JP6555466B2 - 点滅照明による防虫方法および防虫用照明装置 - Google Patents

点滅照明による防虫方法および防虫用照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、夜蛾類等の害虫が圃場、牧場等に侵入することを点滅照明によって防ぐための防虫方法および防虫用照明装置に関する。
作物を食害するオオタバコガやハスモンヨトウ等の夜蛾類は、多くの化学合成農薬に対して薬剤抵抗性を獲得したために、化学合成農薬による防除が非常に難しい。これに代わる防除法として、産卵のために圃場に飛来する成虫に対して、高い防除効果がある防蛾用黄色蛍光灯および黄色発光ダイオード(以下、「黄色LED」と記載する)による夜間照明の利用が進んでいる。
例えば、特許文献1には、作物へ照射する黄色光が該作物に影響を及ぼさない程度の照度以下となるよう、黄色光を作物の外方へ照射する防蛾照明装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、果樹園の栽培畝の周囲に該栽培畝とは反対方向に向けて光を照射する方法が開示されている。また、特許文献2には、商用交流電源を用いることにより順極性のLED2基が交互に点灯する例も開示されている。
また、例えば、特許文献3には、果樹園の地面上に設置された黄色LEDランプで構成されるランプユニットから上向きに、照度1lx〜10lxの範囲内に収まるように略均一に果樹園の棚を照らす方法が開示されている。また、特許文献3には、黄色LEDランプをパルス駆動する例が開示されている。しかし、黄色蛍光体は半導体発光素子よりも長時間の残光特性を持つことから、この場合でも、黄色LEDランプは該残光特性を利用した事実上の連続点灯光源となっている。
また、例えば、特許文献4には、地面に対し垂直に設置した直管形黄色蛍光灯に、ドーナツ型の羽根状の円板を、間隔をあけ層状に複数枚重ねた構造が開示されている。また、例えば、非特許文献1には、ハスモンヨトウ防除のため、イチゴを栽培する開放型栽培施設の周囲に、該栽培施設内の照度が最も低い場所でも1.2lx〜2.31xが確保されるように黄色蛍光灯を設置する防除技術が開示されている。また、例えば、特許文献5には、点滅させた黄色LED光源を複数個用いて圃場の照明を行い、その照明の重なりにより防蛾効果を高める技術が開示されている。
特開2003−274839号公報(2003年9月30日公開) 特開2002−199837号公報(2002年7月16日公開) 特開2008−154541号公報(2008年7月10日公開) 特開2003−274838号公報(2003年9月30日公開) 国際公開2011/115123号公報(2011年9月22日公開)
宮ら、関東東山病害虫研究会報 第50集 151−155頁 (2003)
しかしながら、特許文献1、4および非特許文献1に開示された技術は、連続点灯光源を用いることで防虫効果を得るものであり、点滅光源を用いた防虫方法等に関するものではない。また、特許文献2には、発光装置に備えられた2基のLEDを交互に連続点灯させる例が開示されているが、発光装置自体は常に連続点灯状態にあるという点から、該発光装置は事実上の連続点灯光源といえる。特許文献3に開示された技術も、事実上の連続点灯光源を用いている。したがって、特許文献2および3に開示された技術も、特許文献1、4および非特許文献1に開示された技術と同様といえる。そのため、上記各文献に開示された技術には、連続点灯光源をキク等の短日植物に対して長時間使用した場合に、開花遅延が生じるという問題点があった。また、点滅光源を使用する場合に比較して、消費電力が増加するという問題点もあった。
また、特許文献5に開示された技術は、点滅光源を用いて防虫効果を得るものであるが、該点滅光源から出射される点滅光の出射方向が下向きとなっていることから、該点滅光が直接植物を照射してしまう。そのため、特許文献5に開示された技術は、該出射方向が上向きまたは横向きの場合と比較して、短日植物の開花遅延等の悪影響が生じやすくなるという問題点があった。さらに、特許文献5の点滅光源は、点滅光の出射方向が下向きであることから、照明領域が植物の周囲に限定されてしまう。そのため、圃場内への害虫の侵入を一定程度許してしまい、その結果、防虫効果を十分に得ることができないという問題点もあった。
本発明は、上記の各問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、消費電力の抑制と、本発明の利用者であるヒトへの影響の低減とを同時に実現しつつ、高い防虫効果を発揮する点滅照明による防虫方法および防虫用照明装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る防虫方法は、防虫対象物が存在する防虫領域への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、上記点滅照明は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有する1あるいは複数個の光源を用いて行い、上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が上記防虫領域の外側を向いている。
また、本発明の一態様に係る防虫方法は、防虫対象物が存在する防虫領域への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、上記点滅照明は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有する1あるいは複数個の光源を用いて行い、上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が上記防虫領域より上向きとなるように、上記防虫領域の上方に配置され、他の上記1あるいは複数個の光源は、連続点灯照明を行うとともに、上記主方向が上記防虫領域の外側方向に向けて上記外周部に配置される。
また、本発明の一態様に係る防虫方法は、防虫対象物が存在する栽培施設への害虫の侵入または栽培施設内での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、上記栽培施設は、屋根および外壁部を備えており、上記点滅照明を行う1あるいは複数個の光源が、上記外壁部に設けられた開口部の内部あるいは外部に設置され、上記栽培施設の外側方向に向けて上記点滅照明を行う。
また、本発明の一態様に係る防虫用照明装置は、防虫対象物が存在する防虫領域への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫用照明装置であって、点滅照明を行う1あるいは複数個の光源と上記1あるいは複数個の光源を支持する光源支持部とを備え、上記1あるいは複数個の光源は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有し、上記光源支持部は、上記主方向が上記防虫領域の外側を向くように上記1あるいは複数個の光源を支持する。
本発明の一態様によれば、消費電力の抑制と、本発明の利用者であるヒトへの影響の低減とを同時に実現しつつ、高い防虫効果を得ることができる。
