JP6489707B2 - 緑内障のリスクレベルの判定補助方法、緑内障のリスクレベルを判定するための判定装置および判定プログラム - Google Patents

緑内障のリスクレベルの判定補助方法、緑内障のリスクレベルを判定するための判定装置および判定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、緑内障のリスクレベルの判定補助方法、そのための判定装置および判定プログラムに関する。
緑内障は、網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常を伴う進行性の疾患である。緑内障は、多くの場合、患者の自覚なしに障害が徐々に進行する。自覚症状がない緑内障に対して、最も重要なことは、早期発見・早期治療による障害の進行の阻止あるいは抑制である。
緑内障の診断では、詳細な問診を行って、眼の外傷、炎症、手術、感染症などの既往歴のほか、霧視、虹視症、眼痛、頭痛、充血などの自覚症状の問診が行われ、これらの症状が存在する場合に、緑内障が疑われて、眼圧検査、眼底検査、視野検査等が行われる。
緑内障の治療では、診断時点での進行具合に応じて、治療方法が適宜選択される。基本的には、点眼薬により眼圧を下げる治療が行われ、点眼薬だけでは視機能低下の進行を十分に抑えられない場合、虹彩に穴を開けて房水の流出を促進するレーザー治療などの手術が行われる。
視神経が障害されてしまうと、障害された視神経を回復させる方法はない。従って、緑内障の治療方法の選択時には、緑内障の進行の程度だけではなく、その進行度に基づいて、治療方法を選択することが望まれる。
緑内障の進行度は、種々の基準を用いて評価されるが、現在、ある程度信頼のある基準としてMD(Mean Deviation)スロープがある。MDスロープは、MD値の経時的な変化を表すものである。MD値は、視野の感度がどの程度低下しているかを表す指標である。MD値は、正常であれば0デジベル、視野が全く無くなると−30デジベルという値をとる。MDスロープによる緑内障の進行度が安定に評価可能とされるには、5回以上のMD値を2〜3年以上かけて測定する必要があるといわれている。
緑内障の進行度を、信頼性をもって判定するには長期間を要する。当該分野には、緑内障の進行度を迅速に評価可能な判定方法に対する要求がある。また、当該分野には、緑内障の発症に関するリスクレベルを評価可能な判定方法に関する要求がある。
本発明者は、緑内障の進行度またはその発症リスクレベルを評価可能な生体パラメータを種々検討した結果、心拍変動(Heart Rate Variability)が、緑内障の進行度の信頼性のある評価パラメータとされているMDスロープから得られた判定結果に匹敵する緑内障の進行度の判定結果を示すことを見出し、さらに、心拍変動が緑内障の発症リスクに関与する判定結果を示し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の緑内障のリスクレベルの判定補助方法、緑内障リスクレベルを判定するための判定装置および判定プログラムに関する。
本発明の第1の態様は、心拍変動パラメータである低周波(以下「LF」という。)および高周波(以下「HF」という。)に基づく第一のランク割り当てを行う工程;心拍変動パラメータであるLF/HFに基づく第二のランク割り当てを行う工程;LF、HF、LF/HF、The square Root of the Mean of the Sum of the Square of Differences between adjacent NN interval(以下「RMSSD」)、HF/RMSSD、Standard Deviation of all NN interval(以下「SDNN」)およびトータルパワー(以下「TP」)を含む心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータに基づく第三のランク割り当てを行う工程;得られた第一〜第三のランク割り当ての組合せに対応して予め定められた緑内障の第一のリスクレベル(第一のRL)を取得する工程;及び前記第一のRLをそれに関する閾値(閾値RL)と比較し、緑内障の発症リスク又はその進行度を判定する工程を含む、対象者における緑内障のリスクレベルの判定を補助する方法を提供する。
第一のランク割り当てでは、LF値がそれに関して予め設定された下限値(LF)以上かつ上限値(LF)以下であり、およびHF値がそれに関して予め設定された下限値(HF)以上かつ上限値(HF)以下の場合に「適正(U)」を割り当て;LF値またはHF値もしくはその両方が各下限値(LFおよび/またはHF)未満の場合に「適正外(G1)」を割り当て;又はLF値またはHF値もしくはその両方が各上限値(LFおよび/またはHF)超の場合に「適正外(G2)」を割り当てる。例えば、対象者から得られたLF値およびHF値が各下限値以上かつ上限値以下の場合、該対象者に「適正(U)」が割り当てられる。
第二のランク割り当てでは、LF/HFがそれに関して予め設定された上限値超の場合に「高い(H)」を割り当て;LF/HFに関して予め設定された下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」を割り当て;該下限値未満の場合に「低い(L)」を割り当てる。例えば、対象者から得られたLF/HFが下限値以上かつ上限値未満の場合、該対象者に「正常(N)」が割り当てられる。
第三のランク割り当てでは、前記対象者から得られた前記心拍変動パラメータ群から選択され、LFまたはHFもしくはその両方を含む少なくとも4種の心拍変動パラメータの各パラメータ値が、各心拍変動パラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の、中間の数値範囲に存在する場合に「非活性・非抑制(N)」を割り当て;上限側の数値範囲に存在する場合に「活性(K)」を割り当て;下限側の数値範囲に存在する場合に「抑制(Y)」を割り当てる。例えば、6種のパラメータ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSDおよびSDNN)の各値が、それぞれのパラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の下限値側の数値範囲にあり、1つのパラメータ(TP)値が、TPに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の中間の数値範囲に存在する場合、該対象者に「抑制(Y)」が割り当てられる。
第一のRL取得工程では、上記した第一のランク割り当ての結果、第二のランク割り当ての結果、および第三のランク割り当ての結果から得られる組合せを、該組合せに関して予め設定された組合せと第一のRLとの対応表に従って、第一のRL(スコア)を取得する。例えば、第一のランク割り当ての結果が適正(U)であり、第二のランク割り当ての結果が正常(N)であり、第三のランク割り当ての結果が抑制(Y)である場合、「U・N・Y」の組合せが得られる。この例において、第一のRL取得工程では、表1で示される対応表に基づいて、第一のRL「0.625」が得られる。表1中の第一〜第三のランク割り当ての組合せは、第一、第二、続いて第三のランク割り当ての順で記載される。
Figure 0006489707
1つの実施形態において、第1の態様に係る判定補助方法は、緑内障リスクマーカー(GRM)値を算出する工程をさらに含む。GRM値は、第一のRL値と第二のリスクレベル(第二のRL)の値とを乗じることで得られる。第二のRLは、前記対象者から得られた緑内障進行度関連パラメータ群より選択される少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、非進行群パラメータに関して予め設定された各境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数して非進行群パラメータ計数値を算出し、進行群パラメータに関して予め設定された各境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数して進行群パラメータ計数値を算出し、および進行群パラメータ計数値から非進行群パラメータ計数値を減じた減算値に対応して予め定められた値(第二のRL)を取得することで得られる。
前記緑内障進行度関連パラメータ群は、Age、眼圧(以下「IOP」という。)、Age/IOP、Age×IOP、SDNN、PSI、TSRD、超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEn、Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、m−HRTおよびApEnを含む。
前記非進行群パラメータは、Age、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN、PSI、TSRD、超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)、(HF/RMSSD)/SRDまたは(HF/RMSSD)/ApEnである。
前記進行群パラメータは、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEn、Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、m−HRTまたはApEnである。
前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータは、緑内障進行度関連パラメータ群のうち、Age、Age/IOP、HF、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEnおよびage/(HF/RMSSD)からなる群より選択される少なくとも5種の緑内障進行度関連パラメータを含む。
本発明の第2の態様は、対象における緑内障のリスクレベルの判定装置であって、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含む心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータに対応する適正範囲に関するデータ(適正範囲データ)と、第一のRLに関するデータ(第一のRLスコアデータ)と、RLに関する閾値のデータ(閾値RLデータ)とを格納した、データベースと、対象から得られた前記心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータの値と、前記適正範囲データと、第一のRLスコアデータとを用いて、緑内障の進行度又はその発症リスクに関する第一のリスクレベル(第一のRL)を算出する算出部と、前記第一のRLと、前記閾値RLデータから取得された閾値RLとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が速い又はその発症リスクが高いかを判定(第一の判定)する判定部と、前記判定部の判定結果を表示する表示部と、を備えた、判定装置を提供する。
第2の態様の1つの実施形態において、前記データベースは、非進行群パラメータであるAge、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN、PSI、TSRD、超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)、(HF/RMSSD)/SRD及び(HF/RMSSD)/ApEnのそれぞれに対応する境界値に関するデータ(非進行群境界値データ);進行群パラメータであるAge/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEn、Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、m−HRT及びApEnのそれぞれに対応する境界値に関するデータ(進行群境界値データ);第二のRLに関するデータおよびGRMに関する閾値データ(閾値GRMデータ)をさらに格納する。
本発明に係る緑内障のリスクレベルの判定補助方法は、例えば1回の心拍変動パラメータに基づく測定でそのリスクレベルを評価可能なため、通常、2〜3年以上かけて5回以上の測定を要するMDスロープに基づく緑内障の進行度評価に比べて、極めて迅速に緑内障のリスクレベルを評価でき、臨床において緑内障の進行度に基づいた適切な処置方法の選択が可能となる。
本発明の1つの実施形態に係る緑内障のリスクレベルの判定補助方法によれば、サプリメントなどの試薬の緑内障のリスクレベルに対する効果に関する客観的指標を提供可能である。
心拍変動パラメータHFおよびLFの散布図である。横軸にHF値をとり、縦軸にLF値をとり、横軸をHFの適正範囲の上限値および下限値で区切り、縦軸をLFの適正範囲の上限値および下限値で区切った場合の各領域(L1〜3、N1〜3およびH1〜3)を表示した模式図(図1a)。図1aの各領域の表示下の(数値)は、各領域内に存在するデータ数を示す。128名の緑内障患者から得られた心拍変動パラメータHFおよびLFの散布図であり、HFの下限値およびLFの上限値で区切られた領域(L1)を示す。 緑内障進行度関連パラメータ[12]HF/RMSSD(図2a)、[20](HF/RMSSD)/SRD(図2b)、[3]Age/IOP(図2c)および[4]Age×IOP(図2d)についての、非進行性および進行性の緑内障患者群の散布図。横軸は、非進行性の緑内障患者群(非進行対象群)および進行性の緑内障患者群(進行対象群)を示し、縦軸は各パラメータ値を示す。図2a中の破線は、進行群パラメータ[12]HF/RMSSDの境界値(<2.5)を示し、非進行群パラメータ[12]HF/RMSSDの境界値(>6.5)を示す。図2b中の破線は、進行群パラメータ[20](HF/RMSSD)/SRDの境界値(<3.0)を示し、非進行群パラメータ[20](HF/RMSSD)/SRDの境界値(>5.5)を示す。図2c中の破線は、非進行群パラメータ[3]Age/IOPの境界値(>6.5)を示す。図2d中の破線は、非進行群パラメータ[4]Age×IOPの境界値(<600)を示す。 緑内障患者から得られたGRM値(横軸)と、該患者のMDスロープ値(縦軸)との散布図。 長期(12年)の治療を受けている緑内障患者における、治療期間(横軸)と、MD値(縦軸)を示す散布図(図4a)。該患者の治療開始前(12年前)および現在の第一のリスクレベル(第一のRL)(黒棒)およびGRM値(白棒)を示す棒グラフ(図4b)。 急性緑内障患者の急性緑内障発症時(発症時)、発症前(平時)および治療後(1.5h後)の第一のRL(黒棒)およびGRM値(白棒)を示す棒グラフ(図5a)。点眼処方を施した緑内障患者における気分不良発症(発症)前、80日、37日、発症後で点眼処方中止後7日の第一のRL(黒棒)およびGRM値(白棒)を示す棒グラフ(図5b)。 HFの適正範囲とLFの適正範囲で区切られる適正範囲領域を示す模式図。適正範囲領域内から該領域外への変動は緑内障の進行度の悪化を示し(「2」、「3」)、適正範囲領域外から該領域内への変動は緑内障の進行度の改善を示し(「1」、「4」)、適正範囲内での変動は緑内障の進行度が不定を示す(「5」、「6」)。 横軸に緑内障進行度関連パラメータ[9]Age/(LF/HF)、[10]HF、[12]HF/RMSSD、[13](HF/RMSSD)/(LF/HF)、[14]RMSSD/(LF/HF)、[15]HF/SDNN、[18]HF/TP、[20](HF/RMSSD)/SRDおよび[21](HF/RMSSD)/ApEnをとり、縦軸は各数値の相対値(a.u.)をとった折れ線グラフ。グラフ中、黒線は進行群パラメータの境界値を示す折れ線であり、グレー線は非進行群パラメータの境界を示す折れ線であり、破線は対象者の各緑内障進行度関連パラメータの値を示す折れ線である。 1つの実施形態に係る対象における緑内障のリスクレベルの判定装置の概略構成を示すブロック図。 識別情報(対象者の氏名、年齢、IDおよび検査日)、心拍変動パラメータの値または緑内障進行度関連パラメータの値を入力する、1つの実施形態に係る入力画面を示すブロック図。 1つの実施形態に係る対象における緑内障のリスクレベルの判定装置による、緑内障のリスクレベルの判定の動作を示すフローチャート。 1つの実施形態に係る第一のRLの算出の動作を示すフローチャート。 他の実施形態に係る対象における緑内障のリスクレベルの判定装置による、緑内障のリスクレベルの判定の動作を示すフローチャート。 1つの実施形態に係る第二のRLの算出の動作を示すフローチャート。 1つの実施形態に係る表示部に表示される判定結果の表示画面を示した図。 1つの実施形態に係るデータベースの構造を示すブロック図。
