以下の発明を実施するための形態は、本来は単なる例証であり、主題又は適用例の実施形態及びそのような実施形態の利用を限定することを意図するものではない。本明細書で使用するとき、単語「例示の」は、「例(example)、例(instance)、又は実例(illustration)となる」を意味する。例示として本明細書に記載された任意の実装は、必ずしも他の実装に対して好ましい又は有利であると解釈されるものではない。更に、前述の産業上の利用分野、背景、課題を解決するための手段、又は以下の発明を実施するための形態で提示される、任意の明示的又は黙示的理論によって拘束されることは意図していない。
特定の専門用語は、参照の目的のみで以下の説明に使用することができ、したがって限定することを意図するものではない。例えば、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、及び「下方(below)」などの用語は、参照される図面の方向について言及するのに使用することができる。「前部(front)」、「背部(back)」、「後部(rear)」、「側部(side)」、「外側(outboard)」、及び「内側(inboard)」などの用語は、議論されている構成要素を説明する文章、及び関連の図面を参照することにより明確になる、一貫性があるが任意の座標系内で構成要素の部分の方向及び/又は位置を説明するのに使用することができる。そのような専門用語は、具体的に上述した単語、その派生語、及び同様の意味の単語を含み得る。同様に、用語「第1の」、「第2の」、及び他のそのような構造を参照する数字は、文脈により明示されない限りシーケンス又は順序を意味するものではない。
以下の説明は、患者の医学的状態を治療するのに使用される種類の輸液装置に関する。この輸液装置は、ユーザーの身体の中に流体(薬剤など)を注入するために使用される。開示される主題の実施形態は、それほど限定されないが、後述される非限定的な例は、糖尿病を治療するのに使用される医療用装置(より具体的には、インスリン注入装置)に関連する。したがって、特定の実施形態では注入される薬剤流体は、インスリンである。代替の実施形態では、しかしながら、限定するものではないが、疾病治療、肺高血圧症を治療するための薬、鉄キレート薬、鎮痛剤、抗ガン治療、薬物、ビタミン剤、ホルモン剤などの多くの他の流体が注入によって投与され得る。簡潔さのために、注入システムの動作、インスリンポンプの動作、流体リザーバ、及びソフトカニューレなどの流体導管に関連する従来の特徴及び特性は、ここで詳細に説明されない場合がある。
総括及びシステムアーキテクチャ
図1は、パッチポンプ装置として実装される輸液装置100の実施形態の上面斜視図であり、図2は、輸液装置100への取り外し可能な流体カートリッジモジュール104の挿入を示す斜視図であり、図3は、輸液装置100の特定の内部コンポーネントを示す斜視図である。取り外し可能な流体カートリッジモジュール104は、輸液装置100と適合性が得られるように設計され、構成されており、図1は、輸液装置100内に取り付けられ、固定された流体カートリッジモジュール104を示す。図は、輸液装置100の1つの可能な構成及び形状因子を示す。そのように所望される場合、他の設計及び構成を利用することができること、並びに図に示される特定の設計の態様が、本明細書に記載された実施形態の範囲又は適用例を限定ないしは別の方法で制限することを意図していないことを理解されたい。
輸液装置100は、様々な内部コンポーネント用のシェルとして働くハウジング106を含む。ハウジング106は、取り外し可能な流体カートリッジモジュール104を受容し、固定し、解放するように好適に構成されている。この点に関して、流体カートリッジモジュール104を、流体カートリッジモジュール104の特定の物理特性に従って設計されている、好適に成形され、寸法付けられ、構成された空洞に受容することができる。例えば、ハウジング106は、流体カートリッジモジュール104の構造的特徴と嵌合する、ないしは別の方法で係合する構造的特徴を含むことができる。取り外し可能な流体カートリッジモジュール104の図示された実施形態は、輸液装置100内に適切に取り付けられ、据え付けられた位置に流体カートリッジモジュール104を固定する保持機構110を含む。保持機構110は、流体カートリッジモジュール104を空洞108内の所定位置にロックして、流体カートリッジモジュール104と輸液装置100との間の必要な物理的接続及び流体接続を維持する。保持機構110は、必要に応じて流体カートリッジモジュール104をハウジング106から解放するように物理的に操作され得る(例えば、1つのカートリッジモジュールを異なるカートリッジモジュールと交換するため、古い輸液装置を新しい輸液装置と交換する際にカートリッジモジュールを取り外すためなど)。実際には、保持機構110は、ラッチ機構、ロック機構、タブ、又は同種のものとして実現され得る。
輸液装置100は、少なくとも1つのユーザーインタフェース機構を含み、これは必要に応じて患者により作動され得る。輸液装置100の図示された実施形態は、物理的に作動するボタン112を含む。ボタン112は、そのように所望される場合、ユーザーが輸液装置100を操作しやすくするために多目的のユーザーインタフェースであり得る。この点に関して、ボタン112は、制限なしに、次の機能の1つ又は2つ以上に関連して使用することができる:輸液装置100のプロセッサ及び/又は電子装置をウェイクアップさせること、(例えば、患者の皮下腔又は同様の部位にカニューレを挿入する)経皮的導管アセンブリを作動させるための挿入機構を始動させること、輸液装置100の1つ又は2つ以上の設定を構成すること、薬剤流体の送達を開始すること、流体プライミング動作を開始すること、輸液装置100によって発生した警報又はアラームを無効にすることなど。ボタン112の代わりに、輸液装置100は、スライダ機構、ピン、レバー、又は同種のものを使用することができる。
輸液装置100は、ハウジング106を患者の身体に貼り付けるのに使用することができる接着成分又は接着材料(図1及び図2では隠されている)を含む。接着成分は、ハウジング106を一時的に患者の皮膚に接着することができるようにハウジング106の下面に位置し得る。接着成分は、例えば、所望の形状及び寸法にカットされている一片の両面接着テープであってもよい。輸液装置100は、接着成分を覆う接着ライナーを用いて製造され、この接着ライナーを剥がして接着成分114の粘着性表面を露出する。接着成分は、不快感なく取り除くことも容易にしながら、(典型的には1から7日である)所望の期間、所定位置に輸液装置100を維持する程度及び典型的な使用例に耐える程度の強さ(例えば、シャワー、雨の日、運動など)の強さであるように選択される。
輸液装置100のセットアップ及び操作は、患者にとって単純かつ簡単である。この点に関して、セットアップ及び始動のための特定の手順は、輸液装置100の特異的な構成、設計、形状因子、及び/又はオプション設定に依存して実施形態ごとに異なってもよい。1つの高レベルの操作方法に従って、輸液装置100は、以下の方法で配置される:(1)流体カートリッジモジュール104をハウジング106の中へ挿入する;(2)接着ライナーを取り外す;(3)ハウジング106を身体に貼り付ける;及び(4)ボタンを押すこと、タブを引くこと、安全ピンを取り外すこと、ないしは別の方法で、挿入機構を活動化して、前負荷をかけたばね又は同等の作動コンポーネントを解放することによって、流体送達カニューレを身体の中へ挿入する。その後、輸液装置は、必要に応じて薬剤流体の送達の準備をすることができる。
操作の代替的方法に従って、ハウジング106が身体に貼り付けられた後に、流体カートリッジモジュール104を取り付ける。このオプションに従って、流体カートリッジモジュール104をハウジング106の中に取り付ける動作は、機械的、電気的、磁気的、又は他の種類のインタフェースを係合する又は移動させ、それが今度は前負荷をかけたばね又は同等の作動コンポーネントを解放して、流体送達カニューレを身体の中に挿入する。第1のカートリッジ挿入時にひとたびばねが解放されると、輸液装置100は、後続の流体カートリッジモジュールの取り付けが挿入機構を再び始動させないように異なる状態になる。
特定の実施形態では、輸液装置100は、3日などの指定した期間にわたる連続的な使用のために設計されている一体型の使い捨てコンポーネントとして実現される。必ずしも必要とは限らないが、輸液装置100は、「既製の」容量(例えば、1.0mL、1.5mL、2.0mL、又は3.0mLの薬剤流体)で第三者製造業者によって提供され得るプレフィルド流体カートリッジモジュール104を収容するように設計することができる。輸液装置100はまた、ユーザーが充填した流体カートリッジモジュール104を収容するように好適に構成され、設計され得ることを理解されたい。図2を参照すると、それぞれの取り外し可能な流体カートリッジモジュール104は、再補充されるように設計されていない又は意図されていない単回使用使い捨てリザーバとして実現され得る。流体リザーバカートリッジモジュール104の図示された実施形態は、リザーバ116の挿入及び取り外しを容易にするキャリア118又はハウジング内に保持されているガラス又はプラスチックリザーバ116を含む。
上述したように、輸液装置100のハウジング106は、所望の薬剤流体を含む取り外し可能な流体カートリッジモジュール104を受容する。ハウジング106はまた、協働して輸液装置100の機能をサポートする様々なコンポーネント及び要素を含む働きもする。これらの内部コンポーネント及び要素は、制限なしに、次を含むことができる:プリント基板;振動モータ又は他の触覚フィードバック要素;バッテリ又は他のエネルギー源;流体ポンプ機構;流体ポンプ機構を作動させるように連結された駆動モータ(若しくは他の装置、コンポーネント、又はソレノイド、ニッケルチタンメモリワイヤ、若しくは同種のものなどの流体ポンプ機構を作動させる手段);経皮的導管アセンブリを作動させるための挿入機構;駆動モータ、流体ポンプ機構、及び/又はボタン112と相互作用するセンサ;出口流体導管;並びに入口導管アセンブリ。当然のことながら、輸液装置100の実施形態は、図中に示されない又はここで詳細に説明されない追加の機構、コンポーネント、装置、及び要素を含んでもよい。
プリント基板は、協働して輸液装置100の機能をサポートする様々な電子的構成要素、装置、及び接続を含む。これらのコンポーネントは、保護、耐水性などのためにハウジング106内に密閉されている。プリント基板130は、制限なしに、次のいずれかを含んでもよい、又は次のいずれかと協働してもよい:スイッチ;ポテンショメータなどの調節要素若しくはトリム要素;プロセッサ装置;メモリ;又は同種のもの。振動モータは、確認信号又は警報信号を必要に応じて発生させるのに使用することができる。代替的に又は追加的に、輸液装置100は、ユーザーにフィードバックを提供するオーディオトランスデューサ、表示灯、表示要素、又は他のコンポーネントを含むことができる。バッテリは、輸液装置と共に廃棄できる単回使用要素であり得る。バッテリは、輸液装置100を稼動させるのに必要な電圧及び電流を提供する。
図3は、流体ポンプ機構136の実施形態を示しており、流体ポンプ機構136は、輸液装置100の動作中に取り外し可能な流体カートリッジモジュール104に流体結合される。流体ポンプ機構136は、各送達周期で較正された量の薬剤流体を送達する回転作動マイクロポンプとして実現され得る。この点に関して、流体ポンプ機構136は、ステータ及びロータを含み、ロータは、駆動モータ138によって制御される方法で作動する。より詳細に後述されるように、流体ポンプ機構136は、ロータの回転運動を、ステータに対するロータの軸方向変位に変換することによって機能する。次に、その直線運動は、流体カートリッジモジュール104から薬剤流体を引込むために流体ポンプ機構136の内側にある一連の弁の開閉をもたらす。付勢力(例えば、ばね力)は、ロータをステータに向かって押し進め、流体ポンプ機構136の出口を通じて流体を放出する。他の種類のポンプテクノロジーを利用することもできるが、特定の実施形態では、流体ポンプ機構136は、Sensile Medicalによって提供されるポンプテクノロジーを利用する。
特定の実施形態に従って、ロータをステータの中へ付勢する付勢力は、ばね要素及び(機械的に駆動モータ138をロータに連結する)連結コンポーネントの両方として働く成形されたプラスチック部品によって提供される。このばね連結器164は、図3に示されている。ばね連結器164により別個の連結要素の必要がなくなり、このことは部品数を低減し、生産コストを低減し、輸液装置100の製造及び組立てを簡素化する。ばね連結器164は、駆動モータ138と流体ポンプ機構136のロータとの間に機械的に取り付けられる物理的に異なるコンポーネントであり得る。代替の実施形態では、ばね連結器164は、ロータに一体に作製され得る。
駆動モータ138は、直流(DC)モータ、ブラシレスDCモータ、ステッパモータ、又は同等のものであり得る。駆動モータ138の代わりに、回転運動を発生して流体ポンプ機構136を駆動するニッケルチタンメモリワイヤ及びラチェット機構などの他の駆動方法を使用することができることを理解されたい。
したがって、ロータのフル回転は、既知量の薬剤流体の送達をもたらす。輸液装置100の流体流路が準備された後、ロータの各回転は、測定された体積の薬剤流体を流体カートリッジモジュール104から引込み、同量の薬剤流体を患者の中に位置するカニューレから放出する。
引き続き図3を参照すると、入口導管アセンブリ144は、取り外し可能な流体カートリッジモジュール104に適合する構造を含む。例えば、入口導管アセンブリ144は、中空のリザーバ針(流体カートリッジモジュール104の中へ延在するため隠されている)で終端する流体導管150を含む。流体カートリッジモジュール104が輸液装置100に取り付けられると、中空のリザーバ針は、(セプタム経由で)流体カートリッジモジュール104のリザーバに入る。輸液装置100はまた、密封要素154も含み、この密封要素は入口導管アセンブリ144に連結されてもよい(あるいは、密封要素154は、入口導管アセンブリ144の一体部品であり得る)。密封要素154は、流体カートリッジモジュール104が輸液装置100のハウジング106から取り外されるとき入口導管アセンブリ144に流体シールを作製する、圧縮性があり、かつ弾性のコンポーネントであり得る。より具体的には、流体カートリッジモジュール104が取り付けられ、したがって中空のリザーバ針を露出するとき、密封要素154は、圧縮される。密封要素154は、流体カートリッジモジュール104が取り外されるとき、中空のリザーバ針の端部を覆うように延在し、入口導管アセンブリ144への汚染物質、流体、及び空気の侵入を阻止し、輸液装置100の流体流路からの薬剤流体の漏れを阻止する。
更に、入口導管アセンブリ144は、流体ポンプ機構136の流体入口156と流体連通している。流体入口156は、図3に示されるように流体導管150の端部を収容し、受容する。この構成は、流体ポンプ機構136が、流体カートリッジモジュール104から入口導管アセンブリ144を介して薬剤流体を引込めるようにする。流体ポンプ機構136は、流体出口158から薬剤流体を放出し、この流体出口は出口流体導管142と流体連通している。図3は、出口流体導管142の一部のみを示す。特定の実施形態では、出口流体導管142は、輸液装置100の経皮的導管アセンブリの一部として実現されてもよく、経皮的導管アセンブリはまた、患者の身体内に挿入され位置付けられている皮下導管も含む(例えば、ソフトカニューレ)。
経皮的導管アセンブリは、流体ポンプ機構136の流体出口158と流体連通している。より具体的には、例示した実施形態に従って、出口流体導管142は、近位端が流体出口158に流体結合されている可撓性の中空の針として実装される。可撓性の中空の針の遠位端は、挿入操作中に患者の身体への皮下導管の挿入に対応するように鋭利である。可撓性の中空の針の遠位端は、図3に示されていない。皮下導管の近位端は、針の少なくとも一部が最初に皮下導管の内側にあるように、可撓性の中空の針に流体結合されている(即ち、皮下導管は、挿入操作の前及び間に可撓性の中空の針によって運ばれる)。したがって、皮下導管は、薬剤流体を、患者の身体に出口流体導管142及び皮下導管を介して送達することができるように、流体ポンプ機構136と流体連通している。
輸液装置100は、流体カートリッジモジュール104から患者の身体における皮下部位への薬剤流体の送達に対応する流路を含む。第1の流体流路は、入口導管アセンブリ144によって少なくとも部分的に画定され、この入口導管アセンブリは、流体カートリッジモジュール104と流体ポンプ機構136との間に存在する。第1の流体流路は、流体ポンプ機構136の入口流路であると見なされ得る。第2の流路(流体ポンプ機構136の出口流路であると見なされ得る)は、出口流体導管142及び皮下導管によって画定される。この点に関して、第2の流路は、皮下導管の遠位端で終端する。輸液装置100の全体的な流路は、したがって、第1の流体流路、流体ポンプ機構136、及び第2の流体流路を含む。輸液装置100を経由する流体流路は、任意の数の剛性の針(湾曲した又は真っ直ぐのもの)、ソフトチュービング、可撓性スチールチュービングなどを使用して確立され得ることを理解されたい。本明細書に記載された特定の実施形態は、単なる1つの可能な構成である。
図4は、輸液装置100と共に使用するのに好適なシステムアーキテクチャ400の例示の実施形態を示すブロック図である。図4は、ハウジング106によって格納される、ハウジング106内に密閉される、又はハウジング106に取り付けられる様々なコンポーネント、要素、及び装置と共に、輸液装置100のハウジング106を示す。図4では、実線矢印は、電気信号路を表し、破線矢印は、要素間の機械的相互作用又は協働を表し、二重矢印は、流体流路を表す。システムアーキテクチャ400の実施形態は、本明細書に記載される必要のない従来の機能を提供し得る追加の要素、コンポーネント、及び機構を含み得ることを理解されたい。更に、システムアーキテクチャ400の実施形態は、そのように所望される場合、意図された、かつ説明された機能が残っている限りは、代替要素、コンポーネント、及び機構を含み得る。
システムアーキテクチャ400の図示された実施形態は、一般に制限なしに次を含む:プリント基板401;取り外し可能な流体カートリッジモジュール104;流体ポンプ機構136;駆動モータ138;流体流路402;流体流路404;カートリッジセンサ406;1つ又は2つ以上の状態センサ408;1つ又は2つ以上の警告装置410;挿入機構412;及び皮下導管413。図4は、前述された多くの部品を含んでおり、それらの部品を、ここでは重複して詳細に説明しない。
