以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略して言及することもありうる。
なお図面において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である撮像装置について、図面を参照して説明する。
<撮像装置のブロック図及び動作について>
撮像装置の構成について、図1を用いて説明する。図1には、撮像装置のブロック図を示す。
撮像装置は、m行n列のマトリクス状に配置された複数の画素400(PIX)を含む画素部405、アナログ処理回路401(Analog)、デジタル処理回路であるA/D変換回路402(ADC)、列ドライバ403(CDRV)及び行ドライバ404(RDRV)を有する。
画素400は、光電変換素子と、少なくとも一つ以上のトランジスタと、を有する。画素400は、撮像によって得られるアナログ値の電圧(撮像データ)を複数保持することができる。例えば、第1の撮像データ、および第2の撮像データを保持することができる。
画素400に保持される第1の撮像データと第2の撮像データは、異なるタイミングで取得される撮像データとすることができる。第1の撮像データと第2の撮像データは、画素を選択して取得、保持することができる。また第1の撮像データと第2の撮像データは、画素を選択して読み出すことができる。また第1の撮像データと第2の撮像データは、画素を選択して比較することができる。なお画素部405において、画素400のj行k列(1≦j≦m、1≦k≦n)の画素を(j、k)として図示している。
画素400は、配線TX(TX[1]乃至TX[m])に接続される。配線TXは、撮像する画素の選択、保持を制御するための信号が与えられる。画素400は、配線SE(SE[1]乃至SE[m])を出力する信号が与えられる。信号SEは、撮像データの読み出し、および撮像データの比較をするための信号である。配線TX及び配線SEは、例えば行ドライバ404に接続される。なお配線TX及び配線SEは、画素に保持した撮像データの数に応じて、行毎に複数与えられる。
画素400は、配線OD1(OD1[1]乃至OD1[n])、配線OD2(OD2[1]乃至OD2[n])に接続される。配線OD1、OD2は、撮像データの数に応じて設けられる。本実施の形態では、画素400で保持する撮像データとして、2つの撮像データ(第1の撮像データと第2の撮像データ)を例に挙げて説明する。そのため、2つの配線OD1、OD2が画素400に接続される。配線OD1、OD2は、撮像データを読み出すための電圧、および撮像データの比較を行うための電流を与える。配線OD1、OD2は、例えば列ドライバ403およびアナログ処理回路401に接続される。
画素400は、配線OUT(OUT[1]乃至OUt[n])に接続される。配線OUTは、撮像データに応じた出力電圧、及び2つの撮像データの差に応じた電流を与えられる。配線OUTは、例えばA/D変換回路402に接続される。
アナログ処理回路401は、各画素400から出力された撮像データに対してデータ処理をする。より具体的には、画素400で保持した2つの撮像データの差を検出する。2つの撮像データが異なる場合、すなわち差が生じた場合にはCompout信号を発生する。Compout信号は、順次トリガー信号(TRIGと表記)として外部に取り出される。
A/D変換回路402は、撮像データに応じた出力電圧をA/D変換によりデジタルデータに変換する。A/D変換されたデジタルデータは、順次データDATAとして外部に取り出される。
列ドライバ403と行ドライバ404には、様々な回路、例えば、デコーダやシフトレジスタ等が用いられる。
次いで撮像装置の動作の概要について、図2を用いて説明する。
第1のモードの動作について説明する。第1のモードでは、画素400が撮像した第1の撮像データに応じた出力電圧に変換し、このアナログ値の出力電圧をA/D変換してデジタルデータに変換する(ステップS101)。
第1のモードから第2のモードに遷移するときの動作(ステップS102)は、あらかじめ条件を設定しておくことで行うことができる。例えば、特定の期間が経過、あるいは、デジタル処理を終了する制御信号の入力、などの条件である。この条件が満たされた場合に、第1のモードから第2のモードに遷移する。
第2のモードの動作について説明する。第2のモードでは、アナログ処理回路401にて、画素400が撮像した第1の撮像データと、基準となる第2の撮像データとの差分を検出する(ステップS103)。当該アナログ処理により第1の撮像データと第2の撮像データとの差分が無ければ、すなわち、トリガー信号が発生しなければ、引き続きアナログ処理を行う。一方、当該アナログ処理により第1の撮像データと第2の撮像データとの差分があれば(ステップS104)、すなわち、トリガー信号が発生すれば、第1のモードに遷移する。
上記構成を有する撮像装置において、第2のモードでは、膨大な電力を消費するデジタル処理を行わず、また、トリガー信号を生成するための最低限のアナログ処理を行うだけで良いため、消費電力を低減することができる。また、第1のモードでは、デジタル処理により、トリガー信号が生成した原因、すなわち、第1の撮像データと第2の撮像データとの違いを詳細に確認することができる。
<撮像装置の画素及び周辺回路について>
次いで上述した撮像装置の動作が可能な、撮像装置の画素および周辺回路の構成例について説明する。図3には、画素の回路図の一例、周辺回路の主な回路ブロックを示している。
図3には、画素200の他、周辺回路として、切り替え回路201、読み出し回路202、比較回路203を図示している。画素200、切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203は、上述した第1のモードと第2のモードとで、機能を切り替えることができる。
画素200は、光電変換素子PCL1、トランジスタM1乃至M7、キャパシタC1およびC2を有する。画素200は、図1の画素400に相当する。画素200は、第1の撮像データおよび第2の撮像データを取得し、保持する機能を有する。
トランジスタM3のゲートは、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方に接続される。トランジスタM3のゲートのノードは、ノードFD1として説明する。トランジスタM6のゲートは、トランジスタM5のソースまたはドレインの一方に接続される。トランジスタM6のゲートのノードは、ノードFD2として説明する。なお図3では、ノードFD1、FD2に、それぞれキャパシタC1、C2が接続される構成を図示しているが、トランジスタのゲート容量を大きくする等により省略することができる。
ノードFD1は、トランジスタM2をオン状態とすることで、光電変換素子PCL1に流れる電流に応じた電圧とすることができる。ノードFD1は、トランジスタM2をオフ状態とすることで電荷を保持することができる。つまり、ノードFD1は、トランジスタM2のオンまたはオフを制御することで第1の撮像データを保持することができる。トランジスタM2の制御は、配線TX1に与える信号によって制御できる。配線TX1は、上記説明した配線TXに相当する。
ノードFD2は、トランジスタM5をオン状態とすることで、光電変換素子PCL1に流れる電流に応じた電圧とすることができる。ノードFD2は、トランジスタM5をオフ状態とすることで電荷を保持することができる。つまり、ノードFD2は、トランジスタM5のオンまたはオフを制御することで第2の撮像データを保持することができる。トランジスタM5の制御は、配線TX2に与える信号によって制御できる。配線TX2は、上記説明した配線TXに相当する。
なお図3では、一例として、トランジスタM1乃至M7をnチャネル型のトランジスタとして図示している。特にトランジスタM2およびトランジスタM5には、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタ(OSトランジスタ)を用いることが特に好ましい。
OSトランジスタは極めて低いオフ電流特性を有するため、撮像のダイナミックレンジを拡大することができる。画素200の回路構成では、光電変換素子PCL1に入射される光の強度が大きいときに電荷蓄積部にあたるノードFD1(あるいはFD2)の電位が小さくなる。OSトランジスタは極めてオフ電流が低いため、ゲート電位が極めて小さい場合においても当該ゲート電位に応じた電流を正確に出力することができる。したがって、検出することのできる照度のレンジ、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
また、OSトランジスタは、シリコンを活性領域または活性層に用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタ)よりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。したがって、OSトランジスタを有する撮像装置および半導体装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適している。
また、OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有する。セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子では、アバランシェ現象が起こりやすいように比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。したがって、OSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、信頼性の高い撮像装置とすることができる。
光電変換素子PCL1の一方の端子は、トランジスタM2のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタM5のソースまたはドレインの他方に接続される。トランジスタM2またはトランジスタM5をオン状態とすることで、ノードFD1またはノードFD2を光電変換素子PCL1に流れる電流に応じた電圧とすることができる。光電変換素子PCL1の他方の端子は、一例として電圧VSSを与えればよい。
またトランジスタM2のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタM5のソースまたはドレインの他方には、トランジスタM1を有していてもよい。トランジスタM1は、配線PRに与える信号によって、ノードFD1またはノードFD2に、リセット電圧VRSを与えることができる。
トランジスタM3のソースまたはドレインの一方は、配線OD1に接続される。トランジスタM3のソースまたはドレインの他方は、トランジスタM4のソースまたはドレインの一方に接続される。トランジスタM4のソースまたはドレインの他方は、読み出し回路202に接続される。
トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は、配線OD2に接続される。トランジスタM6のソースまたはドレインの他方は、トランジスタM7のソースまたはドレインの一方に接続される。トランジスタM7のソースまたはドレインの他方は、読み出し回路202に接続される。
トランジスタM3は、配線OD1を電圧VDDとし、トランジスタM4をオン状態とすることで、ノードFD1の電圧に応じた電圧を出力電圧VOUTとし、上述したA/D変換回路でデジタルとし、データDATAを出力することができる。
また配線OD1および配線OD2を同じ定電流が流れる状態とし、トランジスタM4およびトランジスタM7をオン状態とすることで、配線OD1および配線OD2の電圧を、ノードFD1の電圧に応じた電圧、およびノードFD2の電圧に応じた電圧とすることができる。
トランジスタM3のソースまたはドレインの一方は、配線OD1に接続される。トランジスタM3のソースまたはドレインの他方は、トランジスタM4のソースまたはドレインの一方に接続される。トランジスタM4のソースまたはドレインの他方は、読み出し回路202に接続される。トランジスタM3は、トランジスタM4をオン状態とすることで、ノードFD1の電圧に応じた電圧を出力することができる。トランジスタM4の制御は、配線SE1に与える信号によって制御できる。配線SE1は、上記説明した配線SEに相当する。
トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は、配線OD2に接続される。トランジスタM6のソースまたはドレインの他方は、トランジスタM7のソースまたはドレインの一方に接続される。トランジスタM7のソースまたはドレインの他方は、読み出し回路202に接続される。トランジスタM6は、トランジスタM7をオン状態とすることで、ノードFD2の電圧に応じた電圧を出力することができる。トランジスタM7の制御は、配線SE2に与える信号によって制御できる。配線SE2は、上記説明した配線SEに相当する。
切り替え回路201は、配線OD1および配線OD2と接続される。切り替え回路201は、第1のモード時において、配線OD1および配線OD2に定電圧を与える機能を有する。また切り替え回路201は、第2のモード時において、配線OD1および配線OD2に定電流を流す機能を有する。切り替え回路201は、制御信号CON1によって、機能を切り替えることができる。なお切り替え回路201は、例えば、A/D変換回路402内に設ければよい。
読み出し回路202は、トランジスタM4のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタM7のソースまたはドレインの他方と接続される。読み出し回路202は、第1のモード時において、トランジスタM3のゲート、すなわちノードFD1の電圧に応じて電圧を出力する機能を有する。また読み出し回路202は、トランジスタM6のゲート、すなわちノードFD2の電圧に応じて電圧を出力する機能を有する。また読み出し回路202は、第2のモード時において、ノードFD1の電圧、ノードFD2の電圧の差を増幅する機能を有する。なお読み出し回路202は、例えば、A/D変換回路402内に設ければよい。
比較回路203は、配線OD1および配線OD2と接続される。比較回路203は、第1のモード時において動作しない。比較回路203は、第2のモード時において、配線OD1および配線OD2の電圧の差に応じて、信号を出力する機能を有する。なお比較回路203は、例えば、アナログ処理回路401内に設ければよい。
画素200の他、周辺回路である切り替え回路201、読み出し回路202、比較回路203を第1のモードと第2のモードで切り替えて動作できる構成とすることで、撮像データの取得と、撮像データ間の差の比較を行う構成とすることができる。図3の構成では、第1のモード時において、画素200において撮像データを取得、読み出し可能な構成とすることができる。また、第2のモード時において、画素200および周辺回路(切り替え回路201、読み出し回路202、比較回路203)を差動増幅回路として機能させ、画素200に保持した2つの撮像データの差を増幅してトリガーとなる信号を出力させることができる。
上述した各構成とすることで、撮像装置は、第1のモードと第2のモードを切り替えて動作される。第1のモードでは、画素200で撮像した撮像データに相当するノードFD1の電圧を基に電圧VOUTを生成し、この電圧VOUTを基にデジタル信号を生成することができる。第2のモードでは、画素200で撮像した第1の撮像データに相当するノードFD1の電圧と、第2の撮像データに相当するノードFD2の電圧を比較し、差を検出することでトリガーとなる信号CompOUTを生成することができる。この信号CompOUTを基に、第2のモードから第1のモードへの遷移を制御するトリガーとなる信号TRIGを生成することができる。
<画素の動作について>
次いで図3で説明した、画素200、切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203の、第1のモード、第2のモード時における動作について説明する。
図3で示した切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203の回路構成の一例について、図4に示す。
図4に示す切り替え回路201は、トランジスタM11乃至M14を有する。なお図4では、トランジスタM11乃至M14をpチャネル型のトランジスタとして図示している。トランジスタM11及びM14は、制御信号CON1によってオン状態、オフ状態を切り替えることができる。またトランジスタM12およびM13は、バイアス電圧VBIAS0を印加することによって定電流源を構成する。トランジスタM11およびM14がオン状態では、配線OD1およびOD2が電圧VDDとなる。また、トランジスタM11およびM14がオフ状態では、配線OD1およびOD2に同じ大きさの電流を流すことができる。