本発明の実施形態1に係る防虫方法において用いる、主方向を下向きにした場合のLEDランプの地面における放射照度の測定方法の模式図である。 上記LEDランプ単体の配光曲線図である。 上記LEDランプ単体の相対分光放射特性を示すグラフである。 上記LEDランプの連続点灯時における、距離Dと地面における配置高毎の放射照度との関係を示すグラフである。 上記LEDランプの連続点灯時における、距離Dと地面における配置高毎の放射照度との関係を示すグラフである。 格子照明区および本発明の実施形態1に係る防虫用照明装置の外観図である。 周囲照明区および本発明の実施形態1に係る防虫用照明装置の外観図である。 無処理区および格子照明区における、アスパラガス親茎へのハスモンヨトウ幼虫の単位茎当りの寄生虫数の推移を示すグラフである。 無処理区および格子照明区における、ハスモンヨトウ幼虫によるアスパラガス親茎の食害茎率の推移を示すグラフである。 格子照明区および周囲照明区における、アスパラガス親茎へのハスモンヨトウ幼虫の単位茎当りの寄生虫数の推移を示すグラフである。 格子照明区および周囲照明区における、ハスモンヨトウ幼虫によるアスパラガス親茎の食害茎率の推移を示すグラフである。 本発明の実施形態2に係る防虫方法が適用される、露地アスパラガス圃場の外観図である。 下向き区、上向き区、外向き区および本発明の実施形態2に係る防虫用照明装置の外観図である。 本発明の実施形態2に係る実験期間中の上記露地アスパラガス圃場における、気温の推移を示すグラフである。 無処理区、下向き区、上向き区および外向き区における、ハスモンヨトウ幼虫によるアスパラガス親茎の食害茎率の推移を示すグラフである。 無処理区、下向き区、上向き区および外向き区における、アスパラガス親茎へのハスモンヨトウ幼虫の単位茎当りの寄生虫数の推移を示すグラフである。 本発明の実施形態5に係る防虫方法が適用される、ミニトマト用雨よけハウスの外観図である。 本発明の実施形態5に係る防虫方法において用いる、LEDランプの概略図である。 本発明の実施形態5に係る調査期間中の上記ミニトマト用雨よけハウス周辺における、気温の推移を示すグラフである。 無処理区および照明区における、オオタバコガ幼虫による食害果率の推移を示すグラフである。 無処理区および照明区における、オオタバコガ幼虫の単位株当り寄生虫数の推移を示すグラフである。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図10および表1〜表2を用いて詳細に説明する。
<LEDランプ10の概要>
まず、図1〜図4を用いて、LEDランプ10の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態1において用いる、主方向を下向きにした場合のLEDランプ10の地面における放射照度の測定方法の模式図である。
図2は、LEDランプ10単体の配光曲線図である。ここで、配光曲線図は光源の放射強度の角度依存を示すものであり、方向毎の放射強度について最高放射強度が100%になるように表されている。また、光源の最高放射強度が100%になる方向を主方向とし、該主方向と180°の角度をなす方向を逆方向とする。LEDランプ10については、0°で最大放射強度が100%になるため0°が主方向となる。そして、LEDランプ10の逆方向は180°となる。図2では、主方向を下向きに記載しているが、後述する「上向き区230」では主方向が上側に、「外向き区240」では主方向が後述する防虫領域の外側になるよう、LEDランプ10を配置する。次に、図2の曲線A−A´(実線)は図1のHとDとを含む平面、曲線B−B´(破線)は図1のHとDを含む平面における配光曲線図である。曲線A−A´およびB−B´のいずれの場合においても、主方向の放射強度を100%とした場合、逆方向の放射強度が8%程度であることが読み取れる。
図3は、LEDランプ10単体の相対分光放射特性を示すグラフである。図4は、LEDランプ10の連続点灯時における、距離Dと地面における配置高毎の放射照度との関係を示すグラフである。図5は、LEDランプ10の連続点灯時における、距離Dと地面における配置高毎の放射照度との関係を示すグラフである。
LEDランプ(1あるいは複数個の光源)10は、図1に示すような直管形黄色LEDランプであり、図3に示すように580nm付近をピーク波長とし、かつ、黄色蛍光灯と類似した分光放射特性を有する。LEDランプ10は、専用の電子回路を備えた電源ユニットを内蔵し(図示せず)、2Hzの周波数(明期幅100ms、暗期幅400ms、デューティ20%)で点滅照明を行う。デューティは、明期幅/(明期幅+暗期幅)×100で表される。
ここで、LEDランプ10を連続点灯させ、かつ発光方向を便宜上下向きにして配置した場合の放射照度分布の実測例を、図1に示すような、光源直下からLEDランプ10の中心軸(図示せず)までの距離D(LEDランプ10の中心軸方向と垂直な方向の距離)およびD(LEDランプ10の中心軸方向と平行な方向の距離)の各地点について測定した。その結果、図4および図5に示すように、距離DおよびDの各地点とも、光源直下からの距離が0mのときに、LEDランプ10の配置高Hが2.0mで約160mW/m、配置高Hが2.5mで約100mW/mの放射照度となった。また、距離Dの地点については、光源直下からの距離が約9m以上のときに、配置高Hが2.0mの場合および2.5mの場合とも、放射照度が0mW/mとなった。距離Dの地点については、光源直下からの距離が約7mのときに、配置高Hが2.0mの場合および2.5mの場合とも、放射照度が0mW/m以下となった。ただし、この測定は連続点灯条件で行われているため、点滅時にはこの値の点滅のデューティを乗じた放射照度になっている。
<実験1:無処理区および格子照明区100における各防虫効果の比較>
消費電力の抑制と、本発明の利用者であるヒトへの影響の低減とを同時に実現しつつ、植物全般に対して高い防虫効果を発揮する照明技術を開発するため、本願発明者らは、中性植物であるアスパラガス(防虫対象物)を栽培する露地アスパラガス圃場(防虫領域)において無処理区(図示せず)および格子照明区100を設けた。格子照明区100には、黄色点滅照明を行うLEDランプ10を複数配置した。そして、夜蛾類害虫であるハスモンヨトウ幼虫(害虫)を対象害虫として、該ハスモンヨトウ幼虫に対する各区の防虫効果を比較検討した。なお、防虫対象物とは作物、牧草等の防虫の対象となるものを指し、防虫領域とは防虫対象物が存在する領域を指す。
(各処理区の構成およびLEDランプ10の配置方法)
無処理区は、LEDランプ10による点滅照明を全く行わない17m×44mの略長方形状の領域を有する区であり、格子照明区100から約20mの距離を確保することで、照明が影響しないように配慮している。図6に示すように、格子照明区100は、境界線l×境界線lが43m×16mとなる略長方形状の領域を有する区である。また、その外周部(図示せず)および格子照明区100の領域内に複数のLEDランプ10が配置されている。本実施形態では、境界線l上に約15m間隔で、境界線l上に約8m間隔で、合計10基のLEDランプ10が配置されている。また、格子照明区100の領域内には、境界線lに平行な格子照明区100の中心線(図示せず)に略沿って(以下、「格子状」と記載する)、合計3基のLEDランプ10が配置されている。ここで、外周部とは、防虫領域の境界線上にLEDランプ10を配置するのと同様の効果が得られる領域のことであり、境界線を基準として、防虫領域の内側の領域、防虫領域の外側の領域のそれぞれを含む。外周部の境界線は、防虫領域の境界線上にLEDランプ10を配置するのと同様の効果が得られる限界の線である。また、防虫領域および外周部を合わせて光源配置領域(図示せず)とする。
なお、格子照明区100に配置するLEDランプ10の個数は、上記13基に限定されない。消費電力と所望する防虫効果とのバランスに基づいて、ユーザが任意に設定することができる。
また、格子照明区100に配置されるLEDランプ10の配置高は、全て、該LEDランプ10の上端あるいは中心軸の高さが例えば地上高2mの位置になるようにする。さらに、外周部に配置されたLEDランプ10については、主方向が外周部より外向きになるように、その中心軸を地面に対して略垂直にした状態で、棒状の光源支持部(図示せず)によって支持される。格子照明区100の領域内に配置された3基のLEDランプ10については、その主方向が領域内より上向きになるように略凸型の光源支持部(図示せず)によって支持される。換言すれば、LEDランプ10の主方向が防虫領域の外側(上向き)を向くように、LEDランプ10が光源配置領域に配置されていればよい。
