次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態におけるひび割れ検出装置1は、画像撮影部11が撮影した構造物6(トンネルや橋梁など)の画像を用いて、構造物6上に発生しているひび割れ61を検出する機能を有している。一般に、構造物6に生じているひび割れ61の幅は、荷重がかかる、風の影響、その他様々な影響を受けて、変動することが知られている。しかしながら、上記特徴は、何らかの方法により発見されたひび割れ61に対する処理で用いられることはあっても、ひび割れ61を発見するために用いられることはなかった。本発明の第1の実施形態におけるひび割れ検出装置1は、上記構造物6に生じているひび割れ61の幅が変動することを利用して当該構造物6上に発生しているひび割れ61を検出する装置である。
図2を参照すると、ひび割れ検出装置1は、主な構成要素として、画像撮影部11と、通信I/F部12と、操作入力部13と、画面表示部14と、記憶部15と、演算処理部16と、を有している。
画像撮影部11は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの画像撮影装置からなり、ひび割れ検出の対象となる構造物6を撮影して画像データを取得する機能を有している。本実施形態における画像撮影部11は、被写体となる構造物6のうちの同一範囲(ひび割れ検出の対象となる範囲)を、例えば予め定められた時間間隔で少なくとも2枚撮影する。なお、画像撮影部11は、連続的に構造物6を撮影することで、時系列の画像データを取得しても構わない。
通信I/F部12は、専用のデータ通信回路からなり、通信回線を介して接続された各種装置との間でデータ通信を行う機能を有している。
操作入力部13は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部16に出力する機能を有している。
画面表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)などの画面表示装置からなる。画面表示部14は、演算処理部16からの指示に応じて、構造物6に生じているひび割れ61の情報などの各種情報を画面表示する機能を有している。
記憶部15は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部15は、演算処理部16における各種処理に必要な処理情報やプログラム153を記憶する機能を有している。プログラム153は、演算処理部16に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。プログラム153は、通信I/F部12などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれ、記憶部15に保存されている。記憶部15で記憶される主な情報としては、画像情報151と変位特徴量情報152とがある。
画像情報151は、画像撮影部11が構造物6を撮影することで取得した、ひび割れ61の検出の対象となる範囲の画像データを示す情報である。図3(A)は、画像情報151の構成例である。図3(A)を参照すると、画像情報151には、画像データと、当該画像データを識別するための情報である画像IDとが記憶されている。例えば、図3(A)の1行目は、画像ID「1」と対応づけて画像データ「I1」が記憶されていることを示している。
なお、画像情報151には、撮影範囲に応じて画像データが記憶されている。例えば、図3(A)には、画像ID「1」に対応付けて画像データ「I1」が記憶されており、画像ID「2」に対応付けて画像データ「I2」が記憶されている。この画像データ「I1」と画像データ「I2」とは、画像撮影部11が同一範囲を撮影することで取得した画像データとなる。
また、画像情報151には、例えば、撮影時間が古い順(取得時間が古い順)で画像データが記憶されている。つまり、画像情報151では、撮影時間が古い方から順番に、画像IDが振られていることになる。例えば、図3(A)は、画像ID「1」に対応する画像データ「I1」が撮影された後に、画像ID「2」に対応する画像データ「I2」が撮影されたことを示している。また、画像撮影部11が時系列の画像データを取得した場合には、例えば図3(B)で示すように、画像情報151は、時系列の画像データを古い順で記憶することが出来る。また、画像情報151には、画像データを取得した時刻を示す情報が含まれていても構わない。
変位特徴量情報152は、別時刻に撮影された同一範囲の画像データから生成される、画像データ内の任意の領域(測定点)の時間的な位置の変化を示す情報である。変位特徴量情報152は、少なくとも2つの任意の領域の時間的な位置の変化を示す情報を含んで構成されている。
図4(A)は、変位特徴量情報152の構成例である。図4(A)を参照すると、変位特徴量情報152は、測定点と算出元画像IDと変位特徴量とを有している。つまり、変位特徴量情報152には、時間的な位置の変化を追う対象となる測定点ごとに、変位特徴量を算出する対象となる画像データを画像IDで示す算出元画像IDと測定点の位置の変化を示す変位特徴量(変位方向、変位量)とが対応付けて記憶されている。例えば、図4(A)の1行目は、画像ID「1」の画像データと画像ID「2」の画像データと(つまり、画像データ「I1」、「I2」)を用いて算出された変位特徴量「D(X1→X2)」を示している。
なお、変位特徴量情報152は、例えば図4(B)で示すように、時系列の画像データそれぞれに応じた変位特徴量を記憶することが出来る。また、変位特徴量情報152は、図4(B)で示すように、2つ以上の複数の測定点の変位特徴量を記憶することが出来る。
演算処理部16は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15からプログラム153を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム153とを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部16で実現される主な処理部として、画像取得部161と変位特徴量算出部162(測定点位置変化検出手段)とひび割れ検出部163とがある。
画像取得部161は、画像撮影部11から画像データを取得して、記憶部15の画像情報151に当該取得した画像データを保存する機能を有する。つまり、画像取得部161は、画像撮影部11から画像データを取得する。そして、画像取得部161は、当該取得した画像データを記憶部15の画像情報151に保存する。
変位特徴量算出部162は、記憶部15から画像情報151を読み出し、画像データ内の任意の領域(測定点)の時間的な位置の変化を検出して変位特徴量を算出する機能を有する。具体的には、本実施形態における変位特徴量算出部162は、読み出した画像データにテンプレートマッチング法やデジタル画像相関法に代表される領域ベースの画像探索手法を適用して、測定点を中心とする領域の時間的な位置の変化を検出し、変位特徴量を算出する。例えば、変位特徴量算出部162は、記憶部15の画像情報151から画像データ「I1」と画像データ「I2」とを読み出す。そして、変位特徴量算出部162は、画像データ「I1」内の任意の領域X1が画像データ「I2」内のどの領域に対応するかを追跡する。これにより、変位特徴量算出部162は、画像データ「I1」内の任意の領域X1の位置が、画像データ「I2」では領域X2の位置に移動していることを検出する。そして、変位特徴量算出部162は、検出結果に基づいて、変位方向と変位量とからなる変位特徴量を算出する。なお、変位特徴量算出部162は、任意の測定点として点ベースの変位を検出するよう構成しても構わない。この場合には、変位特徴量算出部162は、測定点となる画像中の特徴点として、輝度勾配、コーナー、エッジなどの画像特徴点やSIFT(Scale Invariant Feature Transform)などの局所特徴を利用し、測定点の時間的な位置の変化を検出し、変位特徴量を算出することが出来る。
その後、変位特徴量算出部162は、算出した変位特徴量を、当該変位特徴量を算出する基となった画像データを示す画像IDと対応付けて、変位特徴量情報152として記憶部15に保存する。なお、変位特徴量算出部162は、少なくとも2か所の測定点に対して、変位特徴量を算出する。
ひび割れ検出部163は、記憶部15から変位特徴量情報152を読み出し、測定点の間に生じているひび割れ61を検出する機能を有する。例えば、ひび割れ検出部163は、測定点Xに対する変位特徴量「D(X1→X2)」と測定点Yに対する変位特徴量「D(Y1→Y2)」とを読み出す。そして、ひび割れ検出部163は、読み出した上記2つの変位特徴量「D(X1→X2)」、「D(Y1→Y2)」の間に予め定められた所定の関係がある場合に、測定点Xと測定点Yとの間にひび割れ61があることを検出する。
ここで、何らかの応力により構造物6にひずみが生じた場合の、測定点Xと測定点Yの変位の仕方を考える。この場合、一般的には、例えば図5(A)で示すように、測定点Xと測定点Yの変位特徴量は似たような値(同じ方向に同じくらいの量)になると考えられる。一方で、上述したように、構造物6に生じているひび割れ61の幅は、荷重がかかる、風の影響、その他様々な影響を受けて、変動する。そのため、測定点Xと測定点Yとの間にひび割れ61を挟んでいた場合には、測定点Xの変位特徴量と測定点Yの変位特徴量とは、ひび割れ幅の変動の影響を大きく受けることになる。その結果、例えば図5(B)で示すように、測定点Xと測定点Yとの変位方向が異なるようになる。又は、例えば図5(C)で示すように、測定点Xと測定点Yとの変位量に大きな差が出来ることになる。このように、測定点Xと測定点Yとの間にひび割れ61が生じていた場合、ひび割れ幅の変動の影響を受けて、測定点Xの変位特徴量と測定点Yの変位特徴量とが大きく異なることになる。そこで、ひび割れ検出部163は、測定点Xの変位特徴量と測定点Yの変位特徴量との関係が、上記のように、変位方向が異なる、変位量に大きな差がある、など所定の条件を満たす場合に、測定点Xと測定点Yとの間にひび割れ61があると検出する、又は、可能性を示唆することを検出する。
ひび割れ検出部163は、ひび割れ61の検出後、その旨を画面表示部14に表示する。この際には、ひび割れ検出部163は、例えばひび割れ検出の対象となった画像データ上に検出したひび割れ61を表示するよう構成しても構わない。
以上が、ひび割れ検出装置1の構成についての説明である。
次に、ひび割れ検出装置1の動作について説明する。図6は、本実施形態に係るひび割れ検出装置1の動作を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、ひび割れ検出装置1の動作について説明する。
図6を参照すると、画像撮影部11が構造物6を撮影して画像データを取得する(ステップS001)。画像撮影部11が取得した画像データは、画像取得部161を介して、記憶部15に画像情報151として記憶されることになる。
次に、変位特徴量算出部162が、記憶部15の画像情報151に記憶されている画像データに基づいて、画像データの任意の領域(測定点)の時間的な位置の変化を検出して変位特徴量を算出する(ステップS002)。そして、変位特徴量算出部162は、算出した変位特徴量を、変位特徴量情報152として記憶部15に保存する。なお、変位特徴量算出部162は、少なくとも2つの測定点について変位特徴量を算出する。
続いて、ひび割れ検出部163が、記憶部15の変位特徴量情報152に記憶されている各測定点の変位特徴量に基づいてひび割れ61を検出する(ステップS003)。その後、ひび割れ検出部163は、ひび割れ61を検出した旨を画面表示部14に表示する(ステップS004)。