プリント基板401は、輸液装置100の電子装置の少なくともいくつかを含んでもよい又は有してもよい(例えば、任意の数の別個の又は一体化された装置、コンポーネント、導体又はコネクタなど)。例えば、制限なしに、次の部品をプリント基板401上に見出すことができる:バッテリ414;プロセッサ装置420;基本速度調節コンポーネント422;及びスイッチ423。プリント基板401(又はプリント基板401が有する部品)は、必要に応じてシステムアーキテクチャ400の他の要素に電気的に結合されて輸液装置100の動作をサポートすることができる。例えば、プリント基板401は、制限なしに、少なくとも次のものに電気的に結合され得る:流体カートリッジモジュール104;流体ポンプ機構136;駆動モータ138;カートリッジセンサ406;状態センサ408;及び警告装置410。プリント基板401に対する電気的接続は、そのように所望される場合、直接又は間接であり得ることを理解されたい。更に、プリント基板401上の1つ又は2つ以上のコンポーネントは、いくつかの実施形態で無線データ通信をサポートし得る。
流路402は、流体カートリッジモジュール104を流体ポンプ機構136の入口に流体結合し、また流路404は、流体ポンプ機構136の出口を皮下導管413に流体結合する。皮下導管413は、患者の身体に流体結合されている。駆動モータ138は、流体ポンプ機構136に電気的かつ機械的に結合されて、流体ポンプ機構136の動作を制御する。したがって、プロセッサ装置420は、必要に応じて駆動モータ138をオンオフして、流体ポンプ機構136のロータの位置を制御することができる。
状態センサ408を、流体ポンプ機構136及びプリント基板401に電気的に結合して、流体ポンプ機構136及び/又は輸液装置100の他のコンポーネントの特定の動作状態、パラメータ、又は特性を監視することができる。例えば、状態センサ408により提供される情報を処理して、ないしは別の方法で利用して、流体ポンプ機構136の回転数を判定すること、流体ポンプ機構136の静止位置を判定すること、流体送達経路の下流閉塞を検出すること、流体カートリッジモジュール104のリザーバが空であるときにそれを検出することなどができる。
警告装置410は、起動の制御のためにプリント基板401に電気的に結合され得る。この点に関して、警告装置410の起動は、必要に応じてプロセッサ装置420によって制御され得る。特定の実施形態では、ボタン112のユーザー操作は、スイッチ423の作動を引き起こし、それが今度は警告装置410によって発生した警報又はアラームを無効にする。
図4で「カートリッジトリガオプション」とラベル付けされた破線矢印は、流体カートリッジモジュール104と挿入機構412との間の機械的相互作用(及び/若しくは電気的、磁気的、誘導性、光学的、容量性、又はその他の検出方法)を表す。この点に関して、流体カートリッジモジュール104のハウジング106への取り付けを検出して、挿入機構412を始動させることができる。皮下導管413が患者の身体にまだ挿入されていない(即ち、ばね機構が作動されていない)場合は、次に挿入機構412は、発射されて皮下位置の中へ皮下導管413を位置付ける。代替の実施形態では、専用挿入ボタン416を使用して挿入機構412を発射する。したがって、図4で「ボタントリガオプション」とラベル付けされた破線矢印は、挿入ボタン416と挿入機構412との間の機械的相互作用(及び/又はいくつかの他の検出方法論)を表す。このオプションに従って、挿入機構412は、挿入ボタン416の物理的操作によって始動し、また皮下導管413が取り付けられる(ただし、挿入機構412が既に発射されている場合を除く)。
プロセッサ装置420は、任意の形状因子で実現され得る。特定の実施形態では、プロセッサ装置420は、プリント基板401に取り付けられている特定用途向け集積回路(ASIC)として実現される。ASICはまた、輸液装置の動作及び機能をサポートするために必要である好適な量のメモリも含み得る。この点に関して、技術、方法、及びプロセスは、機能的及び/又は論理的ブロックコンポーネントの観点から、並びに様々なコンピューティングコンポーネント又は装置によって実行され得る動作、処理タスク、及び機能の記号表現を参照して、本明細書に記載され得る。そのような動作、タスク、及び機能は、時としてコンピュータに実行されている、コンピュータ化されている、ソフトウェアに実装されている、又はコンピュータに実装されていると見なされる。図に示される様々なブロックコンポーネントは、特定の機能を実行するように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアのコンポーネントで実現され得ることを理解されたい。例えば、システム又はコンポーネントの実施形態は、例えば、メモリ要素、デジタル信号処理要素、論理要素、ルックアップテーブルなどの様々な集積回路コンポーネントを使用してもよく、それらは、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ又は他の制御装置の制御の下で様々な機能を実行し得る。
ソフトウェア又はファームウェアに実装されるとき、本明細書に記載されたシステムの様々な要素は、本質的に、様々なタスクを実行するコードセグメント又はコンピュータ読み取り可能な命令である。特定の実施形態では、プログラム又はコードセグメントは、具体的なプロセッサ読み取り可能媒体に記憶されており、その媒体は、情報を記憶又は転送し得る任意の媒体を含んでもよい。非一時的かつプロセッサ読み取り可能媒体の例として、電子回路、半導体メモリ装置、ROM、フラッシュメモリ、消去可能ROM(EROM)、フロッピーディスク、CD−ROM、光ディスク、ハードディスクなどが挙げられる。説明された機能を実行するソフトウェアは、例えば、ASICに存在してもよく、そこで実行してもよい。
より具体的には、プロセッサ装置420は、汎用プロセッサ、内容参照メモリ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、任意の好適なプログラム可能な論理装置、ディスクリートゲート若しくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はここで説明された機能を実行するように設計された任意の組み合わせで実装又は実行され得る。具体的には、プロセッサ装置420は、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンとして実現され得る。更に、プロセッサ装置420は、例えば、デジタル信号プロセッサ及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサコアと併用する1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成などコンピューティング装置の組み合わせとして実装され得る。
プロセッサ装置420は、メモリを含む又はメモリと協働し、そのメモリは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、又は当該技術分野において周知の任意の他の記憶媒体の形態として実現され得る。プロセッサ装置420がメモリとの間で情報の読み取り及び書き込みができるように、メモリを実装することができる。代替において、メモリは、プロセッサ装置420と一体であってもよい。例として、プロセッサ装置420及びメモリは、好適に設計されたASICに存在する。
より詳細に後述される特定の実施形態の文脈において、プロセッサ装置420は、輸液装置における流体流路の下流閉塞、流体流路の上流閉塞、リザーバの終了の状態、及び/又は他の検出可能な動作状態を検出するように機能する検出回路を実装することができ、検出回路と協働することができ、ないしは別の方法で検出回路(及び適切な処理ロジック)の動作をサポートすることができる。この目標を達成するために、プロセッサ装置420は、プロセッサ装置420に様々な検出タスク、動作、及び異なる検出方法の文脈において後述される方法工程を実行させる好適に書かれたコンピュータ命令を実行することができる。
単純なユーザーインタフェースとして、物理的ボタン112、静電容量式ボタン、ボタンとしての(ボタンとしてハウジング106の特定の部分の変形を使用する)薄膜力センシティブレジスタなどを挙げることができる。ボタン112を起動して、ボーラスを送達すること、非アクティブなシェルフモードから装置を移動させること、自己検査を提供すること、警報又はアラームに応答することなどができる。システムアーキテクチャ400は、導管挿入機構412を解放するように起動され得るオプションの挿入ボタン416を含んでもよい。
1つの実装は、単一のソフトウェアが設定した基本速度及びボーラスボタン値を有することである。例えば、1SKUを2単位/hrの基礎設定を有する輸液装置に使用することができ、ボタン112を押すごとにボーラス治療の2単位の送達が起こる。異なるSKUを1U/hrの基礎設定を有する輸液装置に使用することができ、ボタン112を押すごとにボーラス治療の1単位の送達が起こる。実際には、装置の操作が簡易になるように、ボーラス値を総インスリン消費量の研究に基づいて設定することができる。例えば、患者が100U/日の基礎治療を使用する場合、その人は、より多くのボーラス治療が必要になることがあり、したがって、ボタン押下ごとに5.0単位のボーラス送達が好適であり得る。他方では、患者が20U/日の基礎治療を使用する場合、その人は、より少ないボーラス治療が必要になることがあり、したがって、装置のボーラスボタンは、ボタン押下ごとに1.0単位のみを送達するように構成され得る。
ボーラス送達機能に関して、患者がボタン112を押すたび、輸液装置100は、プログラムされたボーラス値を送達し、次のボタン押下を待つ。したがって、輸液装置100が、5.0単位の予め設定されたボーラス値を有し、患者が15.0単位を必要とする場合、次に患者は、ボタン112を1回押して、第1の5.0単位を送達し、ボタン112を再度押して次の5.0単位を送達し、最後の5.0単位に3回目かつ最終回のボタン112押下を行った。
輸液装置100はまた、複数のボタン押下を可能にし、確認(振動、音声、表示灯)を提供し、次に全量を送達する。例えば、輸液装置100は、3回続けてボタン押下を処理し、3回の押下の合計を認識し、ユーザーフィードバックを提供し、確認を待ち、次に合計15.0単位を送達し得る。
患者別プログラミングは、有線又は無線セッションを介して医師プログラマによって実現することができる。例えば、赤外窓を、輸液装置のハウジング内に提供して無線調節又はプログラミングに対応することができる。基本速度を調節する他の方法は、ダイアル、ノブ、又は医師若しくは患者が操作することができる他の調節コンポーネントを利用する。調節コンポーネントは、タイミング及び/又は流体ポンプ機構136の他の特性を変更するためにプリント基板401及び、特にプロセッサ装置420に接続され得る。図4は、輸液装置100のプログラムされた基本速度を調節する働きをする様々な方法及びコンポーネントを表すように意図される基本速度調節コンポーネント422を示す。調節を可視化し確認する1つの単純かつ低コストの方法は、輸液装置のハウジング上の透明な窓及び調節設定に対応したマークを有する着色されたダイアルの利用を伴う。
システムアーキテクチャ400は、制限なしに次を含む警告装置410の任意の組み合わせを含んでもよく、又はこれと協働してもよい:振動モータ;圧電オーディオトランスデューサ;1つ又は2つ以上の表示灯(例えば、発光ダイオード又は他のランプコンポーネント);疎水性膜で保護されたスピーカなど。
駆動モータ138は、コネクタ及び導線、ハウジング106上のめっきされたトレースなどで、プリント基板401に電気的に結合され得る。駆動モータ138は、連結器及びばね(図示せず)を使用して流体ポンプ機構136に結合され得る。あるいは、特定の実施形態は、図3を参照して上述した一体のばね連結器164を利用することができる。
状態センサ408を使用して、流体ポンプ機構136の正常性及び動作を監視することができる。例えば、状態センサ408を使用して、駆動モータ138の巻線抵抗を調べることができる。システムアーキテクチャ400はまた、流体経路閉塞、リザーバの終了の状態、リザーバ内に残っている単位などの特定の故障状態も検出するように構成され得る。状態センサ408を利用して、これらの状態、及びそのように所望される場合は他の動作状態を調べることができる。
いくつかの実施形態では、ホールセンサを使用することによって閉塞を検出して、流体ポンプ機構136のロータの軸位置変化率を判定することができる。センサシステムは、ロータ上に位置付けられた磁石、及びプリント基板401上のホールセンサを含み得る。流体ではなく空気のポンピングは、閉塞のためポンピングしないことに比べて、異なる線形速度のロータの変化をもたらし、したがって、ポンプ状態と相関し得る。この方法論は、ロータの回転状態(即ち、1回のフル旋回を完了したとき)の知識が必要になるであろう。これは、磁気的エンコーダ、オプティカルエンコーダ、回転が完了するたびにスイッチに接触するポンプロータ上の物理的特徴などで実現することができる。スイッチは、物理的、誘導性、容量性、フォトインタラプト、又は他の種類のスイッチであり得る。ホールセンサの代わりに、ロータの角度位置を検出するのに1つ、及び線形位置を検出するのに1つの、複数のオプティカルエンコーダを使用することができる。同様に、磁気的又は他のエンコーダを使用することができる。
リザーバの終了の状態を、閉塞検出について上述した同じ方法論を使用して検出することができる、又は流体カートリッジモジュール104のプランジャ又はピストンの位置を監視する光センサを使用して検出することができる。他の技術及びテクノロジーも利用して流体カートリッジモジュール104の交換が必要なときにこれを判定することができる。下流閉塞及び上流閉塞を検出するための様々な技術及び方法論(例えば、「リザーバの終了」の状態)は、より総合的な方法で後述される。
薬剤流体の残りの量は、リザーバ容積の終わり近くのプランジャの位置を検出する光センサを使用して判定することができる。カウントダウン値を計算して、リザーバ内の残りの単位数の推定値を提供することができる。あるいは、リザーバのプランジャ上に磁石を提供することによって流体の残りの量を磁気的に判定することができる。ハウジング106内の磁気的センサを使用して磁石を検出することができる。更に別のオプションとして、誘導性又は容量性の検出方法を利用して、流体カートリッジモジュール104内の薬剤流体の残りの量を判定することができる。検出された位置は、リザーバ内の特定容量の流体の残りに対応するように較正される。
上述のようにハウジング106への挿入及びハウジング106からの除去を容易にするプレフィルド流体カートリッジモジュール104をハウジング内に提供することができる。流体カートリッジモジュール104は、取扱いが便利かつ容易な形状因子を提供するように設計され得る。特定の実施形態では、流体カートリッジモジュール104の取り付けは、カニューレ挿入機構412を起動し、これは、この機能に対する余分な患者の工程及び専用のシステムコンポーネントの必要をなくす。図4では、「カートリッジトリガオプション」とラベル付けされた矢印は、この機能を表す。
流体カートリッジモジュール104はまた、取り付け済みかどうかに関わりなくプロセッサ装置420と通信する(又はそのような通信を開始する)ように構成され得る。図4では、「リザーバ入/出」とラベル付けされた矢印は、この通信を表す。したがって、流体カートリッジモジュール104をハウジング106内に挿入する行為を、電子的に検出して適切な動作をとることができる。反対に、流体カートリッジモジュール104が取り外された場合、輸液装置100は、基礎及びボーラス治療を一時停止することができる。流体カートリッジモジュール104を再度取り付けると、治療を再開することができる。流体カートリッジモジュール104を検出する方法は、実施形態ごとに異なってもよい。特定の実施形態では、流体カートリッジモジュール104上の物理的特徴は、次にプリント基板401上のスイッチを始動する輸液装置100の特徴又は機械的コンポーネントと相互作用する。代替的に(又は追加的に)、流体カートリッジモジュール104の取り付けは、流体カートリッジモジュール104が取り付けられた際に電気接触子間の短絡を発生させることによって実現することができる。例えば、流体カートリッジモジュール104上の金属製キャップは、短絡を発生させる導体としての役割を果たし得る。あるいは、流体カートリッジモジュール104の外面は、流体カートリッジモジュール104が取り付けられた際に輸液装置100の接触子間の短絡を発生させる特定の位置にある印刷された被膜又は導電性トレースを含み得る。更に別の例として、流体カートリッジモジュール104の取り付けは、物理的接触、容量検知、誘導検知、光学的検知、音響検知、磁気検知、赤外線検知、RFIDテクノロジーなどによって検出することができる。図18に示されたカートリッジセンサ406は、流体カートリッジモジュール104が据え付けられる/取り付けられるとき、及び流体カートリッジモジュール104が外れる/取り外されるときにこれを検出するこれらの及びその他の可能な方法、コンポーネント、及び機構を表すように意図されている。
流体ポンプ機構
図5〜8は、1ポンプ周期中の様々な段階の流体ポンプ機構500を示す図である。図5〜8は、理解しやすくするために簡略化した方法で流体ポンプ機構500を模式的に示している。流体ポンプ機構500の実施形態は、特定のアプリケーションの必要条件に適合するように必要に応じて構成され得る。流体ポンプ機構500は、通常、制限なしに次を含む:ロータ502;ステータ504;及び付勢要素506。ロータ502は、ステータ504内部に少なくとも部分的に受容される軸方向延出部508を含む。この例については、ロータ502は、ステータ504に対して回転するように駆動される。代替の実装では、ステータ504は、ロータ502に対して回転され得、又はロータ502及びステータ504の両方は互いに対して回転され得る。ロータ502の回転は、ロータ502の軸方向延出部508がより深くステータ504内に受容される引込み位置と、より浅くステータ504内に受容される引出し位置との間の軸運動を伴う。ロータ502の引込み位置において、ステータ504内の流体に使用できる容積は、最小値であり、ロータ502の引出し位置において、ステータ504内の流体に使用できる容積は、最大値である。典型的には、図6に示すようにステータ504から離れる方向のロータ502の軸運動は、回転の一部の間に徐々にそれらを離れさせる、ロータ502とステータ504との間で作動するカム構造体(図示せず)によって生じる。カム構造体は、他方の突起又はカム従動子と相互作用するロータ502及びステータ504のうちの1つの横の面に配置された立ち上がるランド部を備えてもよい。あるいは、カム構造体は、相互作用する円筒形表面のうちの1つを部分的に取り巻いて延在する切欠き(helical grove)に係合している放射状のピンであり得る。付勢要素506(図3に示されるばね連結器164などばねとして実現され得る)は、ロータ502をステータ504に向けて付勢する付勢力を提供する。
