JP6537257B2 - ガラスセラミックスおよびガラスセラミックスの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ガラスセラミックスに関する。
ガラスセラミックスは、歯科補綴物等の構成材料として使用されている(例えば、特許文献1参照)。このようなガラスセラミックスとしては、割れ難い歯科補綴物等を構成するうえで、強度に優れるものが望ましい。
特許第5123328号公報
本発明の課題は、強度に優れるガラスセラミックスを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)厚さが2mm以上であり、酸化物換算で、Siを67.5〜74.3質量%、Alを3.7〜6.7質量%およびLiを9.8〜14.3質量%の割合で含有している、結晶化状態のガラスセラミックスであって、表面に略垂直な断面視において、前記表面に略垂直方向の最大寸法をDa、前記表面に略平行方向の最大寸法をDbとしたとき、比(Da/Db)の平均値が0.4〜0.5であり、Daの平均値が4.0〜6.0μmであり、Dbの平均値が7.5〜16.0μmである複数の気孔を内部に有しており、前記複数の気孔は前記表面から10μmの範囲内に存在していることを特徴とするガラスセラミックス。
(2)歯科補綴物用であることを特徴とする前記(1)に記載のガラスセラミックス。
(3)酸化物換算で、Siを67.5〜74.3質量%、Alを3.7〜6.7質量%およびLiを9.8〜14.3質量%の割合で含有しているガラスセラミック原料を溶融して半結晶化状態にしたガラスセラミックスを、下記(I)および(II)を備える熱処理条件で、厚さが2mm以上であり、表面に略垂直な断面視において、前記表面に略垂直方向の最大寸法をDa、前記表面に略平行方向の最大寸法をDbとしたとき、比(Da/Db)の平均値が0.4〜0.5であり、Daの平均値が4.0〜6.0μmであり、Dbの平均値が7.5〜16.0μmである複数の気孔を内部に有しており、前記複数の気孔が前記表面から10μmの範囲内に存在している、結晶化状態の前記ガラスセラミックスにすることを特徴とするガラスセラミックスの製造方法
(I)熱処理温度:850〜1200℃
(II)熱処理時間:1時間よりも長い時間
本発明によれば、強度に優れ、割れ難い歯科補綴物等を構成することができるという効果がある。
実施例の試料No.1の電子顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態に係るガラスセラミックスで構成される歯科補綴物の製造方法を示すフローチャートである。
<ガラスセラミックス>
以下、本発明の一実施形態に係るガラスセラミックスについて、歯科補綴物用である場合を例にとって、図1を参照して詳細に説明する。
本実施形態のガラスセラミックスは、歯科補綴物用である。歯科補綴物としては、例えばインレー、歯冠(クラウン)、ブリッジ、義歯、歯科インプラントの上部構造物等が挙げられ、上部構造物としては、例えば歯科インプラントに接合する歯冠、ブリッジ、義歯等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態のガラスセラミックスは、結晶化状態である。結晶化状態とは、結晶化度が60〜95%であることを意味するものとする。結晶化度は、ガラスセラミックスの試料に既知量の内標準物質を加えた混合試料を作製し、その粉末X線回折結果をリートベルト解析して得られる混合試料中の結晶成分の割合から算出される値である。内標準物質としては、例えばCr等が挙げられる。
ここで、本実施形態のガラスセラミックスは、図1に示すように、気孔Pを内部に有する。気孔Pは、表面Sに略垂直な断面視において、表面Sに略垂直方向の最大寸法をDa、表面Sに略平行方向の最大寸法をDbとしたとき、比(Da/Db)が0.5以下であり、好ましくは0.4以下である。このような構成によれば、気孔Pが表面Sに対して略平行な方向に広がった、言い換えれば表面Sに沿って広がった状態になる。そして、このような状態の気孔Pがガラスセラミックスの内部に存在すると、引っ張り、曲げ応力に対する応力の集中が少なくなり、優れた強度を発揮することが可能となる。それゆえ、本実施形態のガラスセラミックスで構成される歯科補綴物は、割れ難くなる。
