JP6509387B2 - 電子時計 - Google Patents

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Description

この発明は、節電機能を有する電子時計に関する。
従来から、光発電機能を備えた電子時計において、非発電状態が続くと節電状態になるのは周知の技術であり広く利用されている。そのような節電状態における動作に関連した技術も広く出願されており、例えば光発電電波修正時計の場合では、非節電状態では受信をおこない、節電状態では電力消費を抑制するために受信禁止とする技術が存在する。その他、受信動作間隔を広げて節電効果を高めるといった技術も存在する(たとえば、特許文献1参照。)
特許3454269号公報(請求項1、図4)
しかしながら、受信禁止とする方法は、節電期間中は計時手段による誤差を補正することができず、節電状態解除時に正確な時刻の表示をすることができなかった。
また、受信動作間隔を広げる方法においては、節電状態解除のタイミングによっては、前回受信成功時から長時間経過している可能性が有り、誤差が大きくなってしまう可能性も有った。さらに長期間にわたり暗所に保管し非使用であるにもかかわらず、受信動作を繰り返すことで電池を消費し、使用するために暗所から取り出したときにはすでに停止し、時刻表示を行う時計の基本機能すら果たせない問題があった。
また、時計の代表的な機能としてアラームがあるが、節電期間中に鳴動動作を停止してしまうと長期間の不使用に対しては節電効果が有効に得られるものの、例えば1時間程で節電状態に移行するような設定の場合には毎晩節電状態となってしまいアラーム本来の機能が果たせないといった問題が発生していた。
この発明は、前述した従来技術による問題点を解消するため、節電状態の経過時間に応じ、時計機能を適切な状態に制御し、ユーザーの不便さを解消することができる電子時計を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電子時計は、時刻計時を行う計時部と、計時部での計時時刻を表示する表示部と、外部環境又は携帯状態を検出する状態判定部と、状態判定部の検出結果を元に、通常状態から少なくとも一部を停止する節電状態へ表示部を移行させる電子時計であって、節電状態における経過時間を計測する経過時間計測手段を有し、経過時間に基づいて節電状態を中断して通常状態へ戻る解除条件が変更されることを特徴とする。
本発明によれば、このように、節電状態の経過時間に応じて、電波受信等の時計の付加機能の動作時間・動作方法を適切に制御することで、ユーザーの不便さを解消することが可能な電子時計が得られるという効果を奏する。
この発明の実施の形態にかかる電子時計の機能的構成を示す説明図である。 この発明の実施の形態にかかる時刻修正方法の手順の一例を示すフローチャートである。 標準電波受信において本発明を適用した場合の具体例を示す図表である。 日本の標準電波の送信データのフォーマットの内容を示す説明図である。 日本の標準電波のコード波形を示す説明図である。 GPS電波受信において本発明を適用した場合の具体例を示す図表である。 アラーム報音において本発明を適用した場合の具体例を示す図表である。 この発明の第2の形態実施にかかる電子時計の機能的構成を示す説明図である。 この発明の第2の形態実施にかかる時刻修正方法の手順の一例を示すフローチャートである。 この発明の第3の形態実施にかかる電子時計の機能的構成を示す説明図である。 この発明の第3の形態実施にかかる電子時計の節電状態解除具体例を示す図表である。
以下に添付図面を参照して、この発明による電子時計の実施の形態を詳細に説明する。
[本発明に係わる電子時計の構成]
まず、電子時計の機能的構成について説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかる電子時計の機能的構成を示す説明図である。
図1において、電子時計100は、制御部101と、状態判定部102と、負荷部103と、記憶部104と、計時部105と、表示部106と、を含む構成である。
制御部101は、電子時計100全体の制御を行う。
状態判定部102は、制御部101に対し、節電状態に関する制御に必要な信号を出力する。具体的には、状態判定部102は、ユーザーが電子時計100を使用していないことを検出する不図示の非使用状態検出手段と、非使用状態の経過時間をカウントする不図示のカウンタ(以下、経過時間カウンタ)から構成され、制御部101に対しカウント値を出力する。また、経過時間カウンタは使用状態にあることを検出するとクリアされる。具体的な一例としては、ソーラーセルで発電するソーラー時計の場合、非使用状態の検出はソーラーセルの非発電を検出することで行われ、非使用状態の経過時間のカウントは、非発電状態の経過時間をカウントすることで行われる。また、経過時間カウンタは発電を検出すると、使用状態と判定されてその値がクリアされる。
