JP6491104B2 - 衝撃吸収パッドおよびそれを装着した衣類並びに大腿骨骨折予防方法 - Google Patents

衝撃吸収パッドおよびそれを装着した衣類並びに大腿骨骨折予防方法 Download PDF

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Description

本発明は、衣類、特に下着の腰回りの適宜な部位に装着することにより、転倒時の骨折、とりわけ高齢者が転倒した際の骨折を未然に予防するなどの目的に用い得る衝撃吸収パッドおよびそれを装着した衣類、特にパンツのごとき衣類、並びに大腿骨骨折予防方法に関する。
高齢者が寝たきりになるひとつの要因として、転倒による骨折、特に大腿骨頚部骨折が知られている(非特許文献1)。高齢者、特に高齢女性は骨粗鬆症などで骨がもろくなっており、若年者では骨折しないような軽いつまずきによる転倒によっても骨折が生じるリスクが高い。大腿骨頚部骨折の発生率推定の調査では、1年間の大腿骨頚部骨折の発生数は1987年の53,200人から、高齢化を反映して2007年では148,100人と2倍以上に増加しており(非特許文献2)、医療費の増大や高齢者のQOLの観点からも、治療だけでなく、その発生を予防することは大きな意義がある。
大腿骨頚部骨折に対して有効性が実証されている予防法としては、骨密度を増加させる薬剤を投与する方法と、保護具としてのヒッププロテクタを装着する方法があげられる(非特許文献3)。ヒッププロテクタの装着はいつ転倒するか分からないほど転倒リスクが高い高齢者を対象とするため、終日使用が必要となる。
たとえば、硬質パットとしてポリプロピレンフォーム等の硬質樹脂からなるドーム型部材を用いたヒッププロテクタが提案されている(特許文献1)。硬質パッドは素材の持つ弾性により外力減衰を得る外力拡散型であることから、外力の加わる面積を増やすこと等により、その衝撃吸収性能を高めることができる。しかし、硬質パッドを用いたヒッププロテクタは装着感が悪く、例えば就寝時などに意識的、もしくは無意識的に取り外してしまい、その隙に転倒し、骨折してしまう恐れがある。
一方、装着感向上のために、アクリル系重合体からなる軟質パッドが提案されている(特許文献2)。軟質パッドを用いたヒッププロテクタは、硬質パッドを用いたヒッププロテクタに比べて装着感が向上しているが、軟質パッドが外力をその変形に変換して減衰する外力吸収型であることから、変形を大きくしてある程度の衝撃吸収性能を得るためには、その厚みを大きくする必要がある。このような軟質パッドを用いたヒッププロテクタを着用すると、その上に衣服を着用したとしても、外観からパッドの形状が分かり、外見を気にする高齢女性には受け入れ難い。また、通気性も十分とは言えない。
一般にヒッププロテクタは終日着用の必要性から、パンツのような下着型のものが多い。トイレや更衣時の脱ぎ履きの場合、硬質パッドや軟質でも面方向の柔軟性に欠けるパッドは、着脱に手間がかかるものが多い。介護施設等では、介護者がトイレでの着脱を手伝うことがあるが、それでもなおこれまでのヒッププロテクタでは着脱に手間がかかることから不評となっている。
ヒッププロテクタに用いるパッドには、大腿骨頚部骨折を予防する衝撃吸収性能、終日使用しても不快感を与えない装着感、通気性、外観を損なわない薄さ、着脱時に手間がかからず、引っ掛かり等の違和感を与えない面方向の柔軟性が求められているが、すべての条件を満足するものは現在のところ見当たらないのが実状である。
さらに、身体と接触する側の表面に凹部を有する緩衝体を備える大腿骨大転子部保護具(特許文献3)、ゲル状物質が充填されかつ大腿骨大転子部に対応する部位に接触する主チャンバと、ゲル状物質が充填されかつ主チャンバよりも人体の正面側に対応する部位に接触する補助チャンバとを備える腰部保護具(特許文献4)、変形復元性を有する多孔質体と、多孔質体を気密に包み込む袋体と、袋体に設けられた通気穴とを備える人体用緩衝体(特許文献5)などが提案されている。しかしながら、これらの保護具はいずれも大腿骨大転子部全体を覆うように装着されるものであり、骨折予防効果、装着時の外観や着脱性などを含めた装着感、通気性などの点で改良の余地が残されている。
特表平9−508824号公報 特開平9−268409号公報 実用新案登録第3142546号公報 特開平10−237708号公報 特開2007−291536号公報
Lauritzen JB,林泰史,折茂肇:ヒッププロテクタによる転倒・骨折の予防.Osteoporosis Japan,10:149−157,2002. 第5回大腿骨頚部骨折全国頻度調査成績 原田敦:運動器不安定症と今後の展開、整形・災害外科 50:27−35、2007
本発明の目的は、ヒッププロテクタに用いる衝撃吸収パッドにおいて必要とされる、大腿骨頚部骨折を予防する高い衝撃吸収性能、終日使用しても不快感を与えない優れた装着感や通気性を有し、装着時の外観性、着脱性などに優れた衝撃吸収パッドおよびそれを装着した衣類、並びに大腿骨骨折予防方法を提供することである。
本発明に係る衝撃吸収パッドは、衝撃吸収作用のあるパッド本体と、パッド本体に形成される貫通穴または凹部からなる衝撃回避部とを備え、衝撃回避部が大腿骨大転子部に対応するように人体に沿って装着され、大腿骨の骨折を予防する衝撃吸収パッドであって、衝撃回避部において、幅方向の最大部分の長さが上下方向の最大部分の長さよりも大きくなるように設定したことを特徴とする。
この衝撃吸収パッドは、大腿骨大転子部に対面する部分に貫通穴または凹部からなる衝撃回避部を設けているので、大腿骨大転子部の保護が十分ではないように考えられる。それにもかかわらず、この衝撃吸収パッドは、衝撃回避部が上下方向よりも幅方向に長い形状となっていることで、歩行状態と歩行速度とを組み合わせた色々な歩行姿勢からの転倒において、転倒による衝撃が大腿骨大転子部に直接伝わるのを防止し、大腿骨大転子部に伝わる衝撃を分散および緩和することができるので、高齢者などの大腿骨頸部骨折を顕著に防止することができる。
また、この衝撃吸収パッドは、衝撃吸収性を有する材料でパッド本体を構成していることから、パッド本体が良好な柔軟性を有していると共に、貫通穴または凹部からなる衝撃回避部を設けることで、比較的容易に変形させることができる。このため、この衝撃吸収パッドは、人体表面の凹凸形状に適合し易く、終日使用に不快感を与えない優れた装着感を有し、装着による外観の変化もほとんどなく、例えばパッド本体上端と衝撃回避部上端との間を手で掴むことなどにより着脱も容易であり、手間なく引っ掛かり等の違和感もなく着脱することができる。さらに、貫通穴からなる衝撃回避部を設ける場合には、通気性にも顕著に優れている。
本発明の好ましい実施形態では、衝撃回避部が幅方向に長い長円状の形状を有している。これにより、転倒による衝撃の大腿骨大転子部への直接の伝達を防止する効果、および大腿骨大転子部に伝わる衝撃を分散および緩和する効果を高め、大腿骨頸部骨折の予防効果を十分に発揮し得る、歩行姿勢のバリエーションをさらに増やすことができる。したがって、本実施形態の衝撃吸収パッドの装着により、日常生活の多くの場合において、高齢者などの大腿骨頸部骨折を顕著に予防できる。なお、長円とは、長方形の対向する短辺または長方形の四隅を円弧状の曲線で置き換えた角丸長方形であり、オーバル、楕円などの形状も包含する。ただし、本発明では、長円における上下方向に対向する辺(長辺)はほぼ平行であることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、衝撃回避部の幅方向の最大部分の長さ(以下、「幅方向最大長さ」とすることがある。)を55mm以上100mm以下、より好ましくは70mm以上90mm以下に設定する。幅方向最大長さが55mm未満では、転倒による衝撃が大腿骨大転子部に直接伝わり易くなるおそれがある。また、幅方向最大長さが100mmを超えると、大腿骨大転子部が衝撃回避部からパッド本体の外方へ突出し、転倒による衝撃を分散および緩和する効果、ならびに、衝撃が大腿骨大転子部に直接伝わるのを防止する効果が不十分になるおそれがある。
本発明の好ましい実施形態では、衝撃回避部の上端からパッド本体の上端までの距離(以下、「上端距離」とすることがある。)を10mm以上に設定する。上端距離が10mm未満の場合には、パッド本体による衝撃力の吸収作用及びパッド本体による衝撃力の拡散作用が小さくなって、衝撃吸収効果を十分に確保できないおそれがある。
本発明の好ましい実施形態では、衝撃回避部の下端からパッド本体の下端までの距離(以下、「下端距離」とすることがある。)を40mm以上、より好ましくは45mm〜100mmに設定する。下端距離が40mm未満では、転倒による衝撃の大腿骨大転子部への直接の伝達を防止する効果、ならびに、大腿骨大転子部に伝わる衝撃を分散および緩和する効果を十分に発揮し得る歩行姿勢の数が減少するおそれがある。
本発明の好ましい実施形態では、パッド本体における衝撃回避部の下方に、衝撃回避部の下端から5mm以上50mm以下の位置に上端を持つ貫通穴又は凹部からなる第1軽減部を少なくとも1個設け、第1軽減部の最大部分の長さを5mm以上50mm以下に設定する。この最大部分は、上下方向でも幅方向でもよく、更には斜め方向でも良い。この場合には、第1軽減部により、転倒による衝撃が大腿骨骨幹部の上部に作用することを防止して、大腿骨頚部骨折を一層効果的に防止することができる。加えて、第1軽減部により、通気性がさらに向上してムレを低減でき、しかも衝撃吸収パッドを軽量に構成できるとともに、パッド本体の柔軟性を一層高め、着脱時における手間や引っ掛かり等の違和感を一層軽減できる。本実施形態では、細長いスリット状の貫通穴や凹部からなる第1軽減部を設けることもできる。
本発明の好ましい実施形態では、第1軽減部を上下に2個並べて設ける。このように構成すると、1つの衝撃回避部と2つの第1軽減部とが上下に並んで配置されるので、衝撃回避部と第1軽減部とを通る縦線(仮想線)を中心としたパッド本体の柔軟性を向上させることができ、着脱時における違和感をより一層効果的に軽減できる。
本発明の好ましい実施形態では、パッド本体における衝撃回避部および第1軽減部以外の全面積の50%以下に1個以上の貫通穴又は凹部からなる第2軽減部を設ける。この場合には、第2軽減部により、通気性のより一層の向上によるムレのさらなる低減が可能になり、しかも衝撃吸収パッドのさらなる軽量化を図り得るとともに、パッド本体の柔軟性を高め、着脱時における違和感を一層軽減できる。
本発明の好ましい実施形態では、パッド本体の厚さを13mm以下、特に好ましくは3mm以上13mm以下に設定する。これにより、衝撃吸収パッドの人体表面へのフィット性が向上し、良好な装着感が得られると共に、衝撃吸収パッドを人体に装着していることを他人から気付かれ難くなる。パッド本体の厚さが13mmを超える場合には、衝撃吸収パッドのラインが衣類の表面に露出して、該衣類を着用した外観を損ねるおそれがあるとともに、衝撃吸収パッドの面方向の柔軟性が低下して、装着感が低下するおそれがある。
本発明の好ましい実施形態では、パッド本体がエラストマーからなり、該エラストマーが、イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を構成単量体とする重合体ブロックとからなるイソブチレン系ブロック共重合体である。これにより、パッド本体は、幅広い温度域で優れた衝撃吸収性能を示すと共に、柔軟性が高まるので、一層良好な装着感が得られ、装着による外観の変化もさらに少なくなる。さらに、衝撃回避部の効果をも高めることができる。
