本実施例では、一軸方向の移動量を検出するリニア型のエンコーダを例に説明する。図1は、本実施例のエンコーダの構成を表す図である。エンコーダは、スケール10、変位検出センサ(変位検出部)20、原点検出センサ(原点検出部)30、変位検出信号処理部40および原点信号処理部50を有する。本実施形態のエンコーダは、スケール10と、変位検出センサ20および原点検出センサ30との相対変位を検出する反射型の光学式インクリメンタルエンコーダである。被計測対象の一軸移動方向にスケール10を取り付け、さらに固定部材に変位検出センサ20を取り付けることで被計測対象の変位を検出する。スケール10が原点位置に位置するとき、原点検出センサ30から原点信号がデジタルパルスとして変位検出信号処理部40に送られる。
スケール10は、図2に示すように、2つのトラック11,12で構成されている。トラック11は変位検出用、トラック12は原点検出用である。各トラックにおいて、黒色の部分は反射部を表しており、白色の部分は非反射部を表している。トラック11は、周期が200μmであり、反射部と非反射部はそれぞれ100μmおきに配置されている。トラック12には、反射部13が中央からスケール10端部まで連続して形成されている。
変位検出センサ20および原点検出センサ30は、図3に示すように、光源21とともに同一の実装基板22上に実装されている。変位検出センサ20は光源21からトラック11に照射された光の反射光を受光し、原点検出センサ30はトラック12に照射された光の反射光を受光する。この構成は、光源とスケールの間に光束を平行に束ねる平行光束レンズが存在しない発散光束構成である。発散光束構成とは、光源から発せられた光が平行、もしくは1点に集約されることなく、一様に広がりを持って進行する構成のことである。本実施例では、スケール10上においてPの幅を持つパターンの像は、各センサ上において2Pに拡大される。なお、本実施例では、各センサを同一の実装基板22上に実装しているが、各センサは別基板上に実装してもよい。また、本実施例では、各センサに対して同一の光源21を用いたが、各センサに対して別々の光源を使用してもよい。また、本実施例では、変位検出および原点検出を光学式において行うが、磁気式で行ってもよい。
変位検出センサ20は、図4に示す検出ブロックを有する。図4において、受光素子A〜Dは、受光量に比例した電圧を出力する。受光素子は端からB,C,D,Aの順に配置され、この繰り返し単位が受光部23で8周期分配置されている。各受光素子A〜Dはそれぞれ変位検出方向に100μmの長さを有し、受光部23は3200μmの長さを有する。
各受光素子A〜Dにおいて出力された電圧は、AとCを1組として差動アンプ1で中心電圧を基準として差動が取られ、BとDを1組として差動アンプ2で中心電圧を基準として差動が取られる。差動アンプ1の出力を変位検出信号1、差動アンプ2の出力を変位検出信号2とする。受光素子A〜Dの各出力電圧をVA〜VD、差動アンプ1の出力電圧値をV1、差動アンプ2の出力電圧値をV2、Voffsetを中心電圧とすると、第1および第2の信号V1,V2は以下の式(1),(2)で表される。
VA、VB、VCおよびVDの値は、検出する物理的特性が変化するのに応じて変化する。本実施例は光学式エンコーダであるため、以降は検出する物理的特性は反射光量であるとする。
ここで、スケール10におけるトラック11が周期200μmで明暗の変化するパターンであるため、その反射光が受光部23上で2倍に拡大され周期400μmで明暗の変化する像になる。それは受光部23上における各受光素子A〜Dの配置する周期になった結果、各受光素子A〜Dの出力の周期間隔となる。
以上の関係と、受光素子AとB、受光素子CとDの位置関係から、受光素子Cは受光素子Aの180°位相差信号、受光素子Dは受光素子Bの180°位相差信号をそれぞれ出力する。
この関係から、各受光素子A〜Dはこれらで1組の受光素子配列群として数えることができる。群とは、変位検出センサ20における変位検出信号1,2が出力されるための受光素子の最小構成単位である。変位検出信号1,2は、90°の位相差を持っている。スケール10と変位検出センサ20が相対変位すると、変位に応じて各受光素子A〜Dにおける受光量が変化し、変位検出信号1,2は正弦波状の信号として出力される。
変位検出センサ20に対してスケール10が相対的に1000μm移動したときの変位検出信号1,2を図5に示す。図5では、横軸が変位、縦軸が電圧値を表している。前述した通り、スケール10からの反射光は受光素子上で各受光素子A〜Dの周期の正弦波になっているため、各変位検出信号の周期もトラック11の周期である200μmになっている。また、変位検出信号1,2は、90°の位相差を持っているため、200μm周期における90°位相差である50μm位相差になっている。変位検出センサ20の電源電圧は3.3Vであり、差動アンプ1,2が電源電圧に対して中心電圧を基準に作動を取っているため、中心電圧は1/2Vccである1.65Vになっている。変位検出信号1,2は、中心電圧を基準に低電圧側と高電圧側に振れている。振幅は、光量やセンサとスケールとの位置関係によって変わるが、本実施例では2.0Vp−pにしている。
