[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[機能フロー]
図1は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の機能フローを示す図である。同図に示すように、パチンコゲームは、ユーザの操作により遊技球が発射され、その遊技球が各種入賞した場合に遊技球の払出制御処理が行われるゲームである。また、パチンコゲームには、特別図柄を用いる特別図柄ゲーム、普通図柄を用いる普通図柄ゲームが含まれる。
特別図柄ゲームにおいて「大当り」となったときや、普通図柄ゲームにおいて「当り」となったときには、相対的に、遊技球が入賞する可能性が増大し、遊技球の払出制御処理が行われ易くなる。
また、各種入賞には、特別図柄ゲームにおいて特別図柄の可変表示が行われるための一つの条件である特別図柄始動入賞や、普通図柄ゲームにおいて普通図柄の可変表示が行われるための一つの条件である普通図柄始動入賞も含まれる。
なお、本明細書でいう「可変表示」とは、変動可能に表示される概念であり、例えば、実際に変動して表示される「変動表示」、実際に停止して表示される「停止表示」等を可能にするものである。
また、「可変表示」では、例えば特別図柄ゲームの結果として特別図柄(識別情報)が表示される「導出表示」を行うことができる。すなわち、本明細書では、「変動表示」の開始から「導出表示」までの動作を1回の「可変表示」と称する。
以下、特別図柄ゲーム及び普通図柄ゲームの処理フローの概要を説明する。
(1)特別図柄ゲームにおいて特別図柄始動入賞があった場合には、大当り判定用カウンタ及び図柄決定用カウンタからそれぞれ乱数値(大当り判定用乱数値及び図柄決定用乱数値)が抽出され、抽出された各乱数値が記憶される(図1に示す特別図柄ゲーム中の特別図柄始動入賞処理のフロー参照)。
また、図1に示すように、特別図柄ゲーム中の特別図柄制御処理では、最初に、特別図柄の可変表示を開始する条件が成立したか否かが判定される。この判定処理では、特別図柄始動入賞によって乱数値が記憶されているか否かを参照し、乱数値が記憶されていることを一つの条件として、特別図柄の可変表示を開始する条件が成立したと判定する。
次いで、特別図柄の可変表示を開始する場合、大当り判定用カウンタから抽出された大当り判定用乱数値が参照され、「大当り」とするか否かの大当り判定が行われる。その後、停止図柄決定処理が行われる。この処理では、図柄決定用カウンタから抽出された図柄決定用乱数値と、上述した大当り判定の結果とが参照され、停止表示させる特別図柄を決定する。
次いで、変動パターン決定処理が行われる。この処理では、変動パターン決定用カウンタから乱数値が抽出され、その乱数値と、上述した大当り判定の結果と、上述した停止表示させる特別図柄とが参照され、特別図柄の変動パターンを決定する。
次いで、演出パターン決定処理が行われる。この処理では、演出パターン決定用カウンタから乱数値が抽出され、その乱数値と、上述した大当り判定の結果と、上述した停止表示させる特別図柄と、上述した特別図柄の変動パターンとが参照され、特別図柄の可変表示に伴って実行する演出パターンを決定する。
次いで、決定された大当り判定の結果、停止表示させる特別図柄、特別図柄の変動パターン、及び、特別図柄の可変表示に伴う演出パターンが参照され、特別図柄の可変表示の制御を行う可変表示制御処理、及び、所定の演出を行う演出制御処理が実行される。
そして、可変表示制御処理及び演出表示制御処理が終了すると、「大当り」となるか否かが判定される。この判定処理において、「大当り」となったと判定されると、大当り遊技を行う大当り遊技制御処理が実行される。なお、大当り遊技では、上述した各種入賞の可能性が増大する。一方、「大当り」とならなかったと判定されると、大当り遊技制御処理が実行されない。
「大当り」とならなかったと判定された場合、又は、大当り遊技制御処理が終了した場合には、遊技状態を移行させるための遊技状態移行制御処理が行われる。この遊技状態移行制御処理では、大当り遊技状態とは異なる通常時の遊技状態の管理が行われる。
通常時の遊技状態としては、例えば、上述した大当り判定において、「大当り」と判定される確率が増大する遊技状態(以下、「確変遊技状態」という)や、特別図柄始動入賞が得られやすくなる遊技状態(以下、「時短遊技状態」という)などが挙げられる。その後、再度、特別図柄の可変表示を開始させるか否かの判定処理を行い、その後は、上述した特別図柄制御処理の各種処理が繰り返される。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機において、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動入賞した場合には、該始動入賞時に取得される各種データ(大当り判定用乱数値、図柄決定用乱数値等)が保留される。
すなわち、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動入賞した場合には、該始動入賞に対応する特別図柄の可変表示(変動表示)が保留され、現在実行されている特別図柄の変動表示終了後に保留されている特別図柄の可変表示が開始される。以下では、保留されている特別図柄の可変表示を「保留球」ともいう。
また、本実施形態のパチンコ遊技機では、後述するように、2種類の特別図柄始動入賞(第1始動口入賞及び第2始動口入賞)を設け、各特別図柄始動入賞に対して最大4個の保留球を取得することができる。すなわち、本実施形態では、最大8個の保留球を取得することができる。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機は、図1には示さないが、上述した保留球の情報に基づいて保留球の当落(「大当り」当選の有無)を判定し、さらに、その判定結果に基づいて所定の演出を行う機能、すなわち先読み演出機能を備えていてもよい。
(2)普通図柄ゲームにおいて普通図柄始動入賞があった場合には、当り判定用カウンタから乱数値が抽出され、その乱数値が記憶される(図1に示す普通図柄ゲーム中の普通図柄始動入賞処理のフロー参照)。
また、図1に示すように、普通図柄ゲーム中の普通図柄制御処理では、最初に、普通図柄の可変表示を開始する条件が成立したか否かが判定される。この判定処理では、普通図柄始動入賞によって乱数値が記憶されているか否かが参照され、乱数値が記憶されていることを一つの条件として、普通図柄の可変表示を開始する条件が成立したと判定する。
次いで、普通図柄の可変表示を開始する場合、当り判定用カウンタから抽出された乱数値が参照され、「当り」とするか否かの当り判定が行われる。その後、変動パターン決定処理が行われる。この処理では、当り判定の結果が参照され、普通図柄の変動パターンを決定する。
次いで、決定された当り判定の結果、及び、普通図柄の変動パターンが参照され、普通図柄の可変表示の制御を行う可変表示制御処理、及び、所定の演出を行う演出制御処理が実行される。
可変表示制御処理及び演出表示制御処理が終了すると、「当り」となるか否かが判定される。この判定処理において、「当り」となると判定されると、当り遊技を行う当り遊技制御処理が実行される。
当り遊技制御処理では、上述した各種入賞の可能性、特に、特別図柄ゲームにおける遊技球の特別図柄始動入賞の可能性が増大する。一方、「当り」とならないと判定されると、当り遊技制御処理が実行されない。その後、再度、普通図柄の可変表示を開始させるか否かの判定処理を行い、その後は、上述した普通図柄制御処理の各種処理が繰り返される。
上述のように、パチンコゲームでは、特別図柄ゲームにおいて「大当り」となるか否か、遊技状態の移行状況、普通図柄ゲームにおいて「当り」となるか否か等の条件により、遊技球の払出制御処理の行われ易さが変化する。
なお、本実施形態において、各種の乱数値の抽出方式としては、プログラムを実行することによって乱数値を生成するソフト乱数方式を用いる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば、パチンコ遊技機が、所定周期で乱数が更新される乱数発生器を備える場合には、その乱数発生器におけるカウンタ(いわゆる、リングカウンタ)から乱数値を抽出するハード乱数方式を、上述した各種乱数値の抽出方式として採用してもよい。
なお、ハード乱数方式を用いる場合は、所定周期とは異なるタイミングで、乱数値の初期値を決定することによって、所定周期で同じ乱数値が抽出されることを防止することができる。
[パチンコ遊技機の構造]
次に、図2〜図4を参照して、本実施形態におけるパチンコ遊技機の構造について説明する。図2は、パチンコ遊技機の正面図、図3は、パチンコ遊技機の外観を示す斜視図、図4は、パチンコ遊技機の分解斜視図である。なお、以下の説明においては、基本的に特に断らない限り、パチンコ遊技機1の正面側を前方向、パチンコ遊技機1の背面側を後方向、パチンコ遊技機1の前方から見て左側を左方向、パチンコ遊技機1の前方から見て右側を右方向、パチンコ遊技機1の上側を上方向、パチンコ遊技機1の下側を下方向、パチンコ遊技機1を正面から見て時計回りの方向を右回りの方向、その逆に反時計回りの方向を左回りの方向として説明する。
パチンコ遊技機1は、図2及び図3に示すように、本体2と、本体2に対して開閉自在に取り付けられたベースドア3と、ベースドア3に対して開閉自在に取り付けられたガラスドア4とを備える。
[本体]
本体2は、長方形状の開口2aを有する枠状部材で構成される(図4参照)。この本体2は、例えば、木材等の材料により形成される。
[ベースドア]
ベースドア3は、本体2の外形形状と略等しい長方形の外形形状を有する板状部材で構成される。ベースドア3は、本体2の前方(パチンコ遊技機1の正面側)に配置されており、ベースドア3を本体2の一方の側辺端部を軸にして回動させることにより、本体2の開口2aが開閉される。
ベースドア3には、図4に示すように、四角形状の開口3aが設けられる。この開口3aは、ベースドア3の略中央部から上側の領域に渡って形成され、該領域の大部分を占有する大きさで形成される。
また、ベースドア3には、スピーカ11と、遊技盤12と、皿ユニット14と、発射装置15と、払出ユニット16と、基板ユニット17とが取り付け可能である。遊技盤12には、液晶表示装置13が取り付けられる。なお、液晶表示装置13は、遊技盤12に取り付けず、遊技盤12の背面側に、遊技盤12との間に間隔が存在する状態で配設されていてもよい。
スピーカ11は、ベースドア3の上部(上端部付近)に配置される。遊技盤12は、ベースドア3の前方(パチンコ遊技機1の正面側)に配置され、ベースドア3の開口3aを覆うように配置される。
遊技盤12は、光透過性を有する板形状の樹脂部材で構成される。なお、光透過性を有する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等を用いることができる。
また、遊技盤12の前面(パチンコ遊技機1の正面側の表面)には、発射装置15から発射された遊技球が転動する遊技領域12aが形成される。この遊技領域12aは、ガイドレール(具体的には後述のガラスドア4の開口4aを囲む図示しない外レール41a)に囲まれた領域であり、その外周形状は略円状である。
さらに、遊技領域12aには、図示しない複数の遊技釘が打ちこまれている。なお、遊技盤12(遊技領域12a)の構成については、図5(a)を参照して後述する。
液晶表示装置13は、遊技盤12の背面側(パチンコ遊技機1の正面側とは反対側)に取り付けられる。この液晶表示装置13は、画像を表示する表示領域13aを有する。表示領域13aの大きさは、遊技盤12の表面一部の領域を占めるような大きさに設定される。なお、液晶表示装置13の表示領域13aの大きさは、遊技盤12の表面全体の領域を占める大きさであってもよい。
この液晶表示装置13の表示領域13aには、演出用の識別図柄(装飾図柄)、演出画像、装飾用画像等の各種画像が表示される。遊技者は、遊技盤12を介して、液晶表示装置13の表示領域13aに表示された各種画像を視認することができる。
なお、本実施形態では、表示装置として液晶表示装置13を用いたが、本発明はこれに限定されず、液晶表示装置13に代えて、例えば、プラズマディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の表示機器を適用してもよい。
また、遊技盤12の背面側(パチンコ遊技機1の正面側とは反対側)には、スペーサ19が設けられる。このスペーサ19は、遊技盤12の背面(パチンコ遊技機1の背面側の表面)と液晶表示装置13の前面(パチンコ遊技機1の正面側の表面)との間に設けられ、遊技盤12の遊技領域12aを転動する遊技球の流路となる空間を形成する。
スペーサ19は、光透過性を有する材料で形成される。なお、本発明はこれに限定されず、スペーサ19は、例えば、一部が光透過性を有する材料で形成されていてもよいし、光透過性を有さない材料で形成されていてもよい。
皿ユニット14は、遊技盤12の下方に配置される。この皿ユニット14は、上皿21と、その下方に配置された下皿22とを有する。上皿21及び下皿22には、遊技球の貸出、遊技球の払出(賞球)を行うための払出口21a及び払出口22aがそれぞれ形成される。
所定の払出条件が成立した場合には、払出口21a又は払出口22aから遊技球が排出され、それぞれ排出された遊技球が上皿21や下皿22に貯留される。また、上皿21に貯留された遊技球は、発射装置15によって遊技領域12aに発射される。
また、皿ユニット14には、演出ボタン23が設けられる。この演出ボタン23は、上皿21上に取り付けられる。また、演出ボタン23の周縁には、ジョグダイヤル24が演出ボタン23に対して回転可能に取り付けられる。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、演出ボタン23及びジョグダイヤル24の少なくともいずれか一方を用いて行う所定の演出機能を有し、所定の演出を行う場合には、液晶表示装置13の表示領域13aに、演出ボタン23及びジョグダイヤル24の少なくともいずれか一方の操作を促す画像が表示される。
発射装置15は、ベースドア3の前面において、右下の領域(右下角部付近)に配置される。この発射装置15は、遊技者によって操作可能な発射ハンドル25と、皿ユニット14の右下部に係合するパネル体26とを備える。発射ハンドル25は、パネル体26の前面側に配置され、パネル体26に回動可能に支持される。
なお、図2〜図4には示さないが、パネル体26の背面側には、遊技球の発射動作を制御するソレノイドアクチュエータが設けられる。また、図2〜図4には示さないが、発射ハンドル25の周縁部には、タッチセンサが設けられ、発射ハンドル25の内部には、発射ボリュームが設けられる。発射ボリュームは、発射ハンドル25の回動量に応じて抵抗値を変化させ、ソレノイドアクチュエータに供給する電力を変化させる。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者の手が発射ハンドル25のタッチセンサに接触すると、タッチセンサは検知信号を出力する。これにより、遊技者が発射ハンドル25を握持したことが検知され、ソレノイドアクチュエータによる遊技球の発射が可能になる。
そして、遊技者が発射ハンドル25を把持して時計回り(遊技者側から見て右回り)の方向へ回動操作すると、発射ハンドル25の回動角度に応じて発射ボリュームの抵抗値が変化し、その抵抗値に対応する電力がソレノイドアクチュエータに供給される。その結果、上皿21に貯留された遊技球が順次発射され、発射された遊技球は、ガイドレールに案内されて遊技盤12の遊技領域12aへ放出される。
また、図2〜図4には示さないが、発射ハンドル25の側部には、発射停止ボタンが設けられる。発射停止ボタンは、ソレノイドアクチュエータによる遊技球の発射を停止させるために設けられたボタンである。遊技者が発射停止ボタンを押下すると、発射ハンドル25を把持して回動させた状態であっても、遊技球の発射が停止される。
払出ユニット16及び基板ユニット17は、ベースドア3の背面側に配置される。払出ユニット16には、貯留ユニット(不図示)から遊技球が供給される。払出ユニット16は、貯留ユニットから供給された遊技球の中から、払出条件の成立に基づいて、所定個数の遊技球を上皿21又は下皿22に払い出す。
基板ユニット17は、各種制御基板を有する。各種制御基板には、後述する主制御回路70や副制御回路200、払出・発射制御回路300等が設けられる(後述の図8参照)。
[ガラスドア]
ガラスドア4は、矩形枠状に形成される。また、ガラスドア4は、遊技盤12の前面側に配置され、遊技盤12を覆う大きさを有する。このガラスドア4の前面において、スピーカ11と対向する上部領域には、上部装飾ユニット58が設けられる。上部装飾ユニット58は、パチンコ遊技機1の前方に突出するように配置されている。
また、ガラスドア4の中央部において、遊技盤12の遊技領域12aと対向する領域には、少なくとも遊技領域12aを露出させるような大きさの開口4aが形成される。ガラスドア4の開口4aは、光透過性を有する保護ガラス28が取り付けられ、これにより、開口4aが塞がれる。
したがって、ガラスドア4をベースドア3に対して閉じると、保護ガラス28は、遊技盤12の少なくとも遊技領域12aに対面するように配置される。図2に示すように、ガラスドア4の開口4aの左右両端及び下端には、電飾カバー58A〜58Cが設けられている。電飾カバー58A〜58Cの後面には、LED(Light Emitting Diode)59A〜59C(図8参照)が設けられている。LED59A〜59Cは、液晶表示装置13に表示される演出、演出ボタン、電飾カバー58A、58Bの発光などと連動して点灯あるいは点滅するように制御される。
[遊技盤]
次に、遊技盤12の構成について、図5(a)を参照して説明する。図5(a)は、遊技盤12の構成を示す正面図である。
遊技盤12の前面には、図5(a)に示すように、ガイドレール41と、球通過検出器43と、第1始動口44と、第2始動口45と、普通電動役物46とが設けられる。また、遊技盤12の前面には、一般入賞口51、52と、第1大入賞口53と、第2大入賞口54と、アウト口55と、図示しない複数の遊技釘とが設けられる。
また、遊技盤12の前面において第2大入賞口54付近は、膨出カバー(図示略)が設けられており、膨出カバーは、遊技盤12の前面から前方に膨れ出ている。以後、遊技盤12の前方とは、遊技盤12に対して遊技者側を表し、遊技盤12の後方とは、遊技盤12に対して遊技者側と反対側を表す。また、遊技盤12に対して右側、左側とは、遊技盤12を正面から見て右側、左側を表す。したがって、遊技盤12を後方から見た場合には、紙面において遊技盤12の右側が左側となり、遊技盤12の左側が右側となる。
さらに、遊技盤12の前面において、その右下部には、特別図柄表示装置61と、普通図柄表示装置62と、普通図柄保留表示装置63と、第1特別図柄保留表示装置64と、第2特別図柄保留表示装置65とが設けられる(図5(a)において符号省略し、図8参照)。
なお、本実施形態では、特別図柄の停止表示の結果が「大当り」である場合に点灯する報知LEDや、大当り遊技中のラウンド数を表示するラウンド数表示LED等を設けてもよい。
[遊技領域の各種構成部材]
ガイドレール41は、遊技領域12aを区画するように円弧状に延在し、ガラスドア4の開口4aを囲む図示しない外レール41a(図5(a)において破線で示す)と、この外レール41aの内側(内周側)に配置されて円弧状に延在する内レール41bとで構成される。
遊技領域12aは、外レール41aの内側に形成される。外レール41a及び内レール41bは、遊技者側から見て、遊技領域12aの左側端部付近において互いに対向するように配置され、これにより、外レール41aと内レール41bとの間に、発射装置15によって発射された遊技球を遊技領域12aの上部へと案内するガイド経路41cが形成される。
また、遊技領域12aの左側上部に位置する内レール41bの先端部には、該内レール41bの先端部と、それと対向する外レール41aの一部とにより、玉放出口41dが形成される。そして、内レール41bの先端部には、玉放出口41dを塞ぐようにして、玉戻り防止片42が設けられる。
この玉戻り防止片42は、玉放出口41dから遊技領域12aに放出された遊技球が、再び玉放出口41dを通過してガイド経路41cに進入することを防止する。
玉放出口41dから放出された遊技球は、遊技領域12aの上部から下部に向かって流下する。この際、遊技球は、複数の遊技釘、第1始動口44、第2始動口45等の遊技領域12aに設けられた各種部材に衝突して、その進行方向を変えながら遊技領域12aの上部から下部に向かって流下する。
遊技領域12aの略中央には、液晶表示装置13の表示領域13aが設けられる。この表示領域13aの上端には、障害物13bが設けられる。障害物13bを設けることにより、遊技球は、遊技領域12a内の表示領域13aと重なる領域上を通過しない。
球通過検出器43は、遊技者側から見て、表示領域13aの右側における第1大入賞口53の上部付近に配置される。球通過検出器43には、通過する遊技球を検出するための通過球センサ43a(後述の図8参照)が設けられる。また、球通過検出器43を遊技球が通過することにより、普通図柄ゲームの「当り」か否かの抽選が行われ、該抽選の結果に基づいて普通図柄の変動表示が開始される。
第1始動口44は、表示領域13aの下方に配置され、第2始動口45は、第1始動口44の下方に配置される。第1始動口44及び第2始動口45は、遊技球を受け入れ可能な部材で構成される。
以下、遊技球が第1始動口44又は第2始動口45に入ること又は通過することを「入賞」という。そして、遊技球が第1始動口44又は第2始動口45に入賞すると、所定数(例えば3個)の遊技球が払い出される。
また、第1始動口44に遊技球が入球することにより、「大当り」であるか否かの抽選及び「小当り」であるか否かの抽選が行われ、該抽選の結果に基づいて第1特別図柄の変動表示が開始される。さらに、第2始動口45に遊技球が入球することにより、「大当り」であるか否かの抽選が行われ、該抽選の結果に基づいて第2特別図柄の変動表示が開始される。第1特別図柄及び第2特別図柄は、それぞれ特図1及び特図2という場合がある。
第1始動口44には、入賞した遊技球を検出するための第1始動口入賞球センサ44a(後述の図8参照)が設けられる。また、第2始動口45には、第2始動口45に入賞した遊技球を検出するための第2始動口入賞球センサ45a(後述の図8参照)が設けられる。なお、第1始動口44及び第2始動口45に入賞した遊技球は、遊技盤12に設けられた回収口(不図示)を通過して遊技球の回収部(不図示)に搬送される。
普通電動役物46は、第2始動口45に設けられる。普通電動役物46は、遊技盤1の前後方向に前傾姿勢・後退姿勢をなすように開閉動作する羽根状の部材であり、第2始動口45への遊技球の入賞を可能とする開放状態と、第2始動口45への遊技球の入賞を不可能又は困難とする閉鎖状態とを切り替え可能に構成されている。普通電動役物46は、普通電動役物ソレノイド46a(後述の図8参照)により開閉駆動される。
なお、本実施形態では、普通電動役物46が閉鎖状態である場合、一対の羽根部材の開口形態を、入賞不可能にする形態でなく、遊技球の入賞が困難になるような形態にしてもよい。また、普通電動役物46としては、羽根状の部材を前後方向に開閉するように動作させるものに限らず、例えば遊技盤1の左右方向に回動することで始動口を拡開するいわゆる電動チューリップ型のものや、遊技盤1の前後方向に水平移動することで始動口を開閉する舌状部材であってもよい。
一般入賞口51は、遊技者側から見て、遊技領域12aの左下部付近に配置される。また、一般入賞口52は、球通過検出器43の右方に配置され、かつ、遊技者側から見て、遊技領域12aの右下部付近に配置される。
一般入賞口51及び一般入賞口52は、遊技球を受け入れ可能な部材で構成される。以下では、遊技球が一般入賞口51又は一般入賞口52に入ること又は通過することもまた、「入賞」という。一般入賞口51又は一般入賞口52に遊技球が入賞すると、所定数(例えば10個)の遊技球が払い出される。
一般入賞口51には、入賞した遊技球を検出するための一般入賞球センサ51a(後述の図8参照)が設けられる。また、一般入賞口52には、一般入賞口52に入賞した遊技球を検出するための一般入賞球センサ52a(後述の図8参照)が設けられる。
第1大入賞口53及び第2大入賞口54は、球通過検出器43の下方で、かつ、第1始動口44及び第1始動口45の右方に配置される。第1大入賞口53及び第2大入賞口54は、遊技球の流路に沿って上下方向に配置され、第1大入賞口53は、第2大入賞口54の上方に配置される。
第1大入賞口53及び第2大入賞口54は、ともに、いわゆるアタッカー式の開閉装置であり、開閉可能なシャッタ53a,54aと、これらのシャッタ53a,54aを駆動させるソレノイドアクチュエータ(後述の図8中の第1大入賞口ソレノイド53b及び第2大入賞口ソレノイド54b)とを有する。
第1大入賞口53及び第2大入賞口54のそれぞれは、対応するシャッタ53a,54aが開いている状態(開放状態)のときに遊技球を受け入れ、シャッタが閉じている状態(閉鎖状態)のときには遊技球を受け入れない。
以下では、遊技球が第1大入賞口53又は第2大入賞口54に入ること又は通過することもまた、「入賞」という。第1大入賞口53に遊技球が入賞すると、所定数(例えば10個)の遊技球が払い出される。一方、第2大入賞口54に遊技球が入賞すると、所定数(例えば15個)の遊技球が払い出される。
また、第1大入賞口53には、入賞した遊技球を計数するためのカウントセンサ53c(後述の図8参照)が設けられる。さらに、第2大入賞口54には、入賞した遊技球を計数するためのカウントセンサ54c(図5(a)及び後述の図8参照)が設けられる。
本実施形態のパチンコ遊技機1において、第1大入賞口53は、遊技球が複数個同時に入賞可能となるように比較的横幅寸法が大きい開口として遊技盤1の前面に形成されている一方、第2大入賞口54は、遊技球が1個ずつ入賞し得るように比較的寸法が小さい開口として図示しない膨出カバーの上端面一部に形成されている。
第1大入賞口53に対応するシャッタ53aは、遊技盤1の前後方向に前傾姿勢・後退姿勢をなすように開閉動作することにより、第1大入賞口53を開放状態あるいは閉鎖状態に切り替えるものであり、閉鎖状態において第1大入賞口53を覆うように配置されている。すなわち、シャッタ53aは、第1大入賞口53への遊技球の入賞が可能な開放状態と、遊技球の入賞が不可能又は困難な閉鎖状態とに変化するように第1大入賞口ソレノイド53b(後述の図8参照)により駆動される。
第2大入賞口54に対応するシャッタ54aは、遊技盤1の前後方向に水平移動することにより、第2大入賞口54を開放状態あるいは閉鎖状態に切り替えるものであり、閉鎖状態において第2大入賞口54を覆うように配置されている。すなわち、シャッタ54aは、第2大入賞口54への遊技球の入賞が可能な開放状態と、遊技球の入賞が不可能又は困難な閉鎖状態とに変化するように第2大入賞口ソレノイド54b(後述の図8参照)により駆動される。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1において、膨出カバーの内側には、第2大入賞口54を通過してカウントセンサ54cにより検知された遊技球が通過可能な特定領域38A及び非特定領域38Bが設けられている。第2大入賞口54から特定領域38A及び非特定領域38Bに至る遊技球の球通路は、膨出カバーの内面に設けられた仕切り壁(図示略)により形成される。第2大入賞口54に入賞した遊技球は、特定領域38A及び非特定領域38Bのいずれか一方を通過した後、遊技盤1の背後へと導かれて回収される。第2大入賞口54から特定領域38A及び非特定領域38Bへと至るまでの球通路の途中位置には、カウントセンサ54cが配置されている。特定領域38Aには、特定領域センサ380Aが配置されており、特定領域38Aにおける遊技球の通過は、特定領域センサ380Aにより検出される。非特定領域38Bには、非特定領域センサ380Bが配置されており、非特定領域38Bへの遊技球の通過は、非特定領域センサ380Bにより検知される。また、特定領域38Aの近傍には、これを開閉するための変位部材39が設けられている。
変位部材39は、遊技盤1の前後方向に水平移動することにより、特定領域38Aを開放状態あるいは閉鎖状態に切り替えるものであり、閉鎖状態では特定領域38Aを覆うように位置する。すなわち、変位部材39は、特定領域38Aへの遊技球の通過が容易な開放状態と、通過が不可能又は困難な閉鎖状態とに変化するように変位部材ソレノイド390(後述の図8参照)により駆動される。特定領域38Aが閉鎖状態にある場合、特定領域38Aを通過できない遊技球は、非特定領域38Bを通過することとなる。
以下では、遊技球が特定領域38Aを通過することを、「V入賞」という場合がある。また、特定領域38Aが設けられた第2大入賞口54については、「Vアタッカー」という場合がある。本実施形態のパチンコ遊技機1において、V入賞に成功した大当り遊技状態の終了後は、確変遊技状態に移行する。そのため、V入賞を「V確」という場合がある。変位部材39については、「Vベロ」という場合がある。
なお、V入賞を実現するための構成としては、図5(b)に示すような構成としてもよい。すなわち、第2大入賞口54の内部には、下方へと遊技球を導くための球通路が形成され、球通路の下端には、左右に隣接するように特定領域38Aと非特定領域38Bとを設ける。第2大入賞口54から球通路へと進入する位置には、カウントセンサ54cが配置される。特定領域38Aには、特定領域センサ380Aが配置されており、特定領域38Aへの遊技球のV入賞は、特定領域センサ380Aにより検出される。非特定領域38Bには、非特定領域センサ380Bが配置されており、非特定領域38Bへの遊技球の通過は、非特定領域センサ380Bにより検知される。そして、球通路において特定領域38A及び非特定領域38Bの近傍には、左右に回動可能な変位部材39を設ける。変位部材39は、実線で示す姿勢が変位後の開放姿勢であり、仮想線で示す位置が通常の閉鎖姿勢である。
変位部材39は、特定領域38Aを開放状態あるいは閉鎖状態に切り替えるものである。変位部材39は、実線で示す開放姿勢にあるとき、特定領域38Aを開放状態とし、当該特定領域38Aへの遊技球のV入賞を容易な状態とする。このとき、変位部材39は、球通路の右側にある特定領域38Aへと遊技球を案内する。これにより、第2大入賞口54から球通路へと導かれてきた遊技球は、特定領域38Aを通過することでV入賞となる。また、変位部材39は、仮想線で示す閉鎖姿勢にあるとき、特定領域38Aを閉鎖状態とし、当該特定領域38Aへの遊技球のV入賞を不可能あるいは困難な状態とするとともに、球通路の左側にある非特定領域38Bへと遊技球を案内する。これにより、第2大入賞口54から球通路へと導かれてきた遊技球は、特定領域38Aを通過せずに非特定領域38Bを通過する。このような構成でもV入賞を実現することができる。なお、カウントセンサ54cが遊技球の通過を検出したときに賞球を払い出し、カウントセンサ54c、特定領域センサ380A、非特定領域センサ380Bからの信号に基づいて、第2大入賞口54から遊技球が排出されたか否か(第2大入賞口54内に遊技球が残留しているか否か)を判定するようにしてもよい。
アウト口55は、遊技領域12aの最下部に設けられる。このアウト口55は、第1始動口44、第2始動口45、一般入賞口51、52、第1大入賞口53及び第2大入賞口54のいずれにも入賞しなかった遊技球を受け入れる。
本実施形態の遊技領域12aにおける各種構成部材の配置を図5(a)に示すような配置にすると、遊技者により遊技領域12aの右側の領域に遊技球が打ち込まれた場合(いわゆる右打ちの場合)、遊技釘等により遊技球が第2始動口45に誘導される。
この場合、第1始動口44に入賞する可能性はほとんどなくなる。なお、本実施形態では、第2始動口45に入賞した方が、第1始動口44に入賞した場合より、遊技者にとって有利な「大当り」の抽選を受け易くなる。
それゆえ、第2始動口45への入賞が比較的容易になるいわゆる「時短遊技状態」では、右打ちを行うことにより、第1始動口44への入賞の可能性(遊技者にとって不利な遊技状態となる可能性)を低くすることができる。
膨出カバーは、第1大入賞口53の下方に設けられており、膨出カバーの上面は、傾斜面として形成されている。この傾斜面は、遊技者側から見て右上方から左下方に向かって左下がりに傾斜している。傾斜面は、遊技領域12aの上部から下部に向かって流下する遊技球を第2大入賞口54へと導くようになっており、傾斜面上を転動する遊技球が図示しないリブ等に衝突すると、遊技球の速度が低下してシャッタ54aが開放状態にある第2大入賞口54に遊技球が入賞し易くなる。
また、図5(a)に示すように、遊技盤12の表示領域13aの周囲には電飾カバー58E〜58Hが設けられており、電飾カバー58E〜58Hの後面にはLED59e〜59h(図8参照)が設けられている。電飾カバー58E〜58Hは、LED59e〜59hの点灯あるいは点滅によって演出表示を行う。
[液晶表示装置]
液晶表示装置13は、液晶で構成され、その表示領域13aにおいて各種演出表示を行う。
具体的に、本実施形態では、後述する特別図柄表示装置61に表示される特別図柄と関連する(対応する)演出画像が表示領域13aに表示される。この際、例えば、特別図柄表示装置61において特別図柄が変動表示中であるときには、特定の場合を除いて、例えば、1〜8までの数字や各種文字等からなる複数の演出用識別図柄(装飾図柄)が表示領域13aに変動表示される。
そして、特別図柄表示装置61において特別図柄が停止表示されると、表示領域13aにも、特別図柄に対応する複数の装飾図柄が停止表示される。
そして、特別図柄表示装置61において停止表示された特別図柄が特定の態様である(停止表示の結果が「大当り」である)場合には、「大当り」であることを遊技者に把握させるための演出画像が表示領域13aに表示される。
「大当り」であることを遊技者に把握させるための演出としては、例えば、まず、停止表示された複数の装飾図柄が特定の態様(例えば、同一の装飾図柄が所定の方向に沿って並ぶ態様)となり、その後、「大当り」を報知する画像を表示するような演出が挙げられる。
また、本実施形態では、液晶表示装置13の表示領域13aに、後述する第1特別図柄保留表示装置64及び第2特別図柄保留表示装置65の表示内容と関連する演出画像が表示される。例えば、表示領域13aには、特別図柄の可変表示の保留個数を報知する保留情報(例えば、保留個数と同じ数の保留用図柄)が表示される。また、例えば、本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の保留球の情報に基づいて先読み演出を行うが、この際の予告報知も表示領域13aに表示される。
また、本実施形態では、後述する普通図柄表示装置62において停止表示された普通図柄が所定の態様であった場合に、その情報を遊技者に把握させる演出画像を液晶表示装置13の表示領域13aに表示させる機能をさらに設けてもよい。
[特別図柄表示装置]
特別図柄表示装置61は、液晶表示装置13の表示領域13aの右下部に配置される。特別図柄表示装置61は、特別図柄ゲームにおいて、特別図柄を可変表示(変動表示及び停止表示)する表示装置である。本実施形態では、特別図柄を数字や記号等からなる図柄で表示する7セグ表示器により特別図柄表示装置61を構成する。
なお、本発明はこれに限定されず、特別図柄表示装置61を、例えば、複数のLEDにより構成してもよい。この場合には、複数のLEDの点灯・消灯によって構成される表示パターンを特別図柄として表す。
特別図柄表示装置61は、遊技球が第1始動口44又は第2始動口45に入賞したこと(特別図柄始動入賞)を契機に、特別図柄(識別情報)の変動表示を行う。そして、特別図柄表示装置61は、所定時間、特別図柄の変動表示を行った後、特別図柄の停止表示を行う。
以下では、遊技球が第1始動口44に入賞したときに、特別図柄表示装置61において変動表示される特別図柄を、第1特別図柄という。また、遊技球が第2始動口45に入賞したときに、特別図柄表示装置61において変動表示される特別図柄を、第2特別図柄という。
特別図柄表示装置61において、停止表示された第1特別図柄又は第2特別図柄が特定の態様(「大当り」の態様)である場合には、遊技状態が、通常遊技状態から遊技者に有利な状態である大当り遊技状態に移行する。
すなわち、特別図柄表示装置61において、第1特別図柄又は第2特別図柄が大当り遊技状態に移行する態様で停止表示されることが、「大当り」である。
大当り遊技状態では、第1大入賞口53又は第2大入賞口54が開放状態になる。具体的には、本実施形態では、遊技球が第1始動口44に入賞し、特別図柄表示装置61において第1特別図柄が特定の態様で停止表示された場合には、第1大入賞口53が開放状態となる。
一方、遊技球が第2始動口45に入賞し、特別図柄表示装置61において第2特別図柄が特定の態様で停止表示された場合には、第2大入賞口54が開放状態となる。
各大入賞口の開放状態は、遊技球が所定個数入賞するまで、又は、一定期間(例えば30秒)が経過するまで維持される。そして、各大入賞口の開放状態の経過期間が、このいずれかの条件を満たすと、開放状態であった大入賞口が閉鎖状態になる。
以下では、第1大入賞口53又は第2大入賞口54が遊技球を受け入れやすい状態(開放状態)となっている遊技をラウンドゲームという。ラウンドゲーム間は、大入賞口が閉鎖状態となる。
また、ラウンドゲームは、1ラウンド、2ラウンド等のラウンド数として計数される。例えば、1回目のラウンドゲームを第1ラウンド、2回目のラウンドゲームを第2ラウンドと称する。
なお、特別図柄表示装置61において、停止表示された特別図柄が特定の態様以外の態様(「ハズレ」の態様)である場合には、転落抽選に当選した場合を除き遊技状態は移行しない。
すなわち、特別図柄ゲームは、特別図柄表示装置61により、特別図柄が変動表示され、その後、特別図柄が停止表示され、その結果によって遊技状態が移行又は維持されるゲームである。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1では、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示中に遊技球が第1始動口44に入賞した場合、該入賞に対応する第1特別図柄の可変表示(保留球)が保留される。
そして、現在、変動表示中の第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示されると、保留されていた第1特別図柄の変動表示が開始される。本実施形態では、保留される第1特別図柄の可変表示の数(いわゆる、「保留個数(保留球の個数)」)を、最大4回(個)に規定する。
さらに、本実施形態では、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示中に遊技球が第2始動口45に入賞した場合、該入賞に対応する第2特別図柄の可変表示(保留球)が保留される。
そして、現在、変動表示中の第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示されると、保留されていた第2特別図柄の変動表示が開始される。本実施形態では、保留される第2特別図柄の可変表示の数(保留個数)を、最大4回(個)に規定する。したがって、本実施形態では、特別図柄の可変表示の保留個数は、合わせて最大8個となる。
また、本実施形態では、第1特別図柄の保留球及び第2特別図柄の保留球が混在した場合、一方の特別図柄の変動表示を、他方の特別図柄の変動表示よりも優先的に実行する。具体的には、第1特別図柄の保留球よりも第2特別図柄の保留球が優先的に消化されるようになっている。なお、本発明はこれに限定されず、第1特別図柄の保留球及び第2特別図柄の保留球が混在した場合、保留された順番に特別図柄の変動表示を実行するようにしてもよい。
[普通図柄表示装置]
普通図柄表示装置62は、液晶表示装置13の表示領域13aの右下部に配置される。そして、本実施形態では、普通図柄表示装置62は、遊技者側から見て、特別図柄表示装置61の左側に配置される。
普通図柄表示装置62は、普通図柄ゲームにおいて、普通図柄を可変表示(変動表示及び停止表示)する表示装置であり、普通図柄表示装置62は、複数のLED(普通図柄表示LED)により構成される。そして、普通図柄表示装置62では、各普通図柄表示LEDの点灯・消灯によって構成される表示パターンを普通図柄として表す。
普通図柄表示装置62は、遊技球が球通過検出器43を通過したことを契機に、2つの普通図柄表示LEDを交互に点灯・消灯して、普通図柄の変動表示を行う。そして、普通図柄表示装置62は、所定時間、普通図柄の変動表示を行った後、普通図柄の停止表示を行う。
普通図柄表示装置62において、停止表示された普通図柄が所定の態様(「当り」の態様)である場合には、普通電動役物46が所定の期間だけ閉鎖状態から開放状態になる。一方、停止表示された普通図柄が所定の態様以外の態様(「ハズレ」の態様)である場合には、普通電動役物46は閉鎖状態を維持する。
すなわち、普通図柄ゲームは、普通図柄表示装置62により、普通図柄が変動表示されて、その後、普通図柄が停止表示され、その結果に応じて普通電動役物46が動作するゲームである。
なお、普通図柄の変動表示中に遊技球が球通過検出器43を通過した場合には、普通図柄の可変表示が保留される。そして、現在、変動表示中の普通図柄が停止表示されると、保留されていた普通図柄の変動表示が開始される。本実施形態では、保留される普通図柄の可変表示の数(すなわち、「保留個数」)を、最大4回(個)に規定する。
[普通図柄保留表示装置]
普通図柄保留表示装置63は、液晶表示装置13の表示領域13aの右下部に配置される。
普通図柄保留表示装置63は、普通図柄の可変表示の保留個数を表示する装置であり、普通図柄保留表示装置63は、複数の普通図柄保留表示LEDを備えており、普通図柄保留表示装置63では、各普通図柄保留表示LEDの点灯・消灯により、普通図柄の可変表示の保留個数を表示する。
具体的には、普通図柄保留表示装置63は、普通図柄の可変表示の保留個数に応じて普通図柄保留表示LEDが表示され、普通図柄保留表示LEDは、普通図柄の可変表示の保留個数に応じて最大で4個点灯される。
[第1特別図柄保留表示装置]
第1特別図柄保留表示装置64は、液晶表示装置13の表示領域13aの右下部に配置される。
第1特別図柄保留表示装置64は、保留されている第1特別図柄の可変表示(第1特別図柄の保留球)に関する情報を表示する装置である。本実施形態では、第1特別図柄保留表示装置64は、複数の第1特別図柄保留表示LEDを備えている。
具体的に、第1特別図柄保留表示装置64は、第1特別図柄の可変表示の保留個数に応じて第1特別図柄保留表示LEDが表示され、第1特別図柄保留表示LEDは、第1特別図柄の可変表示の保留個数に応じて最大で4個点灯される。
[第2特別図柄保留表示装置]
第2特別図柄保留表示装置65は、液晶表示装置13の表示領域13aの右下部に配置される。
第2特別図柄保留表示装置65は、保留されている第2特別図柄の可変表示(第2特別図柄の保留球)に関する情報を表示する装置であり、第2特別図柄保留表示装置65は、複数の第2特別図柄保留表示LEDを備えている。
具体的には、第2特別図柄保留表示装置65は、第2特別図柄の可変表示の保留個数に応じて第2特別図柄保留表示LEDが表示され、第2特別図柄保留表示LEDは、第2特別図柄の可変表示の保留個数に応じて最大で4個点灯される。
[CCDカメラ]
図6及び図7は、CCDカメラによって撮影される範囲を示す図である。
図6は、パチンコ遊技機の一部切欠き側面図(模式図)である。図6に示すように、パチンコ遊技機1において、上部装飾ユニット58の背面側には、CCDカメラ1000が配設されている。CCDカメラ1000は、ガラスドア4の後方上部に取り付けられており、ガラスドア4をベースドア3に対して閉じた際、遊技盤12の前方に位置している。これにより、CCDカメラ1000を用いて、遊技盤12の前面を撮影することができるようになっている。
図6及び図7では、CCDカメラ1000によって撮影される範囲を太線で示している。図7では、CCDカメラ1000によって撮影される範囲をパチンコ遊技機1の正面から見た様子を示している。図7に示すように、CCDカメラ1000は、比較的広範な画角θ(視野角)で撮影可能であり、遊技盤12の大部分が撮影範囲に含まれている。特に、遊技盤12に形成された遊技領域12aは、全て撮影範囲に含まれている。そのため、CCDカメラ1000によって撮影された画像には、遊技領域12aを転動する遊技球が含まれることになる。
[パチンコ遊技機が備える回路の構成]
次に、図8を参照しながら、本実施形態のパチンコ遊技機1が備える各種回路の構成について説明する。なお、図8は、パチンコ遊技機1の回路構成を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図8に示すように、主に遊技動作の制御を行う主制御回路70と、遊技の進行に応じた演出動作の制御を行う副制御回路200と、主に遊技球の払出や発射に関する制御を行う払出・発射制御回路300とを有する。
[主制御回路]
主制御回路70は、メインCPU(Central Processing Unit)71と、メインROM(Read Only Memory)72と、メインRAM(Random Access Memory:Read Write Memoryを略して「RWM」ともいう)73とを備える。また、主制御回路70は、リセット用クロックパルス発生回路74と、初期リセット回路75と、シリアル通信用IC(Integrated Circuit)76とを備える。なお、上述のように、本実施形態では、第1始動口44又は第2始動口45の入賞時に特別図柄の抽選処理を行うが、この処理は、主制御回路70により制御される。すなわち、主制御回路70は、遊技状態を遊技者にとって有利な状態に移行させるか否かの抽選処理を行う手段(抽選手段)も兼ねる。
メインCPU71には、メインROM72、メインRAM73、リセット用クロックパルス発生回路74、初期リセット回路75、シリアル通信用IC76等が接続される。メインROM72には、メインCPU71によりパチンコ遊技機1の動作を制御するための各種プログラムや、各種データテーブル等が記憶されている。
メインCPU71は、メインROM72に記憶されたプログラムに従って、各種処理を実行する。メインRAM73は、メインCPU71が各種処理を実行する際の一時記憶領域として機能し、メインCPU71が各種処理に必要となる種々のフラグや変数の値が記憶される。
なお、本実施形態では、メインCPU71の一時記憶領域としてメインRAM73を用いるが、本発明はこれに限定されず、読み書き可能な記憶媒体であれば任意の記録媒体を一時記憶領域として用いてもよい。
リセット用クロックパルス発生回路74は、後述するシステムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒)でクロックパルスを発生する。初期リセット回路75は、電源投入時にリセット信号を生成する。そして、シリアル通信用IC76は、副制御回路200に対してコマンドを供給する。
また、主制御回路70には、図8に示すように、主制御回路70から送られた出力信号に応じて動作する各種の装置が接続される。
具体的には、主制御回路70には、特別図柄表示装置61、普通図柄表示装置62、普通図柄保留表示装置63、第1特別図柄保留表示装置64及び第2特別図柄保留表示装置65が接続される。
これらの各装置は、主制御回路70から送られた出力信号に基づいて所定の動作を行う。例えば、主制御回路70から特別図柄表示装置61に所定の出力信号が送信されると、特別図柄表示装置61は、その出力信号に基づいて、特別図柄ゲームにおける特別図柄の可変表示の動作制御を行う。
また、主制御回路70には、普通電動役物ソレノイド46a、第1大入賞口ソレノイド53b及び第2大入賞口ソレノイド54bが接続される。そして、主制御回路70は、普通電動役物ソレノイド46aを駆動制御して、普通電動役物46の一対の羽根部材を開放状態又は閉鎖状態にする。
また、主制御回路70は、第1大入賞口ソレノイド53b及び第2大入賞口ソレノイド54bをそれぞれ駆動制御して、第1大入賞口53及び第2大入賞口54を開放状態又は閉鎖状態にする。
さらに、主制御回路70には、図8に示すように、各種センサに接続され、各種センサの出力信号を受信する。具体的には、主制御回路70には、カウントセンサ53c,54c、一般入賞球センサ51a,52a、通過球センサ43a、第1始動口入賞球センサ44a及び第2始動口入賞球センサ45a、特定領域センサ380A及び非特定領域センサ380B、バックアップクリアスイッチ121等が接続される。
カウントセンサ53cは、第1大入賞口53に入賞した遊技球を計数し、その結果を示す所定の出力信号を主制御回路70に出力する。カウントセンサ54cは、第2大入賞口54に入賞した遊技球を計数し、その結果を示す所定の出力信号を主制御回路70に出力する。
一般入賞球センサ51aは、一般入賞口51に遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路70に出力する。一般入賞球センサ52aは、一般入賞口52に遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路70に出力する。
また、通過球センサ43aは、遊技球が球通過検出器43を通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路70に出力する。
第1始動口入賞球センサ44aは、遊技球が第1始動口44に入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路70に出力する。第2始動口入賞球センサ45aは、遊技球が第2始動口45に入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路70に出力する。
特定領域センサ380Aは、遊技球が特定領域38Aを通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路70に出力する。非特定領域センサ380Bは、遊技球が非特定領域38Bを通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路70に出力する。
バックアップクリアスイッチ121は、電断時等にバックアップデータが遊技店の管理者等の操作に応じてクリアされた場合に、所定の検知信号を主制御回路70及び払出・発射制御回路300に出力する。
主制御回路70には、払出・発射制御回路300が接続される。ここで、主制御回路70は、所定の払出条件が成立したことを条件に払い出される遊技球の数である賞球数を決定する。所定の払出条件は、上述した各種始動口や各種入賞口に遊技球が入賞したことである。
また、主制御回路70は、上述のように決定された賞球数を含む情報を賞球制御コマンドとして払出・発射制御回路300に送信する。
[払出・発射制御回路]
払出・発射制御回路300は、CPU、ROM、RAMといったマイクロコンピュータを備える。払出・発射制御回路300には、払出装置170が接続され、払出・発射制御回路300のマイクロコンピュータは、例えば払出装置170による遊技球の払出動作を制御する。
また、払出・発射制御回路300には、遊技球の発射を行う発射装置15、外部端子板140、及びカードユニット150が接続される。外部端子板140には、データ表示器141が接続され、カードユニット150には、貸し出し用操作部151が接続される。
ここで、カードユニット150は、所定の払出条件が成立したことを条件に払い出される遊技球の数である貸し球数を決定する。なお、所定の払出条件は、上述した貸し出し用操作部151が操作されたことである。
払出・発射制御回路300は、発射ハンドル25が遊技者によって把持され、かつ、時計回り方向へ回動操作されたときに、その回動角度に応じて発射装置15のソレノイドアクチュエータに電力を供給する。これにより、発射装置15は、遊技球を発射させる制御を行う。
外部端子板140は、ホール(遊技場)内の全てのパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータにデータ送信するために用いられる。データ表示器141は、例えばパチンコ遊技機1の上部にホールの付帯設備として設置され、ホール係員を呼び出す機能や当り回数を表示する機能を有する。
貸し出し用操作部151は、遊技者に操作されると、カードユニット150に遊技球の貸し出しを要求する信号を出力する。カードユニット150は、貸し出し用操作部151から遊技球の貸出を要求する信号を受信すると、決定された貸し球数の情報を含む貸し球制御信号を払出・発射制御回路300に送信する。
このような払出・発射制御回路300は、主制御回路70から送信される賞球制御コマンド、カードユニット150から送信される貸し球制御信号を受信し、払出装置170に対して所定の信号を送信する。これにより、払出装置170は、遊技球を払い出す。
[副制御回路]
副制御回路200は、主制御回路70のシリアル通信用IC76に接続される。そして、副制御回路200は、主制御回路70から送信される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置13における表示制御、スピーカ11から発生させる音声に関する制御、LED59A〜59E、59e〜59hの制御、各種役物を用いた演出動作の制御等を行う。
すなわち、副制御回路200は、主制御回路70からの指令に基づいて、遊技の進行に応じた各種演出を実行する。なお、本実施形態では、副制御回路200から主制御回路70に対して信号を供給できない構成としたが、本発明はこれに限定されず、副制御回路200から主制御回路70に信号送信可能な構成を備えていてもよい。
副制御回路200は、図8に示すように、サブCPU201と、プログラムROM202と、ワークRAM203と、表示制御回路205と、音声制御回路206と、LED制御回路207と、駆動制御回路208とを備える。サブCPU201には、プログラムROM202、ワークRAM203、表示制御回路205、音声制御回路206、LED制御回路207及び駆動制御回路208が接続される。
プログラムROM202には、サブCPU201によりパチンコ遊技機1の演出動作を制御するための各種プログラムや、各種データテーブルが記憶される。そして、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する。特に、サブCPU201は、主制御回路70から送信される各種のコマンドに従って、副制御回路200全体の制御を行う。
なお、本実施形態では、プログラムや各種テーブル等を記憶する記憶手段として、メインROM72及びプログラムROM202を適用したが、本発明はこれに限定されない。このような記憶手段としては、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様の記憶媒体を用いてもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体を適用してもよい。
また、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。さらに、プログラムは、予め記録媒体に記録されていてもよいし、電源投入後に外部等からダウンロードされ、メインRAM73やワークRAM203等に記録されてもよい。
ワークRAM203は、サブCPU201が各種処理を実行する際の一時記憶領域として機能し、サブCPU201が各種処理に必要となる種々のフラグや変数の値が記憶される。なお、本実施形態では、サブCPU201の一時記憶領域としてワークRAM203を用いるが、本発明はこれに限定されず、読み書き可能な記憶媒体であれば任意の記録媒体を一時記憶領域として用いてよい。
表示制御回路205は、演出に関する画像を液晶表示装置13に表示させる制御を行う。この表示制御回路205は、図示しないが、画像データプロセッサ(以下、VDP(Video Display Processor)と称する)、画像データROM、フレームバッファ、及び、D/A(Digital to Analog)コンバータ等を有する。
なお、画像データROMには、各種の画像データを生成するためのデータが記憶される。フレームバッファは、画像データを一時的に保存する。また、D/Aコンバータは、画像データ(デジタル電気信号)を画像信号(アナログ電気信号)に変換する。
表示制御回路205は、サブCPU201から供給されるデータに基づいて、液晶表示装置13の表示領域13aに画像を表示させるための種々の処理を行う。また、表示制御回路205は、サブCPU201から供給される演出指定情報(メッセージ)に基づいて、装飾図柄(演出用識別図柄)を示す装飾図柄画像データ、背景画像データ、演出用画像データ等の画像データを一時的にフレームバッファに格納する。
そして、表示制御回路205は、フレームバッファに格納した画像データを所定のタイミングでD/Aコンバータに供給する。D/Aコンバータは、画像データを画像信号に変換し、その画像信号を所定のタイミングで液晶表示装置13に供給する。これにより、液晶表示装置13の表示領域13aに所定の演出画像が表示される。
音声制御回路206は、音声に関する制御を行う音源IC、各種の音声データを記憶する音声データROM、及び、音声信号を増幅するための増幅器(以下、AMPと称する)等を有する。
なお、音源ICは、スピーカ11から発生させる音声の制御を行う。音源ICは、サブCPU201から供給される演出指定情報(メッセージ)に基づいて、音声データROMに記憶されている複数の音声データから一つの音声データを選択する。
そして、音源ICは、選択した音声データを音声データROMから読み出し、読み出した音声データを所定の音声信号に変換して、AMPに供給する。また、AMPは、音声信号を増幅して、スピーカ11から音声を発生させる。
LED制御回路207は、LED制御信号を供給するためのドライブ回路、及び複数種類のLED点灯パターンが記憶されているLEDデータROM等を有する。ドライブ回路は、サブCPU201から供給される演出指定情報(メッセージ)に基づいて、LEDデータROMに記憶されている複数の点灯・点滅パターンから一つのLED点灯・点滅パターンを選択する。これにより、点灯・点滅パターンに応じてLED59(59A〜59E、59e〜59h)が点灯あるいは点滅する。
駆動制御回路208は、サブCPU201から供給される演出指定情報(メッセージ)に基づいて、各種役物を作動させるための演出用駆動モータ60を駆動する。
また、副制御回路200には、演出ボタン23が押下操作されたことを検出する演出ボタンスイッチ230と、ジョグダイヤル24が回転操作された際の回転方向や操作量を検出するジョグダイヤルスイッチ240とが接続される。サブCPU201は、演出ボタンスイッチ230やジョグダイヤルスイッチ240からの検出信号(入力信号)に応じて所定の演出表示が行われるように制御する。
また、副制御回路200には、CCDカメラ1000が接続されている。サブCPU201は、CCDカメラ1000により入力された画像データに対して各種処理を行う。
このような副制御回路200は、所定の演出画像を液晶表示装置13に表示させるとともに、スピーカ11から音声を発生させたり、LED59A〜59E、59e〜59hを点灯あるいは点滅させることによって演出表示を行わせる。また、副制御回路200は、CCDカメラ1000によって撮影された画像(カメラ映像)を解析し、解析結果に応じた制御を行う。
[アニメーションリクエスト構築処理の概要]
図9を参照しながら、アニメーションリクエスト構築処理の概要を説明する。なお、図9は、アニメーションリクエスト構築時の動作(各種リクエストの生成動作)概要を示す図である。
サブCPU201(ホスト制御回路)は、主制御回路70から各種コマンドを受信する。また、サブCPU201(ホスト制御回路)は、CCDカメラ1000によって撮影された画像(カメラ映像)のデータを受信する。そして、サブCPU201は、受信したコマンド及びデータに基づいて、演出内容の指定情報を含むアニメーションリクエストと称するリクエストを生成する(不図示)。次いで、サブCPU201は、生成されたアニメーションリクエストに基づいて、描画リクエスト、サウンドリクエスト、ランプリクエスト、役物リクエストなどの各種リクエスト(演出開始要求)を生成する。
その後、サブCPU201は、生成された各リクエストを、対応する演出装置の制御回路(コントローラ)に出力する。具体的には、サブCPU201は、サウンドリクエスト及びランプリクエストを、音声・LED制御回路206、207に出力し、描画リクエストを表示制御回路205に出力し、役物リクエストを駆動制御回路208に出力する。なお、音声制御回路206及びLED制御回路207は、別体としてもよいし、一の制御回路により構成してもよい。
音声・LED制御回路206、207は、入力されたサウンドリクエストに基づいて、スピーカ11による音声再生動作の制御を行う。また、音声・LED制御回路206、207は、入力されたランプリクエストに基づいて、ランプ(LED)群59による発光演出(LEDアニメーション)動作の制御を行う。表示制御回路205は、入力された描画リクエストに基づいて、液晶表示装置13による画像表示演出動作の制御を行う。また、駆動制御回路208は、生成された役物リクエストに基づいて、各種役物による演出動作の制御を行う。
[スピーカの駆動制御手法]
次に、パチンコ遊技機1のホスト制御回路(サブCPU201)から音声・LED制御回路206、207にサウンドリクエストが出力された際に、音声・LED制御回路206、207が実行する、スピーカ11の駆動制御処理の内容について説明する。図10(a)は、スピーカ駆動(音声再生)時の信号フロー図である。
スピーカ11の音声再生(出力)時には、まず、副制御回路200内のホスト制御回路(サブCPU201)から音声・LED制御回路206、207にサウンドリクエストが出力される。なお、本実施形態では、サブCPU201の演出制御処理(後述の図26に示す副制御メイン処理)は、所定のFPS周期で行われるので、音声・LED制御回路206、207へのサウンドリクエストの送信処理も所定のFPS周期で行われる。
次いで、音声・LED制御回路206、207にサウンドリクエストが入力されると、音声・LED制御回路206、207は、該サウンドリクエストに基づいて、スピーカ11からの音声出力パターンを設定するための音声信号(オーディオデータ)を内蔵中継基板に送信する。
そして、内蔵中継基板は、受信した音声信号を増幅し、スピーカ11へ出力して、スピーカ11を駆動する。これにより、スピーカ11による音声再生(演出)動作が実行される。
[ランプ(LED)の駆動制御手法]
次に、ホスト制御回路(サブCPU201)から音声・LED制御回路206、207にランプリクエストが出力された際に、音声・LED制御回路206、207が実行する、ランプ(LED)群59に含まれる複数のLEDの各種駆動制御処理の内容について説明する。なお、以下に説明する本実施形態のランプ制御手法では、発光素子としてLEDを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されず、他の任意の発光素子に対しても本実施形態のランプ制御手法は同様に適用することができる。図10(b)は、LED駆動(点灯/消灯)時の信号フロー図である。
LEDの駆動(点灯/消灯)時には、まず、副制御回路200内のホスト制御回路(サブCPU201)から音声・LED制御回路206、207にランプリクエスト(LED制御リクエスト)が出力される。なお、本実施形態では、サブCPU201の演出制御処理(後述の図26に示す副制御メイン処理)は、所定のFPS周期で行われるので、音声・LED制御回路206、207へのランプリクエストの送信処理も所定のFPS周期で行われる。
次いで、音声・LED制御回路206、207にランプリクエストが入力されると、音声・LED制御回路206、207は、該ランプリクエストに基づいて、LEDの点灯パターン(LEDアニメーション)を設定するためのLEDデータ(駆動データ)をLED群59内の各LEDドライバに送信する。
そして、LEDドライバは、受信したLEDデータに基づいて、接続されているLED59を所定のパターンで点灯/消灯する。これによりLEDアニメーションによる演出動作が実行される。例えば、LED59は、演出動作として、所定の周期(例えば、12ミリ秒間隔)で点滅するように制御される。
なお、LEDデータに基づく発光態様は、LEDドライバからLED59に送信されるLEDデータに基づいて生成された信号(制御信号)より制御される。具体的には、LEDドライバからLED59に送信される信号の電気的な波形パラメータ(電圧値、電流値、パルス幅のデューティー比等)により、LED59の点灯、消灯、点滅、輝度等の発光態様が制御される。
次に、図11〜図13を参照しながら、主制御回路70のデータ構成等について説明する。
[当り乱数判定テーブル]
図11は、主制御回路70のメインROM72に記憶されている当り乱数判定テーブル(第1始動口、第2始動口)を示す図である。当り乱数判定テーブル(第1始動口)は、第1始動口44に遊技球が入賞した際に取得される当り判定用乱数値に基づいて、「大当り」、「小当り」、及び「ハズレ」のいずれかを抽選により決定するために参照される。当り乱数判定テーブル(第2始動口)は、第2始動口45に遊技球が入賞した際に取得される当り判定用乱数値に基づいて「大当り」及び「ハズレ」のいずれかを抽選により決定する際に参照される。
当り判定用乱数値は、始動口入賞を契機に行われる抽選結果を判定するための乱数値である。より具体的にいうと、当り判定用乱数値は、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)の抽選結果を示す値である。本実施形態において、当り判定用乱数値は、0〜65535(65536種類)の中から選ばれる。
本実施形態では、第1始動口44に遊技球が入賞した場合、「大当り」、「小当り」及び「ハズレ」のいずれかが抽選により決定される。それゆえ、当り乱数判定テーブル(第1始動口入賞時)には、確変フラグの値(「0(=オフ)」又は「1(=オン)」)毎に、「大当り」、「小当り」及び「ハズレ」のそれぞれの当選が決定される当り判定用乱数値の範囲(幅)と、それに対応する判定値データ(「大当り判定値データ」、「小当り判定値データ」及び「ハズレ判定値データ」)との関係が規定される。確変フラグは、メインRAM73に格納される管理フラグの一つであり、遊技状態が「確変遊技状態」であるか否かを管理するためのフラグである。遊技状態が「確変遊技状態」である場合には、確変フラグは「1」となり、「非確変遊技状態」である場合には、確変フラグは「0」となる。
本実施形態では、第1始動口44入賞時に、確変フラグが「0」であり、当り判定用乱数値が「0」〜「204」のいずれかである場合には、「大当り」が当選し、「大当り判定値データ」が決定される。すなわち、この場合における「大当り」の当選確率(大当り確率)は、205/65536(≒1/319)となる。
また、第1始動口44入賞時に、確変フラグが「0」であり、当り判定用乱数値が「205」〜「409」のいずれかである場合には、「小当り」が当選し、「小当り判定値データ」が決定される。すなわち、この場合における「小当り」の当選確率は、205/65536(≒1/319)となる。
さらに、第1始動口44入賞時に、確変フラグが「0」であり、当り判定用乱数値が「0」〜「409」のいずれでもない場合には、「ハズレ」が当選し、「ハズレ判定値データ」が決定される。
一方、第1始動口44入賞時に、確変フラグが「1」であり、当り判定用乱数値が「0」〜「1092」のいずれかである場合には、「大当り」が当選し、「大当り判定値データ」が決定される。すなわち、この場合における「大当り」の当選確率(大当り確率)は、1093/65536(≒1/60)となり、確変フラグが「0」である場合のそれより高くなる。
また、第1始動口44入賞時に、確変フラグが「1」であり、当り判定用乱数値が「1093」〜「1297」のいずれかである場合には、「小当り」が当選し、「小当り判定値データ」が決定される。すなわち、この場合における「小当り」の当選確率は、205/65536(≒1/319)となり、確変フラグが「0」である場合と同一となる。
さらに、第1始動口44入賞時に、確変フラグが「1」であり、当り判定用乱数値が「0」〜「1297」のいずれでもない場合には、「ハズレ」が当選し、「ハズレ判定値データ」が決定される。
上述のように、本実施形態では、第1始動口44に遊技球が入賞した場合には、入賞時の遊技状態が「確変遊技状態」であるか否かによって、大当り確率が変動する。具体的には、遊技状態が「確変遊技状態」である時に第1始動口44に遊技球が入賞した場合の大当り確率は、遊技状態が「確変遊技状態」でない時の約5倍程度高くなる。
同様に、第2始動口45入賞時に、確変フラグが「0」であり、当り判定用乱数値が「0」〜「204」のいずれかである場合には、「大当り」が当選し、「大当り判定値データ」が決定される。すなわち、この場合における「大当り」の当選確率(大当り確率)は、205/65536(≒1/319)となる。
また、第2始動口45入賞時に、確変フラグが「0」であり、当り判定用乱数値が「205」〜「409」のいずれでもない場合には、「ハズレ」が当選し、「ハズレ判定値データ」が決定される。
一方、第2始動口45入賞時に、確変フラグが「1」であり、当り判定用乱数値が「0」〜「1092」のいずれかである場合には、「大当り」が当選し、「大当り判定値データ」が決定される。すなわち、この場合における「大当り」の当選確率(大当り確率)は、1093/65536(≒1/60)となり、確変フラグが「0」である場合のそれより高くなる。
また、第2始動口45入賞時に、確変フラグが「1」であり、当り判定用乱数値が「0」〜「1092」のいずれでもない場合には、「ハズレ」が当選し、「ハズレ判定値データ」が決定される。
上述のように、本実施形態では、第2始動口45に遊技球が入賞した場合には、「小当り」に当選することなく、入賞時の遊技状態が「確変遊技状態」であるか否かによって、大当り確率が変動し、遊技状態が「確変遊技状態」である時の大当り確率は、「確変遊技状態」でない時の約5倍程度高くなる。
[図柄判定テーブル]
図12は、主制御回路70のメインROM72に記憶されている図柄判定テーブル(第1始動口、第2始動口)を示す図である。図柄判定テーブル(第1始動口、第2始動口)は、第1始動口44あるいは第2始動口45に遊技球が入賞した際に取得される図柄乱数値と先述の判定値データとに基づいて、停止図柄を決定付ける「当り時選択図柄コマンド」及び「図柄指定コマンド」を選択するために参照される。「当り時選択図柄コマンド」は、当たり当選時の当たり種類に応じて定められる当り図柄を指定するためのコマンドであり、「図柄指定コマンド」は、特別図柄の変動停止時に表示される図柄を指定するためのコマンドである。図柄乱数値は、例えば0〜99(100種類)の中から抽出される。
