JP6490291B1 - 張弦梁構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】下弦材にプレストレスが導入された際の各部材の張力管理を容易とする張弦梁構造体を提供すること。
【解決手段】張弦梁構造体100は、平面視において、梁間方向に延びる複数の第一上弦材11と、桁行き方向に延びる複数の第二上弦材12と、が格点13において相互に直交して二方向に広がる上弦材10を形成し、複数の格点13から束材30が垂下され、梁間方向及び桁行き方向と異なる、平面視において斜め方向に延びる複数の下弦材20がそれぞれ、複数の束材30に支持されながら、二方向に広がる上弦材10の二つの端辺12a(11a)と端辺12aに接続されている。
【選択図】図4A

Description

本発明は、張弦梁構造体に関する。
張弦梁構造体は、圧縮材である上弦材(梁)と、引張材(テンション材)である下弦材と、上弦材と下弦材を繋ぐ圧縮材である束材と、から一般に構成されており、梁と引張材を組み合わせたハイブリッド構造体である。ロッドやケーブルなどの細いテンション材にて下弦材が形成された張弦梁構造体を屋根架構等に適用することにより、透明感や軽量感、軽快感のある屋根空間を有する、アトリウムやアリーナ、体育館といった様々な規模の建築物が形成される。
上記する下弦材にはプレストレスが導入され、このプレストレスが導入された下弦材が束材を上方に突き上げることにより、上弦材における束材との交点が支点となり、上弦材は複数の支点によって曲げスパンとなる支点間距離が短縮され、曲げモーメントが卓越する曲げ系部材でなく、軸力が卓越する軸力系部材(圧縮材)となる。
ここで、二方向の張弦梁構造体に関し、妻行き方向(梁間方向)及び桁行き方向以外の斜め方向に延びる引張材が、束材の下端と束材が垂下されていない格点の間に架け渡されている張弦梁構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5902343号公報
特許文献1に記載の屋根架構に適用される張弦梁構造によれば、平面視的にも側面視的にも斜め方向(三次元的に斜め方向)の引張材を適用したことにより、この引張材が上弦材等の自重に代表される鉛直荷重と地震時水平荷重の双方を負担することができ、このことによって従来の張弦梁構造体が具備する屋根架構面内の水平ブレースを不要にできる。
ところで、特許文献1に記載の張弦梁構造体は、斜め方向の引張材を多用し、従来の張弦梁構造体における下弦材もこの斜め方向の引張材により構成されている。そのため、下弦材を構成する斜め方向の引張材に上記プレストレスを導入した際に、様々な斜め方向の引張材にプレストレスが分散して導入され易く、プレストレス導入後の各引張材の張力管理が容易でないといった課題を有している。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、下弦材にプレストレスが導入された際の各部材の張力管理を容易とする張弦梁構造体を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による張弦梁構造体の一態様は、
平面視において、梁間方向に延びる複数の第一上弦材と、桁行き方向に延びる複数の第二上弦材と、が格点において相互に直交して二方向に広がる上弦材を形成し、
複数の前記格点から束材が垂下され、
前記梁間方向及び前記桁行き方向と異なる、平面視において斜め方向に延びる複数の下弦材がそれぞれ、複数の前記束材に支持されながら、二方向に広がる前記上弦材の二つの端辺と端辺に接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、下弦材が、梁間方向及び桁行き方向と異なる、平面視において斜め方向に延びている、二方向の張弦梁構造において、この下弦材が上弦材の二つの端辺と端辺に亘って延びていることにより、下弦材にプレストレスを導入した際の各部材の張力管理が容易になる。ここで、張力管理とは、下弦材へのプレストレスの導入により、どの部材にどの程度の張力が付与されているかを特定することである。ここで、「平面視」とは、張弦梁構造体をその上方から見た場合を意味しており、「側面視」とは、張弦梁構造体をその側方(梁間方向や桁行き方向、梁間方向と桁行き方向の間の任意方向)から見た場合を意味している。