このように、本実施形態におけるひび割れ検出装置1は、変位特徴量算出部162とひび割れ検出部163とを有している。このような構成により、ひび割れ検出部163は、変位特徴量算出部162が算出した各測定点の変位特徴量の関係に基づいてひび割れ61があることを検出することが出来る。上記のように、ひび割れ61の幅は様々な影響を受けて変動する。そのため、ひび割れ61の周辺の測定点の変位特徴量は、ひび割れ幅の変動の影響を受けることになる。一方、画像的に類似している模様などには、上記ひび割れ61の有しているような特徴は当てはまらない。そのため、測定点の変位特徴量の関係に基づいてひび割れ61を検出することで、画像的に類似している模様などをひび割れ61として誤検出することなく構造物6表面に現れるひび割れ61を検出することが出来る。
なお、本実施形態におけるひび割れ検出装置1は、時系列の画像データを利用することで、変位の速度や変位加速度などを変位特徴量として算出することも出来る。ひび割れ検出装置1は、変位の速度や変位加速度などを含む変位特徴量に基づいて、ひび割れ61を検出するように構成しても構わない。また、ひび割れ検出装置1は、変位方向のみに基づいてひび割れ61を検出するように構成したり、変位量のみに基づいてひび割れ61を検出するように構成したりしても構わない。
また、本実施形態では、画像撮影部11が画像データを取得するタイミングについては特に限定しなかった。しかしながら、例えば、構造物6に対する応力発生の前後のタイミングで画像データを取得するよう画像撮影部11を構成することで、より正確にひび割れ61を検出することが出来るようになる。上記のように、ひび割れ61の幅は、荷重などに応じて変動する。そのため、応力の発生前後のタイミング、つまり、ひび割れ61の幅の変動前後のタイミングで画像データを取得することで、より正確にひび割れ61を検出することが出来ることになる。
また、ひび割れ検出装置1は、2つの測定点の位置の変化の関係性と、その周辺の測定点の位置の変化の関係性とに基づいて、2つの測定点の間にひび割れがあることを検出するよう構成することが出来る。例えば、ひび割れ検出装置1は、上記所定の条件を満たす2点間にひび割れ61がある可能性を検出する。その後、ひび割れ検出装置1は、ひび割れ61の可能性を検出した2点とその間およびその周辺の他の測定点の変位から、ひび割れ61の可能性を検出した2点の変位に他の測定点の変位との関係で連続性があるか判定する。例えば、ひび割れ検出装置1は、ひび割れ61の可能性を検出した2点の変位が他の測定点の変位との関係で一連の関係であると判断される場合(一例としては、ある点を基準として遠くなるほど変位量が大きくなるなど2点を含む測定点の変位の関係に所定の規則があると判断される場合)連続性があると判定する。一方、ひび割れ検出装置1は、周辺の他の測定点の変位の関係とひび割れ61の可能性を検出した2点の変位の関係とが大きく異なっている場合、ひび割れ61の可能性を検出した2点の変位が他の測定点の変位との関係で不連続であると判定する。一例としては、ある点を基準として遠くなるほど変位量が大きくなる所定の規則がある中でひび割れ61の可能性を検出した2点の変位の変位方向や変位量が大きく異なっている場合などが考えられる。そして、連続性がある場合、ひび割れ検出装置1は、ひび割れ61がある可能性を検出した2点の間にひび割れ61は無いと判定する。一方、ひび割れ61の可能性を検出した2点の変位が他の測定点の変位との関係で不連続な場合、ひび割れ検出装置1は、ひび割れ61がある可能性を検出した2点の間にひび割れ61があると判定する。このような判定を行うように、ひび割れ検出装置1を構成することが出来る。ひび割れ検出装置1をこのような構成にすることで、例えば応力発生時の橋梁の中央部などの緩やかな変位特徴量の変化を持つ部分をひび割れ61として誤検出することを防ぐことが出来る。なお、ひび割れ検出装置1は、最初に連続性の判定を行った後にひび割れ61の検出を行うよう構成しても構わない。つまり、ひび割れ検出装置1は、連続的な変化をする測定点の間には、ひび割れ61の検出を行わないように構成することが出来る。また、ひび割れ検出装置1は、不連続な変化をする測定点の間には、位置の変化が不連続な関係にある隣り合う測定点の間にひび割れ61があることを検出するよう構成しても構わない。
また、本実施形態においては、ひび割れ検出装置1が位置計測センサとして画像撮影部11を用いる場合について説明した。しかしながら、本発明の実施は、上記場合に限定されない。ひび割れ検出装置1は、例えば接触型加速度センサやひずみゲージのような接触型センサ、レーザドップラ振動計などの振動計測センサやレーザ変位計などの変位計測センサを用いて変位特徴量を算出するように構成しても構わない。
また、ひび割れ検出装置1は、例えば、広域撮影画像からひび割れ幅変化領域を検出した後に、ROI(Region of Interest)を利用して撮影領域を限定するよう構成しても構わない。
また、ひび割れ検出装置1がひび割れ61を検出する構造物6としては、例えば、コンクリート構造物が考えられる。しかしながら、ひび割れ検出装置1がひび割れ61を検出する対象は、コンクリート構造物に限定されない。ひび割れ検出装置1は、例えば、鋼構造物や木造物などの構造物に発生するひび割れを検出する際に用いても構わない。
次に本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、複数の測定点の変位特徴量を求めることで変位分布を算出するひび割れ検出装置2について説明する。ひび割れ検出装置2は、算出した変位分布に基づいてひび割れ検出の対象範囲を複数の領域に分割し、当該分割した領域の境界にひび割れ61を検出する。
図7を参照すると、本実施形態におけるひび割れ検出装置2は、主な構成要素として、画像撮影部21と、通信I/F部22と、操作入力部23と、画面表示部24と、記憶部25と、演算処理部26と、を有している。なお、このうちの画像撮影部21と、通信I/F部22と、操作入力部23と、画面表示部24と、は、第1の実施形態に係るひび割れ検出装置1の画像撮影部11と、通信I/F部12と、操作入力部13と、画面表示部14と、同一の機能を有している。そのため、説明は省略する。
記憶部25は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部25は、演算処理部26における各種処理に必要な処理情報やプログラム254を記憶する機能を有している。プログラム254は、演算処理部26に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。プログラム254は、通信I/F部22などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれ、記憶部25に保存されている。記憶部25で記憶される主な情報としては、画像情報251と変位分布情報252と領域情報253とがある。
画像情報251は、画像撮影部11が構造物6を撮影することで取得した、ひび割れ検出の対象となる範囲の画像データを示す情報である。なお、画像情報251の構成は、図2で示した本発明の第1の実施形態に係るひび割れ検出装置1の画像情報151と同じである(画像情報151の構成例は図3参照)。そのため、説明は省略する。
変位分布情報252は、別時刻に撮影された同一範囲の画像データから生成される、画像データ上の所定範囲の変位の分布を示す情報である。図8(A)は、変位分布情報252の構成例である。図8(A)を参照すると、変位分布情報252には、変位分布算出元の画像データを示す画像IDと、画像データ上の所定範囲における各測定点の変位特徴量の集まりである変位分布とが記憶されている。例えば、図8(A)の1行目は、画像ID「1」の画像データと画像ID「2」の画像データ(つまり、画像データ「I1」、「I2」)とを用いて算出された変位分布(各測定点の変位特徴量「D(X1→X2)」、「D(Y1→Y2)」、「D(Z1→Z2)」、…、)を示している。なお、上記変位分布を画像データの所定範囲上に表示すると、例えば、図8(B)のようになる。また、変位分布情報252の変位分布を構成する各測定点の変位特徴量には、各測定点の位置情報が対応付けられているとする。
領域情報253は、変位分布と各測定点の位置の近さに基づいて生成される、領域の範囲を示す情報である。具体的には、本実施形態における領域情報253では、周囲と同様な連続的な変位特徴量を示す範囲を1つの領域として、領域の範囲である領域範囲と、領域を識別するための情報である領域IDとを対応付けて記憶している。図9(A)は、領域情報253の構成例である。図9(A)を参照すると、領域情報253には、領域の範囲を示す情報である領域範囲と、領域範囲を識別するための情報である領域IDとが記憶されている。例えば、図9(A)の一行目は、領域ID「α」の範囲が「T(α)」であることを示している。なお、例えば、図8(B)で示したような変位分布に基づいて領域を生成すると、図9(B)で示すように、図8(B)における不連続な変位特徴量を持つ境目で領域αと領域βに分割されることになる。
演算処理部26は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部25からプログラム254を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム254とを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部26で実現される主な処理部として、画像取得部261と変位特徴量算出部262と領域分割部263とひび割れ検出部264とがある。
画像取得部261は、画像撮影部21から画像データを取得して記憶部25の画像情報251に当該取得した画像データを保存する機能を有する。つまり、画像取得部261は、本発明の第1の実施形態におけるひび割れ検出装置1の画像取得部161と同様の機能を有している。
変位特徴量算出部262は、記憶部25から画像情報251を読み出し、画像データ上の所定範囲の変位の分布を算出する機能を有する。具体的には、変位特徴量算出部262は、読み出した画像データにテンプレートマッチング法やデジタル画像相関法に代表される領域ベースの画像探索手法を適用して、画像データ上の所定範囲の各測定点の変位特徴量をそれぞれ算出し、変位の分布である変位分布を算出する。例えば、変位特徴量算出部262は、記憶部25の画像情報251から画像データ「I1」と画像データ「I2」とを読み出す。そして、変位特徴量算出部262は、画像データI1内の所定範囲内の各測定点が画像データI2内のどの領域に対応するかをそれぞれ追跡し、それぞれの変位特徴量を算出する。その後、変位特徴量算出部262は、それぞれの変位特徴量に基づいて、変位の分布である変位分布を算出する。なお、変位特徴量算出部262は、任意の測定点として点ベースの変位を検出するよう構成しても構わない。この場合には、変位特徴量算出部262は、測定点となる画像中の特徴点として、輝度勾配、コーナー、エッジなどの画像特徴点やSIFT(Scale Invariant Feature Transform)などの局所特徴を利用して、測定点の時間的な位置の変化を検出し、変位特徴量を算出することが出来る。
その後、変位特徴量算出部262は、算出した変位分布を、当該変位分布を算出する基となった画像データを示す画像IDと対応付けて、変位分布情報252として記憶部25に保存する。
領域分割部263は、記憶部25から変位分布情報252を読み出し、変位分布が示す範囲を複数の領域に分割する機能を有する。具体的には、領域分割部263は、周囲と同様な連続的な変位特徴量を示す領域を1つの領域として判定し、変位分布が示す範囲を分割する。つまり、領域分割部263は、各測定点における変位特徴量に基づいて、不連続な変位特徴量(例えば、変位方向や変位量が大きく異なるなど)を持つ測定点間の間(境界)で変位分布が示す範囲を分割する。また、領域分割部263は、各測定点の位置に基づいた領域分割を行う。
例えば、領域分割部263は、記憶部25の変位分布情報252から、図8(B)で示す変位分布を読み出す。そして、領域分割部263は、変位分布と各測定点の位置の近さに基づいて、変位分布が示す範囲を分割する。具体的には、領域分割部263は、周囲と同様な連続的な変位特徴量を示す範囲を1つの領域として分割する。その結果、領域分割部263は、図9(B)で示すように、変位分布が示す範囲を、不連続な変位特徴量を持つ境目で、例えば領域αと領域βに分割する。
