JP6552955B2 - 気中浮遊物の除去方法 - Google Patents
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Description
本発明は、気中浮遊物の除去方法に係り、さらに詳しくは、原子力発電所の建屋内の気中浮遊物の除去方法に関する。
原子力発電プラントの廃炉にあたっては、原子炉圧力容器内の炉内構造物や原子炉圧力容器などの解体のほかに、これらに接続した放射性物質が付着した配管等を切断解体する作業が必要になる。これらの解体作業においては、作業者の被爆を回避することが必要であり、このため、作業エリアの気中の放射性物質を除去することと、除去した放射性物質は可能な限り低濃度に維持して、原子炉建屋外に漏洩させないことが重要になる。
このような課題に対して、原子力発電所の定期検査中に施行される原子炉内における構造物修繕工事により、建屋内の運転階に拡散する放射性物質の収集捕獲の効率を向上するための原子炉の換気設備がある(例えば、特許文献1参照)。この換気設備は、フィルタユニットと、その下流側に配置したファンとを備え、これらを入口側風道管及び出口側風道管で接続して浄化装置を形成し、浄化装置と原子炉との間に作業用排気風道管を接続し、ファンを起動させる。このことにより、原子炉等の内部に存在する放射性物質が、空気流となりファンユニットを通過して除去される。この結果、汚染が室内に拡散することなく、局所的な浄化が達成できる。
また、原子炉運転中に炉心内の燃料破損が発生した場合に、原子炉圧力容器を開放する前に、内部空気を気体廃棄物処理系で処理することで、燃料点検開始を迅速に行う原子力発電プラントの復旧方法がある(例えば、特許文献2参照)。この復旧方法では、主蒸気管と気体廃棄物処理系との間に仮設配管を接続する。プラント停止後、復水器の真空破壊前に原子炉圧力容器内の原子炉水位を上昇させ、原子炉圧力容器の気相部を可能な限り押し気体廃棄物処理系で処理した後、主蒸気管より上部は更に原子炉圧力容器に水張りし内部空気を原子炉格納容器内に押し出し、主蒸気管に接続した仮設配管により気体廃棄物処理系を経由して放射能物質を除去した上で外気へ放出する。
上述した従来技術によれば、例えば定期検査中の2乃至3ヶ月にわたる期間や、1年程度の原子力発電プラントの復旧期間における作業エリアの気中の放射性物質の除去などが可能になる。しかしながら、原子力発電プラントの廃炉は、例えば20乃至30年にわたる長期間の作業が想定されるため、これらの従来技術を適用した場合には以下の課題が生じる。
従来技術においては、フィルタユニットや活性炭ホールドアップ塔において、フィルタや活性炭の交換作業が必要になる。廃炉作業は長期間にわたることから、大量の気中放射性物質を除去する必要があるので、使用済みのフィルタや活性炭などの廃棄物が大量に発生する。また、これらの交換作業が目詰まりの度もしくは所定期間毎に発生するので、作業者の被爆の可能性が長期間にわたって存在する。
除去された大量の放射性物質や核燃料物質を長期間にわたって管理する必要が生じ、核燃料物質が含まれる場合には、上述した従来技術では言及していない臨界防止の管理が必要になる。
本発明は上述した事柄に基づいてなされたものであって、その目的は、原子炉建屋内の構造物の解体作業で発生する気中放射性物質を、原子炉建屋外に漏洩することなく、長期間にわたって安全に且つ効率的に除去する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、放射性物質を含む気中浮遊物を空気中から除去する気中浮遊物の除去方法において、原子炉格納容器に収容されている原子炉の内部の気体を排風機で吸引し、原子炉建屋の内部のプールに水没配置された捕集モジュールが備える前記放射性物質を捕集する捕集液の中に前記原子炉の内部の気体を通気し、前記捕集液を通気した後の空気を前記原子炉の内部に排気することを特徴とする。
