JP6505868B2 - 通信装置及び通信方法 - Google Patents
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Description
アドホックルーティングは、OLSR(Optimize Link State Routing)プロトコル、AODV(Ad hoc Ondemand Distance Vector)をはじめとするアドホックルーティングプロトコルによる無線通信により、移動端末間で自律的に端末を検知して、経路の最適化を実施し、その場限りの無線ネットワークを構築するものである。
OLSRプロトコルはプロアクティブ(Proactive)型のルーティングプロトコルで、事前に制御メッセージを交換することで経路を通信前に確定するため、いつでも直ちに中継を開始することができる。
制御メッセージとしては、HelloメッセージやTC(Topology Control)メッセージがある。
OLSRプロトコルの基本動作について説明する。
まず、図13を用いてアドホックネットワークにおける中継のイメージについて説明する。図13は、アドホックネットワークにおける中継の概念を示す模式説明図である。
図13では、ノードAの通信エリア1と、ノードCの通信エリア2とが一部重なっており、重複するエリアにノードBが滞在している状態を示している。
つまり、通信エリア1にはノードAとノードBが滞在し、通信エリア2にはノードBとノードCが滞在している。
このように、アドホックルーティングを用いることで、無線ネットワーク(アドホックネットワーク)内の各移動端末は直接又は間接的に他の移動端末と無線通信を行うことが可能である。
ここで、「ノード」は、無線ネットワークを形成する移動可能な通信装置である。
次に、OLSRプロトコルのHelloメッセージによる論理接続について図14及び図15を用いて説明する。図14は、Helloメッセージによる論理接続を示す説明図であり、(a)は論理接続の概念を示し、(b)は論理接続のシーケンス例を示す。図15は、Helloメッセージのフォーマットを示す説明図である。
Helloメッセージは、各ノードの持つ情報の配信を目的として、定期的に送信されるメッセージであり、各ノードは、このメッセージを受信して、周辺情報の収集と周辺との論理接続(ローカルリンク)、MPR(Multi Point Relay)と呼ばれる中継ノードの決定を行う。
Helloメッセージは図15に示すようなフォーマットである。
ノードBは、初期の段階では、自分の存在をアピールするために、HelloメッセージのLinkCode(図15の301)をUNSPEC_LINK(リンク状態不明)にして、隣接ノード(ノードA)へ向けて送信する(201)。
LinkCodeには、リンクの状態を示すLINKTYPEの情報が格納される。
ノードBは、同様にノードCとの間に双方向のリンクが構築されたことを認識する(204)。
そして、ノードAは、次の送信周期にて、双方向のリンクが構築できたノード(ノードB)の次隣接ノード(ノードC)をNEXTHOPとして、Link CodeをSYM_LINK(対称リンク)にしたHelloメッセージを、隣接ノード(ノードB)へ送信する(206)。
ノードBとノードCとの間でも同様のHelloメッセージの送受信が行われ、双方向リンクが確立される。
このようにして、Helloメッセージを用いた論理接続が行われる。
TCメッセージは、MPRに選択されたノードのみが送信する制御メッセージであり、ネットワーク全体の構成を通知するために用いられるものである。
TCメッセージのフォーマットについて図16を用いて説明する。図16は、TCメッセージのフォーマットを示す説明図である。
図16に示すように、TCメッセージは、メッセージの寿命を表す値が格納されるMsg TTL、近隣広告ノードのアドレスが格納されるAdvertised Neighbor Node等の領域を備えている。
TCメッセージのフラッディング(ブロードキャスト)について、図17を用いて説明する。図17は、TCメッセージのフラッディングを示す説明図であり、(a)はTCメッセージのフラッディングの様子を示し、(b)は処理シーケンスの一部を示す。
図17では、MPRに選ばれたノードEを中心に説明する。
図17(a)(b)に示すように、HelloメッセージによるMPR選定で選ばれたノードEは、自身をMPRとして選んだノード(ここでは、ノードG,D,F,B,C)をAdvertised Neighbor node(近隣広告ノード、図16参照)として、TCメッセージに含めブロードキャスト送信する(図17(b)の401)。