負荷部103は、アラーム、電波受信機能など時刻計時以外の付加機能を実現する機能ブロックである。
記憶部104は複数の処理条件を記憶しており、状態判定部102の出力に応じ、制御部101が記憶部104に記憶されている複数の処理条件のうち1つを選択して負荷部103もしくは負荷部103と表示部106を動作させる。具体的には、経過時間カウンタが既定値未満の場合、制御部101は機能に制限をもたせない通常状態で動作するよう制御し、経過時間カウンタが既定値以上となった場合は低消費電力動作となるよう、負荷部103もしくは負荷部103と表示部106に対し動作に制限を設ける節電状態となるよう制御する。さらに節電状態移行後も継続して経過時間カウンタが増加している場合には
、制御部101はさらなる節電効果をもたらす処理条件を記憶部104から選択して負荷部103もしくは負荷部103と表示部106を動作させる。
計時部105は時刻を計時し、表示部106は針、液晶などで時刻を表示する。
[本発明の第1の形態例]
次に、図2のフローチャートを用いて具体的な動作について説明する。なお、電子時計100は光により発電するソーラーセル(図示しない)を有するソーラー発電時計として説明する。
ソーラー発電時計の場合、使用されているか否かは、発電の有無により知ることができる。また、既定時間内における発電の頻度を監視し、前記発電頻度が少ない場合に、時計が使用状態にないと判断してもよい。
状態判定部102により時計が使用されていると判断されている状況、すなわち光による発電がある場合(ステップS101:No)は、制御部101は負荷部103、表示部106に対し特に機能上の制限を設けず動作させる(ステップS107)。既定時間以上発電が無い場合(ステップS101:Yes)は、制御部101は非使用状態と判断し節電状態となり(ステップS109)、表示部106を停止し、負荷部103については機能制限を設ける。
続いて制御部101は、状態判定部102の経過時間カウンタの値から節電状態移行直後かどうか、具体的には、節電状態に移行して1日未満かどうか判断し(ステップS102)、移行直後である1日未満であれば(ステップS102:Yes)、一時的な非使用である可能性も考えられるため、負荷部103に対し、記憶部104に記憶されている比較的機能制限が少ない処理(ステップS103:処理A)を実行する。
処理Aの具体的内容については、後述する。
前述の経過時間から節電状態がさらに継続する(例えば1日以上3日未満)と、状態判定部102では経過時間カウンタが増加(ステップS102:No。ステップS104:Yes)し、さらなる節電処理を行なうよう制御部101は負荷部103に対し、記憶部104に記憶されている処理Aよりさらに節電効果のある処理(ステップS105:処理B)を実行させる。処理Bの具体的内容については、後述する。
前述の経過時間から節電状態がさらに継続すると(例えば3日以上。ステップS104:No)、さらなる節電効果を上げるよう制御部101は負荷部103に対し、記憶部104に記憶されている処理Bよりさらに節電効果のある処理(ステップS106:処理C)を実行させる。処理Cは具体的には負荷部103の機能使用禁止とし、例えばアラームの出力禁止、電波修正時計では受信禁止とする処理を行なう。
以下、具体例を用いて説明する。
図3は、長波標準電波修正時計を具体例としたときの、前述の節電処理について明記したものである。
まず、長波標準電波について説明する。図4は、日本の長波標準電波の送信データのフォーマットの内容を示す説明図である。図4において、時刻データの送信は、1bit/秒で1分間を1フレームとしており、このフレーム内に「分」、「時」、1月1日からの「積算日」、「年」下2桁、「曜(日)」などの情報が含まれている。
また、送信されるデータは「0」、「1」の他に、「P」コードというマーカーが含まれている。日本の標準電波規格JJYを例に、前記データを説明する。図5に示すように
「0」コードは、ハイレベル信号が0.8秒間継続し、続いて、ローレベル信号が0.2秒間継続する。「1」コードは、ハイレベル信号とローレベル信号とが各々0.5秒間ずつ継続する。「P」コードは、ハイレベル信号が0.2秒間継続し、続いて、ローレベル信号が0.8秒間継続する。従ってJJY規格では、波形の立ち上がりから立下りまでの時間により、前記3種類のデータを判定できる。
「P」コードは1フレームに数カ所あり、正分(0秒)、9秒、19秒、29秒、39秒、49秒、59秒に出現する。この「P」コードが続けて現れるのは1フレーム中、59秒、0秒の時、1回だけで、この続けて現れる位置が正分位置となる。すなわち、分・時データなどの時刻データはこの正分位置を基準としてフレーム中の位置が決まっているため、時刻データを取り出すためには、まずこの正分位置の検出をおこなう必要がある。
