以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
さらに、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表しており、本実施の形態では、Z軸方向を鉛直方向とし、Z軸に垂直な方向(XY平面に平行な方向)を水平方向としている。X軸及びY軸は、互いに直交し、かつ、いずれもZ軸に直交する軸である。なお、Z軸方向のマイナスからプラスへ向かう向き(以下、「Z軸方向プラス向き」という。)を鉛直方向上向きとしている。
(実施の形態)
[全体構成]
以下、実施の形態に係る照明器具について図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る照明器具1の概略構成を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明器具1の分解斜視図である。図3は、本実施の形態に係る照明器具1の断面図である。図3においては、図1のIII−III線における断面図が示されている。
図1に示すように、照明器具1は、器具本体部2と、カバー部34と、を備える。
器具本体部2は、図示しない吊ボルトなどによって天井などの造営材に取り付けられ、カバー部34が着脱自在に取り付けられる部材である。図2に示すように、器具本体部2は、発光素子を備える光源部32と、光源部32が取付けられる金属製の基板部33と、基板部33を保持する筐体部20と、を有する。
筐体部20は、図2に示すように、板金に曲げ加工を施すことで長尺の扁平な箱状に形成されている。筐体部20における造営材とは反対側には、光源部32などを収容するための矩形の収容凹部21が筐体部20の全長にわたって設けられている。また、筐体部20の長手方向における両端部には、エンドキャップ4がそれぞれ取り付けられている。
光源部32は、図2に示すように、長尺な矩形板状に形成されたプリント基板321を備え、プリント基板321の下面には複数の光源322が長手方向に沿って実装されている。光源322は、例えば白色LEDなどの発光素子である。白色LEDは、例えば異なる二つの波長域に発光ピーク強度を有し、うち一つの発光ピーク強度が500nm以下の波長域にある白色LEDである。具体的には、白色LEDとしては、例えば、第1の発光ピーク強度が440nm以上465nm以下の波長域にあり、第2の発光ピーク強度が500nm以上640nm以下の波長域にあるLEDが挙げられる。
本実施の形態では、照明器具1は、複数(図2では二つ)の光源部32を備える。各光源部32において隣接する光源部32に対向する端部には、電力供給用のコネクタ(図示省略)がそれぞれ実装されている。各光源部32のコネクタ同士は電気的に接続されている。これにより、1つの光源部32に対して、図示しない電源装置を電気的に接続すれば、各光源部32に電力を供給することができる。
基板部33は、光源部32が取り付けられる金属製の部材である。具体的には、基板部33は、図2及び図3に示すように、板金に曲げ加工を施すことで断面視U字状に形成されている。基板部33は、長尺かつ矩形板状に形成された底面部331と、底面部331の幅方向(X軸方向)における両端から立設する一対の側面部332と、を有している。図3に示すように、光源部32は、底面部331の主面336上に配置される。底面部331には、その一部を切り起こすことで形成された係止爪334が備えられており、この係止爪334によって光源部32が基板部33に固定されている。また、一対の側面部332の先端部333は、外側に向けて弧状に曲げられている。基板部33を形成する金属材料は、特に限定されないが、例えば、アルミニウムなどでもよい。
カバー部34は、器具本体部2に取付けられ、光源部32を覆う樹脂製の透光性部材である。本実施の形態では、カバー部34は、基板部33に対向して配置される長尺形状の透光性部材である。カバー部34は、図2に示すように、Y軸方向に長尺の半円筒状のカバー本体部35と、カバー本体部35の短手方向(X軸方向)における両端部の各々に設けられた一対の係合部36と、カバー本体部35の長手方向(Y軸方向)の両端部を構成する一対のエンドカバー部37と、を有する。