本明細書において「緑内障」は、広義の緑内障を示し、原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障および混合型緑内障を含む原発緑内障;続発解放隅角緑内障および続発閉塞隅角緑内障を含む続発緑内障;および早発型発達緑内障、遅発型発達緑内障および他の先天異常を伴う発達緑内障を含む、発達緑内障を含む。本発明において、緑内障は、緑内障治療(例えば点眼処方)に付随する関連症状(例えば、喘息または気分不良)を含む。
本明細書において緑内障の「発症リスクがある」は、緑内障前段階にあることを示す。緑内障前段階は、限定するものではないが、高眼圧症および眼精疲労を含む。眼精疲労の兆候としては、眼の重圧感、眼の疲労感、全身の疲労感、頭痛、肩こりまたは吐き気が挙げられる。眼精疲労は、自律神経の活動と関連することが知られている。ものを見るピント調節は自律神経で調節されており、自律神経の活動が乱れると眼精疲労が現われると考えられている。
本明細書において「心拍変動(HRV)」は、自律神経活動の定量的マーカーの1つであり、心拍の変化を表す尺度を示す。本発明における心拍変動パラメータは、例えば、指尖容積脈波測定により得られる。心拍変動パラメータは、限定するものではないが、安静時、5分間仰臥位にてMedicore社製のSA−3000P(HRV mode)を用いて得られる。
本明細書において「高周波(HF)」は、高周波数域(0.15Hz〜0.4Hz)のパワースペクトルの積算値(ms)を示す。本明細書において「低周波(LF)」は、低周波数域(0.04Hz〜0.15Hz)のパワースペクトルの積算値(ms)を示す。本明細書において「LF/HF」は、LF値をHF値で除した比を示す。
本明細書において「RMSSD」(The square root of the mean of the sum of the square of differences between adjacent NN interval)は、連続して隣接するRR間隔の差を2乗した値の平均の平方根(ms)を示す。本明細書において「HF/RMSSD」は、HF値をRMSSD値で除した比を示す。
本明細書において「SDNN」(Standard Deviation of all NN(RR) interval)は、すべてのR波とR波との間隔の標準偏差(ms)を示す。本明細書において「トータルパワー(TP)」は、周波数0〜0.4Hz(VLF、LF、HF)のパワースペクトルの積算値(ms)を示す。
本明細書において「年齢(Age)」は、心拍変動の測定を行った時の実年齢を示す。本明細書において「眼圧(IOP)」は、例えばアプラネーションチップを使用した圧平眼圧計にて測定される眼圧を示す。本発明においてIOPは、両眼の眼圧を測定した場合の平均値(平均眼圧)を意味し、好ましくは心拍変動の測定を行った際の眼圧が用いられる。
本明細書において「Age/IOP」は、年齢をIOPで除した比を示す。本明細書において「Age×IOP」は、年齢とIOPとを乗じた値を示す。本明細書において「PSI」(Physical Stress IndexまたはPressure Index)は、「Regulation」システムに加えるPressureを意味する。本明細書において「TSRD」(Total Successive RR interval Difference)は、測定データの前後を比較して、評価するための指標である。本明細書において「超低周波(VLF)」は、極低周波数域(0.0033〜0.04Hz)のパワースペクトルの積算値(ms)を示す。
本明細書において「VLF/age」はVLF値を年齢で除した比を示す。本明細書において「Age/(LF/HF)」は年齢をLF/HFで除した値を示す。本明細書において「LF/(HF/RMSSD)」はLF値を(HF/RMSSD)で除した値を示す。本明細書において「HF/RMSSD」はHF値をRMSSD値で除した値を示す。
本明細書において「(HF/RMSSD)/(LF/HF)」はHF/RMSSDをLF/HFで除した値を示す。本明細書において「RMSSD/(LF/HF)」はRMSSD値をLF/HFで除した比を示す。本明細書において「HF/SDNN」はHF値をSDNN値で除した比を示す。本明細書において「SDNN/(HF/RMSSD)」はSDNN値をHF/RMSSDで除した比を示す。本明細書において「TP/LF」はTP値をLF値で除した比を示す。本明細書において「HF/TP」はHF値をTP値で除した比を示す。
本明細書において「TP×(LF/HF)」は、TP値をLF/HF比で乗じた値を示す。本明細書において「SRD」(Successive RR interval difference)は、5分(または3分)区間で、前の部分の一定区間におけるベースラインからの変化の程度を示し、HRV検査結果の信頼度を評価する指標である。例えば、SDRが基準値「1」から大きく乖離した場合、HRVが再測定される。本明細書において「(HF/RMSSD)/SRD」はHF/RMSSD値をSRD値で除した比を示す。
本明細書において「ApEn」(Approximate Entropy Measure)は規則性(regularity)および複雑さ(complexity)を統計的に定量化した数値を意味する。本明細書において「(HF/RMSSD)/ApEn」はHF/RMSSDをApEn値で除した値を示す。本明細書において「Age/(HF/RMSSD)」は年齢をHF/RMSSDで除した値を示す。本明細書において「Age×RMSSD」は年齢にRMSSDを乗じた値を示す。本明細書において「m−HRT」(mean−Heart Rate Turbulence)は記録時間内の平均心拍数(bpm)を示す。
本明細書において「心拍変動パラメータ群」は、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含む。1つの実施形態において、前記心拍変動パラメータ群は、上記パラメータからなる。
心拍変動パラメータは、限定するものではないが、健康状態の時期、緑内障の病状が安定している時期、急性緑内障発症時、または緑内障に関連する疾患の発症時に測定されてよい。心拍変動パラメータは、好ましくは症状が安定している時期に測定される。
第一のRLに関する各パラメータの適正範囲の上限値および下限値は、少なくとも30名の緑内障と診断された対象者群、好ましくは少なくとも100名の緑内障と診断された対象者群の各パラメータデータを用いて設定される。
第一のRLに関するHFについての適正範囲の上限値としては、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、550(ms)を用いることができる。
第一のRLに関するHFについての適正範囲の下限値としては、その下限値未満と後述する第一のRLに関するLFの上限値超とで設定される数値範囲に、対象者データが3%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0%となるように設定される。該適正範囲の下限値として、限定するものではないが、30(ms)を用いることができる。
第一のRLに関するLFについての適正範囲の下限値としては、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、10(ms2)を用いることができる。
第一のRLに関するLFについての適正範囲の上限値としては、その上限値超と前記第一のRLに関するHFの下限値未満とで設定される数値範囲に、対象者データが3%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0%となるように設定される。該適正範囲の上限値として、限定するものではないが、325(ms2)を用いることができる。
上記のように設定される第一のRLに関するHFについての適正範囲の下限値、及びLFについての適正範囲の上限値の妥当性は、例えば、心拍変動パラメータLF/HFを用いて検証することができる。該HFの適正範囲の下限値およびLFの適正範囲の上限値を設定する際に用いた対象者群データのうちHFデータを、その適正範囲の下限値未満のグループと下限値以上のグループとに分ける。次いで、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、各グループ間に有意差があるかをt検定により検証し、有意差がある場合に、当該上限値の設定が妥当であると判断される。同様に、該対象者群データのうちLFデータを、その適正範囲の上限値以下のグループと上限値超のグループとに分ける。次いで、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、各グループ間に有意差があるかをt検定により検証し、有意差がある場合に、当該下限値の設定が妥当であると判断される。
さらに、第一のRLに関するHFについての適正範囲の下限値、及びLFについての適正範囲の上限値の妥当性は、例えば、心拍変動パラメータRMSSDを用いて、上記と同様にして、その設定値の妥当性を検証することができる。また、第一のRLに関するHFについての適正範囲の下限値の妥当性は、例えば、心拍変動パラメータLFを用いて、上記と同様にしてその設定値の妥当性を検証することができる。
第一のRLに関するLF/HFについての適正範囲の下限値としては、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、0.2を用いることができる。
第一のRLに関するLF/HFについての適正範囲の上限値としては、対象者群の平穏時のLF/HF比と、緑内障発症時のLF/HF比との間の値が用いられる。該適正範囲の上限値として、限定するものではないが、2を用いることができる。
第一のRLに関するRMSSDについての適正範囲の下限値としては、HFについての適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象者群のRMSSDデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%の対象者データが含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、10を用いることができる。
第一のRLに関するRMSSDについての適正範囲の上限値としては、HFについての適正範囲の上限値超(例えば、HF>550)の対象者データにおけるRMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、58を用いることができる。
第一のRLに関するHF/RMSSDについての適正範囲の下限値としては、HFについての適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象者群のHF/RMSSDデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、2.4を用いることができる。
第一のRLに関するHF/RMSSDについての適正範囲の上限値としては、HFについての適正範囲の上限値超(例えば、HF>550)の対象者データにおけるHF/RMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、8を用いることができる。
第一のRLに関するSDNNについての適正範囲の上限値としては、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、54を用いることができる。
第一のRLに関するSDNNについての適正範囲の下限値としては、HFについての適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象者群のSDNNデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、12を用いることができる。
第一のRLに関するTPについての適正範囲の下限値としては、HFについての適正範囲の下限値未満(例えば、HF<30)の対象者データを除いた対象者群のTPデータのうち、その下限値以上に少なくとも95%が含まれる値が用いられる。該適正範囲の下限値としては、限定するものではないが、100を用いることができる。
第一のRLに関するTPについての適正範囲の上限値としては、HFについての適正範囲の上限値超(例えば、HF>550)の対象者データにおけるTPの最低値未満であって、該最低値に近い値が用いられる。該適正範囲の上限値としては、限定するものではないが、1600を用いることができる。
第一のランク割り当てでは、対象者の心拍変動パラメータLFおよびHFの各値が、以上のようにして予め設定された第一のRLに関するLFおよびHFに関する適正範囲内にあるか、該範囲外にあるかに応じて、ランクが割り当てられる。第一のランク割り当てでは、LF値がそれに関して予め設定された下限値(LF)以上かつ上限値(LF)以下であり、およびHF値がそれに関して予め設定された下限値(HF)以上かつ上限値(HF)以下の場合に「適正(U)」が割り当てられ;LF値またはHF値もしくはその両方が各下限値(LFおよび/またはHF)未満の場合に「適正外(G1)」が割り当てられ;又はLF値またはHF値もしくはその両方が各上限値(LFおよび/またはHF)超の場合に「適正外(G2)」が割り当てられる。第一のランク割り当てにおいて割り当てられる表記「適正(U)」、「適正外(G1)」および「適正外(G2)」は当業者により適宜設定される。
第二のランク割り当てでは、対象者の心拍変動パラメータLF/HF値が、以上のようにして予め設定された第一のRLに関するLF/HFに関する適正範囲内にあるか、該範囲外にあるかに応じて、ランクが割り当てられる。第二のランク割り当てでは、LF/HFがそれに関して予め設定された上限値超の場合に「高い(H)」が割り当てられ;LF/HFに関して予め設定された下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」が割り当てられ;該下限値未満の場合に「低い(L)」が割り当てられる。第二のランク割り当てにおいて割り当てられる表記「高い(H)」、「正常(N)」および「低い(L)」は当業者により適宜設定される。
第三のランク割り当てでは、対象者から得られた、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNN、およびTPを含む心拍変動パラメータ群から選択される、LFまたはHFもしくはその両方を含む少なくとも4種の心拍変動パラメータの各パラメータ値が、各心拍変動パラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3分割した数値範囲の、中間の数値範囲に存在する場合に「非活性・非抑制(N)」が割り当てられ;上限側の数値範囲に存在する場合に「活性(K)」が割り当てられ;下限側の数値範囲に存在する場合に「抑制(Y)」が割り当てられる。第三のランク割り当てにおいて割り当てられる表記「非活性・非抑制(N)」、「活性(K)」および「抑制(Y)」は当業者により適宜設定される。
