以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る改修前の開閉装置であるシャッター装置の全体正面図である。開閉移動自在の開閉体がシャッターカーテン1となっているこの改修前のシャッター装置は、管理及び防災の併用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係る改修前のシャッター装置は、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテン1が火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより、全閉となったこのシャッターカーテン1によって建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、シャッターカーテン1により出入口等の開口部を開閉するために、シャッターカーテン1が操作装置42の操作により開き移動、閉じ移動、移動停止を行う管理用シャッター装置としての機能と、を有している。
図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右一対のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターボックス8が配置されており、このシャッターボックス8は、図1のS2−S2線断面図である図2に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターボックス8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターボックス8の図1で示されている左右の側面部8A,8Bに回転自在に支持されている。また、図1に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は図2でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
なお、本実施形態の開閉機13は、図2に示されているように、シャッターボックス8の左右の側面部8A,8Bのうち、一方の側面部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
図2から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。シャッターカーテン1やこのシャッターカーテン1と共に動く部材(例えば、巻取軸11や、開閉機13の駆動軸14等)に対して不動となっている不動部材であるまぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。本実施形態では、まぐさ16は、シャッターカーテン1により開閉される出入口2の上辺を形成する上辺形成部材となっている。
図3は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この図3に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、円盤状の第1ブレーキ部材20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、第1ブレーキ部材20と軸方向に対面する第2ブレーキ部材22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力によって回転しない。
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22はばね23に対抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
このように、ソレノイド24への通電により、ブレーキ装置19はオフとなり、この通電を停止すると、ブレーキ装置19はオンとなるため、このブレーキ装置19は電気的にオン、オフするブレーキ装置となっている。
本実施形態では、図1に示されているように、開閉機13には、リレー回路等の電気回路又はコンピュータによる制御装置26が取り付けられており、この制御装置26は、開閉機13の電動モータ装置18及びブレーキ装置19を電気的に制御するものである。なお、制御装置26は、開閉機13とは別の部材や手段、装置等に取り付けてもよく、その配置箇所は任意である。
図1で示した左右の建物躯体3A,3Bのうち、一方の建物躯体3Aには、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、移動停止させることとを行わせるための操作装置42が取り付けられている。図示されていないが、この操作装置42には、シャッターカーテン1を移動、停止させるための「開」ボタン、「閉」ボタン及び「停」ボタンが設けられており、さらには、具体的な説明を後述する「作動」ボタンや「復帰」ボタンも設けられている。
また、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸11に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1B´とを有するものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
カーテン本体1Aは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板1B´は、本実施形態におけるカーテン本体1Aの閉じ側の端部に設けられるエンド部材となっている。また、座板1B´は、本実施形態におけるシャッターカーテン1の閉じ側の端部を形成している。なお、この座板1B´は、後述する改修作業により、新規の座板と交換されるものであり、この交換される前の座板1B´は、カーテン本体1Aに対して着脱自在(言い換えると、取り付け、取り外し自在)となっている。
座板1B´が前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1B´が図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、操作装置42の「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの制御信号である閉信号が信号線44を経由して入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないリミットスイッチ等のセンサからの制御信号である全閉信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23でオンに復帰する。
また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが図4に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの制御信号である開信号が信号線44を経由して入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないリミットスイッチ等のセンサからの制御信号である全開信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御によりコイル25への通電が遮断される。
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの制御信号である停信号が信号線44を経由して入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
このように、開閉機13が有するブレーキ装置19は、オン、オフすることにより、シャッターカーテン1を停止、移動可能とするための装置となっている。
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターボックス8、このシャッターボックス8に結合されたブラケット部材15、さらには、まぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターボックス8、ブラケット部材15、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対して不動となっている不動部材となっている。
なお、シャッターカーテン1の下向きの閉じ移動をシャッターカーテン1の自重だけで行わせるのではなく、この自重と、電動モータ装置18の駆動による駆動軸14の正回転とにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させるようにしてもよい。
また、前述のように正逆回転自在となっている巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
本実施形態では、図3に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA´方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このため、ブレーキ装置19は、第1部分31AへのA方向の荷重の作用と、この荷重が解除されたときのばね23とにより、オン、オフする機械式のブレーキ装置にもなっている。
なお、第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、開閉機13の上部に取り付けられている図3に示す自動閉鎖装置86によって行われる。この自動閉鎖装置86の具体的な説明は後述する。
自動閉鎖装置86は、前端がこの自動閉鎖装置86から露出しているスライド自在となっているスライド部材120´を備えており、このスライド120´は、自動閉鎖装置86の内部に配置されている図示しないモータの駆動力で前進、後退するようになっている。また、このスライド部材120´の前端に下向きに折曲形成された折曲部120A´には、作動部材122´が取り付けられている。
また、図3のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。スライド部材120´が前進したときには、作動部材122´が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに図3で示したA方向への荷重が作用するようになっている。
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A´方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このように、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業(手動操作)により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
なお、手作業により第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させるためには、例えば、一端をこの第2部分31Bに連結した紐状部材の他端が連結され、回動軸を中心に回動自在なレバー部材を備えたものとし、このレバー部材を回動操作することにより、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用する機械式手動閉鎖装置を備えるようにしてもよい。
自動閉鎖装置86は、火災時に発生する煙又は熱を感知するための図1で示されている感知器82が作動することにより、シャッターカーテン1の移動を停止させるためにオンとなっていた開閉機13のブレーキ装置19をオフにするようになっている。
すなわち、感知器82が煙又は熱を感知すると、この感知器82から防災信号BS(例えば、DC(直流)24V信号や無電圧A接点信号)が信号線83を経由して危害防止用連動中継器84に入力され、この危害防止用連動中継器84からは自動閉鎖装置86を作動させるための作動信号が、信号線85を経由して自動閉鎖装置86に入力される。これにより、自動閉鎖装置86は、シャッターカーテン1の移動を停止させるためにオンとなっていたブレーキ装置19をオフにする。
なお、感知器82と危害防止用連動中継器84との間には、連動制御器や防災盤が接続されていてもよく、この場合には、危害防止用連動中継器84に入力される防災信号BSは、連動制御器や防災盤から出力された信号となる。
危害防止用連動中継器84は、感知器82からの防災信号BSの入力があった場合、自動閉鎖装置86に作動信号であるDC24V信号を出力するものである。この危害防止用連動中継器84は、通常時は、商用電源を使用してDC24V信号を出力するが、停電時などには、内蔵されている予備電源(蓄電池などのバッテリ)からの電力によってDC24V信号を出力する。
このように、危害防止用連動中継器84は、本実施形態に係る改修前のシャッター装置において、少なくとも感知器82からの防災信号BSを中継するための装置となっている。
自動閉鎖装置86は、危害防止用連動中継器84を介して供給される商用電源又は危害防止用連動中継器84に内蔵されている予備電源からの電力(DC24V信号)で動作する。
このため、自動閉鎖装置86は、火災発生時に改修前のシャッター装置に対する商用電源の供給がなくても、危害防止用連動中継器84に内蔵されている予備電源によって、感知器82から入力される防災信号BSに基づいて開閉機13のブレーキ装置19をオフにし、シャッターカーテン1を自重で閉じ移動(言い換えると、自重降下)させ、出入口2を閉鎖することができるようになっている。
すなわち、火災発生時において、改修前のシャッター装置に対する商用電源の供給がない場合、言い換えると、停電である場合には、感知器82から防災信号BSが入力された危害防止用連動中継器84からは、この危害防止用連動中継器84に内蔵されている予備電源によって、作動信号(DC24V信号)が信号線85を経由して自動閉鎖装置86へ入力される。これにより、自動閉鎖装置86に備えられている電動モータが作動信号により駆動し、この電動モータの駆動力で自動閉鎖装置86のスライド部材120´が前進する。この結果、オンとなっていた開閉機13のブレーキ装置19がオフとなって、シャッターカーテン1は自重による閉じ移動を開始する。
なお、自動閉鎖装置86は、電動モータの代わりにソレノイドを備えたものとし、危害防止用連動中継器84からの作動信号でソレノイドが励磁され、このソレノイドのプランジャが吸引動作することにより、自動閉鎖装置86のスライド部材120´が前進するものとしてもよい。
前述したように、操作装置42には、図示されない「作動」ボタン(言い換えると、非常用シャッター閉鎖ボタン)が設けられており、この「作動」ボタンは、自動閉鎖装置86を、感知器82からの防災信号BSによらずに手動(手作業)で作動させ、シャッターカーテン1の自重による閉じ移動を開始させるためのボタンである。また、操作装置42には、自動閉鎖装置86を初期状態に復旧させるための図示されない「復旧」ボタンも設けられている。
非常時には、操作装置42の「作動」ボタンを操作することによっても、シャッターカーテン1の自重による閉じ移動を開始させることができる。すなわち、操作装置42の「作動」ボタンを操作することにより、この操作装置42から操作信号が信号線43を経由して危害防止用連動中継器84に入力される。これにより、この危害防止用連動中継器84から作動信号(DC24V信号)が信号線85を経由して自動閉鎖装置86へ入力される。これにより、自動閉鎖装置86に備えられているモータが作動信号により駆動し、このモータの駆動力で自動閉鎖装置86のスライド部材120´が前進する。この結果、オンとなっていた開閉機13のブレーキ装置19がオフとなって、シャッターカーテン1は自重による閉じ移動を開始する。
このように、操作装置42は、非常時(又は点検時)において、手動によりシャッターカーテン1の自重による閉鎖動作を開始させるための電気式手動閉鎖装置となっている。すなわち、非常時においては、操作装置42の「作動」ボタンを操作することによっても、シャッターカーテン1の自重による閉じ移動を開始させることができる。また、平常時においては、操作装置42の「作動」ボタンを操作することによって、シャッターカーテン1の自重による閉じ移動を開始させることができるかを試験することができる。
なお、操作装置42は、非常時(又は点検時)において、「作動」ボタンの代わりに回動軸を中心に回動自在なレバー部材を備えたものとし、このレバー部材を回動操作することにより、自動閉鎖装置86のスライド部材120´が前進する機械式手動閉鎖装置としてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、「作動」ボタンは、非常時又は点検時において、シャッターカーテン1の移動を停止させるためにオンとなっていたブレーキ装置19をオフにするために自動閉鎖装置86を手動操作するための第1操作手段となっており、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンは、平常時において、シャッターカーテン1を開閉機13に備えられている電動モータ装置18の駆動力で移動、停止させるための第2操作手段でとなっており、このため、本実施形態に係る改修前のシャッター装置に備えられている操作装置42は、第1操作手段と第2操作手段とを有する第1操作装置となっている。
また、本実施形態に係る改修前のシャッター装置には、閉じ移動中のシャッターカーテン1の移動経路に障害物34が存在し、この障害物34にシャッターカーテン1が当接したことを電気式に感知するための電気式障害物感知装置が備えられている。
この電気式障害物感知装置は、図1に示されているように、シャッターカーテン1の座板1B´に設けられたスイッチ手段である座板スイッチ45と、この座板スイッチ45からシャッターカーテン1の開き側である上側に延びる信号線46と、まぐさ16に設けられていて、信号線46を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置(言い換えると、コードリール)47と、を含んで構成されている。