本発明によれば、気中放射性物質を、水中保管した捕集モジュールの捕集液で捕捉するので、長期にわたって多量の放射性物質が集積した場合でも、水による遮蔽効果で作業エリアの雰囲気線量率の上昇に大きく影響しない。また、目詰まりを起こすフィルタ等の捕集材を用いないので、放射性物質が多量に集積するまで継続して使用でき、多量の放射性物質が集積した場合は、水面下で廃棄容器を交換できるので、交換作業時の作業者の被爆を抑制できる。この結果、気中放射性物質を、原子炉建屋外に漏洩することなく、安全に且つ効率的に除去することができる。
以下、本発明の気中浮遊物の除去方法の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の気中浮遊物の除去方法の第1の実施の形態を適用する原子力発電プラントの除去系統を一部縦断面で示す概要図である。
図1に示すように、原子炉建屋20には、原子炉圧力容器21及び原子炉圧力容器21を収容する原子炉格納容器22が備えられている。原子炉格納容器22は、通常運転時には、その上端部に設けた図示しない原子炉格納容器上蓋により密封されていて、原子炉建屋20の上部の作業エリア20Aの気相部と原子炉格納容器22の内部の気相部とは連通しない。
図1に示すように、原子炉建屋20には、原子炉圧力容器21及び原子炉圧力容器21を収容する原子炉格納容器22が備えられている。原子炉格納容器22は、通常運転時には、その上端部に設けた図示しない原子炉格納容器上蓋により密封されていて、原子炉建屋20の上部の作業エリア20Aの気相部と原子炉格納容器22の内部の気相部とは連通しない。
また、原子炉格納容器22は、内部に形成されたドライウェルと、冷却水が充填された圧力抑制プール28がその内部に形成された圧力抑制室(ウェットウェル)27とを備えている。ドライウェルと圧力抑制室27内の圧力抑制プール28とは、ベント通路29で連結されている。原子炉格納容器22の中央部には、ペデスタル(原子炉本体基礎)26が配置されている。ペデスタル26は、原子炉圧力容器21の外側に設けられた原子炉圧力容器支持スカートを介して原子炉圧力容器21を支持している。
原子炉建屋20には、原子炉格納容器22の上部に、図示しない原子炉ウェルが設けられている。原子炉ウェルを間に挟みこむように、使用済みの燃料を一時的に保管する使用済燃料貯蔵プール23とドライヤ・セパレータプール24とが配置されている。ドライヤ・セパレータプール24は、例えば、定期検査時等に蒸気乾燥器や気水分離器といった炉内構造物25を仮置きする場所として使われる。
原子炉ウェルは、原子炉ウェルの下方に配置された原子炉圧力容器21の内部と連通することが可能であり、燃料取替え時などにおいて、放射線遮蔽のために水が張られる。原子炉ウェルと使用済燃料貯蔵プール23とは、燃料集合体を両者間で通過させるための水路でつながれる。原子炉の通常運転時にはその水路は閉ざされ、燃料取替え時にはその水路が開かれる。
炉内構造物25を解体撤去する場合や原子炉圧力容器21を解体する場合は、原子炉圧力容器21内に水を満たした状態にして、水中で解体作業することができる。この際には、ロールカッターによる切断や放電加工切断、プラズマ切断や切断助剤を水流に混合させるアブレッシブウォータージェット切断が適用されている。ロールカッターや放電加工切断では切断に伴って発生する粉塵が少ないが、切断速度が遅いため、長時間の作業の場合は放射性物質濃度が上昇する可能性がある。一方、アブレッシブウォータージェット法は切断速度が速く、放射能を有する気体が発生しない特長を有している。
原子炉圧力容器21に内部と外部を貫通する部分が存在する場合は、原子炉圧力容器21の内部を水で満たすことができない。この場合、原子炉格納容器22内に水を満たすことで原子炉圧力容器21の内部と外部を水に満たした状態(水没した状態)にできる。また、原子炉格納容器22内の水位を調節することで、対象物を部分的に水没した状態で解体する、または気中で解体する方法も選択することができる。本実施の形態においては、気中での解体作業が行われる場合における気中浮遊物の除去方法について説明する。なお、本明細書における気中浮遊物とは、原子炉建屋20の内部気中に含まれる放射性物質または核燃料物質を含む粒子状の物質をいう。