上述した表面Sは、ガラスセラミックスの表面であり、結晶化後の焼き肌面である。また、DaおよびDbの測定は、DaおよびDbのうち少なくとも一方が1μm以上である気孔について行えばよい。DaおよびDbがいずれも1μm未満の気孔は、ガラスセラミックスの強度に対する影響が小さいためである。Daとしては、0.5〜30μmであるのが好ましく、1〜20μmであるのがより好ましく、2〜10μmであるのがさらに好ましい。Dbとしては、1〜100μmであるのが好ましく、2〜50μmであるのがより好ましく、5〜20μmであるのがさらに好ましい。
ガラスセラミックスは、少なくとも1つの気孔Pを内部に有していればよいが、複数の気孔Pを内部に有するのが好ましい。このような構成によれば、上述した引っ張り、曲げ応力に対する応力の集中がバランスよく少なくなり、上述した歯科補綴物が割れ難くなる効果が向上する傾向にある。
気孔Pは、ガラスセラミックスの内部のうち表面S側に存在するのが好ましい。このような構成によれば、気孔Pが表面S側に偏って存在し、比(Da/Db)が小さくなり易い。その結果、上述した引っ張り、曲げ応力に対する応力の集中が表面S近傍において少なくなり、上述した歯科補綴物が割れ難くなる効果が向上する傾向にある。ガラスセラミックスが複数の気孔Pを内部に有する場合には、複数の気孔Pが表面S側に存在するのが好ましい。複数の気孔Pが表面S側に存在するとは、実質的に複数の気孔Pが表面S側に存在することを意味するものとする。すなわち、複数の気孔Pのうち大部分が表面S側に偏って存在していればよい。
ガラスセラミックスが、表面Sに略垂直な方向Aに1mm以上、好ましくは2mm以上の厚さを有するとともに、気孔Pは、ガラスセラミックスの内部のうち表面Sから10μmの範囲内に存在するのが好ましい。気孔Pが表面Sから10μmの範囲内に存在するとは、実質的に気孔Pが表面Sから10μmの範囲内に存在することを意味するものとする。すなわち、気孔Pが表面Sから10μmの範囲内に存在するとは、気孔Pの全体が表面Sから10μmの範囲内に存在する場合に限定されるものではなく、気孔Pのうち大部分が表面Sから10μmの範囲内に存在し、残りの僅かな部分が表面Sから10μmよりも遠い範囲に存在している場合をも含む概念である。また、ガラスセラミックスが複数の気孔Pを内部に有する場合には、複数の気孔Pが表面Sから10μmの範囲内に存在するのが好ましい。複数の気孔Pが表面Sから10μmの範囲内に存在するとは、実質的に複数の気孔Pが表面Sから10μmの範囲内に存在することを意味するものとする。すなわち、複数の気孔Pが表面Sから10μmの範囲内に存在するとは、複数の気孔Pの全てが表面Sから10μmの範囲内に存在する場合に限定されるものではなく、複数の気孔Pのうち大多数が表面Sから10μmの範囲内に存在し、残りの僅かな数が表面Sから10μmよりも遠い範囲に存在している場合をも含む概念である。なお、ガラスセラミックスの、表面Sに略垂直な方向Aの厚さの上限値としては、4mm以下であるのが好ましいが、これに限定されるものではない。表面Sに略垂直な方向Aの厚さの上限値は、歯科補綴物の厚さに応じて適宜設定することができる。
気孔Pは、ガラスセラミックスの表面Sに開口していないのが好ましい。なお、ガラスセラミックスは、上述した効果が得られる限り、比(Da/Db)が0.5以下である気孔P以外の他の気孔を内部に有していてもよい。他の気孔としては、例えば直径がナノオーダーである略球状の気孔等が挙げられる。
一方、ガラスセラミックスは、Si、AlおよびLiを含有するのが好ましい。Siの含有量は、ガラスセラミックス全量に対して酸化物換算で67〜75質量%であるのが好ましい。Alの含有量は、ガラスセラミックス全量に対して酸化物換算で3〜7質量%であるのが好ましい。Liの含有量は、ガラスセラミックス全量に対して酸化物換算で9〜15質量%であるのが好ましい。ガラスセラミックスは、Alの含有量が多くなるにつれて、比(Da/Db)が小さくなる傾向にある。逆に、Alの含有量が少なくなるにつれて、比(Da/Db)が大きくなる傾向にある。ガラスセラミックスは、Si、Al、Liの他、例えばP、Zr、Mg、Zn、V、Fe、Mn、Ce、Ti、K等の元素を含んでいてもよい。
