JP6539710B2 - 化合物及び高分子化合物 - Google Patents
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Description
前記レジスト材料はポジ型とネガ型とに分けられ、露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が減少するレジスト材料をネガ型という。
前記現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ水溶液(アルカリ現像液)が用いられている。また、芳香族系有機溶剤、脂肪族炭化水素系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、アミド系有機溶剤、アルコール系有機溶剤等の、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を現像液として用いることも行われている。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーよりも短波長(高エネルギー)のEB(電子線)、EUV(極紫外線)、X線などについても検討が行われている。
化学増幅型レジスト組成物としては、一般的に、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有するものが用いられている。たとえば現像液がアルカリ現像液(アルカリ現像プロセス)の場合、基材成分として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが用いられている。
前記ポジ型現像プロセスを適用する場合、かかるポジ型の化学増幅型レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜の露光部は、ベース樹脂中の酸分解性基が酸発生剤等から発生した酸の作用により分解して、アルカリ現像液に対して難溶性から可溶性へ転じる一方で、レジスト膜の未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間で溶解コントラストをつけることができ、ポジ型レジストパターンを形成できる。
そして、従来、リソグラフィー特性等の向上のため、例えば、側鎖部分が長くかつその側鎖部分に酸素原子(−O−)及びカルボニル基が導入された、酸分解性基を有する構成単位、を有する高分子化合物がベース樹脂として用いられた化学増幅型レジスト組成物、が提案されている(特許文献2参照)。
このネガ型レジストパターンを形成する方法としては、主流である前記のポジ型現像プロセスで用いられる化学増幅型レジスト組成物と、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)と、を組み合わせたネガ型現像プロセスが知られている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジストパターン形状の更なる向上を課題とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)を含有し、前記基材成分(A)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)を含むことを特徴とするレジスト組成物である。
本発明の高分子化合物は、形状の優れたレジストパターンを形成できる前記レジスト組成物用の樹脂として有用である。また、本発明の化合物は、前記高分子化合物用のモノマー原料として有用である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH2−)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
アクリルアミドは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、アクリルアミドのアミノ基の水素原子の一方または両方が置換基で置換されていてもよい。なお、アクリルアミドのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリルアミドのカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリルアミドのα位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたもの(置換基(Rα0))と同様のものが挙げられる。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、ヒドロキシスチレンのα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたもの(置換基(Rα0))と同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、ビニル安息香酸のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
本発明の第一の態様であるレジスト組成物は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう)を含有する。
かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、該レジスト膜の露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、該レジスト膜の未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、当該レジスト組成物がポジ型の場合は露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、当該レジスト組成物がネガ型の場合は未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、未露光部が溶解除去されてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本態様のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本態様のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
本態様のレジスト組成物は、具体的には、
(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という)を含有するものであってもよく;
(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;
(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。(A)成分が露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である場合、後述する(A1)成分が、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、露光により酸を発生する構成単位(a6)を有する樹脂を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位(a6)については後述する。
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」又は「高分子化合物」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
本態様のレジスト組成物に用いられる(A)成分としては、少なくとも(A1)成分(後述)が用いられ、該(A1)成分とともに他の高分子化合物及び/又は低分子化合物を併用してもよい。
(A1)成分は、一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物である。
かかる(A1)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜を露光した場合、構成単位(a0)は、酸の作用によりその構造中の少なくとも一部の結合が開裂し、極性が増大する。このため、本態様のレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型となり、溶剤現像プロセスにおいてネガ型となる。(A1)成分は露光前後で極性が変化するため、(A1)成分を用いることにより、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても良好な現像コントラストを得ることができる。
つまり、アルカリ現像プロセスを適用する場合、(A1)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型レジストパターンが形成できる。
一方、溶剤現像プロセスを適用する場合、(A1)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなって有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型レジストパターンが形成できる。
構成単位(a0)は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位である。
Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
Va01及びVa02における炭化水素基は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基(直鎖状のアルキレン基)として、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(分岐鎖状のアルキレン基)として、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜10のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン等が挙げられる。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜10であり、5〜10が好ましく、6〜10が特に好ましい。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Va01とVa02とは、互いに同一であってもよく、相違していてもよい。
