JP6546939B2 - 平版印刷版ダミー版、平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法、及び、平版印刷版ダミー版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版ダミー版、平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法、及び、平版印刷版ダミー版の製版方法 Download PDF

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Description

本発明は、平版印刷版ダミー版、その印刷方法、及び、その製版方法に関する。
多色印刷の分野においては、印刷機の版胴の印刷を必要としない部分に、印刷版の替わりにダミー版を取り付けて印刷が行われている。このようなダミー版(捨版、水版、ブランク版と称されることもある)としては、アルミニウム支持体上に非感光性層と、マット剤を含む親水性層をこの順で有する捨版(特許文献1)、アルミニウム支持体上に、非感光性層と、親水性層とを、この順に有し、350〜550nmに極大吸収を有する着色剤を、上記非感光性層に含有し、マット剤を上記親水性層に含有する捨版(特許文献2)が知られている。
また、地球環境への配慮から、最近では、平版印刷版原版の現像方法として、従来の現像液を用いる湿式処理を行わず、印刷工程の初期の段階で、印刷機上で不要な非画像部を除去する、いわゆる「機上現像」と呼ばれる方法が実用化されており、平版印刷版ダミー版も、このような機上現像に対応できることが望まれている。
特開2011−218778号公報 特開2012−116165号公報
しかしながら、これらのダミー版を用いて新聞印刷のように輪転機を用いてロール状の紙に連続して印刷を行う場合、ダミー版の端部はロール紙面内にあるため、端部に付着したインキが紙に転写された線状の汚れ(エッジ汚れ)のさらなる改善が必要であった。
また、印刷に使用する版(以下、本版)とダミー版をカラーセンサーにて識別する必要があるが(以下、カラーセンサー識別適性)、上記カラーセンサー識別適性もさらなる改善が必要であった。
本発明の目的は、エッジ汚れの発生が防止され、かつ、カラーセンサー識別適性に優れた平版印刷版ダミー版、平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法、及び、平版印刷版ダミー版の製版方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、アルミニウム支持体上に、特定の高分子化合物を含有する第1親水性層と、第2親水性層とをこの順に有し、かつ、第1親水性層及び第2親水性層の少なくとも一方に着色剤を含有するダミー版が、エッジ汚れの発生が防止され、カラーセンサー識別適性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1)
アルミニウム支持体と、上記アルミニウム支持体上に直接的に形成された第1親水性層と、上記第1親水性層上に直接的に形成された第2親水性層とをこの順に有する平版印刷版ダミー版であって、
上記第1親水性層及び上記第2親水性層の少なくとも一方が、350〜800nmに吸収極大を有する着色剤を含み、
上記第1親水性層が、支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物(但し、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩を除く)を含み、上記支持体吸着性基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、上記親水性基が、上記支持体吸着性基とは異なる基であり、
上記平版印刷版ダミー版が、端部にダレ量35〜150μm、ダレ幅70〜300μm
のダレ形状を有する、平版印刷版ダミー版。
(2)
上記親水性基が、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、ヒドロキシル基、硫酸モノエステル(塩)基、スルホンアミド基、アミノ基、硫酸モノアミド(塩)基及びベタイン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基又は構造である(1)に記載の平版印刷版ダミー版。
(3)
上記第1親水性層が、上記着色剤を含む、(1)又は(2)に記載の平版印刷版ダミー版。
(4)
上記高分子化合物が、上記支持体吸着性基としてホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位と、上記親水性基としてスルホン酸基及びその塩、アミド基並びにベタイン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基又は構造を有する繰り返し単位とを有する高分子化合物である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
(5)
上記第1親水性層及び上記第2親水性層の少なくとも一方が、親水性化合物を含む、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
(6)
上記第1親水性層及び上記第2親水性層の少なくとも一方が、微粒子を含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
(7)
上記微粒子が、有機樹脂微粒子である、(6)に記載の平版印刷版ダミー版。
(8)
上記微粒子が、ミクロゲルである、(6)に記載の平版印刷版ダミー版。
(9)
上記第2親水性層が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、及び、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有する親水性高分子より選ばれる少なくとも1つを含む、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
Figure 0006546939

式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数2〜8の無置換アルキル基、置換基として芳香環基若しくは複素環基を有してもよい置換アルキル基、又は一般式(3)で表される置換基を表す。
一般式(3)において、Lは、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数4〜8の無置換アルキル基、又は、置換基として芳香族基を有する置換アルキル基を表す。nはポリエーテルの平均付加モル数で2〜4の数である。
(10)
上記第2親水性層が、マット剤を含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
(11)
上記マット剤が、親水性表面を有する有機樹脂マット剤である、(10)に記載の平版印刷版ダミー版。
(12)
上記親水性表面が、シリカを含む、(11)に記載の平版印刷版ダミー版。
(13)
上記着色剤が、水溶性染料である、(1)〜(12)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
(14)
上記水溶性染料が、アゾ染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、インディゴ染料、ピラニン染料、及び、スチルベン染料より選ばれる少なくも1つである、(13)に記載の平版印刷版ダミー版。
(15)
上記第2親水性層を、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して除去する機上現像処理工程を含む、(1)〜(14)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法。
(16)
上記第2親水性層を、界面活性剤を含むpH2〜14の現像液により除去する溶液現像処理工程を含む、(1)〜(14)のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版の製版方法。
本発明は、上記(1)〜(16)に記載の平版印刷版ダミー版、平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法、及び平版印刷版ダミー版の製版方法に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載する。
〔1〕
アルミニウム支持体と、上記アルミニウム支持体上に直接的に形成された第1親水性層と、上記第1親水性層上に直接的に形成された第2親水性層とをこの順に有する平版印刷版ダミー版であって、
上記第1親水性層及び上記第2親水性層の少なくとも一方が、350〜800nmに吸収極大を有する着色剤を含み、
上記第1親水性層が、支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物を含む、平版印刷版ダミー版。
〔2〕
上記第1親水性層が、上記着色剤を含む、上記〔1〕に記載の平版印刷版ダミー版。
〔3〕
上記高分子化合物が、上記支持体吸着性基としてホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位と、上記親水性基としてスルホン酸基及びその塩、アミド基並びにベタイン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基又は構造を有する繰り返し単位とを有する高分子化合物である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の平版印刷版ダミー版。
〔4〕
上記第1親水性層及び上記第2親水性層の少なくとも一方が、親水性化合物を含む、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の平版印刷版ダミー版。
〔5〕
上記第1親水性層及び上記第2親水性層の少なくとも一方が、微粒子を含む、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の平版印刷版ダミー版。
〔6〕
上記微粒子が、有機樹脂微粒子である、上記〔5〕に記載の平版印刷版ダミー版。
〔7〕
上記微粒子が、ミクロゲルである、上記〔5〕に記載の平版印刷版ダミー版。
〔8〕
上記第2親水性層が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、及び、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する親水性高分子より選ばれる少なくとも1つを含む、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の平版印刷版ダミー版。
Figure 0006546939

式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数2〜8の無置換アルキル基、置換基として芳香環基若しくは複素環基を有してもよい置換アルキル基、又は一般式(3)で表される置換基を表す。
一般式(3)において、Lは、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数4〜8の無置換アルキル基、又は、置換基として芳香族基を有する置換アルキル基を表す。nはポリエーテルの平均付加モル数で2〜4の数である。
〔9〕
上記第2親水性層が、マット剤を含む、上記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の平版印刷版ダミー版。
〔10〕
上記マット剤が、親水性表面を有する有機樹脂マット剤である、上記〔9〕に記載の平版印刷版ダミー版。
〔11〕
上記親水性表面が、シリカを含む、上記〔10〕に記載の平版印刷版ダミー版。
〔12〕
上記着色剤が、水溶性染料である、上記〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の平版印刷版ダミー版。
〔13〕
上記水溶性染料が、アゾ染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、インディゴ染料、ピラニン染料、及び、スチルベン染料より選ばれる少なくも1つである、上記〔12〕に記載の平版印刷版ダミー版。
〔14〕
上記第2親水性層を、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して除去する機上現像処理工程を含む、上記〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法。
〔15〕
上記第2親水性層を、界面活性剤を含むpH2〜14の現像液により除去する溶液現像処理工程を含む、上記〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の平版印刷版ダミー版の製版方法。
本発明によれば、エッジ汚れの発生が防止され、かつ、カラーセンサー識別適性に優れた平版印刷版ダミー版、平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法、及び、平版印刷版ダミー版の製版方法を提供することができる。
裁断された平版印刷版ダミー版の端部の断面形状の一例を示す模式図である。 スリッター装置の裁断部の一例を示す概念図である。 平版印刷版用支持体の製造における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。 平版印刷版用支持体の製造における交流を用いる電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 平版印刷版用支持体の製造における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
〔アルミニウム支持体〕
本発明に係る平版印刷版ダミー版は、アルミニウム支持体を有する。平版印刷版ダミー版のアルミニウム支持体としては、平版印刷版原版に用いられる公知のアルミニウム支持体(アルミニウム合金支持体を含む)が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましく用いられる。
粗面化処理及び陽極酸化処理については、例えば、特開2014−198453号公報の段落番号[0045]−[0064]及び[0069]−[0077]に記載されている平版印刷版原版用アルミニウム支持体に適用される粗面化処理及び陽極酸化処理を用いることもできる。
アルミニウム板には、必要に応じて、更に、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
