本発明の少なくとも一つの実施態様の一つの目的は、改善された設計の(特に、拡張現実又は仮想現実の映像を作り出すための)表示装置を提供することである。
この目的は請求項1に記載の表示装置によって達成される。
表示装置は、発光素子のアレイと、発光素子のアレイから光を受ける複数の光学素子とを具備する。各発光素子は、(特に可視)光を放射するように構成される。各光学素子は、少なくとも一つの発光素子と関連付けられ、受けられた光から少なくとも一つのコリメート光ビームを形成するように構成される。
言い換えると、この表示装置は、複数の発光素子を具備することができ、この発光素子のアレイは、表示装置のディスプレイを形成することができる。特に、各発光素子は、表示装置のディスプレイの単一のピクセル(すなわち最小のアドレス可能素子)を形成することができる。これらの発光素子は、互いに対して空間的に分離されて及び/又は重ならない方法で配置されることができる。
技術的効果及び利点として、この表示装置は、表示装置から出るコリメート光ビームにより、使用者が彼/彼女の視界を(ほぼ)無限遠に調節することを可能にする。特に、光学素子は、表示装置の光学系を表すとみなすことができ、ディスプレイの像を拡大、及び/又は、(仮想的に)無限遠に投影するように構成されることができる。例えば、表示装置の像は、使用者の眼球の方向に表示装置から出るコリメート光ビームによって表すことができ、無限遠に調節された人間の水晶体によって網膜上に焦点が合わせられる。この点で、表示装置によって放射されるコリメート光ビームは、無限遠の(又は少なくとも、ほぼ無限遠の)距離に像を作り出すことができる。これに代わって、表示装置の光学素子は、虚像を作り出すために、所定の面上に表示装置の像を(仮想的に)結像するように構成されてもよい。これは、人間の目が無限遠ではなく、例えば、虚像の面に相当する平面内に位置する現実世界の物体へ焦点が合わされる時に有効である。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
明確性及び簡潔性のために、「関連付けられた」という用語が用いられる。「関連付けられた」とは、光学素子が、関連付けられた発光素子により放射される光のみを反射、偏向、及び/又は屈折し、特に、関連付けられていない発光素子により放射される光に対して実質的に透明であることと理解又は定義される。より具体的には、光学素子は、偏向スペクトル内でのみ光を反射、偏向、及び/又は屈折することができる。ここで、光学素子の偏向スペクトルとは、関連付けられた発光素子の放射スペクトルを完全に又は部分的に包含するものであり、特に、光学素子の偏向スペクトルとは、光学素子と関連付けられていない発光素子の放射スペクトルを包含しないものである。後者の場合、光学素子は、関連付けられていない光学素子により、又は実体世界により放射される光に対して透明であることができる。
光学素子を実現するための様々な選択肢が存在する。例えば、光学素子は、ホログラム光学素子であってもよく、又は含んでもよい。ホログラム光学素子は、透過型ホログラム光学素子又は反射型ホログラム光学素子であってもよい。特に、光学素子は、収束レンズを表す光学特性を有するホログラム収束レンズ(例えば、収束レンズの透過型ホログラム)又は凹面鏡を表す光学特性を有するホログラム凹面鏡(例えば、凹面鏡の反射型ホログラム)であってもよく、又は含んでもよい。ホログラム光学素子は、表示装置の(特に、出現性のホログラフィック)感光乳剤領域に記録されることができる。これに加えて、又はこれに代わって、光学素子は、回折格子、特に、透過型振幅格子、透過型位相格子、反射型位相格子、及び/又は反射型振幅格子であってもよく、又は含んでもよい。これに加えて、又はこれに代わって、光学素子は、偏向膜、回折膜、及び/又は反射膜であってもよく、又は含んでもよい。本開示において、偏向、回折、屈折、及び/又は反射は、明確性及び簡潔性のために、単に「反射」と呼ばれ得る。反射膜は、特には二色性(又はダイクロイック)である、反射部分を有することができる。二色性とは、光学素子が偏向スペクトル内でのみ光を反射、偏向、及び/又は屈折することと理解又は定義することができる。ここで、光学素子の偏向スペクトルとは、関連付けられた発光素子の放射スペクトルを完全に又は部分的に包含するものであるが、光学素子の偏向スペクトルは、具体的には関連付けられていない発光素子により、又は実体世界により放射される光に対して透明であることで、光学素子と関連付けられていない発光素子の放射スペクトルを包含しない。上記の反射部分は、球状又は放物面状とすることができる。これに加えて、又はこれに代わって、光学素子は、液晶偏光格子及び/又は液体レンズであってもよく、又は含んでもよい。
光学素子を実現するための上記の選択肢により、焦点面、焦点距離、及び/又は光軸を有する光学素子も実現可能になる。
また、光学素子は、関連付けられた少なくとも一つの発光素子の(虚)像が無限遠(すなわち、無限距離)に提供されるような拡大光学特性を有することができる。関連付けられた発光素子から受けられた光を平行化するため、光学素子は、焦点面及び焦点距離を有することができ、この関連付けられた発光素子は、関連付けられた光学素子の焦点面内に配置されることができる。光学素子は、幾何学部分、及び/又は、偏向、反射、及び/又は屈折部分を有することができる。上述したように、本開示において、偏向、回折、屈折、及び/又は反射は、明確性及び簡潔性のために、単に「反射」と呼ばれ得る。幾何学部分及び/又は反射部分は、円状、長方形状、又は正方形状とすることができる。
より具体的には、光学素子は、「最小収差位置」により特徴付けることができる。最小収差位置とは、点状の発光素子がこの最小収差位置に位置し、光学素子がこの点状の発光素子から光を受け、該受けられた光からコリメート光ビームを形成する時に、光学収差が最小となる位置である。例えば、光学素子の最小収差位置は、意図された光学素子の位置及び/又は方位に対して(より具体的には、光学素子が感光乳剤領域内に該領域によって形成される際の該領域の位置及び/又は方位に対して)光学素子をホログラム光学素子として記録する間、記録される物体が存在する、物体の(任意に中心の)位置である。これに関して、最小収差位置は、光学素子の焦点面の中心として定義又は理解することができる。
光学素子の焦点距離は、光学素子の最小収差位置と、光学素子の幾何学部分及び/又は反射部分が配置される面の間の最短距離と定義又は理解することができる。
光学素子の参照軸は、光学素子の(例えば、幾何学部分及び/又は反射部分の)中心を通り、かつ、光学素子の最小収差位置に位置する点状の発光素子から受けられた光から光学素子により形成されたコリメート光ビームと平行な直線として定義又は理解することができる。参照軸の方位は、例えば、光学素子をホログラム光学素子として記録する間、ホログラム光学素子が記録される感光乳剤領域に対して参照ビームを配置する及び/又は傾けることによって、また別の例としては、反射膜を生成する塗布プロセスの間、反射部分が塗布される(任意に透明な)基材に対して、反射膜の反射部分を配置する及び/又は傾けることによって、調整及び固定されることができる。参照ビームは、ホログラム記録プロセス中、記録される物体から散乱される波と共に、感光乳剤領域にホログラムの干渉パターンを形成する光参照波の光線の束の中心光線によって表すことができる。
光学素子の物体軸は、最小収差位置を通り、光学素子(例えば、その幾何学部分及び/又は反射部分)が配置される面と垂直な直線として定義又は理解することができる。
光学素子の光軸は、光学素子の(例えば、幾何学部分及び/又は反射部分の)中心を通り、かつ、光学素子の最小収差位置を通る直線として定義又は理解することができる。これに関して、光学素子の光軸は、上記中心を位置決めし、上記最小収差位置を位置決めすることによって、調整及び固定されることができる。光軸の方位は、例えば、光学素子をホログラム光学素子として記録する間、ホログラム光学素子が記録される感光乳剤領域に対して、ホログラムとして結像される物体(すなわち、レンズ又は鏡等)を配置することによって、また別の例としては、反射膜を生成する塗布プロセスの間、反射部分が塗布される(任意に透明な)基材に対して反射膜の反射部分を配置する及び/又は傾けることによって、調整及び固定されることができる。特に、光軸は、物体軸と平行でもよく、又は一致すらしてもよい。しかしながら一般に、光軸は、必ずしも物体軸と一致する必要はなく、及び/又は、必ずしも平行である必要はなく、物体軸に対して傾いていてもよい。参照軸についても同様のことが言える。光軸は、参照軸と平行でもよく、又は一致すらしてもよい。しかしながら一般に、光軸は、必ずしも参照軸と一致する必要はなく、及び/又は、必ずしも平行である必要はなく、参照軸に対して傾いていてもよい。発光素子が焦点面内かつ関連付けられた光学素子の光軸上に位置する場合、光学素子は、関連付けられた発光素子により放射される光からコリメート光ビームを形成し、このコリメート光ビームは、参照軸と平行に、参照軸に沿って、光学素子から出る。しかしながら、発光素子が焦点面内に位置するが、関連付けられた光学素子の光軸から逸れている場合、光学素子は、関連付けられた発光素子により放射される光からなおもコリメート光ビームを形成するが、このコリメート光ビームは、参照軸に対して偏向された(すなわち、傾いた、角度を有する)方法で、光学素子から出る。
上記を考慮すれば、それぞれ所望の方位を伴う参照軸、物体軸、及び/又は光軸を有する光学素子を実現することも可能である。また、光学素子及び関連付けられた発光素子は、関連付けられた発光素子から受けられた光から光学素子により形成されたコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の所望の部分を通過するように、(互いに対して)構成及び配置されることもできる。
表示装置の射出瞳は、(特に全ての)コリメート光ビームの束(特にコーン)の断面、より一般には、表示装置が適切に使用される間、表示装置の全発光素子が光を放射する時に、表示装置から使用者の眼球の(特に網膜の)位置に出る(特に全ての)光線の束の断面として定義又は理解することができる。特に、表示装置の射出瞳内で、表示装置の光学素子により生成された各コリメート光ビームは、光点に投影されると考えることができ、このため、複数のコリメート光ビームは、表示装置の射出瞳内に光点パターンを形成することができる。
表示装置の射出瞳の第1の部分は、例えば、表示装置が適切に使用される間、使用者の眼球が少なくとも一つの第1の観察方向に沿って注視する時に、この眼球の瞳が置かれる第1の空間部分を表すことができる。表示装置の射出瞳の第2の部分は、例えば、表示装置が適切に使用される間、使用者の眼球が第1の観察方向とは異なる少なくとも一つの第2の観察方向に沿って注視する時に、この眼球の瞳が置かれる、第1の空間部分と異なる第2の空間部分を表すことができる。
発光素子は、発光素子が(特に可視)光を放射するオン状態と、発光素子が(特に可視)光を放射しないオフ状態との間で切り替え可能であることができる。例えば、光学素子は、少なくとも一つの第1の発光素子及び少なくとも一つの第2の発光素子と関連付けることができ、第1の及び第2の発光素子のそれぞれは、発光素子が光を放射するオン状態と発光素子が光を放射しないオフ状態の間で切り替え可能とすることができる。この光学素子は、上記少なくとも一つの第1の発光素子により放射された光から少なくとも一つの第1のコリメート光ビームを形成し、上記少なくとも一つの第2の発光素子により放射された光から少なくとも一つの第2のコリメート光ビームを形成するように構成されることができる。この光学素子並びに第1の及び第2の発光素子は、上記少なくとも一つの第1のコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第1の部分を通過し、上記少なくとも一つの第2のコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第2の部分を通過するように構成及び配置されることができる。ここで、上記第2の部分は、上記第1の部分と異なり、特に、上記第1の部分と空間的に分断されたものである。第1の発光素子は、光学素子の光軸上に配置することができ、一方、第2の発光素子は、光学素子の光軸から逸れて配置されることができる。
技術的効果及び利点として、使用者の眼球の瞳が表示装置の射出瞳の第1の部分(を表す第1の空間部分)に置かれた際の第1の観察方向に沿って、使用者の眼球が注視する時に、第1の発光素子のみをオン状態に設定し、第2の発光素子をオフ状態に設定することができる。一方で、使用者の眼球の瞳が表示装置の射出瞳の第2の部分(を表す第2の空間部分)に置かれた際の第2の観察方向に沿って、使用者の眼球が注視する時に、第2の発光素子のみをオン状態に設定し、第1の発光素子をオフ状態に設定することができる。言い換えると、特定の発光素子から放射される光が、例えば、この光が使用者の眼球の現行の観察方向では使用者の眼球に到達できないために不要である時に、この発光素子をオフ状態に設定することができる。これに関して、第1の及び第2の発光素子は、それぞれの発光素子をオン又はオフにすることでコリメート光ビームの出力先変更を可能にする複数のチャネルとして理解することができる。すなわち、光学素子と関連付けられた各発光素子により放射された光は、使用者の眼球の異なる観察方向で、使用者の眼球に到達することができる。従って、これらの発光素子により放射される光をより効果的に用いることができる。これにより、必要なパワーが低いエネルギー効率のよい表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。更に、表示装置から出るコリメート光ビームの出力先変更スキームが、一つの各光学素子と関連付けられた少数の(例えば2つ又は3つの)発光素子でも実現可能であるため、簡素な設計のまま、この出力先変更スキームを機能させることができる。例えば、光が使用者の眼球に直接入ることを防ぐために、発光素子から放射される光を遮断する付加的なマスクを各発光素子に設ける場合、これらのマスクの数及び/又はこれらのマスクの大きさを小さく維持することもでき、これにより、表示装置の設計を更に簡素化することができる。
表示装置は、使用者の眼球の瞳の像を取得する像取得装置を具備することができる。この像取得装置は、特には表示装置の射出瞳の位置に対する、使用者の眼球の瞳の位置を表す位置信号を生成するように構成されることができる。従って、この像取得装置により、使用者の眼球の瞳の位置を追跡することが可能になる。この点で、像取得装置はアイトラッカーとみなすことができる。像取得装置は、スタンドアロンの(例えばマイクロ)カメラであってもよく、例えば、表示装置の側に位置してもよく、又はそれ自身が表示装置に埋め込まれていてもよい。また、表示装置は、制御ユニットを具備することができる。この制御ユニットは、像取得装置により生成された位置信号に基づき、発光素子を切り替えるように構成されることができる。例えば、制御ユニットは、使用者の眼球の瞳が表示装置の射出瞳の第1の部分(を表す第1の空間部分)に位置する時に、第1の発光素子をオン状態に設定し、及び/又は、第2の発光素子をオフ状態に設定し、及び/又は、使用者の眼球の瞳が表示装置の射出瞳の第2の部分(を表す第2の空間部分)に位置する時に、第1の発光素子をオフ状態に設定し、及び/又は、第2の発光素子をオン状態に設定するように構成されることができる。
技術的効果及び利点として、第1の及び第2の発光素子のうち一方の発光素子のみをオン状態に設定して、関連付けられた光学素子により、放射された光を現行の観察方向で使用者の眼球の瞳へ実際に向けることができ、一方で、第1の及び第2の発光素子のうちもう一方の発光素子をオフ状態に設定して、関連付けられた光学素子により、放射された光が現行の観察方向で使用者の眼球の瞳に向けられないようにすることができる。言い換えると、特定の発光素子から放射される光が、例えば、この光が使用者の眼球の現行の観察方向では使用者の眼球に到達できないために不要である時に、この発光素子をオフ状態に設定することができる。従って、使用者の眼球に到達できない光が全く生成されなくなる。そのため、発光素子により放射される光をより効果的に用いることができる。これにより、必要なパワーが低いエネルギー効率のよい表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
表示装置は、表示装置が適切に使用される位置に使用者の眼球が置かれるように、使用者の眼球に対して表示装置を配置するように構成された、ガラスフレームや眼鏡フレーム等の位置決め装置を具備することができる。より具体的には、位置決め装置を用いることで、表示装置の位置及び方位に対する使用者の顔又は頭の位置及び方位を定めることができる。位置決め装置は、表示装置の射出瞳(を表す空間部分)内に使用者の眼球の瞳を配置するように構成されることができる。
