JP6526228B2 - ビフェニル化合物の製造 - Google Patents

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Description

発明者:Michael Salciccioli、Jihad M. Dakka、Neeraj Sangar、Lorenzo C. DeCaul、及びAli A. Kheir
優先権
本発明は、2015年3月25日に出願されたUSSN 62/137,996及び2015年6月9日に出願されたEP出願15171178.5に対する優先権及びこれらの出願の利益を主張する。
発明の分野
本開示は、メチル置換ビフェニル化合物、それらの製造及び可塑剤の製造におけるそれらの使用に関する。
発明の背景
可塑剤は、樹脂(通常はプラスチック又はエラストマー)に組み込まれて、樹脂の可撓性、加工性、又は伸展性を高める。可塑剤の最大の用途は、「可塑化」又は可撓性ポリ塩化ビニル(PVC)製品の製造においてである。可塑化PVCの典型的用途としては、フィルム、シート、管類、被覆織物、電線やケーブルの絶縁物及び外被、玩具、フローリング材、例えばビニルシートフローリング又はビニル床タイル、接着剤、シーラント、インク、及び医療用品、例えば血液バッグ及び管類等が挙げられる。
少量の可塑剤を使用する他のポリマー系としては、ポリビニルブチラール、アクリルポリマー、ナイロン、ポリオレフィン、ポリウレタン、及びある一定のフッ素プラスチックがある。可塑剤をゴムと共に使用することもできる(これらの材料は、可塑剤ではなくゴム用増量剤の定義に入ることが多いが)。主要可塑剤及びそれらの様々なポリマー系との適合性のリストは、"Plasticizers," A. D. Godwin, in Applied Polymer Science 21st Century, edited by C. D. Craver and C. E. Carraher, Elsevier (2000); pp.157-175に提供されている。
最も重要な化学的分類の可塑剤は、世界中で2009年のPVC可塑剤使用量の約84%を占めたフタル酸エステルである。しかしながら、特に、製品が食品と接する最終用途、例えばボトルキャップライナー及びシーラント、医療用及び食用フィルムにおいて、又は医療検査用手袋、血液バッグ、及びIV送達システム、可撓性管類、又は玩具等のためには、PVCにおける可塑剤としてのフタル酸エステルの使用を少なくする努力が為されている。結果として、フタル酸対応物と匹敵する経済性を有するために低コスト供給原料から作ることができ、かつ少ない製造工程を利用できる非フタル酸モノエステル又はジエステル可塑剤、特にオキソエステル可塑剤が必要である。
この目的を達成するために、最近推奨されているフタル酸エステルの代替物としては、ビフェニルエステルに基づく可塑剤があった。例えば、米国特許公開第2014/0275609号は、数ある中でも、相当量の3,3’-ジメチル、3,4’-ジメチル及び4,4’-ジメチル異性体を含有するジメチルビフェニル化合物の製造を教示する。該化合物は、トルエン及び/又はキシレンのヒドロアルキル化後、結果として生じる(メチルシクロヘキシル)トルエン及び/又は(ジメチルシクロヘキシル)キシレン生成物の脱水素化によって経済的に製造可能である。やはり米国特許公開2014/0275609号で教示されているように、結果としての混合物を、例えば、メチル置換ビフェニル化合物を酸化して、メチル基の少なくとも1つをカルボン酸基に変換してから、このカルボン酸基をオキソアルコール等のアルコールでエステル化することによって、ビフェニルエステルに基づく可塑剤の生成の前駆体として使用することができる。
この提案されたジメチルビフェニル化合物の合成は、芳香族炭化水素(例えば、とりわけ、ベンゼン、トルエン、及び/又はキシレン)のヒドロアルキル化という第1工程を含み、この工程は、望ましいフェニルシクロヘキサン及び/又はアルキル化フェニルシクロヘキサン中間体のみならず、望ましくないシクロヘキサン及び/又はアルキルシクロヘキサン中間副生物をも生成する。これらの中間体及び中間副生物は、脱水素化されて、それぞれ、(i)望ましいビフェニル及び/又はジアルキルビフェニル生成物(例えば、ジメチルビフェニル)及び(ii)ベンゼン及び/又はアルキル化ベンゼン(例えば、トルエン)を形成し得る。ベンゼン及び/又はアルキル化ベンゼンを分離して、追加のヒドロアルキル化供給原料として利用するために再循環させることによって、商業的に望ましい効率が達成される。
本発明者らは、驚くべきことに、C12以上の炭化水素の非存在下でシクロヘキサン及び/又はアルキルシクロヘキサン中間副生物をさらに別に脱水素化して、追加のヒドロアルキル化供給原料用のベンゼン及び/又はアルキル化ベンゼンを与えることによって、プロセスの効率をさらに向上させ得ることを見い出した。
興味ある追加の参考文献としては、米国特許第6,730,625号及び第6,037,513号;米国特許公開第2014/0275605号、第2014/0275606号、第2014/0275607号、第2014/0323782号;Sinfelt, J. Mol. Cat. A., 163 (2000), at 123;及びSinfelt et al., J. Phys. Chem., 64 (1960), at 1559が挙げられる。
発明の概要
一態様では、本開示は、ビフェニル化合物の製造プロセスに関する。本プロセスは、Cn芳香族炭化水素及び水素を含む供給原料のヒドロアルキル化を含み、nは、6〜12であり得る。供給原料は、C6-C12芳香族炭化水素の混合物を含んでよく、この場合、「Cn芳香族炭化水素」は、供給原料中の最小(最小炭素原子数)のC6-C12芳香族炭化水素を指す。適切なC6-C12芳香族炭化水素には、ベンゼン、C7-C11アルキル置換ベンゼン(例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、及び/又はジエチルベンゼン)、及びC10-C12ナフタレン(例えば、ナフタレン及び/又はメチル、ジメチル、及び/又はエチルナフタレン)がある。
ヒドロアルキル化は、ヒドロアルキル化触媒の存在下、ヒドロアルキル化反応流出物を製造するのに有効な条件下で行なわれる。ヒドロアルキル化は、Cn芳香族炭化水素の一部が部分的に水素化されて、対応するCn環式オレフィン中間体となり、これがその場で次々にCn芳香族炭化水素のさらなる部分と反応して1種以上のC2nシクロアルキル芳香族化合物を形成するような、段階的水素化及びアルキル化を含む。さらに、Cn芳香族炭化水素が完全に水素化されることもある(例えば、トルエンは完全に水素化されてメチルシクロヘキサンになり得る)。従ってヒドロアルキル化流出物は、いずれもの未反応Cn芳香族炭化水素供給原料に加えて、(i)C2nシクロアルキル芳香族化合物及び(ii)Cn飽和環式炭化水素を含む。従ってnが6〜12の範囲である特定態様では、C2nシクロアルキル芳香族化合物はC12-C24化合物である。例えば、供給原料のCn芳香族炭化水素がトルエンである場合、C2nシクロアルキル芳香族化合物は(メチルシクロヘキシル)トルエンである。ヒドロアルキル化供給原料中にCn芳香族炭化水素以外のC6-C12芳香族炭化水素が存在する場合、該C6-C12芳香族炭化水素は同様に、対応するC12-C24シクロアルキル芳香族化合物へのヒドロアルキル化を受ける。
その後、シクロアルキル芳香族化合物と飽和環式炭化水素を両方とも脱水素化される。特に、(i)C2nシクロアルキル芳香族化合物(及びいずれの他のC12-C24シクロアルキル芳香族化合物も)は、望ましい生成物である1種以上のビフェニル化合物に脱水素化され;(ii)Cn飽和環式炭化水素(及びいずれの他のC6-C12飽和環式炭化水素も)は、対応する芳香族炭化水素に脱水素化される。これらは、有利に再循環されて追加のヒドロアルキル化供給原料を与え得る。
ヒドロアルキル化流出物中のシクロアルキル芳香族化合物と飽和環式炭化水素が両方とも脱水素化されるので、便宜上、飽和環式炭化水素からシクロアルキル芳香族化合物を実質的に分離することなく、両種を単一の脱水素化ゾーン内で一緒に、又は複数の脱水素化ゾーンで連続して脱水素化すべきであると考えるであろう。
しかしながら、本発明者らは、直観に反して、飽和環式炭化水素の少なくとも一部は、シクロアルキル芳香族化合物とは別に脱水素化すべきであることを発見した。
理論に縛られることを望むものではないが、高級炭化水素の存在が、驚くべきことに、脱水素化反応におけるCn飽和環式炭化水素の変換率を低減させると考えられる。従って、飽和環式炭化水素から最小のヒドロアルキル化生成物であるシクロアルキル芳香族化合物を分けるように分離を行なうべきである。従って、ヒドロアルキル化供給原料が、C6-C12芳香族炭化水素の中で最小(最小炭素原子数)であるCn芳香族炭化水素を含めたC6-C12芳香族炭化水素を含む場合、(i)Cn芳香族炭化水素に富む軽質ストリーム、及び(ii)C2n(及びより重質の)シクロアルキル芳香族化合物に富む重質ストリームを与えるように、分離を行なうべきである。すなわち、飽和環式炭化水素の脱水素化は、いずれのC2n以上のシクロアルキル芳香族化合物とも別に起こるべきである。
従って、一部の態様のプロセスは、ヒドロアルキル化反応流出物(Cn飽和環式炭化水素、及びC2nシクロアルキル芳香族化合物を含む)の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーンに供給し、その中でC2nシクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部及びCn飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、第1の脱水素化触媒の存在下、(i)C2nビフェニル化合物の混合物;(ii)回収Cn芳香族炭化水素;及び(iii)未反応Cn飽和環式炭化水素を含む第1の脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程をさらに含む。その後、第1の脱水素化反応生成物の少なくとも一部を、(i)C2nビフェニル化合物に富む重質脱水素化ストリーム、及び(ii)回収Cn芳香族炭化水素と未反応Cn飽和環式炭化水素に富み、かつさらにC2nビフェニル化合物が枯渇した軽質脱水素化ストリームに分離する。軽質脱水素化ストリームの少なくとも一部を第2の脱水素化ゾーンに供給し、そこで軽質脱水素化ストリームの前記部分中の未反応Cn飽和環式炭化水素を脱水素化して、追加の回収Cn芳香族炭化水素を得る。回収Cn芳香族炭化水素を再循環させて、追加のヒドロアルキル化供給原料を与えることができる。
これとは別に、他の態様では、本プロセスは、例えば、いずれの脱水素化の前にも、ヒドロアルキル化反応流出物の分離を含んでよい。該態様では、本プロセスは、ヒドロアルキル化反応流出物を、(i)C2nシクロアルキル芳香族化合物に富む重質ヒドロアルキル化流出物、及び(ii)Cn飽和環式炭化水素に富み、かつC2nシクロアルキル芳香族化合物が枯渇した軽質ヒドロアルキル化流出物に分離する工程を含む。本プロセスは、重質ヒドロアルキル化流出物の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーンに供給し、その中でC2nシクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部を、第1の脱水素化触媒の存在下、C2nビフェニル化合物の混合物を含む重質脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程をさらに含む。軽質ヒドロアルキル化流出物を第2の脱水素化ゾーンに供給し、その中でCn飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、第2の脱水素化触媒の存在下、回収Cn芳香族炭化水素を含む軽質脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する。回収Cn芳香族炭化水素を再循環させて、追加のヒドロアルキル化供給原料を与えることができる。
