JP6523637B2 - 薬液注入システム - Google Patents

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Description

本発明は、患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入システムに関し、特には、空の薬液シリンジに薬液を吸引して使用する場合であっても吸引した薬液に関する情報等を正確に管理できる薬液注入システムに関する。
現在、医療用の画像診断装置として、CT(Computed Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等が知られている。このような撮像装置を使用する際、患者に造影剤や生理食塩水など(以下、これらをまとめて単に「薬液」とも言う)を注入することがある。
ところで、血管造影に関しては次のようなことが言える。すなわち、近年の薬液注入装置を使用した血管撮影技術は、経皮的カテーテル法の開発や、また、X線機器やカテーテル、造影剤などの開発によって、それまでの画像診断のみから治療をも目的としたInterventional Radiology(IVR)へと発展してきた。
例えば、特許文献1には、血管造影用の薬液注入装置の一例が開示されている。この薬液注入装置は次のような血管造影法において使用される:すなわち、カテーテル法では、皮膚を切開することなく、カテーテルがガイドワイヤによって経皮的に血管内に導入される。そして、目的血管の起始部付近にカテーテルの先端を位置させた後、薬液注入装置を動作させて造影剤を注入するとともに、撮像装置を用いて撮影を行う。これにより、造影された血管が所定のディスプレイに映し出され、医師はその画像を見ながら診断および治療を行う。こうした血管造影検査で使用される薬液注入装置は、CT検査やMR検査用の装置とは異なる次のような特徴がある。すなわち、血管造影においては、血管内に導入される細いカテーテルを通じて薬液の注入が行われるものであるので、注入圧力が非常に高くなるという特徴がある。そのため、高圧での薬液注入が行えるようなピストン駆動機構や、アンギオグラフィ検査用の耐圧シリンジや耐圧カバー等が必要となる。
WO2006/068171
ところで、血管造影検査では、プレフィルドタイプの高耐圧の薬液シリンジ(本明細書では「アンギオシリンジ」ともいう)を注入ヘッドにセットして、造影剤注入を行うのが一般的である。このようなシリンジの利用態様としては、一例として、工場等で充填が行われたシリンジを病院内に用意しておき、検査時には、所定の1つを注入ヘッドにセットして使用する。したがって、病院内で吸引作業を行う必要が無いという点で有利である。
ただし、注入ヘッドの種類や製造メーカの違いによっては、ヘッドに装着できるシリンジの形状が異なることもあるため、この場合、形状の異なる複数種のプレフィルドシリンジを用意しておく必要が生じることとなる。
一方、空のシリンジに薬液を吸引して使用する方式の場合には、当該注入ヘッドに対応する空シリンジを用意しさえしておけばよく、例えば、プレフィルドシリンジが当該注入ヘッドに装着不能なものであったり、あるいは、耐圧カバーに対する適合性が無かったりという問題は生じない。
しかしながら、病院内で吸引を行う場合、例えば薬液バッグに記載されている薬液情報(具体的には、造影剤の成分情報や製品名といった製品情報)を、院内の作業者が手書きでメモなどに記録し、それに基いて薬液注入を行ったり、病院管理システムにそうした情報を入力するのは、作業的に煩雑であるし、誤入力の発生の原因にもなりうる。このような問題は、必ずしも血管造影用の装置だけではなく、一般的な薬液注入装置においても同様に生じうる問題である。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、空の薬液シリンジに薬液を吸引して使用する場合であっても吸引した薬液に関する情報を正確に管理できる薬液注入システムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の一形態の薬液注入システムは下記のとおりである:
1.薬液シリンジを保持するシリンジ保持部および前記シリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構を備える注入ヘッドと、
前記ピストン駆動機構に動作可能に接続された制御ユニットと、
を備える薬液注入システムであって、
さらに、
前記薬液シリンジとは別の薬液収容容器に設けられたデータキャリア手段の情報を読み取るデータ読取りユニットを備える、薬液注入システム。
(用語の説明)
「薬液収容容器」とは、例えば造影剤等の薬液を収容する容器のことをいい、具体的には、薬液バッグ、薬液ボトル、シリンジ等が含まれる。
「データキャリア手段」とは、所定のデータを記憶可能な媒体のことをいい、具体的には、バーコード(一次元バーコード、二次元バーコード)やRFIDタグ(本明細書ではICタグともいう)等が含まれる。好ましくは、非接触で情報の読込みを行えるものである。
「薬液」とは、例えば、造影剤、生理食塩水、またはそれらを混合したものをいう。
「造影剤」の具体例としては、ヨード濃度240mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度3.3Pa・s、比重1.268〜1.296)、ヨード濃度300mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度6.1mPa・s、比重1.335〜1.371)、ヨード濃度350mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度10.6mPa・s、比重1.392〜1.433)等がある。
「生理食塩水」の生理食塩水の具体例としては、生理食塩水20ml中に塩化ナトリウム180mgを含有した生理食塩水(例えば、20℃において粘度0.9595mPa・s、比重1.004〜1.006)等がある。
(I.薬液注入装置の一般的説明)
「薬液注入装置」は、一形態では、次の構成要素を備えている:ピストン駆動機構、制御部(制御ユニット)、および、ディスプレイ等。ここで、これらの構成要素は、薬液注入装置を構成するいずれの機器に備えられていてもよい。すなわち、薬液注入装置が注入ヘッドおよびコンソール等を備える場合には、(i)注入ヘッドにピストン駆動機構が備えられ、コンソールに制御部とディスプレイとが備えられてもよいし、(ii)注入ヘッドとコンソールの双方に制御部が設けられもよいし、(iii)注入ヘッドとコンソールの双方にディスプレイが設けられもよい。このような制御部(制御ユニット)が、例えば撮像装置の一部として設けられていてもよい。
「注入ヘッド」は、シリンジを保持するシリンジ保持部と、そのシリンジのピストンを前進および/または後退させるピストン駆動機構を有する。シリンジの装着方法としては、主に、(i)シリンジ保持部が、一例で、ヘッド上面の凹部として形成されそこにシリンジがセットされるいわゆるサイドローディングのタイプと、(ii)シリンジ保持部がヘッド前面に形成されシリンジの基端部が保持されるいわゆるフロントローディングのタイプとがある。本発明の一形態においては、いずれのタイプの注入ヘッドをも含む。一筒式または二筒式のいずれであってもよいし、あるいは、シリンジを3本以上保持する多筒式のものであってもよい。
「RFIDリーダ/ライタ」とは、薬液注入装置が有することができるデバイスであり、シリンジ、アダプタ、保護ケース、または薬液収容容器(例えば薬液バッグ)にICタグなどのデータキャリア手段が付されている場合には、その情報を読み取る無線通信デバイスであってもよい。このデバイスは、単にICタグからデータの読取りを行うRFIDリーダであってもよいし、または、ICタグにデータの書込みを行うことも可能なRFIDリーダ/ライタであってもよい。
「データキャリア手段」に記録されている情報としては、(i)シリンジであれば、例えば、充填されている薬液に関する、製造メーカ、薬液の種類、品番、含有成分(特に、薬液が造影剤の場合はヨード含有濃度など)、充填量、ロット番号、消費期限等から選ばれる1つまたは複数の情報であってもよい。また、シリンジに関する、製造メーカ、品番といった固有識別番号、許容圧力値、シリンジの容量、ピストンストローク、必要な各部の寸法、ロット番号などから選ばれる1つまたは複数の情報であってもよい。(ii)薬液バッグのような薬液収容容器であれば、例えば、収容されている薬液に関する、製造メーカ、薬液の種類、品番、含有成分(特に、薬液が造影剤の場合はヨード含有濃度など)、充填量、ロット番号、消費期限等から選ばれる1つまたは複数の情報であってもよい。
