以下、本発明の一実施の形態に係る、アンテナ装置10について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、アンテナ装置10の製造方法についても、構成の説明中に適宜説明する。
また、以下の説明においては、XYZ直交座標系を用いて説明することがある。そのうち、X方向はアンテナ装置10の長手方向とし、X1側は後述する端子部材70が取り付けられる側とし、X2側はそれとは逆側とする。また、Z方向はアンテナ装置10の厚み方向とし、Z1側は図2における上側とし、Z2側は図2における下側とする。また、Y方向はXZ方向に直交する方向(幅方向)とし、Y1側は図1における右手前側とし、Y2側はそれとは逆の奥左側とする。
<アンテナ装置10の全体構成について>
図1は、アンテナ装置10の全体構成を示す斜視図である。図2は、アンテナ装置10の構成を示す側面断面図である。図1および図2に示すように、アンテナ装置10は、コア20と、ベース30と、コイル40と、樹脂充填部50と、ケース60と、端子部材70と、を主要な構成要素としている。
図2に示すように、コア20は、磁性材料から形成されると共に、X方向に長い長尺状(棒状)に設けられている。また、コア20は、正面から見たときの断面を矩形状としている。なお、コア20は、その材質を磁性材としているが、磁性材としては、例えば、ニッケル系のフェライトまたはマンガン系のフェライト等の種々のフェライト、パーマロイ、センダスト等、各種の磁性材料および各種の磁性材料の混合物を用いることが可能である。
図3は、アンテナ装置10から樹脂充填部50とケース60を除いた状態を示す斜視図である。図2および図3に示すように、コア20の外周側には、ベース30が取り付けられている。換言すると、コア20は、ベース30の内挿孔34に挿入されている。ベース30は、その材質を絶縁性に優れた熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とするのが好ましいが、半田付けや溶接加工などにより熱ダメージを受ける場合があることに鑑みて、耐熱性樹脂を用いることが更に好ましい。
図4は、ベース30の構成を示す斜視図である。図4に示すように、ベース30は、筒体部31を備え、その筒体部31には、巻枠部32と、支持鍔部33とが設けられている。また、筒体部31には、内挿孔34が設けられていて、その内挿孔34には、コア20が挿入されている。また、ベース30は、端子取付部80も有している。
巻枠部32は、ベース30のうちコア20に直接取り付けられる部分である。すなわち、巻枠部32は、その内壁側でコア20に直接接触している。なお、巻枠部32の内壁には、コア20を支持するための図示を省略するリブ等が設けられることが好ましい。
また、図2および図3に示すように、巻枠部32の外周側には、導線41を巻回することによってコイル40が形成されている(この巻回する工程は、コイル形成工程に対応)。また、巻枠部32のうち長手方向(X方向)の両端側には、支持鍔部33が設けられている。支持鍔部33は、ベース30のうちケース60の内壁側に向かい突出している鍔状の部分である。すなわち、支持鍔部33は、巻枠部32よりも幅方向(Y方向)および上下方向(Z方向)で突出するように設けられている。そして、この支持鍔部33を介して、ベース30がケース60の差込孔61の内部で支持される。
また、一対の支持鍔部33のうち一端側(X1側)に位置する支持鍔部33Aには、ガイドスロープ331が設けられている。ガイドスロープ331は、巻枠部32から一端側(X1側)向かうにつれて、徐々に上方側(Z1側)に向かうように傾斜した傾斜部分である。かかるガイドスロープ331の存在により、コイル40から端子部材70に向かう導線41のガイドが容易となる。
また、ベース30には、端子取付部80も設けられている。端子取付部80は、上述した筒体部31と一体的に設けられていても良いが、別体的に形成した後に組み合わせる構成としても良い。すなわち、端子取付部80は、コア20の端部側に配置されていれば筒体部31と一体的であっても、一体的でなくても良い。なお、端子取付部80の詳細構成については、後述する。
また、ケース60の差込孔61の内部には、樹脂充填部50が設けられている。樹脂充填部50は、差込孔61の内部に樹脂を充填して形成されたものであり、それによって差込孔61の内部が封止されている。また、樹脂充填部50の存在により、ベース30が差込孔61の内部でガタつかずに確実に保持される。そして、ケース60および樹脂充填部50により、アンテナ装置10へ防水効果を更に高めることができる。図2に示す構成では、樹脂充填部50は、ケース60の内部空間を充填するように設けられている。