第一〜第三のランク割り当ての組合せに応じてスコアをつける。まず、第一のランク割り当てにおける適正(U)、適正外(G1)および適正外(G2)ごとに、第二のランク割り当ておよび第三のランク割り当てのランクについて以下のようにポイントを付与した。
Figure 0006489707
Figure 0006489707
Figure 0006489707
各ランクのポイントを合してその組合せの合計ポイントを算出した。例えば、ランク割り当て(第一、第二、第三のランク割り当て)が「U・N・N」の場合、第一のランク割り当てが「適正(U)」である表2を参照し、第二のランク割り当ての「正常(N)」のポイント「0.5」と、第三のランク割り当ての「非活性・非抑制(N)」のポイント「1」とを合した総合ポイント「1.5」を算出する。各組合せに対するポイントは、表2〜4に具体的に示した数値に限定されるものではなく、当業者であれば、表2〜4に記載の数値を、それらのランク間の相対的な大小の関係を維持しながら適宜変更することができる。
次いで、第一〜第三のランク割り当て(第一、第二、第三のランク割り当て)の各組合せをA群とB群とに分けた(表5)。A群は緑内障のリスクが比較的大きい組合せであり、B群は緑内障のリスクが比較的中程度または小さい組合せである。
Figure 0006489707
第一のランク割り当てにおける適正(U)、適正外(G1)および適正外(G2)に応じて、ランク割り当て(第一、第二、第三のランク割り当て)ごとに重みづけをする。第一のランク割り当てにおいて、緑内障のリスクは適正外(G2)が中程度であり、適正(U)が小さく、適正外(G1)が大きいため、組合せ中の第一のランク割り当てに応じて、表5中のA群で示されるポイントに、例えば、組合せに適正外(G2)が含まれる場合は1を乗じ、組合せに適正(U)が含まれる場合は2/3を乗じ、組合せに適正外(G1)が含まれる場合は2を乗じる。また、表5中のB群で示されるポイントに、例えば、組合せに適正外(G2)が含まれる場合は1/4を乗じ、組合せに適正(U)が含まれる場合は1/5を乗じ、組合せに適正外(G1)が含まれる場合は1を乗じる。このようにして各組合せについて重みづけ後の合計ポイントを算出した。場合により、規格化を行い、第一のリスクレベル(第一のRL)とする。重みづけ後のポイントの規格化は、例えば、最大値を1とし、最小値を0.5とするように行ってもよい(表6)。表6において、第一〜第三のランク割り当ての組合せは、第一、第二、続いて第三のランク割り当ての順で記載される。
Figure 0006489707
この例において、第一のRLは、数値が1に近づくほど緑内障の(発症)リスクが高い又は進行度が速いと判定され、数値が0.5に使づくほど緑内障の(発症)リスクが小さい又は進行度が緩やかと判定される。この例において、ランク割り当ての組合せは、第一のランク割り当て、第二のランク割り当て、続いて第三のランク割り当ての順序で記載したが、本発明に係るランク割り当ての組合せは順序によって限定されない。ランク割り当ての組合せの記載順序は(第三、第二、第一のランク割り当て)の順であってもよく、(第二、第一、第三のランク割り当て)の順であってもよい。本発明に係る判定補助方法において、第一のランク割り当て、第二のランク割り当ておよび第三のランク割り当ては、第一のRLを取得する前に実施されればよい。従って、第一のランク割り当て、第二のランク割り当ておよび第三のランク割り当てを同時に実施してもよく、第三のランク割り当て、第二のランク割り当て、続いて第一のランク割り当ての順に実施してもよい。
本明細書において、「緑内障進行度関連パラメータ群」は、Age、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN、PSI、TSRD、超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEn、Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、m−HRTおよびApEnを含む。1つの実施形態において、前記緑内障進行度関連パラメータ群は上記パラメータからなる。
本明細書において、「少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータ」は、Age、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN、PSI、TSRD、超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEn、Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、m−HRTおよびApEnから選択され、Age、Age/IOP、HF、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEnおよびage/(HF/RMSSD)からなる群より選択される少なくとも5種の緑内障進行度関連パラメータを含む。1つの実施形態において、前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータは、上記した29種のパラメータからなる。
1つの実施形態において、判定工程は、例えば、閾値RLが第一の閾値RLを含む若しくはからなり、第一のRL値が増加するにつれて緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されるようRL値を設定した場合、第一のRLが第一の閾値RL以上の場合に発症リスクがある又はその進行度が速いと判定される。他の例では、閾値RLが第一の閾値RLおよび閾値よりも大きい第二の閾値RLを含む若しくはからなり、第一のRLが、第一の閾値RL以上で第二の閾値RL未満の場合に発症リスクがある又はその進行度が緩やかと判定され、第二の閾値RL以上の場合には発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定される。
この実施形態において、例えば、第一のRLは表6で示すように設定されてよい。この例において、対象者の第一のRL値が閾値RL以上の場合、当該対象者は緑内障の発症リスクがある又はその進行度が速いと判定される。閾値RLは、例えば0.625または0.65であってよい。あるいは、対象者の第一のRL値が第一の閾値RL以上であり、かつ第二の閾値RL未満の場合、緑内障の発症リスクがある又はその進行度が緩やかであると判定されてよく、対象者の第一のRL値が第二の閾値RL以上の場合、緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されてよい。この例において、第一の閾値RLおよび第二の閾値RLは、例えばそれぞれ0.625および0.8であってよい。設定する閾値RLの数を含め、閾値RLの設定方法、及び判定結果の表現はこれらの例に限定されない。例えば、判定の表現は「緑内障が悪化する可能性が高い」または「生活環境の改善が必要である」であってもよい。
緑内障進行度関連パラメータに関し、[1]年齢(Age)は、例えば問診により得られ、[2]眼圧(以下「IOP」)は圧平眼圧計にて測定され、心拍変動パラメータは、例えば安静時、5分間仰臥位にてMedicore社製のSA−3000P(HRV mode)により測定して得られる。他の緑内障進行度関連パラメータに関して、上記問診結果および測定結果から、[3]Age/IOP、[4]Age×IOP、[5]SDNN、[6]PSI、[7]TSRD、[8]超低周波/age(以下「VLF/age」とする。)、[9]Age/(LF/HF)、[10]HF、[11]LF/(HF/RMSSD)、[12]HF/RMSSD、[13](HF/RMSSD)/(LF/HF)、[14]RMSSD/(LF/HF)、[15]HF/SDNN、[16]SDNN/(HF/RMSSD)、[17]TP/LF、[18]HF/TP、[19]TP×(LF/HF)、[20](HF/RMSSD)/SRD、[21](HF/RMSSD)/ApEn、[22]Age/(HF/RMSSD)、[23]Age×RMSSD、[24]LF、[25]LF/HF、[26]RMSSD、[27]TP、[28]m−HRTおよび[29]ApEnが得られる。
これらの29種の緑内障進行度関連パラメータを、非進行群パラメータ([1]〜[21])と進行群パラメータ([9]〜[29])とに分ける。非進行群パラメータでは、対象者から得られる該当する緑内障進行度関連パラメータの値がその境界値を超える場合、緑内障進行度に関して進行が緩やか又は緑内障発症のリスクが低い傾向を示し得る。進行群パラメータでは、対象者から得られる該当する緑内障進行度関連パラメータ値がその境界値を超える場合、緑内障進行度に関して進行が速い又は緑内障発症のリスクが高い傾向を示し得る。
第二のRLに関する各緑内障進行度関連パラメータの境界値は、MDスロープにより進行性の緑内障であると判定された対象者(例えば、MDスロープ≦−0.4)が少なくとも15名、好ましくは少なくとも30名、さらに好ましくは少なくとも50名の緑内障症進行群と、MDスロープにより非進行性の緑内障であると判定された対象者(例えば、MDスロープ>−0.4)が少なくとも15名、好ましくは少なくとも30名、さらに好ましくは少なくとも50名の緑内障症非進行群とを用いて、設定される。
非進行群パラメータと進行群パラメータとで重複するパラメータ[9]〜[21]では、当該非進行対象群の上限値が対応する進行対象群の上限値よりも大きく、且つ当該非進行対象群の下限値が対応する進行対象群の下限値よりも大きい場合、非進行群パラメータの境界値はその進行対象群の上限値超の値であって、該上限値に近い値が用いられる。例えば、該上限値が1234である場合で有効数字が3桁の場合には、1240であってよく、または1250であってもよく、場合により1300であってもよい。当該非進行対象群の上限値が対応する進行対象群の上限値よりも小さく、且つ当該非進行対象群の下限値が対応する進行対象群の下限値よりも小さい場合、非進行群パラメータの境界値はその進行対象群の下限値未満の値であって、該下限値に近い値が用いられる。例えば、該下限値が12.34である場合で有効数字が3桁の場合には、12.3であってよく、または12であってもよく、場合により11であってもよい。
重複する各パラメータに関して、当該進行対象群の上限値が対応する非進行対象群の上限値よりも小さく、且つ当該進行対象群の下限値が対応する非進行対象群の下限値よりも小さい場合、進行群パラメータの境界値はその非進行対象群の下限値未満の値が用いられる。当該進行対象群の上限値が対応する非進行対象群の上限値よりも大きく、且つ当該進行対象群の下限値が対応する非進行対象群の下限値よりも大きい場合、進行群パラメータの境界値はその非進行対象群の上限値超の値が用いられる。
非進行群パラメータ[1]〜[8]のうち、パラメータ[3]Age/IOP、[5]SDNN、[6]PSI、[7]TSRD、[8]超低周波/age、および[9]Age/(LF/HF)に関しては、対応する進行対象群の上限値超の値が用いられる。パラメータ[1]Age、[2]IOPおよび[4]Age×IOPに関しては、非進行群パラメータの境界値は対応する進行対象群の下限値未満の値が用いられる。
進行群パラメータ[22]〜[29]のうち、パラメータ[26]RMSSDおよび[27]TPに関しては、進行群パラメータの境界値は対応する非進行対象群の下限値未満の値が用いられる。進行群パラメータ[22]Age/(HF/RMSSD)、[23]Age×RMSSD、[24]LF、[25]LF/HF、[28]m−HRTおよび[29]ApEnに関しては、対応する進行対象群の上限値超の値が用いられる。
第二のRLは、対象者から得られた少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、非進行群パラメータに関して各パラメータの境界値を超えたパラメータの数を計数して非進行群パラメータ計数値を得て、同様にして、進行群パラメータに関して各パラメータの境界値を超えたパラメータの数を計数して進行群パラメータ計数値を得る。次いで、進行群パラメータ計数値から非進行群パラメータ計数値を減じて、減算値を得る。得られた減算値について、前記減算値とそれに対応して予め定められた値との対応表に従って、第二のRL(スコア)を取得する。前記減算値とそれに対応する第二のRLとの対応表は、例えば、29種すべての緑内障進行度関連パラメータを用いる場合は、下記表7に示す対応表を用いることができる。
Figure 0006489707
この例において、第二のRLは1〜0.05の範囲を用いたが、第二のRLとして設定されるスコア値は、表7に記載のスコア値に限定されない。第二のRLは、第一のRLのスコアの数値範囲の1倍〜3倍、好ましくは1.5倍〜2.5、最も好ましくは2倍の数値範囲となるように設定することができる。
減算値とそれに対応する第二のRLの対応表は、用いられる緑内障進行度関連パラメータの数に応じて、適宜設定される。他の例では、表7の対応表を用いて第二のRLを得るために、用いられる緑内障進行度関連パラメータの数に応じて得られる上記減算値を規格化してもよい。例えば、15種の緑内障進行度関連パラメータを用いる場合は、得られた減算値を約2倍して得られる値から、表7の対応表に照らして第二のRLを取得してもよい。前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータは、好ましくは少なくとも15種であり、より好ましくは20種、さらに好ましくは25種であり、最も好ましくは29種である。
Age、Age/IOP、HF、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEnおよびage/(HF/RMSSD)は、緑内障進行度において影響が大きいと考えられるパラメータであり得る。他の例において、前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータは、28種、27種、26種、25種、または24種であって、Age、Age/IOP、HF、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/SRD、(HF/RMSSD)/ApEnおよびage/(HF/RMSSD)からなる群より選択される少なくとも5種、例えば6種または7種のパラメータを含む。
緑内障リスクマーカー(GRM)値は、第一のRL値と第二のRL値とを乗じて得られる積である。表6および表7に示した対応表を用いる例では、GRM値は最大値1から最小値0.025の範囲をとる。この例では、GRM値が高いほど(「1」に近いほど)緑内障の進行度が速い又は発症のリスクが高い傾向を示し、GRM値が低いほど(「0.025」に近いほど)緑内障の進行度が緩やか若しくは遅い又は発症のリスクが小さい傾向を示す。
1つの実施形態において、更なる判定工程は、例えば、閾値GRMが第一の閾値GRMを含む若しくはからなり、GRM値が増加するにつれて緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されるようGRM値が設定された場合、GRM値が第一の閾値GRM以上の場合に発症リスクがある又はその進行度が速いと判定される。他の例では、閾値GRMが第一の閾値GRMおよび前記閾値より大きい第二の閾値GRMを含む若しくはからなり、GRM値が、第一の閾値GRM以上で第二の閾値GRM未満の場合に発症リスクがある又はその進行度が緩やかであると判定され、GRM値が、第二の閾値GRM以上の場合に緑内障の発症リスクが高い又は緑内障の進行度が速いと判定される。
