JP6554255B2 - 空圧ディスペンサ用カートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着されるカートリッジに関するものである。
粘性材料を取り扱う分野が既に存在する。そのような粘性材料の用途としては、機械部品または電子部品のシーラント、封入剤、コーティング剤、グリース、樹脂組成物(例えば、エポキシ樹脂)、接着剤、電気・電子回路形成用ペースト、電子部品実装用はんだなどがある。そのような粘性材料は、例えば、航空宇宙産業や、電気・電子機器産業において使用される。
粘性材料を目標対象物に塗布するために、圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサが使用される。この種の空圧ディスペンサにおいては、プランジャすなわちピストンがシリンダに嵌合される。その嵌合により、前記シリンダの内部空間が、前記粘性材料が外部から充填されるべき充填室と、前記圧縮ガスが外部から導入されるべき加圧室とに分離される。
この種の空圧ディスペンサを使用して粘性材料を目標対象物に向かって吐出するために、まず、その粘性材料を空圧ディスペンサのシリンダ内の充填室に充填することが必要である。その充填後、空圧ディスペンサにおいてプランジャを、加圧室内の圧縮ガスを用いて加圧することにより、粘性材料を目標対象物に向けて吐出する。
本発明者らは、従来のプランジャがシリンダに嵌合されて成る従来のカートリッジ内の充填室内に粘性材料を充填し、その充填後、そのカートリッジを空圧ディスペンサに装着してその空圧ディスペンサから粘性材料を吐出するという実験を繰返し行った。
その結果、本発明者らは、次のような知見を得た。すなわち、充填段階においては、充填室内に存在する空気がプランジャとシリンダとの間のクリアランスを通過して抜けるようにしたいという要望(予定された空気抜きすなわち粘性材料の脱気)と、その空気抜き後には、プランジャとシリンダとの間にシール部を形成し、それにより、粘性材料が充填室から加圧室に予定外に漏れてしまうことを防止したいという要望(粘性材料漏れ防止)とを同時に実現することが重要であるという知見を得たのである。
さらに、吐出段階においては、プランジャとシリンダとの間にシール部を形成し、それにより、圧縮ガスが加圧室から充填室に漏れてしまうことを防止すること(圧縮ガス漏れ防止)が重要であるという知見も得た。圧縮ガスが加圧室から充填室に予定外に漏れてしまうと、空圧ディスペンサから粘性材料が正常に吐出されないという問題や、これから吐出されるべき粘性材料を収容している充填室内に圧縮ガスが予定外に進入してその粘性材料内に気泡が混入してしまうという問題が発生する可能性がある。
上述のいくつかの要望を実現するために、本発明者らは、新たなプランジャを開発した。そのプランジャは、特許文献1に開示されている。
具体的に説明するに、このプランジャの外周面上に、それぞれ周方向に延びる少なくとも2つのランドが形成されている。それらランドは、前記充填室に近い第1ランドと、前記加圧室に近い第2ランドとを有する。その第2ランドは、第1ランドより大径であるため、第2ランドの先端面とシリンダの内周面との間に形成される半径方向クリアランスが、第1ランドの先端面とシリンダの内周面との間に形成される半径方向クリアランスより小さい。
このプランジャを前記シリンダに嵌合して空圧ディスペンサのカートリッジを構成し、そのカートリッジを用いて前記充填段階を経験すると、その当初においては、充填室内の空気が第1ランドおよび第2ランドとシリンダとの間のそれぞれのクリアランスを通過して前記加圧室内に抜ける。
その空気抜け(すなわち、粘性材料の脱気)が終了すると、充填室内の粘性材料の一部が、プランジャとシリンダとの間の、第1ランドより上流側の半径方向クリアランスを通過して第1ランドに到達し、それにより、その第1ランドとシリンダとの間の第1シール部が完成する。充填される対象である粘性材料の一部が第1シール部を形成するのである。
やがて、粘性材料の別の一部が第2ランドに到達し、それにより、その第2ランドとシリンダとの間の第2シール部が完成する。充填される対象である粘性材料の別の一部が第2シール部を形成するのである。前記充填工程においては、それら第1シール部および第2シール部の双方が完成した後、粘性材料が充填室から加圧室に漏れてしまうことが防止される。
後続する吐出段階においては、その当初から、第1シール部も第2シール部も完成している。したがって、加圧室内に圧縮ガスが導入されると、その圧縮ガスが第2シール部によって遮断される。よって、加圧室からの圧縮ガスが充填室に漏れてしまうことが防止される。
特許第5101743号公報
本発明者らは、このプランジャを用いて実験を繰り返し、その結果、次のような新たな知見を得た。
すなわち、このプランジャの吐出段階においては、圧縮ガスが外部から、プランジャの背後に位置する加圧室に導入される。その結果、プランジャの背圧が充填室の圧力に対して急に上昇し、そのプランジャに推力が発生する。その推力のおかげでプランジャが充填室に向かって前進する結果、充填室から粘性材料が外部に吐出される。
理想的には、前記背圧が、プランジャをシリンダに対して傾倒させようとする向きのモーメントすなわちこじりモーメントがプランジャに発生しないようにプランジャに作用するように、プランジャに圧縮ガスを作用させることが重要である。
なぜなら、そのようなこじりモーメントが発生すると、プランジャがシリンダに対して傾倒してしまい、その結果、プランジャがある部位においては半径方向外向きに変位してシリンダの内周面に強く接触する一方、別の部位においては半径方向内向きに変位してシリンダの内周面から離間する傾向が発生するからである。
プランジャがシリンダの内周面から局部的に離間すると、プランジャとシリンダとの間の半径方向クリアランスが局部的に拡大し、その拡大部分を充填する粘性材料に局部的に亀裂が発生する。その亀裂に圧縮ガスが加圧室から進入すると、その亀裂が軸方向に拡大し、最悪の場合には、それを契機として、加圧室と充填室とを互いに連通させる予定外の通路が形成されてしまう。その通路は、これから吐出されるべき粘性材料であって充填室に充填されているものに圧縮ガスを予定外に導入し、その結果、粘性材料に気泡が混入してしまう。
しかし、実際には、プランジャに前記こじりモーメントが全く発生しないように前記背圧がプランジャに作用するようにプランジャを作動させることは不可能である。
それらの知見に基づき、本発明は、圧縮ガスを用いて粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着され、プランジャがシリンダに嵌合されて成るカートリッジであって、空圧ディスペンサからの粘性材料の吐出段階において、プランジャがシリンダに対して予定外に傾倒する傾向を抑制するものを提供することを課題としてなされたものである。
その課題を解決するために、本発明のあるアスペクトによれば、圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着されるとともにプランジャがシリンダに嵌合されて成るカートリッジであって、
前記プランジャが前記シリンダに嵌合された状態において、前記プランジャの外周面と前記シリンダの内周面との間に、少なくとも軸方向に延びる成分を有する方向に延びる複数の薄肉領域と複数の厚肉領域とがそれぞれ交互に周方向に並ぶように構成されるクリアランスを有し、
前記シリンダ内への前記粘性材料の充填段階において、前記粘性材料の一部が前記クリアランス内に充填され、そのクリアランスが前記一部の粘性材料によって完全に充填される前のシール未完成状態においては、前記シリンダ内に存在するガスが前記クリアランスを通過するガス抜きが実現されるが、前記クリアランスが前記一部の粘性材料によって完全に充填された後のシール完成状態においては、前記一部の粘性材料が、前記シリンダと前記プランジャとの間のシール部材として機能し、前記粘性材料および前記ガスが前記クリアランスから漏れることが防止されるカートリッジが提供される。
また、本発明の第1側面によれば、圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着されるとともにプランジャがシリンダに嵌合されて成るカートリッジであって、
前記プランジャは、軸方向に延びる筒状の外周面を含み、
その外周面は、各々、少なくとも軸方向に延びる成分を有する複数本のリッジと、各々、少なくとも軸方向に延びる成分を有する複数本の溝とが周方向に交互に配置されたものとして構成され、
前記プランジャの外周面と前記シリンダの内周面との間に、軸方向にも周方向にも連続した筒状のクリアランスが連続クリアランスとして形成され、
各リッジの幅寸法は、各溝の幅寸法より狭いカートリッジが提供される。
また、本発明の第2側面によれば、圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着されるとともにプランジャがシリンダに嵌合されて成るカートリッジであって、
前記プランジャは、軸方向に延びる筒状の外周面を含み、
その外周面は、各々、少なくとも軸方向に延びる成分を有する複数本のリッジと、各々、少なくとも軸方向に延びる成分を有する複数本の溝とが周方向に交互に配置されたものとして構成され、
前記プランジャの外周面と前記シリンダの内周面との間に、軸方向にも周方向にも連続した筒状のクリアランスが連続クリアランスとして形成され、
前記プランジャの外周面は、凹凸面であるカートリッジが提供される。
また、本発明の第3側面によれば、圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着されるとともにプランジャがシリンダに嵌合されて成るカートリッジであって、
前記プランジャは、軸方向に延びる筒状の外周面を含み、
その外周面は、各々、少なくとも軸方向に延びる成分を有する複数本のリッジと、各々、少なくとも軸方向に延びる成分を有する複数本の溝とが周方向に交互に配置されたものとして構成され、
前記プランジャの外周面と前記シリンダの内周面との間に、軸方向にも周方向にも連続した筒状のクリアランスが連続クリアランスとして形成され、
前記複数本のリッジのうちの少なくとも1つは、前記プランジャの長さ寸法のうちの実質的な全部にわたって延びているカートリッジが提供される。