座板スイッチ45は、シャッターカーテン1の座板1B´が障害物34に当接することによって接点の閉じるマイクロスイッチを内蔵しており、この接点が閉じた場合に、感知信号が信号線46を経由して巻取装置47に内蔵されている図示しない制御回路に入力されるようになっている。この制御回路に入力された感知信号は、非常時には、信号線48を経由して危害防止用連動中継器84に入力され、平常時には、信号線49を経由して制御装置26に入力されるようになっている。
このように、本実施形態に係る改修前のシャッター装置10には、有線式(コードリール式)の電気式障害物感知装置が備えられている。そして、この電気式障害物感知装置は、改修前のシャッターカーテン1の座板1B´に設けられていたスイッチ手段である座板スイッチ45と、この座板スイッチ45からシャッターカーテン1の開き側に延びていた信号線46と、シャッターカーテン1に対して不動となっている不動部材であるまぐさ16に設けられていて、信号線46を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置47と、を含んで構成されている。なお、この巻取装置47は、図2に示されているように、まぐさ16を構成する部材のうち、まぐさ部材16Aの上下途中部又は上面に水平又は略水平に形成された段部16Cに載置固定されている。
本実施形態では、電気式障害物感知装置は、平常時においては、商用電源により動作し、座板スイッチ45からの障害物感知信号が制御装置26に入力されることによって、この制御装置26による開閉機13の電動モータ装置18及びブレーキ装置19の動作制御が行われる。
すなわち、平常時において、電動による閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したとき、座板スイッチ45からの障害物感知信号が制御装置26に入力される。これにより、制御装置26は、開閉機13の電動モータ装置18の駆動を停止させるとともに、オフになっていたブレーキ装置19をオンにする制御を行い、閉じ移動中のシャッターカーテン1は停止することになる。さらに、制御装置26は、シャッターカーテン1を所定時間あるいは所定距離まで開き移動させた後、停止させる制御を行う。
一方、非常時においては、電気式障害物感知装置は、危害防止用連動中継器84の予備電源により動作し、座板スイッチ45からの障害物感知信号が自動閉鎖装置86に入力されることによって、この自動閉鎖装置86による開閉機13のブレーキ装置19の動作制御が行われる。
すなわち、非常時おいて、自重による閉じ移動中(言い換えると、自重降下中)のシャッターカーテン1が障害物34に当接したとき、座板スイッチ45からの障害物感知信号が信号線48を経由して危害防止用連動中継器84に入力された後、この危害防止用連動中継器84から作動信号(DC24V信号)が信号線85を経由して自動閉鎖装置86に備えられた図示されないソレノイドに入力される。これにより、励磁されたこのソレノイドのプランジャが吸引動作することにより、自動閉鎖装置86のスライド部材120´が後退するため、オフになっていた開閉機13のブレーキ装置がオンとなり、閉じ移動中のシャッターカーテン1は停止することになる。この後、障害物34が除去されることにより、座板スイッチ45からの障害物感知信号が危害防止用連動中継器84に入力されなくなるので、この危害防止用連動中継器84から作動信号(DC24V信号)が信号線85を経由して自動閉鎖装置86へ入力される。これにより、自動閉鎖装置86に備えられているモータが作動信号により駆動し、このモータの駆動力で自動閉鎖装置86のスライド部材120´が前進する。この結果、オンとなっていた開閉機13のブレーキ装置19が再びオフとなって、シャッターカーテン1は自重による閉じ移動を再開する。
このように、自動閉鎖装置86は、電気式障害物感知装置により障害物34が感知されることでシャッターカーテン1を閉じ移動させるためにオフとなっていたブレーキ装置19をオンにするものとなっている。
なお、電気式障害物感知装置は、座板スイッチ45からシャッターカーテン1の開き側に延びる信号線46がプーリによって移動自在となっている有線式(コードプーリ式)の電気式障害物感知装置でもよい。
なお、本実施形態では、感知器82は1個設けられていたが、複数個設けられるものでもよい。
次に、以上説明した図1で示されている電気式障害物感知装置を備えたシャッター装置が、後述する改修方法により改修された機械式障害物感知装置を備えたシャッター装置について説明する。すなわち、図1に示す電気式障害物感知装置を備えたものが、機械式障害物感知装置を備えたものに改修されている改修されたシャッター装置について説明する。
なお、以下において、図1〜図3で示されている改修前のシャッター装置を構成する部品、部材、装置等のうち、改修後もそのまま使用する部品、部材、装置等については、同じ符号を付し、その説明は省略する。
図4には、本実施形態に係る改修後のシャッター装置の全体が示されており、この図4は、図1と同様に、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。この改修後のシャッター装置も、管理及び防災の併用シャッター装置である。
図4やこの図4のS5−S5線断面図から分かるように、改修前のシャッター装置で使用されていた開閉機13は、改修後のシャッター装置においてそのまま使用されるものとなっており、また、図4から分かるように、改修前のシャッター装置で使用されていた制御装置26も、改修後のシャッター装置においてそのまま使用されるものとなっている。
なお、操作装置42については、管理用シャッター装置として使用する際に使用されるボタン、すなわち、シャッターカーテン1を電動により開閉移動させるとともに、この移動を停止させるための図示されない「開」ボタン、「閉」ボタン及び「停」ボタンはそのまま使用されるものとなっている。
図6は、開閉機13の内部構造を示す図3と同様の断面図である。この図6や図4に示されているように、改修後のシャッター装置では、開閉機13の上部には、開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御するための機械式制御装置であって、具体的な構造を後述する複合装置100の一部の構成装置となっている自動閉鎖装置32が取り付けられている。なお、開閉機13のブレーキ装置19のレバー部材31の第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、この自動閉鎖装置32によって行われる。
また、図4に示されているように、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aには、改修前のシャッター装置のカーテン本体1Aの下端部に設けられた交換される前の座板1B´と同様に、エンド部材である交換された後の座板1Bが設けられており、この座板1Bも、シャッターカーテン1の閉じ側の端部を形成している。
図7は、図4で示されているシャッターカーテン1の座板1Bの部分の構造を示す図4のS7−S7線断面図である。本実施形態に係る改修後のシャッター装置のシャッターカーテン1は、前述したようにカーテン本体1Aと座板1Bとを有し、座板1Bは、カーテン本体1Aの下部に固定された固定部70Aと、この固定部70Aの下側に配置され、固定部70Aに対して上下方向に移動可能となっている可動部70Bとからなっており、この座板1Bは、図7で示されている結合具77により、カーテン本体1Aの下部に固定されている。すなわち、交換された後の座板1Bは、カーテン本体1Aに対して着脱自在(言い換えると、取り付け、取り外し自在)となっている。
また、シャッターカーテン1は、カーテン主部71Aと、カーテン副部71Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとによって構成されており、カーテン副部71Bは、座板1Bのうちの可動部70Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部71Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部71Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
また、図7に示されているように座板1Bのうち、カーテン本体1Aと結合されている固定部70Aは、共に断面箱型となった内外の部材75,76で形成され、この固定部70Aに対して可動部70Bは上下動自在となっている。図7から分かるように、固定部70Aを形成している内外の部材75,76の下面は開口部78となっており、この開口部78から可動部70Bの立上り部79の上端が固定部70Aの内部空間に挿入されている。立上り部79の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部79A,79Bが形成され、これらの延出部79A,79Bが、固定部70Aの内部材76の下端に形成された突片部76A,76Bの上面に乗ることにより、固定部70Aに対する可動部70Bの下側への移動限が規定される。
固定部70Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸80を中心に上下揺動自在となった揺動部材81が収納されている。この揺動部材81は、図8で示されているように、可動部70Bが固定部70Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が図4で示した障害物34等に当接したときには、可動部70Bの立上り部79の延出部79Aが揺動部材81を押し上げることにより、揺動部材81は支点軸80を中心に上向きに揺動する。
図7及び図8に示されているように、座板1Bの固定部70Aには、図4にも示されているケース33が取り付けられており、このケース33の内部は図9及び図10に示されている。図10に示されているように、ケース33の内部には、外周部に多数の歯部35Aが円周方向に等間隔で形成された歯車となっている回転ギア35と、巻取りリール37とが、ケース33に固定された固定軸となっている軸41を中心に回転自在に収納され、これらの回転ギア35と巻取りリール37は結合一体化されている。また、巻取りリール37には、ロック用ワイヤー36の下端が結合され、前述のまぐさ16の部分から下方へ延びているこのロック用ワイヤー36の下側部分は、ケース33の内部に軸29Aを中心に回転自在に収納されているガイドローラ29を経て、巻取りリール37に巻き取られており、ロック用ワイヤー36の上側部分は、ケース33の上面33Gに形成されている孔33Aから上方へ延びている。そして、ロック用ワイヤー36の上端は、図4、図5及び図13に示されている方向変換装置38へと延びている。
図10に示すように、ガイドローラ29の直径寸法D2は、巻取りリール37の直径寸法D1よりも小さくなっており、また、ガイドローラ29の回転中心軸である軸29Aの高さ位置は、巻取りリール37の回転中心軸である軸41Aの高さ位置よりも低くなっている。
このため、巻取りリール37からシャッターカーテン1の幅方向に離間して配置されているガイドローラ29の最上部29Bの高さ位置は、図10に示されているように、巻取りリール37の最上部37Bの高さ位置よりも低くなっている。
図10に示すように、ガイドローラ29は、少なくとも巻取りリール37が配置されたケース33の内部に設けられており、ガイドローラ29が配置されている部分のケース33の第2上面部である上面33Gの高さ位置は、巻取りリール37が配置されている部分のケース33の第1上面部である上面33Fの高さ位置よりも低くなっており、ガイドローラ29のケース33の上面33Gに、ロック用ワイヤー36がケース33の外部へ挿通する前述した孔33Aが形成されている。
以上において、下側部分が巻取りリール37に繰り出し自在に巻き取られているロック用ワイヤー36は、可撓性を有する紐状部材である。そして、シャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときには、図10の軸41を中心にS方向に回転する巻取りリール37からロック用ワイヤー36が繰り出されながら、シャッターカーテン1は閉じ移動することになる。このため、巻取りリール37は、シャッターカーテン1の移動時にロック用ワイヤー36により回転する第1回転部材となっている。また、この巻取りリール37と結合一体化されている回転ギア35も、シャッターカーテン1の移動時にロック用ワイヤー36により回転する。そして、ガイドローラ29は、巻取りリール37の最下部からシャッターカーテン1の幅方向である水平方向又は略水平方向に延びているロック用ワイヤー36を、巻取りリール37からシャッターカーテン1の幅方向に離間した位置で、シャッターカーテン1の開き移動方向である鉛直上向き又は略鉛直上向きに延ばすための第2回転部材となっている。
このように、機械式結合装置55は、シャッターカーテン1の開閉移動時にロック用ワイヤー36により回転する第1回転部材である巻取りリール37と、第2回転部材であるガイドローラ29と、を備えている。
図9に示されているように、巻取りリール37の内部には空間部37Aが形成されており、この空間部37Aに、図10では一部が省略されて示されている戻しばね39が収納され、回転ギア35と巻取りリール37との回転中心軸である軸41の外周に巻回された状態となっているこの戻しばね39はぜんまいばねであり、戻しばね39の一方の端部はケース33側の部材となっている軸41に結合され、他方の端部は回転ギア35と一体化されている巻取りリール37に連結されている。このため、回転ギア35及び巻取りリール37がS方向に回転してシャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときに、戻しばね39には、ロック用ワイヤー36を繰り出すために回転する巻取りリール37によって蓄圧力が蓄圧され、シャッターカーテン1が上方へ開き移動するときに、戻しばね39に蓄圧された蓄圧力によって巻取りリール37がS方向とは逆のT方向に回転することにより、ロック用ワイヤー36は巻取りリール37に巻き取られるようになっている。
このため、本実施形態では、巻取りリール37と戻しばね39により、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置40が構成されている。また、シャッターカーテン1が開閉移動するときには、ロック用ワイヤー36により回転ギア35及び巻取りリール37は回転する。
本実施形態では、ぜんまいばねによる戻しばね39は、巻取りリール37の内部に形成された空間部37Aに収納されているため、ケース33についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法が小さくても、図9から分かるように巻取りリール37についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法を充分に大きくすることができ、これにより、巻取りリール37によるロック用ワイヤー36の巻取り長さが充分に長くなり、シャッターカーテン1の開閉移動距離が長いシャッター装置にも対応できるようになっている。
図10に示されているように、ケース33の内部には、このケース33に設けられた軸56を中心に上下方向に回動自在となったロック部材50が収納されている。本実施形態のロック部材50は、歯車となっている回転ギア35の歯部35Aに係合可能となっている係合部53を有していない主部材52と、シャッターカーテン1の幅方向への長さを有しているこの主部材52に締結され、係合部53を有している副部材51とからなる。このようにロック部材50を、それぞれ別部品となっている副部材51と主部材52をシャッターカーテン1の厚さ方向に重ね合わせた組み合わせ構造体とすることにより、回転ギア35の歯部35Aに係合する係合部53が形成されている副部材51を焼入れ処理等することでロック部材50全体を焼入れ処理等しなくても、係合部53に、回転ギア35の歯部35Aと同様に、大きな強度を付与することができる。また、副部材51を主部材52よりも硬質の超硬金属製等とすることにより、ロック部材50全体を高価な硬質の材料で形成しなくてよくなる。
なお、本実施形態では、ロック部材50の係合部53として、図12に示されているように、軸56を中心とするロック部材50の回動方向に離れた複数個の係合部が設けられ、本実施形態におけるこれらの係合部53は、第1係合部53Aと第2係合部53Bと第3係合部53Cになっており、これらの係合部53A,53B,53Cは、ロック部材50の回動の中心部となっている軸56を中心とする円弧上又は略円弧上に設けられている。
また、図7に示されているように、前述した座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)の内部に支点軸80を中心に上下揺動自在となって配置されている揺動部材81には、押圧部材54が取り付けられている。
また、図10から分かるように、ロック部材50にはねじりコイルばね57が設けられている。図12に示されているように、コイル部57Aが軸56の外周に巻回されているこのねじりコイルばね57の一方の端部57Bは、主部材52と副部材51とに形成された長孔50Aに挿入されることにより、ロック部材50に係止されており、また、他方の端部57Cは、図9に示されているように、ケース33の両方の側面部33B,33Cのうち、側面部33Cの下端に形成された屈曲部33Dの孔に挿入されることにより、ケース33に係止されている。このため、ねじりコイルばね57は、軸56及びロック部材50とケース33との間に設けられているとともに、ロック部材50は、図10において、ねじりコイルばね57のばね力により軸56を中心にM方向に回動付勢されている。これにより、ロック部材50の一部が、シャッターカーテン1に設けられた押圧部材54に、すなわち、シャッターカーテン1のカーテン主部71Aに設けられた支点軸80を中心に上下揺動自在な揺動部材81に配置されている押圧部材54に当接するようになっている。
