JP6537943B2 - 導波管スロットアンテナおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、導波管スロットアンテナおよびその製造方法に関する。
周知のように、導波管スロットアンテナは、無線通信機能を備えた種々の電気・電子機器(システム)において、高周波帯域の電波(例えばミリ波帯の電波)や、低周波帯域の電波(例えばセンチメートル波帯の電波)を送受信するためのアンテナとして使用されている。ミリ波帯の電波は、例えば車載用レーダシステムで利用され、センチメートル波帯の電波は、例えば、放送衛星(BS)や通信衛星(CS)などによる衛星放送システム、無線LANやBluetooth(登録商標)などのデータ伝送システム、電子料金収受システム(ETC(登録商標))などで利用されている。なお、ミリ波帯の電波とは、波長1〜10mm、周波数30〜300GHzの電波であり、センチメートル波帯の電波とは、波長10〜100mm、周波数3〜30GHzの電波である。
導波管スロットアンテナとしては種々のものが提案されているが、本出願人は、導波管スロットアンテナのコスト低減を図るべく、下記の特許文献1において、樹脂製の導波管スロットアンテナを提案している。より具体的には、管軸方向に延びた導波路を有し、導波路の画成面が導電性被膜で被覆された樹脂製の導波管と、該導波管の管軸方向に沿って所定間隔で設けられた複数の放射スロットとを備え、導波管が、横断面(管軸方向と直交する断面)が有端状をなした第1および第2の導波管形成部材の結合体で構成された導波管スロットアンテナである。
ところで、導波管スロットアンテナのアンテナサイズ(特に、管軸方向の寸法)は、主に送受信する電波の周波数に応じて決定付けられ、対応周波数が高くなるほどアンテナサイズが小さくなる。そのため、アンテナサイズが小さくなるほど、導波管の壁部を薄肉化せざるを得ないが、この場合、温度変化等に伴って導波管に望まない変形(反りや曲がり)が生じ易くなる。そして、上記のような変形が生じると、
・導波路の形状精度等に悪影響が及び、電波の伝搬効率等が低下する、
・両導波管形成部材の当接部に隙間が生じ、この隙間を介して導波路を伝搬する電波が外部に漏れ易くなる、
などといったアンテナ特性を低下させる不具合が生じ易くなる。
・導波路の形状精度等に悪影響が及び、電波の伝搬効率等が低下する、
・両導波管形成部材の当接部に隙間が生じ、この隙間を介して導波路を伝搬する電波が外部に漏れ易くなる、
などといったアンテナ特性を低下させる不具合が生じ易くなる。
以上の実情に鑑み、本発明は、低コストに作製可能でありながら、所望のアンテナ特性を安定的に発揮することのできる導波管スロットアンテナを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、管軸方向に延びた導波路を有する導波管と、導波管の管軸方向に沿って所定間隔で設けられた複数の放射スロットとを備え、導波管が、導波路の延在方向各部における横断面が有端状をなした第1および第2の導波管形成部材の結合体で構成された導波管スロットアンテナにおいて、第1の導波管形成部材が、複数の放射スロットを有する平板状の金属部材で構成されると共に、第2の導波管形成部材が、第1の導波管形成部材を一体的に保持した樹脂部材で構成され、かつ導波管のうち、少なくとも導波路の画成面が、連続した導電性被膜で被覆されていることを特徴とする。
上記構成を有する導波管スロットアンテナは、複数の放射スロットを有する平板状の金属部材からなる第1の導波管形成部材をインサートして第2の導波管形成部材を樹脂で射出成形することによって導波管を得、その後、この導波管に対して少なくとも導波路の画成面を被覆する導電性被膜の形成処理を実行することで製造することができる。