「接続」−本明細書において、所定の機器と他の機器とが接続されていると言った場合には、有線接続または無線接続のいずれの態様であってもよい。また、他の機器を制御することができるように一方向または双方向に接続されている形態は、「操作可能に接続(operably connected/linked)」と表すこともできる。
「端末」とは、ネットワークに接続されまたはスタンドアロンで使用される、データ処理を行うコンピュータシステムのことをいい、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、携帯型コンピュータまたはタブレット型コンピュータ等を含む。本明細書ではコンピュータと端末とが同義であることもある。
「制御部」とは、CPUおよびメモリ等を有し演算処理を行うものであり、「コントローラ」、「プロセッサ」、「コントローラユニット(制御ユニット)」、「コントローラ回路(制御回路)」、「コントローラモジュール(制御モジュール)」、「プロセッサ部」、「プロセッサユニット」、「プロセッサモジュール」等と呼ぶこともできる。「制御部」は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ、特定応用向け集積回路、および他のプログラム可能な回路などで構成することができる。本明細書において、「制御部」は、物理的に1つの構成であってもよいが、2つまたは3以上の制御部が機能的に協働して1つの「制御部」を構成するものであってもよい。
制御部における基本的は処理は、一例で、まずメモリに記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、次にコンピュータプログラムの指示に従って入力装置や記憶装置からデータを受け取り、そのデータを演算・加工した上で、データをメモリなどの記憶装置やディスプレイなどの出力装置に出力するというものである。
「コンピュータプログラム」は、それを記憶した記憶媒体を所定の装置・デバイス・機構等で読み出し、それらのコンピュータを所定の機能で動作させるものであってもよい。この場合、コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明の一形態を構成することになる。また、コンピュータプログラムは、通信ネットワーク(一例でインターネット)を介して提供されるものであってもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分プログラムであってもよい。
「記憶媒体」としては、例えば、不揮発性のメモリカード(フラッシュメモリ)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、一例で、CDやDVD等などを用いることができる。記憶媒体としては、磁気的記録媒体や光学的記録媒体等、種々のものを利用できる。記憶媒体を、記憶デバイス等と表現することもある。
「入力装置/入力デバイス」(コンピュータシステムに対する入力手段)としては、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、手動によりまたは機械によって操作される物理的スイッチ、マイク、音声入力、グラフィカル・ユーザ・インターフェース等であってもよい。操作者の動きを認識(一例で非接触)してその動きに応じた所定の入力を認識するものであってもよい。
「部(「エレメント」または「モジュール」等としても表現できる)」−本明細書で例えば「(機能の名称)」+「部」で表わされるものは、コンピュータの機能として実現可能なものである。このような「部(エレメント)、モジュール等」」は、システムにおけるいずれの機器に備わっていてもよい。また、必ずしも1つの機器内に備わっている必要はなく、相当する機能が2つ以上の機器に分散して備えられていてもよい。さらに、通信ネットワーク(例えばインターネット)を介して、所定の1つまたは複数の「部」のみが外部のサーバ等に備えられていてもよい。このような「部(エレメント)、モジュール等」」は、コンピュータが論理的に有する各種の機能であってもよい。
なお、本明細書で云う各種の構成要素(デバイス、装置、部、モジュールなど)は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等であってもよい。各種構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、ハードウェアにより実現するものでも、コンピュータプログラムにより実現されるものでも何れでも構わない。例えば、ある構成要素が、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより実現された設定装置、これらの組合せ、等として実現することができる。
「グラフィカル・ユーザ・インターフェース」(GUI)とは、例えば、画面上のアイコン、画像ボタン、プルダウンメニュー、または数値入力ウィンドウなどを、カーソルによりまたはタッチパネルの場合にはタッチすることにより、視覚的に操作できるインターフェースのことをいう。所定のGUIの表示のため、本発明の一形態に係る装置、システム、またはコンピュータの記憶デバイスにGUIのデータが格納されていてもよい。
(II.病院システム)
病院システムは、一例として、撮像装置、薬液注入装置、カルテ管理装置であるHIS、撮像管理装置であるRIS、データ保存装置であるPACS、画像閲覧装置である画像ビューア、プリンタ等を備える。
(HIS)
HISは、専用のコンピュータプログラムが実装されたコンピュータであり、カルテ管理システムを有する。カルテ管理システムで管理される電子カルテは、例えば、固有の識別情報であるカルテID;患者ごとの患者ID;患者の氏名などの個人データ;患者の疾病に関するカルテデータ、等のデータを含むものであってもよい。カルテデータには、治療全般に関連した個人条件データとして、患者の体重、性別、年齢、血清クレアチニン値、等が登録されていてもよい。
(RIS)
RISは、患者から透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを固有の識別情報で管理する。この撮像オーダデータは、HISから取得する電子カルテに基づいて作成される。撮像オーダデータは、例えば、固有の識別情報である撮像作業ID;CT撮像やMR撮像やアンギオ検査などの作業種別;前述の電子カルテの患者IDとカルテデータ;CTスキャナ等の識別情報;撮像開始および終了の日時;身体区分または撮像部位;撮像作業に対応した造影剤などの薬液種別からなる適正種別;撮像作業に適合した薬液IDからなる適正ID、等のデータを含むものであってもよい。
(PACS)
PACSは、撮像装置から撮像オーダデータが付与された透視画像データを受信して保存する。
本発明によれば、空の薬液シリンジに薬液を吸引して使用する場合であっても吸引した薬液に関する情報を正確に管理できる薬液注入システムを提供することができる。
本発明の一形態の薬液注入システムのブロック図である。 注入ヘッドの一例を示す斜視図(クランパが開いた状態)である。 注入ヘッドの一例を示す斜視図(シリンジを載せた状態)である。 供給源シリンジからの薬液吸引およびタグ情報読込みを可能とする構成を備えた薬液注入システムの一例を示す図である。 供給源シリンジからの薬液吸引およびタグ情報読込みを可能とする構成を備えた薬液注入システムの一例を示す図である。 データ読取りユニットの構成を説明するための模式的斜視図である。 供給源シリンジを読取りユニットにセットする態様の1つを説明するための模式図である。 プレフィルドシリンジを、延長チューブを介さずに、直接コネクタに接続する構成を示す図である。 医療システム、および、コンソールを有する薬液注入装置を示す模式図である。 アンギオシリンジおよび保護ケースの斜視図である。 供給源シリンジとして利用可能なシリンジの1つの形態を示す斜視図である。 供給源シリンジとして利用可能なシリンジの別の形態を示す斜視図である。 薬液吸引から薬液注入までの一連の工程を説明するためのフローチャートである。 プレフィルドシリンジを螺旋状の延長チューブを介してコネクタに接続する構成を示す図である。 コンソールのディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。 コンソールのディスプレイに表示される画面の他の例を示す図である。 コンソールのディスプレイに表示される画面のさらに他の例を示す図である。 システムの他の構成例を示す図である。
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明では、基本的に、図面に表された1つの具体的な形態に基づいて説明を行うが、各構成の具体的形態は特定のものに限定されるものではない。
本実施形態の薬液注入システムは、例えば図2A、図2Bに示すような注入ヘッド110を備えるものであってもよい。また、本実施形態の薬液注入システム(図4右側)に模式的に示すように、注入ヘッド110に接続されたコンソールA150を備えるものであってもよい。注入ヘッド110とコンソールA150とは、有線接続または無線接続のいずれであっても構わない。