その後、領域分割部263は、変位分布が示す範囲を分割した結果を、領域情報253として記憶部25に保存する。つまり、領域分割部263は、分割した領域の範囲と領域を識別するための領域IDとを対応付けて、領域情報253として記憶部25に保存する。
なお、上記のように、領域分割部263は、変位分布と各測定点の位置の近さに基づいて、変位分布が示す範囲を分割する。そのため、例えば、図10(A)で示すように離れた位置に似たような変位特徴量がある場合、領域分割部263は、離れた位置にある似た変位特徴量を持つ範囲を、同じ領域とみなさずに、別の領域として分割する。つまり、領域分割部263は、例えば図10(B)で示すように変位分布が示す範囲を分割する。
また、上記のように、領域分割部263は、周囲と同様な連続的な変位特徴量を示す範囲を1つの領域として分割する。そのため、例えば図11で示すように、異なる変位方向を含んでいたとしても各測定点の変位特徴量が連続的な変化をしていた場合、領域分割部263は、上記連続的な変化をする範囲を一つの領域として判断する。これにより、例えば何らかの荷重(外力)がかかった場合の橋梁の中央部などの、構造物6上の緩やかで連続的な変化を行う範囲を、領域分割部263は、一つの領域として判断することになる。
ひび割れ検出部264は、記憶部25から領域情報253を読み出し、当該読み出した領域情報253に基づいてひび割れ61を検出する機能を有する。例えば、ひび割れ検出部264は、変位分布が示す範囲が領域αと領域βとに分割されている旨の情報を読み出す(図9(B)参照)。そして、ひび割れ検出部264は、領域αと領域βの境界にひび割れ61があることを検出する。
ここで、何らかの応力により構造物6にひずみが生じた場合の、変位分布を考える。一般的に、ひび割れのない均質的な構造物には、連続的な変化をする変位分布を得ることが出来ると考えられる。一方で、構造物6に生じているひび割れ61にはひずみや応力の集中が発生する。従って、ひび割れ61の幅は、これらのひずみや応力の集中により影響を受けて変動する。そのため、ひび割れ61が生じていると、当該ひび割れ61の幅が変動することにより、構造物に発生する変位分布の変化が不連続になることになる。つまり、変位分布の変化が不連続である場合、ひび割れ61が発生していると考えられる。そこで、ひび割れ検出部264は、連続的な変化をする領域同士の境界(不連続な変化をする部分)にひび割れ61を検出する。
ひび割れ検出部264は、ひび割れ61の検出後、その旨を画面表示部24に表示する。この際には、ひび割れ検出部264は、例えばひび割れ61の検出の対象となった画像データ上に(又は例えば変位分布上に)検出したひび割れ61を表示するよう構成しても構わない。
以上が、ひび割れ検出装置2の構成についての説明である。
次に、ひび割れ検出装置2の動作について説明する。図12は、本実施形態に係るひび割れ検出装置2の動作を示すフローチャートである。以下、図12を参照して、ひび割れ検出装置2の動作について説明する。
図12を参照すると、画像撮影部21が構造物6を撮影して画像データを取得する(ステップS101)。画像撮影部21が取得した画像データは、画像取得部261を介して、記憶部25に画像情報251として記憶されることになる。
次に、変位特徴量算出部262が、記憶部25の画像情報251に記憶されている画像データに基づいて、変位分布を算出する(ステップS102)。具体的には、変位特徴量算出部262は、読み出した画像データにテンプレートマッチング法やデジタル画像相関法に代表される領域ベースの画像探索手法を適用して、変位分布を算出する。そして、変位特徴量算出部262は、算出した変位分布を、変位分布情報252として記憶部25に保存する。
続いて、領域分割部263が、記憶部25の変位分布情報252に記憶されている変位分布と各測定点の位置の近さに基づいて、変位分布が示す範囲を複数の領域に分割する(ステップS103)。具体的には、領域分割部263は、周囲と同様な連続的な変位特徴量を示す範囲を1つの領域として、変位分布が示す範囲を分割する。そして、領域分割部263は、分割した結果を、領域情報253として記憶部25に保存する。
その後、ひび割れ検出部264が、記憶部25の領域情報253に記憶されている分割した結果に基づいて、ひび割れ61を検出する。つまり、ひび割れ検出部264は、連続的な変位をする範囲を一つの領域とする領域と領域の境界にひび割れ61を検出する(ステップS104)。そして、ひび割れ検出部264は、ひび割れ61を検出した旨を画面表示部24に表示する(ステップS105)。
このように、本実施形態におけるひび割れ検出装置2は、変位特徴量算出部262と領域分割部263とひび割れ検出部264とを有している。このような構成により、領域分割部263は、変位特徴量算出部262が算出した変位分布に基づいて、連続的な変位特徴量を示す範囲を1つの領域として、変位分布が示す範囲を複数の領域に分割することが出来る。そして、ひび割れ検出部264は、領域分割部263の領域の分割結果に基づいて、領域の境界に存在するひび割れ61を検出することが出来る。上記のように、ひび割れ61の幅は様々な影響を受けて変動する。そのため、ひび割れ61の周辺では、ひび割れ幅の変動の影響を受けて、変位特徴量が不連続になることになる(例えば、変位方向や変位量が異なるなど)。一方、画像的に類似している模様などには、上記ひび割れ61の有しているような特徴は当てはまらない。そのため、連続的な変位特徴量を示す範囲を1つの領域として分割した領域の境界にひび割れ61を検出することで、画像的に類似している模様などをひび割れ61として誤検出することなく構造物6表面に現れるひび割れ61を検出することが出来る。
なお、本実施形態におけるひび割れ検出装置2(の領域分割部263)では、連続な変位特徴量を示す範囲を一つの領域として分割するとした。しかしながら、変位分布を示す範囲を分割する条件は、上記場合に限定されない。例えば、領域分割部263は、変位特徴量の連続性を問題とせず、似た変位特徴量を持つ範囲を一つの領域として分割するように構成しても構わない。また、その場合には、ひび割れ検出部264は、領域分割された領域ごとの変位特徴量に基づいてひび割れ61を検出するよう構成することが出来る。具体的には、ひび割れ検出部264は、例えば、変位方向が異なっている領域の境界や、変位量が大きく異なる領域の境界にひび割れ61を検出するよう構成することが出来る。また、ひび割れの端部には、放射状の応力分布およびひずみ分布が発生することが知られている。そのため、ひび割れ検出部264は、境界の端部を中心として、放射状の変位特徴量の分布が見つかった場合をひび割れ61と判定するよう構成しても構わない。
また、ひび割れ検出装置2は、時系列の画像データを利用することで、変位の速度や変位加速度などを変位特徴量として算出するように構成しても構わない。
また、ひび割れ検出装置2は、時系列で取得した画像データそれぞれの間で変位分布を算出し、それぞれの変位分布に対してひび割れ61を検出するように構成しても構わない。
また、本実施形態では、画像撮影部21が画像データを取得するタイミングについては特に限定しなかった。しかしながら、例えば、応力の発生前後のタイミングで画像データを取得するよう画像撮影部21を構成することで、より正確にひび割れ61を検出することが出来るようになる。
また、ひび割れ検出装置2は、例えば、広域撮影画像からひび割れ幅変化領域を検出した後に、ROI(Region of Interest)を利用して撮影領域を限定するよう構成しても構わない。
また、ひび割れ検出装置2がひび割れ61を検出する構造物6としては、例えば、コンクリート構造物が考えられる。しかしながら、ひび割れ検出装置2がひび割れ61を検出する対象は、コンクリート構造物に限定されない。ひび割れ検出装置2は、例えば、鋼構造物や木造物などの構造物に発生するひび割れを検出する際に用いても構わない。
次に本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、第2の実施形態で説明したひび割れ検出装置2が検出したひび割れ61の、幅の変動量を算出して、当該ひび割れ61の幅の変動量に基づいて構造物6の健全度を評価する構造物健全度評価装置3について説明する。
図13を参照すると、本実施形態における構造物健全度評価装置3は、主な構成要素として、画像撮影部31と、通信I/F部32と、操作入力部33と、画面表示部34と、記憶部35と、演算処理部36と、を有している。なお、このうちの画像撮影部31と、通信I/F部32と、操作入力部33と、画面表示部34と、は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2の画像撮影部21と、通信I/F部22と、操作入力部23と、画面表示部24と、と同一の機能を有している。そのため、説明は省略する。
記憶部35は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部35は、演算処理部36における各種処理に必要な処理情報やプログラム357を記憶する機能を有している。プログラム357は、演算処理部36に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。プログラム357は、通信I/F部32などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれ、記憶部35に保存されている。記憶部35で記憶される主な情報としては、画像情報351と変位分布情報352と領域情報353とひび割れ幅変動量情報354と基準ひび割れ幅変動量情報355と健全度情報356とがある。なお、画像情報351、変位分布情報352、領域情報353、の構成は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2の画像情報251、変位分布情報252、領域情報253、と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
ひび割れ幅変動量情報354は、変位分布情報352と領域情報353とに基づいて算出される、ひび割れ幅の変動量を示す情報である。図14は、ひび割れ幅変動量情報354の構成例である。図14を参照すると、ひび割れ幅変動量情報354には、ひび割れ幅の変動量を示すひび割れ幅変動量がひび割れ61を識別するためのひび割れIDと対応付けて記憶されている。例えば、図14の1行目は、ひび割れID「C1」のひび割れ61の幅の変動量が「ΔC1」であることを示している。なお、ひび割れ幅変動量情報354は、ひび割れ61の存在する位置を示す情報(座標や隣接する領域の領域ID)などを含んでいても構わない。また、ひび割れ幅変動量情報354は、ひび割れ幅が変動した時刻(例えば、元になった画像データの取得時刻)を示す情報を含んでいても構わない。
基準ひび割れ幅変動量情報355は、構造物6の健全度を評価する際の基準となるひび割れ幅の変動量である基準ひび割れ幅変動量を示す情報である。基準ひび割れ幅変動量情報355は、例えば通信I/F部32や操作入力部33などを介して予め入力されることで、記憶部35に記憶されている。図15は、基準ひび割れ幅変動量情報355の構成例である。図15を参照すると、基準ひび割れ幅変動量情報355には、構造物6の健全度を評価する際の基準となる基準ひび割れ幅変動量が記憶されている。例えば、図15の1行目は、基準ひび割れ幅変動量がΔs1であることを示している。なお、基準ひび割れ幅変動量情報355は、複数の基準ひび割れ幅変動量を含んでいても構わない。
健全度情報356は、ひび割れ幅変動量(図14参照)と基準ひび割れ幅変動量(図15参照)とに基づいて算出される、構造物6の健全度を示す情報である。図16は、健全度情報356の構成例である。図16を参照すると、健全度情報356には、構造物6の健全度が構造物6を識別するための構造物IDと対応付けて記憶されている。例えば、図16の1行目は、構造物ID「S−1」の構造物6の健全度が「悪い」ことを示している。なお、後述するように、健全度情報356に含まれる健全度の種類は、基準ひび割れ幅変動量情報355に含まれる基準ひび割れ幅変動量の値に応じたものになる。また、図16で示す健全度は、あくまで一例である。健全度は、例えば、劣化の有無や補修、改修の要否などを示していても構わない。
