JP5129523B2 - 電気機器用ブッシング - Google Patents
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Description
本発明は、ガス遮断器やガス絶縁開閉装置や変圧器等の電気機器用ブッシングに係り、特に取り付けが容易で交換用として好適な電気機器用ブッシングに関する。
通常、電力の送配電や受配電を行う電力系統には、ガス遮断器やガス絶縁開閉装置や変圧器等の各種の電気機器が使用される。これらの電気機器には、気中引出端子となるブッシングを有しており、ブッシングは送電線と接続、或いは他の電気機器とリード線により接続している。
従来の電気機器、例えばガス遮断器では、図８（ａ）及び（ｂ）に示すような電気機器用ブッシング１を使用している。この電気機器用ブッシング１は、磁器製の碍管２内に電気機器内と接続する中心導体３を配置し、かつ絶縁媒体となる絶縁ガスで絶縁する。磁器製の碍管２の上端側に、中心導体３を系統線と接続する上部端子４を設け、また磁器製の碍管２の下端に、フランジ５を固定して構成する。そして、電気機器用ブッシング１は、フランジ５を利用して電気機器のタンク６に取り付け、中心導体３の下端は接続端子７を介して電気機器本体（図示せず）と接続している。
一般に、電気機器用ブッシング１に用いる磁器製の碍管２は、電気機器を設置する場所、例えば海に近くて塩害を受ける等の汚損地域に応じて、その長さＬ０を異ならせるか、更には図８（ｂ）のように碍管２外面のひだの長さを一部で大きく形成して使用する。このため、耐汚損型の電気機器用ブッシング１は、系統電圧の超高電圧化に伴って長大化して高価な製品となっている。
近時、電気機器用ブッシング１は、磁器製の碍管２が主として水分の浸入による劣化現象があることが知られてきている。このため、設置してから例えば２０年以上もの長期間経過した電気機器では、電気機器用ブッシング１の磁器製の碍管２部分に起因する重大事故の発生を防止するため、定期的に劣化状況の点検検査を行っている。
検査で磁器製の碍管２の劣化があった電気機器用ブッシング１は、速やかに交換を行って起因する電気機器の重大事故を防止することが行われている。また、地震等により電気機器用ブッシング１の磁器製の碍管２が損傷を受けた場合にも、その都度電気機器用ブッシング１の交換を行って、電気機器を早急に復旧させることが行われている。このような交換用の電気機器用ブッシング１には、長期間使用して残存耐用年数の少ない電気機器であっても、通常は製作当時と同一の構造のものを用いている。
一方、磁器製の碍管に代えて、絶縁物であるポリマー製の碍管が提案されており、このポリマー製の碍管を用いて電気機器用ブッシングを構成することも提案されてきている（例えば特許文献１参照）。
しかし、上記したように磁器製の碍管を用いた電気機器用ブッシング１は、万一のための交換用として同一の予備品を準備しておくとしても、電気機器を設置する汚損地区に応じて、同電圧用でも長さが例えば大、中、小のように種類も多くて長大な重量物であるので、保管場所を確保する必要がある。また、電気機器用ブッシング１は、高価な製品であることから、長期間保管するだけでは経済的でない問題がある。
しかも、上記したようにせっかく製作当時と同一の構造の電気機器用ブッシング１に交換更新したとしても、残存耐用年数が少ない電気機器が製品寿命を間もなく迎えてしまい、磁器製の碍管を用いた電気機器用ブッシングの交換では不経済であった。また、磁器製の碍管は、新たに購入しようとして手配しても、製品納入までに長期間を要するので、緊急時の対応ができない欠点がある。
また、ポリマー製の碍管を用いた電気機器用ブッシングは、同一長さで磁器製の碍管と比較すると耐汚損性能が高いので、碍管の長さや直径を小さくできて安価に製作できるものの、使用寿命が短いとされて多くの使用がなされなかった。その上、ポリマー製の碍管の場合、磁器製の碍管に比べて同一電圧では長さや直径が小さいため、電気機器用ブッシング全体が小型の構造となる。
したがって、ポリマー製の碍管を用いた電気機器用ブッシングは、従来品と寸法が異なってしまうから、その構造のままで交換用として使用しようとしても、既設の電気機器タンクに取り付けることが難しく、また電気機器本体側と接続を工夫せねばならない問題も生じる。
本発明の目的は、電気機器タンクへの取り付けが容易で、交換用として経済的な電気機器用ブッシングを提供することにある。
また本発明の他の目的は、電気機器本体側との接続が簡単で、交換作業を極めて容易に行えて経済的な電気機器用ブッシングを提供することにある。