構成単位(a0)は、酸の作用によりRa0が解離し、構成単位(a0)の側鎖末端に極性基(カルボキシ基)を生じる。このRa0は、構成単位(a0)の側鎖末端に生じる極性基(カルボキシ基)よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該Ra0が解離した際に、構成単位(a0)は、該Ra0よりも極性の高い極性基(カルボキシ基)が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
Ra0における単環式の炭化水素基の炭素数は、4以上であり、好ましくは5〜15であり、より好ましくは6〜10である。
Ra0における多環式の炭化水素基(但し、メチルアダマンチル基を除く)の炭素数は、好ましくは7以上であり、より好ましくは8〜16であり、さらに好ましくは11〜14である。
Ra0における「酸解離性基」として具体的には、後述の構成単位(a1)の中で例示される酸解離性基のうち、炭素数8以上の分岐鎖状炭化水素基、炭素数4以上の単環式の炭化水素基、及び多環式の炭化水素基(但し、メチルアダマンチル基を除く)が挙げられる。
Ra0が単環式の炭化水素基である場合、後述の一般式(a1−r2−1)で表される基において、Ra’10は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。Ra’11が構成する脂肪族単環式基は、炭素数3〜8のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとして具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサンが好ましい。
Ra0が多環式の炭化水素基である場合、後述の一般式(a1−r2−1)で表される基において、Ra’10は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。Ra’11が構成する脂肪族多環式基は、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられ、アダマンタン、ノルボルナンが好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜35モル%がさらに好ましい。
構成単位(a0)の割合を下限値以上とすることによって、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。一方、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、さらに、他の構成単位を有してもよい。
該他の構成単位としては、上述の構成単位(a0)に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能であり、例えば、以下に示す構成単位(a1)〜(a4)、構成単位(a6)等が挙げられる。
(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)(構成単位(a0)に該当するものを除く)をさらに有してもよい。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO3H)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基がより好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。この酸解離性基についての説明は、上記Ra0における「酸解離性基」についての説明と同様である。
上記極性基のうち、カルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下、便宜上「アセタール型酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基);前記アリール基の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
一方、Ra’4〜Ra’6が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−2)で表される基が挙げられる。
式(a1−r2−2)中、Ra’13は、式(a1−r−1)におけるRa’3の炭化水素基として例示された直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は単環式もしくは多環式の脂環式炭化水素基であることが好ましい。これらの中でも、Ra’3の単環式もしくは多環式の脂環式炭化水素基として挙げられた基であることがより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−1)〜(a1−3)のいずれかで表される構成単位が好ましい。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
Va1における2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
前記na3+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
前記式(a1−3)中、Va2は、式(a1−1)中のVa1と同じ基が挙げられる。
(A1)成分が構成単位(a1)を有する場合、構成単位(a1)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、下限値は10モル%以上が好ましい。
構成単位(a1)の割合を、前記の好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスを容易にとることができ、良好な形状のレジストパターンが得られやすい。一方、好ましい下限値以上であると、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性がより向上する。
本態様のレジスト組成物においては、前記(A1)成分が、構成単位(a0)に加えて、ラクトン含有環式基、−SO2−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(a2)をさらに有することが好ましい。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基、−SO2−含有環式基又はカーボネート含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高める上で有効なものである。
なお、前記の構成単位(a0)又は構成単位(a1)がその構造中にラクトン含有環式基、−SO2−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a0)又は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
ラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素数は1〜15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
R”におけるカーボネート含有環式基としては、後述のカーボネート含有環式基と同様であり、具体的には一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R”における−SO2−含有環式基としては、後述の−SO2−含有環式基と同様であり、具体的には一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
−SO2−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO2−を含む環式基、すなわち−O−SO2−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。−SO2−含有環式基として、より具体的には、下記の一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Ra’x31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
かかる構成単位(a2)は、下記一般式(a2−1)で表される構成単位であることが好ましい。
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、上述の式(a1−1)におけるVa1で例示した基が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH2)a’−C(=O)−O−(CH2)b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜70モル%であることが好ましく、5〜70モル%がより好ましく、10〜65モル%がさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。
構成単位(a2)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、一方、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
本態様のレジスト組成物においては、前記(A1)成分が、構成単位(a0)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)(ただし、上述した構成単位(a0)、構成単位(a1)又は構成単位(a2)のいずれかに該当するものを除く)をさらに有することが好ましい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