変位の検出はこの2相の信号に基づいて、変位検出信号処理部40により行う。変位検出信号処理部40は、2相信号をそれぞれ2値化し、カウントすることで周期ごとの変位検出を行う。変位検出信号1,2を2値化した信号を図6に示す。図6において、変位検出信号1を2値化した信号をデジタル信号1、変位検出信号2を2値化した信号をデジタル信号2とする。デジタル信号1,2ともに、変位検出信号1,2の周期である200μmおきに波形が立ち上がる。変位検出信号処理部40は、これらデジタル信号1,2の立ち上がりの組み合わせから変位方向を判断し、周期ごとのカウントの増減を行う。
また、変位検出信号処理部40は、周期内における変位検出のために、変位検出信号の電圧値をデジタル値として取り込み、2相の電圧値を基に逆正接演算を行う。2πを256とし、変位検出信号1,2を逆正接演算したときの位相値を図7に示す。図7では、横軸が変位、縦軸が正弦波の位相を表している。位相は、正弦波周期内で0〜255の値をとり、複数周期であればこれを繰り返す。すなわち、位相が255まで進んだとき、次の位相は0になる。本実施例では、周期が200μmであるため、変位検出センサ20に対してスケール10が相対的に1000μm移動したときは、この繰り返しが5回繰り返されている。
1周期内における変位は、逆正接演算によって計算された位相を2πの値としている256で割ることにより求まる。これと2値化されたデジタル信号1,2から求められる周期ごとのカウンタ値を組み合わせ、検出変位は以下の式(3)により求められる。Positionは検出変位、cntは変位検出信号1、2の周期ごとのカウント値、θは変位検出信号1,2を逆正接演算することにより求められた正弦波周期内の位相である。
次に、本実施例の原点検出について説明する。原点検出センサ30は、図8に示す検出ブロックを有する。図8において、受光素子(検出部)A〜Dは、受光量に比例した電圧を出力する。受光素子は端からB,C,D,Aの順に配置され、この受光素子配列群(検出素子群)が受光部31で2周期分配置されている。各受光素子A〜Dはそれぞれ検出方向に400μmの長さを有し、受光部31は3200μmの長さを有する。受光部31では、周辺部の受光感度(信号感度)が中央部の受光感度(信号感度)に比べて1/2になるように各受光素子A〜Dが配置されている。ここで周辺部とは、左端および右端に配置している受光素子、すなわち図8において左端に配置された2つの受光素子Bおよび2つの受光素子C、右端に配置された2つの受光素子Aおよび2つの受光素子Dが存在する空間を表す。中央部とは、中央に配置している受光素子、すなわち受光部31の中心から両側に受光素子配列群の1/2周期分だけ配置された4つの受光素子D、4つの受光素子A、4つの受光素子B、4つの受光素子Cが存在する空間を表す。具体的に受光素子Aに着目すると、中央部の受光素子Aは4つ配置されているのに対し、右端の受光素子Aは2つ配置されている。受光素子の出力電圧値は受光素子の配置数に比例するため、右端の受光素子Aは中央部の受光素子Aに比べ受光感度(信号感度)が1/2になる。これは他の受光素子に関しても同様である。
各受光素子A〜Dにおいて出力された電圧は、AとCを1組として差動アンプ3で中心電圧を基準として差動が取られ、BとDを1組として差動アンプ4で中心電圧を基準として差動が取られる。差動アンプ3の出力を第1の信号、差動アンプ4の出力を第2の信号とする。
原点検出センサ30における受光部31の検出方向の長さをxとすると、図8における配列から、第1および第2の信号の位相差は受光部31上におけるx/8となり、これはスケール上のx/16に相当する。このことは、生成される第1および第2の信号の位相差が受光部31上における400μm、すなわちスケール上における200μmになることを表す。
第1および第2の信号から原点位置を検出するための基準信号として、それぞれについて第1の閾値、第2の閾値を用意する。これらは第1および第2の信号がそれぞれ原点上における信号値になっているかどうかを判別するための信号である。
この構成において、検出方向において、中央部から端部まで連続的に続く原点パターンが形成されたスケールを原点検出センサ30によって読み取ったときの第1の信号と第2の信号、ならびに第1の閾値と第2の閾値を図9に示す。図9では、横軸が変位、縦軸が電圧値を表している。原点検出センサ30の電源電圧は、変位検出センサ20と同様、3.3Vである。また、差動アンプ3,4が電源電圧に対して中心電圧を基準に差動を取っているため、中心電圧は1/2Vccである1.65Vになっている。第1および第2の信号は、中心電圧を基準に低電圧側と高電圧側に振れている。振幅は、光量やセンサとスケールとの位置関係によって変わるが、本実施例では、0.7〜2.5Vまで振れている。