図4に示す読み出し回路202は、トランジスタM21を有する。なお図4では、トランジスタM21をnチャネル型のトランジスタとして図示している。トランジスタM21は、バイアス電圧VBIAS1が印加され、定電流源として機能させることができる。従って、ノードFD1またはノードFD2の電圧に応じて、出力電圧VOUTを出力することができる。またノードFD1またはノードFD2の電圧の差を増幅することができる。
図4に示す比較回路203は、トランジスタM31乃至M34、論理回路ORを有する。なお図4では、トランジスタM31、M33をpチャネル型のトランジスタ、トランジスタM32、M34をnチャネル型のトランジスタとして図示している。トランジスタM31は、ゲートに配線OD1が接続される。トランジスタM33は、ゲートに配線OD2が接続される。トランジスタM32、M34は、バイアス電圧VBIAS2が印加され、定電流源として機能させることができる。論理回路ORは、論理和としての機能を有する。論理回路ORは、配線OD1、OD2の電圧が異なる場合、ハイレベルの電圧が与えられる、そのため論理回路ORは、配線OD1、OD2の電圧が異なる場合に、信号CompOUTを出力することができる。
次いで、図4に示す回路構成における、第1のモード時の動作について説明する。図5は、第1のモード時における画素200、切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203の各回路での電圧の状態、信号の状態を説明するためのタイミングチャートである。
図5におけるタイミングチャートでは、画素200で撮像する際の一連の動作を表している。図5において、期間P1はリセット期間(図中、Reset)である。また図5において、期間P2は撮像期間(図中、Exposure)である。図5において、期間P3は読み出し期間(図中、Readout)である。
図5におけるタイミングチャートでは、ノードFD1またはノードFD2を初期化するための信号PR、配線TX1に与える信号、配線TX2に与える信号、ノードFD1の電圧、ノードFD2の電圧、配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号、配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号、制御信号CON1、信号CompOUTの波形を示している。
まず期間P1において、ノードFD1の初期化(リセット)を行う。初期化は、ノードFD1を電圧VRSとすることで行われる。信号PRをハイレベルとすることで、トランジスタM1をオン状態とする。配線TX1に与える信号をハイレベルとすることで、トランジスタM2をオン状態とする。配線TX2に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM5をオフ状態とする。ノードFD1の電圧は、電圧VRSとなる。ノードFD2の電圧は、元の状態、すなわちローレベルとなる。配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM4はオフ状態である。配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM7はオフ状態である。制御信号CON1はローレベルとし、配線OD1およびOD2は電圧VDDとなっている。トランジスタM4、M7がオフ状態のため、配線OD1と読み出し回路202間、および配線OD2と読み出し回路202間は電流が流れない。配線OD1は、電圧VDDから変化なく、信号CompOUTはローレベルである。なお期間R1では、ノードFD2の初期化も行ってもよい。
次いで期間P2において、光電変換素子PCL1で受光することで流れる電流に応じてノードFD1の電圧を変化させ、撮像を行う。撮像は、信号PRをローレベルとすることで、トランジスタM1をオフ状態とする。配線TX1に与える信号をハイレベルとすることで、トランジスタM2をオン状態とする。配線TX2に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM5をオフ状態とする。ノードFD1の電圧は、光電変換素子PCL1で受光する光の強さによって電圧VRSから変化する。図4の構成では、光の強さが大きいと光電変換素子PCL1を流れる電流が大きくなるため、電圧の変化が大きくなる(図中、Bright)。ノードFD2の電圧は、元の状態、すなわちローレベルとなる。配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM4はオフ状態である。配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM7はオフ状態である。制御信号CON1はローレベルとし、配線OD1およびOD2は電圧VDDとなっている。トランジスタM4、M7がオフ状態のため、配線OD1と読み出し回路202間、および配線OD2と読み出し回路202間を電流は流れない。配線OD1は、電圧VDDから変化なく、信号CompOUTはローレベルである。なお期間T2では、ノードFD2の電圧を変化させる撮像を行ってもよい。
次いで期間P3において、ノードFD1の電圧の読み出し、すなわち撮像データの読み出しを行う。読み出しは、信号PRをローレベルとすることで、トランジスタM1をオフ状態とする。配線TX1に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM2をオフ状態とする。配線TX2に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM5をオフ状態とする。トランジスタM2、M5をオフ状態とすることで、ノードFD1の電圧およびノードFD2の電圧を保持することができる。配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号を順にハイレベルとし、トランジスタM4を順にオン状態である。配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM7はオフ状態である。制御信号CON1はローレベルとし、配線OD1およびOD2は電圧VDDとなっている。トランジスタM4がオン状態のため、配線OD1と読み出し回路202間では、ノードFD1の電圧に応じた電圧が出力される。配線OD1は、電圧VDDから変化なく、信号CompOUTはローレベルである。
第1のモード時において、画素200、切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203の各回路では、図8に示す回路構成を用いて、リセット、撮像、読み出しの諸動作を行うことができる。
次いで、図4に示す回路構成における、第2のモード時の動作について説明する。図6、図7は、第2のモード時における画素200、切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203の各回路での電圧の状態、信号の状態を説明するためのタイミングチャートである。
図6は、基準となる第1の撮像データと、別の期間に撮像した第2の撮像データとを保持し、互いの撮像データを比較した結果、異なる場合の動作のタイミングチャートである。図7は、基準となる第1の撮像データと、別の期間に撮像した第2の撮像データとを保持し、互いの撮像データを比較した結果、同じ場合の動作のタイミングチャートである。
図6、図7におけるタイミングチャートでは、画素200で撮像する際の一連の動作を表している。図6、図7において、期間P4はノードFD1のリセット期間(図中、Reset)である。また図6、図7において、期間P5はノードFD1の撮像期間(図中、Exposure)である。図6、図7において、期間P6はノードFD1の読み出し期間(図中、Readout)である。図6、図7において、期間P7はノードFD2のリセット期間(図中、Reset)である。また図6、図7において、期間P8はノードFD2の撮像期間(図中、Exposure)である。図6、図7において、期間P9はノードFD1、ノードFD2の電圧の比較期間(図中、COMP)である。
図6、図7におけるタイミングチャートでは、ノードFD1またはノードFD2を初期化するための信号PR、配線TX1に与える信号、配線TX2に与える信号、ノードFD1の電圧、ノードFD2の電圧、配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号、配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号、制御信号CON1、信号CompOUTの波形を示している。
期間P4乃至P6は、上記説明した期間P1乃至P3と同じ動作である。この諸動作によって、ノードFD1には基準となる電圧(VREF)が保持される。この電圧VREFが、撮像データ間の差分を検出する基準の撮像データとなる。
期間P7において、ノードFD2の初期化を行う。初期化は、ノードFD2を電圧VRSとすることで行われる。信号PRをハイレベルとすることで、トランジスタM1をオン状態とする。配線TX1に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM2をオフ状態とする。配線TX2に与える信号をハイレベルとすることで、トランジスタM5をオン状態とする。ノードFD1の電圧は、電圧VREFに保持されたまま、ノードFD2の電圧は、電圧VRSとなる。配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM4はオフ状態である。配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM7はオフ状態である。制御信号CON1はローレベルとし、配線OD1およびOD2は電圧VDDとなっている。トランジスタM4、M7がオフ状態のため、配線OD1と読み出し回路202間、および配線OD2と読み出し回路202間を電流は流れない。配線OD1は、電圧VDDから変化なく、信号CompOUTはローレベルである。
次いで期間P8において、光電変換素子PCL1で受光することで流れる電流に応じてノードFD2の電圧を変化させ、撮像を行う。撮像は、信号PRをローレベルとすることで、トランジスタM1をオフ状態とする。配線TX1に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM2をオフ状態とする。配線TX2に与える信号をハイレベルとすることで、トランジスタM5をオン状態とする。ノードFD1の電圧は、電圧VREFに保持されたまま、ノードFD2の電圧は光電変換素子PCL1で受光する光の強さによって電圧VRSから変化する。ノードFD2の電圧は、電圧VIMG(≠VREF)となる。配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM4はオフ状態である。配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号をローレベルとし、トランジスタM7はオフ状態である。制御信号CON1はローレベルとし、配線OD1およびOD2は電圧VDDとなっている。トランジスタM4、M7がオフ状態のため、配線OD1と読み出し回路202間、および配線OD2と読み出し回路202間を電流は流れない。配線OD1は、電圧VDDから変化なく、信号CompOUTはローレベルである。
次いで期間P9において、ノードFD1の電圧と、ノードFD2の電圧の比較、撮像データ間の比較を行う。撮像データの比較は、信号PRをローレベルとすることで、トランジスタM1をオフ状態とする。配線TX1に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM2をオフ状態とする。配線TX2に与える信号をローレベルとすることで、トランジスタM5をオフ状態とする。トランジスタM2、M5をオフ状態とすることで、ノードFD1の電圧およびノードFD2の電圧を保持することができる。配線SE1[1]乃至SE1[m]に与える信号を順にハイレベルとし、トランジスタM4を順にオン状態とする。配線SE2[1]乃至SE2[m]に与える信号を順にハイレベルとし、トランジスタM7を順にオン状態とする。制御信号CON1はハイレベルとし、配線OD1およびOD2は同じ大きさの電流が流れている。トランジスタM4、M7がオン状態のため、トランジスタM4、M7に流れる電流の和は、トランジスタ21を流れる電流に等しくなる。トランジスタM4、M7を流れる電流は、トランジスタM3、M6を流れる電流に等しい。トランジスタM3、M6を流れる電流は、ノードFD1の電圧と、ノードFD2の電圧とによって決まる。ノードFD1の電圧と、ノードFD2の電圧とに差が生じる場合、トランジスタM3、M6を流れる電流に差が生じ、配線OD1と配線OD2の電圧に差が生じる。具体的には、配線OD1または配線OD2の電圧が低下する。そのため、比較回路203が有するトランジスタM31またはM33に電流が流れ、論理回路ORの一方の入力信号が上昇する。そのため、ノードFD1の電圧と、ノードFD2の電圧とに差が生じる場合、図6に図示するように信号CompOUTはハイレベルとなる。
一方、ノードFD1の電圧と、ノードFD2の電圧とに差がない場合、トランジスタM3、M6を流れる電流に差が生じない。したがって、配線OD1と配線OD2の電圧に差が生じない。そのため、比較回路203が有するトランジスタM31またはM33に十分な電流が流れず、論理回路ORの入力信号はローレベルのまま変化しない。そのため、ノードFD1の電圧と、ノードFD2の電圧とに差がない場合、図7に図示するように信号CompOUTはローレベルとなる。
第2のモード時において、画素200、切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203の各回路では、図9に示す回路構成を用いて、リセット、撮像、読み出し、比較の諸動作を行うことができる。画素200、切り替え回路201、読み出し回路202、および比較回路203の各トランジスタは、第2のモード時において、差動増幅回路と同等の機能を有し、ノードFD1の電圧と、ノードFD2の電圧との差によって、差を増幅するよう作用し、信号CompOUTでハイレベルを出力させることができる。
<画素の変形例について>
次いで、図3、4に示した画素200の変形例について説明する。
図3、4の画素200が有するトランジスタM1乃至M7は、例えばpチャネル型のトランジスタを適用することができる。この場合の回路図を図10(A)に示す。図10(A)の画素200Aのように、トランジスタM1乃至M7をpチャネル型のトランジスタとすることで、トランジスタM11乃至M14と同じ工程で作製することが可能になる。
図3、4の画素200が有するキャパシタC1、C2は、省略することができる。この場合の回路図を図10(B)に示す。この場合、トランジスタM3、M6のゲート容量を大きくすればよい。図10(B)の画素200Bのように、キャパシタC1、C2を省略することで画素200の省面積化を図ることができる。
図3、4の画素200が有する光電変換素子PCL1は、高電界を印加することでアバランシェ増幅を適用可能な光電変換素子PCL2とすることができる。この場合の回路図を図11に示す。高電界を光電変換素子PCL2に印加するため、電源PSより電圧を与える構成とする。図11の画素200Cのように、アバランシェ増幅を適用可能な光電変換素子PCL2とすることで、微弱光の検出等を図ることができる。
図3、4の画素200が有するトランジスタM2、M5はバックゲートを有し、バックゲートに電圧VBGを与える構成とすることができる。この場合の回路図を図12(A)に示す。図12(A)の画素200Dのように、バックゲート電圧VBGをトランジスタのバックゲートに与える構成とすることで、トランジスタの閾値電圧を制御できる。閾値電圧を制御することで、例えば閾値電圧をプラスシフトすることができ、ノードFD1、ノードFD2に蓄積した電荷を保持するためのトランジスタのオフ電流を低下させることができる。
図3、4の画素200が有するトランジスタM2、M5はバックゲートを有し、それぞれのバックゲートに配線TX1、2の信号を与える構成とすることができる。この場合の回路図を図12(B)に示す。図12(B)の画素200Eのように、バックゲート電圧VBGをトランジスタM2、M5のそれぞれのバックゲートに配線TX1、2の信号に与える構成とすることで、オン状態およびオフ状態を制御しやすくできる。オン状態およびオフ状態を制御しやすくすることでトランジスタに流れる電流量を制御しやすくすることができる。
図3、4の画素200が有するトランジスタM1は、ノードFD1、FD2に直接接続する構成とすることができる。この場合の回路図を図13(A)に示す。図13(A)の画素200Fのように、ノードFD1にトランジスタM1_A、ノードFD2にトランジスタM1_Bを接続する。トランジスタM1_Aは制御信号PR_A、トランジスタM1_Bは制御信号PR_Bによって、リセット電圧VRSをノードFD1、FD2に与えることができる。このようにすることで、配線TXに与える信号を制御することなく、初期化の動作を行うことができる。
