図8に従来の医療用テーブル100を示し、Aは天板102が収納されている状態、Bは天板102が移動して引き出され、使用されている状態を示す。図8に示す従来の医療用テーブル100や特許文献1に記載された水平移動載置台装置には、電動式で天板102を移動させる移動用の各種スイッチが設けられている。天板102を移動させて引き出す場合、例えばレバー型のスイッチ104を引いたり、窪んだ形状の底に配置された窪みの中にあるスイッチ106を押したりすることで、約500mm水平方向に移動する。これにより、天板102に置いた検査装置が被検者の前に移動して診察や検査ができるようになる。また、診察や検査が終了した後は、レバー型のスイッチ104を押したり、窪みの中にあるスイッチ106を押したりして、天板102を収納する。
移動用の各種スイッチは人が操作しやすい位置や体に触れやすい位置にあるため、誤ってスイッチに触れてしまうことがある。診察や検査中に誤ってスイッチに触れることを防ぐため、人が触れにくい位置にある図8に示すレバー型のスイッチ104、窪みの中にあるスイッチ106を設けている。しかし、窪みの中にあるスイッチ106は、誤操作は起こし難いが、押し難い位置でもある。さらに、窪みの中にあっても検査者の肘がスイッチ104に当たることもある。また、レバー型のスイッチ104は、人が医療用テーブル100の近くで動いているときなどの場合に、手や足などが天板102の側面に触れることもある。このため、人が触れにくい位置にスイッチがあったとしても、スイッチへの接触を完全に防ぐことできない。これにより、天板102を停止させている診察中や検査中など、必要としないときに天板102が移動してしまうという課題がある。そして、診察や検査に支障が生じることがある。また、診察や検査以外の未使用時にも天板102が引き出されてしまうことがある。
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、天板を移動させ、停止させる移動停止機構を具備する医療用テーブルにおいて、必要なとき以外に誤って天板を移動させてしまうことがない医療用テーブルを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の医療用テーブルは次の構成を備える。すなわち本発明は、天板と、該天板を移動および停止させる移動停止機構とを具備する医療用テーブルであって、前記移動停止機構は、前記天板を移動および停止させるための操作を検出する複数の移動停止用の検出領域を有する移動停止用のタッチセンサと、該移動停止用のタッチセンサに対する操作を検出して前記移動停止用のタッチセンサへの操作情報を認識し、該操作情報に応じて前記天板の移動および停止を制御する制御部と、を具備し、前記移動停止用の検出領域は、前記天板の移動方向と同一方向に並んで配置された第1検出領域と第2検出領域とを含み、前記制御部は、前記天板が停止している状態において、前記移動停止用のタッチセンサに対する操作が開始される前記移動停止用の検出領域における操作開始位置と、前記移動停止用のタッチセンサに対する操作が終了される前記移動停止用の検出領域における操作終了位置とが異なる位置であると認識し、前記第1検出領域と前記第2検出領域が連続してタッチされたと認識した場合に、タッチされた順番に一致する方向に前記天板を移動させ、予め設定された距離を移動したら停止させることを特徴とする。この構成によれば、タッチセンサに触れただけで天板を移動させてしまうことがなくなる。
また、本発明において、前記制御部は、前記天板が移動している状態において、前記移動停止用のタッチセンサに対して操作がタッチのみである場合に、前記天板を停止させる。これによれば、制御部が操作開始位置と操作終了位置とが同じ位置であると認識した場合は、天板の移動を停止させることができ、緊急停止など咄嗟な判断が必要な場合でもタッチ操作のみであるので、天板の移動を容易に停止させることができる。
また、本発明において、前記制御部は、前記天板が停止している状態において、前記移動停止用のタッチセンサに対する操作がされた場合に、前記操作開始位置から前記操作終了位置までの操作長さを基に、前記天板を移動させるか否かを判断し、前記天板を移動させる。これによれば、意図せずにタッチセンサに触れるような場合、例えば、僅かな距離だけタッチセンサ上で触れながら動かしたり、指の腹以外の広い範囲でタッチセンサに触れたりしたとしても、適宜天板を動かすために必要な操作長さを設定して誤って天板が動いてしまうことを防げる。