ここで、主方向が外周部より外向きとは、地面と平行をなし、かつ、格子照明区100の中心部から外周部に向かって延伸する線を基準線(0°)として、−45°以上+45°以下の範囲の方向をいう。主方向が領域内より上向きとは、地面と直交し、かつ、重力方向と反対方向に向かって延伸する線を基準線(0°)として、−45°より大きく+45°より小さい範囲の方向をいう(以下、単に「外向き」、「上向き」と記載する)。
(実験期間、照明方法、調査項目および調査方法)
実験1は、2013年7月24日から11月13日まで行った。前記実験期間中の照明期間帯については、7月24日から10月23日までは17:00〜7:00とし、10月24日から11月13日までは16:30〜7:30までとした。なお、前記照明は、7月24日に無処理区と格子照明区100の両区においてハスモンヨトウ幼虫による食害茎(親茎)、該ハスモンヨトウ幼虫の寄生がないことを確認したうえで、同日の17:00から開始した。アスパラガス親茎におけるハスモンヨトウ幼虫による食害の有無、幼虫の寄生虫数および殺虫剤散布実績を調査項目とした。そして、各区3畝、1畝10箇所、1箇所当り親茎10本の合計300茎について1〜2週間間隔で調査し、前記調査に基づいて、単位茎当りの寄生虫数および食害茎率を求めた。
(実験結果)
まず、図8に示すように、格子照明区100のハスモンヨトウ幼虫の寄生虫数は、無処理区の寄生虫数より低く推移した。また、図9に示すように、格子照明区100のハスモンヨトウ幼虫による食害茎率は、無処理区の食害茎率より低くも推移した。なお、病害が多発したため、親茎の食害調査は10月23日で終了した。さらに、表1に示すように、実験期間中、殺虫剤散布は無処理区、格子照明区100ともに同日に同じ殺虫剤で行われていることから、無処理区および格子照明区100における各防虫効果の比較には影響ないものと考えられる。
Figure 0006555466
以上のことから、複数のLEDランプ10による黄色点滅照明は、ハスモンヨトウに対する高い防虫効果を有することが明らかになった。
<実験2:格子照明区100および周囲照明区110における各防虫効果の比較>
本願発明者らは、消費電力の更なる抑制の観点から、実験1におけるLEDランプ10の配置数を削減してもなお、高い防虫効果を維持できるか否かを検証するため、上記露地アスパラガス圃場内において周囲照明区110をさらに設けた。そして、格子照明区100よび周囲照明区110における各防虫効果を比較検討した。
図7に示すように、周囲照明区110は、境界線l×境界線lが43m×19mとなる略長方形状の領域を有する区である。また、その外周部に複数のLEDランプ10が配置されている。本実施形態では、境界線l上に約15m間隔で、境界線l上に約9.5m間隔で、合計10基のLEDランプ10が配置されている。なお、周囲照明区110に配置するLEDランプ10の基数をユーザが任意に設定できる点は、格子照明区100と同様である。また、格子照明区100に配置されるLEDランプ10の配置高は、全て、該LEDランプ10の上端あるいは中心軸の高さが地上高2mの位置になるようにし、その主方向が外向きになるように上記光源支持部によって支持される。
実験期間、照明方法、調査項目および調査方法については、上記実験1と同様である。
(実験結果)
まず、図10に示すように、ハスモンヨトウ幼虫の寄生は、格子照明区100、周囲照明区110ともに10月に入ってからごくわずかみられたが、全体として、両区とも寄生虫数は非常に低く(約0%)推移した。また、図11に示すように、アスパラガスの食害茎は、格子照明区100、周囲照明区110ともに10月に入ってからごくわずかみられたが、全体として、両区とも食害茎率は非常に低く(約0%)推移した。なお、病害が多発したため、親茎の被害調査は10月23日で終了した。さらに、表2に示すように、実験期間中、殺虫剤散布は無処理区、格子照明区100ともに同日に同じ殺虫剤で行われていることから、無処理区および格子照明区100における各防虫効果の比較には影響ないものと考えられる。
Figure 0006555466
以上のことから、実験2における規模の処理区(格子照明区100および周囲照明区110)では、LEDランプ10を外周部にのみ配置した場合でも、該外周部に加え処理区の領域内に格子状にLEDランプ10を設置した場合と同等の防虫効果が得られることが判明した。この実験結果により、LEDランプ10の配置数削減の可能性が示唆された。
(考察)
周囲照明区110は、格子照明区100に比べ領域内部は照明されていない。それにもかかわらず、格子照明区100と同等の防虫効果が得られたことから、防虫領域外からの害虫の侵入を未然に防ぐような光源配置を行った防虫方法が有効であると考えられる。換言すれば、点滅照明を行う1あるいは複数個の光源の主方向が防虫領域の外側を向いている状態が有効であると考えられる。従来、防虫効果は、ハスモンヨトウ等の夜蛾類の「行動抑制」によるものと考えられており、そのためには圃場内で一定の照度、例えば1lx〜10lx(図3に示すように580nm付近をピーク波長とし、かつ、黄色蛍光灯と類似した分光放射特性を有する光源による照明に限定して換算した場合、放射照度で1.2〜20mW/mに相当)が必要と考えられていた。しかし、上記各実験の格子照明区100、周囲照明区110ともに領域の中央部でそのような照度が確保されておらず、特に、周囲照明区110では領域内部の照度は非常に低い。それにもかかわらず、格子照明区100と周囲照明区110とで有意差のない結果が得られたことより、外向きの黄色点滅照明が夜蛾類等の対象害虫の、特に侵入を防止するうえで有効であると推測できる。
本願発明者らは、本実施形態では400msの暗期幅がある点滅照明を行っていることから、該点滅照明の暗期においては、格子照明区100および周囲照明区110の内部へのハスモンヨトウ成虫の侵入を防ぐことができないと考えていた。本実施形態に係る各実験の結果は、その仮説を覆すものである。
意外な結果であるため再現性を確認すべきである点、格子照明区100における「上向き照明」、「外向き照明」における各防虫効果の分離がなされていない点を踏まえ、さらに実施形態2のような追加実験を行うこととした。
<防虫用照明装置1および2の概要>
図6に示すように、格子照明区100に配置されたLEDランプ10および該LEDランプ10を支持する光源支持部(棒状、略凸型の両方を含む)は、防虫用照明装置1を構成する。また、図7に示すように、周囲照明区110に配置されたLEDランプ10および該LEDランプ10を支持する棒状の光源支持部は、防虫用照明装置2を構成する。
換言すれば、防虫用照明装置は、点滅照明を行う複数のLEDランプ(光源)10と、該複数のLEDランプ10の主方向が防虫領域の外側を向くように、光源配置領域において該複数のLEDランプ10を支持する光源支持部とを備えていればよい。
<変形例>
なお、上記各実験は圃場で行っているが、該実験で得られた知見は防虫を必要とする防虫領域一般に適用できる。防虫領域は特に限定されないが、例えば栽培施設、牧場、公園、運動場、家屋、倉庫、工場、港湾施設および船舶等がある。また、防虫対象物としては、圃場における作物、牧場における牧草、家畜用飼料作物および家畜、公園における草花および樹木が典型例であるが、これらに限られない。作物としては、短日植物、長日植物、中性植物のいずれに対しても適用でき、実験で用いたアスパラガスの他、イチゴ、綿花、リンゴ、ナシ、ブドウ、カーネーション、バラ、キク、カランコエ、リーガースベゴニア、ポインセチア、カスミソウ、ダイズ、オクラ、モモ、赤ジソ、オオバ、トルコギキョウ、キャベツ、ハクサイ、トウモロコシ(スイートコーンを含む)、ナス、ピーマン、トマト(ミニトマトを含む)およびレタス等に適用できる。