気中での解体作業の場合、上述したロールカッターや放電加工切断等を用いると、粉塵が多量に飛散し、これらの粉塵に付着した放射性物質や粒上の放射性物質そのものが、アルゴンガスや水素や金属が蒸発したガスなどの気中に浮遊する。このことにより、例えば、原子炉格納容器22から飛散してくる放射性物質を含む気中浮遊物が、原子炉格納容器22の上部の原子炉建屋20の作業エリア20Aを汚染する可能性が生じる。
本発明は、このような解体作業により発生する気中浮遊物による作業エリア20Aの汚染を防止するためになされたものであり、原子炉内から排風機で吸引した汚染気体に存在する気中浮遊物を除去する方法である。
本実施の形態においては、図1に示すように、一端側に吸気口5を設け、吸気口5を原子炉圧力容器21内に配置した第1ホース11aと、第1ホース11aの他端側が接続され、使用済み燃料貯蔵プールに水没配置された捕集モジュール2と、捕集モジュール2と第1ホース11aとを介して原子炉圧力容器21内の気体を吸引するブロア(排風機)3と、一端側がブロア3の吐出口に接続され、他端側に設けた排気口13を原子炉格納容器22の上部に配置した第2ホース11bとを備えた気中浮遊物除去装置を備えている。
また、原子炉建屋20の作業エリア20Aには、図1示すように、ブロア3の起動と停止を制御する制御装置7と表示部9と停止信号等を入力できる入力部8と放射能モニタ4とが配置されている。放射能モニタ4は信号ケーブル10を介して捕集モジュール2底部近傍に設置した放射能センサと接続されている。捕集モジュール2の底部において、規定の放射能を超える場合には制御装置7で判定の上、ブロア3の停止信号を入力部8から入力することが可能である。
ブロア3で吸引された原子炉圧力容器21内の気体は、第1ホース11aを通り、予め使用済燃料貯蔵プール23に水没配置された捕集モジュール2を介して、再度原子炉格納容器22内に戻される。第1ホース11aには、圧力調整バルブ12が設けられていて、捕集モジュール2に吸引される気体の流量は圧力調整バルブ12の開閉量で調整できる。また、捕集モジュール2はドライヤ・セパレータプール24や原子炉建屋20の内部に設けた他の仮設プール(図示せず)に水没配置して使用することも可能である。
次に、捕集モジュール2の概要を図を用いて説明する。図2aは、本発明の気中浮遊物の除去方法の第1の実施の形態を構成する捕集モジュールを一部断面で示す概要図、図2bは図2aに示す捕集モジュールをA−A断面から下方視した概要図、図2cは図2aに示す捕集モジュールをB−B断面から下方視した概要図である。
図2a乃至2cに示すように、捕集モジュール2は、外形が略円筒型で内部に気相部を備えた耐圧容器である。捕集モジュール2は上述したように、使用済燃料貯蔵プール23に水没配置されるが、内部の下方には、捕集液16が充填された液相部が設けられ、液相部の上方には気相部が存在する。捕集モジュール2内部の底部には、捕集液16で捕捉された放射性物質を堆積させる廃棄容器としての放射性物質堆積部39が設けられていて、この放射性物質堆積部39は、中性子吸収材による仕切り板18が設けられている。
捕集モジュール2は、その内部の下方の液相部に設けられた通気ノズル31と、外部側面に設けられ、吸気口5から吸引された原子炉圧力容器21の気体の通気ノズル31への連通と遮断を切り換える導入バルブ14と、液相部の上方の気相部の異なる高さに設けられた2枚のバッフルプレート30と、外部上面に設けられ、放射性物質の除去後の空気の出口となる排気バルブ15とを備えている。
通気ノズル31は図2aと図2cに示すように、一端側が捕集モジュール2の内部側面に接続され、他端側が接続された内部側面の対向面に向けて延伸する中空管状のノズル本体と、ノズル本体の上面に複数個(3個)設けられたノズル孔とを備えている。
バッフルプレート30は図2aと図2bに示すように、捕集モジュール2の内面に接続される円弧板形状の接続部と、接続部の弦の部分から矩形板状に形成された矩形部とを備えている。バッフルプレート30は、液相部からの気体の湿分除去を目的としている。気体中の液滴は、バッフルプレート30の下面に付着し、湿分が除去された気体が上方に移行する。
捕集モジュール2における気体の流れを説明する。