この実施形態において、例えば、GRM値は表7で示すように設定されてよい。この例において、対象者のGRM値が閾値GRM以上の場合、当該対象者は緑内障の発症リスクがある又はその進行度が速いと判定される。閾値GRMは、例えば0.3125、0.35または0.4であってよい。あるいは、対象者のGRM値が第一の閾値GRM以上であり、かつ第二の閾値GRM未満の場合に緑内障の発症リスクがある又はその進行度が緩やかであると判定されてよく、対象者のGRM値が第二の閾値GRM以上の場合、緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されてよい。この例において、第一の閾値GRMおよび第二の閾値GRMは、例えばそれぞれ0.325および0.35であってよい。設定する閾値GRMの数を含め、閾値GRMの設定方法、及び判定結果の表現はこれらの例に限定されない。例えば、判定の表現は「緑内障が悪化する可能性が高い」または「生活環境の改善が必要である」であってもよい。
本明細書において「MDスロープ」は、MD値の時間軸に対する傾きを示す。MD値は、全視野検査全体の結果を年齢補正したうえで、視野感度が正常からどの程度低下しているかを表す指標である。本発明において、MDスロープは、以下の条件を満たす対象者から得られる。
1)視野検査時、視力は矯正0.5以上であること。固視良好であること。偽陽性・偽陰性が20%未満であること。眼瞼下垂の影響がないこと。視野異常があること。
2)対象期間(最終視野検査日−初回視野検査日)が、36ヶ月以上であること。
3)対象期間中に5回以上の適正視野があること。
4)第一のランク割り当てにおいて、「適正(U)」に属していること。
視野進行は、眼圧コントロールのよい場合、次のリスクとして、全身性など他の要因を受けることが知られている。対象視野眼の選択においては、眼圧の影響を排除する必要がある。したがって、次の条件を基準に、視野選択眼を決定する。
1)連続5回の平均眼圧差≧2.0
2){2>連続5回の平均眼圧差≧1.0}∧連続5回一方の眼圧が高い時
以上においては、非進行眼選択。
3)1.0>連続5回の平均眼圧差
4){2>連続5回の平均眼圧差≧1.0}∧連続して5回は一方の眼圧が高くない時
以上においては、進行眼選択。ただし、対象期間中で長期的に判断をする。
第1の態様の他の実施形態において、前記対象者における緑内障進行度の改善または悪化を判定する工程をさらに含む判定補助方法が提供される。1つの例において、前記改善・悪化判定工程は、第一のGRM値と、その一定期間後に測定した第二のGRM値とを比較する工程を含み、GRMの値が増加するにつれて、緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されるようGRM値が設定された場合、前記改善・悪化判定工程において、第二のGRM値が第一のGRM値より小さい場合に「改善」と判定され、第二のGRM値が第一のGRM値より大きい場合に「悪化」と判定される、判定補助方法が提供される。
他の例において、前記改善・悪化判定工程は、第一のRL(1)と、その一定期間後に測定した第一のRL(2)とを比較する工程を含み、第一のRLの値が増加するにつれて、緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されるよう第一のRL値を設定した場合、前記改善・悪化判定工程において、第一のRL(2)が第一のRL(1)より小さい場合に「改善」と判定され、第一のRL(2)が第一のRL(1)より大きい場合に「悪化」と判定される、判定補助方法が提供される。
さらに他の例において、前記改善・悪化判定工程が、少なくともHFおよびLFを含む心拍変動パラメータが各パラメータの適正範囲内にあるかを評価(第一の評価)し、前記評価の一定期間後に同パラメータが各パラメータの適正範囲内にあるかを評価(第二の評価)し、前記改善・悪化判定工程において、第一の評価が適正範囲外であり、第二の評価が適正範囲内である場合に「改善」と判定され、第一の評価が適正範囲内であり、第二の評価が適正範囲外である場合に「悪化」と判定され、第一の評価及び第二の評価が共に適正範囲外または内である場合に「不定」と判定される、判定補助方法が提供される。この例において、少なくともHFおよびLFを含む心拍変動パラメータは、HF、LFおよびLF/HFを含んでよく、さらに、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNまたはTPを含んでもよい。
前記一定期間は、限定するものではないが、数時間(例えば、2時間)、数日(例えば、2日)、数週間(例えば、2週間)、数か月(例えば、2ヶ月)、数年(例えば、2年、5年、10年)であってよい。これらの例では、2つの時点間の第一のRL間またはGRM間の変化を比較したが、これらに限定されない。例えば、少なくとも3つの時点間の第一のRL、GRM値、または評価の変化から判定してもよい。
本発明の第2の態様は、対象における緑内障のリスクレベルを判定する判定装置を提供する。前記判定装置は、算出部と、判定部と、表示部と、データベースとを備え、前記データベースは、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含む心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータに対応する適正範囲に関するデータ(適正範囲データ)と、第一のRLに関するデータ(第一のRLスコアデータ)と、RLに関する閾値のデータ(閾値RLデータ)とを格納し、前記算出部は、対象から得られた前記心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータ値と、前記適正範囲データと、第一のRLスコアデータとを用いて、緑内障の進行度又はその発症リスクに関する第一のリスクレベル(第一のRL)を算出し、前記判定部は、前記第一のRLと、閾値RLデータから取得された閾値RLとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が速い又はその発症リスクが高いかを判定(第一の判定)し、前記表示部は、前記判定部の判定結果を表示する。
本明細書中に記載の心拍変動パラメータ群および各心拍変動パラメータ;第一のRLの算出工程;閾値RL;および判定工程などの要素に関する特徴は、この態様に係る当該要素にも適用される。
図8は、第2の態様の1つの実施形態に係る判定装置1の概略構成を示すブロック図である。判定装置1は、その全体動作を制御する制御部11と、ユーザが入力を行う入力部16と、画面表示を行う表示部17と、データベース14を格納した記憶装置13とを備える。判定装置1は、インターフェース20を介して、測定部30と接続されている。
制御部11は、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路と、メモリ(主記憶装置)とで構成されることができる。制御部11のプロセッサは、メモリにロードされたコンピュータプログラムを実行する。制御部11は、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する判定機能を実現することができる。制御部11は、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現してもよいし、ハードウェアのみで所定の機能を実現してもよい。
記憶装置13は補助記憶装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)であってよい。記憶装置13には、例えば、コンピュータプログラムが格納されている。コンピュータプログラムは、メモリにロードされてプロセッサにより実行される。前記コンピュータプログラムは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを含む。
前記アプリケーションプログラムは、第一のRLを算出するRL算出プログラム、データベース14に格納されている閾値データから閾値RLを取得する閾値RL取得プログラム、後述する判定機能を機能させる判定プログラム、及び判定結果などを表示させる表示プログラムを含む。この例では、記憶装置13には、データベース14が格納されている。
図15は、1つの実施形態に係るデータベース14の概略構成を示すブロック図である。データベース14には、心拍変動パラメータそれぞれに対応する上限値と下限値とで規定される適正範囲に関する適正範囲データ101、後述する第一〜第三のランク割り当ての各組合せに対応する第一のRLに関する第一のRLスコアデータ102、第一のRLに関する閾値のデータ(閾値RLデータ103)が格納されている。適正範囲データ101は、例えば後掲の表10および表11で示されるデータを含。第一のRLスコアデータ102は、例えば後掲の表12で示されるデータ、非進行群境界値データ104、進行群境界値データ105、第二のRLスコアデータ106、および閾値GRMデータ107を含む。閾値RLデータ103には、例えば、緑内障の進行群と非進行群とを判別するための閾値RLのデータを含む。閾値RLのデータは、対象の特徴(例えば、性別、人種および地域)に基づいてサブグループに分け、そのサブグループにおいて緑内障の進行群と非進行群とを判別するための、閾値RLデータを複数含んでよい。データベース14には、さらに識別情報(例えば氏名、年齢および/またはID)が付与された測定部30による測定データおよび後述のリスクレベルなどのデータが格納されてもよい。
1例として、性別(男女)に基づいてサブグループに分けた閾値RLのデータを表8に示す。
Figure 0006489707
データベース14が磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリなどの記憶媒体に格納されている場合、記憶装置13は、記憶媒体に対して情報を読み出す/書き込むドライブ装置と、その記憶媒体とにより構成されてもよい。
制御部11は、対象から得られた心拍変動パラメータ値と、前記適正範囲データと、第一のRLデータとに基づいて第一のRLを算出し、得られた第一のRLと、前記閾値RLデータから取得された閾値RLとを比較して、前記対象が緑内障の発症リスクが高い又は進行度が速いかを判定(第一の判定)する第一の判定機能を有する。制御部11の第一の判定機能は、制御部11のメモリにロードされた上述のRL算出プログラム、閾値RL取得プログラム及び判定プログラムを含むアプリケーションプログラムを制御部11のプロセッサを含む処理回路にて実行することで、実現される。
入力部16は、ユーザが必要な情報(識別情報)および指示を制御部11に入力するための機器または装置により構成される。入力部16は、例えばキーボード、マウス、および音声認識装置であってよい。
図9は、ユーザが入力する入力画面の一例を示す。この例において、ユーザが入力する情報は、検査日、氏名、年齢およびID番号を含む識別情報、[2]眼圧を含む緑内障進行度関連パラメータの値、および[10]HFを含む心拍変動パラメータの値に関するデータ情報を含む。図9に示す入力画面は、例示であって、本発明に係る判定装置で示される入力画面はこれに限定されない。例えば、入力画面は、識別情報を入力する入力部分および当該対象者の測定データが格納されたデータベースを指定する指定部分を含んでもよい。
表示部17は、制御部11の判定結果などをユーザに知覚させることが可能な装置により構成され、例えばディスプレイ、表示灯、スピーカーおよびプリンターであってよい。
測定部30は、心拍変動を測定するための装置または眼圧を測定するための装置により構成される。測定部30は、例えば、指尖容積脈波測定装置であってよい。測定部30は、測定データを、インターフェースを介して制御部11へ出力する機能を有する。
図8において、測定部30と制御部11とを繋ぐ実線は、それらの要素間の有線または無線によるデータおよび信号の送受信を機能させるインターフェースを含む送受信機により構成される。図8において、これら以外の各要素を繋ぐ実線も同様である。
上記例では、データベース14は判定装置1内部の記憶装置13に格納されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。データベース14は、例えば判定装置1の外部に存在する記憶装置に格納されていてもよい。このような記憶装置は、例えば、光ディスクなどの記憶媒体の全部または一部により構成されてよく、本発明に係る判定装置とネットワークにより接続されるサーバに記憶装置が設けられていてもよい。
上記例では、判定装置1は外部に存在する測定部30と接続されているが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、判定装置1の内部に測定装置30が存在してもよい。測定装置30を用いて得られた測定データを、制御部11に読み込ませ、例えば、データベース14に格納させてもよい。
本発明に係る判定装置の動作を、図8〜11を用いて説明する。
ユーザが入力部16を使用して、制御部11に対する指示および必要な情報(識別情報およびパラメータ値を含む)を入力する(図8)。図9で示される入力画面の例によれば、氏名、ID番号、検査日を含む識別情報と、[1]年齢(識別情報として入力されてもよい)、[2]眼圧および[28]m−HRTを含む緑内障進行度関連パラメータの値と、[24]LFを含む心拍変動パラメータの値とを入力する。制御部11のプロセッサは、入力部16を介してユーザからの指示および識別情報およびパラメータ値の入力があると、第一のRLの算出を行う(図10)。
第一のRLの算出ステップ(S11)では、プロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされたRL算出プログラムを実行する。
図11は、第一のRL算出ステップ(S11)における第一のRLの算出を示すフローチャートである。実行されたRL算出プログラムは、ユーザが入力した心拍変動パラメータを参照し、データベース14に格納された対応する心拍変動パラメータに関する適正範囲データを取得する(S31)。
実行されたRL算出プログラムは、心拍変動パラメータLFおよびHFの各値と、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第一のランク割り当てを実行する(S32)。ステップS32では、LF値およびHF値のそれぞれが、それらに関して予め設定された適正範囲内(即ち、その下限値以上かつその上限値以下)の場合に「適正(U)」が割り当てられ、LF値またはHF値もしくはその両方が、当該下限値未満の場合に「適正外(G1)」が割り当てられ、又は当該上限値超の場合に「適正外(G2)」が割り当てられる。
実行されたRL算出プログラムは、心拍変動パラメータLF/HF値と、前記適正範囲データ101内のそれに対応する適正範囲とに基づいて第二のランク割り当てを実行する(S33)。ステップS33では、LF/HF値がその上限値超の場合に「高い(H)」が割り当てられ、下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」が割り当てられ、及び下限値未満の場合に「低い(L)」が割り当てられる。
実行されたRL算出プログラムは、LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPからなる心拍変動パラメータ群より選択される心拍変動パラメータの値と、各上限値および下限値で規定される適正範囲とに基づいて第三のランク割り当てを実行する(S34)。ステップS34では、例えば、ユーザが入力したLF値が、LFに関する適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3等分した数値範囲の、中央の数値範囲にあるか、その上限側の数値範囲にあるか、又はその下限側の数値範囲にあるかを識別する。残りのパラメータについても同様に識別する。かかる識別の結果、LFまたはHFもしくはその両方を含む少なくとも4種の心拍変動パラメータの各パラメータ値が、前記した中央の数値範囲にある場合に「非活性・非抑制(N)」が割り当てられ、前記した上限側の数値範囲にある場合に「活性(K)」が割り当てられ、及び前記した下限側の数値範囲にある場合に「抑制(Y)」が割り当てられる。