図3、4の画素200が有するトランジスタM4、M7は、配線OD1、OD2に接続されるように、トランジスタM3、M6と接続を入れ替えてもよい。この場合の回路図を図13(B)に示す。図13(B)の画素200Gのように、トランジスタM3乃至M7を接続する。このようにすることで、配線OD1、OD2の電圧の変動によって、ノードFD1、FD2の電圧が変化することを抑制することができる。
図3、4の画素200は、ダイナミックレンジ拡大のため、複数の光電変換素子を設ける構成としてもよい。この場合の回路図を図14に示す。図14の画素200Hでは、光電変換素子PCL1の他、光電変換素子PCL3を有する。光電変換素子PCL1と光電変換素子PCL3との特性を異ならせることで、異なる波長の光の検出等を可能とすることができる。なお画素200Hは、複数の光電変換素子を設けることで、隣接する画素とトランジスタを共有させることも可能である。
以上説明したように本発明の一態様は様々な変形例を適用することができる。
<撮像装置の構成例について>
次に、本発明の一態様の撮像装置の具体的な構成例について、図面を参照して説明する。図15(A)は、本発明の一態様の撮像装置の断面図の一例であり、光電変換素子60a、トランジスタ51aおよびトランジスタの具体的な接続形態の一例を示している。当該撮像装置は、トランジスタ51a、52aが設けられる層1100、および光電変換素子60aが設けられる層1200を有する。なお光電変換素子60aは、例えば、図3、4に示す画素200における光電変換素子PCL1に相当する。また、トランジスタ51aは、例えば、図3、4に示す画素200におけるトランジスタM2に相当する。また、トランジスタ52aは、例えば、図3、4に示す画素200におけるトランジスタM5に相当する。
なお、本実施の形態で説明する断面図において、各配線、各電極および各導電体81を個別の要素として図示しているが、それらが電気的に接続している場合においては、同一の要素として設けられる場合もある。また、トランジスタのゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極が導電体81を介して各配線と接続される形態は一例であり、トランジスタのゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極のそれぞれが配線としての機能を有する場合もある。
また、各要素上には保護膜、層間絶縁膜または平坦化膜としての機能を有する絶縁層82および絶縁層83等が設けられる。例えば、絶縁層82および絶縁層83等は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。絶縁層82および絶縁層83等の上面は、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
なお、図面に示される配線等の一部が設けられない場合や、図面に示されない配線等やトランジスタ等が各層に含まれる場合もある。また、図面に示されない層が当該積層構造に含まれる場合もある。また、図面に示される層の一部が含まれない場合もある。
トランジスタ51aおよびトランジスタ52aには、OSトランジスタを用いることが特に好ましい。OSトランジスタは極めて低いオフ電流特性を有する。トランジスタ51aおよびトランジスタ52aの低いオフ電流特性によってノードFD1、FD2で電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。そのため、回路構成や動作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を適用することができる。
一般的に、画素がマトリクス状に配置された撮像装置では、図16(A)に示す、行毎に撮像動作11、データ保持動作12、読み出し動作13を行う駆動方法であるローリングシャッタ方式が用いられる。ローリングシャッタ方式を用いる場合には、撮像の同時性が失われるため、被写体が移動した場合には、画像に歪が生じてしまう。
したがって、本発明の一態様は、図16(B)に示す、全行で同時に撮像動作11を行い、行毎に順次読み出し動作13を行うことができるグローバルシャッタ方式を用いることが好ましい。グローバルシャッタ方式を用いることで、撮像装置の各画素における撮像の同時性を確保することができ、被写体が移動する場合であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる。また、グローバルシャッタ方式により露光時間(電荷の蓄積動作を行う期間)を長くすることもできることから、低照度環境における撮像にも適する。
層1200に設けられる光電変換素子60aは、様々な形態の素子を用いることができる。図15(A)では、セレン系材料を光電変換層61に用いた形態を図示している。セレン系材料を用いた光電変換素子60aは、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ現象により入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサとすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層61を薄くしやすい利点を有する。
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレンは、一例として、非晶質セレンを成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、結晶セレンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させることができる。また、結晶セレンは、非晶質セレンよりも可視光に対する分光感度や光吸収係数が高い特性を有する。
また、光電変換層61は、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を含む層であってもよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を含む層であってもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ現象が利用できる光電変換素子を形成することができる。
セレン系材料を用いた光電変換素子60aは、例えば、金属材料などで形成された電極66と透光性導電層62との間に光電変換層61を有する構成とすることができる。また、CISおよびCIGSはp型半導体であり、接合を形成するためにn型半導体の硫化カドミウムや硫化亜鉛等を接して設けてもよい。
アバランシェ現象を発生させるためには、光電変換素子に比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有するため、光電変換素子に比較的高い電圧を印加することが容易である。したがって、ドレイン耐圧の高いOSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、高感度、かつ信頼性の高い撮像装置とすることができる。
なお、図15(A)では、光電変換層61および透光性導電層62を回路間で分離しない構成としているが、図17(A)に示すように回路間で分離する構成としてもよい。また、画素間において、電極66を有さない領域には、絶縁体で隔壁67を設け、光電変換層61および透光性導電層62に亀裂が入らないようにすることが好ましいが、図17(B)に示すように隔壁67を設けない構成としてもよい。また、図15(A)では、透光性導電層62と配線72との間に配線88および導電体81を介する構成を図示しているが、図17(C)、(D)に示すように透光性導電層62と配線72が直接接する形態としてもよい。
また、電極66および配線72等は多層としてもよい。例えば、図18(A)に示すように、電極66を導電層66aおよび導電層66bの二層とし、配線72を導電層72aおよび導電層72bの二層とすることができる。図18(A)の構成においては、例えば、導電層66aおよび導電層72aを低抵抗の金属等を選択して形成し、導電層66aおよび導電層72aを光電変換層61とコンタクト特性の良い金属等を選択して形成するとよい。このような構成とすることで、光電変換素子の電気特性を向上させることができる。また、一部の金属は透光性導電層62と接触することにより電蝕を起こすことがある。そのような金属を導電層72aに用いた場合でも導電層72bを介することによって電蝕を防止することができる。
導電層66bおよび導電層72bには、例えば、モリブデンやタングステンなどを用いることができる。また、導電層66aおよび導電層72aには、例えば、アルミニウム、チタン、またはアルミニウムをチタンで挟むような積層を用いることができる。
また、絶縁層82等が多層である構成であってもよい。例えば、図18(B)に示すように、絶縁層82が絶縁層82aおよび絶縁層82bを有し、かつ絶縁層82aと絶縁層82bとのエッチングレート等が異なる場合は、導電体81は段差を有するようになる。層間絶縁膜や平坦化膜に用いられるその他の絶縁層が多層である場合も同様に導電体81は段差を有するようになる。なお、ここでは絶縁層82が2層である例を示したが、絶縁層82およびその他の絶縁層は3層以上の構成であってもよい。
また、図15(A)、図17(A)乃至図17(D)および図18(B)に示す電極66、ならびに図18(A)に示す導電層66bは、光電変換層61の被覆性不良などに起因する透光性導電層62との短絡を防止するため、平坦性が高いことが好ましい。なお、上述した電極66および導電層66bの平坦性を向上させると光電変換層61との密着性が向上することもある。
平坦性が高い導電膜としては、例えば、シリコンが1乃至20%添加された酸化インジウム錫膜などが挙げられる。シリコンが添加された酸化インジウム錫膜の平坦性が高いことは、原子力間顕微鏡を用いた測定によって確かめられている。350℃で1時間熱処理した酸化インジウム錫膜と同処理を施したシリコン10%が添加された酸化インジウム錫膜のそれぞれについて、2μm×2μmの領域を原子力間顕微鏡で測定した結果、前者の最大高低差(P−V)は23.3nmであったが、後者は7.9nmであった。
酸化インジウム錫膜は、成膜時に非晶質であっても比較的低温で結晶化するため、結晶粒成長による表面荒れが生じやすい。一方、シリコンが添加された酸化インジウム錫膜は、400℃超の熱処理を行ってもX線回折分析によるピークの出現は認められない。つまり、シリコンが添加された酸化インジウム錫膜は、比較的高温の熱処理を行っても非晶質状態を維持する。したがって、シリコンが添加された酸化インジウム錫膜は表面荒れが生じにくい。
なお、隔壁67は、無機絶縁体や絶縁有機樹脂などを用いて形成することができる。また、隔壁67は、トランジスタ等に対する遮光のため、および/または1画素あたりの受光部の面積を確定するために黒色等に着色されていてもよい。
また、光電変換素子60aには、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型ダイオード素子などを用いてもよい。
例えば、図19は光電変換素子60aにpin型の薄膜フォトダイオードを用いた例である。当該フォトダイオードは、p型の半導体層65、i型の半導体層64、およびn型の半導体層63が順に積層された構成を有している。i型の半導体層64には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、n型の半導体層63およびp型の半導体層65には、それぞれの導電型を付与するドーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質シリコンを光電変換層とするフォトダイオードは可視光の波長領域における感度が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
図19に示す光電変換素子60aでは、p型の半導体層65がトランジスタ51aおよびトランジスタ52aと電気的な接続を有する電極66と電気的な接続を有する。また、n型の半導体層63が導電体81を介して配線72と電気的な接続を有する。
また、pin型の薄膜フォトダイオードの形態を有する光電変換素子60aの構成、ならびに光電変換素子60aおよび配線の接続形態は、図20(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す例であってもよい。なお、光電変換素子60aの構成、光電変換素子60aと配線の接続形態はこれらに限定されず、他の形態であってもよい。
図20(A)は、光電変換素子60aのp型の半導体層63と接する透光性導電層62を設けた構成である。透光性導電層62は電極として作用し、光電変換素子60aの出力電流を高めることができる。
透光性導電層62には、例えば、インジウム錫酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができる。また、透光性導電層62は単層に限らず、異なる膜の積層であっても良い。
図20(B)は、光電変換素子60aのn型の半導体層63と配線88が電気的な接続を直接有する構成である。
図20(C)は、光電変換素子60aのn型の半導体層63と接する透光性導電層62が設けられ、配線88と透光性導電層62が電気的な接続を有する構成である。
図20(D)は、光電変換素子60aを覆う絶縁層にn型の半導体層63が露出する開口部が設けられ、当該開口部を覆う透光性導電層62と配線88が電気的な接続を有する構成である。
図20(E)は、光電変換素子60aを貫通する導電体81が設けられた構成である。当該構成では、配線72は導電体81を介してn型の半導体層63と電気的に接続される。なお、図面上では、配線72と電極66とは、p型の半導体層65を介して見かけ上導通してしまう形態を示している。しかしながら、p型の半導体層65の横方向の抵抗が高いため、配線72と電極66との間に適切な間隔を設ければ、両者間は極めて高抵抗となる。したがって、光電変換素子60aは、アノードとカソードが短絡することなく、ダイオード特性を有することができる。なお、n型の半導体層63と電気的に接続される導電体81は複数であってもよい。
図20(F)は、図20(E)の光電変換素子60aに対して、n型の半導体層63と接する透光性導電層62を設けた構成である。
なお、図20(D)、図20(E)、および図20(F)に示す光電変換素子60aでは、受光領域と配線等が重ならないため、広い受光面積を確保できる利点を有する。
また、光電変換素子60aには、図21に示すように、シリコン基板30を光電変換層としたフォトダイオードを用いることもできる。
上述したセレン系材料や非晶質シリコンなどを用いて形成した光電変換素子60aは、成膜工程、リソグラフィ工程、エッチング工程などの一般的な半導体作製工程を用いて作製するこができる。また、セレン系材料は高抵抗であり、図15(A)に示すように、光電変換層61を回路間で分離しない構成とすることもできる。したがって、本発明の一態様の撮像装置は、歩留りが高く、低コストで作製することができる。一方で、シリコン基板30を光電変換層としたフォトダイオードを形成する場合は、研磨工程や貼り合わせ工程などの難度の高い工程が必要となる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、回路が形成されたシリコン基板30が積層された構成としてもよい。例えば、図22(A)に示すようにシリコン基板30に活性領域を有するトランジスタ31およびトランジスタ32を有する層1400が画素回路と重なる構成とすることができる。なお、図22(B)はトランジスタのチャネル幅方向の断面図に相当する。
ここで、図23(A)、(B)において、Siトランジスタはフィン型の構成を例示しているが、図23(A)に示すようにプレーナー型であってもよい。または、図23(B)に示すように、シリコン薄膜の活性層35を有するトランジスタであってもよい。また、活性層35は、多結晶シリコンやSOI(Silicon on Insulator)の単結晶シリコンとすることができる。
シリコン基板30に形成された回路は、画素回路が出力する信号を読み出す機能や当該信号を変換する処理などを行う機能を有することができ、例えば、図23(C)に示す回路図のようなCMOSインバータを含む構成とすることができる。なお、当該回路は、図3,4に示す切り替え回路201、読み出し回路202、比較回路203に相当する。トランジスタ31(n−ch型)およびトランジスタ32(p−ch型)のゲートは電気的に接続される。また、一方のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、他方のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、両方のトランジスタのソースまたはドレインの他方はそれぞれ別の配線に電気的に接続される。