その後、1秒ごとに送信されてくるビットごとに、上記3種類のうちのどのコードであるかを、波形を検出することによって判断する。
JJYを例にとると、波形の立ち上がりと立ち下がりとを検出し、ハイレベル期間の時間でコード判定を行なうが、外乱ノイズや電波強度の変動により受信波形が乱れてしまい、前記ハイレベル期間を正しく計測できずコードを誤判定してしまう場合がある。
前記の外乱ノイズや電波強度変動は、タイムコードデータに対してランダムに発生するため、受信時間を長くして繰り返しタイムコードデータを受信することにより、時刻情報の精度を上げる事ができる。
データの処理方法としては、複数フレームのデータを記憶しそれぞれを比較する方法があり、例えば3フレーム中2フレームでデータの一致があればそのデータを有効値として時刻を修正する。この比較機会を増やす(受信時間を長くする)ことで突発的に発生するコードの誤判定があっても受信失敗の可能性は低くなり、且つ誤った時刻修正の抑制となる。一般的に受信時間は最長10分前後である。
以上、日本の長波標準電波について説明したが、アメリカ、ドイツ、中国などでも長波標準電波の運用がなされている。日本の送信周波数は福島局が40kHz、九州局が60kHzであるのに対し、アメリカは60kHz,ドイツは77.5kHzの周波数で送信されている。また、送信データの1フレーム内の形式、波形などは各国独自の様式となっているが、詳細については割愛する。
図3(a)は最長受信時間に制限を設けた場合の節電処理について記載している。初期状態としては通常処理を選択しており、通常処理では最長受信時間を10分としている。既定時間以上発電が無い場合は、節電状態として処理Aを選択し、最長受信時間を9分に設定する。処理Aの状態で更に既定時間が経過すると、処理Bとして最長受信時間を5分に設定する。
以上の処理により、処理A、処理Bと徐々に受信成功の確率は低下していくが、反面、節電効果は向上していく。つまり非使用状態が継続していくにつれ、低消費電力化に重きを置くことで電池の消費を抑制し、非使用状態から解除されたときに受信が成功していれば正確な時間を提供でき、且つ時計が止まるまでの時間を長くする効果が得られる。
ここでは、通常処理、処理A、処理Bの順で、最長受信時間が少なくなるように設定すればよいのであって、前記通常処理と処理Aと処理Bの最長受信時間は、図7(a)の数値に限定するものではない。
図3(b)は、1回の受信動作で受信を行なう局数に制限を設けた場合である。
通常状態の受信では、日本、アメリカ、ドイツと全ての受信を試み、受信局の制限はしない。次に処理Aでは、例えば日本局の福島局40kHzと九州局60kHzに限定し、さらに次回の受信開始時にはアメリカとドイツの受信に限定し、1回の受信にかかる局数を減らす。つまり、通常状態では受信周波数4局以上の受信を許可するが、処理Aでは2局に限定して受信を行う事になり、受信時間を通常状態に比べて短くできる。
処理Bでは、さらに節電効果を高めるため、1回の受信にかかる局数を1局だけに限定することにより、処理Aよりも受信時間を短くする事が可能である。
図3(c)は、取得する受信データ量に制限を設けた場合である。
通常状態の受信では、時刻、カレンダを含む全てのデータを受信し、受信するデータを限定しない。
処理Aでは、時、分、秒の情報が取得できれば受信終了とし、カレンダ情報の取得完了を待たずに受信動作を終了させる。内部カレンダ情報は、クォーツのクロックを基準に計時部により生成されており、システムが停止したり、国を移動して日付が変わったりしなければ、しばらくカレンダ情報の受信を行わなくても、誤ったカレンダ情報を表示する事はない。従って、通常処理と比較して信頼性は低くなるものの、時刻とカレンダの正確性を維持しつつ、通常処理と比べて短時間に受信終了させることで節電ができる。
処理Bでは、前記カレンダ情報に加え、時情報の取得完了をも待つことなく、分、秒の情報が取得できれば受信終了とする。近日内の受信が成功しているなら、クォーツの精度から考えて、時情報が大幅に狂う可能性は少ない。従って、処理Bでは、分、秒のみを受信することで、通常処理、処理Aと比較して信頼性は低くなるものの、時刻とカレンダの正確性を維持しつつ、通常処理、処理Aと比較して短時間に受信終了させることで節電ができる。