実行されたRL算出プログラムは、次いで、ステップS32、S33およびS34のそれぞれで割り当てられた第一〜第三のランク(1、2、3)に対応する第一のRLを、データベース14に格納された第一のRLスコアデータ102から取得する(S35)。これにより、第一のRLが算出される。
制御部11のプロセッサは、第一のRLが算出されると、閾値RLデータ103から閾値RLの取得を行う(図10)。閾値RL取得ステップ(S12)では、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた閾値RL取得プログラムを実行する。実行された閾値RL取得プログラムは、ユーザが入力した識別情報を参照し、データベース14に格納された閾値RLのデータから対応する閾値RLを取得する。
制御部11は、記憶装置13からの閾値RLのデータを受信すると、判定を行う(S13)。判定ステップ(S13)では、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた判定プログラムを実行する。実行された判定プログラムは、算出された第一のRLと、閾値RL取得ステップで取得された閾値RLとを比較する。判定プログラムにより、前記第一のRLが閾値RLよりも大きい場合に緑内障の発症リスクが高い又は進行度が速い(YES)と判定され(S14)、前記第一のRLが閾値RL以下の場合に緑内障の発症リスクが低い又は進行速度が遅い(NO)と判定され(S15)、その判定結果を含む判定データが生成される。
制御部11のプロセッサは、判定データが生成されると、表示部17に判定結果を表示する(S16)。判定結果表示ステップ(S16)では、プロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた表示プログラムを実行し、判定結果に応じた映像信号をディスプレイに出力する。ディスプレイは、入力された映像信号をもとに、判定結果を表示する。
上記の例では、心拍変動パラメータの値は、ユーザが入力部16を介して入力したが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、入力部16を介してユーザからの指示および識別情報の入力があると、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされたRL算出プログラムを実行する。実行されたRL算出プログラムは、入力された識別情報に基づいて、記憶装置13に格納された対応する心拍変動パラメータの測定データを取得することができる。
上記の例で示す第一のRLの算出ステップ(S11)では、第一のランク割り当て(S32)、第二のランク割り当て(S33)、続いて第三のランク割り当て(S34)の順で実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、第一のRLの取得ステップ(S35)が実行されるまでに、第一のランク割り当て(S32)、第二のランク割り当て(S33)および第三のランク割り当て(S34)が行われればよい。従って、第一のランク割り当てと第二のランク割り当てと第三のランク割り当てとは同時に行われてもよく、第三のランク割り当て、第二のランク割り当て続いて第一のランク割り当ての順に実施されてもよい。
上記の例で示す第一のRLの算出ステップ(S11)では、各心拍変動パラメータに関する適正範囲の取得(S31)は、第一〜第三のランク割り当て(S32〜S34)に先行して実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、ランク割り当てに対応する心拍変動パラメータに関する適正範囲のみを、そのランク割り当てに先行して行うことができる。従って、最初に、第一のランク割り当て(S32)が実行される場合、その実行に先行して、心拍変動パラメータHFおよびLFに関する各適正範囲のみが取得されてもよい(S31)。続いて、第二のランク割り当て(S33)が実行される場合、その実行に先行して、心拍変動パラメータLF/HFに関する適正範囲のみが取得されてもよく、あるいは、他の心拍変動パラメータRMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPが取得されてもよい。
上記の例では、閾値RL取得ステップ(S12)は第一のRLの算出ステップ(S11)の後に実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、判定ステップ(S13)が実行されるまでに、閾値取得ステップ(S12)および第一のRLの算出ステップ(S11)が行われればよい。従って、閾値取得ステップ(S12)は、第一のRLの算出ステップ(S11)と同時に行われてもよく、第一のRLの算出ステップ(S11)に先行して実施されてもよい。
上記の例において算出された第一のRLを含む生成された判定データは、対象者の識別情報(例えば氏名、年齢、ID番号、検査日)を含めて、データベース14に格納されてもよい。
第2の態様の他の実施形態は、前記判定装置において、該算出部が緑内障進行度関連パラメータ群より選択される少なくとも9種類の緑内障進行度関連パラメータに基づいて緑内障リスクマーカー(GRM)値を算出することをさらに含み、該判定部が前記GRM値をそれに関する閾値(閾値GRM)と比較し、緑内障の発症リスク又はその進行度をさらに判定することを含む、判定装置を提供する。GRM値は、第1の態様に記載したように算出される。
本明細書中に記載の緑内障進行度関連パラメータ群、各緑内障進行度関連パラメータ、非進行群パラメータおよび進行群パラメータ;第二のRLおよびGRMの算出工程;閾値GRM;および更なる判定工程などの要素に関する特徴は、この実施形態に係る当該要素にも適用される。
この実施形態に係る判定装置の動作を、図8、12および13を用いて説明する。
ユーザが入力部16を使用して、制御部11に対する指示および必要な情報を入力する(図8)。この例では、記憶装置13は、上記したアプリケーションプログラムに加えて、GRMを算出するGRM算出プログラム、データベース14に格納されている閾値データから閾値GRMを取得する閾値GRM取得プログラムを更に含む。
制御部11のプロセッサは、入力部16を介してユーザからの指示および識別情報およびパラメータ値の入力があると、第一のRLの算出を行う(図12)。第一のRL算出ステップ(S11)における判定装置の動作は、上記したとおりである。
制御部11のプロセッサは、第一のRLが算出されると、GRM値の算出を行う(S21)。GRM値算出ステップ(S21)では、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされたGRM取得プログラムを実行する。
図13は、GRM値算出ステップ(S21)におけるGRM値の算出を示すフローチャートである。実行されたGRM値算出プログラムは、ユーザが入力した緑内障進行度関連パラメータを参照し、データベース14に格納された非進行群境界値データ104、進行群境界値データ105から、対応する緑内障進行度関連パラメータに関する各境界値を取得する(S51)。
実行されたGRM算出プログラムは、非進行群パラメータ計数値を算出する(S52)ステップS52では、ユーザが入力した緑内障進行度関連パラメータのうち、非進行群パラメータに分類される緑内障進行度関連パラメータの値と、取得した対応する非進行群パラメータの境界値とを比較して、境界値を超えるかについて識別される。該識別後に、非進行群パラメータのうち、境界値を超えた緑内障進行度関連パラメータの数を計数して、非進行群パラメータ計数値が算出される。
同様に、実行されたGRM算出プログラムは、進行群パラメータ計数値を算出する(S53)。ステップS53では、ユーザが入力した緑内障進行度関連パラメータのうち、進行群パラメータに分類される緑内障進行度関連パラメータの値と、取得した対応する進行群パラメータの境界値とを比較して、境界値を超えるかについて識別される。該識別後に、進行群パラメータのうち、境界値を超えた緑内障進行度関連パラメータの数を計数して、進行群パラメータ計数値が算出される。
実行されたGRM算出プログラムは、続いて、第二のリスクレベル(RL)を算出する(S54)。ステップS54では、前記進行群パラメータの計数値から前記非進行群パラメータの計数値を減じ、減算値を算出し、次いで、該減算値に対応する第二のRLを、データベース14に格納された第二のRLスコアデータ106から取得する。これにより、第二のRLが算出される。
実行されたGRM算出プログラムは、続いて、緑内障リスクマーカー(GRM)を算出する(S55)。ステップS55では、ステップS11で算出された第一のRLと、ステップS54で算出された第二のRLとを乗じる。これにより、GRM値が算出される。
制御部11のプロセッサは、GRM値が算出されると、閾値GRMの取得を行う(図12)。閾値GRM取得ステップ(S22)では、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた閾値GRM取得プログラムを実行する。実行された閾値GRM取得プログラムは、ユーザが入力した識別情報を参照し、データベース14に格納された閾値GRMデータ107から対応する閾値GRMを取得する。
制御部11は、記憶装置13からの閾値GRMのデータを受信すると、判定を行う(S23)。判定ステップ(S23)では、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた判定プログラムを実行する。実行された判定プログラムは、算出されたGRM値と、取得された閾値GRMとを比較する。判定プログラムにより、前記GRM値が閾値RLよりも大きい場合に緑内障の発症リスクが高い又は進行度が速い(YES)と判定され(S24)、前記GRM値が閾値GRM以下の場合に緑内障の発症リスクが低い又は進行速度が遅い(NO)と判定され(S25)、その判定結果を含む判定データが生成される。
制御部11のプロセッサは、判定データが生成されると、表示部17に判定結果を表示する(S26)。判定結果表示ステップ(S26)では、プロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされた表示プログラムを実行し、判定結果に応じた映像信号をディスプレイに出力する。ディスプレイは、入力された映像信号をもとに、判定結果を表示する。
図14は、ディスプレイに表示された判定結果を表す表示画面の一例である。該表示画面は、第一のRLおよびGRM値を含む対象者の判定結果(a)、入力画面に対応する表示(b)、および対象者の緑内障進行度関連パラメータ値と、進行群パラメータの境界値と、非進行群パラメータの境界値とを含む折れ線グラフ(c)を含む。図14で示す表示画面は例示であって、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。判定結果の表示(a)は、判定結果のみを表示し、第一のRLおよび/またはGRM値は表示しなくてもよい。入力画面に対応する部分(b)は表示させなくてもよく、対象者に関する識別情報(氏名、年齢およびID番号)や検査日のみを表示させてもよい。緑内障進行度関連パラメータ値に関する表示(c)は、表示させなくてもよい。この例では、非進行群パラメータでもあり、進行群パラメータでもある緑内障進行度関連パラメータ[9]〜[21]の一部を表示させたが全部を表示させてもよい。緑内障進行度関連パラメータ[1]〜[8]および[22]〜[29]の一部または全部を含めて表示させてもよい。
上記の例では、緑内障進行度関連パラメータの値は、ユーザが入力部16を介して入力したが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、入力部16を介してユーザからの指示および識別情報の入力があると、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされたGRM算出プログラムを実行する。実行されたGRM算出プログラムは、入力された識別情報に基づいて、記憶装置13に格納された対応する緑内障進行度関連動パラメータの測定データを取得することができる。
上記の例で示すGRM算出ステップ(S21)では、非進行群パラメータ計数値の算出(S52)、続いて進行群パラメータ計数値の算出(S53)の順で実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、第二のRLの算出ステップ(S53)が実行されるまでに、非進行群パラメータ計数値の算出(S52)および進行群パラメータ計数値の算出(S53)が行われればよい。従って、非進行群パラメータ計数値の算出(S52)と進行群パラメータ計数値の算出(S53)とは同時に行われてもよく、進行群パラメータ計数値の算出(S53)、続いて非進行群パラメータ計数値の算出(S52)の順に実施されてもよい。
上記の例で示すGRM算出ステップ(S21)では、緑内障進行度関連パラメータに関する境界値(非進行群パラメータに関する境界値および進行群パラメータに関する境界値を含む)の取得(S51)は、非進行群パラメータ計数値の算出(S52)と進行群パラメータ計数値の算出(S53)とに先行して実施されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、各計数値の算出(S52、S53)に対応する緑内障進行度関連パラメータに関する境界値のみを、その計数値算出に先行して行うことができる。従って、最初に、非進行群パラメータ計数値の算出(S52)が実行される場合、その実行に先行して、非進行群パラメータに関する境界値のみが取得されてもよい。続く、進行群パラメータ計数値の算出(S53)が実行される前に、進行群パラメータに関する境界値が取得されてもよい。
上記の例では、第一のRLの算出ステップ(S11)は、GRM値の算出ステップ(S21)に先行して、より詳細にはステップS51に先行して実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、GRM値の算出ステップ(S55)までに、第一のRL算出ステップ(S11)が行われればよい。従って、第一のRL算出ステップ(S11)は、第二のRLの算出と同時に行われてもよく、第二のRLの算出の後に行われてもよい。
上記の例では、第一のRLの算出ステップ(S11)を実施する例を示したが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、入力部16を介してユーザからの指示および識別情報の入力があると、制御部11のプロセッサは、記憶装置13からメモリにロードされたGRM算出プログラムを実行する。実行されたGRM算出プログラムは、入力された識別情報に基づいて、記憶装置13に格納された対象者の識別情報および第一のRLを含む判定データから、対応する第一のRLを取得することができる。
上記の例では、閾値GRM取得ステップ(S22)はGRMの算出ステップ(S21)の後に実行されたが、本発明に係る判定装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る判定装置では、判定ステップ(S23)が実行されるまでに、閾値取得ステップ(S22)およびGRMの算出ステップ(S21)が行われればよい。従って、閾値取得ステップ(S22)は、GRMの算出ステップ(S21)と同時に行われてもよく、GRMの算出ステップ(S21)に先行して実施されてもよい。