なお、薬液注入装置(システム)としては、このように注入ヘッド110とコンソールA150とを別体に構成するのではなく、これらを一体的に構成したもの(言い換えれば、コンソールA150の基本的な機能を注入ヘッドに組み込んだような態様)としてもよい。したがって、図1のブロック図では、注入ヘッド110とコンソールA150との区別をすることなく、薬液注入の動作制御などを行うものを「制御ユニット155」として示している。
注入ヘッド110とコンソールA150とを備えた図4のような構成の場合、一例として、撮像装置300および注入ヘッド110が検査室内に配置され、コンソールA150が検査室とは別の操作室内に配置される。また、コンソールA150も検査室内に配置されてもよい。図4では、注入ヘッド110がキャスター付きのスタンドに保持されている例が描かれているが、他の態様としては、注入ヘッド110を天井懸垂式の保持装置によって保持するものや、撮像装置の寝台付近に設けられたレールに取り付けられた保持装置によって保持するものとすることができる。
以下、本実施形態の薬液注入システムの各構成について次の順序で説明する:
1.アンギオシリンジ
2.保護ケース
3.注入ヘッド
4.コンソール
5.撮像装置
(1.アンギオシリンジ)
血管造影用のシリンジ(アンギオシリンジ)200は、例えば図1、図5に示すように、筒状のシリンダ部材210と、その内部にスライド自在に挿入されたピストン部材(プランジャ)220とを有している。アンギオシリンジ200としては市販のものを利用してもよい。シリンジ200の容量は、例えば100ml〜200ml程度であってもよい。シリンダ部材210の材質は、樹脂、ガラス、または金属等であってもよい。シリンダ部材210は、基端部が開口しており、基端部付近にシリンダフランジが形成されていてもよい。シリンダ部材210の先端側には、細長く突出した導管部(ノズル部)211aが形成されていてもよい。導管部211aの先端には、薬液チューブを接続するためのルアーロック構造(不図示)が形成されていてもよい。もっとも、導管部211aにチューブを接続できるものであれば必ずしもルアーロック構造に限らず他のタイプのコネクタを利用することも可能である。
ピストン部材220は、いわゆるロッドレスタイプのものであってもよい。ピストン部材220の背面には、ロッドあるいはピストン駆動機構のラム部材(詳細後述)を、直接または間接的に連結するための係止突起214が形成されていてもよい。この係止突起214の形状は、どのようなものであっても構わないが、一例で、シリンジの軸方向に延在する軸部材とその軸部材の端部に形成された鍔部(例えば円板状部)とを有するものであってもよい。
(2.保護ケース)
アンギオシリンジ200は、図5に例示するような保護ケース240内に挿入された状態で注入ヘッド110に装着されるものであってもよい。このような保護ケース240としては、一例で、円筒形の中空の本体部材241を有するものであってもよい。本体部材241は、先端側が閉じ、後端側が開口した構成となっている。シリンジ200は保護ケース240の後端の開口から挿入される。本体部材241の先端面にはシリンジの導管部211aを通すための開口部241aが形成されている。限定されるものではないが、開口部241aは、先端面の中心部に位置するように形成されていてもよい。保護ケース240の後端部には、フランジ部241bが形成されていてもよい。
このフランジ部241bには、保護ケースの上下を判別するためのインジケータが形成されていてもよい。インジケータは例えば突起部であってもよい。この突起部に、例えば、「上側(UPSIDE)」のような刻印がなされていてもよい。フランジ部241bは、注入ヘッド側の保持構造(例えばクランパ機構、詳細後述)によって保持されるのに適した形状および/または強度に設計されていることが好ましい。
保護ケース240の材質は、特に限定されないが、樹脂、ガラス、金属等であってもよい。アンギオシリンジ200自体で十分に高圧注入に対応できる場合(例えば800psi以上、1000psi以上、または1200psi以上に対応可能な耐圧シリンジの場合)、保護ケース240を使用しない場合もある。
上記構成の保護ケース240は、内部に収容されたシリンジの高圧注入時の物理的な変形を防止して耐圧性能を向上させる役割を果たす。内部のシリンジとしては、所定の耐圧性能を備えたアンギオシリンジであってもよいし、または、場合によってはCT検査用に使用されるような一般的なシリンジであってもよい。何ら限定されるものではないが、例えば、CT検査用の一般的なシリンジを保護ケースに入れることによって800psi以上、または1000psi以上、またはそれ以上の高圧注入を実施できるように構成されていることも好ましい。
(3.注入ヘッド)
注入ヘッド110は、図2A、図2Bに示すように、前後方向に長さを有するような筐体113を有するものであってもよい。その筐体113に、アンギオシリンジ200を装着するシリンジ保持部120が設けられている。なお、この例では注入ヘッド110は単一のシリンジを保持するシングルタイプであるが、注入ヘッドとしては、2本のシリンジを保持するデュアル(二筒式)タイプでもよい。本実施形態では、図3A、図3B等を参照して後述するように、プレフィルドシリンジから薬液をアンギオシリンジに吸引できるようにするための構成が備えられているが、図2A、図2Bでは、先ず、注入ヘッドの基本的な構成について説明する。
注入ヘッド110は、図1、図2Aに示すように、シリンジのピストン部材をスライド移動させるピストン駆動機構130(図2Aではその一部であるラム部材の先端部のみを図示)と、その動作を制御するための制御ユニット155とを有している。この例では、ピストン駆動機構130および制御ユニット155は、ヘッドの筐体113内に配置されていてもよい。注入ヘッド110の回路ブロック(図1)の詳細は、後述するものとする。当然ながら、制御ユニット155の一部の機能が、他の制御ユニットとして、例えば、注入ヘッドに接続されたコンソール内に設けられていてもよい。
図2A、図2Bに示すように、シリンジ保持部120は、シリンジ200が内部に収められた保護ケース240がセットされるケース受け部125と、保護ケース240の一部(端部)を保持固定するクランパ機構123とを有する。ケース受け部125は、保護ケース240の外周面を良好に受けることができるように、凹状に湾曲した受け面を有する。一例で、ケース受け部125には、シリンジ内の薬液を加温するためのヒータ135b(図1参照)が設けられていてもよい。ヒータ135bは、後述する読取りユニット180に設けられていてもよい。
ヒータ135b(図1)は、シリンジ内の薬液を所定温度に保温するためのものである。ヒータの形態および発熱方式はどのようなものであっても構わないが、一例として、シート状のヒータを利用してもよい。
クランパ機構123は、図2Aのように、固定式の下クランパ123bと、それに対して回動自在に構成された可動式の上クランパ123aとを有するものであってもよい。一対のクランパ123a、123bは、一例で各々略円弧形状に形成され、一方が所定の軸周りに回動することで、保護ケース240のフランジ部241bを挟み込んで保持固定するものであってもよい。
注入ヘッド110は、また、筐体113に設けられた複数の物理ボタン117a〜117eや、正逆回転自在のマニュアルノブ118を有している。これらは、機能的には、図1のブロック図の入力装置133に相当するものであり、操作者がこれらの物理ボタン117a〜117e、マニュアルノブ118を操作することで、注入ヘッド110に所定の動作を行わせることができる。
注入ヘッド110は、さらに、所定の情報を表示する表示デバイス137を有していてもよい。この表示デバイス137としては、一例で、7セグLED文字表示部として構成され、例えば、薬液注入中における、経過時間および/または注入量等の情報を表示するものであってもよい。表示デバイス137は、詳細な構成は省略するが、筐体内部にLED等を備えた発光ユニットが配置され、それを覆うように透光性のカバー部材が設けられたものであってもよい。他の態様としては、筐体に設けられた表示デバイス137は、7セグLED文字表示部ではなく液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)等を利用してもよい。
なお、図1では表示デバイス137は1つブロックとして描いているが、当然ながら複数設けられていてもよい。複数の場合、1つは図2Aに示すようなヘッド上の文字表示部137で、他の表示デバイスがそれとは異なるデバイス(例えばディスプレイ)であってもよい。具体的には、注入ヘッドに一体的に設けられる、または、近傍に配置されるサブディスプレイも図1の表示デバイス137に含まれうる。さらに、図4のように、注入ヘッド110とコンソールA150とが別体の場合には、コンソールのディスプレイもこれに含まれうる。