本発明の一部の態様のビフェニル化合物製造プロセスを示す簡略化プロセスフロー図である。 本発明の一部の態様の別のビフェニル化合物製造プロセスを示す簡略化プロセスフロー図である。 実施例2に従うメチルシクロヘキサン(MCH)及び(メチルシクロヘキシル)トルエン(MCHT)の質量毎時空間速度(weight hourly space velocity)(WHSV)に対するMCH及びMCHT転化率のグラフである。 実施例3に従うMCHの脱水素化における流通時間(time on stream)(TOS)に対するMCH転化率のグラフである。 実施例3に従うMCHTの脱水素化における流通時間(TOS)に対するMCHT転化率のグラフである。 実施例4に従うMCHの脱水素化における流通時間(TOS)に対するMCH転化率のグラフである。 実施例5に従うトルエンの存在下でのMCHの脱水素化における流通時間(TOS)に対するMCH転化率のグラフである。
実施形態の詳細な説明
本開示は、Cn芳香族炭化水素、例えばC6-C12芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等)の触媒的ヒドロアルキル化によるビフェニル化合物の製造に関する。ヒドロアルキル化反応に利用する触媒に応じて、ヒドロアルキル化プロセスは、ヒドロアルキル化プロセスへの芳香族炭化水素供給原料によって決まる望ましいC2nシクロアルキル芳香族化合物の生成に選択的であり、望ましいC2nシクロアルキル芳香族化合物としては、種々のC12-C24シクロアルキル芳香族化合物(例えば、フェニルシクロヘキサン(シクロヘキシルベンゼンとしても知られる)、(メチルシクロヘキシル)トルエン、(ジメチルシクロヘキシル)キシレン、(エチルシクロヘキシル)エチルベンゼン、及び(ジエチルシクロヘキシル)ジエチルベンゼンのいずれか1種以上が挙げられる。それにもかかわらず、Cn(例えば、供給原料中に存在する芳香族炭化水素によっても決まるシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、及び/又はジエチルシクロヘキサン等のC6-C12飽和環式炭化水素)等の副生物として完全飽和環も生成されることになる。望ましいC2nシクロアルキル芳香族化合物は脱水素化されて、ビフェニル、及び/又はメチル置換、エチル置換若しくは他のアルキル置換ビフェニル化合物等のビフェニル化合物の混合物を形成する。一部の実施形態によれば、ビフェニル化合物の混合物はジメチルビフェニル(例えば、C7芳香族炭化水素トルエンがヒドロアルキル化供給原料中に存在する場合)を含む。脱水素化反応の該ジメチルビフェニル生成物は、相当量の3,3’-ジメチル、3,4’-ジメチル及び4,4’-ジメチル化合物を含有し、ビフェニルエステルに基づく可塑剤の生成において該実施形態の生成物を魅力的な前駆体にする。
副生物Cn飽和環式炭化水素は、有利に脱水素化もされてCn芳香族炭化水素を回収し、これは、再循環されて追加のヒドロアルキル化供給原料を与えることができる。この追加の脱水素化をC2nシクロアルキル芳香族化合物の脱水素化と一緒に行なうことができる(かつ便宜上望ましいとみなされるであろう)。しかしながら、本発明者らは、Cn芳香族炭化水素供給原料のヒドロアルキル化に起因するC2n以上のシクロアルキル芳香族化合物とは別にCn飽和環式炭化水素の脱水素化を行なうことによって、Cn飽和環式炭化水素のCn芳香族炭化水素への変換率の実質的改善が実現されることを発見した。
定義
本明細書で使用する場合、周期表の族の付番規定は、Chemical and Engineering News, 63(5), 27 (1985)に開示されている通りである。
本明細書で使用する場合、「Cx炭化水素」(xは整数である)は、X個の炭素原子を有する炭化水素化合物を指す。従って、C6炭化水素は、6個の炭素原子を有する炭化水素である。「Cx-Cy炭化水素」は、x〜y個の炭素原子を有する炭化水素であり(例えば、C6-C10炭化水素は、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する炭化水素であり);「Cx以上の」炭化水素は、x個以上の炭素原子を有する炭化水素であり;「Cx超の炭化水素」は、x個超の炭素原子を有する炭化水素である。同様に、「Cx以下の」炭化水素は、x個以下の炭素原子を有する炭化水素であり、「Cx未満の」炭化水素は、x個未満の炭素原子を有する炭化水素である。
本明細書ではある種の論点で、種々の「Cn」化合物に言及する。このような場合、特に指定のない限り、nは、6〜12の範囲の両端を含めた整数であり得る。従って、これらのラインに沿って、「C2n」炭化水素は、Cn炭化水素を基準にして、2*n個の炭素原子を有する炭化水素であり、「C3n」炭化水素は、同様に3*n個の炭素原子を有する炭化水素である。例えば、Cn炭化水素をC7炭化水素(例えば、トルエン)として与える場合、C2n炭化水素は、C14炭化水素となる。複数種のC6-C12炭化水素の混合物を指す場合、Cn炭化水素は、当該C6-C12炭化水素の間で最小(最小炭素原子数)となる(従って、混合物を例えば、Cn-C12炭化水素の混合物と呼ぶことができる)。同様に、C12-C24炭化水素の混合物を指す場合、C2n炭化水素は、当該C12-C24炭化水素の間で最小(最小炭素原子数)となる。従って、関連して、Cn+1炭化水素は、Cn炭化水素より1個多くの炭素原子を有する炭化水素を指す(結果として、Cn-C12混合物は、Cn炭化水素及び1種以上のCn+1-C12炭化水素を含み得る)。
「芳香族炭化水素」は、芳香環化合物を含有する炭化水素であり、アルキル置換芳香環化合物を含む。例えば、C6芳香族炭化水素は、6個の炭素原子を有する芳香環含有炭化水素、例えばベンゼンである。同様に、C7芳香族炭化水素は、芳香環を含有し、7個の炭素原子を有する炭化水素化合物、例えばトルエンを指す。従って、例えば、「C6-C12芳香族炭化水素」は、6〜12個の炭素原子を有し、芳香環を含有する炭化水素である。該炭化水素としては、必ずしも限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチルプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、及びアルキルナフタレンが挙げられる。
同様のラインに沿って、「飽和環式炭化水素」は、炭素環部分を含有する飽和炭化水素である。従って、シクロヘキサンは、C6飽和環式炭化水素の例である。同様に、メチルシクロヘキサンは、C7飽和環式炭化水素の例であり、(ジメチル)シクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンは両方ともC8飽和環式炭化水素の例である。
同様に、「C12-C20シクロアルキル芳香族化合物」は、フェニルシクロヘキサン(C12炭化水素、シクロヘキシルベンゼンとしても知られる)及びフェニル又はシクロヘキサン部分のどちらかに1個以上の水素の代わりに置換部分を含有するC13-C24置換フェニルシクロヘキサンのいずれをも表し得る。特に企図するC13-C24置換フェニルシクロヘキサンとしては、アルキル置換フェニルシクロヘキサン(すなわち、1個以上の水素の代わりに置換された1つ以上のアルキル基を含有するもの、例えば(メチルシクロヘキシル)トルエン、(ジメチルシクロヘキシル)キシレン等)が挙げられる。本明細書で使用する場合、「アルキル置換」は、炭化水素中の1個以上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル部分と置き換わることを意味する。特定の実施形態では、アルキル置換は1〜10個の炭素原子を有することがあり、ある一定の実施形態では、1〜5個の炭素原子を有する。ナフチル及び/又はデカリン部分を含むC16-C24シクロアルキル芳香族化合物、例えばシクロヘキシルナフタレン(ナフチル部分を含むC16置換シクロアルキル芳香族化合物)、及び/又はナフチルデカリン(ナフチル部分とデカリン部分を両方含むC20シクロアルキル芳香族化合物)をも企図する。該縮合環構造のどちらか又は両方の環がさらにアルキル置換を含有してもよい。
本明細書で使用する場合、「ビフェニル化合物」は、ビフェニル及び/又は置換ビフェニルを指す。従って、C12-C24ビフェニル化合物は、12〜24個の炭素原子を有するビフェニル又は置換ビフェニル化合物である。特にアルキル置換ビフェニルを企図し、その例としては、ビフェニル、ジメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、テトラメチルビフェニル、テトラエチルビフェニル等が挙げられる。さらに、上記シクロアルキル芳香族化合物と同様に、この定義内には、ビナフチル又はアルキル置換ビナフチル化合物の場合のように、どちらか又は両方のフェニル環が縮合フェニル環で置換されているビフェニル化合物も企図される。
Cn芳香族炭化水素のヒドロアルキル化
ヒドロアルキル化は、芳香族化合物を部分的に水素化して環式オレフィン中間体を生成し、次にこれが、その場で、芳香族化合物と反応してシクロアルキル芳香族生成物を生成する二段階触媒反応である。本プロセスでは、芳香族化合物は、Cn芳香族炭化水素(好ましくはC6-C12芳香族炭化水素)を含み、シクロアルキル芳香族生成物は、1種以上のC2n(好ましくはC12-C24)シクロアルキル芳香族化合物を含む。
一部の実施形態では、Cn芳香族炭化水素は、ベンゼン、C7-C11アルキルベンゼン、又はC10-C12ナフタレン若しくはアルキル置換ナフタレン等のC6-C12芳香族炭化水素である。ある一定の実施形態では、C7-C11アルキルベンゼンは、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、及びジエチルベンゼンから成る群より選択され、ある一定の実施形態では、トルエン及び/又はキシレンが特に好ましい。特定実施形態では、ヒドロアルキル化供給原料中のCn芳香族炭化水素はトルエン又はキシレンである。一部の実施形態では、ヒドロアルキル化供給原料は、複数種の芳香族炭化水素(例えば、トルエンとキシレンの混合物)を含み得る。このような場合、先に述べたように、「Cn芳香族炭化水素」は、最小(最小炭素原子数)の芳香族炭化水素を指す。従って、トルエンとキシレンが供給原料中に存在する場合に与えられる例では、n=7である(トルエンに相当する)。従って、一部の実施形態のヒドロアルキル化供給原料は、1種以上のCn-C12芳香族炭化水素を含むことができ、nは、6〜12の範囲であり、かつヒドロアルキル化供給原料中の芳香族炭化水素の最小種である。
さらに、当然のことながら、ヒドロアルキル化供給原料がC6芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)を含む一部の好ましい実施形態では、ヒドロアルキル化供給原料がC12芳香族炭化水素(例えば、アルキルナフタレン等)を含有しないことが好ましい。これは、該C12芳香族炭化水素は、C6芳香族炭化水素のヒドロアルキル化から生じることになるC12シクロアルキル芳香族化合物から通常の手段(例えば、分留)で分離するのが困難だからである。さらに、本明細書のどこかで論じたように、Cn芳香族炭化水素は、ヒドロアルキル化中に副生物Cn飽和環式炭化水素副生物を形成することになり、これは、少なくとも一部はいずれのC2n化合物からも別に脱水素化すべきである。当然に、n=6の場合、これはC12化合物とは別の脱水素化を意味する。従って、C6環式炭化水素副生物と共にC12環式炭化水素副生物に変換されるいずれのC12芳香族炭化水素も、さらなる脱水素化及び再循環のために、分離のC6留分に保持されないことになる。従って、該C12副生物は再循環用の回収が極めて困難となる。
