[1.パチンコ遊技機の全体構造]
本発明の一実施形態である遊技機としてのパチンコ遊技機1について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1乃至図9を参照して本実施形態のパチンコ遊技機1の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機の正面図である。図2はパチンコ遊技機の右側面図であり、図3はパチンコ遊技機の平面図であり、図4はパチンコ遊技機の背面図である。図5はパチンコ遊技機を前から見た斜視図であり、図6はパチンコ遊技機を後ろから見た斜視図である。図7は本体枠から扉枠を開放させると共に、外枠から本体枠を開放させた状態で前から見たパチンコ遊技機の斜視図である。図8はパチンコ遊技機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して前から見た分解斜視図であり、図9はパチンコ遊技機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して後ろから見た分解斜視図である。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技ホールのパチンコ島設備(図示しない)に設置される枠状の外枠2と、外枠2の前面を開閉可能に閉鎖する扉枠3と、扉枠3を開閉可能に支持していると共に外枠2に開閉可能に取付けられている本体枠4と、本体枠4に前側から着脱可能に取付けられると共に扉枠3を通して遊技者側から視認可能とされ遊技者によって遊技球が打込まれる遊技領域5aを有した遊技盤5と、を備えている。
パチンコ遊技機1の外枠2は、図8及び図9等に示すように、上下に離間しており左右に延びている上枠部材10及び下枠部材20と、上枠部材10及び下枠部材20の両端同士を連結しており上下に延びている左枠部材30及び右枠部材40と、を備えている。上枠部材10、下枠部材20、左枠部材30、及び右枠部材40は、前後の幅が同じ幅に形成されている。また、上枠部材10及び下枠部材20の左右の長さに対して、左枠部材30及び右枠部材40の上下の長さが、長く形成されている。
また、外枠2は、左枠部材30及び右枠部材40の下端同士を連結し下枠部材20の前側に取付けられる幕板部材50と、上枠部材10の正面視左端部側に取付けられている外枠側上ヒンジ部材60と、幕板部材50の正面視左端側上部と左枠部材30とに取付けられている外枠側下ヒンジ部材70と、を備えている。外枠2の外枠側上ヒンジ部材60と外枠側下ヒンジ部材70とによって、本体枠4及び扉枠3が開閉可能に取付けられている。
パチンコ遊技機1の扉枠3は、正面視の外形が四角形で前後に貫通している貫通口111を有した枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面下部に取付けられ遊技球を貯留可能な上皿201及び下皿202を有した皿ユニット200と、扉枠ベースユニット100の前面上部に取付けられるトップユニット350と、扉枠ベースユニット100の前面左部に取付けられる左サイドユニット400と、扉枠ベースユニット100の前面右部に取付けられる右サイドユニット450と、扉枠ベースユニット100の前面右下部に皿ユニット200を貫通して取付けられ上皿201に貯留された遊技球を遊技盤5の遊技領域内へ打込むために遊技者が操作可能なハンドルユニット500と、扉枠ベースユニット100の後面下部に取付けられ遊技領域内へ打ち損じた遊技球を受けて皿ユニット200の下皿202へ排出するファールカバーユニット520と、扉枠ベースユニット100の後面下部に取付けられ上皿201の遊技球を球発射装置680へ送るための球送りユニット540と、扉枠ベースユニット100の後面に取付けられ貫通口111を閉鎖するガラスユニット560と、ガラスユニット560の後面下部を覆う防犯カバー580と、を備えている。
パチンコ遊技機1の本体枠4は、一部が外枠2の枠内に挿入可能とされると共に遊技盤5の外周を支持可能とされた枠状の本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側の上下両端に取付けられ外枠2の外枠側上ヒンジ部材60及び外枠側下ヒンジ部材70に夫々回転可能に取付けられると共に扉枠3の扉枠側上ヒンジ部材140及び扉枠側下ヒンジ部材150が夫々回転可能に取付けられる本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材640と、本体枠ベース600の正面視左側面に取付けられる補強フレーム660と、本体枠ベース600の前面下部に取付けられており遊技盤5の遊技領域5a内に遊技球を打込むための球発射装置680と、本体枠ベースの正面視右側面に取付けられており外枠2と本体枠4、及び扉枠3と本体枠4の間を施錠する施錠ユニット700と、本体枠ベース600の正面視上辺及び左辺に沿って後側に取付けられており遊技者側へ遊技球を払出す逆L字状の払出ユニット800と、本体枠ベース600の後面下部に取付けられている基板ユニット900と、本体枠ベース600の後側に開閉可能に取付けられ本体枠ベース600に取付けられた遊技盤5の後側を覆う裏カバー980と、を備えている。
本体枠4の払出ユニット800は、本体枠ベース600の後側に取付けられる逆L字状の払出ユニットベース801と、払出ユニットベース801の上部に取付けられており上方へ開放された左右に延びた箱状で図示しないパチンコ島設備から供給される遊技球を貯留する球タンク802と、球タンク802の下側で払出ユニットベース801に取付けられており球タンク802内の遊技球を正面視左方向へ誘導する左右に延びた2条の球誘導通路を有するタンクレール803と、払出ユニットベース801における正面視左側上部の後面に取付けられタンクレール803からの遊技球を蛇行状に下方へ誘導する2条の球誘導通路を有する球誘導ユニット920と、球誘導ユニット920の下側で払出ユニットベース801から着脱可能に取付けられており球誘導ユニット920の2条の球誘導通路により誘導されたそれぞれの遊技球を払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110からの指示に基づいて1つずつ払出す払出装置830と、払出ユニットベース801の後面に取付けられ払出装置830によって払出された遊技球を下方へ誘導すると共に皿ユニット200における上皿201での遊技球の貯留状態に応じて遊技球を通常放出口又は満タン放出口の何れかから放出させる上部満タン球経路ユニット850と、払出ユニットベース801の下端に取付けられ上部満タン球経路ユニット850の通常放出口から放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の貫通球通路526へ誘導する通常誘導路及び満タン放出口から放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の満タン球受口528へ誘導する満タン誘導路を有した下部満タン球経路ユニット860と、を備えている。なお、球誘導ユニット920に形成される2条の球誘導通路内には、遊技球の有無を検出する球切れスイッチ821が設けられている。
また、本体枠4の払出ユニット800は、本体枠ベース600の後側に取付けられており払出装置830から球抜きされた遊技球をパチンコ遊技機1の外部へ排出するための球排出通路865と、本体枠ベース600の後側に取付けられており本体枠ベース600の後側に取付けられるロック部材870と、を備えている。なお、球タンク802内の遊技球は、2条の球誘導通路を有するタンクレール803、そして2条の球誘導通路を有する球誘導ユニット920を通って、払出装置830に流入する。そして、2条で払出装置830に流入した遊技球を賞球として払い出す場合には2条で流入した遊技球を1つずつ1条として払出して上部満タン球経路ユニット850に流入させる一方、2条で払出装置830に流入した遊技球を払出装置830から球抜きする場合には2条で流入した遊技球を1条として球排出通路865を通過させてパチンコ遊技機1の外部へ排出させる。(パチンコ遊技機1の外部へ排出された遊技球は、図示しないパチンコ島設備に設置される球揚送装置へ供給されるようになっている)。このように、本実施形態における払出装置830においては、2条1条変換という機能も有している。
本体枠4の基板ユニット900は、本体枠ベース600の後側に取付けられる基板ユニットベース910と、基板ユニットベース910の正面視左側で本体枠ベース600の後側に取付けられ内部に低音スピーカを有したスピーカユニット920と、基板ユニットベース910の後側で正面視右側に取付けられ内部に電源基板931が収容されている電源基板ボックス930と、スピーカユニット920の後側に取付けられており内部にインターフェイス制御基板が収容されているインターフェイス制御基板ボックス940と、電源基板ボックス930及びインターフェイス制御基板ボックス940に跨って取付けられており内部に遊技球の払出しを制御する払出制御基板4110が収容された払出制御基板ボックス950と、を備えている。
なお、払出制御基板4110には、各種機能を兼用する操作スイッチ952、パチンコ遊技機1の状態を表示するエラーLED表示器953等が実装されている。操作スイッチ952の操作部は、払出制御基板ボックス950から露出されており、遊技ホールの店員等の係員により操作されるようになっている。これに対して、エラーLED表示器953は、払出制御基板ボックス950から露出されていない。遊技ホールの店員等の係員は、払出制御基板ボックス950を構成する透明なカバー体を通してエラーLED表示器953に表示される内容を視認することができるようになっている。
操作スイッチ952は、電源投入時において払出制御基板4110のマイクロプロセッサに内蔵されるRAMと、遊技盤5に備える主制御基板ボックスに収容される遊技の進行を制御する図示しない主制御基板のマイクロプロセッサに内蔵されるRAMをクリアする場合に操作されたり、電源投入後においてエラーLED表示器953によりエラー報知されている際に、そのエラーを解除するために操作されたりするようになっており、電源投入時におけるRAMクリアを行う機能と、電源投入後(RAMクリアとして機能を奏する期間を経過した後)におけるエラー解除を行う機能と、を有している。
パチンコ遊技機1の遊技盤5は、図8及び図9等に示すように、遊技球が打込まれる遊技領域5aの外周を区画し球発射装置680から発射された遊技球を遊技領域5aの上部に案内する案内レール1001を有した前構成部材1000と、前構成部材1000の後側に取付けられると共に遊技領域5aの後端を区画する平板状の遊技パネル1100と、遊技パネル1100の後側の下部に取付けられており上方に開放された箱状の基板ホルダ1200と、基板ホルダ1200の後側に取付けられておりパチンコ遊技機1の遊技を制御するための主制御基板を内部に収容した主制御基板ボックス1300と、遊技パネル1100の前側で遊技領域5a内に取付けられ遊技領域5a内に打込まれた遊技球を受入可能な複数の入賞口を有した表ユニット(図示は省略)と、基板ホルダ1200の上側で遊技パネル1100の後側に取付けられ遊技パネル1100を通して遊技者側から視認可能な液晶表示装置を有した裏ユニット(図示は省略)と、を備えている。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、上皿201に遊技球を貯留した状態で、遊技者がハンドルレバー504を回転操作すると、球発射装置680によってハンドルレバー504の回転角度に応じた強さで遊技球が遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれる。そして、遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、図示しない入賞口に受入れられると、受入れられた入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出装置830によって上皿201に払出される。この遊技球の払出しによって遊技者の興趣を高めることができるため、上皿201内の遊技球を遊技領域5a内へ打込ませることができ、遊技者に遊技を楽しませることができる。
[2.扉枠の全体構成]
パチンコ遊技機1の扉枠3について、図10乃至図16を参照して説明する。図10はパチンコ遊技機における扉枠の正面図であり、図11は扉枠の背面図である。図12は扉枠を右前から見た斜視図であり、図13は扉枠を左前から見た斜視図であり、図14は扉枠を後ろから見た斜視図である。図15は扉枠を主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図16は扉枠を主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。
扉枠3は、正面視の外形が四角形で枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面下部に取付けられる皿ユニット200と、扉枠ベースユニット100の前面上部に取付けられるトップユニット350と、扉枠ベースユニット100の前面左部に取付けられる左サイドユニット400と、扉枠ベースユニット100の前面右部に取付けられる右サイドユニット450と、扉枠ベースユニット100の前面右下部に皿ユニット200を貫通して取付けられるハンドルユニット500と、を備えている。
また、扉枠3は、扉枠ベースユニット100の後面下部に取付けられるファールカバーユニット520と、扉枠ベースユニット100の後面下部に取付けられる球送りユニット540と、扉枠ベースユニット100の後面に取付けられ貫通口111を閉鎖するガラスユニット560と、ガラスユニット560の後面下部を覆う防犯カバー580と、を備えている。
扉枠3の扉枠ベースユニット100は、図15及び図16に等に示すように、外形が縦長の長方形で前後に貫通している貫通口111を有した板状の扉枠ベース110と、扉枠ベース110の前面で正面視右下隅に取付けられておりハンドルユニット500を取付けるための筒状のハンドル取付部材120と、扉枠ベース110の後側に取付けられている枠状の補強ユニット130と、補強ユニット130の正面視左端側の上下両端に取付けられており前方へ突出して本体枠4の本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材640に回転可能に取付けられる扉枠側上ヒンジ部材140及び扉枠側下ヒンジ部材150と、扉枠ベース110の後側に回動可能に取付けられておりガラスユニット560を着脱可能に取付けるためのガラスユニット取付部材160と、を備えている。
扉枠3の皿ユニット200は、詳細は後述するが、上下に列設されており前方へ膨出しており遊技球を貯留可能な上皿201及び下皿202と、上皿201及び下皿202が取付けられていると共に扉枠ベースユニット100の前面に取付けられる板状の皿ユニットベース210と、上皿201の前側で皿ユニットベース210に取付けられ画像を表示可能な上皿液晶表示装置244、遊技者が操作可能なタッチパネル246及び上皿演出ボタン257を有している演出操作ユニット220と、上皿201及び下皿202を前側から覆う皿ユニットカバー260と、正面視上皿201の右側に配置されており遊技状態に応じて回転する扉右下回転体270Aを有している扉右下演出ユニット270と、扉右下演出ユニット270を前側から覆う透明な演出ユニットカバー300と、上皿201に貯留されている遊技球を下皿202へ抜くための上皿球抜きユニット310と、下皿202に貯留されている遊技球を下方へ抜くための下皿球抜きユニット320と、遊技ホールのパチンコ島設備においてパチンコ遊技機1と隣接して設置される球貸機(図示は省略する。CRユニットとも称す)を操作するための球貸操作ユニット330と、皿ユニットベース210の上部に取付けられており発光装飾可能な上皿トップ装飾部材340と、を主に備えている。
扉枠3のトップユニット350は、図15及び図16等に示すように、扉枠ベースユニット100の前面において上辺に沿って取付けられる一部が透光性を有したユニットベース360と、ユニットベース360の前面で左右の中央に取付けられており前方へ膨出している透光性を有したトップ装飾部材370と、トップ装飾部材370内に取付けられており高音域のサウンドを出力するトップスピーカ(図示は省略)と、ユニットベース360の後側に取付けられており前面に複数のLEDが取付けられている扉枠上装飾基板380と、を備えている。
扉枠3の左サイドユニット400は、図15及び図16等に示すように、扉枠ベースユニット100の前面で貫通口111の左側外周縁に沿って取付けられる平板状のユニットベース410と、ユニットベース410の前面に取付けられており上端がトップユニット350のトップ装飾部材370の左端まで延びている透光性を有した左サイド装飾部材420と、左サイド装飾部材420の前側で正面視扉枠3の左上隅となる位置に取付けられており左スピーカ(図示は省略)を有した左スピーカユニット430と、ユニットベース410の後側に取付けられており前面に複数のLEDが取付けられた扉枠左装飾基板440と、を備えている。
扉枠3の右サイドユニット450は、図15及び図16等に示すように、扉枠ベースユニット100の前面で貫通口111の右側外周縁に沿って取付けられる平板状のユニットベース460と、ユニットベース460の前側に取付けられており上端がトップユニット350のトップ装飾部材370の右端まで延びている透光性を有した右サイド装飾部材470と、右サイド装飾部材470の前面で正面視扉枠3の右上隅となる位置に取付けられており右スピーカ(図示は省略)を有した右スピーカユニット246と、ユニットベース460と右サイド装飾部材470との間に取付けられており前面に複数のLEDが取付けられた扉枠右装飾基板(図示は省略)と、を備えている。
扉枠3のハンドルユニット500は、図15及び図16等に示すように、扉枠ベースユニット100のハンドル取付部材120に取付けられるハンドル本体502と、ハンドル本体502に回動可能に取付けられており遊技者が回動操作可能なハンドルレバー504と、ハンドルレバー504の前側からハンドル本体502に取付けられておりハンドル本体502と協働してハンドルレバー504を回動可能に支持しているハンドルカバー506と、を備えている。また、ハンドルユニット500は、図示は省略するが、ハンドル本体502内に取付けられておりハンドルレバー504の回転角度を検知するハンドル操作センサと、ハンドル本体502に取付けられており遊技者が操作可能なストップボタンと、ハンドル本体502内に取付けられており遊技者とハンドルレバー504との接触を検知する接触検知センサと、を備えている。
扉枠3のファールカバーユニット520は、図15及び図16等に示すように、扉枠ベースユニット100の後側に取付けられ前側が開放された浅い箱状のユニット本体522と、ユニット本体522の前面に取付けられている平板状の蓋部材524と、を主に備えている。ファールカバーユニット520は、正面視左上隅において前後に貫通しており本体枠4の下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路と皿ユニット200の上皿球供給口210aとを連通させる貫通球通路526と、貫通球通路526の正面視右側で後方へ向かって開口しており本体枠4の下部満タン球経路ユニット860の満タン誘導路と連通可能な満タン球受口528と、満タン球受口528の正面視右側で上方へ向かって開口しており本体枠4の球発射装置680により発射されにも関わらず遊技領域5a内へ到達しなかった遊技球(ファール球)を受けるファール球受口530と、正面視右下隅で前方へ向かって開口しており満タン球受口528及びファール球受口530に受入れられた遊技球を放出すると共に皿ユニット200の下皿球供給口210cと連通する球放出口532と、を備えている。
扉枠3の球送りユニット540は、図15及び図16等に示すように、左右に延びており後側が開放された箱状のユニット本体542と、ユニット本体542の後側に取付けられており前側が開放された箱状でファールカバーユニット520の正面視右側で扉枠ベースユニット100の後側に着脱可能に取付けられるユニットカバー544と、前方へ向かって開口しており皿ユニット200の上皿201に貯留されている遊技球が進入する球進入口546と、球進入口546に進入した遊技球を放出可能とされており後方へ向かって開口している球放出口548と、球進入口546に進入した遊技球を排出可能とされており球進入口546の下側で前方へ向かって開口している球排出口550と、を備えている。また、球送りユニット540は、図示は省略するが、球進入口546から進入した遊技球を一つずつ球放出口548から放出させるための球送りソレノイドと、球進入口546から進入した遊技球を球放出口548側又は球排出口550側の何れかに切換える切換機構と、を備えている。
扉枠3のガラスユニット560は、図15及び図16等に示すように、扉枠ベースユニット100の貫通口111よりも大きい枠状のユニット枠562と、ユニット枠562の前後両側に取付けられておりユニット枠562の枠内を閉鎖する一対のガラス板564と、を備えている。
[2−1.皿ユニットの全体構成]
扉枠3の皿ユニット200について、図17乃至図33を参照して詳細に説明する。図17は扉枠の皿ユニットを前から見た斜視図であり、図18は皿ユニットを後ろから見た斜視図である。図19は皿ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図20は皿ユニットを主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。図21は皿ユニットの演出操作ユニットを前から見た斜視図であり、図22は演出操作ユニットを後ろから見た斜視図である。図23は演出操作ユニットを主な部材毎に分解して上から見た斜視図であり、図24は演出操作ユニットを主な部材毎に分解して下から見た分解斜視図である。図25は演出操作ユニットの取付ベースユニットを分解して上から見た分解斜視図であり、図26は取付ベースユニットを分解して下から見た分解斜視図である。
また、図27は演出操作ユニットのタッチユニットを分解して上から見た分解斜視図であり、図28はタッチユニットを分解して下から見た分解斜視図である。図29は演出操作ユニットのボタンユニットを分解して上から見た分解斜視図であり、図30はボタンユニットを分解して下から見た分解斜視図である。図31は皿ユニットの平面図であり、図32は図31におけるAーA断面において演出操作ユニットの部位を拡大して示す断面図であり、図33は図31におけるB−B断面において演出操作ユニットの部位を拡大して示す断面図である。
更に、図34(a)は皿ユニットの扉右下演出ユニットの正面図であり、(b)は扉右下演出ユニットの右側面図であり、図35は扉右下演出ユニットを前から見た斜視図であり、図36は扉右下演出ユニットを後ろから見た斜視図である。図37は、図34(b)の扉右下演出ユニットにおけるC−C断面図である。図38は扉右下演出ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図39は扉右下演出ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図40は扉右下演出ユニットの回転体内部ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図41は回転体内部ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図42(a)は扉右下演出ユニットの扉右下回転体が前を向いた状態の正面図であり、(b)は扉右下回転体が後ろを向いた状態の正面図である。
また、図43(a)は皿ユニットの上皿球抜きユニットを皿ユニットベースに取付けた状態で前から見た斜視図であり、(b)は上皿球抜きユニットを皿ユニットベースに取付けた状態で後ろから見た斜視図である。図44は上皿球抜きユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図45は上皿球抜きユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。また、図46(a)は皿ユニットの下皿球抜きユニットを前から見た斜視図であり、(b)下皿球抜きユニットを分解して前から見た分解斜視図である。
皿ユニット200は、扉枠ベースユニット100から前方へ膨出している。この皿ユニット200は、払出装置830から払出され遊技領域5a内に打込むための遊技球を貯留する上皿201と、上皿201の下側に配置されており上皿201から供給される遊技球を貯留可能な下皿202と、を備えている。また、皿ユニット200は、扉枠ベースユニット100に取付けられる平板状の皿ユニットベース210と、皿ユニットベース210の前面上部に取付けられると共に左右中央より左側が前方へ大きく膨出しており上皿201を形成している上皿本体212と、皿ユニットベース210の前面下部で左右中央に取付けられると共に前方へ大きく膨出しており下皿202を形成している下皿本体214と、を備えている。
また、皿ユニット200は、上皿本体212の前側及び皿ユニットベース210の前面に取付けられる演出操作ユニット220と、上皿本体212、下皿本体214、及び演出操作ユニットの前側及び下側を覆い皿ユニットベース210の前面に取付けられる皿ユニットカバー260と、演出操作ユニット220の右側に配置されており皿ユニットベース210の前面右部に取付けられる扉右下演出ユニット270と、扉右下演出ユニット270の前側を覆い皿ユニットベース210の前面に取付けられる演出ユニットカバー300と、皿ユニットベース210を前後から挟むように取付けられており上皿本体212の上皿201内に貯留されている遊技球を下皿202へ抜き取るための上皿球抜きユニット310と、下皿本体214の下側に取付けられており下皿202に貯留されている遊技球を下方へ排出するための下皿球抜きユニット320と、を備えている。
更に、皿ユニット200は、演出操作ユニット220の上面に取付けられており遊技ホールのパチンコ島設備においてパチンコ遊技機1と隣接して配置される球貸機を操作するための球貸操作ユニット330と、皿ユニットベース210の上部に取付けられており発光装飾可能な上皿トップ装飾部材340と、皿ユニットカバー260の後側で皿ユニットベース210の前面左側に取付けられており前方へ向かって光を照射可能な複数のLEDを備えている皿ユニット左装飾基板345と、演出ユニットカバー300の後側且つ扉右下演出ユニット270の下側で皿ユニットベース210の前面右側に取付けられており前方へ向かって光を照射可能な複数のLEDを備えている皿ユニット右装飾基板346と、皿ユニットベース210の後側に取付けられており後述する上皿前装飾基板233、上皿後装飾基板235、上皿液晶基板241、加振装置242、タッチパネル246、演出ボタン装飾基板251、演出ボタン押圧センサ258、扉右下中継基板281、皿ユニット左装飾基板345、及び皿ユニット右装飾基板346と遊技盤5の図示しない周辺制御基板との接続を中継する皿ユニット中継基板347と、を備えている。
[2−1a.皿ユニットベース]
皿ユニット200の皿ユニットベース210は、図19及び図20に示すように、扉枠ベースユニット100の全幅に亘って左右に長く延びている。皿ユニットベース210は、正面視左上隅付近で前後に貫通していると共に後方へ筒状に延びている上皿球供給口210aと、上皿球供給口210aの下側で前後に貫通していると共に上下に延びている複数の長穴からなるスピーカスリット210bと、正面視左右中央の下部において前後に貫通していると共に後方へ筒状に延びている下皿球供給口210cと、下皿球供給口210cの正面視右上側で前後に貫通していると共に上下に延びており上部が上皿本体212の右端に位置する上皿球送り口210dと、を備えている。
また、皿ユニットベース210は、上皿球送り口210dの正面視左側で前後に貫通している内周が四角形の透口210eと、透口210eの下辺から前方へ板状に突出している受片210fと、上皿球送り口210dの正面視右上側で前後に貫通している逃し口210gと、正面視右下隅で前後に貫通しており扉枠ベースユニット100のハンドル取付部材120が挿通されるハンドル挿通口210hと、正面視右隅付近で前後に貫通しており施錠ユニット700の鍵シリンダ710が挿通されるシリンダ挿通口210iと、筒状の下皿球供給口210cの正面視右側の側面において後端から前方へ向かって切欠かれている切欠部210jと、を備えている。
[2−1b.上皿本体]
皿ユニット200の上皿本体212は、図19及び図20に示すように、正面視左右の中央より左側の方が大きく前方へ膨出しており、上方及び後方へ開放された容器状に形成されている。上皿本体212は、正面視右端側に左方及び後方へのみ開放されており遊技球が流通可能な誘導通路部212aを備えている。この上皿本体212は、底面が全体的に右端が低くなるように傾斜している。詳述すると、上皿本体212を皿ユニットベース210に取付けた状態で、上皿本体212の底面が、上皿球供給口210aの下側の位置から上皿球送り口210dの上端から遊技球の外径よりも若干下側の位置へ向かって低くなるように傾斜している。これにより、上皿球供給口210aから前方へ放出された遊技球を、上皿本体212内に受けて貯留することができると共に、受けた遊技球を誘導通路部212aの右端側から上皿球送り口210dへ供給することができる。
また、上皿本体212は、底面の後端側で左右の中央から右端付近まで延びている金属製のアース金具212bを備えている。このアース金具212bは、図示は省略するが、電気的に接地(アース)されており、遊技球が接触することで、遊技球に帯電した静電気を除去することができる。
[2−1c.下皿本体]
皿ユニット200の下皿本体214は、図19及び図20に示すように、前端辺に対して後端辺が長い平面視台形で、上方及び後方が開放された容器状に形成されている。下皿本体214は、底面に上下に貫通しており下皿球抜きユニット320によって閉鎖可能とされている球抜き孔214aを備えており、球抜き孔214aへ向かって低くなるように底面が傾斜している。この下皿本体214は、皿ユニットベース210の下皿球供給口210cから前方へ放出された遊技球を受けて貯留することができると共に、球抜き孔214aから遊技球を皿ユニット200の下方へ排出することができる。
[2−1d.演出操作ユニットの全体構成]
皿ユニット200の演出操作ユニット220は、図21乃至図24に示すように、正面視左右の中央で皿ユニットベース210及び上皿本体212に取付けられる取付ベースユニット220Aと、取付ベースユニット220Aに取付けられるタッチユニット220Bと、タッチユニット220Bの正面視左側で取付ベースユニット220Aに取付けられるボタンユニット220Cと、タッチユニット220Bと取付ベースユニット220Aとの間に介装される円筒状の複数のダンパ222と、タッチユニット220B及びボタンユニット220Cの外周を上側から覆うように取付ベースユニット220Aに取付けられるユニットカバー224と、取付ベースユニット220Aの正面視右端に取付けられる装飾部材226と、を備えている。
演出操作ユニット220のダンパ222は、円筒状に形成されており、外周面における軸方向の中央に溝222aが全周に亘って形成されている。本実施形態におけるダンパ222は、合成ゴムによって形成されている。複数のダンパ222によって、タッチユニット220Bが叩かれた時の衝撃を緩和させて取付ベースユニット220Aや皿ユニットベース210側へ作用する負荷(衝撃)を低減させることができると共に、タッチユニット220Bの後述する加振装置242による振動が、取付ベースユニット220Aや皿ユニットベース210側へ伝達されるのを低減させることができる。
[2−1d−1.取付ベースユニット]
演出操作ユニット220の取付ベースユニット220Aは、図23乃至図26に示すように、皿ユニットベース210の前面に取付けられ上方が開放された浅い箱状の取付ベース230と、取付ベース230の上側に取付けられると共に後端が上皿本体212の前端に取付けられ上側からタッチユニット200Bを収容可能な上方が開放された浅い箱状のユニットケース231と、ユニットケース231の前端に取付けられる横長の上皿前レンズ部材232と、上皿前レンズ部材232とユニットケース231との間に配置され前面に複数のLEDを備えた上皿前装飾基板233と、上皿前レンズ部材232の前側を覆いユニットカバー224に取付けられる透光性を有した上皿前装飾部材234と、を備えている。
また、取付ベースユニット220Aは、ユニットケース231の後端に取付けられており上方へ向かって光を照射可能な複数のLEDを備えた上皿後装飾基板235と、上皿後装飾基板235の上側に配置されユニットカバー224に取付けられる透光性を有した上皿後装飾部材236と、上皿後装飾部材236の前側においてユニットカバー224とユニットケース231とによって挟持され上皿後装飾基板235からの光を導いて上端が線状に発光可能な線状発光レンズ部材237と、上皿後装飾部材236の正面視右側でユニットカバー224に取付けられる筒状のボタン取付部材238と、ボタン取付部材238によって上下にスライド可能に取付けられる上皿球抜きボタン239と、を備えている。
取付ベース230は、前後の略中央から前側に、前方へ向かうに従って低くなるように傾斜している平板状の取付側受部230aと、取付側受部230aを貫通しており左右に離間した二つの貫通口230bと、貫通口230bの周縁から下方へ延出している筒状の筒状受部230cと、を備えている。貫通口230bは、内周が四角形に形成されている。筒状受部230cは、下方へ向かうに従って窄まるように角錐筒状に形成されている(図33を参照)。詳述すると、筒状受部230cは、前側の内周壁が取付側受部230aの面に対して略垂直に延びており、後側の内周壁が取付側受部230aの面に対して下方へ向かうに従って前方へ向かうように傾斜して延びている。また、筒状受部230cは、左右両側の内周壁が取付側受部230aの面の垂直に対して下端(先端)同士が僅かに接近するように傾斜して延びている。
ユニットケース231は、上方へ開放されておりタッチユニット220Bを収容可能な収容凹部231aと、収容凹部231aの底面の正面視左右両端付近から夫々前後に離間して一対ずつ上方へ円柱状に突出している横支持ピン231bと、収容凹部231aの底面の前端付近から左右に離間して上方へ円柱状に突出している一対の前支持ピン231cと、収容凹部231aにおいて底面の前後端側の左右中央から上方へ突出している中央支持突起231dと、収容凹部231aの底面の下側から下方へ向かうに従って窄まるように角錐状に突出しており左右に離間した二つの受突部231eと、を備えている。
また、ユニットケース231は、収容凹部231aよりも正面視左側で上下に円形に貫通しておりボタンユニット220Cの下部が挿通される挿通孔231fと、上面における挿通孔231fの周りに配置されておりボタンユニット220Cを取付けるためのボタンユニット取付部231gと、収容凹部231aの後側の外周壁において左右に延びていると共に上端から下方へ窪み線状発光レンズ部材237の線状発光部237bが配置される切欠部231hと、を備えている。
ユニットケース231の収容凹部231aは、平面視の形状が、左右に延びた四角形と、その四角形の左右両辺から外側へ突出した台形とを組合せた形状に形成されている。また、収容凹部231aは、左右両側の台形の部位の底面に対して、四角形の部位の底面が、下方へ低く形成されている。この収容凹部231aの底面の段差は、ダンパ222の高さ(軸方向の長さ)よりも若干低く形成されている。
四つの横支持ピン231bは、収容凹部231aにおける台形の部位の底面から上方へ突出しており、筒状のダンパ222内へ挿入可能に形成されている。また、横支持ピン231bは、上端側に、上端側へ向かうに従って直径が小さくなる円錐台状のテーパ部231iを備えている(図32を参照)。横支持ピン231bは、収容凹部231aの底面からテーパ部231iの中間までの距離が、ダンパ222の長さと同じとされており、全体がダンパ222よりも長く形成されている。一対の前支持ピン231cは、筒状のダンパ222内へ挿入可能とされており、ダンパ222の半分の長さよりも若干長く形成されている。
中央支持突起231dの上端は、収容凹部231aにおける台形の部位の底面と同じ高さまで突出している。受突部231eは、外周が四角形の円錐台状に形成されている。二つの受突部231eは、取付ベース230の二つの貫通口230bと対応した位置に形成されている。受突部231eは、前側の外周壁が収容凹部231aの底面に対して略垂直に延びており、後側の外周壁が収容凹部231aの底面に対して下方へ向かうに従って前方へ向かうように傾斜して延びている。また、受突部231eは、左右両側の外周壁が収容凹部231aの面の垂直に対して下端(先端)同士が僅かに接近するように傾斜して延びている。受突部231eの外周壁の形状は、取付ベース230の筒状受部230cの内周壁の形状と対応している。この受突部231eは、組立てた状態で、下端が取付ベース230の貫通口230b内に挿入されると共に、筒状受部230cの内周壁との間に僅かな隙間が形成される。
上皿前装飾部材234は、皿ユニット200が組立てられた状態で、前面が外部に露出する。上皿後装飾基板235は、上皿後装飾部材236を発光装飾させるための複数の装飾用LED235aと、線状発光レンズ部材237を発光装飾させるための複数の周縁用LED235bと、を備えている。
線状発光レンズ部材237は、上皿後装飾部材236よりも左右が長く形成されており、上皿後装飾基板235の複数の周縁用LED235bの上側に配置される受光部237aと、受光部237aと連続しユニットケース231の切欠部231hに嵌め込まれる平板状の線状発光部237bと、を備えている。線状発光レンズ部材237は、線状発光部237bをユニットケース231の切欠部231hに嵌め込むことで、線状発光部237bの前面が収容凹部231aの内周壁の一部を形成する。また、線状発光レンズ部材237は、皿ユニット200が組立てられた状態で、線状発光部237bの上端が外部に露出する。この線状発光レンズ部材237は、周縁用LED235bからの光を受光部237aで受光することができ、受光部237aで受光した光を線状発光部237bへ導光して線状発光部237bの上端全体を(線状に)発光させることができる。
上皿球抜きボタン239は、ボタン取付部材238によって上下にスライド可能に取付けられ、ボタン取付部材238よりも下方へ延出している延出片239aを備えている。この上皿球抜きボタン239を下方へ押圧することで、上皿球抜きユニット310を動作させて上皿201内に貯留されている遊技球を、上皿201から下皿202へ排出する(抜く)ことができる。
取付ベースユニット220Aは、四つの横支持ピン231bと二つの前支持ピン231cに夫々挿入されたダンパ222によって、タッチユニット220Bを弾性的に支持することができる。また、タッチユニット220Bが取付けられるユニットケース231の下方へ突出している二つの受突部231eの外周面と、ユニットケース231の下側で受突部231eの下端が挿入されている取付ベース230の筒状受部の内周面との間に僅かな隙間を形成している。これにより、タッチユニット220B側からユニットケース231が下方へ移動するような力(衝撃)が作用した時に、その力が直ちに取付ベース230の取付側受部230aに伝達されず、ユニットケース231の収容凹部231aの底面が下方へある程度撓んで受突部231eの下端の外周面が筒状受部230cの内周面に当接することで、取付ベース230側へ力が伝達される。つまり、ユニットケース231から取付ベース230へ力を伝達させる際に、ユニットケース231が撓むため、その撓みによって力をある程度減衰させて取付ベース230へ伝達させることができる。
また、ユニットケース231の受突部231e及び取付ベース230の筒状受部230cは、それらが形成されている面(タッチユニット220Bの上面と平行な面)に対して傾斜した外周面及び内周面を備えているため、受突部231eから筒状受部230cへ伝達される力の一部が、筒状受部230cが備えられている取付側受部230aの底面に沿った方向へ作用する。これにより、受突部231e(ユニットケース231)側からの力が分散し、取付ベース230に対して一方向へ大きな力が作用するのを回避させることができ、取付ベース230が破損し難くなる。
[2−1d−2.タッチユニット]
演出操作ユニット220のタッチユニット220Bは、図27及び図28に示すように、上方が開放された浅い箱状の下ケース240と、下ケース240内に上側から取付けられる上皿液晶基板241と、下ケース240内において上皿液晶基板241の左右両外側に配置される一対の加振装置242と、一対の加振装置242及び上皿液晶基板241の上側を覆うと共に下ケース240に取付けられ上方が開放された浅い箱状のベース部材243と、ベース部材243内に上側から挿入され上皿液晶基板241によって制御され画像を表示可能な上皿液晶表示装置244と、上皿液晶表示装置244の外周を覆う薄い金属板からなる枠状のアース金具245と、アース金具245及び上皿液晶表示装置244の上面を覆う透明なタッチパネル246と、タッチパネル246の外周を上側から覆いベース部材243を通して下ケース240に取付けられる枠状の上カバー247と、を備えている。
また、タッチユニット220Bは、下ケース240、ベース部材243及び上カバー247を組立てた状態で、それらの後端面において、下ケース240の下端から上カバー247の上端まで上下に延びていると共に、下ケース240等の後端面の左右の略全長に亘って延びており、下ケース240、ベース部材243及び上カバー247の後端面に貼付けられている防水性を有したシート状の防水シール248を備えている。
下ケース240は、外形がユニットケース231の収容凹部231aの内形と対応しており、収容凹部231a内に収容可能に形成されている。下ケース240は、左右に延びた長方形状の基板取付部240aと、基板取付部240aの左右両側から夫々台形に突出している平板状の突出部240bと、各突出部240bをダンパ222の外径と同じ内形で上下に貫通していると共に一部が左右方向外側へ開放されており前後に離間して形成された一対のダンパ取付凹部240cと、ダンパ取付凹部240cの内周面から突出しているフランジ部240dと、突出部240bにおける一対のダンパ取付凹部240cの間で基板取付部240a寄りに配置され加振装置242が取付けられる加振装置取付部240eと、を備えている。
下ケース240のダンパ取付凹部240cは、平面視の形状がC字状に形成されており、C字の開放されている側からダンパ222を挿入させることができる。また、フランジ部240dは、ダンパ取付凹部240cの上下の略中央で、ダンパ取付凹部240cのC字状の内周面の全周に亘って備えられている。このフランジ部240dは、ダンパ222の溝222a内に挿入可能とされている。
加振装置242は、小型の加振駆動モータ242aと、加振駆動モータ242aの回転軸に重心が偏芯して取付けられる錘242bと、を備えている。この加振装置242は、加振駆動モータ242aによって錘242bを回転させることで、振動を発生させることができる。
ベース部材243は、上皿液晶表示装置244が上側から挿入され浅い箱状に形成された液晶取付凹部243aと、液晶取付凹部243aの左右両側から外方へ延出している延出部243bと、延出部243bの先端で下ケース240のダンパ取付凹部240cと対応する位置で上下に貫通しており上側が大径に座グリされたネジ孔243cと、ネジ孔243cの下端側に形成されており下端へ向かうに従って直径が大きくなるC面取り状のテーパ部243d(図32を参照)と、を備えている。
ベース部材243のネジ孔243cの下側の内径は、ユニットケース231における横支持ピン231bのテーパ部231iよりも先端側が通過することができると共に、テーパ部231iよりも基端側(下側)が通過することができない大きさに形成されている。
タッチパネル246は、衝撃に強く割れ難い強化ガラスと、強化ガラスの上面に備えられた静電容量方式の透明なセンサシート246bと、強化ガラス及びセンサシートの外周を覆う枠状の保護カバー246cと、を備えている。
タッチユニット220Bは、下ケース240の左右に夫々一対ずつ備えられたダンパ取付凹部240c内に、C字の開放されている側からダンパ222を挿入して、ダンパ222を取付けることができる。この際に、ダンパ取付凹部240cの内周面から突出しているフランジ部240dが、ダンパ222の溝222a内に挿入される。これにより、ダンパ取付凹部240c内のダンパ222が、軸方向へ移動するのが規制される。ダンパ取付凹部240cにダンパ222を取付けた状態では、ダンパ222の上端がベース部材243の延出部243bの下面に当接すると共に、ダンパ222の下端が下ケース240の下端(下面)よりも下方へ突出する。
また、タッチユニット220Bは、一対の加振装置242の加振駆動モータ242aが、下ケース240とベース部材243との間に挟持されている。一対の加振装置242は、夫々独立して振動を発生させることができる。
また、タッチユニット220Bは、タッチパネル246を通して上皿液晶表示装置244に表示される画像を上側から視認することができる。そして、上皿液晶表示装置244にボタン等の画像を表示させ、遊技者がその画像のボタンを操作するようにタッチパネル246に触れることで、画像のボタンを操作することができる。
更に、タッチユニット220Bは、後側の外周面に防水シール248が貼付けられているため、皿ユニット200上で飲み物等の液体をこぼした時に、その液体がタッチユニット220B内に浸入するのを防止することができ、タッチユニット220Bが液体の浸入によって破損するのを防止することができる。
[2−1d−3.ボタンユニット]
演出操作ユニット220のボタンユニット220Cは、図29及び図30に示すように、取付ベースユニット220Aにおけるユニットケース231のボタンユニット取付部231gに取付けられる円筒状のユニット本体250と、ユニット本体250の下側に配置され上面にLEDが備えられた演出ボタン装飾基板251と、演出ボタン装飾基板251の下側を覆いユニット本体250の下側に取付けられる基板カバー252と、を備えている。
また、ボタンユニット220Cは、ユニット本体250内に上側から上下へスライド可能に挿入される筒状のボタンベース253と、ボタンベース253とユニット本体250との間に配置されボタンベース253を上方へ付勢するバネ部材254と、ボタンベース253内に挿入され演出ボタン装飾基板251のLEDからの光を上方へ導くことが可能な導光部材255と、導光部材255の上側に配置され複数の微小なプリズムを備えたシート状の拡散レンズ部材256と、拡散レンズ部材256の上側を覆いボタンベース253に取付けられる透光性を有した上皿演出ボタン257と、演出ボタン装飾基板251の上面に取付けられておりボタンベース253の下降端への移動を検知する演出ボタン押圧センサ258と、を備えている。
ユニット本体250は、外周面の下端から外方へ延出しボタンユニット取付部231gに取付けられる三つの取付片250aと、内周面の下端から内方へ延出しているフランジ状の棚部250bと、内周面に沿って棚部250bを貫通している一対の貫通口250cと、を備えている。
ボタンベース253は、棚部250bの内周に挿入される筒状の下筒部253aと、下筒部253aの上端から上方へ向かうに従って直径が大きくなる円錐筒状の上筒部253bと、上筒部253bの上端から下方へ延出しており下端がユニット本体250の貫通口250cを貫通可能とされていると共に下端から外方へ突出しユニット本体250の下面と係合(当接)可能な爪を有する一対の係合爪部253cと、上筒部253bの外周面から上端の外径よりも短く外方へ放射状に突出しており下端がユニット本体250の棚部250bの上面と当接可能な複数の平板状の当接片253dと、下筒部253a及び上筒部253bの外周面から外方へ平板状に延出しており演出ボタン押圧センサ258に検知される検知片253eと、を備えている。
バネ部材254は、図示するように、コイルバネとされている。このバネ部材254は、下端がユニット本体250の棚部250bの上面に当接され、上端がボタンベース253における複数の当接片253dによって支持される。
導光部材255は、ボタンベース253における上筒部253bの上部に嵌め込まれる円盤状の本体部255aと、本体部255aの下面から下方へボタンベース253の下筒部253aの下端付近まで延びている円柱状の複数の導光部255bと、を備えている。複数の導光部255bは、演出ボタン装飾基板251のLEDと対応するように備えられており、LEDからの光を導いて本体部255aの上面全体から放出させることができる。
このボタンユニット220Cは、ボタンベース253、導光部材255、拡散レンズ部材256、及び上皿演出ボタン本体が一体的に組立てられており、それらが一緒にユニット本体250内を上下にスライドすることができる。これらボタンベース253等は、バネ部材254の付勢力によって、上皿演出ボタン257の上面がユニット本体250の上端よりも上方へ突出すると共に、ボタンベース253の一対の係合爪部253cがユニット本体250の下面と係合することで、これ以上の上昇が規制され、上皿演出ボタン257等が上昇端に位置した状態となる。
バネ部材254の付勢力に抗して上皿演出ボタン257を下方へ押圧すると、上皿演出ボタン257等が下降し、ボタンベース253の検知片253eが、演出ボタン押圧センサ258によって検知され、上皿演出ボタン257の押圧操作が検知される。上皿演出ボタン257の押圧により、ボタンベース253が下降すると、ボタンベース253の複数の当接片253dの下端が、ユニット本体250の棚部250bの上面に当接し、これ以上の下降が規制され、上皿演出ボタン257等が下降端に位置した状態となる。
また、ボタンユニット220Cは、演出ボタン装飾基板251のLEDを発光させることで、上皿演出ボタン257を発光装飾させることができる。演出ボタン装飾基板251のLEDは、フルカラーLEDとされており、上皿演出ボタン257を様々な色に発光装飾させることができる。
[2−1d−4.演出操作ユニットの特徴]
本実施形態の演出操作ユニット220は、図32に示すように、組立てた状態で、タッチユニット220Bの下ケース240のダンパ取付凹部240cに取付けられたダンパ222の下端が、下ケース240の下面よりも下方へ突出していることから、取付ベースユニット220Aのユニットケース231の収容凹部231aの底面と、タッチユニット220Bの下ケース240の下面との間に、隙間が形成される。また、ユニットケース231の四つの横支持ピン231bの先端面(上端面)は、ベース部材243のネジ孔243cの座グリの底面と一致しており、横支持ピン231bに対するタッチユニット220Bの上方へ移動が、横支持ピン231bの上端にねじ込まれたビス227の頭部の平座金によって規制されている。また、横支持ピン231bの上端側に形成されたテーパ部231iと、ベース部材243のネジ孔243cの下端側に形成されたテーパ部243dとは、互いに離間している。
また、演出操作ユニット220は、図33に示すように、ユニットケース231の前支持ピン231cに挿入されているダンパ222の上面は、収容凹部231aの底面における横支持ピン231b側の底面よりも若干上方へ突出している。また、ユニットケース231の収容凹部231aの底面と、下ケース240の下面との間に隙間が形成されていることから、ユニットケース231の前支持ピン231cに挿入されたダンパ222の上面と、下ケース240の下面との間にも隙間が形成されている。また、ユニットケース231の中央支持突起231dの上面と下ケース240の下面との間にも隙間が形成されている。つまり、タッチユニット220Bは、左右両側の横支持ピン231bに挿入されたダンパ222によって、下面が宙に浮いた状態で取付ベースユニット220Aに取付けられている。
更に、演出操作ユニット220は、取付ベースユニット220Aの取付ベース230における下方へ窄まる角錐筒状の筒状受部230c内に、上側からタッチユニット220Bが取付けられているユニットケース231における下方へ窄まる角錐状の受突部231eの下端が挿入されている。この筒状受部230cの内周壁と、受突部231eの外周壁との間には、僅かな隙間が形成されている。これにより、通常の状態では、取付ベース230には、ユニットケース231の内側(収容凹部231aの中央側)が宙に浮いた状態で、ユニットケース231の外周付近のみが取付けられている。
また、演出操作ユニット220は、図21等に示すように、タッチユニット220Bにおいて遊技領域5aに近い後側の辺に沿って線状発光レンズ部材237の線状発光部237bの上端が線状(帯状)に露出している。線状発光部237bの上端の長さは、タッチユニット220Bの後辺の長さの約2/3である。このタッチユニット220Bの後辺に沿って露出している線状発光部237bの上端の後側に、上皿後装飾部材236が配置されている。また、上皿後装飾部材236の正面視右側に、上皿球抜きボタン239が配置されている。更に、タッチユニット220Bの正面視左側に、ボタンユニット220Cが配置されている。
この演出操作ユニット220は、遊技領域5a内に遊技球を打込むことで変化する遊技状態に応じて、遊技者に対して様々な演出を提示することができる。例えば、タッチユニット220Bの上皿液晶表示装置244に画像を表示させることで、透明なタッチパネル246を通して画像(演出画像)を遊技者に提示して楽しませることができる。
この上皿液晶表示装置244に表示される画像として、操作ボタンを模した画像を表示させると共に、タッチパネル246のセンサシート246bによるタッチの検知を受付可能とすることで、遊技者に対して画像の操作ボタンを操作させることができ、タッチパネル246を用いた演出を楽しませることができる。タッチパネル246を用いた演出の際に上皿液晶表示装置244に表示される画像は、操作ボタンに限定するものではなく、様々な画像を表示させることができる。
また、演出操作ユニット220では、タッチユニット220Bを複数のダンパ222によってユニットケース231から浮いた状態で支持しているため、遊技状態に応じて加振装置242を動作させることで、タッチユニット220Bを振動させることができる。タッチパネル246を用いた演出の際に、加振装置242によってタッチパネル246(タッチユニット220B)を振動させることで、加振装置242による振動をタッチパネル246に接触している遊技者の指や手等に伝達させて、遊技者に対して画像の操作ボタンを操作しているにも関わらず恰も実体のある操作ボタンを操作しているように錯覚させて驚かせることができ、タッチパネル246と振動による演出を遊技者に楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、演出操作ユニット220では、タッチユニット220Bの正面視左側にボタンユニット220Cを備えているため、遊技状態に応じて遊技者に上皿演出ボタン257を押圧操作させて、上皿演出ボタン257の操作を楽しませることができる。詳述すると、タッチパネル246における画像の操作ボタンでは、タッチパネル246に触れるだけであるため実際の操作ボタンと比較して操作感に欠ける嫌いがあるが、上皿演出ボタン257では現実に押圧操作することができるため、上皿演出ボタン257の操作に違和感を与えてしまうことがなく、上皿演出ボタン257の操作を快適に楽しませることができ、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
この演出操作ユニット220は、前方へ膨出している皿ユニット200において上皿201が備えられている部位に配置されているため、タッチユニット220Bやボタンユニット220Cを用いた演出中以外においても、遊技者をタッチユニット220B等を上から叩く虞がある。これに対して、演出操作ユニット220では、タッチユニット220Bをダンパ222によって下側のユニットケース231から浮いた状態で支持しているため、タッチユニット220Bが上から叩かれても、ダンパ222の弾性力によってその衝撃をある程度吸収することができる。詳述すると、タッチユニット220Bが叩かれたり等して上から衝撃(荷重)が作用すると、左右の横支持ピン231bが挿入されているダンパ222に伝達され、タッチユニット220Bが下降しながらダンパ222が圧縮される。横支持ピン231bに支持されたダンパ222が圧縮されることで、タッチユニット220Bからの衝撃が吸収される。
そして、更に、衝撃によってタッチユニット220Bが下降すると、下ケース240の下面が前支持ピン231cが挿入されているダンパ222の上端に当接し、タッチユニット220Bの下降に伴って前支持ピン231cに支持されているダンパ222が下方へ圧縮される。これにより、横支持ピン231bに支持されているダンパ222に加えて、前支持ピン231cに支持されているダンパ222によっても、タッチユニット220Bからの衝撃が吸収される。
タッチユニット220Bに作用する衝撃によってタッチユニット220Bが更に下降すると、タッチユニット220Bの下ケース240の下面がユニットケース231における収容凹部231aの左右両側の底面と中央支持突起231dの上面とに当接する。これにより、タッチユニット220Bからの衝撃が、複数のダンパ222介さず、タッチユニット220Bからユニットケース231へ直接作用することとなる。
更に、タッチユニット220Bが下降すると、中央支持突起231dからの荷重によってユニットケース231の収容凹部231aの底面が、その中央が下方へ移動するように撓むこととなる。この収容凹部231aの底面の撓みによる弾性力によって、タッチユニット220Bからの衝撃が吸収される。この収容凹部231aの底面が撓むことで、収容凹部231aの底面の下側から下方へ突出している一対の受突部231eが下降する。そして、タッチユニット220Bからの衝撃によって受突部231eが更に下降すると、受突部231eの外周壁の下端側が、取付ベース230の筒状受部230cの内周壁に当接し、タッチユニット220Bからの衝撃が、ユニットケース231から取付ベース230へ伝達されることとなる。
受突部231eの外周壁と筒状受部230cの内周壁は、夫々が下方へ窄まる角錐状に形成さていることから、受突部231eから筒状受部230c(取付ベース230側)へ伝達される荷重が、取付ベース230の取付側受部230aの底面に沿った方向と底面に垂直な方向とに分散されて伝達される。このように、タッチユニット220Bに作用した衝撃が、取付ベース230に伝達されるまでに、その衝撃を吸収する構成が幾重にも配置されているため、タッチユニット220Bに作用した衝撃を十分に吸収して緩和させることができ、その衝撃によって、タッチユニット220B、ユニットケース231、取付ベース230等を破損し難くすることができる。
また、演出操作ユニット220は、遊技状態に応じて上皿後装飾基板235の周縁用LED235bによりタッチユニット220Bの後側の外周縁に沿って延びている線状発光レンズ部材237の線状発光部237bの上端を線状に発光させることができる。これにより、遊技者の関心をタッチユニット220Bへ引付けることができ、タッチユニット220Bにおける上皿液晶表示装置244に表示される画像や、タッチパネル246を用いたタッチ演出等を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、遊技状態に応じて、上皿後装飾基板235の装飾用LED235aによりタッチユニット220Bの後側(線状発光部237bよりも後側)に配置されている上皿後装飾部材236を発光装飾させることができる。この上皿後装飾部材236を発光装飾させることで、線状発光レンズ部材237の線状発光部237bの発光と同様に、遊技者の関心をタッチユニット220B等の演出操作ユニット220へ引付けることができ、演出操作ユニット220によって提示される演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、上皿液晶基板241や上皿液晶表示装置244を備えたタッチユニット220Bを、取付ベースユニット220Aの取付ベース230とユニットケース231とによって、皿ユニットカバー260の後述する上皿下被覆部262の上面よりも高い位置に配置していると共に、タッチユニット220Bの後側の外周面に防水シール248を貼付けている。これにより、上皿201において、外気に触れることで上皿本体212や遊技球の表面で結露した水(水滴)が、上皿201の下方(上皿下被覆部262上)へ流動しても、タッチユニット220B内へ結露した水が浸入するのを防止することができ、タッチユニット220Bにおいて不具合が発生するのを防止することができる。
また、図33に示すように、上皿後装飾部材236や線状発光レンズ部材237を発光装飾させる上皿後装飾基板235を、上皿201の底面よりも高い位置に配置しているため、上皿201で結露した水滴にさらされることがなく、上皿後装飾基板235においてショートや腐蝕等の不具合が発生するのを防止することができる。
[2−1e.皿ユニットカバー]
皿ユニット200の皿ユニットカバー260は、図17乃至図20に示すように、左右に延びていると共に、左右の中央が前方へ膨出しており、後方へ開放された殻状に形成されている。皿ユニットカバー260は、左右の略中央で前方へ開口しており後端が皿ユニットベース210によって閉鎖される下皿開口部261と、下皿開口部261の内周壁における天板側(上側)を形成しており上皿本体212及び演出操作ユニット220の下側を覆う上皿下被覆部262と、下皿開口部261の正面視左側に配置されており本体枠4のスピーカユニット920の低音スピーカからの音を透過させるスピーカグリル263と、スピーカグリル263の上側に配置され皿ユニット左装飾基板345によって発光装飾される皿ユニット左装飾部材264と、下皿開口部261の正面視右側に配置されておりハンドルユニット500のハンドル本体502の後部が通過するハンドル口265と、皿ユニットカバー260の底面を形成しており下皿本体214の下側を覆う底板部266と、左右の中央で底板部266を上下に貫通しており下皿球抜きユニット320によって閉鎖される底板開口部267と、を備えている。
下皿開口部261は、内周壁の底板側(下側)が下皿本体214によって閉鎖される。スピーカグリル263及び皿ユニット左装飾部材264は、金属板に複数の孔を設けたパンチングメタルによって構成されている。
この皿ユニットカバー260は、正面視左側の表面が滑らかな感じに形成されているのに対して、右側の表面がゴツゴツした感じに形成されている。また、正面視の右側は、略全体的に透光性を有している。
皿ユニットカバー260は、皿ユニット200に組立てた状態で、タッチユニット220Bの上面と上皿下被覆部262の下面との間が、片手で掴むことが可能な間隔に形成されている。これにより、遊技者が、タッチユニット220Bをタッチ操作する際に、下皿開口部261の上側を掴むことで、タッチする指(手や腕)を安定させることができ、タッチユニット220Bのタッチ操作を行い易くできる。
[2−1f.扉右下演出ユニット]
皿ユニット200の扉右下演出ユニット270は、図34乃至図42に示すように、ハンドルユニット500の上側、且つ、演出操作ユニット220の右側に配置されており、遊技状態に応じて回転すると共に発光装飾する球状の扉右下回転体270Aを備えている。扉右下演出ユニット270は、皿ユニットベース210の前面で逃し口210gを閉鎖するように取付けられ扉右下回転体270Aを回転可能に支持するユニットベース271と、ユニットベース271に取付けられている扉右下駆動モータ272と、扉右下駆動モータ272の回転軸に固定されている駆動ギア273と、駆動ギア273と噛合し扉右下回転体270Aに取付けられている従動ギア274と、従動ギア274を回転可能に支持しておりユニットベース271に取付けられている軸部材275と、を備えている。
また、扉右下演出ユニット270は、従動ギア274とは扉右下回転体270Aの反対側に取付けられておりユニットベース271に回転可能に支持されている回転体側軸受部材276と、扉右下回転体270Aの従動ギア274とは反対側をユニットベース271と協働して回転可能に支持しているベース側軸受部材277と、ユニットベース271に取付けられており扉右下回転体270Aの回転位置を検知可能な二つの回転検知センサ278と、扉右下回転体270Aの正面視左側でユニットベース271に取付けられている装飾部材279と、ユニットベース271の後側に取付けられており前面に複数のLEDを備えた扉右下ベース装飾基板280と、ユニットベース271の後側に取付けられており扉右下駆動モータ272、回転検知センサ278、扉右下ベース装飾基板280、及び後述する扉右下回転体装飾基板291と周辺制御基板(図示は省略)との接続を中継する扉右下中継基板281と、を備えている。
扉右下回転体270Aは、外殻を構成し夫々が半球殻状の前外殻部材285及び後外殻部材286と、前外殻部材285と後外殻部材286との間に配置される回転体内部ユニット290と、を備えている。前外殻部材285及び後外殻部材286は、回転軸を中心に半円形状の切欠部285a,286aが夫々形成されている。前外殻部材285は、透光性を有した半球殻状の表面に、金属光沢を有し周方向へ帯状に延びている帯装飾285bと、帯装飾285bの中央に配置されているハート形のハート装飾285cと、を備えている。一方、後外殻部材286は、透光性を有した半球殻状の表面に、金属光沢を有し周方向へ帯状に延びている帯装飾286bを備えている。前外殻部材285と後外殻部材286とを合わせた時に、前外殻部材285の帯装飾285bと後外殻部材286の帯装飾286bとが繋がるように形成されている。
回転体内部ユニット290は、図40及び図41に示すように、円盤状で両面に複数のLEDが備えられている扉右下回転体装飾基板291と、扉右下回転体装飾基板291の中心に取付けられており扉右下回転体装飾基板291の面に対して垂直に延びており先端が軸部材275に取付けられる円柱状の第一固定軸部材292と、第一固定軸部材292とは扉右下回転体装飾基板291の反対側に取付けられており扉右下回転体装飾基板291の面に対して垂直に延びており先端がユニットベース271及びベース側軸受部材277に取付けられる円筒状の第二固定軸部材293と、を備えている。図示は省略するが、第二固定軸部材293の内部には、扉右下中継基板281と扉右下回転体装飾基板291とを接続する配線コードが挿入されている。
また、回転体内部ユニット290は、扉右下回転体装飾基板291の両側に配置されており前外殻部材285及び後外殻部材286の内側に取付けられる平板で円環状の透明なリフレクタベース294と、リフレクタベース294に取付けられており円環状で軸方向外側へ開いた朝顔状の第一リフレクタ295と、第一リフレクタ295の円環内を通してリフレクタベース294に取付けられており中心に六角形の貫通孔296aを有した第二リフレクタ296と、を備えている。第一リフレクタ295及び第二リフレクタ296は、表面に金属光沢を有したメッキ層が備えられており、扉右下回転体装飾基板291からの光を反射させることができる。また、第一リフレクタ295及び第二リフレクタ296には、放射状に延びた平板状のリブが複数備えられている。
この回転体内部ユニット290は、扉右下回転体装飾基板291、第一固定軸部材292、及び第二固定軸部材293と、リフレクタベース294、第一リフレクタ295、及び第二リフレクタ296とが、相対回転可能に互いに分離している。
ユニットベース271は、扉右下回転体270Aの後側に配置される環状のリング部271aと、リング部271aの外周におけるリング部271aの中心に対して正面視斜め右上の部位から前方へ平板状に突出している第一突出片271bと、リング部271aの外周における第一突出片271bとは反対側の部位から前方へ平板状に突出している第二突出片271cと、第二突出片271cの前端から後方へ向かってU字状に窪み第二固定軸部材293の先端が挿入される軸受溝271dと、を備えている。
扉右下駆動モータ272は、第一突出片271bの外側の側面(右側の側面)に、回転軸が貫通した状態で取付けられる。従動ギア274は、駆動ギア273よりも大径に形成されている。軸部材275は、第一突出片271bの前端に取付けられる取付部275aと、取付部275aから筒状に突出している筒状軸部275bと、を備えている。この軸部材275は、筒状軸部275bの外周によって従動ギア274を回転可能に支持できると共に、筒状軸部275bの内周によって第一固定軸部材292の先端を回転不能に支持できる。
回転体側軸受部材276は、第二固定軸部材293が回転可能に挿入される軸受孔276aと、外方へ延出している平板状の検知片276bと、を備えている。ベース側軸受部材277は、ユニットベース271における第二突出片271cの前端のU字状の軸受溝271dの開放されている前端側を閉鎖するように、第二突出片271cの前端に取付けられる。二つの回転検知センサ278は、扉右下回転体270Aの回転軸を挟んで対称に第二突出片271cに取付けられる。二つの回転検知センサ275は、扉右下回転体270Aのハート装飾285cが前方を向く回転位置(図42(a)を参照)と、ハート装飾285cが後方を向く回転位置(図42(b)を参照)とを、夫々検知することができる。
本実施形態の扉右下演出ユニット270は、遊技状態に応じて、扉右下駆動モータ272によって扉右下回転体270Aを回転させることができると共に、ハート装飾285cが前方を向くように停止するか否かで、遊技者に対してチャンスの到来等を示唆することができ、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、扉右下演出ユニット270は、扉右下回転体270A内部の扉右下回転体装飾基板291が回転不能に取付けられていることから、扉右下回転体270Aの回転中に、扉右下回転体装飾基板291(のLED)を発光させると、扉右下回転体270Aの回転につれて扉右下回転体装飾基板291から照射される光の位置が移動すると共に、第一リフレクタ295や第二リフレクタ296によって反射誘導される光の方向が変化するため、扉右下回転体装飾基板291のLEDを点滅させなくても、光が点滅しているように扉右下回転体270Aを発光装飾させたり、LEDから多様な色の光を照射することで扉右下回転体270Aを虹色に発光装飾させたりすることができ、遊技者を楽しませることができる。
[2−1g.演出ユニットカバー]
皿ユニット200の演出ユニットカバー300は、図19及び図20に示すように、扉右下演出ユニット270における球状の扉右下回転体270Aの前側を覆う半球状で透明な回転体カバー部301と、回転体カバー部301の外周に形成されており皿ユニットカバー260の正面視右側の装飾と連続した装飾部302と、回転体カバー部301の下部右側において前後に貫通しており施錠ユニット700の鍵シリンダ710が挿通されるシリンダ挿通口303と、を備えている。
演出ユニットカバー300は、全体が後方が開放された容器状で、透光性を有している。この演出ユニットカバー300は、回転体カバー部301の上側が扉右下演出ユニット270の扉右下ベース装飾基板280によって発光装飾されると共に、回転体カバー部301の下側が皿ユニット右装飾基板346によって発光装飾される。
[2−1h.上皿球抜きユニット]
皿ユニット200の上皿球抜きユニット310は、図43乃至図45に示すように、皿ユニットベース210の透口210e及び受片210fを前側から覆うように皿ユニットベース210の前面に取付けられ後方が開放された縦長箱状で上部に上皿球抜きボタン239の延出片239aが挿通可能な挿通口311aを有しているカバー311と、カバー311内における皿ユニットベース210の透口210eの正面視左上となる位置に取付けられている前ベース部材312と、前ベース部材312によって回転可能に支持されており上皿球抜きボタン239の押圧により回動する押圧伝達部材313と、押圧伝達部材313を上皿球抜きボタン239が上昇する方向へ付勢している第一バネ部材314と、を備えている。
また、上皿球抜きユニット310は、皿ユニットベース210の上皿球送り口210dを後側から閉鎖するように皿ユニットベース210の後側に取付けられている後ベース部材315と、後ベース部材315と皿ユニットベース210との間に配置されていると共に後ベース部材315によって昇降可能に取付けられており上側から押圧伝達部材313が接触している上皿球抜きスライダ316と、上皿球抜きスライダ316を上方へ付勢している第二バネ部材317と、を備えている。
前ベース部材312は、皿ユニットベース210の前面と平行に延びておりカバー311に取付けられる平板状のベース部312aと、ベース部312aの左右両辺から前方へ平板状に延出している一対の延出片312bと、延出片312bの前端から後方へU字状に凹んだ軸支部312cと、ベース部312aの前面下端付近に備えられており第一バネ部材314の後端が係止される鉤状のバネ係止部(図示は省略)と、を備えている。
押圧伝達部材313は、両端が前ベース部材312の一対の軸支部312c内へ回転可能に挿入される横長円柱状の軸部313aと、軸部313aから後方へ平板状に延出している後方延出片313bと、後方延出片313bの上面における正面視左端付近から上方へ平板状に延出しており上皿球抜きボタン239の延出片239aの下端が当接可能な上方延出片313cと、後方延出片313bの下面における正面視右端から下方へ平板状に延出している下方延出片313dと、軸部313aにおける正面視左端付近の下側から下方へ突出しており第一バネ部材314の前端が係止される鉤状のバネ係止部313eと、を備えている。下方延出片313dは、後方へ向かうに従って下方へ延びる三角形に形成されており、下端が上皿球抜きスライダ316と当接可能とされている。
後ベース部材315は、皿ユニットベース210の後面と平行に平板状に延びており皿ユニットベース210に取付けられるベース部315aと、ベース部315aの前面で左右に離間して備えられており上皿球抜きスライダ316の左右両端をスライド可能に支持するスライダ支持部315bと、ベース部315aの上端における皿ユニットベース210の上皿球送り口210dの上部と対応する位置に前方へ開口していると共にベース部315aの後側で下方へ開口し遊技球が流通可能な上部入口315cと、を備えている。
また、後ベース部材315は、ベース部315aの後側で上部入口315cと連続して下方へ延びていると共に後方へ開放されており下端が後方へ湾曲している第一誘導路315dと、第一誘導路315dの下側から下方へ延びた後に正面視左方へ延びて左端が左方へ開放されており全体が後方へ開放されているL字状の第二誘導路315eと、第二誘導路315eにおける左方へ延びた部位の後端側を閉鎖している平板状の通路蓋315fと、L字状の第二誘導路315eに二辺が囲まれるようにベース部315aを前後に貫通している開口部315gと、ベース部315aの前面から前方へボス状に突出しており第二バネ部材317の上端が係止されるバネ係止部315hと、を備えている。
後ベース部材315におけるL字状の第二誘導路315eは、左方へ延びた部位が、左方へ向かうに従って低くなるように傾斜している。この第二誘導路315eの左端は、図43(b)に示すように、皿ユニットベース210における筒状の下皿球供給口210cの切欠部210jに挿入されており、第二誘導路315eと下皿球供給口210cとが互いに連通している。
上皿球抜きスライダ316は、平板状で左右両端が後ベース部材315のスライダ支持部315bにスライド可能に支持されるスライダベース316aと、スライダベース316aの上端における正面視中央より左側から前方へ皿ユニットベース210の透口210eを通って受片210fの上側へ延出し上面に押圧伝達部材313の下方延出片313dの下端が当接可能な伝達片316bと、伝達片316bの下側でスライダベース316aの後側から下方へ向かうに従って後方へ突出している三角状の作動伝達部316cと、スライダベース316aの前面から突出しており第二バネ部材317の下端が係止される鉤状のバネ係止部316dと、を備えている。
上皿球抜きユニット310は、皿ユニット200を組立てた状態で、後ベース部材315の上部入口315cが、上皿本体212の誘導通路部212aの正面視右端側となる下端に開口している。これにより、上皿201内の遊技球を、上部入口315cからベース部315aの後側の第一誘導路315dを介して球送りユニット540へ供給することができる。
また、上皿球抜きユニット310は、上皿球抜きボタン239を下方へ押圧すると、上皿球抜きボタン239の延出片239aによって押圧伝達部材313が、第一バネ部材314の付勢力に抗して軸部313aを中心に、下方延出片313dの下端が下方へ移動する方向へ回動する。押圧伝達部材313の回動に伴って下方延出片313dの下端が下方へ移動すると、下方延出片313dの下端が当接している上皿球抜きスライダ316の伝達片316bによって上皿球抜きスライダ316が第二バネ部材317の付勢力に抗して下方へスライドする。
この上皿球抜きスライダ316が下方へスライドすることで、作動伝達部316cが、球送りユニット540の切換機構を動作させて球送りユニット540内での流路が切換えられて、第一誘導路315d側が第二誘導路315e側と連通した状態となる。これにより、上皿201内の遊技球が、上部入口315c、第一誘導路315d、球送りユニット540、及び第二誘導路315eを通って、下皿球供給口210cから下皿202へ排出され、上皿201内の遊技球を抜くことができる。
なお、上皿球抜きボタン239の下方への押圧を解除すると、第一バネ部材314及び第二バネ部材317の付勢力によって、上皿球抜きスライダ316や上皿球抜きボタン239が上昇し、元の状態に復帰することができる。
[2−1i.下皿球抜きユニット]
皿ユニット200の下皿球抜きユニット320は、図46等に示すように、皿ユニットカバー260の底板開口部267を閉鎖するように下皿本体214の下側に取付けられ下皿本体214の球抜き孔214aと一致する開口部321aを有している平板状の下皿球抜きベース321と、下皿球抜きベース321上を左右にスライドし開口部321aを閉鎖可能な平板状のスライド蓋322と、スライド蓋322の前端に取付けられており皿ユニットカバー260の前面から外部へ露出する摘み部323と、スライド蓋322によって開口部321aを閉鎖する方向へスライド蓋322を付勢しているバネ部材324と、バネ部材324の付勢力に抗してスライド蓋322を開口部321aを開放している位置に保持する保持装置325と、を備えている。
下皿球抜きベース321の開口部321aは、正面視左右中から右寄りの位置に形成されている。この下皿球抜きベース321は、下皿本体214に取付けることで、下皿球抜きベース321と下皿本体214との間でスライド蓋322を左右へスライド可能に支持することができる。スライド蓋322は、正面視左端側に保持装置325によって保持される保持突起322aを備えている。
保持装置325は、下皿球抜きベース321に取付けられる本体325aと、本体325aから開閉可能に突出しており保持突起322aを掴むことができる一対の保持爪325bと、を備えている。保持装置325は、開いている一対の保持爪325bの間に、保持突起322aを挿入して本体325a側へ押圧すると、一対の保持爪325bが閉じて保持突起322aを保持すると共に、一対の保持爪325bが閉じた状態で維持される。この状態で、保持突起322aを本体325a側へ移動させると、一対の保持爪325bが開いた状態となり、保持突起322aの保持が解除される。
この下皿球抜きユニット320は、摘み部323(スライド蓋322)が正面視右側へ移動している状態では、開口部321aと下皿本体214の球抜き孔214aとの間にスライド蓋322が位置し、下皿202内の遊技球が、球抜き孔214aから下方へ抜けることがなく、下皿202内に遊技球を貯留させることができる。
この状態から、摘み部323を左側へ操作することでスライド蓋322が左方へスライドし、開口部321aと球抜き孔214aとが連通する。これにより、下皿202内の遊技球が球抜き孔214a及び開口部321aを通って皿ユニット200の下方へ抜けるようになり、下皿202内の遊技球を抜くことができる。この際に、スライド蓋322の保持突起322aが、保持装置325の一対の保持爪325bによって保持されるため、摘み部323の操作をやめてもスライド蓋322が開いたままの状態となり、下皿202内の遊技球を抜き続けることができる。
スライド蓋322を閉めるには、摘み部323を左側へ僅かに操作すると、一対の保持爪325bが開いて保持突起322aの保持が解除され、バネ部材324の付勢力によってスライド蓋322が右側へスライドして、球抜き孔214aを閉鎖する。このように、下皿球抜きユニット320の摘み部323を操作することで、下皿202に遊技球を貯留させたり、下皿202に貯留された遊技球を抜いたりすることができる。
[2−1j.球貸操作ユニット]
皿ユニット200の球貸操作ユニット330は、図19及び図20等に示すように、演出操作ユニット220における正面視右端付近の上面に取付けられ透光性を有しているユニットケース331と、ユニットケース331の上面に露出しており遊技者が操作可能な球貸ボタン332と、球貸ボタン332の後側でユニットケース331の上面に露出しており遊技者が操作可能な返却ボタン333と、返却ボタン333の後側でユニットケース331の上面を通して遊技者側から視認可能とされている表示部334と、を備えている。なお、表示部334の近傍には、CRユニットランプが配置されており、CRユニットランプの発光態様をユニットケース331の上面を通して遊技者側から視認可能とされている。
この球貸操作ユニット330は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられた球貸機に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、球貸ボタン332を押すと、所定数の遊技球を皿ユニット200の上皿201内へ貸出す(払出す)ことができると共に、返却ボタン333を押すと貸出された分の残りを引いた上で投入した現金の残金やプリペイドカードが返却される。また、表示部334には、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残数、或は、球貸機が故障した時のエラーコード等、が表示される。
[2−1k.上皿トップ装飾部材]
皿ユニット200の上皿トップ装飾部材340は、図19及び図20等に示すように、皿ユニットベース210の上端における左右中央に取付けられ左右に帯状に延びた透光性を有する上皿トップレンズ340aと、上皿トップレンズ340aの下側に取付けられており上面に複数のLEDが取付けられた上皿トップ装飾基板340bと、を備えている。
この上皿トップ装飾部材340は、上皿トップ装飾基板340bのLEDを発光させることで、上皿トップレンズ340aを帯状に発光させることができる。この上皿トップ装飾部材340は、演出操作ユニット220の後側に配置されていることから、上皿後装飾部材236や線状発光レンズ部材237等の発光装飾と同様に、上皿トップ装飾部材340を発光装飾させることで、遊技者の関心をタッチユニット220B等の演出操作ユニット220へ引付けることができ、演出操作ユニット220によって提示される演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
本実施形態の皿ユニット200における上皿201は貯留皿に、本実施形態の皿ユニット200は膨出部に、本実施形態の演出操作ユニット220のタッチユニット220B(上皿液晶表示装置244)は演出提示手段に、本実施形態の上皿後装飾基板235、上皿後装飾部材236、線状発光レンズ部材237、及び上皿トップ装飾部材340は発光体に、夫々相当している。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機1によると、遊技領域5aの下側の遊技球を貯留する上皿201を有した皿ユニット200の上面における演出操作ユニット220のタッチユニット220Bに、遊技領域5a内に遊技球を打込むことで変化する遊技状態に応じて上皿液晶表示装置244に画像を表示させる際に、上皿液晶表示装置244の遊技領域5aに近い側の後側の外周縁に沿って帯状の線状発光レンズ部材237、上皿後装飾部材236、及び上皿トップ装飾部材340等を発光させるようにしているため、遊技者の視線が遊技領域5a内に集中していても、視線(視界)の外側から入る線状発光レンズ部材237等の光に気付くことができ、遊技者の視線(関心)を線状発光レンズ部材237等つまり上皿液晶表示装置244側へ引き付けることができる。従って、上皿液晶表示装置244において、遊技状態に応じて画像等の演出を提示する際に、線状発光レンズ部材237等を発光させることで、遊技者に対して上皿液晶表示装置244による演出の提示に気付かせることができ、上皿液晶表示装置244による演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、皿ユニット200に遊技状態に応じて画像を表示可能な上皿液晶表示装置244を備えていることから、チャンスの到来を示唆する画像を表示させるようにした場合、遊技領域5a外に配置されている上皿液晶表示装置244によってチャンスの到来が示唆されることとなるため、遊技者に対して遊技領域5a内での遊技と、遊技領域5a外の上皿液晶表示装置244での演出との両方を気に掛けさせることができる。従って、遊技領域5a内と遊技領域5a外(上皿液晶表示装置244)とを気に掛けさせることで、スピード感のあるタイトな遊技を楽しませることができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができると共に、上皿液晶表示装置244においてチャンスの到来を示唆する画像を表示する時に、線状発光レンズ部材237等を発光させることで、遊技者を上皿液晶表示装置244に注目させることができ、チャンスの到来を確実に認識させて遊技者を楽しませることができる。この場合、遊技者によっては、遊技領域5a内と遊技領域5a外との両方が気になることで、どちらにも集中できなくなって興趣を低下させてしまう虞があるが、遊技状態(チャンスの到来)に応じて線状発光レンズ部材237等が発光するため、線状発光レンズ部材237等が発光するまでは遊技領域5a内へ集中することができ、遊技領域5a内での遊技を楽しませることができると共に、線状発光レンズ部材237等の発光時には上皿液晶表示装置244での演出を楽しませることができ、遊技にメリハリを付けて飽き難くすることができる。
また、遊技領域5aの下側で遊技者側へ膨出した皿ユニット200に上皿液晶表示装置244を備えているため、上皿液晶表示装置244が遊技者から近い位置に配置されることとなる。これにより、本パチンコ遊技機1の正面に位置している遊技者によって上皿液晶表示装置244が隠れ易くなり、上皿液晶表示装置244を隣や後ろの他の遊技者からは見え難くなるため、上皿液晶表示装置244により提示される演出を当該遊技者のみに楽しませることができる。従って、上皿液晶表示装置244による演出を楽しんでいる時に、他の遊技者によって覗かれることで、不快に感じて興趣を低下させてしまうのを低減させることができると共に、上皿液晶表示装置244による演出の提示の際に線状発光レンズ部材237等が発光することで、上皿液晶表示装置244による演出を見逃し難くすることができ、上皿液晶表示装置244による演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、線状発光レンズ部材237等を帯状に発光させるようにしているため、点状に発光させる場合と比較して、線状発光レンズ部材237等の発光を目立ち易くすることができ、遊技者の意識が遊技領域5a内に集中していても、線状発光レンズ部材237等の発光に気付かせ易くすることができ、上皿液晶表示装置244やタッチパネル246等による演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。また、線状発光レンズ部材237等を帯状に発光させるため、他の発光装飾体等の発光とは異なる発光態様となり、発光装飾体等の発光と誤認してしまうのを低減させることができ、確実に線状発光レンズ部材237等の発光に気付かせることができる。
また、上皿液晶表示装置244の外周縁のうち遊技領域5aに近い後側の位置に線状発光レンズ部材237等を配置しているため、線状発光レンズ部材237等を発光させた時に、線状発光レンズ部材237等の光を遊技者の視界に入り易くすることができ、線状発光レンズ部材237等の発光に気付かせて上皿液晶表示装置244の演出を楽しませることができる。
また、上皿201等を有している皿ユニット200の上面に上皿液晶表示装置244等を有した演出操作ユニット220を備えており、皿ユニット200の上皿201は遊技領域5a内に打込むための遊技球の量を確認するための遊技者がある程度の頻度で視線を向けることから、上皿201へ視線を向けた際に上皿液晶表示装置244や線状発光レンズ部材237等が視界に入り易く、線状発光レンズ部材237の発光に気付き易くなる。また、遊技者が上皿201へある程度の頻度で視線を向けることから、視線を遊技領域5a内から上皿201(上皿液晶表示装置244)へ向け易い。従って、線状発光レンズ部材237等の発光に気付いた時に、即座に視線を上皿液晶表示装置244へ移すことができ、上皿液晶表示装置244により提示される演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、遊技領域5aの下側に演出操作ユニット220を配置しており、下側から遊技者へ線状発光レンズ部材237等からの光が照射されるため、遊技領域5aの上側に配置した場合と比較して、遊技者の目に入り易く線状発光レンズ部材237等の発光に気付かせ易くすることができ、遊技者を上皿液晶表示装置244に確実に注目させることが可能となり、演出操作ユニット220による演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、遊技領域5aの左右方向の中央と対応する位置に演出操作ユニット220(上皿液晶表示装置244)を配置しているため、遊技者の視線の中心が遊技領域5a内のどの位置にあっても、線状発光レンズ部材237等からの光に気付き易くすることができ、遊技者を確実に上皿液晶表示装置244へ注目させることが可能となり、演出操作ユニット220による演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、演出操作ユニット220にタッチパネル246を備えているため、画像による演出の他に、遊技者にタッチパネル246を操作させる演出も行うことができ、多彩な演出によって遊技者を楽しませることができると共に、遊技者にタッチパネル246を操作させることで、演出に参加させることができ、遊技者に対して能動的に演出を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、タッチユニット220Bの後側の外周縁に沿って配置された線状発光レンズ部材237(線状発光部237b)が、上皿201における遊技球を球送りユニット540(球発射装置680)へ送る誘導通路部212aに沿って配置されていると共に、誘導通路部212aとの間に上皿球抜きユニット310を動作させる上皿球抜きボタン239を配置されている。つまり、遊技者が遊技に必要な遊技球を確認する場所の近傍に線状発光レンズ部材237が備えられており、遊技中でも遊技者が気にする位置に線状発光レンズ部材237を配置した構成としているため、線状発光レンズ部材237の発光に気付かせることができ、遊技者の関心をタッチユニット220Bに引付けてタッチユニット220Bによる演出(上皿液晶表示装置244による演出画像、タッチパネル246のタッチ操作、等)のタイミングに気付き易くすることができる。
また、上皿液晶基板241や上皿液晶表示装置244を備えたタッチユニット220Bを、取付ベースユニット220Aの取付ベース230とユニットケース231とによって、皿ユニットカバー260の上皿下被覆部262の上面よりも高い位置に配置していると共に、タッチユニット220Bの後側の外周面に防水シール248を貼付けているため、上皿201において、外気に触れることで上皿本体212や遊技球の表面で結露した水(水滴)が、上皿201の下方(上皿下被覆部262上)へ流動しても、タッチユニット220B内へ結露した水が浸入するのを防止することができ、タッチユニット220Bにおいて不具合が発生するのを防止することができる。
また、図33に示すように、上皿後装飾部材236や線状発光レンズ部材237を発光装飾させる上皿後装飾基板235を、上皿201の底面よりも高い位置に配置しているため、上皿201で結露した水滴にさらされることがなく、上皿後装飾基板235においてショートや腐蝕等の不具合が発生するのを防止することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
つまり、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、パチスロ機や、パチンコ遊技機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に、適用しても良く、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。
[3.払出装置]
次に、図4に示した球誘導ユニット920の下流側に配置される払出装置830について、主として図47〜図54を参照して説明する。図47は払出装置を正面上側から見た斜視図(a)、正面下側から見た斜視図(b)であり、図48は払出装置を正面側から見た分解斜視図であり、図49は払出装置を背面側から見た分解斜視図であり、図50は払出装置の右側面図であり、図51は図50のX−X線に沿って賞球表箱を切断した払出装置の正面側から見た非球抜き時における斜視図(a)、球抜き時(b)における斜視図であり、図52は図50のY−Y線に沿って賞球裏箱を切断した払出装置の背面側から見た非球抜き時における斜視図(a)、球抜き時(b)における斜視図であり、図53は図50のX−X線に沿って賞球表箱を切断した払出装置の非球抜き時における正面図(a)、図50のY−Y線に沿って賞球裏箱を切断した払出装置の非球抜き時における背面図(b)であり、図54は払出装置のメンテナンスの説明図である。なお、図51(a),(b)、及び図53(a)では、図面の見やすさから賞球中間ギア及び検出円盤等を想像線で示している。
払出装置830は、一対の屈曲通路壁831aによって球通路を構成する屈曲通路831b、賞球通路831c、及び球抜通路831dが形成される後方が開口される箱状の賞球表箱831と、この賞球表箱831の後面を覆うとともに、一対の屈曲通路壁832aによって球通路を構成する屈曲通路832b、賞球通路832c、及び球抜通路832dが形成される前方が開口される箱状の賞球裏箱832と、賞球表箱831に賞球裏箱832を取り付ける際に賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球と賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球とが相互に侵入することを防止するための賞球中仕切板833と、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を賞球表箱831に形成される球抜通路831dへ排出するとともに、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を賞球裏箱832に形成される球抜通路832dへ排出するための賞球球抜きレバー834と、賞球表箱831の前面を覆うとともに、賞球表箱831の表面領域に設けられるギア群(後述する、賞球モータギア840、賞球中間ギア841、及び検出円盤842から構成されている。)を被覆する後方が開口される箱状の賞球ギアカバー835と、から構成されている。賞球裏箱832に形成される屈曲通路832b、賞球通路832c、及び球抜通路832dは、賞球表箱831に形成される屈曲通路831b、賞球通路831c、及び球抜通路831dと対応する位置にそれぞれ設けられている。ここでは、賞球表箱831、賞球裏箱832、賞球中仕切板833、賞球球抜きレバー834、そして賞球ギアカバー835の構成について説明し、続いてスプロケットの定位置、そして払出装置のメンテナンスについて説明する。
[3−1.賞球表箱]
まず、賞球表箱831の構成について説明すると、賞球表箱831は、後方が開口される長方形状の箱状に形成され、賞球表箱831の底面から賞球裏箱832側へ向かって突設される一対の屈曲通路壁831aによって屈曲通路831bが形成されている。一対の屈曲通路壁831aのうち、一方の屈曲通路壁831aは、賞球表箱831を前方から見て、賞球表箱831の上部中央から下流側のほぼ中程から下流側に大きく左に曲がって下流端の手前から下流端までに亘って賞球表箱831の左端辺の側壁を兼ねているのに対して、他方の屈曲通路壁831aは、賞球表箱831を前方から見て、賞球表箱831の上部中央から下流側のほぼ中程から下流側に大きく右に曲がる部分に切欠部831eが形成されてほぼ中程から下流端までに亘って賞球表箱831の右端辺の側壁を兼ねている。
他方の屈曲通路壁831aに形成される切欠部831eの上端には、賞球表箱831の底面から賞球裏箱832側へ向かって支軸831fが突設され、この支軸831fに軸支されることにより揺動することができる球抜き片836が取り付けられている。この球抜き片836は、一端に支軸831fが挿入される軸部836aと、他方の屈曲通路壁831aの側壁の上流側と下流側とを同一面となるように湾曲して形成されて切欠部831eを塞ぐことができる側壁部836bと、が一体に形成されるとともに、他方の屈曲通路壁831aの側壁の上流側と下流側を遊技球が転動する側壁部836bの転動面と反対側の面に補強リブ836cが形成されている。なお、球抜き片836の他端には、後述する賞球裏箱832に突設される支軸832fが挿入され、球抜き片836の側壁部836bは、後述する賞球裏箱832に突設される、他方の屈曲通路壁832aの側壁の上流側と下流側とを同一面となるように湾曲して形成されている。
他方の屈曲通路壁831aに形成される切欠部831eの下方には、賞球表箱831の中程から下流端までに左右に分かれた屈曲通路壁831aの対をなすように通路区画壁831gが形成されている。つまり、賞球表箱831の中程から左右方向へ曲がる屈曲通路壁831aと通路区画壁831gとによって2つの通路が構成され、一方の通路が屈曲通路831bを構成し、他方の通路が球抜通路831dを構成している。この通路区画壁831gは、後述するスプロケット837の回転位置を検出するための回転角スイッチ846が実装される賞球ケース内基板847を収容して取り付けるための基板取付収容空間831hを構成する凹部空間が賞球表箱831の表面から後方へ向かって形成されることにより構成されるものである。基板取付収容空間831hは、屈曲通路831bを構成する通路区画壁831gであって、屈曲通路831bの下流側に、この屈曲通路831bを通る遊技球を受け入れて賞球通路831cへ送り出すスプロケット837を配置するための球送出空間831kを構成するように形成されている。
球送出空間831kの下部から賞球表箱831の下流端までに亘って通路区画壁831iが賞球表箱831の底面から賞球裏箱832側へ向かって突設形成されている。つまり、賞球表箱831の中程から左へ曲がった下流側の屈曲通路壁831aに沿ってスプロケット837の凹部837aで受け入れた遊技球を送り出す通路と、賞球表箱831の中程から左へ曲がった下流側の屈曲通路壁831aと通路区画壁831iとによる通路と、が連通して形成され、この通路が賞球通路831cを構成している。
球送出空間831kには、上述したように、スプロケット837が回転自在に配置されている。スプロケット837の外周部には、球送出空間831kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837aが120度ごとに等分されて形成されている。なお、賞球表箱831の後面を覆う賞球裏箱832にも後述する球送出空間832kが形成され、この球送出空間832kにおいても、スプロケット837が回転自在に配置されている。スプロケット837の外周部には、球送出空間832kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837bが120度ごとに等分されて形成されている。つまり、賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aは、賞球表箱831の後面を覆う賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bよりも前側に配置されている。また、賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aと、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bと、は相互に60度ずつズラして配置されている。
賞球通路831cの下流側には、スプロケット837により送り出された遊技球を図4に示した上部満タン球経路ユニット850に設けられる図示しない球取入口へ誘導する誘導突片831mが賞球表箱831の底面から賞球裏箱832側へ向かって突設されている。この誘導突片831mの下方には、誘導突片831mで誘導された遊技球を検出する計数スイッチ838が配置されている。計数スイッチ838は、先端部に遊技球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、球送出空間831kを構成する屈曲通路壁831aの下側と通路区画壁831iの下側とにそれぞれに形成されるセンサ取付部831nにより計数スイッチ838が狭持支持されている。なお、通路区画壁831iの下側に形成されるセンサ取付部831nの近傍であって賞球表箱831の下側には、計数スイッチ838への電気配線を通すための配線口831oが開設され、この配線口831oは、上述した基板取付収容空間831hと連通されている。
また、賞球表箱831の上側であって、賞球表箱831を前方から見て、一対の屈曲通路壁831aのうち左側の屈曲通路壁831aと、賞球表箱831の左側壁と、の間には、払出モータ839を収納するモータ収容空間831pが形成されている。このモータ収容空間831pの内部に払出モータ839の円筒状本体が収容されるようになっている。払出モータ839は、その前面に形成される一対の取付片839bによって賞球表箱831の底面側に図示しないネジで螺着して固定されるようになっている。払出モータ839の出力軸839aには、賞球モータギア840が固着されるものの、賞球モータギア840が払出モータ839の出力軸839aに固着された状態で払出モータ839を賞球表箱831の底面に取り付けることができるように、賞球モータギア840の外形よりも大きいな形状で軸挿通穴831qが賞球表箱831の底面に穿設されている。なお、払出モータ839の円筒状本体の上方近傍であって、賞球表箱831の上側には、払出モータ839への電気配線を通すための配線口831oが開設されている。
また、賞球表箱831の上側であって、賞球表箱831を前方から見て、一対の屈曲通路壁831aのうち右側の屈曲通路壁831aと、賞球表箱831の右側壁と、の間であって、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を賞球表箱831に形成される球抜通路831dへ排出するとともに、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を賞球裏箱832に形成される球抜通路832dへ排出するための球抜き片836を作動させる機構が形成されている。右側の屈曲通路壁831a寄りには、賞球表箱831の上壁から上述した支軸831f近傍にまでに亘って賞球表箱831の底面から賞球裏箱832側へ向かって位置規定壁831rが突設されている。この位置規定壁831rの賞球表箱831の右側壁寄り側には、賞球球抜きレバー834を球抜き作動させない状態を維持する位置と、賞球球抜きレバー834を球抜き作動させる状態を維持する位置と、をそれぞれ規定するための凹部831sが上下方向に離間して形成されている。賞球表箱831の右側壁寄りには、賞球球抜きレバー834を上下方向へスライド移動させるための案内片831tが賞球表箱831の底面から賞球裏箱832側へ向かって突設されている。賞球表箱831の右側壁の後方上側には、後述する賞球球抜きレバー834の操作部834aaを賞球表箱831の右側壁から突出させるための切欠部831uが形成されている。
賞球表箱831の表面領域に設けられるギア群は、賞球モータギア840、賞球中間ギア841、及び検出円盤842から構成されている。払出モータ839の出力軸839aの先端は、上述したように、賞球表箱831の底面に穿設される軸挿通穴831qを貫通して賞球表箱831の表面に突出し、その突出した部分に賞球モータギア840(本実施形態では、歯数Z1=12)が固着されている。賞球モータギア840の下方には、賞球モータギア840と噛合する賞球中間ギア841(本実施形態では、歯数Z2=60)が賞球中間ギア軸843に回転自在に設けられ、賞球中間ギア841の下方には、賞球中間ギア841と噛合する賞球スプロケットギア844(本実施形態では、歯数Z3=54)を有する検出円盤842がスプロケット837を軸支する賞球スプロケット軸845に回転自在に設けられている。賞球中間ギア軸843は、その一端が後述する賞球ギアカバー835の底面に突設される軸受筒835aに支持されるとともに、その他端が賞球表箱831の表面に突設される軸受筒831vに支持されるようになっている。賞球スプロケット軸845は、その一端が後述する賞球ギアカバー835の底面に突設される軸受筒835bに支持されるとともに、その他端が後述する賞球裏箱832の底面に突設される軸受筒832vに支持されるようになっているが、ギア領域の下側(賞球表箱831を正面から見て、上述した基板取付収容空間831hの左方)に形成される軸貫通穴831wを貫通して上述した球送出空間831kにおいてスプロケット837を回転自在に軸支し、賞球ギアカバー835と賞球表箱831とによって形成される空間において検出円盤842を回転自在に軸支している。
検出円盤842の中心後面部に凹凸状の継手部842aが形成されるとともに、スプロケット837の前端部に凸凹状の被継手部837cが形成され、検出円盤842に形成される継手部842aとスプロケット837に形成される被継手部837cと係合した状態となることで、検出円盤842とスプロケット837とは、賞球スプロケット軸845を中心として一体的に回転することができるようになっている。したがって、払出モータ839の出力軸839aが回転すると、出力軸839aに固着される賞球モータギア840が回転することにより、この回転が賞球中間ギア841、そして検出円盤842の賞球スプロケットギア844を介してスプロケット837を回転するように伝達される。
検出円盤842の外周は、賞球スプロケットギア844の円よりも一回り大きく形成されており、賞球スプロケットギア844よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット837の凹部837a,837bと同じ数(本実施形態では、凹部837aが3個、凹部837bが3個、計6個)の検出切欠842bが形成されている。この検出切欠842bは、上述した基板取付収容空間831hに形成される基板取付部831ha(図53(a)を参照)に挟持支持される賞球ケース内基板847に実装される投受光方式の回転角スイッチ846によって検出されるものである。そして、回転角スイッチ846は、払出動作時において所定時間内に検出切欠842bの検出個数を検出することにより、スプロケット837が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、回転角スイッチ846により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット837による球ガミ状態)には、スプロケット837を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球ガミ状態)を解消するものである。実際に払い出された遊技球の球数は、上述した計数スイッチ838によって検出されるようになっている。なお、賞球ケース内基板847の他端辺も後述する賞球ギアカバー835に形成される基板取付部835cに挟持されるようになっている。
賞球スプロケットギア844には、挿入孔844aが60ごとに等分配されて同一円周上に穿設されている。賞球表箱831の底面には、これらの挿入孔844aが配置される同一円周上と対応する位置に円弧状の工具挿入長穴831zzが穿設されている。この円弧状の工具挿入長穴831zzは、賞球スプロケットギア844を回転させることにより、賞球モータギア840、賞球中間ギア841、及び検出円盤842から構成されるギア群の回転具合を確認したり、スプロケット837の回転具合を確認したりするために、ピアノ線や針金などの工具を円弧状の工具挿入長穴831zzを介して賞球スプロケットギア844の一の挿入孔844aに挿入するためのものである。円弧状の工具挿入長穴831zzの円弧長さとしては、少なくとも、賞球スプロケットギア844の一の挿入孔844aを工具で円弧状の工具挿入長穴831zzの一端へ向かって回転させると、一の挿入孔844aと隣接する他の挿入孔844aがその回転方向と反対側における円弧状の工具挿入長穴831zzの他端から出現して視認することができるものとなっている。
[3−2.賞球裏箱]
次に、賞球表箱831の後面を覆う賞球裏箱832の構成について説明すると、賞球裏箱832は、前方が開口される長方形状の箱状に形成され、賞球裏箱832の底面から賞球表箱831側へ向かって突設される一対の屈曲通路壁832aによって屈曲通路832bが形成されている。一対の屈曲通路壁832aのうち、一方の屈曲通路壁832aは、賞球裏箱832を前方から見て、賞球裏箱832の上部中央から下流側のほぼ中程から下流側に大きく左に曲がって下流端の手前から下流端までに亘って賞球裏箱832の左端辺の側壁を兼ねているのに対して、他方の屈曲通路壁832aは、賞球裏箱832を前方から見て、賞球裏箱832の上部中央から下流側のほぼ中程から下流側に大きく右に曲がる部分に切欠部832eが形成されてほぼ中程から下流端までに亘って賞球裏箱832の右端辺の側壁を兼ねている。