このため、シャッターカーテン1及びロック部材50には、後述の説明で分かるように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、ロック部材50を図10のM方向とは反対方向のN方向に回動させるために互いに当接するシャッターカーテン側当接部58とロック部材側当接部59とが設けられていることになる。そして、シャッターカーテン側当接部58は、押圧部材54によるものであり、ロック部材側当接部59は、ロック部材50の主部材52において、第1ロック部材側当接部59Aと第2ロック部材側当接部59Bとして2個存在している。これらの第1ロック部材側当接部59Aと第2ロック部材側当接部59Bは、シャッターカーテン1の幅方向に離れている。
また、このような第1ロック部材側当接部59Aと第2ロック部材側当接部59Bをロック部材50に設けることは、図10及び図12に示されているように、ロック部材50を構成する主部材52のうち、副部材51と重複していない部分をL字又は略L字の形状とすることにより、実現することができる。
なお、本実施形態では、ロック部材側当接部59のうち、第1ロック部材側当接部59Aは、主部材52に結合された板ばね60によって形成されており、このため、第1ロック部材側当接部59Aは弾性変形可能となった弾性部となっている。
また、回転ギア35や巻取りリール37、ガイドローラ29等が内部に収納配置されたケース33がシャッターカーテン1の固定部70Aに取り付けられる前に、ロック部材50がねじりコイルばね57のばね力により軸56を中心に図10のM方向に回動付勢されていても、ロック部材50の第1ロック部材側当接部59Aが大きくケース33の下面開口部から突出することをなくすために、図9に示されているケース33の側面部33Bの下端屈曲部33Eに当接するストップ部材63がロック部材50に設けられている。
閉じ移動中のシャッターカーテン1の座板1Bが図4に示されている障害物34に当接するなどにより、図9に示されているように、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)に対して可動部70B(カーテン副部71B)が相対的に上昇したときには、支点軸80を中心に揺動部材81が上向きに揺動するため、押圧部材54により、ロック部材50は、図10において、軸56を中心にN方向に回動する。これにより、ロック部材50の係合部53は、図11に示されているように、回転ギア35の歯部35Aに係合し、この係合により、回転ギア35と、この回転ギア35と結合一体化されている巻取りリール37は、シャッターカーテン1が閉じ方向へ移動しているときの回転方向(図10のS方向)へは回転できなくなり、このため、回転ギア35と巻取りリール37は、ロック部材50によりロックされて回転不能となる。このように、ロック部材50は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに運動し、この運動によって係合部53が歯部35Aに係合して回転ギア35と巻取りリール37を回転不能とする部材となっている。
このため、このときには、一部が巻取りリール37に巻き取られているロック用ワイヤー36と、巻取りリール37が配置されているシャッターカーテン1とが機械式に結合されたことになる。したがって、本実施形態では、回転ギア35やロック部材50等により、ロック用ワイヤー36とシャッターカーテン1とを機械式に結合するための機械式結合装置55が構成されていることになる。
このように、改修後のシャッター装置には、シャッターカーテン1に配置されていて、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときにシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー36に、第1スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置55が備えられている。そして、この機械式結合装置55は、外周部に複数の歯部35Aが設けられていて、シャッターカーテン1の移動時にロック用ワイヤー36により回転する回転ギア35と、この回転ギア35の歯部35Aに係合可能となっている係合部53を備え、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに回動し、この回動によって前記係合部53が前記歯部35Aに係合して前記回転ギア35を回転不能とするロック部材50と、を含んで構成されている。
前述したようにロック部材50は、シャッターカーテン1の幅方向の長さを有している主部材52と、副部材51とをシャッターカーテン1の厚さ方向に重ねることにより構成されており、また、図12に示されているように、副部材51は、主部材52に回動中心軸61を中心に回動自在に取り付けられる。主部材52には、回動中心軸61を中心とする円弧状の長孔52Aが形成され、この長孔52Aに、副部材51の丸孔に挿入された締結用のねじ部材となっているボルト62の軸部が挿入されており、長孔52Aから突出したボルト62の軸部の端部に螺合されたナットを締め付けることにより、副部材51は主部材52にボルト62及びナットで締結される。また、ナットを緩めると、主部材52に対して副部材51を、ボルト62の軸部を案内する長孔52Aにより回動中心軸61を中心に回動させることができ、この回動後にナットを締め付けると、主部材52に対する位置が変更、調整された副部材51をボルト62及びナットで主部材52に再度締結することができる。
このため、本実施形態では、ナットが軸部に螺合されているボルト62は、主部材52と副部材51とを締結、締結解除するための締結部材となっている。
そして、主部材52に対して副部材51を、回動中心軸61を中心に回動させることができるようにするために、主部材52の丸孔に前述の軸56の小径部56Aが挿入されているとともに、この小径部56Aを挿入するために副部材51に形成されている孔51Aは、図12に示されているように、回動中心軸61を中心とする円弧状の長孔となっている。なお、前述のねじりコイルばね57のコイル部57Aは、軸56の大径部56Bの外周に巻回されている。
本実施形態では、回動中心軸61と、ナットが軸部に螺合されているボルト62とにより、主部材52に対する副部材51の位置を、より具体的には、回動中心軸61を中心とする主部材52に対する副部材51の位置を調整するための図12で示す位置調整手段64が構成されている。
この位置調整手段64により、主部材52に対する副部材51の位置を、回動中心軸61を中心に調整すると、図12から分かるように、ロック部材50の係合部53の先端と、回転ギア35の歯部35Aの先端との間の隙間65の大きさが変化し、調整されるため、位置調整手段64は、この隙間65の大きさを調整することができる隙間調整手段66にもなっており、本実施形態では、この隙間調整手段66はロック部材50に設けられていることになる。
なお、ケース33には、ボルト62の軸部に螺合されているナットを緩めたり、締め付けたりすることができて、隙間調整手段66で調整された隙間65の大きさを確認することができる窓孔等を設けてもよい。
また、本実施形態において、隙間調整手段66で隙間65の大きさを調整できるようにするために、回動中心軸61の位置は、ロック部材50全体の回動の中心軸となっている前述の軸56の位置からシャッターカーテン1の幅方向にずれており、このずれている方向は、図12から分かるように、回動中心軸61の位置が、軸56に対して回転ギア35とは反対側となる方向である。
ロック部材50全体の回動の中心軸となっている軸56の両端部は、図9で示されているケース33の両方の側面部33B,33Cに形成されている孔に挿入されている。これらの孔は、図12において、長孔67として示されている。この長孔67の長さ方向は、回転ギア35に向かう方向である。すなわち、ケース33に軸56の両端部を挿入、支持させるために形成されている孔67は、回転ギア35の方向へ長くなっている長孔となっている。このため、ロック部材50及び軸56は、回転ギア35に対して接近、離間方向に移動自在となっている。
そして、コイル部57Aが軸56の外周に巻回されていて、ケース33と軸56及びロック部材50との間に設けられているねじりコイルばね57は、ばね力により軸56及びロック部材50を図12の矢印Xで示す回転ギア35側へ常時付勢しており、ねじりコイルばね57は、このような付勢力を有している弾性部材となっている。この弾性部材の弾性付勢力により、軸56が長孔67における回転ギア35側の端部に押圧されることにより、隙間65の大きさは、隙間調整手段66で設定された大きさとなる。
図13には、図4及び図5で示されている天井裏空間7に配置された方向変換装置38の具体的構造が示されている。シャッターカーテン1が全開位置に達したときに座板1Bが達するまぐさ16に設けられているこの方向変換装置38は、シャッターカーテン1の前述のケース33からこのシャッターカーテン1の開き移動方向である鉛直上向き又は略鉛直上向きに延びている可撓性の紐状部材となっているロック用ワイヤー36の向きを、シャッターカーテン1の厚さ方向である水平方向又は略水平方向に変換するためのものである。すなわち、方向変換装置38は、シャッターカーテン1の全開位置と対応する位置又はその近傍位置となっている天井裏空間7に配置されている。より具体的には、方向変換装置38は、天井裏空間7に設けられたまぐさ16に配置されている。
なお、図13から分かるように、方向変換装置38は、全開位置に達したシャッターカーテン1の座板1Bよりもシャッターカーテン1の開き移動方向側(上側)に配置されている。
また、図13から分かるように、方向変換装置38は、ケース33の上面33Gの高さ位置と略同じ高さ位置、又はケース33の上面33Gの高さ位置よりもシャッターカーテン1の開き移動方向側(上側)に配置されている。すなわち、方向変換装置38は、ケース33の内部に配置されている図10に示すガイドローラ29の最上部29Bの高さ位置と略同じ高さ位置、又はガイドローラ29の最上部29Bの高さ位置よりもシャッターカーテン1の開き移動方向側(上側)に配置されている。
また、図13から分かるように、方向変換装置38は、ケース33の上面33Fの高さ位置と略同じ高さ位置、又はケース33の上面33Fの高さ位置よりもシャッターカーテン1の閉じ移動方向側(下側)に配置されている。すなわち、方向変換装置38は、ケース33の内部に配置されている図10に示す巻取りリール37の最上部37Bの高さ位置と略同じ高さ位置、又は巻取りリール37の最上部37Bの高さ位置よりもシャッターカーテン1の閉じ移動方向側(下側)に配置されている。
方向変換装置38の本体38Aは、図5で説明したまぐさ16を構成する部材のうち、まぐさ部材16Aの上下途中部又は上面に水平又は略水平に形成された段部16Cに載置固定されている。この本体38Aには、複数個のガイドローラ90が回転自在に設けられている。なお、この方向変換装置38は、図1及び図4から分かるように、改修前のシャッター装置に備えられていた電気式障害物感知装置の巻取装置47が設けられていた箇所であるまぐさ16を構成するまぐさ部材16Aの段部16Cに載置固定されている。
本実施形態では、ガイドローラ90は5個90A〜90Eあり、第1ガイドローラ90Aは、シャッターカーテン1に最も近い位置に配置され、この第1ガイドローラ90Aの上側に設けられている第2ガイドローラ90Bは、シャッターカーテン1に2番目に近い位置に配置され、この第2ガイドローラ90Bの上側に設けられている第3ガイドローラ90Cは、シャッターカーテン1に3番目に近い位置に配置され、この第3ガイドローラ90Cと高さ位置が同じ又は略同じとなっている第4ガイドローラ90Dは、シャッターカーテン1から最も遠い位置に配置されている。そして、第5ガイドローラ90Eは、第3ガイドローラ90Cの上側に配置されている。
ケース33内部の巻取りリール37を経由してガイドローラ29から鉛直上向き又は略鉛直上向きに延びているロック用ワイヤー36は、第1〜第4ガイドローラ90A〜90Dで案内されて、かつ第3ガイドローラ90Cと第5ガイドローラ90Eとで上下に挟まれて、シャッターカーテン1の厚さ方向である水平方向又は略水平方向に向きが変換され、この変換後のロック用ワイヤー36は、筒状の案内部材91の内部にスライド自在に挿通されている。
このため、本実施形態では、方向変換装置38に備えられている5個のガイドローラ90A,90B,90C,90D,90Eのうち、第2ガイドローラ90Bが第1ローラとなっており、第3ガイドローラ90Cが第2ローラとなっており、第5ガイドローラ90Eが第3ローラとなっている。すなわち、ガイドローラ90は、シャッターカーテン1に近い位置に配置された第1ローラである第2ガイドローラ90Bと、この第2ガイドローラ90Bよりも上側であって、第2ガイドローラ90Bよりもシャッターカーテン1から遠い位置に配置された第2ローラである第3ガイドローラ90Cと、この第3ガイドローラ90Cの上側に配置された第3ローラである第5ガイドローラ90Eと、を含んで構成されている。なお、ケース33内部の巻取りリール37を経由してガイドローラ29から鉛直上向き又は略鉛直上向きに延びているロック用ワイヤー36の向きを水平方向又は略水平方向に変換するためには、少なくとも第2ガイドローラ90Bと第3ガイドローラ90Cを方向変換装置38に備えるようにすればよい。
前述した図10に示されているように、巻取りリール37からシャッターカーテン1の幅方向に離間して配置されているガイドローラ29の最上部29Bの高さ位置は、巻取りリール37の最上部37Bの高さ位置よりも低くなっており、ロック用ワイヤー36は、巻取りリール37を経由してガイドローラ29からシャッターカーテン1の開き移動方向に延びている。そして、図13や図10に示されているように、ロック用ワイヤー36は、高さ位置が上面33F(巻取りリール37が配置されている部分のケース33の第1上面部)よりも低くなっている上面33G(ガイドローラ29が配置されている部分のケース33の第2上面部)に形成された孔33Aからケース33の外部へ挿通されている。
すなわち、本実施形態では、図10に示されているように、下端部が巻取りリール37に結合されているロック用ワイヤー36を、直接的に巻取りリール37からケース33の外部に延ばすのではなく、ガイドローラ29を経てケース33の外部に延ばし、また、図10に示されているように、ガイドローラ29の回転中心軸29Aの高さ位置を、巻取りリール37の回転中心軸41の高さ位置よりも低い位置としたり、ガイドローラ29の直径寸法D2を巻取りリール37の直径寸法D1よりも小さくしたりすることにより、図13に示されているように、シャッターカーテン1が全開位置まで開き移動したときに、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下面の位置が、シャッターカーテン1に対して不動となっている不動部材であるまぐさ16の下面の位置と一致又は略一致したときに、ロック用ワイヤー36の向きを、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動部材となっているまぐさ部材16Aの段部16Cに配置された方向変換装置38により、所定の水平方向又は略水平方向に変換できるようにしている。
これを言い換えると、ロック用ワイヤー36を、ガイドローラ29を経てケース33の外部に延ばし、また、ガイドローラ29の回転中心軸29Aの高さ位置を、巻取りリール37の回転中心軸41の高さ位置よりも低い位置としたり、ガイドローラ29の直径寸法D2を巻取りリール37の直径寸法D1よりも小さくしたりすることにより、方向変換装置38を設置する高さ位置を、上辺形成部材であるまぐさ16を構成するまぐさ部材16Aの段部16Cの高さ位置とすることができ、これにより、ロック用ワイヤー36の向きを、天井裏空間7のより低い位置で、所定の水平方向又は略水平方向に方向変換できるようになっている。
このように、本実施形態によると、方向変換装置38を、天井裏空間7におけるより低い位置、すなわち、図5に示されている天井裏空間7に配置されている装置や部材(例えば、シャッターボックス8、開閉機13、自動閉鎖装置32)等と干渉しない位置(本実施形態では、まぐさ部材16Aの段部16C)に設置することができるようになる。
なお、本実施形態では、方向変換装置38は、巻取りリール37を経由してガイドローラ29からシャッターカーテン1の開き移動方向(上方向)に延びるロック用ワイヤー36の向きを、横向き(横方向)である水平方向に変換するようになっている。
また、図5から分かるように、方向変換装置38は、シャッターカーテン1のケース33からこのシャッターカーテン1の開き移動方向である鉛直上向き又は略鉛直上向きに延びているロック用ワイヤー36の向きを、シャッターカーテン1から遠ざかる方向に、かつ、図14や図15等に示されている後述する第1スライド部材120や、図6に示されているブレーキ装置19に近づく方向に変換するようになっている。
案内部材91は、本体38Aに形成された屈曲部38Bと、まぐさ部材16Aの段部16Cから立ち上がっている立上り部16Dと、支持部材92の2個の下方延出部92A,92Bのうち、まぐさ部材16Aに近い下方延出部92Aとに挿通固定されており、ロック用ワイヤー36の端部はこの案内部材91の端部から突出している。
なお、支持部材92は、図5から分かるように、前述のシャッターボックス8にまぐさ部材16Aを取り付けるために、これらのシャッターボックス8とまぐさ部材16Aとの間に介在されている中間部材93に結合されている。