二方向に広がる上弦材において、複数の下弦材はいずれも、上弦材の端辺から端辺までアーチ状に延びており、このアーチ状の下弦材を上弦材の格点から垂下される複数の束材が支持する。この二つの端辺は、相互に直交する梁間方向に延びる第一端辺と桁行き方向に延びる第二端辺であり、もしくは、対向する桁行き方向に延びる二つの第二端辺である。尚、例えば屋根架構において、端辺から上弦材の一グリット内側に亘り、方杖材が設けられている形態もある。この場合、例えば平面視矩形の上弦材の四つの端辺から一グリッド分の枠状の範囲には複数の方杖材が設けられている。従って、このように方杖材を有する形態においては、複数の方杖材が上弦材と交差する複数の点によって形成された辺を張弦梁構造体の端辺として規定し、この端辺に下弦材の端部が取り付けられることにする。
また、本発明による張弦梁構造体の他の態様は、二つの前記束材と、二方向に広がる前記上弦材と、前記下弦材と、で囲まれた鉛直枠内において、一方の前記束材の下端と他方の前記束材の上端にある前記格点とを繋ぐ、側面視において斜め方向に延びる斜め引張材が配設されていることを特徴とする。
本態様によれば、二つの束材と、二方向に広がる上弦材と、下弦材とで囲まれた鉛直枠内において、一方の束材の下端と他方の束材の上端にある格点とを繋ぐ斜め引張材が配設されていることにより、吹き上げ荷重が作用した際にも斜め引張材が引張材として機能する。その結果、斜め引張材が束材を突き上げて支点を維持し、上弦材が曲げ系部材となることを抑制できる。上弦材が曲げ系部材に変化すると、上弦材の支点間距離が長くなり、吹き上げ荷重により生じる曲げモーメントに対して上弦材の強度が不十分な場合は破損に至り得る。
ここで、「吹き上げ荷重」には、幾つかの形態がある。例えば、密閉された体育館等の屋根架構に本態様の張弦梁構造体が適用されている場合、体育館の壁が外側から風荷重を受けた際に、体育館の壁が内側に太鼓状に撓み、壁の撓みに起因して屋内では下から上に向かって吹き上がる風が生じる。このように上へ吹き上がる風による吹き上げ荷重が張弦梁構造体に作用する。また、他の例として、ドーム状の屋根がその側方から風荷重を受けた場合、風荷重を受けたドーム側面は内側に撓み、その撓みに起因して吹き上げ荷重が生じる。一般に、上弦材や束材は、H形鋼等の形鋼材や鋼製の丸パイプや角パイプ等から形成され、下弦材は構造用ケーブルやPC(Prestressed Concrete)鋼線等のPC鋼材から形成される。上弦材の自重に比べて風に起因する吹き上げ荷重は一般に大きく、特に台風規模の風を受けた場合の吹き上げ荷重は非常に大きなものとなる。
本発明者等によれば、所定の吹き上げ荷重が張弦梁構造体に作用した場合において、下弦材がその張力を喪失し得る一方で、斜め引張材の張力は逆に大きくなることが特定されており、その結果、束材を上方に突き上げて上弦材の支点を形成することを維持し、上弦材の支点間距離が長くなることを抑制できる。すなわち、下弦材はその張力を喪失することによりテンション材としての機能を喪失し得るが、斜め引張材が張力を増加させることにより、テンション材として機能することになる。
また、斜め引張材も、下弦材と同様に平面視において斜め方向に延びていることから、地震時水平荷重が作用した際には水平ブレースとして機能する。そのため、本態様の張弦梁構造体においても、特許文献1に記載の張弦梁構造体と同様に水平ブレースを不要にできる。
