以下では、カテーテル内部に圧力印加を必要とするバルーンカテーテル、バルーンカテーテルを含む情報処理システム、および使用済のバルーンカテーテルを再生するための方法について、実施の形態に基づき具体的に説明する。
ただし、本開示のバルーンカテーテル、情報処理システム、および用済のバルーンカテーテルを再生するための方法は、実施の形態によって制限を受けるものではなく、開示の趣旨に適合し得る範囲で変更および組み合わせが可能である。また、各図面において、便宜上、ハッチング、部材、符号等を省略する場合もある。また、図面における種々部材の寸法は、本開示の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
また、以下では主として、「A.データの取得」、「B.バルーンカテーテルの再生」、「C.医療支援」、「D.製品改良」、「E.個体管理」、「F.サプライチェーンによる管理」、および「G.メンテナンス業者による再利用品の管理」を、この順に説明する。
「A.データの取得」の項目では、バルーンカテーテルの構成を明示した上で、バルーンカテーテルによって取得されるデータについて説明する。「B.バルーンカテーテルの再生」の項目では、当該取得されたデータを用いた再生処理について説明する。
同様に、「C.医療支援」、「D.製品改良」、「E.個体管理」、「F.サプライチェーンによる管理」、および「G.メンテナンス業者による再利用品の管理」の各項目でも、当該取得されたデータを使用する例を説明する。
<A.データの取得>
(a1.概要)
図1は、バルーンカテーテルの概略構成を説明するための図である。
図1を参照して、バルーンカテーテル10は、ハブ11と、ストレインリリーフ12と、カテーテルシャフト13と、バルーン14と、ガイドワイヤポート15とを備える。
ガイドワイヤポート15は、カテーテルシャフト13に形成されている。ガイドワイヤポート15から、バルーンカテーテル10の内部にガイドワイヤ16が挿入される。ハブ11は、バルーン拡張用ポート17を有する。
なお、以下では、バルーンカテーテル10に関し、ハブ11側を「後端側」と、バルーン14側を「先端側」とも称する。
図2は、図1のII-II線矢視断面図である。
図2を参照して、カテーテルシャフト13は、内管131と外管132とから構成される。内管131は、ガイドワイヤ16の挿通路として機能する。
内管131と外管132との間の空間である管路190は、流体の流路として機能する。管路190は、ハブ11の内部まで連通している。管路190は、典型的には、当該流体として、造影剤と、生理食塩水と、ヘパリンとが混ざりあった液体(以下、「溶液」とも称する)で満たされる。なお、当該溶液は、通常、「無菌液」とも称される。
カテーテルシャフト13の先端側では、内管131が外管132の先端から延出してバルーン14を軸方向に貫通している。バルーン14の先端側は、内管131と接合されている。バルーン14の後端側は、外管132と接合されている。
医師(術者)がインフレーションデバイスを用いて溶液の圧力(流体圧力)を高める操作を行うことにより、バルーン14は拡張する。
図3は、バルーンカテーテル10の機能的構成を説明するための図である。
図3を参照して、バルーンカテーテル10のハブ11は、検出部110と、記憶部103と、通信インターフェイス部104とを備える。
検出部110は、典型的には、プロセッサ101と、圧力センサ102と、時計(図示せず)とによって構成される。検出部110は、記憶部103と、通信インターフェイス部104とに通信可能に接続されている。検出部110は、プロセッサ101を含むため、バルーンカテーテル10の制御部として機能する。
検出部110は、バルーンカテーテル10の管路190に生じる圧力を少なくとも含む状態値を検出する。ある局面において、検出部110は、インフレーションデバイスによって管路190に加わる圧力(流体圧力)の時間的変化を、圧力センサ102によって検出する。
具体的には、圧力センサ102は、検出した圧力に応じた電気信号(たとえば、電圧)を出力する。プロセッサ101は、電気信号を圧力に変換する。プロセッサ101は、当該圧力を、管路190に生じる圧力として処理する。
「状態値」、すなわち「検出結果」には、管路190に加わる圧力の時系列変化、圧力のピーク値、ピークの発生回数等の各種の値が含まれる。これらの値については、プロセッサ101による演算によって算出される。「状態値」の具体例については、後述する(図14等)。
記憶部103は、検出部110による検出結果を格納する。記憶部103は、典型的には、不揮発性メモリで構成される。たとえば、記憶部103は、フラッシュメモリで構成され得る。
通信インターフェイス部104は、記憶部103に格納された検出結果を外部出力する。通信インターフェイス部104は、予め定められた通信プロトルコを利用して、外部の装置と、無線あるいは有線にて通信する。
バルーンカテーテル10は、このような構成を有することにより、管路190に生じる圧力を少なくとも含む状態値を記憶部103に格納することができる。さらに、バルーンカテーテル10は、通信インターフェイス部104によって、記憶部103に格納された状態値を外部出力可能となる。
なお、検出部110は、時系列データを得る観点から、時計を備えておくことが好ましいが、時計は必須ではない。検出部110が時計を備える構成の場合には、検出部110等の回路に対して電池等により常時給電が行われる構成としておくことが好ましい。時計の代わりに、タイマを備えていてもよい。
また、上記においては、管路190の圧力をハブ11で検出する構成を例に挙げているが、これに限定されるものではない。圧力センサ102を、カテーテルシャフト13またはストレインリリーフ12等の他の部位に設けてもよい。同様に、プロセッサ101、記憶部103、通信インターフェイス部104を、ハブ11以外の部位に設けてもよい。
記憶部103への検出結果の格納と、通信インターフェイス部104による検出結果の外部出力とは、典型的には、プロセッサ101による指令に基づく。プロセッサが実行するプログラムは、記憶部103に格納されていてもよいし、検出部110等の他の箇所に格納されていてもよい。
また、通信インターフェイス部104は、記憶部103に格納された検出結果を外部出力する代わりに、あるいは当該外部出力とともに、バルーンカテーテル10の内部に設けられた出力装置に対して検出結果を出力する構成であってもよい。たとえば、通信インターフェイス部104は、ディスプレイ(図32参照)に対して、あるいは、スピーカ(図30参照)に対して、検出結果を出力する構成であってもよい。
図4は、バルーンカテーテル10の利用方法の例を説明するための図である。
図4を参照して、状態(A)に示すように、バルーンカテーテル10に対してインフレーションデバイス20が接続された状態で、バルーンカテーテル10の先端が患者990の体内(詳しくは血管内)に挿入される。なお、バルーンカテーテル10を患者990に挿入する前に、必要に応じて、圧力センサ102のゼロ点キャリブレーションを実施することが好ましい。
インフレーションデバイス20は、典型的には、シリンジ21と、ピストン22と、ロックレバー23と、ゲージ24と、接続チューブ25と、三方活栓26とを備えている。
インフレーションデバイス20は、三方活栓26によって、バルーンカテーテル10と接続される。インフレーションデバイス20がバルーンカテーテル10に接続された状態で、医師がピストン22を操作することにより、シリンジ21内の溶液が、接続チューブ25を介してバルーンカテーテル10に送られる。これにより、バルーン14が血管内で拡張する。なお、ゲージ24は、シリンジ21から接続チューブ25に流れる溶液の圧力を計測する。
上記の施術に伴い、バルーンカテーテル10の記憶部103(図3参照)には、バルーンカテーテル10の管路190に生じる圧力を少なくとも含む状態値が格納される。なお、患者990に対する施術が終了すると、バルーンカテーテル10は、人体内部から外部へと引き抜かれる。
次いで、状態(B)に示すように、情報処理システム1は、バルーンカテーテル10と、管理装置30とを含んでいる。管理装置30は、典型的には、サーバまたはパーソナルコンピュータである。
バルーンカテーテル10は、記憶部103に格納した状態値(検出結果)を、外部の管理装置30に送信する処理を行なう。典型的には、管理装置30がバルーンカテーテル10に対して検出結果の送信を要求する信号を送信することにより、バルーンカテーテル10から管理装置30に検出結果が送信される。
このような検出結果の送受信に先立ち、バルーンカテーテルのメンテナンス業者が、使用済みのバルーンカテーテル10を受け入れる。典型的には、バルーンカテーテルの回収業者によって使用済みのバルーンカテーテル10が病院から回収されて、当該回収された使用済みのバルーンカテーテル10がメンテナンス業者の手元に渡る。その後、典型的にはメンテナンス業者によって、検出結果の送受信が実行される。なお、回収業者とメンテナンス業者とが同一の業者であってもよい。
本例では、「受け入れ」との用語は「回収」を含む概念として用いられている。また、以下では、メンテナンス業者によって受け入れられた使用済みのバルーンカテーテルを、便宜上、「回収された使用済みのバルーンカテーテル」とも称する。さらに、検出結果(状態値)を、「履歴データ」とも称する。
詳細については後述するが、管理装置30によって記憶部103から読み出された検出結果は、使用済のバルーンカテーテルを再生すべきか否かの判断に利用される。
(a2.バルーンカテーテルの詳細)
バルーンカテーテルには、バルーンを拡張させることにより物理的に組織(血管等)を押し広げるものと、バルーンの拡張および収縮の繰り返しリズムを生体に付与するものとが存在する。本実施の形態に係るバルーンカテーテル10は、典型的には、前者(バルーンを拡張させることにより物理的に組織を押し広げるもの)を意図している。ただし、後者を排除するものではない。
前者のバルーンカテーテルは、さらに、「単なるバルーンだけを有するもの」、「バルーン表面に薬剤が塗布されたもの」、「バルーンに小さな物理的突起を有するもの」、「バルーンにインプラントするためのステントを保持し、ステントだけを広げておいてくるもの」、「バルーン壁に小さな穴(マイクロポーラス)が存在し、その穴から薬剤を噴射できるもの」等に細分化される。
なお、上記においては、図1等に示したように、バルーンカテーテル10として、カテーテルシャフト13の先端側から後端側に至る途中(ガイドワイヤポート15)までガイドワイヤ16を挿通するラピッド・エクスチェンジタイプの構成を例に挙げて説明したが、バルーンカテーテルのタイプは、これに限定されるものではない。
たとえば、バルーンカテーテルは、カテーテルシャフトの先端側から後端側にわたってガイドワイヤを挿通するオーバー・ザ・ワイヤータイプであってもよい。また、バルーンカテーテルは、バルーンを長い時間拡張することによってバルーンに保持された薬剤を血管内壁などへ移行しやすくするために、バルーンの後端側と先端側を血液などが移動できる灌流用ルーメンを有する灌流型バルーンカテーテルであってもよい。
以下、バルーンカテーテル10について、「電源供給」、「センシング」、「格納データ」、および「データ読み出し」を、この順に説明する。
(1)電源供給
検出部110(プロセッサ101,圧力センサ102)と、記憶部103と、通信インターフェイス部104とに対する電源供給の態様について、以下説明する。
図5は、電源供給を説明するための図である。
図5を参照して、ハブ11は、ハブ11の筐体100内に、プロセッサ101と、圧力センサ102と、記憶部103と、通信インターフェイス部104と、電池105とを備えている。
このような構成の場合、プロセッサ101と、圧力センサ102と、記憶部103と、通信インターフェイス部104とは、電池105から電源供給を受ける。
電池105は、充電式であってもよい。また、電池105が取り替えられるように、ハブ11を構成してもよい。
図6は、電源供給の第1の変形例を説明するための図である。
図6を参照して、バルーンカテーテル10は、ハブ11の代わりにハブ11Aを備えている。ハブ11Aは、プロセッサ101と、圧力センサとしての圧電素子102Aと、記憶部103と、通信インターフェイス部104とを備える。
このような構成の場合、インフレーションデバイス20の操作によって、管路190に圧力が加わると、圧電素子102Aが微小変形(具体的には、収縮)する。これにより、圧電素子102Aが電気を発生する。圧電素子102Aによって発生した電気は、プロセッサ101と、記憶部103と、通信インターフェイス部104とに供給される。
このような構成の場合、圧力センサと電源とを、1つの素子で実現できる。
また、圧電素子102Aを備える構成の場合、記憶部103に記憶された検出結果(状態値)を読み出す場合、圧電素子102Aに圧力を加えるか、あるいは、外部からプロセッサ101等に対して給電を行う必要がある。
図7は、電源供給の第2の変形例を説明するための図である。
図7を参照して、バルーンカテーテル10は、ハブ11の代わりにハブ11Bを備えている。ハブ11Bは、プロセッサ101と、圧力センサ102と、記憶部103と、通信インターフェイス部104と、蓄電池105Aと、ソーラパネル106とを備える。
ソーラパネル106で発生した電気は、蓄電池105Aに蓄えられる。プロセッサ101と、圧力センサ102と、記憶部103と、通信インターフェイス部104とは、蓄電池105Aから電源供給を受ける。
このような構成の場合、外光(手術室の光等)で電力を発生することができるため、プロセッサ101等に対して電力供給を持続的に行うことができる。
図8は、電源供給の第3の変形例を説明するための図である。
図8を参照して、バルーンカテーテル10は、ハブ11の代わりにハブ11Cを備えている。ハブ11Cは、プロセッサ101と、圧力センサ102と、記憶部103と、非接触通信用のアンテナ104Aとを備える。ハブ11Cは、圧力センサ102とRFID(Radio Frequency Identifier)とを組み合わせた形態をしている。
