JP6544197B2 - 磁気式流体処理装置及びこれを備える冷却水循環システム - Google Patents

磁気式流体処理装置及びこれを備える冷却水循環システム Download PDF

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Description

本発明は、磁気式流体処理装置及びこれを備える冷却水循環システムに関し、更に詳しくは、ケース内の流体通路を流れる流体を磁気で処理する磁気式流体処理装置及びこれを備える冷却水循環システムに関する。
従来の磁気式水処理装置として、例えば、図8に示すように、2個の磁石100が配管101を挟むような構造が一般的に知られている。この処理装置では、配管101の外側に配置された磁石100間を水が流れることによって磁力線と接触させて磁化を行う構造となっている。磁力線は、N極から出てS極に流れるのが基本で、この磁力線と水とが接触することによって水が磁化される。また、多くの磁力線と接することでその度合いが大きくなる。磁力線の流れは、例えば、図9に示すように、磁石100から離れるにつれて広がり拡散する。磁界の強さ(磁束密度)は、磁力線の密度であり、磁力線の間隔が広がることによって磁化の効果が小さくなる。このことは、磁石と吸着させる金属との距離感覚で引き寄せる力が変化することで理解できる。しかし、現状の処理装置では、以下に示す課題を抱えている。
磁石100が1個の場合、当然であるが配管101全体に磁力線が分布しない。また、磁石100が2個の場合、対面が異極となるように磁石100を配置することで、磁力線の拡散を抑制する(磁力線をN極からS極に導く)ことができる。しかし、磁石100の両端の磁力線は、最も近傍の磁石100の裏面の異極に流れてしまい、配管径(磁石100間の距離P)によって磁束密度の距離減衰が発生し、距離Pが大きいと磁石100が1個の状態と同じとなってしまう。即ち、この構造は、適用する配管径に限界があり、小径の配管101にしか適用できない構造である。また、円管形状を流下断面積を確保した細長い矩形断面に形状変化させることによって磁石100間の距離を大きくしない方法が採用されている(図10参照)が、圧力容器には適用し難い。また、磁石100が4個の場合、配管101の中央に磁力線が分布しない。さらに、上述の構造は、全て単体磁石100を並べたものであるから、磁石100の厚さと材質で磁束密度が決められる。上記磁気式水処理装置の取扱い性(磁力による安全性)から、磁石100の厚さtは、構造上20mm程度までが限界で希土類ネオジウム磁石における磁石表面の最大磁束密度は、0.6テスラ(6,000ガウス)程度が限界となっている。
そこで、上記問題を解決する磁気式水処理装置として、例えば、図11に示すように、管状のケース103と、ケース103内の中心側に配設される棒状磁石104と、を備え、ケース103の内周側と棒状磁石104の外周側との間に水通路Sが形成されているものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、ケース103の内周側に磁性体である筒状の鉄板ケース105を設けるとともに、鉄板ケース105の内周側に非磁性体である筒状の磁力線反射板106を設けることが開示されている。また、ケース103の両端側の縮径部103aに配管に接続可能なフランジ継手107を設けることが開示されている。
特開2005−238058号公報
しかし、上記特許文献1に開示された技術では、ケース103の内周側に鉄板ケース105を設けているので、鉄板ケース105が磁化することでケース103全体に磁力線が分布し易くなり、磁力線が広がり磁束密度が低くなる。N極とS極の中間は、磁束密度が零になり磁束密度の分布形状は吊橋の主ケーブルが主塔間にたわんでいる形状となる。主塔の位置がN極又はS極になり、棒状磁石104の磁極(NS極)と鉄板ケース105(管状水路部)の磁力線が広がってしまい、磁束密度は低下する構造となっている。その結果、ケース103内を流れる水に高い磁束密度を作用させることが困難となる。また、上記特許文献1に開示された技術では、鉄板ケース105の外周側に磁力線反射板106を設けるようにしているが、非磁性体の磁力線反射板106により磁力線が反射されることは理論上ありえず、透過又は遮蔽されるのみである。さらに、上記特許文献1に開示された技術では、ケース103の両端側の縮径部103aに配管に接続可能なフランジ継手107を設けているので、棒状磁石104に水に含まれる鉄分スラッジ等が付着した際に、ケース103から棒状磁石104を取り出して清掃することができない。