上記のように、平板状の金属部材で構成された第1の導波管形成部材をインサートして第2の導波管形成部材を樹脂で射出成形することによって導波管を得るようにすれば、第1の導波管形成部材を補強部材として機能させることができるので、成形収縮に伴う第2の導波管形成部材の変形(特に管軸方向に沿う方向の反り・曲り)を可及的に防止しつつ、温度変化等に伴う変形が生じ難い導波管を低コストに得ることができる。また、第2の導波管形成部材が第1の導波管形成部材を一体的に保持していること、および、両導波管形成部材の結合体からなる導波管のうち、少なくとも導波路の画成面が連続した導電性被膜(切れ目のない導電性被膜)で被覆されていることにより、両導波管形成部材の結合部に、導波路を伝搬する電波が外部に漏れ出すような隙間が形成されるのを効果的に防止することができる。以上のことから、低コストに作製可能でありながら、所望のアンテナ特性を安定的に発揮することのできる導波管スロットアンテナを実現することができる。
上記構成において、第1の導波管形成部材は、放射スロットを介して外部に放射される電波の放射方向前方側に設けられ、放射スロットを内周に配置した孔部をさらに有するものとすることができる。このような孔部を設けておけば、グレーティングローブとも称される不要放射を排除することができるので、導波管スロットアンテナのアンテナ特性を高めることができる。
この場合、第1の導波管形成部材は、放射スロットを有する第1の金属板と、上記孔部を有する第2の金属板との積層体で構成することができる。このようにすれば、放射スロットを有する第1の金属板および上記孔部を有する第2の金属板のそれぞれを、金属板にプレス加工(打ち抜き加工)を施すことで得られるプレス成形品とすることができるので、放射スロットおよび孔部を有する第1の導波管形成部材を低コストに作製することができる。
導電性被膜は、導波管の外表面に沿って連続的に形成することもできる。このような導電性被膜(導波管)は、マスキング処理を施さずに導波管に対して導電性被膜の形成処理を施すことで得られる。このようにすれば、導波管に対するマスキングの形成処理を省略することができるので、導波管スロットアンテナのコスト低減を図る上で有利となる。
以上に示すように、本発明によれば、低コストに作製可能でありながら、所望のアンテナ特性を安定的に発揮することのできる導波管スロットアンテナを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(c)のそれぞれに、本発明の第1実施形態に係る導波管スロットアンテナ1の部分平面図、横断面図[図1(a)のX−X線における断面図]および縦断面図[図1(a)のY−Y線における断面図]を示す。図1に示す導波管スロットアンテナ1は、例えば、ミリ波帯の電波を送受信するためのアンテナユニットを構成する部材として使用される。図示は省略するが、上記のアンテナユニットは、並列に接続された複数本(例えば5本)の導波管スロットアンテナ1と、各導波管スロットアンテナ1に高周波電力(電波)を供給する給電導波管とで構成される。この場合、5本の導波管スロットアンテナ1のうち、例えば中央部に配置されたアンテナ1は電波の送信用アンテナとして機能させることができ、その両側に2本ずつ配置されたアンテナ1は電波の受信用アンテナとして機能させることができる。なお、このアンテナユニット1をミリ波帯(例えば76GHz帯)の電波を送受信するための用途に用いる場合、導波管スロットアンテナ1のサイズは、例えば、管軸方向(図1の紙面上下方向)の寸法:90mm、幅方向(図1(a)の紙面左右方向)の寸法:7mm、高さ方向(図1(a)において紙面と直交する方向)の寸法:7mm、とされる。
次に、導波管スロットアンテナ1の詳細構造を説明する。導波管スロットアンテナ1は、図1(a)〜(c)に示すように、内部に管軸方向に延びた導波路2を有する導波管10と、導波管10の管軸方向に沿って所定間隔で設けられた複数の放射スロット3と、導波管10の管軸方向の一端に設けられ、導波路2に高周波電力(電波)を供給する給電スロット5と、を備える。図1(a)に示すように、本実施形態の放射スロット3は、その幅方向中央部を通って延びる直線が管軸方向に対して45°傾くように設けられているが、管軸方向に対する放射スロット3の傾斜角は、用途等に応じて適宜設定することができる。