図1に示すブロア3を起動させて、導入バルブ14と排気バルブ15を開操作することにより、第1ホース11aを介して原子炉圧力容器21内の汚染気体が、捕集モジュール2に吸引され、捕集液16を通気後に放射性物質除去後の空気となって、第2ホース11bの排気口13を介して原子炉格納容器22の上部に戻される。
図1に示すブロア3を起動させて、導入バルブ14と排気バルブ15を開操作することにより、第1ホース11aを介して原子炉圧力容器21内の汚染気体が、捕集モジュール2に吸引され、捕集液16を通気後に放射性物質除去後の空気となって、第2ホース11bの排気口13を介して原子炉格納容器22の上部に戻される。
図2aにおいて、導入バルブ14から導入された汚染気体は通気ノズル31のノズル孔を通過して、捕集液16の中に気泡17となって噴出する。捕集液16の中に噴出した気泡17の内部には放射性物質が浮遊している。この放射性物質は、気泡17が捕集液16の中を上昇している間に、捕集液16と気泡17の界面から捕集液16へ移行する。換言すると放射性物質19は捕集液16に捕捉される。捕捉された放射性物質19は捕集モジュール2の底部の放射性物質堆積部39に堆積する。このことにより、捕集液16の上面から排出される気体は、放射性物質量が低減した浄化された空気となっている。
捕集液16の上面から排出される浄化された空気は、液滴等が同伴されて上昇する。そこで、この浄化された空気の上昇流の流路にバッフルプレート30を設け、液滴等の水分をバッフルプレート30の下部表面で捕捉する。このことにより、浄化された空気は、乾燥して排気バルブ15から排気される。
捕集液16で捕捉された放射性物質19または核燃料物質は、時間の経過とともに捕集モジュール2の底部の放射性物質堆積部39に堆積する。放射性物質あるいは核燃料物質は堆積することで高線量になりやすく、容器外表面でも線量率が高くなる恐れがある。しかし、本実施の形態では、捕集モジュール2を水中に保管すること及び放射性物質堆積部39に予め中性子吸収材による仕切り板18を設けておくことで遮蔽効果が得られる。このことにより、気中での作業者への線量の影響は大幅に低減されることになる。
また、中性子吸収材による仕切り板18を設けたことにより、捕捉された放射性物質19または核燃料物質が大きな塊になることを防止する。このことにより、これらの臨界を防止できる。
また、上述したように、原子炉建屋20の作業エリア20Aに制御装置7と表示部9と入力部8と放射能モニタ4とを配置したので、捕集モジュール2の底部において、規定の放射能を超える場合には制御装置7で判定の上、ブロア3の停止信号を入力部8から入力することが可能になる。
捕集モジュール2に充填する捕集液16は、純水あるいは純水中に炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ素、ハフニウム、タングステンのいずれかを混合した液体を用いる。一定期間以上使用すると捕集液16の液性変化や溶解限度により捕集性能が低下するため、放射性物質を除去しにくくなるので、捕集モジュール2を新品と交換する必要が生じる。この場合には、導入バルブ14及び排気バルブ15を操作して、外部からの気体の導入と外部への気体の排出を阻止して、外部との気体の流出入を切り離す。このことにより、捕集モジュール2の内部を密閉することができる。本実施の形態においては、このように使用後の捕集モジュール2はプール内で保管することが可能になる。また、捕集モジュール2を新品に交換する際も、気中へ取り出す必要が無いので作業者の被ばくを抑制することができる。
なお、本実施の形態において、図1、図2a、図2b、図2cに記載した除去系統の組合せや員数は任意に組み合わせて用いることが可能で、交換後の廃棄も水中保管の他、遮蔽容器を準備すれば建屋外へ搬出することも可能である。
上述した本発明の気中浮遊物の除去方法の第1の実施の形態によれば、気中放射性物質を、水中保管した捕集モジュール2の捕集液16で捕捉するので、長期にわたって多量の放射性物質が集積した場合でも、水による遮蔽効果で作業エリア20Aの雰囲気線量率の上昇に大きく影響しない。また、目詰まりを起こすフィルタ等の捕集材を用いないので、放射性物質が多量に集積するまで継続して使用でき、多量の放射性物質が集積した場合は、水面下で廃棄容器を交換できるので、交換作業時の作業者の被爆を抑制できる。この結果、気中放射性物質を、原子炉建屋外に漏洩することなく、安全に且つ効率的に除去することができる。