なお、工場設備等で用いられる冷却塔循環水やチラー循環水では、冷却水の水質低下に起因して、金型冷却孔、冷却配管、熱交換器等でのスケールの付着・堆積・流路閉塞/腐食・錆・水漏れ/スライム・藻の発生等が生じている。その結果、成形品の品質不安定化(例えば、金型を一定の温度に維持できない。冷却不足でのシルバー不良が発生し易い。)、電力及びエネルギーの浪費(例えば、熱交換器の熱交換率の低下による消費電力の増加。CO2排出量の増加。熱交換器の高圧異常トラブルの増加。)、設備管理コストの増加(例えば、設備にかかる電気料金の増加。薬品洗浄費用の増加。清掃メンテナンス費用の増加。)などの様々な問題が発生してしまう。そこで、水質改善された冷却水を循環させることができる冷却水循環システムの出現が望まれている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ケース内の流体通路を流れる流体に対して高い磁束密度を作用させることができる磁気式流体処理装置及びこれを備える冷却水循環システムを提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、管状のケースと、前記ケース内に配設される棒状磁石と、を備え、前記ケースの内周側と前記棒状磁石の外周側との間に流体通路が形成されている磁気式流体処理装置であって、前記棒状磁石は、前記ケースの軸方向に沿って並設される複数の磁石ピースと、隣接する前記磁石ピースの間に介装される複数の極板と、を備え、前記ケースの外周側には、複数の前記極板のそれぞれと対向する各位置に磁性リング又はリング状磁石が設けられており、前記ケースの軸方向の一端側には、前記棒状磁石を出し入れ可能な開口部が設けられており、前記ケースには、その外部から該ケース内に配置された前記棒状磁石を透視可能な透明部が設けられていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記ケースの前記開口部側の側面には、前記ケースの軸方向と交差する方向に延びる流体通路部が設けられているとともに、前記開口部には、該開口部を閉鎖する閉鎖部材が設けられていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記閉鎖部材には、前記棒状磁石と連結する連結部材が設けられていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記閉鎖部材には、前記ケースの軸方向の前記ケースと反対側に向かって突出する棒状の把持部が設けられていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか一項に記載の発明において、複数の前記磁性リング又は前記リング状磁石のそれぞれには、連結軸が貫通されており、前記連結軸には、前記磁性リング又は前記リング状磁石のそれぞれを位置決めする位置決め部が設けられており、複数の前記磁性リング又は前記リング状磁石のそれぞれが一体に組み付けられた組付体を構成しており、前記ケースの外周側に前記組付体が取り付けられていることを要旨とする。
上記問題を解決するために、請求項に記載の発明は、循環経路内で冷却水を循環させる冷却水循環システムであって、前記循環経路内を循環する冷却水を磁気で処理する請求項1乃至のいずれか一項に記載の磁気式流体処理装置を備えることを要旨とする。
本発明の磁気式流体処理装置によると、棒状磁石は、ケースの軸方向に沿って並設される複数の磁石ピースと、隣接する磁石ピースの間に介装される複数の極板と、を備え、ケースの外周側には、複数の極板のそれぞれと対向する各位置に磁性リング又はリング状磁石が設けられている。これにより、棒状磁石の磁力線が磁性リング又はリング状磁石に導かれて集中し拡散が抑制される。よって、ケース内の流体通路を流れる流体に対して高い磁束密度を作用させることができる。
また、前記ケースの軸方向の一端側に、前記棒状磁石を出し入れ可能な開口部が設けられているので、棒状磁石に流体に含まれる鉄分スラッジ等が付着した際に、ケースの開口部から棒状磁石を取り出して清掃することができる。
