以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。
[通常ワンセグ端末のチャンネルスキャン]
まず、通常ワンセグ放送を受信する従来の受信端末である通常ワンセグ端末のチャンネルスキャンについて説明する。
図1は、通常ワンセグ端末のチャンネルスキャンを説明するフローチャートである。
ステップS11において、通常ワンセグ端末は、UHF帯の13ないし52チャンネルの物理チャンネルのうちの、1つの物理チャンネルである、例えば、最も周波数の低い物理チャンネルを、処理の対象とする対象物理チャンネルに選択し、処理は、ステップS12に進む。
ステップS12では、通常ワンセグ端末は、対象物理チャンネルの中央セグメントを選局し、ステップS13に進む。
ステップS13では、通常ワンセグ端末は、対象物理チャンネルの中央セグメントのTSを受信することができたかどうかを判定し、受信することができなかったと判定した場合、処理は、ステップS14をスキップして、ステップS15に進む。
また、ステップS13において、対象物理チャンネルの中央セグメントのTSを受信することができたと判定された場合、処理は、ステップS14に進み、通常ワンセグ端末は、中央セグメントで受信したTSから、NIT actualとして記述されている自セグメント(TSを受信したセグメント)のNIT(Network Information Table)と、SDT actualとして記述されている自セグメントのSDT(Service Description Table)を取得(抽出)し、処理は、ステップS15に進む。
ステップS15では、通常ワンセグ端末は、UHF帯の13ないし52チャンネルの全ての物理チャンネルを対象物理チャンネルとしたかどうかを判定する。
ステップS15において、対象物理チャンネルとしていない物理チャンネルがあると判定された場合、処理は、ステップS16に進み、通常ワンセグ端末は、例えば、周波数が、現在の対象物理チャンネルの次に高い物理チャンネルを、新たな対象物理チャンネルに選択し、処理は、ステップS12に戻る。
一方、ステップS15において、全ての物理チャンネルを対象物理チャンネルとしたと判定された場合、処理は、ステップS17に進み、通常ワンセグ端末は、ステップS14で取得されたNITとSDTに基づいて選局テーブルを作成し、チャンネルスキャンを終了する。
図2は、NITとSDTに基づいて作成される選局テーブルを示す図である。
NITには、自セグメントに対応する、ネットワークに固有のIDであるネットワークID、TSに固有のIDであるTSID、周波数、(放送)サービスに固有のサービスIDなどが記述されている。また、SDTには、自セグメントに対応する、TSID、サービスID、そのサービスIDに対応するサービス名等が記述されている。
通常ワンセグ端末は、各物理チャンネルの中央セグメントのNITから、サービスIDと選局のための周波数を取得するとともに、そのNITに対応するSDTからサービス名を取得して対応付け、それらのサービスID、サービス名、及び、周波数を、選局情報として、選局テーブルに登録する。
なお、図2では、周波数がF1の物理チャンネルCH-1の中央セグメントは、サービスIDがID1とID2である2つのサービスで利用されるため、周波数がF1の物理チャンネルCH-1の中央セグメントのNITには、2つのサービスID1及びID2が記述されている。
通常ワンセグ端末では、例えば、選局テーブルのサービス名が、論理チャンネルの名前(番組表の、「○○TV」や、「××チャンネル」等)として提示され、ユーザが、サービス名のサービス(論理チャンネル)を選局するように操作すると、選局テーブルにおいて、そのサービス名に対応付けられている周波数の選局が行われる。
図3は、通常ワンセグ端末のチャンネルスキャンを説明する図である。
図1で説明したように、通常ワンセグ端末は、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの中央セグメントを、周波数の低い順に選局していき、中央セグメントにおいて、TSを受信することができた場合には、そのTSから、NIT及びSDTを取得する。
そして、通常ワンセグ端末は、以上のようにして、TSから取得したNIT及びSDTから、選局テーブルを作成する。
したがって、通常ワンセグ端末では、任意ワンセグ放送が、中央セグメントで行われている場合には、その任意ワンセグ放送の選局情報を取得することができるが、中央セグメント以外のセグメント(図3において、斜線を付してある部分)で行われている任意ワンセグ放送については、選局情報を取得することができない。
[本技術を適用した送受信システムの一実施の形態の構成例]
図4は、本技術を適用した送受信システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
図4において、送受信システム30は、地上波放送局31、ステーション32−1,32−2,32−3、及び、受信端末33により構成される。
地上波放送局31は、地上ディジタル放送を行う放送局であり、12セグメントで、固定端末向けの放送を行うとともに、1セグメントで、携帯端末向けの放送(通常ワンセグ放送)を行う。
ステーション32−1ないし32−3は、任意ワンセグ放送の放送波を送信する送信装置であり、地上ディジタル放送の空きチャンネルの任意の1以上のセグメントそれぞれで、ワンセグ放送であるエリア限定放送を行う。
すなわち、ステーション32−1は、放送エリアAでのみ受信可能なエリア限定放送を行う。
ステーション32−2は、放送エリアBでのみ受信可能なエリア限定放送を行い、ステーション32−3は、放送エリアCでのみ受信可能なエリア限定放送を行う。
なお、ステーション32−1ないし32−3を特に区別する必要がない場合、それらをまとめてステーション32という。
ここで、エリア限定放送としては、例えば、テーマパークでのみ受信可能な、そのテーマパークに関する放送や、ある区や市でのみ受信可能な、その区や市に展開する店舗に関する放送等がある。
エリア限定放送では、放送エリアが重複しないステーションどうしでは、同一のセグメントで放送を行うことができる。
すなわち、例えば、図4では、放送エリアAとBとは、重複していないので、放送エリアAのステーション32−1と、放送エリアBのステーション32−2とでは、同一のセグメントで、エリア限定放送を行うことができる。
また、図4では、放送エリアBとCとは、重複していないので、放送エリアBのステーション32−2と、放送エリアCのステーション32−3とでは、同一のセグメントで、エリア限定放送を行うことができる。
但し、図4では、放送エリアAとCとは、一部が重複しているので、放送エリアAのステーション32−1と、放送エリアCのステーション32−3とでは、(同時に放送を行う限り、)エリア限定放送に、同一のセグメントを用いることはできない。
受信端末33は、通常ワンセグ放送、及び、エリア限定放送のいずれをも受信可能な携帯端末である。
例えば、図4に示すように、受信端末33を所持したユーザが、放送エリアAにいる場合、受信端末33は、通常ワンセグ放送と、放送エリアAのステーション32−1によるエリア限定放送とを受信することができる。
なお、受信端末33が、通常ワンセグ放送を受信するための処理は、通常ワンセグ放送を受信する従来の受信端末(通常ワンセグ端末)と同様であるため、以下では、その説明は省略する。
[任意ワンセグ放送に用いるセグメントの説明]
図5は、図4の送受信システム30における地上ディジタル放送の帯域の割り当てについて説明する図である。
図5に示すように、送受信システム30において、地上ディジタル放送の全帯域のうち、地上ディジタル放送に使用される物理チャンネルでは、中央の1セグメント分の帯域で通常ワンセグ放送が行われ、残りの12セグメント分の帯域で固定端末向けの放送が行われる。
空きチャンネルについては、1以上のセグメントのそれぞれを、エリア限定放送に用いることができる。1つの空きチャンネルにおいて、エリア限定放送に用いることができるセグメント(論理チャンネル)の最大数は、13チャンネルである。
図6は、任意ワンセグ放送に用いるセグメントの割り当ての例を示す図である。
ステーション32が、任意ワンセグ放送であるエリア限定放送に用いるセグメントとしては、空きチャンネルの任意のセグメントを割り当てることができるが、あるステーションが、他の1以上のステーションを、いわば傘下におく場合等には、あるステーションには、中央セグメントを割り当てることができる。
すなわち、例えば、図6に示すように、ステーション32−1が、所定の地区を放送エリアAとする、いわば中心局であり、ステーション32−2及び32−3が、それぞれ、その地区内の建物やアミューズメントパーク等を放送エリアB及びCとする、いわば、ローカル局であり、放送エリアAが、放送エリアB及びCを含んでいる場合には、中心局であるステーション32−1に、所定の空きチャンネルの中央セグメントを含む1以上のセグメントを割り当て、ローカル局であるステーション32−2及び32−3には、その空きチャンネルの、ステーション32−1に割り当てたセグメント以外のセグメントを割り当てることができる。
[選局情報の取得方法]
図7は、エリア限定放送の選局情報の取得方法を説明する図である。
図7に示すように、エリア限定放送の選局情報の取得方法としては、主に、第1、第2、及び、第3の3つの方法がある。
第1の方法は、地上ディジタル放送の放送波をスキャンするチャンネルスキャンにより選局情報を取得する方法である。
第1の方法では、受信端末33は、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの各セグメントを選局し、受信可能なエリア限定放送の選局情報を取得する。
第1の方法によれば、受信端末33を所持するユーザは、自分の位置で受信可能なエリア限定放送があるかどうかを意識する必要なく、受信可能なエリア限定放送の選局情報を自動的に取得することができる。
但し、第1の方法では、ユーザは、移動するたびに、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの各セグメントを選局しなければならず、受信可能なエリア限定放送の選局情報を取得するのに、時間を要する。
第2の方法は、選局情報を受信端末33に埋め込む(あらかじめ記憶させておく)方法である。
第2の方法では、受信端末33に、あらかじめ選局情報を記憶させるため、選局情報を取得する時間を要しない。
但し、受信端末33を所持するユーザが、あらかじめ記憶された選局情報の中から、ある論理チャンネルを選局する操作をしても、その論理チャンネルの放送エリア外では、その論理チャンネル(エリア限定放送)を受信することができないことがある。
第3の方法は、放送波以外の手段、すなわち、例えば、インターネットを介した通信や、非接触IC(Integrated Circuit)カードとの通信等により、選局情報を取得する方法である。
第3の方法によれば、第1の方法に比較して、選局情報を、迅速に取得することができる。
但し、第3の方法でも、第2の方法と同様に、受信端末33を所持するユーザが、ある論理チャンネルを選局する操作をしても、その論理チャンネルを受信することができないことがある。
以上のように、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの各セグメントを選局するチャンネルスキャンを行う第1の方法は、他の第2及び第3の方法に比較して、選局情報を取得するのに、時間を要する。
そこで、受信端末33において、チャンネルスキャンによって、より迅速に、選局情報を取得する方法について説明する。
[ステーション32が送信するNIT及びSDTの説明]
図8は、図4のステーション32に送信させるNITを説明する図である。
いま、例えば、ある物理チャンネルを構成する13個のセグメントs1ないしs13のそれぞれで、ある放送エリアで受信可能なエリア限定放送が行われることとすると、中央セグメントが割り当てられたステーション32は、以下のようなNIT-0とNIT-1を、中央セグメントs7で送信する。
NIT-0は、ネットワークID、マルチセグメント情報記述子、及び、中央セグメントs7のTSに関する情報(以下、TS情報という)により構成される。
なお、マルチセグメント情報記述子は、中央セグメントs7を含む物理チャンネルのセグメントで、任意ワンセグ放送が行われていることを示す記述子である。
また、中央セグメントs7のTS情報は、中央セグメントs7のTSのTSID、中央セグメントs7の周波数、中央セグメントs7の放送サービスのサービスID等を含む。
NIT-1は、ネットワークIDと、中央セグメントs7以外のセグメントs1ないしs6,s8ないしs13のTS情報とにより構成される。なお、NIT-0のネットワークIDとNIT-1のネットワークIDは異なっている。図8の例では、NIT-0のネットワークIDは0であり、NIT-1のネットワークIDは1である。
図9は、各セグメントで送信されるNIT及びSDTを説明する図である。
NIT-0は、図9に示すように、中央セグメントs7において、自セグメントのNITを記述するNIT actualとして送信される。
NIT-1は、中央セグメントs7において、その中央セグメントs7の物理チャンネルの、自セグメントである中央セグメントs7以外のセグメント(以下、中央外セグメントという)のNITを記述するNIT otherとして送信される。
また、中央セグメントs7では、自セグメントのSDTを記述するSDT actualとして、中央セグメントs7のSDTが送信される。さらに、中央セグメントs7では、中央外セグメントのSDTを記述するSDT otherとして、中央外セグメントs1ないしs6,s8ないしs13のSDTが送信される。
中央外セグメントs1ないしs6,s8ないしs13では、NIT actualとしてNIT-1がそれぞれ送信され、NIT otherとしては何も送信されない。また、中央外セグメントs1ないしs6,s8ないしs13では、SDT actualとして、自セグメントs1ないしs6,s8ないしs13のSDTがそれぞれ送信され、SDT otherとしては何も送信されない。
以上のように、NIT及びSDTが送信されてくる場合、受信端末33は、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの中央セグメントを、周波数の低い方から順に選局する。
そして、受信端末33は、中央セグメントにおいて、TSを受信することができた場合には、そのTSのNIT actual,SDT actualから、中央セグメントで放送されるエリア限定放送のNIT及びSDTを取得する。
受信端末33は、中央セグメントのTSのNIT actualから取得したNITにおけるマルチセグメント情報記述子の有無によって、任意ワンセグ放送であるエリア限定放送が行われているか、通常ワンセグ放送が行われているかを認識する。
エリア限定放送が行われていることが認識された場合、受信端末33は、中央セグメントにおいて受信したTSのNIT other,SDT otherから、中央外セグメントで放送されるエリア限定放送のNIT,SDTを取得する。
受信端末33は、以上のようにして取得したNIT,SDTから、エリア限定放送の選局情報を含む選局テーブルを作成する。
図8及び図9で説明したように、中央セグメントのTSに、NIT actual,SDT actualだけでなく、NIT other,SDT otherを配置するので、受信端末33は、各物理チャンネルの中央セグメントを順に選局するだけで、その中央セグメントを有する物理チャンネルの全てのエリア限定放送のNITとSDTを取得することができる。
したがって、受信端末33では、エリア限定放送の選局情報を、迅速に取得することができる。
なお、中央セグメントでは、NIT other,SDT otherを、必ずしも送信する必要はない。
但し、中央セグメントにおいて、NIT other,SDT otherを送信しない場合には、受信端末33は、中央セグメントのNIT actualのマルチセグメント情報記述子の有無によって、エリア限定放送が行われているかどうかを認識し、エリア限定放送が行われているときには、中央外セグメントを順次選局し、TSを受信することができた中央外セグメントのNIT actual,SDT actualを取得する必要がある。
ここで、NIT actualには、そのNIT actualが伝送されるネットワークに関する情報が含まれ、NIT otherには、そのNIT otherが伝送されるネットワークとは別のネットワークに関する情報が含まれる。また、SDT actualには、そのSDT actualが伝送されるネットワークのサービスに関する情報が含まれ、SDT otherには、そのSDT otherが伝送されるネットワークとは別のネットワークのサービスに関する情報が含まれる。
図10は、図4の受信端末33と、通常ワンセグ放送を受信する従来の受信端末である通常ワンセグ端末100それぞれのチャンネルスキャンを示す図である。
受信端末33、及び、従来の通常ワンセグ端末100は、例えば、各物理チャンネルの中央セグメントを、周波数の低い方から順に選局し、選局情報を取得して、選局テーブルを作成する。
通常ワンセグ端末100は、エリア限定放送(任意ワンセグ放送)に対応していないため、エリア限定放送が割り当てられた物理チャンネルの中央セグメントのTSに配置されるNIT actualのマルチセグメント情報記述子は無視する。したがって、通常ワンセグ端末100は、誤動作を起こさないが、NIT other,SDT otherを取得することはできない。
その結果、通常ワンセグ端末100では、図10に示すように、各物理チャンネルの中央セグメントの通常ワンセグ放送とエリア限定放送のNIT及びSDTから、選局情報が取得される。
これに対して、受信端末33は、エリア限定放送に対応しており、エリア限定放送が割り当てられた物理チャンネルの中央セグメントのTSに配置されるNIT actualのマルチセグメント情報記述子を認識し、NIT actual,SDT actualの他、NIT other,SDT otherを取得する。
その結果、受信端末33では、各物理チャンネルに割り当てられている全てのワンセグ放送及びエリア限定放送のNIT及びSDTから、選局情報を取得することができる。