以下、本発明の気中浮遊物の除去方法の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。図3は本発明の気中浮遊物の除去方法の第2の実施の形態を適用する原子力発電プラントの除去系統を一部縦断面で示す概要図、図4aは本発明の気中浮遊物の除去方法の第2の実施の形態を構成する散水モジュールの一例を一部断面で示す概要図、図4bは図4aに示す散水モジュールをC−C断面から上方視した概要図、図4cは図4aに示す散水モジュールをD−D断面から下方視した概要図、図5aは本発明の気中浮遊物の除去方法の第2の実施の形態を構成する散水モジュールと廃棄用器の一例を一部断面で示す概要図、図5bは図5aに示す散水モジュールをE−E断面から下方視した概要図、図5cは図5aに示す散水モジュールをF−F断面から上方視した概要図である。図3乃至図5cにおいて、図1乃至図2cに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の気中浮遊物の除去方法の第2の実施の形態において原子力発電プラントの構成は図3に示すように、大略第1の実施の形態と同じであるが、使用済燃料貯蔵プール23に水没配置される捕集モジュール2の前段に散水モジュール1を配置した点が異なる。
本実施の形態において、散水モジュール1は、捕集モジュール2と同様に使用済燃料貯蔵プール23に水没配置され、吸気口5を原子炉圧力容器21内に配置した第1ホース11aの他端側が接続されている。散水モジュール1は詳細後述するが、浄化した気体を捕集モジュール2に排気する。本実施の形態においては、ブロア3で吸引された原子炉圧力容器21内の気体が、第1ホース11aを通り、予め使用済燃料貯蔵プール23に水没配置された散水モジュール1と捕集モジュール2とを介して、再度原子炉格納容器22内に戻される。
本実施の形態は、第1の実施の形態で対応するケースより、高濃度の気中浮遊物の発生が予想される場合に対応する除去方法である。高濃度の放射性物質が飛散している場合は、捕集する放射性物質が多量であるため、捕集モジュール2を使用できる期間が短くなることが想定される。このため、図3に示すような散水モジュール1を捕集モジュール2の前段に設置することで放射性物質の除去効率を向上することが出来る。また、複数の散水モジュール1や捕集モジュール2を同一の系統に使用することで交換が必要となるまでの期間を延長することができる。
次に、散水モジュール1の一例の概要を図を用いて説明する。
図4a乃至4cに示すように、散水モジュール1は、外形が略円筒型で内部に気相部を備えた耐圧容器である。概略は捕集モジュール2と同様に構成されているが、気相部に散水ノズル32と、外部側面に設けられ液相部から捕集液16を吸引し散水ノズル32へ捕集液16を供給する捕集液循環ポンプ34とを備えている点と、図4cに示すように通気ノズル31が上面視ヨ字形状に形成されている点が異なる。なお、散水ノズル32も、図4bに示すように上面視ヨ字形状に形成されていて、通気ノズル31のノズル孔の上方に散水ノズル32の噴出孔が対向するように配置されている。散水ノズル32は、捕集液循環ポンプ34により供給された液相部からの捕集液16を液滴33として捕集液16の液相部に噴霧する。
散水モジュール1における気体の流れは、液相部で浄化されて捕集液16の上面から排出されるまでは、捕集モジュール2と同じであるが、散水ノズル32から捕集液16が放出されるので、捕集液16の上面から排出された気体は、捕集液16の液滴33が噴霧された気相部の領域を通過することになる。このことにより、気体が捕集液16に接触する時間を長くでき、接触する面積を広くすることができる。この結果、気中の放射性物質を効率的に除去できる。
次に、散水モジュール1の他の例の概要を図を用いて説明する。
