脂溶液(重合度1.5、固形分77質量%トルエン溶液)15質量部及びアルミナ粒子(平均一次粒子径0.30μm)15質量部をスターラーで10分間分散して調製されたコート液を用いて、前記芯材とこのコート液と流動床内において回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で220℃、2時間の条件で焼成し、[キャリア1]を得た。
(製造例33)
<キャリア2の製造>
[磁性体分散樹脂の作製]
スチレン-アクリル酸ブチル共重合体(Tg62℃ 分子量Mw15.6万)
70質量部
SmFeN(住友金属 平均粒径1μm) 30質量部
を十分混合した後、該混合物をオープンロール混練機(ニーデックス 日本コークス工業社製)でフロントロール供給側140℃、排出側50℃、バックロール供給側100℃、排出側40℃、フロントロール回転数35rpm、バックロール回転数31rpm、ギャップ0.25mmにて2回通しで混練し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、磁性体分散樹脂を得た。
[磁性体分散型樹脂粉体の作製]
前記磁性体分散樹脂をボールミル粉砕機にて、回転数46Rev/min、ボール充填量1.5L、ボールサイズ500μm、3.8Kg、にて60時間粉砕した後、エルボジェット分級機にて分級し、平均粒径36μmの磁性体分散型樹脂粉体を得た。
[異方性磁性体分散型樹脂粉体の作製]
さらに得られた磁性体分散型樹脂粉体を直径30mmのガラス製筒状容器に入れ、住友重機械工業社製の高磁場印加装置にて8Tの磁場を5分間付与し、異方性磁性体分散型樹脂粉体(平均粒径B:36μm−8T)からなる[キャリア2]を得た。
画像形成装置
画像形成装置A及びCで使用する複写装置本体の構造は特に制限されないが、一例として図1に示した複写装置本体150を例として挙げる。現像装置の位置は複写装置本体を適宣改造し、組み込むことができる。
複写装置本体150には無端ベルト状の中間転写体50、中間転写体クリーニング手段17、現像装置近傍には露光手段21が配置されている。中間転写体50における、現像装置が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着手段25が配置されている。
(画像形成装置A)
以下に、本発明におけるトナーの性能評価に使用した画像形成装置Aに使用される現像装置について詳細に説明する。装置本体は図1に示すものである。
図2に示すように、ドラム状の静電潜像担持体(以下像担持体とも称す)40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、クリーニング装置63、除電装置64などを備えてなる。像担持体40は、図示例ではドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
作像手段18を構成する部分のうち、帯電装置60は、図示例ではローラ状につくり、像担持体40に接触して電圧を印加することによりその像担持体40の帯電を行う。現像装置61は、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に付着する攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを像担持体40に転移する現像部67とで構成し、その現像部67より攪拌部66を低い位置とする。
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設ける。2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切る。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を取り付ける。
一方、現像部67には、現像ケース70の開口を通して像担持体40と対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設ける。
2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持し、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りする。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
他方、現像スリーブ65上の現像剤は、像担持体40に転移してその像担持体40上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナー補給する。
以下に、本発明におけるトナーの性能評価に使用した画像形成装置Cについて詳細に説明する。
(画像形成装置C)
画像形成装置Cの装置本体は、図1の複写装置本体150の現像装置周りの機構を現像装置20が組み込める形に適宣改造したものを使用した。
現像装置20は、縦攪拌型の現像装置であり、図3に示すように、トナーとキャリアを均一混合した現像剤が一定量充填された現像ケース21と、この現像ケース21に回転自在に支持され、かつ該現像ケース21に形成された開口を通して静電潜像担持体2に近接して対向配置された現像剤担持体としての現像ローラ22とを有し、該現像ローラ22は図3の反時計方向に回転する現像スリーブ23と、該スリーブ内に固定されP1極〜P5極の5つの磁極が形成された磁気ロール24とを備えている。図3には5つの磁極P1極〜P5極の磁力がピークになる位置を示している。現像ローラ22の下部側には、現像ケース21に支持された現像剤規制部材としてのドクタブレード25が近接配置され、該ドクタブレード25によって現像ローラ22上の現像剤量が規制される。現像装置20には、現像ローラ22に対向して、その斜め下方の現像搬送室26と、ほぼ水平で現像搬送室26より上方の撹拌搬送室27とが設けられている。現像搬送室26内には現像剤第1搬送部材としての第1搬送スクリュ28が、撹拌搬送室27内には現像剤第2搬送部材としての第2搬送スクリュ29がそれぞれ配置されている。第1及び第2搬送スクリュ28,29は、その軸線が現像ローラ22の軸線と平行で、かつ、第1搬送スクリュ28は軸線方向において現像ローラ22の全長に亘って隣接しており、第1搬送スクリュ28の軸線方向の長さは現像ローラ22の長さと同等かそれよりも多少長い長さに設定されている。同じく、軸線方向において現像ローラ22の全長に亘って隣接する第2搬送スクリュ29も第1搬送スクリュ28と同じ長さでもよいが、本実施形態は第2搬送スクリュ29の長さが第1搬送スクリュ28の長さより長く設定されている。そして、第1及び第2搬送スクリュ28,29は600〜800rpmで回転させることによって現像剤を撹拌しつつ搬送し、トナーとキャリアの均一混合と帯電付与を行っている。
第2搬送スクリュ29によって撹拌されつつ搬送されることで、トナー濃度が均一となった撹拌搬送室27の現像剤は、図4に示すように、その搬送方向下流側に設けられた送り込み部33から現像搬送室26に送り込まれる。この送り込み部33では撹拌搬送室27が現像搬送室26より上方にあるので、現像剤送り込みは自重落下によって行われる。なお、受け渡し部31及び送り込み部33の位置は現像ローラ22の左端と右端をそれぞれ越えた位置に設けられている。現像剤が搬送される現像装置20は、現像剤中のトナー濃度を検知してトナー消費で濃度が低下したことを検知すると新しいトナーをトナー補給口30から補給する。
(品質評価)
以下に、本発明におけるトナーおよび現像剤の品質評価の方法について詳細を説明する。
<トナー母体粒子の帯電量>
23℃、湿度53±3%の環境下にて、トナー母体粒子0.35g、キャリア5gをSUS製の円筒状容器(内径25mm、高さ30mm)に入れて12時間以上調湿した後、容器を密閉し、回転数300rpmにて5分間容器を回転させた。容器からトナーとキャリアの混合物をサンプリングし、400メッシュのブローオフゲージに入れ、エア圧5KPaにて3分間エアブローした後、エッピング社製のQ/Mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。Q/Mメーターの設定としては、メッシュサイズが400メッシュ(ステンレス製)、ソフトブロー圧(1050V)吸引時間が90秒である。帯電量の算出は以下式(1)より求められる。
帯電量(μC/g)=90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)
式(1)
このようにして求められた帯電量には適正値が存在し、高すぎても低すぎて良くない。本発明においては、従来トナーの母体粒子(デジタルフルカラー複合機Imagio MP C4002(リコー社製)搭載のシアン色トナーの母体粒子)の帯電量を基準値とし、評価基準を設けて評価を行った。
〔評価基準〕
◎:従来トナー並の帯電量(基準値−40μC/g以上−30μC/g未満)
○:やや帯電量が低いが使用可能(−30μC/g以上−20μC/g未満)
△:帯電量が低く使用困難(−20μC/g以上−10μC/g未満)