jは1であることが好ましく、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜40モル%であることが好ましく、2〜30モル%であることがより好ましく、5〜25モル%であることがさらに好ましく、10〜20モル%が特に好ましい。
構成単位(a3)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、レジストパターン形成において解像性がより高まる。一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位(a4)をさらに有してもよい。
(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。また、(A)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に溶剤現像プロセスの場合に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与する。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により当該レジスト組成物中に酸が発生した際(例えば、後述の構成単位(a6)又は(B)成分から酸が発生した際)に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−7)でそれぞれ表される構成単位を例示することができる。
(A1)成分が構成単位(a4)を有する場合、構成単位(a4)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜40モル%であることが好ましく、5〜20モル%であることがより好ましい。
構成単位(a4)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、構成単位(a4)を含有させることによる効果が充分に得られ、一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、露光により酸を発生する構成単位(a6)をさらに有してもよい。
構成単位(a6)としては、露光により酸を発生するものであれば特に限定されず、例えば、前記の構成単位(a0)と共重合可能であって、従来化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されている構造を導入した構成単位を用いることができる。
構成単位(a0)と共重合可能な構成単位としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位等が好適なものとして挙げられる。
従来化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されている構造を有する化合物としては、後述の(B)成分が好適なものとして挙げられる。
構成単位(a6a)は、露光により酸を発生するアニオン基を側鎖に有する構成単位である。
露光により酸を発生するアニオン基としては、特に限定されず、スルホン酸アニオン、アミドアニオン、メチドアニオンが好ましい。なかでも、該アニオン基としては、下記の一般式(a6a−r−1)、(a6a−r−2)、(a6a−r−3)のいずれかで表される基がより好ましい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
かかる直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基はフッ素原子を有し、該脂肪族炭化水素基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていてもよい。また、フッ素原子に加えて、オキソ基(=O)等で置換されていてもよい。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
かかる環状の脂肪族炭化水素基はフッ素原子を有し、該環状の脂肪族炭化水素基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていてもよい。また、フッ素原子に加えて、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、オキソ基(=O)等の置換基で置換されていてもよい。
該置換基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
該置換基におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
かかる芳香族炭化水素基はフッ素原子を有し、該芳香族炭化水素基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていてもよい。また、フッ素原子に加えて、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、オキソ基(=O)等の置換基で置換されていてもよい。前記置換基としてのアルキル基、アルコキシ基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基の置換基としてのアルキル基、アルコキシ基と同様である。
Rf1、Rf2のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rf1、Rf2のフッ素化アルキル基としては、上記Rf1、Rf2のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が好ましい。
Rf1、Rf2としては、フッ素原子又はフッ素化アルキル基であることが好ましい。
前記式(a6a−r−11)中、p0は1〜8の整数であり、1〜4の整数であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
Ra’61におけるアルキル基は、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が好ましいものとして挙げられる。
Ra’61における1価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜20が好ましく、炭素数3〜12がより好ましく、多環式でもよく、単環式でもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra’61におけるアリール基は、炭素数6〜18であるものが好ましく、炭素数6〜10であるものがより好ましく、具体的にはフェニル基が特に好ましい。
Ra’61におけるアラルキル基は、炭素数1〜8のアルキレン基と上記「Ra’61におけるアリール基」とが結合したものが好ましい例として挙げられる。炭素数1〜6のアルキレン基と上記「Ra’61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基と上記「Ra’61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基が特に好ましい。
Ra’61における炭化水素基は、置換基を有していてもよく、当該炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることが好ましく、当該炭化水素基の水素原子の30〜100%がフッ素原子で置換されていることがより好ましい。なかでも、上述したアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。加えて、Ra’61における炭化水素基は、メチレン基(−CH2−)が−CO−又は−SO2−等の2価の基で置換されていてもよい。
前記式(a6a−1)〜(a6a−4)中、Ra61は、それぞれ独立に、上記式(a6a−r−1)で表される基である。前記式(a6a−5)〜(a6a−7)中、Ra62は、それぞれ独立に、上記式(a6a−r−2)または(a6a−r−3)で表される基である。前記式(a6a−8)中、Ra63は、上記式(a6a−r−3)で表される基である。
前記式(a6a−2)、(a6a−5)〜(a6a−7)中、Ra”61〜Ra”64は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフッ素化アルキル基である。Ra”61〜Ra”64におけるフッ素化アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
前記式(a6a−2)、(a6a−5)、(a6a−6)中、na61は、それぞれ独立に、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
前記式(a6a−6)中、na62は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
前記式(a6a−7)中、na63は、0〜10の整数であり、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
La”61は、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、又は、−O−CH2−C(=O)−O−である。
Ra”65は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
前記式(a6a−7)中、Ya”61は、環状炭化水素基を含む2価の連結基であり、上述した一般式(a2−1)中のYa21の2価の連結基についての説明の中で例示される、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基(このうち、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、又は、芳香族炭化水素基を有するもの)と同様のものが挙げられる。