アルミニウム支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであることが好ましい。
アルミニウム支持体には、必要に応じて、裏面に、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物あるいは特開平6−35174号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
〔第1親水性層及び第2親水性層〕
本発明に係る平版印刷版ダミー版は、第1親水性層を有する。
第1親水性層は、後述する支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物を含む。さらには、後述する着色剤、微粒子、親水性化合物などを有していてもよい。
第1親水性層は、アルミニウム支持体上に直接的に形成される。
第1親水性層には、例えば、特許文献2に記載される非感光性層に含まれる水不溶性且つアルカリ可溶性のバインダー、または、疎水性の低分子成分を含まないことが好ましい。上記、水不溶性且つアルカリ可溶性のバインダー、または、疎水性の低分子成分を含まないことで、機上現像性が向上する。
上記第1親水性層は、例えば、上記成分を含む水溶液をアルミニウム支持体上に塗布することで形成される。
また、本発明に係る平版印刷版ダミー版は、第1親水性層上に第2親水性層を有する。ここで、第2親水性層は、第1親水性層上に直接的に形成されている。
第2親水性層は、後述する親水性高分子を含有することが好ましい。さらには、着色剤、親水性化合物、後述するマット剤などを有していてもよい。
第2親水性層は、機上現像処理工程、または、溶液現像処理工程において、除去され得る層である。したがって、前述した第1親水性層同様に、第2親水性層には、例えば、特許文献2に記載される非感光性層に含まれる水不溶性且つアルカリ可溶性のバインダー、または、疎水性の低分子成分を含まないことが好ましく、これにより、機上現像性を向上させることができる。
上記第2親水性層は、例えば、上記成分を含む水溶液を第1親水性層上に塗布することで形成される。
以下、各親水性層が含有し得る成分について、詳述する。
<支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物>
第1親水性層は、支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物を含むことで、エッジ汚れを改善することができる。
これは、詳細は定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、第1親水性層に含有された上記高分子化合物が支持体吸着性基を有することで、機上現像処理工程、または、溶液現像処理工程において、アルミニウム支持体上に上記高分子化合物が充分に残存し、親水性基を有することで、アルミニウム支持体表面の親水性を向上し、エッジ汚れを抑制するためと考えられる。
支持体吸着性基の具体例及び好ましい例、並びに、親水性基の具体例及び好ましい例は、それぞれ、各基を有する繰り返し単位の説明において、後述する。
上記高分子化合物は、支持体吸着性基を有する繰り返し単位と、親水性基を有する繰り返し単位とを有することが好ましい。以下、各繰り返し単位等について、詳述する。
(支持体吸着性基)
上記高分子化合物は、アルミニウム支持体との密着性を高めるために、支持体吸着性基(支持体表面と相互作用する官能基)を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
支持体吸着性基としては、例えば、陽極酸化処理又は親水化処理を施した支持体上に存在する金属、金属酸化物、ヒドロキシル基などとイオン結合、水素結合、極性相互作用などの相互作用が可能な基が挙げられる。
支持体吸着性基の具体例を以下に挙げる。
Figure 0006546939
式中、M及びMはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に含まれる金属原子、又はアンモニウム基を表す。汚れ性の観点から、支持体吸着性基は、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい。支持体吸着性基は、ホスホン酸基若しくはその塩(構造1)、リン酸エステル基若しくはその塩(構造2)、カルボン酸基若しくはその塩であることがより好ましく、リン酸エステル基若しくはその塩、又はホスホン酸基若しくはその塩であることが更に好ましい。本発明において、支持体吸着性基を有する繰り返し単位は、具体的には下記一般式(B1)で表されることが好ましい。
Figure 0006546939
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。Qは支持体吸着性基を表し、好ましい態様は上述したものと同じである。
Lは、単結合、又は2価の連結基である。2価の連結基は、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り、より具体的には、下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
Figure 0006546939
上記構造において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又はハロゲン原子を表す。nは1〜4の整数を表す。
以下に、支持体吸着性基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006546939
上記高分子化合物は、支持体吸着性基を1種のみ有していても、2種以上有していてもよい。
支持体吸着性基を有する繰り返し単位の含有量は、高分子化合物の全繰り返し単位に対して、2〜80モル%であることが好ましく、2〜70モル%であることがより好ましく、5〜50モル%であることが更に好ましく、10〜40モル%であることが特に好ましい。
(親水性基)
上記高分子化合物は、アルミニウム支持体表面の親水性を高めて、エッジ汚れを抑制するために、親水性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
親水性基の具体例を以下に挙げる。
Figure 0006546939
上式中、Mは水素原子、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に含まれる金属原子、又はアンモニウム基を表す。
は、−N−、−S−、−I−、−P−で表される基である。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又は、アルキニル基を表し、Rはアルキレン基を表し、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、又は、アルキニル基を表す。
nは1〜100の整数を表す。Lは前述のものと同義である。
親水性基としては、水との親和性が高くなる官能基であれば何れも好適に使用することができるが、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、ヒドロキシル基、硫酸モノエステル(塩)基、スルホンアミド基、アミノ基、硫酸モノアミド(塩)基、ベタイン構造が好ましく、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、ヒドロキシル基、ベタイン構造がより好ましい。
親水性基は、スルホン酸基及びその塩、アミド基並びにベタイン構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基又は構造であることが最も好ましい。
本発明において、親水性基を有する繰り返し単位は、具体的には下記一般式(B2)で表されることが好ましい。
Figure 0006546939
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。Lは前述のものと同義である。Wは親水性基を表し、好ましい態様は上述したものと同じである。
以下に本発明に用いられる親水性基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006546939
上記高分子化合物は、親水性基を1種のみ有していても、2種以上有していてもよい。
親水性基を有する繰り返し単位の含有量は、高分子化合物の全繰り返し単位に対して、30〜98モル%であることが好ましく、40〜90モル%であることがより好ましく、50〜90モル%であることが更に好ましい。
(その他の繰り返し単位)
上記高分子化合物は、上記以外の他の繰り返し単位(以下、単に、「他の繰り返し単位」と称する場合がある。)を有する共重合体であってもよい。ここで、他の繰り返し単位としては、既知の種々のモノマーに由来する繰り返し単位を挙げることができる。
上記高分子化合物は、例えば、支持体吸着性基を有する繰り返し単位、親水性基を有する重合単位の他に、(メタ)アクリル酸アルキル又は(メタ)アクリル酸アラルキルエステルに対応する繰り返し単位、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体に対応する繰り返し単位、α-ヒドロキシメチルアクリレートに対応する繰り返し単位、スチレン誘導体に対応する繰り返し単位を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜8の置換基を有するアルキル基であり、メチル基がより好ましい。炭素数2〜8の置換基を有するアルキル基における置換基としては、例えば、水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−(4−メトキシカルボニルフェニル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、モルホリノアクリルアミド等が挙げられる。
α−ヒドロキシメチルアクリレートとしては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
スチレン誘導体としては、スチレン、4−tertブチルスチレン等が挙げられる。
他の繰り返し単位の含有量は、上記高分子化合物の全繰り返し単位に対して、40モル%以下であることが好ましく、30モル%であることがより好ましく、20モル%以下であることが更に好ましい。
上記高分子化合物は、上記支持体吸着性基としてホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位と、上記親水性基としてスルホン酸基及びその塩、アミド基並びにベタイン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基又は構造を有する繰り返し単位とを有する高分子化合物であることが特に好ましい。
支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物の含有量は、第1親水性層の全固形分に対して、50〜100質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましく、65〜90質量%であることが更に好ましい。
支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、平版印刷版ダミー版の性能設計により任意に設定できる。耐刷性および耐汚れ性の観点からは、重量平均分子量として、2,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜500,000であることがより好ましく、8,000〜300,000であることが最も好ましい。
<着色剤>
本発明に係る平版印刷版ダミー版は、構成層(第1親水性層および第2親水性層)の少なくとも1つに、350〜800nmに吸収極大を有する着色剤を含有する。構成層に着色剤を含有させることにより、セッターのカラーセンサーによる優れた識別適性を付与することができる。すなわち、カラーセンサー識別適正を優れたものにできる。
上記着色剤は、第1親水性層に含まれていても、第2親水性層に含まれていても、またその両方に含まれていても良いが、他部材への着色剤の転写を抑制できるという観点から、第1親水性層に含まれる、換言すれば、第2親水性層に含まれないことがより好ましい。
本発明に係る平版印刷版ダミー版に含有される、350〜800nmに吸収極大を有する着色剤は、水溶性染料であることが好ましい。水溶性染料としては、水への溶解性に優れるアニオン性染料又はカチオン性染料が挙げられる。
水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、インディゴ染料、ピラニン染料、スチルベン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、ナフトール染料、トリアリールメタン染料等を挙げることができ、アゾ染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、インディゴ染料、ピラニン染料、及び、スチルベン染料より選ばれる少なくも1つであることが好ましい。
水溶性染料の色は、特に限定されないが、セッターのカラーセンサーにより平版印刷版原版と平版印刷版ダミー版とを識別する上で、色差が大きいことが好ましい。平版印刷版原版が青系に着色されていることが多いことを考慮すると、橙系、黄色系が好ましく、赤系が特に好ましい。
水溶性染料としては、アニオン性染料がより好ましい。アニオン性染料の中でも、親水性基として、−SOX(XはLi、Na又はKを表す)又は−COOX(XはLi、Na又はKを表す)を有しているものが好ましい。
アニオン性染料としては、例えば、〔C.I.アシッドレッド〕1、6、8、9、13、14、18、27、35、37、52、54、57、73、82、87、88、92、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415、〔C.I.アシッドオレンジ〕56、〔C.I.アシッドイエロー〕1、42、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用黄色4号(タートラジン)、食用黄色5号等が挙げられる。
また、アゾ染料は、モノアゾ染料よりもジスアゾ染料の方が光、熱、酸に安定であり、平版印刷版ダミー版の経時による色変化が少ないため、カラーセンサーによる識別適性上より好ましい。
着色剤の含有量は、着色剤が含有される構成層(第1親水性層又は第2親水性層)の全固形分に対して、5〜30質量%であることが好ましく、7〜25質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることが更に好ましい。
<親水性高分子>
第2親水性層は、親水性高分子を含有することが好ましい。