×:帯電量が低くすぎ使用できない(−10μC/g以上)
<トナー母体粒子の帯電量(H/H環境)>
30℃、湿度60±3%の環境下にて、トナー母体粒子0.35g、キャリア5gをSUS製の円筒状容器(内径25mm、高さ30mm)に入れて1時間調湿した後、2時間かけて湿度を90±3%まで上げ、更に3時間温湿度を保持した後、容器を密閉し、回転数300rpmにて5分間容器を回転させた。容器からトナーとキャリアの混合物をサンプリングし、400メッシュのブローオフゲージに入れ、エア圧5KPaにて3分間エアブローした後、エッピング社製のQ/Mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。Q/Mメーターの設定としては、メッシュサイズが400メッシュ(ステンレス製)、ソフトブロー圧(1050V)吸引時間が90秒である。帯電量の算出は以下式(1)より求められる。
帯電量(μC/g)=90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)
式(1)
このようにして求められた帯電量には適正値が存在し、高すぎても低すぎて良くない。本発明においては、従来トナーの母体粒子(デジタルフルカラー複合機Imagio MP C4002(リコー社製)搭載のシアン色トナーの母体粒子)の帯電量を基準値とし、評価基準を設けて評価を行った。
〔評価基準〕
◎:従来トナー以上に高い帯電量(基準値−25μC/g未満)
○:従来トナー並の帯電量(−25μC/g以上−15μC/g未満)
△:従来トナーよりやや悪い帯電量(−15μC/g以上−10μC/g未満)
×:帯電量が低く使用困難(−10μC/g以上)
<トナーの帯電量変動率>
トナー母体粒子に代えてトナーを用い、SUS製の円筒状容器の回転時間を5分間および60分間実施するようにしたこと以外は、トナー母体粒子の帯電量の評価手順と同様にして帯電量を測定した。回転時間が5分間の時の帯電量をQ5、60分間の時の帯電量をQ60とし、以下式(2)より帯電量の変動率を求めた。
帯電量低下率が低いほど、機械的ストレスによるトナーの劣化に対しても高い帯電安定性が得られる。
帯電量変動率(%)=(|Q5−Q60|/Q5)×100 式(2)
〔評価基準〕
◎:帯電低下率が10%未満
○:帯電低下率が10%以上20%未満
□:帯電低下率が20%以上35%未満
△:帯電低下率が35%以上55%未満
×:帯電低下率が55%以上
<トナーの帯電分布安定性>
画像形成装置に現像剤を装填し、画像面積率5%の画像チャートをA4マイリサイクルペーパー(NBSリコー社製)、A4横方向に1ジョブあたり5枚出力のサイクルで計5,000枚のランニング出力を行った。
次いで現像剤をサンプリングし、帯電量分布測定装置(E−SPART ANALYZER(ホソカワミクロン社製))により、電荷量(Q)と粒子径(d)の比(Q/d)(fC/μm)の個数分布を測定し、全カウント数に対する、−1fC/μm以上のカウント数の比率(W)(%)を求めた。E−SPART ANALYZERの測定条件としては、窒素ガス流量を0.3NL/min、ガス圧0.3気圧、カウント数は3,000カウント以上とした。
比率(W)が少ない程、現像器内でのストレスやトナー補給に対するロバスト性が高いことを示しており、逆帯電(正帯電)の粒子や、低帯電の粒子の比率が少ない。
〔評価基準〕
◎:比率Wが3%未満
○:比率Wが3%以上10%未満
□:比率Wが10%以上20%未満
△:比率Wが20%以上40%未満
×:比率Wが40%以上
<低温定着性評価>
画像形成装置に現像剤を装填し、単色モードにて、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.1mg/cm2のベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行った。得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作製した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着下限温度が低い程、低温定着性に優れる。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が100℃以下
○:定着下限温度が101℃以上110℃以下
□:定着下限温度が111℃以上120℃以下
△:定着下限温度が121℃以上140℃以下
×:定着下限温度が141℃以上
<耐熱保存性評価>
50mLのガラス容器にトナー10gを充填し、トナー粉体の見掛け密度の変化が無くなるまで十分にタッピングし、容器に蓋をし、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度(mm)を測定し、下記基準で耐熱保存性を評価した。なお、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が15mm未満(△以下)であるものは、使用上、問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
◎:針入度が25mm以上
○:針入度が20mm以上25mm未満
□:針入度が15mm以上20mm未満
△:針入度が10mm以上15mm未満
×:針入度が10mm未満
<現像剤の放置後の帯電低下量>
23℃、湿度50±3%の環境下にて、トナー15g、キャリア200gを所定の画像形成装置の現像装置に入れ、1時間調湿した後、現像装置内の攪拌スクリューを回転数200rpmにて10分間回転させた。現像装置からトナーとキャリアの混合物をサンプリングし、400メッシュのブローオフゲージに入れ、エア圧5KPaにて3分間エアブローした後、エッピング社製のQ/Mメーター(EPPING社製)を用いて帯電量の測定をした。ここで得られた帯電量を帯電量1とする。Q/Mメーターの設定としては、メッシュサイズが400メッシュ(ステンレス製)、ソフトブロー圧(1050V)吸引時間が90秒である。帯電量の算出は以下式(1)より求められる。
帯電量(μC/g)=90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)
式(1)
現像装置にトナーとキャリアの混合物を入れたまま、23℃、湿度50±3%の環境下にて、アースの施された場所に1週間放置した。放置後の前記トナーとキャリアの混合物を現像装置からサンプリングし、前記と同様の手順にて帯電量の測定を行った。ここで得られた帯電量を帯電量2とする。
帯電量1と帯電量2の差を放置後の帯電低下量とした。放置後の帯電低下量が大きい現像剤は攪拌後の放置による帯電低下が大きいことから良くない。本発明においては、従来現像剤(デジタルフルカラー複合機Imagio MP C4002(リコー社製)搭載のシアン色現像剤)の帯電低下量を基準値とし、評価基準を設けて評価を行った。
〔評価基準〕
◎:従来トナーより非常に良い(基準値−3μC/g以上)
○:従来トナーより良い(−7μC/g以上−3μC/g未満)
□:従来トナー並(−10μC/g以上−7μC/g未満)
△:従来トナーよりやや悪い(−13μC/g以上−10μC/g未満)
×:帯電低下量が大きく使用困難(−13μC/g以上)
(実施例1)
<トナー1の製造>
撹拌機、及び温度計をセットした容器内に、イオン交換水75質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業製)16質量部、及び酢酸エチル5質量部を混合撹拌させ、更に[樹脂微粒子エマルション]を、[樹脂微粒子エマルション]の固形分0.3部相当量を加えて水相溶液を作製した。
次に、温度計及び攪拌機を装備した別の容器に、[ポリエステル樹脂(A1)]79質量部、[ワックス分散液]25質量部、[着色剤マスターバッチ(P1)]12質量部を入れ、固形分濃度が30質量%になるように酢酸エチルを加え、撹拌して十分に溶解させた。更に、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)を用いて回転数8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させた。更に、イソホロンジアミン(IPDA)を、IPDAのアミノ基と[反応前駆体(a10)]のイソシアネート基のモル比(NH2/NCO)が、0.98となる量を入れ、TK式ホモミキサーを用いて回転数8,000rpmで15秒間撹拌し、次いで、50%酢酸エチル溶液に調製した[反応前駆体(a10)]30質量部を加え、TK式ホモミキサーを用いて回転数8,000rpmで30秒間撹拌し、[油相1]を得た。
[油相1]は調製後、即座に前記水相中に[油相1]50質量部を加え、液温30℃〜40℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数12,000rpmで1分間混合し、乳化スラリーを得た。