注入ヘッド110は、また、図1に示すように、シリンジのピストン部材220を押圧する圧力を検出する圧力センサ135aを有していてもよい。圧力センサ135aは、一例でロードセルを用いてもよい。圧力センサ135aの検出結果を利用することで、例えば、薬液注入中の薬液圧力を算出可能となる。
(RFIDモジュール)
システム100は、また、RFIDタグの情報を読み取るRFIDモジュール131も有している。RFIDモジュール131は、制御回路131bおよびそれに接続されたアンテナ131aを有するものであってもよい。RFIDモジュール131は、制御ユニット155から伝送された任意の情報をRFIDタグに書き込む機能をさらに有していてもよい。
RFIDモジュール131のアンテナ131aは、導体からなる所定のパターン(例えば、1つまたは複数のループ状パターン)を形成したFPC(フレキシブルプリント基板)で構成され、屈曲可能に設けられてもよい。一例で、円弧状に屈曲していてもよい。詳細な図示は省略するが、正常に保持されたシリンダ部材A210のRFIDタグA225と対向する位置に、アンテナ131aが、シリンダ部材A210と同心状となるように円弧状に曲げられて配置されていることも好ましく、これにより、曲面上に貼付されたタグを良好に検出できる。
制御回路131bは、アンテナ131aでタグから受信した信号に基づいて情報を取り出す。また、情報の書込みを行う場合には、制御回路131bは、所定の情報をアンテナ131a経由で外部に送信させる。制御回路131bの配置位置は任意であって、読取りユニット180(図3A、詳細後述)に配置されてもよいし、ヘッド筐体113内に配置されてもよい。
RFIDモジュール131の出力は、例えば200mWとすることができる。これにより、RFIDタグの検出範囲(検出距離)をより広くすることができる。この場合、RFIDモジュール131は、プレフィルドシリンジ(詳細後述)内に充填されている薬液を通した場合であっても、タグ情報を良好に読み出し/書き込み可能となる。
(ピストン駆動機構)
ピストン駆動機構130は、駆動源であるモータと、そのモータの回転出力を直線運動に変換する運動変換機構と、その運動変換機構によって動かされシリンジのピストン部材を前進または後退させるラム部材(プレッサー部材)とを有するものであってもよい。このようなピストン駆動機構としては、薬液注入装置で一般に用いられる公知の機構を用いることもできる。なお、モータ以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
二筒式注入ヘッドの場合には、ピストン駆動機構は2系統設けられ、この場合、一方が造影剤シリンジ用で他方が生理食塩水シリンジ用であってもよい。各ピストン駆動機構は、独立して動作可能に構成されており、これらは、制御ユニットからの制御信号にしたがって、同時にまたは別々に動作する。
典型的なピストン駆動機構の動作としては、次のようなものが挙げられる:
−薬液注入(ラム部材の前進)
−薬液吸引(ラム部材の後退)
「薬液注入」では、所定のモータ制御信号にしたがってモータを動作させラム部材を前進させることにより、設定された注入条件に従った薬液注入を行う。
「薬液吸引」では、所定の制御信号にしたがってモータを動作させピストン部材を後退させることにより、シリンジ内に薬液を吸引する。
(制御ユニット)
制御ユニット155は、所定の入力等に応じて各部の動作を制御するメインコントローラ151と、ピストン駆動機構153の動作を制御する駆動回路153とを含むものであってもよい。メインコントローラ151は、一例で、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)とメモリとインターフェース等を有し、メモリ内に格納されたコンピュータプログラムを実行することで様々な機能を実現するワンチップマイコンであってもよい。メインコントローラ内のまたは外部の所定の記憶領域に、コンピュータプログラムが記憶されていてもよい。
コンピュータプログラムとしては、例えば、(i)薬液注入/薬液吸引の制御用プログラム、(ii)GUI(グラフィカルユーザインターフェース)を有する場合には、その画像表示の制御プログラム、(iii)RFIDモジュールから読み込んだデータを処理するためのプログラム等が挙げられる。
制御ユニット155(具体的にはメインコントローラ151。以下、説明を簡単にするため「制御ユニット155」で説明する)は、注入ヘッドの各種要素に接続されている。そして、制御ユニット155は一例で下記のような処理を行うように構成され(プログラムされ)たものであってもよい:
−各種センサからの信号に基づいて所定の演算処理を行う、
−ピストン駆動機構に対して所定のモータ制御信号を送り動作を制御する、
−表示デバイスに所定の情報を表示させる、
−物理ボタン等の入力装置を通じた操作者からの入力を受け付ける、
−ヒータの温度制御する、等。
制御ユニット155は、また、実装されたプログラムにしたがって多数の機能を有するが、こうした機能としては、一例で次のようなものが挙げられる:注入プロトコル設定GUI表示機能、注入プロトコル設定機能、注入中の画面表示機能、注入後の画面表示機能、入力検出機能、注入制御機能等。
(各種センサおよびヘッドのその他の構成)
注入ヘッドは、各種センサとして次のようなもののうち1つまたは複数を有してもよい:1つまたは複数の圧力センサ、1つまたは複数のシリンジ検出センサ(磁石センサ、ホールセンサ等)、1つまたは複数の傾斜センサ、1つまたは複数のロータリエンコーダ、1つまたは複数のモータ電流検出器、等。
注入ヘッドの物理ボタンとしては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい:ラム部材を前進させるための前進ボタン、ラム部材を後退させるための後退ボタン、前進ボタンまたは後退ボタンと同時に押すことでラム部材の移動速度を早くするアクセラレータボタン、ヘッドの動作を停止させる停止ボタン、自動後退ボタン等。これらの物理ボタンは注入ヘッド筐体の上面、側面、下面、後端面等に適宜配置可能である。
(4.コンソール)
コンソールA150は、図4に示すように、ディスプレイA151を有するものであってもよい。コンソールA150の筐体の一部には、図示しないが、種々の物理ボタンが配置されていてもよい。筐体の形態は何ら限定されるものではない。コンソールA150が使用される場面に応じて適宜好ましい筐体形状としてもよい。ディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイ等を利用した表示部であってもよい。また、タッチパネル式ディスプレイであってもよい。タッチパネル式ディスプレイは、表示装置と入力装置の両方としての役割を果たす。
(プレフィルドシリンジから空シリンジへの薬液吸引-構成-)
次に、本発明に一形態において、プレフィルドシリンジ内の造影剤を空の薬液シリンジ内に吸引できる構成とした点について説明する。
図3A〜図3Cに示すように、本実施形態の例では、注入ヘッド110の近傍に、プレフィルドシリンジA200を保持するとともにそのシリンジのタグ情報を読み取るデータ読取りユニット180が設けられている。
プレフィルドシリンジA200としては、限定されるものではないが、図6A、図6Bのようなものを利用可能である。図6Aのシリンジは例えば100ml用のものである。このシリンジは、シリンダ部材501とピストン部材502とを備え、シリンダ部材501のシリンダフランジ501aはIカット形状の輪郭形状を有し、同フランジ501aの外周部には2つの切欠き部505が形成されている。シリンダ部材501の先端の導管部501bは、同軸状に配置された内側および外側の2つの筒状部を有するルアーロック接続用のものであってもよい。
図6A(b)に示すように、シリンダフランジ501aの後面には、リング状の突起部501cが形成されていてもよい。フランジ部のストレート状の部分は左右両側に一対形成されていてもよいし、または、1つのストレート部のみであってもよい。切欠き部についても必ずしも一対形成されている必要はなく、1つの切欠き部のみであってもよい。これらについては、図6A、図6Bのシリンジに共通して当てはまる事項である。または、3つ、4つ、あるいはそれ以上の切欠き部を設けてもよい。
別の態様では、図6B(a)、(b)に示すようなシリンジであってもよく、このシリンジは例えば200ml用のものである。このシリンジも、上記シリンジと同様、シリンダ部材501とピストン部材502とを備え、シリンダ部材501のシリンダフランジ501aはIカット形状の輪郭形状を有するものであってもよい。シリンダフランジ501aの外周部には2つの切欠き部505が形成されている。シリンダ部材501の先端の導管部501bは、同軸状に配置された内側および外側の2つの筒状部を有するルアーロック接続用のものであってもよい。図6B(b)に示すように、シリンダフランジ501aの後面には、リング状の突起部501cと、その突起部501cから外側に向かって延びる複数のリブ501dが形成されていてもよい。