また、本発明において、前記移動停止用のタッチセンサの前記移動停止用の検出領域は、平面視において、特定方向に突出する凸部と特定方向に窪む凹部を有する形状であり、前記凸部の一部が、前記特定方向に隣接する前記移動停止用の検出領域の凹部に食い込むように配置されている。これによれば、指が複数の移動停止用の検出領域に触れ、タッチされて最も感度が高い(静電容量値が高い)検出領域を中心として、それ以外の触れている検出領域との感度差の比率から移動停止用の検出領域における指の位置を正確に測ることができる。
また、本発明において、前記制御部は、前記天板が停止している状態において、前記移動停止用のタッチセンサに対する操作がされた場合に、前記第1検出領域がタッチされた時間と前記第2検出領域がタッチされた時間との時間差を基に、前記天板を移動させるか否かを判断し、前記天板を移動させる。これによれば、例えば2つの検出領域を素早く連続して触れたときに天板を動かすよう適宜時間差を設定し、限られた操作のみで天板を動かすことができるので、誤って天板が動いてしまうことを防げる。
また、本発明において、前記移動停止用のタッチセンサは、第1タッチセンサと第2タッチセンサとを含む複数の前記移動停止用のタッチセンサを有し、前記第1タッチセンサは、前記第1検出領域を有し、前記第2タッチセンサは、前記第2検出領域を有している。これによれば、第1タッチセンサと第2タッチセンサとを離して設けてもよい。
また、本発明において、前記制御部は、前記天板が移動している状態において、複数の前記移動停止用の検出領域のうち少なくとも1つの前記移動停止用の検出領域がタッチされた場合に、前記天板を停止させる。これによれば、緊急停止など咄嗟な判断が必要な場合であっても、検出領域がタッチされると天板の移動を停止させることができる。
また、本発明において、前記移動停止用のタッチセンサの前記移動停止用の検出領域は、平面視において、所定幅を有するW字形状である。これによれば、指によるタッチ時に、検出可能エリア内を様々な位置で直線状に移動した場合であっても容量の変化をリニアに取得することを可能である。
また、本発明において、前記天板を移動させるための前記移動停止用のタッチセンサに対する操作が、前記移動停止用の検出領域における指の移動操作が伴うスワイプ操作である。これによれば、タッチセンサの面に触れた状態で滑らせることで天板を移動させることができ、誤ってタッチセンサに触れただけでは天板が移動しない。
また、本発明において、さらに、前記天板の移動を防止する移動防止機構を具備し、前記移動防止機構は、前記天板の移動を防止するための操作を検出する移動防止用の検出領域を有する移動防止用のタッチセンサを有し、該移動防止用の検出領域は、平面視コの字形状であり、前記移動停止用の検出領域を間に挟む位置と被検者側の位置にあり、開口部は検査者側に向けられて配置され、前記制御部は、前記天板が停止している状態において、前記移動停止用の検出領域がタッチされる直前、直後または連続タッチの間に、前記移動防止用の検出領域に触れた場合に、前記天板を移動させないようにする。これによれば、被検者が誤って移動停止用の検出領域を有するタッチセンサ付近に触れたとしても、移動防止用の検出領域を有するタッチセンサにも触れる確率が高く、被検者の誤操作による天板の移動が防げる。
また、本発明において、前記移動停止用のタッチセンサおよび前記移動防止用のタッチセンサは、前記天板の上面に設けられている。これによれば、検査者が天板を移動させるためのタッチセンサへの操作がしやすい。
また、本発明において、前記移動停止機構は、前記天板に設けられた停止スイッチを有し、前記天板が移動している状態において、前記停止スイッチに対する操作が検出された場合に、前記天板の移動を停止させる。これによれば、停止スイッチを設けて容易に天板の移動を停止させることができる。
また、本発明において、前記停止スイッチは、引き出されて移動する前記天板の移動方向の先端部に設けられている。これによれば、天板が引き出される方向に移動しているときに天板の先端が物や人に触れたとしても、すぐに天板を停止させることができる。