尚、図17(a)の点線は、論理接続(メッシュリンク)が確立していることを示し、矢印は、TCメッセージがブロードキャストされる様子を示している。
ここで、ノードBは、自身もMPRであるため、受信したTCメッセージのMsg TTL(図16参照)を1つ減らして、そのままブロードキャストする(図17(b)の402)。
これらの処理は、他のMPR(例えば、ノードF)についても同様に行われる。
次に、経路決定について図18を用いて説明する。図18は、TCメッセージから取得したトポロジー情報に基づく経路決定の例を示す説明図であり、(a)はTCメッセージに基づいて構築されたネットワーク構成(トポロジー)を示しており、(b)はノードAからノードGまでの経路を示している。
各ノードは、自身のネットワークトポロジー情報から、各ノードへ到達する最短経路の計算を開始する。
図18(a)の例では、トポロジー情報として、[E←G],[E←D],[E←F],[E←B],[E←C],[B←C],[B←D],[B←A],[B←E],[F←C],[F←E],[F←I],[C←F],[C←A]の各リンク情報が所有されている。
トポロジー情報501より、目的のノードGとリンク(論理接続)しているのはノードEであるため、ノードAは、まず[E⇔G]の情報を抽出する。
同様に、ノードAは、ノードBに到達するための情報として、[B⇔A]を抽出する。
OLSRには、HNA(Host and Network Association)メッセージと呼ばれる制御メッセージがある。
HNAメッセージは、ノードがゲートウェイとして機能する場合に使用される補助的なメッセージである。ゲートウェイとなるノードに予め有線ネットワークの情報を設定しておくことで、HNAメッセージを送信することが可能となる。
HNAメッセージの送信は、TCメッセージと同様のフラッディングが用いられる。すなわち、図20に示すHNAメッセージは、TCメッセージと同様にMPRによってブロードキャストされ、受信したMPRが再度ブロードキャストを行うことで、無線ネットワーク内の移動端末全てに通知される。
図19(a)に示すように、ノードGは、インターネットゲートウェイのアドレスを予め登録している。
そして、ノードGは、HNAメッセージにより、ノードGの先にインターネットゲートウェイが存在することを通知する。
他のMPRのノードも同様にブロードキャストすることにより、無線ネットワーク内の全ての移動端末にゲートウェイの存在を通知できるものである。
これにより、例えば、ノードAは、ノードB,E,Gを経由して、インターネットへの接続を行うことができるものである。
次に、従来の通信装置の構成及び制御メッセージの中継について図21を用いて説明する。図21は、従来の通信装置の構成を示すシステム構成図である。
図21では、有線自律ネットワークと無線自律ネットワーク(アドホックネットワーク等)とを中継する通信装置のシステム構成を示している。
図21に示すように、従来の通信装置では、レイヤー4(L4)であるトランスポート層以上に、アドホックルーティングプロトコルを実現するネットワークモジュール90が配置され、その中に、アドホックルーティング制御部91、制御メッセージ送信部92、制御メッセージ受信部93、制御メッセージ生成部94、ルーティング情報ベース95が配置される。
その後、アドホックルーティング制御部91は、事前に設定されていた制御メッセージ送信間隔に従い、ルーティング情報ベース95から情報を抽出して制御メッセージ生成部94に渡す。制御メッセージ生成部94にて生成された制御メッセージは、制御メッセージ送信部92に渡されて、下位のレイヤーに送信される。
経路を登録する際には、宛先IPアドレス、ネットワーク識別フラグ(ネットマスク)、中継ノード(ゲートウェイ)のIPアドレス、経路の尺度(メトリック)、出力インタフェース(Ethernet(登録商標) PHY又はWireless Network PHY)などの情報が必要となる。
有線自律ネットワーク98からのIPパケット入力があった場合、通信装置は、自身のルーティングテーブルに96に登録されている通信経路を確認する。その後、IPパケットの宛先IPアドレスと自身のルーティングテーブル16に登録されている通信経路に合致したものがあれば、登録時に設定した出力インタフェースに対してIPパケットを出力する。
その際、ルーティングテーブルに登録されている経路の出力先は、有線自律ネットワーク側インタフェースにも、また無線側のインタフェースにもなりうる。
また、通信装置は、入力データに合致した経路の情報を一時的な記憶領域(ルーティングテーブルキャッシュ)961に保管する機能を備えている。