他方の屈曲通路壁832aに形成される切欠部832eの上端には、賞球裏箱832の底面から賞球表箱831側へ向かって支軸832fが突設され、この支軸832fに軸支されることにより揺動することができる球抜き片836が取り付けられている。球抜き片836の軸部836aの一端は、上述したように、賞球表箱831に突設される支軸831fが挿入されるとともに、球抜き片836の軸部836aの他端は、賞球裏箱832に突設される支軸832fが挿入されることにより、支軸831f,832fにより揺動することができるようになっている。また、球抜き片836の側壁部836bは、上述したように、賞球表箱831に突設される他方の屈曲通路壁831aの側壁の上流側と下流側とを同一面となるように湾曲して形成されて切欠部831eを塞ぐことができるとともに、賞球裏箱832に突設される他方の屈曲通路壁832aの側壁の上流側と下流側とを同一面となるように湾曲して形成されて切欠部832eを塞ぐことができ、滑らかな1つの面として形成されている。
他方の屈曲通路壁832aに形成される切欠部832eの下方には、賞球裏箱832の中程から下流端までに左右に分かれた屈曲通路壁832aの対をなすように賞球裏箱832の底面から賞球表箱831側へ向かって通路区画壁832gが形成されている。つまり、賞球裏箱832の中程から左右方向へ曲がる屈曲通路壁832aと通路区画壁832gとによって2つの通路が構成され、一方の通路が屈曲通路832bを構成し、他方の通路が球抜通路832dを構成している。この屈曲通路832bの下流側は、この屈曲通路832bを通る遊技球を受け入れて賞球通路832cへ送り出すスプロケット837を配置するための球送出空間832kを構成するように形成されている。
球送出空間832kの下部から賞球裏箱832の下流端までに亘って通路区画壁832iが賞球裏箱832の底面から賞球表箱831側へ向かって突設形成されている。つまり、賞球裏箱832の中程から左へ曲がった下流側の屈曲通路壁832aに沿ってスプロケット837の凹部837bで受け入れた遊技球を送り出す通路と、賞球裏箱832の中程から左へ曲がった下流側の屈曲通路壁832aと通路区画壁832iとによる通路と、が連通して形成され、この通路が賞球通路832cを構成している。
球送出空間832kには、スプロケット837が回転自在に配置されている。スプロケット837の外周部には、球送出空間832kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837bが120度ごとに等分されて形成されている。なお、上述したように、賞球裏箱832の前方に配置される賞球表箱831に形成される球送出空間831kにも、スプロケット837が回転自在に配置されている。スプロケット837の外周部には、球送出空間831kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837aが120度ごとに等分されて形成されている。つまり、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bは、賞球裏箱832の前方に配置される賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aよりも後側に配置されている。また、上述したように、賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aと、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bと、は相互に60度ずつズラして配置されている。
賞球通路832cの下流側には、スプロケット837により送り出された遊技球を図4に示した上部満タン球経路ユニット850に設けられる図示しない球取入口へ誘導する誘導突片832mが賞球裏箱832の底面から賞球裏箱832側へ向かって突設されている。この誘導突片832mの下方には、誘導突片832mで誘導された遊技球を検出する計数スイッチ838が配置されている。計数スイッチ838は、上述したように、先端部に遊技球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、計数スイッチ838の一端辺が球送出空間831kを構成する屈曲通路壁831aの下側と通路区画壁831iの下側とにそれぞれに形成されるセンサ取付部831nに狭持支持され、計数スイッチ838の他端辺が球送出空間832kを構成する屈曲通路壁832aの下側と通路区画壁832iの下側とにそれぞれに形成されるセンサ取付部832nに狭持支持されている。
また、賞球裏箱832の底面には、上述した賞球スプロケット軸845の他端が挿入されて賞球スプロケット軸845を支持する軸受筒832vが賞球裏箱832の底面から賞球表箱831へ向かって突設されている。
また、賞球裏箱832の上側であって、賞球裏箱832を前方から見て、一対の屈曲通路壁832aのうち左側の屈曲通路壁832aと、賞球裏箱832の左側壁と、の間には、払出モータ839を収納するモータ収容空間832pが形成されている。このモータ収容空間832pの内部に払出モータ839の円筒状本体が収容されるようになっている。払出モータ839の裏面(出力軸839aが設けられている面と反対側の面)と対面する賞球裏箱832の底面には、払出モータ839から発せられる熱を外部へ逃がすための放熱口832rが複数穿設されている。
また、賞球裏箱832の上側であって、賞球裏箱832を前方から見て、一対の屈曲通路壁832aのうち右側の屈曲通路壁832aと、賞球裏箱832の右側壁と、の間であって、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を賞球表箱831に形成される球抜通路831dへ排出するとともに、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を賞球裏箱832に形成される球抜通路832dへ排出するための球抜き片836を作動させる機構が形成されている。右側の屈曲通路壁832a寄りには、賞球裏箱832の上壁から上述した支軸832f近傍にまでに亘って賞球裏箱832の底面から賞球表箱831側へ向かって位置規定壁832sが突設されている。この位置規定壁832sの賞球裏箱832の右側壁寄り側には、賞球球抜きレバー834を球抜き作動させない状態を維持する位置と、賞球球抜きレバー834を球抜き作動させる状態を維持する位置と、をそれぞれ規定するための凹部832tが上下方向に離間して形成されている。賞球裏箱832の右側壁寄りには、賞球球抜きレバー834を上下方向へスライド移動させるための案内片832uが賞球裏箱832の底面から賞球表箱831側へ向かって突設されている。賞球裏箱832の右側壁の上側後方には、後述する賞球球抜きレバー834の操作部834aaを賞球裏箱832の右側壁から突出させるための切欠部832xが形成されている。
また、賞球裏箱832の上端面には、図4に示した球誘導ユニット920の下端面側に形成される図示しない一対の位置決め凹部と対応する位置に、一対の挿入片832yが上方へ向かって突設されている。
また、賞球裏箱832の下壁の中央よりに、図4に示した本体枠ベース600に形成される図示しないロック用凸部を挿入するための切欠部832zが形成されている。
また、賞球裏箱832の底面には、球抜き片836の揺動具合を確認するために、ピアノ線や針金などの工具を挿入するための工具挿入長穴832zzが球抜き片836の側壁部836bの形状に沿って湾曲して穿設されている。
[3−3.賞球中仕切板]
次に、賞球表箱831に賞球裏箱832を取り付ける際に賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球と賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球とが相互に侵入することを防止するための賞球中仕切板833の構成について説明すると、賞球中仕切板833は、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bの形状と、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bの形状と、に沿って屈曲した板状に形成されている。
賞球中仕切板833の上面は、賞球表箱831と賞球裏箱832とにより狭持された状態において、賞球表箱831の上面と賞球裏箱832の上面とが同一面となる。賞球中仕切板833の前面上端部と後面上端部とには、球誘導ユニット920の前側球誘導通路と後側誘導通路とを通る遊技球がそれぞれスムーズに流入することができるように(流入し易いように)、賞球中仕切板833の上端部から下方へ向かって所定距離寸法内において、賞球中仕切板833の前後方向における断面積が徐々に大きくなるように傾斜部833aがそれぞれ形成されている。
賞球中仕切板833の下面は、賞球中仕切板833が賞球表箱831と賞球裏箱832とにより狭持された状態において、賞球表箱831に形成される球送出空間831kにおけるスプロケット837の前側の3つの凹部837aと、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおけるスプロケット837の後側の3つの凹部837bと、の間であって、スプロケット837本体よりやや上方までに達している。そして、賞球中仕切板833の前面下端部と後面下端部とには、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球が賞球表箱831に形成される球送出空間831kにおけるスプロケット837の前側の3つの凹部837aへスムーズに流入することができるように(流入し易いように)、かつ、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球が賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおけるスプロケット837の後側の3つの凹部837bへスムーズに流入することができるように(流入し易いように)、賞球中仕切板833の下端部から上方へ向かって所定距離寸法内において、賞球中仕切板833の前後方向における断面積が徐々に大きくなるように傾斜部833bがそれぞれ形成されている(つまり、賞球中仕切板833の下端部へ向かって、賞球中仕切板833の前後方向における断面積が徐々に小さくなるように傾斜部833bがそれぞれ形成されている)。
[3−4.賞球球抜きレバー]
次に、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を賞球表箱831に形成される球抜通路831dへ排出するとともに、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を賞球裏箱832に形成される球抜通路832dへ排出するための賞球球抜きレバー834の構成について説明すると、賞球球抜きレバー834は、前後方向に長い直方体に形成されるレバー本体834aと、レバー本体834aの上面に上方へ向かって細長い板状の弾性片834bが突設されるとともに、弾性片834bの上端であって左方へ向かって凸部834baが突設されている。レバー本体834aの右面上側には、操作部834aaが右方へ向かって突設されている。レバー本体834aの左面下側には、賞球球抜きレバー834に形成される補強リブ836cと当接することができる凸部834ab(図53(a),(b)を参照)が左方へ向かって突設されている。レバー本体834aの前面側と後面側とには、スライド案内溝834ac,834adがそれぞれ形成されている。
賞球球抜きレバー834が賞球表箱831と賞球裏箱832とにより狭持された状態において、レバー本体834aの前面側に形成されるスライド案内溝834acは、賞球表箱831に突設される案内片831tに挿入されるとともに、レバー本体834aの後面に形成されるスライド案内溝834adは、賞球裏箱832に突設される案内片832uに挿入されることにより、賞球球抜きレバー834が案内片831t,832uに沿って上下方向へスライド移動することができる。そして賞球球抜きレバー834の操作部834aaを上下方向へスライド移動させる場合において、弾性片834bに突設される凸部834baが賞球表箱831に突設される位置規定壁831rに形成される下側の凹部831sと、賞球裏箱832に突設される位置規定壁832sに形成される下側の凹部832tと、にそれぞれ係合する状態では、レバー本体834aの左面下側に突設される凸部834abが賞球球抜きレバー834に形成される補強リブ836cと当接した状態が維持されることにより、球抜き片836の側壁部836bは、賞球表箱831に突設される他方の屈曲通路壁831aの側壁に形成される切欠部831eと、賞球裏箱832に突設される他方の屈曲通路壁832aに形成される切欠部832eと、をそれぞれ塞ぐことができる状態が維持されるとともに、賞球中仕切板833の右側面と当接した状態が維持される。このような状態においては、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球及び/又は賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球の自重で球抜き片836を賞球表箱831に突設される支軸831fと、賞球裏箱832に突設される支軸832fと、に対して揺動させることができないため、球抜き片836を球抜き作動させることができず、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を賞球表箱831に形成される球抜通路831dへ排出することができない状態となるとともに、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を賞球裏箱832に形成される球抜通路832dへ排出することができない状態となる。
これに対して、賞球球抜きレバー834の操作部834aaを上下方向へスライド移動させる場合において、弾性片834bに突設される凸部834baが賞球表箱831に突設される位置規定壁831rに形成される上側の凹部831sと、賞球裏箱832に突設される位置規定壁832sに形成される上側の凹部832tと、にそれぞれ係合する状態では、レバー本体834aの左面下側に突設される凸部834abが賞球球抜きレバー834に形成される補強リブ836cと当接した状態が解除されることにより、球抜き片836の側壁部836bは、賞球表箱831に突設される他方の屈曲通路壁831aの側壁に形成される切欠部831eと、賞球裏箱832に突設される他方の屈曲通路壁832aに形成される切欠部832eと、をそれぞれ塞ぐことができる状態が解除されるとともに、賞球中仕切板833の右側面と当接した状態が解除される。このような状態においては、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球及び/又は賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球の自重で球抜き片836を支軸831fと、賞球裏箱832に突設される支軸832fと、に対して揺動させることができるため、球抜き片836を球抜き作動させることができ、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を賞球表箱831に形成される球抜通路831dへ排出することができる状態となるとともに、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を賞球裏箱832に形成される球抜通路832dへ排出することができる状態となる。なお、球抜通路831d,832dから排出される遊技球は、図4に示した本体枠4に備える本体枠ベース600の後側に取付けられる球排出通路865を通ってパチンコ遊技機1の外部へ排出されて、図示しないパチンコ島設備に設置される球揚送装置へ供給される。
[3−5.賞球ギアカバー]
次に、賞球表箱831の前面を覆うとともに、賞球表箱831の表面領域に設けられるギア群(賞球モータギア840、賞球中間ギア841、及び検出円盤842から構成されている。)を被覆する賞球ギアカバー835の構成について説明すると、賞球ギアカバー835は、後方が開口される長方形状の箱状に形成され、賞球表箱831の前面に配置されるギア群(賞球モータギア840、賞球中間ギア841、及び検出円盤842から構成されている。)へ電気配線が巻き込まれないようにギア区画壁835dが賞球ギアカバー835の底面から賞球表箱831へ向かって突設されることにより、ギア保護空間835eが形成されるとともに、ギア保護空間835eを除く他の空間を電気配線を引き回すための配線空間835fとして形成されている。
ギア保護空間835eには、上述した賞球中間ギア軸843の一端が挿入されて賞球中間ギア軸843を支持する軸受筒835aが賞球ギアカバー835の底面から賞球ギアカバー835の前面に突設されるとともに、軸受筒835aの下方に、上述した賞球スプロケット軸845の一端が挿入されて賞球スプロケット軸845を支持する軸受筒835bが賞球ギアカバー835の底面から賞球ギアカバー835の前面へ向かって突設されている。また、ギア保護空間835eには、上述した賞球表箱831の基板取付収容空間831hに形成される基板取付部831ha(図53(a)を参照)に挟持支持される賞球ケース内基板847の他端辺を挟持支持する基板取付部835cが賞球ギアカバー835の底面から賞球表箱831へ向かって突設されている。
配線空間835fには、ギア保護空間835eの底面上側及び底面右側に、払出モータ839の円筒状本体の上方近傍に開設される賞球表箱831の配線口831oを介して通す賞球表箱831の底面側に図示しないネジで螺着して固定される払出モータ839への電気配線を掛け留めて纏める配線処理片835gが賞球ギアカバー835の底面から賞球表箱831へ向かって突設されている。
配線処理片835gで纏められる払出モータ839への電気配線に加えて、賞球表箱831の裏面側に取り付けられる計数スイッチへの電気配線(計数スイッチ838への電気配線は、計数スイッチ838の近傍に開設される賞球表箱831の配線口831oを介して賞球表箱831の基板取付収容空間831hを通すことができるようになっている。)と、賞球表箱831の基板取付収容空間831hに収容される賞球ケース内基板847への電気配線と、を配線空間835fからギア保護空間835eの外側へ通す(つまり、払出装置830の払出制御を行う、図4に示した払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110と払出装置830とを電気的に接続する電気配線を通す)ための配線切欠部835hがギア保護空間835eの右側壁の下側に形成されている。
なお、賞球裏箱832に複数突設される取付ボス832wの先端部と対応する位置に貫通穴831yが賞球表箱831に穿設されるとともに、貫通穴831yと対応する位置に取付穴835iが賞球ギアカバー835に穿設されている。取付穴835iと貫通穴831yと取付ボス832wとを一致させた状態で賞球ギアカバー835の前面から図示しないネジで螺着することにより、賞球表箱831、そして賞球中仕切板833を挟持する状態で賞球ギアカバー835と賞球裏箱832とが一体的に固定されるようになっている。
また、賞球ギアカバー835には、払出装置830を図4に示した本体枠4に備える本体枠ベース600の後側に取付けられる逆L字状の払出ユニットベース801の後面側に着脱自在に取り付けるための鉤状係合部835kが複数突設されるとともに、払出装置830を払出ユニットベース801の後面に押し当てて上方へスライドさせる際に、払出ユニットベース801の後面に上下方向に沿って形成される図示しないガイド溝に挿入されるガイド突起835mが突設されている。これらの鉤状係合部835kは、本体枠ベース600に形成される図示しない係合突片とそれぞれ係合するものであり、払出装置830を払出ユニットベース801の後面に押し当てて上方へ向かってスライドさせて押し上げることにより、鉤状係合部835kと図示しない係合突片とがそれぞれ係合する。そして、賞球裏箱832の上端面に形成される一対の挿入片832yが図4に示した球誘導ユニット920の下端面側に形成される図示しない一対の位置決め凹部に挿入されて、払出装置830の上端面と球誘導ユニット920の下端面とが当接する状態となり、このとき、図4に示した本体枠4に備える本体枠ベース600の後側に取付けられるロック部材870を上方へ押し上げることにより、このロック部材870に形成される図示しないロック用凸部が賞球裏箱832の下壁に形成される切欠部832zに挿入されて図示しないロック用凸部と切欠部832zとが係合する。これにより、払出装置830を払出ユニットベース801の後面側に固定することができる。
[3−6.スプロケットの定位置]
次に、スプロケット837の定位置について説明すると、スプロケット837の回転角度は、上述したように、検出円盤842の外周に形成される検出切欠842bを回転角スイッチ846により検出することができるように構成されている。回転角スイッチ846からの検出信号は、払出モータ839を駆動制御する図4に示した払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110へ伝わり、払出制御基板4110が回転角スイッチ846からの検出信号に基づいて、スプロケット837の回転位置を把握することができるようになっている。払出制御基板4110は、スプロケット837の回転位置を定位置に停止させる場合には、回転角スイッチ846からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出すると、払出モータ839の出力軸839aを予め定めた回転角度だけ回転させた後に、駆動停止した状態を維持することによりスプロケット837を定位置で待機する状態を維持する。
スプロケット837の外周部には、上述したように、賞球表箱831に形成される球送出空間831kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837aが120度ごとに等分されて形成されるとともに、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837bが120度ごとに等分されて形成され、賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aと、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bと、は相互に60度ずつズレて配置されている。スプロケット837が1回転するごとに、それぞれ3つの凹部837a,837bで受け入れた遊技球を最大で6球の遊技球を下流側へ送り出すことができる。
払出モータ839の出力軸839aが回転すると、上述したように、出力軸839aに固着される賞球モータギア840が回転することにより、この回転が賞球中間ギア841、そして検出円盤842の賞球スプロケットギア844を介してスプロケット837を回転するように伝達される。払出モータ839は、小型のステッピングモータであり、その出力軸839aを15ステップ回転させると、スプロケット837が60度回転することにより、上述した凹部837a,837bのいずれか1つの凹部で受け入れた遊技球を下流側へ1球送り出すことができるとともに、その出力軸839aを90ステップ回転させると、スプロケット837が360度、つまり1回転することにより、上述した凹部837a,837bで受け入れた遊技球をすべて下流側へ送り出すことができる。
スプロケット837が定位置で停止した状態においては、賞球表箱831に形成される球送出空間831kにおいて、図53(a)に示すように、スプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上で賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を受け止める状態となるとともに、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおいて、図53(b)に示すように、スプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上で賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を受け止める状態となるように払出制御基板4110により制御されている。
本実施形態では、払出モータ839として、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータと同一のものを用いている。この小型のステッピングモータは、その円筒状本体の外径は20mmであり、長さは18.9mmという寸法距離を有した極めて小型のものである。このような小型のステッピングモータである払出モータ839では、静止トルクが極めて小さいため、スプロケット837の凹部837aへ受け入れた遊技球に対して賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る後続の遊技球の自重やスプロケット837の凹部837bへ受け入れた遊技球に対して賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る後続の遊技球の自重により、払出モータ839の静止トルクを超えてスプロケット837を回転停止させた状態を維持することができず、スプロケット837を回転させるおそれがある。
そこで、本実施形態では、スプロケット837の定位置として、上述したように、賞球表箱831に形成される球送出空間831kにおいて、図53(a)に示した、スプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上で賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を受け止める状態とするとともに、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおいて、図53(b)に示した、スプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上で賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を受け止める状態とすることにより、スプロケット837が定位置に維持されている状態では、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球の自重がスプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上に対してスプロケット837を、払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向(図53(a)では、時計回り方向)へ負荷を付与することができる状態となるのに対して、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球の自重がスプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上に対してスプロケット837を、払出装置830を正面側から見て、反時計回りに回転させる方向(図53(b)では、時計回り方向)へ負荷を付与することができる状態となる。このような、スプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上と、スプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上と、に遊技球の自重による負荷がバランス良く付与されてつり合った状態とすることができる。
これにより、スプロケット837を定位置として、遊技球の自重による負荷がバランス良く付与されてつり合った状態とすることにより、静止トルクが極めて小さい小型のステッピングモータである払出モータ839を採用しても、スプロケット837を定位置において停止した状態を維持することができる。また、スプロケット837が定位置に停止した状態においては、遊技球の自重による負荷がバランス良く付与されてつり合った状態となっているため、小型のステッピングモータである払出モータ839の駆動開始時における払出モータ839の出力軸839aへの負荷が著しく大きくなることを抑制することができて脱調を防ぐことができるとともに、スプロケット837をスムーズに回転させることができる。
また、上述したように、スプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上と、スプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上と、に遊技球の自重による負荷がバランス良く付与されてつり合った状態とすることができるようになっているため、遊技ホールの営業終了後にパチンコ遊技機1への電源を遮断した後に、仮に地震が発生したとしても、スプロケットの回転位置が定位置からズレる蓋然性を小さく抑えることができる。
また、本実施形態では、上述したように、払出モータ839として、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータと同一のものを用いている。これにより、払出装置830の奥行き方向の距離寸法を小さくすることにより払出装置830と対応する位置における遊技盤5の奥行き方向の距離寸法を大きく確保することができため、この払出装置830と対応する位置における遊技盤5後面における奥行き方向の空間を大きく確保することができて複数の電気的駆動源を有する大型の可動体装置を配置することができる。
なお、例えば、スプロケット837の凹部837aにおいて賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を受け入れて止めた状態とするとともに、スプロケット837の凹部837bにおいて賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を受け入れずにスプロケット837の外周部で受け止める状態とする場合には、スプロケット837の凹部837bにおいて賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を受け入れずにスプロケット837の外周部で受け止めると、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る後続の遊技球の自重がスプロケット837の軸心方向、つまりスプロケット837を軸支する賞球スプロケット軸845の軸心方向へ負荷として付与される一方、スプロケット837の凹部837aへ受け入れた遊技球に対して、スプロケット837を回転させる負荷として、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る後続の遊技球の自重が付与されることとなるため、スプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上と、スプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上と、に遊技球の自重による負荷がバランス良く付与されてつり合った状態が崩れるという欠点があり、スプロケット837の定位置として好ましくない。
[3−7.払出装置のメンテナンス]
次に、払出装置830のメンテナンスについて説明すると、賞球モータギア840、賞球中間ギア841、及び検出円盤842から構成されるギア群の回転具合を確認したり、スプロケット837の回転具合を確認したりする場合には、図54(a)に示すように、ピアノ線や針金などの工具を、払出装置830の正面側(賞球表箱831の正面側)から賞球表箱831に穿設される円弧状の工具挿入長穴831zzを介して、賞球スプロケットギア844の一の挿入孔844aに挿入して円弧状の工具挿入長穴831zzに沿って回転させて行うことができる。これにより、賞球モータギア840、賞球中間ギア841、及び賞球スプロケットギア844のいずれかに歯の折損が発生して回転が伝達されていない不具合を確認することができるし、屈曲通路831b,832bに遊技球を入れて賞球スプロケットギア844を有する検出円盤842が回転しているにもかかわらず、賞球通路831c,832cから遊技球が送り出されない場合には、検出円盤842に形成される継手部842aとスプロケット837に形成される被継手部837cとの係合状態に不具合が発生していることを確認することもできる。
また、球抜き片836の揺動具合を確認する場合には、図54(b)に示すように、賞球球抜きレバー834の操作部834aaを上方へ向かってスライド移動させて球抜き片836が揺動することができる状態にした後に、ピアノ線や針金などの工具を、払出装置830の背面側(賞球裏箱832の背面側)から賞球裏箱832に穿設される湾曲した工具挿入長穴832zzを介して、球抜き片836の側壁部836bや球抜き片836の補強リブ836cに触れ、湾曲した工具挿入長穴832zzに沿って動かすことにより、球抜き片836を揺動させることができる。これにより、例えばタバコのヤニやホコリによって球抜き片836が揺動することができない状態又はスムーズに揺動することができない状態となっていることを確認することができるとともに、繰り返しピアノ線や針金などの工具を湾曲した工具挿入長穴832zzに沿って動かすことにより、このような状態を解消することができる。
[4.遊技盤の詳細構成]
続いて、主として遊技盤5の構成について、図55及び図56を参照しつつ説明する。図55は、上述した本体枠2に遊技盤5が装着された様子を示す正面図であり、図56は、図55に示した遊技盤5の構成例を示す正面図である。
遊技盤5は、外レール1111及び内レール1112を有する。さらに遊技盤5は、枠状の前構成部材1110A及び板状の遊技パネル1200を備えている。前構成部材1110Aは、遊技者がハンドル装置500を操作することにより遊技媒体としての遊技球(単に「球」とも称す)が発射される遊技領域1100の内周を区画形成する。一方、遊技パネル1200は、前構成部材1110Aの後側に取り付けられることにより遊技領域1100の後端として配置することにより遊技領域1100を形成する。
この遊技パネル1200は、図示しない透明なパネル板及び枠状のパネルホルダを備えている。パネル板は、前構成部材1110Aによって内周が区画された遊技領域1100の後端を区画可能な板状で前構成部材1110よりも外形が小さく形成されている。一方、パネルホルダは、パネル板を前側から脱着可能に保持するとともに前構成部材1110Aの後面に取付けられている。
遊技盤5における表ユニットは、遊技領域1100内の最下部でアウト口の直上から正面視右方向へ延びるように配置されたアタッカユニット2100と、遊技領域1100の左下領域内周に沿って設けられた表サイドユニットと、遊技領域1100内における正面視左端付近で上下方向の中央よりもやや上寄りの位置に配置されたゲートユニット2300と、遊技領域1100の略中央部分に配置された枠状のセンター役物2500と、このセンター役物2500の内側に設けられた可動装飾体3250と、遊技盤5の後述する各種装飾基板から入力された点灯信号、点滅信号や階調点灯信号などの各種信号に基づいていわゆる7セグ表示を用いて後述する特別図柄の停止図柄を装飾的に模した装飾停止図柄を表示する7セグ表示装置1800と、遊技盤5の後述する各種装飾基板から入力された点灯信号、点滅信号や階調点灯信号などの各種信号に基づいて特別図柄が変動表示されている間に亘って点灯と点滅とを繰り返す変動表示ランプ1701、1702、1703と、を備えている。
さらに遊技盤5における遊技盤側液晶表示装置1900の後側には、詳細は後述するが、後述する周辺制御基板を収容する周辺制御基板ボックスが備えられている。
さらに遊技盤5は、遊技パネル1200に取付けられたセンター役物2500によって遊技領域1100がおおよそ左右に分かれており、センター役物2500の右側の外周と遊技領域1100の外周(前構成部材1110Aの内周)との間では遊技球の外径よりも若干大きい程度の幅の領域となっており、センター役物2500の左側の外周と遊技領域1100の外周(前構成部材1110Aの内周)との間では遊技球が充分に流通可能な広い領域となっている。遊技領域1100におけるセンター役物2500の左側の領域内では、パネル板の前面に、複数の障害釘(図示は省略)が所定のゲージ配列で植設されている。
遊技盤5は、遊技球がセンター役物2500の右側へ発射されると、この遊技球が前構成部材1110Aの衝止部の上流側からセンター役物2500の振分進入通路2545により振分空間2530側へ送られる。さらにこの遊技球は、振分ユニット2550の振分弁2551により振分空間2530内で左右のいずれかの方向へ振分けられた後に排出口から排出される。その後、この遊技球は、案内通路2540により案内されてアタッカユニット2100の大入賞口2103の上流側に開口した放出口から遊技領域1100内へ放出される。このように遊技球が、振分空間2530を通って、開放状態となっている大入賞口2103に高い確率で遊技球を受け入れられるようになっている。
この遊技盤5では、遊技球がセンター役物2500の左側へ発射されると、植設された複数の障害釘により、この遊技球がゲートユニット2300、表サイドユニットの方向へ誘導されたり、途中でワープ入口2504へ進入することでステージ2510を介して第一始動口2101の真上に放出されて、ゲート部2301、一般入賞口2104,2201、始動口2101,2102、大入賞口2103に入賞させることが可能となっており、遊技球の動きによる本来の遊技を楽しむことができるようになっている。
つまり、センター役物2500の左側のルートでは、遊技球を障害釘で跳ねさせることにより遊技者に遊技球の動きを楽しませることができる一方、センター役物2500の右側のルートでは、障害釘と接触する機会を極力減らして振分空間2530内での遊技球の振分けをしたり、遊技球を大入賞口2103に容易に受け入れさせることができる。
機能表示ユニット1180は、後述する表示部1181を備え、遊技盤5を本体枠4に取付けた状態で遊技者側から視認することができる位置として、例えば、前構成部材1110の下部に設けられている。機能表示ユニット1180は、遊技状態表示器1183、第一特別図柄記憶表示器1184、第一特別図柄表示器1185、第二特別図柄表示器1186、第二特別図柄記憶表示器1187、普通図柄記憶表示器1188、普通図柄表示器1189、及びラウンド表示器1190がそれぞれ後述の機能表示基板の前面に取り付けられた構成となっている。この機能表示ユニット1180には、この機能表示基板と主制御基板4100とを接続するための接続端子が設けられている。
上述した表示部1181には、現在の遊技状態を表示するための一つのLEDからなる遊技状態表示器1183(遊技状態表示手段)と、遊技球が第一始動口2101に受け入れられたことに伴う保留数を表示するための第一特別図柄記憶表示器1184と、第一始動口2101への遊技球の受け入れにより抽選された第一特別図柄の抽選結果(第一特別抽選結果)を第一特別図柄として表示するための一つの7セグメントLEDを含む第一特別図柄表示器1185と、第二始動口2102への遊技球の受け入れにより抽選された第二特別図柄の抽選結果(第二特別抽選結果)を第二特別図柄として表示するための一つの7セグメントLEDを含む第二特別図柄表示器1186と、第二始動口2102への遊技球の受け入れに関する保留数を表示するための第二特別図柄記憶表示器1187と、を備えている。なお、第一始動口2101または第二始動口2102に遊技球が受け入れられたことに伴って実行される抽選は、一般的な大当たり抽選とは異なり、大当たり遊技を実行するための前提条件となる条件装置を作動させるか否か、及び、賞球量の期待値を決定する抽選である。従って、本実施形態では、このような抽選に当選したとしても条件装置が作動するだけであり、これをもって大当たり遊技態様が即座に開始される訳ではない。
さらに表示部1181は、遊技球がゲート部2301を通過したことに伴う保留数を表示するための4つのLEDからなる普通図柄記憶表示器1188と、遊技球がゲート部2301を通過したことに伴って抽選された普通抽選の結果を普通図柄として表示するための一つのLEDからなる普通図柄表示器1189と、第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が「大当たり(条件装置が作動する当り)」の時に大入賞口2103の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示するための二つのLEDからなるラウンド表示器1190と、を備える。
上述した遊技状態表示器1183は、例えば赤色、緑色、橙色のように発光色を変化させることが可能なカラーLEDを備え、発光する発光色と、点灯或いは点滅との組合せにより、様々な遊技状態(例えば、確率変動状態、時短状態、確変及び時短状態(確率変動状態かつ時短状態)、大当たり遊技状態、等)を表示する。
第一特別図柄記憶表示器1184は、第一特別図柄表示器1185において第一特別図柄を変動表示させることができない時に、第一始動口2101へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第一特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この第一特別図柄記憶表示器1184は、所定のLEDからなる第一特別図柄記憶ランプ1184aと、第一特別図柄記憶ランプ1184bとを有しており、第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示する。具体的には、例えば、保留数が一つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点灯して第一特別図柄記憶ランプ1184bが消灯し、保留数が二つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bがともに点灯し、保留数が三つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点滅して第一特別図柄記憶ランプ1184bが点灯し、保留数が4つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bがともに点滅するようになっている。なお、本実施形態では、4つまで保留されるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における第二特別図柄記憶表示器1187は、第二特別図柄表示器1186において第二特別図柄を変動表示させることができない時に、第二始動口2102へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第二特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この第二特別図柄記憶表示器1187は、所定のLEDからなる第二特別図柄記憶ランプ1187aと、第二特別図柄記憶ランプ1187bとを有しており、第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bの点灯、点滅パターンによって、保留数を表示する。具体的には、例えば、保留数が一つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点灯して第二特別図柄記憶ランプ1187bが消灯し、保留数が二つの時には第二特別図柄記憶表示ランプ1187a,1187bがともに点灯し、保留数が三つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点滅して第二特別図柄記憶ランプ1187bが点灯し、保留数が4つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bがともに点滅するようになっている。なお、本実施形態では、4つまで保留されるようになっている。
第一特別図柄表示器1185及び第二特別図柄表示器1186は、第一始動口2101や第二始動口2102への遊技球の受け入れにより、抽選された第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を表示するものであり、7セグメントLEDが特別抽選結果に応じた所定の時間、変動した後に停止し、停止した7セグメントLEDの発光パターン(特別図柄)によって、第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を遊技者側に認識させる。
普通図柄表示器1189は、赤色、緑色、橙色と、その発光色を変化させることが可能なカラーLEDを備え、発光する発光色と、点灯または点滅との組合せにより、ゲート部2301を遊技球が通過したことに伴って実行される普通抽選の結果を表示する。なお、普通図柄表示器1189は、特別図柄と同様に所定の変動時間に亘って普通図柄を変動表示させた後に、普通抽選の結果に対応した態様で普通図柄の停止図柄を表示する。
普通図柄記憶表示器1188は、普通図柄表示器1189において普通図柄を変動表示させることができない時に、ゲート部2301を遊技球が通過した場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された普通図柄の保留数(記憶数)を表示する。この普通図柄記憶表示器1188は、LEDを有する4つの普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを備え、保留数に応じて、普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを順次点灯させることにより普通図柄の保留数を表示する。なお、本実施形態では、普通図柄の変動表示が4つまで保留(記憶)されている。
ラウンド表示器1190は、2ラウンド表示ランプ、6ラウンド表示ランプ(図示を省略)、12ラウンド表示ランプ(図示を省略)、及び16ラウンド表示ランプを備えており、ランプの点灯態様に応じて大当たり遊技におけるラウンド数を表示する。
[5.主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板]
次に、パチンコ遊技機1の各種制御を行う制御基板について、図57〜図62を参照しつつ説明する。図57は、主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板のブロック図であり、図58は、図57に示す払出制御基板4110などの構成例を示すブロック図である。図59は、主基板を構成する払出制御基板とCRユニット及び度数表示板との電気的な接続を中継する遊技球等貸出装置接続端子板に入出力される各種検出信号の概略図であり、図60は、図57に示す周辺制御基板4140及びそれに接続される基板などの構成例を示すブロック図である。図61は、周辺制御MPUの概略を示すブロック図であり、図62は、液晶及び音制御部における音源内蔵VDP周辺構成例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、その制御に関係する構成として、図57に示すように、主として、主制御基板4100、払出制御基板4110及び周辺制御基板4140構成されており、各種制御が分担されている。まず、主制御基板について説明し、続いて払出制御基板、電源基板、そして周辺制御基板について説明する。
[5−1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、遊技動作を制御する主制御プログラムなどの各種制御プログラム及び各種コマンドを記憶するROM並びに一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されているマイクロプロセッサとしての主制御MPU4100aと、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路4100bと、各種信号を外部の基板等へ出力するための主制御出力回路4100cと、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路4100dと、予め定めた電圧の停電又は瞬間的な停電状態(以下「瞬停」という)の兆候を監視する停電監視回路4100eと、を主として備えている。上述した主制御プログラムは、電源投入時から所定時間が経過した後に実行され、電源投入時に実行される電源投入時処理を制御する。
主制御MPU4100aには、その内蔵されているRAM(上記「主制御内蔵RAM」に相当)や、その内蔵されているROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)の他に、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。上述した主制御内蔵RAMは、その記憶領域の一部として、後述する始動記憶情報記憶領域に記憶される始動記憶情報ごとの大当たり判定用乱数記憶領域、特別図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数記憶領域、変動パターン用乱数1,2記憶領域、及び変動タイプ用乱数記憶領域、並びに後述する始動記憶情報記憶領域及び送信情報記憶領域を有する。このうち始動記憶情報記憶領域は、第一特別図柄用の第一始動記憶情報記憶領域及び第二特別図柄用の第二始動記憶情報記憶領域を含んでいる。その他にも主制御内蔵RAMは、後述する大当りフラグの値を格納可能な大当りフラグ領域も含んでいる。大当りフラグは、後述するように、ハズレ(00H)であるか或いは大当り(01H)であるかのみならず、小当り(02H)であるかも表している。従って、主制御MPU4100aは、小当りフラグの値を格納可能な小当りフラグ領域にアクセスすることなく、大当りフラグ領域という1つの記憶領域にアクセスすれば、大当りであるか或いはハズレであるかだけでなく、小当りであるかについても同時に把握することができる。
また、主制御MPU4100aは、不揮発性のRAMが内蔵されている。この不揮発性のRAMには、主制御MPU4100aを製造したメーカによって個体を識別するためのユニークな符号(世界で1つしか存在しない符号)が付された固有のIDコードが予め記憶されている。この一度付されたIDコードは、不揮発性のRAMに記憶されるため、外部装置を用いても書き換えることができない。主制御MPU4100aは、不揮発性のRAMからIDコードを取り出して参照することができる。
主制御入力回路4100bは、その各種入力端子に各種検出スイッチからの検出信号がそれぞれ入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられず、リセット機能を有していない。このため、主制御入力回路4100bは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、主制御入力回路4100bは、その各種入力端子に入力されている各種検出スイッチからの検出信号に基づく情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされないことによって、その情報に基づく各種信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
主制御出力回路4100cは、エミッタ端子がグランド(GND)と接地されたオープンコレクタ出力タイプとして回路構成されており、その各種入力端子に各種信号を外部の基板等へ出力するための各種信号が入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられるリセット機能を有するリセット機能付き主制御出力回路4100caと、リセット端子が設けられていないリセット機能を有しないリセット機能なし主制御出力回路4100cbと、から構成されている。リセット機能付き主制御出力回路4100caは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力される回路として構成されている。つまり、リセット機能付き主制御出力回路4100caは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされることによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から全く出力されない回路として構成されている。これに対して、リセット機能なし主制御出力回路4100cbは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、リセット機能なし主制御出力回路4100cbは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされないことによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
第一始動口2101に入球した遊技球を検出する第一始動口スイッチ3022、第二始動口2102に入球した遊技球を検出する第二始動口スイッチ2109、及び一般入賞口2104に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020からの検出信号や停電監視回路4100eからの信号は、主制御入力回路4100bを介して主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。また、振分検知センサ2580、ゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2301、一般入賞口2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020、大入賞口2103に遊技球が受け入れられたことを検知すると検出信号を出力するカウントスイッチ2110、及び磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3024からの検出信号は、遊技盤5に取り付けられたパネル中継端子板4161、そして主制御入力回路4100bを介して主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
主制御MPU4100aは、これらの各スイッチからの検出信号に基づいて、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに駆動信号を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caから主制御ソレノイド駆動回路4100dに制御信号を出力し、主制御ソレノイド駆動回路4100dからパネル中継端子板4161を介して始動口ソレノイド2105、アタッカソレノイド2108A、アタッカソレノイド2108B及び振分駆動モータ2558(図示せず)にそれぞれ駆動信号を出力したり、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに駆動信号を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caからパネル中継端子板4161、そして機能表示基板1191を介して第一特別図柄表示器1185、第二特別図柄表示器1186、第一特別図柄記憶表示器1184、第二特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、及びラウンド表示器1190に駆動信号を出力したりする。
また、主制御MPU4100aは、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに遊技に関する各種情報(遊技情報)を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caから払出制御基板4110に各種情報(遊技情報)を出力したり、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに信号(停電クリア信号)を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caから停電監視回路4100eに信号(停電クリア信号)を出力したりする。
なお、本実施形態おいて、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、ゲートスイッチ2301、及びカウントスイッチ2110には、非接触タイプの電磁式の近接スイッチを用いているのに対して、一般入賞口スイッチ3020,3020には、接触タイプのON/OFF動作式のメカニカルスイッチを用いている。これは、遊技球が第一始動口2101や第二始動口2102に頻繁に入球するし、ゲート部2350を頻繁に通過するため、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2301による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2301には、寿命の長い近接スイッチを用いている。また、遊技者にとって有利となる大当り遊技状態が発生すると、大入賞口2103が開放されて遊技球が頻繁に入球するため、カウントスイッチ2110による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、カウントスイッチ2110にも、寿命の長い近接スイッチを用いている。これに対して、遊技球が頻繁に入球しない一般入賞口2104,2201には、一般入賞口スイッチ3020,3020による検出も頻繁に発生しない。このため、一般入賞口スイッチ3020,3020には、近接スイッチより寿命が短いメカニカルスイッチを用いている。
また、主制御MPU4100aは、その所定のシリアル出力ポートの出力端子からリセット機能なし主制御出力回路4100cbに払い出しに関する各種コマンドをシリアルデータとして送信することにより、リセット機能なし主制御出力回路4100cbから払出制御基板4110に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。払出制御基板4110は、主制御基板4100からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(払主ACK信号)を主制御基板4100に出力する。この信号(払主ACK信号)が主制御入力回路4100bを介して主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力されるようになっている。
また、主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドをシリアルデータとして主制御入力回路4100bで受信することにより、主制御入力回路4100bからその所定のシリアル入力ポートの入力端子で各種コマンドをシリアルデータとして受信する。主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(主払ACK信号)を、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに出力し、リセット機能付き主制御出力回路4100caから払出制御基板4110に信号(主払ACK信号)を出力する。
また、主制御MPU4100aは、その所定のシリアル出力ポートの出力端子からリセット機能なし主制御出力回路4100cbに遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドをシリアルデータとして送信することにより、リセット機能なし主制御出力回路4100cbから周辺制御基板4140に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。
ここで、周辺制御基板4140へ各種コマンドをシリアルデータとして送信する主周シリアル送信ポートについて簡単に説明する。主制御MPU4100aは、主制御CPUコア4100aaを中心として構成されており、上述した主制御内蔵RAMの他にも、主制御各種シリアルI/Oポートの1つである主周シリアル送信ポート4100ae等がバス4100ahを介して回路接続されている(図60を参照)。主周シリアル送信ポート4100aeは、周辺制御基板4140へ各種コマンドを主周シリアルデータとして送信するものであり、送信シフトレジスタ4100aea、送信バッファレジスタ4100aeb、シリアル管理部4100aec等を主として構成されている(図60を参照)。主制御CPUコア4100aaは、コマンドを送信バッファレジスタ4100aebにセットして送信開始信号をシリアル管理部4100aecに出力すると、このシリアル管理部4100aecが送信バッファレジスタ4100aebにセットされたコマンドを送信バッファレジスタ4100aebから送信シフトレジスタ4100aeaに転送して主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信開始する。本実施形態では、送信バッファレジスタ4100aebの記憶容量として32バイトを有している。主制御CPUコア4100aaは、送信バッファレジスタ4100aebに複数のコマンドをセットした後にシリアル管理部4100aecに送信開始信号を出力することによって複数のコマンドを連続的に周辺制御基板4140に送信している。
なお、主制御基板4100に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板4100に電力を供給するためのバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)BC0を備えている。このキャパシタBC0により主制御MPU4100aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御内蔵RAMに記憶する。この主制御内蔵RAMに記憶される各種情報は、電源投入時から予め定めた期間内に後述する払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作されると、この操作スイッチ952からの操作信号(RAMクリア信号)が払出制御基板4110から出力され、主制御入力回路4100bを介して、主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力され、これを契機として、主制御MPU4100aによって主制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。
[6.払出制御基板]
次に、遊技球の払い出し等を制御する払出制御基板4110について、図58及び図64を参照して説明する。図58は払出制御基板のブロック図であり、図64は払出装置の払出モータに駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路を示す回路図である。
払出制御基板4110は、図4に示した、各種機能を兼用する操作スイッチ952と、パチンコ遊技機1の状態を表示するエラーLED表示器953と、のほかに、図58に示すように、払い出しに関する各種制御を行う払出制御部4110を備えている。ここでは、払出制御部4110、払出制御基板4110へ供給される各種電源、払出モータ駆動回路4110d、払出モータ839の励磁方式、払出モータ839への駆動電圧の切替回路、電源投入時と電源断時とにおける払出モータ839への駆動電圧、そして払出モータ839への駆動電圧の切替タイミングについて説明する。
[6−1.払出制御部]
払い出しに関する各種制御を行う払出制御部4110は、図58に示すように、各種制御プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである払出制御MPU4110aと、払い出しに関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される払出制御入力回路4110bと、各種信号を外部の基板等へ出力するための払出制御出力回路4110cと、図48に示した払出装置830の払出モータ839に駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路4110dと、パチンコ遊技機1に隣接して遊技ホールのパチンコ島設備に設置される図示しないCRユニットとの各種信号をやり取りするためのCRユニット入出力回路4110eと、を備えている。払出制御MPU4110aには、その内蔵されているRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」と記載する。)や、その内蔵されているROM(以下、「払出制御内蔵ROM」と記載する。)のほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
払出制御入力回路4110bは、その各種入力端子に各種検出スイッチからの検出信号がそれぞれ入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられず、リセット機能を有していない。このため、払出制御入力回路4110bは、図示しないリセット信号を出力する専用ICである払出制御システムリセットIC(以下、「払出制御システムリセットIC」と記載する。)からのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、払出制御入力回路4110bは、その各種入力端子に入力されている各種検出スイッチからの検出信号に基づく情報が払出制御システムリセットICによりリセットされないことによって、その情報に基づく各種信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
払出制御出力回路4110cは、エミッタ端子がグランド(GND)と接地されたオープンコレクタ出力タイプとして回路構成されており、その各種入力端子に各種信号を外部の基板等へ出力するための各種信号が入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられるリセット機能を有するリセット機能付き払出制御出力回路4110caと、リセット端子が設けられていないリセット機能を有しないリセット機能なし払出制御出力回路4110cbと、から構成されている。リセット機能付き払出制御出力回路4110caは、払出制御システムリセットICからのシステムリセット信号が入力される回路として構成されている。つまり、リセット機能付き払出制御出力回路4110caは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する払出制御システムリセットによりリセットされることによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から全く出力されない回路として構成されている。これに対して、リセット機能なし払出制御出力回路4110cbは、払出制御システムリセットICからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、リセット機能なし払出制御出力回路4110cbは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が払出制御システムリセットICによりリセットされないことによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
図4に示した球誘導ユニット920に形成される2条の球誘導通路内に遊技球の有無を検出する球切れスイッチ821、図53(a),(b)に示した払出装置830の賞球通路831c,832c内を流下する遊技球を検出する計数スイッチ838からの検出信号は、払出制御入力回路4110bを介して払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。図53(a)に示した払出装置830の検出円盤842の外周に形成された検出切欠842bを検出するための回転角スイッチ846からの検出信号は、まず払出装置830の賞球ケース内基板847、そして払出制御入力回路4110bを介して払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
また、本体枠4に対する扉枠3の開放を検出する図示しない扉枠開放スイッチからの検出信号と、外枠2に対する本体枠4の開放を検出する図示しない本体枠開放スイッチからの検出信号と、は払出制御入力回路4110bを介して払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
また、図16に示した扉枠3の満タン球受口528へ誘導する図4に示した下部満タン球経路ユニット860に形成される満タン誘導路内が遊技球で満タンであるか否かを検出する図示しない満タンスイッチからの検出信号は、払出制御入力回路4110bを介して払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
払出制御MPU4110aは、遊技盤5に備える主制御基板ボックスに収容される遊技の進行を制御する図示しない主制御基板(以下、「主制御基板」と記載する。)からの払い出しに関する各種コマンドを、払出制御入力回路4110bを介して、そのシリアル入力ポートの入力端子で受信するようになっている。払出制御MPU4110aは、主制御基板からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(払主ACK信号)を、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き払出制御出力回路4110caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路4110caから主制御基板に信号(払主ACK信号)を出力する。
また、払出制御MPU4110aは、そのシリアル出力ポートの出力端子から、パチンコ遊技機1の状態を示すための各種コマンドをシリアルデータとしてリセット機能なし払出制御出力回路4110cbに送信することにより、リセット機能なし払出制御出力回路4110cbから主制御基板に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。主制御基板は、払出制御基板4110からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(主払ACK信号)を払出制御基板4110に出力する。この信号(主払ACK信号)が払出制御入力回路4110bを介して払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力されるようになっている。
また、払出制御MPU4110aは、その所定の出力ポートの出力端子から、払出装置830の払出モータ839を駆動するための駆動信号をリセット機能付き払出制御出力回路4110caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路4110caから駆動信号を払出モータ駆動回路4110dに出力し、払出モータ駆動回路4110dから駆動信号を払出モータ839に出力したり、その所定の出力ポートの出力端子から、パチンコ遊技機1の状態をエラーLED表示器953に表示するための駆動信号をリセット機能付き払出制御出力回路4110caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路4110caから駆動信号をエラーLED表示器953に出力したりする。
エラーLED表示器953は、セグメント表示器であり、英数字や図形等を表示してパチンコ遊技機1の状態を表示している。エラーLED表示器953が表示して報知する内容としては、次のようなものがある。例えば、図形「−」が表示されているときには「正常」である旨を報知し、数字「0」が表示されているときには「接続異常」である旨(具体的には、主制御基板と払出制御基板4110との基板間において電気的な接続に異常が生じている旨)を報知し、数字「1」が表示されているときには「球切れ」である旨(具体的には、球切れスイッチ821からの検出信号に基づいて球誘導ユニット920に形成される2条の球誘導通路内に遊技球がない旨)を報知し、数字「2」が表示されているときには「球がみ」である旨(具体的には、回転角スイッチ846からの検出信号に基づいて、図53(a),(b)に示した払出装置830の屈曲通路831b,832bと球送出空間831k,832kと連通する入り口においてスプロケット837と遊技球とがその入り口近傍でかみ合ってスプロケット837が回転困難となっている旨)を報知し、数字「3」が表示されているときには「計数スイッチエラー」である旨(具体的には、計数スイッチ838からの検出信号に基づいて計数スイッチ838に不具合が生じている旨)を報知し、数字「5」が表示されているときには「リトライエラー」である旨(具体的には、払い出し動作のリトライ回数が予め設定された上限値に達した旨)を報知し、数字「6」が表示されているときには「満タン」である旨(具体的には、図示しない満タンスイッチからの検出信号に基づいて扉枠3の満タン球受口528へ誘導する下部満タン球経路ユニット860に形成される満タン誘導路内が遊技球で満タンである旨)を報知し、数字「7」が表示されているときには「CR未接続」である旨(払出制御基板4110からパチンコ遊技機1に隣接して遊技ホールのパチンコ島設備に設置される図示しないCRユニットまでに亘るいずれかにおいて電気的な接続が切断されている旨)を報知し、数字「9」が表示されているときには「ストック中」である旨(具体的には、まだ払い出していない遊技球の球数が予め定めた球数に達している旨)を報知している。
また、払出制御MPU4110aは、その所定の出力ポートの出力端子から、実際に払い出した遊技球の球数等をリセット機能付き払出制御出力回路4110caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路4110caから図示しない抵抗を介して遊技ホールに設置されるホールコンピュータと電気的に接続される図示しない外部端子板に、実際に払い出した遊技球の球数等を出力したりする。
また、払出制御基板4110は、主制御基板からの遊技に関する各種情報(遊技情報)を図示しない抵抗を介して遊技ホールに設置されるホールコンピュータと電気的に接続される図示しない外部端子板に出力している。この外部端子板は、図示しない複数のフォトカプラ(赤外LEDとフォトICとが内蔵されて構成されている。)が設けられており、これらの複数のフォトカプラを介して、遊技ホールに設置されたホールコンピュータに遊技球の球数等及び各種情報(遊技情報)をそれぞれ伝えるようになっている。外部端子板とホールコンピュータとは、複数のフォトカプラにより電気的に絶縁された状態となっており、パチンコ遊技機1の外部端子板を経由してホールコンピュータへ異常な電圧が印加されてホールコンピュータが誤動作したり故障したりしないようになっているし、ホールコンピュータからパチンコ遊技機1の外部端子板を経由して遊技を進行する主制御基板や払出等を制御する払出制御基板4110に異常な電圧が印加されて誤動作したり故障したりしなしようになっている。ホールコンピュータは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数等やパチンコ遊技機1の遊技情報を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
図12に示した貸球操作ユニット330の球貸ボタン331からの遊技球の球貸要求信号、及び返却ボタン333からのプリペイドカードの返却要求信号は、パチンコ遊技機1に隣接して遊技ホールのパチンコ島設備に設置される図示しないCRユニットに入力されるようになっている。CRユニットは、球貸要求信号に従って貸し出す遊技球の球数を指定した信号を、払出制御基板4110にシリアル方式で送信し、この信号がCRユニット入出力回路4110eを介して払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力されるようになっている。また、CRユニットは、貸し出した遊技球の球数に応じて挿入されたプリペイドカードの残度を更新するとともに、その残度を貸球操作ユニット330の表示部334に表示するための信号を出力し、この信号が表示部334に入力されるようになっている。また、表示部334の近傍に配置される図示しないCRユニットランプは、CRユニットからの供給電圧が供給されることにより発光するようになっている。
なお、払出制御基板4110や主制御基板等に各種電圧を供給する電源基板931は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板4110と主制御基板とに電力を供給するためのバックアップ電源としての図示しないキャパシタをそれぞれ備えている。払出制御基板4110用のキャパシタにより払出制御MPU4110aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御内蔵RAMに記憶することができるようになっている。また、主制御基板用のキャパシタにより主制御基板に実装されるマイクロプロセッサ(以下、「主制御MPU」と記載する。)は、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御MPUに内蔵されるRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶することができるようになっている。払出制御内蔵RAMに記憶される各種情報は、電源投入時から予め定めた期間内に操作スイッチ952が操作されると、その操作信号が払出制御入力回路4110bを介して、払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力され、払出制御MPU4110aは払出制御内蔵RAMに記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリア信号として判断し、これを契機として、払出制御MPU4110aによって払出制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。この操作信号(RAMクリア信号)は、リセット機能なし払出制御出力回路4110cbに出力され、リセット機能なし払出制御出力回路4110cbから主制御基板に出力される。電源投入時から予め定めた期間内に操作スイッチ952が操作されると、この操作信号が払出制御基板4110を介して主出制御MPUの所定の入力ポートの入力端子に入力されると、主制御MPUは、主制御内蔵RAMに記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリア信号として判断し、これを契機として、主制御MPUによって主制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。
[6−2.払出制御基板へ供給される各種電源]
次に、払出制御基板4110へ供給される各種電源について説明する。各種基板のグランド(GND)や各種端子板のグランド(GND)は、電源基板931のグランド(GND)と電気的に接続されており、同一グランド(GND)となっている。
電源基板931は、図64に示すように、同期整流回路931a、力率改善回路931b、平滑化回路931c、電源作成回路931dを備えて構成されている。パチンコ島設備から供給されているAC24Vは、同期整流回路931aに供給されている。この同期整流回路931aは、パチンコ島設備から供給され交流24ボルト(AC24V)を整流して力率改善回路931bに供給している。この力率改善回路931bは、整流された電力の力率を改善して直流+37V(DC+37V、以下、「+37V」と記載する。)を作成して平滑化回路931cに供給している。この平滑化回路931cは、供給される+37Vのリップルを除去して+37Vを平滑化させて電源作成回路931dに供給している。
電源作成回路931dは、平滑化回路931cから供給される+37Vから直流+5V(DC+5V、以下、「+5V」と記載する。)、直流+12V(DC+12V、以下、「+12V」と記載する。)、及び直流+24V(DC+24V、以下、「+24V」と記載する。)をそれぞれ作成している。
電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、払出制御基板4110に供給され、これら3種類の電圧のうち、+12V及び+24Vという2種類の電圧は、払出制御基板4110を介して遊技盤5に備える主制御基板に供給されている。また電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、遊技盤5に備える周辺制御基板(周辺制御基板は、主制御基板からのコマンドに基づいて、各種演出の進行を制御している。)、扉枠3側に備える各種基板等にそれぞれ供給されている。
払出制御基板4110に供給される+5Vは、まず払出制御フィルタ回路951aに供給され、ノイズが除去されている。ノイズが除去された+5Vは、払出制御基板4110に備える図示しないダイオードを介して、電源基板931に備える図示しない払出制御基板4110用のキャパシタに供給されるほかに、払出制御MPU4110a、払出モータ駆動回路4110d等にも供給されている。払出制御基板4110に供給される+12Vは、払出制御入力回路4110bに供給されるほかに、払出モータ駆動回路4110d等にも供給されるとともに、払出制御基板4110を介して、遊技盤5に備える主制御基板に供給されている。遊技盤5に備える主制御基板は、図示しない+5V作成回路を備えており、この+5V作成回路では、払出制御基板4110を介して供給される+12から+5Vの電源を作成して図示しない主制御フィルタ回路に供給する。この主制御フィルタ回路では、+5V作成回路で作成した+5Vからノイズを除去している。ノイズが除去された+5Vは、主制御基板に備える図示しないダイオードを介して、電源基板931に備える図示しない主制御基板用のキャパシタに供給されるほかに、主制御MPU等に供給されている。
このように、本実施形態では、払出制御基板4110と、遊技盤5に備える主制御基板と、においては、それぞれ+5Vという電源が供給されているものの、払出制御基板4110では、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5Vが払出制御フィルタ回路951aを介して払出制御MPU4110aや払出モータ駆動回路4110d等に供給されているのに対して、遊技盤5に備える主制御基板では、図示しない+5V作成回路において、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vから+5Vという電源を作成し、遊技盤5に備える主制御基板において作成した+5Vが主制御フィルタ回路を介して主制御MPUに供給されるという電源システムとなっている。
[6−3.払出モータ駆動回路]
次に、図48に示した払出装置830の払出モータ839に駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路4110dについて説明する。払出モータ駆動回路4110dは、図64に示すように、電圧切替回路4110da、ドライブICPIC60を主として構成されている。電圧切替回路4110daの電源入力端子1,2は、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vの直流電源が供給される+12V電源ラインと、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5Vの直流電源が払出制御フィルタ回路951aを介して供給される+5V電源ラインと、がそれぞれ電気的に接続され、+12Vと+5Vとがそれぞれ印加されている。電圧切替回路4110daの接地端子は、グランド(GND)と接地されている。電圧切替回路4110daの電源切替入力端子は、電圧切替信号が入力される。この電圧切替信号は、払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き払出制御出力回路4110caに出力され、リセット機能付き払出制御出力回路4110caから電圧切替回路4110daの電源切替入力端子に出力されるようになっている。電圧切替回路4110daの電源出力端子は、ツェナーダイオードPZD60を介して、ドライブICPIC60のカソード端子である3番端子及び10番端子とそれぞれ電気的に接続されるとともに、払出モータ839の電源端子と電気的に接続され、電圧切替回路4110daの電圧切替入端子に入力される電圧切替信号に基づいて、+12V又は+5Vを、モータ駆動電圧として、ツェナーダイオードPZD60を介して、ドライブICPIC60のカソード端子である3番端子及び10番端子にそれぞれ供給するとともに、払出モータ839に供給する。なお、+12Vをモータ駆動電圧として払出モータ839に供給する場合と、+5Vをモータ駆動電圧として払出モータ839に供給する場合と、を切り替える制御を行う点についての詳細な説明を後述する。
ドライブICPIC60は、4つのダーリントンパワートランジスタを備えており、本実施形態では、ドライブICPIC60のエミッタ端子である6番端子及び7番端子は、それぞれグランド(GND)と接地され、ドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、そして12番端子は、払出モータ駆動信号が抵抗PR60〜PR63を介してそれぞれ入力される。ドライブICPIC60のコレクタ端子である2番端子、4番端子、9番端子、そして11番端子は、ドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、そして12番端子とそれぞれ対応しており、ドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、そして12番端子に払出モータ駆動信号が抵抗PR60〜PR63を介してそれぞれ入力されると、励磁信号である駆動パルスを払出モータ839と対応する各相(/B相、B相、A相、/A相)にそれぞれ出力する。この払出モータ駆動信号は、払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き払出制御出力回路4110caに出力され、リセット機能付き払出制御出力回路4110caから抵抗PR60〜PR63を介してドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、そして12番端子にそれぞれ出力されるようになっている。これらの駆動パルスは、払出モータ839の各相(/B相、B相、A相、/A相)に流す励磁電流のスイッチングにより行われ、払出モータ839を回転させる。なお、このスイッチングにより各相(/B相、B相、A相、/A相)の駆動パルス(励磁信号)を遮断したときには逆起電力が発生する。この逆起電力がドライブICPIC60の耐圧を超えると、ドライブICPIC60が破損するため、保護として、ドライブICPIC60のカソード端子である3番端子及び10番端子の前段に上述したツェナーダイオードPZD60を電気的に接続する回路構成を採用した。
[6−4.払出モータの励磁方式]
次に、払出装置830の払出モータ839の励磁方式について説明する。本実施形態では、上述したように、払出モータ839として、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータと同一のものを用いている。この小型のステッピングモータは、その円筒状本体の外径は20mmであり、長さは18.9mmという寸法距離を有した極めて小型のものである。このような小型のステッピングモータである払出モータ839においては、小型のステッピングモータのコイルを1相ずつ励磁することができる1相励磁方式による制御を行うと、発生するトルクが極めて小さくなる。そこで、本実施形態においては、払出モータ839に駆動トルクと静止トルクとを発生させる際に、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを2相ずつ励磁することができる2相励磁方式による制御を採用した。この2相励磁方式では、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを2相ずつ励磁することができるため、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを1相ずつ励磁するという1相励磁方式と比べると、約2倍のトルクを得ることができる。
このように、本実施形態においては、小型のステッピングモータである払出モータ839の制御を2相励磁方式により行うことによって、駆動トルクと静止トルクとを大きくすることに寄与することができるようになっている。
[6−5.払出モータへの駆動電圧の切替回路]
次に、払出装置830の払出モータ839のモータ駆動電圧の切替回路について説明する。本実施形態では、上述したように、払出モータ839として、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータと同一のものを用いている。この小型のステッピングモータは、その円筒状本体の外径は20mmであり、長さは18.9mmという寸法距離を有した極めて小型のものである。このような小型のステッピングモータである払出モータ839では、無励磁状態において、つまり払出モータ839の各相(/B相、B相、A相、/A相)に電圧が全く印加されていない状態においては、極めて小さいトルクで出力軸839aを回転させることができる(各相のうち、一の相から次の相へ回転させるごとに、カクカクと出力軸839aを回転させることができる)。
払出モータ839の出力軸839aには、上述したように、賞球モータギア840が固着されており、出力軸839aに固着される賞球モータギア840が回転することにより、この回転が賞球中間ギア841、そして検出円盤842の賞球スプロケットギア844を介してスプロケット837を回転するように伝達される。つまり、払出モータ839が無励磁状態においては、払出モータ839の各相(/B相、B相、A相、/A相)に電圧が印加されず電流が流れない状態となると、極めて小さいトルクで出力軸839aを回転させることができる状態となる。このため、例えば、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る複数の遊技球の自重がスプロケット837に形成される凹部837aに負荷されることにより、この負荷がスプロケット837を回転させる方向へ働いてトルクを発生させ、このトルクによって払出モータ839の出力軸839aが回転させられることとなる。これを防止するために、払出モータ839の出力軸839aを回転させていない状態においても、払出モータ839の静止トルクを得るために、払出モータ839の各相(/B相、B相、A相、/A相)に電圧を印加して電流を流す必要がある。
払出モータ839の静止トルクを得る場合には、予め定めた相(例えば、B相とA相)に対して、常にモータ駆動電圧を印加して電流を流した状態を維持する必要があり、払出モータ839の出力軸839aを回転させていないにもかかわらず(換言すると、遊技者に賞球として遊技球を払い出す動作を行っていない状態であるにもかかわらず)、払出モータ839の出力軸839aを回転させているときと同様に電力を消費することとなる。
このため、モータ駆動電圧として常に低い電圧(例えば、+5V)とすると、電力の消費を抑えることができるものの、これでは、払出モータ839の駆動トルクが小さくなることにより、例えば、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る複数の遊技球の自重がスプロケット837に形成される凹部837aに負荷されることにより、この負荷がスプロケット837を回転させる方向へ働いて、これにより発生するトルクに払出モータ839の駆動トルクが負けるため、スプロケット837を回転させることができずに、払出モータ839が脱調することとなるという問題がある。これに対して、モータ駆動電圧として常に高い電圧(例えば、+12V)とすると、払出モータ839の駆動トルクが大きくなることにより、上述したような脱調が生ずることがなく(つまり、上述した例では、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る複数の遊技球の自重がスプロケット837に形成される凹部837aに負荷されることにより、この負荷がスプロケット837を回転させる方向へ働いても、これにより発生するトルクに払出モータ839の駆動トルクが勝るため)、払出モータの出力軸839aの回転をスプロケット837へ伝達させてスプロケット837をスムーズに回転させることができるものの、これでは、電力の消費を抑えることができないという問題がある。
そこで、本実施形態では、払出制御基板4110における払出モータ駆動回路4110dに電圧切替回路4110daを設けるとともに、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行う一方、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うようになっている。
これにより、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、モータ駆動電圧として+12Vより極めて小さい+5Vを払出モータ839に供給するようになっているため、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態における電力の消費の抑制に寄与することができる。また、払出モータ839の発熱を小さく抑えることができることによりパチンコ島設備内の温度上昇を防止することに寄与することもできる。
[6−6.電源投入時と電源断時とにおける払出モータへの駆動電圧]
次に、電源投入時と電源断時とにおける払出モータ839への駆動電圧について説明する。払出制御基板4110の払出制御MPU4110aは、上述したように、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行う一方、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うようになっている。
払出制御MPU4110aは、パチンコ遊技機1の電源投入時(パチンコ遊技機1に電源を投入する場合のほかに、パチンコ遊技機1への電源が停電により遮断された後に電力が回復したり、パチンコ遊技機1への電源が瞬間的に発生した停電により遮断された後に電力が回復したりする復電も含む。)に払出制御プログラムである電源投入時処理を行う。この電源投入時処理が開始されると、払出制御MPU4110aは、まずモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給するために、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力し、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを発生させる制御を行う。これは、パチンコ遊技機1の電源投入時において、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に強制的に供給せずに、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する状態においては、払出モータ839により消費される電力が極めて大きくなるためである。つまり、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vの直流電源が供給される遊技盤5に備える主制御基板では、この+12Vから主制御MPUの作動制御電圧となる+5Vを+5V作成回路で作成しているため、パチンコ遊技機1の電源投入時において、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する状態においては、払出モータ839により消費される電力が極めて大きくなることで+12Vの電圧レベルが上昇することが困難となることによって、これに伴い、遊技盤5に備える主制御基板では、この+12Vから主制御MPUの作動制御電圧となる+5Vを+5V作成回路で作成することが困難となって主制御MPUが動作開始することができなくなることを防止することができるという仕組みとなっている。
また、パチンコ遊技機1の電源投入時においては、電圧が不安定となっている場合があるため、モータ駆動電圧として低い電圧が設定されている+5Vを払出モータ839に供給することにより、電源投入時において仮に+5Vが不安定となっても、払出モータ839に印加できる最大許容電圧を超えることがないようになっている。つまり、電源投入時による不安定な電源による払出モータ839の故障を防止することができるという仕組みともなっている。
続いて、払出制御MPU4110aは、ドライブICPIC60への初期設定処理を行う。このドライブICPIC60への初期設定処理では、ドライブICPIC60の初期値を設定する。この初期値としては、払出モータ839の静止トルクを得るために、予め定めた相(例えば、B相とA相)に対して、モータ駆動電圧を印加するための払出モータ駆動信号を出力する情報を払出制御MPU4110aに内蔵される出力ポートの内部レジスタにセットする。
続いて、払出制御MPU4110aは、電源投入後に電源が安定状態となるまで予め定めた時間が経過するまで待機するというウェイトタイマ処理を行った後に、スプロケット837の定位置設定処理を行う。このスプロケット837の定位置設定処理では、スプロケット837が上述した定位置に位置しているか否かを判定する。具体的には、払出制御MPU4110aは、回転角スイッチ846からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出していない状態であるときには、スプロケット837が上述した定位置に位置している状態にないと判定し、モータ駆動電圧として+5Vから+12Vへ切り替えるために、電圧切替信号の論理(例えば、LOWからHI)を設定して電圧切替回路4110daに出力する。そして、払出制御MPU4110aは、払出モータ839の出力軸839aを回転させるために払出モータ駆動信号を出力する情報を払出制御MPU4110aに内蔵される出力ポートの内部レジスタにセットする。この出力ポートから出力される払出モータ駆動信号に従って払出モータ839の出力軸839aが回転する。そして、払出制御MPU4110aは、検出切欠842bを検出すると、払出モータ839の出力軸839aを予め定めた回転角度だけ回転させた後に、払出モータ839の出力軸839aを停止させるために払出モータ駆動信号を出力する情報を払出制御MPU4110aに内蔵される出力ポートの内部レジスタにセットする。この出力ポートから出力される払出モータ駆動信号に従って払出モータ839の出力軸839aが停止する。そして、払出制御MPU4110aは、モータ駆動電圧として+12Vから+5Vへ切り替えるために、電圧切替信号の論理(例えば、HIからLOW)を設定して電圧切替回路4110daに出力することにより、スプロケット837を定位置で待機する状態を維持する。そして、払出制御MPU4110aは、2msごとに払出制御メイン処理(遊技盤5に備える主制御基板からのコマンドを受信して解析する処理、遊技球の払い出しに関する主要動作を設定する処理、エラーLED表示器953への表示データを作成する処理など)を繰り返し行う。なお、払出制御MPU4110aは、回転角スイッチ846からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出している状態であるときには、スプロケット837が上述した定位置に位置している状態にあると判定し、このスプロケット837の定位置設定処理をそのまま終了して、2msごとに払出制御メイン処理を繰り返し行う。
パチンコ遊技機1の電源断時(パチンコ遊技機1への電源を遮断する場合のほかに、停電や瞬停により電源が遮断される場合も含む。)において、払出制御MPU4110aは、2msごとに繰り返し行う払出制御メイン処理から払出制御電源断時処理へ移行する。この払出制御電源断時処理では、払い出しに関する各種情報をバックアップ情報として払出制御内蔵RAMに格納するとともに、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に強制的に供給するために、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力し、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを発生させる制御を行う。+5Vは、上述したように、電圧切替回路4110daのほかに、払出制御MPU4110aにも供給されているため、パチンコ遊技機1の電源断時において、払出モータ839という駆動系と、払出制御MPU4110aという制御系と、が同時にダウンするという仕組みとしている。これは、パチンコ遊技機1の電源断時において、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に強制的に供給せずに、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する状態においては、払出モータ839により消費される電力が極めて大きくなるためである。つまり、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vの直流電源が供給される遊技盤5に備える主制御基板では、この+12Vから主制御MPUの作動制御電圧となる+5Vを+5V作成回路で作成しているため、パチンコ遊技機1の電源断時において、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する状態においては、払出モータ839により消費される電力が極めて大きくなることで+12Vの電圧レベルが急激に低下することによって、これに伴い、主制御MPUが主制御プログラムの一処理である主制御電源断時処理を行って主制御内蔵RAMに遊技に関する各種情報を格納完了するまえに、作動制御電圧レベルも急激に低下して主制御MPUが動作不能となることを防止することができるという仕組みとなっている。
このように、本実施形態では、パチンコ遊技機1の電源断時において、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aがモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839へ強制的に供給するために電圧切替回路4110daへ電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を出力することにより、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aという制御系と、払出モータ839という駆動系と、に対して、パチンコ遊技機1の電源断時において同一の+5Vが供給されることにより(つまり、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aという制御系に対しては、作動制御電圧である+5Vが供給されるとともに、払出モータ839という駆動系に対してはモータ駆動電圧として+5Vが供給されることにより)、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aという制御系が作動停止する時期と、払出モータ839という駆動系が作動停止する時期と、を一致させることができるようになっている。これにより、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aが払出モータ839の出力軸839aの回転位置を把握した状態でパチンコ遊技機1の電源が遮断された状態とすることができる。つまり、パチンコ遊技機1への電源が遮断される直前まで、払出モータ839を払出制御基板4110の払出制御MPU4110aの制御下とすることができる。したがって、パチンコ遊技機1の電源断時による影響を受けて払出モータ839の出力軸839aが回転することを防止することに寄与することができる。
[6−7.払出モータへの駆動電圧の切替タイミング]
次に、払出装置830の払出モータ839のモータ駆動電圧の切替タイミングについて説明する。払出制御基板4110の払出制御MPU4110aは、上述したように、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行う一方、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うようになっている。
払出モータ839の出力軸839aが回転すると、上述したように、出力軸839aに固着される賞球モータギア840が回転することにより、この回転が賞球中間ギア841、そして検出円盤842の賞球スプロケットギア844を介してスプロケット837を回転するように伝達される。スプロケット837の外周部には、上述したように、賞球表箱831に形成される球送出空間831kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837aが120度ごとに等分されて形成されるとともに、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837bが120度ごとに等分されて形成され、賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aと、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bと、は相互に60度ずつズレて配置されている。スプロケット837が1回転するごとに、それぞれ3つの凹部837a,837bで受け入れた遊技球を最大で6球の遊技球を下流側へ送り出すことができる。
賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aで受け入れた遊技球は、賞球通路831cへ送り出されて、上述したように、計数スイッチ838により検出される。賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bで受け入れた遊技球は、賞球通路832cへ送り出されて、上述したように、計数スイッチ838により検出される。
払出制御MPU4110aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837を回転させて遊技球を払い出している場合であって、払出モータ839の出力軸839aを停止させるときには、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837の凹部837a,837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ最後に送り出した後、この最後に送り出した遊技球が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間(予め設定された時間であって、例えば、数百ミリ秒に設定されている。)が経過するまで払出モータ839の出力軸839aを回転駆動し続け、この時間が経過すると、払出モータ839の出力軸839aの回転駆動を停止して払出モータ839の出力軸839aを停止させ、これを契機として、電圧切替信号の論理を切り替えるために(例えば、HIからLOWへ切り替えるために)、この電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより、払出モータ839に静止トルクを発生させて払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持している。
具体的には、例えば、遊技者が図7に示したハンドルレバー504を回転操作すると、図7に示した球発射装置680によってハンドルレバー504の回転角度に応じた強さで遊技球が図7に示した遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれる。そして、遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、図示しない入賞口に受入れられると、受入れられた入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出装置830によって上皿201に払出される。入賞口として始動入賞口に遊技球が受入れられると、賞球として遊技球を3球だけ払出装置830によって上皿201に払出すためのコマンド(賞球コマンド)が遊技盤5に備える遊技の進行を制御する図示しない主制御基板から払出制御基板4110へ送信される。払出制御基板4110の払出制御MPU4110aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837を回転させて、1球目の遊技球、2球目の遊技球、そして最後に3球目の遊技球を1球ずつスプロケット837の凹部837a,837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ送り出した後、この最後に送り出した3番目の遊技球が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間(予め設定された時間であって、例えば、数百ミリ秒に設定されている。)が経過するまで払出モータ839の出力軸839aを回転駆動し続け、この時間が経過すると、払出モータ839の出力軸839aの回転駆動を停止して払出モータ839の出力軸839aを停止させ、これを契機として、電圧切替信号の論理を切り替えるために(例えば、HIからLOWへ切り替えるために)、この電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより、払出モータ839に静止トルクを発生させて払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持している。