本発明の好ましい実施形態では、エラストマーが、粘着付与樹脂を含有する。この場合には、粘着付与樹脂により体温付近でのエラストマーの衝撃吸収性を高めることができる。
本発明の好ましい実施形態では、エラストマーが発泡体である。この場合には、パッド本体の衝撃吸収性や人体へのフィット性をより一層向上させることができ、さらには軽量化により装着感を向上させることができる。
本発明に係る衣類は、衣類本体と、衝撃回避部が大腿骨大転子部に対応して配置されるように、衣類本体に着脱自在に装着される上記いずれかの衝撃吸収パッドと、を備えている。この衣類では、衝撃吸収パッドの衝撃回避部が、大腿骨大転子部に対応して配置されるように、衝撃吸収パッドが衣類本体に取付けられているので、種々の姿勢からの転倒による大きな衝撃を、パッド本体及びそれに対面する大腿骨大転子部の周辺部分に分散させて吸収および緩和し、衝撃回避部により大腿骨大転子部に対して直接的に衝撃力が作用しないようにすることで、大腿骨頚部の骨折を効果的に予防することができる。さらに、衝撃吸収パッドを衣類本体に対して着脱自在に取り付けることにより、衝撃吸収パッドを衣類本体から取り外して衣類本体を洗濯できるので、高価な衝撃吸収パッドを複数の衣類で共用することが可能となり、利用者の経済的な負担を軽減できる。
本発明の好ましい実施形態では、衣類本体がインナーウエアである。上記衣類が上記衝撃吸収パッドを取り付けたインナーウエアであれば、衝撃吸収パッドの衝撃回避部が大腿骨大転子部の位置にほぼ正確に来るように調節することが容易であり、かつ装着者の各種動作による衝撃吸収パッドのズレも少なくすることができる。
本発明に係る大腿骨骨折予防方法は、上記いずれかの衝撃吸収パッドの衝撃回避部が、大腿骨大転子部に対応するように、衝撃吸収パッドを装着する。この大腿骨骨折予防方法では、衝撃吸収パッドの衝撃回避部が、大腿骨大転子部に対応するように、衝撃吸収パッドを取付けるので、種々の姿勢からの転倒による大きな衝撃を、パッド本体及びそれに対面する大腿骨大転子部の周辺部分に分散させて吸収および緩和し、衝撃回避部により大腿骨大転子部に対して直接的に衝撃力が作用しないようにすることで、大腿骨頚部の骨折を効果的に予防することができる。
本発明に係る衝撃吸収パッド及びそれを装着した衣類並びに大腿骨骨折予防方法によれば、衝撃回避部が大腿骨大転子部に対応する領域を含むように衝撃吸収パッドを配置することにより、装着感、装着時の外観、および通気性を良好に維持したまま、高齢者などの転倒による大腿骨頚部骨折を顕著に予防できる。
第1実施形態である衝撃吸収パッドの構成を模式的に示す正面図である。 第2実施形態である衝撃吸収パッドの構成を模式的に示す正面図である。 第3実施形態である衝撃吸収パッドの構成を模式的に示す正面図である。 第4実施形態である衝撃吸収パッドの構成を模式的に示す正面図である。 第5実施形態である衝撃吸収パッドの構成を模式的に示す正面図である。 第6実施形態である衝撃吸収パッドの構成を模式的に示す正面図である。 第7実施形態である衣類の構成を模式的に示す図面である。 比較例1の衝撃吸収パッドの構成を模式的に示す正面図である。 マルチボディモデルの構成を模式的に示す正面図である。 大腿骨有限要素モデルにおける大腿骨頸部の4つの領域を模式的に示す正面図である。 マルチボディモデルの歩行姿勢を模式的に示す側面図である。 マルチボディモデルの歩行姿勢の歩行周期に基づく分類を模式的に示す側面図である。 意識喪失による転倒における大腿部表面に掛かる圧力を示す面圧分布図である。 意識喪失による転倒における大腿部表面に掛かる圧力を示す面圧分布図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図1〜図6及び図8において、紙面の上下方向を衝撃吸収パッド14〜19、40の上下方向とし、紙面の上下方向に対してほぼ垂直な横方向を衝撃吸収パッド14〜19、40の幅方向とする。
図1は、本発明の第1実施形態である衝撃吸収パッド14の構成を模式的に示す正面図である。図1に示すように、衝撃吸収パッド14は、衝撃吸収作用を有するパッド本体20と、該パッド本体20に形成され、幅方向の最大部分の長さWが上下方向の最大部分の長さLよりも大きい貫通穴である衝撃回避部21と、パッド本体20における衝撃回避部21の下方に、上下に2個並べて形成され、衝撃回避部21よりも小径の貫通穴である第1軽減部22a、22bと、パッド本体10における衝撃回避部21の下方であってかつ第1軽減部22aの幅方向両端から幅方向に離隔する位置にそれぞれ形成され、衝撃回避部21よりも小径かつ第1軽減部22a、22bよりも大径の貫通穴である第2軽減部23a、23bと、を有している。
衝撃吸収パッド14は、その上下方向が人体の直立姿勢における頭を上側および足を下側とした人体の上下方向に沿い、かつ衝撃回避部21が人体の大腿骨大転子部に対応するように(すなわち衝撃回避部21が大腿骨大転子部およびその周辺の位置に来るように)、人体のいずれか一方の側部または両側部、好ましくは両側部に装着され、これによって大腿骨頚部骨折を予防するものである。なお、衝撃吸収パッド14は、衝撃回避部21が対面する人体表面の領域が大腿骨大転子部を部分的に含むように配置することも可能であるが、パッド本体20を介して大腿骨大転子部に伝わる衝撃力を出来るだけ少なくするという観点から、衝撃回避部21が対面する人体表面の領域が大腿骨大転子部をほぼ全面的に含むように配置することが好ましい。
以下、パッド本体20、衝撃回避部21、第1軽減部22a、22b、および第2軽減部23a、23bについて順番にさらに詳しく説明する。
パッド本体20の形状を本実施形態のような幅方向よりも上下方向に長い長円(角丸四角形)とすることにより、衝撃吸収パッド14の着脱性や装着時の外観性の向上を図ることができ、さらに装着を他人に気付かれ難くなる。なお、パッド本体20の形状は本実施形態の形状に限定されず、円形、楕円形、長方形やひし形などの多角形などでもよい。さらに、パッド本体20は、衝撃回避部21、第1軽減部22a、22b、および第2軽減部23a、23b以外に、任意形状の貫通穴及び凹凸から選ばれる少なくとも1個を任意の位置に有していても良い。通気性をさらに向上させるなどの観点からは、貫通穴が好ましい。
パッド本体20の寸法は、衝撃回避部21が大腿骨大転子部およびその周辺の位置に来るように装着可能であれば特に限定されないが、装着感、装着時の外観の変化、着脱性などを考慮すると、上下方向を好ましくは100mm以上200mm以下、より好ましくは130mm以上195mm以下の範囲とし、幅方向を好ましくは80mm以上150mm以下、より好ましくは100mm以上140mm以下の範囲とすることが望ましい。特に、上下方向を130mm以上195mm以下とすることにより、転倒による大腿骨頸部骨折の危険度を減少させることができる歩行姿勢の数をさらに増やすことができる。また、幅方向における、パッド本体20の一方の端部と、該端部に近接する側の衝撃回避部21の端部との間の寸法は特に限定されるものではないが、好ましくは5mm以上30mm以下程度、より好ましくは10mm以上20mm以下程度とするのがよい。これにより、パッド本体20、および衝撃回避部21の効果が十分に発揮される。
パッド本体20の厚さは、特に限定されないが、パッド本体20の面方向の柔軟性の低下による装着感の低下を抑制し、また、衝撃吸収パッド14の装着が他人に気付かれ易くなるという外観性の低下を防止するといった観点から、13mm以下に設定することが好ましく、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは装着感と外観上の違和感をなくす観点から8mm以下、特に好ましくは3mm以上13mm以下、更には3mm以上8mm以下に設定する。ここでパッド本体20の厚さとは、パッド本体20の最も厚さが大きい部分の厚さを意味する。パッド本体20は均一厚さの平板状に構成しても良いし、中央部が厚く周縁部が薄くなるように構成しても良いし、場所によって厚さが異なるように構成しても良い。
また、パッド本体20の少なくとも外面(人体の外方を臨む面)側の外周縁の角部に、面取り面を形成することも好ましい実施の形態である。つまり、衝撃吸収パッド14をパンツなどの衣類に装填して使用したときに、該衣類における、パッド本体20の外周縁の角部に当接する部分が延びて薄くなり、該部分が、重ね着する着衣との摩擦等により、擦れて破れ易くなるという問題があるので、これを防止するため、パッド本体20の少なくとも外面側の外周縁の角部に面取り面を形成することが好ましい。これにより、人体の曲面にもなじみ易くすることができる。
このような面取り面としては、傾斜面又は円弧面で構成することができる。面取り面は、パッド本体20の外周縁の全周にわたって形成することが好ましいが、部分的に形成することもできる。パッド本体20の厚さ方向に対する面取り面の形成範囲は、任意に設定することが可能であり、パッド本体20の外周厚さの全厚さに形成することもでき、またコアバック法にてパッド本体20を製作する場合には、パッド本体20の外周厚さのおよそ1/2以下の範囲に面取り面を形成することができる。また、パッド本体20の外周縁以外に、衝撃回避部21の少なくとも外面側の開口縁の角部に対して、前記と同様に面取り面を形成することも可能である。
なお、パッド本体20の材質については、後記において具体的に説明する。
次に、衝撃回避部21は、本実施形態では、幅方向に長い長円状の形状を有する貫通穴であり、幅方向の最大部分の長さWが上下方向の最大部分の長さLよりも長くなるように構成されている。このように衝撃回避部21を構成することにより、衝撃吸収パッド14を人体に装着した場合に、転倒時の衝撃を分散および緩和するパッド本体20が大腿骨大転子部を覆う面積が減少するにもかかわらず、予想外にも、大腿骨大転子部に転倒の衝撃が直接伝わり難くなり、種々の歩行姿勢からの転倒による大腿骨頸部骨折の危険度を減少させることができる。高齢者の大腿骨頸部骨折はその大部分が歩行中の転倒により起こるものであり、歩行姿勢により大腿骨大転子部が衝撃を受ける部位も微妙に異なるが、衝撃吸収パッド14の装着により転倒における大腿骨頸部骨折が発生する危険度を低減できる歩行姿勢の数を増加させることができる。また、衝撃吸収パッド14を上下方向に着脱する際に、衝撃回避部21の上端に指が引っ掛かり易くなり、着脱性が向上する。
衝撃回避部21を設けない場合、パッド本体20の厚さが十分に厚い場合を除いて、転倒による衝撃力がパッド本体20を通じて大腿骨大転子部ひいては大腿骨頚部に伝わり易くなり、転倒による大腿骨頸部骨折が発生する危険度が増すおそれがある。一方、パッド本体20の厚さを衝撃力が大腿骨大転子部に伝わらないように十分に厚くすると、装着感と装着時の外観性が損なわれる。そこで、本発明では、大腿骨大転子部に対応する領域に衝撃回避部21を設けることで、その周りのパッド本体20の軟組織に衝撃力が拡散され、転倒による大きな衝撃が大腿骨大転子部に直接加わることを避けると共に、装着感と装着時の外観性を損なわない薄さの衝撃吸収パッド14を得ることに成功している。