カバー本体部35は、光源部32を覆って、光源部32から発せられた光を透過する部分である。カバー本体部35は、光源部32側に開口する長尺の半円筒状に形成されている。カバー本体部35は、透光性の樹脂材料で構成される。カバー本体部35を構成する樹脂材料としては、例えばポリカーボネートやアクリル等の透光性樹脂材料を用いることができる。
カバー本体部35は、さらに、光拡散性を有していてもよい。つまり、カバー本体部35は、透明カバーではなく、透光性及び光拡散性を有する拡散カバーであってもよい。この場合、カバー本体部35は、光拡散材が内部に分散された乳白色の拡散パネルとすることができる。このような拡散カバーは、光拡散材を混合した透光性樹脂材料を所定形状に樹脂成型することによって作製することができる。光拡散材としては、シリカ粒子等の光反射性微粒子を用いることができる。
なお、拡散カバーとしては、内部に光拡散材を分散させるのではなく、透明カバーの表面(内面又は外面)に光拡散材等を含む乳白色の光拡散膜を形成することによって構成されていてもよい。また、拡散カバーは、光拡散材を用いるのではなく、拡散加工を施すことによって光拡散性を有するように構成されていてもよい。例えば、シボ加工等の表面処理を施すことによって透明パネルの表面に微小凹凸を形成したり、透明カバーの表面にドットパターンを印刷したりすることによって光拡散性を有するように構成してもよい。なお、拡散加工する場合であっても、光拡散性を高めるために、さらに光拡散材を含有させてもよい。このように、カバー本体部35に光拡散機能を持たせることにより、カバー本体部35に入射した光はカバー本体部35で拡散しながらカバー本体部35を透過する。
一対の係合部36は、図3に示すように、カバー本体部35の光源部32側の面(内面)から突出している。一対の係合部36は、それぞれ基板部33の底面部331及び側面部332に係合し、基板部33を保持している。具体的には、係合部36は、カバー本体部35の内面から上方(Z軸方向プラス向き)に突出した脚部361と、脚部361の内側面から、水平方向に突出した台座部362と、を備えている。
脚部361は、カバー本体部35の内面から上方に突出しており、その先端部が光源部32の光軸C側に向けて曲げられている。この脚部361の先端部に対して、基板部33における側面部332の先端部333が係止される。また、この状態では、基板部33の底面部331が台座部362に載置されている。これにより、基板部33と、カバー部34とが組み付けられる。
係合部36は、カバー本体部35を構成する樹脂材料によって構成されていてもよいし、他の樹脂材料又は金属材料によって構成されていてもよい。係合部36を樹脂材料で形成する場合には、係合部36をカバー本体部35とともに多色成形によって一体的に形成してもよい。また、カバー本体部35を構成する樹脂材料とは異なる樹脂材料で係合部36が構成される場合には、非透光性の樹脂材料で係合部36が構成されてもよい。
一対のエンドカバー部37は、図2に示すように、それぞれカバー部34の長手方向(Y軸方向)の各端部を構成する部材である。以下、エンドカバー部37及びエンドカバー部37周辺の部材について図面を用いて詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係るエンドカバー部37の外観を示す斜視図である。図4においては、エンドカバー部37と併せて、エンドカバー部37と一体的に形成された連結部材50も示されている。図5は、本実施の形態に係るエンドカバー部37及び連結部材50の分解斜視図である。図6は、本実施の形態に係るエンドカバー部37及び基板部33の位置関係を示す斜視図である。図7及び図8は、本実施の形態に係るエンドカバー部37、連結部材50及び基板部33の断面図である。図7は、図6のVII−VII線における断面図を示し、図8は、図6のVIII−VIII線における断面図を示す。