原点検出センサ30は、図8に示されるように、各受光素子A〜Dから構成される2組の受光素子配列群を有することから、原点検出センサ30の反射部13に対する応答出力は、第1および第2の信号ともに2周期分の信号になる。検出方向において、差動アンプ3,4の非反転入力端子に接続される受光素子AとB、差動アンプ3,4の反転入力端子に接続される受光素子CとDは、受光素子配列群の中心に対してそれぞれ対称に配置されている。また、受光素子配列群において受光素子AとBが外側、受光素子CとDが内側に配置されている。なお、本実施例では受光素子配列群における受光素子の並びをB,C,D,Aの順としたが、AとBが隣接もしくは受光素子配列群の両端に、CとDが隣接もしくは受光素子配列群の両端に配置されていれば、この配置に限らない。すなわち、受光素子A,Cの出力信号を処理することで得られる第1の信号と、受光素子B,Dの出力信号を処理することで得られる第2の信号の位相差が、受光素子配列群の変位検出方向の長さに換算したときの1/4になっていればよい。
原点信号処理部50は、図10に示す処理部分を有する。コンパレータ51は第1の信号と第1の閾値を比較して第3の信号を出力し、コンパレータ52は第2の信号と第2の閾値を比較して第4の信号を出力する。コンパレータ51は、第1の信号の電圧値が第1の閾値よりも高いときにハイレベルの信号を出力し、そうでないときにロウレベルの信号を出力する。コンパレータ52も同様に、第2の信号の電圧値が第2の閾値よりも高いときにハイレベルの信号を出力し、そうでないときにロウレベルの信号を出力する。図11は、第3の信号と第4の信号を表す図である。各信号は2周期分出力されるため、各コンパレータからの出力もそれぞれ2周期分の2値化出力となる。AND回路53は、第3の信号と第4の信号の論理積を取り、第5の信号を出力する。第1の信号と第2の信号がともにハイレベルになるのは受光部31の中心部のみであることから、AND回路53により論理積を取ると、図12に示すように、1パルスの原点信号である第5の信号が生成される。本実施例では、第5の信号がハイレベルになったとき、変位検出信号処理部40は被計測対象が原点位置に位置すると判断し、周期ごとのカウント値を0にリセットする。なお、本実施例では、原点信号処理部50をコンパレータ51、コンパレータ52およびAND回路53で構成したが、第5の信号と同様の信号を得られればこれらは何を用いてもよい。
以上の処理に関して、具体的な例を図13のフローチャートを用いて説明する。ステップS200で原点信号処理開始後、まず第1の信号が第1の閾値よりも高い電圧値であるかどうかを評価する(ステップS201)。この評価を満たしていれば次の評価に進み、満たしていなければ終了する(ステップS204)。ステップS202では、第2の信号が第2の閾値よりも高い電圧値であるかどうかを評価する。この評価を満たしたときに原点信号を出力する(ステップS203)。なお、本実施例では、第1の信号と第1の閾値についての評価を先に行い、第2の信号と第2の閾値についての評価を後に行っているが、この順番は問わない。また、同時に評価した後にいずれも満たしているかを評価してもよい。
前述したように、第5の信号は、第1および第2の信号がともに中心電圧よりも高い値を持つときに有効になる。よって、第1の閾値と第2の閾値をそれぞれ式(4)、(5)に示す範囲で設定すればよい。Voffset1、Voffset2はそれぞれ第1の信号、第2の信号の中心電圧、Vref1、Vref2はそれぞれ第1の閾値、第2の閾値である。また、Vcrossは、中心電圧より高く、第1の信号と第2の信号が交差する電圧(以下、クロスポイント電圧という)である。
これらの式は、基準信号である第1の閾値と第2の閾値の値が、中心電圧と、クロスポイント電圧によってのみ決定され、周辺部の信号の影響を受けないことを表す。ただし、中心電圧、クロスポイント電圧は、それぞれ光量変動、原点パターン変動、振幅変動などの変動成分を持つ。よって、式(4)、(5)は以下の式(6)、(7)のように書き換えられる。Vomは中心電圧変動因子、vcmはクロスポイント電圧変動因子である。
第5の信号がハイレベルになったとき、変位検出信号処理部40は原点上だと判断し、周期ごとのカウント値を0にリセットする。
次に、原点検出センサ30の受光部31の周辺部の感度φNを中央部の受光感度(信号感度)φMに対して、受光感度(信号感度)比φN/φMを1/2としたときの効果について説明する。図14に、受光感度(信号感度)比φN/φMが1であるときの受光部31を示す。受光部31には、受光素子B,C,D,Aの順の並びの組み合わせが2周期分配置されている。受光素子Bに注目したとき、図14において左端に配置された受光素子Bと中央部に配置された受光素子Bは同じ受光感度(信号感度)になっているため、このときの受光感度比φN/φMは1である。トラック12を、受光部31に対する反射部13からの反射光が無照射状態から受光部31全域に照射されるまで、変位させたときの各受光素子A〜Dの出力信号強度と変位の関係を表したグラフを図15に示す。