複数の光学素子及び発光素子のアレイは、コリメート光ビームの少なくとも一つの第1の一部分が表示装置の射出瞳の少なくとも一つの第1の部分を通過し、上記コリメート光ビームの第1の一部分と異なる、コリメート光ビームの少なくとも一つの第2の一部分が、上記表示装置の射出瞳の第1の部分と異なる表示装置の射出瞳の少なくとも一つの第2の部分を通過するように、構成及び配置されることができる。一般に、複数の光学素子は、少なくとも一つの第1の光学素子及び少なくとも一つの第2の光学素子を含むことができる。第1の及び第2の光学素子は、少なくとも一つの発光素子と関連付けることができ、第1の光学素子は、関連付けられた発光素子から光を受け、該受けられた光から第1のコリメート光ビームを形成するように構成され、第2の光学素子は、関連付けられた発光素子から光を受け、該受けられた光から第2のコリメート光ビームを形成するように構成されることができる。第1の及び第2の光学素子並びに関連付けられた発光素子は、第1のコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第1の部分を通過し、第2のコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第2の部分を通過するように構成及び配置されることができ、上記第2の部分は、上記第1の部分と異なり、特に、上記第1の部分と空間的に分断される。
技術的効果及び利点として、第1の及び第2の光学素子と関連付けられた発光素子により放射される光は、眼球が表示装置の射出瞳の第1の部分(を表す第1の空間部分)に置かれた時に、使用者の眼球の瞳に向けられるだけでなく、眼球が表示装置の射出瞳の第2の部分(を表す第2の空間部分)に置かれた時にも、使用者の眼球の瞳に向けられる。従って、第1の及び第2の光学素子と関連付けられた発光素子により放射される光は、使用者の眼球の異なる観察方向で、使用者の眼球に到達することができる。言い換えると、表示装置から出たコリメート光ビームの全体の一部は、常に、使用者の眼球の瞳を通過することができる。更に、表示装置の射出瞳内で、少なくとも一つの第1のコリメート光ビームは、(特に、眼球の角膜等の眼球表面上の)少なくとも一つの第1の光点に投影されると考えることができ、少なくとも一つの第2のコリメート光ビームは、(特に、眼球の角膜等の上記と同じ眼球表面上の)少なくとも一つの第2の光点に投影されると考えることができ、この第1の及び第2の光点は、表示装置の射出瞳内で、特には重なる又は重ならない方法で、互いに対して空間的に分離されており、これにより、光点パターンが形成される。従って、表示装置の射出瞳内で、少なくとも二つの光点は、使用者の眼球の少なくとも二つの異なる観察方向に対応する、使用者の眼球の瞳の少なくとも二つの異なる位置を包含することができる。そのため、使用者は、使用者の眼球の異なる観察方向について、表示装置により作り出された像を見ることが可能になる。これにより、大きな視野を有する表示装置の実現が可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
これに代わって、又はこれに加えて、第1の及び第2の光学素子並びに関連付けられた少なくとも一つの発光素子は、表示装置が適切に使用される間、第1のコリメート光ビームが中心窩を含む眼球の網膜の「中心」部に結像され、第2のコリメート光ビームが中心窩から逸れた網膜の「周辺」部に結像されるように構成及び配置されることができる。これに関して、少なくとも一つの第1の光学素子は「中心」光学素子と呼ばれ、少なくとも一つの第2の光学素子は「周辺」光学素子と呼ばれ、少なくとも一つの第1のコリメート光ビームは「中心」コリメート光ビームと呼ばれ、及び/又は少なくとも一つの第2のコリメート光ビームは「周辺」コリメート光ビームと呼ばれ得る。
技術的効果及び利点として、第1の(中心)コリメート光ビームは、表示装置の射出瞳内で比較的高い分解能を有する中心窩を含む網膜の中心部により目視することができる、(特に、眼球の角膜等の眼球表面上の)少なくとも一つの(中心)光点に投影されると考えることができる。一方で、第2の(周辺)コリメート光ビームは、表示装置の射出瞳内で比較的低い分解能を有する、中心窩から逸れた網膜の周辺部により目視することができる、少なくとも一つの(周辺)光点に投影されると考えることができる。これにより、中心窩の分解能に適合された光点パターンを生成する表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
これに代わって、又はこれに加えて、複数の光学素子は、少なくとも一つの発光素子と関連付けられた少なくとも一つの第1の光学素子及び少なくとも一つの第2の光学素子を含むことができる。この第1の及び第2の光学素子は、関連付けられた少なくとも一つの発光素子から光を受け、該受けられた光から少なくとも一つの第1のコリメート光ビーム及び少なくとも一つの第2のコリメート光ビームを形成するように構成されることができ、この第1の及び第2の光学素子並びに関連付けられた少なくとも一つの発光素子は、特には第1の及び第2のコリメート光ビームが互いに対して少なくとも部分的に重なるような方法で、第1の及び第2のコリメート光ビームが互いに対して実質的に平行に表示装置から出るように、構成及び配置されることができる。
技術的効果及び利点として、第1の及び第2のコリメート光ビームの両方が、表示装置の射出瞳内で使用者の眼球により目視することができる、(特に、眼球の角膜等の眼球表面上の)少なくとも一つの共通の光点に投影されると考えることができる。結果として、この共通の光点(すなわち、同一の空間部分)は、二つ以上の異なる色を含むことができる。これは、例えば、発光素子のアレイが、少なくとも一つの第1の色の光を放射する少なくとも一つの第1の発光素子と、上記少なくとも一つの第1の色と異なる少なくとも一つの第2の色の光を放射する少なくとも一つの第2の発光素子とを含み、上記第1の光学素子が少なくとも一つの第1の発光素子とのみ関連付けられ、上記第2の光学素子が少なくとも一つの第2の発光素子とのみ関連付けられ、上記第1の光学素子が、第1の発光素子から光を受け、該受けられた光から第1のコリメート光ビームを形成するように構成され、上記第2の光学素子が、第2の発光素子から光を受け、該受けられた光から第2のコリメート光ビームを形成するように構成された場合である。これにより、使用者は、表示装置により生成された色付き像を知覚することができ、また、この色付き像は、第1の及び第2の発光素子により放射される少なくとも二つの異なる色の全てが同一の共通の光点に同時に存在するため、高い解像度を有する。従って、表示装置は高品質の像を提供することが可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の光学素子の焦点距離は、第2の光学素子の焦点距離より大きくすることができる。
技術的効果及び利点として、第1の光学素子が表示装置の第1の層に配置され、第2の光学素子が表示装置の第2の層に配置され、関連付けられた少なくとも一つの発光素子が表示装置の第3の層に配置された3層構成を実現することができる。上記第3の層は、第1の及び第2の光学素子の焦点面に一致させることができる。また、第1の光学素子が第2の光学素子よりも発光素子から離れて配置されていても、第1の光学素子が、そのより長い焦点距離により、なおも発光素子からの光を平行化することができるため、上記第2の層は上記第1の層と上記第3の層の間に配置されることができる。更に、このような3層構成では、第2の光学素子の焦点距離がより短いため、一方では、使用者の眼球で、発光素子の(特に、横断面)像の倍率を増大することが可能であり、他方では、発光素子からの光を受ける集光角(開口数)を増大することが可能であり、これにより偏向角も増大するため、より大きな射出瞳及び/又は視野が可能になる。これにより、大きな視野を有する表示装置が実現可能になる。また、第1の光学素子が中心光学素子であり、第2の光学素子が周辺光学素子である場合、第2の光学素子の倍率がより大きいことで、眼球の角膜等の眼球表面上の光点パターンの解像度が低くなり得るが、第2の光点は、そもそも低い分解能を有する、中心窩から逸れた網膜の周辺部により目視されるため、この低解像度は問題にはならず、むしろ理にかなったものとなる。これにより、中心窩の分解能に適合された光点パターンを生成する表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の光学素子は、第1の層に配置されることができ、第2の光学素子は第2の層に配置されることができ、関連付けられた少なくとも一つの発光素子は第3の層に配置されることができ、上記第2の層は、上記第1の層と上記第3の層の間に配置されることができる。これに関して、少なくとも一つの第1の光学素子は「第1の層の」光学素子、少なくとも一つの第2の光学素子は「第2の層の」光学素子と呼ばれ得る。
技術的効果及び利点として、既に上述した利点及び効果に加えて、第1の及び第2の(層の)光学素子は、表示装置の同一の層に配置されない。このため、各層の光学素子の密度を減少させることでき、光学素子の高密度の配置を避けることができる。また、これにより、光学素子を分離して配置することが可能となり、そのため、光学素子の配置の自由度が増す。従って、光学素子のより簡素な配置、曳いては表示装置のより容易な製造が可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の光学素子の焦点面及び第2の光学素子の焦点面は、共通の焦点面に配置されることができ、関連付けられた少なくとも一つの発光素子は、上記共通の焦点面に配置されることができる。
更なる技術的効果及び利点として、既に上述した利点及び効果に加えて、第1の光学素子が第2の光学素子よりも発光素子から離れて配置されていても、第1の及び第2の光学素子の両方は、なおも少なくとも一つの発光素子からの光を平行化することができる。
表示装置は、第1の及び第2の光学素子の両方と関連付けられた発光素子により放射される光を遮断するフィルターを具備することができ、このフィルターは、上記第1の光学素子と上記第2の光学素子の間に配置されることができる。より具体的には、このフィルターは、第1の光学素子が配置された第1の層と、第2の光学素子が配置された第2の層との間に配置された層に配置されることができる。特に、このようなフィルターは、第1の及び/又は第2の光学素子に設けることができる。
技術的効果及び利点として、例えば第1の光学素子により既に形成され、第2の光学素子に向かって伝播する光線又はコリメート光ビームが、第1の光学素子と第2の光学素子の間に配置されたフィルターにより遮断されることで、この光線又はコリメート光ビームが第2の光学素子に到達し、それにより第2の光学素子により攪乱される(例えば、広げられたり方向を変えられる)ことが防止される。従って、遮断された光は、制御できない方法で及び/又は望まない方向に散乱されない。そのため、攪乱されたコリメート光ビームにより望まない迷光が生成されることなく、表示装置の明確に定められた光放射が可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の及び第2の光学素子が少なくとも一つの発光素子と関連付けられ、上記第1の光学素子が、関連付けられた少なくとも一つの発光素子から光を受け、該受けられた光から少なくとも一つの第1のコリメート光ビームを形成するように構成され、上記第2の光学素子が、関連付けられた少なくとも一つの発光素子から光を受け、該受けられた光から少なくとも一つの第2のコリメート光ビームを形成するように構成されることを実現する二つの実施可能な選択肢が存在する。
発光素子のアレイは、少なくとも一つの第1の色の光を放射する少なくとも一つの第1の発光素子と、上記少なくとも一つの第1の色と異なる少なくとも一つの第2の色の光を放射する少なくとも一つの第2の発光素子とを含むことができる。第1の光学素子は、上記少なくとも一つの第1の発光素子とのみ関連付けることができ、第2の光学素子は、上記少なくとも一つの第2の発光素子とのみ関連付けることができ、上記第1の光学素子は、上記第1の発光素子から光を受け、該受けられた光から第1のコリメート光ビームを形成するように構成され、上記第2の光学素子は、上記第2の発光素子から光を受け、該受けられた光から第2のコリメート光ビームを形成するように構成されることができる。
技術的効果及び利点として、第1の光学素子は、少なくとも一つの第2の発光素子とは全く関連付けられず、例えば、第2の発光素子により放射される光に対して透明となる。逆もまた同様に、第2の光学素子は、少なくとも一つの第1の発光素子とは全く関連付けられず、例えば、第1の発光素子により放射される光に対して透明となる。この場合、第1の光学素子は、第2の光学素子により形成される第2のコリメート光ビームを攪乱できず、逆もまた同様に、第2の光学素子は、第1の光学素子により形成される第1のコリメート光ビームをやはり攪乱できない。従って、上述したようなフィルターがなくてもよく、あるいは不要である。これにより、表示装置の軽量化及び小型化設計が実現可能になる。また、第1の光学素子の光軸と第2の光学素子の光軸が互いに対して傾いており、及び/又は、第1の光学素子の参照軸と第2の光学素子の参照軸が互いに対して平行であり、これにより(以下で更に説明するように)表示装置の構成の自由度が増していても、第1の及び第2のコリメート光ビームを、射出瞳の異なる第1の及び第2の部分に通過させることがなおも可能である。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
これに代わって、第1の及び第2の光学素子は、少なくとも一つの共通の発光素子と関連付けられてもよく、上記第1の光学素子は、上記共通の発光素子から光を受け、該受けられた光から第1のコリメート光ビームを形成するように構成され、上記第2の光学素子は、共通の発光素子から光を受け、該受けられた光から第2のコリメート光ビームを形成するように構成されてもよい。
技術的効果及び利点として、第1の及び第2の光学素子の両方が、同一の共通の発光素子から、それぞれのコリメート光ビームを形成することができる。このように、第1の及び第2の光学素子は、同一の共通の発光素子を共有する。これにより、発光素子の数を減らすことができる。従って、表示装置の軽量化、小型化、及びエネルギー効率のよい設計が可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の及び第2の光学素子のうち少なくとも一つは、その光学素子の光軸及びその光学素子の参照軸が互いに対して傾くように構成されることができる。
技術的効果及び利点として、関連付けられた発光素子が光軸上に配置された場合、コリメート光ビームがこの関連付けられた発光素子を通過せずに参照軸に沿って光学素子から出るような方法で、光軸が参照軸に対して傾くように、光学素子を構成することができる。これにより、コリメート光ビームは、発光素子により少なくとも部分的に再吸収されずに、及び/又は、制御できない方法で及び/又は望まない方向に散乱されずに、表示装置から出ることができる。従って、コリメート光ビームを攪乱することで望まない迷光が生成されることなく、表示装置は、エネルギー効率がよく、明確に定められた光放射特性を有することが可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の及び第2の光学素子は、第1の光学素子の参照軸及び第2の光学素子の参照軸が互いに対して傾くように構成されることができる。
技術的効果及び利点として、第1のコリメート光ビームを表示装置の射出瞳の第1の部分に通過させ、第2のコリメート光ビームを、上記第1の部分と異なり、特には上記第1の部分と空間的に分断された、表示装置の射出瞳の第2の部分に通過させること、及び/又は、第1のコリメート光ビームを、中心窩を含む眼球の網膜の中心部に結像し、第2のコリメート光ビームを、中心窩から逸れた網膜の周辺部に結像することを容易に達成することができる。より一般には、第1の光学素子の参照軸と第2の光学素子の参照軸の間の角度を設定することによって、第1の及び第2のコリメート光ビームが、特にはコリメート光ビームが交差さえせずに(すなわち、コリメート光ビームが、まず収束し、次に交差し、最終的に分かれていくのではなく、第1の及び第2の光学素子から出た直後に分かれ始めて)、互いに分かれていくように、第1の及び第2の光学素子を構成することができる。これにより、大きな視野を有する表示装置が実現可能になる。また、第1の光学素子が表示装置の第1の感光乳剤領域に記録された第1のホログラム光学素子であり、第2の光学素子も省重量及び省スペースな第1の感光乳剤領域に記録された第2のホログラム光学素子であったとしても、これらの参照軸を互いに対して傾けることで、第1の及び第2のコリメート光ビームを射出瞳の異なる第1の及び第2の部分に通過させることがなおも可能である。これにより、大きな視野を有する表示装置の軽量化及び小型化設計が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
