JP6482065B2 - 応力算出装置及び応力算出方法 - Google Patents
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しかし、現実にある、多角形、多面体、曲面で構成された構造など、単純な材料力学ベースで算出できない場合が多い。
この時、FEMモデル作成時に、どの断面を評価断面とするかを決め、評価断面にNode(節点)をあらかじめ配置する必要がある。
なお、FEMとは、数値解析手法の一つであって、解析的に解くことが難しい微分方程式の近似解を数値的に得る方法の一つである。方程式が定義された領域を小領域(要素)に分割し、各小領域における方程式を比較的単純で共通な補間関数で近似する。
また評価断面が変わると、再度FEMモデルを作り直さなくてはならならず、モデルが大規模な場合や、計算ケースが多い場合は、非常に手間が掛かる。
(1)FEMモデル作成時に、特定断面への節点配置を考慮する必要が無い為、非常な省力化となる。
(2)FEMモデルを作り直す必要が無い為、非常な省力化となる。
(3)モーメント算出基準線を回転させて最大値となる評価平面全体の曲げ応力を算出することもできる。
1.膜・曲げ応力を算出する評価平面を設定する。
図1に示すように、任意の要素形状・外形のFEMモデル1を任意の評価平面2で切断して切断面2aとする。FEMモデル1は、有限要素法により無数の節点が設定されたモデルであり、図中では節点を省略している。節点は要素の境界に配置されている。切断面2aは、評価平面2上でFEMモデル1より内側の領域である。評価平面2は、膜・曲げ応力を算出する計算対象である。膜応力は、引張り・圧縮応力と曲げ応力の組み合わせである。
図2に示すように、評価平面2を含むFEMモデル1の所定の範囲を指定範囲3として指定する。
指定範囲3は、評価平面2の近傍の節点を含むものであり、節点を絞り込む事に拠り、計算負荷を低減することができる。指定範囲3は、処理辺面から要素長の定数(ユーザー指定)倍としても良いし、要素番号などでユーザーが直接指定しても良い。例えば、図2に示す指定範囲3に含まれる要素をユーザーが指定し、計算対象とする。
例えば、図3に示すように、4面体の対象要素4の場合には、評価平面2との間で三つの交差点N1,N2,N3ができ、また、図4に示すように、6面体の対象要素5の場合には、六つの交差点N1,N2,N3,N4,N5,N6ができる。これらの交差点により、3〜6角形が出来る。交差しない場合はその要素は対象外とする。図3,4において、対象要素4,5については実線で示し、対象要素4,5と評価平面2とが交差する箇所は一点鎖線で示した。
一次テトラに分解(再構成)されている場合は、3又は4角形となる。交差点で形成される領域が4角形以上の場合は、例えば、3角形に分割しヘロンの公式を用いる等して、面積を算出する。
図5に示すように三角形領域の場合は、各交差点である頂点N1,N2,N3に向かい合う辺の長さと、各頂点までの垂直距離を乗算して2で除することにより求める。また、図5に示すように、6角形領域の場合は、各交差点である頂点N1,N2,N3,N4,N5,N6間の辺の長さ、隣接する頂点の間の角度θ1,θ2,θ3,θ4に基づき求める。
交差点で形成される領域が4角形以上の場合は、ステップ5で分割した3角形の、其々の図心と面積から算出する。図5,6では、領域毎に図心として黒丸を付した。
面積Aは、添字iを付して各領域に対応することを示す。図7は、領域61,62,63,64,65,66,67,68,69が隙間なく隣接している集合状態を示している。領域61〜69は、図7に示す集合状態において、FEMモデル1を評価平面2で切断した切断面2aであり、多角形領域61〜69は各要素についての切断面である。
図7において、領域61〜69の集合全体としての外枠は実線で示し、領域61〜69の境界については破線で示した。また、各多角形領域61〜69には、黒丸で図心を示し、一例として、多角形領域61の面積についてはハッチングを入れて示した。なお、図7に示すように、応力勾配補正プログラム流用の場合は、全領域が3又は4角形となる。
更に膜応力σdは下式に示すように、上記により算出した垂直方向の垂直応力σiに各領域の面積Aiを乗じて総和し、各領域の面積Aiの総和で除することにより求める。Σは、全ての領域についての総和を意味する。
σd=Σ(σi×Ai)÷Σ(Ai)
図7に示すように、評価面図心Bは、切断面全体の略中心に位置し、図中では○印に×印を重ねて示した。
図8において、評価平面上の基準線θiは、評価面図心Bを通る上下方向に向いた一点鎖線で示した。