以上説明したように、本実施形態では、機械式結合装置55に備えられている第2回転部材であるガイドローラ29からシャッターカーテン1の開き移動方向に延びるロック用ワイヤー36の向きは、方向変換装置38により前記開き移動方向と角度をなす向きに変換されるようになっている。
図4〜図6に示されているように、開閉機13の上部には複合装置100が載置固定されている。図14は、この複合装置100の内部構造を示す正面図であり、図15は、複合装置100の内部構造を示す平面図である。複合装置100は、自動閉鎖装置32と、中間装置200と、遅延装置300とを複合的に組み合わせた装置であり、自動閉鎖装置32は、火災等の災害の発生時において、開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御することにより、全開位置又は開閉方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により図4の出入口2を閉鎖するためのものである。
複合装置100は、この複合装置100の機枠110に設けられている図14のブラケット部110Aにより、開閉機13の上部に取り付けられている。この状態は図5でも示されている。また、図15に示されているように、複合装置100まで、この複合装置100を制御するための第1制御用ワイヤー111、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー113のそれぞれの端部が延伸されている。これらの制御用ワイヤー111〜113は、前述のロック用ワイヤー36と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
また、これらの制御用ワイヤー111〜113は、可撓性を有するアウターケーブル114〜116の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111〜113はアウターケーブル114〜116により保護されている。
図4、図5及び図13に示されているように、第1制御用ワイヤー111は複合装置100から方向変換装置38の近くまで延びており、この第1制御用ワイヤー111の端部は、図13に示されているとおり、ロック用ワイヤー36に連結部材94を介して連結されている。また、第1制御用ワイヤー111のアウターケーブル114の端部は、支持部材92の2個の下方延出部92A,92Bのうち、下方延出部92Bに結合されている。
なお、本実施形態では、ロック用ワイヤー36と第1制御用ワイヤー111は、連結部材94により連結された別部材となっているが、ロック用ワイヤー36を複合装置100まで延長し、第1制御用ワイヤー111を省略してよい。
図14及び図15に示されているように、それぞれが複合装置100の一部の構成要素となっている上述の自動閉鎖装置32と中間装置200は、複合装置100の機枠110に配置されている。言い換えると、自動閉鎖装置32が配置されている機枠と中間装置200が配置されている機枠は、同じ機枠110であり、この機枠110において、自動閉鎖装置32と中間装置200が互いに隣接配置されている。また、後述する説明で明らかになるように、機枠110には、前述の遅延装置300も配置されている。このため、自動閉鎖装置32と中間装置200と遅延装置300は、1個のユニット化された装置となっており、このため、これらの自動閉鎖装置32と中間装置200と遅延装置300についての工場からシャッター装置設置現場への搬送等の取り扱い作業や、メンテナンス作業等を容易に行えるようになっている。
また、自動閉鎖装置32と中間装置200と遅延装置300のうち、中間装置200と遅延装置300は機枠110の内部の上部に配設されており、これらの中間装置200と遅延装置300の平面図は、図16(A)に示されている。また、自動閉鎖装置32は機枠110の内部の下部に配設されており、この自動閉鎖装置32の平面図は、図16(B)に示されている。
そして、中間装置200は、図10及び図11で示した前述の機械式結合装置55にロック用ワイヤー36を介して連結されている第1制御用ワイヤー111と、自動閉鎖装置32との間に配置された装置になっている。言い換えると、中間装置200は、紐状部材である第1制御用ワイヤー111と自動閉鎖装置32とを直接接続するための接続装置になっている。
このように、本実施形態では、ロック用ワイヤー36と、図13で示した連結部材94を介してこのロック用ワイヤー36に連結されている第1制御用ワイヤー111は、中間装置200を介して機械式制御装置である自動閉鎖装置32に接続されている第1紐状部材となっている。
次に、自動閉鎖装置32について説明する。
図14及び図15に示されているように、複合装置100の機枠110には、互いに対向する2個の立上り部110B,110Cが設けられており、これらの立上り部110B,110Cに形成された図15の孔110D,110Eに、2個の立上り部110B,110Cに跨る長さを有している図16(B)の板状の第1スライド部材120がスライド自在に挿入されている。この第1スライド部材120の外周にはばね121が巻回されており、このばね121のばね力により、第1スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、図6で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向である。
図6及び図14に示されているとおり、第1スライド部材120の前端に下向きに折曲形成された折曲部120Aには、作動部材122が取り付けられており、また、図6のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。第1スライド部材120がばね121のばね力によって前進したときには、作動部材122が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに図6で示したA方向への荷重が作用するようになっている。図14に示されているように、本実施形態の作動部材122はボルト124の頭部124Aとなっているため、この頭部124Aを回転操作してボルト124を第1スライド部材120の折曲部120Aに対して進退させることにより、作動部材122と被作動部材123との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト124に螺合させておいたロックナット125を回転操作し、このロックナット125を折曲部120Aに圧接させることにより、被作動部材123に対する作動部材122の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
図16(B)に示されているように、複合装置100の機枠110には、ソレノイド126が取り付けられており、このソレノイド126のプランジャ127には、ばね128のばね力がプランジャ127をソレノイド126から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ127の先端には先端部材140が取り付けられ、この先端部材140には、中心軸129Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材129の一方の端部が接触している。図14から分かるように、逆L字形状となっている先端部材140には、屈曲レバー部材129の上記一方の端部が接触している面とは反対側の面において、起倒部材141が接触しており、この起倒部材141は、図16(B)で示されているブラケット142の立上り部に設けられたビスによる中心軸142A(図14も参照)が挿通している下部を中心に起倒自在となっている。
そして、トリガーレバー部材となっている屈曲レバー部材129の他方の端部には、図16(B)に示されているように、ローラ130が回転自在に設けられている。このローラ130と対面する第1スライド部材120の部分には凹部120Bが形成されており、この凹部120Bにおける第1スライド部材120の後退側の部分は、傾斜面120Cとなっている。
図16(B)に示されているとおり、自動閉鎖装置32には第1電気スイッチ135が設けられ、機枠110に取り付けられているこの第1電気スイッチ135は、ばねで第1電気スイッチ135から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ136を有するマイクロスイッチである。また、第1スライド部材120には、凹部120Bと反対側の部分において、ドグ部材137が取り付けられており、アクチュエータ136はこのドグ部材137に当接している。
第1スライド部材120には、連結部138Aを備えている連結部材138が取り付けられている。前述の第3制御用ワイヤー113の一方の端部は、この連結部138Aに連結されており、また、第2制御用ワイヤー112の一方の端部は、上述の起倒部材141の上部に連結されている(図14も参照)。
図16(B)に示されているとおり、自動閉鎖装置32には、屈曲レバー部材129に中心軸129Aを中心とするK方向への回動力を付与するためのばね131と、第2制御用ワイヤー112の一方の端部が連結されている起倒部材141が中心軸142Aを中心にソレノイド126側へ倒れたときに、起倒部材141を直立状態に戻すためのばね132とが設けられており、ばね131のばね力により、屈曲レバー部材129の上述の他方の端部に設けられている通常時のローラ130が、図16(B)に示されているように、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合するようになっている。
また、ローラ130が凹部120Bに嵌合することにより、前述したばね121による第1スライド部材120の前進は止められている。このように凹部120Bに嵌合したローラ130で前進が止められているときにおける第1スライド部材120の前端の位置は、図15及び図16(B)で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
起倒部材141に一方の端部が連結されていて、アウターケーブル115の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112は、図4で示した操作装置30まで延びており、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の他方の端部には、操作装置30に配置されているレバー部材等の第1手動操作部材が連結されている。さらに、第1スライド部材120に一方の端部が連結されていて、アウターケーブル116の内部に挿通された第3制御用ワイヤー113も、操作装置30まで延びており、アウターケーブル116から突出している第3制御用ワイヤー113の他方の端部にも、操作装置30に配置されているレバー部材等の第2手動操作部材が連結されている。
以上の説明から分かるように、自動閉鎖装置32は、凹部120Bが形成された第1スライド部材120や、ソレノイド126、ローラ130を備えた屈曲レバー部材129、第1電気スイッチ135等により構成されており、そして、機枠110に対して直線的に往復動(スライド)自在の往復動(スライド)部材となっている第1スライド部材120は、後述の説明から分かるように、前述のブレーキ装置19を機械的にオン、オフ切り替えるために作動する切替部材となっている。
次に、図16(A)に示されている中間装置200について説明する。
複合装置100の前述の機枠110には、図16(A)に示されているように、中心軸201Aを中心に回動自在の第1回動部材201と、中心軸202Aを中心に回動自在の第2回動部材202とが設けられ、これらの回動部材201,202は水平方向に回動する。また、中心軸201A,202Aの下端は機枠110の底部110Fで支持され、中心軸201A,202Aの上端は、図15で示されているとおり、機枠110に結合されているブラケット203で支持されている。図16(A)に示されているとおり、第1回動部材201には、中心軸201Aを中心とする扇形状となっている扇形状部201Bが水平に設けられ、前述した第1制御用ワイヤー111のうち、機枠110の内部に挿入されている部分は、この扇形状部201Bの外周面に接触、分離可能に巻き付いた状態となっており、この第1制御用ワイヤー111の一方の端部は、結合具204により第1回動部材201に結合されている。
そして、本実施形態では、図16(A)に示されているように、扇形状部201Bから機枠110の外側へ延びている第1制御用ワイヤー111の延伸方向は、扇形状部201Bの接線方向と一致又は略一致している。
第1回動部材201には、扇形状部201Bの下側において、中心軸201Aを中心とする円周方向の長さを有しているカム部201Cが水平に形成されており、扇形状部201Bよりも中心軸201Aからの半径方向への長い突出長さを有しているこのカム部201Cの外周面は、中心軸201Aを中心とする円弧状の面となっている。また、中心軸201Aの外周には、ねじりコイルばね205のコイル部が巻回され、このばね205の一方の端部は、機枠110に取り付けられた係止部材206に係止され、他方の端部は、第1回動部材201に設けられた凸部201Eに係止されている。このため、第1回動部材201は、ばね205により中心軸201Aを中心に図16(A)のB方向へ常時回動付勢されており、このB方向への第1回動部材201の回動限は、機枠110に取り付けられ、カム部201Cの一方の側面が当接するストップ部材207により規定されている。
第2回動部材202には、中心軸202Aを中心とする扇形状部202Bが設けられ、この扇形状部202Bは、中心軸202Aから突出状態で水平に形成されている突出部202Cの一部となっており、この突出部202Cの上面に凸部208が設けられている。本実施形態におけるこの凸部208は、ローラベアリング等による回転自在のローラである。そして、凸部208には、第1回動部材201のカム部201Cの側面201Dが当接している。このため、この側面201Dは、言い換えると、第1回動部材201のカム部201Cにおけるストップ部材207に当接している上記側面とは反対側になっている側面201Dは、第1回動部材201における第2回動部材202と当接している当接部となっており、また、凸部208は、第2回動部材202における第1回動部材201と当接している当接部となっている。
図15に示されているように、複合装置100の機枠110の2個の立上り部110B,110Cには、孔110G,110Hが形成され、これらの孔110G,110Hに、2個の立上り部110B,110Cに跨る長さを有している図16(A)の板状の第2スライド部材210がスライド自在に挿入されている。この第2スライド部材210は、第1スライド部材120と同じ方向へ直線的に往復動自在の往復動部材となっている。また、第2スライド部材210には開口孔210Aが形成され、この開口孔210Aの内部に第2回動部材202の突出部202Cの下面に設けられ凸部211が挿入されている。本実施形態におけるこの凸部211は、ローラベアリング等による回転自在のローラである。
また、第2スライド部材210には、機枠110と第2スライド部材210との間に架設されたばね212のばね力により、前進方向への付勢力が付与されており、この前進方向は、第1スライド部材120の前進方向と同じ方向である。そして、第2スライド部材210の前進限は、開口孔210Aの端部に第2回動部材202の凸部211が当接し、第2回動部材202の凸部208が第1回動部材201のカム部201Cの側面201Dに当接し、この側面201Dとは反対側のカム部201Cの側面がストップ部材207に当接することにより、規定されている。
図14に示されているとおり、中間装置200の構成部材となっている第2スライド部材210は、自動閉鎖装置32の構成部材となっている第1スライド部材120よりも上側の高さ位置において、機枠110に配置されている。また、図16(A)に示されているように、第2スライド部材210には、第1スライド部材120に設けられている前述の連結部材138の連結部138Aに対して、第1及び第2第1スライド部材120,210の前進側において、これらのスライド部材120,210の前後進方向に対向して形成されている段差面210Bが設けられている。連結部138Aは、図14に示されているように、上側へ延びる長さを有しており、この連結部138Aと段差面210Bは、図16(A)(B)で示す通常時において、第1及び第2スライド部材120,210の移動方向の大きな間隔を開けて対向している。そして、図17(A)(B)及び図18(A)(B)で示すように、第1スライド部材120が前進することによって連結部138Aが段差面210Bに当接又は僅かな隙間を開けて対向した後に、図19(A)に示すように、第2スライド部材210が後退すると、段差面210Bによる連結部138Aの押圧作用により、図19(B)に示すように、第1スライド部材120も後退するようになっている。
以上の説明から分かるように、前述の第1制御用ワイヤー111と自動閉鎖装置32とを直接接続するための接続装置になっている中間装置200は、第1回動部材201や、第2回動部材202、第2スライド部材210等により構成されており、そして、第1回動部材201と第2回動部材202のうち、第1回動部材201は、紐状部材である第1制御用ワイヤー111の側の部材となっているとともに、第2回動部材202は、自動閉鎖装置32の前述の切替部材となっている第1スライド部材120の側の部材となっている。また、第1回動部材201は、前述の側面201Dが第2回動部材202の凸部208に当接しているため、回動式の当接部材となっており、これに対して第2回動部材202も、この当接部材が当接している回動式の被当接部材となっている。