本実施形態の図柄判定テーブル(第1始動口)によれば、大当り判定値データが得られた場合であって図柄乱数値が「0」〜「49」のいずれかである場合、50/100の確率で当り時選択図柄コマンドとして「z0」が選択され、図柄指定コマンドとして「zA1」が選択される。また、大当り判定値データが得られた場合であって図柄乱数値が「50」〜「99」のいずれかである場合、50/100の確率で当り時選択図柄コマンドとして「z1」が選択され、図柄指定コマンドとして「zA1」が選択される。また、小当り判定値データが得られた場合であって図柄乱数値が「0」〜「99」のいずれかである場合、当り時選択図柄コマンドとして「z2」が選択され、図柄指定コマンドとして「zA2」が選択される。一方、ハズレ判定値データが得られた場合であって図柄乱数値が「0」〜「99」のいずれかである場合、当り時選択図柄コマンドが選択されず、図柄指定コマンドとして「zA3」が選択される。
また、本実施形態の図柄判定テーブル(第2始動口)によれば、大当り判定値データが得られた場合であって図柄乱数値が「0」〜「49」のいずれかである場合、50/100の確率で当り時選択図柄コマンドとして「z3」が選択され、図柄指定コマンドとして「zA4」が選択される。また、大当り判定値データが得られた場合であって図柄乱数値が「50」〜「99」のいずれかである場合、50/100の確率で当り時選択図柄コマンドとして「z4」が選択され、図柄指定コマンドとして「zA5」が選択される。一方、ハズレ判定値データが得られた場合であって図柄乱数値が「0」〜「99」のいずれかである場合、当り時選択図柄コマンドが選択されず、図柄指定コマンドとして「zA6」が選択される。
[大当り種類決定テーブル]
図13は、主制御回路70のメインROM72に記憶されている大当り種類決定テーブルを示す図である。大当り種類決定テーブルは、大当りに係る当り時選択図柄コマンドに応じて、ラウンド数やV入賞の容易性といった大当りの種類を決定するために参照される。なお、本実施形態では、大当りの種類に関係なく大当りに当選すれば、時短フラグが「1」にセットされ、時短回数が例えば100回としてセットされる。また、大当り遊技状態においてV入賞となった場合に限り、確変回数が例えば124回としてセットされる。時短フラグは、メインRAM73に格納される管理フラグの一つであり、遊技状態が「時短遊技状態」であるか否かを管理するためのフラグである。遊技状態が「時短遊技状態」である場合には、時短フラグは「1」となり、「非時短遊技状態」である場合には、時短フラグは「0」となる。時短回数は、時短遊技状態が継続可能な特別図柄ゲームの変動回数であり、確変回数は、確変遊技状態が継続可能な特別図柄ゲームの変動回数である。すなわち、時短遊技状態において大当りに当選することなく時短回数分(100回)の特別図柄変動が行われると、時短遊技状態が終了して非時短遊技状態に移行する。確変遊技状態において大当りに当選することなく確変回数分の特別図柄変動が行われると、確変遊技状態が終了して非確変遊技状態に移行する。
本実施形態の大当り種類決定テーブルによれば、当り時選択図柄コマンドが「z0」の場合、ラウンド数が「10」でV入賞が困難な大当りが決定される。当り時選択図柄コマンドが「z1」の場合、ラウンド数が「10」でV入賞が容易な大当りが決定される。当り時選択図柄コマンドが「z3」の場合、ラウンド数が「4」でV入賞が容易な大当りが決定される。当り時選択図柄コマンドが「z4」の場合、ラウンド数が「16」でV入賞が容易な大当りが決定される。
以下に、パチンコ遊技機1で実行される各種の処理を示す。
[電源投入時処理]
図14は、メインCPU71による電源投入時処理を示している。パチンコ遊技機1の電源が投入されると、同図に示すように、メインCPU71は、初期値をスタックポインタに設定する(ステップS11)。
次に、メインCPU71は、電断検知信号がONか否かを判別する(ステップS12)。電断検知信号は、例えば所定レベルまで電圧が降下するとONとなる。電断検知信号がONの場合、メインCPU71は、電断検知状態と判別し、電断検知信号がOFFになるまでステップS12の処理を繰り返し行う。電断検知信号がOFFの場合、メインCPU71は、電断検知状態と判別し、ステップS13の処理に移る。
ステップS13において、メインCPU71は、RWM(メインRAM)に対するアクセスを許可する。
次に、メインCPU71は、副制御回路200が信号を受け付け可能になるまで待機する副制御受信受付ウェイト処理を行う(ステップS14)。
次に、メインCPU71は、CPU内蔵の各種デバイスについて初期化処理を行う(ステップS15)。
次に、メインCPU71は、バックアップクリア信号がONか否かを判別する(ステップS16)。バックアップクリア信号は、主制御回路70を構成するメインCPU71に備えられたメインRAM73や、払出・発射制御回路300を構成するRAM(図示せず)のバックアップ内容のクリアを指令するための信号である。バックアップクリア信号がONの場合、メインCPU71は、ステップS23の処理に移る。バックアップクリア信号がOFFの場合、メインCPU71は、ステップS17の処理に移る。
ステップS17において、メインCPU71は、電断検知フラグが設定オンである否かを判別する。電断検知フラグは、電断発生に応じて電断処理を実行したことを示すフラグである。電断検知フラグが設定オンである場合、メインCPU71は、ステップS18の処理に移る。電断検知フラグが設定オフである場合、メインCPU71は、ステップS23の処理に移る。
ステップS18において、メインCPU71は、メインRAM73について例えばチェックサムを用いて作業領域損傷チェックを行う。
次に、メインCPU71は、作業領域が正常か否かを判別する(ステップS19)。作業領域が正常である場合、メインCPU71は、ステップS20の処理に移る。作業領域が正常でない場合、メインCPU71は、ステップS23の処理に移る。
ステップS20において、メインCPU71は、電断復旧時に初期値を必要とする作業領域の初期設定を行う。
次に、メインCPU71は、電断復旧時の高確率遊技状態(確変遊技状態)についての報知設定を行う(ステップS21)。
次に、メインCPU71は、電断復帰時のコマンド(電断復帰コマンド)を副制御回路200に対して送信する処理を行う(ステップS22)。この処理を終了すると、メインCPU71は、電源投入時処理を終了する。
ステップS23において、メインCPU71は、メインRAM73の作業領域をクリアする処理を行う。
次に、メインCPU71は、RWM(メインRAM)初期化時に初期値を必要とする作業領域の初期設定を行う(ステップS24)。
次に、メインCPU71は、RWM初期化時のコマンド(初期化コマンド)を副制御回路200に対して送信する処理を行う(ステップS25)。この処理を終了すると、メインCPU71は、電源投入時処理を終了する。
[システムタイマ割込処理]
図15は、メインCPU71によるシステムタイマ割込処理を示している。システムタイマ割込処理は、例えば2msごとに実行される。同図に示すように、メインCPU71は、各レジスタの値をメインRAM73のスタックエリアに退避する(ステップS31)。
次に、メインCPU71は、各種の乱数値を更新する乱数更新処理を行う(ステップS32)。
次に、メインCPU71は、各種スイッチからの入力信号を検出するためのスイッチ入力検出処理を実行する(ステップS33)。スイッチ入力検出処理については、図16を参照して後述する。
次に、メインCPU71は、各種タイマの値を更新するタイマ更新処理を行う(ステップS34)。
次に、メインCPU71は、副制御回路200に各種コマンドを出力(送信)するコマンド出力処理を行う(ステップS35)。
次に、メインCPU71は、副制御回路200に各種遊技情報を出力(送信)する遊技情報出力処理を行う(ステップS36)。遊技情報は、主制御回路70、副制御回路200、払出・発射制御回路300などにおいて処理される遊技に関わる情報であり、副制御回路200や払出・発射制御回路300、ホールコンピュータに送信される。
次に、メインCPU71は、退避した各レジスタの値を復帰させる処理を行う(ステップS37)。この処理を終了すると、メインCPU71は、システムタイマ割込処理を終了する。
[スイッチ入力検出処理]
図16は、メインCPU71によるスイッチ入力検出処理を示している。スイッチ入力検出処理は、先述したシステムタイマ割込処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。同図に示すように、メインCPU71は、始動口入賞検出処理を実行する(ステップS41)。始動口入賞検出処理については、図17を参照して後述する。
次に、メインCPU71は、一般入賞口通過検出処理を行う(ステップS42)。一般入賞口通過検出処理では、例えば一般入賞口51、52への入賞時に払出個数等を示す払出情報をセットする。
次に、メインCPU71は、大入賞口通過検出処理を行う(ステップS43)。大入賞口通過検出処理では、例えば第1大入賞口53又は第2大入賞口54への入賞時に払出個数等を示す払出情報をセットする。
次に、メインCPU71は、球通過検出器通過検出処理を行う(ステップS44)。球通過検出器通過検出処理では、球通過検出器43による遊技球の通過検出に応じて普通図柄ゲームの抽選結果(乱数値)を取得する。この処理を終了すると、メインCPU71は、スイッチ入力検出処理を終了する。
[始動口入賞検出処理]
図17は、メインCPU71による始動口入賞検出処理を示している。始動口入賞検出処理は、先述したスイッチ入力検出処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。同図に示すように、まず、メインCPU71は、第1始動口入賞球センサ44aで遊技球を検出したか否かを判別する(ステップS51)。第1始動口入賞球センサ44aで遊技球を検出した場合、メインCPU71は、ステップS52の処理に移る。第1始動口入賞球センサ44aで遊技球を検出していない場合、メインCPU71は、ステップS59の処理に移る。
ステップS52において、メインCPU71は、第1始動口入賞に応じた払出情報をセットする処理を行う。
次に、メインCPU71は、第1始動口入賞の保留個数(第1特別図柄の保留個数)が4個未満であるか否かを判別する(ステップS53)。当該保留個数が4個未満の場合、メインCPU71は、ステップS54の処理に移る。当該保留個数が4個の場合、メインCPU71は、ステップS59の処理に移る。
ステップS54において、メインCPU71は、第1始動口入賞の保留個数を1加算する処理を行う。
次に、メインCPU71は、当り判定用乱数値及び図柄乱数値を取得し、これらの乱数値をメインRAM73に格納する処理を行う(ステップS55)。
次に、メインCPU71は、第1特別停止図柄判断処理を行う(ステップS56)。第1特別停止図柄判断処理では、当り判定用乱数値及び図柄乱数値に基づいて、当り乱数判定テーブル(第1始動口)及び図柄判定テーブル(第1始動口)、大当り種類決定テーブルを参照し、停止表示される予定の第1特別図柄に係る図柄指定コマンドや当り時選択図柄コマンド等を決定する。
次に、メインCPU71は、変動パターン決定処理を実行する(ステップS57)。変動パターン決定処理では、図柄指定コマンドや判定値データ、遊技状態等に基づいて、第1特別図柄に係る変動パターンを決定する。
次に、メインCPU71は、第1始動口入賞の保留個数増加コマンドをセットする処理を行う(ステップS58)。第1始動口入賞の保留個数増加コマンドは、第1特別図柄の保留個数を1増加する旨を示すコマンドであり、ステップS57の処理で決定された変動パターンを示すコマンド(変動パターン指定コマンド)等とともに副制御回路200へと送信される。
次に、メインCPU71は、第2始動口入賞球センサ45aで遊技球を検出したか否かを判別する(ステップS59)。第2始動口入賞球センサ45aで遊技球を検出した場合、メインCPU71は、ステップS60の処理に移る。第2始動口入賞球センサ45aで遊技球を検出していない場合、メインCPU71は、始動口入賞検出処理を終了する。
ステップS60において、メインCPU71は、第2始動口入賞に応じた払出情報をセットする処理を行う。
次に、メインCPU71は、第2始動口入賞の保留個数(第2特別図柄の保留個数)が4個未満であるか否かを判別する(ステップS61)。当該保留個数が4個未満の場合、メインCPU71は、ステップS62の処理に移る。当該保留個数が4個の場合、メインCPU71は、始動口入賞検出処理を終了する。
ステップS62において、メインCPU71は、第2始動口入賞の保留個数を1加算する処理を行う。
次に、メインCPU71は、当り判定用乱数値及び図柄乱数値を取得し、これらの乱数値をメインRAM73に格納する処理を行う(ステップS63)。
次に、メインCPU71は、第2特別停止図柄判断処理を行う(ステップS64)。第2特別停止図柄判断処理も、第1特別停止図柄判断処理と同様に、当り判定用乱数値及び図柄乱数値に基づいて、当り乱数判定テーブル(第2始動口)及び図柄判定テーブル(第2始動口)、大当り種類決定テーブルを参照し、停止表示される予定の第2特別図柄に係る図柄指定コマンドや当り時選択図柄コマンド等を決定する。
次に、メインCPU71は、変動パターン決定処理を実行する(ステップS65)。この変動パターン決定処理も、図柄指定コマンドや判定値データ、遊技状態等に基づいて、第2特別図柄に係る変動パターンを決定する。
次に、メインCPU71は、第2始動口入賞の保留個数増加コマンドをセットする処理を行う(ステップS66)。第2始動口入賞の保留個数増加コマンドは、第2特別図柄の保留個数を1増加する旨を示すコマンドであり、ステップS65の処理で決定された変動パターンを示すコマンド(変動パターン指定コマンド)等とともに副制御回路200へと送信される。この処理を終了すると、メインCPU71は、始動口入賞検出処理を終了する。
[主制御メイン処理]
図18は、メインCPU71による主制御メイン処理を示している。パチンコ遊技機1に電源が投入されると、同図に示すように、メインCPU71は、初期設定処理を行う(ステップS81)。この処理において、メインCPU71は、先述の電源投入時処理等の処理を行う。
次に、メインCPU71は、初期値乱数更新処理を行う(ステップS82)。この処理において、メインCPU71は、初期値乱数カウンタを更新する処理を行う。
次に、メインCPU71は、特別図柄制御処理を行う(ステップS83)。特別図柄制御処理については、図19を参照して後述する。
次に、メインCPU71は、普通図柄制御処理を行う(ステップS84)。普通図柄制御処理については、図25を参照して後述する。
次に、メインCPU71は、図柄表示装置制御処理を行う(ステップS85)。この処理において、メインCPU71は、ステップS83及びステップS84でメインRAM73に記憶された特別図柄制御処理の結果及び普通図柄制御処理の結果に応じて、特別図柄表示装置61及び普通図柄表示装置62を駆動するための制御信号をメインRAM73に記憶する処理を行う。これにより、メインCPU71は、特別図柄表示装置61及び普通図柄表示装置62に制御信号を送信し、特別図柄表示装置61及び普通図柄表示装置62は、受信した制御信号に基づいて特別図柄や普通図柄を変動表示及び停止表示する。
次に、メインCPU71は、遊技情報データ生成処理を行う(ステップS86)。この処理において、メインCPU71は、副制御回路200や払出・発射制御回路300、ホールコンピュータに送信するための遊技情報データに関する遊技状態コマンドを生成し、メインRAM73に記憶する。
次に、メインCPU71は、記憶・遊技状態データ生成処理を行う(ステップS87)。この処理において、メインCPU71は、確変フラグの値及び時短フラグの値に基づいて、副制御回路200に送信する記憶・遊技状態データを生成し、当該記憶・遊技状態データをメインRAM73に記憶する。この処理を終了すると、メインCPU71は、ステップS82の処理に移る。
[特別図柄制御処理]
図19は、メインCPU71による特別図柄制御処理を示している。特別図柄制御処理は、先述した主制御メイン処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。なお、同図に示す各処理の右方に括弧書きで記載した数値(「00」〜「08」)は、制御状態フラグの値を示す。この制御状態フラグは、メインRAM73内の所定の記憶領域に格納される。メインCPU71は、制御状態フラグの数値に応じた処理を実行することにより、特別図柄ゲームを進行させる。
図19に示すように、メインCPU71は、制御状態フラグをロードする処理を行う(ステップS91)。この処理において、メインCPU71は、メインRAM73に記憶された制御状態フラグの値を読み出す。メインCPU71は、読み出した制御状態フラグの値に基づいて、後述のステップS92〜ステップS100の各処理を実行するか否かを判定する。この制御状態フラグは、特別図柄ゲームの状態を示すものであり、ステップS92〜ステップS100のいずれかの処理を実行可能にするものである。また、メインCPU71は、ステップS92〜ステップS100の各処理に対して設定された待ち時間などに応じて決定された所定のタイミングで各処理を実行する。なお、この所定のタイミングに至る前は、各処理を実行せずに、他のサブルーチンに係る処理を実行する。もちろん、所定の周期で先述のシステムタイマ割込処理(図15参照)も実行する。
次に、メインCPU71は、特別図柄記憶チェック処理を行う(ステップS92)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが特別図柄記憶チェック処理を示す値(「00」)である場合に、特別図柄の可変表示の保留個数をチェックし、保留個数が「0」でない場合(保留球がある場合)には、始動口入賞検出処理で得られた当り判定結果、特別図柄の決定結果、特別図柄の変動パターンの決定結果等を取得する。また、メインCPU71は、この処理において、制御状態フラグに、後述の特別図柄変動時間管理処理(ステップS93)を示す値(「01」)にセットし、今回の処理で取得された変動パターンに対応する特別図柄の変動時間を待ち時間タイマにセットする。すなわち、始動口入賞検出処理で決定された変動パターンに対応する特別図柄の変動時間が経過した後、後述の特別図柄表示時間管理処理が実行されるように設定される。一方、保留個数が「0」である場合(保留球がない場合)、メインCPU71は、デモ画面を表示するためのデモ表示処理を行う。この特別図柄記憶チェック処理については、図20を参照して詳述する。
次に、メインCPU71は、特別図柄変動時間管理処理を行う(ステップS93)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが特別図柄変動時間管理処理を示す値(「01」)であり、特別図柄の変動時間が経過した場合に、制御状態フラグに、後述の特別図柄表示時間管理処理(ステップS94)を示す値(「02」)をセットし、確定後待ち時間(例えば600ms)を待ち時間タイマにセットする。すなわち、このステップS93の処理でセットされた確定後待ち時間が経過した後、後述の特別図柄表示時間管理処理が実行されるように設定される。この特別図柄変動時間管理処理については、図21を参照して詳述する。
次に、メインCPU71は、特別図柄表示時間管理処理を行う(ステップS94)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが特別図柄表示時間管理処理を示す値(「02」)であり、ステップS93の処理でセットされた確定後待ち時間が経過した場合に、当り判定の結果が「大当り」又は「小当り」であるか否かを判断する。そして、当り判定の結果が「大当り」又は「小当り」である場合、メインCPU71は、制御状態フラグに、後述の大当り開始インターバル管理処理(ステップS95)を示す値(「03」)をセットし、大当り開始インターバルに対応する時間を待ち時間タイマにセットする。すなわち、このステップS94の処理でセットされた大当り開始インターバルに対応する時間が経過した後、後述の大当り開始インターバル管理処理が実行されるように設定される。一方、当り判定の結果が「大当り」又は「小当り」でない場合、メインCPU71は、制御状態フラグに、後述の特別図柄ゲーム終了処理(ステップS100)を示す値(「08」)をセットする。すなわち、この場合には、後述の特別図柄ゲーム終了処理が実行されるように設定される。この特別図柄表示時間管理処理については、図22を参照して後述する。
次に、メインCPU71は、大当り開始インターバル管理処理を行う(ステップS95)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが大当り開始インターバル管理処理を示す値(「03」)であり、ステップS94の処理でセットされた大当り開始インターバルに対応する時間が経過した場合に、第1大入賞口53又は第2大入賞口54を開放させるため、メインROM72から読み出されたデータに基づいて、メインRAM73に位置付けられた変数を更新する。また、この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグに、後述の大入賞口開放中処理(ステップS96)を示す値(「04)」をセットするとともに、大入賞口の開放上限時間(例えば30秒)を大入賞口開放時間タイマにセットする。すなわち、この処理により、後述の大入賞口開放中処理が実行されるように設定される。
次に、メインCPU71は、大入賞口開放中処理を行う(ステップS96)。この処理において、まず、メインCPU71は、制御状態フラグが大入賞口開放中処理を示す値(「04」)である場合に、大入賞口入賞カウンタが所定数以上であるという条件、及び、開放上限時間を経過した(大入賞口開放時間タイマが「0」である)という条件の一方が満たされた(所定の閉鎖条件が成立した)か否かを判断する。一方の条件が満たされた場合、メインCPU71は、第1大入賞口53又は第2大入賞口54を閉鎖させるため、メインRAM73に位置付けられた変数を更新する。そして、メインCPU71は、制御状態フラグに、後述の大入賞口内残留球監視処理(ステップS97)を示す値(「05」)をセットするとともに、大入賞口内残留球監視時間を待ち時間タイマにセットする。すなわち、この処理により、ステップS96でセットされた大入賞口内残留球監視時間が経過した後、後述の大入賞口内残留球監視処理が実行されるように設定される。なお、この大入賞口開放中処理の終了直前には、副制御回路200に対してラウンド間表示コマンドが送信される。
次に、メインCPU71は、大入賞口内残留球監視処理を行う(ステップS97)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが大入賞口内残留球監視処理を示す値(「05」)であり、大入賞口内残留球監視時間が経過した場合に、大入賞口開放回数カウンタの値が大入賞口開放回数の最大値以上である(最終ラウンドである)という条件が満たされたか否かを判断する。上記条件を満たさないと判別した場合、メインCPU71は、大入賞口再開放待ち時間管理処理を示す値(「06」)を制御状態フラグにセットする。また、メインCPU71は、ラウンド間インターバルに対応する時間を待ち時間タイマにセットする。すなわち、この処理により、ラウンド間インターバルに対応する時間が経過した後、後述の大入賞口再開放前待ち時間管理処理が実行されるように設定される。一方、ステップS97において、上記条件を満たしたと判別した場合、メインCPU71は、大当り終了インターバル処理を示す値(「07」)を制御状態フラグにセットし、大当り終了インターバルに対応する時間(大当り終了インターバル時間)を待ち時間タイマにセットする。すなわち、この処理でセットされた大当り終了インターバルに対応する時間が経過した後、後述の大当り終了インターバル処理が実行されるように設定される。
次に、メインCPU71は、大入賞口開放回数カウンタの値が大入賞口開放回数の最大値以上ではないと判別した場合、大入賞口再開放前待ち時間管理処理を行う(ステップS98)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが大入賞口再開放前待ち時間管理処理を示す値(「06」)であり、ラウンド間インターバルに対応する時間が経過した場合に、大入賞口開放回数カウンタの値を「1」増加するように記憶更新する。また、メインCPU71は、大入賞口開放中処理を示す値(「04」)を制御状態フラグにセットする。そして、メインCPU71は、開放上限時間(例えば30秒)を大入賞口開放時間タイマにセットする。すなわち、この処理で上述した大入賞口開放中処理(ステップS96)が再度実行されるように設定される。なお、大入賞口再開放前待ち時間管理処理の終了直前には、副制御回路200に対して大入賞口開放中表示コマンドが送信される。
また、メインCPU71は、大入賞口開放回数カウンタの値が大入賞口開放回数の最大値以上であると判別した場合に、大当り終了インターバル処理を行う(ステップS99)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが大当り終了インターバル処理を示す値(「07」)であり、大当り終了インターバルに対応する時間が経過した場合に、特別図柄ゲーム終了処理を示す値(「08」)を制御状態フラグにセットする。すなわち、この処理により、ステップS99の処理後に後述の特別図柄ゲーム終了処理が実行されるように設定される。このとき、大当り中のV入賞に成功していた場合、メインCPU71は、遊技状態を確変遊技状態に移行させる制御を行い、大当り中のV入賞に失敗していた場合には、遊技状態を非確変遊技状態に移行させる制御を行う。なお、大当り図柄が「小当り」に対応する図柄である場合、メインCPU71は、遊技状態を維持するような制御を行う。
次に、メインCPU71は、大当り遊技状態あるいは小当り遊技状態が終了した場合、又は、「ハズレ」に当選した場合、特別図柄ゲーム終了処理を行う(ステップS100)。この処理において、メインCPU71は、制御状態フラグが特別図柄ゲーム終了処理を示す値(「08」)である場合に、保留個数を示すデータ(始動記憶情報)を「1」減少するように記憶更新する。また、メインCPU71は、次回の特別図柄の変動表示を行うために、特別図柄記憶領域の更新を行う。さらに、メインCPU71は、特別図柄記憶チェック処理を示す値(「00」)を制御状態フラグにセットする。すなわち、この処理により、ステップS100の処理後、上述した特別図柄記憶チェック処理(ステップS92)が実行されるように設定される。この特別図柄ゲーム終了処理を終了すると、メインCPU71は、特別図柄制御処理を終了する。
上述したように、本実施形態のパチンコ遊技機1では、制御状態フラグに各種値を順次セットすることにより、特別図柄ゲームを進行させる。具体的に、遊技状態が大当り遊技状態及び小当り遊技状態のいずれでもなく、当り判定の結果が「ハズレ」である場合に、メインCPU71は、制御状態フラグを「00」、「01」、「02」、「08」の順にセットする。これにより、メインCPU71は、上述した特別図柄記憶チェック処理(ステップS92)、特別図柄変動時間管理処理(ステップS93)、特別図柄表示時間管理処理(ステップS94)及び特別図柄ゲーム終了処理(ステップS100)をこの順で所定のタイミングで実行する。
また、メインCPU71は、遊技状態が大当り遊技状態及び小当り遊技状態のいずれでもなく、当り判定の結果が「大当り」又は「小当り」である場合、制御状態フラグを「00」、「01」、「02」、「03」の順でセットする。これにより、メインCPU71は、上述した特別図柄記憶チェック処理(ステップS92)、特別図柄変動時間管理処理(ステップS93)、特別図柄表示時間管理処理(ステップS94)及び大当り開始インターバル管理処理(ステップS95)をこの順で所定のタイミングで実行し、大当り遊技状態又は小当り遊技状態への移行制御を実行する。
さらに、メインCPU71は、大当り遊技状態又は小当り遊技状態への移行制御が実行された場合、制御状態フラグを「04」、「05」、「06」の順でセットする。これにより、メインCPU71は、上述した大入賞口開放中処理(ステップS96)、大入賞口内残留球監視処理(ステップS97)及び大入賞口再開放前待ち時間管理処理(ステップS98)をこの順で所定のタイミングで実行し、大当り遊技又は小当り遊技を実行する。
なお、大当り遊技状態中に、当該大当り遊技状態の終了条件が成立した場合、メインCPU71は、制御状態フラグを「04」、「05」、「07」、「08」の順でセットする。これにより、メインCPU71は、上述した大入賞口開放中処理(ステップS96)、大入賞口内残留球監視処理(ステップS97)、大当り終了インターバル処理(ステップS99)及び特別図柄ゲーム終了処理(ステップS100)をこの順で所定のタイミングで実行し、大当り遊技状態を終了する。
上述したように、特別図柄制御処理では、ステータスに応じて処理フローを分岐させている。また、図18に示す主制御メイン処理中のステップS84の普通図柄制御処理(後述の図25参照)もまた、特別図柄制御処理と同様に、ステータスに応じて処理フローを分岐させる。
本実施形態の処理プログラムは、ステータスに応じて処理を分岐させて行う場合にコール命令で、小モジュールから親モジュールへの純粋な戻り処理が可能となるように、プログラミングされている。その結果、上記処理を実行するためにジャンプテーブルを配置する場合と比較して、本実施形態では、プログラムの容量を削減することができる。
[特別図柄記憶チェック処理]
図20は、メインCPU71による特別図柄記憶チェック処理を示している。特別図柄記憶チェック処理は、先述した特別図柄制御処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。同図に示すように、まず、メインCPU71は、メインRAM73内の所定の記憶領域から制御状態フラグをロード処理によって読み出す(ステップS101)。
次に、メインCPU71は、読み出した制御状態フラグが特別図柄記憶チェック処理を示す値(「00」)であるか否かを判別する(ステップS102)。制御状態フラグが「00」でないと判別した場合、メインCPU71は、特別図柄記憶チェック処理を終了する。一方、制御状態フラグが「00」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS103の処理に移る。
ステップS103において、メインCPU71は、第2始動口入賞(第2特別図柄の可変表示)の保留個数(第2始動記憶数)が「0」であるか否かを判別する。第2始動口入賞の保留個数が「0」でないと判別した場合、メインCPU71は、ステップS104の処理に移る。第2始動口入賞の保留個数が「0」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS109の処理に移る。
ステップS104において、メインCPU71は、第2始動口入賞の保留個数に対応する第2始動記憶数の値を「1」減算する。本実施形態において、メインCPU71は、メインRAM73に設けられた第2特別図柄始動記憶領域(0)〜第2特別図柄始動記憶領域(4)にデータが記憶されているか否かを判別して、変動中又は保留中の第2特別図柄の可変表示に対応する特別図柄ゲームの始動記憶があるか否かを判別する。第2特別図柄始動記憶領域(0)には、変動中の第2特別図柄の可変表示に対応する特別図柄ゲームのデータ(情報)が始動記憶情報として記憶される。そして、第2特別図柄始動記憶領域(1)〜第2特別図柄始動記憶領域(4)には、保留されている4回分の第2特別図柄の可変表示(保留球)に対応する特別図柄ゲームのデータ(情報)が始動記憶情報として記憶される。なお、各第2特別図柄始動記憶領域の始動記憶情報には、例えば、第2始動口45の入賞時に取得した当り判定用乱数値や図柄乱数値、決定された変動パターン等を示すデータが含まれる。
次に、メインCPU71は、第2始動口入賞に基づいて特別図柄記憶転送処理を行う(ステップS105)。この処理において、メインCPU71は、第2特別図柄始動記憶領域(1)〜(4)のデータを、それぞれ第2特別図柄始動記憶領域(0)〜(3)にシフトする。このときまた、メインCPU71は、副制御回路200に対して保留減算コマンドを送信する。その後、メインCPU71は、ステップS106の処理に移る。
ステップS106において、メインCPU71は、制御状態フラグに特別図柄変動時間管理処理を示す値(「01」)をセットする処理を行う。このときまた、メインCPU71は、副制御回路200に対して特別図柄演出開始コマンドを送信する。
次に、メインCPU71は、大当り・小当り判定処理を行う(ステップS107)。この処理において、メインCPU71は、始動口入賞時に抽出され、かつ、第1特別図柄始動記憶領域(0)又は第2特別図柄始動記憶領域(0)において先にセットされた大当り判定用乱数値に基づき、入賞始動口の種別に対応する当り乱数判定テーブル(図11参照)を参照して、判定値データを取得する。そして、メインCPU71は、取得した判定値データに基づいて、「大当り」、「小当り」及び「ハズレ」のいずれに当選したかを判定(当り判定)する。
次に、メインCPU71は、決定された特別図柄の変動パターンに対応する変動時間を待ち時間タイマにセットする(ステップS108)。この処理を終了すると、メインCPU71は、特別図柄記憶チェック処理を終了する。
ステップS109において、メインCPU71は、第1始動口入賞(第1特別図柄の可変表示)の保留個数(第2始動記憶数)が「0」であるか否かを判別する。第1始動口入賞の保留個数が「0」でないと判別した場合、メインCPU71は、ステップS110の処理に移る。第1始動口入賞の保留個数が「0」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS112の処理に移る。
ステップS110において、メインCPU71は、第1始動口入賞の保留個数に対応する第1始動記憶数の値を「1」減算する。本実施形態において、メインCPU71は、メインRAM73に設けられた第1特別図柄始動記憶領域(0)〜第1特別図柄始動記憶領域(4)にデータが記憶されているか否かを判別して、変動中又は保留中の第1特別図柄の可変表示に対応する特別図柄ゲームの始動記憶があるか否かを判別する。第1特別図柄始動記憶領域(0)には、変動中の第1特別図柄の可変表示に対応する特別図柄ゲームのデータ(情報)が始動記憶情報として記憶される。そして、第1特別図柄始動記憶領域(1)〜第1特別図柄始動記憶領域(4)には、保留されている4回分の第1特別図柄の可変表示(保留球)に対応する特別図柄ゲームのデータ(情報)が始動記憶情報として記憶される。なお、各第1特別図柄始動記憶領域の始動記憶情報には、例えば、第1始動口44の入賞時に取得した当り判定用乱数値や図柄乱数値、決定された変動パターン等を示すデータが含まれる。
次に、第1始動口入賞に基づいて特別図柄記憶転送処理を行う(ステップS111)。この処理において、メインCPU71は、第1特別図柄始動記憶領域(1)〜(4)のデータを、それぞれ第1特別図柄始動記憶領域(0)〜(3)にシフトする。このときまた、メインCPU71は、副制御回路200に対して保留減算コマンドを送信する。その後、メインCPU71は、ステップS106の処理に移る。
ステップS112において、メインCPU71は、デモ画面を表示するためのデモ表示処理を行う。この処理において、メインCPU71は、特別図柄表示装置61において特別図柄の変動が停止してから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過したと判断した場合に、副制御回路200に対してデモ表示コマンドを送信する。
本実施形態では、特別図柄表示装置61において特別図柄の変動が停止した後、所定時間に亘って第1始動口44及び第2始動口45への入賞が発生しなかった場合に、デモ画面が表示される。
具体的に、メインCPU71は、ステップS108でセットした待ち時間タイマ(特別図柄の変動パターンに対応する変動時間)が0になった場合(図21のステップS122参照)に、デモ移行用タイマをオンにセットする。すなわち、メインCPU71は、特別図柄の変動が停止してから経過した時間の計測を開始する。そして、メインCPU71は、ステップS112において、デモ移行用タイマの値が所定値(例えば、3分に対応する値)以上であるか否かを判断し、デモ移行用タイマの値が所定値以上であると判断した場合に、副制御回路200に対してデモ表示コマンドを送信する。デモ表示コマンドを受信すると、副制御回路200では、デモ画面の表示に係る処理が行われる。
なお、デモ移行用タイマの値が所定値に達する前に、第1始動口44又は第2始動口45への入賞が発生した場合、メインCPU71は、デモ移行用タイマをオフにする。具体的に、メインCPU71は、図17のステップS51において第1始動口入賞球センサ44aで遊技球を検出したと判断した場合、デモ移行用タイマをオフにする。また、メインCPU71は、図17のステップS59において第2始動口入賞球センサ45aで遊技球を検出したと判断した場合、デモ移行用タイマをオフにする。これにより、メインCPU71は、特別図柄の変動が停止してから経過した時間の計測を終了する。
本実施形態では、以上の処理が実行されることにより、特別図柄の変動が停止した後始動口(第1始動口44及び第2始動口45)への入賞が発生しないまま所定時間が経過した場合に、デモ画面に移行することになる。ステップS112の処理を終了すると、メインCPU71は、特別図柄記憶チェック処理を終了する。
[特別図柄変動時間管理処理]
図21を用いて、図19のステップS93で行われる特別図柄変動時間管理処理について説明する。図21は、メインCPU71により実行される特別図柄変動時間管理処理を示すフローチャートである。この特別図柄変動時間管理処理は、以下のステップ単位に実行される。
図21に示すように、ステップS121において、メインCPU71は、制御状態フラグが特別図柄変動時間管理を示す値(「01」)であるか否かの判定を行う。メインCPU71は、特別図柄変動時間管理を示す値(「01」)であると判定した場合には、ステップS122に処理を移す。一方、メインCPU71は、特別図柄変動時間管理を示す値(「01」)でないと判定した場合には、特別図柄変動時間管理処理ルーチンを終了する。
ステップS122において、メインCPU71は、待ち時間タイマが「0」であるか否かの判定を行う。メインCPU71は、待ち時間タイマが「0」であると判定した場合には、ステップS123に処理を移す。待ち時間タイマが「0」でないと判定した場合には、特別図柄変動時間管理処理ルーチンを終了する。
ステップS123において、メインCPU71は、特別図柄表示時間管理を示す値(「02」)を制御状態フラグにセット(記憶)する処理を行い、ステップS124に処理を移す。
ステップS124において、メインCPU71は、特別図柄演出停止コマンドをセットする処理を行う。この処理において、メインCPU71は、特別図柄演出停止コマンドをメインRAM73にセット(記憶)する処理を行う。そして、特別図柄演出停止コマンドは、主制御回路70のメインCPU71から副制御回路200のサブCPU81に図柄停止コマンドとして供給されることにより、副制御回路200が図柄停止を認識するようになる。この処理を終了した場合には、ステップS125に処理を移す。
ステップS125において、メインCPU71は、メインRAM73における待ち時間タイマとして機能する領域に、確定後待ち時間をセットする処理を行う。この処理を終了した場合には、特別図柄変動時間管理処理ルーチンを終了する。
[特別図柄表示時間管理処理]
図22は、メインCPU71による特別図柄表示時間管理処理を示している。特別図柄表示時間管理処理は、先述した特別図柄制御処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。同図に示すように、メインCPU71は、制御状態フラグが特別図柄表示時間管理処理を示す値(「02」)であるか否かを判別する(ステップS131)。制御状態フラグが特別図柄表示時間管理処理を示す値(「02」)でないと判別した場合、メインCPU71は、特別図柄表示時間管理処理を終了する。一方、制御状態フラグが特別図柄表示時間管理処理を示す値(「02」)であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS132の処理に移る。
ステップS132において、メインCPU71は、待ち時間タイマの値(待ち時間)が「0」であるか否かを判別する。この処理において、メインCPU71は、待ち時間タイマにセットされた変動確定後の待ち時間(変動開始待ち時間)が消化されたか否かを判別する。待ち時間タイマの値が「0」でないと判別した場合、メインCPU71は、特別図柄表示時間管理処理を終了する。一方、待ち時間タイマの値が「0」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS133の処理に移る。
ステップS133において、メインCPU71は、特別図柄ゲームが「大当り」であるか否かを判別する。特別図柄ゲームが「大当り」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS142の処理に移る。一方、特別図柄ゲームが「大当り」でないと判別した場合、メインCPU71は、ステップS134の処理に移る。
ステップS134において、メインCPU71は、さらに特別図柄ゲームが「小当り」であるか否かを判別する。特別図柄ゲームが「小当り」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS137の処理に移る。一方、特別図柄ゲームが「小当り」でないと判別した場合、すなわち特別図柄ゲームが「はずれ」の場合、メインCPU71は、ステップS135の処理に移る。
ステップS135において、メインCPU71は、時短・確変回数減算処理を行う。この時短・確変回数減算処理については、図23を参照して後述する。
次に、メインCPU71は、制御状態フラグに特別図柄ゲーム終了処理を示す値(「08」)をセットする処理を行う(ステップS136)。この処理を終了すると、メインCPU71は、特別図柄表示時間管理処理を終了する。
ステップS137において、メインCPU71は、小当りを示す小当りフラグをセットする処理を行う。この処理を終了すると、メインCPU71は、ステップS138の処理に移る。
ステップS138において、メインCPU71は、制御状態フラグに大当り開始インターバル管理処理を示す値(「03」)をセットする処理を行う。
次に、メインCPU71は、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)に対応する大当り開始インターバル時間(例えば、5000ms)を待ち時間タイマにセットする処理を行う(ステップS139)。
次に、メインCPU71は、特別図柄に対応する大当り開始コマンド又は小当り開始コマンドをメインRAM73にセットする処理を行う(ステップS140)。これにより、副制御回路200には、大当り開始コマンド又は小当り開始コマンドが送信される。
次に、メインCPU71は、大当り種類決定テーブル(図13参照)を参照し、特別図柄(図柄指定コマンドの種別)に対応するラウンド数上限値(大入賞口開放回数上限値)をメインRAM73にセットし、ラウンド数表示LEDパターンフラグをセットする(ステップS141)。なお、ラウンド数表示LEDパターンフラグは、残りラウンド数を所定パターンで表示するか否かを示すフラグである。この処理を終了すると、メインCPU71は、特別図柄表示時間管理処理を終了する。
ステップS142において、メインCPU71は、大当りを示す大当りフラグをセットする処理を行う。この処理を終了すると、メインCPU71は、S143の処理に移る。
ステップS143において、メインCPU71は、時短状態変動回数カウンタ、並びに時短フラグ及び確変フラグをクリアする処理を行う。この処理を終了すると、メインCPU71は、ステップS138の処理に移る。
[時短・確変回数減算処理]
図23は、メインCPU71による時短・確変回数減算処理を示している。時短・確変回数減算処理は、先述した特別図柄表示時間管理処理あるいは後述の大当り終了インターバル処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。同図に示すように、メインCPU71は、時短状態変動回数カウンタの値が0であるか否かを判別する(ステップS151)。時短状態変動回数カウンタは、セットされた時短回数(本実施形態では一例として100回)が0になるまで計数する減算カウンタである。時短状態変動回数カウンタの値が0である場合、メインCPU71は、ステップS155の処理に移る。時短状態変動回数カウンタの値が0でない場合、メインCPU71は、ステップS152の処理に移る。
ステップS152において、メインCPU71は、時短状態変動回数カウンタの値を1減算する処理を行う。
次に、メインCPU71は、再び時短状態変動回数カウンタの値が0であるか否かを判別する(ステップS153)。時短状態変動回数カウンタの値が0である場合、メインCPU71は、ステップS154の処理に移る。時短状態変動回数カウンタの値が0でない場合、メインCPU71は、ステップS155の処理に移る。
ステップS154において、メインCPU71は、時短フラグとして「0」をセットする処理を行う。この処理を終了すると、メインCPU71は、ステップS155の処理に移る。
ステップS155において、メインCPU71は、確変状態変動回数カウンタの値が0であるか否かを判別する。確変状態変動回数カウンタは、セットされた確変回数(本実施形態では一例として124回)が0になるまで計数する減算カウンタである。確変状態変動回数カウンタの値が0である場合、メインCPU71は、時短・確変回数減算処理を終了する。確変状態変動回数カウンタの値が0でない場合、メインCPU71は、ステップS156の処理に移る。
ステップS156において、メインCPU71は、確変状態変動回数カウンタの値を1減算する処理を行う。
次に、メインCPU71は、再び確変状態変動回数カウンタの値が0であるか否かを判別する(ステップS157)。確変状態変動回数カウンタの値が0である場合、メインCPU71は、ステップS158の処理に移る。確変状態変動回数カウンタの値が0でない場合、メインCPU71は、時短・確変回数減算処理を終了する。
ステップS158において、メインCPU71は、確変フラグとして「0」をセットする処理を行う。この処理を終了すると、メインCPU71は、時短・確変回数減算処理を終了する。
[大当り終了インターバル処理]
図24は、メインCPU71による大当り終了インターバル処理を示している。大当り終了インターバル処理は、先述した特別図柄制御処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。同図に示すように、メインCPU71は、制御状態フラグが大当り終了インターバル処理を示す値(「07」)であるか否かを判別する(ステップS161)。制御状態フラグが大当り終了インターバル処理を示す値(「07」)でないと判別した場合(Sステップ161:NO)、メインCPU71は、大当り終了インターバル処理を終了する。一方、制御状態フラグが大当り終了インターバル処理を示す値(「07」)であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS162の処理に移る。
ステップS162において、メインCPU71は、待ち時間タイマの値が「0」であるか否かを判別する。この処理において、メインCPU71は、待ち時間タイマにセットされた大当り終了インターバル時間が消化されたか否かを判別する。待ち時間タイマの値が「0」でないと判別した場合、メインCPU71は、大当り終了インターバル処理を終了する。一方、待ち時間タイマの値が「0」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS163の処理に移る。
ステップS163において、メインCPU71は、大入賞口開放回数表示LEDパターンフラグをクリアする。大入賞口開放回数表示LEDパターンフラグは、大当り時のラウンド数をLEDの発光パターンによって表示するか否かを示す管理フラグとして用いられる。
次に、メインCPU71は、ラウンド数振り分けフラグをクリアする(ステップS164)。このラウンド数振り分けフラグは、メインRAM73に格納される管理フラグの一つであり、1ラウンド中にあっても予め決められた回数だけ第1大入賞口53又は第2大入賞口54を周期的に開閉させるか否かを示すためのフラグである。1ラウンド中でも第1大入賞口53又は第2大入賞口54を周期的に開閉させる場合は、ラウンド数振り分けフラグが「1」となる。このときまた、メインCPU71は、副制御回路200に対して特別図柄当り終了表示コマンドを送信する。
次に、メインCPU71は、制御状態フラグに特別図柄ゲーム終了処理を示す値(「08」)をセットする処理を行う(ステップS165)。
次に、メインCPU71は、特別図柄ゲームが「大当り」であるか否かを判別する(ステップS166)。特別図柄ゲームが「大当り」であると判別した場合、メインCPU71は、ステップS167の処理に移る。一方、特別図柄ゲームが「大当り」でないと判別した場合、メインCPU71は、ステップS174の処理に移る。
ステップS167において、メインCPU71は、大当りフラグの値をクリアする処理を行う。
次に、メインCPU71は、大当り中にV入賞に成功したか否かを判別する(ステップS168)。V入賞に成功した場合、メインCPU71は、ステップS169の処理に移る。V入賞に失敗した場合、メインCPU71は、ステップS171の処理に移る。
ステップS169において、メインCPU71は、確変フラグとして「1」をセットする処理を行う。
次に、メインCPU71は、確変状態変動回数カウンタに規定の確変回数(本実施形態では一例として124回)をセットする処理を行う(ステップS170)。
次に、メインCPU71は、時短フラグとして「1」をセットする処理を行う(ステップS171)。
次に、メインCPU71は、時短状態変動回数カウンタに規定の時短回数(本実施形態では一例として100回)をセットする処理を行う(ステップS172)。この処理を終了すると、メインCPU71は、大当り終了インターバル処理を終了する。
ステップS174において、メインCPU71は、小当りフラグの値をクリアする処理を行う。
次に、メインCPU71は、先述の時短・確変回数減算処理を実行する(ステップS175)。この処理を終了すると、メインCPU71は、大当り終了インターバル処理を終了する。
[普通図柄制御処理]
図25は、メインCPU71による普通図柄制御処理を示している。普通図柄制御処理は、先述した主制御メイン処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。なお、図25に示すフローチャート中の各処理の右方に括弧書きで記載した数値(「00」〜「04」)は、普通図柄制御状態フラグを示し、この普通図柄制御状態フラグは、メインRAM73内の所定の記憶領域に格納される。メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグの数値に対応する各処理を実行することにより、普通図柄ゲームを進行させる。
図25に示すように、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグをロードする処理を行う(ステップS191)。この処理において、メインCPU71は、メインRAM73に記憶された普通図柄制御状態フラグを読み出す。メインCPU71は、読み出した普通図柄制御状態フラグの値に基づいて、後述のステップS192〜ステップS196の各種の処理を実行するか否かを判定する。この普通図柄制御状態フラグは、普通図柄ゲームの遊技の状態を示すものであり、ステップS192〜ステップS196のいずれかの処理を実行可能にするものである。また、メインCPU71は、ステップS192〜ステップS196の各処理に対して設定された待ち時間などに応じて決定される所定のタイミングで各処理を実行する。なお、この所定のタイミングに至る前は、各処理を実行せずに他のサブルーチン処理を実行する。もちろん、所定の周期で先述のシステムタイマ割込処理(図15参照)も実行する。
次に、メインCPU71は、普通図柄記憶チェック処理を行う(ステップS192)。この処理において、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグが普通図柄記憶チェック処理を示す値(「00」)である場合に、普通図柄の可変表示の保留個数をチェックし、保留個数が「0」でないときには、当り判定等の処理を行う。また、この処理において、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグに後述の普通図柄変動時間監視処理(ステップS193)を示す値(「01」)をセットし、今回の処理で決定された変動時間を待ち時間タイマにセットする。すなわち、ステップS192の処理により、決定された普通図柄の変動時間が経過した後、後述の普通図柄変動時間監視処理が実行されるように設定される。
次に、メインCPU71は、普通図柄変動時間監視処理を行う(ステップS193)。この処理において、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグが普通図柄変動時間監視処理を示す値(「01」)であり、普通図柄の変動時間が経過した場合に、普通図柄制御状態フラグに後述の普通図柄表示時間監視処理(ステップS194)を示す値(「02」)をセットし、確定後待ち時間(例えば0.5秒)を待ち時間タイマにセットする。すなわち、ステップS193の処理により、セットされた確定後待ち時間が経過した後、後述の普通図柄表示時間監視処理が実行されるように設定される。
次に、メインCPU71は、普通図柄表示時間監視処理を行う(ステップS194)。この処理において、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグが普通図柄表示時間監視処理を示す値(「02」)であり、ステップS193の処理でセットされた確定後待ち時間が経過した場合に、当り判定の結果が「当り」であるか否かを判断する。そして、当り判定の結果が「当り」である場合、メインCPU71は、普通電動役物開放設定処理を行い、普通図柄制御状態フラグに後述の普通電動役物開放処理(ステップS195)を示す値(「03」)をセットする。すなわち、この処理により、後述の普通電動役物開放処理が実行されるように設定される。一方、当り判定の結果が「当り」でない場合、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグに後述の普通図柄ゲーム終了処理(ステップS196)を示す値(「04」)をセットする。すなわち、この場合には、後述の普通図柄ゲーム終了処理が実行されるように設定される。
次に、メインCPU71は、ステップS194において当り判定の結果が「当り」であると判定された場合、普通電動役物開放処理を行う(ステップS195)。この処理において、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグが普通電動役物開放処理を示す値(「03」)である場合に、普通電動役物46の開放中において所定数の入賞があったという条件、及び、普通電動役物46の開放上限時間を経過した(普通電役開放時間タイマが「0」である)という条件の一方が満たされたか否かを判断する。上記一方の条件が満たされた場合、メインCPU71は、普通電動役物46である羽根状の部材を閉鎖状態にするため、メインRAM73に位置付けられた変数を更新する。そして、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグに後述の普通図柄ゲーム終了処理(ステップS196)を示す値(「04」)をセットする。すなわち、この処理により、後述の普通図柄ゲーム終了処理が実行されるように設定される。
次に、メインCPU71は、普通図柄ゲーム終了処理を行う(ステップS196)。この処理において、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグが普通図柄ゲーム終了処理を示す値(「04」)である場合に、普通図柄の可変表示の保留個数を示すデータを「1」減少させるように記憶更新する。また、メインCPU71は、次回の普通図柄の変動表示を行うために、普通図柄記憶領域の更新を行う。さらに、メインCPU71は、普通図柄制御状態フラグに普通図柄記憶チェック処理を示す値(「00」)をセットする。すなわち、ステップS196の処理後、上述した普通図柄記憶チェック処理(ステップS192)が実行されるように設定される。この処理を終了すると、メインCPU71は、普通図柄制御処理を終了する。
[副制御回路メイン処理]
一方、副制御回路200は、副制御回路メイン処理を実行することとなる。この副制御回路メイン処理について図26を用いて説明する。なお、この副制御回路メイン処理は、電源が投入されたときに開始される処理である。
図26に示すように、サブCPU201は、RAMアクセス許可、作業領域の初期化、ハードウェア初期化、デバイス初期化、アプリケーション初期化、バックアップ復帰初期化等といった初期化処理を行う(ステップS201)。
次に、サブCPU201は、ウォッチドッグタイマのカウンタ値をクリアする処理を行う(ステップS202)。ウォッチドッグタイマは、起動時にリセット時間(例えば2000ms)が設定され、サービスパルスの書き込みが行われなかった場合(タイムアウト時)に電断処理が実行されることとなる。
次に、サブCPU201は、操作手段入力処理を実行する(ステップS203)。操作手段入力処理については、図28を参照して後述する。
次に、サブCPU201は、コマンド解析処理を実行する(ステップS204)。コマンド解析処理については、図29を参照して後述する。
次に、サブCPU201は、演出態様決定処理を実行する(ステップS205)。この処理(アニメーションリクエスト構築処理)において、サブCPU201は、演出内容の指定情報を含むアニメーションリクエストを生成し、該アニメーションリクエストに基づいて、各種演出装置を動作させるための各種リクエスト(描画リクエスト、サウンドリクエスト、ランプリクエスト、及び、役物リクエスト)を生成する。演出態様決定処理については、後に図30を用いて説明する。
次に、サブCPU201は、描画制御処理を実行する(ステップS206)。この処理において、サブCPU201は、描画リクエストを表示制御回路205に送信する。表示制御回路205は、サブCPU201から送信されたメッセージ(描画リクエスト)に基づいて液晶表示装置13に画像を表示させるための描画制御を行う。
次に、サブCPU201は、音声制御処理を実行する(ステップS207)。この処理において、サブCPU201は、サウンドリクエストを音声制御回路206に送信する。音声制御回路206は、サブCPU201から送信されたメッセージ(サウンドリクエスト)に基づいてスピーカ11に音声を出力させるための音声制御を行う。
次に、サブCPU201は、LED制御処理を実行する(ステップS208)。この処理において、サブCPU201は、ランプリクエストをLED制御回路207に送信する。LED制御回路207は、サブCPU201から送信されたメッセージ(ランプリクエスト)に基づいてLED59A〜59E、59e〜59hを点灯あるいは点滅させるための発光制御を行う。
次に、サブCPU201は、役物制御処理を実行する(ステップS209)。この処理において、サブCPU201は、役物リクエストを駆動制御回路208に送信する。駆動制御回路208は、サブCPU201から送信されたメッセージ(役物リクエスト)に基づいて可動役物に係る演出用駆動モータ60を動作させるための駆動制御を行う。このような副制御回路メイン処理においては、ステップS201の初期化処理が終了した後、ステップS202からステップS209の各処理が繰り返し実行される。
[ボタン入力割込処理]
図27は、サブCPU201によるボタン入力割込処理を示している。ボタン入力割込処理は、測定用のタイマ更新により例えば1msごとに副制御回路メイン処理に並行して実行される。同図に示すように、サブCPU201は、演出ボタンスイッチ230から入力信号があるか否かを判別している(ステップS221)。演出ボタンスイッチ230から入力信号がある場合、サブCPU201は、ステップS222の処理に移る。演出ボタンスイッチ230から入力信号がない場合、サブCPU201は、ボタン入力割込処理を終了する。
ステップS222において、サブCPU201は、演出ボタンスイッチ230からの入力信号に基づいて演出ボタン23の操作状態を判断し、当該操作状態を示す情報を生成する。この処理を終了すると、サブCPU201は、ボタン入力割込処理を終了する。
[操作手段入力処理]
図28は、サブCPU201による操作手段入力処理を示している。操作手段入力処理は、先述した副制御回路メイン処理の実行中にサブルーチンとして呼び出される。同図に示すように、サブCPU201は、操作状態を示す情報に基づいて操作状態を取得する(ステップS231)。操作状態には、演出ボタン23であれば押下回数等が含まれ、ジョグダイヤル24であれば回転方向や回転角度、さらには回転速度等が含まれる。演出エフェクトは、操作状態に応じて決定される。この処理を終了すると、サブCPU201は、操作手段入力処理を終了する。
[コマンド解析処理]
次に、図29を参照して、副制御メイン処理(図26参照)中のステップS204で行うコマンド解析処理について説明する。図29は、本実施形態におけるコマンド解析処理の手順を示すフローチャートである。
まず、サブCPU201は、ワークRAM203に格納された受信コマンドを取得すると共に、取得した受信コマンドを解析する処理を行う(ステップS241)。なお、この際、受信コマンドに対応付けられたエラー情報がある場合には、サブCPU201は、該受信コマンドを破棄する。
また、サブCPU201は、受信したコマンドの解析において、該コマンドの種別を特定する。また、この処理では、サブCPU201は、特定したコマンド種別の情報をワークRAM203に保存する。なお、コマンド種別は、各コマンドのコマンド種別部(先頭バイト領域)に格納された情報(予め設定された値)に基づいて特定される。
なお、サブCPU201が、コマンド種別の特定処理において受信したコマンドと対応するコマンド種別がないと判断した場合、サブCPU201は、該受信コマンドを破棄する。また、サブCPU201は、受信コマンドに含まれるパラメータ数を確認し、該パラメータ数が特定されたコマンド種別に対応するパラメータ数と異なる場合には、該受信コマンドを破棄する。
次いで、サブCPU201は、受信したコマンドの整合性をチェックする処理(コマンドパラメータチェック処理)を行う(ステップS242)。この処理では、サブCPU201は、コマンド毎に設定されている各種パラメータ内の情報(以下、コマンドパラメータという)の内容をチェックする。具体的には、サブCPU201は、例えば、パラメータ内の所定のビット領域に設けられた常時0領域のチェック、パラメータ内に格納されている各データの有効範囲のチェック、及び、格納データの組み合わせのチェックを行う。
また、サブCPU201は、受信したコマンドの整合性のチェックにおいて、受信コマンドに含まれるコマンドパラメータが正常であるか否かのチェックを行う。具体的には、サブCPU201は、コマンドパラメータが正常であるか否か(コマンドの有効性の有無)を判別する。なお、サブCPU201が、受信コマンドに含まれるコマンドパラメータが正常でないと判別した場合、サブCPU201は、該受信コマンドのデータを破棄する。
一方、サブCPU201が、受信コマンドに含まれるコマンドパラメータが正常であると判別した場合、サブCPU201は、コマンドパラメータ(ゲームステータス等の情報)をゲームデータに反映(登録)させる。また、サブCPU201は、コマンドパラメータが反映されたゲームデータをワークRAM203内の所定領域に格納する。なお、「ゲームデータ」とは、コマンド内のパラメータの情報などが含まれ、サブCPU201で行われる各種抽選処理やアニメーションリクエスト構築処理などで参照されるデータの構造体(記憶領域又は変数の集合体)のことをいう。「ゲームデータ」には、後述するように、各種抽選処理の抽選結果の情報(例えば演出パターン等)も登録される。
次いで、サブCPU201は、サブ抽選処理を行う(ステップS243)。この処理では、サブCPU201は、演出用の各種乱数値を取得し、受信したコマンドのコマンド種別に対応する演出内容の決定に係る抽選処理を行う。
例えば、受信したコマンドが特別図柄演出開始コマンドである場合には、サブCPU201は、装飾図柄の変動パターン(サブ変動パターン)、背景画像を表示する画像演出パターンなど、各種の演出パターンを決定する。また、例えば、受信したコマンドが保留個数増加コマンドである場合には、サブCPU201は、先読み演出に係る演出パターンを決定する。
また、ステップS243の処理では、サブCPU201は、サブ抽選処理の抽選結果(例えば、上述した各種演出パターンの情報)をワークRAM203内の所定領域に格納する。
次に、サブCPU201は、デモ移行制御処理を実行する(ステップS244)。この処理において、サブCPU201は、受信したコマンドがデモ表示コマンド(図20のステップS112参照)である場合に、描画リクエスト(液晶表示装置13にデモ画面を表示させるためのリクエスト)を生成する。
次いで、サブCPU201は、演出パターン選択の処理を行う(ステップS245)。この処理では、サブCPU201は、ステップS243のサブ抽選処理により得られた抽選結果(演出パターン)の選択を行う。具体的には、サブCPU201は、ステップS243のサブ抽選処理により得られた演出パターン(例えば、サブ変動パターンや、先読み演出に係る演出パターン)をワークRAM203に格納されたゲームデータに反映(登録)させる。そして、ステップS245の処理後、サブCPU201は、コマンド解析処理を終了し、処理を副制御回路メイン処理(図26参照)のステップS205に移す。
[演出態様決定処理]
次に、図30を参照して、副制御メイン処理(図26参照)中のステップS205で行う演出態様決定処理について説明する。なお、図30は、本実施形態における演出態様決定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、サブCPU201は、カメラ映像解析処理を実行する(ステップS261)。カメラ映像解析処理については、後に図31を用いて説明する。
次に、サブCPU201は、映像関係の選択処理を行う(ステップS262)。この処理では、サブCPU201は、ワークRAM203に格納されたゲームデータの情報を参照し、アニメーションリクエストを生成し、該アニメーションリクエストをワークRAM203の所定領域にセットする。この処理によりコマンド受信及びカメラ映像の解析結果に応じたアニメーションリクエストが生成される。次いで、サブCPU201は、アニメーションリクエストに基づいて、描画リクエスト(液晶表示装置13を制御するための制御信号)を生成する。
次いで、サブCPU201は、ランプパターン(ランプリクエスト)選択処理を行う(ステップS263)。この処理では、サブCPU201は、ランプリクエスト(LED59を制御するための制御信号)を生成する。
次いで、サブCPU201は、サウンドパターン(サウンドリクエスト)選択処理を行う(ステップS264)。この処理では、サブCPU201は、サウンドリクエスト(スピーカ11を制御するための制御信号)を生成する。
次いで、サブCPU201は、その他(すなわち、映像関係、ランプリクエスト、及びサウンドリクエスト以外)の選択処理を行う(ステップS265)。なお、この処理には、例えば各種役物の演出動作を制御するための役物リクエストの選択処理が含まれる。
そして、ステップS265の処理後、サブCPU201は、演出態様決定処理を終了し、処理を副制御回路メイン処理(図26参照)のステップS206に移す。
[カメラ映像解析処理]
図31を用いて、図30のステップS261で行われるカメラ映像解析処理について説明する。図31は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行されるカメラ映像解析処理を示すフローチャートである。
まず、サブCPU201は、CCDカメラ1000から、撮影によって得られた画像データを受信する(ステップS281)。本実施形態において、CCDカメラ1000によって撮影された画像(カメラ映像)は、複数の静止画像(フレーム画像)から構成される動画像である。すなわち、カメラ映像は、多数の静止画像(フレーム画像)が経時的に連続することにより構成される内容となっている。CCDカメラ1000のフレームレートは、特に限定されないが、例えば、250fps(frames per second)のCCDカメラを採用することができる。ステップS281の処理において、サブCPU201は、CCDカメラ1000の備える制御LSIに対して、フレーム画像に対応するデータ(フレーム画像データ)の送信を要求する。CCDカメラ1000では、副制御回路200に送信すべきフレーム画像データが存在する場合、1フレーム分のフレーム画像データをバッファに記憶することが可能である。CCDカメラ1000の制御LSIは、フレーム画像データがバッファに記憶されている場合、当該フレーム画像データを副制御回路200に送信する。このようにして、CCDカメラ1000によって撮影された画像は、フレーム単位で副制御回路200に入力される。フレーム画像データを受信すると、サブCPU201は、受信したフレーム画像データをワークRAM203に記憶させる。
次に、サブCPU201は、受信したフレーム画像データに対して、射影変換を行う。図32A(a)は、射影変換を行う前の画像を示す図である。図32A(b)は、射影変換を行った後の画像を示す図である。上述したように、本実施形態において、CCDカメラ1000は、撮影対象となる遊技盤12の上側に位置しており(図6参照)、遊技盤12を上方から撮影する。このことに起因して、CCDカメラ1000によって撮影された画像には、歪みが生じ、当該画像は、下に伸びて見えることになる(図32A(a)参照)。このような画像に対して4点マーカーに基づく射影変換を行うことにより、当該歪みを補正することができる(図32A(b)参照)。
また、サブCPU201は、フレーム画像データに対して、各画素における濃淡を示す値(画素値)を変換すること(画素ごとの濃淡変換)により、コントラストを強調する処理を行う(ステップS282)。この処理において、サブCPU201は、画素ごとの濃淡変換(濃度変換)前の各画素値と濃度変換後の各画素値との対応関係を示す所定の関数に基づいて、各画素値を変換する。このような濃淡変換は、例えば、ヒストグラム伸張化やヒストグラム平坦化等の方法により行うことができる。これにより、フレーム画像の濃淡にメリハリをつけることができる。
さらに、サブCPU201は、フレーム画像データに対して、各画素の周囲の画素も含めた濃淡変換(領域に基づく濃淡変換)により、フィルタリングを行う(ステップS283)。この処理において、サブCPU201は、所定の空間フィルタを用いることにより、各画素値を変換する。空間フィルタとしては、例えば、平滑化フィルタを用いることができ、平滑化フィルタとしては、平均化フィルタ(移動平均フィルタ)や加重平均化フィルタを用いることができる。本実施形態では、例えば、加重平均化フィルタとして、ガウシアンフィルタ(ガウスフィルタ)を用いることが望ましい。ガウスフィルタでは、ガウス分布を示す関数に基づいて、フィルタによって覆われる領域内の画素に対して重み付けがなされる。