アンテナ104Aは、図示しないデータ読取装置(たとえば、リーダライタ)から電波を受信することにより、プロセッサ101を含む回路内に電流を流すことができる。また、ハブ11Cは、アンテナ104Aを介して、記憶部103に記憶された検出結果を外部装置へ出力する。
このように、ハブ11Cは、アンテナ104Aを備えることにより、電源の機能と、通信インターフェイス部104の機能とを実現することができる。
図9は、電源供給の第4の変形例を説明するための図である。
図9を参照して、バルーンカテーテル10は、ハブ11の代わりにハブ11Dを備えている。ハブ11Dは、プロセッサ101と、圧力センサ102と、記憶部103と、通信インターフェイス部104と、ポート108とを備える。本例の場合、ポート108は、給電ポートとして機能するとともに、通信ポートしても機能する。ただし、これに限定されず、ハブ11Dは、給電ポートと通信ポートとを別々に有していてもよい。
この構成の場合、インフレーションデバイスとして、インフレーションデバイス20の代わりに、電池28を内蔵したインフレーションデバイス20Aが用いられる。インフレーションデバイス20Aは、電池28を備えている点において、インフレーションデバイス20と異なる。他の構成は、インフレーションデバイス20と同じである。
インフレーションデバイス20Aは、ケーブル903を介してハブ11Dに接続される。ケーブル903の先端部(電池28と反対側)には、ポート108に接続するためのコネクタ9031が設けられている。
コネクタ9031がポート108に接続されると、プロセッサ101と圧力センサ102と記憶部103と通信インターフェイス部104とに対する、電池28から給電が開始される。このように、インフレーションデバイス20からバルーンカテーテル10に対して給電を行なう構成とすることにより、バルーンカテーテル10側では電池または電力を発生する機構が不要となる。
なお、本例では、ケーブル903は、電源供給ケーブルとして機能するとともに、通信ケーブルとしても機能する。また、インフレーションデバイス20Aは、ケーブル903と電池28とを接続するためのポートを備えていてもよい。この場合、ケーブル903は、コネクタ9031とは別に、インフレーションデバイス20Aに接続するためのコネクタが必要となる。
図10は、電源供給の第5の変形例を説明するための図である。
図10を参照して、バルーンカテーテル10は、ハブ11の代わりにハブ11Eを備えている。ハブ11Eは、プロセッサ101と、圧力センサ102と、記憶部103と、通信インターフェイス部104と、電池105と、スイッチ180とを備える。
スイッチ180は、一例として、接触形式がa接点のスイッチである。スイッチ180は、スイッチをオンさせるための可動部材181を備えている。可動部材181は、樹脂等の導電性のない材料で形成される。
インフレーションデバイス20の三方活栓26がハブ11Eに接続されていない状態では、可動部材181の位置がデフォルト位置となり、スイッチ180は、オフ状態となる。このため、電池105とプロセッサ101等との間は、非導通の状態となり、電池105から、プロセッサ101等に対しての給電は行われない。
一方、インフレーションデバイス20の三方活栓26がハブ11Eに接続されると、可動部材181がハブ11Eの内部に移動する。これにより、スイッチ180は、オフ状態からオン状態に遷移する。このため、電池105とプロセッサ101等との間は、導通状態となり、電池105から、プロセッサ101等に対しての給電が開始される。
なお、スイッチの構成は、上述したものに限定されない。インフレーションデバイス20をバルーンカテーテル10に接続されると、プロセッサ101等に給電が行わる形態であれば、特に限定されない。
なお、ハブ11,11A、11B,11C,11D,11Eにおいては、検出部110(プロセッサ101、圧力センサ102、圧電素子102A)、記憶部103、通信インターフェイス部104と、アンテナ104A、電池105、蓄電池105A、およびポート108が、筐体100内に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。部材の一部または全部が、ハブの筐体100外に配置されていてもよい。
(2)センシング
図11は、図5のxxi-xxi線断面図である。
図11を参照して、圧力センサ102は、典型的には、ハブ11の筐体100の管路190内の壁面に、圧力を検出する検出面が管路190に露出した態様で設置される。
このように管路190内に配置された圧力センサ102によれば、管路190に生じる圧力を検出することができる。
なお、圧力センサ102は、管路190に生じる圧力を検出できる構成であれば、配置およびセンサの種類は限定されるものではない。
また、圧力センサ102の代わりに管路190に流れる溶液の流量を測定するセンサを設け、当該センサによる測定結果に基づき、プロセッサ101が管路190に生じる圧力を推定する構成であってもよい。
(3)格納データ
図12は、バルーンカテーテル10の検出部110にて検出されるデータ例の概略を説明するための図である。
図12(A)は、ハブ11,11B〜11E(図5,7〜10参照)を備えるバルーンカテーテル10により検出されるデータの例を表している。図12(B)は、圧電素子102Aを備えたハブ11A(図6参照)を備えるバルーンカテーテル10により検出されるデータの例を表している。
図12(A)を参照して、バルーン14を拡張するために、医師がインフレーションデバイス20によって溶液をバルーンカテーテル10に注入する施術を行うと、圧力センサ102が出力する圧力を示す数値(たとえば、電圧値)が上昇する。バルーン14を収縮する施術を行うと、圧力センサ102が出力する圧力を示す数値が下降する。同図においては、圧力Pa,Pbは、圧力のピーク値を表している。
図12(B)を参照して、バルーン14を拡張するために、医師がインフレーションデバイス20によって溶液をバルーンカテーテル10に注入する施術を行い、管路190の圧力(圧電素子102Aに加わる圧力)が閾値Th1を超えると、圧電素子102Aから、プロセッサ101と、記憶部103等に電力が供給される。検出部110は、電力供給が行われている期間において、管路190に生じる圧力を少なくとも含む状態値の検出を行うことができる。さらに、検出部110は、この期間において、検出された状態値(検出結果)を記憶部103に格納することができる。
したがって、圧電素子102Aを有するハブ11Aを用いる場合、圧電素子102Aに加わる圧力が閾値Th1を超えていない期間では、状態値の検出および記憶部103への状態値の格納は行われない。
なお、図12(A),(B)においては、説明の便宜上、実線を用いて圧力の変化を表しているが、プロセッサ101は、クロックに基づいた周期的な演算処理を行なうため、算出される圧力は時間的に離散した値となる。
図13は、バルーンカテーテル10における検出部110を説明するための図である。
図13を参照して、検出部110は、圧力センサ102とプロセッサ101との処理によって、管路190の圧力を示した時系列データ111を生成する。なお、プロセッサ101は、時計を利用して、各計測値(圧力)に対して測定時刻を関連付ける。
データ処理部112は、時系列データに対して所定のデータ処理を実行することにより、上述した状態値(検出結果)を得る。データ処理部112は、算出された状態値を記憶部103に格納する。なお、データ処理部112は、プロセッサ101がプログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。
図14は、データ処理部112によって記憶部103に格納された状態値を説明するための図である。
図14を参照して、記憶部103は、状態値を含む履歴データ1300を格納している。履歴データ1300は、製品ID1301と、時系列データ111(図13参照)と、圧力のピーク値データ1302と、圧力のピークの発生回数を表したデータ1303と、圧力のトータル印加時間を表したデータ1304と、チャートデータ1305(図12(A)等)と、バルーンカテーテル10における累積ダメージのデータ1306と、昇圧および降圧の速度を表したデータ1307と、バルーン14の拡張回数を表したデータ1308とを含んでいる。
履歴データ1300のうち、製品ID1301を除くデータ(111,1302〜1308)が、「状態値」に対応する。なお、バルーンカテーテル10は、製品ID1301を、履歴データ1300には含めずに、他のデータとは別に管理してもよい。
また、製品IDに関連付けて、バルーンカテーテル10の使用期限を予め記憶部103に格納しておくことが好ましい。特に、使用期限を履歴データ1300に含めて管理することが好ましい。使用期限とともに製造年月日を履歴データに含めて管理してもよい。
チャートデータ1305は、上述した離散的な圧力値を、図12に示したように連続したグラフで表したデータ(圧力と時間との関係を線分で表したデータ)である。
累積ダメージは、チャートデータ1305の積分により得られる。累積ダメージは、印加される圧力と印加時間で積分することにより得られた数値である。
検出部110は、1回の昇圧と1回の降圧とを検知すると、データ1308における拡張回数の値を1回増加させる。詳しくは、検出部110は、予め定められた値以上の圧力の上昇および下降を検出した場合に、拡張回数をインクリメントする。バルーン14があまり拡張していないのに拡張回数がインクリメントされることを防ぐためである。
(a3.データ読み出し)
管理装置30のハードウェア構成等を説明した上で、バルーンカテーテル10の記憶部103から管理装置30が履歴データ1300を読み出す処理について説明する。
(1)管理装置30のハードウェア構成
図15は、管理装置30のハードウェア構成の典型例を表した図である。
図15を参照して、管理装置30は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ301と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)302と、プロセッサ301によるプログラムの実行により生成されたデータ、又は入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)303と、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)304と、通信IF(Interface)305と、操作キー306と、電源回路307と、ディスプレイ308とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。なお、通信IF305は、他の機器と間における通信を行うためのインターフェイスである。
管理装置30における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサ301により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD304に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読取られて、あるいは、通信IF305等を介してダウンロードされた後、HDD304に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ301によってHDD304から読み出され、RAM303に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ301は、そのプログラムを実行する。
同図に示される管理装置30を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM303、HDD304、記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークNWを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、管理装置30の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
なお、後述する各サーバ40,60,70,80と、端末装置907とについても、管理装置30と同様のハードウェア構成を有する。
(2)管理装置30の機能的構成
図16は、管理装置30の機能的構成を表した機能ブロック図である。
図16を参照して、管理装置30は、通信インターフェイス部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。記憶部33は、データベース330を有する。
なお、制御部32は、典型的には、プロセッサ301がHDD304等に格納され、かつRAM上に展開されたプログラムを実行することにより、実現される。通信インターフェイス部は、通信IF部305に対応する。記憶部33は、典型的には、HDD304に対応する。
管理装置30は、複数のバルーンカテーテル10の各々から履歴データ1300(図14参照)を取得する。具体的には、管理装置30は、回収された使用済みの各バルーンカテーテル10に格納された履歴データ1300を、バルーンカテーテル10毎に読み出す(図4の状態(B)参照)。
読み出された履歴データ1300は、通信インターフェイス部31を介して、制御部32に送られる。制御部32は、履歴データ1300を記憶部33のデータベース330に格納する。
データベース330では、典型的には、バルーンカテーテル10毎に、履歴データ1300が管理されている。バルーンカテーテル毎の管理は、履歴データ1300に含まれる製品IDに基づき行われる。
これにより、管理装置30は、使用済みのバルーンカテーテル10毎に、履歴データを管理できる。
(3)データ読み出しの態様
上述したように、通信インターフェイス部104は、予め定められた通信プロトルコを利用して、外部の装置(本例の場合、管理装置30)と、無線あるいは有線にて通信する。これにより、バルーンカテーテル10は、記憶部103に格納された履歴データ1300を、管理装置30に送信することができる。
以下では、バルーンカテーテル10が、ハブ11C(図8参照)を備える場合と、ハブ11D(図9参照)を備える場合とにおける、データ読み出しの態様について説明する。さらに、バルーンカテーテル10が上述していない構成のハブ11F(図19参照)を備えている場合における、データ読み出しの態様について説明する。