また、シリコン基板30はバルクのシリコン基板に限らず、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体を材料とする基板を用いることもできる。
ここで、図21および図22(A)に示すように、酸化物半導体を有するトランジスタが形成される領域と、Siデバイス(SiトランジスタまたはSiフォトダイオード)が形成される領域との間には絶縁層80が設けられる。
トランジスタ31およびトランジスタ32の活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端する。したがって、当該水素はトランジスタ31およびトランジスタ32の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ51a等の活性層である酸化物半導体層の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、当該水素はトランジスタ51a等の信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタを有する一方の層と、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する他方の層を積層する場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁層80を設けることが好ましい。絶縁層80により、一方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ31およびトランジスタ32の信頼性が向上することができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されることでトランジスタ51a等の信頼性も向上させることができる。
絶縁層80としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
なお、図22(A)に示すような構成では、シリコン基板30に形成される回路(例えば、駆動回路)と、トランジスタ51a等と、光電変換素子60aとを重なるように形成することができるため、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。例えば、画素数が4k2k、8k4kまたは16k8kなどの撮像装置に用いることが適する。別の言い方をすれば、図3、4に示す画素200が有するトランジスタM3およびトランジスタM6等をSiトランジスタで形成し、図3、4に示すトランジスタM2、トランジスタM5および光電変換素子PCL1と、重なる領域を有する構成とすることもできる。
また、図22(A)に示す撮像装置は、シリコン基板30には光電変換素子を設けない構成である。したがって、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光電変換素子60aに対する光路を確保することができ、高開口率の画素を形成することができる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図24に示す構成とすることができる。
図24に示す撮像装置は、図22(A)に示す撮像装置の変形例であり、OSトランジスタおよびSiトランジスタでCMOSインバータを構成する例を図示している。
ここで、層1400に設けるSiトランジスタであるトランジスタ32はp−ch型とし、層1100に設けるOSトランジスタであるトランジスタ31はn−ch型とする。p−ch型トランジスタのみをシリコン基板30に設けることで、ウェル形成やn型不純物層形成など工程を省くことができる。
なお、図24に示す撮像装置は、光電変換素子60aにセレン系材料等を用いた例を示したが、図19と同様にpin型の薄膜フォトダイオードを用いた構成としてもよい。
図24に示す撮像装置において、トランジスタ31は、層1100に形成するトランジスタ51aおよびトランジスタ52aと同一の工程で作製することができる。したがって、撮像装置の製造工程を簡略化することができる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図25に示すように、シリコン基板36に形成されたフォトダイオードおよびその上に形成されたOSトランジスタで構成された画素を有する構成と、回路が形成されたシリコン基板30とを貼り合わせた構成としてもよい。このような構成とすることで、シリコン基板36に形成するフォトダイオードの実効的な面積を向上することが容易になる。また、シリコン基板30に形成する回路を微細化したSiトランジスタで高集積化することで高性能な半導体装置を提供することができる。
また、図25の変形例として、図26および図27に示すように、OSトランジスタおよびSiトランジスタで回路を構成する形態であってもよい。このような構成とすることで、シリコン基板36に形成するフォトダイオードの実効的な面積を向上することが容易になる。また、シリコン基板30に形成する回路を微細化したSiトランジスタで高集積化することで高性能な半導体装置を提供することができる。
図26の構成は、シリコン基板30の上のOSトランジスタおよびSiトランジスタで構成した不揮発性メモリを形成することができ、画像処理回路などを形成する場合に有効である。また、図26の構成の場合、シリコン基板30の上のOSトランジスタおよびSiトランジスタでCMOS回路を構成することができる。OSトランジスタは極めてオフ電流が低いため、静的なリーク電流が極めて少ないCMOS回路を構成することができる。
図27の構成は、シリコン基板36の上のOSトランジスタおよびシリコン基板30の上のSiトランジスタで構成した不揮発性メモリを形成することができ、画像処理回路などを形成する場合に有効である。また、図27の構成の場合、シリコン基板36の上のOSトランジスタおよびシリコン基板30の上のSiトランジスタでCMOS回路を構成することができる。
図28(A)は、撮像装置にカラーフィルタ等を付加した形態の一例の断面図である。当該断面図は、3画素分の画素回路を有する領域の一部を示している。光電変換素子60aが形成される層1200上には、絶縁層2500が形成される。絶縁層2500は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層する構成としてもよい。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層する構成としてもよい。
絶縁層2500上には、遮光層2510が形成されてもよい。遮光層2510は、上部のカラーフィルタを通る光の混色を防止する機能を有する。遮光層2510には、アルミニウム、タングステンなどの金属層や当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体膜を積層する構成とすることができる。
絶縁層2500および遮光層2510上には平坦化膜として有機樹脂層2520を設ける構成とすることができる。また、画素別にカラーフィルタ2530(カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530b、カラーフィルタ2530c)が形成される。例えば、カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530cに、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
カラーフィルタ2530上には、透光性を有する絶縁層2560などを設けることができる。
また、図28(B)に示すように、カラーフィルタ2530の代わりに光学変換層2550を用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
例えば、光学変換層2550に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550に近赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば紫外線撮像装置とすることができる。
また、光学変換層2550にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる、放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンスと呼ばれる現象により可視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子60aで検知することにより画像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光や紫外光を発する物質、または当該物質を含む材料からなる。例えば、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF2、BaF2、CeF3、LiF、LiI、ZnOなどの材料や、それらを樹脂やセラミクスに分散させたものが知られている。
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子60aにおいては、X線等の放射線を電荷に直接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成とすることもできる。
カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530c上には、マイクロレンズアレイ2540を設けてもよい。マイクロレンズアレイ2540が有する個々のレンズを通る光が直下のカラーフィルタを通り、光電変換素子60aに照射されるようになる。なお、図28(A)、(B)、(C)に示す層1200以外の領域を層1600とする。
図28(C)に示す撮像装置の具体的な構成は、図15(A)に示す撮像装置を例にすると、図29に示すようになる。また、図21に示す撮像装置を例にすると、図30に示すようになる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図31および図32に示すように回折格子1500と組み合わせてもよい。回折格子1500を介した被写体の像(回折画像)を画素に取り込み、画素における撮像画像から演算処理により入力画像(被写体の像)を構成することができる。また、レンズの替わりに回折格子1500を用いることで撮像装置のコストを下げることができる。
回折格子1500は、透光性を有する材料で形成することができる。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。または、上記無機絶縁膜と有機絶縁膜との積層であってもよい。
また、回折格子1500は、感光性樹脂などを用いたリソグラフィ工程で形成することができる。また、リソグラフィ工程とエッチング工程とを用いて形成することもできる。また、ナノインプリントリソグラフィやレーザスクライブなどを用いて形成することもできる。
なお、回折格子1500とマイクロレンズアレイ2540との間に間隔Xを設けてもよい。間隔Xは、1mm以下、好ましくは100μm以下とすることができる。なお、当該間隔は空間でもよいし、透光性を有する材料を封止層または接着層として設けてもよい。例えば、窒素や希ガスなどの不活性ガスを当該間隔に封じ込めることができる。または、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などを当該間隔に設けてもよい。またはシリコーンオイルなどの液体を設けてもよい。なお、マイクロレンズアレイ2540を設けない場合においても、カラーフィルタ2530と回折格子1500との間に間隔Xを設けてもよい。
また、図33は、回路10、回路20および遮光層15の位置関係を示す断面図である。図示するように、回路20上を遮光層2510で覆うことで、遮光層2510を遮光層15とすることができる。または、図34(A)に示すように、マイクロレンズアレイ2540の上方に遮光層15として金属層や黒色樹脂などを設けてもよい。または、図34(B)に示すように、回路20上に異なる色のカラーフィルタを重畳した構成を遮光層15として設けてもよい。なお、図33、図34(A)および図34(B)に示す構成を任意に組み合わせてもよい。
また、撮像装置は、図35(A1)および図35(B1)に示すように湾曲させてもよい。図35(A1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X1−X2の方向に湾曲させた状態を示している。図35(A2)は、図35(A1)中の二点鎖線X1−X2で示した部位の断面図である。図35(A3)は、図35(A1)中の二点鎖線Y1−Y2で示した部位の断面図である。
図35(B1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X3−X4の方向に湾曲させ、かつ、同図中の二点鎖線Y3−Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図35(B2)は、図35(B1)中の二点鎖線X3−X4で示した部位の断面図である。図35(B3)は、図35(B1)中の二点鎖線Y3−Y4で示した部位の断面図である。
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた半導体装置などの小型化や軽量化を容易とすることができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、撮像装置に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、撮像装置に適用しなくてもよい。例えば、本発明の一態様は、別の機能を有する半導体装置に適用してもよい。例えば、本発明の一態様として、トランジスタのチャネル形成領域、ソースドレイン領域などが、酸化物半導体を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有していてもよい。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、または、有機半導体などの少なくとも一つを有していてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体を有していなくてもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体を有するトランジスタについて図面を用いて説明する。
図36(A)、(B)は、本発明の一態様に用いることができるトランジスタ101の上面図および断面図である。図36(A)は上面図であり、図36(A)に示す一点鎖線B1−B2方向の断面が図25(B)に相当する。また、図36(A)に示す一点鎖線B3−B4方向の断面が図38(A)に相当する。また、一点鎖線B1−B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3−B4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ101は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層140および導電層150と、酸化物半導体層130、導電層140および導電層150と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、導電層140、導電層150、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、を有する。また、必要に応じて絶縁層180に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
ここで、導電層140はソース電極層、導電層150はドレイン電極層、絶縁層160はゲート絶縁膜、導電層170はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
また、図36(B)に示す領域231はソース領域、領域232はドレイン領域、領域233はチャネル形成領域として機能することができる。領域231および領域232は導電層140および導電層150とそれぞれ接しており、例えば導電層140および導電層150として酸素と結合しやすい導電材料を用いれば領域231および領域232を低抵抗化することができる。
具体的には、酸化物半導体層130と導電層140および導電層150とが接することで酸化物半導体層130内に酸素欠損が生じ、当該酸素欠損と酸化物半導体層130内に残留または外部から拡散する水素との相互作用により、領域231および領域232は低抵抗のn型となる。