これに代わって、第1の及び第2の光学素子は、第1の光学素子の参照軸及び第2の光学素子の参照軸が互いに対して平行となるように、又は一致さえするように構成されてもよい。
技術的効果及び利点として、第1の及び第2のコリメート光ビームが互いに対して実質的に平行に表示装置から出ることを容易に達成することができる。またこれは、第1の及び第2の光学素子のうち少なくとも一つが、その光軸と参照軸とが互いに対して傾くようにも構成された場合でも、また、具体的には第1の光学素子の光軸上に二つの発光素子のうち一方を配置し、第2の光学素子の光軸上に二つの発光素子のうち他方を配置することで、第1の及び第2の光学素子が二つの異なる、空間的に分離された(またそれにより低密度で配置された)発光素子から光を受ける場合でも可能である。言い換えると、第1の及び第2の光学素子の光軸は互いに対して傾いているが、第1の及び第2の光学素子の参照軸は平行又は一致している場合、関連付けられた第1の及び第2の発光素子は、例えば参照軸に垂直な方向に空間的に分離された方法で容易に配置されることができ、また、第1の及び第2の発光素子により放射された二色の光は、参照軸が平行又は一致しているため、なおも同一の共通の光点に同時に到達することができる。従って、発光素子は、例えば参照軸に沿った方向に積層される必要がない。これにより、発光素子の簡素な配置や、表示装置のより自由度の高い構成が可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の光学素子は、表示装置の第1の感光乳剤領域に記録された第1のホログラム光学素子とすることができ、第2の光学素子も、上記第1の感光乳剤領域に記録された第2のホログラム光学素子とすることができる。
技術的効果及び利点として、二つの光学素子を表すために、同一の感光乳剤領域を用いることができる。これにより、表示装置の小型化及び省スペースな構成が可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
これに代わって、第1の光学素子は、表示装置の第1の感光乳剤領域に記録された第1のホログラム光学素子であってもよく、第2の光学素子は、上記第1の感光乳剤領域と異なる、表示装置の第2の感光乳剤領域に記録された第2のホログラム光学素子であってもよい。第1の及び第2の感光乳剤領域は、これらの第1の及び第2の感光乳剤領域が互いに空間的に分離されるように、及び/又は、重なる又は重ならない方法で配置されることができる。例えば、第1の及び第2の感光乳剤領域は、第1の及び第2の感光乳剤領域が、第1の及び/又は第2の光学素子の光軸及び/又は参照軸に平行及び/又は垂直な方向に沿って、互いに対して動かされる又はずらされるように、配置されることができる。
技術的効果及び利点として、二つの光学素子を表すために、二つの異なる感光乳剤領域を用いることができる。特に、第1の及び第2の感光乳剤領域は互いに、特には対応する発光素子に対しても、独立して配置されることができる。従って、第1の及び第2の感光は必ずしも同じ空間を共有する必要がない。二つの感光乳剤領域が互いに独立しているため、これらの二つの感光乳剤領域、曳いては二つの光学素子の配置の自由度が増す。例えば、二つの光学素子は、互いに空間的に分離されることができる。また、第1の光学素子は、第1の色を放射する第1の発光素子とのみ関連付けられるが、第2の色を放射する第2の発光素子とは関連付けられないため、第1の感光乳剤領域の特性(光学特性と関連する材料、厚さ、波長等)は第1の光学素子の仕様のみに適合させることができ、第2の光学素子の光学的仕様は満たさなくてよい。逆もまた同様に、第2の光学素子は、第2の色を放射する第2の発光素子とのみ関連付けられるが、第1の色を放射する第1の発光素子とは関連付けられないため、第2の感光乳剤領域の特性(光学特性と関連する材料、厚さ、波長等)は第2の光学素子の仕様のみに適合させることができ、第1の光学素子の光学的仕様は満たさなくてよい。これにより、第1の及び第2の光学素子の光学的仕様を改善することができる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
少なくとも一つの第2の光学素子は、少なくとも二つの第2の光学素子を含むことができる。これらの第2の光学素子は、第1の光学素子の光軸から逸れて配置され、特に、第1の光学素子の光軸と各第2の光学素子の光軸との間の距離は等しく、又は、第1の光学素子の(特に、幾何学部分及び/又は反射部分の)中心と、各第2の光学素子の(特に、幾何学部分及び/又は反射部分の)中心との間の距離は等しい。これらの第2の光学素子(特に、その幾何学部分及び/又は反射部分)は、同一面内に配置されることができ、これらの第2の光学素子の(特に、幾何学部分及び/又は反射部分の)中心は、これにより、例えば、正三角形又は正方形等を形成することができる。
技術的効果及び利点として、第2の光学素子は、第1の光学素子の周りに(特に、回転対称に)配置されることができる。従って、表示装置の射出瞳内で、少なくとも二つの第2の光学素子により形成された少なくとも二つの第2のコリメート光ビームを表す少なくとも二つの第2の光点は、第1の光学素子により形成された第1のコリメート光ビームを表す第1の光点からなる光点パターンの周りに配置される光点パターンを形成することができる。特に、第2の光点は、第2の光点が例えば正三角形又は正方形等を形成するように、中心に置かれた第1の光点の周りに配置されることができる。従って、表示装置の射出瞳内で、少なくも二つの第2の光点は、第1の光点が配置される中心位置の周りに並んだ、使用者の眼球の瞳の少なくとも二つの異なる位置を包含することができる。この少なくとも二つの異なる位置は、使用者の眼球の少なくとも二つの異なる観察方向に対応する。これにより、第2の光学素子の数に相当する数の、使用者の眼球の多くの異なる観察方向について、複数の類似した光点パターンの部分を実現することができる。従って、使用者は、使用者の眼球の異なる観察方向について、表示装置により作り出された像を見ることが可能になる。これにより、大きな視野を有する表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
第1の及び第2の光学素子は、共通の(すなわち同一の)発光素子と関連付けることができる。第1の光学素子は、一次偏向、一次回折、及び/又は一次反射によって、関連付けられた共通の発光素子により放射された光から第1のコリメート光ビームを形成するように、関連付けられた共通の発光素子に対して構成及び配置されることができる。上記第1の光学素子の隣りに配置され得る第2の発光素子は、二次偏向、二次回折、及び/又は二次反射によって、関連付けられた共通の発光素子により放射された光から第2のコリメート光ビームを形成するように、関連付けられた共通の発光素子に対して構成及び配置されることができる。言い換えると、第1の光学素子は、表示装置が適切に使用される間、射出瞳の第1の部分(を表す第1の空間部分)に使用者の眼球の瞳が置かれた際の第1の観察方向に沿って眼球が注視する時に、関連付けられた共通の発光素子により放射される光から、使用者の眼球に像を作り出すように構成されることができる。一方で、第2の光学素子は、表示装置が適切に使用される間、射出瞳の第2の部分(を表す第2の空間部分)に使用者の眼球の瞳が置かれた際の第2の観察方向に沿って眼球が注視する時に、関連付けられた共通の発光素子により放射される光から、使用者の眼球に(いわゆる「ゴースト」)像を(「意図的に」)作り出すように構成されることができる。特に、第1の光学素子は、関連付けられた共通の発光素子の近くに配置され、第2の光学素子は、関連付けられた共通の発光素子の遠くに配置されることができる。
技術的効果及び利点として、例えば、第1のコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第1の部分を通過し、第2のコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第2の部分を通過するように、第1の及び第2の光学素子並びに共通の発光素子が構成及び配置された場合に、上記共通の発光素子により放射される光を、眼球が表示装置の射出瞳の第1の部分(を表す第1の空間部分)に置かれた時に使用者の眼球の瞳に向けるだけでなく、眼球が表示装置の射出瞳の第2の部分(を表す第2の空間部分)に置かれた時にも使用者の眼球の瞳に向けることができる。従って、第1の光学素子と関連付けられた発光素子により放射される光は、使用者の眼球の異なる観察方向で、使用者の眼球に到達することができる。そのため、この発光素子により放射される光をより効果的に用いることができる。これにより、明るい像を表示する明るい表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
複数の光学素子の少なくとも一部(特に、第1の及び/又は「中心」光学素子)、及び、関連付けられた発光素子(の全体の少なくとも一部)は、表示装置の少なくとも一つの作動状態において、コリメート光ビームが交差点又は交差領域に方向づけられるような方法で、コリメート光ビームが互いに収束するように構成及び配置されることができる。この交差点又は交差領域は、第1の観察方向から第2の観察方向に変更される時に、使用者の眼球が周りを回転する回転点の近傍に位置するものである。
技術的効果及び利点として、表示装置から出たコリメート光ビームの全体の一部は、常に、使用者の眼球の瞳を通過することができる。従って、使用者の眼球の異なる観察方向について、使用者は、表示装置により作り出された像を見ることが可能となる。これにより、大きな視野を有する表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
表示装置は、切り替え可能な偏向装置を具備することができる。この偏向装置は、(特に、偏向装置の切り替えに基づいて)各コリメート光ビームの伝播方向を少なくとも一つの第1の方向と少なくとも一つの第2の方向の間で変更するように構成されることができる。特に、この偏向装置は、複数の異なる群のコリメート光ビームのそれぞれに関して、伝播方向を独立して(すなわち個別に)変更(又は、反射、偏向、若しくは回折)するように構成されることができる。コリメート光ビームの一群は、一つのみのコリメート光ビーム又は二つ以上のコリメート光ビームを含むことができる。
技術的効果及び利点として、表示装置から出た任意のコリメート光ビームの伝播方向を、所望の伝播方向に偏向及び/又は反射することができる。例えば、偏向装置は、表示装置から出る全てのコリメート光ビームが使用者の眼球の瞳に入るように構成されることができる。これにより、表示装置の光パワーの全て又はほとんどを、使用者の眼球内に平行化することができる。そのため、発光素子により放射される光をより効果的に用いることができる。このように、使用可能な光の量を増やすことができる。これにより、低パワーで明るい像を表示する、明るくエネルギー効率のよい表示装置が実現可能になる。また、偏向装置は、上述した交差点又は交差領域を再校正するために用いることができる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
表示装置、特に、表示装置の偏向装置は、複数の切り替え可能な偏向素子を具備することができる。各偏向素子は、少なくとも一つのコリメート光ビーム、又は複数の異なる群のコリメート光ビームのうちの一つと関連付けることができる。特に、各偏向素子は、一つの各光学素子及び/又は一つの各発光素子と関連付けることができる。偏向素子は、コリメート光ビームが偏向素子を通過した後に表示装置の射出瞳の第1の部分を通過するように、偏向素子がこのコリメート光ビームの伝播方向を固定するオン状態と、コリメート光ビームが偏向素子を通過した後に、上記表示装置の射出瞳の第1の部分と異なる表示装置の射出瞳の第2の部分を通過するように、偏向素子がこのコリメート光ビームの伝播方向を変更(及び/又は回折及び/又は偏向及び/又は反射)するオフ状態の間で切り替え可能とすることができる。これに代わって、偏向素子は、コリメート光ビームが偏向素子を通過した後に表示装置の射出瞳の第1の部分を通過するように、偏向素子がこのコリメート光ビームの伝播方向を固定するオフ状態と、コリメート光ビームが偏向素子を通過した後に、上記表示装置の射出瞳の第1の部分と異なる表示装置の射出瞳の第2の部分を通過するように、偏向素子がこのコリメート光ビームの伝播方向を変更(及び/又は回折及び/又は偏向及び/又は反射)するオン状態の間で切り替え可能であってもよい。
技術的効果及び利点として、使用者の眼球が、表示装置の射出瞳の第1の部分(を表す第1の空間部分)に使用者の眼球の瞳が置かれた際の第1の観察方向から、表示装置の射出瞳の第2の部分(を表す第2の空間部分)に使用者の眼球の瞳が置かれた際の第2の観察方向に変更される時に、偏向装置の対応する切り替えにより、コリメート光ビームを使用者の眼球の異なる観察方向で使用者の眼球の瞳に通過させることができる。従って、表示装置の光パワーの全て又はほとんどを、使用者の眼球内に平行化することができる。そのため、発光素子により放射される光をより効果的に用いることができる。これにより、低パワーで明るい像を表示する、明るくエネルギー効率のよい表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
偏向装置、一つの偏向素子、及び/又は複数の偏向素子(のいくつか又は全て)は、液晶ディスプレイ又は液体レンズ等であってもよく、又は含んでもよい。特に、偏向装置、一つの偏向素子、及び/又は複数の偏向素子(のいくつか又は全て)は、特にはコリメート光ビームの光の偏光(又は偏光状態)に基づき、各コリメート光ビームの伝播方向を少なくとも一つの第1の方向と少なくとも一つの第2の方向の間で変更するように構成されることができる。
例えば、偏向装置、一つの偏向素子、及び/又は複数の偏向素子(のいくつか又は全て)は、液晶偏光格子(略:LCPG)であってもよく、又は含んでもよい。このようなLCPGは、例えば、Proc. of SPIE Vol.7093,709302,(2008),doi:10.1117/12.795752、John D. Gonglewski,Richard A. Carreras,Troy A. Rhoadarmer編集、Advanced Wavefront Control: Methods,Devices,and Applications VI、Jihwan Kim, Chulwoo Oh, Michael J. Escuti, Lance Hosting and Steve Serati著、「Wide−angle,nonmechanical beam steering using thin liquid crystal polarization gratings」(以下、Kim et al.と略す)の2.2章「Liquid Crystal Polarization Grating Basics」及び図2に記載されている。
ここで、Kim et al.の開示は引用文献として組み込まれる。本願によって参照されるKim et al.に開示される全ての特徴に関して、保護が請求される。本願によって参照されるKim et al.に開示される全ての特徴は、本発明の技術目的を達成することを助け、またそのため、本願請求項に係る本発明の技術課題の一つ又は全てを解決する方法の一部を成し得る。更に、本願によって参照されるKim et al.に開示される全ての特徴は、本願に含まれる本発明の説明、曳いては出願時の書類の内容に属する。また、本願によって参照されるKim et al.に開示される全ての特徴は、Kim et al.の用語を用いることで正確に定義され、Kim et al.の特定の章を参照して、参照文献Kim et al.に含まれる全ての技術的情報内に認められる。
偏向装置、一つの偏向素子、及び/又は複数の偏向素子(のいくつか又は全て)は、Kim et al.の3章「SINGLE LCPG STEERING STAGE」、特にKim et al.の図5(a)に定義されるような、アクティブな(切り替え可能な)偏光格子(略:APG)及び/又は液晶(LC)半波長板であってもよく、又は含んでもよい。