図17は、ハブ11Cの記憶部103から履歴データ1300を読み出す処理を説明するための図である。
図17を参照して、管理装置30には、ケーブル902を介して、データ読取装置901が接続されている。管理装置30のユーザがアンテナ104Aをデータ読取装置901に対向させることにより、ハブ11Cの記憶部103に格納されている履歴データ1300がデータ読取装置901にて読取られる。その後、履歴データ1300は、データ読取装置901によって、管理装置30に送信される。
図18は、ハブ11Dの記憶部103から履歴データ1300を読み出す処理を説明するための図である。
図18を参照して、管理装置30には、一例として、給電時(図9参照)に用いたケーブル903が接続される。ケーブル903は、コネクタ9031によってポート108に接続される。
管理装置30のユーザがアンテナ104Aをデータ読取装置901に対向させることにより、ハブ11Cの記憶部103に格納されている履歴データ1300が、データ読取装置901によって読取られる。その後、履歴データ1300は、データ読取装置901によって、管理装置30に送信される。
図19は、電源供給を要しないハブ11Fを説明するための図である。
図19を参照して、ハブ11Fは、デバイス109を有する。デバイス109は、管路190に設けられ、管路190の圧力の大きさに応じて色が変化する。デバイス109は、管路190の圧力の大きさに応じて色の濃度のみが変化する構成であってもよい。
図20は、デバイス109の色の変化を説明するための図である。図20に示すように、管路190の圧力が高くなるにつれて、デバイスの色(色味または濃度)が濃くなる。デバイス109は、その後に圧力が低下した場合であっても、変化後の色を維持する。
デバイス109は、このような色の変化を起こすことによって、検出部としての機能を果たす。また、デバイス109は、変化後の色を維持することによって、記憶部としての機能を果たす。
なお、この場合、ハブ11F(詳しくは、デバイス109)は、他のハブ11等とは異なり、上述した「状態値」として、管路190の圧力のみを検出する。
図21は、ハブ11Fから状態値(検出結果)を読み出す処理を説明するための図である。
図21を参照して、管理装置30には、ケーブル904Aを介して、データ読取装置904が接続されている。データ読取装置904は、光学的な読取装置を有している。データ読取装置904は、典型的には、可搬性のあるスキャナである。
管理装置30のユーザがデータ読取部(図示せず)をデバイス109に対向させることにより、ハブ11Fの色の情報が、データ読取装置904にて読取られる。その後、読取られた色の情報は、データ読取装置904によって、管理装置30に送信される。
管理装置30は、色と圧力との関係を示したデータテーブルをさらに有している。管理装置30は、当該データテーブルを参照して、データ読取装置904によって読取られて色の情報に対応付けられた、圧力の値を特定する。管理装置30は、特定された圧力を、管路190の圧力として記憶部33(図16参照)に格納する。
このように、デバイス109は、検出部および記憶部としての機能のみならず、インターフェイス部としての機能も果たす。
(4)制御構造
図22は、バルーンカテーテル10と管理装置30とを含む情報処理システム1における処理の流れを説明するためのシーケンス図である。なお、説明の便宜上、バルーンカテーテル10がハブ11(図5参照)を備える構成を例に挙げて説明する。
図22を参照して、シーケンスSQ1において、バルーンカテーテル10は、検出部110によって、バルーンカテーテル10の管路190の圧力を検出する。典型的には、圧力センサ102が電気信号をプロセッサ101に対して出力する。
シーケンスSQ2において、検出部110が、当該電気信号に対して、各種の演算を含むデータ処理を行なう。具体的には、プロセッサ101が、電気信号に基づき圧力の時系列データ111(図13参照)を生成する。さらに、プロセッサ101(詳しくは、図13のデータ処理部112)が、製品IDを除く履歴データ1300を生成する。
シーケンスSQ3において、検出部110(詳しくは、プロセッサ101)は、履歴データ1300を記憶部103に格納する(図14参照)。
バルーンカテーテル10は、シーケンスSQ4において、管理装置30から履歴データ1300の送信を要求するデータ取得要求信号を受信すると、検出部110は、シーケンスSQ5において、記憶部103から履歴データ1300を読み出す。シーケンスSQ6,SQ7において、通信インターフェイス部104は、履歴データ1300を、データ取得要求元の管理装置30に対して送信する。
シーケンスSQ8において、管理装置30は、履歴データ1300をバルーンカテーテル10から受信する。シーケンスSQ9において、管理装置30は、受信した履歴データ1300によって、データベース330(図16参照)を更新する。
上記においては、バルーンカテーテル10がハブ11を備えた構成を例に挙げて説明したが、バルーンカテーテル10がハブ11A,11B,11C、11D,11Eを備える場合も同様の処理がなされる。ただし、バルーンカテーテル10がハブ11Cを備える場合には、管理装置30は、データ読取装置901(図17参照)を介して、バルーンカテーテル10に対してデータ取得要求(アクセス)を行い、かつデータ読取装置901(図17参照)を介して、履歴データ1300をバルーンカテーテル10から受信する。
<B.バルーンカテーテルの再生>
次に、回収された使用済みのバルーンカテーテル10の再生について説明する。まず、バルーンカテーテル10の再生の概要について説明する。次いで、バルーンカテーテルの再利用の可否判断について、具体的に説明する。その後、バルーンカテーテルの再生方法について説明し、最後に、製品出荷前の確認検査について説明する。
(b1.概要)
図23は、再生処理の流れを説明するための図である。
図23を参照して、状態(i)に示すように、管理装置30は、回収された使用済のバルーンカテーテル10の記憶部103に格納された検出結果(履歴データ)を読み出す。次いで、状態(ii)に示すように、読み出された検出結果に基づいて、回収された使用済のバルーンカテーテル10の再利用の可否を決定する。
さらに、バルーンカテーテル10の再利用が可能と判断された場合、状態(iii)に示すように、読み出された検出結果に基づいて、回収された使用済のバルーンカテーテルの再生方法を決定し、再生に必要な処理をバルーンカテーテル10に対して施す。一方、バルーンカテーテル10の再利用が不可能と判断された場合、状態(iv)に示すように、バルーンカテーテル10は廃棄される。
上記においては、回収された使用済のバルーンカテーテル10の再利用の可否を決定してから、バルーンカテーテル10の再生方法を決定する流れを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
回収された使用済のバルーンカテーテルの再利用が前提となっているような場合には、再利用の可否を判断することなく、読み出された検出結果に基づいて、回収された使用済のバルーンカテーテルの再生方法を決定してもよい。また、バルーンカテーテルの再生方法が一意に決まっている場合には、回収された使用済のバルーンカテーテルの再生方法を決定することなく、読み出された検出結果に基づいて、回収された使用済のバルーンカテーテルの再利用の可否のみを決定すればよい。
また、上記においては、読み出された検出結果に基づいて、使用済のバルーンカテーテルの再生方法を決定する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。すなわち、読み出された検出結果に基づいて再生方法を決定する必要は必ずしもない。たとえば、回収された使用済のバルーンカテーテル10の再利用の可否の決定にのみ、読み出された検出結果を用いてもよい。
図24は、図23に示した再生処理の流れを表したフロー図である。
図24を参照して、ステップS1において、管理装置30は、バルーンカテーテル10の記憶部103に格納された検出結果(履歴データ)を読み出す。ステップS2において、管理装置30は、検出結果に基づいて、回収された使用済みのバルーンカテーテル10の再利用の可否を決定する。なお、可否決定の一部を、管理装置30の代わりに人間が行ってもよい。具体的な決定方法(判断方法)については後述する。
ステップS3においては、再利用可能と判断された使用済みのバルーンカテーテル10に対して、再生に必要な処理を実施する。
図25は、図24に示した一連の処理(ステップS1の処理を除く)をより具体的に表したフロー図である。
図25を参照して、ステップS11において、管理装置30は、製品IDのユーザ入力を受け付ける。ステップS12において、管理装置30は、製品IDに基づき、複数の履歴データ1300が格納されているデータベース330から、当該製品IDを有する履歴データ1300を読み出す。
ステップS13において、管理装置30は、履歴データ1300に基づいて、使用済みのバルーンカテーテル10の再利用の可否を決定する。
再利用が可能と判断されると(ステップS14においてYES)、ステップS15において、再利用の可否の判断が行われたバルーンカテーテル10に対し、バルーンカテーテルのメンテナンス業者の作業者による再利用のための処理工程(図24のステップS3の「再生に必要な処理」の一例)が実施される。その後、ステップS16において、ステップS15の処理工程後のバルーンカテーテル10に対し、作業者による確認検査が行われる。
再利用が不可能と判断されると(ステップS14においてNO)、一連の処理を終了し、バルーンカテーテル10は廃棄される。
(b2.バルーンカテーテルの再利用の可否判断)
(1)再利用の条件
以下、図25のステップS13における可否判断の詳細について説明する。管理装置30は、典型的には、以下の6つの条件P1〜P6の全てを満たす場合には、バルーンカテーテル10が再利用可能であると判断する。
なお、条件P1〜P6は、バルーンカテーテル10が再利用可能か否かを判断するための条件の一例であって、条件の数および条件の内容は、これに限定されるものではない。たとえば、条件P1〜P6のうちの6個の条件のうちの1個または複数個(5個以下の数)の条件を満たすか否かを判断せずに、バルーンカテーテル10が再利用可能か否かを判断してもよい。
また、条件P1〜P6のうちの一つの任意の条件とともに、あるいは当該任意の条件の代わりに、他の条件を用いてもよい。当該他の条件については、履歴データ1300(図14)に格納されるデータを用いて設定することができる。たとえば、条件P5とともに、あるいは条件P5の代わりに、「過去の全ての使用時において、昇圧速度が予め定められた値(上限値)を上回らない。」といった条件を用いてもよい。
P1:製造時に設定された使用期限を越えていない。
P2:過去の全ての使用時において、印加された圧力のピーク値が予め定められた値(上限値)を越えていない。
P3:過去の全ての使用時において、圧力のピーク値のうち、予め定められた値(基準圧力)以上となるピーク値の個数(ピークの発生回数)が、基準値を越えていない。
P4:過去の全ての使用時におけるダメージ(累積ダメージ)が、予め定められた値(上限値)を越えていない。
P5:過去の全ての使用時において、降圧速度が予め定められた値(下限値)を下回らない。
P6:過去の全ての使用時において、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用されていない。
上記のように条件P3を設けている理由は、頻繁に拡張しているバルーンカテーテル10(頻回拡張検体)を再利用対象から除去するためである。条件P4を設けている理由は、疲労が進んだバルーンカテーテル10(高疲労検体)を再利用対象から除去するためのである。なお、条件P4における累積ダメージは、上述したように、印加される圧力と印加時間で積分することにより得られた数値である。条件P5を設けている理由は、異常に低い値の降圧速度は、スムーズな降圧を妨げてかねない変形もしくは損傷等が生じている可能性が示唆され、これは臨床トラブルを引き起こす因子の一つであるためである。
なお、条件P1〜P5における「予め定められた値」は、各々異なる。たとえば、条件P1の予め定められた値は、条件P2の予め定められた値よりも大きい。また、これらの予め定められた値は、管理装置30の記憶部33に予め格納されている。
管理装置30の記憶部33には、履歴データ1300が格納されている。管理装置30の制御部32は、可否判断の対象となっているバルーンカテーテル10の履歴データ1300を参照し、バルーンカテーテル10が条件P1〜P6を満たしているか否かを判定する。
具体的には、管理装置30の制御部32は、履歴データ1300に含まれる使用期限に基づき、条件P1を満たしているか否かを判定する。また、制御部32は、ピーク値データ1302(図14参照)に基づき、条件P2を満たしているか否かを判定する。さらに、制御部32は、圧力のピークの発生回数を表したデータ1303に基づき、条件P3を満たしているか否かを判定する。
また、制御部32は、累積ダメージのデータ1306に基づき、条件P4を満たしているか否かを判定する。さらに、制御部32は、昇圧および降圧の速度を表したデータ1307に基づき、条件P5を満たしているか否かを判定する。
このように、管理装置30は、履歴データを用いて、各条件P1〜P5を満たしているか否かを判定する。
管理装置30は、バルーンカテーテル10から履歴データを読み込むと、各条件P1〜P5を満たしているかを自動的に判定することが、コスト削減の観点から好ましい。また、各条件P1〜P5については、複数の履歴データ1300を所定の学習アルゴリズムを用いて管理装置30が学習することにより、管理装置30が各条件を規定する数値(予め定められた値)を更新することが、判定精度を高める観点から好ましい。
(2)条件P6の詳細
次に、感染症に関する条件P6の判定方法について説明する。具体的には、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能とする構成について説明する。