また、本発明の一側面によれば、圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着されるカートリッジであって、
シリンダと、
そのシリンダにルーズに嵌合されるプランジャであって、前記シリンダに対する当該プランジャのルーズ・フィットによって当該プランジャと前記シリンダとの間に軸方向に延びるクリアランスが形成されるものと
を含み、
前記シリンダの内部空間は、前記プランジャが前記シリンダに嵌合されることにより、前記粘性材料が外部から充填されるべき充填室と、前記圧縮ガスが外部から導入されるべき加圧室とに分離され、
当該カートリッジの前記充填室への前記粘性材料の充填段階において、外部から前記充填室内に充填された前記粘性材料の一部が前記クリアランス内に充填され、そのクリアランス内に充填された前記一部の粘性材料は、当該カートリッジの前記充填室からの前記粘性材料の吐出段階において、前記シリンダと前記プランジャとの間のシール部材として機能するカートリッジが提供される。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサのシリンダに嵌合されて使用されるプランジャであって、
前記シリンダの内部空間は、当該プランジャが前記シリンダに嵌合されることにより、前記粘性材料が外部から充填されるべき充填室と、前記圧縮ガスが外部から導入されるべき加圧室とに分離され、
当該プランジャは、
軸方向に延びる筒状の本体部であって、外周面を有するものと、
当該プランジャが前記シリンダに嵌合された状態において、前記外周面と前記シリンダの内周面との間に形成されるシール部と
を含み、
前記外周面は、当該プランジャが前記シリンダに同心的に嵌合された同心嵌合状態において、前記内周面との間に実質的に全周的に半径方向クリアランスを有し、それにより、前記外周面と前記内周面との間に、軸方向にも周方向にも連続した筒状のクリアランスが連続クリアランスとして形成され、
前記粘性材料が外部から前記充填室に充填されると、前記連続クリアランスが前記粘性材料の一部によって充填され、それにより、前記シール部が形成され、その一部の粘性材料が、前記粘性材料のうち、残りの部分が前記充填室から前記加圧室に漏れることをブロックする空圧ディスペンサ用プランジャ。
(2) 前記半径方向クリアランスの寸法は、当該プランジャが前記シリンダに実質的ながたなく軸方向にスライド可能に嵌合されるために必要な半径方向クリアランスを下限値とし、前記充填室から前記粘性材料が外部に吐出される吐出工程の実質的な最終段階において、前記連続クリアランスがそれの周方向および軸方向において実質的に完全に前記粘性材料の一部によって充填されるのに必要な半径方向クリアランスを上限値とするように設定される(1)項に記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(3) 圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサのシリンダに嵌合されて使用されるプランジャであって、
前記シリンダの内部空間は、当該プランジャが前記シリンダに嵌合されることにより、前記粘性材料が外部から充填されるべき充填室と、前記圧縮ガスが外部から導入されるべき加圧室とに分離され、
当該プランジャは、
軸方向に延びる筒状の本体部であって、外周面を有するものと、
その外周面上に、各々、概して軸方向に延びる少なくとも1本のリッジが、そのリッジが複数本のリッジである場合にはそれらリッジがそれぞれ互いに周方向に離散するように配置されたものによって形成され、当該プランジャが前記シリンダに嵌合された状態において、前記外周面と前記シリンダの内周面との間をシールするシール部と
を含み、
前記外周面は、当該プランジャが前記シリンダに同心的に嵌合された同心嵌合状態において、前記内周面との間に実質的に全周的に半径方向クリアランスを有し、それにより、前記外周面と前記内周面との間に、軸方向にも周方向にも連続した筒状のクリアランスが連続クリアランスとして形成され、
前記粘性材料が外部から前記充填室に充填されると、前記連続クリアランスが前記粘性材料の一部によって充填され、それにより、前記シール部が形成され、その一部の粘性材料が、前記粘性材料のうち、残りの部分が前記充填室から前記加圧室に漏れることをブロックする空圧ディスペンサ用プランジャ。
(4) 前記粘性材料が外部から前記充填室内に充填される充填工程においては、前記粘性材料の一部が前記充填室から前記連続クリアランスに進入し、それにより、その連続クリアランスが前記一部の粘性材料である充填粘性材料によって充填され、
その充填状態においては、前記充填粘性材料の前記連続クリアランス内の流動性が、前記軸方向において前記周方向におけるより高いとともに、前記外周面のうち前記リッジが形成されているリッジ領域と、前記外周面のうち前記リッジが形成されていない溝領域との間において、前記充填粘性材料が流動することが許可され、それにより、前記連続クリアランスが軸方向にも周方向にも前記充填粘性材料によって充填されることが促進され、
前記連続クリアランスが前記充填粘性材料によって完全に充填される完全充填状態においては、前記充填粘性材料自身により、前記粘性材料のうち、残りの部分が前記加圧室に漏れることが前記充填粘性材料によってブロックされ、
その完全充填状態に移行する前の不完全充填状態においては、前記充填室内に予定外に存在する予定外ガスが前記連続クリアランスのうち前記充填粘性材料によって充填されていない部分を通過して前記加圧室に抜けることが許可され、
前記完全充填状態において前記粘性材料を前記充填室から吐出するために前記圧縮ガスが前記加圧室に導入される吐出工程においては、前記圧縮ガスが前記加圧室から前記充填室に漏れることが前記充填粘性材料によってブロックされる(3)項に記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(5) 当該プランジャは、前記少なくとも1本のリッジにおいて半径方向に弾性変形し、それにより、前記リッジの先端部が前記内周面に接触すると、そのリッジが半径方向内向きに弾性変形し、それにより、前記リッジが前記内周面に強く接触することが阻止される(3)または(4)項に記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(6) 各リッジは、そのリッジに隣接するように前記外周面上に配置された溝より狭い幅寸法を有する(3)ないし(5)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(7) 前記少なくとも1本のリッジのうちの少なくとも1本は、当該プランジャの長さ寸法のうちの実質的な全部にわたり延びている(3)ないし(6)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(8) 前記少なくとも1本のリッジのうちの少なくとも1本は、前記充填室から前記加圧室に向かうにつれて増加する幅寸法を有する(3)ないし(7)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(9) 前記少なくとも1本のリッジのうちの少なくとも1本は、前記充填室から前記加圧室に向かうにつれて増加する高さ寸法を有する(3)ないし(8)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(10) 前記少なくとも1本のリッジのうちの少なくとも1本は、複数のリッジ・セグメントがそれぞれ互いに離散的に軸方向に一列に並んで構成されている(3)ないし(9)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(11) 前記外周面は、表面凹凸を実質的に有しない平滑面または凹凸面である(3)ないし(10)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(12) 当該プランジャの長さ寸法は、それの直径寸法より長い(3)ないし(11)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(13) (1)ないし(12)項のいずれかに記載のプランジャと、
(1)ないし(12)項のいずれかに記載のシリンダと
を含むセット。
(14) 前記内周面の断面を表す図形の内側アウトラインは、円周であり、
前記外周面の断面を表す図形の外側アウトラインは、前記円周より小径の円周である(1)ないし(12)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
(15) 前記内周面の断面を表す図形の内側アウトラインは、円周であり、
前記外周面の断面を表す図形の外側アウトラインは、前記円周より小径の円周に外接する、非円形の閉じた線である(1)ないし(12)項のいずれかに記載の空圧ディスペンサ用プランジャ。
本発明によれば、プランジャがシリンダに嵌合されると、プランジャの外周面とシリンダの内周面との間に、周方向にも軸方向にも連続するクリアランス(以下、単に「連続クリアランス」という。)が形成される。
その連続クリアランスが形成された状態で、シリンダ内の充填室に外部から粘性材料が充填されると、連続クリアランスが全体的に粘性材料の一部によって充填される。その一部の粘性材料で充填された連続クリアランスは、全体的にシール部として機能し、その際、充填される対象である粘性材料の一部がそのシール部を形成する。
よって、本発明によれば、シリンダへの粘性材料の充填段階においては、前記シール部の完成前にあっては、予定された空気抜き(すなわち、粘性材料の脱気)が実現され、また、前記シール部の完成後にあっては、予定外の粘性材料漏れが防止される。
さらに、本発明によれば、プランジャの外周面とシリンダの内周面との間に前記連続クリアランスが形成され、それにより、外周面の外径が内周面の内径より、前述の周方向ランドが用いられる場合より大きな比率で小さくされる。
その結果、プランジャの外周面のうち、各瞬間において、シリンダの内周面に同時に接触する可能性がある同時接触可能部分(例えば、その同時接触可能性部分の外周面の、それの長さ全体にわたる合計面積か、その同時接触可能性部分の外周面を、特定の軸方向位置において仮想的に切断した場合に取得される曲線の、それの周方向全体にわたる合計長さ)が、前述の周方向ランドが用いられる場合より減少する。