図32Bは、移動平均フィルタの一例を示す図である。図32B(a)では、3×3画素のフィルタを示し、図32B(b)では、5×5画素のフィルタを示している。移動平均フィルタでは、フィルタによって覆われる領域内の画素値が全て同じ値(当該領域内の画素値の平均値)となっている。図32Cは、加重平均化フィルタの一例を示す図である。図32C(a)では、3×3画素のフィルタを示し、図32C(b)では、5×5画素のフィルタを示している。このような加重平均化フィルタ(ガウスフィルタ)では、移動平均フィルタと比較して、フィルタの原点(注目画素)に近い画素ほど重み付けの程度が大きくなっており、こうしたフィルタを用いることによって、より滑らかで自然な平滑化を行うことができる。以上で説明したような空間フィルタリングでは、フィルタリング後の画像(出力画像)中の一の画素の値が、フィルタリング前の画像(入力画像)における当該一の画素に対応する画素の値だけではなく、図32B及び図32Cに示すように当該画素の周囲の画素を含む一定の範囲内の画素の値に基づいて計算される。また、移動平均フィルタ及び加重平均化フィルタでは、フレーム画像データに対して、一の値が設定された一のパラメータ(例えば、係数等)を適用することで、各画素に対する処理を実行することが可能であるが、特に、加重平均化フィルタでは、フレーム画像データの頂点部分(例えば、フレーム画像データの中心部分等)からの距離をガウス関数に適用して一の値を求めることができる。従って、ガウス関数に渡す値を変更すれば、各画素に対して設定する値を容易に変更することができる。また、ガウス関数では、二次元のみならず三次元で計算した場合にも、頂点部分からどの程度の距離にあるかによってパラメータを求めることができるため、重み付けを行う処理を各画素で共通化し、引数を変更することで各画素に対する処理を行うことが可能となり、処理の汎用性を高めることもできる。なお、一の値が記憶された一のパラメータを適用する例に限定されず、複数の値が記憶された一のパラメータ(例えば、係数、配列、構造体等)、複数の値が記憶された複数のパラメータ(例えば、係数、配列、構造体等)、一の値が記憶された複数のパラメータ(例えば、係数、配列、構造体等)などを様々に設定することが可能である。これにより、フレーム画像に含まれるノイズに起因する濃淡変動を軽減することができる。
本実施形態では、以上で説明した射影変換、コントラストの強調、空間フィルタリング等の技術、その他の画像処理技術を用いることにより、フレーム画像データに対して処理を行って、画質の向上を図ることが可能である。以上のようにして得られるフレーム画像データは、ワークRAM203に記憶され、以降の処理に用いられる。ステップS282及びステップS283の処理は、以降の処理においてフレーム画像における遊技球の位置を抽出しやすくするための前処理として位置付けられる。
次に、サブCPU201は、前後フレーム間の差分を抽出する処理を行う(ステップS284)。以下、前後フレーム間差分抽出について、図33〜図38を用いて説明する。
<前後フレーム間差分抽出>
図33は、前後フレーム間差分抽出の概念図である。図34は、遊技球が遊技領域を転動する様子を示す図である。図35は、時刻T1に撮影されたフレーム画像と時刻T2に撮影されたフレーム画像とから差分画像(1)を得る過程を示す図である。図36は、時刻T2に撮影されたフレーム画像と時刻T3に撮影されたフレーム画像とから差分画像(2)を得る過程を示す図である。図37は、差分画像(1)と差分画像(2)とから時刻T2における遊技球を抽出する過程を示す図である。図38は、マスキング領域を示す図である。
図34では、複数の遊技球が遊技領域12aを転動している状態において、1個の遊技球に着目し、時刻T1における当該遊技球の位置を遊技球120aとして示し、時刻T2における当該遊技球の位置を遊技球120bとして示し、時刻T3における当該遊技球の位置を遊技球120cとして示している。なお、遊技球120a、遊技球120b、及び、遊技球120cの近傍には、LED59(演出LED)が設けられている。
図33に示すように、時刻T1では演出LEDが消灯しており、時刻T1と時刻T2との間に演出LEDが点灯し、その後時刻T4にかけて演出LEDの点灯している状態が継続していると仮定する。
図35〜図37では、CCDカメラ1000によって撮影される全範囲のうち、時刻T1〜時刻T3の間に1個の遊技球(図34に示す遊技球)が移動する領域の近傍に着目して示している。これらの図では、説明を分かりやすくするため、撮影範囲の一部のみを示しているが、実際には、撮影範囲全体について以下の処理が一括で行われる。なお、遊技球と演出LED以外については、図示を省略している。
前後フレーム間差分抽出においては、まず、図35に示すように、時刻T1に撮影されたフレーム画像(1フレーム目の画像)及び時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)に対して差分処理を実行することにより、1フレーム目の画像と2フレーム目の画像との差分に対応する画像を作成する。当該画像は、1フレーム目の画像及び2フレーム目の画像における各画素値の差の絶対値を示している。このようにして得られる画像を差分画像(1)とする。なお、差分処理を行った後しきい値処理を施すことによって得られる2値画像を、差分画像(1)としてもよい。2値化により、しきい値以上の画素値を1(白画素)に、しきい値未満の画素値を0(黒画素)に変換することで(逆でも可)、1フレーム目の画像と2フレーム目の画像との間で特に変化の大きかった領域を抽出することができる。差分画像(1)は、時刻T1における遊技球(遊技球120a)、時刻T2における遊技球(遊技球120b)、及び、LED59(演出LED)の位置情報を含んでいる。
次に、図36に示すように、時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)及び時刻T3に撮影されたフレーム画像(3フレーム目の画像)に対して差分処理を実行することにより、2フレーム目の画像と3フレーム目の画像との差分に対応する画像を作成する。当該画像は、2フレーム目の画像及び3フレーム目の画像における各画素値の差の絶対値を示している。このようにして得られる画像を差分画像(2)とする。なお、差分処理を行った後しきい値処理を施すことによって得られる2値画像を、差分画像(2)としてもよい。2値化により、しきい値以上の画素値を1(白画素)に、しきい値未満の画素値を0(黒画素)に変換することで(逆でも可)、2フレーム目の画像と3フレーム目の画像との間で特に変化の大きかった領域を抽出することができる。差分画像(2)は、時刻T2における遊技球(遊技球120b)、及び、時刻T3における遊技球(遊技球120c)の位置情報を含んでいる。
次に、図37に示すように、差分画像(1)と差分画像(2)との論理積をとる処理(AND処理)を行う。これにより、差分画像(1)と差分画像(2)との共通部分が抽出され、このようにして得られる画像(差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像)は、時刻T2における遊技球(遊技球120b)の位置情報を示すことになる。
以上のようにして、本実施形態では、演出LEDの点灯及び消灯の影響を排除しつつ、時刻T2における遊技球の位置を検出することができる。同様に、2フレーム目の画像と3フレーム目の画像との差分に対応する画像(差分画像(2))と、3フレーム目の画像と4フレーム目の画像との差分に対応する画像(差分画像(3))との論理積をとることにより、時刻T3における遊技球の位置を検出することができる(図33参照)。
なお、時刻T2から時刻T3にかけて演出LEDの点灯している状態は継続しているため、差分画像(2)には、LED59(演出LED)の位置情報が含まれていない(図36参照)。従って、当該差分画像(2)と、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像(図37参照)との差分をとることによっても、時刻T3における遊技球の位置を検出することができる。このようにすれば、より迅速に遊技球の位置を検出することが可能であり、遊技球の転動(位置変化)に応じて、演出等の各種制御をよりリアルタイムに実行することができる。
上述したように、本実施形態では、CCDカメラ1000のフレームレートが250fpsとなっている。すなわち、CCDカメラ1000によるフレーム画像の取得間隔は、1フレーム当たり4ミリ秒である。一方、LED59(演出LED)は、12ミリ秒の周期間隔で点滅する(12ミリ秒の点灯と12ミリ秒の消灯とが繰り返される)ように制御され、CCDカメラ1000による画像取得間隔が、演出LEDの点滅周期間隔の1/3となっている。本実施形態では、CCDカメラ1000による画像取得間隔を、演出LEDの点滅周期間隔の1/2以下(又は、1/3以下、1/4以下等)とすることが望ましい。あるいは、演出LEDの状態が「消灯→点灯→消灯」又は「点灯→消灯→点灯」と切り替わる場合における点灯区間又は消灯区間のうちの最短区間の長さが、CCDカメラ1000による画像取得間隔の2倍以上(又は、3倍以上、4倍以上等)となるように、演出LEDを制御することが望ましい。
これにより、演出LEDの状態が「消灯→点灯→消灯」又は「点灯→消灯→点灯」と切り替わった場合であっても、連続する3つのフレーム画像(1フレーム目の画像、2フレーム目の画像、及び、3フレーム目の画像)として、下記(i)〜(vi)のうちの何れかを取得することができる。「消灯状態」及び「点灯状態」は、各フレーム画像に含まれる演出LEDの状態を示している。下記(i)〜(vi)の何れであっても、以上で説明した方法により、演出LEDの点灯及び消灯の影響を排除しつつ、遊技球の位置を検出することができる。
(i)1フレーム目の画像:消灯状態、2フレーム目の画像:消灯状態、3フレーム目の画像:点灯状態
(ii)1フレーム目の画像:消灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:点灯状態
(iii)1フレーム目の画像:点灯状態、2フレーム目の画像:消灯状態、3フレーム目の画像:消灯状態
(iv)1フレーム目の画像:点灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:消灯状態
(v)1フレーム目の画像:消灯状態、2フレーム目の画像:消灯状態、3フレーム目の画像:消灯状態
(vi)1フレーム目の画像:点灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:点灯状態
なお、図34〜図37の例では、遊技球の近傍にLED59(演出LED)が設けられている場合について説明したが、演出LED以外の他の物体が設けられている場合についても、同様の説明が妥当する。当該他の物体には、静止している物体だけではなく、動作可能な物体(可動部材)も含まれる。そのような可動部材としては、入賞口(始動口)への遊技球の入球を可能にする状態(開放状態)と遊技球の入球を不可能又は困難にする状態(閉鎖状態)とを切り替え可能な(開閉動作を行う)役物や、その他の演出用の可動役物等、遊技盤における所定位置に配設された各種可動部材を挙げることができる。具体的には、遊技盤の左右方向に回動する電動チューリップ型の役物、羽根状の部材を動作させる役物、遊技盤の前後方向に水平移動する舌状部材から構成される役物、遊技盤に対して垂直な方向又は鉛直方向を回転軸として回転可能な回転部材等を挙げることができる。このような可動部材は、遊技盤における所定位置を基準として(位置を変化させずに)動作を行うことにより、その外観を経時的に変化させるため、当該外観の変化がフレーム画像にも現れることになる。しかし、図34〜図37を用いて説明した方法によって、当該可動部材を画像から除去することが可能であり、そうした外観変化の影響を排除しつつ、遊技球の位置を検出することができる。
また、遊技球の位置情報を誤って検出する要因となる構造物(例えば、発射通路や風車等)の配置された領域や、遊技球の追跡が必要のない領域(遊技球が通過し得ない領域)に対して、予めマスキングを行って(図38参照)、当該領域を画像処理の対象から外すこととしてもよい。これにより、誤検出を防止することが可能であるとともに、画像処理にかかる負担を軽減することができる。なお、図38において、黒く塗りつぶした領域がマスキング領域である。図38では、発射通路となるガイド経路41c(遊技球が玉放出口41dから遊技領域12aに放出されるまでに通過する領域)、及び、風車125(図34参照)にマスキングが施されている様子を示している。なお、図38では、風車125の一部(上下の僅かな部分)にマスキングが施されていない様子を示しているが、風車125全体がマスキング領域に含まれることとしてもよい。
以上、図33〜図38を用いて、図31のステップS284で行われる前後フレーム間差分抽出処理について説明した。図31に説明を戻す。
ステップS284の処理を実行した後、サブCPU201は、射出位置(射出領域)及び排出位置(排出領域)の確認を行う(ステップS285)。以下、射出領域及び排出領域について、図39及び図40を用いて説明する。
<射出領域及び排出領域>
図39は、射出領域及び排出領域を示す図である。図40は、遊技球に対するIDの割り当てについて説明するための概念図である。
図39に示すように、射出領域及び排出領域は、遊技領域12a内の一定範囲として設定された領域である。図中、射出領域及び排出領域は、四角で囲まれた領域として示している。射出領域は、遊技球が玉放出口41d(図5参照)から遊技領域12aに放出される際に最初に通過する領域である。排出領域は、遊技領域12aを転動した遊技球が遊技領域12aの外部に排出される際に最後に通過する領域である。具体的に、射出領域は、玉戻り防止片42(図5参照)の近傍における所定範囲内の領域である。排出領域としては、排出領域1〜5の5つの領域が設定されている。排出領域1は、第1始動口44の近傍における所定範囲内の領域であり、排出領域2は、第2始動口45の近傍における所定範囲内の領域であり、排出領域3は、第1大入賞口53の近傍における所定範囲内の領域であり、排出領域4は、第2大入賞口54の近傍における所定範囲内の領域であり、排出領域5は、アウト口55の近傍における所定範囲内の領域である。
本実施形態では、複数の遊技球が同時に遊技領域12aを転動し得るが、これらの複数の遊技球には、それぞれ識別情報(ID)が割り当てられている。各遊技球のIDには、当該遊技球の位置情報が対応付けられており、複数の遊技球がそれぞれ、遊技領域12a内のどこに存在するのかが、個別に管理されている。
図40に示すように、IDとは、各遊技球に対して、それぞれ異なる数字やマークや色を割り当てるようなイメージである。IDは、遊技球が玉放出口41dから遊技領域12aに放出された直後(射出領域を通過する際)に割り当てられる。具体的に、図31のステップS285において、サブCPU201は、以下の処理を行う。
上述した前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)において、遊技領域12aを転動している各遊技球の位置が検出される。このようにして位置が特定された複数の遊技球(遊技領域12aを転動する複数の遊技球)のなかに、射出領域に属する遊技球があれば、当該遊技球に対して新たにIDを割り当てる。図40では、一の遊技球が射出領域内に完全に収まっている様子を示しているが、一の遊技球の少なくとも一部分が射出領域に含まれていれば、当該遊技球に対してIDを割り当てることとする。なお、一の遊技球が射出領域に属していたとしても、当該遊技球に対して既にIDが割り当てられている場合には、再度IDを割り当てる必要はないが、その場合、再度IDを割り当て直すこととしてもよい。サブCPU201は、当該新たにIDを割り当てられた遊技球の位置情報と、当該新たなIDとを対応付けて、ワークRAM203に記憶させる。
なお、射出領域を通過した全ての遊技球に対してIDを割り当ててもよいが、割り当てることの可能なIDの数に上限を設定しておき、既に割り当てられたIDの数が上限に達している場合には、既にIDを割り当てた遊技球の追跡(図42参照)を優先し、射出領域を通過した遊技球に対してIDを割り当てないこととしてもよい。一方、新たなIDの割り当てを優先し、既にIDを割り当てた遊技球(例えば、射出領域を通過してからの経過時間が最も長い遊技球)の追跡を終了してIDを解放した上で、新たに射出領域を通過した遊技球に対して当該IDを割り当てることとしてもよい。
また、追跡対象となる遊技球の数が増えすぎないように、遊技状態に応じて、射出領域を通過した遊技球に対して新たにIDを割り当てるのを一時停止することにより、新たに遊技領域に発射される遊技球を追跡対象から外すこととしてもよい。また、追跡処理の負担の大きな領域をマスキング領域として追跡対象領域から外し、単純にマスキング領域以外の遊技領域に遊技球が存在するか否かを判定するようにしてもよい。さらに、既に割り当てられたIDの数が所定数以上の場合(遊技領域12aに存在する遊技球の総数が一定以上の場合)には、射出領域を遊技球がN個(例えば、2個)通過するごとに、当該N個の遊技球のうち最初に射出領域を通過した遊技球のみが追跡対象となるように、当該遊技球にのみIDを割り当てることとしてもよい。例えば、大当り遊技状態においては、通常遊技状態よりも、遊技球が長時間に亘って遊技領域12aに保留されやすくなっている。遊技球の転動速度が遅くなるような構造を有するアタッカーも存在する。そのような場合に、遊技領域12aに存在する全ての遊技球の追跡を行うこととすれば、処理負担が増大してしまう。この点、上記のような構成を採用すれば、遊技領域12a内に通常よりも多くの遊技球が滞留する場合であっても、遊技球の追跡にかかる処理負担を一定限度に抑えることができる。一方で、そのような場合であっても、一部の遊技球に対する追跡を行うことによって、不正行為(図46参照)等への対策を講ずることができる。
一方、前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)により位置が特定された複数の遊技球(遊技領域12aを転動する複数の遊技球)のなかに、排出領域1〜5の何れかに属する遊技球が存在するかを確認する。一の遊技球が排出領域内に完全に収まっている場合だけでなく、一の遊技球の少なくとも一部分が排出領域に含まれていれば、当該遊技球は排出領域に属すると判定する。排出領域1〜5の何れかに属する遊技球が存在する場合、サブCPU201は、当該遊技球のIDと対応付けて、当該遊技球が排出領域に属することを示す情報(排出直前フラグ)を、ワークRAM203に記憶させる。
このような射出領域及び排出領域は、それぞれ任意に設定することができる。例えば、遊技機のホールメニューや各種設定画面において、予め定められた複数の領域のなかから選択された一の領域を、射出領域や排出領域として設定することが可能である。また、タッチパネル等を用いて、遊技盤内における任意の領域を、射出領域や排出領域として設定することができるように構成してもよい。もちろん、機種に応じて予め自動的に設定されていてもよい。排出領域は、始動口や大入賞口の近傍の他、一般入賞口の近傍に設定してもよい。また、入賞口の近傍に排出領域を設定する場合、入賞口が大きいほど、排出領域が広い範囲で設定されるようにしてもよい。なお、マスキング領域(図38参照)についても、射出領域や排出領域と同様に設定することが可能である。
以上、図39及び図40を用いて、図31のステップS285で行われる射出排出位置確認処理について説明した。図31に説明を戻す。
ステップS285の処理を実行した後、サブCPU201は、遊技媒体追跡処理を実行する(ステップS286)。以下、遊技媒体追跡処理について、図41〜図43を用いて説明する。
<遊技媒体追跡処理>
図41(a)は、時刻T2における遊技球の位置を示す図である。図41(b)は、時刻T3における遊技球の位置を示す図である。図42は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される遊技媒体追跡処理を示すフローチャートである。図43は、時刻T2における遊技球の位置を基準とした検索範囲を示す図である。
図33〜図37を用いて説明したように、時刻T1に撮影されたフレーム画像(1フレーム目の画像)と、時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)と、時刻T3に撮影されたフレーム画像(3フレーム目の画像)とに基づいて、時刻T2における遊技球の位置が特定される。
遊技領域12aには、多数の遊技球が同時に存在し得るが、説明を分かりやすくするため、図41(a)では、2個の遊技球に着目し、時刻T2におけるこれらの2個の遊技球の位置を示している。2個の遊技球には、それぞれ、ID(1)及びID(2)というIDが割り当てられている。
また、時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)と、時刻T3に撮影されたフレーム画像(3フレーム目の画像)と、時刻T4に撮影されたフレーム画像(4フレーム目の画像)とに基づいて、時刻T3における遊技球の位置が特定される。
図41(a)と同様に、図41(b)では、2個の遊技球に着目し、時刻T3におけるこれらの2個の遊技球の位置を示している。図中、一方の遊技球の位置を遊技球120dとして示し、他方の遊技球の位置を遊技球120eとして示している。
図41の例では、ID(1)で示される遊技球が、時刻T2から時刻T3の間に、遊技球120dとして示される位置に移動し、ID(2)で示される遊技球が、時刻T2から時刻T3の間に、遊技球120eとして示される位置に移動したと考えられる。しかし、多数の遊技球が遊技領域12aを同時に転動している状態において、遊技球120dがID(1)で示される遊技球であると同定し、遊技球120eがID(2)で示される遊技球であると同定すること(遊技球120dがID(1)で示される遊技球と同一であり、遊技球120eがID(2)で示される遊技球と同一であると正確に把握すること)は、実際には容易ではない(遊技球120eがID(1)で示される遊技球と同一であり、遊技球120dがID(2)で示される遊技球と同一である、という可能性も簡単に排除できない)。
図42に示す遊技媒体追跡処理は、このような時刻T2における遊技球と時刻T3における遊技球との対応付けを行う処理である。すなわち、遊技媒体追跡処理は、時刻T2において遊技領域12aに存在する複数の遊技球と、時刻T3において遊技領域12aに存在する複数の遊技球とについて、同一の遊技球同士を結び付ける処理、換言すれば、時刻T2の時点においてある位置に存在した遊技球が時刻T2から時刻T3の間にどの位置に移動したのかを追跡する処理である。
前提として、上述した前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)により、時刻T2における遊技球の位置、及び、時刻T3における遊技球の位置が特定されているとする。時刻T2における遊技球の位置を示す画像を球位置画像(T2)と表記し、時刻T3における遊技球の位置を示す画像を球位置画像(T3)と表記する。
球位置画像(T2)は、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像(図37参照)であり、球位置画像(T3)は、差分画像(2)と差分画像(3)とのAND画像である。球位置画像(T2)には、時刻T2において遊技領域12aに存在する複数の遊技球の位置情報が含まれており、各位置情報は、当該位置に存在する遊技球に割り当てられたIDと対応付けて、ワークRAM203に記憶されている。球位置画像(T3)には、時刻T3において遊技領域12aに存在する複数の遊技球の位置情報が含まれており、各位置情報は、ワークRAM203に記憶されている。遊技媒体追跡処理を行う前の時点において、球位置画像(T3)に含まれる遊技球の各位置情報は、遊技球のIDと対応付けられていない。遊技媒体追跡処理を行うことにより、球位置画像(T3)に含まれる遊技球の各位置情報と遊技球のIDとが対応付けられることになる。以下、具体的に説明する。
まず、サブCPU201は、対象フレームの画像を取得する(ステップS301)。対象フレームとは、球位置画像(T2)及び球位置画像(T3)を指している。サブCPU201は、球位置画像(T2)を示すデータ及び球位置画像(T3)を示すデータをワークRAM203から読み出す。
次に、サブCPU201は、現在管理対象となっている全てのIDのうちの一のID(例えば、ID(1))を処理対象に決定するとともに、前フレーム(球位置画像(T2))に含まれる複数の遊技球のうち、当該一のIDが対応付けられた遊技球の位置を基準とした検索範囲を設定する(ステップS302)。
上記のように、球位置画像(T2)に含まれる複数の遊技球(時刻T2において遊技領域12aに存在する複数の遊技球)には、それぞれ、遊技球のIDが対応付けられている。そして、当該複数の遊技球(複数のID)には、それぞれ、検索範囲が設定されている。検索範囲とは、時刻T2(ある時点)においてある位置に存在した遊技球が時刻T3(1フレームに相当する時間が経過した後)において存在する可能性の高い領域(1フレームに相当する時間で遊技球が移動可能な範囲)であり、球位置画像内の各位置に応じて予め設定されている。
例えば、ID(1)で示される遊技球に対しては、ID(1)の遊技球の位置の近傍領域に、図43に示すような検索範囲が設定される。他のIDが割り当てられた遊技球についても同様であり、球位置画像(T2)に含まれる遊技球の個数分だけ、検索範囲が設定される。ここで、ステップS302〜ステップS314の処理は、ループするようになっており、例えば、ID(1)についてステップS302〜ステップS314の処理を行った後、ID(2)についてステップS302〜ステップS314の処理を行い、その後ID(3)についてステップS302〜ステップS314の処理を行う、といったようにして、本サブルーチンは進行する。なお、各ステップをループさせるのではなく、ステップごとに全てのIDについて一括して処理を行うようにしてもよい。
このような検索範囲は、実験等により算出された遊技球の転動に関わる値(例えば、転動可能速度や加速度等)に基づいて予め設定されていてもよいし、カメラ映像の解析結果に基づいて遊技球の転動可能範囲を予測する処理を別途行うことにより設定されることとしてもよい。
ステップS303の処理において、サブCPU201は、球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球それぞれの位置と、時刻T2における一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)に対して設定された検索範囲とを比較して、球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在するか否かを判断する。
球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、今回検出位置に対してマークを設定する(ステップS304)。「マーク」とは、遊技球の位置情報とIDとを対応付けることである。この処理において、サブCPU201は、当該検索範囲内に属すると判断された遊技球の位置情報と、当該検索範囲の基準となる遊技球のID、すなわち、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))とを対応付けて、ワークRAM203に記憶させる。
次に、サブCPU201は、再検索回数カウンタに「0」をセットする(ステップS305)。再検索回数カウンタの値は、検索範囲が再設定されるごとに加算される値であり(ステップS312参照)、一の遊技球のIDと対応付けて、ワークRAM203に記憶されている。ステップS305の処理において、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))と対応付けられた再検索回数カウンタに「0」をセットする。
なお、図示しないが、サブCPU201は、当該ID(例えば、ID(1))と対応付けて、検索終了フラグをオンにセットする。検索終了フラグは、現在処理対象となっているIDに対する検索処理(ステップS303の処理)をこれ以上行わないことを示すフラグである。全てのIDと対応付けて検索終了フラグがオンにセットされたことを条件として、本サブルーチンは終了することとなる(ステップS315参照)。
次に、サブCPU201は、消失フラグをオフにセットする(ステップS306)。消失フラグは、検索処理(ステップS303の処理)において球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに検索範囲内に属する遊技球が存在しないと判断された場合にセットされるフラグであり(ステップS310参照)、一の遊技球のIDと対応付けて、ワークRAM203に記憶されている。ステップS306の処理において、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))と対応付けられた消失フラグをオフにセットする。その後、サブCPU201は、処理をステップS315に移す。
ステップS303において、球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在しないと判断した場合、サブCPU201は、排出領域内での消失であるか否かを判断する(ステップS307)。この処理において、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))の遊技球が、時刻T2において図39に示す排出領域(排出領域1〜5のうちの何れか)に属していたか否かを判断する。具体的に、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))と対応付けて、上述した排出直前フラグがセットされているか否かを判断する。
現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))の遊技球が、時刻T2において排出領域に属していたと判断した場合、サブCPU201は、当該IDを解放する(ステップS308)。すなわち、サブCPU201は、当該IDを管理対象から外す。その後、サブCPU201は、ステップS305に処理を移す。
ステップS307において、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))の遊技球が、時刻T2において排出領域に属していなかったと判断した場合、サブCPU201は、当該ID(例えば、ID(1))と対応付けられた消失フラグがオンにセットされているか否かを判断する(ステップS309)。
当該ID(例えば、ID(1))と対応付けられた消失フラグがオンにセットされていないと判断した場合、サブCPU201は、当該ID(例えば、ID(1))と対応付けられた消失フラグをオンにセットする(ステップS310)。
ステップS309において当該ID(例えば、ID(1))と対応付けられた消失フラグがオンにセットされていると判断した場合、又は、ステップS310の処理を実行した後、サブCPU201は、当該ID(例えば、ID(1))に対して、前回設定した検索範囲とは異なる検索範囲を再度設定する(ステップS311)。これにより、当該再設定された検索範囲に基づいて、当該ID(例えば、ID(1))に対する検索処理(ステップS303の処理)が再度行われることとなる。
次に、サブCPU201は、再検索回数カウンタの値を1加算する(ステップS312)。この処理において、サブCPU201は、ワークRAM203に記憶されている再検索回数カウンタの値に1を加えた値を、新たな再検索回数カウンタの値としてワークRAM203に記憶させる。
次に、サブCPU201は、再検索回数カウンタの値が50よりも大きいか否かを判断する(ステップS313)。再検索回数カウンタの値が50よりも大きいと判断した場合、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))に対する検索を終了する(ステップS314)。この処理において、サブCPU201は、当該ID(例えば、ID(1))と対応付けて、検索終了フラグをオンにセットする。
ステップS313において再検索回数カウンタの値が50以下であると判断した場合、又は、ステップS314若しくはステップS306の処理を実行した後、サブCPU201は、全てのIDに対する検索が終了したか否かを判断する(ステップS315)。この処理において、サブCPU201は、球位置画像(T2)に含まれる全ての遊技球のIDと対応付けて、検索終了フラグがオンにセットされているか否かを判断する。
少なくとも一の遊技球のIDに対して検索終了フラグがオンにセットされていないと判断した場合、サブCPU201は、処理をステップS302に戻す。これにより、検索が終了していないID(ステップS305又はステップS314の処理が完了していないID)に対してステップS302〜ステップS314の処理が行われることとなる。
具体的に、初めて処理対象となるIDに対しては、予め定められた検索範囲に基づいて、検索処理(ステップS303の処理)が行われる。一方、既に処理対象となったことのあるIDに対しては、ステップS311で再設定された検索範囲に基づいて、検索処理(ステップS303の処理)が行われる。
ステップS315において、球位置画像(T2)に含まれる全ての遊技球のIDと対応付けて、検索終了フラグがオンにセットされていると判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
以上、図41〜図43を用いて、図31のステップS286で行われる遊技媒体追跡処理について説明した。図31に説明を戻す。
ステップS286の処理を実行した後、サブCPU201は、重なり離散のID維持に係る処理を実行する(ステップS287)。以下、重なり離散のID維持について、図44及び図45を用いて説明する。
<重なり離散のID維持>
図44(a)は、時刻T2における遊技球の位置を示す図である。図44(b)は、時刻T3における遊技球の位置を示す図である。図45は、時刻T2における遊技球の位置を基準とした検索範囲を示す図である。
図41(a)と同様に、図44(a)は、時刻T2における遊技球の位置を示す画像(球位置画像(T2))中の2個の遊技球に着目し、時刻T2におけるこれらの2個の遊技球の位置を示している。2個の遊技球には、それぞれ、ID(1)及びID(2)というIDが割り当てられている。
図41(b)と同様に、図44(b)では、時刻T3における遊技球の位置を示す画像(球位置画像(T3))中の2個の遊技球に着目し、時刻T3におけるこれらの2個の遊技球の位置を示している。図中、一方の遊技球の位置を遊技球120dとして示し、他方の遊技球の位置を遊技球120eとして示している。なお、時刻T2におけるID(1)の遊技球の位置及びID(2)の遊技球の位置も、仮想線で示している。
図44(b)では、遊技球120dと遊技球120eとが重なっている様子が示されている。複数の遊技球が遊技領域12aを同時に転動している状態においては、遊技球同士の位置関係や遊技球とCCDカメラ1000との位置関係次第で、このように、遊技球同士が画像上において重なり合う場合がある。
このような場合、図45に示すように、時刻T2における一の遊技球(この例では、ID(1)の遊技球)に対して設定された検索範囲(図42のステップS302参照)内に時刻T3において2つ以上の遊技球が属する、という状況が発生し得る。こうした状況においては、検索範囲内に属する2つ以上の遊技球のうち、何れの遊技球が当該検索範囲の基準となるIDの遊技球(図45の例では、ID(1)の遊技球)であるのか、直ちに判別することができない。
このような場合においては、球位置画像(T3)における遊技球同士の重なりの態様、時刻T2よりも前の遊技球の位置(例えば、1フレーム前の球位置画像(T1))、時刻T3よりも後の遊技球の位置(例えば、1フレーム後の球位置画像(T4))等を参照する。これにより、重なり合っている各遊技球の遊技領域12a内での存在位置、移動方向や速度等を考慮して、検索範囲内に属する2つ以上の遊技球のうち、当該検索範囲の基準となるIDの遊技球(図45の例では、ID(1)の遊技球)である確率が高い遊技球に対して、当該ID(図45の例では、ID(1))を割り当てる。このようにして、検索範囲内に2つ以上の遊技球が属する場合であっても、IDを維持することができる。
また、図44(b)に示すように、時刻T3(球位置画像(T3))において2つ以上の遊技球が重なり合っている場合、時刻T3における遊技球の位置を基準に検索範囲(図示せず)を設定して、時刻T4(球位置画像(T4))における遊技球を追跡する際(図42に示す遊技媒体追跡処理を行う際)、重なり合う2つ以上の遊技球(例えば、図44(b)に示す遊技球120dと遊技球120e)に対して設定される各検索範囲が、広範囲で重複する可能性がある。そうすると、時刻T4(球位置画像(T4))においてこれらの検索範囲内に2つ以上の遊技球が属する、という状況がやはり発生し得る。こうした状況においても、上記と同様に、球位置画像(T3)における遊技球同士の重なりの態様、時刻T3よりも前の遊技球の位置(例えば、1フレーム前の球位置画像(T2))、時刻T4よりも後の遊技球の位置(例えば、1フレーム後の球位置画像(T5))等を参照することにより、IDを維持することができる。
なお、以上では、遊技球同士が画像上において重なり合う場合について説明したが、遊技球同士が近接(接触)する場合についても、基本的に同様の説明が当てはまる。
以上、図44及び図45を用いて、図31のステップS287で行われる重なり離散のID維持に係る処理について説明した。図31に説明を戻す。
ステップS287の処理を実行した後、サブCPU201は、詰まり・消失検知に係る処理を実行する(ステップS288)。以下、詰まり・消失検知について、図46〜図48を用いて説明する。
<詰まり・消失検知>
図46は、遊技盤上において複数の遊技球により球詰まりが発生している様子を示す図である。図47は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される詰まり・消失検知に係る処理を示すフローチャートである。図48(a)は、消失ポイント及び消失検知の領域について説明するための図である。図48(b)は、球詰まりが発生した様子を示す図である。図48(c)は、遊技球同士の重なり及び重なり検知の領域について説明するための図である。
図46では、8個の遊技球120f〜120mが釘の間に挟まって積もっている様子を示している。8個の遊技球120f〜120mは、遊技盤12と保護ガラス28(図4参照)との間に挟まっており、これにより球詰まりが発生している。そして、これらの8個の遊技球120f〜120mによって所謂「ぶどう」(ぶどうの房のような塊)が形成されている。
パチンコ遊技においては、磁石を用いることによってこのような「ぶどう」を意図的に作り出し、当該「ぶどう」を利用することによって遊技球を入賞口(始動口)へと誘導することで出玉を獲得しようとする不正行為(所謂「ぶどうゴト」)が行われることがある。本実施形態では、「ぶどう」が発生したことを検出することが可能であり、「ぶどうゴト」が行われてしまうことを未然に防止することができる。以下、「ぶどう」(球詰まり)が発生したことを検出するための方法について説明する。
本実施形態では、下記(i)及び(ii)のうち少なくとも一方の条件が成立した場合に、球詰まりが発生した旨判定される。
(i)遊技球の位置が所定時間に亘って変化しないという現象(消失)が、所定の領域内において所定回数以上発生すること
(ii)一の遊技球の位置と他の遊技球の位置とが画像上で重なり合うこと(重なり)が、所定の領域内において所定数以上発生すること
以下、具体的な処理について、図47を用いて説明する。
まず、サブCPU201は、一定時間以上動いていない(同じ位置に停留している)遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS351)。この処理において、サブCPU201は、現在管理されている全てのIDについて、ワークRAM203において対応付けられた位置情報(図42のステップS304参照)を参照し、当該位置情報が所定時間(連続する所定数のフレーム画像)に亘って同じであるか否かを判断する。
一定時間以上動いていない(同じ位置に停留している)遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、当該遊技球のIDを解放する(ステップS352)。一の遊技球が同じ位置に停留している場合、差分処理(図36参照)を実行した際に差分画像に当該遊技球の位置情報が含まれないため、当該遊技球については、それ以上追跡を行うことは困難である。そこで、その場合、サブCPU201は、当該遊技球のIDを管理対象から外す。なお、ステップS352及び次のステップS353の処理は、例えば、図42のステップS314の処理を行った後、ステップS315の処理を行う前に、実行することとしてもよい。
次に、サブCPU201は、消失ポイントを設定する(ステップS353)。この処理において、サブCPU201は、ステップS352において管理対象から外したIDと対応付けられた位置情報を、別途ワークRAM203に記憶させる。消失ポイントは、当該位置情報に対応しており、一定時間以上動いていない遊技球の停留位置を示す。図48(a)では、ID(1)の遊技球が一定時間以上一定の位置に停留した場合に、当該位置が消失ポイントとして設定される様子を示している。なお、消失ポイントの設定は、所定時間が経過した後解除される。
ステップS351において一定時間以上動いていない遊技球が存在しないと判断した場合、又は、ステップS353の処理を実行した後、サブCPU201は、消失ポイントが所定数(例えば、3つ)以上設定されているか否かを判断する(ステップS354)。
消失ポイントが所定数(例えば、3つ)以上設定されていると判断した場合、サブCPU201は、消失検知の領域を設定する(ステップS355)。この処理において、サブCPU201は、当該所定数以上の消失ポイントのうち一番最初に設定された消失ポイントを基準として設定される所定の範囲を、消失検知の領域として設定する。図48(a)では、ID(1)の遊技球が一定時間以上一定の位置に停留した場合に、当該位置を基準として消失検知の領域が設定される様子を示している。消失検知の領域は、基準となる消失ポイントを含む一定の範囲として設定される。
具体的に、消失検知の領域は、球位置画像内の各位置に応じて予め設定されており、球位置画像内の位置情報と消失検知の領域との対応関係を示すテーブルがプログラムROM202に記憶されている。ステップS355において、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されている当該テーブルを参照し、基準となる消失ポイント(一番最初に設定された消失ポイント)に対応する位置情報に基づいて、該位置情報に応じて設定された領域を、消失検知の領域として決定する。
次に、サブCPU201は、ステップS355で設定した消失検知の領域に消失ポイントが所定数(例えば、3つ)以上存在するか否かを判断する(ステップS356)。この処理において、サブCPU201は、消失ポイントの少なくとも一部が消失検知の領域に属していれば、当該消失ポイントは消失検知の領域に存在すると判断する。消失検知の領域に消失ポイントが所定数(例えば、3つ)未満しか存在しないと判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
一方、消失検知の領域に消失ポイントが所定数(例えば、3つ)以上存在すると判断した場合、サブCPU201は、球詰まり判定を行う(ステップS357)。消失検知の領域に消失ポイントが所定数以上存在するということは、「消失検知の領域において、遊技球の位置が所定時間に亘って変化しないという現象(消失)が、所定回数以上発生したこと」(上記条件(i)参照)を意味する。図48(b)では、図48(a)に示す消失検知の領域において、ID(1)の遊技球に加え、ID(2)の遊技球とID(3)の遊技球とがそれぞれ所定時間に亘って停留したことにより、球詰まりと判定された様子を示している。球詰まりポイントは、球詰まりが発生した大凡の位置を示している。
ステップS357の処理において、サブCPU201は、例えば、球詰まりが発生したことを報知する画像を液晶表示装置13に表示させたり、球詰まりが発生したことを報知する音をスピーカ11から出力させたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、球詰まりが発生したことを示す球詰まり発生信号を送信する。球詰まり発生信号には、球詰まりポイントを示す情報が含まれることとしてもよい。ステップS357の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
ステップS354において消失ポイントが所定数(例えば、3つ)未満しか設定されていないと判断した場合、サブCPU201は、他の遊技球と重なっている遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS358)。なお、ステップS356において消失検知の領域に消失ポイントが所定数(例えば、3つ)未満しか存在しないと判断した場合、本サブルーチンを終了することとして説明したが、この場合にも、ステップS358の処理に移行することとしてもよい。ステップS358の処理において、サブCPU201は、上述した前後フレーム間差分抽出処理(図33〜図37参照)により得られた球位置画像(例えば、図44(b)に示す球位置画像(T3))上において、遊技球同士の重なりが発生しているか否かを判断する。
図48(c)では、時刻T3における遊技球の位置を示す画像(球位置画像(T3))中の3個の遊技球に着目し、時刻T3におけるこれらの3個の遊技球の位置を示している。上述した遊技媒体追跡処理(図42のステップS304参照)により、3個の遊技球には、それぞれ、ID(1)、ID(2)、及び、ID(3)というIDが割り当てられている。当該画像上において、ID(1)の遊技球とID(2)の遊技球とが重なっており、ID(1)の遊技球とID(3)の遊技球とが重なっている。図中、ID(1)の遊技球とID(2)の遊技球との重複部分、及び、ID(1)の遊技球とID(3)の遊技球との重複部分を、それぞれ、網掛けで示している。ステップS358の処理において、サブCPU201は、このような重なりが発生しているか否か(球位置画像上に重複部分が存在するか否か)を判断する。
重なりが発生していないと判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。一方、重なりが発生していると判断した場合、サブCPU201は、重なり検知の領域を設定する(ステップS359)。この処理において、サブCPU201は、他の遊技球との重複部分(図48(c)において網掛けで示す部分)を有する遊技球のうち、一番最初にIDの割り当てられた遊技球(最初に射出領域を通過した遊技球)の位置を基準として設定される所定の範囲を、重なり検知の領域として設定する。図48(c)では、ID(1)の遊技球の位置を基準として重なり検知の領域が設定される様子を示している。重なり検知の領域は、基準となる遊技球を含む一定の範囲として設定される。
具体的に、重なり検知の領域は、球位置画像内の各位置に応じて予め設定されており、球位置画像内の位置情報と重なり検知の領域との対応関係を示すテーブルがプログラムROM202に記憶されている。ステップS359において、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されている当該テーブルを参照し、基準となる遊技球(一番最初にIDの割り当てられた遊技球)の位置情報に基づいて、該位置情報に応じて設定された領域を、重なり検知の領域として決定する。
次に、サブCPU201は、ステップS359で設定した重なり検知の領域で所定数(例えば、5つ)以上の重なりが発生しているか否かを判断する(ステップS360)。この処理において、サブCPU201は、重なり検知の領域内に存在する重なり(上記重複部分)の個数が所定数(例えば、5つ)以上であるか否かを判断する。なお、サブCPU201は、重なり(重複部分)の少なくとも一部が重なり検知の領域に属していれば、当該重なり(重複部分)は重なり検知の領域に存在すると判断する。重なり検知の領域内に存在する重なり(重複部分)の個数が所定数(例えば、5つ)未満であると判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
一方、重なり検知の領域内に存在する重なり(重複部分)の個数が所定数(例えば、5つ)以上であると判断した場合、サブCPU201は、球詰まり判定を行う(ステップS361)。重なり検知の領域内に存在する重複部分の個数が所定数以上であるということは、「重なり検知の領域において、一の遊技球の位置と他の遊技球の位置とが画像上で重なり合うこと(重なり)が、所定数以上発生したこと」(上記条件(ii)参照)を意味する。
例えば、図48(c)に示すID(1)〜ID(3)の遊技球に加え、図示しないID(4)〜ID(6)の遊技球が重なり検知の領域に存在し、ID(1)の遊技球とID(4)の遊技球とが重なっており、ID(2)の遊技球とID(5)の遊技球とが重なっており、ID(5)の遊技球とID(6)の遊技球とが重なっており、これらの重なり(重複部分)が全て重なり検知の領域内に存在するような場合、重なり検知の領域内に存在する重なりは5個となる。この場合、上記「所定数」=5であれば、上記条件(ii)が成立し、球詰まりと判定されることになる。
なお、ステップS361の球詰まり判定において、サブCPU201は、ステップS357と同様の処理を行う。その後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
以上、図46〜図48を用いて、図31のステップS288で行われる詰まり・消失検知に係る処理について説明した。図31に説明を戻す。
ステップS288の処理を実行した後、サブCPU201は、図31に示すカメラ映像解析処理を終了する。
以上、本発明の一実施形態として、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明した。
第1実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、時刻T1に撮影されたフレーム画像(1フレーム目の画像)と時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)との差分に対応する差分画像(1)、及び、時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)と時刻T3に撮影されたフレーム画像(3フレーム目の画像)との差分に対応する差分画像(2)が作成される。ここで、1フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T1)と2フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T2)との間に、遊技球の位置変化以外に、遊技領域12aにおける環境変化が発生した場合、当該環境変化が差分画像(1)に現れることとなる。同様に、2フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T2)と3フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T3)との間に、遊技球の位置変化以外に、遊技領域12aにおける環境変化が発生した場合、当該環境変化が差分画像(2)に現れることとなる。しかしながら、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、このような環境変化の差分画像への現れは、差分画像(1)と差分画像(2)との論理積をとることによって、除去することが可能である。これにより、そのような環境変化(例えば、外来光の変化)が発生した場合であっても、当該環境変化に起因する画像への影響を排除しつつ、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。
また、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1では、各フレーム画像に下記(i)〜(iv)の状態にある演出LEDが含まれる場合がある。
(i)1フレーム目の画像:消灯状態、2フレーム目の画像:消灯状態、3フレーム目の画像:点灯状態
(ii)1フレーム目の画像:消灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:点灯状態
(iii)1フレーム目の画像:点灯状態、2フレーム目の画像:消灯状態、3フレーム目の画像:消灯状態
(iv)1フレーム目の画像:点灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:消灯状態
上記(i)及び(iv)の場合においては、差分画像(1)に演出LEDが含まれず、差分画像(2)に演出LEDの状態変化に起因する差分が含まれる。また、上記(ii)及び(iii)の場合においては、差分画像(1)に演出LEDの状態変化に起因する差分が含まれ、差分画像(2)に演出LEDが含まれない。第1実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、上記(i)〜(iv)の何れの場合においても、差分画像(1)と差分画像(2)との論理積をとることによって、演出LEDを画像から除去することが可能である。これにより、演出LEDの状態が上記(i)〜(iv)の何れの態様で変化した場合であっても、その影響を排除しつつ、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。
なお、演出LEDが遊技盤12における遊技領域12a以外の箇所に設けられている場合には、演出LEDの存在位置をマスキング領域として設定することによっても、演出LEDを画像から除去することが可能である。これにより、演出LEDを遊技球と誤って検出するといったことも防止することができる。
以上のようにして得られた遊技球の位置情報は、適宜各種デバイスに対して送信され、演出等の各種制御に用いられることとなる。例えば、得られた遊技球の位置情報を液晶表示装置13に表示することによって、遊技球の軌跡を可視化することとしてもよい。その際、IDごとに異なる色で遊技球を表示することとすれば、遊技領域12aを転動している多数の遊技球の動きを、遊技球ごとに個別に追跡することも可能となる。
このような遊技球の追跡は、図42に示す遊技媒体追跡処理により実現することができる。遊技媒体追跡処理では、時刻T2(ある時点)においてある位置に存在した遊技球が時刻T3(1フレームに相当する時間が経過した後)において、時刻T2における存在位置から距離の近い位置に移動したということを前提として説明した。本実施形態における遊技球の追跡では、距離の他、差分処理を行った際に差分画像に現れる情報(遊技球に対応する部分の輝度等)や、上述した消失や重なり等の情報を加味して、処理を行うこととしてもよい。
また、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、連続する所定数のフレーム画像に亘って、一の遊技球の位置が変化していない場合に、該一の遊技球について「消失」が発生したと認識される。そして、該一の遊技球のフレーム画像における位置を基準とした所定範囲(消失検知の領域)内で、該一の遊技球以外のN個(例えば、2個)以上の遊技球についても「消失」が発生したと認識された場合に、「球詰まり」が発生したと認識される。これにより、遊技球同士が積み重なることで「球詰まり」が発生していることを検出することが可能であり、「球詰まり」に起因する問題を除去する(例えば、「ぶどうゴト」を防止する)機会を得ることができる。
また、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、一の遊技球の位置と他の遊技球の位置とが画像上で重なっている場合に、該一の遊技球と該他の遊技球との間で「重なり」が発生していると認識される。そして、該一の遊技球のフレーム画像における位置を基準とした所定範囲(重なり検知の領域)内で、該一の遊技球と該他の遊技球との間での「重なり」以外にもM個(例えば、4個)以上の「重なり」が発生していると認識された場合に、「球詰まり」が発生したと認識される。これにより、遊技球同士が積み重なることで「球詰まり」が発生していることを検出することが可能であり、「球詰まり」に起因する問題を除去する(例えば、「ぶどうゴト」を防止する)機会を得ることができる。
以上、第1実施形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用した例について説明したが、本発明は、パチンコ遊技機以外の遊技機に適用することもできる。以下に示す第2実施形態では、本発明をパチスロ遊技機に適用した例について説明している。さらに、物体が移動可能な領域を備える装置である限り、遊技機以外の装置にも、本発明を適用することが可能である。
また、第1実施形態では、パチンコ遊技機における遊技球の追跡を行う場合について説明した。パチンコ遊技機における遊技球は、本発明における対象物に相当する。本発明における対象物としては、この例に限定されず、移動可能な任意の物体を適宜採用することが可能である。第2実施形態では、パチスロ遊技機に使用されるメダルを対象物として採用した例について説明している。
また、第1実施形態では、パチンコ遊技機における遊技領域を撮影対象とする場合について説明した。パチンコ遊技機における遊技領域は、本発明における撮影対象領域に相当する。本発明における撮影対象領域としては、この例に限定されず、対象物が移動可能な任意の領域を適宜採用することが可能である。第2実施形態では、パチスロ遊技機に使用されるメダルが移動可能な領域(メダルレール)を、撮影対象領域として採用した例について説明している。
また、第1実施形態では、副制御回路200(サブCPU201)においてカメラ映像解析処理(図31参照)が行われる場合について説明した。本発明において、画像処理を行う回路は、副制御回路(演出制御回路)に限定されず、表示制御回路や音声・LED制御回路等において画像処理(カメラ映像解析処理)が行われることとしてもよい。また、撮影装置(カメラ)自体(カメラの備える制御LSI)がカメラ映像解析処理を行うこととしてもよい。演出制御回路以外の制御回路でカメラ映像解析処理を行う場合、カメラ映像解析処理の全てを当該制御回路で行うこととしてもよいし、カメラ映像解析処理の一部のみを当該制御回路で行い、残りの処理は他の制御回路で行うこととしてもよい。このように、本発明における画像処理は、複数の制御回路において分担して行うこととしてもよい。また、演出制御回路以外の制御回路でカメラ映像解析処理を行う場合、解析結果を演出制御回路に送信し、当該解析結果に基づいて演出制御回路で演出パターンの選択を行うように制御してもよい。さらに、演出制御回路を介さずに表示制御回路等でカメラ映像を解析して遊技球の追跡を行う(例えば、上述したように、遊技球の動きを液晶表示装置に表示する)ように制御し、追跡結果のみを演出制御回路にフィードバックすることとしてもよい。
[第2実施形態]
上記のように、第2実施形態では、本発明をパチスロ遊技機に適用した例について説明する。より具体的には、パチスロ遊技機に使用されるメダルが移動可能な領域(メダルレール)をカメラで撮影する例について説明する。以下においては、第1実施形態における説明が第2実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
<機能フロー>
まず、図49を参照して、パチスロの機能フローについて説明する。本実施の形態のパチスロでは、遊技を行うための遊技媒体としてメダルを用いる。遊技媒体としては、メダル以外にも、コイン、遊技球、遊技用のポイントデータまたはトークン等を対象とすることもできる。
遊技の開始時において、遊技者によりメダルが投入され、スタートレバーが操作されると、予め定められた数値の範囲(例えば、0〜65535)の乱数から1つの値(以下、乱数値)が抽出される。
内部抽籤手段は、抽出された乱数値に基づいて抽籤を行い、内部当籤役を決定する。この内部抽籤手段は、後述する主制御回路が担う。内部当籤役の決定により、後述の入賞判定ラインに沿って表示を行うことを許可する図柄の組合せが決定される。なお、図柄の組合せの種別としては、メダルの払い出し、再遊技の作動、ボーナスの作動等といった特典が遊技者に与えられる「入賞」に係るものと、それ以外のいわゆる「ハズレ」に係るものとが設けられている。
また、スタートレバーが操作されると、複数のリールの回転が行われる。その後、遊技者により所定のリールに対応するストップボタンが押されると、リール停止制御手段は、内部当籤役とストップボタンが押されたタイミングとに基づいて、該当するリールの回転を停止する制御を行う。このリール停止制御手段は、後述する主制御回路が担う。
パチスロでは、基本的に、ストップボタンが押されたときから規定時間(190msecまたは75msec)内に、該当するリールの回転を停止する制御が行われる。本実施形態では、この規定時間内にリールの回転に伴って移動する図柄の数を「滑り駒数」と呼ぶ。規定期間が190msecである場合には、滑り駒数の最大数を図柄4個分に定め、規定期間が75msecである場合には、滑り駒数の最大数を図柄1個分に定める。
リール停止制御手段は、入賞に係る図柄の組合せ表示を許可する内部当籤役が決定されているときは、通常、190msec(図柄4コマ分)の規定時間内に、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリールの回転を停止させる。また、リール停止制御手段は、例えば、第2種特別役物であるチャレンジボーナス(CB)及びCBを連続して作動させるミドルボーナス(MB)の動作時には、1つ以上のリールに対して、規定時間75msec(図柄1コマ分)内に、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリールの回転を停止させる。さらに、リール停止制御手段は、遊技状態に対応する各種規定時間を利用して、内部当籤役によってその表示が許可されていない図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って表示されないようにリールの回転を停止させる。
こうして、複数のリールの回転がすべて停止されると、入賞判定手段は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せが、入賞に係るものであるか否かの判定を行う。この入賞判定手段は、後述する主制御回路が担う。入賞判定手段により入賞に係るものであるとの判定が行われると、メダルの払い出し等の特典が遊技者に与えられる。パチスロでは、以上のような一連の流れが1回の遊技として行われる。
また、パチスロでは、前述した一連の流れの中で、液晶表示装置などの表示装置により行う映像の表示、各種ランプにより行う光の出力、スピーカにより行う音の出力、或いはこれらの組合せを利用して様々な演出が行われる。
スタートレバーが操作されると、上述した内部当籤役の決定に用いられた乱数値とは別に、演出用の乱数値(以下、演出用乱数値)が抽出される。演出用乱数値が抽出されると、演出内容決定手段は、内部当籤役に対応づけられた複数種類の演出内容の中から今回実行するものを抽籤により決定する。この演出内容決定手段は、後述する副制御回路が担う。
演出内容が決定されると、演出実行手段は、リールの回転開始時、各リールの回転停止時、入賞の有無の判定時等の各契機に連動させて対応する演出を実行する。このように、パチスロでは、内部当籤役に対応づけられた演出内容を実行することによって、決定された内部当籤役(言い換えると、狙うべき図柄の組合せ)を知る機会または予想する機会が遊技者に提供され、遊技者の興味の向上を図ることができる。
<パチスロの構造>
次に、図50〜図54を参照して、本実施形態におけるパチスロ2001の構造について説明する。
[外観構造]
図50は、パチスロ2001の外部構造を示す斜視図である。
図50に示すように、パチスロ2001は、外装体2002を備えている。外装体2002は、後述するホッパー装置2051やメダル補助収納庫2052等(図53参照)を収容するキャビネット2002aと、キャビネット2002aに対して開閉可能に取り付けられるフロントドア2002bとを有している。キャビネット2002aの両側面には、把手2007が設けられている(図50では一側面の把手2007のみを示す)。この把手2007は、パチスロ2001を運搬するときに手をかける凹部である。
外装体2002の内部には、3つのリール2003L、2003C、2003Rが横並びに設けられている。以下、各リール2003L、2003C、2003Rを、それぞれ左リール2003L、中リール2003C、右リール2003Rという。各リール2003L、2003C、2003Rは、円筒状に形成されたリール本体と、リール本体の周面に装着された透光性のシート材を有している。シート材の表面には、複数(例えば20個)の図柄が周方向に沿って所定の間隔をあけて描かれている。
フロントドア2002bは、ドア本体2009と、フロントパネル2010と、表示装置の一具体例を示す液晶表示装置2011とを備えている。
ドア本体2009は、ヒンジ(不図示)を用いてキャビネット2002aに取り付けられており、キャビネット2002aの開口部を開閉する。ヒンジは、パチスロ2001の前方からドア本体2009を見た場合に、ドア本体2009における左側の端部に設けられている。液晶表示装置2011は、ドア本体2009の上部に取り付けられている。この液晶表示装置2011は、表示部(表示画面)2011aを備えており、液晶表示装置2011を用いて映像の表示による演出が実行される。
フロントパネル2010は、液晶表示装置2011の表示部2011a側に重畳して配置され、液晶表示装置2011の表示部2011aを露出させるパネル開口2010aを有する枠状に形成されている。フロントパネル2010には、ランプ群2018が設けられている。ランプ群2018は、LED(Light Emitting Diode)等で構成され、演出内容に対応するパターンで、光を点灯及び消灯する。
フロントドア2002bの中央には、台座部2012が形成されている。この台座部2012には、図柄表示領域2004と、遊技者による操作の対象となる各種装置が設けられている。
図柄表示領域2004は、正面から見て3つのリール2003L、2003C、2003Rに重畳する手前側に配置されており、3つのリール2003L、2003C、2003Rに対応して設けられている。この図柄表示領域2004は、表示窓としての機能を果たすものであり、その背後に設けられた各リール2003L、2003C、2003Rを透過することが可能な構成になっている。以下、図柄表示領域2004を、リール表示窓2004という。
リール表示窓2004は、その背後に設けられたリール2003L、2003C、2003Rの回転が停止されたとき、各リール2003L、2003C、2003Rの複数種類の図柄のうち、その枠内における上段、中段及び下段の各領域にそれぞれ1個の図柄(合計で3個)を表示する。本実施の形態では、リール表示窓2004の上段、中段及び下段からなる3つの領域のうち予め定められたいずれかを組み合わせて構成される擬似的なラインを、入賞か否かの判定を行う対象となるライン(入賞判定ライン)として定義する。
リール表示窓2004は、台座部2012に設けられた枠部材2013により形成されている。この枠部材2013は、リール表示窓2004と、情報表示窓2014と、ストップボタン取付部2015を有している。
情報表示窓2014は、リール表示窓2004の下部に連続して設けられており、上方に向かって開口している。すなわち、リール表示窓2004と情報表示窓2014は、連続する1つの開口部として形成されている。この情報表示窓2014及びリール表示窓2004は、透明の窓カバー2016によって覆われている。
窓カバー2016は、枠部材2013の内面側に配置されており、フロントドア2002bの前面側から取り外し不可能になっている。また、枠部材2013は、窓カバー2016を挟んで情報表示窓2014の開口に対向するシート載置部2017を有している。そして、シート載置部2017と窓カバー2016との間には、遊技に関する情報が記載されたシート部材(情報シート)が配置されている。したがって、情報シートは、凹凸や隙間の無い滑らかな表面を有する窓カバー2016により覆われている。
情報シートの取付部を構成する窓カバー2016は、フロントドア2002bの前面側から取り外し不可能であり、凹凸や隙間の無い滑らかな表面であるため、情報シートの取付部を利用して、パチスロ2001の内部にアクセスする不正行為を防ぐことができる。
ストップボタン取付部2015は、情報表示窓2014の下方に設けられており、正面を向いた平面に形成されている。このストップボタン取付部2015には、ストップボタン2019L、2019C、2019Rが貫通する貫通孔が設けられている。ストップボタン2019L、2019C、2019Rは、3つのリール2003L、2003C、2003Rのそれぞれに対応づけられ、対応するリールの回転を停止するために設けられる。以下、ストップボタン2019L、2019C、2019Rを、それぞれ左ストップボタン2019L、中ストップボタン2019C、右ストップボタン2019Rという。
ストップボタン2019L、2019C、2019Rは、遊技者による操作の対象となる各種装置の一例を示す。また、台座部2012には、遊技者による操作の対象となる各種装置として、メダル投入口2021、BETボタン2022、スタートレバー2023が設けられている。
メダル投入口2021は、遊技者によって外部から投下されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口2021に受け入れられたメダルは、予め定められた規定数(例えば、3枚)を上限として1回の遊技に投入されることとなり、規定数を超えた分はパチスロ2001の内部に預けることが可能となる(いわゆるクレジット機能)。
BETボタン2022は、パチスロ2001の内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。スタートレバー2023は、全てのリール(2003L、2003C、2003R)の回転を開始するために設けられる。
また、フロントドア2002bを正面から見てリール表示窓2004の左側方には、7セグメントLED(Light Emitting Diode)からなる7セグ表示器2024が設けられている。この7セグ表示器2024は、特典として遊技者に対して払い出すメダルの枚数(以下、払出枚数)、パチスロ内部に預けられているメダルの枚数(以下、クレジット枚数)等の情報をデジタル表示する。