第2親水性層に含有される親水性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしては、カルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号及び特開2006−259137号の各公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
第2親水性層に含有される親水性高分子は、1種類を単独で使用してもよいし2種類以上を混合して使用してもよい。
また、第2親水性層は、親水性高分子として、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有する化合物を含有することも好ましい。
Figure 0006546939
式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数2〜8の無置換アルキル基、置換基として芳香環基若しくは複素環基を有してもよい置換アルキル基、又は一般式(3)で表される置換基を表す。
一般式(3)において、Lは、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数4〜8の無置換アルキル基、又は、置換基として芳香族基を有する置換アルキル基を表す。nはポリエーテルの平均付加モル数で2〜4の数である。
一般式(1)及び一般式(2)の各式で表わされる繰り返し単位の組み合わせとしては、一般式(1)及び一般式(2)のRとRが共に水素原子、一般式(1)のRとRが共に水素原子、一般式(2)のRが炭素原子数3〜4の分岐かつ無置換アルキル基である組み合わせが最も好ましい。
一般式(1)で表わされる繰り返し単位の由来となるものの具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−エチルメチルメタクリルアミドが挙げられる。
一般式(2)で表わされる繰り返し単位の由来となるものの具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
上記繰り返し単位を有する化合物としては、全繰り返し単位に対して、一般式(1)で表される繰り返し単位を70〜95mol%、一般式(2)で表される繰り返し単位を5〜30mol%含むものが好ましく、一般式(1)で表される繰り返し単位を70〜80mol%、一般式(2)で表される繰り返し単位を20〜30mol%含むものがより好ましく、一般式(1)で表される繰り返し単位を75〜80mol%、一般式(2)で表される繰り返し単位を20〜25mol%含むものが最も好ましい。
上記繰り返し単位を有する化合物は、更に下記一般式(4)で表される繰り返し単位を全繰り返し単位に対して0.3〜5.0モル%有することが好ましい。
Figure 0006546939
式中Rは水素原子又はメチル基を表す。Xは単結合又は一般式(5)で表される構造又はその組合せを有する構造で表される。Yは、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、ホスホン酸基、ホスホン酸塩基、ヒドロキシル基、カルボベタイン基、スルホベタイン基、及び、アンモニウム基から選択される少なくともいずれかの置換基を表す。
上記繰り返し単位を有する化合物の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜200,000が好ましく、10,000〜100,000がより好ましく、10,000〜30,000が最も好ましい。
下記の表1〜表9に、上記繰り返し単位を有する化合物の具体例を示す。表中の番号は、化合物番号を表す。
Figure 0006546939
Figure 0006546939
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Figure 0006546939
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親水性高分子の含有量は、第2親水性層の固形分に対して40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
<多糖類>
第2親水性層には、多糖類を含有させることもできる。多糖類としては、澱粉誘導体(例えばデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ポリオキシアルキレングラフト化澱粉、サイクロデキストリン)、セルロース類(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルプロピルセルロース等)、その他、カラギーナン、アルギン酸、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアガム、大豆多糖類などが挙げられる。
なかでもデキストリン、ポリオキシアルキレングラフト化澱粉といった澱粉誘導体、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類などが好ましく用いられる。
多糖類は、第2親水性層の固形分に対して、1〜20質量%の範囲で使用することが好ましい。
更に、第2親水性層は、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させるための界面活性剤、表面の滑り性を制御するための無機微粒子など通常の平版印刷版原版の保護層に用いられる公知の添加物を含むことができる
第2親水性層は、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、及び、上記一般式(1)で表される繰り返し単位と上記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有する化合物より選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
<マット剤>
第2親水性層は、マット剤を含んでもよい。これにより、平版印刷版ダミー版のセッターによる搬送性(セッター搬送性)を優れたものにできる。このような、マット剤として働く粒子に望まれる基本的特性は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、空気中の湿分や、温度によって、軟化したり、ベトついたりすることがない樹脂であって、第2親水性層に添加することで、その表面に適当な凹凸を付与し、接触面積を減少させるものが好ましい。
こすりキズ抑制の観点からは、マット剤は、硬いアルミニウム支持体表面とこすれた時に生じる応力を緩和できるものが好ましい。さらに、マット剤は第2親水性層のバインダーとなる親水性ポリマー、好ましくは、親水性層に汎用のポリビニルアルコールと親和性が高く、膜中によく混練され、且つ、皮膜形成後においても、膜表面から脱離し難いものが好ましい。
マット剤としては、基本的特性を満たすものであれば公知のものを用いることができ、限定されないが、本発明においては、親水性表面を有する有機樹脂マット剤であることが好ましく、このような有機樹脂マット剤において、親水性表面は、シリカを含むことが好ましい。シリカを含む親水性表面を有する有機樹脂マット剤としては、その表面をシリカで被覆したシリカ被覆有機樹脂粒子であることが好ましい。
(シリカ被覆有機樹脂粒子)
シリカ被覆有機樹脂粒子は、有機樹脂からなる粒子をシリカで表面被覆してなる。シリカ被覆有機樹脂粒子は、平版印刷版用ダミー版の第2親水性層表面と隣接する平版印刷版用ダミー版のアルミニウム支持体裏面との接着、及び、第2親水性層表面とアルミニウム支持体裏面との間で生じるこすりキズを抑制するため好ましい。
シリカ被覆有機樹脂粒子のコアとなる有機樹脂粒子を構成する有機樹脂としては、先に述べたような物性を有する樹脂であれば制限なく使用することができ、例えば、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポシキ系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。中でも、好ましい親水性ポリマーであるポリビニルアルコールとの親和性の観点から、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及び、メラミン樹脂などが好ましい。
有機樹脂粒子表面を被覆するシリカ層を形成する材料としては、アルコキシシロキサン系化合物の縮合物などのアルコキシシリル基を有する化合物、特に、ゾル−ゲル法にて使用するシロキサン系材料が好ましく、具体的には、シリカゾル、コロイダルシリカ、シリカナノ粒子などのシリカ粒子などが好ましく挙げられる。
シリカ被覆有機樹脂粒子の構成としては、有機樹脂粒子表面にシリカ粒子が固体成分として付着しているものであっても、アルコキシシロキサン系化合物を縮合反応させて有機樹脂粒子表面にシロキサン系化合物層を形成したものであってもよい。
シリカは必ずしも有機樹脂粒子表面全域を被覆している必要はなく、少なくとも有機樹脂粒子に対し、0.5重量%以上の量で表面被覆していれば本発明の効果を得ることができる。即ち、有機樹脂粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在することで、有機粒子表面におけるポリビニルアルコール等の親水性ポリマーとの親和性向上が達成され、外部応力を受けた場合でもマット剤の脱落が抑制され、優れた耐キズ性、耐接着性を維持することができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、有機樹脂粒子表面を被覆するシリカ層をさらに有機樹脂で被覆していてもよい。
シリカの表面被覆状態は、透過型電子顕微鏡(TEM)等による形態観察により確認することができ、また、シリカの被覆量は、蛍光X線分析などの元素分析によりSi原子を検知し、そこに存在するシリカの量を算出することで確認することができる。
シリカ被覆有機樹脂粒子の製造方法としては特に制限はなく、シリカ粒子あるいはシリカ前駆体化合物を、有機樹脂粒子の原料となるモノマー成分と共存させて有機樹脂粒子形成と同時にシリカ表面被覆層を形成させる方法であってもよく、また、有機樹脂粒子を形成した後、シリカ粒子を物理的に表面に付着させ、その後、固定化する方法でもよい。
製造方法の一例を挙げれば、まず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリル酸などの水溶性高分子やリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機系懸濁剤などから適宜選択される懸濁安定剤を含む水中に、シリカと、原料樹脂(より具体的には、上記した有機樹脂を構成する、懸濁重合が可能なモノマー、懸濁架橋が可能なプレポリマー、又は、樹脂液などの原料樹脂)と、を添加、撹拌、混合して、シリカと原料樹脂とを分散させてなる懸濁液を調製する。その際、懸濁安定剤の種類、その濃度、撹拌回転数などを調節することにより、目的の粒子径を有するエマルジョン(懸濁液)を形成することができる。次いで、この懸濁液を加温して反応を開始させ、樹脂原料を、懸濁重合又は懸濁架橋させることにより樹脂粒子を生成させる。このとき、共存するシリカが重合又は架橋反応により硬化する樹脂粒子に、特に、その物性に起因して樹脂粒子表面近傍に、固定化される。その後、これを固液分離し、洗浄により粒子に付着している懸濁安定剤を取り除いて、乾燥させる。これにより、シリカが固定化された所望粒子径の略球状の有機樹脂粒子が得られる。
このように、懸濁重合、あるいは懸濁架橋の際に条件を制御して所望の大きさの樹脂を得ることもできるが、このような制御を厳密に行うことなくシリカ付着有機樹脂粒子を生成した後、メッシュ濾過法により所望の大きさのシリカ被覆粒子を得ることもできる。
上記方法によりシリカ被覆粒子を製造する際の混合物における原料の添加量としては、原料樹脂とシリカとの総量が100部の場合、まず、分散媒である水200〜800部に懸濁安定剤0.1〜20部を添加し、十分に溶解又は分散させ、その液中に、上記した100部の原料樹脂とシリカとの混合物を投入し、分散粒子が所定の粒度になるように撹拌速度を調整しながら撹拌し、この粒度調整を行った後に液温を30〜90℃に昇温し、1〜8時間反応させればよい。
シリカ被覆粒子の製造方法については、上記した方法はその一例であり、例えば、特開2002−327036号公報、特開2002−173410号公報、特開2004−307837号公報、及び、特開2006−38246号公報などに詳細に記載され、ここに記載の方法により得られるシリカ被覆有機樹脂粒子はいずれも本発明に好適に使用することができる。
また、シリカ被覆有機樹脂粒子は市販品としても入手可能であり、具体例としては、シリカ/メラミン複合粒子としては、日産化学工業(株)製オプトビーズ2000M、オプトビーズ3500M、オプトビーズ6500M、オプトビーズ10500M、オプトビーズ3500S、オプトビーズ6500Sが挙げられる。シリカ/アクリル複合粒子としては、根上工業(株)製アートパールG−200透明、アートパールG−400透明、アートパールG−800透明、アートパールGR−400透明、アートパールGR−600透明、アートパールGR−800透明、アートパールJ−7Pが挙げられる。シリカ/ウレタン複合粒子としては、根上工業(株)製アートパールC−400透明、C−800透明、P−800T、U−600T、U−800T、CF−600T、CF800T、大日精化(株)製ダイナミックビーズCN5070D、ダンプラコートTHUが挙げられる。
シリカ被覆有機樹脂粒子の形状は、真球状形状が好ましいが、平板形状若しくは投影図が楕円形状となるような所謂紡錘形状であってもよい。
好ましい重量平均粒子径は1〜30μmφであり、1.5〜20μmφがより好ましく、2〜15μmφがさらに好ましい。この範囲において十分なスペーサー機能、マット性能を発現することができ、親水性層表面への固定化が容易で、外部からの接触応力に対しても優れた保持機能を有する。
第2親水性層におけるマット剤の分布は、5〜1,000mg/mが好ましく、10〜500mg/mがより好ましく、20〜200mg/mがさらに好ましい。
また、第2親水性層全体に対するマット剤の添加量は、第2親水性層全固形分に対して0.5〜95重量%が好ましく、1〜50重量%がより好ましく、2〜20重量%がさらに好ましい。
第2親水性層には、上記シリカ被覆有機樹脂粒子に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の(シリカ被覆層を有しない)有機樹脂粒子を併用することができる。併用可能な有機樹脂粒子としては、特許4213756号公報の段落0029〜0032に記載されたものが挙げられる。また、特許3329657号公報の段落0022〜0024に記載された、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて、第2親水性層に添加してもよい。