ただし、樹脂充填部50がコイル40を覆わない構成としても良い。この場合、たとえば、樹脂充填部50が差込孔61の開口部のみを封止すれば良い。特に、端子取付部80が差込孔61の開口部付近に位置する場合、この開口部と端子取付部80の上下空間と同時に樹脂充填部50で充填することが好ましい。このとき、端子取付部80上に差し込まれている端子部材70がこの樹脂充填部50により更に堅固に固定され、ユーザ側の外部コネクタに接続する際におけるガタツキを低減することができる。なお、端子取付部80が差込孔61の開口部付近に位置しない場合、2回(それ以上でも良い)に分けてそれぞれ端子取付部80および差込孔61の開口部を樹脂充填部50で封止することもできる。
ケース60は、コア20、ベース30、コイル40および樹脂充填部50を覆う部材である。このケース60には、長手方向(X方向)に延伸している差込孔61が設けられている。差込孔61は、コア20、ベース30および樹脂充填部50の全体を入り込ませることが可能となるように長く設けられている。なお、差込孔61のうち一端側(X1側)は閉塞壁611によって塞がれているが、この閉塞壁611には、後述する端子部材70をコネクタ穴621に突出させるために、端子挿入孔612が設けられている。なお、端子挿入孔612に端子部材70を挿入した状態では、差込孔61に水等が入り込み難くなっている。
また、ケース60には、コネクタ接続部62が設けられている。コネクタ接続部62は、コネクタ穴621を有していて、このコネクタ穴621は閉塞壁611の存在によって有底となっている。したがって、コネクタ穴621の内部には、端子挿入孔612を介して端子部材70が突出する。そして、コネクタ穴621に外部のコネクタを差し込むと、当該コネクタと端子部材70とが電気的に接続され、コイル40に電流を導通させることが可能となっている。
<端子取付部80の詳細構成について>
続いて、上述した端子取付部80の詳細構成について説明する。図5は、端子取付部80の構成を拡大して示す平面図である。図6は、端子取付部80に端子部材70を取り付けた状態を示す斜視図である。
図2に示すように、端子取付部80は、コア20に対して近接対向して配置されているが、接触はしていない。ただし、端子取付部80がコア20に対して接触するように構成しても良い。端子取付部80は、ベース30のうち最も一端側(X1側;コア20の一端部と同等の位置)まで延出している。
図4から図6に示すように、端子取付部80には、端子差込部に対応する複数の取付溝81が設けられている。本明細書では、アンテナ装置10の長手方向(X方向)を横方向とし、アンテナ装置10の短手方向(Y方向;幅方向)を縦方向とすると、取付溝81には、X方向に沿う取付横溝82と、Y方向に沿う取付縦溝83とが存在している。図4から図6に示す構成では、取付横溝82は合計2つ存在していると共に、取付縦溝83も合計2つ存在している。以下の説明では、手前側(Y1側)に位置する取付横溝82を第1取付横溝82Aとし、奥側(Y2側)に存在する取付横溝82を第2取付横溝82Bとする。また、一端側(X1側)に存在する取付縦溝83を第1取付縦溝83Aとすると共に、他端側(X2側)に存在する取付縦溝83を第2取付縦溝83Bとする。
図4に示すように、これらの取付溝81は、端子取付部80の上面から所定だけ窪んだ凹形状に設けられている。また、取付溝81は、いずれもその幅が同程度に設けられている。そして、図4に示すように、それぞれの取付溝81の底部は、同じ平面に存在するように設けられている。それによって、端子部材70を取付溝81に取り付けたときに(図3参照)、端子部材70が不必要に傾斜したり、ガタついたりするのを抑えることができる。
本実施の形態では、取付横溝82と取付縦溝83は、互いに直交するように設けられている。しかし、取付横溝82と取付縦溝83とは、互いに直交しない状態で交差しても良い。また、図4に示す構成では、第1取付横溝82Aは、最も短く設けられており、他端側(X2側)に位置する第2取付縦溝83Bとは交差していない。しかしながら、第1取付横溝82Aも第2取付縦溝83Bと交差する構成としても良い。
また、図4に示すように、これらの取付溝81に囲まれることにより、端子取付部80には、複数のブロック84が形成されている。以下では、長手方向(X方向)の一端側かつ幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)のブロック84を第1ブロック84Aとし、その第1ブロック84Aに対して奥側(Y2側)で隣り合うブロック84を第2ブロック84Bとし、さらに第2ブロック84Bに対して奥側(Y2側)で隣り合うブロック84を第3ブロック84Cとする。