フロントドア2002bを正面から見て台座部2012の左側には、精算ボタン2027が設けられている。この精算ボタン2027は、パチスロ2001の内部に預けられているメダルを外部に引き出す(排出する)ために設けられる。台座部2012の下方には、腰部パネルユニット2031が設けられている。腰部パネルユニット2031は、任意の画像が描かれた装飾パネルと、この装飾パネルを背面側から照明するための光を出射する光源を有している。
腰部パネルユニット2031の下方には、メダル払出口2032と、スピーカ用孔2033L、2033Rと、メダルトレイユニット2034が設けられている。メダル払出口2032は、後述のメダルセレクタ2201から排出されるメダルや後述のホッパー装置2051の駆動により排出されるメダルを外部に導く。メダル払出口2032から排出されたメダルは、メダルトレイユニット2034に貯められる。スピーカ用孔2033L、2033Rは、演出内容に応じた効果音や楽曲等の音を出力するために設けられている。
[内部構造]
図51及び図52は、パチスロ2001の内部構造を示す斜視図である。この図51では、フロントドア2002bが開放され、フロントドア2002bの裏面側に設けられたミドルドア2041がフロントドア2002bに対して閉じた状態を示している。また、図52では、フロントドア2002bが開放され、ミドルドア2041がフロントドア2002bに対して開いた状態を示している。また、図53は、キャビネット2002aの内部を示す説明図である。図54は、フロントドア2002bの裏面側を示す説明図である。
キャビネット2002aは、上面板2020aと、底面板2020bと、左右の側面板2020c、2020dと、背面板2020eを有している(図53参照)。キャビネット2002a内部の上側には、キャビネット側スピーカ2042が配設されている。このキャビネット側スピーカ2042は、取付ブラケット2043L、2043Rを介してキャビネット2002aの背面板2020eに取り付けられている。キャビネット側スピーカ2042は、例えば、効果音を出力するためのスピーカである。
キャビネット2002a内部を正面から見て、キャビネット側スピーカ2042の左側方には、キャビネット側中継基板2044が配設されている。このキャビネット側中継基板2044は、キャビネット2002aの左側面板2020cに取り付けられている。キャビネット側中継基板2044は、ミドルドア2041(図51及び図52参照)に取り付けられた後述する主制御基板2071(図56参照)と、ホッパー装置2051、メダル補助収納庫スイッチ(不図示)、メダル払出カウントスイッチ(不図示)とを接続する配線の中継を行う。
キャビネット2002a内部の中央部には、キャビネット側スピーカ2042による音の出力を制御するアンプ基板2045が配設されている。このアンプ基板2045は、左右の側面板2020c、2020dに固定された取付棚2046に取り付けられている。
また、キャビネット2002a内部を正面から見て、アンプ基板2045の右側には、外部集中端子板2047が配設されている(図53参照)。この外部集中端子板2047は、キャビネット2002aの右側面板2020dに取り付けられている。外部集中端子板2047は、メダル投入信号、メダル払出信号及びセキュリティー信号などの信号をパチスロ1の外部へ出力するために設けられている。
キャビネット2002a内部を正面から見て、アンプ基板2045の左側には、サブ電源装置2048が配設されている。このサブ電源装置2048は、キャビネット2002aの左側面板2020cに取り付けられている。サブ電源装置2048は、交流電圧100Vの電力を後述する電源装置2053に供給する。また、交流電圧100Vの電力を直流電圧の電力に変換して、アンプ基板2045に供給する。
キャビネット2002aの内部の下側には、メダル払出装置(以下、ホッパー装置)2051と、メダル補助収納庫2052と、電源装置2053が配設されている。
ホッパー装置2051は、キャビネット2002aにおける底面板2020bの中央部に取り付けられている。このホッパー装置2051は、多量のメダルを収容可能であり、それらを1枚ずつ排出可能な構造を有する。ホッパー装置2051は、例えば、精算ボタン2027(図50参照)が押圧されてパチスロ内部に預けられているメダルの精算を行うときに、収容したメダルをクレジット枚数分排出する。ホッパー装置2051によって払い出されたメダルは、メダル払出口2032(図50参照)から排出される。
メダル補助収納庫2052は、ホッパー装置2051から溢れ出たメダルを収納する。このメダル補助収納庫2052は、キャビネット2002a内部を正面から見て、ホッパー装置2051の右側に配置されている。メダル補助収納庫2052は、キャビネット2002aの底面板2020bに係合されており、底面板2020bに対して着脱可能に構成されている。
電源装置2053は、キャビネット2002a内部を正面から見て、ホッパー装置2051の左側に配置されており、左側面板2020cに取り付けられている。この電源装置2053は、電源スイッチ2053aと、電源基板2053bを有している(図56参照)。電源装置2053は、サブ電源装置2048から供給された交流電圧100Vの電力を各部で必要な直流電圧の電力に変換して、変換した電力を各部へ供給する。
図51、図52及び図54に示すように、ミドルドア2041は、フロントドア2002bの裏面における中央部に配置され、リール表示窓2004(図52参照)を裏側から開閉可能に構成されている。ミドルドア2041の上部と下部には、ドアストッパ2041a、2041b、2041cが設けられている。このドアストッパ2041a、2041b、2041cは、リール表示窓2004を裏側から閉じた状態のミドルドア2041の開動作を固定(禁止)する。すなわち、ミドルドア2041を開くには、ドアストッパ2041a、2041b、2041cを回転させてミドルドア2041の固定を解除する必要がある。
ミドルドア2041には、主制御基板2071(図56参照)を収納した主制御基板ケース2055と、3つのリール2003L、2003C、2003Rが取り付けられている。3つのリール2003L、2003C、2003Rには、所定の減速比をもったギアを介してステッピングモータが接続されている。
図54に示すように、主制御基板ケース2055には、設定用鍵型スイッチ2056が設けられている。この設定用鍵型スイッチ2056は、パチスロ2001の設定を変更もしくはパチスロ2001の設定の確認を行うときに使用する。本実施の形態では、主制御基板ケース2055と、この主制御基板ケース2055に収納された主制御基板2071により、主制御基板ユニットが構成されている。
主制御基板ケース2055に収納された主制御基板2071は、後述する主制御回路2091(図57参照)を構成する。主制御回路2091は、内部当籤役の決定、リール2003L、2003C、2003Rの回転及び停止、入賞の有無の判定といった、パチスロ2001における遊技の主な流れを制御する回路である。主制御回路2091の具体的な構成は後述する。
ミドルドア2041の上方には、副制御基板2072(図56参照)を収容する副制御基板ケース2057が配設されおり、副制御基板ケース2057の上方には、センタースピーカ2058が配設されている。副制御基板ケース2057に収納された副制御基板2072は、副制御回路2101(図58参照)を構成する。この副制御回路2101は、映像の表示等による演出の実行を制御する回路である。副制御回路2101の具体的な構成は後述する。
フロントドア2002bを裏面側から見て、副制御基板ケース2057の右側方には、副中継基板2061が配設されている。この副中継基板2061は、副制御基板2072と主制御基板2071とを接続する配線を中継する。また、副制御基板2072と副制御基板2072の周辺に配設された基板とを接続する配線を中継する基板である。なお、副制御基板2072の周辺に配設される基板としては、後述するLED基板2062A、2062B、2062Cが挙げられる。
LED基板2062A、2062B、2062Cは、フロントドア2002bの裏面側から見て、副制御基板ケース2057の両側に配設されている。これらLED基板2062A、2062B、2062Cは、副制御回路2101(図58参照)の制御により実行される演出に応じて、光源の一具体例を示す複数のLED(Light Emitting Diode)2082(図56参照)を発光させて、点滅パターンを表示する。なお、本実施形態に係る遊技機では、LED基板2062A、2062B、2062C以外に複数のLED基板を備えている。
副中継基板2061の下方には、24hドア開閉監視ユニット2063が配設されている。この24hドア開閉監視ユニット2063は、ミドルドア2041の開閉の履歴を保存する。また、ミドルドア2041を開放したときに、液晶表示装置2011にエラー表示を行うための信号を副制御基板2072(副制御回路2101)に出力する。
ミドルドア2041の下方には、ボードスピーカ2064と、下部スピーカ2065L、2065Rが配設されている。ボードスピーカ2064は、腰部パネルユニット2031(図50参照)に対向しており、下部スピーカ2065L、2065Rは、それぞれスピーカ用孔2033L、2033R(図50参照)に対向している。
下部スピーカ2065Lの上方には、メダルセレクタ2201と、メダルシュート2202と、ドア開閉監視スイッチ2067と、が配設されている。メダルセレクタ2201は、メダルの材質や形状等が適正であるか否かを判別する装置であり、メダル投入口2021に投入されたメダルを、スロープ2203を介してホッパー装置2051へ案内し、またはメダルシュート2202へ案内する。メダルセレクタ2201の具体的な構成については後述する。
メダルシュート2202は、略Y字状の筒状の部材であり、メダルセレクタ2201によって案内されたメダルやホッパー装置2051から排出されたメダルをメダル払出口2032(図50参照)に案内する。
ドア開閉監視スイッチ2067は、フロントドア2002bを裏面側から見て、メダルセレクタ2201の左側方に配置されている。このドア開閉監視スイッチ2067は、パチスロ2001の外部へ、フロントドア2002bの開閉を報知するためのセキュリティー信号を出力する。
また、リール表示窓4の下方であってミドルドア2041により開閉される領域には、ドア中継端子板2068が配設されている(図52参照)。このドア中継端子板2068は、主制御基板ケース2055内の主制御基板2071(図56参照)と、各種のボタンやスイッチ、副制御基板2072(図56参照)、メダルセレクタ2201及び遊技動作表示基板2081(図56参照)との配線を中継する基板である。なお、各種のボタン及びスイッチとしては、例えば、BETボタン2022、精算ボタン2027、ドア開閉監視スイッチ2067、後述するBETスイッチ2077、スタートスイッチ2079等を挙げることができる。
<メダルの移動経路>
図55は、メダルセレクタがメダルをホッパー装置へ案内する場合のメダルの移動経路を示す図である。
図55に示すように、メダルセレクタ2201の上端部には、メダル投入口2021(図50参照)から投入されるメダルを受け入れるメダル入口部2211が設けられている。メダル入口部2211からメダルセレクタ2201内に投入されたメダル(メダル2120a、2120b、2120c)は、メダルレール2210に沿って上方から下方へ移動する。メダルセレクタ2201の下部には、メダル出口部2204が設けられている。メダルセレクタ2201内を移動したメダル(メダル2120a、2120b、2120c)は、メダル出口部2204から排出され、スロープ2203(図52参照)を介してホッパー装置2051に収容される。
図示しないが、メダルセレクタ2201には、カメラユニットが配設されている。カメラユニットは、メダルレール2210上を移動する物体が正規のメダルであるか否かを判別するためのユニットである。カメラユニットには、CMOSイメージセンサ、LED、及び、制御LSIが設けられている。
CMOSイメージセンサは、メダルレール2210全体を撮像可能なように配置されており、メダルレール2210上を移動するメダル(メダル2120a、2120b、2120c)を撮像し、撮像したメダルの画像データを制御LSIに出力する。LEDは、CMOSイメージセンサの周囲で面発光し、メダルレール2210上を移動するメダルに光を照射する。制御LSIは、CMOSイメージセンサから出力された画像データに基づいて、メダルレール2210上を移動する物体が正規メダルであるか否かを判別する。また、制御LSIは、当該画像データに対して、所定の処理(図31に示すカメラ映像解析処理と同様の処理)を実行することにより、メダルレール2210上をメダルが正常に流下しているか否かを判別することができる。
<パチスロの回路構成>
次に、パチスロ2001が備える回路の構成について、図56〜図58を参照して説明する。まず、図56を参照してパチスロ2001が備える回路全体の概要について説明する。図56は、パチスロ1が備える回路全体のブロック構成図である。
パチスロ2001は、ミドルドア2041に配設された主制御基板2071と、フロントドア2002bに配設された副制御基板2072を有している。主制御基板2071には、リール中継端子板2074と、設定用鍵型スイッチ2056と、外部集中端子板2047と、ホッパー装置2051と、メダル補助収納庫スイッチ2075と、電源装置2053の電源基板2053bが接続されている。設定用鍵型スイッチ2056、外部集中端子板2047、ホッパー装置2051及びメダル補助収納庫スイッチ2075は、キャビネット側中継基板2044を介して主制御基板2071に接続されている。外部集中端子板2047及びホッパー装置2051については、上述したため、説明を省略する。
リール中継端子板2074は、各リール2003L、2003C、2003Rのリール本体の内側に配設されている。このリール中継端子板2074は、各リール2003L、2003C、2003Rのステッピングモータ(不図示)に電気的に接続されており、主制御基板2071からステッピングモータに出力される信号を中継する。
メダル補助収納庫スイッチ2075は、メダル補助収納庫2052のスイッチ貫通孔(非表示)を貫通している。このメダル補助収納庫スイッチ2075は、メダル補助収納庫2052がメダルで満杯になっているか否かを検出する。
電源装置2053の電源基板2053bには、電源スイッチ2053aが接続されている。この電源スイッチ2053aは、パチスロ2001に必要な電源を供給するときにONにする。
また、主制御基板2071には、ドア中継端子板2068を介して、メダルセレクタ2201、ドア開閉監視スイッチ2067、BETスイッチ2077、精算スイッチ2078、スタートスイッチ2079、ストップスイッチ基板2080、遊技動作表示基板2081及び副中継基板2061が接続されている。ドア開閉監視スイッチ2067及び副中継基板2061については、上述したため、説明を省略する。
BETスイッチ2077は、BETボタン2022が遊技者により押されたことを検出する。精算スイッチ2078は、精算ボタン2027が遊技者により押されたことを検出する。スタートスイッチ2079は、スタートレバー2023が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。
ストップスイッチ基板2080は、回転しているリールを停止させるための回路と、停止可能なリールをLEDなどにより表示するための回路を構成する基板である。このストップスイッチ基板2080には、ストップスイッチが設けられている。ストップスイッチは、各ストップボタン2019L、2019C、2019Rが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。
遊技動作表示基板2081は、メダルの投入を受け付けるとき、3つのリール2003L、2003C、2003Rが回動可能なとき及び再遊技を行うときに、投入されたメダルの枚数を7セグ表示器2024に表示させるための基板である。この遊技動作表示基板2081には、7セグ表示器2024とLED2082が接続されている。LED2082は、例えば、遊技の開始を表示するマークや再遊技を行うマークなどを点灯させる。
副制御基板2072は、ドア中継端子板2068と副中継基板2061を介して主制御基板2071に接続されている。この副制御基板2072には、副中継基板2061を介して、サウンドI/O基板2084、LED基板2062A、2062B、2062C、24hドア開閉監視ユニット2063が接続されている。これらLED基板2062A、2062B、2062C及び24hドア開閉監視ユニット2063については、上述したため、説明を省略する。
サウンドI/O基板2084は、センタースピーカ2058、ボードスピーカ2064、下部スピーカ2065L、2065R及びフロントドア2002bに設けられた不図示のスピーカへの音声の出力を行う。
また、副制御基板2072には、ロムカートリッジ基板2086と、液晶中継基板2087が接続されている。これらロムカートリッジ基板2086及び液晶中継基板2087は、副制御基板2072と共に副制御基板ケース2057に収納されている。ロムカートリッジ基板2086は、演出用の画像(映像)、音声、LED基板2062A、2062B及びその他のLED基板(不図示)、通信のデータを管理するための基板である。液晶中継基板2087は、副制御基板2072と液晶表示装置2011とを接続する配線を中継する基板である。
[主制御回路]
次に、主制御基板2071により構成される主制御回路2091について、図57を参照して説明する。図57は、パチスロ2001の主制御回路2091の構成例を示すブロック図である。
主制御回路2091は、主制御基板2071上に設置されたマイクロコンピュータ2092を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ2092は、メインCPU2093、メインROM2094及びメインRAM2095により構成される。
メインROM2094には、メインCPU2093により実行される制御プログラム(例えば、上述した内部抽籤処理の実行のためのプログラム)、データテーブル、副制御回路2101に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM2095には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
メインCPU2093には、クロックパルス発生回路2096、分周器2097、乱数発生器2098及びサンプリング回路2099が接続されている。クロックパルス発生回路2096及び分周器2097は、クロックパルスを発生する。メインCPU2093は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器2098は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路2099は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
メインCPU2093は、リールインデックスを検出してから各リール2003L、2003C、2003Rのステッピングモータに対してパルスを出力した回数をカウントする。これにより、メインCPU2093は、各リール2003L、2003C、2003Rの回転角度(主に、リールが図柄何個分だけ回転したか)を管理する。なお、リールインデックスとは、リールが一回転したことを示す情報である。このリールインデックスは、例えば、発光部及び受光部を有する光センサと、各リール2003L、2003C、2003Rの所定の位置に設けられ、各リール2003L、2003C、2003Rの回転により発光部と受光部との間に介在される検知片を備えたリール位置検出部(不図示)により検出する。
ここで、各リール2003L、2003C、2003Rの回転角度の管理について、具体的に説明する。ステッピングモータに対して出力されたパルスの数は、メインRAM2095に設けられたパルスカウンタによって計数される。そして、図柄1つ分の回転に必要な所定回数(例えば16回)のパルスの出力がパルスカウンタで計数される毎に、メインRAM2095に設けられた図柄カウンタが1ずつ加算される。図柄カウンタは、各リール2003L、2003C、2003Rに応じて設けられている。図柄カウンタの値は、リール位置検出部(不図示)によってリールインデックスが検出されるとクリアされる。
つまり、本実施の形態では、図柄カウンタを管理することにより、リールインデックスが検出されてから図柄何個分の回転が行われたのかを管理するようになっている。したがって、各リール2003L、2003C、2003Rの各図柄の位置は、リールインデックスが検出される位置を基準として検出される。
上述したように、滑り駒数の最大数を図柄4個分に定めた場合は、左ストップボタン2019Lが押されたときにリール表示窓2004の中段にある左リール2003Lの図柄と、その4個先の図柄までの範囲内にある各図柄が、リール表示窓2004の中段に停止可能な図柄となる。
[副制御回路]
次に、副制御基板2072により構成される副制御回路2101について、図58を参照して説明する。図58は、パチスロ2001の副制御回路2101の構成例を示すブロック図である。
副制御回路2101は、主制御回路2091と電気的に接続されており、主制御回路2091から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。副制御回路101は、基本的に、サブCPU2102、サブRAM2103、レンダリングプロセッサ2104、描画用RAM2105、ドライバ2106を含んで構成されている。
サブCPU2102は、主制御回路2091から送信されたコマンドに応じて、ロムカートリッジ基板2086に記憶されている制御プログラムに従い、映像、音、光の出力の制御を行う。ロムカートリッジ基板2086は、基本的に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域によって構成される。
プログラム記憶領域には、サブCPU2102が実行する制御プログラムが記憶されている。例えば、制御プログラムには、主制御回路2091との通信を制御するための主基板通信タスクや、演出用乱数値を抽出し、演出内容(演出データ)の決定及び登録を行うための演出登録タスクが含まれる。また、決定した演出内容に基づいて液晶表示装置2011(図50参照)による映像の表示を制御する描画制御タスク、LED2082等の光源による光の出力を制御するランプ制御タスク、スピーカ2058、2064、2065L、2065R等のスピーカによる音の出力を制御する音声制御タスク等が含まれる。
データ記憶領域は、各種データテーブルを記憶する記憶領域、各演出内容を構成する演出データを記憶する記憶領域、映像の作成に関するアニメーションデータを記憶する記憶領域が含まれている。また、BGMや効果音に関するサウンドデータを記憶する記憶領域、光の点消灯のパターンに関するランプデータを記憶する記憶領域等が含まれている。
サブRAM2103は、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御回路91から送信される内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられている。
サブCPU2102、レンダリングプロセッサ2104、描画用RAM(フレームバッファを含む)2105及び2ドライバ106は、演出内容により指定されたアニメーションデータにしたがって映像を作成し、作成した映像を液晶表示装置11に表示させる。
また、サブCPU2102は、演出内容により指定されたサウンドデータにしたがってBGMなどの音をスピーカ2058、2064、2065L、2065R等のスピーカにより出力させる。また、サブCPU2102は、演出内容により指定されたランプデータにしたがってLED2082等の光源の点灯及び消灯を制御する。
以上、本発明の一実施形態として、第2実施形態に係るパチスロ2001について説明した。
第2実施形態に係るパチスロ2001によれば、メダルセレクタ2201に配設されたカメラユニットの備える制御LSIによってカメラ映像解析処理(図31参照)が実行される。これにより、メダルレール2210上をメダルが正常に流下しているか否かを判別することができる。また、詰まり・消失検知に係る処理(図47参照)が実行されることにより、例えば、メダルレール2210においてメダルが詰まっている場合に、当該メダル詰まりを検出するといったことも可能となる。なお、このようなカメラ映像の解析結果は、主制御回路2091(図57参照)や副制御回路2101(図58参照)に送信されることとし、当該解析結果に基づいた処理(例えば、図47のステップS357及びステップS361参照)が実行されるように構成することが可能である。
第2実施形態では、カメラユニットの備える制御LSIによってカメラ映像解析処理(図31参照)が実行されることとして説明した。以下、変形例として、副制御回路2101においてカメラ映像解析処理(図31参照)が実行される場合について説明する。この変形例では、カメラユニットの備える制御LSIが、副制御回路2101を構成するサブCPU2102からの要求に応じて、フレーム画像データを副制御回路2101に送信する。副制御回路2101において実行される処理は、第1実施形態で説明した図26〜図31の処理と略同様であるため、ここでの説明は省略する。以下では、主制御回路2091において実行される処理について説明する。
[主制御メイン処理]
まず、図59及び図60を参照して、メインCPU2093の制御による主制御メイン処理について説明する。なお、図59及び図60は、パチスロ2001の主制御メイン処理の手順を示すフローチャートである。
最初に、パチスロ2001に電源が投入されると、メインCPU2093は、電源投入時処理を行う(ステップS1001)。この電源投入時処理は、バックアップが正常であるか、設定変更が適切に行われたかなどが判断され、判断結果に応じた初期化処理が実行される。
次に、メインCPU2093は、一遊技(単位遊技)終了時の初期化処理を行う(ステップS1002)。この処理において、メインCPU2093は、例えば、一遊技終了時の初期化の格納領域を指定して初期化する。この初期化処理によって、メインRAM2095の内部当選役格納領域や表示役格納領域に格納されたデータがクリアされる。
続いて、メインCPU2093は、メダル受付・スタートチェック処理を行う(ステップS1003)。この処理では、メインCPU2093は、投入枚数に基づいて入賞判定ラインを有効にするとともに開始操作が可能であるか否かを判別する。
次に、メインCPU2093は、乱数値を抽出し、乱数値格納領域に格納する(ステップS1004)。この乱数値は、後述の内部抽選処理(ステップS1006)において使用される。続いて、メインCPU2093は、演出用乱数値を抽出し、演出用乱数値格納領域に格納する(ステップS1005)。この演出用乱数値は、ロック決定処理において使用される。続いて、メインCPU2093は、内部抽選処理を行う(ステップS1006)。なお、この処理では、メインCPU2093は、内部当選役を決定する。内部当選役は、遊技状態(一般遊技状態、ボーナス遊技状態、RT遊技状態等)に応じた内部抽籤テーブルに基づく抽籤が行われることにより決定される。
続いて、メインCPU2093は、リール停止初期設定処理を行う(ステップS1007)。この処理では、メインCPU2093は、リール2003L、2003C、2003Rの回転を停止する制御に係る領域等の初期化を行う。
次に、メインCPU2093は、スタートコマンドデータを生成し、生成されたスタートコマンドデータをメインRAM2095の通信データ格納領域に格納する(ステップS1008)。通信データ格納領域に格納されたスタートコマンドデータは、後述の通信データ送信処理(図62)において主制御回路2091から副制御回路2101へ送信されることになる。スタートコマンドには、内部当選役等、演出に必要な各種の情報(内部当選役、遊技状態等)が含まれる。これにより、副制御回路2101は、開始操作に応じて演出を行うことができる。
次に、メインCPU2093は、遊技開始時ロック処理を行う(ステップS1009)。この処理では、メインCPU2093は、内部当選役に基づいてリール2003L、2003C、2003Rの回転を開始するタイミングを遅らせるか否かを決定する。
続いて、メインCPU2093は、ウェイト処理を行う(ステップS1010)。この処理では、メインCPU2093は、前回の遊技開始から所定時間(例えば、4.1秒)経過するまで、又は、遊技開始時ロック処理において設定されたロック時間(例えば、5秒)経過するまで待機する。なお、遊技開始時ロック処理により設定したロック時間を、リール2003L、2003C、2003Rの回転開始後にストップボタン2019L、2019C、2019Rの停止操作を無効とすることにより消化してもよい。この場合、遊技者は、回転が開始されたにも拘わらず、停止操作が可能にならないことからロックしていることを認識できる。また、このロック中に、リールのスロー回転や逆回転などを行い(リールアクション)、ロック中であることをより認識しやすくしてもよい。
続いて、メインCPU2093は、リール回転開始処理を行う(ステップS1011)。この処理では、メインCPU2093は、リール2003L、2003C、2003Rの回転の開始を要求するとともに、リール回転開始コマンドをメインRAM2095の通信データ格納領域に格納する(ステップS1012)。通信データ格納領域に格納されたリール回転開始コマンドデータは、通信データ送信処理(図62)において主制御回路2091から副制御回路2101へ送信されることになる。この処理により、副制御回路2101では、リール回転開始を認識することができるようになり、各種の演出を実行するタイミング等を決定することができる。
次に、メインCPU2093は、引込優先順位格納処理を行う(ステップS1013)。続いて、メインCPU2093は、リール停止制御処理を行う(ステップS1014)。
次に、メインCPU2093は、入賞検索処理を行う(ステップS1015)。この処理では、メインCPU2093は、リール2003L、2003C、2003Rの停止後に入賞判定ラインに沿って表示された図柄組合せと図柄組合せテーブルとを照合し、表示役を決定するとともに、メダルの払出枚数の決定を行う。
次に、メインCPU2093は、RT制御処理を行う(ステップS1016)。この処理では、表示役に応じてRT遊技状態フラグの更新を行う。
次に、メインCPU2093は、ステップS1015の処理において決定されたメダルの払出枚数に基づいてメダルを払い出す(ステップS1017)。続いて、メインCPU2093は、入賞作動コマンドデータをメインRAM2095の通信データ格納領域に格納する(ステップS1018)。格納された入賞作動コマンドデータは、後述する割込処理の通信データ送信処理(図62)において副制御回路2101に送信される。
次に、メインCPU2093は、遊技終了時ロック処理を行う(ステップS1019)。この処理では、メインCPU2093は、内部当選役に基づいて遊技の進行をロックさせる否かを決定する。
続いて、メインCPU2093は、ボーナス終了チェック処理を行う(ステップS1020)。この処理では、メインCPU2093は、ボーナスゲームを終了する条件を満たした場合にボーナスゲームの作動を終了する。具体的に、この処理において、メインCPU2093は、払い出されたメダルの数(ステップS1015参照)をボーナス終了枚数カウンタの値から減算し、ボーナス終了枚数カウンタの値が0よりも小さくなった場合に、ボーナスゲームの作動を終了する。ボーナスゲームとしては、BB遊技状態やMB遊技状態を挙げることができる。
続いて、メインCPU2093は、ボーナス作動チェック処理を行い(ステップS1021)、次に、ステップS1002の処理を行う。なお、この処理では、メインCPU2093は、ボーナスゲームを開始する条件を満たした場合にボーナスゲームの作動を開始し、再遊技の条件を満たした場合に再遊技の作動を行う。具体的に、この処理において、メインCPU2093は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄組合せがBB(又はMB)に対応する図柄組合せである場合、ボーナスゲームの作動を開始し、ボーナス終了枚数カウンタに所定値をセットする。
[割込処理]
本実施形態のパチスロ2001では、メインCPU2093は、メイン処理の実行中であっても、所定周期(例えば、1.1173mS毎)でメイン処理を中断し、割込処理を実行する。なお、図61は、割込処理の手順を示すフローチャートである。
初めに、メインCPU2093は、レジスタの退避を行う(ステップS1031)。続いて、メインCPU2093は、入力ポートチェック処理を行う(ステップS1032)。この処理では、メインCPU2093は、マイクロコンピュータ2092へ送信される信号の有無を確認する。例えば、メインCPU2093は、スタートスイッチ2079、ストップスイッチ等のオンエッジ、オフエッジを割込処理毎に格納する。また、メインCPU2093は、各種スイッチのオンエッジ、オフエッジの情報を含む入力状態コマンドをメインRAM2095の通信データ格納領域に格納する。格納された入力状態コマンドは、後述する通信データ送信処理において副制御回路2101に送信される。これにより、スタートレバー2023やストップボタン2019L、2019C、2019Rといった操作手段を用いて各種演出を実行することができる。
続いて、メインCPU2093は、タイマ更新処理を行う(ステップS1033)。次に、メインCPU2093は、後述する通信データ送信処理を行う(ステップS1034)。この処理では、通信データ格納領域に格納されたコマンドを副制御回路2101へ送信する。続いて、メインCPU2093は、リール2003L、2003C、2003Rの回転を制御する処理を行う(ステップS1035)。より詳細には、メインCPU2093は、リール2003L、2003C、2003Rの回転を開始する旨の要求、すなわち、開始操作に応じて、リール2003L、2003C、2003Rの回転を開始するとともに、一定の速度でリール2003L、2003C、2003Rが回転するように制御を行う。また、停止操作に応じて、停止操作に対応するリール2003L、2003C、2003Rの回転が停止するように制御を行う。
続いて、メインCPU2093は、ランプ・7SEG駆動処理を行う(ステップS1036)。例えば、メインCPU2093は、クレジットされているメダルの数、払出枚数等を各種表示部に表示する。続いて、メインCPU2093は、レジスタの復帰を行い(ステップS1037)、定期的に発生する割込の処理を終了する。
[通信データ送信処理]
図62は、図61のステップS1034の処理で呼び出される通信データ送信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。初めに、メインCPU2093は、通信データ送信タイマを1減算し(ステップS1051)、続いて、通信データ送信タイマは0であるか否かを判別する(ステップS1052)。通信データ送信タイマが0である場合(ステップS1052がYES判定の場合)、メインCPU2093は、ステップS1053へ処理を移す。これに対して、ステップS1052において、通信データ送信タイマが0でない場合(ステップS1052がNO判定の場合)、メインCPU2093は、本サブルーチンを終了する。
ステップS1053において、メインCPU2093は、通信データ格納領域に未送信データがあるか否かを判別する。未送信データがある場合(ステップS1053がYES判定の場合)、メインCPU2093は、ステップS1055へ処理を移し、未送信データがない場合(ステップS1053がNO判定の場合)、ステップS1054へ処理を移す。
ステップS1054において、メインCPU2093は、無操作コマンドデータを生成し、生成された無操作コマンドをメインRAM2095の通信データ格納領域に格納する。すなわち、通信データ格納領域に未送信データがない場合、メインCPU2093は、通信データ格納領域に無操作コマンドデータを格納する。これにより、通信データ格納領域に送信すべきコマンドデータが常に格納されている状態を生成するようになっている。具体的には、メインCPU2093は、上述した入力ポートチェック処理(ステップS1032)において、メインRAM2095に格納された操作状態を、無操作コマンドとして生成する。無操作コマンドとして生成された操作状態を表すデータは、後の通信データ送信処理(ステップS1056)において、無操作コマンドが送信される条件(入力状態コマンドが送信済となってクリアされた状態)が成立した場合に、主制御回路2091から副制御回路2101へ送信される。なお、入力状態コマンドは、演出に関連したコマンドデータであり、スイッチなどの操作に対応した演出についての操作対応コマンドを意味する。これに対して、無操作コマンドは、入力状態コマンド等の操作対応コマンドが送信されない場合に送信されるコマンド(操作非対応コマンド)である。
なお、通信データ格納領域に未送信データがない場合に無操作コマンドを副制御回路2101に送信することは必須ではなく、ステップS1053及びステップS1054の処理は行わないこととしてもよい。
ステップS1055において、メインCPU2093は、通信データ送信タイマに初期値(16)をセットする。すなわち、上述のステップS1052において、通信データ送信タイマが0になっている状態であるので、メインCPU2093は、ステップS1055においてあらためて通信データ送信タイマに初期値(16)をセットする。これにより、次回の通信データ送信処理から、通信データ送信処理を行うごとに、順次、通信データ送信タイマが1ずつ減算処理されて行き、通信データを送信すべきタイミングを得ることができる。
メインCPU2093は、ステップS1055の処理の後、通信データ格納領域に格納された通信データを送信する(ステップS1056)。この場合、通信データ格納領域には、それまでの主制御回路2091における処理で通信データ格納領域に格納されたコマンドデータ(例えば、初期化コマンドデータ、メダル投入コマンドデータ、スタートコマンドデータ、リール回転開始コマンドデータ、リール停止コマンドデータ、入賞作動コマンドデータ、ボーナス開始コマンドデータ、ボーナス終了コマンドデータ、入力状態コマンドデータ、等)又は、送信すべきデータが無い場合には、上述のステップS1054において格納された無操作コマンドデータが格納されていることにより、何らかのコマンドデータが必ず送信されることになる。
ステップS1056の処理の後、メインCPU2093は、通信データ格納領域を更新した後(ステップS1057)、本サブルーチンを終了する。
このように、メインCPU2093は、通信データ送信処理を実行することにより、通信データ送信タイマでカウントされる所定タイミングごとに、通信データ格納領域に格納されているコマンドデータを副制御回路2101に送信する。副制御回路2101では、受信したコマンドデータに基づいて、コマンド解析処理(図26のステップS204参照)が実行される。
[デモコマンド送信処理]
図63は、本発明の一実施形態に係るパチスロの主制御回路において行われるデモコマンド送信処理を示すフローチャートである。
図63に示すデモコマンド送信処理は、割込処理(図61参照)において行われる。例えば、ステップS1032の処理を実行した後、ステップS1033の処理を実行する前に、デモコマンド送信処理を実行するように構成することができる。
デモコマンド送信処理において、まず、メインCPU2093は、メダル投入可能状態であるか否かを判断する(ステップS1071)。この処理において、メインCPU2093は、メダル払出処理(図60のステップS1017参照)が実行されてから所定時間経過後からスタートスイッチ2079がオンになるまでの間であれば、メダル投入可能状態であると判断する。メダル投入可能状態ではないと判断した場合、メインCPU2093は、本サブルーチンを終了する。
一方、メダル投入可能状態であると判断した場合、メインCPU2093は、エラーフラグがオンにセットされているか否かを判断する(ステップS1072)。エラーフラグは、何らかのエラーが発生していることを示すフラグである(ステップS1082参照)。電源投入時には、エラーフラグがオフにセットされている。エラーとしては、例えば、ホッパー装置2051に収容されたメダルが少なくなったことを示すホッパエンプティエラーを挙げることができる。また、メダルレール2210でメダルが詰まったことを示すメダル詰まりエラーも挙げることができる。上述したように、メダルレール2210においてメダルが詰まっていることが検出された場合に、その旨を示す信号を主制御回路2091に送信することとすれば、メインCPU2093は、メダル詰まりエラーが発生したことを認識することができる。
エラーフラグがオンにセットされていないと判断した場合、メインCPU2093は、デモコマンド送信フラグがオンにセットされているか否かを判断する(ステップS1073)。電源投入時には、デモコマンド送信フラグがオフにセットされている。デモコマンド送信フラグがオンにセットされていないと判断した場合、メインCPU2093は、デモコマンド送信タイマに初期値をセットし(ステップS1074)、デモコマンド送信フラグをオンにセットする(ステップS1075)。
ステップS1073においてデモコマンド送信フラグがオンにセットされていると判断した場合、又は、ステップS1075の処理を実行した後、メインCPU2093は、デモコマンド送信タイマを1減算する(ステップS1076)。なお、メダル投入口2021からメダルが投入された場合、又は、BETボタン2022の押下によりメダルが投入された場合には、デモコマンド送信タイマの減算がキャンセルされ、再びデモコマンド送信タイマに初期値がセットされる。
次に、メインCPU2093は、デモコマンド送信タイマが0であるか否かを判断する(ステップS1077)。デモコマンド送信タイマが0ではないと判断した場合、メインCPU2093は、本サブルーチンを終了する。
ステップS1072においてエラーフラグがオンにセットされていると判断した場合、又は、ステップS1077においてデモコマンド送信タイマが0であると判断した場合、メインCPU2093は、エラー(例えば、ホッパエンプティエラーやメダル詰まりエラー等)が発生しているか否かを判断する(ステップS1078)。
エラーが発生していないと判断した場合、メインCPU2093は、デモコマンドデータを生成し、生成したデモコマンドデータをメインRAM2095の通信データ格納領域に格納する(ステップS1079)。通信データ格納領域に格納されたデモコマンドデータは、通信データ送信処理(図62参照)において主制御回路2091から副制御回路2101へ送信される。デモコマンドデータを受信すると、副制御回路2101では、デモ画面の表示に係る処理が行われる(図20のステップS112参照)。
そして、メインCPU2093は、デモコマンド送信フラグをオフにセットし(ステップS1080)、エラーフラグをオフにセットする(ステップS1081)。その後、メインCPU2093は、本サブルーチンを終了する。
ステップS1078においてエラーが発生していると判断した場合、メインCPU2093は、エラーフラグをオンにセットし(ステップS1082)、その後、本サブルーチンを終了する。
以上、図59〜図63を用いて、パチスロ2001の主制御回路2091において実行される処理について説明した。
以上では説明しなかったが、パチスロ2001においては、AT遊技状態が設けられていてもよい。AT遊技状態は、内部当籤役に対応する図柄の組合せ(コンビネーション)を入賞させるための情報(例えば、押し順(ストップボタンの停止順序))が報知される状態である。AT遊技状態において、所定の押し順役(適切な順序でストップボタンが押下されることにより入賞が成立するコンビネーションを規定する内部当籤役)が内部当籤した場合、該押し順役に対応する押し順が報知されると、遊技者は、報知された押し順に従ってストップボタンを操作することにより、該押し順役によって規定されるコンビネーションを入賞させることができる。
また、パチスロ2001においては、リプレイの当籤確率が相対的に高い状態(高RT遊技状態)が設けられていてもよい。さらに、このような高RT遊技状態であり、且つ、AT遊技状態における報知が行われる状態(ART遊技状態)が設けられていてもよい。高RT遊技状態においては、リプレイが高確率で当籤するため、遊技媒体(メダル)の消費を少なく抑えることができる。一方で、AT遊技状態において、遊技媒体(メダル)の払出枚数の多いコンビネーションを入賞させるために必要な情報(押し順)が報知されることにより、遊技者に対して、効率的に遊技媒体(メダル)を増やす機会を提供することができる。
このようなART遊技状態には、例えば、所定の内部当籤役が内部当籤した場合に行われるART抽籤に当籤したことを契機として移行するように構成することができる。また、ART遊技状態は、所定回数の単位遊技が行われた場合に終了するように構成することができる。さらに、所定の条件が成立した場合には、ART遊技状態の残りゲーム数(ARTゲーム数)を増加(上乗せ)させることとしてもよい。
以上、本発明をパチスロ遊技機に適用した例について説明した。以下では、本発明をルーレット装置に適用した変形例について説明する。図64は、ルーレット装置の上面図である。
ルーレット装置2500は、筐体に固定される枠体2501と、枠体2501の内側に回転可能に収納支持されたルーレットホイール2502とを備えている。ルーレットホイール2502の上面には、凹状のナンバーポケット2503が多数(38個)形成されている。さらに、各ナンバーポケット2503の外方向におけるルーレットホイール2502の上面には、各ナンバーポケット2503と対応するように「0」、「00」、「1」〜「36」の各番号が表示された番号表示板2504が形成されている。
枠体2501の内部には、ボール投入口2507が形成されている。ボール投入口2507には、ボール投入装置(図示せず)が連結され、ボール投入装置の駆動に伴って、ボール投入口2507からルーレットホイール2502上にボール2505が投入されるようになっている。
ルーレットホイール2502の下方には、ホイール駆動用モータ(図示せず)が設けられており、ホイール駆動用モータの駆動に伴ってルーレットホイール2502が回転する。
また、ルーレットホイール2502の下方には、所定間隔で金属板(図示せず)が取り付けられており、この金属板を、近接センサが検出することにより、ナンバーポケット2503の位置を検出可能に構成されている。
枠体2501は、緩やかに内側に向けて傾斜しており、その中間部にはガイド壁2506が形成されている。ガイド壁2506は、投入されたボール2505を遠心力に抗するようにガイドしてボール2505を転動させるものである。ボール2505は、回転速度が弱まり遠心力を失っていくと、枠体2501の斜面を転がり落ちて内側へと向かい、回転するルーレットホイール2502に至る。そして、ルーレットホイール2502に転がって来たボール2505は、さらに回転するルーレットホイール2502の外側の番号表示板2504上を通っていずれかのナンバーポケット2503に収納される。その結果、収納されたナンバーポケット2503に対応する番号表示板2504に記載された番号がボールセンサによって判定され、当選番号となる。
このようなルーレット装置2500をカメラで撮影し、撮影によって得られたカメラ映像に対してカメラ映像解析処理(図31参照)と同様の処理を行う。これにより、ナンバーポケット2503に収納されるまでのボール2505の動きを追跡することができる。
なお、このようなルーレット装置は、パチスロ遊技機に設けられることとしてもよい。具体的には、パチスロ遊技機における適宜な位置(例えば、パチスロ2001におけるフロントドア2002bの台座部2012(図50参照))にルーレット装置を取り付け、遊技の状況に応じてルーレットゲームを行うようにしてもよい。その場合、ナンバーポケットの数は、もっと少なく(例えば、3〜6個程度と)してもよい。このようなパチスロ遊技機においては、例えば、ルーレットゲームの結果(当選番号)に基づいて、ボーナスやARTへの当籤の有無を示唆したり、ARTゲーム数の上乗せ回数を決定したりすることが可能である。このようなパチスロ遊技機において、ナンバーポケットに収納されるまでのボールの動きを追跡して、追跡結果に基づく演出を行うようにすれば、ボールの動きに対する遊技者の関心を高めることが可能であり、遊技の興趣を向上させることができる。
[第3実施形態]
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明した。以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係るパチンコ遊技機1の基本的な構成は、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1と同じである。以下においては、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。また、第1実施形態及び第2実施形態における説明が第3実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
<遊技媒体追跡処理>
第1実施形態では、遊技媒体追跡処理(図31のステップS286参照)として、図42に示す処理が行われることとして説明した。これに対し、第3実施形態では、図65に示す遊技媒体追跡処理が行われる。
図65は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される遊技媒体追跡処理を示すフローチャートである。図66は、球位置画像中における遊技球の大きさについて説明するための図である。図67は、球位置画像中における遊技球の大きさと検索範囲の広さとの関係について説明するための図である。図68は、検索範囲設定テーブルを示す図である。
図42に示す遊技媒体追跡処理と同様、図65に示す遊技媒体追跡処理は、時刻T2における遊技球(図41(a)参照)と時刻T3における遊技球(図41(b)参照)との対応付けを行う処理である。第1実施形態で説明したように、時刻T2における遊技球の位置を示す画像を球位置画像(T2)と表記し、時刻T3における遊技球の位置を示す画像を球位置画像(T3)と表記する。球位置画像(T2)は、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像(図37参照)であり、球位置画像(T3)は、差分画像(2)と差分画像(3)とのAND画像である。
図65に示す遊技媒体追跡処理において、まず、サブCPU201は、ステップS1301〜ステップS1303の処理を実行するが、これらの処理は、図42のステップS301〜ステップS303の処理と同様の処理である。
ステップS1303において、サブCPU201は、図42のステップS303と同様に、球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球それぞれの位置と、時刻T2における一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)に対して設定された検索範囲とを比較して、球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在するか否かを判断する。
第1実施形態で説明したように、球位置画像(T2)に含まれる複数の遊技球(時刻T2において遊技領域12aに存在する複数の遊技球)には、それぞれ、遊技球のIDが対応付けられている。そして、当該複数の遊技球(複数のID)には、それぞれ、検索範囲が設定される。検索範囲は、時刻T2(ある時点)においてある位置に存在した遊技球が時刻T3(1フレームに相当する時間が経過した後)において存在する可能性の高い領域(1フレームに相当する時間で遊技球が移動可能な範囲)である。
本実施形態においても、第1実施形態(図43参照)と同様に、球位置画像(T2)に含まれる各遊技球に対して、当該遊技球の位置の近傍領域に検索範囲が設定されるが、検索範囲の広さが、球位置画像(T2)における遊技球の位置によって異なっている。以下、この点について、図66及び図67を用いて説明する。
ある時点(時刻T2)において、ID(1)の遊技球が、遊技盤12(遊技領域12a)上における図66(a)に示す位置にあり、ID(2)の遊技球が、遊技盤12(遊技領域12a)上における図66(b)に示す位置にあると仮定する。ID(1)の遊技球とCCDカメラ1000との鉛直方向における距離はαであり、ID(2)の遊技球とCCDカメラ1000との鉛直方向における距離はβである。ID(2)の遊技球の方がID(1)の遊技球よりも下方に位置しており、α<βとなっている。
ここで、パチンコ遊技機1において、遊技領域12aは、平坦な面として形成されており、遊技球は、当該平面に略拘束されて、基本的に二次元方向にのみ移動するようになっている。当該平面の方向は、鉛直方向となっているため、遊技球とCCDカメラ1000との水平方向における距離は一定(γ)である。なお、本実施形態において、CCDカメラ1000と遊技盤12との距離はかなり短く(図6参照)、γの値に対してαの値及びβの値は、かなり大きな値(例えば、5倍〜50倍、あるいは、10倍〜30倍程度)となっている。図66(a)及び(b)では、分かりやすくするため、γをある程度大きな値として示している。
図66(c)では、球位置画像(T2)におけるID(1)の遊技球及びID(2)の遊技球を示している。図66(c)は、球位置画像(T2)全体を表すものであり、実際には、ID(1)の遊技球及びID(2)の遊技球以外にも多数の遊技球が含まれるが、ID(1)の遊技球及びID(2)の遊技球以外の遊技球については図示を省略している。
球位置画像は、長方形の形状を有しているところ、図66(c)において、球位置画像(T2)(長方形)の上辺からの距離は、ID(1)の遊技球でα′、ID(2)の遊技球でβ′となっている。α′とβ′との比率は、αとβとの比率と同じであり(α:β=α′:β′)、α′<β′となっている。
また、ID(1)の遊技球の方がID(2)の遊技球よりもCCDカメラ1000の近くに位置していることに起因して、球位置画像中において、ID(1)の遊技球は、ID(2)の遊技球よりも大きくなっている。具体的には、ID(1)の遊技球の径が、ID(2)の遊技球の径のβ/α倍となっている。本実施形態において、球位置画像中における遊技球の大きさ(径)は、遊技領域12aにおける遊技球とCCDカメラ1000との鉛直方向における距離に反比例する。
図67では、このようなID(1)の遊技球及びID(2)に対して設定される検索範囲を示している。ID(1)の遊技球に対して設定される検索範囲(1)は、ID(2)の遊技球に対して設定される検索範囲(2)よりも広くなっている。本実施形態において、一の遊技球に対して設定される検索範囲の広さは、球位置画像中における当該遊技球の面積に比例する。
図67に示すように、球位置画像(長方形)の上辺に沿ってX軸、左辺に沿ってY軸を設定し、球位置画像中における遊技球の位置を、X軸座標の値及びY軸座標の値で表した場合、一の遊技球に対して設定される検索範囲は、当該遊技球のY軸座標の値に応じた広さとなる。具体的に、検索範囲は、矩形形状を有する領域(長方形領域)として設定され、一の遊技球に対して設定される検索範囲の大きさ(当該長方形領域におけるX軸方向の長さ及びY軸方向の長さ)は、当該遊技球のX軸座標の値にかかわらず、当該遊技球のY軸座標の値に比例する。なお、遊技球の位置は、当該遊技球の重心の位置座標によって表されるものとし、検索範囲の重心は、遊技球の重心と一致することとする。
図67に示す例では、ID(1)の遊技球のY軸座標の値はα′であり、ID(2)の遊技球のY軸座標の値はβ′である(図66(c)参照)。これにより、検索範囲(1)の大きさと検索範囲(2)の大きさとを比較すると、長方形領域におけるX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、ともに、検索範囲(1)が検索範囲(2)のβ′/α′(=β/α)倍となる。
例えば、ID(1)の遊技球のY軸座標の値を50(α′=50)、ID(2)の遊技球のY軸座標の値を100(β′=100)と仮定し、検索範囲(1)を、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さがそれぞれ2の正方形領域であると仮定する。この場合、検索範囲(2)は、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さがそれぞれ1(=2×50/100)の正方形領域とすることができる。
図65のステップS1303において、サブCPU201は、時刻T2における一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球又はID(2)の遊技球)に対して、図66及び図67を用いて説明したように、該遊技球のY軸座標の値に基づいて検索範囲を設定する。そして、サブCPU201は、球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在するか否かを判断する。
球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、ステップS1304〜ステップS1306の処理を実行するが、これらの処理は、図42のステップS304〜ステップS306の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
一方、球位置画像(T3)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在しないと判断した場合、サブCPU201は、ステップS1307及びステップS1308の処理を実行するが、これらの処理は、図42のステップS307及びステップS308の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
ステップS1307において、排出領域内での消失ではないと判断した場合、すなわち、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))の遊技球が、時刻T2において排出領域(図39参照)に属していなかったと判断した場合、サブCPU201は、マスキングエリアに遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS1309)。この処理において、サブCPU201は、マスキング領域(図38参照)のうちの一部を検索範囲に設定して、当該検索範囲内に遊技球が存在するか否かを判断する。
第1実施形態で説明したように、マスキング領域は、原則として、画像処理の対象から除かれているが、ここでは、マスキング領域を対象として検索が行われる。具体的に、サブCPU201は、全マスキング領域のうち、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))の遊技球の時刻T2における位置から一定範囲内にある領域(当該遊技球の近傍に位置するマスキング領域)に対して、前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)等の画像処理を実行することにより、当該領域に遊技球が存在するか否かを判断する。
ここで、マスキング領域は、遊技球を見失いやすい領域として予め設定されている範囲である。例えば、LEDの配設位置から所定範囲内の領域(LEDの点灯が特に激しい領域等)は、LEDが遊技球として誤検出されてしまう可能性があるため、マスキング領域として設定することが望ましい。このような領域に対して前後フレーム間差分抽出処理を行うには、例えば、後述する第4実施形態で説明するような方法(図73参照)を用いればよい。なお、マスキング領域は、多数の矩形領域から構成されている。1つ1つの矩形領域の面積を小さくすることによって、検索範囲に含まれるマスキング領域の範囲を調整しやすくなる。これにより、必要最小限度のマスキング領域のみが検索範囲に含まれるようにすることが可能であり、過剰なマスキング領域が検索範囲に含まれることによって処理負担が増大してしまうことを防止することができる。
ステップS1309においてマスキング領域に遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、球通過領域外で遊技球が消失したとして、エラー報知を行う(ステップS1310)。この処理において、サブCPU201は、マスキング領域のうち、通常は遊技球が存在し得ない領域(例えば、役物が配設されている領域)に遊技球が存在する場合(例えば、遊技球がセンター役物を越えて跳ねた場合や、装飾役物に遊技球が引っ掛かった場合等)、必要に応じて、エラーが発生したことを示すエラー信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、エラーが発生したことを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、エラーが発生したことを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、エラー信号を送信することとしてもよい。また、この場合、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDを解放してもよい。なお、上述したようなLEDの点灯が特に激しい領域がマスキング領域として設定されている場合において、当該領域に遊技球が存在すると判断したような場合には、エラーが発生したわけではないため、サブCPU201は、ステップS1310の処理を行わないこととしてもよい。
ステップS1310の処理を実行した後、サブCPU201は、処理をステップS1305に移す。あるいは、サブCPU201は、エラー報知を行った後、本サブルーチンを終了することとしてもよい。また、ステップS1310の処理において現在処理対象となっているIDを解放しなかった場合、サブCPU201は、処理をステップS1304に移し、マスキング領域内に存在すると判断された遊技球の位置情報に、当該IDを対応付ける(マークを設定する)こととしてもよい。
ステップS1309においてマスキング領域に遊技球が存在しないと判断した場合、サブCPU201は、ステップS1311及びステップS1312の処理を実行するが、これらの処理は、図42のステップS309及びステップS310の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
ステップS1312の処理を実行した後、サブCPU201は、消失タイマの加算を開始する。消失タイマの値は、現在処理対象となっているIDに対する検索処理(ステップS1303の処理)を行ってからの経過時間(検索処理を開始してから経過した時間、検索処理を行っている途中を起点として経過した時間、検索処理を終了してから経過した時間等)に対応している。
ステップS1311において現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))と対応付けて消失フラグがオンにセットされていると判断した場合、又は、ステップS1313の処理を実行した後、サブCPU201は、消失タイマの値に応じて、当該ID(例えば、ID(1))に対する検索範囲を再度設定する(ステップS1314)。
本実施形態では、図68に示す検索範囲設定テーブルがプログラムROM202に記憶されている。検索範囲設定テーブルにおいては、消失タイマの取り得る値の範囲と初回検索範囲に対する倍率との対応関係が規定されており、消失タイマの値が大きくなるほど、初回検索範囲に対する倍率として大きな値が設定されている。初回検索範囲とは、球位置画像(T3)に対する検索を行うに当たり、各IDに対して初めて設定される検索範囲であり、図67を用いて説明したようにして設定される。ステップS1314の処理において、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されている検索範囲設定テーブルを参照することにより、現在の消失タイマの値に対応する倍率を取得し、当該倍率と初回検索範囲とに基づいて、新たな検索範囲を算出する。例えば、図67に示す検索範囲(1)のように、初回検索範囲がX軸方向の長さ及びY軸方向の長さがそれぞれ2の正方形領域である場合において、消失タイマの値が100である場合、新たな検索範囲は、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さがそれぞれ3.2(=2×1.6)の正方形領域となる。このようにして再設定された検索範囲に基づいて、当該IDに対する検索処理(ステップS1303の処理)が再度行われることとなる。なお、検索範囲の長さ(X軸方向の長さ及びY軸方向の長さ)の単位は、特に限定されず、cmやmmやμm等の任意の単位を採用することができる。
次に、サブCPU201は、ステップS1315の処理を実行するが、この処理は、図42のステップS312の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
次に、サブCPU201は、再検索回数カウンタの値が50よりも大きいか、又は、消失タイマの値が200msに相当する値よりも大きいかを判断する(ステップS1316)。
再検索回数カウンタの値が50以下であり、消失タイマの値が200msに相当する値以下であると判断した場合、サブCPU201は、前回検出位置に対してマークを設定する(ステップS1317)。第1実施形態で説明したように、「マーク」とは、遊技球の位置情報とIDとを対応付けることである。ステップS1317の処理において、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))と、当該ID(例えば、ID(1))の遊技球の最新の位置情報(球位置画像(T2)に含まれる当該遊技球の位置情報)とを対応付けて、引き続きワークRAM203に記憶させる。
一方で、再検索回数カウンタの値が50よりも大きい、又は、消失タイマの値が200msに相当する値よりも大きいと判断した場合、サブCPU201は、球通過領域内で遊技球が消失したとして、エラー報知を行う(ステップS1318)。この処理において、サブCPU201は、エラーが発生したことを示すエラー信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、エラーが発生したことを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、エラーが発生したことを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、エラー信号を送信することとしてもよい。なお、図示しないが、ステップS1318の処理において、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))に対する検索を終了する(図42のステップS314参照)。すなわち、サブCPU201は、当該ID(例えば、ID(1))と対応付けて、検索終了フラグをオンにセットする。
次に、サブCPU201は、カメラ撮影領域の角度修正に係る処理を行う(ステップS1319)。この処理において、サブCPU201は、CCDカメラ1000を制御して、レンズの向きを変更することにより、撮影範囲の調整を行う。サブCPU201は、ステップS1319の処理を実行した後、処理をステップS1320に移すが、ステップS1320の処理を行うことなく、本サブルーチンを終了することとしてもよい、また、サブCPU201は、ステップS1318の処理を実行した後、ステップS1319の処理を行うことなく、本サブルーチンを終了することとしてもよい、
ステップS1306、ステップS1317、又は、ステップS1319の処理を実行した後、サブCPU201は、ステップS1320の処理を実行するが、この処理は、図42のステップS315の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。その後、サブCPU201は、再度検索処理(ステップS1303の処理)を行うか、本サブルーチンを終了することになる。
以上、本発明の一実施形態として、第3実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明した。
<付記1>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
しかしながら、通常、パチンコ遊技機においては、遊技球がそれなりのスピードで転動するところ、上述したような従来の技術では、画像解析に時間を要してしまう結果として、刻々と変化する遊技球の位置をリアルタイムに把握しつつ遊技球を継続的に追跡する、ということが困難になってしまうことが想定される。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技球の追跡を容易にすることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
この点、第3実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(1−1) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される複数のフレーム画像のうち、連続する2つのフレーム画像を、それぞれ、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)及び第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)と表記したとき、前記第1フレーム画像に含まれる一の遊技球について、前記第2フレーム画像における位置を特定する遊技球追跡手段(図65の処理を実行するサブCPU201)と、を備え、
前記遊技球追跡手段は、
フレーム画像において、互いに直交するX軸及びY軸により規定される座標系(図67に示す座標系)を設定し、前記第1フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置を(X1,Y1)とする一方、前記第2フレーム画像における該遊技球の位置を(X2,Y2)とした場合に、X1及びY1のうち何れか一方の値に応じた検索(図65のステップS1303の処理)を行うことにより、X2及びY2の双方の値を特定することが可能である、
ことを特徴とする遊技機。
第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、フレーム画像において、互いに直交するX軸及びY軸により規定される座標系(図67に示す座標系)を設定し、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる一の遊技球(例えば、図66(c)に示すID(1)の遊技球又はID(2)の遊技球)の位置を(X1,Y1)とする一方、第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)における該遊技球の位置を(X2,Y2)とした場合に、X1及びY1のうち何れか一方の値に応じた検索を行うことにより、X2及びY2の双方の値を特定することが可能である。このように、一の遊技球の動きを追跡するための検索において、X軸座標の値とY軸座標の値とのうち一方の値のみを参照すれば足りるため、追跡処理にかかる負荷を軽減することが可能となり、追跡を容易にすることができる。