本発明の電気機器用ブッシングは、碍管内に中心導体を配置し、前記碍管の上端に中心導体を系統線と接続する上部端子を設けると共に下端にフランジを固定して電気機器のタンクに取り付け、前記中心導体は接続端子を介して電気機器本体側と接続する電気機器用ブッシングにおいて、前記碍管にはポリマー製を用い、前記ポリマー製の碍管のフランジと電気機器タンクとの間にポリマー製の碍管と既設の碍管との間に生じた長さ寸法差及び直径の寸法差を吸収するアダプターを設けて構成したことを特徴とする。
好ましくは、中心導体の下端の電気機器本体側には、調整用アダプター導体を介在させて電気的に接続して構成したことを特徴とする。
また、発明の電気機器用ブッシングは、碍管内に中心導体を配置し、前記碍管の上端に中心導体を系統線と接続する上部端子を設けると共に下端にフランジを固定して電気機器のタンクに取り付け、前記中心導体は接続端子を介して電気機器本体側と接続する電気機器用ブッシングにおいて、前記碍管にはポリマー製を用い、前記中心導体は嵌め合わせる二つの中空部材にて長さ寸法を調整可能にすると共に、前記中空部材間は集電子により電気的に接続し、前記ポリマー製の碍管下端のフランジと電気機器タンクとの間にポリマー製の碍管と既設の碍管との間に生じた長さ寸法差及び直径の寸法差を吸収するアダプターを設けて構成したことを特徴とする。
好ましくは、アダプターは中心に開口を有する板状、或いは中空筒状であることを特徴とする。
本発明のように構成すれば、アダプターの使用によってポリマー製の碍管を用いた電気機器用ブッシングを交換用として経済的に使用でき、電気機器タンクへの取り付けも支障なく容易に行うことができる。
また、中空外パイプと中空内パイプとを電気的に接続した中心導体を用いて電気機器用ブッシングを構成すれば、中心導体の寸法調整が容易に行えるため、電気機器本体側との接続が簡単になり、交換作業を極めて容易に行うことができる。その上、予備の電気機器用ブッシングとしても種類を少なくできるので、緊急対応用として従来よりも経済的に保有することができる。
本発明の電気機器のタンクに取り付ける電気機器用ブッシングは、碍管内に中心導体を配置し、碍管の上端に中心導体を系統線と接続する上部端子を設けると共に下端にフランジを固定し、中心導体は接続端子を介して電気機器本体側と接続する。ブッシングの碍管にはポリマー製を用い、この碍管のフランジと電気機器タンクとの間に寸法調整用のアダプターを設けて構成する。しかも、中心導体は嵌め合わせる二つの中空部材にて長さ寸法を調整可能にすると共に、中空部材間は集電子により電気的に接続して物を用いることができる。
以下、本発明を従来と同一部分を同符号で示す図１から図７を用いて説明する。図１に示す本発明の電気機器用ブッシング１は、耐汚損性能が高くて磁器製のものより長さＬ１や直径Ｄ１を小さくできるポリマー製の碍管１０を使用している。そして、ポリマー製の碍管１０の下端に設けるフランジ５により、電気機器のタンク６に直接或いはブッシングポケットと称される部分に取り付けている。碍管１０の内部に配置する中心導体３は、従来と同様に上端を系統線と接続する上部端子４に、また下端は、接続端子７を介して電気機器本体（図示せず）と接続している。
電気機器のタンク６にブッシング１を簡単に取り付けることができるようにするため、本発明ではポリマー製の碍管１０の下端に固定するフランジ５と電気機器のタンク６間に、中心導体３が貫通する開口１１Ａを中心に有する板状のアダプター１１を介在させている。
アダプター１１は、既設と交換用のブッシング１とでは碍管１０の長さ寸法Ｌ１や直径Ｄ１が異なっているため、電気機器のタンク６への取り付け時の寸法差を吸収する調整用として用いるものである。これにより、電気機器のタンク６に問題なく取り付けて、中心導体３を接続端子７により電気機器本体側と接続して使用することができる。このアダプター１１は、ブッシング１の取り付け作業が、容易に行えるように予めポリマー製の碍管１０のフランジ５、或いはタンク６に固定して使用する。
ポリマー製の碍管１０を用いた交換用のブッシング１を、電気機器のタンク６に取り付けたとき、中心導体３と電気機器本体側との間に間隙が生ずるときは、図２（ａ）及び（ｂ）に示す如く間隙寸法分の長さに形成した調整用のアダプター導体１２を使用する。この調整用のアダプター導体１２を接続端子７部分に介在させることにより、中心導体３と電気機器本体側の電気的接続を行い、寸法差を吸収して支障なくポリマー製の碍管１０を用いたブッシング１に交換することができる。このため、交換用として準備する予備のブッシングの本数も極めて少なくてすみ、経済的である。
また、図３に示す本発明の電気機器用ブッシング１は、上記したように既設と交換用のブッシング１とではポリマー製の碍管１０の長さ寸法や直径が異なるから、上部端子４と接続する系統線との間に寸法差が生じたときの電気的接続を考慮したものである。