流体ポンプ機構500は、流体入口510及び流体出口512を含む。必ずしも必要とは限らないが、流体入口510は、ステータ504の端部に位置し、流体出口512は、ステータ504の側部に位置する(図3に示される実施形態に合致する)。流体入口510は、流体カートリッジモジュール104のリザーバと連通していてもよく、流体出口512は、患者の身体につながる流体流路と連通していてもよい。流体入口510及び流体出口512の代替構成もまた、本開示により想到される。内部流体経路、シール構造体、及び弁構造体は、明確さ及び簡略化のために図5〜8に示されていない。
図5〜8は、1回の流体送達周期の間の流体ポンプ機構500の異なる状態を示し、これはロータ502の1回転に対応している。図5は、内部弁及びシール構造体が流体入口510及び流体出口512を効果的に封止する初期状態にある流体ポンプ機構500を示す。この初期状態、即ち引込み位置において、ロータ502は、ステータ504内に完全に据え付けられており、ステータ504に対するロータ502の軸方向変位は、0であると見なされる。この初期状態からのロータ502の回転はカム機構の作用により、ロータ502の外向きの軸運動及びステータ504内の対応する流体に使用できる容積の増加をもたらす。図6は、この、増加した容積によるステータ内部の圧力降下により、流体吸込状態を生じる状態にある流体ポンプ機構500を示す。この状態において、流体入口510は、薬剤流体を流体ポンプ機構500の中に引込み可能であるが、流体出口512は封止されたままである。流体は、ステータ504に対するロータ502の軸方向変位が増加するにつれて流体入口510の中に引込まれる。ロータ502の連続的な回転は、最終的に流体ポンプ機構500を、図7に示される状況であるその引出し位置に到達させる。この状態において、流体入口510及び流体出口512は。封止されており、流体は、流体ポンプ機構500から放出される準備ができている。更に、ステータ504に対するロータ502の軸方向変位、したがってステータ内の流体に使用できる容積は、図7に示される状態で最大化される。ロータ502の更なる回転は、カム構造体を係合解除させ、付勢要素506を、ロータ502をステータ504の中に押し戻すことができるようにし、それが今度は、流体を流体出口512から放出する。図8に示された状態において、流体出口512は、流体ポンプ機構500から流体を放出可能であるが、流体入口510は封止されたままで逆流を阻止する。付勢要素506は、ロータ502を完全に据え付けられた位置へ付勢し、ロータ502の更なる回転は、最終的に流体ポンプ機構500を図5に示される初期状態に戻す。正常かつ期待された動作状態の下で、ロータ502の1回の完全な回転が、規定の流体吸込期間及び規定の流体排出期間を有する1ポンプ周期(即ち、1回の流体送達周期)に対応する。1ポンプ周期の間、薬剤流体は、流体カートリッジモジュール104から引き出され、その後、薬剤流体は、患者に送達するために流体出口512から放出される。
図9は、ロータ602及びステータ604を有する流体ポンプ機構600の例示の実施形態の分解斜視図である。流体ポンプ機構600は、図5〜8を参照して上述した簡略化した構造体に関連して記載されたように動作する。流体ポンプ機構136、500、600の実施形態は、特許文献1(その内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたポンプに従って設計され、構成され得る。明確にするかつ理解しやすくするため、次の説明は、流体ポンプ機構600のみを指す。
図5〜8を参照して上述したように、ロータ602は、ステータ604のロータチャンバ610の中に挿入するための形状及び寸法にされている軸方向延出部608を有する。軸方向延出部608は、ロータ602のエンドキャップ609から突き出ており、また軸方向延出部608の少なくとも一部は、ロータチャンバ610の内部に収まっている。軸方向延出部608は、回転し、ステータ604に対して軸方向に移動することができる。流体ポンプ機構600は、ステータ604に対するロータ602の角度及び軸の位置に応じて開閉する第1の弁及び第2の弁(図9には示されず)を含む。弁は、軸方向延出部608に形成された流体供給チャネルと協働する好適に構成されたシール構造体及び/又は密封要素を使用して実現される。シール構造体及び/又は密封要素は、ステータ604内部に位置付けられている。
ロータ602の回転はまた、ステータ604に対するロータ602の軸方向変位をもたらす。回転に基づく軸方向変位は、ロータ602及びステータ604上に位置する、協働するカム要素によって提供される。図9は、放射状に伸びる突起を含むステータカム要素612の一部を示しており、ロータカム要素は、しかしながら図9では隠されているが、角変位と共に徐々に立ち上がるランド部に続けて均一の高さの弧、及び次に開始高さまでの急激な低下を含む。ロータ602がステータ604に対して回転すると、ステータカム要素612は、ロータ602を図5〜8に関して上述した引出し位置に向けてステータ604から軸方向に離れさせながらロータカム要素上のランド部に徐々にずり上がる。更に、ロータ602がステータ604に対して回転すると、軸方向延出部608の角度及び軸運動は、2つの弁の開閉をもたらす。流体ポンプ機構600の完全な回転周期の間、ステータ604のロータ602の軸方向変位は、ロータチャンバ610内部のポンプ作用を生成する(図5〜8を参照して上述したように)。この点に関して、ステータ604内に画定されたロータチャンバ610は、流体ポンプ機構600の流体チャンバを含み得る又は流体チャンバとして機能し得る。
図10は、流体ポンプ機構のステータ704の例示の実施形態の斜視図であり、図11は、適合するロータ702の例示の実施形態の斜視図である。ロータ702及びステータ704をホストする輸液装置は、ロータ702及びステータ704を所望される位置に支持して保持する、かつステータ704に対するロータ702の軸運動及び回転運動に対応する、適切な構造体、コンポーネント、機構、及び/又は要素を含むであろうことを理解されたい。明確さ及び簡略化のために、そのような協働する構造体、コンポーネント、機構、及び/又は要素は、図10又は図11に示されていない。
ステータ704は、図9に示されるステータ604と異なる構成を有するが、操作概念及び機能は、この説明の目的に関して同一である。この点に関して、ステータ704は、ステータカム要素706及びロータ開口部708を(上述のように)含む。ロータ702は、通常、制限なしに次を含む:エンドキャップ712;近位軸方向延出部714;遠位軸方向延出部716;近位軸方向延出部714内に形成された第1の流体供給チャネル718;遠位軸方向延出部716内に形成された第2の流体供給チャネル720;及びロータカム要素722。
流体供給チャネル718、720は、軸方向延出部714、716の外側表面から延在する薄いスリットとして実現される。ステータ704内部に位置する密封要素は、流体供給チャネル718、720と協働して、ステータ704に対するロータ702の角度及び軸の位置に応じて開閉する弁として機能する。これは、ロータ702の軸方向変位に起因するロータチャンバ610内で流体に使用できる容積の変化により、流体カートリッジモジュール104から供給される薬剤流体のポンピングを可能にする(図3及び図4を参照)。
エンドキャップ712は、ロータ702の角度位置を必要に応じて制御することができるように駆動モータ138と嵌合ないしは別の方法で協働するように好適に構成され得る。更に、エンドキャップ712は、ロータ702をステータ704に向けて付勢する付勢コンポーネントと嵌合ないしは別の方法で協働するように好適に構成され得る。例えば、エンドキャップ712は、図3に示されるばね連結器164と連結され得る、又は一体に作製され得る。
ステータ704に対するロータ702の軸方向変位は、協働するカム要素706、722によって画定される。カム要素は、各ポンプ周期の間に互いに接触して、ステータ704に対するロータ702の角度位置に応じてロータ702の軸位置を調節する。図示された実施形態に関して(図11を参照)、ロータカム要素722は、エンドキャップ712の内部に位置付けられており、特定の既定の弧にわたって延在する。ロータカム要素722は、可変の高さを有する、即ち、ロータ702の基準面から徐々に立ち上がる傾斜面に似ている。より具体的には、ロータカム要素722は、既定の弧にわたって高さが増大する。対照的に、ステータカム要素706又はカム従動子は、ロータカム要素722の傾斜面に沿ってかつ上に「乗る」ように設計されているステータカム表面を有する単純な凸部として実現され得る。ステータカム要素706が、単純な凸部として実現される必要がないこと、及び流体ポンプ機構の実施形態が、カム要素の機能を逆転させ得ることを理解されたい(その結果ロータカム要素722が単純な凸部として実現され、ステータカム要素706が傾斜面として実現される)。ロータ602上にあり、かつ図9に図示したロータカム要素はまた、この構造体も有し得る。
図12〜14は、ステータカム要素706とロータカム要素722との間の協働を示す図である。図12〜14は、ステータカム要素706のみを示し、ステータ704の残りの部分は、これらの図から省略されている。図12〜14で広い矢印730は、ロータ702に加えられている軸方向の付勢力を表す。この軸方向の付勢力は、ロータカム要素722をステータカム要素706に向けて、かつロータの基準面に向けて、付勢するように意図されている。図12〜14で矢印732は、ステータカム要素706に対するロータカム要素722の移動の方向を示す。上述のように、ロータカム要素722は、ロータ702の回転に応じて(ステータカム要素706に対して)移動する。
図12は、ステータカム要素706がロータカム要素722に接して存在する状態を示す。より具体的には、ステータカム要素706は、ロータカム要素722の傾斜部分に位置付けられている。ステータカム要素706が、ロータカム要素722に沿って「乗り」続けると、ロータ702は、ステータ704に対して変位する。最大変位は、ロータカム要素722の最も高い部分(プラトー)で発生する。後の議論において、この最大変位はまた、「引出し」位置とも呼ばれる。ロータカム要素722の端部で画定される垂直の「シェルフ」を示す図13に最も良く示されるようにロータカム要素722の図示された実施形態は、突然途切れている。図13は、ステータカム要素706がロータカム要素722を通過して、かつロータ702が付勢力730によってステータ704に向けて押し戻される前の状態を示す。この点に関して、図13は、ステータカム要素706とエンドキャップ712の基準面736との間の間隙距離を示す。この間隙距離は、ステータ704とロータ702との間の最大軸方向変位に対応する。図14は、図13に示される状態の直後に続く状態を示す。付勢力730は、ステータカム要素706が基準面736に接触するようにロータ702をステータ704に向けて移動させる。図14に示される状態は、ステータ704とロータ702との間の最小軸方向変位に対応し、下で「引込み」位置とも呼ばれる。
図15は、正常かつ典型的な動作状態に関するロータ軸位置対ロータ角度位置のプロットを含むグラフである。縦軸は、ステータ704に対するロータ702の軸位置(変位)を示し、横軸は、ロータ702の角度位置を示す。1ポンプ周期は、回転の360度に対応し、図15は、2ポンプ周期に及ぶプロットを示す。図15は、プロットに重ねられた領域を含み、この領域は弁が開いている期間を表す。より具体的には、領域802は、第2の/出口弁(V2)が開いている第1の回転の期間、より具体的には、弧に対応し、領域804は、第1の/入口弁(V1)が開いている第2の回転の期間、即ち弧に対応し、領域806は、V2が開いている第3の回転の期間、即ち弧に対応し、領域808は、V1が開いている第4の回転の期間、即ち弧に対応し、また領域810は、V2が開いている第5の回転の期間、即ち弧に対応する。これらの5つの領域の間の間隙は、両方の弁が閉じている回転の期間即ち弧に対応する。
プロットの第1の区間814(軸方向変位がほぼ0である)は、ステータカム要素706が基準面736と接触している、したがってロータが軸方向に引込み位置にある期間に対応する。プロットの第2の区間816(軸方向変位が約0〜約0.95mmに増加する)は、ステータカム要素706がロータカム要素722の上に乗る期間に対応する。とりわけ、軸方向変位は、ステータカム要素706がロータカム要素722によって画定された最大高さに達するまで増加する。この間に、第1の弁は開いており、第2の弁は閉じており、ロータ702の軸方向変位は、ステータ704内部の流体チャンバの容積を増加させ、それによって今度は、流体が流体ポンプ機構の中に引込まれる。したがって、プロットの第2の区間816は、流体吸込期間に対応する。プロットの第3の区間818(軸方向変位が約0.95mmで一定である)において、ロータは、ステータカム要素706がロータカム要素722によって画定されたプラトーの頂部に乗る期間に対応する引出し位置にある。この期間のほとんどの間、両方の弁は閉じている。
プロットの第4の区間820(軸方向変位が約0.95mm〜約0に減少する)は、ステータカム要素706がロータカム要素722を越えて移動した直後の期間に対応する(図13及び図14を参照)。換言すれば、ステータカム要素706は、「落下」して、ロータカム要素722のプラトーを係合解除し、付勢力は、ロータ702をステータ704に向けて軸方向に移動させ、その結果ロータカム要素722が基準面736に向かって移動する。最終的に、ステータカム要素706は、基準面736に到達及び接触し、ロータは、軸方向の引込み位置に戻った。この間に、第1の弁は閉じており、第2の弁は開いており、ロータ702の軸方向変位によって、第2の弁を介して流体ポンプ機構から流体が放出される。したがって、プロットの第4の区間820は、流体排出期間に対応する。プロットの第5の区間822(軸方向変位がほぼ0である)は、ステータカム要素706が基準面736と接触している別の期間に対応する。したがって、流体排出期間後かつ次の流体吸込期間前に、ステータカム要素706は、基準面736と接触している。この点に関して、第5の区間822は、第1の区間814と類似であり、ロータ702が回転し続けると次のポンプ周期が進行する。
下流閉塞検出
何かが流体の流れが流体ポンプ機構から出た後でこれをブロック又は阻止するとき、流体送達流路の下流閉塞が発生する。下流閉塞検出技術では、薬剤注入装置の安全性を高めることが望ましい。図5〜8、図9、又は図10〜14に関して記載された特に流体ポンプ機構に関して、下流閉塞検出は、次の一般的な方法の一方又は両方を使用することができる:(1)ステータ704に対するロータ702の軸位置測定又は検出;及び(2)流体経路の力/圧力測定。
上の図10〜14に関して記載された構成を例にとってみると、角度回転に応じた(ステータ704に対する)ロータ702の軸位置は、流体ポンプ機構のポンプ作用の中心である。図15は、通常期待される流体ポンプ機構の動作を図示している。実際には、ステータ704に対するロータ702の軸位置を、送達異常を検出する目的で測定/監視することができる。例えば、通常期待される動作中に、ステータカム要素706は、ロータカム要素722から係合解除し、軸方向の付勢要素(通常はばね)によって流体が第2の弁(V2)を通じて放出される。下流閉塞の存在下では、しかしながら、流出流量が制限され、また流体の非圧縮性がロータ位置の収縮を制限し、したがってロータ702の軸位置に影響を与える。この点に関して、図16は、下流閉塞状態のロータ軸位置対ロータ角度位置のプロット840を含むグラフである。図16はまた、通常期待されるプロット842を破線で示す。
プロット840は、下流閉塞がどのようにロータ702の軸方向変位に影響を与えるかを示す。ここで、プロット840は、ポンプ周期の流体吸込部分の間、理論上のプロット842を近接してたどる。第2の弁が開き、ステータカム要素706がロータカム要素722から係合解除すると、また一方、軸方向の付勢力は、閉塞に起因する流体圧力に打ち勝たない。したがって、ロータ702は、第1の弁が開いた直後になってやっと、ステータ704に対するロータ702の出発点、つまり軸方向の引込み位置まで完全に戻る。第1の弁が開くと、流体は、流体リザーバの中に逆流することができ、それが今度は、軸方向の付勢力がロータ702をその開始位置に戻すことを可能にする。図16に示されるように、ロータ702の軸方向変位は、第2の弁が開いている期間、0.85mm又はその近傍で停滞するが、ひとたび第1の弁が開き、かつステータカム要素706が次のポンプ周期でロータカム要素722の斜面に乗り始める前に約0まで急激に低下する。プロット840のこれらの特性は、下流閉塞を示す。以下の節は、図16に示された動作を引き起こす場合がある下流閉塞を検出し、それに応答するように設計されている多くの技術及び方法を提示する。
下流閉塞検出:方法1
ここに提示される閉塞検出方法は、流体ポンプ機構に組み込まれたセンサシステムを利用する。流体ポンプ機構の基本設計、構成、及び動作は、前述されたものと合致する。特に、図5〜8、図9、及び図10〜14が参照される。センサシステムは、ロータに取り付けられている又は組み込まれている、かつロータカム要素から離れた区域(「オフランプ位置」とも呼ばれる)にある、金属トレース又は類似の導電性センサ接触要素を含む。センサシステムはまた、ステータ上の、又はステータに組み込まれた検知要素も含み、この検知要素は、流体ポンプ機構の動作中にセンサ接触要素と協働する。いくつかの実施形態では、検知要素は、2つの別個のトレース又はステータカム要素の区域内で終端する導電性リード線として実現される。センサ接触要素を、正常な流体送達動作の間にステータカム要素がセンサ接触要素だけと接触するような(かつ下流流体経路が閉塞されているとき、ステータカム要素がセンサ接触要素を非接触にするような)形状、寸法、及び位置にすることができる。これは、センサ接触子が流体の正常な排出の後にステータカム要素上の導電性リード線に接触するようにロータ上の適切な角度位置にセンサ接触子を配置することによって実施され得る。下流閉塞のために排出が起こり得ない場合、ロータ上のセンサ接触子は、ステータ上の導電性リード線に到達しない。この角度位置は、放出弁のタイミングに依存する。この接触子は、出口弁を介した放出の結果としてロータが引込み位置に達したかどうかを検知するように位置付けられる必要がある。回転の周期において、最も早い接触子の位置は、放出弁がまだ開いている間であって、また正常状況では、放出は既に発生しているであろう。最も遅い位置は、次のポンプ周期の入口弁の開放直前の時間に対応する。
ステータ上の導電性トレースは、適切に構成された電子装置、検出回路、プロセッサなどに相互連結され得る。輸液装置で実行するソフトウェアは、センサシステムの状態(開/閉、高/低、など)を監視して、流体送達の状態などの動作状態を判定することができる。正常な送達周期の間、検出回路は、様々な吸込周期及び排出周期に相関するセンサシステムによって生成された1つの2値パターン(開、閉、開、閉、など)を観測する。しかしながら、特定の故障状態の間、検出回路は、異なる2値パターン(例えば、開、開)を観測し、それが今度はアラーム又は警報メッセージを開始する。