図15では、横軸が受光素子単位の変位、縦軸は信号強度を表している。図14に示した受光素子の配置および受光感度(信号感度)比から、各受光素子の信号強度は受光素子Bから順に持ち上がり、受光素子C、受光素子D、受光素子Aの信号強度がそれぞれ遅れて持ち上がる。このとき、各受光素子の受光感度(信号感度)は同じであるため、持ち上がり比率は同じになる。反射部13からの反射光が受光部31の1/2の長さに到達したとき、すなわち図15における地点4において、全ての受光素子が同じ光量を受光するため、これら受光素子の出力信号強度はこの時点で同一の値となる。このときの信号強度を基準とした同一の変化が以降の反射部13からの反射光の変位においても続き、受光部31全域に照射されたときに再び各受光素子の信号強度は同一値になる。図15における各受光素子からの信号強度を式(1)に基づいて差動を取ったときの信号変化のグラフを図16に示す。図16では、横軸が受光素子単位の変位、縦軸は信号強度を表している。また、単純化のために式(1)におけるVoffsetは0とした。図15における地点4において同一の値を持った各受光素子の信号強度値は、差動を取ることにより0になり、また、地点4以降の各受光素子からの信号強度が持つ同一のオフセットも除去される。以上から、差動後の出力信号は地点0から地点4の間における波形と地点4から地点8における波形が同一の波形になり、また各信号から唯一の条件を取ることができないため、原点検出はできない。
図17に、受光感度(信号感度)比φN/φMが1/2であるときの受光部31を示す。図17では、図14と比較して周辺部に配置された受光素子の受光感度(信号感度)φNが1/2になっているため、受光感度(信号感度)比φN/φMが1/2になっている。トラック12を相対変位させたときの各受光素子の出力信号強度を図18に、差動後の出力信号強度を図19に示す。周辺部に配置された受光素子と中央部に存在する受光素子との受光感度(信号感度)比φN/φMが1/2になっていることから、地点0から地点4までの間の信号強度変化と地点4から地点8までの間の信号強度変化は異なる。これは他の受光素子についても同様であり、全ての受光素子の信号強度を組み合わせると、その信号強度の組み合わせは一意となる。例えば、受光素子Aの出力信号強度VAが受光素子Cの出力信号強度VCよりも強度が強く、かつ受光素子Bの出力信号強度VBが受光素子Dの出力信号強度VDよりも強度が強い条件をもつ領域は地点4から地点6の間だけである。また、差動後の出力信号強度も一意の値を持ち、差動出力信号強度V1,V2がともに信号強度が0よりも強くなる領域は地点4から地点6の間だけである。このときの状態を原点の条件とすることで、原点検出が可能になる。
図20A〜図20Dでは、それぞれ受光感度(信号感度)比φN/φMが0.25,0.5,0.75,1であるときの第1〜第5の信号を表している。各図において、横軸が変位、縦軸が電圧値を表している。これらのグラフから、第1および第2の信号は受光感度(信号感度)が1未満である場合にともに中心電圧よりも高い電圧値をとる領域を持ち、各信号の交差の仕方は感度比とともに変化することがわかる。図20のグラフから、本発明において原点信号処理によって原点とみなす上での指標であるクロスポイント電圧値と受光感度(信号感度)比の関係を表したグラフを図21に示す。図21では、横軸が受光感度(信号感度)比φN/φM、縦軸が電圧値を表している。図21に示すように、受光感度(信号感度)比が0.5であるときにクロスポイント電圧値が最も高くなる。そのため、受光感度(信号感度)比を0.5とするのが望ましく、本実施例においても受光感度(信号感度)比を1/2としている。
本発明の効果として、差動処理による信号変動耐性がある。本実施形態における光学式エンコーダにおいては、受光部31の全域に渡って一様に光が入射すると、全ての受光素子が同一の値である信号強度を示す。以下、この一様な入射光をDC光、それにより発生する同一の信号強度をDC成分とする。図22AはDC成分を0.2、図22BはDC成分を0.4付加したときのグラフである。図22A,Bには、各受光素子A〜Dの信号強度、および差動後の信号強度を表している。図22A,Bでは、横軸が受光素子単位の変位、縦軸は信号強度を表している。図22A,Bの各受光素子の信号強度を示す図を見ると、各受光素子の信号強度がDC成分の値だけ強く持ち上がっている。しかしながら、差動後の信号強度を示す図を見ると、DC成分の値が変化しても信号強度が変化しておらず、そのために信号の位相も変化していない。これは各受光素子に乗ったDC成分は、式(1)および(2)に示した差動処理により除去されるからである。
以上の構成により、本実施形態では、ノイズなどに左右されない良好な原点検出を行うことができる。
本実施例では、変位検出センサ20および原点検出センサ30が光源21と同一平面上に存在し、スケール10からの反射光を受光することで変位ならびに原点位置を検出する反射型の構成において説明した。しかしながら、本発明は、各センサが光源21と別平面上に存在し、光源21と各センサとの間にスケール10が存在する透過型の構成においても適用できる。