図1に模式的に示すように、RFIDタグA225は、細長いシート状のものであってもよく、プレフィルドシリンジのシリンダ部材A210の外周面に沿って、周方向に貼られたものであってもよい。位置は特には限定されないが、例えば、シリンダ部材のフランジ部の近傍であってもよい。
再び図3A〜図3Cの説明に戻り、データ読取りユニット180は、この例では、図3Cに示すように、プレフィルドシリンジのフランジ部を物理的に保持するシリンジ保持部185が形成されたユニット本体181を有している。シリンジ保持部185は、一例として、湾曲した内周面を有する凹部であり、具体的には円弧状に湾曲した内周面を有するものであってもよい。一実施形態では、シリンジ保持部185の一部に、プレフィルドシリンジA200のフランジ部を受ける溝183が形成されている。
このような構成により、プレフィルドシリンジを溝183と平行な方向に移動させることでそのフランジが溝183に挿入され、最終的に、フランジのほぼ半周が溝183に係合した状態で、シリンジがユニット本体181によって物理的に保持される。なお、シリンジをユニット本体181に対してよりしっかりと固定する方式は、特に限定されるものでなく、幾つかの態様が考えられる。例えば、(a)ユニット本体181とは別にクランパのような固定部材(不図示)を備えており、(i)シリンダのフランジ付近をユニット本体181のシリンジ保持部185内にセットし、次いで(ii)そのクランパのような固定部材をロックしてシリンジをユニット本体181に対して固定する構成としてもよい。
別の態様では、例えば、溝183(図3の例ではシリンダフランジが入るような大きさで描かれているので、実際には、より幅広の溝とする必要がある。図3D参照。)に対して、アダプタ部材190が取外し可能に取り付けられ、そのアダプタ190に対してシリンジA200のフランジ部を固定できる構成としてもよい。すなわち読取りユニット180へのプレフィルドシリンジA200の装着は、図3Dに示すように、アダプタ190を介して行うことができる。アダプタ190は、プレフィルドシリンジA200のフランジ部を受け入れる溝を有している。シリンジA200のフランジ部がアダプタ190の溝内に挿入された後、シリンジA200をその軸周りに所定の角度(例えば90度)回転させることによってシリンジA200をロックするロック機構を有していてもよい。ロック機構としては、一例で、フランジ部に形成された切欠き部に嵌まり込む、突起部(凸部または爪部)であってもよい。フランジ部の一対の切欠き部に対応して一対の突起部であることも好ましい。
再び図3Cを参照し、データ読取りユニット180は、プレフィルドシリンジA200が正常に保持された状態で、RFIDタグA225と対向する位置にRFIDモジュール131のアンテナ131aが配置されている。アンテナ131aは、プレフィルドシリンジA200のシリンダ部材A210と略同心状となるように曲げられて配置されていてもよい。具体的には、円弧状とすることができる。この構成により、曲面上に貼付されたRFIDタグの検出範囲の拡大が図られる。
すなわち、本形態では、プレフィルドシリンジA200は、シリンダの外周面にデータキャリアであるRFIDタグA225が貼付されている(図1参照)。この場合、RFIDモジュール131の制御回路131b自体は、任意の位置に設置することができるが、アンテナ131aは、RFIDタグと対向する位置に設置されることが望ましい。また、RFIDタグA225の貼付位置にばらつきがあったとしても、RFIDタグA225が確実にアンテナ(図中ではRFIDモジュール131)と対向するように、アンテナ131aはRFIDタグA225よりも大きな面積を有していることも好ましい。
(読取りユニットの支持構造)
図3A、図3Bを参照すると、データ読取りユニット180は、注入ヘッド110の一部から上方に向かって延びるアーム188によって保持されている。アーム188は、その一端側が回動可能に支持されており、この例では、注入ヘッド110の取付軸128を中心に、所定の角度範囲で、回動可能に構成されている。
図3Aに示すように、アーム188は、この例では、データ読取りユニット180を注入ヘッド110の筐体113とは離れた位置で、かつ、筐体113よりも上方に位置決めするように構成されている。また、データ読取りユニット180は、この状態で、プレフィルドシリンジA200がその先端側を略下方に向けた姿勢で保持されるように構成されている。このような構成によれば、薬液の吐出口が相対的に下方となるので、吸引される薬液中に気泡が混入することを防止することができる。
このような作用効果は、プレフィルドシリンジA200のピストン側が上方となるような姿勢である限り奏されるものである。したがって、プレフィルドシリンジA200は必ずしも鉛直な姿勢に保持される必要はなく、薬液の吐出口が相対的に下方となっており所定の角度に傾斜した姿勢に保持されていてもよい。アーム188によって保持されている部分188aを中心として読取りユニット180が回動可能に構成され、これにより、プレフィルドシリンジA200の向きを調整できるようにしてもよい。
なお、アーム188を中空部材とし、その内部に所定のケーブルを配置してもよい。例えば、RFIDモジュール131と制御ユニット155とを接続するケーブルであってもよい。RFIDモジュール131のアンテナ131aのみが読取りユニット180に配置され、制御回路131が筐体113内に配置されている場合には、両者を接続する信号線がアーム188に通されていてもよい。
プレフィルドシリンジA200とアンギオシリンジ200との接続に関しては、種々の構成を採用しうる。図3Aの例では、プレフィルドシリンジA200の先端部に延長チューブ611が接続され、この延長チューブ611が、シリンジ200のノズル先端側に接続されたコネクタ613に接続される。
より具体的には、コネクタ613は接続状態を切替可能な活栓(一例で三方活栓)であってもよく、チューブ等が接続される3つの接続部614a、614b、615と、接続状態を切り替えるレバー616とを有するものであってもよい。図3Aでは、接続部614aがアンギオシリンジ200のノズルに直接接続されているような図面が描かれているが、当然ながらこれに限らず、所定の延長チューブを介して接続してもよいことは言うまでもない。接続部614bには患者側へと延びるチューブが接続され、そのチューブの先端側に注入針またはカテーテルが接続される。
図3Aでは、延長チューブ611を介してプレフィルドシリンジA200をコネクタ613に接続しているが、別の態様では、図3Eに示すようにプレフィルドシリンジA200の先端部を、延長チューブ611を介することなく、直接、コネクタ613に接続する構成としてもよい。
このために、例えば次のような構成としてもよい。すなわち、一例で、(i)プレフィルドシリンジ先端部が接続される接続部(図3Aの符号615に相当)が横向きや下向きではなく上向きに配置されたコネクタを用い、(ii)プレフィルドシリンジA200を下方に下げていくとその先端部(吐出口)がその接続部の上方に位置するよう構成とし、(iii)例えばルアーロック方式で接続を行ってプレフィルドシリンジA200の先端部を、直接、コネクタ613に接続する構成であってもよい。一例で、図3Bに示したようなアーム188が、より長く形成され、かつ、読取りユニット180をコネクタ613の上方に位置させることができるような形状に形成されていることも好ましい。
このような構成によれば、延長チューブ611を用いる必要が無いので、接続作業が簡単になり、また、部品点数の低減にも有利である。
<アーム>
なお、アーム188は、図示したようなーバー状の部材に限定されず、読取りユニット180を所望のポジションに位置させることができるものであればどのような形状であっても構わない。1本のアーム188を用いるのではなく、一例として、左右一対のアーム(サポート部材)で読取りユニット180を保持する構成としてもよい。
<延長チューブおよび回路構成>
延長チューブ611等に関して、使用の際に延長チューブ611をコネクタ611に接続するのではなく、予め、延長チューブ611とコネクタ613とが接続されたアセンブリとして用意しておいてもよい。