図11は、図10の例において受信端末33により作成される選局テーブルと、通常ワンセグ端末により作成される選局テーブルの例を示す図である。
図11のAは、受信端末33により作成される選局テーブルを示している。
受信端末33により作成される選局テーブルには、まず、図10の第1の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられた通常ワンセグ放送のサービス名「ワンセグサービス1」、サービスID「ID1」、及び周波数「F1」が登録される。
次に、第2の物理チャンネルに割り当てられた5セグメント分のエリア限定放送のサービス名「コミュニティサービス1」ないし「コミュニティサービス5」、サービスID「ID2」ないし「ID6」、及び周波数「F2」ないし「F6」がそれぞれ登録される。
そして、第3の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられた通常ワンセグ放送のサービス名「ワンセグサービス2」、サービスID「ID7」、及び周波数「F7」が登録される。
その後も同様に、第4の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられた通常ワンセグ放送と、第5の物理チャンネルに割り当てられた7セグメント分のエリア限定放送のサービス名、サービスID、及び周波数が登録される。
図11のBは、通常ワンセグ端末100により作成される選局テーブルを示している。
通常ワンセグ端末100により作成される選局テーブルには、まず、受信端末33により作成される選局テーブルと同様に、第1の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられた通常ワンセグ放送のサービス名「ワンセグサービス1」、サービスID「ID1」、及び周波数「F1」が登録される。
次に、第2の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられたエリア限定放送のサービス名「コミュニティサービス1」、サービスID「ID2」、及び周波数「F2」が登録される。
そして、受信端末33により作成される選局テーブルと同様に、第3の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられた通常ワンセグ放送のサービス名「ワンセグサービス2」、サービスID「ID7」、及び周波数「F7」が登録される。
その後も同様に、第4の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられた通常ワンセグ放送と、第5の物理チャンネルの中央セグメントに割り当てられたエリア限定放送のサービス名、サービスID、及び周波数が登録される。
以上のように、従来の通常ワンセグ端末100では、中央外セグメントのエリア限定放送の選局情報は取得することができず、選局テーブルに登録されないが、中央セグメントの選局情報は取得することができ、選局テーブルに登録される。
したがって、図8及び図9で説明したように、NIT及びSDTを送信しても、従来の通常ワンセグ端末100による通常ワンセグ放送の受信を妨害しない。
[放送エリアとユーザの動線]
図12は、地上ディジタル放送(通常ワンセグ放送)の放送エリアと、通常ワンセグ放送のみを受信する従来の通常ワンセグ端末100を所持するユーザの移動の軌跡である動線とを示す図である。
通常ワンセグ放送の放送エリアは、広いため、日常生活において、従来の通常ワンセグ端末100を所持するユーザは、特定の地上波放送局H1の放送エリア内を生活圏として移動することが多く、その放送エリアから、他の地上波放送局H2の放送エリアに移動することは、ほとんどない。
したがって、図12に示すように、ほとんどの動線が、地上波放送局H1の放送エリアに存在し、残りの僅かな動線が、地上波放送局H2の放送エリアに存在するユーザが所持する通常ワンセグ端末100では、地上波放送局H1による通常ワンセグ放送の選局情報を、選局テーブルに登録しておくことにより、ほとんどの場合に受信可能な地上波放送局H1による通常ワンセグ放送(のサービス名)を、ユーザが選局可能な通常ワンセグ放送(のサービス名)として、ユーザに提示することができる。
なお、通常ワンセグ端末100では、地上波放送局H1による通常ワンセグ放送の選局情報の他、地上波放送局H2よる通常ワンセグ放送の選局情報も、選局テーブルに登録しておくことにより、地上波放送局H1及びH2それぞれによる通常ワンセグ放送を、ユーザが選局可能な通常ワンセグ放送として、ユーザに提示することができる。
但し、この場合、通常ワンセグ端末100を所持するユーザが、地上波放送局H1の放送エリアにいる場合には、地上波放送局H2の通常ワンセグ放送を選局しても、通常ワンセグ端末100では、地上波放送局H2の通常ワンセグ放送を受信することはできない。
同様に、通常ワンセグ端末100を所持するユーザが、地上波放送局H2の放送エリアにいる場合には、地上波放送局H1の通常ワンセグ放送を選局しても、通常ワンセグ端末100では、地上波放送局H1の通常ワンセグ放送を受信することはできない。
通常ワンセグ端末100において、受信可能な通常ワンセグ放送だけを、ユーザに提示するには、地上波放送局H1による通常ワンセグ放送の選局情報と、地上波放送局H2による通常ワンセグ放送の選局情報とを、選局テーブルを分けて登録しておき、ユーザが、必要に応じて、選局に用いる選局テーブルを切り替える(操作を行う)必要がある。
上述したように、通常ワンセグ放送については、放送エリアが広いので、日常生活において、ユーザが、生活圏を包含する放送エリアから、他の放送エリアに移動する頻度は、極めて少ない。
したがって、選局に用いる選局テーブルを切り替えなければならないケースは、稀であり、また、選局情報を分けて登録しなければならない選局テーブルの数は、少なく、選局テーブルの切り替えも、容易である。
図13は、エリア限定放送の放送エリアと、エリア限定放送を受信することができる受信端末33を所持するユーザの移動の軌跡である動線とを示す図である。
エリア限定放送の放送エリアは、狭いため、多くのステーションが、それほど広くない範囲に密集して設けられ、その結果、受信端末33を所持するユーザが、多くのステーションの放送エリアを、頻繁に移動することが予想される。
したがって、受信端末33において受信可能なエリア限定放送(論理チャンネル)が、ユーザが生活圏内を移動している最中に、頻繁に変化することが予想される。
受信端末33において、図12で説明した通常ワンセグ端末100と同様に、受信可能なエリア限定放送だけを、ユーザに提示するために、多くのエリア限定放送の選局情報を、多くの選局テーブルを分けて登録しておき、ユーザが、必要に応じて、選局に用いる選局テーブルを切り替えることとすると、ユーザは、多くの選局テーブルを対象として、選局に用いる選局テーブルを切り替える必要があり、その切り替えの頻度も、多くなることが予想される。
したがって、受信端末33において、多くのエリア限定放送の選局情報を、多くの選局テーブルを分けて登録しておき、ユーザに、選局に用いる選局テーブルを切り替えてもらうのは、現実的ではない。
また、例えば、イベント会場等で行われるエリア限定放送については、放送を行っている期間や、放送時間帯が限定されることが予想され、したがって、あるステーションの放送エリア内であっても、エリア限定放送を受信することができるときと、できないときとがあり得る。
したがって、受信端末33において、エリア限定放送の選局情報を、有限恒久的な情報として、あらかじめ埋め込んでおいても、放送を行っている期間が経過したエリア限定放送の選局情報は無駄になり、また、将来開始されるエリア限定放送に対応することは、困難である。
一方、受信端末33において、図10で説明したチャンネルスキャンを行って、そのときに受信可能なエリア限定放送の選局情報を取得しても、その後、ユーザが移動した場合や、時間が経過した場合に、過去のチャンネルスキャンで取得した選局情報に対応するエリア限定放送を受信することができるとは限らない。
したがって、例えば、ユーザがいる位置で、そのときに受信可能なエリア限定放送を、ユーザが選局可能なエリア限定放送として、ユーザに提示するには、常時(短い周期で)、チャンネルスキャンを行って、受信可能なエリア限定放送の選局情報を取得する必要がある。
しかしながら、図10で説明したチャンネルスキャンは、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの各セグメントを選局するチャンネルスキャンに比較して、選局情報を、迅速に取得することはできるが、それでも、ある程度の時間を要する。
したがって、チャンネルスキャンを常時行うことは、現実的でない。
そこで、受信可能なエリア限定放送を、ユーザに迅速に提示するために、任意のセグメントでのワンセグメント放送の放送波を送信するステーションに関するステーション情報を、受信端末33に提供し、受信端末33では、そのステーション情報を用いて、受信可能なエリア限定放送のステーション32を、選局が可能な選局可能ステーションとして選択する。
[ステーション情報の説明]
図14は、ステーション情報を説明する図である。
ステーション情報は、ステーションID、地域コード、信号形式、送信情報フラグ、送信点対応フラグ、追加情報フラグ、送信出力、送信局緯度、送信局経度、送信局高度、エリアパターンビットマップ、受信可能距離、受信可能距離単位、オープンエアフラグ、閉空間フラグ、移動局フラグ、周波数タグ、及び、追加情報等を含む。
ステーションID(station_id)は、ステーション32をTS単位(セグメント単位)で識別するユニークなIDである。受信端末33では、ステーションIDに基づいて、ステーション情報の保持管理が行われる。
地域コード(area_code)は、ステーションIDで識別されるステーション32の所在地を識別するIDであり、例えば、当該所在地の市町村コードを採用することができる。
信号形式(signal_format)は、エリア限定放送の放送波の信号の形式を示す。受信端末33では、この信号形式に基づいて、セグメント構成や放送ストリームの仕様を同定することになる。このセグメント構成としては、図15に示すように、例えば、次の1から4の形式が指定される。
1:ワンセグ送信
2:ヌル付きフルセグ送信
3:フルセグ送信
4:中央以外ワンセグ送信
ここで、「ワンセグ送信」は、物理チャンネルの13セグメントのうち、中央セグメントのみを用いて送信を行うセグメント構成である。
また、「ヌル付きフルセグ送信」は、中央セグメントの他、中央セグメント以外の12セグメントをも用いて送信を行うセグメント構成である。但し、それらの12セグメントでは、ヌル(null)値としてのTSが送信される。
「フルセグ送信」は、中央セグメントの他、中央セグメント以外の12セグメントをも用いて送信を行うセグメント構成である。但し、「フルセグ送信」では、「ヌル付きフルセグ送信」と異なり、中央セグメント以外の12セグメントにおいても、放送の信号を含むTSが送信される。
また、「中央以外ワンセグ送信」は、中央セグメント以外の12セグメントのうち、任意の1セグメントのみを用いて送信を行うセグメント構成である。
ステーション32では、上述した4つのセグメント構成のいずれかによりエリア限定放送が行われる。
また、現状の受信端末(現状受信端末)は、これらのすべてのセグメント構成に対応しているわけではない。ここで、例えば、現状受信端末の対応している仕様を、「基本仕様」とし、現状受信端末よりも高度な機能を有する高度受信端末の対応している仕様を、「拡張仕様」又は「高度仕様」とすれば、受信端末とセグメント構成との関係は、図15の「ストリーム仕様バリエーション」に示すようになる。
なお、「拡張仕様」とは、高度受信端末の対応している仕様のうち、コーデックの改良などの仕様を拡張したものをいう。また、「高度仕様」とは、いわゆるタイムシフト放送と呼ばれるダウンロードされた放送コンテンツを視聴対象とするサービスに対応した仕様をいう。そのため、図15では、「高度仕様」に対応した受信端末が、「DL(Download)対応高度受信端末」と記述され、「拡張仕様」に対応した受信端末は、「DL(Download)非対応高度受信端末」と記述されている。
図15に示すように、セグメント構成が「ワンセグ送信」又は「ヌル付きフルセグ送信」となる場合、そのエリア限定放送は、現状受信端末、DL非対応高度受信端末、及び、DL対応高度受信端末のいずれでも受信可能となる。
また、セグメント構成が「フルセグ送信」となる場合には、中央セグメント及び中央セグメント以外の12セグメントの放送はともに、現状受信端末、DL非対応高度受信端末、及び、DL対応高度受信端末のいずれでも受信可能となる。
それに対して、セグメント構成が「中央以外ワンセグ送信」となる場合には、そのエリア限定放送は、DL非対応高度受信端末、及び、DL対応高度受信端末にて受信可能となる。
以上のように、現状受信端末は、セグメント構成が、「ワンセグ送信」、「ヌル付きフルセグ送信」、及び、「フルセグ送信」となるエリア限定放送を受信することはできるが、「中央以外ワンセグ送信」となるエリア限定放送を受信することができない。また、DL非対応高度受信端末、及び、DL対応高度受信端末は、すべてのセグメント構成に対応することができる。
また、図16に示すように、信号形式を伝送するために8ビット(図中の四角がビットを現している)が割り当てられるが、その8ビットのうち、最初の2ビットには1セグストリームの仕様に関する情報が配置され、続いて、2ビットの12セグストリームの仕様に関する情報と、4ビットのセグメント配置パターンに関する情報が順に配置される。
1セグストリームの仕様に関する情報としては、1セグメントを用いた送信を行う際の仕様に対応する値が指定される。したがって、すべてのセグメント構成において、最初の2ビットに、「基本仕様」、「拡張仕様」、又は、「高度仕様」のいずれかの仕様に対応する値が指定されることになる。
12セグストリームの仕様に関する情報としては、12セグメントを用いた送信を行う際の仕様に対応する値が指定される。したがって、セグメント構成が「フルセグ送信」となる場合にのみ、次の2ビットに、「基本仕様」、「拡張仕様」、又は、「高度仕様」のいずれかの仕様に対応する値が指定されることになる。
セグメント配置パターンに関する情報としては、「ワンセグ送信」、「ヌル付きフルセグ送信」、「フルセグ送信」、又は、「中央以外ワンセグ送信」のいずれかのセグメント構成に対応する値(例えば、1ないし4に対応する値)が指定される。
受信端末33は、上述した信号形式に基づいて、セグメント構成や放送ストリームの仕様を同定し、さらに、受信可能なエリア限定放送の放送波の信号であるかを判定することになる。
なお、図15の例では、受信端末33の対応する仕様として、「基本仕様」、「拡張仕様」、及び、「高度仕様」について説明したが、この仕様の分類は一例であって、さらに他の仕様により分類するようにしてもよい。
また、本技術の実施の形態では、説明の便宜上、セグメント構成として、「ワンセグ送信」が指定された場合について説明する。
図14に戻り、送信情報フラグ(emission_info_flag)は、送信情報が存在するか否かを示すフラグである。送信情報が存在する場合には、送信情報フラグが立てられることになる。
なお、送信情報には、例えば、送信出力、送信局緯度、送信局経度、送信局高度、エリアパターンビットマップ、受信可能距離、受信可能距離単位、オープンエアフラグ、閉空間フラグ、移動局フラグ、及び、周波数タグが含まれる。
送信点対応フラグ(emission_point_flag)は、送信情報が存在する場合に、送信情報が各送信点に対応しているか否かを示すフラグである。送信情報が送信点に対応している場合には、送信点対応フラグが立てられることになる。
追加情報フラグ(additional_info_flag)は、追加情報が存在するか否かを示すフラグである。追加情報が存在する場合には、追加情報フラグが立てられることになる。
送信出力(emission_power)は、ステーションIDで識別されるステーション32からの放送波の送信出力(パワー(mW))である。
受信端末33では、送信出力やステーション32との位置関係に基づいて、エリア限定放送の放送波(の信号)が受信可能であるかどうかの判定を行うことができる。但し、実際には、送信出力は、電波(放送波)の指向性や様々な電波の伝播条件に依存するため、エリア限定放送を(良好に)受信することができない場合がある(可能性が高い)ので、あくまで補助的に使用されることが想定される。
送信局緯度(station_latitude)、送信局経度(station_longitude)、及び、送信局高度(station_height)は、ステーションIDで識別されるステーション32の位置(所在地)を表す位置情報であり、それぞれ、ステーションIDで識別されるステーション32の所在地の緯度、経度、及び、高度である。
送信局緯度と送信局経度は、それぞれ北緯と東経を示し、例えば0.00001度単位(約1m精度相当)で表現される。また送信局高度は、地表からの高度又は標高などの高さを示し、例えば1m単位で表現される。
なお、ステーション32において送信点(アンテナ)が複数存在する場合には、存在する複数の送信点のすべてについて、図14の送信出力から周波数タグまでの送信情報が、ループを用いて個別に記述される。あるいは、それらの送信点のうちのいずれか、又は複数の送信点における中点などの代表基準点が、送信点として指定されるようにしてもよい。
送信局緯度、送信局経度、及び、送信局高度は、例えば、受信端末33がGPS(Global Positioning System)機能を有する場合、エリア限定放送の放送波(の信号)が受信可能であるかどうかの判定の他、ステーション32の地図上の位置を表示したり、ステーション32との相対距離による受信可能性の報知機能などに利用されることが想定される。
エリアパターンビットマップ(area_pattern_bitmap)は、ステーション32を中心として各方位に送信される電波(放送波)の指向性を示す情報である。例えば、ステーション32における送信点(アンテナ)を中心に、全方位を16区間に分割して、各方位に送信される電波を測定し、その指向性を示す値を2ビットで表現することで、エリアパターンビットマップが作成される。
