JP6502674B2 - ポリマーブッシング - Google Patents
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Description
本発明は、変圧器用のポリマーブッシングに関するものである。
変圧器用のポリマーブッシングとして、中心導体を貫通させたポリマー碍管の内部に、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアを有し、ポリマー碍管の内部で、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアの上方に形成される空間に絶縁ガスを充填した製品が商品化されている(非特許文献1)。
上記の製品では、中心導体をポリマー碍管の内部から気中に引き出す箇所の軸シール構造として、中心導体とポリマー碍管の界面にO-リングを設けた構造を採用している。しかし、このような従来の軸シール構造では、導体の温度変化に伴う導体伸縮によって、O−リングが摩耗する恐れがあり、軸シール構造の信頼性の観点から、特に温度負荷が大きい屋外に設置される変圧器には適用できないという問題があった。
HSP Hochspannungsgerate GmbH社のホームページ(www.hspkoeln.de)製品紹介ページ(HVDC Transformer Bushings: Type GSETF/GSETFt)
本発明の目的は前記の問題を解決し、中心導体を貫通させたポリマー碍管の内部に、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアを有し、ポリマー碍管の内部で、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアの上方に形成される空間に絶縁ガスを充填した変圧器用ポリマーブッシングにおいて、中心導体を気中に引き出す箇所における軸シール構造の信頼性を向上し、温度負荷が大きい屋外に設置される変圧器にも適用できるものとする技術を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明は、碍管本体の上下に各々フランジ金具を配置したポリマー碍管と、該ポリマー碍管の中心部分に貫通させた中心導体と、該中心導体の周囲に形成した電界緩和用のRIPコンデンサコアを備え、該ポリマー碍管の内部空間に絶縁ガスを充填したポリマーブッシングにおいて、前記中心導体をポリマー碍管から引き出す箇所を、Oリングによる固定シール構造とするとともに、前記碍管本体の上方に配置されたフランジ金具の上部に端子一体蓋を配置して、該端子一体蓋と前記中心導体とを通電する通電手段として、摺動性通電部材を備え、前記RIPコンデンサコアの内、碍管本体内に存在する部分の長さ(L2)を、前記碍管本体の全長(L1)の50〜70%の範囲としたことを特徴とするものである。
前記L1は、ポリマーブッシングの絶縁性能上、必要とされる長さとすることが好ましく、L2は、ポリマーブッシングの放電性能上、必要とされる長さとすることが好ましい。ここで、「ポリマーブッシングの絶縁性能上必要とされる長さ」とは、「JEC-5202-2007、P14 表6」を満足する碍管の最小有効長を意味する。
また、前記中心導体を引き上げるセンタークランプ手段は、前記コンデンサコアの上端部に設けることが好ましい。
本発明では、碍管本体の上下に各々フランジ金具を配置したポリマー碍管と、該ポリマー碍管の中心部分に貫通させた中心導体と、該中心導体の周囲に形成した電界緩和用のRIPコンデンサコアを備え、該ポリマー碍管の内部空間に絶縁ガスを充填したポリマーブッシングにおいて、中心導体をポリマー碍管から引き出す箇所を、Oリングによる固定シール構造とするとともに、前記碍管本体の上方に配置されたフランジ金具の上部に端子一体蓋を配置して、該端子一体蓋と前記中心導体とを通電する通電手段として、摺動性通電部材を備える構造を採用しているため、従来、O−リングを介した軸シール構造としていた際に生じていた問題(中心導体の温度変化に伴う導体伸縮によって、O−リングが摩耗してシールの信頼性が低下する問題)を回避し、軸シール構造の信頼性を、温度負荷が大きい屋外に設置される変圧器にも適用できるレベルにまで向上させることができる。