また、上記各実験においては、ハスモンヨトウ幼虫の他、幼虫が農作物または樹木を加害するオオタバコガ、アワノメイガおよびマイマイガ、並びに、成虫が果物に直接被害を及ぼす吸蛾類(アケビコノハ、アカエグリバ)等の夜蛾類を対象害虫として想定しているが、本実施形態に係る防虫方法は、光に対して夜蛾類成虫と同様の習性を有する昆虫全般にも適用できる。
また、光源のピーク波長は特に限定されないが、波長500〜600nm、つまり緑色から黄色であることが好ましい。緑色および黄色の専用光源に限らず、市販の電球色の光源もピーク波長が黄色にあれば、用いることができる。さらに、昆虫の走光性を刺激する青色成分を除くために、電球色および白色などの一般照明光源に青色カットフィルターを併用するのが好適である。しかし、本実施形態においては点滅光源を用いているため、該点滅光源として上記一般照明光源自体を用いた場合でも、ある程度の防虫効果が得られる。
また、点滅の周波数も特に限定されないが、対象害虫が点滅を知覚できる周波数である0.01Hz以上1kHz以下の点滅が好適であり、0.1Hz以上20Hz以下が特に好ましい。このような点滅を行うには、LEDが好適である。点滅のデューティは、上記各実験では20%に固定としたが、本願発明者らは明期幅4ms以上1000ms以下、暗期幅16ms以上5000ms以下、デューティ9%以上50%以下にして、本実施形態と同様の実験を行っている。そして、本実施形態と同様の防虫効果が得られることを確かめている。さらに、点滅は、完全な明期と完全な暗期の場合に限らず、相対的な明期と相対的な暗期のパターンの点滅であってもよい。
また、LEDランプ10による放射照度分布としては、防虫領域外への照明に付随して、防虫領域内への照明があってもよいが、防虫領域内への照明の放射照度よりも防虫領域外への照明の放射照度が同等以上であることが光の利用効率および得られる防虫効果の点で好ましい。また、防虫領域内への照明が付随する場合であっても、防虫対象物への直接の照射を少なくすることが、防虫対象物の光に対する反応(例えば、植物の日長反応)の軽減およびヒトの不快感低減のために好ましい。光源の高さについては、上向き光源の配置位置は、作物の高さと同等以上であることが好ましい。しかし、光源を地面に設置しても、光源数が少なければ全ての作物を下から照射することはなく、本実施形態で得られる効果と同様の効果が期待できる。さらに、光源を圃場の畝の間に設置すれば、光源の配置位置を低くしても作物への照射を減らすことができる。また、照明の向きについては、上向き照明の場合は、上向きの成分を有する照明であれば、下向き照明成分があってもよい。この場合、下向き照明成分の放射強度と比較して上向き照明成分の放射強度が同等以上であることが光の利用効率および得られる防虫効果の点で好ましい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図12〜図16および表3〜表4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<実験:無処理区210、下向き区220、上向き区230および外向き区240における各防虫効果の比較>
本願発明者らは、LEDランプ10を下向き照明にした場合、上向き照明にした場合、および外向き照明にした場合の各防虫効果を比較検討することとした。そして、前記比較検討のため、図12に示すような露地アスパラガス圃場(防虫領域)200において、無処理区210、下向き区220、上向き区230および外向き区240を設けた。そして、ハスモンヨトウに対して得られる各区の防虫効果を調査した。
(各処理区の構成およびLEDランプ10の配置方法)
図12に示すように、無処理区210は、LEDランプ10による点滅照明を全く行わない区である。また、図13に示すように、下向き区220は、LEDランプ10について、その主方向Lが該下向き区220の領域内に向けて下向きになるよう、略凸型の光源支持部30により支持されている区である。ここで、主方向が領域内に向けて下向きとは、地面と直交し、かつ、重力方向に向かって延伸する線を基準線(0°)として、−45°より大きく+45°より小さい範囲の方向をいう(以下、単に「下向き」と記載する)。上向き区230は、LEDランプ10について、その主方向Lが上向きになるよう、上記光源支持部30により支持されている区である。外向き区240は、LEDランプ10について、その主方向Lが外向きになるよう、棒状の光源支持部30aにより支持されている区である。なお、上記各区は、互いに点滅光が影響しない距離を確保しつつ設けた。
また、各区の領域は、全て一辺約15mの略正方形状とした。上記3つの照明区では、それぞれ各領域の境界線の中央付近に1基ずつ、合計4基のLEDランプ10を配置した。LEDランプ10の配置高は、下向き区220および上向き区230については、LEDランプ10の中心軸の高さHを2m、外向き区240については、LEDランプ10の上端の高さHを2mとした。
(実験期間、照明方法、調査項目、調査方法および栽培概要)
本実施形態に係る実験は、2014年8月4日から9月4日まで行った。前記実験期間中の照明期間帯については、16:30〜7:30までとした。なお、前記照明は、8月4日に各区においてハスモンヨトウ幼虫による食害茎(親茎)、該ハスモンヨトウ幼虫の寄生および卵塊がないことを確認したうえで、同日の16:30から開始した。また、露地アスパラガス圃場200内の気温、各区における親茎の食害茎数、親茎への寄生虫数、ハスモンヨトウ雄成虫の性フェロモントラップ誘殺数および殺虫剤散布実績を調査項目とした。そして、各区6畝、1畝5箇所、1箇所当り親茎5本の合計150茎について、1週間間隔で調査した。ハスモンヨトウ雄成虫の誘殺数については、トラップはファネル式トラップを使用し、各区領域内の中央付近における地上高1.5mの位置P1〜P4に設置した。フェロモンルアーは、性フェロモン含量を市販品の1/10に減じた特注品を使用した。殺虫剤の散布実績は圃場主から聞き取った。さらに、栽培概要は、アスパラガス品種としてウェルカム(2〜4年生株)を防虫対象物とし、畝幅2.5m、定植時の株間30cmとした。
(実験結果)
まず、図14に示すように、黄色点滅照明を開始した2014年8月4日から9月4日までの露地アスパラガス圃場200内における日最高気温は24.6℃〜36.9℃、日平均気温は21.7℃〜27.6℃、日最低気温は17.4℃〜24.2℃で推移した。次に、図15に示すように、ハスモンヨトウ幼虫による食害茎は、いずれの区においても8月4日から8月22日まではみられなかった。8月29日の食害茎率は、無処理区210で94.7%、下向き区220で21.3%、上向き区230で4.0%、外向き区240で2.0%となった。9月4日の食害茎率は、無処理区210で100%であったのに対し、下向き区220で40.7%、上向き区230で9.3%、外向き区240で8.7%となり、上向き区230および外向き区240が同程度に低く、次いで下向き区220が低かった。
次に、図16に示すように、ハスモンヨトウ幼虫の寄生は、いずれの区においても8月4日から8月22日まではみられなかった。8月29日の寄生虫数は無処理区210で単位茎当り1.29頭に対し、下向き区220で0.21頭、上向き区230で0.02頭、外向き区240で0.01頭であった。9月4日の単位茎当り寄生虫数は、無処理区210で0.27頭に対し、下向き区220で0.01頭、上向き区230と外向き区240では0頭と少なかった。また、表3に示すように、ハスモンヨトウ雄成虫の性フェロモントラップ1日あたり誘殺数は、無処理区210で8月15日から21日までの間が5頭でピークとなった(図示せず)。これに対し3つの照明区の誘殺数はいずれも、8月4日から9月3日までの間0〜0.4頭で推移し、実験期間中に明瞭なピークはみられなかった。そして、実験期間中の累積誘殺数は、3つの照明区とも無処理区210と比較して1割未満と少なかった。