図17は、エリアパターンのコーディングの例を示す図である。なお、図17の例では、説明の便宜上、3次元のうち、z次元が省略された、x,yの2次元における各方位の指向性を示す値dが示されている。
図17に示すように、全方位にて測定された電波(放送波)の指向性を示す値dが、北(N)、北北東(NNE)、北東(NE)、東北東(ENE)、東(E)、東南東(ESE)、南東(SE)、南南東(SSE)、南(S)、南南西(SSW)、南西(SW)、西南西(WSW)、西(W)、西北西(WNW)、北西(NW)、及び、北北西(NNW)の16方位について、閾値Th1,Th2,Th3とそれぞれ比較され、各方位での指向性を示す値が2ビットで表される。
例えば、東南東(ESE)、南東(SE)、南南東(SSE)、南(S)、南南西(SSW)、南西(SW)、及び、西南西(WSW)における指向性を示す値dは、d≦Th1となるので、2ビットの"00"で表される。また、北(N)、東(E)、西(W)、及び、北北西(NNW)における指向性を示す値dは、Th1<d≦Th2となるので、2ビットの"01"で表される。
また、例えば、北北東(NNE)、東北東(ENE)、西北西(WNW)、及び、北西(NW)における指向性を示す値dは、Th2<d≦Th3となるので、2ビットの"10"で表される。さらに、北東(NE)における指向性を示す値dは、Th3<dとなるので、2ビットの"11"で表される。
これを、MSB(Most Significant Bit)に従い、各方位のビットを、北(N)から時計回りに順に並べれば、図17の下段に示すように、"0111000000000110"のように16ビットのパターンで表すことができる。また、各方位のビットを順に、北(N)から時計回りに並べれば、"01101110010000000000000001101001"のように32ビットのパターンで表すこともできる。
なお、この例では、エリアパターンビットマップとして、16ビットと、32ビットのパターンを示したが、例えば48ビットのパターンなど、他のパターンを採用することもできる。パターンのビット数を増やすことで、例えば、方位の分割数や、各方位の指向性に対応するビットの割り当てを増やすことができる。
エリアパターンビットマップは、例えば、エリア限定放送の放送波を送信しているステーション32の中から、選局可能ステーションを選択する際に利用されることが想定される。
図14に戻り、受信可能距離(max_distance)は、あらかじめ想定されるステーション32からのエリア限定放送の放送波が受信可能な範囲を示すものである。受信可能距離は、受信可能距離単位により指定される単位(例えば10m単位)に応じて、ステーション32における送信点(アンテナ)からの距離により表される。但し、受信可能距離として、"0"が指定された場合には、受信可能距離が指定されていないことを意味する。
受信可能距離は、例えば、エリア限定放送の放送波を送信しているステーション32の中から、選局可能ステーションを選択する際に利用されることが想定される。
なお、送信点が複数存在する場合、受信可能距離は、送信点ごとにループを用いて個別に記述されるが、それらの送信点のうちのいずれか、又は複数の送信点における中点などの代表基準点からの距離が、受信可能距離として指定されるようにしてもよい。
受信可能距離単位(max_distance_unit)は、受信可能距離の単位を示すものである。例えば、受信可能距離単位として、"0"が指定された場合、受信可能距離は1m単位となり、"1"が指定された場合、受信可能距離は10m単位となる。
オープンエアフラグ(open_air_flag)は、屋外が、エリア限定放送のサービスの対象となるか否かを示すフラグである。例えば、公園等の特定の屋外施設のエリアを対象としたエリア限定放送の場合には、オープンエアフラグが立てられることになる。
閉空間フラグ(closed_space_flag)は、屋内が、エリア限定放送のサービスの対象となるか否かを示すフラグである。例えば、店舗等の特定の屋内施設のエリアを対象としたエリア限定放送の場合には、閉空間フラグが立てられることになる。
移動局フラグ(station_mobility_flag)は、エリア限定放送が、固定された位置のステーション32から放送されているか否かを示すフラグである。例えば電車やバス等の車内のエリアを対象としたエリア限定放送の場合には、移動局フラグが立てられることになる。
周波数タグ(frequency tag)は、TSを送信する送信設備が使用する送信用の周波数(送信周波数)を指定するためのタグ値である。
具体的には、NITに含まれる地上分配システム記述子には、送信用の周波数が記述されているので、それを、周波数タグの示すタグ値により指定する。すなわち、地上分配システム記述子には、SFN運用の場合、1つだけ周波数が記述されるが、MFN運用の場合には、周波数が複数列記されるので、その場合には、周波数タグによっていずれかの周波数が指定されることになる。
ここで、SFN(Single Frequency Network)は、中継局の電波の周波数を、親局の電波の周波数と同一にした単一周波数ネットワークである。SFN運用では、同一の周波数が用いられるので、電波の有効利用が可能となる。
また、MFN(Multi Frequency Network)は、親局や複数の中継局で異なる周波数が割り当てられた多周波数ネットワークである。MFN運用では、異なる周波数が用いられることから混信の恐れがなく、SFN運用に比べて技術的に導入が容易であるというメリットがある。
ここで、図18及び図19を参照して、SFN運用やMFN運用などの運用例について説明する。図18には、4つの運用例が図示されている。
図18に示すように、運用例1及び運用例2は、中継局を設けない場合の運用を示している。また、運用例3は、中継局が設けられたSFN運用を示し、運用例4は、中継局が設けられたMFN運用を示している。
運用例1では、受信端末33−1によって、ステーション32−1によるエリア限定放送が直接受信される。
具体的には、ステーション32−1は、外部のサーバ、カメラ等から、エリア限定放送のビデオデータと、オーディオデータを取得し、符号化して多重化することで、TSを生成する。生成されたTSは、放送局又は送信局のアンテナ(送信点)から送信される。この運用例では、中継局が設けられていないので、受信端末33−1を所持したユーザが、ステーション32−1の放送エリアにいる場合、受信端末33−1は、ステーション32−1によるエリア限定放送を受信することになる。
運用例2では、受信端末33−2によって、ステーション32−2によるエリア限定放送が直接受信される。
具体的には、ステーション32−2は、ステーション32−1と同様にTSを生成するが、生成されたTSは、異なる場所に設けられた2つのアンテナ(送信点)からそれぞれ送信される。この運用例でも、中継局が設けられていないので、受信端末33−2は、ステーション32−2の放送エリアにある場合、そのエリア限定放送を受信することになる。
運用例3は、SFN運用となるので、ステーション32−3によるエリア限定放送は、中継装置34−1により中継され、受信端末33−3により受信される。
具体的には、ステーション32−3は、ステーション32−1と同様にTSを生成し、アンテナを介して送信する。この運用例では、中継局が設けられているので、受信端末33−3は、中継装置34−1の放送エリアにある場合、そのエリア限定放送を受信することになる。但し、中継装置34−1は、SFN運用で動作しているので、その送信用の周波数は、ステーション32−3の送信用の周波数と同一の周波数となる。
運用例4は、MFN運用となるので、ステーション32−4によるエリア限定放送は、中継装置34−2により中継され、受信端末33−4により受信される。
具体的には、ステーション32−4は、ステーション32−1と同様にTSを生成し、アンテナを介して送信する。この運用例では、中継局が設けられているので、受信端末33−4は、中継装置34−2の放送エリアにある場合、そのエリア限定放送を受信することになる。但し、中継装置34−2は、MFN運用で動作しているので、その送信用の周波数は、ステーション32−4の送信用の周波数と異なる周波数となる。
また、SFN運用とMFN運用の場合における、各送信点で用いられる送信用の周波数の関係を具体的に例示すると、図19に示すようになる。すなわち、図19には、中継局として中継装置34−3乃至34−5が設けられている場合に、ステーション32−5が、ステーション32−1と同様にTSを生成して、異なる場所に設けられた2つのアンテナ(送信点)から同一の周波数F1で、同一のTSを送信したときの各中継装置における送信用の周波数が示されている。
すなわち、中継装置34−3は、SFN運用で動作しているので、その送信点の送信用の周波数は、ステーション32−5と同一の周波数F1となる。
また、中継装置34−4は、MFN運用で動作しているので、その送信点の送信用の周波数は、ステーション32−5と異なる周波数F2となる。さらに、中継装置34−5は、MFN運用で動作しているので、その送信点の送信用の周波数は、ステーション32−5と異なる周波数F3となる。
このように、SFN運用の場合、ステーション32と中継装置34では同一の周波数が用いられるが、MFN運用の場合には、ステーション32と中継装置34では異なる周波数が用いられるので、それらの送信点の周波数の構成が複雑化する場合がある。そこで、ステーション情報において周波数タグを定義することで、そのタグ値によって、地上分配システム記述子に記述された送信点ごとの送信用の周波数が指定されるようにして、送信点の周波数の構成が複雑化してもそれに対応できるようにする。
具体的には、図20に示すように、NITにはエリア放送記述子と地上分配システム記述子が配置されており、さらに、エリア放送記述子にはステーション情報が配置され、地上分配システム記述子には周波数情報が配置される。これにより、地上分配システム記述子の周波数情報により指定される周波数の中から、エリア放送記述子に配置されたステーション情報の周波数タグ(ftag)により指定されるタグ値に対応する周波数が特定されることになる。
すなわち、MFN運用の場合、地上分配システム記述子には、周波数情報として、例えば、周波数F1,F2,F3などが複数列記される。また、エリア放送記述子には、ステーション情報(送信情報)として、送信点ごとに周波数タグ(ftag)が記述される。図20の例では、送信点1にはftag=1、送信点2にはftag=1、送信点3にはftag=1、送信点4にはftag=2、送信点5にはftag=3がそれぞれ指定されている。
そして、周波数タグとしてftag=1が指定されている場合、周波数情報の先頭(リストの上から1番目)に記述された周波数F1が特定されるので、受信端末33では、その周波数F1に従い、選局制御などが行われる。
同様に、周波数タグとしてftag=2が指定されている場合には、周波数情報のリストの上から2番目に記述された周波数F2が特定される。また、周波数タグとしてftag=3が指定されている場合には、周波数情報のリストの上から3番目に記述された周波数F3が特定されることになる。
以上のように、ステーション情報に周波数タグを含めることで、周波数タグのタグ値により指定される周波数が送信周波数として特定されることになる。
図14に戻り、追加情報(extended_info())は将来の拡張情報である。この追加情報が存在する場合には、追加情報フラグが立てられることになる。
なお、図14に示したステーション情報は、一例であって、例えば、ステーション32の所在地又は放送エリアの地域の名称である地域名称や、ステーション32の名称であるステーション名、ステーション32が行うエリア限定放送の選局のための中心周波数など、ステーション32に関する他の情報が含まれるようにしてもよい。
また、上述したステーション情報に含まれる情報のうち、所定の位置において受信可能な放送波を送信しているステーション32が行っているエリア限定放送のサービスを選局するために用いられる、送信出力、送信局緯度、送信局経度、送信局高度、エリアパターンビットマップ、及び、受信可能距離を、特に、サービスエリア情報とも称する。
図21は、エリア放送記述子及び地上分配システム記述子を含むNITのシンタックス(データ構造)の例を示す図である。
図21に示すように、ビデオデータやオーディオデータ等が多重化されたTSから抽出されるNITには、ネットワークループと、TSループが順に配置される。
ネットワークループには、1以上の記述子(descriptor)を配置することができる。ネットワークループの記述子としては、例えば、ネットワーク名記述子、及び、システム管理記述子等が、ネットワークIDごとに配置される。
ここで、ネットワーク名記述子には、ネットワーク名が記述され、システム管理記述子には、ネットワークが放送ネットワークであるか通信ネットワークであるかを示す情報が記述される。
また、ネットワークループの後には、TSループが配置される。TSループには、1以上の記述子(descriptor)を配置することができる。TSループの記述子としては、例えば、サービスリスト記述子、地上分配システム記述子、部分受信記述子、TS情報記述子、及び、エリア放送記述子等が、TS(TS-ID)ごとに配置される。
サービスリスト記述子には、サービスID、及び、放送サービスのタイプ(テレビジョン放送、ラジオ放送など)を示すサービスタイプが記述される。また、地上システム分配記述子には、周波数(中心周波数)等の選局に必要な周波数情報などの地上伝送路の物理的条件が記述される。
部分受信記述子には、部分受信サービス(ワンセグ放送)のサービスIDが記述され、TS情報記述子には当該TSに対するリモコンボタン番号の割り当てや、TS内のサービスの伝送階層などTSに関する情報が記述される。また、エリア放送記述子には、ステーション32のステーション情報(図14)が配置される。
ステーション32のステーション情報を、エリア放送記述子に配置することで、受信端末33においては、TSがエリア限定放送のサービスであることが認識されるとともに、そのステーション情報が記憶される。これにより、例えば、後述するGPS機能などと連動して、受信端末33がステーションの放送エリアに入ったときに、ステーション32が利用可能であることを報知することができる。また、他のエリア放送局に関するステーション情報を送ることも考えられる。その場合、例えばエリア放送記述子をNITのネットワークループに配置した場合には他のエリア放送局、TSループに配置した場合には自局を示すとしてもよいし、あるいは、図14のエリア放送記述子の情報項目の中で自局か他局かを示す情報を入れてもよい。
また、図22には、図21のNITの詳細な例が図示されている。
図22に示すように、NITのTSループに配置されるエリア放送記述子には、ステーション情報(図14)の各項目が配置される。また、TSループに配置される地上分配システム記述子には、周波数情報が配置される。
図23は、エリア放送記述子(area_broadcasting_descriptor())の記述例を示す図である。
descriptor_tagには、当該記述子に割り当てられたタグ値が記述される。また、descriptor_lengthには、当該記述子の記述子長が記述される。
24ビットのstation_id、16ビットのarea_codeは、それぞれ、ステーションID、地域コードである。また、8ビットのsignal_formatは、信号形式である。
また、1ビットのemission_info_flag、1ビットのemission_point_flag、1ビットのadditional_info_flagは、それぞれ、送信情報フラグ、送信点対応フラグ、追加情報フラグである。
emission_info_flagが1である場合、送信ループには、送信情報が配置される。また、emission_point_flagが1となる場合には、送信情報が送信点に対応しているので、送信ループによって、各送信点ごとの送信情報が配置される。
送信ループ内の16ビットのemission_powerは、送信出力である。
また、24ビットのstation_latitude、24ビットのstation_longitude、16ビットのstation_heightは、それぞれ、送信局緯度、送信局経度、送信局高度である。
また、32ビットのarea_pattern_bitmap、8ビットのmax_distance、1ビットのmax_distance_unitは、それぞれ、エリアパターンビットマップ、受信可能距離、受信可能距離単位である。
さらに、1ビットのopen_air_flag、1ビットのclosed_space_flag、1ビットのstation_mobility_flagは、それぞれ、オープンエアフラグ、閉空間フラグ、移動局フラグである。
4ビットのfrequency_tagは、周波数タグである。以上の送信情報が送信ループ内に配置される。
additional_info()は、追加情報である。additional_info()は、additional_info_flagが1である場合に、エリア放送記述子に配置される。
なお、エリア放送記述子の記述方法は任意であって、図23の例に限定されるものではない。
図24は、地上分配システム記述子(terrestrial_delivery_system_descriptor)の記述例を示す図である。地上分配システム記述子には、地上伝送路の物理的条件が記述される。
descriptor_tagには、当該記述子に割り当てられたタグ値が記述される。また、descriptor_lengthには、当該記述子の記述子長が記述される。
12ビットのarea_code、2ビットのguard_interval、2ビットのtransmission_modeは、それぞれ、サービスエリアのコード、ガードインターバル、モード情報である。
周波数ループには、周波数情報が配置される。MFN運用の場合は、送信点ごとの送信用の周波数が複数列記される。frequencyには、周波数が記述され、その周波数単位は、例えば1/7MHzとされる。
なお、地上分配システム記述子の記述方法は任意であって、図24の例に限定されるものではない。
[ステーション32の構成例]
図25は、図4のステーション32の詳細構成例を示すブロック図である。
