JP6516356B2 - 飲み込み検出衣服および飲み込み検出器 - Google Patents
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Description
さらに、飲み込み検出衣服および衣服本体に取り付けられた飲み込み検出器は、非侵襲的で拘束性が小さいので、被検者に負担をかけずに加速度データを計測することができる。
以下の説明において、被介護者または患者等の飲み込み検出衣服を着用する者を被検者Aと言うものとする。また、被介護者または患者等の被検者Aを介護、看護または検査する者を検者と言うものとする。また、飲み込みのことを嚥下という場合があるものとする。
なお、衣服本体10の形態は、上記形態に限定されるものではなく襟部12を有するものであればどのようなものであってもよい。また、襟部12の形態も上記形態に限定されるものではなく、頸部の周りを囲むようなものであればどのような形態であってもよい。また、衣服本体10の素材は、食べこぼしなどの汚れを落としやすいポリエステル等の合成樹脂製のシートであってもよい。
架渡部20を構成する素材はどのようなものであっても構わないが、伸縮性を有する素材が好ましい。架渡部20の素材として伸縮糸等で編成した編物等の伸縮性を有する素材を用いると、架渡部20または加速度センサ30を容易かつ確実に頸部に当てることができる。
なお、架渡部20が架け渡される位置および架け渡し方は、被検者Aが飲み込み検出衣服を装着した際に、架渡部20が頸部の前で架け渡され、加速度センサ30が所定の測定部位上に位置するようであれば、どのようなものであってもよい。
加速度センサ30は、加速度データをパソコン等の計算機74に送信するために、有線または無線の通信部を備えるものであってもよい。
位置調節部40,42によると、衣服本体10の面ファスナ40,40が略上下方向に延びる態様で設けられているので、襟部12における架渡部20の掛け渡し位置を上下方向に変えて、架渡部20を衣服本体10に取り付けることができる。また、架渡部20の左右の端部側に架渡部20の長手方向に延びる帯状の面ファスナ42,42が設けられているので、架渡部20を左右方向にずらして衣服本体10に取り付けることができる。したがって、飲み込み検出衣服は、位置調節部40,42により加速度センサ30の位置を上下左右に変更することができる。
なお、衣服本体10の面ファスナ40,40は、衣服本体10の前側の面に設けてもよく、この場合、架渡部20の面ファスナ42,42は、架渡部20の後側の面に設ける。
また、位置調節部40,42は、面ファスナ40,42以外のものであってもよく、加速度センサ30の位置を上下左右に変えるため、襟部12における架渡部20の架け渡し位置を変えることができるものであればどのようなものであってもよい。例えば、衣服本体10の面ファスナ40,40に代えて、スナップボタンの凹部または凸部を略上下方向に複数設け、架渡部20の面ファスナ42,42に代えて衣服本体10のスナップボタンに対応するスナップボタンの凸部または凹部を設けてもよい。また、位置調節部40,42は、スナップボタンの代わりに、ボタンとボタンホールの組み合わせとしてもよい。
ここで、前頸筋とは、舌骨上筋および舌骨下筋の総称である。舌骨上筋とは、顎二腹筋、茎突舌骨筋、顎舌骨筋およびオトガイ舌骨筋の総称であり、舌骨下筋とは、胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋および甲状舌骨筋の総称である。
加速度センサ30による計測部位については、前頸筋のうち舌骨下筋がより好ましく、特に、舌骨下筋のうち胸骨舌骨筋上がさらに好ましい。これらの部位上に加速度センサ30を配置すると、他の部位に比べて、計測される加速度の値が大きくなるので、飲み込みの判定において判定精度が向上する。
また、飲み込み検出衣服は、非侵襲的で拘束性も弱いので、被検者Aに負担をかけずに加速度データを計測することができる。また、エプロンや前掛けなど食事の際に着用する衣服に取り付けることで、食事中に自然な形で着用することができ、飲み込みを検知されているという感覚を薄めることができる。
加速度の測定部位は、顎二腹筋(Daigastric muscle)、胸骨舌骨筋(Sternohyoid muscle)および胸骨甲状筋(Sternothyroid muscle)の3箇所とした。
加速度の測定には、加速度データを送信可能な加速度センサ30(ZB−155H,ZB−156H:日本光電工業株式会社製)と、加速度データを受信する受信機72および計算機74を有するマルチテレメータシステム70(WEB1000:日本光電工業株式会社製)と、を用いた。加速度センサ30は、顎二腹筋には1軸(x軸)の加速度を計測できるZB−155Hを用い、胸骨舌骨筋および胸骨甲状筋には3軸(x軸、y軸、z軸)の加速度を計測できるZB−156Hを用いた。加速度センサ30は、両面テープにより各測定部位上の皮膚の表面に取り付けた。顎二腹筋の加速度センサ30(ZB−155H)は、加速度の検出軸であるx軸がその筋繊維の走行方向と略直交するように取り付けられた。胸骨舌骨筋および胸骨甲状筋の加速度センサ30(ZB−156H)は、加速度の検出軸であるx軸がそれぞれの筋繊維の走行方向と略平行となるようにするとともに、加速度の検出軸であるz軸がそれぞれの筋繊維の走行方向と略直交するように取り付けた。各加速度センサ30で計測された加速度データは、無線で受信機72に送信され、その加速度データを計算機74に送信して、計算機74の記憶装置に記憶させた。加速度データのサンプリング周波数は、1kHzとした。