また、導電層170は、導電層171および導電層172の二層で形成される例を図示しているが、一層または三層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
また、導電層140および導電層150は単層で形成される例を図示しているが、二層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図36(C)、(D)に示す構成であってもよい。図36(C)はトランジスタ102の上面図であり、図36(C)に示す一点鎖線C1−C2方向の断面が図36(D)に相当する。また、図36(C)に示す一点鎖線C3−C4方向の断面は、図38(B)に相当する。また、一点鎖線C1−C2方向をチャネル長方向、一点鎖線C3−C4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ102は、ゲート絶縁膜として作用する絶縁層160の端部とゲート電極層として作用する導電層170の端部とを一致させない点を除き、トランジスタ101と同様の構成を有する。トランジスタ102の構造は、導電層140および導電層150が絶縁層160で広く覆われているため、導電層140および導電層150と導電層170との間の抵抗が高く、ゲートリーク電流の少ない特徴を有している。
トランジスタ101およびトランジスタ102は、導電層170と導電層140および導電層150が重なる領域を有するトップゲート構造である。当該領域のチャネル長方向の幅は、寄生容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。当該構成では、酸化物半導体層130にオフセット領域が形成されないため、オン電流の高いトランジスタを形成しやすい。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図36(E)、(F)に示す構成であってもよい。図36(E)はトランジスタ103の上面図であり、図36(E)に示す一点鎖線D1−D2方向の断面が図36(F)に相当する。また、図36(E)に示す一点鎖線D3−D4方向の断面は、図38(A)に相当する。また、一点鎖線D1−D2方向をチャネル長方向、一点鎖線D3−D4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ103は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、酸化物半導体層130、絶縁層160および導電層170を覆う絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層140および導電層150を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層140および導電層150に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
ここで、導電層140はソース電極層、導電層150はドレイン電極層、絶縁層160はゲート絶縁膜、導電層170はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
また、図36(F)に示す領域231はソース領域、領域232はドレイン領域、領域233はチャネル形成領域として機能することができる。領域231および領域232は絶縁層175と接しており、例えば絶縁層175として水素を含む絶縁材料を用いれば領域231および領域232を低抵抗化することができる。
具体的には、絶縁層175を形成するまでの工程により領域231および領域232に生じる酸素欠損と、絶縁層175から領域231および領域232に拡散する水素との相互作用により、領域231および領域232は低抵抗のn型となる。なお、水素を含む絶縁材料としては、例えば窒化シリコンや窒化アルミニウムなどを用いることができる。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図37(A)、(B)に示す構成であってもよい。図37(A)はトランジスタ104の上面図であり、図37(A)に示す一点鎖線E1−E2方向の断面が図37(B)に相当する。また、図37(A)に示す一点鎖線E3−E4方向の断面は、図38(A)に相当する。また、一点鎖線E1−E2方向をチャネル長方向、一点鎖線E3−E4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ104は、導電層140および導電層150が酸化物半導体層130の端部を覆うように接している点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。
また、図37(B)に示す領域331および領域334はソース領域、領域332および領域335はドレイン領域、領域333はチャネル形成領域として機能することができる。
領域331および領域332は、トランジスタ101における領域231および領域232と同様に低抵抗化することができる。
また、領域334および領域335は、トランジスタ103における領域231および領域232と同様に低抵抗化することができる。なお、チャネル長方向における領域334および領域335の幅が100nm以下、好ましくは50nm以下の場合には、ゲート電界の寄与によりオン電流は大きく低下しない。したがって、領域334および領域335の低抵抗化を行わない場合もある。
トランジスタ103およびトランジスタ104は、導電層170と導電層140および導電層150が重なる領域を有さないセルフアライン構造である。セルフアライン構造のトランジスタはゲート電極層とソース電極層およびドレイン電極層間の寄生容量が極めて小さいため、高速動作用途に適している。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図37(C)、(D)に示す構成であってもよい。図37(C)はトランジスタ105の上面図であり、図37(C)に示す一点鎖線F1−F2方向の断面が図37(D)に相当する。また、図37(C)に示す一点鎖線F3−F4方向の断面は、図38(A)に相当する。また、一点鎖線F1−F2方向をチャネル長方向、一点鎖線F3−F4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ105は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層141および導電層151と、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接する絶縁層などを有していてもよい。
ここで、導電層141および導電層151は、酸化物半導体層130の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
トランジスタ105は、導電層141および導電層151を有する点、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を有する点、ならびに当該開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する点を除き、トランジスタ101と同様の構成を有する。導電層140(導電層141および導電層142)はソース電極層として作用させることができ、導電層150(導電層151および導電層152)はドレイン電極層として作用させることができる。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図37(E)、(F)に示す構成であってもよい。図37(E)はトランジスタ106の上面図であり、図37(E)に示す一点鎖線G1−G2方向の断面が図37(F)に相当する。また、図37(A)に示す一点鎖線G3−G4方向の断面は、図38(A)に相当する。また、一点鎖線G1−G2方向をチャネル長方向、一点鎖線G3−G4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ106は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層141および導電層151と、酸化物半導体層130と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、絶縁層120、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151、絶縁層160、導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
ここで、導電層141および導電層151は、酸化物半導体層130の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
トランジスタ106は、導電層141および導電層151を有する点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。導電層140(導電層141および導電層142)はソース電極層として作用させることができ、導電層150(導電層151および導電層152)はドレイン電極層として作用させることができる。
トランジスタ105およびトランジスタ106の構成では、導電層140および導電層150が絶縁層120と接しない構成であるため、絶縁層120中の酸素が導電層140および導電層150に奪われにくくなり、絶縁層120から酸化物半導体層130中への酸素の供給を容易とすることができる。
なお、トランジスタ103における領域231および領域232、トランジスタ104およびトランジスタ106における領域334および領域335には、酸素欠損を形成し導電率を高めるための不純物を添加してもよい。酸化物半導体層に酸素欠損を形成する不純物としては、例えば、リン、砒素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、シリコン、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、インジウム、フッ素、塩素、チタン、亜鉛、および炭素のいずれかから選択される一つ以上を用いることができる。当該不純物の添加方法としては、プラズマ処理法、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
不純物元素として、上記元素が酸化物半導体層に添加されると、酸化物半導体層中の金属元素および酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体層に含まれる酸素欠損と酸化物半導体層中に残存または後から添加される水素の相互作用により、酸化物半導体層の導電率を高くすることができる。
なお、不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、酸素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。その結果、酸化物導電体を形成することができる。ここでは、導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体という。なお、酸化物導電体は酸化物半導体と同様に透光性を有する。
酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。このため、酸化物導電体層とソース電極層およびドレイン電極層として機能する導電層との接触はオーミック接触であり、酸化物導電体層とソース電極層およびドレイン電極層として機能する導電層との接触抵抗を低減することができる。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図39(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図38(C)、(D)に示すチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層130と基板115との間に導電層173を備えていてもよい。当該導電層を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いることで、オン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図39(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層173の幅を酸化物半導体層130よりも短くしてもよい。さらに、導電層173の幅を導電層170の幅よりも短くしてもよい。
オン電流を増加させるには、例えば、導電層170と導電層173を同電位とし、ダブルゲートトランジスタとして駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、導電層170とは異なる定電位を導電層173に供給すればよい。導電層170と導電層173を同電位とするには、例えば、図38(D)に示すように、導電層170と導電層173とをコンタクトホールを介して電気的に接続すればよい。
また、図36および図37におけるトランジスタ101乃至トランジスタ106では、酸化物半導体層130が単層である例を図示したが、酸化物半導体層130は積層であってもよい。トランジスタ101乃至トランジスタ106の酸化物半導体層130は、図40(B)、(C)または図40(D)、(E)に示す酸化物半導体層130と入れ替えることができる。
図40(A)は酸化物半導体層130の上面図であり、図40(B)、(C)は、二層構造である酸化物半導体層130の断面図である。また、図40(B)、(C)は、三層構造である酸化物半導体層130の断面図である。
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cには、それぞれ組成の異なる酸化物半導体層などを用いることができる。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図41(A)、(B)に示す構成であってもよい。図41(A)はトランジスタ107の上面図であり、図41(A)に示す一点鎖線H1−H2方向の断面が図41(B)に相当する。また、図41(A)に示す一点鎖線H3−H4方向の断面が図43(A)に相当する。また、一点鎖線H1−H2方向をチャネル長方向、一点鎖線H3−H4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ107は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と電気的に接続する導電層140および導電層150と、当該積層、導電層140および導電層150と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、導電層140、導電層150、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、を有する。また、必要に応じて絶縁層180に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
トランジスタ107は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点、および導電層140および導電層150と絶縁層160との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層130c)が介在している点を除き、トランジスタ101と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図41(C)、(D)に示す構成であってもよい。図41(C)はトランジスタ108の上面図であり、図41(C)に示す一点鎖線I1−I2方向の断面が図41(D)に相当する。また、図41(C)に示す一点鎖線I3−I4方向の断面が図43(B)に相当する。また、一点鎖線I1−I2方向をチャネル長方向、一点鎖線I3−I4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ108は、絶縁層160および酸化物半導体層130cの端部が導電層170の端部と一致しない点がトランジスタ107と異なる。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図41(E)、(F)に示す構成であってもよい。図41(E)はトランジスタ109の上面図であり、図41(E)に示す一点鎖線J1−J2方向の断面が図41(F)に相当する。また、図41E(A)に示す一点鎖線J3−J4方向の断面が図43(A)に相当する。また、一点鎖線J1−J2方向をチャネル長方向、一点鎖線J3−J4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ109は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、当該積層、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導電層170を覆う絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて当該積層と電気的に接続する導電層140および導電層150を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層140および導電層150に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