Si、AlおよびLiは、通常、ガラスセラミックス中に酸化物の状態、すなわちSiO、AlおよびLiOの状態で存在する。Si、AlおよびLiの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって測定することができる。すなわち、ICP発光分光分析法によって、ガラスセラミックス中のSi、AlおよびLiの含有量(質量%)を測定し、この含有量をSiO、AlおよびLiO換算での含有量(質量%)に換算すればよい。ガラスセラミックス中のその他の元素についても、同様にして測定することができる。
<ガラスセラミックスの製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係るガラスセラミックスの製造方法について、ガラスセラミックスが歯科補綴物用である場合を例にとって、図2を参照して詳細に説明する。
図2に示すように、まず、ステップS1において、ガラスセラミック原料を溶融する。ガラスセラミック原料としては、例えばSiO、Al、P、ZrO、MgO、ZnO、V、Fe、MnO、CeO、TiO、LiO、KO等の酸化物およびこれらの酸化物を生成する金属炭酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示したガラスセラミック原料のうち、PおよびVは核剤として機能し、CeOは清澄剤として機能するが、核剤および清澄剤は、これらに限定されるものではない。ガラスセラミック原料は、粉末状であるのが好ましい。
ガラスセラミック原料を溶融するときの溶融温度としては、1300〜1600℃であるのが好ましく、1400〜1600℃であるのがより好ましい。溶融時間は、特に限定されない。
次に、ステップS2において、ガラスセラミック原料を溶融した融液を型に流し込み、これを冷却してブロック状に加工して、ガラス状態のガラスブロックを得る。ガラスセラミック原料の融液を型に流し込むとき、加圧せずに流し込むのが好ましい。これにより、冷却後にガラスブロックと型が互いに固着するのを抑制できるとともに、短時間でガラスブロックを作製することができる。
ガラスセラミック原料の融液を流し込む型の構成材料としては、例えばステンレス鋼(SUS)、カーボン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ガラスブロックの形状としては、例えば、縦10〜15mm、横10〜15mm、高さ15〜20mmの直方体等が挙げられるが、これに限定されるものではない。ガラスブロックとは、所望の歯科補綴物の形状に研削加工できる限り、直方体以外の他の形状をも含む概念である。なお、ガラスブロックを直方体にするとき、角部をR付けしてもよい。冷却は、下記で説明するアニール処理の加熱温度にまで冷却すればよい。
次に、ステップS3において、得られたガラスブロックにアニール処理(熱処理)を施してひずみを取る。アニール処理の条件としては、加熱温度をガラス転移温度(Tg)よりも5〜15℃低い温度、加熱時間を30分〜2時間にするのが好ましいが、これらに限定されるものではない。アニール処理後のガラスブロックは、室温(23℃)まで冷却すればよい。なお、アニール処理は、省略することができる。アニール処理を省略するとき、ステップS2における冷却は、室温まで冷却すればよい。
次に、ステップS4において、ガラスブロックに第1熱処理を施して結晶核を生成させたり、結晶を成長させ、半結晶化状態のガラスセラミックスからなるガラスブロックを得る。半結晶化状態とは、熱処理を施すことによりさらに結晶化が進み得る状態であって、結晶化度が30〜60%であることを意味するものとする。結晶化度は、結晶化状態で説明したのと同じ測定方法で測定される値である。
第1熱処理の条件としては、熱処理温度を700〜1050℃にするのが好ましい。熱処理時間は、特に限定されない。
ガラスブロックには、チャッキング用の金具を取り付けるのが好ましい。このような構成によれば、金具を研削装置にチャッキングした状態でガラスブロックを研削加工することができる。金具の取り付けは、例えば接着剤等を介して行うことができる。