図25において、ステーション32は、関連情報取得部51、ビデオデータ取得部52、ビデオエンコーダ53、オーディオデータ取得部54、オーディオエンコーダ55、マルチプレクサ56、送信部57、及びアンテナ58により構成される。
関連情報取得部51は、PMT(Program Map Table)及びPAT(Program Association Table)や、エリア限定放送のNIT(Network Information Table),SDT(Service Description Table)等を含む、サービスを受信するための情報、周波数情報、サービスに対応するパケットを特定する情報等の制御情報であるPSI(Program Specific Information)、エリア限定放送においてブラウザを用いた表示を行うための情報(以下、表示制御情報という)等の関連情報を生成することにより取得し、マルチプレクサ56に供給する。
なお、関連情報取得部51は、NITを生成するに際し、そのNITに含めるステーション情報を取得する。
すなわち、ステーション32のステーション情報が、例えば、図示せぬメモリに記憶されている場合には、関連情報取得部51は、そのメモリからステーション情報を読み出すことにより、ステーション32のステーション情報を取得する。
また、NITに、他のステーションのステーション情報を含める場合には、関連情報取得部51は、例えば、他のステーションから、ネットワークを介して、他のステーションのステーション情報をダウンロードすることにより取得する。
ビデオデータ取得部52は、図示せぬ内蔵するHDD(Hard Disk Drive)や、外部のサーバ、カメラ等から、エリア限定放送のビデオデータを取得し、ビデオエンコーダ53に供給する。
ビデオエンコーダ53は、ビデオデータ取得部52から供給されるビデオデータを、MPEG(Moving Picture Experts Group)等の符号化方式に準拠して符号化し、マルチプレクサ56に供給する。
オーディオデータ取得部54は、図示せぬ内蔵するHDDや、外部のサーバ、マイク(マイクロフォン)等から、エリア限定放送のオーディオデータを取得し、オーディオエンコーダ55に供給する。
オーディオエンコーダ55は、オーディオデータ取得部54から供給されるオーディオデータを、MPEG等の符号化方式に準拠して符号化し、マルチプレクサ56に供給する。
マルチプレクサ56は、関連情報取得部51からの関連情報、ビデオエンコーダ53からのビデオデータ、及びオーディオエンコーダ55からのオーディオデータを多重化してTSを生成し、送信部57に供給する。
送信部57は、マルチプレクサ56から供給されるTSを、所定のセグメントでアンテナ58を介して送信する。
なお、送信部57において、マルチプレクサ56から供給されるTSのうちの、ステーション32のステーション情報を含むNITが、関連情報として多重化されたTSは、ステーション32の代表セグメントで送信される。
[ステーション32の処理の説明]
図26は、図25のステーション32の処理(送信処理)を説明するフローチャートである。
ステップS31において、関連情報取得部51は、ステーション32が送信すべきステーション情報、すなわち、ステーション32のステーション情報や、他のステーションのステーション情報を取得し、そのステーション情報を含むEIT等の、エリア限定放送のPSIや、表示制御情報等の関連情報を生成することで取得して、マルチプレクサ56に供給する。
ステップS32において、ビデオデータ取得部52は、エリア限定放送のビデオデータを取得し、ビデオエンコーダ53に供給する。
ステップS33において、ビデオエンコーダ53は、ビデオデータ取得部52から供給されるビデオデータを符号化し、マルチプレクサ56に供給する。
ステップS34において、オーディオデータ取得部54は、エリア限定放送のオーディオデータを取得し、オーディオエンコーダ55に供給する。
ステップS35において、オーディオエンコーダ55は、オーディオデータ取得部54から供給されるオーディオデータを符号化し、マルチプレクサ56に供給する。
ステップS36において、マルチプレクサ56は、関連情報取得部51からの関連情報、ビデオエンコーダ53からのビデオデータ、及びオーディオエンコーダ55からのオーディオデータを多重化してTSを生成する。
ステップS37において、送信部57は、マルチプレクサ56から供給されるTSを、そのTSを送信すべき所定のセグメントでアンテナ58を介して送信し、処理を終了する。
[受信端末33の詳細構成例]
図27は、図4の受信端末33の詳細構成例を示すブロック図である。
図27において、受信端末33は、アンテナ71、チューナ72、デマルチプレクサ73、ビデオデコーダ74、選択部75、表示部76、オーディオデコーダ77、スピーカ78、ブラウザ79、制御部80、操作部81、及び、無線通信I/F82により構成される。
アンテナ71は、地上波放送局31やステーション32からのUHF帯の放送波を受信し、その放送波の受信によって得られるIF(Intermediate Frequency)信号を、チューナ72に供給する。
チューナ72は、制御部80の制御に従い、アンテナ71からのIF信号から、所定の論理チャンネル(セグメント)の通常ワンセグ放送やエリア限定放送(の信号)を選局(復調)し、その結果得られるTSを、デマルチプレクサ73に供給する。
デマルチプレクサ73は、チューナ72から供給されるTSを、ビデオデータ、オーディオデータ、表示制御情報、PSIの各情報等に分離する。デマルチプレクサ73は、ビデオデータをビデオデコーダ74に供給し、オーディオデータをオーディオデコーダ77に供給する。また、デマルチプレクサ73は、表示制御情報をブラウザ79に供給し、PSIの各情報等を制御部80に供給する。
ビデオデコーダ74は、制御部80の制御に従い、デマルチプレクサ73から供給されるビデオデータを、ビデオエンコーダ53(図25)に対応する方式でデコードし、選択部75に供給する。
選択部75は、制御部80の制御に従い、ビデオデコーダ74から供給されるビデオデータ又はブラウザ79から供給されるビデオデータを選択し、表示部76に供給する。
また、選択部75は、制御部80の制御に従い、OSD(On Screen Display)等の画像のビデオデータを、表示部76に供給する。
表示部76は、選択部75から供給されるビデオデータに基づいて、通常ワンセグ放送又はエリア限定放送の画像等を表示する。
オーディオデコーダ77は、制御部80の制御に従い、デマルチプレクサ73から供給されるオーディオデータを、オーディオエンコーダ55(図25)に対応する方式でデコードし、スピーカ78に供給する。
スピーカ78は、オーディオデコーダ77からのオーディオデータに対応する音声、すなわち、通常ワンセグ放送又はエリア限定放送の音声を出力する。
なお、スピーカ78は、その他、制御部80の制御に従って、所定のサウンド(例えば、ビープ音等)を出力することができる。
ブラウザ79は、デマルチプレクサ73から供給される表示制御情報を解釈して、ビデオデータを生成し、選択部75に供給する。
制御部80は、操作部81からの操作信号等に応じて、各種の処理を行うとともに、受信端末33を構成する各ブロックを制御する。
すなわち、制御部80は、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの中央セグメントの周波数を、チャンネルスキャン用のプリセット周波数として記憶しており、チャンネルスキャン時に、そのプリセット周波数(のセグメントを)を順番に選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行う。
また、制御部80は、デマルチプレクサ73から供給されるPSIに含まれる各物理チャンネルの中央セグメントのNIT actual及びSDT actualや、NIT actual、NIT other、SDT actual、及びSDT otherに基づいて、選局テーブルを生成し、内蔵するメモリ(図示せず)に記憶する。
さらに、制御部80は、操作部81からの操作信号等に応じて、選局テーブルに登録されているサービス名を、選択部75を介して、表示部76に供給して表示させる。
ここで、ユーザは、表示部76に表示されたサービス名を見て、視聴対象とするサービス(論理チャンネル)のサービス名を選択するように、操作部81を操作することができる。
制御部80は、この操作部81の操作に従って、選局テーブルから、視聴対象のサービス名のサービスの選局情報としての周波数を認識し、その周波数(のセグメント)を選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行う。
また、制御部80は、デマルチプレクサ73から供給されるPSIの各情報に基づいて、ビデオデコーダ74、選択部75、オーディオデコーダ77、及びブラウザ79を制御する。具体的には、制御部80は、例えば、ビデオデコーダ74から出力されるビデオデータとオーディオデコーダ77から出力されるオーディオデータの同期をとるように、ビデオデコーダ74とオーディオデコーダ77を制御する。
さらに、制御部80は、PSIのNITにステーション情報が含まれている場合には、そのステーション情報を取得し、必要に応じて記憶する。
そして、制御部80は、ステーション情報を用いて、選局制御を行う。
すなわち、制御部80は、ステーション情報を用いて、現在、受信可能なエリア限定放送のステーションを、選局が可能な選局可能ステーションとして選択し、その選局可能ステーションのステーション名や、選局可能ステーションが行っているエリア限定放送のサービスのサービス名を、選択部75を介して、表示部76に表示させる。
また、制御部80は、選局可能ステーションのエリア限定放送(のサービス)の周波数を、ステーション情報、又は、選局テーブルから認識し、その周波数を選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行う。
操作部81は、ユーザによって操作され、その操作に対応する操作信号を、制御部80に供給する。なお、操作部81には、物理的なボタン等の他、表示部76にGUI(Graphics User Interface)として表示されるボタンも含まれる。
無線通信I/F82は、無線IPアクセスポイントが検出された場合、制御部80の制御に従い、その無線IPアクセスポイントを経由してインターネットに接続する。無線通信I/F82は、インターネットに接続された各種のサーバと情報のやりとりをする。
図28は、図27の受信端末33でのステーション情報の取得と利用を説明する図である。
上述したように、ステーション32が、ステーション情報をNITに含めて送信する場合には、受信端末33は、例えば、チャンネルスキャン時等に受信されるNITから、ステーション情報を取得することができる。
また、受信端末33は、チャンネルスキャン以外の方法で、ステーション情報を取得することができる。例えば、ステーション情報は、非接触ICカード(例えば、Felica(登録商標))等の非接触メディアに記憶しておき、その非接触メディアと受信端末33との間で、ステーション情報をやりとりする近接通信を行うことにより、受信端末33において取得することができる。
また、ステーション情報は、インターネット上の専用のサーバにファイルとして記憶しておき、そのサーバと受信端末との間で、ステーション情報をやりとりする無線通信を、無線LAN(Local Area Network)等により行うことで、受信端末33において取得することができる。さらに、ステーション情報は、インターネット上の専用のサーバから、パーソナルコンピュータにダウンロードし、そのパーソナルコンピュータと受信端末33との間で、ステーション情報をやり取りする、USB(Universal Serial Bus)等による通信を行うことにより、受信端末33において取得することができる。
受信端末33では、制御部80が、ステーション情報を取得し、必要に応じて、ステーション情報を登録(記憶)するリストであるステーションリストに、ステーション情報を登録する。
そして、制御部80は、ステーション情報を用いて、選局制御を行う。
[制御部80の構成例]
図29は、図27の制御部80の、ステーション情報を用いた選局制御を行う部分の機能的構成例を示すブロック図である。
図29において、制御部80は、ステーション情報取得部111,112、及び、113、登録部114、記憶部115、更新部116、ステーション選択部117、選局制御部118、周波数情報取得部119、並びに、周波数特定部120を有する。
ステーション情報取得部111ないし113は、ステーション情報を取得する。
すなわち、ステーション情報取得部111は、チューナ72がチャンネルスキャンを行うこと等によって得られるNITから、ステーション情報を取得し、登録部114、選局制御部118、及び、周波数特定部120に供給する。
ここで、後述する選局制御部118は、例えば、操作部81がチャンネルスキャンを行うように操作された場合に、プリセット周波数として記憶している、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの中央セグメントの周波数を順番に選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行う。
チューナ72は、選局制御部118の選局制御に従い、プリセット周波数を選局し、選局したプリセット周波数において、エリア限定放送が受信可能である場合、すなわち、選局の結果、エリア限定放送のTSを得ることができた場合、そのTSを、デマルチプレクサ73に供給する。
デマルチプレクサ73は、チューナ72からのTSからPSIを分離し、制御部80に供給する。
制御部80は、以上のようにして、チャンネルスキャン時に、デマルチプレクサ73から供給されるPSIに含まれるNIT及びSDTから、必要に応じて、そのときに受信可能なサービス(エリア限定放送)の選局情報を登録した選局テーブルを作成する。
また、制御部80では、ステーション情報取得部111が、チャンネルスキャン時に得られるNITから、ステーション情報を取得する。
ステーション情報取得部112は、ダイレクト方式で、ステーション情報を取得し、登録部114、及び、選局制御部118に供給する。
ここで、例えば、ステーション32が行うエリア限定放送が、ステーション32の放送エリア内で行われているイベントに関する放送である場合に、ステーション32の放送エリアには、そのステーション32のステーション情報を、バーコード等の形で印刷したポスタや、そのステーション情報を記憶させた無線タグを内蔵させたポスタを掲示することができる。
この場合、ステーション情報取得部112は、バーコードを読み取る読み取り装置や、無線タグと近接通信(非接触通信)を行うリーダライタを内蔵し、ユーザが、ステーション32のステーション情報を取得するために、受信端末33を、ポスタに近づけたときに、そのポスタのバーコードや無線タグから、ステーション32のステーション情報を取得する。
以上のように、特定のステーション32の放送エリアにおいて、そのステーション32のステーション情報のみを取得することができる、ステーション情報の取得の方式が、ダイレクト方式である。
ステーション情報取得部113は、チャンネルスキャン、及び、ダイレクト方式以外の方式(その他方式)で、ステーション情報を取得し、登録部114に供給する。
すなわち、チューナ72において、任意ワンセグ放送や通常ワンセグ放送を受信している(任意ワンセグ放送や通常ワンセグ放送のTSが得られている)場合に、その任意ワンセグ放送や通常ワンセグ放送のTSのNITに、1以上のステーションそれぞれのステーション情報が含まれているときには、ステーション情報取得部113は、そのステーション情報を取得することができる。
また、例えば、受信端末33が、Webブラウザの機能を有しており、インターネット上のWebサーバが、1以上のステーションそれぞれのステーション情報を提供している場合には、ステーション情報取得部113は、Webサーバにアクセスし、ステーション情報を取得することができる。
さらに、例えば、1以上のステーションそれぞれのステーション情報を提供しているサーバから、そのステーション情報をダウンロードしたパーソナルコンピュータに対して、受信端末33が接続された場合に、ステーション情報取得部113は、パーソナルコンピュータから、ステーション情報を取得することができる。
また、例えば、1以上のステーションそれぞれのステーション情報を、バーコードの形で印刷した印刷物(例えば、ポスタや、カタログ、雑誌等)や、1以上のステーションそれぞれのステーション情報を記憶させた無線タグを内蔵させた印刷物が提供されている場合において、ユーザが、受信端末33を、印刷物に近づけたときに、ステーション情報取得部113は、その印刷物のバーコードや無線タグから、ステーション情報を取得することができる。
登録部114は、ステーション情報取得部111ないし113から供給されるステーション情報を、必要に応じて、記憶部115に供給して記憶させる(記憶部115のステーションリストに登録する)。
すなわち、登録部114は、ステーション情報取得部111ないし113から供給されるステーション情報のうちの、ユーザが登録を要求したステーション情報のみを、記憶部115に記憶させる。
ここで、例えば、選局制御部118が、ステーション情報取得部111から供給されるステーション情報を用いて選局制御を行うことで、チューナ72が受信したエリア限定放送を視聴したユーザが、その後に、そのエリア限定放送の視聴を希望しないことがある。
この場合、そのエリア限定放送を行っているステーション情報は、不要である。
また、記憶部115に、そのような不要なステーション情報を含む多数のステーション情報が記憶されると、後述するステーションリスト画面に、多数のステーション(のステーション名)が表示され、その結果、ユーザが所望のステーションを選択しにくくなることがある。
そこで、登録部114は、ユーザが登録を要求するように、操作部81(図27)を操作(以下、ブックマーク操作ともいう)した場合に、ステーション情報を、記憶部115に記憶させることができる。
これにより、ステーションリスト画面に、多数のステーションが表示されることにより、ユーザが所望のステーションを選択しにくくなることを防止することができる。