図1(b)(c)に示すように、導波管10は、導波路2の延在方向各部における横断面が方形状をなす方形導波管とされる。より具体的には、互いに平行な頂壁10aおよび底壁10bと、互いに平行な側壁10c,10dとを備え、さらに、管軸方向の一端および他端開口を閉塞する終端壁10e,10fを備える。複数の放射スロット3は頂壁10aに設けられ、給電スロット5は底壁10bに設けられている。本実施形態において、頂壁10aおよび底壁10bの横断面寸法は、側壁10c,10dの横断面寸法よりも長寸とされる。なお、以下では、説明の便宜上、頂壁10aが設けられた側を上側、底壁10bが設けられた側を下側とも言うが、導波管スロットアンテナ1の使用態様を限定するわけではない。
頂壁10aは、放射スロット3を介して外部に放射される電波の放射方向前方側に設けられ、放射スロット3を内周に配置した孔部4を有する。すなわち、頂壁10aには、その外表面(上面)に開口した孔部4が管軸方向に沿って複数設けられ、各孔部4の内底面に一の放射スロット3が開口している。本実施形態では、孔部4を平面視で真円状に形成しているが、孔部4は、平面視で矩形状、楕円状等に形成することもできる。このような孔部4を設けることにより、グレーティングローブとも称される不要放射が抑制されるので、アンテナ特性を高めることができる。
導波管10は、導波路2の延在方向各部における横断面が有端状をなす第1および第2の導波管形成部材11,12の結合体からなる。具体的には、図1(b)(c)に示すように、頂壁10aを構成する第1の導波管形成部材11と、底壁10b、側壁10c,10dおよび終端壁10e,10fを一体に有する第2の導波管形成部材12との結合体、要するに、平板状をなす第1の導波管形成部材11と、上記横断面が上側に開口した凹形状をなす第2の導波管形成部材12との結合体で導波管10が構成される。
本実施形態の第1の導波管形成部材11は、金属板にプレス加工(打ち抜き加工)を施すことで所定形状に形成された第1の金属板11Aと、金属板にプレス加工(打ち抜き加工)を施すことで所定形状に形成された第2の金属板11Bとの積層体で構成される。放射スロット3は、プレス加工によって第1の金属板11Aを得るのと同時に形成され、孔部4は、プレス加工によって第2の金属板11Bを得るのと同時に形成される。
一方、第2の導波管形成部材12は、第1の導波管形成部材11を一体的に保持した樹脂部材、すなわち、第1の導波管形成部材11をインサートして樹脂で射出成形された樹脂の射出成形品とされ、射出成形と同時に給電スロット5が型成形される。第2の導波管形成部材12の成形に用いる樹脂材料としては、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)およびポリアセタール(POM)の群から選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、これに必要に応じて、グラスファイバー(GF)やカーボンファイバー(CF)等の充填材を一種又は複数種添加したものが使用される。以上で例示したベース樹脂の中でも、LCPは、PPS等に比べて形状安定性に優れ、かつ成形に伴うバリの発生量を抑制し得る点で好ましい。
図2(a)に拡大して示すように、第2の導波管形成部材12は、第1の導波管形成部材11を一体的に保持した保持部12aを有する。この保持部12aは、両金属板11A,11Bを積み重ねた状態で成形金型にインサート部品として配置し、その後、両金属板11A,11Bに設けた充填部(孔部)7に上記の樹脂材料を充填するようにして、第2の導波管形成部材12を射出成形することにより得られる。本実施形態では、図1(c)にも示すように、管軸方向の両端部(終端壁10e,10f)にのみ保持部12aを設けているが、側壁10c,10dに保持部12aを設けることももちろん可能である。
上記の保持部12aは、上記以外の方法、例えば、両金属板11A,11Bを接着や溶接等の適宜の手段で結合一体化した後、この一体品(第1の導波管形成部材11)をインサート部品として成形金型に配置し、その後、第1の金属板11Aのみに設けた複数の充填部7に上記の樹脂材料を充填するようにして、第2の導波管形成部材12を射出成形することによって得ることもできる[図2(b)を参照]。図2(b)に示す構成は、成形収縮に伴う第2の導波管形成部材12の変形を抑える観点から言えば、上述のようにして得るのが好ましいが、第1の金属板11Aのみをインサート部品として第2の導波管形成部材12を樹脂で射出成形した後、第1の金属板11Aに対して第2の金属板11Bを適宜の手段で結合することによって得ることも可能である。