WAN(Wide Area Network)などをはじめとする有線ネットワークに対して行われる一般的な帯域制御は、親局となるネットワーク管理者との取り決めにより成立している。
このため、ルーター等、ネットワーク器材間の取り決めや専用サーバによる制御で実現していることが多く、移動端末が動的にネットワーク構築を行うアドホックネットワークへの適用は困難である。
DiffServ方式は、IPパケット内のToSフィールド内にあるDSCP(Differentiated Services Code Point)の情報内容に応じて、IPパケットの情報優先度を決定するものである。
通信装置によっては、DSCPの内容をIPパケット内の送信元アドレス、宛先アドレスや上位プロトコルの情報を利用して書き換える(マーキング)処理を行うことがある。
従来のネットワークにおける通信の例について図22を用いて説明する。図22は、従来のネットワークにおける通信の例を示す説明図であり、(a)はネットワーク構成を示し、(b)は通信シーケンス例を示している。
図22(a)に示す例では、通信装置#1〜#5がアドホックネットワークを構成しており、各通信装置には、有線ネットワークで端末が接続されている。
ここでは、端末#2−端末#6の通信が優先度が高く、端末#2−端末#5の通信は優先度が低いものとする。
尚、無線通信ネットワークに関する関連技術としては、特開2005−72720号公報「通信ネットワークシステム、通信経路選択装置及び情報通信方法」(ソニー株式会社、特許文献1)、特開2005−101872号公報「ネットワーク制御方法、ネットワークシステムおよび無線端末」(三洋電機株式会社、特許文献2)、特開2007−228317号公報「映像監視システム」(株式会社東芝、特許文献3)、特開2009−253927号公報「ネットワーク管理装置とネットワーク管理方法および監視システム」(ソニー株式会社、特許文献4)がある。
本発明の実施の形態に係る通信装置及び通信方法は、有線で接続された端末を備えた通信装置であって、送信元と宛先との組み合わせによって特定される通信データに対応する帯域制御値と優先度とを規定するQoS制御情報(QoSエントリ情報)を記憶部に複数記憶しておき、有線で接続された端末から通信データが入力されると、記憶部に記憶されたQoS制御情報の内、入力された通信データの送信元と宛先との組み合わせに一致するQoS制御情報に基づいて、帯域制御、又は帯域制御と優先度制御を行って無線送信するものであり、送信元及び宛先として、ネットワークを構築する通信装置だけでなく各通信装置に接続する端末も含めて設定可能としており、ネットワーク全体においてQoS制御を実現して、種々のサービスを提供できるものである。
本発明の実施の形態に係る通信装置(本通信装置)の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る通信装置のシステム構成図である。
図1に示すように、本通信装置は、基本的な構成は図21に示した従来の通信装置とほぼ同様であるが、QoS制御を行うための構成部分が新たに追加されているものである。
但し、制御部11における動作と、ルーティング情報ベース15に記憶されている情報が従来とは一部異なっている。
ルーティングテーブル20には、従来と同様に、入力データに合致した経路の情報を一時的に保持するルーティングテーブルキャッシュ21が設けられている。
更に、本通信装置の特徴部分として、L4層以上に、DSCPマーキング部18と、帯域制御部19とが設けられている。
設定インタフェース17は、本装置の特徴となっているQoS制御情報(QoSエントリ情報)を管理者が入力するためのインタフェースであり、表示画面や入力手段を備えている。
ルーティング情報ベース15は、設定インタフェース17や制御メッセージ解析部16を介して入力されたQoS制御情報に基づいて生成された帯域制御テーブル及び優先度制御テーブル、QoSエントリを記憶する。
具体的には、DSCPマーキング部18は、制御部11からの指示に従って、IPパケットについてヘッダ部分のToSフィールド内のDSCP値を書き換えるマーキング処理を行う。DSCP値は、パケットの優先度を表す情報である。
これにより、当該IPパケットの優先度を制御できるものである。
従来用いられていたIPパケットのDSCP値とは、当該送信元と宛先との組み合わせについて、元々通信装置と端末との間の有線通信で設定されていた優先度の情報である。
これにより、従来から優先度制御が為されている有線ネットワーク内では、その優先度を保持できるものである。
