JP6549980B2 - Nmr測定用スピナ装置 - Google Patents

Nmr測定用スピナ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6549980B2
JP6549980B2 JP2015249866A JP2015249866A JP6549980B2 JP 6549980 B2 JP6549980 B2 JP 6549980B2 JP 2015249866 A JP2015249866 A JP 2015249866A JP 2015249866 A JP2015249866 A JP 2015249866A JP 6549980 B2 JP6549980 B2 JP 6549980B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spinner
gas
sample
bearing
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015249866A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017116322A (ja
Inventor
由宇生 遠藤
由宇生 遠藤
昌秀 西山
昌秀 西山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jeol Ltd filed Critical Jeol Ltd
Priority to JP2015249866A priority Critical patent/JP6549980B2/ja
Publication of JP2017116322A publication Critical patent/JP2017116322A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6549980B2 publication Critical patent/JP6549980B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Magnetic Bearings And Hydrostatic Bearings (AREA)

Description

本発明はNMR測定用スピナ装置に関し、特に、試料が収容された試料管を回転させる機構に関する。
磁気共鳴測定装置として、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)測定装置、及び、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)測定装置が知られている。NMR測定装置に類する装置として、磁気共鳴画像(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置も知られている。以下、NMR測定装置について説明する。
NMRは、静磁場中におかれた原子核が固有の周波数をもった電磁波と相互作用する現象である。その現象を利用して原子レベルで試料の測定を行う装置がNMR測定装置である。NMR測定装置は、有機化合物(例えば薬品、農薬)、高分子材料(例えばビニール、ポリエチレン)、生体物質(例えば、核酸、タンパク質)、等の分析において活用されている。NMR測定装置を利用すれば例えば試料の分子構造を解明することが可能である。
NMR測定装置は、一般的に、制御コンピュータ、RF信号送信部、NMR信号検出器(プローブ)、静磁場発生装置(超伝導磁石)、NMR信号受信部、等を含む。もっとも、それらの一部をNMR測定装置と称することもあり、例えば、制御コンピュータ、RF信号送信部及びNMR信号受信部を含む分光計(Spectrometer)の部分をNMR測定装置と称することもある。典型的なNMR測定では、送信部においてNMR測定用の高周波信号(RF送信信号)が生成され、その送信信号がプローブ内の送受信コイルに供給される。これにより生じた電磁波によって試料中の観測核において共鳴吸収現象が生じる。その後に、送受信コイルに誘起されるNMR信号(RF受信信号)が受信部に送られ、その受信信号のスペクトルが解析される。
固体試料に対するNMR測定においては、通常、固体試料が収容された試料管を、静磁場方向に対して所定角度(マジック角)をもって傾けつつ高速で回転させ、その状態において、試料管を取り囲む送受信コイルにより高周波磁場を生成し、送受信コイルによりNMR信号を検出する。試料管を回転させる装置として、一般的に、NMR測定用スピナ装置(試料管回転機構)が用いられる。NMR測定用スピナ装置においては、スピナハウジング内に試料室が形成され、その試料室内に試料管が収容される。試料管に軸受用ガスが供給され、空気軸受により試料管が保持され、試料管に回転制御用ガス(ドライブ用ガス)が供給され、これにより試料管が高速に回転する。