また、仮に斜め引張材を設けない場合において、下弦材に対して想定される吹き上げ荷重によっても引張力を喪失しない程度のプレストレスを導入しようとすると、例えば吹き上げ荷重の根拠を所定規模の台風等に置く場合、非常に大きなプレストレスを導入する必要が生じ得る。これに対して、斜め引張材を配設することにより、吹き上げ荷重が張弦梁構造体に作用した際に、上記するように斜め引張材の張力が増加することから、下弦材に導入するプレストレスを可及的に小さくすることが可能になる。
尚、張弦梁構造体に対するプレストレスの導入形態は複数ある。例えば、張弦梁構造体の全体を施工した後に、下弦材に対してプレストレスを導入する場合、下弦材のみならず、斜め引張材にもプレストレスの一部が導入される。一方、斜め引張材を配設する前段で下弦材に対して上弦材等の重量が載荷されて張力が付与された後、斜め引張材を配設し、この斜め引張材にプレストレスを導入する形態もある。前者の場合、導入されたプレストレスの一部は斜め引張材に付与されるものの、下弦材が上弦材の端辺から端辺に亘って延びていることから、プレストレス導入後の下弦材や斜め引張材の張力の特定(管理)は容易となる。
以上の説明から理解できるように、本発明の張弦梁構造体によれば、下弦材にプレストレスが導入された際の各部材の張力管理を容易とする張弦梁構造体を提供することができる。
第1実施形態に係る張弦梁構造体の一例を示す斜視図である。 図1のII方向矢視図であって、第1上弦材に係る張弦梁構造体を上から見た平面図である。 第1実施形態に係る張弦梁構造体において下弦材の上から見た平面図である。 図2のIV方向矢視図であって、第1実施形態に係る張弦梁構造体の側面図である。 下弦材にプレストレスが導入された際の各部材の張力を説明する図である。 斜め引張材を有さない張弦梁構造体に吹き上げ荷重が作用した場合の上弦材の支点間距離を説明する図である。 第1実施形態に係る張弦梁構造体に吹き上げ荷重が作用した場合の上弦材の支点間距離を説明する図である。 張弦梁構造体の自重とプレストレスを荷重条件とした場合の応力解析結果を示す図である。 張弦梁構造体の自重とプレストレスと吹き上げ荷重を荷重条件とした場合の応力解析結果を示す図である。
以下、各実施形態に係る張弦梁構造体について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[第1実施形態に係る張弦梁構造体]
はじめに、図1乃至図5を参照して、第1実施形態に係る張弦梁構造体の一例を説明する。ここで、図1は、第1実施形態に係る張弦梁構造体の一例を示す斜視図である。また、図2は、図1のII方向矢視図であって、第1上弦材に係る張弦梁構造体を上から見た平面図であり、図3は、第1実施形態に係る張弦梁構造体において下弦材の上から見た平面図である。さらに、図4Aは、図2のIV方向矢視図であって、第1実施形態に係る張弦梁構造体の側面図である。
張弦梁構造体100は、アトリウムやアリーナ、体育館といった様々な規模の建築物の屋根架構に適用される。図1に示す斜視図において、屋根架構を形成する張弦梁構造体100の端部は、柱や壁等の構造部材(図示せず)により支持され、建築物の全体が構成される。
図2に示す平面視において、梁間方向(図1等におけるY方向)に延びる複数の第一上弦材11と、桁行き方向(図1等におけるX方向)に延びる複数の第二上弦材12と、が格点13において相互に直交して二方向に広がる上弦材10を有する。また、各格点13から束材30が垂下されており、梁間方向及び桁行き方向と異なる、図2及び図3に示す平面視において斜め方向に延びる複数の下弦材20がそれぞれ、複数の束材30に支持されながら湾曲状に延びている。尚、図2において、下弦材20を一点鎖線で示しており、図3において、上弦材10を一点鎖線で示している。
また、図4Aで明確に示すように、二つの束材30と、二方向に広がる上弦材10と、下弦材20とで囲まれた鉛直枠W内において、一方の束材30の下端と他方の束材30の上端にある格点13とを繋ぐ、側面視において斜め方向に延びる斜め引張材50が配設されている。