本通信装置は、大きく分けて、QoS制御情報を登録して装置間で共有して記憶する動作と、実際の通信において、記憶されたQoS制御情報に基づいてIPパケットの帯域や優先度を制御する動作とを行う。
それぞれの動作については後述する。
ここで、本通信装置の動作を説明するため、本通信装置が配置されたネットワークの構成例について図2を用いて説明する。図2は、本通信装置が配置されたネットワークの構成例を示す説明図である。
図2に示すネットワークは、図22(a)に示したネットワークと同一の構成であり、通信装置#1,#2,#3,#4,#5を備えている。
更に、通信装置#1には端末#1と端末#4が有線で接続され、通信装置#2には端末#2が、通信装置#3には端末#3が、通信装置#4には端末#5が、通信装置#5には端末#6がそれぞれ有線で接続されている。
送信元である端末#2のIPアドレスは、192.168.0.1であり、宛先である端末#6のIPアドレスは、192.168.1.1である。
次に、本装置のQoS設定画面表示例について図1及び図3を用いて、動作を交えながら説明する。図3は、QoS設定画面の表示例を示す説明図である。
図3に示すように、QoS設定画面は、管理者が操作するPC等の処理装置に表示され、QoS制御情報を生成するための情報が入力されるものであり、図1に示した設定インタフェース部17によって実現されるものである。
ここで、QoS設定画面で設定されるQoS制御情報は、自通信装置又は自通信装置に有線で接続された端末が送信元となる通信のQoS制御情報である。
帯域制御について、送信元IPアドレスと宛先IPアドレスの組に対応して、所望の帯域上限の値を入力する。
図3の例では、番号1として端末#2(192.168.0.1/32)から端末#6(192.168.1.1/32)への通信は、帯域上限「1Mbps」が設定され、広い帯域が確保されている。
そして、「設定」キーが押下されると、表示されている内容が制御部11に出力され、制御部11は、後述する帯域制御テーブル及びQoSエントリを生成する。
図3の例では、番号1として端末#2(192.168.0.1/32)から端末#6(192.168.1.1/32)への通信は、優先度「1(最高)」が入力されている。
そして、「設定」キーが押下されると、表示されている内容が制御部11に出力され、制御部11は、後述する優先度制御テーブル及びQoSエントリを生成する。
尚、本通信装置では、帯域制御と優先度制御を独立して設定可能であるため、帯域と優先度のいずれか一方又は両方の制御を行うことができるものとなっている。
次に、QoS設定画面の内容に基づいて生成される帯域制御テーブルについて図4を用いて説明する。図4は、帯域制御テーブルの例を示す説明図である。
図4に示すように、帯域制御テーブルは、図3に示したQoS設定画面の帯域制御のエリアにおいて入力された情報に基づいて生成され、設定装置情報、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、帯域設定の値が記憶されている。
設定装置情報は、当該情報が設定(入力)された装置を示し、ここでは自装置(通信装置#2)となっている。
また、制御部11は、次にQoS設定画面を表示する際には、帯域制御テーブルの情報を読み取って帯域制御のエリアに表示する。
次に、QoS設定画面の内容に基づいて生成される優先度制御テーブルについて図5を用いて説明する。図5は、優先度制御テーブルの説明図である。
図5に示すように、優先度制御テーブルもQoS設定画面の内容に基づいて生成されるものであり、設定装置情報、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス及び優先度値が記憶されている。
また、制御部11は、次にQoS設定画面を表示する際には、優先度制御テーブルの情報を読み取って優先度制御のエリアに表示する。
更に、本通信装置では、帯域制御テーブル及び優先度制御テーブルに基づいて、QoSエントリを生成する。
QoSエントリは、データパケットの通信時にQoS制御を行う際の基準となる情報である。
それと共に、本通信装置では、各通信装置で生成されたQoSエントリに基づいて、QoS制御情報をアドホックルーティングプロトコルの制御メッセージとして、他の通信装置にフラッディングする。QoS制御情報を送信する制御メッセージをQoS制御通知メッセージと称する。
QoSエントリは、ルーティング情報ベース15に記憶されており、図6に示すように、自装置においてQoS設定画面から入力されたQoS制御情報だけでなく、他の通信装置から送信されたQoS制御通知メッセージから抽出したQoSエントリ情報(QoS制御情報)も記憶している。