記憶部115は、登録部114から供給されるステーション情報を記憶する。すなわち、記憶部115は、ステーション情報を登録するステーションリストを記憶しており、登録部114から供給されるステーション情報を、ステーションリストに登録する。
更新部116は、記憶部115に記憶されたステーション情報の更新を行う。
例えば、更新部116において、エリア限定放送が行われている期間に応じて、記憶部115に記憶されたステーション情報の更新を行うことで、ステーションリスト画面に、エリア限定放送を既に行っていないステーションを含む多数のステーションが表示されることにより、ユーザが所望のステーションを選択しにくくなることを防止することができる。
ステーション選択部117は、記憶部115に記憶されたステーション情報を用い、所定の位置において受信可能なエリア限定放送のステーションを、選局が可能な選局可能ステーションとして選択し、その選局可能ステーションのステーション情報を、選局制御部118に供給する。
選局制御部118は、ステーション情報取得部111や112、ステーション選択部117から供給されるステーション情報を用い、そのステーション情報に対応するステーションのエリア限定放送を、チューナ72(図27)に選局させる選局制御を行う。
また、選局制御部118は、ステーション選択部117から供給される、選局可能ステーションのステーション情報を用い、その選局可能ステーションのステーション名を表示したステーションリスト画面や、選局可能ステーションが行っているエリア限定放送(サービス)のサービス名を表示したチャンネルリスト画面等を表示部76(図27)に表示するように、選択部75を制御する表示制御を行う。
周波数情報取得部119は、チューナ72がチャンネルスキャンを行うこと等によって得られるNITから、周波数情報を取得し、周波数特定部120に供給する。
周波数特定部120には、ステーション情報取得部111からのステーション情報と、周波数情報取得部119からの周波数情報が供給される。周波数特定部120は、ステーション情報に含まれる、送信用の周波数を特定するための周波数特定情報(周波数タグ)に基づいて、周波数情報により指定される周波数の中から、選局可能ステーションが行っている放送の放送波の送信点で用いられる送信周波数を特定する。周波数特定部120は、送信周波数の特定結果を、選局制御部118に供給する。
選局制御部118は、周波数特定部120により特定された送信周波数に従い、選局可能ステーションが行っている放送のサービスを選局する選局制御等を行う。
なお、送受信システム30がSFN運用のみを行う場合、親局と中継局では同一の周波数が用いられるので、周波数情報取得部119及び周波数特定部120を設けない構成とすることもできる。その場合、制御部80は、ステーション情報取得部111ないし選局制御部118から構成されることになる。
[受信端末33による、ステーション情報を取得する処理]
図30は、図27の受信端末33が、チャンネルスキャンによってステーション情報を取得して、サービスを受信する処理を説明するフローチャートである。
例えば、ユーザが、チャンネルスキャンのメニュー画面であるスキャン操作画面を表示するように、操作部81(図27)を操作すると、ステップS51において、選局制御部118(図29)は、選択部75(図27)を制御することにより、スキャン操作画面を、表示部76(図27)に表示させ、処理は、ステップS52に進む。
ステップS52では、選局制御部118は、スキャン操作画面のスキャンボタンが操作されたかどうかを判定する。
すなわち、スキャン操作画面には、チャンネルスキャンを行うときに操作されるスキャンボタンが設けられており、ステップS52では、そのスキャンボタンが操作されたかどうかが判定される。
ステップS52において、スキャンボタンが操作されていないと判定された場合、処理は、ステップS52に戻る。
また、ステップS52において、スキャンボタンが操作されたと判定された場合、処理は、ステップS53に進み、以下、ステップS53ないしS57において、チャンネルスキャンが行われ、NIT及びSDT、さらには、ステーション情報が取得される。
すなわち、ステップS53において、選局制御部118は、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの中央セグメントの周波数(プリセット周波数)のうちの、例えば、最も低い周波数を、注目周波数に選択し、その注目周波数を選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行う。
その後、処理は、ステップS53からステップS54に進み、選局制御部118は、注目周波数において、サービスを受信することができたかどうか、すなわち、選局の結果、チューナ72において、TSを得ることができたかどうかを判定する。
ステップS54において、注目周波数でサービスを受信することができなかったと判定された場合、処理は、ステップS55をスキップして、ステップS56に進む。
また、ステップS54において、注目周波数でサービスを受信することができたと判定された場合、処理は、ステップS55に進み、制御部80は、NIT及びSDT、さらには、可能であれば、ステーション情報を取得する。
すなわち、チューナ72は、選局制御部118の選局制御に従い、注目周波数を選局し、その選局の結果、TSを得ることができた場合、そのTSを、デマルチプレクサ73に供給する。そして、デマルチプレクサ73は、チューナ72からのTSからPSIを分離し、制御部80に供給する。
制御部80は、以上のようにして、デマルチプレクサ73から供給されるPSIに含まれるNIT及びSDTを取得し、必要に応じて、そのときに受信可能なサービス(エリア限定放送、通常ワンセグ放送)の選局情報を登録した選局テーブルを作成する。
さらに、制御部80では、ステーション情報取得部111が、デマルチプレクサ73からのPSIから取得されたNITにステーション情報が含まれる場合には、そのNITから、ステーション情報を取得する。
ここで、NITから取得されたステーション情報に対応するステーションがエリア限定放送を行っている周波数(中心周波数)は、そのステーション情報が含まれていたNITから認識することができるが、ここでは、説明を簡単にするために、中心周波数は、ステーション情報に含まれることとする。
ステップS55において、ステーション情報取得部111は、以上のようにしてNIT及びSDT、並びにステーション情報を取得すると、NIT及びSDT、並びにステーション情報を、選局制御部118に供給するとともに、ステーション情報を、登録部114に供給して、処理は、ステップS56に進む。
ステップS56では、選局制御部118は、注目周波数が、プリセット周波数のうちの最後の周波数、すなわち、ここでは、最も高い周波数であるかどうかを判定する。
ステップS56において、注目周波数が、プリセット周波数のうちの最後の周波数でないと判定された場合、処理は、ステップS57に進み、選局制御部118は、プリセット周波数のうちの、いま、注目周波数になっている周波数の次に高い周波数を、新たな注目周波数として選択する。
さらに、ステップS57では、選局制御部118は、注目周波数を選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行い、処理は、ステップS54に戻る。
また、ステップS56において、注目周波数が、プリセット周波数のうちの最後の周波数であると判定された場合、処理は、ステップS58に進む。
ここで、ステップS53ないしS57の、選局制御部118によるチューナ72の選局制御では、地上ディジタル放送の各物理チャンネルの中央セグメントだけの周波数(プリセット周波数)ではなく、各物理チャンネルの各セグメントの周波数を順番に選局するように、チューナ72を制御することができる。
ステップS58では、選局制御部118は、ステーション情報取得部111からの、チャンネルスキャンで得られたNIT及びSDTから認識されるサービスのすべて(又は一部)のサービス名を表示したチャンネルリスト画面を生成し、選択部75を介して、表示部76に表示させる。
その後、処理は、ステップS58からステップS59に進み、選局制御部118は、チャンネルリスト画面に表示されたサービス名(論理チャンネル)のいずれかを選択するように、操作部81が操作されたかどうかを判定する。
ステップS59において、チャンネルリスト画面に表示されたサービス名のいずれかを選択するように、操作部81が操作されていないと判定された場合、処理は、ステップS59に戻る。
また、ステップS59において、チャンネルリスト画面に表示されたサービス名のいずれかを選択するように、操作部81が操作されたと判定された場合、処理は、ステップS60に進み、選局制御部118は、操作部81の操作によって選択されたサービス名のサービスである選択サービス(論理チャンネル)(セグメント)を選局する選局制御を行う。
すなわち、選局制御部118は、選択サービスのNIT(又は、可能であれば、既に作成された選局テーブル)から、選択サービスの(ワンセグ放送が行われている)周波数を認識する。但し、MFN運用時に、地上分配システム記述子に配置された周波数情報に送信用の周波数が複数列記されている場合には、周波数特定部120が、ステーション情報に含まれる周波数タグに基づいて、周波数情報119により取得された周波数情報により指定される周波数の中から、送信周波数を特定することになる。これにより、MFN運用時に、送信点の周波数の構成が複雑化しても容易に対応することが可能となる。
そして、選局制御部118は、選択サービスの周波数を選局するように、チューナ72(図27)を制御する。
チューナ72は、選局制御部118の選局制御に従い、選択サービスを選局し、ワンセグ放送が受信可能である場合、すなわち、選局の結果、ワンセグ放送のTSを得ることができた場合、そのTSを、デマルチプレクサ73(図27)に供給する。
デマルチプレクサ73は、チューナ72からのTSから、ワンセグ放送のビデオデータ、オーディオデータ、及び、表示制御情報を分離し、ビデオデコーダ74、オーディオデコーダ77、及び、ブラウザ79に、それぞれ供給する。
これにより、例えば、表示部76では、選択サービスの画像が表示されるとともに、スピーカ78では、選択サービスの音声が出力され、ユーザは、選択サービスを視聴することができる。
その後、処理は、ステップS60からステップS61に進み、選局制御部118は、選択サービスが、ワンセグ放送のうちの、エリア限定放送のサービスであるかどうかを判定する。
ここで、選択サービスが、ワンセグ放送のうちの、エリア限定放送のサービスであるかどうかの判定は、例えば、選択サービスのNITに、ステーション情報が含まれているかどうかによって行うことができる。
ステップS61において、選択サービスが、エリア限定放送のサービスでないと判定された場合、すなわち、選択サービスのNITに、ステーション情報が含まれておらず、したがって、選択サービスが、通常ワンセグ放送のサービスである場合、処理は、ステップS62ないし64をスキップして終了する。
また、ステップS61において、選択サービスが、エリア限定放送のサービスであると判定された場合、すなわち、選択サービスのNITに、ステーション情報が含まれている場合、処理は、ステップS62に進み、選局制御部118は、選択部75を介して、表示部76に、選択サービスの画像に重畳して、ステーション情報の登録を要求するときに操作されるブックマークボタンを表示させる。
その後、処理は、ステップS62からステップS63に進み、登録部114は、ユーザが、ブックマークボタンを操作するブックマーク操作を行ったかどうかを判定する。
ステップS63において、ブックマーク操作が行われたと判定された場合、処理は、ステップS64に進み、登録部114は、ステーション情報取得部111からのステーション情報のうちの、選択サービスのエリア限定放送を行っているステーションのステーション情報を、記憶部115のステーションリストに登録して、処理を終了する。
また、ステップS63において、ブックマーク操作が行われなかったと判定された場合、処理は、ステップS64をスキップして終了する。
したがって、ステーション情報取得部111において取得された、選択サービスのエリア限定放送を行っているステーションのステーション情報は、ブックマーク操作が行われた場合にのみ、記憶部115のステーションリストに登録される。
図31は、図27の受信端末33が、チャンネルスキャンによってステーション情報を取得して、サービスを受信する場合の、表示部76の表示例を示す図である。
図30で説明したように、ユーザが、スキャン操作画面を表示するように、操作部81(図27)を操作すると、受信端末33では、図31に示すように、スキャンボタンを有するスキャン操作画面が、表示部76に表示される。
ユーザが、表示部76に表示されたスキャン操作画面のスキャンボタンを操作すると、受信端末33では、チャンネルスキャンが行われ、NIT及びSDTが取得される。
そして、受信端末33では、ステーション情報取得部111が、チャンネルスキャン時に得られるNITからステーション情報を取得する。
さらに、受信端末33では、選局制御部118が、チャンネルスキャンで取得されたNIT及びSDTから、ワンセグ放送のサービスのサービス名を表示したチャンネルリスト画面を生成し、表示部76に表示する。
ここで、図31では、チャンネルリスト画面において、通常ワンセグ放送のサービス(一般チャンネル)のサービス名と、エリア限定放送のサービス(エリア限定放送チャンネル)のサービス名とが分けて表示されている。
その後、ユーザが、チャンネルリスト画面に表示されたいずれかのサービス名(論理チャンネル)を選択すると、受信端末33では、そのサービス名のサービスを選択サービスとして、チューナ72が、選択サービスを選局する。
そして、受信端末33では、チューナ72による選局の結果、TSを受信することができた選択サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。
選択サービスがエリア限定放送のサービスである場合、放送受信画面には、さらに、ブックマークボタンが表示される。ブックマークボタンが操作されると、受信端末33では、登録部114が、ステーション情報取得部111によって取得されたステーション情報のうちの、選択サービスのエリア限定放送を行っているステーションのステーション情報を、記憶部115のステーションリストに登録する。
図32は、図27の受信端末33が、ダイレクト方式でステーション情報を取得して、サービスを受信する処理を説明するフローチャートである。
例えば、ユーザが、ダイレクト方式でステーション情報を取得するように、操作部81を操作し、例えば、所定のステーションのステーション情報を、バーコードの形で印刷したポスタの、そのバーコードに、受信端末33を近づけると、ステップS111において、ステーション情報取得部112(図29)は、そのバーコードを読み取ることにより、ステーション情報を取得し、登録部114、及び、選局制御部118に供給して、処理は、ステップS112に進む。
ステップS112では、選局制御部118は、ステーション情報取得部112からのステーション情報を用い、そのステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを選局する選局制御を行う。
すなわち、選局制御部118は、ステーション情報取得部112からのステーション情報の中心周波数を選局するように、チューナ72(図27)を制御する。
チューナ72は、選局制御部118の選局制御に従い、中心周波数を選局し、その中心周波数において、エリア限定放送が受信可能である場合、すなわち、選局の結果、エリア限定放送のTSを得ることができた場合、そのTSを、デマルチプレクサ73に供給する。
デマルチプレクサ73は、チューナ72からのTSから、エリア限定放送のビデオデータ、オーディオデータ、及び、表示制御情報を分離し、ビデオデコーダ74、オーディオデコーダ77、及び、ブラウザ79に、それぞれ供給する。
これにより、表示部76では、ステーション情報取得部112で取得されたステーション情報の中心周波数でエリア限定放送がされているサービス(以下、ダイレクト取得サービスともいう)の画像が表示されるとともに、スピーカ78では、ダイレクト取得サービスの音声が出力され、ユーザは、ダイレクト取得サービスを視聴することができる。
その後、処理は、ステップS112からステップS113に進み、選局制御部118は、図30及び図31の場合と同様に、選択部75を介して、表示部76に、ダイレクト取得サービスの画像に重畳して、ブックマークボタンを表示させ、処理は、ステップS114に進む。
ステップS114では、登録部114は、ブックマークボタンを操作するブックマーク操作が行われたかどうかを判定する。
ステップS114において、ブックマーク操作が行われたと判定された場合、処理は、ステップS115に進み、登録部114は、ステーション情報取得部112からのステーション情報、すなわち、ダイレクト取得サービスのエリア限定放送を行っているステーションのステーション情報を、記憶部115のステーションリストに登録して、処理を終了する。
また、ステップS114において、ブックマーク操作が行われていないと判定された場合、処理は、ステップS115をスキップして終了する。
したがって、ステーション情報取得部112において取得されたステーション情報は、ブックマーク操作が行われた場合にのみ、記憶部115のステーションリストに登録される。
図33は、図27の受信端末33が、ダイレクト方式でステーション情報を取得して、サービスを受信する場合の、表示部76の表示例を示す図である。
ユーザが、ダイレクト方式でステーション情報を取得するように、操作部81を操作し、例えば、所定のステーションのステーション情報を、バーコードの形で印刷したポスタの、そのバーコードに、受信端末33を近づけると、受信端末33では、ステーション情報取得部112(図29)が、そのバーコードを読み取ることにより、ステーション情報を取得し、登録部114、及び、選局制御部118に供給する。