上弦材10は圧縮材である梁であり、H型鋼やI型鋼等の形鋼材の他、鋼製の角パイプや丸パイプなどから形成される。また、下弦材20及び斜め引張材50はテンション材であり、構造用ケーブルやPC鋼線等のPC鋼材から形成される。尚、下弦材20には、必要に応じてプレストレスが導入される。束材30は圧縮材であり、上弦材10と同様に、形鋼材、鋼製の角パイプや丸パイプなどから形成される。上弦材10は図示例のように直線状の梁であってもよいし、上方に湾曲した梁であってもよい。
図1乃至図3に示すように、図示例の屋根架構を構成する張弦梁構造体100は、平面視矩形の四つの端辺11b、12bから鉛直方向(図1のZ方向)に縦材41が延び、縦材41から一グリッド内側に配設されている第一上弦材11aと第二上弦材12aに方杖材42が延びている。本実施形態に係る張弦梁構造体100は、複数の方杖材42が接続される複数の格点13の内側、すなわち、図1等において、縦材41や方杖材42を含む外側の枠状の一グリッドを除いた、内側の構造体を意味している。
そして、この内側の構造体における、平面視矩形の端辺11a,12aをそれぞれ、張弦梁構造体100の第一端辺、第二端辺として規定する。
張弦梁構造体100において、平面視斜め方向に延びる下弦材20は、直交する端辺11a及び端辺12aに亘って延びる形態と、対向する端辺12a,12aに亘って延びる形態を有している。すなわち、いずれの形態であっても、下弦材20は、二方向に広がる上弦材10の有する二つの端辺に接続されている。
図4Bは、下弦材にプレストレスが導入された際の各部材の張力を説明する図である。下弦材20にプレストレスP1が導入されることにより、下弦材20は勿論のこと、斜め引張材50にもプレストレスの一部が導入され、下弦材20は張力P2を有し、斜め引張材50は張力P3を有する。尚、下弦材20や斜め引張材50は、例えば重量のある上弦材10の自重に代表される構造体全体の自重に起因する張力も有している。
特許文献1に記載の張弦梁構造体の引張材により構成される下弦材と比較すると明らかであるが、下弦材20が上弦材10の二つの端辺12a,12aに亘って湾曲状に延びていることにより、下弦材20にプレストレスが導入された際に下弦材20や斜め引張材50にどの程度の張力が付与されているかを容易に特定することができ、プレストレス導入後の各部材の張力管理が容易となる。比較として示す特許文献1に記載の張弦梁構造体の場合、下弦材を構成する複数の引張材は上弦材の端部間に延びておらず、複数の引張材が錯綜するようにして下弦材を構成していることから、プレストレス導入後の各部材の張力管理が容易でない。
図4Bに示すように、下弦材20が張力P2を有し、斜め引張材50が張力P3を有することにより、これらのテンション材にて束材30が上方のZ方向に突き上げられ、上弦材10においては、各格点13間の支点間距離s1が曲げスパンとなる。図示するように、支点間距離s1は短く、従って、上弦材10は曲げ系部材とはならず、圧縮部材である軸力系部材となる。
次に、図5を参照して、張弦梁構造体に吹き上げ荷重が作用した際の上弦材の支点間距離について考察する。ここで、図5Aは、斜め引張材を有さない張弦梁構造体に吹き上げ荷重が作用した場合の上弦材の支点間距離を説明する図である。一方、図5Bは、第1実施形態に係る張弦梁構造体に吹き上げ荷重が作用した場合の上弦材の支点間距離を説明する図である。
ここで、吹き上げ荷重とは、例えば、密閉の建築物が風荷重(その最大のものは台風)を受け、壁が内側に撓んだ際に、壁の撓みに起因して屋内では下から上に向かって吹き上がる風が生じるが、この上へ吹き上がる風による荷重のことである。