前記式(a6a−8)中、Va”63は、2価の環状炭化水素基又は単結合である。Va”63における2価の環状炭化水素基は、前記式(a6a−r−1)中のVa’61についての説明の中で例示した、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Mm+の有機カチオンとしては、特に限定されず、なかでもm価のオニウムカチオンが好ましく、そのなかでもスルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンであることがより好ましく、後述の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表される有機カチオンが特に好ましい。
構成単位(a6c)は、露光により分解するカチオン基を側鎖に有する構成単位である。
露光により分解するカチオン基としては、特に限定されず、下記の一般式(a6c−r−1)で表される基が好ましい。
Va’61cは、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、前記のRa’61c及びRa’62cにおけるアリール基、アルキル基またはアルケニル基から水素原子1個を除いた基が挙げられる。
ただし、Ra’61cとRa’62cとVa’61cとは、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。ここで形成される環構造は、後述の式(ca−1)中のR201〜R203が相互に結合して式中のイオウ原子と共に形成する環から水素原子1個を除いた基が挙げられる。
前記式(a6c−2)、(a6c−3)中、Va61cは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン基であり、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
前記式(a6c−3)中、Va62c及びVa64cは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキレン基であり、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がさらに好ましい。
前記式(a6c−3)中、Va63cは、脂肪族環式基又は単結合である。Va63cにおける脂肪族環式基は、前記式(a6a−r−1)中のVa’61についての説明の中で例示した、脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
na61cは0〜2の整数であり、1又は2が好ましい。
na62cは0または1である。
A−の対アニオンとしては、特に限定されず、後述の(B)成分についての説明の中で例示される、一般式(b−1)、(b−2)または(b−3)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部等が挙げられ、一般式(b−1)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部が特に好ましく、そのなかでも炭素数1〜8のフッ素化アルキルスルホン酸イオン(好ましくは炭素数1〜4)または後述の一般式(an−1)〜(an−3)でそれぞれ表されるアニオンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
構成単位(a6a)としては、一般式(a6a−1)又は(a6a−2)で表される構成単位が好ましい。構成単位(a6c)としては、一般式(a6c−1)で表される構成単位が好ましい。
上記のなかでも、構成単位(a6)は、構成単位(a6a)が好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a6)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、0.5〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%であることがより好ましく、1.5〜15モル%が特に好ましい。
構成単位(a6)の割合を下限値以上とすることにより、ラフネスが低減され、良好なレジストパターン形状が得られやすい。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、リソグラフィー特性がより向上する。
好ましい(A1)成分としては、構成単位(a0)と構成単位(a2)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a0)と構成単位(a3)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a0)と構成単位(a6)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a0)と構成単位(a2)と構成単位(a3)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a0)と構成単位(a2)と構成単位(a3)と構成単位(a6)との繰り返し構造からなる高分子化合物等が例示でき、これらの中でも、構成単位(a0)と構成単位(a2)と構成単位(a3)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a0)と構成単位(a2)と構成単位(a3)と構成単位(a6)との繰り返し構造からなる高分子化合物が特に好ましい。
(A1)成分のMwがこの範囲の好ましい上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の好ましい下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜4.0がより好ましく、1.0〜3.0が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、特に、パターンの解像性が高まり、露光余裕度(ELマージン)やラインワイズラフネス(LWR)、マスク再現性などのリソグラフィー特性をより確保しやすくなる。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂、低分子化合物など)から任意に選択して用いればよい。(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本態様のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
本態様のレジスト組成物は、上述した(A)成分に加えて、該(A)成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば以下に示す(B)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(S)成分などが挙げられる。
本態様のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、さらに、酸発生剤成分(以下「(B)成分」という。)を含有してもよい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤;ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。なかでも、オニウム塩系酸発生剤を用いるのが好ましい。
・(b−1)成分のアニオン部
式(b−1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
R101における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R101における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
本明細書において「ステロイド骨格」とは、3つの六員環及び1つの五員環がつながった下記化学式で示される骨格(st)を意味する。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH2−)を置換する基である。
R101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
R101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO2−)が連結されていてもよい。かかる酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば下記一般式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’3の環状の脂肪族炭化水素基(単環式の脂肪族炭化水素基、多環式の脂肪族炭化水素基)から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
式(b−2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
R104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト用溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するため好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b−2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b−1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b−2)中、L101、L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
式(b−3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