番号は、QoS制御情報毎に付されている。
設定装置情報は、当該QoS制御情報の送信元の情報を格納している。
図6の例では、番号1〜4は通信装置#2(自装置)で入力されたQoS制御情報であり、番号5〜7は、図2に示した通信装置#4(隣接ノード)から送信されたQoS制御情報であり、番号8〜9は、図2に示した通信装置#5(2HOPノード)から送信されたQoS制御情報である。
宛先IPアドレスは、QoS制御の対象となるIPパケットの宛先を示す。
また、帯域制御優先度は、自装置において、帯域確保を行う処理の優先度を示す情報である。
帯域制御優先度の設定は、QoS制御通知メッセージ受信処理において説明する。
但し、QoSエントリの帯域制御優先度(及び配列順)は、通信装置毎に異なっている。
次に、QoS制御通知メッセージのフォーマットについて図7を用いて説明する。図7は、QoS制御通知メッセージのフォーマットを示す説明図である。
QoS制御通知メッセージは、ネットワークを構築する通信装置間でQoS制御情報を共有するための制御メッセージであり、QoS制御情報が設定された通信端末から送信されるものである。
QoSEntry SourceNetMask及びQoSEntry DestNetMaskには、送信元IPアドレス及び宛先IPアドレスのサブネットマスク8bitを格納する。
QoS制御通知メッセージの送信処理、受信処理については後述する。
次に、QoS制御通知メッセージの例について図2及び図8を用いて説明する。図8は、図2の端末#2から端末#6へのIPパケットに対するQoS制御情報を示すQoS制御通知メッセージの説明図である。
図8に示すように、端末#2から端末#6の通信についてのQoS制御通知メッセージは、図7に示したフォーマットで記載されており、送信元に端末#2のIPアドレス(192.168.0.1)、宛先に端末#6のIPアドレス(192.168.1.1)、更にQoSEntry SourceNetMask及びQoSEntry DestNetMaskには端末であることを示す値(/32)が記載されている。
そして、帯域制御値として1000[1Mbps]、優先度制御値として3F[最高]が設定されている。
次に、本通信装置から成るネットワーク(本ネットワーク)におけるQoS制御のシーケンスについて図2及び図9を用いて説明する。図9は、図2に示したネットワークにおけるQoS制御のシーケンス例を示すシーケンス図である。
図9の上段では、QoS制御情報を通信装置間で共有するシーケンスを示している。
ここで、通信装置#2は、図2に示したように、通信装置#1,#3,#4に対してもQoS制御通知メッセージを送信する。
尚、通信装置#2からのQoS制御通知メッセージを受信した通信装置#1及び通信装置#3(図2参照)は、MPRではないためフラッディングは行わないが、QoS制御情報をルーティング情報ベース15のQoSエントリに保存して、受信したIPパケットに対して帯域制御及び優先度制御を行う。
また、通信装置#5の制御部11は、宛先が自装置に有線で接続する端末#6であるデータを受信した場合、帯域制御部19に帯域制限の情報を設定し、DSCPマーキング部18に対してDSCPリマーキングを指示し、有線ネットワークの優先度に合わせる(S6)。
図9の中段では、帯域制御のみを行う場合を示しており、端末#2から端末#6へのIPパケットについて、広い帯域が保証されている。
これにより、端末#6宛のデータは、広い帯域で送信され(S13)、端末#5宛のデータは狭い帯域で送信される(S14)。
一方、端末#5宛のデータは、通信装置#2から通信装置#4への送信時に狭い帯域が割り当てられるため、通信速度は遅くなる。
端末#2に、端末#6宛のデータと、端末#5宛のデータが入力されると、端末#2からは、DSCPに元々の有線ネットワークにおける優先度の情報を格納してデータが送信される(S32,S22)。
ここでは、端末#5宛のデータはDSCP=7で優先度が低く、端末#6宛のデータはDSCP=0で優先度が高く設定されている。
また、端末#5宛のデータは、QoSエントリに基づいて、DSCP=0に書き換えるマーキング処理を行い、狭い帯域で通信装置#4に送信する(S24)。
端末#5宛のデータは、通信装置#4から有線ネットワークで送信される。
このようにして、端末#2と端末#6との間の通信が帯域が保証されると共に送信処理も優先されるものである。
次に、本通信装置におけるQoS制御通知メッセージの送信処理について図10を用いて説明する。図10は、本通信装置におけるQoS制御通知メッセージの送信処理を示すフローチャートである。