図8に示すように、垂直距離Lは、評価平面上の基準線θiに対して略垂直、つまり、略水平な破線で示される。なお、垂直距離Lは、添字iを付することにより各領域に対応することを示す。
±Mi=|σi−σd|・Ai・Li
但し、Miは、紙面に対して右回り+、左回り−とする。
σbi=(Mi/I)×Li
但し、I:断面二次モーメント
σbθi=Σσbi
曲げ応力σb=max(σbθi)
図9に示すように、モーメント算出基準線θiを評価面図心Bの周りに矢印方向に回すと、各領域の図心からモーメント算出基準線θiまでの垂直距離Lが変化し、従って、領域の図心間の距離L1+L2も変化することになる。
同図に示すように、応力算出装置は、データ入力部10、演算部20、データ出力部30及び磁気ディスク40から構成される。
演算部20は、後述するフローチャートに従って、磁気ディスク40から読み出されたデータ50,60に対して所定の演算を行い、データ出力部3は演算された結果である評価断面膜応力値、評価平面曲げ応力最大値、及びその時の基準線方向、評価平面上の指定の基準線周りの曲げ応力値よりなるデータ70を磁気ディスク40に出力する。
指定処理部22は、評価平面処理部21により設定された評価平面を含むFEMモデル1の所定の範囲を指定範囲とする。
領域算出処理部24は、交差点作成処理部23で作成された複数の交差点を頂点とする多角形領域の図心座標及び面積Aiを算出する。
評価面図心算出処理部26は、領域算出処理部24で算出された各領域の図心座標及び面積Aiに基づき、切断面全体の図心を評価面図心として算出する。
垂直距離算出処理部28は、領域算出処理部24で算出された各領域の図心からモーメント算出基準線θiまでの垂直距離Liを算出する。
各領域曲げ応力算出処理部210は、曲げモーメント算出処理部29で算出された各領域毎の曲げモーメントMiを断面二次モーメントIで除して垂直距離Liを乗じて各領域毎の曲げ応力σbiを算出する。
出力処理部212は、膜応力算出処理部25で算出された膜応力σd及び/又は全体曲げ応力算出処理部211で算出された評価面全体の曲げ応力σbθiを評価結果として出力する。
なお、演算部20は、各処理部21〜212を所定のハードウェアにより実現してもよいし、コンピュータにインストールされる所定のプログラムにより実現可能なものである。
処理対象要素は、指定範囲3に含まれる要素のことを言い、「評価平面から要素長の定数倍程度」として決めても良いし、ユーザーが指定しても良い。
引き続き、対象要素を、1次テトラ要素に分解するか否か判定し(ステップS3)、肯定的であれば、対象要素を1次テトラ要素に分解して(ステップS4)、各対象要素について、各辺が評価平面と交差する点の座標を計算する(ステップS5)。
その後、交差点で形成される領域は三角形か否か判定し(ステップS6)、肯定的であれば、各要素について、交差点で形成される領域(3角形)の、面積Aiを求める(ステップS7)。面積の算出には、例えばヘロンの公式を用いる。
更に、各要素について、交差点で形成される領域(3〜6角形)の、図心座標を求める(ステップS9)。
更に、評価平面の膜応力σdを、以下式で算出する(ステップS11)。
σd=Σ(σi・Ai)/Σ(Ai)
更に、評価平面上に、評価面全体の図心を通る任意の直線を設定し、モーメント算出基準線θiとする(ステップS13)。
更に、モーメント算出基準線に対する、各要素の交差点で形成される領域の、作用荷重によるモーメントを、以下で算出する(ステップS15)。
Mi=|σi−σd|・Ai・Li
ここで、σiの方向余弦が評価平面に対して、紙面に対して"表"に向いている場合は+、"裏"に向いている場合は−を、Mに対して符号をつける。なお、表・裏は任意に決定できる。
σbi=(Mi/I)・Li
ここで、I:評価辺面全体の断面二次モーメントである。
更に、モーメント算出基準線θiに対する評価平面全体の曲げ応力σbθiを以下式で算出する(ステップS17)。
σbθi=Σσbi
)。
更に、新たなモーメント算出基準線θi+1が最初のθiと重なるか否か判定し(ステップS19)、否定的であればステップ14以降を肯定的となるまで繰り返す一方、肯定的となれば、計算された中で最大のσbθiを、評価平面の最大曲げ応力とする(ステップS20)。
σb=max(σbθi)
(1)FEMモデル作成時に、特定断面への節点配置を考慮する必要が無い為、非常な省力化となる。
(2)FEMモデルを作り直す必要が無い為、非常な省力化となる。
(3)モーメント算出基準線を回転させて最大値となる評価平面全体の曲げ応力を算出することもできる。