その同時接触可能部分が減少すると、プランジャがシリンダを軸方向にスライドする際の抵抗が、前述の周方向ランドが用いられる場合より低減される。それにより、プランジャが、前述の周方向ランドが用いられる場合よりスムーズにスライドすることが促進される。
その結果、前記こじりモーメントがプランジャに予定外に発生し、プランジャがシリンダに対して傾倒して、プランジャがシリンダに局部的に接触しても、プランジャが同じ軸方向位置に滞留する可能性が減少する。プランジャのこじりによってプランジャがシリンダに固着する現象が発生せずに済むのである。
プランジャの固着が防止されると、より大きなこじりモーメントの発生も防止され、プランジャがシリンダに対して大きく傾倒することも防止され、ひいては、プランジャがシリンダに局部的に強く接触することも防止される。
その結果、プランジャの傾倒が原因で、完成されたシール部に局部的に亀裂が発生することが防止される。
よって、本発明によれば、プランジャがシリンダに対して予定外に傾倒する傾向が抑制される。
図1は、本発明の例示的な第1実施形態に従うプランジャを用いるカートリッジを、空圧ディスペンサに装填されている状態で示す部分断面側面図である。 図2は、図1に示すカートリッジを示す側面断面図である。 図3(a)は、図1に示すプランジャを示す斜視図であり、図3(b)は、図1に示すプランジャを用いるカートリッジの要部を示す断面図であり、図3(c)は、図3(b)におけるX−X線での断面図である。 図4は、図1に示すカートリッジにおいて、外部から充填室内に粘性材料を充填しつつある場合に、その粘性材料が充填室から、プランジャとシリンダとの間のクリアランスに移動し、やがてシール部が形成される様子を概念的に示す斜視図である。 図5(a)は、図1に示すプランジャの一例であって幅寸法が軸線に沿って変化しないリッジを有するものを示す側面図であり、図5(b)は、図1に示すプランジャの別の例であって幅寸法が軸線に沿って徐変するリッジを有するものを示す側面図であり、図5(c)は、図1に示すプランジャのさらに別の例であって複数のリッジ・セグメントが離散的に一列に並んで成るリッジを有するものを示す側面図である。 図6(a)は、図1に示すプランジャの一例であって高さ寸法が軸線に沿って変化しないリッジを有するものを示す側面図であり、図6(b)は、図1に示すプランジャの別の例であって高さ寸法が軸線に沿って徐変するリッジを有するものを示す側面図である。 図7は、図2に示すカートリッジに粘性材料を充填する充填方法を実施するために使用される充填装置における容器セットであって容器内に押出ピストンが挿入されて成るものを部分断面側面図である。 図8は、前記充填装置を示す部分断面正面図である。 図9は、前記充填装置を示す部分断面側面図である。 図10は、前記充填装置の要部を使用状態において示す部分断面正面図である。 図11は、前記充填方法を、それに先立って実施される粘性材料製造方法と共に示す工程図である。 図12(a)は、本発明の例示的な第2実施形態に従うプランジャを用いるカートリッジの要部を示す断面図であり、図12(b)は、図12(a)におけるY−Y線での断面図である。 図13(a)は、本発明の例示的な第3実施形態に従うプランジャの一例を用いるカートリッジの要部を示す断面図であり、図13(b)は、第3実施形態に従うプランジャの別の例を用いるカートリッジの要部を示す断面図である。
以下、本発明のさらに具体的でかつ例示的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明の例示的な第1実施形態に従うプランジャ10がシリンダ18に嵌合されて成るカートリッジ12が部分断面側面図で示されている。カートリッジ12は、シリンダ18が粘性材料14で予め充填され、かつ、シリンダ18の先端に吐出ノズル16が着脱可能に装着され、かつ、カートリッジ12が手持ち型(図1に示すガン型でも、図示しないストレート型でも可)のディスペンサ20に着脱可能に装填される状態(組立状態かつ使用状態)で示されている。
まず、ディスペンサ20を説明するに、図1に示すように、ディスペンサ20は、円筒状のリテーナ22と、そのリテーナ22に着脱可能に装着される本体部24とを有する。本体部24は、作業者によって握られるハンドル26と、そのハンドル26に対して相対的に変位可能に装着されたトリガ(レバー、スイッチ、ボタン等でもよく、いずれにしても、操作部材の一例)28とを有する。
本体部24は、さらに、空圧制御ユニット30を有する。その空圧制御ユニット30は、トリガ28によって操作されるバルブ32を有し、そのバルブ32は、プランジャ10の背後に位置するチャンバ33と、ホース接続口34とを互いに流体的にかつ選択的に接続する。そのホース接続口34には、フレキシブルなホース36を介して、圧縮ガスを供給する高圧源38が接続されている。
作業者によってトリガ28が引かれると、バルブ32が閉位置から開位置に切り換わり、その結果、高圧源38から圧縮ガスがバルブ32を通過してチャンバ(加圧室)33内に導入される。プランジャ10の背後に圧縮ガスが作用すると、プランジャ10がシリンダ18に対して相対的に前進し(図1においては、左方に移動し)、それにより、粘性材料14がシリンダ18から吐出される。粘性材料14の一例は、高粘性かつ非導電性のシーラントであり、そのシーラントの用途の一例は、航空機部品のシールである。
次に、カートリッジ12を概略的に説明するに、側面断面図である図2に示すように、カートリッジ12は、プランジャ10がシリンダ18内に嵌合されることにより、構成されている。プランジャ10の素材として、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)を選んだり、それとほぼ同等の弾性を有する合成樹脂を選んだり、それらより高い弾性を有する合成樹脂を選んだり、それらより低い弾性を有する合成樹脂を選んだり、合成ゴム(例えば、NBR)を選ぶことが可能である。合成ゴムという材料は、例えばPEやPPのような合成樹脂より剛性が低く、その代わりに弾性が高い。
次に、シリンダ18をより詳細に説明するに、シリンダ18は、円筒状の内部空間70を有し、その内部空間70内にプランジャ10が着脱可能かつ実質的に気密かつ軸方向摺動可能に嵌合される。
具体的には、シリンダ18は、一様な断面で真っ直ぐに延びる筒状の本体部60と、その本体部60の両端部のうちの一方に接続された中空の底部62とを、互いに同軸的に有している。底部62は、それの先端において、本体部60より小径の筒部64を有する一方、本体部60と接続される側において、テーパ部66を有している。筒部64内の貫通穴が、シリンダ18の吐出口67であり、筒部64には、図1に示すように、吐出ノズル16が着脱可能に(例えば、ねじ結合により)装着される。本体部60の他方の端部は、開口部68である。シリンダ18を構成する材料の一例は、PP(ポリプロピレン)であるが、これに限定されない。
本実施形態においては、粘性材料14が、外部(図7に示す容器112)からカートリッジ12内へ、そのカートリッジ12の吐出口67を通過するように充填され、その充填後、粘性材料14を吐出して使用するために、その粘性材料14が、カートリッジ12から、同じ通路、すなわち、吐出口67内の通路(シリンダ18のうち最も小径である通路)を通過して排出される。すなわち、粘性材料14の、カートリッジ12に対する出入りが、最小径通路である吐出口67を通過するように行われるのである。
図2に示すように、シリンダ18の内部空間70は、プランジャ10により、互いに軸方向に並んだ、粘性材料14を収容する充填室72と、前記圧縮ガスが導入される加圧室74とに分離されている。充填室72は、吐出口67に連通する一方、加圧室74は、図1に示すように、チャンバ33およびバルブ32を介して高圧源38に接続される。
次に、プランジャ10をより詳細に説明するに、図3(a)に示すように、プランジャ10は、軸方向に延びる筒状の本体部80を有する。その本体部80は、同軸の外周面82を有し、その外周面82は、プランジャ10がシリンダ18に嵌合された状態(以下、単に「嵌合状態」という。)において、そのシリンダ18の内周面84に半径方向に対向する。
一例においては、本体部80が、図3(b)および(c)に示すように、同一断面で軸方向に延びる中空の周壁部86と、その周壁部86の一端部を閉塞する底部88とを有する。別の例においては、本体部80が、図示しないが、同一断面で軸方向に延びる、完全なまたは部分的な中実部と、その中実部の一端部に形成された底部とを有する。
一例においては、底部88の外面90が、図3(a)および(c)に示すように、外向きに凸となるが頂点を有しない曲面(例えば、半球面)である。別の例においては、底部88の外面90が、図示しないが、外向きに凸となるとともに頂点を有する円錐面である。
図3(a)ないし図3(c)に示すように、プランジャ10においては、本体部80の外周面82上に、各々、概して軸方向に延びる複数本のリッジ100と複数本の溝102とが周方向に交互に配置されている。それにより、プランジャ10の外周面82とシリンダ18の内周面84との間の空間をシールするシール部104が構成されている。
図3(b)に示すように、複数本のリッジ100の先端部は、前記嵌合状態において、複数本の溝102よりシリンダ18の内周面84にそれに接触しない範囲で接近し、それにより、前記嵌合状態において、複数本のリッジ100および複数本の溝102とシリンダ18の内周面84との間に、軸方向にも周方向にも連続した筒状のクリアランスが連続クリアランス106として形成される。
図4に示すように、粘性材料14が外部から充填室72に充填されると、連続クリアランス106が上流側の領域から下流側の領域に順次、粘性材料14の一部によって充填される。その際、その一部の粘性材料14は、各溝102においては、矢印Aで示すように、他の部分より速やかに、主に軸方向に上流側から下流側に移動する。また、粘性材料14の別の一部は、各リッジ100において、矢印Bで示すように、主に軸方向に上流側から下流側に移動するが、粘性材料14のさらに別の一部は、矢印C,D,EおよびFで示すように、まず各溝102に沿って主に軸方向に移動し、やがてその溝102から周方向に移動して、その溝102に隣接するリッジ100に移動する。
