JP6509939B2 - 眼精疲労の判定補助方法、眼精疲労を判定するための判定装置および判定プログラム - Google Patents

眼精疲労の判定補助方法、眼精疲労を判定するための判定装置および判定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、眼精疲労の判定補助方法、そのための判定装置および判定プログラムに関する。
眼精疲労は、局所的な目の異常、全身的異常または環境的異常を反映してもたらされる状態であり、眼疲労ではなく病的疲労である。眼精疲労の症状は目を使っている時に出現することが多い。眼精疲労の診断は、一般的には、対象者が問診票の設問に回答する問診形式により行われている。
問診形式での診断は対象者の主観に拠るところが大きく、眼精疲労であるか否かを客観的に判定可能な判定補助方法、判定装置または判定プログラムに対する要求が当該分野にはある。
本発明者は、自律神経活動の乱れにより生じ得る眼症状「緑内障」と心拍変動(Heart Rate Variability:以下「HRV」ともいう。)パラメータとの間に相関関係があることを見出した(特願2016−249784)。眼精疲労も自律神経活動の乱れにより生じる眼症状であることから、当該HRVパラメータから得られるHRVスコアを用いることで眼精疲労判定の指標となり得ると考えた。
本発明者は、近見反応である輻輳、調節および縮瞳に着目して眼精疲労を客観的に判定可能な方法を鋭意検討した結果、同じ輻輳近点を有する対象者間であっても輻輳レベルが異なる場合があることを見出した。輻輳近点が同一であれば輻輳レベルは通常、同一になると考えられる。しかしながら実際には個人差があった。理論に拘泥されることを意図するものではないが、近見作業をする場合、両眼は近方のものを注視する。この際に、例えば瞳孔径を変化させるなどして無理に明視可能にしている場合、疲労が蓄積しやすく眼精疲労になりやすいと考えられた。本発明者は、輻輳近点と輻輳レベルにおける差異を指標にすることで眼精疲労になりやすい又は眼精疲労である対象者を客観的に判定可能であると考えた。
かくして、本発明者は、眼精疲労を客観的に評価可能な生体パラメータを種々検討した結果、輻輳に関する眼パラメータ“輻輳速度”または“輻輳隔”と、眼と同じく自律神経によって機能調節されるHRVパラメータ(低周波(以下「LF」という。)、高周波(以下「HF」という。)、LF/HF、The square Root of the Mean of the Sum of the Square of Differences between adjacent NN interval(以下「RMSSD」という。)、HF/RMSSD、Standard Deviation of all NN interval(以下「SDNN」という。)およびトータルパワー(以下「TP」という。)を含む)とを用いることで、眼精疲労を客観的に判定しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の眼精疲労の判定補助方法、そのための判定装置および判定プログラムに関する。
本発明の第1の態様は、対象者から得られたHRVパラメータであるLFおよびHFに基づいた第一のランク割り当て;HRVパラメータであるLF/HFに基づいた第二のランク割り当て;LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含むHRVパラメータ群から選択される各HRVパラメータに基づいた第三のランク割り当ての組合せに対応して予め定められたHRVスコアと、前記対象者から得られた眼パラメータ“輻輳速度または輻輳隔”とを乗じて、眼精疲労リスクマーカー(以下「ARM」という。)値を取得する工程;及び前記ARM値と、それに関する閾値とを比較し、眼精疲労であるかを判定する工程を含む、対象者における眼精疲労の判定を補助する方法を提供する。
ランク割り当ては、第一のランク割り当て、第二のランク割り当て、および第三のランク割り当てを含む。これらのランク割り当ての組合せの順序は、特に制限されない。
第一のランク割り当てでは、前記対象者から得られたLF値がそれに関して予め設定された下限値(LF)以上かつ上限値(LF)以下であり、およびHF値がそれに関して予め設定された下限値(HF)以上かつ上限値(HF)以下の場合に「適正(U)」が割り当てられ;LF値およびHF値のいずれか又はその両方が各下限値(LFおよび/またはHF)未満の場合に「適正外(G1)」が割り当てられ;又はLF値およびHF値のいずれか又はその両方が各上限値(LFおよび/またはHF)超の場合に「適正外(G2)」が割り当てられる。例えば、対象者から得られたLF値およびHF値が各下限値以上かつ上限値以下の場合、該対象者に「適正(U)」が割り当てられる。
第二のランク割り当てでは、前記対象者から得られたLF/HF値がそれに関して予め設定された上限値超の場合に「高い(H)」が割り当てられ;LF/HFに関して予め設定された下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」が割り当てられ;該下限値未満の場合に「低い(L)」を割り当てられる。例えば、対象者から得られたLF/HF値が下限値以上かつ上限値未満の場合、該対象者に「正常(N)」が割り当てられる。
第三のランク割り当てでは、前記対象者から得られた前記HRVパラメータ群から選択され、LFおよびHFのいずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータの各値が、各HRVパラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の、中間の数値範囲に存在する場合に「非活性・非抑制(N)」が割り当てられ;上限側の数値範囲に存在する場合に「活性(K)」が割り当てられ;下限側の数値範囲に存在する場合に「抑制(Y)」が割り当てられる。例えば、6種のパラメータ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSDおよびSDNN)の各値が、それぞれのパラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の下限値側の数値範囲にあり、1つのパラメータ(TP)値が、TPに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の中間の数値範囲に存在する場合、該対象者に「抑制(Y)」が割り当てられる。
HRVスコアは、上記した第一 〜 第三のランク割り当ての組合せについて、ランク割り当ての組合せと予め設定されたHRVスコアとの対応表に従って取得される。ランク割り当ての組合せとHRVスコアとの対応表の例として、下記表1を参照のこと。例えば、第一のランク割り当ての結果が適正(U)であり、第二のランク割り当ての結果が正常(N)であり、第三のランク割り当ての結果が抑制(Y)である場合、第一、第二、そして第三ランク割り当ての順序で整列させると「U・N・Y」のランク割り当ての組合せが得られる。この例において、HRVスコア取得工程では、表1で示される対応表に基づいて、HRVスコア「0.625」が得られる。表1中の第一 〜 第三のランク割り当ての組合せは、第一、第二、続いて第三のランク割り当ての順で記載される。
Figure 0006509939
ARM値の取得工程では、HRVスコアと、前記対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔とを乗じて、ARM値が得られる。判定工程では、ARMに関する閾値を取得し、取得した閾値と前記工程で得られたARM値とを比較する。1つの実施形態において、前記閾値が第一の閾値を含み、ARM値が増加するにつれて、眼精疲労のリスクが高いと判定されるようARM値を設定した場合、前記判定工程では、前記ARM値が第一の閾値以上の場合に眼精疲労であると判定され、第一の閾値未満の場合に眼精疲労ではないと判定されてよい。閾値の設定の数は特に制限されない。例えば、閾値は第一の閾値および第二の閾値を含んでもよい。この場合に、ARM値が増加するにつれて、眼精疲労のリスクが高いと判定されるようARM値を設定した場合、前記判定工程では、前記ARM値が第一の閾値以上であり第二の閾値未満の場合に眼精疲労であると判定され、第二の閾値以上の場合には重度の眼精疲労であると判定されてもよい。
本発明の第2の態様は、対象者における眼精疲労の判定装置であって、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含むHRVパラメータ群から選択される各HRVパラメータに対応する適正範囲に関するデータ(以下「適正範囲データ」という。)と、HRVスコアに関するデータ(以下「HRVスコアデータ」という。)と、ARMに関する閾値のデータ(以下「ARM閾値データ」という。)とを格納したデータベースと;対象者から得られた前記HRVパラメータ群から選択されるHRVパラメータの各値と、前記対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔と、前記適正範囲データと、HRVスコアデータとを用いて、ARM値を算出する算出部と;前記ARM値と、前記ARM閾値データから取得された閾値とを比較して、前記対象者が眼精疲労であるかを判定する判定部と;を備えた、判定装置を提供する。
本発明の第3の態様は、コンピュータ読み取り可能な、対象者における眼精疲労を判定するプログラムであって、コンピュータに、前記対象者から得られたLF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含むHRVパラメータ群から選択されるHRVパラメータの各値を取得するステップと;前記取得したHRVパラメータ値に基づいて、HRVスコアを算出するステップと;前記対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔を取得するステップと;前記取得した輻輳速度または輻輳隔と、前記算出されたHRVスコアとを用いてARM値を算出するステップと;ARMに関する閾値を取得するステップと;前記算出したARM値と取得した閾値とを比較して、前記対象者が眼精疲労であるかを判定するステップと;前記判定の結果を出力するステップと;を実行させる、プログラムを提供する。
本発明に係る眼精疲労の判定補助方法は、対象者の主観的な判断に拠らないHRVパラメータと眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔とに基づいて判定されるため、従来の問診形式での診断に比べて、客観的な判定結果をもたらし得る。本発明に係る判定補助方法によれば、客観的な判定結果に基づいた、適切な眼精疲労の処置の選択が可能となる。