選局制御部118は、ステーション情報取得部112からのステーション情報を用い、そのステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービス(ダイレクト取得サービス)を選局する選局制御を行う。チューナ72は、選局制御部118の制御に従い、ダイレクト取得サービスを選局する。
そして、受信端末33では、チューナ72による選局の結果、TSを受信することができたダイレクト取得サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。
放送受信画面には、さらに、ブックマークボタンが表示される。ブックマークボタンが操作されると、受信端末33では、登録部114が、ステーション情報取得部112によって取得されたステーション情報(ダイレクト取得サービスのエリア限定放送を行っているステーションのステーション情報)を、記憶部115のステーションリストに登録する。
図34は、図27の受信端末33が、その他方式でステーション情報を取得する処理を説明するフローチャートである。
ステップS121において、ステーション情報取得部113(図29)は、図29で説明したように、その他方式でステーション情報を取得し、登録部114に供給して、処理は、ステップS122に進む。
ステップS122では、登録部114は、ステーション情報取得部113からのステーション情報のすべてを、記憶部115のステーションリストに登録して、処理を終了する。
したがって、ステーション情報取得部113が取得したステーション情報は、すべて、記憶部115のステーションリストに登録される。
但し、ステーション情報取得部113が取得したステーション情報についても、ステーション情報取得部111及び112で取得されたステーション情報と同様に、ユーザが登録を要求したステーション情報のみを、記憶部115のステーションリストに登録することができる。
[ステーション情報を用いた選局処理]
図35は、受信端末33において、ステーション情報を用いて選局を行う選局処理を説明するフローチャートである。
ここで、選局処理のモードには、個別選択モード、順次選択モード、地図表示モード、及び、GPSモードがあり、図35のフローチャートは、個別選択モードの選局処理を示している。
なお、どのモードの選局処理を行うかは、例えば、ユーザが操作部81を操作することにより選択することができる。
ステップS131において、選局制御部118は、地域選択画面を生成し、表示部76に表示させる。
すなわち、ステーション選択部117は、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報を、順次、注目する注目ステーション情報として選択し、その注目ステーション情報の地域コードで識別される地域名称を、地域選択画面に表示する表示地名として選択する。
この地域名称は、地域コードで識別されるステーション32の所在地、又は放送エリアの地域の名称(エリア特定名称)である。なお、地域名称は、ステーション情報に含まれるようにしてもよく、以下の説明では、地域名称がステーション情報に含まれる場合について説明する。
なお、ステーション選択部117は、表示地名として既に選択した地域名称と一致する地域名称は、表示地名として選択しない。
ステーション選択部117は、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報すべてを、注目ステーション情報として、表示地名を選択すると、その表示地名の一覧を、選局制御部118に供給する。
選局制御部118は、ステーション選択部117からの表示地名の一覧を表示した地域選択画面を生成し、表示部76に表示させる。
ステップS131において、地域選択画面が表示されると、処理は、ステップS132に進み、ステーション選択部117は、ユーザが、操作部81を操作することにより、地域選択画面に表示されたいずれかの表示地名としての地域名称が選択されたかどうかを判定する。
ここで、地域選択画面に、多数の表示地名が表示されている場合、ユーザが、所望の表示地名を選択しにくくなることがある。
そこで、地域選択画面に表示する表示地名は、制限することができる。
すなわち、ステーション選択部117が、例えば、GPS等の現在地を取得する機能を有する場合には、ステーション選択部117において、現在地に近い地域の表示地名だけを、選局制御部118に供給することにより、地域選択画面に表示する表示地名を、現在地に近い地域の表示地名だけに制限することができる。
ステップS132において、地域選択画面に表示されたいずれかの表示地名も選択されていないと判定された場合、処理は、ステップS132に戻る。
また、ステップS132において、地域選択画面に表示されたいずれかの表示地名が選択されたと判定された場合、処理は、ステップS133に進み、ステーション選択部117は、地域選択画面から選択された表示地名を、選択地名として、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報から、地域名称が、選択地名に一致するステーション情報を選択する。
さらに、ステーション選択部117は、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報から選択したステーション情報を、選局可能ステーションのステーション情報を登録する選局可能リストに登録し、選局制御部118に供給して、処理は、ステップS134に進む。
ステップS134では、選局制御部118は、ステーション選択部117からの選局可能リストにステーション情報が登録されたステーション、つまり、選局可能ステーション(によるエリア限定放送)の受信確認を行うかどうかを判定する。
ここで、選局可能ステーションの受信確認とは、選局可能ステーションによるエリア限定放送(サービス)を実際に受信すること、つまり、選局可能ステーションによるエリア限定放送を選局したときに、そのエリア限定放送のTSを得ることができることを確認することである。
受信確認を行うかどうかは、例えば、操作部81を操作することで設定することができる。
ステップS134において、受信確認を行わないと判定された場合、処理は、ステップS135ないしS139をスキップすることにより、受信確認を行わずに、処理は、ステップS140に進む。
また、ステップS134において、受信確認を行うと判定された場合、処理は、ステップS135に進み、以下、ステップS135ないしS139において、受信確認が行われる。
すなわち、ステップS135において、選局制御部118は、ステーション選択部117からの選局可能リストの1番目のステーション情報を、注目ステーション情報(以下、注目情報ともいう)に選択する。
さらに、ステップS135では、選局制御部118は、注目ステーション情報を用い、その注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行う。
その後、処理は、ステップS135からステップS136に進み、選局制御部118は、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを受信することができたかどうか、すなわち、選局の結果、チューナ72において、TSを得ることができたかどうかを判定する。
ステップS136において、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを受信することができなかったと判定された場合、処理は、ステップS137に進み、選局制御部118は、選局可能リストから、注目ステーション情報を削除して、処理は、ステップS138に進む。
すなわち、例えば、現在地が、注目ステーション情報に対応するステーションである注目ステーションの放送エリア内であるが、その注目ステーションと現在地との間に、ビル等の障害物が存在する、あるいは、現在地が、注目ステーションから離れすぎている、等の理由により、注目ステーションによるエリア限定放送のサービスのTSを受信することができない場合、選局制御部118は、選局可能リストから、注目ステーション情報を削除することで、注目ステーションを、選局可能ステーションから除外する。
一方、ステップS136において、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを受信することができたと判定された場合、処理は、ステップS137をスキップして、ステップS138に進み、選局制御部118は、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたかどうかを判定する。
ステップS138において、選局可能リストのステーション情報の中で、まだ、注目ステーション情報としていないステーション情報があると判定された場合、処理は、ステップS139に進み、選局制御部118は、選局可能リストのステーション情報のうちの、いま、注目ステーション情報になっているステーション情報の次のステーション情報を、新たな注目ステーション情報として選択する。
さらに、ステップS139では、選局制御部118は、注目ステーション情報を用い、その注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行い、処理は、ステップS136に戻る。
また、ステップS138において、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたと判定された場合、すなわち、選局可能リストのすべてのステーション情報について、受信確認が終了した場合、処理は、ステップS140に進み、選局制御部118は、ステーションリスト画面を生成し、表示部76に表示させる。
すなわち、ステップS140では、選局制御部118は、選局可能リストのステーション情報から、選局可能ステーションのステーションIDで識別されるステーション名を認識する。
そして、選局制御部118は、選局可能ステーションのステーション名の一覧を表示したリストであるステーションリスト画面を生成し、表示部76に表示させ、処理は、ステップS140からステップS141に進む。
ステップS141では、選局制御部118は、ユーザが選局操作を行ったかどうかを判定し、行っていないと判定した場合、処理は、ステップS141に戻る。
ここで、選局操作とは、ステーションの選択と、そのステーションがエリア限定放送を行っているサービスの選択とを行う操作である。
すなわち、ユーザは、ステーションリスト画面に表示されたステーション名の中から、所望のステーション(選局可能ステーション)のステーション名を、操作部81を操作することにより選択することができる。
ステップS141では、ステーションリスト画面に表示されたステーション名からの、選択ステーションのステーション名の選択である選局操作が行われたかどうかが判定される。
ステップS141において、選局操作が行われたと判定された場合、すなわち、ステーションリスト画面から1つのステーションが、選択ステーションとして選択されて、選択サービスが選択された場合、処理は、ステップS142に進み、選局制御部118は、選択サービスをチューナ72に選局させる選局制御を行い、個別選択モードの選局処理は終了する。
以上のように、受信端末33では、ステーション情報取得部111ないし113において、ステーション情報が取得され、記憶部115において、ステーション情報が記憶される。
さらに、ステーション選択部117において、記憶部115に記憶されたステーション情報に含まれる地域名称を用い、ユーザが選択した表示地名に一致する地域名称を有するステーション、つまり、ユーザが選択した表示地名の位置において受信可能なエリア限定放送を行っているステーションが、選局が可能な選局可能ステーションとして選択され、そのステーション名が選局可能リストに登録される。
そして、選局制御部118において、選局可能リストに登録されたステーション名が表示されたステーションリスト画面が、選局可能ステーションの情報として表示され、ステーションリスト画面から、ユーザが選択した選局可能ステーションがエリア限定放送を行っているサービス(選択サービス)の選局制御が行われる。
したがって、受信端末33では、ステーション情報を取得後に、ユーザが選択した表示地名の位置において受信可能なエリア限定放送(サービス)を、ステーションリスト画面の形で、迅速に提示することができる。
なお、受信確認を行わない場合には、ステーションリスト画面から、ユーザが選択した選局可能ステーションがエリア限定放送を行っているサービスを受信することができない場合がある。
また、MFN運用時に、地上分配システム記述子に配置された周波数情報に送信用の周波数が複数列記されている場合には、ステーション情報に含まれる周波数タグによって特定される送信周波数を用いた選局制御が行われることになる。これにより、MFN運用時に、送信点の周波数の構成が複雑化しても容易に対応することが可能となる。
図36は、図27の受信端末33において、個別選択モードの選局処理が行われる場合の、表示部76の表示例を示す図である。
個別選択モードでは、図35で説明したように、ステーション情報の地域名称が表示地名として表示された地域選択画面が、表示部76に表示される。
ユーザが、地域選択画面に表示されたいずれかの表示地名を選択すると、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報の地域名称が、地域選択画面から選択された表示地名である選択地名に一致するステーション情報に対応するステーションを、選局可能ステーションとして、その選局可能ステーションのステーション名が表示されたステーションリスト画面が、表示部76に表示される。
ここで、図36では、地域選択画面に、表示地名「新宿区」、「渋谷区」、「港区」、及び、「品川区」が表示されており、その表示地名のうちの、「品川区」が選択されている。
さらに、図36では、ステーション情報の地域名称が「品川区」になっているステーションとして、ステーション名が、「品川コミュニティ」、「品川プリンスS」、及び、「Wing Station」の3つのステーションが存在しており、ステーションリスト画面には、そのステーション名「品川コミュニティ」、「品川プリンスS」、及び、「Wing Station」が表示されている。
ユーザが、ステーションリスト画面に表示されたいずれかのステーション名を選択すると、チューナ72において、ステーション名を選択したステーション(選局可能ステーション)である選択ステーションがエリア限定放送を行っている選択サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。
図37は、受信端末33において、ステーション情報を用いて選局を行う選局処理のうちの、順次選択モードの選局処理を説明するフローチャートである。
順次選択モードの選局処理では、ステップS161ないしS163において、図35のステップS131ないしS133とそれぞれ同様の処理が行われる。
すなわち、地域選択画面が、表示部76に表示され、ユーザが、地域選択画面に表示されたいずれかの表示地名としての地域名称を選択すると、地域選択画面から選択された表示地名を、選択地名として、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報から、地域名称と選択地名等が一致するステーション情報が、選局可能ステーションのステーション情報として選択され、選局可能リストに登録される。
その後、ステップS164において、選局制御部118は、選局可能リストの1番目のステーション情報を、注目ステーション情報に選択する。
さらに、ステップS164では、選局制御部118は、注目ステーション情報を用い、その注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行って、処理は、ステップS165に進む。
ステップS165では、選局制御部118は、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを受信することができたかどうか、すなわち、選局の結果、チューナ72において、TSを得ることができたかどうかを判定する。
ステップS165において、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを受信することができなかったと判定された場合、処理は、ステップS166ないしS168をスキップして、ステップS169に進む。
また、ステップS165において、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを受信することができたと判定された場合、処理は、ステップS166に進み、選局制御部118は、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを、表示部76及びスピーカ78から出力させる。
すなわち、選局制御部118は、チューナ72でTSを得ることができたサービスの画像を、表示部76に表示させるとともに、そのサービスの音声を、スピーカ78から出力させる。
その後、処理は、ステップS166からステップS167に進み、選局制御部118は、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスの画像とともに、選局可能リストの次のステーション情報に対応するステーションがエリア限定放送を行っているサービスを選局するための「次ch」ボタンを、表示部76に表示させ、処理は、ステップS168に進む。
ステップS168では、選局制御部118は、「次ch」ボタンが操作されたかどうかを判定し、操作されていないと判定した場合、処理は、ステップS168に戻る。
また、ステップS168において、「次ch」ボタンが操作されたと判定された場合、処理は、ステップS169に進み、選局制御部118は、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたかどうかを判定する。
ステップS169において、選局可能リストのステーション情報の中で、まだ、注目ステーション情報としていないステーション情報があると判定された場合、処理は、ステップS170に進み、選局制御部118は、選局可能リストのステーション情報のうちの、いま、注目ステーション情報になっているステーション情報の次のステーション情報を、新たな注目ステーション情報として選択する。