図17は、ここで説明された閉塞検出方法を実装する流体ポンプ機構のロータ852の例示の実施形態の端面図である。図18は、閉塞検出方法を実装する流体ポンプ機構のステータ854の例示の実施形態の端面図であり、図19は、検出回路856と協働するステータ854を示す図である。ロータ852及びステータ854を内蔵する流体ポンプ機構は、図5〜16を参照して上述したようであり得る。
図17は、ロータ852のエンドキャップ858の底部を覗き込む視点からの軸方向の端面図である。図17は、次の機構を示し、それらは詳細に上述されていたものである:エンドキャップ858の中央に位置付けられている軸方向延出部860;基準面862;及びロータカム要素864。上述したように、ロータカム要素864は、下縁部866から上縁部868まで基準面862の上方に立ち上がる。図17はまた、基準面862上に存在する(又は基準面862に組み込まれた)センサ接触要素870の例示の実施形態も示す。実際には、センサ接触要素870の厚さは、上述した方法で流体ポンプ機構を操作する目的では無視してよい。センサ接触要素870は、ロータカム要素864によって占有されていない区域に位置する。図17に示されるように、センサ接触要素870は、基準面862がロータカム要素864の下縁部866とセンサ接触要素870との間の第1の間隙、及びロータカム要素864の上縁部868とセンサ接触要素870との間の第2の間隙を画定できるような寸法にされている、円弧状導電性トレースとして実現され得る。センサ接触要素870の範囲並びにその前縁及び後縁の位置は、ロータ852の角度のタイミングと整合性が得られるように、かつ入口弁及び出口弁の開/閉状態と整合性が得られるように慎重に選択される。特定の実施形態では、センサ接触要素870は、レーザー活性化され、次にめっきされたドープした有機金属物質からなるレーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)処理、化学活性化及び次にめっきによるツーショット、インサート成形された接触子などを使用して製造される。
図18は、ステータ854の流体チャンバを覗き込む視点からの軸方向の端面図である。図18は、突き出たタブとして実現されるステータカム要素874、及びステータカム表面876又はその近傍で終端する検知要素の一部を示す。必ずしも必要とは限らないが、検知要素の図示された実施形態は、ステータカム表面876で露出されている端部を有する第1の導電性リード線878(又はトレース)、及びステータカム表面876で露出されている端部を有する第2の導電性リード線880(又はトレース)を含む。各リード線878、880はまた、検出回路856と協働する又は検出回路856に結合される第2の端部も有する(図19を参照)。代替の実施形態では、検知要素は、導電性のばね、タブ、ブラシなどを使用して実現され得る。
リード線878、880は、検出回路856と協働して、ステータカム表面876がセンサ接触要素870と接触しているか否かを検出する。例えば、検出回路856は、ロータ852の角度位置の変化に応じてリード線878、880から得られる検出信号の特性を監視することができる。検出信号は、接触状態及び非接触状態に対応する2つの測定可能な状態を有する測定された電圧、電流などであり得る。この点に関して、検知要素から得られた検出信号は、第1の論理状態及び第2の論理状態を有する2値信号とすることができ、第1の論理状態は、ステータカム要素874とセンサ接触要素870との間の接触に対応し、第2の状態は、ステータカム要素874とセンサ接触要素870との間の非接触に対応する。結果的に、ロータ852の1回転中に得られた検出信号の第1の2値パターンは、流体ポンプ機構の正常かつ期待された動作を示す一方で、ロータの1回転中の検出信号の第2の2値パターンは、流体ポンプ機構の故障状態、例えば、下流閉塞、欠陥のある付勢要素などを示す。正常動作状態の下で、第1の2値パターンは、2つの論理状態の間で交互に起こる(高、低、高、低、高、低...)。下流流体経路が閉塞されている場合、しかしながら、流体背圧は、ステータが引込み位置に到達するのを阻むので、ステータカム要素874は、センサ接触要素870に到達せず、したがって、第2の2値パターンは、1つの状態のみを含む(即ち、非接触状態)。検出回路は、これらの2つの2値パターンを容易に区別して、輸液装置が平常どおり動作しているか下流閉塞を示す状態の下で動作しているかを解決することができる。
センサ接触要素870は、正常かつ期待された動作状態の下で、各流体排出期間の直後にステータカム要素874がセンサ接触要素870と接触するような形状、寸法、及び位置にされる。ステータカム要素874は、ロータ852の規定の角度範囲ではセンサ接触要素870と接触したままであるが、センサ接触要素870は、次の流体吸込期間に対応する角度位置の前で終わる(即ち、センサ接触要素870は、ロータカム要素864の下縁部866の前で終わる)。好ましくは、センサ接触要素870が、入口弁が閉じていて、出口弁が開いている弁状態に対応する基準面862上の区域に位置する(図15及び図16を参照)。特定のタイミング及び流体ポンプ機構の構成に依存して、センサ接触要素870の少なくとも一部は、入口弁及び出口弁の両方が閉じている弁状態に対応する基準面862上の区域に位置し得る。
下流閉塞状態の下で、しかしながら、流体ポンプ機構の閉塞下流に起因する流体圧力は、流体排出期間後にステータカム要素874がセンサ接触要素870に接触するのを阻む。これは、検出回路が、下流閉塞状態の下で得られた検出信号に応じて、下流閉塞の有無を判定することを可能にする。検出回路がこの方法で下流閉塞を検出する場合、警報、アラーム、警告メッセージなどを開始することができる。いくつかの実施形態では、検出回路は、故障状態に対応した検出信号の2値パターンの検出に応じて警報を始動させる。他の実施形態では、警報は、ロータ852の複数連続回転中に、特定の2値パターンが検出された後に始動する。この必要条件は、誤アラームを最小にするために実装され得る。
代替の実施形態では、センサ接触要素が、代わりにエンドキャップ858のリム882上に位置する(図17を参照)。そのような実施形態では、センサ接触要素の角度範囲は、センサ接触要素870について図17に示されたものと同一又は機能的に同等であり得る。エンドキャップ858の内側の代わりにリム882上にセンサ接触要素を位置付けることは、製造容易性、信頼性、及びロバスト性能のために望ましい場合がある。センサ接触要素が、リム882上に位置付けられる場合、次にステータ854の導電性リード線はまた、センサ接触要素の代替的な位置決めと整合性が得られるように再配置される。例えば、リード線は、ステータ854のリム上又は他の表面884上に位置し得る。この種類の構成は、他の実施形態の文脈において図44〜46にも示される。他の想定される変形は、センサ接触要素がステータ上にあり、その他の接触子がロータ上にあるように接触子の位置を逆転させることである。これは、傾斜面を有するカムが、ステータ上にあり、カム従動子がロータ上にある実施形態で特に興味を持たれ得る。
下流閉塞検出:方法2
図20は、流体カートリッジモジュール900、流体ポンプ機構902、及び流体カートリッジモジュール900と流体ポンプ機構902との間の流体導管904を有する輸液装置と共に使用するのに好適な閉塞検出システムの例示の実施形態を図示する概略ブロック図である。流体ポンプ機構902は、吸込周期中に薬剤流体を流体カートリッジモジュール900から引込み、その後、排出周期中に薬剤流体を放出するように設計されている。この点に関して、流体カートリッジモジュール900及び流体ポンプ機構902の基本動作及び機能は、図1〜4を参照して上述したものと同様である。
図20に示された閉塞検出システムの実施形態は、電気活性ポリマー(EAP)センサ906及びEAPセンサ906に動作可能に連結されている検出回路908を含む。EAPセンサ906は、流体導管904の周りに固定されている環状又は円筒形状コンポーネントとして実現され得る。この特定の実施形態について、流体導管904は、流体圧力の変化に応じて膨張及び収縮できるようにやや弾性がある。EAPセンサ906は、流体ポンプ機構902の動作状態に応じた流体導管904の膨張及び収縮を検出する目的のために、流体導管904の外面の周囲に位置付けられている。より具体的には、EAPセンサ906は、流体吸込周期、流体排出周期、滞留時間などの間の流体導管904の状態を監視し得る。
EAP材料は、一般に既知である。この特定の適用例について、EAPセンサ906は、エネルギー、電気、電圧、電流、又はそこに与えられる機械的応力若しくは歪みに応じた測定可能な量を生成する材料(薄膜など)から製造される。EAPセンサ906の反応は、必要に応じて検出回路908によって検出され、分析され得る。したがって、EAPセンサ906は、流体導管904の膨張及び収縮を現行の方法で検出又は測定するように好適に構成される。
正常かつ期待された流体送達周期の間、弾性流体導管904は、流体吸込周期中に潰れる又は収縮する一方で、流体ポンプ機構902は、流体カートリッジモジュール900から流体を引込む。その後、流体導管904は、(流体排出周期中に)「公称の」形状を回復し復帰する。したがって、EAPセンサ906は、この特徴的な収縮及び回復に反応するように設計されており、EAPセンサ906から通常期待される信号が生成されると、検出回路908は、適切な動作をとる(存在する場合)。対照的に、流体ポンプ機構902の流体流路下流が閉塞されている場合、その後流体導管904は、正常な送達中に行うのと同程度までは潰れない又は収縮しない。より具体的には、流体導管904は、下流閉塞の存在下では、入口弁が次の吸込工程のために再度開くまで加圧されたままになる。入口弁の開放は、加圧された流体を上流流体経路へと逆流できるようにし、それが今度は、弾性流体導管904を収縮させる又は圧潰することができるようにする(加圧された状態に対して)。この状況では、検出回路908は、EAPセンサ906の出力を分析し、下流閉塞が発生したことを判定し、警報の生成などの適切な動作をとることができる。
EAPセンサ906の出力をまた監視して、「リザーバの終了」の状態を検出することができることを理解されたい。この点に関して、流体カートリッジモジュール900が空であるとき、流体リザーバのストッパは、その運動距離の限界に達したのでこれ以上動かない。したがって、流体ポンプ機構902は、入口側の負圧を生成し、正常な送達中に経験されるより大きな範囲まで流体導管904を圧潰する(また流体導管904は、公称の形状まで回復しない)。
図20は、EAPセンサ906が、流体カートリッジモジュール900と流体ポンプ機構902との間に存在する上流流体導管を監視するのを示す。この構成は、上流閉塞の検出に有効であり得る(例えば、リザーバの終了の状態)。代替的に又は追加的に、システムは、類似のEAPセンサを使用して、流体ポンプ機構902の下流に位置する下流流体導管の膨張及び収縮を監視することができる。下流流体導管の監視は、下流閉塞を検出する目的のために有効であり得る。
下流閉塞検出:方法3
別の下流閉塞検出方法に従って、電気的スイッチが下流流体流路に組み込まれる。これは、図20を参照して記載された構成のEAP906センサに置き換えることができる。例えば、流体ポンプ機構の下流に存在する流体導管の部分は、導電性である、又はそこに貼り付けられた導電性要素を含む、エラストマー材から製造され得る。導電性要素は、機械的スイッチの1つの端子を表し、他の端子は、流体導管に隣接する好適な位置に位置付けられ得る。
正常かつ期待された流体送達周期の間、エラストマー材は、流体排出段階中にわずかに膨張する。下流閉塞の存在下で、しかしながら、流体ポンプ機構は、実質的により多くの流体圧力を発生させることができる。増大した圧力は、エラストマー材を膨張させる。流体ポンプ機構が動作して流体圧力を増加し続けると、流体導管の導電性要素は、他のS端子に接触し、電気的短絡を生じる。機械的スイッチの閉鎖は、下流閉塞の表示器として好適に設計された検出回路によって検出され得る。
下流閉塞検出:方法4
図21は、流体カートリッジモジュール、流体ポンプ機構、及び流体導管904を有する輸液装置と共に使用するのに好適な光又は音響に基づく閉塞検出システムの例示の実施形態の簡略図である(図20を参照して概ね上述されたように)。図21は、流体導管904の関連する部分を示すためだけに簡略化されている。上述したEAPセンサ906の代わりに(又はそれに加えて)、ここに提示された閉塞検出システムの実施形態は、非接触検知方法を利用する。特定の実施形態では、流体導管904の大部分は、ステンレス鋼などの、流体圧力の変化で皆無かそれに近い変形を呈する剛性の硬い材料920から製造される。流体導管904の少なくとも一部分は、しかしながら、弾性かつ柔軟なコンポーネント922を含む。流体導管904内部の圧力変化に応じてコンポーネント922は、変化する(膨張し収縮する)。
図21に示された閉塞検出システムの実施形態は、コンポーネント922に物理的に接触することなくコンポーネント922の状態の情報取得、観測、ないしは別の方法で検出を行うように好適に構成された検出回路924を含む。検出回路924は、次の検知技術のうち、1つ又は2つ以上を制限なしに利用することができる:光;音響;画像;超音波;赤外線;又は磁気。検出回路924は、コンポーネント922の状態を判定する目的のために(音響、光学、磁気など)の問い合わせ信号928を生成する問い合わせ信号エミッタ926を含み得る。このように、検出回路924は、流体吸込周期、流体排出周期、滞留時間などの間のコンポーネント922の状態を監視し得る。
正常かつ期待された流体送達周期の間、弾性コンポーネント922は、流体吸込周期中に潰れ又は収縮し、(流体排出周期中に)「公称の」形状を迅速に回復し復帰する。図21は、実線を使用してコンポーネント922の収縮状態を示し、破線を使用してコンポーネント922の公称状態を示す。対照的に流体ポンプ機構の流体流路下流が閉塞されている場合、その後コンポーネント922は、潰れない又は収縮しない。検出回路924は、1つ又は2つ以上の適切な非接触検知テクノロジーを使用して、コンポーネント922の状態を判定し、今度は下流閉塞が発生したかどうかを判定する。可撓性コンポーネント922をまた監視して、「リザーバの終了」の状態を検出することができることを理解されたい。この点に関して、流体カートリッジモジュールが空であるとき、コンポーネント922は潰れるが、公称の形状に戻らない。
これらの方法は、ラインの壁部に弾性部分を含み、ライン内の圧力変化に応じて屈曲することができる薬液用のポンプに接続されたラインの閉塞の検出のためのシステムを例示する。センサは、当該部分の湾曲を検出して、ライン内の圧力を監視する。システムは、検出された圧力を閾値圧力と比較して閉塞が発生したかどうかを示すためにコンパレータを更に含んでもよい。検出器は、例えば、図20を参照して上述したように電気活性ポリマーを含んでもよい。検出器は、弾性部分が膨張又は収縮すると、弾性部分により機械的に操作される電気的スイッチを含んでもよい。検出器は、上の図21を参照して記載されるように非接触検知テクノロジーを使用してもよい。例としては、弾性部分は、膨張すると徐々に光検出器を光源から遮蔽するようになる。膨張又は収縮の程度は、次に光の強度を監視することによって読み取られ得る。ポンプの下流を使用する際、弾性部分の膨張は、下流閉塞の指標になる。ポンプの上流を使用する際、弾性部分の陥没又はくぼみは、流体カートリッジモジュールが空であるなどの上流閉塞を示し得る。
下流閉塞検出:方法5
図5〜14を参照して上に詳細に記述されるように、回転流体ポンプ機構は、協調して流体を流体リザーバから引込み、出口導管に流体を送達するロータ及びステータを含む。ステータに対するロータの軸方向変位は、ロータの角度位置と相関している。簡単に言えば、ロータは、正常かつ期待された流体ポンプ周期の間、ステータに対して前後に動く。この節で提示される閉塞検出方法は、流体ポンプ機構の動作中に少なくとも1つの非接触検知スキームを使用してステータに対するロータの位置を監視する。
図22は、位置検知技術を利用する閉塞検出システムの例示の実施形態の簡略図である。図22は、前述の種類の回転流体ポンプ機構のロータ940及びステータ942を示す。ロータ940の回転は、通常、ステータ942に対するロータ940の軸方向変位をもたらす。この軸方向変位は、図22では矢印944によって表されている。前述のとおり、(ロータ940の角度位置に応じた)ロータ940の軸位置は、正常な流体送達状態の間に繰り返し可能かつ予測可能である(図15を参照)。対照的に、ロータ940の軸位置は、下流閉塞の存在下では、閉塞に起因する背圧のために実質的に異なる特性を呈する(図16を参照)。ここで提示される技術は、輸液装置の動作中のロータ及び/又はステータの相対位置を検出し、検出された位置情報を使用して下流流体経路が閉塞されているかどうかを判定する。
図22に示される閉塞検出システムの実施形態は、ロータ940及び/又はステータ942と関連した1つ又は2つ以上の非接触センサと協働する検出回路946を含む。普遍性及び完全性のために、図22は、複数のロータセンサ948及び複数のステータセンサ950を示し、そのそれぞれは、検出回路946と協働して、対応のセンサ信号、測定可能な量、データ、又は閉塞検出のために必要に応じて解析及び処理することができる情報を提供する。特定の実施形態に依存して、閉塞検出システムは、センサ948、950のいずれか1つ、又は2つ若しくはそれ以上のセンサ948、950の任意の好適な組み合わせを利用することができる。
いくつかの実施形態に従って、加速度計が、ロータセンサ948のうち少なくとも1つのために使用される。加速度計データを、検出回路によって処理して、軸方向におけるロータの運動学的量を1つ又は2つ以上計算することができる(例えば、ロータ940の角度位置に応じた軸方向変位速度又は加速度など)。この点に関して、ロータ940の軸流速度/加速度を、正常かつ期待された流体送達周期及び下流閉塞状態の特徴とすることができる。図15及び図16を再度参照すると、ロータ940の軸流速度/加速度は、正常な流体送達期間中は比較的に高く、また下流流体経路が閉塞されているときは比較的に低くなると予想される。検出回路946を、下流閉塞を示し得るロータ940の軸流速度/加速度の変化に反応するように適切に設計し、プログラムすることができる。
特定の実施形態に従って、閉塞検出システムは、光源及び光センサを使用して、センサに対するロータ940の軸位置を監視する。この点に関して、センサ948、950のうち1つ又は2つ以上は、光センサとして実現され得る。あるいは、ロータ940の外側かつステータ942の外側にある1つ又は2つ以上の光センサを使用することができる。代替の実施形態に従って、光センサは、ステータ942(又はロータ940)上に設けられ、反射要素は、ロータ940(又はステータ942)上に設けられる。
更に他の実施形態では、センサ948、950は、所望の非接触検知テクノロジーをサポートするように選択される。この点に関して、次の非接触検知技術のいずれかを、図22に示された閉塞検出システムと共に制限なしに利用することができる:例えば、ホールセンサ構成を使用する磁気検知;ステータ942とロータ940との間の誘導結合に頼る誘導検知;ステータ942とロータ940との間の容量結合に頼る容量検知;赤外線検知;又は光画像。