また、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aは、上述したように、スプロケット837の回転位置を定位置に停止させる場合には、回転角スイッチ846からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出すると、払出モータ839の出力軸839aを予め定めた回転角度だけ回転させた後に、駆動停止した状態を維持することによりスプロケット837を定位置で待機する状態を維持するようになっている。つまり、払出制御MPU4110aは、スプロケット837の回転位置を定位置に停止させる場合には、回転角スイッチ846からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出すると、払出モータ839の出力軸839aを予め定めた回転角度だけ回転させているが、この「予め定めた回転角度」とは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837を回転させて遊技球を払い出している場合であって、払出モータ839の出力軸839aを停止させる際に、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837の凹部837a,837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ最後に送り出した後に、この最後に送り出した遊技球が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間(予め設定された時間であって、例えば、数百ミリ秒に設定されている。)が経過するまで払出モータ839の出力軸839aを回転駆動し続け、そして、この時間が経過すると、払出モータ839の出力軸839aの回転駆動を停止して払出モータ839の出力軸839aを停止させるまでに亘ってスプロケット837を回転させた回転角度に相当する。
以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、遊技球を払い出す小型のモータである図48の払出モータ839の出力軸の回転による払出制御を行う、図4の払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110を備えている。このパチンコ遊技機1では、さらに、図64の払出モータ駆動回路4110dにおける電圧切替回路4110da、図4の電源基板ボックス930に収容された電源基板931を備えている。電圧切替回路4110daは、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動するための駆動用電圧としての+12Vと、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための電圧であって駆動用電圧と比べて電圧が低い停止用電圧としての+5Vと、を相互に切り替えることができるものである。電源基板931は、駆動用電圧としての+12Vと、停止用電圧としての+5Vと、を作成することができるものである。
払出制御基板4110は、停止用電圧としての+5Vが作動制御電圧として供給されることで作動することができるようになっている。払出制御基板4110は、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には駆動用電圧としての+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力する一方、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には停止用電圧としての+5Vを小型のモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力することができるようになっている。払出制御基板4110は、電源断時において、停止用電圧としての+5Vを払出モータ839へ強制的に供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号を出力することができるようになっている。
具体的には、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行う一方、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うようになっている。そして、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aは、電源断時(パチンコ遊技機1への電源を遮断する場合のほかに、停電や瞬停により電源が遮断される場合も含む。)において、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に強制的に供給するために、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力し、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを発生させる制御を行うようになっている。
このように、電圧切替回路4110daに入力される制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)に基づいて、駆動用電圧として+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給することによって小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、停止用電圧として+5Vを小型のモータである払出モータ839へ供給することによって小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができるようになっている。
ところで、パチンコ遊技機1の電源断時において、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aという制御系が払出モータ839という駆動系に対して先に作動停止する状態となると、払出モータ839が払出制御基板4110の払出制御MPU4110aによる制御下でなくなることにより払出モータ839の出力軸839aが回転するおそれがある。そこで、パチンコ遊技機1の電源断時において、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aがモータ駆動電圧としての停止用電圧として+5Vを払出モータ839へ強制的に供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を出力することにより、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aという制御系と、払出モータ839という駆動系と、に対して、パチンコ遊技機1の電源断時において同一の+5Vが供給されることにより(つまり、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aという制御系に対しては、作動制御電圧である+5Vが供給されるとともに、払出モータ839という駆動系に対してはモータ駆動電圧としての停止用電圧として+5Vが供給されることにより)、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aという制御系が作動停止する時期と、払出モータ839という駆動系が作動停止する時期と、を一致させることができるようになっている。これにより、払出制御基板4110の払出制御MPU4110aが払出モータ839の出力軸839aの回転位置を把握した状態でパチンコ遊技機1の電源が遮断された状態とすることができる。つまり、パチンコ遊技機1への電源が遮断される直前まで、払出モータ839を払出制御基板4110の払出制御MPU4110aの制御下とすることができる。したがって、パチンコ遊技機1の電源断時による影響を受けて払出モータ839の出力軸839aが回転することを防止することに寄与することができる。
因みに、従来より、待機位置と作動位置との間を往復移動する可動体をモータにより作動させる遊技機が提案されている(例えば、特開2010−119670号公報)。
ところで、最近の遊技機では、複数の可動体を遊技盤に備えることにより各可動体を作動させることで可動体による迫力ある演出を遊技者に提供している。このため、最近の遊技機では、各可動体を作動させるモータも遊技盤に複数設ける必要があり、遊技盤の奥行き方向の距離寸法が大きくならないように小型のステッピングモータを採用するとともに、各小型のステッピングモータを同一種類に統一することでコストを抑えている。
遊技盤のほかに、例えば遊技球を払い出す払出装置にも払出モータが備えられている。払出モータは、その出力軸の回転が賞球として遊技者に遊技球を払い出すスプロケットに伝達されるようになっており、払出制御基板(払出制御手段)により制御されている。
払出モータとして小型のステッピングモータを採用すると、小型のステッピングモータに電圧が印加されていない状態においては、極めて小さいトルクで小型のステッピングモータの出力軸を回転させることができる状態となるため、遊技球の自重によるスプロケットへの負荷により小型のステッピングモータの出力軸が回転することとなる。これを防止するために、小型のステッピングモータの出力軸を回転させていない状態においても、小型のステッピングモータの静止トルクを得るために、小型のステッピングモータに電圧を印加して電流を流す必要がある。
ところが、小型のステッピングモータに印加する電圧として低い電圧とすると、電力の消費を抑えることができるものの、これでは、小型のステッピングモータの駆動トルクが小さくなることにより、遊技球の自重によるスプロケットへの負荷がスプロケットを回転させる方向へ働いて、これにより発生するトルクに小型のステッピングモータの駆動トルクが負けるため、スプロケットを回転させることができなくなるし、これに対して、小型のステッピングモータに印加する電圧として高い電圧とすると、小型の払出モータの駆動トルクが大きくなることにより、遊技球の自重によるスプロケットへの負荷がスプロケットを回転させる方向へ働いても、これにより発生するトルクに小型のステッピングモータの駆動トルクが勝るため、小型のステッピングモータの出力軸の回転をスプロケットへ伝達させてスプロケットを回転させることができるものの、これでは、電力の消費を抑えることができなくなり、払出モータとして小型のステッピングモータを採用することが極めて困難であった。
そこで、本実施形態においては、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、払出モータとして小型のステッピングモータを採用することができるようにもなっている。
具体的に説明すると、以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、遊技球を払い出す小型のステッピングモータである図48の払出モータ839の出力軸の回転による払出制御を行う、図4の払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110を備えている。このパチンコ遊技機1では、さらに、図64の払出モータ駆動回路4110dにおける電圧切替回路4110daを備えている。電圧切替回路4110daは、小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動するための駆動用電圧としての+12Vと、小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための電圧であって駆動用電圧と比べて電圧が低い停止用電圧としての+5Vと、を相互に切り替えることができるものである。
払出制御基板4110は、小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には駆動用電圧としての+12Vを小型のステッピングモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力するとともに、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式による制御を行う一方、小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には停止用電圧としての+5Vを小型のステッピングモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力するとともに、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式により制御を行うようになっている。
具体的には、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行うとともに、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式による制御を行う一方、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うとともに、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式による制御を行うようになっている。
このように、電圧切替回路4110daに入力される制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)に基づいて、駆動用電圧として+12Vを小型のステッピングモータである払出モータ839へ供給することによって小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、停止用電圧として+5Vを小型のステッピングモータである払出モータ839へ供給することによって小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができるようになっている。そして、駆動用電圧として+12Vを小型のステッピングモータである払出モータ839へ供給することによって小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合や、停止用電圧として+5Vを小型のステッピングモータである払出モータ839へ供給することによって小型のステッピングモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合においても、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを2相ずつ励磁するという2相励磁方式により小型のステッピングモータである払出モータ839の制御を行うことにより、例えば、小型のステッピングモータである払出モータ839のコイルを1相ずつ励磁するという1相励磁方式と比べると、小型のステッピングモータである払出モータ839が発生させるトルクを大きくすることができるため、駆動トルクと静止トルクとを大きくすることができる。
これにより、2相励磁方式により小型のステッピングモータである払出モータ839の制御を行うことにより駆動トルクを大きくすることに寄与することができるため、例えば、図53(a)に示した、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る複数の遊技球の自重がスプロケット837に形成される凹部837aに負荷されることにより、この負荷が、スプロケット837が払出モータ839の出力軸839aによって回転駆動される回転方向と反対となる回転方向へ働いても、これにより発生するトルクに払出モータ839の駆動トルクが勝るため、払出モータの出力軸839aの回転をスプロケット837へ伝達させてスプロケット837をスムーズに回転させることができる。そして、2相励磁方式により小型のステッピングモータである払出モータ839の制御を行うことにより静止トルクを大きくすることに寄与することができるため、例えば、図53(a)に示した、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る複数の遊技球の自重がスプロケット837に形成される凹部837aに負荷されることにより、この負荷がスプロケット837を回転させる方向へ働いても、これにより発生するトルクに払出モータ839の静止トルクが勝るため、払出モータの出力軸839aを停止させた状態を維持することができ、スプロケット837を停止させた状態を維持することができる。したがって、払出モータ839として小型のステッピングモータを採用することができる。また、払出モータ839として遊技盤5に備える可動体を作動させる小型のステッピングモータと同一種類のものを採用することにより遊技機のコストを抑えることに寄与することもできる。
因みに、従来より、待機位置と作動位置との間を往復移動する可動体をモータにより作動させる遊技機が提案されている(例えば、特開2010−119670号公報)。
ところで、最近の遊技機では、複数の可動体を遊技盤に備えることにより各可動体を作動させることで可動体による迫力ある演出を遊技者に提供している。このため、最近の遊技機では、各可動体を作動させるモータも遊技盤に複数設ける必要があり、遊技盤の奥行き方向の距離寸法が大きくならないように小型のモータを採用するとともに、各小型のモータを同一種類に統一することでコストを抑えている。
遊技盤のほかに、例えば遊技球を払い出す払出装置にも払出モータが備えられている。払出モータは、その出力軸の回転が賞球として遊技者に遊技球を払い出すスプロケットに伝達されるようになっており、払出制御基板(払出制御手段)により制御されている。
払出モータとして小型のモータを採用すると、小型のモータに電圧が印加されていない状態においては、極めて小さいトルクで小型のモータの出力軸を回転させることができる状態となるため、遊技球の自重によるスプロケットへの負荷により小型のモータの出力軸が回転することとなる。これを防止するために、小型のモータの出力軸を回転させていない状態においても、小型のモータの静止トルクを得るために、小型のモータに電圧を印加して電流を流す必要がある。
ところが、小型のモータに印加する電圧として低い電圧とすると、電力の消費を抑えることができるものの、これでは、小型のモータの駆動トルクが小さくなることにより、遊技球の自重によるスプロケットへの負荷がスプロケットを回転させる方向へ働いて、これにより発生するトルクに小型のモータの駆動トルクが負けるため、スプロケットを回転させることができなくなるし、これに対して、小型のモータに印加する電圧として高い電圧とすると、小型の払出モータの駆動トルクが大きくなることにより、遊技球の自重によるスプロケットへの負荷がスプロケットを回転させる方向へ働いても、これにより発生するトルクに小型のモータの駆動トルクが勝るため、小型のモータの出力軸の回転をスプロケットへ伝達させてスプロケットを回転させることができるものの、これでは、電力の消費を抑えることができなくなり、払出モータとして小型のモータを採用することが極めて困難であった。
そこで、本実施形態においては、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、払出モータとして小型のモータを採用することができるようにもなっている。
具体的に説明すると、以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、遊技球を払い出す小型のモータである図48の払出モータ839の出力軸の回転による払出制御を行う、図4の払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110を備えている。このパチンコ遊技機1では、さらに、図48の計数スイッチ838と、図64の払出モータ駆動回路4110dにおける電圧切替回路4110daと、を備えている。計数スイッチ838は、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aが回転されて払い出された遊技球を検出することができるものである。電圧切替回路4110daは、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動するための駆動用電圧としての+12Vと、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための電圧であって駆動用電圧と比べて電圧が低い停止用電圧としての+5Vと、を相互に切り替えることができるものである。
払出制御基板4110は、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には駆動用電圧としての+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力する一方、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には停止用電圧としての+5Vを小型のモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力するようになっている。
具体的には、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行う一方、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うようになっている。
また、払出制御基板4110は、電圧切替回路4110daへ制御信号を出力して駆動用電圧としての+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給して小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出している場合であって、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させるときには、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して最後に払い出した遊技球が計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間が経過するまで小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動し続け、この時間が経過すると、これを契機として、電圧切替回路4110daへ制御信号を出力して駆動用電圧としての+12Vから停止用電圧としての+5Vへ切り替えて小型のモータである払出モータ839へ供給するようになっている。
具体的には、払出制御MPU4110aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837を回転させて遊技球を払い出している場合であって、払出モータ839の出力軸839aを停止させるときには、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837の凹部837a,837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ最後に送り出した後(例えば、遊技者が図7に示したハンドルレバー504を回転操作すると、図7に示した球発射装置680によってハンドルレバー504の回転角度に応じた強さで遊技球が図7に示した遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれる。そして、遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、図示しない入賞口に受入れられると、受入れられた入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出装置830によって上皿201に払出される。入賞口として始動入賞口に遊技球が受入れられると、賞球として遊技球を3球だけ払出装置830によって上皿201に払出すためのコマンド(賞球コマンド)が遊技盤5に備える遊技の進行を制御する図示しない主制御基板から払出制御基板4110へ送信される。払出制御基板4110の払出制御MPU4110aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより払出モータ839の出力軸839aを回転駆動してスプロケット837を回転させて、1球目の遊技球、2球目の遊技球、そして最後に3球目の遊技球を1球ずつスプロケット837の凹部837a,837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ送り出した後)、この最後に送り出した遊技球(上述した例において、賞球として遊技球を3球だけ払出す場合には、最後に送り出した遊技球は3番目の遊技球)が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間(予め設定された時間であって、例えば、数百ミリ秒に設定されている。)が経過するまで払出モータ839の出力軸839aを回転駆動し続け、この時間が経過すると、払出モータ839の出力軸839aの回転駆動を停止して払出モータ839の出力軸839aを停止させ、これを契機として、電圧切替信号の論理を切り替えるために(例えば、HIからLOWへ切り替えるために)、この電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うことにより、払出モータ839に静止トルクを発生させて払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持している。
このように、電圧切替回路4110daに入力される制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)に基づいて、駆動用電圧として+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給することによって小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、停止用電圧として+5Vを小型のモータである払出モータ839へ供給することによって小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができるようになっている。そして、電圧切替回路4110daへ制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)を出力して駆動用電圧として+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給して小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出している場合であって、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させるときには、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して最後に払い出した遊技球が計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間が経過するまで小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動し続け、この時間が経過すると、これを契機として、電圧切替回路4110daへ制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)を出力して駆動用電圧として+12Vから停止用電圧として+5Vへ切り替えて小型のモータである払出モータ839へ供給するようになっている。したがって、払出モータ839として小型のモータを採用することができる。また、払出モータ839として遊技盤5に備える可動体を作動させる小型のモータと同一種類のものを採用することにより遊技機のコストを抑えることに寄与することもできる。
また、具体的に説明すると、以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、遊技球を払い出す小型のモータである図48の払出モータ839の出力軸の回転による払出制御を行う、図4の払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110を備えている。このパチンコ遊技機1では、さらに、図64の払出モータ駆動回路4110dにおける電圧切替回路4110daを備えている。この電圧切替回路4110daは、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動するための駆動用電圧としての+12Vと、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための電圧であって駆動用電圧と比べて電圧が低い停止用電圧としての+5Vと、を相互に切り替えることができるものである。
払出制御基板4110は、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には駆動用電圧としての+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力する一方、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には停止用電圧としての+5Vを小型のモータである払出モータ839へ供給するために電圧切替回路4110daへ制御信号である電圧切替信号を出力するようになっている。
具体的には、払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ839に供給する制御を行う一方、払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御MPU4110aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路4110daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ839に供給する制御を行うようになっている。
このように、電圧切替回路4110daに入力される制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)に基づいて、駆動用電圧として+12Vを小型のモータである払出モータ839へ供給することによって小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、停止用電圧として+5Vを小型のモータである払出モータ839へ供給することによって小型のモータである払出モータ839の出力軸839aを停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができるようになっている。したがって、払出モータ839として小型のモータを採用することができる。また、払出モータ839として遊技盤5に備える可動体を作動させる小型のモータと同一種類のものを採用することにより遊技機のコストを抑えることに寄与することもできる。
因みに、従来より、待機位置と作動位置との間を往復移動する可動体をモータにより作動させる遊技機が提案されている(例えば、特開2010−119670号公報)。
ところで、最近の遊技機では、複数の可動体を遊技盤に備えることにより各可動体を作動させることで可動体による迫力ある演出を遊技者に提供している。このため、最近の遊技機では、各可動体を作動させるモータも遊技盤に複数設ける必要があり、遊技盤の奥行き方向の距離寸法が大きくならないように小型のモータを採用するとともに、各小型のモータを同一種類に統一することでコストを抑えている。
遊技盤のほかに、例えば遊技球を払い出す払出装置にも払出モータが備えられている。払出モータは、その出力軸の回転が賞球として遊技者に遊技球を払い出すスプロケットに伝達されるようになっており、払出制御基板(払出制御手段)により制御されている。スプロケットを回転停止させる制御が払出制御基板(払出制御手段)により行われている状態においては、スプロケットで受け止めた遊技球に後続の遊技球が連なることにより遊技球の自重による負荷がスプロケットに付与された状態が維持されることとなる。
ところが、払出モータとして小型のモータを採用すると、小型のモータの静止トルクが極めて小さいため、スプロケットを回転停止させる制御が払出制御基板(払出制御手段)により行われている状態であっても、遊技球の自重によるスプロケットへの負荷が小型のモータの静止トルクを超えると、スプロケットが遊技球の自重による負荷により回転するおそれがあった。このため、従来より遊技機においては、払出モータとして静止トルクが大きい大型のモータを採用する必要があり、小型のモータを採用することが極めて困難であった。
そこで、本実施形態においては、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、払出モータとして小型のモータを採用することができるようにもなっている。
具体的に説明すると、以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、遊技球を払い出す図4の払出装置830の払出制御を行う、図4の払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板4110を備えている。払出装置830は、前方に形成される球通路としての図51(a),(b)の一対の屈曲通路壁831aによって球通路を構成する屈曲通路831bと、後方に形成される球通路としての図52(a),(b)の一対の屈曲通路壁832aによって球通路を構成する屈曲通路832bと、をそれぞれ通る遊技球を払い出すことができる2条に構成されている。
払出装置830は、少なくとも、小型のモータである図48の払出モータ839、図48のスプロケット837を備えている。小型のモータである払出モータ839は、電気的駆動源であり、スプロケット837は、小型のモータである払出モータ839の出力軸839aの回転が伝達されて回転することができるものである。
スプロケット837の外周部には、前方に形成される球通路としての図51(a),(b)の一対の屈曲通路壁831aによって球通路を構成する屈曲通路831bを通る遊技球を1球受け入れることができる前凹部が一定個数設けられるとともに、後方に形成される球通路としての図52(a),(b)の一対の屈曲通路壁832aによって球通路を構成する屈曲通路832bを通る遊技球を1球受け入れることができる後凹部が一定個数設けられている。
具体的には、賞球表箱831に形成される球送出空間831kには、スプロケット837が回転自在に配置されている。スプロケット837の外周部には、球送出空間831kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837aが120度ごとに等分されて形成されている。また、賞球表箱831の後面を覆う賞球裏箱832にも球送出空間832kが形成され、この球送出空間832kにおいても、スプロケット837が回転自在に配置されている。スプロケット837の外周部には、球送出空間832kにおいて、遊技球が嵌り合う3つの凹部837bが120度ごとに等分されて形成されている。つまり、賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aは、賞球表箱831の後面を覆う賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bよりも前側に配置されている。また、賞球表箱831に形成される球送出空間831kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837aと、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kに配置されるスプロケット837の3つの凹部837bと、は相互に60度ずつズラして配置されている。
小型のモータである払出モータ839が払出制御基板4110により停止制御された状態においては、スプロケット837と前凹部との境界部分である稜線上で、前方に形成される球通路としての図51(a),(b)の一対の屈曲通路壁831aによって球通路を構成する屈曲通路831bを通る遊技球を受け止める状態とすることによってその遊技球の自重がスプロケット837に一の回転方向へ負荷されるとともに、スプロケット837の外周部と後凹部との境界部分である稜線上で、後方に形成される球通路としての図52(a),(b)の一対の屈曲通路壁832aによって球通路を構成する屈曲通路832bを通る遊技球を受け止める状態とすることによってその遊技球の自重がスプロケット837に一の回転方向と反対方向となる他の回転方向へ負荷されるようになっている。
具体的には、スプロケット837が定位置で停止した状態においては、賞球表箱831に形成される球送出空間831kにおいて、図53(a)に示すように、スプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上で賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を受け止める状態となるとともに、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおいて、図53(b)に示すように、スプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上で賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を受け止める状態となるように払出制御基板4110により制御されている。これにより、図53(a)に示した、スプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上で賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球を受け止める状態とするとともに、賞球裏箱832に形成される球送出空間832kにおいて、図53(b)に示した、スプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上で賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球を受け止める状態とすることにより、スプロケット837が定位置に維持されている状態では、賞球表箱831に形成される屈曲通路831bを通る遊技球の自重がスプロケット837の外周部と凹部837aとの境界部分である稜線上に対してスプロケット837を、払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向(図53(a)では、時計回り方向)へ負荷を付与することができる状態となるのに対して、賞球裏箱832に形成される屈曲通路832bを通る遊技球の自重がスプロケット837の外周部と凹部837bとの境界部分である稜線上に対してスプロケット837を、払出装置830を正面側から見て、反時計回りに回転させる方向(図53(b)では、時計回り方向)へ負荷を付与することができる状態となる。
このように、小型のモータである払出モータ839が払出制御基板4110により停止制御された状態においては、スプロケット837の外周部と前凹部としての凹部837aとの境界部分である稜線上で前方に形成される球通路としての図51(a),(b)の一対の屈曲通路壁831aによって球通路を構成する屈曲通路831bを通る遊技球を受け止める状態とすることによってその遊技球の自重がスプロケット837に一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)へ負荷されるとともに、スプロケット837の外周部と後凹部としての凹部837bの境界部分である稜線上で後方に形成される球通路としての図52(a),(b)の一対の屈曲通路壁832aによって球通路を構成する屈曲通路832bを通る遊技球を受け止める状態とすることによってその遊技球の自重がスプロケット837に一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)と反対方向となる他の回転方向(払出装置830を正面側から見て、反時計回りに回転させる方向)へ負荷されるようになっている。これにより、スプロケット837は、遊技球の自重によって、一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)へ負荷されるとともに、一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)と反対方向となる他の回転方向(払出装置830を正面側から見て、反時計回りに回転させる方向)へ負荷されることにより、互いの回転方向への回転がそれぞれ打ち消し合うことができるようになっているため、大型のモータが有する静止トルクと比べて極めて小さい静止トルクを有する小型のモータを払出モータ839として採用しても、払出制御基板4110により払出モータ839が停止制御された状態において、スプロケット837を停止した状態を維持することができる。したがって、払出モータ839として小型のモータを採用することができる。また、払出モータ839として、遊技盤5に備える可動体を作動させる小型のモータと同一種類のものを採用することによりパチンコ遊技機1のコストを抑えることに寄与することもできる。
なお、上述した実施形態では、図64に示した払出モータ駆動回路4110dに備える電圧切替回路4110aとドライブICPIC60とを払出制御MPU4110aが制御することにより小型のモータ(小型のステッピングモータ)である払出モータ839の駆動トルクや静止トルクを発生させる制御を行っていたが、このような回路及び制御は、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータに対しても適用することができる。
[7.周辺制御基板]
周辺制御基板4140は、図60に示すように、主制御基板4100からの各種コマンドに基づいて演出制御を行う一方、タッチパネル246の接触状態の検知制御を行う周辺制御部4150と、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244の描画制御を行うとともに、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音楽や効果音等の音制御を行う音源内蔵VDP4160aが搭載された液晶及び音制御部4160と、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを保持するリアルタイムクロック(以下、「RTC」と記載する。)制御部4165と、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音楽や効果音等の音量をつまみ部の回動操作により調節する音量調整ボリューム4140a(第1の音量操作手段)と、を備えている。なお、周辺制御部4150と液晶及び音制御部4160とは図示のように別体であっても良いし、一体であっても良い。この場合、周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aが行っていた処理は、液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aが代行したり、その逆とすることもできる。
[7−1.周辺制御部]
演出制御を行う周辺制御部4150は、図60に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU4150aと、電源投入時に実行される電源投入時処理を制御するとともに電源投入時から所定時間が経過した後に実行されるとともに演出動作を制御するサブ制御プログラムなどの各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ及び各種スケジュールデータを記憶する周辺制御ROM4150bと、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理をまたいで継承される各種情報(例えば、遊技盤側液晶表示装置1900に描画する画面を規定するスケジュールデータや各種LED等の発光態様を規定するスケジュールデータなどを管理するための情報など)を記憶する周辺制御RAM4150cと、日をまたいで継続される各種情報(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)を記憶する周辺制御SRAM4150dと、周辺制御MPU4150aが正常に動作しているか否かを監視するための周辺制御外部ウォッチドックタイマ4150e(以下、「周辺制御外部WDT4150e」と記載する。)と、を備えている。
周辺制御RAM4150cは、瞬停が発生して電力がすぐ復帰する程度の時間しか記憶された内容を保持することができず、電力が長時間遮断された状態(長時間の電断が発生した場合)ではその内容を失うのに対して、周辺制御SRAM4150dは、電源基板851に設けられた図示しない大容量の電解コンデンサ(以下、「SRAM用電解コンデンサ」と記載する。)によりバックアップ電源が供給されることにより、記憶された内容を50時間程度、保持する。電源基板851にSRAM用電解コンデンサが設けられることにより、遊技盤5をパチンコ遊技機1から取り外した場合には、周辺制御SRAM4150dにバックアップ電源が供給されなくなるため、周辺制御SRAM4150dは、記憶された内容を保持することができなくなってその内容を失う。
周辺制御外部WDT4150eは、周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御MPU4150aは、一定期間内(タイマがタイマップするまで)に周辺制御外部WDT4150eのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御外部WDT4150eに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御MPU4150aは、一定期間内にクリア信号を周辺制御外部WDT4150eに出力するときには、周辺制御外部WDT4150eのタイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
周辺制御MPU4150aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板4100からの各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートから図示しない周辺制御出力回路を介してランプ駆動基板4170に送信したり、遊技盤5に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データをモータ駆動基板用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路を介してモータ駆動基板4180に送信したり、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路、枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信したり、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データを枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路、枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信したりする。
主制御基板4100からの各種コマンドは、図示しない周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートに入力されている。また、操作ユニット400に設けられた、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)を検出するための回転検出スイッチからの検出信号、及び押圧操作部405の操作を検出するための押圧検出スイッチからの検出信号は、枠装飾駆動アンプ基板194に設けた図示しない扉側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された操作ユニット検出データが扉側シリアル送信回路から、周辺扉中継端子板882、枠周辺中継端子板868、そして周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU4150aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されている。
遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチ(例えば、フォトセンサなど。)からの検出信号は、モータ駆動基板4180に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された可動体検出データが遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU4150aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートに入力されている。周辺制御MPU4150aは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの入出力を切り替えることにより周辺制御基板4140とモータ駆動基板4180との基板間における各種データのやり取りを行うようになっている。
なお、周辺制御MPU4150aは、ウォッチドックタイマを内蔵(以下、「周辺制御内蔵WDT」と記載する。)しており、周辺制御内蔵WDTと周辺制御外部WDT4150eとを併用して自身のシステムが暴走しているか否かを診断している。
[7−1a.周辺制御MPU]
次に、マイクロコンピュータである周辺制御MPU4150aについて説明する。周辺制御MPU4150aは、図61に示すように、周辺制御CPUコア4150aaを中心として、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御DMA(Direct Memory Accessの略)コントローラ4150ac、周辺制御バスコントローラ4150ad、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御アナログ/デジタルコンバータ(以下、周辺制御A/Dコンバータと記載する)4150ak等から構成されている。
周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御DMAコントローラ4150acに対して、内部バス4150ahを介して、各種データを読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150akに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、各種データを読み書きする。
また、周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御ROM4150bに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして外部バス4150hを介して、各種データを読み込む一方、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150dに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして外部バス4150hを介して、各種データを読み書きする。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行う専用のコントローラであり、DMA0〜DMA3という4つのチャンネルを有している。
具体的には、周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御MPU4150aに内蔵される周辺制御内蔵RAM4150abの記憶装置と、周辺制御MPU4150aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御内蔵RAM4150abの記憶装置に対して、内部バス4150ahを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び周辺バス4150aiを介して、読み書きする。
また、周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御MPU4150aに外付けされる、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御MPU4150aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び外部バス4150hを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び周辺バス4150aiを介して、読み書きする。
周辺制御バスコントローラ4150adは、内部バス4150ah、周辺バス4150ai、及び外部バス4150hをコントロールして周辺制御MPUコア4150aaの中央処理装置と、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の各種装置間において、各種データのやり取りを行う専用のコントローラである。
周辺制御各種シリアルI/Oポート4150aeは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポート、モータ駆動基板用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、主制御基板用シリアルI/Oポート、及び操作ユニット情報取得用シリアルI/Oポートを有している。
周辺制御内蔵ウォッチドックタイマ(周辺制御内蔵WDT)4150afは、周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせた場合には、一定期間内(タイマがタイマップするまで)にそのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせて一定期間内にクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力するときには、タイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agは、遊技盤側モータ駆動ラッチ信号、扉側モータ駆動発光ラッチ信号等の各種ラッチ信号を出力する他に、周辺制御外部WDT4150eにクリア信号を出力したり、遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチからの検出信号をモータ駆動基板4180に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化して、このシリアル化された可動体検出データを遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御MPU4150aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートで受信するための可動体情報取得ラッチ信号を出力したり、扉枠5における上部装飾ユニット280の上部装飾基板に実装されたLEDの点灯信号を出力したりする。このLEDは、高輝度の白色LEDであり、大当り遊技状態の発生が確定している旨を伝えるための確定告知ランプとなっている。本実施形態では、LEDと周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agとが電気的に直接接続された構成を採用することにより、LEDと周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agとの経路を短くすることで遊技上重量な意味を持つLEDの点灯制御についてノイズ対策を講ずることができる。なお、LEDの点灯制御については、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理において実行されるようになっており、このLEDを除く他のLED等は、後述する周辺制御部定常処理において実行されるようになっている。
周辺制御A/Dコンバータ4150akは、音量調整ボリューム4140aと電気的に接続されており、音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されることにより抵抗値が可変し、つまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、アナログ値からデジタル値に変換して、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理している。基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから音楽や効果音が流れるようになっている。このように、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから音楽や効果音が流れるようになっている。
なお、本実施形態では、音楽や効果音の他に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音や、遊技演出に関する内容等を告知する(例えば、遊技盤側液晶表示装置1900に繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりする等。)ための告知音も本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れるが、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して調整する。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。これにより、例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。従って、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて遊技盤側液晶表示装置1900で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
[7−1b.周辺制御ROM]
周辺制御ROM4150bは、周辺制御部4150、液晶及び音制御部4160、RTC制御部4165等を制御する各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ、各種スケジュールデータ、及び予め定められた個体情報(以下「規定の個体情報」という)を予め記憶している(演出制御記憶部)。各種スケジュールデータには、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に描画する画面を生成する画面生成用スケジュールデータ、各種LEDの発光態様を生成する発光態様生成用スケジュールデータ、音楽や効果音等を生成する音生成用スケジュールデータ、及びモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動態様を生成する電気的駆動源スケジュールデータ等がある。画面生成用スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に描画する画面の順序が規定されている。発光態様生成用スケジュールデータは、各種LEDの発光態様を規定する発光データが時系列に配列されて構成されている。音生成用スケジュールデータは、音指令データが時系列に配列されて構成されており、音楽や効果音が流れる順番が規定されている。この音指令データには、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数の出力チャンネルのうち、どの出力チャンネルを使用するのかを指示するための出力チャンネル番号と、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックのうち、どのトラックに音楽及び効果音等の音データを組み込むのかを指示するためのトラック番号と、が規定されている。電気的駆動源スケジュールデータは、モータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データが時系列に配列されて構成されており、モータやソレノイド等の電気的駆動源の動作が規定されている。
なお、周辺制御ROM4150bに記憶されている各種制御プログラムは、周辺制御ROM4150bから直接読み出されて実行されるものもあれば、後述する周辺制御RAM4150cの各種制御プログラムコピーエリアに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されて実行されるものもある。また周辺制御ROM4150bに記憶されている、各種データ、各種制御データ及び各種スケジュールデータも、周辺制御ROM4150bから直接読み出されるものもあれば、後述する周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリアに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されるものもある。
また、周辺制御ROM4150bには、RTC制御部4165を制御する各種制御プログラムの1つとして、遊技盤側液晶表示装置1900の使用時間に応じて遊技盤側液晶表示装置1900の輝度を補正するための輝度補正プログラムが含まれている。この輝度補正プログラムは、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、遊技盤側液晶表示装置1900の経年変化にともなう輝度低下を補正するものであり、後述するRTC制御部4165に内蔵されているとともに停電時にも電力バックアップを受けている内蔵RAMから遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時、現在の日時、輝度設定情報等を取得して、この取得した輝度設定情報を補正情報に基づいて補正する。この補正情報は、周辺制御ROM4150bに予め記憶されている。輝度設定情報は、後述するように、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれているものであり、例えば、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。
[7−1c.周辺制御RAM]
周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cは、図61に示すように、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリア4150caと、このバックアップ管理対象ワークエリア4150caに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccと、周辺制御ROM4150bに記憶されている各種制御プログラムがコピーされたものを専用に記憶する各種制御プログラムコピーエリア4150cdと、周辺制御ROM4150bに記憶されている、各種データ、各種制御データ、及び各種スケジュールデータ等がコピーされたものを専用に記憶する各種制御データコピーエリア4150ceと、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっていないものを専用に記憶するバックアップ非管理対象ワークエリア4150cfと、が設けられている。
なお、パチンコ遊技機1の電源投入時(瞬停や停電による復電時も含む。)には、バックアップ非管理対象ワークエリア4150cfに対して値0が強制的に書き込まれてゼロクリアされる一方、バックアップ管理対象ワークエリア4150ca、バックアップ第1エリア4150cb、及びバックアップ第2エリア4150ccについては、パチンコ遊技機1の電源によって電力の供給が開始された際(電源投入時)に主制御基板4100(電源投入コマンド出力手段)によって出力される電源投入コマンド(図69を参照)がRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時から予め定めた期間内に図57に示した操作スイッチ952が操作された時における演出の開始を指示したりするものである)ときにはゼロクリアされる。
バックアップ管理対象ワークエリア4150caは、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理において更新される各種情報である演出情報(1fr)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1fr)と、後述する1msタイマ割り込みが発生するごとに実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理において更新される各種情報である演出情報(1ms)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1ms)と、から構成されている。ここで、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く0は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。そして、後述するバックアップ第1エリア4150cbからバックアップ第2エリア4150ccに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(1fr)」は、後述するように、音源内蔵VDP4160aが1画面分(1フレーム分)の描画データを遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に出力すると、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU4150aに出力するようになっているため、Vブランク信号が入力されるごとに、換言すると、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」にそれぞれ付記されている(演出情報(1fr)や後述する演出バックアップ情報(1fr)についても、同一の意味で用いる)。「(1ms)」は、後述するように、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(1ms)や後述する演出バックアップ情報(1ms)についても、同一の意味で用いる)。
Bank0(1fr)には、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cab、受信コマンド記憶領域4150cac、RTC情報取得記憶領域4150cad、及びスケジュールデータ記憶領域4150cae等が設けられている。ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaは、遊技盤5の各装飾基板に設けた複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATがセットされる記憶領域であり、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabは、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATがセットされる記憶領域であり、受信コマンド記憶領域4150cacは、主制御基板4100から送信される各種コマンドを受信してその受信した各種コマンドがセットされる記憶領域であり、RTC情報取得記憶領域4150cadは、RTC制御部4165(後述するRTC41654aのRTC内蔵RAM4165aa)から取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、スケジュールデータ記憶領域4150caeは、主制御基板4100(の主制御MPU4100a)から受信したコマンドに基づいて、この受信したコマンドと対応する各種スケジュールデータがセットされる記憶領域である。スケジュールデータ記憶領域4150caeには、周辺制御ROM4150bから各種制御データコピーエリア4150ceにコピーされた各種スケジュールデータが読み出されてセットされるものもあれば、周辺制御ROM4150bから各種スケジュールデータが直接読み出されてセットされるものもある。
Bank0(1ms)には、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cag、可動体情報取得記憶領域4150cah、操作ユニット情報取得記憶領域4150cai、及び履歴情報記憶領域4150caj等が設けられている。枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafは、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされる記憶領域であり、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagは、遊技盤5に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされる記憶領域である。また、可動体情報取得記憶領域4150cahは、遊技盤5に設けた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、操作ユニット情報取得記憶領域4150caiは、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいてダイヤル操作部401の回転(回転方向)及び押圧操作部405の操作等を取得した各種情報(例えば、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成するダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)がセットされる記憶領域である。一方、履歴情報記憶領域4150cajは、後述する表示履歴記憶領域の他にも、操作履歴記憶領域が形成されている。この操作履歴記憶領域には、タッチパネル246の操作面における規定の接触状態の一例として「規定の筆跡」に関する情報が予め記憶されている(演出制御記憶手段)。この規定の筆跡に関する情報としては、例えば、直線或いは曲線であって描画途中における筆圧の増減に伴う太さの変化及び描画速度の変化の少なくとも一方に関する情報を含んでいる。
なお、Bank0(1fr)のランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa及び枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabと、Bank0(1ms)の枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf及びモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagとは、第1領域及び第2領域という2つの領域にそれぞれ分割されている。
ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaは、後述する周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域に、遊技盤側発光データSL−DATがセットされ、次の周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるようになっており、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域、第2領域に遊技盤側発光データSL−DATが交互にセットされる。周辺制御部定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部定常処理においてランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部定常処理が実行された際に、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域にセットした遊技盤側発光データSL−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabは、周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域に、扉側発光データSTL−DATがセットされ、次の周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされるようになっており、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域、第2領域に扉側発光データSTL−DATが交互にセットされる。周辺制御部定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部定常処理において枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部定常処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域にセットした扉側発光データSTL−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafは、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域に、扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされ、次の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域、第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATが交互にセットされる。周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理において枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域にセットした扉側モータ駆動データSTM−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagは、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域に、遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされ、次の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域、第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATが交互にセットされる。周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理においてモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域にセットした遊技盤側モータ駆動データSM−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
次に、バックアップ管理対象ワークエリア4150caに記憶されている各種情報である演出情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccについて説明する。バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccは、2つのバンクを1ペアとする2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリア4150cbは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
また、バックアップ第2エリア4150ccは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように、本実施形態では、バックアップ第1エリア4150cbは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリア4150ccは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶されるようになっている。
また、本実施形態では、通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるようになっているが、これらの周辺制御DMAコントローラ4150acによる高速コピーを実行するプログラムは共通化されている。つまり本実施形態では、演出情報(1fr)、演出情報(1ms)を、共通の管理手法(共通のプログラムの実行)で情報を管理している。
[7−1d.周辺制御SRAM]
周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御SRAM4150dは、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリア4150daと、このバックアップ管理対象ワークエリア4150daに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcと、が設けられている。なお、周辺制御SRAM4150dに記憶された内容は、パチンコ遊技機1の電源投入時(瞬停や停電による復電時も含む。)に主制御基板4100からの電源投入コマンド(図69を参照)がRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時から予め定めた期間内に図57に示した操作スイッチ952が操作された時における演出の開始を指示したりするものである)ときにおいても、ゼロクリアされない。この点については、上述した周辺制御RAM4150cのバックアップ管理対象ワークエリア4150ca、バックアップ第1エリア4150cb、及びバックアップ第2エリア4150ccがゼロクリアされる点と、全く異なる。また、パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで、周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容(項目)ごとに(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴など。)クリアすることができる一方、周辺制御RAM4150cに記憶されている内容(項目)については、全く表示されず、設定モードにおいてクリアすることができないようになっている。この点についても、周辺制御RAM4150cと周辺制御SRAM4150dとで全く異なる。
バックアップ管理対象ワークエリア4150daは、日をまたいで継続される各種情報である演出情報(SRAM)(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(SRAM)から構成されている。ここで、Bank0(SRAM)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、上述したように、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く0は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。そして、後述するバックアップ第1エリア4150dbからバックアップ第2エリア4150dcに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(SRAM)」は、周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている各種情報がバックアップ対象となっていることから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(SRAM)や後述する演出バックアップ情報(SRAM)についても、同一の意味で用いる)。
次に、バックアップ管理対象ワークエリア4150daに記憶されている各種情報である演出情報(SRAM)がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcについて説明する。バックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcは、2つのバンクを1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容である演出情報(SRAM)は、演出バックアップ情報(SRAM)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリア4150dbは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
また、バックアップ第2エリア4150dcは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように、本実施形態では、バックアップ第1エリア4150dbは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリア4150dcは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶されるようになっている。
[7−2.液晶及び音制御部]
遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244の描画制御と本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音楽や効果音等の音制御とを行う液晶及び音制御部4160は、音楽や効果音等の音制御を行うための音源が内蔵(以下、「内蔵音源」と記載する。)されるとともに遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244の描画制御を行う音源内蔵VDP(Video Display Processorの略)4160aと、遊技盤側液晶表示装置1900の表示領域(第1の表示領域)及び上皿側液晶表示装置244の表示領域(第2の表示領域)に表示される表示内容としての各種キャラクタデータ(やスプライト番号が付されたスプライトデータ)を記憶したり音楽や効果音等の各種音データを記憶する液晶及び音ROM4160b(演出制御記憶手段)と、シリアル化された音楽や効果音等をオーディオデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するオーディオデータ送信IC4160cと、を備えている。
さらに、この液晶及び音ROM4160bには、後述する画面や画像の表示に用いるスプライトデータとして、例えばリング状表示物(環状の表示物)の表示に用いる環状画像データ、後述する操作メニュー背景画像の表示に用いる操作メニュー背景画像データ、後述する少なくとも1つの選択表示物の表示に用いる選択表示物画像データ、後述するボリュームスケールを含む音量調整画面の表示に用いる音調調整背景画像データ、後述する音量調整アイコンの表示に用いる音量設定アイコン画像データ等の他、遊技者から見て本体枠4の背面における各部位の位置が視認可能な本体枠背面画像740Cの表示に用いる本体枠背面画像データ、サービスモード画面の表示に用いるサービスモード画面画像データ、休憩タイマ設定画面の表示に用いる休憩タイマ設定画面画像データ、及び、休憩中画面の表示に用いる休憩中画面画像データが格納されている。なお、液晶及び音ROM4160bは、上皿液晶表示装置470の表示領域に表された表示ボタンを操作すべき旨を促すための後述する示唆表示物の表示に用いる示唆表示物画像データのみならず、タッチパネル246(接触型入力手段)の操作面を触れさせるよう促すために上皿液晶表示装置470に表示させる後述する接触催促表示物の表示に用いる接触催促表示物データが記憶されている(データ格納手段)。
さらに、この液晶及び音ROM4160bには、遊技盤側液晶表示装置1900の表示領域(第1の表示領域)及び上皿側液晶表示装置244の表示領域(第2の表示領域)に表示サイズを変更させて共通画像を各々表示させるのに用いられるサイズ変換画像データが予め記憶されている(演出制御記憶手段)。
周辺制御部4150では、周辺制御MPU4150aが、主制御基板4100からのコマンドと対応する画面生成用スケジュールデータを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットする。この周辺制御MPU4150aは、このスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータの先頭の画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力した後に、後述するVブランク信号が入力されたことを契機として、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータに従って先頭の画面データに続く次の画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。このように、周辺制御MPU4150aは、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータに従って、この画面生成用スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、Vブランク信号が入力されるごとに、先頭の画面データから1つずつ音源内蔵VDP4160aに出力する。
また、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からのコマンドと対応する音生成用スケジュールデータの先頭の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットし、このスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータの先頭の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力した後に、Vブランク信号が入力されたことを契機として、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータに従って先頭の音指令データに続く次の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。このように、周辺制御MPU4150aは、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータに従って、この音生成用スケジュールデータに時系列に配列された音指令データを、Vブランク信号が入力されるごとに、先頭の音指令データから1つずつ音源内蔵VDP4160aに出力する。
[7−2a.音源内蔵VDP]
音源内蔵VDP4160a(描画制御手段)は、上述した内蔵音源の他にも、データを一時的に記憶可能な内蔵RAMを備えている。このような内蔵RAMの一部として、音源内蔵VDP4160aは、スプライトデータなどの素材画像データを一時的に記憶可能であって繰り返し多数の素材画像データが上書きされる素材画像RAMを備えている。
さらに音源内蔵VDP4160aは、そのような内蔵RAMの一部として、周辺制御MPU4150aから画面生成用スケジュールデータに含まれる画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて、図62に示すように、液晶及び音ROM4160bから遊技盤側キャラクタデータ及び上皿側キャラクタデータをそれぞれ抽出して遊技盤側スプライトデータ及び上皿側スプライトデータ(以下、単に「スプライトデータ」という)を作成して遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に表示するために各々生成された1画面分(1フレーム分)の描画データを記憶するともに、さらに映像加工用に1画面分(1フレーム分)の描画データを記憶するためのVRAMも内蔵している(以下、「内蔵VRAM」と記載する。)。音源内蔵VDP4160aは、内蔵VRAM(のフレームバファ)上に生成した描画データのうち、遊技盤側液晶表示装置1900に対する画像データをチャンネルCH1から遊技盤側液晶表示装置1900に出力するとともに、上皿側液晶表示装置244に対する画像データをチャンネルCH2から上皿側液晶表示装置244に出力することで、遊技盤側液晶表示装置1900と上皿側液晶表示装置244との同期化を図っている。このように、周辺制御MPU4150aが遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に表示する1画面分(1フレーム分)の画面データを音源内蔵VDP4160aに出力すると、音源内蔵VDP4160aは、この入力された画面データに基づいて液晶及び音ROM4160bからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成し、この生成した描画データうち、遊技盤側液晶表示装置1900に対する画像データをチャンネルCH1から遊技盤側液晶表示装置1900に出力するとともに、上皿側液晶表示装置244に対する画像データをチャンネルCH2から上皿側液晶表示装置244に出力する。つまり、「1画面分(1フレーム分)の画面データ」とは、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成するためのデータのことである。なお、以下の説明では、液晶及び音ROM4160bからキャラクタデータを抽出して(読み出して)スプライトデータを作成することを、略して「液晶及び音ROM4160bからスプライトデータを読み出す」とも表現する。
また、音源内蔵VDP4160aは、1画面分(1フレーム分)の描画データを、チャンネルCH1から遊技盤側液晶表示装置1900に出力するとともに、上皿側液晶表示装置244に対する画像データをチャンネルCH2から上皿側液晶表示装置244に出力すると、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU4150aに出力する。本実施形態では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が出力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号が入力されたことを契機として、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理を実行するようになっている。ここで、Vブランク信号が出力される間隔は、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244の液晶サイズによって多少変化する。また、周辺制御MPU4150aと音源内蔵VDP4160aとが実装された周辺制御基板4140の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合がある。
なお、音源内蔵VDP4160aは、フレームバッファ方式が採用されている。この「フレームバッファ方式」とは、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244の画面に描画する1画面分(1フレーム分)の描画データをフレームバッファ(内蔵VRAM)に保持し、このフレームバッファに保持した1画面分(1フレーム分)の描画データを、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に出力する方式である。本実施形態では、いわゆるダブルバッファ方式を採用している。
また、音源内蔵VDP4160aは、主制御基板4100からのコマンドに基づいて周辺制御MPU4150aから上述した音指令データが入力されると、図62に示すように、液晶及び音ROM4160bに記憶されている音楽や効果音等の音データを抽出して内蔵音源を制御することにより、音指令データに規定された、トラック番号に従って音楽及び効果音等の音データをトラックに組み込むとともに、出力チャンネル番号に従って使用する出力チャンネルを設定して本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音楽や効果音等をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。
なお、音指令データには、音データを組み込むトラックの音量を調節するためのサブボリューム値も含まれており、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックには、音楽や効果音等の演出音の音データとその音量を調節するサブボリューム値の他に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音の音データとその音量を調節するサブボリューム値が組み込まれる。具体的には、演出音に対しては、上述した、音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームがサブボリューム値として設定され、報知音に対しては、音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されず最大音量がサブボリューム値として設定されるようになっている。演出音のサブボリューム値は、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで後述する設定モードへ移行して調節する。
また、音指定データには、出力するチャンネルの音量を調節するためのマスターボリューム値も含まれており、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数の出力チャンネルには、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックうち、使用するトラックに組み込まれた演出音の音データと、使用するトラックに組み込まれた演出音の音量を調節するサブボリューム値と、を合成して、この合成した演出音の音量を、実際に、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力するようになっている。
本実施形態では、マスターボリューム値は一定値に設定されており、合成した演出音の音量が最大音量であるときに、マスターボリューム値まで増幅されることにより、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音量が許容最大音量となるように設定されている。具体的には、演出音に対しては、複数のトラックのうち、使用するトラックに組み込まれた演出音の音データと、使用するトラックに組み込まれた演出音の音量を調節するサブボリューム値として設定された音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームと、を合成して、この合成した演出音の音量を、実際に、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力し、報知音に対しては、使用するトラックに組み込まれた報知音の音データと、使用するトラックに組み込まれた報知音の音量を調節するサブボリューム値として設定された音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されず最大音量と、を合成して、この合成した報知音の音量を、実際に、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した報知音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。
ここで、演出音が本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れている場合に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するため報知音を流す制御について簡単に説明すると、まず演出音が組み込まれているトラックのサブボリューム値を強制的に消音に設定し、この演出音が組み込まれたトラックの音データと、その消音に設定したサブボリューム値と、報知音が組み込まれたトラックの音データと、報知音の音量が最大音量に設定されたサブボリューム値と、を合成し、この合成した演出音の音量と報知音の音量とを、実際に、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音及び報知音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。
つまり、実際に、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音は、最大音量の報知音だけが流れることとなる。このとき、演出音は消音となっているため、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れないものの、演出音は、上述した音生成用スケジュールデータに従って進行している。本実施形態では、報知音は所定期間(例えば、90秒)だけ本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れるようになっており、この所定期間経過すると、これまで消音に強制的に設定された音生成用スケジュールデータに従って進行している演出音の音量が、音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームがサブボリューム値として再び設定され(このとき、表示ボタンを操作することで設定モードへ移行して調節されている場合には、その調節された演出音のサブボリューム値に設定され)、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れるようになっている。
このように、演出音が本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れている場合に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するため報知音が流れるときには、演出音の音量が消音になって報知音が本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れるものの、この消音となった演出音は、音生成用スケジュールデータに従って進行しているため、報知音が所定期間経過して本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れなくなると、演出音は、報知音が流れ始めたところから再び流れ始めるのではなく、報知音が流れ始めて所定期間経過した時点まで音生成用スケジュールデータに従って進行したところから再び流れ始めるようになっている。
[7−2b.液晶及び音ROM]
液晶及び音ROM4160bは、図62に示すように、遊技盤側液晶表示装置1900の表示領域に描画するための遊技盤側キャラクタデータと、上皿側液晶表示装置244の表示領域に描画するための上皿側キャラクタデータと、が予め記憶されるとともに、音楽、効果音、報知音、及び告知音等の各種の音データも予め記憶されている。
[7−2c.オーディオデータ送信IC]
オーディオデータ送信IC4160cは、音源内蔵VDP4160aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するとともに、左側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信する。これにより、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから各種演出に合わせた音楽や効果音等がステレオ再生されるようになっている。
なお、オーディオデータ送信IC4160cは、周辺制御基板4140から枠装飾駆動アンプ基板194に亘る基板間を、左右それぞれ差分方式のシリアルデータとしてオーディオデータを出力することにより、例えば、左側オーディオデータのプラス信号、マイナス信号にノイズの影響を受けても、プラス信号に乗ったノイズ成分と、マイナス信号に乗ったノイズ成分と、を枠装飾駆動アンプ基板194で合成して1つの左側オーディオデータにする際に、互いにキャンセルし合ってノイズ成分が除去されるようになっているため、ノイズ対策を講じることができる。
[7−3.RTC制御部]
年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを保持するRTC制御部4165は、図60に示すように、RTC4165aを中心として構成されている。このRTC4165aには、カレンダー情報と時刻情報とが保持されるRAM4165aa(計時記憶部)が内蔵(以下、「RTC内蔵RAM4165aa」と記載する。)されている。RTC4165aは、駆動用電源及びRTC内蔵RAM4165aaのバックアップ用電源(第2の電源)として電池4165b(本実施形態では、ボタン電池を採用している。)から電力が供給されるようになっている。つまりRTC4165aは、周辺制御基板4140(パチンコ遊技機1)からの電力が全く供給されずに、周辺制御基板4140(パチンコ遊技機1)と独立して電池4165bから電力が供給されている。これにより、RTC4165aは、パチンコ遊技機1の電力が遮断されても、電池4165bからの電力供給により、カレンダー情報や時刻情報を更新保持する。なお、電池4165bは、電力(第1の電力)を供給する主電源(第1の電源)とは別に、後述する停電予告信号の受け取りを契機として電力(第2の電力)を供給する一方、主電源による電力の供給が開始されたことを契機として電力(第2の電力)の供給を停止する形態であっても良く、このような電源形態である場合、RTC4165aは、主電源又は電池4165bから電力が供給される。
周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、RTC4165aのRTC内蔵RAM4165aaからカレンダー情報や時刻情報を取得して上述した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにセットし、この取得したカレンダー情報や時刻情報に基づく演出を遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244で繰り広げることができるようになっている。このような演出としては、例えば、12月25日であればクリスマスツリーやトナカイが登場する画面が遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244で繰り広げられたり、大晦日であれば新年を迎えるためのカウントダウンを実行する画面が遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244で繰り広げられたりする等を挙げることができる。カレンダー情報や時刻情報は、工場出荷時に設定される。なお、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaには、詳細は後述するが、周辺制御基板4140が停電監視回路4100eから停電予告として出力された停電検出信号を受け取った時点(第1の時点)から周辺制御基板4140が主制御基板4100から出力された電源投入コマンドを受け取った時点(第2の時点)までの時間、即ち、停電時間に関する情報が記憶される。
その一方、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報や時刻情報の他に、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合にはLEDの輝度設定情報が記憶保持されている。周辺制御MPU4150aは、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、RTC内蔵RAM4165aaから輝度設定情報を取得してバックライトの輝度調整をPWM制御により行う。輝度設定情報は、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれている。
また、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報、時刻情報や輝度設定情報の他に、カレンダー情報、時刻情報、及び輝度設定情報をRTC内蔵RAM4165aaに最初に記憶した年月日及び時分秒の情報として入力日時情報も記憶されている。
周辺制御MPU4150aは、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244のバックライトが冷陰極管タイプのものが装着されている場合には、バックライトのON/OFFの切り替え制御もしくはONのみとするようになっている。
RTC内蔵RAM4165aaに記憶される、カレンダー情報、時刻情報、輝度設定情報、及び入力日時情報等の各種情報は、遊技機メーカの製造ラインにおいて設定される。製造ラインにおいては、例えば遊技盤側液晶表示装置1900の表示テスト等の各種テストを行うため、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時として入力日時情報が製造ラインで入力された年月日及び時分秒である製造日時に設定される。
このように、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報や時刻情報の他に、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合における輝度設定情報、及び入力日時情報等、パチンコ遊技機1の機種情報(例えば、低確率や高確率における大当り遊技状態が発生する確率など)とは独立して維持が必要な情報を記憶保持する。
また、RTC内蔵RAM4165aaに記憶保持される輝度設定情報等は、パチンコ遊技機1が設置されるホールの環境によっては製造日時に設定された遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度では明るすぎたり、暗すぎたりする場合もある。そこで、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行してバックライトの輝度を所定の輝度に調節する。パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示される他に、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することでカレンダー情報、時刻情報を再設定したり、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を所望の輝度に調節したりすることができる。この調節された遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの所望の輝度は、輝度設定情報に記憶されるLEDの輝度としてそれぞれ上書き(更新記憶)されるようになっている。
なお、設定モードでは、周辺制御MPU4150aは、上述した輝度補正プログラムを実行することにより、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、遊技盤側液晶表示装置1900の経年変化にともなう輝度低下を補正する。周辺制御MPU4150aは、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから、入力日時情報を取得して遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時を特定し、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定し、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度とを有する輝度設定情報を取得する。この取得した輝度設定情報を周辺制御ROM4150bに予め記憶されている補正情報に基づいて補正する。
例えば、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。
なお、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから、直接、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定してもいいし、後述する周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1002の現在時刻情報取得処理において周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにおける、カレンダー情報記憶部にセットされて周辺制御基板4140のシステムにより更新される現在のカレンダー情報と、時刻情報記憶部にセットされて周辺制御基板4140のシステムにより更新される現在の時刻情報と、を取得して現在の日時を特定してもいい。
[7−4.音量調整ボリューム]