このように、充填段階においては、粘性材料14の一部が、連続クリアランス106内を、軸方向にも周方向にも移動することにより、連続クリアランス106の全体が粘性材料14の一部によって充填される。その結果、連続クリアランス106を充填する一部の粘性材料14であって充填室72から供給されたものが、粘性材料14の別の一部が充填室72から加圧室74に漏れることをブロックする。すなわち、粘性材料14の一部がシール部104を形成するのであり、具体的には、粘性材料14の一部が、残りの部分をシールするために、シール部104を形成するのである。
この充填段階の終了時点、すなわち、規定量の粘性材料14が充填室72に充填された時点で、連続クリアランス106が完全に粘性材料14によって充填され、かつ、その連続クリアランス106を下流側にはみ出る粘性材料14の量が規定量を超えないように、プランジャ10の形状(例えば、リッジ100の本数、各リッジ100の形状)およびサイズ(例えば、リッジ100の幅寸法および高さ寸法)、プランジャ10の表面粗さを含む複数のファクタがそれぞれ設定されている。
それらファクタの効果を例示すれば、リッジ100の本数が多いほど、粘性材料14が連続クリアランス106内を移動する際の抵抗が増加し、その移動速度が低下する。また、同様に、各リッジ100の幅寸法が大きいほど(すなわち、各溝102の幅寸法が小さいほど)、粘性材料14が連続クリアランス106内を移動する際の抵抗が増加し、その移動速度が低下する。また、同様に、リッジ100の高さ寸法が小さいほど、粘性材料14が連続クリアランス106内を移動する際の抵抗が増加し、その移動速度が低下する。
また、プランジャ10の表面が凹凸面である場合の方が、表面凹凸を実質的に有しない平滑面である場合より、粘性材料14が連続クリアランス106内を移動する際の抵抗が増加し、その移動速度が低下する。
粘性材料14の挙動をさらに詳細に説明すると、粘性材料14が外部から充填室72内に充填される充填工程においては、粘性材料14の一部が充填室72から連続クリアランス106に進入し、それにより、その連続クリアランス106がその一部の粘性材料14である充填粘性材料14によって充填される。
その充填状態においては、その充填粘性材料14の連続クリアランス106内の流動性が、プランジャ10の軸方向において周方向におけるより高いとともに、互いに隣接したリッジ100と溝102との間において、充填粘性材料14が周方向に流動することが許可され、それにより、連続クリアランス106がプランジャ10の軸方向にも周方向にも充填粘性材料14によって充填されることが促進される。
連続クリアランス106が充填粘性材料14によって完全に充填される完全充填状態においては、充填粘性材料14により、粘性材料14のうち、残りの部分が充填室72から加圧室74に漏れることが充填粘性材料14によってブロックされる。
その完全充填状態に移行する前の不完全充填状態においては、充填室72内に予定外に存在する予定外ガスが連続クリアランス106のうち充填粘性材料14によって充填されていない部分を通過して加圧室74に抜けることが許可される。
前記完全充填状態において粘性材料14を充填室72から吐出するために圧縮ガスが加圧室74に導入される吐出工程においては、圧縮ガスが加圧室74から充填室72に漏れることが充填粘性材料14によってブロックされる。
以上の説明から明かなように、本実施形態によれば、プランジャ10の外周面82上に、各々軸方向に延びる複数本のリッジ100がそれぞれ互いに周方向において離散的に形成される。そのプランジャ10がシリンダ18に完全に同心的に嵌合された同心嵌合状態において、プランジャ10の外周面82とシリンダ18の内周面84との間に、周方向にも軸方向にも連続する連続クリアランス106が形成される。このとき、各リッジ100の先端面とシリンダ18の内周面84との間にも半径方向クリアランスが形成されるため、その連続クリアランス106が各リッジ100によって分断されることはない。
その連続クリアランス106が形成された状態で、シリンダ18内の充填室72に外部から粘性材料14の一部が充填されると、連続クリアランス106が全体的にその一部の粘性材料14によって充填される。その一部の粘性材料14で充填された連続クリアランス106は、全体的にシール部104として機能し、その際、充填される対象である粘性材料14の一部がそのシール部104を形成する。
よって、本実施形態によれば、粘性材料14の充填段階においては、シール部104の完成前にあっては、予定された空気抜き(すなわち、充填室72内における粘性材料14の脱気)が実現され、また、シール部104の完成後にあっては、粘性材料14の予定外の漏れが防止され、さらに、粘性材料14の吐出段階においては、それの全工程を通じて、圧縮ガスの予定外の漏れが防止される。
さらに、本実施形態によれば、プランジャ10の外周面82とシリンダ18の内周面84との間に連続クリアランス106が形成され、それにより、外周面82の外径が内周面84の内径より、前述の周方向ランドが用いられる場合より大きな比率で小さくされる。
その結果、プランジャ10の外周面82のうち、各瞬間において、シリンダ18の内周面84に同時に接触する可能性がある同時接触可能部分(例えば、その同時接触可能性部分の外周面の、それの長さ全体にわたる合計面積か、その同時接触可能性部分の外周面を、特定の軸方向位置において仮想的に切断した場合に取得される曲線の、それの周方向全体にわたる合計長さ)が、軸方向リッジ100に代えて前述の周方向ランドが用いられる場合より減少する。
その同時接触可能部分が減少すると、プランジャ10がシリンダ18を軸方向にスライドする際の抵抗が、軸方向リッジ100に代えて前述の周方向ランドが用いられる場合より低減される。それにより、空圧ディスペンサ20からの粘性材料14の吐出段階において、圧縮ガスの作用により、プランジャ10が、軸方向リッジ100に代えて前述の周方向ランドが用いられる場合よりスムーズにスライドすることが促進される。
その結果、圧縮ガスがプランジャ10に作用させられたために、前記こじりモーメントがプランジャ10に予定外に発生し、プランジャ10がシリンダ18に対して傾倒して、プランジャ10がシリンダ18に局部的に接触しても、プランジャ10が同じ軸方向位置に滞留する可能性が減少する。プランジャ10のこじりによってプランジャ10がシリンダ18に固着する現象が頻繁に発生せずに済むのである。
プランジャ10の固着が防止されると、プランジャ10の背圧の過剰な上昇が防止され、より大きなこじりモーメントの発生も防止され、プランジャ10がシリンダ18に対して大きく傾倒することも防止され、ひいては、プランジャ10がシリンダ18に局部的に強く接触することも防止される。
その結果、空圧ディスペンサ20からの粘性材料14の吐出段階において、プランジャ10の傾倒が原因で、完成されたシール部104に局部的に亀裂が発生することが防止される。その亀裂の発生が防止されると、圧縮ガスが加圧室74から充填室72に漏れてしまうことが防止される。
よって、本実施形態によれば、空圧ディスペンサ20からの粘性材料14の吐出段階において、プランジャ10がシリンダ18に対して予定外に傾倒する傾向が抑制され、それにより、その傾倒が原因で充填室72内の粘性材料14に気泡が混入してしまう可能性が軽減される。
次に、プランジャ10のより具体的な構造を例示的に説明する。
本実施形態においては、図3(a)および図3(b)に示すように、プランジャ10が8本のリッジ100を有する。別の例においては、図5に示すように、プランジャ10が4本のリッジ100を有する。いずれの例においても、同じプランジャ10に複数本のリッジ100が存在する。
本実施形態においては、図3(b)に示すように、複数本のリッジ100が、外周面82上に、それぞれ互いに実質的に等間隔でかつ全周的に離散している。別の例においては、図示しないが、リッジ100の本数が1本のみである。
いずれにしても、プランジャ10の外周面82上に少なくとも1本のリッジ100が形成されている限り、連続クリアランス106が、概して軸方向に延びる少なくとも1つの第1領域と、概して軸方向に延びる少なくとも1つの第2領域であって第1領域より薄い厚さを有するものとを有する。それら第1おより第2領域は、それぞれ交互に周方向に並ぶ。
ここに、第1領域(薄肉領域)と第2領域(厚肉領域)とを対比して説明するに、第1領域は、プランジャ10がシリンダ14内をできる限り傾倒することなく安定した姿勢でスライドすることを促進する機能を、第2領域にはない固有の機能として有する一方、第2領域は、粘性材料14がプランジャ10とシリンダ14との間を軸方向にスムーズに流動することを促進する機能を、第1領域にはない固有の機能として有する。しかし、いずれの領域も、粘性材料14の一部の充填によってシール機能を発揮し、それにより、粘性材料14の残りの部分をブロックする。
本実施形態においては、図3(a)に示すように、各リッジ100が、プランジャ10の外周面82の1本の母線に沿って延びる直線状を成している。すなわち、各リッジ100が、軸方向に延びる成分のみ有し、周方向に延びる成分は有しないのである。
別の例においては、図示しないが、各リッジ100が、プランジャ10の外周面82の複数本の母線を横切るように延びるらせん状を成している。すなわち、各リッジ100が、軸方向に延びる成分のみならず、周方向に延びる成分も有するのである。
さらに、いずれの例においても、それら複数本のリッジ100がプランジャ10の外周面82上において互いに交差しない。リッジ100間の交差点が存在しないのであり、仮に存在すると、粘性材料14が外周面82上を軸方向に円滑に流動することがその交差点によって物理的に阻害されることが予想される。
本実施形態においては、複数本のリッジ100の各々が、図3(a)および図(b)に示すように、複数本の溝102の各々より狭い幅寸法を有する。
本実施形態においては、図3(a)および図3(c)に示すように、複数本のリッジ100のうちの少なくとも1つが、プランジャ10の長さ寸法のうちの実質的な全部にわたり延びている。各リッジ100が長いほど、プランジャ10がシリンダ18に対して傾倒する角度の最大値が減少し、よって、プランジャ10の傾倒角度を減少させるために効果的である。
本実施形態においては、図5(a)に示すように、複数本のリッジ100のうちの少なくとも1つが、プランジャ10の長さに沿って変化しない幅寸法を有する。
別の例においては、図5(b)に示すように、複数本のリッジ100のうちの少なくとも1つが、充填室72から加圧室74に向かうにつれて増加する幅寸法を有する。