コネクタ613に関して、このような切替え式の活栓を用いるのではなく、チェックバルブを用いる回路構成としてもよい。具体的には、プレフィルドシリンジA200またはそれに相当するものとコネクタとを繋ぐ第1の流路(一例でチューブまたは直接接続)と、コネクタとアンギオシリンジ200またはそれに相当するものとを繋ぐ第2の流路(一例でチューブまたは直接接続)と、コネクタから患者側へと延びる第3の流路(一例でチューブ)とが接続されるダブルチェックバルブであってもよい。このダブルチェックバルブは、(i)吸引時には、第3の流路からコネクタ側への流体の移動を禁止しつつ、第2の流路から第1の流路への流体の流れのみを許容し、(i)注入時には、第1の流路から第2の流体への流体の移動は禁止しつつ、第1の流路から第3の流路への流体の流れのみを許容するように構成されたものであることが好ましい。手動で流路切替えを行う図3Aのようなコネクタ613を用いることも好ましいが、このようなダブルチェックバルブを用いる構成によれば、操作者による流路切替えの作業が不要となる。
プレフィルドシリンジA200に接続される延長チューブ611は清潔を維持するように接続される必要がある。プレフィルドシリンジA200とチューブ611とが1つのセットとして(予め接続されているおよび/または滅菌処理されていることも好ましい)用意されてもよい。この場合、これらが包装体内に収められたキットとして用意されてもよい。
読取りユニット180は、シリンジを保持する役割を果たす部品にアンテナ131aを取り付けた構成としているが、2以上の部品で構成されていてもよい。例えば、シリンジを保持する容器固定部材としての部品と、アンテナを保持する他の部品とで構成されていてもよく、より詳しくは、それらが一体的にアセンブリされたものであってもよいし、物理的に離れるように設けられたものであってもよい。
(プレフィルドシリンジから空シリンジへの薬液吸引-動作-)
上記のように構成された薬液注入システムの使用例について、以下、図7のフローチャートも参照しつつ説明する。
まず、図7のステップS1a、S1bに示すように、プレフィルドシリンジA200をデータ読取りユニット180に保持させ、また、空のアンギオシリンジ200を注入ヘッド110のシリンジ保持部120に保持させる。これらのステップに関しては、順番は特に限定されるものではなく、いずれを先に実施してもよい。
次いで、ステップS2に示すように、コネクタ613や、必要に応じて所定の延長チューブ(不図示)などを用いて、プレフィルドシリンジA200とアンギオシリンジ200とを接続する。図3Aのように、延長チューブ611を利用する場合には、例えば、延長チューブ611の端部をプレフィルドシリンジA200の先端に接続するとともに、延長チューブ611の他端をコネクタ613の接続部615に接続する。
他方、延長チューブ611を利用しない直接接続の場合には、例えば、次のような手順で実施できる。すなわち、データ読取りユニット180にプレフィルドシリンジA200を保持させた状態でアーム188を下向きに回動させると、プレフィルドシリンジA200の先端がコネクタ613の直上付近に位置するように構成しておき、その後、例えばルアーロックコネクタ等を用いて、プレフィルドシリンジA200の先端をコネクタ613に直接接続する。なお、他の接続例については再度後述するものとする。
プレフィルドシリンジA200のRFIDデータの読取りステップは、基本的にはどのタイミングで実施してもよいが、図7のフローチャートでは、薬液吸引ステップ(S4)より前のタイミングとなっている(ステップS3)。ステップS3では、所定のタイミングでメインコントローラ151(図1参照)がRFIDモジュール131を動作させ、プレフィルドシリンジA220のRFIDタグA225のデータの読取りを行う。
ステップS3では、こうして読み取ったタグ情報を、薬液注入システム内の任意の記憶領域に格納する、または、外部の機器ないしネットワークにデータを送信してもよい。タグ情報は、送信先のシステム内の所定の記憶領域に格納されてもよい。また、制御ユニット155(例えばコンソール)がこれらのタグ情報を、表示デバイスとしてのコンソールのディスプレイに表示してもよい。
その後、ステップS4において、コネクタ613のレバーを操作してプレフィルドシリンジA200からアンギオシリンジ内に薬液を吸引できる状態としたうえで、注入ヘッド110のピストン駆動機構130を動作させてシリンジのピストン部材220(図1参照)を後退させ、アンギオシリンジ200内に薬液を引き込む。例えば、ピストン駆動機構130のラム部材を所定距離だけ後退させることにより、アンギオシリンジ200内に所定量の薬液が吸引され(ステップS4)、充填が完了する(ステップS5)。
なお、吸引動作のトリガとなりうるものとしては、例えば、操作者による注入ヘッドへの入力(一例で物理ボタンの押下など)、操作者によるコンソールの画面上のGUIへの入力(例えば所定の画像ボタンのタッチ)、その他、ハンドスイッチやフットスイッチといった物理的入力デバイスを通じた入力、音声入力等であってもよい。
吸引完了後、コネクタ613のレバー616を操作してアンギオシリンジ200内の薬液を患者に向けて注入できる状態とした後、ステップS6において、メインコントローラ151および駆動回路153によってピストン駆動機構130を動作させて患者に対して薬液注入を行う。
上記一連の手順により、プレフィルドシリンジA200からアンギオシリンジ200内への薬液の吸引と、アンギオシリンジ200内の薬液の患者への注入を行うことができる。
(動作に関する詳細な態様または他の態様)
なお、アンギオシリンジ内に薬液が吸引するステップでは、気泡の残留を防止するため次のような動作でピストン部材を移動させるようにしてもよい:
(i)ピストン部材がその可動範囲内における最前端位置またはその付近にある状態で、該ピストン部材を後退させ、シリンジ内に所定量の薬液を引き込む。この後退移動は、例えば、数ml〜20mlの薬液を吸引する程度の移動量に設定されていてもよい。後退移動に先立って、ピストン部材をその可動範囲の最前端位置まで移動させる前進移動が実施されてもよい。
(ii)その後、ピストン部材を前進させる(上記工程で後退させた移動量よりも小さい移動量)。上記工程で仮にシリンジ内に気泡が混入したとしても、この工程で、シリンジ内の気泡が外部に排出される。効率的に気泡を排出するためにシリンジ前端側を上に向けた姿勢でこの工程が行われることが好ましい。
(iii)続いて、シリンジ内に導入すべき薬液の全量が吸引されるように、ピストン部材を一定距離後退させる。この「一定距離」は、シリンジ内に、本来吸引すべき薬液の量(設定量)に、数ml〜20ml程度の追加分を加えた量を吸引できる程度の距離であってもよい。
(iv)上記工程でシリンジ内に気泡が混入している可能性もあるので、それを排出するために最後に再度少しピストン部材を前進させる。この際の移動量は、シリンジ内に、少なくとも、本来吸引すべき薬液の量(設定量)が残る程度の量である。
以上(i)〜(iv)の移動動作により、シリンジ内の気泡の残留を防止しつつ良好に薬液の吸引を行うことができる。一部または全工程を手動で実施してもよいが、(i)〜(iv)の少なくとも一部、好ましくは全工程が自動的に実施されるようにプログラミングされていることも好ましい。例えば、このような一連の動作が1つの吸引モードとして設定されており、操作者がこの吸引モードを選択し、吸引を開始させることで、一連の動作が自動的に実施されるようになっていてもよい。操作者による吸引モードの選択は、例えば、ディスプレイ上に表示されたアイコンを押すことにより、または、所定の物理ボタンを押すことにより、行なわれてもよく、システムはこうした操作者の入力を受け付けるように構成されている。
上述した実施形態は、次のような発明として表現することができる:
1.薬液シリンジ(200)を保持するシリンジ保持部(120)および前記シリンジのピストン部材(220)を移動させるピストン駆動機構(130)を備える注入ヘッド(110)と、
前記ピストン駆動機構に動作可能に接続された制御ユニット(155)と、
を備える薬液注入システムであって、
さらに、
前記薬液シリンジとは別の薬液収容容器(200A)に設けられたデータキャリア手段の情報を読み取るデータ読取りユニット(180)を備える、
薬液注入システム(100)。
以上のような構成によれば、ピストン駆動機構を動作させて薬液シリンジ内に薬液を吸引する場合であっても、システムに備えられたデータ読取りユニットを用いて薬液収容容器のデータキャリア手段(例えばRFIDタグ)の情報を読み取ることができる。したがって、院内の作業者が薬液情報等を手書きで記録したり他の機器に入力したりする必要がなく、また、読み取ったデータキャリア手段の情報に基いて薬液に関する情報を正確に管理することも可能になる。こうしたデータ管理はエビデンスの観点からも好ましい。
2.前記データ読取りユニット(180)は、前記薬液収容容器(200A)の一部を物理的に保持するように構成されている、上記記載の薬液注入システム(100)。
このような構成によれば、データ読取りユニット(180)が薬液収容容器(200A)を保持する部材としての役割も果たすので、読取りユニットと保持部材とを別々に設ける必要がなく、構成の簡素化にも有利である。また、読取りユニットによるデータ読取りを正常に実施するためには、読取りデバイス(例えばRFIDモジュール)とデータキャリア手段との位置関係が重要となるが、このような構成によれば、薬液収容容器(200A)と読取りデバイスとを所定の位置関係とすることができるので、正確なデータ読取りを実現できる。
