JP6504381B2 - システム同定装置及びそのプログラム - Google Patents
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Description
また、特許文献1に記載の発明は、多入力1出力システムを多入力1出力のFIRモデルを用いて、適応的にシステムの同定を行うものである。
このとき、初回処理用パラメータ推定手段は、サブシステム毎にパラメータを推定するので、パラメータの推定演算に用いる行列サイズがサブシステムの数に依存しなくなる。
このとき、次回処理用パラメータ推定手段は、サブシステム毎にパラメータを推定するので、パラメータの推定演算に用いる行列サイズがサブシステムの数に依存しなくなる。
システム同定装置は、信号減算手段によって、2回目以降の反復処理の場合、サブシステム毎に、次回処理用パラメータ推定手段が前回処理で推定した今回処理用のパラメータと、入力信号とから新たな第1出力推定値を算出し、新たな減算信号を生成する。
システム同定装置は、次回処理用パラメータ推定手段によって、新たな第2評価関数が最小となるように、サブシステム毎に、信号減算手段が生成した減算信号から新たな次回処理用のパラメータを推定する。
システム同定装置は、判定手段によって、2回目以降の反復処理の場合、サブシステム毎に次回処理用のパラメータと今回処理用のパラメータとの差分を算出し、算出した当該差分の総和に対する閾値判定により反復処理を行うか否かを判定する。そして、システム同定装置は、判定手段によって、反復処理を行わないと判定した場合、次回処理用のパラメータが含まれるFIRモデルを出力する。
すなわち、システム同定装置は、パラメータの推定結果が収束するまでパラメータの推定を繰り返す。
本願発明に係るシステム同定装置は、サブシステム毎にパラメータを推定するので、パラメータの推定に用いる行列サイズがサブシステムの数に依存せずに、計算量を減少させることができる。
さらに、本願発明に係るシステム同定装置は、パラメータの推定結果が収束するまでパラメータの推定を繰り返すので、多入力1出力システムを正確に同定することができる。
本願発明の実施形態に係るシステム同定装置1(図2)を説明する前に、問題の定式化について説明する。対象となるモデルは、下記式(1)のように、m入力1出力システム(多入力1出力システム)のFIRモデルである。
なお、式中では、太字の小文字がベクトル、太字の大文字が行列であることを表す。
以下、本願発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、システム同定装置1が、音響装置200(図1)における頭部伝達関数を同定することとする。従って、システム同定装置1を説明する前に、音響装置200の概略を説明する。
この場合、サブシステム1101は、1台目のスピーカSP1を入力とし、マイクMCを出力としたサブシステムである。つまり、サブシステム1101は、図1において、スピーカSP1からマイクMCまでの矢印で表される。
サブシステム1102〜1104は、サブシステム1101と同様、スピーカSP2〜SP4のそれぞれを入力とし、マイクMCを出力としたサブシステムである。
図2を参照し、本願発明の実施形態に係るシステム同定装置1の構成について、説明する(適宜図1参照)。
以下、システム同定装置1で計算量が減少する理由を補足する。
まず、従来技術のように多入力1出力システム100のパラメータを一括で推定する場合を考える。この場合、式(12)の逆行列計算における行列サイズは、mn×mnとなり、多入力1出力システム100の入力数(サブシステム110の数)mに依存し、大きくなる。当然、行列サイズが大きくなる程、逆行列計算の計算量が増大する。
さらに、逆行列計算の計算量は、行数や列数の3乗に比例する。このため、逆行列計算の計算量は、サブシステム110毎にパラメータを推定した場合、多入力1出力システム100のパラメータを一括で推定したときに比べて、ほぼ入力数m^3分だけ減少する。
サブシステム影響除去手段20は、サブシステム110毎に、第1出力推定値を算出し、他サブシステム110jの第1出力推定値を出力信号から減算することで、減算信号を生成するものである。
図5を参照し、減算信号の生成を詳細に説明する(適宜図2参照)。
まず、サブシステム影響除去手段20は、サブシステム110iのパラメータβ^iと、入出力データに含まれるサブシステム110iの入力信号ui(t)とから、サブシステム110iの第1出力推定値β^T ixi(t)を算出する。これと同様、サブシステム影響除去手段20は、サブシステム110i以外の他サブシステム110j(1101〜110i−1,110i+1〜110m)の第1出力推定値も算出する。
初回処理の場合、サブシステム影響除去手段20は、第1サブシステム同定手段10から入力された初回処理用のパラメータβ^0 iを、式(13)のパラメータβ^l jとして利用する。
2回目以降の反復処理の場合、サブシステム影響除去手段20は、後記する判定手段40から入力された今回処理用のパラメータβ^l iを、式(13)のパラメータβ^l jとして利用する。
第2サブシステム同定手段30は、後記する第2評価関数が最小となるように、サブシステム110毎に、サブシステム影響除去手段20より入力された減算信号から次回処理用のパラメータを推定するものである。