この電気機器用ブッシングは、高さ寸法の調整用のアダプター１１として、中空筒状に形成した容器を用いており、電気機器のタンク６に取り付けている。しかも、図２と同様にアダプター導体１２を介して中心導体３と電気機器本体側を接続した例を示している。
更に、図４に示す本発明のポリマー製の碍管１０を用いた電気機器用ブッシング１は、中心導体３と電気機器本体側との間に間隙が生じたとき、電気的接続が簡単に行える中心導体３の構造を工夫した別の対策例を示している。この中心導体３は、外側の中空部材３Ａと内側の中空部材３Ｂの二つを嵌め合わせ、破線で示すように中空部材３Ｂを伸ばして中心導体３の長さ寸法を調整可能にして互換性を持たせ、中心導体３の長さ寸法の異なるものに兼用可能なようにしている。
具体的には、図５に示すように外側及び内側の二つの中空部材３Ａ、３Ｂを嵌め合わせ、中空部材３Ａ、３Ｂ間は例えば中空部材３Ａの内面の環状溝に配置した集電子３Ｃによって、電気的に接続している。中空部材３Ａ、３Ｂは、通常使用する銅やアルミニウムの良導電性の金属パイプを用い、両者間は板ばねを環状に形成した一般にマルチラムコンタクトと称される集電子３Ｃを介して電気的に接続する。
また、図６に示す本発明のポリマー製の碍管１０を用いた電気機器用ブッシング１は、図３と同様に中空筒状のアダプター１１を高さ寸法の調整用として用い、しかも図５に示す如く中空部材３Ａ、３Ｂで中心導体３を形成するものを使用した例である。このような構造にすれば、既設のものを交換用のポリマー製の碍管１０を用いたブッシングにしたときに生ずる間隙を吸収し、上部端子４と系統線との接続や中心導体３と電気機器本体側との接続の双方を問題なく行え、緊急時に速やかにブッシングを交換することができる。
ポリマー製の碍管１０を用いた電気機器用ブッシング１に、図４から図６に示す如く二つの中空部材３Ａ、３Ｂで形成する中心導体３を使用すると、中心導体３自体で長さが調整可能なので、調整用のアダプター導体も不要にでき、中心導体３の長さ寸法が違ってもブッシングは兼用できるため、予備を持つにしても種類を少なくできる。
図７には、本発明の図６に示す構造の電気機器用ブッシング１を、ガス遮断器に適用した例を示している。この例では、既設の磁器製の碍管を用いたものに代えて、ポリマー製の碍管１０を用いたブッシング１を使用している。この電気機器用ブッシング１の採用により生ずる寸法差を吸収するため、高さ寸法の調整用のアダプター１１として、中空筒状の容器を高さ寸法の調整用のアダプター１１を用いると共に、二つの中空部材３Ａ、３Ｂで形成する中心導体３を用いている。この構造とすることにより、上部端子４と系統線との接続、及び中心導体３とガス遮断器本体側との接続を問題なく行うことができる。
１…電気機器用ブッシング、３…中心導体、３Ａ、３Ｂ…中空部材、３Ｃ…集電子、４…上部端子、５…フランジ、６…タンク、７…接続端子、１０…ポリマー製の碍管、１１…アダプター、１２…アダプター導体。
Claims (5)
- 碍管内に中心導体を配置し、前記碍管の上端に中心導体を系統線と接続する上部端子を設けると共に下端にフランジを固定して電気機器のタンクに取り付け、前記中心導体は接続端子を介して電気機器本体側と接続する電気機器用ブッシングにおいて、前記碍管にはポリマー製を用い、前記ポリマー製の碍管のフランジと電気機器タンクとの間にポリマー製の碍管と既設の碍管との間に生じた長さ寸法差及び直径の寸法差を吸収するアダプターを設けて構成したことを特徴とする電気機器用ブッシング。
- 請求項１において、前記中心導体の下端の電気機器本体側には、調整用アダプター導体を介在させて電気的に接続して構成したことを特徴とする電気機器用ブッシング。
- 碍管内に中心導体を配置し、前記碍管の上端に中心導体を系統線と接続する上部端子を設けると共に下端にフランジを固定して電気機器のタンクに取り付け、前記中心導体は接続端子を介して電気機器本体側と接続する電気機器用ブッシングにおいて、前記碍管にはポリマー製を用い、前記中心導体は嵌め合わせる二つの中空部材にて長さ寸法を調整可能にすると共に、前記中空部材間は集電子により電気的に接続し、前記ポリマー製の碍管下端のフランジと電気機器タンクとの間にポリマー製の碍管と既設の碍管との間に生じた長さ寸法差及び直径の寸法差を吸収するアダプターを設けて構成したことを特徴とする電気機器用ブッシング。
- 請求項１から３のいずれかにおいて、前記アダプターは中心に開口を有する板状であることを特徴とする電気機器用ブッシング。
- 請求項１から３のいずれかにおいて、前記アダプターは中空筒状であることを特徴とする電気機器用ブッシング。
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