演算処理部36は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部35からプログラム356を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム356とを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部36で実現される主な処理部として、画像取得部361と変位特徴量算出部362と領域分割部363とひび割れ検出部364とひび割れ幅変動量算出部365(ひび割れ幅変動量算出手段)とひび割れ幅変動量比較部366(第1の健全度評価手段、基準ひび割れ幅変動量比較手段)と健全度出力部367とがある。なお、画像取得部361、変位特徴量算出部362、領域分割部363、の構成は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2の画像取得部261、変位特徴量算出部262、領域分割部263、と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
ひび割れ検出部364は、記憶部35から領域情報353を読み出し、当該読み出した領域情報353に基づいてひび割れ61を検出する機能を有する。つまり、ひび割れ検出部364は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2のひび割れ検出部264と同様の機能を備えている。ただし、本実施形態におけるひび割れ検出部364は、ひび割れ61の検出後、ひび割れ61を検出したことをひび割れ幅変動量算出部365に通知するよう構成されている。
ひび割れ幅変動量算出部365は、記憶部35から変位分布情報352と領域情報353とを読み出し、当該読み出した変位分布情報352と領域情報353とに基づいて、ひび割れ検出部364が検出したひび割れ61の、幅の変動量を算出する機能を有する。
例えば、領域αと領域βの間にひび割れ61が存在する状況であるとする。この場合、ひび割れ幅変動量算出部365は、ひび割れ検出部364からひび割れ61を検出した旨の通知を受け取ると、記憶部35の変位分布情報352から、対応する変位分布を読み出す(例えば、図8(B))。また、ひび割れ幅変動量算出部365は、記憶部35の領域情報353から、ひび割れ61と判定された境界を挟む2つの領域(つまり、領域αと領域β)の情報を読み出す。続いて、ひび割れ幅変動量算出部365は、変位分布と領域αと領域βの情報に基づいて、領域αと領域βの変位特徴量を算出する。そして、ひび割れ幅変動量算出部365は、領域αと領域βの変位特徴量に基づいて、領域αと領域βの境界に存在するひび割れ幅の変動量を算出する。具体的には、例えば、領域αと領域βの変位ベクトルをそれぞれ[ベクトルA]と[ベクトルB]とすると、ひび割れ幅変動量算出部365は、下記式に基づくことでひび割れ幅変動量を算出する。
[ベクトルB]−[ベクトルA]
その後、ひび割れ幅変動量算出部365は、算出したひび割れ幅変動量を、ひび割れ幅変動量の算出元であるひび割れ61を識別する情報と対応付けて、ひび割れ幅変動量情報354として記憶部35に保存する。
なお、ひび割れ幅変動量算出部365は、ベクトル間の角度情報を加味したベクトル演算を行うことでひび割れ幅変動量を算出しても構わない。
また、ひび割れ幅変動量算出部365は、様々な方法を用いて各領域の変位特徴量を求めることが出来る。例えば、ひび割れ幅変動量算出部365は、領域内の変位特徴量の平均を求めることで各領域の変位特徴量を求めても構わないし、各領域の境界に最も近いと判断される測定点の変位特徴量を各領域の変位特徴量として用いても構わない。このように、ひび割れ幅変動量算出部365がどのような方法で各領域の変位特徴量を求めるかについては特に限定しない。
また、ひび割れ幅変動量算出部365は、記憶部35から読み出した変位分布情報352のみに基づいてひび割れ幅変動量を算出するように構成しても構わない。
ひび割れ幅変動量比較部366は、記憶部35からひび割れ幅変動量情報354と基準ひび割れ幅変動量情報355とを読み出し、当該読み出したひび割れ幅変動量情報354と基準ひび割れ幅変動量情報355とに基づいて、構造物6の健全度を評価する機能を有する。例えば、ひび割れ幅変動量比較部366は、ひび割れ幅変動量ΔC1として「0.5mm」を読み出す。また、ひび割れ幅変動量比較部366は、基準ひび割れ幅変動量Δs1として「0.2mm」を読み出す。そして、ひび割れ幅変動量比較部366は、ひび割れ幅変動量ΔC1と基準ひび割れ幅変動量Δs1との比較を行う。この場合、ひび割れ幅変動量ΔC1の方が基準ひび割れ幅変動量Δs1よりも大きい。そのため、ひび割れ幅変動量比較部366は、構造物6の健全度を例えば悪いと判断する。
その後、ひび割れ幅変動量比較部366は、ひび割れ幅変動量と基準ひび割れ幅変動量とを比較した結果求めた健全度を、当該健全度の対象となる(ひび割れ61を有する)構造物6を識別するための構造物識別IDと対応付けて、健全度情報356として記憶部35に保存する。
なお、ひび割れ幅変動量比較部366は、基準ひび割れ幅変動量情報355に複数の基準ひび割れ幅変動量が含まれている場合、それぞれの基準ひび割れ幅変動量を閾値として比較することで健全度を段階的に評価するよう構成しても構わない。
健全度出力部367は、記憶部35から健全度情報356を読み出し、画面表示部34に表示する機能を有する。例えば、健全度出力部367は、変位分布情報352から対応する変位分布も読み出すことで、健全度を変位分布に重畳して画面表示部34に表示する。
以上が、構造物健全度評価装置3の構成についての説明である。
次に、構造物健全度評価装置3の動作について説明する。図17は、本実施形態に係る構造物健全度評価装置3の動作を示すフローチャートである。以下、図17を参照して、構造物健全度評価装置3の動作について説明する。なお、図17で示すステップS201からステップS204までの構造物健全度評価装置3の動作は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2のステップS101からS104までの動作とまったく同じである(図12参照)。そのため、以下においては、ステップS204以降の構造物健全度評価装置3の動作について説明する。
上記のように、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2と同様の動作により、構造物健全度評価装置3のひび割れ検出部364がひび割れ61を検出する(ステップS204)。すると、ひび割れ検出部364は、ひび割れ61を検出した旨を、ひび割れ幅変動量算出部365に通知する。
次に、ひび割れ幅変動量算出部365が、記憶部35の変位分布情報352に記憶されている変位分布と、領域情報353に記憶されているひび割れ61と判定された境界を挟む2つの領域の情報と、に基づいて、ひび割れ幅変動量を算出する(ステップS205)。具体的には、ひび割れ幅変動量算出部365は、上記情報に基づいて、ひび割れ61と判定された境界を挟む2つの領域の変位特徴量をそれぞれ算出する。そして、ひび割れ幅変動量算出部365は、ひび割れ61を挟む領域の変位特徴量に基づいて、ひび割れ幅変動量を算出する。その後、ひび割れ幅変動量算出部365は、算出したひび割れ幅変動量をひび割れ幅変動量情報354に保存する。
続いて、ひび割れ変動量比較部366が、記憶部35のひび割れ幅変動量情報354に記憶されているひび割れ幅変動量と、基準ひび割れ幅変動量情報355に記憶されている基準ひび割れ幅変動量と、の比較を行い(ステップS206)、構造物6の健全度の評価を行う。そして、ひび割れ変動量比較部366は、評価結果を健全度情報356に保存する。
その後、健全度出力部367が、記憶部35の健全度情報356を読み出して、画面表示部34に表示する(ステップS207)。
このように、本実施形態における構造物健全度評価装置3は、ひび割れ幅変動量算出部365と、ひび割れ幅変動量比較部366とを有している。また、構造物健全度評価装置3は、基準ひび割れ幅変動量を記憶している。このような構成により、ひび割れ幅変動量比較部366は、ひび割れ幅変動量算出部365が算出したひび割れ幅変動量と、基準ひび割れ幅変動量と、を比較することで、構造物6の健全度を評価することが出来る。上述したように、本実施形態における構造物健全度評価装置3は、画像的に類似している模様などをひび割れ61として誤検出することなく構造物6表面に現れるひび割れ61を検出することが出来る。そのため、検出したひび割れ61のひび割れ幅の変動量に基づいて構造物6の健全度を評価することで、より正確に構造物6の健全度を評価することが出来る。
また、一般に画像を用いてひび割れ61を検出する場合、1ピクセル以下の微細なひび割れ61の幅を正確に検出することは難しい。そのため、その結果として求められる健全度を正確に求めることも難しいと考えられる。しかしながら、微細なひび割れ61の幅を正確に検出することは難しくても、テンプレートマッチング法やデジタル画像相関法に代表される領域ベースの画像探索手法を適用すると、1ピクセル以下のサブピクセル精度のひび割れ61の幅の変動量を求めることは容易である場合が少なくない。そのため、ひび割れ61の幅の変動量に基づいて構造物6の健全度を求めることで、より容易により正確に健全度を求めることが可能となる。
なお、上述したように、ひび割れ61の幅は様々な影響を受けて変動する。そのため、構造物健全度評価装置3では、一定の健全度評価を行うことは難しい。しかしながら、構造物健全度評価装置3は、例えば構造物6に印加される外力の大きさが既知の場合には、すなわち、既知の重量のトラックなどを走行させるような場合には、正確に構造物6の健全度を評価することが出来る。また、例えば構造物6に印加される外力の大きさが未知の場合であっても、例えば時系列で取得した画像データのそれぞれに対して本発明を活用することで、最悪時(最もひび割れ幅が開くような状態)の構造物6の状態を評価することが出来る。そのため、構造物健全度評価装置3は、異常箇所の検索(スクリーニング)などに役立つと考えられる。
また、構造物健全度評価装置3は、時系列の画像データそれぞれに対して本発明を活用することで、速度や加速度などの情報も追加して、基準ひび割れ幅変動量と比較を行うことが出来る。その結果、構造物6の健全度やひび割れ61の深刻度などをよりきめ細かく評価することが出来るようになる。
また、本実施形態における構造物健全度評価装置3は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2と同様の構成を備えるとした。しかしながら、構造物健全度評価装置3は、第1の実施形態に係るひび割れ検出装置1によるひび割れ61の検出結果に基づいて構造物6の健全度を評価するように構成しても構わない。つまり、構造物健全度評価装置3は、ひび割れ検出装置1が検出したひび割れ61に対してひび割れ幅変動量を算出し、当該算出したひび割れ幅変動量に基づいて構造物6の健全度を評価するよう構成することが出来る。
また、構造物健全度評価装置3は、時系列で取得した画像データそれぞれの間で変位分布を算出してひび割れ61を検出し、検出したひび割れ61それぞれの間でひび割れ幅変動量を求めるように構成することが出来る。また、この場合には、構造物健全度評価装置3は、それぞれ求めたひび割れ幅変動量のうちの最大のひび割れ幅変動量と、基準ひび割れ幅変動量とを比較して健全度を評価するように構成することが出来る。このように構成することで、上記のように、最悪時(最もひび割れ幅が開くような状態)の構造物6の状態を評価することが出来る。