L103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO2−である。
式(b−1)、(b−2)及び(b−3)中、mは1以上の整数であって、M’m+はm価のオニウムカチオンであり、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好適に挙げられ、下記の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表される有機カチオンが特に好ましい。
R201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
R201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
R201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
R210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
R210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
R210における、置換基を有していてもよい−SO2−含有環式基としては、前述の「−SO2−含有環式基」と同様のものが挙げられ、このなかでも一般式(a5−r−1)で表される基が好ましい。
Y201におけるアリーレン基は、前述の式(b−1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
Y201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、前述の式(b−1)中のR101における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
W201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
W201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、上述の一般式(a2−1)におけるYa21と同様の、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
W201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。
(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性が良好となるため好ましい。
本態様のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、又は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、酸拡散制御剤成分(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。(D)成分は、レジスト組成物において露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
(D1)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、露光部と未露光部とのコントラストを向上させることができる。
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、レジスト膜の露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
・・アニオン部
式(d1−1)中、Rd1は置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rd1としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、上記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらの組み合わせが挙げられる。エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
Rd1としては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが特に好ましい。
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
Mm+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、前記一般式(ca−1)で表されるカチオンがより好ましく、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンがさらに好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・・アニオン部
式(d1−2)中、Rd2は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
ただし、Rd2における、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分としてのクエンチング能が向上する。
Rd2としては、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rd2の炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRd1における炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、鎖状のアルキル基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・・アニオン部
式(d1−3)中、Rd3は置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rd1のフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
なかでも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rd4におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rd4のアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rd4におけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Yd1における2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、上記式(a2−1)におけるYa21の2価の連結基についての説明のなかで挙げた、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Yd1としては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D1)成分を含有する場合、(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
前記の(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
また、(d1−3)成分の製造方法は、特に限定されず、例えば、US2012−0149916号公報に記載の方法と同様にして製造される。
酸拡散制御剤成分としては、上記の(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下「(D2)成分」という。)を含有してもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するもので、かつ、(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミンが好ましく、この中でも特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンがより好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
レジスト組成物が(D2)成分を含有する場合、(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
本態様のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
本態様のレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤成分(以下「(F)成分」という。)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。前記重合体としては、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);該構成単位(f1)と前記構成単位(a1)との共重合体;該構成単位(f1)と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、該構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が好ましい。
式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、nf1は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基がより好ましく、トリフルオロメチル基、−CH2−CF3、−CH2−CF2−CF3、−CH(CF3)2、−CH2−CH2−CF3、−CH2−CH2−CF2−CF2−CF2−CF3が特に好ましい。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