トランジスタ109は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図42(A)、(B)に示す構成であってもよい。図42(A)はトランジスタ110の上面図であり、図42(A)に示す一点鎖線K1−K2方向の断面が図42(B)に相当する。また、図42(A)に示す一点鎖線K3−K4方向の断面が図43(A)に相当する。また、一点鎖線K1−K2方向をチャネル長方向、一点鎖線K3−K4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ110は、領域331および領域332において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域333において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ104と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図42(C)、(D)に示す構成であってもよい。図42(C)はトランジスタ111の上面図であり、図42(C)に示す一点鎖線K1−K2方向の断面が図42(D)に相当する。また、図42(C)に示す一点鎖線K3−K4方向の断面が図43(A)に相当する。また、一点鎖線K1−K2方向をチャネル長方向、一点鎖線K3−K4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ111は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と電気的に接続する導電層141および導電層151と、当該積層、導電層141および導電層151と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、当該積層、導電層141、導電層151、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
トランジスタ111は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点、ならびに導電層141および導電層151と絶縁層160との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層130c)が介在している点を除き、トランジスタ105と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図42(E)、(F)に示す構成であってもよい。図42(E)はトランジスタ112の上面図であり、図42(E)に示す一点鎖線M1−M2方向の断面が図42(F)に相当する。また、図42(E)に示す一点鎖線M3−M4方向の断面が図43(A)に相当する。また、一点鎖線M1−M2方向をチャネル長方向、一点鎖線M3−M4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ112は、領域331、領域332、領域334および領域335において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域333において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ106と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図44(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図43(C)、(D)に示すチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層130と基板115との間に導電層173を備えていてもよい。当該導電層を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いることで、更なるオン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図44(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層173の幅を酸化物半導体層130よりも短くしてもよい。さらに、導電層173の幅を導電層170の幅よりも短くしてもよい。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタは、図45(A)および図45(B)に示す構成とすることもできる。図45(A)は上面図であり、図45(B)は、図45(A)に示す一点鎖線N1−N2、および一点鎖線N3−N4に対応する断面図である。なお、図45(A)の上面図では、明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図45(A)および図45(B)に示すトランジスタ113は、基板115と、基板115上の絶縁層120と、絶縁層120上の酸化物半導体層130(酸化物半導体層330a、酸化物半導体層330b、酸化物半導体層330c)と、酸化物半導体層330に接し、間隔を開けて配置された導電層140および導電層150と、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170を有する。なお、酸化物半導体層130、絶縁層160および導電層170は、トランジスタ113上の絶縁層190に設けられた酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび絶縁層180に達する開口部に設けられている。
トランジスタ113の構成は、前述したその他のトランジスタの構成と比較して、ソース電極またはドレイン電極となる導電体とゲート電極となる導電体の重なる領域が少ないため、寄生容量を小さくすることができる。したがって、トランジスタ113は、高速動作を必要とする回路の要素として適している。なお、トランジスタ113の上面は、図45(B)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いて平坦化することが好ましいが、平坦化しない構成とすることもできる。
また、本発明の一態様に用いることができるトランジスタにおける導電層140(ソース電極層)および導電層150(ドレイン電極層)は、図46(A)、(B)に示す上面図(酸化物半導体層130、導電層140および導電層150のみを図示)のように酸化物半導体層の幅(WOS)よりも導電層140および導電層150の幅(WSD)が長く形成されていてもよいし、短く形成されていてもよい。WOS≧WSD(WSDはWOS以下)とすることで、ゲート電界が酸化物半導体層130全体にかかりやすくなり、トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、図46(C)に示すように、導電層140および導電層150が酸化物半導体層130と重なる領域のみに形成されていてもよい。
本発明の一態様に用いることができるトランジスタ(トランジスタ101乃至トランジスタ113)では、いずれの構成においても、ゲート電極層である導電層170は、ゲート絶縁膜である絶縁層160を介して酸化物半導体層130のチャネル幅方向を電気的に取り囲み、オン電流が高められる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。
また、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bを有するトランジスタ、ならびに酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cを有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層130を構成する二層または三層の材料を適切に選択することで酸化物半導体層130bに電流を流すことができる。酸化物半導体層130bに電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得ることができる。したがって、酸化物半導体層130bを厚くすることでオン電流が向上する場合がある。
以上の構成のトランジスタを用いることにより、半導体装置に良好な電気特性を付与することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2に示したトランジスタの構成要素について詳細を説明する。
<基板について>
基板115には、ガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミックス基板、表面が絶縁処理された金属基板などを用いることができる。または、トランジスタが形成されたシリコン基板、および当該シリコン基板上に絶縁層、配線、コンタクトプラグとして機能を有する導電体等が形成されたものを用いることができる。なお、シリコン基板にp−ch型のトランジスタのみを形成する場合は、n−型の導電型を有するシリコン基板を用いることが好ましい。または、n−型またはi型のシリコン層を有するSOI基板であってもよい。また、当該シリコン基板におけるトランジスタを形成する面の面方位は、(110)面であることが好ましい。(110)面にp−ch型トランジスタを形成することで、移動度を高くすることができる。
<絶縁層について>
絶縁層120は、基板115に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半導体層130に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁層120は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁膜であることがより好ましい。例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上である膜とする。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。また、基板115が他のデバイスが形成された基板である場合、絶縁層120は、層間絶縁膜としての機能も有する。その場合は、表面が平坦になるようにCMP法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
例えば、絶縁層120には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であってもよい。
<酸化物半導体層について>
本実施の形態では、トランジスタが有する酸化物半導体層130が酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cを絶縁層120側から順に積んだ三層構造である場合を主として詳細を説明する。
なお、酸化物半導体層130が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層130bに相当する層を用いればよい。
また、酸化物半導体層130が二層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層130aに相当する層および酸化物半導体層130bに相当する層を絶縁層120側から順に積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体層130aと酸化物半導体層130bとを入れ替えることもできる。
また、酸化物半導体層130が四層以上である場合は、例えば、本実施の形態で説明する三層構造の酸化物半導体層130に対して他の酸化物半導体層を付加する構成とすることができる。
一例としては、酸化物半導体層130bには、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャップ)を差し引いた値として求めることができる。
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層130bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上であって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近い酸化物半導体で形成することが好ましい。
このような構造において、導電層170に電界を印加すると、酸化物半導体層130のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層130bにチャネルが形成される。
また、酸化物半導体層130aは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層130bと絶縁層120が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層130bと酸化物半導体層130aとの界面には界面準位が形成されにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体層130aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層130bとゲート絶縁膜(絶縁層160)が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層130bと酸化物半導体層130cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体層130cを設けることにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cには、例えば、Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを酸化物半導体層130bよりも高い原子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物半導体層に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bよりも酸素欠損が生じにくいということができる。
また、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともInもしくはZnを含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、Ga、Sn、Hf、Al、またはZr等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等がある。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、本明細書においては、In−Ga−Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜とも呼ぶ。
また、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdから選ばれた一つの金属元素または複数の金属元素を示す。また、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
なお、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cが、少なくともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn−M−Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層130aをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物半導体層130bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]、酸化物半導体層130cをIn:M:Zn=x3:y3:z3[原子数比]とすると、y1/x1およびy3/x3がy2/x2よりも大きくなることが好ましい。y1/x1およびy3/x3はy2/x2よりも1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半導体層130bにおいて、y2がx2以上であるとトランジスタの電気特性を安定させることができる。ただし、y2がx2の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y2はx2の3倍未満であることが好ましい。