Figure 0006555466
次に、実験期間中の殺虫剤散布は8月14日の1回のみであり、内容は表4のとおりであった。無処理区210では、アスパラガスについてハスモンヨトウに対する適用があるエマメクチン安息香酸塩乳剤が散布され、3つの照明区ではハスモンヨトウに対する適用がないクロチアニジン水溶剤が散布された。上記各殺虫剤の散布時期が性フェロモントラップへの誘殺ピークがみられる前であることから、ハスモンヨトウは蛹期から成虫期にあったと推察される。また、クロチアニジン水溶剤はハスモンヨトウ幼虫に対する殺虫効果は低いことを殺虫剤メーカーに確認した。よって、8月14日の殺虫剤散布が3つの照明区の食害茎率および寄生虫数に及ぼした影響は小さいと考えられる。
Figure 0006555466
以上のことから、ハスモンヨトウを対象害虫とした場合、露地アスパラガス圃場200においては、上向き区230および外向き区240、特に外向き区240でより優れた防虫効果が得られることが判明した。
<防虫用照明処置3および4の概要>
図13に示すように、上向き区230に配置されたLEDランプ10および該LEDランプ10を支持する略凸型の光源支持部30は、防虫用照明装置3を構成する。また、外向き区240に配置されたLEDランプ10および該LEDランプ10を支持する棒状の光源支持部30aは、防虫用照明装置4を構成する。
<考察>
下向き区220の黄色点滅照明が、侵入したハスモンヨトウ成虫に対して行動抑制等の効果を及ぼすと考えられるのに対し、上向き区230および外向き区240は、特に防虫領域外からのハスモンヨトウ成虫の侵入を抑制する効果があると考えられる。実施形態1においても周囲照明区110の効果が高かったことに鑑みれば、防虫領域外からの対象害虫の侵入を抑制する光源配置が重要であると考えられる。
本実施形態に係る実験で用いた圃場の規模では、「外向きの黄色点滅照明」が効果的であった。これは、圃場内において防虫効果を確保するには最低でも1lx程度の照度が必要であるという従来の常識を覆す結果である。ただし、圃場の規模が拡大するにつれ、一旦圃場に侵入した対象害虫が暗い圃場内部に閉じ込められてしまうという弊害があるものと推定される。前記弊害を防ぐには、圃場内部において上向き照明を併用することが好ましいものと考えられる。
また、本実施形態の実用化に際しては、防虫効果だけでなく、周囲のヒト、住宅および交通等への影響も配慮する必要がある。本実施形態に係る実験では、ヒトへの影響の少ないとされる2Hz以下の周波数としたが、それでも点滅照明はヒトにとって刺激的である。「外向きの黄色点滅照明」は圃場の外部に漏れる点滅光が多くなるため、周囲への影響を低減すべき状況にある場合は、上向き照明が好ましいと考えられる。また、点滅照明がヒトに不快感を与える影響を低減しつつ一定程度の防虫効果を得るためには、外向き照明を連続点灯光とし、圃場の内部のみを上向きの黄色点滅照明とすることが好ましい。このような配慮を行えば、例えば、圃場内部の上向き黄色点滅照明の点滅周波数を、例えば2Hz以上、特に8Hz以上60Hz以下といった、よりヒトへの刺激が強い周波数にすることもできる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<実験:明期幅、暗期幅および周波数の組み合わせと防虫効果との関係>
本実施形態では、実施形態2に係る上向き区230(図12および図13参照)のLEDランプ10において、異なる明期幅、暗期幅および周波数を設定して、実施形態2と同様の実験を行った。具体的には、LEDランプ10を用いて、「明期幅100ms、暗期幅400ms、周波数2Hz」(パターン1)、「明期幅1000ms、暗期幅4000ms、周波数0.2Hz」(パターン2)、「明期幅10ms、暗期幅40ms、周波数20Hz」(パターン3)、「連続点灯照明」および「無照明」を各10分間行った。
<調査結果および考察>
「連続点灯照明」および「無照明」と比較して、パターン1〜3の点滅方法による方が、害虫の飛来数が低減していた。このような周波数の点滅は、ハスモンヨトウ等の夜蛾類においても識別できるものと考えられる。したがって、夜蛾類が識別できる程度の周波数で点滅する点滅照明を用いた方が、照明に対する「慣れ現象」が起こりにくいので、より防虫効果が高くなるものと考えられる。具体的には、点滅照明の暗期幅が40ms以上4000ms以下であり、周波数が0.2Hz以上20Hz以下であることが好ましい。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<防虫領域周辺への影響を低減する照明方法>
本実施形態は、防虫領域周辺にいるヒトへの影響を低減する照明方法に関する。実施形態1に係る格子照明区100(図6参照)において、LEDランプ10による外向き点滅照明は格子照明区100の外部にいるヒトへの影響が大きい。そこで、上向き照明を点滅のまま、外向き照明を連続点灯する。換言すれば、点滅照明を行うLEDランプ(光源)10の一部については、その主方向が上向きとなるように防虫領域に配置され、他のLEDランプ10は、連続点灯照明を行うとともに、その主方向が防虫領域の外側方向に向けて外周部に配置されていればよい。この場合、上記外部からは主に外向き照明の連続点灯光が見えることとなる。なお、この場合の連続点灯とは、周波数100Hz以上の点滅を含むものとする。世界中の商用周波数は50Hzまたは60Hzであり、この周波数の倍で点滅する光源は、実用上連続光源として用いられる。
<効果>
上向き点滅照明は主方向が上向きのため、外周部の外側ではその点滅を強く感じることはないことから、格子照明区100全体としては、ヒトへの影響の少ない照明がなされていることになる。このような照明方法は、ヒトの生活空間、特に道路および民家に近い防虫領域に適用できる。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、図17〜図21および表5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<実験:ミニトマト用雨よけハウス300に黄色点滅照明を用いた場合の防虫効果>
本願発明者らは、栽培施設内の防虫対象物に対する点滅光の直接の照射を少なくすることで、植物全般を防虫対象物とした場合でも高い防虫効果を得ることができる光源配置について検討することとした。そこで、図17に示すように、中性植物であるミニトマト(防虫対象物)をハウス栽培するミニトマト用雨よけハウス(栽培施設;以下、「雨よけハウス」と記載する)300に開口部300a〜300dを設け、これらの開口部全てにLEDランプ20を設置して黄色点滅照明を行った。そして、夜蛾類の一種であるオオタバコガおよびハスモンヨトウを対象害虫として、該2種に対する防虫効果を調査した。
(LEDランプ20の概要)
まず、図18を用いて、LEDランプ20の概要について説明する。図18は、本発明の実施形態5において用いる、LEDランプ20の正面図および内部構成を示す概略図である。図18に示すように、LEDランプ(1あるいは複数個の光源)20は、電球形黄色LEDランプであり、560nm付近をピーク波長とする。また、1Hzの周波数(明期幅200ms、暗期幅800ms、デューティ20%)で点滅照明を行う。さらに、LEDランプ20を地上高1.8mの位置に設置すると、ランプ直下から半径3m以内の範囲について、防蛾に有効とされる1.2mW/mを上回る、2.6mW/m〜9.1mW/mの放射照度が得られる放射照度分布を有する。