また、第1ブロック84Aおよび第2ブロック84Bに対して長手方向(X方向)の他端側(X2側)で隣り合うブロック84を第4ブロック84Dとし、その第4ブロック84Dに対して奥側(Y2側)で隣り合うブロック84を第5ブロック84Eとする。なお、第4ブロック84Dは、他のブロック84と比較して長く設けられている。しかし、他のブロック84と同程度の長さとなるように、第4ブロック84Dを分割する構成としても良い。また、長手方向(X方向)の他端側(X2側)かつ奥側(Y2側)のブロック84を、第6ブロック84Fとする。第6ブロック84Fは、端子部材70の延出方向を変更するべく第2取付横溝82Bの突き当たり位置に差し掛かる配置としている。
ここで、図4および図5に示す構成では、第1ブロック84Aと第4ブロック84Dには、湾曲部841がそれぞれ設けられている。湾曲部841は、端子部材70の曲げに対応した部分であり、たとえばL字形状に曲げられた端子部材70は、この湾曲部841の存在により、取付溝81に容易に差し込むことが可能となる。図4および図5では、湾曲部841は、端子部材70の差し込み態様を考慮して最小限必要となる第1ブロック84Aと第4ブロック84Dに設けられている。しかしながら、湾曲部841は、その他の各ブロック84に設けるように構成しても良い。なお、図4および図5に示す構成では、湾曲部841は、第1ブロック84Aおよび第4ブロック84Dのうち他端側(X2側)かつ奥側(Y2側)の隅部に設けられている。しかしながら、各ブロック84に湾曲部841を設ける場合には、それ以外の隅部に湾曲部841を設けるようにしても良い。
このような取付溝81には、図7に示すような端子部材70が差し込まれ、図3および図6に示すような差し込み状態となる。図7に示すように、本実施の形態の端子部材70は、金属製の端子に対してプレス成型を行い略L字形状に形成したものである。ただし、略L字形状ではなくストレート形状の端子部材70を第1取付横溝82Aまたは第2取付横溝82Bに挿入し、その後、治具や後述する湾曲部841を利用して曲げるようにしても良い(他の形態1を参照)。
かかる端子部材70には、プレスの際の押圧による幅広部71が設けられている。幅広部71は、それぞれの取付溝81よりも若干広くなるように設けられていて、図7に示す構成では、略L字形状の端子部材70のそれぞれの辺に存在(すなわち合計2つが存在)している。また、幅広部71は、プレスの際の押圧により形成されるので、端子部材70の他の部分よりも薄肉に設けられている。
この幅広部71は、取付溝81への端子部材70の差し込みに際して(この差し込みは、端子取付工程に対応する)、取付溝81の側壁に引っ掛かる部分である。そのため、取付溝81に端子部材70を差し込むと、端子部材70が取付溝81から抜け難くなっている。なお、幅広部71以外の端子部材70の幅を、取付溝81の幅よりも若干小さく形成するようにしても良い。このように構成する場合には、取付溝81に差し込んだ端子部材70が一層抜け難くなる。
上述の端子部材70は、たとえば所定の直径を有し、円形、楕円形又は多角形状の断面形状を有する銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)またはその合金類等のような導電性が良く、しかも所定の硬度を有する金属材料から形成される部材であり、所定長さにせん断加工されている。なお、端子部材70の表面には、錫、ニッケルやコバルト,クロム,パラジウム,金,銅等の金属材料またはこれらの金属材料を主成分とする合金材料によって鍍金層が形成されるのが好ましい。
なお、端子部材70は、長辺と短辺とを有する略矩形状の断面形状を有するものが加工上、または取付けの観点からみて好ましい。また、図6等においては、2つの端子部材70が取り付けられているものを示している。しかしながら、端子部材70は、幾つ(たとえば、3つまたは4つ)用いられても良い(他の形態3を参照)。ただし、複数の端子部材70のうちの2つの端子部材70については、いずれかの端部側は、ユーザ端子となる。また、複数の端子部材70のうちの少なくとも1つの端子部材70については、いずれかの端部側が絡げ端子部(後述する絡げ端子部70A1はその代表例)となる。