Cn芳香族炭化水素は、トルエン(C7芳香族炭化水素)供給原料の例について以下に図解する全体的反応スキームに示すように、上記段階的水素化及びアルキル化プロセスによってヒドロアルキル化して望ましい対応C2n種となる。
Figure 0006526228
従って、Cn-C12芳香族炭化水素の混合物がヒドロアルキル化供給原料中に存在する場合、nが6〜12の範囲である場合には、ヒドロアルキル化反応供給原料中に対応C2n-C24シクロアルキル芳香族化合物の混合物が形成されることになる。
種々の反応も芳香族炭化水素のヒドロアルキル化と競合する。競合反応の間で、上記環式オレフィン中間体及び/又はシクロアルキル芳香族生成物のさらなる水素化が、完全飽和環、例えば1種以上のC6-C12飽和環式炭化水素を生成する。この場合のやはりヒドロアルキル化供給原料としてのトルエンの例に戻ると、さらなる水素化は、メチルシクロヘキサン(C7飽和環式炭化水素)及びジメチルビシクロヘキサン化合物を生成し得る。これらの副生物は、脱水素化経由で変換して供給原料(例えば、トルエン)及び生成物(例えば、(メチルシクロヘキシル)トルエン及びジメチルビフェニル)に戻せるが、これは、高い転化率を得るために高温(>375℃)を必要とする吸熱反応を伴う。これは、反応を高コストにするのみならず、さらなる副生物形成、ひいては収率低減にもつながり得る。従って、完全飽和環の生成に対して低い選択性を示すヒドロアルキル化触媒を利用することが望ましい。
別の競合反応は、望ましいシクロアルキル芳香族化合物生成物のジアルキル化である。この場合もやはり、トルエンヒドロアルキル化の例((メチルシクロヘキシル)トルエンが生成される)に戻すと、(メチルシクロヘキシル)トルエン生成物は、さらなるメチルシクロヘキサンと反応してジ(メチルシクロヘキシル)トルエンを生成する。やはりこの場合はトランスアルキル化によって、この副生物を変換して(メチルシクロヘキシル)トルエンに戻すことができる。しかしながら、このプロセスは、160℃超の温度で酸触媒を使用する必要があり、ジ(メチルシクロペンチル)トルエン、シクロヘキシルキシレン及びシクロヘキシルベンゼン等の追加の副生物の生成につながり得る。従って、ジ(メチルシクロヘキシル)トルエンその他の重質副生物に対して低い選択性を示すヒドロアルキル化触媒を利用することが望ましい。
芳香族炭化水素及び水素に加えて、ヒドロアルキル化条件下で実質的に不活性である希釈剤をヒドロアルキル化反応の供給原料に含めてよい。ある一定の実施形態では、希釈剤は、望ましいシクロアルキル芳香族生成物が可溶性である炭化水素、例えば直鎖パラフィン系炭化水素、分岐鎖パラフィン系炭化水素、及び/又は環式パラフィン系炭化水素である。適切な希釈剤の例は、デカン及びシクロヘキサンである。希釈剤の量を狭く規定するものではないが、希釈剤対芳香族化合物の質量比が少なくとも1:100、例えば少なくとも1:10であるが、10:1を超えない、望ましくは4:1を超えないような量で希釈剤を添加するのが望ましい。
ヒドロアルキル化反応は、固定床、スラリー反応器、及び/又は触媒蒸留塔を含めた種々多様の反応器配置で行なうことができる。さらに、ヒドロアルキル化反応は、少なくとも水素を段階的に導入する単一反応ゾーン又は複数反応ゾーン内で行なうことができる。適切な反応温度は、約100℃〜約400℃、例えば約125℃〜約250℃であり、適切な反応圧力は、約100〜約7,000kPa、例えば約500〜約5,000kPaである。水素対芳香族供給原料のモル比は、典型的に約0.15:1〜約15:1である。
ヒドロアルキル化反応に利用する触媒は、水素化成分(例えば、元素周期表の10族から選択される水素化金属、特にパラジウムが有利である)及び固体酸アルキル化成分、典型的に分子ふるいを含む二元機能触媒である。触媒は、粘土、シリカ及び/又は金属酸化物等のバインダーを含んでもよい。一般に、適切なヒドロアルキル化触媒としては、参照することによりその内容をここに援用するWIPO公開第2014/159104号(2014年10月2日公開、国際出願日2014年3月7日)の段落[0025]〜[0029]に記載のものが挙げられる。
その中に記載されているように、特に好ましいヒドロアルキル化触媒は、MCM-22ファミリーの分子ふるいを含む。MCM-22ファミリーの分子ふるいは、一般的に12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07及び3.42±0.07Åに面間隔(d-spacing)最大値を含むX線回折パターンを有する。材料の特徴づけに用いるX線回折データは、標準技術により、入射線として銅のKαダブレットを用い、収集システムとしてシンチレーションカウンター及び付随コンピューターを備えた回折計を用いて得られる。MCM-22ファミリーの分子ふるいとしては、MCM-22(US 4,954,325に記載)、PSH-3(US 4,439,409に記載)、SSZ-25(US 4,826,667に記載)、ERB-1(EP 0 293 032に記載)、ITQ-1(US 6,077,498に記載)、ITQ-2(WO 97/17290に記載)、MCM-36(US 5,250,277に記載)、MCM-49(US 5,236,575に記載)、MCM-56(US 5,362,697に記載)及びその混合物が挙げられる。
MCM-22ファミリーの分子ふるいは、トルエン又はキシレンのヒドロアルキル化に特に活性かつ安定な触媒である。さらに、MCM-22ファミリーの分子ふるいを含有する触媒は、ヒドロアルキル化生成物において3,3’-ジメチル、3,4’-ジメチル、4,3’-ジメチル及び4,4’-ジメチル異性体への改善された選択性を示すと同時に完全飽和及び重質副生物の形成を減少させる。例えば、MCM-22ファミリーの分子ふるいをトルエン供給原料と共に使用すると、ヒドロアルキル化反応流出物が下記を含み得ることが分かる:
・全ての(メチルシクロヘキシル)トルエン異性体の総質量に基づいて、少なくとも60wt%、例えば少なくとも70wt%、例えば少なくとも80wt%の、(メチルシクロヘキシル)トルエンの3,3、3,4、4,3及び4,4-異性体;
・30wt%未満のメチルシクロヘキサン及び5wt%未満のジメチルビシクロヘキサン化合物;及び
・3wt%未満の、14個を超える炭素原子を含有する化合物。
同様に、キシレン供給原料と共に用いると、ヒドロアルキル化反応流出物は、16個を超える炭素原子を含有する化合物を3wt%未満含み得る。同様に、ジエチルベンゼン供給原料と共に用いると、ヒドロアルキル化反応流出物は、20個を超える炭素原子を含有する化合物を3wt%未満含み得る。
例として、(メチルシクロヘキシル)トルエンの3,3、3,4、4,3及び4,4-異性体は、それぞれ、下記式F1〜F4で示される。
Figure 0006526228
対照的に、メチル基がシクロヘキシル環の1位(四級炭素)にあるときには、環異性化が起こって(ジメチルシクロペンチル)トルエン及び(エチルシクロペンチル)トルエンを形成する可能性があり、これは脱水素化により、ジエン副生物を生じさせることになり、これは望ましい生成物からの分離が困難であり、その後の酸化反応を阻害することにもなる。酸化及びエステル化工程では、異なる異性体は異なる反応性を有する。従って、パラ異性体はメタ異性体より反応性が高く、メタ異性体はオルト異性体より反応性が高い。脱水素化工程でも、シクロヘキシル又はフェニル環のどちらかの2位のメチル基の存在は、フルオレン及びメチルフルオレンの形成の前兆である。フルオレンは、ジメチルビフェニル生成物から分離するのが困難であり、酸化工程で問題を引き越し、ビフェニル化合物から形成された可塑剤の性能にも問題をもたらす。従って、オルト位、2位、及びベンジル位にメチル基を有する異性体の形成を最小限にすることが有利である。
ヒドロアルキル化反応流出物の脱水素化
Cn芳香族炭化水素を含むヒドロアルキル化供給原料を使用する一部の実施形態のプロセスでは、ヒドロアルキル化反応流出物の主成分は、(i)ヒドロアルキル化供給原料からの未反応Cn芳香族炭化水素(例えば、トルエン又はキシレン);(ii)Cn飽和環式炭化水素副生物(例えば、メチルシクロヘキサン又はジメチルシクロヘキサン);(iii)望ましいC2nシクロアルキル芳香族生成物(例えば、(メチルシクロヘキシル)トルエン又は(ジメチルシクロヘキシル)キシレン;及び(iv)いくつかのジアルキル化C3n以上の炭化水素を含む。ジアルキル化C3n以上の炭化水素の独自性は、少なくとも一部は、供給原料中に存在する芳香族炭化水素によって決まることになる。例えば、ベンゼン(n=6の場合のCn芳香族炭化水素)は、いくつかのC18(すなわち、C3n)ジアルキル化種(ジシクロヘキシルベンゼン)の生成をもたらし、トルエン(C7)は、いくつかのC21ジアルキル化種(ジ(メチルシクロヘキシル)トルエン)の生成をもたらすことになる等である。これらの種は、ヒドロアルキル化反応のアルキル化部分を2回受けた(例えば、ベンゼン、トルエン等が、環式アルカンで2回アルキル化された)ので、「ジアルキル化」と分類される。
先に述べたように、ヒドロアルキル化供給原料が複数種のCn-C12芳香族炭化水素の混合物を含み得ることをも企図する。言い換えれば、供給原料は、Cn芳香族炭化水素に加えて、1種以上のCn+1-C12芳香族炭化水素をさらに含み得る。このような場合には、シクロアルキル化生成物は、供給原料中の種に対応するC2n+1-C24シクロアルキル化化合物をさらに含むことになる。同様に、飽和環式炭化水素副生物は、供給原料中の芳香族種に対応するCn+1-C12飽和環式炭化水素をさらに含むことになる。
C2nシクロアルキル芳香族化合物とCn飽和環式炭化水素副生物を両方とも脱水素化し、その結果、脱水素化シクロアルキル芳香族化合物が望ましいビフェニル化合物を形成し、かつ脱水素化飽和環式炭化水素が追加の芳香族炭化水素を形成し、これらがいずれの未反応芳香族炭化水素とも一緒に再循環されて、追加のヒドロアルキル化供給原料を与え得ることが望ましい。従って、本プロセスは、ヒドロアルキル化後に、ヒドロアルキル化反応流出物からジアルキル化C3n以上の炭化水素を分離し、脱水素化すべき化合物(シクロアルキル芳香族化合物及び飽和環式炭化水素)及びヒドロアルキル化反応に再循環させるべき未反応芳香族炭化水素だけを残す工程をさらに含み得る。
現時点では、シクロアルキル芳香族化合物と飽和環式炭化水素を両方とも脱水素化するのが望ましいにもかかわらず、C2nシクロアルキル芳香族化合物を含めたC2n以上の炭化水素とは別に、又はそれらの実質的な非存在下で、Cn飽和環式炭化水素の少なくとも1つの脱水素化を行なうのが有利である。従って、ある一定の実施形態のプロセスは、Cn飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、約5wt%未満、さらに好ましくは約1wt%未満、なおさらに好ましくは約0.1wt%未満、最も好ましくは0.01wt%未満のC2n以上の炭化水素(nは、6〜12の整数である)の存在下で脱水素化する工程を含む。特定実施形態は、Cn環式炭化水素の少なくとも一部を、ヒドロアルキル化反応流出物からの約5wt%未満、さらに好ましくは約1wt%未満、なおさらに好ましくは約0.1wt%未満、最も好ましくは約0.01wt%未満のC2n以上の(例えばC2n-C24)シクロアルキル芳香族化合物及び/又はC3n以上のジアルキル化炭化水素の存在下で脱水素化する工程を含む。それによって飽和環式炭化水素の脱水素化における変換率が実質的に改善される。1種以上のCn+1-C12環式炭化水素をも脱水素化する必要がある場合、好ましくはCn+1-C12環式炭化水素の少なくとも一部も、約5wt%未満、さらに好ましくは約1wt%未満、なおさらに好ましくは約0.1wt%未満、最も好ましくは約0.01wt%未満のC2n以上の化合物の存在下で脱水素化される。当然のことながら、n=6の場合、C2n以上の化合物とは別に脱水素化するのが好ましいCn+1-C12環式炭化水素の部分はCn+1-C11環式炭化水素だけを含むことになる。