NMR測定においては、試料温度が制御される場合がある。この場合、一般的に、温度操作されたVTガス(試料温度可変ガス)が試料管に供給され、これにより試料温度が制御される。
特許文献1に記載の可変温度試料スピン機構においては、軸受用ガスとVTガスとが分けて供給される。排気時に軸受用ガスとVTガスが混合しないように、独立した排気路が形成されており、軸受用ガスとVTガスはそれぞれの排気路により排気される。
特表平4−504308号公報
ところで、一般的に空気軸受特性は温度に依存するため、VTガスを軸受用ガスとして兼用すると、VTガスの温度の影響により、望ましくない空気軸受特性の大きな変化が生じてしまう。これに対処するために、軸受用ガスとVTガスとを分けて、スピナハウジングにそれぞれの専用排気路を形成すると、スピナハウジングの構造が複雑になる。
本発明の目的は、NMR測定用スピナ装置において、空気軸受特性の大きな変化を防止し、かつ、スピナハウジングの構造の簡素化を実現することにある。あるいは、試料温度をできる限り均一に維持することにある。
本発明に係るNMR測定用スピナ装置は、NMR測定の対象となる試料が収容される試料管と、前記試料管が収容される試料室を有するスピナハウジングと、前記スピナハウジングに形成されて前記試料室に連通し、前記試料の温度を制御するための温度制御用ガスを前記試料室へ供給する温度制御用ガス供給路と、前記スピナハウジングにおいて前記試料室に隣接して形成され、前記試料管の空気軸受のための軸受用ガスを前記試料管へ供給する軸受用ガス供給路と、前記スピナハウジングに形成され、前記試料管の回転を制御するための回転制御用ガスを前記試料管へ供給する回転制御用ガス供給路と、前記スピナハウジングに形成されて前記試料室に連通し、前記温度制御用ガスと前記試料室へ流入した前記軸受用ガスを前記試料室から排気する兼用排気路と、を含むことを特徴とする。
上記の構成によると、軸受用ガスによる空気軸受により試料管が保持され、回転制御用ガスにより試料管が回転する。温度制御用ガスは温度操作されたガスであり、このガスにより試料の温度が制御される。例えば、試料が加熱又は冷却される。試料室内に流入した温度制御用ガスは、兼用排気路を経由してスピナハウジングの外部へ排気される。供給後の軸受用ガスの一部又は全部が試料室内へ流入し、兼用排気路を経由してスピナハウジングの外部へ排気される。軸受用ガス専用の排気路をスピナハウジングに形成する必要がないので、スピナハウジングの構造を簡略化することが可能となる。温度制御用ガスとスピナハウジングとの間で熱交換が行われ、これにより、スピナハウジングの温度が温度制御用ガスの温度に近づけられる。軸受用ガスは、軸受用ガス供給路内の流通段階でスピナハウジングと熱交換し、これにより、軸受用ガスの温度が温度制御用ガスの温度に近づけられる。空気軸受には、この熱交換により加熱又は冷却された軸受用ガスが供給される。加熱又は冷却された軸受用ガスにより軸受特性に変化が生じたとしても、温度制御用ガスを軸受用ガスとして用いてそのまま空気軸受に供給する場合と比べて、軸受特性の変化を少なく抑えることが可能となる。また、軸受用ガスの温度は温度制御用ガスの温度に近づけられているので、軸受用ガスが試料室内に流入しても、試料温度分布に与える影響は皆無又は僅かである。それ故、試料温度をできる限り均一に維持することが可能となる。
望ましくは、前記スピナハウジングは、前記試料室が形成された第1部材と前記第1部材を両側から挟む一対の第2部材とを含み、前記第1部材の熱伝導率は前記第2部材の熱伝導率よりも高く、前記軸受用ガス供給路は前記第1部材に接触するように形成されている。
上記の構成によると、軸受用ガス供給路は、熱伝導率が相対的に高い第1部材に接触するように形成されているので、軸受用ガスと第1部材との間で効率良く熱が伝導し、軸受用ガスの温度が温度制御用ガスの温度に近づきやすくなる。
望ましくは、前記第1部材はセラミックスにより構成されており、前記第2部材は樹脂により構成されている。この構成によると、温度分布により第1部材に応力(歪み)が発生した場合であっても、その応力は、樹脂からなる第2部材により吸収される。それ故、第1部材に発生した応力が緩和され、その応力に起因するクラックや割れ等を防止することができる。
望ましくは、当該NMR測定用スピナ装置は、前記第1部材と前記一対の前記第2部材とを貫通して設けられ、前記第1部材に対して前記一対の前記第2部材を固定するための複数のボルトを更に含み、前記各ボルトは、前記試料管の周りにおいて互いに対称の位置に均等に配置されている。