<無機質層状化合物>
第2親水性層は、キズ抑制のため、特開2005−119273号公報に記載のように天然雲母、合成雲母などの無機質層状化合物を含有してもよい。
<微粒子>
また、第1親水性層及び第2親水性層の少なくとも一方は、微粒子を含んでいても良い。ここで、上記微粒子は、第2親水性層が含有してもよい上記マット剤、又は、上記マット剤に加えて併用してもよい上記他の有機樹脂粒子を構成してもよい。上記微粒子は、有機微粒子及び無機微粒子のいずれでもよい。微粒子の存在により、平版印刷版ダミー版が機上現像に供される場合、湿し水の浸透性が向上し、機上現像が促進されることで、エッジ汚れが解消されると考えられる。
〔有機微粒子〕
微粒子の中で、有機微粒子としては、有機樹脂微粒子、例えば、ミクロゲル(架橋ポリマー微粒子)、熱可塑性微粒子が好ましく用いられる。
(ミクロゲル)
ミクロゲルは、水性媒体に分散された反応性又は非反応性の樹脂粒子である。ミクロゲルは、その粒子中又は粒子表面に、好ましくは粒子表面に重合性基を有することにより、反応性ミクロゲルとした態様であってもよい。
粒子を構成する樹脂は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、ポリウレア及びポリウレタンがより好ましく、ポリウレタンが特に好ましい。
ミクロゲルは公知の方法で調製することができる。例えば、多価アルコールとジイソシアネートの付加体にエチレン性不飽和基を有する1価アルコールを反応させて、少量の界面活性剤と共に酢酸エチルに溶解して油性成分を調製する。水性成分として、ポリビニルアルコールの水溶液を調製する。油性成分及び水性成分を混合し、機械式撹拌機により高速撹拌して乳化分散し、固形分濃度を調整してミクロゲルが得られる。
(熱可塑性微粒子)
熱可塑性微粒子としては、例えば、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号公報などに記載の熱可塑性微粒子を好ましく挙げることができる。
熱可塑性微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーあるいはコポリマー又はこれらの混合物を挙げることができる。この中で、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
〔無機微粒子〕
微粒子の中で、無機微粒子としては、金属並びに金属化合物、例えば、酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、有機酸塩、窒化物、炭化物、硫化物及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等が挙げられる。具体的には、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム、酸化ジルコン、酸化錫、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化チタン、塩基性硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ、炭化珪素、炭化チタン、硫化亜鉛及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等が挙げられる。好ましくは、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物等が挙げられる。
微粒子の形状は、球状、針状、平板状、羽毛状、鎖状(数珠状)、不定形等如何なる形状のものでもよいが、球状のものが好ましい。
微粒子の粒子径は、平均粒子径として、5μm以下が好ましく、0.005〜3μmがより好ましく、0.01〜2μmが特に好ましい。
粒子径の測定には、公知の方法を使用することができる。具体的には、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、静的光散乱法、動的画像法、静的画像法、画像解析法、電子顕微鏡法などが挙げられる。例えば、微粒子含有液を粒子濃度が0.1〜1重量%になるように蒸留水などで希釈して、市販の平均粒子サイズ測定機(例えば、LA-910((株)堀場製作所製))で容易に測定することができる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり好ましい。また、平版印刷版ダミー版においては、例えば、平版印刷版ダミー版の切片を電子顕微鏡等で観察する方法や画像解析する方法などが容易に粒子サイズを測定できるため好ましい。上記微粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法(測定装置:LA−920、(株)堀場製作所製)を用いて測定した数値である。
<親水性化合物>
本発明に係る平版印刷版ダミー版は、構成層(第1親水性層及び第2親水性層)の少なくとも1つに親水性化合物を含有することができる。構成層が親水性化合物を含有することにより、平版印刷版ダミー版が機上現像に供される場合、湿し水の浸透性がより向上し、機上現像がより促進されることで、エッジ汚れがより解消されると考えられる。
好ましい一実施形態において、親水性化合物は、低分子親水性化合物である。低分子親水性化合物の分子量は、3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。低分子親水性化合物の分子量は、通常、100以上である。
親水性化合物としては、界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられ、アニオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などが挙げられる。これらアニオン性界面活性剤の中でも、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩類、及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
具体的には、下記式(I−A)又は式(I−B)で表されるアニオン性界面活性剤を挙げることができる。
Figure 0006546939
上記式(I−A)中、Rは直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、pは0、1又は2を表し、Arは炭素原子数6〜10のアリール基を表し、qは1、2又は3を表し、M はNa、K、Li又はNH を表す。pが2の場合、複数存在するRは互いに同じでも異なっていてもよい。
上記式(I−B)中、Rは直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、mは0、1又は2を表し、Arは炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Yは単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Rは直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、nは1〜100の整数を表し、M はNa、K、Li又はNH を表す。mが2の場合、複数存在するRは互いに同じでも異なっていてもよく、nが2以上の場合には、複数存在するRは互いに同じでも異なっていてもよい。
式(I−A)及び式(I−B)中、R及びRの好ましい例としては、CH、C、C又はCが挙げられる。Rの好ましい例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCH(CH)−が挙げられ、より好ましい例としては−CHCH−が挙げられる。p及びmは0又は1であることが好ましく、pは0であることが特に好ましい。Yは単結合であることが好ましい。nは1〜20の整数であることが好ましい。
式(I−A)又は式(I−B)で表されるアニオン性界面活性剤の具体例としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 0006546939
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これら非イオン性界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体類などが好ましい。
具体的には、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレートなどのポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレートなどのモノグリセリドアルキルエステル類などの非イオン界面活性剤が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、好ましくは、下記式(II−A)又は式(II−B)で表される界面活性剤が挙げられる。
Figure 0006546939
上記式(II−A)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜100のアルキル基を表し、n及びmはそれぞれ0〜100の整数を表し、n及びmの双方が0であることはない。
上記式(II−B)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜100のアルキル基を表し、n及びmはそれぞれ0〜100の整数を表し、n及びmの双方が0であることはない。
式(II−A)で表される化合物としては、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げられる。式(II−B)で表される化合物としては、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンメチルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルナフチルエーテル、ホリオキシエチレンノニルナフチルエーテルなどが挙げられる。
上記式(II−A)又は式(II−B)で表される化合物において、n(オキシエチレン鎖の繰り返し単位数)は、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜30である。m(オキシプロピレン鎖の繰り返し単位数)は、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5である。ポリオキシエチレン部とポリオキシプロピレン部はランダムで存在してもよくブロックで存在してもよい。
式(II−A)又は式(II−B)で表される非イオン性界面活性剤の具体例を以下に示す。下記例示化合物「Y−5」におけるオキシエチレン繰り返し単位及びオキシプロピレン繰り返し単位は、ランダム結合、ブロック結合のいずれの態様であってよい。
Figure 0006546939
Figure 0006546939
上記界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤が特に好ましく使用される。上記界面活性剤のうち、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム又はポリオキシエチレンアリールエーテルを用いることが好ましく、ナフタレンスルホン酸ナトリウム又はt−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを用いることがより好ましい。
界面活性剤は2種以上併用することもできる。例えば、互いに異なる2種以上のアニオン界面活性剤の併用やアニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の併用が好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、ポリオキシアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、界面活性剤が含有された構成層(第1親水性層又は第2親水性層)の固形分に対して、0.01〜100質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましく、30〜100質量%が更に好ましい。
低分子親水性化合物としては、リン酸化合物を用いることもできる。リン酸化合物としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムが好ましく使用できる。
リン酸化合物の含有量は、リン酸化合物が含有された構成層(第1親水性層又は第2親水性層)の固形分に対して、0.01〜100質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましく、30〜100質量%が更に好ましい。
低分子親水性化合物としては、ホスホン酸化合物を用いることもできる。低分子親水性化合物として用いられるホスホン酸化合物としては、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、i−プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、2−ヒドロキシエチルホスホン酸及びこれらのナトリウム塩又はカリウム塩、メチルホスホン酸メチル、エチルホスホン酸メチル、2−ヒドロキシエチルホスホン酸メチルなどのアルキルホスホン酸モノアルキルエステル及びこれらのナトリウム塩又はカリウム塩、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等のアルキレンジホスホン酸及びこれらのナトリウム塩又はカリウム塩が挙げられる。
ホスホン酸化合物の含有量は、ホスホン酸化合物が含有された構成層(第1親水性層又は第2親水性層)の固形分に対して、0.01〜100質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましく、30〜100質量%が更に好ましい。
低分子親水性化合物としては、有機カルボン酸化合物を用いることもできる。有機カルボン酸化合物としては、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩が挙げられる。
その他、低分子親水性化合物としては、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基とアルミニウム支持体表面と相互作用する基とを有する化合物等(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)も挙げられる。
低分子親水性化合物は、1種のみで使用しても、また、必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明に係る平版印刷版ダミー版は、構成層(第1親水性層及び第2親水性層)の少なくとも1つに、キレート剤、第2級又は第3級アミン、重合禁止剤を含有することができる。