レジスト組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
本態様のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
(S)成分は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
ポリマー主鎖と、酸解離性基であるRa0と、は適度に離れていることで、リソグラフィー特性向上の効果が得られ、一方、両者が離れすぎていると、リソグラフィー特性は低下する傾向にある。本発明においては、ポリマー主鎖と、酸解離性基であるRa0と、が適切な距離で離れて位置するように、特定の構造「−Va01−La0−Va02−C(=O)O−Ra0」を選択し、ベース樹脂の側鎖に導入したことで、上記の効果が顕著に発揮される。
本発明の第二の態様であるレジストパターン形成方法は、支持体上に、上記本発明の第一の態様であるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本態様のレジストパターン形成方法は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、支持体上に、上記第一の態様であるレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、又はマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行う。
その後、露光後のレジスト膜に対してベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記露光、ベーク(PEB)後のレジスト膜を現像処理する。現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
現像処理の後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後又はリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
このようにして、ポジ型レジストパターン、又はネガ型レジストパターンを得ることができる。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系及び/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細なパターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
ケトン系溶剤は、構造中にC−C(=O)−Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤であり、「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系溶剤は、構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は、構造中にC−O−Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。たとえば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
上記の中でも、有機系現像液が含有する有機溶剤は、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が好ましい。各溶剤の具体例を以下に示す。
ケトン系溶剤としては、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)が好ましい。
エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6〜8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。具体的には、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−ヘキサノールが好ましく、1−ヘキサノール、2−ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。ただし、現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下さらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
本発明の第三の態様である化合物は、下記一般式(m−a0)で表される化合物(以下「化合物(m−a0)」ともいう)である。
化合物(m−a0)の製造方法は、特に限定されず、例えば、下記一般式(m−a0−1)で表される化合物(m−a0−1)と、下記一般式(m−a0−2)で表される化合物(m−a0−2)と、を反応させることにより、Ra0を酸解離性基とする化合物(m−a0)を製造することができる。
Ra0’における炭素数8以上の分岐鎖状炭化水素基、炭素数4以上の単環式の炭化水素基、多環式の炭化水素基(但し、メチルアダマンチル基を除く)は、Ra0における炭素数8以上の分岐鎖状炭化水素基、炭素数4以上の単環式の炭化水素基、多環式の炭化水素基(但し、メチルアダマンチル基を除く)とそれぞれ同じ基である。
次いで、そこに、化合物(m−a0−1)を加えて撹拌することにより実施できる。
有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン等が好ましい。該有機溶媒の使用量は、化合物(m−a0−2)100質量部に対して50〜1000質量部であることが好ましく、100〜600質量部であることがより好ましい。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
かかる反応の反応温度は、50〜150℃が好ましく、より好ましくは70〜90℃程度である。
かかる反応における化合物(m−a0−1)の使用量は、通常、化合物(m−a0−2)1モルに対して0.5〜10モル程度が好ましく、1〜5モル程度がより好ましい。
化合物(m−a0−1)(カルボン酸塩化物)は、例えば、その母体となるカルボン酸に対して塩化チオニル(SOCl2)、塩化オキサリル((COCl)2)、塩化スルフリル(SO2Cl2)等の求電子的ハロゲン化剤を反応させることにより得られるものを用いることができる。
単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようにして得られる化合物(m−a0)の構造は、1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
本発明の第四の態様である高分子化合物は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位を有するものである。
また、本発明の高分子化合物においては、構成単位(a0)に加えて、又は、構成単位(a0)及び構成単位(a2)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位をさらに有することが好ましい。この極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位としては、上述した構成単位(a3)と同様である。
かかる本発明の高分子化合物は、上記本発明の第一の態様であるレジスト組成物についての説明における(A1)成分(構成単位(a0)を有する高分子化合物)と同じものであり、各構成単位の種類、(A1)成分中の各構成単位の含有割合などについては上記と同様である。
構成単位(a0)を提供するモノマーには、上述した本発明の第三の態様である化合物を用いることができる。
本実施例では、例えば、化学式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に記載する。
(実施例1:化合物(01))
窒素雰囲気下、オキサリルクロリド(33g)とジクロロメタン(165g)とを三口フラスコに添加し5℃に冷却した。そこに、同温度にて、化合物(0−i)(50g)のジクロロメタン(500g)溶液を1時間かけて滴下した。その後、DMF(0.79g)を加え、室温まで昇温し2時間撹拌した。次いで、反応溶液を濃縮することで、目的物である化合物(0−ii)を油状化合物として54g得た。
得られた化合物(0−ii)はNMR測定を行い、以下の結果よりその構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=6.11(m,1H),5.54(m,1H),4.28(s,4H),3.10(t,2H),2.58(t,2 H),1.91(m,3H).
得られた化合物(01)はNMR測定を行い、以下の結果よりその構造を同定した。
1H−NMR(400MHz, DMSO−d6):δ(ppm)=6.08(m,1H),5.66(m,1H),4.31(s,4H),2.62(septet,1H),2.59−2.45(m,4H),2.00−1.50(m, 11H),0.83(d,6H).
窒素雰囲気下、化合物(02−1)(9.43g)と、ジブチルアニリン(19.8g)と、アセトニトリル(45.0g)とを三口フラスコに添加し5℃に冷却した。そこに、同温度にて、化合物(0−ii)(20.0g)のアセトニトリル(45.0g)溶液を1時間かけて滴下後、70℃にて8時間撹拌した。その後、反応溶液にヘキサンを加え、全体を10質量%塩酸で洗浄し、次いで1質量%アンモニア水で洗浄した。その後、得られた有機相を濃縮することで、最終目的物である化合物(02)を油状化合物として14.4g得た。
得られた化合物(02)はNMR測定を行い、以下の結果よりその構造を同定した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=6.03(m,1H),5.70(m,1H),4.27(s,4H),2.60−2.45(m,4H),2.20(septet,2H),1.88(s,3H),1.30(s,3H),0.89−0.86(m,12H).