上記の構成によると、各ボルトは試料管の周りにおいて互いに対称の位置に均等に配置されているので、NMR測定において試料管が静磁場中に配置された場合に、各ボルトによる静磁場への影響が相殺される。それ故、ボルトが静磁場の均一性に与える影響は皆無又は僅かである。金属製のボルトが用いられても、静磁場への影響が相殺されるので、静磁場の均一性をできる限り維持することができる。
望ましくは、前記兼用排気路は、前記温度制御用ガスと前記軸受用ガスを前記試料室から排気する複数の排気路により構成され、前記複数の排気路は分散して前記第1部材に形成されている。
本発明によると、空気軸受特性の大きな変化を防止し、かつ、スピナハウジングの構造の簡素化を実現することが可能となる。
本発明の実施形態に係るNMR測定装置を示す概念図である。 スピナの外観を示す側面図である。 スピナの外観を示す正面図である。 スピナの内部構造を示す断面図である。 スピナの内部構造を示す概念図である。
図1には、本発明の実施形態に係るNMR測定装置10の一例が示されている。NMR測定装置10は、試料中の観測核により生じたNMR信号を測定する装置である。
静磁場発生装置12は静磁場を発生させる装置であり、その中央部には、垂直方向に延びる空洞部としてのボア14が形成されている。NMRプローブ16は、大別して、挿入部18と基部20とにより構成されている。挿入部18は、それ全体として垂直方向に伸長した円筒形状を有し、静磁場発生装置12のボア14内に挿入される。
スピナ22は、NMRプローブ16のヘッドを構成し、NMRプローブ16の一部としてボア14の内部に設置され、その状態でロータとしての試料管を高速で回転させる機構である。スピナ22は、NMR測定用スピナ装置の一例に相当する。試料管には固体試料が収容され、試料管の回転中心軸が静磁場方向に対して所定のマジック角をもって傾斜するように、試料管が設置される。例えば、その回転中心軸が静磁場方向に対してマジック角をもって傾斜するように、スピナ22が設定される。
スピナ22は、軸受用ガスによる空気軸受により非接触で試料管を保持し、回転制御用ガスにより試料管を高速で回転させる。スピナ22には配管24が接続されており、その配管24を介して、軸受用ガスと回転制御用ガスがスピナ22に供給される。軸受用ガスと回転制御用ガスは、図示しないコンプレッサによりそれぞれ所定圧力に加圧されて供給される。もちろん、軸受用ガスと回転制御用ガスは、それぞれ別々の配管によりスピナ22に供給されてもよい。
スピナ22には配管26が接続されており、その配管26を介して、試料の温度を制御するための温度制御用ガス(VTガス、試料温度可変ガス)がスピナ22に供給される。VTガスの温度は、例えば、−100℃〜200℃の範囲内で操作される。もちろん、VTガスの温度は、この範囲以外の温度であってもよい。温度操作されたVTガスが配管26を介してスピナ22に供給され、スピナ22においてVTガスが試料管に供給される。これにより、試料管に収容されている試料の温度が制御される。
なお、図1においては、NMR測定装置10に含まれる送受信部や分光計等の図示が省略されている。
以下、スピナ22について詳しく説明する。まず、図2及び図3を参照して、スピナ22の外観について説明する。図2及び図3において、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する方向である。図2はスピナ22の側面図(Z方向から見たときの外観図)であり、図3はスピナ22の正面図(X方向から見たときの外観図)である。
スピナ22はスピナハウジング28を含む。スピナハウジング28は、スピナ本体30と、スピナ本体30を両側から挟むように設けられた一対の樹脂板32,34と、を含む。スピナ本体30が第1部材の一例に相当し、樹脂板32,34が第2部材の一例に相当する。樹脂板32,34はプレート状の部材である。スピナ本体30内には、後述する試料室が形成されており、その試料室内に試料管が収容される。スピナ本体30は樹脂板32,34よりも硬い部材により構成されており、スピナ本体30の熱伝導率は樹脂板32,34の熱伝導率よりも高い。スピナ本体30は、例えば窒化ケイ素やジルコニア等のセラミックスにより構成されている。樹脂板32,34は、例えばポリイミド等の耐熱性の良好な樹脂により構成されている。
スピナ本体30と樹脂板32,34には、スピナ本体30と樹脂板32,34とを貫通して4本のスルーホール36が形成されている。各スルーホール36にはネジ溝は形成されていない。各スルーホール36には、スピナハウジング28の一方側(例えば樹脂板32側)から金属製のボルト38が挿入され、他方側(例えば樹脂板34側)にて、金属製のナット40によりボルト38が締め付けられる。ナット40は、樹脂板34に埋め込まれる埋め込み型のナットである。4本のボルト38と4個のナット40による締め付け作用により、スピナ本体30と樹脂板32,34が一体化される。各スルーホール36は、試料管の周りにおいて互いに対称の位置に均等に形成されている。それ故、各スルーホール36に挿入された各ボルト38は、試料管の周りにおいて互いに対称の位置に均等に配置される。図3に示す例では、4本のボルト38(4個のナット40)は、90°の角度間隔で互いに対称の位置に均等に配置されている。金属製のボルト38とナット40が静磁場内に配置されることになるが、それらは互いに対称の位置に配置されているため、静磁場への影響が相殺される。