また、前記ケースの前記開口部側の側面に、前記ケースの軸方向と交差する方向に延びる流体通路部が設けられているとともに、前記開口部に、該開口部を閉鎖する閉鎖部材が設けられている場合は、閉鎖部材による開口部の閉鎖を解除することで、流体通路を切り離すことなく棒状磁石を取り出すことができる。
また、前記閉鎖部材に、前記棒状磁石と連結する連結部材が設けられている場合は、閉鎖部材を持って取り外すことにより棒状磁石を取り出すことができる。
また、前記閉鎖部材に、前記ケースの軸方向の前記ケースと反対側に向かって突出する棒状の把持部が設けられている場合は、把持部を持って容易に棒状磁石を取り出すことができ、さらに把持部を持ったまま棒状磁石を容易に清掃できる。
さらに、隣接する前記磁性リング又は前記リング状磁石が互いに連結されている場合は、磁性リング又はリング状磁石の取付作業や位置合わせを容易に行うことができる。
本発明の冷却水循環システムによると、循環経路内を循環する冷却水を磁気で処理する上述の磁気式流体処理装置を備える。これにより、磁気式水処理装置により冷却水を効果的に水質改善して、防錆及び防スケールに優れるとともに洗浄機能を有する冷却水とすることができる。そして、水質改善された冷却水を循環させることで、循環経路の汚れ及び詰まりを防止できるとともに、冷却水の水質維持を図ることができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
実施例に係る磁気式水処理装置の縦断面図である。 上記磁気式水処理装置の分解状態を示す縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 図3のIV−IV線断面図である。 実施例に係る磁性リング組付体の斜視図である。 実施例に係る冷却水循環システムの概略図である。 上記磁気式水処理装置の磁性リングの有無による磁力線の説明図であり、(a)は磁性リングを備える場合の磁力線の流れ状態を示し、(b)は磁性リングを備えない場合の磁力線の流れ状態を示す。 従来の磁気式水処理装置の説明図であり、(a)は縦断面図を示し、(b)(c)は横断面図を示す。 従来の磁気式水処理装置の説明図であり、(a)は磁石1個の場合を示し、(b)は磁石2個の場合を示し、(c)(d)は磁石4個の場合を示す。 従来の磁気式水処理装置の説明図である。 従来の磁気式水処理装置の説明図である。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
<磁気式流体処理装置>
本実施形態に係る磁気式流体処理装置は、管状のケース(2)と、ケース内に配設される棒状磁石(3)と、を備え、ケースの内周側と棒状磁石の外周側との間に流体通路(S)が形成されている磁気式流体処理装置(1)である(例えば、図1及び図2等参照)。そして、棒状磁石(3)は、ケース(2)の軸方向に沿って並設される複数の磁石ピース(23)と、隣接する磁石ピースの間に介装される複数の極板(24a〜24d)と、を備える。さらに、ケース(2)の外周側には、複数の極板(24a〜24d)のそれぞれと対向する各位置に磁性リング(27)又はリング状磁石が設けられている(例えば、図3及び図4等参照)。
上述の形態の場合、例えば、上記棒状磁石(3)は、最外端側に配置される磁石ピース(23)の外端面に設けられる極板(24e、24f)を備え、ケース(2)の外周側には、複数の極板(24a〜24f)のそれぞれと対向する各位置に磁性リング(27)又はリング状磁石が設けられていることができる(例えば、図3及び図4等参照)。これにより、冷却水に対して更に高い磁束密度を作用させることができる。
本実施形態に係る磁気式流体処理装置としては、例えば、上記ケース(2)の軸方向の一端側には、棒状磁石(3)を出し入れ可能な開口部(11)が設けられている形態(例えば、図1及び図2等参照)を挙げることができる。
上述の形態の場合、例えば、上記ケース(2)の開口部(11)側の側面には、ケースの軸方向と交差する方向に延びる流体通路部(16)が設けられているとともに、開口部(11)には、開口部を閉鎖する閉鎖部材(12)が設けられていることができる(例えば、図1及び図2等参照)。この場合、例えば、上記ケース(2)の一端側には、ストレート管部(7a)及びストレート管部の途中から分岐する分岐管部(7b)が設けられており、ストレート管部(7a)の外端側に開口部(11)が設けられており、分岐管部(7b)が流体通路部(16)を構成していることができる。