音量調整ボリューム4140aは、上述したように、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音楽や効果音等の音量を、つまみ部を回動操作することにより調節する。音量調整ボリューム4140aは、上述したように、そのつまみ部が回動操作されることにより抵抗値が可変するようになっており、電気的に接続された周辺制御A/Dコンバータ4150akがつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、アナログ値からデジタル値に変換して、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、上述したように、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理している。基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160(音源内蔵VDP4160a)を制御して本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから音楽や効果音が流れるようになっている。
このように、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ(音出力部)及び扉枠5に設けたスピーカ(音出力部)から音楽や効果音が流れるようになっている。また、本実施形態では、上述したように、音楽や効果音の他に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音や、遊技演出に関する内容等を告知する(例えば、遊技盤側液晶表示装置1900に繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いことを告知したり等。)ための告知音も本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れるが、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160(音源内蔵VDP4160a)を制御して調整する。
このプログラム(後述する演出制御プログラムに相当)により調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、後述する図79〜図84に示すように消音から最大音量までを滑らかに変化させて設定できるようになっている。これにより、例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ(音出力部)及び扉枠5に設けたスピーカ(音出力部)から流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときにはつまみ部の回動操作に関係なく大音量(本実施形態では、例えばソフト的に設定された最大音量)に設定した報知音を流すことができる。従って、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。
また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
なお、本実施形態では、音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作することにより音楽や効果音の音量を調節するようになっていることに加えて、例えば、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行して音楽や効果音の音量を調節する。パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示される他に、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで音楽や効果音の音量を所望の音量に調節することができる。具体的には、音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、周辺制御A/Dコンバータ4150akがアナログ値からデジタル値に変換して、この変換した値に対して、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作に応じて所定値を加算又は減算することによって、基板ボリュームの値を増やしたり、又は減らしたりする。この調節された音量は、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックのうち、音楽や効果音等の演出音の音データが組み込まれたトラックに対して、サブボリューム値として設定更新されて演出音の音量の調節に反映されるものの、上述した報知音や告知音の音量に調節に反映されないようになっている。
このように、本実施形態では、音量調整ボリューム4140aのつまみ部を直接回動操作することにより音楽や効果音の音量を調節する場合と、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作に応じて所定値を加算又は減算することによって、基板ボリュームの値を増やしたり、又は減らしたりすることにより音楽や効果音の音量を調節する場合と、の2つの方法がある。音量調整ボリューム4140aは、周辺制御基板4140に実装されているため、本体枠4を外枠2から必ず開放した状態にする必要がある。そうすると、音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作することができるのは、ホールの店員となる。ところが、ホールの店員が調節した音量では、遊技者にとって小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合もあるし、遊技者にとって大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合もある。そこで、パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作したり、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作したりした場合には、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示され、この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで音楽や効果音の音量を所望の音量に調節する。これにより、遊技者は所望の音量に音楽や効果音の音量を調節することができるため、ホールの店員が調節した音量を小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合には、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで大きくすることができるし、ホールの店員が調節した音量を大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合には、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで小さくすることができる。
また、本実施形態では、パチンコ遊技機1において遊技が行われていない状態が所定時間継続され、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが繰り返し行われると(例えば、10回)、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量がキャンセルされて、音量が初期化されるようになっている。この音量の初期化では、ホールの店員が調節した音量、つまりホールの店員が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を直接回動操作して調節した音量となるようになっている。これにより、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量を小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合には、今回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行う遊技者が操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで大きくすることができるし、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量を大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合には、今回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行う遊技者が操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで小さくすることができる。
[7−5.タッチパネルモジュール及びその周辺部]
図65は、タッチパネルモジュール246aとその周辺部との信号のやり取りの一例を示している。
周辺制御基板4140には、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿液晶表示装置470の他にも、後述するタッチパネル246が接続されている。周辺制御基板4140は、タッチパネル246の操作面の接触状態に応じた検知信号が入力され、検知信号を受け取ると、当該検知信号に基づく接触情報に応じてタッチパネル246の操作面の接触状態を把握することができる。
タッチパネルモジュール246a(制御手段)は、主制御基板4100に接続されている周辺制御基板4140に接続されており、タッチパネル246(接触型入力手段)を制御する。このタッチパネルモジュール246aは、タッチセンサ482を備えているとともに、次のようなコントロールレジスタ481aを有するタッチパネルコントローラ481を備えている。つまり、このコントロールレジスタ481aは、タッチパネル246の接触面が非接触状態にある場合における静電容量の閾値として接触判定用閾値を記憶可能となっている(判定閾値記憶手段)。
このタッチセンサ482は、接触面のいずれかの位置における静電容量の変化を検知したことを契機として、当該変化前後の静電容量をそれぞれ計測する一方、当該位置の座標を表すとともに当該静電容量を表す信号として検知信号を出力する(接触検知手段)。タッチパネルコントローラ481は、この検知信号を受け取ると、当該位置或いはその範囲を表す座標値(以下「検知座標値」という)を取得する一方、この検知信号が示す静電容量(以下、「検知静電容量」という)が、コントロールレジスタ481aに記憶済の接触判定用閾値以上となっているか否かについて判定を実施する。このような比較の結果、タッチパネルコントローラ481は、この検知静電容量が接触判定用閾値未満であると判定した場合には接触面が非接触状態にあると判断する一方、この検知静電容量が接触判定用閾値以上であると判定した場合には接触面が接触状態にあると判断する(接触状態判定手段)。
タッチパネルコントローラ481は、接触面が接触状態にあると判断した場合、接触面における検知座標値を含めた接触検知情報を周辺制御基板4140に対して出力する。周辺制御基板4140では、この接触検知情報を受け取ると、周辺制御MPU4150aが、当該受け取った接触検知情報に含まれる検知座標値に基づいて、上述した接触面における接触位置を把握することができる。
ところで、パチンコ遊技機に搭載されうる検知デバイスとしては、一般的に電源投入時に初期処理として感度の調整が実施され、その後当該感度で作動するものが多い(例えば特開2005−192783号公報、以下「第1の参考文献」という)。このように初期処理において接触感度の調整が実施されたとしても、その後の遊技環境次第では、一見すると、徐々に感度が適切でなくなってしまうことも考えられる。ここで、例えば、静電容量タイプのタッチパネルでは、低硬膜タイプのタッチパネルに比べ、耐久性において優れるものの、静電容量の変化のピーク点をタッチポイントとして認識するため、製造工程における感度のバラツキや、環境の変化を受けて変化する接触感度を均一かつ一定に調整する必要がある。
そこで本実施形態では、タッチパネルモジュール246aが、その外部(例えば周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150a)から出力される閾値設定コマンド(感度調整コマンド)を受信すると、タッチパネル246の接触面における接触感度を調整する。つまり、タッチパネルモジュール246aでは、タッチパネルコントローラ481が、周辺制御MPU4150aから閾値設定コマンドを受け取ると、この閾値設定コマンドに基づいて、コントロールレジスタ481aに記憶されている接触判定用閾値を更新することにより、タッチパネル246による接触感度を調整する。具体的には、タッチパネルコントローラ481は、この閾値設定コマンドを受け取ったことを契機として、タッチパネルセンサ482が出力する検知信号に基づく静電容量を取得し、この静電容量を、タッチパネル246の接触面が非接触状態にある場合における新たな接触判定用閾値であるとみなすとともに、コントロールレジスタ481aに記憶済の接触判定用閾値を、当該新たな接触判定用閾値で更新する。
すると、それ以降、タッチパネルコントローラ481は、コントロールレジスタ481aにおいて更新された新たな接触判定用閾値と、上述したように接触状態が検知される度に取得される検知静電容量とを比較し、この検知静電容量が接触判定用閾値未満であると判定した場合には接触面が非接触状態にあると判断する一方、この検知静電容量が接触判定用閾値以上であると判定した場合には接触面が接触状態にあると判断する。
上記同様、タッチパネルコントローラ481は、接触面が接触状態にあると判断した場合、接触面における検知座標値が含められた接触検知情報を周辺制御基板4140に対して出力する。この周辺制御基板4140では、この接触検知情報を受け取ると、周辺制御MPU4150aが、当該受け取った接触検知情報に含まれる検知座標値に基づいて、上述した接触面における接触位置を把握することができる。
以上のようにすると、タッチパネルコントローラ481が、その外部から閾値設定コマンド(感度調整指令)を受け取ったことを契機とした所望のタイミングで、タッチパネル246の接触感度を定める接触判定用閾値が更新されるため、閾値設定コマンドの出力タイミングが適切に制御されれば、所望のタイミングでタッチパネル246(接触型入力手段)の接触感度が調整されるようになる(キャリブレーション)。このため、遊技者による遊技に影響を与えるおそれのある出力タイミングを外して閾値設定コマンドが到着するようにすれば、遊技に影響を与えることなく、常に、タッチパネル246における接触状態の検知を適切な作動態様とすることができる。
タッチパネルコントローラ481が閾値設定コマンドを受け取るべきタイミングとしては、例えば、特別図柄の変動表示が終了してから所定の時間(例えば1分間)が経過しており、遊技者が遊技を中止しているためタッチパネル246の操作面に接触している可能性が低いタイミングを例示することができる。即ち、このような接触感度の調整は、タッチパネル246を用いた演出を実行するかもしれない特別図柄の変動表示中には極力実行を控え、その変動表示が終了したことに伴って行うようにしている。
一方、既述のようにタッチパネル246は、静電容量型であるとともに、多数の遊技球を貯留可能であって静電気が発生しやすい上皿301に設けられているものの、電源投入後も必要に応じて所定のタイミングで感度調整が実施されるため、このような周辺環境の変化を原因とするものであり遊技者の操作によるものでない場合でも、静電容量に変化が生じたものと誤検知しにくくなる。
[8.主制御基板の送受信に関する各種コマンド]
次に、主制御基板4100から払出制御基板4110へ送信される各種コマンドと、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて、図68〜図71を参照して説明する。図68は主制御基板から払出制御基板へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図69は主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図70は図69の主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドのつづきを示すテーブルであり、図71は主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンドの一例を示すテーブルである。まず、主制御基板から払出制御基板へ送信される払い出しに関するコマンドである賞球コマンドについて説明し、続いて主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドについて説明し、主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンドについて説明する。
[8−1.主制御基板から払出制御基板へ送信される各種コマンド]
主制御基板4100の主制御MPU4100aは、図57に示した、一般入賞口スイッチ3020、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、及びカウントスイッチ2110等の各種入賞スイッチからの検出信号が入力されると、これらの検出信号に基づいて、予め定めた球数の遊技球を賞球として払い出すための賞球コマンドを払出制御基板へ送信する。この賞球コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドである。本実施形態では、パチンコ遊技機1とCRユニット6(パチンコ遊技機1と通信して、パチンコ遊技機1(賞球装置740)の払出モータ839を駆動して貯留皿である、上皿301や下皿302に貸球として遊技球を払い出す装置)とが電気的に接続されている場合には(このようなパチンコ遊技機を「CR機」という。)、図68(a)に示すように、主制御基板4100から払出制御基板4110に送信する賞球コマンドには、コマンド10H〜コマンド1EH(「H」は16進数を表す。)が用意されており、コマンド10Hでは賞球1個が指定され、コマンド11Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド1EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板4110は、払出モータ839を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
また、パチンコ遊技機1と球貸し機(遊技球を貯留皿である、上皿301や下皿302に貸球として直接払い出す装置)とが遊技場(ホール)に隣接して設置され、パチンコ遊技機1と球貸し機が電気的に接続されている場合には(このようなパチンコ遊技機を「一般機」という。)、図68(b)に示すように、主制御基板4100から払出制御基板4110に送信する賞球コマンドには、コマンド20H〜コマンド2EHが用意されており、コマンド20Hでは賞球1個が指定され、コマンド21Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド2EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板4110は、払出モータ839を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
なお、CR機及び一般機の共通のコマンドとして、図68(c)に示すように、コマンド30Hが用意されており、このコマンド30Hではセルフチェックが指定されている。送信側は、コマンド送信後、所定期間、受信側からコマンドの受け取り確認として出力するACK信号が入力されない場合に、コマンド30Hを送信して、ACK信号が入力されるか否かをチェックすることで接続状態を確認する。本実施形態におけるCR機の場合では、払出制御基板4110がCRユニット6との接続状態を確認する。
[8−2.主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンド]
次に、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて説明する。主制御基板4100の主制御MPU4100aは、遊技の進行に基づいて周辺制御基板4140に各種コマンドを送信する。各種コマンドは、図69及び図70に示すように、特図1同調演出関連、特図2同調演出関連、大当り関連、電源投入、普図同調演出関連、普通電役演出関連、報知表示、状態表示、テスト関連、及びその他に区分されている。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、図69及び図70に示すように、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するとともにコマンドの種類を示すステータス(STTS値)と、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するとともに演出のバリエーションを示すモード(MODE値)と、から構成されている。
これらステータス(STTS値)及びモード(MODE値)には、主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域に確保された複数の送信情報記憶領域(以下「RWM」ともいう)の値が使用される。つまり、各コマンド8ビットのうち、例えば上位3ビットは第一送信情報記憶領域(RWM1)の値を用いる一方、下位5ビットは第二送信情報記憶領域(RWM2)の値を用いるようにする。このようにすると、周辺制御基板4140では、周辺制御MPU4150aが、主制御基板4100から送信されるコマンドを受信すると、このコマンドをビット単位で分解してステータスやモードを把握できるようになる。
[8−2−1.特図1同調演出関連]
特図1同調演出関連は、図57に示した第一始動口スイッチ3022からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図69に示すように、図57に示した機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1185に関する、特図1同調演出開始、特別図柄1指定、特図1同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「A*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
特図1同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するためのコマンドであり、特別図柄1指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するためのコマンドである。特図1同調演出終了コマンドは、特図1同調演出終了を指示するためのコマンドであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態の少なくとも一方への移行を指示するためのコマンドである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとしては、特図1同調演出開始コマンドは、特別図柄1変動開始時に送信され、特別図柄1指定コマンドは、特図1同調演出開始の直後に送信され、特図1同調演出終了コマンドは、特別図柄1変動時間経過時(特別図柄1確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、特図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する主制御側タイマ割り込み処理における周辺制御基板コマンド送信処理(ステップS92)で送信される(コマンド送信手段)。
[8−2−2.特図2同調演出関連]
特図2同調演出関連は、図57に示した第二始動口スイッチ2109からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図69に示すように、図57に示した機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1186に関する、特図2同調演出開始、特別図柄2指定、及び特図2同調演出終了という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「B*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
特図2同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するものであり、特別図柄2指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、特図2同調演出終了は、特図2同調演出終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図2同調演出開始コマンドは、特別図柄2変動開始時に送信され、特別図柄2指定コマンドは、特図2同調演出開始の直後に送信され、特図2同調演出終了コマンドは、特別図柄2変動時間経過時(特別図柄2確定時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−3.大当り関連]
大当り関連という区分には、図69に示すように、大当りオープニング、大入賞口1開放N回目表示、大入賞口1閉鎖表示、大入賞口1カウント表示、大当りエンディング、大当り図柄表示、小当りオープニング、小当り開放表示、小当りカウント表示、及び小当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「C*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始を指示するものであり、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放中開始(、アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放中又は開放開始)を指示するものであり、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、ラウンド間の大入賞口1閉鎖中開始(アタッカユニット2100の大入賞口2103のラウンド間の閉鎖中又は閉鎖開始)を指示するものであり、大入賞口1カウント表示コマンドは、カウント0〜10個をカウントした旨(図57に示したカウントスイッチ2110によって検出された、大入賞口2103に入球した遊技球の球数)を伝えるものであり、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始を指示するものであり、大当り図柄表示コマンドは、大当り図柄情報表示を指示するものである。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始を指示するものであり、小当り開放表示コマンドは、小当り開放中開始(小当り時における、アタッカユニット2110の大入賞口2103の開放中又は開放開始)を指示するものであり、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞演出(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された場合における演出)を指示するものであり、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始時に送信され、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放時)に送信され、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、大入賞口1閉鎖時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の閉鎖開始時)に送信され、大入賞口1カウント表示コマンドは、大入賞口1開放時及び大入賞口1へのカウント変化時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時、及び大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された時)に送信され、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始時に送信され、大当り図柄表示コマンドは、大入賞口開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信される。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始時に送信され、小当り開放表示コマンドは、小当り開放時(小当り時における、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信され、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞時(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された時)に送信され、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−4.電源投入]
電源投入という区分には、図69に示すように、電源投入という名称の各種コマンドから構成されている。この電源投入コマンドには、ステータスとして「D*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
電源投入コマンドは、RAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時に払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作された時における演出の開始を指示したりするものである)。
電源投入コマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で電源投入コマンドが送信される。
[8−2−5.普図同調演出関連]
普図同調演出関連は、図57に示したゲートスイッチ2301からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図69に示すように、図57に示した機能表示基板1191の普通図柄表示器1189に関する、普図同調演出開始、普図柄指定、普図同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「E*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
普図同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで普図同調演出開始を指示するものであり、普図柄指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、普図同調演出終了コマンドは、普図同調演出終了を指示するものであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図同調演出開始コマンドは、普通図柄1変動開始時に送信され、普図柄指定コマンドは、普図同調演出開始の直後に送信され、普図同調演出終了コマンドは、普通図柄変動時間経過時(普通図柄確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、普図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−6.普通電役演出関連]
普通電役演出関連は、始動口ソレノイド2105の駆動により開閉される一対の可動片2105に関するものであり、その区分には、図69に示すように、普図当りオープニング、普電開放表示、及び普図当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「F*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始を指示するものであり、普電開放表示コマンドは、普電開放中開始(一対の可動片2105が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開した状態、又は拡開する時)を指示するものであり、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始時に送信され、普電開放表示コマンドは、普電開放時(一対の可動片2105が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開する時)に送信され、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−7.報知表示]
報知表示の区分には、図70に示すように、入賞異常表示、接続異常表示、断線・短絡異常表示、磁気検出スイッチ異常表示、扉開放、及び扉閉鎖という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「6*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞2103口に入球した時(大当り中でもないのに、アタッカユニット2100の大入賞口2103に遊技球が入球してその遊技球をカウントスイッチ2110が検出した時)に、入賞異常報知の開始を指示するものである。接続異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間に亘る経路において電気的な接続異常がある場合に接続異常報知の開始を指示するものであり、断線・短絡異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、カウントスイッチ2110等のいずれかとの電気的な接続の断線・短絡が生じた場合に断線・短絡異常表示の開始を指示するものであり、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、磁気検出スイッチ3024に異常が生じた場合に磁気検出スイッチ異常報知の開始を指示するものである。
また、扉枠開放コマンドは、払出制御基板4110を介して入力される扉枠開放スイッチ618からの検出信号(開放信号)に基づいて、扉枠5が本体枠4に対して開放された状態である場合に、扉開放報知を指示するものであり、扉枠閉鎖コマンドは、その扉枠開放スイッチ618からの検出信号に基づいて、扉枠5が本体枠4に対して閉鎖された状態である場合に扉開放報知終了を指示するものである。一方、本体枠開放コマンドは、払出制御基板4110を介して入力される本体枠開放スイッチ619からの検出信号(開放信号)に基づいて、本体枠4が外枠2に対して開放された状態である場合に、本体枠開放報知を指示するものであり、本体枠閉鎖コマンドは、その本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠4が外枠2に対して閉鎖された状態である場合に本体枠開放報知終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時に送信され、接続異常表示コマンドは、主制御基板4100から払出制御基板4110へのコマンド送信時に払出制御基板4110からのACK返信(ACK信号)がなかった時に送信され、断線・短絡異常表示コマンドは、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、カウントスイッチ2110等のうち、いずれが断線または短絡状態となった時に送信され、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、磁気検出スイッチ3024の異常を検知した時に送信される。また、扉枠開放コマンドは、扉開放を検知した時(扉枠開放スイッチ618からの検出信号に基づいて、扉枠5が本体枠4に対して開放された状態である場合)に送信され、扉枠閉鎖コマンドは、扉閉鎖を検知した時(扉枠開放スイッチ618からの検出信号に基づいて、扉枠5が本体枠4に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。本体枠開放コマンドは、本体枠開放を検知した時(本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠4が外枠2に対して開放された状態である場合)に送信され、本体枠閉鎖コマンドは、本体枠閉鎖を検知した時(本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠4が外枠2に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−8.状態表示]
状態表示の区分には、図70に示すように、枠状態1コマンド(エラー発生コマンドに相当)、エラー解除ナビコマンド(エラー解除コマンドに相当)及び枠状態2コマンドという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「7*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンドは、それぞれ、払出制御基板4110から送信された1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、これらの詳細な説明は、後述する。なお、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、図70に示すように、「7*H」をステータスとして設定するとともに、その受信したコマンドをそのままモードとして設定する。つまり、主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、これら受信したコマンドに付加情報である「7*H」を付加することにより、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドに整形する。
整形された、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これら整形された、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−9.テスト関連]
テスト関連の区分には、図70に示すように、テストという名称の各種コマンドから構成されている。このテストコマンドには、ステータスとして「8*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
テストコマンドは、主制御基板4100から周辺制御基板4140に対して送信されるコマンドであって周辺制御基板4140の各種検査を指示するものである。このようなテストコマンドとしては、例えば、図60に示した、周辺制御部4150、液晶及び音制御部4160、ランプ駆動基板4170、モータ駆動基板4180、及び枠装飾駆動アンプ基板194等の各種基板の検査を行うコマンドを挙げることができる。
この主制御基板4100では、ハードウェア側の都合によりテストコマンド用のポートをその都度逐一割り当てるためハードウェア側で管理しにくい態様の代わりに、ソフトウェア側で管理しやすくするために、テストコマンド用のポートとして、ソフトウェアのタイマで管理できるものについては複数のポートのうちの所定のポートに割り付ける一方、フラグで管理できるものについては特定のポートに割り付けるようにしている。
テストコマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理でテストコマンドが送信される。
[8−2−10.その他]
その他の区分には、図70に示すように、始動口入賞、変動短縮作動終了指定、高確率終了指定、特別図柄1記憶、特別図柄2記憶、普通図柄記憶、特別図柄1記憶先読み演出、及び特別図柄2記憶先読み演出という名称のコマンドが含まれている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「9*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
始動口入賞コマンドは、始動口入賞演出開始を指示するものであって、第一始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて第一始動口2101に遊技球が入球した場合における演出の開始と、第二始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて第二始動口2102に遊技球が入球した場合における演出の開始と、をそれぞれ指示するものであり、変動短縮作動終了指定コマンドは、変動短縮作動状態から変動短縮非作動状態への状態移行を指示するものであり、高確率終了指定コマンドは、高確率状態(後述する確率変動状態に相当)から低確率状態(後述する通常遊技状態などに相当)への状態移行を指示するものであり、特別図柄1記憶コマンド(特別図柄記憶コマンド)は、特別図柄1保留0〜4個(第一始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄2記憶コマンド(特別図柄記憶コマンド)は、特別図柄2保留0〜4個(第二始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1保留0〜4個(ゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄1記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)は、特別図柄1保留が機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用される前に先読みしてその特別図柄1保留に基づく第一特別図柄表示器1185による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものであり、特別図柄2記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)は、特別図柄2保留が機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用される前に先読みしてその特別図柄2保留に基づく第二特別図柄表示器1186による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものである。なお、本実施形態では、これら特別図柄1記憶先読み演出コマンド及び特別図柄2記憶先読み演出コマンドを総称して「記憶先読み演出コマンド」とも呼んでいる。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、始動口入賞コマンドは、始動口入賞時(第一始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて第一始動口2101に遊技球が入球した時や、第二始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて第二始動口2102に遊技球が入球した時)に、図5に示した本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び図2に示した扉枠5に設けたスピーカから主に音声でその旨を報知するために送信され、変動短縮作動終了指定コマンドは、規定回数の変動短縮を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、高確率終了指定コマンドは、「高確率N回」の場合の高確率回数を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1作動保留球数変化時(第一始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに第一始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から第一特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2作動保留球数変化時(第二始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに第二始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から第二特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1作動保留球数変化時(ゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらにゲート部2350を遊技球が通過して保留数が増加した時や、その保留数から普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1作動保留球数増加時(第一始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信され、特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2作動保留球数増加時(第二始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
ところで、始動口入賞コマンドは、上述したように、始動口入賞時(第一始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて第一始動口2101に遊技球が入球した時や、第二始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて第二始動口2102に遊技球が入球した時)に、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから主に音声でその旨を報知するために送信されるが、図60に示した周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドをどのように利用するかについては、パチンコ遊技機の仕様によって異なる場合もある。例えば、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから音声で報知する他に、不正行為の有無を監視するためにも利用するという仕様のものである。これに対して、他のパチンコ遊技機では、周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドを単に受信するだけで、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから音声で報知しない仕様のものもある。
[8−3.主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンド]
次に、主制御基板4100が受信する払出制御基板4110からの各種コマンドについて説明する。
払出制御基板4110からの各種コマンドの区分には、図71に示すように、枠状態1、エラー解除ナビ及び枠状態2という名称のコマンドから構成されており、枠状態1、エラー解除ナビ、そして枠状態2の順で優先順位が設定されている。
枠状態1コマンド(エラー発生コマンドに相当)には、球切れ、満タン、50個以上のストック中、接続異常及びCR未接続が用意されており、球切れではビット0(B0、「B」はビットを表す。)に値1がセットされ、満タンではビット1(B1)に値1がセットされ、50個以上のストック中ではビット2(B2)に値1がセットされ、接続異常ではビット3(B3)に値1がセットされ、CR未接続ではビット4(B4)に値1がセットされる。枠状態1コマンドのビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B5に値1、B6に値0、そしてB7に値0がセットされている。
エラー解除ナビコマンド(エラー解除コマンドに相当)には、球がみ、計数スイッチエラー及びリトライエラーが用意されており、球がみではビット2(B2)に値1がセットされ、計数スイッチエラーではビット3(B3)に値1がセットされ、リトライエラーではビット4(B4)に値1がセットされる。ここで、「計数スイッチエラー」とは、計数スイッチ838の不具合が生じているか否かを示すものである。「リトライエラー」とは、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球の払い出しが繰り返し行われたことを示すものである。エラー解除ナビコマンドのビット(B0)、ビット(B1)、及びビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B0に値0、B1に値0、B5に値0、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
枠状態2コマンドには、球抜き中が用意されており、球抜き中ではビット0(B0)に値1がセットされる。枠状態2コマンドのビット1(B1)〜ビット7(B7)には、B1に値0、B2に値0、B3に値0、B4に値0、B5に値1、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS558のコマンド送信処理で送信される。
[9.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ遊技機1の遊技の進行に応じて、主制御基板4100が行う各種制御処理について、図72〜図74を参照して説明する。図72は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図73は図72の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図74は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて初期値更新型のカウンタの動き、主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。
[9−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態又は小当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いるための大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチ(リーチはずれ)を発生させるか否かの決定に用いるためのリーチ判定用乱数と、第一特別図柄表示器1185及び第二特別図柄表示器1186で変動表示される特別図柄の変動表示パターンの決定に用いるための変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに第一特別図柄表示器1185及び第二特別図柄表示器1186で導出表示される大当り図柄の決定に用いられる大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる大当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。なお、上述した大当り図柄用乱数は、小当り遊技状態を発生させるときに第一特別図柄表示器1185及び第二特別図柄表示器1186で導出表示される小当り図柄の決定に用いられる小当り図柄用乱数としても利用される。一方、上述した大当り図柄用初期値決定用乱数は、この小当り図柄用乱数の初期値の決定に用いるための小当り図柄用初期値決定用乱数としても利用される。またこれらの乱数に加えて、一対の可動片2105を開閉動作させるか否かの決定に用いるための普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、普通図柄表示器1189で変動表示される普通図柄の変動表示パターンの決定に用いるための普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、チップに内蔵されたハードウェアにより構成されており、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内で更新し、この最小値から最大値までに亘る範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。このようなカウンタの更新方法を「初期値更新型のカウンタ」という。大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得られる。一方、上述した普通図柄当り判定用乱数及び普通図柄当り判定用初期値決定用乱数も、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一の方法により更新される。
なお、本実施形態では、大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップされ終ると、上述したように、大当り判定用初期値決定用乱数は初期値抽選処理を実行することにより更新されるようになっているが、払出制御基板4110の操作スイッチ952が電源投入時に操作された場合や、後述する、主制御側電源投入時処理において主制御MPU4100aの主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出して得たチェックサムの値(サム値)が主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致していない場合など、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合には、大当り判定用初期値決定用乱数は、主制御MPU4100aがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値がセットされる仕組みとなっている。つまり、大当り判定用初期値決定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が常に上書き更新されるようになっている。このように、大当り判定用初期値決定用乱数にセットされる値は、IDコードを利用して導出されており、主制御MPU4100aを製造したメーカによって主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMにIDコードを記憶させるとIDコードが外部装置を用いても書き換えられないという第1のセキュリティー対策と、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合に初期値導出処理を実行することによってIDコードに基づいて同一の固定値を導出するという第2のセキュリティー対策と、による2段階のセキュリティー対策が講じられることよって解析されるのを防止している。
ここで、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードを大当り判定用初期値決定用乱数として用いる利点について説明する。例えば、賞球として払い出される遊技球を不正に獲得しようとする者が何らかの方法で遊技盤5を入手して分解し、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMに予め記憶されているIDコードを不正に取得し、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングを把握することができたとしても、そのIDコードが個体を識別するためのユニークな符号が付されたものであるため、他の遊技盤に備える主制御MPUに内蔵する不揮発性のRAMに予め記憶されているIDコードとまったく異なるものとなる。つまり他の遊技盤においては、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングも、入手した遊技盤5のものとまったく異なる。換言すると、入手した遊技盤5を分解して解析して得たIDコードは、他の遊技盤、つまり他のパチンコ遊技機において、まったく役に立たないものであるため、分解して解析した得た所定間隔ごとに瞬停を発生させ、その所定間隔ごとに、第一始動口2101や第二始動口2102に遊技球を入球させるという始動入賞を狙っても、大当り遊技状態を発生させることができない。
[9−2.初期値更新型のカウンタの動き]
初期値更新型のカウンタは、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合(RAMクリア時)に主制御MPU4100aがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値がセットされる。初期値更新型のカウンタは、1サイクル目として、この固定値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から固定値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数として大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされる。初期値更新型のカウンタは、2サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、3サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。本実施形態では、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668〜値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値31768〜値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出されるようになっている。大当り判定用乱数を更新するカウンタは、本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767までに亘る予め定めた固定数値範囲を更新するようになっている。換言すると、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)は、低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている。
ここで本実施形態では、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値10〜値209が設定され、高確率では値10〜値339が設定されている場合を例示する。つまり、低確率では、大当りとなる乱数値(大当り判定用乱数)の数が200個としており、高確率では、大当たりとなる乱数値(大当り判定用乱数)の数が330個としている。ここで、本実施形態では、カウントして更新する複数の乱数同士が同期しないようにするため、乱数値の取得時期が異なる場合を除いて、同時に取得する他の乱数値の数を当該200個以外、例えば素数個としている。即ち、本実施形態では、大当り判定用乱数とは乱数値の取得時期が異なれば(例えば、後述するゲート2575に遊技球が通過したことを契機に取得される大当り遊技態様決定用乱数の値)、大当たりとなる乱数値の数が素数でないようにすることができる。なお、本実施形態では、上述した小当りとなるのは、例えば、低確率での大当り図柄の個数(200個)を4で割った個数分(50個)の大当り判定用乱数としている。
そのような大当り判定値の範囲が設定されている場合について検討してみると、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最小値側に寄った範囲に設定されることとなる。このような場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値10となる時期までに亘る期間と、この値10の次の値11から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最後の値(低確率では値209、高確率では値339)までに亘る範囲と、この最後の値の次の値(低確率では値210、高確率では値340)から最大値(値32767)となるまでに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。そうすると、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して第一始動口2101や第二始動口2102に向かって電波を照射することにより遊技球が第一始動口2101や第二始動口2102に入球したかのように装う不正行為が行われると、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)うち、いずれかの値となる確率が高いと言える。
これに対して、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。そうすると、初期値更新型のカウンタは、値0から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲のうち、いずれかの値が初期値抽選処理により抽選された値となって上述した大当り判定用初期値決定用乱数にセットされることとなるため、この抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップすることとなる。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。
つまり、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間が不規則となり、ランダム性に富んだものとなっている。これにより、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して第一始動口2101や第二始動口2102に向かって電波を照射することにより遊技球が第一始動口2101や第二始動口2102に入球したかのように装う不正行為が行われたとしても、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)うち、いずれかの値となる確率が低いと言える。
なお、初期値更新型のカウンタは、最小値から最大値までの範囲を繰り返し更新される。初期値から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)から2サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T0となる。時間T0から3サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T1となり、時間T0に比べて時間T1の方が短くなる。時間T1から4サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T2となり、時間T1に比べて時間T2の方が短くなる。このように、初期値更新型のカウンタでは、更新されるカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となる時間に対してゆらぎを持たせることによって(周期性を排除した状態にすることによって)遊技者に察知されないようになっている。
[10.主制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、上述した主制御プログラムが、主制御基板4100の主制御MPU4100aによる制御の下、図72及び図73に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御プログラムは、主制御MPU4100aの制御の下、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、主制御プログラムが、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、主制御プログラムは、図25に示した停電監視回路4100eに停電クリア信号の出力を開始する(ステップS11)。この停電監視回路4100eは、電圧比較回路であるコンパレータMIC21と、DタイプフリップフロップMIC22と、から構成されている。電圧比較回路であるコンパレータMIC21は、+24Vとリファレンス電圧との電圧を比較したり、+12Vとリファレンス電圧との電圧を比較したりすることで、その比較結果を出力する。この比較結果は、停電又は瞬停が発生していない場合ではその論理がHIとなってDタイプフリップフロップMIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される一方、停電又は瞬停が発生した場合ではその論理がLOWとなってDタイプフリップフロップMIC22のプリセット端子であるPR端子に入力されるようになっている。ステップS11では、このDタイプフリップフロップMIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する。この停電クリア信号は、主制御MPU4100aの所定の出力ポートの出力端子からその論理をLOWとして、リセット機能付き主制御出力回路4100caを介して、DタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、主制御MPU4100aは、DタイプフリップフロップMIC22のラッチ状態を解除することができ、ラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップMIC22のプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS12に続いて、主制御プログラムは、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS12)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS14)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路4100eから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路4100eから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS12のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS14の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップMIC22の出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS14で電源投入後に電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待っても停電予告信号の入力がなかったときには、主制御プログラムは、DタイプフリップフロップMIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS15)。ここでは、停電クリア信号は、主制御MPU4100aの所定の出力ポートの出力端子からその論理をHIとして、リセット機能付き主制御出力回路4100caを介して、DタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、主制御MPU4100aは、DタイプフリップフロップMIC22をラッチ状態にセットすることができる。DタイプフリップフロップMIC22は、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS15に続いて、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って主制御内蔵RAM(遊技記憶部)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(遊技側電源投入時操作制御手段)。具体的には、主制御プログラムは、まず、図17に示した払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作されているか否かを判定する(ステップS16)。この判定では、主制御プログラムが、払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作されたことに伴う操作信号(検出信号)に基づくエラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンド)が主制御MPU4100aに入力されているか否かにより行う。主制御プログラムは、その操作信号の論理値に基づいて、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がHIであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものではないと判断して操作スイッチ952が操作されていないと判定する一方、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がLOWであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものであると判断して操作スイッチ952が操作されていると判定する。
ステップS16において、主制御プログラムは、上記操作スイッチ952が操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットする(ステップS18)。一方、主制御プログラムは、ステップS16で操作スイッチ952が操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS20)。即ち、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って、主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(遊技制御側電源投入時操作制御手段)。上述したRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU4100aの主制御内蔵RAM(遊技記憶部)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS18及びステップS20でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGの値は、主制御MPU4100aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS18又はステップS20に続いて、主制御プログラムは、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS22)。このウェイトタイマ処理2では、図19に示した、周辺制御基板4140の液晶及び音制御部4160による遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS22に続いて、主制御プログラムは、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS24)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS26)。このチェックサムは、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS26に続いて、主制御プログラムは、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS28)。一致しているときには、この主制御プログラムは、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS30)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等の遊技バックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、主制御プログラムは、復電時として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS32)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、主制御MPU4100aに内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS32に続いて、主制御プログラムは、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS34)。この電源投入時コマンド作成処理では、遊技バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、或いはステップS28でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御プログラムは、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS36)。即ち、主制御プログラムは、上述した操作スイッチ952の操作に伴う検出信号の入力を契機として遊技制御側RAMクリア処理を実行している(払出制御側電源投入時操作制御手段)。具体的には、主制御プログラムは、値0を主制御内蔵RAMに書き込むことよって行う。なお、その代わりに、主制御プログラムは、初期値として主制御内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい。また、主制御MPU4100aは、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がRAMクリアを指示するもので遊技情報を消去するとき、サム値が一致していないとき、又は主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御MPU4100aの不揮発性のRAMに予め記憶された固有のIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を行い、この固定値を、上述した大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数にセットする。
ステップS36に続いて、主制御プログラムは、初期設定として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、主制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットされることにより実施される。
ステップS38に続いて、主制御プログラムは、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS40)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主制御内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を報知するための図35に示した電源投入に区分される電源投入コマンドを作成するとともに、周辺制御基板4140の各種検査を行うための図36に示したテスト関連に区分されるテストコマンドを作成して、送信情報として主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域にそれぞれ記憶する。
ステップS34又はステップS40に続いて、主制御プログラムは、割り込み初期設定を行う(ステップS42)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS42に続いて、主制御プログラムは、割り込み許可設定を行う(ステップS44)。この設定によりステップS42で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS44に続いて、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間を経過すると、つまり、主制御側メイン処理が開始されると、操作スイッチ952(操作スイッチ)の操作に伴うエラー解除ナビコマンドの受け取りを契機とした遊技制御側RAMクリア処理の実行を規制することとなる(通常時操作制御手段)。以上のように、主制御プログラムは、操作スイッチ952の操作に伴って入力される検出信号を、タイムシェアリングの概念により、上述のように電源投入時から所定時間に亘ってエラー解除ナビコマンドの入力を契機としてRAMクリア処理を実行させたり(遊技制御側電源投入時操作制御手段)、当該所定時間の経過後は当該エラー解除ナビコマンドの入力があってもRAMクリア処理の実行を規制し(遊技制御側通常時操作制御手段)、発生したエラーに伴うエラー報知を解除するための解除スイッチとして取り扱っている。つまり、本来、払出動作に関して発生したエラーを解除するために使用されるはずであった操作スイッチ952(エラー解除部)を、電源投入時から所定時間に亘って、その代わりに、遊技記憶部としての主制御内蔵RAM(及び後述する払出記憶部としての払出制御内蔵RAM)の初期化を開始させるためのRAMクリア処理を実行するための操作部として機能させたり、当該所定時間の経過後に、遊技球の払出動作に関して発生したエラーを解除するための操作部として機能させることができるようになっている。
次に主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS46)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS46に続いて、主制御プログラムは、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS48)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が停電監視回路4100eから入力される。ステップS48の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS48で停電予告信号の入力がないときには、主制御プログラムは非当落乱数更新処理を行う(ステップS50)。この非当落乱数更新処理では、上述した、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。
ステップS50に続いて、再びステップS46に戻り、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS48で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS50で非当落乱数更新処理を行い、ステップS46〜ステップS50を繰り返し行う。なお、このステップS46〜ステップS50の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS48で停電予告信号の入力があったときには、主制御プログラムは、割り込み禁止設定を行う(ステップS52)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS52に続いて、主制御プログラムは、停電クリア信号を出力開始する(ステップS53)。ここでは、ステップS11において停電クリア信号を出力開始した処理と同一の処理を行う。これにより、主制御プログラムは、主制御MPU4100aの制御の下、DタイプフリップフロップMIC22のラッチ状態を解除することができる。
ステップS53に続いて、主制御プログラムは、図16に示した、始動口ソレノイド2105、アタッカソレノイド2108A,2108B、第一特別図柄表示器1185、第二特別図柄表示器1186、上特別図柄記憶表示器1184、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190等に出力している駆動信号を停止する(ステップS54)。
ステップS54に続いて、主制御プログラムは、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS56)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主制御内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS56に続いて、主制御プログラムは、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする(ステップS58)。これにより、遊技バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS58に続いて、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS60)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS60に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU4100aにリセットがかかり、その後主制御MPU4100aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS52〜ステップS60の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(主制御MPU4100a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS28では主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS30では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報を2重にチェックすることにより遊技バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[11.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図72及び図73に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板4100では、主制御プログラムが、主制御MPU4100aの制御の下、図74に示すように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS46においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、主制御プログラムは、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、主制御プログラムは、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御MPU4100aの各種入力ポートの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。具体的には、この主制御プログラムは、例えば、一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する図16に示した一般入賞口スイッチ3020,3020からの各々の検出信号、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2110からの検出信号、第一始動口2101に入球した遊技球を検出する第一始動口スイッチ3022からの検出信号、第二始動口2102に入球した遊技球を検出する第二始動口スイッチ2109からの検出信号、ゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2352からの検出信号、磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3024からの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払出制御基板4110からの払主ACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。また、第一始動口2101に入球した遊技球を検出する第一始動口スイッチ3022からの検出信号、第二始動口2102に入球した遊技球を検出する第二始動口スイッチ2109からの検出信号をそれぞれ読み取ると、これと対応する図36に示したその他に区分される始動口入賞コマンドを送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。つまり、第一始動口スイッチ3022からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるし、第二始動口スイッチ2109からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるようになっている。
なお、本実施形態では、一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020,3020からの検出信号、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2110からの検出信号、第一始動口2101に入球した遊技球を検出する第一始動口スイッチ3022からの検出信号、第二始動口2102に入球した遊技球を検出する第二始動口スイッチ2109からの検出信号、及びゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2352からの検出信号は、このスイッチ入力処理が開始されると、まず1回目としてそれぞれ読み取られ、所定時間(例えば、10μs)経過した後、2回目としてそれぞれ再び読み取られる。そして、この2回目に読み取られた結果と、1回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを判定する。同結果でないものについては、さらに、3回目として再び読み取られ、この3回目に読み取られた結果と、2回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果でないものについては、さらに、4回目として再び読み取られ、この4回目に読み取られた結果と、3回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果とならいものについては、遊技球の入球がないものとして扱う。
このように、スイッチ入力処理では、主制御プログラムが、一般入賞口スイッチ3020,3020、カウントスイッチ2110、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352からの検出信号を、1回目〜3回目に亘って比較する2度読み取りと、2回目〜4回目に亘って比較する2度読み込みと、による計2回の2度読み取りを行うことによって、チャタリングやノイズ等の影響による誤検出を回避することができるようになっているため、一般入賞口スイッチ3020,3020、カウントスイッチ2110、第一始動口スイッチ3022、第二始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352からの検出信号の信頼性を高めることができる。
ステップS74に続いて、主制御プログラムは、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って第一特別図柄表示器1185及び第二特別図柄表示器1186が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189が点灯する時間のほかに、主制御基板4100(主制御MPU4100a)が送信した各種コマンドを払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払主ACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、主制御プログラムは、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図73に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理で更新される、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。これに対して、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述したように、初期値更新型のカウンタであり、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、この主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。大当り判定用初期値決定用乱数から最大値(値32767)に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得ることができるようになっている。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
本実施形態では、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数を、図73に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理、及び本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS78の当落乱数更新処理でそれぞれ更新しているが、割り込みタイマが発生するごとに本ルーチンの処理時間にムラが生じて次の割り込みタイマが発生するまでの残り時間内において主制御側メイン処理を繰り返し実行することによりステップS50の非当落乱数更新処理の実行回数がランダムとなる場合には、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数をステップS50の非当落乱数更新処理においてのみ更新する仕組みとしてもよい。
ステップS78に続いて、主制御プログラムは賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、主制御プログラムが、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出すための図66に示した賞球コマンドを作成したり、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するための図66に示したセルフチェックコマンドを作成したりする。この主制御プログラムは、作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを主払シリアルデータとして払出制御基板4110に送信する。
さらに賞球制御処理では、主制御プログラムが、そのプログラムコードの一部である賞球制御プログラムコードを実行し、例えば、大入賞口2103への遊技球の受け入れに伴ってカウントスイッチ2110から出力された検出信号に基づく検出情報が、大入賞口2103の数分に亘って1ビットずつ連続させて定義されている各々対応する定義ビット領域に書き込まれたことを契機として、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成し、払出制御基板4110(払出制御手段)に送信する。
本実施形態では、大入賞口として大入賞口2103の2個が設けられているため、主制御プログラムは、上述した定義ビット領域として、主制御RAM内に予め用意された複数の定義ビット領域のうちから、大入賞口2103用の2個分の各定義ビットを使用する。以下、順に「第一ビット領域」および「第二ビット領域」という。なお、大入賞口の数が例えば1個である遊技盤の場合には、1つの定義ビット領域が使用されることになる。これら使用される定義ビット領域は、例えば1ビットであり、互いに隣り合う領域とされている。大入賞口2103に遊技球が受け入れられると、カウントスイッチ2110から出力された検出信号に基づく検出情報として、例えば、「1」が例えば4ビット目である第一定義ビット領域に書き込まれる。その後、主制御プログラムは、遊技球が受け入れられたことを識別した大入賞口に対応する定義ビット領域を、例えば「0」を書き込んで初期化し、次の遊技球の受け入れに備える。
ここで、主制御プログラムは、どの定義ビット領域の状態を確認するかについても決定する。例えば主制御プログラムは、大入賞口2103のカウントスイッチ2110に対応する定義ビット領域を仮に4ビット目とした場合、本実施形態のように大入賞口が1個のみ設けられているパチンコ遊技機の場合、主制御プログラムは、4ビット目の定義ビット領域の情報を取得する。
さらに主制御プログラムは、このように取得した検出情報について、後述する大入賞口2102の賞球有効範囲に応じてマスク処理を実行して、賞球コマンドを作成して送信情報記憶領域に書き込んで払出制御基板4110に対して出力しないようにすべきか否かを決定する。この賞球コマンドが送信されるべきでないと決定した場合、主制御プログラムは、上述したカウントスイッチ2110からの検出信号に基づく検出情報が書き込まれる各定義ビット領域に対してマスク処理として、例えば強制的にビットをOFF(「0」)に設定し、賞球コマンドを送信情報記憶領域に書き込まないようにしても良い。
この賞球制御処理では、主制御プログラムが、第一特別遊技状態において、大入賞口2103に遊技球が1球受け入れられたことを示すカウントスイッチ2110からの検出信号に対応する検出情報が、この大入賞口2103に対応する上記定義ビット領域に書き込まれていることを契機として、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成し、上述した送信情報記憶領域に書き込む。併せて、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に、所定の音を出力させる指令としての入賞音コマンドを書き込み、その後周辺制御基板4140に送信させて周辺制御MPU4150aに、スピーカに、例えば「ポコン」という音を出力させる。
その一方、主制御プログラムは、第一特別遊技状態において、大入賞口2103に遊技球が1球受け入れられたことを示すカウントスイッチ2110からの検出信号に基づく検出情報が、この大入賞口2103に対応する上記定義ビット領域に書き込まれていないと、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成しない。この場合も、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に、所定の音を出力させる指令としての入賞音コマンドを書き込むが、賞球コマンドが払出制御基板4110(払出制御手段)に送信されて遊技球の払い出し動作が実行されないようにする。その後、主制御プログラムは、この大入賞口2103に対応する上記定義ビット領域を初期化して、カウントスイッチ2110からの検出信号に基づく検出情報をクリアすることにより遊技球の払い出しが許容される状態とする。
この際、主制御プログラムは、大入賞口2103への遊技球の受け入れに応じて払い出しうる規定払い出し数以上分の遊技球の払い出しがなされると、入賞過多異常コマンド(図36において図示を省略する)を上記送信情報記憶領域に書き込んで、その後コマンド送信処理(ステップSS92)において周辺制御基板4140に送信する。すると、周辺制御MPU4150aがスピーカに所定の報知を行わせる。
このようにすると、実質的に不正な遊技球の払い出しがなされないようになるため、遊技場(遊技ホール)が被る損害を最小限に抑制することができる。
一方、主制御プログラムは、その代わりに、大入賞口2103への遊技球の受け入れが検出された場合、即座に、入賞過多異常コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込んで、周辺制御MPU4150aの制御に、スピーカに報知させるようにしても良い。
その後、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域から賞球コマンドを読み出して、払出制御基板4110(払出制御手段)に送信する。
上述のようにすると、大入賞口2103について遊技球を受け入れた際に、対応するカウントスイッチ2110が機能しているか否かを聴覚により確認することができる。
一方、この主制御プログラムは、この賞球コマンドを払出制御基板4110が正常に受信完了した旨を伝える払主ACK信号が所定時間内に入力されない場合、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成し、払出制御基板4110に送信する。
ステップS80に続いて、主制御プログラムは、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。払出制御基板4110では、払出制御プログラムが、図37に示した状態表示に区分される1バイト(8ビット)の各種コマンド(例えば、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド)を送信する。一方、後述するように払出制御プログラムは、払出動作にエラーが発生した場合にエラー発生コマンドを出力したり、操作スイッチ952の検出信号に基づいてエラー解除ナビコマンドを出力する。上述した枠コマンド受信処理では、主制御プログラムが、この各種コマンドを払主シリアルデータとして正常に受信すると、その旨を払出制御基板4110に伝える情報を、出力情報として主制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、その正常に払主シリアルデータとして受信したコマンドを2バイト(16ビット)のコマンドに整形し(図36の状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド))、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。なお、ここでいう枠状態1コマンドは第1のエラー発生コマンドに相当するとともに、エラー解除ナビコマンドは第1のエラー解除コマンドに相当する。
ステップS82に続いて、主制御プログラムは、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合にカウントスイッチ2110によって大入賞口2103に遊技球が入球していると検知されたとき等には、主制御プログラムは、異常状態として図36に示した報知表示に区分される入賞異常表示コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、主制御プログラムは、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムが、上述した大当り判定用乱数をカウンタにより+1ずつ更新しており、第一始動口2101或いは第二始動口2102への遊技球の受け入れ、即ち、始動入賞を契機として(始動条件の成立)、この始動条件が成立した始動記憶情報ごとに、上述したカウンタの値を取り出して大当たり用乱数値とし、この大当たり用乱数値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定する(抽選手段)。以下、この判定処理を「特別抽選」とも表現する。主制御プログラムは、この抽選結果に基づいて大当り遊技状態を発生させるか否かを判断し、大当たり用乱数値がこの大当たり判定値と一致している(予め定められた当選条件が成立している)場合には通常遊技状態から大当たり遊技状態に移行させる。この大当たり遊技状態は、後述する特別遊技状態、第一特別遊技状態、第二特別遊技状態に相当し、これらを総称した遊技状態を示すものとする。
なお、主制御プログラムは、大当たり遊技態様を決定する際、後述する大当たり遊技態様決定処理(図103参照)においてセットされる大当たり遊技の態様を定義するためのデータとして、例えばラウンド数、開放時間、開放時間、及び遊技球の入賞制限数カウント数を表す定義データ(テーブル)を、大入賞口の数に応じてオフセットさせたアドレスで指定される主制御内蔵RAMの一部の記憶領域である定義データ領域(図示せず)から読み出している。
ところで、プログラムコードの集合によって構成されているプログラムモジュールであるサブルーチンは、一般的には、メインルーチンに含まれるCALL命令によって呼び出されてこのプログラムモジュールに含まれるプログラムコード群が実行された後に、最後にリターン命令でメインルーチンに戻るように構成されている(上記第1の参考文献参照)。このようにすると、呼び出した戻しのための命令が必要となるため、一見すると、プログラム容量を低減することが困難であるようにも思える。
しかしながら、本実施形態では、メインルーチンが連続するサブルーチンを含む場合、例えば、メインルーチンが最初のサブルーチンをCALL命令で呼び出して実行した後、さらに連続して次のサブルーチンを別のCALL命令で呼び出す代わりに、最初のサブルーチンのプログラムコード群の最後にリターン命令を配置せずそのまま次のサブルーチンのプログラムコード群の最初に繋ぐようにしても良い。このような構成のプログラムモジュールとすると、プログラム全体として容量を低減することができるようになる。
上述した特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムは、大当たり用乱数値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定する。この主制御プログラムは、この抽選結果に基づいて確率変動状態に移行させるか否かを判断し、大当たり用乱数値がこの確変当り判定値に一致している(確変移行条件が成立している)場合にはその後確率変動状態に移行させる一方、大当たり用乱数値がこの確変当り判定値に一致していない(確変以降条件が成立していない)場合には当該確変以外の遊技状態に移行させる(当選確率制御手段)。ここで、「確率変動状態」とは、上述した特別抽選の当選確率が通常遊技状態(低確率状態)に比べて相対的に高く設定された状態(高確率状態)をいう。
さらに、この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムは、上述した抽選結果が第一始動口2101への遊技球の受け入れを契機としたものである場合には、図35に示した特図1同調演出関連の各種コマンドを作成する一方、その抽選結果が第二始動口2102への遊技球の受け入れを契機としたものである場合には、特図2同調演出関連の各種コマンドを作成する。主制御プログラムは、このように作成したコマンドを送信情報として送信情報記憶領域に記憶させる。
併せて、主制御プログラムは、始動入賞を契機として取得された各種乱数値に基づいて先行判定テーブル(図示せず)を参照して始動保留表示態様を決定し、この始動入賞後変動表示させていた特別図柄の停止図柄を開示する前に、特別抽選の抽選結果を事前に暗示させる処理(以下「先行判定処理」という)を実行させるために用いられるコマンド(以下、一例として「保留球数変化コマンド」を挙げる)を作成し、この先行判定処理を実行させるべき場合、送信情報として送信情報記憶領域に記憶させる。この際、主制御プログラムは、特別抽選の乱数値そのものの代わりに、後述するように大当たり遊技の種別を示唆している情報として特別図柄の停止図柄に関する情報を、この保留球数変化コマンドに含めるようにしている。この先行判定処理の詳細については後述する。
次に主制御プログラムは、特別図柄の種別に応じて、始動入賞時に決定した変動表示パターンに従って、第一特別図柄表示器1185を点灯させるよう点灯信号の出力を設定したり、第二特別図柄表示器1186を点灯させるよう点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また主制御プログラムは、例えば大当り遊技状態に移行させる場合には、図35に示した大当り関連に区分される各種コマンド(大当りオープニングコマンド、大入賞口1開放N回目表示コマンド、大入賞口1閉鎖表示コマンド、大入賞口1カウント表示コマンド、大当りエンディングコマンド、及び大当り図柄表示コマンド)を作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶したり、開閉部材2107を開閉動作させるようアタッカソレノイド2108A或いはアタッカソレノイド2108Bへの駆動信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、大入賞口2103が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回であるときには、ラウンド表示器1190の2ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう2ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが6回であるときには、ラウンド表示器1190の6ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう6ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが12回であるときには、ラウンド表示器1190の12ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう12ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが16回であるときにはラウンド表示器1190の16ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう16ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、確率変動状態への移行の有無を所定の色で点灯させるよう遊技状態表示器1183への点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。
ところで、一般的なパチンコ遊技機においては、遊技球の始動入賞を契機として、その後特別図柄を変動表示を開始するとともに大当たり抽選を実行し、所定の当選条件が成立しているともに所定の確変移行条件が成立している場合、遊技状態表示器としてのいわゆる確変ランプの点灯態様を変更するとともに確率変動状態に移行する。この確率変動状態では、上述した大当り抽選の確率が通常遊技状態よりも相対的に高く設定されており、再度当選条件が成立して大当りとなることがほぼ保障されている(既述の第1の参考文献参照)。このように確率変動状態が終了した後にその後さらに確率変動状態に移行する可能性のある遊技機としては、主として、次に大当たりとなるまで確率変動状態を継続してあたかも大当たり遊技がループしているかのように挙動するものと(以下「ループ機」という)、大当たり遊技が終了した後に特別図柄の変動回数が所定の回数になるまで確率変動状態を継続するもの(以下「ST(スペシャルタイム)機」という)とが存在している。このように確率変動状態の継続の仕方が異なる機種のパチンコ遊技機では、上述した遊技状態表示器の制御が異なっており、開発段階においては各機種ごとに遊技状態表示器の制御を逐一設計しなければならず開発効率を向上しにくかった。
そこで、本実施形態では、主制御プログラムは、第一始動口2101または第二始動口2102に遊技球が受け入れられると、その後当選条件が成立しているか否かを判定し、この当選条件が成立している場合には通常遊技状態から大当たり遊技状態に移行させる一方、この当選条件が成立しているとともにさらに確変移行条件が成立している場合にはこの当選条件が成立する確率を通常遊技状態よりも相対的に高く設定した確率変動状態に移行させるとともに遊技状態表示器1183の表示態様を点灯状態とする。主制御プログラムは、その後再度当選条件が成立しているとともにさらに確変移行条件が成立している場合、その確率変動状態が継続された状態で遊技状態表示器1183の表示態様をある特定の割り込み周期内に点灯状態から一旦消灯状態とさせた後、当該特定の割り込み周期と同一の割り込み周期内において遊技状態表示器1183の表示態様を消灯状態から再度点灯状態とする。
具体的に説明すると、まず、上述のように主制御プログラムは、第一始動口2101または第二始動口2102に遊技球が受け入れられたことを契機として、その後当選条件が成立しているか否かを判定し(抽選手段)、この当選条件が成立している場合、通常遊技状態から大当たり遊技状態に移行させる一方、この当選条件が成立しているとともに確変移行条件が成立している場合、この当選条件が成立する確率を通常遊技状態よりも相対的に高く設定した確率変動状態に移行させる(遊技状態制御手段)。この主制御プログラムは、確率変動状態が継続している間に亘って遊技状態表示器1183の表示態様を点灯状態とする一方、確率変動状態以外の遊技状態に移行すると遊技状態表示器1183の表示態様を消灯状態とする(点灯態様制御手段)。主制御プログラムは、上述した確率変動状態への移行を契機として遊技状態表示器1183の表示態様を点灯状態とし、その後再度当選条件が成立しているとともにさらに確変移行条件が成立している場合、その確率変動状態が継続された状態で遊技状態表示器1183の表示態様をある特定の割り込み周期内において点灯状態から一旦消灯状態とさせた後、当該特定の割り込み周期と同一の割り込み周期内において遊技状態表示器1183の表示態様を再度消灯状態から点灯状態とさせる(点灯状態継続制御手段)。なお、このように遊技者に確率変動状態が継続しているように視認させたいにもかかわらず、このように、ごく短時間に亘って遊技状態表示器1183の表示態様を変化させても、遊技者の視覚上、遊技状態表示器1183の表示態様が変わっていないように見せることができる。