〔平版印刷版ダミー版の裁断〕
平版印刷版ダミー版は、平版印刷版ダミー版の製造過程において、典型的には、裁断されることにより得られる。裁断は、公知の裁断方法を利用して行うことができる。好ましくは、特開平8−58257号公報、特開平9−211843号公報、特開平10−100556号公報、特開平11−52579号公報に記載の方法が使用できる。
平版印刷版ダミー版は、その端部がダレ形状を有していることが好ましい。端部にダレ形状を有する平版印刷版ダミー版は、本発明に係る第1親水性層端部領域と相まってエッジ汚れ防止効果に優れる。
図1は、平版印刷版ダミー版の断面形状を模式的に示す図である
図1において、平版印刷版ダミー版1はその端部にダレ2を有している。平版印刷版ダミー版1の端面1cの上端(ダレ2と端面1cとの境界点)と、第2親水性層面1aの延長線との距離Xを「ダレ量」といい、平版印刷版ダミー版1の第2親水性層面1aがダレ始める点と端面1cの延長線上との距離Yを「ダレ幅」という。平版印刷版ダミー版における端部のダレ量は35μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。ダレ量の上限は、端部表面状態の悪化による機上現像性の劣化を防止する観点から150μmが好ましい。ダレ量が35μmを下回ると、端部に付着したインキがブランケットに転写しやすくなりエッジ汚れ発生の原因となる場合がある。ダレ量の範囲が35〜150μmの場合、ダレ幅が小さいと、端部にクラックが入り、そこに印刷インキが溜まることにより汚れが発生する原因となる。このようなクラックの発生を減らすため、ダレ幅は70〜300μmの範囲が適当であり、80〜250μmの範囲が好ましい。なお、上記ダレ量とダレ幅の好ましい範囲は、平版印刷版ダミー版1のアルミニウム支持体面1bのエッジ形状には関わらない。
通常、平版印刷版ダミー版1の端部において、第1親水性層とアルミニウム支持体との境界B、及び、アルミニウム支持体面1bも、第2親水性層面1aと同様に、ダレが発生している。
上記ダレを有する端部の形成は、例えば、平版印刷版ダミー版の裁断条件を調整することにより行うことができる。
具体的には、平版印刷版ダミー版の裁断時に使用するスリッター装置における上側裁断刃と下側裁断刃の隙間、噛み込み量、刃先角度などの調整により行うことができる。
例えば、図2は、スリッター装置の裁断部を示す断面図である。スリッター装置には、上下一対の裁断刃10、20が左右に配置されている。裁断刃10、20は円板上の丸刃からなり、上側裁断刃10a及び10bは回転軸11に、下側裁断刃20a及び20bは回転軸21に、それぞれ同軸上に支持されている。上側裁断刃10a及び10bと下側裁断刃20a及び20bとは、相反する方向に回転される。平版印刷版ダミー版30は、上側裁断刃10a、10bと下側裁断刃20a,20bとの間を通されて所定の幅に裁断される。スリッター装置の裁断部の上側裁断刃10aと下側裁断刃20aとの隙間及び上側裁断刃10bと下側裁断刃20bとの隙間を調整することによりダレを有する端部を形成することができる。
〔平版印刷版ダミー版の製版方法〕
以下に、本発明に係る平版印刷版ダミー版の製版方法を例示する。但し、平版印刷版ダミー版の製版方法は下記の方法に特に限定されるものではない。
本発明の好適な実施形態に係る平版印刷版ダミー版の製版方法は、上記第2親水性層を、界面活性剤を含むpH2〜14の現像液により除去する溶液現像処理工程を有する平版ダミー版の製版方法である。
以下、本発明の平版印刷版ダミー版の製版方法について、各工程の好ましい態様を順に説明する。
<溶液現像処理工程>
溶液現像処理は、pHが2〜14(好ましくは2〜12)の現像液により第2親水性層を除去する方法(現像液処理方式)で行うことができる。
(現像液処理方式)
現像液処理方式においては、平版印刷版ダミー版原版は、pHが2〜14の現像液により処理され、第2親水性層が除去されて平版印刷版ダミー版が作製される。
本発明の第一の好ましい態様によれば、pHが2〜12の現像液が使用される。すなわち、この態様においては、第2親水性層は、pH2〜12の現像液により除去されるものである。この態様においては、現像液中に界面活性剤又は水溶性高分子化合物を含有させることが好ましく、これにより現像とガム液処理を同時に行うことが可能となる。よって後水洗工程は特に必要とせず、1液で現像−ガム液処理を行うことができる。
さらに、前水洗工程も特に必要とせず、保護層の除去も現像−ガム液処理と同時に行うことができる。本発明の平板印刷版ダミー版の作製方法では、現像−ガム処理の後に、例えば、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
本発明における平版印刷版ダミー版原版の現像液処理は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、平版印刷版ダミー版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る方法、スプレーにより現像液を吹き付けてブラシで擦る方法等により行うことができる。
上記現像液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動現像処理機により好適に実施することができる。擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動現像処理機が特に好ましい。また、自動現像処理機は現像処理手段の後に、スクイズローラー等の余剰の現像液を除去する手段や、温風装置等の乾燥手段を備えていることが好ましい。
本発明において現像液処理に用いられる現像液は、好ましくは、pHが2〜14の水溶液、または界面活性剤を含む。上記現像液は、水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性イオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液も好ましい。現像液のpHは、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは3.5〜12、特に好ましくは6〜12、最も好ましくは6.5〜10.5である。
本発明において上記現像液に用いられるアニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−アルキル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。この中で、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
本発明において上記現像液に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルイミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明において上記現像液に用いられるノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールエチレンオキサイド付加物、フェノールエチレンオキサイド付加物、ナフトールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。この中で、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するものが好ましく、アルキル置換又は無置換のフェノールエチレンオキサイド付加物又はアルキル置換又は無置換のナフトールエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本発明において上記現像液に用いられる両性イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタインなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。具体的には、特開2008−203359号の段落番号〔0256〕の式(2)で示される化合物、特開2008−276166号の段落番号〔0028〕の式(I)、式(II)、式(VI)で示される化合物、特開2009−47927号の段落番号〔0022〕〜〔0029〕で示される化合物を用いることができる。
上記界面活性剤は現像液中に2種以上用いてもよい。上記現像液中に含有される上記界面活性剤の量は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
本発明において上記現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリスチレンスルホン酸およびその塩などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知のものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、例えば、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
上記水溶性高分子化合物は上記現像液中に2種以上併用することもできる。上記水溶性高分子化合物の上記現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
本発明で使用する現像液には、pH緩衝剤を含ませることができる。本発明の現像液には、pH2〜14に緩衝作用を発揮する緩衝剤であれば特に限定なく用いることができる。本発明においては弱アルカリ性の緩衝剤が好ましく用いられ、例えば(a)炭酸イオン及び炭酸水素イオン、(b)ホウ酸イオン、(c)水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオン、及びそれらの併用などが挙げられる。すなわち、例えば(a)炭酸イオン−炭酸水素イオンの組み合わせ、(b)ホウ酸イオン、又は(c)水溶性のアミン化合物−そのアミン化合物のイオンの組み合わせなどが現像液においてpH緩衝作用を発揮し、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、従ってpHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。特に好ましくは、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの組み合わせである。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。アルカリ金属は単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンの総量は、現像液に対して0.05〜5mol/Lが好ましく、0.07〜2mol/Lがより好ましく、0.1〜1mol/Lが特に好ましい。
本発明において現像液は、有機溶剤を含有してもよい。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)、極性溶剤が挙げられる。極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)等が挙げられる。
上記現像液に含有される上記有機溶剤は、2種以上を併用することもできる。上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合、安全性、引火性の観点から、有機溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
本発明において上記現像液には上記成分の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有させることができる。具体的には、特開2007−206217号の段落番号〔0266〕〜〔0270〕に記載の化合物を好ましく用いることができる。
本発明において上記現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができる。また、前述のような自動現像処理機に好ましく適用することができる。自動現像処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または未使用の現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。
〔平版印刷版原版の製版方法〕
本発明の好適な実施形態に係る平版印刷版原版の製版方法は、上述の平版印刷版ダミー版の製版方法と同様の製版方法を用いることができる。
〔平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法〕
以下に、本発明に係る平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法を例示する。但し、平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法は下記の方法に特に限定されるものではない。
本発明の好適な実施形態に係る平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法は、典型的には、平版印刷版原版を露光した後、露光された平版印刷版原版と共に、本発明に係る平版印刷版ダミー版を印刷機にセットし、平版印刷版ダミー版の第2親水性層を、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して除去する機上現像処理工程を含む印刷方法である。
以下、本発明の平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法について、各工程の好ましい態様を順に説明する。
<機上現像処理工程>
機上現像処理は、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方により第2親水性層を除去する方法(機上現像方式)で行うことができる。
機上現像方式においては、平版印刷版ダミー版原版は、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給し、第2親水性層が除去されて平版印刷版ダミー版が作製される。すなわち、この態様においては、第2親水性層は、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方により除去されるものである。