図5Aに示す張弦梁構造体200の場合、下弦材20が上弦材10の自重や導入されたプレストレスにより張力を有している場合であっても、吹き上げ荷重Qが作用することにより、下弦材20に圧縮力が生じて当初の張力が相殺され、場合によっては張力が完全に喪失することになる。下弦材20が張力を有していた状態では、各束材30が上方に突き上げられることにより各格点13が支点を形成し、図4Bに示す場合と同様に短い支点間距離s1を有する。一方、下弦材20が張力を喪失すると、上弦材10は支点を無くすことにより、長い曲げスパンs2を有することになる。このことにより、それまで軸力系部材であった上弦材10が曲げ系部材となり、卓越する曲げモーメントにより上弦材10が破損に至り得る。
これに対して、図5Bに示す張弦梁構造体100によれば、例えば上弦材10自重に対しては、張力を有する下弦材20からの突き上げによって上弦材10の変形を抑止し、吹上荷重Qに対しては斜め引張材50によって上弦材10の変形を抑止できる。図5Bに示すように、上弦材10や下弦材20の中央部分は例えば上方にδa変形し、左右の格点13に対応する位置において上弦材10や下弦材20は例えば上方にδb変形する(δa>δb)。その結果、斜め引張材50は延ばされる方向に力を受けることからその張力は増加し(張力P4)、張力が増加した斜め引張材50により上弦材10の中央部の変形を抑制することができる。尚、この際に、下弦材20の左右の領域(端辺12aと左右の束材30の下端との接続点20aの間の領域)には、斜め引張材50の張力P4と例えば同程度の張力P4'が作用し得る。斜め引張材50の張力P4と下弦材20の左右の領域の張力P4'により、上弦材10には更に大きな圧縮力が作用することとなり、破損に至る危険性が低減される。
また、上弦材10の自重に耐えるように予め下弦材20に張力を付与し、吹上荷重Qに耐えるように予め斜め緊張材50に張力を付与するプレストレスの導入方法が適用できる。下弦材20は吹上荷重Qが作用した際に緩む方向に働き、斜め引張材50は上弦材10等の鉛直荷重が増加した際に緩む方向に働くことから、下弦材20と斜め引張材50に導入されるプレストレスをそれぞれ独立に管理すればよく、したがって張力管理も容易となる。
また、吹き上げ荷重Qが作用した際の上弦材10の曲げスパンの観点からも、上弦材10の破損抑制が説明できる。図5Bに示す張弦梁構造体100によれば、吹き上げ荷重Qが作用することにより、下弦材20に緩みが生じて当初の張力が完全に相殺された場合でも、斜め引張材50には吹き上げ荷重Qが作用する前よりも大きな張力P4が作用することになる。これは、吹き上げ荷重Qにより、斜め引張材50が上記するように延ばされる方向に引っ張られることにより、斜め引張材50の張力が増加するためである。
例えば、下弦材20の張力が喪失されることにより、下弦材20の張力に基づいて束材30にて突き上げられていた中央の格点13は、突き上げが無くなることで上弦材10の支点ではなくなる。しかしながら、斜め引張材50の張力が増加することから、左右の格点13は束材30によるZ方向の突き上げにより、依然として上弦材10の支点として機能する。その結果、図4Bに示す支点間距離s1よりは長くなるものの、図5Aに示す張弦梁構造体200のように長い支点間距離s2よりは格段に短い支点間距離s3を形成することができ、上弦材10が軸力系部材から曲げ系部材に変化することを抑制できる。
このように、第1実施形態に係る張弦梁構造体100によれば、下弦材20が二方向に広がる上弦材10の二つの端辺11a,12a、もしくは二つの端辺12a,12aに亘って延びていることにより、下弦材20へのプレストレス導入後の各部材の張力管理を容易に行うことができる。さらに、吹き上げ荷重Qが作用して下弦材20が張力を喪失した場合でも、斜め引張材50の張力によって複数の束材30を上弦材10の支点として機能させることができるため、上弦材10が軸力系部材から曲げ系部材に変化して破損に至るといった危険性を低減することができる。
