本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、システムの一態様であって、交通取締に関する警報が主たる機能であるレーダー探知機(装置)1に関する例である。このレーダー探知機1は、車載使用に好適な装置となっている。このレーダー探知機1は、速度取締などの交通監視活動に関する監視情報を含め、車両の運転時に役立つ各種情報を報知する。この内容について、図1〜図65を参照しながら以下の順番で説明する。
1.形状
2.構造
3.電気的構成
4.基本動作
5.待受画面
6.警告画面
7.警報動作
8.各種設定
■ 1.形状 ■
本例のレーダー探知機1は、図1〜図12のごとく、横長幅広のケース本体(筐体)2を備え、ブラケット28(図9〜図12)を介して車両のダッシュボードなどに設置される。このレーダー探知機1は、ブラケット28の変更に応じてサンバイザー裏側やルームミラー裏側等にも設置可能である。レーダー探知機1は、ブラケット28を取り外して使用することも可能である。ブラケット28を取り外した場合には、ケース本体2の底面に貼付した両面テープ等の粘着力を利用し、ダッシュボード等に直置き設置することも可能である。
レーダー探知機1の正面(前面)には、1.8インチカラー画面15L、Rが2つ左右方向(水平方向)に横並びで並列配置された画面領域15A(図1)が形成されている。左右の画面15L、Rの境目の上下には、レーダー探知機1の型番及びモデル名が印刷されたラベル領域210が画面領域15Aに向かって食い込むように設けられている。表示領域としての画面領域15Aの両側には、操作領域(所定領域)をなす操作ボタン(操作手段)24が配置されている。運転者側から見て右側の画面15Rの右外側には、音量調整ボタンである▲ボタン242・▼ボタン244、MUTE(消音)ボタン248が配置されている。左側の画面15Lの左外側には、MEMOボタン241、及びVIEWボタン243が配置されている。
運転者側から見たときのケース本体2の右側面には、挿抜可能な記録媒体であるSDカードなどのメモリカード171(図28)を挿入するためのカード挿入口251が設けられている。ケース本体2の背面下部には、USBコネクタ252、電源スイッチ253、ブラケット28の取付部258等が設けられている。USBコネクタ252には、車両のシガーソケットから延設されるシガープラグコードや、OBDアダプター(図13)や、USBケーブル等が接続される。レーダー探知機1は、USBコネクタ252に接続されたコードを介して電源供給を受けて動作する。
図13のOBDアダプターは、車両の点検規格であるOBD(On-board Diagnostics)−II(IIはローマ数字の「2」。以下「OBD」と記載する。)規格に沿って車両側に設けられたOBDコネクタに接続される通信ケーブルである。故障診断コネクタとも称されるこのOBDコネクタは、図示しない車両ECUから電気的に延設され、各種の車両情報を出力可能である。OBDアダプターの車両側の先端には、車両のOBDコネクタに着脱自在に装着されるコネクタが取り付けられている。
■ 2.構造 ■
レーダー探知機1は、図14のごとく、第1及び第2の基板31、32を収容するケース本体2の正面側の前面にタッチスクリーンシート151を貼り付けて構成されている。ケース本体2は、正面側の前面枠21と、背面側のケース22と、を組み合わせた2分割構造を呈している。
図14及び図15のタッチスクリーンシート151は、ケース本体2の左右方向の幅全域に近く配設される横長のシートである。タッチスクリーンシート151(図15)の左右方向の中間部分には、外周側から内周側に向けて下方あるいは上方に突出するくびれ形状151Dが設けられ、上下方向の幅が狭い幅狭部が形成されている。この幅狭部を設けたタッチスクリーンシート151は、全体としてメガネのような形状を呈している。
タッチスクリーンシート151では、画面15L、Rについて、それぞれ、左側及び右側の縦方向の2列にタッチ領域(検知領域)151Sが形成されている。なお、本例の構成に代えて、左右2列のタッチ領域151Sの中間にもタッチ領域を設けることも良い。このように画面15について3列のタッチ領域を設ければ、例えば、タッチ位置が右側のタッチ領域から中央を経由して左側に移動するようなタッチ操作を検出できるようになり、いわゆるフリック操作が可能になる。
タッチスクリーンシート151の両端では、MEMO等の文字や三角形状(▲や▼)等の透かし151Vが各操作ボタン24(図1)に対応する位置に設けられている。タッチスクリーンシート151の透かし151Vによれば、内部に収容された白色LED(照明手段)137の光を透過させることで操作ボタン24の操作領域を明示可能である。
図16及び図17の前面枠21は、開口部218が設けられた枠体に近い形状を呈している。開口部218は、第1の基板31に実装された2基の液晶表示器(表示器)152L、Rを配置するための開口である。前面枠21の枠部分の各操作ボタン24に対応する位置には、貫通孔29が穿設されている。なお、正面側より向かって左側の貫通孔29は、周方向の1箇所の側面が欠落し、開口部218に連通する不完全な孔となっている。
正面側に当たる外表面には、タッチパネル151のシート形状に合致する浅い凹み部210Aが形成されている。この浅い凹み部210Aの底面は、組付状態において液晶表示器152L、Rの表面と略面一をなしている。タッチスクリーンシート151は、液晶表示器152L、Rの表面に沿う状態で凹み部210Aに貼付される。
前面枠21の正面の上下には、外周側から開口部218側に向かって突出するラベル領域210が形成されている。上側のラベル領域210は、上下方向下方に突出するように形成され、下側のラベル領域210は、上下方向上方に突出するように形成されている。各ラベル領域210は、凹み部210Aの底面に対して、タッチスクリーンシート151の厚み分だけ高く盛り上げて形成されている。なお、前面枠21にタッチスクリーンシート151を貼り付けた組立状態では、上下方向から突出するラベル領域210と、光沢のあるタッチスクリーンシート151と、の組合せにより、メガネのような正面外観が形成されている。
前面枠21のラベル領域210は、上記したタッチパネル151のくびれ形状151D(図15)に合致し、タッチスクリーンシート151を貼付する際の位置決め形状となっている。本例のレーダー探知機1では、ケース本体2の左右方向の中間部分に位置決め形状が位置しているので、左右いずれかの端部側からタッチスクリーンシート151を貼り付け始める必要がない。例えば、上下いずれかから貼り付け始めることが可能である。
仮に、左右いずれかの端部からタッチスクリーンシート151を貼り付け始めようとしたときにタッチスクリーンシート151の角度にズレがあると、反対側の端部に向かうにつれてズレが増幅されて貼り終わりで非常に大きなズレが生じるおそれがある。一方、位置決め形状が左右方向の中間部分に設けられている場合には、例えばタッチスクリーンシート151の左右方向の中間辺りから貼り付け始め、左右方向両側に貼り付けて行くことも可能である。
中間辺りから左右方向両側にタッチスクリーンシート151を貼り付け始める場合であれば、貼り付け始めから貼り付け終わりまでの距離が約半分になるので、左右の端で生じるズレが小さくなる。また、例えば上下いずれかの側から上下方向にタッチスクリーンシート151を貼り付け始めることも可能である。タッチスクリーンシート151の上下方向の幅は狭いので、例えば、上側から貼り付け始めたときに多少の角度ずれが生じていても、下側で大きなズレが生じるおそれが少ない。
前面枠21の裏側(図17参照。)では、4隅にネジ支柱213が立設されていると共に、上下に2箇所ずつネジ孔211が穿設されている。ネジ孔211の外周には、第1の基板31に当接する座部が形成されている。各操作ボタン24に対応する貫通孔29には、筒部が延設されており、その端面は、第1の基板31に当接できるよう、ネジ孔211の座部と面一の高さとなっている。
ネジ支柱213の外周側には、径方向に直線的に延設された座部213Aが設けられている。この座部213Aは、上下方向のうち前面枠21の外周側に当たる周方向位置、及び左右方向のうち前面枠21の外周側に当たる周方向位置に形成されている。例えば、裏側から前面枠21を見込んだときの右下のネジ支柱213(図17参照。)については、下側に延びる座部213Aと、右側に延びる座部213Aと、が設けられている。この座部213Aは、ネジ支柱213よりも高さが低く形成され、この高さの違いは第2の基板32の厚みと略一致(基板32の厚さよりもわずかに小さい)している。
図18のケース22は、前面枠21にネジ止めされる有底の部材である。ケース22の底面には、スイッチ孔253H、USBコネクタ孔252H等が穿設されている。ケース22の内側の4隅には、貫通孔が穿孔された支柱221が立設されている。
支柱221の端面は、第2の基板32に当接する座部をなしている。また、スピーカ孔254、スイッチ孔253H、USBコネクタ孔252H等の各孔には、筒部や座部(以下、筒部等という。)が設けられている。さらに、ケース22の内側の上部にも座部226が設けられている。支柱221と、前記筒部等と、座部226とは、略面一をなすように同じ高さに形成されている。組立状態では、支柱221、筒部等、座部226が第2の基板32に当接する状態となる。