このようにすると、遊技状態表示器1183の表示態様上、遊技者の目には、一旦消灯状態になったことが視認し難く、点灯状態が継続しているかのように視認される。すると、本実施形態におけるパチンコ遊技機1が、確率変動状態が連続的に継続するいわゆるループ機であっても、大当たり遊技状態が終了した後特別図柄が規定の変動回数まで確率変動状態が継続するとともに当該規定変動回数内に当選条件が成立するとその後再度確率変動状態に移行するいわゆるST(スペシャルタイム)機であっても、互いに異なる機種間において遊技状態表示器1183の表示態様を制御するプログラムコードを共用することができる。これにより、互いに異なる機種のパチンコ遊技機の開発効率を向上することができるようになる。
さらに、この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラム(遊技制御手段)が、上述のように当選条件が成立している場合には通常遊技状態から大当たり遊技状態に移行させる一方、さらに移行条件の一例としての確変移行条件が成立している場合には特定遊技状態の一例としての確変遊技状態にも移行させる(遊技状態制御手段)。ここで、主制御プログラムは、実質的に大当たり遊技状態での遊技球の払い出しをほぼ行うことなく、特定遊技状態の一例としての確変遊技状態に移行させるようにしても良い。なお、この特定遊技状態としては、移行条件の他の一例としての時短作動条件が成立して時短機能が作動している状態であっても良いし、上述した確変遊技状態と併せて同時に両方の遊技状態であってもよい。この主制御プログラムは、ある遊技状態から他の遊技状態に移行するまでの期間における特別図柄の変動表示回数の残り回数を管理しており、当該管理している遊技状態を表す遊技状態情報を送信情報として送信情報記憶領域に書き込むことによって、その後同一のタイマ割り込み周期内において、後述するコマンド送信処理S92において送信させる(遊技状態通知手段)。
具体的には、この主制御プログラムが、上述した確変移行条件が成立している場合、遊技状態が確変遊技状態以外の遊技状態、例えば通常遊技状態に移行するまでに特別図柄が変動表示される残り回数に関する情報(以下「残り回数情報」という)を、始動条件が成立した後に開始条件が成立したことを契機として送信されるいずれかのコマンド、例えば変動パターンに対応する変動パターンコマンドに含めて送信情報として送信情報記憶領域に書き込むことによって、その後同一のタイマ割り込み周期内において、後述するコマンド送信処理S92において送信させている(残り変動回数通知手段)。なお、主制御プログラムは、上述した残り回数情報をその他のコマンドに含めたり、独立したコマンドとして周辺制御基板4140に送信させるようにしても良い。
ステップS86に続いて、主制御プログラムは、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、主制御プログラムが、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート入賞処理を行う。このゲート入賞処理では、主制御プログラムが、入力情報からゲートスイッチ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。主制御プログラムは、この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていた場合、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
このゲート情報記憶領域には、第0区画〜第3区画(4つの区画)が設けられており、第0区画、第1区画、第2区画、そして第3区画の順にゲート情報が格納されるようになっている。例えばゲート情報がゲート情報記憶の第0区画〜第2区画に格納されている場合、ゲートスイッチ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたときにはゲート情報をゲート情報記憶の第3区画に格納する。
ゲート情報はゲート情報記憶の第0区画に格納されているものが主制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。このゲート情報がセットされると、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画に、ゲート情報記憶の第3区画のゲート情報がゲート情報記憶の第2区画に、それぞれシフトされてゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。例えば、ゲート情報記憶の第1区画〜第2区画にゲート情報が記憶されている場合には、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画にそれぞれシフトされてゲート情報記憶の第2区画及びゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。ここで、ゲート情報記憶の第1区画〜第3区画にゲート情報が格納されていると、格納されたゲート情報の総数を保留球として普通図柄記憶表示器1188を点灯させるよう、上述したゲート情報に基づいて普通図柄記憶表示器1188の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
このようなゲート入賞処理に続いて、主制御プログラムは、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされたゲート情報を読み出し、この読み出したゲート情報から普通図柄当り判定用乱数の値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致するか否かを判定する(「普通抽選」という)。主制御プログラムは、この判定結果(普通抽選による抽選結果)に応じて一対の可動片2105を開閉動作させるか否かを決定する。主制御プログラムは、この決定により開閉動作をさせる場合、一対の可動片2105が開放状態となることで第二始動口2102へ遊技球が受け入れ可能となる遊技状態となって遊技者にとって有利な遊技状態に移行させる。さらに主制御プログラムは、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数の値に基づいて、上述した決定と対応する普通図柄の変動表示パターンを決定し、図35に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上記送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄の変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上記出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、その取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致しているときには、図35に示した普通電役演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するとともに、一対の可動片2105を開閉動作させるよう始動口ソレノイド2105への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、主制御プログラムは、その取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致していないときには、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定し、図35に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、主制御プログラムはポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、この主制御プログラムが主制御MPU4100aの各種出力ポートの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。この主制御プログラムは、例えば、出力情報に基づいて主制御MPU4100aの所定の出力ポートの出力端子から、払出制御基板4110からの各種コマンドを正常に受信完了したときには主払ACK信号を払出制御基板4110に出力したり、大当り遊技状態であるときには大入賞口2103の開閉部材2107の開閉動作を行うアタッカソレノイド2108A,2108Bに駆動信号を出力したり、一対の可動片2106の開閉動作を行う始動口ソレノイド2105に駆動信号を出力したりするほかに、2ラウンド大当り情報出力信号、6ラウンド大当り情報出力信号、12ラウンド大当り情報出力信号、16ラウンド大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)信号を払出制御基板4110に出力したりする。
ステップS90に続いて、主制御プログラムは、周辺制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。この周辺制御基板コマンド送信処理では、この主制御プログラムが、上述した送信情報記憶領域からコマンドやデータなどの送信情報を読み出してこの送信情報を主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信する(コマンド送信手段)。この送信情報には、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理で作成した、図35に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド(例えば、大入賞口2103に入球した遊技球を検出した際にカウントスイッチ2110からの検出信号に基づく大入賞口カウントコマンドに相当する大入賞口1カウント表示コマンド)、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図36に示した、報知表示に区分される各種コマンド(扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンドなど)、状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンド)、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドが記憶されている。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。具体的には、主周シリアルデータは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、ステータス及びモードを数値とみなしてその合計を算出したサム値と、から構成されており、このサム値は、送信時に作成されている。
この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から枠状態1コマンド(第1のエラー発生コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して枠状態1コマンド(第2のエラー発生コマンド)を送信する(エラーコマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った図37に示す形態である枠状態1コマンドを、図36に示す形態の枠状態1コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
またその一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110からエラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140に対してエラー解除ナビコマンド(第2のエラー解除コマンド)を送信する(エラーコマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った図37に示す形態であるエラー解除ナビコマンドを、図36に示す形態のエラー解除ナビコマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
またさらに、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から本体枠開放コマンド(第1の本体枠開放コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して本体枠開放コマンド(第2の本体枠開放コマンド)を送信する(本体枠コマンド送出手段、第2の本体枠送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った図37に示す形態である本体枠開放コマンドを、図36に示す形態である本体枠開放コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から本体枠閉鎖コマンド(第1の本体枠閉鎖コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して本体枠閉鎖コマンド(第2の本体枠閉鎖コマンド)を送信する(本体枠コマンド送出手段、第2の本体枠コマンド送出手段、第2の特定枠コマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った図37に示す形態である本体枠閉鎖コマンドを、図36に示す形態である本体枠閉鎖コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
また、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から扉枠開放コマンド(第1の扉枠開放コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して扉枠開放コマンド(第2の扉枠開放コマンド)を送信する(扉枠コマンド送出手段、第2の扉枠コマンド送出手段、第2の特定枠コマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った図37に示す形態である扉枠閉鎖コマンドを、図36に示す形態である扉閉鎖コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から扉閉鎖コマンド(第1の扉閉鎖コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して扉閉鎖コマンド(第2の扉閉鎖コマンド)を送信する(扉枠コマンド送出手段、第2の扉枠コマンド送出手段、第2の特定枠コマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った図37に示す形態である扉閉鎖コマンドを、図36に示す形態である扉閉鎖コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
ステップS92に続いて、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、主制御プログラムは、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPU4100aは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、主制御MPU4100aは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[12.払出制御基板の各種制御処理]
次に、図17に示した払出制御基板4110が行う各種制御処理について、図75〜図91を参照して説明する。図75は払出制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図76は図75の払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図77は図76に続いて払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図78は払出制御部タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図79は回転角スイッチ履歴作成処理の一例を示すフローチャートであり、図80はスプロケット定位置判定スキップ処理の一例を示すフローチャートであり、図81は球がみ判定処理の一例を示すフローチャートであり、図82は賞球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図83は貸球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図84はストック監視処理の一例を示すフローチャートであり、図85は払出球がみ動作判定設定処理の一例を示すフローチャートであり、図86は払出設定処理の一例を示すフローチャートであり、図87は球がみ動作設定処理の一例を示すフローチャートであり、図88はリトライ動作監視処理の一例を示すフローチャートであり、図89は不整合カウンタリセット判定処理の一例を示すフローチャートであり、図90はエラー解除操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図91は球貸しによる払出動作時の信号処理(ア)、CRユニットからの入力信号確認処理(イ)を示すタイミングチャートである。
まず、払出制御部電源投入時処理について説明し、続いて払出制御部タイマ割り込み処理、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球がみ動作判定設定処理、払出設定処理、球がみ動作設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除操作判定処理について説明する。なお、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球がみ動作判定設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除操作判定処理は、後述する払出制御部電源投入時処理におけるステップS562の主要動作設定処理の一処理として行われ、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除操作判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、そして払出球がみ動作判定設定処理の順番で優先順位が設定されている。
[12−1.払出制御部電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図75〜図77に示すように、払出制御部電源投入時処理を行う。この払出制御部電源投入時処理が開始されると、払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS500)。この割り込みモードは、払出制御MPU4110aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この払出制御部タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理を行う。
ステップS500に続いて、払出制御プログラムは、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS502)。このI/Oの入出力設定では、払出制御MPU4110aの各種入力ポート及び各種出力ポートの設定等を行う。
ステップS502に続いて、払出制御プログラムは、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS506)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS508)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、図16に示した主制御基板4100の停電監視回路4100eから停電予告として停電予告信号(払出停電予告信号)が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると主制御基板4100の停電監視回路4100eから停電予告信号(払出停電予告信号)が入力される。そこで、ステップS506のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS508の判定では、主制御基板4100の停電監視回路4100eからの停電予告信号(払出停電予告信号)に基づいて行う。
ステップS508に続いて、払出制御プログラムは、操作スイッチ952が操作されているか否かを判定する(ステップS512)。この判定は、操作スイッチ952からの操作信号の論理値に基づいて、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がHIであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものではないと判断して操作スイッチ952が操作されていないと判定する一方、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がLOWであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものであると判断して操作スイッチ952が操作されていると判定する。
ステップS512で操作スイッチ952が操作されているときには、払出制御プログラムは、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値1をセットする(ステップS514)。即ち、払出制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って、払出制御MPU4110aに内蔵されたRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」と記載する。)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(払出制御側電源投入時操作制御手段)。一方、ステップS512で操作スイッチ952が操作されていないときには、払出制御プログラムは、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値0をセットする(ステップS516)。この払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU4110aの払出制御内蔵RAM(払出記憶部)に記憶されている、例えば、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報を消去するか否かを示すフラグであり、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS514及びステップS516でセットされた払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU4110aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS514又はステップS516に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS518)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスができ、例えば払出情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。
ステップS518に続いて、払出制御プログラムは、スタックポインタの設定を行う(ステップS520)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS520では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS520に続いて、払出制御プログラムは、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS522)。上述したように、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS522で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0であるとき、つまり払出情報を消去しないときには、払出制御プログラムは、チェックサムの算出を行う(ステップS524)。このチェックサムは、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS524に続いて、払出制御プログラムは、算出したチェックサムの値が後述する払出制御部電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS526)。一致しているときには、払出制御プログラムは、払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS528)。この払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出情報、チェックサムの値等の払出バックアップ情報を後述する払出制御部電源断時処理において払出制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、払出制御部電源断時処理を正常に終了したとき値1、払出制御部電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるとき、つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了したときには、払出制御プログラムは、復電時として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS530)。この設定では、払出バックアップフラグHBK−FLGに値0がセットされる他に、払出制御MPU4110aに内蔵されたROM(以下、「払出制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報が読み出され、この復電時情報が払出制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている上述した払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報、時間管理情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタリセット判定時間等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS522で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり払出情報を消去するときには、又はステップS526でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了していないときには、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS532)。即ち、払出制御プログラムは、操作スイッチ952の操作信号の検出を契機として払出制御側RAMクリア処理を実行する(払出制御側電源投入時操作制御手段)。これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報がクリアされる。
ステップS532に続いて、払出制御プログラムは、初期設定として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS534)。この設定は、払出制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を払出制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS530又はステップS534に続いて、払出制御プログラムは、割り込み初期設定を行う(ステップS536)。この設定は、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では、2msに設定されている。
ステップS536に続いて、払出制御プログラムは、割り込み許可設定を行う(ステップS538)。この設定によりステップS536で設定した割り込み周期、つまり2msごとに払出制御部タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS538に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Aをセットする(ステップS539)。このウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS539に続いて、払出制御プログラムは、停電予告信号(払出停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS540)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号(払出停電予告信号)が主制御基板4100の停電監視回路4100eから入力される。ステップS540の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS540で停電予告信号の入力がないときには、払出制御プログラムは、2ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS542)。この2ms経過フラグHT−FLGは、後述する、2msごとに処理される払出制御部タイマ割り込み処理で2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS542で2ms経過フラグHT−FLGが値0であるとき、つまり2ms経過していないときには、ステップS540に戻り、払出制御プログラムは、停電予告信号(払出停電予告信号)が入力されているか否かを判定する。
一方、ステップS542で2ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり2ms経過したときには、払出制御プログラムは、2ms経過フラグHT−FLGに値0をセットする(ステップS544)。
ステップS544に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Bをセットする(ステップS546)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLには、ステップS539においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS546に続いて、払出制御プログラムは、ポート出力処理を行う(ステップS548)。このポート出力処理では、払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を払出制御MPU4110aの各種出力ポートの出力端子から出力する。出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンド(図66に示した、賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を正常に受信した旨を伝える払主ACK情報、払出モータ839への駆動制御を行う駆動情報、払出モータ839が実際に遊技球を払い出した球数の賞球数情報、エラーLED表示器953に表示するLED表示情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信したときには払主ACK信号を主制御基板4100に出力したり、払出モータ839に駆動信号を出力したり、払出モータ839が実際に遊技球を払い出した球数を賞球数情報信号として外部端子板784に出力したり(本実施形態では、払出モータ839が実際に10個の遊技球を払い出すごとに外部端子板784に賞球数情報信号を出力している。)、エラーLED表示器953に表示信号を出力したりする。
ステップS548に続いて、払出制御プログラムは、ポート入力処理を行う(ステップS550)。このポート入力処理では、払出制御MPU4110aの各種入力ポートの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、操作スイッチ952の操作信号、回転角スイッチ847からの検出信号、計数スイッチ838からの検出信号、満タンスイッチ550からの検出信号、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板4100が正常に受信した旨を伝える主制御基板4100からの主払ACK信号等、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS550に続いて、払出制御プログラムは、タイマ更新処理を行う(ステップS552)。このタイマ更新処理では、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態が生じているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球がみ判定時間、払出回転体の定位置判定を行わない際に設定されているスキップ判定時間、図3に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する際に設定されている球抜き判定時間、図1に示したファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンであるか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている満タン判定時間、球切れスイッチ821からの検出信号により賞球装置740の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球切れ判定時間等の時間管理を行うほかに、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ838で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを監視するための不整合カウンタINCCをリセットするか否かの判定を行う際にその判定条件と設定されている不整合カウンタリセット判定時間の時間管理を行う。例えば、球がみ判定時間が5005msに設定されているときには、タイマ割り込み周期が2msに設定されているので、このタイマ更新処理を行うごとに球がみ判定時間を2msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球がみ判定時間を正確に計っている。
本実施形態では、スキップ判定時間が22.75ms、球抜き判定時間が60060ms、満タン判定時間が504ms、球切れ判定時間が119ms、不整合カウンタリセット判定時間が7000s(約2時間)にそれぞれ設定されており、このタイマ更新処理を行うごとに球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を2msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種判定時間は、時間管理情報として払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS552に続いて、払出制御プログラムは、CR通信処理を行う(ステップS554)。このCR通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、CRユニット6からの各種信号(BRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号)が入力されているか否かを判定する。CRユニット6からの各種信号に基づいて、払出制御MPU4110aは、CRユニット6と各種信号のやり取りを行う。ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において、上述したように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。
この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元することができる。これにより、賞球装置740による遊技球の払出動作を実行している際に、瞬停又は停電して払出動作を続行することができなくなっても、復電時に、その払出動作を続行することができるため、過不足なく遊技球を上皿301や下皿302に払い出すことができる。換言すれば、払出制御MPU4110aは、CR通信処理において、CRユニット6と各種信号のやり取りを行いながら、遊技球を上皿301や下皿302に払い出している際に、瞬停又は停電してCRユニット6と各種信号のやり取りが遮断され、遊技球の払い出しを続行することができなくなっても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値が、払出バックアップ情報として記憶された、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元されることによって、瞬停又は停電する直前における、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4110a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りを、復電時から継続することができるとともに、遊技球の払い出しを引き続き行うことができるようになっている。
このように、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4110a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りは、瞬停又は停止しても、復電時に、瞬停又は停止する直前の状態に復元されるようになっており、瞬停又は停止による影響によってパチンコ遊技機1(払出制御MPU4110a)とCRユニット6とによる各種信号が変化しないようになっている。従って、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4110a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りの信頼性を高めることができる。
また、CR通信情報記憶領域に記憶される各種情報は、上述したように、払出バックアップ情報に含まれている。CR通信処理では、復電時に、ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において設定された、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報が、例えば貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態に設定されている場合には、そのPRDY信号を払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する。そして、主要動作設定処理の一処理として行われる、例えばリトライ動作監視処理において、払出バックアップ情報に含まれている、払出制御内蔵RAMに記憶されている賞球情報記憶領域の不整合カウンタINCCの値に基づいて、この不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かを判定し、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断して、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断して、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットし、払出球がみ動作判定設定処理において、CRユニット6へのエラー状態の出力の設定として、例えばCRユニット6と通信中でないときには貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態(LOW)をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。
これにより、CR通信処理では、復電時から次のタイマ割り込みで、このPRDY信号の論理の状態を、CR通信情報記憶領域から読み出してそのPRDY信号を払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する。このように、例えば、瞬停する直前において、賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であった場合には、復電時に、その状態が復元されるため、復電してから極めて早い段階で、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号を払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力することができ、CRユニット6に賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態である旨を伝えることができる。これにより、復電時から極めて早い段階で、CRユニット6からの無駄な貸球要求信号であるBRDYが出力されるのを防止することができる。
また、CR通信処理では、ステップS550のポート入力処理で、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域からCR接続信号を読み出してこのCR接続信号に基づいて、その論理がHIであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板4110とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されているときには、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をHIとして払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する一方、その論理がLOWであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板4110とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されていないときには、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をLOWとして払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する。なお、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号の論理の状態は、EXS信号出力設定情報として払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域に記憶され、払出制御基板4110とCRユニット6とが電気的に接続されているか否かを伝えるCR接続信号は、CR接続情報として状態情報記憶領域に記憶されるようになっている。
ステップS554に続いて、払出制御プログラムは、満タン及び球切れチェック処理を行う(ステップS556)。この満タン及び球切れチェック処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、満タンスイッチ550からの検出信号により上述したファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かを判定したり、球切れスイッチ821からの検出信号により上述した賞球装置740の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かを判定したりする。例えば、ファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かの判定は、タイマ割り込み周期2msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がON、前回(2ms前)の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がOFFとなったとき、つまり満タンスイッチ550からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS552のタイマ更新処理で上述した満タン判定時間(504ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で満タン判定時間が値0となったとき、つまり満タン判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、満タンスイッチ550からの検出信号がONであるときには、ファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンであるとしてその旨を伝える満タン情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。一方、満タンスイッチ550からの検出信号がOFFであるときには、ファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンでないとしてその旨を伝える満タン情報を状態情報記憶領域に記憶する。
賞球装置740の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定も、タイマ割り込み周期2msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がON、前回(2ms前)の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり球切れスイッチ821からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS552のタイマ更新処理で上述した球切れ判定時間(119ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で球切れ判定時間が値0となったとき、つまり球切れ判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチ821からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、球切れスイッチ821からの検出信号がONであるときには、賞球装置740の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上であるとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する一方、球切れスイッチ821からの検出信号がOFFであるときには、賞球装置740の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS556に続いて、払出制御プログラムは、コマンド受信処理を行う(ステップS558)。このコマンド受信処理では、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンド(図66に示した、賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝える払主ACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続に異常が生じている(各種コマンド信号に異常が生じている)旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS558に続いて、払出制御プログラムは、コマンド解析処理を行う(ステップS560)。このコマンド解析処理では、ステップS558で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS560に続いて、払出制御プログラムは、主要動作設定処理を行う(ステップS562)。この主要動作設定処理では、賞球、貸球、球抜き及び球がみ等の動作設定を行ったり、リトライ動作の判定を行ったり、未払い出しの球数(賞球ストック数)を監視したりする。
ステップS562に続いて、払出制御プログラムは、LED表示データ作成処理を行う(ステップS564)。このLED表示データ作成処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、払出制御基板4110のエラーLED表示器953に表示する表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。例えば、状態情報記憶領域から上述した球切れ情報を読み出し、この球切れ情報に基づいて、賞球装置740の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、対応する表示データ(本実施形態では、表示値1(数字「1」))を作成してLED表示情報を出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS564に続いて、払出制御プログラムは、コマンド送信処理を行う(ステップS566)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいて図37に示した状態表示に区分される各種コマンド(扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンド、枠状態1コマンド(第1のエラー発生コマンドに相当)、エラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンドに相当)及び枠状態2コマンド)を作成して主制御基板4100に送信する。例えば、状態情報記憶領域から球切れ情報を読み出すと、この球切れ情報に基づいて、賞球装置740の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、枠状態1コマンドを作成して主制御基板4100に送信したりする。また、このコマンド送信処理においては、この払出制御プログラムは、例えば遊技球の払出動作に関するエラーが発生したなどの枠状態の変化があると、この払出動作に関して発生したエラーの発生部位に関する情報(以下「エラー発生位置情報」という)を含めた枠状態1コマンド(第1のエラー解除コマンド)を生成している(エラー発生コマンド生成手段)。一方、このコマンド送信処理では、払出制御プログラムが、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値1であると、即ち、操作スイッチ952の操作に応じた操作信号が検出されていると、上述したエラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンド)を出力する(コマンド送出手段)。また、この払出制御プログラムは、本体枠開放スイッチ619からの本体枠開放検出信号が入力されると、本体枠開放コマンド(第1の本体枠開放コマンド)を送信する(本体枠コマンド送出手段、第1の本体枠コマンド送出手段、第1の特定枠コマンド送出手段)。一方、この払出制御プログラムは、本体枠開放スイッチ619からの本体枠閉鎖検出信号が入力されると、本体枠閉鎖コマンド(第1の本体枠閉鎖コマンド)を送信する(本体枠コマンド送出手段、第1の本体枠コマンド送出手段)。また、この払出制御プログラムは、扉枠開放スイッチ618からの扉枠開放検出信号が入力されると、扉枠開放コマンド(第1の扉枠開放コマンド)を送信する(扉枠コマンド送出手段、第1の扉枠コマンド送出手段、第1の特定枠コマンド送出手段)。一方、この払出制御プログラムは、扉枠開放スイッチ618からの扉枠閉鎖検出信号が入力されると、扉枠閉鎖コマンド(第1の扉枠閉鎖コマンド)を送信する(扉枠コマンド送出手段、第1の扉枠コマンド送出手段、第1の特定枠コマンド送出手段)。また、この払出制御プログラムは、上述したコマンド送信処理(ステップS566)において、上述した状態情報記憶領域からエラー内容を含むエラー情報を読み出し、他のパチンコ遊技機と自らを識別するための台番号情報及び当該エラー情報に基づくエラー情報信号を外部端子板784を経由してホールコンピュータに出力する。なお、ホールコンピュータは、このエラー情報信号を受け取ると、ホール店員が所持する無線装置に、上記台番号情報及びエラー情報を提供し、このホール店員が、この台番号情報に基づく台番号のパチンコ遊技機において、エラー情報に含まれるエラー内容が発生していることを認識可能とすることができる。
ステップS566に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Cをセットする(ステップS568)。ステップS568でウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLには、ステップS546においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS568に続いて、再びステップS539に戻り、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Aをセットし、ステップS540で停電予告信号(払出停電予告信号)が入力されているか否かを判定し、この停電予告信号(払出停電予告信号)の入力がなければ、ステップS542で2ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この2ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり2ms経過したときには、ステップS544で2ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS546でウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Bをセットし、ステップS548でポート出力処理を行い、ステップS550でポート入力処理を行い、ステップS552でタイマ更新処理を行い、ステップS554でCR通信処理を行い、ステップS556で満タン及び球切れチェック処理を行い、ステップS558でコマンド受信処理を行い、ステップS560でコマンド解析処理を行い、ステップS562で主要動作設定処理を行い、ステップS564でLED表示データ作成処理を行い、ステップS566でコマンド送信処理を行い、ステップS568でウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Cをセットし、ステップS539〜ステップS568を繰り返し行う。なお、このステップS539〜ステップS568の処理を「払出制御部メイン処理」という。
主制御基板4100による遊技の進行に応じて払出制御部メイン処理の処理内容が異なってくる。このため、払出制御MPU4110aの処理に要する時間が変動することとなる。そこで、払出制御MPU4110aは、ステップS548のポート出力処理において、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝える払主ACK信号を、優先して主制御基板4100に出力している。これにより、払出制御MPU4110aは、変動する他の処理を十分に行えるよう、その処理時間を確保している。
一方、ステップS540で停電予告信号(払出停電予告信号)の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS570)。この設定により後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われなくなり、払出制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した払出情報の書き換えを保護している。
ステップS570に続いて、払出制御プログラムは、払出モータ839への駆動信号の出力を停止する(ステップS574)。これにより、遊技球の払い出しを停止する。
ステップS574に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS60)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS576に続いて、払出制御プログラムは、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS578)。このチェックサムは、ステップS524で算出したチェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、払出制御内蔵RAMの作業領域の払出情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS578に続いて、払出制御プログラムは、払出バックアップフラグHBK−FLGに値1をセットする(ステップS580)。これにより、払出バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS580に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS582)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が保護される。
ステップS582に続いて、払出制御プログラムは、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、払出制御MPU4110aにリセットがかかり、その後、払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aの制御の下、この払出制御部電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS570〜ステップS582の処理及び無限ループを「払出制御部電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(払出制御MPU4110a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により払出制御部電源投入時処理を行う。
なお、ステップS526では払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS528では払出制御部電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報を2重にチェックすることにより払出バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[12−2.払出制御部タイマ割り込み処理]
次に、払出制御部タイマ割り込み処理について説明する。この払出制御部タイマ割り込み処理は、図75〜図77に示した払出制御部電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、2ms)ごとに繰り返し行われる。
払出制御部タイマ割り込み処理が開始されると、払出制御基板4110の払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図78に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS590)。ここでは、上述した払出制御部メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを払出制御部タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS590に続いて、払出制御プログラムは、2ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS592)。この2ms経過フラグHT−FLGは、この払出制御部タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり2msごとに2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS592に続いて、払出制御プログラムは、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS594)。この復帰は、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタから汎用記憶素子(汎用レジスタ)に切り替える。この汎用レジスタを払出制御部メイン処理で使用することにより補助レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS594に続いて、払出制御プログラムは、割り込み許可の設定を行い(ステップS596)、このルーチンを終了する。
[12−3.回転角スイッチ履歴作成処理]
次に、回転角スイッチ履歴作成処理について説明する。この回転角スイッチ履歴作成処理では、図17に示した回転角スイッチ847からの検出信号の履歴を作成する。
回転角スイッチ履歴作成処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図79に示すように、払出制御内蔵RAMから回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS610)。この回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTは、1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、回転角スイッチ847からの検出信号の履歴を回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTとして払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域に記憶されている。ステップS610では、この回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出している。
ステップS610に続いて、払出制御プログラムは、回転角スイッチ847からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS612)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理において回転角スイッチ847からの検出信号に基づいて行われる。具体的には、その検出信号は、入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS612では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して回転角スイッチ847からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に回転角スイッチ847からの検出信号があるときには、払出制御プログラムは、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体の回転位置を把握する検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、入力情報に回転角スイッチ847からの検出信号がないときには、払出制御プログラムは、検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS612で検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であるときには、払出制御プログラムは、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS614)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS610で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS614に続いて、払出制御プログラムは、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値1をセットし(ステップS616)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS612で検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるときには、払出制御プログラムは、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS618)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、払出制御プログラムは、ステップS614の回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理と同一の処理を行い、ステップS610で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS618に続いて、払出制御プログラムは、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値0をセットし(ステップS620)、このルーチンを終了する。
このように、この回転角スイッチ履歴作成処理が行われるごとに、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態又は検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態に応じて最下位ビットB0に値1又は値0がセットされるため、回転角スイッチ847からの検出信号の履歴を作成することができる。
[12−4.スプロケット定位置判定スキップ処理]
次に、スプロケット定位置判定スキップ処理について説明する。このスプロケット定位置判定スキップ処理は、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体が定位置にあるか否かの判定を、所定の条件が成立しているときにスキップする。なお、払出回転体の定位置判定は、賞球装置740による遊技球の払い出しが終了した際に行われるようにもなっている。これにより、球がみが発生していない状態で払出モータ839の回転軸の回転を確実に開始することができる。
スプロケット定位置判定スキップ処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図80に示すように、定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS630)。この定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出回転体の定位置判定を行うか否かを示すフラグであり、払出回転体の定位置判定を行わないとき(スキップするとき)値1、払出回転体の定位置判定を行うとき(スキップしないとき)値0にそれぞれ設定される。
ステップS630で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるとき(スキップしないとき)、つまり払出回転体の定位置判定を行うときには、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出し(ステップS632)、定位置判定値と一致しているか否かを判定する(ステップS634)。この定位置判定値は、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS634の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ここで、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回のタイマ割り込み周期で続けて、上述した、検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であることを意味している。この4回のタイマ割り込み周期の発生では、図17に示した払出モータ839が4ステップ回転している。払出モータ839の回転は、第1ギア、第2ギア、第3ギアを介して回転検出盤の払出回転体の回転となる。これらの第1ギア、第2ギア、第3ギアには遊び(バックラッシュ)があるため、払出回転体が時計方向又は反時計方向に回転することとなるものの、このバックラッシュによる払出回転体の回転は、払出モータ839の約2ステップの回転に相当する程度となるように設計されているため、本実施形態では、払出回転体の定位置判定を行う場合には、回転角スイッチ847からの検出信号の履歴、図79で示した回転角スイッチ履歴作成処理で回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを作成し、作成した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0、つまり最新の4回のタイマ割り込み周期の発生による回転角スイッチ847からの検出信号に基づいて行っている。これにより、4回のタイマ割り込み周期では、払出モータ839が4ステップ回転しているため、バックラッシュによる払出回転体の回転より多く回転しており、バックラッシュによる払出回転体の回転を吸収することができる。従って、バックラッシュによる払出回転体の定位置の誤検出を防ぐことができるため、払出回転体の回転位置を払出モータ839の回転位置で正しく管理することができる。なお、本実施形態では、4回のタイマ割り込み周期は8ms(=2ms×4回)であり、バックラッシュ吸収時間として設定されている。
ステップS634で、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムは、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに値1をセットする(ステップS636)。これにより、払出回転体の定位置判定を行わない(スキップする)ように設定することができる。なお、払出制御MPU4110aは、ステップS636における払出回転体の回転位置を払出回転体の定位置に設定する。
ステップS636に続いて、払出制御プログラムは、スキップ判定時間を有効に設定し(ステップS638)、このルーチンを終了する。ここで、検出スリットは、払出回転体の凹部と同じ数の3個であり、回転検出盤の外周に等分(120度ごと)に形成されている。また、払出モータ839の回転は、上述したように、第1ギア、第2ギア、第3ギアを介して回転検出盤の払出回転体の回転となる。本実施形態では、回転検出盤(払出回転体)の各検出スリット間(120度)の回転は、払出モータ839の18ステップの回転に相当するように設計されている。
払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aの制御の下、払出回転体の回転位置を払出モータ839のステップ数に基づいて管理している。具体的には、(1)検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移し出す過渡状態(「エッジ検出状態」という。)と、(2)検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態(「定位置確定状態」という。)と、(3)検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態(「定位置判定スキップ状態」)と、の3つの状態で管理している。(1)のエッジ検出状態では払出モータ839の1ステップの回転に相当し、(2)の定位置確定状態では払出モータ839の4ステップの回転に相当し、(3)の定位置判定スキップ状態では払出モータ839の13ステップの回転に相当し、計18ステップの回転で回転検出盤の各検出スリット間(120度)の回転位置、つまり払出回転体の回転位置を管理している。
(3)の定位置判定スキップ状態では、検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるため、スキップ判定時間は、払出モータ839の13ステップ回転する時間が設定されている。上述したように、タイマ割り込み周期が2msに設定されているので、スキップ判定時間が26ms(=2ms×13ステップ)となる。
ステップS638でスキップ判定時間が有効になることによって、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理でスキップ判定時間の減算が行われる。なお、払出制御MPU4110aは、スキップ判定時間を減算し、その減算結果が値0になると、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに初期値0をセットする。
一方、ステップS630で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0でない(値1である)とき(スキップするとき)、つまり払出回転体の定位置判定を行わないときには、又はステップS634で、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS636でセットされた定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出制御MPU4110aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
パチンコ島設備から供給された遊技球は、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留され、賞球装置740の供給通路に取り込まれ、賞球装置740に導かれる。遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生する。このため、賞球装置740はノイズの影響を受けやすり環境下にある。図3に示した賞球装置740の回転角スイッチ基板753には、回転角スイッチ847が設けられており、この回転角スイッチ847からの検出信号は遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。また、払出制御基板4110と、図3に示した賞球装置740内の賞球ケース内基板754と、の基板間を接続する配線(ハーネス)も遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
そこで、本実施形態では、ノイズの影響による誤検出を抑制するために、上述した(3)の定位置判定スキップ状態、つまり検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態では、払出回転体の定位置判定を行わないようにしている。これにより、払出回転体の定位置判定の精度を高めている。なお、払出回転体の定位置を検出するために必要な周期や期間は、上述したように、予め計算によって求めることができるため、スキップ判定時間を簡単に設定及び調整するこができる。
[12−5.球がみ判定処理]
次に、球がみ判定処理について説明する。この球がみ判定処理は、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを判定する。
球がみ判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110の払出制御MPU4110aは、図81に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS640)。
ステップS640に続いて、払出制御プログラムは、上述した回転角スイッチ847からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS642)。この判定は、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS642の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS642で、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムは、検出スリットが回転角スイッチ847の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態、つまり払出回転体が回転している状態であり、球がみ状態が生じていないとして、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS642で、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、球がみ中フラグPBE−FLGに値1をセットする(ステップS644)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ839が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS644に続いて、払出制御プログラムは、球がみ判定時間を有効に設定し(ステップS646)、このルーチンを終了する。この球がみ判定時間が有効になることによって、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で球がみ判定時間の減算が行われる。
[12−6.各種賞球ストック数加算処理]
次に、各種賞球ストック数加算処理について説明する。この各種賞球ストック数加算処理には、賞球用賞球ストック数加算処理と貸球用賞球ストック数加算処理とがあり、賞球用賞球ストック数加算処理は主制御基板4100からの後述する賞球コマンドに基づいて払い出す球数を加算する処理であり、貸球用賞球ストック数加算処理はCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて払い出す球数を加算する処理である。まず、賞球用賞球ストック数加算処理について説明し、続いて貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。なお、本実施形態では、賞球用賞球ストック数加算処理が優先的に行われるように設定されており、この賞球用賞球ストック数加算処理で加算された賞球ストック数に応じた遊技球が賞球装置740で払い出されたあと、貸球用賞球ストック数加算処理を行うように設定されている。
[12−6−1.賞球用賞球ストック数加算処理]
賞球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図82に示すように、賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS650)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS560のコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、その解析したコマンドは受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶されている。ステップS650では、払出制御プログラムが、この受信コマンド情報記憶領域から受信コマンド情報を読み出して賞球コマンドであるか否かの判定を行う。
ステップS650で受信コマンド情報が賞球コマンドでないときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS650で受信コマンド情報が賞球コマンドであるときには、払出制御プログラムは、この賞球コマンドに対応する賞球数PBVを、賞球数情報テーブルから読み出す(ステップS652)。この賞球数情報テーブルは、その詳細な説明を後述するが、賞球コマンドと賞球数PBVとを対応付けて払出内蔵ROMに予め記憶されている情報テーブルである。
ステップS652に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS654)。この賞球ストック数PBSは、賞球装置740で遊技球を未だ払い出していない数、つまり未払い出しの球数を表しており、本実施形態では、2バイト(16ビット)の記憶容量を有している。これにより、賞球ストック数PBSは、値0〜値32767個までの未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。なお、賞球ストック数PBSは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS652では、この賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出している。
払出制御プログラムは、ステップS654で読み出した賞球ストック数PBSにステップS652で読み出した賞球数PBVを加算し(ステップS656)、このルーチンを終了する。なお、ステップS656で加算したあと、ステップS650で読み出した賞球コマンドを受信コマンド情報記憶領域から消去する。
[12−6−2.貸球用賞球ストック数加算処理]
次に、貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。この貸球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図83に示すように、貸球要求信号があるか否かを判定する(ステップS660)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理でCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて行われる。具体的には、その貸球要求信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS660では、払出制御プログラムは、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して貸球要求信号があるか否かの判定を行う。
ステップS660で貸球要求信号がないときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS660で貸球要求信号があるときには、払出制御プログラムは、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS662)、この賞球ストック数PBSに貸球数RBVを加算し(ステップS664)、このルーチンを終了する。貸球数RBVは固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、貸球数RBVとして値25が設定されている。なお、ステップS664で加算したあと、払出制御プログラムは、ステップS660で読み出した貸球要求信号を入力情報記憶領域から消去する。また、本実施形態では、賞球を優先している(賞球と貸球とを区別して管理している)ため、貸球要求信号があるときであっても、貸球要求信号を保持し、賞球の払い出しの完了をもって貸球の払い出しを行う。従って、本実施形態では、賞球ストック数PBSが値0になってから貸球の払い出しを行うようになっている。
[12−7.ストック監視処理]
次に、ストック監視処理について説明する。このストック監視処理は、遊技者が遊技中に、図1に示したファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンにした状態(ストックした状態)で遊技を続けていないか監視する処理である。
ストック監視処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図84に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS670)、読み出した賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS672)。注意的しきい値THは、固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、注意的しきい値THとして値50が設定されている。
ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるときには、払出制御プログラムは、注意フラグCA−FLGに値1をセットし(ステップS674)、このルーチンを終了する。この注意フラグCA−FLGは、遊技者がファールカバーユニット540の収容空間に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が注意的しきい値TH以上に達している旨を示すフラグであり、注意的しきい値TH以上に達しているとき値1、注意的しきい値TH以上に達していないとき値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH未満であるときには、払出制御プログラムは、注意フラグCA−FLGに値0をセットし(ステップS676)、このルーチンを終了する。
遊技状態が大当りとなり、遊技者がリラックスして図19に示した遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246で繰り広げられる演出に見入ったりしていると、遊技者は、うっかりして1ラウンドの間、賞球として払い出された遊技球を、図7に示した、下皿302から下皿球抜きボタン354を操作して抜かないことがある。この状態で遊技を続けると、下皿302が遊技球で満タンとなり、そしてファールカバーユニット540の収容空間に遊技球が溜まり出す。ファールカバーユニット540の収容空間が遊技球で満タンになると、上述したように、賞球ストック数PBSの値が増加して注意的しきい値TH以上となり、注意演出として扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが点滅する。この点滅によって、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えることができる。これにより、ホールの店員は遊技者に下皿302から遊技球を抜く旨を伝えることができ、遊技者は下皿302(ファールカバーユニット540の収容空間)に遊技球を満タンにした状態で遊技を継続することを防止することができる。
なお、本実施形態では、注意的しきい値THは、1バイト(8ビット)で表せる上限値255の約5分の1に相当する値50に設定されている。これにより、ホールの店員に対してできるだけ早い段階で遊技者の遊技に注意を促す旨を伝えることができるようになっている。
[12−8.払出球がみ動作判定設定処理]
次に、払出球がみ動作判定設定処理について説明する。この払出球がみ動作判定設定処理は、払出モータ839で遊技球を、図7に示した、上皿301や下皿302に払い出すか、球がみ動作を行うか、又はこのような払い出しや排出等を行わないか、いずれかに設定する処理である。
払出球がみ動作判定設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図85に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS680)。
ステップS680に続いて、払出制御プログラムは、図17に示した回転角スイッチ847からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS682)。この判定は、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS682の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS682で、払出制御プログラムは、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS684)。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、後述するリトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定される。
ステップS682で、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、又は、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1でない(値0である)とき、つまりリトライ動作が異常動作していないときには、払出制御プログラムは、球がみ中フラグPBE−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS686)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ839が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS686で球がみ中フラグPEB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり球がみ動作を行っていないときには、払出制御プログラムは、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS688)、読み出した賞球ストック数PBSが値0より大きいか否かを判定する(ステップS690)。この判定では、払出モータ839による遊技球の払い出しにおいて未払い出しの球数があるか否かが判定されている。
ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きいとき、つまり未払い出しの球数があるときには、払出制御プログラムは、ファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する(ステップS692)。この判定では、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS556の満タン及び球切れチェック処理で記憶された満タン情報に基づいて行われる。具体的には、満タン情報は上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されている。ステップS692では、この状態情報記憶領域から満タン情報を読み出してファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する。
ステップS692でファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンでないときには、払出制御プログラムが後述する払出設定処理を行い(ステップS694)、このルーチンを終了する。この払出設定処理では、上皿301や下皿302に遊技球を払い出す払出動作を行う。
一方、ステップS692でファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンであるときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。本実施形態のパチンコ遊技機1では、ファールカバーユニット540の収容空間が貯留された遊技球で満タンになると、払出モータ839を強制停止する。この払出モータ839が強制停止中に賞球が発生すると、払出モータ839による未払い出しの球数が増え、図82に示した賞球用賞球ストック数加算処理によって賞球ストック数PBSが加算されて増加することとなる。
一方、ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きくない(値0である)とき、つまり未払い出しの球数がないときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。これにより、遊技球の払い出しを行わない。
一方、ステップS686で球がみ中フラグPBE−FLGが値1、つまり球がみ動作を行っているときには、払出制御プログラムが、後述する球がみ動作設定処理を行い(ステップS700)、このルーチンを終了する。この球がみ動作設定処理では、賞球装置740の払出回転体による球がみ状態を解消する球がみ動作を行う。
一方、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、払出制御プログラムは、払出モータ839への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS702)。この設定では、払出モータ839に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS702に続いて、払出制御プログラムは、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定し(ステップS704)、このルーチンを終了する。ステップS704では、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図77の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御部4110の払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図77の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出してこの読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理が維持されたEXS信号を、払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
[12−8−1.払出設定処理]
次に、払出設定処理について説明する。この払出設定処理では、払出モータ839を駆動して遊技球を払い出す設定を行う処理である。
払出設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図86に示すように、払出制御内蔵RAMから駆動指令数DRVを読み出す(ステップS710)。この駆動指令数DRVは、払出モータ839で払い出す遊技球の球数を指令するものであり、賞球ストック数PBSと同値である。なお、駆動指令数DRVは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS710では、この賞球情報記憶領域から駆動指令数DRVを読み出している。
ステップS710に続いて、払出制御プログラムは、駆動指令数DRVが値0であるか否かを判定する(ステップS712)。この判定は、払出モータ839で払い出す遊技球の球数が残っているか否かを駆動指令数DRVに基づいて判定される。
ステップS712で駆動指令数DRVが値0であるとき、つまり払出モータ839で払い出す遊技球の球数がゼロ個であるときには、払出制御プログラムは、払出モータ839への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS714)。この設定では、払出モータ839に駆動信号を停止する駆動情報が設定されて、上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
ステップS714に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS716)、実球計数PBを読み出す(ステップS718)。この実球計数PBは、払出モータ839が実際に払い出した遊技球の球数をカウントしたものである。このカウントは、その詳細な説明を後述するが、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で図17に示した計数スイッチ838からの検出信号に基づいて行う。なお、実球計数PBは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS718では、この賞球情報記憶領域から実球計数PBを読み出している。
ステップS718に続いて、払出制御プログラムは、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSからステップS718で読み出した実球計数PBを引いた値を、賞球ストック数PBS及び駆動指令数DRVにセットし(ステップS720)、実球計数PBに値0をセットし(ステップS722)、このルーチンを終了する。なお、駆動指令数DRV及び実球計数PBが値0であるときには、ステップS722では、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSの値がそのまま駆動指令数DRVにセットされる。
一方、ステップS712で駆動指令数DRVが値0でないとき、つまり払出モータ839で払い出す遊技球の球数があるときには、払出制御プログラムは、払出モータ839への駆動信号の出力を設定する。(ステップS724)。この設定では、払出モータ839に駆動信号を停止する駆動情報が設定されて払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
ステップS724に続いて、払出制御プログラムは、駆動指令数DRVから値1だけ引き(デクリメントし、ステップS726)、計数スイッチ838からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS728)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理において計数スイッチ838からの検出信号に基づいて行われる。具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS728では、払出制御プログラムが、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ838からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS728で計数スイッチ838からの検出信号があるときには、払出制御プログラムが、実球計数PBに値1だけ足し(インクリメントし、ステップS730)、このルーチンを終了する。ステップS730で実球計数PBをインクリメントすることで実球計数PBをカウントアップすることとなる。
一方、ステップS728で計数スイッチ838からの検出信号がないときには、払出制御プログラムが、そのままこのルーチンを終了する。このように、払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aの制御の下、ステップS726で駆動指令数DRVをデクリメントする場合であって、ステップS728の判定で計数スイッチ838からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしない場合には、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に遊技球が受け止められていなかったために遊技球を1球が払い出すことができなかったと判断する。そこで、払出制御プログラムは、その払い出されるはずの1球をもう一度払い出すために、上述したステップS720で、賞球ストック数PBSから実球計数PBを引いた値を駆動指令数DRVにセットする。これにより、ステップS728の判定で計数スイッチ838からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしないときには、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSに含めることができ、換言すれば、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSにまるめ込むことができるため、その払い出されるはずの1球を再び払い出すリトライ動作を行うことができる。このリトライ動作を行うことによって、遊技者への遊技球の未払い出しが生ずるおそれを極めて小さくすることができ、遊技球の未払い出しによる遊技者の不利益を防止することができる。
[12−8−2.球がみ動作設定処理]
次に、球がみ動作設定処理について説明する。この球がみ動作設定処理では、賞球装置740の払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態を解消する設定を行う処理である。
球がみ動作設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図87に示すように、球がみ判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS750)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で減算された球がみ判定時間に基づいて行われる。具体的には、その球がみ判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS750では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球がみ判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS750で球がみ判定時間が経過していないときには、払出制御プログラムは、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS752)。
ステップS752に続いて、払出制御プログラムは、上述した回転角スイッチ847からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS754)。この判定は、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かが判定される。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS754の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、払出制御プログラムは、球がみ動作を行うよう払出モータ839への駆動信号の出力を設定し(ステップS756)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ839に駆動信号を出力する駆動情報が設定されて上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
一方、ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムは、払出モータ839への駆動信号の停止を設定する(ステップS758)。この設定では、払出モータ839に駆動信号を停止する駆動情報が設定されて払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
ステップS758に続いて、払出制御プログラムは、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS760)、このルーチンを終了する。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ839が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき(球がみ動作の終了)値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS750で球がみ判定時間が経過したときには、払出制御プログラムは、払出モータ839への駆動信号の停止を設定する(ステップS762)。この設定では、払出モータ839に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS762に続いて、払出制御プログラムは、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定する(ステップS764)。ここでは、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御MPU4110aは、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図77の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御部4110の払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図77の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出してこの読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理が維持されたEXS信号を、払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、上述したように、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
ステップS764に続いて、払出制御プログラムは、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS766)、このルーチンを終了する。
[12−9.リトライ動作監視処理]
次に、リトライ動作監視処理について説明する。このリトライ動作監視処理では、払い出されるはずの遊技球を再び払い出すリトライ動作が正常に行われているか否かを監視する処理である。
リトライ動作監視処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図88に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS770)。
ステップS770に続いて、払出制御プログラムは、上述した回転角スイッチ847からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS772)。この判定は、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出制御内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS772の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS772において、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムは、不整合カウンタINCCに値1だけ足す(インクリメントする、ステップS774)。この不整合カウンタINCCは、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタであり、通常、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。払出制御プログラムは、図86に示した払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ838で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。なお、不整合カウンタINCCは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS774では、払出制御プログラムは、この賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCをインクリメントしている。
ステップS774に続いて、又はステップS772で、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、払出制御プログラムは、計数スイッチ838からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS776)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で計数スイッチ838からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は、上述したように、入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS776では、払出制御プログラムが、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ838からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS776で計数スイッチ838からの検出信号があるときには、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCから値1だけ引く(デクリメントし、ステップS778)。
ステップS778に続いて、又はステップS776で計数スイッチ838からの検出信号がないときには、払出制御プログラムは、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かの判定する(ステップS780)。パチンコ遊技機1では、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率が数百万分の1程度であることが実験によって得られており、本実施形態では、不整合しきい値INCTHとして値5が設定されている。