図4及び図5に示すように、エンドカバー部37は、半円状の平板部371と、平板部371のカバー本体部35側の主面の周縁に沿って立設された立設部372と、を備える。エンドカバー部37の立設部372が、カバー本体部35の長手方向端部に嵌め合される。また、図6〜図8に示すように、エンドカバー部37は基板部33の端部338と対向する部分である対向部376を有する。つまり、対向部376は、カバー部34のうち、基板部33の端部338に対向する部分である。図4に示すように、エンドカバー部37の対向部376には、連結部材50が一体的に形成されている。
連結部材50は、図7及び図8に示すように、基板部33とカバー部34との間に形成される隙間40に配置され、当該隙間を塞ぐ弾性変形可能な樹脂製の部材である。連結部材50は、基板部33及びカバー部34のいずれか一方のみと一体的に形成されており、かつ、基板部33の主面336に対して斜め方向に延在する板状部51及び52を備える。なお、板状部51及び52は、基板部33及びカバー部34によって変形されない状態、つまり、フリーの状態において、基板部33の主面336に対して斜め方向に延在すればよい。連結部材50を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系のエラストマを用いることができる。
本実施の形態では、連結部材50は、カバー部34の長手方向における端部に配置されたエンドカバー部37と一体的に形成されている。より具体的には、隙間40は、基板部33の端部338と、端部338に対向する対向部376との間に形成される。また、板状部51及び52は、基板部33の端部338の端縁339に沿って配置される。以上のような連結部材50を備えることにより、カバー部34のエンドカバー部37と基板部33の端部338との間に形成される隙間40を塞ぐことができる。これにより、隙間40から虫などが進入するのを抑制することができる。また、連結部材50がカバー部34と一体化されていることにより、連結部材50が一体化されていない場合より、照明器具1の組み立て作業を容易化できる。
連結部材50は、例えば、インサート成形又は二色成形などによって、エンドカバー部37と一体的に形成できる。
本実施の形態では、図6に示すように、基板部33の底面部331は、幅方向(X軸方向)中央の部分である底面中央部331aと、幅方向側方の部分である底面側方部331bと、を備える。底面中央部331a及び底面側方部331bは、いずれもエンドカバー部37の対向部376と対向する。ただし、底面中央部331aと対向部376との間の距離は、底面側方部331bと対向部376との間の距離より大きい。このため、連結部材50は、底面中央部331aと対向部376との間の隙間40を塞ぐ板状部51と、底面中央部331aと対向部376との間の隙間40を塞ぐ板状部52との二種類の板状部を備える。図4及び図5に示すように、連結部材50は一つの板状部51と二つの板状部52と、を備える。このように、連結部材50は、基板部33の形状に対応した板状部51及び52を備えるため、より確実に隙間40を塞ぐことができる。
カバー部34と基板部33とは組み付けられた状態で、筐体部20の収容凹部21に取り付けられている。具体的には、カバー部34の脚部361と、基板部33の側面部332とが、筐体部20の収容凹部21内に配置されることになり、基板部33の底面部331上の光源部32が筐体部20の下方を向く。この状態で、カバー部34のカバー本体部35が、収容凹部21の開口を覆うとともに、光源部32の下方を覆うことになる。筐体部20に対して、カバー部34と、基板部33とが取り付けられると、筐体部20の長手方向における両端部に、エンドキャップ4がそれぞれ取り付けられることで、筐体部20とカバー部34と基板部33とが固定され、照明器具1が組み立てられる。
[連結部材の詳細な構成]
本実施の形態に係る連結部材50の詳細な構成について図面を用いて説明する。なお、以下では、連結部材50の板状部51及び52のうち、板状部51について説明する。
図9は、本実施の形態に係る連結部材50の形状を示す断面図である。なお、図9においては、板状部51を横切り、YZ平面に平行な平面による断面が示されている。また、図9においては、連結部材50が取り付けられたエンドカバー部37も併せて示されている。