このようなAPG、より一般には、APGを含むLCPGは、Kim et al.の2.3章「Fine Angle Steering Module」に定義されるようなファインアングルステアリングモジュール及び/又はKim et al.の3章「SINGLE LCPG STEERING STAGE」に定義されるようなビームステアリングモジュールとして機能するように構成されることができる。言い換えると、APGは、APGのオフ状態(偏向素子のオフ又はオン状態に相当)において、光を偏向又は回折し(すなわち、Kim et al.の図2(d)及び2(e)のように、APGに入ったコリメート光ビームの伝播方向を変更(又は偏向又は反射し))、APGのオン状態(偏向素子のオン又はオフ状態に相当)において、光を偏向又は回折しない(すなわち、Kim et al.の図2(f)のように、APGに入ったコリメート光ビームの伝播方向を固定する)ように、構成されることができる。また、APGは、APGのオフ状態において、第1の円偏光を有するコリメート光ビームの光を第1の方向に偏向又は回折し、及び/又は、第2の円偏光を有するコリメート光ビームの光を第2の方向に偏向又は回折するように構成されることができる(Kim et al.の図2(d)、2(e)、及び5(a)参照)。第1の及び第2の方向は異なってもよい。APGに入ったコリメート光ビームの光が(まだ)偏光されていない場合、APGは、オフ状態において、第1の円偏光を有するコリメート光ビームの光と第2の円偏光を有するコリメート光ビームの光の両方を偏向又は回折するように構成されることができる(Kim et al.の図5(a)参照)。第1の偏光は、Kim et al.の図5に定義されるような、右回りの円偏光であってもよく、第2の偏光は、Kim et al.の図5に定義されるような、左回りの円偏光であってもよく、逆もまた同様である。
特に、APGは、例えば±0°、±5°、±10°、又は±11°等の離散的な偏向角で、APGに入ったコリメート光ビームの光を偏向するように構成されることができる(Kim et al.の表3参照。「±」は第1の及び第2の円偏光にそれぞれ関する)。離散的な偏向角は、Kim et al.の2.2章「Liquid Crystal Polarization Grating Basics」及びKim et al.の式(3)に定義されるように、任意に設定することができる。
例えば、偏向装置は、複数のAPGを含むことができる。各APGは、層として、又はKim et al.の4.1章「Simple Coarse Steerer Design」、図6、4.2章「Improved Coarse Steerer Design」、及び図7に定義されるような「ステージ」として配置されることができる。特に、偏向装置は、Kim et al.の4章「COARSE STEERER DESIGN OPTIONS」、図6、及び図7に定義されるような、増大した動作範囲を伴うワイドアングルビームステアリングシステムを実行するために、積層又は段積みされた一組のAPG層又はAPGステージの配列であってもよい。複数のAPGは、それら特有の偏向角が互いに異なっていてもよい。また、複数のAPGは、偏向装置の総偏向角が、Kim et al.の4.1章「Simple Coarse Steerer Design」及び4.2章「Improved Coarse Steerer Design」に定義されるように、異なる離散的な総偏向角の間で切り替え可能であるように配置されることができる。
技術的効果及び利点として、偏向装置から出たコリメート光ビームの任意の方向を設定することができる。これにより、選択可能な偏向角の範囲が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。また、偏向装置及び/又は偏向素子の偏向機能を実現するために、ホログラム及び/又はホログラム光学素子が使用されない。これに関して、本開示の偏向装置は、ホログラム及び/又はホログラム光学素子(特に、これのみ)に頼る偏向装置の代替手段を表すことができる。
例えば、偏向装置は、コリメート光ビームの伝播方向に沿って以下に記載される順に配置された、例えば1°の偏向角を有する第1のAPG層1と、例えば5°の偏向角を有する第2のAPG層2と、例えば11°の偏向角を有する第3のAPG層3とを含むことができる。単一のAPG層1、2、及び3のオン/オフ状態に応じて、単一の円偏光に関して、以下の総偏向角を実現することができる(表1)。
偏向装置は、コリメート光ビームの光の偏光を、例えば(特に純粋な)左回りの円偏光又は(特に純粋な)右回りの円偏光に設定する偏光設定装置を含むことができる。このために、偏光設定装置は、半波長板及び/又は四分の一波長板を含んでもよい。偏光設定装置は、偏光設定装置を通過するコリメート光ビームの光の偏光を、(特に純粋な)左回りの円偏光と(特に純粋な)右回りの円偏光との間で、切り替えることができる。このために、偏光設定装置は、一つ以上のポッケルスセルを含んでもよい。制御ユニットは、偏光設定装置を切り替えるように構成されることができる。偏向装置は、複数の偏光設定装置を含むことができる。偏光設定装置は、一つの各光学素子及び/又は一つの各偏向素子と関連付けることができる。特に、偏光設定装置は、コリメート光ビームの伝播方向に沿って、光学素子の(例えばすぐ)下流に、及び/又は、関連付けられた光学素子と関連付けられた偏向素子との間に、配置されることができる。
技術的効果及び利点として、コリメート光ビームの光の円偏光に応じて、偏向装置から出たコリメート光ビームの偏向方向、すなわち、偏向角の符号(「+」又は「−」のいずれか)を設定することができる。これによって、選択可能な偏向角の範囲を増大することができる。これに加えて、光が使用者の眼球の瞳に入らない方向への偏向によって、光パワー又は光強度が浪費されることがない。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
例えば、偏向装置は、コリメート光ビームの伝播方向に沿って以下に記載される順に配置された、偏光設定装置と、例えば1°の偏向角を有する第1のAPG層1と、例えば5°の偏向角を有する第2のAPG層2と、例えば11°の偏向角を有する第3のAPG層3とを含むことができる。偏光設定装置によって設定されたコリメート光ビームの光の偏光に応じて、また、単一のAPG層1、2、及び3のオン/オフ状態に応じて、以下の総偏向角を実現することができる(表2)。
言い換えると、発光素子により放射された光をそのまま(すなわち、それまで純粋に偏光させないで)用いることができる。この場合、オフ状態の第1のAPG層1を通過した後、二つの偏向方向が生じる。次いで、光ビームは、オフ状態の第1のAPG層1を通過した後、純粋に左回りに円偏光された部分と純粋に右回りに円偏光された部分に分割されることが可能であり、そのため、第2の及び/又は第3のAPG層2、3を通過した際は、ビームの更なる分割は起こらない。
一方で、発光素子により放射された光は、偏向素子に入る前に、偏光設定装置により純粋に(左又は右周りに)円偏光されるように、偏光させることができる。この場合、(表1に示されるように)一つの偏向方向のみが生じ、光ビームは、第1、第2、及び/又は第3のAPG層1、2、3を通過した際は、分割されない。
更に、表示装置は、(上述の)表示装置の像取得装置により生成された位置信号に基づき、偏向装置及び/又は偏向素子を切り替える制御ユニットを具備することができる。特に、制御ユニットは、使用者の眼球の瞳が現行で置かれている表示装置の射出瞳の部分を表示装置から出た(特に全ての)コリメート光ビームが通過するような方法で、コリメート光ビームの伝播方向が偏向装置により変更されるように、像取得装置により生成された位置信号に基づき、偏向装置を切り替えるように構成されることができる。より具体的には、制御ユニットは、使用者の眼球の瞳が表示装置の射出瞳の第1の部分(を表す第1の空間部分)に位置する時に、オン状態又はオフ状態でコリメート光ビームを表示装置の射出瞳の第2の部分に通過させる(であろう)偏向素子のみを、これらの偏向素子から出たコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第1の部分を通過するように、オフ状態あるいはオン状態にそれぞれ設定するように構成されることができる。同様に、制御ユニットは、使用者の眼球の瞳が表示装置の射出瞳の第2の部分(を表す第2の空間部分)に位置する時に、オン状態又はオフ状態でコリメート光ビームを表示装置の射出瞳の第1の部分に通過させる(であろう)偏向素子のみを、これらの偏向素子から出たコリメート光ビームが表示装置の射出瞳の第2の部分を通過するように、オフ状態あるいはオン状態にそれぞれ設定するように構成されることができる。
技術的効果及び利点として、眼球が例えば第1の観察方向から第2の観察方向に変更されることで移動したとしても、偏向素子の対応する切り替えにより、表示装置から出たコリメート光ビームの全て又は少なくともほとんどが使用者の眼球の瞳を通過する。従って、発光素子により放射される光をより効果的に用いることができる。これにより、低パワーで明るい像を表示する、明るくエネルギー効率のよい表示装置が実現可能になる。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
表示装置は、シースルー部分を有するシースルー部材を具備することができる。シースルー部材は、複数の発光素子を含むことができる。この発光素子は、シースルー部分が、隣接する各対の発光素子の間に光(特に可視光)透過性シースルー領域を有するように、シースルー部分内に相互に間隔をあけて設けることができる。発光素子は、例えば、透明な有機発光素子(OLED)及び/又は透明なトランジスタを用いて発光素子を形成することで、光に対して透明又は実質的に透明であることができる。シースルー部材は、シースルー部分内に設けられた複数の光学素子を更に含むことができる。各発光素子は、関連付けられた光学素子の焦点面に位置することができる。複数の光学素子は、表示装置の平行化光学系を表すことができる。発光素子は、(特に純粋に)左回りの円偏光の光、(特に純粋に)右回りの円偏光の光、及び/又は(任意の方位の)直線偏光の光を放射するように構成されることができる。例えば、発光素子は、レーザー装置として実現されてもよく、又はレーザー装置を含んでもよい。この場合、発光素子から放射される光は既に偏光されている。
技術的効果及び利点として、隣接する各対の発光素子の間にあるシースルー領域により、光がシースルー部材及び/又は(実質的に)透明な発光素子を通過することが可能になる。従って、光が、シースルー領域及び/又は発光素子自体を通って、隣接する各対の発光素子の間を通過することができる。複数の発光素子は表示装置のディスプレイを形成するため、ディスプレイ自体により放射される光と、実体世界からの光の両方が、表示装置を通過することができる。そのため、ディスプレイ、より一般には表示装置は、透明又は少なくとも半透明である。従って、拡張現実映像のために、表示装置を用いる使用者の視界又は視野の線上に表示装置を直接提供することが可能である。結果として、この表示装置は改善された設計となる。
本明細書を通して、複数の構成要素(例えば、光学素子及び/又は発光素子等)のうちのある構成要素の特質を明らかにする特徴を参照するときに、その複数の要素の一つ、少なくとも一つ、又は各々は、対応する特徴によって明らかにされてもよい。
図1、5、7〜13a、及び14aに表示装置10が示される。表示装置10は、シースルー部分14を有するシースルー部材12を具備する。シースルー部材12は、例えば、ビューイングポート、乗り物のフロントガラス又は窓、ヘルメットのバイザー、ガラス、眼鏡の接眼レンズ、矯正レンズ、眼鏡レンズ等を表す。
シースルー部材12は、発光素子16のアレイを含む。例示的に、発光素子16のいくつかのみが示され、小さな長方形及び/又は小さな円/楕円として概略的に表される。更なる発光素子16は、点で表される(図1、5、7〜13a、及び14a参照)。発光素子16のアレイは、シースルー部分14が、隣接する(いくつか又は全ての)対の発光素子16の間に可視光透過性シースルー領域15を有するように、シースルー部分14内に相互に間隔をあけて、重ならない方法で、設けることができる(例として図1参照)。各発光素子16は、可視光17を放射する。
表示装置10は、細長い長方形(例えば、図1参照)や曲線(図11参照)として概略的に示される複数の光学素子18も具備する。光学素子18は、発光素子16のアレイから光17を受ける。特に、各光学素子18は、少なくとも一つの各発光素子16と関連付けられ、関連付けられた発光素子16により放射された光17から少なくとも一つのコリメート光ビーム20を形成する(特に図1参照)。図において、単一のコリメート光ビーム20は、単一の長い矢印(図1、5、7〜13a、及び14a参照)及び/又は二つ以上の平行な長い矢印17’、17”(図2a、3a、及び12)により概略的に表される。各発光素子16は、関連付けられた光学素子18の焦点面19に位置する(特に図2a、3a、12、13b、13d、14a、及び15a〜15c比較参照)。これに関して、複数の光学素子18は、表示装置10の平行化光学系を表す。更なる光学素子18も点で表される(図1、5、7〜13a、及び14a参照)。
表示装置10は、表示装置10から出たコリメート光ビーム20により、使用者が彼/彼女の視界を(ほぼ)無限遠に調節することを可能にする。例えば、表示装置10の像は、使用者の眼球30の瞳28の方向に表示装置10から出るコリメート光ビーム20によって表すことが可能であり(図5、7〜11、及び13a参照)、無限遠に調節された人間の水晶体によって網膜上に焦点が合わせられる。この点で、表示装置10によって放射されるコリメート光ビーム20は、無限遠の(又は少なくとも、ほぼ無限遠の)距離に像を作り出すことができる。
更に、対の発光素子16の間にあるシースルー領域15によって、光が、シースルー領域15を通って、隣接する対の発光素子16の間を通過することができる。そのため、表示装置10自体により放射される光17と、実体世界からの光9の両方(例として図11参照)が、表示装置10を通過することができる。それゆえ、ディスプレイ、より一般には表示装置10は、透明又は少なくとも半透明である。従って、拡張現実映像のために、表示装置10を用いる使用者の視界又は視野の線上に表示装置10を直接提供することが可能である。
一般に、光学素子18は、可視光スペクトルの、あるスペクトル部分のみを包含する偏向スペクトル内でだけ可視光を反射/偏向/屈折/回折し、偏向スペクトルと透過スペクトルは重複せず(すなわち、これらのスペクトルは分離されている)、可視光スペクトルの別のスペクトル部分のみを包含する透過スペクトル内の可視光に対しては透明である。従って、(図11に例示されるように)実体世界から来た光9等の透過スペクトル内の可視光は、反射、偏向、屈折、及び/又は回折されずに光学素子18を通過し、一方で、関連付けられた発光素子16により放射された光17は、関連付けられた光学素子18により反射、偏向、屈折、及び/又は回折され、コリメート光ビーム20を形成する。
更に、光学素子18の偏向スペクトルは、その関連付けられた少なくとも一つの発光素子16の放射スペクトルを完全に包含する。しかしながら、光学素子18の偏向スペクトルは、光学素子18と関連付けられていない発光素子16の放射スペクトルを包含しない。言い換えると、光学素子18は、関連付けられていない発光素子16により放射される光に対して透明である。
従って、光学素子18の偏向スペクトルと発光素子16の放射スペクトルを構成することで、光学素子18と発光素子を互いに「関連付ける」ことができる。
例えば、図12に示されるように、各光学素子18は、表示装置10の出現性のホログラフィック感光乳剤領域(同様に符号18で表される)に記録された各々のホログラム光学素子(HOE)であってもよい。出現性のホログラフィック感光乳剤領域18は、特定の幾何学部分25を有する。各光学素子18は、ホログラム凹面鏡(すなわち、凹面鏡の反射型ホログラム)を表すことができる。これに代わって、図11に示されるように、各光学素子18は、二色性であり、球状又は放射状の反射部分25を有する反射膜(同様に符号18で表される)であってもよい。反射膜18は、透明な基材等の透明又は少なくとも半透明の物体46の表面に(例えば、蒸着、スパッタリング等で)塗布された被膜である。各光学素子18は、回折格子、透過型振幅格子、透過型位相格子、反射型位相格子、及び/又は反射型振幅格子、及び/又は液晶偏光格子及び/又は液体レンズ(不図示)であってもよい。
光学素子18の上記の実現例のいずれの場合も、光学素子18は、焦点距離fL、焦点面19、幾何学部分又は偏向/反射/屈折部分25、「最小収差位置」60、光軸50、参照軸62、及び物体軸64によって特徴付けられる。これらの用語は、図15a〜15cで説明及び定義される。