以上が、長波標準電波修正時計に本発明を適用した一例であるが、図3(a)、(b)、(c)での例以外の節電効果のある機能制限でもよく、また前述の具体例についても単独で実施しても良いし、さらに節電効果を上げるために図3(a)、(b)、(c)及びこれら以外の機能制限との複数の組み合わせでも良い。図3(a)、(b)、(c)での例以外の節電効果を有する機能制限として、例えば、複数の受信環境判断を設け、節電状態経過時間の増加とともに受信環境判断を厳しいものに段階的に切り替え、受信環境が良好であると判断される場合のみ受信を継続させ、成功確率の低い悪環境と判断される場合では節電を優先し、早期に受信を停止させる、などが考えられる。
さらに前述では、節電状態においては表示部106を停止するようにしているが、これに限らず、表示部106の動作は通常通り継続し、負荷部103に対し前述した節電処理を実施しても良い。また、秒針モータ、分針モータ、時針モータ、時刻表示以外の機能表示モータが独立したモータで動作するような表示形態の場合、節電状態移行直後は秒針モータのみ停止し、前述の処理Aでは分針を、処理Bでは時針を停止し、機能表示モータは通常処理、処理A、処理B等のどの状態にあるかを表示するようにしても良いし、処理B移行までは通常に表示を行い、処理B移行は全表示停止としても良い。また、デジタル式の場合においても同様であり、後述するその他の例においても同様である。
次にGPS信号受信時計の適用例について説明する。まず、GPS信号の受信について説明する。
GPS衛星は、地球上空における所定軌道を周回する位置情報衛星であり、1.575
42GHzの電波に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。どのGPS衛星から送信された電波かを識別するために、各GPS衛星はC/Aコードと呼ばれる1023Chipの固有のパターンを電波信号に重畳する。したがって受信装置では、衛星からの電波信号と各衛星のC/Aコードとの相関をとることにより、C/Aコードを検出し、衛星を特定することができる。
現在、32基のGPS衛星が原子時計を搭載して地球上空を周回しており、衛星からの送信データには原子時計で計時された極めて正確な時刻情報が含まれている。
前記時刻情報は、TOW(TIME OF WEEK)、週番号(WN)、及びうるう秒情報(LS)等からなり、TOWは6秒周期、週番号は30秒周期、うるう秒情報は12.5分周期で送信されている。
また、衛星からの送信データには、GPS衛星の位置を示す軌道情報も含まれており、複数の衛星から受信した時刻情報と軌道情報を元に、受信装置の位置を計算することができる。
図6(a)、(b)は、GPS信号受信時計を例としたときの、本発明の節電処理について明記したものである。
通常状態では、測位ができるよう全ての衛星を受信対象として、さらにTOW、週番号、うるう秒情報を受信する。
つまり通常状態では、前記のように全衛星分のC/Aコードと相関を取り、どの衛星からの電波かを識別し測位と測時の処理を行うため、受信時間と消費電流は多くなるが正確な時刻と位置情報を取得する事ができる。
一方、処理Aでは測位を行わず測時処理のみとし、さらに受信衛星数を、例えば8衛星に制限してTOW、週番号、うるう秒情報を受信する。
前記の制限により、通常処理では全衛星分のC/Aコードの相関を行っていたところを、8衛星分のC/Aコード相関処理しか行なわないため、24衛星分の相関回路を動作させなくて済み、消費電流を少なくする事が可能になる。
また、時刻情報のみを受信し測位を行わないため、少なくとも1個の衛星からの時刻情報を検出できればよく、受信する衛星を8個に限定してもどれかの送信電波を受信できるので、正確な時刻を表示する事が可能となる。
処理Bでは、測位を行わず測時処理のみとし、さらに受信衛星数を例えば1個に制限して、TOW、週番号、うるう秒情報を受信する。
前記の制限により、処理Aに比べて7衛星分の相関回路を動作させなくて済み、更なる消費電力の低減が可能になる。
図6(b)は、時刻情報のみを受信する場合における、節電処理を示したものである。通常状態では、時刻に関する情報であるTOW、週番号(WN)、うるう秒情報(LS)を受信し、正確な時分秒とうるう秒とカレンダ情報を取得し表示する。
処理Aでは、12.5分周期で受信時間のかかるうるう秒情報(LS)を除いたTOWと週番号(WN)を受信する。これにより、うるう秒発生時に即刻表示に反映する事はできないが、経過時間に対して発生確率が低いうるう秒を検出するために、12.5分以上
に渡り受信回路を稼動させておく必要が無く、30秒で受信を終えることができ、消費電流を少なくする事が可能である。
処理Bでは、さらに30秒周期の週番号を除いてTOWのみを受信する。
これにより、カレンダ情報を受信することはなくなるが、内部カレンダ情報はクォーツのクロックを基準に計時部により生成されており、システムが停止したり、国を移動して日付が変わったりしなければ、しばらくカレンダ情報の受信を行わなくても、誤ったカレンダ情報を表示する事はない。従って、通常処理、処理Aと比較して信頼性は低くなるものの、時刻とカレンダの正確性を維持しつつ、通常処理で12.5分かかる受信を6秒で受信終了させることができる。