衝撃回避部21の形状は、幅方向の最大部分の長さWが上下方向の最大部分の長さLよりも大きければ、本実施形態の長円形状(角丸四角形を含む)に限定されず、例えば、楕円形状、長方形状、多角形状、ひょうたん形状、十字形状、アーチ形状、月形状(半円状、扇状、三日月状等)、角丸多角形状などであってもよい。ただし、衝撃回避部21の端部での強度の観点から、角のない長円形状(角丸四角形を含む)や楕円形状が好ましい。転倒時の大きな衝撃を、衝撃回避部21の周りのパッド本体20により分散および緩和するという観点からは、長円形状がより好ましい。
衝撃回避部21は、幅方向の最大部分の長さWを好ましくは55mm以上100mm以下、さらに好ましくは70mm以上90mm以下の範囲とし、上下方向の最大部分の長さLを40mm以上80mm以下、さらに好ましくは45mm以上60mm以下の範囲とし、幅方向の最大部分の長さWが上下方向の最大部分の長さLよりも大きくなるように設定される。ここで、幅方向の最大部分の長さWとは、衝撃回避部21の幅方向両端部(幅方向両側に最も突出する部分)間の寸法であり、上下方向の最大部分の長さLとは、衝撃回避部21の上下方向両端部(上下方向両側に最も突出する部分)間の寸法である。
衝撃回避部21の幅方向の最大部分の長さWを55mm以上100mm以下とし、かつ、幅方向の最大部分の長さWが上下方向の最大部分の長さLよりも大きくなるように設定することにより、衝撃回避部21を設ける効果、すなわち骨折危険度を減少させ得る歩行姿勢の数を増加させることができるという効果を一層効果的に発揮させることができる。幅方向の最大部分の長さWが55mm未満では、骨折危険度を減少させ得る歩行姿勢の増加数が少なくなるおそれがあり、一方幅方向の最大部分の長さWが100mmを超えると、大腿骨大転子部の頂部が衝撃回避部21から人体の外方に向けて突出して、転倒による衝撃が大腿骨大転子部に直接伝わり易くなり、骨折危険度の低減化を図り得ないおそれがある。
衝撃回避部21の面積は特に限定されないが、衝撃回避部21が大腿骨大転子部を取り囲むように衝撃吸収パッド14を配置するという観点からは、好ましくは600mm以上5000mm以下、より好ましくは700mm以上4000mm以下、さらに好ましくは700mm以上2000mm以下である。衝撃回避部21の面積を上記範囲に設定することにより、パッド本体20の大腿骨大転子部周辺に対する密着性が高まり、転倒による衝撃をパッド本体20により分散および吸収する効果及び該衝撃が大腿骨大転子部に直接伝わらない効果が大きくなり、衝撃回避部21を設ける効果が確実に発揮されると共に、衝撃吸収パッド14の全体としての剛性が保持され、良好な着脱性を得ることができる。なお、衝撃回避部21の面積とは、衝撃回避部21である貫通穴のパッド本体20表面での開口面積を意味する。
衝撃回避部21の面積が600mm未満では、転倒による衝撃力がパッド本体20を通じて大腿骨大転子部ひいては大腿骨頸部に伝わり易くなり、転倒による大腿骨頸部骨折が発生する危険度が増すおそれがある。一方、衝撃回避部21の面積が5000mmを超えると、大腿骨大転子部の頂部が衝撃回避部21から人体の外方に突出し易くなり、それに伴い転倒による衝撃が大腿骨大転子部に直接伝わり易くなり、大腿骨頸部骨折の危険度が増加するおそれがある。また、衝撃吸収パッド14の全体としての剛性が低下し、その着脱が難しくなるおそれがある。
衝撃回避部21の上端からパッド本体20の上端までの距離L1は、パッド本体20による転倒の衝撃を拡散および/または緩和する効果を得るという観点やパッド本体20の全体としての剛性を高め、衝撃吸収パッド14の長期耐久性や着脱性をさらに高めるといった観点などから、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上、さらに好ましくは35mm以上に設定する。
衝撃回避部21の下端からパッド本体20の下端までの距離L2は、転倒時の衝撃による骨折危険度を減少させる歩行姿勢をさらに増やすという観点などから、好ましくは40mm以上、より好ましくは45mm以上、さらに好ましくは50mm以上に設定する。特に、下端距離L2を50mm以上100mm以下の範囲に設定することにより、転倒時の衝撃による骨折危険度を減少させる歩行姿勢を顕著に増加させることができるので、衝撃吸収パッド14の大腿骨頸部骨折を予防する効果を高めることができる。
衝撃回避部21は、衝撃回避部21である貫通穴の内周面をテーパ面又は厚み方向に勾配を有するように構成してもよい。この場合、大腿骨大転子部側へ行くにしたがって衝撃力が連続的又は段階的に小さくなるように構成することが可能になる。
衝撃回避部21は本実施形態では貫通穴として形成されているが、これに限定されず、凹部として形成されていても良い。該凹部は、貫通穴と同様に、幅方向の最大部分の長さWが上下方向の最大部分の長さLよりも大きくなるように形成され、その開口の寸法及び形状は貫通穴と同様の寸法(幅方向の最大長さW、上下方向の最大長さL等)及び形状とすることができる。
また、該凹部は、衝撃吸収パッド14の人体に臨む面、および人体の外方を臨む面のいずれにも形成することができる。いずれの場合にも、転倒による衝撃の大腿骨大転子部への直接の伝達を防止する効果や、大腿骨大転子部に伝わる衝撃を緩和する効果が得られると共に、衝撃吸収パッド14の軽量化を図ることができる。いずれの場合にも、凹部の深さは特に限定されないが、前記効果を十分に発揮する観点などから、凹部を形成する部分におけるパッド本体20の厚さの20%以上90%以下であることが好ましい。
また、パッド本体よりも軟質な部材を衝撃回避部に相当する貫通穴又は凹部に充填したものも、本発明における衝撃回避部として使用することができる。
次に、第1軽減部22a、22b(以下、これらを「第1軽減部22」と総称することがある。)は、前述のように衝撃回避部21の下方であって、かつ衝撃吸収パッド14を幅方向に2等分する仮想線Xに沿って上下に2個並ぶように配置されている貫通孔である。本実施形態では、第1軽減部22a、22bが前述のように配置されるが、第1軽減部22の個数および配置はこれに限定されず、1個以上、好ましくは1個以上8個以下の第1軽減部22を、衝撃回避部21と離隔する任意の位置に配置することができる。また、第1軽減部22が複数個形成される場合は、複数の第1軽減部22同士も互いに離隔するように配置される。なお、第1軽減部22は、衝撃回避部21を設けることによる効果を十分に発揮させる観点などから、衝撃回避部21よりも下方に配置されていることが好ましい。
衝撃回避部21と共に第1軽減部22を設けることで、パッド本体20の面方向の柔軟性が向上し、着脱時の違和感がさらに少なくなり、また、通気性が向上してムレが低減される。また、第1軽減部22を設けることで、転倒時の衝撃力が伝わる経路を変えることが可能になり、大腿骨頚部に伝わる衝撃力をより一層低減することができる。
第1軽減部22の形状は本実施形態ではほぼ円形状であるが、これに限定されず、例えば、楕円形状、三角形状、長方形状、多角形状、ひょうたん形状、十字形状、アーチ形状、月形状(半円状、扇状、三日月状等)、角丸四角形状、角丸多角形状などの形状があげられる。これらの中でも、円形状、楕円形状、長方形状、角丸四角形状などが端部の強度の観点から好ましい。例えば、上下方向に長い楕円形状や角丸四角形状とすることにより、装着時の抵抗が減り、着脱性が向上すると共に、使用者による衝撃吸収パッド14の人体への装着方向(衝撃吸収パッド14の上下方向)の確認が容易になる。
第1軽減部22aの上端と衝撃回避部21の下端との間の距離L3は、大腿骨大転子部に直接伝わる衝撃力を一層減少させる観点から、好ましくは5mm以上50mm以下、より好ましくは10mm以上40mm以下、さらに好ましくは10mm以上30mm以下に設定する。第1軽減部22a、22bの直径(又は最大長さ)Dは、パッド本体20の強度等の観点から、好ましくは5mm以上50mm以下、より好ましくは5mm以上40mm以下、さらに好ましくは5mm以上30mm以下に設定すると共に、第1軽減部22a、22bの直径(又は最大長さ)Dが衝撃回避部21の幅方向の最大長さWよりも小さくなるように設定することが好ましい。本実施形態では、衝撃回避部21の下端から20mmの位置に上端を持つ直径20mm程度の円形状の第1軽減部22aを設け、さらにその第1軽減部22aの下端から10mmの位置に上端を持つ直径20mm程度の第1軽減部22bを設けている。
本実施形態の第1軽減部22は、貫通穴として形成されているが、これに限定されず、非貫通の凹部として形成されていてもよい。ただし、骨折危険度を低減させる歩行姿勢の数を増加させるといった観点や、人体表面へのフィット性、通気性などの観点からは、貫通穴であることが好ましい。第1軽減部22を凹部で構成する場合には、衝撃回避部21を凹部で構成する場合と同様に、凹部は、衝撃吸収パッド14の人体を臨む面、および厚さ方向において該面とは反対側の面(人体の外方を臨む面)のいずれにも形成することができる。
次に、第2軽減部23a、23b(以下、これらを「第2軽減部23」と総称することがある。)は、本実施形態では、衝撃回避部21の下方であって、かつ第1軽減部22aを介して幅方向に対向する位置にそれぞれ1個ずつ、計2個が貫通穴として形成されている。すなわち、第2軽減部23a、23bは、衝撃吸収パッド14を幅方向に二等分する仮想線Xに対して線対称の位置に、第1軽減部22a、22bと離隔するように設けられている。これにより、衝撃吸収パッド14の強度をほとんど低下させることなく、その通気性や面方向の柔軟性をさらに向上させることができる。第2軽減部23の個数、形状、位置は本実施形態に限定されず、1個以上の任意の数の第2軽減部23を衝撃回避部21および第1軽減部22と離隔する任意の位置に形成することができ、さらに第2軽減部23が複数である場合には他の第2軽減部23と離隔する任意の位置に形成することができる。第2軽減部23の形状としては、第1軽減部22と同様の形状をいずれも採用できる。
なお、第2軽減部23の合計面積は、パッド本体20における衝撃回避部21および第1軽減部22以外の全面積の50%以下であることが好ましい。第2軽減部23の合計面積が前記全面積の50%を超えると、衝撃吸収パッド14の剛性が低下し、その着脱性や装着感が低下するおそれがある。また、通気性を向上させる目的で、衝撃回避部21および第1軽減部22以外の位置に衝撃吸収性を低下させない範囲で小さい穴を全面積の50%以下に設けることもできる。また、衝撃回避部21、第1軽減部22および第2軽減部23の合計面積は600mm以上5000mm以下に設定することが好ましい。ここで、衝撃回避部21、第1軽減部22および第2軽減部23の面積とは、パッド本体20の表面における各貫通穴又は凹部の開口面積を意味する。
図2は、本発明の第2実施形態である衝撃吸収パッド15の構成を模式的に示す正面図である。衝撃吸収パッド15は、衝撃吸収パッド14の変形例であり、衝撃吸収パッド14と共通する部分については図1と同一の参照符号を付して説明を省略する。衝撃吸収パッド15は、衝撃回避部21の下端からパッド本体20の下端までの距離(または第1軽減部22bの下端からパッド本体20の下端までの距離)が、衝撃吸収パッド14における当該距離L2よりも長くなっている。本実施形態では、15mm長くなるように設定している。これにより、衝撃吸収パッド14と同様の種々の効果を保持しながら、特に人体への装着時における着脱性や外観性の低下をほとんど起こすことなく、骨折危険度を低減し得る歩行姿勢の数を衝撃吸収パッド14よりもさらに多くすることができる。このため、衝撃吸収パッド15の装着により、日常生活における転倒による大腿骨頸部骨折の危険度を一層少なくすることができる。第1軽減部22bの下端からパッド本体20の下端までの寸法は15mmに限定されず、パッド本体20の設計寸法、衝撃回避部21、第1軽減部22および第2軽減部23の各寸法等に応じて適宜選択できるが、好ましくは10mm以上30mm以下、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