特に図15bに示されるように、最小収差位置60は、点状の発光素子16がこの最小収差位置60に位置し、光学素子18がこの点状の発光素子16から光17を受け、該受けられた光17からコリメート光ビーム17’、17”、20を形成する時に、光学収差が最小となる位置である。例えば、図15aに示されるように、光学素子18の最小収差位置60は、意図された光学素子18の位置及び/又は方位に対して(より具体的には、光学素子18が形成される感光乳剤領域18の位置及び/又は方位に対して)光学素子18をホログラム光学素子18として記録する間、記録される物体66が存在する、物体66の中心の位置60である。これに関して、最小収差位置は、光学素子18の焦点面19の中心として定義又は理解することができる。
光学素子18の焦点距離fLは、光学素子18の最小収差位置60と、光学素子18の幾何学部分25及び/又は反射部分25が配置される面68の間の最短距離と定義又は理解することができる(図15a〜15c参照)。
光学素子18の参照軸62は、光学素子18の幾何学部分25及び/又は反射部分25の中心70を通り、かつ、光学素子18の最小収差位置60に位置する点状の発光素子16から受けられた光17から光学素子18により形成されたコリメート光ビーム20と平行な直線として定義又は理解することができる(図15b参照)。参照軸62の方位は、例えば、光学素子18をホログラム光学素子として記録する間、ホログラム光学素子18が記録される感光乳剤領域18に対して参照ビーム72を配置する及び/又は傾けることによって、調整及び固定されることができる(図15a参照)。参照ビーム72は、ホログラム記録プロセス中、記録された物体66から散乱される波74(いわゆる物体ビーム74)と共に、感光乳剤領域18にホログラムの干渉パターンを形成する光参照波(図15aでは8つの平行な直線として示される)の光線の束の中心光線(同様に符号62で示される)によって表すことができる(再び図15a参照)。
光学素子18の物体軸64は、最小収差位置60を通り、光学素子18の幾何学部分25及び/又は反射部分25が配置される面68と垂直な直線として定義又は理解することができる(図15a〜15c参照)。
光学素子18の光軸50は、光学素子18の幾何学部分25及び/又は反射部分25の中心70を通り、かつ、光学素子18の最小収差位置60を通る直線として定義又は理解することができる(図15a〜15c参照)。これに関して、光学素子18の光軸50は、上記中心70を位置決めし、上記最小収差位置60を位置決めすることによって、調整及び固定されることができる。光軸50の方位は、例えば、光学素子18をホログラム光学素子18として記録する間、ホログラム光学素子18が記録される感光乳剤領域18に対して、ホログラムとして結像される物体66(すなわちレンズ又は鏡等)を配置することによって、調整及び固定されることができる(図15b参照)。特に、光軸50は、物体軸64と平行でもよく、又は一致すらしてもよい(例えば、図2a参照)。しかしながら一般に、光軸50は、必ずしも物体軸64と一致する必要はなく、及び/又は、必ずしも平行である必要はなく、物体軸64に対して傾いていてもよい(例えば、図15a〜15c参照)。参照軸62についても同様のことが言える。光軸50は、参照軸62と平行でもよく、又は一致すらしてもよい(例えば、図2a参照)。しかしながら一般に、必ずしも光軸50は、参照軸62と一致する必要はなく、及び/又は、必ずしも平行である必要はなく、参照軸62に対して傾いていてもよい(例えば、図15a〜15c参照)。発光素子16が焦点面19内かつ関連付けられた光学素子18の光軸50上に位置する場合、光学素子18は、関連付けられた発光素子16により放射される光17からコリメート光ビーム17’、17”、20を形成し、このコリメート光ビーム17’、17”、20は、参照軸62と平行に、参照軸62に沿って、発光素子18から出る(例えば、図15b参照)。しかしながら、発光素子16が焦点面19内に位置するが、関連付けられた光学素子18の光軸50から逸れている場合、光学素子18は、関連付けられた発光素子16により放射される光17からなおもコリメート光ビーム17’、17”、20を形成するが、このコリメート光ビーム17’、17”、20は、参照軸62に対して偏向した(すなわち、傾いた、角度を有する)方法で、光学素子18から出る(例えば、図15c参照)。
上記を考慮すれば、それぞれ所望の方位を伴う参照軸62、物体軸64、及び/又は光軸50を有する光学素子18を実現することも可能である。また、光学素子18及び関連付けられた発光素子16は、(以下でより詳細に説明されるように)関連付けられた発光素子16から受けられた光17から光学素子18により形成されたコリメート光ビーム20が表示装置10の射出瞳24の所望の部分22、26、54を通過するように、(互いに対して)構成及び配置されることもできる。言い換えると、関連付けられた発光素子16を光学素子18、特には光学素子18の焦点面19内の光軸50に対して配置することにより、コリメート光ビーム20の任意の方向を設定することができる。これらの可能性は、光学素子18及び発光素子16の特定の構成及び配置から生じる特定の機能的特徴を得るために用いられる。詳細には以下の通りである。
図2aは、3つの例示的な光線17がどのように一つの発光素子16により放射され、この一つの発光素子16と関連付けられた一つの光学素子18により受けられるかを示している。光学素子18が、関連付けられた発光素子16により放射された光線17から一つのコリメート光ビーム20をどのように形成するかが詳細に示される。これは、光線17が、光学素子18により偏向/反射/回折された後、(実質的に)平行な光線17’、17”として光学素子18から出るためである。関連付けられた発光素子16から受けられた光17を平行化するため、光学素子は、焦点面19と所定の焦点距離fLを有し、関連付けられた発光素子16は、関連付けられた光学素子18の焦点面19内に配置される。より具体的には、発光素子16は、光軸50上かつ焦点面19内に(またそのため、最小収差位置60に)位置する。従って、コリメート光ビーム20は、参照軸62に沿って光学素子18から出る。
関連付けられた発光素子16から受けられた光17から光学素子18により形成されたコリメート光ビーム20は、とりわけ、平行な光線17’、17”を含むため、コリメート光ビーム20を表すには、全ての平行な光線17’、17”の束の中心光線17”のみを用いれば十分である(図2a参照)。従って、光学素子18は、関連付けられた発光素子16の(虚)像が無限遠(すなわち無限距離)に提供されるような、拡大光学特性を有していると言える。
図2aは、コリメート光ビームが例えばスクリーンや角膜等の使用者の眼球の表面に当たった時に、コリメート光ビーム20により生成される光点21も示している。このように、関連付けられた発光素子16により放射される光17は、光学素子18とその関連付けられた発光素子16により生成される光点21を含む光点パターン23に「投影」されると言える。
図2bは、光学素子18及び関連付けられた発光素子16をより抽象的な略図、いわゆる「投影図」で示している。特に、図2bは、関連付けられた発光素子16と共に、光学素子18の幾何学及び偏向/反射/屈折部分25も正面図で示している。この例において、この部分25は長方形及びほぼ正方形状である。そのため、発光素子16が点状であると考えた場合、光点21もまた長方形及びほぼ正方形状になり得る。図2b(また、図3b、4、6、13c、13e〜13h、及び14b)の大きな矢印は、関連付けられた発光素子16により放射された光17が対応する光点パターン23に投影されたことを示す。
図3aの例では、一つの光学素子18が3つの発光素子16a、16b、16cに関連付けられており、そのため、光学素子18は3つのコリメート光ビーム20a、20c(図3aでは明確性のため、3つのうち2つのコリメート光ビーム20a、20cのみが示されている)を提供する。また明確性のために、発光素子16a由来であり、光学素子18により偏向/反射/回折された後、平行に光学素子18から出た光線17a’、17a”(実線)、及び、発光素子16c由来であり、光学素子18により偏向/反射/回折された後、同様に平行に光学素子18から出た光線17c’、17c”(破線)のみが示される。図2aと同様に、中心光線17a”はコリメート光ビーム20aを表し、中心光線17c”はコリメート光ビーム20cを表す。図3aに見られるように、関連付けられた発光素子16により放射された光は、十分に遠い距離で、3つの重ならない光点21a、21b、21cを含む光点パターン23に投影される。各光点21a〜cは、3つのコリメート光ビーム20a、20cのうちの一つにより生成される。
図3bは、図3aの光学素子18及び関連付けられた3つの発光素子16a、16b、16cをより抽象的な略図で示している。特に、図3bは、関連付けられた3つの発光素子16a〜cと共に、光学素子18の幾何学及び偏向/反射/屈折部分25を正面図で示している。この例において、この部分25は長方形及びほぼ正方形状である。そのため、発光素子16a〜cの各々が点状であると考えた場合、各光点21a〜cもまた長方形及びほぼ正方形状になり得る。図3bの大きな矢印は、関連付けられた一つの各発光素子16a〜cにより放射された光17から光学素子18により形成された各コリメート光ビームが、対応する光点21a〜cに投影されたことを示す。複数の光点21a〜cは、光点パターン23を形成する。
図4は、9つの発光素子16a〜iに関連付けられた一つの光学素子18を示す。特に、図4は、関連付けられた9つの発光素子16a〜iと共に、光学素子18の幾何学及び偏向/反射/屈折部分25を正面図で示している。この例において、この部分25は長方形及びほぼ正方形状である。そのため、発光素子16の各々が点状であると考えた場合、各光点21a〜iもまた長方形及びほぼ正方形状になり得る。図4の大きな矢印は、関連付けられた一つの各発光素子16a〜iにより放射された光から光学素子18により形成された各コリメート光ビームが、対応する光点21a〜iに投影されたことを示す。この光点は、光点パターン23を形成する。
各発光素子16は、発光素子16が可視光17を放射するオン状態(図において灰色の色調で示される)と、発光素子16が可視光17を放射しないオフ状態(図において白の色調で示される)の間で切り替え可能である。
各発光素子16は、単一のOLEDであってもよく、表示装置10のディスプレイの一つのピクセル、又は(特に多色ピクセル27を表す)表示セグメント27の一つの(特に単色の)ピクセルを形成する。これは、複数の発光素子16(すなわちピクセル)が、単一の表示セグメント27に組み合わされることを意味する(特に、図3a〜7比較参照)。これにより、いくつかの発光素子をオフに切り替え、いくつかの発光素子をオンに切り替えることで、単一の表示セグメント27上に(図4の「X」等の)情報を表示することが可能になる。
発光素子16及び光学素子18の上述の特性は、とりわけ、表示装置10の視野を増大するために用いられる。詳細には以下の通りである。
図5は、(少なくとも)6つの光学素子18−1〜18−6を有する表示装置10を側面図で示している。各光学素子18−1〜18−6は、9つの発光素子16a〜16i(図4参照)を有する一つの各表示セグメント27(同様に図4参照)に関連付けられているが、明確性のために各表示セグメント27の中心発光素子16eのみが符号16−1〜16−6で与えられている。
図5に例示されるように、複数の光学素子18−1〜18−6及び発光素子16−1〜16−6のアレイは、コリメート光ビーム20−1〜20−6の少なくとも一つの第1の一部分20−3〜20−5が表示装置10の射出瞳24の少なくとも一つの第1の部分22を通過し、上記コリメート光ビーム20−1〜20−6の第1の一部分20−3〜20−5と異なる、コリメート光ビーム20−1〜20−6の少なくとも一つの第2の一部分20−1が、表示装置10の射出瞳24の少なくとも一つの第2の部分26を通過するように、構成及び配置される。ここで、第2の部分26は、第1の部分22とは異なる(またこの例では、空間的に分断さえされた)ものである。
これは、対応する「投影図」において(図6参照)、複数の光学素子18−1〜18−6及び発光素子16−1〜16−6のアレイが、コリメート光ビーム20−1〜20−6が光点21−1〜21−6に投影されるように、構成及び配置されることを意味する。各光点21−1〜21−6は、一つの各コリメート光ビーム20−1〜20−6により表される。光点21−1〜21−6は、光点パターン23−1〜23−6に属し、各光点21−1〜21−6は、一つの光学素子18−1〜18−6及びその関連付けられた発光素子16−1〜16−6により生成される。例えば、光点21−1は、光点パターン23−1に属し、光点パターン23−1は、光学素子18−1及びその関連付けられた発光素子16−1によって生成される。言い換えると、光点パターン23−1は、光学素子18−1及びその関連付けられた表示セグメント27によって生成される。
図5及び6に更に例示されるように、射出瞳24の第1の部分22は、表示装置10が適切に使用される間、使用者の眼球30が少なくとも一つの第1の観察方向32に沿って表示装置10の中心を注視する時に、この眼球30の瞳28が置かれる第1の空間部分(同様に符号22で示される)を表す。射出瞳24の第2の部分26は、表示装置10が適切に使用される間、使用者の眼球30が第1の観察方向32とは異なる方位の少なくとも一つの第2の観察方向34に沿って表示装置10の周辺を注視する時に、この眼球30の瞳28が置かれる、第1の空間部分22と空間的に異なる第2の空間部分(同様に符号26で示される)を表す(例として、図5の一点鎖線32、34比較参照)。
図6に示されるように、光点21−1〜21−6は、表示装置10の射出瞳24内で、重ならない方法で、互いに対して空間的に分離されている。従って、表示装置10の射出瞳24内で、光点21−1〜21−6は、使用者の眼球30の異なる観察方向32、34に対応する、使用者の眼球30の瞳28の異なる位置を包含することができる(図6に、使用者の眼球30の瞳の2つの例示的な位置が示される)。そのため、使用者は、使用者の眼球30の異なる観察方向32、34について、表示装置10により作り出された像を見ることが可能になる。これにより、大きな視野を有する表示装置10が実現可能になる。
図7に示される例において、光学素子18−1〜18−6及び発光素子16−1〜16−6は、コリメート光ビーム20−1〜20−6が交差領域36に方向づけられるような方法で、表示装置10から出たコリメート光ビーム20−1〜20−6が収束するように構成及び配置される。この交差領域は、表示装置10が適切に使用される間、第1の観察方向32から第2の観察方向34に変更される時に、使用者の眼球30が周りを回転する回転点38の近傍に位置する。より一般的に言うと、複数の光学素子18−1〜18−6の少なくとも一部、及び、関連付けられた発光素子16−1〜16−6の少なくとも一部は、表示装置10の少なくとも一つの作動状態において、コリメート光ビーム20−1〜20−6が交差領域36に方向づけられるような方法で、コリメート光ビーム20−1〜20−6が互いに収束するように構成及び配置される。
これにより、コリメート光ビーム20−1〜20−6のうち一つ以上(20−3〜20−5)が、第1の観察方向32で、使用者の眼球30の瞳28を通過し、コリメート光ビーム20−1〜20−6のうち一つ以上(20−1)が、第2の観察方向34で、使用者の眼球30の瞳28を通過する(図7参照)。そのため、使用者は、使用者の眼球30の異なる観察方向32、34について、より具体的には使用者の眼球30の異なる回転状態について、表示装置10により作り出された像を見ることが可能になる。
表示装置10の適切な使用を確実にするために、表示装置10は、使用者の眼球30に対して表示装置10を配置する及び/又はしっかり保持するガラスフレームや眼鏡フレーム等の位置決め装置(不図示)を具備することができる。より具体的には、位置決め装置を用いることで、予め決められた方法で、表示装置10の位置及び方位に対する使用者の顔又は頭の位置及び方位を定めることができる。位置決め装置は、表示装置10の射出瞳24(を表す空間部分24)内に使用者の眼球30の瞳28を配置するように構成されることができる。
図8a〜8dの例に示されるように、表示装置10は、切り替え可能な偏向装置40を具備する。偏向装置40は、切り替えられると、各コリメート光ビーム20の伝播方向を少なくとも一つの第1の方向と少なくとも一つの第2の方向の間で変更できる。特に、偏向装置40は、複数の異なる群のコリメート光ビーム20のそれぞれに関して、伝播方向を独立して(すなわち個別に)変更することができる。コリメート光ビーム20の一群は、一つのコリメート光ビーム20又は二つ以上のコリメート光ビーム20を含むことができる。