図6(a)は、通常状態、処理A、処理Bの順で、測位機能を制限しつつ受信対象の衛星数を少なくなるように設定すればよいのであって、前記処理Aと処理Bの受信衛星数は、図6(a)の数値に限定するものではない。
また、図6(b)についても、通常状態、処理A、処理Bの順で、うるう秒、週番号といった、情報取得に時間を要する受信を制限するよう設定すればよいのであって、前記処理Aと処理Bの制限する受信データは、図6(b)のデータに限定するものではない。
例えば、処理Bでは衛星から送信されたデータのうちプリアンブルのみを受信するように制限を行い、プリアンブルと内部の時計データとの秒同期を行なうだけに受信をとどめる事で、更なる消費電力を減少させる事ができる。
ここで言うプリアンブルとは、衛星から送信される航法メッセージデータのサブフレームの先頭を示す定型のビット列のことであり、6秒周期で送られてくるため、6秒単位で内部時刻と同期を取れば、正確に内部時刻の秒を修正することができる。
更に、図6(a)、(b)以外の節電効果のある機能を段階的に制限してもよいし、図6(a)、(b)を単独で処理を行なってもよいし、節電効果を上げるために図6(a)、(b)及びこれら以外の機能制限との複数の組み合わせでも良い。図6(a)、(b)での例以外の節電効果を有する機能制限として、例えば、複数の受信環境判断を設け、節電状態経過時間の増加とともに受信環境判断を厳しいものに段階的に切り替え、受信環境が良好であると判断される場合のみ受信を継続させ、成功確率の低い悪環境と判断される場合では節電を優先し、早期に受信を停止させる、などが考えられる。
図7(a)、(b)は、時計の付加機能としてアラームを例としたときの、本発明の節電処理について明記したものである。
アラーム報音は、1秒間のうちに、例えば20ms間報音して20ms間休止を1サイクルとして、10サイクルの報音動作(400msの報音動作)を行った後600ms休止し、これを15秒程度繰り返す場合を想定する。
図7(a)は、アラームの1秒ごとの報音サイクル数に対する節電処理を示しており、通常状態では20ms間報音して20ms間休止を1サイクルとして、10サイクルの報音動作を行なう。
処理Aでは、報音サイクル数を5サイクルに制限する。これにより、アラームを駆動する電流を通常状態に比べて半分しか消費しないため、電池電力の消耗を少なくできる。
処理Bでは、報音サイクル数を1サイクルに制限する。これにより、アラームを駆動する電流を通常状態に比べて20%しか消費しないため、電池電力の消耗を処理Aに比べ更に少なくできる。
図7(b)は、アラームの報音時間に対する節電処理を示しており、通常状態では15秒の報音動作を行なう。
処理Aでは、アラームの報音時間を10秒に制限する。これにより、アラームを駆動する電流を通常状態に比べて66%の電力消費に抑えられるため、電池電力の消耗を少なくできる。
処理Bでは、アラームの報音時間を5秒に制限する。これにより、アラームを駆動する電流を通常状態に比べて33%しか消費しないため、電池電力の消耗を処理Aに比べ更に少なくできる。
図7(a)、(b)は、通常状態、処理A、処理Bの順で、報音サイクル数、報音時間を少なくなるように設定すればよいのであって、前記処理Aと処理Bの報音サイクル数、報音時間は、図7(a)、(b)の数値に限定するものではない。
更に、図7(a)、(b)の以外の節電効果のある機能を段階的に制限してもよいし、図7(a)、(b)を単独で行なってもよいし、節電効果を上げるために図7(a)、(b)及びこれら以外との複数の組み合わせでも良い。
また、図3(a)、(b)、(c)、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)においては、処理A、処理Bの2段階、図2においては処理A、処理B、処理Cの3段階の節電処理を説明しているが、これに限らず4段階以上の節電処理でもかまわない。
図2の説明では節電状態への移行判断としてソーラーセルによる発電の有無を用いて説明したが、これに限らず、光センサ等の明暗検出手段を用いても良く、また自動巻き発電、加速度センサなどによる動的検出や、温度センサなどの周辺環境変化の検出によって、節電状態への移行判断をしても良い。
以上、本実施の形態にかかる電子時計によれば、節電状態ではない通常の状態では負荷部103の機能を特に制限を設けず動作させ、節電状態中では節電状態の経過時間に応じて負荷部103の機能について複数の制限を設けることで、節電状態移行直後は通常の使用に近い動作に制限するようにし、節電状態経過時間が増加、すなわち不使用状態が長時間となった時には節電効果を高めるために負荷部103の動作を大きく制限するか、禁止させるようにすることで、使用者が不便に感じない、かつ節電効果の高い電子時計を提供することができる。