ケース22の上下左右の内周側面には、第1及び第2の基板31、32を支持するためのリブ222、223が2箇所ずつ設けられている。各リブ222、223は、ケース22の内周側面に接続する状態で底面に立設されている。詳しくは後述するが、左右両側のリブ222は、基板31、32(図20、図25)の外周に設けられたスリット孔312、322に収容される。上下のリブ223は、基板31、32の外周に設けられたスリット孔313、323に収容される。
左右のリブ222は、ケース22の深さ方向においての断面形状が一定である。一方、上下のリブ223のうち、左上、右上、左下(図18)の3箇所のリブ223については、開口側の端面が階段状に段違いに形成され、内周側の方が底面からの高さが低くなっている(図19参照。)。棚面をなす低い方の端面は、組立状態において第1の基板31に対する当接面となっている。右下(図18)に位置するリブ223Zについては、ケース22の深さ方向において断面形状が一定となっており、棚面が形成されていない。
なお、以下の説明では、開口側の端面が段違いに形成され、先端の突出幅が狭くなっているリブ223について、根本側の部分をリブ本体部223Bといい、先端の突出幅の狭い部分をリブ先端部223Aという。
図20の第1の基板31は両面実装基板である。第1の基板31の前面枠21側(正面側)の実装面(図20参照。)には、液晶表示器152L、Rが実装されている。その裏側の第2の基板32に対面する実装面には、メモリーカードリーダ17(図24参照)が実行されている。第1の基板31の下側には、切欠き部319が2箇所設けられ、それぞれ、液晶表示器152L、Rの制御ケーブル(フレキシブルフラットケーブル)を接続するためのコネクタ319Cがその切欠き部319に面して取り付けられている。
液晶表示器152L、Rが実装された側の基板31の表面では、静電容量式のタッチセンサ315A及び白色LED315B(図28)を含む操作部315が操作ボタン24に対応する各位置に配設されている。組立状態では、上記のごとく前面枠21の貫通孔29の筒部が第1の基板31に当接し、この筒部の内側に操作部315が位置している(図21)。
白色LED315Bは、操作ボタン24の操作領域を裏側から照明する照明手段である。白色LED315Bの光は、タッチスクリーンシート151の透かし151V(図15参照。)を透過して操作領域を明示する。各白色LED315Bは、照明の明るさを変更する制御等が可能である。なお、白色LED315Bに代えて、マルチカラーLEDを採用することもできる。マルチカラーLEDを採用すれば、明るさの変更に加えて、色を変更する等の制御が可能になる。
左右の液晶表示器152L、Rの中間の隙間152Sには、例えば手の平等の人体を検知する図示しない近接センサ(検知センサ、電子部品)125が配設されている。この近接センサ125は、画面15L、Rが配置された画面領域15A(図1)に対する手かざし操作を検知するために利用される。なお、近接センサ125は、図28に図示する一方、図20では図示を省略している。本例では、隙間152Sに近接センサ125を配置しているが、これに代えて、あるいは加えてLED等の電子部品を配置することもできる。2つの液晶表示器152L、Rの間の境目に物理的な隙間152Sが形成されていれば、画面領域15A(図1)の中間に、各種の信号を伝送するための配線を配置したり電子部品を配置することが可能になる。
第1の基板31(図20)の外周には、ケース22のリブ222、223(図18及び図19)を収容するためのスリット孔312、313が形成されている。このスリット孔312、313は、基板31の外周に開口する不完全な孔となっている。基板31の上下に設けられたスリット孔313は、ケース22のリブ223に対応する位置に設けられ、各リブ223の先端側に位置するリブ先端部223Aを収容するように形成されている(図22及び図23参照。)。
基板31の外周面からのスリット孔313の延設幅は、リブ本体部223Bを収容できない程度に狭く設定されている。組立状態では、リブ先端部223Aとリブ本体部223Bとの間の棚面が第1の基板31に当接する状態になる。なお、第1の基板31の外周形状のうち、ケース22のリブ223Zに対応する位置には、切欠き部319が設けられているため、リブ223の収容構造が形成されない。
第1の基板31は、図24のごとく、前面枠21に対してネジ止め固定されている。ネジ止め固定された第1の基板31の4隅には切欠き部318(図20)が設けられている。この切欠き部318は、前面枠21のネジ支柱213及び座部213Aとの干渉を回避するための形状である。この切欠き部318を有する第1の基板31は、ネジ孔211(図17)の座部、各操作ボタン24に対応する貫通孔29(図17)から延設された筒部の端面に当接する状態でネジ止めされる。
なお、第1の基板31は前面枠21にネジ止めされているため、第1の基板31を残して前面枠21のみを取り外すことは不可能である。図22及び図23は、基板31の収容構造を説明するため、第1の基板31を残して前面枠21のみを取り外した状態を示す仮想図となっている。
背面側の第2の基板32(図25)には、図示しない1チップマイコン、USBコネクタ328、スピーカ16、RFモジュール(無線モジュール)321、GPSモジュール325、電源スイッチ253等が実装された基板である。1チップマイコン以外の各電子部品は、図25に図示する実装面に実装され、1チップマイコン(図示略)は裏側の実装面に実装されている。第2の基板32は、図示しない制御ケーブルを介して第1の基板31と電気的に接続されている。第1の基板31と第2の基板32との間の制御ケーブルとしては、液晶表示器152L、Rから延設された第1の基板31のコネクタ319C(図20)に接続される2本の制御ケーブルがある。
1チップマイコンは、CPU、ROM,RAM等を1チップ化した電子部品である。特に本例の1チップマイコンは、液晶表示器152L、Rの制御機能を備え、液晶表示器152L、Rの間で共用される電子部品となっている。第2の基板32における1チップマイコンの実装位置は、第1の基板31の液晶表示器152L、Rの配置領域を、ケース本体2の厚さ方向に第2の基板32に射影した領域の内側となっている。各液晶表示器152L、Rに向けて表示データ等を転送するバスラインは、1チップマイコンの左右両側に敷設されている。第1の基板31の2箇所ののコネクタ319C(図20)に対して中間的な位置に1チップマイコンを配置することも良い。この場合には、1チップマイコンから各コネクタ319Cに至る電気的な経路長を等距離に近づけて電気的な遅延時間の差による悪影響を抑制できる。
RFモジュール321は、移動式レーダー等の速度測定装置(以下、単にレーダーという。)から発せられるマイクロ波長帯のレーダー波を受信するマイクロ波受信器122(図28)、及び所定周波数の無線を受信する無線受信器123(図28)が収容された無線モジュールである。RFモジュール321には、電波を受信するためのアンテナや検波回路等が設けられている。
GPSモジュール325は、GPS衛星から飛来するGPS電波を受信し、現在時刻、現在の位置情報(緯度経度)、現在の速度、高度等を出力するGPS受信器121(図28)が収容されたモジュールである。
マイクロ波受信器122及び無線受信器123を収容したRFモジュール321、GPS受信器121を収容したGPSモジュール325は、レーダー探知機1の背面側に位置するようにケース本体2内に組み込まれている。このような組み込み位置は、車両前方から飛来する電波等の受信に適している。
レーダー探知機1では、金属製の筐体によって覆われてノイズ対策されたRFモジュール321が、ケース本体2の厚さ方向(画面の法線方向)において、左右2つの液晶表示器152L、Rの隙間152S(図20参照。)に重なる位置に配置されている。重量物であるRFモジュール321を液晶表示部152L、Rの隙間152Sに重なるように配置すれば、ケース本体2の左右方向の中央近くに重心が位置するようになり、ブラケット28により支持する際の重量バランスを良好にできる。このような重量バランスを実現すれば、ケース本体2の重量をブラケット28によって確実性高く支持し、車両の振動等に応じたケース本体2の揺れ等を抑制できる。
第2の基板32の4隅には、前面枠21のネジ支柱213(図17)を貫通させるための貫通孔326が穿設されている。この貫通孔326は、ケース22の支柱221(図18)よりも小径に形成されている。組立状態では、ケース22(図18)の支柱221の端面、スイッチ孔253Hなどの各孔の筒部等の端面、座部226に当接する状態で第2の基板32が支持されている。一方、前面枠21側からは、ネジ支柱213の外周に設けられた座部213A(図17)が第2の基板32に当接している。組立状態の第2の基板32は、このようにケース22と前面枠21とにより挟み込まれた状態で固定されている。
第2の基板32の外周には、ケース22のリブ222、223を収容するためのスリット孔322、323が形成されている。このスリット孔322、323は、基板32の外周に開口する不完全な貫通孔である。スリット孔323は、ケース22の上下に設けられたリブ223に対応する位置にそれぞれ設けられ、各リブ223のリブ本体部223Bを収容するように形成されている(図26及び図27)。
■ 3.電気的構成 ■