近見反応検査時の対象者の眼球と視線の模式図。Uは正面視線であり、遠点を見ている時の視線を示す。Vは正面よりシータ(θ)度内側を見ている時の視線を示す。図1で示されるシータ(θ)角は特に対象者が見ている視標が2重に見えだす位置(すなわち、近点)にあるときの角度を示す。e1は、輻輳レベルを示し、前記近見反応検査で測定されるI線とU線との幅に相当する。P点は眼球とU線との交点を示し、T点は眼球とV線との交点を示し、およびK点はI線と角膜接線との交点を示す。 縦軸を輻輳レベルとし、横軸を問診スコアとした散布図(a)および縦軸を輻輳速度とし、横軸を問診スコアとした散布図(b)である。 HRVパラメータHFおよびLFの散布図である。横軸をHF値とし、縦軸をLF値とし、横軸をHFの適正範囲の上限値および下限値で区切り、縦軸をLFの適正範囲の上限値および下限値で区切った場合の各領域(L1〜3、N1〜3およびH1〜3)を表示した模式図(図1a)。図1aの各領域の表示下の(数値)は、各領域内に存在するデータ数を示す。128名の緑内障患者から得られたHRVパラメータHFおよびLFの散布図であり(図1b)、HFの下限値およびLFの上限値で区切られた領域(L1)を示す。 縦軸をARM値とし、横軸を問診スコアとした散布図である。 1つの実施形態に係る対象者における眼精疲労の判定装置の概略構成を示すブロック図。 1つの実施形態に係るデータベースの構造を示すブロック図。 1つの実施形態に係る対象者における眼精疲労の判定装置による、眼精疲労の判定動作を示すフローチャート(a)、HRVスコアの算出の動作を示すフローチャート(b)、およびARM値の算出の動作を示すフローチャート(c)。
本明細書において「自律神経活動の乱れにより生じる眼症状」は、眼精疲労、緑内障、及びその他の自律神経活動との関連が知られている又は示唆されている眼症状を意味する。
本明細書において「眼疲労」は目が重い、物がぼやける等の一般的な眼の疲れであり、一定の休息を取ることによって比較的短時間に回復する眼の疲労を意味する。眼疲労の蓄積により眼精疲労に発展すると考えられている。
本明細書において「眼精疲労」は、広義の眼精疲労を意味する。1つの実施形態において、眼精疲労は、輻輳機能の低下に関連した眼精疲労であってよい。眼精疲労の症状は、限定するものではないが、眩暈、吐き気、下痢、便秘、全身の疲労感、頭痛、目の深部痛、眼痛、流涙、肩こり、首のこり、肩関節痛、眼周囲・前眼部圧迫感または頭重感などの症状が挙げられる。眼精疲労の症状は通常、休息を取ってもなかなか回復しない。
本明細書において「判定工程」における判定結果の表現は、限定するものではないが、「眼精疲労である」または「眼精疲労ではない」であってよい。判定結果の表現は、例えば、「眼精疲労である」は「眼精疲労を発症するリスクが高い」であってもよく、「眼精疲労ではない」は「眼精疲労を発症するリスクが低い」であってもよい。
本明細書において眼精疲労を発症する「リスクが高い」は、眼精疲労の前段階にあることを意味する。1つの実施形態において、眼精疲労を発症する「リスクが高い」は、対象者のARM値が特定の閾値を超えているが、眼精疲労の症状があらわれていない状態又は問診形式での診断では眼精疲労ではないと診断される状態である。
本明細書において「緑内障」は広義の緑内障を意味し、原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障および混合型緑内障を含む原発緑内障;続発解放隅角緑内障および続発閉塞隅角緑内障を含む続発緑内障;および早発型発達緑内障、遅発型発達緑内障および他の先天異常を伴う発達緑内障を含む。
本明細書において「近見反応」は、近くのものを見るときに生じる眼球の“輻輳”、“調節”、“縮瞳”の連合運動を意味する。近見反応は、限定するものではないが、1つの装置、例えばTriIRIS(商標)C9000を用いて測定されてもよく、あるいは運動ごとに3つの装置を用いて測定されてもよく、又は2つの運動を1つの装置で測定され、他の運動を別の装置で測定されてもよい。
本明細書において眼に関する「調節」は、物体の像を鮮明に網膜上に結ばせるために、眼の屈折力を変化させる作用を意味する。
本明細書において「瞳孔」は虹彩の中心にある輪状開口部を意味し、眼球内に入る光線量を調節し、眼底像を明瞭にする機能を果たす。本明細書において「縮瞳」は、瞳孔が小さくなること、または瞳孔が小さい状態を意味する。
本明細書において「瞳孔径」は、角膜を通して見たみかけの瞳孔の大きさ(直径)を意味する。瞳孔径は、常法により測定することができ、限定するものではないが、電子瞳孔計またはTriIRIS(商標)C9000を用いて測定することができる。本明細書において「最小瞳孔径」は、縮瞳した際に最小となる瞳孔径(mm)を意味する。本明細書は「最大瞳孔径」は、薬物に拠らず、瞳孔が最も拡張した状態の瞳孔径(mm)を意味する。瞳孔の最小瞳孔径および最大瞳孔径は、常法により測定することができ、限定するものではないが、TriIRIS(商標)C9000を用いて測定することができる。
本明細書において「縮瞳率」は、最大瞳孔径と最小瞳孔径との差を、最大瞳孔径で除した値(=(最大瞳孔径−最小瞳孔径)/最大瞳孔径)[無次元]を意味する。本明細書において「瞳孔径変化速度」は最大瞳孔径と最小瞳孔径との差を、近見反応時間で除した値(=(最大瞳孔径−最小瞳孔径)/近見反応時間)[mm/s]を意味する。
本明細書において「輻輳」は、眼球運動において、近距離にある1点を注視するとき、両眼の視線が注視点で交差するように内側に向う運動を意味する。本明細書において「開散」は、眼球運動において、両眼の視線が互いに離反する方向に動く状態を意味する。
本明細書において「輻輳近点」は、両眼で単一視できる最短距離の点を意味する。輻輳近点は、限定するものではないが、健常人では眼前6cm〜8cmの場合が多い。1つの実施形態において、輻輳近点は、視標を遠方から徐々に対象者の眼前へと近づけて、該指標が2重に見えだした場合、対象者にそのことを訴えるよう依頼し、そのような訴えのあった指標位置を輻輳近点とする。
本明細書において「輻輳遠点」は、両眼視状態で、最も遠くの鬱滞を明視する事が出来る点を意味する。本明細書において「輻輳測定開始点」は、眼前から特定の距離の点を意味する。1つの実施形態において、輻輳測定開始点は、測定系に応じて適宜設定され、限定するものではないが、対象者の眼前から40cm、45m、50cm、55cmまたは60cmの位置であってよい。幾つかの実施形態において、輻輳遠点は、輻輳測定開始点と相互交換可能に用いられる。
本明細書において「輻輳角」は、両眼の注視線のなす角度を意味する。輻輳角の単位は、輻輳の単位はメートル角(meter angle:MA)またはプリズムジオプトリー(Δ)が用いられる。
本明細書において「輻輳レベル」は、輻輳近点と輻輳遠点との範囲を意味し、距離(mm)やメートル角やプリズムジオプトリーで表される。1つの実施形態において、輻輳レベルは、限定するものではないが、図1で示されるP−K間距離(e[mm])(以下、「輻輳幅」ともいう。)、P−T円周幅[mm]、メートル角[θ]であってよい。
本明細書において、眼パラメータは「輻輳速度」または「輻輳隔」を意味する。1つの実施形態において「輻輳速度」は、輻輳測定開始点(例えば、対象者の眼前から50cm遠方の点)と輻輳近点との間の距離(本明細書中「L」ともいう。)を、調節視標の移動速度(v[cm/s])で除して得られる時間(=L/v[s])で、輻輳レベル(例えば輻輳幅e1[mm])を除した値(例えばe*v/L[mm/s])であってよい。1つの実施形態において「輻輳隔」は、輻輳レベル(e)を輻輳測定開始点/輻輳遠点と輻輳近点との間の距離(L[mm])で除した値(=e/L[無次元])であってよい。輻輳速度は、輻輳隔に調節視標の移動速度(v)を乗じた値に相当する。
本明細書において「近見反応時間」は、輻輳測定開始点から輻輳近点までの距離(L[mm])を、調節視標の移動速度(v[cm/s])で除した値を意味する。
本明細書において「心拍変動(HRV)」は、自律神経活動の定量的マーカーの1つであり、心拍の変化を表す尺度を意味する。本発明におけるHRVパラメータは、限定するものではないが、指尖容積脈波測定により得られる。HRVパラメータは、限定するものではないが、安静時、5分間仰臥位にてMedicore社製のSA−3000P(HRV mode)を用いて得られる。
本明細書において「高周波(HF)」は、高周波数域(0.15Hz〜0.4Hz)のパワースペクトルの積算値(ms)を意味する。本明細書において「低周波(LF)」は、低周波数域(0.04Hz〜0.15Hz)のパワースペクトルの積算値(ms)を意味する。本明細書において「LF/HF」は、LF値をHF値で除した比を意味する。
本明細書において「RMSSD」(The square root of the mean of the sum of the square of differences between adjacent NN interval)は、連続して隣接するRR間隔の差を2乗した値の平均の平方根(ms)を意味する。本明細書において「HF/RMSSD」は、HF値をRMSSD値で除した比を意味する。
本明細書において「SDNN」(Standard Deviation of all NN(RR) interval)は、すべてのR波とR波との間隔の標準偏差(ms)を意味する。本明細書において「トータルパワー(TP)」は、周波数0〜0.4Hz(VLF、LF、HF)のパワースペクトルの積算値(ms)を意味する。
本明細書において「心拍変動(HRV)パラメータ群」は、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含む。1つの実施形態において、前記HRVパラメータ群は、上記パラメータからなる。HRVパラメータ群から選択される少なくとも4種のHRVパラメータは、LFおよびHFのいずれか又はその両方を含む。1つの実施形態において、該少なくとも4種のHRVパラメータは、LF、HF、LF/HF、RMSSDおよびSDNNを含む。他の実施形態において、該少なくとも4種のHRVパラメータは、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPからなる。
HRVパラメータは、限定するものではないが、健康状態の時期、自律神経活動の乱れにより生じる眼症状が安定している時期、悪化している時期に測定されてよい。HRVパラメータは、好ましくは症状が安定している時期に測定される。
各HRVパラメータの適正範囲の上限値および下限値は、限定するものではないが、少なくとも30名の緑内障または眼精疲労と診断された対象群、好ましくは少なくとも100名の緑内障または眼精疲労と診断された対象群の各パラメータデータを用いて設定されてよい。1つの実施形態において、各HRVパラメータの適正範囲の上限値および下限値は、少なくとも30名の緑内障と診断された対象群、好ましくは少なくとも100名の緑内障と診断された対象群の各パラメータデータを用いて設定される。