図5(b)に示す例においては、リッジ100間の周方向間隔が、加圧室74に近い位置において、充填室72に近い位置におけるより小さくなり、よって、前記吐出段階におけるシール部104のシーリング能力が、加圧室74に近い位置において、充填室72に近い位置におけるより高い。したがって、この例によれば、吐出段階において、圧縮ガスが加圧室74から充填室72に漏れてしまう可能性が効果的に抑制される。
本実施形態においては、図6(a)に示すように、複数本のリッジ100のうちの少なくとも1本が、複数本の溝102のうち隣接するものの底面(軸方向において一定である外径を有する)からの高さ寸法であって、プランジャ10の長さに沿って変化しないものを有する。
別の例においては、図6(b)に示すように、複数本のリッジ100のうちの少なくとも1本が、複数本の溝102のうち隣接するものの底面からの高さ寸法であって、充填室72から加圧室74に向かうにつれて増加するものを有する。図6(b)に示す例は、図5(b)に示す例と組み合わせることが可能である。
図6(b)に示す例においては、連続クリアランス106のうちの最小クリアランスの厚さ(すなわち、リッジ100の先端面とシリンダ18の内周面84との間のクリアランスのうち最小の部分の厚さ)が、加圧室74に近い位置において、充填室72に近い位置におけるより小さくなり、よって、前記吐出段階におけるシール部104のシーリング能力が、加圧室74に近い位置において、充填室72に近い位置におけるより高い。したがって、この例によれば、吐出段階において、圧縮ガスが加圧室74から充填室72に漏れてしまう可能性が効果的に抑制される。
一例においては、図5(c)に示すように、複数本のリッジ100のうちの少なくとも1本が、軸方向に連続しておらず、複数のリッジ・セグメント108がそれぞれ互いに離散的に軸方向に一列に並ぶように構成される。
この例においては、1本のリッジ100が連続的に延びる場合より、連続クリアランス106内における粘性材料14の周方向流動性がリッジ100によって阻害される傾向が軽減される。よって、連続クリアランス106の全体が粘性材料14によって充填されるのに必要な時間が短縮されることが予測される。
本実施形態においては、図3(c)に示すように、プランジャ10が中空構造を採用しており、本体部80のうちの周壁部86が半径方向に弾性変形することが、中実構造を採用する場合より容易である。
本実施形態においては、プランジャ10が、複数本のリッジ100において半径方向に弾性変形し、それにより、複数本のリッジ100の先端部がシリンダ18の内周面84に接触すると、それらリッジ100が半径方向内向きに弾性変形する。その結果、複数本のリッジ100がシリンダ18の内周面84に強く接触することが阻止される。
本実施形態においては、図3(b)に示すように、各リッジ100の断面が、概して矩形を有する断面である。
いくつかの別の例においては、各リッジ100の断面が、他の形状を有する断面、例えば、半径方向外向きに先細となる断面(概して三角形状、半球状または台形状を成す断面)であることが可能である。
それらの別の例においては、各リッジ100の断面が矩形断面である場合より、概して三角形状、半球状または台形状を成す断面である場合の方が、粘性材料14の周方向流動性が向上し、よって、各リッジ100の先端面とシリンダ14の内周面84との間の半径方向クリアランスが粘性材料14によって充填されることが促進される。
本実施形態においては、図3(b)に示すように、各溝102の断面が、概して矩形を有する断面である。
いくつかの別の例においては、各溝102の断面が、他の形状を有する断面、例えば、半径方向内向きに先細となる断面(概して三角形状、半球状または台形状を成す断面)であることが可能である。一例においては、各リッジ100の断面が、半径方向外向きに先細となる断面であり、一方、各溝102の断面が、半径方向内向きに先細となる断面である。
本実施形態においては、図3(b)に示すように、シリンダ18の内周面84が円形断面を有する状態で、プランジャ10の外周面82が円形断面を有していて、プランジャ10の外周面82のうち、複数本のリッジ100を形成する部分をある軸方向位置において切断することによって取得される断面を表すプロファイル(図形)を構成する複数のセグメントのそれぞれの外側アウトラインが、プランジャ10と同心の一つの真円上に位置し、それにより、それら外側アウトラインがそれぞれ、一つの中心点を共有する複数の円弧として記述される。
別の例においては、図示しないが、シリンダ18の内周面84が円形断面を有する状態で、プランジャ10の外周面82が非円形断面を有していて、複数本のリッジ100についての複数本の外側アウトラインが、プランジャ10と同心の一つの閉じた線であって非円形状を成すもの(例えば、長円、楕円、多角形)上に位置する。
次に、プランジャ10の、側面視におけるアスペクト比(縦横比)を説明する。
プランジャ10を代表する軸方向寸法(例えば、図3(c)において、周壁部86の、充填室72側のエッジ位置から、加圧室74側のエッジ位置までの軸方向長さ)は、同じプランジャ10を代表する直径方向寸法(例えば、図3(b)において、プランジャ10を軸方向に投影して取得されるシルエットに外接する一円周の直径)より長い。このような寸法効果により、プランジャ10が、シリンダ18内において、圧縮ガスの作用時に、その圧縮ガスによって予定外に傾倒する角度の最大値が減少する。
プランジャ10を代表する軸方向寸法の、同じプランジャ10を代表する直径方向寸法に対する比率であるアスペクト比は、約1以上としたり、約1.2以上としたり、約1.5以上とすることが可能であり、そのアスペクト比が大きいほど、プランジャ10の、シリンダ18内での傾倒防止効果が増加する。
次に、粘性材料14をカートリッジ12内に充填する充填方法を図7ないし図11を参照して説明する。
カートリッジ12への充填に先立ち、粘性材料14は、図7に示す容器112内において製造されて保存される。その後、容器112内に収容された粘性材料14が、容器112から複数本のカートリッジ12に分配される。容器112内の粘性材料14は、その容器112内に押出ピストン122が押し込まれることにより、容器112から押し出される。押し出された粘性材料14は、シリンダ18内に充填される。
図7には、容器112が側面断面図で示されている。本実施形態においては、同じ容器112が、粘性材料14の製造(後に詳述する2液混合)と、その製造後における粘性材料14の脱泡(後に詳述する攪拌機による真空遠心脱泡)と、カートリッジ12への充填に先立つ粘性材料14の貯蔵・輸送と、カートリッジ12への充填とに使用される。
図7に示すように、容器112は、軸方向に延びる中空のハウジング150と、そのハウジング150内に同軸的に形成された円筒状のチャンバ152とを有している。そのチャンバ152は、開口部154と底部156とを有している。底部156の内面は、概して半球状を成す凹面を有している。このように底部156が連続的な内面を有することにより、チャンバ152内において粘性材料14が、底部156の内面が平面である場合よりスムーズに流れ、その結果、粘性材料14の攪拌効率が向上する。容器112を構成する材料の一例は、POM(ポリアセタール)であり、別の例は、テフロン(登録商標)であるが、それらに限定されない。
チャンバ152の底部156には、そのチャンバ152内に収容されている粘性材料14(A液とB液との混合物)を、シリンダ18に向けて排出するための排出通路157が形成されており、その排出通路157は、着脱可能なプラグ(図示しない)によって選択的に閉塞される。
図7に示すように、容器112から粘性材料14を排出するために、その容器112のチャンバ152内に押出ピストン122が押し込まれる。その押出ピストン122は、本体部158と、その本体部158の後端部に形成された係合部159とを有している。本体部158は、容器112のチャンバ152の内面形状を補完する外面形状(例えば、概して半球状を成す凸部を有する形状)を有している。係合部159は、本体部158より小径であり、そこに外力が充填装置210(図10参照)から負荷されることにより、押出ピストン122が前進させられる。押出ピストン122がチャンバ152内を排出通路157に向かって接近するにつれて、その排出通路157から粘性材料14が押し出される。
図8には、粘性材料14を容器112からカートリッジ12に移送して充填する充填装置210が部分断面正面図で示され、図9には、その充填装置210が部分断面側面図で示されている。図10には、使用状態にある充填装置210のうちの要部が、拡大された部分断面正面図で示されている。
本実施形態においては、粘性材料14を容器112からカートリッジ12に移し変える際、容器112が、図10に示すように、チャンバ152の開口部154が下を向く一方、底部156の排出通路157が上を向く姿勢(逆さま姿勢)で空間内に保持される。この状態で、押出ピストン122がチャンバ152内を上昇させられる。その結果、チャンバ152から粘性材料14が上向きに押し出される。
さらに、粘性材料14を容器112からカートリッジ12に移し変える際、カートリッジ12が、開口部68が上を向く一方、底部62が下を向く姿勢で空間内に保持される。この状態で、容器112から上向きに押し出された粘性材料14が、カートリッジ12の底部62から注入される。
図8および図9に示すように、充填装置210は、それの下部において、容器112を着脱可能に保持する容器ホルダ機構270を有する一方、上部において、カートリッジ12を着脱可能に保持するカートリッジホルダ機構272を有している。
容器ホルダ機構270は、設置されるベースプレート280と、そのベースプレート280より上方に位置する昇降不能なトッププレート282と、それらベースプレート280およびトッププレート282によって両端をそれぞれ固定された、垂直にかつ互いに平行に延びる複数本のシャフト(本実施形態においては、図8および図9に示すように、容器ホルダ機構270の垂直中心線を隔てて互いに対称的に配置された2本のシャフト)284とを有している。トッププレート282は、貫通穴290を有する。その貫通穴290は、容器ホルダ機構270の垂直中心線と同軸である。