さらに、ステップS170では、選局制御部118は、注目ステーション情報を用い、その注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスを選局するように、チューナ72を制御する選局制御を行い、処理は、ステップS165に戻る。
また、ステップS169において、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたと判定された場合、順次選択モードの選局処理は、終了する。
なお、MFN運用時に、地上分配システム記述子に配置された周波数情報に送信用の周波数が複数列記されている場合には、ステーション情報に含まれる周波数タグによって特定される送信周波数を用いた選局制御が行われることになる。これにより、MFN運用時に、送信点の周波数の構成が複雑化しても容易に対応することが可能となる。
図38は、図27の受信端末33において、順次選択モードの選局処理が行われる場合の、表示部76の表示例を示す図である。
順次選択モードでは、図37で説明したように、ステーション情報の地域名称が表示地名として表示された地域選択画面が、表示部76に表示される。
ユーザが、地域選択画面に表示されたいずれかの表示地名を選択すると、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報の地域名称が、地域選択画面から選択された表示地名である選択地名に一致するステーション情報に対応するステーションを、選局可能ステーションとして、その選局可能ステーションのステーション情報が、選局可能リストに登録される。
そして、選局可能リストの1番目のステーション情報が、注目ステーション情報に選択され、その注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスが選局される。
その選局の結果、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスのTSを得ることができた場合には、そのサービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示されるとともに、そのサービスの音声が、スピーカ78から出力される。
さらに、放送受信画面には、「次ch」ボタンが表示される。
ユーザが、「次ch」ボタンを操作すると、選局可能リストのステーション情報のうちの、いま、注目ステーション情報になっているステーション情報の次のステーション情報が、新たな注目ステーション情報として選択され、その注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスが選局される。
その選局の結果、注目ステーション情報の中心周波数でエリア限定放送されているサービスのTSを得ることができた場合には、そのサービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示されるとともに、そのサービスの音声が、スピーカ78から出力される。
また、上述の場合と同様に、放送受信画面には、「次ch」ボタンが表示され、以下同様にして、「次ch」ボタンが操作されるごとに、選局可能リストにステーション情報が登録されている選局可能ステーションがエリア限定放送を行っているサービスが、順次選局されていく。
図39は、受信端末33において、ステーション情報を用いて選局を行う選局処理のうちの、地図表示モードの選局処理を説明するフローチャートである。
ステップS181において、選局制御部118は、ユーザの操作に応じて、地図を、表示部76に表示させ、処理は、ステップS182に進む。
すなわち、選局制御部118は、地図のデータを、内蔵するメモリに記憶しており、例えば、ユーザが、所定の地域の地図を表示するように、操作部81を操作すると、その操作に応じて、所定の地域の地図を、表示部76に表示させる。
ステップS182では、ステーション選択部117は、図35のステップS133の場合と同様に、表示部76に表示されている地図に含まれる地域の地名を、注目する注目地名として、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報から、地域名称が、注目地名に一致するステーション情報を選択する。
さらに、ステーション選択部117は、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報から選択したステーション情報を、選局可能ステーションのステーション情報を登録する選局可能リストに登録し、選局制御部118に供給して、処理は、ステップS183に進む。
ステップS183では、選局制御部118は、図35のステップS134の場合と同様に、受信確認を行うかどうかを判定する。
ステップS183において、受信確認を行わないと判定された場合、ステップS184ないしS188をスキップすることにより、受信確認を行わずに、処理は、ステップS189に進む。
また、ステップS183において、受信確認を行うと判定された場合、処理は、ステップS184に進み、以下、ステップS184ないしS188において、図35のステップS135ないしS139とそれぞれ同様の処理が行われることにおり、受信確認が行われる。
そして、ステップS184ないしS188において、受信確認が終了すると、ステップS189において、選局制御部118は、選局可能リストにステーション情報が登録されているステーションである選局可能ステーションについて、その選局可能ステーションのステーション情報の送信局経度、送信局緯度、及び、送信局高度によって表される選局可能ステーションの位置に、その選局可能ステーションを表すマークを、表示部76の地図上に表示させる。
なお、表示部76には、地図、及び、選局可能ステーションを表すマークとともに、選局可能ステーションのステーション名も表示することができる。
その後、処理は、ステップS189からステップS190に進み、選局制御部118は、ユーザが、ステーションの選択と、そのステーションがエリア限定放送を行っているサービスの選択とを行う選局操作を行ったかどうかを判定し、行っていないと判定した場合、処理は、ステップS190に戻る。
すなわち、ユーザは、表示部76の地図上に、マークやステーション名が表示されたステーションの中から、所望のステーション(選局可能ステーション)を、操作部81を操作することにより選択することができる。
ステップS190では、地図上からの、選択ステーションの選択からの、選択ステーションのステーション名の選択である選局操作が行われたかどうかが判定される。
ステップS190において、選局操作が行われたと判定された場合、すなわち、地図上の1つのステーションが、選択ステーションとして選択されて、選択サービスが選択された場合、処理は、ステップS191に進み、選局制御部118は、選択サービスをチューナ72に選局させる選局制御を行い、地図表示モードの選局処理は終了する。
なお、MFN運用時に、地上分配システム記述子に配置された周波数情報に送信用の周波数が複数列記されている場合には、ステーション情報に含まれる周波数タグによって特定される送信周波数を用いた選局制御が行われることになる。これにより、MFN運用時に、送信点の周波数の構成が複雑化しても容易に対応することが可能となる。
図40は、図27の受信端末33において、地図表示モードの選局処理が行われる場合の、表示部76の表示例を示す図である。
地図表示モードでは、図39で説明したように、地図が、表示部76に表示される。
さらに、地図表示モードでは、表示部76の地図上の、選局可能ステーションの位置に、その選局可能ステーションを表すマーク(図40では、三角形のマーク)が表示される。
ユーザが、地図上の、いずれかの選局可能ステーションを表すマークに、いわゆるフォーカスするような操作を行うと、表示部76には、そのマークに対応する選局可能ステーションのステーション名(図40では、「品川コミュニティ」)が、例えば、地図に、スーパーインポーズする形で表示される。
そして、ユーザが、地図上にマークが表示されたいずれかの選局可能ステーションを選択すると、チューナ72において、ユーザが選択した選局可能ステーションである選択ステーションがエリア限定放送を行っている選択サービスが受信され、その選択サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。
図41は、受信端末33において、ステーション情報を用いて選局を行う選局処理のうちの、GPSモードの選局処理を説明するフローチャートである。
なお、GPSモードの選局処理を行う場合には、ステーション選択部117は、例えば、GPS等の現在地を取得する機能を有することとする。
ステップS201において、ステーション選択部117は、(受信端末33の)現在地を取得し、選局制御部118に供給して、処理は、ステップS202に進む。
ステップS202では、選局制御部118は、ステーション選択部117からの現在地を含む地図を、表示部76に表示させ、処理は、ステップS203に進む。
すなわち、選局制御部118は、地図のデータを、内蔵するメモリに記憶しており、ステーション選択部117からの現在地を含む、所定の範囲の地図を、表示部76に表示させる。
ステップS203では、制御部80は、ユーザが、現在地で受信することができるエリア限定放送のサービスを確認するように、操作部81を操作する確認操作を行ったかどうかを判定し、確認操作が行われていないと判定した場合、処理は、ステップS201に戻る。
また、ステップS203において、確認操作が行われたと判定された場合、処理は、ステップS204に進み、ステーション選択部117は、現在地で受信可能であると予測されるエリア限定放送を行っているステーションのステーション情報を、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報から選択して、選局可能リストに登録する選局可能リスト登録処理を行う。
すなわち、選局可能リスト登録処理では、注目ステーションのステーション情報に含まれるサービスエリア情報を用いて算出された受信感度に応じて、エリア限定放送の放送波を送信しているステーションの中から、選局可能ステーションが選択され、その選局可能ステーションのステーション情報が、選局可能リストに登録されることになる。
また、選局可能リスト登録処理では、注目ステーションのステーション情報に含まれるサービスエリア情報を用いて算出された受信可能距離に応じて、エリア限定放送の放送波を送信しているステーションの中から、選局可能ステーションが選択され、その選局可能ステーションのステーション情報が、選局可能リストに登録されることになる。
なお、これらの選局可能リスト登録処理の詳細については、後述する。
その後、処理は、ステップS204からステップS205に進み、選局制御部118は、図35のステップS134と同様に、ステーション選択部117からの選局可能リストにステーション情報が登録されたステーション、つまり、選局可能ステーション(によるエリア限定放送)の受信確認を行うかどうかを判定する。
ステップS205において、受信確認を行わないと判定された場合、処理は、ステップS206ないしS210をスキップすることにより、受信確認を行わずに、ステップS211に進む。
また、ステップS205において、受信確認を行うと判定された場合、処理は、ステップS206に進み、以下、ステップS206ないしS210において、図35のステップS135ないしS139とそれぞれ同様の処理が行われることにより、受信確認が行われる。
そして、ステップS206ないしS210において、受信確認が終了すると、ステップS211において、選局制御部118は、図39のステップS189の場合と同様に、選局可能リストにステーション情報が登録されているステーションである選局可能ステーションを表すマークやステーション名を、表示部76の地図上に表示させる。
その後、処理は、ステップS211からステップS212に進み、以下、ステップS212及びS213において、図39のステップS190及びS191とそれぞれ同様の処理が行われ、GPSモードの選局処理は終了する。
なお、MFN運用時に、地上分配システム記述子に配置された周波数情報に送信用の周波数が複数列記されている場合には、ステーション情報に含まれる周波数タグによって特定される送信周波数を用いた選局制御が行われることになる。これにより、MFN運用時に、送信点の周波数の構成が複雑化しても容易に対応することが可能となる。
図42は、図27の受信端末33において、GPSモードの選局処理が行われる場合の、表示部76の表示例を示す図である。
GPSモードでは、例えば、現在地を中心とした地図が、表示部76に表示される。
さらに、GPSモードでは、表示部76の地図上の、選局可能ステーションの位置に、その選局可能ステーションを表すマーク(図42では、三角形のマーク)が表示される。
ユーザが、地図上の、いずれかの選局可能ステーションを表すマークにフォーカスするような操作を行うと、図40の場合と同様に、表示部76には、そのマークに対応する選局可能ステーションのステーション名(図42では、「品川コミュニティ」と「品川プリンスS」)が、例えば、地図に、スーパーインポーズする形で表示される。
そして、ユーザが、地図上にマークが表示されたいずれかの選局可能ステーションを選択すると、チューナ72において、ユーザが選択した選局可能ステーションである選択ステーションがエリア限定放送を行っている選択サービスが受信され、その選択サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。
選局可能ステーションが複数存在する場合、放送受信画面には、「次のch」ボタンも表示される。
ユーザが、「次のch」ボタンを操作すると、受信端末33では、選択ステーション以外の他の選局可能ステーションが行っている選択サービスが、新たに、選択サービスとされ、その選択サービスが選局される。
そして、その選択サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。また放送受信画面には、必要に応じて、上述の場合と同様に、「次のch」ボタンが表示される。
なお、GPSモードの選択処理では、地図を表示せずに、単に、選局可能ステーションのステーション名を表示したステーションリスト画面を表示することが可能である。
図43は、図41のステップS204で行われる選局可能リスト登録処理を説明するフローチャートである。
図43の選局可能リスト登録処理では、ステップS231において、ステーション選択部117は、記憶部115のステーションリストにステーション情報が登録されたステーションを、順次、注目する注目ステーションに選択する。
さらに、ステーション選択部117は、注目ステーションのステーション情報の送信局経度、送信局緯度、及び、送信局高度を用いて、現在地と、注目ステーションとの間の距離を算出する。
そして、ステーション選択部117は、現在地と、注目ステーションとの間の距離が、所定値以下である場合に、その注目ステーションを、選局可能ステーション(の候補)として、そのステーション情報を、選局可能リストに登録する。但し、所定値としては、注目ステーションのステーション情報の受信可能距離を用いることができる。
以上のように、ステーション選択部117は、現在地と注目ステーションとの距離に基づき、注目ステーションのステーション情報を、選局可能リストに(仮)登録する前処理を行う。
ステーション選択部117が、記憶部115のステーションリストにステーション情報が登録されたステーションのすべてを、注目ステーションとして、前処理を終了すると、処理は、ステップS231からステップS232に進み、以下、ステーション選択部117は、選局可能リストにステーション情報が登録されたステーションを対象として、後述する受信感度係数Crに基づいて、選局可能ステーションを選択する(選局可能リストから、選局可能ステーションにすべきでないステーションのステーション情報を削除する)選択処理を行う。
ここで、図43において、上述したステップS231の前処理は、行わないようにすることができる。
但し、ステップS231の前処理を行わない場合には、ステップS232以降の選択処理は、選局可能リストにステーション情報が登録されたステーションではなく、記憶部115のステーションリストにステーション情報が登録されたステーションすべてを対象として行う必要がある。
したがって、前処理を行わない場合、記憶部115のステーションリストにステーション情報が登録されたステーションすべてについて、後述する受信感度係数Crを算出する等の選択処理を行う必要がある。
これに対して、前処理を行う場合には、選局可能リストにステーション情報が登録されたステーションについてだけ、受信感度係数Crを算出すれば済み、その結果、選択処理の負荷を軽減することができる。
したがって、前処理は、選択処理の対象とするステーションを、いわば絞り込む処理であるということができる。
ステップS232では、ステーション選択部117は、選局可能リストの1番目のステーション情報を、注目ステーション情報(注目情報)に選択し、処理は、ステップS233に進む。
ステップS233では、ステーション選択部117は、注目ステーション情報の送信出力、送信局経度、送信局緯度、送信局高度、及び、指向性係数を用いて、注目ステーション情報に対応するステーションである注目ステーションの受信感度係数Crを算出し、処理は、ステップS234に進む。
ここで、注目ステーションの受信感度係数Crとは、現在地において、注目ステーションからの放送波を受信したときの、その放送波の受信レベルに対応する値で、注目ステーションによるエリア限定放送を、現在地で受信可能かどうかを判定する指標となる値である。また、指向性係数は、注目ステーションに対するエリアパターンビットマップ(図17)に基づき算出される係数である。
注目ステーションの受信感度係数Crは、注目ステーションの送信局経度、送信局緯度、及び、送信局高度を、Sx,Sy,及びSzと、現在地の経度、緯度、及び、高度を、Rx,Ry,及びRzと、注目ステーションの送信出力を、Epと、指向性係数を、f(dir)とそれぞれ表すとき、例えば、次の式(1)に従って算出される。