レーダー探知機1は、図28のごとく、制御部(制御手段)10を中心として電気的に構成されている。制御部10に対しては、GPS受信器121、マイクロ波受信器122、無線受信器123、気圧センサ128、クロック部129、近接センサ125、タッチスクリーンシート151、液晶表示器152L、R、タッチセンサ315A、白色LED315B、スピーカ16、メモリカードリーダ17等が電気的に接続されている。さらに、レーダー探知機1では、制御部10からアクセス可能なデータベース100が設けられている。
GPS受信器121は、GPS衛星から飛来するGPS電波を受信し、現在時刻、現在の位置情報(緯度経度)、現在の速度、高度等を出力する受信器である。GPS受信器121から現在位置の位置情報を取得した制御部10は、現在位置の変動に基づいて車両の速度を計算可能である。
マイクロ波受信器122は、移動式レーダー等の速度測定装置(以下、単にレーダーという。)から発せられるマイクロ波長帯のレーダー波を受信する受信器である。マイクロ波受信器122では、マイクロ波の電界強度として、強度が低いほうからL(受信レベル)1〜L5の5段階が設定されている。
無線受信器123は、所定周波数の無線を受信する受信器である。本例の無線受信器123は、各種の無線電波に対応できるよう、複数の周波数のうちの何れかを選択的に設定可能である。
クロック部129は、カレンダー情報を出力する時計である。カレンダー情報は、年月日、曜日を表すデータ及び現在時刻を表すデータを含んでいる。制御部10は、GPS受信器121から取得した現在時刻を利用し、1日1回、クロック部129の現在時刻(日時を含む)を校正する。
スピーカ16は、ケース本体2の背面側に開口するスピーカ孔254を介して音声などを出力できるようにケース本体2内に組み付けられている。
メモリカードリーダ17は、メモリカード171に記録されたデータを読み込み制御部10に転送する。このメモリカードリーダ17には、カード挿入口251に挿入されたメモリカード171が装着される。
制御部10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等の不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコン(図示略)によって構成されている。
ROMには、CPUに実行させるソフトウェアプログラム等が格納されている。制御部10は、これらのプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
EEPROM等の不揮発性メモリの記憶エリアには、警報設定や画面設定などの各種の設定情報を格納する記憶エリアが設けられている。
データベース100は、制御部10のマイコン内あるいはマイコン外付けの不揮発性メモリ(例えばEEPROM)により構成されている。製品出荷時のデータベース100には、警報対象の交通監視活動の実施地点や各種の施設・観光地の所在地などの位置情報を含むターゲット(GPSターゲット)のPOIデータ、制限速度などの規制情報等のほか、交通監視活動の種別を表すイラストのイラストデータや、警報ボイスなど様々な音声データ(レコードデータ)等が格納されている。データベース100では、イラストデータや音声データ等が対応付けされた状態でターゲットのPOIデータが格納されている。
データベース100の格納データは、メモリーカード171を利用して更新可能である。POIデータや音声データなどの更新データが格納されたメモリカード171をメモリカードリーダ17に装着すれば、制御部10の制御によりその更新データが読み出され、データベース100内のデータを更新できる。なお、ハードディスク等に更新データが格納されたPCをUSB接続してデータベース100を更新することも可能である。
■ 4.基本動作 ■
レーダー探知機1は、ROMから読み出したソフトウェアプログラムをCPUに実行させることで各種の機能を実現する。このレーダー探知機1の機能としては、現在情報表示機能、GPSログ機能、各種の警報を実行する警報機能、OBD機能、設定機能、登録機能等がある。警報機能としては、GPS警報機能、RD警報機能、無線警報機能等、一般的なレーダー探知機が備える機能がある。これらの機能を実現する各手段は、制御部10において形成されている。
現在情報表示機能は、予め設定された待受画面を画面15に表示することで、現在情報を表示する機能である。現在情報としては、周囲のターゲットの位置情報(監視位置情報)、時間情報、潮汐情報、車速など各種の車両情報、燃費情報、エコドライブ情報、衛星情報、高度情報など各種の情報がある。表示される現在情報は、待受画面の選択により選択的に設定可能である。待受画面の設定は、後述する設定機能によって実現される。
OBD機能は、車両情報を取得する機能である。このOBD機能は、車両側のOBDコネクタに接続されるOBDアダプター(図13)を介してレーダー探知機1が車両側に接続されたときにのみ機能する。OBDアダプターを利用してレーダー探知機1を車両側に接続すれば、各種の車両情報を0.5秒毎に取得できる。車両側から取得できる車両情報としては、例えば、速度、平均速度、最高速度、5秒速度、平均5秒速度、最高5秒速度、回転数、平均回転数、最高回転数、エンジン負荷、平均負荷、最大負荷、スロットル開度、平均スロットル開度、最大スロットル開度、点火時期、燃料レベル、インマニ圧、最大インマニ圧、MAF、INJ、冷却水温度、最高冷却水温度、吸気温度、最高吸気温度、外気温、最高外気温、残燃料、燃料流量、最大燃料流量、消費燃料、生涯消費燃料、瞬間燃費、今回燃費、最大今回燃費、 生涯燃費、平均燃費、一般道平均燃費、高速道平均燃費、移動平均燃費、最大移動平均燃費、運転時間、走行時間、アイドル時間、アイドル比率、走行距離、生涯走行距離、0-20km/h 加速時間、0-20km/h 平均加速、0-20km/h 最短加速、0-40km/h 加速時間、0-40km/h 平均加速、0-40km/h 最短加速、0-60km/h 加速時間、0-60km/h 平均加速、0-60km/h 最短加速、0-80km/h 加速時間、0-80km/h 平均加速、0-80km/h 最短加速、0-20km/h 走行時間、20-40km/h 走行時間、40-60km/h 走行時間、60-80km/h 走行時間、80km/h以上 走行時間、生涯エンジン走行距離、生涯エンジン走行比率等の車両データがある。
GPSログ機能は、1秒ごとにGPS受信器121から出力された現在位置を位置履歴としてデータベース100に記憶する機能である。この位置履歴は例えばNMEA形式で記録される。記憶される現在位置に対しては、制御部10がその現在位置を検出した時刻および速度(車速)が関連づけされる。
登録機能は、ユーザーである運転者が個人的な地点(マイポイント)や地域(マイエリア)を登録する機能であり、制御部10においてソフトウェア的に実現される登録手段により実行される。
GPS警報機能は、オービス(自動速度違反取締装置)等の警報対象への接近を警報する機能である。GPS警報機能では、警報対象の位置(実施地点)と現在位置との間の距離を求める演算処理が所定時間間隔(例えば1秒)で繰り返し実行される。この距離が所定の接近距離に到達して警報地点アプローチというイベントが発生したとき、その旨を表すGPS警報が実行される。
GPS警報機能による警報対象としては、オービス、取締エリア、検問エリア、交差点監視ポイント、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急カーブ、分岐合流ポイント、ETCレーン等がある。警報対象として、居眠り運転事故地点、レーダー、制限速度切替りポイント等を含めても良い。
なお、GPS警報機能の警報対象以外のターゲットとしては、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境、道の駅、ビューポイントパーキング等がある。なお、本例のレーダー探知機1では、ユーザー側の所定操作によって任意の地点をマイエリアとして登録したり解除できる。マイエリアとして登録された地点は、ターゲットとして取り扱われ、接近したときに告知が実行される。
RD警報機能は、レーダー式取締装置から発せられるレーダー波(マイクロ波)の受信を警報する機能である。マイクロ波受信器122によるレーダー波の受信(以下RD受信)というイベントが発生したとき、その旨を表すRD警報が実行される。
無線警報機能は、緊急車両等の走行等の妨げとならないように警報する機能である。緊急車両等の発する無線電波の受信(以下無線受信)というイベントが発生したとき、運転者に注意を促す無線警報が実行される。警報対象としては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等がある。
設定機能は、レーダー探知機1に関する各種の設定を行う機能である。設定としては、待受画面に関する待受設定、モード設定、警報動作に関する警報設定、画面15及び白色LED315B(操作ボタン24)に関する画面・LED設定、音声設定、システム設定、OBD設定等がある。なお、各設定内容については後で詳しく説明する。
次に、レーダー探知機1の基本動作について説明する。
制御部10は、車両イグニッションのオン切替に応じて通電が開始されたとき、最初に図示しないオープニングアニメーションを表示する。その後、GPS衛星のGPS電波を受信して現在位置の測位が可能となるまで、図示しない測位情報画面を表示する。
現在位置の測位が可能となったとき、制御部10は、「測位しました」という音声を出力すると共に、画面15L、Rの表示画面を所定の待受画面に切り替える。なお、レーダー探知機1では、左右の画面15L、Rについて、それぞれ、後述する設定操作に応じて好みの待受画面を設定可能である。