上述の形態の場合、例えば、上記閉鎖部材(12)には、棒状磁石(3)と連結する連結部材(13)が設けられていることができる(例えば、図1及び図2等参照)。
上述の形態の場合、例えば、上記閉鎖部材(12)には、ケース(2)の軸方向のケースと反対側に向かって突出する棒状の把持部(14)が設けられていることができる(例えば、図1及び図2等参照)。
本実施形態に係る磁気式流体処理装置としては、例えば、隣接する上記磁性リング(27)又はリング状磁石は互いに連結されている形態(例えば、図5等参照)を挙げることができる。この場合、例えば、複数の磁性リング(27)又はリング状磁石のそれぞれには、連結軸(28)が貫通されており、連結軸には、各磁性リング又は各リング状磁石を位置決めする位置決め部(29)が設けられていることができる。
本実施形態に係る磁気式流体処理装置としては、例えば、上記ケース(2)には、ケースの外部から棒状磁石(3)を透視可能な透明部(9)が設けられている形態(例えば、図3等参照)を挙げることができる。これにより、棒状磁石への鉄分スラッジ等の付着状態を目視で確認できる。さらに、磁性リング又はリング状磁石と棒状磁石の極板との位置合わせを容易に行うことができる。
<冷却水循環システム>
本実施形態に係る冷却水循環システムは、循環経路(33)内で冷却水を循環させる冷却水循環システム(31)であって、循環経路内を循環する冷却水を磁気で処理する上記実施形態に係る磁気式流体処理装置(1)を備える(例えば、図1及び図6等参照)。
上述の形態の場合、例えば、無機物からなる水処理剤を冷却水に付与する水処理剤付与器(40)、冷却水に含まれる不純物を除去する不純物分離器(41)、冷却水をトルマリンで処理するトルマリン処理器(42)、及び冷却水中にマイクロバブルを発生させるマイクロバルブ発生器(43)のうちの1種又は2種以上の組み合わせを備えることができる。これにより、冷却水をより効果的に水質改善できる。
上述の形態の場合、例えば、上記循環経路(33)は、冷却塔(34)とチラー(35)とを連絡する第1循環経路(33a)、及びチラー(35)と冷却対象部(36)とを連絡する第2循環経路(33b)のうちの少なくとも一方の循環経路を備えることができる(例えば、図6等参照)。これにより、第1循環経路及び/又は第2循環経路の汚れ及び詰まりを防止できる。なお、上記冷却対象部としては、例えば、射出成形装置、プレス加工装置、溶接装置、加熱装置、トリム装置等が挙げられる。
なお、上記水質改善された冷却水、即ち活性水とは、物理・化学的な処理を行い洗浄機能を付与した水を意味する。この活性水の役割としては、例えば、(1)水のクラスター(H20集合体)を分解し、浸透性のある滑らかな水になる、(2)OHラジカルが生成され、錆コブ・スケール堆積物・有機物等の分解・洗浄を行う、(3)酸化還元電位がマイナス帯電しマイナスイオン水(弱アルカリ)になる等が挙げられる。また、活性水を生成する事項としては、例えば、(1)高濃度マイクロバルブ(効果;水冷却に対して1.8倍の冷却効率)、(2)トルマリン電気石(効果;水分子を細分化し、配管洗浄を促進させる)、(3)磁化還元水(防錆、防スケールに優れる)等が挙げられる。
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「流体」として、冷却水循環システムで用いられる冷却水を例示する。
(1)磁気式水処理装置の構成
本実施例に係る磁気式水処理装置1は、図1及び図2に示すように、管状のケース2と、ケース2内に配設される丸棒状の棒状磁石3と、ケース2の外周側に配設される磁性リング組付体4と、を備えている。このケース2の内周側と棒状磁石3の外周側との間には円筒状の水通路Sが形成されている(図3参照)。
上記ケース2は、円管状のストレート管6と、ストレート管6の端部のそれぞれに連結される一対のT字管7、8と、を備えている。ストレート管6は、透明材料(半透明材料も含む。)から形成されている。そして、ストレート管6の棒状磁石3を覆う部分は、ケース2の外部から棒状磁石3を透視可能な透明部9を構成している。また、各T字管7、8は、ストレート管部7a、8aと、ストレート管部7a、8aの途中から分岐する分岐管部7b、8bと、を備えている。これら各分岐管部7b、8bには、後述する冷却水循環システム31の循環経路33を構成する配管38a(39a)が接続可能とされている(図6参照)。なお、上記ケース2(具体的に、各管6、7、8)は、非磁性体(例えば、ポリ塩化ビニルなどの樹脂等)から形成されている。