いくつかの実施形態に従って、閉塞検出システムは、ロータ940と関連した付勢力を測定するように好適に構成され、配置されている力又は圧力センサ954を含む。図5〜8を参照して前述したように、付勢要素を使用してロータ940をステータ942に向けて付勢することができる。センサ954は、力956を測定し、この力は、流体送達周期中、異なり得る。したがって、力956を、正常かつ期待された流体送達周期及び下流閉塞状態の特徴とすることができ、また検出回路946を、下流閉塞を示し得る検出された力プロファイルの変化に反応するように適切に設計し、プログラムすることができる。
下流閉塞検出:方法6
この節で提示される閉塞検出方法は、流体ポンプ機構のロータの軸位置を判定する検知要素としてポテンショメータを利用する。この点に関して、図23は、そこに取り付けられた電気接触子962を有するロータ960の例示の実施形態の簡略化した斜視図であり、また図24は、ロータ960と協働する閉塞検出システムの例示の実施形態の簡略図である。閉塞検出システムはまた、電気接触子962と協働してポテンショメータを形成する可変抵抗器要素964も含む。電気接触子962及び可変抵抗器要素964は、ここで説明された閉塞検出方法をサポートする検出回路966に電気的に結合され得る。実際には、可変抵抗器要素964は、検出回路966のコンポーネントとして実現され得る。更に、可変抵抗器要素964は、そのように所望される場合、流体ポンプ機構のステータと一体化又は結合することができる。
電気接触子962は、ロータ960の外面968から延在する導電性タブ、ブラシ、又は凸部として実現され得る。電気接触子962は、外面968上で、ロータ960が回転するたびに1回可変抵抗器要素964と電気的に接触するような形状、寸法、及び位置にされる。特定の実施形態では、電気接触子962は、可変抵抗器要素964と協働して電圧分配器を形成するように接地される。図23又は図24に図示されていないが、電気接触子962は、導電性トレース、接地ばね、導線、などを使用して接地電位に電気的に結合され得る。
図24は、センサ問い合わせ時間の、即ち、電気接触子962が可変抵抗器要素964に接触しているときのロータ960を示す。ロータ960の角度位置(電気接触子962が可変抵抗器要素964に電気的に結合されるときの)は、流体送達周期の所望の問い合わせ又は標本点に対応する。例えば、電気接触子962を、それぞれの予想される流体排出期間の直後に可変抵抗器要素964と接触するように配置することができる(図15を参照)。流体ポンプ機構の周知の角度位置特性に基づいて特定のタイミングを判定することができる。
図5〜14を参照して前述したとおり、ロータ960は、その角度位置に応じて軸方向に移動する。図24において矢印970は、ロータ960の軸方向変位を表す。電気接触子962がロータ960に対して固定されているので、ロータ960の軸方向変位は、電気接触子962を前後に動かす。正常かつ期待された流体送達周期の間、電気接触子962は、可能な位置の予測可能かつ繰り返し可能な範囲内で可変抵抗器要素964と接触するはずである。結果的に、ポテンショメータの抵抗、及び検出回路966によって検出される測定された量(例えば、電圧)は、正常な送達周期の間、特定の範囲内になるであろう。対照的に、電気接触子962は、下流流体流路が閉塞されているとき、かなり異なる位置で可変抵抗器要素964に接触するであろう。したがって、ポテンショメータの抵抗、及び測定された電圧は、出口流路が閉塞されているとき、正常な値の範囲の外になるであろう。検出回路966を、下流閉塞を示し得るポテンショメータの抵抗の変化に反応するように適切に設計し、プログラムすることができる。
図24は、電気接触子962が、ロータ960上に存在し、可変抵抗器要素964がロータ960の外部にある実施形態を示す。他の実施形態では、可変抵抗器要素964は、ロータ960上に存在し、電気接触子962は、ロータ960の外部にある。どちらの構成が使用されるかに関わらず、動作原理は、同じままである。
下流閉塞検出:方法7
この節で提示される閉塞検出方法は、下流閉塞の有無を示すためのデジタルスイッチとして電気接触子を利用する。この点に関して、図25は、ロータ978(図23及び図24を参照して前述したものと同様)に一体化されている又は貼り付けられている電気接触子976を利用する閉塞検出システムの例示の実施形態の簡略図である。図25に示される閉塞検出システムは、ロータ978の外部にある導電性要素980を含む。導電性要素980は、電気接触子976がロータ978の特定の角度位置(例えば、流体ポンプ機構の流体排出周期の直後の期間に対応する角度位置)で導電性要素980に接触するように位置付けられ、配置されている。
図25は、流体排出周期の後の正常かつ期待された状態を示す。電気接触子976は、導電性要素980と接触することが予想される。対照的に、下流流路が閉塞されている場合、その後電気接触子976は導電性要素980から移動することになる。検出回路982は、閉じた電気接触子(正常な送達状態を示す)と開いた電気接触子(閉塞状態を示す)との間を区別することができる。実際には、したがって、電気接触子976は、接地され得る、ないしは別の方法で適切な基準電圧で保持され得る。いくつかの実施形態では、第2の導電性要素984を利用して閉塞状態を検出することができ、導電性要素984は、ロータ978が閉塞に起因する変化した位置にあるとき、電気接触子976と整列するように位置付けられている。
下流閉塞検出:方法8
この節で提示される閉塞検出方法は、下流閉塞の有無を示す可変抵抗器を有する電気接触子を利用する。この点に関して、図26は、導電性リム992を有するステータ990の簡略化した端面図であり、また図27は、ステータ990と協働する閉塞検出システムの例示の実施形態の簡略図である。図27はまた、ステータ990と協働するロータ994も示す。ロータ994、ステータ990、関連する流体ポンプ機構は、概ね図5〜16を参照して上述された方法で機能する。簡略化及び明確さのために、様々な電気的接続及び検出回路が図27に示されていない。
ステータ990の図示された実施形態は、ロータ994に対向する導電性リム992で終端する(図27を参照)。導電性リム992は、検出回路に電気的に結合されている。ロータ994は、導電性ブラシ、タブ、ばねなどとして実現され得る導電性接触子996を含む。導電性接触子996もまた、検出回路に電気的に結合されている。導電性接触子996は、下流流体流路が閉塞されているかどうかに関わらず流体ポンプ機構の動作中、導電性リム992との物理的かつ電気的な接触を維持する。この点に関して、ロータ994がステータ990に対して回転すると、導電性接触子996は、導電性リム992の円軌道をたどる。
導電性接触子996は、導電性接触子996の抵抗がその物理的圧縮及び/又はたわみに応じて変化するように設計される。ロータ994と導電性リム992との間の間隙が縮まると、導電性接触子996は、より大きく縮む又は歪む。逆に、間隙が増大すると導電性要素は、その公称の形状まで膨張するか又は戻る。したがって、導電性接触子996の抵抗は、ステータ990に対するロータ994の軸方向変位に応じて変化する。導電性接触子996と導電性リム992との間の抵抗を、検出回路によって測定することができ、この検出回路は、下流閉塞を示し得る測定された抵抗の変化に反応するように好適に設計し、プログラムすることができる。例えば、正常かつ期待された動作状態の下で、ロータの角度位置が流体排出周期の直後の期間に対応するとき、検出回路は、特定の範囲に含まれる抵抗測定値を得ることを見込む。下流閉塞がロータ994のステータ990に向かう移動を阻む場合、その後測定された抵抗は、少なくとも閾値量によって異なるであろう。検出回路は、測定された抵抗のそのような検出された変化に対して適切に反応することができる。
図26及び図27に示される構成を、単純なオン/オフ切替え機構として使用するために構成することもできる。この文脈において、検出回路は、導電性接触子996が導電性リム992に電気的に結合されているか否かを検出するように設計され得る。この代替の実装に関して、導電性接触子996及び導電性リム992は、ステータカム要素が基準面上に存在するときだけ電気的に接続されるように構成されている。検出回路は、図17〜19を参照して上述したものと同様の方法で下流閉塞の有無を検出することができる。
下流閉塞検出:方法9
この節で提示される閉塞検出方法は、下流流体経路が閉塞されているかどうかを判定するために分析され得る出力レベルを生成する力センサを利用する。この点に関して、図28は、1つ又は2つ以上の力センサを流体ポンプ機構と協働して利用する閉塞検出システムの例示の実施形態の簡略図である。図28は、概ね図5〜16を参照して上述した方法で機能する流体ポンプ機構のステータ1002、ロータ1004、及び付勢要素1006を示す。図28はまた、ロータ1004とステータ1002との間に位置付けられた力センサ1008、及び付勢要素1006の付勢力を測定することができるように位置付けられた別の力センサ1010も示す。力センサ1008、1010のうち1つ又は両方を、輸液装置の実施形態で利用することができる。力センサ1008、1010は、そこに付与された力に応じて出力レベルを生成するように好適に設計され、構成されており、またその出力レベルは、適切な検出回路1012によって取得され、処理され、分析され得る。
例示した実施形態について、力センサ1008は、ステータ1002によって力センサ1008に対して加えられた力を測定するように位置付けられ、構成されている。したがって、力測定値を取得する必要があるときにステータ1002(又はその物理的特徴)が力センサ1008と相互作用することができるように、力センサ1008は、ロータ1004のフランジ、ショルダー、又は他の構造的特徴上に位置付けられ得る。代替の実施形態では、力センサ1008は、ロータ1004によって力センサ1008に対して加えられた力を測定するように位置付けられ、構成され得る。この点に関して、力測定値を取得する必要があるときにロータ1004(又はその物理的特徴)が力センサ1008と相互作用することができるように、力センサ1008は、ステータ1002のフランジ、ショルダー、又は他の構造的特徴上に位置付けられ得る。
力センサ1010は、付勢要素1006によってロータ1004に対して加えられた力、ロータ1004によって付勢要素1006に対して加えられた力などを測定するように位置付けられ、構成され得る。図28は、付勢要素1006の一端と輸液装置の支持構造体1014との間に結合される力センサ1010を示す。代替の実装では、力センサ1010は、付勢要素1006の他の端部とロータ1004との間に結合され得る。力センサの他の構成及び位置が実施形態で利用され得ること、及び図28に示される構成が制限又は限定されることを意図されていないことを理解されたい。
力センサ1008、1010は、そこに付与された力に応じて反応するように設計されている。この点に関して、力センサ1008、1010の電気的、機械的、磁気的、及び/又は他の測定可能若しくは検出可能な特性は、力センサ1008、1010に加えられた力の量に従って異なる。実際には、力センサ1008、1010は、周知のセンサテクノロジーを実装ないしは別の方法で利用することがある。図28に示されるように、力センサ1008、1010は、輸液装置の検出回路1012に電気的に結合されている少なくとも1本の電気リード線を含む。あるいは、力センサ1008、1010は、無線データ通信テクノロジーを使用して、力に関連したデータを検出回路1012に提供することができる。特定の実装では、力センサ1008、1010は、検出回路1012によって監視及び/又は判定され得る複数の異なる出力レベルを示す又は生成するように好適に構成されている。実際には、力センサ1008、1010から得られる出力レベルは、初めにアナログ電圧又はアナログ電流として伝達され、また検出回路1012は、サンプリングされたアナログ電圧をデジタル表現に変換するアナログデジタル変換器を含む。センサ電圧のデジタル領域への変換は、閾値との比較などの処理のし易さのために望ましい。
特定の実施形態では、力センサ1008、1010は、力センサ1008、1010に加えられる力が変化すると変化する少なくとも1つの可変抵抗器を有する電気機械コンポーネントとして実現される。代替の実施形態では、力センサ1008、1010は、静電容量型センサ、ピエゾ抵抗センサ、圧電センサ、磁気センサ、光センサ、ポテンショメータ、マイクロマシンセンサ、線形トランスデューサ、エンコーダ、歪みゲージなどであり、また検出可能なパラメータ又は特性は、圧縮、剪断力、張力、変位、距離、回転、トルク、力、圧力、などであり得る。実際には、力センサ1008、1010の特性の変化は、測定されるべき物理的パラメータに対応する出力信号特性と関連している。更に、監視された出力信号の範囲及び分解能は、測定値の範囲にわたって所望される数の出力レベル(例えば、異なる状態、値、量、信号、大きさ、周波数、ステップなど)を提供する。例えば、力センサ1008、1010は、加えられた力が比較的低いときに低い又は0の値を、加えられた力が比較的高いときに高い又は最大値を、加えられた力が検出可能な範囲内であるときに中間値を生成し得る。
特定の例示の実施形態では、輸液装置の検出回路1012は、力センサ1008、1010に対する一定の電源電圧を維持し、また力センサ1008、1010の監視された出力信号は、力センサ1008、1010の抵抗材料を通過する信号電流である。したがって、力センサ1008、1010の抵抗は、力によって変化し、力センサ1008、1010に対する電源電圧は一定であるので、信号電流は、力センサ1008、1010に加えられる力の量によって変化する。検出回路1012は、監視された信号電流を信号電圧に変換し、この信号電圧はその後力センサ1008、1010に対して付与された力の指標として使用される(これはステータ1002に対するロータ1004の軸方向変位に応じて変化する)。代替の実施形態では、一定の電源電流を使用し、また力センサ1008、1010に対する信号電圧は力によって変化する。
図5〜16を参照して上述したとおり、(ステータ1002に対する)ロータ1004の軸方向変位は、流体ポンプ機構の各ポンプ周期に対応する予測可能な前後のパターンを呈する。この節で提示される力に基づく方法に関して、力センサ1008、1010は、そこに付与された力に応じて出力レベルを生成し、また力センサ1008、1010は、閉塞検出の目的のために検出回路1012と協働する。この目的のために、検出回路1012は、センサ出力レベルを取得し、処理して、流体ポンプ機構の流体経路下流の閉塞を検出する。ここに記載された例示の方法に従って、力センサ1008、1010を使用して、各流体排出期間後で、かつ次の流体吸込期間の前に力測定値を取得する。更に、力測定値は、出口弁が開いているときに得られる。(図15及び図16を参照)。
正常かつ期待された動作状態の下で、力測定期間の間、付勢要素1006がロータ1004をステータ1002の中へ押し込んで出口弁から流体を放出させるはずであるため、ロータ1004の軸方向変位は、0又は0に非常に近くなるはずである。結果的に、力センサ1008、1010は、期待された出力レベルの範囲に含まれる基準又は公称出力レベルを生成する。力センサ1008を利用する場合、その後、公称出力レベルは、比較的高い力測定値に変換できる。逆に、力センサ1010を利用する場合、その後、公称出力レベルは、比較的低い力測定値に変換できる。
下流閉塞状態の下では、しかしながら、流体圧力は、ステータ1002に向かうロータ1004の軸方向変位を、阻む又は妨げることができる(図16を参照)。結果として、力センサ1008、1010は、期待された出力レベルの範囲外である異常値の出力レベルを生成する。異常値の出力レベルは、下流閉塞を示す。より具体的には、検出回路1012は、異常値の出力レベルの取得に応じて下流閉塞の有無を検出し、判定することができる。例えば、検出回路1012が、特定の閾値基準(例えば、任意の1ポンプ周期又は指定した数の連続ポンプ周期に対して所定の閾値を上回る又は下回る)を満たす異常値の出力レベルを観測した場合、検出回路1012は、下流閉塞が発生したと断定して、その後、適切な動作をとることができる。
力センサ1008を配置すると、その後、下流閉塞は、検出され、正常かつ期待された力測定値(これはより高くなる)と区別され得る比較的低い力測定値に変換できる出力レベルをもたらす。逆に、力センサ1010を使用すると、その後、下流閉塞は、検出され、正常かつ期待された力測定値(これはより低くなる)と区別され得る比較的高い力測定値に変換できる出力レベルをもたらす。どちらの力センサ1008、1010が使用されるかに関わらず、検出回路1012は、異常値の力センサ数値に基づいて下流閉塞を検出したときに、適切に反応することができる。
下流閉塞検出:方法10
この節で提示される閉塞検出方法は、(図5〜16を参照して)上述した流体ポンプ機構は、導電性圧縮ばねを付勢要素506として使用すると仮定する。導電性ばねは、導電性ばねのインダクタンスを測定するように好適に構成されている検出回路に電気的に結合されている。実際には、検出回路は、導電性ばねのインダクタンスを示す数値を得るためにインダクタンス−デジタルコンバータを含むことができる。
導電性ばねのインダクタンスは、その圧縮/伸長と相関している。したがって、測定された導電性ばねのインダクタンスは、ステータに対するロータの軸方向変位に応じて変化するはずである。したがって、下流閉塞が発生したか否かを判定する目的のために、ポンプ周期中の複数の時刻に測定されたインダクタンスを分析することができる。例えば、ロータカム要素が基準面と接触すると予想される各流体排出周期の直後に、導電性ばねのインダクタンスを調べることができる(図15及び図16を参照)。期待された値の範囲に含まれる測定されたインダクタンス値は、正常な動作状態を示す。対照的に、期待された値の範囲外である測定されたインダクタンス値は、下流閉塞を示し得る。
下流閉塞検出:方法11
この節で提示される閉塞検出方法は、下流流体経路が閉塞されているかどうかを判定するために光検出技術を利用する。一実装に従って、光センサ又は検出器は、流体ポンプ機構のロータの露出面上に印刷されている光学的に検出可能なパターン(ドットアレイなど)から情報を取得する。代替の実装に従って、光センサ又は検出器は、ロータの物理構造から情報を取得する。
図29は、光学検知テクノロジーを利用する閉塞検出システムの例示の実施形態の簡略図である。図29は、概ね図5〜16を参照して上述した方法で機能する流体ポンプ機構のステータ1022、及びロータ1024を示す。ロータ1024は、流体ポンプ機構の動作中に開始され得る少なくとも1つの光学的に検出可能な特徴を含む。この点に関して、図28もまた光学的に検出可能な特徴の例示の実施形態を示し、これはロータ1024の露出面1028に位置する光学的に検出可能なパターン1026として実現される。例示した実施形態に関して、光学的に検出可能なパターン1026は、ドットアレイであり、これを露出面1028に印刷する、貼り付ける、又は組み込むことができる。そのように所望される場合、他の種類の光学的に検出可能なパターン1026を使用することができる。