HFの適正範囲の上限値としては、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、550(ms)を用いることができる。該適正範囲の下限値としては、その下限値未満と後述するLFの上限値超とで設定される数値範囲に、対象者データが3%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0%となるように設定される。該適正範囲の下限値として、限定するものではないが、30(ms)を用いることができる。
LFの適正範囲の下限値としては、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、10(ms)を用いることができる。該適正範囲の上限値としては、その上限値超と前記HFの下限値未満とで設定される数値範囲に、対象者データが3%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0%となるように設定される。該適正範囲の上限値として、限定するものではないが、325(ms)を用いることができる。
上記のように設定されるHFの適正範囲の下限値、及びLFの適正範囲の上限値の妥当性は、例えば、HRVパラメータLF/HFを用いて検証することができる。該HFの適正範囲の下限値およびLFの適正範囲の上限値を設定する際に用いた対象群データのうちHFデータを、その適正範囲の下限値未満のグループと下限値以上のグループとに分ける。次いで、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、各グループ間に有意差があるかをt検定により検証し、有意差がある場合に、当該上限値の設定が妥当であると判断される。同様に、該対象群データのうちLFデータを、その適正範囲の上限値以下のグループと上限値超のグループとに分ける。次いで、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、各グループ間に有意差があるかをt検定により検証し、有意差がある場合に、当該下限値の設定が妥当であると判断される。
さらに、HFの適正範囲の下限値、及びLFの適正範囲の上限値の妥当性は、例えば、HRVパラメータRMSSDを用いて、上記と同様にして、その設定値の妥当性を検証することができる。また、HFの適正範囲の下限値の妥当性は、例えば、HRVパラメータLFを用いて、上記と同様にしてその設定値の妥当性を検証することができる。
LF/HFの適正範囲の下限値としては、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、0.2を用いることができる。該適正範囲の上限値として、限定するものではないが、2を用いることができる。
RMSSDの適正範囲の下限値としては、HFの適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象群のRMSSDデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%の対象者データが含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、10を用いることができる。該適正範囲の上限値としては、HFの適正範囲の上限値超(例えば、HF>550)の対象者データにおけるRMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、58を用いることができる。
HF/RMSSDの適正範囲の下限値としては、HFの適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象群のHF/RMSSDデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、2.4を用いることができる。該適正範囲の上限値としては、HFの適正範囲の上限値超(例えば、HF>550)の対象者データにおけるHF/RMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、8を用いることができる。
SDNNの適正範囲の上限値としては、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、54を用いることができる。該適正範囲の下限値としては、HFの適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象群のSDNNデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、12を用いることができる。
TPの適正範囲の下限値としては、HFの適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象群のTPデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、100を用いることができる。該適正範囲の上限値としては、HFの適正範囲の上限値超(例えば、HF>550)の対象者データにおけるTPの最低値未満であって、該最低値に近い値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、1600を用いることができる。
第一のランク割り当てでは、対象者のHRVパラメータLFおよびHFの各値が、以上のようにして予め設定されたLFおよびHFに関する適正範囲内にあるか、該範囲外にあるかに応じて、ランクが割り当てられる。第一のランク割り当てでは、LF値がそれに関して予め設定された下限値(LF)以上かつ上限値(LF)以下であり、およびHF値がそれに関して予め設定された下限値(HF)以上かつ上限値(HF)以下の場合に「適正(U)」が割り当てられ;LF値およびHF値のいずれか又はその両方が各下限値(LFおよび/またはHF)未満の場合に「適正外(G1)」が割り当てられ;又はLF値およびHF値のいずれか又はその両方が各上限値(LFおよび/またはHF)超の場合に「適正外(G2)」が割り当てられる。第一のランク割り当てにおいて割り当てられる表記「適正(U)」、「適正外(G1)」および「適正外(G2)」は当業者により適宜設定される。
第二のランク割り当てでは、対象者のHRVパラメータLF/HF値が、以上のようにして予め設定されたLF/HFに関する適正範囲内にあるか、該範囲外にあるかに応じて、ランクが割り当てられる。第二のランク割り当てでは、LF/HF値がそれに関して予め設定された上限値超の場合に「高い(H)」が割り当てられ;LF/HFに関して予め設定された下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」が割り当てられ;該下限値未満の場合に「低い(L)」が割り当てられる。第二のランク割り当てにおいて割り当てられる表記「高い(H)」、「正常(N)」および「低い(L)」は当業者により適宜設定される。
第三のランク割り当てでは、対象者から得られた、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNN、およびTPを含むHRVパラメータ群から選択される、LFおよびHFのいずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータの各値が、各HRVパラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の、中間の数値範囲に存在する場合に「非活性・非抑制(N)」が割り当てられ;上限側の数値範囲に存在する場合に「活性(K)」が割り当てられ;下限側の数値範囲に存在する場合に「抑制(Y)」が割り当てられる。第三のランク割り当てにおいて割り当てられる表記「非活性・非抑制(N)」、「活性(K)」および「抑制(Y)」は当業者により適宜設定される。適正範囲の上限値と下限との間の範囲の3分割は、例えば3等分であってもよいし、略3等分であってもよい。
HRVスコア算出工程では、第一 〜 第三のランク割り当ての組合せに応じてスコアを取得する。まず、第一のランク割り当てにおける適正(U)、適正外(G1)および適正外(G2)ごとに、第二のランク割り当て及び第三のランク割り当てのランクについて以下のようにポイントを付与する。
Figure 0006509939
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各ランクのポイントを合して、その組合せの合計ポイントであるHRVスコアを算出する。例えば、ランク割り当て(第一、第二、第三のランク割り当て)が「U・N・N」の場合、第一のランク割り当てが「適正(U)」である表2を参照し、第二のランク割り当ての「正常(N)」のポイント「0.5」と、第三のランク割り当ての「非活性・非抑制(N)」のポイント「1」とを合した総合ポイント「1.5」を算出する。各組合せに対するポイントは、表2〜4に具体的に示した数値に限定されるものではなく、当業者であれば、表2〜4に記載の数値を、それらのランク間の相対的な大小の関係を維持しながら適宜変更することができる。
第一 〜 第三のランク割り当ての組合せについて、合計ポイントを算出する。各ランク割り当ての組合せを合計ポイントに照らして、A群とB群とに分ける(表5)。A群は自律神経活動の乱れにより生じる眼症状(例えば、緑内障)のレベルが比較的重い組合せであり、B群は緑内障のレベルが比較的中程度または小さい組合せである。
Figure 0006509939
次に、第一のランク割り当ての結果、適正(U)、適正外(G1)および適正外(G2)に応じて、各ランク割り当ての組合せに対して重みづけをする。第一のランク割り当てにおいて、自律神経活動の乱れにより生じる眼症状のレベルは、適正外(G2)が中程度であり、適正(U)が小さく、適正外(G1)が大きい。このため、各ランク割り当ての組合せの第一のランク割り当ての結果に応じて、表5中のA群で示される合計ポイントに重みづけをする。例えば、ランク割り当ての組合せに適正外(G2)が含まれる場合は1を乗じ、組合せに適正(U)が含まれる場合は2/3を乗じ、組合せに適正外(G1)が含まれる場合は2を乗じる。また、表5中のB群で示される合計ポイントに重みづけをする。例えば、ランク割り当ての組合せに適正外(G2)が含まれる場合は1/4を乗じ、組合せに適正(U)が含まれる場合は1/5を乗じ、組合せに適正外(G1)が含まれる場合は1を乗じる。このようにして各ランク割り当ての組合せについて重みづけをして、重みづけポイント値を算出する。重みづけポイント値は、そのままHRVスコアとしてもよいし、規格化してHRVスコアとしてもよい。重みづけポイント値の規格化は、例えば、最大値を1とし、最小値を0.5とするように行ってもよい(表1)。
この例において、ランク割り当ての組合せは、第一のランク割り当て、第二のランク割り当て、続いて第三のランク割り当ての順序で記載したが、本発明に係るランク割り当ての組合せは順序によって限定されない。ランク割り当ての組合せの記載順序は(第三、第二、第一のランク割り当て)の順であってもよく、(第二、第一、第三のランク割り当て)の順であってもよい。本発明に係る判定補助方法において、第一のランク割り当て、第二のランク割り当ておよび第三のランク割り当ては、HRVスコアを取得する前に実施されればよい。従って、第一のランク割り当て、第二のランク割り当ておよび第三のランク割り当てを同時に実施してもよく、第三のランク割り当て、第二のランク割り当て、続いて第一のランク割り当ての順に実施してもよい。