[本発明の第2の形態例]
図8はこの発明の実施の形態にかかる、別の機能的構成を示す説明図である。なお、図1と同じ機能を有するものについては、同じ番号を付して説明を省略する。
図8において、電子時計100は、制御部101と、状態判定部102と、負荷部103と、記憶部104と、計時部105と、表示部106は図1と同じ構成である。図8の構成はさらに、電子時計100の電源状態を検出する電源検出部307と、を含む構成である。
図9は、図8で構成される電子時計の、本発明の実施の形態にかかる動作の一例を示す
フローチャートである。なお、図2と同じ処理については同じ番号を付して説明を省略し、図2と同様、ソーラー発電時計として説明する。
図9において、状態判定部102が非発電状態であると判断すると(ステップS101:Yes)、節電状態に移行し(ステップS109)、電源検出部307はソーラー発電時計に搭載されている図示しない2次電池の電池電圧を検出し、既定の電圧V1より電池電圧が高い場合(ステップS401:Yes)には、図2で説明したのと同様にS102、S104の判定を経て処理A、処理B、処理Cを選択する。以下、前記既定の電圧をV1と記す。一方、電池電圧が既定の電圧V1より低い場合(ステップS401:No)は、電池電圧がV1より高い場合に比べて、時計が早期に停止してしまう恐れがあるため、早い段階で節電効果が高い制御を行なう必要がある。従って、電池電圧がV1より低い場合は、節電状態に移行した直後であっても(ステップS402:Yes)、処理Aよりも節電効果の高い処理Bを実行する。
また、電池電圧がV1より低く、さらに節電状態が3日以上継続している場合(ステップS402:No)は、電池電圧がV1より高い場合のようにいくつかの節電処理の段階を経て機能の動作を抑制するのではなく、できるだけ早期に、処理C、つまり負荷部103の機能使用禁止とする処理を行なう。
なお、図9においてステップS402での経過時間判断はステップS102と同じとしたが、これに限らず異なっていても良い。具体的には、電池電圧が低い場合はシステムダウン回避のため早めに節電状態に入るように設定する。例えば、電圧が低い場合の処理Cへの移行は、3日ではなく2日に設定する。
また、ステップS402の次の処理として処理Bまたは処理Cとしたがこれに限らず、別の新しい条件の処理としても構わない。具体的には、報音時間を短く設定する。例えば、電圧が低い場合の処理B相当の報音時間を1秒とする。
では電源電圧が低下している事を検出するために比較する基準電圧V1を1つで示したが、これに限らず複数の基準電圧を用意して電源電圧と比較することで、電源電圧の低下レベルを細かく状態分けし、それに応じて節電処理を選んでもよい。
また、図のS402の経過時間判定するために基準時間として1日を設定しているが、これに限らず複数の基準時間を設けて経過時間の判定をさらに細かく分け、それに応じて節電処理を選んでもよい。さらに、前記複数の低下レベル状態と、複数の基準時間を設けて判定した経過時間との関係により、複数の節電処理の1つを選択するようにしても良い。
以上説明したように、本実施の形態にかかる電子時計によれば、通常の状態では負荷部103の機能を特に制限を設けず動作させ、時計を使用していない状態はその経過時間に応じて、段階的に負荷部103の機能について複数の制限を設ける一方で、電池電圧が低いときには電池電圧が高いときに比べ、早期に節電効果の高い処理を選択することで、電源電圧が低下してシステムダウンする事を防ぎ、使用者が不便に感じない、かつ節電効果の高い電子時計を提供することができる。
[本発明の第3の形態例]
図10はこの発明の実施の形態にかかる、別の機能的構成を示す説明図である。なお、図1と同じ機能を有するものについては同じ番号を付して説明を省略する。
またここでは、光により発電する図示しないソーラーセルを有するソーラー発電時計を例として説明する。
図10において、電子時計は、制御部101と、状態判定部102と、記憶部104と
、計時部105と、表示部106は図1と同じ構成である。図1との違いは、プッシュスイッチ、りゅうずなどの外部入力手段である外部入力部509と、状態判定部102でカウントしている経過時間カウンタの値に応じて、記憶部104で記憶されている状態判定部102及び外部入力部509が判定するための基準値を制御部101が読み出し、状態判定部102及び外部入力509の判定条件を変更する変更部50、を構成に加えている点である。
本発明ではソーラーセルに光が当たることで時計を使用していると判断し、節電処理を中断して通常の処理に戻る。図11(a)は、節電処理の中断を許容するための条件としての光量を、節電処理別に設定している。