本発明に係る医療用テーブルによれば、天板を移動させ、停止させる移動停止機構を具備する医療用テーブルにおいて、必要なとき以外に誤って天板を移動させてしまうことがない医療用テーブルを提供することができる。
以下、図面を参照して、本実施形態に係る医療用テーブル10を詳細に説明する。図1に本実施形態の医療用テーブル10の一例であり、上方から見た医療用テーブル10の斜視図を示す。あわせて指30による操作方向の例を矢印で示す。図2に天板12に設けられた移動停止用のタッチセンサ14(14a、14b)の移動停止用の検出領域16の配置の一例を示す。図2Aは第1検出領域16aと第2検出領域16bとが接している場合、図2Bは第1検出領域16aと第2検出領域16bとが分離している場合を示す。図3Aに他の移動停止用の検出領域16であり、図2と形状が異なる移動停止用の検出領域16a、16b、16cおよび移動停止用のタッチセンサ14を示す。図3Bに他の移動停止用の検出領域16における指30による操作方向の例を矢印で示す。図4に本実施形態の医療用テーブル10の天板12の一部を拡大した図を示す。図5に本実施形態の医療用テーブル10構成の一例を示す図を示す。図6にW字形状の移動停止用の検出領域16(移動停止用のタッチセンサ14)における指30の位置と対応する制御部24が有するソフトウェアにおける検出エリアの位置を示す図である。図7に本実施形態の医療用テーブル10の他の例であり、天板12の一部を拡大し、移動防止用の検出領域17を有する移動防止用のタッチセンサ15を示す。
本実施形態の医療用テーブル10は、天板12と、天板12を移動および停止させる移動停止機構とを具備する。図1に示す医療用テーブル10は、本実施形態の一例であり、天板12を移動、停止させる移動部材26(図5)、本体部20および本体部20の内部の構成は限定されない。移動部材26としては、天板12を水平方向にスライド停止させる部材(図示せず)、蛇腹のカバー18内にある天板12を上下方向に移動、停止させる部材が含まれる。また、天板12には眼科用の検査装置などが載置される。
移動停止機構は、天板12の移動、停止のための操作を検出する移動停止用の検出領域16(後述の第1検出領域16aと第2検出領域16bを含む)を有する移動停止用のタッチセンサ14を具備する。さらに移動停止機構は、移動停止用のタッチセンサ14に対する操作を検出し、検出された移動停止用のタッチセンサ14への操作情報を認識し、操作情報に応じて天板12の移動、停止を制御する制御部24を具備する。以降、移動停止用のタッチセンサ14についてタッチセンサ14と、移動停止用の検出領域16について検出領域16と略することもある。
タッチセンサ14および後述の移動防止用のタッチセンサ15(タッチセンサ14、15と略す)は、検出領域16および後述の移動防止用の検出領域17(検出領域16、17と略す)におけるタッチ位置およびタッチ位置の変化を検出できるものである。検出領域16、17は操作パネル上にあり、操作パネルを介してタッチセンサ14、15が設けられ、タッチセンサ14、15に対する操作は、検出領域16、17への操作を通して実施される。検出領域16、17への操作をコマンド入力のように、タッチの方法や時間間隔、指30の移動方向や移動距離などを組み合わせることで、数多くの種類の操作情報を認識して、より細かな制御が可能となる。これは、従来の医療用テーブルに用いられたスイッチを押したり、引いたりすることによる操作とは異なる。
制御部24は、情報処理を行うCPUを有していてもよい。タッチセンサ14、15を通して認識された操作情報を処理し、操作情報に応じて、移動部材26である水平方向にスライドさせる部材、上下方向に移動させる部材等に指示し、天板12の移動、停止を制御する。移動した天板12は所定の位置で停止し、予め設定された距離や天板12の移動限界で停止するようにする。
タッチセンサ14、15は、静電容量を測定し、静電容量の値に基づいて検出領域16、17上での接触位置を検出できるものを用いてもよい。それぞれの検出領域16、17には電極が設けられている。静電容量を測定するタッチセンサ14、15を用いた場合、静電容量の検出の有無、値の増減により、タッチセンサ14、15に指30などが触れているか、触れていないか、触れている場合はどの辺りを触れているのか、また移動しているのかということが分かる。また、タッチセンサ14、15は、単に検出領域16、17に接触したかどうかを検出できるものを用いてもよい。