従って、一部の実施形態のプロセスは、(i)両成分(Cn飽和環式炭化水素及びC2nシクロアルキル芳香族化合物)を含むヒドロアルキル化流出物の少なくとも一部の脱水素化;及び(ii)それに続く約5wt%未満(さらに好ましくは約1wt%未満、なおさらに好ましくは約0.1wt%及び0.01wt%のいずれか1つ未満)のC2n以上の炭化水素(例えば、シクロアルキル芳香族化合物)(nは、6〜12の整数である)の存在下におけるCn飽和環式炭化水素の少なくとも一部の脱水素化を含む。特定の実施形態では、nは7(例えば、トルエン供給原料について)又は8(例えば、キシレン供給原料について)である。該プロセスについては、図1の簡略化プロセスフロー図に示してある。
これとは別に、他の実施形態のプロセスは、(i)まず最初にCn飽和環式炭化水素をC2n以上の炭化水素(C2nシクロアルキル芳香族化合物を含めて)から分離してから、(ii)Cn飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、約5wt%未満(さらに好ましくは約1wt%未満、なおさらに好ましくは約0.1wt%及び0.01wt%のいずれか1つ未満)のC2n以上の炭化水素(シクロアルキル芳香族化合物を含めて)の存在下で脱水素化する工程を含む。追加の脱水素化反応でC2nシクロアルキル芳香族化合物を脱水素化してもよい。該プロセスについては、図2の簡略化プロセスフロー図に示してある。図1の実施形態と同様に、図2の実施形態においてnは6〜12の整数である。ある一定のこれらの実施形態では、nは7(例えば、最小C6-C12芳香族炭化水素としてトルエンを含むヒドロアルキル化供給原料について)又は8(例えば、最小C6-C12芳香族炭化水素としてキシレンを含むヒドロアルキル化供給原料について)である。
図1のプロセス及び図2のプロセスのそれぞれについて以下にさらに詳細に論じる。
まず最初に、図1のいくつかの実施形態のプロセスは、ヒドロアルキル化反応流出物(プロセスストリーム101に示す)の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーン105に供給して第1の脱水素化反応流出物(プロセスストリーム102に示す)を得る工程を含む。望ましい反応は以下の通りである:(i)C2n-C24シクロアルキル芳香族化合物の対応ビフェニル化合物への脱水素化、及び(ii)Cn-C12飽和環式炭化水素の対応Cn-C12芳香族炭化水素への脱水素化(nは、6〜12の整数、例えば、特定実施形態では7又は8である)。しかしながら、C2n以上の炭化水素(例えば、C2nシクロアルキル芳香族化合物)の存在下でのCn飽和環式炭化水素の脱水素化は不完全となるので、プロセスストリーム102中の第1の脱水素化反応流出物は、(i)C2nビフェニル化合物;(ii)Cn芳香族炭化水素;及び(iii)未反応Cn飽和環式炭化水素を含む。一部の実施形態では、第1の脱水素化反応流出物がさらに(iv)未反応C2nシクロアルキル芳香族化合物を含むこともある。
C2n以上の化合物(C2nビフェニル化合物、及びいずれの未反応C2nシクロアルキル芳香族化合物をも含めて)は、第1の脱水素化反応流出物から、例えば、分留によって分離される。特に、第1の脱水素化反応流出物は、C2n化合物(必ずしも限定するものではないが、C2nビフェニル化合物及びいずれの未反応C2nシクロアルキル芳香族化合物をも含めて)に富む重質脱水素化流出物と、(a)Cn飽和環式炭化水素及び(b)Cn芳香族炭化水素に富む軽質脱水素化流出物とに分離される(nは、6〜12の整数(例えば、特定実施形態では7又は8)である)。軽質脱水素化流出物は、当てはまる場合、さらに1種以上のCn+1-C12飽和環式炭化水素及び/又は芳香族炭化水素を含むことがある(n=6の場合を除いて、この場合は軽質脱水素化流出物はさらに1種以上のCn+1-C11飽和環式炭化水素及び/又は芳香族炭化水素を含み得る)。同様に、重質脱水素化流出物は、1種以上のC2n+2-C24シクロアルキル芳香族化合物を含むことがある。本明細書でプロセスストリーム中の流出物、生成物、又は他の同様の混合物が、1つ以上の特定種に「富む」、又は1つ以上の特定種で「濃縮されている」と記載されているとき、当該ストリーム中の各種のwt%が、分離前の供給原料に対して高いことを意味する。他方で、1つ以上の特定種が「枯渇」しているとストリームが記載されているときは、当該ストリーム中の各特定種のwt%が、分離前に比べて減少していることを意味する。従って、分離後ストリームは、当該ストリーム中のCn飽和環式炭化水素及びCn芳香族炭化水素のそれぞれのwt%が、分離前の対応ストリーム中の各種のwt%に比べて濃縮されている(高い)ときに、「Cn飽和環式炭化水素及びCn芳香族炭化水素に富む」。
例えば、図1は、下部プロセスストリーム112が重質脱水素化流出物を運び去り、上部プロセスストリーム111が軽質脱水素化流出物を運び去るような、蒸留塔110における該分離を示す。
重質脱水素化流出物のC2nビフェニル化合物は、さらに詳細に後述するように、ビフェニルエステル可塑剤を形成する際に使用可能である。任意に、重質脱水素化流出物にさらなる分離及び/又は他の処理を施して、少なくとも90wt%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも99wt%のビフェニル化合物を含む生成物を得ることができる。任意に、重質脱水素化流出物の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーンに(例えば、もしあれば、重質脱水素化流出物中に存在する未反応シクロアルキル芳香族化合物を脱水素化するために)再循環させてよい。
特定実施形態では、軽質脱水素化流出物は、約5wt%未満、好ましくは約1wt%未満、さらに好ましくは約0.5wt%未満、なおさらに好ましくは約0.1wt%未満、最も好ましくは約0.01wt%未満のC2n以上の炭化水素(例えば、C2nシクロアルキル芳香族化合物及び/又はC2nビフェニル化合物を含めて)を含む。換言すると、好ましくは、第1の脱水素化流出物の分離は、C2n以上の炭化水素が下部留分に回収され、軽質留分には実質的に存在しないように行なわれる。分離の厳密な条件は、少なくとも一部は第1の脱水素化流出物中に存在する種によって決まることになる。例えば、初期ヒドロアルキル化に供給されるCn芳香族炭化水素はトルエン(C7)を含む場合、C14シクロアルキル芳香族化合物(例えば、(メチルシクロヘキシル)トルエン)及びC14ビフェニル化合物(例えば、ジメチルビフェニル)は、それぞれ、ヒドロアルキル化及び脱水素化から形成されると同時に、未反応トルエン及び脱水素化未反応トルエン(すなわち、C7飽和環式炭化水素であるメチルシクロヘキサン)も第1の脱水素化流出物中に存在することになる。従って、重質脱水素化流出物のC14(及び、当てはまる場合はそれより大きい)化合物、及び軽質脱水素化流出物のC7化合物(さらに、存在する場合は、いずれのC8-C12化合物をも、例えばいずれの未反応C8-C12芳香族炭化水素及び/又は飽和環式炭化水素をも含み得る)を除去するように、該分離を行なうことになるであろう。当業者は、適切な分離条件、例えば、2セットの種Cn及びC2nを、それらの十分に異なる揮発性を前提として、分離するのに適した蒸留圧力及び温度を容易に認識するであろう。
軽質脱水素化流出物に、第1の脱水素化ゾーン105とは別の第2の脱水素化ゾーン120内で第2の脱水素化反応を施して、プロセスストリーム121に去る第2の脱水素化流出物を与える。第2の脱水素化反応では、Cn飽和環式炭化水素の少なくとも一部を対応Cn芳香族炭化水素に脱水素化する(例えば、メチルシクロヘキサンをトルエンに脱水素化することになる)。一部の実施形態では、軽質脱水素化流出物のCn飽和環式炭化水素の少なくとも約90wt%、好ましくは95wt%、さらに好ましくは99wt%、最も好ましくは99.9wt%を第2の脱水素化ゾーン120の単一パスで脱水素化する。次に、一部の実施形態では、結果として生じる第2の脱水素化流出物(プロセスストリーム121に示す)は、1wt%未満(例えば、0.5wt%、0.1wt%、及び0.01wt%のいずれか1つ未満)のCn飽和環式炭化水素を含み得る。さらに、ある一定の実施形態では、第2の脱水素化流出物は、約80wt%超、好ましくは約90wt%超、さらに好ましくは95wt%超、最も好ましくは約99wt%超のCn芳香族炭化水素を含む。第2の脱水素化生成物を任意に再循環させて、追加の芳香族炭化水素をヒドロアルキル化供給原料に与えてよい(図1には示さず)。
任意に、第2の脱水素化生成物をヒドロアルキル化供給原料と混ぜ合わせる前に精製してよい。該精製のためにいずれの適切な分離技術をも、例えば分留、濾過、吸着、吸収等を使用し得る。
しかしながら、いくつかの特に有利な実施形態では、本明細書に規定されているように、C2n種とは別のCn飽和環式炭化水素の脱水素化は、変換を非常に高く促進し、該脱水素化生成物を再循環させてヒドロアルキル化供給原料として戻す前にこのような別々の脱水素化後の蒸留(又は他の同様の精製)は必要ないことがある。例えば、MCHの場合、MCHが、ヒドロアルキル化反応器用の再循環ストリームサイズを構築しないか、又はそれに干渉しないか、又は実質的にそれを増やさないことになるように、このような別の脱水素化から出てくるときにMCH濃度が十分低いことがある。これは、有利に、再循環芳香族供給原料(例えば、トルエン)から未反応飽和環式炭化水素(例えば、MCH)を分離する必要性を回避することができる。
それでもさらなる実施形態では、第2の脱水素化生成物の精製(例えば、分留)を行なってよいが、該精製は、Cn飽和環式炭化水素をその対応Cn芳香族炭化水素から分離する(例えば、同例を用いてMCHをトルエンから分離する)のに必要とされるより厳しくない条件で操作可能である。
上述したように、図2は、他の実施形態のプロセスの簡略説明図を提供する。特に、該プロセスは、ヒドロアルキル化反応流出物(プロセスストリーム201に示す)を(i)C2n以上の炭化水素(ヒドロアルキル化反応流出物からのC2nシクロアルキル芳香族化合物を含めて)に富む重質ヒドロアルキル化流出物、及び(ii)ヒドロアルキル化反応流出物からのCn飽和環式炭化水素に富む軽質ヒドロアルキル化流出物に分離する(nは、6〜12の整数、例えば特定実施形態では7又は8である)。軽質ヒドロアルキル化流出物は、当てはまる場合、さらに1種以上のCn+1-C12飽和環式炭化水素を含み得る(又は、n=6の場合、さらに1種以上のCn+1-C11飽和環式炭化水素を含み得る)。同様に、重質ヒドロアルキル化流出物は、当てはまる場合、さらに1種以上のC2n+2-C24シクロアルキル芳香族化合物を含み得る。
分離は、いずれの適切な手段によっても、例えば分留により達成可能である。例えば、図2において、プロセスストリーム201中のヒドロアルキル化流出物が蒸留塔210に供給され、下部プロセスストリーム212が重質ヒドロアルキル化流出物を運び去り、上部プロセスストリーム211が軽質ヒドロアルキル化流出物を運び去る。一部の実施形態では、軽質ヒドロアルキル化流出物は、約5wt%未満、好ましくは約1wt%未満、さらに好ましくは約0.5wt%未満、なおさらに好ましくは約0.1wt%未満、最も好ましくは約0.01wt%未満のC2n以上の炭化水素(例えば、C2nシクロアルキル芳香族化合物)を含む。