上記ケース2の軸方向の一端側(具体的に、一方のT字管7のストレート管部7aの外端側)には、ケース2に対して棒状磁石3を出し入れ可能な開口部11が設けられている。この開口部11には、開口部11を閉鎖する円柱状の閉鎖栓12(本発明に係る「閉鎖部材」として例示する。)が設けられている。この閉鎖栓12は、開口部11内に嵌挿されることで開口部11を閉鎖する。また、閉鎖栓12には、棒状磁石3と連結する棒状の連結部材13の一端側が螺合等で取り付けられている。また、閉鎖栓12には、ケース2の軸方向のケース2と反対側(即ち、連結部材13と反対側)に向かって突出する棒状の把持部14が設けられている。この把持部14の表面には、ローレット等の滑り止め部14aが形成されている。また、開口部11には、閉鎖栓12を固定するためのクランプ具15が接着等により接合されている。さらに、T字管7の分岐管部7bは、ケース2の開口部11側の側面に設けられる水通路部16を構成している。この水通路部16は、ケース2の軸方向と交差(例えば、直交等)する方向に延びている。
上記他方のT字管8のストレート管部8aの外端側には、キャップ18で閉塞された短管19が連結されている。この短管19の端部内には、保持部20が挿脱可能に嵌挿されている。この保持部20には、棒状磁石3と連結する棒状の連結部材21の一端側が螺合等で取り付けられている。そして、上記閉鎖栓12及び保持部20が各管7、19内に嵌挿されることで、ケース2の中心側に棒状磁石3が位置決め保持されて両者2、3の間に水通路Sが形成される。
上記棒状磁石3は、ケース2の軸方向に沿って並設される複数(図中5つ)の磁石ピース23と、隣接する磁石ピース23の間に介装される複数(図中4つ)の極板24a〜24dと、ケース2の軸方向の最外端側の磁石ピース23の各端面に配置される2つの極板24e、24fと、を備えている。これら各磁石ピース23は、円柱状の永久磁石(例えば、希土類磁石等)から形成されている。また、磁石ピース23は、隣接する磁石ピース23の対向面が同極となるように直列に配設されている(図3参照)。また、最外端側の各極板24e、24fの外端面には、トップコーン25が設けられている。これら各トップコーン25に各連結部材13、21の他端側が螺合等で取り付けられている。なお、上記各磁石ピース23、各極板24a〜24f及びトップコーン25は、例えば、接着、ネジ止め等により一体化されていてもよいよいし、非磁性体であるスリーブ内に収容されて一体化されたていてもよい。
上記磁性リング組付体4は、図3〜図5に示すように、複数(図中6つ)の磁性リング27を一体に組み付けてなされている。これら各磁性リング27は、鉄製であり、ケース2の外周側(具体的に、ストレート管6の外周側)に挿通可能なリングプレート状に形成されている。また、各磁性リング27の板厚は、極板24a〜24fの板厚より僅かに大きな値とされている。また、各磁性リング27には、ネジ軸である連結軸28を挿通可能な複数(図中3つ)の貫通孔27aが形成されている。そして、貫通孔27aに挿通された連結軸28に磁性リング27の表裏面側からナット29(位置決め部)を螺合させることで、連結軸28に対して磁性リング27が位置決め保持される。よって、複数の磁性リング27は、軸方向に所定のピッチ間隔で並ぶように一体に組み付けられている。また、隣接する磁性リング27のピッチ間隔は、隣接する極板24の軸方向のピッチ間隔と略同じ値とされている。そして、磁性リング組付体4は、複数の極板24a〜24fのそれぞれと対向する各位置に磁性リング27が配置されるように、ケース2の外周側に取り付けられている。
(2)冷却水循環システムの構成
本実施例に係る冷却水循環システム31は、図6に示すように、循環経路33内で冷却水を循環させるものであって、循環経路33内を循環する冷却水を磁気で処理する上記磁気式水処理装置1を備えている。この循環経路33は、冷却塔34とチラー35の熱交換器35aとを連絡する第1循環経路33aと、チラー35と冷却対象部36(例えば、射出成形装置の金型等)とを連絡する第2循環経路33bと、を備えている。