トッププレート282の下面にガイドプレート292が固定されている。このガイドプレート292は、貫通穴290と同軸のガイド穴294を有する。ガイド穴294は、ガイドプレート292を、厚さ方向に、一様な断面で貫通している。このガイド穴294は、図10に示すように、容器112の底部156の外径よりわずかに大きい内径を有しており、容器112はガイド穴294内にがたなく嵌合することが可能である。このガイド穴294のおかげで、容器112が、水平方向(容器112の直径方向)における位置に関し、トッププレート282に対して相対的に位置合わせされる。
図10に示すように、容器112の底部156がガイド穴294に嵌合している状態において、容器112は、それの底部156の先端面(同一平面上にある)においてトッププレート282の下面に突き当たる。これにより、容器112は、垂直方向(容器112の軸線方向)における位置に関し、トッププレート282に対して相対的に位置合わせされる。
図8および図9に示すように、容器ホルダ機構270は、さらに、昇降可能な可動プレート300を有する。その可動プレート300は、シャフト284に軸方向に摺動可能に嵌合する複数本のスリーブ302を有している。作業者は、ロック機構304を操作することにより、可動プレート300を、垂直方向における任意の位置に移動させて停止させることが可能である。
可動プレート300は、段付きの位置決め穴306を、ガイド穴294と同軸的に有している。その位置決め穴306は、可動プレート300を厚さ方向に貫通している。この位置決め穴306は、図10に示すように、ガイド穴294に近い側に大径穴310を有する一方、反対側に小径穴312を有しており、それら大径穴310と小径穴312との間に、ガイド穴294の側を向く肩面314を有している。
大径穴310は、容器112の開口部154の外径より僅かに大きい内径を有しており、これにより、容器112は、水平方向(容器112の直径方向)における位置に関し、可動プレート300(ひいてはトッププレート282)に対して相対的に位置合わせされる。
肩面314には、容器112の開口部154の先端面(同一平面上にある)が突き当たり、これにより、容器112は、垂直方向(容器112の軸線方向)における位置に関し、可動プレート300(ひいてはトッププレート282)に対して相対的に位置合わせされる。
小径穴312は、押出ピストン122の外径よりわずかに大きい内径を有しており、この小径穴312に押出ピストン122が摺動可能に嵌合する。小径穴312は、押出ピストン122の軸方向運動をガイドするガイド穴として機能する。
容器112に押出ピストン122が挿入されることによって容器セットが構成され、その容器セットは、可動プレート300が、トッププレート282から下方に十分に退避させられた状態で、トッププレート282にセットされる。その後、可動プレート300が、容器112の開口部154の先端面が肩面314に突き当たるまで、上昇させられる。この位置において、可動プレート300がシャフト284に固定される。これにより、容器セットの、容器ホルダ機構270への保持作業が終了する。
図8および図9に示すように、容器ホルダ機構270は、さらに、アクチュエータとしてのエアシリンダ320を、ガイド穴294と同軸的に有している。昇降部材としてのロッド322がエアシリンダ320から上方に延び出しており、そのロッド322の先端にプッシャ324が装着されている。プッシャ324は、図10に示すように、容器ホルダ機構270に保持された容器セットのうちの押出ピストン122の係合部159に係合する。その係合状態においては、プッシャ324の前進に伴い、押出ピストン122が容器112に対して前進し、チャンバ152の容積を減少させる。
エアシリンダ320は複動式であり、プッシャ324の、初期位置から作用位置までの前進(加圧による上昇)と、作用位置から非作用位置までの後退(加圧による下降)と、任意の位置での停止(エアシリンダ320内の両ガス室からの排気が阻止される)とが作業者の操作に応じて選択的に行われる。エアシリンダ320は、切換バルブを有する空圧制御ユニット325aを介して高圧源(一次圧の高さは、例えば、0.2MPa)325bに接続されている。
図9に示すように、容器ホルダ機構270は、さらに、ダンパとしてのガススプリング326を備えている。ガススプリング326は、垂直に延びるとともに、それの両端部において、ベースプレート280と可動プレート300とにそれぞれ、ピボット可能に連結されている。ガススプリング326は、ロック機構304がアンロック状態にあるときに、可動プレート300が自重で下降する運動を制限するために設置されている。
図8および図9に示すように、カートリッジホルダ機構272は、トッププレート282に固定されたベースフレーム330と、アクチュエータとしてのエアシリンダ332と、トップフレーム334と、可動フレーム336とを備えている。
エアシリンダ332は、垂直に延びて、トッププレート282とトップフレーム334とに固定された本体部340と、その本体部340に対して直線運動させられる昇降ロッド342とを有している。昇降ロッド342の上端部(本体部340から突出した端部)は、可動フレーム336に固定されている。
エアシリンダ332は複動式であり、昇降ロッド342の、初期位置から作用位置までの前進(加圧による上昇)と、作用位置から非作用位置までの後退(加圧による下降)と、任意の位置での浮動(エアシリンダ332内の両ガス室からの排気がいずれも許可される)とが作業者の操作に応じて選択的に行われる。すなわち、エアシリンダ332は、前進モードと、後退モードと、浮動モードとに選択的に移行するようになっているのである。エアシリンダ332は、空圧制御ユニット325aを介して高圧源325aに接続されている。
本体部340には、複数本のスリーブ(本実施形態においては、エアシリンダ332を隔てて互いに対称的に配置された2本の平行スリーブ)344が固定されている。それらスリーブ344に、垂直に延びる複数本のシャフト346が摺動可能に嵌合されている。それらシャフト346の上端部はいずれも、可動フレーム336に固定されている。
カートリッジホルダ機構272においては、ベースフレーム330、トップフレーム334、本体部340およびスリーブ344がそれぞれ静止部材であるのに対し、可動フレーム336、昇降ロッド342およびシャフト346はそれぞれ、互いに一体的に昇降させられる可動部材である。
図9に示すように、カートリッジホルダ機構272は、さらに、ダンパとしてのガススプリング350を備えている。ガススプリング350は、ベースフレーム330と、可動フレーム336との間を垂直に延びている。ガススプリング350は、ガス室(図示しない)を有するシリンダ352と、そのシリンダ352に対して伸縮させられるロッド354とを備えている。シリンダ352は、それの一端部においてベースフレーム330に、ピボット可能に連結されている。
ロッド354の先端部は、可動フレーム336の下面に分離可能に係合させられている。したがって、ロッド354は、可動フレーム336によって圧縮させられることはあるが、伸張させられることはない。ロッド354は、圧縮状態において、可動フレーム336に上向きの力を付与し、それにより、可動フレーム336が上昇することをアシストする。
本実施形態においては、容器112とカートリッジ12とが、例えばおねじとめねじとの螺合により、互いに直接的に接続されることにより、容器112が充填装置210に保持されている状態において、カートリッジ12が、直径方向と軸線方向との双方に関し、容器112に対して位置合わせされる。
図10に示すように、前記容器セットが容器ホルダ機構270によって保持され、かつ、その容器セットにカートリッジ12が接続されている状態で、ロッド360がカートリッジ12内に挿入される。
そのロッド360は、カートリッジホルダ機構272によって保持されている。本実施形態においては、カートリッジホルダ機構272が、ロッド360を保持し、そのロッド360がカートリッジ12内に挿入されることにより、結果的に、カートリッジ12がカートリッジホルダ機構272によって保持されている。
ロッド360は、剛性を有して真っ直ぐに延びるチューブとして構成されている。このロッド360は、鋼製のパイプ(合成樹脂製のパイプでも可)であり、軸方向に圧縮力を伝達することが可能である。
ロッド360は、それの先端面において、ストッパ362によって実質的に気密に閉塞されている。ロッド360は、ストッパ362の先端面において、プランジャ10の底部88の内面89に突き当たり、これにより、プランジャ10に対するロッド360の接近限度が一義的に決まる。
図10に示すように、押出ピストン122が容器112内に押し込まれることにより、その容器112から粘性材料14が底部156から押し出され、その押し出された粘性材料14は、充填室72に充填される。その充填される粘性材料14の容積が増加するにつれて、プランジャ10が、その粘性材料14によって押されて、シリンダ18に対して上昇させられる。それに伴い、ロッド360がカートリッジ12に対して上昇させられる。
図8および図9に示すように、ロッド360が、可動フレーム336に固定されている。ロッド360は、充填装置210の垂直中心線(ガイド穴294の中心線と同軸)と同軸的に延びている。充填装置210により、カートリッジ12の、トッププレート282に対する位置に関し、位置合わせされる。
次に、本充填方法を、図11に示す工程図を参照して具体的に説明するが、それに先立ち、粘性材料14の製造方法を説明する。
粘性材料14は、高粘性の合成樹脂であり、また、一定温度(例えば、50℃)以上に加熱されると硬化し、一旦硬化すると、温度が低下しても性状が復元しない熱硬化性を有する。粘性材料14は、硬化していない状態で、一定温度(例えば、−20℃)以下に冷凍されると、粘性材料14における化学反応の進行(硬化)が停止する。その後、粘性材料14を加熱して解凍すると、粘性材料14における化学反応の進行(硬化)が再開されるという性質を有する。
本実施形態においては、粘性材料14は、2液混合タイプであり、A液(硬化剤)およびB液(主剤)という2液を混合させることによって提供される。A液の一例は、米国PRC-DeSoto International社のPR-1776 B-2, Part A(促進剤であり、二酸化マンガン分散である。)であり、これに組み合わされるB液の一例は、米国PRC-DeSoto International社のPR-1776 B-2, Part B(ベース成分であり、充填変性ポリスルフィド樹脂である。)である。