この態様においては、なんらの現像処理を施すことなくそのまま印刷機に装着するか、あるいは、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、ついで、印刷インキ及び湿し水を供給して印刷すると、印刷途上の初期の段階で、平版印刷版ダミー版の第2親水性層においては、供給された印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方によって、上記第2親水性層が溶解または分散して除去され、その部分に平版印刷版ダミー版の第1親水性層の表面が露出する。このようにして、平版印刷版ダミー版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
〔平版印刷版原版を用いた印刷方法〕
本発明の好適な実施形態に係る平版印刷版を用いた印刷方法は、上述の平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法と同様の印刷方法を用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、繰り返し単位の比率はモル百分率である。
[実施例1]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
<アルミニウム支持体の作製>
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム板表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。アルミニウム板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温は50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
続いて、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、アルミニウム板に15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、アルミニウム板に2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間シリケート処理を施し、その後、水洗してアルミニウム支持体を作製した。Siの付着量は10mg/mであった。アルミニウム支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
<第1親水性層塗布液の調製>
下記組成の第1親水性層塗布液a−1を調製した。
(第1親水性層塗布液a−1)
・高分子化合物B−1(下記構造) 0.18g
・着色剤:化合物A−1(下記構造) 0.03g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)(後述の親水性化合物C−3に相当) 0.03g
・イオン交換水 28.0g
Figure 0006546939
上記高分子化合物B−1において、M、M、Mは、それぞれ独立に、水素原子又はナトリウム原子を表す。また、括弧の右の数字は、重合体の全モノマー単位に対するそれぞれのモノマー単位の含有率(モル%)を表す。
化合物A−1:Acid Red 73(商品名:WATER RED3、オリエント化学工業株式会社製)
Figure 0006546939
<第2親水性層塗布液の調製>
下記組成の第2親水性層塗布液b−1を調製した。
(第2親水性層塗布液b−1)
・合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)
0.41g
・化合物D−1 ポリビニルアルコール(CKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、日本合成化学工業(株)製) 0.26g
・カルボキシメチルセルロース(セロゲンPR、第一工業製薬(株)製) 0.11g
・界面活性剤−1(BASF社製、プルロニックP−84)(後述の親水性化合物C−2に相当) 0.01g
・界面活性剤−2(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710)(後述の親水性化合物C−3に相当) 0.02g
・イオン交換水 6g
<塗布液の塗布及び平版印刷版ダミー版の裁断>
上記各塗布液の塗布及び平版印刷版ダミー版の裁断は、第1親水性層塗布液の塗布工程、第2親水性層塗布液の塗布工程、裁断工程の順に行った。
第1親水性層の塗布工程は、第1親水性層塗布液を乾燥塗布量が250mg/mになるようバー塗布することにより実施した。乾燥はエスペック(株)製恒温器PH−201を用いて100℃で1分間行った。
第2親水性層の塗布工程は、第2親水性層塗布液を乾燥塗布量が1800mg/mになるようバー塗布することにより実施した。乾燥はエスペック(株)製恒温器PH−201を用いて125℃で75秒間行った。
裁断工程は、平版印刷版ダミー版を、図2に示すような回転刃を用いて、上側裁断刃と下側裁断刃の隙間、噛み込み量及び刃先角度を調整して、所望のダレ量及びダレ幅を有する端部の形状となるように実施した。下記の方法でダレ形状の測定を行ったところ、ダレ量は表10に示す値であった。
ダレ形状の測定は、東京精密(株)製の表面粗さ計(サーフコム)を用いて行った。表面粗さ計は型番480Aを使用し、触針は直径2μmのものを使用した。触針を平版印刷版原版端部の内側約1mmから端部に向かって、3mm/secのスピードで移動させ、形状の測定を行った。
[実施例2〜3]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液に含まれる、支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物の含有量のみを、以下表10に示す量とした以外は、実施例1と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
[実施例4]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液に含まれる、支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物を下記化合物B−2とした以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
Figure 0006546939
[実施例5]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液に、さらに微粒子Iを含む以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。第1親水性層塗布液a−5は、第1親水性層塗布液a−2に微粒子Iを0.075g添加することで調製した。
[実施例6〜8]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液a−5の微粒子Iを、表10に記載のように、微粒子II、III、IVに置き換える以外は、実施例5と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
微粒子I、II、III及びIVは以下の通りである。
微粒子I:有機樹脂微粒子
以下の方法で作製した有機樹脂微粒子を使用した。
<有機樹脂微粒子の作製>
1000mlの三口フラスコに、スチレン8g、ジビニルベンゼン1g、ドデシル硫酸ナトリウム0.45gを秤取り、蒸留水28gに溶かし、65℃、窒素気流下にて30分間攪拌した。この溶液に、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド18.6mgを蒸留水2gに溶かした溶液を加え、同温度で6時間攪拌した。反応終了後、反応混合物をグラスフィルターで濾過し、有機樹脂微粒子水分散液を得た。有機樹脂微粒子水分散液の固形分濃度は20質量%であり、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、(株)堀場製作所社製)により測定した有機樹脂微粒子の平均粒径は87nmであった。
微粒子II:ミクロゲル
以下の方法で作製したミクロゲルを使用した。
<ミクロゲルの作製>
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井化学ポリウレタン(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g及びアルキルベンゼンスルホン酸塩(竹本油脂(株)製、パイオニンA−41C)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−205)の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分撹拌後、50℃で3時間撹拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ミクロゲルを作製した。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、(株)堀場製作所社製)により測定したミクロゲルの平均粒径は0.2μmであった。
微粒子III:熱可塑性微粒子
以下の方法で作製した熱可塑性微粒子を使用した。
<熱可塑性微粒子水分散液の作製>
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA エチレングリコールの平均繰返し単位数:20)10g、蒸留水200g及びn−プロパノール200gを加えて内温が70℃となるまで加熱した。次に予め混合されたスチレン(St)10g、アクリロニトリル(AN)80g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、内温を80℃まで上昇させた。続いて、0.5gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを6時間かけて添加した。合計で20時間反応させた段階でポリマー化は98%以上進行しており、質量比でPEGMA/St/AN=10/10/80の熱可塑性微粒子水分散液が得られた。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、(株)堀場製作所社製)により測定した熱可塑性微粒子の平均粒径は150nmであった。
微粒子IV:無機微粒子
市販のコロイダルシリカMP1040(日産化学工業(株)製/平均粒径0.1μm/40質量%水分散液)を使用した。
[実施例9]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液に、さらに下記表10に記載の親水性化合物を含む以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。第1親水性層塗布液a−2に表1の親水性化合物C−1(固形分濃度30wt%)を0.25g添加することで調製した。
親水性化合物C−1:アニオン性界面活性剤 4−(2−(2−(2−エチルヘキシロキシ)エトキシ)エトキシ)ブタン−1−スルホン酸ナトリウム、和光純薬工業(株)社製
Figure 0006546939
[実施例10〜17]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液a−9の親水性化合物C−1を、表10の親水性化合物C−2〜C−9の固形分濃度が同じになるように置き換える以外は、実施例9と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。表1の親水性化合物C−2〜C−9は以下の通りである。
親水性化合物C−2:非イオン性界面活性剤 プルロニックP−84、BASF社製
Figure 0006546939
親水性化合物C−3:非イオン性界面活性剤 エマレックス710、日本エマルジョン(株)製
Figure 0006546939
親水性化合物C−4:リンゴ酸、扶桑化学工業(株)社製
Figure 0006546939
親水性化合物C−5:ベタイン、岩瀬コスファ(株)社製
Figure 0006546939
親水性化合物C−6:スルホフタル酸(50wt%)、東京化成工業(株)社製
Figure 0006546939
親水性化合物C−7:ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、稲畑産業(株)社製
Figure 0006546939
親水性化合物C−8:リン酸二水素ナトリウム、和光純薬工業(株)社製
Figure 0006546939
親水性化合物C−9:ナフタレンスルホン酸ナトリウム、和光純薬工業(株)社製
Figure 0006546939
[実施例18]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第2親水性層塗布液に、さらに下記表10に記載の親水性化合物C−1を含む以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。第2親水性層塗布液b−1に親水性化合物C−1を0.05g添加して第2親水性層塗布液b−2を調製した。
[実施例19]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液a−2を第1親水性層塗布液a−9に置き換える以外は、実施例18と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
[実施例20]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液a−9に、さらに下記表10に記載の微粒子IIを含む以外は、実施例19と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。第1親水性層塗布液a−18は、第1親水性層塗布液a−9に微粒子IIを0.075g添加することで調製した。
[実施例21]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第2親水性層塗布液b−1を以下のように調製した第2親水性層塗布液b−3に置き換えた以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版の作製した。
下記組成の第2親水性層塗布液b−3を調製した。
(第2親水性層塗布液b−3)
・化合物D−2(下記構造)(下記構造、Mw:3万)(固形分)
0.03g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、CKS50、スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)(前述の化合物D−1に相当)の6質量%水溶液 0.10g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−405、 0.03g