最初に、図26,27に基づき、医師による操作に基づき、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能とする構成について説明する。次いで、図28に基づき、電子カルテシステムとの連携により、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能とする構成について説明する。最後に、図29に基づき、バイオセンサとの連携により、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能とする構成について説明する。
図26は、バルーンカテーテル10のハブ11Gを表した図である。
図26を参照して、ハブ11Gは、端部170(詳しくは、ハンドルの端部)に力を加えると折れて、かつ本体部から分離するように構成されている。医師がバルーンカテーテル10を感染症の患者に用いた場合、医師が端部170を折って本体部から分離するように、予め取り決めをしておく。
このような構成および取り決めをしておけば、端部170が欠損しているバルーンカテーテル10が回収された場合、メンテナンス業者の作業者は、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用されたことを知ることができる。一方、端部170が欠損していないバルーンカテーテル10が回収された場合、メンテナンス業者の作業者は、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用されていないことを知ることができる。つまり、端部170の有無によって、作業者は、条件P6を満たしているか否かを判定できる。
なお、バルーンカテーテル10が感染症患者へ使用されたことを、物理的な情報から判断可能な構成であれば、バルーンカテーテル10の構成は、図26に示した構成に限定されるものではない。
図27は、バルーンカテーテル10のハブ11Hを表した図である。
図27を参照して、ハブ11Hは、ボタン175を有している。ボタン175は、医師等が操作可能なように、筐体100の表面に露出している。ボタン175が押下されると、記憶部103にボタンが押下したことを示す情報が履歴データ1300内に格納される。また、医師がバルーンカテーテル10を感染症の患者に用いた場合、医師がボタン175を押下するように、予め取り決めをしておく。
このような構成および取り決めをしておけば、管理装置30がバルーンカテーテル10の記憶部103から履歴データ1300を読み出した場合、管理装置30は、ボタン175が押下されたことを示す情報の有無に基づき、ボタンが押下されたか以下を判断できる。すなわち、管理装置30は、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用されたか否かを判定できる。
上記においては、医師が施術時にボタン175を押下する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。記憶部103に格納された履歴データ1300を管理装置30によって読取るときに、ボタン175押下が行われてもよい。また、施術後かつ管理装置30による読取り前に、ボタン175の押下が行われてもよい。このようなボタン押下は、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用されたことを知っている者によって行われればよく、医師に限定されるものではない。
なお、バルーンカテーテル10が感染症患者へ使用されたことを、電気的な情報から判断可能な構成であれば、バルーンカテーテル10の構成は、図27に示した構成に限定されるものではない。
図28は、電子カルテシステムとの連携により、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能とするためのシステム構成を表した図である。
図28を参照して、情報処理システム1Aは、バルーンカテーテル10と、管理装置30と、サーバ40とを備える。
サーバ40は、複数の患者の電子カルテを含むデータベースを有している。管理装置30からサーバ40にアクセスすることにより、管理装置30は、サーバ40の電子カルテの表示およびデータ更新が可能である。
管理装置30は、上述したように、回収された使用済みのバルーンカテーテル10から、履歴データ(状態値、検出結果)を読取り、当該履歴データ1300を記憶部33に格納する。
管理装置30は、サーバ40にアクセスして、履歴データ1300を読み出したバルーンカテーテル10を使用した患者の電子カルテの情報(以下、「患者データ」とも称する)をサーバ40から取得する。管理装置30は、電子カルテに記載された複数の情報のうち、少なくとも、感染症の患者であるか否かを示す情報を取得できればよい。
このような構成によれば、管理装置30にて、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能となる。なお、このような処理を実現するために、使用されるバルーンカテーテル10の製品IDと患者の識別情報とを事前に、サーバ40または管理装置30で関連付けておけばよい。
また、上記においては、サーバ40から管理装置30に電子カルテの情報が送信される構成を例に挙げて説明したが、管理装置30を介さずに、サーバ40の患者データをバルーンカテーテル10の記憶部103に格納するようにしてもよい。
バルーンカテーテル10を使用する前、あるいは使用後かつ履歴データ1300の管理装置30への転送前に、患者データをバルーンカテーテル10の記憶部103に格納すればよい。このような患者データの記憶部103への格納処理は、たとえば、サーバ40から患者データをバルーンカテーテル10にダウンロードすることにより実現できる。サーバ40と、バルーンカテーテル10との通信は、無線による通信であってもよいし、あるいは有線による通信であってもよい。
このような構成によれば、履歴データ1300ともに患者データを管理装置30がバルーンカテーテル10から読取ることにより、管理装置30は、サーバ40にアクセスすることなく、履歴データ1300を読取ったバルーンカテーテル10が感染症患者に使用されたものか否かを判定できる。
図29は、バイオセンサとの連携により、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能とするためのシステム構成を表した図である。詳しくは、図29は、使用済のバルーンカテーテル10に感染症を引き起こす物質が残留しているかを検査するためのシステム構成を表した図である。
図29を参照して、情報処理システム1Bは、バルーンカテーテル10と、管理装置30と、バイオセンサ50とを備える。
バイオセンサ50として、たとえば、外力支援型近接場照明バイオセンサを用いることができる。このようなバイオセンサ50によれば、検出対象であるバイオ物質(ウイルス)に磁気微粒子と光を散乱する微粒子とを付着させ、磁石と近接場光とにより「動く光点」を作ってバイオ物質の検出を行うことができる。
メンテナンス業者の作業者は、このようなバイオセンサ50を用いて、バルーンカテーテル10にウイルスが付着しているか否かを検査する。詳しくは、作業者は、バルーンカテーテル10に感染症を引き起こすウイルスが付着しているか否かを検査する。
検査結果は、たとえばネットワークNWを介して、バイオセンサ50から管理装置30に送信される。なお、管理装置30が検査結果を取得する態様は、ネットワークNWを介したものに限定されるものではない。たとえば、製品IDとともに検査結果が搬送波以外の電子的な記録媒体に格納され、管理装置30で読み出される態様であってもよい。あるいは、検査結果が用紙等の記録媒体に記載され、作業者が用紙の記載を参照して、管理装置30に感染症の有無を履歴データ1300に関連付けて記録する態様であってもよい。
このような構成によれば、管理装置30にて、バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定可能となる。
また、上記においては、一例として、バイオセンサ50から管理装置30に検査結果が送信される構成を例に挙げて説明したが、管理装置30を介さずに、検査結果がバルーンカテーテル10の記憶部103に格納されるようにしてもよい。
バルーンカテーテル10を使用する前、あるいは使用後かつ履歴データ1300の管理装置30への転送前に、検査結果をバルーンカテーテル10の記憶部103に格納すればよい。このような検査結果の記憶部103への格納処理は、たとえば、バイオセンサ50から検査結果をバルーンカテーテル10にダウンロードすることにより実現できる。バイオセンサ50と、バルーンカテーテル10との通信は、無線による通信であってもよいし、あるいは有線による通信であってもよい。
このような構成によれば、履歴データ1300ともに検査結果を管理装置30がバルーンカテーテル10から読取ることにより、管理装置30は、バイオセンサ50にアクセスすることなく、履歴データ1300を読取ったバルーンカテーテル10が感染症患者に使用されたものか否かを判定できる。
(3)小括
第1段階の判定処理の一部を小括すると、以下のとおりである。
条件P1に関し、バルーンカテーテル10の記憶部103は、バルーンカテーテル10の使用期限を表した期限情報をさらに含んでいる。バルーンカテーテル10の再生方法は、記憶部103から当該期限情報を読み出すステップと、当該期限情報に基づいて、バルーンカテーテル10の再利用の可否を決定するステップとをさらに備えている。
条件P2に関し、検出結果(履歴データ,状態値)は、圧力のピーク値を含んでいる。バルーンカテーテル10の再利用の可否を決定するステップ(図24のステップS2,図25のステップS13)は、上記ピーク値が予め定められた閾値を越えている場合には、バルーンカテーテル10の再利用を不可とする。
条件P3に関し、検出結果は、圧力のピーク値のうち予め定められた閾値以上となるピーク値の個数を表した個数情報(圧力のピークの発生回数を表したデータ1303)を含んでいる。バルーンカテーテル10の再利用の可否を決定するステップは、ピーク値の個数が予め定められた閾値を越えている場合には、バルーンカテーテル10の再利用を不可とする。
条件P4に関し、検出結果は、圧力を加圧時間で積分することにより得られる算出値(累積ダメージのデータ1306)を含んでいる。バルーンカテーテル10の再利用の可否を決定するステップは、算出値が予め定められた閾値を越えている場合には、バルーンカテーテル10の再利用を不可とする。
条件P5に関し、検出結果は、圧力の降圧速度を表す速度情報(昇圧および降圧の速度を表したデータ1307)を含んでいる。バルーンカテーテル10の再利用の可否を決定するステップは、降圧速度が予め定められた閾値を下回った場合には、バルーンカテーテル10の再利用を不可とする。
条件P6に関し、バルーンカテーテル10の記憶部103は、バルーンカテーテルが感染症の患者に使用されたことを表す使用履歴情報を記憶可能である。バルーンカテーテル10の再生方法は、記憶部103から使用履歴情報を読み出すステップと、当該使用履歴情報に基づいて、バルーンカテーテル10の再利用の可否を決定するステップとを備える。
この使用履歴情報は、たとえば、ボタン175(図27参照)が押下されたことを示す情報である。あるいは、使用履歴情報は、患者データ(図28参照)である。あるいは、使用履歴情報は、バイオセンサ50による検査結果(図29参照)である。また、管理装置30が、使用履歴情報を、バルーンカテーテル10からではなくサーバ40(図28)またはバイオセンサ50(図29)から取得してもよい。
(b3.バルーンカテーテルの再生方法)
次に、バルーンカテーテルの再生方法の詳細について説明する。詳しくは、図25のステップS15に示した再利用のための処理工程の詳細について説明する。
施術時には、バルーンカテーテル10は、血液と、造影剤と、生理食塩水と、ヘパリンと、消化液とに接触する。それゆえ、施術後、血液と造影剤とが凝固して、バルーンカテーテル10に強固に付着する。
したがって、バルーンカテーテル10の再利用の観点からは、図25のステップS15の処理工程として、洗浄工程と、乾燥工程と、検査工程と、滅菌工程と、製品IDの書換工程との5工程が必要となる。
なお、本例のバルーンカテーテル10の場合には、通常は、バラバラにしてから再アセンブルするのは現実的ではなく、また一部パーツの入れ替えも考え難い。しかしながら、ステップS15の処理工程は、このような工程を含んでいてもよい。
なお、バルーン14が薬剤塗布型のバルーンである場合には、別途、薬剤塗布の工程が必要となる。また、バルーン14がステントデリバリ用のバルーンである場合には、別途、新しいステントの搭載工程が必要となる。
このような処理工程においては、履歴データ1300に基づいた処理を行なうことも可能である。たとえば、履歴データ1300に示される使用履歴(最大拡張圧、拡張回数、使用時間等)に合わせて検査項目を増減してもよい。あるいは、使用履歴に合わせて検査時判定クライテリアを増減してもよい。
また、たとえば、履歴データ1300に基づいて、バルーンカテーテル10の洗浄時間および洗浄回数の少なくとも一方を決定することもあり得る。つまり、バルーンカテーテルの再生方法を決定するステップとして、バルーンカテーテル10の洗浄回数および洗浄時間の少なくとも一方を決定することもあり得る。
たとえば、ピークの発生回数が多い程、洗浄回数および洗浄時間の少なくとも一方を増加させることもあり得る。また、圧力のトータル印加時間が長い程、洗浄回数および洗浄時間の少なくとも一方を増加させることもあり得る。さらに、累積ダメージが大きい程、洗浄回数および洗浄時間の少なくとも一方を増加させることもあり得る。また、拡張回数が多い程、洗浄回数および洗浄時間の少なくとも一方を増加させることもあり得る。さらに、ピーク値が高い程、洗浄回数および洗浄時間の少なくとも一方を増加させることもあり得る。
(b4.製品出荷前の確認検査)
上記の処理工程が終了した後に、図25のステップS16に示したように、バルーンカテーテル10の出荷前の確認検査が行われる。つまり、再生可能と判断されたバルーンカテーテル10の品質保証判断(出荷可否判断)がなされる。詳しくは、以下の3つの条件P7〜P9の全てを満たす場合には、バルーンカテーテル10の確認検査に合格したものと判断される。