ここで、通常処理時、処理A時、処理B時、処理C時とは、通常処理、処理A、処理B、処理Cを実施している状態を表している。つまり、処理A時と処理B時と処理C時は、節電処理を実施している状態であるが、通常処理時は節電処理を実施していない。従って、図11(a)における通常処理時の条件光量は、節電処理の中断を許容するものではなく、通常状態から節電処理に移行しない条件光量を示している。
なお、図11(a)では節電処理の中断を許容するための条件として光量(lx)を示しているが、前記光量に相当するソーラーセルの発電電圧、あるいは、発電電流を条件としても良い。
図11(a)における通常処理時では、ソーラーセルに照射される光量が10lx以上であるなら、節電処理には入らず通常状態を継続する。これにより、わずかな光量であっても時計に照射されている光があるなら時計を使用していると判断するため、不用意な節電状態への移行を防ぐ事ができる。
処理A時では、ソーラーセルに照射される光量が50lx以上であるなら、処理Aを中断して通常状態に戻る。処理Aは、非発電状態になってからさほど日にちが経っていない場合の節電処理であり、少量ながら電力を消費しているため、わずかな光量では処理Aを中断する事が無く、節電状態を維持するように50lx以上の光量を節電処理中断の条件としている。
処理B時では、ソーラーセルに照射される光量が100lx以上であるなら、処理Bを中断して通常状態に戻る。処理Bは、非発電状態になってから最低1日以上で3日未満の時間が経っている場合の節電処理であり、少々の光量では処理Bを中断しないよう、100lx以上の光量を節電処理中断の条件としている。
処理C時では、ソーラーセルに照射される光量が200lx以上であるなら、処理Cを中断して通常状態に戻る。処理Cは、非発電状態になってから3日以上経っている場合の節電処理であり、相当量の電力を消費しているため、強い光がソーラーセルに照射されていなければ、処理Cを中断せずに維持するよう、200lx以上の光量を節電処理中断の条件としている。
次に、図11(b)について説明する。
前記処理A、処理B、処理Cの節電処理を実施している間、前記外部入力部509を操作することで節電処理を解除する事が可能である。ここで、前記外部入力部509に対して操作が行なわれた時、例えばプッシュボタンを押下げた操作に対して、入力があったと判定する時間を入力判定時間という。図11(b)は、節電処理ごとに入力判定時間を示したものである。
図11における通常処理時は、使用者が時計を使用している状態であり、すばやく外部入力部の操作を感知するために、入力判定時間は10msとしている。
処理Aでは、外部入力部に対する入力判定時間は1sとしており、例えばプッシュボタンを1s以上押し続けることで、節電処理を中断する事ができる。このようにすることで、搬送時の衝撃等によりプッシュボタンに何かが当たり、意図せずプッシュボタンが押された時であっても節電状態は解除しないため、節電状態から通常状態に移行して電力を消費した後に再度節電状態に移行するといった無駄な状態移行を防止でき、電力の消費量を少なくすることが可能になる。
処理Bでは、外部入力部に対する入力判定時間は5sとしており、例えばプッシュボタンを5s以上押し続けることで、節電処理を中断する事ができる。このように5sに渡り使用者に対して操作を続けさせる事で、使用者の節電処理を中止する意図を確認できる。つまり、容易には節電状態は解除しないため、節電状態を長く続けることができ、電力の消費量を少なくできる。
処理Cでは、外部入力部に対する入力判定時間は10sとしており、例えばプッシュボタンを10s以上押し続けることで、節電処理を中断する事ができる。このように10sに渡り使用者に対して操作を続けさせる事で、使用者の節電処理を中止する意図を確認できるとともに、節電状態のまま長時間過ぎたため電源電圧が低下しており、このままではシステムが停止する危険性があることも伝える事ができる。
なお、入力判定時間に到達するまでの間に、使用者に何らかの警告を行っても良い。例えば、処理C移行のための入力操作が5秒を越えた時点で、ブザー音などの警告を行っても良い。
以上のように、状態判定部102の節電状態移行と節電状態解除とで同じ微小な発電量を判定の基準に用いている従来の動作に対し、本発明は、節電経過時間と共に発電量が大きくなければ節電状態を解除しないようにし、また外部入力部509においては、節電経過時間と共に入力判定時間を長くして、搬送時の衝撃等による誤入力で節電状態から解除しにくくすることで、節電状態からのユーザが意図しない復帰を抑制し、再節電状態移行までの間にかかる電力ロスを低減する効果がある。