前述したように、第2回動部材202には、中心軸202Aを中心とする扇形状部202Bが設けられており、図16(A)に示されているように、この扇形状部202Bの外周面には多数の歯部202Dが形成されている。これらの歯部202Dには、前述した遅延装置300の回転自在の中心軸300Aに結合されたピニオンギヤ300Bが噛合している。遅延装置300はロータリー式のダンパーであり、遅延装置300の内部には、ワンウエイクラッチを介して中心軸300Aと連結されている複数のブレードが取り付けられており、第2回動部材202が中心軸202Aを中心にF方向に回動して、ピニオンギヤ300B及び中心軸300AがD方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチの接続作用により、それぞれのブレードが遅延装置300の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により第2回動部材202はF方向へ低速で回動することになる。一方、第2回動部材202がF方向とは逆のG方向に回動し、ピニオンギヤ300B及び中心軸300AがE方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、第2回動部材202はG方向へ高速で回動することができる。
なお、以上のように作動する遅延装置300は、図14及び図15に示されているとおり、前述したブラケット203に下面に取り付けられていることにより、複合装置100の機枠110の内部に配置されている。
また、図16(A)に示されているように、機枠110には第2電気スイッチ220が取り付けられ、この第2電気スイッチ220は、ばねで第2電気スイッチ220から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ221を有するマイクロスイッチである。また、第1回動部材201にはドグ部材222が設けられており、アクチュエータ221はこのドグ部材222に当接している。
次に、本実施形態に係る改修後のシャッター装置の作動について説明する。
本実施形態に係る改修後のシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止しているときに、火災が発生すると、この火災より発生した煙又は熱を感知した図4に示す感知器82から、防災信号BSが出力される。この防災信号BSは信号線87を経由して図16(B)で示す自動閉鎖装置32のソレノイド126に入力される。これにより、ソレノイド126は通電され、このソレノイド126が励磁されるため、このソレノイド126のプランジャ127は、ばね128のばね力に抗して後退する(言い換えると、吸引動作する)。これにより、前述の先端部材140に一方の端部が当接している屈曲レバー部材129は、ばね131のばね力に抗して中心軸129Aを中心に図16(B)のK方向とは逆方向のL方向に回動することになる。このときの状態が図17(B)で示されている。屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心にL方向に回動すると、屈曲レバー部材129のローラ130は第1スライド部材120の凹部120Bから脱出するため、第1スライド部材120はばね121のばね力で前進し、この前進は、第1スライド部材120に設けられている連結部材138の前端が機枠110の前述の立上り部110Bに当接することにより停止する。すなわち、本実施形態の連結部材138は、第1スライド部材120の前進限を規定するための第1スライド部材120における前進限規定部ともなっている。
また、このときにおける第1スライド部材120の前端の位置は、図15及び図16(B)で示した3個の位置H,I,Jのうち、図17(B)に示されているように、最前位置であるI位置である。
また、以上のように第1スライド部材120が前進すると、第1電気スイッチ135のアクチュエータ136は、第1スライド部材120に取り付けられているドグ部材137から外れるため、これによって第1電気スイッチ135から発生する信号により、上述の制御装置はソレノイド126への通電を停止する。
このソレノイド126への通電の停止により、プランジャ127はばね128のばね力でソレノイド126から突出移動し、屈曲レバー部材129はばね131のばね力で中心軸129Aを中心に図16(B)のK方向へ回動する。このときの第1スライド部材120は、この第1スライド部材120の前端がI位置まで達している移動限まで前進しているため、屈曲レバー部材129のローラ130は、図18(B)に示されているように、第1スライド部材120の前述した傾斜面120Cに当たる。このため、中心軸129Aを中心とする屈曲レバー部材129のK方向への回動は、途中で停止する。
以上のようにして第1スライド部材120が前進すると、この第1スライド部材120の前端に設けられている図6の作動部材122が、被作動部材123を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを図6のA方向に押圧する。このため、前述したようにこの第1部分31Aが、レバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA´方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、オフとなる。このため、全開又は開閉移動方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板1B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
また、火災が発生したことを人が発見した場合には、この人が、図1で示した操作装置30に配置されていて、前述した第2制御用ワイヤー112の他方の端部に連結されているレバー部材等の第1手動操作部材により、第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作する。第2制御用ワイヤー112の一方の端部は、図16(B)で説明したように、前述の起倒部材141に連結されているため、第2制御用ワイヤー112が引っ張り操作されることにより、この起倒部材141が中心軸142Aを中心にソレノイド126の側へ倒れ回動し、起倒部材141の押圧作用により、前述の先端部材140及びプランジャ127は後退する。これにより、ソレノイド126が通電、励磁される前であっても、ソレノイド126が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材129は、起倒部材141からの押圧力により先端部材140を介して、中心軸129Aを中心に図16(B)のL方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は第1スライド部材120の凹部120Bから脱出し、第1スライド部材120はばね121のばね力で前進することになる。
このため、第2制御用ワイヤー112の他方の端部に連結されているレバー部材等の第1手動操作部材を操作することによっても、シャッターカーテン1は全閉となり、このシャッターカーテン1により防災区画を形成することができる。
このように、操作装置30は、火災発生時(あるいは点検時)において、手動によりシャッターカーテン1の閉じ移動(閉鎖動作)の開始させるための手動閉鎖装置となっており、この操作装置30の上述した第1手動操作部材は、手動閉鎖操作部材となっている。
本実施形態では、上述した第1手動操作部材は、非常時又は点検時において、シャッターカーテン1の移動を停止させるためにオンとなっていたブレーキ装置19をオフにするために機械式制御装置である自動閉鎖装置32を手動操作するための第3操作手段となっており、このため、本発明に係る改修後のシャッター装置では、操作装置30は、第3操作手段を有する第2操作装置となっている。
なお、以上のように第1スライド部材120が前進限まで移動したときには、この第1スライド部材120の連結部材138に設けられている連結部138Aは、図17(A)及び図18(A)に示されているように、第2スライド部材210の前述の段差面210Bに当接又はこの段差面210Bに近づく。このため、第1スライド部材120が図17(B)及び図18(B)で示す前進限まで移動しても、第2スライド部材210は、図17(A)及び図18(A)で示されているように、図16(A)で示した位置に停止したままとなっている。したがって、この第2スライド部材210が構成部材となって構成され、図17(A)及び図18(A)で示されている中間装置200は、図16(A)のときと同じ状態を維持する。
前述のようにしてシャッターカーテン1が全閉位置に達し、そして、火災が鎮火したとき(あるいは点検が終了したとき)には、操作装置30に配置されていて、前述した第3制御用ワイヤー113の他方の端部に連結されているレバー部材等の第2手動操作部材により、第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作する。これにより、第3制御用ワイヤー113の一方の端部は、第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aに連結されているため、この第1スライド部材120はばね121のばね力に抗して後退することになる。このため、第1スライド部材120は、図18(B)に示されている位置から、第1スライド部材120の前端が図15及び図16(B)のH位置となる初期位置へ後退復帰することになる。また、第1スライド部材120がこの初期位置へ復帰するときに、屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心としてばね131のばね力で図16(B)のK方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合することになり、これにより、ばね121のばね力が作用している第1スライド部材120は、第1スライド部材120の前端がH位置に達して停止する。これにより、自動閉鎖装置32は、火災が発生する前(あるいは点検前)の初期状態に戻る。
このように、操作装置30は、自動閉鎖装置32を初期状態に戻すための復旧(復帰)装置にもなっており、この操作装置30の上述した第2手動操作部材は、復旧(復帰)操作部材となっている。
なお、第3制御用ワイヤー113を上述のようにレバー部材等の第2手動操作部材により引っ張り操作したときに、連結部材138の連結部138Aが図15で示されているブラケット203に当接するようにし、これにより、レバー部材等の第2手動操作部材により第3制御用ワイヤー113を過大な操作力で引っ張り操作した場合に、この過大な操作力が連結部材138及び第1スライド部材120に作用することをブラケット203で防止するようにしてもよい。
上述のように第1スライド部材120が初期位置へ復帰すると、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は図6の前述したばね23でA´方向とは逆方向へ移動するため、ブレーキ装置19はオフからオンに復帰する。この後に、操作装置30に設けられている前述の「開」ボタンを操作することにより、シャッターカーテン1は、前述したとおり、電動により全開位置まで開き移動する。
このように、本実施形態では、機械式制御装置である自動閉鎖装置32には、前述した第1紐状部材となっている第1制御用ワイヤー111の他に、引っ張り操作されることにより、オンとなっていたブレーキ装置19を手動によりオフとするための第2紐状部材である第2制御用ワイヤー112と、引っ張り操作されることにより、自動閉鎖装置32を初期状態に戻すための第3紐状部材である第3制御用ワイヤー113も接続されている。
以上説明したように火災の発生が感知器82により感知されたり、火災の発生を発見した人が第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作することにより、シャッターカーテン1が防災区画を形成するために全閉位置まで閉じ移動するときは、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときである。これに対して前述したように、操作装置30の「開」「閉」「停」のそれぞれのボタン操作により、シャッターカーテン1の開閉移動、移動停止を行わせているときが、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときである。
本実施形態に係る改修後のシャッター装置が防災用シャッター装置となってシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置32が図18(B)で示す状態に、また、中間装置200が図18(A)で示す状態にそれぞれなっていて、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下側に図4で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部71Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下側部分を形成している図7の可動部70Bが障害物34に当接することになり、この可動部70Bの下降が停止する。
可動部70Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板1Bのうち、図7の固定部70Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、図7の状態から下降するため、この下降で生ずるカーテン主部71Aに対するカーテン副部71B(可動部70B)の相対的な上昇により、図8に示されているように、固定部70Aの内部に配置されている揺動部材81が支点軸80を中心に上向きに揺動する。これにより、揺動部材81に設けられている押圧部材54により、前述した機械式結合装置55を構成しているロック部材50は、図10のN方向に回転することで図11の状態となり、ロック部材50の係合部53は回転ギア35の歯部35Aに係合する。
これにより、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに図10のS方向へ回転していた回転ギア35及び巻取りリール37は、このS方向に回転できなくなり、すなわち、回転ギア35及び巻取りリール37は回転不能となり、シャッターカーテン1と、巻取りリール37から繰り出されていたロック用ワイヤー36とが、回転ギア35とロック部材50を構成要素とする機械式結合装置55によって結合されたことになる。このため、ロック用ワイヤー36には、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量による下向きの緊張力が作用する。
閉じ移動しているシャッターカーテン1が上述のように障害物34に当接して、ロック用ワイヤー36に、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量による下向きの緊張力が作用した後に、障害物34がへこみ変形すると、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36は、このへこみ変形分だけ下方へ引っ張られることになる。
また、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものであっても、揺動部材81の押圧部材54によりロック部材50が図10のN方向に回動すると、図12に示されているように、このロック部材50に係合部53として設けられている第1係合部53Aと第2係合部53Bと第3係合部53Cのうち、初めに第1係合部53Aが回転ギア35の歯部35Aに係合し、次いで第2係合部53B、第3係合部53Cが回転ギア35の歯部35Aに係合する。これらの係合のうち、少なくとも第1係合部53Aの歯部35Aへの係合は、図10に示されているように、ロック部材50に、このロック部材50の長さ方向に離れてロック部材側当接部59として2個設けられている第1ロック部材側当接部59Aと第2ロック部材側当接部59Bのうち、ロック部材50の回動中心軸となっている軸56から遠い箇所にある第1ロック部材側当接部59Aが、シャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により押し上げられることにより行われる。
そして、第1係合部53Aと第2係合部53Bと第3係合部53Cの間隔寸法は、回転ギア35に等間隔で多数形成されている歯部35A同士の間隔寸法(歯ピッチ)と同じ寸法もしくは略同じ寸法、又は歯部35A同士の間隔寸法の2以上の整数倍の寸法もしくは略整数倍の寸法となっている。このため、第1係合部53Aが歯部35Aに係合することにより、第2係合部53B及び第3係合部53Cも歯部35Aに係合するようになっている。
また、上述のように第1ロック部材側当接部59Aが押圧部材54により押し上げられると、次に、図11に示されているように、ロック部材50の第2ロック部材側当接部59Bが押圧部材54に当接し、この第2ロック部材側当接部59Bが押し上げられることになる。すなわち、押圧部材54によるロック部材50のロック部材側当接部59の押し上げは、第1ロック部材側当接部59Aから第2ロック部材側当接部59Bへと移行して行われ、2段階でこの押し上げが行われることになる。
このため、ロック部材50の図10で示されているN方向への回動は、2段階となって継続されることになり、これにより、ロック部材50の第1係合部53Aが回転ギア35の歯部35Aとの係合から外れても、第2係合部53Bや第3係合部53Cが回転ギア35の歯部35Aとの係合を継続し、これらの第2係合部53B及び第3係合部53Cが回転ギア35を図10のT方向へ少し回転させる。このT方向への回転は、巻取りリール37がロック用ワイヤー36を巻き取る方向への回転であって、このロック用ワイヤー36を下方へ引っ張る方向である。
