JP6515108B2 - アクセサリ・ギアボックス - Google Patents

Description

本発明は、航空機ターボ機械の中に存在する機器用のアクセサリ・ギアボックス（ＡＧＢ）に関する。

かかるＡＧＢは一般に、始動機や圧縮機などのエンジン部材と、発電機や油圧ポンプまたはその他の機器などの従属部材との間における機械的エネルギーの伝達を可能にするギア列を備える。

ギア列という用語はここでは、同一の平面または平行な複数の平面に位置し、隣接して噛合する一連のピニオンと理解されたい。

より正確には、本発明は、複流ターボジェットに組み込まれうるＡＧＢ構造体に関する。

長手方向の軸ＸＸに沿って延びる複流タービンエンジン１００（図３）が、１次流Ｆ１を循環させる１次流流路１１１を備えている。１次流Ｆ１は、一連の圧縮機１０３を通過し、燃焼チャンバ１０４そして一連のタービン１０５を通過するように運ばれる。ターボジェット１００はまた、１次流流路１１１の周囲に配置される、２次流Ｆ２が循環する２次流流路１１２を備える。

最も普及しているＡＧＢ構造体は、２次流流路を取り囲むナセル（ｎａｃｅｌｌｅ）内に配置されるバナナ形または三日月形のＡＧＢである。この場合、かかるＡＧＢは、ファン１０１と２次流流路内に延びる２次整流器１０８との間に位置する、ファンゾーンと呼ばれるゾーン１０７内で軸方向に延びる。ファンゾーンはまた、ゾーン１０７’に示されているように、整流器を超えて延びうる。２次整流器１０８の径方向アームの少なくとも１つが、中空になっており、そのコアを、ラジアルシャフトと呼ばれる運動伝達シャフトと、ダクトシステムが貫通する。このダクトシステムは、ＡＧＢ機器を、コアゾーンと呼ばれるターボ機械の別のゾーン１０６に配置された他の機器と結合できる。コアゾーン１０６とは、例えば高圧圧縮機１０３や燃焼チャンバ１０４などの周囲の、１次流流路１１１の外側壁１１１Ｅと２次流流路１１２の内側壁１１２Ｉとの間に位置する空間である。

ＡＧＢの代替構造体は、「Ｖ」字形のＡＧＢとして存在する。この「Ｖ」字形のＡＧＢは、互いに対して一定の角度をなして配置された２つのギア列を備える。すなわち、その２つのギア列の、それぞれの１つまたは複数のピニオンの方向付け平面が交差する。かかる構造体はコアゾーン１０６に配置されうる。

本発明の目的は、改良型の「Ｖ」字形ＡＧＢ構造体である。

したがって、本発明は、ケーシングと「Ｖ」字形に配置された２つのギア列とを備える、ターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックスに関し、上記ケーシングは２つのアームを備え、上記２つのアームのそれぞれに、上記２つのギア列のうちの一方が配置され、上記２つのギア列の間に、潤滑油タンクが配置される。

したがって、本発明により、タンクを、ファンゾーンから、１次流流路と２次流流路との間に位置するコアゾーンへとずらすことが可能になる。ファンゾーンの空間が解放され、それによって、ファンの直径を大きくし、エンジンの性能を高めることが可能になる。

さらに、コアと呼ばれるＡＧＢ、すなわちコアゾーンに配置されたＡＧＢの場合、潤滑油を使用する機器にタンクが近づく。これにより、注油ダクトの長さが短縮され、注油システムの全体的な構造が簡略化される。

本発明によってさらに、互いに「Ｖ」字形に配置された、少なくとも１つの機器をそれぞれ備えるＡＧＢの２つのアームの間の利用可能な空間を、活用することも可能になる。したがって本発明によって、タンクの組み込みを改善することが可能になる。

有利には、上記潤滑油タンクが上記ケーシング内に組み込まれる。

有利な構成では、上記ケーシングが第１の箱体であり、上記潤滑油タンクが、上記第１の箱体内に取り付けられた、または上記第１の箱体に接して取り付けられた、第２の箱体である。

有利な代替構成では、上記ケーシングが鋳造部品である。

別の有利な構成では、上記ケーシングが、アディティブ・マニュファクチャリングによって製造された部品である。

上記潤滑油タンクが、上記ケーシング内に配置された空洞である。

上記潤滑油タンクは、ＡＧＢ用の主潤滑油タンクを形成でき、あるいはただ単に、潤滑油タンクの総容量の一部分などとしての補助または副タンクにもなりうる。これは、例えば低下モードの場合に限り使用される副タンクとして用いるためのものである。低下モードとは、例えば、潤滑油が供給されないウィンドミル動作タイプといった、インシデント発生後の状況のことである。この状況ではファンが低下した速度で回転し、そのため主注油ユニットから注油システムに適切に供給できない。これは注油不足と呼ばれるものである。この場合、低流量でのトランスミッション部材への供給を可能にするシステムに結合された副タンクが、限られた期間使用されうる。