以上、状態判定部102における節電状態の中止条件と、外部入力509において節電状態を中止するための入力判定時間を、それぞれ別個に説明してきたが、これを組み合わせて設定することにより、節電状態からの意図しない復帰をさらに効果的に抑制できるため、前記の節電状態の中止条件は、単独であっても組み合わせてもかまわない。
例えば処理Cにおいてはスイッチ入力判定時間が10sならば発電検出レベルを50lxにしたり、発電検出レベルが200lxならばスイッチ入力判定時間を1sとしてもよく、解除にかかる条件について最適設定となるようにしても良い。
これまで説明してきたように本発明では、通常処理、処理A、処理B、処理Cの順で、状態判定部102における節電状態を中止判断する光量を大きく、また、外部入力509において節電条件を中止するための入力判定時間は長く設定すればよいのであって、図11(a)(b)の数値に限定するものではない。
以上説明したように、本実施の形態にかかる電子時計によれば、節電状態ではない通常の状態では、容易に節電状態へ移行しないような判定設定にしたり、応答性の良い外部入力となるようにし、節電状態に移行した後は、節電状態を継続させるような状態判定設定にしたり、応答性を落とした外部入力となるようにすることで、使用者が不便に感じない
、かつ節電効果の高い電子時計を提供することができる。
また、負荷部103の機能として、アラーム、電波受信機能を例にして説明したが、これらに限定されるものではなく、例えば温度、方位、高度、気圧などのセンシング機能については節電効果を高めるために1回のセンシングに要する動作時間を減らし粗い精度で検出するようにしてもよく、電池電圧検出については0Vからフル電圧まで全領域を検出するのではなく節電状態移行時の電圧付近のみを検出したり、全領域検出と一部検出とを交互に行なうようにしても良い。また、表示針の位置検出機能については、例えば秒針、分針、時針それぞれに位置検出機能があるような場合に時間経過に伴って秒針検出、分針検出、時針検出の順に検出機能を停止してもよく、節電状態により表示針を停止する場合には、その停止順にしたがって位置検出機能も制限、もしくは停止しても良い。
また、温度補償付き発振器(TCXO)については温度検出精度を節電経過時間と共に落として節電効果を高めたりしても良い。
また、双方向通信機能の場合については通信ゲート時間を節電経過時間と共に徐々に減らしても良い。
101 制御部
102 状態判定部
103 負荷部
104 記憶部
105 計時部
106 表示部
307 電源検出部
508 外部入力部
50 変更部

Claims (8)

  1. 時刻計時を行う計時部と、
    該計時部での計時時刻を表示する表示部と、
    外部環境又は携帯状態を検出する状態判定部と、
    該状態判定部の検出結果を元に、通常状態から少なくとも一部を停止する節電状態へ前記表示部を移行させる電子時計であって、
    前記節電状態における経過時間を計測する経過時間計測手段を有し、
    前記経過時間に基づいて前記節電状態を中断して前記通常状態へ戻る解除条件が変更される
    ことを特徴とする電子時計。
  2. 前記状態判定部の検出結果は、発電状態を検出した結果であって、該発電状態と前記経過時間に基づいて、前記解除条件が変更される
    ことを特徴とする請求項に記載の電子時計 。
  3. 前記経過時間が長くなるにつれて前記解除条件が厳しくなるように変更される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子時計。
  4. 前記節電状態は、前記状態判定部の検出結果に基づく複数の処理を備え、
    該複数の処理は、1回あたりの消費電力が低減するような駆動条件に設定され、
    1回あたりの消費電力が低い処理ほど、前記解除条件が厳しくなることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の電子時計。
  5. 電波受信機能を備え、前記複数の処理は、受信時間の長さ、受信局の数又は受信データ量のうちの少なくとも1つが互いに異なる処理である
    ことを特徴とする請求項に記載の電子時計。
  6. 前記表示部は、複数の指針を備え、前記複数の処置は、前記複数の指針のうちのいずれかを停止する処理である
    ことを特徴とする請求項に記載の電子時計。
  7. GPS信号受信機能を備え、前記複数の処理は、測位若しくは測時の実行が互いに異なる処理、又は捕捉衛星数若しくは受信データ数が互いに異なる処理である
    ことを特徴とする請求項に記載の電子時計。
  8. アラーム駆動機能を備え、前記複数の処理は、報音サイクル又は報音時間が互いに異なることを特徴とする請求項に記載の電子時計。

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