眼精疲労リスクマーカー(ARM)値は、HRVスコアと眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔とを乗じて得られる積である。表1に示した対応表を用いる場合、ARM値が高いほど眼精疲労のリスク又はレベルが高い傾向を示し、ARM値が低いほど眼精疲労のリスク又はレベルが低い傾向を示す。
1つの実施形態において、判定工程は、例えば、ARMに関する閾値が第一の閾値を含む又はからなり、ARM値が増加するにつれて眼精疲労の症状が重いと判定されるようARM値を設定した場合、ARM値が第一の閾値以上の場合に眼精疲労であると判定される。他の例では、閾値が第一の閾値および該閾値よりも大きい第二の閾値を含む又はからなり、ARM値が、第一の閾値以上で第二の閾値未満の場合に眼精疲労であると判定され、第二の閾値以上の場合には眼精疲労レベルが高いと判定される。設定する閾値の数を含め、閾値の設定方法、及び判定結果の表現はこれらの例に限定されない。
第1の態様の他の実施形態において、前記対象者における眼精疲労リスク又はレベルの改善または悪化を判定する工程をさらに含む判定補助方法が提供される。1つの例において、前記改善・悪化判定工程は、第一のARM値と、その一定期間後に測定した第二のARM値とを比較する工程を含み、ARMの値が増加するにつれて、眼精疲労リスク又はレベルが高いと判定されるようARM値が設定された場合、前記改善・悪化判定工程において、第二のARM値が第一のARM値より小さい場合に「改善」と判定され、第二のARM値が第一のARM値より大きい場合に「悪化」と判定される、判定補助方法が提供される。
前記一定期間は、限定するものではないが、数時間(例えば、1、2時間)、数日(例えば1、2日)、数週間(例えば1、2週間)、数か月(例えば1、2ヶ月)であってよい。これらの例では、2つの時点間のARM値の変化を比較したが、これらに限定されない。例えば、少なくとも3つの時点間のARM値の変化から判定してもよい。
1つの実施形態において、前記一定期間の間に、メガネやコンタクトレンズの交換などの処置が行われた場合、前記比較工程では、ARMの値が増加するにつれて、眼精疲労リスク又はレベルが高いと判定されるようARM値が設定された場合、前記改善・悪化判定工程において、第二のARM値が第一のARM値より小さい場合に「処置が適切」と判定され、第二のARM値が第一のARM値より大きい場合に「処置を変更すべきである」と判定される、判定補助方法が提供される。
本発明の第2の態様は、対象者における眼精疲労を判定する装置を提供する。前記装置は、算出部と、判定部と、データベースとを備え、前記データベースは、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含むHRVパラメータ群から選択される各HRVパラメータに対応する適正範囲に関するデータ(適正範囲データ)と、HRVスコアに関するデータ(HRVスコアデータ)と、ARMに関する閾値のデータ(ARM閾値データ)とを格納し、前記算出部は、対象者から得られた前記HRVパラメータ群から選択されるHRVパラメータの各値と、該対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔と、前記適正範囲データと、HRVスコアデータとを用いて、眼精疲労リスクマーカー(ARM)を算出し、前記判定部は、前記ARM値と、前記ARM閾値データから取得された閾値とを比較して、前記対象者の眼精疲労リスクが高いかを判定する。
本明細書中に記載のHRVパラメータ群および各HRVパラメータ;HRVスコアの算出工程;および判定工程などの要素に関する特徴は、この態様に係る当該要素にも適用される。
図5は、第2の態様の1つの実施形態に係る判定装置1の概略構成を示すブロック図である。判定装置1は、その全体動作を制御する制御部11と、ユーザが入力を行う入力部15と、画面表示を行う表示部17と、データベース105を格納した記憶装置13とを備える。判定装置1は、インターフェースを介して、測定部30と接続されている。
制御部11は、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路と、メモリ(主記憶装置)とで構成されることができる。制御部11のプロセッサは、メモリにロードされたコンピュータプログラムを実行する。制御部11は、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する算出部101および判定部103を実現することができる。制御部11は、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現してもよいし、ハードウェアのみで所定の機能を実現してもよい。
記憶装置13は補助記憶装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)であってよい。記憶装置13には、例えば、コンピュータプログラムが格納されている。コンピュータプログラムは、メモリにロードされてプロセッサにより実行される。前記コンピュータプログラムは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを含む。
前記アプリケーションプログラムは、HRVスコアを算出するHRVスコア算出プログラム、ARM値を算出するARM算出プログラム、後述する判定機能を機能させる判定プログラム、および表示プログラムを含む。この例では、データベース105は、記憶装置13に格納されている(図1)。
図6は、1つの実施形態に係るデータベース105の概略構成を示すブロック図である。データベース105には、HRVパラメータそれぞれに対応する適正範囲に関する適正範囲データ201、後述する第一 〜 第三のランク割り当ての各組合せに対応するHRVスコアデータ202、ARMに関する閾値のデータ(ARM閾値データ203)が格納されている。適正範囲データ201は、例えば表1で示されるデータを含む。ARM閾値データ203には、例えば、眼精疲労リスク又はレベルの高い群と低い群とを判別するための閾値のデータを含む。閾値のデータは、対象の特徴(例えば、性別、年齢、人種および地域)に基づいてサブグループに分け、そのサブグループにおいて眼精疲労リスク又はレベルの高い群と低い群とを判別するための、閾値データを複数含んでよい。データベース105には、さらに識別情報(例えば氏名、年齢および/またはID)が付与された測定部30による測定データが格納されてもよい。
閾値データの1例として、性別(男女)に基づいてサブグループに分けた閾値のデータを下表に示す。
Figure 0006509939
データベース105が磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリなどの記録媒体に格納されている場合、記憶装置13は、記録媒体に対して情報を読み出す/書き込むドライブ装置と、その記録媒体とにより構成されてもよい。
制御部11の算出部101は、対象者から得られたHRVパラメータの各値と、前記適正範囲データ201と、HRVスコアデータ202とに基づいてHRVスコアを算出するHRVスコア算出機能、および算出したHRVスコアと、前記対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔とに基づいて眼精疲労リスクマーカー(ARM)値を算出するARM算出機能とを有する。算出部101の該算出機能は、制御部11のメモリにロードされた上述のHRVスコア算出プログラム、及びARM算出プログラムを含むアプリケーションプログラムを制御部11のプロセッサを含む処理回路にて実行することで、実現される。
HRVスコア算出プログラムは、オペレータが入力したHRVパラメータの各値またはデータベースに格納されている場合には識別情報に基づいてHRVパラメータの各値を取得するHRVパラメータ値取得プログラム、データベース105に格納された適正範囲データ201から各HRVパラメータに対応する適正範囲を取得する適正範囲取得プログラム、データベース105に格納されたHRVスコアデータ202からHRVスコアを取得するHRVスコア取得プログラムを含んで構成される。
ARM値算出プログラムは、オペレータが入力した眼パラメータでる輻輳速度もしくは輻輳隔、またはデータベースに格納されている場合には識別情報に基づいて輻輳速度または輻輳隔を取得する眼パラメータ値取得プログラム、上記HRVスコア算出プログラムから出力されたHRVスコアと取得した眼パラメータ値とを乗じてARM値を取得するARM値取得プログラムを含んで構成される。
制御部11の判定部103は、算出部101で算出されたARM値と、前記ARM閾値データ203から取得された閾値とを比較して、前記対象者の眼精疲労リスクが高いかを判定する判定機能を有する。閾値は、対象者の識別情報に基づいて取得されてよい。判定部103の該判定機能は、制御部11のメモリにロードされた判定プログラムを制御部11のプロセッサを含む処理回路にて実行することで、実現される。
判定プログラムは、データベース105に格納されたARM閾値データ203から、例えば対象者の識別情報に基づいて閾値を取得する閾値取得プログラム、上記ARM値算出プログラムから出力されたARM値と取得した閾値とを比較して、ARM値が増加するにつれて、眼精疲労のリスクが高いと判定されるようARM値を設定した場合、前記ARM値が閾値以上の場合に、眼精疲労であるとの判定結果を取得する判定結果取得プログラムを含んで構成される。
入力部15は、ユーザが、必要な情報(例えば、識別情報、輻輳速度または輻輳隔、HRVパラメータの値に関するデータ情報)および指示を制御部11に入力するための機器または装置により構成される。入力部15は、例えばキーボード、マウス、および音声認識装置であってよい。入力する情報は、これらに限定されない。ユーザは、例えば、識別情報、および各種パラメータ値を入力する入力部分および当該対象者の測定データが格納されたデータベースを指定する指定部分を含む入力画面を通じて、各種の情報を入力することができる。
表示部17は、制御部11の判定部103からの判定結果などをユーザに知覚させることが可能な装置により構成され、例えばディスプレイ、表示灯、スピーカーおよびプリンターであってよい。表示部17への表示機能は、制御部11のメモリにロードされた表示プログラムを含むアプリケーションプログラムを制御部11のプロセッサを含む処理回路にて実行することで、実現される。