図77の払出制御部電源投入時処理におけるステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において、上述したように、復電時に、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに基づいてこのリトライ動作監視処理に使用する情報が設定される。この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における不整合カウンタINCC等の値に復元することができるようになっている。これにより、ステップS780の判定では、瞬停又は停電する直前まで行っていた、賞球装置740による遊技球の払出動作(リトライ動作)の監視を、復電時から継続することができるようになっている。このため、例えば、瞬停又は停電する直前において、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、リトライ動作が正常動作していると判断し、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が正常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で賞球装置740による遊技球の払出動作が正常状態であると判断することができる。一方、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断し、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断することができる。
ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、払出制御プログラムは、「リトライエラー」である旨を報知するために、払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器953に数字「5」を表示するリトライエラー情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する(ステップS782)。一方、「賞球ストック中」である旨を報知する場合には、払出制御プログラムは、エラーLED表示器953に数字「9」を表示する賞球ストック中情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する(ステップS782)。
ステップS782に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットする(ステップS784)。ステップS784では、不整合カウンタINCCは、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、この内的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。なお、不整合カウンタINCCは、電源投入時において操作スイッチ952がRAMクリアするために操作されると、この外的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。操作スイッチ952が電源投入時に操作されると、上述したように、その操作に対応した操作信号がRAMクリア信号として図16に示した主制御基板4100の主制御MPU4100aに入力される。上述した主制御プログラムは、主制御MPU4100aの制御の下、上述したように、主制御内蔵RAMに記憶されている各種情報をすべて消去し、RAMクリア報知コマンドを、図16に示した周辺制御基板4140に出力する。これにより、図5に示した本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び図2に示した扉枠5に設けたスピーカからRAMクリア報知音が流れるようになっている。
ステップS784に続いて、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットし(ステップS786)、このルーチンを終了する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定される。
なお、払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aの制御の下、ステップS782で払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域にセット(記憶)したリトライエラー情報(或いは賞球ストック中情報)を、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理でリトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信し、同処理におけるステップS564のLED表示データ作成処理でエラーLED表示器953に表示する表示データを作成してLED表示情報として出力情報記憶領域に記憶し、同処理におけるステップS548のポート出力処理で出力情報記憶領域に記憶されたLED表示情報に基づいてエラーLED表示器953に駆動信号を出力し、このエラーLED表示器953に数字「5」を表示する。状態コマンドを受信した主制御基板4100では、主制御プログラムが、図74に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で周辺制御基板4140に送信する。この周辺制御基板4140は、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させる、点灯信号を出力する扉枠側点灯点滅コマンドを図19に示した枠装飾駆動アンプ基板194に出力し、複数のLEDを所定の色で発光させる。この複数のLEDの発光に気付いたホールの店員等は、上述したように、本体枠4を外枠2に対して開放することで払出制御基板4110に実装されたエラーLED表示器953に数字「5」が表示されることを目視することによって「リトライエラー」が発生していることを確認することができる。これにより、ホールの店員等は、その発生原因を調べるために、計数スイッチ838の不具合や、計数スイッチ838からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等の確認作業を、複数のLEDの発光とエラーLED表示器953の表示内容とが報知されない場合と比べると、極めて早く行うことができる。
また、計数スイッチ838を意図的に非作動状態とすることによって、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球を検出困難として上述したリトライ動作を強制的に発生させて、このリトライ動作によって払い出される遊技球を不正に獲得する不正行為が行われたとしても、上述した不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となると、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが発光するため、ホールの店員等がパチンコ遊技機1の状態を確認するために駆け付けることとなる。そうすると、不正行為を行う遊技者は、その行為が発見されないように中断せざるを得なくなり、不正行為による不正な遊技球を継続して獲得することができない。不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHと一致しても、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数は不整合しきい値INCTHと同一となるため、つまり5球であるため、計数スイッチ838を意図的に非作動状態とする行為によるホールの損害を極めて小さく抑えることができる。
さらに、不整合カウンタINCCは、上述したように、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となったという内的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。これにより、不整合カウンタINCCは、例えば、エラー解除するために操作スイッチ952を操作したという外的要因が発生したことを契機として初期化されないようになっている。従って、操作スイッチ952等を不正に改造して、その操作信号が払出制御MPU4110aに入力されるようにしても、このような不正行為によって、不整合カウンタINCCが強制的に初期化されることがない。
[12−10.不整合カウンタリセット判定処理]
次に、不整合カウンタリセット処理について説明する。この不整合カウンタリセット処理では、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、の差を算出する不整合カウンタINCCを、リセットするか否かを判定する処理である。
不整合カウンタリセット判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図89に示すように、不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS790)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で更新された不整合カウンタリセット判定時間に基づいて行われる。具体的には、その不整合カウンタリセット判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS790では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過していないときには、払出制御プログラムが、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過したときには、払出制御プログラムが不整合カウンタリセット判定時間の初期化を行う(ステップS792)。この初期化によって、不整合カウンタリセット判定時間に初期値である7000s(約2時間)がセットされる。
ステップS792に続いて、払出制御プログラムは、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットし(ステップS794)、このルーチンを終了する。不整合カウンタINCCは、上述したように、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタであり、通常、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aの制御によって、図86に示した払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ838で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。本発明のパチンコ遊技機1では、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率が数百万分の1程度であることが実験によって得られている。
ここで、パチンコ遊技機1は、上述したように、遊技盤5と、遊技盤5が装着される本体枠4等の枠体と、からなり、遊技盤5を交換(新台入替)することにより遊技仕様を変更できるように構成されているため、賞球装置740を制御する払出制御基板4110、賞球装置740の駆動電源や払出制御基板4110の制御電源を生成する電源基板851は、共通の機能として枠体側に装備されている。払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、上述したように、不整合カウンタINCCを監視することによって、リトライ動作を繰り返し行っているか否かの異常動作を判定することができるようになっており、図77に示した払出制御部電源投入時処理における払出制御部電源断時処理では電源遮断時に遮断直前の不整合カウンタINCCを記憶する一方、図76に示した払出制御部電源投入時処理におけるステップS530の処理(RAM作業領域の復電時設定)では電源投入時にその記憶した不整合カウンタINCCから再び処理を開始するようになっている。
そうすると、電源を遮断してパチンコ遊技機1に装着されている遊技盤5から、この遊技盤5と異なる他の遊技仕様の遊技盤5’に交換して電源を投入する場合には、払出制御基板4110における払出制御部4110の払出制御MPU4110aは、遊技盤5がパチンコ遊技機1に装着されたときに記憶された不整合カウンタINCCから再び処理を開始することとなる。つまり、遊技盤5’が装着されたパチンコ遊技機1を遊技者が遊技すると、交換前の遊技盤5が装着されたパチンコ遊技機1における不整合カウンタINCCをそのまま受け継ぐこととなる。このため、遊技盤5’が装着されたパチンコ遊技機1を遊技者が遊技して、たまたま数百万分の1という確率で、つじつまの合わない遊技球の球数が生じて不整合カウンタINCCが増加し、この不整合カウンタINCCが上述した不整合しき値INCTH以上となると、遊技盤5から遊技盤5’に交換して短い期間で、払出制御MPU4110aによって、リトライ動作の異常動作として判定されるおそれがある。つまり、遊技盤5から遊技盤5’に交換されてから間もない期間で、計数スイッチ838の不具合や、計数スイッチ838からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていないにもかかわらず、突然、リトライ動作の異常動作として判定されるおそれがある。
このように、遊技盤5から遊技盤5’に交換して短い期間でリトライ動作の異常動作として判定されると、交換された遊技盤5’は新しいにもかかわらず、故障しやすいという印象を遊技者に与えかねない。リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される数百万分の1という確率は、パチンコ遊技機1をホールに設置して、1週間、ホールの営業時間中、連続稼働させた場合における、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率と同一であるため、図88に示したリトライ動作監視処理におけるステップS778の処理で不整合カウンタINCCから数百万分の1の確率で値1だけ引かれない状態となる。そうすると、1週間では不整合カウンタINCCに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値1となり、2週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値2となり、3週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値3となり、4週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値4となり、5週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値5となって上述した不整合しきい値INCTHと一致することとなる。つまり5週間が経過すると、不整合カウンタINCCが不整合しきい値INCTHと一致するために、払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aの制御の下、図88に示したリトライ動作監視処理におけるステップS776の判定で、計数スイッチ838からの検出信号がないものとして判定することとなり、計数スイッチ838の不具合や、計数スイッチ838からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていると判断して、図88に示したリトライ動作監視処理におけるステップS782の処理で、「リトライエラー」である旨を報知するために、払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器953に数字「5」を表示するリトライエラー情報を設定して払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)することとなる。
そこで、払出制御MPU4110aは、この不整合カウンタリセット判定処理におけるステップS790の判定で不整合カウンタリセット判定時間が経過したと判定したときには、つまり7000s(約2時間)ごとに、繰り返し、不整合カウンタリセット判定処理におけるステップS794の処理で不整合カウンタINCCに値0を強制的にセット、つまり強制的にリセットすることによって、上述した数百万分の1という確率で発生する不整合カウンタINCCのインクリメントを無効化している。これにより、計数スイッチ838の不具合や、計数スイッチ838からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていないにもかかわらず、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライエラー情報を払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)することを防止することができる。
なお、計数スイッチ838を意図的に非作動状態とすることによって、払出モータ839の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球を検出困難として上述したリトライ動作を強制的に発生させ、このリトライ動作によって払い出される遊技球を不正に獲得する不正行為が行われても、計数スイッチ838を意図的に短時間繰り返し非作動状態とする場合では、上述したように、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となると、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが発光するため、ホールの店員等がパチンコ遊技機1の状態を確認するために駆け付けることとなる。そうすると、不正行為を行う遊技者は、その行為が発見されないように中断せざるを得なくなり、不正行為による不正な遊技球を継続して獲得することができない。一方、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上とならないよう計数スイッチ838を意図的に長時間繰り返し非作動状態する場合では、7000s(約2時間)ごとに、不整合カウンタINCCがリセットされるものの、この間に、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数は、上述したように、不整合カウンタINCCが不整合しきい値INCTHまでであり、計数スイッチ838を意図的に長時間繰り返し非作動状態としても、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数を極めて少なくすることができる。
[12−11.エラー解除操作判定処理]
次に、エラー解除操作判定処理について説明する。このエラー解除操作判定処理では、図17に示した操作スイッチ952が操作されているか否かを判定する。
エラー解除操作判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4110では、払出制御プログラムが、払出制御MPU4110aの制御の下、図90に示すように、操作スイッチ952がエラー解除するために操作されているか否かを判定する(ステップS800)。この判定は、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で操作スイッチ952からの操作信号に基づいて行われる。具体的には、その操作信号は入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS800では、払出制御プログラムが、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がHIであるときにはエラー解除を行うことを指示するものではないと判断して操作スイッチ952が操作されていないと判定する一方、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がLOWであるときにはエラー解除を行うことを指示するものであると判断して操作スイッチ952が操作されていると判定する。
ステップS800で操作スイッチ952が操作されていないときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS800で操作スイッチ952が操作されているときには、払出制御プログラムは、エラーフラグ状態確認処理を行う(ステップS802)。このエラーフラグ状態判定処理では、賞球装置740に関する各種エラー情報に対応するエラーフラグの状態を確認する。例えば、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGの状態を確認する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、上述したように、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定されるため、払出制御プログラムは、払出制御MPU4110aの制御の下、リトライエラーフラグRTERR−FLGの値が値0であるか、又は値1であるか、を確認している。
ステップS802に続いて、払出制御プログラムが状態情報設定処理を行う(ステップS804)。この状態情報設定処理では、ステップS802で確認したエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグに対応する状態情報を、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する。これにより、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理で、上記状態情報記憶領域から各種情報(状態情報)を読み出し、この読み出した状態情報に基づいて状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信することとなる。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライエラー情報を、払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)すると、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理で、リトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信することとなる。
なお、リトライエラー情報を受信した主制御基板4100は、主制御プログラムが、図74に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で周辺制御基板4140に送信し、周辺制御基板4140では、サブ制御プログラムが、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライ動作エラー報知処理を行う。このリトライ動作エラー報知処理では、「賞球ユニットを確認してください。」、そして「払出制御基板のハーネスを確認してください。」のリトライ動作のエラー報知アナウンスを、所定回数(本実施形態では、2回。)繰り返し図5に示した本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び図2に示した扉枠5に設けたスピーカから流れることによって、ホールの店員等に報知するようになっている。このリトライ動作のエラー報知アナウンスを聞いたホールの店員等は、図17に示した計数スイッチ838の不具合や、計数スイッチ838からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等を、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカからリトライ動作のエラー報知アナウンスが流れない場合と比べると、極めて早く確認することができる。またリトライ動作エラー報知処理では、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させている。
ステップS804に続いて、払出制御プログラムが解除設定処理を行う(ステップS806)。この解除設定処理では、ステップS802で確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグに対応するエラーがすでに払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器953によって表示されている内容を強制的に停止したり、球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、上述したPRDY信号の論理をHI、つまり立ち上げた状態を保持し、払出制御部4110の払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力したりする。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、すでにエラーLED表示器953によって表示されている「リトライエラー」である旨を報知する数字「5」を強制的に停止するために、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されているリトライエラー情報を、「正常」である旨を報知する図形「−」が表示される情報に強制的に上書きする。また、球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
ステップS806に続いて、払出制御プログラムがエラーフラグ初期化処理を行い(ステップS808)、このルーチンを終了する。このエラーフラグ初期化処理では、ステップS802で確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグを初期化する。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値0をセットして初期化する。このとき、上述した、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、このPRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図77の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
このように、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、図88に示したリトライ動作監視処理におけるステップS780の判定で、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、この内的要因が発生したことを契機として同処理のステップS786の処理でリトライエラーフラグRTERR−FLGに値1がセットされる一方、操作スイッチ952が操作されると、これを契機として、つまりこの外的要因が発生したことを契機としてリトライエラーフラグRTERR−FLGに値0がセットされて初期化されるようになっている。なお、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、電源投入時において操作スイッチ952がRAMクリアするために操作されると、これを契機として、つまり操作スイッチ952がエラーを解除するためにRAMクリアするために操作スイッチ952が操作された場合と同様に、この外的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。
以上のようにパチンコ遊技機1は、本来、払出動作に関して発生したエラーを解除するために使用されるはずであった操作スイッチ952(操作スイッチ)を、電源投入時から主制御側メイン処理が実行されるまでの所定時間に亘って、その代わりに、主制御内蔵RAM(遊技記憶部)及び払出制御内蔵RAM(払出記憶部)の初期化を開始させるためのRAMクリア機能を発揮させるための操作部として機能させている。またこのパチンコ遊技機1は、当該所定時間の経過後に、この操作スイッチ952を、遊技球の払出動作に関して発生したエラーを解除するための操作部として機能させている。ここで、ホール店員が仮にパチンコ遊技機の操作に慣れていない者であっても、遊技機の背面における操作スイッチ952の位置さえ覚えていれば、この操作スイッチ952を操作したタイミングに応じて、それが電源投入時から所定時間を経過していれば、遊技球の払出動作に関して発生したエラーを解除する機能を発揮させる一方、操作スイッチ952を操作したタイミングに応じて、それが電源投入時から所定時間内であれば、記憶部を初期化する機能を発揮させることができる。従って、ホール店員は、このような遊技機においてエラーが発生した場合でも、エラー対応時におけるスイッチ操作の効率化が図られてスイッチ操作に迷うことなく適切に対処することができるため、遊技が中断された遊技者が遊技意欲を損なう前に遊技を再開させることができる。
[12−12.CRユニットとの各種信号のやり取り]
次に、図77の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理についてタイミングチャートを用いて説明する。このCR通信処理では、図18に示した、払出制御基板4110とCRユニット6との各種信号のやり取りを行う。まず、球貸しによる払出動作時の信号処理について説明し、続けてCRユニット6からの入力信号確認処理について説明する。ここでは、金額として200円分の遊技球の球数(本実施形態では、50球であり、金額として100円分の25球の払出動作を2回行っている。)を貸球数として、図7に示した、上皿301や下皿302に払い出す場合について説明する。なお、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号は、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの読み出した入力情報に記憶されているものであり、CR通信処理は、割り込みタイマ周期である2msごとに、入力情報からBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号の論理の状態を確認している。
[12−12−1.球貸しによる払出動作時の信号処理]
払出制御基板4110における払出制御部4110の払出制御MPU4110aは、払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報が、貸球を払い出すための払出動作が可能状である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態に設定されている場合には、図91(d)に示すように、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理をHIとして、つまり立ち上げて保持して払出制御部4110の払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH0)。この状態で、例えば遊技者によって図2に示した貸球ユニット360の貸球ボタン361が押圧操作されると、球貸スイッチ365bのスイッチが入る(ONする)ようになっており、この球貸操作信号が図18に示したTDSとして度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力される。このTDSが入力されたCRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図91(a)に示すように、貸球要求信号であるBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4110a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH1)。このBRDYは、BRDY信号として払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。
このBRDY信号が入力された払出制御MPU4110aは、払出制御プログラムが、図91(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HA(本実施形態では、20ミリ秒(ms)〜58msに設定されている。)が経過するまでに、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、1回の払出動作で所定の貸球数(本実施形態では、25球であり、金額として100円に相当する。)を払い出すための1回の払出動作開始要求信号であるBRQが立ち上がるか否かを監視する。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、まず100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図91(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH2)。このBRQは、BRQ信号として払出制御MPU4110aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。
払出制御MPU4110aは、図91(c)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでにBRQ信号が立ち上がると、タイミングH2からBRQ要望了解ACK監視時間HB(本実施形態では、20ms±1msに設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を開始した旨を伝えるために、EXS信号の論理をHIとして、つまり立ち上げた状態を保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH3)。
このEXSが入力されたCRユニット6は、図91(b)に示すように、タイミングH3から貸出指示監視時間HC(本実施形態では、20ms〜58msに設定されている。)が経過するまでに、タイミングH2から立ち上げて保持したBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH4)。
払出制御MPU4110aは、図91(c)に示すように、タイミングH4から払出監視時間HD(本実施形態では、球払出時間に設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を行って所定の貸球数だけ、つまり100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出す。そして払出監視時間HDが経過すると、タイミングH3から立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH5)。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図91(b)に示すように、タイミングH5から次要求確認タイミングHE(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4110a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH6)。
払出制御MPU4110aは、上述した方法を用いて同様に、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すと、図91(c)に示すように、立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH7)。
CRユニット6は、タイミングH7からCRユニット貸出完了監視時間HF(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、図91(a)に示すように、タイミングH1から立ち上げて保持したBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4110a)に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH8)。
上述した、貸出要望監視時間HA、BRQ要望了解ACK監視時間HB、貸出指示監視時間HC、払出監視時間HD、次要求確認タイミングHE、CRユニット貸出完了監視時間HFは、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
なお、払出制御MPU4110aは、球切れ、球がみ、計数スイッチエラー、リトライエラー、満タン等が生じているとき場合には、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)には、図91(d)に示すように、タイミングH1から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH9)。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)には、図示しないが、EXS信号の論理の状態を維持し、払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する。「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
このように、CRユニット6は、払出制御基板4110における払出制御部4110の払出制御MPU4110aと各種信号のやり取りを行い、払出制御MPU4110aが金額として200円分の遊技球の球数を、金額として100円分の25球の払出動作を2回行うことによって、貸球数が50球となる遊技球を上皿301や下皿302に払い出している。なお、CRユニット6の正面側に設けられている、図示しない設定部をホールの店員等が操作して、例えば、金額として100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には、払出制御MPU4110aが金額として100円分の25球の払出動作を1回行い、金額として500円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には、払出制御MPU4110aが金額として100円分の25球の払出動作を5回行い、金額として1000円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には払出制御MPU4110aが金額として100円分の25球の払出動作を10回行うこととなる。
[12−12−2.CRユニットからの入力信号確認処理]
払出制御基板4110における払出制御部4110の払出制御MPU4110aは、上述した貸出要望監視時間HAが経過しても、CRユニット6がBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち上げていない場合や、上述した貸出指示監視時間HCが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げていない場合や、上述した次要求確認タイミングHEが経過しても、CRユニット6がBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち上げていない場合や、上述したCRユニット貸出完了監視時間HFが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げていない場合には、上述した、PRDY及びEXSを用いて、BRQ及びBRDYが正常であるか否かの確認を行う。具体的には、払出制御MPU4110aは、図91(e),(f)に示すように、BRQ及びBRDYが正常でないと判断すると(タイミングJ0)、このタイミングJ0から所定期間JA(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、PRDY信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御部4110の払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、EXS信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ1)。
続いて払出制御MPU4110aは、タイミングJ1から所定期間JB(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ1から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ2)。
続いて払出制御MPU4110aは、タイミングJ2から所定期間JC(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ2から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ3)。
続いて払出制御MPU4110aは、タイミングJ3から所定期間JD(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ3から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ4)。
続いて払出制御MPU4110aは、タイミングJ4から所定期間JE(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ4から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ5)。
続いて払出制御MPU4110aは、タイミングJ5から所定期間JF(本実施形態では、10000ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ5から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御MPU4110aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ6)。
上述した、所定期間JA〜所定期間JFは、図77に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
[13.周辺制御基板の各種制御処理]
次に、図16に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御基板4140の各種処理について、図92〜図96を参照して説明する。図92は周辺制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図93は周辺制御部Vブランク割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図94は周辺制御部1msタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図95は周辺制御部コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図96は周辺制御部停電予告信号割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
周辺制御基板4140は、図19に示したように、周辺制御部4150と液晶及び音制御部4160とから構成されており、ここでは、周辺制御部4150の各種制御処理について説明する。まず、周辺制御部電源投入時処理について説明し、続いて周辺制御部Vブランク割り込み処理、周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、周辺制御部停電予告信号割り込み処理について説明する。なお、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部停電予告信号割り込み処理が最も高く設定され、続いて周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、そして周辺制御部Vブランク割り込み処理という順番に設定されている。
[13−1.周辺制御部の各種制御処理]
[13−1−1.周辺制御部電源投入時処理]
まず、周辺制御部電源投入時処理について、図92を参照して説明する。パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図19に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図92に示すように、周辺制御部電源投入時処理を行う。この周辺制御部電源投入時処理が開始されると、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、初期設定処理を行う(ステップS1000)。この初期設定処理では、演出制御プログラムが、周辺制御MPU4150a自身を初期化する処理と、ホットスタート/コールドスタートの判定処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。周辺制御MPU4150aは、まず自身を初期化する処理を行うが、この周辺制御MPU4150aを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPU4150aを初期化することができる。これにより、周辺制御MPU4150aは、割り込み許可が設定された状態となることによって、例えば、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理において、主制御基板4100から出力される、図69及び図70に示した、遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となる。また、当該周辺制御MPU4150a自身を初期化する処理においては、周辺制御MPU4150aが、音源内蔵VDP4160aにその内蔵VRAMの記憶領域に、例えば「0」を書き込ませることによってその内蔵VRAMを初期化する。
ホットスタート/コールドスタートの判定処理では、図20に示した周辺制御RAM4150cついては、そのバックアップ第1エリア4150cbにおける、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、そのバックアップ第2エリア4150ccにおける、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、この比較した内容が一致しているときには図20に示した周辺制御RAM4150cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)に対してBank1(1fr)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1fr)と、Bank0(1ms)に対してBank1(1ms)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1ms)と、をそれぞれコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御RAM4150cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)に対してそれぞれ値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。
またホットスタート/コールドスタートの判定処理では、周辺制御SRAM4150dについても、そのバックアップ第1エリア4150dbにおける、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較するとともに、そのバックアップ第2エリア4150dcにおける、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較する。この比較した内容が一致しているときには周辺制御SRAM4150d(図20参照)の通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対してBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(SRAM)をコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御SRAM4150dの通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対して値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。このようなホットスタート又はコールドスタートに続いて、周辺制御RAM4150c(図20参照)のバックアップ非管理対象ワークエリア4150cfに対して値0を強制的に書き込んでゼロクリアする。そして周辺制御MPU4150aは、この初期化設定処理を行った後に、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150e(図19参照)と、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
さらに、この周辺制御部電源投入時処理では、タッチパネルモジュール246a(接触入力制御手段)に内蔵されている電源投入時接触感度調整機能が次のように作動する。即ち、この電源投入時接触感度調整機能では、タッチパネルモジュール246a自身が、電源制御部によって電力の供給が開始されたことを契機としてタッチパネル246の接触面における接触感度を調整する(初期接触感度調整手段)。具体的には、まず、タッチパネルコントローラ481のコントロールレジスタ481aには、タッチパネル246の接触面が非接触状態にある場合における静電容量としての接触判定用閾値が記憶されている。タッチパネルコントローラ481は、電源制御部によって電力の供給が開始されたことを契機として、コントロールレジスタ481aに記憶されている接触判定用閾値を予め定められた接触判定用閾値の初期値(以下「初期接触判定用閾値」ともいう)で更新する。
ステップS1000に続いて、演出制御プログラムは現在時刻情報取得処理を行う(ステップS1002)。この現在時刻情報取得処理では、図19に示したRTC制御部4165のRTC41654aのRTC内蔵RAM4165aaから、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して、図20に示した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadに、現在のカレンダー情報としてカレンダー情報記憶部にセットするとともに、現在の時刻情報として時刻情報記憶部にセットする。また、現在時刻情報取得処理では、液晶表示装置の輝度設定処理も行う。この液晶表示装置の輝度設定処理では、周辺制御MPU4150aがRTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから輝度設定情報を取得して、この取得した輝度設定情報に含まれるLEDの輝度となるように、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する処理を行う。輝度設定情報は、上述したように、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれているものである。
液晶表示装置の輝度設定処理では、具体的には、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaに記憶されている輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaに記憶されている輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が80%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。なお、この液晶表示装置の輝度設定処理では、上述した、遊技盤側液晶表示装置1900の使用時間に応じて遊技盤側液晶表示装置1900の輝度を補正するための輝度補正プログラムと同様な補正が全く行われないようになっている。これは、この液晶表示装置の輝度設定処理に輝度補正プログラムと同様な補正プログラムが組み込まれることにより、液晶表示装置の輝度設定処理が実行されるごとに、LEDの輝度が100%に向かって補正されるのを防止するためである。
本実施形態では、周辺制御MPU4150aがRTC4165aのRTC内蔵RAM4165aaからカレンダー情報と時刻情報とを取得するのは、電源投入時の1回のみとなっている。また周辺制御MPU4150aは、この現在時刻情報取得処理を行った後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1002に続いて、演出制御プログラムは、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットする(ステップS1006)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、後述する周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。Vブランク信号検出フラグVB−FLGは、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされるようになっている。このステップS1006では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットすることによりVブランク信号検出フラグVB−FLGを一度初期化している。また周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットした後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1006に続いて、演出制御プログラムは、Vブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS1008)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1でない(値0である)ときには、再びステップS1008に戻ってVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを繰り返し判定する。このような判定を繰り返すことにより、周辺制御部定常処理を実行するまで待機する状態となる。また周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定した後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行するときには、まず定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットする(ステップS1009)。この定常処理中フラグSP−FLGは、周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1009に続いて、演出制御プログラムは1ms割り込みタイマ起動処理を行う(ステップS1010)。この1ms割り込みタイマ起動処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理を実行するための1ms割り込みタイマを起動するとともに、この1ms割り込みタイマが起動して周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするための1msタイマ割り込み実行回数STNに値1をセットして1msタイマ割り込み実行回数STNの初期化も行う。この1msタイマ割り込み実行回数STNは周辺制御部1msタイマ割り込み処理で更新される。
ステップS1010に続いて、演出制御プログラムは、ランプデータ出力処理を行う(ステップS1012)。このランプデータ出力処理では、演出制御プログラムが図19に示したランプ駆動基板4170へのDMAシリアル連続送信を行う。ここでは、図20に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、図20に示した周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaに、遊技盤5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。
周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの先頭アドレスに格納された遊技盤側発光データSL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaに格納された残りの遊技盤側発光データSL−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またランプデータ出力処理では、演出制御プログラムが、図19に示した枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用して枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信を行う。この枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、図20に示した周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabに、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。
周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因に枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの先頭アドレスに格納された扉側発光データSTL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabに格納された残りの扉側発光データSTL−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1012に続いて、演出制御プログラムは、操作ユニット監視処理を行う(ステップS1014)。この操作ユニット監視処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理における操作ユニット情報取得処理において、図7に示した操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいてダイヤル操作部401の回転(回転方向)及び押圧操作部405の操作等を取得した各種情報(例えば、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成するダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)がセットされる図20に示した周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに基づいて、ダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作有無を監視し、ダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作の状態を遊技演出に反映するか否かを適宜決定する。
ステップS1014に続いて、演出制御プログラムは、表示データ出力処理を行う(ステップS1016)。この表示データ出力処理では、後述する表示データ作成処理で音源内蔵VDP4160aの内蔵VRAM上に生成した1画面分(1フレーム分)の描画データを音源内蔵VDP4160aが図21に示したチャンネルCH1,2から遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246に出力する。これにより、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246にさまざまな画面が描画される。なお、表示データ出力処理では、音源内蔵VDP4160aの描画能力を超える描画を行った場合には、生成した1画面分(1フレーム分)の描画データを遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246に出力することをキャンセルするようになっている。これにより、処理時間の遅れを防止することができるが、いわゆるコマ落ちが発生することとなるものの、ステップS1012のランプデータ出力処理による、遊技盤5に設けた各種装飾基板の複数のLED、及び扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDによる演出と、後述する音データ出力処理による、図5に示した本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び図2に示した扉枠5に設けたスピーカから各種演出に合わせた音楽や効果音等による演出と、の同期を優先することができる仕組みとなっている。
ステップS1016に続いて、演出制御プログラムは、音データ出力処理を行う(ステップS1018)。この音データ出力処理では、演出制御プログラムが、後述する音データ作成処理で音源内蔵VDP4160aに設定された音楽及び効果音等の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したり、音楽及び効果音のほかに報知音や告知音の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したりする。このオーディオデータ送信IC4160cは、音源内蔵VDP4160aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するとともに、左側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信する。これにより、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから各種演出に合わせた音楽や効果音等がステレオ再生されたりするほかに報知音や告知音もステレオ再生されたりする。
ステップS1018に続いて、演出制御プログラムはスケジューラ更新処理を行う(ステップS1020)。このスケジューラ更新処理では、演出制御プログラムが図20に示した周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた各種スケジュールデータを更新する。例えば、スケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された画面データのうち、先頭の画面データから何番目の画面データを音源内蔵VDP4160aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた発光態様生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、先頭の発光データから何番目の発光データを各種LEDの発光態様とするのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された、音楽や効果音等の音データ、報知音や告知音の音データを指示する音指令データのうち、先頭の音指令データから何番目の音指令データを音源内蔵VDP4160aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、先頭の駆動データから何番目の駆動データを出力対象とするのかを指示するために、ポインタを更新する。電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データは、後述する、1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理におけるモータ及びソレノイド駆動処理で更新される。この1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行されるモータ及びソレノイド駆動処理では、ポインタが指示する駆動データに従ってモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、自身の処理を実行するごとに、ポインタを更新する。つまり、モータ及びソレノイド駆動処理において更新したポインタの指示する駆動データは、スケジューラ更新処理において強制的に更新される仕組みとなっているため、仮に、モータ及びソレノイド駆動処理においてポインタが何らかの原因で本来指示するはずの駆動データから他の駆動データを指示することとなっても、スケジューラ更新処理において強制的に本来指示するはずの駆動データに指示するように強制的に更新されるようになっている。
ステップS1020に続いて、演出制御プログラムは、受信コマンド解析処理を行う(ステップS1022)。この受信コマンド解析処理では、演出制御プログラムが、主制御基板4100から送信された各種コマンドを、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理(コマンド受信手段)において受信した各種コマンドの解析を行う(コマンド解析手段)。即ち、演出制御プログラムは、この周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信されたコマンドが、例えば、始動口入賞演出の開始を指示するための始動口入賞コマンド、普通図柄の保留数(0〜4個)を識別するための普通図柄記憶コマンド、図柄同調演出の開始を指示するための図柄同調演出開始コマンド、始動保留数が変化すると出力される図柄記憶コマンド、大入賞口2103に遊技球が受け入れられる度に出力された大入賞口1カウント表示コマンド(大入賞口カウントコマンド)、または、図36に示される満タンという内容を示す枠状態1コマンド(第2のエラー発生コマンド、満タンエラー発生コマンド)であるか否かを解析し(コマンド解析手段)、現在、どの遊技状態であるかを認識する。また、この演出制御プログラムは、電源投入時から所定時間が経過した後、この周辺制御部コマンド受信割り込み処理によって受信されたコマンドが本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンド、扉枠開放コマンドまたは扉枠閉鎖コマンドであるか否かを解析する。主制御基板4100からの各種コマンドは、周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信されて図20に示した周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されるようになっており、受信コマンド解析処理では、演出制御プログラムが、受信コマンド記憶領域4150cacに記憶された各種コマンドの解析を行う。各種コマンドには、図35に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図36に示した、報知表示に区分される各種コマンド、上述した扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド及び本体枠閉鎖コマンド並びにエラー解除ナビコマンド(第2のエラー解除コマンドに相当)及び枠状態1コマンド(第2のエラー発生コマンドに相当)などの状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドがある。
ステップS1022に続いて、演出制御プログラムが警告処理を行う(ステップS1024)。この警告処理では、さらに、演出制御プログラムが、上述のようにステップS1022の受信コマンド解析処理で解析したコマンドに、図36に示した報知表示に区分される各種コマンドが含まれているときには、各種異常報知を実行するための異常表示態様に設定されている、画面生成用スケジュールデータ、発光態様生成用スケジュールデータ、音生成用スケジュールデータ、及び電気的駆動源スケジュールデータ等を、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットする。なお、警告処理では、複数の異常が同時に発生した場合には、予め登録した優先度の高い順から異常報知から行われ、その異常が解決して残っている他の異常報知に自動的に遷移するようになっている。これにより、一の異常が発生した後であってその異常を解決する前に他の異常が発生して一の異常が発生しているという情報を失うことなく、複数の異常を同時に監視することができる。
またさらに、この警告処理では、電源投入時から所定時間が経過した後に、演出制御プログラムが、既述の受信コマンド解析処理(ステップS1022)において解析したコマンドが、図36に示した状態表示に区分される各種コマンド、例えばエラー解除ナビコマンド(第2のエラー解除コマンド)である場合、演出動作に伴う通常の演出態様とは異なる態様で液晶及び音制御部4160を制御することにより、例えば、遊技盤側液晶表示装置1900(演出装置)、上皿液晶表示装置470(演出装置)、ランプ(演出装置)を用いて視覚的に外部に警告したり、一対のサイドスピーカ(演出装置)を用いて聴覚的に外部に警告する(エラー報知手段)。このようにすると、悪意のある遊技者が、遊技状態であるにも拘わらず払出制御基板4110の操作スイッチ952を操作することにより主制御基板4100にエラー解除ナビコマンドを入力しようと試行した際に、パチンコ遊技機1が外部に警告を行う構成となっているため、遊技の進行に影響を及ぼしかねない主制御基板4100に対する不正行為が抑止されるようになる。
次に、上述したステップS1024に続いて、演出制御プログラムはメイン賞球数情報取得処理を行い(ステップS1025)、次にRCT取得情報更新処理を行う(ステップS1026)。このRTC取得情報更新処理では、演出制御プログラムが、ステップS1002の現在時刻情報取得処理で取得して図20に示した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにセットした、カレンダー情報記憶部に記憶されたカレンダー情報と時刻情報記憶部に記憶された時刻情報とを更新する。このRCT取得情報更新処理により、時刻情報記憶部に記憶される時刻情報である時分秒が更新され、この更新される時刻情報に基づいてカレンダー情報記憶部に記憶されるカレンダー情報である年月日が更新される。
ステップS1026に続いて、演出制御プログラムはランプデータ作成処理を行う(ステップS1028)。このランプデータ作成処理では、この演出制御プログラムが、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、発光態様生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、そのポインタが指示する発光データに基づいて、遊技盤5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図20に示した周辺制御RAM4150cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaにセットするとともに、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成して、図20に示した周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabにセットする。
ステップS1028に続いて、演出制御プログラムは表示データ作成処理を行う(ステップS1030)。この表示データ作成処理では、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されることにより、演出制御プログラムが、周辺制御MPU4150aに、上記画面生成用スケジュールデータを構成するデータであって時系列に配列された画面データのうち当該ポインタが示す画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。この音源内蔵VDP4160aは、周辺制御MPU4150aから画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて液晶及び音ROM4160bから少なくとも1つのキャラクタデータを抽出するとともに当該抽出した少なくとも1つのキャラクタデータからスプライトデータを作成し、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM(フレームバッファに相当)上に生成する。
ところで、従来のパチンコ機では、遊技の進行に応じて、各フレームにおいて背景画像に多数の素材画像を重ねて構成した映像を表示することにより、遊技者の興味が尽きにくい態様としようとしており(上記第1の参考文献参照)、より多彩な映像を表示すべくさらに多数の素材画像を各フレームに含めるように表示制御を実行することが要請されているものの、各フレームに多数の素材画像を含めることは、一見すると、表示制御に大きな負担が掛かるように思える。
そこで本実施形態では、多数の素材画像を含むフレームの表示制御を簡素化して処理負担を軽減することを目的として、演出制御プログラムが、描画データに基づいて表示される各フレームと、各フレームに表されうる複数の素材画像との対応関係が予め定義されている対応関係情報を管理する一方、各フレームのうちの所定のフレームを表示させようとした際に当該対応関係情報を参照し当該所定のフレームに含めて表すべき少なくとも1つの所定の素材画像を特定し、音源内蔵VDP4160aに、上記所定の素材画像を含めるとともに当該所定の素材画像を除いた他の素材画像を含めずに描画データを生成させて内蔵VRAM(フレームバッファ)に格納し、この内蔵VRAMに格納された描画データに基づく当該所定フレームを遊技盤側液晶表示装置1900(表示手段)に表示させている。以下、具体的に説明する。
まず、本実施形態においては、各フレームを構成する多数の背景画像の表示に用いる多数の背景画像データのうち、少なくとも一部の背景画像データ(以下「特定の背景画像データ」ともいう)は、この特定の背景画像データに基づく背景画像上において少なくとも1つのスプライトなどの素材画像(以下「特定のスプライト」ともいう)が、本来配置されるべき位置(以下「本来の配置位置」という)において、視認できない表示態様(以下「秘匿状態」という)で表されるように、次のように管理されている。
まず、周辺制御基板4140においては、周辺制御ROM4150bに、次のような対応関係紐付けテーブル(対応関係情報管理手段)が格納されており、周辺制御MPU4150a及び音源内蔵VDP4160aなどがこの対応関係紐付けテーブルを参照する。この対応関係紐付けテーブルにおいては、音源内蔵VDP4160aによって生成される各描画データに基づいて表示される各フレームと当該各フレーム(若しくは所定数のフレーム群グループ)に表されうる少なくとも1つのスプライトとの対応関係を、当該少なくとも1つのスプライトの視覚的な秘匿状態を解除させる秘匿解除コマンド(秘匿解除指令)とともに、予め定義した対応関係情報が管理されている。この対応関係紐付けテーブルにおいては、スプライト番号を用いて各スプライト(や各背景画像)が識別可能とされているとともに、上記対応関係情報の一部として、各フレームの表示範囲における各スプライトの座標値が管理されている。
この対応関係紐付けテーブルでは、このような対応関係情報として、例えば、音源内蔵VDP4160aによって生成される各描画データに基づいて表示される各フレームに表されうるスプライトなどの少なくとも1つの素材画像と、当該少なくとも1つの素材画像の視覚的な秘匿状態を解除させる秘匿解除コマンドとの対応関係が予め定義されている。以下の説明では、当該少なくとも1つの素材画像を「所望のスプライト」という。
上述したように周辺制御MPU4150aは、スケジューラデータに基づいて音源内蔵VDP4160aにスプライトデータから描画データを生成させる機能を有する(描画管理手段)。演出制御プログラムは、始動条件の成立を契機として実行された所定の演出抽選の結果に応じて所定のフレームを表示させようとした際に、周辺制御MPU4150aの制御によって対応関係紐付けテーブルの対応関係情報を参照し、当該所定のフレームに含めて表すべき所望のスプライトを特定する(素材画像特定手段)。
さらに演出制御プログラムは、スケジュールデータに従って所定のフレームに所望のスプライトを表すべき場合に対応関係紐付けテーブルの対応関係情報を参照することによって、当該所望のスプライトに対応する秘匿解除コマンドを特定し、この特定した秘匿解除コマンドを音源内蔵VDP4160aに出力する(秘匿解除指示手段)。この秘匿解除コマンドには、上記所定のフレームにおいて秘匿状態を解除すべき所望のスプライトを識別可能なスプライト番号(以下「所望のスプライト番号」という)が含められている。このような秘匿解除コマンドの出力によって名札情報の表示状態フラグは、初期状態としてオフであったものがオンに更新される。この名札情報及びその表示状態フラグは、各フレームに表されうる各スプライトごとに用意されており、音源内蔵VDP4160aが描画処理を実行する際に参照される。
ここで、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの制御によって所定のフレームを表示させようとした際、次のように音源内蔵VDP4160a(描画制御手段)を動作させる。即ち、音源内蔵VDP4160aは、上記秘匿解除コマンドを受け取っていない場合、上記対応関係紐付けテーブルの対応関係情報に基づき当該所定のフレームに含められうる所望のスプライトを秘匿状態としたままの表示態様とするための描画データをフレームバッファに生成する。これにより、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの制御によって、遊技盤側液晶表示装置1900に、当該所望のスプライトが視認できない態様のフレームを表示させることができる。
一方、音源内蔵VDP4160aは、上記秘匿解除コマンドを受け取った場合には、この秘匿解除コマンドを受け取ってこれに含まれる所望のスプライト番号に対応する名札情報の表示状態フラグがオンに更新されたことを契機として、対応関係紐付けテーブルの対応関係情報を参照し当該秘匿解除コマンドに対応する所望のスプライトを特定する。さらに音源内蔵VDP4160aは、この特定された所望のスプライトの秘匿状態を解除して当該所望のスプライトを視覚的に認識しうる表示態様とするための描画データをフレームバッファに生成する。これにより、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの制御によって、遊技盤側液晶表示装置1900に、当該所望のスプライトが本来の配置位置に視認可能な表示態様のフレームを表示させることができる。
このようにすると、演出制御プログラムは、対応関係紐付けテーブルの存在によって、あるシーンのフレーム群を表示させる際に各フレームに表されうるスプライト群がどれであるかを細かく管理しなくても良くなる一方、周辺制御MPU4150aに秘匿解除コマンドを出力させるか否かという、従前の表示制御に比べると非常に簡単な制御によって、音源内蔵VDP4160aに、各所望のスプライトを表したフレームを描画させたり所望のスプライトを表さないフレームを描画させることができる。これにより、多数のスプライトを含むフレームの表示制御を簡素化して処理負担を軽減することができる。
しかも、上述した対応関係紐付けテーブルによって、上記所望のスプライトを含むスプライト群と演出制御プログラム(によって発行される秘匿解除コマンド群)とをリンクさせて対応関係を管理する構成を採用しているため、スプライトデータの創作作業と演出制御プログラムの設計作業とを独立させて完全に分離でき、表示制御に関係する設計作業を簡素化することができる。
ところで、上述したようにパチンコ遊技機に搭載されうる検知デバイスとしては、一般的に電源投入時に初期処理として感度の調整が実施され、その後当該感度で作動するものが多い(上記第1の参考文献参照)。このように初期処理において接触感度の調整が実施されたとしても、その後の遊技環境次第では、一見すると、徐々に感度が適切でなくなってしまうことも考えられる。
そこで本実施形態では、この表示データ作成処理においてさらに、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御によって、上皿側液晶表示装置246(第2の表示手段)に、タッチパネル246(接触型入力手段)の操作面への接触を促す態様の表示動作を実行させる上記演出コマンド(演出実行指令)を出力する一方、タッチパネルモジュール246a(接触入力制御手段)に、タッチパネル246の接触面の接触感度を調整させる機能(接触感度調整手段)を有効にする閾値設定コマンド(感度調整指令)と、を出力する(指令出力手段)。即ち、演出制御プログラムは、演出コマンド(演出実行指令)として、上皿側液晶表示装置246に、タッチパネル246の操作面に指で触れることを催促する態様の画面(接触型入力手段の操作面への接触を促す態様)の表示動作を実行させるコマンドを送信情報記憶領域に書き込み、その後、液晶及び音制御部4160に出力する(接触催促指令手段)。次に、この液晶及び音制御部4160では、当該コマンドを受け取ると、演出制御プログラム(の制御によって表示制御プログラム)が当該コマンドに基づいて、タッチパネル246(接触型入力手段)の操作面に指で触れることを催促する態様の画面を、上皿側液晶表示装置246に表示させる。
次にステップS1030に続いて、演出制御プログラムは、タッチパネル処理を行う(ステップS1031)。このタッチパネル処理では、主として、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、タッチパネル246のタッチパネルモジュール246aから受け取った検知信号としての接触検知信号に基づいて、タッチパネル246の操作面における接触状態を検知する(接触状態検知手段)。つまり、この演出制御プログラムは、タッチパネル246の操作面における接触状態を検出するタッチパネルドライバ(接触状態検出手段)としての機能も有する。この演出制御プログラムは、上記接触状態に基づく接触部分の中心を示すタッチパネル246の操作面の座標値を取得し、この座標値で表される位置を検出ポイントとして特定し(検出ポイント取得手段)、この初期位置を含む操作情報を取得する。なお、この演出制御プログラムは、このような座標値を取得するのみならず操作面の範囲(以下、接触範囲という)を取得するようにしても良い。
このタッチパネル処理では、上述した懸念事項への対処として、さらに、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御によって、上述した演出コマンド(演出実行指令)とは別途、その後、タッチパネルコントローラ481のコントロールレジスタ481aに記憶済の接触判定用閾値を更新させるための閾値設定コマンド(感度調整指令)を所定のタイミングで上記送信情報記憶領域に書き込み、その後、図33に示すタッチパネルモジュール246a(接触入力制御手段)に出力する(感度調整指令手段)。
具体的には、演出制御プログラムは、上述した所定のタイミングとして、主制御MPU4100aから、特別図柄1(第一特別図柄)の変動時間が経過した際に特図1同調演出終了コマンド(図35参照)を最後に受け取ってから所定時間(例えば1分間)が経過したことを契機として、または、特別図柄2(第二特別図柄)の変動時間が経過した際に特図2同調演出終了コマンド(図35参照)を最後に受け取ってから所定時間(例えば1分間)が経過したことを契機として、上述した閾値設定コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでタッチパネルモジュール246aのタッチパネルコントローラ481に対して送信する。
演出制御プログラムは、このタッチパネルモジュール246aを制御し、タッチパネルコントローラ481がその外部の一例としての周辺制御MPU4150aから出力された閾値設定コマンド(感度調整コマンド)を受信したことを契機として、タッチパネル246の接触面における接触感度を調整させる。つまり、この演出制御プログラムは、タッチパネルモジュール246aのタッチパネルコントローラ481に、周辺制御MPU4150aから閾値設定コマンドを受け取ったことを契機として、この閾値設定コマンドに基づいて、コントロールレジスタ481aに記憶されている接触判定用閾値を更新させることにより、タッチパネル246による接触感度を調整させる。具体的には、タッチパネルコントローラ481は、この閾値設定コマンドを受け取ったことを契機として、タッチパネルセンサ482が出力する検知信号に基づく静電容量を取得し、この静電容量を、タッチパネル246の接触面が非接触状態にある場合における新たな接触判定用閾値であるとみなすとともに、コントロールレジスタ481aに記憶済の接触判定用閾値を、当該新たな接触判定用閾値で更新する。
すると、それ以降、タッチパネルコントローラ481は、コントロールレジスタ481aにおいて更新された新たな接触判定用閾値と、上述したように接触状態が検知される度に取得される検知静電容量とを比較し、この検知静電容量が接触判定用閾値未満であると判定した場合には接触面が非接触状態にあると判断する一方、この検知静電容量が接触判定用閾値以上であると判定した場合には接触面が接触状態にあると判断する。
上記同様、タッチパネルコントローラ481は、接触面が接触状態にあると判断した場合、接触面における検知座標値が含められた接触検知情報を周辺制御基板4140に対して出力する。この周辺制御基板4140では、この接触検知情報を受け取ると、周辺制御MPU4150aが、当該受け取った接触検知情報に含まれる検知座標値に基づいて、上述した接触面における接触位置を把握することができる。
以上のようにすると、タッチパネルコントローラ481が、周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aによって出力された閾値設定コマンド(感度調整指令)を受け取ったことを契機とした所望のタイミングで、タッチパネル246の接触感度を定める接触判定用閾値が更新されるため、周辺制御MPU4150aによる閾値設定コマンドの出力タイミングが適切に制御されれば、所望のタイミングでタッチパネル246(接触型入力手段)の接触感度が調整されるようになる(キャリブレーション)。このため、演出制御プログラムが、遊技者による遊技に影響を与えるおそれのある出力タイミングを外して閾値設定コマンドをタッチパネルコントローラ481に受け取らせることにより、遊技に影響を与えることなく、常に、タッチパネル246における接触状態の検知を適切な作動態様とさせることができる。
この演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御によってタッチパネルコントローラ481に閾値設定コマンドを出力すべきタイミングとしては、上述したように、例えば、特別図柄の変動表示が終了すると出力される特図1同調演出終了コマンドまたは特図2同調演出終了コマンドを受け取ってから所定の時間(例えば1分間)が経過しており、遊技者が遊技を中止しているためタッチパネル246の操作面に接触している可能性が低いタイミングを例示することができる。即ち、このような接触感度の調整は、タッチパネル246を用いた演出を実行するかもしれない特別図柄の変動表示中には極力実行を控え、その変動表示が終了したことに伴って行うようにしている。
また閾値設定コマンドを出力すべきタイミングとしては、その他にも、演出制御プログラムが主制御MPU4100aから、普通図柄変動時間が経過した時に送信される普図同調演出終了時コマンド(図35参照)を受け取ってから所定の時間(例えば1分間)が経過したタイミングであってもよい。
一方、既述のようにタッチパネル246は、静電容量型であるとともに、多数の遊技球を貯留可能であって静電気が発生しやすい上皿301に設けられているものの、電源投入後も必要に応じて所定のタイミングで感度調整が実施されるため、このような周辺環境の変化を原因とするものであり遊技者の操作によるものでない場合でも、静電容量に変化が生じたものと誤検知しにくくなる。
ステップS1031に続いて、演出制御プログラムは音データ作成処理を行う(ステップS1032)。この音データ作成処理では、演出制御プログラムが、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、音生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された音指令データのうち、そのポインタが指示する音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。音源内蔵VDP4160aは、周辺制御MPU4150aから音指令データが入力されると、液晶及び音ROM4160bに記憶されている音楽や効果音等の音データを抽出して内蔵音源を制御することにより、音指令データに規定された、トラック番号に従って音楽及び効果音等の音データを組み込むとともに、出力チャンネル番号に従って使用する出力チャンネルを設定する。
なお、音データ作成処理では、この音データ作成処理を行うごとに(つまり、周辺制御部定常処理を行うごとに)、図20に示した周辺制御A/Dコンバータ4150akを起動し、音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理しており、基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して、上述したステップS1018の音データ出力処理で音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力することにより、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから音楽や効果音が流れるようになっている。
また、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して調整することができるようになっている。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠4に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカから流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。従って、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
ステップS1032に続いて、演出制御プログラムはバックアップ処理を行う(ステップS1034)。このバックアップ処理では、演出制御プログラムが、図20に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbと、バックアップ第2エリア4150ccと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbと、バックアップ第2エリア4150dcと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM4150cについて、図20に示した、バックアップ対象ワークエリア4150caにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1fr)に含まれる、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cab、受信コマンド記憶領域4150cac、RTC情報取得記憶領域4150cad、及びスケジュールデータ記憶領域4150caeに記憶されている内容である演出情報(1fr)を、演出バックアップ情報(1fr)として、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1fr)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図20に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
またバックアップ処理では、周辺制御SRAM4150dについて、図20に示した、バックアップ対象ワークエリア4150daにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出情報(SRAM)を、演出バックアップ情報(SRAM)として、バックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(SRAM)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図20に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbのBank2(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150dbのBank2(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150dcのBank4(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150dcのBank4(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1034に続いて、WDTクリア処理を行う(ステップS1036)。このWDTクリア処理では、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1036に続いて、演出制御プログラムが、周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットし(ステップS1038)、再びステップS1006に戻り、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットして初期化し、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理においてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで、ステップS1008の判定を繰り返し行う。つまりステップS1008では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで待機し、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行い、再びステップS1006に戻る。このように、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行うようになっている。ステップS1009〜ステップS1038の処理を「周辺制御部定常処理」という。
この周辺制御部定常処理は、演出制御プログラムが、まずステップS1009で周辺制御部定常処理を実行中であるとして定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることから開始し、ステップS1010で1ms割り込みタイマ起動処理を行い、ステップS1012、ステップS1014、・・・、そしてステップS1036の各処理を行って最後にステップS1038において周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすると、完了することとなる。周辺制御部定常処理は、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるときに実行される。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされるようになっている。本実施形態では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行されるようになっている。
[13−1−2.周辺制御部Vブランク信号割り込み処理]
次に、図19に示した、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理について説明する。この周辺制御部Vブランク信号割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図93に示すように、定常処理中フラグSP−FLGが値0であるかを判定する(ステップS1045)。この定常処理中フラグSP−FLGは、上述したように、図92の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1009〜ステップS1038の周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり周辺制御部定常処理を実行中であるときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したときには、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットし(ステップS1050)、このルーチンを終了する。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。
本実施形態では、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定し、周辺制御部定常処理を実行完了したときにはステップS1050でVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットするようになっているが、これは、周辺制御部定常処理を実行中であるときに、Vブランク信号が入力されてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットすると、図92の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008の判定で周辺制御部定常処理を実行するものとして、現在実行中の周辺制御部定常処理を途中で強制的にキャンセルして周辺制御部定常処理を最初から実行開始するため、これを防止する目的で、図92の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1009で定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることで周辺制御部定常処理を実行中である旨を、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝えるとともに、図92の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1038で定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすることで周辺制御部定常処理を実行完了した旨を、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝えることにより、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理におけるステップS1045の判定で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定するようになっている。換言すると、Vブランク信号が入力されて次のVブランク信号が入力されるまでに周辺制御部定常処理を実行完了することができず、いわゆる処理落ちした場合の処置である。
これにより、今回の周辺制御部定常処理においては、約33.3msという時間でその処理を完了できず処理落ちした場合には、図92の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008の判定で次回のVブランク信号が入力されるまで待機する状態となる。つまり、処理落ちした今回の周辺制御部定常処理を実行するための時間が約66.6msとなる。通常、図92の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1010で1ms割り込みタイマの起動により1ms割り込みタイマが発生するごとに繰り返し実行する、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理は1回の周辺制御部定常処理に対して32回だけ実行されるものの、上述した処理落ちした今回の周辺制御部定常処理が存在する場合には、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が64回ではなく、32回だけ実行されるようになっている。つまり、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。従って、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても演出の進行状態を確実に整合させることができる。
[13−1−3.周辺制御部1msタイマ割り込み処理]
次に、図92の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマの起動により1ms割り込みタイマが発生するごとに繰り返し実行する周辺制御部1msタイマ割り込み処理について説明する。この周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されると、図19に示した周辺制御部4150では、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、図94に示すように、1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいか否かを判定する(ステップS1100)。この1msタイマ割り込み実行回数STNは、上述したように、図92の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするカウンタである。本実施形態では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行されるようになっているため、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを起動した後、次の周辺制御部定常処理が実行されるまでに、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が32回だけ実行されるようになっている。具体的には、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマが起動されると、まず1回目の1msタイマ割り込みが発生し、2回目、・・・、そして32回目の1msタイマ割り込みが順次発生することとなる。
ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、演出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部1msタイマ割り込み処理の方が周辺制御部Vブランク割り込み処理と比べて高く設定されているものの、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルするようになっている。換言すると、本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板4140のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルさせられている。そして、Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始するようになっている。
一方、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいときには、1msタイマ割り込み実行回数STNに値1だけ足す(インクリメントする、ステップS1102)。この1msタイマ割り込み実行回数STNに値1が足されることにより、図92の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数が1回分だけ増えることとなる。
ステップS1102に続いて、演出制御プログラムはモータ及びソレノイド駆動処理を行う(ステップS1104)。このモータ及びソレノイド駆動処理では、図20に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに従って、演出制御プログラムが、枠装飾駆動アンプ基板194及びモータ駆動基板4180のモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、このモータ及びソレノイド駆動処理を実行するごとに、ポインタを更新する。
具体的には、モータ及びソレノイド駆動処理では、演出制御プログラムが枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでは、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用して枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信を行う。この枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいて、図7に示した操作ユニット400のダイヤル駆動モータ414への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データSTM−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図20に示した周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafにセットする。そして周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因に枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの先頭アドレスに格納された扉側モータ駆動データSTM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafに格納された残りの扉側モータ駆動データSTM−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またモータ及びソレノイド駆動処理では、モータ駆動基板4180へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、図20に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいて、遊技盤5に設けられる各種可動体を可動させるためのモータやソレノイドへの駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図20に示した周辺制御RAM4150cのモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagにセットする。そして周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にモータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの先頭アドレスに格納された遊技盤側モータ駆動データSM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagに格納された残りの遊技盤側モータ駆動データSM−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1104に続いて、可動体情報取得処理を行う(ステップS1106)。この可動体情報取得処理では、遊技盤5に設けた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報(例えば、原位置履歴情報、可動位置履歴情報など。)を作成し、図20に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの可動体情報取得記憶領域4150cahにセットする。この可動体情報取得記憶領域4150cahにセットされる各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報から遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得することができる。
ステップS1106に続いて、操作ユニット情報取得処理を行う(ステップS1108)。この操作ユニット情報取得処理では、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報(例えば、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)を作成し、図20に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiにセットする。この操作ユニット情報取得記憶領域4150caiにセットされる各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報からダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作有無を取得することができる。