移動停止用のタッチセンサ14は、移動停止用の検出領域16の形状は限定されない。移動停止用の検出領域16により、タッチセンサ14に触れるだけのタッチ操作や指30の移動が伴うタッチセンサ14の面上の操作を検出することができる。制御部24は、タッチセンサ14への一連の操作が開始される位置である検出領域16における操作開始位置と、操作が終了される位置である検出領域16における操作終了位置とを認識し、操作開始位置と操作終了位置に応じた天板12の制御を行う。これにより、天板12を移動させ、必要なとき以外は誤って天板12を移動させてしまわないようにできる。
例えば、天板12が図4に示す矢印のOUT側の方向、IN側の方向の2方向に動く医療用テーブル10である場合を述べる。指30を動かして、OUT側の方向である天板12の移動方向に対して、操作開始位置から操作終了位置へ向かう方向が天板12の移動方向と平行の場合(θ=0°)を中心方向として、180°の範囲(−90°<θ<90°の範囲)である場合、天板12はOUT側に移動する。これとは逆に、図4に示す矢印のIN側の方向である天板12の移動方向に対して、操作開始位置から操作終了位置へ向かう方向が−90°<θ<90°の範囲である場合、天板12はIN側に移動する。天板12は2方向に限らず、4方向、全方向に移動する場合においても適用される。例えば、4方向なら移動対象となる範囲を90°ずつに分けてもよい。天板12移動方向に対応させる移動停止用の検出領域16における操作開始位置から操作終了位置へ向かう方向の範囲は適宜設定されるものである。
タッチセンサ14は、図2、図3に示すように、複数の移動停止用の検出領域16a、16b、16cを有している。複数の移動停止用の検出領域16a、16b、16c、移動防止用の検出領域17(図7)により、それぞれの検出領域への操作を組み合わせることで、天板12の移動、停止、移動防止の制御方法の種類を増やし、より細かな天板12の制御ができる。さらに、対応する電極の不具合などにより、検出領域16の1つがエラーを起こしても残りの検出領域16で動作を続けることができる。タッチセンサ14への具体的な操作、タッチセンサへの操作による天板12の制御方法を、タッチセンサ14が複数の移動停止用の検出領域16a、16b、16cを有する場合について述べる。
2つの移動停止用の検出領域16のうち、互いに重ならない検出領域のそれぞれを第1検出領域16aと第2検出領域16bとする。タッチセンサ14を操作し、第1検出領域16aと第2検出領域16bとを連続してタッチした場合、制御部24は、操作情報が第1検出領域16aから第2検出領域16bへの操作であると認識する。または、第2検出領域16bから第1検出領域16aへの操作であると認識する。なお、第1検出領域16aと第2検出領域16bとは相対的な位置関係を示したものであり、移動停止用の検出領域16の数は2に限定されない。第1検出領域16aと第2検出領域16bは、隣接する位置関係にあるが、これに限らず、隣接する位置関係にはない移動停止用の検出領域16cを第2検出領域16cとしてもよい。
第1検出領域16aから第2検出領域16bへの操作では、検出領域16における一連の操作が開始される操作開始位置は第1検出領域16a内にあり、一連の操作が終了される操作終了位置は、第2検出領域16b内にある。第2検出領域16bから第1検出領域16aへの操作の場合は、検出領域16における一連の操作が開始される操作開始位置は第2検出領域16b内にあり、一連の操作が終了される操作終了位置は、第1検出領域16a内にある。この場合、制御部24は、タッチセンサ14に対する一連の操作が開始される検出領域16における操作開始位置と一連の操作が終了される検出領域16における操作終了位置が異なる位置であると認識する。