(各処理区の構成およびLEDランプ20の配置方法)
図17に示すように、雨よけハウス300およびその周辺(以下、「照明区」と記載する)において、該雨よけハウス300は、ビニール製の透光性の屋根300eを有し、間口W×奥行きDは、5.6m×26.8mである。また、雨よけハウス300は、間口W×高さHが5.6m×1.8mとなる第1外壁部(図示せず)を2つ、奥行きD×高さHが26.8m×1.8mとなる第2外壁部(図示せず)を2つ、合計4つの外壁部を備えている。2つの第1外壁部には、略矩形の開口部300aおよび300cがそれぞれ設けられている。また、2つの第2外壁部には、略矩形の開口部300bおよび300dがそれぞれ設けられている。
そして、LEDランプ20を、地上高Hが1.8mの位置(各開口部における屋根300e側の長辺に沿う位置)に、開口部300aおよび300cについては中央に1個、開口部300bおよび300dについては上記長辺方向に約6m間隔で5個、合計12個設置した。各開口部に設置されたLEDランプ20は、その主方向が下向きになっている。ここで、主方向が下向きとは、地面と直交し、かつ、重力方向に向かって延伸する線を基準線(0°)として、−45°より大きく+45°より小さい範囲の方向をいう。
また、照明区との比較対象として、LEDランプ20による黄色点滅照明を行わない「無処理区(雨よけハウス300と同形の雨よけハウス、およびその周辺)」を別途設けた。
(実験期間、照明方法、調査項目、調査方法および栽培概要)
2013年5月9日から9月4日まで、LEDランプ20による黄色点滅照明を行った。前記照明期間中の照明期間帯については、16:30〜7:30までとした。なお、本実施形態に係る実験は、夜間に各開口部を開放し始めた6月26日から開始した。また、オオタバコガ幼虫による食害果率、寄生虫数、ハスモンヨトウ幼虫の寄生虫数、卵塊数、殺虫剤散布実績を調査項目とした。そして、オオタバコガ幼虫については、各区3畝、1畝10株の着果数、食害果数および寄生虫数を、ハスモンヨトウ幼虫については、各区3畝、1畝10株への幼虫の寄生虫数および卵塊数を、それぞれ1〜2週間間隔で調査した。殺虫剤の散布実績は園主から聞き取った。さらに、栽培概要は、ミニトマト品種としてルビーラッシュを防虫対象物とし、5月9日〜5月15日にかけて定植を行った。
(実験結果)
まず、図19に示すように、ミニトマト用雨よけハウス300周辺の日最高気温は21.8℃〜34.7℃、日最低気温は14.4℃〜23.8℃で推移した。また、図20に示すように、オオタバコガ幼虫による食害果は、照明区では実験期間を通じてみられなかったのに対し、無処理区では7月30日からみられ、8月28日には食害果率が4%に達した。さらに、図21に示すように、オオタバコガ幼虫の寄生は、照明区ではみられなかったのに対し、無処理区では8月下旬にみられ、単位株当りの寄生虫数は8月21日に0.07頭と最も多くなった。なお、ハスモンヨトウについては、照明区、無処理区ともに幼虫の寄生、卵塊はみられなかった(図示せず)。
表5に示すように、実験期間中の殺虫剤使用実績は、照明区は無処理区より1回少なかった。しかし、無処理区では幼虫発生盛期に殺虫剤の散布を行ったが、照明区では行わなかった。したがって、照明区において得られた防虫効果に殺虫剤散布が及ぼした影響は、小さいと考えられる。
Figure 0006555466
以上のように、無処理区で最大4%の食害果率であったのに対し、照明区で食害果率は0%であったことから、点滅光源を設置した開口部を有する栽培施設において、高い防虫効果が得られることが明らかになった。
<考察>
本実施形態に係る実験では、開口部300a〜300dに、1Hzの周波数で点滅する電球形黄色LEDランプ20を設置している。雨よけハウス300は屋根300eがあるので、オオタバコガ成虫が侵入するとすれば上記各開口部からであり、各開口部付近を照射するようにLEDランプ20を設置することによりオオタバコガ成虫の侵入を防ぐことができたと考えられる。
なお、上記実験では、LEDランプ20の主方向が下向きとなっている。しかし、実施形態1および2における実験結果を踏まえると、上記主方向が各開口部の外側(各開口部より上向きおよび外向き;「上向き」および「外向き」の定義については、実施形態1と同様)へ向くように、LEDランプ20を各開口部に設置するのがより有効であるものと考えられる。また、実施形態3と同様、夜蛾類が識別できる程度の周波数で点滅する点滅照明を用いた方が、照明に対する「慣れ現象」が起こりにくいので、より防虫効果が高くなるものと考えられる。具体的には、点滅照明の暗期幅が40ms以上4000ms以下であり、周波数が0.2Hz以上20Hz以下であることが好ましい。
上記実験では、LEDランプ20が主として下方を照らしているものの、一部の点滅光は透光性の屋根300eを照らしている。一般に、栽培施設の屋根は面積が大きいことから、屋根300eとして半透光性のものを用いた場合、該屋根300e全体が内側から照らされることにより、該屋根300e全体自体が防虫領域の外側に向かって発光しているように機能することで、より一層防虫効果が高まるものと考えられる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る防虫方法は、防虫対象物(アスパラガス)が存在する防虫領域(露地アスパラガス圃場、露地アスパラガス圃場200)への害虫(ハスモンヨトウ)の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、上記点滅照明は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有する1あるいは複数個の光源(LEDランプ10、LEDランプ20)を用いて行い、上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が上記防虫領域の外側を向いている。
上記構成によれば、1あるいは複数個の光源は、その主方向が防虫領域の外側を向いている。したがって、害虫には、防虫領域に侵入する前に1あるいは複数個の光源から出射された点滅光が照射される。そのため、上記主方向が重力方向(下向き)を向いている場合と比較して、防虫領域への害虫の侵入を未然に防ぐことができる。加えて、上記逆方向の照明によって、意図に反して防虫領域へ侵入してしまった害虫の行動も抑制できるので、より高い防虫効果を得ることができるとともに、本発明の利用者であるヒトへの影響を低減できる。さらに、1あるいは複数個の光源は点滅照明を行うことから、連続点灯照明を行う場合と比較して消費電力を抑制することができる。
本発明の態様2に係る防虫方法は、上記態様1において、上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が、上記防虫領域より上向きおよび上記防虫領域より外向きの、少なくともいずれか一方を向いていてもよい。
上記構成によれば、1あるいは複数個の光源の主方向が上向き、外向きのいずれの場合にも、防虫領域への害虫の侵入を未然に防ぐことができる。特に、上記主方向が外向きの場合に、より確実に害虫の侵入を防ぐことができることが、実験によって確認されている。
本発明の態様3に係る防虫方法は、上記態様1または2において、上記1あるいは複数個の光源の配光特性は、上記主方向の放射強度に比して上記逆方向の放射強度が10分の1以下、あるいは時間平均放射照度が10mW/m以下であってもよい。