ステップS1108に続いて、演出制御プログラムは、描画状態取得処理(S1110)及びメイン賞球数情報出力処理(S1112)を行い、続いてバックアップ処理を行い(ステップS1114)、このルーチンを終了する。このバックアップ処理では、図20に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbと、バックアップ第2エリア4150ccと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbと、バックアップ第2エリア4150dcと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM4150cについて、図20に示した、バックアップ対象ワークエリア4150caにおける、1ms割り込みタイマが発生するごとに、つまり本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1ms)に含まれる、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cag、可動体情報取得記憶領域4150cah、及び操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに記憶されている内容である演出情報(1ms)を、演出バックアップ情報(1ms)として、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1ms)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図20に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
このように、周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、1msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1104〜ステップS1108の演出に関する各種処理を実行している。これに対して、図92の周辺制御部電源投入時処理における周辺制御部定常処理では、約33.3msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1012〜ステップS1032の演出に関する各種処理を実行している。周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが値33より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、そのままこのルーチンを終了するようになっているため、仮に、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合でも、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルし、Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始するようになっている。つまり、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。従って、演出の進行状態を確実に整合させることができる。
また、上述したように、Vブランク信号が出力される間隔は、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246の液晶サイズによって多少変化するし、周辺制御MPU4150aと音源内蔵VDP4160aとが実装された周辺制御基板4140の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合もある。本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板4140のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルさせられている。つまり本実施形態では、Vブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合であっても、33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルすることによって、このVブランク信号が出力される間隔が多少変化することによる時間ズレを吸収することができるようになっている。
[13−1−4.周辺制御部コマンド受信割り込み処理]
次に、主制御基板4100からの各種コマンドを受信する周辺制御部コマンド受信割り込み処理について説明する。図19に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からの各種コマンドがシリアルデータとして送信開始されると、これを契機として主周シリアルデータを周辺制御MPU4150aに内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートで1バイト(8ビット)の情報を受信バッファに取り込み、この取り込みが完了すると、これを契機として割り込みが発生し、周辺制御部コマンド受信割り込み処理を行う。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されており、1バイト目としてステータスが割り振られ、2バイト目としてモードが割り振られ、3バイト目としてステータスとモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。
周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図95に示すように、1バイト受信期間タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS1200)。この1バイト受信期間タイマは、主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を設定するものである。
ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間内であるときには、周辺制御MPU4150aの内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートの受信バッファから受信した1バイトの情報を取り込み(ステップS1202)、受信カウンタSRXCに値1を加える(インクリメントする、ステップS1204)。この受信カウンタSRXCは、受信バッファから取り出した回数を示すカウンタであり、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスを受信バッファから取り出すと値1、主周シリアルデータの2バイト目であるモードを受信バッファから取り出すと値2、主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出すと値3となる。なお、受信カウンタSRXCは、電源投入時等に初期値0がセットされる。
ステップS1204に続いて、受信カウンタSRXCが値3であるか否か、つまり主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出したか否かを判定する(ステップS1206)。この判定では、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したか否かを判定している。
ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3でないとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、まだ主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出していないときには、1バイト受信期間タイマのセットを行い(ステップS1208)、このルーチンを終了する。ステップS1208で1バイト受信期間タイマがセットされることで、主周シリアルデータの2バイト目であるモード又は主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信し得る期間が設定される。
一方、ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3であるとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したときには、受信カウンタSRXCに初期値0をセットし(ステップS1210)、サム値を算出する(ステップS1212)。この算出は、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスと、主周シリアルデータの2バイト目であるモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。
ステップS1212に続いて、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているか否かを判定する(ステップS1214)。ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値は、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値であるため、ステップS1212で算出したサム値と一致しているはずである。ところが、パチンコ遊技機1は、パチンコ島設備から遊技球が供給されており、遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生するため、パチンコ遊技機1はノイズの影響を受けやすり環境下にある。そこで、本実施形態では、周辺制御部4150側において、受信した主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値が、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値と一致しているか否かを判定している。これにより、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間において、主周シリアルデータがノイズの影響を受けて正規と異なる主周シリアルデータに変化したか否かを判定することができる。
ステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているときには、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとを、図20に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cacに記憶し(ステップS1216)、このルーチンを終了する。この受信コマンド記憶領域4150cacは、リングバッファとして用いており、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとは、受信コマンド記憶領域4150cacの周辺制御部受信リングバッファに記憶される。この「周辺制御部受信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。なお、周辺制御MPU4150aは、ステップS1216で周辺制御部受信リングバッファに記憶する際に、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を対応付けて記憶しており、3バイト目として割り振られたサム値を破棄する。
一方、ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を超えているときには、又はステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[13−1−5.周辺制御部停電予告信号割り込み処理]
次に周辺制御部停電予告信号割り込み処理について説明する。この周辺制御部停電予告信号割り込み処理は、主制御基板4100の停電監視回路4100eからの停電予告信号(周辺停電予告信号)が主制御基板4100から入力されたことを契機として実行される。この周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されると、図19に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、まず2マイクロ秒タイマを起動し(ステップS1300)、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS1302)。この判定で停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS1302で停電予告信号が入力されているときには、2マイクロ秒経過したか否かを判定する(ステップS1304)。この判定では、ステップS1300で起動したタイマが2マイクロ秒経過した否かを判定している。ステップS1304で2マクロ秒経過していないときには、ステップS1302に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、停電予告信号が入力されていないときにはそのままこのルーチンを終了する一方、停電予告信号が入力されているときには、再びステップS1304で2マイクロ秒経過したか否かを判定する。つまりステップS1304の判定では、本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているか否かを判定している。
ステップS1304で本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているときには、節電処理を行う(ステップS1306)。この節電処理では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置246のバックライトの消灯、遊技盤5に設けられるモータやソレノイドへの励磁OFF、各種LEDの消灯等を順次実行することによりパチンコ遊技機1のシステム全体の消費電力を抑えることによって、パチンコ遊技機1の電力が遮断されても周辺制御MPU4150aが動作可能な時間である20ミリ秒の期間だけ安定動作を確保している。
ステップS1306に続いて、コマンド受信待機処理を行う(ステップS1308)。このコマンド受信待機処理では、主制御基板4100が送信中の各種コマンドがある場合を想定して、送信中のコマンドを周辺制御MPU4150aが受信することができるように、少なくとも、17ミリ秒の期間だけ待機するようになっている。コマンドを受信すると、上述した、周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されて、図20に示した、周辺制御MPU4150aに対して外付けされる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cac(周辺制御部受信リングバッファ)に受信したコマンドが記憶される。
ステップS1308に続いて、コマンドのバックアップ処理を行う(ステップS1310)。このコマンドのバックアップ処理では、図20に示した、バックアップ対象ワークエリア4150caにおけるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図20に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1310に続いて、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS1312)。この判定で停電予告信号が入力されているときには、WDTクリア処理を行う(ステップS1314)。このWDTクリア処理では、周辺制御MPU4150aは、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにする。
一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されていないとき、又はステップS1314に続いて、再びステップS1312に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。つまり、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを無限に判定し続けることとなる。このように無限に判定し続けることにより、ステップS1312で停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されていないときには、周辺制御MPU4150aは、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力することができなくなり、周辺制御MPU4150aにリセットがかかる一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されているときには、ステップS1314でWDTクリア処理を行い、周辺制御MPU4150aにリセットがかからない。なお、周辺制御MPU4150aにリセットがかかると、上述した内蔵VRAMの記憶領域に一例として「0」を書き込んで初期化するとともに、図92に示した周辺制御部電源投入時処理が再び最初から開始されることとなる。
このように、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号(周辺停電予告信号)の入力が継続する場合には、ステップS1314でWDTクリア処理が実行されることによって停電状態になる直前で周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようになっている。これに対して、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号の入力が継続されず解除された場合には、WDTクリア処理が実行されないため、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力が中断されるようになっている。これにより、ノイズなどで本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が誤って開始され、そのノイズが2マイクロ秒の期間を超えて発生することでステップS1302の判定を通過したとしても、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号(周辺停電予告信号)の入力が継続されず解除された場合には、ステップS1314のWDTクリア処理が実行されないことにより周辺制御MPU4150aにリセットがかかるようになっているため、そのようなノイズに対して自動的にリセット復帰することで対応することができるようになっている。
以上のような実施形態によれば、パチンコ遊技機1が主制御基板4100及び払出制御基板4110を備えている。この主制御基板4100は、遊技盤5に区画形成される遊技領域1100に向かって打球発射装置650によって発射される遊技球が遊技領域1100に設けられた始動領域である第一始動口2101や第二始動口2102に受け入れられたことを契機として遊技の進行を制御する遊技制御マイクロプロセッサとしての主制御MPU4100aが実装されている。払出制御基板4110は、主制御基板4100からの払出指令である図68(a)及び図68(b)の賞球コマンドに基づいて賞球装置740による遊技球の払い出しを制御する払出制御マイクロプロセッサとしての払出制御MPU4110aが実装されている。
遊技制御マイクロプロセッサである主制御MPU4100aは、少なくとも、主制御MPU4100aに内蔵されているRAM(主制御内蔵RAM)を備えている。主制御内蔵RAMは、電源遮断後においても遊技に関する情報を記憶することができるようになっている。
払出制御マイクロプロセッサである払出制御MPU4110aは、少なくとも、払出制御MPU4110aに内蔵されているRAM(払出制御内蔵RAM)を備えている。払出制御内蔵RAMは、電源遮断後においても払い出しに関する情報を記憶することができるようになっている。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、さらに、図17の操作スイッチ952を備えている。操作スイッチ952は、電源投入時から図72の主制御側電源投入時処理におけるステップS16の判定処理が行われる期間内に操作されると、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技に関する情報を消去するための図24のRAMクリア信号を遊技制御マイクロプロセッサである主制御MPU4100a出力するとともに、電源投入時から図75の払出制御部電源投入時処理におけるステップS512の判定処理が行われる期間内に操作されると、払出制御内蔵RAMに記憶されている払い出しに関する情報を消去するためのRAMクリア信号として図29のRWMCLR信号を払出制御マイクロプロセッサである払出制御MPU4110aに出力するRAMクリア機能と、電源投入時から図72の主制御側電源投入時処理におけるステップS16の判定処理が行われる期間(又は、電源投入時から図75の払出制御部電源投入時処理におけるステップS512の判定処理が行われる期間)が経過した後に操作されると、賞球装置740に関して発生したエラーを解除するためのエラー解除信号として図29のRWMCLR信号を遊技制御マイクロプロセッサである主制御MPU4100aに出力せずに払出制御マイクロプロセッサである払出制御MPU4110aに出力するエラー解除機能と、を兼備するものである。
このように、操作スイッチ952は、電源投入時から図72の主制御側電源投入時処理におけるステップS16の判定処理が行われる期間内に操作されると、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技に関する情報を消去するための図24のRAMクリア信号を遊技制御マイクロプロセッサである主制御MPU4100aに出力するとともに、電源投入時から図75の払出制御部電源投入時処理におけるステップS512の判定処理が行われる期間内に操作されると、払出制御内蔵RAMに記憶されている払い出しに関する情報を消去するためのRAMクリア信号として図29のRWMCLR信号を払出制御マイクロプロセッサである払出制御MPU4110aに出力するRAMクリア機能と、電源投入時から図72の主制御側電源投入時処理におけるステップS16の判定処理が行われる期間(又は、電源投入時から図75の払出制御部電源投入時処理におけるステップS512の判定処理が行われる期間)が経過した後に操作されると、賞球装置740に関して発生したエラーを解除するためのエラー解除信号として図29のRWMCLR信号を遊技制御マイクロプロセッサである主制御MPU4100aに出力せずに払出制御マイクロプロセッサである払出制御MPU4110aに出力するエラー解除機能と、を兼備しているため、1つの操作スイッチ952による操作により、RAMクリア機能とエラー解除機能との2つの異なる機能をそれぞれパチンコ遊技機1に設けることができる。従って、コスト削減に寄与しながらRAMクリア機能及びエラー解除機能を設けることができる。
[14.主制御基板での制御処理]
図97は、図74に示す特別図柄及び特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。図98は、図98に示す第一・第二始動口入賞処理を示すフローチャートである。図99は、図97に示す変動開始処理を示すフローチャートである。図100は、図97に示す変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図101は、図97に示す変動中処理の一例を示すフローチャートである。
また、図102は、図97に示す大当たり遊技準備処理の一例を示すフローチャートである。図103は、図97に示す大当たり遊技準備処理の一処理であって、大当たり遊技態様決定処理の一例を示すフローチャートである。図104は、大当たりフラグがONである場合における大当たり遊技態様決定処理に用いられるテーブルの一例である。なお、主制御プログラムは、例えば4ms毎にタイマ割込処理を実行されている。
[特別図柄及び特別電動役物制御処理]
特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムが、最初に第一・第二始動口入賞処理を実行する(ステップS6110)。この第一・第二始動口入賞処理では、主制御プログラムが、第一始動口スイッチ3022によって遊技球が検知されて第一始動口2101に遊技球が受け入れられたか否かを判断したり、或いは、第二始動口スイッチ2109によって遊技球が検知されて第二始動口2102に遊技球が受け入れられたか否かを判断する。
次に主制御プログラムは、まず、処理フラグが0であるか否かを判断し(ステップS6120)、この処理フラグが0である場合には変動開始処理を実行する(ステップS6130)。なお、処理フラグが0とは、例えば、既述の始動記憶情報記憶領域に記憶済のある始動記憶情報について開始条件が成立したことを示している。この変動開始処理では、主制御プログラムが、大当たりの当落にかかる抽選として所定の当選条件が成立しているか否かの結果などに基づいて特別図柄の変動表示を開始するための設定などを行い、その後、この処理フラグを1に更新する。
一方、上記ステップS6120において処理フラグが0でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが1であるか否かを判断する(ステップS6140)。この処理フラグが1である場合、主制御プログラムは、変動パターン設定処理を実行する(ステップS6150)。この変動パターン設定処理では、主制御プログラムが、始動条件が成立するごとに、第一特別図柄表示器1185を用いて第一特別図柄(特1図柄)を変動表示させる態様が規定された第一特別図柄の変動パターンを選択して設定し(変動パターン選択手段)、或いは、第二特別図柄表示器1186を用いて第二特別図柄(特2図柄)を変動表示させる態様が規定された第二特別図柄の変動パターンを選択して設定し(変動パターン選択手段)、その後、処理フラグを2に更新する。なお、この変動パターンは、第一特別図柄表示器1185または第二特別図柄表示器1186のいずれかにおいて特別図柄(識別図柄)の変動表示を開始してから停止表示するまでの変動時間などを表している。
一方、ステップS6140において処理フラグが1でない場合、主制御プログラムは、処理フラグが2であるか否かを判断する(ステップS6170)。この処理フラグが2である場合、次のような変動中処理を実行する(ステップS6180)。この変動中処理では、主制御プログラムが、上記変動パターン設定処理(ステップS6150)にて設定済の変動時間をタイマにより監視し、タイムアウトしたことを契機として、第一特別図柄表示器1185または第二特別図柄表示器1186を用いた特別図柄の変動表示を停止させる。
その後、主制御プログラムが、上述した変動開始処理(ステップS6130)において大当たり抽選において大当たり遊技の当選条件が成立しており当選していると判断した場合、処理フラグを3に更新する。主制御プログラムが、上述した変動開始処理(ステップS6130)において大当たり抽選において小当り遊技の当選条件が成立しており当選していると判断した場合、処理フラグを5に更新する。一方、主制御プログラムが、大当たり抽選においていずれの当選条件も成立しておらず当選していないと判断した場合、処理フラグを0に更新する。この場合、主制御プログラムは、次のタイマ割込処理において変動開始処理(ステップS6130)から再び実行する。
一方、ステップS6170において処理フラグが2でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが3であるか否かを判断する(ステップS6190)。処理フラグが3である場合、主制御プログラムが大当たり遊技準備処理を実行する(ステップS6200)。この大当たり遊技準備処理では、主制御プログラムが、大当たり遊技を実行するための条件の一つである条件装置を作動させて、大当たり遊技の態様を決定する処理を行うとともに、この決定された大当たり遊技の態様(例えばラウンド数)をセットし、役物連続作動装置を作動させて、処理フラグを4に更新する。
一方、ステップS6190において処理フラグが3でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが4であるか否かを判断する(S6210)。処理フラグが4である場合、次のような大当たり遊技処理を実行する(ステップS6220)。この大当たり遊技処理では、主制御プログラムが、大当たり遊技態様決定処理(ステップS6607)においてセットされた大当たり遊技の態様としてのラウンド数、開放回数、開放時間及び遊技球の入賞制限個数に基づいて一方の開閉部材2106A或いは他方の開閉部材2106Bの開閉動作を制御し、その後、処理フラグを0に更新する。ここで、主制御プログラムは、セットした大当たり遊技として、少なくとも第一特別遊技及び第二特別遊技のいずれか一方の特別遊技を制御し、第一特別遊技においては一方の開閉部材2106Aの開閉動作を実行するとともに他方の開閉部材2106Bの開放動作を規制する一方、第二特別遊技においては他方の開閉部材2106Bの開閉動作を実行するとともに一方の開閉部材2106Aの開閉動作を規制している。
一方、ステップS6210において処理フラグが4でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが5であるか否かを判断する(S6230)。処理フラグが5である場合、次のような小当たり成立時処理を実行する(S6240)。この小当たり成立時処理では、主制御プログラムが、小当たりの遊技態様として一方の開閉部材2106A又は他方の開閉部材2106Bの開閉動作を制御するために開放回数及び開放時間をセットする。その後、主制御プログラムは、当該セットされた開放回数及び開放時間に基づいて、小当たりの遊技態様として、例えばごく短時間のみ一方の開閉部材2106Aまたは他方の開閉部材2106Bを1回開放状態とした後に閉鎖状態とするように制御し、その後、処理フラグを0に更新する。この場合、次のタイマ割込処理では、変動開始処理(ステップS6130)から再びやり直すこととなる。この小当たり遊技とは、大当たり遊技のように条件装置の作動を伴う遊技ではないものの、例えば大当たり遊技の一種であって一方の開閉部材2106Aまたは他方の開閉部材2106Bを、ごく短時間のみ開放状態とする遊技(いわゆる短開放大当たり遊技)と極めて類似した態様の遊技をいう。
上述のように本実施形態では、主制御プログラムが、図97に示す特別図柄及び特別電動役物制御処理において処理フラグが5とされるか否かで小当たり成立時処理S6240を実行するか否かを選択しうるようになっている。即ち、主制御プログラムは、処理フラグを0〜5の範囲とすると、小当たり遊技を含めた遊技性とすることができる一方、処理フラグを0〜4の範囲とすると、小当たり遊技を含めない遊技性とすることができる。このように当該特別図柄及び特別電動役物制御処理には、小当たり成立時処理S6240のように処理フラグの値に応じて実行されうる小当たり遊技のためのプログラムコードが含められているため、未使用のプログラムコードではないものとされている。即ち、主制御プログラムは、小当たり成立時処理S6240を実行しない場合であっても、その代わりに、並列的に設けられた別の分岐処理を実行することになる。このようなプログラム構成とすると、小当たり遊技を含むか否かの遊技性が異なる機種間でも、プログラムコードを共通化することができ、例えば小当たり遊技を含むか否かに応じて、異なる機種間においてプログラムコードを各々開発する必要性がなくなる。
以上のように主制御プログラムは、既述の処理フラグの状態に応じて、ステップS6130、ステップS6150、ステップS6180、ステップS6200、ステップS6220、ステップS6240の処理のいずれかを選択的に実行し、その後、この特別図柄及び特別電動役物制御処理を終了する。
[第一・第二始動口入賞処理]
図98は、図97に示す第一・第二始動口入賞処理(ステップS6110)の一例を示すフローチャートである。第一・第二始動口入賞処理(ステップS6110)は、第一始動口2101や第二始動口2102に遊技球が受け入れられた否かについての判断にかかる処理、及び、当該受け入れがあった旨が判断されたことを条件に、該当する特別図柄(第一特別図柄若しくは第二特別図柄)の保留状態の更新にかかる処理を含んでいる。
[第二始動口への遊技球の入球]
まず主制御プログラムは、第二始動口スイッチ2109から検出信号が出力されたか否かを判断し(ステップS6201)、第二始動口スイッチ2109から検出信号が出力されたと判断した場合、第二始動口2102に遊技球が受け入れられた(以下、「始動入賞」ともいう)と判断し(第二特別図柄の始動条件が成立)、次のようなステップS6202を実行する。このステップS6202では、主制御プログラムが、この始動入賞を契機として、第二特別図柄抽選用の各種乱数値(大当たり判定用乱数、大当たり図柄用乱数など)を取得する。
なお、この主制御プログラムは、始動入賞を契機として大当たり判定用乱数などとともに併せて、大当たり遊技態様決定用乱数値(例えばラウンド数決定用乱数値)を取得する代わりに、つまり、大入賞口2103の開放態様について決定しないうちにまず特別図柄の変動パターン及び停止図柄を決定し、遊技を進行させている。詳細は後述するが、この主制御プログラムは、所定の変動時間後に特別図柄の停止図柄を表示させた後、遊技球がゲート2575(左ゲート2575L,右ゲート2575R)を通過したことが検出されたことを契機として大当たり遊技態様決定用乱数値を取得する。
併せて、主制御プログラムは、主制御基板4100(主制御MPU4100a)のRAMに設けられている第二保留数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かについての判断を行う。この結果、第二保留数カウンタが4未満であれば、主制御プログラムが、後述する第二始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を順次実行する。
まず、第二始動保留記憶処理では、主制御プログラムが、第二始動口2102に遊技球が受け入れられたことを契機として取得された始動記憶情報(大当たり判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値など)を、特別図柄の種類や保留順に対応付けしつつ所定の記憶領域(RAM)として、例えば主制御RAMの一部である第二始動記憶情報記憶領域に記憶させる(ステップS6203)。即ち、主制御プログラムは、第二特別図柄に関し、始動条件が成立しているものの未だ開始条件が成立していないことを示す少なくとも1つの始動記憶情報を、特別図柄の種類ごとに始動条件が成立した順序を特定しうる態様で所定数まで主制御RAMの第二始動記憶情報記憶領域(始動記憶情報記憶手段、第二始動記憶情報記憶手段)に記憶させている。従って、主制御プログラムは、新たに遊技球が第二始動口2102に受け入れられた際、即ち、始動条件が成立した際(始動入賞時)に第二始動記憶情報が1つも第二始動記憶情報記憶領域に記憶されていない場合、即座に開始条件が成立したものとし、当該第二特別図柄の変動表示を開始可能な状態とする。
この際併せて、主制御プログラムは、第二始動口2102に遊技球が受け入れられたことを示す始動口入賞コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において当該始動口入賞コマンドを周辺制御部4140に送信する。
さらに主制御プログラムは、上述した第二始動記憶情報記憶領域に新たな第二始動記憶情報が記憶されたこと(即ち、第二特別図柄の第二始動記憶情報の数が増加したこと)を契機として、次のような先行判定条件が成立したか否かを判定する(先行条件判定抽選手段)。この先行判定条件としては、上述した大当たり判定用乱数記憶領域、特別図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数記憶領域、変動パターン用乱数1記憶領域及び変動タイプ用乱数記憶領域いずれかまたはいずれかの組み合わせに格納済の乱数値を読み出し、当該読み出した乱数値が、既述の主制御ROMに記憶済の第二特別図柄用先読み判定値と一致していることを例示することができる(以下、「先行判定抽選」という)。
主制御プログラムは、当該読み出した乱数値がこの第二特別図柄用先読み判定値と一致する場合には上記先行判定条件が成立したものと判定する一方、当該読み出した乱数値がこの第二特別図柄用先読み判定値と一致しない場合には上記先行判定条件が成立しないものと判定する。主制御プログラムは、この先行判定条件が成立していない場合には後述する先行判定用コマンド送信処理を実行しない一方、この先行判定条件が成立した場合には次のような先行判定用コマンド送信処理を実行する。
この先行判定用コマンド送信処理では、主制御プログラムが、第二特別図柄について先行判定演出を開始すべきことを指示する特別図柄2記憶先読み演出コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において当該特別図柄2記憶先読み演出コマンドを周辺制御基板4140に送信する(コマンド送信手段)。この際、主制御プログラムは、この特別図柄2記憶先読み演出コマンドに次のような先読み情報を含めている。
具体的には、この特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、例えば、特別図柄2種別先読みコマンド、特別図柄2変動パターン先読みコマンド、特別図柄2変動タイプ先読みコマンド、及び特別図柄2変動振り分けテーブル情報先読みコマンド、またはこれらいずれか、或いはそれらいずれかの組み合わせを総称するコマンドであり、後述する先読み情報を含んでいる。この先読み情報は、第二特別図柄の図柄種別、変動パターン番号、変動タイプ番号に関する情報、及び変動振り分けテーブル情報を含んでいる。
この特別図柄2種別先読みコマンドは、第二特別図柄の図柄種別に関する情報を含んでいる。ここでいう図柄種別とは、例えば、大当りであることを示す停止図柄としての大当り図柄、小当りであることを示す停止図柄としての小当り図柄、ハズレであることを示す停止図柄としてのハズレ図柄の何れかであるかを示す情報である。この特別図柄2変動パターン先読みコマンドは、第二特別図柄の変動パターン番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄2変動タイプ先読みコマンドは、第二特別図柄の変動タイプ番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄2変動振り分けテーブル情報先読みコマンドは、第二特別図柄の変動振り分けテーブル情報を含んでいる。
以上のようにすると、周辺制御基板4140では、上述した特別図柄2記憶先読み演出コマンドを受信した演出制御プログラムが、後述するように、この特別図柄2記憶先読み演出コマンドを利用して後述の先行判定演出を実行することができる。
本実施形態では、主制御プログラムが、遊技状態を確率変動状態から他の遊技状態(例えば通常遊技状態)に移行させた後(当選確率制御手段)、この移行時点から所定の期間(以下「先行判定抑制範囲」という)に亘って、上述した先行判定条件が成立した旨の通知を抑制している(先行判定抑制手段)。つまり、主制御プログラムは、このように遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行させてから当該先行判定抑制範囲に亘って、主制御RAMの送信情報記憶領域に特別図柄2記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)を書き込むことを規制する。これにより、既述のコマンド送信処理(図74参照)において当該特別図柄2記憶先読み演出コマンドが周辺制御基板4140に送信されることを抑制している。
一方、保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、主制御RAMに設けられている第二保留数カウンタのカウンタ値に1を加算する(ステップS6204)。さらに、この保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、下特別図柄記憶表示器1187に、第一或いは第二始動記憶情報記憶領域に記憶された上記少なくとも1つの始動記憶情報に対応する開始条件が成立するまでの間に亘って上記少なくとも1つの第一或いは第二始動記憶情報を特定しうる態様で、上特別図柄記憶表示器1184或いは下特別図柄記憶表示器1187に保留表示態様(例えば点灯、点滅或いは消灯)を導出させ、その後、第一或いは第二始動記憶情報記憶手段によって記憶されている上記少なくとも1つの第一或いは第二始動記憶情報のうち優先すべき始動記憶情報に対応する開始条件が成立したことを契機として、当該優先すべき始動記憶情報に対応する保留表示態様の導出を停止するとともに第一或いは第二始動記憶情報記憶領域から当該優先すべき始動記憶情報を消去する(保留消化制御手段)。
[第一始動口への遊技球の入球]
一方、上記ステップS6201において第二始動口スイッチ2109から検出信号が出力されていない場合、または、上記ステップS202の処理において第二保留数カウンタの値が上限値となる4である場合、主制御プログラムは、第一始動口スイッチ3022から検出信号が出力されたか否かについて判定する(ステップS6205)。第一始動口スイッチ3022から検出信号が出力された場合、主制御プログラムが、第一始動口2101に遊技球が受け入れられた(以下、「始動入賞」ともいう)と判断し(第一特別図柄の始動条件が成立)、次のようなステップS6206を実行する。このステップS6206では、主制御プログラムが、この始動入賞を契機として、第一特別図柄抽選用の各種乱数値(大当たり判定用乱数、大当たり図柄用乱数など)を取得し、上述した始動記憶情報記憶領域のうち第一始動記憶情報記憶領域に記憶済の第一始動記憶情報(上記各種乱数値に相当)の数(以下「第一保留数カウンタ」ともいう)の値が上限値となる4未満であるか否かについての判断を行う。この結果、この第一保留数カウンタが4未満である場合、主制御プログラムが、次のような第一始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を順次実行する。
この第一始動保留記憶処理では、主制御プログラムが、第一始動口2101に遊技球が受け入れられたことによって取得した始動記憶情報(大当たり判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値など)を、特別図柄の種類や保留順に対応付けしつつ所定の記憶領域(RAM)として、例えば主制御RAMの一部である第一始動記憶情報記憶領域に記憶する(ステップS6207)。即ち、主制御プログラムは、第一特別図柄に関し、始動条件が成立しているものの未だ開始条件が成立していないことを示す少なくとも1つの始動記憶情報を、特別図柄ごとに始動条件が成立した順序を特定しうる態様で所定数まで第一始動記憶情報記憶領域(始動記憶情報記憶手段、第一始動記憶情報記憶手段)に記憶させている。従って、主制御プログラムは、新たに遊技球が第1始動口2101に受け入れられた際、即ち、始動条件が成立した際(始動入賞時)に第一始動記憶情報が1つも第一始動記憶情報記憶領域に記憶されていない場合、即座に開始条件が成立したものとし、当該第一特別図柄の変動表示を開始させる。
この際併せて、主制御プログラムは、第一始動口2101に遊技球が受け入れられたことを示す始動口入賞コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において始動口入賞コマンドを周辺制御部4140に送信するようにしている。このようにすると、周辺制御基板4140では、始動口入賞コマンドを利用して後述する先行判定演出を実行することができる。
さらに主制御プログラムは、上述した第一始動記憶情報記憶領域に新たな第一始動記憶情報が記憶されたこと(即ち、第一特別図柄の第一始動記憶情報の数が増加したこと)を契機として、次のような先行判定条件が成立したか否かを判定する。この先行判定条件としては、例えば、上述した大当たり判定用乱数記憶領域、特別図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数記憶領域、変動パターン用乱数1記憶領域及び変動タイプ用乱数記憶領域のいずれかまたはいずれかの組み合わせに記憶済の乱数値を読み出し、当該読み出した乱数値が、既述の主制御ROMに記憶済の第一特別図柄用先読み判定値と一致していることを挙げることができる(以下「先行判定抽選」という)。
ところで、上述した先行判定処理としては、主制御プログラムが、上述のようないずれかの予め定められた乱数値に基づいて決定された遊技情報に基づいて先行判定抽選を実行し、その抽選結果を、先行判定指示コマンド(特別図柄1記憶先読み演出コマンド及び特別図柄2記憶先読み演出コマンドのいずれか)として周辺制御基板4140に送信できるように構成されている(先読み第1段階判定)。
主制御プログラムは、当該読み出した乱数値がこの第一特別図柄用先読み判定値と一致する場合には上記先行判定条件が成立したものと判定する一方、当該読み出した乱数値がこの第一特別図柄用先読み判定値と一致しない場合には上記先行判定条件が成立しないものと判定する。この主制御プログラムは、この先行判定条件が成立していない場合には後述する先行判定用コマンド送信処理を実行しない一方、この先行判定条件が成立した場合には次のような先行判定用コマンド送信処理を実行する。
この先行判定用コマンド送信処理では、主制御プログラムが、第一特別図柄について先行判定演出を開始すべきことを指示する特別図柄1記憶先読み演出コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において当該特別図柄1記憶先読み演出コマンドを周辺制御基板4140に送信する(コマンド送信手段)。この際、主制御プログラムは、この特別図柄1記憶先読み演出コマンドに次のような先読み情報を含めている。
具体的には、この特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、例えば、特別図柄1種別先読みコマンド、特別図柄1変動パターン先読みコマンド、特別図柄1変動タイプ先読みコマンド、及び特別図柄1変動振り分けテーブル情報先読みコマンド、またはこれらいずれか、或いはそれらいずれかの組み合わせを総称するコマンドであり、後述する先読み情報を含んでいる。この先読み情報は、第一特別図柄の図柄種別、変動パターン番号、変動タイプ番号、及び変動振り分けテーブル情報を有する。
この特別図柄1種別先読みコマンドは、第一特別図柄の図柄種別に関する情報を含んでいる。ここでいう図柄種別とは、例えば、大当りであることを示す停止図柄としての大当り図柄、小当りであることを示す停止図柄としての小当り図柄、ハズレであることを示す停止図柄としてのハズレ図柄の何れかであるかを示す情報である。この特別図柄1変動パターン先読みコマンドは、第一特別図柄の変動パターン番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄1変動タイプ先読みコマンドは、第一特別図柄の変動タイプ番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄1変動振り分けテーブル情報先読みコマンドは、第一特別図柄の変動振り分けテーブル情報を含んでいる。
以上のようにすると、周辺制御基板4140では、上述した特別図柄1記憶先読み演出コマンドを受信した演出制御プログラムが、後述するように、この特別図柄1記憶先読み演出コマンドを利用して後述する先行判定演出を実行することができる。
なお、この周辺制御基板4140においては、周辺制御MPU4150aが、特別図柄1記憶先読み演出コマンドにもとづいて、先読み表示演出を実行するか否かを、特別図柄1記憶先読み演出コマンドが示す、大当りの期待割合に応じて実行の可否を判定している。先読み演出は複数の変動に跨って連続的に演出であるが、この先読み演出を行うか否かは、始動口入賞時に送信された特別図柄1記憶先読み演出コマンドにもとづいて判定され、そのタイミングで、複数ある連続的に行う演出の表示態様からいずれの表示態様とするかを決定すると同時に、複数回の変動に跨って変化する表示態様についても決定される(シナリオを事前に決定する)。
表示態様としては、先行判定処理の結果にもとづいて直ちに、演出を開始するものと、先行判定処理の結果にもとづいて、当該変動中の場合には、演出を実行を待機させ、次の変動の開始をもって連続演出を開始するものとを例示することができる。さらに、そのような連続演出を開始するものと判定した場合であっても、その表示態様としては、連続演出を開始する前の状態となんら変化しない態様も含んでいる(例えば、通常の表示態様、通常の表示態様、赤色の特定表示態様、金色の特別表示態様)。また、そのような連続演出は、段階的に変化するものの、前の表示態様に対して次に表示される表示態様との大当りへの期待度は同一としてもよいし、上昇させた表示態様であってもよい。さらに言えば、大当り期待度が低下した表示態様が実行されるものであってもよい。その場合、段階的に期待度が上昇するような表示態様よりも大当りの期待度が実は高くなっているようにしてもよい(つまり、「法則崩れ」に相当)。また、連続予告の最終形態としては、特別図柄1記憶先読み演出コマンドによって表される情報が遊技者が判別可能な態様、例えば大当り確定、確変確定(確率変動状態への移行確定)、出玉あり確定等の態様であってもよい。
ところで本実施形態では、主制御プログラムが、遊技状態を確率変動状態から他の遊技状態(例えば通常遊技状態)に移行させた後(当選確率制御手段)、この移行時点から所定の期間(以下「先行判定抑制範囲」という)に亘って、上述した先行判定条件が成立した旨の通知を抑制している(先行判定抑制手段)。つまり、主制御プログラムは、このように遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行させてから当該先行判定抑制範囲に亘って、主制御RAMの送信情報記憶領域に特別図柄1記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)を書き込んでセットすることを抑制することにより、既述のコマンド送信処理(図74参照)において当該特別図柄2記憶先読み演出コマンドが送信されることを抑制している。なお、ここでいう「抑制」とは、頻度を低減することのみならず、規制することも示している。
一方、保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、RAM(始動記憶情報記憶領域に相当)に設けられている第一保留数カウンタのカウンタ値に1を加算する(ステップS6208)。さらに、この保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、上特別図柄記憶表示器1184に、始動記憶情報記憶領域に記憶された上記少なくとも1つの始動記憶情報に対応する開始条件が成立するまでの間に亘って上記少なくとも1つの始動記憶情報を特定しうる態様で保留表示態様(例えば点灯、点滅或いは消灯)を導出させ、その後、始動記憶情報記憶領域によって記憶されている上記少なくとも1つの始動記憶情報のうち優先すべき始動記憶情報に対応する開始条件が成立したことを契機として、当該優先すべき始動記憶情報に対応する保留表示態様の導出を停止するとともに始動記憶情報記憶領域から当該優先すべき始動記憶情報を消去する(保留消化制御手段)。
一方、主制御プログラムは、上記ステップS6205において第一始動口2101へ遊技球が受け入れられていない場合、または、上記ステップS6206の処理において第一保留数カウンタのカウンタ値が上限値となる4に達している場合には、当該第一・第二始動口入賞処理を終了する。
[変動開始処理]
図99は、図97に示す変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
この変動開始処理(ステップS6130)では、主制御プログラムが、まず、第一特別図柄及び第二特別図柄の2つの保留数カウンタの値がいずれも0であるか否かを判断する(ステップS6301)。ここで、第一特別図柄の保留数カウンタの値は、上述した始動記憶情報記憶領域のうち第一始動記憶情報記憶領域に記憶されている第一始動記憶情報(乱数値)の数を示しており、第二特別図柄の保留数カウンタの値は、上述した始動記憶情報記憶領域のうち第二始動記憶情報記憶領域に記憶されている第二始動記憶情報(乱数値)の数を示している。上述したステップS301において主制御プログラムが、第一特別図柄及び第二特別図柄の保留数カウンタの値がいずれも0であると判定すると、第一特別図柄及び第二特別図柄の始動条件がいずれも成立していないと判断し、この変動開始処理を終了して上記特別図柄及び特別電動役物制御処理を終了した後、上述したように4msごとにタイマ割込処理を実行する。なお、変動開始処理については、先行判定処理と同じ処理とすることで、判定結果として変動開始時と先行判定時とで同一の結果が得られることにより、その結果を先読み演出コマンドとしてもよい。
一方、ステップS6301において主制御プログラムが、第一特別図柄及び第二特別図柄の保留数カウンタの値がいずれも0でないと判定すると、第一特別図柄及び第二特別図柄の少なくとも一方について始動条件が成立しているものの開始条件が成立していないものとし、いわゆる始動保留状態であると判断する。次に主制御プログラムは、第二特別図柄の保留数カウンタの値が0であるか否か、つまり、第二始動記憶情報の数が0個であるか否かを判定する(ステップS6302)。
ステップS6302において第二始動記憶情報の数が0個でないと判定すると、主制御プログラムは、第二始動記憶情報(第二特別図柄乱数値)を取得した後(ステップS6303)、上述した第二始動記憶情報記憶領域において記憶されている所定個数の第二始動記憶情報をそれぞれシフトさせて記憶する(ステップS6304)。具体的には、主制御プログラムが、当該第二始動記憶情報記憶領域を複数に分けたn番目(nは2以上の自然数)の記憶領域に記憶されている第二始動記憶情報(乱数値)をn−1番目の記憶領域にシフトして記憶させる。これにより、少なくとも記憶領域には空きが生じるようになり、当該空きが生じた記憶領域に第二特別図柄の新たな始動記憶情報を記憶可能となる。併せて、主制御プログラムは、特別図柄変動フラグに「1」をセットし(ステップS6305)、第二特別図柄の保留数カウンタの値、つまり、第二始動記憶情報の数を1減算する(ステップS6306)。併せて、主制御プログラムは、下特別図柄記憶表示器1187の点灯態様を、当該減算後の第二始動記憶情報の数(第二特別図柄の保留数)を表すように駆動制御する。なお、こうして1にセットされた特別図柄変動フラグについては、当該変動開始処理が終了して以降、例えば、処理フラグが0に更新されるときに併せてリセットされる。
一方、ステップS6302において第二始動記憶情報の数が0個であると判定すると、主制御プログラムは、第一始動記憶情報(第一特別図柄乱数値)を取得した後(ステップS6307)、上述した第一始動記憶情報記憶領域において記憶されている所定個数の第一始動記憶情報をそれぞれシフトさせて記憶する(ステップS6308)。具体的には、第一始動記憶情報記憶領域及び第二始動記憶情報記憶領域にはそれぞれ4つの記憶領域(第1区画〜第4区画)が設けられている。なお、これらの各記憶領域には、それぞれ、大当たり判定用乱数値が記憶される大当たり判定用乱数記憶領域、大当たり図柄用乱数値が記憶される大当たり図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数値が記憶されるリーチ判定用乱数記憶領域、並びに、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動表示パターン乱数値が各々記憶される変動パターン用乱数1,2記憶領域などが設けられている。
主制御プログラムが、当該第一始動記憶情報記憶領域を複数に分けたn番目(nは2以上の自然数)の記憶領域に記憶されている第二始動記憶情報(乱数値)をn−1番目の記憶領域にシフトして記憶させる。これにより、少なくとも記憶領域には空きが生じるようになり、当該空きが生じた記憶領域に第一特別図柄の新たな始動記憶情報を記憶可能となる。併せて、主制御プログラムは、特別図柄変動フラグに「2」をセットし(ステップS6309)、第一特別図柄の保留数カウンタの値、つまり、第二始動記憶情報の数を「1」減算する(ステップS6310)。併せて、主制御プログラムは、上特別図柄記憶表示器1184の点灯態様を、当該減算後の第一始動記憶情報の数(第一特別図柄の保留数)を表すように駆動制御する。なお、こうして「2」にセットされた特別図柄変動フラグは、当該変動開始処理が終了して以降、例えば、処理フラグが「0」に更新されるときにリセットされる。
以上のようにすると、変動開始時の判定については、先読みと同一の判定処理を行うにも拘わらず、先読みで判定した情報については、全て若しくは一部の情報を使用することなく、再度同一の処理を繰り替えし実行することで、先読み判定時と同一の結果を得られるようにすることが可能となる。なお、始動入賞時と変動開始時とにおいては同じ処理を実行して遊技情報を決定しても、先読みのコマンド(特別図柄記憶先読み演出コマンド)と変動開始時のコマンドとは、その情報同士が互いに識別可能とするために、同一のコマンド値とならないようにしている。
次に主制御プログラムは、大当たりフラグの内容を確認し、確率変動機能が作動中であるか否か、つまり、遊技状態が確率変動状態であるか否かを判別する(ステップS6312)。遊技状態が確率変動状態でない場合、主制御プログラムは、大当たりとなる確率が低く設定された確率変動機能非作動時大当たり判定テーブルを選択する(ステップS6313)。一方、遊技状態が確率変動状態である場合、主制御プログラムは、大当たりとなる確率が高く設定された確率変動機能作動時判定テーブルを選択する(ステップS6314)。
次に主制御プログラムは、当該選択したテーブルに基づき、ステップS6303又はステップS6307において取得された第一特別図柄乱数値または第二特別図柄乱数値(以下「大当たり判定用乱数値」ともいう)が大当たり値(大当たりに相当する乱数値)に一致するか否かを判定する(ステップS6315)。即ち、主制御プログラムは、始動条件の成立後、予め定められた当選条件が成立しているか否かを判定している(抽選手段)。大当たり値に一致する場合、主制御プログラムは、大当たり判定用乱数値に基づいて大当りの種別、即ち、確率変動機能及び時短機能の少なくとも一方を作動させる種別(遊技状態に関する状態種別)の大当たりであるかについての判断を行う(ステップS6316)。次に主制御プログラムは、決定された大当たりの種別に応じた大当たりフラグをONと設定する(ステップS6317)。一方、ステップS6315において取得した大当たり判定用乱数値が大当たり値に一致しない場合、主制御プログラムは、後述するステップS6318を実行する。最後に主制御プログラムは、処理フラグを1に更新する(ステップS6318)。
[変動パターン設定処理]
図100は、変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、主制御プログラムは、いずれの大当たりフラグがONであるか否かを判定する(ステップS6401)。いずれかの大当たりフラグがONであると判定された場合、主制御プログラムは、大当たり変動パターンテーブル設定処理を実行する(ステップS6402)。この大当たり変動パターンテーブル設定処理では、大当たりとするための変動パターンテーブル(当選時変動パターンテーブルとしての大当たり変動パターンテーブル)を設定し、当選条件が成立している場合には大当たりとするための変動パターン(当選時変動パターン)を決定する(変動パターン設定手段)。
一方、ステップS6401において大当たりフラグがONでないと判定された場合、主制御プログラムは、リーチ抽選手段として機能し、主制御内蔵RAMの始動記憶情報記憶領域に記憶済であって始動条件が成立した始動記憶情報について、所定の当選条件が成立しているかもしれない旨、即ち、特別抽選に当選しているかもしれない旨を暗示する演出(リーチ演出)を実行させる条件としてのリーチ条件またはこのリーチ条件のうち特定のリーチ条件が成立しているか否かを判定する(ステップS6403)。なお、ここでいうリーチ条件は、当選条件が成立している可能性が相対的に低く特別抽選に当選していることへの期待を遊技者に相対的に弱く抱かせ易い通常態様のリーチ演出の一例としてのノーマルリーチ、及び、当選条件が成立している可能性が相対的に高く特別抽選に当選していることへの期待を遊技者に相対的に強く抱かせ易い特定態様のリーチ演出の一例としてのスーパーリーチのいずれかが実行されるための条件である。一方、上述した特定のリーチ条件は、このスーパーリーチが実行されるための条件である。以下、このような判定を「リーチ抽選」ともいう。
ところで、主制御プログラムは、このようなリーチ抽選の当選確率、即ち、リーチ条件が成立する確率(以下、「リーチ抽選の当選確率」という)が、主制御内蔵RAMの始動記憶情報記憶領域に記憶済の始動記憶情報の数に応じて段階的に変更するように制御している。具体的には、主制御プログラムは、リーチ抽選の当選確率を記憶済の始動記憶情報の数(いわゆる保留数)に応じて、例えば0個である場合には1/15、1個である場合には1/14、2個である場合には1/13、3個である場合には1/10、4個である場合には1/10となるように制御している。
さらに主制御プログラムは、既述のリーチ抽選の結果を含むリーチ抽選結果コマンドを既述の主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域に書き込み、既述のコマンド送信処理において送信させる(乱数範囲情報制御手段)。つまり、主制御プログラムは、周辺制御基板4140に対して、上述した判定用リーチ乱数値自体を送信する代わりに、主制御内蔵RAMの始動記憶情報記憶領域に記憶済の各始動記憶情報に対応しているとともにリーチ抽選の結果に関するリーチ抽選結果コマンドを送信する。なお、このリーチ抽選結果コマンドは、第一特別図柄に関する始動記憶情報に対応する第一特別図柄リーチ抽選結果コマンド、及び、第二特別図柄に関する始動記憶情報に対応する第二特別図柄リーチ抽選結果コマンドを総称するコマンド名である。
上述したリーチ条件が成立していると判定した場合、即ち、リーチ演出を実行すると判定した場合、主制御プログラムは、リーチハズレ変動パターンテーブル設定処理を実行する(ステップS6404)。このリーチハズレ変動パターンテーブル設定処理では、主制御プログラムが、リーチ演出を実行してハズレとするための変動パターンテーブル(リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する。
この際、主制御プログラムは、時短機能が作動しているか否かを判定する。主制御プログラムは、上述のように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していると判定した場合(時短時)、上述したリーチ演出を実行してハズレとするための変動パターン(時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(時短非当選変動パターンテーブルとしての時短時リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。その一方、主制御プログラムは、上述したように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していないと判定した場合(非時短時)、上述したリーチ演出を実行してハズレとするための変動パターン(非時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(非時短非当選変動パターンテーブルとしての非時短時リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。以下の説明では、時短時リーチハズレ変動パターンテーブル及び非時短時リーチハズレ変動パターンテーブルを総称して「リーチハズレ変動パターンテーブル」とも表現する。本実施形態では、主制御プログラムは、特別図柄の変動パターン上、抽選の抽選結果として「大当り」、「小当り」及び「ハズレ」だけでなく、さらに、この「ハズレ」が、時短機能が作動していない状態での「ハズレ」としての「非時短時ハズレ」であるか、及び、時短機能が作動している状態での「時短時ハズレ」であるかも分けて制御することになる。
一方、ステップS6403においてリーチ条件が成立していないと判定した場合、即ち、リーチ演出を実行しないと判定した場合、主制御プログラムは、非リーチハズレ変動パターンテーブル設定処理を実行する(ステップS6405)。この非リーチハズレ変動パターンテーブル設定処理では、主制御プログラムが、リーチ演出を実行せずにハズレとする変動パターンテーブル(非リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する。非リーチハズレ変動パターンテーブルは、複数の遊技状態に応じてそれぞれ対応付けて複数種類用意されており、例えば通常遊技状態においては、保留数が所定値以上であるときに短縮変動が行われ易いテーブルとなっている。
このようにリーチ条件が成立していないと判定された際も、同様に主制御プログラムは、時短機能が作動しているか否かを判定し、上記同様に、時短機能が作動しているか否かに応じて設定すべき変動パターンテーブルを変更するようにしても良い。つまり、主制御プログラムは、上述のように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していると判定した場合(時短時)、上述したリーチ演出を実行せずにハズレとするための変動パターン(時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(時短非当選変動パターンテーブルとしての時短時非リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。その一方、主制御プログラムは、上述したように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していないと判定した場合(非時短時)、上述したリーチ演出を実行せずにハズレとするための変動パターン(非時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(非時短非当選変動パターンテーブルとしての非時短時非リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。
主制御プログラム(変動パターン設定手段)は、上述のように設定されたテーブルに基づいて特別図柄の変動パターンを決定し(ステップS6410)、こうして決定された特別図柄の変動パターンのパターンコマンド及び当選情報コマンドを、上記送信情報記憶領域に書き込んでセットする(ステップS6411)。以下、これらパターンコマンド及び当選情報コマンドを総称して「変動パターンコマンド」ともいう。この変動パターンのパターンコマンドは、特別図柄の変動時間に関する情報を含んでおり、当選情報コマンドは、大当たりに関する当落結果を含んでいる。
またさらに主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じた変動時間の値をタイマにセットする(ステップS6412)。即ち、主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが大当たり変動パターンテーブルである場合、この大当たり変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、大当たり用変動時間をタイマに設定する。一方、主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが小当たり変動パターンテーブルである場合、この小当たり変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、小当たり用変動時間をタイマに設定する。
また、主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが時短時リーチハズレ変動パターンテーブルである場合、この時短時リーチハズレ変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、時短時リーチ用変動時間をタイマに設定する。一方、主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが非時短時リーチハズレ変動パターンテーブルである場合、この非時短時リーチハズレ変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、非時短時リーチ用変動時間をタイマに設定する。このように特別抽選の抽選結果が「ハズレ」である場合でも、時短機能が作動しているか否かに応じて特別図柄の変動時間が異なるようにしている。
ここで、主制御プログラムは、このような特別図柄の変動時間として、基本変動時間と加算変動時間とをそれぞれ2バイトのデータで管理しており、これらの時間の合計値である最大変動時間を262.144s(65536×4ms)×2=524.288sとし、それらの時間をそれぞれ1バイトで管理していた従前よりも2倍の長さの特別図柄の変動時間を実現させている。
上述のように決定された特別図柄の変動パターンに応じた変動時間の値をタイマにセットすると、次に、主制御プログラムは、特図LED作動フラグをONに設定する(ステップS6413)。この特図LED作動フラグがONにセットされると、主制御プログラムは、開始条件の成立を契機として、上述したステップS6305又はステップS6309において設定された特別図柄変動フラグの値に基づいて特定される第一特別図柄表示器1185(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1186(可変表示手段)の少なくとも一方に、決定された変動パターンに従って、複数のLEDの点灯パターンでなる変動表示を開始させる(図柄変動制御手段)。最後に主制御プログラムは、処理フラグを2に更新し(ステップS6414)、以上のような変動パターン設定処理を終了する。
このように変動パターン設定処理において設定されると、主制御プログラムは、4msごとに実行されるタイマ割り込み処理に含まれるコマンド送信処理において、送信情報記憶領域に書き込み済のパターンコマンド及び当選情報コマンドを読み出して周辺制御部4140に対して送信する。
[変動中処理]
図101は、図97に示す変動中処理の一例を示すフローチャートである。
まず最初に主制御プログラムは、既述のステップS6412(図100参照)においてタイマにセットされた変動時間がタイムアップしたか否かを判定し(ステップS6501)、タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていなければ変動中処理を終了する。
一方、タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていれば、主制御プログラムは、既述のステップS413においてONにセットした特図LED作動フラグをOFFにセットする(ステップS6502)。すると、主制御プログラムは、既述のステップS6305又はステップS6309において設定された特別図柄変動フラグに応じて、第一特別図柄表示器1185(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1186(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、7セグメントLEDの点灯、消灯或いは点滅態様の変動パターンでなる変動表示(特別図柄の変動)を停止させ、既述の成立した成立条件に応じて、当該停止態様でなる停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。即ち、主制御プログラムは、始動条件の成立後開始条件が成立したことを契機として特別図柄の変動表示を開始させ、その後変動パターンに応じた変動時間が経過したことを契機として、当選条件の判定結果に応じた停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。
次に主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に確定停止コマンドを書き込んでセットする(ステップS6503)。この確定停止コマンドは、特別図柄の変動が終了し、所定の停止図柄が確定したことを表すコマンドである。主制御プログラムは、4msごとに実行されるタイマ割り込み処理に含まれるコマンド送信処理において送信情報記憶領域から当該確定停止コマンドを読み出して周辺制御部4140に送信する。これにより、周辺制御基板4140は、変動表示されていた特別図柄の停止図柄が確定したことを認識することができる。
次に主制御プログラムは、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(ステップS6504)。大当たりフラグがONであると判定された場合、主制御プログラムは、処理フラグを3に更新し(ステップS505)、当該変動中処理を終了する。
ところで、一般的な遊技機では、遊技球が始動口に受け入れられて始動条件が成立すると、それ以前に始動条件が成立済の始動記憶情報(以下、保留球ともいう)が存在しない場合には特別図柄の変動表示を開始し、所定の変動時間が経過したことを契機として停止図柄を表示させる。併せて、このような一般的な遊技機においては、始動条件の成立後、その後特別抽選を実行し、この特別抽選において当選している場合には通常遊技状態から特別遊技状態に移行する(既述の第1の参考文献参照)。このように遊技状態が移行した場合、例えば、遊技状態の移行前に記憶済の保留球に関連させていた遊技内容が、遊技状態の移行後に実行されることになる場合があり、一見すると、遊技者に違和感を与えてしまうおそれがありそうにも思える。
そこで本実施形態では、上述したように処理フラグを3に更新した際(つまり、例えば遊技状態を移行させたことを契機として)、併せて主制御プログラムが、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンド(以下「移行先コマンド」という)を上記送信情報記憶領域に書き込んだ後に、その後、この主制御プログラムは、コマンド送信処理(S92)においてこの移行先コマンドを周辺制御基板4140に送信する。後述するように主制御プログラムは、当選条件が成立していないと遊技状態を通常遊技状態のままとしているが、当選条件が成立している場合には通常遊技状態から当該成立した当選条件に応じた有利な遊技状態に移行させたり、その後、通常遊技状態に戻すように移行させている(遊技状態制御手段)。従って、主制御プログラムは、遊技状態を移行させたことを契機として、所定の遊技状態に移行させたことを表す移行先コマンドを周辺制御基板4140に送信している(移行後遊技状態通知手段)。一方、周辺制御基板4140では、主制御基板4100から受信した移行先コマンドに基づいて、当該移行された遊技状態を考慮し、当該移行前後の遊技状態の違いによって遊技者に違和感を与えにくい態様の演出動作を制御する。
通常、周辺制御基板4140では、周辺制御MPU4150aが、通常、所定の演出条件が成立すると、主制御基板4100から特段の規制を受けずに演出動作を実行させている。
遊技者に違和感を与えにくい態様とするための第1の例としては、周辺制御MPU4150aが、主制御基板4100から移行先コマンドを受信すると、この移行先コマンドに基づいて遊技状態が移行したことを確実に把握できるため、これを契機として主制御基板4100側の制御により、例えば、既述の先行判定演出やリーチ演出などの演出動作の実行を規制するようにしている。これにより、上記移行前後の遊技状態の違いによって演出動作が遊技者に違和感を与えにくくすることができる。
一方、遊技者に違和感を与えにくい態様とするための第2の例としては、周辺制御基板4140では、周辺制御MPU4150aが、主制御基板4100から受信した移行先コマンドに基づいて、例えば、開始条件が成立した始動記憶情報について始動条件が成立した第1の時点における遊技状態が開始条件が成立した第2の時点における遊技状態とは異なる場合、当該移行された遊技状態を考慮して演出動作を制御するようにしても良い。
このようにすると、後に移行先コマンドを受け取った周辺制御基板4140では、遊技状態が移行された場合、周辺制御MPU4150aは、遊技状態が移行されたことを即座に把握できるようになるため、移行する遊技状態に連動させた遊技内容が遊技者にとって違和感を生じさせないように演出動作を制御することができるようになる。なお、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100から移行先コマンドを受信し、例えば、次の遊技状態が確変及び時短状態であると判定した場合、格納済みの先の始動記憶情報に関して所定の当選条件が成立しているものの確率変動機能を作動させる当選種でない場合(いわゆる通常大当たりである場合)、当該先の始動記憶情報に続いて格納された次以降の始動記憶情報について、上記先行判定演出を実行しないように規制するようにしても良い。
ところで、処理フラグが3である状態は、大当たりに当選されたことが示されるように特別図柄の変動表示が停止された処理段階にあることを示している。なお、フローチャートに図示していないが、ステップS6505の処理フラグを3に更新する処理とともに、後述する大当たり遊技準備処理における遊技状態を識別するための状況識別フラグに初期値として0がセットされる。
主制御プログラムは、上述のように変動表示されていた特別図柄に応じた第一特別図柄表示器1185(可変表示手段)または第二特別図柄表示器1186(可変表示手段)を用いて、成立した当選条件に応じた停止図柄を表示させことになる(停止図柄制御手段)。
一方、ステップS6504において大当たりフラグがONでないと判定された場合、主制御プログラムは処理フラグを0に更新し(ステップS6508)、当該変動中処理を終了する。この場合、主制御プログラムは、遊技状態の移行を伴わないため、上記送信情報記憶領域への移行先コマンドの書き込みを規制する。なお、この処理フラグが0であるのは、大当たりに当選していないことが示されるように特別図柄が変動停止された処理段階にあることを示している。
[大当たり遊技準備処理]
図102は、図97に示す大当たり遊技準備処理の一例を示すフローチャートである。
まず最初に主制御プログラムは、状況識別フラグが0であるか否かを判定する(ステップS6621)。なお、状況識別フラグの値は、前述のように、処理フラグを3に更新するときに、状況識別フラグに0がセットされる。
上述のように、この状況識別フラグは、大当たり遊技準備処理における遊技状態を識別するためのフラグである。例えば、状況識別フラグが0であることは初期設定を意味しており、状況識別フラグが1であることは説明インターバル演出中であることを意味しており、状況識別フラグが2であることは遊技態様決定処理中であることを意味しており、状況識別フラグが3であることは大当たり開始インターバル演出中であることを意味している。
大当たり遊技準備処理を最初に実行する場合には状況識別フラグに0がセットされている結果、主制御プログラムは、説明インターバル演出コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットする(ステップS6622)。主制御プログラムは、このようにセットされた説明インターバル演出コマンドを既述のコマンド送信処理において4msごとの周囲で実行されるタイマ割り込み処理において周辺制御部4140に送信する。次に主制御プログラムは、説明インターバル演出タイマをセットした後(ステップS6623)、状況識別フラグに1をセットし(ステップS6624)、大当たり遊技準備処理を終了する。なお、説明インターバル演出タイマにセットされたタイマ値は、主制御プログラムが、4msごとに実行されるタイマ割り込み処理の一部であるタイマ減算処理において1ずつ減算している。
ここで、上述した説明インターバル演出とは、特別図柄の抽選の結果が大当たりである旨の表示演出が遊技盤側液晶表示装置1900に表示された後、かかる大当たりが特定種別の大当たりでないときに(すなわち通常種別の大当たりであるときに)、実際に大当たり遊技が開始されるまでの遊技手順を遊技盤側液晶表示装置1900にて説明する演出である。なお、大当たりが特定種別の大当たりであるとき、遊技盤側液晶表示装置1900には、大当たりである旨の表示演出に加えて、16ラウンドの大当たり遊技が実行される旨の表示演出も行われる。
ところで、大当たり遊技準備処理の次の処理周期は4ms後となる。処理フラグが3であり、状況識別フラグに1がセットされた結果、上述したステップS621において状況識別フラグが0でないと判定された場合、主制御プログラムは、状況識別フラグが1であるか否かを判定する(ステップS6625)。この場合、状況識別フラグに1がセットされているため、主制御プログラムは、説明インターバル演出がタイムアップしたか否かを判定する(ステップS6626)。説明インターバル演出がタイムアップしていなければ、主制御プログラムは、大当たり遊技準備処理を終了する。以下、説明インターバル演出がタイムアップするまでの間、主制御プログラムは、処理フラグの値3および状況識別フラグの値1に基づいて、ステップS6621をNOと判定し、ステップS6625をYESと判定し、ステップS6626をNOと判定する処理ルーチンを繰り返し実行する。
ステップS6626において説明インターバル演出のタイマがタイムアップすると、主制御プログラムは、説明インターバル演出が終了したものとして条件装置の作動を開始する(ステップS6627)。次に主制御プログラムは、時短機能が作動しているか否かを判定し(ステップS6628)、時短機能が作動している場合にはこの時短機能の作動を停止する(ステップS6629)。
一方、時短機能が作動していない場合には、主制御プログラムは、ゲート有効演出コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットする(ステップS6636)。主制御プログラムは、4msごとに実行されるタイマ割り込み処理の一部であるコマンド送信処理において送信情報記憶領域からゲート有効演出コマンドを読み出し、周辺制御部4140に送信する。この周辺制御部4140は、このゲート有効演出コマンドの受け取りを契機として、後述するゲート有効演出の実行が許容されたことを認識することができる。さらに主制御プログラムは、状況識別フラグに2をセットし(ステップS6630)、以上のような大当たり遊技準備処理を終了する。
ここで、ゲート有効演出とは、上述した説明インターバル演出が終了した後に、振分ユニット2550の左ゲート2575L及び右ゲート2575Rが有効となったこと(振分検知センサ2580L及び振分検知センサ2580Rによる遊技球の検知が有効化されたこと)を遊技盤側液晶表示装置1900により遊技者に報知するための演出表示である。詳細は後述するが、このゲート有効演出としては、例えば、後述する図78に示す大当たり遊技をいずれのタイプで実行するかの選択を遊技者に促す表示を行ったり、後述する図79に示すように現在がハラハラタイプのタイミングであることを示す表示を行ったり、後述する図80に示すように現在がドキドキタイプのタイミングであることを示す表示を行ったりするものを挙げることができる。
なお、詳細は後述するように本実施形態では、大当たり抽選において当選した場合、大当たり遊技の開始タイミングを遊技者の意思により自由に決定できるようにしている。つまり、ゲート有効演出コマンドを受信した周辺制御部4140は、演出制御プログラムが、大当たり遊技をいずれのタイプで実行するかについての選択を遊技者に促す旨の表示画面(図78参照)を遊技盤側液晶表示装置1900に表示させた後、または、当該表示画面を表示させるとともに、大当たり遊技前に休憩を取ることが可能である旨を表示させるようにしても良い。
一方、上述した処理フラグが3であり、状況識別フラグに2がセットされた結果、次の周期の大当たり遊技準備処理では、主制御プログラムが、ステップS6621においてNOと判定し、ステップS6625においてNOと判定し、ステップS6631に移行し、状況識別フラグの値が2であるか否かを判定する(ステップS6631)。この場合、状況識別フラグに2がセットされているため、主制御プログラムは、ステップS6631においてYESと判定し、次のような大当たり遊技態様決定処理を行う(ステップS6632)。
[大当たり遊技態様決定処理]
図103は、図97に示す大当たり遊技態様決定処理の一例を示すフローチャートであり、図104は、この大当たり遊技態様決定処理にて用いられるテーブルの一例である。
大当たり遊技態様決定処理では、主制御プログラムが、振分検知センサ2580Lによって遊技球の左ゲート通過または振分検知センサ2580Rによって遊技球の右ゲート通過が検出されたことを契機として大当たり遊技態様決定用乱数値(ラウンド数決定用乱数値)を取得する。この主制御プログラムは、この取得した大当たり遊技態様決定用乱数値(ラウンド数決定用乱数値)と、フラグON状態にある種別の大当たりフラグ(特定種別の大当たりフラグまたは通常種別の大当たりフラグ)と、通過したゲートの左右の別とに基づいて、大当たり遊技の実行態様(ラウンド数)を決定する。
この大当たり遊技態様決定処理では、主制御プログラムが、まず、不規則遅延側検出センサによって遊技球の遅延が検出されたか否か、すなわち、上部不規則遅延作出手段2586の孔2586aを遊技球が通過したか否かを判定する(ステップS6071)。上部不規則遅延作出手段2586の孔2586aを遊技球が通過したと判定されると、主制御プログラムが、振分検知センサ2580Rによって右ゲート2575Rを遊技球が通過したか否かを判定する(ステップS6072)。
なお、ステップS6071において遊技球が遅延検出されたときには、主制御プログラムは、左ゲート2575Lを遊技球が通過したとしても振分検知センサ2580Lによる検出の有無を判断しない。即ち、ステップS6071において遊技球が遅延検出されたときには、主制御プログラムは、たとえ左ゲート2575Lを遊技球が通過したとしても振分検知センサ2580Lによる遊技球の検出を無効化する。
ステップS6072において、振分検知センサ2580Rによって遊技球が右ゲート2575Rを通過した旨が検出されない場合には、主制御プログラムは、大当たり遊技態様決定処理を終了するとともに大当たり遊技準備処理を終了してタイマ割込処理に戻って実行する。
以下、振分検知センサ2580Rにより遊技球が検出されるまで、主制御プログラムは、処理フラグの値3および状況識別フラグの値2に基づいて、ステップS6621をNOと判定し、ステップS625においてNOと判定し、ステップS6631においてYESと判定し、大当たり遊技態様決定処理においては、ステップS6071においてYESと判定し、ステップS6072においてNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
一方、ステップS6072において振分検知センサ2580Rによって遊技球が右ゲート2575Rを通過したことを検出すると、主制御プログラムは、フラグON状態にある大当たりフラグ、すなわちステップS6317においてONされた大当たりフラグが特定種別の大当たりフラグであるか否かを判断する(ステップS6073)。ここで、ステップS6073において特定種別の大当たりフラグがONであれば、主制御プログラムは、図104に示すテーブルBの右ゲート2575Rを参照して大当たり遊技態様を決定する(ステップS6074)。即ち、主制御プログラムは、今回の始動記憶情報について開始条件成立後変動時間が経過した後、第一特別図柄表示器1185(可変表示手段)または第二特別図柄表示器1186(可変表示手段)を用いて上記成立した当選条件に応じた停止図柄を表示させるとともに、上記当選条件が成立している場合、その後、後述するように通常遊技状態から上記成立した当選条件に応じた有利遊技状態に移行させる(遊技状態制御手段)。例えば、主制御プログラムは、その成立した当選条件が第一当選条件である場合には第一特別遊技状態に移行させる一方、その成立した当選条件が第二当選条件である場合には第二特別遊技状態に移行させる(遊技状態制御手段)。
一方、ステップS6073において特定種別の大当たりフラグがONでない(すなわち通常種別の大当たりフラグがONである)と判断すると、主制御プログラムは、図104のテーブルAの右ゲート2575Rを参照して大当たり遊技態様を決定する(ステップS6075)。
ここで、図104のテーブルAを参照しても分かるように、右ゲート2575Rを遊技球が通過したとき(振分検知センサ2580Rにより遊技球が検出されたとき)と、左ゲート2575Lを遊技球が通過したとき(振分検知センサ2580Lにより遊技球が検出されたとき)とでは、実行される大当たり遊技の態様は異なるものの、大当たり遊技中に払い出される賞球量の期待値は同じである(完全一致の同じである必要はなく、ゲーム性を損なわない範囲で同等であればよい)。
また、左ゲート2575Lを遊技球が通過したとき(振分検知センサ2580Lにより遊技球が検出されたとき)は、主制御プログラムは、6ラウンドの大当たり遊技と12ラウンドの大当たり遊技を、それぞれ50%の確率で決定する。一方、右ゲート2575Rを遊技球が通過したとき(振分検知センサ2580Rにより遊技球が検出されたとき)は、主制御プログラムは、2ラウンドの大当たり遊技と16ラウンドの大当たり遊技を、それぞれ50%の確率で決定する。
ステップS6071において遅延検出されていなければ、即ち、上部不規則遅延作出手段2586の孔2586aを遊技球が通過した旨が判断されなければ、主制御プログラムは、振分検知センサ2580Lによって遊技球が左ゲート2575Lを通過したか否かを判定する(ステップS6076)。
ステップS6076において遊技球が左ゲート2575Lを通過したことが検出されない場合、即ち、振分検知センサ2580Lにより遊技球が検出されない場合、主制御プログラムは、ステップS6076をNOと判定し、大当たり遊技態様決定処理を抜けて大当たり遊技準備処理に戻って実行し、さらに大当たり遊技準備処理を終了し、4msごとにタイマ割込処理を実行する。
以下、振分検知センサ2580Lにより遊技球が検出されるまで、主制御プログラムは、処理フラグの値3および状況識別フラグの値2に基づいて、ステップS6621においてNOと判定し、ステップS6625においてNOと判定し、ステップS6631においてYESと判定し、大当たり遊技態様決定処理においては、ステップS6071においてNOと判定し、ステップS6076においてNOと判定する処理ルーチンを繰り返し実行する。
一方、ステップS6076において左ゲート2575Lを遊技球が通過した旨、即ち、振分検知センサ2580Lにより遊技球が検出されると、主制御プログラムは、フラグON状態にある大当たりフラグ、即ち、ステップS6317においてONされた大当たりフラグが特定種別の大当たりフラグであるか否かを判断する(ステップS6077)。ここで、特定種別の大当たりフラグがONであれば(ステップS6077におけるYES)、主制御プログラムは、図104に示すテーブルBの左ゲート2575Lを参照して大当たり遊技態様を決定する(ステップS6078)。
一方、ステップS6077において特定種別の大当たりフラグがONでない(すなわち通常種別の大当たりフラグがONである)と判断されると、主制御プログラムは、テーブルAの左ゲート2575Lを参照して大当たり遊技の実行態様(本実施形態ではラウンド数)を決定する(ステップS6079)。
ステップS6074、ステップS6075、ステップS6078又はステップS6079において大当たり遊技の実行態様(本実施形態ではラウンド数)が決定されると、主制御プログラムは、役物連続作動装置の作動を開始する(ステップS6080)。次に主制御プログラムは、この役物連続作動装置が作動したことを契機として、確変機能が作動中であるか否かを判断する(ステップS6081)。
ステップS6081において確変機能が作動中である旨が判断されると、主制御プログラムは、ステップS6082において確変機能を停止して後述するステップS6083を実行する。一方、ステップS6081において確変機能が作動していない旨が判断されると、主制御プログラムは、ステップS6082をスキップして直接ステップS6083を実行する。
ステップS6083では、主制御プログラムは、ステップS6074、ステップS6075、ステップS6078及びステップS6079において決定された大当たり遊技態様に基づいて大入賞口2103の作動態様をセットする(ステップS6083)。
大入賞口2103の作動態様とは、例えば、大当たり遊技にて大入賞口2103が繰り返し開放されるラウンド遊技の最大ラウンド数のほか、各ラウンド遊技にて大入賞口2103に遊技球が入球可能とされる上限数(例えば9個)や、各ラウンド遊技における開閉部材2106A,2106Bの開閉動作制限時間など、大当たり遊技における大入賞口2103の開放態様をセットすることである。
次に主制御プログラムは、大当たり遊技を開始させることを示す大当たり開始コマンド、上記決定されたラウンド数が示されるラウンド情報コマンド、大当たり遊技が既に行われている状態にあることを示す上記大当たり遊技中フラグ、等々をセットする(ステップS6084)。
なお、詳細は後述するが、主制御プログラムが、こうしてセットされた大当り開始コマンド及びラウンド情報コマンドを、既述のコマンド送信処理(図240参照)において周辺制御部4140にそれぞれ送信することにより、遊技盤側液晶表示装置1900においては、周辺制御部4140側による後述の制御を通じて、上記大当たり遊技中における表示演出が上記決定されたラウンド数に対応付けされた演出として選択的に実行可能とされるようになる。
このように主制御プログラムは、説明インターバル演出タイマがタイムアップしている場合であっても、ゲート2575(左ゲート2575L,右ゲート2575R)への遊技球の通過を検出しない限り、大当たり遊技への進行を停止させ、大当たり遊技態様決定処理において次の処理を実行しない。即ち、ステップS6315の処理において大当たりである旨が判定されて条件装置が作動したとしても(ステップS6604)、主制御プログラムは、大当たり遊技をそのまま進行させる代わりに、ゲート2575(左ゲート2575L,右ゲート2575R)への遊技球の通過が検出されるまで(ステップS6072,S6076)、大当り遊技を停止させている。
先に述べたが、ここで、図76また図77の表示画面に接した遊技者が、遊技者の意思によって振分ユニット2550への遊技球の打ち込み(右打ち)を行わないと、大当たり遊技が開始とならないため、遊技者が大当たり遊技の開始前に休憩を取ることが可能である旨のメッセージが表示していることを即時に気が付きやすく、遊技者にメッセージの内容をより確実に認識させることができる。また、表示のタイミングとして、遊技者が遊技に熱中している時に、遊技者の意思で遊技を一時中断できてこの状態のまま休憩を取ったり、トイレに行くことができる。
その後、遊技者の意思により振分ユニット2550への遊技球を発射させると、主制御プログラムは、振分検知センサ2580L又は振分検知センサ2580Rによって遊技球を検知し、これに基づいて、大当たり遊技の進行停止を解除し、即ち、ステップS6072においてYESと判定するか、またはステップS6076においてYESと判定し、ステップS6074、ステップS6075、ステップS6078、ステップS6079のうちの何れかを実行することで、大当たり遊技の実行態様(ラウンド数)を決定し、決定された実行態様での大当たり遊技を開始させることができる。これにより、大当たり遊技の開始タイミングを遊技者の意思により自由に決定でき、大当たり遊技を開始する瞬間を見逃すことがないため、遊技に対する遊技者の興趣が損なわれることを抑止することができる。
次に主制御プログラムは、大当たり開始インターバル演出コマンドをセットし(ステップS6085)、大当たり開始インターバル演出タイマを、例えば、8秒にセットし(ステップS6086)、状況識別フラグに3をセットし(ステップS6087)、大当たり遊技態様決定処理を終了して大当たり遊技準備処理に戻って実行し、さらに大当たり遊技準備処理を終了し、4msごとにタイマ割込処理を実行する。この大当たり開始インターバル演出とは、役物連続作動装置が作動してから開閉装置2106の開閉が開始されるまでの間に遊技盤側液晶表示装置1900にて行われる表示演出であり、例えば、これから大当たり遊技が開始される旨を示す表示演出等である。
なお、この大当たり開始インターバル演出コマンドは、既述のコマンド送信処理において周辺制御部4140に送信される。これにより、遊技盤側液晶表示装置1900においては、周辺制御部4140側による制御を通じて、大当たり遊技が開始される旨を示す演出表示させるようになる。
ところで、ステップS6621〜S6629によれば、主制御プログラムは、大当たり遊技の実行にかかる一連の抽選処理のうち説明インターバル演出時間が経過するまでは、時短機能を継続して作動させている。すなわち、大当たりである旨を遊技盤側液晶表示装置1900に表示させているにもかかわらず、説明インターバル演出が行われている間は条件装置の作動開始を保留にすることで、時短機能が作動している場合には、説明インターバル演出の実行中は、第二始動口2102への遊技球の入球が容易化されることとなる。
上述した大当たり遊技態様決定処理が終了すると、処理フラグが3であり、状況識別フラグに3がセットされた結果、4msの次周期の大当たり遊技準備処理では、主制御プログラムが、ステップS6621においてNOと判定し、ステップS6625においてNOと判定し、ステップS6631においてNOと判定し、ステップS6633に移行し、ステップS6084でセットされた大当たり開始インターバル演出がタイムアップしたか否かを判定する(ステップS633)。
大当たり開始インターバル演出がタイムアップしていなければ、主制御プログラムは、ステップS6633においてNOと判定し、大当たり遊技準備処理を狩猟してタイマ割込処理ルーチンに戻って実行する。以下、大当たり開始インターバル演出がタイムアップするまでの間、主制御プログラムは、処理フラグの値3および状況識別フラグの値3に基づいて、ステップS6621においてNOと判定し、ステップS625においてYESと判定し、ステップS6626においてNOと判定する処理ルーチンを繰り返し実行する。
大当たり開始インターバル演出がタイムアップすると、主制御プログラムは、ステップS633においてYESと判定し、大当たり開始インターバル演出が終了したものとして、処理フラグを「4」に更新する(ステップS6634)。次に主制御プログラムは、状況識別フラグに0をセットして初期値に戻し(ステップS6635)、大当たり遊技準備処理を終了し、タイマ割込処理ルーチンに戻って実行する。
[大当たり遊技処理]
次に、処理フラグが「4」のときに実行される大当たり遊技処理(ステップS6220)について説明する。図105は、大当たり遊技処理の一例を示すフローチャートである。
上述した大当り遊技処理では、主制御プログラムは、まず、大入賞口2103が開放中か否かを判断する(ステップS6801)。大入賞口2103が開放中である場合、主制御プログラムは、大入賞口2103の開放時間(開放した後の経過時間)が上記ステップS6803にて設定された開閉動作制限時間に達したか否かを判断する(ステップS6802)。この開閉動作制限時間が経過した旨判断された場合、主制御プログラムは、開閉部材2106A,2106Bを閉動作させることにより大入賞口2103を閉鎖する(ステップS6804)。
ただし、上記ステップS6802において上記設定された開閉動作制限時間が未だ経過していない旨判断された場合であっても、主制御プログラムは、大入賞口2103が開放された後に同大入賞口2103に入球した遊技球の個数が上記ステップS6803にて設定された上限数(例えば9個)以上になっている場合、上記ステップS6804の処理に移行して大入賞口2103を閉鎖状態とさせる。一方、ステップS6802において上記設定された開閉動作制限時間が未だ経過しておらず、ステップS6803において大入賞口2103に受け入れられた遊技球の数も上限数に未だ達していない場合、主制御プログラムは、大入賞口2103を開放状態にて維持したままで、大当り遊技処理を終了する。
一方、上記ステップS6801において大入賞口2103が開放中でない旨判断された場合、主制御プログラムは、開閉部材2106A,2106Bによる大入賞口2103の開放回数(ラウンド遊技の回数)が上記ステップS6803(図103参照)にて設定された最大ラウンド数に到達しているか否かを判別する(ステップS805)。最大ラウンド数に到達していない場合、主制御プログラムは、上述したように成立した当選条件に応じて開閉部材2106を作動し、各々対応する大入賞口2103を開放し(ステップS6806)、大当り遊技処理を終了する。
一方、主制御プログラムは、上記ステップS6805においてラウンド遊技が既に最大ラウンド数分だけ行われたことが判定された場合、役物連続作動装置の作動を停止することによって、当選条件が成立したことを条件として実行される開閉部材2106の開閉動作(大当たり遊技)の実行を規制する状態に移行させる。即ち、この場合、主制御プログラムは、ステップS6807〜ステップS6812を実行することにより、例えばステップS6317(図99参照)にて大当たりフラグとは別に主制御基板4100(主制御MPU4100a)のRAMにて記憶されている当該大当り遊技の実行の契機とされた大当たりの当選種に基づいて、大当たり遊技後の遊技状態を設定してから当該大当たり遊技処理を終了させる。
上記ステップS6805においてラウンド遊技が既に最大ラウンド数分だけ行われた旨が判断されたときは、主制御プログラムは、まず、大当りフラグと大当り遊技中フラグとをそれぞれOFF状態に設定し(ステップS6807)、当該大当り遊技の実行契機とされた大当りの当選種を判別する(ステップS6808)。
ここで、ステップS6808では、主制御プログラムが、確率変動機能を作動させる当選種(大当たり図柄が例えば0、1、3、5、6、7、9)であるか否かを判断する。つまり、この主制御プログラムは、通常遊技状態よりも当選条件が成立する確率が相対的に高い遊技状態(確率変動状態)とすべきか否かを判定するための確変移行条件が成立しているか否かを判断する(当選確率制御手段)。主制御プログラムは、この確変移行条件が成立している場合には確率変動状態とするとともに、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンドとして移行先コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込む。一方、主制御プログラムは、この確変移行条件が成立していない場合には確率変動状態以外の遊技状態に移行させるとともに(当選確率制御手段)、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンドとして移行先コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込む。その後主制御プログラムは、コマンド送信処理(S92)において上記送信情報記憶領域に書き込まれたコマンドを周辺制御基板4140に送信する。
即ち、主制御プログラムは、上記ステップS6808において確率変動機能を作動させる当選種ではないと判定した場合には確率変動機能及び時短機能のいずれも作動させることなく、条件装置の作動を停止させる(ステップS6811)。一方、主制御プログラムは、上記ステップS6808において確率変動機能を作動させる当選種(いわゆる確変大当たり)であると判定したときには、主制御プログラムは、確率変動機能を作動させる(ステップS6809)。即ち、主制御プログラムは、通常遊技状態よりも上記当選条件が成立する確率が相対的に高い確率変動状態とすべきか否かを判定するための確変移行条件が成立しているか否かを判断し、上記確変移行条件が成立している場合には当選条件が成立する確率を通常遊技状態よりも相対的に高く設定した確率変動状態に移行させるとともに、特別図柄が所定の変動表示回数に亘って変動表示される間この確率変動状態を継続させる一方、上記確変移行条件が成立していない場合には確率変動状態以外の遊技状態に移行させている(当選確率制御手段)。
次に主制御プログラムは、時短機能を作動させた後(ステップS6810)、条件装置の作動を停止させる(ステップS6811)。時短機能を作動させると、主制御プログラムは、当該作動開始から予め定められた特別図柄の変動回数に至るまで、変動時間が短縮された変動パターン群を含む各時短時変動パターンテーブルを選択するとともに当該各時短時変動パターンテーブルの中から決定された変動パターンの長さに対応させて、特別図柄の変動時間の値を規定の変動時間の値よりも短くタイマにセットする(時短機能制御手段)。また、この主制御プログラムは、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンドとして移行先コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込んだ後、コマンド送信処理(S92)において周辺制御基板4140に送信するようにしても良い。併せて、主制御プログラムは、当該予め定められた特別図柄の変動回数に至るまで、所定の開閉パターンに従って、第二始動口2102の近傍に配置されている一対の可動片2105の開閉動作を繰り返し、一対の可動片2105の近傍を流下する遊技球が第二始動口2102に受け入れられ易い状態とする。最後に主制御プログラムは、処理フラグを0にセットし(ステップS6812)、大当り遊技処理を終了する。
このようにすると、主制御プログラムは、ステップ805において予め定めたラウンド数に達するまでの間、大入賞口2103を、大当りの当選種に応じた開放態様によって繰り返し開閉させて、大入賞口2103が開放状態の際に大入賞口2103に受け入れられた遊技球の数に応じた賞球動作の指示を行う。
ここで、一般的な遊技機においては、遊技領域に発射された遊技球が、遊技領域に設けられた多数の釘間を流下し、それらの一部が始動口或いは一般始動口に入球する一方、残りの遊技球が、遊技領域最下に形成された排出口(いわゆるアウト口)から遊技領域外に排出されるが(上記第1の参考文献参照)、このような遊技機においては、一見すると、遊技領域内に設けられた役物や釘の配列次第で遊技球の循環が本来あるべき好適な状態とはなりにくいことも考えられる。
しかしながら本実施形態では、上述したように、次のような処理によってこれを解消している。まず、主制御プログラムは、上記当選条件が成立している場合、上記決定された第一特別図柄表示器1185(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1186(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、上述のように決定された変動パターン(当選時変動パターン)に従って特別図柄の変動表示を制御した後、この当選時変動パターンに応じた当選時変動時間が経過したことを契機に当選条件に応じた停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。
次に主制御プログラムは、当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動している場合、上記決定された第一特別図柄表示器1185(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1186(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、上記決定された時短非当選時変動パターンに従って特別図柄の変動表示を制御した後、この時短非当選変動パターンに応じた変動時間(時短非当選時変動時間)が経過したことを契機に特別抽選の抽選結果に応じた停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。
次に主制御プログラムは、当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していない場合、上記決定された第一特別図柄表示器1185(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1186(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、当該決定された非時短非当選時変動パターンに従って特別図柄の変動表示を制御した後、この非時短非当選変動パターンに応じた変動時間(非時短非当選時変動時間)が経過したことを契機に特別図柄の抽選結果に応じた停止図柄を表示させる。
以上のように、大当たり、小当たり及びハズレのみならず、ハズレのうちさらに時短ハズレ及び非時短ハズレの4種類(大当たり、小当たり、時短ハズレ及び非時短ハズレ)に応じてそれぞれ特別図柄の変動時間が設定できるようになると、特別抽選において当選していない場合において、時短機能が作動している場合の特別図柄の変動時間と、時短機能が作動していない場合の特別図柄の変動時間(非時短時非当選変動時間)との間に敢えて変動時間差が設けられているため、両変動時間の設定に応じて、一方の機能が作動している場合に遊技球が遊技領域から排出されやすくなることから釘配列などに拘わらず遊技球の循環が良好なものとなり、遊技球を遊技領域外に排出する性能(いわゆるアウト性能)を従来よりも向上することができるようになる。具体的には、次のような各用い方により次のような各効果を発揮する。
まず、第1の用い方及び効果としては、非時短時ハズレの場合に変動時間(非時短非当選変動時間)を一例として500msで特別図柄を停止させる一方、時短時ハズレの場合(例えば遊技領域の右側に遊技球を発射する遊技状態としてのいわゆる右打ち中)に変動時間(時短非当選変動時間)を一例として1000msで特別図柄を停止させると、時短時ハズレは、非時短時ハズレとは500ms特別図柄の停止時間に差があるため、1個分程度余分に遊技球が発射されて遊技球が遊技領域(最下部に位置するアウト口)から排出され易くなって遊技球の回収効率(いわゆるアウト性能)が向上する。
第2の用い方及び効果としては、例えば単位時間当りの発射する遊技球の個数を増やしたい場合、主制御プログラムが、特別抽選の結果が時短時ハズレであるときの変動時間(時短時非当選変動時間)を一例として2000msで設定すると、例えば600msごとに遊技球が発射されたときには遊技球が3個程余分に発射されるため、アウト性能が向上する。
第3の用い方及び効果としては、例えば短時間における遊技球の払出率(いわゆる出玉率)が高すぎる場合、主制御プログラムが、時短時ハズレの特別図柄の変動時間(時短非当選ハズレ変動時間)を長く設定することにより、遊技球の払い出しが集中する時間帯を引き延ばし、短時間の出玉率が高くなりすぎないようにすることができる。