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cにおけるZnおよびOを除いた場合において、InおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、酸化物半導体層130bのZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
また、酸化物半導体層130bは、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがMよりも多い組成となる酸化物はInがMと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層130bにインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
酸化物半導体層130aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上25nm以下とする。また、酸化物半導体層130bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上150nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下とする。また、酸化物半導体層130cの厚さは、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上30nm以下、さらに好ましくは3nm以上15nm以下とする。また、酸化物半導体層130bは、酸化物半導体層130cより厚い方が好ましい。
なお、酸化物半導体層をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体層を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度が、1×1015/cm3未満であること、1×1013/cm3未満であること、8×1011/cm3未満であること、あるいは1×108/cm3未満であり、かつ1×10−9/cm3以上であることとする。
また、酸化物半導体層において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体層中で不純物準位の形成に寄与する。当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。したがって、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
酸化物半導体層を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析で見積もられるシリコン濃度が1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満となる領域を有するように制御する。また、水素濃度が、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下になる領域を有するように制御する。また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体層の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体層の結晶性を低下させないためには、例えばシリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満になる領域を有するように制御する。また、炭素濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満になる領域を有するように制御する。
また、上述のように高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅あたりのオフ電流を数yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
なお、トランジスタのゲート絶縁膜としては、シリコンを含む絶縁膜が多く用いられるため、上記理由により酸化物半導体層のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジスタのようにゲート絶縁膜と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶縁膜と酸化物半導体層との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも、酸化物半導体層のチャネルとなる領域はゲート絶縁膜から離すことが好ましいといえる。
したがって、酸化物半導体層130を酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cの積層構造とすることで、酸化物半導体層130bにチャネルを形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトランジスタを形成することができる。
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cのバンド構造においては、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cの組成が近似することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cは組成が異なる層の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもでき、図面において、当該積層体のそれぞれの界面は点線で表している。
主成分を共通として積層された酸化物半導体層130は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸構造(U Shape Well))が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体層の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
例えば、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cにはIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4または1:9:6(原子数比)などのIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。また、酸化物半導体層130bにはIn:Ga:Zn=1:1:1、2:1:3、5:5:6、または3:1:2(原子数比)などのIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。なお、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
酸化物半導体層130における酸化物半導体層130bはウェル(井戸)となり、チャネルは酸化物半導体層130bに形成される。なお、酸化物半導体層130は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸とも呼ぶことができる。また、このような構成で形成されたチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
また、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cと、酸化シリコン膜などの絶縁層との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cがあることにより、酸化物半導体層130bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
ただし、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cの伝導帯下端のエネルギーと、酸化物半導体層130bの伝導帯下端のエネルギーとの差が小さい場合、酸化物半導体層130bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。電子がトラップ準位に捕獲されることで、絶縁層界面にマイナスの電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cには、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。また、c軸に配向した結晶は歪曲に強く、フレキシブル基板を用いた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
<ソース電極層、ドレイン電極層について>
ソース電極層として作用する導電層140およびドレイン電極層として作用する導電層150には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる。代表的には、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。また、低抵抗のCuやCu−Mnなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。なお、トランジスタ105、トランジスタ106、トランジスタ111、トランジスタ112においては、例えば、導電層141および導電層151にW、導電層142および導電層152にTiとAlとの積層膜などを用いることができる。
上記材料は酸化物半導体膜から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接した酸化物半導体膜の一部の領域では酸化物半導体層中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成される。膜中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著にn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることができる。
また、導電層140および導電層150にWを用いる場合には、窒素をドーピングしてもよい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。また、導電層140および導電層150をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体層を接触させることによってもn型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn−Ga−Zn酸化物、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
<ゲート絶縁膜について>
ゲート絶縁膜として作用する絶縁層160には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層160は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁層160に、La、N、Zrなどを、不純物として含んでいてもよい。
また、絶縁層160の積層構造の一例について説明する。絶縁層160は、例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁層160の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
また、酸化物半導体層130と接する絶縁層120および絶縁層160は、窒素酸化物の放出量の少ない膜を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の多い絶縁層と酸化物半導体が接した場合、窒素酸化物の準位密度が高くなることがある。絶縁層120および絶縁層160には、例えば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜等の酸化物絶縁層を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm3以上5×1019個/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
絶縁層120および絶縁層160として、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
ゲート電極層として作用する導電層170には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層、タングステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuまたはCu−Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu−Mnなどの合金との積層を用いてもよい。本実施の形態では、導電層171に窒化タンタル、導電層172にタングステンを用いて導電層170を形成する。
絶縁層175には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いることができる。実施の形態2に示したトランジスタ103、トランジスタ104、トランジスタ106、トランジスタ109、トランジスタ110、およびトランジスタ112では、絶縁層175として水素を含む絶縁膜を用いることで酸化物半導体層の一部をn型化することができる。また、窒化絶縁膜は水分などのブロッキング膜としての作用も有し、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、絶縁層175としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。特に、実施の形態2に示したトランジスタ101、トランジスタ102、トランジスタ105、トランジスタ107、トランジスタ108、およびトランジスタ111では絶縁層175に酸化アルミニウム膜を用いることが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物の酸化物半導体層130への混入防止、酸素の酸化物半導体層からの放出防止、絶縁層120からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。また、酸化アルミニウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体層中に拡散させることもできる。
また、絶縁層175上には絶縁層180が形成されていることが好ましい。当該絶縁層には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、当該絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
ここで、絶縁層180は絶縁層120と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。絶縁層180から放出される酸素は絶縁層160を経由して酸化物半導体層130のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
<トランジスタについて>
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、特にチャネル幅が縮小するとオン電流が低下する。
本発明の一態様のトランジスタ107乃至トランジスタ112では、チャネルが形成される酸化物半導体層130bを覆うように酸化物半導体層130cが形成されており、チャネル形成層とゲート絶縁膜が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲート絶縁膜との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体層130のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層(導電層170)が形成されているため、酸化物半導体層130に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して全体的にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン電流を高められる。