P7:耐圧検査において、所定圧を一定時間維持できている。
P8:圧力応答性試験において、基準圧力の印加時において所定範囲のバルーン外径を維持している。
P9:外観検査において、バルーンカテーテル10の形状、外径、および屈曲度が基準を満たしている(所定範囲以内にある)。
条件P7の耐圧検査および条件P8の圧力応答性試験は、それぞれ、専用の機器(図示せず)によって行われる。外観検査は、たとえば、機械ではなく作業者の手作業でなさる。ただし、これに限定さるものではなく、外観検査を、機器を用いた非破壊検査によって行ってもよい。このような非破壊検査には、たとえば、超音波、放射線、レーダー、または光干渉式形状測定装置などを用いることが可能である。
耐圧検査の検査結果、圧力応答性試験の試験結果、および外観検査の検査結果は、バルーンカテーテル10の記憶部103に記憶させてもよい。このような構成によれば、記憶部103からこれらの結果を読み出すことにより、これらの結果を後に確認することが可能となる。
また、これらの結果は、履歴データ1300の一部として、管理装置30によって読取られることが好ましい。このような構成によれば、管理装置30は、バルーンカテーテル10を介して、これらの結果を記憶部33に格納できる。
また、バルーンカテーテル10を介さずに、これらの結果を、製品IDと関連付けて、管理装置30に格納してもよい。
以上のように、回収された使用済みのバルーンカテーテル10の再生方法は、バルーンカテーテル10の耐圧検査の検査結果に基づき、バルーンカテーテル10の出荷の可否を決定するステップをさらに備える。
また、バルーンカテーテル10の再生方法は、バルーンカテーテル10のバルーンの外形が基準圧力の印加時に所定範囲内であることを判定するステップと、当該判定結果に基づいて、バルーンカテーテル10の出荷の可否を決定するステップとをさらに備える。
さらに、バルーンカテーテル10の再生方法は、バルーンカテーテル10の外観検査の結果に基づき、バルーンカテーテル10の出荷の可否を決定するステップをさらに備える。
<C.医療支援>
バルーンカテーテルを利用した、医師、看護師、または技師に対する医療支援について説明する。具体的には、医療支援を、バルーンカテーテルによる報知機能(バルーンカテーテル使用時の支援等)と、バルーンカテーテルに対する圧力自動調整機能と、医療事務の手続支援と、臨床研究支援とに分けて説明する。
(c1.報知機能)
図30は、報知機能を有するハブを説明するための図である。
図30を参照して、バルーンカテーテル10は、ハブ11の代わりにハブ11Iを備えている。ハブ11Iは、検出部110と、記憶部103と、通信インターフェイス部104と、報知部140と、推定部150を備える。報知部140は、音声出力部141と、発光部142とを備える。音声出力部141は、典型的には、スピーカである。発光部142は、典型的には、LED(light emitting diode)である。報知部140は、管路190の加圧状態を報知する。このような報知部140を用いた加圧状態の報知例について、以下説明する。
(1)第1の例
バルーンカテーテル10にリークポイントがあると、バルーンカテーテル10は、内圧(管路190の圧力)を維持できない。大きなリークについては医師が直ぐに気付ける。しかしながら、小さなリークまたはピンホールラプチャについては、医師が気付かないこともある。
バルーンカテーテル10は、検出部110によって管路190の圧力を検出(計測)している。それゆえ、検出結果を用いれば、製品不良をリアルタイムに検知することが可能となる。
このような観点から、ハブ11Iの推定部150は、検出される圧力の変化に基づいて、管路190に充填された溶液が管路190の外へリークしているかを推定する。推定部150は、たとえば、圧力が一定値以上に上昇した後に、所定の範囲内の速度で圧力が低下していることを検知すると、溶液が管路190の外へリークしていると推定する。
報知部140は、推定部150によってリークの発生が推定されたことに基づき、予め定められた報知を行う。たとえば、音声出力部141は、警告音を発生する。あるいは、発光部142は、点滅を行う。報知部140は、警告音の発生と点滅とを行ってもよい。
このような構成によれば、バルーンカテーテル10は、リークを直ぐに医師に知らせることができる。なお、バルーンカテーテル10は、リークの大小に応じて、報知方法を変更してもよい。
なお、推定部150は、プロセッサ(図示しない)による演算処理により実現される。また、上記においては、推定部150が検出部110とは別に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。検出部110が推定部150を含み、プロセッサ101による処理によって推定部150が実現されてもよい。
(2)第2の例
検出部110によって検出された管路190の圧力が、バルーンカテーテル10の定格破裂圧(RBP:Rated Burst Pressure)を越えると、報知部140は、予め定められた報知を行う。圧力が定格破裂圧を越えたか否かは、典型的には、プロセッサ101が判定する。報知部140は、たとえば、音声出力部141は、警告音を発生する。あるいは、発光部142は、点滅を行う。報知部140は、警告音の発生と点滅とを行ってもよい。
このような構成によれば、患者を見守る、医師、看護師、または技師の労務を低減できる。
(3)第3の例
管路190が加圧(所定圧以上で加圧)されていることを条件に、報知部140は、当該圧力の値を音声で報知する。このような構成によれば、医師、看護師、または技師の労務低減につながる。
(4)第4の例
管路190が加圧されて一定圧(所定の範囲内の圧)になっていることを条件に、報知部140は、一定圧になってからの経過時間を報知する。時間の経過は、検出部110に格納された時計(図示せず)によって計測される。
このような構成によれば、バルーンカテーテル10の管路190の圧力が一定に維持された状態になった後におけるバルーン拡張時間を、医師、看護師、または技師に通知することが可能となる。それゆえ、医師、看護師、技師等の労務を低減できる。
なお、上記各例(第1〜4の例)において、ハブ11Iが圧力センサ102の代わりに、圧電素子102Aを備える場合であっても適用可能である。各例に示した状況が生じている場合には、圧電素子102Aに圧力が加わっているため、プロセッサ101、報知部104等に電力が供給可能であるためである。
(5)第5の例
図31は、医師に最適な加圧条件を通知する手法を説明するための図である。なお、加圧条件とは、加える圧力の時間変化として規定される。また、加圧条件は、一定圧であってもよい。
図31を参照して、管理装置30は、複数の履歴データ1300と、過去に施術を受けた複数の患者の電子カルテとを関連付ける。典型的には、状態(i)に示すように、管理装置30は、複数の履歴データ1300と、施術前の患者(以下、「本人」とも称する)以外の患者の電子カルテ(他人の電子カルテ)とを関連付ける。詳しくは、本人以外の患者(以下、「他の患者」とも称する)毎に、バルーンカテーテル10を用いて検出された患者の履歴データ1300と、当該患者の電子カルテとを関連付ける。より詳しくは、他の患者の履歴データ1300のうち、圧力の時間変化を示すデータ(たとえば、図13に示す時系列データ111)と、電子カルテとを関連付ける。
次いで、状態(ii)に示すように、管理装置30が、加圧条件と、他の患者の状態との相関を分析する。他の患者の状態としては、施術後のバイタルサイン(脈拍あるいは心拍数、呼吸数、血圧、体温、意識レベル等)が挙げられる。また、他の患者の年齢、性別、体重等を患者の状態に含めて、上述した分析を行ってもよい。分析結果は、たとえば、バイタルサイン等を入力(パラメータ)とし、加圧条件を出力とする関数で表現される。
さらには、上記他の患者の既往歴(たとえば、糖尿病、循環器疾患)、喫煙履歴、患者の治療対象患部の位置、当該患部の状態、当該患部周辺の治療履歴、治療前検査時の診断画像、および当該画像の解析データ等を患者の状態に含めて、上述した分析を行ってもよい。
上記の分析が行われた後、状態(iii)に示すように、管理装置30は、上述した分析結果と、本人の状態とから、当該患者に対する加圧条件を決定する。施術前の患者に対する加圧条件が決定すると、管理装置30は、状態(iv)に示すように、加圧条件を医師に対して通知する。
上記においては、他人の電子カルテを用いて分析を行なう構成を例挙げて説明したが、これに限定されるものではない。本人の電子カルテと、当該患者本人の過去の1または複数の履歴データ1300とから、加圧条件を決定してもよい。
なお、上記においては、管理装置30が上述した分析および加圧条件の決定等を行なう構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、サーバ40が、上述した分析および加圧条件の決定等を行ってもよい。この場合、電子カルテを管理装置30にダウンロードする必要がない。また、管理装置30以外の図示しない情報処理装置が、上述した分析および加圧条件の決定等を行ってもよい。
図32は、医師に対する加圧条件の通知方法を説明するための図である。
図32(A)に示すように、サーバ40および管理装置30に通信可能に接続され、かつ医師が利用する端末装置60に、決定された加圧条件を表示してもよい。あるいは、図32(B)に示すように、端末装置60は、ネットワークNWを介して、ディスプレイ143を有するハブ11Jに対して、決定された加圧条件を通知し、かつ、ハブ11Jが、当該加圧条件をディスプレイ143に表示してもよい。また、管理装置30から、端末装置60を介さずに、決定された加圧条件をバルーンカテーテル10に通知してもよい。
バルーンカテーテル10のディスプレイ143に加圧条件を表示させる場合には、どのバルーンカテーテル10に加圧条件を表示させるかを、管理装置30が、製品IDを利用して予め特定しておけばよい。その後、管理装置30は、当該特定の結果を端末装置60に通知すればよい。あるいは、加圧条件が決定された後に、端末装置60との間で通信を行なったバルーンカテーテル10に、決定された加圧条件を表示させてもよい。
図32(A)および図32(B)に示した表示により、医師は、最適な加圧条件を施術前に知ることができる。特に、図32(B)に示したように、バルーンカテーテル10のディスプレイ143に加圧条件を表示することにより、医師は、端末装置60を確認する必要がなくなる。
図33は、加圧条件を決定可能な管理装置30の機能的構成を説明するための図である。
図33を参照して、管理装置30は、図16に示したように、通信インターフェイス部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。管理装置30は、さらに、入力操作部34と、表示部35とを備える。
制御部32は、関連付け部321と、分析処理部322と、ID受付部323と、条件決定部324とを有する。記憶部33には、複数の履歴データ1300と、複数の電子カルテとが記憶されている。なお、電子カルテは、事前にサーバ40からダウンロードされている。
入力操作部は、患者IDの入力を受け付ける。患者IDは、ID受付部323に送られる。
ID受付部323は、受け付けた患者IDに基づいて、記憶部103から当該患者IDに紐付いた電子カルテを抽出する。ID受付部323は、抽出した電子カルテを条件決定部324に送る。
通信インターフェイス部31は、上述したように、バルーンカテーテル10から履歴データ1300を受信する(図16参照)。履歴データ1300は、制御部32に送られて、その後、記憶部103に格納される。
関連付け部321は、上述したように、複数の履歴データ1300と、複数の患者の電子カルテとを関連付ける。関連付け部321は、関連付けたデータを分析処理部322に送る。
分析処理部322は、上述したように、加圧条件と、施術を受けた患者の状態との相関を分析する。分析処理部322は、分析結果を、条件決定部324に送る。
条件決定部324は、分析結果と、電子カルテ(施術対象の患者の電子カルテ)とに基づき、最適な加圧条件を決定する。
決定された加圧条件は、通信インターフェイス部31を介して、端末装置30等に送信される。
なお、制御部32に含まれる機能ブロックで実行される処理を、管理装置30ではなく、サーバ40、端末装置60、あるいは当該サーバ40に接続された図示しない情報処理装置が実行してもよい。
(c2.圧力自動調整機能)
決定された加圧条件が実際に加圧されるように、管理装置30が、端末装置60を介して、インフレーションデバイスの動作を制御してもよい。
図34は、インフレーションデバイスの自動制御を説明するための図である。
図34を参照して、情報処理システム1Cは、バルーンカテーテル10と、インフレーションデバイス20Aと、管理装置30と、サーバ40(図示せず)と、端末装置60とを備える。
管理装置30は、状態(i),(ii)に示すように、管理装置30にて決定された加圧条件を、医師が利用する端末装置60を介して、インフレーションデバイス20Aに通知する。
インフレーションデバイス20Aは、バルーンカテーテル10に対して印加する圧力を調整する機構を有している。具体的には、インフレーションデバイス20Aは、加圧条件を端末装置60から受信すると、ゲージ24圧が当該加圧条件に示される圧力となるようにピストン22を自動的に動作させる。
なお、バルーンカテーテル10が患者990の体内の処置位置に設定された後に、上述した圧力の自動調整を行うために、インフレーションデバイス20Aに自動調整の開始を指示するボタン等の機構を備えておくことが好ましい。
図35は、インフレーションデバイス20Aの構成を説明するための図である。
図35を参照して、インフレーションデバイス20Aは、通信インターフェイス部211と、制御部212と、圧力調整機構213と、操作部としての操作ボタン214とを備える。
通信インターフェイス部211は、端末装置60を介して、管理装置30から加圧条件を受信する。
制御部212は、操作ボタン214に対する操作が行われたことを条件に、圧力調整機構に対して、加圧条件に応じた駆動指令を送信する。