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)(前述の親水性化合物C−3に相当)の1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
Figure 0006546939
[実施例22〜24]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液に含まれる着色剤が下記表10に記載の化合物とした以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
化合物A−2(Acid Red 18)(商品名:WATER RED 1、オリエント化学工業株式会社製)
Figure 0006546939
化合物A−3(Acid Yellow 42)(商品名:WATER Yellow 6C、 オリエント化学工業株式会社製)
Figure 0006546939
化合物A−4(タートラジン、株式会社アイゼン製)
Figure 0006546939
[実施例25]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第2親水性層塗布液に、さらに下記表10に記載の着色剤A−1を0.01g含む以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
[実施例26]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液に、着色剤を含まず、第2親水性層塗布液に、さらに下記表10に記載の着色剤A−1を0.01含む以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
[実施例27]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第1親水性層塗布液に界面活性剤を含ませず、第2親水性層塗布液に、界面活性剤−1及び界面活性剤−2を含ませなかった以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
[実施例28]
〔平版印刷版ダミー版の作製〕
第2親水性層塗布液b−1を、以下のように調製した第2親水性層塗布液b−6に置き換えた以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
<アートパールJ−7P水分散物の調製>
イオン交換水74g中に、分散安定性向上を目的として、ノニオン界面活性剤(日本乳化剤(株)製、エマレックス710)を3gとカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)セロゲンPR)を3g部添加溶解する。この水溶液に、シリカ複合架橋アクリル樹脂粒子(根上工業(株)製、アートパールJ−7P)20.0gを加え、(株)日本精機製作所製エースホモジナイザーで、10,000rpmで、15分間分散し、アートパールJ−7P水分散物を得た。
次いで、下記組成の第2親水性層塗布液b−6を調製した。
(第2親水性層塗布液b−5)
・合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)
0.41g
・化合物D−1 ポリビニルアルコール(CKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、日本合成化学工業(株)製) 0.26g
・カルボキシメチルセルロース(セロゲンPR、第一工業製薬(株)製) 0.11g
・界面活性剤−1(BASF社製、プルロニックP−84)(前述の親水性化合物C−2に相当) 0.01g
・界面活性剤−2(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710)(前述の親水性化合物C−3に相当) 0.02g
・シリカ複合架橋アクリル樹脂粒子(アートパールJ−7P水分散物) 0.07g
・イオン交換水 6g
[比較例1]
特開2012−116165号公報の実施例21と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
下記組成の第1親水性層塗布液a−24(特開2012−116165号公報の下塗り層塗布液U−1)を調製した。
(第1親水性層塗布液a−24)
・高分子化合物B−3(下記構造) 0.3g
・純水 60.0g
・メタノール 939.7g
Figure 0006546939
下記組成の非感光性層塗布液c−1(特開2012−116165号公報の非感光性層塗布液M−1)を調製した。
(非感光性層塗布液c−1)
・バインダーポリマーA 0.70g
・リン酸(85重量%水溶液) 0.08g
・スルホフタル酸(50重量%水溶液) 0.05g
・トリカルバリル酸 0.025g
・着色剤(VPB−Naps(ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩):保土ヶ谷化学(株)製) 0.0014g
・着色剤 クルクミン メタノール中の吸収極大波長(λmax)430nm
0.027g
・下記可塑剤A 0.115g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780−F:大日本インキ化学工業(株)、MEKの30重量%溶液) 0.009g
・メチルエチルケトン(MEK) 7.10g
・メタノール 5.65g
・1−メトキシ−2−プロパノール(MFG) 1.80g
なお、前記バインダーポリマーAは、MFG/MEK=1/1の16重量%溶液、重量平均分子量75,000、酸含有量1.58meq/g、下記(1)〜(5)の5種類のモノマーの縮合反応物である。
(1)4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート 42.5モル%
(2)ヘキサメチレンジイソシアネート 7.5モル%
(3)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 30.0モル%
(4)メタクリロイロキシメチルエチレングリコール 17.5モル%
(5)ポリエチレングリコール 2.5モル%
Figure 0006546939
[比較例2]
比較例1の第1親水性層塗布液a−24の固形分濃度を高くして、表10の乾燥塗布量になるように塗布した以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版ダミー版を作製した。
下記組成の第1親水性層塗布液a−25を調製した。
(第1親水性層塗布液a−25)
・高分子化合物B−3 15.0g
・純水 58.8g
・メタノール 926.2g
Figure 0006546939
〔平版印刷版原版の作製〕
<支持体の作製>
厚さ0.3mmの表Aに示す組成のアルミニウム合金板に対し、下記(a)〜(m)の処理を施し、支持体を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
Figure 0006546939
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図3に示すような装置を使って、パミスの懸濁液(比重1.1g/cm3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。図3において、41はアルミニウム板、42及び44はローラ状ブラシ(束植ブラシ)、43は研磨スラリー液、45、46、47及び48は支持ローラである。
機械的粗面化処理は、研磨材パミスのメジアン径を30μm、束植ブラシの数を4、束植ブラシの回転数を250rpmとして行った。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。束植ブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛したものである。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。束植ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、10g/mであった。
(c)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硝酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、次工程の電気化学的粗面化に用いた硝酸電解液を用いた。液温は35℃であった。デスマット液をスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、温度35℃、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図4に示すものを使用した。図4において、アルミニウム板Wは主電解槽50中に浸漬して配置されたラジアルドラムローラ52に巻装され、搬送過程で交流電源51に接続する主極53a、53bにより電解処理された。電解液55は電解液供給口54からスリット56を通じてラジアルドラムローラ52と主極53a、53bとの間の電解液通路57に供給された。主電解槽50で処理されたアルミニウム板Wは次いで補助陽極槽60で電解処理された。この補助陽極槽60には補助陽極58がアルミニウム板Wと対向配置されており、電解液55が補助陽極58とアルミニウム板Wとの間の空間を流れるように供給された。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/m2であった。
(f)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理には、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの硫酸水溶液を用いた。液温は60℃であった。デスマット液をスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、液温35℃、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図4に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2であり、塩酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/m2であった。
(i)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。陽極酸化処理工程で使用する硫酸水溶液(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/Lを含有)を用い、液温35℃で4秒間デスマット処理を行った。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(j)第1陽極酸化処理
図5に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Bに示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表Bに示す成分を含む水溶液を用いた。表B〜Dにおいて、「成分濃度」は、「液成分」欄に記載の各成分の含有濃度(g/l)を表す。
Figure 0006546939
図5に示す陽極酸化処理装置610において、アルミニウム板616は、図5中矢印で示すように搬送される。電解液618が貯溜された給電槽612にてアルミニウム板616は給電電極620によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板616は、給電槽612においてローラ622によって上方に搬送され、ニップローラ624によって下方に方向変換された後、電解液626が貯溜された電解処理槽614に向けて搬送され、ローラ628によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板616は、電解電極630によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽614を出たアルミニウム板616は後工程に搬送される。陽極酸化処理装置610において、ローラ622、ニップローラ624及びローラ628によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板616は、給電槽612と電解処理槽614との槽間部において、上記ローラ622、624及び628により、山型及び逆U字型に搬送される。給電電極620と電解電極630とは、直流電源634に接続されている。
(k)第2陽極酸化処理
図5に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Cに示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表Cに示す成分を含む水溶液を用いた。
Figure 0006546939
(l)第3陽極酸化処理
図5に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第3段階の陽極酸化処理を行った。表Dに示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表Dに示す成分を含む水溶液を用いた。
Figure 0006546939
(m)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間ディップしてシリケート処理を施した。Siの付着量は8.5mg/m2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
上記で得られたマイクロポアを有する陽極酸化皮膜中の大径孔部の陽極酸化皮膜表面における平均径(表層平均径)、大径孔部の連通位置における平均径(底部平均径)、小径孔部の連通位置における平均径(小径孔部径)、大径孔部及び小径孔部の平均深さ、小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚み(バリア層厚)、小径孔部の密度などを表Eに示す。上記小径孔部は、深さが異なる第1の小径孔部及び第2の小径孔部を含み、深い方を第1の小径孔部と称する。
Figure 0006546939
Figure 0006546939
表Eにおいて、バリア層厚として、平均値と最小値とを示す。バリア層厚の平均値は、支持体(陽極酸化皮膜)の断面を倍率50万倍のFE−TEMで観察し、得られた画像において、第1の小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚みを50箇所測定し、それらを算術平均したものである。