また、上記のように時系列でひび割れ幅変動量を求める場合には、構造物健全度評価装置3は、ひび割れ幅変動量の最大値を判別することが出来る。このようなひび割れ幅変動量が最大の状態においては、ひび割れ幅自体も広がっていることになる。そのため、ひび割れ幅が変動していない状態よりもひび割れ幅それ自体を計測することが容易であると考えられる。そこで、構造物健全度評価装置3は、ひび割れ幅変動量が最大のときに当該ひび割れ幅変動量が最大となる画像データを用いてひび割れ幅を測定し、当該測定したひび割れ幅に基づいて構造物6の健全度を評価するよう構成することが出来る。例えば、構造物健全度評価装置3は、図18で示すように、ひび割れ幅変動量が最大となる際の画像データに基づいてひび割れ幅を算出するひび割れ幅算出部368(ひび割れ幅算出手段)を備えるよう構成することが出来る。また、構造物健全度評価装置3は、ひび割れ幅算出部368による算出結果に基づいて構造物の健全度を評価するように構成することが出来る。なお、ひび割れ幅算出部368によるひび割れ幅の算出は、例えば、ひび両側(輝度値が異なる部分)間のピクセル数を計測するなど、既存の方法を用いることができる。また、例えば、構造物健全度評価装置3のひび割れ幅算出部368は、キャリブレーションバーを構造物6表面に配置して濃度値ヒストグラムを算出しておき、計測された濃度値からひび割れ幅を算出するように構成しても構わない。
次に本発明の第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、構造物6にかかっている外力(生じている応力)を取得する手段を備える構造物健全度評価装置4について説明する。構造物健全度評価装置4は、後述するように、算出したひび割れ幅変動量と当該ひび割れ幅変動量算出時の構造物6に印加されている外力とに基づいて、基準外力印加時のひび割れ幅変動量を算出するよう構成されている。本実施形態における構造物健全度評価装置4は、基準外力印加時のひび割れ幅変動量と、基準ひび割れ幅変動量とを比較することで、構造物6の健全度を評価することになる。なお、本実施形態においては、時系列で画像データを取得し、当該時系列で取得した画像データに基づいて、時系列でひび割れ幅変動量を求めている場合について説明する。また、本実施形態においては、ひび割れ幅変動時の時刻を参照可能なように構成されているとする。
図19を参照すると、本実施形態における構造物健全度評価装置4は、主な構成要素として、画像撮影部41と、通信I/F部42と、操作入力部43と、画面表示部44と、記憶部45と、演算処理部46と、外力取得部47(外力取得手段)と、を有している。なお、このうちの画像撮影部41と、通信I/F部42と、操作入力部43と、画面表示部44と、は、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3の画像撮影部31と、通信I/F部32と、操作入力部33と、画面表示部34と、と同一の機能を有している。そのため、説明は省略する。
記憶部45は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部45は、演算処理部46における各種処理に必要な処理情報やプログラム459を記憶する機能を有している。プログラム459は、演算処理部46に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。プログラム459は、通信I/F部42などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれ、記憶部45に保存されている。記憶部45で記憶される主な情報としては、画像情報451と変位分布情報452と領域情報453とひび割れ幅変動量情報454と基準ひび割れ幅変動量情報455と外力情報456と基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457と健全度情報458とがある。なお、画像情報451、変位分布情報452、領域情報453、ひび割れ幅変動量情報454、基準ひび割れ幅変動量情報455、健全度情報458、の構成は、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3の画像情報351、変位分布情報352、領域情報353、ひび割れ幅変動量情報354、基準ひび割れ幅変動量情報355、健全度情報356と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
外力情報456は、外力取得部47が取得した、構造物6に印加される外力の大きさを示す情報である。後述するように、外力取得部47は、構造物6に印加される外力を予め定められた時刻ごとに取得するよう構成されている。そのため、外力情報456は、時系列で外力を記憶している。図20は、外力情報456の構成例である。図20を参照すると、外力情報456には、外力取得時の時刻である外力取得時刻に対応付けて、構造物6に印加されている外力である印加外力が記憶されている。例えば、図20の1行目は、時刻「t1」時には構造物6に外力「ST1」が印加されていたことを示している。なお、外力情報456は、外力に基づいて算出される応力の大きさを示す情報であっても構わない。
基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457は、ひび割れ幅変動量情報454と外力情報456とに基づいて算出される、基準外力印加時のひび割れ幅変動量を示す情報である。図21は、基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457の構成例である。図21を参照すると、基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457には、ひび割れ61を識別するためのひび割れIDと対応付けて、基準外力印加時のひび割れ幅変動量である基準外力印加時ひび割れ幅変動量が記憶されている。例えば、図21の1行目は、基準外力が印加された際の、ひび割れID「C1」のひび割れ61のひび割れ幅変動量が「ΔC1―s」であることを示している。なお、基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457は、基準応力発生時のひび割れ幅変動量を示す情報であっても構わない。
演算処理部46は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部45からプログラム459を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム459とを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部46で実現される主な処理部として、画像取得部461と変位特徴量算出部462と領域分割部463とひび割れ検出部464とひび割れ幅変動量算出部465とひび割れ幅変動量比較部466と基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467(基準外力印加時ひび割れ幅変動量推定手段)と健全度出力部468とがある。なお、画像取得部461、変位特徴量算出部462、領域分割部463、ひび割れ検出部464、ひび割れ幅変動量算出部465、健全度出力部468の構成は、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3の画像取得部361、変位特徴量算出部362、領域分割部363、ひび割れ検出部364、ひび割れ幅変動量算出部365、健全度出力部367と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
ひび割れ幅変動量比較部466は、記憶部45から読み出した基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457と基準ひび割れ幅変動量情報455とに基づいて、構造物6の健全度を評価する機能を有する。つまり、ひび割れ幅変動量比較部466は、ひび割れ幅変動量情報454の代わりに基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457を用いて比較を行っている点が、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3のひび割れ幅変動量比較部366と異なっている。ひび割れ幅変動量比較部465の上記以外の構成は、ひび割れ幅変動量比較部366と同様である。
基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、記憶部45から読み出したひび割れ幅変動量情報454と外力情報456とに基づいて、構造物6に基準外力が印加された際のひび割れ幅変動量を算出する機能を有する。
例えば、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、記憶部45のひび割れ幅変動量情報454から、ひび割れID「C1」のひび割れ幅変動量「ΔC1」を読み出す。また、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、記憶部45のひび割れ幅変動量情報454から、ひび割れ幅が変動した時刻を読み出す。さらに、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、記憶部45の外力情報456から、ひび割れ幅が変動した時刻に構造物6に印加されていた印加外力を読み出す。例えば、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、ひび割れ幅が変動した時刻が「t1」である場合に、印加外力「ST1」を読み出す。
基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、上記情報の読み出しを、時系列のひび割れ幅変動量情報454それぞれに対して行う。そして、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、読み出したそれぞれの情報を用いてひび割れ幅変動量の印加外力が増加した場合の傾きを算出し、基準外力印加時のひび割れ幅変動量を算出する。
具体的に、基準外力200kN時のことを考える。この場合において、例えば、実測値として50kN付近の外力印加時のひび割れ幅変動量しか得られなかったとする。このような場合でも、図22を参照すると、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、50kN付近までの外力印加時のひび割れ幅変動量の傾きを算出することで、基準外力200kN時のひび割れ幅変動量を算出することが出来る。
その後、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、算出した結果を、基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457として記憶部45に保存する。つまり、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、ひび割れIDと基準外力印加時ひび割れ幅変動量とを対応付けて、基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457として記憶部45に保存する。
外力取得部47は、構造物6に印加されている外力を予め定められた時刻ごとに取得する機能を備えている。外力取得部47は、例えば、構造物6上を走行する車両の重量を計測することで構造物6に印加されている外力を取得する。なお、外力取得部47は、地震や打撃などの加振が加えられた際の構造物6自身の加速度を考慮して、構造物6に印加されている外力を取得しても構わない。また、外力取得部47は、構造物6への外力印加によって生じたたわみなどの変形量から、印加されている外力を取得するように構成しても構わない。また、外力取得部47は、取得した外力に基づいて構造物6に生じている応力を取得するように構成しても構わない。