より具体的には、偏向装置40は、図8a〜8dで灰色及び/又は黒色の細長い長方形として示される、複数の切り替え可能な偏向素子42を含む。各偏向素子42は、一つのコリメート光ビーム20(例えば20a及び42a参照)と関連付けられ、偏向素子42から出たコリメート光ビーム20が、射出瞳24の、ある部分(例えば、図8bの第1の部分22等)を通過するように、偏向素子42がその偏向素子42に入ったコリメート光ビーム20の伝播方向を固定するオン状態(図8a〜8dにおいて灰色の細長い長方形として示される)と、偏向素子42から出たコリメート光ビーム20が、射出瞳24の別の部分(例えば、図8cの第2の部分26等)を通過するように、偏向素子42がその偏向素子42に入ったコリメート光ビーム20の伝播方向を変更するオフ状態(図8a〜8dにおいて黒色の細長い長方形として示される)の間で切り替え可能である。
更に、表示装置10は、使用者の眼球30の瞳28の像を取得し、使用者の眼球30の瞳28の位置を表す位置信号を生成する像取得装置(又はアイトラッカー)44を具備する。これにより、使用者の眼球30の瞳28の位置を追跡することが可能になる(特に図8a〜8d参照)。
表示装置10は、位置信号に基づき、偏向装置40及び偏向素子42を切り替える制御ユニット(不図示)も具備する。このために、制御ユニットは、使用者の眼球30の瞳28が現行で置かれている射出瞳24の部分22又は26を、表示装置10から出た全てのコリメート光ビーム20が通過するような方法で、コリメート光ビーム20の伝播方向が偏向装置40により変更されるように、像取得装置44により生成された位置信号に基づき、偏向装置40を制御する(図8b及び8c参照)。より具体的には、制御ユニットは、(図8a及び8bに示されるように)使用者の眼球30の瞳28が射出瞳24の第1の部分22に位置する時に、(「灰色の」)オン状態でコリメート光ビーム20aを射出瞳24の第2の部分26に通過させる偏向素子42a(図8a参照)のみを、これらの偏向素子42aから出たコリメート光ビーム20aが射出瞳24の第1の部分22を通過するように、(「黒色の」)オフ状態に設定する(図8b参照)。同様に、制御ユニットは、(図8cに示されるように)使用者の眼球30の瞳28が射出瞳の第2の部分26に位置する時に、(「灰色の」)オン状態でコリメート光ビーム20bを射出瞳24の第1の部分22に通過させる偏向素子42b(図8b参照)のみを、これらの偏向素子42bから出たコリメート光ビーム20bが射出瞳24の第2の部分26を通過するように、(「黒色の」)オフ状態に設定する(図8c参照)。
これにより、使用者の眼球30が、射出瞳24の第1の部分22に使用者の眼球30の瞳28が置かれた際の第1の観察方向32(図8a及び8b参照)から、射出瞳24の第2の部分26に使用者の眼球30の瞳28が置かれた際の第2の観察方向34(8c参照)に変更された時に、偏向装置40及び偏向素子42の対応する切り替えにより、コリメート光ビーム20、20a、20bを、使用者の眼球30の異なる観察方向32、34で使用者の眼球30の瞳28に通過させることができる(図8b及び8c参照)。従って、表示装置10の全光パワーを、使用者の眼球30内に平行化することができる。
特に、偏向装置40又は各偏向素子42は、コリメート光ビーム20の光の偏光状態にも基づいて、コリメート光ビーム20の伝播方向を変更することができる。このために、偏向装置40は、液晶偏光格子(略:LCPG)を含む。より具体的には、各偏向素子42は、アクティブな切り替え可能な偏光格子(略:APG)及び液晶(LC)半波長板(不図示)を含む。APGのオフ状態(すなわち、偏向素子42のオフ状態)では、APGは光を偏向又は回折する(すなわち、APGに入ったコリメート光ビーム20の伝播方向を変更又は偏向する)。APGのオン状態(すなわち、偏向素子42のオン状態)では、APGは光を偏向又は回折しない(すなわち、APGに入ったコリメート光ビーム20の伝播方向を固定する)。偏向装置40は、コリメート光ビーム20の光の偏光を、純粋な左回りの円偏光又は純粋な右回りの円偏光のいずれかに設定する偏光設定装置45を含むことができる。より具体的には、(図8a〜8dで薄灰色及び/又は黒色の細長い長方形として示される)一つの偏光設定装置45は、一つの各光学素子18及び一つの各偏向素子42と関連付けられる。この偏光設定装置45は、コリメート光ビーム20の伝播方向に沿って、関連付けられた光学素子18のすぐ下流に、関連付けられた光学素子18と関連付けられた偏向素子42との間に配置される。
偏光設定装置45は、コリメート光ビーム20の光の偏光を(図8a〜8dで薄灰色の細長い長方形として示される)純粋な左回りの円偏光と、(図8cで黒色の細長い長方形として示される)純粋な右回りの円偏光との間で切り替える制御ユニットにより、切り替え可能である。このために、偏光設定装置は、一つ以上のポッケルスセル、半波長板、及び/又は四分の一波長板(不図示)の組み合わせを含む。
これにより、コリメート光ビーム20の光の円偏光に応じて、偏向装置40から出たコリメート光ビーム20の偏向方向、すなわち、偏向角の符号(「+」又は「−」のいずれか)を設定することができる。例えば、コリメート光ビーム20が(図8a〜8dで薄灰色の細長い長方形として示される)純粋な左回りの円偏光に設定されるように偏光設定装置45が切り替えられた場合、偏向装置40、特に偏向素子42から出たコリメート光ビーム20の偏向方向は、例えば下方に偏向され(図8b及び図8d参照)、コリメート光ビーム20が(図8cで黒色の細長い長方形として示される)純粋な右回りの円偏光に設定されるように偏光設定装置45が切り替えられた場合、偏向装置40、特に偏向素子42から出たコリメート光ビーム20の偏向方向は、例えば上方に偏向される(図8c参照)。言い換えると、発光素子16により放射された光を、この光が偏向素子42に入る前に、偏光設定装置45により純粋な(左又は右回りの)円偏光に偏向させることができる。その場合、二つではなく、一つの偏向方向のみが生じる(図8a〜8d参照)。
図9の例に示されるように、第1の光学素子18a及び第2の光学素子18bは、少なくとも一つの共通の発光素子16と関連付けられ、第1の光学素子18aは、一次偏向、一次回折、及び/又は一次反射によって、共通の発光素子16により放射された光17から、射出瞳24の第2の部分26を通過する第1のコリメート光ビーム20aを形成するように、共通の発光素子16に対して構成及び配置され、一方で、第1の光学素子18aのすぐ隣りに(すなわち隣接して)配置された第2の発光素子18bは、二次偏向、二次回折、及び/又は二次反射によって、共通の発光素子16により放射された光17から、射出瞳24の第1の部分22を通過する第2のコリメート光ビーム20bを形成するように、共通の発光素子16に対して構成及び配置される。すなわち、第1の光学素子18aは、表示装置10が適切に使用される間、射出瞳24の第1の部分22に使用者の眼球30の瞳28が置かれた際の第1の観察方向32に沿って眼球30が注視する時に、発光素子16により放射される光17から、使用者の眼球30に像を作り出し(図9参照)、一方で、第2の光学素子18bは、表示装置10が適切に使用される間、射出瞳24の第2の部分26に使用者の眼球30の瞳28が置かれた際の第2の観察方向34に沿って眼球30が注視する時に、発光素子16により放射される光17から、使用者の眼球30に(いわゆる「ゴースト」)像を(「意図的に」)作り出す(図7及び9比較参照)。第1の光学素子18aは、関連付けられた共通の発光素子16の近くに配置され、第2の光学素子18bは、関連付けられた共通の発光素子16の遠くに配置される。特に、関連付けられた共通の発光素子16は、第1の光学素子18aの光軸50a上、特に、第1の光学素子18aの最小収差位置60aに配置されることができ、一方で、関連付けられた共通の発光素子16は、第2の光学素子18bの光軸50bから逸れて、またそのため第2の光学素子18bの最小収差位置60bから逸れて配置されることができ、これにより、一次偏向/回折/反射によって生じた光学収差と比べて深刻な光学収差を伴う二次偏向/回折/反射を起こすことができる。第1の及び第2の光学素子18a、18bの光軸50a、50bは、互いに対して平行にずらされる(すなわち一致しない)。
これにより、共通の発光素子16により放射される光17は、眼球30が射出瞳24の第1の部分22に置かれた時に、使用者の眼球30の瞳28に向けられるだけでなく、眼球30が射出瞳24の第2の部分26に置かれた時にも、使用者の眼球30の瞳28に向けられる。従って、第1の及び第2の光学素子18a、18bの両方と関連付けられた共通の発光素子16により放射される光17は、使用者の眼球30の異なる観察方向32、34で、使用者の眼球30に到達することができる。
図10の例に示されるように、光学素子18は、重ならない方法で互いに対して空間的に分離されて配置された、(小さい円として概略的に示される)少なくとも一つの第1の発光素子16a及び(小さい長方形として概略的に示される)少なくとも一つの第1の発光素子16bと関連付けられている。図10の例において、光学素子18は、発光素子16a、16bの各々により放射された光17a、17bから、それぞれのコリメート光ビーム20a、20bを形成して、二つの発光素子16a、16bのうち第1の発光素子16aから来たコリメート光ビーム20aが射出瞳24の第1の部分22を通過し、二つの発光素子16a、16bのうち第2の発光素子16bから来たコリメート光ビーム20bが射出瞳24の第2の部分26を通過するよう、コリメート光ビーム20a、20bを方向付けるように、発光素子16a、16bに対して構成及び配置される。言い換えると、光学素子18は、少なくとも一つの第1の発光素子16aにより放射された光17aから少なくとも一つの第1のコリメート光ビーム20aを形成し、少なくとも一つの第2の発光素子16bにより放射された光17bから少なくとも一つの第2のコリメート光ビーム20bを形成するように構成され、光学素子18並びに第1の及び第2の発光素子16a、16bは、第1のコリメート光ビーム20aが表示装置10の射出瞳24の第1の部分22を通過し、第2のコリメート光ビーム20bが表示装置10の射出瞳24の第2の部分26を通過するように構成及び配置される。
更に、図10の例において、表示装置10は、像取得装置44により生成された位置信号に基づき、発光素子16a、16bを切り替える制御ユニット(不図示)を具備する。図10の場合、制御ユニットは、使用者の眼球30の瞳28が射出瞳24の第1の部分22に位置する時に、第1の発光素子16aを(「灰色の」)オン状態に設定し、第2の発光素子16bを(「白色の」)オフ状態に設定する(コリメート光ビーム20bが実際には存在せず、そのため、図10では破線として示される)。しかしながら、使用者の眼球30の瞳28が射出瞳24の第2の部分26に位置する場合は、制御ユニットは、第1の発光素子16aをオフ状態に設定し、第2の発光素子16bをオン状態に設定する。
これにより、図10に示されるように、発光素子16aのみを(「灰色の」)オン状態に設定して、関連付けられた光学素子18により、放射された光17aを現行の観察方向32で使用者の眼球30の瞳28へ実際に向けることができ、一方で、発光素子16bを(「白色の」)オフ状態に設定して、関連付けられた光学素子18により、放射された光17bが現行の観察方向32で使用者の眼球30の瞳28に向けられないようにすることができる。従って、この場合、使用者の眼球30に到達できない光17bが全く生成されない。これにより、エネルギーを削減し、エネルギー効率のよい表示装置10の供給が可能になる。
図12の例に示されるように、第1の光学素子18aは少なくとも一つの第1の発光素子16aとのみ関連付けられ、第2の光学素子18b1は少なくとも一つの第2の発光素子16b1とのみ関連付けられ、第3の光学素子18b2は少なくとも一つの第2の発光素子16b2とのみ関連付けられている。第1の発光素子16aは青色光17aを放射し、第2の発光素子16b1は赤色光を放射し、第3の発光素子16b2は緑色光17b2を放射する。第1、第2、及び第3の発光素子16a、16b1、16b2は、重ならない方法で互いに対して空間的に分離されて配置される。第1の光学素子18aは表示装置10の第1の感光乳剤領域(同様に符号18aで示される)に記録された第1のホログラム光学素子18aである。第2の光学素子18b1はホログラム光学素子18b1であり、第3の光学素子18b2はホログラム光学素子18b2である。第2の及び第3のホログラム光学素子18b1、18b2の両方は、表示装置10の同一の第2の感光乳剤領域18bに記録される。第1の及び第2の感光乳剤領域18a、18bは、互いに異なる。
また、図12に示されるように、第1のホログラム光学素子18aは、青色コリメート光ビーム20aを形成するために第1の発光素子16aにより放射された光を平行化し、第2のホログラム光学素子18b1は、赤色コリメート光ビーム20b1を形成するために第2の発光素子16b1により放射された光を平行化し、第3のホログラム光学素子18b2は、緑色コリメート光ビーム20b2を形成するために第3の発光素子16b2により放射された光を平行化する。
第1の感光乳剤領域18aは、第1のホログラム光学素子18aが、青色光17aを平行化する所望の光学特性を有するように記録されることができるように、選択可能である。一方で、第2の感光乳剤領域18bは、第2の及び第3のホログラム光学素子18b1、18b2が、赤色及び緑色光17b1、17b2を平行化する所望の光学特性を有するように記録されることができるように、選択可能である。同時に、第2の及び第3のホログラム光学素子18b1、18b2の両方は、単一の第2の感光乳剤領域18bに記録されているため、スペースを削減し、表示装置10を小型化することができる。
更に、二つの独立した感光乳剤領域18a、18bを有するとき、第1の及び第2の感光乳剤領域18a、18bは、正面図から見た際に重ならない方法で、互いに対して空間的に分離されて配置されることができる(例えば、図12、13a、13d〜14d比較参照)。より具体的には、第1の及び第2の感光乳剤領域18a、18bは、第1の及び第2の感光乳剤領域18a、18bが第1の及び/又は第2の光学素子18a、18bから出たコリメート光ビーム20a、20b1、20b2の伝播方向に平行な方向及び垂直な方向に沿って、互いに対してずらされるように、配置されることができる。
これにより、第1の及び第2の感光乳剤領域18a、18bは、互いに、また対応する発光素子16a、16b1、16b2に対しても、独立して配置されることができる。例えば、第1の感光乳剤領域18aは、第1の発光素子16aから第1の光学素子18aへの最短距離が、第1の発光素子16aの中心から第1の光学素子18aの中心への距離となるように、第1の発光素子16aに対して配置され、第2の感光乳剤領域18bは、第3の発光素子16b2から第2の光学素子18bへの最短距離が、第3の発光素子16b2の中心から第2の光学素子18bの中心への距離となるように、第2の及び第3の発光素子16b1、16b2に対して配置されるが、一方で、第2の発光素子16b1から第2の光学素子18b1への最短距離は、必ずしも第2の発光素子16b1の中心から第2の光学素子18b1の中心への距離である必要はない(図12比較参照)。
更に図12を参照すると、第1のホログラム光学素子18aは、光軸50a、参照軸62a、及び物体軸64aを含み、第2のホログラム光学素子18b1は、光軸50b1、参照軸62b1、及び物体軸64b1を含み、第3のホログラム光学素子18b2は、光軸50b2、参照軸62b2、及び物体軸64b2を含む。第1の発光素子16aは、第1の光学素子18aの最小収差位置60aに位置し、第2の発光素子16b1は、第2の光学素子18b1の最小収差位置60b1に位置し、第3の発光素子16b2は、第3の光学素子18b2の最小収差位置60b2に位置する。特に、光学素子18a、18b1、18b2及び発光素子16a、16b1、16b2は、コリメート光ビーム20a、20b1、20b2が、少なくとも部分的に重なるような方法で、互いに対して実質的に平行に表示装置10から出るように、構成及び配置される(図12、特に、符号17a’、17b1’、17b2’参照)。これは、とりわけ、最小収差位置60b1、60b2が参照軸62b1、62b2に垂直な方向に互いに対してずらされるように、第2の及び第3の光学素子18b1、18b2を第2の感光乳剤領域18bに記録することによって実現される。そのため、第2の光学素子18b1の光軸50b1は、第3の光学素子18b2の光軸50b2に対して傾いている。