したがって、図11に示すように、粘性材料14を製造するために、まず、ステップS11において、容器112内において2液が混合される。次に、ステップS12において、容器112内に収容された粘性材料14に対して攪拌脱泡が攪拌機(図示しない)を用いて行われる。本実施形態においては、同じ容器112が、粘性材料14を製造するための2液の混合と、粘性材料14の、攪拌機による攪拌脱泡とに使用される。
攪拌機の一例が、特開平11−104404号公報に開示されており、この公報の内容は、全体的に、引用によって本明細書に合体させられる。本実施形態においては、この種の攪拌機が、粘性材料14で充填された容器112を、真空圧下において、公転軸まわりに公転させつつ、その公転軸に対して偏心した自転軸まわりに自転させ、それにより、容器112内において粘性材料14を攪拌しつつ脱泡する。
攪拌機内において、粘性材料14は、攪拌機による遊星運動に起因した遠心力により、攪拌される。さらに、粘性材料14内に混入した気泡は、攪拌機による遊星運動に起因した遠心力と、真空雰囲気に起因した負圧との共同作用により、粘性材料14から排出され、その結果、粘性材料14が脱泡される。これにより、粘性材料14にボイドが発生することが完全にまたは十分に防止される。
以上のようにして粘性材料14が容器112内において混合されて攪拌脱泡されると、図10に示すように、充填装置210を用いて粘性材料14を容器112からカートリッジ12に移送して充填する作業が開始される。
まず、ステップS21において、作業者が、図7に示すように、粘性材料14で充填された容器112内に押出ピストン122を挿入することにより、前記容器セットを準備する。
次に、ステップS22において、作業者が、図10に示すように、前記容器セットを逆さま姿勢で充填装置210のうちの容器ホルダ機構270にセットすることにより、前記容器セットを充填装置210に保持させる。
具体的には、可動プレート300は、前記容器セットが容器ホルダ機構270に保持されるのに先立ち、前記容器セットから下方に退避させられている。作業者は、まず、退避している可動プレート300に前記容器セットを逆さま姿勢で所定位置に載せる。その後、作業者は、可動プレート300を、前記容器セットと一緒に、容器112がトッププレート282に突き当たるまで上昇させる。最後に、作業者は、可動プレート300をその位置に固定する。
続いて、ステップS23において、作業者が、図10に示すように、カートリッジ12内にプランジャ10を挿入することにより、カートリッジ12を準備する。
その後、ステップS24において、図10に示すように、先に充填装置210によって逆さま姿勢で保持されている容器セットに、カートリッジ12を実質的に気密に接続し、それにより、カートリッジ12を充填装置210に保持させる。
カートリッジ12の充填装置210への装着に先立ち、エアシリンダ332は、前述の前進モードにあって、昇降ロッド342を押し出しており、その結果、ロッド360は、カートリッジ12から上方に退避した位置にある。すなわち、カートリッジ12の充填装置210への装着がロッド360によって邪魔されないようになっているのである。
続いて、ステップS25において、エアシリンダ332が、前述の後退モードに切り換えられて、昇降ロッド342を引き込むことにより、退避位置にあるロッド360を、カートリッジ12内に挿入する。ロッド360のストッパ362が、カートリッジ12内に先に存在するプランジャ10に突き当たるまで、ロッド360がエアシリンダ332によって下降させられる。プランジャ10の前進限度は、例えば、容器112の底部156のうち、排出通路157を形成する部分の先端部との当接によって規定される。
その後、エアシリンダ332は、前述の浮動モードに切り換えられ、その結果、前述の、ガススプリング350によるアシストを無視すると、ロッド360からプランジャ10には、ロッド360の重量、および、そのロッド360と一緒に昇降する部材の重量との和から摺動抵抗を除外した値を有する力が作用する。その力は、プランジャ10をカートリッジ12の底部62に向かって押し付ける向きの力であって、充填室72の容積を減少させる向きの力である。
続いて、ステップS26において、図10に示すように、押出ピストン122が上昇して容器112内に押し込まれる。それに伴い、容器112から粘性材料14が、重力に抗して押し出され、これにより、充填室72内への充填が開始される。
粘性材料14が容器112からカートリッジ12の充填室72内に流入すると、充填室72内に存在する空気が、流入した粘性材料14によって圧縮される。
それにより、カートリッジ12内において、充填室72が、カートリッジ12の外部に連通した加圧室74(大気圧)より高圧であるという差圧が発生する。その差圧により、充填室72内の空気が、プランジャ10とシリンダ18との間の半径方向クリアランス(シール部104が完成していない状態にある)を通過して、加圧室74に流入し、ひいては、カートリッジ12の開口部68から外部に排出される。これにより、充填室72の空気に対し、空気抜きが行われる。
その結果、本実施形態によれば、充填室72内への粘性材料14の充填中に、充填室72から空気が加圧室74に排出され、充填室72内の粘性材料14内に空気が混入することも、充填室72内に粘性材料14が空気と共存することも起こらずに済む。
さらに、本実施形態によれば、カートリッジ12内のプランジャ10に、充填室72の容積が減少する向きの力がロッド360によって付与される。その付与される力は、カートリッジ12内に流入した粘性材料14にプランジャ10が接近する向きの力である。
よって、本実施形態によれば、ロッド360による力の付与によっても、上述の差圧が発生し、ロッド360による力の付与が存在しない場合より、カートリッジ12に大きな差圧が発生する。それにより、充填室72内に存在する空気が、プランジャ10とシリンダ18との間の半径方向クリアランスを通過して加圧室74に流入する現象が促進される。
やがて、図10に示す初期状態(プランジャ10の下端位置)にある充填室72内の空気全部が粘性材料14で充填される(充填室72内のもともとの空気がすべて粘性材料14で置換される)に至る。続いて、粘性材料14の充填が継続すると、充填室72の容積が増加し、それに伴い、プランジャ10、ロッド230および可動フレーム336が上昇しようとする。
このとき、充填室72内の粘性材料14の最初の一部が、シール部104を形成するために消費され、そのシール部104が完成すると、粘性材料14のうちの残りの部分が、シール部104により、加圧室74への流出が阻止される。シール部104により粘性材料ブロックが行われるのである。
本実施形態においては、粘性材料14がプランジャ10に、それの開口部68からではなく、吐出口67から充填され、それにより、充填が開始された当初の充填室72内においては、プランジャ10に近い方に空気の層(上層)が形成され、その空気の層より下方に粘性材料14の層が形成される。その結果、充填室72内に空気が存在する限り、粘性材料14がプランジャ10に接触しないようになっている。
粘性材料14が充填室72内を上昇し、充填室72内の空気が完全に抜けると、粘性材料14がプランジャ10に接触し、そのプランジャ10とシリンダ18との間のクリアランスに粘性材料14が進入する。その結果、粘性材料ブロックを行うシール部104がそれらプランジャ10とシリンダ18との間に形成される。そのシール部104の完成後は、双方向の空気漏れも阻止される。
粘性材料14のカートリッジ12内への充填に先立ち、図9に示すガススプリング350は、可動フレーム336によって圧縮されている状態にある。その反作用として、ガススプリング350は、可動フレーム336をロッド360と共に上昇させる力を、可動フレーム336に付与している。
したがって、図10に示す初期状態(プランジャ10の下端位置)における充填室72内の空気全体が粘性材料14で充填されるに至った後、充填室72の容積がさらに増加すると、それに伴い、プランジャ10、ロッド360および可動フレーム336が、充填室72内の粘性材料14の圧力をそれほど上昇させることなく、上昇することが可能となる。
すなわち、ステップS27において、ロッド360および可動フレーム336の上昇が、ガススプリング350によって機械的にアシストされるのである。
その後、ステップS28において、シリンダ18に充填された粘性材料14の量が規定量に達し、ロッド360が規定位置まで上昇することが待たれる。ロッド360が規定位置まで上昇すると、エアシリンダ320の切換えによって押出ピストン122の前進が停止させられ、その後、エアシリンダ332が昇降ロッド342を押し出すことにより、プランジャ10をシリンダ18内に残したまま、ロッド360を上昇させ、それにより、ロッド360をカートリッジ12から引き抜く。
続いて、ステップS29において、作業者が、カートリッジ12を、容器112および充填装置210から取り外す。
その後、ステップS30において、作業者が、前記容器セットを、充填装置210から取り外す。
以上で、1個の容器112から1本のカートリッジ12への粘性材料14の移送充填が完了する。
次に、本発明の例示的な第2実施形態に従うプランジャ10を説明する。ただし、第1実施形態と共通する要素については、同一の名称または符号を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、第1実施形態と異なる要素についてのみ詳細に説明する。
図12(a)は、第2実施形態に従うプランジャ10を用いるカートリッジ12の要部を示す断面図であり、図12(b)は、図12(a)におけるY−Y線での断面図である。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、プランジャ10がシリンダ18に完全に同心的に嵌合された同心嵌合状態において、プランジャ10のうちの本体部80の外周面82とシリンダ18の内周面84との間に、軸方向にも周方向にも連続した筒状のクリアランスが連続クリアランス106として形成される。その連続クリアランス106が粘性材料14の一部によって充填されることによってシール部104が形成される。
本実施形態においては、図12(a)に示すように、シリンダ18の内周面84の断面を表す図形の内側アウトラインが円周である状態で、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインが、前記円周より小径の円周である。