スピナ本体30の側面には、VTガス導入ポート42と複数の排気ポート44が設けられている。スピナ本体30内には、試料室に連通するVTガス供給路が形成されており、VTガス導入ポート42は、そのVTガス供給路に連通している。温度操作されたVTガスは、VTガス導入ポート42から導入され、VTガス供給路を経由して試料室内に供給される。また、スピナ本体30内には、試料室に連通する兼用排気路が形成されており、排気ポート44は、その兼用排気路に連通している。排気ポート44の数は兼用排気路の数に対応している。図2に示す例では、3つの排気ポート44が設けられており、これに対応して、3つの兼用排気路がスピナ本体30内に形成されていることになる。兼用排気路は、試料室からVTガスを排気するための排気路であるとともに、試料室内に流入した軸受用ガスを排気するための排気路である。試料室内のガスは、兼用排気路を経由して排気ポート44から外部に排気される。また、スピナ本体30の側面には、軸受用ガスと回転制御用ガスをスピナハウジング28内へ導入するためのガス導入ポートが設けられている。VTガス供給路や兼用排気路については、図4を参照して後で詳しく説明する。
以下、図4を参照して、スピナハウジング28の内部の構成について詳しく説明する。図4は、スピナ22の内部を示すXY断面図である。
スピナ本体30の内部には、空洞としての試料室46が形成されており、試料室46内に試料管48が収容される。このように、スピナ本体30は試料管48の周囲を取り囲む部材である。試料管48は、固体試料が収容される円筒形状を有し、試料収容部50とタービン(羽根車)52とキャップ54とからなる。試料管48の直径は、一般的に数mm〜数十mm程度である。すなわち、高速回転を実現するために非常に細い試料管が用いられている。但し、本願明細書に記載されているいずれの数値も例示に過ぎない。試料収容部50の一方端部にタービン52が設けられており、他方端部にキャップ54が設けられている。試料収容部50の両端部にタービンが設けられてもよい。キャップ54は、試料収容部50に対する蓋として機能する。
試料収容部50を取り囲むように送受信コイル56が配置されている。試料管48の高速回転状態において、送受信コイル56により高周波磁場が生成される。その後の受信期間において送受信コイル56によりNMR信号が検出される。その信号を解析することにより分光スペクトルが得られる。なお、固体試料のNMR測定においては、試料管48の回転中心軸が静磁場方向に対してマジック角度をもって傾けられ、その角度を維持した状態で試料管48が駆動される。
試料収容部50内の全体に試料が収容されていてもよいし、一部に試料が収容されていてもよい。試料収容部50において送受信コイル56により囲まれているエリアが、励起対象エリア(アクティブボリューム)に相当し、そのエリア内に収容されている試料に対してNMR測定が行われる。
試料管48は、例えばジルコニア等のセラミックスにより構成されている。
スピナ本体30内には、複数のラジアル軸受58とスラスト軸受60が設けられている。複数のラジアル軸受58は、試料管48の回転中心軸方向に離れて設けられており、スラスト軸受60は、試料管48のキャップ54側に設けられている。スピナ本体30内には、軸受用ガス供給路62が形成されている。つまり、軸受用ガス供給路62は、スピナ本体30に接するように形成されている。図示しないガス導入ポートから導入された軸受用ガス(矢印64で示す方向から導入された軸受用ガス)が、軸受用ガス供給路62を経由して複数のラジアル軸受58とスラスト軸受60に供給され、複数のラジアル軸受58とスラスト軸受60により、試料管48が非接触で保持される。スピナ本体30には排気路66が形成されており、軸受用ガスの一部はその排気路66を経由してスピナハウジング28の外部(矢印68で示す方向)へ排気される。後述するように、軸受用ガスの一部は、VTガスとともに兼用排気路を経由して排気される。軸受用ガスとして、例えば、空気の他、窒素やヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。軸受用ガスの温度は、例えば室温(20℃〜27℃程度)である。