図3は、本発明の第3実施形態である衝撃吸収パッド16の構成を模式的に示す正面図である。衝撃吸収パッド16は、衝撃吸収パッド14、15の変形例であり、衝撃吸収パッド14、15と共通する部分については図1、図2と同一の参照符号を付して説明を省略する。衝撃吸収パッド16は、上方に向けて突出するほぼ半円状の上部と、角丸四角形状の下端部と、を有するパッド本体24と、パッド本体24における幅方向中央でありかつ上下方向中央よりやや下方の位置を中心にして形成された長円状の衝撃回避部21と、パッド本体24における衝撃回避部21の下方に1個形成されたほぼ円形の第1軽減部22と、パッド本体24における衝撃回避部21の下方に第1軽減部22を中心にして幅方向に対向するように2個形成され、第1軽減部22よりも大径のほぼ円形の第2軽減部23a、23bとから構成されている。衝撃回避部21、第1軽減部22、および第2軽減部23a、23bは、所定の間隔を空けて互いに離隔するように設けられている。このように構成しても、衝撃吸収パッド14、15と同様の効果を保持しながら、特に衝撃回避部21を設けることによる効果を十分に発揮し、骨折危険度が減少する歩行姿勢の数を増やすことができる。
図4は、本発明の第4実施形態である衝撃吸収パッド17の構成を模式的に示す正面図である。衝撃吸収パッド17は衝撃吸収パッド16の変形例であり、衝撃吸収パッド16と共通する部分については図3と同一の参照符号を付して説明を省略する。衝撃吸収パッド17は、第1軽減部22、および第2軽減部23a、23bを有しない以外は、衝撃吸収パッド16と同じ構成を有している。このように構成しても、衝撃回避部21を有しているので、通気性や装着性などをあまり低下させることなく、衝撃吸収パッド14、15、16と同様の効果を保持しながら、特に骨折危険度が減少する歩行姿勢の数を増やすことができる。
図5は、本発明の第5実施形態である衝撃吸収パッド18の構成を模式的に示す正面図である。衝撃吸収パッド18は衝撃吸収パッド14〜17の変形例であり、衝撃吸収パッド14〜17と共通する部分については図1〜4と同一の参照符号を付して説明を省略する。衝撃吸収パッド18は、ほぼ円形の形状を有するパッド本体25と、パッド本体25における上下方向および幅方向のそれぞれ中央付近に形成される衝撃回避部21と、衝撃回避部21の下方において衝撃回避部21から離隔するように設けられ、円弧状のスリットである貫通穴からなる第1軽減部26とから構成される。このように構成しても、衝撃回避部21を設けることによる効果が発揮され、装着性、装着時の外観、着脱性などを保持しながら、骨折危険度が減少する歩行姿勢の数を増やすことができる。
図6は、本発明の第6実施形態である衝撃吸収パッド19の構成を模式的に示す正面図である。衝撃吸収パッド19は衝撃吸収パッド18の変形例であり、衝撃吸収パッド18と共通する部分については図5と同一の参照符号を付して説明を省略する。衝撃吸収パッド19は、円弧状のスリットである貫通穴からなる第1軽減部26を有しない以外は、衝撃吸収パッド18と同じ構成を有している。このように構成しても、衝撃回避部21を有しているので、通気性や装着性などをあまり低下させることなく、衝撃吸収パッド14〜18と同様の効果を保持しながら、特に骨折危険度が減少する歩行姿勢の数を増やすことができる。
なお、上記した衝撃吸収パッド15〜19は、衝撃吸収パッド14の説明において示した各種変形例を含むことができる。また、衝撃吸収パッド15〜19は、衝撃吸収パッド14と同様に各種衣類に装着可能であるが、特に紙おむつや紙パンツなどへの装着に適している。また、衝撃吸収パッド15〜19は、衝撃吸収パッド14と同じ材料で構成することができる。
本発明の衝撃吸収パッド(パッド本体)を構成する材料としては、衝撃吸収性を有する材料であれば特に限定されないが、衝撃吸収パッドの人体へのフィット性、装着性、装着時の外観性、着脱性(着脱時の抵抗感を減らす)などの観点から、衝撃吸収性、柔軟性および所定の機械強度を有する樹脂やエラストマーが好ましく、衝撃吸収性および柔軟性を持ち、かつJISK7171に準拠して測定および算出した曲げ弾性率が100MPa以下のエラストマーがより好ましい。曲げ弾性率は、さらに好ましくは50MPa以下、特に好ましくは20MPa以下である。
エラストマーとしては、芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックと、脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体が好ましく、芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックと、構成単量体としてイソブチレンを含む脂肪族炭化水素系化合物を用いた重合体ブロックとからなるイソブチレン系ブロック共重合体がより好ましい。
重合体ブロックの構成としては、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロック−脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロック−芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるトリブロック共重合体や、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロック−脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるジブロック共重合体、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックと脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックからなるアーム(重合鎖)を3つ以上有する星型ブロック共重合体などが挙げられる。これらは所望の物性・成形加工性を得るために1種または2種以上を組み合わせて使用可能である。
また芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックと脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックの重量比率は、特に制限はないが、発泡体の衝撃吸収性と成形性、常温での形状保持性の観点から、(脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロック)/(芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロック)=95/5〜60/40(重量比)が好ましく、90/10〜65/35(重量比)がさらに好ましい。
芳香族ビニル系化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、o−−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を1〜3個有するアルキルスチレン化合物、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン等のハロゲン原子を1〜3個有するハロゲン置換スチレン化合物、o−、m−、p−メトキシスチレン等の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシスチレン化合物、o−、m−、p−クロロメチルスチレン、o−、m−、p−ブロモメチルスチレン等の炭素数1〜4のハロアルキル基を有するハロアルキルスチレン化合物、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のアルキルスチレン化合物およびインデンからなる群から選ばれる少なくとも1種が、その入手し易さ、および物性バランスの観点から望ましい。これらの芳香族ビニル系化合物を主成分として重合することにより、芳香族系ビニル化合物を構成単量体とする重合体ブロックが形成される。
脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックは、共役ジエンを主成分とする重合体ブロックであることが好ましく、前記共役ジエンとしては特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、1,3−ブタジエン、イソブチレン、イソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種が、その入手し易さ、および物性バランスの観点から望ましい。また、共役ジエンを主成分とする重合体ブロックにおいて、必要に応じて水素添加や、共役ジエン以外のビニル系化合物の共重合などを行なってもよい。
共役ジエンを主成分とする重合体ブロックの中でも、共役ジエンが3,4または1,2結合を多く含むよう重合したブロック、前記共役ジエン重合体の水添物ブロック、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックのいずれかであることが、室温付近での衝撃吸収性に優れることから好ましい。なお、3,4または1,2結合を多く含む共役ジエンを主成分とする重合体ブロックは、特定の温度からずれた温度下では衝撃吸収性が低下する傾向にある。これらの重合体ブロックの中でも、具体的には、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックであることが、幅広い温度域で衝撃吸収性に優れるといえることから、特に好ましい。
なお、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックにおいて、必要に応じて他のビニル系化合物を共重合してもよい。
脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックがイソブチレンを主成分とする重合体ブロックである場合、エラストマーの製造方法については特に制限はないが、例えば、下記一般式(1)で表される化合物の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分及び芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体成分を重合させることによりエラストマーが得られる。
(CRX) (1)
[式中Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシロキシ基を示す。R、Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R、Rは同一であっても異なっていても良い。Rは多価芳香族炭化水素基または多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(1)で表される化合物は開始剤となるもので、ルイス酸等の存在下炭素カチオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。一般式(1)の化合物の具体例としては、例えば、(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンなどが好ましい。