また、図6に示すように、端子部材70が取付溝81に差し込まれた場合、その端子部材70の先端側および後端側は、それぞれ取付溝81から突出するような長さに設けられている。図6に示す構成では、一方の端子部材70(端子部材70A)は、第1取付横溝82Aおよび第1取付縦溝83Aに跨って差し込まれると共に、他方の端子部材70(端子部材70B)は、第2取付横溝82Bおよび第2取付縦溝83Bに跨って差し込まれている。
そして、一方の端子部材70Aおよび他方の端子部材70Bは、それぞれ第1取付横溝82Aおよび第2取付横溝82Bから長手方向(X方向)の一端側(X1側)に突出すると共に、第1取付縦溝83Aおよび第2取付縦溝83Bから幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)に突出する。そして、端子部材70Aのうち、第1取付縦溝83Aから手前側(Y1側)に突出する部分には、導線41の端末が絡げられ(この絡げる工程は、絡げ工程に対応する)、絡げ端子としての機能を果たす。以下では、この絡げ端子として機能する部分を、絡げ端子部70A1とする。なお、他方の端子部材70Aのうち、絡げ端子部70A1とは反対側の端部は、他の装置等に接続されるユーザ端子となる(端子部材70Bについても同様)。
また、端子部材70Bのうち、第2取付縦溝83Bから手前側(Y1側)に突出する部分には、ピン型コンデンサ90のリード部91と重ねられ(以下、この部分をリード重ね部70B1とする)、これらが半田付け等で電気的に接続される。なお、両者の接続は、半田付けに限られるものではなく、抵抗溶接や、レーザ溶接など様々の工法を用いることができる。
なお、一方の端子部材70Aおよび他方の端子部材70Bのうち、第1取付横溝82Aおよび第2取付横溝82Bから長手方向(X方向)の一端側(X1側)に突出する部分は、それぞれ端子挿入孔612に差し込まれる。そして、これらの突出部分は、コネクタ接続部62のコネクタ穴621に延出している。
また、第4ブロック84Dには、端末ガイド部84D1が設けられている。端末ガイド部84D1は、導線41の端末が端子部70A1に向かうのをガイドする部分である。そのため、端末ガイド部84D1は、導線41が載置される部分よりも上方側(Z1側)に突出する壁面形状に設けられている。また、端末ガイド部84D1のうち長手方向(X方向)の他方側(X2側)かつ幅方向(Y方向)の奥側(Y1側)には、壁面形状の部分よりも長く設けられているピン状の部分が存在していて、導線41のガイドを良好に行うようにしている。
また、端子取付部80には、ピン型コンデンサ90を取り付けるためのコンデンサ取付部85も設けられている。図8は、端子取付部80のうちコンデンサ取付部85付近の構成を示す正面断面図であり、コンデンサ取付部85にピン型コンデンサ90が存在する状態を示している。図8に示すように、コンデンサ取付部85には、ピン型コンデンサ90を設置するために窪んだ設置凹部851が設けられている。なお、一対のリード部91のうち長手方向(X方向)の一端側(X1側)から突出するものは、第2取付縦溝83Bにおいて端子部材70Bのリード重ね部70B1と重なるように配置され、幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)に延出している。
また、一対のリード部91のうち他方側は、導出溝部852を介して幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)に導出している。加えて、端子取付部80のうち導出溝部852の下方側(Z2側)の側壁には、その側壁から離間する向きに突出するガイド凸部853が設けられ、そのガイド凸部853とリード部91の先端側とが重ねられる。それにより、導線41の端末をリード部91に絡げ易くしている。なお、導線41とリード部91の電気的な接続も、半田付け、抵抗溶接、レーザ溶接など様々の工法を用いることができる。
また、コンデンサ取付部85には、手前側係止壁854が設けられ、さらに手前側係止壁854からは抑え部855が延出している。手前側係止壁854は、ピン型コンデンサ90のうち一対のリード部91の間に位置し、当該ピン型コンデンサ90が手前側(Y1側)に移動するのを規制する部分である。また、抑え部855は、設置凹部851と対向して、ピン型コンデンサ90が上方側(Z1側)に抜けるのを防止する部分である。そのため、抑え部855は、手前側係止壁854の上方側(Z1側)から奥側(Y2側)に向かい延出している。