測定部30は、HRVを測定するための装置および/または輻輳速度(または輻輳隔)を測定するための装置により構成される。測定部30は、例えば、HRVを測定するための指尖容積脈波測定装置であってよい。輻輳速度または輻輳隔を測定するための装置は、輻輳レベルもしくは輻輳近点を測定する装置を含んでよく、さらに測定された輻輳レベルを輻輳近点と輻輳遠点との間を移動する指標の移動距離で除して輻輳隔を算出する、または輻輳隔に調節視標の移動速度を輻輳角に乗じて輻輳速度を算出する計算機を含んでもよい。測定部30は、測定データを、インターフェースを介して制御部11へ出力する機能を有する。
図5において、測定部30と制御部11とを繋ぐ実線は、それらの要素間の有線または無線によるデータおよび信号の送受信を機能させるインターフェースを含む送受信機により構成される。図5において、これら以外の各要素を繋ぐ実線も同様である。
上記例では、データベース105は判定装置1内部の記憶装置13に格納されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。データベース105は、例えば判定装置1の外部に存在する記憶装置に格納されていてもよい。このような記憶装置は、例えば、光ディスクなどの記録媒体の全部または一部により構成されてよく、本発明に係る判定装置とネットワークにより接続されるサーバに記憶装置が設けられていてもよい。
上記例では、判定装置1は外部に存在する測定部30と接続されているが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、判定装置1の内部に測定部30が存在してもよい。判定装置1と接続されていない測定部30を用いて得られた測定データを、記録媒体を介して制御部11に読み込ませてもよく、例えば、データベース105に格納させてもよい。
本発明に係る判定装置の動作を、図5〜7を用いて説明する。
ユーザが入力部15を使用して、制御部11に対する指示および必要な情報(識別情報および対象者の測定データが格納されたデータベースを指定する指定部分を含む)を入力する(図5)。制御部11のプロセッサは、入力部15を介してユーザからの指示および識別情報およびパラメータ値の入力があると、HRVスコアの算出を行う(図7a、S11)。
HRVスコアの算出ステップ(S11)では、プロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされたHRVスコア算出プログラムを実行し、それにより算出部101が実現される。
図7bは、HRVスコア算出ステップ(S11)におけるHRVスコアの算出を示すフローチャートである。実行されたHRVスコア算出プログラムは、ユーザが入力した“識別情報”および“対象者の測定データが格納されたデータベースを指定する指定部分”を参照し、データベース105から該識別情報に対応する対象者のHRVパラメータの各値を取得する(図7b、S31)。実行されたHRVスコア算出プログラムは、HRVパラメータを参照し、データベース105に格納された適正範囲データ201(図6)から対応するHRVパラメータに関する適正範囲を取得する(S32)。
実行されたHRVスコア算出プログラムは、HRVパラメータLFおよびHFの各値と、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第一のランク割り当てを実行する(S33)。ステップS33では、LF値およびHF値のそれぞれが、それらに関して予め設定された適正範囲内(即ち、その下限値以上かつその上限値以下)の場合に「適正(U)」が割り当てられ、LF値およびHF値のいずれか又はその両方が、当該下限値未満の場合に「適正外(G1)」が割り当てられ、又は当該上限値超の場合に「適正外(G2)」が割り当てられる。
実行されたHRVスコア算出プログラムは、HRVパラメータLF/HF値と、前記適正範囲データ201内のそれに対応する適正範囲とに基づいて第二のランク割り当てを実行する(S34)。ステップS34では、LF/HF値がその上限値超の場合に「高い(H)」が割り当てられ、下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」が割り当てられ、及び下限値未満の場合に「低い(L)」が割り当てられる。
実行されたHRVスコア算出プログラムは、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPからなるHRVパラメータ群より選択されるHRVパラメータの各値と、各上限値および下限値で規定される適正範囲とに基づいて第三のランク割り当てを実行する(S35)。ステップS35では、例えば、ユーザが入力したLF値が、LFに関する適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3等分した数値範囲の、中央の数値範囲にあるか、その上限側の数値範囲にあるか、又はその下限側の数値範囲にあるかを識別する。残りのパラメータについても同様に識別する。かかる識別の結果、LFおよびHFのいずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータの各パラメータ値が、前記した中央の数値範囲にある場合に「非活性・非抑制(N)」が割り当てられ、前記した上限側の数値範囲にある場合に「活性(K)」が割り当てられ、及び前記した下限側の数値範囲にある場合に「抑制(Y)」が割り当てられる。
実行されたHRVスコア算出プログラムは、次いで、ステップS33、S34およびS35のそれぞれで割り当てられた第一 〜 第三のランクに対応するHRVスコアを、データベース105に格納されたHRVスコアデータ202(図6)から取得する(S36)。これにより、HRVスコアが算出される。
制御部11のプロセッサは、HRVスコアが算出されると、ARM値の算出を行う(図7a、S12)。ARM値算出ステップ(S12)では、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされたARM取得プログラムを実行し、それにより算出部101が実現される(図5)。
図7cは、ARM値算出ステップ(S12)におけるARM値の算出を示すフローチャートである。実行されたARM値算出プログラムは、上述したHRVスコア算出プログラムからのHRVスコアを取得する(S51)。
実行されたARM値算出プログラムは、次いで、ユーザが入力した“識別情報”および“対象者の測定データが格納されたデータベースを指定する指定部分”を参照し、データベース105から該識別情報に対応する対象者の眼パラメータ値(輻輳速度または輻輳隔)を取得する(S52)。実行されたARM算出プログラムは、続いて、ARM値を算出する(S53)。ステップS53では、ステップS51で取得したHRVスコアと、ステップS52で取得した眼パラメータ値(輻輳速度または輻輳隔)とを乗じる。これにより、ARM値が算出される。
制御部11のプロセッサは、ARM値が算出されると、ARMに関する閾値の取得を行う(図7a、S13)。閾値取得ステップ(S13)では、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた判定プログラムを実行し、それにより判定部103が実現される(図5)。実行された判定プログラムは、ユーザが入力した識別情報を参照し、データベース105に格納されたARM閾値データ203(図6)から対応する閾値を取得する。
制御部11は、記憶装置13からの閾値のデータを受信すると、判定を行う(S14)。判定ステップ(S14)では、実行されている判定プログラムが、算出されたARM値と、取得された閾値とを比較する。判定プログラムにより、前記ARM値が閾値よりも大きい場合に眼精疲労である(YES)と判定され(S15)、前記ARM値が閾値以下の場合に眼精疲労ではない(NO)と判定され(S16)、その判定結果を含む判定データが生成される(S17)。
制御部11のプロセッサは、判定データが生成されると、表示部17に判定結果を表示する(図5)。表示ステップでは、プロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた表示プログラムを実行し、判定結果に応じた映像信号を表示部17に出力する。表示部17は例えばディスプレイであってよい。この場合、該ディスプレイは、入力された映像信号をもとに、判定結果を表示する。
上記の例では、HRVパラメータの値は、ユーザが入力部15を介して入力した“識別情報”および“対象者の測定データが格納されたデータベースを指定する指定部分”を算用することで、指定された指定部分に格納された測定データから取得したが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、入力部15を介してユーザが直接HRVパラメータ値を入力してもよい。
上記の例で示すHRVスコアの算出ステップ(S11)では、第一のランク割り当て(S33)、第二のランク割り当て(S34)、続いて第三のランク割り当て(S35)の順で実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、HRVスコアの算出ステップ(S36)が実行されるまでに、第一のランク割り当て(S32)、第二のランク割り当て(S33)および第三のランク割り当て(S34)が行われればよい。従って、第一のランク割り当てと第二のランク割り当てと第三のランク割り当てとは同時に行われてもよく、第三のランク割り当て、第二のランク割り当て続いて第一のランク割り当ての順に実施されてもよい。
上記の例で示すHRVスコアの算出ステップ(S11)では、各HRVパラメータに関する適正範囲の取得(S32)が第一 〜 第三のランク割り当て(S33〜S35)に先行して実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、ランク割り当てに対応するHRVパラメータに関する適正範囲のみの取得を、そのランク割り当てに先行して行うことができる。従って、最初に、第一のランク割り当て(S33)が実行される場合、その実行に先行して、HRVパラメータHFおよびLFに関する各適正範囲のみが取得されてもよい(S32)。続いて、第二のランク割り当て(S34)が実行される場合、その実行に先行して、HRVパラメータLF/HFに関する適正範囲のみが取得されてもよく、あるいは、他のHRVパラメータRMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPが取得されてもよい。
上記の例で示すHRVスコアの算出ステップ(S11)では、各HRVパラメータに関する適正範囲の取得(S32)は、HRVパラメータ値の取得(S31)に続いて実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、各HRVパラメータに関する適正範囲の取得(S32)のみの取得を、HRVパラメータ値の取得(S31)に先行して実行されてよく、または同時に実行されてもよい。