圧力調整機構213の駆動により、加圧条件に応じた圧力が、バルーンカテーテル10の管路190に加わる。
このように、情報処理システム1Cは、バルーンカテーテル10に溶液を注入するためのインフレーションデバイス20Aをさらに備える。管理装置30は、端末装置60を介して、決定された加圧条件を、インフレーションデバイス20Aに通知する。インフレーションデバイス20Aは、バルーンカテーテル10の管路190の圧力が、上記決定された加圧条件となるように、バルーンカテーテル10に溶液を注入する。
このような構成によれば、インフレーションデバイスに対する医師の操作が簡略化されるとともに、適切な圧力でバルーン14を拡張させることができる。
(c3.事務手続支援)
(1)第1の例
バルーンカテーテル10による患者への施術を行った場合、医師または看護師等のよって経過記録および看護記録が所定の用紙(詳しくは、カテーテル検査および治療記録の用紙)に記録される。この用紙には、保険請求などに必須の情報(以下、「必須情報」とも称する)が記載されたラベルを用紙に張り付ける必要がある。この必須情報には、製造会社名、ロット番号、カタログ番号等の情報が含まれる。なお、必須情報に加えて、製品の使用履歴(最大拡張圧、拡張回数、使用時間等)も印刷するようにすれば、さらに利便性が高まる。
現在では、バルーンカテーテル10の収納箱に記録されている必須情報の箇所を当該収納箱から分離し、分離された箇所を上記用紙に張り付けることが行われている。典型的には、上記必須情報が収納箱自体に印字されている。それゆえ、分離には鋏等が必要になり、かつ貼り付けには糊等の接着剤が必要となる。また、上記必須情報を記載した部分をシールとして収納箱に配置している場合もあるが、やはり煩雑な作業である。また事前に用意できるシールの数にも限りがある。
そこで以下では、必須情報の用紙への貼り付け作業を支援する構成について説明する。
図36は、事務手続支援を可能とする情報処理システムの概略構成を説明するための図である。
図36を参照して、情報処理システム1Dは、バルーンカテーテル10と、印刷装置906と、データ読取装置905と、管理装置30と、図示しないサーバ40とを含んでいる。
管理装置30は、印刷装置906と通信可能に構成されている。管理装置30は、上記必須情報を製品ID毎に関連付けて、さらに記憶している。これにより、管理装置30は、製品IDが指定されると、対応付けられた必須情報を特定できる。
データ読取装置905は、印刷装置906と通信可能に接続されている。なお、接続形態は、有線であっても、無線であってもよい。
データ読取装置905は、バルーンカテーテル10のハブ11がデータ読取装置905に近づくと、ハブ11の通信インターフェイス部104との間で非接触通信を行う。この非接触通信によって、データ読取装置905は、ハブ11の記憶部103から製品IDを読取る。
印刷装置906は、データ読取装置905から受信した製品IDを受信する。印刷装置906は、製品IDを管理装置30に送信する。
管理装置30は、記憶部33に予め格納された複数の必須情報から、印刷装置906から受信した製品IDに関連付けられた必須情報を特定する。管理装置30は、特定された必須情報を印刷装置906に送信する。
印刷装置906は、必須情報を管理装置30から受信すると、必須情報を記録媒体に印刷する。典型的には、印刷装置906は、シール印刷を行う装置であって、上記必須情報をシールに印刷する。医師または看護師等によって、必須情報が印刷されたシール981は、印刷装置906から台紙(剥離紙)ごと分離される。
図37は、カテーテル検査および治療記録の用紙の一例を表した図である。
図37を参照して、用紙980は、少なくとも、時間の記入欄と、経過記録の記入欄とを有している。
カテーテル治療が行われると、図36に基づき説明した一連の処理により、印刷装置906から出力されたシール981が台紙から剥がされた後に、医師または看護師によってシール981が経過記録の記入欄に貼り付けられる。
なお、使用されたガイドワイヤの情報が管理装置30に記憶されている場合には、印刷装置906によって、ガイドワイヤに関する必須情報をシール印刷してもよい。この場合も、医師または看護師によって、当該必須情報が印刷されたシール982が、用紙980の経過記録の記載欄に貼り付けられる。
図38は、印刷装置906の機能的構成を説明するための図である。
図38を参照して、印刷装置906は、通信インターフェイス部961,963と、制御部962と備える。通信インターフェイス部961は、データ読取装置905と通信するために用いられる。通信インターフェイス部963は、管理装置30と通信するために用いられる。
制御部962は、印刷装置906の全体の動作を制御する。印刷装置906は、画像データ生成部9621を有する。
制御部962は、通信インターフェイス部961を介して製品IDを受信すると、通信インターフェイス部963を介して当該製品IDを管理装置30に送信する。その後、制御部962は、管理装置30から、当該製品IDに関連付けられた必須情報を受信する。
制御部962の画像データ生成部9621は、受信した必須情報に基づいて、印刷用の画像データを生成する。
印字部964は、画像データ生成部9621から画像データを受け取り、当該画像データに基づいてシール印字を行う。これにより、シール981(図36参照)が得られる。
以上のように、バルーンカテーテル10の記憶部103に格納された固有の製品IDを利用して、使用済のバルーンカテーテル10を所定装置にかざすと、保険請求などに必要なラベルがシールで出力される。
このような構成によれば、救急のとき、医師または看護師等の人手が不足しているときに、これらの者の労力を低減することができる。
また、このようなデータ読取装置905を、製品IDだけではなく、履歴データ1300自体を読取るように構成することが好ましい。このような構成の場合、必須情報の印刷と、履歴データ1300の読取処理とが、同じ操作で実現できる。また、バルーンカテーテル10に格納された履歴データ1300を読み出す積極的な動機付けを、医師等に与えることもできる。
(変形例)
ところで、上記においては、印刷装置906が管理装置30に対して製品IDを送信し、かつ管理装置30から必須情報を受信する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
たとえば、印刷装置906の代わりにデータ読取装置905が管理装置30に対して製品IDを送信し、かつ管理装置30から必須情報を受信する構成であってもよい。このような構成の場合には、データ読取装置905が印刷装置906に必須情報を送信することによって、印刷装置906が必須情報をシール印刷する。
また、バルーンカテーテル10の記憶部103に、製品IDのみならず、上記必須情報を予め格納しておいてもよい。
図39は、バルーンカテーテル10が必須情報を記憶している場合の情報処理システムの概略構成を説明するための図である。
図39を参照して、情報処理システム1Eは、バルーンカテーテル10と、印刷装置906と、データ読取装置905と、図示しない管理装置30およびサーバ40とを含んでいる。
データ読取装置905は、バルーンカテーテル10のハブ11がデータ読取装置905に近づくと、ハブ11の通信インターフェイス部104との間で非接触通信を行う。この非接触通信によって、データ読取装置905は、ハブ11の記憶部103から必須情報を読取る。
印刷装置906は、データ読取装置905から受信した必須情報を受信する。印刷装置906は、当該必須情報をシールに印刷する。医師または看護師等によって、必須情報が印刷されたシール981は、印刷装置906から台紙(剥離紙)ごと分離される。
このような構成であっても、上述したように、救急のとき、医師または看護師等の人手が不足しているときに、これらの者の労力を低減することができる。
なお、情報処理システム1D,1Eにおいては、印刷用の媒体としてシールを用いる例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。糊付けが必要となるが、媒体は紙であってもよい。
また、上記においては、印刷装置906とデータ読取装置905とが別体である構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。印刷装置906とデータ読取装置905とが一体で構成されていてもよい。典型的には、印刷装置が、印刷機能に加えて、データ読取機能を有していてもよい。
(小括)
情報処理システム1Dは、印刷装置906をさらに備える。バルーンカテーテル10の記憶部103は、バルーンカテーテル10の製品ID(識別情報)を予め格納している。管理装置30は、記憶部103から製品IDを読取り、かつ、製品IDに基づいて、必須情報(バルーンカテーテル10に付与された所定の情報)を取得する。印刷装置906は、必須情報を管理装置30から取得し、かつ、必須情報を媒体(典型的には、シール)に印刷する。
情報処理システム1Eは、シール印刷を行う印刷装置906をさらに備える。バルーンカテーテル10の記憶部103は、必須情報(バルーンカテーテルに付与された所定の情報)を予め格納している。バルーンカテーテル10は、必須情報をさらに外部出力する。印刷装置906は、外部出力された必須情報(詳しくは、必須情報に基づいた情報)をシールに印刷する。なお、必須情報に基づいた情報とは、必須情報そのものであってよいし、必須情報と必須情報に付帯する情報とであってもよい。たとえば、付帯情報として所定のフォーム(入力枠)が予め用意されており、必須情報を当該フォームに当てはめて(入力して)当該フォームごと必須情報を印刷するような場合には、必須情報に基づいた情報とは、当該フォームを含む情報となる。
情報処理システム1Eは、バルーンカテーテル10と非接触通信を行なって、バルーンカテーテル10の記憶部103に格納された必須情報を読取るデータ読取装置905をさらに備える。データ読取装置905は、記憶部103から読取った必須情報を印刷装置906に送信する。
情報処理システム1D,1Eにおいて、必須情報は、保険請求に必要な情報を含む。たとえば、必須情報は、バルーンカテーテル10の製造メーカ名、ロット番号、およびカタログ番号を含む。
(2)第2の例
電子カルテの更新処理について説明する。詳しくは、電子カルテへの入力補助機能について説明する。
図40は、電子カルテを更新するための情報処理システムを表した図である。
図40を参照して、情報処理システム1Fは、バルーンカテーテル10と、管理装置30と、サーバ40とを備える。
サーバ40は、上述したように、複数の患者の電子カルテを含むデータベースを有している。
管理装置30は、状態(i)に示すように、回収された使用済みのバルーンカテーテル10から、履歴データ(状態値、検出結果)を読取り、当該履歴データ1300を記憶部33に格納する。管理装置30は、状態(ii)に示すように、ネットワークNWを介して、サーバ40に対して履歴データ1300を送信する。
サーバ40は、管理装置30から履歴データ1300を受信すると、対応する電子カルテを更新する。具体的には、管理装置30は、履歴データ1300に含まれる製品IDのバルーンカテーテル10を用いて施術された患者の電子カルテを更新する。管理装置30からサーバ40にアクセスすることにより、サーバ40は、サーバ40の電子カルテの更新が可能である。更新される情報は、典型的には、電子カルテ内に記載された情報であって、かつ履歴データ1300にも記載された情報(重複する情報)である。
なお、このような処理を実現するために、使用されるバルーンカテーテル10の製品IDと患者の識別情報(患者ID)とを事前に、サーバ40または管理装置30で関連付けておけばよい。また、バルーンカテーテル10の製品IDが電子カルテに既に格納されている場合には、製品IDによって電子カルテを特定できるため、製品IDと患者IDとの直接の関連付けは不要となる。
このような構成によれば、バルーンカテーテル10から履歴データ1300を読み出すことに連動して、電子カルテを自動更新すること可能となる。それゆえ、医師等の電子カルテへの入力作業を軽減することができる。
また、情報処理システム1Fによれば、電子カルテにバルーンカテーテル10の製品IDが記憶されていない場合、製品IDを電子カルテに書き込むこともできる。また、情報処理システム1Fによれば、電子カルテにバルーンカテーテル10の製品IDが記憶されている場合には、新たなバルーンカテーテル10の製品IDによって上書きすることもできる。
図41は、情報処理システム1Fにおけるサーバ40の機能的構成を説明するための図である。
図41を参照して、サーバ40は、制御部41と、記憶部42と、通信インターフェイス部43とを備える。制御部41は、電子カルテ特定部411と、データ更新部412とを有する。
通信インターフェイス部43は、管理装置30から履歴データ1300を受信する。履歴データ1300は、制御部41に送られる。
制御部41の電子カルテ特定部411が、製品IDに基づき患者IDを特定する。さらに、電子カルテ特定部411は、複数の電子カルテから当該患者IDの電子カルテを特定する。データ更新部412は、特定された電子カルテに対して、履歴データ1300を用いて、データ更新を行う。詳しくは、データ更新部412は、履歴データ1300から電子カルテの記載項目に対応するデータを抽出し、かつ、抽出されたデータを当該記載項目に書き込む。
(小括)
情報処理システム1Fは、バルーンカテーテル10を用いて施術した患者の電子カルテを格納したサーバ40を備える。管理装置30は、履歴データ1300(検出結果)をサーバ40に送信する。サーバ40は、履歴データを電子カルテに書き込む。
サーバ40は、履歴データ1300から電子カルテの記載項目に対応するデータを抽出する。サーバ40は、抽出されたデータを、記載項目に書き込む。
管理装置30は、バルーンカテーテル10から製品ID識別情報を取得し、かつ、取得した製品IDを、サーバ40に送信する。サーバ40は、製品IDを電子カルテに書き込む。
(c4.臨床研究支援)
管理装置30の記憶部33に蓄積された複数の履歴データ1300を、バルーンカテーテルの使用方法の支援あるいは臨床研究の支援として、医者に提供することができる。特に、電子カルテと履歴データ1300とを関連付けて、患者別に医師に提供できれば、使用方法の支援および臨床研究の支援に極めて有用となる。