本通信装置では、自装置のQoS設定画面において操作が行われた場合に、他の通信装置にQoS制御情報を伝達するためにQoS制御通知メッセージを送信する。
また、処理S100でQoS制御情報が変更された場合には(Yesの場合)、変更された内容に基づいて、当該QoS制御情報を図6に示したQoSエントリに登録する(S112)。
このようにして、QoS制御通知メッセージの送信処理が行われるものである。
次に、本装置におけるQoS制御通知メッセージの受信処理について図11を用いて説明する。図11は、本通信装置におけるQoS制御通知メッセージの受信処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、本装置の制御メッセージ受信部13は、QoS制御通知メッセージを受信したかどうか監視し(S200)、受信していなければ(Noの場合)、監視を続ける。
また、QoS制御通知メッセージを受信した場合には(Yesの場合)、制御メッセージ受信部13は、QoS制御メッセージ解析部16に当該メッセージを出力し、QoS制御メッセージ解析部16は、当該メッセージに含まれるQoSエントリ情報をEntryNumber分抽出し(S202)、制御部11に出力する。
また、処理S204で新規QoSエントリ情報があれば(Yesの場合)、当該QoS制御通知メッセージの送信元のHOP数に応じて帯域制御優先度を設定する(S206)。
具体的には、隣接ノードであれば要求された帯域制御優先度(受信したQoSエントリ情報の番号)に30を加算し、2HOPノードであれば60を加算して設定する。
そして、制御部11は、QoSエントリに、当該新規QoS制御情報を登録する(S208)。また、有効期間はメッセージヘッダのQoSControlTimerとする。
また、処理S210で、自装置がMPRではないと判断すると(Noの場合)、制御部11は、処理を終わる。
このようにしてQoS制御通知メッセージ受信処理が行われるものである。
次に、本通信装置におけるIPパケット受信時の処理について図12を用いて説明する。図12は、IPパケット受信時の処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、制御部11は、IPパケットの受信を待ち受け(S300)、IPパケットを受信した場合には(Yesの場合)、当該IPパケットの送信元及び宛先を読み取り、ルーティング情報ベース15に記憶されているQoSエントリの中から、当該送信元と宛先の組み合わせに対応するQoS制御情報を選択する(S302)。
処理S304において、受信パケットの宛先が自装置有線側の端末ではなかった場合(Noの場合)、制御部11は、DSCPマーキング部18に対して、受信したIPパケットのDSCPを、選択したQoS制御情報に記載されている優先度値に書き換えるマーキング処理を実施するよう指示する(S306)。
これにより、自装置に有線で接続された端末宛のデータの優先度は、有線側の優先度に変換される。
このようにして、IPパケット受信時の制御部11の処理が行われる。
尚、複数のIPパケットを同時に受信した場合には、QoSエントリの帯域優先度に従って図13の処理を行う。
つまり、本通信装置から成るネットワークでは、通信データの送信元と宛先の組み合わせに応じて、全ての無線区間で適切な帯域及び優先度で通信を行うことができると共に、リマーキングを行うことで、有線区間でも通信が保証されるものである。
また、本通信装置では、ルーティング情報ベース15に記憶されているQoS制御情報の有効期間を定期的にチェックして、期限の切れているQoS制御情報をQoSエントリから削除してQoSエントリを更新する。
このようにして、QoS制御情報の管理が行われる。
本発明の実施の形態に係る通信装置及び通信方法によれば、自装置に有線で接続された端末を送信元とし、送信元と宛先との組み合わせによって特定される通信データに対応する帯域制御値と優先度とを規定するQoS制御情報(QoSエントリ情報)を記憶部に複数記憶しておき、有線で接続された端末から通信データが入力されると、記憶部に記憶されたQoS制御情報の中から、入力された通信データの送信元と宛先との組み合わせに一致するQoS制御情報を選択し、当該QoS制御情報に基づいて帯域制御及び優先度制御を行って無線送信するようにしており、送信元及び宛先として、通信装置だけでなく各通信装置に有線で接続する端末も含めてQoS制御を行うことができ、ネットワーク全体においてQoS制御を実現して、種々のサービスを提供できる効果がある。