そして、このようにして第2係合部53B及び第3係合部53Cが回転ギア35をT方向へ回転させることは、ロック部材50の回動中心となっている軸56からの距離が第1ロック部材側当接部59Aよりも短い第2ロック部材側当接部59Bが押圧部材54によって押し上げられることにより行われるため、第2係合部53B及び第3係合部53Cによる回転ギア35のT方向へ回転量は大きくなる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときのカーテン主部71Aに対するカーテン副部71Bの相対的上昇量が一定量となっていても、障害物34がへこみ変形した場合と同様に、ロック用ワイヤー36の下方への引っ張り量を充分に確保することができる。
このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものである場合にも、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36を、障害物34がへこみ変形したときのように、充分に下方へ引っ張ることができる。
なお、本実施形態では、ロック部材50に設ける係合部53の個数を3個としたが、この個数を4個以上としてもよい。
また、シャッターカーテン1が障害物34に当接すると、前述したようにシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54によりロック部材50の第1ロック部材側当接部59Aが押し上げられ、これにより、図10の軸56を中心にN方向に回動するロック部材50の第1係合部53Aが回転ギア35の歯部35Aに係合しようとするが、ロック部材50の回動タイミングや回転ギア35の回転タイミングにより、第1係合部53Aの先端と歯部35Aの先端とが当接してしまい、これにより、ロック部材50と回転ギア35が突き当て状態となって、これらのロック部材50と回転ギア35がいわばデッドロック状態になるおそれがある。
しかし、本実施形態では、図12で説明したように、ロック部材50及びこのロック部材50の回動中心軸となっている軸56は、前述のケース33に形成された長孔67により、回転ギア35に対して接近、離間方向に移動自在となっていて、弾性部材であるねじりコイルばね57の弾性付勢力により、回転ギア35側であるX方向へ常時付勢されているため、上述のデッドロック状態が生じた場合には、ロック部材50及び軸56は、回転ギア35からの反力により、回転ギア35から後退する方向に少し移動してデッドロック状態が解消するとともに、ねじりコイルばね57の弾性付勢力により回転ギア35側へ前進し、これにより、ロック部材50の第1係合部53Aが、回転を継続している回転ギア35の歯部35Aに係合することになる。
このため、本実施形態によると、ロック部材50の第1係合部53Aの先端と回転ギア35の歯部35Aの先端とが当接してロック部材50と回転ギア35がデッドロック状態となることを回避することができ、このデッドロック状態が生じたときにロック部材50等に発生する過大な荷重をなくすことができる。
また、本実施形態では、ロック部材50に設けられている前述の第1ロック部材側当接部59Aは、板ばね60による弾性部となっているため、上述のデッドロック状態が生じた場合には、回転ギア35からの反力によってこの弾性部が弾性変形することにより、ロック部材50は、軸56を中心に図10のM方向に少し回動した後に、N方向に回動するため、これによってもデッドロック状態を解消することができる。
前述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接してロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られると、ロック用ワイヤー36の緊張力が図13で示した連結部材94を介して第1制御用ワイヤー111に作用し、この第1制御用ワイヤー111も引っ張られることになる。
そして、第1制御用ワイヤー111が引っ張られると、この第1制御用ワイヤー111の一方の端部は、前述したように図18(A)の状態になっている中間装置200の構成部材である第1回動部材201に連結されているため、この第1回動部材201は、図16(A)のC方向へ回動し、この回動により、第1回動部材201のカム部201Cの側面201Dに凸部208が当接している第2回動部材202は図16(A)のG方向へ回動する。これにより、第2回動部材202の凸部211が開口孔210Aに挿入されている第2スライド部材210は、凸部211からの押圧力により、図19(A)に示されているように、ばね212のばね力に抗して後退する。
これにより、第2スライド部材210は、段差面210Bによって第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aを押圧することになり、このため、第1スライド部材120も後退し、この後退により、前述のブレーキ装置19はオフからオンに切り替わる。このため、閉じ移動中に図4の障害物34に当接したシャッターカーテン1は、閉じ移動を停止する。このときの自動閉鎖装置32の状態が図19(B)に示されており、このときの第1スライド部材120の前端の位置は、図15及び図16で示すJ位置である。
また、上述したように第1制御用ワイヤー111が引っ張られることにより、後退する第2スライド部材210の段差面210Bが第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aを押圧することにより、第1スライド部材120が後退するため、段差面210Bは、第1スライド部材120を押圧するための第2スライド部材210の押圧部になっており、連結部138Aは、第2スライド部材210からの押圧力を受けるための第1スライド部材120の被押圧部となっている。
また、以上の作動において、上述したように第2回動部材202が図16(A)のG方向に回動したときには、遅延装置300のピニオンギア300BはE方向に回転するが、このE方向にピニオンギア300Bが回転したときには、前述したように、遅延装置300のワンウエイクラッチの切断作用が機能するため、ピニオンギア300BはE方向へ高速で回転し、第2回動部材202もG方向へ高速で回動することができる。言い換えると、このときの遅延装置300には遅延作用が生じない。
また、上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られることにより、第1回動部材201が図16(A)のC方向へ回動して第2回動部材202がG方向へ回動したときに、これらの第1回動部材201及び第2回動部材202が行う運動は、回動する運動であるため、第1制御用ワイヤー111の引っ張られる長さが長くなっていても、第1回動部材201の全部の回動量が、第2回動部材202に伝達されることはない。
すなわち、本実施形態では、前述したように、障害物34がへこみ変形しない又はへこみ変形が小さい硬質のものである場合のことを考慮してロック部材50に3個の係合部553A,53B,53C設け、これらの係合部53A,53B,53Cの作用により第1制御用ワイヤー111が引っ張られる長さを長くしていても、第1回動部材201の全部の回動量のうち、第1回動部材201のカム部201Cの側面201Dが第2回動部材202の凸部208に当接しているときだけ、第1回動部材201のC方向への回動が第2回動部材202に、この第2回動部材202のG方向への回動として伝達されることになる。そして、第1回動部材201のカム部201Cの側面201Dが第2回動部材202の凸部208に当接しなくなった後に、第1回動部材201がC方向へ回動しても、この回動は、いわば空振りの回動となり、この空振りの回動を第1回動部材201が行っているときの第2回動部材202は停止している。
このため、第1制御用ワイヤー111が引っ張られる長さが長くなっていて、第1回動部材201の回動量が大きくなっていても、第1スライド部材120が後退する距離は長くならず、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、第1スライド部材120が後退する位置は、この第1スライド部材120の前端が、図19(B)に示されているように、図15及び図16(B)で示した3個の位置I,J,Hのうち、J位置に達する位置となる。このJ位置は、初期位置であるH位置よりも前側の位置であって、ブレーキ装置19を第1スライド部材120により機械的にオフからオンに切り替えることができる位置であるとともに、図16(B)で示されている屈曲レバー部材129のローラ130が、図18(B)と同様に、第1スライド部材120の凹部120Bから脱出している状態を維持している位置である。このようにローラ130が凹部120Bから脱出している状態を維持していることは、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときを示している図19(B)に示されている。
以上の説明から分かるように、火災等の発生によりシャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が設置された建物が停電になっても、シャッターカーテン1が閉じ移動中に障害物34に当接したときには、自動閉鎖装置32の第1スライド部材120が開閉機13のブレーキ装置19をオフからオンに切り替えることにより、このシャッターカーテン1を電気を用いることなく機械的に停止させることができる。そして、機械式結合装置55は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、ロック用ワイヤー36に、第1スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させるための装置となっている。
上述したように、前述のブレーキ装置19がオフからオンに切り替わり、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が停止した後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部71Bが下降するため、機械式結合装置55によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との結合は解除される。これにより、ロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111に作用していた緊張力は消滅するため、第1回動部材201は、ばね205により図16(A)のB方向の回動を行い、第2回動部材202は、第2スライド部材210がばね212で前進することにより、図16(A)のF方向へ回動し、第2スライド部材210が前進することにより、自動閉鎖装置32の第1スライド部材120は、ばね121のばね力により、前端の位置が図19(B)のJ位置から図15及び図16(B)で示すI位置へ移行する前進を行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ機械的に再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することになる。
また、このときに、第2回動部材202が図16(A)のF方向へ回動することにより、遅延装置300のピニオンギア300BはD方向へ回転し、このピニオンギア300BのD方向へ回転については、前述したように、ロータリ式ダンパーとなっている遅延装置300には、粘性流体による抵抗力が生ずることになる。このため、第1スライド部材120の前端の位置が、図19(B)のJ位置から図15及び図16(B)のI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、遅延装置300の遅延作用のために瞬時に行われず、この切替時期は遅延することになる。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
このように、本実施形態では、遅延装置300は、障害物34が除去されたとき、シャッターカーテン1を再び閉じ移動させるためのブレーキ装置19のオフが行われることを遅延させるための装置となっている。
以上において、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに第1スライド部材120が後退する距離が、この第1スライド部材120の前端がJ位置よりも後側の位置となる長い距離である場合には、屈曲レバー部材129のローラ130は、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合してしまうことになる。このような事態が生じた場合には、閉じ移動中のシャッターカーテン1が当接した障害物34の除去が行われても、ローラ130のストッパー作用により、第1スライド部材120は、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替えることできるI位置まで前端が達する前進を行うことができない。
すなわち、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替える切替部材となっている自動閉鎖装置32の第1スライド部材120の作動可能範囲には、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していることになる。
しかし、本実施形態によると、前述から明らかなように、第1制御用ワイヤー111の側の当接部材となっている第1回動部材201と、自動閉鎖装置32の第1スライド部材120の側の被当接部材となっている第2回動部材202は、中心軸201A,202Aを中心に回動する部材となっているため、第1回動部材201の全部の回動量のうち、一部の回動量だけが第2回動部材202に伝達されることになり、このため、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに第1スライド部材120が後退する距離は、この第1スライド部材120の前端がJ位置よりも後側の位置となる長い距離とはならない。このため、第1スライド部材120を、前端の位置がJ位置となる後退距離で停止させることができ、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が当接した障害物34が除去された後に、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替えることが可能となる。
このため、本実施形態によると、第1回動部材201や第2回動部材202等により、第1スライド部材120を上述の切り替え不能の範囲まで作動させない作動範囲制限手段230が構成されていることになる。
そして、本実施形態では、図10及び図11で示されている機械式結合装置55の構成部材となっているロック部材50には、図12で説明したように、ロック部材50の係合部53の先端と、回転ギア35の歯部35Aの先端との間の隙間65の大きさを調整するための隙間調整手段66が設けられているため、シャッターカーテン1が障害物に当接していない通常時において、この隙間65の大きさを適正値に設定することができる。このため、隙間65の大きさが適正値よりも大きくなっている場合に生ずる問題点、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、直ちにロック部材50の係合部53が回転ギア35歯部35Aに係合しないことにより、障害物感知が遅れて、シャッターカーテン1を瞬時に停止させることが難しくなるという問題点を解決することができ、また、通常時における隙間65の大きさが適正値よりも小さい場合に生ずる問題点、すなわち、シャッターカーテン1が障害物34に当接していないときでも、例えば、回転ギア35やロック部材50が振動等したときに、係合部53が歯部35Aに接触したり係合したりしてしまう問題点を解決することができる。
以上の説明は、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときのことであった。この改修後のシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときに、すなわち、シャッターカーテン1が前述の操作装置30の操作で閉じ移動しているときに、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときにも、第1制御用ワイヤー111には緊張力や引っ張り力が作用するため、中間装置200の第1回動部材201は図16(A)のC方向へ回動し、この回動により、第2回動部材202を介して第2スライド部材210は後退するが、このときの第1スライド部材120は、前端の位置がH位置となっている後退限まで後退しているため、図16(A)に示されているように、第2スライド部材210の段差面210Bと第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aとの間には大きな間隔があり、このため、第2スライド部材210が後退しても、この後退は第1スライド部材120に影響を与えない。
言い換えると、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接しても、第1スライド部材120が構成部材となっている自動閉鎖装置32が作動することはなく、この自動閉鎖装置32は、図16(B)で示されている状態を維持する。