次に、ステップS5において、半結晶化状態のガラスセラミックスからなるガラスブロックを歯科補綴物の形状に研削加工し、研削加工物を得る。研削加工するガラスブロックは、半結晶化状態のガラスセラミックスからなるため、研削加工しても結晶化していないガラスのようにクラックが進展し難く、それゆえ研削加工中に割れ難い。また、半結晶化状態のガラスセラミックスからなるガラスブロックは、結晶化状態のガラスセラミックスよりも強度が低いことから、比較的簡単に研削加工を行うことができる。研削装置としては、例えばボールエンドミル等のミリングマシーン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
次に、ステップS6において、研削加工物に第2熱処理を施し、半結晶化状態のガラスセラミックスを結晶化状態にして、本実施形態のガラスセラミックスで構成される歯科補綴物を得る。
ここで、上述の第2熱処理において、研削加工物の表面近傍から結晶化が進む傾向にある。また、第2熱処理に十分時間を掛けることによって、気孔Pが、得られるガラスセラミックス(歯科補綴物)の内部のうち表面S側に存在し易くなり、表面Sから10μmの範囲内に存在し易くなる。さらに、第2熱処理に十分時間を掛けることによって、気孔Pの比(Da/Db)が小さくなる傾向にある。第2熱処理の条件としては、熱処理温度を850〜1200℃にするのが好ましく、900〜1200℃にするのがより好ましい。熱処理時間は、1時間よりも長い時間が好ましく、1時間よりも長く3時間以下がより好ましく、2時間〜3時間がさらに好ましい。第2熱処理は、減圧しながら行うのが好ましい。
得られた歯科補綴物は、ガラスセラミックスが半結晶化状態から結晶化状態になることによって強度が向上しており、気孔Pの比(Da/Db)が0.5以下であることによる上述した効果と相まって優れた強度を備えていることから、固いものを噛んだときにも割れ難い。
最後に、ステップS7において、歯科補綴物に色を調整するための陶材と呼ばれる着色ガラスペーストを塗布して焼き付ける。塗布手段としては、例えば筆等が挙げられる。焼き付けは、第2熱処理の熱処理温度よりも低い温度で行うのが好ましい。焼き付けは、減圧しながら行うのが好ましい。陶材を焼き付けた歯科補綴物は、例えば歯に接着剤で接着して使用することができる。
以上、本発明に係る好ましい実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
例えば、上述の実施形態では、ガラスセラミックスが歯科補綴物用である場合を例にとって説明したが、これに代えて、ガラスセラミックスを強度が要求される分野に用いる材料として使用することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ガラスセラミックスの作製>
ガラスセラミック原料として、SiO、Al、LiCO、ZrO、P、CeO、MgO、ZnO、V、KCOを使用した。これらのガラスセラミック原料はいずれも、粉末状である。
上述したガラスセラミック原料を、表1に示すガラスセラミックスの組成となるように混合した。表1に示すガラスセラミックスの組成は、ICP発光分光分析法によって測定した値である。
次に、混合したガラスセラミック原料を白金製の坩堝中、かつ大気中で溶融した。溶融の条件は、溶融温度を1600℃、溶融時間を1時間にした。そして、ガラスセラミック原料を溶融した融液をSUS製の型に加圧せずに流し込み、これを冷却してブロック状に加工して、ガラス状態のガラスブロックを得た。
次に、得られたガラスブロックにアニール処理を施した。アニール処理の条件は、加熱温度をガラス転移温度(Tg)よりも10℃低い温度、加熱時間を1時間にした。アニール処理後のガラスブロックは、室温(23℃)まで冷却した。
次に、ガラスブロックに第1熱処理を施した。第1熱処理の条件は、熱処理温度を700℃、熱処理時間を30分間にした。
ここで、表1中の試料No.1〜5のガラスブロックの結晶化度を、PANalytical社製のX線回折装置「X’PertPRO」で測定したX線回折データを使ってリートベルト解析プログラム「RIETAN」によって計算した。内標準物質には、Crを使用した。その結果、試料No.1〜5のガラスブロックはいずれも、結晶化度が30〜60%であった。したがって、試料No.1〜5のガラスブロックはいずれも、半結晶化状態のガラスセラミックスで構成されていた。