光学的に検出可能なパターン1026を、図29に示されるようにロータ1024のエンドキャップの外周の周りに位置付けることができる。特定の実施形態では、光学的に検出可能なパターン1026は、ロータ1024の角度位置に関わらず、可視である。他の実施形態では、光学的に検出可能なパターン1026は、露出面1028を完全に取り巻く必要はない。そのような実施形態では、光学的に検出可能なパターン1026を、ロータ1024の1つ又は2つ以上の領域に位置付けることができ、その領域は、光検知を必要とするロータ1024の角度位置に対応する。
輸液装置は、適切な光検知処理ロジック及び情報と共に、光エミッタ/センサ要素1032を含む検出回路1030を含む。検出回路1030は、任意の周知の、又は利用可能な光検知又は検出テクノロジーを利用することができ、またそのような従来のテクノロジーは、ここでは詳細に説明されない。例えば、検出回路1030は、光学式マウス周辺機器で一般的に使用されているLED又はレーザー検知テクノロジーを使用することができる。この点に関して、光学式マウスは、ワーク表面から情報を取得する小さなLED及び反射した光を検出するCMOSセンサを含む。センサは、撮像画像データを分析のために信号プロセッサに送信して、画像/パターンが経時的にどのように変化したかを判定する。実際には、検出回路1030は、光学的問い合わせ信号を生成する好適に構成されたエミッタ、及び問い合わせ信号に応じてパターン1026を検出することができる適合するセンサを含み得る。このように、検出回路1030は、任意の一定時間に次のいずれか又は全てを解決することができる:ロータ1024の角度位置;ロータ1024の軸位置/変位;ロータ1024の角速度;ロータ1024の角加速度;軸方向におけるロータ1024の速度;及び軸方向におけるロータ1024の加速度。
特に光学的に検出可能なパターン1026は、露出面1028に対して固定されているので、したがって、光学的に検出可能なパターン1026は、ロータ1024角度位置に応じて、回転し、軸方向に並進する。図5〜16を参照して上に詳細に記述されるように、ロータ1024の1回転は、1ポンプ周期に対応し、またロータ1024は(パターン1026と共に)、正常かつ期待された動作状態の間、軸方向に前後に並進する。したがって、光エミッタ/センサ要素1032は、光学的に検出可能なパターン1026の所望される部分をカバーする、かつロータ1024の軸方向変位の範囲を想到する光検知範囲を含む。これは、流体ポンプ機構の動作中に検出回路1030がパターン1026から光学的に情報を取得し、光検出に応じて動作状態又は流体ポンプ機構の状態を判定することを可能にする。
図5〜16を参照して上述したとおり、輸液装置が正常かつ期待された状態で動作しているとき、ロータ1024は、予測可能な前後方向で軸方向に並進する。次に、光学的に検出可能なパターン1026は、同じ予測可能な方法で軸方向に並進する。検出回路1030は、正常な動作状態を示す、このパターン1026の特有運動を観測するように構成される。この点に関して、検出回路1030は、流体ポンプ機構の動作状態が正常であることを判定することができる。パターン1036を観測して、ロータ1024の角度位置を軸方向変位と相関させる目的のためにロータ1024の回転を検出することもできる(そのように所望される場合)。
下流閉塞状態の下で、ロータ1024は、その公称軸位置に戻らない。換言すれば、下流閉塞に起因する流体圧力は、ロータカム要素が期待されるように基準面に接触するのを阻む。結果的に、各閉塞したポンプ周期の間、光学的に検出可能なパターン1026は、通常期待される特有運動と光学的に区別可能である異なる特有運動に従って軸方向に並進する。したがって、検出回路1030は、異なる特有運動を観測して、流体ポンプ機構の動作状態が下流閉塞に対応することを判定する。
代替の実施形態に従って、ロータの光学的に検出可能な特徴は、検出回路によって観測され得る物理構造(又は構造体)として実現される。この点に関して、図30は、光検出回路(図示せず)と協働する物理的特徴を有するロータ1040の例示の実施形態の簡略化した斜視図であり、図31は、ロータ1040の部分の側面図である。
図30は、流体ポンプ機構の動作中に露出されたままであるロータ1040の部分を、エンドキャップ1042及び非対称の輪郭を有するテーパ部1044(図31を参照)を含んで示す。テーパ部1044は、上述した検出回路1030などの検出回路によって光学的に情報を取得され得るロータ1040の1つの物理構造を表す。テーパ部1044は、ロータ1040の一体化した部分として実現され得るか、又はロータ1040のシャフトに取り付けられている別個のコンポーネントであり得る。光学的検出可能な物理構造は、代替の方法で形状、寸法、及び構成が決められてもよいこと、並びに図30及び図31に示される概ね円錐のテーパ部1044は、好適な実装の単なる一例であることを理解されたい。
ロータ1040が軸方向に移動するとき、テーパ部1044の異なる区域が観測されるように、光学的問い合わせ信号を特定の位置に集束することができる。例えば、ロータ1040がその公称基準位置に戻ると(流体排出直後)、テーパ部1044の狭い部分1046を観測することができ、流体吸込周期中にロータ1040が軸方向に移動すると、テーパ部1044の広い部分1048を観測することができる。
検出回路は、テーパ部1044の異なる幅を検出するように、そしてロータ1040の検出された幅及び角度位置に基づき下流流体経路が閉塞されているか否かを判定するように、設計され得る。あるいは、検出回路は、テーパ部1044の露出面と光エミッタとの間の距離を検出するように、そしてロータ1040の検出された距離及び角度位置に基づき下流流体経路が閉塞されているか否かを判定するように、設計され得る。
ロータ1040はまた、エンドキャップ1042の周辺部の周りに位置付けられたタブ1050などの別の光学的に検出可能な物理的特徴も含み得る。検出回路は、ロータ1040の回転を検出する目的でエンドキャップ1042の周辺部から情報を取得するために第2の光エミッタ/センサを含み得る。この点に関して、タブ1050は、ロータ1040の回転ごとに1回光学的に検出される。とりわけ、タブ1050は、ロータ1040の回転中に下流閉塞が発生したか否かを検出回路が効果的に判定することができるように、検出回路の所望のタイミング特性、期待される軸方向並進特性、及びテーパ部1044の構成に従って、ロータ1040上の特定の位置に位置付けられ得る。
上流閉塞検出(リザーバの終了検出)
図1〜4を参照して前述したように、輸液装置は、流体リザーバを有する流体カートリッジモジュール104と協働する。流体リザーバは、各流体吸込周期中に流体ポンプ機構によって生じた負圧によって引き上げられる液密プランジャ、ピストン、又はストッパを有する。負圧は、薬剤流体を流体リザーバから入口導管を通じて、そして流体ポンプ機構の中へ引き抜く。ピストンが流体リザーバでスタックすると、次いで流体ポンプ機構は、流体をリザーバから引き出せなくなる。この故障状態は、流体ポンプ機構内へ通じる流体流路を、効果的に遮断するので上流閉塞として既知である。同様に、流体リザーバが空である場合、次に流体ポンプ機構は、流体を引込むのではなく真空を引っ張ることになる。リザーバが空であるとき、患者は期待される量の薬剤流体を受容しないので、この状態も、上流閉塞と見なされ得る。
以下の節は、空の流体リザーバ(上流閉塞とも呼ばれる)を検出するための様々な技術及びテクノロジーに関連する。これらの技術は、薬剤注入装置の安全性を高めることが望ましい。ここで説明された特に流体ポンプ機構に関して、リザーバの終了検出は、次の一般的な方法のうち1つ又は2つ以上を制限なしに使用することができる:(1)ストッパが終了位置に到達したことを検出すること;(2)流体ポンプ機構が、流体を引込むのではなく真空を引っ張ることを検出すること;(3)リザーバの長さにわたるストッパ位置の測定;及び(4)ステータに対するロータの軸方向変位特性を観測すること。
上流閉塞検出:方法1
この節で提示される上流閉塞検出方法は、流体リザーバのストッパがその終了位置又はその近傍にあるときに、それを検出するセンサに頼る。この点に関して、図32は、薬剤流体1062が流体リザーバ1060内に残っているときの、流体リザーバ1060から情報を取得するリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図であり、図33は、流体リザーバ1060が空であるときの、システムの簡略図である。流体リザーバ1060は、導管1065を介して流体ポンプ機構1064に結合される。流体ポンプ機構1064は、図5〜16を参照して上述されたように設計され、構成され得る。
流体リザーバ1060は、バレル1066及びバレル1066の内壁と共に液密シールを作製するストッパ1068を含む。ストッパ1068は、薬剤流体1062が引き出されると、バレル1066内でスライドするように形状、寸法、及び構成を決められる。上述のように、流体ポンプ機構1064は、各流体吸込周期中に負圧を発生させ、またその負圧によって、薬剤流体1062が流体ポンプ機構1064のチャンバに入る。この作用はまた、ストッパ1068をバレル1066内で(図32及び図33の右側へ)移動させる。
図32及び図33に示されるシステムの実施形態は、ストッパ1068がその終了位置に接近及び/又は到達する際に、ストッパ1068の位置について情報を取得する、観測する、ないしは別の方法で検出するように好適に構成されている検出回路1070を含む(図33に示される)。したがって、特定の実施形態では、バレル1066は、検出回路1070の動作に対応するように透明又は半透明である。検出回路1070は、次の検知技術のうち、1つ又は2つ以上を制限なしに利用することができる:光;音響;画像;超音波;赤外線;又は磁気。検出回路1070は、ストッパ1068が、「リザーバの終了」状態に対応するその終了位置に到達したときに、それを判定する目的のために問い合わせ信号(音響、光、磁気など)を生成する問い合わせ信号エミッタ1072を含み得る。いくつかの実施形態では、ストッパ1068は、ストッパ1068がその終了位置に到達したときに、検出回路1070によって迅速かつ容易に検出することができるインデックス機能を含み得る。特定の実装に依存して、インデックス機能は、制限なしに次のものであり得る:可視マーキング;へこみなどの物理的特徴;着色した領域;電気的、磁気的、又は誘導的に検出可能なセンサ要素;又は同種のもの。
検出回路1070は、ストッパ1068が終了点に到達した(又は終了点付近にある)と判定すると、適切な動作をとることができる。例えば、検出回路1070は、ユーザー又は介護人向けの警報、アラーム、又はメッセージを開始することができる。更に、検出回路1070を、流体ポンプ機構1064の動作中にストッパ1068の動き(又はその欠如)を監視するように好適に構成して、ポンプ周期に応じて期待されたかつ通常の方法でストッパ1068が移動しているか否かを判定することができる。この点に関して、検出回路1070を利用して、ストッパ1068がバレル1066内で凍結したか否か、ストッパ1068の動きが妨げられたか否かなどを調べることができる。
上流閉塞検出:方法2
この節で提示される上流閉塞検出方法は、流体リザーバのストッパがその終了位置又はその近傍にあるときに、それを検出する機械的スイッチに頼る。この点に関して、図34は、機械式スイッチの概念を実装するリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図である。図34に示される実施形態は、出口導管1080を、スイッチ1082の1コンポーネントとして使用する。出口導管1080は、流体リザーバ1086と協働する入口端部1084、流体ポンプ機構(図示せず)と流体連通する出口端部1088、及び入口端部1084と出口端部1088との間のスイッチ接触部1090を有する。流体リザーバ1086は、前の節で説明した方法で薬剤流体を流体ポンプ機構に供給する。流体ポンプ機構が機能する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
出口導管1080の入口端部1084は、流体リザーバ1086のセプタム1092を貫通するように設計される。入口端部1084は、流体リザーバ1086のバレルに入って、バレル内の薬剤流体との流体連通を確立する。直前の節で説明したように、流体リザーバ1086のストッパ1094は、ポンプ周期中に入口端部1084に向かって引っ張られる。最終的に、ストッパ1094は、図34に示される終了位置に到達する。終了位置又はその付近で、ストッパ1094は、出口導管1080の入口端部1084に物理的に接触し、また終了位置に向かうストッパ1094の連続的な動きによって、出口導管1080のスイッチ接触部1090がスイッチ接触パッド1096に向かってたわむ。図34は、スイッチ接触部1090のたわんだ状態を破線で示す。
スイッチ接触パッド1096を、回路基板1098又は任意の好適な構造体に取り付けることができる。出口導管1080のスイッチ接触部1090は、導電性材料から形成される。スイッチ接触パッド1096もまた、導電性材料から形成される。これらの2つのコンポーネントは、協調して機械的スイッチを形成する(簡略化及び明確さのために、電気的接続及びリード線は、図34に示されていない)。回路基板1098を、スイッチ接触部1090がスイッチ接触パッド1096に接触したときにそれを検出する好適に設計された検出回路と共に利用してもよい。換言すれば、検出回路は、スイッチ1082が開いているか閉じているかを検出する。スイッチ1082が開いている場合は、検出回路は、流体リザーバ1086が空ではないと判定する。逆に、スイッチ1082が閉じている場合は、検出回路は、流体リザーバ1086が「リザーバの終了」状態にあると判定する。検出回路は、スイッチ1082の閉鎖を検出すると、適切な動作をとることができる。例えば、検出回路は、ユーザー又は介護人向けの「リザーバの終了」警報、アラーム、又はメッセージを開始することができる。
上流閉塞検出:方法3
この節で提示される上流閉塞検出方法は、導電性流体リザーバストッパ(又は導電性領域を有するストッパ)を使用する。この点に関して、図35は、流体リザーバ1104の導電性ストッパ1102を利用するリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図である。流体リザーバ1104は、薬剤流体を上述した種類の流体ポンプ機構に供給する。流体ポンプ機構が機能し、流体リザーバ1104と協働する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
輸液装置は、入口端部1108及び出口端部1110を有する出口導管1106を含む。入口端部1108は、流体リザーバ1104のセプタム1112を貫通するように設計されており、また出口端部1110は、流体ポンプ機構と流体連通している。入口端部1108は、流体リザーバ1104のバレルに入って、バレル内の薬剤流体との流体連通を確立する。輸液装置はまた、導電性針1114も含む。針1114は、流体リザーバ1104のバレルの中に入るためにセプタム1112を貫通するように設計されている接触端1116を有する。出口導管1106及び針1114は、好適に構成された検出回路(図示せず)に電気的に接続されている。例えば、針1114を、負電圧端に接続することができ、また出口導管1106を、正電圧端に接続することができる(逆もまた同様)。
上述のように、流体リザーバ1104のストッパ1102は、ポンプ周期中に、出口導管1106の入口端部1108に向かって移動する。最終的に、ストッパ1102は、終了位置(図35に示される)に到達し、出口導管1106の入口端部1108及び針1114の接触端1116と接触する。とりわけ、出口導管1106及び針1114と接触するストッパ1102の区域は、導電性である。実際には、ストッパ1102を、導電性材料から製造することができるか、又は導電性フィルム若しくはパッチをストッパ1102の頂部に貼り付けることができる。ストッパ1102が、図35に示される終了位置に到達すると、出口導管1106は、針1114に短絡される。この作用は、(直前の節に記述したような)スイッチの閉鎖と類似であり、検出回路によって監視され、検出され得る。したがって、流体リザーバ1104が空ではない場合は、ストッパ1102は、針1114及び出口導管1106にわたって短絡を発生させない。逆に、ストッパ1102がその終了位置に到達すると、針1114は、出口導管1106に短絡され、そして検出回路は、流体リザーバ1104が「リザーバの終了」状態にあると判定する。検出回路は、この状態を検出すると、適切な動作をとることができる。例えば、検出回路は、ユーザー又は介護人向けの「リザーバの終了」警報、アラーム、又はメッセージを開始することができる。
上流閉塞検出:方法4
この節で提示される上流閉塞検出方法は、流体リザーバに印加される励起信号を利用して、リザーバ内に残っている流体の容積を判定する。この点に関して、図36は、本明細書で前述した種類の流体リザーバ1120の状態を分析するために使用され得るリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図である。流体リザーバ1120は、薬剤流体を上述した種類の流体ポンプ機構に供給する。流体ポンプ機構が機能し、流体リザーバ1120と協働する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
流体リザーバ1120をホストする輸液装置は、励起信号発生器1122及び関連したセンサ1124を含む、制御する、ないしは別の方法でそれらと協働する、好適に構成された検出回路(図示せず)を含む。励起信号発生器1122は、励起信号を流体リザーバ1120に印加する目的のために流体リザーバ1120と結合され得る。励起信号は、例えば、流体リザーバ1120の共振又は他の反応を測定するために好適である特定の周波数又は特定の周波数スペクトルを有する振動信号であり得る。流体リザーバ1120の共振は、流体リザーバ1120内に残っている流体の容積及び/又は質量によって影響を受ける。実際には、流体リザーバ1120の共振は、経験的に判定され得る、ないしは別の方法で検出回路をプログラミングする目的のために特徴とされ得る。したがって、検出回路は、応答信号を適切に取得し分析して、流体リザーバ1120が空であるか否かを判定することができる。応答信号が空のリザーバを示す場合は、検出回路は、例えばユーザー又は介護人向けの「リザーバの終了」警報、アラーム、又はメッセージを開始するなどの、適切な動作をとることができる。
上流閉塞検出:方法5