天板12が停止している状態において、操作開始位置と操作終了位置とが異なる位置であると認識した場合に、すなわち、第1検出領域16aと第2検出領域16bとが連続してタッチされたことを認識した場合は、制御部24は天板12を移動させるように指示し、天板12を移動させる。そして、予め設定された距離を移動したら停止する。予め設定された距離は、移動させたい距離や天板12の大きさに合わせて適宜設定される。連続してタッチする動作には、タッチセンサ14の面上(検出領域16)を触れずに、または触れながら移動する動作が含まれる。
また、タッチセンサ14を操作し、第1検出領域16aまたは第2検出領域16bのどちらか一方にタッチした場合、制御部24は、操作情報が第1検出領域16aまたは第2検出領域16bのどちらか一方への操作であると認識する。また、第1検出領域16aと第2検出領域16bとを同時にタッチした場合、制御部24は、操作情報が第1検出領域16aおよび第2検出領域16bへ同時にされた操作であると認識する。
天板12が停止している状態において、誤ってタッチセンサ14に触れ、第1検出領域16aまたは第2検出領域16bのどちらか一方に触れるだけのタッチ操作であり、検出領域16の面上で触れながら移動がなければ、操作開始位置と操作終了位置とが同じ位置と認識され、天板12は移動しない。また、第1検出領域16aと第2検出領域16bを同時に触れてしまうような接触があった場合でも、検出領域16の面上で触れながら移動がなければ、操作開始位置と操作終了位置とが同じ位置と認識され、天板12は移動しない。これらのことから、不必要なときに誤って天板12を移動させてしまうことがなくなる。
操作情報には、操作開始位置から操作終了位置まで(図2Aにおける矢印Xの始点から終点)の操作長さに関する情報が含まれている。触れるだけのタッチ操作の場合は、操作長さは操作開始位置と操作終了位置との2点間の距離L(図2A)であり、検出領域16に接触したまま指30の移動操作が伴う場合は、2点間の距離Lでもよく、移動経路(道のり)の長さであってもよい。制御部24は、天板12が停止している状態において、タッチセンサ14を操作し、操作開始位置から操作終了位置までの操作長さを基に、天板12を移動させるか否かを判断する。天板12を移動させるか否かを判断する基準となる操作長さは適宜設定すればよく、操作長さが基準以上の場合は天板12を移動させ、基準未満の場合は天板12を移動さないようにできる。これにより、誤ってタッチセンサに触れてしまって僅かに指30や手などを動かしてしまったときでも、天板12を移動させないようにすることができる。
操作情報には、第1検出領域16aがタッチされた時間に関する情報と、第2検出領域16bがタッチされた時間に関する情報とが含まれていてもよい。例えば、第1検出領域16aに続いて第2検出領域16bに対して、タッチセンサ14を連続してタッチ操作した場合、その検出時間に差が生じる。制御部24は、天板12が停止している状態において、タッチセンサ14を操作し、連続して第1検出領域16aと第2検出領域16bへの操作をした場合、そのタッチした時間差を基に、天板12を移動させるか否かを判断する。2つの検出領域16a、16bを素早く連続してタッチされたときに天板12を動かし、それ以外である操作、例えば、間を置いて触れるなどでは天板12を動かさないように設定する。このように設定すれば、限られた操作のみによって移動させるので、誤って天板12が動いてしまうことがない。天板12を移動させるか否かを判断する基準となる時間差は適宜設定すればよく、例えば、0.5秒以上の時間差があると天板12が移動しないという設定も可能である。
タッチセンサ14の第1検出領域16aと第2検出領域16bは、天板12の移動方向と同一方向に並んで配置されてもよい。制御部24は、天板12が停止している状態において、第1検出領域16aと第2検出領域16bが連続してタッチされた場合に、タッチされた順番に一致する方向に天板12を移動させる。例えば、第1検出領域16aから第2検出領域16bへのタッチセンサ14に対する操作がされた場合、制御部24は、第1検出領域16aから第2検出領域16bに向かう方向に天板12を移動させる。タッチ操作に対する指30の動きとしては、被検者の前に近づけるときなど、天板12を引き出す場合は、図4に示す矢印のOUT側の方向へ指30を動かし、検査が終了したときなど、天板12をしまう場合は、図4に示す矢印のIN方向に指30を動かす。このようにすることで、天板12を移動させたい方向に向かうように、人は操作を開始、停止をするので、直感的に理解しやすい。