本プロセスは、重質ヒドロアルキル化流出物の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーンに供給し、軽質ヒドロアルキル化流出物の少なくとも一部を、第1の脱水素化ゾーンとは別の第2の脱水素化ゾーンに供給する工程をさらに含む。図2に示すように、重質ヒドロアルキル化流出物は、下部プロセスストリーム212を経て第1の脱水素化ゾーン205に供給され、軽質ヒドロアルキル化流出物は、上部プロセスストリーム211を経て第2の脱水素化ゾーン220に供給される。
重質ヒドロアルキル化反応流出物の少なくとも一部は、第1の脱水素化反応ゾーン205内で脱水素化され、図2のプロセスストリーム207に示すC12-C20ビフェニル化合物の混合物を含む重質脱水素化反応生成物を与える。ビフェニル化合物は、後述するように、ビフェニルエステル可塑剤を形成する際に役立ち得る。重質脱水素化反応生成物は、さらに未反応C2nシクロアルキル芳香族化合物を含み得る。従って、重質脱水素化反応生成物の少なくとも一部を任意に第1の脱水素化ゾーンに再循環させて、第1の脱水素化反応用の追加のシクロアルキル芳香族化合物を与ることができる(図2には示さず)。
同様に、軽質ヒドロアルキル化反応流出物の少なくとも一部は、第2の脱水素化反応ゾーン220内で脱水素化され、図2のプロセスストリーム221に示す回収されたCn芳香族炭化水素(例えば、トルエン及び/又はキシレン)を含む軽質脱水素化反応生成物を与える。軽質脱水素化反応生成物は、回収されたCn+1-C12回収炭化水素(又は、n=6の場合、回収されたCn+1-C11回収炭化水素)をさらに含み得る。回収された芳香族炭化水素の少なくとも一部を再循環させて追加のヒドロアルキル化供給原料を与えることができる(図2には示さず)。第2の脱水素化ゾーン内の軽質ヒドロアルキル化反応流出物の脱水素化では、軽質ヒドロアルキル化反応流出物のCn飽和環式炭化水素の少なくとも約90wt%、好ましくは95wt%、さらに好ましくは99wt%、最も好ましくは99.9,wt%が脱水素化される。従って、プロセスストリーム221中の軽質脱水素化反応生成物は、1wt%未満、好ましくは0.5wt%未満、さらに好ましくは0.1wt%未満のCn飽和環式炭化水素を含み得る。
さらに、一部の実施形態では、図1のプロセスの第2の脱水素化生成物に関して上述したいずれの方法によっても軽質脱水素化反応生成物をさらに精製し得る。或いは、この場合もやはり図1のプロセスに関して上述したように、有利に、軽質脱水素化反応生成物のいずれの精製をも行なう必要がないことがあり;又は、同様に、あまり厳しくない精製条件を使用し得る。すなわち、図1のプロセスと同様に、軽質脱水素化反応生成物のいずれの精製も、ヒドロアルキル化供給原料として再循環させるのが望ましい芳香族炭化水素から、より高級又は低級炭化水素種を除去するように操作してよいが、該精製は、Cn飽和環式炭化水素をその対応Cn芳香族炭化水素から分離するのに必要な(より厳しい)条件で行なう必要はない。
上記プロセスのいずれかに従う(例えば、図1又は図2のどちらかに従う)一部の実施形態では、上述したように、ヒドロアルキル化反応流出物は、ジアルキル化C3n以上の炭化水素(この場合も、nは、6〜12の整数である)を含む。やはり先に述べたように、どちらか又は両方の脱水素化反応の前にヒドロアルキル化反応流出物から該ジアルキル化C3n以上の炭化水素を除去してよい。例えば、図1に従う実施形態では、ヒドロアルキル化流出物が第1の脱水素化ゾーン105に供給される前に、C3n以上の炭化水素をプロセスストリーム101中のヒドロアルキル化流出物から追加の蒸留(又は他の適切な分離)工程によって除去してよい。図2に従う実施形態では、ヒドロアルキル化反応流出物が(例えば、蒸留塔210で)、ストリーム211の軽質ヒドロアルキル化流出物及びストリーム212の重質ヒドロアルキル化流出物に分離される前に、ジアルキル化C3n以上の炭化水素を同様の方法(例えば、追加の蒸留又はプロセスストリーム201中のヒドロアルキル化流出物に対して行なわれる他の分離)でヒドロアルキル化流出物から除去してよい。或いは、ジアルキル化C3n以上の炭化水素を、C2n以上の炭化水素(例えば、C2nシクロアルキル芳香族化合物)と共にプロセスストリーム212の重質ヒドロアルキル化流出物に分離してよい。従って、第1の脱水素化ゾーン205前のプロセスストリーム212で追加の分離を利用して、重質ヒドロアルキル化流出物中のC2nシクロアルキル芳香族化合物からジアルキル化C3n以上の化合物を分離し得る。
種々の実施形態のプロセスにおける各脱水素化ゾーン(例えば、図1に従うプロセスにおける第1及び第2の脱水素化ゾーン105及び120、並びに/又は図2に従うプロセスにおける第1及び第2の脱水素化ゾーン205及び220)は、直列に、並列に、又はその任意の組合せで作動する1つ以上の脱水素化反応器を含み得る。各脱水素化反応は、約200℃〜約600℃の温度及び約100kPa〜約3550kPa(大気圧〜約500psig)の圧力にて脱水素化触媒の存在下で行なわれる。特定実施形態では、脱水素化を約250℃〜約500℃、好ましくは約300℃〜約450℃、又は約375℃〜約450℃の温度で行なってよい。脱水素化反応に(例えば、同時係属米国仮出願第62/068,144号に記載されているように触媒安定性目的で)水素を炭化水素と同時供給してよい。水素を同時供給する場合、供給比(H2のモル対炭化水素のモルに関して)は、約0.5〜約4.0、例えば約1.0〜約3.0の範囲内であり得る。各脱水素化反応器は、独立に、該条件での脱水素化に適したいずれの反応器であってもよい(例えば、直列の断熱的固定床、等温固定床等)。各脱水素化は、ほぼ同一条件で、又は異なる条件で行なってよい。例えば、一部の実施形態では、より軽質分(例えば、図2に従う実施形態の軽質ヒドロアルキル化反応流出物、又は図1に従う実施形態の軽質脱水素化流出物)の脱水素化は、より重質分の脱水素化よりわずかに高い温度で行なってよい。
上記脱水素化反応には同一又は異なる脱水素化触媒を使用してよい。一般に、適切な脱水素化触媒には、参照することにより本明細書にその内容を援用するUS 2014/0275607の段落[0055]〜[0072]に記載のものに従ういずれの脱水素化触媒も含まれる。その中で考察されているように、一部の実施形態では、脱水素化触媒は、元素周期表の10族から選択される1つ以上の元素又はその化合物、例えば、耐火性担体上の白金を含む。一実施形態では、10族元素は、触媒の0.1〜5wt%の量で存在する。一部の例では、脱水素化触媒は、望ましいメチル置換ビフェニル生成物への選択性を改善するためにスズ又はスズ化合物を含んでもよい。一実施形態では、スズは、触媒の0.05〜2.5wt%の量で存在する。他の実施形態では、スズは、好ましくは0.05〜約0.30wt%、さらに好ましくは約0.05〜約0.15wt%の量で存在し得る。脱水素化触媒に利用する担体は、物理的又は化学的に変化することなく、脱水素化反応に用いる条件に耐えることができるという意味で耐火性である。適切な耐火性担体材料の非限定例としては、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、チタニア、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭素、ジルコニア、珪藻土、ランタニド酸化物(酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ネオジウム、酸化イットリウム及び酸化プラエソジニウムを含めて)、クロム、トリウム、ウラン、ニオブ及びタンタルの酸化物、酸化スズ、酸化亜鉛、及びリン酸アルミニウムが挙げられる。
さらに、やはりUS 2014/0275607で考察されているように、脱水素化触媒がスズを含有する場合、触媒は、塩化スズ、及び/又は酒石酸スズ等の適切なスズ化合物の水溶液に担体を含浸させることによって調製可能である。Snを含有する含浸担体を次に空気中で例えば約110℃〜約130℃(例えば、約120℃)にて4時間乾燥させてから空気中で例えば約350〜約600℃にて3時間か焼して、スズを酸化物形に変換する。その後、(NH3)4Pt(NO3)2等の適切な白金化合物の水溶液に含浸させることによって、Sn含有担体にPtを添加する。SnとPtを含有するサンプルを空気中で、例えば120℃にて4時間乾燥させてから例えば約330℃〜約370℃(好ましくは約350℃〜約360℃)の温度にて空気中で3時間か焼する。
加えて又は代わりに、脱水素化触媒は、やはり参照することによりその内容を本明細書に援用するUS 2014/0323782の段落[0020]〜[0030]に記載のものに従ってよい。
一部の実施形態に従って複数の脱水素化ゾーンを利用するプロセスは、複数の脱水素化ゾーンのそれぞれに同一の脱水素化触媒を使用してよい。Cn飽和環式炭化水素が少なくとも一部はC2n以上の炭化水素とは別に脱水素化されるような一部の該実施形態では、Cn飽和環式炭化水素の全ての脱水素化がC2n以上の炭化水素の存在下で起こるプロセスに比べて少ない全体的脱水素化触媒を使用し得る。
ビフェニルエステルの製造
一部の実施形態により製造されるメチル置換ビフェニル化合物(例えば、ジメチルビフェニル)は、対応カルボン酸の製造するための酸化後のアルコールによるエステル化を含むプロセスによって容易にエステル可塑剤に変換可能である。
酸化は、技術上周知のいずれのプロセスによっても、例えば触媒の存在下、30℃〜300℃、例えば60℃〜200℃の温度でメチル置換ビフェニル化合物を酸化剤、例えば酸素、オゾン若しくは空気、又はいずれもの他の酸素源、例えば過酸化水素と反応させることによって行ない得る。適切な触媒は、Co若しくはMn又は両金属の組合せを含む。これとは別に又はこれに加えて、開始剤としてBrの存在下で酸化を行なってよい。
結果として生じるカルボン酸を次に1種以上のC4-C14アルコールとの反応によってエステル化してビフェニルエステルを製造することができる。適切なエステル化条件は技術上周知であり、限定するものではないが、0〜300℃の温度及び均一又は不均一なエステル化触媒、例えばルイス酸又はブレンステッド酸触媒の存在下又は非存在下が挙げられる。適切なアルコールとしては、「オキソアルコール」が挙げられ、これはオレフィンのヒドロホルミル化後に水素化によりアルコールを形成することによって調製される有機アルコール、又は有機アルコール混合物を意味する。典型的に、オレフィンは、不均一酸触媒上での軽質オレフィンオリゴマー化により形成され、オレフィンは、精油所加工作業から容易に入手可能である。反応は、参照することによりその内容全体をここに援用するUS 6,274,756に記載されているように、長鎖分岐オレフィンの混合物をもたらし、これらが引き続き長鎖分岐アルコールを形成する。OXOプロセスに用いるオレフィンの別の起源は、エチレンのオリゴマー化によるものであり、このオリゴマー化は、主に直鎖アルコールと、より少ない量の軽度に分岐したアルコールの混合物を製造する。
本出願のビフェニルエステル可塑剤には、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ゴム、ポリ(メタ)アクリル樹脂及びその混合物等の多数の様々なポリマーで用途が見つかる。
次に下記非限定例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1:トルエンのヒドロアルキル化の一般手順
パラジウムMCM-49ヒドロアルキル化触媒をヒドロアルキル化反応器に入れた。反応器は、3/8インチ(0.95cm)の外径、20.5インチ(52cm)の長さ及び0.35インチ(0.9cm)の壁厚を有するステンレススチール管を含んでいた。1セットの8と4/3インチ(22cm)の長さ及び3/8インチ(0.95cm)の外径を有するステンレススチール管材と、同長の1/4インチ(0.6cm)ステンレススチール管材とを反応器の下部にスペーサーとして用いて(一方を他方の内側に)、炉の等温ゾーンに触媒を位置づけて支持した。スペーサーの上部に1/4インチ(0.6cm)のグラスウール栓を置いて触媒を適所に保持した。1/8インチ(0.3cm)のステンレススチールサーモウェルを触媒床に入れ、可動熱電対を用いて触媒床全体の温度をモニターした。