制御部10は、RD受信や無線受信や警報地点アプローチなどの警報対象のイベントが発生していない待受状態では、左右の画面15L、Rに待受画面を表示させる。警報地点アプローチ、RD受信、無線受信のうちの何れかのイベントが待受状態下で発生したとき、制御部10は、GPS警報機能、RD警報機能、無線警報機能のうち、対応する機能を実行する処理を実行し、警告画面を画面15L、Rに表示させる。なお、2つ以上のイベントが同時発生したときの各機能の優先順位は、高いほうから、RD警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順となっている。
また、制御部10は、車両イグニッションがオンに切り替えられたときや、警報動作を実行する際、各操作ボタン24に仕込まれた白色LED315Bに様々な発光動作(後述する)を実行させる。
■ 5.待受画面 ■
レーダー探知機1では、各画面15L、Rの左右のタッチ領域151S(図29)にタッチすることにより、タッチ操作した画面15の待受画面を変更可能である。制御部10は、いずれかの画面15に対するタッチ操作を検出したとき、図29のように環状の配置順に従ってその画面15の待受画面を変更する。左のタッチ領域151Sがタッチ操作されたときには、環状の配置順の左回りに待受画面を変更し、右のタッチ領域151Sがタッチ操作されたときには、環状の配置順の右回りに待受画面を変更する。
例えば、時計画面が待受画面として設定された画面15について、左のタッチ領域151Sがタッチ操作されたときには待受画面を左隣りのカレンダー画面に変更し、右のタッチ領域151Sがタッチ操作されたときには待受画面を右隣りの速度画面に変更する。
なお、図29の各待受画面は、左右の画面15L、Rのどちらにも設定可能になっている。例えば左右の画面15L、Rに同じ待受画面を設定することも可能である。左右の画面15L、Rに同じ表示画面を表示させた場合には、画面領域に日差しがかかっていずれか一方の画面15が見づらいようなとき、見やすい方の画面15を視認する等の使い方が可能になる。左の画面15Lは、右ハンドルの車両の助手席に近く位置するので、同乗者がいるときに左右の画面15L、Rに同じ表示画面を表示させることも良い。
次に、待受画面として設定可能な各表示画面の仕様等を説明する。
(1)レーダースコープ画面
図30のレーダースコープ画面は、レーダー探知機1に登録されたターゲットに近づいたとき、現在位置との位置関係を表す情報(監視位置情報)をイメージ的に表す表示画面である。レーダースコープ画面では、現在位置の周辺領域に対応するスコープ面が表示され、交通監視活動の実施地点等を表すターゲットアイコン、及び現在位置を表す自車アイコンがそのスコープ面にプロット表示される。上段には、ターゲットの種別のテキスト情報であるターゲット情報、及びターゲットまでの距離が表示される。下段左には、現在の走行速度(車速)が表示され、その表示欄の上側には制限速度が表示される。
右の画面15Rのレーダースコープ画面の場合であれば、下段右に現在時刻が表示される。なお、走行速度の表示は、速度オーバーであるか否かによって表示色(文字色)が変更され、速度オーバーのときには文字が赤く表示される。
なお、一方の画面15にレーダースコープ画面を表示し、他方の画面15にレーダースコープ画面以外の他の待受画面を表示する場合であれば、レーダースコープ画面のターゲット情報等の表示を省略し、他の待受画面にターゲット情報を含むテロップ(例えば図42の符号41)等を表示させることも良い。この場合には、スコープ面の表示領域を広く確保してレーダースコープ画面を判りやすく表示できる。
(2)時計画面
図31の時計画面は、現在時刻を表示する表示画面である。なお、右の画面15Rの場合、時計画面の下部に速度が表示される。ただし、GPS非測位になると速度は非表示となる。時計画面に表示される時刻については、制御部10が時刻合わせを実施する。
(3)速度画面
図32の速度画面は、車両の速度を表示する表示画面である。右の画面15Rの場合、速度画面の下部に時計が表示される。速度を数字表示する表示欄の右側には、速度の度合いを表す縦方向のセグメント表示が配置されている。制御部10は、速度が上がるにつれて、このセグメント表示に表示するセグメントの数を増やしていく。なお、制御部10は、GPS電波を利用して速度を演算するため、GPS電波を受信できないトンネル内などの場所では、速度の表示が0km/hになる。
(4)エコドライブ画面
図33のエコドライブ画面は、低燃費運転の達成度合いの指標となるエコポイントを表示する表示画面である。制御部10は、急加速、急減速、アイドリング時間、経済速度などからエコポイントを算出する。エコポイントの表示欄の右側には、速度の表示欄が配置されている。この速度は、GPS非測位になると0km/hになる。なお、右の画面15Rの場合、エコドライブ画面の下部に時計が表示される。なお、制御部10は、GPS電波を利用してエコポイントを算出している。
(5)高度画面
図34の高度画面は、車両の高度を表示する表示画面である。制御部10は、高度の変化をグラフ化して表示する。なお、右の画面15Rの場合には、高度画面の下部に時計が表示される。制御部10は、GPS電波を利用して高度を算出するため、GPS電波を受信できないトンネル内などの場所では高度の表示が直前の数値に固定される。
(6)気圧画面
図35の気圧画面は、現在の気圧を表示する表示画面である。制御部10は、現在の気圧の数値と共に、過去の気圧の変化をグラフ化して表示する。
(7)測位情報画面
図36の測位情報画面は、GPS電波の受信状況を表示する表示画面である。制御部10は、GPS電波を受信している衛星について、衛星ナンバーと受信レベルを表示する。なお、衛星ナンバーとは、衛星に割り当てられたナンバーである。
(8)衛星情報画面
図37の衛星情報画面は、受信している衛星の情報を表示する表示画面である。制御部10は、衛星番号、種類(GPS、QZSS(みちびき)、SBAS、GLONASS)
、仰角(Elev.)、方位角(Azim.)を表示する。制御部10は、定期的に表示画面を切替表示し、衛星を順番に表示する。
(9)OBDメーター画面
図38のOBDメーター画面は、OBDアダプター(図13)を介して取得した車両情報を表示する表示画面である。OBDメーター画面は、OBDアダプターが接続されているときに選択可能となる。例えば、OBDアダプターが接続されている場合には、衛星情報画面を表示する画面15の左のタッチ領域151Sがタッチ操作されたとき、OBDメーター画面が表示される一方、非接続の場合には、OBDメーター画面及び次のOBD燃費情報画面が表示されることなくパスされる。OBDメーター画面に選択的に表示可能な車両情報としては、図38のように例えば、車速、エンジン回転数、エンジン負荷、スロットル開度、燃料レベル、インマニ圧、冷却水温度、吸気温度、外気温、エンジン油温、瞬間燃費、平均燃費、今回燃費等がある。
(10)OBD燃費情報画面
図39のOBD燃費情報画面は、車両情報を利用して制御部10が演算した瞬間燃費や平均燃費を表示する表示画面である。車両情報は、OBDアダプターを介して取得されるため、OBDアダプターが非接続の状態では、OBDメーター画面と同様、切替表示されない。OBD燃費情報画面では、2種類の燃費が上下二段で表示される。各段には、燃費の数字表示、燃費の度合いのセグメント表示が上下に配置される。2種類の燃費の組み合わせとしては、瞬間燃費と平均燃費との組合せ、瞬間燃費と今回燃費との組合せ、今回燃費と平均燃費との組合せ等がある。
待受画面としては、上記のほかに、日付等を表示するカレンダー画面、画面15が真っ暗になるOFF画面が設定されている(図29)。
なお、制御部10は、待受画面の下部に、図40に例示する様々なステータスアイコンを表示する。制御部10は、通常、左の画面15Lにステータスアイコンを表示する。ただし、左の画面15Lがレーダースコープ画面、OBDメーター画面、OFF画面のときは、右の画面15Rにステータスアイコンを表示する。左右の画面15L、R共、レーダースコープ画面及びOBDメーター画面のいずれかである場合には、ステータスアイコンは表示されない。
また、制御部10がレーダースコープ画面に表示するターゲットアイコンとしては、図41に例示する各アイコンがある。各ターゲットアイコンは、注意度(報知必要度合い)に応じて表示色が相違し、緑色→青色→黄色→赤色の順番で注意度が高くなっている。注意度の振分けは、ターゲットに係る交通監視活動の種別(内容)に応じて予め規定されている。
なお、一部の待受画面では、文字の表示色を予め用意された6色の中から選択することが可能となっている。さらに、各待受画面を一定時間毎(例えば1分)に自動切替表示させるという待受設定が可能となっている。
■ 6.警告画面 ■
レーダー探知機1では、制御部10が警告時に表示する警告画面の表示パターンを設定可能である。制御部10は、待受画面の表示中にVIEWボタン243が長押しされたとき、警告画面の表示に切り替える。警告画面の表示パターンとしては、2画面警告、1画面警告その1、1画面警告その2、警告画面なしの各パターンがある。なお、各表示パターンでは、左右の画面15L、Rを入れ替えて表示させることも可能になっている。