次いで、撹拌機、窒素導入管及び温度計をセットした別の容器内に、得られた乳化スラリーを入れ、撹拌しながら50℃まで昇温し、窒素気流下にて酢酸エチルを留去し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してスラリーのpHを12に調整し、45℃環境にて10時間加熱することで、油滴表面に付着している粒径制御剤を溶解させて取り除き、吸引濾過して固形分を得た。
得られた固形分は、以下の(1)〜(4)の操作を行い、洗浄処理を行った。
(1)固形分にイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過し、固形分を得た。
(2)前記(1)で得られた固形分に10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過し、固形分を得た。
(3)前記(2)で得られた固形分に10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過し、固形分を得た。
(4)前記(3)で得られた固形分にイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、固形分を得た。
洗浄処理した固形分を、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体粒子1]を作製した。
得られた[トナー母体粒子1]100質量部に、疎水性シリカ(HDK−2000(ワッカー・ケミー社製))1.0質量部、酸化チタン(MT−150AI(テイカ社製))0.3質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、[トナー1]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
<現像剤1の製造>
[キャリア1]100質量部に対し、[トナー1]7質量部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで5分間均一混合し、二成分現像剤である[現像剤1]を得た。
また、以上作製した二成分現像剤について、接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式のタンデム型画像形成装置(画像形成装置A)の現像ユニットに装填して画像形成を行い、性能評価を行った。評価結果を表5に示した。
(実施例2)
<トナー2の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A2)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P2)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相2]および[トナー母体粒子2]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子2]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー2]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー2]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤2]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例3)
<トナー3の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]79質量部、[ポリエステル樹脂(A10)]15質量部、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製)6質量部および[着色剤マスターバッチ(P1)]12質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で80℃〜120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が6.8±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、[トナー母体粒子3]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子3]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー3]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー3]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤3]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例4)
<トナー4の製造>
温度計及び攪拌機を装備した別の容器に、[ポリエステル樹脂(B1)]79質量部、[ポリエステル樹脂(A3)]15質量部、[ワックス分散液]25質量部、[着色剤マスターバッチ(P3)]12質量部を入れ、固形分濃度が30質量%になるように酢酸エチルを加え、撹拌して十分に溶解および微分散させた。更に、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)を用いて回転数8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させ、[油相4]を得た。
[油相1]に代えて[油相4]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー母体粒子4]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子4]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー4]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー4]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤4]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例5)
<トナー5の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B1)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a3)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P3)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相5]および[トナー母体粒子5]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子5]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー5]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー5]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤5]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例6)
<トナー6の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B1)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a4)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P3)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相6]および[トナー母体粒子6]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子6]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー6]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー6]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤6]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例7)