次に、半結晶化状態のガラスセラミックスからなるガラスブロックを4mm×15mm、厚さ2mmの平板状に研削加工し、研削加工物を得た。研削加工は、平面研削盤で行った。
次に、研削加工物に第2熱処理を施し、表1に示す試料No.1〜5のガラスセラミックスを得た。第2熱処理の条件は、熱処理温度を900℃、熱処理時間を表1に示す時間にした。第2熱処理は、減圧しながら行った。
試料No.1〜5のガラスセラミックスの結晶化度を、上述の半結晶化状態で説明したのと同じ測定方法で測定した。その結果、試料No.1〜5のガラスセラミックスはいずれも、結晶化度が70〜80%であった。したがって、試料No.1〜5のガラスセラミックスはいずれも、結晶化状態であった。
<評価>
試料No.1〜5のガラスセラミックスについて、比(Da/Db)および3点曲げ強度を評価した。各評価方法を以下に示すとともに、その結果を表1に示す。
(比(Da/Db))
まず、ガラスセラミックスを割り、焼き肌面に略垂直な断面を電子顕微鏡で2千倍の倍率で観察した。そして、気孔のDaおよびDbをそれぞれ測定し、DaおよびDbのうち少なくとも一方が1μm以上である気孔について、比(Da/Db)を算出した。その結果を、DaおよびDbと併せて表1に示す。
なお、試料No.1〜5のガラスセラミックスはいずれも、複数の気孔を内部に有していた。したがって、表1には、比(Da/Db)が0.5以下である気孔の有無と、比(Da/Db)、DaおよびDbの各平均値(n数=5)を示した。また、試料No.1〜3のガラスセラミックスはいずれも、比(Da/Db)が0.5以下の気孔を内部に有していた。試料No.1〜5のガラスセラミックスはいずれも、複数の気孔がガラスセラミックスの内部のうち表面から10μmの範囲内に存在していた。試料No.1〜5のガラスセラミックスはいずれも、複数の気孔がガラスセラミックスの表面に開口していなかった。
(3点曲げ強度)
JIST6526:2012に準拠して測定した。具体的な測定条件は、以下のとおりである。
試験片サイズ:4mm×15mm、厚さ2mm
スパン:12mm
n数:11
試験装置:島津製作所製の3点曲げ強度試験装置「AG−5kNIS MS」
表1から明らかなように、比(Da/Db)が0.5以下の気孔を内部に有する試料No.1〜3はいずれも、3点曲げ強度に優れる結果を示した。したがって、試料No.1〜3のガラスセラミックスで構成される歯科補綴物は、割れ難くなることが期待できる。
P 気孔
S 表面
Da 表面に略垂直方向の最大寸法
Db 表面に略平行方向の最大寸法
A 表面に略垂直な方向

Claims (3)

  1. 厚さが2mm以上であり、酸化物換算で、Siを67.5〜74.3質量%、Alを3.7〜6.7質量%およびLiを9.8〜14.3質量%の割合で含有している、結晶化状態のガラスセラミックスであって、表面に略垂直な断面視において、前記表面に略垂直方向の最大寸法をDa、前記表面に略平行方向の最大寸法をDbとしたとき、比(Da/Db)の平均値が0.4〜0.5であり、Daの平均値が4.0〜6.0μmであり、Dbの平均値が7.5〜16.0μmである複数の気孔を内部に有しており、前記複数の気孔は前記表面から10μmの範囲内に存在していることを特徴とするガラスセラミックス。
  2. 歯科補綴物用であることを特徴とする請求項1に記載のガラスセラミックス。
  3. 酸化物換算で、Siを67.5〜74.3質量%、Alを3.7〜6.7質量%およびLiを9.8〜14.3質量%の割合で含有しているガラスセラミック原料を溶融して半結晶化状態にしたガラスセラミックスを、下記(I)および(II)を備える熱処理条件で、厚さが2mm以上であり、表面に略垂直な断面視において、前記表面に略垂直方向の最大寸法をDa、前記表面に略平行方向の最大寸法をDbとしたとき、比(Da/Db)の平均値が0.4〜0.5であり、Daの平均値が4.0〜6.0μmであり、Dbの平均値が7.5〜16.0μmである複数の気孔を内部に有しており、前記複数の気孔が前記表面から10μmの範囲内に存在している、結晶化状態の前記ガラスセラミックスにすることを特徴とするガラスセラミックスの製造方法
    (I)熱処理温度:850〜1200℃
    (II)熱処理時間:1時間よりも長い時間
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