(1)2画面警告 2画面警告の表示パターンは、図42のごとく、自車位置とターゲットの位置関係を表示するレーダースコープ画面と、ターゲットの種別・ターゲットまでの距離を報知するお知らせパネル画面と、を同時に表示する表示パターンである。お知らせパネル画面では、ターゲットの種別(監視種別情報)及び距離を文字表示するテロップ(文字情報)41が最上段に表示されると共に、ターゲット種別を表すイラスト42が中央に表示される。さらに、右下には、時刻が表示される。イラスト42は、データベース100に格納されたイラストデータに基いて表示される。
2画面警告の表示パターンを表示させる方法としては、次の3つの方法がある。第1の方法は、VIEWボタン243の長押しにより表示させる方法である。第2の方法は、左画面15Lについて《レーダースコープ》を選択し、右画面15Rについて《表示切替距離→切替なし》、《ターゲット情報→お知らせパネル》を設定する方法である。ここで、例えば《表示切替距離→切替なし》等の《 》は、レーダー探知機1における設定項目を示している。第3の表示方法は、左画面15Lについて《レーダースコープ》を設定し、右画面15Rについて《表示切替距離→距離を設定》、《ターゲット情報→お知らせパネル》を設定する方法である。この方法の場合、自車とターゲットとの距離が、表示切替距離で設定した距離に到達したときに2画面警告の表示パターンに切り替わる。
2画面警告では、一方の画面15にレーダースコープ画面が表示されると共に、他方の画面15にお知らせパネル画面が表示される。例えば、1画面のみの他のレーダー探知機では、レーダースコープ画面の一部を利用して、ターゲットの種別や距離等のターゲット情報を表示する必要がある。2画面警告であれば、レーダースコープ画面とは別にターゲット情報を表示できる。このような表示仕様であれば、レーダースコープ画面においてスコープ面の表示領域を広く確保できターゲットの位置の把握が容易になると共に、ターゲット情報の表示が非常に判りやすくなる。
(2)1画面警告その1
この1画面警告その1の表示パターンは、図43のごとく、自車位置とターゲットの位置を表示するレーダースコープ画面と、待受画面の上部にターゲットの種別・距離を知らせるテロップ41が表示される設定である。本例のレーダー探知機1では、待受画面として時計画面が設定された1画面警告その1の表示パターンが初期設定となっている。
1画面警告その1の表示パターンを表示させる方法としては、次の2つの方法がある。第1の方法は、左画面15Lについて《レーダースコープ》を設定し、右画面15Rについて《表示切替距離→切替なし》、《ターゲット情報→テロップ》を設定する方法である。第2の方法は、左画面15Lについて《レーダースコープ》を設定し、右画面15Rについて《表示切替距離→距離を設定》、《ターゲット情報→テロップ》を設定する方法である。この方法の場合、自車とターゲットとの距離が表示切替距離で設定した距離に到達したときに、図43のような警告画面が切替表示される。なお、テロップ41を左右どちらの画面15L、Rに表示させるかは、ユーザー側の操作により選択的に設定可能である。
(3)1画面警告その2
この1画面警告その2の表示パターンは、図44のごとく、左画面15Lは待受画面を表示し、警報時は右画面15Rにお知らせパネル画面を表示する表示パターンである。この1画面警告その2は、レーダースコープ画面以外の待受画面を左画面15Lに設定し、右画面15Rについて《表示切替距離→切替なし》、《ターゲット情報→お知らせパネル》を設定して表示できる。なお、左右どちらの画面15L、Rにお知らせパネル画面を表示するかは、《お知らせ表示》の設定項目で設定可能である。
(4)警告画面なし
警告画面なしの表示パターンは、図45に例示するごとく、左右画面15L、Rとも待受画面を表示し、警報時は、左右いずれかの画面15(同図は右画面15Rの例)にテロップ41のみ表示する表示パターンである。警告画面なしの表示パターンは、左右両方の画面15L、Rについて、レーダースコープ画面以外の待受画面を設定し、右画面15Rについて《表示切替距離→切替なし》、《ターゲット情報→テロップ》を設定して表示できる。左右どちらの画面15にテロップ41を表示するかは、《お知らせ表示》により設定可能である。
■ 7.警報動作 ■
(1)取締り電波の受信時の警報動作
制御部10は、レーダー波やステルス波等の取締り電波を受信したとき、画面15に警告画面を表示しアラーム音を出力する等の警報動作を実行する。図46は、レーダースコープ画面が待受画面として設定された左画面15Lによる警報の例である。制御部10は、音(電子音/警報ボイス)と画面表示との両方で警報するWアラームを実行する。制御部10は、レーダースコープ画面のスコープ面を赤色に変更すると共に、レーダースコープ画面の上部に交通監視活動の種別を表すテロップ41を表示する。このテロップ41には、レーダー波等の電波の受信レベルの表示(例えばL5)が含まれている。
なお、警報中に所定のミュート操作が行われたとき、制御部10は、受信中のレーダー波を受信しなくなるまで警報音を一時的に消す制御を実行する。ミュート操作としては、画面領域15A(図1)に対して一定時間(1秒間)に渡って手をかざす手かざし操作や、MUTEボタン248の長押し操作等がある。また、レーダー波の受信が約30秒以上続いたとき、制御部10は、自動的に警報音の音量を小さくする制御を実行する。
また、制御部10は、図47のごとく、取締りレーダー波の受信時の警報動作では、レーダー波の発信源への接近に伴う受信レベル(電波強度)の変化(L1→L5)に応じて電子音のテンポを上げていくという制御を実行する。
(2)ターゲット接近時の警報動作
制御部10は、自車とターゲットとの距離が小さくなたとき(ターゲットに接近したとき)、図48のごとく、ターゲット情報及び距離を文字表示するテロップ41を画面15の上部に表示させる。
同図(a)は、待受画面として設定された時計画面について、《テロップ表示》が設定されているときの例である。同図(b)は、レーダースコープ画面について、《テロップ表示》が設定されているときの例である。なお、左画面15Lのレーダースコープ画面の場合、時刻は表示されないが、右画面15Rのレーダースコープ画面の場合には時刻が右下に表示される。同図(c)は、警報の注意度に応じて制御部10が制御する画面15の背景色の変化を示している。同図(d)はお知らせパネル画面に《テロップ表示》が設定されているときの例である。
(3)警報ボイス
制御部10は、進行方向に対して右手または左手方向に約25°以上(図49参照。)に位置するターゲットを対象として警報ボイスを音声出力する際、『左方向』または『右方向』のフレーズを付け加えて、その方向(実施地点の方位)を告知する制御を実行する。『右方向』、『左方向』のボイスは、告知時点でのターゲットの方向である。なお、ターゲットまでの距離が非常に近い場合は、左右方向を識別するためのフレーズを付け加えないこともある。ここで『 』は、警報ボイスによる音声出力を意味している。
警報ボイスは、図50〜図53に示す各タイミングで出力される。図50では、オービス(速度違反取締)に関する警報ボイスを上段に示し、下段には取締エリアに関する警報ボイスを示している。
例えば、オービスの警報ボイスの場合、2km先(高速道のみ)、1km先、500m先、直前、通過という段階が設定され、制御部10の制御により段階毎に警報ボイスが出力される。500m先までの各段階では、例えば『2km先』等の距離が音声出力される。さらに、1km先では、距離の音声出力に加えて、制限速度や速度超過を告知する警報ボイス等が出力され、500m先ではカメラ位置を告知する警報ボイスが出力される。直前で速度が超過している場合には、制御部10は、直前走行速度告知に加えて、速度超過告知の警報ボイスを出力する制御を実行する。
例えば、取締エリアの警報ボイスの場合、1km先、エリア進入、エリア脱出という各段階が設定され、制御部10の制御により段階毎に警報ボイスが出力される。1km先の段階では、エリアが左右方向いずれにあるのかも警報ボイスにより出力される。なお、レーダースコープ画面以外の表示画面の表示中では、制御部10は、取締・検問エリアに対応するアイコン(図40参照。)を表示画面の下部に表示する。
なお、警報ボイス等の音声出力(発話)は、画面領域15A(図1)に対する手かざし操作によってミュート(消音)させることが可能である。制御部10は、左右の液晶表示器152L、Rの隙間152S(図20)に配置された近接センサ125が人体を検出し、その検出状態の継続時間が1秒に到達したとき、音声出力をミュートして出力されないように制御する。検出状態の継続時間について1秒等の閾値を設定すれば、例えば、ハンドルから手を離してオーディオ等を操作しようとする運転者の手の動きを誤検出するおそれが少ない。
■ 8.各種設定 ■
レーダー探知機1では、動作仕様が複数種類用意されており、ユーザー側の操作によって好みの動作仕様を設定する。以下、設定方法について説明する。
電源がオンの状態でMUTEボタン248が長押しされたとき、制御部10は、設定メニューを表示させる制御を実行する。図54の左図は、設定メニューの項目の図示であり、右図は、設定メニューを選択操作中の表示画面の例示である。
設定メニューとしては、(1)お手軽モード設定、(2)モード設定、(3)警報設定、(4)画面・LED設定、(5)音声設定、(6)システム設定、(7)OBD設定の各設定メニューがあり、他に設定終了のメニューが用意されている。制御部10は、▲ボタン242、▼ボタン244の操作に応じて選択中のメニューを変更し、MUTEボタン248が操作されたとき、選択中のメニューに対応する設定画面を表示させる制御を実行する。同図右図は、お手軽モードの設定メニューが選択されているときの表示画面であり、お手軽モードの設定メニューの下には現在の設定が表示される(同図中では通常モードが設定されている)。