図10は、本実施の形態に係るエンドカバー部37、連結部材50及び基板部33の一部拡大断面図である。図10においては、図7における断面図のうち、連結部材50及びその周辺部分が拡大されて示されている。
図11は、本実施の形態に係る連結部材50の形状の一例を示す断面図である。図11においては、基板部33とエンドカバー部37との間の隙間40の幅が小さい場合における連結部材50の形状が示されている。
図9に示すように、Y軸方向における連結部材50の板状部51の長さをLとする。図10などを参照すると、長さLは、基板部33の主面336に平行で、かつ、基板部33の端縁339に垂直な方向における板状部51の長さと言い換えることができる。また、Z軸方向における連結部材50の板状部51の幅をW[mm]とする。図10などを参照すると、幅Wは、板状部51の基板部33の主面336に垂直な方向の幅と言い換えることができる。また、連結部材50の板状部51の厚さをT[mm]とする。なお、板状部51の幅Wの対向部376側の端部は、対向部376において、最も基板部33に近い頂部376pである。
以上のような寸法を有する連結部材50を、基板部33とエンドカバー部37との間の隙間に配置する例について説明する。図10に示すように、基板部33の端部338とエンドカバー部37の対向部376との間の隙間40のZ軸方向の幅(つまり、基板部33の主面336に垂直な方向における幅)をAとする。この幅Aは、基板部33及びカバー部34の寸法の個体差などに起因して変化し得る。
図10に示されるように、隙間40の幅Aが、板状部51の厚さTより大きい場合であっても、板状部51が基板部33の主面336対して斜め方向に延在するため、連結部材50は、隙間40を塞ぐことができる。本実施の形態に係る照明器具1では、隙間40の幅Aの最大値をmaxA[mm]とすると
W≧maxA (1)
を満たす。これにより、板状部51のZ軸方向の幅Wが隙間40の幅A以上であるため、板状部51によって、隙間40を塞ぐことができる。
また、隙間40の幅Aが、板状部51の幅W未満の場合には、図11に示すように、主面336に対して斜め方向に延在する板状部51がたわむ(つまり板状部51の傾き角度が減少する)ことで、隙間40を塞ぎつつ、板状部51の幅Wを減少させることができる。このように、本実施の形態に係る連結部材50においては、弱い力を加えるだけで板状部51の幅を容易に減少させることができる。連結部材50においては、図11に示すように、板状部51が、基板部33の主面336と平行な状態になるまで隙間40の幅Aを縮小することができる。
さらに、基板部33の主面336とエンドカバー部37の対向部376とによって板状部51にZ軸方向に押圧することによって、板状部51の厚さTを圧縮する(つまり、板状部51を押しつぶす)ことができる。一方、基板部33の主面336は、板状部51を押圧する際にZ軸方向にたわみ得る。このため、隙間40の幅Aは、たわみ量だけ実質的に拡大され得る。ここで、板状部51の最小つぶし率をβ、基板部33のZ軸方向における最大たわみ量をD[mm]とすると、本実施の形態に係る照明器具1では、
T×β≦minA+D (2)
を満たす。なお、最小つぶし率とは、板状部51を押圧することで弾性変形させた場合の厚さの、押圧しない場合の厚さに対する割合の最小値である。これにより、隙間40の幅Aが最小(minA)となる場合においても、板状部51によって隙間40を塞ぐことができる。さらに、板状部51の幅を、隙間40の幅以下とすることができる。板状部51の押圧時の厚さ(T×β)が、隙間40の幅Aより大きい場合には、カバー部34を基板部33に取り付けられなくなるという問題が発生し得るが、本実施の形態では、このような問題の発生を抑制できる。
以上のように、本実施の形態に係る照明器具1では、基板部33の主面336に垂直な方向における隙間40の幅Aが最小値minAから最大値maxAまでの値をとり得る場合においても、連結部材50によって隙間40を塞ぐことができる。また、板状部51は、弱い力で変形し得るため、基板部33の端部338の形状に合わせて変形する。これにより、基板部33の端部338の形状が平坦でない場合でも、隙間40を塞ぐことができる。