図2Aに示すように、タッチセンサ14は、第1検出領域16aと第2検出領域16bが接していてもよく、図2B、図3Aに示すように離れていてもよい。図2Aは、例として、1つのタッチセンサ14面内に平面視長方形状の第1検出領域16aと第2検出領域16bとがあり、これらが接している場合を示している。図2Bに示すように、タッチセンサ14は、第1タッチセンサ14aと第2タッチセンサ14bとを有する構成でも良い。第1タッチセンサ14aは第1検出領域16aを有し、第2タッチセンサ14bは第2検出領域16bを有している。タッチセンサ14は、第1検出領域16aと第2検出領域16bが接している場合は、第1タッチセンサ14aと第2タッチセンサ14bとが接するように配置されている。検出領域16に対応するタッチセンサ14の数は、限定されないが、複数のタッチセンサ14を設けることで、タッチセンサ14の1つがエラーを起こしても残りのタッチセンサ14で動作を続けることができる。なお、図3に示す移動停止用の検出領域16が平面視でW字形状の場合は、3つの検出領域16a、16b、16cを有しているが、それぞれ独立して機能させることはできず、それぞれが静電容量を測定して指30の位置情報を相互に補完し合い、1つの大きな検出領域16のように機能する。それぞれの検出領域に設けられた電極は、引出配線によりマイコン端子に接続され、タッチセンサ14は、1つの大きな検出領域16を有するタッチセンサ14として機能する。
図3に示すように、移動停止用の検出領域16は、平面視で所定幅を有するW字形状である。このような形状にすることで、指30を検出領域16上で移動させたときに、第1検出領域16aと第2検出領域16bとの両方に触れる位置がある。複数の移動停止用の検出領域16(16a、16b、16c・・・)を、同一の向きで天板12の移動方向に対して同一方向に配置させ、指30を検出領域16上で移動させたときに、2つの移動停止用の検出領域16aと16bまたは16bと16cの両方に触れるように配置する。また、3つ以上の検出領域16があれば、移動停止用の検出領域16aと16bと16cが触れるように配置しても構わない。このような移動停止用の検出領域16の形状では、複数の検出領域で指30の位置を正確に、より細かく測ることができる。制御部24はこの僅かな指30の操作長さの違いに対応して、天板12の移動、停止を制御する。指30を検出領域16上で移動させると、静電容量の値が高くなる検出領域16と、静電容量の値が低くなる検出領域16があるため、それぞれの検出領域における静電容量の値から補完するようにして指30の位置を正確に測ることができる。具体的には、指30が複数の移動停止用の検出領域16に触れて最も感度が高い(静電容量値が高い)検出領域を中心として、それ以外の触れている検出領域16との感度差の比率から移動停止用の検出領域16における指30の位置を測る。
移動停止用の検出領域16は平面視でW字形状に限らず、所定幅を有するV字形状、平行四辺形などがある。同一の向きで複数の検出領域16を天板12の移動方向に対して同一方向に並べて配置させたときに、それぞれの移動停止用の検出領域16が互いに食い込まれ、食い込むことが可能である。移動停止用の検出領域16が凹凸のない四角形状(例えば点線で示した長方形32、隣の位置にある長方形32’)のときを基準として、その長方形32よりも特定方向に突出した部分を凸部32a、その長方形32よりも特定方向に窪んだ部分を凹部32bとする。図3に示す例では、移動停止用の検出領域16が天板12の移動方向に突出する凸部32aと、天板12の移動方向に窪む凹部32bを有した形状である。そして、凸部32aが隣り合う検出領域16の凹部32’bに、凹部32bが隣り合う検出領域16の凸部32’aに食い込むように配置されている。この場合でも、複数の移動停止用の検出領域16は、互いに接していてもよく、間隔を空けて配置してもよい。なお、電極の平面視における形状は、検出領域の形状に合わせてもよく、検出領域16が平面視でW字形状であれば電極はW字形状に、検出領域16が平面視でV字形状であれば電極はV字形状にする。