(1)お手軽モード設定
図55のようにお手軽モード(簡単設定モード)がオンに設定された場合、お手軽設定のみのシンプルな設定モードとなり、簡単設定が可能になる。制御部10は、お手軽モードがオンのとき、図55の左図のように選択可能な設定メニューを大幅に制限する。お手軽設定は、表示画面の明るさと、レーダー警報音の種類(電子音/ボイス)の設定を変更できるほか、ソフトウェアのバージョンを閲覧できるのみであり、非常に簡単な設定となっている。
(2)モード設定
レーダー探知機1では、プリセットされた4種類の警報モード(ノーマル、ミニマム、スペシャル、オールオン)のほか、マニュアルモードが用意されている。ユーザー操作によって好みの警報モードを設定可能である。ノーマルモードは、バランスを重視した設定内容の警報モードである。ミニマムモードは、最低限の項目だけがオンに設定される警報モードである。スペシャルモードは、取締りに関する項目を重視した設定内容の警報モードである。オールオンモードは、すべての機能がオンに設定される警報モードである。マニュアルモードは、それぞれの機能を個別に設定可能な警報モードである。
制御部10は、図56のごとく待受画面(上段左側の図)の表示中にMUTEボタン248が長押しされたとき、設定画面(上段右側の図)の表示に切り替える。設定メニュー中の《モード》が選択されたとき、制御部10は、モード画面(下段左側の図)の表示に切り替える。好みの警報モードが選択された後、設定終了が選択されたとき(下段右側の図)、制御部10は、元の待受画面が表示される状態に復帰させる制御を実行する。なお、各警報モードの内容は、図57の通りとなっている。
(3)警報設定
警報設定では、図58のごとく、受信感度モード、道路選択、表示切替距離、ターゲット情報、お知らせ表示の各項目の設定が可能である。
受信感度モードでは、市街地に適する《シティ》、郊外や高速道路に適する《エクストラ》、不要警報カットや最適受信感度が自動設定される《AAC/ASS》のいずれかを選択的に設定できる。
道路選択では、GPS警報の対象道路を《一般道》《高速道》《ALL》《AUTOGPS優先》《AUTO気圧優先》から選択できる。《一般道》の設定では、一般道のターゲットのみ警報される。《高速道》の設定では、高速道のターゲットのみ警報される。《ALL》の設定では、一般道および高速道のすべてのターゲットが警報される。《AUTOGPS優先》の設定は、GPSの位置情報を優先的に利用し、制御部10が走行道路(一般道か高速道)の種別を自動的に識別する設定である。《AUTO気圧優先》の設定は、気圧の変化を優先的に利用し、制御部10が走行道路(一般道か高速道)の種別を自動的に識別する設定である。制御部10は、一般道と識別できたときは一般道のターゲットのみ警報し、高速道と識別できたときは高速道のターゲットのみ警報する制御を実行する。他の設定項目については、同図に示す通りである。
表示切替距離としては、《切替なし》《500m》《1000m》《1500m》の中のいずれかの距離等を選択的に設定できる。表示切替距離を設定すれば、「6.警告画面」で説明した通り、自車からターゲットまでの距離が近くなったときに、予め設定された待受画面からお知らせパネル画面等への表示切替を実行させることができる。例えば、図42の2画面警告において、左画面15Lについて《レーダースコープ》が設定され、右画面15Rについて《表示切替距離→1000mを設定》、《ターゲット情報→お知らせパネル》が設定された場合、制御部10は、ターゲットまでの距離が1000mになったときにターゲット情報のテロップ41を含むお知らせパネル画面を待受画面に代えて表示させる制御を実行する。なお、表示切替距離の初期設定は《1500m》となっている。
(4)画面・LED設定
画面・LED設定では、図59のごとく、画面明るさ、画面反転の有無、画面色設定、LEDモード、LED明るさの各項目を設定可能である。例えば、画面明るさについては、《最小》《暗い》《ふつう》《明るい》の中のいずれかを選択的に設定できる。LEDモードについては、《警報・タッチON》《常時ON》《OFF》の中のいずれかを設定できる。他の設定項目については、同図に示す通りである。
ここで、LEDモードの各設定の内容について、図60を参照して説明する。LEDモードの設定としては、上記の通り、《警報・タッチON》《常時ON》《OFF》の3種類がある。同図は、これら3種類の各設定(制御モード)について、状態1〜3の動作状態毎の白色LED315Bの動作内容を説明する図である。
《警報・タッチON》のLEDモードのとき、制御部10は、以下のような制御を実行する。状態1の待受状態では、通常は各白色LED315Bを消灯状態(OFF状態)に制御する。画面15がタッチされるか、あるいは画面領域15A(図1)に手かざしされた時、制御部10は、全ての操作ボタン24の白色LED315Bを点灯状態に制御する。画面15に対するタッチ操作は、タッチスクリーンシート151のタッチ領域151Sにより検知される。画面領域15A(図1)への手かざし操作は、液晶表示器152L、Rの隙間152S(図20)に配置された近接センサ125(図28)により検出される。
待受状態下で白色LED315Bを点灯させるための手かざし操作、及び音声出力をミュートさせるための手かざし操作は、いずれも、近接センサ125による人体等の検出状態が所定の継続時間に渡って継続したときに制御部10によって操作有りと判断される。所定の継続時間としては、ミュートの手かざし操作については上記のごとく1秒が設定されている。待受状態下での手かざし操作については、例えば、1秒よりも短い時間を設定するのが良い。ミュートの手かざし操作については、カーオーディオ等を操作する手を誤検出して警報ボイス等がミュートされてしまうおそれを回避する必要がある一方、待受状態下での手かざし操作については、緩慢な印象が生じないように操作レスポンスを優先させる必要があるからである。
上記のように待受状態(状態1)下で手かざし操作等がなされた後、いずれかの操作ボタン24がタッチ操作されたときには、制御部10は、操作された操作ボタン24のみ白色LED315Bを消灯させ、タッチ操作の終了に応じて点灯状態に復帰させる制御を実行する。その後、いずれの操作ボタン24も操作されない無操作期間が所定時間を超えたとき、制御部10は、全ての白色LED315Bを消灯状態に切り換える制御を実行する。本例に代えて、タッチ操作が終了したとき、所定時間に渡って操作ボタン24を点滅させることも良い。操作が受け付けされた旨をユーザー側から判りやすくなる。
警報中に当たる状態2では、制御部10は、全ての白色LED315Bを点滅させる制御を実行する。なお、警報対象の交通監視活動の位置(実施地点)について、左側とか右側とか前方とかの方向性がある場合には、例えば、左側の白色LED315Bのみを点滅させたり、上2箇所の白色LED315Bのみを点滅させたりする制御を実行することも有効である。
なお、警報中では、例えば、警報対象の注意度(報知必要度合い)に応じて全ての白色LED315Bを点滅させる制御を実行することも良い。画面領域15Aの外周の5箇所に配置された操作ボタン24について、点灯させるタイミングを少しずつ異ならせることで、警報中に点灯位置が画面領域15Aの回りを周回するような制御を実行することも良い。さらに、注意度が高くなるほど、周回する周期を速めて緊迫感を演出しても良い。あるいは、交通事故多発エリア等に進入した際、5箇所の操作ボタン24をランダムに点灯させることで、リスクの高い状況を感覚的に表現することも良い。
車両イグニッションのオン切替に応じた電源投入時に当たる状態3では、制御部10は、全ての白色LED315Bを点滅させる制御を実行し、その後、所定時間が経過したときに全て消灯させる制御を実行する。なお、白色LED315Bの点滅は、完全なオンオフの周期的な切り替えではなく、明るさを周期的に変更する制御によって実現される。明るさを周期的に変更する制御によれば、ホタルのような光の点滅(点滅周期はホタルよりも速くするのが良い。)を実行でき、装置の高級感を演出できる。
《常時ON》のLEDモードのときには、制御部10は、待受状態(状態1)において各白色LED315Bを点灯させる制御を実行し、警報中(状態2)や電源ON時(状態3)において、白色LED315Bを点滅させる制御を実行する。
《OFF》のLEDモードのときには、制御部10は、電源ON時(状態3)において、白色LED315Bを点滅させる制御(点滅制御)を実行し、他の状態では白色LED315Bを消灯状態に制御する。
(5)音声設定
音声設定は、警報ボイスなどの音声や効果音等の各種の音情報の出力態様(出力モード)に関する設定である。音声設定では、図61のごとく、話速(話す速さ)、ナレーター切替、レーダー警報音、測位アナウンス、RELAXチャイム、時報、操作音、ターゲット接近音などの各項目の設定が可能である。話速は、警報ボイスの速さを《ゆっくり》《通常》《速い》《警報連動》の4段階で切り替え可能である。特に、《警報連動》では警報の種類によって話速が変更される。ナレーター切替では、警報ボイスを《女性》《男性》で切替できる。レーダー警報音では、レーダー受信時の警報を《ボイス》《電子音》で切替できる。