なお、式(15)についても、式(12)と同様の理由で計算量を減少させることができる。
初回処理の場合、判定手段40は、サブシステム110iについて、第2サブシステム同定手段30から入力された次回処理用のパラメータβ^(l+1) iと初回処理用のパラメータβ^0 iとの差分を求める。
2回目以降の反復処理の場合、判定手段40は、サブシステム110iについて、第2サブシステム同定手段30から入力された次回処理用のパラメータβ^(l+1) iと今回処理用のパラメータβ^l iとの差分を求める。
なお、初回処理の場合でも、反復回数l=0となるので、式(17)が成立することは言うまでもない。
図6を参照し、本願発明の実施形態に係るシステム同定装置1の動作について、説明する(適宜図2参照)。
差分の総和が閾値を超える場合(ステップS40でNo)、判定手段40は、反復回数lに‘1’を加算し、ステップ20の処理に戻る。
以上のように、本願発明の実施形態に係るシステム同定装置1は、サブシステム110毎にパラメータを推定するので、式(12)及び式(15)の逆行列計算における行列サイズがサブシステムの数mに依存せずに、計算量を減少させることができる。
さらに、システム同定装置1は、サブシステム影響除去手段20が他サブシステム110jの影響を除去するため、システムの同定を正確に行うことができる。
さらに、システム同定装置1は、音響装置200における頭部伝達関数の同定に利用することで、音響特性の測定実験とその後処理の時間を短縮可能である。
10 第1サブシステム同定手段(初回処理用パラメータ推定手段)
20 サブシステム影響除去手段(信号減算手段)
30 第2サブシステム同定手段(次回処理用パラメータ推定手段)
40 判定手段
100 多入力1出力システム
110,1101,1102,110i,110m サブシステム
110j 他サブシステム
200 音響装置
SP,SP1〜SP4 スピーカ
MC マイク
Claims (4)
- 多入力1出力システムの1入力1出力を表すサブシステム毎のパラメータが含まれるFIRモデルとして、前記サブシステム毎の入力信号と前記多入力1出力システムの出力信号とが含まれる入出力データから、前記多入力1出力システムを同定するシステム同定装置であって、
前記多入力1出力システムの出力信号と、前記サブシステム毎の入力信号及び初回処理用のパラメータにより定まる第1出力推定値との差分を表す第1評価関数が最小となるように、前記サブシステム毎に、前記入出力データから前記初回処理用のパラメータを推定する初回処理用パラメータ推定手段と、
初回処理の場合、前記サブシステム毎に、前記初回処理用パラメータ推定手段が推定した初回処理用のパラメータと前記入力信号とから前記第1出力推定値を算出し、当該サブシステムを除いた他サブシステムの第1出力推定値を前記出力信号から減算することで、減算信号を生成する信号減算手段と、
前記減算信号と、前記入力信号及び次回処理用のパラメータにより定まる第2出力推定値との差分を表す第2評価関数が最小となるように、前記サブシステム毎に、前記信号減算手段が生成した減算信号から前記次回処理用のパラメータを推定する次回処理用パラメータ推定手段と、
初回処理の場合、前記サブシステム毎に前記次回処理用のパラメータと前記初回処理用のパラメータとの差分を算出し、算出した当該差分の総和に対する閾値判定により反復処理を行うか否かを判定し、反復処理を行わないと判定した場合、前記次回処理用パラメータ推定手段で推定された次回処理用のパラメータが含まれるFIRモデルを出力する判定手段と、
を備えることを特徴とするシステム同定装置。 - 前記信号減算手段は、2回目以降の反復処理の場合、前記サブシステム毎に、前記次回処理用パラメータ推定手段が前回処理で推定した今回処理用のパラメータと、前記入力信号とから新たな前記第1出力推定値を算出し、新たな前記減算信号を生成し、
前記次回処理用パラメータ推定手段は、新たな前記第2評価関数が最小となるように、前記サブシステム毎に、当該信号減算手段が生成した減算信号から新たな前記次回処理用のパラメータを推定し、
前記判定手段は、2回目以降の反復処理の場合、前記サブシステム毎に前記次回処理用のパラメータと前記今回処理用のパラメータとの差分を算出し、算出した当該差分の総和に対する閾値判定により反復処理を行うか否かを判定し、反復処理を行わないと判定した場合、当該次回処理用のパラメータが含まれるFIRモデルを出力することを特徴とする請求項1に記載のシステム同定装置。 - 複数のスピーカと1つのマイクとを備える音響装置における頭部伝達関数を、前記複数のスピーカに同時に印加した音響信号が前記入力信号として含まれ、かつ、前記マイクで収録された音響信号が前記出力信号として含まれる前記入出力データから、同定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシステム同定装置。
- コンピュータを、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のシステム同定装置として機能させるためのシステム同定プログラム。
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