図6にW字形状の移動停止用のタッチセンサ14(移動停止用の検出領域16a、16b、16c)における指30の位置と、対応する制御部24が有するソフトウェアにおける検出エリアの位置を示す。表1は、検出可能エリアにおける左端から右端へ指30を動かしたときの各移動停止用の検出領域16a、16b、16cにおける静電容量の変化とソフトウェアにおける検出エリアのタッチ位置をイメージ的に示したものである。例えば、検出領域16の真上に指30をしっかり押し付けたときの静電容量を100(%)とする。検出可能エリアの任意の位置をタッチしたとき、指30は検出領域16a、16b、16cのうち、少なくとも1つの検出領域16に触れ、指30の位置に基づいて、静電容量が検出領域16a、16b、16cに振り分けられる。静電容量を検出することで、制御部24は振り分けられた静電容量から指30の位置を検出できる。位置Cから位置B、位置Bから位置Aのように、図6面上の左端から右端へ指30を移動させるとき、タッチ位置に対して静電容量は線形に変化する。これにより、制御部24は、タッチセンサ14における指30の動きを検出し、天板12を制御できる。
W字は2つの山、2つの谷を有する形状であるので、タッチセンサ14がタッチされるときに、図3Bに示す検出可能エリア内の端側(上端、下端)、中央付近など、様々な位置で直線状に移動した場合であっても容量の変化をリニアに取得することを可能である。このため、検出可能エリア内の指30の直線移動位置によらず、制御部24は正確に指30のタッチ位置を検出できる。
また、タッチセンサ14に対する操作が、スワイプ操作であってもよい。スワイプ操作は、連続したタッチ操作に含まれる操作であり、タッチセンサ14の面を指30で触れながら「なぞる」、「ずらす」、「はじく」などの指30を移動させる操作を行うことを指す。単にタッチセンサ14に触れた場合とは異なり、タッチセンサ14に触れた後にスワイプ操作を行うことは、組み合わせ操作による限定的な操作であるため、誤ってタッチセンサ14に触れただけでは天板12が移動しない。スワイプ操作は指一本で行うことができ、タッチセンサ14面内にある第1検出領域16aから第2検出領域16bへの連続的な操作、移動方向、移動時間など、指一本によって操作する検査者はコントロールしやすい。
第1検出領域16aと第2検出領域16bとが近くに並んで配置されれば、指一本での操作がしやすくなる。移動方向や移動時間などの操作情報を限定し、限られた操作でなければ天板12が移動しないようにすることもできる。本実施形態の医療用テーブル10は、限られた操作でなければ天板12が移動しないような場合であっても、指一本での操作ができるほど操作性が良いので、限られた操作を実施して容易に天板12を動かすことができる。また、タッチセンサ14は人の肌に対してのみ反応して検出されるようにしてもよく、衣類やその他の材質が触れても反応しないようにする、または、検出部では検出されないようにすることも可能である。
図7には本実施形態の医療用テーブル10の別の例を示し、移動防止機構を具備する。異動防止機構は、天板12に平面視コの字形状の移動防止用の検出領域17を有する移動防止用のタッチセンサ15を示している。移動防止用のタッチセンサ15は、主に誤操作防止のために設けられている。コの字の開口部は検査者(操作者)の方に向けられていて、検査者側には移動防止用のタッチセンサ15、移動防止用の検出領域17はなく、被検者側を含む検査者以外の側には移動防止用のタッチセンサ15、移動防止用の検出領域17がある。コの字形状の移動防止用の検出領域17は、第1検出領域16aと第2検出領域16bとを間に挟む位置にある。このような形状であるのは、検査者が移動防止用のタッチセンサ15に触れにくくし、被検者が間違えてタッチセンサ14に触れるような場合でも、移動防止用のタッチセンサ15に触れやすくするためである。被検者が検査者と向かい合っている場合は、最初に移動防止用のタッチセンサ15に触れることになり、移動防止用のタッチセンサ15に触れる確率が高くなる。