なお、以上のような効果は、板状部を備える連結部材を用いなくても、例えば、小さな力で容易に弾性変形可能な部材を隙間40全体に埋めることによって実現し得る。しかしながら、そのような部材を隙間40に埋める場合には、例えば、隙間40の幅が当該部材の幅より小さい場合に、当該部材が隙間40から押し出されて、隙間40の外部に露出し得る。これにより、照明器具の外観品質が低下する。また、小さな圧力で容易に弾性変形可能な部材としては、スポンジ状(つまり、多孔質)の部材などが想定されるが、スポンジ状の部材では、細かい粉塵を遮断することができない。そのため、カバー部34の内部に粉塵が進入することがあり、虫が進入する場合と同様の問題が発生する。一方、本実施の形態に係る連結部材50を用いることにより、隙間40の幅Aが連結部材50の板状部51の幅Wよりも小さい場合にも、板状部51が小さい力でたわむため、容易に隙間40を塞ぐことができる。しかも、板状部51自体の厚さを大幅に圧縮する必要がないため、板状部51が隙間40から押し出されることは抑制される。また、板状部51には、スポンジ状の部材ほど小さい最小つぶし率が必要とされないため、板状部51として粉塵などを遮断できるソリッドな樹脂製部材を用いることができる。
なお、連結部材50において、板状部が基板部33の主面336に対して斜め方向でなく垂直に延在する構成でも、隙間40を塞ぎ得る。しかしながら、この構成では、隙間40が板状部の幅Wより小さくなる場合に、板状部が、いずれの向きにも傾き得るため、板状部の位置及び姿勢が安定しない。さらに、板状部の一部が一方に傾き、他の一部が他方に傾くような状態になり得る。このような状態においては、板状部によって隙間40を完全に塞ぐことができない。一方、本実施の形態に係る連結部材50のように、板状部51が主面336に対して斜め方向に延在する場合には、以上のような問題が生じず、安定的に隙間40を塞ぐことができる。
以上では、基板部33の主面336に垂直な方向における隙間40の幅Aが変わり得る場合においても、連結部材50が隙間40を塞ぐことができることを説明した。以下では、本実施の形態に係る照明器具1における、基板部33の主面336に平行な方向における基板部33とカバー部34との相対位置の変動に起因する問題を抑制する作用について図面を用いて説明する。
図12は、本実施の形態に係る基板部33及びカバー部34の相対位置の変動を説明するための断面図である。図12の断面図(a)は、常温時の基板部33及びカバー部34の長手方向端部における相対位置を示す断面図である。図12の断面図(b)は、高温時の基板部33及びカバー部34の長手方向端部における相対位置を示す断面図である。
本実施の形態に係る照明器具1は、常温においては図12の断面図(a)に示すような位置関係で各部材が配置される。一方、照明器具1を点灯させる場合には、照明器具1の光源部32及びその周辺に配置された基板部33及びカバー部34の温度が上昇する。そのため、基板部33及びカバー部34が熱膨張する。ここで、基板部33は、アルミニウムなどの金属製の部材であり、カバー部34は、ポリカーボネートなどの樹脂製の部材であるため、基板部33及びカバー部34の熱膨張係数が異なる。これに起因して、基板部33の端部338と、カバー部34の端部であるエンドカバー部37のとの相対位置が変動する。より具体的には、樹脂製のカバー部34の方が、金属製の基板部33より熱膨張係数が大きい。これに起因して、図12の断面図(a)及び(b)に示すように、カバー部34のエンドカバー部37の方が、基板部33の端部338より、大きく位置変動する。例えば、基板部33及びカバー部34の熱膨張係数をそれぞれ、α1及びα2とし、基板部33及びカバー部34の長手方向(Y軸方向)の長さを2L1及び2L2とする。この場合、基板部33の熱膨張に起因する端部338の位置変動量は、L1α1と表され、カバー部34の熱膨張に起因するエンドカバー部37の対向部376の位置変動量は、L2α2と表される。したがって、基板部33及びカバー部34の長手方向における熱膨張に起因する端部338と対向部376との間の位置ずれ量は、L2α2−L1α1と表される。なお、ここでは、基板部33及びカバー部34の長手方向中央の位置が変動しないと仮定している。例えば、基板部33及びカバー部34がそれぞれアルミニウム及びポリカーボネートで構成され、基板部33及びカバー部34の長手方向の長さが1000mmであり、高温時に、常温時より温度が50℃上昇する場合について検討する。この場合、アルミニウム及びポリカーボネートの熱膨張係数は、それぞれ60〜70×10−6/℃程度、及び、12×10−6/℃程度であることから、位置ずれ量は、1.2mm〜1.4mm程度となる。したがって、位置ずれに起因して生じた隙間から虫などが進入し得る。