Claims (5)
- 複数の通信装置により形成された無線ネットワーク内の通信装置と無線通信を行うと共に、有線ネットワークによって自装置に接続された端末と通信を行う通信装置であって、
前記端末を送信元とし、前記送信元と宛先との組み合わせによって特定される通信データに対応して、帯域制御値を規定するQoS制御情報を複数記憶する記憶部と、
前記QoS制御情報に基づいて通信データのQoS制御を行う制御部と、
指示に従って無線通信における送信データの帯域制御を行う帯域制御部とを備え、
前記制御部が、通信データが入力されると、前記記憶部に記憶された複数のQoS制御情報の中から前記通信データの送信元と宛先の組み合わせに対応するQoS制御情報を選択し、前記選択されたQoS制御情報で規定された帯域制御値を前記帯域制御部に指定するものであって、
前記記憶部には、自装置から設定されたQoS制御情報に加えて、他の通信装置から受信したQoS制御情報が記憶されるようになっており、
制御部が、各QoS制御情報について自装置における帯域制御の優先度を示す帯域制御優先度を設定し、前記設定の際に、自装置から設定されたQoS制御情報の帯域制御優先度を、他の通信装置から受信したQoS制御情報の帯域制御優先度より高く設定して前記記憶部に記憶し、
通信データが入力された場合に、前記通信データの送信元と宛先の組み合わせに対応するQoS制御情報の帯域制御優先度に従って帯域制御値を帯域制御部に指定することを特徴とする通信装置。 - 通信データの優先度を制御する優先度制御部を備え、
QoS制御情報には、帯域制御値に加えて優先度が規定されており、
制御部が、通信データが入力されると、前記記憶部に記憶された複数のQoS制御情報の中から前記通信データの送信元と宛先の組み合わせに対応するQoS制御情報を選択し、前記選択されたQoS制御情報で規定された優先度を前記優先度制御部に指定することを特徴とする請求項1記載の通信装置。 - 制御部が、通信データが入力されると、前記通信データの宛先が有線ネットワークによって自装置に接続された端末であるかどうかを判断し、前記宛先が前記有線ネットワークによって自装置に接続された端末でなければ、前記通信データに含まれる優先度の情報を送信元と宛先に対応するQoS制御情報で規定された優先度に書き換えるマーキングを行うよう優先度制御部に指示し、
前記宛先が前記有線ネットワークによって自装置に接続された端末であれば、前記通信データに含まれる優先度の情報を前記有線ネットワークにおいて予め設定されている優先度に書き換えるリマーキングを行うよう優先度制御部に指示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。 - 複数の通信装置により形成された無線ネットワーク内の通信装置と無線通信を行うと共に、有線ネットワークによって自装置に接続された端末と通信を行う通信装置における通信方法であって、
予め記憶部に、前記端末を送信元とし、前記送信元と宛先の組み合わせによって特定される通信データに対応して帯域制御値及び優先度を規定するQoS制御情報を複数記憶しておき、
制御部が、自装置に接続された端末から通信データが入力されると、前記記憶部に記憶された複数のQoS制御情報の中から前記通信データの送信元と宛先の組み合わせに対応するQoS制御情報を選択し、前記選択されたQoS制御情報で規定された帯域制御値及び優先度に基づいて帯域制御と優先度制御を行うものであって、
自装置から設定されたQoS制御情報の記憶に加えて、他の通信装置から受信したQoS制御情報が記憶されるようになっており、
制御部が、各QoS制御情報について自装置における帯域制御の優先度を示す帯域制御優先度を設定し、前記設定の際に、自装置から設定されたQoS制御情報の帯域制御優先度を、他の通信装置から受信したQoS制御情報の帯域制御優先度より高く設定して記憶し、
通信データが入力された場合に、前記通信データの送信元と宛先の組み合わせに対応するQoS制御情報の帯域制御優先度に従って帯域制御値を指定することを特徴とする通信方法。 - 通信データの優先度を制御する優先度制御手段を備え、
QoS制御情報には、帯域制御値に加えて優先度が規定されており、
制御部が、通信データが入力されると、前記記憶された複数のQoS制御情報の中から前記通信データの送信元と宛先の組み合わせに対応するQoS制御情報を選択し、前記選択されたQoS制御情報で規定された優先度を前記優先度制御手段に指定することを特徴とする請求項4記載の通信方法。
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