上記構成によれば、防虫領域への害虫の侵入抑制に効果的な主方向の光と比較して、害虫に対する侵入抑制効果は少ないものの、一定の行動抑制効果(交尾抑制、産卵抑制等の効果)を有する逆方向の光の放射強度を10分の1以下、あるいは時間平均放射照度を10mW/m以下にすることにより、消費電力の低減が可能になる。また、逆方向における照明による副作用、例えば逆方向に日長反応性を示す植物がある場合の照明による悪影響を回避できる。
本発明の態様4に係る防虫方法は、上記態様1から3のいずれかにおいて、上記防虫領域内において、時間平均放射照度が2mW/m以下の領域が存在してもよい。
防虫領域内に時間平均放射照度が2mW/m以下の領域が存在した場合、すなわち、防虫領域の内部に配置される光源の数が少ない場合でも、高い防虫効果が得られることが、実験によって確認されている。上記構成によれば、防虫領域内において、時間平均放射照度が2mW/m以下の領域が存在していることから、使用する光源の数を少なくしつつ、高い防虫効果が維持された防虫方法を実現することができる。また、より消費電力を抑制することができる。
本発明の態様5に係る防虫方法は、上記態様1から4のいずれかにおいて、上記点滅照明の暗期幅が、40ms以上4000ms以下であってもよい。
上記構成によれは、夜蛾類等の害虫が識別できる程度の周波数で点滅照明を行うことができ、照明に対する「慣れ現象」が起こりにくいので、より高い防虫効果を得ることができる。
本発明の態様6に係る防虫方法は、上記態様1から5のいずれかにおいて、上記点滅照明の周波数が、0.2Hz以上20Hz以下であってもよい。
上記構成によれば、夜蛾類等の害虫が識別できる程度の周波数で点滅照明を行うことができ、照明に対する「慣れ現象」が起こりにくいので、より高い防虫効果を得ることができる。
本発明の態様7に係る防虫方法は、上記態様1から6のいずれかにおいて、上記1あるいは複数個の光源のピーク波長が、500nm以上600nm以下であってもよい。
一般に、緑色照明および黄色照明、特に黄色照明は、夜蛾類等に対する防虫領域への侵入抑制効果がある。加えて、昆虫に対する誘引力が極めて弱いにもかかわらず、明適応化(照明下で昆虫の複眼が不活性化され、活動しにくい状態に変化すること)の所要時間が短いために、圃場に侵入した夜蛾類成虫の活動を短時間で直接的に抑制できる。その点、上記構成によれば、1あるいは複数個の光源のピーク波長が500nm以上600nm以下であることから、該1あるいは複数個の光源は、緑色または黄色の点滅照明を行う。そのため、夜蛾類等の防虫領域への侵入行動自体を抑制することができ、意図に反して防虫領域へ侵入してしまった害虫の行動も抑制できるので、より高い防虫効果を得ることができる。
なお、上記態様1から7のいずれかに係る防虫方法において、上記防虫領域が、圃場、栽培施設、牧場および公園であってもよい。
本発明に係る防虫方法は、点滅光を出射する1あるいは複数個の光源が防虫領域の外側方向に向けて主方向を有しつつ直接防虫対象物を照射しないことから、短日植物を含む植物全般に適用可能である。上記構成によれば、防虫領域が、圃場、栽培施設、牧場および公園であることから、これらの各領域に存在する植物全般について高い防虫効果を得ることができる。
また、上記態様1から7のいずれかに係る防虫方法において、上記防虫対象物が、作物、牧草、草花、樹木および家畜用飼料作物であってもよい。
上記構成によれば、作物、牧草、草花、家畜用飼料作物および樹木について、その種類を問わず高い防虫効果を得ることができる。また、害虫被害によって作物が出荷不能となること等を防ぐことができる。
また、上記態様1から7のいずれかに係る防虫方法において、上記作物、牧草、草花および樹木が、日長反応性を示す植物であってもよい。
上記構成によれば、日長反応性を示す植物全般について、光害を適切に回避し得る。
本発明の態様8に係る防虫方法は、防虫対象物(ミニトマト)が存在する栽培施設(雨よけハウス300)への害虫(オオタバコガおよびハスモンヨトウ成虫)の侵入または栽培施設内での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、上記栽培施設は、屋根(300e)および外壁部を備えており、上記点滅照明を行う1あるいは複数個の光源(LEDランプ20)が、上記外壁部に設けられた開口部(300a、300b、300c、300d)の内部あるいは外部に設置され、上記栽培施設の外側方向に向けて上記点滅照明を行う。
上記構成によれば、点滅照明を行う1あるいは複数個の光源は、栽培施設の外壁部に設けられた開口部の内部あるいは外部に設置され、上記栽培施設の外側方向に向けて上記点滅照明を行う。ここで、栽培施設は屋根を備えていることから、害虫は開口部からのみ侵入し得る。そのため、消費電力を抑制しつつ、栽培施設への害虫の侵入を効果的に抑制できる。
また、上記構成によれば、開口部に設置された1あるいは複数個の光源は、その主方向を開口部の外側に向けて点滅照明を行うことから、栽培施設への害虫の侵入を未然に防ぐことができ、より高い防虫効果を得ることができる。また、本発明の利用者であるヒトへの影響の低減を実現できる。
本発明の態様9に係る防虫方法は、上記態様8において、上記屋根は、半透光性を有し、上記光源は、放射強度分布として主方向を有し、上記光源は、上記主方向を上記屋根に向けて、上記点滅照明を行ってもよい。
上記構成によれば、開口部に設置された光源は、その主方向を半透光性のフィルム等の被覆資材が展張された屋根に向けて点滅照明を行う。一般に、栽培施設の屋根は面積が大きいことから、該屋根全体を内側から照射することにより、該屋根全体自体が防虫領域の外側に向かって発光しているように機能することに加えて、該屋根全体に反射した点滅光が防虫対象物に向けて広範に放射される。そのため、意図に反して栽培施設へ侵入してしまった害虫の行動も抑制できるので、より一層防虫効果が高まる。また、本発明の利用者であるヒトへの影響の低減を実現できる。
本発明の態様10に係る防虫方法は、上記態様8または9において、上記点滅照明の暗期幅が、40ms以上4000ms以下であってもよい。
上記構成によれば、夜蛾類等の害虫が識別できる程度の周波数で点滅照明を行うことができ、照明に対する「慣れ現象」が起こりにくいので、より高い防虫効果を得ることができる。
本発明の態様11に係る防虫方法は、防虫対象物(アスパラガス)が存在する防虫領域(露地アスパラガス圃場)への害虫(ハスモンヨトウ成虫)の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、上記点滅照明は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有する1あるいは複数個の光源(LEDランプ10)を用いて行い、上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が上記防虫領域より上向きとなるように上記防虫領域の上方に配置され、他の上記1あるいは複数個の光源は、連続点灯照明を行うとともに、上記主方向が上記防虫領域の外側に向けて上記外周部に配置される。
上記構成によれば、点滅照明を行う1あるいは複数個の光源は、その主方向が防虫領域より上向きとなるように防虫領域内に配置される。また、連続点灯照明を行う他の1あるいは複数個の光源は、その主方向が防虫領域より外向きとなるように外周部に配置される。したがって、防虫領域の外周部の外側にいるヒトは、防虫領域内の点滅を強く感じることはないことから、防虫領域全体としては、ヒトへの影響の少ない照明がなされていることになる。また、防虫領域内での上向きの点滅照明により、防虫領域への害虫の侵入は未然に防止でき、加えて、意図に反して防虫領域内へ侵入してしまった害虫の行動も上記逆方向の照明により抑制できる。さらに、外周部により行う外向きの連続点灯照明によって防虫対象物への影響も小さい。そのため、点滅照明によるヒトへの影響を低減しつつ、植物全般について高い防虫効果を発揮する防虫方法を実現できる。