図5a乃至5cに示すような散水モジュール1は、外形を略円筒型とするが、底部を、軸中心に向かって傾斜する形状に形成し、軸中心でコネクタ37を介して廃棄容器35と連結するようにしている。廃棄容器35には、放射性物質堆積部39と中性子吸収材による仕切り板18とが設けられている。また、バッフルプレート30を、散水モジュール1の内径と等しい網目状の円板で形成している。これは、気体の流路が狭いと生じる差圧の発生を防止するためである。
このような、構成により、捕集した放射性物質19は廃棄容器35に落下しやすくなる。また、廃棄容器35はコネクタ37で本体と取り外すことができるので、新品の廃棄容器35と交換することで、捕集した放射性物質19を回収することが可能になる。また、散水モジュール1全体を交換することに比べると。短い作業時間で実施することが可能となり、長時間継続して、モジュール本体を使用することが可能になる。
なお、底部を軸中心に向かって傾斜する形状に形成し、軸中心でコネクタ37を介して廃棄容器35と連結する態様を捕集モジュール2に適用しても良い。
上述した本発明の気中浮遊物の除去方法の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の気中浮遊物の除去方法の第3の実施の形態を図面を用いて説明する。図6は本発明の気中浮遊物の除去方法の第3の実施の形態を適用する原子力発電プラントの除去系統を一部縦断面で示す概要図、図7は本発明の気中浮遊物の除去方法の第3の実施の形態を適用する原子力発電プラントの除去系統を示す上面図である。図6及び図7において、図1乃至図5cに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の気中浮遊物の除去方法の第3の実施の形態において原子力発電プラントの構成は図6に示すように、大略第2の実施の形態と同じであるが、原子炉圧力容器21内の炉内構造物25近傍に設置した吸気口5から吸引した汚染空気を浄化後、原子炉格納容器22の上部を横断するエアカーテン6として水平方向に排気し、対向する位置に設置したエアカーテン吸気口5bで吸引することとした点が異なる。本実施の形態は、第2の実施の形態のケースにおいて。原子炉圧力容器21内から原子炉建屋20上部への放射性物質の飛散を遮断する方法である。
具体的な配置を図7を用いて説明する。図7において、38は仮設プールを示す。図7に示すように、ブロア3の吐出口に一端部を接続された第2ホース11bは、その他端部を原子炉格納容器22の上部の使用済燃料貯蔵プール23側に配置する。第2ホース11bの他端部には、一定の間隔で並行に5箇所の排気口13を設け、排気口13から排出された空気の気流が原子炉圧力容器21の直上を水平方向に通過するようにしている。
原子炉格納容器22の上部をはさんで、使用済燃料貯蔵プール23に対向するドライヤ・セパレータプール24側には、第3ホース11cの一端部が配置されている。第3ホース11cの他端部は、第1ホース11aの圧力調整バルブ12の下流側に接続されている。第3ホース11cの一端部には、5箇所の排気口13に対向する位置に、5箇所の上部吸気口5bが設けられている。
このことにより、各排気口13から排出された空気が、水平方向の気流となって各上部吸気口5bに吸い込まれ、エアカーテン6を形成する。この結果、例えば、原子炉圧力容器21から上方へ飛散する放射性物質も、上部吸気口5bへ導入されるので、原子炉建屋20の作業エリアが汚染されない。
エアカーテン6の整流には、排気口や吸気口を複数個設けることのほかに、適切な風速を維持することが効果的である。
このため、原子炉格納容器22内で作業を行う場合は、炉内構造物25近傍に設置した吸気口5からの吸引量を増加させるように、第1ホース11a側の圧力調整バルブ12を調整し、その他の作業の場合は、上部吸気口5bの吸引量を増加させるように、第3ホース11c側の圧力調整バルブ12を調整することが望ましい。
このため、原子炉格納容器22内で作業を行う場合は、炉内構造物25近傍に設置した吸気口5からの吸引量を増加させるように、第1ホース11a側の圧力調整バルブ12を調整し、その他の作業の場合は、上部吸気口5bの吸引量を増加させるように、第3ホース11c側の圧力調整バルブ12を調整することが望ましい。