(実施例3:高分子化合物(A1−1))
化合物(21)(10.0g)と、化合物(01)(9.2g)と、化合物(31)(4.1g)とをメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた後、そこに、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)(2.48g)を加え溶解させて滴下溶液を調製した。次いで、温度計、還流管及び窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、MEK(12.4g)を加え80℃に加熱した。その後、ここに、同温度にて、窒素雰囲気下、前記滴下溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度にて反応液を1時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応液を大量のメタノールに滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別し、メタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(A1−1)11.5gを得た。
この高分子化合物(A1−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.62であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=51.1/30.9/18.0であった。
化合物(21)(10.0g)と、化合物(02)(9.2g)と、化合物(31)(4.1g)とをメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた後、そこに、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)(2.48g)を加え溶解させて滴下溶液を調製した。次いで、温度計、還流管及び窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、MEK(15.78g)を加え80℃に加熱した。その後、ここに、同温度にて、窒素雰囲気下、前記滴下溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後,同温度にて反応液を1時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応液を大量のメタノールに滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別し、メタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(A1−2)11.5gを得た。
この高分子化合物(A1−2)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6500であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.65であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=51.7/29.5/18.8であった。
単量体として、化合物(21)と化合物(01)と化合物(31)とに加えて、さらに以下に示す化合物(61)を併用した以外は、上記実施例3と同様にして重合等を行うことにより、目的物である高分子化合物(A1−3)を得た。
この高分子化合物(A1−3)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7100であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.71であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n/o=50.4/24.3/20.6/4.7であった。
化合物(01)を、以下に示す化合物(03)に変更した以外は、上記実施例3と同様にして重合等を行うことにより、目的物である高分子化合物(A1−4)を得た。
この高分子化合物(A1−4)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6800であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.67であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=51.1/30.2/18.7であった。
(実施例7〜10、比較例1〜6)
表1に示す各成分を混合して溶解することにより各例のレジスト組成物を調製した。
(A)−1:上記高分子化合物(A1−1)。
(A)−2:上記高分子化合物(A1−2)。
(A)−3〜(A)−6:下記化学式(A)−3〜(A)−6でそれぞれ表される高分子化合物。
(A)−3:下記化学式(A)−3で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7100、分子量分散度(Mw/Mn)は1.66。13C−NMRにより求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n=48.6/30.3/21.1。
(A)−4:下記化学式(A)−4で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6800、分子量分散度(Mw/Mn)は1.51。13C−NMRにより求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n=50.5/29.3/20.2。
(A)−5:下記化学式(A)−5で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7200、分子量分散度(Mw/Mn)は1.59。13C−NMRにより求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n=50.8/30.1/19.1。
(A)−6:下記化学式(A)−6で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6900、分子量分散度(Mw/Mn)は1.68。13C−NMRにより求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n=50.3/30.9/18.8。
(A)−7:上記高分子化合物(A1−3)。
(A)−8:下記化学式(A)−8で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7400、分子量分散度(Mw/Mn)は1.75。13C−NMRにより求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n/o=50.4/24.9/20.0/4.7。
(A)−9:上記高分子化合物(A1−4)。
(A)−10:下記化学式(A)−10で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6800、分子量分散度(Mw/Mn)は1.68。13C−NMRにより求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n=50.3/29.8/19.9。
(D)−1:下記化学式(D)−1で表される化合物。
(E)−1:サリチル酸。
(F)−1:下記化学式(F)−1で表される含フッ素高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は23100、分子量分散度(Mw/Mn)は1.78。13C−NMRにより求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=77/23。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEA/PGME/シクロヘキサノン(質量比45/30/25)の混合溶剤。