ここで、本実施の形態では、上述のようなピン型コンデンサ90が用いられている。かかるピン型コンデンサ90を用いる場合、次のような効果を生じさせることができる。すなわち、リード部91を曲げることにより、ピン型コンデンサ90のリード部91の引き出し方向を修正できるので、端子取付部80の形状に合わせてリード部91を引き出すことができる。それにより、端子取付部80の設計を簡素化することができる。
また、ピン型コンデンサ90を用いる場合、面実装型のチップコンデンサと比較して、リード部91を半田付けしたり溶接する等、種々の取付工程に対応可能となる。ここで、導出溝部852や第2取付縦溝83Bからリード部91を引き出して、端子取付部80の外側で取付工程を行うことができるので、取付工程において発生した熱から端子取付部80へのダメージを低減することができる。
さらに、ピン型コンデンサ90は、面実装型のチップコンデンサに比べて、端子取付部80へ搭載する際に上述の設置凹部851に取り付ける等、その搭載工程を単純化することができる。それにより、工程の簡素化によるコスト削減もできる。
なお、取付溝81へ端子部材70を取り付ける態様は、上述に限られるものではない。たとえば、導線41をコア20の外周側に直接巻回して配置することができる。この場合、巻枠部32が不要となる。以下に、端子部材70を取付溝81へ取り付ける他の態様について説明する。
(他の形態1)
図9は、他の形態1に関するアンテナ装置11の構成を示す斜視図である。図10は、他の形態1に関するアンテナ装置11から樹脂充填部50を取り除いた構成を示す斜視図である。なお、図9に示す構成では、ケース60の手前側(Y1側)の側面が開放している状態で示されているが、この手前側(Y1側)の側面が閉塞しても良いのは勿論である。
図9および図10に示すように、他の形態1では、端子部材70は、図7に示すものとは異なり、ストレート形状に形成されている。そして、かかるストレート形状の端子部材70が、第1取付縦溝83Aと第2取付縦溝83Bに差し込まれている。このようなストレート形状の端子部材70を、第1取付縦溝83Aと第2取付縦溝83Bに差し込んでいる関係上、ケース60のコネクタ接続部62は、端子部材70の奥側(Y2側)に対応する位置に突出するように設けられている。
(他の形態2)
図11は、他の形態2に関するアンテナ装置12の構成を示す斜視図である。図12は、他の形態2に関するアンテナ装置12から樹脂充填部50を取り除いた状態を示す斜視図である。なお、図11においては、長手方向(X方向)の一端側(X1側)の端面が開放している状態で示されているが、この一端側(X1側)の端面が閉塞しても良いのは勿論である。
図12に示すように、他の形態2では、端子部材70は、図7に示す端子部材70と同様に略L字形状となるように曲げられている。しかしながら、端子部材70のうち、第1取付縦溝83Aと第2取付縦溝83Bに差し込まれる部分は、ストレート形状となっている。そして、それぞれの端子部材70は、奥側(Y2側)において、長手方向(X方向)の他端側(X2側)に向かうように曲げられている。かかる略L字形状の端子部材70を、第1取付縦溝83Aと第2取付縦溝83Bに差し込んでいる関係上、ケース60のコネクタ接続部62は、端子部材70の奥側(Y2側)に対応する位置から突出すると共に、端子部材70の奥側(Y2側)の曲げに対応する部位から、長手方向(X方向)の他端側(X2側)に向かうように曲げられている。すなわち、コネクタ接続部62も略L字形状に設けられている。
(他の形態3)
図13は、他の形態3に関するアンテナ装置13の構成からケース60と樹脂充填部50を取り除いた構成を示す斜視図である。なお、この他の形態3では、ケース60および樹脂充填部50を取り付けた状態の構成は、上述した図1に示す形態と同様であるので、図示を省略する。
かかるアンテナ装置13では、端子部材70は3つ用いられた、3端子タイプのアンテナ装置となっている。そして、かかる3つの端子部材70に対応させるべく、端子取付部80に存在する81には、3つの取付横溝82と、同じく3つの取付縦溝83とが設けられている。以下の説明では、取付横溝82については、手前側(Y1側)から奥側(Y2側)に向かい、順に、第1取付横溝82A、第2取付横溝82Bおよび第3取付横溝82Cとする。また、取付縦溝83については、長手方向(X方向)の一端側(X1側)から他端側(X2側)に向かい、順に、第1取付縦溝83A、第2取付縦溝83Bおよび第3取付縦溝83Cとする。