触媒を20/40ふるいメッシュにサイズを合わせるか又は1:1の長さ対直径比にカットし、石英チップ(20/40メッシュ)と共に分散させてから、上部から5.5ccの容積まで反応器に充填した。触媒床は典型的に15cmの長さであった。反応器上部の残存空隙を石英チップで満たし、触媒床の上部に置いたグラスウールの1/4栓を用いて触媒から石英チップを離した。炉の中央に予め印の付いた等温ゾーンに触媒床を有する炉内に反応器を設置した。次に反応器を加圧して典型的に300psig(2170kPa)で漏れ試験した。
触媒は、100cc/分でH2を流しながら25℃〜240℃まで加熱して12時間保持することによって現場で前調整した。500ccのISCOシリンジポンプを用いて化学用トルエン供給原料を反応器に導入した。市販の化学用トルエンと水素供給原料(2:1比のH2のモル対トルエンのモル)をポンプで気化器に通した後に加熱ラインを通して反応器に流した。Brooksマスフローコントローラーを用いて水素流速を設定した。Grove「Mity Mite」背圧コントローラーを用いて反応器圧を典型的に150psig(1135kPa)で制御した。GC分析を行なって供給原料組成を検証した。次に120℃〜180℃の反応温度、2のWHSV及び150psig(約113.5kPa)の圧力で保持した触媒床に供給原料をポンプで通した。不凝縮ガス生成物をオンラインHP 5890 GCに送った。反応器を出る液体生成物は2つの直列収集ポット(第1のポットは60℃に加熱され、第2のポットはチルドクーラントで約10℃に冷却される)に送られる加熱ラインを通って流れた。物質収支を12〜24時間間隔でとった。FID検出器を備えたHewlett Packard 6890ガスクロマトグラフを分析に用いた。
ヒドロアルキル化反応の液体生成物は、約25wt%の(メチルシクロヘキシル)トルエン(MCHT)、約8wt%のメチルシクロヘキサン(MCH)、約66wt%の未反応供給原料、及び約1wt%の副生物を含むことが分かった。
実施例2:ヒドロアルキル化反応流出物の脱水素化
液体ヒドロアルキル化生成物を脱水素化反応の供給原料として用いた。実施例2に従う脱水素化への液体炭化水素供給原料は、約25wt%の(メチルシクロヘキシル)トルエン(MCHT)、約8wt%のチルシクロヘキサン(MCH)、約66wt%の未反応供給原料、及び約1wt%の副生物を含んでいた。3回の脱水素化反応実験を異なる質量毎時空間速度(weight hourly space velocities)(WHSVs)−特に、表1に示すように、実験2-1、2-2、及び2-3に対応する2、4、及び8のWHSVで行なった(表1に示すように、充填触媒量を変え、同一の供給速度を維持することによってWHSVを変えた)。
表1. ヒドロアルキル化反応流出物の脱水素化
Figure 0006526228
脱水素化は、8個の並列反応器を含む脱水素化反応システムで430℃及び100psigにて行なった。ISCOシリンジポンプを用いて供給原料を反応器に導入した。H2対液体供給原料の2:1モル比でH2とインライン混合される前に液体炭化水素供給原料をポンプで気化器に通してから、各反応器に送達した。
8個の並列反応器を流動加熱砂浴内に置いて等温反応温度を制御した。各反応器は、内径が5mmのU形ステンレススチール反応器であった。U形下降流経路(長さ39cm)の半分を、石英チップ(20/40メッシュ)で満たした予熱ゾーンとして用いた。U形反応器の終端の上昇流部分に脱水素化触媒を充填し、触媒床の上部と下部の石英ウール栓で触媒床を適所に保持した。触媒量は、WHSVに応じて約0.25〜1gの範囲だった(表1に示すように)。
脱水素化触媒(SiO2担体上に蓄積した1wt%の白金と0.15wt%のスズ)を以下のように調製した:1/20インチ(0.13cm)のクオドリローブ(quadrulobe)形シリカ押出物を最初に塩化スズの水溶液に含浸させてから空気中で121℃にて乾燥させた。結果として生じたスズ含有押出物を次に硝酸テトラアミン白金の水溶液に含浸させ、再び空気中で121℃にて乾燥させた。結果として生じた各触媒生成物を次に空気中で350℃にて3時間か焼した後、脱水素化反応に用いた。
全ての反応器の触媒は、現場で前調整し、大気圧及び25℃にてN2流で触媒を乾燥し始めた(全8個の反応器チャネルに対して全部50cc/分で)。次に温度を25℃/時間の速度で80℃まで上げて3時間保持した。次に温度を25℃/時間の速度で120℃まで上昇させて当該温度でさらに3時間保持した。乾燥工程後、各反応器の触媒を111.2sccmの全流速(全ての反応器について合わせて)のH2で還元した。次に圧力を100psigの反応圧まで上昇させて20分間保持した。次に温度を25℃/時間の速度で450℃まで上げ、この温度で2時間保持した。最後に、温度を望ましい等温反応温度まで下げた。
反応器システムを出る生成物を濃縮し、間隔を開けて収集し(反応器毎に1日当たりほぼ1つのサンプル)、実施例1に記載の同一方法でGCにより分析した。
表1及び表3は、実施例2の脱水素化におけるMCHT(C14シクロアルキル芳香族化合物)及びMCH(C7飽和環式炭化水素)の各々の転化率を示す。図3から分かるように、MCHTの存在下でのMCHの転化率は、最低WHSVで良くても約80%である。さらに、WHSVが増すにつれて、MCHの転化率は、約80%(2 WHSVで)から50%未満(8 WHSVで)まで低下し(MCHT転化率の低減より大きく)、従って、MCHがMCHTの存在下で脱水素化されるときのプロセススループットと効率との間の実質的なトレードオフを示している。
実施例3:C21以上の炭化水素分離後の脱水素化
実施例1からのヒドロアルキル化流出物をバッチ蒸留によって(i)C21以上の副生物を含む重質留分と、(ii)7wt%のMCH及び16.5wt%のMCHT、75.7wt%のトルエン、並びに約0.8wt%の他のヒドロアルキル化副生物及び不純物(限定するものではないが、シクロヘキサン、ジメチルビシクロヘキサン、キシレン、及びベンゼンが挙げられる)を含む軽質留分とに分留した。
表2に記載の同一の各種供給速度(2、4、及び8のWHSV)を用いて軽質留分を脱水素化反応器システムに供給した。従って、この例の脱水素化も、MCHとMCHTの両方の一緒の脱水素化を伴ったが、実施例2の脱水素化とは異なり、C21以上の炭化水素は実質的な量では存在しなかった。ISCOシリンジポンプを用いて供給原料を反応器システムに導入した。H2と2:1比(H2のモル対液体供給原料のモル)でインライン混合される前に供給原料をポンプで気化器に通してから、反応器システムに送達した。脱水素化反応器システムは、これらの実験では、8個の並列反応器は、内径が9mmの石英管であり、砂浴の代わりに炉で加熱したことを除き、実施例2に記載のものと同様であった。
図4a及び4bに示すように、C21以上の炭化水素の実質的な非存在下でさえ、MCHの脱水素化は、より高い速度(WHSV)でも、より大きい流通時間でもMCHTの存在に悩まされる。図4aに示すように、8 WHSVでは、MCH転化率は約80%で始まるが、たった100時間を超える流通時間後に70%まで、そして200時間の流通時間後には約20%まで低下した。同様に、4 WHSVでは、MCH転化率は、最初の80%から200時間の流通時間後には約40%まで低下し、そこから500時間の流通時間後に20%まで低下した。2 WHSVでは、MCH転化率は、さらに着実に低下し、200時間の流通時間後に60%に達し、600時間の流通時間後にはたった40%超であった。対照的に、図4bに示すように、MCHT転化率は、2、4、及び8 WHSVの各々で80%超の安定状態を保つ。
実施例4:C12以上の炭化水素の非存在下でのMCHの脱水素化
ほとんど純粋なMCH(>99.5%の純度)を3/8インチ(0.95cm)の外径×16.5インチ(41.91cm)長さのステンレススチール反応器に詰めた同脱水素化触媒上で脱水素化した。触媒床は、反応器の等温ゾーンに中心があり、石英ウール及び追加の石英チップを反応器に詰めて触媒床を適所に保持した。反応器をまず最初に水素でパージし、100psigに加圧してから、第1のISCOポンプにより100cc/分で水素を流しながら5℃/分で425℃まで加熱した。反応器温度を425℃で約2時間維持してからMCHを反応器に2 WHSVで第2の100ccのISCOポンプを通して供給し、H2流量を30cc/分に減らした。熱力学計算により400℃程度の低い温度が理論的に100%の転化率をもたらすことになると示されたので、MCHとMCHTを一緒に用いる脱水素化の450℃より低い425℃で反応温度を維持した。
液体生成物を分析用に冷却トラップに収集した。16〜24時間にわたって物質収支をとった。各物質収支からのサンプルを取り、Beta Dex-120カラムを備えたHP 7890 GCで分析した。Beta Dex-120カラムの寸法は、長さ60m×外径0.25mm×膜厚0.25μmであった。
図5に示すように、MCH転化率は、全流通時間(ほぼ200時間)に対してほぼ100%で維持され、C14のMCTH等の重質炭化水素の非存在下での顕著に良い転化率を示している。
実施例5:MCH及びトルエンを含む供給原料の脱水素化
実施例3に記載の脱水素化反応器内でヒドロアルキル化流出物を脱水素化した。C14のMCHT及びDMBPを含めた全ての重質成分が蒸留のオーバーヘッド生成物中の0.1wt%未満となるようなバッチ蒸留により脱水素化生成物を蒸留した。このC7炭化水素及びトルエン(7.8wt%のMCH、91.9wt%のトルエン、約0.3wt%の他のC11以下の種、約0.1wt%のC11超の種)を含むオーバーヘッド生成物を、実施例3で述べたのと同じ並列反応器ユニット内、及び脱水素化触媒上で脱水素化した。軽質ストリーム及びH2を、1:4比で2 WHSVにて100psigの反応器に供給した。図6に示すように、2つの異なる反応温度を研究した(400℃及び450℃)。400℃では、MCH転化率はかなり安定したままであり、約80%で始まり、ほんのわずかに低下して300時間の流通時間後に約70%となった。450℃では、MCH転化率は、全400時間の流通時間にわたってほぼ100%で安定したままであった。従って、重質炭化水素とは別にMCHを脱水素化することによって、トルエンが存在する場合でさえ、MCHの顕著に高い変換率が達成可能である。
本明細書に記載の全ての文書は、いずれの優先権書類及び/又は試験手順をも含め、それらが本テキストと矛盾しない程度まで、参照することにより本明細書に援用される。前述の一般的記載及び具体的実施形態から明らかなように、本発明の形態を説明及び記載したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更を加えることができる。従って、本発明をそれらによって限定する意図ではない。同様に、用語「含む(comprising)」は、列挙成分を他のいずれの追加成分の存在をも除外することなく必要とする用語「含む(including)」と同義とみなされる。同様に、移行句「含む(comprising)」が組成物、要素又は要素群に先行するときはいつでも、当然のことながら、組成物、要素、又は要素群の記述に先行するさらに限定的な移行句「から基本的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、「から成る群より選択される(selected from the group of consisting of)」、又は「である(is)」でさらに限られた同一の組成物又は要素群をも企図し、逆もまた同じである。