このように、光軸50b2に対して光軸50b1が傾くことで、同一の感光乳剤領域18bは、二つのホログラム光学素子18b1、18b2を形成し、第2の及び第3の発光素子16b1、16b2は、空間的に分離された方法で、容易に配置されることができる。従って、第2の及び第3の発光素子16b1、16b2は、参照軸62b1、62b2に沿った方向に積層される必要がない。これにより、発光素子16b1、16b2の簡素な配置が可能になる。
これに加えて、全てのコリメート光ビーム20a、20b1、20b2は、少なくとも部分的に重なるような方法で、実質的に平行に表示装置10から出るため、共通の光点21で使用者の眼球30に到達できる。従って、発光素子16a、16b1、16b2が互いに対して空間的に分離されていても、使用者は、表示装置10の高解像度の色付き像を知覚することができる。尚、再度述べるが、これは、二つの異なる方法、具体的には、一方で、二つの異なる感光乳剤領域18a、18bを用いることで、及び/又は、もう一方で、光軸50b1、50b2の位置を定めることで、達成することができる。
例えば、図5及び6に見られるように、9つの光点21−1を含む光点パターン23−1は、関連付けられた9つの発光素子16−1により放射された光からなる9つのコリメート光ビーム20−1を提供する光学素子18−1によって、生成される。これらのコリメート光ビーム20−1は、表示装置10の射出瞳24の第2の部分26のみを通過し、表示装置10の射出瞳24の第1の部分22は通過しない。すなわち、射出瞳24の第1の部分22は、光点パターン23−1によって照らされない(図6参照)。従って、使用者の眼球30の瞳28が、射出瞳24の第1の部分22を表す第1の空間部分22に置かれて(図5及び6参照)、第1の観察方向32に沿って眼球30が表示装置10の中心を注視する場合(図5比較参照)、上記の関連付けられた9つの発光素子16−1により放射された光は、眼球30の瞳28を通過できない。これに関して、(とりわけ)射出瞳24の第1の部分22(又は第1の空間部分22)、より一般には、第2の部分26を除く全体の表示装置10は、関連付けられた9つの発光素子16−1に照射された光が光学素子18−1によって方向付けられない、光学素子18−1の「周辺領域」を表す。
この周辺領域にも到達するために、表示装置10は、図13aの例に示されるような(短い長方形として表される)、少なくとも一つのいわゆる「周辺」光学素子18’を具備する。周辺光学素子18’の異なる実現例が実施可能であり、これらのうち二つが図13d及び14aに示される。この実現例において、第1の光学素子18及び第2の光学素子18’並びに関連付けられた発光素子16、16’は、表示装置10が適切に使用される間、関連付けられた発光素子16、16’から受けられた光から第1の光学素子18により形成された第1のコリメート光ビーム20が、中心窩を含む眼球の網膜の「中心」部に結像され、関連付けられた発光素子16、16’から受けられた光から第2の光学素子18’により形成された第2のコリメート光ビーム20’が、中心窩から逸れた網膜の「周辺」部に結像されるように構成及び配置される。これに関して、第1の光学素子18は「中心」光学素子と呼ばれ、第2の光学素子18’は「周辺」光学素子と呼ばれ、第1のコリメート光ビーム20は「中心」コリメート光ビームと呼ばれ、第2のコリメート光ビーム20’は「周辺」コリメート光ビームと呼ばれ得る(図13b〜14b参照)。
これにより、第1の(中心)コリメート光ビーム20は、表示装置10の射出瞳内24で、比較的高い分解能を有する中心窩を含む網膜の中心部により目視することができる、(特に、眼球30の角膜等の眼球表面上の)(中心)光点21に投影されると考えることができる。一方で、第2の(周辺)コリメート光ビーム20’は、表示装置10の射出瞳内24で、比較的低い分解能を有する、中心窩から逸れた網膜の周辺部により目視することができる、(周辺)光点21’に投影されると考えることができる(図13b〜14b参照)。これにより、中心窩の分解能に適合された光点パターン23、23’を生成する表示装置が実現可能になる。更に、光点21、21’は、表示装置10の射出瞳内24で、使用者の眼球30の異なる観察方向に対応する、使用者の眼球30の瞳28の異なる位置を包含することができる(例えば、図13a参照)。
周辺光学素子18’は、様々な異なる方法で実現することができる。
例えば、図13bに示されるように、各周辺光学素子18’の光軸50’及び参照軸62’は、互いに対して傾いていてもよい。これらの周辺光学素子18’は、光軸50’上かつ焦点面19’内に位置する少なくとも一つのいわゆる「周辺」発光素子16’と関連付けられている。このため、コリメート光ビーム20’−1、20’−2は、全く交差せずに互いに分かれていくような方法で、光学素子18’から出る(図13b参照)。これにより、表示装置10の射出瞳24の異なる部分22、26を通過する二つのコリメート光ビーム20’−1、20’−2が実現可能になる。
これに代わって、図14aに示されるように、各周辺光学素子18’の光軸50’及び参照軸62’は、互いに対して平行であってもよい(又は一致さえしてもよい)。これらの周辺光学素子18’は、中心光学素子18とも関連付けられた、焦点面19’内に光軸50’から逸れて配置された少なくとも一つの共通の発光素子16と関連付けられる。このため、コリメート光ビーム20’は、全く交差せずに互いに分かれていくような方法で、光学素子18’から出る(図14a参照)。これにより、表示装置10の射出瞳24の異なる部分22、26を通過する二つのコリメート光ビーム20’も実現可能になる。
中心及び周辺光学素子18、18’の互いに対する配置もまた、様々な異なる方法で実現することができる。
例えば、第1の光学素子18の焦点距離fLは、第2の光学素子18’の焦点距離fL’より大きくすることができる(図13d及び14a参照)。
これにより、第1の光学素子18が表示装置10の第1の層52に配置され、第2の光学素子18’が表示装置10の第2の層52’に配置され、全ての発光素子16、16’が表示装置10の第3の層19、19’に配置された3層構成を実現することができる。ここで、第3の層19、19’は、第1の及び第2の光学素子18、18’の焦点面19、19’に一致している。また、第1の光学素子18が第2の光学素子18’よりも発光素子16、16’から離れて配置されていても、第1の光学素子18が、そのより長い焦点距離fL(例えば、図13d及び14a参照)により、なおも発光素子16、16’からの光を平行化することができるため、第2の層52’は第1の層52と第3の層19、19’の間に配置される。更に、このような3層構成では、第2の光学素子18’の焦点距離fL’がより短いため、一方では、使用者の眼球30で、発光素子16、16’の横断面像の倍率を増大することが可能であり、他方では、発光素子16、16’からの光を受ける集光角(開口数)を増大することが可能であり(特に、図14a参照)、これによりコリメート光ビーム20’の偏向角も増大するため、より大きな射出瞳及び/又は視野が可能になる。
また、第2の光学素子18’の倍率がより大きいことで、眼球の角膜等の眼球表面上の光点パターン23’の解像度が低くなり得るが、第2の光点21’は、そもそも低い分解能を有する、中心窩から逸れた網膜の周辺部により目視されるため、この低解像度は問題にはならず、むしろ理にかなったものとなる。これにより、中心窩の分解能に適合された光点パターン23、23’を生成する表示装置10が実現可能になる。
更に、第1の光学素子18が第1の層52に配置され、第2の光学素子18’が第2の層52’に配置され、関連付けられた発光素子16、16’が第3の層19、19’に配置された場合、第1の及び第2の光学素子18、18’は、表示装置10の同一の層に配置されない。このため、各層52、52’の光学素子18、18’の密度を減少させることができ、光学素子18、18’の高密度の配置を避けることができる。また、これにより、光学素子18、18’を分離して配置することが可能となり、そのため、光学素子の配置の自由度が増す。従って、光学素子のより簡素な配置、曳いては表示装置10のより容易な製造が可能になる。
第1の光学素子18の焦点面19及び第2の光学素子18’の焦点面19’が、共通の焦点面19、19’に配置され、関連付けられた発光素子16、16’が、共通の焦点面19、19’に配置された場合(図13d及び14a参照)、第1の光学素子18が第2の光学素子18’よりも発光素子16、16’から離れて配置されていても、第1の及び第2の光学素子18、18’の両方は、なおも発光素子16、16’からの光をコリメート光ビーム20、20’に平行化することができる(図13d及び14a参照)。
表示装置は、第1の及び第2の光学素子18、18’の両方と関連付けられた発光素子16、16’により放射される光を遮断するフィルター56を具備することができ、このフィルター56は、第1の光学素子18と第2の光学素子18’の間に配置されることができる(図14a参照)。より具体的には、フィルター56は、第1の光学素子18が配置された第1の層52と、第2の光学素子18’が配置された第2の層52’との間に配置された層(不図示)に配置されることができる(図14a参照)。
これにより、第1の光学素子18により既に形成され、第2の光学素子18’に向かって伝播する光線58又はコリメート光ビーム20が、第1の光学素子18と第2の光学素子18’の間に配置されたフィルター56により遮断されることで、この光線58又はコリメート光ビーム20が第2の光学素子18’に到達し、それにより第2の光学素子18’により攪乱される(例えば、広げられたり方向を変えられる)ことが防止される。従って、遮断された光は、制御できない方法で及び/又は望まない方向に散乱されない。そのため、攪乱されたコリメート光ビーム20により望まない迷光が生成されることなく、表示装置10の明確に定められた光放射が可能になる。
第1の及び第2の光学素子18、18’が少なくとも一つの発光素子16、16’と関連付けられ、第1の光学素子18が、関連付けられた少なくとも一つの発光素子16、16’から光を受け、該受けられた光から少なくとも一つの第1のコリメート光ビーム20を形成するように構成され、第2の光学素子18’が、関連付けられた少なくとも一つの発光素子16、16’から光を受け、該受けられた光から少なくとも一つの第2のコリメート光ビーム20’を形成するように構成されることを実現する二つの実施可能な選択肢が存在する。
図12、13a、及び13c〜13hに示されるように、発光素子16、16’、16a、16b1、16b2のアレイは、少なくとも一つの第1の色の光を放射する少なくとも一つの第1の発光素子16、16aと、少なくとも一つの第1の色と異なる少なくとも一つの第2の色の光を放射する少なくとも一つの第2の発光素子16’、16b1、16b2とを含むことができる。第1の光学素子18、18aは、少なくとも一つの第1の発光素子16、16aとのみ関連付けることができ、第2の光学素子18’、18b1、18b2は、少なくとも一つの第2の発光素子16’、16b1、16b2とのみ関連付けることができ、第1の光学素子18、18aは、第1の発光素子16、16aから光を受け、該受けられた光から第1のコリメート光ビーム20、20aを形成するように構成され、第2の光学素子18’、18b1、18b2は、第2の発光素子16’、16b1、16b2から光を受け、該受けられた光から第2のコリメート光ビーム20’、20b1、20b2を形成するように構成されることができる。
これにより、第1の光学素子18、18aは、少なくとも一つの第2の発光素子16’、16b1、16b2とは全く関連付けられず、例えば、第2の発光素子16’、16b1、16b2により放射される光に対して透明となる。逆もまた同様に、第2の光学素子18’、18b1、18b2は、少なくとも一つの第1の発光素子16、16aとは全く関連付けられず、例えば、第1の発光素子16、16aにより放射される光に対して透明となる(例えば、図12及び13d参照)。この場合、第1の光学素子18、18aは、第2の光学素子18’、18b1、18b2により形成される第2のコリメート光ビーム20’、20b1、20b2を攪乱できず、逆もまた同様に、第2の光学素子18’、18b1、18b2は、第1の光学素子18、18aにより形成される第1のコリメート光ビーム20、20aをやはり攪乱できない(再び図12及び13d参照)。従って、フィルター56がなくてもよく、あるいは不要となる。これにより、表示装置10の軽量化及び小型化設計が実現可能になる。また、第1の光学素子18、18aの光軸50、50aと第2の光学素子18’、18b1の光軸50’、50b1が互いに対して傾いており(図12及び13d参照)、及び/又は、第1の光学素子18、18aの参照軸62、62aと第2の光学素子18’、18b1、18b2の参照軸62’、62b1、62b2が互いに対して平行であり(図12及び14a参照)、これにより表示装置10の構成の自由度が増していても、第1の及び第2のコリメート光ビーム20、20’、20a、20b1、20b2を、射出瞳24の異なる第1の及び第2の部分22、26(重複していてもよい)に通過させることがなおも可能である。
これに代わって、図14a及び14bに示されるように、第1の及び第2の光学素子18、18’は、少なくとも一つの共通の発光素子16、16’と関連付けられてもよく、第1の光学素子18は、共通の発光素子16、16’から光を受け、該受けられた光から第1のコリメート光ビーム20を形成するように構成され、第2の光学素子18’は、共通の発光素子16、16’から光を受け、該受けられた光から第2のコリメート光ビーム20’を形成するように構成されてもよい。
これにより、第1の及び第2の光学素子18、18’の両方が、同一の共通の発光素子16、16’から、それぞれのコリメート光ビーム20、20’を形成することができる。このように、第1の及び第2の光学素子18、18’は、同一の共通の発光素子16、16’を共有する。これにより、発光素子16、16’の数を減らすことができる。従って、表示装置10の軽量化、小型化、及びエネルギー効率のよい設計が可能になる。
第1の及び第2の光学素子18、18’、18a、18b1、18b2のうち少なくとも一つ18’、18b1は、光学素子18’、18b1の光軸50’、50b1及び光学素子18’、18b1の参照軸62’、62b1が互いに対して傾くように構成されることができる(図12及び13b参照)。
これにより、関連付けられた発光素子16’が光軸50’上に配置された場合(図13b、13d参照)、コリメート光ビーム20’が関連付けられた発光素子16’を通過せずに参照軸62’に沿って光学素子18から出るような方法で、光軸50’が参照軸62’に対して傾くように、光学素子18を構成することができる。これにより、コリメート光ビーム20’は、発光素子16’により少なくとも部分的に再吸収されずに、及び/又は、制御できない方法で及び/又は望まない方向に散乱されずに、表示装置10から出ることができる。従って、コリメート光ビーム20’を攪乱することで望まない迷光が生成されることなく、表示装置10は、エネルギー効率がよく、明確に定められた光放射特性を有することが可能になる。
第1の及び第2の光学素子18、18’は、第1の光学素子18の参照軸62及び第2の光学素子18’の参照軸62’が互いに対して傾くように構成されることができる(図13d参照)。
これにより、第1のコリメート光ビーム20を表示装置10の射出瞳24の第1の部分54に通過させ、第2のコリメート光ビーム20’を、第1の部分54と異なり、特にはこの第1の部分と空間的に分断された、表示装置10の射出瞳24の第2の部分22、26に通過させること(図13e〜13h参照)、及び/又は、第1のコリメート光ビーム20を、中心窩を含む眼球の網膜の中心部に結像し、第2のコリメート光ビーム20’を、中心窩から逸れた網膜の周辺部に結像すること(同様に図13e〜13h、及び14参照)を容易に達成することができる。より一般には、第1の光学素子18の参照軸62と第2の光学素子18’の参照軸62’の間の角度を設定することによって、第1の及び第2のコリメート光ビーム20、20’が、特にはコリメート光ビーム20、20’が交差さえせずに(すなわち、コリメート光ビーム20、20’が、まず収束し、次に交差し、最終的に分かれていくのではなく、第1の及び第2の光学素子から出た直後に分かれ始めて(図13d参照))、互いに分かれていくように、第1の及び第2の光学素子18、18’を構成することができる。これにより、大きな視野を有する表示装置10が実現可能になる。また、第1の光学素子18が、表示装置10の第1の感光乳剤領域に記録された第1のホログラム光学素子であり、第2の光学素子18’も、省重量及び省スペース(不図示)な第1の感光乳剤領域に記録された第2のホログラム光学素子であったとしても、これらの参照軸62、62’を互いに対して傾けることで、第1の及び第2のコリメート光ビーム20、20’を射出瞳の24異なる第1の及び第2の部分22、26、54に通過させることがなおも可能である。これにより、大きな視野を有する表示装置の軽量化及び小型化設計が実現可能になる。