前記重合においては、ルイス酸触媒を共存させることもできる。ルイス酸触媒としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF・OEt、SnCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl、VCl、FeCl、ZnBr、AlCl、AlBr等の金属ハロゲン化物;EtAlCl、EtAlCl等の有機金属ハロゲン化物などが挙げられる。前記各化学式においてEtはエチル基を示す。中でも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl、BCl、SnClが好ましい。
ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(1)で表される化合物に対して好ましくは、0.1モル当量以上100モル当量以下使用することができ、より好ましくは1モル当量以上50モル当量以下の範囲である。
また前記重合においては、電子供与体成分を共存させることもできる。電子供与体成分は、カチオン重合に際して、重合しつつある炭素カチオンを安定化させる効果があると考えられており、電子供与体成分の添加によって分子量分布が狭く、構造が制御された重合体を得ることができる。電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等が挙げられる。
前記重合は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ特に制約なく使用することができる。有機溶媒の具体例としては、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフィン油等が挙げられる。
これらの溶媒は、ブロック共重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して単独又は2種以上を組み合わせて使用される。
溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が好ましくは1重量%以上50重量%以下、より好ましくは5重量%以上35重量%以下となるように決定することができる。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃以下の温度で混合することが好ましい。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃以上−30℃以下である。
本発明で使用し得る市販のエラストマーとしては、脂肪族炭化水素系化合物を構成単量体とする重合体ブロックが、共役ジエンを主成分とする重合体ブロックであるエラストマーとして、(株)クラレのHYBRAR(商標名)を例示でき、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックであるエラストマーとして、(株)カネカのSIBSTAR(商標名)を例示できる。
また、エラストマーは、粘着付与樹脂を含有することができる。本発明で用いる粘着付与樹脂とは、数平均分子量300以上3000以下、JIS K−2207に定められた環球法に基づく軟化点が60℃以上150℃以下である低分子量の樹脂である。前記粘着付与樹脂をエラストマーに含有させることにより、体温付近での衝撃吸収性を上げることが容易となる。
本発明において粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂およびそれらの水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、芳香族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂およびその水素化物、ジシクロペンタジエン系石油樹脂およびその水素化物、スチレンまたは置換スチレンの低分子量重合体などがあげられる。これらの内、エラストマーの脂肪族炭化水素系化合物を主成分とする重合体ブロックとの相溶性が高いことから、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂の水素化物、ポリテルペン樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジンなどが特に好ましい。
粘着付与樹脂の配合量は、エラストマー100重量部に対して、0重量部以上100重量部以下であることが好ましく、更には10重量部以上70重量部以下であることが好ましい。粘着付与樹脂の配合量が100重量部を超えると混練時の粘度が低下しすぎるため、十分な混練状態が得られず、良好な発泡体を得ることが困難となる場合がある。
更に本発明では、必要に応じてエラストマーに可塑剤を配合しても良い。前記可塑剤としては、特に限定されないが、通常、室温で液体又は液状の材料が好適に用いられる。また親水性及び疎水性のいずれの可塑剤も使用できる。このような可塑剤としては鉱物油系、植物油系、合成系等の各種ゴム用又は樹脂用可塑剤が挙げられる。
鉱物油系可塑剤としては、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル等が、植物油系可塑剤としては、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が、合成系可塑剤としてはポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が例示できる。これらの中でも、エラストマーとの相溶性の観点から、パラフィン系プロセスオイル又はポリブテンが好ましく用いられる。これら可塑剤は所望の粘度及び物性を得るために、2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
また本発明では、必要に応じてエラストマーに、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、架橋剤、架橋助剤等の各種添加剤を配合しても良く、これらは単独、又は2種以上を組み合わせて使用可能である。さらに本発明のエラストマーの性能を損なわない範囲であれば、その他の各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー等を配合しても良い。
本発明の衝撃吸収パッドは、エラストマー発泡体で構成されていても良い。エラストマー発泡体の具体例としては、たとえば、熱可塑性エラストマーと熱膨張性マイクロカプセルとからなる発泡性組成物を射出発泡して得られる熱可塑性エラストマー発泡体があげられる。ここで、熱膨張性マイクロカプセルとは、揮発性の液体膨張剤を重合体によりマイクロカプセル化したものであり、一般に、水系媒体中で、少なくとも膨張剤と重合性単量体とを含有する重合性混合物を懸濁重合する方法により製造することができる。重合反応が進むにつれて、生成する重合体により外殻が形成され、その外殻内に膨張剤が包み込まれるようにして封入された構造をもつ熱膨張性マイクロカプセルが得られる。
熱膨張性マイクロカプセルの外殻を形成する重合体としては、一般に、ガスバリア性が良好な熱可塑性樹脂を含むものであればよい。外殻を形成する重合体は、加熱すると軟化する。外殻を形成する重合体に内包される液体膨張剤としては、重合体の軟化点以下の温度でガス状になるものが選択されていればよい。
本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルの使用割合は、エラストマー及び必要に応じ配合される粘着付与樹脂、可塑剤、その他の樹脂、等からなる発泡性組成物100重量部に対して、0.5重量部以上10重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは1重量部以上5重量部以下である。使用割合が0.5重量部より少ないと、密度が700kg/m以下の軽量性に優れた射出発泡成形体が得られ難い傾向にあり、逆に10重量部を超えて配合しても密度は概ね350kg/m程度で飽和して更なる低密度化に繋がりにくい。また熱膨張性マイクロカプセルは微細な粉末状であるため、均一に配合することが困難な場合が多く、かつ粉塵爆発等の危険性もあることから、比較的低温で加工し得る樹脂中に高濃度に分散させたマスターバッチの状態で配合することが好ましい。この場合、マスターバッチの配合量に、マスターバッチ中の熱膨張性マイクロカプセルの含有割合(重量%)を乗じた値が、熱膨張性マイクロカプセルの配合量となる。
次に、発泡性組成物を射出発泡成形する方法について具体的に説明する。射出発泡成形方法自体は公知の方法が適用でき、発泡性組成物の流動性、成形機の種類あるいは金型の形状によって適宜成形条件を調整すればよい。本発明の場合、樹脂温度170〜250℃、金型温度10〜100℃、成形サイクル1〜120分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧10〜200MPa等の条件で行うことが好ましい。また、金型内で発泡させる方法としては種々有るが、なかでも固定型と任意の位置に前進および後退が可能な可動型とから構成される金型を使用し、射出完了後、可動型を後退させて発泡させる、いわゆるコアバック法(Moving Cavity法)が、表面に非発泡層が形成され、内部の発泡層が均一微細気泡になりやすく、軽量性に優れた射出発泡成形体が得られやすいことから好ましい。
衝撃吸収パッドを構成するエラストマー発泡体において、上記のように膨張性マイクロカプセルを発泡剤とした場合には、独立気泡率が高いことが特徴であり、これにより衝撃を加えた際に底付きしにくく、衝撃による荷重が大きく上昇し難いため、優れた衝撃吸収性を示すものである。本発明におけるエラストマー発泡体の独立気泡率は80%以上であり、好ましくは90%以上である。
衝撃吸収パッドを構成するエラストマー発泡体の密度は、好ましくは100kg/m以上、さらに好ましくは200kg/m以上である。密度はパッド本体20内で均一であっても良いし、不均一であっても良い。密度が100kg/mを下回る場合は衝撃吸収性を確保するために、パッド本体20の厚さを厚くする必要があり、装着感や外観の違和感が大きくなる。
図7は、本発明の第7実施形態である衣類30の構成を模式的に示す図面である。(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。衣類30は、衣類本体31と、衣類本体31に取り付けられる衝撃吸収パッド14とから構成されている。衣類30を履いた時に、図7に示すように、衝撃吸収パッド14が大腿骨大転子部51や大腿骨53の上部に対面し、さらに衝撃回避部21が丁度大腿骨大転子部51、特に大腿骨頸部52に対面配置されるように、衣類本体31に取り付けられている。