測位アナウンスでは、測位アナウンスのオンオフを選択できる。例えばビルの谷間などGPS電波の受信状態が良くない場合、『GPSを受信できません』『GPSを受信しました』と測位アナウンスを繰り返すことがあるが、測位アナウンスをオフにすればこのような繰り返しを回避できる。RELAXチャイムは、一定時間毎に休憩を促す機能であり、『長時間運転しています 休憩しませんか?』と音声出力する時間間隔の選択が可能である。時報は、毎時、正時に時刻を報知する機能であり、時報の有無の選択が可能である。操作音は、ボタン操作時に確認音を発生させるか否かの設定が可能である。ターゲット接近音は、ターゲット接近時の出力音であり、オン設定に応じてターゲット接近音が出力される。
音声設定の話速(図62)は、上記のごとく、《ゆっくり》《通常》《速い》《警報連動》の4種類のうちのいずれかを選択的に設定可能である。《通常》が設定されたとき、制御部10は、全ての告知の警報ボイスを100%(平均速度)の話速で出力する。《ゆっくり》が設定されたとき、制御部10は、全ての告知の警報ボイスを90%の話速で出力する。《速い》が設定されたとき、制御部10は、全ての告知の警報ボイスを120%の話速で出力する。
なお、話速100%とは、普通に話す速さを意味しており、話速120%とは、話す速さが120%であることを意味している。なお、本例のレーダー探知機1では、ナレーターによる実際の発声をデジタル録音した音声データがデータベース100に記録されている。データベース100の音声データは、話速120%に対応するレコードデータとなっている。音声データをそのまま再生すると話速120%となる。音声データを20%程度遅く再生すると話速100%となり、さらに遅く再生すると話速90%となる。
本例のレーダー探知機1では、120%の話速に対応する音声データをデータベース100に記録することで、データベース100に格納する音声データのデータサイズを削減している。当然ながら、話速100%に対応する音声データをデータベース100に記録しても良く、話速130%など実際に出力する話速を超える音声データをデータベース100に記録しても良い。
《警報連動》が設定されたとき、制御部10は、図62のごとく、警報対象の交通監視活動の種別及び状況等に応じて話速を変更する。同図中、ステルス告知及びRD告知は、「7.警報動作」の中で説明した(1)取締り電波の受信時の警報動作である。ステルス告知は、ステルス波を受信したときの警報動作であり、RD告知は、レーダー波を受信したときの警報動作である。オービス告知、検問・取締告知、マイエリア告知は、「7.警報動作」中の2)ターゲット接近時の警報動作である。同図中、告知内容の欄のうちの“全ての効果音”(下から4段目)は、フレーズ例の欄の中の例えば「(効果音)ステルス受信 ステルス受信」というフレーズ中の効果音(例えばポ〜〜ンなど)を意味している。例えば、ステルス告知の場合には、制御部10は、100%の速度の効果音の出力に続いて、「ステルス受信 ステルス受信」というフレーズを120%の話速で出力する。
例えば、RD告知の場合には、制御部10は、100%の速度の効果音の出力に続いて、「スピードに注意してください」等のフレーズを出力する。このとき、制御部10は、「スピード取締に注意してください」等のフレーズの話速を、レーダー波の受信レベル(L1〜5)に応じて変更する。例えば、受信レベル1あるいは2の場合には、注意度がそれほど高くないことから、制御部10は、100%の速度の効果音の出力に続いて、「スピード取締に注意してください」というフレーズを90%の話速で出力する。受信レベル3の場合には、制御部10は、100%の速度の効果音の出力に続いて、「スピードに注意してください」というフレーズを100%の話速で出力する。受信レベル4あるいは5の場合には、注意度が高いことから、制御部10は、100%の効果音の出力に続いて、「走行に注意してください」あるいは「速度と落としましょう」というフレーズを120%の話速で出力する。制御部10は、受信レベル2→3など受信レベルが変わる毎に警報ボイスを出力する。
なお、後半のフレーズの話速を90%に設定する受信レベル1及び2は、自動ドアなどの電波発生源からの受信レベルに相当している。レーダー探知機1では、このような受信レベルでのRD告知については誤警報の可能性があることから、話速を100%未満に抑えている。
制御部10は、効果音の速度については、後続するフレーズの話速に関わらず100%一定に制御する。このように、警報動作の契機となる効果音の出力態様をフレーズの話速に関わらず全く同じ仕様に設定すれば、警報動作の開始を意味する効果音をユーザー側に強く印象付けでき、警報が聞き逃されるおそれを抑制できるという効果が生じる。
上記のようにフレーズの話速を変化させれば、発話に対するユーザー側の印象を異ならせることができる。例えば、速い話速を設定すれば、緊迫感を演出することで注意度が高いという印象を与えることができる。なお、本例では、警報対象の交通監視活動の種別によって注意度を規定すると共に、注意度に応じたターゲットアイコンの表示色を設定している(図41)。ターゲットアイコンの表示色に応じて話速を変更することも良い。例えば、注意度が低くターゲットアイコンの表示色が緑色の交通監視活動については、いつもゆっくりした話速を設定し、話速を変更しないといった制御を適用することも良い。
例えば、オービス告知の場合には、制御部10は、オービスまでの距離、及び速度超過の有無に応じて話速を変更する。距離が近いほど効果音に続くフレーズの話速を速くすると共に、速度超過の場合には速度超過していない場合に比べてフレーズの話速を速く設定している。
例えば、検問・取締告知の場合には、制御部10は、車速が52km/h以上であるか未満であるかに応じてフレーズの話速を変更する。車速が52km/h以上の場合には、未満の場合よりも話速を速くする。
音声設定のターゲット接近音(図63に示す距離連動オービスソナー音)については、《オン》《オフ》を選択的に設定可能である。ターゲット接近音が《オン》に設定されたとき、制御部10は、同図のごとくオービス接近時にソナー音を出力する。制御部10は、オービスまでの距離が1km又は2kmになってオービス告知を実行した後、他の告知がなければ、発信周期1Hzでオービスソナー音を出力する。このとき、オービス告知の音量に対してマイナス8dBにオービスソナー音の音量を設定する。オービスまでの距離が800mになって、他の告知がないとき、制御部10は、オービスソナー音の発信周期を1.25Hzに変更する。
このように制御部10は、オービスソナー音の発信周期を距離に応じて次第に高くしていき200mになったときには2.5Hzまで高め、その後、オービス通過に応じてオービスソナー音の出力を終了する。このようにオービスまでの距離に連動してオービスソナー音の発信周期を変更すれば、オービスソナー音のみによって注意度を把握できるようになる。仮にオービス告知による距離を聞き逃した場合であっても、オービスソナー音によって距離の度合いを把握できるようになる。
(6)システム設定
システム設定では、図64のごとく、各種のシステム設定が可能である。
(7)OBD設定
OBD設定では、図65のごとく、画面15毎のOBDメーターの設定、燃費情報、係数補正、データ消去の各項目の設定が可能である。OBDメーターを設定した場合、表示させる車両情報としては、車速、エンジン回転数、エンジン負荷、スロットル開度、燃料レベル、インマニ圧、冷却水温度、吸気温度、外気温、エンジン油温、瞬間燃費、平均燃費、今回燃費の中のいずれかを選択的に設定できる。例えば、OBDメーターについては、左右の画面15L、RそれぞれにOBDメーターを設定するか否か選択可能である。他の項目については、同図の通りである。
以上のように構成された本例のレーダー探知機1は、交通監視活動に関する監視情報を表示させるための画面15L、Rを備えている。例えば、一方の画面15にレーダースコープ画面を表示する一方、他方の画面15にテロップを表示する2画面警告の表示パターンを実現可能である。この表示パターンでは、レーダースコープ画面の他に、交通監視活動の種別等を示すテロップをお知らせパネル画面に表示することで、レーダースコープ画面に表示する情報量を抑制し、監視位置情報の判りやすさを向上している。このように複数の画面15L、Rを利用すれば、監視情報を判りやすく報知可能になる。
また、レーダー探知機1では、操作ボタン24の操作領域を点滅させる制御が可能になっている。操作ボタン24を点滅させれば、明るさの変化という動きを生じさせることによりユーザーの注意を効果的に惹きつけることが可能である。ユーザーの注意を惹きつけることができれば、報知する監視情報がユーザーに認識されずに取りこぼされてしまうおそれを抑制できる。
レーダー探知機1は、報知する監視情報の注意度(報知必要度合い)等に応じて警報ボイス等の音情報の出力態様を変更する。監視情報に応じて音情報の出力態様を変更すれば、全く同じ出力態様で音情報を出力する場合と比べて、出力できる情報量を増やすことが可能である。例えば、話速を変更すれば、注意度の違いという情報を報知できる。また、音情報の出力態様の違いであれば、ユーザー側から直感的に認識できる。
以上のように、本例のレーダー探知機1は、交通監視活動に関する監視情報を判りやすく報知できる優れた特性を備えている。