<トナー7の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B1)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a5)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P3)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相7]および[トナー母体粒子7]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子7]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー7]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー7]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤7]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例8)
<トナー8の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B1)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a3)]を用い、イソホロンジアミン(IPDA)に代えて2,5−および2,6−ジアミノメチルノルボルナンの異性体混合物(NBDA)を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P3)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相8]および[トナー母体粒子8]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子8]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー8]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー8]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤8]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例9)
<トナー9の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B1)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a6)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P3)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相9]および[トナー母体粒子9]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子9]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー9]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー9]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤9]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例10)
<トナー10の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a6)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相10]および[トナー母体粒子10]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子10]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー10]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー10]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤10]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例11)
<トナー11の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a6)]を用い、イソホロンジアミン(IPDA)に代えて2,5−および2,6−ジアミノメチルノルボルナンの異性体混合物(NBDA)を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相11]および[トナー母体粒子11]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子11]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー11]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー11]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤11]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例12)
実施例10において、画像形成装置Aに代えて、画像形成装置Aにおける静電潜像担持体、帯電装置、現像手段及びクリ−ニング装置を、プロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、着脱可能なように改造した画像形成装置Bを使用したこと以外は、実施例10と同様にして、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例13)
<トナー12の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A11)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P7)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相12]および[トナー母体粒子12]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子12]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー12]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー12]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤12]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例14)
<トナー13の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A12)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P8)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相13]および[トナー母体粒子13]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子13]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー13]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー13]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤13]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例15)
<トナー14の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a13)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相14]および[トナー母体粒子14]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子14]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー14]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー14]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤14]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例16)