また、本実施例では、変位検出のために原点検出センサとは別の変位検出センサを用いたが、原点検出センサの構成が受光素子配列群の配置数以外の部分で、本実施例における変位検出センサと同様であるため、変位検出のために原点検出センサを用いてもよい。
また、本実施例では、原点検出処理を回路で行ったが、第5の信号と同様の信号を得られればソフトウェアで行っても構わない。
本実施例では、実施例1の変位検出信号処理部40に変え、逓倍器60を備える。図23は、本実施例のエンコーダの構成を表す図である。また、図24は、逓倍器の動作に関する説明図である。なお、原点検出処理の方法は、実施例1と同様である。
図24において、逓倍器60は、変位検出信号1,2をそれぞれ50分割した周期のデジタル信号を逓倍パルス1、2として出力する。このときの各逓倍パルスのパルス長は4μmになる。原点パルスは、逓倍パルス1、2のエッジに同期し、かつ原点信号の入力があったとき、原点パルス出力位相において出力される。原点パルス出力位相は、変位検出信号1,2が中心電圧よりも低電圧側で同値をとる位相である。
図25は、原点信号、原点パルスおよび位置変動余裕幅の関係を表す図である。図25において、原点パルス出力位相が原点信号に対し中央にあるとき、位置変動余裕幅1と位置変動余裕幅2はほぼ同値であり、これはそのどちらの方向の位置変動にも同等の耐性を持つことを意味する。一方、原点パルス出力位相が原点信号に対し偏在するとき、位置変動余裕幅2と比較して位置変動余裕幅1の位置変動の耐性が劣る。これは変位検出センサ20と原点検出センサ30が互いに片方向に偏った位置変動余裕を持つことを意味する。
以下、変位検出センサ20の出力の位相と原点信号処理部50から出力される原点信号との位相ズレの問題に対する対処方法について説明する。ここで問題とは、位相ズレによる位置変動余裕幅の減少により原点パルス出力位相が原点信号から外れてしまい、所望の位置において原点パルスが出力されないことである。
本実施例では、原点パルス出力位相に対する原点位置の出力位置の調整を行っている。原点信号である第5の信号は、第1の閾値と第2の閾値によって波幅が決定される。例えば、100μmの波幅を持つ信号を得たい場合は、第1の閾値と第2の閾値を中心電圧と、クロスポイント電圧の中間値にすればよい。これは第1の信号と第2の信号の位相差が受光素子の配列によって決定され、その値が中心電圧において常に200μmであること、そこから閾値を大きくするにつれて減少し、第1の信号と第2の信号が交差する位置において0になるためである。第1の信号と第2の信号は、中心電圧からクロスポイント電圧にかけて直線性を持っていることから、原点信号波幅と閾値の関係は以下の式(8)のように表せる。λは原点信号波幅、Xは中心電圧における第1の信号と第2の信号の位相差である。簡略化のため、Vref1=Vref2=Vref、Voffset1=Voffset2=Voffsetとしている。
この構成において原点信号である第5の信号の位置調整を行うときは、第1の信号と第2の信号におけるそれぞれの閾値である第1の閾値と第2の閾値を個別に逆向きに変化させる。図26A〜26Cは、第1の閾値と第2の閾値の値を、第1の閾値と第2の閾値が等しい状態からそれぞれ変化させたときの第1の信号、第2の信号および第5の信号を表している。例えば、原点位置を右に移動させる場合(図26Aの状態から図26Bの状態)、第1の閾値Vref1を低電圧側に、第2の閾値Vref2を高電圧側に変化させる。逆に、原点位置を左に移動させる場合(図26Aの状態から図26Cの状態)、第1の閾値Vref1を高電圧側に、第2の閾値Vref2を低電圧側に変化させる。このときの各閾値の変化の絶対値は同値であるほうがよい。変化値が個別の絶対値を持ったとき、Vref1=Vref2時の原点信号幅よりも幅が狭く、もしくは広く変化してしまうからである。
Vref1=Vref2=Vrefであるときの原点位置を初期位置としたとき、原点位置の調整幅ΔOrgは以下の式(9)で表すことができる。
さらに、中心電圧変動因子Vom、クロスポイント電圧変動因子vcmを考慮すると、式(9)は以下の式(10)のように書き換えられる。
以上の構成により、逓倍器60に接続された場合でも原点信号の出力位置が調整可能であるため、変位検出信号に同期した原点信号を用いて原点パルスを出力する系においても本発明の原点検出処理を適用できる。なお、本実施例においても、実施例1と同様に信号の検出方法および処理部構成の異なる系においても適用可能である。