衣類本体31は、大腿骨大転子部51と直接的または間接的に接触する衣類であれば特に限定されないが、インナーウエア、ズボン、短パン、スカート、ジャージなどが好ましく、衝撃吸収パッド14の長時間の着用が必要であり、衝撃吸収パッド14の位置決めや脱着が比較的容易であり、衝撃吸収パッド14のズレなどを直し易いといった観点から、インナーウエアがより好ましい。インナーウエアとしては、例えば、猿股類、ズボン下、ブリーフ、パンツ、ショーツ、紙パンツ、紙おむつなどが挙げられる。本発明の衣類本体31には、コルセット(特に腰部用コルセット)、ベルト、スポーツ用の各種パンツおよびズボンなども含まれる。
衣類本体31に用いられる生地も、素材、織編方法など、特に限定されるものではないが、例えば、通気性、衝撃吸収性を向上させるために、生地の表面に凹凸を付けたものを用いることができ、表面に凹凸の形状が現れる編み組織、パイル編み等が好ましい。これらの生地を衣類本体31の人体側に位置する場所に用いることにより、衝撃吸収パッド14の効果を一層高めることができる。また、衝撃吸収パッド14の回りにストレッチ素材を用いることにより、衝撃吸収パッド14の人体への密着性やフィット性がさらに高まり、転倒による衝撃をより一層効率的に緩和することができる。
衝撃吸収パッド14は、人体に直接触れるようにまたは生地を介して人体に間接的に触れるように、衣類本体31に取り付けることができる。また、衣類本体31がインナーウエアである場合、衝撃吸収パッド14は、衣類本体31の内側および外側のいずれにも取り付けることができるが、装着感や通気性を高め、ムレなどを少なくする観点から、外側に取り付けることが好ましい。また、衣類本体31が、ズボン、短パン、スカート、ジャージ(スポーツ用のパンツやズボンも含む)などである場合は、衝撃吸収パッド14は衣類本体31の外側に取り付けても良いが、装着時の外観性などを考慮すると、内側に取り付けることが好ましい。
衝撃吸収パッド14の衣類本体31への取り付け方法も特に限定されないが、着用時に衝撃吸収パッド14の位置がずれないことなどを考慮すると、衣類本体31にポケットを設けて該ポケットに衝撃吸収パッド14を収納する方法、衝撃吸収パッド14を衣類本体31の所定箇所に糸で縫い付けるかまたはマジックテープ(登録商標)などにより固定する方法、衝撃吸収パッド14を袋に収納し、この袋を糸による縫い付け、マジックテープ(登録商標)や金具などで衣類本体31の所定箇所に取り付ける方法などが挙げられる。
衣類本体31に設けたポケットに衝撃吸収パッド14を収納する方法では、衝撃吸収パッド14を取り出せないようにポケット内に封入してもよく、ポケットから出し入れ自在に構成しても良い。なお、衣類本体31が腰部用コルセットやベルトである場合には、衝撃吸収パッド14を収納可能なポケットを衣類本体31の所定箇所に取り付けることが好ましい。
また、着用性等の点で必要であれば、大腿骨大転子部51およびその周辺には本発明の衝撃吸収パッド14を用い、さらに、衝撃の比較的緩和されるようなところには、他のパッドを用いてもかまわない。他のパッドとしては、例えば、ウレタン発泡体やポリエチレン発泡体、アクリル発泡体などの樹脂発泡体またはエラストマー発泡体、不織布、立体織物などの繊維製品などが挙げられる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。以下の実施例において、「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を表わすものとする。また、衝撃吸収パッドの装着感評価を下記のようにして実施した。なお、衝撃吸収性能の評価試験方法については後述する。
<装着感評価>
装着感の評価は、大腿骨大転子部の直上に衝撃回避部が位置するようにポケットを設けたパンツのポケットに衝撃吸収パッドを入れ、そのパンツを10人の一般パネラーに24時間着用してもらい、「ムレ」、「着脱(トイレでの着脱含む。着脱時の違和感)」、「外観(外観の不自然さ)」の3点について下記の基準で官能評価を行ない、最も多かった基準を評価とした。
[ムレ]
◎:ムレを感じず不快感がない。
○:ムレをほとんど感じず不快感がほとんどない。
△:どちらともいえない。
×:ムレを感じて不快である。
[着脱]
◎:着脱時にひっかかりがなく、違和感がない。
○:着脱時にほとんどひっかかりがなく、違和感が少ない。
△:どちらともいえない。
×:着脱時にひっかかりがあり、違和感がある。
[外観]:
○:衣服の上から見ても衝撃吸収パッドが入っていることがほとんどわからない。
△:どちらともいえない。
×:衣服の上から見ると衝撃吸収パッドが入っていることがわかる。
(実施例1)
厚さ12mm、上下方向の最大長さ140mm、幅方向の最大長さ120mmの長円(角丸長方形)である図1に示す衝撃吸収パッド14を、シリコーン系発泡ゲル(商品名:NPゲル、(株)タイカ製)を用いて作製した。該パッドには、幅方向の最大部分の長さ(W)80mm、上下方向の最大部分の長さ(L)50mmの長円(角丸長方形)状貫通孔である衝撃回避部21を、その上端から該パッドの上端までの距離(L1)40mm、その下端から該パッドの下端までの距離(L2)50mm、およびその幅方向両端から該パッドの幅方向両端までの距離がそれぞれ20mmの位置に形成した。
該パッドを幅方向に2等分する仮想線Xに沿って、上下方向に互いに離隔するほぼ円形の2個の貫通穴(径(D)10mm)である第1軽減部22a、22bを形成した。衝撃回避部21の下端と第1軽減部22aの上端との距離(L3)、第1軽減部22a、22b間の距離、および第1軽減部22bの下端と該パッド下端との距離をそれぞれ10mmとした。
さらに、衝撃回避部21の下方であって、仮想線X(又は第1軽減部22a)を介して幅方向に対向し、かつ衝撃回避部21および第1軽減部22a、22bと離隔する位置に、ほぼ円形の貫通穴(径20mm)である第2軽減部23a、23bを形成した。
(実施例2)
パッドの上下方向の最大長さを155mmとし、かつ衝撃回避部21の下端からパッド下端までの距離(L2)を65mmとする以外は、実施例1と同様にして、厚さ12mm、上下方向の最大長さ155mm、幅方向の最大長さ120mmの長円(角丸長方形)である図2に示す衝撃吸収パッド15を作製した。実施例2の衝撃吸収パッド15は、実施例1の衝撃吸収パッド14よりも下端を15mm延長した構造である。
(実施例3)
厚さ12mm、上下方向の最大長さ140mm、幅方向の最大長さ130mmの、上部が半円状でありかつ下端部の両角を円弧状曲線で置換した形状を有する図3に示す衝撃吸収パッド16を、シリコーン系発泡ゲル(商品名:NPゲル、(株)タイカ製)を用いて作製した。該パッドには、幅方向の最大部分の長さ(W)80mm、上下方向の最大部分の長さ(L)50mmの角丸長方形状貫通孔である衝撃回避部21を、その上端から該パッドの上端までの距離(L1)40mm、その下端から該パッドの下端までの距離(L2)50mm、およびその幅方向両端から該パッドの幅方向両端までの距離がそれぞれ25mmの位置に形成した。
該パッドを幅方向に2等分する仮想線Xに沿って、衝撃回避部21の下方に、衝撃回避部21と互いに離隔する1個のほぼ円形の貫通穴(径(D)20mm)である第1軽減部22を形成した。衝撃回避部21の下端と第1軽減部22の上端との距離(L3)、および第1軽減部22の下端と該パッド下端との距離をそれぞれ15mmとした。
さらに、衝撃回避部21の下方であって、仮想線Xを介して幅方向に対向し、かつ衝撃回避部21および第1軽減部22と離隔する位置に、ほぼ円形の貫通穴(径30mm)である第2軽減部23a、23bを形成した。
(実施例4)
厚さを12mmから8mmに変更する以外は、実施例2と同様にして、衝撃吸収パッド15を作製した。
(実施例5)
材料をNPゲルから下記のエラストマー発泡体(発泡体A)に変更する以外は、実施例1と同様にして、衝撃吸収パッド14を作製した。
まず、ポリスチレンブロック−ポリイソブチレンブロック−ポリスチレンブロックを有するエラストマー(商品名:SIBSTAR(商標名)072T、(株)カネカ製)100部と水添石油樹脂(粘着付与樹脂、商品名:アルコンP140、荒川化学工業(株)製)18部との混合物に、熱膨張性マイクロカプセルマスターバッチ(商品名:ファインセルマスター(商標名)MS405K、熱膨張性マイクロカプセル含有率40%、大日精化(株)製)10部を混合し、熱膨張性カプセルマスターバッチを4部含有する発泡性組成物を得た。
この発泡性組成物を、シャットオフノズル仕様の射出成形機(商品名:MD350S−IIIDP型、宇部興産機械(株)製)で、樹脂温度200℃、背圧15MPaで溶融混練した後、60℃に設定された、φ2mmのピンゲートを有し、固定型と前進および後退が可能な可動型とから構成される、縦330mm×横230mm×高さ100mmの箱形状のキャビティ(立壁部:傾斜10度、クリアランス3mm、底面部:クリアランスt0=3.0mm)を有する金型中に、射出速度100mm/秒で射出充填した。射出充填完了後に、底面部のクリアランスが6.5mmになるように可動型を後退させて、キャビティ内の樹脂を発泡させた。発泡完了後60秒間冷却してからエラストマー発泡体(発泡体A)を得た。
(実施例6)
材料をNPゲルから実施例5で作製されたエラストマー発泡体(発泡体A)に変更する以外は、実施例2と同様にして、衝撃吸収パッド15を作製した。
(実施例7)
材料をNPゲルから実施例5で作製されたエラストマー発泡体(発泡体A)に変更する以外は、実施例3と同様にして、衝撃吸収パッド16を作製した。
(実施例8)
ポリスチレンブロック−ポリイソブチレンブロック−ポリスチレンブロックを有するエラストマーを、SIBSTAR072T(商品名、(株)カネカ製)からSIBSTAR062T(商品名、(株)カネカ製)に変更して得られるエラストマー発泡体(発泡体B)を使用する以外は、実施例6と同様にして、衝撃吸収パッド15を作製した。
(実施例9)
厚さを12mmから5mmに変更する以外は、実施例8と同様にして衝撃吸収パッド15を製作した。
(実施例10)
エラストマー(商品名:SIBSTAR072T、(株)カネカ製)を200℃においてプレス成形し、厚さ8mmの弾性板を得た。この弾性板を切削加工し、実施例2におけるのと同寸法を有する衝撃吸収パッド15を作製した。
(比較例1)
幅方向の最大部分の寸法(W)80mm、上下方向の最大部分の寸法(L)50mmの長円状貫通穴からなる衝撃回避部21を、径50mmのほぼ円形状貫通穴からなる衝撃回避部21aに変更する以外は、実施例5と同様にして、図8に示す衝撃吸収パッド40を作製した。
下記表1に、実施例1〜10および比較例1で得られた衝撃吸収パッドにおける各部位の形状および寸法を示す。また、実施例1〜10および比較例1の装着感の評価結果を表1に併記する。
Figure 0006491104
表1から、実施例1〜10の衝撃吸収パッドは、比較例1の衝撃吸収パッドに比べて、いずれもムレ、着脱、及び外観より選ばれる1又は2以上の項目が明確に向上していることが分かる。
(比較例2)
市販の大腿骨頸部骨折予防下着を比較例2として用いた。この下着に装着されている衝撃吸収パッド(ヒッププロテクタA)は大腿骨大転子部全体を覆うタイプであり、平面形状が楕円形状かつ立体形状が亀の甲羅状であり、16個の小径の貫通穴が開けられた厚さ13mm程度の弾性体である。該下着は装着時や着脱時の違和感は少ないが、該弾性体は人体に接触する面を平らな面とした亀の甲羅状の形状を有しているので、装着時の外観の変化は否めない。また、各貫通穴の径が小さいので、特に夏場などの高温時期における通気性が不十分になりがちであり、ムレが起こり易い。
(比較例3)