なお、中心導体に電流が流れると発熱が生じるため、この熱による製品寿命低下を回避するため、ポリマーブッシングには、この熱を放熱するための適切な構造を備えることが求められる。RIP樹脂は熱伝導性が低く、RIP樹脂経由の放熱効果は期待できないが、従来のO−リングを介した軸シール構造では、軸シール部分が高い熱伝導性を有しているため、その他の放熱構造は特段考慮されていない。これに対し、本発明では、摺動性通電部材を介した通電構造を採用しており、この構造では、O−リングを介した構造に比べて熱伝導性が低下するため、この低下分の放熱能力を他の構造で担保する必要がある。そこで、本発明では、RIPコンデンサコアの内、碍管内に存在する部分の長さ(L2)を、碍管本体の全長(L1)の50〜70%の範囲として、絶縁ガスが充填される空間(すなわち、RIP樹脂で被覆されていない中心導体の表面から絶縁ガスへ向けての放熱が行われる空間)を十分に確保することにより良好な放熱特性を確保している。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本実施形態のポリマーブッシング1は、図1に示すように、ポリマー碍管2と、ポリマー碍管2の内部中心に貫通して設けた中心導体3と、中心導体3の下方部分に紙を巻き付けて成形されたRIP(レジン含浸紙)コンデンサコア4から構成されている。
RIPコンデンサコア4は、中心導体3に絶縁のために紙を巻き付け、これにレジン(一般に、エポキシ樹脂)を含浸させて、または、予めレジンを塗布した紙を加熱しながら中心導体3に巻き付けて製作されたコンデンサコアである。
ポリマー碍管2は、碍管本体5を構成するFRP筒5と、FRP筒5の周囲に設けた例えばシリコーンゴム製の外被6と、FRP筒5の両端に把持固定した上部フランジ金具7および下部フランジ金具8とから構成されている。
ポリマー碍管2の内部空間9には、絶縁媒体として、SF6ガスを満たしている。
上部フランジ金具7の上部には、中心導体3と外部装置との接続に用いられる端子一体蓋10が配置されている。
本発明では、中心導体3に流れる電流を端子一体蓋10へ通電するため、図2に示すように、摺動性通電部材11を配設している。また、ポリマー碍管2の内部空間9の気密性を確保するため、固定用のOリング13を配置している。
本実施形態では、摺動性通電部材11として、図3に示すように、多点接触方式のコンタクトを用いている。この多点接触方式のコンタクトは、ベリリウム銅や銅等で作られた多面接触子(例えば、マルチラムバンドの商品名で知られたルーバー状の金属帯材:マルチコンタクト社製)であり、本実施形態では、を中心導体3の外周に環状に組み込んで配設している。このように、本発明では、従来の中心導体を気中に引き出す構造(O−リングを介した軸シール構造)を廃止し、中心導体3から端子一体蓋10へ摺動性通電部材を介して通電し、シール構造はO−リング13による固定シール構造を採用しているため、従来、O−リングを介した軸シール構造としていた際に生じていた問題(中心導体の温度変化に伴う導体伸縮によって、O−リングが摩耗してシールの信頼性が低下する問題)を回避し、シール構造の信頼性を、温度負荷が大きい屋外に設置される変圧器にも適用できるレベルにまで向上させることができる。
なお、中心導体に電流が流れると発熱が生じるため、この熱による製品寿命低下を回避するため、ポリマーブッシングには、この熱を放熱するための適切な構造を備えることが求められる。RIP樹脂は熱伝導性が低く、RIP樹脂経由の放熱効果は期待できないが、従来のO−リングを介した軸シール構造では、軸シール部分が高い熱伝導性を有しているため、その他の放熱構造は特段考慮されていない。これに対し、本発明では、摺動性通電部材を介した構造を採用しており、この構造では、O−リングを介した軸シール構造に比べて熱伝導性が低下するため、この低下分の放熱能力を他の構造で担保する必要がある。そこで、本発明では、RIPコンデンサコアの内、碍管内に存在する部分の長さ(L2)を、碍管本体の全長(L1)の70%以下として、絶縁ガスが充填される空間(すなわち、RIP樹脂で被覆されていない中心導体の表面から絶縁ガスへ向けての放熱が行われる空間)を十分に確保することにより良好な放熱特性を確保している。