(1−2) 前記(1−1)の遊技機であって、
フレーム画像中における一の遊技球は、該遊技球のY軸座標の値に応じた面積を有している、
ことを特徴とする。
第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、フレーム画像中における一の遊技球(例えば、図66(c)に示すID(1)の遊技球又はID(2)の遊技球)は、該遊技球のY軸座標の値(例えば、α′又はβ′)に応じた面積を有している。すなわち、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる一の遊技球(例えば、図66(c)に示すID(1)の遊技球又はID(2)の遊技球)は、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)における当該遊技球の位置座標を(X1,Y1)とすれば、Y1(例えば、α′又はβ′)の値に応じた大きさで第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)を占有していることになる。ここで、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる一の遊技球(例えば、図66(c)に示すID(1)の遊技球又はID(2)の遊技球)の面積が大きいほど、第1フレーム画像の撮影タイミング(時刻T2)における当該遊技球の位置座標(X1,Y1)と、第2フレーム画像の撮影タイミング(時刻T3)における当該遊技球の位置座標(X2,Y2)との間での位置変化(フレーム画像中での遊技球の移動スピード)も、大きくなると考えられる。そのため、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる一の遊技球(例えば、図66(c)に示すID(1)の遊技球又はID(2)の遊技球)の面積が大きいほど検索範囲が広くなるようにすれば(すなわち、Y1の値に応じた検索範囲を設定すれば)、第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)における当該遊技球を、検索範囲の中に効果的に含めることができるものと想定される。これにより、検索処理の効率化を図ることが可能となり、追跡処理にかかる負荷を大きく軽減することができる。
なお、第3実施形態では、図67に示すようにX軸及びY軸を設定することとして説明したが、X軸及びY軸は、任意に設定することが可能である。どのような座標系を設定したとしても、フレーム画像中における一の遊技球(例えば、図66(c)に示すID(1)の遊技球又はID(2)の遊技球)は、X軸座標の値とY軸座標の値とのうち一方の値(例えば、α′又はβ′)のみに応じた大きさとなり、当該一方の値に応じた検索範囲(例えば、図67に示す検索範囲(1)又は検索範囲(2))に基づいて検索を行うことができる。そして、このような検索範囲を用いてパターンマッチングをすれば、単純に2フレーム間での比較を行って差分の大きな領域を抽出するだけで、CPUの計算量及びメモリ使用量を抑えつつ、遊技球の追跡を行うことができる。
<付記2>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
ところで、遊技機業界においては、従来、不正な方法により出玉を獲得しようとするゴト行為が知られている。特に、近年では、巧妙に細工された不正行為が多発しており、こうした行為を防止することが望まれている。また、遊技機に不具合が発生した場合、遊技店としては、当該不調をいち早く察知し、適切な対応をとることが求められる。
本発明者は、上述したような遊技球を追跡する技術について鋭意検討を行う過程において、自身の開発した技術を用いることによって遊技機に発生した異常を検出し、不正行為の防止や遊技機の不調への対応に役立てることができるのではないかという考えに想到した。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技機に発生した異常を検出することを目的とする。
この点、第3実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(2−1) 遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を流下した遊技球が入球可能であり、入球した遊技球を前記遊技領域の外部へと排出可能な排出用領域(第1始動口44、第2始動口45、第1大入賞口53、第2大入賞口54、アウト口55等)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される複数のフレーム画像のうち、連続する2つのフレーム画像を、それぞれ、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)及び第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)と表記したとき、前記第1フレーム画像に含まれる一の遊技球について、前記第2フレーム画像における位置を特定する遊技球追跡手段(図65の処理を実行するサブCPU201)と、を備え、
前記遊技球追跡手段は、
前記第2フレーム画像について、前記第1フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置を基準とした範囲であって、予め定められた検索対象外領域(図38に示すマスキング領域)を含まない範囲として設定された検索範囲を対象に検索を実行する検索実行手段(図65のステップS1302及びステップS1303の処理を実行するサブCPU201)と、
前記検索実行手段による検索の結果、前記第2フレーム画像における前記検索範囲内に存在すると判定された遊技球を、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球と同一の遊技球であると判定する遊技球同定手段(図65のステップS1304の処理を実行するサブCPU201)と、を備え、
前記検索実行手段による検索の結果、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球と同一の遊技球であると判定されるべき遊技球が前記第2フレーム画像における前記検索範囲内に存在せず、前記検索対象外領域にも存在しない場合であって、且つ、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球が前記排出用領域に入球していない場合に、前記遊技球追跡手段による遊技球の追跡に失敗したことを示すエラー信号を送信するエラー信号送信手段(図65のステップS1318の処理を実行するサブCPU201)を備える、
ことを特徴とする遊技機。
第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)の位置を基準とした範囲であって、予め定められた検索対象外領域(マスキング領域)を含まない範囲として設定された検索範囲を対象に検索が実行される。そして、検索の結果、第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)における該検索範囲内に存在すると判定された遊技球が、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる該一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)と同一の遊技球であると判定される。一方、検索の結果、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる該一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)と同一の遊技球であると判定されるべき遊技球が第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)における該検索範囲内に存在せず、検索対象外領域(マスキング領域)にも存在しない場合であって、且つ、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる該一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)が排出用領域(第1始動口44、第2始動口45、第1大入賞口53、第2大入賞口54、アウト口55等)に入球していない場合に、遊技球の追跡に失敗したことを示すエラー信号が送信される。
第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる該一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)と同一の遊技球であると判定されるべき遊技球が第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)における該検索範囲内に存在しない場合(目的とする遊技球を検索範囲内に発見することができない場合)には、何らかの異常が発生しており、不正行為が行われていたり、遊技機に不具合が発生したりしている可能性がある。第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、このような場合に、エラー信号を送信することにより、不正行為を防止したり、遊技機の不調に対応したりする機会を提供することができる。なお、目的とする遊技球が排出用領域(第1始動口44、第2始動口45、第1大入賞口53、第2大入賞口54、アウト口55等)に入球したことに起因して、検索範囲内に当該遊技球を発見することができない場合には、異常が発生しているわけではないため、エラー信号は送信されないようになっている。また、検索対象外領域(マスキング領域)(遊技球を見失いやすい領域として設定されている範囲)は、予め検索範囲から除かれているところ、遊技球が正常に動いているものの、そのような見失いやすい領域に位置していることに起因して、当該遊技球を偶々発見することができない場合にも、エラー信号は送信されないようになっている。これにより、異常が発生していないにもかかわらず、異常である旨誤って検出されてしまうことを防止することができる。
なお、本明細書において、「排出用領域」と「排出領域」(図39参照)とは、異なる概念である。「排出用領域」は、遊技領域を流下した遊技球を入球させることを可能にする構造を有する部分(排出口)と、入球した遊技球を遊技領域の外部へと排出するための通路の形成されている部分とから構成される。「排出用領域」は、このような遊技球を入球及び排出させることが可能な構造により規定される。これに対し、「排出領域」は、図39を用いて説明したように、一の排出用領域の近傍における所定範囲内の領域である。「排出領域」は、その全体が撮影装置(カメラ)による撮影範囲に含まれるように設定される。例えば、一の時刻において撮影範囲に含まれていた遊技球が、当該一の時刻から1フレームに相当する時間(例えば、4ms)が経過した後には、排出用領域に入球したことにより撮影範囲に含まれなくなっているような状況において、当該一の時刻において遊技球の存在し得る範囲が、上記所定範囲として設定される。すなわち、所定範囲は、排出用領域の近傍のうちカメラの撮影範囲に含まれる部分と、遊技球が1フレームに相当する時間が経過する間に当該排出用領域の近傍を移動し得る距離とを考慮して設定される。遊技球が1フレームに相当する時間が経過する間に排出用領域の近傍を移動し得る距離は、遊技機(遊技盤)の構造に応じて異なるが、実験を行うことにより求めることができる。一方、「排出用領域」は、上記のようにその構造により規定され、カメラの撮影範囲とは無関係であり、その一部が撮影範囲に含まれていてもよいし、全体が撮影範囲外となっていてもよい。排出用領域の一部が撮影範囲に含まれる場合、当該部分は、排出用領域の一部であるとともに、排出領域の一部でもあることになる。すなわち、排出領域と排出用領域とは、互いの一部が重複していてもよい。また、排出用領域に入球した遊技球が比較的長い時間(例えば、1フレームに相当する時間以上)カメラの撮影範囲内に留まる場合(排出用領域の広い範囲がカメラの撮影範囲に含まれるような場合)には、排出領域全体が排出用領域に含まれていてもよい。上記のように、「排出領域」は、一の排出用領域の近傍における所定範囲内の領域であるが、「近傍」は排出用領域自体を含んでいてもよく、「排出領域」は、その一部又は全部が「排出用領域」に含まれるように設定されてもよい。
(2−2) 前記(2−1)の遊技機であって、
前記検索実行手段は、
前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球と同一の遊技球であると判定されるべき遊技球が前記第2フレーム画像における検索範囲内に存在しない場合に、該検索範囲とは異なる範囲を新たな検索範囲(図65のステップS1314で再設定される検索範囲)として、前記第2フレーム画像に対する検索を繰り返し実行することが可能であり、
前記エラー信号送信手段は、
前記検索の繰り返し回数が所定回数に達した場合に、前記エラー信号を送信する、
ことを特徴とする。
第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、検索の繰り返し回数が所定回数に達した場合に、エラー信号が送信される。検索の繰り返し回数が所定回数に達したということは、所定回数に亘って検索を繰り返したにもかかわらず、目的とする遊技球を発見することができなかったことを意味しており、何らかの異常が発生している蓋然性が高いものと想定される。第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、このような場合にエラー信号を送信することにより、異常を的確に検出することができる。
<付記3>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
しかしながら、上述したような従来の技術では、刻々と変化する遊技球の位置を検出するための具体的な方法や、画像解析に係る処理時間等について考慮されておらず、リアルタイムに遊技球を追跡することが困難になってしまうことが想定される。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技球の追跡を高い精度で行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
この点、第3実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(3−1) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される複数のフレーム画像のうち、連続する2つのフレーム画像を、それぞれ、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)及び第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)と表記したとき、前記第1フレーム画像に含まれる一の遊技球について、前記第2フレーム画像における位置を特定する遊技球追跡手段(図65の処理を実行するサブCPU201)と、を備え、
前記遊技球追跡手段は、
前記第2フレーム画像について、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置を基準とした所定範囲を対象に検索を実行する初回検索実行手段(図65のステップS1302及びステップS1303の処理を実行するサブCPU201)と、
前記初回検索実行手段による検索の結果、前記第2フレーム画像における前記所定範囲内に存在すると判定された遊技球を、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球と同一の遊技球であると判定する初回追跡手段(図65のステップS1304の処理を実行するサブCPU201)と、
前記初回検索実行手段による検索の結果、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球と同一の遊技球であると判定されるべき遊技球が前記第2フレーム画像における前記所定範囲内に存在しない場合、前記第2フレーム画像について、前記所定範囲よりも広い拡張範囲を対象に検索を実行する継続検索実行手段(図65のステップS1314、ステップS1302、及び、ステップS1303の処理を実行するサブCPU201)と、
前記継続検索実行手段による検索の結果、前記第2フレーム画像における前記拡張範囲内に存在すると判定された遊技球を、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球と同一の遊技球であると判定する継続追跡手段(図65のステップS1304の処理を実行するサブCPU201)と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。
第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、初回検索では、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)の位置を基準とした所定範囲を対象に、第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)について検索が実行される。そして、初回検索の結果、第1フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる該一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)と同一の遊技球であると判定されるべき遊技球が第2フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)における所定範囲内に存在しない場合、所定範囲よりも広い拡張範囲を対象に継続検索が実行される。これにより、初回検索の対象となる所定範囲をある程度限定された範囲に設定しておき、初回検索において検索範囲内に目的とする遊技球を発見することができない場合にのみ、拡張された範囲で検索を行うことが可能となる。この点、初回検索を広い範囲で行うことにすれば、目的とする遊技球は発見しやすくなるが、初回検索にかかる処理負荷が増大する結果として、かえって遊技球の追跡を行うことが困難になってしまう。これに対し、第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、初回検索にかかる処理負荷を軽減することが可能となり、遊技球の追跡を高い精度で行うことができる。
(3−2) 前記(3−1)の遊技機であって、
前記継続検索実行手段は、
前記第2フレーム画像における前記拡張範囲を対象とした検索の結果、前記第1フレーム画像に含まれる該一の遊技球と同一の遊技球であると判定されるべき遊技球が該拡張範囲内に存在しない場合、前記第2フレーム画像について、該拡張範囲よりも広い範囲を対象とした検索を繰り返し実行することが可能であり、
前記検索の繰り返し回数が増えるのに伴って時間が経過するほど、広い範囲を前記拡張範囲として設定する、
ことを特徴とする。
第3実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、継続検索の繰り返し回数が増えるのに伴い、経過時間に応じて随時検索範囲を拡張することができる。これにより、検索処理の効率化を図ることが可能となり、追跡処理にかかる負荷を一層軽減することができる。
なお、検索範囲を無制限に拡張すると、演出LEDやマスキング領域が検索範囲内に大量に含まれて、処理負担が増大してしまうため、ある程度の広さを上限として、検索範囲を広げるのを中止し、遊技球の追跡を終了することが望ましい。そのような広さの上限は、CPUの演算速度や遊技機(遊技盤)の物理的な構造等、様々な要因によって決定される。例えば、検索範囲がある程度の広さまで拡張されると、検索処理を実行する際に必要となるワーキングメモリの容量を超えてしまうことが想定されるため、メモリの容量に応じて検索範囲の広さに上限を設定することが考えられる。また、検索範囲内に存在するマスキング領域の面積が所定値以上となった場合には、処理負担が一定限度を超えるものとして、検索範囲をそれ以上広げないこととしてもよい。本実施形態のように、検索の繰り返し回数に上限を設定すれば、それによって検索範囲の広さの上限を規定することが可能であり、検索範囲が無制限に拡張してしまうことを防止することができる。もっとも、検索範囲の広さに上限を設定せず、遊技球が発見されない限り、CCDカメラ1000による撮影範囲全体まで、検索範囲を広げることとしてもよい。あるいは、CCDカメラ1000による撮影範囲に遊技機周辺の風景が含まれる場合には、撮影範囲全体まで検索範囲を広げることはせず、撮影により得られた画像から、遊技機に対応する領域を特定し(周辺の風景を除去し)、当該遊技機に対応する領域全体まで検索範囲を広げるようにしてもよい。また、遊技機のうち遊技盤に対応する領域を特定し(遊技盤以外を除去し)、当該遊技盤に対応する領域全体まで検索範囲を広げるようにしてもよい。
なお、本発明における撮影装置(カメラ)は、遊技領域を撮影可能なように配設されているところ、遊技領域が全て撮影範囲に含まれていてもよいし、遊技領域の一部のみが撮影範囲に含まれていてもよい。また、遊技領域以外が撮影範囲に含まれていてもよく、例えば、遊技領域以外の遊技機の構成や遊技機周辺の風景が撮影範囲に含まれていてもよい。遊技領域以外の遊技機の構成が撮影範囲に含まれる場合には、一の遊技機が全て撮影範囲に含まれていてもよいし、一の遊技機の一部のみが撮影範囲に含まれていてもよい。
以上、第3実施形態について説明した。詳細な説明は省略したが、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、遊技媒体追跡処理(図65参照)に先立ち、遊技球の位置を検出するために、前後フレーム間差分抽出に係る処理(図33〜図37参照)が行われる。しかし、第3実施形態において、遊技球の位置を検出するための方法としては、第1実施形態で説明した方法に限定されず、単純に、各フレーム画像と背景画像とに対して差分処理を実行する方法(背景差分法)を採用することとしてもよい。背景画像としては、遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、演出LEDを点灯させない状態で遊技盤12を撮影することによって得られるLED消灯背景画像を用いることができる。この場合、各フレーム画像の撮影タイミングにおける演出LEDの状態に応じて、用いる背景画像を適宜選択することとしてもよい。すなわち、演出LED(LED59)は、サブCPU201(ホスト制御回路)からLED制御回路207に対して送信されたランプリクエスト(メッセージ)に基づいて、LED制御回路207によって制御されるため(図26のステップS208参照)、サブCPU201は、当該ランプリクエストに含まれる演出内容の指定情報(演出情報)に基づいて、演出LEDの状態を認識することができる。これにより、当該フレーム画像の撮影タイミングにおいて演出LEDが消灯していた場合には、LED消灯背景画像を選択し、演出LEDが点灯していた場合には、LED点灯背景画像(遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、演出LEDを点灯させた状態で遊技盤12を撮影することによって得られる画像)を選択するといったことも可能である。また、1フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T1)から3フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T3)までの間に、演出LEDの状態に変化がない場合には、背景差分法を用いることとし、1フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T1)から3フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T3)までの間に、演出LEDの状態に変化があった場合にのみ、第1実施形態で説明したように、3フレーム間での比較を行うこととしてもよい。もっとも、外来光等の影響を含め、遊技盤12における環境変化に起因する画像への影響を効果的に排除するためには、常に3フレーム間での比較を行うのが望ましい。以上の点については、第3実施形態だけではなく、その他の実施形態にも妥当する。
<変形例>
第3実施形態では、遊技媒体追跡処理(図65参照)について、時刻T2における遊技球(図41(a)参照)と時刻T3における遊技球(図41(b)参照)との対応付けを行う処理として説明した。これに対し、図69A及び図69Bに示す変形例では、より一般的に、時刻TNにおける遊技球と時刻TN+1における遊技球との対応付けを行う場合について説明する。
また、第3実施形態では、遊技媒体追跡処理(図65参照)の処理間隔がフレーム画像の取得間隔と同じである場合について説明した。これに対し、図72A及び図72Bに示す変形例では、遊技媒体追跡処理の処理間隔がフレーム画像の取得間隔よりも短い場合について説明する。
<遊技媒体追跡処理(変形例)>
図69A及び図69Bは、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される遊技媒体追跡処理を示すフローチャートである。図70及び図71は、検索範囲が拡張される場合の一例を示す図である。
図69A及び図69Bに示す遊技媒体追跡処理は、時刻TNにおける遊技球と時刻TN+1における遊技球との対応付けを行う処理であり、時刻TN+2において行われる。時刻TNにおける遊技球の位置を示す画像を球位置画像(TN)と表記し、時刻TN+1における遊技球の位置を示す画像を球位置画像(TN+1)と表記する。
まず、サブCPU201は、現在管理対象となっている全てのIDのうちの一のID(例えば、ID(1))を処理対象に決定するとともに、当該一のIDについて時刻TNにおける遊技球の追跡が完了しているか否かを判断する(ステップS1401)。「一のIDについて時刻TNにおける遊技球の追跡が完了している」とは、当該IDの遊技球について、時刻TNにおける位置が特定されている(マークが設定されている)ことを意味する。一のIDについて時刻TNにおける遊技球の追跡が完了している場合には、一のIDと、当該IDの遊技球の時刻TNにおける位置情報(球位置画像(TN)に含まれる複数の遊技球のうちの何れかの遊技球の位置情報)とが、ワークRAM203において対応付けて記憶されている(ステップS1404及びステップS1413参照)。
処理対象に決定されたID(例えば、ID(1))について、時刻TNにおける遊技球の追跡が完了している(当該IDの遊技球について、時刻TNにおける位置が特定されている)と判断した場合、サブCPU201は、時刻TNにおける当該遊技球の位置を基準とした検索範囲を設定する(ステップS1402)。ここで設定される検索範囲は、第3実施形態で説明した初回検索範囲(図67参照)である。
次に、サブCPU201は、球位置画像(TN+1)に含まれる複数の遊技球それぞれの位置と、ステップS1402で設定した検索範囲とを比較して、球位置画像(TN+1)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS1403)。
球位置画像(TN+1)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、検出位置に対してマークを設定する(ステップS1404)。この処理において、サブCPU201は、当該検索範囲内に属すると判断された遊技球の位置情報と、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))とを対応付けて、ワークRAM203に記憶させる。
一方、球位置画像(TN+1)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在しないと判断した場合、サブCPU201は、ステップS1405〜ステップS1408の処理を実行するが、これらの処理は、図65のステップS1307〜ステップS1310の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。ステップS1408の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
なお、ステップS1408の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了するのではなく、処理をステップS1423に移すこととしてもよい。これにより、図65と同様に、エラー報知が行われた後も、当該エラー報知の要因となった遊技球以外の遊技球に対しては、本サブルーチンにおける追跡処理が継続されることになる(ステップS1424参照)。また、ステップS1408の処理を実行した後、サブCPU201は、当該エラー報知の要因となった遊技球のIDを解放してもよいが、当該IDを解放せずに、処理をステップS1409に移すこととしてもよい。これにより、当該エラー報知の要因となった遊技球について、次回以降の本サブルーチンにおいて追跡処理が継続され、例えば、エラー報知の要因が解消した場合(マスキング領域にあった遊技球がマスキング領域外に戻った場合等)には、当該遊技球を検索範囲内に発見することができる可能性がある。さらに、例えば、第1実施形態で説明したように、追跡処理の結果として得られた遊技球の位置情報(ステップS1404参照)に基づいて、液晶表示装置13において遊技球の動きを可視化するような演出を行うようにすれば、エラー報知の画面とそのような演出画面との双方が液晶表示装置13に表示されるような状況も作り出すことができる。また、プロジェクタ等の投影装置を用いて、遊技球や遊技球の近傍に対して何らかの映像(第8実施形態参照)を投影することとしてもよい。これにより、例えば、エラー報知を行いつつ、マスキング領域に存在する遊技球に対して映像を投影するといったことも可能となる。あるいは、エラー報知を行いつつ(エラー報知とは別途)遊技球に対して映像を投影するのではなく、遊技球に対して映像を投影することをエラー報知の内容(ステップS1408の処理内容)としてもよい。その上で、液晶表示装置13では、エラー報知の画面を表示するのではなく、演出画面を表示することとしてもよい。また、エラー報知の要因となった遊技球に対しては、エラー報知用の映像を投影することとし、エラー報知の要因となった遊技球以外の遊技球に対しては、演出用の映像を投影することとしてもよい。その場合には、エラー報知用の映像と演出用の映像とを異ならせるとよい。これにより、汎用性の高い遊技機を提供することができる。
ステップS1407においてマスキング領域に遊技球が存在しないと判断した場合、サブCPU201は、時刻TNにおける遊技球の位置を基準とした検索において遊技球が消失したものとして、現在処理対象となっているIDと対応付けて、消失タイマ(TN)の加算を開始する(ステップS1409)。消失タイマ(TN)の値は、現在処理対象となっているIDについて、時刻TNにおける遊技球と時刻TN+1における遊技球との対応付けを行う処理(本サブルーチン)を開始してからの経過時間(時刻TN+2からの経過時間)に対応している。
次に、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDと対応付けて、消失回数カウンタの値を1加算する(ステップS1410)。この処理において、サブCPU201は、ワークRAM203に記憶されている消失回数カウンタの値に1を加えた値を、新たな消失回数カウンタの値としてワークRAM203に記憶させる。消失回数は、現在処理対象となっているIDについて、時刻TNにおける遊技球と時刻TN+1における遊技球との対応付けを行うために本サブルーチンを実行した回数を示しており、当該IDの遊技球を見失って以降に本サブルーチンの実行された回数に対応している。なお、ある時刻に行われる本サブルーチンにおいて一のIDの遊技球を見失った場合(ステップS1407の判断結果がNOである場合)、消失回数は、本実施形態のように当該サブルーチンを含む回数であってもよい(当該サブルーチンから消失回数のカウントを開始することとしてもよい)し、本実施形態とは異なり、当該サブルーチンの次回のサブルーチンから、消失回数のカウントを開始することとしてもよい。
ステップS1401において、処理対象に決定されたID(例えば、ID(1))について、時刻TNにおける遊技球の追跡が完了していない(当該IDの遊技球について、時刻TNにおける位置が特定されていない)と判断した場合、サブCPU201は、当該IDについて追跡の完了している最新の球位置を基準として、消失タイマ(TK)に応じた検索範囲を設定する(ステップS1411)。ここで、「追跡の完了している最新の球位置」とは、当該IDの遊技球について、これまでに特定された(時間経過とともに随時更新された)球位置のうち、最後に特定された(最新の)球位置である。「追跡の完了している最新の球位置」を、「時刻TKにおける当該遊技球の位置」として、K<Nを満たす変数Kを定義する。ステップS1411の処理において、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDの遊技球の時刻TKにおける位置を基準として、検索範囲を設定する。ここで設定される検索範囲は、現在処理対象となっているIDと対応付けられた消失タイマ(TK)の値(ステップS1409及びステップS1418参照)が大きいほど(時刻TK+2からの経過時間が長いほど)、その範囲が広くなる。消失タイマ(TK)の値が大きいほど検索範囲が広くなるようにするための方法は、特に限定されず、第3実施形態で説明したような検索範囲設定テーブル(図68参照)を用いることとしてもよいし、初回検索範囲に対する倍率が消失タイマ(TK)の値に比例するものとして今回の検索範囲を算出するように構成してもよい。また、初回検索範囲に対する倍率ではなく、検索範囲そのものが消失タイマ(TK)の値に対応付けられていてもよい。
次に、サブCPU201は、球位置画像(TK+1)に含まれる複数の遊技球のなかに、ステップS1411で設定した検索範囲内に属する遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS1412)。
球位置画像(TK+1)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、検出位置に対してマークを設定する(ステップS1413)。この処理において、サブCPU201は、当該検索範囲内に属すると判断された遊技球の位置情報と、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))とを対応付けて、ワークRAM203に記憶させる。
ここで、一例として、K=1である場合の例について、図70を用いて説明する。まず、前提として、図70(a)では、時刻T2における遊技球の位置(2フレーム目の球位置)が、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)を基準とした初回検索範囲に含まれておらず、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)を基準とした検索において遊技球が消失した状態となっている(ステップS1409参照)。初回の検索は、時刻T3(N=1)において行われている。その後、図70(b)では、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)を基準とした検索範囲が拡張され(ステップS1411参照)、時刻T2における遊技球の位置(2フレーム目の球位置)は、当該拡張された検索範囲に含まれている。当該拡張された検索は、時刻T4(N=2)において行われる。これにより、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)と、時刻T2における遊技球の位置(2フレーム目の球位置)との対応付けを行うことができる(ステップS1413参照)。
ステップS1413の処理を実行した後、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDと対応付けられた消失タイマ(TK)の値をクリアするとともに、当該消失タイマ(TK)の加算を終了する(ステップS1414)。そして、サブCPU201は、Kの値に1を加算する(ステップS1415)。
次に、サブCPU201は、K=Nであるか否かを判断する(ステップS1416)。K=Nではない(すなわち、K<Nである)と判断した場合、サブCPU201は、ステップS1411〜ステップS1416の処理を繰り返す。なお、この場合、サブCPU201は、処理をステップS1412に戻し、ステップS1412〜ステップS1416の処理を繰り返すこととしてもよい。この場合には、ステップS1416の処理を実行した後は、検索範囲を設定する処理(ステップS1411の処理)が省略され、ステップS1416の処理の実行前に行われたステップS1411の処理(前回のステップS1411の処理)において設定された検索範囲が流用されることになる。
K=Nであると判断した場合、現在処理対象となっているIDの遊技球について、時刻TNにおける位置が特定されたことになるので、サブCPU201は、時刻TNにおける当該遊技球の位置を基準とした検索範囲を設定する(ステップS1417)。ここで、サブCPU201は、ステップS1402のように初回検索範囲を設定してもよいが、拡張された検索範囲(例えば、ステップS1411で設定した検索範囲のうち、最新の検索範囲)を採用することとしてもよい。
図71では、図70(b)において、拡張された検索範囲を用いることにより、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)と、時刻T2における遊技球の位置(2フレーム目の球位置)との対応付けが行われた後、当該拡張された検索範囲を用いることにより、時刻T2における遊技球の位置(2フレーム目の球位置)と、時刻T3における遊技球の位置(3フレーム目の球位置)との対応付けが行われている様子を示している。なお、図71では、時刻T2における遊技球の位置(2フレーム目の球位置)を基準として、拡張された検索範囲が設定されているが、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)を基準として、当該検索範囲を設定することとしてもよい。時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)を基準とした検索範囲に、時刻T3における遊技球の位置(3フレーム目の球位置)が含まれれば、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)と時刻T2における遊技球の位置(2フレーム目の球位置)との対応付けをスキップして、時刻T1における遊技球の位置(1フレーム目の球位置)と時刻T3における遊技球の位置(3フレーム目の球位置)との対応付けを行うことも可能となる。
何れにしても、ステップS1417の処理を実行した後、サブCPU201は、処理をステップS1403に移す。これにより、現在処理対象となっているIDに対する検索処理が進行する。
ステップS1412において、球位置画像(TK+1)に含まれる複数の遊技球のなかに、当該検索範囲内に属する遊技球が存在しないと判断した場合、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDと対応付けて、消失タイマ(TN)の加算を開始する(ステップS1418)。そして、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDと対応付けて、消失回数カウンタの値を1加算する(ステップS1419)。
次に、サブCPU201は、消失回数カウンタの値が所定回数(例えば、2)よりも大きいか否かを判断する(ステップS1420)。消失回数カウンタの値が所定回数よりも大きいと判断した場合、サブCPU201は、ステップS1421及びステップS1422の処理を実行するが、これらの処理は、図65のステップS1318及びステップS1319の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。ステップS1422の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
ステップS1420において消失回数カウンタの値が所定回数以下であると判断した場合、又は、ステップS1404、ステップS1406、若しくは、ステップS1410の処理を実行した後、サブCPU201は、現在処理対象となっているID(例えば、ID(1))に対する検索を終了する(ステップS1423)。この処理において、サブCPU201は、当該ID(例えば、ID(1))と対応付けて、検索終了フラグをオンにセットする。
次に、サブCPU201は、ステップS1424の処理を実行するが、この処理は、図65のステップS1320の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。その後、サブCPU201は、再度検索処理を行うか、本サブルーチンを終了することになる。
<遊技媒体追跡処理(変形例)>
図72A及び図72Bは、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される遊技媒体追跡処理を示すフローチャートである。
図72A及び図72Bに示す遊技媒体追跡処理は、時刻TN−1における遊技球と時刻TNにおける遊技球との対応付け、又は、時刻TNにおける遊技球と時刻TN+1における遊技球との対応付けを行う処理であり、球位置画像(TN)を取得した後、球位置画像(TN+1)を取得するまでの間に行われる処理である。時刻TN―1における遊技球の位置を示す画像を球位置画像(TN―1)と表記し、時刻TNにおける遊技球の位置を示す画像を球位置画像(TN)と表記し、時刻TN+1における遊技球の位置を示す画像を球位置画像(TN+1)と表記する。
まず、サブCPU201は、時刻TN+1における球位置が特定されたか否かを判断する(ステップS1501)。この処理において、サブCPU201は、前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)により球位置画像(TN+1)が得られたか否かを判断する。本変形例では、遊技媒体追跡処理の処理間隔がフレーム画像の取得間隔よりも短いため、球位置画像(TN)が作成されてから球位置画像(TN+1)が作成されるまでに、遊技媒体追跡処理が複数回(例えば、4回)行われる。例えば、遊技媒体追跡処理の処理間隔(図26に示す副制御回路メイン処理の処理間隔)がフレーム画像の取得間隔の1/4であるとする。この場合、副制御回路メイン処理(図26参照)が4回行われるごとに、前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)において最新の球位置画像が作成される。例えば、時刻TN+1に行われる副制御回路メイン処理(図26参照)中の前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)において、球位置画像(TN)が作成されたとする。そうすると、当該副制御回路メイン処理(図26参照)中の遊技媒体追跡処理(図72A及び図72B参照)のステップS1501では、時刻TNにおける球位置が特定されたとして、YESと判断されることになる。次回以降3回の副制御回路メイン処理(図26参照)中の前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)では、新たな球位置画像が作成されない。従って、これらの3回の副制御回路メイン処理(図26参照)中の遊技媒体追跡処理(図72A及び図72B参照)のステップS1501では、NOと判断されることになる。そして、さらに次回の(時刻TN+2に行われる)副制御回路メイン処理(図26参照)中の前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)では、球位置画像(TN+1)が作成される。従って、当該副制御回路メイン処理(図26参照)中の遊技媒体追跡処理(図72A及び図72B参照)のステップS1501では、時刻TN+1における球位置が特定されたとして、YESと判断されることになる。このように、図72A及び図72Bに示す遊技媒体追跡処理が4回実行された場合(図26に示す副制御回路メイン処理が4回実行されるのに伴い、図72A及び図72BのステップS1501の処理が4回実行された場合)、ステップS1501の処理の判断結果は、1回だけYESであり、残りの3回はNOとなる。
球位置画像(TN+1)が得られたと判断した場合、サブCPU201は、現在管理対象となっている全てのIDのうちの何れかのIDと対応付けて、消失フラグがオンにセットされているか否かを判断する(ステップS1502)。消失フラグは、時刻TN+1において本サブルーチンに係る処理が行われた際に、時刻TN―1における遊技球の位置を基準とした検索(ステップS1507参照)において遊技球が消失した場合にセットされるフラグであり(ステップS1511参照)、一の遊技球のIDと対応付けて、ワークRAM203に記憶されている。
現在管理対象となっている全てのIDのうちの何れかのIDと対応付けて、消失フラグがオンにセットされていると判断した場合、サブCPU201は、全てのIDに対応する消失タイマの値をクリアするとともに、消失タイマの加算を終了する(ステップS1503)。そして、サブCPU201は、全てのIDに対応する消失フラグをオフにセットする(ステップS1504)。なお、消失タイマの値は、時刻TN−1における遊技球と時刻TNにおける遊技球との対応付けを行う処理(本サブルーチン)を開始してからの経過時間(時刻TN+1からの経過時間)に対応している(ステップS1512参照)。
ステップS1502において、現在管理対象となっている全てのIDに対応する消失フラグがオフにセットされていると判断した場合、又は、ステップS1504の処理を実行した後、サブCPU201は、ステップS1505〜ステップS1510の処理を実行するが、これらの処理は、図67AのステップS1401〜ステップS1406の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
ステップS1509において排出領域内での消失ではないと判断した場合、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDと対応付けて、消失フラグをオンにセットする(ステップS1511)。そして、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDと対応付けて、消失タイマの加算を開始する(ステップS1512)。
ステップS1505において、処理対象に決定されたID(例えば、ID(1))について、時刻TNにおける遊技球の追跡が完了していない(当該IDの遊技球について、時刻TNにおける位置が特定されていない)と判断した場合、サブCPU201は、連続する複数フレーム分の球位置画像(球位置画像(TN−1)、球位置画像(TN)、球位置画像(TN+1)等)における各遊技球の大きさ、消失、重なり等を加味して、当該IDの遊技球について、時刻TNにおける位置を特定する(ステップS1513)。図66を用いて説明したように、本実施形態においては、CCDカメラ1000からの距離の遠近に応じて、球位置画像に含まれる各遊技球の大きさが異なっている。また、遊技球同士の位置関係や遊技球とCCDカメラ1000との位置関係次第で、遊技球同士が球位置画像上において重なり合う場合がある(図44(b)参照)。さらに、一の遊技球と他の遊技球とが完全に重なり合うことにより、一方の遊技球が球位置画像上において消失してしまう場合もある。サブCPU201は、球位置画像における遊技球の大きさや遊技球同士の重なりに関する情報に基づいて、球位置画像(TN)に含まれる複数の遊技球のうち、現在処理対象となっているIDの遊技球である確率の高い遊技球に対して、当該IDを割り当てる(図31のステップS287参照)。
ステップS1501において球位置画像(TN+1)が得られていないと判断した場合、サブCPU201は、現在管理対象となっている全てのIDのうちの何れかのIDと対応付けて、消失フラグ(ステップS1511参照)がオンにセットされているか否かを判断する(ステップS1516)。現在管理対象となっている全てのIDに対応する消失フラグがオフにセットされていると判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
一方、現在管理対象となっている全てのIDのうちの何れかのIDと対応付けて、消失フラグがオンにセットされていると判断した場合、サブCPU201は、消失フラグがオンにセットされている全てのIDのうちの一のID(例えば、ID(1))を処理対象に決定するとともに、当該一のIDの遊技球の時刻TN−1における位置を基準として、消失タイマに応じた検索範囲を設定する(ステップS1517)。ここで設定される検索範囲は、消失タイマの値(ステップS1512参照)が大きいほど(時刻TN+1からの経過時間が長いほど)、その範囲が広くなる(図68参照)。
次に、サブCPU201は、球位置画像(TN)に含まれる複数の遊技球のなかに、ステップS1517で設定した検索範囲内に属する遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS1518)。
次に、サブCPU201は、ステップS1519及びステップS1520の処理を実行するが、これらの処理は、図69BのステップS1413及びステップS1414の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。ステップS1520の処理を実行した後、サブCPU201は、現在処理対象となっているIDと対応付けられた消失フラグをオフにセットする(ステップS1521)。
ステップS1518において、球位置画像(TN)に含まれる複数の遊技球のなかに当該検索範囲内に属する遊技球が存在しないと判断した場合、又は、ステップS1521の処理を実行した後、サブCPU201は、消失フラグがオンにセットされている全てのIDについて、ステップS1517〜ステップS1521の処理が完了したか否かを判断する(ステップS1522)。
消失フラグがオンにセットされている全てのIDのうちの何れかのIDについて、ステップS1517〜ステップS1521の処理が完了していないと判断した場合、サブCPU201は、当該IDについて、ステップS1517〜ステップS1521の処理を行う。一方、消失フラグがオンにセットされている全てのIDについて、ステップS1517〜ステップS1521の処理が完了したと判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
[第4実施形態]
以上、第1実施形態〜第3実施形態について説明した。以下、第4実施形態について説明する。第4実施形態に係るパチンコ遊技機1の基本的な構成は、第1実施形態及び第3実施形態に係るパチンコ遊技機1と同じである。以下においては、第1実施形態及び第3実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。また、第1実施形態〜第3実施形態における説明が第4実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
<前後フレーム間差分抽出>
第1実施形態では、前後フレーム間差分抽出(図31のステップS284参照)に関し、図33に示したように、時刻T1で演出LEDが消灯しており、時刻T1と時刻T2との間に演出LEDが点灯し、その後時刻T4にかけて演出LEDの点灯している状態が継続している場合について説明した。演出LEDの状態がこのような態様で変化する場合については、第4実施形態においても、第1実施形態における説明が妥当する。以下では、演出LEDの状態が別の態様で変化する場合について説明する。
以下、図34に示した状況を前提として説明する。すなわち、第1実施形態と同様に、複数の遊技球が遊技領域12aを転動している状態において、1個の遊技球に着目し、時刻T1における当該遊技球の位置を遊技球120aとして示し、時刻T2における当該遊技球の位置を遊技球120bとして示し、時刻T3における当該遊技球の位置を遊技球120cとして示す(図34参照)。なお、遊技球120a、遊技球120b、及び、遊技球120cの近傍には、LED59(演出LED)が設けられている。
図73は、前後フレーム間差分抽出の概念図である。図74は、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像を得る過程を示す図である。図75は、図74で得られたAND画像と演出LED単体画像とから時刻T2における遊技球を抽出する過程を示す図である。
図73に示すように、時刻T1では演出LEDが消灯しており、時刻T1と時刻T2との間に演出LEDが点灯し、時刻T2と時刻T3との間に演出LEDが消灯したと仮定する。
この場合における前後フレーム間差分抽出では、まず、時刻T1に撮影されたフレーム画像(1フレーム目の画像)及び時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)に対して差分処理を実行することにより、1フレーム目の画像と2フレーム目の画像との差分に対応する画像(差分画像(1))を作成する。差分画像(1)の作成方法については、図35を用いて説明した通りである。図35と同様に、差分画像(1)は、時刻T1における遊技球(遊技球120a)、時刻T2における遊技球(遊技球120b)、及び、LED59(演出LED)の位置情報を含んでいる。
次に、時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)及び時刻T3に撮影されたフレーム画像(3フレーム目の画像)に対して差分処理を実行することにより、2フレーム目の画像と3フレーム目の画像との差分に対応する画像(差分画像(2))を作成する。差分画像(2)の作成方法については、図36を用いて説明した通りである。ここで得られる差分画像(2)は、時刻T2における遊技球(遊技球120b)、時刻T3における遊技球(遊技球120c)、及び、LED59(演出LED)の位置情報を含んでいる。時刻T3における状態が図33と図73とで相違していることに起因して、図36に示す差分画像(2)に対して、LED59(演出LED)の位置情報が加わることになる。
次に、図74に示すように、差分画像(1)と差分画像(2)との論理積をとる処理(AND処理)を行う。これにより、差分画像(1)と差分画像(2)との共通部分が抽出される。図37では、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像に、時刻T2における遊技球(遊技球120b)のみが含まれていたが、図74では、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像に、時刻T2における遊技球(遊技球120b)に加え、LED59(演出LED)が含まれている。このように、LED59(演出LED)が混在しているため、当該AND画像では、時刻T2における遊技球の位置を検出することができていない。
そこで、図75に示すように、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像、及び、演出LED単体画像に対して差分処理を実行して、当該AND画像と演出LED単体画像との差分に対応する画像を作成する。これにより、当該AND画像と演出LED単体画像との差分が抽出され、このようにして得られる画像は、時刻T2における遊技球(遊技球120b)の位置情報を示すことになる。
ここで、演出LED単体画像は、遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、演出LEDを点灯させた状態で、遊技盤12を撮影することによって得られる画像に対して、しきい値処理を施した2値画像である。2値化により、しきい値以上の画素値を1(白画素)に、しきい値未満の画素値を0(黒画素)に変換することで(逆でも可)、演出LEDに対応する領域のみを抽出することができる。なお、演出LEDに対応する領域の画素値だけがしきい値以上となるように、演出LED単体画像を得るための撮影を行う際には、演出LEDを最大輝度で点灯させるとよい。これにより、演出LEDに対応する領域の画素値と、それ以外の領域の画素値との差異が大きくなり、演出LEDに対応する領域(光点)のみを抽出しやすくなる。あるいは、遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、演出LEDを点灯させた状態で遊技盤12を撮影した場合と、遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、演出LEDを点灯させない状態で遊技盤12を撮影した場合とで、それぞれ得られる画像の差分をとることによっても、演出LED単体画像を得ることができる。このように、撮影時(受信時、記憶時等)には、遊技盤に存在する構造物のうち演出LED以外のものも含まれる画像を得ることとし、当該画像から演出LED以外の構造物を除去したものを、演出LED単体画像とすることが可能である。また、演出LED単体画像は、演出LEDのみが含まれる画像に限定されず、少なくとも演出LEDが存在する画像であれば、演出LED以外の構造物が含まれていてもよい。例えば、演出LEDの他、マスキング領域内に存在する構造物が含まれている画像を、演出LED単体画像として用いて、図75に示すAND画像との差分をとった場合にも、演出LEDを画像から取り除くことができる。このような演出LED単体画像に対応するデータは、プログラムROM202に記憶されている。
以上のようにして、演出LED単体画像を利用することによって、演出LEDの状態が図73に示す態様で変化した場合であっても、演出LEDの点灯及び消灯の影響を排除しつつ、時刻T2における遊技球の位置を検出することができる。
以上、本発明の一実施形態として、第4実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明した。
<付記4>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
ところで、刻々とその位置を変化させながら転動する遊技球を追跡するためには、その前提として、撮影によって得られる動画像を構成する各フレーム画像において、遊技球の存在位置を高い精度で把握することが必要である。しかしながら、上述したような従来の技術では、この点について充分な検討がなされていないという問題があった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技球の追跡に当たり、フレーム画像における遊技球の存在位置を高い精度で把握することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
この点、第4実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(4−1) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)及び照明手段(演出LED)が設けられた遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技盤を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域に遊技球が存在しない状態、且つ、前記照明手段を点灯させた状態で、前記遊技盤を撮影することによって得られる画像(図75に示す演出LED単体画像)を記憶する照明手段単体画像記憶手段(プログラムROM202)と、
前記遊技盤を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される複数のフレーム画像のうち、連続する3つのフレーム画像を、それぞれ、第1フレーム画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)、第2フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)、及び、第3フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)と表記したとき、前記第1フレーム画像と前記第2フレーム画像との差分に対応する第1差分画像(図35に示す差分画像(1))を作成する第1差分手段と、
前記第2フレーム画像と前記第3フレーム画像との差分に対応する第2差分画像(図36に示す差分画像(2))を作成する第2差分手段と、
前記第1差分手段により作成された第1差分画像と前記第2差分手段により作成された第2差分画像との論理積をとることにより、前記第2フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段と、を備え、
前記位置特定手段は、
前記第2フレーム画像に点灯状態にある前記照明手段が含まれ、前記第1フレーム画像及び前記第3フレーム画像に消灯状態にある前記照明手段が含まれる場合、又は、前記第2フレーム画像に消灯状態にある前記照明手段が含まれ、前記第1フレーム画像及び前記第3フレーム画像に点灯状態にある前記照明手段が含まれる場合には、前記第1差分手段により作成された第1差分画像と前記第2差分手段により作成された第2差分画像との論理積をとることで得られるAND画像(図74に示すAND画像)と、前記照明手段単体画像記憶手段に記憶されている画像(図75に示す演出LED単体画像)との差分に対応する画像を作成することにより、前記第2フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する、
ことを特徴とする遊技機。
第4実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、1フレーム目の画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)と2フレーム目の画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)との差分に対応する第1差分画像(差分画像(1))、及び、2フレーム目の画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)と3フレーム目の画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)との差分に対応する第2差分画像(差分画像(2))が作成される。ここで、1フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T1)と2フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T2)との間に、遊技球の位置変化以外に、遊技盤12における環境変化が発生した場合、当該環境変化が第1差分画像(差分画像(1))に現れることとなる。同様に、2フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T2)と第3フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T3)との間に、遊技球の位置変化以外に、遊技盤12における環境変化が発生した場合、当該環境変化が第2差分画像(差分画像(2))に現れることとなる。しかしながら、第4実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、このような環境変化の差分画像への現れは、第1差分画像(差分画像(1))と第2差分画像(差分画像(2))との論理積をとることによって、除去することが可能である。これにより、そのような環境変化が発生した場合であっても、当該環境変化に起因する画像への影響を排除しつつ、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。
特に、第4実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、各フレーム画像に下記(i)又は(ii)の状態にある照明手段(演出LED)が含まれるような場合がある。
(i)1フレーム目の画像:消灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:消灯状態
(ii)1フレーム目の画像:点灯状態、2フレーム目の画像:消灯状態、3フレーム目の画像:点灯状態
すなわち、上記(i)及び(ii)の場合においては、第1差分画像(差分画像(1))及び第2差分画像(差分画像(2))に、照明手段(演出LED)の状態変化に起因する差分が含まれるため、第1差分画像(差分画像(1))と第2差分画像(差分画像(2))との論理積をとることで得られるAND画像にも照明手段(演出LED)が残ってしまう。しかしながら、第4実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、この場合、当該AND画像と、照明手段単体画像(演出LED単体画像)(遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、照明手段(演出LED)を点灯させた状態で、遊技盤12を撮影することによって得られる画像)との差分に対応する画像が作成されるため、照明手段(演出LED)を画像から除去することが可能である。これにより、照明手段(演出LED)の状態が上記(i)又は(ii)の態様で変化した場合であっても、その影響を排除しつつ、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。
なお、演出LEDの状態が上記(i)の態様で変化した場合については、図73〜図75を用いて説明した通りである。演出LEDの状態が上記(ii)の態様で変化した場合についても、同様の説明が妥当する。
さらに、演出LEDの状態が下記(a)又は(b)の態様で変化した場合についても、同様の説明が妥当する。
(a)1フレーム目の画像:消灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:点灯状態(時刻T2における演出LEDの輝度と、時刻T3における演出LEDの輝度とが異なる)
(b)1フレーム目の画像:点灯状態、2フレーム目の画像:点灯状態、3フレーム目の画像:消灯状態(時刻T1における演出LEDの輝度と、時刻T2における演出LEDの輝度とが異なる)
上記(a)としては、例えば、時刻T2(2フレーム目の画像の撮影タイミング)においては、演出LEDが最大輝度で点灯していたところ、時刻T3(3フレーム目の画像の撮影タイミング)では、演出LEDの輝度が低下していたような場合や、逆に、時刻T2(2フレーム目の画像の撮影タイミング)においては、演出LEDが最大輝度よりも低い輝度で点灯していたところ、時刻T3(3フレーム目の画像の撮影タイミング)では、演出LEDが最大輝度で点灯していたような場合等が挙げられる。同様に、上記(b)としては、例えば、時刻T1(1フレーム目の画像の撮影タイミング)においては、演出LEDが最大輝度よりも低い輝度で点灯していたところ、時刻T2(2フレーム目の画像の撮影タイミング)では、演出LEDが最大輝度で点灯していたような場合や、逆に、時刻T1(1フレーム目の画像の撮影タイミング)においては、演出LEDが最大輝度で点灯していたところ、時刻T2(2フレーム目の画像の撮影タイミング)では、演出LEDの輝度が低下していたような場合が挙げられる。
このように、第4実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、演出LEDが点灯している状態が継続している中で、その輝度が変化した場合であっても、その影響を排除しつつ、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。その際、各時刻における演出LEDの輝度が最大輝度に対してどの程度の比率であるのかに基づいて、画像中の演出LEDに対応する領域の画素値、及び、遊技球に対応する領域の画素値に対して、2値化処理等を行うことにより、遊技球に対応する領域を抽出することとしてもよい。
なお、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像、及び、演出LED単体画像に対する差分処理(図75参照)を実行するか否かは、1フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T1)、2フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T2)、及び、第3フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T3)における演出LEDの状態(消灯又は点灯、及び、点灯している場合における輝度)に基づいて判断すればよい。具体的に、演出LED(LED59)は、サブCPU201(ホスト制御回路)からLED制御回路207に対して送信されたランプリクエスト(メッセージ)に基づいて、LED制御回路207によって制御されるため(図26のステップS208参照)、サブCPU201は、当該ランプリクエストに含まれる演出内容の指定情報(演出情報)に基づいて、演出LEDの状態を認識することができる。当該演出情報に基づいて、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像に演出LEDが含まれるような態様(例えば、上記(i)、(ii)、(a)、(b)のような態様)で演出LEDの状態が変化したか否かを判断することとし、そのような態様で演出LEDの状態が変化したと判断される場合に、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像、及び、演出LED単体画像に対する差分処理(図75参照)を実行することとすればよい。
あるいは、前後フレーム間差分抽出(図31のステップS284参照)においては、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像、及び、演出LED単体画像に対する差分処理(図75参照)は、一律実行しないこととしてもよい。この場合には、図74に示すように、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像に演出LEDが含まれていたとしても、当該AND画像を、球位置画像(T2)(時刻T2における遊技球の位置を示す画像)として、処理を進めることになる。そうすると、遊技媒体追跡処理(図42参照)での検索において、一の演出LEDと当該演出LEDに近接して存在する一の遊技球とが双方とも一の検索範囲内に含まれるといった事態が発生し得る。遊技媒体追跡処理においてこのような問題が発生した時点で、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像、及び、演出LED単体画像に対する差分処理(図75参照)を実行することとしてもよい。