本実施例のエンコーダは、実施例1と同様、スケール10、変位検出センサ20、原点検出センサ30、変位検出信号処理部40および原点信号処理部50を有する。ただし、スケール10がロータリースケールであることが実施例1と異なる。本実施例のロータリースケールを図27に示す。図27の各トラックにおいて、黒色は反射部、それ以外は非反射部を表す。また、図27は、外側のトラックが変位検出用パターンであり、内側のトラックが原点検出用パターンである。変位検出用パターンは1周に渡って30周期分形成されており、原点検出用パターンはそのうちの17周期分形成されている。変位検出センサ20の分解能は200μmであることから、原点検出用パターンのパターン長は変位検出センサが読み取る変位検出信号を基準に換算すると変位検出信号における3400μm相当である。この原点検出用パターンからの反射光が原点検出センサ30の検出面に形成する反射像の検出方向の長さは変位検出信号を基準に換算すると6800μm相当となり、これは原点検出センサ30の検出素子群の検出方向の長さよりも十分に長い。加えて、本実施例においては内側のトラックの原点検出用パターンが領域判定用のパターンも兼ねる。原点検出用パターン13の第1の端部14と第2の第2の端部15は形状が異なっており、第1の端部14のパターン境界は検出方向に対して直角になっているのに対し、第2の端部15のパターン境界は検出方向に対して傾斜している。なお、本実施例では第1の端部14を原点位置として設定する。
本実施例は実施例1の原点検出部に加え、スケールが検出方向に対してどこの領域にいるかを検出するための領域検出部を含む。本実施例における領域判定処理を行うための原点検出系、領域判定処理回路を図28,図29に示す。本実施例の原点検出系は、図28に示されるように、実施例1の原点検出系とほぼ同様であるが、第1から第4の検出素子およびそれ以外の検出素子を含む全ての検出素子からの信号の和を取るための加算アンプを有する点が異なる。この加算アンプから出力される信号の平均値である和信号を以降、第6の信号と呼ぶ。また、図29の回路は、第6の信号から領域判定信号を生成する。この回路は、第6の信号に対して比較を行うための第3の閾値を有し、第6の信号が第3の閾値よりも小さい場合はロウレベルの信号を出力し、第6の信号が第3の閾値よりも大きい場合はハイレベルの信号を出力する。
図30は、第1の端部14からの反射光の検出面における強度を表した図である。図30において、座標0は原点検出センサ30の検出部の中央を表し、座標−1600,1600は検出部の端部を表す。第1の端部14の非反射部から反射部へ(もしくは反射部から非反射部へ)変化する境界は検出方向に対して垂直になっている鋭敏なエッジであり、そのため原点検出用パターンの第1の端部14からの反射光も鋭敏な信号となる。この信号を検出部が読み取ったときの各検出素子の信号を図31に、第1および第2の信号、ならびに第1および第2の閾値を図32に、第3および第4の信号を図33に、第5の信号を図34に示す。なお、横軸はロータリースケールの回転を原点検出センサ30が検出面において検出する移動量に換算したものである。それらの内容、処理方法、原点検出方法は実施例1と同様であるため、ここでの説明は省く。また、以降の図において、横軸に関しての特別な説明がない場合には、同じようにロータリースケールの回転を原点検出センサ30が検出面において検出する移動量に換算したものとする。
図35は、第6の信号と第3の閾値を表す図である。図35において、縦軸は電圧値を表している。原点検出用パターンは、原点検出センサ30の検出部よりも長いパターン長を持っている。そのため、原点検出用パターンからの反射光が検出面に形成する反射像の検出方向の長さは、第1の端部14からの反射光が検出面に進入し始めてから徐々に長くなっていき、反射像が完全に検出面を覆った時点で飽和する。これは検出面における反射光量が徐々に大きくなっていき、検出面を完全に覆った時点で飽和することを意味する。検出素子からの信号強度は反射光量に比例することから、図28の構成における加算アンプからの和信号である第6の信号も原点検出用パターンの進入とともに0Vから徐々に大きくなっていき、反射光が検出面を完全に覆った時点で2.4Vに飽和する。第3の閾値は1.2Vであり、これは第6の信号の飽和電圧値である2.4Vと0Vの中点を取ったものである。なお、第3の閾値は、この値に縛られることはなく、第6の信号の信号変化を検出できる電圧値であれば足りる。ただし、原点検出用パターンからの反射光量の変動により原点検出センサ30の検出部における総受光量が変化し、第6の信号の飽和電圧値が変化する。そのため、第3の閾値を常にこの飽和電圧値と0Vの電位の中間の電圧に設定しておけば、図36によって説明される第7の信号の位相変化を抑えることが可能である。
図36は、第6の信号と第3の閾値を処理することによって得られる第7の信号を表すものである。図36における縦軸の定義は図35と同様であるため、説明は省略する。図36における第7の信号によって、原点検出センサ30と原点検出用パターンの相対的な位置関係がわかる。第7の信号がロウレベルであれば第1の端部14が原点検出センサ30の原点検出部を通過していない状態であるか、もしくは通過し始めた状態である。第7の信号がハイレベルであれば、第1の端部14は原点検出部の通過を終えようとしている状態であるか、通過し終えた状態である。つまり、原点検出センサ30が原点検出用パターンの反射部を読んでいるのか非反射部を読んでいるのかが判別できる。