以上のように、基板部33の端部338と、カバー部34の端部であるエンドカバー部37の対向部376との間に位置ずれが生じる。本実施の形態に係る連結部材50を用いない場合には、このような位置ずれに起因して、基板部33とカバー部34との間に隙間が生じ得る。しかしながら、本実施の形態に係る照明器具1では、以下に述べるように、連結部材50によって、このような隙間の発生を抑制できる。つまり、本実施の形態に係る連結部材50においては、図12に示すように、基板部33の主面336に対して斜め方向に延在する板状部51を備える。また、基板部33及びカバー部34の長手方向における基板部33及びカバー部34の熱膨張に起因する端部338と対向部376との位置ずれ量の最大値をPとして、板状部51の長さLは、
L≧P (3)
を満たす。ここで、熱膨張によって基板部33の端部338と、カバー部34の対向部376との間に位置ずれが発生した場合の板状部51の状態について説明する。位置ずれが発生した場合には、板状部51の基板部33側の端部は基板部33の主面336に対して摺動する。さらに、上記式(3)を満たすため、板状部51の基板部33側の端部は、位置ずれが発生した場合においても基板部33の主面336から離脱することなく、図12の断面図(b)に示すように主面336に接触した状態を維持できる。なお、上記位置ずれの最大値Pは、例えば、光源部32の点灯時の温度及び各熱膨張係数に基づいて求めることができる。
なお、以上では、連結部材50の板状部51について説明したが、板状部52についても同様の効果を奏する。
以上のように、本実施の形態に係る照明器具1では、熱膨張によって、基板部33とカバー部34との間に位置ずれが発生した場合においても、連結部材50によって、基板部33とカバー部34との間の隙間40を確実に塞ぐことができる。
[まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る照明器具1は、発光素子を備える光源部32と、光源部32が取付けられる金属製の基板部33と、基板部33を保持する筐体部20と、を有する器具本体部2を備える。照明器具1は、さらに、器具本体部2に取り付けられ、光源部32を覆う樹脂製のカバー部34と、基板部33とカバー部34との間に形成される隙間40に配置され、隙間40を塞ぐ弾性変形可能な樹脂製の連結部材50と、を備える。連結部材50は、カバー部34のみと一体的に形成されており、かつ、基板部33の主面336に対して斜め方向に延在する板状部51及び52を備える。
これにより、基板部33とカバー部34との間の隙間40を連結部材50で塞ぐことができる。さらに、連結部材50は、基板部33の主面336に対して斜め方向に延在する板状部51及び52を備えるため、隙間40の幅に応じて変形する。このため、隙間40の幅が基板部33及びカバー部34などの寸法の個体差などに起因して変化する場合、及び、基板部33の形状が平坦でない場合にも、連結部材50は隙間40を塞ぐことができる。さらに、連結部材50はカバー部34のみと一体化されていることにより、基板部33及びカバー部34の熱膨張係数の差に起因して、基板部33とカバー部34との間に位置ずれが発生する場合には、連結部材50の板状部51及び52は、基板部33上を摺動する。このように位置ずれが発生する場合にも連結部材50によって隙間40を塞いだ状態を維持できる。したがって、本実施の形態に係る照明器具1では、隙間40からの虫などの進入を低減できる。そして、進入した虫などによる光の遮蔽及び外観品質の悪化を抑制できる。また、板状部51及び52においては、スポンジ状の部材ほど小さい最小つぶし率が要求されないため、板状部51及び52としてソリッドな部材を用いることができる。これにより、粉塵などの微粒子がカバー部34の内部に進入することも抑制できる。また、連結部材50がカバー部34と一体化されていることにより、連結部材50が、一体化されていない場合より、照明器具1の組み立て作業を容易化できる。