バルーンカテーテル10は、同じ医師であっても、製品種類毎に加える圧力の大きさ、拡張する回数などが異なるため、履歴データ1300の提供は、各医師によって有益な情報提供となる。
<D.製品改良>
バルーンカテーテル10の製造メーカにとっても、履歴データ1300は重要な情報となり得る。
製造メーカは、履歴データ1300を参考に、バルーンカテーテル10の改良を行うことができる。特に、バルーンカテーテルの種類は多岐にわたるため、種類別に履歴データ1300を管理し、かつ解析することにより、種別毎の改良が可能となる。また、履歴データ1300は、バルーンカテーテルの新規開発にも利用可能である。
<E.個体管理>
バルーンカテーテル10の個体管理について説明する。
使用済みのバルーンカテーテル10を再利用製品(リユース品)として処理する過程において、製品IDを古いIDから新しいIDへと変更することが想定され得る。
このように製品IDを変更することにより、製品(バルーンカテーテル)の取り違え、IDロスト等が起こり得る。なお、IDロストとは、製品が、そもそもどの製品なのかが不明になることである。
そこで、以下では、このような事態の発生を防止するためのチェック機構を説明する。
図42は、個体管理をするためのチェック機構を説明するための図である。
図42を参照して、バルーンカテーテル10の記憶部103には、履歴データ1300に加えて、管理用データ1350が格納されている。管理用データ1350は、製品ID書換え回数を表したデータ1351と、各検出回の圧力のピーク値を表したデータ1352とを含んでいる。
管理用データ1350は、再利用による処理が行われても消去されないように、プロテクトがかかっている。この点が、履歴データ1300とは異なる。
管理装置30がバルーンカテーテル10から履歴データ1300とともに管理用データ1350を読み出して、管理用データ1350をたとえば履歴データ1300内の製品IDに関連付けて記憶部33に格納しておく。IDロスト等が起こった場合には、以下の処理を行なう。
まず、バルーンカテーテル10から管理用データ1350を読み出す。次に、読み出した管理用データ1350と、管理装置30に蓄積された複数の管理用データ(複数のバルーンカテーテル10から取得した管理用データ)とを対比する。この対比は、たとえば、管理装置30によって行うことができる。管理装置30は、読み出した管理用データ1350と一致する管理用データがあれば、当該管理用データに関連付けられた製品IDを、たとえばディスプレイに308に表示する。このような処理により、IDロストに対応できる。また、製品の取り違えがあった場合も、上記の処理により、製品を正確に特定できる。
(小括)
バルーンカテーテル10の記憶部103は、バルーンカテーテル10の製品IDを格納している。製品IDは、管理装置30によって書き換え可能である。バルーンカテーテル10は、製品IDの書き換え回数を記憶部103に格納する。
上記検出結果は、複数種類のデータ(履歴データ1300に含まれる各データ)を含む。バルーンカテーテル10は、バルーンカテーテル10が再利用された場合であっても、複数種類のデータのうちの特定のデータを記憶部103に格納し続ける。典型的には、記憶部103は、特定のデータとして、圧力のピーク値のうち予め定められた閾値以上となるピーク値を格納し続ける。
<F.サプライチェーンにおける管理>
サプライチェーンにおける、バルーンカテーテル10の在庫管理および生産計画管理について説明する。なお、以下の説明においては、バルーンカテーテル10の再利用は必須ではない。
図43は、販売業者におけるバルーンカテーテル10の管理のための情報処理システムを表した図である。
図43を参照して、情報処理システム1Gは、バルーンカテーテル10と、インフレーションデバイス20と、サーバ70と、端末装置907と、サーバ80とを備えている。
以下では、サプライチェーンにおける管理として、バルーンカテーテル10の製造メーカにおける生産計画管理と、当該製造メーカからバルーンを購入し、かつ病院にバルーンを販売する販売業者における在庫管理とに分けて説明する。最初に、販売業者における在庫管理を説明し、次いで、製造メーカにおける生産計画管理を説明する。なお、販売業者は、一社に限定されものではない。
(1)販売業者における在庫管理
サーバ70は、バルーンカテーテル10の在庫管理を行うための機器である。サーバ70は、バルーンカテーテル10の製品IDを、バルーンカテーテル10が納品された病院を表す情報に関連付けて記憶している。また、製品IDには、バルーンカテーテル10の種別が関連付けられている。
サーバ70は、バルーンカテーテル10の販売業者によって利用される。なお、サーバ70は、販売業者の自社サーバであってもよいし、社外のサーバであってもよい。
端末装置907は、バルーンカテーテル10を病院に納品する担当者が利用する機器である。端末装置907は、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型あるいはデスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。端末装置907は、可搬性を有する機器であってもよいし、据え置かれて使用される機器であってもよい。
担当者は、端末装置907においてログイン操作を行うことによって、サーバ70にアクセス可能となる。また、端末装置907は、サーバ70から後述する通知を受信可能に構成されている。
状態(i)に示すように、バルーンカテーテル10の検出部110は、所定値以上の圧力を検出すると、状態(ii)に示すように、予め定められた信号を、ネットワークNWを介してサーバ70に送信する。この予め定められた信号は、典型的には、バルーンカテーテル10の製品IDを含む。好ましくは、当該予め定められた信号は、使用日時(すなわち、所定値以上の圧力を検出した日時)を含む。
サーバ70は、バルーンカテーテル10から製品IDを受信することにより、特定の種別のバルーンカテーテル10が使用されたことを検知できる。特に、バルーンカテーテル10の納品先である病院を表す情報に製品IDが関連付けられているため、サーバ70は、バルーンカテーテル10が、どの病院で使用されたかについても判断できる。
サーバ70は、バルーンカテーテル10の種別およびバルーンカテーテル10を使用した病院を特定すると、状態(iii)に示すように、在庫管理に用いる在庫データベース(以下、「在庫DB」とも称する)を更新する。具体的には、サーバ70は、在庫DBにおいて、当該病院における当該種別の在庫数を減少させる。
サーバ70は、在庫数が予め設定された閾値以下になると、状態(iv)に示すように、端末装置907(詳しくは、上記病院を担当する担当者)宛に、在庫数に関する情報を送信する。この場合、端末装置907は、在庫数に関する情報を受信したことに基づき、当該情報をディスプレイに表示する。なお、上記在庫数に関する情報は、電子メールで送信されてもよいし、あるいはディスプレイにポップアップ表示されるものであってもよい。
このような構成によれば、上記担当者が新たな製品をバルーンカテーテル10が使用された病院に速やかに納品することにより、病院においてバルーンカテーテル10が不足する事態の発生を避けることができる。
また、上記においては、在庫数が予め設定された閾値以下になると端末装置907に通知がなされる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。バルーンカテーテル10が使用される度に、使用されたことが在庫数量とともに端末装置907のユーザ(詳しくは、上記病院を担当する担当者)に通知される構成としてもよい。
図44は、サーバ70の機能的構成を説明するための図である。
図44を参照して、サーバ70は、制御部71と、記憶部72と、通信インターフェイス部73とを備える。
制御部71は、更新部711と、通知判断部712とを有する。記憶部72は、在庫DB721を格納している。在庫DB721には、少なくとも、バルーンカテーテル10の種別毎にバルーンカテーテル10の在庫数が記録されている。
制御部71は、通信インターフェイス部73を介して、複数のバルーンカテーテル10から製品IDと使用日時の情報とを取得する。更新部711は、製品IDと使用日時の情報とに基づいて、在庫DB721を更新する。更新部711は、更新後の在庫数を通知判断部712に送る。
通知判断部712は、更新後の在庫数と閾値とを比較し、当該在庫数が閾値以下であると、通信インターフェイス部73を介して、在庫数を端末装置907に通知する。これにより、上述したように、病院におけるバルーンカテーテル10が不足する事態の発生を避けることができる。
(2)製造メーカにおける生産計画管理
再び、図43を参照して、サーバ80は、製造メーカにおけるバルーンカテーテル10の在庫管理を行うための機器である。サーバ80は、バルーンカテーテル10の生産管理を行う機器としても機能する。サーバ80は、サーバ70が製品IDをバルーンカテーテル10から取得したことに基づき、状態(v)に示すように、サーバ70からバルーンカテーテル10の製品IDを受信する。
サーバ80は、バルーンカテーテル10の製造メーカによって利用される。なお、サーバ80は、製造メーカの自社サーバであってもよいし、社外のサーバであってもよい。
サーバ80は、販売業者のサーバ70から製品IDを受信する都度、どの種類のバルーンカテーテル10が使用されたかを判断することができる。
したがって、サーバ80は、バルーンカテーテル10の使用状況をリアルタイムの検知することができる。それゆえ、バルーンカテーテル10の生産計画を都度変更することも可能となる。
図45は、サーバ80の機能的構成を説明するための図である。
図45を参照して、サーバ80は、制御部81と、記憶部82と、通信インターフェイス部83とを備える。
制御部81は、更新部811を有する。記憶部82は、生産計画データ821を格納している。
生産計画データ821には、バルーンカテーテル10の種別毎にバルーンカテーテル10の生産計画が記録されている。たとえば、生産計画データ821には、月別あるいは年別の生産計画が記録されている。
制御部81は、通信インターフェイス部83を介して、サーバ70から製品IDを取得する。更新部811は、サーバ70から受信した製品IDに基づき、生産計画を変更する(図43の状態(vi)参照)。典型的には、更新部811は、単位期間あたりおける当該信号の受信回数に基づき、生産計画を変更する。詳しくは、更新部811は、所定のタイミングで、在庫DB721における在庫数の変化に基づき、生産計画を変更する。
なお、生産計画の変更は、製品IDに基づき、バルーンカテーテル10の種別毎に行われる。また、所定のタイミングは、所定の時間的な周期(たとえば、一ヶ月毎)であってもよいし、全体の在庫数が閾値以上減少した場合であってもよい。
このような構成により、製造メーカは、精度の高い生産計画に従って、バルーンカテーテル10を製造することができる。
(3)変形例
上記においては、サーバ70において、製品IDと、バルーンカテーテル10が納品された病院を表す情報とが予め関連付けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
たとえば、バルーンカテーテル10に、バルーンカテーテル10の位置情報を取得する機能(典型的には、GPS機能)を搭載しておく。バルーンカテーテル10は、所定値以上の圧力を検出すると、予め定められた信号に当該圧力が検出されたときの位置情報を含めた状態で当該信号をサーバ70に送信する。サーバ70は、当該位置情報に基づき、病院を特定する。
このような構成であっても、サーバ70は、どの種別のバルーンカテーテル10が、どの病院で使用されたかを判断できる。
また、上記においては、製造メーカと販売業者とが異なる者である場合を例に挙げて説明したが、製造メーカがバルーンカテーテル10を病院に直接納品する場合には、1つのサーバが、在庫管理と生産管理とを行ってもよい。
(4)小括
情報処理システム1Gは、病院におけるバルーンカテーテル10の在庫数の管理を行うためのサーバ70をさらに備える。バルーンカテーテル10は、予め定められた閾値以上の圧力を検出すると、予め定められた信号をサーバ70に送信する。サーバ70は、予め定められた信号を受信したことに基づき、バルーンカテーテルが使用されたと判断する。
サーバ70は、病院におけるバルーンカテーテル10の在庫数が所定の個数(閾値)以下になった場合、端末装置907(販売業者の担当者がログイン操作を行った端末装置907)に在庫数に関する情報を送信する。端末装置907は、在庫数に関する情報を表示する。
情報処理システム1Gは、バルーンカテーテル10を製造するメーカにおけるバルーンカテーテル10の生産計画を管理するサーバ80をさらに備える。上記予め定められた信号は、所定圧(予め定められた閾値)以上の圧力が検出されたバルーンカテーテル10の製品IDを含む。サーバ80は、サーバ70から製品IDを受信し、かつ、当該製品IDに基づき、バルーンカテーテル10の製造メーカでの生産計画を更新する。
<G.メンテナンス業者による再利用品の管理>
上述した在庫管理を、メンテナンス業者における在庫管理に適用してもよい。すなわち、サーバ70を、バルーンカテーテル10のメンテナンス業者によって利用される装置とし、かつ、端末装置907を、再生済みのバルーンカテーテル10を病院に納品する担当者が利用する機器として捉えてもよい。
このような構成によれば、メンテナンス業者の担当者が、新たな再生品をバルーンカテーテル10が使用された病院に速やかに納品することにより、病院においてバルーンカテーテル10が不足する事態の発生を避けることができる。
<H.変形例>
(1)上記においては、バルーンカテーテル10が状態値(履歴データ)を検出する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
検出部110のデータ処理部112(図13参照)における上述した各種の演算処理を、たとえば管理装置30等の装置で行ってもよい。
(2)上記においては、管路190の圧力等を検出する検出部110を有するバルーンカテーテル10と、印刷装置906とを備え、かつ必須情報(保険請求に必須の情報)を印刷装置906で印刷する構成(図36,39参照)について説明した。