具体的には、外力取得部47は例えば、車種推定用センサを備えて構成されている。車種推定用センサを用いて構造物6上を走行する車の種類を特定することで、外力取得部47は、構造物6に印加されている外力を取得することになる。その後、外力取得部47は、取得した外力を、当該外力を取得した時刻と対応づけて外力情報456に保存する。
以上が、構造物健全度評価装置4の構成についての説明である。
次に、構造物健全度評価装置4の動作について説明する。図23は、本実施形態に係る構造物健全度評価装置4の動作を示すフローチャートである。以下、図23を参照して、構造物健全度評価装置4の動作について説明する。なお、図23で示すステップS301からステップS305までの構造物健全度評価装置4の動作は、第3の実施形態に係るひび割れ検出装置3のステップS201からS205までの動作とまったく同じである(図17参照)。そのため、以下においては、ステップS306以降の構造物健全度評価装置4の動作について説明する。
上記のように、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3と同様の動作により、構造物健全度評価装置4のひび割れ変動量算出部465がひび割れ幅変動量を算出する(ステップS305)。そして、ひび割れ変動量算出部465は、算出したひび割れ幅変動量をひび割れ幅変動量情報454に保存する。
また、外力取得部47が、予め定められた時刻ごとに構造物6に印加されている外力を取得する。そして、外力取得部47は、取得した外力を、当該外力を取得した時刻と対応付けて、外力情報456に保存する。
次に、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467が、記憶部45のひび割れ幅変動量情報454に記憶されているひび割れ幅変動量と、外力情報456に記憶されている印加外力と、に基づいて、基準外力印加時ひび割れ幅変動量を算出する(ステップS306)。そして、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467は、算出した基準外力印加時ひび割れ幅変動量を記憶部45の基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457に保存する。
続いて、ひび割れ幅変動量比較部466が、記憶部45の基準外力印加時ひび割れ幅変動量情報457に記憶されている基準外力印加時ひび割れ幅変動量と、基準ひび割れ幅変動量情報455に記憶されている基準ひび割れ幅変動量と、の比較を行い(ステップS307)、構造物6の健全度の評価を行う。そして、ひび割れ幅変動量比較部466は、評価結果を健全度情報458に保存する。
その後、健全度出力部468が、記憶部45の健全度情報458を読み出して、画面表示部44に表示する(ステップS308)。
このように、本実施形態における構造物健全度評価装置4は、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467を有している。このような構成により、構造物健全度評価装置4のひび割れ幅変動量比較部466は、基準外力印加時ひび割れ幅変動量算出部467が算出した基準外力印加時ひび割れ幅変動量と基準ひび割れ幅変動量との比較の結果として健全度を評価することが出来る。その結果、構造物健全度評価装置4は、一定の健全度評価を行うことが可能となる。
なお、構造物健全度評価装置4は、印加される外力による構造物自身の速度や加速度などの情報も考慮して、基準ひび割れ幅変動量と比較を行うよう構成しても構わない。
また、構造物健全度評価装置4は、第1の実施形態に係るひび割れ検出装置1によるひび割れ61の検出結果に基づいて構造物6の健全度を評価するように構成しても構わない。つまり、構造物健全度評価装置4は、ひび割れ検出装置1が検出したひび割れ61に対してひび割れ幅変動量を算出し、当該算出したひび割れ幅変動量に基づいて基準外力印加時ひび割れ幅変動量を算出するよう構成することが出来る。
また、構造物健全度評価装置4は、ひび割れ幅変動量が最大のときのひび割れ幅を測定し、当該測定したひび割れ幅に基づいて構造物6の健全度を評価するよう構成することが出来る。なお、ひび割れ幅の測定は、例えば、ヒビ両側(輝度値が異なる部分)のピクセル数を計測するなど、既存の方法を用いることが考えられる。また、例えば、構造物健全度評価装置3は、キャリブレーションバーを構造物6表面に配置して濃度値ヒストグラムを算出しておき、計測された濃度値からひび割れ幅を算出するように構成しても構わない。
次に本発明の第5の実施形態について図面を参照して説明する。
[第5の実施形態]
第5の実施形態では、ひび割れ61の幅の変動量を算出して、当該算出したひび割れ61の幅の変動量と、構造物6に外部から印加された外力と、に基づいて、構造物6の表面に形成されたひび割れ61の深さを評価する、ひび割れ深さ評価装置7について説明する。
図24を参照すると、本実施形態におけるひび割れ深さ評価装置7は、主な構成要素として、画像撮影部71と、通信I/F部72と、操作入力部73と、画面表示部74と、記憶部75と、演算処理部76と、外力取得部77と、を有している。なお、このうちの画像撮影部71と、通信I/F部72と、操作入力部73と、画面表示部74と、は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2の画像撮影部21と、通信I/F部22と、操作入力部23と、画面表示部24と、と同一の機能を有している。また、外力取得部77は、第4の実施形態に係る構造物健全度評価装置4の外力取得部47と同一の機能を有している。そのため、説明は省略する。
記憶部75は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部75は、演算処理部76における各種処理に必要な処理情報やプログラム757を記憶する機能を有している。プログラム757は、演算処理部76に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。プログラム757は、通信I/F部72などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれ、記憶部75に保存されている。記憶部75で記憶される主な情報としては、画像情報751と変位分布情報752と領域情報753とひび割れ幅変動量情報754とひび割れ深さ情報755と外力情報756とがある。なお、画像情報751、変位分布情報752、領域情報753、の構成は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2の画像情報251、変位分布情報252、領域情報253、と同様の構成である。また、ひび割れ幅変動量情報754の構成は、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3のひび割れ幅変動量情報354と同様の構成である。また、外力情報756の構成は、第4の実施形態に係る構造物健全度評価装置4の外力情報456と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
ひび割れ深さ情報755は、ひび割れ幅変動量情報754と外力情報756とに基づいて算出される、ひび割れの深さを示す情報である。図25は、ひび割れ深さ情報755の構成例である。図25を参照すると、ひび割れ深さ情報755には、ひび割れ61を識別するためのひび割れIDとひび割れの深さを示すひび割れ深さとが対応付けて記憶されている。例えば、図25の1行目は、ひび割れID「C1」のひび割れ深さが「D1」であることを示している。
なお、ひび割れ深さ情報755は、ひび割れ61の存在する位置を示す情報(例えば、座標や隣接する領域の領域ID)などを含んでいても構わない。また、ひび割れ深さ情報755は、ひび割れの深さを計測した時刻(例えば、元になった画像データの取得時間)を示す情報を含んでいても構わない。
演算処理部76は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部75からプログラム757を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム757とを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部76で実現される主な処理部として、画像取得部761と変位特徴量算出部762と領域分割部763とひび割れ検出部764とひび割れ幅変動量算出部765とひび割れ深さ算出部766(ひび割れ深さ算出手段)とひび割れ深さ出力部767とがある。なお、画像取得部761、変位特徴量算出部762、領域分割部763、の構成は、第2の実施形態に係るひび割れ検出装置2の画像取得部261、変位特徴量算出部262、領域分割部263、と同様の構成である。また、ひび割れ検出部764、ひび割れ幅変動量算出部765、の構成は、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3のひび割れ検出部364、ひび割れ幅変動量算出部365、と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
ひび割れ深さ算出部766は、記憶部75からひび割れ幅変動量情報754と外力情報756とを読出し、当該読み出したひび割れ幅変動量情報754と外力情報756とに基づいて、ひび割れ61のひび割れ深さを算出する。そして、ひび割れ深さ算出部766は、算出したひび割れ深さを、ひび割れ61を識別するための情報と対応付けて、ひび割れ深さ情報755として記憶部75に保存する。
具体的には、例えば、構造物6に外力Fを印加したときの構造物6の表面に形成されたひび割れ61のひび割れ深さD1を評価する場合を考える。この場合のひび割れ幅変動量がΔC1であるとすると、外力Fとひび割れ深さD1とひび割れ幅変動量ΔC1との間には、以下の関係性があるものと考えられる。
(ひび割れ幅変動量ΔC1)=(外力F)×(定数a)×(ひび割れ深さD1)
なお、定数aは構造物6の材料及び構造に依存する定数である。
また、以上の関係からすると、ひび割れ深さD1は、以下の式に基づいて求めることが出来るものと考えられる。
(ひび割れ深さD1)=(ひび割れ幅変動量ΔC1)/((外力F)×(定数a))
なお、上記式は、構造物にとって線形弾性変形が生じる範囲の大きさの外力が加わったときに成り立つことになる。
ひび割れ深さ算出部766は、例えば上記式を用いて、ひび割れ幅変動量情報754が示すひび割れ幅変動量ΔC1と外力情報756が示す外力Fとから、ひび割れ深さD1を算出する。そして、ひび割れ深さ算出部766は、算出したひび割れ深さD1を、ひび割れ幅深さ変動量の算出元であるひび割れ61を識別する情報と対応付けて、ひび割れ深さ情報755として記憶部75に保存する。
なお、ひび割れ深さ算出部766は、様々な方法を用いて求めたひび割れ幅変動量ΔC、外力Fを用いて、ひび割れ深さD1を算出することが出来る。
例えば、ひび割れ深さ算出部766は、重量が既知の車両を静的な荷重として載荷したときの外力F及びそのとき観測されたひび割れ幅変動量ΔCを用いて、ひび割れ深さD1を算出することが出来る。また、ひび割れ深さ算出部766は、動的な荷重としての車両を通過させたときの外力Fとそのときのひび割れ幅変動量ΔCとを用いて、ひび割れ深さD1を算出しても構わない。また、ひび割れ深さ算出部766は、一定の周期で上下運動する重りにより印加される外力が繰り返し変化する場合に、変動するひび割れ幅変動量ΔCとそのときの外力Fの関係を利用してひび割れ深さD1を算出しても構わない。
また、ひび割れ深さ算出部766がひび割れ深さD1を算出する際に用いる材料及び構造に依存する定数aは、様々な方法を用いて求めることが出来る。