上記の例において算出されたGRMを含む生成された判定データは、対象者の識別情報(例えば氏名、ID番号、検査日)を含めて、データベース14に格納されてもよい。
本発明の他の態様は、コンピュータ読み取り可能な、対象における緑内障のリスクレベルの判定するプログラムを提供する。該プログラムは、コンピュータに、対象から得られた心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータを取得するステップと、前記取得した心拍変動パラメータに基づいて、緑内障の進行度又はその発症リスクに関する第一のリスクレベル(第一のRL)を算出するステップと、第一のRLに関する閾値(閾値RL)を取得するステップと、前記算出した第一のRLと取得した閾値RLとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が速い又はその発症リスクが高いかを判定するステップと、前記判定の結果に基づいて対象の緑内障のリスクレベルを示す情報を表示手段に表示させるステップと、を実行させる。
1つの実施形態において、前記プログラムは、前記対象から得られた緑内障進行度関連パラメータ群より選択される少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータを取得するステップと、前記取得した少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータに基づいて緑内障の第二のリスクレベル(第二のRL)を算出するステップと、前記第一のRLと該第二のRLとを乗じて緑内障リスクマーカー(GRM)値を算出するステップと、GRMに関する閾値(閾値GRM)を算出するステップと、前記GRM値と取得した閾値GRMとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が早い又はその発症リスクが高いかをさらに判定するステップと、を含む。
この態様において、第一のRLの算出ステップ、第二のRLの算出ステップ、GRMの算出ステップ、心拍変動パラメータ群および各心拍変動パラメータならびにそれらの適正範囲、緑内障進行度関連パラメータ群および各緑内障進行度関連パラメータならびにそれらのうち進行群パラメータ、非進行群パラメータに関する境界値、閾値RLおよび閾値GRMなどの要素に関する特徴は、このよう態様に係る当該要素にも適用される。
[心拍変動データの取得]
緑内障患者128名を対象者として、心拍変動データ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTP)を、安静時、5分間仰臥位にてMedicore社製のSA−3000P(HRV mode)を使用して取得した。心拍変動測定中の、体動および咳による影響時の心拍変動測定の結果は除外した。
[HFについての適正範囲の上限値の設定]
HFについての適正範囲の上限値は、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の上限値として550(ms)を用いた場合、124名分のデータ(約97%)が含まれた。
[LFについての適正範囲の下限値の設定]
LFについての適正範囲の下限値は、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として10(ms)を用いた場合、124名分のデータ(約97%)が含まれた。
[LF/HFについての適正範囲の上限値および下限値の設定]
LF/HFについての適正範囲の下限値は、その下限値以上に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として0.2を用いた場合、122名分のデータ(約95%)が含まれた。
LF/HFについての適正範囲の上限値は、128名の対象者の平穏時のLF/HF比は0.95±0.87であり、発症時のLF/HF比は2.63±1.22であった。該適正範囲の上限値として、平穏時のLF/HF比と発症時のLF/HF比から2.0とした。
[RMSSDについての適正範囲の上限値および下限値の設定]
RMSSDについての適正範囲の下限値は、HFについての適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として10を用いた場合、94名分のデータ(約96%)が含まれた。
RMSSDについての適正範囲の上限値は、HFについての適正範囲の上限値超の対象者データにおけるRMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値を用いた。HFについての適正範囲の上限値超(HF>550)の対象者データにおけるRMSSDの最低値は59.793であった。RMSSDについての適正範囲の上限値として58を用いた。
[HF/RMSSDについての適正範囲の上限値および下限値の設定]
HF/RMSSDについての適正範囲の下限値は、HFについての適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として2.4を用いた場合、94名分のデータ(約96%)が含まれた。
HF/RMSSDについての適正範囲の上限値は、HFについての適正範囲の上限値超の対象者データにおけるHF/RMSSDの最低値未満であって、該最低値に近い値を用いた。HFについての適正範囲の上限値超(HF>550)の対象者データにおけるHF/RMSSDの最低値は8.201であった。HF/RMSSDについての適正範囲の上限値は8とした。
[SDNNについての適正範囲の上限値および下限値の設定]
SDNNについての適正範囲の上限値は、その上限値以下に対象者データの少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の上限値として54を用いた場合、122名分のデータ(約95%)が含まれた。
SDNNについての適正範囲の下限値は、HFについての適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として12を用いた場合、96名分のデータ(約98%)が含まれた。

[TPについての適正範囲の上限値および下限値の設定]
TPについての適正範囲の下限値は、HFについての適正範囲の下限値未満(HF<30)の対象者データを除いた98名分の対象者データのうちその下限値以上に少なくとも95%が含まれる値を用いた。該適正範囲の下限値として100を用いた場合、95名分のデータ(約97%)が含まれた。
TPについての適正範囲の上限値は、HFについての適正範囲の上限値超の対象者データにおけるTPの最低値未満であって、該最低値に近い値を用いた。HFについての適正範囲の上限値超(HF>550)の対象者データにおけるTPの最低値は1617であった。TPについての適正範囲の上限値は1600とした。
[HFについての適正範囲の下限値、及びLFについての適正範囲の上限値の設定]
図1aは、横軸をHF値とし、縦軸をLF値とした散布図であり、HF、LFについての適正範囲の上限値および下限値に基づいてエリア分けしたマトリックス図である。HFの適正範囲の下限値未満のエリアを低範囲(L)とし、適正範囲の下限値以上かつ上限値以下のエリアを適正範囲(N)とし、適正範囲の上限値超のエリアを高範囲(H)とした。HFの各エリアに関して、LFの適正範囲の上限値超のエリアはそれぞれL1、N1およびH1とし、LFの適正範囲の上限値以下で、かつ下限値以上のエリアはそれぞれL2、N2およびH2とし、LFの適正範囲の下限値未満のエリアはそれぞれL3、N3およびH3とした。
HFについての適正範囲の下限値未満であり、かつLFについての適正範囲の上限値超の対象データ(図1a、L1エリア)が1%未満となるよう、該下限値および該上限値を設定する。HFについての適正範囲の下限値を30とし、LFについての適正範囲の上限値を325とした場合、L1エリアに入る対象データは無かった(0%)(図1b)。
HFについての適正範囲の下限値を30としたこと、及びLFについての適正範囲の上限値を325としたことの妥当性を、心拍変動パラメータLF/HFを用いて検証した。128名分の対象者データのうちHFデータを、その適正範囲の下限値30未満のグループと下限値30以上のグループとに分け、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、該グループ間に有意差があるかをt検定により検証した(表9)。同様に、128名分の対象者データのうちLFデータを、その適正範囲の上限値325以下のグループと上限値325超のグループとに分け、各グループの平均値及び標準偏差を算出し、該グループ間に有意差があるかをt検定により検証した(表9)。
Figure 0006489707
表9で示されるように、HF値30を境界値として2つのグループに分けた場合、両グループが有意に異なるグループであることが示された。したがって、HFの適正範囲の下限値を30としたことは、対象者群を区別するための境界値として妥当であることが示された。同様に、LF値325を境界値として2つのグループに分けた場合、両グループが有意に異なるグループであることが示された。したがって、HFの適正範囲の下限値を30としたことは、対象者群を区別するための境界値として妥当であることが示された。
同様に、LF値325を境界値として2つのグループに分けた場合、両グループが有意に異なるグループであることが示された。したがって、LFの適正範囲の上限値を325としたことは、対象者群を区別するための境界値として妥当であることが示された。
他の心拍変動パラメータRMSSDを用いて、HFについての適正範囲の下限値30およびLFについての適正範囲の上限値325が妥当であるかを検証したところ、それらを境界値が対象者群を区別するための境界値として妥当であることが支持された。HFについての適正範囲の下限値30の妥当性は、心拍変動パラメータLFを用いた検証でも支持された。
設定された各心拍変動パラメータの適正範囲の上限値および下限値を表10にまとめる。
Figure 0006489707
[第一のランク割り当て]
対象者のLF値およびHF値が、表10で示すそれらに関する適正範囲の下限値以上かつ上限値以下の場合に「適正(U)」を割り当て、LF値またはHF値もしくはその両方が当該下限値未満の場合に「適正外(G1)」を割り当て、及び当該上限値超の場合に「適正外(G2)」を割り当てた。
[第二のランク割り当て]
対象者のLF/HFが、表10で示す該適正範囲の上限値超の場合に「高い(H)」を割り当て、下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」を割り当て、及び下限値未満の場合に「低い(L)」を割り当てた。
[第三のランク割り当て]
LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPからなる心拍変動パラメータ群より選択され、かつLFまたはHFもしくはその両方を含む少なくとも4種の心拍変動パラメータ値が、各心拍変動パラメータに関して設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3等分した数値範囲の、中央の数値範囲にある場合に「非活性・非抑制(N)」を割り当て、その上限側の数値範囲にある場合に「活性(K)」を割り当て、及びその下限側の数値範囲にある場合に「抑制(Y)」を割り当てた(表11)。
Figure 0006489707
[第一のリスクレベルの取得]
上記で取得した第一〜第三のランク割り当ての組合せ(第一、第二、第三のランク割り当て)について、以下の対応表に従って、該組合せをスコア化し、第一のリスクレベル(RL)を取得した。
Figure 0006489707
本明細書における実施例において、閾値RLは0.625とした。対象者の第一のRLと閾値RLとを比較して、第一のRLの値が閾値RL以上の場合に、緑内障の発症リスクがある又はその進行度が速いと判定される。
[緑内障進行度関連パラメータの分類]
上記緑内障患者30名を対象者として、[1]年齢(Age)は問診にて取得し、[2]眼圧(以下「IOP」)は圧平眼圧計にて測定し、心拍変動パラメータは安静時、5分間仰臥位にてMedicore社製のSA−3000P(HRV mode)を使用して測定した。問診結果および測定結果を用いて、以下の各パラメータ、[3]Age/IOP、[4]Age×IOP、[5]SDNN、[6]PSI、[7]TSRD、[8]超低周波/age(以下「VLF/age」とする。)、[9]Age/(LF/HF)、[10]HF、[11]LF/(HF/RMSSD)、[12]HF/RMSSD、[13](HF/RMSSD)/(LF/HF)、[14]RMSSD/(LF/HF)、[15]HF/SDNN、[16]SDNN/(HF/RMSSD)、[17]TP/LF、[18]HF/TP、[19]TP×(LF/HF)、[20](HF/RMSSD)/SRD、[21](HF/RMSSD)/ApEn、[22]Age/(HF/RMSSD)、[23]Age×RMSSD、[24]LF、[25]LF/HF、[26]RMSSD、[27]TP、[28]m−HRTおよび[29]ApEnを取得した。これらの29種のパラメータを、非進行群パラメータ([1]〜[21])と進行群パラメータ([9]〜[29])とに分けた。
30名の対象者のMDスロープを算出した。算出したMDスロープ値に基づいて、対象者30名を、緑内障進行対象群(MDスロープ≦−0.4)と非進行対象群(MDスロープ>−0.4)とに分けた。
[緑内障進行度関連パラメータの境界値の設定]
非進行群パラメータと進行群パラメータでは、パラメータ[9]〜[21]が重複している。重複する各パラメータに関して、当該非進行対象群の上限値が対応する進行対象群の上限値よりも大きく、且つ当該非進行対象群の下限値が対応する進行対象群の下限値よりも大きい場合、非進行群パラメータの境界値はその進行対象群の上限値超の値を用いた。当該非進行対象群の上限値が対応する進行対象群の上限値よりも小さく、且つ当該非進行対象群の下限値が対応する進行対象群の下限値よりも小さい場合、非進行群パラメータの境界値はその進行対象群の下限値未満の値を用いた。
重複する各パラメータに関して、当該進行対象群の上限値が対応する非進行対象群の上限値よりも小さく、且つ当該進行対象群の下限値が対応する非進行対象群の下限値よりも小さい場合、進行群パラメータの境界値はその非進行対象群の下限値未満の値を用いた。当該進行対象群の上限値が対応する非進行対象群の上限値よりも大きく、且つ当該進行対象群の下限値が対応する非進行対象群の下限値よりも大きい場合、進行群パラメータの境界値はその非進行対象群の上限値超の値を用いた。
非進行群パラメータ[12]HF/RMSSDの場合、非進行対象群の上限値が対応する進行対象群の上限値よりも大きく、且つ当該非進行対象群の下限値が対応する進行対象群の下限値よりも大きいため(図2a)、その進行対象群の上限値超の値「>6.5」を非進行群パラメータ[12]の境界値とした。同様に、非進行群パラメータ[20](HF/RMSSD)/SRDの場合、その進行対象群の上限値超の値「>5.5」を非進行群パラメータ[20]の境界値とした(図2b)。
進行群パラメータ[12]HF/RMSSDの場合、進行対象群の上限値が対応する非進行対象群の上限値よりも小さく、且つ当該進行対象群の下限値が対応する非進行対象群の下限値よりも小さいため(図2a)、その進行対象群の下限値未満の値「<2.5」を進行群パラメータ[12]の境界値とした。同様に、進行群パラメータ[20](HF/RMSSD)/SRDの場合、その非進行対象群の下限値未満の値「<3.0」を進行群パラメータ[20]の境界値とした(図2b)。
非進行群パラメータ[1]〜[8]のうち、パラメータ[3]Age/IOP、[5]SDNN、[6]PSI、[7]TSRD、[8]超低周波/age、および[9]Age/(LF/HF)に関しては、対応する進行対象群の上限値超の値を用いた。非進行群パラメータ[3]Age/IOPの場合、対応する進行対象群の上限値超の値「>6.5」を非進行群パラメータ[3]の境界値とした(図2c)。