スピナ本体30と樹脂板32内には、回転制御用ガス供給路70が形成されている。図示しないガス導入ポートから導入された回転制御用ガス(矢印72で示す方向から導入された回転制御用ガス)が、樹脂板32内の回転制御用ガス供給路70を経由してタービン52に吹き付けられる。これにより、試料管48を駆動する推進力が生成され、試料管48が回転する。タービン52に吹き付けられた回転制御用ガスは、タービン52からスピナハウジング28の外側へ排気される(矢印74で示す方向)。回転制御用ガスとして、例えば、空気の他、窒素やヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。回転制御用ガスの温度は、例えば室温(20℃〜27℃程度)である。
なお、VTガス供給路と兼用排気路が形成されている位置は、図4の断面位置と異なるため、図4には、それらは図示されていない。
以下、図5を参照して、VTガス供給路と兼用排気路について詳しく説明する。図5は、スピナ22の内部を表す断面図である。図5は、VTガス供給路と兼用排気路を説明するための概念図である。VTガス供給路と兼用排気路の配置関係も概念的に示されている。
図4を参照して説明したように、軸受用ガス供給路62は、試料室46に隣接して形成されており、スピナ本体30内においてスピナ本体30と接触するように形成されている。矢印76で示す方向から導入された軸受用ガスが、軸受用ガス供給路62を経由してラジアル軸受58とスラスト軸受60へ供給される。これにより、試料管48が非接触で保持される。回転制御用ガス供給路70は、樹脂板32内に形成されている。矢印78で示す方向から導入された回転制御用ガスが、回転制御用ガス供給路70を経由してタービン52へ吹き付けられる。これにより、試料管48が回転する。
スピナ本体30内には、試料室46に連通するVTガス供給路80が形成されている。VTガス供給路80は、図2及び図3に示されているVTガス導入ポート42に連通している。VTガス導入ポート42から導入されたVTガス(矢印82で示す方向から導入されたVTガス)が、VTガス供給路80を経由して試料室46内に供給され、試料管48の試料収容部50に吹き付けられる。これにより、試料収容部50に収容されている試料の温度が、VTガスにより制御される。例えば、試料の温度が、−100℃〜200℃の範囲内に制御される。
スピナ本体30内には、試料室46に連通する複数の兼用排気路84が形成されている。図5に示す例では、3つの兼用排気路84が分散して配置されており、各兼用排気路84は、図2に示されている各排気ポート44に連通している。兼用排気路84と排気ポート44の数は一例に過ぎず、1又は複数の兼用排気路84と排気ポート44が設けられていてもよい。兼用排気路84は、試料室46からVTガスを排気するための排気路であるとともに、試料室46内に流入した軸受用ガスを排気するための排気路である。試料室46内のガスは、兼用排気路84を経由してスピナハウジング28の外部(矢印86で示す方向)へ排気される。
以下、図5を参照して、本実施形態に係るスピナ22の作用について説明する。
軸受用ガスが軸受用ガス供給路62を経由してラジアル軸受58とスラスト軸受60へ供給され、これにより、試料管48が非接触で保持される。回転制御用ガスが回転制御用ガス供給路70を経由してタービン52へ吹き付けられ、これにより、試料管48が高速で回転する。一例として、回転制御用ガスの圧力は0.2Mpa程度である。また、VTガスがVTガス供給路80を経由して試料室46に供給され、これにより、試料収容部50に収容されている試料の温度が制御される。一例として、VTガスの圧力は数kPa〜数十kPa程度である。
試料室46内に流入したVTガスは、兼用排気路84を経由してスピナハウジング28の外部へ排気される(矢印86で示す方向)。タービン52に吹き付けられた回転制御用ガスは、試料管48の一方端側(タービン52の端部側)からスピナハウジング28の外部へ排気される(矢印88で示す方向)。供給後の軸受用ガスの一部は、試料管48の一方端側(タービン52の端部側)と試料管48の他方端側(キャップ54の端部側)からスピナハウジング28の外部へ排気される(矢印88,90で示す方向)。供給後の軸受用ガスの残りの一部は、試料室46内へ流入する(矢印92で示す方向)。なお、圧力差等の条件により、供給後の全軸受用ガスが試料室46内へ流入することもあり得る。試料室46内へ流入した軸受用ガスは、試料室46内でVTガスと混合し、兼用排気路84を経由してスピナハウジング28の外部へ排気される(矢印86で示す方向)。軸受用ガス専用の排気路をスピナハウジング28に形成する必要がないので、スピナハウジング28の構造を簡略化することが可能となる。