本発明は、上記に記載したような機器用アクセサリ・ギアボックスを備えるターボ機械に関し、上記機器用アクセサリ・ギアボックスは、上記ターボ機械の１次流流路と２次流流路との間に位置するコアゾーンに配置される。

あるいは、本発明は、上記に記載したような、ファンゾーンに配置される機器用アクセサリ・ギアボックスを備えるターボ機械に関する。

本発明については、その実施形態の非限定的な例の以下の詳細な説明を、添付の概略／部分図を検討して読めば、一層よく理解できる。

本発明による機器用アクセサリ・ギアボックスの斜視図である。 図１の機器用アクセサリ・ギアボックスの断面図である。 本発明による機器用アクセサリ・ギアボックスが実装されうる複流タービンエンジンの全体図である。

図１および２に、例えばターボジェット１００（図３）などの複流ターボエンジンに提供される、本発明によるアクセサリ・ギアボックス１０が示されている。機器用アクセサリ・ギアボックス１０は、この場合、ターボ機械の長手方向軸ＸＸより下の、序文で定義したようなターボ機械の「コアゾーン」１０６に配置される（図２および３）。あるいは、アクセサリ・ギアボックス１０は、軸ＸＸより上またはその脇（側方）に配置される（代替形態、図示せず）。さらにあるいは、アクセサリ・ギアボックス１０はファンゾーンに配置される（代替形態、図示せず）。

図１を参照して示す実施形態では、図の手前部分が、ターボ機械の下流の方を向いた、ギアボックス１０の後部に対応し、図の奥部分が、上流の方を向いた、ギアボックス１０の前部に対応する。ただし、この向きは非限定的なものである。

ギアボックス１０は、２つのアーム３０ａおよび３０ｂを備えるケーシング３０を備える。アーム３０ａおよび３０ｂのそれぞれに、ギア列４０ａまたは４０ｂが取り付けられる（図２参照）。ギア列４０ａおよび４０ｂはそれぞれピニオン４５ａまたは４５ｂを備え、ピニオン４５ａまたは４５ｂは、平面ＰａまたはＰｂに沿って、あるいはこの２つの平面ＰａおよびＰｂのうちの一方に平行である全体的な平面に沿って広がる。この場合、平面ＰａおよびＰｂは、ギア列４０ａおよび４０ｂの全体的な方向付け平面であると言えよう。

２つの機器２０ａと１つの機器２０ｂが、この場合、ギアボックス１０の両側の、各アーム３０ａと３０ｂとのそれぞれの上面に取り付けられる。

機器２０ａおよび２０ｂにはそれぞれ、足部がケーシング３０に配置されたシャフトによって、回転運動が提供される。より正確には、各足部は、ピニオン４５ａおよび４５ｂのうちの一方などの、ピニオンを備える。図１では、シャフトおよびピニオンは判読しやすくするために図示していない。

機器２０ａのシャフトは軸ＡＡに沿って方向付けられ、機器２０ｂのシャフトは軸ＢＢに沿って方向付けられる。機器２０ａおよび２０ｂは、ピニオンに対して規定される「Ｖ」字と反対側の向きを有する「ｖ」字を形成する。すなわち、軸ＡＡの、軸ＢＢに対する方向付けは、平角すなわち０°または１８０°とは異なる角度αに沿って行われる。好ましいが非限定な形では、この角度αは１００°〜１５０°である。つまり、ギア列４０ａまたは４０ｂの、あるいはそのギア列の１つまたは複数のピニオン４５ａまたは４５ｂの、全体的な方向付け平面Ｐａと平面Ｐｂとは、「Ｖ」字形の形状に沿って交差する、すなわち、重なることも平行になることもない。

ＴＧＢ２５（伝達ギアボックス）が、この場合、ギアボックス１０の前部に、非限定的な形で配置される。タービンからもたらされる回転エネルギーの伝達シャフトの一方の端が、例えばこのＴＧＢ２５に収容される。

潤滑油タンク３５が、この場合、ギア列４０ａと４０ｂとの間に配置される。示されている実施形態では、タンク３５は、ケーシング３０内の、アーム３０ａと３０ｂとの間に位置する中心区間３０ｃに組み込まれる。

タンク３５は、より正確には、２つのアーム３０ａと３０ｂとの間の、そのアームの最も近い２つの端の間にある接合部に位置する。つまり、タンク３５は全体的に、機器２０ａと２０ｂとで規定されるＶ字形の先端の近くに位置し、そのＶ字のくぼみは、ターボ機械の長手方向の軸ＸＸの方向に開いている（特に図２を参照）。