上記の例で示すARM算出ステップ(S12)では、HRVスコアの取得(S51)に続いて眼パラメータ値の取得(S52)の順で実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、ARM値の算出ステップ(S53)が実行されるまでに、HRVスコアの取得(S51)および眼パラメータ値の取得(S52)が行われればよい。従って、眼パラメータ値の取得(S52)は、HRVスコアの取得(S51)と同時に行われてもよく、眼パラメータ値の取得(S52)、続いてHRVスコアの取得(S51)の順に実施されてもよい。
上記の例では、閾値取得ステップ(S13)はHRVスコアの算出ステップ(S11)およびARM値の算出ステップ(S12)の後に実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、判定ステップ(S14)が実行されるまでに、閾値取得ステップ(S13)およびHRVスコアの算出ステップ(S11)およびARM値の算出ステップ(S12)が行われればよい。従って、閾値取得ステップ(S13)は、HRVスコアの算出ステップ(S11)またはARM値の算出ステップ(S12)と同時に行われてもよく、HRVスコアの算出ステップ(S11)またはARM値の算出ステップ(S12)に先行して実施されてもよい。
上記の例では、HRVスコアの算出ステップ(S11)は、ARM値の算出ステップ(S11)に先行して、より詳細にはステップS51に先行して実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、ARM値の算出ステップ(S53)までに、HRVスコア算出ステップ(S11)が行われればよい。例えば、HRVスコア算出ステップ(S11)は、ARM値の算出ステップ(S12)と同時に、より詳細には、ステップS52が先行して行われ、次いでステップS51が行われるARM値の算出ステップ(S12)において、ステップS52に続いてHRVスコア算出ステップ(S11)が行われてもよい。
上記の例において算出されたHRVスコアおよびARM値を含む生成された判定データは、対象者の識別情報(例えば氏名、ID番号、検査日)を含めて、データベース105に格納されてもよい。
本明細書中に記載の閾値および判定工程などの要素に関する特徴は、この実施形態に係る当該要素にも適用される。
本発明の他の態様は、コンピュータ読み取り可能な、対象者における眼精疲労を判定するプログラムを提供する。該プログラムは、コンピュータ読み取り可能な、対象者における眼精疲労を判定するプログラムであって、コンピュータに、前記対象者から得られたLF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含むHRVパラメータ群から選択されるHRVパラメータの各値を取得するステップと、前記取得したHRVパラメータ値に基づいて、HRVスコアを算出するステップと、前記対象者から得られた眼パラメータ(輻輳速度または輻輳隔)を取得するステップと、前記取得した眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔と、前記算出されたHRVスコアとを用いて眼精疲労リスクマーカー(ARM)を算出するステップと、ARMに関する閾値を取得するステップと、前記算出したARM値と取得した閾値とを比較して、前記対象者が眼精疲労であるかを判定するステップと、前記判定の結果を出力するステップと、を実行させる。
1つの実施形態において、HRVスコアを算出するステップ、HRVパラメータのそれぞれに対応する各適正範囲を取得するステップ、取得されたHRVパラメータLFおよびHFと、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第一のランク割り当てを行うステップ、取得されたHRVパラメータLF/HFと、それに対応する適正範囲とに基づいて第二のランク割り当てを行うステップ、HRVパラメータ群から選択されるLFおよびHFのいずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータの各値と、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第三のランク割り当てを行うステップ、第一 〜 第三のランク割り当ての組合せに対応するHRVスコアを取得するステップ、眼パラメータ(輻輳速度または輻輳隔)を取得するステップ、ARM値を算出するステップ、ARMに関する閾値を取得するステップ、ARM値と閾値とを比較して判定するステップ、判定データを生成するステップなどの要素に関する特徴は、この実施形態に係る当該要素にも適用される。
[試験対象者]
眼の異常を訴える近見視力0.4以上の対象者19名が、HRVパラメータの取得とその結果、近見反応検査の実施とその結果、および問診の実施とその結果に基づいて、眼精疲労のリスク又はレベルを判定する試験に参加することに同意した。
[近見反応検査]
19名の本試験対象者について近見反応検査を実施した。近見反応検査は、TriIRIS(商標)C9000を用いて実施した。TriIRIS(商標)C9000を用い、使用説明書に従い、以下の条件で実施した。
(1)輻輳測定のために両眼状態で検査した。
(2)対象者が本検査中に見る調節視標の設定位置に関し、遠点を対象者の眼から50cmの位置に設定し、対象者から最も遠い近点位置を30cmに設定した。
この場合、無限遠を0とすると、調節力は遠点で2.22D(=1/0.45)であり、近点では3.33D(=1/0.3)である。このように設定した遠点および近点(45cm−30cm)での測定は1.11D(=3.33D−2.22D)以上の調節力がある対象者に適用可能である。
(3)各対象者の輻輳近点は、調節視標を遠点から対象者にゆっくり近づけ、調節視標が2重に見えだす点をその対象者の輻輳近点とした。
(4)調節視標を遠点と近点より1ジオプター近方の点の間を定屈折速度で3往復させ、近見反応に伴う瞳孔反応と輻輳を同時に測定した。
瞳孔反応は、赤外線照射により得られた瞳孔画像を赤外線CCDカメラにて撮影し、最小瞳孔径[mm]および最大瞳孔径[mm]を計測した。輻輳レベルは、プルキエ−サンソン第1像(角膜前面での反射像)を観察し、輻輳と開散を測定開始時の瞳孔中心点を基準とした移動距離[mm]として計測された(図1、e1)。調節視標の3往復距離を定屈折速度で除した値に相当する測定時間[s]が計測された。この実施例では測定時間を6で除した値を近見反応時間という。19名の対象者の計測結果および算出値を表6に示す。
Figure 0006509939
近見反応検査で得られた最小瞳孔径と最大瞳孔径とから、「縮瞳率」(=(最大瞳孔径−最小瞳孔径)/最大瞳孔径)[無次元]を算出した。さらに近見反応時間を用いて「瞳孔径変化速度」(=(最大瞳孔径−最小瞳孔径)/近見反応時間)[mm/s]を算出した。また、輻輳レベルおよび近見反応時間とから、「輻輳速度」(=輻輳レベル/近見反応時間)[mm/s]を算出した。各対象者について、算出した縮瞳率、瞳孔径変化速度および輻輳速度を表7に示す。
Figure 0006509939
[問診]
上記19名の対象者は以下の問診票(表8)に回答するよう依頼された。
Figure 0006509939

Figure 0006509939
上記問診票(表8)は、各診療機関にて問診の際に標準的に用いられる設問事項を、具体的な症状に関連した症状レベルおよび要因を含めたものとした。該問診票には、詐病のような不適切な回答結果の影響を考慮できるよう、同用の内容で一対となる設問を16組含めた。一対となる設問事項に対して相反する回答は、その問診結果に対する信頼性に影響を及ぼし得る。表9に対となる設問項目の組合せを示す。
Figure 0006509939
表9に示す設問事項対に対する回答が相反する場合の数をカウントし、相反する回答の設問事項対の数が0〜2対の場合、問診結果は信頼度が高いと判定し、3〜5対の場合、問診結果は信頼度がやや低いと判定し、6〜9対の場合、問診結果は信頼度がかなり低いと判定し、10対以上の場合、問診結果は信頼できないと判定することができる。6対以上、特に10対以上の設問事項対に対して相反する回答がある場合、当該対象者に再度の問診を依頼してもよい。本試験では、6対以上の設問事項に対して相反する回答があった対象者は除外した。設問事項10はダミー設問であり、以下で説明するスコア化は行わない。尚、抗精神薬服用者は、自己の症状を過小評価する傾向があることが知られており、本問診に適さない場合がある。また、抗凝固剤服用者も本問診に適さない。
上記問診票の各設問事項に含められる症状レベル(表10)および症状の詳細(表11)に応じて「診断スコア」を付与した(表12)。
Figure 0006509939
Figure 0006509939
上記問診票(表8)の各設問をスコア化する。問診票の各設問には、症状レベル(表10)は全身症状および局所症状のいずれか1つまたは両症状を各1つ含めることができる。ここでは設問事項(16)を例にして設問事項のスコア化を説明する。
Figure 0006509939

設問事項(16)の「ほとんど」、「気にならない」、「朝から」、「感じる」および「ことがある」は、症状の詳細に記載の各用語の対応するポイントが付与される(表11): 頻度;+1.0、症状対応;−1.0、発症時間帯;+1.0、気分・感情;−0.5、および頻度;−1.0。設問事項(16)の「目の疲れ」は症状レベルに記載の当該用語に対するポイントが付与される(表10): 局所症状;+1.5。これらのポイントを合計することで、設問事項(16)のスコア「1.0」が算出される。各設問事項について、同様してスコア化した(表12)。
Figure 0006509939
上記問診票から得られる問診スコアは、各設問事項の設問スコアの合計値である。本試験および後述する実施例では、上記問診スコアの基準値として2.0を用いた。問診スコアが2.0を超える対象者は眼精疲労であると判定され得る。
この実施例の対象者19名の問診スコアを表13に示す。
Figure 0006509939
[近見反応パラメータと問診スコアとの関係]
各対象者の「輻輳レベル」(表7)と「問診スコア」(表13)との間の相関関係をt検定により調べた(図2a)。輻輳レベルと問診スコアとの相関係数は−0.21(p=0.932)であり、相関関係は認められなかった。同様にして、各対象者の「輻輳速度」と「問診スコア」との間の相関関係を調べたところ、相関係数は−0.445(p=0.0554)であり、相関傾向が認められた(図2b)。
下記パラメータと「問診スコア」との相関関係を同様に調べたところ、相関関係は認められなかった。
Figure 0006509939
* t検定
本発明者は、近見反応検査を実施するうちに、同じ輻輳近点を有する対象者間であっても輻輳レベルが異なる結果、輻輳速度(または輻輳隔)が異なる症例があることを見出した。輻輳近点が同一であれば輻輳レベルは通常、同一になると考えられる。しかしながら実際には個人差があった。これは、より近くのものを見ようと、例えば瞳孔径を変化させるなどして無理に明視可能にして無理をしていると推測された。このような近見作業時の無理が蓄積して、眼精疲労になりやすくなると考えられた。本発明者は、輻輳速度(または輻輳隔)を眼精疲労であるかを客観的に判定するための指標の1つとすることで眼精疲労の客観的な判定が可能となり得ると考えた。