市販の大腿骨頸部骨折予防下着を比較例3として用いた。この下着に装着されている衝撃吸収パッド(ヒッププロテクタB)は大腿骨大転子部全体を覆うタイプであり、形状が長円(角丸長方形)状、厚さが10mmの、貫通穴を有さない弾性体であるため、着脱性や通気性が十分ではなく、また、柔軟性に乏しいため、装着による外観の変化が大きい。
すなわち、比較例2、3のヒッププロテクタA、Bは、装着感の点で更なる改良の余地が残されていた。比較例2、3のヒッププロテクタA、Bに用いられる弾性体の特徴を下記表2に示す。
Figure 0006491104
(比較例4)
ヒッププロテクタを用いなかった。
(試験例1)
実施例1〜2及び比較例1の衝撃吸収パッド、比較例2〜3の市販の衝撃吸収パッドならびに衝撃吸収パッドを用いない比較例4について、それぞれの衝撃吸収性能を調べるために、下記に示す評価試験を行った。結果を表8に示す。
<転倒シミュレーションによる衝撃吸収性能評価>
衝撃吸収パッドの衝撃吸収性能評価は、下記のコンピューターによる転倒シミュレーションにより実施した。
(1)高齢者マルチボディモデルの作製
(1−1)原型マルチボディモデルの作製
まず、解析ソフト(商品名:MADYMO、TASS International(株)製)およびMADYMOに内蔵されたマルチボディ生成ソフト(商品名:GEBOD、Generator of Body Data)を利用して、野田により作製された身長180cm、体重72kgの標準成人男性をスケーリングしたマルチボディモデル(野田真司、日本人高齢女性の体格・歩調を考慮した歩行転倒モデルの開発と大腿骨頸部骨折予測、名古屋大学工学研究科平成19年修士論文)を準備した。
このモデルは、図9に示すように全身を頭1、首2、胸3、腹4、骨盤5、大腿6、下腿7、足8、上腕9、前腕10、および手11の全11部位に分割し、各部位を質量と慣性モーメントとを持つ剛体として人体の各部位に近似させ、かつYangの提案したトルク−関節関係(Jikuang Yang, Injury Biomechanics in Car-Pedestrian Collisions, Thesis for PhD, Department of Injury Prevention, Chalmers Univ. Tech., (1997), pp.v1-v17)を有するジョイントで各部位を結合したモデルである。このモデルに日本人高齢女性の各部位寸法を組み込み、原型マルチボディモデルを作製した。
(1−2)大腿部有限要素モデルの作製
まず、53歳から89歳までの女性8名から抽出した大腿骨標本から計測した各形状パラメータの平均値(軟骨の厚さ5mm、寛骨臼の厚さ4mm)、および軟組織には89歳女性1名のX線CT画像を用い、大腿部有限要素モデルを、軟組織を含めた大腿部のCT画像として作製した。この大腿部有限要素モデルでは、寛骨臼要素と骨頭要素とが接触することで大腿骨頸部に応力が生じ、靭帯要素が寛骨臼と大腿骨とを結合することにより、転倒時の大腿骨の挙動を制御するように構成され、これにより、大腿部に生じる応力の測定を行うことが可能になる。以下、大腿部有限要素モデルを構成する各要素を形作る材料について説明する。
大腿骨の材料は、皮質骨および海綿骨ともに等方線系弾性体とし、Lotzらの値(Lotz J.C., Cheal E.J., and Hayas W.C., Fracture Prediction for the Proximal Femur Using Finite Element Models, Part 1-Linear Analysis, J.Biomech.Eng., 113, (1991), pp.125-131)をポアソン比として用いた。ヤング率は各々62歳男性の標本のCT値にPeacockらの文献(M.Peacock, G.Liu, M.Carey, W.Ambrosius, C.H.Turner, S.Hui and C.C.Johnston, Bone Mass and structure at the Hip in Men and Women over the Age of 60 Years, Osteoporos Int, (1998), pp.8:231-239)により得た男女の骨密度比を乗じた値とした。
皮質骨の弾性係数(E)は、皮質骨のCT値(HU)を下記のSnyderらの式(Snyder S.M., Schneider E., Estimation of Mechanical Properties of Cortical Bone by Computed Tomography, J.Orthpaedic Res., vol.9(1991), pp.422-431)に代入して求めた。
=7.04×10×(HU)
皮質骨の骨密度(ρcor1)は、皮質骨のCT値(HU)を前出のSnyderらの文献に記載の下記式に代入して算出した。
ρcor1=1.09+(4.45×10?4)×(HU)
海綿骨の弾性係数(E)は、海綿骨のCT値(QCT)を前出のLotzら文献に記載の下記式に代入して得られたハイドロキシアパタト相当量から算出した。
=0.7×(QCT)12
海綿骨の骨密度(ρcor2)は、海綿骨のCT値(HU)をFordらの式(Catherine M. Ford, Tony M. Keaveny and Wilson C. Hayes, The Effect of Impact The Effect of Directionon the Structural Capacity of Proximal Femur During Falls,Journal of Bineand Mineral Resarch,vol.,(1996 ), pp.377-383)に代入して算出した。
ρcor2=0.0684+(1.106×10?3)×(HU)
大腿骨頚部を図10に示す上方骨頭基部、下方骨頭基部、上方頸部基部、および下方頸部基部の4つの領域に分け、異なる材料で構成した。各領域を構成する材料のヤング率および粘性を表3に示す。
Figure 0006491104
軟組織モデルについては、筋−脂肪要素、皮膚要素、骨頭関節軟骨要素、寛骨臼要素、および靭帯要素に分類した。
筋−脂肪要素は、等方性のMaxwellモデルで近似し、Rabihらの文献(Rabih E. T.,Faris A. B.,Theodre G. T.,and Rolf H. E.,A Three-Dimensional Finite Element Model of the Human Ankle: Development and Preliminary to Axial Impulsive Loading,SAE,(1996),962427)から、弾性係数15MPa、ポアソン比0.49、粘性係数10MPa・s、質量密度1g/cmに設定した。
皮膚要素は、等方線形弾性体で近似し、Egolらの文献(K. A. Egol,K. J. Koval,F. Kummer,V. H. Frankel,Stress Fracture of the femoral Neck,Clinical Orthopaedics and Related Research 348,(1998),pp.72-78)から、弾性係数230MPa、ポアソン比0.3、質量密度1g/cm、厚さ1.0mmに設定した。
骨頭関節軟骨要素は、等方線形弾性体で近似し、Hewittらの文献(John Hewitt,Farshid Guilak,Richard Glisson,T. Parler Vail,Regional material properties of the human hip joint capsule ligaments,19,Journal of Orthopaedic Research,(2001),pp. 359-364)から、弾性係数50MPa、ポアソン比0.3、質量密度1g/cmに設定した。
寛骨臼要素は、全身の体重を寛骨臼で受けた時に寛骨臼が変化を起こさないようするために、2層構造とし、内部に皮質骨と同じ材料特性を与え、かつ外部を剛体とした。弾性係数8400MPa、ポアソン比0.3とした。靭帯要素は、等方線形弾性体で近似し、井出らの文献(井出隆俊,山本泰宏,立木繁,赤松功也,剛体−バネモデル(RBSM)における関節軟骨のバネ定数について,整形外科バイオメカニクス,12,(1990),pp.125-131)から、弾性係数285MPa、ポアソン比0.3、質量密度1g/cmに設定した。各要素の材料特性を表4に示す。なお、表4では弾性係数をヤング率として示す。
Figure 0006491104
(1−3)高齢者マルチボディモデルの作製
まず、原型マルチボディモデルの腰部と大腿を関連づけるジョイントを球ジョイントから自由ジョイントに変更した後、大腿部有限要素モデルの大腿骨遠位端(寛骨臼及び軟組織皮膚要素の上縁の節点)を原型マルチボディモデルの腰部に結合することで、股関節の特性を模擬した。寛骨臼に加え、皮膚要素上縁の節点もマルチボディの腰部に拘束したことで、靭帯要素だけなく、皮膚要素も関節剛性の役割を担い、解剖学的にも妥当な股関節構造を再現した。こうして、高齢者マルチボディモデルを作製した。
(2)マルチボディの挙動調整
(2−1)高齢女性の歩行状態調査
ターゲットマークを装着した状態で高齢女性4名に約5mの距離を歩行してもらい、それをカメラ撮影し、歩行中の関節の位置関係や歩行速度を観察した。撮影には高速度カメラ(商品名:MEMRECAM fxK3、ST−593、(株)ナックイメージテクノロジー製)を使用し、シャッタースピードを250f/sに設定、歩行区間の中央付近を撮影範囲とした。被験者の身体の各部に装着したターゲットマークの挙動解析には、Movias Pro 62(商品名、(株)ナックイメージテクノロジー製)を使用した。表5に高齢女性の平均的体格(66.9歳、149.3cm、55.3kg)に最も近い被験者(76歳、149cm、51kg)の1分あたりの歩数、歩行速度を示す。表5に示す歩数、歩幅および歩行速度のデータは他の3名の被験者とほとんど差がなかったため、表5に示すデータを高齢者マルチボディモデルに組み込んだ。
Figure 0006491104
さらに、高齢者の歩行実験映像から腰部、腹部、胸部、頸部、および頭部の5要素の角度を計測し、得られた値を高齢者マルチボディモデルに組み込み、図11に示す歩行姿勢を与えた。
(2−2)転倒挙動
本試験例では、転倒による骨折危険度を判定するために、実際の転倒における転倒挙動を、歩行速度、歩行姿勢、および転倒要因という3つのパラメータを用いて再現した。
歩行速度は、高齢者の歩行実験より、66cm/s(緩歩行)、95cm/s(並歩行)、および121cm/s(速歩行)の3パターンを設定した。
また、転倒開始時の歩行姿勢によりその後の高齢者マルチボディモデルの各部の位置、速度など転倒挙動は大きく変化するので、歩行姿勢を歩行周期に基づいて、図12に示すように(a)両足支持期、(b)遊脚加速期I、(c)遊脚加速期II、(d)遊脚加速期III、(e)遊脚中期、(f)遊脚減速期I、および(g)遊脚減速期IIの7期に分類した。
転倒は転倒要因により挙動が大きく異なるので、Smeestersらの文献(Smeesters C,Hayes W.C,McMahon T.A,Disturbance type and gait speed affect