<トナー15の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a13)]を用い、イソホロンジアミン(IPDA)に代えて2,2’−、2,4’−、4,4’−ジフェニルメタンジアミンの異性体混合物(MDA)を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相15]および[トナー母体粒子15]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子15]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー15]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー15]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤15]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例17)
<トナー16の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a14)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相16]および[トナー母体粒子16]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子16]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー16]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー16]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤16]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例18)
<トナー17の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a14)]を用い、イソホロンジアミン(IPDA)に代えて2,4−および2,6−トルエンジアミンの異性体混合物(TDA)を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相17]および[トナー母体粒子17]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子17]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー17]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー17]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤17]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(比較例1)
<トナー18の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(A9)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P5)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相18]および[トナー母体粒子18]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子18]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー18]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー18]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤18]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(比較例2)
<トナー19の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B3)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P6)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相19]および[トナー母体粒子19]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子19]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー19]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー19]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤19]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(比較例3)
<トナー20の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B1)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P3)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相20]および[トナー母体粒子20]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子20]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー20]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー20]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤20]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(比較例4)
<トナー21の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a7)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相21]および[トナー母体粒子21]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子21]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー21]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー21]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤21]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(比較例5)
<トナー22の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a8)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相22]および[トナー母体粒子22]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子22]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー22]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー22]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤22]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例19)
<トナー23の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a15)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相23]および[トナー母体粒子23]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子23]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー23]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー23]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤23]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例20)
<トナー24の製造>