L2は、放熱特性の観点からは短い方が良いが、一方で、電界特性の観点からは長い方が良く、「L2がL1の50%未満」では、電場解析による沿面方向電界の絶対値が、放電電界を超える領域が発生してしまうため、電界特性の観点からは、「L2がL1の50%以上」とすることが望ましい。
ここで、「L1」は、絶縁性能上、最低限必要とされる長さ(「JEC-5202-2007、P14 表6」を満足する碍管の最小有効長)として、(汚損レベルに関わらず)一義的に定めることができるため、「L2がL1の70%以下となるように設計したコンデンサコア」も一義的に定まり、汚損条件で碍管本体の全長が変化した場合(例えば、重汚損用では、軽汚損用に比べて、碍管本体の全長が長い設計となる等)でも、コンデンサコアを共有することができる。
「L2がL1の50%未満」では、電場解析による沿面方向電界の絶対値が、放電電界を超える領域が発生してしまうため、電界特性の観点からは、「L2がL1の50%以上」とすることが望ましく、L2を、L1の50〜70%の範囲とすることにより、中心導体を貫通させたポリマー碍管の内部に、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアを有し、ポリマー碍管の内部で、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアの上方に形成される空間に絶縁ガスを充填した変圧器用ポリマーブッシングにおいて、中心導体を気中に引き出す箇所における軸シール構造の信頼性を向上し、温度負荷が大きい屋外に設置される変圧器にも適用可能な構造を実現することができる。
本発明のポリマーブッシングは、前記のように、分解可能なものであり、ポリマー碍管の碍管本体部分のみを交換することができる。ポリマー碍管は、有機絶縁材料で構成されているため、汚損時の放電による劣化、界面の劣化等から一般的に30年程度と寿命が短く、耐用限界年数が40〜50年の変圧器との協調が取れていない。このため変圧器使用期間中に、経年劣化や保守・メンテナンス時のハンドリングミスによる損傷が合った場合にブッシングの交換を行う必要があるが、現在は、分解不能なポリマーブッシング(ウレタンエラストマーでモールドされているブッシングやRIP樹脂に直接モールドされているブッシング等)が主流であるため、ポリマーブッシング丸ごとの交換が必要となり、変圧器油を処理する等の付帯工事が伴うため、多くの停止期間、交換コストが必要となっている。これに対し、前記のように、ポリマー碍管の碍管本体部分のみを交換することができる本発明によれば、これらの不都合を解消することができる。
なお、本実施形態では、中心導体3を引き上げるセンタークランプ手段12を、RIPコンデンサコア4の上端部に設けているため、碍管本体部分の交換作業時にも、中心導体3を下方の油中部14に落下させることなく定位置に保持することができる。
センタークランプ手段12は、図4に示すように、RIPコンデンサコア4の上部に圧縮ばね15を適正個数配置させた構成を有し、圧縮ばね15の反力を、ばね押さえ16を介して、中心導体3を持ち上げる方向に作用させることにより、中心導体3を上記の定位置に保持している。万が一の内圧上昇時には、圧縮ばね15による力が、中心導体3を下方の油中部14に移動させる方向に作用するが、本実施形態では、図4に示すように、圧縮ばね15が完全に短絡する前に、ばね押さえ16をストッパー17に当接させる構造としているため、中心導体3の移動を防止することができる。図4において、18は半割ネジ、19は上部シールドカバー、20はロックナット、21は下部シールドカバーを示している。
154kV用のポリマーブッシング(RIPコンデンサコア、内部空間にガス充填)を前提として、L2の長さを変化させながら、電場解析および熱流体解析を行った結果を下記(表1)に示している。
表1において、L1=1500mmは、「JEC-5202-2007、P14 表6」に基づき定めた値である。