なお、演出LED単体画像は、プログラムROM202等の記憶装置に予め記憶されていてもよいが、パチンコ遊技機の製造後、所定のタイミングで作成されることとしてもよい。例えば、電源を投入した際に演出LED単体画像が作成されるように構成してもよい、その場合には、演出LED単体画像を得るための撮影が完了するまで、発射ハンドルが回動操作されていても遊技球の発射が停止されるように構成してもよい。
(4−2) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)及び照明手段(演出LED)が設けられた遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技盤を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域に遊技球が存在しない状態、且つ、前記照明手段を点灯させた状態で、前記遊技盤を撮影することによって得られる画像(図75に示す演出LED単体画像)を記憶する照明手段単体画像記憶手段(プログラムROM202)と、
前記遊技盤を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される複数のフレーム画像のうち、連続する3つのフレーム画像を、それぞれ、第1フレーム画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)、第2フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)、及び、第3フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)と表記したとき、前記第1フレーム画像と前記第2フレーム画像と前記第3フレーム画像とに基づいて、前記第2フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284の処理を実行するサブCPU201)と、を備え、
前記位置特定手段は、
前記第1フレーム画像と前記第2フレーム画像と前記第3フレーム画像とのうち、一のフレーム画像に含まれる前記照明手段の状態が、他のフレーム画像に含まれる前記照明手段の状態と異なる場合、前記照明手段単体画像記憶手段に記憶されている画像(図75に示す演出LED単体画像)に基づいて前記照明手段の状態変化の画像への現れを取り除くことにより、前記第2フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する、
ことを特徴とする遊技機。
第4実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、1フレーム目の画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)と2フレーム目の画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)と3フレーム目の画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)とのうち、一のフレーム画像に含まれる照明手段(演出LED)の状態が、他のフレーム画像に含まれる照明手段(演出LED)の状態と異なる場合、照明手段単体画像(演出LED単体画像)(遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、照明手段(演出LED)を点灯させた状態で、遊技盤12を撮影することによって得られる画像)に基づいて、照明手段(演出LED)の状態変化の画像への現れが取り除かれる。これにより、1フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T1)から3フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T3)までの間に、照明手段(演出LED)の状態が変化した場合であっても、その影響を排除しつつ、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。
<前後フレーム間差分抽出(変形例)>
第4実施形態では、差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像、及び、演出LED単体画像に対して差分処理を実行することにより、演出LEDの状態変化の画像への現れを除去する場合について説明した。本発明において、演出LEDの状態変化の画像への現れを除去する方法は、この例に限定されない。以下、変形例について説明する。
図76は、前後フレーム間差分抽出の概念図である。図77は、演出LED以外の2フレーム目の画像を得る過程を示す図である。図78は、演出LED以外の2フレーム目の画像と1フレーム目の画像とから差分画像(1)を得る過程を示す図である。図79は、演出LED以外の2フレーム目の画像と3フレーム目の画像とから差分画像(2)を得る過程を示す図である。
図76に示すように、時刻T1では演出LEDが消灯しており、時刻T1と時刻T2との間に演出LEDが点灯し、時刻T2と時刻T3との間に演出LEDが消灯したと仮定する。この点は、図73と同様である。
まず、時刻T2に撮影されたフレーム画像(2フレーム目の画像)及び演出LED単体画像に対して差分処理を実行することにより、2フレーム目の画像と演出LED単体画像との差分に対応する画像(演出LED以外の2フレーム目の画像)を作成する。時刻T2における演出LEDの輝度は、演出LED単体画像を得るための撮影を行った際の演出LEDの輝度と同じ(最大輝度)であるとする。これにより、2フレーム目の画像から点灯状態の演出LEDが除去される。
次に、時刻T1に撮影されたフレーム画像(1フレーム目の画像)及び演出LED以外の2フレーム目の画像に対して差分処理を実行することにより、1フレーム目の画像と演出LED以外の2フレーム目の画像との差分に対応する画像(差分画像(1))を作成する。差分画像(1)の作成方法については、図35を用いて説明した通りである。ここで得られる差分画像(1)は、時刻T1における遊技球(遊技球120a)及び時刻T2における遊技球(遊技球120b)の位置情報を含んでいる。
次に、演出LED以外の2フレーム目の画像及び時刻T3に撮影されたフレーム画像(3フレーム目の画像)に対して差分処理を実行することにより、演出LED以外の2フレーム目の画像と3フレーム目の画像との差分に対応する画像(差分画像(2))を作成する。差分画像(2)の作成方法については、図36を用いて説明した通りである。ここで得られる差分画像(2)は、時刻T2における遊技球(遊技球120b)及び時刻T3における遊技球(遊技球120c)の位置情報を含んでいる。
次に、差分画像(1)と差分画像(2)との論理積をとる処理(AND処理)を行う。これにより、差分画像(1)と差分画像(2)との共通部分が抽出され、このようにして得られる画像(差分画像(1)と差分画像(2)とのAND画像)は、時刻T2における遊技球(遊技球120b)の位置情報を示すことになる。
以上のようにして、演出LED単体画像を利用することによって、演出LEDが除去された差分画像を論理積の対象とすることが可能であり、演出LEDの状態が図76に示す態様で変化した場合であっても、演出LEDの点灯及び消灯の影響を排除しつつ、時刻T2における遊技球の位置を検出することができる。
<付記5>
以上、第4実施形態の変形例について説明した。上記変形例に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(5−1) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)及び照明手段(演出LED)が設けられた遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技盤を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域に遊技球が存在しない状態、且つ、前記照明手段を点灯させた状態で、前記遊技盤を撮影することによって得られる画像(図77に示す演出LED単体画像)を記憶する照明手段単体画像記憶手段(プログラムROM202)と、
前記遊技盤を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される複数のフレーム画像のうち、連続する3つのフレーム画像を、それぞれ、第1フレーム画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)、第2フレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)、及び、第3フレーム画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)と表記したとき、前記第1フレーム画像、前記第2フレーム画像、及び、前記第3フレーム画像に対して差分処理を実行する差分手段と、
前記差分手段による差分処理に基づいて作成された差分画像同士(図78に示す差分画像(1)及び図79に示す差分画像(2))の論理積をとることにより、前記第2フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段と、を備え、
前記差分手段は、
前記第1フレーム画像と前記第2フレーム画像と前記第3フレーム画像とのうち何れかのフレーム画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)に、点灯状態にある前記照明手段が含まれる場合に、前記照明手段単体画像記憶手段に記憶されている画像(図77に示す演出LED単体画像)に基づいて差分処理を実行する、
ことを特徴とする遊技機。
上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、1フレーム目の画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)、2フレーム目の画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)、及び、3フレーム目の画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)が順次取得される。ここで、1フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T1)から3フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T3)までの間に、遊技球の位置変化以外に遊技盤12における環境変化が発生した場合、当該環境変化がフレーム画像に現れることとなる。しかしながら、上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、このような環境変化の画像への現れは、差分画像同士(差分画像(1)及び(差分画像(2)))の論理積をとることによって、除去することが可能である。これにより、そのような環境変化が発生した場合であっても、当該環境変化に起因する画像への影響を排除しつつ、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。
また、上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、1フレーム目の画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)と2フレーム目の画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)と3フレーム目の画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)とのうち何れかのフレーム画像(2フレーム目の画像)に、点灯状態にある照明手段(演出LED)が含まれる場合には、照明手段単体画像(演出LED単体画像)(遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、照明手段(演出LED)を点灯させた状態で、遊技盤12を撮影することによって得られる画像)に基づいて差分処理が実行される。これにより、照明手段(演出LED)を画像から除去することが可能であるため、照明手段(演出LED)が遊技球として誤検出されてしまうことを防止することができる。その結果、遊技球の位置を高い精度で把握することができる。
(5−2) 前記(5−1)の遊技機であって、
前記照明手段を用いた演出を制御する演出制御手段(図26のステップS208の処理を実行するサブCPU201)を備え、
前記照明手段単体画像記憶手段は、前記遊技領域に遊技球が存在しない状態、且つ、前記照明手段を最大輝度で点灯させた状態で、前記遊技盤を撮影することによって得られる最大輝度点灯画像(図77に示す演出LED単体画像)を記憶しており、
前記差分手段は、
前記演出制御手段による演出を制御するための演出情報に基づいて、前記第1フレーム画像と前記第2フレーム画像と前記第3フレーム画像とのうち何れかのフレーム画像(例えば、時刻T2に撮影されたフレーム画像)に含まれる前記照明手段が、所定の輝度以上で点灯していると判断される場合、該フレーム画像と前記最大輝度点灯画像との差分に対応する差分画像(図77に示す演出LED以外の2フレーム目の画像)を作成する輝度調整手段と、
前記輝度調整手段により作成された差分画像と、該フレーム画像以外のフレーム画像との差分に対応する差分画像(図78に示す差分画像(1)及び図79に示す差分画像(2))を作成する論理積対象用差分画像作成手段と、を備え、
前記位置特定手段は、
前記論理積対象用差分画像作成手段により作成された差分画像を用いて、差分画像同士の論理積をとることにより、前記第2フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する、
ことを特徴とする。
一定以上の輝度を有する照明手段(演出LED)が画像に含まれる場合には、照明手段(演出LED)が遊技球として誤検出されてしまうことが懸念される。この点、上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、1フレーム目の画像(時刻T1に撮影されたフレーム画像)と2フレーム目の画像(時刻T2に撮影されたフレーム画像)と3フレーム目の画像(時刻T3に撮影されたフレーム画像)とのうち何れかのフレーム画像(2フレーム目の画像)に含まれる照明手段(演出LED)が、所定の輝度以上(最大輝度)で点灯していると判断される場合、該フレーム画像(2フレーム目の画像)と最大輝度点灯画像(演出LED単体画像)(遊技領域12aに遊技球が存在しない状態、且つ、照明手段(演出LED)を最大輝度で点灯させた状態で、遊技盤12を撮影することによって得られる画像)との差分に対応する差分画像(演出LED以外の2フレーム目の画像)が作成される。これにより、画像に含まれる照明手段(演出LED)の輝度を減殺することが可能であり、照明手段(演出LED)が遊技球として誤検出されてしまうことを防止することができる。
上記変形例では、2フレーム目の画像の撮影タイミング(時刻T2)における演出LEDの輝度が最大輝度であり、当該タイミングで撮影された2フレーム目の画像と、最大輝度点灯画像(演出LED単体画像)との差分がとられる場合について説明した。しかし、最大輝度点灯画像(演出LED単体画像)との差分がとられるフレーム画像(2フレーム目の画像)の撮影タイミング(時刻T2)における演出LEDの輝度は、最大輝度でなくてもよく、所定の輝度以上(例えば、最大輝度の50%以上の輝度)であればよい。所定の輝度以上であれば、差分画像に含まれる演出LEDに対応する領域の画素値は、相対的に小さくなるため、必要に応じて2値化処理を行うことにより、演出LEDを除去することが可能となる。
また、上記変形例では、2フレーム目の画像と演出LED単体画像との差分に対応する画像(演出LED以外の2フレーム目の画像)を作成した後、当該演出LED以外の2フレーム目の画像と、1フレーム目の画像及び3フレーム目の画像それぞれとの差分をとることとして説明した。図80には、さらに別の例を示している。
図80は、前後フレーム間差分抽出の概念図である。この例では、図76と同じ態様で演出LEDの状態が変化している。差分画像(1)の作成方法は、図76と同様である。これに対し、差分画像(2)の作成方法は、図76と異なっており、差分画像(2)は、演出LED単体画像を用いることなく、単に2フレーム目の画像と3フレーム目の画像との差分をとることにより作成される。このような方法でも、差分画像(1)と差分画像(2)との論理積をとれば、演出LEDは除去され、演出LEDの点灯及び消灯の影響を排除しつつ、時刻T2における遊技球の位置を検出することができる。
また、図示しないが、第4実施形態と同様の方法により差分画像(1)及び差分画像(2)を作成した後(図74参照)、それらのAND画像を作成する前に、差分画像(1)及び差分画像(2)の一方又は双方に対して演出LED単体画像を用いて差分処理を行うこととし、その後論理積をとることによっても、AND画像として、演出LEDの除去された画像を得ることができる。このように、本発明において、演出LED単体画像を用いて差分処理を行うタイミング(当該差分処理の対象となる画像)は、特に限定されず、当該差分処理の対象となる画像を適宜設定することにより、演出LEDを除去することが可能である。
また、以上では、演出LEDの状態変化の画像への現れを除去する場合について説明したが、本発明を適用すれば、演出LED以外の物体の状態変化を画像から取り除くことも可能である。そのような物体としては、第1実施形態で説明した可動部材(遊技盤における所定位置を基準として(位置を変化させずに)動作を行うことにより、その外観を経時的に変化させる物体)を挙げることができる。そのような可動部材には、例えば、入賞口(始動口)への遊技球の入球を可能にする状態(開放状態)と遊技球の入球を不可能又は困難にする状態(閉鎖状態)とを切り替え可能な(開閉動作を行う)役物(電動チューリップ型の役物や羽根状の役物等)が含まれる。また、そのような可動部材は、モータやソレノイド等の駆動手段によって駆動可能な装飾部材であってもよい。こうした駆動可能な装飾部材が可動役物として設けられている場合であっても、当該装飾部材の状態変化を画像から取り除くことができる。一例として、こうした可動部材の外観が、各フレームの撮影タイミングにおいて、第1の外観→第2の外観→第1の外観と変化するような場合を想定する。このような場合であっても、演出LED単体画像の代わりに、可動部材単体画像を用いて差分処理を実行することにより、可動部材を画像から取り除くことができる。可動部材単体画像は、例えば、遊技領域に遊技球が存在しない状態、且つ、可動部材が第1の外観となっている状態で遊技盤を撮影した場合と、遊技領域に遊技球が存在しない状態、且つ、可動部材が第2の外観となっている状態で遊技盤を撮影した場合とで、それぞれ得られる画像の差分をとることによって得ることができる。これにより、可動部材の外観変化に起因する画像への影響を排除しつつ、遊技球の位置を的確に把握することができる。
[第5実施形態]
以上、第1実施形態〜第4実施形態について説明した。以下、第5実施形態について説明する。第5実施形態に係るパチンコ遊技機1の基本的な構成は、第1実施形態〜第4実施形態に係るパチンコ遊技機1と同じである。以下においては、第1実施形態〜第4実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。また、第1実施形態〜第4実施形態における説明が第5実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
<詰まり・消失検知>
第1実施形態では、詰まり・消失検知に係る処理(図31のステップS288参照)として、図47に示す処理が行われることとして説明した。これに対し、第5実施形態では、図81に示す処理が行われる。
図81は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される詰まり・消失検知に係る処理を示すフローチャートである。図82は、球詰まりマークについて説明するための図である。図83は、球詰まり解消検知の領域について説明するための図である。
図81に示す詰まり・消失検知に係る処理において、まず、サブCPU201は、同箇所付近で消失が複数発生したか否かを判断する(ステップS1601)。ここで、「消失」とは、IDが解放されること(図42のステップS308及び図47のステップS352参照)を指している。ステップS1601の処理において、サブCPU201は、所定範囲内の領域において所定時間以内に所定回数(例えば、3回)以上、IDの解放が行われたか否かを判断する。「所定範囲内の領域」とは、排出領域(図39参照)又は消失検知の領域(図48(b)参照)である。なお、図示しないが、前提として、図47のステップS351〜ステップS355の処理と同様の処理(消失検知の領域を設定するための処理)が行われている。
なお、遊技球の追跡が不可能であると判断された場合や、撮影により得られた画像(前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)で作成された球位置画像)において遊技球が検出されなかった場合(遊技球を見失ったことによりエラー報知が行われた場合等、例えば、図69BのステップS1421等参照)にIDを解放することとし、このようなIDの解放を上記「消失」に含めることとしてもよい。また、第1実施形態では説明しなかったが、遊技球と同様に、消失ポイントも、IDを対応付けることにより管理することとしてもよい。例えば、ID(1)の遊技球が一定時間以上動いていない(同じ位置に停留している)と判断されることにより、当該停留位置が消失ポイントとして設定されるとともに、ID(1)が追跡対象のIDから解放されたとする(図47のステップS351〜ステップS353参照)。そして、この場合において、当該消失ポイントにID(1)が対応付けられることにより、当該消失ポイントがIDで管理されているとする。このような状況において、ID(1)は既に追跡対象から解放されているため、新たに遊技領域12aに放出された遊技球(図39に示す射出領域を通過した遊技球)に対して、ID(1)が割り当てられることが想定される。そうすると、ID(1)により管理されている消失ポイントと、ID(1)により管理されている遊技球とが、併存することになる。そこで、このように消失ポイントをIDで管理する場合には、時間情報を対応付けることにする。すなわち、上記の例では、消失ポイントにID(1)を対応付ける際、その時点の時刻を示す時間情報を併せて対応付ける。また、その後、新たに遊技領域12aに放出された遊技球にID(1)を対応付ける際、その時点の時刻を示す時間情報を併せて対応付ける。これにより、当該時間情報(IDの新旧)に基づいて、上記のようなID(1)により管理されている消失ポイントと、ID(1)により管理されている遊技球とを、明確に区別することができる。なお、消失ポイントを一のIDにより管理している場合、当該消失ポイントが解除されるまで(ワークRAM203から削除されるまで)は、新たに遊技領域12aに放出された遊技球に対して当該IDを割り当てないこととしてもよい。
所定範囲内の領域において所定時間以内に所定回数(例えば、3回)以上、IDの解放が行われたと判断した場合、サブCPU201は、当該所定範囲内の領域が排出領域(図39参照)であるか否かを判断する(ステップS1602)。
当該所定範囲内の領域が排出領域ではないと判断した場合、サブCPU201は、球詰まりであると判定し、該当箇所に球詰まりマークを付与する(ステップS1603)。この処理において、サブCPU201は、図47のステップS357と同様の処理を行う。また、サブCPU201は、消失検知の領域に存在する所定数以上の消失ポイントのうち、一番最初に設定された消失ポイント(例えば、ID(1)の遊技球に対応する消失ポイント)を基準として、球詰まりマークを設定する(図82(a)参照)。球詰まりマークは、当該一番最初に設定された消失ポイントを中心とする所定の大きさの円である。
図82(a)に示すように、消失検知の領域に存在する所定数以上の消失ポイントは全て、少なくともその一部が、球詰まりマークとして設定された円の内部に属している。なお、第1実施形態で説明したように、消失ポイントの設定は、所定時間が経過した後解除されるが(図47のステップS353参照)、球詰まりマークの設定は、所定時間が経過しても解除されない。図82(b)では、ID(1)の遊技球に対応する消失ポイントの設定が解除された後も、球詰まりマークの設定が残っている様子を示している。このようにして設定された球詰まりマークを示す情報は、ワークRAM203に記憶される。なお、図82(b)に示すように、一番最初に設定された(一番古い)消失ポイント(ID(1)の遊技球に対応する消失ポイント)の設定が解除された後は、その次に古い消失ポイント(ID(2)の遊技球に対応する消失ポイント)を基準として新たに消失検知の領域が設定され、当該消失検知の領域に基づいて、球詰まり判定に係る処理(図47のステップS356及びステップS357参照)がさらに行われることになる。
ステップS1603の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
ステップS1601において、所定範囲内の領域において所定時間以内に所定回数以上、IDの解放が行われたわけではないと判断した場合、又は、ステップS1602において、IDの解放が行われた領域が排出領域であると判断した場合、サブCPU201は、球詰まりマーク(図82参照)が設定されているか否かを判断する(ステップS1604)。球詰まりマークが設定されていないと判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
一方、球詰まりマークが設定されていると判断した場合、サブCPU201は、当該球詰まりマーク内の遊技球(消失ポイント)の直線上且つ遠方(下方)を遊技球が通過したか否かを判断する(ステップS1605)。この処理において、サブCPU201は、現在管理されている全てのIDについて、ワークRAM203において対応付けられた位置情報(図42のステップS304参照)を参照し、球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在するか否かを判断する。
球詰まり解消検知の領域の例を、図83に示している。図中のID(1)〜ID(3)は、球詰まりマークとして設定された円(図82(a)参照)の内部に含まれている消失ポイントを示している。球詰まりマークとして設定された円の内部に含まれている消失ポイントを、球詰まり対象消失ポイントと呼ぶこととする。図83の例において、球詰まり解消検知の領域は、各球詰まり対象消失ポイントと、辺Aと、辺Bと、辺Cと、によって囲まれる領域(図中の斜線で示す領域)である。辺Aは、左端に位置する球詰まり対象消失ポイント(この例では、ID(2)に対応する消失ポイント)の左端部における接線に沿った辺である。辺Cは、右端に位置する球詰まり対象消失ポイント(この例では、ID(3)に対応する消失ポイント)の右端部における接線に沿った辺である。辺Bは、当該球詰まりマークの基準となった消失ポイント(この例では、ID(1)に対応する消失ポイント)の重心からの距離がDとなるような辺であり、各球詰まり対象消失ポイントよりも下側に位置している。距離Dは、予め定められた一定の値であるが、その値は特に限定されず、球詰まりマークの基準となった消失ポイント(例えば、ID(1)に対応する消失ポイント)と、画像の下端との距離であってもよい(すなわち、辺Bは、画像の下辺と一致してもよい)。換言すると、球詰まり解消検知の領域は、左端に位置する球詰まり対象消失ポイント(例えば、ID(2)に対応する消失ポイント)を下方に向かって真っ直ぐ移動させた場合に描かれる軌跡の範囲と、右端に位置する球詰まり対象消失ポイント(例えば、ID(3)に対応する消失ポイント)を下方に向かって真っ直ぐ移動させた場合に描かれる軌跡の範囲と、これらの軌跡によって挟まれた範囲とから構成される。
ステップS1605において、サブCPU201は、このようにして設定される球詰まり解消検知の領域に基づいて、当該領域に遊技球が存在するか否かを判断する。なお、図66を用いて説明したように、遊技球は、ある程度の大きさをもって、画像上の領域に位置しているところ、一の遊技球全体が球詰まり解消検知の領域に属している場合に、サブCPU201は、当該遊技球が球詰まり解消検知の領域に存在すると判断する。図83では、ID(X)の遊技球が球詰まり解消検知の領域に存在している様子を示している。
球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、球詰まりが解消したと判定し、該当箇所の球詰まりマークを削除する(ステップS1606)。この処理において、サブCPU201は、ステップS1603で設定した球詰まりマークをクリアする。
ステップS1605において球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在しないと判断した場合、又は、ステップS1606の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
以上、本発明の一実施形態として、第5実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明した。
<付記6>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
本発明者は、上述したような遊技球を追跡する技術について鋭意検討を行う過程において、遊技球の移動軌跡が異常なものである場合に、そのことを検出する技術を開発した。こうした異常を検出することは、異常の原因に対して適切に対処する上で有用である。
そして、このような異常を検出する技術を採用する場合、いったん異常が検出されれば、それ以上、異常な軌跡を描く遊技球を追跡しても意味がないため、遊技球の追跡をいったん中断することが考えられる。しかしながら、異常が解消して、遊技球の移動軌跡が正常なものとなっているにもかかわらず、遊技球の追跡が再開されないとすれば、追跡の精度が低下してしまうことになる。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技球の追跡を高い精度で行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
この点、第5実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(6−1) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284及びステップS286の処理を実行するサブCPU201)と、
連続する所定数のフレーム画像に亘って、一の遊技球の位置が変化していない場合に、該一の遊技球が同じ位置に留まる停留現象が発生したと認識する停留現象認識手段(図47のステップS351〜ステップS353の処理を実行するサブCPU201)と、
一の遊技球について前記停留現象認識手段により前記停留現象が発生したと認識された場合において、該一の遊技球のフレーム画像における位置を基準とした所定範囲(図48(b)に示す消失検知の領域)内で、該一の遊技球以外のN個(Nは整数)以上の遊技球についても、前記停留現象認識手段により前記停留現象が発生したと認識された場合に、前記所定範囲内で前記停留現象が繰り返される詰まり現象が発生したと認識する詰まり現象認識手段(図47のステップS354〜ステップS357の処理を実行するサブCPU201)と、
前記詰まり現象認識手段により前記詰まり現象が発生したと認識された後、前記位置特定手段により特定された遊技球の位置が、該詰まり現象が発生している状態においては遊技球が存在することが困難又は不可能な領域として、該詰まり現象が発生している位置に応じて設定される詰まり解消判定用領域(例えば、図83に示す球詰まり解消検知の領域)に属すると判定された場合、該詰まり現象が解消したと認識する詰まり解消認識手段(図81のステップS1605及びステップS1606の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
遊技球同士が積み重なることで詰まり(球詰まり)が発生している場合、遊技店としては、そのような詰まり(異常)の原因に対して適切に対処することが必要である。ここで、こうした詰まり(球詰まり)が発生している場合には、一の遊技球が同じ位置に留まる停留現象が発生していると考えられる。この点、第5実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、連続する所定数のフレーム画像に亘って、一の遊技球の位置が変化していない場合に、該一の遊技球について停留現象(「消失」)が発生したと認識される。そして、該一の遊技球のフレーム画像における位置を基準とした所定範囲(消失検知の領域)内で、該一の遊技球以外のN個(例えば、2個)以上の遊技球についても停留現象(「消失」)が発生したと認識された場合に、詰まり現象(球詰まり)が発生したと認識される。これにより、遊技球同士が積み重なることで詰まり(球詰まり)が発生していることを検出することが可能であり、詰まり(球詰まり)に起因する問題を除去する機会を得ることができる。
特に、パチンコ遊技においては、「ぶどう」と呼ばれる球詰まり現象が知られている。「ぶどう」とは、複数の遊技球が釘の間に挟まって積み重なることで発生するものであり、ぶどうの房のような塊が形成されることから、このように呼ばれている。「ぶどう」は、遊技中に自然に発生することもあるが、悪意を持った遊技者が、磁石を用いることによって、意図的に「ぶどう」を作り出すこともある。後者に関しては、「ぶどう」を利用することによって遊技球を始動領域等へと誘導して出玉を獲得しようとする不正行為(所謂「ぶどうゴト」)として知られており、警戒されている。第5実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、このような「ぶどう」が発生したことを検出することが可能であり、「ぶどうゴト」が行われてしまうことを未然に防止することができる。
また、第5実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、詰まり現象(球詰まり)が発生したと認識された後、遊技球の位置が、該詰まり現象(球詰まり)が発生している状態においては遊技球が存在することが困難又は不可能な領域として設定された詰まり解消判定用領域(球詰まり解消検知の領域)に属すると判定された場合、該詰まり現象(球詰まり)が解消したと認識される。これにより、詰まり(異常)が発生したことにより、遊技球の追跡を中断していた場合であっても、詰まり(異常)が解消した場合には、追跡を速やかに再開することが可能であり、追跡の精度が低下してしまうことを防止することができる。
<詰まり・消失検知(変形例)>
第1実施形態では、下記(i)及び(ii)のうち少なくとも一方の条件が成立した場合に、球詰まりが発生した旨判定されることとして説明した。
(i)遊技球の位置が所定時間に亘って変化しないという現象(消失)が、所定の領域内において所定回数以上発生すること
(ii)一の遊技球の位置と他の遊技球の位置とが画像上で重なり合うこと(重なり)が、所定の領域内において所定数以上発生すること
第5実施形態では、上記(i)の条件についてのみ説明したが、本発明においては、球詰まりが発生した旨判定するための条件として、上記(i)の条件又は上記(ii)の条件を単独で採用してもよいし、上記(i)及び上記(ii)双方の条件を併用することとしてもよい。以下、変形例として、上記(i)及び上記(ii)双方の条件を併用する場合について説明する。
図84は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される詰まり・消失検知に係る処理を示すフローチャートである。図85は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される詰まり解消検知に係る処理を示すフローチャートである。図86は、球詰まり解消検知の領域について説明するための図である。
図84に示す詰まり・消失検知に係る処理において、まず、サブCPU201は、ステップS2351〜ステップS2353の処理を実行するが、これらの処理は、図47のステップS351〜ステップS353の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
ステップS2351において一定時間以上動いていない遊技球が存在しないと判断した場合、又は、ステップS2353の処理を実行した後、サブCPU201は、詰まりフラグがオンにセットされているか否かを判断する(ステップS2354)。詰まりフラグは、球詰まりが発生したことを示すフラグである(ステップS2360及びステップS2366参照)。
詰まりフラグがオンにセットされていないと判断した場合、サブCPU201は、ステップS2355〜ステップS2357の処理を実行するが、これらの処理は、図47のステップS354〜ステップS356の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
ステップS2357において、ステップS2356で設定した消失検知の領域に消失ポイントが所定数(例えば、3つ)以上存在すると判断した場合、サブCPU201は、エラー報知を行う(ステップS2358)。この処理において、サブCPU201は、球詰まりが発生したことを示す球詰まり発生信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、球詰まりが発生したことを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、球詰まりが発生したことを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、球詰まりが発生したことを示す球詰まり発生信号を送信する。
次に、サブCPU201は、再報知用タイマの加算を開始する(ステップS2359)。再報知用タイマの値は、球詰まりが発生した旨判定されてからの経過時間に対応しており、再度エラー報知を行う際に用いられる(図85のステップS2404参照)。その後、サブCPU201は、詰まりフラグをオンにセットし(ステップS2360)、本サブルーチンを終了する。
ステップS2355において消失ポイントが所定数(例えば、3つ)未満しか設定されていないと判断した場合、サブCPU201は、他の遊技球と重なっている遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS2361)。この処理において、サブCPU201は、図47のステップS358と同様に、前後フレーム間差分抽出処理(図31のステップS284参照)により得られた球位置画像上において、遊技球同士の重なり(図48(c)参照)が発生しているか否かを判断する。なお、上述したように、球位置画像中における遊技球の位置は、XY直交座標平面(図67参照)上の遊技球の重心の位置座標(X軸座標の値及びY軸座標の値)により表される。そして、球位置画像において、遊技球は一定の大きさを有する円であり、当該円の中心は上記重心と一致する。ここで、一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)及び他の遊技球(例えば、ID(2)の遊技球)について、中心(重心)の位置をそれぞれ、(X1,Y1)及び(X2,Y2)とし、半径をそれぞれ、r1及びr2とする。(X1,Y1)と(X2,Y2)との距離が、これらの遊技球に対応する2つの円の半径の合計(r1+r2)よりも短ければ、これらの2つの遊技球は重なることになる。サブCPU201は、このように、2つの遊技球に対応する円の中心間の距離と半径の合計との大小関係を比較することにより、これらの2つの遊技球の間に重なりが発生しているか否かを判断することができる。
あるいは、サブCPU201は、以下のようにして、2つの遊技球の間に重なりが発生しているか否かを判断してもよい。ここでは、ID(1)の遊技球(半径r1)とID(2)の遊技球(半径r2)とが左右に並んでおり、ID(1)の遊技球の方がID(2)の遊技球よりも、左側に位置しているとする。そして、ID(1)の遊技球の左端部のX座標の値をX1、右端部のX座標の値をX2とし、ID(2)の遊技球の左端部のX座標の値をX3、右端部のX座標の値をX4とする。ID(1)の遊技球とID(2)の遊技球とが重なっている場合には、X1<X3<X2<X4という関係や、X4−X1<(r1+r2)×2という関係が成立することになる。同様に、ID(1)の遊技球(半径r1)とID(2)の遊技球(半径r2)とが上下に並んでおり、ID(1)の遊技球の方がID(2)の遊技球よりも、上側に位置しているとする。そして、ID(1)の遊技球の上端部のY座標の値をY1、下端部のY座標の値をY2とし、ID(2)の遊技球の上端部のY座標の値をY3、下端部のY座標の値をY4とする。ID(1)の遊技球とID(2)の遊技球とが重なっている場合には、Y1<Y3<Y2<Y4という関係や、Y4−Y1<(r1+r2)×2という関係が成立することになる。サブCPU201は、2つの遊技球の間に重なりが発生しているか否かを判断するに当たって、以上のような関係の成否を判断することとしてもよい。なお、以上では、遊技球の位置を二次元座標で表した場合について説明したが、上述したように、遊技球の位置を三次元座標で表すことも可能であり、その場合にも、サブCPU201は、同様にして、2つの遊技球の間に重なりが発生しているか否かを判断することができる。
ステップS2361において遊技球同士の重なりが発生していると判断した場合、サブCPU201は、ステップS2362及びステップS2363の処理を実行するが、これらの処理は、図47のステップS359及びステップS360の処理と同様の処理である。ステップS2363について、図47のステップS360で説明しなかった点について補足すると、この処理において、サブCPU201は、ステップS2361の処理結果に基づいて、各重なり(一の遊技球(例えば、ID(1)の遊技球)と他の遊技球(例えば、ID(2)の遊技球)との重複部分)について、当該重複部分の位置座標を特定し、当該位置座標がステップS2362で設定した重なり検知の領域内に存在するか否かを判断する。そして、サブCPU201は、重なり検知の領域内に存在する重なり(重複部分)の個数をカウントし、カウントされた個数が所定数以上であるか否かを判断する。
ステップS2363において、ステップS2362で設定した重なり検知の領域内に存在する重なり(重複部分)の個数が所定数(例えば、5つ)以上であると判断した場合、サブCPU201は、ステップS2364〜ステップS2366の処理を実行するが、これらの処理は、ステップS2358〜ステップS2360の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。その後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
ステップS2354において詰まりフラグがオンにセットされていると判断した場合、サブCPU201は、詰まり解消検知に係る処理を実行し(ステップS2367)、本サブルーチンを終了する。以下、図85を用いて、詰まり解消検知に係る処理について説明する。
詰まり解消検知に係る処理において、まず、サブCPU201は、球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS2401)。球詰まり解消検知の領域としては、図83に示した領域を採用することができるが、ここでは、図86を用いて、球詰まり解消検知の領域の別の例について説明する。
図86(a)は、「遊技球の位置が所定時間に亘って変化しないという現象(消失)が、所定の領域内において所定回数以上発生すること」(上記(i)の条件)が成立することにより、球詰まりが発生した旨判定された場合(図84のステップS2360において詰まりフラグがオンにセットされた場合)に用いられる球詰まり解消検知の領域を示している。図86(b)は、「一の遊技球の位置と他の遊技球の位置とが画像上で重なり合うこと(重なり)が、所定の領域内において所定数以上発生すること」(上記(ii)の条件)が成立することにより、球詰まりが発生した旨判定された場合(図84のステップS2366において詰まりフラグがオンにセットされた場合)に用いられる球詰まり解消検知の領域を示している。
図86(a)に示す球詰まり解消検知の領域は、各球詰まり対象消失ポイントと、辺Aと、辺Bと、辺Cと、によって囲まれる領域(図中の斜線及び網掛けで示す領域)である。ここでの球詰まり対象消失ポイントは、消失検知の領域(図48(b)参照)に存在する消失ポイントを指す。消失検知の領域は、長方形の形状を有しているところ、辺Aは、消失検知の領域(長方形)の左辺と同一直線上にあり、辺Cは、消失検知の領域(長方形)の右辺と同一直線上にある。辺Bは、当該消失検知の領域の基準となった消失ポイントの重心からの距離がDとなるような辺であり、各球詰まり対象消失ポイントよりも下側に位置している。辺Bについては、図83に示す球詰まり解消検知の領域と同様である。図86(a)において網掛けで示す領域は、消失検知の領域と球詰まり解消検知の領域とが重複する部分である。
図86(b)に示す球詰まり解消検知の領域は、各球詰まり対象遊技球と、辺Aと、辺Bと、辺Cと、によって囲まれる領域(図中の斜線及び網掛けで示す領域)である。ここでの各球詰まり対象遊技球は、重なり検知の領域(図48(c)参照)に重なり(他の遊技球との重複部分)を有している遊技球を指す。重なり検知の領域は、長方形の形状を有しているところ、辺Aは、重なり検知の領域(長方形)の左辺と同一直線上にあり、辺Cは、重なり検知の領域(長方形)の右辺と同一直線上にある。辺Bは、当該重なり検知の領域の基準となった遊技球の重心からの距離がDとなるような辺であり、各球詰まり対象遊技球よりも下側に位置している。辺Bについては、図83に示す球詰まり解消検知の領域と同様である。図86(b)において網掛けで示す領域は、重なり検知の領域と球詰まり解消検知の領域とが重複する部分である。
図85のステップS2401の処理において、サブCPU201は、図84のステップS2360において詰まりフラグがオンにセットされた場合には、図86(a)に示す球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在するか否かを判断し、図84のステップS2366において詰まりフラグがオンにセットされた場合には、図86(b)に示す球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在するか否かを判断する。図86(a)及び図86(b)では、ID(X)の遊技球が球詰まり解消検知の領域に存在している様子を示している。
球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、球詰まりが解消した旨の報知を行う(ステップS2402)。この処理において、サブCPU201は、球詰まりが解消したことを示す球詰まり解消信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、球詰まりが解消したことを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、球詰まりが解消したことを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、球詰まりが解消したことを示す球詰まり解消信号を送信する。
その後、サブCPU201は、詰まりフラグをオフにセットする(ステップS2403)。図示しないが、遊技球の追跡に係る処理(図31のステップS284〜ステップS287参照)は、詰まりフラグがオフにセットされていることを条件として実行される。従って、遊技球の追跡は、図84のステップS2360又はステップS2366において詰まりフラグがオンにセットされることにより中断され、図85のステップS2403において詰まりフラグがオフにセットされることにより再開されることになる。ステップS2403の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
ステップS2401において球詰まり解消検知の領域に遊技球が存在しないと判断した場合、サブCPU201は、再報知用タイマの値(図84のステップS2359及びステップS2365参照)が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS2404)。
再報知用タイマの値が所定値以上であると判断した場合、サブCPU201は、再度エラー報知を行う(ステップS2405)。上述したように、再報知用タイマの値は、球詰まりが発生した旨判定されてからの経過時間に対応しており、再報知用タイマの値が所定値以上であるということは、球詰まりが発生している状態が一定時間以上継続していることを意味する。
ステップS2405の処理において、サブCPU201は、球詰まりが継続していることを示す球詰まり継続信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、球詰まりが継続していることを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、球詰まりが継続していることを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、球詰まりが継続していることを示す球詰まり継続信号を送信する。これにより、ホールの店員等に対して、球詰まりが継続していることについて注意喚起をするとともに、ぶどうゴトが行われてしまう可能性のある状況となっていることについて、警告を発することができる。
ステップS2404において再報知用タイマの値が所定値未満であると判断した場合、又は、ステップS2405の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
以上、第5実施形態の変形例について説明した。上記変形例に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(6−2) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる複数の遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284及びステップS286の処理を実行するサブCPU201)と、
前記位置特定手段によりフレーム画像に含まれる複数の遊技球の位置が特定された場合において、一の遊技球の位置と他の遊技球の位置とが重なっている場合に、該一の遊技球と該他の遊技球との間で重なり現象が発生していると認識する重なり現象認識手段(図47のステップS358の処理を実行するサブCPU201)と、
前記重なり現象認識手段により一の遊技球と他の遊技球との間で前記重なり現象が発生していると認識された場合において、該一の遊技球のフレーム画像における位置を基準とした所定範囲(図48(c)に示す重なり検知の領域)内で、該一の遊技球と該他の遊技球との間での前記重なり現象以外にもM個(Mは整数)以上の前記重なり現象が発生していると、前記重なり現象認識手段により認識された場合に、前記所定範囲内で前記重なり現象が複数発生する詰まり現象が発生したと認識する詰まり現象認識手段(図47のステップS359〜ステップS361の処理を実行するサブCPU201)と、
前記詰まり現象認識手段により前記詰まり現象が発生したと認識された後、前記位置特定手段により特定された遊技球の位置が、該詰まり現象が発生している状態においては遊技球が存在することが困難又は不可能な領域として、該詰まり現象が発生している位置に応じて設定される詰まり解消判定用領域(図86(b)に示す球詰まり解消検知の領域)に属すると判定された場合、該詰まり現象が解消したと認識する詰まり解消認識手段(図85の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
遊技球同士が積み重なることで詰まり(球詰まり)が発生している場合、遊技店としては、そのような詰まり(異常)の原因に対して適切に対処することが必要である。ここで、こうした詰まり(球詰まり)が発生している場合には、一の遊技球と他の遊技球とが画像上で重なり合う重なり現象が発生していると考えられる。この点、上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、一の遊技球の位置と他の遊技球の位置とが画像上で重なっている場合に、該一の遊技球と該他の遊技球との間で重なり現象(「重なり」)が発生していると認識される。そして、該一の遊技球のフレーム画像における位置を基準とした所定範囲(重なり検知の領域)内で、該一の遊技球と該他の遊技球との間での重なり現象(「重なり」)以外にもM個(例えば、4個)以上の重なり現象(「重なり」)が発生していると認識された場合に、詰まり現象(球詰まり)が発生したと認識される。これにより、遊技球同士が積み重なることで詰まり(球詰まり)が発生していることを検出することが可能であり、詰まり(球詰まり)に起因する問題を除去する機会を得ることができる。
また、上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、詰まり現象(球詰まり)が発生したと認識された後、遊技球の位置が、該詰まり現象(球詰まり)が発生している状態においては遊技球が存在することが困難又は不可能な領域として設定された詰まり解消判定用領域(球詰まり解消検知の領域)に属すると判定された場合、該詰まり現象(球詰まり)が解消したと認識される。これにより、詰まり(異常)が発生したことにより、遊技球の追跡を中断していた場合であっても、詰まり(異常)が解消した場合には、追跡を速やかに再開することが可能であり、追跡の精度が低下してしまうことを防止することができる。
[第6実施形態]
以上、第1実施形態〜第5実施形態について説明した。以下、第6実施形態について説明する。第6実施形態に係るパチンコ遊技機1の基本的な構成は、第1実施形態〜第5実施形態に係るパチンコ遊技機1と同じである。以下においては、第1実施形態〜第5実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。また、第1実施形態〜第5実施形態における説明が第6実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
<カメラ映像解析処理>
第1実施形態では、カメラ映像解析処理(図30のステップS261参照)として、図31に示す処理が行われることとして説明した。これに対し、第6実施形態では、図87に示す処理が行われる。
図87は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行されるカメラ映像解析処理を示すフローチャートである。
図87に示すカメラ映像解析処理において、まず、サブCPU201は、ステップS3001〜ステップS3006の処理を実行するが、これらの処理は、図31のステップS281〜ステップS286の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。
次に、サブCPU201は、玉移動に関するエラー判定に係る処理を実行する(ステップS3007)。玉移動に関するエラー判定に係る処理については、後に図88を用いて説明する。
次に、サブCPU201は、ステップS3008及びステップS3009の処理を実行するが、これらの処理は、図31のステップS287及びステップS288の処理と同様の処理であるため、ここでの説明は省略する。その後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
<玉移動に関するエラー判定>
図88は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される玉移動に関するエラー判定に係る処理を示すフローチャートである。図89は、遊技球の移動距離について説明するための図である。
図88に示す玉移動に関するエラー判定に係る処理において、まず、サブCPU201は、各遊技球の移動距離を検出する(ステップS3101)。ここで、第3実施形態で説明したように、現在の時刻を時刻TN+2であるとし、各IDの遊技球について、時刻TN+1における位置情報(最新の位置情報)がワークRAM203に記憶されているとする(図69AのステップS1404参照)。また、最新の位置情報だけではなく、直近の所定数フレーム分の位置情報がワークRAM203に保持されているとする。ステップS3101の処理において、サブCPU201は、現在管理されている全てのIDについて、ワークRAM203において対応付けられた位置情報を参照し、最新の位置情報(時刻TN+1における遊技球の位置)と、所定数(=K、例えば、1)フレームに相当する時間だけ前の位置情報(時刻TN+1―Kにおける遊技球の位置)とに基づいて、K(例えば、1)フレームに相当する時間が経過する間に遊技球が移動した距離を算出する。
第3実施形態で説明したように、球位置画像においてX軸及びY軸により規定される座標系(図67参照)を設定すると、遊技球の位置情報は、X軸座標の値及びY軸座標の値で表される。ここでは、ID(1)の遊技球について、時刻TN+1―Kにおける位置を(X1,Y1)と表し、時刻TN+1における遊技球の位置を(X2,Y2)と表すこととする。一方で、第3実施形態で説明したように、球位置画像に含まれる遊技球の大きさは、遊技球の位置(CCDカメラ1000からの距離の遠近、すなわち、Y軸座標の値)に応じて異なっている(図66参照)。従って、球位置画像における(X1,Y1)と(X2,Y2)との距離は、遊技盤12(遊技領域12a)上で遊技球が実際に移動した距離とは一致しないことになる。
そこで、ステップS3101の処理において、サブCPU201は、球位置画像における位置座標(X1,Y1)及び(X2,Y2)を、遊技領域12aにおける位置座標に変換する。第3実施形態で説明したように、遊技領域12aは、二次元平面上に形成されるため、当該二次元平面においてx軸及びy軸により規定される座標系(図89参照)を設定すると、遊技領域12aにおける遊技球の位置は、x軸座標の値及びy軸座標の値で表される。球位置画像における位置座標と遊技領域12aにおける位置座標とは、一対一に対応しており、球位置画像における位置座標(X1,Y1)に対応する遊技領域12aにおける位置座標を(x1,y1)とし、球位置画像における位置座標(X2,Y2)に対応する遊技領域12aにおける位置座標を(x2,y2)とする。サブCPU201は、所定の関数に基づいて、球位置画像における位置座標(X1,Y1)及び(X2,Y2)を、それぞれ、遊技領域12aにおける位置座標(x1,y1)及び(x2,y2)に変換する。そして、サブCPU201は、変換後の位置座標に基づいて、(x1,y1)と(x2,y2)との距離を算出する。(x1,y1)は、時刻TN+1―Kの時点で遊技領域12aにおいて実際に遊技球が存在する位置を示しており、(x2,y2)は、時刻TN+1の時点で遊技領域12aにおいて実際に遊技球が存在する位置を示している。従って、(x1,y1)と(x2,y2)との距離は、時刻TN+1―Kから時刻TN+1までの間に(K(例えば、1)フレームに相当する時間が経過する間に)遊技球が実際に移動した距離を示している。サブCPU201は、このような移動距離を、現在管理されている全てのIDの遊技球について算出する。
図89では、K=1の場合の例として、遊技領域12aの形成される二次元平面においてx軸及びy軸により規定される座標系を設定した場合において、ID(1)の遊技球が時刻TN(1フレーム目の画像の撮影タイミング)から時刻TN+1(2フレーム目の画像の撮影タイミング)までの間に(1フレームに相当する時間が経過する間に)、(x1,y1)から(x2,y2)まで移動した様子を示している。この場合における遊技球の移動距離も併せて示している。
ステップS3101の処理を実行した後、サブCPU201は、各IDの遊技球について算出した移動距離のうち、所定の距離を超えているものが存在するか否かを判断する(ステップS3102)。所定の距離は、K(例えば、1)フレームに相当する時間に遊技球が移動可能な距離であり、パチンコ遊技機1における遊技盤12の構造等に応じて予め設定されている。当該パチンコ遊技機1において実験を行うことにより、所定の距離を決定することとしてもよい。
移動距離が所定の距離を超えている遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、エラー報知を行う(ステップS3103)。この処理において、サブCPU201は、遊技球の移動距離が所定の距離を超えたことを示す長距離移動発生信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、遊技球の移動距離が所定の距離を超えたことを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、遊技球の移動距離が所定の距離を超えたことを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、遊技球の移動距離が所定の距離を超えたことを示す長距離移動発生信号を送信する。
ステップS3102において移動距離が所定の距離を超えている遊技球が存在しないと判断した場合、又は、ステップS3103の処理を実行した後、サブCPU201は、各遊技球の移動速度を検出する(ステップS3104)。この処理において、サブCPU201は、ステップS3101で変換した位置座標(遊技領域12aにおける位置座標)に基づいて、時刻TN+1―Kから時刻TN+1までの間の各IDの遊技球の移動速度を算出する。当該速度は、x軸方向の成分及びy軸方向の成分を有している。x軸方向の成分は、x軸方向の変位(x1→x2)を、当該変位に要した時間(K(例えば、1)フレームに相当する時間)で除することによって得られる。y軸方向の成分は、y軸方向の変位(y1→y2)を、当該変位に要した時間(K(例えば、1)フレームに相当する時間)で除することによって得られる。
次に、サブCPU201は、各IDの遊技球について算出した移動速度のうち、所定の速度を超えているものが存在するか否かを判断する(ステップS3105)。この処理において、サブCPU201は、各IDについて、ステップS3104で算出した速度のx軸方向の成分及びy軸方向の成分が、それぞれ、所定範囲外であるか否かを判断する。本実施形態において、x軸方向の成分に対する所定範囲と、y軸方向の成分に対する所定範囲とは、それぞれ別個に設定されている。x軸方向の成分に対する所定範囲をx軸方向速度許容範囲と呼び、y軸方向の成分に対する所定範囲をy軸方向速度許容範囲と呼ぶこととする。x軸方向速度許容範囲は、速度のx軸方向の成分のとり得る値の範囲(下限値〜上限値の範囲)であり、y軸方向速度許容範囲は、速度のy軸方向の成分のとり得る値の範囲(下限値〜上限値の範囲)である。これらの範囲は、パチンコ遊技機1における遊技盤12の構造等に応じて予め設定されている。当該パチンコ遊技機1において実験を行うことにより、これらの範囲を決定することとしてもよい。ステップS3105の処理において、サブCPU201は、少なくとも何れか一のIDについて、ステップS3104で算出した速度のx軸方向の成分とy軸方向の成分とのうちの少なくとも何れかが許容範囲外にあれば、移動速度が所定の速度を超えている遊技球が存在すると判断する。
移動速度が所定の速度を超えている遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、エラー報知を行う(ステップS3106)。この処理において、サブCPU201は、遊技球の移動速度が所定の速度を超えたことを示す高速移動発生信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、遊技球の移動速度が所定の速度を超えたことを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、遊技球の移動速度が所定の速度を超えたことを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、遊技球の移動速度が所定の速度を超えたことを示す高速移動発生信号を送信する。
ステップS3105において移動速度が所定の速度を超えている遊技球が存在しないと判断した場合、又は、ステップS3106の処理を実行した後、サブCPU201は、各遊技球の加速度を検出する(ステップS3107)。本サブルーチンが1回実行されるごとに、サブCPU201は、ステップS3104の処理において、直近のK(例えば、1)フレームに相当する時間における遊技球の移動速度を算出する。そして、本サブルーチンが実行されるごとに算出された遊技球の移動速度は、当該遊技球のIDと対応付けて、ワークRAM203に累積的に記憶されている。従って、ワークRAM203に累積的に記憶された速度は、各遊技球の速度の変遷を示すものであり、サブCPU201は、時間の経過と速度の変化との関係を認識することができる。これにより、サブCPU201は、単位時間当たりの速度の変化量を求めることにより、各遊技球の加速度を算出することができる。なお、速度と同様、加速度も、x軸方向の成分及びy軸方向の成分を有している。
次に、サブCPU201は、各IDの遊技球について算出した加速度のうち、所定の加速度を超えているものが存在するか否かを判断する(ステップS3108)。この処理において、サブCPU201は、各IDについて、ステップS3107で算出した加速度のx軸方向の成分及びy軸方向の成分が、それぞれ、所定範囲外であるか否かを判断する。本実施形態において、x軸方向の成分に対する所定範囲と、y軸方向の成分に対する所定範囲とは、それぞれ別個に設定されている。x軸方向の成分に対する所定範囲をx軸方向加速度許容範囲と呼び、y軸方向の成分に対する所定範囲をy軸方向加速度許容範囲と呼ぶこととする。x軸方向加速度許容範囲は、加速度のx軸方向の成分のとり得る値の範囲(下限値〜上限値の範囲)であり、y軸方向加速度許容範囲は、加速度のy軸方向の成分のとり得る値の範囲(下限値〜上限値の範囲)である。これらの範囲は、パチンコ遊技機1において実験を行うことにより決定することができるが、y軸方向は鉛直方向(下向き)と一致するため、y軸方向加速度許容範囲には、重力が大きく影響することになる。ステップS3108の処理において、サブCPU201は、少なくとも何れか一のIDについて、ステップS3107で算出した加速度のx軸方向の成分とy軸方向の成分とのうちの少なくとも何れかが許容範囲外にあれば、所定の加速度を超えている遊技球が存在すると判断する。なお、遊技球は、遊技盤12に設けられた各種構造物(釘等)に衝突しながら転動するところ、これらの構造物と衝突した直後のy軸方向加速度は、大きなマイナス(鉛直方向上向き)の値(許容範囲外の値)となり得る。そこで、このようなy軸方向加速度は、判断対象から外すことが望ましい。遊技球がこのような構造物と衝突する際には、速度のy軸方向の成分がプラスの値からマイナスの値へと変化するため、サブCPU201は、速度のy軸方向の成分に基づいて、遊技球が構造物と衝突したことを認識することが可能であり、それに伴うy軸方向加速度の変化を判断対象外とすることができる。
所定の加速度を超えている遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、エラー報知を行う(ステップS3109)。この処理において、サブCPU201は、加速度が異常となったことを示す異常加速度発生信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、加速度が異常となったことを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、加速度が異常となったことを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、加速度が異常となったことを示す異常加速度発生信号を送信する。
ステップS3108において所定の加速度を超えている遊技球が存在しないと判断した場合、又は、ステップS3109の処理を実行した後、サブCPU201は、各遊技球の移動方向を検出する(ステップS3110)。この処理において、サブCPU201は、各遊技球の移動方向が鉛直方向下向きと鉛直方向上向きの何れであるかを判定する。具体的に、サブCPU201は、ステップS3101で変換した位置座標(遊技領域12aにおける位置座標)に基づいて、各IDの遊技球について、時刻TN+1―Kにおける位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y1)と、時刻TN+1における位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y2)とを比較する。時刻TN+1における位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y2)の方が時刻TN+1―Kにおける位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y1)よりも大きければ、当該IDの遊技球の移動方向は、鉛直方向下向きであると判定する。逆に、時刻TN+1における位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y2)の方が時刻TN+1―Kにおける位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y1)よりも小さければ、当該IDの遊技球の移動方向は、鉛直方向上向きであると判定する。遊技球の移動方向が鉛直方向下向きと鉛直方向上向きの何れであるかを判定するための方法としては、この方法に限定されず、例えば、ステップS3101で変換した位置座標(遊技領域12aにおける位置座標)ではなく、変換前の位置座標(球位置画像における位置座標)をそのまま用いて、時刻TN+1―Kにおける遊技球の位置のY軸座標の値と、時刻TN+1における遊技球の位置のY軸座標の値とを比較することとしてもよい。また、ステップS3104で算出した速度のy軸方向の成分がプラスの値であれば、遊技球の移動方向が鉛直方向下向きであると判定し、当該速度のy軸方向の成分がマイナスの値であれば、遊技球の移動方向が鉛直方向上向きであると判定することとしてもよい。