導波管10のうち、少なくとも導波路2の画成面は、図1(b)中の拡大図に示すように、導電性被膜6で被覆されている。導電性被膜6は、両導波管形成部材11,12の当接部(境界部)でも途切れておらず、第1の導波管形成部材11の導波路2を画成する面、および第2の導波管形成部材12の導波路2を画成する面で連続している。このような導電性被膜6は、上述のようにして第1および第2の導波管形成部材11,12の結合体からなる導波管10を得た後、この導波管10に対して導電性被膜6の形成処理、具体的には無電解メッキ処理を施すことで得られる。図示は省略しているが、導電性被膜6は、導波路2を画成する面に加え、導波管10の外表面(導波管10の表面全域)に形成しても構わない。このような構成は、導波管10にマスキング処理を施さずに、導波管10に導電性被膜6の形成処理、具体的には無電解メッキ処理を施すことで得られる。この場合、導波管10に対するマスキング処理を省略することができるので、導電性被膜6の形成に要するコスト、ひいては導波管スロットアンテナ1の製造コストを抑える上で有利となる。
導電性被膜6は、単層の金属メッキ被膜で構成しても構わないが、ここでは、導波管10に析出形成した第1被膜6aと、この第1被膜6a上に析出形成した第2被膜6bとで導電性被膜6を構成している。第1被膜6aは、銅、銀、金等、特に導電性(電波の伝搬性)に優れた金属のメッキ被膜とすることができ、また、第2被膜6bは、ニッケル等、耐久性(耐腐食性)に優れた金属のメッキ被膜とすることができる。導電性被膜6をこのような積層構造とすることにより、導電性被膜6に高い導電性と高い耐久性とを同時に付与することができることに加え、高価な金属である銅や銀等の使用量を抑えてコスト増を抑制することができる。
導電性被膜6の膜厚は、これが薄過ぎると耐久性に乏しくなり、逆に厚過ぎると被膜形成に多大な時間を要してコスト高を招来する。かかる観点から、導電性被膜6の膜厚は0.2μm以上1.5μm以下とするのが好ましい。なお、本実施形態のように、導電性被膜6を第1被膜6aと第2被膜6bの積層構造とする場合、第1被膜6aおよび第2被膜6bの膜厚は、それぞれ、例えば0.1〜1.0μm程度および0.1〜0.5μm程度とすることができる。
以上で説明したように、本実施形態の導波管スロットアンテナ1は、導波管10が、複数の放射スロット3を有する平板状の金属部材からなる第1の導波管形成部材11と、第1の導波管形成部材11を一体的に保持した樹脂部材からなる第2の導波管形成部材12の結合体で構成され、かつ導波管10のうち、少なくとも導波路2の画成面が、連続した導電性被膜6で被覆されている。そして、このような構成を有する導波管スロットアンテナ1は、平板状の金属部材からなる第1の導波管形成部材11をインサートして第2の導波管形成部材12を樹脂で射出成形することによって導波管10を得、その後、この導波管10に対して少なくとも導波路2の画成面を被覆する導電性被膜6の形成処理を実行することで製造することができる。
このように、金属製の第1の導波管形成部材11をインサートして第2の導波管形成部材12を樹脂で射出成形することによって導波管10を得るようにすれば、第1の導波管形成部材11を補強部材として機能させることができるので、成形収縮に伴う第2の導波管形成部材12の変形を可及的に防止しつつ、温度変化等に伴う変形が生じ難い導波管10を低コストに得ることができる。