ケーシング３０は、鋳造または同様の方法（例えばアディティブ・マニュファクチャリングタイプのもの。レーザ粉末溶融結合や粉末吹き付けまたはその他の方法などがある）で製造、あるいは、塊から機械加工する、または個別の壁を機械加工してからその壁を組み立てることによって製造されうる。潤滑油タンク３５は、非限定的な形で、ケーシング３０内に位置する、またはケーシング３０の外部に接して位置する、より大きな部品に設けられた空洞または別個の箱体になりうる。

ケーシング３０が鋳造によって製造される場合、タンク３５は、望ましくは、鋳放品（ｒａｗ ｃａｓｔｉｎｇ）内に配置された空洞である。

ケーシング３０が例えば機械加工された壁から形成された箱体である場合、タンク３５は、望ましくは、ケーシング３０内に配置された第２の別個の箱体である。

一般に、機器２０ａと２０ｂとの間にこのように配置されたタンク３５などの潤滑油タンクによって、潤滑油供給ダクトの長さが最小限になり、その構造を簡略化することが可能になる。

あるいは、例えばタービン１０５に関連するゾーン１０９（図３）など、壁１１１Ｅと１１２Ｉとの間に配置されたタービンゾーンに、機器が取り付けられ、ならびに／またはアクセサリ・ギアボックス１０が、このタービンゾーン１０９の中に延びる。

タンク３５は、ＡＧＢの主潤滑油タンクを形成できる。タンク３５はさらに、ＡＧＢに供給するように設けられた潤滑油タンクの総容量の一部分のみを形成でき、さらには低下運転段階のための潤滑油タンクになりうる。

他の代替形態も、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。

１０ アクセサリ・ギアボックス
２０ａ 機器
２０ｂ 機器
２５ ＴＧＢ（伝達ギアボックス）
３０ ケーシング
３０ａ ケーシング３０のアーム
３０ｂ ケーシング３０のアーム
３０ｃ 中心区間
３５ 潤滑油タンク
４０ａ ギア列
４０ｂ ギア列
４５ａ ピニオン
４５ｂ ピニオン
１００ タービンエンジン
１０１ ファン
１０３ 圧縮機
１０４ 燃焼チャンバ
１０５ タービン
１０６ コアゾーン
１０７ ファンゾーン
１０８ ２次整流器
１０９ タービンゾーン
１１１ １次流流路
１１１Ｅ １次流流路１１１の外側壁
１１２ ２次流流路
１１２Ｉ ２次流流路１１２の内側壁

Claims (9)

1. ケーシング（３０）と「Ｖ」字形に配置された２つのギア列（４０ａ、４０ｂ）とを備える、ターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックスであって、
   前記ケーシング（３０）が２つのアーム（３０ａ、３０ｂ）を備え、前記２つのアーム（３０ａ、３０ｂ）の両方に、前記２つのギア列（４０ａ、４０ｂ）のうちの一方が配置され、前記２つのギア列（４０ａ、４０ｂ）の間に、潤滑油タンク（３５）が配置され、
   前記ケーシング（３０）が第１の箱体であり、
   前記潤滑油タンク（３５）が前記第１の箱体内に取り付けられた第２の箱体であることを特徴とする、アクセサリ・ギアボックス。
2. 前記潤滑油タンク（３５）が前記ケーシング（３０）内に組み込まれる、請求項１に記載のターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックス。
3. 前記ケーシング（３０）が鋳造品である、請求項１または２に記載のターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックス。
4. 前記ケーシング（３０）が、アディティブ・マニュファクチャリングによって製造された部品である、請求項１または２に記載のターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックス。
5. 前記潤滑油タンク（３５）が、前記ケーシング（３０）内に配置された空洞である、請求項３または４に記載のターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックス。
6. 前記潤滑油タンク（３５）が、前記第１の箱体に接して取り付けられた前記第２の箱体である、請求項１に記載のターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックス。
7. 前記潤滑油タンク（３５）が主タンクである、請求項１〜６のいずれか一項に記載のターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックス。
8. 前記潤滑油タンク（３５）が補助タンクである、請求項１〜６のいずれか一項に記載のターボ機械の機器用アクセサリ・ギアボックス。
9. 請求項１〜８のいずれか一項に記載の機器用アクセサリ・ギアボックスを備えるターボ機械であって、前記機器用アクセサリ・ギアボックスが、前記ターボ機械の１次流流路と２次流流路との間に位置するコアゾーンに配置される、ターボ機械。

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