上記第1循環経路33aの送り経路に接続されたバイパス経路38には、無機物からなる水処理剤を冷却水に付与する水処理剤付与器40と、冷却水に含まれる不純物を除去する不純物分離器41と、冷却水をトルマリンで処理するトルマリン処理器42と、上記磁気式水処理装置1と、が設けられている。また、冷却塔34には、冷却水中にマイクロバブルを発生させる高濃度マイクロバルブ発生器43が設けられている。また、第2循環経路33bの送り経路に接続されたバイパス経路39には、上記磁気式水処理装置1が設けられている。さらに、第2循環経路33bの戻り経路に接続されたバイパス経路45には、上記水処理剤付与器40及び不純物分離器41が設けられている。
なお、上記水処理剤付与器40では、冷却水中のスケール成分(Ca、Mg、Si)を凝集・沈殿させて分離する。これに対して、一般的な有機リン系の薬剤処理では、防錆、防スケールの被膜を配管内に形成させるが、金型冷却孔の硬いシリカを含んだ錆、スケールを除去することができない。また、上記不純物分離器41では、冷却水の電気伝導率を検出するセンサ46からの検出値に応じて制御部47が電磁弁48を開放して不純物の排出を行ったり、制御部47’のタイマ制御により電磁弁48’を開放して不純物の排出を行ったりされる。
(3)冷却水循環システムの作用
次に、上記構成の冷却水循環システム31の作用について説明する。第1循環経路33aを循環する冷却水は、磁気式水処理装置1、水処理剤付与器40、不純物分離器41、トルマリン処理器42及び高濃度マイクロバルブ発生器43の作用により水質改善されて、防錆及び防スケールに優れるとともに洗浄機能を有する冷却水とされる。また、第2循環経路33bを循環する冷却水は、磁気式水処理装置1、水処理剤付与器40及び不純物分離器41の作用により水質改善されて、防錆及び防スケールに優れるとともに洗浄機能を有する冷却水とされる。
そして、水質改善された冷却水が第1及び第2循環経路33a、33bを循環することとなる。これにより、冷却水の水質低下に起因する、金型冷却孔、冷却配管、熱交換器等でのスケールの付着・堆積・流路閉塞/腐食・錆・水漏れ/スライム・藻の発生等が抑制される。その結果、成形品の品質安定化(例えば、金型を一定の温度に維持できる。冷却不足でのシルバー不良が発生し難い。)、節電及び省エネ(例えば、熱交換器の熱交換率の向上による消費電力の大幅削減。節電、節水によるCO2排出量の削減。熱交換器の高圧異常トラブルの低減。)、設備管理コストの大幅削減(例えば、設備にかかる電気料金の削減。薬品洗浄費用の削減。清掃メンテナンス費用の削減。)などの様々なメリットが得られる。
また、上記磁気式水処理装置1では、磁性リング27を備えるので、図7(a)に示すように、棒状磁石3の磁力線が磁性リング27に導かれて集中し拡散が抑制される。よって、ケース2内の水通路Sを流れる冷却水に対して高い磁束密度を作用させることができる。これに対して、磁性リング27を備えない場合、図7(b)に示すように、棒状磁石3の磁力線が拡散してしまい、ケース2内の水通路Sを流れる冷却水に対して高い磁束密度を作用させることが困難となる。また、上記磁気式水処理装置1では、棒状磁石3に鉄分スラッジ等が付着した際に、図2に示すように、作業者が把持部14を持ってケース2の開口部11から棒状磁石3を取り出することで棒状磁石3を清掃できる。
ここで、本実施例では、水通路Sを流れる冷却水の速度が約2〜3m/sとなるとともに、水通路Sの隙間t(図3参照)が5〜6mmとなるような配管径及び磁石径を選定した。さらに、磁石ピース23として、残留磁束密度が14,000ガウスで、表面磁力が16,000ガウスの希土類磁石を使用した。その結果、磁性リング27の外側での磁束密度の測定値が0.10〜0.15ステラを示したのに対して、磁性リング27の内側での磁束密度の測定値が0.6〜0.8テスラを示した。これは、磁力線が磁性リング27に導かれて集中し拡散が抑えられており、ケース2内の水通路Sを通過する冷却水は、1.6〜0.6テスラで磁化されたものと推察される。なお、上記磁性リング27の内側の磁束密度は、ケース2を取り除いた状態で測定した値である。
(4)実施例の効果