また、本発明の一態様における酸化物半導体層130が二層または三層のトランジスタでは、チャネルが形成される酸化物半導体層130bを酸化物半導体層130a上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果を有する。また、本発明の一態様における酸化物半導体層130が三層のトランジスタでは、酸化物半導体層130bを三層構造の中間に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、S値(サブスレッショルド値)の低減をはかることができる。したがって、ゲート電圧VGが0V時の電流を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様のトランジスタは、微細化にともなう電気特性の劣化が抑えられることから、集積度の高い半導体装置の形成に適しているといえる。
<各膜の作製方法について>
なお、本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的にはスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法などがある。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスをチャンバーに導入・反応させ、これを繰り返すことで成膜を行う。原料ガスと一緒に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)をキャリアガスとして導入しても良い。例えば2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給してもよい。その際、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスの反応後、不活性ガスを導入し、第2の原料ガスを導入する。あるいは、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着・反応して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスが吸着・反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入の繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いることができる。これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH、Hf[N(CH3)2]4)やテトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH3)3)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。他の材料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2とO3ガスを順次導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。これらのガスを用いてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。
なお、酸化物半導体層の成膜には、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることもできる。当該対向ターゲット式スパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(vapor deposition SP)と呼ぶこともできる。
対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて酸化物半導体層を成膜することによって、酸化物半導体層の成膜時におけるプラズマ損傷を低減することができる。そのため、膜中の酸素欠損を低減することができる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることで低圧での成膜が可能となるため、成膜された酸化物半導体層中の不純物濃度(例えば水素、希ガス(アルゴンなど)、水など)を低減させることができる。
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体膜の構造について説明する。
なお本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
<CAAC−OS膜について>
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と概略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と概略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
<微結晶酸化物半導体膜について>
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円周状に分布したスポットが観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
<非晶質酸化物半導体膜について>
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
a−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a−like OS膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
(実施の形態5)
本発明の一態様に係る撮像装置は、カメラモジュール内に用いられ、様々な電子機器に搭載することができる。本実施の形態では、上記実施の形態で説明した撮像装置を適用したカメラモジュールの一例、及びカメラモジュールを搭載した電子機器の一例について説明する。
図47に示すカメラモジュール800は、レンズユニット801、オートフォーカスユニット802、リッドガラス803、センサカバー804、撮像装置805、基板806、FPC807を有する。
図47に示すカメラモジュール800は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、カメラモジュールを適用しうる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図48に示す。
図48(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイク905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908、カメラモジュール8909等を有する。なお、図48(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。カメラモジュール8909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図48(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、表示部912、カメラモジュール8919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。カメラモジュール8909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図48(C)は腕時計型の情報端末であり、筐体931、表示部932、リストバンド933、カメラモジュール8939等を有する。表示部932はタッチパネルとなっていてもよい。カメラモジュール8909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図48(D)は監視カメラであり、筐体951、レンズ952、支持部953等を有する。レンズ952の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図48(E)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク963、発光部967、レンズ965等を有する。レンズ965の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図48(F)はビデオカメラであり、第1筐体971、第2筐体972、表示部973、操作キー974、レンズ975、接続部976等を有する。操作キー974およびレンズ975は第1筐体971に設けられており、表示部973は第2筐体972に設けられている。そして、第1筐体971と第2筐体972とは、接続部976により接続されており、第1筐体971と第2筐体972の間の角度は、接続部976により変更が可能である。表示部973における映像を、接続部976における第1筐体971と第2筐体972との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ975の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、及び実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
<実施の形態で述べた本発明の一態様に関する付記>
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互い構成例を適宜組み合わせることが可能である。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことが出来る。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
<図面を説明する記載に関する付記>
本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化する。そのため、配置を示す語句は、明細書で説明した記載に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソースとドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電圧(接地電圧)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
<語句の定義に関する付記>
以下では、上記実施の形態中で言及したかった語句の定義について説明する。
<オフ電流>
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従ってトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、Vgsが所定の値であるときのオフ電流、Vgsが所定の範囲内の値であるときのオフ電流、または、Vgsが十分に低減されたオフ電流が得られる値であるときのオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vであるときのドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsがー0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsがー0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりの値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりの電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さ(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。Vdsが所定の値であるときに、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在する場合、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言うことがある。ここで、所定の値とは、例えば、0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVdsの値、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsの値である。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
本明細書では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。
本明細書において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
<<スイッチについて>>
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。または、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のように、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
<<チャネル長について>>
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとの間の距離をいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
<<チャネル幅について>>
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
<<画素について>>
本明細書等において、画素とは、例えば、明るさを制御できる要素一つ分を示すものとする。よって、一例としては、一画素とは、一つの色要素を示すものとし、その色要素一つで明るさを表現する。従って、そのときは、R(赤)G(緑)B(青)の色要素からなるカラー表示装置の場合には、画像の最小単位は、Rの画素とGの画素とBの画素との三画素から構成されるものとする。
なお、色要素は、三色に限定されず、それ以上でもよく、例えば、RGBW(Wは白)や、RGBに、イエロー、シアン、マゼンタを追加したものなどがある。
<<表示素子について>>
本明細書等において表示素子とは、電気的作用または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものである。表示素子の一例としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、LEDチップ(白色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、カーボンナノチューブを用いた表示素子、液晶素子、電子インク、エレクトロウェッティング素子、電気泳動素子、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、圧電セラミックディスプレイなど)、カーボンナノチューブ、または、量子ドットなど、がある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。量子ドットを各画素に用いた表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。なお、量子ドットは、表示素子としてではなく、バックライトの一部に設けてもよい。量子ドットを用いることにより、色純度の高い表示を行うことができる。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDチップを用いる場合、LEDチップの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDチップを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDチップが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDチップが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。また、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子においては、表示素子が封止されている空間(例えば、表示素子が配置されている素子基板と、素子基板に対向して配置されている対向基板との間)に、乾燥剤を配置してもよい。乾燥剤を配置することにより、MEMSなどが水分によって動きにくくなることや、劣化しやすくなることを防止することができる。
<<接続について>>
本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。