なお、第3取付縦溝83Cは、上述した導出溝部852と同様の位置に設けられている。そして、端子部材70のうち端子部材70Aは、図6等に示す構成と同様に、第1取付横溝82Aおよび第1取付縦溝83Aに跨って差し込まれる。また、端子部材70Bは、第2取付横溝82Bおよび第2取付縦溝83Bに跨って差し込まれている。さらに、端子部材70Cは、第3取付横溝82Cおよび第3取付縦溝83Cに跨って差し込まれている。
そして、端子部材70Aの絡げ端子部70A1には、上述のように導線41の端末が絡げられて両者が電気的に接続されている。また、端子部材70Bのリード重ね部70B1には、一方のリード部91が重ねられて両者が電気的に接続されている。また、端子部材70Cにもリード重ね部70C1が設けられていて、そのリード重ね部70C1には、他方のリード部91が重ねられると共に、41の端末が巻回されている。そして導線41の端末、リード部91およびリード重ね部70C1が電気的に接続されている。
このような接続により、アンテナ装置13では、図14に示すような内部接続回路が構成される。なお、かかる3端子タイプのアンテナ装置13では、そのアンテナ装置13が取り付けられるもの(車両を含む)の回路仕様に基づいて、LC直列発振回路、L素子のみから構成される発振回路、またはLC並列発振回路等を、取り付ける端子部材70とその端子部材70に接続する回路素子を選択することで自由に実現可能となる。そのため、アンテナ装置13では、アンテナ装置としての汎用性がさらに高くなる。
なお、他の形態3の変形例を、図15および図16に示す。図15は、図10に示すような、ストレート形状の端子部材70(端子部材70A〜70C)を、それぞれ第1取付縦溝83A〜83Cに差し込まれた状態を示している。また、図16は、図12に示すような略L字形状の端子部材70(端子部材70A〜70C)が用いられている状態を示す図である。なお、図16では、略L字形状の端子部材70(端子部材70A〜70C)は、それぞれ第1取付縦溝83A〜83Cに差し込まれている。しかしながら、略L字形状の端子部材70(端子部材70A〜70C)のうち、第1取付縦溝83A〜83Cに差し込まれる部分は、それぞれの端子部材70A〜70Cのうちのストレート形状の部分となっている。
(他の形態4)
図17は、他の形態4に関するアンテナ装置14に係り、そのアンテナ装置14の構成からケース60と樹脂充填部50を取り除いた構成を示す斜視図である。なお、この他の形態3では、ケース60および樹脂充填部50を取り付けた状態の構成は、上述した図1に示す形態と同様であるので、図示を省略する。
他の形態4のベース30は、上述したような筒体部31を有し、その筒体部31には、コア20を挿入する内挿孔34が設けられている。また、筒体部31には、導線41の巻回によって構成されるコイル40が配置されている。しかしながら、他の形態4においては、ベース30には、支持鍔部33に代えて、フィン35が存在している。フィン35は、複数(図17ではそれぞれ4つずつ)設けられていて、このフィン35がケース60の差込孔61の内壁に当接する。それにより、差込孔61は、外部から封止される。
また、端子取付部80は、筒体部31の奥側(Y2側)の側面から、さらに奥側(Y2側)に向かい突出して設けられている。図18は、端子取付部80の構成を示す平面図である。図17および図18に示すように、端子取付部80には、開口部86が設けられている。開口部86は、端子取付部80を上下方向(Z方向)に沿って貫通している。この開口部86には、SMD(Surface Mount Device)型のチップコンデンサ100が配置されている。
また、端子取付部80には、端子部材70の個数に対応した数の端子挿入孔87が設けられている。なお、端子挿入孔87は、端子差込部に対応する。複数の端子挿入孔87のうち、最も奥側(Y2側)の端子挿入孔87Cは、開口部86には差し掛からない。しかし、手前側(Y1側)に位置する2つの端子部材70A,70Bを差し込むための端子挿入孔87A,87Bは、開口部86に差し掛かる。すなわち、端子挿入孔87A,87Bの孔開口部分が、開口部86に露出する。
なお、端子挿入孔87A,87Bは、開口部86によって2つに分割された状態となっている。そのうち、開口部86よりも他端側(X2側)に位置する端子挿入孔87A,87Bは、開口面積が大きく設けられているが、一端側(X1側)に位置する端子挿入孔87A,87Bは、開口面積が小さく設けられている。それにより、他端側(X2側)から一端側(X1側)に向かって端子挿入孔87A,87Bに差し込まれた端子部材70A,70Bの差し込みが規制される。