そして、本実施形態では、改修後のシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接して第1制御用ワイヤー111の緊張力や引っ張り力により、中間装置200の第1回動部材201がC方向へ回動すると、前述の第2電気スイッチ220のアクチュエータ221は、第1回動部材201のドク部材222から外れる作動を行うため、この第2電気スイッチ220からの信号で図1の制御装置26が開閉機13の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを電気的に駆動制御することにより、シャッターカーテン1は、障害物34に当接した位置から所定高さ位置まで開き移動して停止する反転上昇を行う。すなわち、管理用シャッター装置のシャッターカーテン1は、障害物34への当接後に、この障害物34から離れた高さ位置まで開き移動して停止する。
このように、本実施形態では、第2電気スイッチ220は、ロック用ワイヤー36に緊張力が作用したことを検出するためのロック用ワイヤー緊張力検出手段となっている。そして、この第2電気スイッチ220は、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が管理用シャッター装置として機能している場合において、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したことを感知(言い換えると、検出)するための障害物感知手段を構成するものとなっている。
以上説明したように、本実施形態に係る改修後のシャッター装置は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したことを機械式に感知するための機械式障害物感知装置を備えており、この機械式障害物感知装置は、ロック用ワイヤー36と、シャッターカーテン1に配置されていて、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときにシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー36に、第1スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置55と、を有するものとなっている。
次に、電気式障害物感知装置を備えている図1に示されている既存のシャッター装置を、機械式障害物感知装置を備えた図4に示されているシャッター装置に改修するための作業手順について説明する。
まず、図1に示されているシャッター装置のうち、図4に示されているシャッター装置で不要となる部品、部材、装置等、すなわち、電気式障害物感知装置及びこれに関連する部品、部材、装置等を取り外すとともに、この図1に示されているシャッター装置から撤去する作業が実施される第1作業工程について説明する。
図1に示されている本実施形態に係る既存のシャッター装置のシャッターカーテン1の座板1B´には、機械式結合装置55を配置するための前述した開口部が形成されていない。
このため、シャッターカーテン構成部材となっているこの座板1B´を、開口部が形成されている座板1Bに交換する必要があり、本実施形態に係る第1作業工程では、まず、座板1B´を取り外す作業を行う。
この既存の座板1B´を取り外す作業を行うにあたって、操作装置42の「閉」ボタン又は「開」ボタンを操作して、作業者が座板1B´の取り外し作業をし易くなる位置(例えば、床4の上に座って作業する場合には全閉位置又は略全閉位置、床4の上に立って作業する場合には座板1B´の高さ位置が立ち姿勢の作業者の腰より上の位置)までシャッターカーテン1を閉じ移動又は開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。
ここで、座板1B´は、図7で示されている改修後の座板1Bと同様に、カーテン本体1Aの下部に固定された固定部と、この固定部の下側に配置され、固定部に対して上下方向に移動可能となっている可動部とからなっており、この座板1B´は、図7で示されている結合具77と同様の結合具により、カーテン本体1Aの下部に固定されている。すなわち、交換される前の座板1B´は、前述したように、カーテン本体1Aに対して着脱自在(言い換えると、取り付け、取り外し自在)となっている。
このため、座板1B´をカーテン本体1Aから取り外す作業は、結合具を取り外すことにより座板1B´をカーテン本体1Aから分離し、次いで、座板1B´を斜めにするなどしてこの座板1B´の両端部を左右のガイドレール6から抜き取ることにより行う。この後、カーテン本体1Aから取り外した座板1B´を撤去する作業を行う。
なお、この座板1B´をカーテン本体1Aから取り外す作業の前に、この座板1B´に設けられている座板スイッチ45に内蔵されたマイクロスイッチに接続されている信号線46を、このマイクロスイッチから分離する作業を行うことが好ましいが、この作業は、座板1B´をカーテン本体1Aから取り外す作業の後に行うようにしてもよい。
上述したように、座板1B´をカーテン本体1Aから取り外すとともに、撤去する作業と、信号線46を座板スイッチ45のマイクロスイッチから分離する作業が終了した後は、信号線48を危害防止用連動中継器84及び/又は巻取装置47の制御回路から分離する作業と、信号線49を制御装置26と巻取装置47の制御回路のうちの少なくとも制御装置26から分離する作業と、信号線85を自動閉鎖装置86及び/又は危害防止用連動中継器84から分離する作業と、信号線83を感知器82と危害防止用連動中継器84のうちの少なくとも感知器82から分離する作業と、信号線43を操作装置42と危害防止用連動中継器84のうちの少なくとも操作装置42から分離する作業を行う。ここで、信号線を「分離する作業」には、信号線を工具等で「切断する作業」も含む。
なお、これらの作業の順序は、任意なものでよく、これらの作業が複数の作業者により行われる場合には、これらの作業のうちの複数の作業を同時に行うものでもよい。
このように、本実施形態では、交換される前の座板1B´に設けられていた座板スイッチ45は、電気式障害物感知装置の構成部品の一部となっている。
以上の各信号線の分離作業が終了した後は、巻取装置47をまぐさ16から取り外すとともに、天井裏空間7から撤去する作業と、危害防止用連動中継器84を天井裏空間7から撤去する作業と、自動閉鎖装置86を開閉機13から取り外すとともに、天井裏空間7から撤去する作業を行う。なお、巻取装置47、危害防止用連動中継器84及び自動閉鎖装置86を天井裏空間7から撤去する作業とともに、信号線43,48,49,83,85を天井裏空間7から撤去する作業も行う。
なお、危害防止用連動中継器84は、天井裏空間7から撤去せずにそのまま残すようにしてもよい。
なお、本実施形態では、操作装置42と制御装置26とを接続している信号線44は、そのままの状態となっており、このため、シャッターカーテン1を電動により開閉及び停止させるための操作装置42の「開」ボタン、「閉」ボタン及び「停」ボタンの機能はそのまま有効となっている。
一方、操作装置42の「作動」ボタン及び「復旧」ボタンについては、上述したように、操作装置42と危害防止用連動中継器84とを接続している信号線43が、操作装置42から分離されるとともに、撤去されているため、機能しないものとなっている。すなわち、第1操作装置である操作装置42の第1操作手段である「作動」ボタンと、「復旧」ボタンについては、第1作業工程で実施される作業によって、無機能化(言い換えると、無効化)されるようになっている。
以上の作業により、既存(言い換えると、改修前)のシャッター装置のうち、改修後のシャッター装置で使用されない(言い換えると、不要な)部品、部材及び装置等の取り外し作業及び撤去作業が終了する。
このように、本実施形態では、第1作業工程として、改修前のシャッター装置に備えられていた開閉機13、制御装置26、危害防止用連動中継器84、マイクロスイッチが内蔵された座板スイッチ45と信号線46と巻取装置47とを含んで構成されている電気式障害物感知装置、自動閉鎖装置86及びこれらの装置に関連する信号線(上記信号線46を除く)のうち、危害防止用連動中継器84、電気式障害物感知装置、自動閉鎖装置86を取り外すとともに、撤去する作業と、これらの装置に関連する信号線を分離するとともに、撤去する作業と、電気式障害物感知装置を構成する座板スイッチ45が設けられていた既存の座板1B´を取り外すとともに、撤去する作業と、操作装置42と危害防止用連動中継器84とを接続していた信号線43を操作装置42から分離するとともに、撤去する作業と、が行われるようになっている。
次に、第1作業工程によって、不要な部品、部材及び装置等が取り外されるとともに、これらの部品、部材及び装置等が撤去された既存のシャッター装置に、機械式結合装置55及びこれに関連する部品、部材、装置等を設置する作業が実施される第2作業工程について説明する。
この第2作業工程では、まず、機械式結合装置用配置部となっている開口部が形成されていて、シャッターカーテン構成部材となっている座板1Bをカーテン本体1Aに取り付ける作業を行う。この作業は、前述したようにカーテン本体1Aから既存の座板1B´を取り外し、撤去する作業が終了した後直ちに行ってもよく、行わなくてもよい。
なお、この座板1Bをカーテン本体1Aに取り付ける作業は、操作装置42の「閉」ボタン又は「開」ボタンを操作して、作業者が座板1B´の取り外し作業をし易くなる位置(例えば、床4の上に座って作業する場合には全閉位置又は略全閉位置まで、床4の上に立って作業する場合には座板1B´の高さ位置が立ち姿勢の作業者の腰より上の位置)までシャッターカーテン1を閉じ移動又は開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業の後に行う。
座板1Bのカーテン本体1Aへの取り付けは、座板1Bを斜めにするなどして、この座板1Bの両端部を左右のガイドレール6に挿入し、この座体1Bを図7に示す結合具77でカーテン本体1Aに結合することにより行う。
この後、機械式結合装置55を、交換後の座板1Bの開口部に配置する作業を行う。
図7で示されているように、機械式結合装置55は、座板1Bのうち、固定部70Aに組み込まれる。すなわち、機械式結合装置55は、シャッターカーテン1のカーテン主部71Aを構成しているカーテン本体1Aと、座板1Bの固定部70Aとのうち、固定部70Aに配置される。座板1Bの固定部70Aを形成している内外の部材75,76の上面部及び正面部には、機械式結合装置55の配置位置と対応する位置において、切欠加工による図示されない開口部が形成されており、この開口部に機械式結合装置55が上から挿入されてナット等の結合具により固定部70Aに結合されている。このため、図示されない開口部は、前述したように、機械式結合装置55を配置するための機械式結合装置用配置部となっている。
なお、座板1Bの開口部は、図1及び図4から分かるように、この座板1Bの固定部70Aにおける改修前の既存の座板1B´に設けられていた座板スイッチ45の配置位置と対応する位置又は略対応する位置に形成されている。このため、座板1Bにおける機械式結合装置55は、改修前の既存の座板1B´に設けられていた座板スイッチ45の配置位置と対応する位置又は略対応する位置に配置されることになる。すなわち、機械式結合装置55は、交換された後の座板1Bにおいて、交換される前の座板1B´における座板スイッチ45が設けられていた位置と対応する位置又は略対応する位置に配置されることになる。
なお、方向変換装置38をまぐさ16に取り付ける作業は、機械式障害物感知装置を構成する機械式結合装置55を座板1Bの固定部70Aに取り付ける作業が終了するまでに行われていることが好ましい。
本実施形態では、方向変換装置38のまぐさ16への取り付けは、この方向変換装置38の本体38Aを、図5で説明したまぐさ16を構成する部材のうち、まぐさ部材16Aの上下途中部又は上面に水平又は略水平に形成された段部16Cに載置固定することにより行う。
なお、本実施形態では、まぐさ16の段部16Cにおける方向変換装置38の配置位置は、図1及び図2示されている改修前のシャッター装置に備えられていた電気式障害物感知装置の巻取装置47が設けられていた箇所又はその近傍となっている。このため、方向変換装置38は、まぐさ16の段部16Cにおける座板1Bに取り付けられた機械式結合装置55の真上又は略真上の位置に配置される。
なお、この機械式結合装置55を座板1Bの開口部に取り付ける作業は、改修前のシャッター装置である既存のシャッター装置の設置場所(言い換えると、改修現場)ではなく、予め工場において行ってもよい。
なお、座板1Bの固定部70Aに、機械式結合装置55を取り付けるための開口部等を形成する作業は、予め工場において行われるものであるが、改修現場において行ってもよい。
以上のように座板1Bの固定部70Aに機械式結合装置55を取り付ける作業と、方向変換装置38をまぐさ16に取り付ける作業が終了した後、又はこれらの作業の前において、自動閉鎖装置32や中間装置200を有する複合装置100を開閉機13の上部に取り付ける作業を行う。
図5及び図13から分かるように、本実施形態では、第2作業工程によって、シャッターカーテン1、機械式結合装置55、方向変換装置38及び機械式制御装置である自動閉鎖装置32は、シャッターカーテン1、機械式結合装置55、方向変換装置38、自動閉鎖装置32の順番によりシャッターカーテン1の厚さ方向に配置されるものとなっている。
なお、複合装置100を開閉機13の上部に取り付ける作業の前に、図15に示されているように、第1制御用ワイヤー111の一方の端部である先端部(上端部)を複合装置100の第1回動部材201に連結(結合)する作業を行っておくことが好ましい。また、この作業のとき、後述する第2制御用ワイヤー112の一方の端部である先端部(上端部)を複合装置100の起倒部材141に連結する作業と、第3制御用ワイヤー113の一方の端部である先端部(上端部)を複合装置100の第1スライド部材120の連結部材138に連結する作業も行ってよい。
以上のように、座板1Bの固定部70Aに機械式結合装置55を取り付ける作業と、方向変換装置38をまぐさ16に取り付ける作業と、自動閉鎖装置32(複合装置100)を開閉機13の上部に取り付ける作業と、が終了した後は、操作装置42の「開」ボタンを操作してシャッターカーテン1を全開位置又は略全開位置まで開き移動させた後、「停」ボタンを操作してシャッターカーテン1をその位置で停止させる。
この後、天井裏空間7において、機械式結合装置55のケース33の孔33Aから露出させておいたロック用ワイヤー36の先端部(上端部)を持ちながら、このロック用ワイヤー36を引っ張り上げ、このロック用ワイヤー36が、図13に示されるように、方向変換装置38の第1〜第4ガイドローラ90A〜90Dで案内されて、かつ第3ガイドローラ90Cと第5ガイドローラ90Eとで上下に挟まれるようにする。さらに、ロック用ワイヤー36を引っ張り、筒状の案内部材91の内部に挿通させた後、このロック用ワイヤー36の先端部と、前述したように複合装置100の第1回動部材201に先端部を予め結合していた第1制御用ワイヤー111の後端部と、を連結部材94で連結する作業を行う。
なお、上述した作業は、シャッターカーテン1を全開位置又は略全開位置まで開き移動させた状態で行わなくてもよい。
以上の作業により、機械式障害物感知装置の設置作業が終了する。
以上のようにしてロック用ワイヤー36を、まぐさ16まで延伸させて方向変換装置38により方向変換させるとともに、連結部材94により第1制御用ワイヤー111の一方の端部と連結する作業が終了した後は、第2操作装置である操作装置(手動閉鎖装置)30を、図4に示されているように、建物躯体3Aにおける第1操作装置である操作装置42の近傍に取り付ける作業を行う。
この後、第2制御用ワイヤー112を、複合装置100の自動閉鎖装置32と、操作装置30に配置されているレバー部材等の第1手動操作部材との間に架設する作業と、第3制御用ワイヤー113を、複合装置100の第1スライド部材120の連結部材138と、操作装置(手動閉鎖装置)30に配置されているレバー部材等の第2手動操作部材との間に架設するための作業を行う。
すなわち、図15に示すように第2制御用ワイヤー112の一方の端部である先端部(上端部)を複合装置100の起倒部材141に連結するとともに、第2制御用ワイヤー112の他方の端部である後端部(下端部)を操作装置(手動閉鎖装置)30に配置されているレバー部材等の第1手動操作部材に連結する作業と、図15に示すように第3制御用ワイヤー113の一方の端部である先端部(上端部)を複合装置100の第1スライド部材120の連結部材138に連結するとともに、第3制御用ワイヤー113の他方の端部である後端部(下端部)を操作装置(手動閉鎖装置)30に配置されているレバー部材等の第2手動操作部材に連結する作業を行う。
なお、操作装置(手動閉鎖装置)30を建物躯体3Aに取り付ける作業は、上述した制御用ワイヤー112,113の架設作業を行う前までに終了していればよい。
なお、上述した第2制御用ワイヤー112の架設作業と第3制御用ワイヤー113の架設作業が行われる前に、複合装置100が開閉機13に取り付けられていない場合には、この取り付けを行った後に、これらの作業を実施する。
なお、複合装置100を開閉機13に取り付ける作業が終了した後には、図4に示すように、感知器82と自動閉鎖装置32のソレノイド126とを信号線87で接続する作業を行う。
以上で改修作業に関する全部の作業が終了する。
この後、操作装置42及び操作装置30の動作試験を行い、問題がなければ、操作装置42を操作することにより、シャッターカーテン1を全開状態まで開き移動させる。これにより、シャッターカーテン1を、このシャッターカーテン1を閉じ移動、さらにはこの閉じ移動の後に開き移動させるための初期状態に配置することができる。