これに代わって、第1の及び第2の光学素子18、18’、18a、18b1、18b2は、第1の光学素子18、18aの参照軸62、62a及び第2の光学素子18’、18b1、18b2の参照軸62’、62b1、62b2が互いに対して平行となるように、又は一致さえするように構成されてもよい(図12及び14a参照)。
少なくとも一つの第2の光学素子18’は、少なくとも二つの第2の光学素子18’を含むことができる(図13b、13d〜14b参照)。これらの第2の光学素子18’は、第1の光学素子18の光軸50から逸れて配置され、特に、第1の光学素子18の光軸50と各第2の光学素子18’の光軸50’との間の距離は等しく、これらの第2の光学素子18’の中心は、これにより、例えば正三角形を形成することができる(図14a及び14b参照)。
少なくとも一つの第2の光学素子18’は、少なくとも二つの第2の光学素子18’を含むことができる(図13b、13d〜14b参照)。これらの第2の光学素子18’は、第1の光学素子18の光軸50から逸れて配置され、特に、第1の光学素子18の光軸50と各第2の光学素子18’の光軸50’との間の距離は等しく(図14a及び14b参照)、又は、第1の光学素子18の(特に、幾何学部分25及び/又は反射部分25の)中心と、各第2の光学素子18’の(特に、幾何学部分25’及び/又は反射部分25’の)中心との間の距離は等しい(図13a参照)。これらの第2の光学素子18’(特に、その幾何学部分25’及び/又は反射部分25’)は、同一面内52’に配置されることができ(図13d及び14a参照)、これらの第2の光学素子18’の(特に、幾何学部分25’及び/又は反射部分25’の)中心は、これにより、例えば、正三角形(図14a及び14b参照)又は正方形(図13a参照)等を形成することができる。
これにより、第2の光学素子18’は、第1の光学素子18の周りに(また、回転対称に)配置されることができる(例えば、図14b参照)。従って、表示装置10の射出瞳24内で、少なくとも二つの第2の光学素子18’により形成された少なくとも二つの第2のコリメート光ビーム20’を表す(図14bでは実線で囲われた楕円及び/又は破線で囲われた大きな長方形として示される)少なくとも二つの第2の光点は、第1の光学素子18により形成された第1のコリメート光ビーム20を表す(図14bでは実線で囲われた小さな長方形として示される)第1の光点からなる光点パターン23の周りに配置される光点パターン23’を形成することができる。特に、(図14bでは実線で囲われた楕円及び/又は破線で囲われた大きな長方形として示される)第2の光点は、第2の光点が例えば正三角形を形成するように、中心に置かれた(図14bでは実線で囲われた小さな長方形として示される)第1の光点の周りに配置されることもできる。従って、表示装置10の射出瞳24内で、少なくも二つの第2の光点は、第1の光点が配置される中心位置の周りに並んだ、使用者の眼球の瞳28の少なくとも二つの異なる位置を包含することができる。この少なくとも二つの異なる位置は、使用者の眼球の少なくとも二つの異なる観察方向に対応する。これにより、第2の光学素子18’の数に相当する数の、使用者の眼球の多くの異なる観察方向について、複数の類似した光点パターン23、23’の部分を実現することができる。従って、使用者の眼球の異なる観察方向について、使用者は、表示装置10により作り出された像を見ることが可能になる。これにより、大きな視野を有する表示装置が実現可能になる。
以下で、いくつかの図を更に詳細に説明する。
図13b及び13dの側面図及び図13c、13e〜13hの正面図に見られるように、例示的な4つの第2の、すなわち「周辺」光学素子18’は、9つの周辺発光素子16’と関連付けられている。9つの周辺発光素子16’のうち1つのみが現行で光を放射している図13bの例に見られるように、周辺光学素子18’は、関連付けられた周辺発光素子16’から光を受け、4つの周辺光学素子18’から分かれて出る4つのコリメート光ビーム20’(図13a、13b、及び13dの側面図では、これらのうち2つのコリメート光ビーム20’−1、20’−2のみを見ることができる)を該受けられた光から同時に形成する。すなわち、4つのコリメート光ビーム20’は、4つのコリメート光ビーム20’が4つの周辺光学素子18’から出た後、互いに交差せずに分かれていくような方法で、4つの周辺光学素子18’から異なる方向に出ていく(特に、図13b及び13c参照)。これは、4つのコリメート光ビーム20’は全く重ならいこと、また、4つのコリメート光ビーム20’は、それらが伝播する間、4つの周辺光学素子18’から出た直後に、互いにますます離れ始めることを意味する。このような伝播の挙動は、2つのコリメート光ビーム20a、20cが光学素子18から出た直後に互いに交差する、図3aに例示される伝播の挙動とは異なる。
特に、4つの周辺光学素子18’及び関連付けられた周辺発光素子16’は、4つのコリメート光ビーム20’−1、20’−2のうち少なくとも一つの第1のコリメート光ビーム20’−1が表示装置10の射出瞳24の第1の部分22aを通過し、4つのコリメート光ビーム20’−1、20’−2のうち、第1のコリメート光ビーム20’−1と異なる少なくとも一つの第2のコリメート光ビーム20’−2が、第1の部分22aと異なる表示装置10の射出瞳24の少なくとも一つの第2の部分22b、26a、26bを通過するように構成及び配置される。これに関して、4つのコリメート光ビーム20’は、(楕円として示される)4つの光点21’−1〜21’−4に投影されると考えることができ、各光点21’−1〜21’−4は、一つの各コリメート光ビーム20’によって表され、4つの光点21’−1〜21’−4は、表示装置10の射出瞳24内で、特に重ならない方法で、互いに対して空間的に分離される(図13c)。
従って、表示装置10の射出瞳24内で、4つの光点21’−1〜21’−4は、使用者の眼球30の4つの異なる観察方向32a、32b、34a、34bに対応する、使用者の眼球30の瞳28の異なる位置を包含することができる(図13a及び13c比較参照)。そのため、使用者は、使用者の眼球30の4つの異なる観察方向32a、32b、34a、34bについて、表示装置10により作り出された像を見ることが可能になる。これにより、大きな視野を有する表示装置10が実現可能になる。
もちろん、4つの周辺光学素子18’と関連付けられた9つの周辺発光素子16’のうち一つより多い周辺発光素子16’が光を放射した場合は、4つより多い光点21’が生じる。これは、図13f及び13hで見ることができる。4つの周辺光学素子18’の各々は、現行で光を放射している各関連付けられた周辺発光素子16’に関する4つのコリメート光ビーム20’を、またそれに応じて4つの光点21’を生成する。従って、関連付けられた9つの発光素子16’の全てが現行で光を放射した場合、4つの周辺光学素子18’によって、合計で4の9倍、すなわち36個のコリメート光ビーム20’が、またそれに応じて(再び楕円として示される)36個の光点21’が生成される(図13f参照)。一方、9つの発光素子16’のうち4つのみが現行で光を放射した場合、4つの周辺光学素子18’によって、合計で4の4倍、すなわち16個のコリメート光ビーム20’が、またそれに応じて(塗りつぶされた楕円として示される)16個の光点21’が生成される(図13h参照)。
図13a〜13hの例において、周辺光学素子18’は以下のように実現される。各周辺光学素子18’は、ホログラム凹面鏡を表す反射型ホログラム光学素子18’(すなわち、凹面鏡の反射型ホログラム)である。ホログラム光学素子18’は、ホログラム光学素子18’を記録するための異なる二つの方位の光ビームを用いることによって、表示装置10の一つの、すなわち同じ(特に、出現性のホログラフィック)感光乳剤領域18’に記録されることができる。この場合、図13bに示されるような2つの短い長方形は、これらの長方形が4つのホログラム光学素子18’によって共有される感光乳剤領域だと考えると、代わりに一つの長い長方形として図示される。これに代わって、図13a〜13hに示されるように、各ホログラム光学素子18’は、表示装置10の一つの各(特に、出現性のホログラフィック)感光乳剤領域18’に記録されてもよい。
図13dの側面図及び図13e〜13hの正面図に見られるように、一つの中心発光素子16は、9つの中心発光素子16と関連付けられている。9つの中心発光素子16’のうち2つのみが現行で光を放射している図13dの例に見られるように、中心光学素子18は、これらの関連付けられた2つの中心発光素子16から光を受け、中心光学素子18から出る2つのコリメート光ビーム20を該受けられた光から同時に形成する。
特に、中心光学素子18及び関連付けられた中心発光素子16、並びに、周辺光学素子18’及び関連付けられた周辺発光素子16’は、コリメート光ビーム20が、表示装置10の射出瞳24の第1の及び第2の部分22a、22b、26a、26bと異なり、第1の及び第2の部分22a、22b、26a、26bの間に空間的に配置された、表示装置10の射出瞳24の中心部分54を通過するように構成及び配置される(図13e参照)。これに関して、2つのコリメート光ビーム20は、(四角として示される)2つの光点21に投影されると考えることができる。各光点21は、一つの各コリメート光ビーム20によって表され、2つの光点21は、表示装置10の射出瞳24内で、周辺光学素子18’の(楕円として示される)光点21’−1〜21’−4の間に空間的に配置される(図13e参照)。
これにより、中心光学素子18及びその関連付けられた中心発光素子16を、使用者の眼球30の中心視野のために用いることができ(このため、「中心」光学素子18及び「中心」発光素子16と呼ばれる)、一方で、周辺光学素子18’及びその関連付けられた周辺発光素子16’を、使用者の眼球30の「周辺」視野のために用いることができる(このため、「周辺」光学素子18’及び「周辺」発光素子16’と呼ばれる)。
図13fに示されるように、全ての中心及び周辺発光素子16、16’が光を放射した場合、中心及び周辺光学素子18、18’は、光点パターン23、23’を生成する。
更に、図13a、13g、及び13hの例において、表示装置10は、像取得装置44により生成された位置信号に基づき、中心及び周辺発光素子16、16’を切り替える制御ユニット(不図示)を具備する。図13gの場合、制御ユニットは、使用者の眼球30の瞳28が表示装置10の射出瞳24の中心部分54に置かれた時に、中心光学素子18と関連付けられた中心発光素子16のみを(「暗色の」)オン状態に設定し、周辺光学素子18’と関連付けられた周辺発光素子16’を(「白色の」)オフ状態に設定する(そのため、光点21’はその時点では存在せず、図13gでは単に破線で囲われた白い楕円として示される)。しかしながら、図13hの場合、使用者の眼球30の瞳28が表示装置10の射出瞳24の第1の及び/又は第2の部分22a、22b、26a、26bに置かれた時に、制御ユニットは、中心光学素子18と関連付けられた中心発光素子16を(「白色の」)オフ状態に設定し(そのため、光点21はその時点では存在せず、図13hでは単に破線で囲われた白い四角として示される)、周辺光学素子18’と関連付けられた周辺発光素子16’を(「暗色の」)オン状態に設定する。特に、制御ユニットは、光学素子18、18’と関連付けられた中心及び周辺発光素子16、16’のみを(「暗色の」)オン状態に設定し、使用者の眼球30の瞳の現行の位置を包含する光点パターン23、23’を生成する(図13h参照)。この設定は、図10に示されるような表示装置10の例に基づく。
図14a及び14bの例では、中心光学素子18は、中心発光素子16だけでなく、周辺発光素子16’とも関連付けられている。また、図14a及び14bの例では、周辺光学素子18’は、周辺発光素子16’だけでなく、中心発光素子16とも関連付けられている。言い換えると、図14a及び14bの例では、中心発光素子16は、中心光学素子18及び周辺光学素子18’の両方と関連付けられ、周辺発光素子16’も、中心光学素子18及び周辺光学素子18’の両方と関連付けられている。このため、中心光学素子18、(オン状態の)中心発光素子16、周辺光学素子18’、及び(オン状態の)周辺発光素子16’は、図14a及び14bでは、全て同じ灰色の色調で示されている。
図14aの側面図及び図14bの正面図に見られるように、3つの周辺光学素子18’の各々は、9つの中心発光素子16及び9つの周辺発光素子16’と関連付けられている。図14aの例に見られるように、明確性のため、発光素子16(実線)のうち一つのみと、発光素子16’(破線)のうち一つのみが、光を放射している。周辺光学素子18’は、関連付けられた周辺発光素子16’から光を受け、該受けられた光から(破線の)コリメート光ビーム20’を生成する(明確性のため、図示された2つの周辺光学素子18’のうち一つからの光の偏向のみが示されている)。更に、同じ周辺光学素子18’が、関連付けられた中心発光素子16から光を受け、該受けられた光から(実線の)別のコリメート光ビーム20’を生成する。これに加えて、中心光学素子18は、関連付けられた周辺発光素子16’から光を受け、該受けられた光から(破線の)コリメート光ビーム20を生成する。また、同じ中心光学素子18が、関連付けられた中心発光素子16から光を受け、該受けられた光から(実線の)別のコリメート光ビーム20を生成する。
周辺光学素子18’は、互いに直交して、中心光学素子18の光軸から逸れて配置され、中心光学素子18の光軸50と各第2の周辺光学素子18’の光軸50’との間の距離は等しく、これにより、三角形が形成される(図14a及び14b参照)。
図14a及び14bに示される構成により、中心光学素子18は、関連付けられた9つの中心発光素子16により放射された光から9つのコリメート光ビーム20を生成することができる。これらの9つのコリメート光ビーム20の各々は、表示装置10の射出瞳24内の光点パターン23中の(図14bでは実線で囲われた小さい長方形として示される)一つの各光点を表す。更に、中心光学素子18は、3の9倍、すなわち27個の関連付けられた周辺発光素子16’により放射された光から27個のコリメート光ビーム20を生成することができる。これらの27個のコリメート光ビーム20の各々は、表示装置10の射出瞳24内の光点パターン23中の(図14bでは破線で囲われた楕円として示される)一つの各光点を表す。3つの周辺光学素子18の各々は、関連付けられた9つの中心発光素子16により放射された光から9つのコリメート光ビーム20’を生成することができ、従って、3つの周辺光学素子18は、関連付けられた9つの中心発光素子16により放射された光から、合計で3の9倍、すなわち27個のコリメート光ビーム20’を生成することができる。これらの27個のコリメート光ビーム20’の各々は、表示装置10の射出瞳24内の光点パターン23’中の(図14bでは破線で囲われた大きな長方形として示される)一つの各光点を表す。また、3つの周辺光学素子18の各々は、最も近い関連付けられた9つの周辺発光素子16’により放射された光から9つのコリメート光ビーム20’を生成することができ、従って、3つの周辺光学素子18は、最も近い関連付けられた9つの周辺発光素子16’により放射された光から、合計で3の9倍、すなわち27個のコリメート光ビーム20’を生成することができる。これらの27個のコリメート光ビーム20’の各々は、表示装置10の射出瞳24内の光点パターン23’中の(図14bでは実線で囲われた楕円として示される)一つの各光点を表す。
このように、中心発光素子16からコリメート光ビーム20、20’を形成するために、中心及び周辺光学素子18、18’の両方を用いることができ、周辺発光素子16’からコリメート光ビーム20、20’を形成するために、中心及び周辺光学素子18、18’の両方を用いることができる。これにより、使用者の眼球30の瞳の更に多くの異なる位置を包含する、より精巧な光点パターン23、23’を生成することが可能になる(図14b参照)。
そうでないと明白に述べられていない限り、図中の同一の符号は同一、又は同様に作用する構成要素を表す。また、個々の実施態様と関連する、図を参照して説明された複数の特徴及び/又は複数の変更例を任意に組み合わせることも考えられる。