本発明の態様12に係る防虫用照明装置(1、2、3、4)は、防虫対象物が存在する防虫領域(露地アスパラガス圃場、露地アスパラガス圃場200)への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫用照明装置であって、点滅照明を行う1あるいは複数個の光源と上記1あるいは複数個の光源を支持する光源支持部(30、30a)とを備え、上記1あるいは複数個の光源は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有し、上記光源支持部は、上記主方向が上記防虫領域の外側を向くように上記1あるいは複数個の光源を支持する。
上記構成によれば、1あるいは複数個の光源の主方向が重力方向(下向き)を向いている場合と比較して、防虫領域への害虫の、特に侵入を未然に防ぐことができ、加えて、意図に反して防虫領域へ侵入してしまった害虫の行動も上記逆方向の照明により抑制できるので、より高い防虫効果を発揮する防虫用照明装置を実現できる。また、本発明の利用者であるヒトへの影響の低減を実現できる。さらに、1あるいは複数個の光源は点滅照明を行うことから、連続点灯照明を行う場合と比較して防虫用照明装置の消費電力を抑制できる。
なお、本発明における光源の配置方法として、防虫対象物が存在する防虫領域への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を抑制するために点滅照明を行う、1あるいは複数個の光源の配置方法であって、上記1あるいは複数個の光源は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有し、上記1あるいは複数個の光源を、上記主方向が上記防虫領域の外側を向くように、上記防虫領域を含む光源配置領域に配置してもよい。
上記構成によれば、1あるいは複数個の光源の主方向が重力方向(下向き)を向いている場合、および該1あるいは複数個の光源が防虫領域外の離れた位置に配置される場合と比較して、防虫領域への害虫の侵入を未然に防ぐことができ、加えて、意図に反して防虫領域へ侵入してしまった害虫の行動も上記逆方向の照明により抑制できるので、より高い防虫効果を得ることができる。また、本発明の利用者であるヒトへの影響の低減を実現できる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、点滅照明を用いた害虫防除全般に利用することができる。
1、2、3、4 防虫用照明装置
10、20 LEDランプ(1あるいは複数個の光源)
30、30a 光源支持部
200 露地アスパラガス圃場(防虫領域)
300 雨よけハウス(栽培施設)
300a、300b、300c、300d 開口部
300e 屋根

Claims (12)

  1. 防虫対象物が存在する防虫領域への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、
    上記点滅照明は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有する1あるいは複数個の光源を用いて行い、
    上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が上記防虫領域の外側を向いており、
    上記逆方向の点滅光は、上記防虫対象物の少なくとも一部を1ルクスよりも小さい照度で照らすことを特徴とする防虫方法。
  2. 上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が、上記防虫領域より上向きおよび上記防虫領域より外向きの、少なくともいずれか一方を向いていることを特徴とする請求項1に記載の防虫方法。
  3. 上記1あるいは複数個の光源の配光特性は、上記主方向の放射強度に比して上記逆方向の放射強度が10分の1以下、あるいは時間平均放射照度が10mW/m2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の防虫方法。
  4. 上記防虫領域内において、時間平均放射照度が2mW/m2以下の領域が存在することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防虫方法。
  5. 上記点滅照明の暗期幅が、40ms以上4000ms以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の防虫方法。
  6. 上記点滅照明の周波数が、0.2Hz以上20Hz以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の防虫方法。
  7. 上記1あるいは複数個の光源のピーク波長が、500nm以上600nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の防虫方法。
  8. 防虫対象物が存在する栽培施設への害虫の侵入または栽培施設内での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、
    上記栽培施設は、屋根および外壁部を備えており、
    上記点滅照明を行う1あるいは複数個の光源が、上記外壁部に設けられた開口部あるいは上記開口部の外部に設置され、上記栽培施設の外側方向に向けて上記点滅照明を行い、
    上記1あるいは複数個の光源から放射される点滅光は、上記防虫対象物の少なくとも一部を1ルクスよりも小さい照度で照らすことを特徴とする防虫方法。
  9. 上記屋根は、半透光性を有し、
    上記1あるいは複数個の光源は、放射強度分布として主方向を有し、
    上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向を上記屋根に向けて、上記点滅照明を行うことを特徴とする請求項8に記載の防虫方法。
  10. 上記点滅照明の暗期幅が、40ms以上4000ms以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の防虫方法。
  11. 防虫対象物が存在する防虫領域への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫方法であって、
    上記点滅照明は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有する1あるいは複数個の光源を用いて行い、
    上記1あるいは複数個の光源は、上記主方向が上記防虫領域より上向きとなるように上記防虫領域の上方に配置され、
    他の上記1あるいは複数個の光源は、連続点灯照明を行うとともに、上記主方向が上記防虫領域の外側方向に向けて上記外周部に配置され
    上記逆方向の点滅光は、上記防虫対象物の少なくとも一部を1ルクスよりも小さい照度で照らすことを特徴とする防虫方法。
  12. 防虫対象物が存在する防虫領域への害虫の侵入または防虫領域での害虫の行動を点滅照明により抑制する防虫用照明装置であって、
    点滅照明を行う1あるいは複数個の光源と上記1あるいは複数個の光源を支持する光源支持部とを備え、
    上記1あるいは複数個の光源は、放射強度分布として主方向および上記主方向と同等以下の放射強度となる逆方向を有し、
    上記光源支持部は、上記主方向が上記防虫領域の外側を向くように上記1あるいは複数個の光源を支持し、
    上記逆方向の点滅光は、上記防虫対象物の少なくとも一部を1ルクスよりも小さい照度で照らすことを特徴とする防虫用照明装置。
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