図19は、端子部材70の形状を示す平面図である。図19に示すように、端子部材70は、幅狭ピン状部72と、幅広支持部73と、外方幅広部74とが設けられ、これらが連なっている。そして、幅狭ピン状部72よりも幅広支持部73が幅広であり、また幅広支持部73よりも外方幅広部74が幅広に設けられている。なお、図19には、カット線P,Qも示されている。図19に示す端子部材70をカット線Pに沿って切断すると、最も手前側(Y1側)に位置する端子部材70Aが形成される。また、図19に示す端子部材70をカット線Qに沿って切断すると、端子部材70Aに隣り合う端子部材70Bが形成される。かかるカット線P,Qに沿った端子部材70の切断は、端子挿入孔87A,87Bへの端子部材70の挿入後に行っても良く(切断工程に対応)、端子挿入孔87A,87Bへの端子部材70の挿入前に行っても良い。
また、端子挿入孔87A,87Bに端子部材70A,70Bがそれぞれ挿入された後には、幅広支持部73によってチップコンデンサ100が支持され、そのチップコンデンサ100がそれぞれの幅広支持部73に対して半田付けやその他の手法によって電気的に接続される。
また、端子部材70Aの外方幅広部74と、端子部材70Cの外方幅広部74には、それぞれ導線41が絡げられて、これらが電気的に接続されている。
なお、この他の形態4では、端子挿入孔87をベース30と一体成型してから、端子部材70を挿入する製造方法を示している。ただし、ベース30を成型する際、端子挿入孔を設けない方法でも製造できる。この場合、まず端子挿入孔が存在しないベース30を射出成型方法で形成し、その後、ベース30の所定位置に、自動端子ピン打込機械を用いて、端子部材70を打ち込みながら、端子挿入孔87を形成することもできる。
<効果について>
以上のような構成のアンテナ装置10によると、端子取付部80には、複数の取付溝81が設けられていて、その取付溝81に端子部材70が差し込まれる。そのため、インサート成型を行わずに簡易に端子部材70を取り付けることが可能となる。そのため、インサート成型を行うための金型を用いずに済み、工程を簡素化することができる。また、インサート成型を行わずに済むので、コストを低減することが可能となる。
また、複数の取付溝81から所望する取付溝81を選択して、端子部材70を差し込むことが可能となり、端子部材70の取付態様を容易に変更することが可能となる。それにより、端子部材70の取り付けの自由度を向上させることが可能となる。すなわち、多様な客先仕様に対応させることも可能となる。
ここで、従来構成では、端子部材70の取付態様を変更する場合、その変更に対応させてインサート成型のための金型を新たに製作する必要が生じている。しかしながら、本実施の形態では、同じベース30を用いると共に、そのベース30から端子部材70を取り付ける取付溝81を選択するだけで、端子部材70の取付態様を容易に変更することができる。そのため、新たにインサート成型のための金型を製作せずに済み、工程を簡素化することが可能となると共に、コストを低減可能となる。
また、本実施の形態では、アンテナ装置10〜14は、端子取付部80と一体成型される巻枠部32を更に備えている。また、コア20が巻枠部32の内挿孔34に挿入され、コア20が巻枠部32の外周側に配置されている。このため、巻枠部32にコイル40を形成することが可能となり、コア20にコイル40が直接形成されない構成となる。そのため、コア20の外周にコイル40が直接形成される場合と比較して、導線41の巻回によるコイル40の形成や、コイル40の形成後に導線41の端末を端子部材70の絡げ端子部70A1に絡げる作業が容易に行える。
また、本実施の形態では、複数の取付溝81は、凹形状に設けられていて、その凹形状の取付溝81は、他の取付溝81と交差している。そのため、端子部材70の配置の自由度を一層向上させることができる。また、取付溝81同士が交差する部位では、その交差に対応させて端子部材70を曲げた状態で配置することも可能となり、端子部材70の引き出し方向の自由度を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、取付溝81には、端子取付部80の幅方向(Y方向)に沿って当該端子取付部80を突っ切る複数の取付縦溝83と、端子取付部80の幅方向(Y方向)と交差する方向(たとえばX方向)に沿って延伸する複数の取付横溝82とが設けられている。そのため、取り付ける端子部材70の長さや、端子部材70を引き出す方向や位置を種々選択することが可能となり、端子部材70の取り付けの自由度を一層向上させることができる。