次に本発明の態様を示す。
1. ビフェニル化合物の製造プロセスであって、下記工程:
(a)C n 芳香族炭化水素を含むヒドロアルキル化供給原料を、ヒドロアルキル化触媒の存在下、(i)C 2n シクロアルキル芳香族化合物及び(ii)C n 飽和環式炭化水素(nは、6〜12の整数である)を含むヒドロアルキル化反応流出物を製造するのに有効な条件下で水素と接触させる工程;
(b)前記ヒドロアルキル化反応流出物の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーンに供給し、その中で前記C 2n シクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部及び前記C n 飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、第1の脱水素化触媒の存在下、(i)C 2n ビフェニル化合物の混合物;(ii)回収C n 芳香族炭化水素;及び(iii)未反応C n 飽和環式炭化水素を含む第1の脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程;
(c)前記第1の脱水素化反応生成物を、(i)前記C 2n ビフェニル化合物に富む重質脱水素化ストリームと、(ii)前記回収C n 芳香族炭化水素及び前記未反応C n 飽和環式炭化水素にに富む軽質脱水素化ストリームとに分離する工程;
(d)前記軽質脱水素化ストリームの少なくとも一部を、前記第1の脱水素化ゾーンとは別の第2の脱水素化ゾーンに供給する工程;及び
(e)前記第2の脱水素化ゾーン内で、前記未反応C n 飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、第2の脱水素化触媒の存在下、追加の回収C n 芳香族炭化水素を含む第2の脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程
を含む、前記プロセス。
2. さらに下記工程:
(f)前記第2の脱水素化反応生成物の少なくとも一部が、前記ヒドロアルキル化工程(a)のための前記ヒドロアルキル化供給原料の少なくとも一部を形成するように、前記第2の脱水素化反応生成物の少なくとも一部を再循環させる工程
を含む、上記1に記載のプロセス。
3. 前記第2の脱水素化反応生成物の少なくとも一部の再循環工程が、
(f-1)前記第2の脱水素化反応生成物を精製して、精製第2の脱水素化反応生成物を得る工程;及び
(f-2)前記精製第2の脱水素化反応生成物の少なくとも一部を、前記ヒドロアルキル化工程(a)のための前記ヒドロアルキル化供給原料の少なくとも一部として供給する工程
を含む、上記2に記載のプロセス。
4. 工程(a)において、
前記C n 芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、及びジエチルベンゼンから成る群より選択され;
前記C 2n シクロアルキル芳香族化合物が、シクロヘキシルベンゼン、(メチルシクロヘキシル)トルエン、(エチルシクロヘキシル)エチルベンゼン、(ジメチルシクロヘキシル)キシレン、及び(ジエチルシクロヘキシル)ジエチルベンゼンから成る群より選択され;かつ
前記C n 飽和環式炭化水素が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、及びジエチルシクロヘキサンから成る群より選択され;
工程(b)において、
前記C 2n ビフェニル化合物が、ビフェニル、ジメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、テトラメチルビフェニル、及びテトラエチルビフェニルから成る群よりそれぞれ選択され;
前記回収C n 芳香族炭化水素が、前記C n 芳香族炭化水素と同一の単一の又は複数の化合物を含み;かつ
前記未反応C n 飽和環式炭化水素が、前記C n 飽和環式炭化水素と同一の単一の又は複数の化合物を含み;及び
工程(e)において、
前記追加の回収C n 芳香族炭化水素が、前記C n 芳香族炭化水素と同一の単一の又は複数の化合物を含む、
上記1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
5. 工程(a)において、前記C n 芳香族炭化水素がトルエンであり、前記C 2n シクロアルキル芳香族化合物が(メチルシクロヘキシル)トルエンであり、前記C n 飽和環式炭化水素がメチルシクロヘキサンであり;
工程(b)において、前記C 2n ビフェニル化合物がジメチルビフェニルであり、前記回収C n 芳香族炭化水素がトルエンであり、前記未反応C n 飽和環式炭化水素がメチルシクロヘキサンであり;及び
工程(e)において、前記追加の回収C n 芳香族炭化水素がトルエンである、
上記4に記載のプロセス。
6. さらに下記工程:
(g)工程(c)で得られる前記重質脱水素化ストリームの少なくとも一部を、前記C 2n ビフェニル化合物の少なくとも一部をビフェニルカルボン酸に変換するのに有効な条件下で酸化剤と接触させる工程;及び
(h)前記ビフェニルカルボン酸を、ビフェニルエステルを製造するのに有効な条件下で1種以上のC 1 -C 14 アルコールと反応させる工程
を含む、上記4又は5に記載のプロセス。
7. nが7〜11の整数であり、かつさらに、
(I)工程(a)の前記ヒドロアルキル化供給原料が、1種以上のC n+1 -C 12 芳香族炭化水素をさらに含み;
(II)工程(a)の前記ヒドロアルキル化反応流出物が、(iii)1種以上のC 2n+2 -C 24 シクロアルキル芳香族化合物及び(iv)1種以上のC n+1 -C 12 飽和環式炭化水素をさらに含み;
(III)前記1種以上のC 2n+2 -C 24 シクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部及び前記1種以上のC n+1 -C 12 飽和環式炭化水素の少なくとも一部が、工程(b)の前記第1の脱水素化ゾーン内で、前記C 2n シクロアルキル芳香族化合物の一部及びC n 飽和環式炭化水素の一部と共に脱水素化され、その結果、工程(b)の前記第1の脱水素化反応生成物が、(iv)C 2n+2 -C 24 ビフェニル化合物の混合物;(v)1種以上の回収C n+1 -C 12 芳香族炭化水素;及び(vi)未反応C n+1 -C 12 飽和環式炭化水素をさらに含むことになり;かつ
(IV)工程(c)の前記軽質脱水素化ストリームが、前記1種以上の回収C n+1 -C 12 芳香族炭化水素の少なくとも一部及び前記未反応C n+1 -C 12 飽和環式炭化水素の少なくとも一部をさらに含む、
上記1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
8. nが6〜10の整数であり、かつさらに、
(I)工程(a)の前記ヒドロアルキル化供給原料が、1種以上のC n+1 -C 11 芳香族炭化水素をさらに含み;
(II)工程(a)の前記ヒドロアルキル化反応流出物が、(iii)1種以上のC 2n+2 -C 22 シクロアルキル芳香族化合物及び(iv)1種以上のC n+1 -C 11 飽和環式炭化水素をさらに含み;
(III)前記1種以上のC 2n+2 -C 22 シクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部及び前記1種以上のC n+1 -C 11 飽和環式炭化水素の少なくとも一部が、工程(b)の前記第1の脱水素化ゾーン内で、前記C 2n シクロアルキル芳香族化合物の一部及びC n 飽和環式炭化水素の一部と共に脱水素化され、その結果、工程(b)の前記第1の脱水素化反応生成物が、(iv)C 2n+2 -C 22 ビフェニル化合物の混合物;(v)1種以上の回収C n+1 -C 11 芳香族炭化水素;及び(vi)未反応C n+1 -C 11 飽和環式炭化水素をさらに含むことになり;かつ
(IV)工程(c)の前記軽質脱水素化ストリームが、前記1種以上の回収C n+1 -C 11 芳香族炭化水素の少なくとも一部及び前記未反応C n+1 -C 11 飽和環式炭化水素の少なくとも一部を含む、
上記1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
9. 工程(d)で前記第2の脱水素化ゾーンに供給される前記軽質脱水素化ストリームの少なくとも一部が、1.0wt%未満のC 2n 以上の炭化水素を含む、上記1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
10. 工程(e)における前記未反応C n 飽和環式炭化水素の、前記追加の回収C n 芳香族炭化水素への変換率が、少なくとも約90%である、上記1〜9のいずれか1項に記載のプロセス。
11. 工程(b)及び(e)の前記第1及び第2の脱水素化触媒のどちらか又は両方が、それぞれ、元素周期表の10族から選択される元素又はその化合物を含む、上記1〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
12. 前記脱水素化工程(e)が、1.0wt%未満のC 2n 以上の炭化水素の存在下で起こる、上記1〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
13. ビフェニル化合物の製造プロセスであって、下記工程:
(a)少なくとも1種のC n 芳香族炭化水素を含むヒドロアルキル化供給原料を、ヒドロアルキル化触媒の存在下、(i)C 2n シクロアルキル芳香族化合物及び(ii)C n 飽和環式炭化水素(nは、6〜12の整数である)を含むヒドロアルキル化反応流出物を製造するのに有効な条件下で水素と接触させる工程;
(b)前記ヒドロアルキル化反応流出物を、(i)C 2n シクロアルキル芳香族化合物に富む重質ヒドロアルキル化流出物及び(ii)C n 飽和環式炭化水素に富む軽質ヒドロアルキル化流出物に分離する工程;
(c)前記重質ヒドロアルキル化流出物の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーンに供給し、その中で前記C 2n シクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部を、第1の脱水素化触媒の存在下、C 2n ビフェニル化合物の混合物を含む重質脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程;及び
(d)前記軽質ヒドロアルキル化流出物の少なくとも一部を、前記第1の脱水素化ゾーンとは別の第2の脱水素化ゾーンに供給し、その中で前記C n 飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、第2の脱水素化触媒の存在下、回収C n 芳香族炭化水素を含む軽質脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程
を含む、前記プロセス。
14. さらに下記工程:
(e)工程(d)の前記軽質脱水素化反応生成物の少なくとも一部が、工程(a)の前記ヒドロアルキル化供給原料の少なくとも一部を形成するように、前記軽質脱水素化反応生成物の少なくとも一部を再循環させる工程
を含む、上記13に記載のプロセス。
15. 前記軽質脱水素化反応生成物の少なくとも一部の再循環工程が、
(e-1)前記軽質脱水素化反応生成物を精製し、精製軽質脱水素化反応生成物を得る工程;及び
(e-2)前記精製軽質脱水素化反応生成物の少なくとも一部を、工程(a)の前記ヒドロアルキル化供給原料の少なくとも一部として供給する工程
を含む、上記14に記載のプロセス。
16. 工程(a)において、