図37は、第2の端部15からの反射光の検出面における強度を表した図である。縦軸の定義は図30と同様であるため、説明は省略する。第2の端部15の境界は検出方向に対して傾斜していることから、反射像の強度もまた検出面において検出方向に徐々に強度を低くする信号となる。なお、第1の端部14と第2の端部15はロータリースケールにおいて対向するように配置されている。そのため、ロータリースケールの図27で定義している回転方向への回転によって、第1の端部14からの反射光強度は、検出方向にしたがって低強度から高強度へと変化する。一方、第2の端部15からの反射光強度は、検出方向にしたがって高強度から低強度へと変化する。本実施例において、第2の端部15は反射光強度が検出部の検出方向の長さの1/2の長さをかけて変化するように傾き角をつけている。傾き角θと反射光強度の変化する長さとの関係は以下の式(11)で表される。
式(11)において、Sxは反射光強度の変化する長さ、Syは原点検出センサ30における検出素子の検出方向と垂直な方向の長さである。
図38は、各受光素子A〜Dから出力される信号の信号強度を表した図である。図38において、縦軸は信号強度を表している。図38において、差動関係にあるVAとVCは、原点検出用パターンの第2の端部15からの反射光が通過前は同一の強い強度を示し、第2の端部15の反射光が通過し始めたときはVA<VCとなる。第2の端部15からの反射光が原点検出センサ30の検出部の中央まで進入したときに信号強度が同一になるが、その後は再びVA<VCとなり、第2の端部15が通過し切ったときに同一の弱い強度を示す。対して、差動関係にあるVBとVDは、原点検出用パターンの第2の端部15からの反射光が通過前は同一の強い強度を示し、第2の端部15の反射光が通過し始めたときはVB>VDとなる。第2の端部15からの反射光が原点検出センサ30の検出部の中央まで進入したときに信号強度が同一になるが、その後は再びVB>VDとなり、第2の端部15が通過し切ったときに同一の弱い強度を示す。つまり、VAとVCおよびVBとVDの信号変化は、同一でない強度を取るときの互いの信号の高強度、低強度の関係が逆向きになる。それらの信号の差動を取った信号を表す図が図39である。縦軸の定義は図30と同様であるため、説明は省略する。第1の信号はVAからVCを減じた信号、第2の信号はVBからVDを減じた信号である。なお、本実施例においても実施例1と同様、各信号は中心電圧を基準に差動処理を行っている。図38において、VAとVCおよびVBとVDの中心電圧からの変化の向きが逆向きになっていたことから、それらの差動信号である第1の信号と第2の信号もまた、中心電圧値からの変化の符号が逆になる。すなわち、第1の信号は中心電圧値から高電圧側へ変化しているのに対し、第2の信号は中心電圧値から低電圧側へ変化している。実施例1において説明した通り、本発明の原点検出は、第1の信号と第2の信号がともに第3、第4の閾値による判定結果が同一となったときに第5の信号を原点信号として出力する。これに基づき、第1の信号と第2の信号を第1の閾値、第2の閾値によって処理した信号である第3の信号と第4の信号を表す図が図40である。図40の縦軸の定義は図35と同一であるため、説明は省略する。図39において、第1の信号と第2の信号の中心電圧を基準とする変化が逆であったことから、第1の信号は変化部において第1の閾値よりも高い電圧値を取るものの、第2の信号は変化部において第2の閾値よりも高い電圧値を取ることはない。よって、図40に示すとおり、第3の信号は出力されるものの、第4の信号が出力されることはない。図41は、第5の信号を表したものである。図41の縦軸の定義は図35と同一であるため、説明は省略する。図15に示した通り、第3の信号がハイレベルであるときに第4の信号がハイレベルであることはないため、第3の信号と第4の信号の論理和を取ることにより得られる第5の信号が出力されることはない。これにより、原点位置として設定した原点検出用パターン端部と対向する原点検出用パターン端部における原点信号の出力を抑制することができる。
図42は、全ての検出素子の和信号である第6の信号と、第6の信号を処理するために用いる第3の閾値を表したものである。図42の縦軸の定義は図35と同一であるため、説明は省略する。原点検出センサ30の検出面全体における信号強度は、原点検出用パターンの端部の形状に関わらず、原点検出用パターンの端部の通過に比例して強くなるため、図35に示したような原点検出用パターンの端部の通過による受光量変化のみに比例した信号変化を取る。よって、図35における処理同様、第3の閾値によって処理することで領域判定信号である第7の信号を得ることができる。第7の信号を表す図を図43に示す。図43における縦軸の定義は図35と同様であるため、説明は省略する。図43における信号の扱いは図36におけるものと同様である。すなわち、第7の信号がハイレベルであれば原点検出センサ30は原点検出用パターンの反射部を読んでおり、第7の信号がロウレベルであれば原点検出センサ30は原点検出パターンの非反射部を読んでいる。