マイクロポアの平均径(大径孔部及び小径孔部の平均径)は、大径孔部表面及び小径孔部表面を倍率15万倍のFE−SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nmの範囲に存在するマイクロポア(大径孔部及び小径孔部)の径を測定し、平均した値である。なお、大径孔部の深さが深く、小径孔部の径が測定しづらい場合は、陽極酸化皮膜上部を切削し、その後各種径を求めた。
大径孔部の平均深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面を倍率50万倍のFE−TEMで観察し、得られた画像において、任意のマイクロポアの表面から連通位置までの距離を60個(N=60)測定し、それらを平均した値である。また、小径孔部の平均深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面をFE−SEMで観察し(5万倍)、得られた画像において、任意のマイクロポア25個の深さを測定し、平均した値である。
「連通部密度」は、連通位置における陽極酸化皮膜断面の小径孔部の密度を意味する。「表面積増加倍率」は、下記式(A)に基づいて計算した値を意味する。
式(A)
表面積増加倍率 = 1+ポア密度×(π×(表層平均径/2+底部平均径/2)×((底部平均径/2−表層平均径/2)+深さA1/2+π×(底部平均径/2)−π×(表層平均径/2)
小径孔部の「平均深さ(nm)」欄において、第2の小径孔部の平均深さを左側に、第1の小径孔部の平均深さを右側に示す。表E中の小径孔部の「連通部密度」欄において、小径孔部の連通部密度と共に、第1の小径孔部の密度をカッコ書き中に示す。
また、第2の小径孔部の底部から第1の小径孔部の底部までに位置する第1の小径孔部の平均径は、12nm程度であった。
<下塗り層の形成>
支持体上に、下記組成の下塗り層塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布して、下塗り層を形成した。
(下塗り層塗布液(1))
・下塗り層用化合物(1)(下記構造) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
0.03g
・水 28.0g
Figure 0006546939
<画像記録層の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し撹拌することにより得た。
(画像記録層塗布液(1))
(感光液(1))
・バインダーポリマー(1)(下記構造) 0.240g
(Mw:55,000、n:2(EO単位数))
・赤外線吸収剤(1)(下記構造) 0.020g
・ボレート化合物(1) 0.010g
テトラフェニルホウ酸ナトリウム
・重合開始剤(1)(下記構造) 0.162g
・重合性化合物 0.192g
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製)
・アニオン性界面活性剤1(下記構造) 0.050g
・感脂化剤 0.055g
ホスホニウム化合物(1)(下記構造)
・感脂化剤 0.018g
ベンジルジメチルオクチルアンモニウム・PF
・感脂化剤 0.040g
アンモニウム基含有ポリマー(下記構造)
(Mw:50,000、還元比粘度 45ml/g)
・フッ素系界面活性剤(1)(下記構造) 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
(ミクロゲル液(1))
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
Figure 0006546939
Figure 0006546939
(ミクロゲル(1)の作製)
油相成分として、下記構造の多官能イソシアナート(三井化学製;75質量%酢酸エチル溶液)4.46g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアナート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数:90)を付加させた付加体(三井化学ポリウレタン製;50質量%酢酸エチル溶液)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−205)の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈して、ミクロゲル(1)を作製した。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、(株)堀場製作所社製)により測定したミクロゲルの平均粒径は0.2μmであった。
Figure 0006546939
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層用塗布液(1)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成して平版印刷版原版1を作製した。
(保護層用塗布液(1))
・無機層状化合物分散液(1)(下記) 1.5g
・親水性ポリマー(1)(下記構造、Mw:3万)(固形分) 0.03g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、CKS50、
スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)
6質量%水溶液 0.10g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−405、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
(下記構造)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
Figure 0006546939
(無機層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて体積平均粒子径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
<平版印刷版ダミー版を用いた印刷>
上記のようにして作製された平版印刷版ダミー版をオフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとしてインクテック(株)製 ソイビーKKST−S(紅)、湿し水として東洋インキ(株)製東洋ALKYを用い、100,000枚/時のスピードで印刷を行った。
<平版印刷版ダミー版の評価>
<カラーセンサー識別適性の評価>
上記の平版印刷版ダミー版、上記の平版印刷版原版1、当てボール(新富士製紙(株)社製のテンカラー(オレンジ))、合紙(第一コンテナー(株)製のF合紙)について、平版印刷版ダミー版とその他の材料がカラーセンサーで判別可能か否かを評価した。カラーセンサーは、キーエンス社製カラーセンサー(センサー部:CZ−41、アンプ部:CZ−V1)を用いた。判別が可能なものをA、不可能なものをBと表示した。
<エッジ汚れ防止性能の評価>
上記印刷過程において、1,000枚目の印刷物をサンプリングし、エッジ部の線状汚れの程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。5〜3が許容水準である。評価結果を表2に示す。
5:汚れは全く認められない。
4:5と3の中間レベル。
3:汚れがうっすらと認められる。
2:3と1の中間レベル
1:汚れがはっきりと認められる。
<機上現像性の評価>
平版印刷版ダミー版を用いて印刷を行い、その過程において、インキ供給後50枚目の印刷物をサンプリングし、汚れの程度を目視で観察し、下記の基準で機上現像性の評価を行った。5〜3が許容水準である。
5:汚れは全く認められない。
4:5と3の中間レベル。
3:汚れがうっすらと認められる。
2:3と1の中間レベル
1:汚れがはっきりと認められる。
<セッター搬送性の評価>
NECE社製セッターAmziに版をセットし、50版搬送して、搬送不良が0版ならばA、1版以上あればBと評価した。
Figure 0006546939
Figure 0006546939
表17に示す結果から、本発明に係る平版印刷版ダミー版は、エッジ汚れ防止性に優れていることが分かった。また、機上現像適性を有し、カラーセンサー識別適性を有することが分かった。さらに、表18の結果から、第2親水性層にマット剤を有した平版印刷版ダミー版は、セッター搬送性も有していることが分かった。
1 平版印刷版ダミー版
1a 非感光性親水層面
1b アルミニウム支持体面
1c 端面
2 ダレ
X ダレ量
Y ダレ幅
B 第1親水性層とアルミニウム支持体との境界
10 裁断刃
10a 上側裁断刃
10b 上側裁断刃
11 回転軸
20 裁断刃
20a 下側裁断刃
20b 下側裁断刃
21 回転軸
30 平版印刷版ダミー版
41 アルミニウム板
42、44 ローラ状ブラシ
43 研磨スラリー液
45、46、47、48 支持ローラ
50 主電解槽
51 交流電源
52 ラジアルドラムローラ
53a,53b 主極
54 電解液供給口
55 電解液
56 スリット
58 補助陽極
60 補助陽極槽
W アルミニウム板
610 陽極酸化処理装置
612 給電槽
614 電解処理槽
616 アルミニウム板
618、626 電解液
620 給電電極
622、628 ローラ
624 ニップローラ
630 電解電極
632 槽壁
634 直流電源

Claims (16)

  1. アルミニウム支持体と、前記アルミニウム支持体上に直接的に形成された第1親水性層と、前記第1親水性層上に直接的に形成された第2親水性層とをこの順に有する平版印刷版ダミー版であって、
    前記第1親水性層及び前記第2親水性層の少なくとも一方が、350〜800nmに吸収極大を有する着色剤を含み、
    前記第1親水性層が、支持体吸着性基と親水性基とを有する高分子化合物(但し、アクリルアミド20〜90モル%、アクリロニトリル5〜60モル%、α,β−不飽和カルボン酸1〜60モル%からなる共重合体のアルカリ金属塩を除く)を含み、前記支持体吸着性基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、前記親水性基が、前記支持体吸着性基とは異なる基であり、
    前記平版印刷版ダミー版が、端部にダレ量35〜150μm、ダレ幅70〜300μmのダレ形状を有する、平版印刷版ダミー版。
  2. 前記親水性基が、スルホン酸(塩)基、アミド基、ポリアルキレンオキシド基、ヒドロキシル基、硫酸モノエステル(塩)基、スルホンアミド基、アミノ基、硫酸モノアミド(塩)基及びベタイン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基又は構造である請求項1に記載の平版印刷版ダミー版。
  3. 前記第1親水性層が、前記着色剤を含む、請求項1又は2に記載の平版印刷版ダミー版。
  4. 前記高分子化合物が、前記支持体吸着性基としてホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基及びこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位と、前記親水性基としてスルホン酸基及びその塩、アミド基並びにベタイン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基又は構造を有する繰り返し単位とを有する高分子化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
  5. 前記第1親水性層及び前記第2親水性層の少なくとも一方が、親水性化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
  6. 前記第1親水性層及び前記第2親水性層の少なくとも一方が、微粒子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
  7. 前記微粒子が、有機樹脂微粒子である、請求項6に記載の平版印刷版ダミー版。
  8. 前記微粒子が、ミクロゲルである、請求項6に記載の平版印刷版ダミー版。
  9. 前記第2親水性層が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、及び、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有する親水性高分子より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
    Figure 0006546939

    式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数2〜8の無置換アルキル基、置換基として芳香環基若しくは複素環基を有してもよい置換アルキル基、又は一般式(3)で表される置換基を表す。
    一般式(3)において、Lは、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、Rは、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数4〜8の無置換アルキル基、又は、置換基として芳香族基を有する置換アルキル基を表す。nはポリエーテルの平均付加モル数で2〜4の数である。
  10. 前記第2親水性層が、マット剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
  11. 前記マット剤が、親水性表面を有する有機樹脂マット剤である、請求項10に記載の平版印刷版ダミー版。
  12. 前記親水性表面が、シリカを含む、請求項11に記載の平版印刷版ダミー版。
  13. 前記着色剤が、水溶性染料である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版。
  14. 前記水溶性染料が、アゾ染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、インディゴ染料、ピラニン染料、及び、スチルベン染料より選ばれる少なくも1つである、請求項13に記載の平版印刷版ダミー版。
  15. 前記第2親水性層を、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して除去する機上現像処理工程を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版を用いた印刷方法。
  16. 前記第2親水性層を、界面活性剤を含むpH2〜14の現像液により除去する溶液現像処理工程を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の平版印刷版ダミー版の製版方法。
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