3.前記薬液収容容器(200A)が、薬液が充填されたプレフィルドタイプの供給源シリンジ(A200)であり、
前記データ読取りユニット(180)は、前記供給源シリンジの一部を保持する、
上記記載の薬液注入システム(100)。
例えばプレフィルドシリンジA200から薬液を吸引する場合、薬液バッグ、薬液ボトルといった他のタイプの薬液収容容器から吸引する構成と比較して、吸引を行う前段階のセッテイング作業(例えば回路接続なども含む)がより簡単である。また、薬液バッグ等からの吸引では、例えばスパイク針を薬液バッグの栓部材に差し込んでバッグ内の薬液を吸引できるようにする場合もあるが、プレフィルドシリンジA200からの吸引の場合にはそうした穿刺作業が不要となるので、作業上の安全性も向上する。
4.前記データ読取りユニット(180)の一部を支持し、そのユニットを所定の位置に位置決めするサポート部材(188)を備える、上記記載の薬液注入システム(100)。「サポート部材」としては例えばアーム等であってもよいが、このような構成によれば、例えば読取りユニット(180)をケーブルを介して注入ヘッド(110)に接続するような構成と比較して、所望の位置に読取りユニット(180)を位置させておくことができる。
9.さらに、前記薬液収容容器(A200)と前記薬液シリンジ(200)とを連通し、前記薬液収容容器から前記薬液シリンジ内への薬液の吸引を可能にする接続回路(613等)を備える、上記記載の薬液注入システム(100)。「接続回路」としては、活栓などのコネクタおよびそれに接続される延長チューブ等であってもよいが、このような接続回路一式も備えたシステムによれば、例えば医師または医療従事者が現場でコネクタやチューブを個々に用意する必要がなく、作業を簡便に行うことができる。こうした接続回路(コネクタやチューブの一式)は、例えば、包装体内に収容されたキットとして用意されてもよい。
アンギオグラフィ検査での造影剤の具体的な使用の一例について説明する。一般的なアンギオグラフィ検査用の薬液注入装置では、注入ヘッドに100mlのアンギオシリンジを装着して使用するものも多い。しかしながら、アンギオグラフィ検査では、患者の体内の一箇所の部位(ROI)のみではなく、複数箇所に対して造影剤注入を繰り返す場合もあり、100mlのシリンジでは造影剤量が足りなくなる可能がある。この点、本実施形態のような薬液注入装置によれば、読取りユニット180で保持するシリンジから追加的にアンギオシリンジ内に造影剤を吸引して注入を行うことができるので、比較的多量の造影剤を必要とするような検査においても良好に対応できる。ユニット180に保持可能なシリンジサイズとしては、何ら限定されるものではなく、数十ml〜数百mlといったシリンジサイズのものを搭載できる。また、当該サイズのシリンジの全量が入っていないタイプのプレフィルドシリンジ(すなわち、例えば100mlのサイズのシリンジに50mlのみの造影剤が充填されているようなもの)等も利用可能である。限定されるものではないが、1本目のプレフィルドシリンジの全量が吸引された後、それを外して2本目のプレフィルドシリンジを装着して更なる吸引・注入を行うようなことも可能である。アダプタを介してユニット180にプレフィルドシリンジあるいは他の薬液容器を保持させる構成の場合、それぞれに対応した複数種類のアダプタさえ用意すれば、1つのユニット180に対して共通的に種々のシリンジおよび/または容器を保持させることが可能となり、便利である。
空のシリンジに造影剤を吸引して薬液注入を行うための手法としては、例えば、シリンジの導管部211aにスパイク針を取付け、そのスパイク針を造影剤ボトル(一例)の封止部に差し込み、その状態で吸引を行うことでシリンジ内へと造影剤を引き込む手法がある。これに対して本実施形態のような吸引方式によれば、スパイク針の穿刺作業は不要である。
(種々の変更例)
以上、本発明について幾つかの形態を参照して説明したが当然ながら、本明細書で開示する技術事項はその内容が相反しないかぎり適宜組み合わせることができる。また、本発明は上記内容に限定されるものではなく種々変更可能である。
(a1)アンギオシリンジに薬液を吸引する態様を例として説明したが、本発明の一形態では、アンギオシリンジほど高耐圧性能が要求されないシリンジに薬液を吸引するものであってもよい。すなわち、本発明の一形態の薬液注入システムは、一例で、CT検査用などの造影剤を空シリンジに吸引する場合にも応用できる。
(a2)読取りユニット(180)を支持するためのサポート部材がヘッド筐体からの延び出したアームである例について説明したが、他の態様では、例えば、ヘッドを支持するスタンドや天井懸垂式保持装置にそのようなサポート部材(一例でアーム)が設けられる構成としてもよい。
(a3)プレフィルドシリンジを接続するための延長チューブとしては図8のようなものであってもよい。この例では、プレフィルドシリンジA200が螺旋状に巻かれた伸縮可能な延長チューブ611−1を介してコネクタ613に接続されている。このようなチューブはコイルチューブとも呼ばれる。アーム188の可動域が広く設定されている構成の場合(具体的には、例えば、プレフィルドシリンジA200をコネクタ613等に近接して配置しておく必要がないときにアーム188を移動させてプレフィルドシリンジA200を退避させておくような場合)、伸縮自在である点でこのようなコイルチューブは有利である。一例で、アーム188の基端部が回動可能(一軸、二軸または多軸。水平軸、垂直軸、任意の角度の傾斜軸のうち1つまたは複数でもよい)に構成されており、これにより、アーム188の先端側、すなわち読取りユニット180側を例えばヘッドの後端側に一時的に移動させておくことができるように構成されていることも好ましい。
(a4)読取りユニット(容器を保持する機能に着目すれば例えば「容器保持部材」などとも表現でできる)は、プレフィルドシリンジ以外にも、薬液が入った薬液容器の一部を保持するように構成されていることも好ましい。薬液容器の一部が、読取りユニットのシリンジ保持部に直接保持されてもよいし、アダプタを介して保持されてもよい。この場合、所定の固定位置に薬液容器が保持された状態で、薬液容器に取り付けられたデータキャリアが、RFIDモジュールのアンテナに対向する位置となるように構成されていることも好ましい。薬液が入った薬液容器としては、バッグやボトルなどが挙げられ、その外装体が柔軟性を有しているものまたは有していないもののいずれであっても構わない。樹脂製またはガラス製の容器などでもよい。
(b1)コンソールA150のディスプレイA151(図4)に表示される画面としては、特に限定されるものではないが、図9〜図11のような画面が表示されるように構成されていてもよい。
(b2)コンソールA150(特にはその制御部)は、RFIDモジュール131によって読み込まれたシリンジのタグ情報を受信し、そのディスプレイA151に、図9に示すように、一例で薬液の製品名、シリンジ容量、ヨード含有濃度の少なくとも1つを表示してもよい。このような情報は、例えば、ポップアップウィンドウ(画面内に表示されるウィンドウのことをいう)内に表示されてもよい。また、図10のように、より具体的なシリンジ情報を表示してもよい。この例では、シリンジ情報として、メーカ、製品名、ヨード量、容量、ロット番号、使用期限が表示されているが、これらのうち一部のみを表示するものであってもよい。
(b3)コンソールA150(特にはその制御部)は、血管造影検査における薬液注入結果のデータを記憶し、それを、必要に応じて例えば図11のような態様でディスプレイA151に表示するように構成されていてもよい。このようなデータはコンソールA150とは別の記憶デバイス(一例でネットワーク上のサーバ等)に記憶され、そこから読み込まれてもよい。表示される「結果一覧」に含まれる情報としては、例えば、注入時刻、注入モード、注入を行った部位、注入速度、注入量、注入時間、圧力、積算量、および造影剤濃度の一部または全部であってもよい。
薬液注入システムにおけるコンソールまたはその他のコンピュータ装置が、上記のような注入結果のデータをネットワーク経由で外部に送出するように構成されていてもよい。この場合、例えばデータを受け取った病院システム内の所定のコンピュータ(例えば電子カルテシステム等であってもよい)において、当該データに基づく、種々のデータ処理を実施することが可能となる。一例として、使用した薬液の量、種類などの情報を正確に記録し管理することができる。検査ごとに、どの患者に対してどのような条件の注入を実施したかが分かるようになっているということは、例えば、副作用が生じた場合のトレーサビリティの観点からも好ましい。