なお、式(1)において、f(dir)のdirは、注目ステーションに対するエリアパターンビットマップ(図17)における各方位を示しており、当該関数を演算することで、例えば所定の方位に割り当てられたビットに応じた指向性係数が算出される。但し、上記dirは、現在地の緯度、経度と注目ステーションの緯度・経度から最も近い方角を抽出することが想定される。また、式(1)の「*」は乗算を意味し、log(Ep*f(dir))が演算されることで、指向性を加味した送信出力が算出されることになる。
ステップS234では、ステーション選択部117は、注目ステーションの受信感度係数Crが、閾値θより大(以上)であるかどうかを判定する。
ここで、閾値θとしては、受信端末33において、エリア限定放送の放送波を良好に(例えば、所定のS/N(Signal to Noise Ratio)で)受信することができる受信感度係数の値が採用される。
また、注目ステーションの受信感度係数Crの逆数が、注目ステーションの放送エリアとしての円の半径に対応する。
ステップS234において、注目ステーションの受信感度係数Crが、閾値θより大でないと判定された場合、すなわち、現在地において、注目ステーションによるエリア限定放送を(良好に)受信することができない(可能性が高い)場合、処理は、ステップS235に進む。そして、ステーション選択部117は、選局可能リストから、注目ステーション情報を削除し、これにより、注目ステーションを、選局可能ステーションから除外して、処理は、ステップS236に進む。
一方、ステップS234において、注目ステーションの受信感度係数Crが、閾値θより大であると判定された場合、すなわち、現在地において、注目ステーションによるエリア限定放送を(良好に)受信することができる(可能性が高い)場合、処理は、ステップS235をスキップして、つまり、選局可能リストから、注目ステーション情報を削除せずに、注目ステーションを、選局可能ステーションとして選択したままにして、処理は、ステップS236に進む。
ステップS236では、ステーション選択部117は、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたかどうかを判定する。
ステップS236において、選局可能リストのステーション情報の中で、まだ、注目ステーション情報としていないステーション情報があると判定された場合、処理は、ステップS237に進み、ステーション選択部117は、選局可能リストのステーション情報のうちの、いま、注目ステーション情報になっているステーション情報の次のステーション情報を、新たな注目ステーション情報として選択する。
そして、処理は、ステップS237からステップS233に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS236において、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたと判定された場合、図43の選局可能リスト登録処理を終了し、処理は、リターンする。
以上、ステーション情報が選局可能リストの対象となるかどうかを、注目ステーションの受信感度に応じて選択する例について説明したが、上述した受信感度に限らず、他の指標を用いるようにしてもよい。図44は、図41のステップS204で行われる選局可能リスト登録処理の他の例を説明するフローチャートである。
図44の選局可能リスト登録処理では、ステップS261において、ステーション選択部117は、選局可能リストの1番目のステーション情報を、注目ステーション情報(注目情報)に選択し、処理は、ステップS262に進む。
ステップS262では、ステーション選択部117は、注目ステーション情報の送信局経度、送信局緯度、送信局高度を用いて、現在地と、ステーション32との間の距離Dを算出し、処理は、ステップS263に進む。
距離Dは、注目ステーションの送信局経度、送信局緯度、及び、送信局高度を、Sx,Sy,及びSzと、現在地の経度、緯度、及び、高度を、Rx,Ry,及びRzとそれぞれ表すとき、例えば、次の式(2)に従って算出される。
ステップS263では、ステーション選択部117は、注目ステーション情報の受信可能距離、及び、エリアパターンビットマップを用いて、受信可能距離Md'を算出し、処理は、ステップS264に進む。
ここで、注目ステーションの受信可能距離Md'とは、注目ステーションからの放送波を受信可能な範囲に対応する値で、注目ステーションによるエリア限定放送を、現在地で受信可能かどうかを判定する指標となる値である。
注目ステーションの受信可能距離Md'は、注目ステーションの受信可能距離を、Mdと、指向性係数を、f(dir)とそれぞれ表すとき、例えば、次の式(3)に従って算出される。
なお、式(3)において、「*」は乗算を意味し、Md*f(dir)が演算されることで、指向性を加味した受信可能距離が算出される。但し、f(dir)については上述した通りである。
ステップS264では、ステーション選択部117は、受信可能距離Md'が、距離Dより大(以上)であるかどうかを判定する。
ステップS264において、注目ステーションの受信可能距離Md'が、距離Dより大でないと判定された場合、すなわち、現在地において、注目ステーションによるエリア限定放送を(良好に)受信することができない(可能性が高い)場合、処理は、ステップS265に進む。そして、ステーション選択部117は、選局可能リストから、注目ステーション情報を削除し、これにより、注目ステーションを、選局可能ステーションから除外して、処理は、ステップS266に進む。
一方、ステップS264において、注目ステーションの受信可能距離Md'が、距離Dより大であると判定された場合、すなわち、現在地において、注目ステーションによるエリア限定放送を(良好に)受信することができる(可能性が高い)場合、処理は、ステップS265をスキップして、つまり、選局可能リストから、注目ステーション情報を削除せずに、注目ステーションを、選局可能ステーションとして選択したままにして、処理は、ステップS266に進む。
ステップS266及びS267において、図43のステップS236及びS237とそれぞれ同様の処理が行われ、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたと判定されるまで、上述した処理が繰り返される。また、ステップS266において、選局可能リストのすべてのステーション情報を、注目ステーション情報としたと判定された場合、図44の選局可能リスト登録処理を終了し、処理は、リターンする。
図45は、図27の受信端末33が行うチェック処理を説明するフローチャートである。
ここで、図41のGPSモードの選局処理が行われた後、受信端末33を所持するユーザが移動することにより、現在地が変化し、その結果、現在地が、新規のステーションの放送エリアに含まれることとなることがある。
チェック処理では、現在地が変化することにより、変化後の現在地が、新規のステーションの放送エリアに含まれることとなったかどうかがチェックされ、変化後の現在地が、新規のステーションの放送エリアに含まれることとなって、受信端末33において、新規のステーションによるエリア限定放送が受信可能となった場合、その新規のステーションの存在が、ユーザに報知される。
すなわち、チェック処理では、ステップS301において、ステーション選択部117は、(受信端末33の)現在地を取得し、選局制御部118に供給して、処理は、ステップS302に進む。
ステップS302では、ステーション選択部117は、図41のステップS204と同様に、現在地で受信可能であると予測されるエリア限定放送を行っているステーションのステーション情報を、記憶部115のステーションリストに登録されたステーション情報から選択して、選局可能リストに登録する選局可能リスト登録処理を行う。
なお、選局可能リスト登録処理の詳細は、上述した、図43及び図44で説明した通りである。
そして、ステーション選択部117は、選局可能リスト登録処理によって得られる、選局可能ステーションのステーション情報が登録された選局可能リストを、選局制御部118に供給する。
その後、処理は、ステップS302からステップS303に進み、以下、ステップS303ないしS307において、図35のステップS135ないしS139とそれぞれ同様の処理が行われることにより、受信確認が行われる。
そして、ステップS303ないしS307において、受信確認が終了すると、ステップS308において、選局制御部118は、今回の受信確認(直前に行われたステップS303ないしS307の処理)において、前回の受信確認(今回の受信確認の直前に行われたステップS303ないしS307の処理、又は、図41のGPSモードの選局処理のステップS206ないしS210の処理)ではエリア限定放送の受信を確認することができなかった選局可能ステーション(以下、新規の選局可能ステーションともいう)によるエリア限定放送の受信を、新たに確認することができたかどうかを判定する。
ステップS308において、今回の受信確認において、新規の選局可能ステーションによるエリア限定放送の受信を、新たに確認することができなかったと判定された場合、処理は、ステップS309ないしS311をスキップして、チェック処理を終了する。
また、ステップS308において、今回の受信確認において、新規の選局可能ステーションによるエリア限定放送の受信を、新たに確認することができたと判定された場合、すなわち、今回の受信確認において、ステーション選択部117から選局制御部118に供給された選局可能リストに、前回の受信確認において、ステーション選択部117から選局制御部118に供給された選局可能リストに登録されていない、新規の選局可能ステーションのステーション情報が登録されている場合、処理は、ステップS309に進み、選局制御部118は、その新規の選局可能ステーションの存在を報知する。
ここで、選局制御部118は、例えば、新規の選局可能ステーションの存在を報知する報知画面を、表示部76に表示させることや、新規の選局可能ステーションの存在を報知する音声を、スピーカ78から出力すること等によって、新規の選局可能ステーションの存在を、ユーザに報知する。
その後、処理は、ステップS309からステップS310に進み、選局制御部118は、ユーザが、新規の選局可能ステーションの選択と、その新規の選局可能ステーションがエリア限定放送を行っているサービスの選択とを行う選局操作を行ったかどうかを判定し、行っていないと判定した場合、処理は、ステップS311をスキップして、チェック処理を終了する。
また、ステップS310において、選局操作が行われたと判定された場合、すなわち、新規の選局可能ステーションが、選択ステーションとして選択された場合、処理は、ステップS311に進み、選局制御部118は、選択サービスをチューナ72に選局させる選局制御を行い、チェック処理は終了する。
なお、チェック処理は、例えば、周期的に繰り返し行われる。
また、MFN運用時に、地上分配システム記述子に配置された周波数情報に送信用の周波数が複数列記されている場合には、ステーション情報に含まれる周波数タグによって特定される送信周波数を用いた選局制御が行われることになる。これにより、MFN運用時に、送信点の周波数の構成が複雑化しても容易に対応することが可能となる。
図46は、報知画面の例を示す図である。
図46の報知画面では、現在地を含む地図が表示され、さらに、その地図上の、新規の選局可能ステーションの位置に、その選局可能ステーションを表すマーク(三角形のマーク)が表示されている。
その他、図46の報知画面では、地図上に、現在地を表すマーク(矢印形状のマーク)、新規の選局可能ステーションの放送エリアを表す円、及び、新規の選局可能ステーションによるサービスが受信可能である旨のメッセージが表示されている。
図47は、図27の受信端末33において、図45のチェック処理が行われる場合の、表示部76の表示例を示す図である。
チェック処理の今回の受信確認において、新規の選局可能ステーションによるエリア限定放送の受信を、新たに確認することができた場合、選局制御部118は、例えば、新規の選局可能ステーションの存在を報知する報知音を、スピーカ78から出力させ、さらに、報知画面を、表示部76に表示させることによって、新規の選局可能ステーションの存在を、ユーザに報知する。
その後、ユーザが、選局操作を行って、新規の選局可能ステーションがエリア限定放送を行っているサービスが、選択サービスとして選択されると、チューナ72において、選択サービスが受信され、その選択サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。
複数の新規の選局可能ステーションが、エリア限定放送を行っている場合、放送受信画面には、「次のch」ボタンも表示される。
そして、ユーザが、「次のch」ボタンを操作すると、他の新規の選局可能ステーションがエリア限定放送として行っているサービスが、新たに選択サービスとして選択され、その新たな選択サービスが選局される。
さらに、その選局の結果得られる選択サービスの画像が表示された放送受信画面が、表示部76に表示される。
以上のように、周期的にチェック処理を行い、そのチェック処理において、新規の選局可能ステーションの存在を報知する場合には、ユーザは、移動するたびに、その移動後の位置で、GPSモードの選局処理を行わなくても、新規の選局可能ステーションの存在を認識することができる。
[本技術を適用したコンピュータの説明]
上述したステーション32及び受信端末33の一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
図48は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
パーソナルコンピュータ200において、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、及びドライブ210が接続されている。
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
以上のように構成されるパーソナルコンピュータ200では、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
パーソナルコンピュータ200(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、ディジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
パーソナルコンピュータ200では、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
さらに、本技術は、以下の構成とすることも可能である。
[1]
任意のセグメントでの放送の放送波を送信するステーションに関するステーション情報を取得する第1の取得部と、
前記ステーション情報を記憶する記憶部と、
前記ステーション情報を用いて、所定の位置において受信可能な放送波を送信しているステーションを、選局が可能な選局可能ステーションとして選択する選択部と、
前記ステーション情報を用いて、前記選局可能ステーションが行っている前記放送の放送波の送信点で用いられる送信周波数を特定する特定部と、
前記送信周波数に従い、前記選局可能ステーションが行っている前記放送のサービスを選局する選局制御を行う選局制御部と
を備える受信装置。
[2]
前記放送の放送波の送信点ごとの送信用の周波数に関する周波数情報を取得する第2の取得部をさらに備え、
前記特定部は、前記ステーション情報に含まれる、前記送信周波数を特定するための周波数特定情報に基づいて、前記周波数情報により指定される送信点ごとの送信用の周波数の中から、前記送信周波数を特定する
[1]に記載の受信装置。
[3]
前記放送の放送波は、中継局を経由してMFN(Multi Frequency Network)により送信される
[1]又は[2]に記載の受信装置。
[4]
前記ステーション情報は、前記放送の放送波により送信されるNIT(Network Information Table)に含まれるエリア放送記述子に配置され、
前記周波数情報は、前記NITに含まれる地上分配システム記述子に配置される
[1]ないし[3]のいずれか一項に記載の受信装置。
[5]
前記選択部は、前記ステーション情報を用い、ユーザが選択した地域において受信可能な前記放送を送信しているステーションを、前記選局可能ステーションとして選択する
[1]ないし[4]のいずれか一項に記載の受信装置。
[6]
前記選局制御部は、
前記選局可能ステーションの情報を表示させ、
前記選局可能ステーションの情報の表示から、ユーザが選択したステーションが行っている前記放送のサービスを選局させる
[1]ないし[5]のいずれか一項に記載の受信装置。
[7]
前記選局制御部は、
前記選局可能ステーションによる前記放送が受信可能かどうかを確認する受信確認を行い、
放送の受信を確認することができた前記選局可能ステーションのみの情報を表示させる
[1]ないし[6]のいずれか一項に記載の受信装置。
[8]
前記放送は、ワンセグメント放送である
[1]ないし[7]のいずれか一項に記載の受信装置。
[9]
受信装置が、
任意のセグメントでの放送の放送波を送信するステーションに関するステーション情報を取得し、
前記ステーション情報を記憶し、
前記ステーション情報を用いて、所定の位置において受信可能な放送波を送信しているステーションを、選局が可能な選局可能ステーションとして選択し、
前記ステーション情報を用いて、前記選局可能ステーションが行っている前記放送の放送波の送信点で用いられる送信周波数を特定し、
前記送信周波数に従い、前記選局可能ステーションが行っている前記放送のサービスを選局する選局制御を行う
ステップを含む受信方法。
[10]
任意のセグメントでの放送の放送波を送信するステーションに関するステーション情報を取得する第1の取得部と、
前記ステーション情報を記憶する記憶部と、
前記ステーション情報を用いて、所定の位置において受信可能な放送波を送信しているステーションを、選局が可能な選局可能ステーションとして選択する選択部と、
前記ステーション情報を用いて、前記選局可能ステーションが行っている前記放送の放送波の送信点で用いられる送信周波数を特定する特定部と、
前記送信周波数に従い、前記選局可能ステーションが行っている前記放送のサービスを選局する選局制御を行う選局制御部と
して、コンピュータを機能させるためのプログラム。