[第2実施形態に係る張弦梁構造体]
次に、第2実施形態に係る張弦梁構造体の一例について説明する。第2実施形態に係る張弦梁構造体は、第1実施形態に係る張弦梁構造体100から斜め引張材50を取り除いた構造体である。すなわち、図5Aに示す張弦梁構造体200となる。
張弦梁構造体200は、張弦梁構造体100の有する上記二つの効果のうち、吹き上げ荷重Qが作用した際の上弦材10の破損防止効果は期待できない。しかしながら、下弦材20が二方向に広がる上弦材10の二つの端辺11a,12a、もしくは二つの端辺12a,12aに亘って延びていることにより、下弦材20へのプレストレス導入後の各部材の張力管理を容易に行うことができるという効果は期待できる。
[応力解析とその結果]
本発明者等は、コンピュータ内で図1等に示す張弦梁構造体に関する解析モデルを作成し、下弦材に所定のプレストレスを導入した際の各部材の張力を特定した。尚、上弦材の自重に支配される構造体の自重も加味されている。さらに、この解析モデルに対して所定の吹き上げ荷重を作用させた際の各部材の張力を特定した。
ここで、図6Aは、張弦梁構造体の自重とプレストレスを荷重条件とした場合の応力解析結果を示す図であり、図6Bは、張弦梁構造体の自重とプレストレスと吹き上げ荷重を荷重条件とした場合の応力解析結果を示す図である。各図において、下弦材を実線で示し、束材を点線で示し、斜め引張材を一点鎖線で示し、上弦材を二点鎖線で示している。
図6Aに示す吹き上げ荷重が作用していない状態では、一つの下弦材には83kNの張力が作用しており、一つの束材の左右にある斜め引張材には19kNの張力が作用している。
これに対して、図6Bに示す吹き上げ荷重が作用している状態では、83kNの張力を有していた下弦材の張力が完全に喪失しており(張力0kN)、一方で、19kNの張力を有していた斜め引張材の張力は3倍の57kNに増加する結果となった。
本解析結果より、吹き上げ荷重が作用した際に、第1実施形態に係る張弦梁構造体100の有する効果が期待できることが検証されている。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10 :上弦材
11 :第一上弦材
11a :第一端辺(端辺、第一上弦材)
12 :第二上弦材
12a :第二端辺(端辺、第二上弦材)
13 :格点
20 :下弦材
30 :束材
41 :縦材
42 :方杖材
50 :斜め引張材
100 :張弦梁構造体
200 :張弦梁構造体

Claims (3)

  1. 平面視において、梁間方向に延びる複数の第一上弦材と、桁行き方向に延びる複数の第二上弦材と、が格点において相互に直交して二方向に広がる上弦材を形成し、
    複数の前記格点から束材が垂下され、
    前記梁間方向及び前記桁行き方向と異なる、平面視において斜め方向に延びる複数の下弦材がそれぞれ、複数の前記束材に支持されながら、二方向に広がる前記上弦材の二つの端辺と端辺に接続されていることを特徴とする、張弦梁構造体。
  2. 二つの前記束材と、二方向に広がる前記上弦材と、前記下弦材と、で囲まれた鉛直枠内において、一方の前記束材の下端と他方の前記束材の上端にある前記格点とを繋ぐ、側面視において斜め方向に延びる斜め引張材が配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の張弦梁構造体。
  3. 一つの前記下弦材の両端が接続される前記上弦材における二つの端辺は、
    相互に直交する梁間方向に延びる第一端辺と桁行き方向に延びる第二端辺、もしくは、
    対向する桁行き方向に延びる二つの第二端辺、のいずれかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の張弦梁構造体。
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