試料室46内にVTガスが流入すると、試料室46内のVTガスとスピナ本体30との間で熱交換が行われる。また、VTガス供給路80はスピナ本体30に形成されているため、VTガス供給路80内のVTガスとスピナ本体30との間で熱交換が行われる。この熱交換により、スピナ本体30自体の温度が、VTガスの温度に近づく。例えば、VTガスの温度が200℃の場合、スピナ本体30自体の温度が200℃に近づく。なお、熱交換を促すために、VTガスとスピナ本体30との接触面積ができる限り大きいことが望ましい。例えば、試料室46の表面積を大きくするほど、その接触面積は大きくなるので、熱交換が促される。冷却されたVTガスが供給された場合も同様に、スピナ本体30の温度はVTガスの温度に近づく。
軸受用ガス供給路62はスピナ本体30内に形成されているので、軸受用ガスはその軸受用ガス供給路62内における流通段階でスピナ本体30と熱交換する。これにより、軸受用ガスの温度がスピナ本体30の温度に近づけられる。上記のとおり、スピナ本体30の温度はVTガスの温度に近づけられるので、軸受用ガスの温度はVTガスの温度に近づけられる。例えば、VTガスの温度が200℃であり、ガス導入ポートを経由して27℃の軸受用ガスが軸受用ガス供給路62へ導入された場合、軸受用ガスとスピナ本体30との間の熱交換により、軸受用ガスの温度は27℃から200℃へ近づけられる。例えば、その温度は100℃程度になる。ラジアル軸受58とスラスト軸受60には、加熱された軸受用ガスが供給される。この場合、軸受特性に変化が発生する可能性があるが、ラジアル軸受58とスラスト軸受60には、VTガスの温度(例えば200℃)までの過度の温度は及ばず、ある程度抑制された温度(例えば100℃)の軸受用ガスが供給される。軸受特性に変化が発生した場合であっても、VTガスを軸受用ガスとして用いてそのままラジアル軸受58とスラスト軸受60に供給する場合と比べて、軸受特性の変化を少なくすることが可能となる。冷却されたVTガスが供給された場合も同様に、軸受用ガスの温度がVTガスの温度に近づく。この場合も、VTガスを軸受用ガスとして用いるよりも、軸受特性の変化を少なくすることができる。
軸受用ガスの温度はVTガスの温度に近づけられているので、軸受用ガスが試料室46に流入しても、試料温度に与える影響は皆無又は僅かである。軸受用ガスは試料管48の軸方向から試料室46内に流入するため、VTガスと軸受用ガスとの間の温度差が大きいほど、軸方向における試料温度分布の均一性に影響を与え、その分布が不均一になる。その温度差が大きいほど、例えば、試料管48の中央部と端部(空気軸受に対応する部分)との間の温度勾配が大きくなり、これに起因して、軸方向における試料温度分布の不均一度が大きくなる。本実施形態では、軸受用ガスの温度はVTガスの温度に近づけられており、VTガスと軸受用ガスとの間の温度差は小さくなっているので、軸方向における試料温度分布を不均一にする影響は皆無又は僅かである。それ故、試料温度(例えばアクティブボリューム内の試料温度)の分布をできる限り均一に維持することが可能となる。
また、スピナ本体30の材料として、樹脂よりも熱伝導率の高いセラミックスを用いることにより、軸受用ガスとスピナ本体30との間の熱交換をより促進することが可能となる。一方で、スピナハウジング28の全体をセラミックスで構成すると、セラミックスにおける温度分布の影響により、スピナハウジング28において応力(歪み)が発生し、これにより、スピナハウジング28にクラックが発生したり、スピナハウジング28が割れたりする可能性がある。本実施形態では、セラミックスからなるスピナ本体30の両側に樹脂板32,34が設けられており、スピナ本体30にて発生した応力は樹脂板32,34により吸収される。これにより、その応力が緩和され、クラックや割れ等の発生を防止することが可能となる。
回転制御用ガス供給路70は、熱伝導率が低い樹脂板32内に形成されているため、回転制御用ガスは、VTガスやスピナ本体30からの温度の影響をできる限り受けずに済む。それ故、回転制御用ガスの温度の変化は皆無又は僅かである。
樹脂板32,34は金属製のボルト38とナット40によりスピナ本体30に固定されている。一般的に、金属製部材を静磁場内に配置すると、静磁場の均一性に影響を与え、静磁場が不均一になる。これに対処するために、本実施形態では、4本のボルト38(4個のナット40)は、試料管48の周りにおいて90°の角度間隔で互いに対称の位置に均等に配置されている。これにより、ボルト38とナット40による静磁場への影響は、対称の位置に配置された他のボルト38とナット40による静磁場への影響により相殺される。このように、互いに対称の位置に配置されたボルト38とナット40により、静磁場への影響が相殺されるので、静磁場の均一性に与える影響は皆無又は僅かである。