次に、サブCPU201は、移動方向が異常な遊技球が存在するか否かを判断する(ステップS3111)。この処理において、サブCPU201は、何れかの遊技球の移動方向が鉛直方向上向きであれば、移動方向が異常な遊技球が存在すると判断する。なお、遊技球が玉放出口41dから遊技領域12aに放出された直後(図39に示す射出領域を通過した直後)は、当該遊技球は、鉛直方向上向きの速度成分を有しているのが正常であり、当該遊技球の移動方向が鉛直方向上向きになるというのは異常ではない。そこで、射出領域を通過してから(新たにIDを割り当てられてから)所定時間が経過していない遊技球については、本処理の対象外とすることが望ましい。
移動方向が異常な(移動方向が鉛直方向上向きである)遊技球が存在すると判断した場合、サブCPU201は、エラー報知を行う(ステップS3112)。この処理において、サブCPU201は、遊技球の移動方向が鉛直方向上向きであることを示す逆流発生信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、遊技球の移動方向が鉛直方向上向きであることを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、遊技球の移動方向が鉛直方向上向きであることを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、遊技球の移動方向が鉛直方向上向きであることを示す逆流発生信号を送信する。なお、遊技球が構造物(釘等)と衝突した際には、遊技球の移動方向が一時的に鉛直方向上向きとなり得るため、遊技球の移動方向が1回鉛直方向上向きとなっただけではエラー報知を行わず、遊技球の移動方向が鉛直方向上向きとなった回数(逆流回数)が特定回数に達した場合(ステップS3114参照)に初めてエラー報知を行うこととしてもよい。
次に、サブCPU201は、移動方向が異常な(移動方向が鉛直方向上向きである)遊技球のIDと対応付けて、逆流回数カウンタの値を1加算する(ステップS3113)。この処理において、サブCPU201は、ワークRAM203に記憶されている逆流回数カウンタの値に1を加えた値を、新たな逆流回数カウンタの値としてワークRAM203に記憶させる。逆流回数は、当該IDの遊技球について、移動方向が鉛直方向上向きとなった回数を示している。なお、ステップS3111において移動方向が鉛直方向下向きであると判断された遊技球については、当該遊技球のIDに対応する逆流回数カウンタの値をクリアすることとしてもよい。このようにすれば、逆流回数は、当該IDの遊技球について、移動方向が鉛直方向上向きとなった連続回数を示すこととなる。
次に、サブCPU201は、遊技球の移動方向が異常であった(鉛直方向上向きとなった)回数が特定回数を超えたか否かを判断する(ステップS3114)。この処理において、サブCPU201は、各遊技球のIDについて、逆流回数カウンタの値が特定回数よりも大きいか否かを判断し、少なくとも一のIDに対応する逆流回数カウンタの値が特定回数よりも大きいと判断した場合、遊技球の移動方向が異常であった(鉛直方向上向きとなった)回数が特定回数を超えたと判断する。
遊技球の移動方向が異常であった(鉛直方向上向きとなった)回数が特定回数を超えたと判断した場合、サブCPU201は、電源断絶が起こるまでエラー報知を継続する(ステップS3115)。この処理において、サブCPU201は、遊技球の移動方向が連続的又は断続的に鉛直方向上向きとなっていることを示す逆流継続信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、遊技球の移動方向が連続的又は断続的に鉛直方向上向きとなっていることを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、遊技球の移動方向が連続的又は断続的に鉛直方向上向きとなっていることを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、遊技球の移動方向が連続的又は断続的に鉛直方向上向きとなっていることを示す逆流継続信号を送信する。
ステップS3111において移動方向が異常な(移動方向が鉛直方向上向きである)遊技球が存在しないと判断した場合、ステップS3114において遊技球の移動方向が異常であった(鉛直方向上向きとなった)回数が特定回数を超えていないと判断した場合、又は、ステップS3115の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
以上、本発明の一実施形態として、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明した。
<付記7>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
ところで、遊技機業界においては、従来、不正な方法により出玉を獲得しようとするゴト行為が知られている。特に、近年では、巧妙に細工された不正行為が多発しており、こうした行為を防止することが望まれている。また、遊技機に不具合が発生した場合、遊技店としては、当該不調をいち早く察知し、適切な対応をとることが求められる。
本発明者は、上述したような遊技球を追跡する技術について鋭意検討を行う過程において、自身の開発した技術を用いることによって遊技機に発生した異常を検出し、不正行為の防止や遊技機の不調への対応に役立てることができるのではないかという考えに想到した。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技機に発生した異常を検出することを目的とする。
この点、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(7−1) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図87のステップS3001の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図87のステップS3004〜ステップS3006の処理を実行するサブCPU201)と、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置に基づいて、所定時間における一の遊技球の移動距離が所定の距離以上であると判定される場合に、遊技球の動きが異常であることを検知する異常検知手段(図88のステップS3101〜ステップS3103の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
一定の時間における遊技球の移動距離は、通常、遊技盤の構造や遊技球の発射速度等に応じて一定の上限値を超えることはないと考えられるところ、一定の時間における遊技球の移動距離がこのような上限値を超える場合には、何らかの異常が発生しており、不正行為が行われていたり、遊技機に不具合が発生したりしている可能性がある。この点、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、所定時間(所定数(K)フレームに相当する時間)における一の遊技球の移動距離(図88のステップS3101で算出される移動距離)が所定の距離以上であると判定される場合に、遊技球の動きが異常であることが検知される(エラー報知が行われる)ように構成されているため、不正行為を防止したり、遊技機の不調に対応したりする機会を提供することができる。
(7−2) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図87のステップS3001の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図87のステップS3004〜ステップS3006の処理を実行するサブCPU201)と、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置に基づいて、所定時間における一の遊技球の移動速度が所定範囲外であると判定される場合に、遊技球の動きが異常であることを検知する異常検知手段(図88のステップS3104〜ステップS3106の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
一定の時間における遊技球の移動速度は、通常、遊技盤の構造や遊技球の発射速度等に応じて一定の範囲内に収まると考えられるところ、一定の時間における遊技球の移動速度がこのような範囲内に収まらない場合には、何らかの異常が発生しており、不正行為が行われていたり、遊技機に不具合が発生したりしている可能性がある。この点、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、所定時間(所定数(K)フレームに相当する時間)における一の遊技球の移動速度(図88のステップS3104で算出される速度のx軸方向の成分及びy軸方向の成分)が所定範囲(x軸方向速度許容範囲及びy軸方向速度許容範囲)外であると判定される場合に、遊技球の動きが異常であることが検知される(エラー報知が行われる)ように構成されているため、不正行為を防止したり、遊技機の不調に対応したりする機会を提供することができる。
特に、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、油等が塗られた不正な遊技球(「油玉」)を用いることにより出玉を獲得しようとするゴト行為(所謂「油玉ゴト」)を防止することが可能である。例えば、従来、遊技球にラードを塗って遊技球の移動速度を遅くすることにより、アタッカへの入賞を狙うゴト行為が知られている。また、近年では、油玉を用いて遊技球の移動速度を上げることにより、所謂電チューやアタッカへの入賞頻度を高めようとするゴト行為も登場している。このような「油玉」を用いたゴト行為では、遊技球の移動速度が通常よりも速かったり遅かったりするところ、所定時間(所定数(K)フレームに相当する時間)における遊技球の移動速度が所定範囲(x軸方向速度許容範囲及びy軸方向速度許容範囲)外となる可能性があり、また、移動距離も所定の距離以上又は所定の距離以下となる可能性がある。この点、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技球の移動速度が上がっていること又は下がっていることを検出することが可能であるため、「油玉」が用いられていることをいち早く察知することができる。例えば、アタッカ付近で極端に移動速度の遅い遊技球が発見された場合には、遊技球にラードが塗られており、当該遊技球は、アタッカに向けて不正に誘導されている可能性がある。また、通常よりも速いスピードで移動している遊技球が散見される場合には、電チューやアタッカへの入賞頻度が不正に高められている可能性がある。このように、通常とは異なるスピードで移動する遊技球が存在することを検出することにより、「油玉ゴト」が行われてしまうことを未然に防止することができる。
第6実施形態では、図88に示すサブルーチンが1回実行されるごとに、直近のKフレームに相当する時間における遊技球の移動距離が算出され、当該サブルーチンが繰り返し実行されるのに伴い、当該移動距離が繰り返し算出される。そして、このようにして得られる移動距離のうち最新の移動距離が所定の距離を超えた場合に、エラー報知が行われる(ステップS3101〜ステップS3103参照)。本発明においては、このようにして繰り返し得られる移動距離のうち、最新の移動距離(最新の1回のサブルーチン実行から得られた移動距離)だけではなく、直近の複数回分の移動距離(例えば、直近の10回のサブルーチン実行から得られた10回分の移動距離)に基づいてエラー報知を行うこととしてもよい。例えば、直近の複数回分の移動距離(例えば、直近の10回のサブルーチン実行から得られた10回分の移動距離)の平均が所定の距離を超えた場合に、エラー報知を行うこととしてもよいし、直近の複数回(例えば、10回)のうち所定の距離を超えている回数が所定割合(例えば、50%)以上である場合に、エラー報知を行うこととしてもよいし、直近の所定回数分の移動距離(例えば、直近の5回のサブルーチン実行から得られた5回分の移動距離)が全て所定の距離を超えている場合に(すなわち、所定回数連続して移動距離が所定の距離を超えた場合に)、エラー報知を行うこととしてもよい。
同様に、第6実施形態では、図88に示すサブルーチンが1回実行されるごとに、直近のKフレームに相当する時間における遊技球の移動速度が算出され、当該サブルーチンが繰り返し実行されるのに伴い、当該移動速度が繰り返し算出される。そして、このようにして得られる移動速度のうち最新の移動速度が所定の速度を超えた場合に、エラー報知が行われる(ステップS3104〜ステップS3106参照)。本発明においては、このようにして繰り返し得られる移動速度のうち、最新の移動速度(最新の1回のサブルーチン実行から得られた移動速度)だけではなく、直近の複数回分の移動速度(例えば、直近の10回のサブルーチン実行から得られた10回分の移動速度)に基づいてエラー報知を行うこととしてもよい。例えば、直近の複数回分の移動速度(例えば、直近の10回のサブルーチン実行から得られた10回分の移動速度)の平均が所定の速度を超えた場合に、エラー報知を行うこととしてもよいし、直近の複数回(例えば、10回)のうち所定の速度を超えている回数が所定割合(例えば、50%)以上である場合に、エラー報知を行うこととしてもよいし、直近の所定回数分の移動速度(例えば、直近の5回のサブルーチン実行から得られた5回分の移動速度)が全て所定の速度を超えている場合に(すなわち、所定回数連続して移動速度が所定の速度を超えた場合に)、エラー報知を行うこととしてもよい。
同様に、第6実施形態では、図88に示すサブルーチンが1回実行されるごとに、直近のKフレームに相当する時間における遊技球の加速度が算出され、当該サブルーチンが繰り返し実行されるのに伴い、当該加速度が繰り返し算出される。そして、このようにして得られる加速度のうち最新の加速度が所定の加速度を超えた場合に、エラー報知が行われる(ステップS3107〜ステップS3109参照)。本発明においては、このようにして繰り返し得られる加速度のうち、最新の加速度(最新の1回のサブルーチン実行から得られた加速度)だけではなく、直近の複数回分の加速度(例えば、直近の10回のサブルーチン実行から得られた10回分の加速度)に基づいてエラー報知を行うこととしてもよい。例えば、直近の複数回分の加速度(例えば、直近の10回のサブルーチン実行から得られた10回分の加速度)の平均が所定の加速度を超えた場合に、エラー報知を行うこととしてもよいし、直近の複数回(例えば、10回)のうち所定の加速度を超えている回数が所定割合(例えば、50%)以上である場合に、エラー報知を行うこととしてもよいし、直近の所定回数分の加速度(例えば、直近の5回のサブルーチン実行から得られた5回分の加速度)が全て加速度を超えている場合に(すなわち、所定回数連続して加速度が所定の加速度を超えた場合に)、エラー報知を行うこととしてもよい。
また、第6実施形態では、遊技球の移動距離が所定の距離を超えること、遊技球の速度が所定の速度を超えること、及び、遊技球の加速度が所定の加速度を超えること、という3つの条件のうちの1つの条件さえ成立すれば、エラー報知が行われることとして説明した。しかし、本発明においては、移動距離に関する条件、速度に関する条件、及び、加速度に関する条件のうちの2つ又は3つ全ての条件が成立した場合にエラー報知を行うように構成してもよい。
また、本発明において、「所定の速度」(速度の許容範囲、図88のステップS3105参照)は、遊技領域における遊技球の存在位置に応じて(遊技球の描く軌道に対応させて)、異ならせてもよい。例えば、遊技球が玉放出口41dから遊技領域12aに放出された直後(図39に示す射出領域を通過した直後)には、当該遊技球は、鉛直方向上向きの速度成分を有して移動するのに対し、落下を開始した遊技球は、基本的には鉛直方向下向きの速度成分を有して移動することになる。すなわち、遊技球が玉放出口41dから遊技領域12aに放出された直後は、遊技球が重力に抗して上方向に進む勢いがあるため、遊技球は、遊技領域12aの上部に滞留する(釘やその他の構造物に当たって跳ね返り、下に落ちてくるまでに時間がかかる)と考えられる。一方、その後は時間の経過に伴って、重力の作用により下向きの速度が増し、遊技球は自由落下するものと想定される。このことに対応させて、遊技球が射出領域から一定の範囲内にある場合(あるいは、射出領域でIDを割り当てられてからの経過時間が所定時間未満の場合)と、遊技球が当該範囲外にある場合(あるいは、射出領域でIDを割り当てられてからの経過時間が所定時間以上の場合)とで、速度のy軸方向の成分のとり得る値の範囲(下限値及び上限値)を異ならせてもよい。具体的には、図89に示すようなxy座標系を設定したと仮定して、遊技球が射出領域を基準とした一定の範囲外にある場合(射出領域でIDを割り当てられてからの経過時間が所定時間以上の場合)、遊技球が当該範囲内にある場合(射出領域でIDを割り当てられてからの経過時間が所定時間未満の場合)よりも、速度のy軸方向の成分のとり得る値の上限値(下限値)が大きくなるように、y軸方向速度許容範囲を設定することが可能である。これにより、上記のような遊技領域に放出されてから自由落下するまでの遊技球の動きを適切に管理することができる。
また、一の遊技球に対する速度の許容範囲は、前回のサブルーチンにおいて算出した当該遊技球の速度(図88のステップS3104参照)と、前回のサブルーチンにおいて算出した当該遊技球の加速度(図88のステップS3107)とによって随時決定されるように構成してもよい。すなわち、一の遊技球について、前回のサブルーチンにおいて算出した速度のx軸方向の成分をvx、加速度のx軸方向の成分をax、前回のサブルーチンから今回のサブルーチンまでの時間間隔(図88の処理が実行される時間間隔)をt(例えば、4ms)とすると、今回のサブルーチンにおいて算出されるであろう速度のx軸方向の成分は、その間における加速度が一定である(遊技球の運動が等加速度運動である)と仮定して、概ね、vx+ax×t程度であると予想される。このような予想値(vx+ax×t)を基準として、今回のサブルーチンにおいて算出される速度の許容範囲を算出することとしてもよい。例えば、下限値が(vx+ax×t−αx)であり、上限値が(vx+ax×t+βx)であるような範囲を、x軸方向速度許容範囲として設定することができる。同様に、一の遊技球について、前回のサブルーチンにおいて算出した速度のy軸方向の成分をvy、加速度のy軸方向の成分をay、前回のサブルーチンから今回のサブルーチンまでの時間間隔(図88の処理が実行される時間間隔)をt(例えば、4ms)として、下限値が(vy+ay×t−αy)であり、上限値が(vy+ay×t+βy)であるような範囲を、y軸方向速度許容範囲として設定することができる。αx、βx、αy、及び、βyは、それぞれ、予め定められる値であり、実験等により算出することが可能である。特に、x軸方向への遊技球の運動は、遊技球と遊技盤12等との摩擦を無視すると、等速度運動であると仮定することができ、そうすると、速度のx軸方向の成分の上記予想値は、前回と同じ値(vx)になる。そこで、x軸方向速度許容範囲として、下限値が(vx−αy)であり上限値が(vx+βy)であるような範囲を設定することも可能である。
また、第6実施形態では、球位置画像における位置座標が遊技領域12aにおける位置座標に変換されることとして説明した(図88のステップS3101参照)。しかし、本発明において、このような座標変換は必ずしも行われなくてもよい。座標変換を行わない場合には、移動距離の上限値(ステップS3102参照)や速度の許容範囲(ステップS3105参照)や加速度の許容範囲(ステップS3108参照)を、球位置画像における座標系(図67に示すXY座標系)に対応させて設定すればよい。例えば、移動距離が上限値を超えているか否かを判断するためには、前回フレーム画像(時刻TN+1―K)における遊技球の位置を基準として、当該位置からの距離が当該上限値以下となるような範囲(図67に示すような範囲)を設定し、今回フレーム画像(時刻TN+1)における遊技球の位置が当該範囲内か否かを判断することとしてもよい。その場合には、図67と同様に、当該範囲は、前回フレーム画像(時刻TN+1―K)における遊技球の位置のY軸座標の値に応じた大きさにするとよい。
<付記8>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
ところで、遊技機業界においては、従来、不正な方法により出玉を獲得しようとするゴト行為が知られている。特に、近年では、巧妙に細工された不正行為が多発しており、こうした行為を防止することが望まれている。また、遊技機に不具合が発生した場合、遊技店としては、当該不調をいち早く察知し、適切な対応をとることが求められる。
本発明者は、上述したような遊技球を追跡する技術について鋭意検討を行う過程において、自身の開発した技術を用いることによって遊技機に発生した異常を検出し、不正行為の防止や遊技機の不調への対応に役立てることができるのではないかという考えに想到した。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技機に発生した異常を検出することを目的とする。
この点、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(8−1) 遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図87のステップS3001の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図87のステップS3004〜ステップS3006の処理を実行するサブCPU201)と、
一の遊技球について、一の時刻に対応するフレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置と、該一の時刻よりも後の時刻に対応するフレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置とを比較して、該一の時刻から該一の時刻よりも後の時刻までの間における該一の遊技球の位置変化が、通常の遊技球の流下では起こり得ない逆流に相当するか否かを判断する逆流検知手段(図88のステップS3107、ステップS3108、ステップS31110、ステップS3111、ステップS3113、及び、ステップS3114の処理を実行するサブCPU201)と、
前記逆流検知手段による判断結果に基づいて、遊技球の動きが異常であることを検知することが可能な異常検知手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
遊技球が遊技領域を移動する際、遊技球には重力が作用するところ、遊技球が重力に逆らって移動している場合には、何らかの異常が発生しており、不正行為が行われていたり、遊技機に不具合が発生したりしている可能性がある。そして、遊技球が通常に流下している際には起こり得ない態様で逆流(遊技球の鉛直方向上向きへの移動)が発生していれば、遊技球は、重力に逆らって移動している可能性がある。この点、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、一の時刻(時刻TN+1―K)に対応するフレーム画像に含まれる一の遊技球の位置(例えば、図89に示す(x1,y1)に対応する位置)と、該一の時刻よりも後の時刻(時刻TN+1)に対応するフレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置(例えば、図89に示す(x2,y2)に対応する位置)とを比較して、該一の時刻(時刻TN+1―K)から該一の時刻よりも後の時刻(時刻TN+1)までの間における該一の遊技球の位置変化が、通常の遊技球の流下では起こり得ない逆流に相当するか否かが判断される。これにより、遊技球が重力に逆らって移動していることを検出することが可能であり、当該検出結果に基づいて遊技球の動きが異常であることを検知することができる。これにより、不正行為を防止したり、遊技機の不調に対応したりする機会を提供することができる。
第6実施形態では、移動方向が異常な(移動方向が鉛直方向上向きである)遊技球が存在すれば、遊技球の動きが異常であることが検知される(エラー報知が行われる)こととして説明した(図88のステップS3111及びステップS3112参照)。しかし、本発明において、エラー報知が行われるための条件としては、単に移動方向が鉛直方向上向きであるような遊技球が存在することだけでは足りず、より限定的な条件が成立した場合に、エラー報知を行うこととしてもよい。例えば、鉛直方向上向きの移動距離が所定の距離以上であるような遊技球が存在することを条件として、エラー報知を行うこととしてもよい。一の遊技球の鉛直方向上向きの移動距離は、時刻TN+1―Kにおける当該遊技球の位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y1)と、時刻TN+1における当該遊技球の位置のy軸座標の値(図89に示す例では、y2)との差として、算出することが可能である(図88のステップS3110参照)。また、鉛直方向上向きへの移動時間が所定時間以上であるような遊技球が存在することを条件として、エラー報知を行うこととしてもよい。鉛直方向上向きへの移動時間が所定時間以上であることは、移動方向が鉛直方向上向きとなることが所定回数連続することと同義であり、図88のステップS3113で説明した方法により判定することが可能である。このような鉛直方向上向きの移動距離に関する条件と、鉛直方向上向きへの移動回数に関する条件とは、それぞれ単独で用いてもよいし、双方の条件を組み合わせることとしてもよい。例えば、鉛直方向上向きの移動距離が所定の距離以上となることが所定回数連続するような遊技球が存在することを条件として、エラー報知を行うといったことも可能である。
このように、鉛直方向上向きの移動距離に関する条件や、鉛直方向上向きへの移動回数に関する条件を適宜設定することにより、「通常の遊技球の流下では起こり得ない逆流」を検出することができる。ここで、「通常の遊技球の流下では起こり得ない逆流」とは、「逆流」のうち、「通常の遊技球の流下で起こり得る逆流」を除外したものを指す。「逆流」とは、遊技球が鉛直方向上向きに移動することである。遊技球が通常に流下している際に逆流が生じる場合としては、上述したように、遊技球が何らかの構造物(釘等)と衝突した際に遊技球の移動方向が一時的に鉛直方向上向きとなる場合や、上下方向に傾斜し高低差を有する面(例えば、遊技球を始動口へと誘導するための所謂ステージ)上を遊技球が上向きに転動する場合等を挙げることができる。このような「通常の遊技球の流下で起こり得る逆流」においては、鉛直方向上向きの移動距離や鉛直方向上向きへの移動回数が、遊技機(遊技盤)の構造に応じて一定の範囲内に収まると考えられるところ、当該範囲は、実験を行うことにより求めることができる。本発明においては、このようにして求められる範囲を予め設定しておき、当該範囲内に収まらない「逆流」を「通常の遊技球の流下では起こり得ない逆流」として検出するように構成することが可能である。
あるいは、遊技球が遊技領域を流下する際、遊技球には重力が作用するところ、加速度のy軸方向の成分は、基本的に重力加速度(又はそれに近い値)に一致し、遊技球が遊技領域を流下している間略一定であると考えられる。厳密には、遊技盤や遊技盤に設けられた構造物と遊技球との間に発生する摩擦や空気抵抗に起因して、加速度のy軸方向の成分の値は重力加速度に一致しない可能性があるが、当該値は、遊技機(遊技盤)の構造に応じて一定の範囲内に収まると考えられ、このような加速度のy軸方向の成分がとり得る値の範囲(y軸方向加速度許容範囲)は、実験を行うことにより求めることができる。本発明においては、このようにして求められるy軸方向加速度許容範囲を予め設定しておき、加速度のy軸方向の成分が当該許容範囲外となる場合に、「通常の遊技球の流下では起こり得ない逆流」が発生した旨判定するように構成することとしてもよい。
(8−2) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(例えば、遊技盤12)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図87のステップS3001の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図87のステップS3004〜ステップS3006の処理を実行するサブCPU201)と、
一の時刻に対応するフレーム画像に含まれる一の遊技球の位置と、該一の時刻よりも後の時刻に対応するフレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置とに基づいて、該一の時刻から該一の時刻よりも後の時刻までにおける該一の遊技球の移動方向を検出する移動方向検出手段(図88のステップS3110の処理を実行するサブCPU201)と、
前記移動方向検出手段により検出された遊技球の移動方向に基づいて、遊技球の動きが異常であることを検知することが可能な異常検知手段(図88のステップS3111〜ステップS3115の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
遊技球が遊技領域を移動する際、遊技球が通常辿り得るルートは概ね決まっており、遊技球がこのルートから外れて移動している場合には、何らかの異常が発生しており、不正行為が行われていたり、遊技機に不具合が発生したりしている可能性がある。この点、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、一の時刻(時刻TN+1―K)に対応するフレーム画像に含まれる一の遊技球の位置(例えば、図89に示す(x1,y1)に対応する位置)と、該一の時刻よりも後の時刻(時刻TN+1)に対応するフレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置(例えば、図89に示す(x2,y2)に対応する位置)とに基づいて、該一の時刻(時刻TN+1―K)から該一の時刻よりも後の時刻(時刻TN+1)までにおける該一の遊技球の移動方向(鉛直方向下向き又は鉛直方向上向き)が検出される。これにより、当該遊技球の移動方向が通常と異なる(鉛直方向上向きである)場合に、遊技球の動きが異常であることを検知することが可能であるため、不正行為を防止したり、遊技機の不調に対応したりする機会を提供することができる。
特に、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、所謂「糸付き玉ゴト」を防止することが可能である。すなわち、糸が付けられた不正な遊技球(「糸付き玉」)が用いられている場合には、遊技球の移動方向が通常と異なる(特に、重力に逆らって遊技球の位置が上昇する)可能性がある。第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技球の移動方向が鉛直方向上向きとなっていることを検出することが可能であるため、「糸付き玉」が用いられていることをいち早く察知することができる。例えば、糸付き玉を用いたゴト行為では、糸の付けられた遊技球を上皿から入れ、当該遊技球を発射装置で発射させて、当該遊技球が入賞装置を通った後に糸を引っ張ることにより、当該遊技球が入賞検知用のセンサの設置箇所を行ったり来たりするように操作される(遊技球を発射しなくても、入賞検知がなされる)。遊技球が当該センサの設置箇所を行ったり来たりする際には、遊技球が下向きに移動した後上向きに移動するという動作が繰り返されるところ、第6実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、このような遊技球の不自然な動作(上向きの移動)を検知することができる。これにより、「糸付き玉ゴト」が行われてしまうことを未然に防止することができる。
また、上述した「ぶどうゴト」においては、複数の遊技球が、一定の時間を隔てて、同様の軌跡を描きながら、「ぶどう」から始動領域等へと、繰り返し移動する可能性がある。この点、一の遊技球の移動軌跡を基準とした所定範囲内に、他の複数の遊技球の移動軌跡が含まれる場合には、これらの遊技球の移動軌跡が全て当該所定範囲に属することになり、これらの遊技球の移動軌跡が類似していると見なすことが可能である。ここで、遊技球の移動軌跡は、微小時間における移動に細分化することができる。こうした「微小時間における移動」は、所定数フレーム(図88では、Kフレーム)間における遊技球の移動方向を示すベクトル(図89の例では、(x1,y1)を始点とし(x2,y2)を終点とするベクトル)として表される。遊技球の移動軌跡は、このような移動方向(ベクトル)を多数連結したものとなる。従って、一の遊技球の移動軌跡を基準とした所定範囲内に、他の複数の遊技球の移動方向(ベクトル)が含まれていれば、これらの遊技球は、同様の軌跡を描いて移動していることになる。以上より、各遊技球の移動方向(ベクトル)を検出し、当該移動方向(ベクトル)が当該所定範囲に含まれるか否かの判断を行うようにすれば、これらの遊技球が同様の軌跡を描いていることを検出することが可能である。これにより、「ぶどうゴト」が行われようとしている状況を発見し、ゴト行為が完遂してしまうことを防止する機会を得ることができる。
[第7実施形態]
以上、第1実施形態〜第6実施形態について説明した。以下、第7実施形態について説明する。第7実施形態に係るパチンコ遊技機1の基本的な構成は、第1実施形態〜第6実施形態に係るパチンコ遊技機1と同じである。以下においては、第1実施形態〜第6実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。また、第1実施形態〜第6実施形態における説明が第7実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
第1実施形態では、V入賞を実現するための構成について、第2大入賞口54の内部に特定領域38Aと非特定領域38Bとが設けられており(図5参照)、変位部材39の姿勢を変化させることによって、特定領域38Aへの遊技球のV入賞が容易な状態と当該V入賞が不可能又は困難な状態との間で切り替えることとして説明した。第7実施形態では、V入賞を実現するための構成として、別の構成が採用されている。
<クルーン>
図90は、V入賞を実現するための構成について説明するための図である。図91は、CCDカメラによって撮影された画像に含まれるクルーン及びステージの近傍領域を示す図である。
本実施形態では、図90に示す構成により、V入賞が実現される。具体的には、クルーン3001に孔が4つ設けられており、4つの孔のうち1つが特定領域3038Aを構成している。残りの3つの孔は、非特定領域3038B、3038C、3038Dを構成している。遊技球が特定領域3038Aを通過することにより、「V入賞」となる。
より詳細に説明すると、第2大入賞口54に入賞した遊技球は、図示しない誘導路によって誘導されて、傾斜面3002に到達する。傾斜面3002は、正面視において左から右にかけて下方に傾斜するように形成されている。傾斜面3002に到達した遊技球は、傾斜面3002と連続して形成されたステージ3003へと流下する。
ステージ3003には、遊技球の直径よりも僅かに大きな直径を有する孔が3つ設けられており、3つの孔は、ステージ3003を上下方向に貫通している。これにより、遊技球を下方へと案内する球通路3004(3004a、3004b、3004c)が形成されている。3つの球通路3004のうち、傾斜面3002に最も近いのが球通路3004aであり、傾斜面3002から最も遠いのが球通路3004cであり、球通路3004aと球通路3004cとの間に球通路3004bが設けられている。
ステージ3003の上面は、略平坦であるが、左右方向及び前後方向において若干の傾斜を有するように形成されている。左右方向においては、中央付近(球通路3004bの形成位置)が最も高く、球通路3004aの形成位置及び球通路3004cの形成位置が最も低くなっている。すなわち、ステージ3003の上面は、傾斜面3002から球通路3004aの形成位置までは、右に向かうにつれて下方に傾斜し、球通路3004aの形成位置から球通路3004bの形成位置までは、右に向かうにつれて上方に傾斜し、球通路3004bの形成位置から球通路3004cの形成位置までは、右に向かうにつれて下方に傾斜している。また、前後方向においては、球通路3004bよりも左側では球通路3004aの形成位置が最も低く、球通路3004bよりも右側では球通路3004cの形成位置が最も低くなっている。
これにより、傾斜面3002と連続して形成されたステージ3003へと流下した遊技球は、ステージ3003を転動した後、球通路3004a、3004b、3004cに対応する3つの孔のうちの何れかに必ず入り、ステージ3003の上面に遊技球が停止することのないようになっている。また、球通路3004aの形成位置及び球通路3004cの形成位置よりも球通路3004bの形成位置の方が上方にあることに起因して、球通路3004a及び球通路3004cに対応する2つの孔と比較して、球通路3004bに対応する孔には、遊技球が入りにくくなっている。
球通路3004(3004a、3004b、3004c)は、クルーン3001と連続しており、球通路3004a、3004b、3004cの何れかを通過した遊技球は、クルーン3001へと運ばれる。クルーン3001は、皿状の形状を有しており、周縁から中央にかけて下方に傾斜する構造を備えている。特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038Dは、クルーン3001の中央付近に設けられており、球通路3004からクルーン3001へと運ばれた遊技球は、特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038Dに対応する4つの孔のうちの何れかに必ず入り、クルーン3001上に遊技球が停止することのないようになっている。
特定領域3038A及び非特定領域3038Cは、正面視において、左右方向における位置が、球通路3004bと略一致しており、非特定領域3038Cよりも特定領域3038Aの方が、球通路3004bに近くなっている。非特定領域3038Bは、特定領域3038A及び非特定領域3038Cよりも右側に形成されており、球通路3004cよりも若干左側となっている。非特定領域3038Dは、特定領域3038A及び非特定領域3038Cよりも左側に形成されており、球通路3004aよりも若干右側となっている。また、特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038Dに対応する4つの孔は、遊技球の直径よりも僅かに大きな直径を有しており、4つの孔の大きさは、略等しくなっている。
以上より、遊技球が球通路3004bを通過した場合には、遊技球が球通路3004a又は球通路3004cを通過した場合と比較して、遊技球が特定領域3038Aに入球する確率(V入賞となる確率)が高くなっている。遊技球が球通路3004aを通過した場合と遊技球が球通路3004cを通過した場合とでは、遊技球が特定領域3038Aに入球する確率(V入賞となる確率)は略等しくなっている。また、遊技球が球通路3004bを通過した場合には、遊技球が特定領域3038Aに入球する確率(V入賞となる確率)が、非特定領域3038B、3038C、3038Dに入球する確率よりも高くなっている。
また、遊技球が球通路3004aを通過した場合には、遊技球が球通路3004b又は球通路3004cを通過した場合と比較して、遊技球が非特定領域3038Dに入球する確率が高くなっている。また、遊技球が球通路3004aを通過した場合には、遊技球が非特定領域3038Dに入球する確率が、特定領域3038A、又は、非特定領域3038B、3038Cに入球する確率よりも高くなっている。
また、遊技球が球通路3004cを通過した場合には、遊技球が球通路3004a又は球通路3004bを通過した場合と比較して、遊技球が非特定領域3038Bに入球する確率が高くなっている。また、遊技球が球通路3004cを通過した場合には、遊技球が非特定領域3038Bに入球する確率が、特定領域3038A、又は、非特定領域3038C、3038Dに入球する確率よりも高くなっている。
本実施形態において、第2大入賞口54に入賞してステージ3003に到達した遊技球は、非特定領域3038B又は非特定領域3038Dに最も高い確率(例えば、それぞれ1/3の確率)で入球し、特定領域3038Aに次に高い確率(例えば、1/4の確率)で入球し、非特定領域3038Cに最も低い確率(例えば、1/12の確率)で入球する。各領域への入球確率は、特に限定されず、それぞれ同じ確率(1/4)であってもよい。
なお、図示しないが、特定領域3038Aには、特定領域センサ3380Aが配置されており、特定領域3038Aにおける遊技球の通過(V入賞)は、特定領域センサ3380Aにより検出される。同様に、非特定領域3038B、3038C、3038Dには、それぞれ、非特定領域センサ3380B、3380C、3380Dが配置されており、非特定領域3038B、3038C、3038Dにおける遊技球の通過は、非特定領域センサ3380B、3380C、3380Dにより検知される。
図90に示すように、クルーン3001、球通路3004、及び、ステージ3003は、全て、CCDカメラ1000による撮影範囲に含まれている。クルーン3001、球通路3004、及び、ステージ3003は、透明な部材で構成されたガラス板等で覆われていてもよいが、この場合にも、これらを移動する遊技球は、遊技者から視認可能であり、CCDカメラ1000による撮影から得られた画像にも、遊技球が含まれることになる(図91参照)。
<コマンド解析処理>
第1実施形態では、コマンド解析処理(図26のステップS204参照)として、図29に示す処理が行われることとして説明した。これに対し、第7実施形態では、図92に示す処理が行われる。
図92は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行されるコマンド解析処理を示すフローチャートである。
図92に示すコマンド解析処理は、図29に示すコマンド解析処理と基本的に同じである。概要を説明すると、サブCPU201は、主制御回路70から受信した各種コマンドを解析する(ステップS3501)。第1実施形態では説明しなかったが、主制御回路70から受信するコマンドには、V入賞成功コマンド及びV入賞失敗コマンドが含まれる。V入賞成功コマンドは、V入賞に成功した場合に、主制御回路70から副制御回路200に送信されるコマンドである。V入賞失敗コマンドは、V入賞に失敗した場合に、主制御回路70から副制御回路200に送信されるコマンドである。
具体的に、V入賞に成功した場合(遊技球が特定領域3038Aに入球した場合)には、特定領域3038Aに配置された特定領域センサ3380Aから、主制御回路70へと検知信号が出力される。当該検知信号を受信することにより、主制御回路70のメインCPU71は、V入賞に成功したことを認識する。そして、メインCPU71は、V入賞成功コマンドを生成し、生成したV入賞成功コマンドをメインRAM73の通信データ格納領域に格納する。V入賞成功コマンドには、V入賞に成功したこと(遊技球が特定領域3038Aに入球したこと)を示す情報(V入賞成功情報)が含まれる。
同様に、V入賞に失敗した場合(遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dの何れかに入球した場合)には、非特定領域3038B、3038C、3038Dにそれぞれ配置された非特定領域センサ3380B、3380C、3380Dの何れかから、主制御回路70へと検知信号が出力される。当該検知信号を受信することにより、主制御回路70のメインCPU71は、V入賞に失敗したことを認識する。そして、メインCPU71は、V入賞失敗コマンドを生成し、生成したV入賞失敗コマンドをメインRAM73の通信データ格納領域に格納する。V入賞失敗コマンドには、V入賞に失敗したこと(遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dの何れかに入球したこと)を示す情報(V入賞失敗情報)、及び、非特定領域3038B、3038C、3038Dののうちの何れに遊技球が入球したのかを示す情報が含まれる。
通信データ格納領域に格納されたV入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンドは、コマンド出力処理(図15のステップS35参照)により、副制御回路200に送信される。ここで、コマンド出力処理としては、図62に示す通信データ送信処理と同様の処理が行われる。すなわち、システムタイマ割込処理(図15参照)が所定回数(図62の例では、16回)行われるごとに、メインRAM73の通信データ格納領域に格納されているコマンドが副制御回路200へと送信されることになる。
V入賞成功コマンド及びV入賞失敗コマンドは、以上のようにして、主制御回路70から副制御回路200に送信される。副制御回路200で受信したコマンドは、ワークRAM203に格納される。受信したコマンドがV入賞成功コマンドである場合、サブCPU201は、V入賞に成功したことに対応する演出パターン(図95参照)を決定し、受信したコマンドがV入賞失敗コマンドである場合、サブCPU201は、V入賞に失敗したことに対応する演出パターン(図95参照)を決定する(ステップS3503)。そして、サブCPU201は、決定した演出パターンを登録し(ステップS3505)、本サブルーチンを終了する。
<演出態様決定処理>
第1実施形態では、演出態様決定処理(図26のステップS205参照)として、図30に示す処理が行われることとして説明した。これに対し、第7実施形態では、図93に示す処理が行われる。
図93は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される演出態様決定処理を示すフローチャートである。図94は、特定領域及び非特定領域に対して排出領域が設定されている様子を示す図である。図95は、演出パターン決定テーブルを示す図である。
図93に示す演出態様決定処理において、まず、サブCPU201は、カメラ映像解析処理を実行する(ステップS3601)。カメラ映像解析処理については、第1実施形態〜第6実施形態で詳細に説明した通りであるため、ここでの説明は省略する。
次に、サブCPU201は、V入賞に成功している場合(遊技球が特定領域3038Aに入球した場合)又はV入賞に失敗している場合(遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dに入球した場合)に、V入賞の成功又は失敗に応じた演出パターンを選択し、選択した演出パターンをワークRAM203に格納されたゲームデータに反映(登録)させる(ステップS3602)。
この処理において、サブCPU201は、ステップS3601の処理結果に基づいて、遊技球が何れかのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球したか否かを判断する。本実施形態においては、各V入賞用領域に対して、当該V入賞用領域の近傍における所定範囲内の領域が排出領域(図39参照)として設定されている(図94参照)。従って、遊技球が何れかのV入賞用領域に入球した場合、サブCPU201は、図42のステップS307において「YES」の判断を行う(すなわち、遊技球が排出領域に属することを示す情報(排出直前フラグ)がセットされていると判断する)ことになる。ここで、遊技球がV入賞用領域に対して設定された排出領域に属する場合にセットされる排出直前フラグには、遊技球が何れのV入賞用領域に対して設定された排出領域に属するのかを示す情報(V入賞用領域情報)が対応付けられている。当該V入賞用領域情報に基づいて、サブCPU201は、遊技球が何れかのV入賞用領域に入球したか否かを判断することができるとともに、遊技球が何れかのV入賞用領域に入球したと判断した場合には、遊技球の入球したV入賞用領域が特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038Dのうちの何れの領域であるのかを認識することができる。
そして、遊技球が何れかのV入賞用領域に入球したと判断した場合、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されている演出パターン決定テーブル(図95参照)に基づいて、入球したV入賞用領域に応じた演出パターンを選択する。図95に示す演出パターン決定テーブルにおいては、V入賞用領域ごとに、乱数値の範囲と演出パターンとが対応付けて規定されている。演出パターンには、V入賞の成功又は失敗に応じた演出内容を示す情報が含まれている。V入賞の成功に応じた演出(V入賞の成功を示唆する演出)としては、4種類のV入賞成功演出(V入賞成功演出1〜4)が設けられ、V入賞の失敗に応じた演出(V入賞の失敗を示唆する演出)としては、4種類のV入賞失敗演出(V入賞失敗演出1〜4)が設けられている。
例えば、特定領域3038Aに入球した場合において、取得された乱数値が100である場合には、演出パターンとして「EN1」が選択される。演出パターン「EN1」は、V入賞成功演出1に対応している。また、例えば、非特定領域3038Cに入球した場合において、取得された乱数値が500である場合には、演出パターンとして「EN10」が選択される。演出パターン「EN10」は、V入賞失敗演出1に対応している。
図95に示すように、遊技球が特定領域3038Aに入球した場合には、V入賞成功演出(V入賞成功演出1〜4の何れか)に対応する演出パターンが必ず選択される。また、遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dのうちの何れかに入球した場合には、V入賞失敗演出(V入賞失敗演出1〜4の何れか)に対応する演出パターンが必ず選択される。
図93のステップS3602において、遊技球が何れのV入賞用領域にも入球していないと判断した場合、又は、遊技球が何れかのV入賞用領域に入球したと判断した場合において選択した演出パターン(図95参照)を登録した後、サブCPU201は、ステップS3603〜ステップS3606の処理を実行する。これらの処理は、図30のステップS262〜ステップS265の処理と同様の処理であるため、詳細な説明は省略するが、サブCPU201は、ステップS3602で登録した演出パターン及び図92のステップS3505で登録した演出パターンに応じて、各種演出装置(液晶表示装置13、スピーカ11、LED59、及び、各種可動役物等)を制御するためのリクエスト(描画リクエスト、サウンドリクエスト、ランプリクエスト、及び、役物リクエスト)を生成する。これらのリクエストに基づいて、各種演出装置が制御され、V入賞の成否に応じた演出等、各種演出が行われることになる(図26のステップS206〜ステップS209参照)。
なお、以上で説明したように、V入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)への入球に応じた演出パターンとしては、受信したコマンド(V入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンド)に基づいて演出パターンを登録する場合(図92のステップS3505参照)と、カメラ映像解析処理の結果に基づいて演出パターンを登録する場合(図93のステップS3602参照)とがある。ここで、遊技球がV入賞用領域に入球してから当該入球に応じた演出パターンが登録されるまでの時間は、受信したコマンドに基づいて演出パターンを登録する場合(図92のステップS3505参照)よりも、カメラ映像解析処理の結果に基づいて演出パターンを登録する場合(図93のステップS3602参照)の方が短くなる。
具体的に説明すると、上述したように、本実施形態では、主制御回路70においてシステムタイマ割込処理(図15参照)が所定回数行われるごとに、副制御回路200にコマンドが送信される。例えば、システムタイマ割込処理が2ms間隔で行われ、上記所定回数=16回(図62のステップS1055参照)とすると、コマンドは、32ms間隔で送信されることになる。従って、遊技球が何れかのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球してから、V入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンドに応じた演出パターン(図92のステップS3505参照)が登録されるまで、最大で32ms程度の遅延が発生することとなる。
これに対し、副制御回路200における副制御メイン処理(図26参照)の時間間隔を4msとすると、カメラ映像解析処理(図93のステップS3601参照)の時間間隔も4msである。ここで、CCDカメラ1000のフレームレートを250fps(CCDカメラ1000によるフレーム画像の取得間隔=4ms)とすると、サブCPU201は、カメラ映像解析処理を1回行うごとに、CCDカメラ1000から最新のフレーム画像を1つ取得する(図31のステップS281参照)。その後の前後フレーム間差分抽出(図31のステップS284参照)に基づく遊技球の追跡(図42のステップS304参照)では、1フレームに相当する時間(4ms)だけ前の遊技球の位置を特定することになるため(図33参照)、遊技球がV入賞用領域に対して設定された排出領域を通過してから、サブCPU201がそのことを認識する(排出直前フラグをセットする)まで4msの時間がかかる。さらに、サブCPU201は、次回(1フレームに相当する時間=4ms経過後)の遊技媒体追跡処理(図42参照)のステップS307において「YES」の判断を行うことにより、遊技球がV入賞用領域に入球したことを認識することになるため、遊技球が何れかのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球してから、演出パターン決定テーブル(図95参照)に基づいて、入球したV入賞用領域に応じた演出パターン(図93のステップS3602参照)を登録するまでの遅延時間は、最大で8ms程度である。
以上で説明したように、遊技球がV入賞用領域に入球してから当該入球に応じた演出パターンが登録されるまでの時間は、受信したコマンド(V入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンド)に基づいて演出パターンを登録する場合(図92のステップS3505参照)よりも、カメラ映像解析処理の結果に基づいて演出パターンを登録する場合(図93のステップS3602参照)の方が短くなる。ステップS3603〜ステップS3606の処理において、サブCPU201は、これらの演出パターンを双方とも参照してもよいし、カメラ映像解析処理の結果に基づいて登録した演出パターンの方が最新の情報を反映したものである点に鑑み、当該演出パターンのみを参照することとしてもよい。その場合には、コマンド(V入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンド)に基づいて演出パターンを登録する処理(図92のステップS3503及びステップS3505参照)は、行わないこととしてもよい。
ステップS3606の処理を実行した後、サブCPU201は、入賞情報判定処理を実行する(ステップS3607)。入賞情報判定処理については、後に図96を用いて説明する。ステップS3607の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
<入賞情報判定処理>
図96は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される入賞情報判定処理を示すフローチャートである。
図96に示す入賞情報判定処理において、まず、サブCPU201は、主制御回路70から受信したコマンド(図92のステップS3501参照)に基づく入賞情報(1)を特定する(ステップS3701)。
この処理において、サブCPU201は、V入賞成功コマンドを受信した場合、V入賞成功コマンドに含まれる情報を特定する。上述したように、V入賞成功コマンドには、遊技球が特定領域3038Aに入球したことを示す情報(V入賞成功情報)が含まれる。サブCPU201は、V入賞成功情報を入賞情報(1)として特定し、ワークRAM203に記憶させる。
また、サブCPU201は、V入賞失敗コマンドを受信した場合、V入賞失敗コマンドに含まれる情報を特定する。上述したように、V入賞失敗コマンドには、遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dの何れかに入球したことを示す情報(V入賞失敗情報)が含まれる。サブCPU201は、V入賞失敗情報を入賞情報(1)として特定し、ワークRAM203に記憶させる。
また、サブCPU201は、V入賞成功コマンドもV入賞失敗コマンドも受信していない場合、遊技球が何れのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)にも入球していないことを示す情報(非入球情報)を、入賞情報(1)として特定し、ワークRAM203に記憶させる。
次に、サブCPU201は、カメラ映像解析処理(図93のステップS3601参照)に基づく入賞情報(2)を特定する(ステップS3702)。
この処理において、サブCPU201は、図93のステップS3602で遊技球が何れのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)にも入球していないと判断した場合には、遊技球が何れのV入賞用領域にも入球していないことを示す情報(非入球情報)を、入賞情報(2)として特定し、ワークRAM203に記憶させる。
また、サブCPU201は、図93のステップS3602で遊技球が何れかのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球したと判断した場合であって、遊技球の入球したV入賞用領域が特定領域3038Aであると判定した場合には、遊技球が特定領域3038Aに入球したことを示す情報(V入賞成功情報)を、入賞情報(2)として特定し、ワークRAM203に記憶させる。
また、サブCPU201は、図93のステップS3602で遊技球が何れかのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球したと判断した場合であって、遊技球の入球したV入賞用領域が非特定領域3038B、3038C、3038Dの何れかであると判定した場合には、遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dの何れかに入球したことを示す情報(V入賞失敗情報)を、入賞情報(2)として特定し、ワークRAM203に記憶させる。
次に、サブCPU201は、ステップS3701で特定した入賞情報(1)とステップS3702で特定した入賞情報(2)とを比較する(ステップS3703)。
次に、サブCPU201は、ステップS3703において入賞情報(1)と入賞情報(2)とを比較した結果、入賞情報(1)と入賞情報(2)との間に齟齬があれば、エラー報知を行う(ステップS3704)。この処理において、サブCPU201は、入賞情報(1)と入賞情報(2)とが異なっている場合に、入賞情報(1)と入賞情報(2)との間に齟齬があると判定する。そして、特に、サブCPU201は、入賞情報(1)がV入賞成功情報である一方、入賞情報(2)がV入賞失敗情報又は非入球情報である場合に、主制御回路70から受信したコマンドとカメラ映像の解析結果との間に齟齬があることを示すエラー信号を表示制御回路205や音声制御回路206に送信する。これにより、主制御回路70から受信したコマンドとカメラ映像の解析結果との間に齟齬があることを報知する画像が液晶表示装置13に表示されたり、主制御回路70から受信したコマンドとカメラ映像の解析結果との間に齟齬があることを報知する音がスピーカ11から出力されたりする。また、サブCPU201は、ホール(遊技場)内のパチンコ遊技機を管理するホールコンピュータに対して、主制御回路70から受信したコマンドとカメラ映像の解析結果との間に齟齬があることを示すエラー信号を送信する。ステップS3704の処理を実行した後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
なお、上述したように、遊技球がV入賞用領域に入球してから当該入球に応じた演出パターンが登録されるまでの時間は、受信したコマンド(V入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンド)に基づいて演出パターンを登録する場合(図92のステップS3505参照)よりも、カメラ映像解析処理の結果に基づいて演出パターンを登録する場合(図93のステップS3602参照)の方が短くなる。これと同様に、遊技球がV入賞用領域に入球してから、そのことを示す情報(V入賞成功情報又はV入賞失敗情報)が入賞情報(1)として特定されるまでの時間は、入賞情報(2)として特定されるまでの時間よりも長くなる。従って、遊技球がV入賞用領域に入球した後、入賞情報(2)がV入賞成功情報又はV入賞失敗情報である一方、入賞情報(1)が非入球情報であるという状況が発生し得る。そこで、そのような場合には、入賞情報(1)と入賞情報(2)との間に齟齬があると即断せず、入賞情報(2)を保持しつつ所定時間が経過するのを待ってから、改めて入賞情報(1)と入賞情報(2)とを比較するようにしてもよい。
以上、本発明の一実施形態として、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明した。
<付記9>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報)。
ところで、遊技機業界においては、従来、不正な方法により出玉を獲得しようとするゴト行為が知られている。特に、近年では、巧妙に細工された不正行為が多発しており、こうした行為を防止することが望まれている。また、遊技機に不具合が発生した場合、遊技店としては、当該不調をいち早く察知し、適切な対応をとることが求められる。
本発明者は、上述したような遊技球を追跡する技術について鋭意検討を行う過程において、自身の開発した技術を用いることによって遊技機に発生した異常を検出し、不正行為の防止や遊技機の不調への対応に役立てることができるのではないかという考えに想到した。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技機に発生した異常を検出することを目的とする。
この点、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(9−1) 遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を流下した遊技球が入球可能な入賞領域と、
特定の前記入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球したことを示す特定入賞信号(V入賞成功コマンド)を受信する入賞信号受信手段と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284〜ステップS286の処理を実行するサブCPU201)と、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置に基づいて、前記特定の入賞領域に遊技球が入球したことを検知する入賞検知手段(図93のステップS3602の処理を実行するサブCPU201)と、
前記入賞信号受信手段による前記特定入賞信号の受信の有無と、前記入賞検知手段による前記特定の入賞領域への遊技球の入球の検知の有無とに基づいて、異常を検知することが可能な異常検知手段(図96の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
ある入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球していないにもかかわらず入賞信号(V入賞成功コマンド)が受信されたり、ある入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球したにもかかわらず入賞信号(V入賞成功コマンド)が受信されなかったりする場合には、何らかの異常が発生しており、不正行為が行われていたり、遊技機に不具合が発生したりしている可能性がある。この点、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技領域を撮影装置(CCDカメラ1000)で撮影することによって得られるフレーム画像に含まれる遊技球の位置に基づいて、特定の入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球した場合、当該入球が検知されるように構成されている。従って、当該検知の有無と入賞信号(V入賞成功コマンド)の受信の有無との間に齟齬がないか否かを判断することが可能であり、当該判断結果に基づいて齟齬がある場合には、当該齟齬を異常として検知することができる。これにより、不正行為を防止したり、遊技機の不調に対応したりする機会を提供することができる。
(9−2) 遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を流下した遊技球が入球可能な入賞領域と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
遊技に関する制御を行う第1の制御手段(主制御回路70)と、
前記第1の制御手段とは異なる第2の制御手段(副制御回路200)と、を備え、
前記第1の制御手段は、
特定の前記入賞領域に遊技球が入球したことを示す特定入賞信号(V入賞成功コマンド)を前記第2の制御手段に送信する入賞信号送信手段(図62と同様の処理を実行するメインCPU71)を備え、
前記第2の制御手段は、
前記入賞信号送信手段により送信された前記特定入賞信号を受信する入賞信号受信手段と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284〜ステップS286の処理を実行するサブCPU201)と、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置に基づいて、前記特定の入賞領域に遊技球が入球したことを検知する入賞検知手段(図93のステップS3602の処理を実行するサブCPU201)と、
前記入賞信号受信手段による前記特定入賞信号の受信の有無と、前記入賞検知手段による前記特定の入賞領域への遊技球の入球の検知の有無とに基づいて、異常を検知することが可能な異常検知手段(図96の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
ある入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球していないにもかかわらず入賞信号(V入賞成功コマンド)が受信されたり、ある入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球したにもかかわらず入賞信号(V入賞成功コマンド)が受信されなかったりする場合には、何らかの異常が発生しており、不正行為が行われていたり、遊技機に不具合が発生したりしている可能性がある。この点、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、第2の制御手段(副制御回路200)は、特定の入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球した場合、遊技領域を撮影装置(CCDカメラ1000)で撮影することによって得られるフレーム画像に含まれる遊技球の位置に基づいて、当該入球を検知するように構成されている。従って、第2の制御手段(副制御回路200)は、当該検知の有無と第1の制御手段(主制御回路70)からの入賞信号(V入賞成功コマンド)の受信の有無との間に齟齬がないか否かを判断することが可能であり、当該判断結果に基づいて齟齬がある場合には、当該齟齬を異常として検知することができる。このように、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、第1の制御手段(主制御回路70)と第2の制御手段(副制御回路200)とが協働することにより取得し得る情報(図96に示す入賞情報(1))と、第2の制御手段(副制御回路200)が単独で取得し得る情報(図96に示す入賞情報(2))とを比較したダブルチェックを行うことが可能であり、これにより、不正行為を防止したり、遊技機の不調に対応したりする機会を提供することができる。
(9−3) 前記(9−1)又は(9−2)の遊技機であって、
前記異常検知手段は、
前記入賞信号受信手段により前記特定入賞信号が受信された一方で、前記入賞検知手段により遊技球が前記特定の入賞領域に入球したことが検知されていない場合に、異常を検知する、
ことを特徴とする。
特定の入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球していないにもかかわらず入賞信号(V入賞成功コマンド)が受信される場合には、不正行為が行われている可能性がある。この点、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、特定の入賞領域(特定領域3038A)に遊技球が入球したことを示す特定入賞信号(V入賞成功コマンド)が受信された一方で、遊技球が特定の入賞領域(特定領域3038A)に入球したことが検知されていない場合に、異常が検知されるように構成されている。これにより、入賞信号を不正に操作することによって所謂「電波ゴト」が行われようとしている状況を察知し、ゴト行為が完遂してしまうことを防止する機会を得ることができる。
また、上述したように、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技球がV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球してから当該入球に応じた演出パターンが登録されるまでの時間は、受信したコマンドに基づいて演出パターンを登録する場合(図92のステップS3505参照)よりも、カメラ映像解析処理の結果に基づいて演出パターンを登録する場合(図93のステップS3602参照)の方が短くなる。これにより、遊技球がV入賞用領域に入球した状況において、仮に、主制御回路70から副制御回路200へのコマンド(V入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンド)の送信に比較的長い時間がかかる場合であっても、当該コマンド送信を待つことなく、カメラ映像解析処理の結果に基づいてV入賞の成否に応じた演出(図95参照)を行うことが可能であるため、遊技球がV入賞用領域に入球したことが演出内容に反映されるまでの遅延時間を短縮することができる。また、V入賞の成否に応じた演出(図95参照)を行うに当たって、コマンド(V入賞成功コマンド及びV入賞失敗コマンド)は必須ではないため、V入賞成功コマンド及びV入賞失敗コマンドは、主制御回路70において作成されないこととしてもよい。その場合、V入賞に失敗したこと(遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dの何れかに入球したこと)は、そもそも検出されなくてもよく、遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038Dに入球したことを検知するための非特定領域センサ3380B、3380C、3380Dも、設けないこととしてもよい。このように、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1は、カメラ映像解析処理の結果に基づいて遊技球が所定の領域に入球したことを検知し、当該検知に応じて演出を行うように構成されており、このような特徴は、センサの設けられていない入賞口や、一発台等の各種機種に対しても、幅広く適用することが可能である。