(c1)システム全体の構成に関し、図12のように、薬液注入システム100が注入ヘッド110と、コンソールA150と、コントロールボックスA155とを有するものであってもよい。この例では、また、薬液注入システム100がCTスキャナ300Aと血管造影撮像装置300Bとに通信可能に接続される構成が示されている。コントロールボックスA155は、一例で、通信プロトコルの変更および/または通信規格の変更を行うものであってもよい。
(c2)データキャリアから読み込んだ情報は、病院システム等において種々利用することが可能である。病院システムとしては、例えば薬液注入システム100、1つまたは複数の透視撮像装置、1つまたは複数のRIS、1つまたは複数のPACS、1つまたは複数のHIS等の一部または全部がネットワークを介して接続されたものであってもよい。
病院システムは、患者に対する処置の履歴、薬液の使用履歴、シリンジの使用履歴の1つまたは複数を簡単に保存および追跡することができる。
薬液注入システム100に含まれるコンピュータ(例えばコンピュータユニット155でもよい)は、現在時刻の情報を生成または取得するように構成されていてもよい。当該コンピュータは、プレフィルドシリンジから薬液を吸引した時刻データを生成し、そのデータを保存するように構成されている、または、外部に送信するように構成されていることも好ましい。
データキャリアから読み込んだ情報の病院システム内での利用態様としては、例えば、会計処理、在庫管理、製品注文等であってもよく、一例としては、使用されたプレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジの代わりに薬液容器を使う場合であればその容器)の数やそれに応じた会計を管理してもよい。タグに記録されたデータを含むデータ(シリンジのID、そのシリンジに吸引された薬液についての、メーカ、品番、ロットおよび吸引量を含むデータ、および注入した被験者についてのデータを含む)を格納しておくことも好ましい。シリンジおよび/または薬液の在庫状況から、シリンジおよび/薬液の販売元への発注を医療システムが自動的に行うようにすることもできる。
また、格納されたデータから、過去に使用した薬液のロットと、どのロットの薬液が注入された被験者との対応付けも可能である。例えば副作用が発生した場合は、副作用の対象となる薬液がどの被験者に注入されたかといった追跡も可能となる。
また、薬液注入システムのコントローラ、透視撮像装置の所定の制御部のうち少なくとも前者が医療ネットワークに接続されていてもよい。薬液注入システムは、(i)タグから取得した各種データ、(ii)注入された薬液の注入速度、注入時間、注入量、注入グラフを含む注入結果のデータ、(iii)透視撮像装置による撮像条件(撮像時間、撮像装置がCT装置の場合は管電圧、などを含む)の一部または全部を外部に送信する。送信先としては、透視撮像装置、および/またはRIS、PACS、HISなどの他の医療システム等であってもよく、データを受信した機器では当該データをそれ自身もしくは所定の記憶デバイスに保存する。こうして保存した注入データは、注入履歴の管理に利用されるが、特に注入量などは会計処理にも利用することができる。会計処理に際しては、薬液の注入量を、例えば1ml単位で把握できるため、従来のようなシリンジ製剤単位(例えば、100ml単位)での処理に比べ、実際の使用量に即したより細かい単位での会計が可能となる。その結果、患者(被験者)の金銭的負担を軽減することも可能となる。また、患者の体重等の身体的情報、ID、氏名、検査部位、検査手法を、RIS、PACS、HISなどから取得して薬液注入装置に表示し、それにあった注入を実施することもできる。
なお、薬液注入における薬液注入量は、患者の体重といった身体的特徴、撮像部位および撮像時間などのファクターを考慮した計算式を用いて算出することもできるし、医師等が値を直接決定することもできる。注入量の算出に用いられる上記のファクター、あるいは医師等が決定した注入量の値は、操作者が入力することもできるし、ネットワーク経由あるいはダイレクト回線で接続されたRIS、HIS、PACS、外部サーバ、クラウドなどの外部データベースから入手することもできる。注入量の計算に用いるファクターを外部データベースから入手することで、操作者による入力ミスを防止することができる。
100 薬液注入システム
110 注入ヘッド(インジェクタヘッド)
113 筐体
117a〜117e 物理ボタン
118 マニュアルノブ
120 シリンジ保持部
123 クランパ機構
125 ケース受け部
128 ヘッド取付軸
130 ピストン駆動機構
131 RFIDモジュール
131a アンテナ
131b 制御回路
133 入力装置(物理ボタン、タッチパネル等)
135a 圧力センサ
135b ヒータ
137 表示デバイス
150 コンソール
151 メインコントローラ
153 駆動回路
155 コンピュータユニット(制御回路、制御ユニット)
180 データ読取りユニット(容器保持部材)
181 ユニット本体
183 溝
185 シリンジ保持部
188 アーム
190 アダプタ
200 アンギオシリンジ(耐圧シリンジ、アンギオグラフィ検査用の造影剤シリンジ)
210 シリンダ部材
211a 導管部
214 係止突起
220 ピストン部材
240 保護ケース(耐圧カバー)
241 本体部材
300 撮像装置
303 寝台
611、611−1 延長チューブ
613 コネクタ
616 レバー
A150コンソール
A155 コントロールボックス
A200 プレフィルドシリンジ(供給源シリンジ)
A210 シリンダ部材
A220 ピストン部材
A225 RFIDタグ

Claims (9)

  1. 薬液シリンジを保持するシリンジ保持部および前記薬液シリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構を備え、注入ヘッド取付軸に回動可能に保持された注入ヘッドと、
    前記ピストン駆動機構に動作可能に接続された制御ユニットと、
    前記薬液シリンジとは別の薬液収容容器に設けられたデータキャリア手段の情報を読み取るデータ読取りデバイスを有し、前記薬液収容容器の一部を物理的に保持するデータ読取りユニットと、
    前記データ読取りユニットの一部を支持して所定の位置に位置決めするアームと、
    を備え、
    前記データ読取りデバイスは、アンテナと制御回路とを構成要素として含むRFIDモジュールであり、前記データ読取りユニットに前記アンテナのみが配置され、前記注入ヘッドに前記制御回路が配置され、
    前記アームは中空部材であってその内部に前記アンテナと制御回路とを接続する配線が通されるとともに、前記データ読取りユニットの位置を調整できるように前記注入ヘッド取付軸に回動可能に取り付けられている
    薬液注入システム。
  2. 前記薬液収容容器が、薬液が充填されたプレフィルドタイプの供給源シリンジであり、
    前記データ読取りユニットは、前記供給源シリンジの一部を保持するように構成されている、
    請求項に記載の薬液注入システム。
  3. 前記データキャリア手段が、ICタグである、請求項1または2に記載の薬液注入システム。
  4. 前記注入ヘッドは、
    前記薬液シリンジとしてアンギオグラフィ検査用の造影剤シリンジを保持する、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  5. 前記注入ヘッドは、
    前記薬液シリンジを耐圧カバーが装着された状態で保持する、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  6. さらに、
    前記注入ヘッドに通信可能に接続されたコンソールを備える、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  7. さらに、
    前記薬液収容容器と前記薬液シリンジとを連通し、前記薬液収容容器から前記薬液シリンジ内への薬液の吸引を可能にする接続回路を備える、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  8. 前記薬液収容容器が、薬液が充填されたプレフィルドタイプの供給源シリンジであり、
    前記薬液シリンジの先端付近には活栓が接続されており、
    前記供給源シリンジの先端が、(i)直接的に、または(ii)中間チューブを介して間接的に前記活栓に接続されている、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  9. 前記薬液が造影剤である、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
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