制御部24は、天板12が停止している状態において、移動停止用の検出領域16がタッチされる直前、直後または連続タッチの間に、移動防止用の検出領域17に触れた場合、天板12を移動させない。移動停止用の検出領域16の場合でも同様に、第1検出領域16aと第2検出領域16bが連続してタッチされる直前に、移動防止用の検出領域17に触れた場合、天板12を移動させない。同様に、第1検出領域16aと第2検出領域16bが連続してタッチされる直後に、移動防止用の検出領域17に触れた場合、天板12を移動させない。同様に、第1検出領域16aと第2検出領域16bが連続してタッチされる連続タッチの間に、移動防止用の検出領域17に触れた場合、天板12を移動させない。これにより、被検者の誤操作による天板12の移動が防げる。また、それ以外の人が、誤ってタッチセンサ14の面に、手や肘などが当たった状態で滑らせたとしても、移動防止用のタッチセンサ15に触れるので天板12の移動が防げる。
また、天板12が移動しているときに停止させる方法は以下の通りである。天板12が移動している状態において、タッチセンサ14、15、検出領域16、17に対する操作が、タッチのみである場合に、制御部24は、天板12の移動を停止させる。すなわち、操作開始位置と操作終了位置とが同じ位置であると認識した場合に、天板12を停止させる。複数の検出領域16、17を有する場合で移動している天板12を途中で停止させるには、各検出領域16a、16b、16c、17のいずれか1つに触れるか、複数の検出領域16a、16b、16c、17を同時に触れる。このため、緊急停止が必要場合でも、天板12の移動を容易に停止させることができる。天板12の移動を再開したい場合は、天板12を移動させるときと同じようにタッチセンサ14に対する操作をする。
また、操作情報には、移動防止用の検出領域17がタッチされた時間に関する情報が含まれてもよい。第1検出領域16aもしくは第2検出領域16bから移動防止用の検出領域17へのタッチした時間差、または、移動防止用の検出領域17から第1検出領域16aもしくは第2検出領域16bへのタッチした時間差を基に、移動防止用の検出領域17への操作が有効か否かを判断する。移動防止用の検出領域17への操作が有効か否かを判断して天板12を移動させるか否かを判断することもできる。設定された時間差を例えば0.5秒に設定する。この時間差より短い場合は、移動防止用の検出領域17(移動防止用のタッチセンサ15)への操作が有効であると判断する。そして、第1検出領域16aもしくは第2検出領域16bへの操作は取り消され、天板12を移動させない、もしくは天板12の移動が停止する。また、時間差が0.5秒以上である場合は、移動防止用の検出領域17(移動防止用のタッチセンサ15)への操作が無効であると判断する。そして、第1検出領域16aもしくは第2検出領域16bへのタッチは受け付けられ、天板12の移動の指示が可能となる。
天板12は平板状であり、平面視では、ほぼ長方形状である。タッチセンサ14、15は、天板12の上面である水平面に設けられていてもよく、天板12の上面に設けられることにより、検査者が座った状態または立った状態であっても視認しやすく、タッチセンサ14、15への操作がしやすい。さらに、使用者の指30の接触が容易である。このとき、タッチセンサ14、15は、天板12を移動方向と指30を動かす方向に合わせて配置すればよい。
また、移動停止機構は、天板12が移動しているときに途中で停止させるために、タッチセンサ14とは異なる位置にセンサもしくはスイッチを設けてもよい。例えば、天板12の設けられた停止スイッチ22を有し、天板12が移動している状態において、停止スイッチ22に対する操作が検出された場合に、天板12の移動を停止させるように制御部24は制御すればよい。停止スイッチ22が設けられる位置は、図1に示すように、天板12の側面であってもよく、特に、引き出されて移動する天板12の移動方向の先端部にあることが好ましい。これにより、緊急停止が必要な咄嗟の場合、いずれのスイッチ、センサを押しても天板12の移動を停止させることができる。この場合でも移動の再開はタッチセンサ14を操作する。
また、タッチセンサ14の背面、または、タッチセンサ14の周辺を発光させ、さらに発光させたときに色が変化するようにしてもよい。これにより、タッチセンサ14の視認性を向上させ、天板12の移動状態を表示したり、移動中の注意喚起をしたりできる。また、天板12の表面にあるタッチセンサ14を、天板12から露出させない平滑面とすることで、防水構造が容易に構築できる。