本実施例の磁気式水処理装置1によると、棒状磁石3は、ケース2の軸方向に沿って並設される複数の磁石ピース23と、隣接する磁石ピース23の間に介装される複数の極板24a〜24dと、を備え、ケース2の外周側には、複数の極板24a〜24dのそれぞれと対向する各位置に磁性リング27が設けられている。これにより、棒状磁石3の磁力線が磁性リング27に導かれて集中し拡散が抑制される。よって、ケース2内の水通路Sを流れる冷却水に対して高い磁束密度を作用させることができる。その結果、冷却水を効果的に水質改善して、防錆及び防スケールに優れるとともに洗浄機能を有する冷却水とすることができる。
また、本実施例では、棒状磁石3は、最外端側に配置される磁石ピース23の外端面に設けられる極板24e、24fを備え、ケース2の外周側には、複数の極板24a〜24fのそれぞれと対向する各位置に磁性リング27が設けられている。これにより、冷却水に対して更に高い磁束密度を作用させることができる。
また、本実施例では、ケース2の軸方向の一端側には、棒状磁石3を出し入れ可能な開口部11が設けられている。これにより、棒状磁石3に冷却水に含まれる鉄分スラッジ等が付着した際に、ケース2の開口部11から棒状磁石3を取り出して清掃することができる。
また、本実施例では、ケース2の開口部11側の側面には、ケース2の軸方向と交差する方向に延びる水通路部16が設けられているとともに、開口部11には、開口部11を閉鎖する閉鎖栓12が設けられている。これにより、閉鎖部12による開口部11の閉鎖を解除することで、水通路(即ち、配管38a、39a)を切り離すことなく棒状磁石3を取り出すことができる。
また、本実施例では、閉鎖栓12には、棒状磁石3と連結する連結部材13が設けられている。これにより、閉鎖栓12を持って取り外すことにより棒状磁石3を取り出すことができる。特に、本実施例では、閉鎖栓12には、ケース2の軸方向のケース2と反対側に向かって突出する棒状の把持部14が設けられている。これにより、把持部14を持って容易に棒状磁石3を取り出すことができ、さらに把持部14を持ったまま棒状磁石3を容易に清掃できる。
また、本実施例では、隣接する磁性リング27が互いに連結されている。これにより、磁性リング27の取付作業や位置合わせを容易に行うことができる。
さらに、本実施例では、ケース2には、ケース2の外部から棒状磁石3を透視可能な透明部9が設けられている。これにより、棒状磁石3への鉄分スラッジ等の付着状態を目視で確認できる。さらに、磁性リング27と棒状磁石3の極板24a〜24fとの位置合わせを容易に行うことができる。
本実施例の冷却水循環システム31によると、循環経路33内を循環する冷却水を磁気で処理する磁気式水処理装置1を備える。これにより、磁気式水処理装置1により冷却水を効果的に水質改善して、防錆及び防スケールに優れるとともに洗浄機能を有する冷却水とすることができる。そして、水質改善された冷却水を循環させることで、循環経路33の汚れ及び詰まりを防止できるとともに、冷却水の水質維持を図ることができる。
また、本実施例では、冷却水循環システム31は、無機物からなる水処理剤を冷却水に付与する水処理剤付与器40、冷却水に含まれる不純物を除去する不純物分離器41、冷却水をトルマリンで処理するトルマリン処理器42、及び冷却水中にマイクロバブルを発生させるマイクロバルブ発生器43のうちの1種又は2種以上の組み合わせを備える。これにより、冷却水をより効果的に水質改善できる。
さらに、本実施例では、循環経路33は、冷却塔34とチラー35とを連絡する第1循環経路33a、及びチラー35と冷却対象部36とを連絡する第2循環経路33bを備える。これにより、第1循環経路33a及び第2循環経路33bの汚れ及び詰まりを防止できる。
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、ケース2の外周側の極板24a〜24fに対向する各位置に磁性リング27を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、ケース2の外周側の極板24a〜24fに対向する各位置にリング状磁石を設けるようにしてもよい。このリング状磁石であっても、磁性リング27と略同様にして、棒状磁石3の磁力線が導かれて集中し拡散が抑制される。