<変形例>
第7実施形態では、遊技球がV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球したことを、カメラ映像解析処理(図93のステップS3602参照)の結果に基づいて検知し、当該検知に応じて、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる場合について説明した。以下の変形例では、遊技球がV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球する前の遊技球の動きを、カメラ映像解析処理の結果に基づいて検出し、当該検出結果に応じて、V入賞用領域への入球前にV入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる場合について説明する。
以下、図97〜図99を用いて、変形例について説明する。図97(a)は、クルーン上を遊技球が移動する様子を示す図である。図97(b)は、ステージ上を遊技球が転動する様子を示す図である。図98は、演出パターン決定テーブルを示す図である。図99は、球通路に対して排出領域が設定されている様子を示す図である。
まず、前提として、本変形例において、図93のステップS3602でサブCPU201の行う処理について説明する。遊技球は、時間の経過とともに、刻々とその位置を変化させるが、カメラ映像解析処理(図93のステップS3601参照)により、サブCPU201は、フレーム画像の撮影タイミングにおける遊技球の位置を随時特定することができる(図42のステップS304参照)。ここで、第6実施形態で説明したように、このようにして特定される遊技球の位置情報は、最新の位置情報だけではなく、直近の所定数フレーム分の位置情報がワークRAM203に保持されている(図88のステップS3101参照)。これにより、サブCPU201は、「時刻」と「遊技球の位置」との関係を把握することができる。そして、「時刻」と「遊技球の位置」との間には、「時刻の変化に伴って、遊技球の位置が変化する」という関係が成立し、また、「遊技球の位置」は、XY直交座標平面(図67参照)上のX軸座標の値及びY軸座標の値により表される。従って、「遊技球の位置のX軸座標の値」と「時刻」という2つの変数について、「遊技球の位置のX軸座標の値」は、「時刻」の関数として表すことができる。同様に、「遊技球の位置のY軸座標の値」と「時刻」という2つの変数について、「遊技球の位置のY軸座標の値」は、「時刻」の関数として表すことができる。これにより、「遊技球の位置のY軸座標の値」は、「遊技球の位置のX軸座標の値」の関数として表すことができる。サブCPU201は、ワークRAM203に記憶されている遊技球の位置情報(複数フレーム分の位置情報)に基づいて、当該関数を算出する。当該関数は、フレーム画像において遊技球の描く軌跡に対応する。このような関数を軌跡関数と呼ぶこととする。
図97(a)では、1個の遊技球がクルーン3001上を移動している様子を示しており、現在の遊技球の存在位置を遊技球120pとして示している。遊技球は、クルーン3001上を様々な軌道で移動し得るが、図97(a)では、このような軌道の例を2つ示している。
第1の例は、1個の遊技球が(I)及び(i)の軌道で移動するというものである。当該遊技球が現在位置に到達するまでに描く軌跡(すなわち、図97(a)に示す(I)の軌道)は、上述した軌跡関数として表すことができる。そして、外力の働かない状況下において、(I)の軌道と(i)の軌道とは同一の関数として表されるため、サブCPU201は、当該軌跡関数に基づいて、(i)の軌道(遊技球がこの先どのような軌道で移動するのか)を認識することができる。現在位置を通過した遊技球は、その後、(i)の軌道(当該軌跡関数)に沿って移動するところ、サブCPU201は、当該軌跡関数上に何れかのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)が存在すれば、遊技球が当該V入賞用領域に入球することを認識することができる。図97(a)の例では、(i)の軌道(軌跡関数)上に非特定領域3038Dが存在しており、この場合、サブCPU201は、遊技球が非特定領域3038Dに入球する旨判定する。また、第2の例は、1個の遊技球が(II)及び(ii)の軌道で移動するというものである。上記と同様にして、この場合、サブCPU201は、遊技球が非特定領域3038Bに入球する旨判定する。
以上のようにして、サブCPU201は、遊技球が何れのV入賞用領域に入球するのかを判定する。その後、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されている演出パターン決定テーブルに基づいて、入球すると判定されたV入賞用領域に応じた演出パターンを選択する。サブCPU201は、図95に示す演出パターン決定テーブルを参照してもよいが、ここでは、図98(a)に示す演出パターン決定テーブルを参照することとする。
図98(a)に示す演出パターン決定テーブルにおいては、V入賞用領域ごとに、乱数値の範囲と演出パターンとが対応付けて規定されている。演出パターンには、V入賞の成功又は失敗に応じた演出内容を示す情報が含まれている。V入賞の成功に応じた演出(V入賞の成功を示唆する演出)としては、3種類のV入賞成功演出(V入賞成功演出1〜3)が設けられ、V入賞の失敗に応じた演出(V入賞の失敗を示唆する演出)としては、3種類のV入賞失敗演出(V入賞失敗演出1〜3)が設けられている。
そして、図98(a)に示すように、遊技球が特定領域3038Aに入球すると判定された場合には、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN1」〜「EN3」)の選択される確率がV入賞失敗演出に対応する演出パターン(「EN4」)の選択される確率よりも高くなっている。また、遊技球が特定領域3038Aに入球すると判定された場合にV入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN1」〜「EN3」)の選択される確率は、遊技球が非特定領域3038Bに入球すると判定された場合にV入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN8」)の選択される確率、遊技球が非特定領域3038Cに入球すると判定された場合にV入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN12」)の選択される確率、及び、遊技球が非特定領域3038Dに入球すると判定された場合にV入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN16」)の選択される確率よりも高くなっている。また、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN1」〜「EN3」、「EN8」、「EN12」、「EN16」)が選択された場合において遊技球の入球するV入賞用領域が特定領域3038Aである確率は、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN1」〜「EN3」、「EN8」、「EN12」、「EN16」)が選択された場合において遊技球の入球するV入賞用領域が非特定領域3038B、3038C、3038Dのうちの何れかである確率よりも高くなっている。また、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN1」〜「EN3」、「EN8」、「EN12」、「EN16」)が選択された場合において遊技球の入球するV入賞用領域が特定領域3038Aである確率は、V入賞失敗演出に対応する演出パターン(「EN4」、「EN5」〜「EN7」、「EN9」〜「EN11」、「EN13」〜「EN15」)が選択された場合において遊技球の入球するV入賞用領域が特定領域3038Aである確率よりも高くなっている。
このような演出パターン決定テーブルに基づいて演出パターンを選択することにより、第7実施形態と同様に、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる。このようにして、本変形例では、V入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)への入球前に、V入賞に成功するのか又は失敗するのかを示唆することができる。
以上の変形例では、クルーン3001上における遊技球の移動軌跡に基づいて、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる場合について説明した。以下、別の変形例では、ステージ3003上における遊技球の移動軌跡に基づいて、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる場合について説明する。
図97(b)では、1個の遊技球がステージ3003上を転動している様子を示しており、現在の遊技球の存在位置を遊技球120qとして示している。遊技球は、ステージ3003上を様々な軌道で転動するが、図97(b)では、このような軌道の例を2つ示している。
第1の例は、1個の遊技球が(III)及び(iii)の軌道で移動するというものである。図97(a)と同様に、この場合、サブCPU201は、遊技球が球通路3004bに対応する孔に入球する旨判定する。第2の例は、1個の遊技球が(IV)及び(iv)の軌道で移動するというものである。この場合、サブCPU201は、遊技球が球通路3004aに対応する孔に入球する旨判定する。
以上のようにして、サブCPU201は、球通路3004a、球通路3004b、及び、球通路3004cのうち、何れの球通路に対応する孔に入球するのか(遊技球が何れの球通路3004を通過するのか)を判定する。その後、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されている演出パターン決定テーブル(図98(b)参照)に基づいて、通過すると判定された球通路3004に応じた演出パターンを選択する。
図98(b)に示す演出パターン決定テーブルにおいては、球通路3004(球通路3004a、球通路3004b、及び、球通路3004c)ごとに、乱数値の範囲と演出パターンとが対応付けて規定されている。図98(a)に示す演出パターン決定テーブルと同様に、演出パターンには、V入賞の成功又は失敗に応じた演出内容を示す情報が含まれている。V入賞の成功に応じた演出(V入賞の成功を示唆する演出)としては、3種類のV入賞成功演出(V入賞成功演出1〜3)が設けられ、V入賞の失敗に応じた演出(V入賞の失敗を示唆する演出)としては、3種類のV入賞失敗演出(V入賞失敗演出1〜3)が設けられている。
ここで、図90を用いて説明したように、球通路3004a、球通路3004b、及び、球通路3004cのうち、何れの球通路3004を遊技球が通過するのかによって、遊技球が特定領域3038Aに入球する確率(V入賞となる確率)が異なっている。具体的には、遊技球が球通路3004bを通過した場合には、遊技球が球通路3004a又は球通路3004cを通過した場合と比較して、遊技球が特定領域3038Aに入球する確率(V入賞となる確率)が高くなっている。
このことに対応して、図98(b)に示す演出パターン決定テーブルでは、遊技球が球通路3004bを通過する場合には、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN5」〜「EN7」)の選択される確率がV入賞失敗演出に対応する演出パターン(「EN8」)の選択される確率よりも高くなっている。また、遊技球が球通路3004bを通過する場合にV入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN5」〜「EN7」)の選択される確率は、遊技球が球通路3004aを通過する場合にV入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN4」)の選択される確率、及び、遊技球が球通路3004cを通過する場合にV入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN12」)の選択される確率よりも高くなっている。また、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN4」〜「EN7」、「EN12」)が選択された場合において遊技球の通過する球通路が球通路3004bである確率は、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN4」〜「EN7」、「EN12」)が選択された場合において遊技球の通過する球通路が球通路3004a又は球通路3004cである確率よりも高くなっている。また、V入賞成功演出に対応する演出パターン(「EN4」〜「EN7」、「EN12」)が選択された場合において遊技球の通過する球通路が球通路3004bである確率は、V入賞失敗演出に対応する演出パターン(「EN1」〜「EN3」、「EN8」〜「EN11」)が選択された場合において遊技球の通過する球通路が球通路3004bである確率よりも高くなっている。
このような演出パターン決定テーブルに基づいて演出パターンを選択することにより、第7実施形態と同様に、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる。このようにして、本変形例では、遊技球が球通路3004(3004a、3004b、3004c)を通過する前に、V入賞に成功するのか又は失敗するのかを示唆することができる。
以上の変形例では、ステージ3003上における遊技球の移動軌跡に基づいて、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる場合について説明した。以下、別の変形例では、遊技球が球通路3004(3004a、3004b、3004c)に対応する孔に入球したことを検知し、当該検知に応じて、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる場合について説明する。
ここで、第7実施形態では、各V入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に対して、当該V入賞用領域の近傍における所定範囲内の領域が排出領域(図39参照)として設定されていることとして説明した(図94参照)。これに対し、本変形例では、図99に示すように、各球通路3004(3004a、3004b、3004c)に対応する孔に対して、当該孔の近傍における所定範囲内の領域が排出領域(図39参照)として設定されている。これにより、サブCPU201は、第7実施形態と同様に、遊技球が何れかの球通路3004に対応する孔に入球したか否かを判断することができるとともに、遊技球が何れかの球通路3004に対応する孔に入球したと判断した場合には、遊技球の入球した球通路3004が、球通路3004a、球通路3004b、及び、球通路3004cのうちの何れの球通路であるのかを認識することができる(図93のステップS3602参照)。
そして、遊技球が何れかの球通路3004に対応する孔に入球したと判断した場合、サブCPU201は、プログラムROM202に記憶されている演出パターン決定テーブル(図98(b)参照)に基づいて、入球した球通路3004に応じた演出パターンを選択する。これにより、上記変形例と同様に、V入賞の成否に応じた演出(V入賞の成功又は失敗を示唆する演出)が行われる。このようにして、本変形例では、V入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)への入球前に(球通路3004への入球の時点で)、V入賞に成功するのか又は失敗するのかを示唆することができる。
以上、第7実施形態に係るパチンコ遊技機1の変形例について説明した。
<付記10>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
ところで、従来のパチンコ遊技機においては、通常、始動入賞等に基づいて演出が行われるが、入賞に至るまでの遊技球の動きと演出内容とは対応しておらず、両者は乖離したものであることが一般的であった。上述したような遊技球の動きを追跡する技術においても、遊技球の追跡結果を演出に対して適切に反映させるための工夫が不充分であり、演出効果を高める上では改善の余地があった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、演出効果を高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
この点、上記変形例に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(10−1) 遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
遊技者に有利な特定領域を含み、前記遊技領域を流下した遊技球がそれぞれ入球可能な複数の領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284〜ステップS286の処理を実行するサブCPU201)と、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置に基づいて、該一の遊技球が前記複数の領域のうち前記特定領域に入球する確率を示唆する態様で演出を実行する演出実行手段(図93のステップS3602の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像が順次取得され、各フレーム画像に含まれる遊技球の位置が特定される。そして、各フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置に基づいて、該一の遊技球が特定領域(特定領域3038A)に入球する確率を示唆する態様で演出(V入賞成功演出又はV入賞失敗演出)が行われる。このように、各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定することにより、遊技球の位置と遊技球が特定領域(特定領域3038A)に入球する確率とを関連付けて演出態様に反映させることが可能であるため、演出効果を高めることができる。
(10−2) 前記(10−1)の遊技機であって、
前記遊技領域を流下した遊技球が入球可能な入賞装置(第2大入賞口54)を備え、
前記複数の領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)は、前記入賞装置に入球した一の遊技球が前記複数の領域のうちの何れか一の領域に入球可能なようにそれぞれ設けられており、
前記位置特定手段は、
一の遊技球が前記入賞装置に入球した後に前記遊技領域を撮影することによって得られる複数のフレーム画像において、各フレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置を特定し、
前記演出実行手段は、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる該一の遊技球の位置に基づいて、前記入賞装置への入球後の該一の遊技球の位置変化に応じた演出を実行する、
ことを特徴とする。
上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、特定領域(特定領域3038A)を含む複数の領域(V入賞用領域)は、入賞装置(第2大入賞口54)に入球した一の遊技球が複数の領域(V入賞用領域)のうちの何れか一の領域に入球可能なようにそれぞれ設けられている。そして、遊技球の位置の特定は、特に、一の遊技球が入賞装置(第2大入賞口54)に入球した後に得られる複数のフレーム画像において行われ、特定された当該遊技球の位置に基づいて、当該遊技球の入賞装置(第2大入賞口54)への入球後の位置変化に応じた演出(V入賞成功演出又はV入賞失敗演出)が行われる。これにより、入賞装置(第2大入賞口54)への入球後の遊技球の動きを演出態様に反映させることが可能であるため、演出効果を一層高めることができる。
<付記11>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
ところで、従来のパチンコ遊技機においては、通常、始動入賞等に基づいて演出が行われるが、入賞に至るまでの遊技球の動きと演出内容とは対応しておらず、両者は乖離したものであることが一般的であった。上述したような遊技球の動きを追跡する技術においても、遊技球の追跡結果を演出に対して適切に反映させるための工夫が不充分であり、演出効果を高める上では改善の余地があった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、演出効果を高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
この点、上記変形例に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(11−1) 遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
前記遊技領域を流下した遊技球がそれぞれ通過可能な複数の球通路(球通路3004a、球通路3004b、及び、球通路3004c)と、
遊技者に有利な特定領域を含み、前記球通路を通過した遊技球が入球可能な複数の領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284〜ステップS286の処理を実行するサブCPU201)と、
演出を実行する演出実行手段(図93のステップS3602の処理を実行するサブCPU201)と、を備え、
前記複数の球通路及び前記複数の領域は、一の遊技球が前記複数の球通路のうちの特定の球通路(球通路3004b)を通過した場合と、該一の遊技球が前記特定の球通路以外の球通路を通過した場合とで、該一の遊技球が前記特定領域(特定領域3038A)に入球する確率が異なるように設けられており、
前記演出実行手段は、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置に基づいて、前記複数の球通路のうち、該一の遊技球が通過する球通路として判定される一の球通路に応じた演出を実行する、
ことを特徴とする遊技機。
上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像が順次取得され、各フレーム画像に含まれる遊技球の位置が特定される。そして、各フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置に基づいて、複数の球通路(球通路3004a、球通路3004b、及び、球通路3004c)のうちの一の球通路が、該一の遊技球が通過する球通路として判定され、該一の球通路に応じた演出(V入賞成功演出又はV入賞失敗演出)が実行される。ここで、一の遊技球が複数の球通路のうちの特定の球通路(球通路3004b)を通過した場合と、該一の遊技球が特定の球通路以外の球通路(球通路3004a又は球通路3004c)を通過した場合とで、該一の遊技球が特定領域(特定領域3038A)に入球する確率が異なっている。そのため、上記球通路に応じた演出(V入賞成功演出又はV入賞失敗演出)は、遊技球が特定領域(特定領域3038A)に入球する確率に応じたものとなる。このように、上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定することにより、遊技球の位置と遊技球が特定領域(特定領域3038A)に入球する確率とを関連付けて演出態様に反映させることが可能であるため、演出効果を高めることができる。
また、上記変形例に係るパチンコ遊技機1は、以下のように構成されていてもよい。
(11−2) 前記(11−1)の遊技機であって、
前記位置特定手段は、
一の遊技球が前記複数の球通路のうちの一の球通路を通過した後に前記遊技領域を撮影することによって得られるフレーム画像においては、該一の遊技球の位置を特定しない、
ことを特徴とする。
例えば、遊技球が球通路3004に対応する孔に入球した後(遊技球が球通路3004を通過している途中や、遊技球がクルーン3001上を移動している際)は、遊技球の通過経路が複雑な構造を有する(例えば、遊技領域12aのような二次元平面として形成されているのではなく、三次元的な構造を有する)ことに起因して、遊技球の位置を特定する(追跡を行う)ことが困難になってしまう可能性がある。また、例えば、CCDカメラ1000とクルーン3001や球通路3004との位置関係に起因して、遊技球を撮影範囲に含めることができないことも想定される。クルーン3001や球通路3004の周囲に存在する構造物により、遊技球の撮影が妨げられてしまう可能性もある。このような場合には、例えば、球通路3004に対応する孔に対して排出領域を設定し(図99参照)、遊技球が当該孔に入球した場合には、当該遊技球のIDを解放して(図42のステップS308参照)、当該遊技球を追跡対象から外すことが考えられる。クルーン3001や球通路3004をマスキング領域(図38参照)として設定することとしてもよい。
このような場合には、一の遊技球が球通路(球通路3004a、球通路3004b、及び、球通路3004c)を通過した後(球通路の通過を開始した後)は、当該一の遊技球についてフレーム画像における位置が特定されないため、フレーム画像においては、遊技球が特定領域(特定領域3038A)に入球することを把握することができない。しかしながら、上記変形例に係るパチンコ遊技機1によれば、球通路3004と演出態様とを対応付けることにより、遊技球が特定領域(特定領域3038A)に入球する確率に応じた演出(V入賞成功演出又はV入賞失敗演出)を行うことができる。
なお、以上では、大当り中にV入賞した場合、大当り終了後の遊技状態が確変遊技状態になることとして説明したが(図24参照)、小当り中にV入賞することが可能であるとともに、小当り中にV入賞することで大当りが開始することとしてもよい。本発明の適用対象となるパチンコ遊技機の機種は、特に限定されず、例えば、所謂V確ST機であってもよいし、所謂1・2種混合機であってもよい。
[第8実施形態]
以上、第1実施形態〜第7実施形態について説明した。以下、第8実施形態について説明する。第8実施形態に係るパチンコ遊技機1の基本的な構成は、第1実施形態〜第7実施形態に係るパチンコ遊技機1と同じである。以下においては、第1実施形態〜第7実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。また、第1実施形態〜第7実施形態における説明が第8実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
図100は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の一部分解斜視図である。図101は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機におけるプロジェクタユニットを示す分解斜視図である。図102は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の一部切欠き側面図である。
<プロジェクタユニット>
第1実施形態で説明したように、ガラスドア4(図3参照)の前面における上部領域には、上部装飾ユニット58が設けられている。上部装飾ユニット58は、パチンコ遊技機1の前方に突出するように配置されている。上部装飾ユニット58の内部は、空洞に形成されており、この空洞には、プロジェクタユニットBが収容される(図100及び図102参照)。
図100に示すように、プロジェクタユニットBは、上部装飾ユニット58に対して着脱可能に設けられている。ガラスドア4の背面側には、フレーム部材4bが設けられており、プロジェクタユニットBは、フレーム部材4bの上部に取り付けられる。
このようなプロジェクタユニットBは、演出として映像を投影可能な投影手段として機能し、いわゆるプロジェクションマッピングを実現するものである。プロジェクションマッピングは、一般的に、建造物や自然物などの立体物の表面に映像を投影するためのものであり、本実施形態においては、遊技盤12の前面全体のほか、装飾部材や可動役物、遊技球等を投影対象として、その位置や形状に応じた演出情報に基づき映像を投影することにより、高精細で迫力のある演出表示を実現することができる。
特に、本実施形態では、以上の実施形態で説明したような方法(図31参照)で遊技領域12aにおける遊技球の動きを追跡し、当該追跡により得られた結果に基づいて、遊技球又は遊技球の近傍に映像を投影することにより演出を行う。このようなプロジェクタユニットBを用いた演出については、後に図103〜図105を用いて説明することとし、以下では、まず、プロジェクタユニットBの構成について説明する。
図101に示すように、プロジェクタユニットBは、上部装飾ユニット58に着脱可能に収容されるプロジェクタカバーB1と、プロジェクタカバーB1の奥方に取り付けられ、映像を含む照射光を出射するプロジェクタ装置本体B2と、プロジェクタ装置本体B2の前方に配置されるようにプロジェクタカバーB1の前方に取り付けられ、プロジェクタ装置本体B2からの照射光を斜め下後方に配置された遊技盤12の方向に反射するミラー部材B3とを有している。
プロジェクタ装置本体B2は、プロジェクタカバーB1の上部の内側面に取り付けられる。プロジェクタ装置本体B2は、取り付け姿勢や角度を任意に調整可能に取り付けられる。図102に示すように、プロジェクタ装置本体B2は、図示しない光源から映像をなすように出射された照射光を前方のミラー部材B3に向けて出射する。
ミラー部材B3は、プロジェクタカバーB1の前部の内側面に取り付けられる。ミラー部材B3は、取り付け姿勢や角度を任意に調整可能に取り付けられる。図102に示すように、ミラー部材B3は、プロジェクタ装置本体B2からの照射光を表示領域13aや遊技領域12aに向けて反射する。
図示しないが、副制御回路200(図8参照)は、プロジェクタ制御回路を有しており、プロジェクタ制御回路には、プロジェクタ装置本体B2が接続されている。副制御回路200は、プロジェクタ装置本体B2を制御するための描画リクエストをプロジェクタ制御回路に送信する。これにより、プロジェクタ装置本体B2の映像出力動作がプロジェクタ制御回路により制御される。
より詳細に説明すると、プロジェクタ制御回路は、プロジェクタ装置本体B2のLED制御やフォーカス制御、画像処理等を行うためのものである。プロジェクタ装置本体B2は、電気的な構成要素として、プロジェクタ制御回路の他、光学機構や中継基板を備えている。プロジェクタ装置本体B2は、中継基板を介して副制御回路200に接続される。副制御回路200は、プロジェクタ制御回路を制御し、光学機構を介して遊技盤12の前面に向けて照射光を投影することにより、視覚的な演出として映像を表示する。
プロジェクタ制御回路は、制御LSI、EEPROM(登録商標)、DLP(登録商標)制御回路、LEDドライバ等を備える。制御LSIは、副制御回路200の指令に基づいて、照射光を投影するようにDLP制御回路を制御する。制御LSIは、副制御回路200の指令に基づいて、フォーカス機構を制御して投射レンズ(図示略)を光軸方向に移動させることにより、照射光の投影に際してフォーカス調整を行う。EEPROMには、制御LSIによる制御プログラムやプロジェクタ装置本体B2の設定・調整に関わるデータが記憶されている。
プロジェクタ装置本体B2のDLPシステムは、主として、DLP制御回路、LEDドライバ、並びに光学機構のLED光源及びDMDにより構成される。DLP制御回路の制御により、DMDで所定方向に反射した光は、レンズユニット(図示略)へと進み、投射レンズ(図示略)を透過することでミラー機構B3に入射し、最終的にミラー機構B3で反射することによって遊技盤12の前面へと導かれる。これにより、投影対象となる遊技盤12に対して照射光が投影され、演出に応じた映像が形成される。
<演出態様決定処理>
第1実施形態では、演出態様決定処理(図26のステップS205参照)として、図30に示す処理が行われることとして説明した。これに対し、第8実施形態では、図103に示す処理が行われる。
図103は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行される演出態様決定処理を示すフローチャートである。図104は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機において実行されるプロジェクタ投影内容決定処理を示すフローチャートである。図105は、プロジェクタを用いた演出の例を示す図である。
図103に示す演出態様決定処理において、まず、サブCPU201は、カメラ映像解析処理を実行する(ステップS4001)。カメラ映像解析処理については、第1実施形態〜第7実施形態で詳細に説明した通りであるため、ここでの説明は省略する。
次に、サブCPU201は、プロジェクタ投影内容決定処理を実行する(ステップS4002)。ここで、図104を用いて、プロジェクタ投影内容決定処理について説明する。
プロジェクタ投影内容決定処理において、まず、サブCPU201は、プロジェクタにより映像を投影する演出パターン(プロジェクタ演出パターン)が選択されたか否かを判断する(ステップS4101)。この処理において、サブCPU201は、コマンド解析処理(図92参照)又は演出態様決定処理(図93参照)で選択した演出パターンがプロジェクタ演出パターンであるか否かを判断する。プロジェクタ演出パターンは、プロジェクタユニットBによって遊技球又は遊技球の近傍に映像を投影する演出に対応しており、「大当り」となった場合、「V入賞」に成功した場合、又は、「V入賞」に失敗した場合にのみ選択され得る演出パターンである。
具体的に説明すると、コマンド解析処理において、サブCPU201は、受信したコマンドが大当り開始コマンドである場合、プロジェクタユニットBを用いた演出に対応する演出パターン(プロジェクタ演出パターン)及び液晶表示装置13を用いた演出に対応する演出パターン等を含む複数の演出パターンのなかから、今回の演出に採用される一の演出パターンを抽選により選択する(図92のステップS3503参照)。大当り開始コマンドは、特別図柄ゲームにおいて「大当り」となった場合に主制御回路70から副制御回路200に送信されるコマンドである(図22のステップS140参照)。
また、演出態様決定処理において、サブCPU201は、第7実施形態で説明したように、カメラ映像解析処理(図93のステップS3601参照)で特定される遊技球の位置情報に基づいて、遊技球が何れかのV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球したと判断した場合(すなわち、「V入賞」に成功した場合、又は、「V入賞」に失敗した場合)、プロジェクタユニットBを用いた演出に対応する演出パターン(プロジェクタ演出パターン)及び液晶表示装置13を用いた演出に対応する演出パターン等を含む複数の演出パターンのなかから、今回の演出に採用される一の演出パターンを抽選により選択する(ステップS3602参照)。
なお、大当り開始コマンドを受信した場合と同様、V入賞成功コマンド又はV入賞失敗コマンドを受信した場合に演出パターンを選択することとしてもよい。第7実施形態で説明したように、V入賞成功コマンドは、「V入賞」に成功した場合(遊技球が特定領域3038A(図90参照)に入球した場合)に主制御回路70から副制御回路200に送信されるコマンドである。V入賞失敗コマンドは、「V入賞」に失敗した場合(遊技球が非特定領域3038B、3038C、3038D(図90参照)の何れかに入球した場合)に主制御回路70から副制御回路200に送信されるコマンドである。
図104のステップS4101において、サブCPU201は、以上の処理においてプロジェクタユニットBを用いた演出に対応する演出パターン(プロジェクタ演出パターン)が選択されたか否かを判断する。
プロジェクタ演出パターンが選択されていないと判断した場合、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。一方、プロジェクタ演出パターンが選択されたと判断した場合、サブCPU201は、遊技球の現在位置を取得し、プロジェクタユニットBによる投影位置として決定する(ステップS4102)。
この処理において、サブCPU201は、遊技領域12aに存在する複数の遊技球のなかから、プロジェクタユニットBによって映像を投影する対象に適した一の遊技球を特定する。具体的に、サブCPU201は、ワークRAM203に記憶されている各遊技球の位置情報(図42のステップS304参照)に基づいて、所定の位置(例えば、遊技者の視界に入りやすい位置として予め設定された位置)に最も近い位置に存在する一の遊技球を特定する。サブCPU201は、当該一の遊技球の位置を、映像の投影位置として決定する。
ここで、第7実施形態でも説明したように、このようにして特定される遊技球の位置は、1フレームに相当する時間(4ms)だけ前の時点での遊技球の位置であるため、現時点において、遊技球は、遊技媒体追跡処理(図42参照)において特定された位置から移動していると考えられる。ここで、サブCPU201は、1フレームに相当する時間(4ms)だけ前の時点での速度v及び加速度aを算出することが可能であり(図88のステップS3104及びステップS3107参照)、これらの値を参照すると、1フレームに相当する時間(t)での遊技球の位置の変位は、等加速度運動に関する公式から、(vt+at2/2)と予想することができる。サブCPU201は、当該計算式を用いて現時点における当該遊技球の位置を算出し、当該算出された位置を映像の投影位置として決定してもよい。あるいは、第7実施形態で説明した「遊技球の位置」と「時刻」との関係を示す関数に基づいて、現時点における当該遊技球の位置を算出することとしてもよい(図97参照)。
以上のようにして映像の投影位置として決定された遊技球の位置は、フレーム画像上での位置(例えば、図67に示すXY直交座標平面上の位置)であるため、図88を用いて説明したように、フレーム画像上での位置を遊技領域12a上での位置(例えば、図89に示すxy直交座標平面上の位置)に変換することとしてもよい。
ステップS4102の処理を実行した後、サブCPU201は、大当りの種類やV入賞の成否に基づいて、投影内容を選択する(ステップS4103)。
この処理において、サブCPU201は、「大当り」となったことに基づいてプロジェクタ演出パターンが選択された場合(図92のステップS3503参照)には、遊技球の周囲を円で囲む映像(図105(b)参照)を投影する演出パターンを、確定演出パターンとして選択する。当該円に対応する映像の色は、大当りの種類(図13参照)に応じて抽選により決定され、大当りの種類によって、決定されやすい色が異なっている。
また、サブCPU201は、「V入賞」に成功したことに基づいてプロジェクタ演出パターンが選択された場合(図93のステップS3602参照)には、遊技球に対して「V」という文字に対応する映像(図105(a)参照)を投影する演出パターンを、確定演出パターンとして選択する。また、サブCPU201は、「V入賞」に失敗したことに基づいてプロジェクタ演出パターンが選択された場合(図93のステップS3602参照)には、遊技球に対して「V」以外の文字や記号に対応する映像を投影する演出パターンを、確定演出パターンとして選択する。
ステップS4103において、サブCPU201は、以上のようにして選択した確定演出パターンをワークRAM203に格納されたゲームデータに反映(登録)させる。その後、サブCPU201は、本サブルーチンを終了する。
以上、図104を用いて、図103のステップS4002で行われるプロジェクタ投影内容決定処理について説明した。図103に説明を戻す。
ステップS4002の処理を実行した後、サブCPU201は、ステップS4003〜ステップS4006の処理を実行し、本サブルーチンを終了する。
ステップS4003〜ステップS4006の処理は、図93のステップS3603〜ステップS3606の処理と同様の処理であるため、詳細な説明は省略するが、特に、サブCPU201は、図104のステップS4103で登録した確定演出パターンに応じて、プロジェクタ装置本体B2を制御するためのリクエスト(描画リクエスト)を生成する。当該リクエストに基づいて、プロジェクタ装置本体B2が制御され、遊技球又は遊技球の近傍に映像が投影される演出が行われることになる。
具体的に、大当りとなった場合には、大当りの種類に応じて決定された色(赤や青や黄等)の円(演出用の円と呼ぶ)が、遊技球の周囲の遊技盤12上に表示される結果、遊技球が当該演出用の円によって囲まれるような外観を呈する(図105(b)参照)。当該演出用の円と当該遊技球(正面視における形状が円)とは、正面視において略同心円となっており、例えば、演出用の円の半径が遊技球の半径の1.5倍(1.1倍〜2倍程度)となっている。また、V入賞に成功した場合には、「V」の文字が遊技球の表面に表示される。これにより、「V」の文字と遊技球とが一体となった外観を呈する。同様に、V入賞に失敗した場合には、「V」以外の文字や記号(例えば、バツ印)が遊技球の表面に表示される。
なお、映像は、僅かな時間のみ投影することとしてもよいし、ある程度の時間に亘って継続的に投影することとしてもよい。映像の投影時間は特に限定されないが、映像が投影されている間も遊技球は移動を続けるため、遊技球の移動に合わせて、映像の投影位置も経時的に変化させることが望ましい。サブCPU201は、時間の経過に伴い刻々と変化する遊技球の位置情報を随時更新することが可能であるため(図42のステップS304参照)、遊技球の最新の位置情報に基づいて、映像の投影位置を随時更新すればよい。あるいは、上述した「遊技球の位置」と「時刻」との関係を示す関数を用いれば、一の遊技球を映像の投影対象に決定した時点(図104のステップS4102参照)で、当該遊技球のその後の軌道を予測することができる(図97参照)。従って、当該投影対象となる一の遊技球が決定された時点で、そのような軌道に合わせた映像(動画像)データを予め生成してワークRAM203の所定領域にセットすれば、遊技球の移動に伴って映像の投影位置を随時計算するといった処理は不要となる。
このように、遊技球の移動に合わせて映像の投影位置を経時的に変化させることにより、遊技球の位置が刻々と変化している間も、プロジェクタにより表示される映像(図105に示すような「V」や「円」)と遊技球との相対的な位置関係を維持することが可能であり、当該映像と遊技球との一体感を保ったまま一定時間演出を行うことができる。
以上、本発明の一実施形態として、第8実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明した。
<付記12>
従来、パチンコ遊技機における遊技領域を転動する遊技球をカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影によって得られる画像を解析することによって、遊技球の動きを追跡する技術が知られている(特開2005−237864号公報参照)。
しかしながら、上述したような従来の技術においては、遊技球の追跡結果を演出に反映させるための工夫が不充分であり、演出効果を高める上では改善の余地があった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、演出効果を高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
この点、第8実施形態に係るパチンコ遊技機1は、以下の特徴を備えている。
(12−1) 遊技球が移動可能な遊技領域(遊技領域12a)を備える遊技盤(遊技盤12)と、
映像を投影可能な投影装置(プロジェクタユニットB)と、
前記遊技領域を撮影可能なように配設された撮影装置(CCDカメラ1000)と、
前記遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像を順次取得するフレーム画像取得手段(図31のステップS281の処理を実行するサブCPU201)と、
前記フレーム画像取得手段により取得される各フレーム画像に含まれる遊技球の位置を特定する位置特定手段(図31のステップS284〜ステップS286の処理を実行するサブCPU201)と、
前記位置特定手段により特定される各フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置に基づいて、該一の遊技球又は該一の遊技球から所定範囲内にある前記遊技盤に対して、前記投影装置により映像を投影する映像投影手段(図104の処理を実行するサブCPU201)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
第8実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技領域を撮影することによって得られる動画像として、連続する複数のフレーム画像が順次取得され、各フレーム画像に含まれる遊技球の位置が特定される。そして、各フレーム画像に含まれる一の遊技球の位置に基づいて、該一の遊技球又は該一の遊技球から所定範囲内にある遊技盤に対して、映像が投影される。これにより、遊技球と映像との相乗により、従来の遊技機にはない視覚的効果を創出することが可能であり、斬新な演出を行うことができる。
ここで、「映像投影手段」は、一の遊技球又は一の遊技球から所定範囲内にある遊技盤に対して映像を投影するところ、一の遊技球に対して映像を投影する機能と、一の遊技球から所定範囲内にある遊技盤に対して映像を投影する機能とのうち、一方の機能のみを有して、他方の機能を有していなくてもよいし、双方の機能を有した上で何れか一方の機能を実行可能なように構成されていてもよい。
第8実施形態では、大当りとなった場合、プロジェクタにより投影される映像として、遊技球から所定範囲内にある遊技盤12に、演出用の円が表示されることとして説明した(図105(b)参照)。ここで、外観上において、プロジェクタにより投影された映像と遊技球との一体感を創出するためには、当該演出用の円は、遊技盤12上における遊技球の近傍領域に表示されることが望ましい。例えば、上記所定範囲を「遊技機を正面視したとき、当該一の遊技球の中心からの距離が遊技球の直径以下となるような範囲」を設定することができる。なお、遊技球の周囲に投影される映像としては、円に限らず、正方形や菱形や三角形等により遊技球が囲まれることとしてもよい。
また、V入賞に成功した場合には、「V」の文字が遊技球に表示されることとして説明したが(図105(a)参照)、「V」に限らず、任意の文字や記号や色等を遊技球に表示することが可能である。例えば、V入賞に成功した場合には、「当り」という文字が遊技球に表示されることとしてもよいし、赤い色が遊技球に表示されることとしてもよい。また、V入賞に失敗した場合には、何も表示しないこととしてもよい。
また、第7実施形態の変形例(図97〜図99参照)で説明したように、遊技球がV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D)に入球する前に、遊技球の移動軌跡や球通路3004への入球に応じて、本実施形態のようなV入賞に係る演出(図105(a)参照)を行うようにすれば、遊技球(又は、遊技球の近傍の遊技盤)に表示される文字や記号や色等によって、V入賞に成功する確率を示唆することもできる。例えば、演出パターン決定テーブル(図95及び図98参照)における「V入賞成功演出」として、「V」の文字を表示する演出(図105(a)参照)を採用し、「V入賞失敗演出」として、「V」以外の文字を表示する(あるいは、何も表示しない)演出を採用すればよい。
また、大当りとなった場合やV入賞に成功した場合には、遊技球(又は遊技球の近傍)に対して、プロジェクタにより映像を投影する一方で、液晶表示装置においても、大当りやV入賞に係る演出を行うように構成することが可能である。さらに、プロジェクタにより投影される映像を表示可能なスクリーンを設けることとし、当該スクリーンにおいても、大当りやV入賞に係る演出を行うこととしてもよい。このように構成することで、転動する遊技球(又は遊技球の近傍)に対する演出と、液晶表示装置における演出と、スクリーンにおける演出とを、同じタイミングで実行し、これらの演出を遊技者に同時に体感してもらうことを通じて遊技者を魅了し、これにより遊技の興趣を高めることも可能となる。
(12−2) 前記(12−1)の遊技機であって、
前記映像投影手段は、
該一の遊技球の移動に合わせて、映像の投影位置を経時的に変化させる、
ことを特徴とする。
第8実施形態に係るパチンコ遊技機1によれば、遊技球の移動に合わせて映像の投影位置が経時的に変化するため、遊技球の移動と投影される映像とを連動させることが可能であり、一層魅力的な演出を行うことができる。
なお、第8実施形態では、遊技領域12aを移動している遊技球又は当該遊技球の近傍の遊技盤12に対して、プロジェクタにより映像を投影することとして説明したが、本発明において、プロジェクタにより映像を投影する対象となる遊技球は、遊技領域を移動している遊技球に限定されない。例えば、アウト口55(図5参照)に入球した遊技球を、遊技者が視認可能な領域に一定時間とどめることとし、当該領域に存在する遊技球に対して、プロジェクタにより映像を投影することとしてもよい。
<変形例>
図106は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の一部切欠き側面図である。
図106に示すように、本変形例に係るパチンコ遊技機1は、プロジェクタユニットBにミラー部材を設けず、プロジェクタ装置本体B2から遊技盤12の前面に向けて直接、映像を含む照射光を照射するように構成されている。このような構成によっても、第8実施形態で説明したプロジェクタ演出(図105参照)を実現することが可能である。
なお、プロジェクタ装置本体B2から出射された照射光は、上部装飾ユニット58の下端部を通過することになるところ、上部装飾ユニット58によって照射光が遮られないように、第8実施形態では、上部装飾ユニット58の下端部が光透過性を有する構造となっている。これに対し、本変形例では、上部装飾ユニット58の下端部に、プロジェクタ装置本体B2から出射された照射光を通過させるための孔が設けられている。一方で、保護ガラス28の前方には、別途保護ガラス29が設けられている。これにより、上部装飾ユニット58の下端部に設けられた孔を通じて、遊技者がプロジェクタ装置本体B2に触れてしまうことを防止することができるようになっている。
図107は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観斜視図である。図108は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の分解斜視図である。図109は、投影手段から投影領域へ投影される状態を示す概略側面図である。
図107〜図109を用いて、別の変形例について説明する。本発明において、撮影装置(カメラ)や投影装置(プロジェクタ)の配設位置は、特に限定されず、本変形例のような構成を採用することもできる。本変形例では、投影装置(投影手段)として、背面から照射光を投射するリアプロジェクタが採用されている。
図107及び図108に示すように、本変形例に係るパチンコ遊技機1は、例えば、遊技球が転動流下可能な遊技領域4095と、遊技領域4095の背面側に備えられる投影領域(第一の投影領域4121、第二の投影領域4141)と、が着脱可能に設けられる本体枠4001と、遊技領域4095を視認可能な開口部4009(以下、前枠開口部という)が設けられ、本体枠4001の前方(遊技者と対峙(対向)する側)において当該本体枠4001により回動可能に支持された前枠4007と、本体枠4001の後方(遊技機の奥行き方向で後方)に備えられ、投影手段(第一の投影手段4143、第二の投影手段4147)を所定位置に保持する保持枠4011と、を含んで構成されている。
前枠4007には、各種装飾部材(トップ飾り4019、右側装飾部材4021、左側装飾部材4023)、透光部材ユニット4067、貯留手段4025、遊技者が直接触れて発射装置を操作可能な発射ハンドル(操作手段)4079、などが備えられている。
本体枠4001には、上記前枠開口部4009に対向した所定位置に、当該前枠開口部4009と略同形状を成した本体枠開口部4003が設けられており、遊技領域4095と、遊技領域4095の背面側に備えられる投影領域(第一の投影領域4121、第二の投影領域4141)と、を備えて構成されている。また、図示は省略するが、所定の音声による演出を施す音声演出装置、主制御基板やサブ制御基板などの各種制御基板・中継基板なども備えられている。
図109に示すように、貯留手段4025の側面、すなわち、貯留手段4025に向かって右側の側面(発射ハンドル4079と対峙する側の側面)の所定箇所には、CMOSカメラ4053(又はCCDカメラ)が設けられており、遊技領域4095の方向に向けて画像を撮影可能なようにカメラの向きが設定されている。
また、本変形例では、遊技領域4095の後方に配される投影領域(第一の投影領域4121)の他に、遊技領域4095の上方に位置するように上方の投影領域(第二の投影領域4141)が設けられている。従って、発射装置4091の上方に位置する第二の投影領域4141と発射装置4091前方の装飾部材4093及び第一の投影領域4121とによって演出を行えば、遊技者に対して迫力のある演出を提供することが可能となる。
投影領域は、遊技盤4097の後方に配されており、上下方向に複数の投影領域が配設されており、後述する投影手段によって所定の画像が投影される。本変形例では、所定形状のリア透過型のスクリーンタイプが想定され、遊技機の高さ方向(鉛直方向)で上下に2個備えられている。本変形例では、下方の投影領域を第一の投影領域4121、上方の投影領域を第二の投影領域4141と便宜上称する。
第一の投影領域4121は、遊技領域4095の後方に配設されるように本体枠4001に着脱可能に取り付けられており、平坦状に形成されるとともに、その略中心領域に、遊技機の前方に向けて円弧状に突設された凸状領域4123を有する略矩形状のスクリーンが想定されている。
第一の投影領域4121は、後述する第一の投影手段4143を介して、例えば遊技者の遊技結果に関する情報を透過表示し、遊技盤4097には、遊技情報表示領域として演出表示される。例えば、遊技者の現在の持ち球数・大当たり回数・継続回数・確率変動突入回数など、所定の遊技情報が想定される。
すなわち、遊技者が遊技機に対峙して遊技をしているとき、第一の投影領域4121(遊技盤4097)は、少し上方から見下ろすように視認される。従って、本変形例の凸状領域4123のように、少なくとも一部が前方から見て上方に向けて斜めに傾く傾斜面4123aを有しているものであれば、上述のとおり遊技情報を投影した場合であっても、その凸状領域4123に投影された遊技情報などが遊技者から視認され易くなる。例えば、遊技者に対して第二の投影領域4141をメインの投影領域として提供し、第一の投影領域4121をサブの投影領域として提供した場合には、上方に視線が有る頻度が高いと考えられるため、サブの投影領域である第一の投影領域4121を視認する場合には、視線が上方から下方の投影領域に向けられるため、傾斜した投影領域の上側領域に遊技結果に関する情報を表示することによって遊技者が下方の投影領域に表示された情報を見やすくなる。
第一の投影領域4121には、遊技盤4097の所定箇所に対応する位置に所定形状の貫通孔(導光孔)が設けられている。貫通孔は、例えば、遊技盤4097に備えられている遊技釘に対応する位置に、当該遊技釘の径よりも僅かに大径に穿設する。これにより、第一の投影手段4143から投影された光が第一の投影領域4121に設けられた貫通孔を通り、遊技盤4097に備えられている遊技釘を根元から先端にかけて発光演出させることができる。また、貫通孔は、遊技釘に対応する位置に設けるだけではなく、遊技盤4097の所定位置に対応する位置や、他の遊技部材に対応する位置に所定形状で穿設することが想定され、発光演出する箇所に応じて対応可能である。このような貫通孔を通じて、遊技球(又は遊技球の近傍)に対して映像を投影することも可能である。
第二の投影領域4141は、第一の投影領域4121の上方で鉛直方向で上下に重なるようにして保持枠4011に着脱可能に取り付けられており、前方から見て全体的に後方(遊技機の奥行き方向)に窪んだ凹面に形成された略矩形状のスクリーンが想定され、後述する第二の投影手段4147を介して、例えば、遊技の演出に合わせた所定のキャラクタ画像や装飾画像等が適宜設定されるものとする。
このように第二の投影領域4141を遊技機の奥行き方向に窪んだ凹面としたことにより、第二の投影手段4147を介して第二の投影手段4147に投影された画像が遊技者から奥行き方向に立体的に見えるため、遊技の演出上で投影されるキャラクタ画像などの演出が効果的に行なえる。
投影手段は、投影領域に所定の画像や遊技に関する情報などを投影する投影装置(リアプロジェクタ)が想定され、第一の投影領域4121と第二の投影領域4141が備えられている本体枠4001の後方に配される保持枠4011に備えられている。
投影手段は、第一の投影領域4121と第二の投影領域4141に合わせてそれぞれ1個ずつ備えられており、第一の投影領域4121に対応して備えられる投影装置(下方の投影装置)を第一の投影手段4143、第二の投影領域4141に対応して備えられる投影装置(上方の投影装置)を第二の投影手段4147と、便宜上称する。
本変形例に用いられる投影手段は、投影領域に種々の遊技に関する画像や情報が投影可能な周知一般のリアプロジェクタ(投影装置)が想定されており、また、特に、第一の投影手段143にあっては、遊技進行に応じ、投影領域に設けた貫通孔を通過する投影光を変化させて発光態様を変化させることにより、遊技進行に係る報知を実行可能である投影装置(リアプロジェクタ)が採用可能で、それぞれ保持枠4011の所定位置に配設されている。
第一の投影手段4143は、保持枠4011の横フレーム4015を介して、投影レンズ4143aが後方に向けて下がった下り傾斜状に保持される。すなわち、第一の投影領域4121の方向とは反対の方向に投影レンズ4143aを向けて保持される。そして、保持枠4011に傾斜状に取り付けた固定ベース4013を介して所定角度の傾斜をもって備えられた反射鏡4145に投影光を反射させて第一の投影領域4121に投影する形態を採用している。
第二の投影手段4147は、保持枠4011の横フレーム4017を介して、投影レンズ4147aが真っ直ぐに第二の投影領域4141に対向するように保持されている。すなわち、第二の投影手段4147は第二の投影領域4141に直接投影する形態を採用している。図109にて、符号4200は、第一の投影手段4143と第二の投影手段4147のそれぞれの光路(理想光路)を示しており、第一の投影領域4121は第一の投影手段4143の光路4200中に備えられ、第二の投影領域4141は第二の投影手段4147の光路4200中に備えられている。
上記変形例に係るパチンコ遊技機1は、遊技盤をなるべく小さくして、遊技盤外の表示領域のスペースを大きく確保するように構成されている。このような構成を採用する場合、遊技者は、主に、遊技盤(遊技領域)における遊技球の転動よりも、表示領域における演出を視認し、転動中の遊技球に対してあまり目を向けないものと考えられる。一方で、このような遊技機において、遊技球(又は遊技球の近傍)に対して映像を投影すると、そのことを契機として、当該映像に気づいた遊技者が遊技球に視線を移すことになると考えられる。これにより、(通常の遊技機(遊技盤の比較的大きな遊技機や、遊技盤の中央に表示装置が設けられているような遊技機等)において、遊技球(又は遊技球の近傍)に対して同様の演出を行う場合と比較して)遊技者が意識を払っていないところで演出が行われるという点で、遊技者に意外性を感じさせることが可能であり、演出効果を高めることができる。
特に、カメラ撮影により得られた映像(カメラ映像解析処理(図31参照)により特定された遊技球の動き)を表示領域に表示する演出や、カメラ映像解析処理(図31参照)の結果に基づいて実行される演出(例えば、V入賞成功演出)を表示領域において行う場合には、表示領域が大きくなった分だけ、遊技球の動きを緻密に表示したり、演出において臨場感を創出したりすることができる。また、カメラ撮影により得られた映像を用いて演出を行う場合には、演出用の映像データを予め記憶しておく必要がないため、演出にかかる処理負荷を軽減することも可能となる。カメラ撮影により得られた映像を用いた演出としては、例えば、遊技球が所定の領域(例えば、図90に示すV入賞用領域(特定領域3038A、及び、非特定領域3038B、3038C、3038D))に入球した場合に、カメラ映像解析処理(図31参照)により特定された遊技球の動きに基づいて、当該入球のリプレイ動画を流すような演出を挙げることができる。当該リプレイ動画をスローモーションで再生することとすれば、当該入球に至るまでの遊技球の動きを、遊技者にじっくりと確認してもらうことができる。その際、当該遊技球が入球した領域の近傍を拡大した態様で、動画を再生することとすれば、遊技球が入球する様子をさらに分かりやすく示すことも可能である。
もっとも、上記変形例に係るパチンコ遊技機1のような構成においても、遊技盤(遊技領域)の中央付近に表示領域を設けることとしてもよい。これにより、当該表示領域において演出を行ったり、遊技の結果等の遊技情報を表示したりする一方で、遊技球(又は遊技球の近傍)に対して映像を投影する演出を別途実行すれば、表示領域における画像表示と、遊技球(又は遊技球の近傍)に対する演出とを相乗させることが可能となり、演出効果の向上を見込むことができる。
<付記(その他)>
従来、発射された遊技球が転動可能な遊技領域に設けられた始動領域を遊技球が通過したことなど、所定の可変表示開始条件の成立により、可変表示装置の表示領域上に識別情報を変動表示する制御を行い、変動表示が行われている識別情報を導出表示する制御を行う可変表示制御手段が備えられ、導出表示された識別情報が所定の組合せとなった場合に遊技者に有利な大当り遊技状態(所謂「大当り」)に移行するようにしたパチンコ遊技機が知られている(例えば、特開2013−13801号公報参照)。
しかしながら、従来のパチンコ遊技機では、本発明のような遊技機としての構成や機能を有さないことから、興趣の向上を図ることができなかった。本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、興趣の向上を図ることができる遊技機を提供することを目的とする。
以上、第1実施形態〜第7実施形態では、プロジェクタを備えていない遊技機について説明し、第8実施形態では、プロジェクタを備える遊技機について説明した。もちろん、第1実施形態〜第7実施形態に係る遊技機も、第8実施形態で説明したようなプロジェクタを備えていてもよい。また、第2実施形態では、パチスロ遊技機について説明し、その他の実施形態では、パチンコ遊技機について説明したが、第2実施形態で説明した事項は、他の実施形態にも適用することができるし、逆に、他の実施形態で説明した事項を第2実施形態に適用することもできる。例えば、本発明は、第2実施形態で説明したようなパチスロ遊技機に適用することが可能であり、当該パチスロ遊技機は、第8実施形態で説明したようなプロジェクタを備えていてもよい。第1実施形態〜第8実施形態で説明した各構成は、適宜任意に組み合わせることが可能である。
上述した実施形態では、追跡処理の結果として得られた遊技球の位置情報に基づいて、液晶表示装置13において遊技球の動きを可視化する演出を行う場合について説明した。本発明においては、このように、カメラ撮影により得られた映像(カメラ映像解析処理(図31参照)により特定された遊技球の動き)をそのまま表示装置に表示するように構成されていてもよい。その際、追跡中の遊技球の動きを表示装置に表示するとともに、追跡を完了した遊技球(IDを解放した遊技球)については、表示装置上での表示を消去するように構成されていてもよい。また、上記のようにプロジェクタを備える遊技機に本発明を適用する場合には、プロジェクタにより投影される映像を表示可能なスクリーンを設けることとし、カメラ撮影により得られた映像(カメラ映像解析処理(図31参照)により特定された遊技球の動き)が当該スクリーンに表示されるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、パチンコ遊技機における遊技球及びパチスロ遊技機に使用されるメダルの追跡を行う場合について説明した。本発明における追跡対象物は、これらに限定されず、遊技球とは異なる擬似球、その他の役物や装飾部材であってもよい。また、物体ではなく、人物(遊技者や遊技場管理者等)を追跡対象としてもよい。なお、本明細書では、人物も含めて「対象物」と記載する。
また、上述した実施形態では、パチンコ遊技機における遊技球を追跡する場合について、遊技球の位置を当該遊技球の重心の位置座標(例えば、図67に示すXY直交座標平面上の座標)によって表すこととして説明した。本明細書において、遊技球(又は、上記のような他の追跡対象物)は、球位置画像(二次元平面)上において一定の面積を有する存在であり、「重心」という用語は、当該二次元平面上における重心、すなわち、図形(遊技球であれば、円)が密度の一様な薄い素材で作られている(重さが面積に比例する)と仮定したときの重心(数学的な意味合いでの重心、所謂幾何的重心)のことを指している。遊技球(追跡対象物)の位置は、重心に限らず、追跡対象物における任意の点を用いて表すことが可能である。例えば、画像上において、追跡対象物に反射した光が当該追跡対象物として検出される場合には、光点の中心によって当該追跡対象物の位置を表すこととしてもよい。追跡対象物が正面視多角形である場合には、一辺(例えば、一番長い辺)の中点によって当該追跡対象物の位置を表すこととしてもよい。また、追跡対象物の上端部、下端部、左端部、右端部等の位置座標を用いることとしてもよい。また、追跡対象物を複数の角度から撮影した場合や、斜めの角度から撮影した場合等には、追跡対象物の位置を二次元座標ではなく三次元座標によって表すことも考えられる。その場合、例えば、追跡対象物を三次元で捉えた場合における各頂点から等距離にある点(中心)を基準として、追跡対象物の位置を表すこととしてもよい。
また、上述した実施形態では、消失ポイント(図48(a)参照)の位置も、重心の位置座標によって表すこととして説明したが、消失ポイントの位置も、遊技球(追跡対象物)と同様に、重心に限らず、消失ポイントにおける任意の点を用いて表すことが可能である。また、上述した実施形態では、消失ポイントが、画像上において、遊技球(当該消失ポイントを設定する契機となった遊技球)と同じ大きさを有するものであることを前提として説明したが、消失ポイントの大きさは、追跡対象物の大きさと異なっていてもよい。例えば、追跡対象物の大きさが個々で揃っておらず、対象物ごとにバラツキがあるような場合であっても、消失ポイントの大きさを統一する(追跡対象物の面積や体積に応じて、消失ポイントの大きさを増減させる)ことにより、消失検知の領域(図48(b)参照)に存在する消失ポイントを的確に把握することができる。また、上述した実施形態では、重なりの検知については、消失ポイントではなく、遊技球同士の重複部分(図48(c)参照)に基づいて判定を行うこととして説明したが、消失ポイント同士の重複部分に基づいて判定を行うこととしてもよい。この場合にも、消失ポイントの大きさを統一する(追跡対象物の面積や体積に応じて、消失ポイントの大きさを増減させる)ことにより、重なり検知の領域(図48(c)参照)に存在する重なり(重複部分)を的確に把握することができる。
また、上述した実施形態では、エラー信号等の各種信号(図65のステップS1310及びステップS1318、図84のステップS2358及びステップS2364、図85のステップS2402及びステップS2405、図88のステップS3103、ステップS3106、ステップS3109、ステップS3112、ステップS3115、図96のステップS3704等)をホールコンピュータに対して送信する場合について説明したが、これらの信号は、ホールコンピュータ以外の遊技用装置に送信することとしてもよい。ホールコンピュータ以外の遊技用装置としては、例えば、サンド、データ表示機、島コンピュータ、代表ランプ、アウトボックス等を挙げることができる。なお、遊技者が遊技に使用した遊技球の数(所謂アウト数)に関しては、上記アウトボックスで計数することとしてもよい。
以上では、本発明の実施形態として、第1実施形態〜第8実施形態について説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁及び一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者等が本出願の技術的な内容及びその本質を簡易な調査で速やかに判定し得るようにするものである。従って、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的及び本発明の特有の効果を十分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌して解釈されることが望まれる。
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明及び表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各処理は、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各処理では、電気的又は磁気的な信号の送受信、記録等が行われる。各処理における処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字等で表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各処理における処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各処理を行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。