なお、既存(言い換えると、改修前)のシャッター装置のうち、改修後のシャッター装置で使用されない(言い換えると、不要な)部品、部材及び装置等を撤去する作業は、改修後のシャッター装置で使用される部品、部材及び装置等の取付作業が終了してから行うようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、図4に示されているシャッター装置は、第1及び第2作業工程により、カーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの閉じ側の端部に設けられている座板1B´と、を含んで構成されていて、開閉移動自在となっているシャッターカーテン1と、オン、オフすることによりシャッターカーテン1を停止、移動可能とするためのブレーキ装置19を有する開閉機13と、閉じ移動中のシャッターカーテン1の移動経路に障害物34が存在することを電気式に感知するための電気式障害物感知装置と、煙又は熱を感知するための感知器82が作動することにより、シャッターカーテン1の移動を停止させるためにオンとなっていたブレーキ装置19をオフにし、電気式障害物感知装置により障害物34が感知されることにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させるためにオフとなっていたブレーキ装置19をオンにするための自動閉鎖装置86と、を備えているものが、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えるためにスライド自在となっているスライド部材120を有し、開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置である自動閉鎖装置32と、座板1B´に代わって交換された座板1Bに配置されていて、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときにシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー36に、スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置55を有し、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したことを機械式に感知するための機械式障害物感知装置と、を備えたものに改修されている。
本実施形態では、機械式障害物感知装置を構成する機械式結合装置55は、電気式障害物感知装置を備えていた図1に示す改修前のシャッター装置のシャッターカーテン1を構成していた既設の座板1B´に代わって交換された新設の座板1Bに配置されるようになっている。すなわち、本実施形態に係る図4に示す改修されたシャッター装置では、機械式結合装置55は、既存の座板1B´に配置されるのではなく、この既存の座板1B´に代わって新しく設けられた座板1Bに配置されるようになっている。
これにより、機械式結合装置55を配置するために、既存の座板1B´を改修現場である既設のシャッター装置の設置場所で施工する作業が不要となる。
そして、既存の座板1B´に代わって交換される新規の座板1Bに対して行う機械式結合装置55を配置するための施工作業は、改修現場で行わずに予め工場で行うことが可能となる。すなわち、機械式結合装置55を配置するための新規の座板1Bの施工作業を改修現場で行わずに済むようになる。
このため、本実施形態によると、電気式障害物感知装置を備えているシャッター装置を、機械式障害物感知装置を備えたシャッター装置に改修する作業が容易に(言い換えると、簡単に)行えるようになる。
また、本実施形態では、交換される前の座板1B´と、交換された後の座板1Bは、カーテン本体1Aに対して着脱自在となっている。
このため、本実施形態によると、既設の座板1B´を新設の座板1Bに交換する作業が容易となる。
また、本実施形態では、機械式結合装置55は、交換された後の座板1Bにおいて、交換される前の座板1B´における座板スイッチ45が設けられていた位置と対応する位置又は略対応する位置に配置されており、方向変換装置38は、電気式障害物感知装置の巻取装置47が設けられていたまぐさ16を構成するまぐさ部材16Aの段部16Cに載置固定されている。
このため、本実施形態によると、方向変換装置38を配置する場所を新たに選定し、この選定した場所において方向変換装置38を取り付けるための新たな施工作業を行う必要がなくなる。また、これによると、方向変換装置38により方向変換されたロック用ワイヤー36の配線作業や、このロック用ワイヤー36に連結部材94を介して連結される第1制御用ワイヤー111の配線作業がより容易となる。
また、本実施形態では、前述したように、図5及び図13から分かるように、第2作業工程によって、シャッターカーテン1、機械式結合装置55、方向変換装置38及び機械式制御装置である自動閉鎖装置32は、シャッターカーテン1、機械式結合装置55、方向変換装置38、自動閉鎖装置32の順番によりシャッターカーテン1の厚さ方向に配置されるものとなっている。
すなわち、本実施形態では、シャッターカーテン1、機械式結合装置55、方向変換装置38及び自動閉鎖装置32は、シャッターカーテン1によって仕切られることになる2つの空間のうちの一方の空間側に配置されることなり、これにより、配線作業を含む施工作業がより容易となる。
なお、本実施形態では、改修前の既存のシャッター装置に備えられていた開閉機13や制御装置26は、改修後のシャッター装置においてもそのまま使用するようになっている。
このため、本実施形態によると、電気式障害物感知装置を備えているシャッター装置を、機械式障害物感知装置を備えたシャッター装置に改修する作業の省力化が図れるようになる。また、本実施形態によると、電気式障害物感知装置を備えているシャッター装置を、機械式障害物感知装置を備えたシャッター装置に改修する作業に掛かるコストの低減化も図れるようになる。
また、本実施形態では、改修前のシャッター装置に備えられていた操作装置42の「開」ボタン、「閉」ボタン及び「停」ボタンは、改修後のシャッター装置においてもそのまま使用するようになっている。
このため、本実施形態によると、電気式障害物感知装置を備えているシャッター装置を、機械式障害物感知装置を備えたシャッター装置に改修する作業に掛かるコストのさらなる低減化が図れるようになる。
さらに、本実施形態では、改修後のシャッター装置に備えられる操作装置30は、既存のシャッター装置に備えられている操作装置42の近傍に設けられており、この操作装置30は、操作装置42の「作動」ボタンと「復旧」ボタンの代わりとなる機能を有している。
このため、本実施形態によると、操作装置30の配線作業がより容易となる。
なお、本実施形態では、図1で示されている改修前のシャッター装置において、感知器82から危害防止用連動中継器84へ防災信号BSを入力する(言い換えると、伝達する)ための信号線83は、改修作業により、感知器82と危害防止用連動中継器84のうちの少なくとも感知器82から分離され(言い換えると、取り外され)、改修後のシャッター装置では、図4で示されているように、感知器82と自動閉鎖装置32(複合装置100)とは信号線87で接続されるものであった。
すなわち、本実施形態では、防災信号BSは、信号線87を経由して感知器82から自動閉鎖装置32へ入力される(言い換えると、伝達される)ものであったが、信号線83は、改修後のシャッター装置においてもそのまま使用する(言い換えると、残す)ようにしてもよい。
すなわち、危害防止用連動中継器84から分離した信号線83の終端部(両端部のうち、感知器82側とは反対側の端部)を、自動閉鎖装置32に接続し、防災信号BSは、この既存の信号線83を経由して感知器82から自動閉鎖装置32へ入力されるようにしてもよい。
なお、信号線83を残す場合には、まず、この信号線83の終端部を危害防止用連動中継器84から取り外す作業を行い、この後、新たに設置した自動閉鎖装置32に信号線83の終端部を再度接続(言い換えると、結線)することになる。
なお、本実施形態において、感知器82が接続されている危害防止用連動中継器84を残し、改修後のシャッター装置においても、そのまま使用するようにしてもよい。この場合には、既存の信号線85の終端部(両端部のうち、危害防止用連動中継器84側とは反対側の端部)を既存の自動閉鎖装置86から取り外し、この後、新たに設置した自動閉鎖装置32に信号線85の終端部を再度接続することになる。
なお、本実施形態において、感知器82及びこの感知器82からシャッター装置へ延びる信号線の少なくとも一部は、既存の(言い換えると、改修前の)ものを使用するようにしてもよく、しなくてもよい(言い換えると、新しいものと交換してもよい)。
なお、信号線が接続されていて、感知器82よりもシャッター装置側に配置されている既存の装置を交換する場合には、改修前に、この既存の装置に接続(言い換えると、結線)されている信号線を外し、交換された新設の装置に再度信号線を接続(結線)することになる。
なお、本実施形態において、改修前に左右の建物躯体3等に取り付けられていた各部材(例えば、左右のガイドレール6、シャッターボックス8、ブラケット部材15、巻取軸11の軸受け部材等)のうち、少なくともいずれかの部材や、それぞれの部材の少なくとも一部については、改修前と同じものを使用してもよく、しなくてもよい(言い換えると、新しいものと交換してもよい)。
また、改修前に左右の建物躯体3等に取り付けられていない部材であって、障害物感知とは関係(関連)のない部材あるいは関係の薄い部材(例えば、巻取軸11、シャッターカーテン1のうちの座板1Bを除いた部分、すなわち、カーテン本体1Aやこのシャッターカーテン1の吊元等)のうち、少なくともいずれかの部材や、それぞれの部材の少なくとも一部についても、改修前と同じものを使用してもよく、しなくてもよい(言い換えると、新しいものと交換してもよい)。
本実施形態では、機械式障害物感知装置は、前述したように、ロック用ワイヤー36と、シャッターカーテン1に配置されていて、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときにシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー36に、第1スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置55と、を有するものとなっている。
なお、本実施形態において、機械式障害物感知装置が故障した場合には、この機械式障害物感知装置を修理する必要がある。
例えば、機械式結合装置55の一部が故障し、この一部を修理する場合がある。
この修理作業の手順(作業方法)として、例えば、まず、操作装置42の「閉」ボタン又は「開」ボタンを操作して、作業者が修理作業をし易くなる位置(例えば、床4の上に座って作業する場合には全閉位置又は略全閉位置、床4の上に立って作業する場合には座板1Bの高さ位置が立ち姿勢の作業者の腰より上の位置)までシャッターカーテン1を閉じ移動又は開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。次に、機械式結合装置55が収納されているケース33を座板1Bから取り外す作業を行う。この後、ケース33を分解し、故障した機械式結合装置55の一部を修理(交換も含む)する作業を行う。この修理作業が終了したら、ケース33を組み立て、この組み立てたケース33を再び座板1Bに取り付ける作業を行う。この後、操作装置42の「開」ボタンを操作して、シャッターカーテン1を全開位置又は略全開位置まで開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。
なお、修理作業をし易くするために、ロック用ワイヤー36の先端部と第1制御用ワイヤー111の後端部とを連結するための連結部材94から、ロック用ワイヤー36の先端部を取り外す作業を事前(言い換えると、最初に)に行うようにしてもよい。この場合には、修理作業が終了した後、ロック用ワイヤー36の先端部を連結部材94に連結する作業を行う。
なお、上述した修理作業は、シャッターカーテン1が全開位置又は略全開位置の状態で行うようにしてもよい。
また、本実施形態において、機械式障害物感知装置が故障又は老朽化し、この機械式障害物感知装置を新しいものと交換する必要が生じる場合がある。
この交換作業の第1の例として、機械式結合装置55をロック用ワイヤー36とともに交換する場合がある。
この交換作業の手順(作業方法)として、例えば、まず、ロック用ワイヤー36の先端部と第1制御用ワイヤー111の後端部とを連結するための連結部材94から、ロック用ワイヤー36の先端部を取り外す作業を行う。次に、操作装置42の「閉」ボタン又は「開」ボタンを操作して、作業者が交換作業をし易くなる位置(例えば、床4の上に座って作業する場合には全閉位置又は略全閉位置、床4の上に立って作業する場合には座板1Bの高さ位置が立ち姿勢の作業者の腰より上の位置、以下の例において同じ)までシャッターカーテン1を閉じ移動又は開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。この後、機械式結合装置55が収納されているケース33を座板1Bから取り外す作業を行う。次に、新しい機械式結合装置55が収納されているケース33を座板1Bに取り付ける作業を行う。この後、操作装置42の「開」ボタンを操作して、シャッターカーテン1を全開位置又は略全開位置まで開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。そして、ロック用ワイヤー36の先端部を連結部材94に連結する作業を行う。
なお、この第1の例の交換作業において、座板1Bも交換するようにしてもよい。
また、交換作業の第2の例として、ロック用ワイヤー36のみを交換する場合がある。
この交換作業の手順(作業方法)として、例えば、まず、ロック用ワイヤー36の先端部と第1制御用ワイヤー111の後端部とを連結するための連結部材94から、ロック用ワイヤー36の先端部を取り外す作業を行う。次に、操作装置42の「閉」ボタン又は「開」ボタンを操作して、作業者が交換作業をし易くなる位置までシャッターカーテン1を閉じ移動又は開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。この後、機械式結合装置55が収納されているケース33を座板1Bから取り外す作業を行う。次に、ケース33を分解し、機械式結合装置55の巻取りリール37からロック用ワイヤー36を取り外す作業を行う。この後、新しいロック用ワイヤー36を巻取りリール37に取り付ける作業を行う。この交換作業が終了したら、ケース33を組み立て、この組み立てたケース33を再び座板1Bに取り付ける作業を行う。この後、操作装置42の「開」ボタンを操作して、シャッターカーテン1を全開位置又は略全開位置まで開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。そして、交換した新しいロック用ワイヤー36の先端部を連結部材94に連結する作業を行う。
また、交換作業の第3の例として、機械式結合装置55のみを交換する場合がある。
この交換作業の手順(作業方法)として、例えば、まず、操作装置42の「閉」ボタン又は「開」ボタンを操作して、作業者が交換作業をし易くなる位置までシャッターカーテン1を閉じ移動又は開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。この後、機械式結合装置55が収納されているケース33を座板1Bから取り外す作業を行う。次に、ケース33を分解し、機械式結合装置55の巻取りリール37からロック用ワイヤー36を取り外す作業を行う。この後、この既存のロック用ワイヤー36を新しい(新設する)機械式結合装置55の巻取りリール37に取り付ける作業を行う。次に、新しい機械式結合装置55のケース33を組み立て、この組み立てたケース33を再び座板1Bに取り付ける作業を行う。この後、操作装置42の「開」ボタンを操作して、シャッターカーテン1を全開位置又は略全開位置まで開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。
なお、上述した各交換作業は、シャッターカーテン1が全開位置又は略全開位置の状態で行うようにしてもよい。
本実施形態では、改修されたシャッター装置に備えられる機械式結合装置55は、外周部に複数の歯部35Aが設けられていて、シャッターカーテン1の移動時にロック用ワイヤー36により回転する回転ギア35と、この回転ギア35の歯部35Aに係合可能となっている係合部53を備え、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに運動し、この運動によって係合部53が歯部35Aに係合して回転ギア35を回転不能とするロック部材50と、を含んで構成されているものであったが、このような機械式結合装置55を、例えば、シャッターカーテンの座板に配置されたレバー部材等による一対の挟着部材で紐状部材を挟着する構造を有する機械式結合装置に改修する場合(言い換えると、機械式障害物感知装置を異なるタイプ(形式、構造)のものに改修する場合)には、既存の機械式結合装置55及びロック用ワイヤー36を座板1Bとともに交換するようにしてもよく、既存の機械式結合装置55及びロック用ワイヤー36のみを交換するようにしてもよい。
すなわち、新たに設置する座板をシャッターカーテン1のカーテン本体1Aに取り付けた後、この座板に、新たに設置する機械式結合装置及び紐状部材を取り付けるようにしてもよく、既存の座板に、新たに設置する機械式結合装置及び紐状部材を取り付けるようにしてもよい。
なお、既存の方向変換装置38、自動閉鎖装置32、複合装置100、中間装置200及び遅延装置300の全部又は一部が、改修後の(言い換えると、新たに設置する)機械式結合装置で使用できない(言い換えると、適合しない)ものであれば、該当する装置を取り外し、撤去する作業を、新たに設置する機械式結合装置及び紐状部材を取り付ける作業の前に行う。
なお、新たに設置する機械式結合装置及び紐状部材に関連する装置、部材を新設する作業は、新たに設置する機械式結合装置及び紐状部材を取り付ける作業の後、又はこの作業と並行して行う。