このように、作業状況に合わせたエアカーテン6を形成することで、他系統の浄化設備を追加することなく原子炉建屋20の上部領域への汚染拡大を防止することが出来る。
上述した本発明の気中浮遊物の除去方法の第3の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上述した第1乃至第5の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
1:散水モジュール、2:捕集モジュール、3:排風機(ブロア)、4:放射能モニタ、5:吸気口、5b:上部吸気口、6:エアカーテン、7:制御装置、11a:第1ホース、11b:第2ホース、11c:第3ホース、12:圧力調整バルブ、13:排気口、14:導入バルブ、15:排気バルブ、16:捕集液、17:気泡、18:仕切り板、19:捕集放射性物質、20:原子炉建屋、20A:作業エリア、21:原子炉圧力容器、22:原子炉格納容器、23:使用済燃料貯蔵プール、24:ドライヤ・セパレータプール、25:炉内構造物、26:ペデスタル、27:圧力抑制室、28:圧力抑制プール、29:ベント通路、30:バッフルプレート、31:通気ノズル、32:散水ノズル、33:液滴、34:捕集液循環ポンプ、35:廃棄容器
Claims (6)
- 放射性物質を含む気中浮遊物を空気中から除去する気中浮遊物の除去方法において、
原子炉格納容器に収容されている原子炉の内部の気体を排風機で吸引し、
原子炉建屋の内部のプールに水没配置された捕集モジュールが備える前記放射性物質を捕集する捕集液の中に前記原子炉の内部の気体を通気し、
前記捕集液を通気した後の空気を前記原子炉の内部に排気する
ことを特徴とする気中浮遊物の除去方法。 - 放射性物質を含む気中浮遊物を空気中から除去する気中浮遊物の除去方法において、
原子炉格納容器に収容されている原子炉の内部の気体を排風機で吸引し、
原子炉建屋の内部に設けたプールに水没配置された散水モジュールが備える前記放射性物質を捕集する捕集液の中と前記捕集液が液滴となって噴霧された気相部の中に前記原子炉の内部の気体を通気し、
前記捕集液を通気して前記気相部を通過した後の空気を、前記プールに水没配置された捕集モジュールの前記捕集液の中に通気し、
前記捕集液を通気した後の空気を前記原子炉の内部に排気する
ことを特徴とする気中浮遊物の除去方法。 - 請求項1に記載の気中浮遊物の除去方法において、
前記捕集モジュールの容器の下部には、中性子吸収材を用いた廃棄容器が設けられ、前記廃棄容器により前記放射性物質を回収する
ことを特徴とする気中浮遊物の除去方法。 - 請求項2に記載の気中浮遊物の除去方法において、
前記捕集モジュール及び前記散水モジュールの各容器の下部には、中性子吸収材を用いた廃棄容器が設けられ、前記廃棄容器により前記放射性物質を回収する
ことを特徴とする気中浮遊物の除去方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の気中浮遊物の除去方法において、
前記捕集モジュールを通過した清浄な空気の排気方向を、前記原子炉格納容器の上部で水平方向とすることで、水平方向の気流を形成し、
前記原子炉の内部から上方へ移行する放射性物質を前記水平方向の気流に同伴させ、
前記清浄な空気の排気方向と対向する位置に設けた吸気口で吸引回収する
ことを特徴とする気中浮遊物の除去方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の気中浮遊物の除去方法において、
前記気中浮遊物は、気中に含まれる放射性物質または核燃料物質を含む粒子状の物質であって、
前記捕集液は、水あるいは炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ素、ハフニウム、タングステンのいずれかを含む
ことを特徴とする気中浮遊物の除去方法。
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