したがって、本実施形態においては、プランジャ10がシリンダ18に完全に同心的に嵌合されている状態においては、連続クリアランス106の厚さが周方向に一様であるが、プランジャ10の軸心がシリンダ18の軸心から半径方向に外れると、連続クリアランス106の厚さが周方向に非一様となる。
外周面82は、プランジャ10がシリンダ18に嵌合した状態において、シリンダ18の内周面84との間に実質的に全周的に半径方向クリアランスを有する。本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、外周面82上にいずれのリッジ100も形成されていない。
前記半径方向クリアランスの寸法は、プランジャ10がシリンダ18に実質的ながたなく軸方向にスライド可能に嵌合されるために必要な半径方向クリアランスを下限値とし、充填室72から粘性材料14が吐出される吐出工程の実質的な最終段階において、連続クリアランス106がそれの周方向および軸方向において実質的に完全に粘性材料14の一部によって充填されるのに必要な半径方向クリアランスを上限値とするように設定される。
一例においては、前記半径方向クリアランスの寸法が、0.25mmと0.75mmとの間の範囲内に設定される。
粘性材料14が外部から充填室72に充填されると、連続クリアランス106が粘性材料14の一部によって充填され、それにより、シール部104が形成される。その一部の粘性材料14が、粘性材料14のうち、残りの部分が充填室72から加圧室74に漏れることをブロックする。
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、プランジャ10の外周面82とシリンダ18の内周面84との間に連続クリアランス106が形成され、それにより、外周面82の外径が内周面84の内径より、前述の周方向ランドが用いられる場合より大きな比率で小さくされる。
その結果、プランジャ10の外周面82のうち、各瞬間において、シリンダ18の内周面84に同時に接触する可能性がある同時接触可能部分(例えば、その同時接触可能性部分の外周面の、それの長さ全体にわたる合計面積か、その同時接触可能性部分の外周面を、特定の軸方向位置において仮想的に切断した場合に取得される曲線の、それの周方向全体にわたる合計長さ)が、前述の周方向ランドが用いられる場合より減少する。
その同時接触可能部分が減少すると、プランジャ10がシリンダ18を軸方向にスライドする際の抵抗が、前述の周方向ランドが用いられる場合より低減される。それにより、空圧ディスペンサ20からの粘性材料14の吐出段階において、圧縮ガスの作用により、プランジャ10が、前述の周方向ランドが用いられる場合よりスムーズにスライドすることが促進される。
その結果、圧縮ガスがプランジャ10に作用させられたために、前記こじりモーメントがプランジャ10に予定外に発生し、プランジャ10がシリンダ18に対して傾倒して、プランジャ10がシリンダ18に局部的に接触しても、プランジャ10が同じ軸方向位置に滞留する可能性が減少する。プランジャ10のこじりによってプランジャ10がシリンダ18に固着する現象が頻繁に発生せずに済むのである。
本実施形態においては、図12(a)に示すように、シリンダ18の内周面84の断面を表す図形の内側アウトラインが円周である状態で、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインも同様に、円周である。
しかし、本発明は他の態様で実施することが可能であり、軸方向にも周方向にも連続した連続クリアランス106がプランジャ10の外周面82とシリンダ14の内周面84との間に形成され、かつ、その連続クリアランス106が粘性材料14によって全域的に充填されることが可能である限り、プランジャ10の外周面82の断面形状の如何を問わず、例えば、その外周面82上に周方向に延びるランドであって前記同心嵌合状態においてそれの先端面がシリンダ14の内周面84に接触しないものが形成される態様で本発明を実施することも可能である。
本実施形態においては、他の実施形態と同様に、プランジャ10がシリンダ18に、両者間のシールを専ら行うパッキンやリングなどの専用のシール部材や専用のシール流体を用いることなく、従来より大きなギャップを有して、すなわち、従来よりルーズに嵌合される。さらに、そのルーズ・フィットによって形成された連続クリアランス106が粘性材料14によって充填され、その充填部分があたかもシール部材として機能する。
すなわち、本実施形態においては、上述のシール部材やシール流体を省略する代わりに、プランジャ10をシリンダ14に従来よりルーズに嵌合させ、そのうえで、そのルーズ・フィットによって形成された連続クリアランス106を粘性材料14によって充填してシール機能を実現するのである。
次に、本発明の例示的な第3実施形態に従うプランジャ10を説明する。ただし、第2実施形態と共通する要素については、同一の名称または符号を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、第2実施形態と異なる要素についてのみ詳細に説明する。
第2実施形態においては、図12(a)に示すように、シリンダ18の内周面84の断面を表す図形の内側アウトラインが円周である状態で、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインも同様に、円周である。
これに対し、本実施形態においては、図13に示すように、シリンダ18の内周面84の断面を表す図形の内側アウトラインが円周である状態で、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインが、非円周である閉じた線である。
したがって、本実施形態においては、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインが円周である場合とは異なり、プランジャ10がシリンダ18に完全に同心的に嵌合されているか否かを問わず、連続クリアランス106の厚さが周方向に非一様となり、不均一となる。その結果、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインが円周である場合より大きなクリアランスを、周方向に不均一ながらも、プランジャ10とシリンダ18との間に確保することが容易となる。
一例においては、図13(a)に示すように、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインが閉じた曲線、例えば、楕円、長円などである。この例においては、その閉じた曲線のうち、複数の突出部(当該閉じた曲線に外接する一円を想定した場合に、当該閉じた曲線のうち、その外接円との複数の接点を含む複数のセグメント)がそれぞれ、リッジ100の別の例を構成すると考えることが可能である。
別の例においては、図13(b)に示すように、プランジャ10の外周面82の断面を表す図形の外側アウトラインが多角形(それを近似する閉じた曲線が、円周であるか否かを問わない)である。この例においては、その多角形のうち、複数の突出部(当該多角形に外接する一円を想定した場合に、当該多角形のうち、その外接円との複数の接点を含む複数のセグメント)がそれぞれ、リッジ100の別の例を構成すると考えることが可能である。
本明細書は、ここに記載されている技術の実施態様のいくつかの例における組成物、方法、システムおよび/または構造物ならびに用途についての十分な説明を提供する。当該技術の種々の実施態様を、ある程度の具体性を有するか、または少なくとも一つの個別の実施態様を参照して上述したが、当業者であれば、その開示された実施態様に対する多数の変更を、当該技術の精神からも範囲からも逸脱することなく、行うことが可能である。さらに、反対のことが請求の範囲の欄において明示されていないか、特定の順序が請求の範囲中の用語によって本質的に不可欠とされていない限り、いなかる作動をいなかる順序で行ってもよいことを理解すべきである。上記の説明に含まれるとともに添付図面に図示されるすべての事項は、特定の実施態様のみについての例示として解釈すべきであって、それら事項は、説明されている実施態様に限定するものではないということを意図している。詳細部または構造の変更は、後続する請求の範囲の欄中に定義されている当該技術の基本的な要素から逸脱することなく、行うことができる。

Claims (5)

  1. 圧縮ガスによる加圧によって粘性材料を吐出する空圧ディスペンサに装着されるとともにプランジャがシリンダに嵌合されて成るカートリッジであって、
    前記プランジャが前記シリンダに嵌合された状態において、前記プランジャの外周面と前記シリンダの内周面との間に、少なくとも軸方向に延びる成分を有する方向に延びる複数の薄肉領域と複数の厚肉領域とがそれぞれ交互に周方向に並ぶように構成されるクリアランスを有し、
    前記シリンダ内への前記粘性材料の充填段階において、前記粘性材料の一部が前記クリアランス内に充填され、そのクリアランスが前記一部の粘性材料によって完全に充填される前のシール未完成状態においては、前記シリンダ内に存在するガスが前記クリアランスを通過するガス抜きが実現されるが、前記クリアランスが前記一部の粘性材料によって完全に充填された後のシール完成状態においては、前記一部の粘性材料が、前記シリンダと前記プランジャとの間のシール部材として機能し、前記粘性材料および前記ガスが前記クリアランスから漏れることが防止されるカートリッジ。
  2. 各薄肉領域も各厚肉領域も、軸方向に延びる成分は有するが周方向に延びる成分は有しない方向に延びる請求項1に記載のカートリッジ。
  3. 各薄肉領域も各厚肉領域も、軸方向に延びる成分のみならず周方向に延びる成分も有する方向に延びる請求項1に記載のカートリッジ。
  4. 各薄肉領域は、前記プランジャの複数本のリッジの先端面と前記シリンダの内周面とにより形成される請求項1ないし3のいずれかに記載のカートリッジ。
  5. 各厚肉領域は、前記プランジャの複数本の溝の底面と前記シリンダの内周面とにより形成される請求項1ないし4のいずれかに記載のカートリッジ。
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