また、第2の導波管形成部材12が第1の導波管形成部材11をインサートして樹脂で射出成形されることにより、第2の導波管形成部材12が第1の導波管形成部材11を一体的に保持した保持部12aを有すること、および、両導波管形成部材11,12の結合体からなる導波管10のうち、少なくとも導波路2の画成面が連続した導電性被膜(切れ目のない導電性被膜)6で被覆されていることにより、両導波管形成部材11,12の当接部に、導波路2を伝搬する電波が外部に漏れ出すような隙間が形成されるのを効果的に防止することができる。以上より、低コストに作製可能でありながら、導波管10(導波路2)の形状精度低下に起因した電波の伝搬効率の低下、さらには、両導波管形成部材11,12の当接部に生じた隙間を介した電波の外部漏洩、などといったアンテナ特性を低下させる不具合が発生する可能性を可及的に減じ、所望のアンテナ特性を安定的に発揮することのできる導波管スロットアンテナ1を実現することができる。
以上、本発明の第1実施形態に係る導波管スロットアンテナAについて説明を行ったが、この導波管スロットアンテナAには、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更を施すことが可能である。以下、本発明の他の実施形態について図面を参照しながら説明するが、以上で説明した第1実施形態に準ずる構成には共通の参照番号を付し、重複説明を省略する。
図3(a)(b)のそれぞれに、本発明の第2実施形態に係る導波管スロットアンテナ1の横断面図および縦断面図を概念的に示す。同図に示す導波管スロットアンテナ1が、以上で説明した本発明の第1実施形態に係る導波管スロットアンテナ1と異なる主な点は、第1の導波管形成部材11を一体的に保持するための保持部12aを、第2の導波管形成部材12の上端外周部、すなわち、側壁10c,10dおよび終端壁10e,10fの上端外周部に沿って無端状に形成した点にある。このような構成を採用した場合であっても、第1実施形態に係る導波管スロットアンテナ1と同様の作用効果を享受することができる。
図4(a)〜(c)のそれぞれに、本発明の第3実施形態に係る導波管スロットアンテナ1の部分平面図、横断面図[(a)図中に示すX−X線における断面図]および縦断面図[(a)図中に示すY−Y線における断面図]を概念的に示す。この実施形態の導波管スロットアンテナ1では、図4(a)に示すように、複数の放射スロット3を管軸方向に沿って所定間隔で配置してなる放射スロット列を導波管10の幅方向に二列設けると共に、一方の放射スロット列を構成する放射スロット3と他方の放射スロット列を構成する放射スロット3の管軸方向における配設位置を互いに異ならせている。簡単に言うと、この実施形態の導波管スロットアンテナ1では、放射スロット3および孔部4が千鳥状に複数配置されている。
また、この実施形態の導波管スロットアンテナ1(導波管10)は、図4(b)(c)に示すように、側壁10c,10dと平行に配設され、導波路2を二条の導波路2A,2Bに分岐させる分岐壁10gと、放射スロット3の形成位置において導波路2(2A,2B)の断面積を縮小させる複数の内壁13とをさらに有する。内壁13は底壁10bの内底面に立設されており、管軸方向で隣り合う2つの内壁13,13のうち、相対的に給電スロット5に近い側の内壁13の高さ寸法をh1、相対的に給電スロット5から遠い側の内壁13の高さ寸法をh2としたとき、h1≦h2の関係式を満たすように形成されている[図4(c)中の拡大図参照]。一方の放射スロット列は導波路2Aに沿って形成され、他方の放射スロット列は導波路2Bに沿って形成されている。
上記のように、放射スロット3の形成位置において導波路2の断面積を縮小させる内壁13を設けておけば、導波路2を伝搬する電波の放射効率を高めることができる。特に、管軸方向で隣り合う2つの内壁13,13のうち、相対的に給電スロット5に近い側の内壁13の高さ寸法をh1、相対的に給電口5から遠い側の内壁13の高さ寸法をh2としたとき、h1≦h2の関係式を満たすようにすれば、各放射スロット3を介して外部に放射される電波量が放射スロット3相互間でばらつき難くなり、各放射スロット3から概ね等しい量の電波を放射することが可能となる。従って、管軸方向各部でアンテナ性能にばらつきが生じるのを可及的に回避することができ、信頼性に優れた導波管スロットアンテナ1を実現することができる。