[HRVスコア]
本発明者は、自律神経活動の乱れにより生じ得る眼症状「緑内障」と特定の「心拍変動(HRV)パラメータ」との間に相関関係があることを見出した(特願2016−249784)。眼精疲労も自律神経活動の乱れにより生じる眼症状であることから、眼精疲労に関する問診スコアと以下のHRVパラメータとの関係を調べた。まず、HRVパラメータと眼症状の1つ緑内障との関係について説明する。
[緑内障患者のHRVスコア]
緑内障患者128名を対象者として、HRVデータ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTP)を、安静時、5分間仰臥位にてMedicore社製のSA−3000P(HRV mode)を使用して取得した。HRV測定中の、体動および咳による影響時のHRV測定の結果は除外した。
(HFの適正範囲の上限値の設定)
HFの適正範囲の上限値は、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の上限値として550(ms)を用いた場合、124名分のデータ(約97%)が含まれた。
(LFの適正範囲の下限値の設定)
LFの適正範囲の下限値は、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として10(ms)を用いた場合、124名分のデータ(約97%)が含まれた。
(LF/HFの適正範囲の上限値および下限値の設定)
LF/HFの適正範囲の下限値は、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として0.2を用いた場合、122名分のデータ(約95%)が含まれた。
LF/HFの適正範囲の上限値は、128名の対象者の平穏時のLF/HF比は0.95±0.87であり、発症時のLF/HF比は2.63±1.22であった。該適正範囲の上限値として、平穏時のLF/HF比と発症時のLF/HF比から2.0とした。
(RMSSDの適正範囲の上限値および下限値の設定)
RMSSDの適正範囲の下限値は、HFの適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として10を用いた場合、94名分のデータ(約96%)が含まれた。
RMSSDの適正範囲の上限値は、HFの適正範囲の上限値超の対象者データにおけるRMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値を用いた。HFの適正範囲の上限値超(HF>550)の対象者データにおけるRMSSDの最低値は59.793であった。RMSSDの適正範囲の上限値として58を用いた。
(HF/RMSSDの適正範囲の上限値および下限値の設定)
HF/RMSSDの適正範囲の下限値は、HFの適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として2.4を用いた場合、94名分のデータ(約96%)が含まれた。
HF/RMSSDの適正範囲の上限値は、HFの適正範囲の上限値超の対象者データにおけるHF/RMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値を用いた。HFの適正範囲の上限値超(HF>550)の対象者データにおけるHF/RMSSDの最低値は8.201であった。HF/RMSSDの適正範囲の上限値は8とした。
(SDNNの適正範囲の上限値および下限値の設定)
SDNNの適正範囲の上限値は、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の上限値として54を用いた場合、122名分のデータ(約95%)が含まれた。
SDNNの適正範囲の下限値は、HFの適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として12を用いた場合、96名分のデータ(約98%)が含まれた。
(TPの適正範囲の上限値および下限値の設定)
TPの適正範囲の下限値は、HFの適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として100を用いた場合、95名分のデータ(約97%)が含まれた。
TPの適正範囲の上限値は、HFの適正範囲の上限値超の対象者データにおけるTPの最低値未満であって、該最低値に近い値を用いた。HFの適正範囲の上限値超(HF>550)の対象者データにおけるTPの最低値は1617であった。TPの適正範囲の上限値は1600とした。
(HFの適正範囲の下限値、及びLFの適正範囲の上限値の設定)
図3aは、横軸をHF値とし、縦軸をLF値とした散布図であり、HF、LFの適正範囲の上限値および下限値に基づいてエリア分けしたマトリックス図である。HFの適正範囲の下限値未満のエリアを低範囲(L)とし、適正範囲の下限値以上かつ上限値以下のエリアを適正範囲(N)とし、適正範囲の上限値超のエリアを高範囲(H)とした。HFの各エリアに関して、LFの適正範囲の上限値超のエリアはそれぞれL1、N1およびH1とし、LFの適正範囲の上限値以下で、かつ下限値以上のエリアはそれぞれL2、N2およびH2とし、LFの適正範囲の下限値未満のエリアはそれぞれL3、N3およびH3とした。
HFの適正範囲の下限値未満であり、かつLFの適正範囲の上限値超の対象者データ(図3a、L1エリア)が1%未満となるよう、該下限値および該上限値を設定する。HFの適正範囲の下限値を30とし、LFの適正範囲の上限値を325とした場合、L1エリアに入る対象データは無かった(0%)(図3b)。
HFの適正範囲の下限値を30としたこと、及びLFの適正範囲の上限値を325としたことの妥当性を、HRVパラメータLF/HFを用いて検証した。128名分の対象者データのうちHFデータを、その適正範囲の下限値30未満のグループと下限値30以上のグループとに分け、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、該グループ間に有意差があるかをt検定により検証した(表14)。同様に、128名分の対象者データのうちLFデータを、その適正範囲の上限値325以下のグループと上限値325超のグループとに分け、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、該グループ間に有意差があるかをt検定により検証した(表14)。
Figure 0006509939
表14で示されるように、HF値30を境界値として2つのグループに分けた場合、両グループが有意に異なるグループであることが示された。したがって、HFの適正範囲の下限値を30としたことは、対象群を区別するための境界値として妥当であることが示された。同様に、LF値325を境界値として2つのグループに分けた場合、両グループが有意に異なるグループであることが示された。従って、HFの適正範囲の下限値を30としたことは、対象群を区別するための境界値として妥当であることが示された。
同様に、LF値325を境界値として2つのグループに分けた場合、両グループが有意に異なるグループであることが示された。従って、LFの適正範囲の上限値を325としたことは、対象群を区別するための境界値として妥当であることが示された。
他のHRVパラメータRMSSDを用いて、HFの適正範囲の下限値30およびLFの適正範囲の上限値325が妥当であるかを検証したところ、それらを境界値が対象群を区別するための境界値として妥当であることが支持された。HFの適正範囲の下限値30の妥当性は、HRVパラメータLFを用いた検証でも支持された。
設定された各HRVパラメータの適正範囲の上限値および下限値を表15にまとめる。
Figure 0006509939
(第一のランク割り当て)
対象者のLF値およびHF値が、表15で示すそれらに関する適正範囲の下限値以上かつ上限値以下の場合に「適正(U)」を割り当て、LF値およびHF値のいずれか又はその両方が当該下限値未満の場合に「適正外(G1)」を割り当て、及び当該上限値超の場合に「適正外(G2)」を割り当てた。
(第二のランク割り当て)
対象者のLF/HF値が、表15で示す該適正範囲の上限値超の場合に「高い(H)」を割り当て、下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」を割り当て、及び下限値未満の場合に「低い(L)」を割り当てた。
(第三のランク割り当て)
LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPからなるHRVパラメータ群より選択され、かつLFおよびHFのいずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータ値が、各HRVパラメータに関して設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3等分した数値範囲の、中央の数値範囲にある場合に「非活性・非抑制(N)」を割り当て、その上限側の数値範囲にある場合に「活性(K)」を割り当て、及びその下限側の数値範囲にある場合に「抑制(Y)」を割り当てた(表16)。
Figure 0006509939
(HRVスコア)
上記で取得した第一 〜 第三のランク割り当ての組合せ(第一、第二、第三のランク割り当て)について、上記対応表(表1)に従って、該組合せをスコア化した(データ示さず)。
[本試験対象者のHRVスコア]
上述の緑内障患者でのHRVスコアについて記載したように、本件試験対象者のHRVスコアを取得した。本試験対象者19名のHRVスコアと問診スコアとを表17に示す。当該HRVスコアと問診スコアとの相関係数は0.52(P=0.02)であり、相関傾向が見られた。
Figure 0006509939
本発明者は、眼精疲労患者とHRVスコアとの間に相関傾向が見られたことから、HRVスコアを眼精疲労であるかを客観的に判定するための指標の1つとすることで、眼精疲労の客観的な判定が可能となり得ると考えた。
[眼精疲労リスクマーカー(ARM)値の算出]
発明者は、より精度よく眼精疲労であるか否か客観的に判定可能な指標を模索すべく、輻輳速度又は輻輳隔とHRVスコアとを用いた更なる指標の探索を試みた。その結果、発明者は、“HRVスコア”と眼パラメータ“輻輳速度”とを乗じて得られる積が、問診スコアと強い相関関係があることを見出した(図4:相関係数は0.56(P=0.01))。
以下、HRVスコアと輻輳速度(または輻輳隔)とを乗じて得られる値を「眼精疲労リスクマーカー(ARM)値」という。後述する実施例では、ARM値の基準値として0.25を用いた。ARM値が0.25を超える対象者は眼精疲労であると判定され得る。
[実施例1]
眼の異常を訴えた対象者に対して、上記問診票(表8)の記入を依頼し、問診スコアを取得した(問診スコア:4.5)。該対象者の問診スコアは基準値2.0を超えていたため、眼精疲労であると判定された。該対象者に対しては眼鏡による矯正処置を行った。該処置後に、問診スコアを再取得した。問診スコアは1.5であり、眼精疲労ではないと判定された。当該対象者は上記処置により眼精疲労が改善した。