スピナ本体30と樹脂板32,34にはスルーホール36が形成されているが、このスルーホール36には、ボルト38用のネジ溝は形成されていない。仮に、スルーホール36にネジ溝を形成し、そのネジ溝とボルト38に形成されたネジ溝とを嵌合させた場合、スピナ本体30における温度分布の影響により、その嵌合部分に応力が発生し、スピナ本体30にクラックや割れが発生する可能性がある。本実施形態においては、スピナ本体30とボルト38は嵌合されないので、その嵌合に起因するクラックや割れ等の発生を防止することが可能となる。
本実施形態では、3つの兼用排気路84が、試料管48の軸方向に分散して配置されている。これにより、試料室46内のVTガスが分散するので、1つの兼用排気路84を用いてVTガスを排気する場合と比べて、試料室46内の温度分布をより均一に維持することが可能となる。
22 スピナ、28 スピナハウジング、30 スピナ本体、32,34 樹脂板、46 試料室、48 試料管、50 試料収容部、52 タービン、54 キャップ、56 送受信コイル、58 ラジアル軸受、60 スラスト軸受、62 軸受用ガス供給路、70 回転制御用ガス供給路、80 VTガス供給路、84 兼用排気路。

Claims (5)

  1. NMR測定の対象となる試料が収容される試料管と、
    前記試料管が収容される試料室を有するスピナハウジングと、
    前記スピナハウジングに形成されて前記試料室に連通し、前記試料の温度を制御するための温度制御用ガスを前記試料室へ供給する温度制御用ガス供給路と、
    前記スピナハウジングにおいて前記試料室に隣接して形成され、前記試料管の空気軸受のための軸受用ガスを前記試料管へ供給する軸受用ガス供給路と、
    前記スピナハウジングに形成され、前記試料管の回転を制御するための回転制御用ガスを前記試料管へ供給する回転制御用ガス供給路と、
    前記スピナハウジングに形成されて前記試料室に連通し、前記温度制御用ガスと前記試料室へ流入した前記軸受用ガスを前記試料室から排気する兼用排気路と、
    を含むことを特徴とするNMR測定用スピナ装置。
  2. 請求項1に記載のNMR測定用スピナ装置において、
    前記スピナハウジングは、前記試料室が形成された第1部材と前記第1部材を両側から挟む一対の第2部材とを含み、
    前記第1部材の熱伝導率は前記第2部材の熱伝導率よりも高く、
    前記軸受用ガス供給路は前記第1部材に接触するように形成されている、
    ことを特徴とするNMR測定用スピナ装置。
  3. 請求項2に記載のNMR測定用スピナ装置において、
    前記第1部材はセラミックスにより構成されており、
    前記第2部材は樹脂により構成されている、
    ことを特徴とするNMR測定用スピナ装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載のNMR測定用スピナ装置において、
    前記第1部材と前記一対の前記第2部材とを貫通して設けられ、前記第1部材に対して前記一対の前記第2部材を固定するための複数のボルトを更に含み、
    前記各ボルトは、前記試料管の周りにおいて互いに対称の位置に均等に配置されている、
    ことを特徴とするNMR測定用スピナ装置。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のNMR測定用スピナ装置において、
    前記兼用排気路は、前記温度制御用ガスと前記軸受用ガスを前記試料室から排気する複数の排気路により構成され、
    前記複数の排気路は分散して前記第1部材に形成されている、
    ことを特徴とするNMR測定用スピナ装置。
JP2015249866A 2015-12-22 2015-12-22 Nmr測定用スピナ装置 Active JP6549980B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015249866A JP6549980B2 (ja) 2015-12-22 2015-12-22 Nmr測定用スピナ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015249866A JP6549980B2 (ja) 2015-12-22 2015-12-22 Nmr測定用スピナ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017116322A JP2017116322A (ja) 2017-06-29
JP6549980B2 true JP6549980B2 (ja) 2019-07-24

Family