この実施形態の導波管スロットアンテナ1を構成する導波管10も、平板状の金属部材からなる第1の導波管形成部材11と、第1の導波管形成部材11を一体的に保持した(第1の導波管形成部材11をインサートして射出成形された)樹脂製の第2の導波管形成部材11とで構成され、かつ、少なくとも導波路2の画成面が、連続した導電性被膜6で被覆されている。
図5に、本発明の第4実施形態に係る導波管スロットアンテナ1の概略横断面図を示す。同図に示す導波管スロットアンテナ1は、図1(a)〜(c)に示す本発明の第1実施形態に係る導波管スロットアンテナ1の変形例であり、第1の導波管形成部材11が、複数の放射スロット3を有する第1の金属板11Aと、複数の孔部4を有する第2の金属板11Bの結合体ではなく、単一の平板状の金属部材で構成されている点において、図1に示す導波管スロットアンテナ1と構成を異にしている。図示は省略しているが、本実施形態の構成を、図3,4に示す導波管スロットアンテナ1に適用することももちろん可能である。
以上で説明した本発明は、ミリ波帯(高周波帯)の電波を送受信するための導波管スロットアンテナ1に適用する以外にも、センチメートル波帯(低周波帯)の電波を送受信するための導波管スロットアンテナに適用することももちろん可能である。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論である。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 導波管スロットアンテナ
2 導波路
3 放射スロット
4 孔部
5 給電スロット
6 導電性被膜
10 導波管
11 第1の導波管形成部材
11A 第1の金属板
11B 第2の金属板
12 第2の導波管形成部材
12a 保持部
2 導波路
3 放射スロット
4 孔部
5 給電スロット
6 導電性被膜
10 導波管
11 第1の導波管形成部材
11A 第1の金属板
11B 第2の金属板
12 第2の導波管形成部材
12a 保持部
Claims (6)
- 管軸方向に延びた導波路を有する導波管と、該導波管の管軸方向に沿って所定間隔で設けられた複数の放射スロットとを備え、前記導波管が、前記導波路の延在方向各部における横断面が有端状をなした第1および第2の導波管形成部材の結合体で構成された導波管スロットアンテナにおいて、
前記第1の導波管形成部材が、前記複数の放射スロットを有する平板状の金属部材で構成される共に、前記第2の導波管形成部材が、前記第1の導波管形成部材を一体的に保持した樹脂部材で構成され、かつ、前記導波管のうち、少なくとも前記導波路の画成面が、連続した導電性被膜で被覆されていることを特徴とする導波管スロットアンテナ。 - 前記第1の導波管形成部材が、前記放射スロットを介して外部に放射される電波の放射方向前方側に設けられ、前記放射スロットを内周に配置した孔部をさらに有する請求項1に記載の導波管スロットアンテナ。
- 前記第1の導波管形成部材が、前記放射スロットを有する第1の金属板と、前記孔部を有する第2の金属板との積層体である請求項2に記載の導波管スロットアンテナ。
- 前記導電性被膜が、前記導波管の外表面全域に切れ目なく形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の導波管スロットアンテナ。
- 管軸方向に延びた導波路を有する導波管と、該導波管の管軸方向に沿って所定間隔で設けられた複数の放射スロットとを備え、前記導波管が、前記導波路の延在方向各部における横断面が有端状をなした第1および第2の導波管形成部材の結合体で構成された導波管スロットアンテナの製造方法において、
前記複数の放射スロットを有する平板状の金属部材からなる前記第1の導波管形成部材をインサートして前記第2の導波管形成部材を樹脂で射出成形することで前記導波管を得、その後、この導波管に対し、少なくとも前記導波路の画成面を被覆する導電性被膜の形成処理を施すことを特徴とする導波管スロットアンテナの製造方法。 - 前記導波管にマスキング処理を施さずに、前記導波管に対して前記導電性被膜の形成処理を施す請求項5に記載の導波管スロットアンテナの製造方法。
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