[ポリエステル樹脂(A1)]に代えて[ポリエステル樹脂(B2)]を用い、[反応前駆体(a10)]に代えて[反応前駆体(a16)]を用い、[着色剤マスターバッチ(P1)]に代えて[着色剤マスターバッチ(P4)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[油相24]および[トナー母体粒子24]を得た。また、[トナー母体粒子1]に代えて[トナー母体粒子24]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[トナー24]を作製した。
得られたトナーの処方構成を、表4に示した。また、特性値の評価結果を表5に示した。
また、[トナー1]に代えて[トナー24]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[現像剤24]を作製し、評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例21)
実施例18において、画像形成装置Aに代えて、画像形成装置Cを用い、キャリア1に代えてキャリア2を使用したこと以外は実施例18と同様に評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例22)
実施例18において、キャリア1に代えてキャリア2を使用したこと以外は実施例18と同様に評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例23)
実施例18において、画像形成装置Aに代えて、画像形成装置Cを用いたこと以外は実施例18と同様に評価を行い、結果を表5に示した。
(実施例24)
実施例7において、画像形成装置Aに代えて、画像形成装置Cを用い、キャリア1に代えてキャリア2を使用したこと以外は実施例7と同様に評価を行い、結果を表5に示した。
Figure 0006557998
Figure 0006557998
(図1について)
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18K、18Y、18M、18C 画像形成手段
21 露光手段
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
60 帯電器
61 現像器
62 転写帯電器
63 クリーニング手段
64 除電器
100 画像形成装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
L 露光
(図2について)
18 作像手段
40 静電潜像担持体
60 帯電装置
61 現像装置
62 1次転写装置
63 クリーニング装置
64 除電装置
65 現像スリーブ
66 攪拌部
67 現像部
68 スクリュ
69 仕切り板
70 現像ケース
71 トナー濃度センサ
72 マグネット
73 ドクタブレード
(図3及び図4について)
2 静電潜像担持体
20 現像装置
21 現像ケース
22 現像ローラ
23 現像スリーブ
24 磁気ロール
25 ドクタブレード
26 現像搬送室
27 攪拌搬送室
28 第1搬送スクリュ
29 第2搬送スクリュ
30 トナー補給口
31 受け渡し部
33 送り込み部
特公平7−101318号公報 特許第3762076号公報 特許第3764954号公報 特許第4009204号公報 特許許5408210号公報

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を含み、
    示差走査熱量測定(DSC)による昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移温度が、−60℃以上20℃以下であることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂バインダー。
    Figure 0006557998
    [式中、Xはウレタン結合またはウレア結合を表し、Y1、Y2、Y3、Y4は水素原子、ウレタン結合またはウレア結合を表し(但し、Y1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも1つ以上がウレタン結合またはウレア結合であること)、m、n、o、p、qは0から3の整数である。]
  2. 前記一般式(1)で表される構造が、下記一般式(4)で表されるイソシアネート化合物に由来する構造であることを特徴とする請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂バインダー。
    Figure 0006557998
    [式中、R1、R2、R3、R4は水素原子またはイソシアネート基を表し(但し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも1つ以上がイソシアネート基であること)、m、n、o、p、qは0から3の整数である。]
  3. テトラヒドロフラン(THF)に不溶であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー用ポリエステル樹脂バインダー。
  4. 少なくとも結着樹脂として、請求項1〜3のいずれかに記載のトナー用ポリエステル樹脂バインダーを含有してなることを特徴とするトナー。
  5. X線光電子分光法(XPS)によって測定される前記トナーの表面窒素元素量が0.20atm%以下であることを特徴とする請求項4に記載のトナー。
  6. 前記トナーが、前記トナー用ポリエステル樹脂バインダーとは別に、さらに、前記ポリエステル樹脂バインダーと相溶可能であり、示差走査熱量測定(DSC)による昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移温度が、30℃以上80℃以下である第2のポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項4〜のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記第2のポリエステル樹脂が、テトラヒドロフラン(THF)に可溶であることを特徴とする請求項に記載のトナー。
  8. 前記第2のポリエステル樹脂が、多価アルコール成分としてビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を含有することを特徴とする請求項またはに記載のトナー。
  9. 前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)による昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移温度が40℃以上65℃以下であることを特徴とする請求項4〜のいずれかに記載のトナー。
  10. 請求項4〜のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
  11. 前記現像剤がキャリアを含み、該キャリアが、芯材と、該芯材を被覆する被覆樹脂、無機酸化物微粒子からなる被覆層とを有する磁性キャリアであることを特徴とする請求項10に記載の現像剤。
  12. 前記現像剤がキャリアを含み、該キャリアが、キャリア用結着樹脂中に少なくとも磁性体微粒子が分散されてなる磁性体分散型樹脂キャリアであることを特徴とする請求項10に記載の現像剤。
  13. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤が、請求項1012のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 前記現像手段が、静電潜像を担持する像担持体と対向配置され、磁界発生手段を内包する現像剤担持体と、該現像剤担持体の下方に位置し、現像剤を当該現像剤担持体に供給しながらその回転軸線方向に沿って搬送する第1搬送部材を備えた現像搬送室と、前記現像剤担持体の下方に対向するように配設され、前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、前記像担持体と対向位置を過ぎた位置で、前記現像剤担持体上から離脱した現像剤を回収し、前記現像剤担持体の回転軸線方向に沿って前記第1搬送部材と逆方向に搬送する第2搬送部材を備えた撹拌搬送室とを有し、前記現像搬送室と前記撹拌搬送室とが隔壁で仕切られているとともに、前記撹拌搬送室が前記現像搬送室より上方に配置されており、前記撹拌搬送室の現像剤搬送方向下流側に前記現像搬送室へ現像剤を送り込む送り込み部が設けられ、前記現像搬送室の送り込み部よりも現像剤搬送方向上流側に前記撹拌搬送室へ現像剤を受け渡す受け渡し部が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記現像剤が、請求項1012のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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