2 評価平面
2a 切断面
3 指定範囲
4,5 対象要素
61,62,63,64,65,66,67,68,69 多角形領域
10 データ入力部
20 演算部
21 評価平面処理部
22 指定処理部
23 交差点作成処理部
24 領域算出処理部
25 膜応力算出処理部
26 価面図心算出処理部
27 モーメント算出基準線設定処理部
28 垂直距離算出処理部
29 曲げモーメント算出処理部
210 各領域曲げ応力算出処理部
211 全体曲げ応力算出処理部
212 出力処理部
30 データ出力部
40 磁気ディスク
50,60,70 データ
Claims (4)
- 有限要素法により複数の節点が設定されたモデルを任意の評価平面で切断して切断面とする評価平面処理と、
前記評価平面を含む前記モデルの所定の範囲を指定範囲とする指定処理と、
前記指定範囲における前記複数の節点を結ぶ線分を辺とする多面体よりなる対象要素を求め、前記対象要素の前記線分と前記評価平面とが交差する複数の交差点を作成する交差点作成処理と、
前記複数の交差点を頂点とする多角形領域の図心座標及び面積を算出する領域算出処理と、
前記図心座標で、前記評価平面に垂直な垂直応力を有限要素法の計算結果から内挿算出し、前記垂直応力に基づき前記切断面全体の膜応力を算出する膜応力算出処理と、
前記領域の図心座標及び面積に基づき、前記切断面全体の図心を評価面図心として算出する評価面図心算出処理と、
前記評価平面上において、前記評価面図心を通る任意の直線をモーメント算出基準線として設定するモーメント算出基準線設定処理と、
前記各領域の図心から前記モーメント算出基準線までの垂直距離を算出する垂直距離算出処理と、
前記膜応力と前記垂直応力との差の絶対値に前記領域の面積及び前記垂直距離を乗じて各領域毎の曲げモーメントを求める曲げモーメント算出処理と、
前記各領域毎の曲げモーメントを断面二次モーメントで除して前記垂直距離を乗じて各領域毎の曲げ応力を算出する各領域曲げ応力算出処理と、
前記各領域毎の曲げ応力を全て総和することにより評価平面全体の曲げ応力を算出する全体曲げ応力算出処理と、
前記膜応力及び/又は前記評価面全体の曲げ応力を評価結果として出力する出力処理とを備えることを特徴とする応力算出方法。 - 前記全体曲げ応力算出処理は、前記評価平面上で、前記評価面図心を中心として前記モーメント算出基準線を回転させて最大値となる前記評価平面全体の曲げ応力を算出する処理であり、前記出力処理は、前記最大値を評価結果として出力することを特徴とする請求項1記載の応力算出方法。
- 有限要素法により複数の節点が設定されたモデルを任意の評価平面で切断して切断面とする評価平面処理部と、
前記評価平面を含む前記モデルの所定の範囲を指定範囲とする指定処理部と、
前記指定範囲における前記複数の節点を結ぶ線分を辺とする多面体よりなる対象要素を求め、前記対象要素の前記線分と前記評価平面とが交差する複数の交差点を作成する交差点作成処理部と、
前記複数の交差点を頂点とする多角形領域の図心座標及び面積を算出する領域算出処理部と、
前記図心座標で、前記評価平面に垂直な垂直応力を有限要素法の計算結果から内挿算出し、前記垂直応力に基づき前記切断面全体の膜応力を算出する膜応力算出処理部と、
前記各領域の図心座標及び面積に基づき、前記切断面全体の図心を評価面図心として算出する評価面図心算出処理部と、
前記評価平面上において、前記評価面図心を通る任意の直線をモーメント算出基準線として設定するモーメント算出基準線設定処理部と、
前記領域の図心から前記モーメント算出基準線までの垂直距離を算出する垂直距離算出処理部と、
前記膜応力と前記垂直応力との差の絶対値に前記領域の面積及び前記垂直距離を乗じて各領域毎の曲げモーメントを求める曲げモーメント算出処理部と、
前記各領域毎の曲げモーメントを断面二次モーメントで除して前記垂直距離を乗じて各領域毎の曲げ応力を算出する各領域曲げ応力算出処理部と、
前記各領域毎の曲げ応力を全て総和することにより評価平面全体の曲げ応力を算出する全体曲げ応力算出処理部と、
前記膜応力及び/又は前記評価面全体の曲げ応力を評価結果として出力する出力処理部とを備えることを特徴とする応力算出装置。 - 前記全体曲げ応力算出処理部は、前記評価平面上で、前記評価面図心を中心として前記モーメント算出基準線を回転させて最大値となる前記評価平面全体の曲げ応力を算出する一方、前記出力処理部は、前記最大値を評価結果として出力することを特徴とする請求項3記載の応力算出装置。
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