非進行群パラメータ[1]〜[8]のうち、パラメータ[1]Age、[2]IOPおよび[4]Age×IOPに関しては、非進行群パラメータの境界値は対応する進行対象群の下限値未満の値を用いた。非進行群パラメータ[4]Age×IOPの場合、対応する進行群対象群の下限値未満の値「<600」を非進行群パラメータ[4]の境界値とした(図2d)。
進行群パラメータ[22]〜[29]のうち、パラメータ[26]RMSSDおよび[27]TPに関しては、進行群パラメータの境界値は対応する非進行対象群の下限値未満の値を用いた。進行群パラメータ[22]Age/(HF/RMSSD)、[23]Age×RMSSD、[24]LF、[25]LF/HF、[28]m−HRTおよび[29]ApEnに関しては、対応する進行対象群の上限値超の値を用いた。
このようにして、得られた進行群パラメータ[1]〜[21]および非進行群パラメータ[9]〜[29]の境界を以下の表13にまとめる。
Figure 0006489707
この例において、各緑内障進行度関連パラメータに付した番号([1]〜[29])は、便宜的に付したものであり、本発明に係る判定補助方法は、このような番号付に限定されるものではない。
[第二のリスクレベルの取得]
取得した上記緑内障患者30名の各緑内障進行度関連パラメータのうち、非進行群パラメータ[1]〜[17]の境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数した(非進行群パラメータ計数値)。同様にして、進行群パラメータ[9]〜[29]の境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数した(進行群パラメータ計数値)。進行群パラメータ計数値から非進行群パラメータ計数値を減じて、得られた減算値について、以下の対応表に従ってスコア化し、第二のリスクレベル(RL)を取得した。
Figure 0006489707
[緑内障リスクマーカー(GRM)値の算出]
以上のように取得した第一のRLと第二のRLとを乗じて、30名分の緑内障リスクマーカー(GRM)値をそれぞれ算出した。本明細書における実施例において、GRM値は最大値1から最小値0.025の範囲をとり、GRM値が高いほど(「1」に近いほど)緑内障の進行度が速い傾向を示し、GRM値が低いほど(「0.025」に近いほど)緑内障の進行度が緩やか又は遅い傾向を示す。閾値GRMとして、第一のRL「0.625」×第二のRL「0.5」=0.3125を用いた。
[実施例1]
30名分の対象者の各緑内障進行度関連パラメータ値が、表13に示した各緑内障進行度関連パラメータ[1]〜[29]の境界値を超えるか否かを評価した(表15)。表15において、各対象者の各緑内障進行度関連パラメータ値が非進行群パラメータ[1]〜[21]の境界値を超えた場合は「○」で示し、進行群パラメータ[9]〜[29]の境界値を超えた場合は「●」で示した。各対象者の「○」の数を計数し(非進行群パラメータ計数値)、同様に各対象者の「●」の数を計数した(進行群パラメータ計数値)。次いで、進行群パラメータ計数値(●の個数)から非進行群パラメータ計数値(○の個数)を減じて、減算値を得た(表15)。得られた減算値を、表14に示した対応表に従ってスコア化し、各対象者の第二のRLを取得した。例えば、対象者No.1の減算値は「−10」であるから、表14に従って、第二のRL「0.075」が得られた。
該30名分の心拍変動パラメータについて、表10および表11に示した各パラメータの数値範囲に基づいて、第一のランク割り当て、第二のランク割り当ておよび第三のランク割り当てを行い、第一〜第三のランク割り当て(第一、第二、第三のランク割り当て)の組合せを得た(表15)。得られた組合せを、表12に示した対応表に従ってスコア化し、各対象者の第一のRLを取得した。
Figure 0006489707
例えば、対象者No.1の第一〜第三のランク割り当て(第一、第二、第三のランク割り当て)の組合せは「ULN」であるから、表12に従って、第一のRL「0.55」が得られた。対象者No.1については、第二のRL「0.075」と第一のRL「0.55」とを乗じた約「0.0413」がGRM値として得られた。
対象者No.1のGRM値は0.0413であり、閾値GRM未満であった。従って、対象者No.1は緑内障の進行度が緩やか又は遅い傾向を示すことが示唆された。該対象者No.1のMDスロープ値は−0.324であり、緑内障の進行については非進行であると判断された。
[実施例2]
表15から、各対象者のGRM値とMDスロープ値との間には相関関係があると考えられ、該30名の緑内障対象者のGRM値と各対象者のMDスロープ値との相関関係を調べた(図3)。GRMの値が大きくなるにつれてMDスロープ値は低下し(図3)、GRM値とMDスロープ値との間には、−0.553(P=0.0015)の相関関係がみられた。したがって、本発明に係るGRM値は、MDスロープ値に相当し得る緑内障の進行度の指標となり得ることが示唆された。
[実施例3]
12年間の長期に渡って緑内障治療を受けている緑内障患者のMDスロープ値を算出した。MDスロープ値は−0.348であった(図4a)。MDスロープ値から、この緑内障患者は非進行と判定される。該対象者の治療開始前(12年前)と現在の7種の心拍変動パラメータ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTP)の値から、それぞれの第一のRL(図4b、黒棒)およびGRM値(図4b、白棒)を算出した。
治療開始前の第一のRLの値は0.625であり、現在の第一のRLの値は0.5であった。治療開始前の第一のRL値は、閾値RL「0.625」以上であり、緑内障の進行度が速いと判定された。現在の第一のRL値は閾値RL未満であり、緑内障進行度が緩やかと判定された。
治療開始前のGRM値は0.40625であり、現在のGRM値は0.15であった。治療開始前のGRM値は閾値GRM「0.3125」以上であり、緑内障の進行度が速いと判定された。現在のGRM値は閾値GRM未満であり、緑内障進行度が緩やかと判定された。
MDスロープ値は、通常、5回以上のMD値を2〜3年以上かけて取得し、それらから算出することで安定して緑内障の進行度の評価が可能になるとされている。これに対して、本発明に係る第一のRLまたはGRM値は、1回の測定結果から、緑内障の進行度を判定可能であることが理解される。本発明に係る第一のRLまたはGRM値によれば、従来、長期に渡る経過観察によって得られた緑内障の進行度に関する情報が一度の測定で得られ、緑内障の進行度に応じた適切な処置を施すための基礎的情報を提供し得る。
[実施例4]
急性緑内障を発症した患者(70歳)の眼圧を、圧平眼圧計にて測定した。急性緑内障発症前24日の該患者の眼圧は11/13であった。急性緑内障発症時の眼圧は9/66であった。グリセオール(glycerin)(登録商標)を急速点滴し、サンピロ(pilocarpine hydrochloride)(登録商標)およびチモプトール(timolol maleate)(登録商標)を点眼して、眼圧を下げる処置を行った。処置開始後1.5時間の眼圧は6/49に下がった。当該患者のバイタルと心拍変動パラメータを計測した(表16)。
Figure 0006489707
測定した7種の心拍変動パラメータ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTP)から、第一のRL(図5a、黒棒)およびGRM値(図5a、白棒)を算出した。該対象者の平時の第一のRLは0.55であり、急性緑内障発症時の第一のRLは1.0であった。治療開始1.5時間後の第一のRLは0.55となった。各時期の第一のRLと閾値RL「0.625」とを比較した場合、該対象者は平時には緑内障の進行度が緩やかと判定され、急性緑内障発症時には進行度が高いと判定された。治療開始1.5時間後には急性緑内障の進行度は緩やかと判定された。
該対象者の平時のGRM値は0.055であり、急性緑内障発症時のGRM値は0.9であった。治療開始1.5時間後のGRM値は0.1925となった。各時期のGRM値と閾値GRM「0.3125」とを比較した場合、該対象者は平時には緑内障の進行度が緩やかと判定され、急性緑内障発症時には進行度が高いと判定された。治療開始1.5時間後には急性緑内障の進行度は緩やかと判定された。
治療開始1.5時間後の眼圧は、以前として片眼で高値(49mmHg)を示したが、本発明に係る第一のRLおよびGRM値は、緑内障の処置内容が適切であり得ることを示唆した。
[実施例5]
緑内障患者(63歳)に点眼処方を施した。点眼処方当初は、全身症状に特に変化はなかった。経過観察を続けたところ、治療開始4カ月後「血圧低下感、しんどい、頭がふらっとする、動悸がする、気分が悪い」などの訴え(気分不良発症)があった。点眼処方を中止し、1週間後には「非常に調子が良い」と述べ、気分不良は軽快していた。
該対象者の心拍変動パラメータ、血圧および眼圧を各時点で測定した。それらの結果を表17にまとめる。
Figure 0006489707
点眼治療開始前(点眼処方未使用)の血圧は158/79であった。点眼治療開始後の血圧は142/75(気分不良発症前80日)→132/65(気分不良発症前37日)→130/63(気分不良発症時)→140/68(気分不良発症後7日)のような経過を辿った(表17)。気分不良発症の前後で血圧に大きな異常は認められなかった。眼圧も同様に、気分不良発症の前後で大きな異常は認められなかった。
測定した7種の心拍変動パラメータ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTP)から、各時点での第一のRL(図5b、黒棒)およびGRM値(図5b、白棒)を算出した。
点眼処方での治療中に第一のRLは、約6週間の間に、即ち発症の80日前(第一のRL:0.9)から37日前(第一のRL:0.5)の43日間で、緑内障の進行度が速いから進行度が緩やかへと変化した。緑内障リスクレベル(第一のRL)は、当該患者が気分不良を訴えた際に、再度、進行度が速い(第一のRL:0.9)状態にあることを示唆した。点眼処方中止後7日で第一のRLは0.625に低下していた。
点眼処方での治療中にGRM値は、約6週間の間に、即ち発症の80日前(GRM値:0.315)から37日前(GRM値:0.2)の43日間で、緑内障の進行度が速いから進行度が緩やかへと変化した。GRM値は、当該患者が気分不良を訴えた際に、再度、進行度が速い(GRM値:0.36)状態にあることを示唆した。点眼処方中止後7日で第一のRLは0.3125に低下していた。
実施例4および5で示されたように、本発明に係る第一のRLおよびGRM値は少なくとも2つの時点(例えば、数時間または数日の間)の各数値を比較することで、例えば施した緑内障処置が適切であり得るか否かについての定量的な情報を提供し得る。
[実施例6]
発明者は、7種の心拍変動パラメータ(LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTP)のうち少なくともHFおよびLFを含むパラメータの数値が、各パラメータについての適正範囲(表10)内外への変動することをモニタすることによって、緑内障のリスクレベルの変化を補足的に評価できることを見出した。この心拍変動パラメータの変動に基づく評価は、実施例4および5で実証された本発明に係る第一のRLおよびGRM値の2つの時点間の各数値の変化に基づく緑内障のリスクレベル変化の評価を補足するものである。
図6は、横軸にHF値をとり、縦軸にLF値をとったグラフであり、心拍変動パラメータの変動に基づく評価を視覚的に示す。図6中の四角の領域は、HF値およびLF値それぞれの適正範囲で囲われる適正範囲領域である。対象者から得られたHF値またはLF値の適正範囲領域外から適正範囲領域内への変動は、緑内障の進行度が低下または改善していることを示唆する(図6中の「1」、「4」)。一方、適正範囲領域内から適正範囲領域外への変動は、緑内障の進行度が増大または悪化していることを示唆する(図6中の「2」、「3」)。適正範囲領域内での変動は、緑内障の進行度は不定であることを示唆する(図6中の「5」、「6」)。同様に、適正範囲領域外での変動は、緑内障の進行度は不定であることを示唆する。
[実施例7]
発明者は、29種の緑内障進行度関連パラメータのうち、非進行群パラメータ[1]〜[21]と進行群パラメータ[9]〜[29]とで重複するパラメータ[9]〜[21]に関して、各パラメータの数値と、各パラメータについての境界値との関係を総合的に評価することで、緑内障のリスクレベルを補足的に評価できることを見出した。
図7は、横軸に緑内障進行度関連パラメータのうち、パラメータ[9]、[10]、[12]、[13]、[14]、[15]、[18]、[20]および[21]をとり、縦軸は各数値の相対値(a.u.)をとったグラフであり、緑内障進行度関連パラメータの総合的評価を模擬的に示す。図7のグラフ中、グレー線は非進行群パラメータの境界値(表13参照)を結んだ折れ線を示し、黒線は進行群パラメータの境界値(表13参照)を結んだ折れ線を示し、破線は対象者の各パラメータ値を結んだ折れ線を示す。図7のグラフにおいて、非進行群パラメータの境界を示す折れ線(グレー線)を上回る緑内障進行度関連パラメータの数が多い対象は緑内障のリスクレベルが「良好」であると補足的に評価され、進行群パラメータの境界値を示す折れ線(黒線)を下回る緑内障進行度関連パラメータの数が多い対象者は緑内障のリスクレベルが「不良」であると補足的に評価される。
図7aのグラフにおいて、示した緑内障進行度関連パラメータのすべてのパラメータ値が非進行群パラメータの境界値(グレー線)を上回っており、該対象者は総合評価において「良好」と補足的に評価された。該対象者のGRM値は0.0325であった。図7bのグラフにおいて、示した緑内障進行度関連パラメータの幾つかのパラメータ値が非進行群パラメータ境界値(グレー線)を下回っているが、それらすべてのパラメータ値が進行群パラメータ境界値(黒線)を上回っているため「変動はあるが良好」と評価された。該対象者のGRM値は0.1875であった。
図7cのグラフにおいて、示した緑内障進行度関連パラメータのすべてのパラメータ値が非進行群パラメータの境界値(グレー線)を下回っており、同様にすべてのパラメータ値が進行群パラメータ境界値(黒線)を上回っているため「不定」と評価された。該対象者のGRM値は0.3125であった。図7dのグラフにおいて、示した緑内障進行度関連パラメータのすべてのパラメータ値が非進行群パラメータの境界値(グレー線)を下回っており、一部のパラメータ値が進行群パラメータ境界値(黒線)を下回っているため「変動あるが不良」と評価された。該対象者のGRM値は0.40625であった。図7eのグラフにおいて、示した緑内障進行度関連パラメータのすべてのパラメータ値が進行群パラメータ境界値(黒線)を下回っており「不良」と評価された。該対象者のGRM値は0.70であった。

Claims (12)

  1. 対象における緑内障のリスクレベルの判定を補助する方法であって、
    前記対象から得られた心拍変動パラメータである低周波(以下「LF」)および高周波(以下「HF」)に基づく第一のランク割り当てを行う工程、
    前記対象から得られた心拍変動パラメータLF/HFに基づく第二のランク割り当てを行う工程、
    前記対象から得られた、LF、HF、LF/HF、The square Root of the Mean of the Sum of the Square of Differences between adjacent NN interval(以下「RMSSD」)、HF/RMSSD、Standard Deviation of all NN interval(以下「SDNN」)およびトータルパワー(以下「TP」)を含む心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータに基づく第三のランク割り当てを行う工程、