しかしながら、必須情報の印刷のみに着目した場合には、バルーンカテーテル10が製品IDまたは必須情報を記憶していればよく、バルーンカテーテルは検出部110を有していなくてもよい。
このような情報処理システムは、以下のような構成を有すると言える。情報処理システムは、バルーンカテーテルと、シール印刷を行う印刷装置とを備える。バルーンカテーテルは、バルーンカテーテルに付与された所定の情報(必須情報)をメモリ(記憶部103)に予め格納しており、かつ、所定の情報をさらに外部出力する。印刷装置906は、外部出力された所定の情報をシールに印刷する。
(3)上記においては、バルーンカテーテルに着目して説明を行った。しかしながら、感染症に対処するためのシステム構成(バルーンカテーテル10が感染症患者に使用された否かを判定するためのシステム構成、使用済のバルーンカテーテル10に感染症を引き起こす物質が残留しているかを検査するためのシステム構成等)については、バルーンカテーテル以外のカテーテルにも適用できる。
以上、「A.データの取得」、「B.バルーンカテーテルの再生」、「C.医療支援」、「D.製品改良」、「E.個体管理」、「F.サプライチェーンによる管理」、および「G.メンテナンス業者による再利用品の管理」、「H.変形例」に区分して、使用済のバルーンカテーテルを再生するための方法、バルーンカテーテル、および情報処理システムについて説明した。これらの内容は、適宜、互いに組み合わせることが可能である。すなわち、特段の阻害事由がない限り、上述した各処理および各構成等を、適宜組み合わせることが可能である。
<I.付記>
〔1〕:使用済のバルーンカテーテルを再生するための方法であって、
使用済のバルーンカテーテルを受け入れるステップを備え、前記バルーンカテーテルは、当該バルーンカテーテル内に形成された管路に生じる圧力を少なくとも含む状態値を検出するための検出部と、前記検出部による検出結果を格納するための記憶部とを含み、
前記使用済のバルーンカテーテルの前記記憶部に格納された検出結果に基づいて、前記使用済のバルーンカテーテルの再利用の可否、および、前記使用済のバルーンカテーテルの再生方法、の少なくとも一方を決定するステップとを備える、方法。
〔1A〕:好ましくは、前記使用済のバルーンカテーテルの前記記憶部に格納された検出結果を読み出すステップと、前記検出結果に基づいて、前記使用済のバルーンカテーテルの再利用の可否、および、前記使用済のバルーンカテーテルの再生方法、の少なくとも一方を決定するステップとを備える、方法。
〔1−1〕:前記検出結果は、前記圧力のピーク値を含み、
前記バルーンカテーテルの再利用の可否を決定するステップは、前記ピーク値が予め定められた閾値を越えている場合には、前記バルーンカテーテルの再利用を不可とする、〔1〕に記載の方法。
〔1−2〕:前記検出結果は、前記圧力のピーク値のうち予め定められた閾値以上となるピーク値の個数を表した個数情報を含み、
前記バルーンカテーテルの再利用の可否を決定するステップは、前記ピーク値の個数が予め定められた閾値を越えている場合には、前記バルーンカテーテルの再利用を不可とする、〔1〕に記載の方法。
〔1−3〕:前記検出結果は、前記圧力を加圧時間で積分することにより得られる算出値を含み、
前記バルーンカテーテルの再利用の可否を決定するステップは、前記算出値が予め定められた閾値を越えている場合には、前記バルーンカテーテルの再利用を不可とする、〔1〕に記載の方法。
〔1−4〕:前記検出結果は、前記圧力の降圧速度を表す速度情報を含み、
前記バルーンカテーテルの再利用の可否を決定するステップは、前記降圧速度が予め定められた閾値を超えた場合には、前記バルーンカテーテルの再利用を不可とする、〔1〕に記載の方法。
〔1−5〕:前記記憶部は、前記バルーンカテーテルの使用期限を表した期限情報をさらに含み、
前記方法は、
前記記憶部から前記期限情報を読み出すステップと、
前記期限情報に基づいて、前記バルーンカテーテルの再利用の可否を決定するステップとをさらに備える、〔1〕,〔1−1〕,〔1−2〕,〔1−3〕,および〔1−4〕のいずれか1つに記載の方法。
〔2〕:前記使用済のバルーンカテーテルに、感染症を引き起こす物質が残留しているかを検査するステップをさらに備える、〔1〕に記載の方法。
〔3〕:前記記憶部は、前記バルーンカテーテルが感染症の患者に使用されたことを表す使用履歴情報を記憶可能であって、
前記方法は、
前記記憶部から前記使用履歴情報を読み出すステップと、
前記使用履歴情報に基づいて、前記バルーンカテーテルの再利用の可否を決定するステップとをさらに備える、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕:前記バルーンカテーテルの耐圧検査の検査結果に基づき、前記バルーンカテーテルの出荷の可否を決定するステップをさらに備える、〔1〕,〔2〕,および〔3〕のいずれか1つに記載の方法。
〔5〕:前記バルーンカテーテルの外観検査の検査結果に基づき、前記バルーンカテーテルの出荷の可否を決定するステップをさらに備える、〔1〕,〔2〕,〔3〕,および〔4〕のいずれか1つに記載の方法。
〔5−1〕:前記バルーンカテーテルのバルーンの外形が基準圧力の印加時に所定範囲内であることを判定するステップと、
前記判定結果に基づいて、前記バルーンカテーテルの出荷の可否を決定するステップとをさらに備える、〔1〕,〔1−1〕〜〔1−4〕,〔2〕,および〔3〕のいずれか1つに記載の方法。
〔5−2〕:前記バルーンカテーテルの再生方法を決定するステップでは、前記バルーンカテーテルの洗浄回数および洗浄時間のすくなくとも一方を決定する、〔1〕,〔1−1〕〜〔1−4〕,〔2〕,〔3〕,〔5〕,および〔5−1〕のいずれか1つに記載の方法。
〔6〕:前記記憶部は、前記バルーンカテーテルの識別情報をさらに記憶しており、
前記記憶部から、前記識別情報を読み出すステップと、
前記検出結果と前記識別情報とを関連付けるステップとをさらに備える、〔1〕,〔1−1〕〜〔1−4〕,〔2〕,〔3〕,〔5〕,〔5−1〕,および〔5−2〕のいずれか1つに記載の方法。
〔7〕:管路を有するバルーンカテーテルであって、
前記管路に生じる圧力を少なくとも含む状態値を検出するための検出部と、
前記検出部による検出結果を格納するための記憶部と、
前記記憶部に格納された検出結果を出力するためのインターフェイス部とを備える、バルーンカテーテル。
〔7−1〕:前記検出結果は、前記圧力のピーク値、前記圧力のピーク値のうち予め定められた閾値以上となるピーク値の個数を表した個数情報、前記圧力を加圧時間で積分することにより得られる算出値、前記圧力の降圧速度を表す速度情報、および前記加圧時間のうちの少なくとも1つを含む、〔7〕に記載のバルーンカテーテル。
〔7−2〕:前記インターフェイス部は、無線通信により前記検出結果を外部出力する、〔7〕または〔7−1〕に記載のバルーンカテーテル。
〔8〕:前記圧力の変化に基づいて、前記管路に充填された流体が前記管路の外へリークしているかを推定する推定部と、
前記推定部によってリークの発生が推定されたことに基づき、予め定められた報知を行う報知部とをさらに備える、〔7〕に記載のバルーンカテーテル。
〔9〕:前記管路の加圧状態を報知する報知部をさらに備える、〔7〕または〔8〕に記載のバルーンカテーテル。
〔9−1〕:前記バルーンカテーテルにおけるバルーンの定格破裂圧を前記圧力が越えると、予め定められた報知を行う報知部をさらに備える、〔7〕,〔7−1〕,および〔7−2〕のいずれか1つに記載のバルーンカテーテル。
〔9−2〕:前記報知部は、前記加圧状態の報知として、前記バルーンカテーテルにおけるバルーンの定格破裂圧を前記圧力が越えると、予め定められた報知を行う、〔9〕に記載のバルーンカテーテル。
〔9−3〕:前記管路が加圧されていることを条件に、前記圧力の値を音声で報知する報知部をさらに備える、〔7〕,〔7−1〕,および〔7−2〕のいずれか1つに記載のバルーンカテーテル。
〔9−4〕:前記報知部は、前記加圧状態の報知として、前記管路が加圧されていることを条件に、前記圧力の値を音声で報知する、〔9〕に記載のバルーンカテーテル。
〔9−5〕:前記管路が加圧されて一定圧になっていることを条件に、前記一定圧になってからの経過時間を報知する報知部をさらに備える、〔7〕,〔7−1〕,および〔7−2〕のいずれか1つに記載のバルーンカテーテル。
〔9−6〕:前記報知部は、前記加圧状態の報知として、前記管路が加圧されて一定圧になっていることを条件に、前記一定圧になってからの経過時間を報知する、〔9〕に記載のバルーンカテーテル。
〔10〕:管路を有するバルーンカテーテルと、
情報処理装置とを備え、
前記バルーンカテーテルは、
メモリを有し、
前記管路に生じる圧力を少なくとも含む状態値を検出し、
前記検出された検出結果を前記メモリに格納し、
前記格納された検出結果を外部出力し、
前記情報処理装置は、前記外部出力された検出結果を受信する、情報処理システム。
〔11〕:前記情報処理装置は、
複数の前記バルーンカテーテルの各々から、前記検出結果を受信し、
複数の患者の電子カルテと前記検出結果とに基づき、施術対象の患者に対する、前記バルーンカテーテルの加圧条件を決定し、
前記決定された加圧条件を通知する、〔10〕に記載の情報処理システム。
〔11−1〕:前記情報処理装置は、前記決定された加圧条件を、前記施術対象の患者に対して用いられる前記バルーンカテーテルに通知し、
前記バルーンカテーテルは、前記加圧条件を表示する、〔11〕に記載の情報処理システム。
〔11−2〕:前記電子カルテを格納したサーバと、
前記サーバに接続された端末装置とをさらに備え、
前記情報処理装置は、前記サーバを介して、前記決定された加圧条件を、前記端末装置に通知し、
前記端末装置は、前記加圧条件を表示する、〔11〕に記載の情報処理システム。
〔11−3〕:前記バルーンカテーテルに液体を注入するためのインフレーションデバイスをさらに備え、
前記情報処理装置は、前記決定された加圧条件を、前記インフレーションデバイスに通知し、
前記インフレーションデバイスは、前記バルーンカテーテルの前記管路の圧力が前記決定された加圧条件となるように、前記バルーンカテーテルに前記液体を注入する、〔11〕に記載の情報処理システム。
〔11−4〕:印刷装置をさらに備え、
前記メモリは、前記バルーンカテーテルの識別情報を予め格納しており、
前記情報処理装置は、
前記メモリから前記識別情報を読取り、
前記識別情報に基づいて、前記バルーンカテーテルに付与された所定の情報を取得し、
前記印刷装置は、
記所定の情報を前記情報処理装置から取得し、
前記所定の情報を媒体に印刷する、〔10〕に記載の情報処理システム。
〔12〕:前記メモリは、前記バルーンカテーテルに付与された所定の情報を予め格納している、〔10〕に記載の情報処理システム。
〔13〕:印刷装置をさらに備え、
前記バルーンカテーテルは、前記所定の情報をさらに外部出力し、
前記印刷装置は、前記外部出力された前記所定の情報に基づく情報を媒体に印刷する、〔12〕に記載の情報処理システム。
〔14〕:前記バルーンカテーテルと非接触通信を行なって、前記メモリに格納された前記所定の情報を読取るデータ読取装置をさらに備え、
前記データ読取装置は、前記所定の情報を前記印刷装置に送信する、〔13〕に記載の情報処理システム。
〔14−1〕:前記所定の情報は、保険請求に必要な情報を含む、〔11−4〕,〔12〕,〔13〕,および〔14〕のいずれか1つに記載の情報処理システム。
〔15〕:前記バルーンカテーテルを用いて施術した患者の電子カルテを格納したサーバをさらに備え、
前記情報処理装置は、
前記バルーンカテーテルから前記所定の情報を取得し、
前記検出結果と前記所定の情報とを前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記検出結果と前記所定の情報とを前記電子カルテに書き込む、〔12〕に記載の情報処理システム。
〔16〕:前記サーバは、
前記検出結果から前記電子カルテの記載項目に対応するデータを抽出し、
前記抽出されたデータを、前記記載項目に書き込む、〔15〕に記載の情報処理システム。
〔17〕:前記メモリは、前記バルーンカテーテルの識別情報を格納しており、
前記識別情報は、前記情報処理装置によって書き換え可能であり、
前記バルーンカテーテルは、前記識別情報の書き換え回数を前記メモリに格納する、〔10〕に記載の情報処理システム。
〔18〕:前記検出結果は、複数種類のデータを含み、
前記バルーンカテーテルは、前記バルーンカテーテルが再利用された場合であっても、前記複数種類のデータのうちの特定のデータを前記メモリに格納し続ける、〔17〕に記載の情報処理システム。
〔19〕:前記特定のデータは、前記圧力のピーク値のうち予め定められた閾値以上となるピーク値である、〔18〕に記載の情報処理システム。
〔20〕:病院における前記バルーンカテーテルの在庫数の管理を行うための第1のサーバをさらに備え、
前記バルーンカテーテルは、予め定められた閾値以上の前記圧力を検出すると、予め定められた信号を前記第1のサーバに送信し、
前記第1のサーバは、前記予め定められた信号を受信したことに基づき、前記バルーンカテーテルが使用されたと判断する、〔10〕に記載の情報処理システム。
〔21〕:前記第1のサーバは、前記病院における前記バルーンカテーテルの在庫数が所定の個数以下になった場合、予め定められた端末装置に在庫数に関する情報を送信し、
前記端末装置は、前記在庫数に関する情報を表示する、〔20〕に記載の情報処理システム。
〔22〕:前記バルーンカテーテルを製造するメーカにおける前記バルーンカテーテルの生産計画を管理する第2のサーバをさらに備え、
前記予め定められた信号は、前記予め定められた閾値以上の圧力が検出された前記バルーンカテーテルの識別情報を含み、
前記第2のサーバは、
前記第1のサーバから前記識別情報を受信し、
前記識別情報に基づき、前記バルーンカテーテルの製造メーカでの生産計画を更新する、〔20〕または〔21〕に記載の情報処理システム。
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。