また、本実施の形態では、取付縦溝83と取付横溝82とは、直交する状態で交差している。このため、端子部材70の引き出し方向を、種々の方向に分散させることができる。たとえば、端子部材70の引き出し方向を、端子取付部80の側面側および正面側とすることが可能となる。
さらに、本実施の形態では、取付溝81同士が交差する部位のうちの少なくとも1つには、端子部材70の曲げ形状に対応する湾曲部841が設けられている。このため、たとえば略L字形状等、曲げ部を有する端子部材70についても、取付溝81に良好に取り付けることが可能となる。
また、本実施の形態では、複数の端子部材70のうち2つについては、その一方側が他の装置に接続されるユーザ端子であると共に、その他方側が導線の端末が絡げられる絡げ端子部70A1である。そのため、他の電気機器やコネクタ等といった各種の装置にユーザ端子を介して接続することが可能となる。また、導線41の端末を絡げ端子部70A1に絡げさせることが可能となる。
さらに、本実施の形態では、他の形態4において説明したように、端子取付部80に端子挿入孔87を形成する構成とすることもできる。この場合にも、インサート成型を行わずに端子部材70を端子取付部80に取り付けることが可能となる。それにより、インサート成型を行うための金型を用いずに済み、工程を簡素化することができる。また、インサート成型を行わずに済み、ベース30の形成に用いられる金型の簡素化も実現できるので、コストを低減することが可能となる。
また、本実施の形態では、他の形態4において説明したように、端子取付部80には、開口部86が設けられていると共に、開口部86には面実装型のチップコンデンサ100が配置される。そして、端子部材70には、チップコンデンサ100を支持すると共に端子挿入孔87への差し込みの先端側よりも広い幅広支持部73が設けられている。そのため、開口部86において、幅広支持部73でチップコンデンサ100を支持する構成とすることができる。また、半田付けやその他の手法によって、チップコンデンサ100を幅広支持部73に容易に取り付けることが可能となる。
また、本実施の形態では、端子挿入孔87A,87Bに端子部材70A,70Bをそれぞれ差し込んだ後に、端子部材70A,70Bを切断するように製作することも可能である。このように構成する場合には、端子部材70A,70Bの挿入長さや挿入位置に合わせた切断を実現することが可能となる。
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、ピン型コンデンサ90は、端子取付部80のうち取付溝81が存在する側の面と同じ側(Z1側の面)に搭載されている。しかしながら、ピン型コンデンサ90は、取付溝81と同じ側の面に搭載せずに、それとは反対側の面(Z2側の面)に搭載する構成としても良い。
また、上述の実施の形態では、コンデンサとしてピン型コンデンサ90を用いる場合について説明している。しかしながら、このようなピン型コンデンサ90を用いる場合であっても、そのピン型コンデンサ90に代えて、面実装型のコンデンサを用いるようにしても良い。なお、たとえば、SMD(Surface Mount Device)型のチップコンデンサを用いる場合、2つではなく3つの他方の端子部材70を用いることができる。その場合、チップコンデンサの実装電極および導線41の端末を絡げるための3つ目の他方の端子部材70を用いることができる。なお、かかるチップコンデンサを用いる場合、そのチップコンデンサと端子部材70との接触面積を大きくするために、端子部材70に幅広部を設けるように構成することが好ましい。
また、上述の実施の形態において、端子部材70が一層抜け難くするために、次のような構成を採用しても良い。すなわち、それぞれの取付溝81の底部に浅い凹部を設け、その凹部に向けて端子部材70を治具等を用いて押し込んで、端子部材70が浅い凹部に嵌合するように変形させる。そのように変形させることにより、端子部材70が一層抜け難くなる。また、浅い凹部を設けなくても、単に端子部材70を取付溝81に押し込んで変形させることで、端子部材70から取付溝81が抜け難い構成としても良い。
また、上述の実施の形態では、2つの端子部材70が同じ方向に引き出されている。しかしながら、2つの端子部材70が、それぞれ別の方向に引き出されるようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、フープ材から構成される端子部材70を例示している。しかしながら、端子部材としては、フープ材に限られず、たとえばピン型の金属端子を用いることも可能である。なお、フープ材の端子部材70とピン型の金属端子とを組み合わせることも可能である。