例えば、材料及び構造に依存する定数aは、既知のひび割れを利用して予め求めておくことが考えられる。例えば、構造物6にある荷重(外力)Fをかけたときのひび割れ幅変動量ΔCを取得するとともに、ひび割れ深さDの実測値を、深さ計測用の針挿入による実測や、超音波法や衝撃弾性波を用いたひび割れ深さ実測の結果を用いて予め取得しておく。そして、これらの情報を用いて、ひび割れ深さD=ΔC/(F×a)の関係式により、材料及び構造に依存する定数aを予め算出しておくことが考えられる。このように、ひび割れ深さ算出部766は、ひび割れ深さD1を算出する際に予め算出された材料及び構造に依存する定数aを用いることが出来る。また、ひび割れ深さ算出部766は、例えば、構造物6への外力印加によって生じたたわみなどの変形量から、材料情報及び構造情報に基づいて、計算によって材料及び構造に依存する定数aを算出するように構成しても構わない。
なお、同じ材料及び構造の構造物に生じるひび割れ深さDの相対評価を行う際には、材料及び構造に依存する定数aは、そのまま定数として扱うことが可能である。その場合には、定数aの係数を比較することで、同じ材料及び構造の構造物間において、ひび割れ深さDの相対評価を行うことが可能となる。
ひび割れ深さ出力部767は、記憶部75からひび割れ深さ情報755を読み出し、画面表示部74に表示する機能を有する。この際に、ひび割れ深さ出力部767は、例えばひび割れ61の検出の対象となった画像データ上に(又は例えば変位分布上に)算出したひび割れ61の深さを表示するよう構成しても構わない。また、算出したひび割れ61の深さによって色分けをして表示するように構成しても構わない。
以上が、ひび割れ深さ評価装置7の構成についての説明である。
次に、ひび割れ深さ評価装置7の動作について説明する。図26は、本実施形態に係るひび割れ深さ評価装置7の動作を示すフローチャートである。以下、図26を参照して、ひび割れ深さ評価装置7の動作について説明する。なお、図26で示すステップS401からステップS405までのひび割れ深さ評価装置7の動作は、第3の実施形態に係る構造物健全度評価装置3のステップS201からステップS205までの動作と同じである
(図17参照)。そのため、以下においては、ステップS406以降のひび割れ深さ評価装置7の動作について説明する。
上記のように、第3の実施形態に係る構造物健全度評価3と同様の動作により、ひび割れ深さ評価装置7のひび割れ幅変動量算出部765がひび割れ幅変動量を算出する(ステップS405)。そして、ひび割れ幅変動量算出部765は、算出したひび割れ幅変動量をひび割れ幅変動量情報754に保存する。また、外力取得部77は、構造物6に印加されている外力を取得して、外力情報756に保存する。
続いて、ひび割れ深さ算出部766は、記憶部75のひび割れ幅変動量情報754に記憶されているひび割れ幅変動量と、外力情報756に記憶されている印加外力と、に基づいて、ひび割れ深さを算出する(ステップS406)。そして、ひび割れ深さ算出部766は、算出したひび割れ深さを、ひび割れ幅深さ変動量の算出元であるひび割れ61を識別する情報と対応付けて、ひび割れ深さ情報755として保存する。
その後、ひび割れ深さ出力部767が、記憶部75のひび割れ深さ情報755を読み出して、画面表示部74に表示する(ステップS407)。
このように、本実施形態におけるひび割れ深さ評価装置7は、ひび割れ深さ算出部766を有している。また、ひび割れ深さ評価装置7は、外力取得部77から取得した外力情報756を記憶している。このような構成により、ひび割れ深さ算出部766は、ひび割れ幅変動量算出部765が算出したひび割れ幅変動量とそのときに印加された外力とに基づいて、検出したひび割れ61の深さを算出することが出来る。その結果、ひび割れ深さ評価装置7は、画像的に類似している模様などをひび割れ61として誤検出することなく、構造物6表面に現れるひび割れ61を検出して、その深さを算出することが出来る。
以下に、上述したひび割れ深さ評価装置7を用いて、図27に示す橋梁を模した両持ち張実験系により、ひび割れの深さとひび割れ幅変動量と荷重(外力)との関係を評価した際の一例を示す。図28は、ひび割れ深さ評価装置7を用いて得られた、ひび割れの深さとひび割れ幅変動量と荷重(外力)との関係の一例である。図27、図28で示す実験系では、梁長200mm、梁幅100mm、梁厚30mm、ヤング率14MPaの発泡ポリスチレン材の梁を用いて上記関係を評価している。
図28を参照すると、印加する外力である荷重Fが2倍になると、ひび割れ幅変動量ΔCもおよそ2倍になっていることが分かる。
また、ひび割れの深さが5mmのサンプルでは、例えば、印加する荷重が2kgfのとき、ひび割れ幅変動量ΔCが138μmとなった。この数値を用いてひび割れ深さDを算出すると、ひび割れ深さDは69/a[μm/kgf]となることになる。また、ひび割れの深さが10mmのサンプルでは、例えば、印加する荷重が2kgfのとき、ひび割れ幅変動量ΔCが272μmとなった。この数値を用いてひび割れ深さDを算出すると、ひび割れ深さDは136/a[μm/kgf]となることになる。
以上の結果から、荷重Fが一定のとき、ひび割れの深さが約2倍になると、ひび割れ深さDの値も約2倍になり、ひび割れ深さDとひび割れの深さに比例する係数ΔCとの間には線形の関係があることが確かめられた。
また、同様に、図28より、材料や構造に依存する定数aを算出すると、ひび割れの深さが5mmのときと10mmのとき、ともに、0.0136[kgf]程度と算出される。以上の結果から、材料や構造に依存する定数aの値は、ほぼ一定であることが確かめられた。
なお、本実施形態におけるひび割れ深さ評価装置7は、第1の実施形態から第4の実施形態までに説明した内容と同様の様々な変更を行うことが可能である。
次に本発明の第6の実施形態について図面を参照して説明する。
[第6の実施形態]
第6の実施形態では、第5の実施形態で説明したひび割れ深さ評価装置7が算出したひび割れ61の深さに基づいて構造物6の健全度を評価する、構造物健全度評価装置8について説明する。
図29を参照すると、本実施形態における健全度評価装置8は、画像撮影部81と、通信I/F部82と、操作入力部83と、画面表示部84と、記憶部85と、演算処理部86と、外力取得部87と、を有している。なお、このうちの画像撮影部81と、通信I/F部82と、操作入力部83と、画面表示部84と、外力取得部87と、は、第5の実施形態に係るひび割れ深さ評価装置7の画像撮影部71と、通信I/F部72と、操作入力部73と、画面表示部74と、外力取得部77と、と同一の機能を有している。そのため、説明は省略する。
記憶部85は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部85は、演算処理部86における各種処理に必要な処理情報やプログラム859を記憶する機能を有している。プログラム859は、演算処理部86に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。プログラム859は、通信I/F部82などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記憶媒体(図示せず)から予め読み込まれ、記憶部85に記憶されている。記憶部85で記憶される主な情報としては、画像情報851と変位分布情報852と領域情報853とひび割れ幅変動量情報854とひび割れ深さ情報855と基準ひび割れ深さ情報856と外力情報857と健全度情報858とがある。なお、画像情報851、変位分布情報852、領域情報853、ひび割れ幅変動量情報854、ひび割れ深さ情報855、外力情報857の構成は、第5の実施形態に係るひび割れ深さ評価装置7の画像情報751、変位分布情報752、領域情報753、ひび割れ幅変動量情報754、ひび割れ深さ情報755、外力情報756、と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
基準ひび割れ深さ情報856は、構造物6の健全度を評価する際の基準となるひび割れの深さである基準ひび割れ深さを示す情報である。基準ひび割れ深さ情報856は、例えば通信I/F部82や操作入力部83などを介して予め入力されることで、記憶部85に記憶されている。図30は、基準ひび割れ深さ情報856の構成例である。図30を参照すると、基準ひび割れ深さ情報856には、構造物6の健全度を評価する際の基準となる基準ひび割れ深さが記憶されている。例えば、図30の1行目は、基準ひび割れ深さがSD1であることを示している。なお、基準ひび割れ深さ情報756は、複数の基準ひび割れ深さを含んでいても構わない。
健全度情報858は、ひび割れ深さ(図25参照)と基準ひび割れ深さ(図30参照)とに基づいて算出される、構造物6の健全度を示す情報である。健全度情報858は、算出する際に基づく情報が異なるが、構成例は図16で示す健全度情報356と同様となる。そのため、健全度情報858の詳細な説明は省略する。
演算処理部86は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部85からプログラム859を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム859とを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部86で実現される主な処理部として、画像取得部861と変位特徴量算出部862と領域分割部863とひび割れ検出部864とひび割れ幅変動量算出部865とひび割れ深さ算出部866とひび割れ深さ比較部867(第2の健全度評価手段)と健全度出力部868とがある。なお、画像取得部861、変位特徴量算出部862、領域分割部863、ひび割れ検出部864、ひび割れ幅変動量算出部865、ひび割れ深さ算出部866、の構成は、第5の実施形態に係るひび割れ深さ評価装置7の画像取得部761、変位特徴量算出部762、領域分割部763、ひび割れ検出部764、ひび割れ幅変動量算出部765、ひび割れ深さ算出部766、と同様の構成である。そのため、説明は省略する。
ひび割れ深さ比較部867は、記憶部85からひび割れ深さ情報855と基準ひび割れ深さ情報856とを読み出して、当該読み出したひび割れ深さ情報855と基準ひび割れ深さ情報856とに基づいて、構造物6の健全度を評価する機能を有する。例えば、ひび割れ深さ比較部867は、ひび割れ深さD1として「10mm」を読み出す。また、ひび割れ深さ比較部867は、基準ひび割れ深さSD1として「5mm」を読み出す。そして、ひび割れ深さ比較部867は、ひび割れ深さD1と基準ひび割れ深さSD1との比較を行う。この場合、ひび割れ深さD1の方が基準ひび割れ深さSD1よりも大きい。そのため、ひび割れ深さ比較部867は、構造物6の健全度を例えば悪いと判断する。
その後、ひび割れ深さ比較部867は、ひび割れ深さと基準ひび割れ深さとを比較した結果求めた健全度を、当該健全度の対象となる(ひび割れ61を有する)構造物6を識別するための構造物識別IDと対応付けて、健全度情報858として記憶部85に保存する。
なお、ひび割れ深さ比較部867は、基準ひび割れ深さ情報856に複数の基準ひび割れ深さが含まれている場合、それぞれの基準ひび割れ深さを閾値として比較することで健全度を段階的に評価するよう構成しても構わない。
健全度出力部868は、記憶部85から健全度情報858を読み出し、画面表示部84に表示する機能を有する。例えば、健全度出力部868は、変位分布情報852から対応する変位分布も読み出すことで、健全度を変位分布に重畳して画面表示部84に表示する。
以上が、構造物健全度評価装置8の構成についての説明である。
次に、構造物健全度評価装置8の動作について説明する。図31は、本実施形態に係る構造物健全度評価装置8の動作を示すフローチャートである。以下、図31を参照して、構造物健全度評価装置8の動作について説明する。なお、図31で示すステップS501からステップS506までの構造物健全度評価装置8の動作は、第5の実施形態に係るひび割れ深さ評価装置7のステップS401からステップS406までの動作と同じである(図26参照)。そのため、以下においては、ステップS507以降の構造物健全度評価装置8の動作について説明する。