被検者Aは、健常な成人男性6名(22.3±0.9歳)とした。被検者Aは、座位で安静状態を保ち、飲料水10mlを口に含んだ後、検者の指示した時刻にそれを飲み込んだ。このような飲み込みを各被検者Aに対し5回行った。
そして、生の加速度データxtのうち、上記のように定義された安静時のデータと飲み込み時のデータから以下の(1)式により単位時間当たりの積分値を求めた。
図7(B)は、各測定部位における安静時と飲み込み時の加速度の積分値iAccの比を示す。これも図7(A)と同様に、胸骨舌骨筋の値が最も大きく、他の部位に比べ有意に大きくなる。
被検者Aの対象は、若年者と高齢者とした。若年者は、健常な成人男性10名(22.1±0.9歳)と健常な成人女性10名(21.2±0.4歳)とした。高齢者は、要介護高齢者(男性1名、女性3名、83.0±5.6歳、要介護4.8±0.5)とした。
飲み込み検出衣服は、加速度センサ30が、胸骨舌骨筋上の皮膚の表面において、加速度の検出軸であるx軸がそれぞれの筋繊維の走行方向と略平行となるようにするとともに、加速度の検出軸であるz軸がそれぞれの筋繊維の走行方向と略直交するように被検者Aに装着された。
高齢者に対しては、飲み込み検出衣服による計測に加えて、筋電計(ZB−150H、日本光電工業株式会社製)による計測も行った。筋電計は、顎二腹筋上の皮膚の表面において筋繊維の走行方向と略直角となるように装着した。
被検者Aが飲み込むものは、飲料水に代えてゼリー状のお茶とし、検者がこれを被検者Aの口に運んだ。検者は、被検者Aが飲み込んだと判断した場合には、フットスイッチ76により計算機74にタイムスタンプを入力した。また、被検者Aの飲み込みを観察するためビデオ撮影を行った。
高齢者の加速度データの積分値iAccは、上記により再定義された高齢者の安静時のデータと飲み込み時のデータから(1)式により求める。
また、筋電計で得られた生のデータEtのうち上記により再定義された高齢者の安静時のデータと飲み込み時のデータから、以下の(2)式によりそれぞれの単位時間当たりの積分値を求める。
架渡部20は、上記飲み込み検出衣服のものと同じであるため、ここでは具体的な説明を省略する。架渡部20には、必要に応じて面ファスナ42等の位置調節部42が備えられる。
加速度センサ30も上記飲み込み検出衣服のものと同じであるため、ここでは具体的な説明を省略する。加速度センサ30は、架渡部20が襟部12に架け渡された衣服を被検者が着用する際、被検者の頸部の前頸筋上に位置し、かつ、加速度センサ30の計測軸の一つが略前後方向に平行となるように、接着剤や粘着テープ等の固定手段により架渡部20に取り付けられている。
架渡部20は、上記衣服本体10等の衣服の襟部12において所定の位置に架け渡された状態で、縫い付けまたは接着等の固定手段により衣服に固定して使用してもよいし、架渡部20および衣服に備えた位置調節部40,42により固定して使用してもよい。
衣服の襟部12に架け渡した飲み込み検出器の使用方法および効果については、上記飲み込み検出衣服の使用方法と同じであるため、ここでは説明を省略する。
また、本発明の飲み込み検出衣服および飲み込み検出器は、人に限らず、他の動物に適用することもできる。
11 開口部
12 襟部
14 切欠部
16 装着部
18,19 面ファスナ
20 架渡部
30 加速度センサ
40,42 面ファスナ(位置調節部)
70 マルチテレメータシステム
72 受信機
74 計算機
76 フットスイッチ
A 被検者
Claims (2)
- 襟部を有する衣服本体と、
襟部に架け渡される架渡部と、
架渡部に取り付けられる加速度センサと、
を備えることを特徴とする飲み込み検出衣服。 - 襟部および架渡部の両方または一方に、架渡部が架け渡される位置を調節できる位置調節部を備えることを特徴とする請求項1記載の飲み込み検出衣服。
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JP2015048237A JP6516356B2 (ja) | 2015-03-11 | 2015-03-11 | 飲み込み検出衣服および飲み込み検出器 |
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ID=56981605
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JP2015048237A Active JP6516356B2 (ja) | 2015-03-11 | 2015-03-11 | 飲み込み検出衣服および飲み込み検出器 |
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