    得られた第一〜第三のランク割り当ての組合せに対応して予め定められた第一のリスクレベル(第一のRL)を取得する工程、および
    前記第一のRLをそれに関する閾値(閾値RL)と比較し、緑内障の発症リスク又はその進行度を判定する工程を含む、判定補助方法。
  2. 前記第一のランク割り当てでは、LF値およびHF値のそれぞれが、それらに関して予め設定された下限値以上かつ上限値以下の場合に「適正(U)」が割り当てられ、LF値またはHF値もしくはその両方が、当該下限値未満の場合に「適正外(G1)」が割り当てられ、または当該上限値超の場合に「適正外(G2)」が割り当てられ;
    前記第二のランク割り当てでは、LF/HFが上限値超の場合に「高い(H)」が割り当てられ、下限値以上かつ上限値以下の場合に「正常(N)」が割り当てられ、及び下限値未満の場合に「低い(L)」が割り当てられ;および
    前記第三のランク割り当てでは、前記心拍変動パラメータ群から選択される、LFまたはHFもしくはその両方を含む少なくとも4種の心拍変動パラメータの各パラメータ値が、各心拍変動パラメータに関して予め設定された適正範囲の上限値と下限値との間の範囲を3等分した数値範囲の、中央の数値範囲にある場合に「非活性・非抑制(N)」が割り当てられ、その上限側の数値範囲にある場合に「活性(K)」が割り当てられ、及びその下限側の数値範囲にある場合に「抑制(Y)」が割り当てられる、請求項1に記載の判定補助方法。
  3. 前記閾値RLが第一の閾値RLを含み、
    第一のRLの値が増加するにつれて、緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されるよう第一のRL値を設定した場合、前記判定工程において、前記第一のRLが第一の閾値RL以上の場合に、緑内障の発症リスクがある又はその進行度が速いと判定される、請求項1または2に記載の判定補助方法。
  4. 緑内障リスクマーカー(GRM)値を算出する工程、および
    前記GRM値をそれに関する閾値(閾値GRM)と比較し、緑内障の発症リスク又はその進行度をさらに判定する工程を含み、
    GRM値は、
    前記対象から得られた、Age、眼圧(以下「IOP」)、Age/IOP、Age×IOP、SDNN超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、及びm−HRT含む緑内障進行度関連パラメータ群より選択される少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータに基づいて、緑内障の第二のリスクレベル(第二のRL)を取得し、
    得られた第二のRL値と前記第一のRL値とを乗じて得られ、
    第二のRLは、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、非進行群パラメータであるAge、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、又はTP×(LF/HF)関して予め設定された各境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数して、非進行群パラメータ計数値を算出し、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、進行群パラメータであるAge/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、又はm−HRT関して予め設定された各境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数して、進行群パラメータ計数値を算出し、
    進行群パラメータ計数値から非進行群パラメータ計数値を減じた減算値に対応して予め定められた値(第二のRL)を取得し、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータが、Age、Age/IOP、HF、HF/RMSSDおよびage/(HF/RMSSD)からなる群より選択される少なくとも5種の緑内障進行度関連パラメータを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の判定補助方法。
  5. 前記閾値GRMが第一の閾値GRMを含み、
    GRMの値が増加するにつれて、緑内障の発症リスクが高い又はその進行度が速いと判定されるようGRM値が設定された場合、前記さらなる判定工程において、前記GRM値が第一の閾値GRM以上の場合に緑内障の発症リスクがある又はその進行度が速いと判定される、請求項4に記載の判定補助方法。
  6. 前記対象における緑内障の発症リスク又は進行度の改善または悪化を判定する工程をさらに含み、
    改善・悪化判定工程が、少なくともHFおよびLFを含む心拍変動パラメータが各パラメータの適正範囲内にあるかを評価(第一の評価)し、その評価後に同パラメータが各パラメータの適正範囲内にあるかを評価(第二の評価)し、
    前記改善・悪化判定工程において、第一の評価が適正範囲外であり、第二の評価が適正範囲内である場合に「改善」と判定され、第一の評価が適正範囲内であり、第二の評価が適正範囲外である場合に「悪化」と判定され、第一の評価及び第二の評価が共に適正範囲外または内である場合に「不定」と判定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の判定補助方法。
  7. 対象における緑内障のリスクレベルの判定装置であって、
    LF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含む心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータに対応する適正範囲に関するデータ(適正範囲データ)と、第一のRLに関するデータ(第一のRLスコアデータ)と、RLに関する閾値のデータ(閾値RLデータ)とを格納した、データベースと、
    対象から得られた前記心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータの値と、前記適正範囲データと、第一のRLスコアデータとを用いて、緑内障の進行度又はその発症リスクに関する第一のリスクレベル(第一のRL)を算出する算出部と、
    前記第一のRLと、前記閾値RLデータから取得された閾値RLとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が速い又はその発症リスクが高いかを判定(第一の判定)する判定部と、
    前記判定部の判定結果を表示する表示部と、
    を備え
    前記算出部は、
    前記対象から得られた心拍変動パラメータLF値およびHF値と、前記適正範囲データ内のそれらに対応する各適正範囲とに基づいて第一のランク割り当てを行い、
    前記対象から得られた心拍変動パラメータLF/HF値と、前記適正範囲データ内のそれに対応する適正範囲とに基づいて第二のランク割り当てを行い、
    前記対象から得られた前記心拍変動パラメータ群から選択されるLFまたはHFもしくはその両方を含む少なくとも4種の心拍変動パラメータの各値と、前記適正範囲データ内のそれらに対応する各適正範囲とに基づいて第三のランク割り当てを行い、
    前記閾値RLデータから、前記第一〜第三のランク割り当ての組合せに対応する第一のRLを取得する、判定装置。
  8. 前記データベースは、非進行群パラメータであるAge、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、及びTP×(LF/HF)それぞれに対応する境界値に関するデータ(非進行群境界値データ);進行群パラメータであるAge/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、及びm−HRTそれぞれに対応する境界値に関するデータ(進行群境界値データ);第二のRLに関するデータ(第二のRLスコアデータ);および閾値GRMに関するデータ(閾値GRMデータ)をさらに格納し、
    前記算出部は、
    前記対象から得られた、Age、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、及びm−HRT含む緑内障進行度関連パラメータ群より選択される少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータ値と、非進行群境界値データと、進行群境界値データと、第二のRLスコアデータとに基づいて緑内障の第二のリスクレベル(第二のRL)を算出し、
    前記第一のRLと該第二のRLとを乗じて緑内障リスクマーカー(GRM)値を算出し、
    前記判定部は、
    前記GRM値と、閾値GRMデータから取得された閾値GRMとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が早い又はその発症リスクが高いかをさらに判定(第二の判定)する、請求項7記載の判定装置。
  9. 前記算出部は、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、非進行群パラメータに分類される緑内障進行度関連パラメータの値と、前記非進行群境界値データ内の対応する境界値とを用いて、該境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数し(非進行群パラメータ計数値)、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、進行群パラメータに分類される緑内障進行度関連パラメータの値と、前記進行群境界値データ内の対応する境界値とを用いて、該境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数し(進行群パラメータ計数値)、
    前記進行群パラメータ計数値から前記非進行群パラメータ計数値を減じ(減算値)、
    前記第二のRLスコアデータから、前記減算値に対応する第二のRLを取得し、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータがAge、Age/IOP、HF、HF/RMSSDおよびage/(HF/RMSSD)からなる群より選択される少なくとも5種の緑内障進行度関連パラメータを含む、請求項に記載の判定装置。
  10. コンピュータ読み取り可能な、対象における緑内障のリスクレベルの判定するプログラムであって、コンピュータに、
    対象から得られたLF、HF、LF/HF、RMSSD、HF/RMSSD、SDNNおよびTPを含む心拍変動パラメータ群から選択される心拍変動パラメータを取得するステップと、
    前記取得した心拍変動パラメータに基づいて、緑内障の進行度又はその発症リスクに関する第一のリスクレベル(第一のRL)を算出するステップと、
    第一のRLに関する閾値(閾値RL)を取得するステップと、
    前記算出した第一のRLと取得した閾値RLとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が速い又はその発症リスクが高いかを判定するステップと、
    前記判定の結果に基づいて対象の緑内障のリスクレベルを示す情報を表示手段に表示させるステップと、
    を実行させ
    前記第一のRLを算出するステップが、
    前記心拍変動パラメータのそれぞれに対応する各適正範囲を取得するステップと
    前記取得された心拍変動パラメータLFおよびHFと、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第一のランク割り当てを行うステップと、
    前記取得された心拍変動パラメータLF/HFと、それに対応する適正範囲とに基づいて第二のランク割り当てを行うステップと、
    前記心拍変動パラメータ群から選択されるLFまたはHFもしくはその両方を含む少なくとも4種の心拍変動パラメータと、それらに対応する各適正範囲とに基づいて第三のランク割り当てを行うステップと、
    前記第一〜第三のランク割り当ての組合せに対応する第一のRLを取得するステップと、
    を含む、プログラム。
  11. 前記対象から得られたAge、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、及びm−HRT含む緑内障進行度関連パラメータ群より選択される少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータを取得するステップと、
    前記取得した少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータに基づいて緑内障の第二のリスクレベル(第二のRL)を算出するステップと、
    前記第一のRLと該第二のRLとを乗じて緑内障リスクマーカー(GRM)値を算出するステップと、
    GRMに関する閾値(閾値GRM)を算出するステップと、
    前記GRM値と取得した閾値GRMとを比較して、前記対象が緑内障の進行度が早い又はその発症リスクが高いかをさらに判定するステップと、
    を含み、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連がAge、Age/IOP、HF、HF/RMSSDおよびage/(HF/RMSSD)からなる群より選択される少なくとも5種の緑内障進行度関連パラメータを含む、請求項10に記載のプログラム。
  12. 前記第二のRLを算出するステップが、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのそれぞれに対応する、非進行群パラメータ境界値および進行群パラメータ境界値をそれぞれ取得するステップと、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、取得した非進行群パラメータ境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数して、非進行群パラメータ計数値を算出するステップと、
    前記少なくとも9種の緑内障進行度関連パラメータのうち、取得した進行群パラメータ境界値を超える緑内障進行度関連パラメータの数を計数して、進行群パラメータ計数値を算出するステップと、
    算出した進行群パラメータ計数値から算出した非進行群パラメータ計数値を減じた減算値に対応して予め定められた値(第二のRL)を取得するステップと、を含み、
    前記非進行群パラメータ境界値が、非進行群パラメータであるAge、IOP、Age/IOP、Age×IOP、SDNN超低周波/age、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、及びTP×(LF/HF)それぞれに対応する境界値であり、
    前記進行群パラメータ境界値が、Age/(LF/HF)、HF、LF/(HF/RMSSD)、HF/RMSSD、(HF/RMSSD)/(LF/HF)、RMSSD/(LF/HF)、HF/SDNN、SDNN/(HF/RMSSD)、TP/LF、HF/TP、TP×(LF/HF)Age/(HF/RMSSD)、Age×RMSSD、LF、LF/HF、RMSSD、TP、及びm−HRTそれぞれに対応する境界値である、請求項11に記載のプログラム。
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