この節で提示される上流閉塞検出方法は、力センサを使用して流体リザーバストッパの位置を測定する。この点に関して、図37は、輸液装置の流体リザーバ1130のためのリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図である。流体リザーバ1130は、薬剤流体を上述した種類の流体ポンプ機構に供給する。流体ポンプ機構が機能し、流体リザーバ1130と協働する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
流体リザーバ1120をホストする輸液装置は、力センサ1134を含む、制御する、ないしは別の方法でそれと協働する、好適に構成された検出回路1132を含む。力センサ1134は、図28を参照して上述されたように構成され得る。力センサ1134を使用して、流体リザーバ1130のストッパ1138に結合されている付勢要素1136(ばねなど)によって付与された力を測定することができる。付勢要素1136の張力特性は、付勢要素1136がストッパ1138を独立して動かすことができないように選択される。換言すれば、付勢要素1136によって付与された力は低すぎてストッパ1138の静止摩擦に打ち勝てないので、付勢要素1136は、ストッパ1138を作動させる又はさもなければ流体リザーバ1130から流体を送達するのに利用されない。むしろ、ストッパ1138は、上に詳細に記述されるように流体ポンプ機構の正常運転に起因する負の流体圧力に応じてのみ移動するように設計される。結果的に、付勢要素1136を厳密に利用して流体リザーバ1130内のストッパ1138の位置に対応する力測定値を提供する。
検出回路1132によって得られたないしは別の方法で処理された力測定値は、ストッパ1138の位置に応じて変動する。流体リザーバ1130が満たされているとき、ストッパ1138は、流体リザーバ1130の基端又はその近傍に位置しており、したがって、力センサ1134によって検出されたばね力は、比較的高い。逆に、流体リザーバ1130が空であるとき、ストッパ1138は、流体リザーバ1130のネック付近にあるその終了位置に位置している。ストッパ1138が終了位置にあるとき、力センサ1134によって測定されたばね力は、比較的低い。したがって、検出回路1132は、力センサ1134の出力を適切に取得し分析して、流体リザーバ1130が空であるか否かを判定することができる。測定された力が空のリザーバを示す場合は、検出回路1132は、例えばユーザー又は介護人向けの「リザーバの終了」警報、アラーム、又はメッセージを開始するなどの、適切な動作をとることができる。
上流閉塞検出:方法6
この節で提示される上流閉塞検出方法は、圧力センサを使用して流体リザーバストッパの位置を測定する。この点に関して、図38は、輸液装置の流体リザーバ1144のためのリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図である。流体リザーバ1144は、薬剤流体を上述した種類の流体ポンプ機構に供給する。流体ポンプ機構が機能し、流体リザーバ1144と協働する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
流体リザーバ1144をホストする輸液装置は、圧力センサ1148を含む、制御する、ないしは別の方法でそれと協働する、好適に構成された検出回路1146を含む。圧力センサ1148は、流体リザーバ1144と関連している密閉容積1150の圧力のわずかな変化を検出するように設計されている。この点に関して、図38は、密閉容積1150から圧力センサ1148へと通じるベント1152を模式的に示す。ベント1152は、圧力センサ1148が、輸液装置の動作中に密閉容積1150内部の圧力を監視できるようにする。
密閉容積1150は、好適に構成された輸液装置の構造体によって画定され得る。単なる1つの可能な実装である、例示した実施形態は、流体リザーバ1144の基部を少なくとも部分的に取り巻く壁構造体1154を含む。気密密封要素1156(Oリング又はガスケットなど)を使用して、流体リザーバ1144の外側表面に対して壁構造体1154を封止することができる。密閉容積1150は、そのように所望される場合、追加の構造体又はコンポーネントを使用して任意の適切に画定され得ることを理解されたい。更に、密閉容積1150の形状及び寸法は、実施形態ごとに異なり得る。
検出回路1146によって得られたないしは別の方法で処理された圧力測定値は、流体リザーバ1144のストッパ1158の位置に応じて変動する。実際には、システムは、密閉容積1150が輸液装置の正常運転に悪影響を及ぼさないように、設計され構成される。例えば、密閉容積1150は、流体ポンプ機構の流体吸込工程に起因する、ストッパ1158の動きを妨げるべきではない。
流体リザーバ1144が満たされているとき、ストッパ1158は、流体リザーバ1144の基端又はその近傍に位置しており、したがって、密閉容積1150は、比較的小さい。結果的に、圧力センサ1148から得られた圧力は、比較的高くなる。逆に、流体リザーバ1144が空であるとき、ストッパ1158は、流体リザーバ1144のネック付近にあるその終了位置に位置している。ストッパ1158が終了位置にあるとき、密閉容積1150は、比較的大きく、したがって、圧力センサ1148から得られた圧力は、比較的低くなる。したがって、検出回路1146は、圧力センサ1148の出力を適切に取得し分析して、流体リザーバ1144が空であるか否かを判定することができる。測定された密閉容積1150の圧力が空のリザーバを示す場合は、検出回路1146は、例えばユーザー又は介護人向けの「リザーバの終了」警報、アラーム、又はメッセージを開始するなどの、適切な動作をとることができる。
上流閉塞検出:方法7
この節で提示される上流閉塞検出方法は、流体リザーバストッパの位置を判定するためにインダクタンスを測定する。この点に関して、図39は、輸液装置の流体リザーバ1162のためのリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図である。流体リザーバ1162は、薬剤流体を上述した種類の流体ポンプ機構に供給する。流体ポンプ機構が機能し、流体リザーバ1162と協働する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
流体リザーバ1162は、導電性ターゲット1166が一体化された(又は貼り付けられている)ストッパ1164を備えている。ターゲット1166は、図39に示されているが、代わりにストッパ1164の本体に組み込まれてもよく、したがって、隠されていてもよい。ターゲット1166の形状、寸法、及び構成は、概略的形状でターゲット1166を単に示す図39に示されたものとは異なり得る。ターゲット1166は、流体リザーバ1162の外側であるがごく近接して存在する導電性コイル要素1168と協働する。流体リザーバ1162をホストする輸液装置は、コイル要素1168を含む、制御する、ないしは別の方法でそれと連通する、好適に構成された検出回路1170を含む。より具体的には、検出回路1170が、輸液装置の動作中にコイル要素1168の電気的インダクタンスを監視し測定することができるように、検出回路1170は、コイル要素1168の端子に接続される。
ターゲット1166及びコイル要素1168は、コイル要素1168のインダクタンスが(測定可能な方法で)ストッパ1164の位置に応じて変化するように好適に構成されている。したがって、検出回路1170は、ストッパ1164が流体リザーバ1162の基部から終了位置まで移動すると可変インダクタンスを観測する。測定されたインダクタンスは、ストッパ1164の位置と相関し得て、またストッパ1164の終了位置に対応するインダクタンスは、リザーバの終了状態を検出する目的のために特徴とされ得る。測定されたコイル要素1168のインダクタンスが空のリザーバを示す場合は、検出回路1170は、例えばユーザー又は介護人向けの「リザーバの終了」警報、アラーム、又はメッセージを開始するなどの、適切な動作をとることができる。
上流閉塞検出:方法8
この節で提示される上流閉塞検出方法は、流体リザーバストッパの位置を判定するためにキャパシタンスを測定する。この点に関して、図40は、輸液装置の流体リザーバ1176のためのリザーバの終了検出システムの例示の実施形態の簡略図である。流体リザーバ1176は、薬剤流体を上述した種類の流体ポンプ機構に供給する。流体ポンプ機構が機能し、流体リザーバ1176と協働する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
ここに記載されたシステムは、検出回路1178を使用して、第1のキャパシタ電極1180と第2のキャパシタ電極1182との間のキャパシタンスを測定する。とりわけ、検出回路1178によって測定されたキャパシタンスは、流体リザーバ1176に残っている流体の量と相関している。結果的に、検出回路1178によって測定されたキャパシタンスはまた、流体リザーバ1176のストッパ1184の位置とも相関している。
図40は、この説明の目的のために電極1180、1182を模式的に示す。実際には、電極1180、1182を、検出回路1178への電気的結合に対応する方法で流体リザーバ1176のバレルに組み込む又は取り付けることができる。特定の実施形態では、電極1180、1182は、流体リザーバ1176の取り付けられた位置にごく近接して保持されている構造体(回路基板など)の上に位置している。電極1180、1182は、導電性トレース、金属膜などとして実現され得る。
検出回路1178が、輸液装置の動作中に電極1180、1182間のキャパシタンスを監視し測定することができるように、検出回路1178は、電極1180、1182に接続されている。流体が流体リザーバ1176から枯渇すると、流体リザーバ1176の誘電特性の変化が原因で、電極1180、1182間のキャパシタンスは、(検出可能な方法で)変化する。したがって、検出回路1178は、流体が流体リザーバ1176に存在すると、可変キャパシタンスを観測する。測定されたキャパシタンスは、ストッパ1184の位置及び/又は流体リザーバ1176に残っている流体の量と相関し得て、またストッパ1184の終了位置に対応するキャパシタンスは、リザーバの終了状態を検出する目的のために特徴とされ得る。測定されたキャパシタンスが空のリザーバを示す場合は、検出回路1178は、例えばユーザー又は介護人向けの「リザーバの終了」警報、アラーム、又はメッセージを開始するなどの、適切な動作をとることができる。
このようにして、図32〜40を参照して上述された上流閉塞検出方法1〜8は、リザーバのストッパの位置を測定することによって上流閉塞を検出することができるシステムを例示している。ストッパが最も前方の位置に到達するとき、これは、リザーバが空である指標であり、ポンプに関する限り上流閉塞に対応する。このシステムは、したがって、バレルによって画定された、かつストッパによって一端が閉じたリザーバを備える薬剤流体のためのポンプシステムを例示する。リザーバは、導管を介して注入ポンプにつながる他端に出口を有する。ストッパは、バレルが流体で満たされているときの出口から離間した後方位置と、バレルが空であるときの出口に近い前方位置との間のバレル内で移動可能である。システムは、それによってバレルが空であることを示す前方位置、又はバレルの充填の指標を与える中間位置のどちらかでのストッパの存在を検出するための装置を備えている。一実施形態では、出口は、出口においてセプタムを通過する針を含み、その針は、バレルの外側にある針によって操作可能なスイッチがある前方位置にストッパが着くと、ストッパとの接触によって軸方向に移動して、スイッチが作動したときにバレルが空であることを示すように位置付けられている。あるいは、ストッパ及び針は、ストッパが針に接触したときに電気的回路を閉じる導電性であり得る。他の構成では、針の側にある第2の接触子は、ストッパの存在によってブリッジされる。リザーバの外側からインダクタンスによって検出される、又はバレルにまたがるキャパシタのプレート間の液体若しくはストッパの検出を目的とする、ストッパの後方の位置からストッパまで伸びるばねの力、ピストンの後ろにあるチャンバ内の気体の圧力、ストッパ内の強磁性又は導電性材料の誘導的性質を測定することによって、ストッパの中間位置を検出することができる。バレル内の液体の検出は、ストッパに対して後方にバレルを励起すること及びストッパの前方の励起を検出することによって行われ得る。励起及び検出が双方隣接するとき、励起トランスデューサと受信トランスデューサとの間の非液体充填部分の伝達は、より良好なインピーダンス整合のために改善される。
上流閉塞検出:方法9
この節で提示される上流閉塞検出方法は、輸液装置が上述した種類の流体ポンプ機構を使用すると仮定する。この方法は、ロータが流体排出周期中に移動するとき、その軸流速度を測定又は計算し、また上流閉塞(例えば、流体リザーバの終了)が発生したか否かを判定する。この点に関して、図41は、回転流体ポンプ機構を有する輸液装置に実装され得るリザーバの終了検出システム1200の例示の実施形態の概略ブロック図である。明確さ及び簡略化のために、流体ポンプ機構及び流体リザーバは、図41に示されていない。更に、流体ポンプ機構が機能し、流体リザーバと協働する方法を、ここでは重複して詳細に説明しない。
システム1200は、制限なしに次を含む:検出回路1202;軸位置センサ1204(又は検知システム);及び角度位置センサ1206(又は検知システム)。軸位置センサ1204は、ロータの軸位置データを取得するように設計され構成されており、軸位置データは、流体ポンプ機構の動作中のロータの軸位置又は変位を示す。軸位置センサ1204の動作原理は、実施形態ごとに異なってもよい。この点に関して、軸位置センサ1204は、図22〜31を参照して上述されたもののいずれかを制限なしに含む、本明細書に記載された位置検出技術及び方法のいずれかを利用することができる。角度位置センサ1206は、ロータの角度位置データを取得するように設計され構成されており、角度位置データは、任意の好都合な参照点に対するロータの回転位置を示す。実際には、ロータの角度位置は、角度測定値に対応する度又は任意の適切な単位で表され得る。特定の実施形態では、角度位置センサ1206は、次にロータを回転させる駆動モータの動作を監視するデジタルエンコーダ又はカウンタとして実現され得る。
軸位置センサ1204及び角度位置センサ1206が実装されている方法に関わらず、処理及び分析のために対応のセンサデータ又は情報が検出回路1202によって得られる。より具体的には,検出回路1202は、センサデータを処理して流体ポンプ機構の閉塞上流が発生したか否かを判定することができる。判定は、センサデータの特定の検出可能な特性に基づいており、検出回路1202は、流体ポンプ機構が、期待されるとおりに動作していて、流体を流体リザーバから引込み、患者に送達するために流体を放出するかどうか、又は上流閉塞が、流体ポンプ機構の流体引込みを阻んでいるかどうかを判定することができる。前述したように、上流閉塞は、入口流体流路が遮断されているとき又は流体リザーバが空である(及びリザーバのストッパが終了位置に到達した)ときに検出され得る。
検出回路1202は、流体排出周期中にロータの軸流速度を計算する、ないしは別の方法で取得する。図15を再度参照すると、プロットの区間820は、ロータが付勢要素の力の下でステータの中に正常に「跳ね返る」流体排出期間を表す。この期間中のロータの速度を、正常かつ期待された動作状態の下で特徴とし、予測することができる。区間820の勾配は、ロータの軸流速度を示すことを理解されたい(緩やかな勾配は、より低い速度に対応し、またより急な勾配は、より速い速度に対応する)。上流閉塞が存在する場合は(例えば、流体リザーバが空であり、リザーバのストッパが終了位置に到達した)、次いで流体ポンプ機構は、真空を引っ張る。結果的に、流体吸込期間中(図15でプロットの区間816に対応する)に真空は、付勢力の同じ方向に追加的な力を生じる。この追加的な力は、流体排出周期中のロータの軸流速度を上昇させる。
図42は、上流閉塞状態のロータ軸位置対ロータ角度位置のプロット1210を含むグラフである。図42はまた、閉塞がない正常かつ期待された動作状態に対応するプロット1212も含む。図42が例証するように、2つのプロット1210、1212は、ポンプ周期の流体吸込期間1214中におおよそ同じ特性を呈する。ポンプ周期の流体排出期間1216中は、しかしながら、2つのプロット1210、1212は、互いに離れる。上述のように、プロット1212は、排出期間1216中のより緩やかな勾配を特徴とし、この緩やかな勾配は、ロータの公称軸流速度を示す。対照的に、プロット1210は、排出期間1216中のより急な勾配を特徴とする。より急な勾配は、この期間中のロータのより高い軸流速度を示す。再度、流体ポンプ機構の閉塞上流によって作られた真空状態は、流体排出期間中のロータの軸流速度を上昇させる(正常な流体送達動作中に経験した公称軸流速度に対して)。
検出回路1202を、好適に構成しプログラムして、収集された軸位置及び角度位置センサデータを図42で可視化された比較と一致する方法で分析する。例えば、検出回路1202は、流体排出期間中の平均又は最大ロータ軸流速度を計算し、それから計算された速度を所定の閾値の軸流速度値と比較することができる。計算された軸流速度が閾値を超えた場合、その後検出回路1202は、上流閉塞が検出されたと断定することができる。とりわけ、検出回路1202は、角度位置データを考慮して、ロータの軸流速度を周期の流体排出フェーズ中(他の時ではなく)に分析するように、ポンプ周期のタイミングを決定することができる。検出回路1202を、必要に応じてプログラムして、流体排出期間中のロータの軸流速度の変動を正確に特徴付けることができる。この点に関して、正常動作状態の下で、流体排出期間は、ロータの公称軸流速度を特徴とし、また上流閉塞状態の下で、流体排出期間は、ロータの異なる軸流速度を特徴とし、それはロータの公称軸流速度より高い。
検出回路1202は、任意の好適な方法又はアルゴリズムを使用して判定を行うことができることを理解されたい。例えば、検出回路1202は、ロータの角度回転に応じてロータの軸位置を判定し、反応の勾配を計算し(図42に示されたものと同様)、計算された勾配を所定の閾値の勾配値と比較することができる。代替の実施形態では、検出回路1202は、加速度計データを利用して、流体排出期間中にロータがステータに向かって移動するときのロータの速度を直接測定し、測定された速度を閾値と比較することができる。これら及び他の技術は、この開示によって想到される。
上流閉塞検出:方法10
この節で提示される上流閉塞検出方法は、輸液装置が上述した種類の流体ポンプ機構を使用すると仮定する(即ち、ステータ及び駆動モータによって駆動される協働ロータを有するもの)。この節で提示される上流閉塞検出方法は、駆動モータのモータ電流を分析して、動作状態又は輸液装置の状態を判定する。図15を再度参照すると、1ポンプ周期は、流体吸込期間(プロットの区間816によって表される)、短い滞留期間(プロットの区間818によって表される)、流体排出期間(プロットの区間820によって表される)、及び別の滞留期間(プロットの区間822によって表される)を含む。図5〜15を参照して上述したように以下のとおりである:ロータカム要素722は、流体吸込期間中及びプロットの区間818に対応する滞留期間中にステータカム要素706に沿って移動する;ロータカム要素722は、流体排出期間中にステータカム要素706から係合解除し、基準面736に向かって移動する;またロータカム要素722は、プロットの区間822に対応する滞留期間中に基準面736に沿って移動する。ロータの連続的な回転は、このポンプ周期の反復をもたらす。