また、照明器具1において、カバー部34は、基板部33の端部338に対向する対向部376を有し、隙間40は、端部338と対向部376との間に形成され、板状部51及び52は、端部338の端縁339に沿って配置されてもよい。
これにより、熱膨張による位置ずれが顕著な基板部33の端部338において、位置ずれが生じる場合においても、基板部33とカバー部34との間の隙間40を連結部材50によって塞ぐことができる。
また、照明器具1において、基板部33の主面336に平行で、かつ、端縁339に垂直な方向における板状部51及び52の長さをL、当該方向における基板部33及びカバー部34の熱膨張に起因する端部338と対向部376との位置ずれ量の最大値をPとする。また、板状部51及び52の厚さをT、板状部51及び52の最小つぶし率をβ、板状部51及び52の主面336に垂直な方向の幅をW、隙間40の主面336に垂直な方向における幅の最小値及び最大値を、それぞれminA及びmaxAとする。また、基板部33の最大たわみ量をDとして、上記式(1)〜(3)を満たしてもよい。
このように、連結部材50の板状部51及び52の特性を、基板部33及びカバー部34の特性に基づいて設定することにより、基板部33とカバー部34との間の隙間40を連結部材50によってより一層確実に塞ぐことができる。
また、照明器具1において、基板部33及びカバー部34は長尺形状であり、端部338は、基板部33の長手方向における端部であってもよい。
これにより、熱膨張による位置ずれが最も顕著な基板部33及びカバー部34の長手方向における端部においても、基板部33とカバー部34との間の隙間40を連結部材50によって塞ぐことができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る照明器具1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
例えば、連結部材50の形状の一例を示したが、連結部材50の形状は上記実施の形態における連結部材50の形状に限定されない。以下、連結部材50の変形例について図面を用いて説明する。
図13は、変形例1に係る連結部材150の外観を示す斜視図である。図14は、変形例2に係る連結部材250の外観を示す斜視図である。
上記実施の形態に係る連結部材50においては、板状部51及び52は、基板部33の端縁339から基板部33の長手方向中央に向かう向きに延在するが、連結部材の形状はこのような形状に限定されない。例えば、図13に示す変形例1に係る連結部材50のように、X軸方向(基板部33の幅方向)の中央に配置された板状部151は、基板部33の長手方向(Y軸方向)中央部から端縁339に向かう向きに延在し、板状部152は、逆向きに延在してもよい。このような形状を有する板状部151を備える連結部材150によっても、上記実施の形態に係る連結部材50と同様の効果を奏する。
また、図14に示す変形例2に係る連結部材250のように、板状部251及び252がすべて、基板部33の長手方向(Y軸方向)における端縁339から中央部に向かう向きに延在してもよい。このような形状を有する板状部151を備える連結部材150によっても、上記実施の形態に係る連結部材50と同様の効果を奏する。
また、以上では、三つの板状部を備える連結部材を示したが、板状部の個数は三つに限定されない。板状部の個数及び形状は、基板部33の形状などに基づいて適宜設計されればよい。
また、上記実施の形態では、連結部材50がエンドカバー部37のみと一体的に形成される例を示したが、連結部材50は基板部33のみと一体的に形成されてもよい。
また、上記実施の形態では、発光素子としてLED素子を例示したが、半導体レーザ等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)又は無機EL等のEL発光素子等、その他の発光素子を用いてもよい。