電場解析は、「JEC-5202-2007、P14 表6」に基づく短時間商用周波耐電圧試験電圧(325kVrms)で、ゴム表面電界における放電の有無で評価し、放電が発生したものを「NG」とし、発生しないものを「OK」とした。
熱流体解析は、圧縮性非定常解析法を用い、外気温度を40℃、絶縁油温度を95℃とし、中心導体はアルミ展伸材とし発熱量を1.77×104 W/m3として行った。解析の結果、中心導体の温度上昇の最大値が65Kを超える場合を「NG」とし、65K未満になる場合を「OK」とした。
実施例1、2に示すように、「中心導体を貫通させたポリマー碍管の内部に、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアを有し、ポリマー碍管の内部で、RIP(レジン含浸紙)コンデンサコアの上方に形成される空間に絶縁ガスを充填し、中心導体を気中に引き出す構造(O−リングを介した軸シール構造)を廃止し、中心導体から端子一体蓋へ摺動性通電部材を介して通電し、シール構造はOリングによる固定シール構造とした変圧器用ポリマーブッシング」において、L2を、L1の50〜70%の範囲とすることにより、放熱特性と電界特性の双方において、温度負荷が大きい屋外に設置される変圧器にも適用可能なレベルの特性を備えた構造を実現することができることが確認された。一方、比較例1に示すように、L2が、「L1の50%」に満たない場合には、電場解析による沿面方向電界の絶対値が、放電電界を超える領域が発生してしまうことが確認された。また、比較例2に示すように、L2が、「L1の70%」を超えた場合、「RIP樹脂で被覆されていない中心導体の表面から絶縁ガスへ向けての放熱が行われる空間」が充分確保できず、放熱特性の観点から、上記レベルを満足することができなくなることが確認された。
1 ポリマーブッシング
2 ポリマー碍管
3 中心導体
4 RIPコンデンサコア
5 FRP筒、碍管本体
6 外被
7 上部フランジ金具
8 下部フランジ金具
9 内部空間
10 端子一体蓋
11 摺動性通電部材
12 センタークランプ手段
13 Oリング
14 油中部
15 圧縮ばね
16 ばね押さえ
17 ストッパー
18 反割ネジ
19 上部シールドカバー
20 ロックナット
21 下部シールドカバー
2 ポリマー碍管
3 中心導体
4 RIPコンデンサコア
5 FRP筒、碍管本体
6 外被
7 上部フランジ金具
8 下部フランジ金具
9 内部空間
10 端子一体蓋
11 摺動性通電部材
12 センタークランプ手段
13 Oリング
14 油中部
15 圧縮ばね
16 ばね押さえ
17 ストッパー
18 反割ネジ
19 上部シールドカバー
20 ロックナット
21 下部シールドカバー
Claims (5)
- 碍管本体の上下に各々フランジ金具を配置したポリマー碍管と、該ポリマー碍管の中心部分に貫通させた中心導体と、該中心導体の周囲に形成した電界緩和用のRIPコンデンサコアを備え、該ポリマー碍管の内部空間に絶縁ガスを充填したポリマーブッシングにおいて、
前記中心導体をポリマー碍管から引き出す箇所を、Oリングによる固定シール構造とするとともに、
前記碍管本体の上方に配置されたフランジ金具の上部に端子一体蓋を配置して、該端子一体蓋と前記中心導体とを通電する通電手段として、摺動性通電部材を備え、
前記RIPコンデンサコアの内、碍管本体内に存在する部分の長さ(L2)を、前記碍管本体の全長(L1)の50〜70%の範囲としたことを特徴とするポリマーブッシング。 - 前記「L1」が、ポリマーブッシングの絶縁性能上、必要とされる長さであることを特徴とする請求項1記載のポリマーブッシング。
- 前記「L2」が、ポリマーブッシングの放電性能上、必要とされる長さであることを有することを特徴とする請求項1記載のポリマーブッシング。
- 前記中心導体を引き上げるセンタークランプ手段を、前記コンデンサコアの上端部に設けたことを特徴とする請求項1記載のポリマーブッシング。
- 前記の摺動性通電部材が、ルーバ状の金属帯材からなる多点接触方式のコンタクトであることを特徴とする請求項1記載のポリマーブッシング。
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