この節で説明される方法は、駆動モータ138がDCモータであること、及び駆動モータ138の電流消費を、駆動モータがロータを駆動する際に監視し測定することができることと仮定する。DCモータの電流消費は、出力トルク及び回転速度に比例する(トルクが増大すると、引込み電流が増大し、回転速度が減少する)ことは確立している。したがって、ロータカム要素722が基準面736上を移動していて、かつ加えられた付勢力がより低いとき(図15でプロットの区間814、822)、モータ電流は、やや安定して平坦かつ比較的低い。対照的に、ロータカム要素722がステータカム要素706と係合すると、付勢ばね力は増大し、それが今度はカム要素間の摩擦を増大させる。正味の影響は、駆動モータからの駆動電流の消費及びトルク出力の増大である。駆動電流は、ロータカム要素722がステータカム要素706のプラトーに到達したときにピークに達し、そして次にロータカム要素722がプラトーにわたって移動し続けるにつれて徐々に減少する。ロータカム要素722がステータカム要素706から係合解除(即ち、ロータカム要素722がプラトーから落下)した後、駆動電流は、比較的低いかつ安定した基準レベルに戻る。
輸液装置は、駆動モータの電流を監視し分析する好適に構成された検出回路を含むことができる。電流は、時間、ロータの角度位置、モータ位置などに応じて分析され得る。検出回路は、測定されたモータ電流を、保存された電流プロファイル又は応答曲線と比較して、流体ポンプ機構が正常かつ期待されたやり方で動作しているか否か、上流閉塞が発生したか否か、下流閉塞が発生したか否かなどを判定することができる。例えば、流体リザーバが空である場合(又は上流流体流路が遮断されている場合)は、次にモータ電流は、測定できる程度に上述したものとは異なる特性を呈するだろう。この点に関して、空のリザーバ又は上流閉塞によって作られた真空は、(駆動モータ138が、真空によって生じた力に打ち勝つ必要があるため)流体吸込期間中に出力トルクを増大させるだろう。したがって、測定されたモータ電流は、流体ポンプ機構の非閉塞動作と関連した正常なモータ電流特性に対して、流体吸込期間中により急な上昇及びより高い最大値を呈するだろう。検出回路は、測定されたモータ電流でこの種の特徴的な違いを観測した場合に適切な動作をとるように設計することができる。この節で提示される方法はまた、そのように所望される場合、下流閉塞の存在を検出するのに利用することもできることを理解されたい。
上流閉塞検出:方法11
この節で提示される上流閉塞検出方法は、輸液装置が図5〜14を参照して概ね上述した種類の流体ポンプ機構を使用すると仮定する。弁の開閉に関するタイミングは、しかしながら、わずかに異なって閉塞検出に対応する。結果的に、図15及び図16に示されるプロットは、ここに提示された実施形態に適合しない。更に、この節で提示された実施形態のうち少なくとも1つは、上流閉塞検出に加えて(又はその代わりに)下流閉塞検出のために利用され得る。
図15を参照して上述された実施形態は、ステータカム要素がロータカム要素を係合解除するとき、又はステータカム要素がロータカム要素を係合解除する直前に第2の弁(即ち、出口弁)が開くような弁時期を使用する。換言すれば、ロータカム要素の終端の角度位置は、図15に示されるプロットの区間818の右端に対応する。結果的に、区間818のほとんどの間、両方の弁は閉じたままであり、第2の弁は、ステータカム要素のロータカム要素との係合解除と共に開く。
上述された弁時期と対照的に、この節に記載された実施形態は、第2の弁の開放を遅らせる修正された弁時期を利用する。この点に関して、図43は、流体ポンプ機構の様々な動作状態のロータ軸位置対ロータ角度位置のプロットを含むグラフである。図43では、領域1300は、第1の/入口弁(V1)が開いていて、かつ第2の/出口弁(V2)が閉じている第1の期間に対応し、領域1302は、V1が閉じていて、かつV2が開いている第2の期間に対応し、また領域1304は、V1が開いていて、かつV2が閉じている第3の期間に対応する。これらの領域の間の間隙は、両方の弁が閉じている期間に対応する。
図43はまた、ロータ1308の基準面1306も模式的に示しており、基準面1306は、グラフのロータ角の軸と揃えて(図44に示されるように円ではなく)直線の状態にされている。説明のし易さのために、図44は、エンドキャップ又はロータ1308の周囲の構造体を示さない。ロータ1308は、図11〜14を参照して上に詳細に記述されるように、基準面1306から立ち上がる可変の高さを有するロータカム要素1310を含む。ロータ1308の図示された実施形態はまた、基準面1306に位置する又は一体化されている第1の(先頭の)センサ接触要素1312、及び基準面1306に位置する又は一体化されている第2の(後続の)センサ接触要素1314も含む。以下の説明から明らかになるように、第2のセンサ接触要素1314は、下流閉塞検出をサポートするために利用される。
第1のセンサ接触要素1312は、ロータカム要素1310によって占有されていない領域に位置する。より具体的には、第1のセンサ接触要素1312は、ロータカム要素1310の上(後続の)縁部1316に続く角度位置に位置する。図44に示されるように、第1のセンサ接触要素1312は、ロータカム要素1310の直後の基準面1306上に位置し得る。第2のセンサ接触要素1314もまた、ロータカム要素1310によって占有されていない領域に位置する。第2のセンサ接触要素1314は、第1のセンサ接触要素1312に続く角度位置に位置する。図43及び図44に示されるように、第1及び第2のセンサ接触要素1312、1314は、所望される弁時期特性及び所望される閉塞検出機能によって決定される寸法を有する間隙によって分離されている。
図43を再度参照すると、角度位置1320は、ロータカム要素1310のより低い(先頭の)縁部1322に対応し、角度位置1324は、ロータカム要素1310の上(後続の)縁部1316に対応する。角度位置1326は、ロータカム要素1310のプラトー1328、即ち、ロータカム要素1310の平坦かつ最も高い部分の開始に対応する。したがって、プロットの区間1330は、流体ポンプ機構の流体吸込期間に対応し、プロットの区間1332は、ステータカム要素がロータカム要素1310のプラトー1328上に存在する滞留期間に対応する。区間1332の右端は、ロータカム要素1310の上(後続の)縁部1316に対応する。とりわけ、ロータカム要素1310は、入口弁及び出口弁の両方が閉じているときステータカム要素を係合解除し、両方の弁は、その後短時間閉じたままである。この短い「弁遅延」期間は、プロットの区間1334によって表されている。弁遅延期間は、ロータカム要素1310の終わりから開始し、出口弁の開放で終了する時間(又は回転の角度)に対応する。
ロータ1308上の第1のセンサ接触要素1312の角度位置決めは、進行中のポンプ周期で入口弁が閉じた後で、かつ進行中のポンプ周期で出口弁が開く前に発生する弁状態に対応する。図43は、この特徴、つまり第1のセンサ接触要素1312の位置に関連するロータ角は、弁の両方が閉じている期間に対応する、を模式的に図示する。対照的に、ロータ1308上の第2のセンサ接触要素1314の角度位置決めは、進行中のポンプ周期で出口弁が閉じた後で、かつ次のポンプ周期で入口弁が開く前に発生する異なる弁状態に対応する。
センサ接触要素1312、1314は、好適に構成された検知要素又は構成、及び検知要素が、センサ接触要素1312、1312と接触するといきにそれを検出する検出回路と協働する。図18及び19を参照して上述された検知要素及び関連する特徴及び機能もまた、ここに記載された実施形態と共に利用され得る。上述のように、ステータ上の検知要素を利用して、ステータカム要素が第1のセンサ接触要素1312、第2のセンサ接触要素1314、又は両方と接触したか否かを判定することができる。このように、検出回路は、ロータの角度位置に応じて検知要素から得られた検出信号の特性を監視して、流体ポンプ機構の電流動作状態を判定する。例えば、検出回路によって観測された検知パターンは、正常な動作状態又は故障状態(下流閉塞、上流閉塞、空の流体リザーバなど)を示してもよい。検出回路が、故障状態を検出した場合は、次に警報、アラーム、警告メッセージ、を開始若しくは生成するか、又は任意の適切な種類の動作をとることができる。
図43の実線プロットは、正常かつ期待された動作状態の下での流体ポンプ機構の動作に対応する。これらの正常な動作状態の下で、両方の弁は、プロットの区間1334によって表される期間にわたって閉じたままである。この期間中、ロータの軸位置は、ステータカム要素がロータカム要素を係合解除したとしても(最も高い点又はその近傍で)実質的に安定したままである。出力弁の閉状態及び流体ポンプ機構内の流体の存在は、この期間中のロータの軸方向変位を妨げる。しかしながら出力弁が開くとすぐに、ロータは、公称基準位置に到達するまでステータに向けて付勢される。
図43の破線プロットは、入口弁の流体ライン閉塞上流又は空の流体リザーバに起因し得る、上流閉塞状態の下での流体ポンプ機構の動作に対応する。上流閉塞の存在下で、流体ポンプ機構は、流体を引込まずに真空を引っ張る。上流閉塞によって作られた真空状態は、負圧を発生させ、出口弁が閉じていてもロータカム要素1310を基準面1306に向かって移動させる。この負圧は、ステータカム要素がロータカム要素を係合解除するとすぐに(両方の弁が閉じていても)ロータを所定の位置に跳ね返らせる。したがって、ロータの軸方向変位は、迅速に減少し、公称基準レベルに戻る。プロットの区間1334に関連した弁遅延期間は、より詳細に後述されるように必要に応じて上流閉塞検出に対応するように操作され得る。ロータの軸方向変位は、次の流体吸込周期まで基準レベルのままである。
図43の点線プロットは、出口弁の流体ライン閉塞下流に起因し得る、下流閉塞状態の下での流体ポンプ機構の動作に対応する。下流閉塞の存在下で、流体ポンプ機構は、平常どおり流体を放出することができない。結果的に、ロータの軸方向変位は、逆流に対応するために入口弁が開くまで比較的高いままである。しかしながら、その後すぐに、次の流体吸込周期は、軸方向変位を再度増加させる。とりわけ、ロータの軸方向変位は、プロットの区間1334によって表される期間中でも最も高いレベル又はその付近のままである。この期間中、ロータの軸位置は、ステータカム要素がロータカム要素を係合解除したとしても(最も高い点又はその近傍で)実質的に安定したままである。
正常な状態及び閉塞状態の下での流体ポンプ機構の動作は、センサ接触要素1312、1314の寸法及び位置が適切に決められ得ることを特徴とし得る。例えば、正常動作状態の下で、基準面1306上の第1のセンサ接触要素1312の場所に対応する角度位置の間、ロータはステータから軸方向に移動したままであるので、ステータカム要素上の検知要素は、第1のセンサ接触要素1312を非接触にする。更に、正常動作状態の下で、検知要素は、基準面1306上の第2のセンサ接触要素1314の場所に対応する角度位置の間、ロータは、その基準軸位置に存在するので、ポンプ周期ごとに1回、第2のセンサ接触要素1314に接触する。したがって、正常動作状態の下で、検出回路は、各ポンプ周期に対して第2のセンサ接触要素1314だけとの接触を検出することになる。
上流閉塞状態(リザーバの終了状態又はリザーバストッパが急に止まった状態を含む)の下で、検知要素は、ポンプ周期ごとに1回、センサ接触要素1312、1314の両方に接触する。より具体的には、ロータカム要素1310がステータカム要素を係合解除した直後に(かつ両方の弁が閉じているときに)、検知要素は、第1のセンサ接触要素1312に接触し、その後、検知要素は、第2のセンサ接触要素1314に接触する。検出回路は、第1及び第2のセンサ接触要素1312、1314と接触する検知要素に基づいて上流閉塞が発生したと判定する、又は断定することができる。あるいは、検出回路は、第1のセンサ接触要素1312だけに接触する検知要素に基づいて上流閉塞が発生したと判定する、又は断定することができる。実際には、第2のセンサ接触要素1314を、上流閉塞検出の目的のために使用する必要はない。
下流閉塞状態の下で、検知要素は、センサ接触要素1312、1314のどちらかを非接触にする。むしろ、下流閉塞は、ステータカム要素がセンサ接触要素1312、1314の角度位置範囲内のロータの基準面1306に到達するのを阻む。図43に示されるように、下流流体経路が遮断されているとき、検知要素は、(到達するとしても)出口弁が開く直後まで基準面1306に到達しない。したがって、検出回路は、センサ接触要素1312、1314を非接触にする検知要素に基づいて下流閉塞が発生したと判定する、又は断定することができる。
実際には、この節に記載された検出回路は、検知要素及びセンサ接触要素1312と1314との間の相互作用から生じた信号特性を観察するように設計され得る。この点に関して、異なる信号パターンは、1ポンプ周期に対応するロータの各回転に対して生成されることになる。検出回路は、取得したセンサ信号パターンを監視して、電流動作状態/流体ポンプ機構の状態を判定することができる。この節で提示された実施形態について、検出されたS1=LOW+S2=HIGHのパターンは、正常運転を示す(式中、S1は第1のセンサ接触要素1314の状態であり、S2は、第2のセンサ接触要素の状態である)。検出されたS1=HIGH+S2=HIGHのパターンは、上流閉塞状態を示し、検出されたS1=LOW+S2=LOWのパターンは、下流閉塞状態を示す。あるいは、検出回路は、接触されたセンサ接触要素1312、1314を必ずしも追従し続けることなくロータ1308の各回転中に検出された「ヒット」数を次のように単純に数えることができる:1カウントのみは、正常運転を示す;2カウントは、上流閉塞を示す;0カウントは、下流閉塞を示す。この単純な符号化スキームは、検出回路が目的の3つの動作状態を区別するのを容易にする。
図44に示された実施形態について、センサ接触要素1312、1314は、ロータ1308の基準面1306上に位置する。更に、図44の実施形態は、(図18及び19を参照して上述された種類の)ステータカム要素に組み込まれた検知要素と協働する。対照的に、図45及び図46は、センサ接触要素の異なる構成を有する代替的な実施形態を示す。この点に関して、図45は、流体ポンプ機構のロータ1400の例示の実施形態の斜視端面図であり、図46は、流体ポンプ機構の適合するステータ1402と協働するロータ1400を示す側面図である。ロータ1400及びステータ1402の基本構成、設計、及び機能は、図5〜14を参照して前述したものと同様であり、共通の特徴及び態様を、ここでは重複して詳細に説明しない。しかしながら、ステータカム要素(図46に示されない)及びロータカム要素1404の弁時期及び構成は、図43及び図44を参照してこの節で前述したものと同様である。
ロータ1400は、ステータ1402の相手側フランジ1410に対向する露出したリム1408を有するエンドキャップ1406を含む。ロータ1400の基準面1412及びロータカム要素1404は、エンドキャップ1406の内側(下)に位置する。ロータ1400はまた、第1のセンサ接触要素1414及び第2のセンサ接触要素1416も含み、その両方が、リム1408上に位置するか、又はリム1408に組み込まれている。第1のセンサ接触要素1414の形状、寸法、及び場所は、ロータ1308の第1のセンサ接触要素1312について上述したものと合致する。同様に、第2のセンサ接触要素1416の形状、寸法、及び場所は、ロータ1308の第2のセンサ接触要素1314について上述したものと合致する。基準面1412ではなく、リム1408上のセンサ接触要素1414、1416の配置は、それらの軸位置を単にずらし、ロータカム要素1404に対する角度位置、及び弁のタイミングに対する角度位置は、上述したものと実際上同じままである。したがって、第1のセンサ接触要素1414は、ロータカム要素1404の上縁部1420に続く角度位置に位置し、また第2のセンサ接触要素1416は、第1のセンサ接触要素1414に続く角度位置に位置する。正常な動作状態、上流閉塞状態、及び下流閉塞状態に関する図43に示されたプロットは、図45及び図46に示される実施形態にも適合することを理解されたい。
検知要素は、ステータ1402の上に位置し、これに組み込まれ、ないしは別の方法でこれに運ばれ得る。図示された実施形態は、第1及び第2の導電性ばねタブ1424、1426を使用し、それらは、ステータ1402のフランジ1410上に位置する。導電性ばねタブ1424、1426は、ロータ1400のリム1408に向かって伸長し、ロータ1400の軸位置が公称基準位置にあるとき、及びステータ1402に対するロータ1400の角度位置が導電性ばねタブ1424、1426をセンサ接触要素1414、1416に整列させるときに物理的及び電気的にセンサ接触要素1414、1416と接触するように寸法及び配置を決められる。図46には示されていないが、各導電性ばねタブ1424、1426は、ここに提示された検出方法に対応するように検出回路に電気的に結合され得る。この点に関して、導電性ばねタブ1424、1426は、図19を参照して上述されたものと同様の方法で検出回路に接続することができる。したがって、検出回路は、2つの導電性ばねタブ1424、1426がセンサ接触要素1414、1416のうちの1つによって共に短絡されたときにそれを判定することができる。例えば、図46は、導電性ばねタブ1424、1426が物理的かつ電気的にセンサ接触要素1414に結合されているときのロータ1400及びステータ1402を示す。
図17〜19を参照して上述された実施形態は、導電性ばねタブ及びエンドキャップ858のリム882上のセンサ接触要素870を使用するように代替的に構成され得ることを理解されたい。換言すれば、図45及び図46に示されたセンサ構成は、ロータ852及びステータ854と同等の方法で配置することができる。
前述の発明を実施するための形態で、少なくとも1つの例示の実施形態が提示されてきたが、膨大な数の変更例が存在することを理解されたい。本明細書に記載された例示の実施形態又は複数の実施形態は、いかなるようにも特許請求される主題の範囲、適用性、又は構成を制限する意図がないこともまた理解されたい。むしろ、前述の発明を実施するための形態は、当業者らに記載された実施形態又は実施形態を実装するのに簡便なロードマップを提供するであろう。本特許出願の出願時における周知の等価物及び予期し得る等価物を含む、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、要素の機能及び構成に様々な変更を加えることができることを理解されたい。