ところで、主制御プログラムは、大入賞口2103の入口から入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出されるまでの検出遅れを考慮し、上述した賞球有効範囲期間を設定するようにしても良い(払出指示規制手段)。即ち、主制御プログラムは、第一特別遊技状態に移行している場合、開閉部材2106が開放状態となってから所定期間が経過してから、当該開閉部材2106が閉鎖状態となって所定期間が経過するまでの賞球有効範囲期間を除く期間である賞球無効範囲期間を設定する(払出指示規制手段)。
このようにすると、大入賞口2103などの内部において遊技球が多少の時間に亘って保留されても、その保留された遊技球が誤って不正行為によるものと、誤検出されないようにすることができる。
[15.先行判定処理]
上述した演出制御プログラムは、既述の受信コマンド解析処理において主制御基板4100から受け取って周辺制御部受信リングバッファに記憶済のコマンドを解析し(コマンド受信手段)、当該コマンドが特別図柄1記憶コマンドまたは特別図柄2記憶コマンドであると、このコマンドの受信を契機として、特別図柄1記憶コマンドまたは特別図柄2記憶コマンドに対応する新たな始動記憶情報について特別抽選の抽選結果を暗示する始動保留表示態様を遊技盤側液晶表示装置1900(表示手段)に導出させる(始動保留制御手段)。
即ち、この演出制御プログラムは、受信したコマンドが特別図柄記憶先読み演出コマンド(特別図柄1記憶先読み演出コマンドまたは特別図柄2記憶先読み演出コマンド)であると、当該特別図柄記憶先読み演出コマンドに含まれる先読み情報(例えば特別図柄の停止図柄に関する情報を例示する)に基づいて、例えば、大当たり遊技の種別を示唆する情報を取得し、当該情報に基づいて、当該特別図柄1記憶先読み演出コマンドまたは特別図柄2記憶先読み演出コマンドに対応する当該新たな始動記憶情報に対応する特別抽選の抽選結果を暗示する始動保留表示態様を遊技盤側液晶表示装置1900に導出させ、その後、当該新たな始動記憶情報に対応する変動時間が経過すると、当該始動保留表示態様の導出を終了する(始動保留制御手段)。
具体的には、特別図柄1記憶先読み演出コマンドまたは特別図柄2記憶先読み演出コマンドを受け取った場合、演出制御プログラムは、上記始動保留表示態様(例えば大当たりへの期待を抱きにくい保留表示態様として「通常保留表示態様」を例示する)を上記導出の最初から或いは途中から特別始動保留表示態様(例えば大当たりへの期待を遊技者に非常に抱かせ易い保留表示態様として「激アツ保留表示態様」を例示する)に差し替えて遊技盤側液晶表示装置1900に導出させる先行判定制御を実行する(先行判定制御手段)。以下、このような機能を「先行判定制御機能」という。
ところで、一般的なパチンコ遊技機においても、遊技領域に発射された遊技球が始動口に受け入れられて始動条件が成立した際に、既に始動保留情報が記憶されている場合、この始動保留情報に対応した特別図柄の変動表示の開始条件が成立するまでの間に亘っていわゆる先行判定演出を実行するものが存在している(上記第1の参考文献参照)。ここで、当該パチンコ遊技機では、遊技状態が移行したことを外部に明示する手段を備える場合、始動条件の成立後に遊技状態が次のように移行し、その後、特別図柄の変動パターンの変動表示を開始するための開始条件が成立すると、先行判定演出が移行前の遊技状態において決定された演出態様が移行後の遊技状態において実行されることになってしまうため、一見すると、遊技者に違和感を与えてしまうことも考えられる。
しかしながら本実施形態では、遊技状態が確率変動状態から他の遊技状態(例えば通常遊技状態)に移行すると、上述のように主制御プログラムが、上述のように、その移行時点から上記先行判定抑制範囲に亘って、周辺制御基板4140に対して、上記特別図柄1記憶先読み演出コマンド及び特別図柄2記憶先読み演出コマンドを送信することを抑制している。このため、演出制御プログラムは、上述した高確率終了指定コマンドを受信したことにより遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行したことを認識してから、上述のように特別図柄1記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)及び特別図柄2記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)の送信が抑制されたことに基づいて結果として上記先行判定抑制範囲に亘って、上記先行判定制御機能による先行判定制御を抑制することとなる(先行判定抑制手段)。
このようにすると、周辺制御基板4140では、上述のように遊技状態が移行された場合、演出制御プログラムが、従前の遊技状態(本実施形態では確率変動状態を例示)において主制御内蔵RAMの始動記憶情報記憶領域に記憶された始動記憶情報のうち上記先行判定抑制範囲の始動記憶情報について先行判定演出を実行しなくなるため、当該先行判定抑制範囲内において記憶済の始動記憶情報に対応する先行判定演出に関して遊技者に違和感を与えにくくすることができる。
このような先行判定抑制範囲としては、例えば、遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行するタイミングの前(或いは後ろ)から、始動記憶情報記憶領域に始動記憶情報を記憶可能な最大記憶数分(例えば4個分)の始動記憶情報に対応する特別図柄の変動回数分(例えば4回)を挙げることができる。
また、この先行判定抑制範囲としては、その代わりに、例えば遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行してから、この移行の際に始動記憶情報記憶領域に記憶済の始動記憶情報が存在する場合、それら記憶済の始動記憶情報の記憶数分(本実施形態の場合、例えば1〜4個分)の始動記憶情報の変動回数を挙げることができる。
また、この先行判定抑制範囲としては、その代わりにまたは併せて、例えば遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行してから、この移行の際に始動記憶情報記憶領域に記憶済の始動記憶情報が存在する場合、それら記憶済の始動記憶情報の記憶数分(本実施形態の場合、例えば1〜4個分)の始動記憶情報の変動回数を挙げることができる。
また、この先行判定抑制範囲としては、例えば遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行してから、その移行直前に始動記憶情報記憶領域に記憶済の始動記憶情報に対応する特別図柄の変動表示1回分であっても良い。
なお、上述した先行判定抑制範囲としては、上述した変動回数の代わりに、例えば遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行したタイミングから、上述した変動回数に各々対応して設定される時間であっても良い。
ところで、一般的な遊技機においては、始動入賞して始動条件が成立した後に開始条件が成立したことを契機として変動表示させた左装飾図柄、右装飾図柄、中装飾図柄を所定の順序で停止させるが、リーチ条件が成立している場合には、例えば左装飾図柄と右装飾図柄とが揃った態様で中装飾図柄を変動表示し(上述したリーチ演出に相当)、遊技者に、3つの装飾図柄が所定の態様で揃って有利遊技状態に移行するかもしれないとの期待を享受させている(上記第1の参考文献参照)。このような一般的な遊技機においては、演出の関係上、ある特定の始動記憶情報についてのリーチ演出を所望のタイミングでのみ実行し、これに接した遊技者に強い心理的なインパクトを与えたい場合があるものの、その前に、他の始動記憶情報についてリーチ演出が実行されてしまうと、心理的なインパクトが弱まってしまうおそれがある。
そこで本実施形態では、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御によって、次のような2つの方法のいずれか(またはそれらの組み合わせ)を用いてリーチ演出を制御している。
まず、一方の方法として演出制御プログラムは、開始条件が成立した始動記憶情報に対応させて、上述したリーチ条件が成立していること、つまり、特別抽選の結果が当選しているかもしれないことを示唆するリーチ演出を実行させる機能を有する(リーチ演出制御手段)。このような機能を備える演出制御プログラムは、上述のように受信された各リーチ抽選結果コマンド及び当選情報コマンドに基づいて、上述した始動記憶情報記憶領域に記憶された最後の始動記憶情報についての当選条件が成立しており(即ち、特別抽選の結果が当選であり)、かつ、上述した始動記憶情報記憶領域に記憶された残りの始動記憶情報についてのリーチ判定用乱数値が上記非リーチ範囲内である(かつ、さらには当該残りの始動記憶情報について当選条件が成立していない(特別抽選に当選していない))と判断したことを契機として、上記最後の始動記憶情報についてリーチ演出を実行させるように制御する(実行制御手段)。その後、演出制御プログラムは、当該最後の始動記憶情報に対応するリーチ演出において、遊技盤側液晶表示装置1900に左右の2つの装飾図柄が揃った状態で中央の装飾図柄を変動時間に亘って変動表示させた後、当該中央の装飾図柄を停止表示させ、これら3つの装飾図柄が揃った態様として大当りである旨を遊技者に認識させる。
ここで、本実施形態では、演出制御プログラムによって移行される特殊遊技状態として雷雲モードを例示する。この雷雲モードでは、演出制御プログラムが、遊技盤側液晶表示装置1900の表示領域の上部に、雷雲モードである旨のテロップを左から右に移動させつつ表示しておき、変動表示している左右中央の3つの装飾図柄を用いてリーチ演出を実行した段階で、当該変動表示に対応する始動記憶情報において大当りに至る可能性が高いことを示唆する演出制御を行う場合がある。従って、この雷雲モードにおいてリーチ演出が実行されると、遊技者に、高い確率で大当たりとなるかもしれないことを非常に強く認識させ、興趣を高めることができる。
本実施形態では、この雷雲モードにおいて上述のように当該最後の始動記憶情報について特別抽選の結果が当選している状況においては、記憶済の残りの始動記憶情報についてはリーチ演出が実行され得ないこととなる。このようにすると、最後の始動記憶情報において実行されるリーチ演出によって遊技者に与える心理的なインパクトが、その前に相対的に弱められにくくすることができる。これにより、遊技者は、突然実行されるリーチ演出に接してそのインパクトの強さによって心理的に高揚し、当該最後の始動記憶情報についての特別抽選の結果が開示されるまでの間に亘って大当りへの期待感を享受しながら遊技を継続することができる。
ところで、演出制御プログラムは、上述した先行判定抑制範囲内において記憶済の残りの始動記憶情報についてはリーチ条件が成立している場合でも、当該記憶済の始動記憶情報について開始条件が成立してもリーチ演出を実行しないようにしても良い。このようにすると、例えば遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行したにもかかわらず、例えば雷雲モードとしてあたかも確率変動状態であるかのように演出制御されている際に、当該先行判定抑制範囲内において記憶済の残りの始動記憶情報について既述のように先行判定演出が抑制されるにも拘わらずリーチ演出が実行されてしまうことが回避されるため、遊技者に違和感を与えることがさらに抑制されるようになる。
ところで、演出制御プログラムは、上述した先行判定抑制範囲内において記憶済の残りの始動記憶情報のうち特定の始動記憶情報についてリーチ条件が成立している場合でも、当該特定の始動記憶情報について開始条件が成立したことを契機に、上記同様、リーチ演出を実行しないようにしても良い。このようにすると、例えば遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行したにもかかわらず、例えば雷雲モードとしてあたかも確率変動状態であるかのように演出制御されている際に、当該先行判定抑制範囲内において当該特定の始動記憶情報について既述のように先行判定演出が抑制されるにも拘わらずノーマルリーチが実行されてしまうことが回避されるため、遊技者に違和感を与えることがさらに効果的に抑制されるようになる。
また、演出制御プログラムは、上記始動記憶情報記憶領域に記憶済の最後の始動記憶情報について特別抽選に当選しているとともに上記特定リーチ条件が成立しており、かつ、それ以前に始動記憶情報記憶領域に記憶済の残りの始動記憶情報のうち特定の始動記憶情報について特別抽選に当選しているとともに上記リーチ条件が成立している場合には、上述のように当該特定の始動記憶情報についてノーマルリーチの実行を規制する代わりに、そのまま予定通り実行するようにしても良い。このように、上記始動記憶情報記憶領域に記憶済の始動記憶情報のうち当該最後の始動記憶情報及び上記残りの始動記憶情報を含む複数の始動記憶情報について特別抽選に複数回当選している場合でも、先に実行されるノーマルリーチを遊技者に楽しませた上で、さらに、後に実行されるスーパーリーチを遊技者に楽しませることができる。これにより、大当りがほぼ連続する幸運な状況においても、上述のように当該最後の始動記憶情報に対応するスーパーリーチが遊技者に心理的に与えるインパクトを確保しつつ、さらに漏れなく、当該特定の始動記憶情報に対応させてそれ以前に実行されるノーマルリーチが当該遊技者に心理的に与えるインパクトを維持することができる。
ところで、一般的なパチンコ遊技機においては、遊技球の始動入賞を契機として、その後特別図柄を変動表示を開始するとともに大当たり抽選を実行し、所定の当選条件が成立しているともに所定の確変移行条件が成立している場合には確率変動状態に移行するものが存在している(既述の第1の参考文献参照)。このような確率変動状態に移行するパチンコ遊技機としては、上述のように、大当たり遊技が終了した後に特別図柄の変動回数が所定の回数になるまで所定時間(以下「スペシャルタイム」という)に亘って確率変動状態を継続するもの(以下「ST(スペシャルタイム)機」という)が存在している。このようなスペシャルタイムにおいては、演出制御基板(周辺制御基板4140に相当)が、遊技制御基板(主制御基板4100に相当)から受け取った演出コマンドに従って確率変動状態からその他の遊技状態に移行するまでの間に亘って特定演出(以下、スペシャルタイム演出)を実行している。ここで、一般的な遊技場(ホール)においては各島に多数のパチンコ遊技機が対面して配列されているため、電源設備や電力の使用状況によっては、各パチンコ遊技機に供給される電力が一時的に低下し、瞬間的な停電状態となってしまう(以下、「瞬停」という)。このような瞬停が運悪く所定のタイミングで発生すると、一見すると、上述したようなスペシャルタイム演出の一部が実行されず、遊技者が本来全て楽しめる筈であったスペシャルタイム演出の一部を楽しむことができないおそれも考えられる。
本実施形態では、演出制御プログラムは、特定遊技状態として確変遊技状態に移行していると判断された場合、大当たり遊技状態が終了した後に、特定遊技状態の一例として、例えば確変遊技状態における特別図柄の変動表示回数が予め定められているスペシャルタイム演出(特定演出)を開始する。即ち、演出制御プログラムは、遊技状態が確変遊技状態以外の遊技状態に移行するまでの特別図柄の変動表示回数が予め定められているスペシャルタイム演出(特定演出)を制御する(特定演出制御手段)。一方、演出制御プログラムは、一時的にこのスペシャルタイム演出を制御できない状況に陥った場合でも、詳細は後述するように次に受信した新たな遊技状態情報に基づいて、このスペシャルタイム演出の残りの演出を実行させている。
具体的には、演出制御プログラムは、一時的にスペシャルタイム演出を制御できない状態に陥った場合でも(特定演出制御手段)、次に受信したコマンドに含まれる残り回数情報に基づいて、遊技状態が確率変動状態以外の遊技状態に移行するまでに特別図柄が変動表示される残り回数を把握するとともに、当該把握した残り回数に亘ってスペシャルタイム演出の一部として当該残り回数を示唆する態様の残り回数演出を実行させている(残り回数演出補完手段)。
このようにすると、例えば瞬間的な停電状態の影響などによって一時的に周辺制御基板4140において演出制御プログラムが、上記スペシャルタイム演出を制御できなくなったとしても、次の特別図柄の変動表示の開始を契機として、上記スペシャルタイム演出の残りの演出として上記残り回数を示唆する態様の残り回数演出を再開させることができる。このような残り回数演出に接していた遊技者は、一時的にこの残り回数演出が途絶えた後に再度残り回数演出が復活すると、このような中断も演出の一部ではないかとの心証を持つようになり、上述した瞬間的な停電状態の影響が遊技に及びにくくすることができる。
[16.遅延制御]
ところで、従来のパチンコ遊技機では、遊技の進行に応じて、所定の制御主体が演出制御データを出力するとともにそれを受け取った所定の演出装置に演出動作を実行させることにより、遊技者に飽きを感じさせにくくしているが(上記第1の参考文献参照)、従来のパチンコ遊技機においては、諸事情によって画像の表示タイミングを調整する必要が生ずることも考えられるが、このような場合、その他の演出装置の動作タイミングとの同期を取ることが必要であるため、制御が複雑となりがちであった。
そこで、本実施形態においては、複雑な制御を必要とせず演出装置との同期を取り易くすることを目的とし、詳細は後述するが、周辺制御基板4140(演出制御手段)が、情報記憶手段の一例としてのリングバッファを備えているとともに、情報出力制御手段の一例としての遅延制御部を備えている。このリングバッファは、後述する演出装置による演出動作を制御する演出制御データが一時的に格納されうる複数の単位記憶領域の一例としての複数のバッファを備えている。一方、遅延制御部は、これら複数のバッファのいずれか所定のバッファ(所定の単位記憶領域)から格納済みの演出制御データが取り出されるべきタイミングを本来のタイミングよりも所定の遅延量分遅延させて上記格納済みの演出制御データを取り出して出力する。以下、図面を参照しつつ具体的に説明する。
[16−1.遅延制御に関係する構成例]
図106は、遅延制御に関する構成例を示すブロック図である。なお、図106においては、主として、遅延制御を実現するための機能的な構成例を示しているが、ここでは説明の都合上、併せて、遅延制御に関係するハードウェアに関する構成例についても図示している。
[16−2.主制御基板側の制御]
既述の図97〜図105においても説明済みのように主制御基板4100においては、当落判定部4100zが、第一始動口2201および第二始動口2102のいずれかに遊技球が受け入れられて始動スイッチ(図示の始動SWに相当)から検出信号が出力されたことを契機として既述の始動条件が成立する一方、当り抽選を実行して既述の当選条件が成立しているか否かについて当落を判定するとともに、その判定結果を当落情報として送信部4100wに出力する。この送信部4100wは、送信バッファ4100wsを備えている。送信部4100wは、この送信バッファ4100wsに、当落判定部4100zによって出力された当落情報を格納しておき、既述の開始条件が成立したことを契機として周辺制御基板4140にシリアル(またはパラレル)通信により出力する。
一方、変動抽選部4100yは、上述した始動条件の成立を契機として、予め用意された複数の変動パターンのうちから当該成立した当選条件に応じた変動パターンを選択し、その選択結果として変動パターンに対応する変動パターンコマンドを送信部4100wに出力する。この送信部4100wは、その送信バッファに、変動抽選部4100yによって出力された変動パターンコマンドを格納しておき、既述の開始条件が成立したことを契機として、例えば上記当落情報とともに周辺制御基板4140にシリアルまたはパラレル通信方式に従って出力する。
[16−3.周辺制御基板側]
周辺制御基板4140に搭載された周辺制御部4150は、周辺制御MPU4150aの機能として、図106に示すように、主制御基板4100が出力したコマンドを一時的に格納するための受信バッファ4150pjを有する受信部4150p、その受信バッファ4150pjのコマンドについて整合性を判定するとともにその解釈を実施する解釈部4150q及びドライバの他にも、画像系以外(例えば光出力、音出力及びモータ駆動の少なくとも1つの系統)として、データ4150tを読み込む選択&出力部4150r、遅延制御部4150s及びレスポンス制御部4150uを備える。
なお、ここでいうドライバとしては、枠側における音出力に関しては、音楽や効果音等のオーディオデータを、枠周辺中継端子板868及び周辺扉中継端子板882を経由して枠装飾駆動アンプ基板194に対して出力するオーディオデータ送信IC4160cを挙げることができる一方、枠側における光の出力に関しては、既述の枠周辺中継端子板868に対して演出制御データを出力するドライバIC(図示せず)を挙げることができる。
一方、上述のようなドライバとしては、遊技盤側における光の出力に関しては、既述のランプ駆動基板4170に演出制御データを出力するドライバIC(図示せず)を挙げることができる一方、遊技盤側におけるモータ駆動に関しては、既述のモータ駆動基板4180に演出制御データを出力するドライバIC(図示せず)を挙げることができる。
さらに周辺制御部4150は、画像系として、演出制御データの一例としての画像制御データ4150w(以下「描画リスト」という)を読み込みディスプレイコマンドを生成して音源内蔵VDP4160aに出力する画像選択&出力部4150v、及び、生成されたディスプレイコマンドにもとづいて画像データ記憶部4160zから液晶表示装置1900に表示すべき画像の表示に用いる画像データを読み込むVDP4160を備えている。ここで、本実施形態においては、「画像制御データ」は、液晶表示装置1900にどのような画像を表示させるかが定められたデータ(所謂「シナリオデータ」)を示しており(既述のスケジュールデータに相当)、表示しようとする画像そのもののデータとは異なっている。一方、「画像データ」は、液晶表示装置1900に表示される画像(所謂「スプライト」等)の表示に用いるスプライトデータを示しており、所謂キャラクタROMとしての液晶及び音ROM4160bから読み出されるデータである。
[16−4.遅延制御部における具体的な方法]
[16−4−1.ポインタを用いた遅延制御(ポインタ切り替え)]
図107は、一例としてのリングバッファをさらに具体的に表しており、ポインタを用いた遅延制御を実施する様子の一例である。当該図107は、図106における遅延制御部4150s及び遅延制御に関する具体的な方法の一例を示す図である。なお、本実施形態においては、遅延制御部4150sの一例としてリングバッファを挙げるが、このようなリングバッファに限られず、いわゆるFIFOのようなシリアルバッファであっても良いし、リングという概念とは異なりシーケンシャルな方法でデータが記憶されるバッファであっても良い。
まず、リングバッファ4150saは、第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)を含み、各バッファ4150sa0などには各記憶領域の先頭アドレスとしての開始アドレスが付されている。これら第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)は、それぞれ、各バッファの開始アドレスさえ規定されていれば特定できるため同一の記憶容量でなければならない訳ではないものの、本実施形態においては、望ましくは、例えば、同一の記憶容量の記憶領域であるものとしている。従って、本実施形態では、各バッファ(各単位記憶領域)が、開始アドレスから始まる当該同一の記憶容量分の記憶領域であるものと例示して説明することとする。各バッファ(各所定の単位記憶領域)を区別するため、これら第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)には、それぞれ、例えば0番から7番までの識別情報としてのバッファ番号が割り当てられている。本実施形態では、第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7は、それぞれ、各開始アドレスに対応させたポインタ(識別子)で区別して特定可能となる。
ところで、本実施形態では、周辺制御MPU4150aが、音源内蔵VDP4160aに液晶表示装置1900による各フレーム表示の進行に合わせて、即ち、例えばフレーム割り込みが掛かると、周辺制御MPU4150aは、図108に示されたポインタ更新処理において、まずポインタの更新が必要であるか否かを判断する(ステップS1401)。ここでいうポインタとしては、演出制御データを書き込むべきバッファの開始アドレスを指し示す書き込みポインタ、及び、格納済みのバッファの開始アドレスを指し示す取り込みポインタを含んでいる。
このようにポインタが更新されるための条件の1つとしては、フレームが進行したこと、即ち、フレームが表示された後に次のフレームが表示されたことを挙げることができるが、その条件としては、フレームの進行に加えてさらに特定の条件が成立したことも含めても良い。このような特定の条件として、例えば、いずれかのバッファに演出制御データがセット(格納)されたことを含めると、いずれかのバッファに演出制御データが格納されていないにもかかわらずポインタが指し示すバッファが次々と移動してしまうことを抑制することができる。
周辺制御MPU4150aは、書き込みポインタ及び取り込みポインタについて更新が必要であると判断した場合には書き込みポインタを+1するように更新を行う一方(ステップS1402)、取り込みポインタを+1するように更新を行う(ステップS1403)。一方、周辺制御MPU4150aは、書き込みポインタ及び取り込みポインタについて更新が必要でないと判断した場合にはこのポインタ更新処理を終了し、既述の定常処理を繰り返し実行する。
本実施形態では、そのようにポインタを更新する条件としては、例えばフレーム表示を進行させていることを挙げることができる。なお、ポインタの更新は、フレーム表示の進行に合わせて実施する代わりに、その他特定の周期に応じて実施するようにしても良い。
ポインタを用いた遅延制御の概略としては、次のようになっている。即ち、周辺制御MPU4150aは、ある演出制御データをリングバッファ4150saに格納させようとした際、上記書き込みポインタを用いて、このリングバッファ4150saにおける第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)のうちの所定のバッファ(所定の単位記憶領域)を指定し、この指定した所定のバッファにその演出制御データを格納させるとともにその格納させた所定のバッファの開始アドレスに対応する書き込みポインタ(以下「書き込み位置」ともいう)を、当該格納済みの演出制御データに対応付けて管理している。その後同様に、周辺制御MPU4150aは、それ以降の演出制御データ群について各々リングバッファ4150saへの格納を繰り返し、この際、格納済みの各演出制御データに関し、各バッファを区別して指定可能なポインタ(識別子)を用いて、第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7のいずれか所定のバッファへの格納順序を管理している。
ここで、周辺制御MPU4150aは、第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7の開始アドレスに対応させたポインタをフレームの進行ごとに+1ずつ加算させて所定期間ごとに開始アドレスを更新し、この更新した開始アドレスを用いて第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7の各バッファを1回ずつ指定可能な状態を繰り返している。
一方、周辺制御MPU4150aは、上述した書き込み位置としての当該所定のバッファ(所定の単位記憶領域)から上記格納済みの演出制御データが取り出されるべきタイミングにおいて、上記ポインタに基づいて当該格納済みの演出制御データを特定するとともに上記所定のバッファ(以下「取り込み位置」ともいう)から取り出してドライバに出力する構成となっている。
このように周辺制御MPU4150aは、第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7のいずれか所定のバッファ(上記書き込み位置に相当)に格納済みの演出制御データが取り出されるべきタイミングを本来のタイミングよりも、当該格納済みの演出制御データを取り出すまでの時間差による所定の遅延量分に亘って遅延させて、上記格納済みの演出制御データを取り出してドライバに出力する構成となっている。
即ち、周辺制御MPU4150aは、第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7のうちの各バッファの開始アドレスの指定を制御するためのポインタについてその位置指定を各バッファごとにシフトさせることで、上述した所定の遅延量の遅延を発生させている。なお、ポインタの更新方法や更新タイミングについては、演出制御データの書き込み位置のバッファ(以下、単に「書き込み位置」ともいう)を示すポインタと、格納済の演出制御データの取り込み位置のバッファ(以下、単に「取り込み位置」ともいう)を示すポインタとの間において一例として同一の条件が適用されるようにしても良い。
[16−4−1−1.取り込み位置の変更による遅延制御]
そのような所定の遅延量の設定方法としては、例えば、取り込み位置の変更により、書き込み初期位置から所定の遅延量分逆算することによって取り込み位置を求めて設定する方法を採用することができる。以下、具体的に説明する。
図109は、演出制御データの書込取込制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、この書込取込制御処理は、例えばフレーム割り込みを契機として実行される。まず、周辺制御MPU4150aは、所定の演出制御データを、例えば、上述したように更新されている書き込みポインタが示す位置(以下「書き込み初期位置」ともいう)のバッファにセットする(ステップS1501)。
次に周辺制御MPU4150aは、遅延分として所定の遅延量(例えば+2フレーム分とする)を決定し(ステップS1502)、上記書き込み初期位置から上記遅延量分を減算し、この計算結果を取り込み初期位置と設定する(ステップS1503)。
次に周辺制御MPU4150aは、上記所定の遅延量分に対応する時間に亘って格納済みの演出制御データの取り出しタイミングを遅延させる方法の一例として、次のように取り込み禁止期間を設定する。具体的には、周辺制御MPU4150aは、取り込み禁止期間として所定時間をセットし(ステップS1504)、その後、当該取り込み禁止期間が経過したか否かを確認する(ステップS1505)。周辺制御MPU4150aは、当該取り込み禁止期間が開始されるとフレームが進行するごとに−1ずつカウントダウンして0となると、当該取り込み禁止期間が終了したものとする。次に周辺制御基板4140は、上記取り込み初期位置に対応するバッファから上記格納済みの演出制御データを取り出してドライバ(演出動作実行手段)に出力する。
ここで、一例として、要求位置(書き込み初期位置)が第5バッファ4150sa5であり、かつ、遅延分をバッファ3個分とした場合、周辺制御MPU4150aは、取り込み初期位置として5−3=2番目のバッファ(即ち、第2バッファ4150sa2)と設定する。つまり、周辺制御MPU4150aは、上記取り込み禁止期間として3フレームを設定している。
なお、上記所定の遅延量分に対応する時間に亘って格納済みの演出制御データの取り出しタイミングを遅延させる方法としては、上述したように取り込み禁止期間を設定することに限定されず、その他の方法を採用しても良い。具体的には、このような方法として、例えば、取り込み位置が、演出制御データをセットした書き込み位置と同一となるか否かで比較する方法を採用しても良い。
[16−4−1−2.書き込み位置の変更による遅延制御]
一方、上述ような所定の遅延量の設定方法としては、上述した取り込み位置の変更による遅延制御の代わりに、例えば、取り込み位置から所定の遅延量分逆算することによって書き込み位置を求めて設定する方法を採用することもできる。
まず、周辺制御MPU4150aは、例えば、フレーム割り込みを契機として演出制御データの書込取込制御処理を実行する。即ち、周辺制御MPU4150aは、新たな演出制御データについて、取り込み位置のバッファに遅延量分を加算してこの演算結果から書き込み位置を設定する。
周辺制御MPU4150aは、取り込み禁止期間として所定時間をセットし、その後、当該取り込み禁止期間が経過したか否かを確認する。周辺制御MPU4150aは、当該取り込み禁止期間が開始されるとフレームが進行するごとに−1ずつカウントダウンして0となると、当該取り込み禁止期間が終了したものとする。次に周辺制御基板4140は、上記取り込み位置に対応するバッファから上記格納済みの演出制御データを取り出してドライバ(演出動作実行手段)に出力する。
ここで、一例として、取り込み位置を3番目のバッファ(即ち、第3バッファ4150sa3)とし、かつ、遅延分をバッファ3個分と設定した場合、周辺制御MPU4150aは、書き込み位置として3+3=6番目のバッファ(即ち、第6バッファ4150sa6)と設定することになる。
なお、上述したように取り込み禁止期間は、取り込み位置と書き込み位置の差分によって特定される位置に対応するバッファについて、その差分に対応するフレーム表示期間に亘ってバッファの内容を無効(取り込み禁止)とするためのものである。
以上説明しように、取り込み位置及び書き込み位置のいずれかの変更による遅延制御によれば、それぞれ、上述のように出力された演出制御データは、リングバッファ4150saにおいて格納順序を特定しうる態様で第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)のうちの所定のバッファ(所定の単位記憶領域)に格納されてから所定の期間に亘って保持されるため、上記取り込み禁止期間に相当する出力待ち時間を恒常的に発生させている。
[16−4−2.データ移動による遅延制御]
図110〜図112は、それぞれ、一例としてのリングバッファのさらに別な形態を具体的に表しており、例えば、データ移動による遅延制御を実施する様子の一例である。この図110〜図112は、各々図106における遅延制御部4150s及び遅延制御に関する具体的な方法の一例を示す図である。なお、本実施形態においては、一例としてリングバッファを挙げているが、このようなリングバッファに限られず、いわゆるFIFOのようなシリアルバッファであっても良いし、リングという概念とは異なりシーケンシャルな方法でデータが記憶されるバッファであっても良い。
既述のようにリングバッファ4150saは、第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)を含む。これら第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)は、それぞれ、同一の記憶容量でなければならない訳ではないものの、本実施形態においては、例えば、同一の記憶容量の記憶領域であるものとしている。各バッファ(各所定の単位記憶領域)を区別するため、これら第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)には、それぞれ、例えば0番から7番までの識別情報としてのバッファ番号が割り当てられている。
データ移動による遅延制御の概略としては次のようになっている。即ち、周辺制御MPU4150aは、図110に示すように、ある演出制御データをこれら第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7のうちの所定の単位記憶領域としての所定のバッファ(例えば第0バッファ4150sa0)に格納すると、その後、液晶表示装置1900による各フレーム表示の進行に合わせて、即ち、例えばフレーム割り込みが掛かると、当該第0バッファ4150sa0に格納済みの演出制御データを、図111に示すように次の第1バッファ4150sa1に移動させる。さらに周辺制御MPU4150aは、次にフレーム割り込みが掛かると、当該第1バッファ4150sa1に格納済みの演出制御データを、次の第2バッファ4150sa2に移動させる。同様に周辺制御MPU4150aは、さらに次にフレーム割り込みが掛かる度に、図112に示すように繰り返し、当該演出制御データを格納済みのバッファから次のバッファに当該演出制御データを移動させ、図示しないが、最終的には第7バッファ4150sa7から演出制御データが読み出される。
このように、ある演出制御データをリングバッファ4150saに格納させようとした際、周辺制御MPU4150aは、このリングバッファ4150saにおける第0バッファ4150sa0〜第7バッファ4150sa7(複数の単位記憶領域)のうち所定のバッファ(所定の単位記憶領域)を指定し、当該指定した所定のバッファにその演出制御データを格納させるとともにその格納させた書き込み位置を、当該格納済みの演出制御データに対応付けて管理している。
一方、周辺制御MPU4150aは、上述した書き込み位置としての当該所定のバッファ(所定の単位記憶領域)から上記格納済みの演出制御データが取り出されるべきタイミングにおいて、当該格納済みの演出制御データを特定するとともに上記所定のバッファ(以下「取り込み位置」ともいう)から取り出してドライバに出力する構成となっている。
なお、上述したリングバッファ4150saは、上記遅延量に応じて複数のバッファの数が変更される形態であっても良い。また、上述した実施形態では、リングバッファ4150saとして、複数のバッファ4150sa0〜4150sa7において書き込み位置と取り込み位置を指定する方法を採用しているが、これに限られず、各バッファ4150sa0などのサイズを固定し、書き込み位置と取り込み位置が常に同様となるようにしても良い。このようにすると、取り込み位置と書き込み位置の管理を行わなくても良くなる。具体例を挙げると、例えば、常時遅延量が4フレーム分であるとした場合には、第0バッファ4150sa0〜第4バッファ4150sa4をバッファとして確保しておく一方、第0バッファ4150sa0を書き込み位置と固定するとともに第4バッファsa4を取り込み位置と固定することができる。
また、バッファのサイズは最大遅延分確保するが、遅延量の調整のために、複数のバッファ4150sa0〜4150sa7における書き込み位置及び取り込み位置のうちの一方を固定してもよい。例えば、遅延量を4フレーム分とする場合、書き込み位置は第0バッファsa0とするとともに、取り込み位置は第5バッファsa5とする。この場合、第6バッファsa6及び第7バッファsa7は未使用の領域となる。一方、取り込み位置を第7バッファsa7に固定する場合には、遅延量に応じて書き込み位置を変更してもよい。例えば、遅延量が5フレーム分とした場合、書き込み位置は第0バッファsa0ではなく、第2バッファsa2から書き込むこととなる。このため、第0バッファsa0及び第1バッファsa1は未使用の領域となる。なお、遅延量の調整は、遊技の状態、変動態様等のいずれかの条件の成立で切り換えるようにしてもよい。
このように周辺制御MPU4150aは、複数のバッファのいずれか所定のバッファ(上記書き込み位置に相当)に格納済みの演出制御データが取り出されるべきタイミングを本来のタイミングよりも、当該格納済みの演出制御データを取り出すまでの時間差による所定の遅延量分に亘って遅延させて、上記格納済みの演出制御データを取り出してドライバに出力する構成となっている。即ち、本実施形態では、周辺制御MPU4150aが、ある演出装置を動作させるべく、それに対応する演出制御データを出力してから実際にその演出装置にその演出制御データが入力されるまでに一定遅延量が発生していることが前提となっている。
[16−5.主にレスポンス制御に関係する構成例]
次に図106を参照しつつレスポンス制御に関する構成例について説明する。上述したレスポンス制御部4150u(応答制御手段)は、上述した本来のタイミングよりも所定の遅延量(既述の「取り込み禁止期間」に相当)分遅延させる前であっても、所定の条件が成立したことを契機として、遅延制御部4150s(情報出力制御手段)に、複数のバッファ4150sa0〜4150sa7(複数の単位記憶領域)のうちのいずれか所定のバッファ(所定の単位記憶領域)から上記格納済みの演出制御データを取り出してドライバ4150v(演出動作実行手段)に出力させる。すると、演出装置4190(演出手段)は、ドライバ4150vに出力させた演出制御データに基づいて即時に演出動作の実行を開始する。この演出装置4190の一例としては、詳細は後述するが、例えばスピーカ(音出力手段)、ランプ(光出力手段)及び役物モータ(役物駆動手段)のいずれかまたはこれらいずれかの組み合わせを挙げることができる。本実施形態では、一例として、演出装置4190(演出手段)が、演出制御データに基づいて駆動する駆動部(役物モータ)及びこの駆動部によって所定の態様で動作する可動役物を備えるものとする。
ところで、本実施形態においては、複数のバッファ4150sa1〜4150sa7を含む遅延制御部4150s(以下「遅延バッファ」ともいう)とは別途、レスポンス専用バッファを設けるようにしてもよい。このようなレスポンス専用バッファを利用する状況としては、例えば、演出にレスポンス性が要求される場合を想定している。このレスポンス用バッファとしては、上述した遅延バッファのように複数バッファ4150sa1〜4150sa7を用意する代わりに、例えば、図示しない単一のバッファ構成とされている。このレスポンス用バッファは、単一のバッファへの演出制御データの書き込みが完了したことを待って、バッファに格納済みの内容としての演出制御データがドライバ4150vに取り出されるようにしている。
また、このようなレスポンス専用バッファとしては、上述のように単一のバッファではなく、例えば、複数のバッファで構成してもよい。このように複数のバッファとすることで、あるバッファからの演出制御データの取込中においても、次のバッファに別の演出制御データの書き込みを行うことができるようになるため、そのような書き込み処理と取り込み処理とを同時に行うことが可能となる。ただし、複数のバッファ構成とした場合、書き込みから取込までの時間分が遅延することになるため、レスポンス性を損ねない程度のバッファ数とする必要がある。例えば、ダブルバッファ構成とすることで、書き込みと取り込みが同時に行うことができるようにすれば、最初の書き込み時には一のバッファ分の遅延が発生するものの、次の取込からは遅延が発生しないようにすることが可能となり、レスポンス性を極力抑える(或いは回避)することが可能となる。また、バッファとしては図114(B)に示すように、演出装置毎に専用のバッファを設ける構成としてもよい。
なお、レスポンス専用バッファに設定する演出制御データは、例えば遊技の状態に応じて切り換えてもよいし、演出装置毎に固定としてもよい。例えば、演出ボタンとして演出操作ユニット220のボタンユニット220Cを操作した場合にその操作と同時に効果音を出力したいときには、このボタンユニット220Cの操作に伴う音声用演出装置(例えばスピーカ)の演出制御データのみがレスポンス専用バッファに固定されている形態としてもよい。この場合、音の種類により、上記遅延バッファとするか、上記レスポンス専用バッファとするかを管理するようにしている。
本実施形態では、上述した「所定の条件」の一例として、例えば、外部から操作可能なボタンユニット220C(操作手段)の操作態様に応じて操作信号が出力されたことを挙げることができる。当該所定の条件としては、ボタンユニット220Cが操作されたことに限定されず、その他の予め定められた事象が発生したことを契機としても良い。例えば、通常のリーチよりも大当りへの期待度を遊技者により抱かせ易いリーチ(いわゆる「スペシャルリーチ」に相当)に発展するときや、大当り時の演出実行時等のように特定の演出が開始される場合を契機としても良い。
[16−6.レスポンス制御の具体例]
図113は、遅延制御を実施する前提の下、遊技者の操作に対するレスポンスの第1の例を示す図であり、図114は、遅延制御を実施する前提の下、遊技者の操作に対するレスポンスの第2の例を示す図である。なお、図113(A)及び図114(A)は、それぞれ、内部的な演出シーケンスの一例を表しており、図113(B)及び図114(B)は、それぞれ、操作契機用の演出シーケンスの一例を表している。
[16−6−1.レスポンスに関する第1の例]
レスポンスに関する第1の例では、例えば主軸となる演出シーケンスと、操作契機の演出シーケンスを二重で設け、操作契機の演出シーケンスは遅延量0で即反応するようにしている。このレスポンスに関する第1の例では、演出に必要な演出制御データ一式を事前に切り分けて用意しておくことにより、容量制限、事前に演出制御データなど設計負担がやや大きくなるものの、遊技者がダイレクトな操作感を得ることができるようになる。
[16−6−1−1.内部的な演出シーケンス管理]
図113(A)に示す第1の例では、演出再生機構側(既述の遅延制御部4150sに相当)で遅延制御を行っている。このような方式を採用すると、この演出再生機構側で遅延制御を行う分、演出再生機構自体はやや複雑となるものの演出制御データの制作作業の負担を軽減することができる。
まず、以降の説明において共通するが、周辺制御ROM4160b或いは周辺制御内蔵RAM4150abにおいては、次のような構成の描画要求リストが格納されている。即ち、このような描画要求リストにおいては、例えば、第1フレームに描画リスト1が対応しており、第2フレームに描画リスト2が対応しており、第3フレームに描画リスト3が対応しており、第4フレームに描画リスト4対応しており、第5フレームに描画リスト5が対応しており、第6フレームに描画リスト6が対応している。
一方、周辺制御MPU4150aは、次のようなディスプレイリストを生成する。即ち、ディスプレイリストにおいては、例えば、第1フレームに描画リスト1が対応しており、第2フレームに描画リスト2が対応しており、第3フレームに描画リスト3が対応しており、第4フレームに描画リスト4が対応しており、第5フレームに描画リスト5が対応しており、第6フレームに描画リスト6が対応している。
周辺制御MPU4150aは、ディスプレイリストを解釈し、キャッシュ管理を実施するとともにディスプレイリストを再構成する一方、遅延制御部4150sを用いて遅延制御を実施し、例えば、図113(A)に示すように4フレーム分の遅延量を発生させている。なお、この例では、周辺制御MPU4150aがこのような処理を実行する代わりに、音源内蔵VDP4160aが周辺制御MPU4150aの制御によって、そのような処理を実行するようにしても良い。
音源内蔵VDP4160aは、周辺制御MPU4150aの制御によって動作しており、遅延制御部4150sによって4フレーム分遅れて、即ち、フレーム割り込み4回分時間的に後ろにシフトされて、図示しないフレームバッファに描画データを書き込むことにより描画処理を実行する。
一方、液晶表示装置1900においては、当該4フレーム分遅れたさらに次のフレーム割り込みにおいて(即ち、5フレーム分遅れて)、上記フレームバッファに格納済みであって描画リスト1に対応する描画データに基づく映像が表示される。即ち、本実施形態では、液晶表示装置1900には本来のタイミングから5フレーム分の遅延量を以って映像が表示されるようになっている。さらにその次のフレーム割り込みが掛かると、液晶表示装置1900には、6フレーム分遅れた描画リスト2に対応する描画データに基づく映像が表示される。さらに、それ以降も各フレーム割り込みが掛かる度に、液晶表示装置1900には、上記同様、その後も、所定の遅延量として5フレーム分遅れて、上記フレームバッファに格納済みであって各描画リストに対応する各描画データに基づく映像群が次々と表示される。
ところで、選択&出力部4150rは、取り出したデータ4150tの出力先としてレスポンス側(レスポンス制御部4150s)と遅延側(遅延制御部4150s)とのいずれとするかを切り換える。この場合、選択&出力部4150rは、取り込んだデータ4150tについて、レスポンス側に出力するか遅延側に出力するかを切り換えるための管理を行うことが必要となる。その管理方法の一例としては、例えば、演出の状況を判断して切り換えるようにしたり、取り込むデータ自体に、いずれに出力するかを示す情報が予め設定されており、その情報に応じ、レスポンス側か遅延側かで切り換えるようにすればよい。
なお、本実施形態では、図106に示すように周辺制御基板4140の構成を画像系と画像系以外とで分けるとともに画像系についてレスポンス側(レスポンス制御部4150s)と遅延側(遅延制御部4150s)とに分けているが、これに限られず、画像系についても同様にレスポンス側と遅延側とに分けた構成としても良い。
[16−6−1−2.操作契機用の演出シーケンス]
この操作契機用の演出シーケンスでは、図113(B)に示すように、操作契機用シーケンスで必要な演出制御データは全て事前に読み込んでおき、即応答するように構成している。この操作契機用の演出シーケンスによれば、演出制御を実行している際の負担が大きくなるが、遅延量が0となるため、レスポンスを良くすることができる。
ここで、周辺制御MPU4150aは、演出制御データとして、遊技者の操作を契機として扱うべき演出装置用の演出制御データ一式を取り扱うものとし、例えば、画面(液晶表示装置1900など)、ランプ、音出力部(スピーカー)、役物のモータを駆動するための演出制御データを用いる。
周辺制御MPU4150aは、このように液晶表示装置1900に関する画面表示に関して所定の遅延量が生じていることを前提としながらも、所定の条件が成立したこと、例えば、既述のように遊技者がボタンユニット220Cを操作したことを契機として、図113(B)に示すように遅延量を0として即座に、レスポンス制御部4150uから後述するレスポンス専用バッファ(図示せず)に格納済みの演出制御データを、或いは、レスポンス制御部4150uに、複数のバッファ4150sa0〜4150sa7(複数の単位記憶領域)のうちのいずれか所定のバッファ(所定の単位記憶領域)から上記格納済みの演出制御データを取り出させて、ドライバ4150v(演出動作実行手段)に出力させる。すると、画面、ランプ、音、役物に関する演出装置4190(演出手段)は、ドライバ4150vに出力させた演出制御データに基づいて、上記遅延量分待機することなく即座に演出動作を実行する。
[16−6−2.レスポンスに関する第2の例]
レスポンスに関する第2の例では、遊技者によるボタンユニット220C(操作手段)の操作を契機として、スピーカー、ランプ及び役物モータなどの全ての演出装置について同時期に同期させて即応答させる代わりに、一部の演出装置のみを操作に応じて即応答させることにより、遊技者に、錯覚としてレスポンスの良さを感じ取らせるようにする。
即ち、周辺制御MPU4150aは、上述したスピーカーなどの複数の演出装置の演出動作を制御する際に、通常時においてはこれら複数の演出装置を同時期に同期させて演出制御するよう同時期に演出制御データを取り出しているが、予め定められた条件(所定の条件)が成立したことを契機として、これら複数の演出装置のうち一部の演出装置について他の演出装置とは異なるタイミングで演出制御データを取り出すことにより、当該一部の演出装置を当該他の演出装置とは異なるタイミングで演出制御を開始させる(応答制御手段)。
まず、既述の第1の例と第2の例とを比較すると、まず、上述した図113に示す第1の例は、画像(図示の画面に相当)に限定すること及び事前読み込みをすることとして捉えることができる。この第1の例の場合、操作時と非操作時とで予め描画リスト等を各々用意しておく必要がある。なお、図113においてはあくまでも画像(図示の画面に相当)に特化しているが、このように画像に特化する必要性はない。一方、図114に示す第2の例は、このような画像以外も含む(音・ランプ・役物)ものであると云える。
なお、本実施形態では、既述のようにレスポンス制御部4150u(のレスポンス専用バッファ)は、必ずしも複数のバッファ(複数の単位記憶領域)を備えている必要はなく、単数のバッファで構成しても良い。・・・フォントが異なる。
第2の例では、演出制御データを制作する際における作業負担が大きい例(上記第1の例)と比較した場合、後述するような点において作業負担を軽減することができる方法と云える。まず、当該第2の例では、第1の例と同様に、映像を全く遅延なく制御することは少々困難であるため、より容易なものとすべく、一部の映像を含むことも可能とするものの映像以外に係る一部もしくは全部の演出装置を遊技者の操作に応じて即応答させるようにしている。例えばボタンユニット220C(操作手段)が操作された瞬間から映像を遅らせることができるが、音は即座に出力されるとともに、ランプは即座に光を出力する。これにより、錯覚として演出全体としてのレスポンスが上がったような効果を発揮することができる。一方、画面(映像)についても全体フラッシュや一瞬の拡大という演出表現は可能であるため、実装の難易度を上げないようにしつつレスポンスが向上したかのような効果を発揮することができる。
(1)内部的な演出シーケンス管理
図114(A)に示す第2の例における内部的な演出シーケンスでは、既述の第1の例における内部的な演出シーケンス(図113(A)参照)と同様に、映像の遅延量が5フレームとなっているとともに演出再生機構もやや複雑となるものの、演出制御データを制作する際における作業負担は小さなものとなる。即ち、図114(A)に示すドライバ(バッファ)管理のみで自由に遅延させることができるため、遅延量を演出毎に考慮する必要がなくなる。このため、図114(A)に示す第2の例によれば、演出制御データを作成する際における作業負担を小さくすることができる。
(2)操作契機用の演出シーケンス
図114(B)に示す第2の例の場合、例えば、事前準備が不用である演出装置に限って操作に対して即応答させている。この第2の例の場合、遅延量は0フレームとなり、レスポンスも良好であるとともに演出制御データを制作する際における作業負担も小さくなる。
以上のような実施形態によれば、それぞれ、複数の演出装置の演出動作を制御する際に、通常時においては複数の演出装置4190を同時期に同期させて演出制御するよう同時期に演出制御データを取り出すことが前提となっている。このような前提の下、周辺制御基板4140では、周辺制御MPU4150aが、所定の条件が成立したことを契機として、複数の演出装置4190のうち一部の演出装置について他の演出装置とは異なるタイミングで演出制御データを取り出すことにより、これを受けた当該一部の演出装置を当該他の演出装置とは異なるタイミングで演出制御を開始させるようにしている。このようにすると、元々は所定の遅延量分遅れて実行されている演出に慣れていた遊技者が、上記予め定められた条件(所定の条件)が成立したことを契機として急に演出装置のレスポンスが良くなったことを体感し、演出装置の急な動作に驚きを感じて、遊技の興趣が向上されるようになる。
[16−7.フレーム遅延(ソフト側処理)]
ところで、一般的な従来のパチンコ機では、遊技動作を制御する遊技制御基板の他にも、演出動作を制御する演出制御基板を搭載しており(既述の第1の参考文献参照)、この演出制御基板は、画像の表示に用いる素材画像データが予め格納されているいわゆるキャラクタROMの他にも、事前に素材画像データを一時的に格納しておくための既述の素材画像RAM(一次記憶部)のみならずグラフィックチップとしてのVDPを備えているものもある。そのキャラクタROMの読み出し速度の低さをカバーするためには、読み出し速度が高い素材画像RAM(一次記憶部)の記憶容量を増やしておく必要があるが、近年のように多彩な表示を実現しようとすると多数の素材画像データが必要となり、キャラクタROMの記憶容量を増やすことと併せて一次記憶部の記憶容量を大きくすることが必要となっていた。そこで、本実施形態では、一次記憶部の記憶容量を抑制しつつ、キャラクタROMとして読み出し速度が低い記憶手段を採用した場合でも視覚上の違和感を低減することを目的とし、遊技の進行を制御する主制御基板4100(遊技制御手段)と、この主制御基板4100からの指示に応じて映像を表示する演出装置を制御する周辺制御基板4140(演出制御手段)と、を備えるパチンコ遊技機1では、周辺制御基板4140が、映像のフレーム(表示面)を構成する素材画像データが予め格納されている液晶及び音制御ROM4160b(常時記憶手段)、フレーム単位での素材画像データ群を一時的に記憶する既述の素材画像RAM(一時記憶手段)を備えているとともに、以下に説明するような構成を採用している。なお、この液晶及び音制御ROM4160bは、例えば、格納済みのデータの読み出しが遅いROMの一例として挙げている。
[16−7−1.フレーム遅延制御の前提]
まず、各フレームの描画要求には、同時に描画したい素材画像群の数、それらのフレーム上の座標、及び、それらの表示態様に関する情報が含まれている。各フレームの描画要求リストとしては、例えば、表示させるべきフレームごとに、そのフレームに含めるべき必要な素材画像を表す識別番号(例えば既述のスプライト番号に相当)、その描画モード、各素材画像の座標情報(4頂点管理、XY座標及び回転拡大率など)が含められている。
図115は、あるシーンを再生する際における各フレームの描画要求に関し、周辺制御ROM4160b或いは周辺制御内蔵RAM4150abに格納されているとともに各フレームに対応する描画要求リストの一例を示す図である。なお、この描画要求リストがフレームごとに解釈されて描画の要求が順に実際に出力されることとなる。
これら周辺制御ROM4160b或いは周辺制御内蔵RAM4150abにおいては、次のような構成の描画要求リスト(第1演出制御データ)が格納される。即ち、各描画要求リストでは、例えば、第1フレームに描画リスト1が対応しており、第2フレームに描画リスト2が対応しており、第3フレームに描画リスト3が対応しており、第4フレームに描画リスト4が対応しており、第5フレームに描画リスト5が対応しており、第6フレームに描画リスト6が対応している。なお、ここでは、各描画リストの集まりを「描画要求リスト」と呼んでいる。
[16−7−2.読み出し速度が高いキャラクタROMを用いた場合]
図116(A)〜図116(D)は、本実施形態の比較対象として一般的なフレームバッファ方式のグラフィックチップによる描画処理の一例を示す図である。これら図116(A)〜図116(D)においては、各フレームの処理タイミングごとに、左側に示した周辺制御MPU4150a(図示のCPUに相当)及び音源内蔵VDP4160a(図示のVDPに相当)によって用いられる描画要求リスト(及びその処理済みの描画要求リストなど)を縦方向に揃えて示している。ここで、図116(A)は、既述の図115と同様の内容であるため、説明を省略する。なお、図116(C)及び図116(D)などに示す「描画リスト」の文言は、描画リストその物でなく、描画リストにもとづいて生成されたデータ(画像データ)を差し示している。
周辺制御MPU4150aは、各フレームの描画処理を開始するタイミングで、映像を表示制御するための描画要求リスト(第1演出制御データ)を選択し(演出制御データ選択手段)、周辺制御ROM4150b又は周辺制御内蔵RAM4150abから対応する各描画リストとして描画リスト1などを取得してその内容を解釈し、図116(B)に示すように、当該解釈された描画リスト群(描画リスト1’、描画リスト2’、・・・描画リスト6’など)で構成されるディスプレイリストを作成する。さらに周辺制御MPU4150aは、当該作成したディスプレイリストに従って、音源内蔵VDP4160aに、当該解釈した結果に従って、液晶及び音制御ROM4160b又は素材画像RAMから読み出した必要な素材画像データをダブルバッファ構成の素材画像RAMのうちの一方のバッファに格納する一方、当該ダブルバッファ構成の素材画像RAMのうちの他方のバッファから格納済みの必要な素材画像を読み出す。その後、周辺制御MPU4150aは、その逆の処理を実行することを繰り返す。これにより、図116(C)に示すように結果として1フレーム分周期が遅れることになる。この素材画像RAMは、キャッシュのように用いられる一時記憶手段の一例であり、上述した描画リストのうち対応する特定の描画リスト(第1演出制御データ)にもとづいて、フレーム単位での素材画像データ群を、液晶及び音制御ROM4160bから新たに読み出す代わりに、一時的に記憶しておくためのメモリの一種である。
ここで、一見すると、音源内蔵VDP4160aが素材画像RAMのキャッシュ領域上の素材画像データ群を直接的に操作できないようにも見えるが、本実施形態では、音源内蔵VDP4160aと素材画像RAMとの間に、例えば、図示はしないがコントローラ及びROMが設けられており、このコントローラが、音源内蔵VDP4160aの制御によって素材画像RAMのキャッシュ領域上の素材画像データ群を操作することができるようになっている。なお、これらキャッシュコントローラ及びROMは、音源内蔵VDP4160aに内蔵されている形態であっても良い。
周辺制御基板4140の液晶及び音制御部4160には、液晶及び音制御ROM4160b若しくは上記素材画像RAMから読み出した素材画像データ群を、液晶表示装置1900(演出装置)に表示させる描画データとして記憶可能なフレームバッファ(表示面画像記憶手段)を備えている。このフレームバッファは、いわゆるダブルバッファ構成を採用しており、図示しない一方のフレームバッファに描画データを書き込んでいる間にも、図示しない他方のフレームバッファに書き込み済の描画データにもとづいて液晶及び音制御ROM4160bに映像が表示されるようになっている。音源内蔵VDP4160aは、当該読み出された必要な素材画像データを用いて描画データを生成するとともに一方のフレームバッファに格納する一方、他方のフレームバッファに格納済みの描画データにもとづいて図116(D)に示すように1フレーム分周期ずつ遅れて描画処理を実行しつつ、液晶表示装置1900に各フレームで構成される映像を表示させる(図116(D)に示す「画面に反映」に相当)。即ち、一般的なフレームバッファ方式のグラフィックチップによる描画処理では、描画要求から実際に映像として反映するまでに、2フレーム分の遅延が発生していることになる。
[16−7−3.読み出し速度が低いキャラクタROMを用いた場合]
図117は、本実施形態による描画処理の一例を示す図である。図117においては、左側に示した周辺制御MPU4150a(図示のCPUに相当)や音源内蔵VDP4160a(図示のVDPに相当)によって各フレームの処理タイミングに用いられる描画要求リスト(及びその処理済みの描画要求リストなど)を縦方向に揃えて示している。なお、図117(A)は、既述の図115と同様の内容であり、図117(B)は、図116(B)と同様の内容であるため、これらの図面については説明を省略するとともに上記同様の処理についても適宜説明を省略する。
まず概要を説明すると、周辺制御MPU4150aは、ディスプレイリストを解釈し、キャッシュ管理を実施し、さらにリストを再構成する。具体的には、周辺制御MPU4150aは、まず、各フレームの描画処理タイミングで、周辺制御ROM4150b又は周辺制御内蔵RAM4150abから、図117(A)に示す上記対応する各描画リスト(第1の演出制御データ)として描画リスト1を取得して解釈し、図117(B)に示すように、当該解釈された描画リスト群で構成されるディスプレイリストを作成する。ここでは、ディスプレイリストのうち主として描画リスト1を例示して説明する。
さらに周辺制御MPU4150aは、当該作成したディスプレイリストの描画リストに従って、音源内蔵VDP4160aに、当該解釈した結果に従って、液晶及び音制御ROM4160b又は素材画像RAMの特定の記憶領域から必要な素材画像データ群を、ダブルバッファ構成の素材画像RAMのうちの一方のバッファに格納する一方、当該ダブルバッファ構成の素材画像RAMのうちの他方のバッファから格納済みの必要な素材画像データを読み出す。これにより、図117(C)に示すように結果として1フレーム分周期が遅れることになる。
ところで、上述のように素材画像RAMに展開された素材画像データ群は、それぞれ、音源内蔵VDP4160aによる使用履歴に応じて素材画像RAMのうちのキャッシュ領域から消去されたりキャッシュ領域に残されるようになっている(上記「キャッシュ管理」に相当)。このキャッシュ管理では、例えば、ある素材画像データを展開しようとした際に、この素材画像データがキャッシュ領域に既に展開済みであるか否かが判断され、キャッシュ領域に展開済みである場合にはその素材画像データを新たに展開することがないように制御する一方、まだ展開されていない場合にはその素材画像データが所定の配列態様で新たに展開(以下「再配列」ともいう)されるように制御する(上記「キャッシュ管理」に相当)。さらに、このキャッシュ管理では、キャッシュ領域に展開済みの素材画像データの使用頻度が既定の閾値よりも低い場合には当該素材画像データがキャッシュ領域から自動的に消去されるように制御している。
次に周辺制御MPU4150aは、上記描画リスト1(第1演出制御データ)と上記再配列された素材画像データの配列態様にもとづいてフレーム分の新たな描画リスト(第2の演出制御データ)を再構築する(再構築手段)。このように再構築する理由としては、素材画像RAM(キャッシュ用RAM)に必要な素材画像データ群を再配置したために当該必要な素材画像データ群の格納位置(読み出し位置)が変更されているはずであることから、周辺制御MPU4150aが、その変更後も、これら必要な素材画像データ群の読み出し位置(アドレス)を把握できるようにするためである。なお、このような再構築は、周辺制御MPU4150aの代わりに、液晶制御MPU4150aが実施しても良い。
一方、このような再構築によって、素材画像RAMに必要な素材画像データ群が格納されてから読み出されるまでに時間差が生じ、この時間差により描画処理に所定フレーム数分(所定の遅延量)の遅延が発生することになる。本実施形態では、図117(C)に示すように、ディスプレイリスト解釈、キャッシュ管理及びリスト再構築を実施するフレーム遅延機構の存在により、例えば3フレーム周期分の遅延量が発生していることになる。
周辺制御MPU4150aは、上記新たな描画リスト1’などにもとづいて素材画像RAMのキャッシュ領域内における必要な素材画像データ群の格納位置を把握しつつ、音源内蔵VDP4160aに、当該必要な素材画像データ群をダブルバッファ構成の一方のフレームバッファに格納させて描画処理を実行させる一方(図117(D)の第5フレームのタイミング参照)、その間に、既に描画処理が完了した他方のフレームバッファの描画データにもとづいて液晶表示装置1900に映像を表示させる(図117(E)に示す「画面反映」に相当)。これにより、図117(D)に示すように各描画リスト1”などについては1フレーム周期分の遅延が発生することになる。その後も、周辺制御MPU4150aは、音源内蔵VDP4160aに、その逆の処理を実施することを繰り返し実行する。図117(E)に示すように本実施形態では、描画リスト1に対応するフレームは一例として5フレーム周期分遅れて表示されていることになる。なお、上述のようにダブルバッファ構成を採用した場合には、シングルバッファ構成を採用した場合と比べて、各フレーム周期において無駄なく効率良く描画処理を実行し続けることができるようになる。以降同様な処理を繰り返すことによって、音源内蔵VDP4160aは、図117(A)に示す各描画リスト1などに対応する映像を液晶表示装置1900に繰り返し表示させる。
ここで、キャラクタROM(常時記憶手段)として読み出し速度が低いメモリ(本実施形態では液晶及び音制御ROM4160bを例示)を採用して各フレームを表示させようとした場合、一見すると、キャラクタROMから必要な素材画像データを読み出しきるのに余計な時間が掛かってしまい、各フレームの描画処理に影響が及んでしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態では、周辺制御MPU4150a(再構築手段)が、素材画像RAM(一次記憶手段)に取り込み済みの必要な各素材画像データに関して所定時間に亘って処理を実施することにより、当該素材画像RAMから必要な各素材画像データの読み出しを開始するまでに所定の遅延量を発生させることとなる。従って、音源内蔵VDP4160a(描画制御手段)は、各フレームを表示させようとした際に、各フレームの描画処理に必要な時間を十分に確保できることから、キャラクタROMとして読み出し速度の低いメモリを採用した場合でも、読み出し速度が高いメモリを採用した場合と同様に、各フレームごとに描画処理の実行を確実に完結することができる。このため、キャラクタROMとして読み出し速度の低いメモリを採用した場合でも、周辺制御内蔵RAM4150abの記憶容量を増やすなどの工夫をしなくても、各フレームにより構成される映像が乱れることを抑制し、視覚上の違和感を低減することができる。
[17.タッチ液晶異常の解消方法]
ところで、近年の遊技機においては、遊技者の興味が尽きにくくするため、様々なデバイスが搭載されているものが存在している(上記第1の参考文献参照)。このようなデバイスは、一般的に電源投入時に初期処理が実施され、その後継続的に規定の動作態様で駆動する。その一方、遊技場(ホール)においては、多数の遊技球が搬送されるため恒常的にノイズが発生しやすいばかりでなく、遊技機内においても、遊技球の流れのみならず回路や電源がノイズを発生することもある。上述したデバイスの種類によっては、一見すると、このようなノイズの影響を受けて上記規定の動作態様で動作しなくなってしまうことも考えられる。
そこで、本実施形態では、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、図示しないスイッチからの操作信号に基づいて押圧操作部405(操作手段)が規定の操作態様(例えば5回押下された態様)で操作されたものと判定した(以下「リセット条件が成立した」と表現する)ことを契機として、遊技盤側液晶表示装置1900(一方のデバイス)をリセットすることなく部分的に、上皿側液晶表示装置246(他方のデバイス)をリセットする。なお、併せて、演出制御プログラムは、後述する規定の条件が成立しており、かつ、上述したリセット条件が成立したことを契機として、上皿側液晶表示装置246をリセットするようにしても良い。
このような既定の条件は、第1の例として、例えば、外枠2に対して本体枠4または扉枠5が開放されていることを挙げることができる。まず、既述のように、主制御プログラムは(遊技制御手段)、主制御基板4100の主制御MPU4100aの制御の下、扉枠5が開放されたことを契機として扉枠開放コマンド(特定枠開放状態指令)を出力する一方、本体枠4が開放されたことを契機として本体枠開放コマンド(特定枠開放状態指令)を出力する。
演出制御プログラムは、主制御基板4100の主制御MPU4100aの制御の下、主制御プログラムが出力したコマンド(指令)を受け取ると(指令受信手段)、このコマンドが扉枠開放コマンドまたは本体枠開放コマンドであるか否かを判定する。演出制御プログラムは、このコマンドが扉開放コマンドまたは本体枠開放コマンドである場合、上述した既定の条件が成立したものとする。
このような既定の条件は、例えば、基本的に、遊技場(ホール)の店員に特権として許容されている特殊な操作がなされた場合に成立しうる条件であるのが望ましい。このような既定の条件は、上述のように扉枠5或いは本体枠4が開放されたことに限られず、その他の状況となったことであっても良い。
本実施形態では、このような既定の条件としては、本体枠4が開放されたことよりも、扉枠5が開放されたこととする方がより望ましい。何故ならば、何かしらの不具合が発生した場合においては遊技場の店員は、一般的に、当該不具合への対応が終了した後に、遊技中断のお詫びとして一般入賞口2104等へ遊技球を受け入れさせて多少の賞球サービスを遊技者に提供することが多いため、扉枠5の開放という1つの操作によって、当該既定の条件の成立と、当該賞球サービスへの準備とを兼ねることができるためである。
さらにより具体的に説明すると、上述のように演出制御プログラムは、このような規定の条件が成立しており、かつ、上述した操作信号に基づいて押圧操作部405(操作手段)が規定の操作態様(5回押下)で操作されることにより手動リセット条件が成立したか否かを判定する(手動リセット条件判定手段)。なお、手動リセット条件は、このように押圧操作部405が当該規定の操作態様で操作されたことのみならず、例えば主として遊技場の店員のみが知りうるその他の操作がなされたことであっても良い。上述した演出制御プログラムは、このような手動リセット条件が成立したことを契機として、遊技盤側液晶表示装置1900(第1の表示手段)の制御を維持しつつ、上皿側液晶表示装置246(第2の表示手段)をリセットする(表示初期化手段)。即ち、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aによって音源内蔵VDP4160aを制御し、そのチャンネルCH1を用いて通常通り遊技盤側液晶表示装置1900を制御しつつ、その一方で同時に、そのチャンネルCH2(図21参照)からリセット信号を上皿側液晶表示装置246に出力する。
このようにすると、このリセット信号を受け取った上皿側液晶表示装置246は、規定のリセット処理を実行して再起動し、その後上記規定の動作態様で動作するようになる。これにより、本来あるべき姿である規定の動作態様で作動しなくなるに至った上皿側液晶表示装置246を、簡単な操作によって、特に確変機能が作動中においても遊技者に不安を与えることない態様で、当該規定の動作態様で作動するように復旧させることができる。
ところで、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの制御の下、音源内蔵VDP4160aのチャンネルCH2(図21参照)からリセット信号を上皿側液晶表示装置246に出力することを許容する期間としてリセット許容期間を設定するようにしても良い。このようなリセット許容期間としては、第一特別図柄または第二特別図柄のいずれかに関して始動記憶情報記憶領域に始動情報記憶情報が記憶されていない期間(いわゆる保留数が0個である期間)を挙げることができる。具体的には、演出制御プログラムが、主制御基板4100から受け取った特別図柄1記憶コマンド及び特別図柄2記憶コマンドの少なくとも一方のコマンドに基づいて特別図柄の変動表示待ちに対応する始動記憶情報記憶が存在しているかを判定し、変動表示待ちの始動記憶情報記憶が存在していない場合には当該リセット許容期間を設定する一方、変動表示待ちの始動記憶情報記憶が存在している場合には当該リセット許容期間を設定せず、上述したリセット信号の出力を規制している。このようにすると、いわゆる保留数が0個でない場合には、上皿側液晶表示装置246がリセット信号を受け取って規定のリセット処理を実施することがなくなるため、リセット処理を実施した際に、上皿側液晶表示装置246を見ている遊技者に、保留数が不明瞭となったのではないか、或いは、始動記憶情報(始動保留)そのものが消失したのではないかとの不安を与えないようにすることができる。
ところで、演出制御プログラムは、このような上皿側液晶表示装置246のリセット処理を、自動リセット条件が成立したことを契機とする代わりに、例えば、自動リセット条件が成立した後、上記始動条件が成立した後に開始条件が成立し(特別図柄の変動表示が開始され)たことに伴って装飾図柄を変動表示させるタイミングで実行するようにしても良い。このようにすると、上記リセット処理が実行された際でも、装飾図柄の変動表示を開始する上皿側液晶表示装置246が、一瞬何も表示しないために大当たりへの期待を抱かせる演出(以下、「ブラックアウト演出」という)が実行されたのではないかとの認識を持たせ、あたかも演出の一環であるかのように体感させることで、リセット処理を実行した際に遊技者の興趣が低下しにくくすることができる。
またその他にも、近年の遊技機においては、遊技者の興味が尽きにくくするため、センサのような様々な検知デバイスが搭載されているものが存在している(上記第1の参考文献参照)。このような検知デバイスは、一般的に電源投入時に初期処理として感度の調整が実施され、その後当該感度で作動する。しかしながら、遊技機内のみならず遊技場においては多数の遊技球が搬送されている一方、遊技者自身も静電気を発生するため、恒常的にノイズが発生し易い状態となっている。上述した検知デバイスの種類によっては、一見すると、このようなノイズの影響を受けて検知感度が適切でないものとなってしまうおそれがあるようにも思える。
そこで、本実施形態では、演出制御プログラムは、周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aの制御の下、タッチパネル246の接触面の接触状態が後述する規定の接触状態となっている経過時間が規定の経過時間を超えたことを契機として、遊技盤側液晶表示装置1900(第1の表示手段)をリセットすることなく部分的に、タッチパネル246(接触型入力手段)を自動的にリセットする。
具体的には、演出制御プログラムは、図示しないカウンタ(接触継続時間計測手段)またはRTC制御部4160(接触継続時間計測手段)に、タッチパネル246(接触型入力手段)によって検知された接触面の接触状態が規定の接触状態(例えば「1秒以上の継続的な接触状態」を挙げる)となっている経過時間を計測させる。演出制御プログラムは、このように継続的な接触状態であることが計測された経過時間が例えば1秒(規定の経過時間)を超えたか否か(以下「自動リセット条件」が成立したか否か)を判定する(自動リセット条件判定手段)。なお、この自動リセット条件は、このように接触面の接触状態が所定の経過時間に亘って当該規定の接触状態となっていることのみならず、その他の事象が所定の経過時間に亘って継続していることであっても良い。さらに演出制御プログラムは、この自動リセット条件が成立したことを契機として、遊技盤側液晶表示装置1900(第1の表示手段)の制御を維持しつつ、タッチパネルコントローラとしてのタッチパネルモジュール246a(接触型入力制御手段)をリセットすることによりタッチパネル246(接触型入力手段)をリセットする(接触初期化手段)。
このようにすると、タッチパネル246が再起動されるため、一時的に適切な検知感度で作動しなくなるに至ったタッチパネル246(検知デバイス)を自動的に、適切な検知感度で再度作動させるようにすることができる。
ところで、本実施形態では、複数の演出テーブルが設けられており、これら複数の演出テーブルは、上皿側液晶表示装置246を用いた演出動作を実行させる確率が相対的に高い第1の演出テーブル、及び、上皿側液晶表示装置246を用いた演出動作を実行させる確率が相対的に低い第2の演出テーブルを含んでいる。演出制御プログラムは、このように手動リセット条件の成立時点から特別図柄が例えば5回(規定の変動表示回数)に亘って、これら複数の演出テーブルのうちから、上皿側液晶表示装置246を用いて演出動作を実行させる確率が相対的に高い第1の演出テーブルを選択する確率を低く設定する。このようにすると、上皿側液晶表示装置246がリセットされた後、上記規定の変動表示回数(5回)に亘り、上皿側液晶表示装置246を用いた演出動作が実行されにくくすることができるため、遊技者が、リセット直後の上皿側液晶表示装置246の挙動に気付きにくくなり、リセットされた際でも興趣が低下しにくくなる。
[キャリブレーションのタイミング(電源オン/オフ)]
ところで、近年の一般的なパチンコ遊技機においては、遊技者の興味が尽きにくい遊技性を発揮するため、センサのような様々な検知デバイスが搭載されている(上記第1の参考文献参照)。このような検知デバイスとしては、一般的に電源投入時に初期処理として感度の調整が実施され、その後当該感度で作動するものが多い。しかしながら近年の一般的なパチンコ遊技機では、このように初期処理において感度の調整が実施されたとしても、一見すると、その後の遊技環境次第では、徐々に感度が適切でなくなってしまうことも考えられる。
そこで本実施形態では、演出制御プログラムが、周辺制御MPU4150aの制御によって、所定のタイミングで電源開閉制御部4140c(電源制御手段)を制御して電力の供給を瞬間的に停止或いは一時的にほぼ停止させ、その直後に電力の供給を再開することにより、当該所定のタイミングに、タッチパネルモジュール246aが内蔵する既述の電源投入時接触感度調整機能によってタッチパネル246(接触型入力手段)の接触面における接触感度を調整している(調整タイミング制御手段)。
具体的な接触感度の調整方法としては、演出制御プログラムが、周辺制御MPU4150aの制御によって、タッチパネルコントローラ481に、電源制御部によって電力の供給が開始されたことを契機として、上述のようにタッチパネル246の接触面が非接触状態にある場合における静電容量としての接触判定用閾値が記憶されているコントロールレジスタ481aの接触判定用閾値を強制的に、予め定められた接触判定用閾値の初期値(以下「初期接触判定用閾値」ともいう)で更新する。
このようにすると、例えば遊技中においてタッチパネル246の接触面における接触感度を調整するために新たな機能を追加しなくても、タッチパネルモジュール246aに予め内蔵させている電源投入時接触感度調整機能を流用して、所望のタイミングにタッチパネル246の接触面における接触感度の調整を実施することができる。従って、遊技中にタッチパネル246の接触面における接触感度に不具合が生じてしまった場合でも、遊技者がタッチパネル246の接触面を操作した際に操作上の違和感を感じる機会を極力少なくすることができる。
さらに本実施形態では、演出制御プログラムが、周辺制御MPU4150aに、電源開閉制御部4140c(電源制御手段)を制御して電力の供給を瞬間的に停止或いは一時的にほぼ停止させる直前から規定の期間に亘って、上皿側液晶表示装置246(第2の表示手段)の表示領域に、前記接触型入力手段の操作面への接触を促す態様の表示動作を実行させる演出コマンド(指令)の出力を規制するようにしている(接触催促規制手段)。
このようにすると、遊技者が上記規定の期間に亘ってタッチパネル246の接触面に触れる機会を少なくすることができるため、遊技者に、接触感度を調整している間における操作上の違和感を感じにくくさせることができる。
[18.遊技仕様閲覧機能]
[18−1.小冊子情報表示]
ところで、一般的に遊技者は、日頃から見慣れた遊技機については事前に遊技機関連情報誌を通読しておくことができる一方、日頃見慣れない新たな遊技機に遭遇した場合には、当該遊技機の仕様を把握するための情報源として、遊技開始前に、遊技機製造企業から提供を受けて遊技場に準備されている小冊子を参照することができる。近年の遊技機は機種ごとに特徴付けられた遊技性となっており(既述の第1の参考文献参照)、このような小冊子を参照すると、遊技者が容易に当該機種の遊技仕様の概要を把握することができる(以下、このような現状を「所定の背景」ともいう)。上述のような関連情報誌は、遊技者が逐一販売店舗において購入しに行かなければならないため、確実に入手可能な情報源とは言い難い。一方、小冊子は、遊技機製造企業から提供される部数に限りがあるため、希望する全ての遊技者が必ずしも入手することができる訳ではない。
そこで本実施形態では、まず、液晶及び音制御部4160において液晶及び音ROM4160b(演出制御記憶手段)の記憶領域の構成に、図66に示すように、演出コマンドに応じて機種固有の演出動作を制御するために用いる演出データが予め格納されている演出データ領域4160baとは別途独立させて、規定の開始アドレスから規定の終了アドレスまでの空間に固定的に確保された規定の記憶領域として機種情報データ領域4160bbを形成している。
この機種情報データ領域4160bbには、遊技内容に関する情報の一例として当該機種の機種情報(以下「小冊子情報」という)を複数のページに分けて表示するための複数のページ単位機種情報データが上記規定の記憶領域における規定の開始アドレスから順に予め格納されている。本実施形態では、これら全てのページ単位機種情報データを一体として「機種情報データ」とも呼んでいる。なお、ブランク領域4160bcは、演出データ領域4160baの記憶領域のうちデータを格納した際にこのデータが満たされなかった残りの空間を表している。
本実施形態では、このような機種情報データとしては、例えば、ある特定機種のパチンコ遊技機に関する遊技方法及び遊技仕様の少なくとも一方の解説を含む小冊子情報を複数のページに分けて表示するためのデータを挙げることができる。ここでは、例えば、機種Aとして本実施形態の遊技盤5を備えるパチンコ遊技機1を例示する一方、機種Bとして他の遊技盤を備えるパチンコ遊技機を例示する。これらいずれの機種でも、各機種固有の機種情報データは、機種情報データ領域4160baの先頭アドレス(上述した「開始アドレス」に相当)から規定の終了アドレスにまで広がる空間に記憶されている。
周辺制御MPU4150aでは、例えば遊技が継続されていない状態において、演出制御プログラムが、タッチパネル246の接触面に規定の接触状態が検知されたことを契機として(接触状態検知手段)、液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aに、液晶及び音ROM4160bの記憶領域のうち上記規定の開始アドレス及び上記規定の終了アドレスを固定的に指定して機種情報データ領域4160bbから一律に規定の容量分のデータを読み出す(機種情報データ制御手段)。当該読み出されたデータは、上述した機種情報データとしての機種情報データを含んでいる。なお、このように規定の容量のデータを読み出しているのは、その他の機種でもプログラムコードを修正することなく同様に当該手法を適用することができるようにするためである。
演出制御プログラムは、音源内蔵VDP4160aに、上述のように読み出された機種情報データから複数のページのうちの特定のページに対応させた描画データとしての特定ページ描画データを生成させて、図示しないフレームバッファに格納させる。このフレームバッファに描画データが格納されると、さらに音源内蔵VDP4160aは、上皿側液晶表示装置244に出力するVブランク信号に同期させて、このフレームバッファの特定ページ描画データを上皿側液晶表示装置244に出力する。
すると、上皿側液晶表示装置244は、音源内蔵VDP4160aから受け取るVブランク信号に同期させて、入力された描画データに基づく描画処理を実行し、対応するフレームを表示領域に表示させる。このようにすると、音源内蔵VDP4160aは、遊技内容に関する情報としての小冊子情報のうち特定のページとして、例えば、図119に示すように「FIRE DYNAMITE KING」という機種テーマを代表する紹介ページを最初に表示させる(特定ページ描画制御手段)。
このようにすると、遊技者としては、遊技方法や遊技仕様の解説が掲載された小冊子などが全く設置されていなかったり或いは十分な相当数設置されていない遊技場において見知らぬ遊技機に遭遇した場合でも、当該見知らぬ遊技機について、小冊子を参照する代わりに、全体的な遊技フローの概要を説明するページを閲覧することができるため、遊技方法に迷うことなく正確に遊技仕様を把握した上で十分に遊技を楽しむことができる。
一方、遊技機開発企業としては、遊技機開発者が意図した遊技方法及び遊技仕様を正確に遊技者に理解させ易くなるため、遊技仕様が多少複雑であったり遊技方法が希なものであっても、当該意図した遊技方法に沿って遊技者を遊技仕様に応じた遊技性で楽しませ易くすることができる。
また、その一方、遊技場としては、日々遊技機の入れ替え頻度が高くなりがちな島設備において入れ替えた遊技機の機種ごとに、対応する小冊子などを新たに準備する必要がなくなるため、遊技場におけるメンテナンス作業を軽減することができるばかりでなく、その軽減された分遊技場店員がその他の作業に従事することができる。
ところで、上述した機種情報データは、図67(A)に示すように、複数のページにそれぞれ対応させたページ単位機種情報データ4610za〜4610zzの集合によって構成されているとともに、各ページ単位機種情報データ4610za〜4610zzは、ページごと用の規定の開始アドレスから配置されている規定のページ区切り情報4160zが先頭に設けられている。このページ区切り情報4160zは、図67(B)に示すように、各ページの開始アドレスから、例えば各2バイトずつの演出種別情報4160za、前ページ開始アドレス4160zb及び次ページ開始アドレス4160zcを含んでいる。この演出種別情報は、対応する各ページにおいて解説されている演出内容の種別に関する情報であり、例えば「リーチ演出」との情報を表している。前ページ開始アドレス4160zbは、複数のページのうち現在表示させているページの前ページが存在する場合、当該前ページの表示に用いるページ単位機種情報データが格納されている記憶領域の位置を表す規定の開始アドレスを表している。一方、次ページ開始アドレス4160zcは、複数のページのうち現在表示させているページの次ページが存在する場合、当該次ページの表示に用いるページ単位機種情報データが格納されている記憶領域の位置を表す規定の開始アドレスを表している。
このような構成において演出制御プログラムは、上述した規定の開始アドレスから規定の終了アドレスまでの規定の容量に亘って、各機種に対応した機種情報データ(及びそれを構成する複数のページ単位機種情報データ)を読み出す。即ち、演出制御プログラムは、機種が異なっても一律に規定の開始アドレスから始まる機種情報データ領域4160bbより、この機種情報データを読み出すようになっている。一方、演出制御プログラムは、上述した規定の開始アドレスから規定の終了アドレスまでの規定の容量に亘って、各機種に対応した各ページの各ページ単位機種情報データを読み出す。即ち、演出制御プログラムは、機種が異なっても一律に規定の開始アドレスから始まる機種情報データ領域4160bbより、この機種情報データを読み出すようになっている。
上述したように上皿側液晶表示装置244に紹介ページ(以下、現時点の「本ページ」という)が表示された状態において、演出制御プログラムが、図120に示すようにタッチパネル246の接触面において所定方向、例えば左下から右上に摺動する接触状態を検知したことを契機として、音源内蔵VDP4160aに、当該摺動する接触状態に沿って当該所定方向、例えば左から右にページを捲った場合における本ページのページ区切り情報4160に基づいて、これに含まれる次ページ開始アドレス4160zcから規定の単位容量の空間に亘ってページ単位機種情報データを読み出し、次に表示すべき1ページ分に亘るページ機種情報データからページ描画データ(以下、「次ページ描画データ」と呼称する)を生成し、この次ページ描画データを上述したフレームバッファに書き込んで、Vブランク信号に同期させて上皿側液晶表示装置244に出力する。すると、上皿側液晶表示装置244には、当該次ページ描画データに基づいて小冊子情報のうち、図121に示すように次のページとして、全体的な遊技フローの概要を説明するページが表示される。
一方、このように上皿側液晶表示装置244に全体的な遊技フローの概要を説明するページ(現時点における「本ページ」という)が表示された状態において、演出制御プログラムが、タッチパネル246の接触面において所定方向、例えば右から左に摺動する接触状態を検知したことを契機として、音源内蔵VDP4160aに、当該摺動する接触状態に沿って当該所定方向を捲った場合における本ページのページ区切り情報4160zに基づいて、これに含まれる前ページ開始アドレス4160zbから規定の単位容量の空間に亘ってページ単位機種情報データを読み出し、前に遡って表示すべき1ページ分に亘るページ機種情報データからページ描画データ(以下、「前ページ描画データ」と呼称する)を生成し、この前ページ描画データを上述したフレームバッファに書き込んで、Vブランク信号に同期させて上皿側液晶表示装置244に出力する。すると、上皿側液晶表示装置244には、前ページ描画データに基づいて小冊子情報のうち、前のページとして、機種テーマを代表するページに戻って表示される。
[18−2.自動ページ表示]
ところで、既述の所定の背景の下では、遊技者が、遊技球を発射させるために一方の手で発射ハンドルを操作している関係上、他方の手だけで小冊子のページを捲らざるを得ず、遊技の進行に対応する解説が記載された所望のページにまで至る前に次の遊技に進んでしまうことが多かった。
そのような不都合を解消するため、本実施形態では、周辺制御基板4140では、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、音源内蔵VDP4160aによって、上皿側液晶表示装置244の表示領域に、上述のように複数のページで構成される小冊子情報を表示させ、その後、この小冊子情報を構成する複数のページのうちから遊技の進行に対応する特定のページを自動的に表示させるようにしている。
このような機能を発揮するため、液晶及び音ROM4160bの機種情報データ領域4160bbに予め用意される機種情報データには、図67(B)に示すように、各ページごとのページ区切り情報4160zに、上記次ページ開始アドレス及び前ページ開始アドレスのみならず、上述したように当該本ページの解説内容に対応する演出種別情報が含められている。この演出種別情報としては、例えば、リーチ演出に関する解説内容を含むページの表示に用いるページ単位機種情報データに対して、その開始アドレスに位置するページ区切り情報4160zには「リーチ演出」であることを示す情報を挙げることができる。
具体的に例示すると、演出制御プログラムは、例えば、演出条件の一例として、上述したリーチ演出(特定の演出動作)を実行させるためのリーチ条件または当該リーチ条件のうち特定のリーチ条件(演出条件)が成立したことを契機として(演出抽選手段)、上述したように一律に読み出しされた機種情報データを構成する複数のページ単位機種情報データのページ区切り情報4160zの演出種別情報のうち「リーチ演出」に該当するページ単位機種情報データを検索する(機種情報データ制御手段)。即ち、演出制御プログラムは、上述した複数のページの表示に用いる機種情報データにおける複数のページ単位機種情報データのうち当該成立したリーチ条件に関連付けられたページ単位機種情報データを見つけ出す。
次に演出制御プログラムは、このページ単位機種情報データから描画データを生成して上皿側液晶表示装置244(第2の表示手段)に出力し、この上皿側液晶表示装置244に、複数ページのうち特定の演出動作の一例としてリーチ演出に関連する特定のページとして、例えば図122に示すようなリーチ演出に関する解説ページを自動的に表示させる(ページ自動表示制御手段)。なお、このように自動表示させる特定ページとしては、上述したようなリーチ演出に関するもののみならず、その他の演出動作或いはその他の情報に関するものであっても良い。
本実施形態では、遊技者は基本的に、装飾図柄の変動表示を実行する遊技盤側液晶表示装置1900の表示領域に注目し易くなるものの、遊技の進行に応じた演出動作の一例としてリーチ演出が実行される場合、上皿側液晶表示装置244(第2の表示手段)に、当該演出動作としてのリーチ演出に関する解説が表示されるようになる。従って、見慣れないパチンコ遊技機1で遊技している遊技者であっても、装飾図柄の変動表示の視認性を害されることなく、不慣れな遊技の進行に対応した解説を適切なタイミングで確実に参照できるようになるため、本来の遊技性を正確に把握しつつ遊技を楽しむことができるようになる。併せて、この遊技者は、当該遊技機の開発者が意図した遊技仕様を遊技の進行に沿って逐一正確に理解した上で、遊技性を十分に楽しむことができるようになる。
[18−3.待機中役物実演]
ところで、一般的に、近年の遊技機は、機種ごとに設定されたテーマに従って特徴付けられた遊技盤を搭載しており、遊技が開始されると、遊技盤に設けられた可動役物をごく希に突然作動させて遊技者に驚きを与え、遊技者の興味が尽きないようにしている(上記第1の参考文献参照)。このように遊技盤に可動装飾体3250を備える遊技機であっても、例えばデモンストレーション演出中においては可動役物が収納状態となっているのが一般的である。このため、可動体の作動態様は、所望のパチンコ遊技機を探して遊技場の通路を巡回している来場者には想像され難く、一見すると、来場者が敢えて見慣れないパチンコ遊技機で遊技を開始してみようとの心理になりにくいことが多かった。
そこで本実施形態では、まず、演出制御プログラムは、主制御基板4100によって出力されたコマンド(指令)を受け取っており(指令受信手段)、主制御基板4100から、始動口2101に遊技球が受け入れられたことを表すコマンド(ここでは、始動口入賞コマンド(始動口入賞指令)を例示する)が受け取られていない状態(以下、非遊技状態という)が30秒間程度(規定の期間)に亘って継続すると、これを検知する(非遊技状態検出手段)。なお、演出制御プログラムは、当該非遊技状態を検出するのに、その他のコマンドが受け取られたか否かを基準とするようにしても良い。
次に演出制御プログラムは、このような非遊技状態が上記規定の期間に亘って継続していることを契機として、既述の原点復帰処理を実施する原点復帰プログラムを実行し(以下単に「原点復帰処理を実行する」という)、可動装飾体3250(可動役物)を規定の作動態様で作動させる(実演制御手段)。
このようにすると、既存の原点復帰処理を用いることにより新たな制御を追加しなくても、遊技場の通路を徘徊している来場者が、例えば、遊技性を特徴付ける可動役物の挙動態様に接する機会に恵まれるようになるため、遊技前に、このように特徴付けられた可動役物の作動態様を体感し、このような可動役物の作動態様が実際の遊技においてどのような状況において実施されるのであろうかと様々想像するようになるため、まずは遊技を開始してみようとの心理に至り易くすることができる。
さらに演出制御プログラムは、上述した原点復帰処理において可動装飾体3250を規定の作動態様で作動させている間に、新たに始動口入賞コマンド(始動入賞指令)を受け取ったことを契機として上記電源投入時処理を中断させた後、可動装飾体3250を上記中断させた位置から規定の収納位置にまで移動させる処理(以下、実演中断後原点復帰処理」ともいう)を実行する(実演中断後制御手段)。
[18−4.小冊子タッチで役物作動]
ところで、上述した所定の背景の下では、遊技者は、小冊子を参照すると、遊技仕様の概要を表面的に把握することができるものの、例えば、可動装飾体3250がどのような挙動を示すのかに関しては実際に遊技を開始しなければ把握し難く、可動装飾体3250を用いた遊技性が伝わりにくかった。
そこで本実施形態では、タッチユニット220Bのタッチパネル246(接触型入力手段)の接触面にある接触状態(以下「第1の規定の接触状態」という)が検出されたことを契機として、液晶及び音ROM4160b(演出制御記憶手段)の機種情報データ記憶領域4160bb(規定の記憶領域)から一律に読み出した機種情報データに基づいてタッチユニット220Bの上皿側液晶表示装置244(第2の表示手段)に、小冊子の代わりとして遊技者が閲覧する遊技に関する情報を表示させた後に、この上皿側液晶表示装置244の表示領域のうち当該遊技に関する情報の一部として可動装飾体3250に関する特定の内容が表示されている位置に対応するタッチパネル246(接触型入力手段)の接触面の部分においてある接触状態(以下「第2の規定の接触状態」という)が検出されたことを契機として、上記表示されている特定の内容に対応した挙動で可動装飾体3250(可動役物)を作動させる。
具体的には、演出制御プログラムは、既述のように機種情報データ領域4160bbから機種情報データを読み出し(機種情報データ制御手段)、当該読み出した機種情報データに含まれる複数のページ単位機種情報データのうち特定のページ単位機種情報データから、音源内蔵VDP4160aに描画データを生成させて上皿側液晶表示装置244に出力し、当該上皿側液晶表示装置244に、上述した複数のページのうち特定のページとして、図121に示すような予告演出に関するページ(以下「予告演出ページ」という)を表示させる(特定ページ表示制御手段)。
この予告演出ページでは、「マイト君」と名付けられた爆弾王なるキャラクタを用いた予告演出に関して、例えば色によって大当たりへの期待度が変化することが表されているとともに、当該キャラクタの挙動が平面的に表されている。この予告演出ページには、このキャラクタが赤色である場合に、「ノーマル」、「ローリング」、「ロケット」及び「モンスター」の4種類のいずれかの挙動が選択されて表されることが示唆されている。これらの挙動態様を示す4種類のアイコンには、上記「ローリング」の挙動を表すアイコン246Zが含められている。
このようにタッチユニット220Bの上皿側液晶表示装置244に表示された予告演出ページに接した遊技場の来場者は、例えば、可動装飾体3250の挙動に興味を抱き、演出制御プログラムの制御によって上皿側液晶表示装置244(第2の表示手段)の表示領域に表示された予告演出ページ(特定のページ)においてタッチパネル246の操作面を透過して視認可能なアイコン246Zに触れる。
すると、演出制御プログラムは、このような予告演出ページのうち上記遊技内容に関する情報の一部として、可動装飾体3250(可動役物)に関する特定の内容として特定の挙動を表すアイコン246Zが表示されている位置に対応するタッチパネル246(接触型入力手段)の接触面の部分に規定の接触状態が検出されたことを契機として、上述のように原点復帰処理を実行しても良いが、ここではその代わりに、例えば、上記表示されているアイコン246Zが意図する特定の挙動として、可動装飾体3250を一方向に回転させる駆動信号をモータ(図示せず)に与えたり、この可動装飾体3250を他方向に回転させる駆動信号をモータ(図示せず)に与えることを繰り返し、規定の作動態様として可動装飾体3250のローリングを繰り返す態様(以下「ローリング態様」ともいう)とさせる(模擬動作制御手段)。
このような可動装飾体3250のローリングを繰り返す態様を実現させるための具体的な手法として、本実施形態では次のような手法が採用されている。まず、上述した各種スケジュールデータを記憶する周辺制御ROM4150bには、可動装飾体3250のローリングを繰り返す態様で作動させる演出パターンに対応する特定のスケジュールデータが記憶されている。
演出制御プログラムは、周辺制御ROM4150bから、例えば複数の演出パターンに各々対応する複数のスケジュールデータのうち、可動装飾体3250のローリングを繰り返す態様(以下「ローリング態様」という)で作動させるための演出パターンに対応する特定のスケジュールデータを選択して読み出す。演出制御プログラムは、上述のように可動装飾体3250に対応するアイコン246Zを覆う上記接触面に上記規定の接触状態が検知されたことを契機として、この選択された特定のスケジュールデータに従って、可動装飾体3250を駆動するモータ(図示しない)を駆動させて演出制御を実行するものの、この際、当該特定のスケジュールデータのうち当該可動装飾体3250以外の演出装置(スピーカなど)を駆動させる他の演出制御に用いる他のスケジュールデータをマスクし(スケジュールマスク手段)、当該残りの演出制御に用いられる特定役物実演スケジュールデータを抽出する。
演出制御プログラムは、当該残りの演出制御に用いられる特定役物実演スケジュールデータに従って駆動機構(図示しない)を介して上記モータに駆動信号を出力する。すると、可動装飾体3250は、図示しない駆動機構の作用によって、図125に示すように水平方向に左右にローリングを繰り返す態様で作動するようになる。
このようにすると、遊技場の来場者は、上述した小冊子が入手できない場合、または、小冊子が入手できて遊技仕様の概要を把握できるものの、例えば、可動装飾体3250が実際にどのような作動態様であるのかについては実際に遊技を開始しなければ把握し難かった場合においても、遊技場の来場者が可動装飾体3250の作動態様を体感した後に遊技を開始することができる。
[18−5.背景紹介]
ところで、上述した所定の背景の下では、遊技者は、既述の小冊子を参照すると、遊技仕様の概要をある程度把握できるものの、当該遊技機を特徴付けるキャラクタそのものを知らない場合、特に遊技仕様がそのキャラクタに関係していると、遊技仕様を詳細に把握することができず、その遊技性を十分に楽しむことができないおそれがあった。
そこで本実施形態では、演出制御プログラムが、例えば特別図柄が変動表示されている際に、周辺制御MPU4150aの制御の下、液晶及び音制御部4160に、上皿側液晶表示装置244の表示領域のうち遊技に関する情報の一部としてある特定のキャラクタ(特定の表示部位)が表示されている位置に対応するタッチパネル246の接触面の部分において規定の接触状態が検出されたことを契機として、既述の機種情報データに基づいて特定のキャラクタ(特定の表示部位)に関連する情報を提供させる。
このようにすると、遊技者が、パチンコ遊技機1を特徴付けるキャラクタ(上述した「マイト君」に相当)に精通していない場合でも、上皿側液晶表示装置244に表示されたキャラクタの位置に対応するタッチパネル246の接触面の一部を指で触れると、このキャラクタに関連する情報として、上皿側液晶表示装置244の表示領域に、例えば、当該キャラクタがある著作物に登場する主体であれば、その背景の紹介として例えば図120(B)に示すように原作である著作物内での当該キャラクタの家族構成が紹介されたり、当該キャラクタをテーマとした原作である著作物のストーリーの少なくとも一部が紹介されることにより、ある程度上記キャラクタに関して知識を得ることができるようになる。ここで、ある特定のキャラクタをテーマとしたパチンコ遊技機は、一般的に、当該特定のキャラクタに関連させた遊技仕様としていることが多い。従って、上述のような背景の紹介に接する機会があると、遊技者は、仮にパチンコ遊技機1を特徴付けるキャラクタに精通していない場合でもこのキャラクタに関係している遊技仕様についてより詳細に把握し易くなり、このパチンコ遊技機1の遊技性を十分に楽しむことができるようになる。
また演出制御プログラムは、上皿側液晶表示装置244(第2の表示手段)の表示領域のうち上述のように(特定ページ表示制御手段によって)表示された特定のページにおいて遊技に関する情報の一部としてキャラクタ(特定の表示部位)が表示されている位置に対応するタッチパネル246(接触型入力手段)の接触面の部分において規定の接触状態が検出されたことを契機として、上記特定のページ単位機種情報データに関連付けられたデータであって特定のキャラクタ(特定の表示部位)に関する背景紹介を実施させるための背景情報データに基づいて、上記特定のページに特定のキャラクタに関する背景紹介を視覚的に表示させる(特定情報表示制御手段)。
その他にも、このようなキャラクタに関連する情報としては、例えば、大当たり遊技状態において当該キャラクタに関係するストーリーを説明する文言を表示したり、または、パチンコ遊技機1の製造企業が自社のブランド或いは自社の機種をアピールする文言を表示したりすることを挙げることができる。
一方、このようなキャラクタに関する背景紹介は、上述のように上皿側液晶表示装置244に表示させる代わりに、或いは併せて、遊技盤側液晶表示装置1900に表示させるようにしても良い。このようにすると、遊技者は、装飾図柄の変動表示態様を見落とすことなく遊技に集中しつつ、併せて、パチンコ遊技機1を特徴付けるキャラクタに関連した遊技仕様を詳細に把握し易くなる。
一方、演出制御プログラムは、上述のようにキャラクタに関する背景紹介を視覚的に上皿側液晶表示装置244などに表示させる代わりに、または併せて、スピーカユニット920の低音スピーカ、図示しない高音用のトップスピーカ、左スピーカユニット430の左スピーカ及び、右スピーカユニット246の右スピーカのいずれか或いはこれらいずれかの組み合わせから、上述したキャラクタに関する背景紹介に相当する聴覚で遊技者或いは遊技場の来場者に同様の内容を聴覚的に認識させるようにしても良い。即ち、演出制御プログラムは、上述のように(特定情報表示制御手段によって)特定のページに特定のキャラクタに関する背景紹介を表示させたことを契機として、周辺制御MPU4150aの制御の下、液晶及び音制御部4160に、この背景情報データに基づいて特定のキャラクタに関する背景紹介を聴覚的に出力させるようにする(特定情報音出力制御手段)。
この際さらに、演出制御プログラムは、これらのスピーカのうち指向性を有するものを用いて、上記同様の内容を出力することにより、例えば遊技者のような限られた者にのみ上記同様の内容を伝えるようにしても良い。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態は、主として弾球式遊技機(パチンコ遊技機)に適用した場合を示しているが、これに限定されるものではなく、後述する回動式遊技機(パチスロ遊技機)にも適用することができる。またその代わりに本実施形態は、パチンコ遊技機とパチスロ遊技機とを融合させてなる遊技機に適用しても良い。このいずれ場合でも、既述の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
そのような回動式遊技機または当該融合させてなる遊技機の基本構成としては、例えば、複数種類の図柄が付されたリール(回転体)を複数備える回転表示体(回転表示手段)と、この回転表示体を備える筐体と、この記筐体の外部に設けられた操作レバー(第1の操作手段)と、上記複数のリールに各々対応して上記筐体の外部に設けられた複数の停止ボタン(第2の操作手段)と、を備える遊技機において、上記操作レバーが操作されたこと(始動条件の成立に相当)を契機として上記複数のリールをそれぞれ回転させ、上記複数の停止ボタンの操作順序に応じて、対応する各上記リールの回転を停止させる回転体制御手段と、上記始動レバーが操作されたことを契機として所定の当選条件が成立したか否かを判定する内部抽選を実行する抽選手段と、上記所定の当選条件が成立している場合、その後通常遊技状態から遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる遊技状態制御手段と、を有する遊技制御手段(既述の主制御基板4100の機能にほぼ相当)と、この遊技制御手段の制御によって上記所定の当選条件の成立状況に応じた演出動作を制御する演出制御手段(既述の周辺制御基板4140の機能にほぼ相当)と、上記演出制御手段によって上記演出動作の一部として表示動作を実行する表示手段(既述の液晶表示装置1900の機能にほぼ相当)と、上記遊技制御手段の制御によって、上記複数のリールに付された上記複数の図柄の変動態様が視認可能な図柄表示領域内に停止した複数の図柄の組み合わせ態様に応じた遊技媒体の払出動作を実行する払出装置(払出手段)と、を備える。