falldirection and impact location,Journal of Biomechanics,34,(2001),309-317,52)を参考にして、転倒要因を意識喪失、踏み外し、滑り、つまずきの4種に分類した。意識喪失の転倒は高齢者マルチボディモデルを歩行中の状態から重力により地面に落下させることにより再現した。踏み外しは、遊脚側の足を立脚側より16cm低い地面へと歩行させることで、段差に降りる際の転倒とした。滑りは地面と足の摩擦係数を0.05に設定することで、すべりによる転倒とした。つまずきは遊脚の振り出しを障害物で妨害することで再現した。
(2−3)歩行姿勢と転倒要因との相関
転倒開始時の歩行姿勢と転倒要因には相関関係がある。意識喪失による転倒は、歩行周期中のどの時期でも起こるが、滑りによる転倒は、遊脚中の足が完全に地面に着いた瞬間や立脚側の足に体重をかけて踏み出す時、つまり図12中の姿勢(a)〜(d)で発生する。踏み外しによる転倒は段差から降り、足が地面に着く瞬間に発生するので、姿勢(a)で発生する。つまずきによる転倒は、遊脚側の足を振り出す瞬間、すなわち姿勢(c)〜(f)で発生しやすい。このように、転倒要因に応じて転倒する歩行姿勢が異なるので、転倒要因と歩行姿勢の組み合わせと歩行速度とを合わせて、転倒パターンを表6に示す全48通りとした。
Figure 0006491104
(2−4)骨折評価指標
本試験例では、大腿骨の最大圧縮主応力、最大引張主応力、および最大せん断応力を、それぞれ、大腿骨の圧縮破壊強度、引張破壊強度、およびせん断破壊強度で除した3つの値の中で、最大の値をその転倒での骨折危険度とした。骨折危険度が1に達した時、転倒により骨折したと判断する。
骨折危険度の算出に必要な各破壊強度は、Snyderらの式(Snyder S.M., Schneider E., Estimation of Mechanical Properties of Cortical Bone by Computed Tomography, J.Orthpaedic Res., vol.9(1991), pp.422-431)
ρ=1.09+(4.45×10?4)×(HU)
にCT値(HU)を代入して得られた皮質骨密度(ρ)を用いて算出した。
また、圧縮強度(σ)および引張強度(σ)は、Smithらの式(Smith, C.B., Smith, D.A., Relations between Age, Mineral Density and Mechanical Properties of Human Femoral Compacta, Acta orthp.scand.47, (1976), pp.807-811)に、上記で得られた皮質骨密度(ρ)の値を代入することにより算出した。
σ=5.36×e2.107×ρ
σ=5.14×e1.761×ρ
また、山田が実験により算出した破壊強度(Yamada, H., Strength of Biological Materials, (1970), pp.807-811)から算出した引張強度(σ)とねじり強度との比と、上記式から算出した引張強度(σ)とから、せん断強度を算出した。結果を表7に示す。
Figure 0006491104
(3)ヒッププロテクタの評価
実施例1〜2および比較例1〜4について、表6に示す48種の転倒パターンごとに骨折危険度を求め、各骨折防止性能を評価した。結果を表8に示す。なお、骨折危険度は、小数点第9位までの小数として求められているが、表8では小数点第4位を切り捨てた小数として記載する。
Figure 0006491104
表8から、次のことが明らかである。実施例1の衝撃吸収パッドは、衝撃回避部の形状を上下方向の最大部分よりも幅方向の最大部分の方が長い長円とすることにより、ほぼ円形の衝撃回避部を有する比較例1の衝撃吸収パッドに比べて、24の転倒パターンで骨折防止効果を高めることができ、さらに他の転倒パターンにおいても比較例1の衝撃吸収パッドと同程度の骨折予防効果を有していた。
また、実施例2の衝撃吸収パッドは、パッド本体の下端部を実施例1の衝撃吸収パッドよりも15mm延長することにより、実施例1の衝撃吸収パッドに比べて、20の転倒パターンで骨折危険度の0.05以上の減少が見られ、骨折防止効果を一層高めることができた。また、他の転倒パターンにおいても、実施例1の衝撃吸収パッドと同程度の骨折予防効果を有していた。さらに、骨折危険度が比較例1〜3の衝撃吸収パッドよりも数値的に劣っている転倒パターンにおいても、骨折危険度の数値は、いずれも1未満であり、かつ比較例1〜3の数値と大差なく、同等の骨折防止効果を有していた。
比較例1の衝撃吸収パッドは、多くの転倒パターンや危険度の高い転倒パターンで骨折予防効果を示したが、骨折危険度が1を超える場合や0.8、0.9などの骨折危険度1に近い転倒パターンも比較的多く、十分な骨折予防効果を示さない転倒パターンもあった。
比較例2の衝撃吸収パッドは、衝撃が小さい転倒パターンなどでは骨折予防効果が高かったが、今回試験した衝撃吸収パッドの中では最も小さいため、衝撃を受け止められる範囲が狭く、また骨折危険度の大きい転倒パターンでは骨折危険度1を唯一2パターンで超えるなど、他の衝撃吸収パッドに比べて骨折予防効果が劣る結果であった。比較例2の衝撃吸収パッドは、表面と裏面の径を変えることで大腿部と該パッドとの間に隙間を作り、それよって衝撃拡散させる設計となっているため、該パッド中央部に強い応力がかかると、該パッド越しに大腿骨大転子部が地面と接触し、大腿骨頸部にも衝撃が伝わり易くなるために、骨折予防効果が不十分になったと考えられる。
比較例3の衝撃吸収パッドは、衝撃吸収するマット型弾性体で構成され、多くの転倒パターンで実施例1や2の衝撃吸収パッドとほぼ同等の安定した骨折予防効果を示すが、骨折危険度が1を超える転倒パターンをも有していた。また、比較例3の衝撃吸収パッドは、寸法および厚みが実施例1〜2や比較例1、3の衝撃吸収パッドよりも一回り大きく、重量も重いため、装着性が不十分であった。
比較例2および3の衝撃吸収パッドでは、転倒による衝撃が衝撃吸収パッドを介して大腿骨大転子部に当たり易くなり、このため骨折危険度を減らすことができ難くなる場合があるものと考えられる。
図13は、意識喪失(遊脚中期、遅歩行)による転倒における大腿部表面(特に大腿骨大転子部およびその周辺領域)に掛かる圧力を示す面圧分布図である。この面圧分布図は、有限要素法による圧縮変形のコンピューターシミュレーションにより求められる。図13において、(a)は比較例4(衝撃吸収パッド非装着)の場合であり、(b)は実施例1の衝撃吸収パッドを装着した場合であり、(c)は実施例2の衝撃吸収パッドを装着した場合である。
図14は、意識喪失(遊脚中期、遅歩行)による転倒における大腿部表面(特に大腿骨大転子部およびその周辺領域)に掛かる圧力を示す面圧分布図である。図14は図13と同様にして求められる。(a)は比較例4(衝撃吸収パッド非装着)の場合であり、(b)は比較例1の円形衝撃回避部を有する衝撃吸収パッドを装着した場合である。図13、および図14において、濃淡の濃い部分には比較的大きな圧力が負荷されており、淡い部分には比較的小さな圧力が負荷されている。
図13から、実施例1および2の衝撃吸収パッドを装着した場合は、大腿骨大転子部周辺に大きな負荷がかかることが解消され、面圧分布の状態を(a)の衝撃吸収パッド非装着時に近づけること成功している。その結果、骨折危険度を減少させ得る転倒パターンの数を大きく増加させることに成功していることから、大腿骨大転子部周辺に衝撃吸収パッドを装着した上で、転倒時の面圧分布を、衝撃吸収パッド非装着における転倒時の面圧分布に近付けることが非常に重要であることが分かる。
一方、図14によれば、比較例1の衝撃吸収パッドを装着した場合には、大腿部全体に掛かる圧力の中でも、大腿骨大転子部、特に大腿骨頸部に掛かる圧力が大きくなっており、しかも大腿骨大転子部に掛かる圧力は、比較例4の衝撃吸収パッド非装着時よりも大きくなっていることが分かる。
以上のことから、本発明では、実施例の衝撃吸収パッドにおいて、上下方向の最大部分の長さLよりも幅方向の最大部分の長さWが大きい長円状の貫通穴である衝撃回避部を形成することにより、大腿部表面の転倒時における面圧分布を、衝撃吸収パッド非装着における転倒時の面圧分布に近付けることが可能になり、その結果、骨折危険度を減少させ得る転倒パターンの数を大きく増加させることができたものと考えられる。
1 頭
2 首
3 胸
4 腹
5 骨盤
6 大腿
7 下腿
8 足
9 上腕
10 前腕
11 手
14、15、16、17、18、19、40 衝撃吸収パッド
20、24、25 パッド本体
21、21a 衝撃回避部
22、22a、22b、26 第1軽減部
23、23a、23b 第2軽減部
30 衣類
31 衣類本体
51 大腿骨大転子部
52 大腿骨頸部
53 大腿骨

Claims (12)

  1. 上端と下端とを有し、前記上端および前記下端を結ぶ上下方向と前記上下方向に直交する幅方向とを有し、衝撃吸収作用のあるパッド本体と、前記パッド本体に形成される貫通穴からなる衝撃回避部とを備え、前記衝撃回避部が大腿骨大転子部に対応するように、かつ前記パッド本体の前記上下方向が直立状態の人体の上下方向に沿うように人体に沿って装着され、大腿骨の骨折を予防する衝撃吸収パッドであって、
    前記衝撃回避部は、前記パッド本体の前記幅方向の最大部分の長さが前記パッド本体の上下方向の最大部分の長さよりも大きい、前記幅方向に長い長円状の形状を有し、前記幅方向の最大部分の長さを55mm以上100mm以下に設定した撃吸収パッド。
  2. 前記衝撃回避部の上端から前記パッド本体の上端までの距離を10mm以上に設定した請求項1に記載の衝撃吸収パッド。
  3. 前記衝撃回避部の下端から前記パッド本体の下端までの距離を40mm以上に設定した請求項1又は2に記載の衝撃吸収パッド。
  4. 前記パッド本体における前記衝撃回避部の下方に、前記衝撃回避部の下端から5mm以上50mm以下の位置に上端を持つ貫通穴又は凹部からなる第1軽減部を少なくとも1個設け、前記第1軽減部の最大部分の長さを5mm以上50mm以下に設定した請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収パッド。
  5. 前記第1軽減部を上下に2個並べて設けた請求項4に記載の衝撃吸収パッド。
  6. 前記パッド本体における衝撃回避部および第1軽減部以外の全面積の50%以下に1個以上の貫通穴又は凹部からなる第2軽減部を設けた請求項4または5に記載の衝撃吸収パッド。
  7. 前記パッド本体の厚さを13mm以下に設定した請求項1〜6のいずれか1項に記載の衝撃吸収パッド。
  8. 前記パッド本体がエラストマーからなり、前記エラストマーが、イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を構成単量体とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の衝撃吸収パッド。
  9. 前記エラストマーが粘着付与樹脂を含有する請求項8に記載の衝撃吸収パッド。
  10. 前記エラストマーが発泡体である請求項8または9に記載の衝撃吸収パッド。
  11. 衣類本体と、衝撃回避部が大腿骨大転子部に対応して配置されるように、前記衣類本体に着脱自在に装着される請求項1〜10のいずれか1項に記載の衝撃吸収パッドと、を備える衣類。
  12. 前記衣類本体がインナーウエアである請求項11に記載の衣類。
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