前記C n 芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、及びジエチルベンゼンから成る群より選択され;
前記C n シクロアルキル芳香族化合物が、シクロヘキシルベンゼン、(メチルシクロヘキシル)トルエン、(エチルシクロヘキシル)エチルベンゼン、(ジメチルシクロヘキシル)キシレン、(ジエチルシクロヘキシル)ジエチルベンゼン、及びその混合物から成る群より選択され;かつ
前記C n 飽和環式炭化水素が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、及びその混合物から成る群より選択され;
工程(c)において、前記C 2n ビフェニル化合物が、ビフェニル、ジメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、テトラメチルビフェニル、テトラエチルビフェニル、及びその混合物から成る群よりそれぞれ選択され;及び
工程(d)において、前記回収C n 芳香族炭化水素が、前記C n 芳香族炭化水素と同一の単一の又は複数の化合物を含む、
上記13〜15のいずれか1項に記載のプロセス。
17. 工程(a)において、前記C n 芳香族炭化水素がトルエンであり;前記C n シクロアルキル芳香族化合物が(メチルシクロヘキシル)トルエンであり;かつ前記C n 飽和環式炭化水素がメチルシクロヘキサンであり;
工程(c)において、前記C 2n ビフェニル化合物がジメチルビフェニルであり;及び
工程(d)において、前記回収C n 芳香族炭化水素がトルエンである、
上記16に記載のプロセス。
18. さらに下記工程:
(f)工程(c)の前記重質脱水素化反応生成物の少なくとも一部を、前記C 2n ビフェニル化合物の少なくとも一部をビフェニルカルボン酸に変換するのに有効な条件下で酸化剤と接触させる工程;及び
(g)前記ビフェニルカルボン酸を、ビフェニルエステルを製造するのに有効な条件下で1種以上のC 1 -C 14 アルコールと反応させる工程
を含む、上記16又は17に記載のプロセス。
19. nが7〜11の整数であり、かつさらに、
(I)工程(a)の前記ヒドロアルキル化供給原料が、1種以上のC n+1 -C 12 芳香族炭化水素をさらに含み;
(II)工程(a)の前記ヒドロアルキル化反応流出物が、(iii)1種以上のC 2n+2 -C 24 シクロアルキル芳香族化合物及び(iv)1種以上のC n+1 -C 12 飽和環式炭化水素をさらに含み;
(III)工程(b)の前記軽質ヒドロアルキル化流出物が、前記1種以上のC n+1 -C 12 飽和環式炭化水素の少なくとも一部をさらに含み;かつ
(IV)前記1種以上のC n+1 -C 12 飽和環式炭化水素の少なくとも一部が、工程(d)の前記第2の脱水素化ゾーン内で前記C n 飽和環式炭化水素の少なくとも一部と共に脱水素化される、
上記13〜15のいずれか1項に記載のプロセス。
20. nが6〜10の整数であり、かつさらに
(I)工程(a)の前記ヒドロアルキル化供給原料が、1種以上のC n+1 -C 11 芳香族炭化水素をさらに含み;
(II)工程(a)の前記ヒドロアルキル化反応流出物が、(iii)1種以上のC 2n+2 -C 24 シクロアルキル芳香族化合物及び(iv)1種以上のC n+1 -C 11 飽和環式炭化水素をさらに含み;
(III)工程(b)の前記軽質ヒドロアルキル化流出物が、前記1種以上のC n+1 -C 11 飽和環式炭化水素の少なくとも一部をさらに含み;かつ
(IV)前記1種以上のC n+1 -C 11 飽和環式炭化水素の少なくとも一部が、工程(d)の前記第2の脱水素化ゾーン内で、前記C n 飽和環式炭化水素の少なくとも一部と共に脱水素化される、上記13〜15のいずれか1項に記載のプロセス。
21. 工程(b)の前記軽質ヒドロアルキル化流出物が、0.1wt%未満のC 2n 以上の炭化水素を含む、上記13〜20のいずれか1項に記載のプロセス。
22. 工程(d)における前記C n 飽和環式炭化水素の、回収C n 芳香族炭化水素への変換率が、少なくとも約90%である、上記13〜21のいずれか1項に記載のプロセス。
23. 工程(c)及び(d)の前記第1及び第2の脱水素化触媒のどちらか又は両方が、それぞれ、元素周期表の10族から選択される元素又はその化合物を含む、上記13〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
24. 前記C n 飽和環式炭化水素の少なくとも一部が、1.0wt%未満のC 2n 以上の炭化水素の存在下で脱水素化される、上記13〜23のいずれか1項に記載のプロセス。

Claims (10)

  1. ビフェニル化合物の製造プロセスであって、下記工程:
    (a)Cn芳香族炭化水素を含むヒドロアルキル化供給原料を、ヒドロアルキル化触媒の存在下、(i)C2nシクロアルキル芳香族化合物及び(ii)Cn飽和環式炭化水素(nは、6〜12の整数である)を含むヒドロアルキル化反応流出物を製造するのに有効な条件下で水素と接触させる工程;
    (b)前記ヒドロアルキル化反応流出物の少なくとも一部を第1の脱水素化ゾーンに供給し、その中で前記C2nシクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部及び前記Cn飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、第1の脱水素化触媒の存在下、(i)C2nビフェニル化合物の混合物;(ii)回収Cn芳香族炭化水素;及び(iii)未反応Cn飽和環式炭化水素を含む第1の脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程;
    (c)前記第1の脱水素化反応生成物を、(i)前記C2nビフェニル化合物に富む重質脱水素化ストリームと、(ii)前記回収Cn芳香族炭化水素及び前記未反応Cn飽和環式炭化水素に富む軽質脱水素化ストリームとに分離する工程;
    (d)前記軽質脱水素化ストリームの少なくとも一部を、前記第1の脱水素化ゾーンとは別の第2の脱水素化ゾーンに供給する工程;及び
    (e)前記第2の脱水素化ゾーン内で、前記未反応Cn飽和環式炭化水素の少なくとも一部を、第2の脱水素化触媒の存在下、追加の回収Cn芳香族炭化水素を含む第2の脱水素化反応生成物を製造するのに有効な条件下で脱水素化する工程
    を含む、前記プロセス。
  2. さらに下記工程:
    (f)前記第2の脱水素化反応生成物の少なくとも一部が、前記ヒドロアルキル化工程(a)のための前記ヒドロアルキル化供給原料の少なくとも一部を形成するように、前記第2の脱水素化反応生成物の少なくとも一部を再循環させる工程
    を含む、請求項1に記載のプロセス。
  3. 工程(a)において、
    前記Cn芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、及びジエチルベンゼンから成る群より選択され;
    前記C2nシクロアルキル芳香族化合物が、シクロヘキシルベンゼン、(メチルシクロヘキシル)トルエン、(エチルシクロヘキシル)エチルベンゼン、(ジメチルシクロヘキシル)キシレン、及び(ジエチルシクロヘキシル)ジエチルベンゼンから成る群より選択され;かつ
    前記Cn飽和環式炭化水素が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、及びジエチルシクロヘキサンから成る群より選択され;
    工程(b)において、
    前記C2nビフェニル化合物が、ビフェニル、ジメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、テトラメチルビフェニル、及びテトラエチルビフェニルから成る群よりそれぞれ選択され;
    前記回収Cn芳香族炭化水素が、前記Cn芳香族炭化水素と同一の化合物を含み;かつ
    前記未反応Cn飽和環式炭化水素が、前記Cn飽和環式炭化水素と同一の化合物を含み;及び
    工程(e)において、
    前記追加の回収Cn芳香族炭化水素が、前記Cn芳香族炭化水素と同一の化合物を含む、
    請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. 工程(a)において、前記Cn芳香族炭化水素がトルエンであり、前記C2nシクロアルキル芳香族化合物が(メチルシクロヘキシル)トルエンであり、前記Cn飽和環式炭化水素がメチルシクロヘキサンであり;
    工程(b)において、前記C2nビフェニル化合物がジメチルビフェニルであり、前記回収Cn芳香族炭化水素がトルエンであり、前記未反応Cn飽和環式炭化水素がメチルシクロヘキサンであり;及び
    工程(e)において、前記追加の回収Cn芳香族炭化水素がトルエンである、
    請求項3に記載のプロセス。
  5. さらに下記工程:
    (g)工程(c)で得られる前記重質脱水素化ストリームの少なくとも一部を、前記C2nビフェニル化合物の少なくとも一部をビフェニルカルボン酸に変換するのに有効な条件下で酸化剤と接触させる工程;及び
    (h)前記ビフェニルカルボン酸を、ビフェニルエステルを製造するのに有効な条件下で1種以上のC1-C14アルコールと反応させる工程
    を含む、請求項4に記載のプロセス。
  6. nが6〜10の整数であり、かつさらに、
    (I)工程(a)の前記ヒドロアルキル化供給原料が、1種以上のCn+1-C11芳香族炭化水素をさらに含み;
    (II)工程(a)の前記ヒドロアルキル化反応流出物が、(iii)1種以上のC2n+2-C22シクロアルキル芳香族化合物及び(iv)1種以上のCn+1-C11飽和環式炭化水素をさらに含み;
    (III)前記1種以上のC2n+2-C22シクロアルキル芳香族化合物の少なくとも一部及び前記1種以上のCn+1-C11飽和環式炭化水素の少なくとも一部が、工程(b)の前記第1の脱水素化ゾーン内で、前記C2nシクロアルキル芳香族化合物の一部及びCn飽和環式炭化水素の一部と共に脱水素化され、その結果、工程(b)の前記第1の脱水素化反応生成物が、(iv)C2n+2-C22ビフェニル化合物の混合物;(v)1種以上の回収Cn+1-C11芳香族炭化水素;及び(vi)未反応Cn+1-C11飽和環式炭化水素をさらに含むことになり;かつ
    (IV)工程(c)の前記軽質脱水素化ストリームが、前記1種以上の回収Cn+1-C11芳香族炭化水素の少なくとも一部及び前記未反応Cn+1-C11飽和環式炭化水素の少なくとも一部を含む、
    請求項1又は2に記載のプロセス。
  7. 工程(d)で前記第2の脱水素化ゾーンに供給される前記軽質脱水素化ストリームの少なくとも一部が、1.0wt%未満のC2n以上の炭化水素を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
  8. 工程(e)における前記未反応Cn飽和環式炭化水素の、前記追加の回収Cn芳香族炭化水素への変換率が、少なくとも90%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
  9. 工程(b)及び(e)の前記第1及び第2の脱水素化触媒のどちらか又は両方が、それぞれ、元素周期表の10族から選択される元素又はその化合物を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
  10. 前記脱水素化工程(e)が、1.0wt%未満のC2n以上の炭化水素の存在下で起こる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロセス。
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