当該対象者の上記処置前のARM値は0.347であり、基準値0.25を超えていたため、眼精疲労であると判定された。上記対処後のARM値は0.23となり、眼精疲労ではないと判定された。
このように主観的な問診に拠らずに、輻輳速度とHRVスコアとから得られる客観的なARM値により、眼精疲労であることを判定可能であり、ある処置が眼精疲労の改善に適切であったか否かの指標としても使用できることが理解される。従って、本発明は、対象者における眼精疲労レベルの改善または悪化を判定する方法をさらに提供する。
[実施例2]
読書による眼の異常を訴えた対象者に対して、上記問診票の記入を依頼した。読書前の問診スコアは0.3であり、基準値2.0を超えていたため、眼精疲労であると判定された。読書後に問診スコアを再取得したところ、問診スコアは0.4であり、眼精疲労が悪化していた。当該対象者の読書前のARM値は0.43であり、基準値0.25を超えていたため、眼精疲労であると判定された。読書後のARM値は0.47となり、眼精疲労が悪化していた。読書による眼の異常は眼精疲労が原因であることが客観的に示された。
[実施例3]
ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル(VDT)症候群の対象者に対して、上記問診票の記入を依頼し、問診スコアを取得した(問診スコア:2.5)。該対象者の問診スコアは基準値2.0を超えていたため、眼精疲労であると判定された。当該対象者のARM値は0.31であり、基準値0.25を超えていたため、眼精疲労であると判定された。ARMは、VDT症候群に適用可能であることが示された。
[実施例4]
頭痛、仕事ができない等の全身症状を訴えた対象者に対して、上記問診票の記入を依頼し、問診スコアを取得した(問診スコア:5.0)。該対象者の問診スコアは基準値2.0を超えていたため、眼精疲労であると判定された。当該対象者のARM値は0.66であり、基準値0.25を超えていたため、眼精疲労であると判定された。当該対象者は眼についての異常を訴えなかったが、頭痛などの全身症状の原因が眼精疲労であることが疑われた。
[実施例5]
パソコンを見るとすぐに目がくしゃくしゃするとの症状を訴えた対象者に対して、上記問診票の記入を依頼し、問診スコアを取得した(問診スコア:3.5)。該対象者の問診スコアは基準値2.0を超えていたため、眼精疲労であると判定された。当該対象者のARM値は0.48であり、基準値0.25を超えていたため、眼精疲労であると判定された。
実施例1〜5で示されたように、客観的な指標であるARMパラメータに基づいて眼精疲労を判定することが可能である。実施例4で示されたように、全身症状のみを訴え、眼に関する症状を訴えなかった対象者であっても、ARMパラメータによれば、当該全身症状が、眼精疲労が原因で生じている可能性を客観的に示すことが可能である。

Claims (9)

  1. 対象者における眼精疲労の判定を補助する方法であって、
    前記対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔と、前記対象者から得られた心拍変動(以下「HRV」という。)スコアとを乗じて、眼精疲労リスクマーカー(以下「ARM」という。)値を算出する工程、および
    前記ARM値と、それに関する閾値とを比較し、眼精疲労であるかを判定する工程を含み、
    前記HRVスコアが、前記対象者から得られたHRVパラメータである低周波(以下「LF」という。)および高周波(以下「HF」という。)に基づく第一のランク割り当て;前記対象者から得られたHRVパラメータLF/HFに基づく第二のランク割り当て;および前記対象者から得られた、LF、HF、LF/HF、The square Root of the Mean of the Sum of the Square of Differences between adjacent NN interval(以下「RMSSD」という。)、HF/RMSSD、Standard Deviation of all NN interval(以下「SDNN」という。)およびトータルパワー(以下「TP」という。)を含むHRVパラメータ群から選択されるHRVパラメータに基づく第三のランク割り当て、の組合せに対応して予め定められた値である、方法。
  2. 前記第一のランク割り当ては、LF値およびHF値のそれぞれが、それらに関して予め設定された下限値以上かつ上限値以下の場合「適正(U)」が割り当てられており、該LF値およびHF値のいずれか又はその両方が、当該下限値未満の場合「適正外(G1)」が割り当てられており、または当該上限値超の場合「適正外(G2)」が割り当てられており;
    前記第二のランク割り当ては、LF/HF値が上限値超の場合「高い(H)」が割り当てられており、下限値以上かつ上限値以下の場合「正常(N)」が割り当てられており、及び下限値未満の場合「低い(L)」が割り当てられており;および
    前記第三のランク割り当ては、前記HRVパラメータ群から選択される、LFおよびHFのずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータの各パラメータ値が、各HRVパラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3等分した数値範囲の、中央の数値範囲にある場合「非活性・非抑制(N)」が割り当てられており、その上限側の数値範囲にある場合「活性(K)」が割り当てられており、及びその下限側の数値範囲にある場合「抑制(Y)」が割り当てられている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記閾値が第一の閾値を含み、
    ARM値が増加するにつれて、眼精疲労のリスクが高いと判定されるようARM値を設定した場合、前記判定工程において、前記ARM値が第一の閾値以上の場合に、眼精疲労であると判定される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 対象者における眼精疲労を判定する装置であって、
    LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含むHRVパラメータ群から選択される各HRVパラメータに対応する適正範囲に関するデータ(以下「適正範囲データ」という。)と、HRVスコアに関するデータ(以下「HRVスコアデータ」という。)と、ARMに関する閾値のデータ(以下「ARM閾値データ」という。)とを格納した、データベースと、
    前記対象者から得られた前記HRVパラメータ群から選択されるHRVパラメータの各値と、前記対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔と、前記適正範囲データと、HRVスコアデータとを用いて、ARM値を算出する算出部と、
    前記ARM値と、前記ARM閾値データから取得された閾値とを比較して、前記対象者が眼精疲労であるかを判定する判定部と、
    を備えた、装置。
  5. 前記算出部は、
    前記対象者から得られたHRVパラメータLF値およびHF値と、前記適正範囲データ内のそれらに対応する各適正範囲とに基づいて第一のランク割り当てを行い、
    前記対象者から得られたHRVパラメータLF/HF値と、前記適正範囲データ内のそれに対応する適正範囲とに基づいて第二のランク割り当てを行い、
    前記対象者から得られた前記HRVパラメータ群から選択されるLFおよびHFのいずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータの各値と、前記適正範囲データ内のそれらに対応する各適正範囲とに基づいて第三のランク割り当てを行い、
    前記HRVスコアデータから、前記第一 〜 第三のランク割り当ての組合せに対応するHRVスコアを取得し、
    前記HRVスコアと前記眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔とを乗じてARM値を算出する、請求項4に記載の装置。
  6. 前記閾値が第一の閾値を含み、
    前記判定部は、
    ARM値が増加するにつれて、眼精疲労のリスクが高いと判定されるようARM値を設定した場合、前記ARM値が第一の閾値以上の場合に眼精疲労であると判定する、請求項4または5に記載の装置。
  7. コンピュータ読み取り可能な、対象者における眼精疲労を判定するプログラムであって、コンピュータに、
    前記対象者から得られたLF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含むHRVパラメータ群から選択されるHRVパラメータの各値を取得するステップと、
    前記取得したHRVパラメータ値に基づいて、HRVスコアを算出するステップと、
    前記対象者から得られた眼パラメータである輻輳速度または輻輳隔を取得するステップと、
    前記取得した輻輳速度または輻輳隔と、前記算出されたHRVスコアとを用いて眼精疲労リスクマーカー(ARM)を算出するステップと、
    ARMに関する閾値を取得するステップと、
    前記算出したARM値と取得した閾値とを比較して、前記対象者が眼精疲労であるかを判定するステップと、
    前記判定の結果を出力するステップと、
    を実行させる、プログラム。
  8. 前記HRVスコアを算出するステップが、
    前記HRVパラメータのそれぞれに対応する各適正範囲を取得するステップと
    前記取得されたHRVパラメータLFおよびHFと、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第一のランク割り当てを行うステップと、
    前記取得されたHRVパラメータLF/HFと、それに対応する適正範囲とに基づいて第二のランク割り当てを行うステップと、
    前記HRVパラメータ群から選択されるLFおよびHFのいずれか又はその両方を含む少なくとも4種のHRVパラメータの各値と、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第三のランク割り当てを行うステップと、
    前記第一 〜 第三のランク割り当ての組合せに対応するHRVスコアを取得するステップと、
    を含む、請求項7に記載のプログラム。
  9. 前記閾値が第一の閾値を含み、
    前記判定ステップは、
    ARM値が増加するにつれて、眼精疲労のリスクが高いと判定されるようARM値を設定した場合、前記ARM値が第一の閾値以上の場合に眼精疲労であると判定する、請求項7または8に記載のプログラム。
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