上記のように、第5の実施形態に係るひび割れ深さ評価装置7と同様の動作により、構造物健全度評価装置8のひび割れ深さ算出部866がひび割れ61の深さを算出する(ステップS506)。そして、ひび割れ深さ算出部866は、算出結果をひび割れ深さ情報855に保存する。
続いて、ひび割れ深さ比較部867が、記憶部85のひび割れ深さ情報855に記憶されているひび割れ深さと、基準ひび割れ深さ情報856に記憶されている基準ひび割れ深さと、の比較を行い(ステップS507)、構造物6の健全度の評価を行う。そして、ひび割れ深さ比較部867は、評価結果を健全度情報858に保存する。
その後、健全度出力部868が、記憶部85の健全度情報858を読み出して、画面表示部34に表示する(ステップS508)。
このように、本実施形態における構造物健全度評価装置8は、ひび割れ深さ比較部867を有している。また、構造物健全度評価装置8は、基準ひび割れ深さ情報856を記憶している。このような構成により、ひび割れ深さ比較部867は、ひび割れ深さ算出部866が算出したひび割れ深さと、基準ひび割れ深さと、を比較することで、構造物6の健全度を評価することが出来る。上述したように、本実施形態における構造物健全度評価装置8は、画像的に類似している模様などをひび割れ61として誤検出することなく構造物6表面に現れるひび割れ61を検出することが出来る。そのため、検出したひび割れ61のひび割れ深さに基づいて構造物6の健全度を評価することで、より正確に構造物6の健全度を評価することが出来る。
なお、本実施形態における構造物健全度評価装置8は、第1の実施形態から第5の実施形態までに説明した内容と同様の様々な変更を行うことが可能である。
[第7の実施形態]
第7の実施形態では、少なくとも2つの測定点における時間的な位置の変化に基づいて構造物6上に発生したひび割れ61を検出するひび割れ検出装置5について説明する。なお、本実施形態では、ひび割れ検出装置5の構成の概要について説明する。
図32を参照すると、本実施形態におけるひび割れ検出装置5は、測定点位置変化検出手段51と、ひび割れ検出手段52と、を有している。
測定点位置変化検出手段51は、構造物6上の少なくとも2つの測定点における時間的な位置の変化を検出する機能を有している。測定点位置変化検出手段51は、上記のように、構造物6上の少なくとも2つの測定点における時間的な位置の変化を検出する。そして、測定点位置変化検出手段51は、検出結果をひび割れ検出手段52に通知する。
ひび割れ検出手段52は、測定点位置変化検出手段51が検出した各測定点の位置の変化に基づいてひび割れ61を検出する機能を有している。ひび割れ検出手段52は、測定点位置変化検出手段51から検出結果の通知を受信する。そして、ひび割れ検出手段52は、受信した検出結果に基づいてひび割れ61を検出する。
このように、本実施形態におけるひび割れ検出装置5は、測定点位置変化検出手段51と、ひび割れ検出手段52と、を有している。このような構成により、ひび割れ検出装置5は、測定点位置変化検出手段51による検出結果に基づいてひび割れ61を検出することが出来る。一般に、ひび割れ61の幅は様々な影響を受けて変動する。そのため、測定点の時間的な位置の変化はひび割れ61の幅の変動の影響を受けることになる。一方、画像的に類似している模様などには、そのような特徴はない。そのため、測定点の時間的な位置の変化に基づいてひび割れ61を検出することで、画像的に類似している模様などをひび割れ61として誤検出することなく構造物6表面に現れるひび割れ61を検出することが出来る。
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるひび割れ検出装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
構造物上のひび割れを検出する情報処理装置であって、
前記構造物上の少なくとも2つの測定点における位置の変化を検出する測定点位置変化検出手段と、
前記測定点位置変化検出手段が検出した前記各測定点の位置の変化に基づいてひび割れを検出するひび割れ検出手段と、
を有する情報処理装置。
(付記2)
前記ひび割れ検出手段は、前記構造物上の2つの測定点の位置の変化の関係性に基づいて、前記2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記ひび割れ検出手段は、前記2つの測定点の位置の変化が所定の条件を満たす場合に当該2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記ひび割れ検出手段は、前記2つの測定点の位置の変化の関係性と、その周辺の測定点の位置の変化の関係性とに基づいて、前記2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記1乃至3の何れかに記載の情報処理装置。
(付記5)
前記測定点の位置の変化に基づいて、前記ひび割れ検出手段が検出したひび割れのひび割れ幅の変動量であるひび割れ幅変動量を算出するひび割れ幅変動量算出手段を有する
付記1乃至4の何れかに記載の情報処理装置。
(付記6)
前記ひび割れ幅変動量算出手段は、前記ひび割れ検出手段が検出したひび割れのひび割れ幅の変動量の最大値を前記ひび割れ幅変動量として算出する
付記5に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記ひび割れ幅変動量算出手段が算出した前記ひび割れ幅変動量に基づいて対象の構造物の健全度を評価する第1の健全度評価手段を有する
付記5又は6に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記第1の健全度評価手段は、
健全度を評価する基準となる基準ひび割れ幅変動量を記憶する基準ひび割れ幅変動量記憶手段と、
前記ひび割れ幅変動量算出手段が算出した前記ひび割れ幅変動量と前記基準ひび割れ幅変動量記憶手段が記憶する基準ひび割れ幅変動量とを比較するひび割れ幅変動量比較手段と、を含み、
前記ひび割れ幅変動量比較手段による比較結果に基づいて、対象の構造物の健全度を評価する
付記7に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記ひび割れ検出手段が検出したひび割れを有する構造物にかかる外力を取得する外力取得手段と、
前記外力取得手段により取得した前記ひび割れ幅変動量算出時の外力と、前記ひび割れ幅変動量と、に基づいて、健全度を評価する際の基準となる外力が印加された際のひび割れ幅変動量である基準外力印加時ひび割れ幅変動量を推定する基準外力印加時ひび割れ幅変動量推定手段と、を有し、
前記第1の健全度評価手段は、前記基準外力印加時ひび割れ幅変動量と前記基準ひび割れ幅変動量との比較結果に基づいて、対象の構造物の健全度を評価する
付記8に記載の情報処理装置。
(付記10)
ひび割れを検出する対象となる構造物を示す画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記ひび割れ幅変動量算出手段が算出する前記ひび割れ幅変動量が最大となる際の画像データに基づいて、前記ひび割れ検出手段が検出したひび割れのひび割れ幅を算出するひび割れ幅算出手段と、を有する
請求項5乃至9の何れかに記載の情報処理装置。
(付記11)
前記ひび割れ検出手段が検出したひび割れを有する構造物にかかる外力を取得する外力取得手段と、
前記外力取得手段により取得した前記ひび割れ幅変動量算出時の外力と、前記ひび割れ幅変動量と、に基づいて、前記ひび割れ検出手段が検出したひび割れの深さを算出するひび割れ深さ算出手段と、を有する
付記5乃至10の何れかに記載の情報処理装置。
(付記12)
前記ひび割れ深さ算出手段が算出したひび割れの深さに基づいて対象の構造物の健全度を評価する第2の健全度評価手段を有する
付記11に記載の情報処理装置。
(付記13)
前記第2の健全度評価手段は、前記ひび割れ深さ算出手段が算出したひび割れの深さと、健全度を評価する基準となるひび割れの深さである基準ひび割れ深さと、の比較結果に基づいて対象の構造物の健全度を評価する
付記12に記載の情報処理装置。
(付記14)
前記測定点位置変化検出手段は、前記構造物上の少なくとも2つの測定点における、所定の外力印加前後の位置の変化を検出し、
前記ひび割れ検出手段は、前記所定の外力印加前後の前記構造物上の各測定点の位置の変化に基づいてひび割れを検出する
付記1乃至13の何れかに記載の情報処理装置。
(付記15)
前記測定点位置変化検出手段は、前記測定点の位置の変化として当該測定点の変位方向又は変位量若しくはその両方を検出し、
前記ひび割れ検出手段は、前記測定点位置変化検出手段が検出した各測定点における変位方向又は変位量若しくはその両方に基づいて、ひび割れを検出する
付記1乃至14のいずれかに記載の情報処理装置。
(付記16)
前記測定点位置変化検出手段は、前記測定点の位置の変化に基づいて当該測定点の位置の変化の分布を示す変位分布を算出し、
前記ひび割れ検出手段は、算出した前記変位分布と前記測定点の位置の近さに基づいて前記測定点を複数の領域に分割し、分割した前記複数の領域ごとの位置の変化に基づいて前記複数の領域の境界にひび割れがあることを検出する
付記1乃至15に記載の情報処理装置。
(付記17)
前記ひび割れ検出手段は、変化が所定の条件を満たす領域を1つの領域として前記測定点を複数の領域に分割し、分割した領域の境界にひび割れがあることを検出する
付記16に記載の情報処理装置。
(付記18)
構造物上のひび割れを検出する情報処理方法であって、
前記構造物上の少なくとも2つの測定点における位置の変化を検出し、
検出した前記各測定点の位置の変化に基づいてひび割れを検出する
情報処理方法。
(付記18−1)
前記ひび割れの検出は、前記構造物上の2つの測定点の位置の変化の関係性に基づいて、前記2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記18に記載の情報処理方法。
(付記18−2)
前記ひび割れの検出は、前記2つの測定点の位置の変化の関係性と、その周辺の測定点の位置の変化の関係性とに基づいて、前記2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記18又は18−1に記載の情報処理方法。
(付記18−3)
前記ひび割れの検出は、前記2つの測定点の位置の変化が所定の条件を満たす場合に当該2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記18−2に記載の情報処理方法。
(付記19)
コンピュータを、
前記構造物上の少なくとも2つの測定点における時間的な位置の変化を検出する測定点位置変化検出手段と、
前記測定点位置変化検出手段が検出した前記各測定点の位置の変化に基づいてひび割れを検出するひび割れ検出手段と
して機能させるプログラム。
(付記19−1)
前記ひび割れ検出手段は、前記構造物上の2つの測定点の位置の変化の関係性に基づいて、前記2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記19に記載のプログラム。
(付記19−2)
前記ひび割れ検出手段は、前記2つの測定点の位置の変化の関係性と、その周辺の測定点の位置の変化の関係性とに基づいて、前記2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記19又は19−1に記載のプログラム。
(付記19−3)
前記ひび割れ検出手段は、前記2つの測定点の位置の変化が所定の条件を満たす場合に当該2つの測定点の間にひび割れがあることを検出する
付記19−2に記載のプログラム。
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
なお、本発明は、日本国にて2014年4月16日に特許出願された特願2014−085029の特許出願に基づく優先権主張の利益を享受するものであり、当該特許出願に記載された内容は、全て本明細書に含まれるものとする。