実施例1において説明したように、本発明は中央部と周辺部とで受光感度(信号感度)に違いのある受光素子によって特異な信号を作り出している。このことは、逆に言えば受光面における各検出素子の信号の差異がなければ信号強度が強い強度を示さないことを意味する。本実施例において、第2の端部15の信号強度変化の割合を小さくしているのはこの目的からである。なお、本実施例において信号強度が検出部の検出方向の長さの1/2の長さをかけて変化させているのは、本実施例における中央部と周辺部の受光感度(信号感度)比が1/2であるからである。このとき、各検出素子の受光状態の組み合わせは実施例1における受光感度(信号感度)比が1/1である時とほぼ同義となり、信号プロファイルは図16の信号プロファイルとほぼ一致する。実施例1により、この波形による原点検出は不可能である。
図44Aから図44Dまでは、パターン端における信号強度変化の割合を変化させていったときの検出面における反射光強度、第1,第2,第5から第7の信号、および第1から第3の閾値を示す。図44Aは、検出面における信号強度が原点検出センサ30の検出部の検出方向長に対し1/8の長さをかけて変化するときである。図44Bは、検出面における信号強度が原点検出センサ30の検出部の検出方向長に対し1/4の長さをかけて変化するときである。図44Cは、検出面における信号強度が原点検出センサ30の検出部の検出方向長に対し1/2の長さをかけて変化するときである。図44Dは、検出面における信号強度が原点検出センサ30の検出部の検出方向長と等しい長さをかけて変化するときである。なお、各図の縦軸の定義は図35と同様であるため、説明は省略する。第1および第2の信号のクロスポイント電圧値は、信号強度の検出方向に対する変化割合が小さくなるほど低電圧側へ低下し、信号強度の変化する検出方向の長さが1/2の長さになったときに中心電圧よりも高電圧側でクロスすることはなくなる。以降、再び中心電圧よりも高電圧側でクロスすることはない。ただし、第6の信号と第3の閾値との処理により得られる領域判定信号である第7の信号は、検出面における信号強度の変化割合には寄らない。これは受光部における配置座標の異なる受光素子からの信号を差動演算する第1の信号および第2の信号と異なり、第6の信号は単純に検出面における全ての検出素子が受光する信号強度の総和であるためである。よって、受光部における信号強度の検出方向の変化割合を小さくして原点検出を抑制しても、領域判定信号である第7の信号が消失することはない。
以上の構成により、パターンの有無を判定する領域判定信号の出力は確保しつつ、第1の端部14においてのみ安定して原点信号を出力し、第2の端部15においては原点信号を出力しないロータリーエンコーダを実現している。図45に本実施例のエンコーダの原点信号の出力角度と領域判定信号の出力角度の関係を示す。図45において、横軸はロータリースケールの回転角度を指し、360°でスケールが1周回転することを表す。縦軸は電圧値であり、原点信号、領域判定信号の信号レベルを表している。なお、認識性のため、原点検出用パターンの第1の端部14は回転角度90°位置、原点検出用パターンの端部は回転角度270°位置であるとする。図45からわかるように、基準位置(角度)信号である原点信号は90°回転角において出力され、対向の270°においては出力されない。かつ、領域判定信号は原点検出用パターンが反射部を示す90°から270°にかけて出力される。なお、本実施例においても、実施例1と同様に信号の検出方法および処理部構成の異なる構成においても適用可能である。
また、本実施例では回転角度を検出するロータリーエンコーダにおいて説明したが、リニアエンコーダに適用しても構わない。図46によって説明すると、上部のトラックが変位検出トラックであり、下部のトラックが領域判定を兼ねる原点検出用パターンである。図46の構成において本実施例における原点検出処理および領域判定処理を適用すると、下部トラックの左側に配置した反射パターンのパターン端部でのみ原点信号が出力され、右側に配置した反射パターンの傾いたパターン端部では原点信号は出力されない。それでいながら、左右いずれの反射部において領域判定信号は出力される。また、図46はリニアエンコーダにおいて適用した場合の一例であり、本発明はこの限りに因われない。すなわち、原点位置として定めた原点検出用パターン境界においてのみ原点検出を行うように他の原点検出用パターンでの原点検出を抑制する必要がある構成であれば適用できる。また、本実施例では信号強度の検出方向の変化の割合を小さくするために原点検出用パターンの端部に傾きをつけたが、同じように信号強度の検出方向の変化の割合を小さくできればこの方法に限らない。例えば、反射型エンコーダであれば原点検出用パターンの端部の検出方向に対する反射率の変化が傾きを持つような構成をとってもよく、透過型エンコーダであれば検出方向に対する透過率の変化が傾きを持つような構成をとってもよい。