レーダー探知機1では、基板の外周に設けられたスリット孔にリブが収容される収容構造が実現されている。この収容構造では、リブの外周面と、基板のスリット孔の内周面との当接構造が実現されている。このような当接構造を設ければ、基板の強度を利用して筐体(ケース本体2)の剛性(特に捩り剛性)の向上を期待できる。なお、リブは、ケース22の内周側面に接続されることなく、底面に立設された構成であっても良い。このようなリブを収容する基板側の貫通孔は、外周に開口しない閉じた孔であっても良い。
本例のレーダー探知機1では、画面15L、Rが面一に並列配置されている。この構成に代えて、ケース本体2の厚さ方向(奥行き方向)において、画面15L、Rの位置を変更しても良い。例えば、画面15Lに対して画面15Rを奥側に配置することも良い。さらに、画面15Lと画面15Rとを奥行き方向において重なるように配置すると共に、手前側の画面15を透明に形成することも良い。この場合には、奥行き方向に重なる2つの画面によって奥行き感のある画像情報を表示できる。
さらに、サイコロ状の筐体の異なる面に画面をそれぞれ配置することも良い。さらに、筐体を回転可能に支持するブラケットを採用することも良い。この場合には、サイコロ状の筐体の向きに応じて、ユーザー側から視認可能な画像情報を切り替えることができる。
ケース本体2の前面について、左右方向の中央を盛り上げて奥行き方向手前側に位置させると共に、左右両側に向かって奥行き方向奥側に位置するような傾斜面を形成することも良い。左右方向の中央を挟んで両側に形成された傾斜面にそれぞれ画面を設置すれば、例えば、ダッシュボードの中間にレーダー探知機を設置したとき、一方の画面が運転者側に面すると共に、他方の画面が助手席の同乗者側に面するようになり、運転者と同乗者の視認性を両立できる。この場合には、各画面に同じ表示画面を表示させることも良い。また、このように画面の向き(法線方向)が異なっている場合には、例えば、一方の画面が日差しが映り込んでいる状況において、他方の画面に対する日差しの映り込みを回避できる可能性が高くなる。
本例のレーダー探知機1では、画面15L、Rが配置された画面領域15Aの左右両側に白色LED315Bを備える操作部315による操作ボタン24が配置されている。例えば、いずれの操作ボタン24を点灯させたり点滅させるかに応じて、ターゲットの方位を示すことも良い。例えば、ターゲットが車両の進行方向に対して左であれば、左側の操作ボタン241、243を点滅等させ、前方のターゲットであれば、上段左右の操作ボタン241、242を点滅等させることも良い。操作ボタン24の点滅等によって方位を示せば、ユーザーが一見して方位を把握できる判りやすい報知を実現できる。
さらに、レーダー探知機1では、5箇所の操作ボタン24が画面領域を取り囲むように配置されている。画面領域の外周の5箇所の操作ボタン24を利用すれば、例えば、点灯状態の操作ボタン24が画面領域15Aの回りを周回するような制御が可能になる。例えば、交通監視活動に関して警報を実行する際、点灯位置を周回させる周期を注意度に応じて変更し、注意度が高いほど速く周回させることも良い。この場合には、ユーザーが一見して注意度を認識できるようになる。
なお、本例のレーダー探知機1のお手軽モードは、各画面15の待受画面の選択ができない簡単設定モードとなっている。お手軽設定下では、左画面15Lにレーダースコープ画面が表示され、待受画面としての時計画面が右画面15Rに表示され、ターゲットまでの距離が所定の距離になったときに時計画面の上部にテロップ41が表示される(図43)。このように本例のお手軽設定下では各画面15の表示画面が固定されているが、例えば、2〜3種類の待受画面を選択的に設定できるような中間的な簡単設定モードを追加することも良い。本例のお手軽設定では物足りないが、全ての設定ができるモードは複雑過ぎるといったユーザーニーズに応えることができる。左画面15Lの表示画面はレーダースコープ画面に固定する一方、右画面15Rについては待受画面の選択を可能にしても良い。
なお、本例のレーダー探知機1は、タッチ操作を検出するためのタッチセンサを各操作ボタン24に対応して有しているのに加えて、手かざし操作等を検出するための近接センサを備えている。各操作ボタン24について静電容量式のタッチセンサを採用すると共に、これらタッチセンサを利用して手かざし操作を検出することも良い。この場合には、手かざし操作を待機する状態と、タッチ操作を待機する状態と、で、タッチセンサの検知距離を変更すると良い。例えば、手かざし操作を待機する状態では検知距離を長く設定する一方、手かざし操作の検出後は、検知距離をゼロに近づければ各操作ボタン24に対するタッチ操作を確実性高く検出できる。
各操作ボタン24の点灯を個別に制御できる構成を利用して、次に操作させる操作ボタン24を順次点灯させることで、操作をナビゲートすることも良い。例えば、「2画面警告を設定する」、「警報連動の話速を設定する」といった各種の設定内容を選択可能にリスト表示すると共に、いずれかの設定内容が選択されたときに、その設定を行うための操作すべき操作ボタン24を順番に点灯させることも良い。この場合には、ユーザーは、点灯した操作ボタン24を順番に操作するだけで所望の設定を行うことができる。
本例のレーダー探知機1に地図の表示機能を含めてることも良い。ターゲットアイコンがプロット表示された地図を一方の画面に表示し、他方の画面にそのターゲットアイコンの情報を表示するテロップを表示することも良い。また例えば、縮尺が異なる地図を複数の画面に表示することも良い。広範囲の地図表示は、ターゲットと自車との位置関係を把握するのに好適であり、狭範囲の地図表示は、ターゲットまでの距離を精度高く把握するのに好適である。さらに例えば、実施地点が特定されているターゲットアイコンを一方の画面の地図に表示し、エリアが指定されたターゲットを他の画面の地図に表示することも良い。一般的に、実施地点が特定されたターゲットについてはピンポイントで位置を表示する必要があるので狭範囲の地図へのプロットが適している一方、エリアが指定されたターゲットについてはそのエリア全体を示す必要があるので広範囲の地図表示が適している。
本例のレーダー探知機1は、2つの画面15L、Rを備えているが、画面は1つのみであっても良い。
図66〜図76は、デザインや寸法仕様等が異なる外観的なバリエーションを示す図である。
図66では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、面取りを多用した硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図67では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、左右非対称の硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図68では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、角R(コーナーの面取りR)を大きめにとったプレーンな形状等が、外観上のポイントになっている。
図69では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、面取りを多用した硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図70では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、左右非対称の硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図71では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、軽快感のあるブラック&ホワイトのカラーリング等が、外観上のポイントになっている。
図72では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、面取りを多用した硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図73では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、後付けメーターのイメージを強調したデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図74では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、左右非対称の硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図75では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、角Rを大きめにとったプレーンな形状等が、外観上のポイントになっている。
図76では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、面取りを多用した硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
図77では、デュアル液晶を活かした2画面同時表示、小型液晶の2枚使いだから出来るワイド&ローのフォルム、左右非対称の硬質感のあるデザイン等が、外観上のポイントになっている。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。