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC95」(商品名、ブリューワサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚90nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、実施例7〜10及び比較例1〜6の各レジスト組成物をそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対し、液浸用ArF露光装置NSR−S609B[ニコン社製;NA(開口数)1.07,Dipole 0.97/0.78 w/P,液浸媒体:水]により、フォトマスクを介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
その後、95℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次いで、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて、10秒間のアルカリ現像を行った。
その結果、いずれの例においてもラインアンドスペースパターンが形成された。
いずれの例においても、ライン幅50nm/ピッチ100nmのラインアンドスペースパターンが形成された。
前記レジストパターンの形成(1)によって、ターゲットサイズ(ライン幅50nm/ピッチ幅100nm)のラインアンドスペースパターンが形成される最適露光量EOP(mJ/cm2)を求めた。その結果を「EOP(mJ/cm2)」として表2に示した。
前記レジストパターンの形成(1)において、ラインアンドスペースパターンのライン幅がターゲット寸法(ライン幅50nm)の約±5%の範囲内で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を求めた。その結果を「5%EL(%)」として表2に示した。
ELマージン(%)=(|E1−E2|/EOP)×100
E1:ライン幅47.5nmのラインアンドスペースパターンが形成された際の露光量(mJ/cm2)
E2:ライン幅52.5nmのラインアンドスペースパターンが形成された際の露光量(mJ/cm2)
なお、ELマージンは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さいことを示す。
前記レジストパターンの形成(1)によって形成された、ライン幅50nm/ピッチ幅100nmのラインアンドスペースパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に400箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を求め、400箇所の3sについて平均化した値を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を「LWR(nm)」として表2に示した。
この3sの値が小さいほど、その線幅のラフネスが小さく、より均一幅のラインアンドスペースパターンが得られたことを意味する。
前記レジストパターンの形成(1)と同じ手順に従い、ターゲットサイズ(ライン幅)を45〜55nm(1nm刻み、計11点)とするマスクパターンをそれぞれ用い、ピッチ100nmの各ラインアンドスペースパターンを同一露光量にて形成した。
その際、ターゲットサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたパターンのライン幅(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾き(MEEF)を算出した。その結果を「MEEF」として表2に示した。
MEEF(直線の傾き)は、その値が1に近いほど、マスク再現性が良好であることを意味する。
12インチのシリコンウェーハ上に、膜厚72nmの有機系反射防止膜を形成し、次いで、該有機系反射防止膜上に、膜厚14nmの無機系反射防止膜を積層した。
該無機系反射防止膜上に、実施例7、8、10及び比較例1〜4、6の各レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、110℃で50秒間のプレベーク(PAB)処理を行い乾燥することにより、膜厚85nmのレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対し、液浸用ArF露光装置NSR−S609B[Nikon社製;NA(開口数)=1.07,Annular 0.78/0.97 w/o P]により、フォトマスクを介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
その後、90℃で50秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次いで、23℃にて、酢酸ブチルで31秒間の溶剤現像を施し、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、スペース幅47nm/ピッチ110nmのスペースアンドラインのレジストパターン(以下「SLパターン」ともいう)が形成された。
前記レジストパターンの形成(2)によって、ターゲットサイズ(スペース幅47nm/ピッチ幅110nm)のSLパターンが形成される最適露光量EOP(mJ/cm2)を求めた。その結果を「EOP(mJ/cm2)」として表3に示した。
前記レジストパターンの形成(2)において、SLパターンのスペース幅がターゲット寸法(スペース幅47nm)の約±5%の範囲内で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を求めた。その結果を「5%EL(%)」として表3に示した。
ELマージン(%)=(|E3−E4|/EOP)×100
E3:スペース幅44.65nmのSLパターンが形成された際の露光量(mJ/cm2)
E4:スペース幅49.35nmのSLパターンが形成された際の露光量(mJ/cm2)
前記レジストパターンの形成(2)によって形成された、スペース幅47nm/ピッチ幅110nmのSLパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、スペース幅を、スペースの長手方向に400箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を求め、400箇所の3sについて平均化した値を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を「LWR(nm)」として表3に示した。
前記レジストパターンの形成(2)と同じ手順に従い、ターゲットサイズ(スペース幅)を42〜52nm(1nm刻み、計11点)とするマスクパターンをそれぞれ用い、ピッチ110nmの各SLパターンを同一露光量にて形成した。
その際、ターゲットサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたパターンのスペース幅(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾き(MEEF)を算出した。その結果を「MEEF」として表3に示した。
Claims (4)
- 下記一般式(m−a0)で表される化合物。
- 下記一般式(a0−1)で表される構成単位を有する高分子化合物。
- ラクトン含有環式基、−SO2−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位をさらに有する、請求項2に記載の高分子化合物。
- 極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位をさらに有する、請求項2又は3に記載の高分子化合物。
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