ID=59234240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015249866A Active JP6549980B2 (ja) 2015-12-22 2015-12-22 Nmr測定用スピナ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6549980B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6857642B2 (ja) 2018-12-25 2021-04-14 日本電子株式会社 Nmr測定装置及び試料管回転制御方法
CN111122638B (zh) * 2020-03-31 2020-06-26 南京昊绿生物科技有限公司 实时在线监测反应过程的核磁测试装置及方法
DE102020204379B3 (de) * 2020-04-03 2021-05-20 Bruker Switzerland Ag Magnetisch kompensierter NMR-Rotor und Verfahren zur Auslegung und Herstellung

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017116322A (ja) 2017-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6549980B2 (ja) Nmr測定用スピナ装置
EP2327139B1 (en) Rotor drive apparatus and methods utilizing center-fed radial -outflow gas
US10254357B2 (en) NMR probe
US8847595B2 (en) Temperature control device for an NMR sample tube
GB2393788A (en) Magnetic resonance imaging device with shim elements and supplied with coolant
US7514922B2 (en) Vacuum container for cooled magnetic resonance probe head
JP6359606B2 (ja) Nmr−mas装置用の角度調整可能プローブヘッド
CN107870309B (zh) Nmr-mas转子的改进的调温系统
CN111562529B (zh) 包括热绝缘的样品腔的mas探头
US10132881B2 (en) MAS-stator with suctioning-off device
US11360167B2 (en) Systems, spherical rotors, stators, and methods of use
US10649047B2 (en) MAS NMR probe head arrangement with replaceable stator
CN109814052B (zh) 具有改进的空间利用的魔角旋转核磁共振转子系统
US8390289B2 (en) Magnet arrangement for generating an NMR-compatible homogeneous permanent magnetic field
US10473735B2 (en) NMR probe comprising a multi-part lower insert portion
Geschke et al. A magic-angle spinning system for high-temperature NMR eExperiments
US11137458B2 (en) High-temperature NMR MAS probe with optimized temperature gradient across sample rotor
US11073579B1 (en) Magnetically compensated NMR rotor
US20140111205A1 (en) Method and Device for Holding and Adjusting Permanent Magnets Included in an NMR System
KR101487160B1 (ko) 생체시료용 mrfm 장치
GB2533170A (en) Inclined nuclear magnetic resonance cryostat

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180712

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190628

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6549980

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150