また、上記実施例では、複数の管6、7、8を連結してなるケース2を例示したが、これに限定されず、例えば、単一の管からなるケースを採用してもよい。また、上記実施例では、単一の永久磁石からなる磁極ピース23を例示したが、これに限定されず、例えば、複数のプレート状の永久磁石を連結してなる磁極ピースを採用してもよい。
また、上記実施例では、極板24a〜24fの板厚より大きな板厚を有する磁性リング27を例示したが、これに限定されず、例えば、極板24a〜24fの板厚と略同じ板厚を有する磁性リングを採用したり、極板24a〜24fの板厚より小さな板厚を有する磁性リングを採用したりしてもよい。
また、本実施例では、配管38a(39a)が連結される水通路部16と開口部11を閉鎖する閉鎖栓12とを備える形態を例示したが、これに限定されず、例えば、水通路部16及び閉鎖栓12を備えず、開口部11に配管38a(39a)を連結するようにしてもよい。
また、上記実施例では、閉鎖部材として、ケース2の開口部11内に嵌挿される閉鎖栓12を例示したが、これに限定されず、例えば、ケース2の開口部11を覆うように開口部11に取り付けられるキャップを採用してもよい。
さらに、上記実施例では、循環経路33a、33bの送り経路に配設される磁気式水処理装置1を例示したが、これに限定されず、例えば、図6中に仮想線で示すように、循環経路33a、33bの戻し経路に配設される磁気式水処理装置としてもよい。
さらに、上記実施例では、冷却水を磁気で処理する磁気式水処理装置1を例示したが、これに限定されず、例えば、冷却水以外の液体や空気等の気体を磁気で処理する磁気式流体処理装置としてもよい。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明は、工業、医療、農業、環境、食品分野等で用いられる流体を磁気で処理する技術として広く利用される。特に、工場設備等で用いられる冷却水を磁気で処理する技術として好適に利用される。
1;磁気式水処理装置、2;ケース、3;棒状磁石、11;開口部、12;閉鎖栓、13;連結部材、14;把持部、16;水通路部、23;磁石ピース、24a〜24f;極板、27;磁性リング、31;冷却水循環システム、33;循環経路、S;水通路。

Claims (6)

  1. 管状のケースと、前記ケース内に配設される棒状磁石と、を備え、前記ケースの内周側と前記棒状磁石の外周側との間に流体通路が形成されている磁気式流体処理装置であって、
    前記棒状磁石は、前記ケースの軸方向に沿って並設される複数の磁石ピースと、隣接する前記磁石ピースの間に介装される複数の極板と、を備え、
    前記ケースの外周側には、複数の前記極板のそれぞれと対向する各位置に磁性リング又はリング状磁石が設けられており、
    前記ケースの軸方向の一端側には、前記棒状磁石を出し入れ可能な開口部が設けられており、
    前記ケースには、その外部から該ケース内に配置された前記棒状磁石を透視可能な透明部が設けられていることを特徴とする磁気式流体処理装置。
  2. 前記ケースの前記開口部側の側面には、前記ケースの軸方向と交差する方向に延びる流体通路部が設けられているとともに、前記開口部には、該開口部を閉鎖する閉鎖部材が設けられている請求項記載の磁気式流体処理装置。
  3. 前記閉鎖部材には、前記棒状磁石と連結する連結部材が設けられている請求項記載の磁気式流体処理装置。
  4. 前記閉鎖部材には、前記ケースの軸方向の前記ケースと反対側に向かって突出する棒状の把持部が設けられている請求項記載の磁気式流体処理装置。
  5. 複数の前記磁性リング又は前記リング状磁石のそれぞれには、連結軸が貫通されており、
    前記連結軸には、前記磁性リング又は前記リング状磁石のそれぞれを位置決めする位置決め部が設けられており、
    複数の前記磁性リング又は前記リング状磁石のそれぞれが一体に組み付けられた組付体を構成しており、
    前記ケースの外周側に前記組付体が取り付けられている請求項1乃至のいずれか一項に記載の磁気式流体処理装置。
  6. 循環経路内で冷却水を循環させる冷却水循環システムであって、
    前記循環経路内を循環する冷却水を磁気で処理する請求項1乃至のいずれか一項に記載の磁気式流体処理装置を備えることを特徴とする冷却水循環システム。
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