JP6479331B2 - 脊髄組織標的化ペプチド及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、脊髄組織標的化ペプチド及びその利用に関する。
これまでのバイオテクノロジーの発展によって、標的遺伝子に対する発現抑制作用を有する核酸をはじめとして、有用作用を備える物質が数多く報告されている(非特許文献1)。また、このような有用作用を備える物質を組織や細胞などへ送達する手段も数多く報告されている。このような送達手段の代表的なものとしてはリポソームが例示でき、リポソームはその内部に種々の被送達物質を封入できることから、核酸や薬物といった様々な被送達物質の送達に利用しやすい。
一方、このような送達技術においては、例えば特定の組織や細胞において有用作用を発揮させたい場合には、被送達物質を目的とする組織や細胞に効率良く送達することが求められる。このような送達技術の向上は疾患の診断、予防、治療、更には疾患の原因解明の進展などに大きく寄与することが期待されるため、被送達物質を目的とする組織や細胞に効率良く送達できる新たな技術を提供することは非常に重要である。
金玲ら、RNA医薬、実験医学(「RNAの機能解明と医療応用」林崎良英、安田純編)、Vol.26、NO.10、 p.1651-1656、2008
このことから、本発明は、目的とする組織や細胞に被送達物質を効率良く送達できる新たな技術を提供することを目的とする。具体的には、本発明は、脊髄組織に被送達物質を効率良く送達できるペプチド等を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、脊髄組織を効率良く標的化できるペプチドを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下に掲げる発明を提供する。
項1.以下の(1−1)または(1−2)で表される脊髄組織標的化ペプチド:
(1−1)配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列の両末端にそれぞれ少なくとも1つのシステイン残基が直接連結してなるペプチド、
(1−2)前記(1−1)のペプチドにおいて、配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列が、1または複数のアミノ酸が欠失、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、脊髄組織を標的とするペプチド。
項2.前記両末端のシステイン残基において、片端のシステイン残基が他端のシステイン残基とジスルフィド結合を形成してなる、項1に記載のペプチド。
項3.脊髄組織が、脊髄組織全体、脊髄組織内のアストロサイト及び脊髄組織内のミクログリアからなる群より選択される少なくとも1種である、項1または2に記載のペプチド。
項4.以下の(2−1)または(2−2)で表されるポリヌクレオチド:
(2−1)前記(1−1)及び(1−2)のいずれかに記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(2−2)前記(2−1)のポリヌクレオチドの相補鎖に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、脊髄組織標的化ペプチドをコードするポリヌクレオチド。
項5.項1〜3のいずれかに記載のペプチドを含有する医薬組成物。
項6.更に被送達物質を含有する、項5に記載の医薬組成物。
項7.項1〜3のいずれかに記載のペプチドまたは項5及び6のいずれかに記載の医薬組成物を対象物に投与する工程を含有する、対象物中の脊髄組織を標的化する方法。
項8.項6に記載の医薬組成物を対象物に投与する工程を含有する、被送達物質の脊髄組織への送達方法。
本発明のペプチドによれば脊髄組織を標的化できる。このため、本発明のペプチドと被送達物質とを併用することによって、脊髄組織に被送達物質を効率良く送達することができる。
また、このような本発明によれば被送達物質を脊髄組織へより高効率で送達できることから、被送達物質に起因する有用作用を脊髄組織においてより効率良く発揮させることができる。これによって、脊髄組織の分子イメージング、脊髄疾患の病状観察、被送達物質による疾患治療などを一層効果的に行うことができる。
図1は、ループ状にあるペプチドのモデル形態の例示である。 図2は、ペプチド1及び2を用いて脊髄組織を標的化した結果を示す。 図3は、ペプチド1及び2を用いて脊髄組織を標的化した結果を示す。 図4は、ペプチド3を用いて脊髄組織を標的化した結果を示す。 図5は、ペプチド3を用いて脊髄組織を標的化した結果を示す。 図6は、ペプチド4及び5を用いて脊髄組織を標的化した結果を示す。 図7は、得られた複合体のモデルを示す。 図8は、得られた複合体の電気泳動パターンを示す。 図9は、得られた複合体を投与したマウスにおいて変異型hSOD1タンパク質の発現が有意に抑制されていることを示す。 図10は、変異型hSOD1(G93A)の発現抑制効果を示す。
1.ペプチド
本発明は、以下の(1−1)または(1−2)で表される脊髄組織標的化ペプチドを提供する。すなわち、本発明は、(1−1)配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列の両末端にそれぞれ少なくとも1つのシステイン残基が直接連結してなるペプチド、また、(1−2)前記(1−1)のペプチドにおいて、配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列が、1または複数のアミノ酸が欠失、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、脊髄組織を標的とするペプチドを提供する。
前記(1−1)において「配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列」とは、配列番号1〜5で表されるそれぞれのアミノ酸配列が、それぞれその配列を保持しながら1または複数の配列が連結したアミノ酸配列をいう。該連結は、本発明のペプチドが脊髄組織を標的化できることを限度として特に制限されないが、好ましくはペプチド結合によって連結しているものが例示される。該(1−1)において「1または複数の配列」の範囲は本発明のペプチドが脊髄組織を標的化できることを限度として制限されないが、十分に標的化できる観点から、例えば1〜3つの配列、好ましくは1〜2つの配列、より好ましくは1つの配列が挙げられ、また、例えば同種のアミノ酸配列が連結しているものであっても異種のアミノ酸配列が連結しているものであってもよく、脊髄組織を標的化できることを限度としてその種類や順序も制限されない。配列番号1〜5のいずれかで表されるアミノ酸配列は、いずれも7つのアミノ酸残基からなる。
後述の実施例に示されるように、配列番号1及び2のいずれかで表されるアミノ酸配列は特に脊髄組織全体に対する特異性が高く、配列番号3で表されるアミノ酸配列は特に脊髄組織内のアストロサイトに対する特異性が高く、配列番号4及び5のいずれかで表されるアミノ酸配列は特に脊髄組織内のミクログリアに対する特異性が高い。このことから、特異性をより高める観点から、例えば脊髄組織全体を特に標的化したい場合には、配列番号1及び2からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列が1または複数連結したアミノ酸配列を用いることが好ましい。また、同様の観点から、例えば脊髄組織内のアストロサイトを特に標的化したい場合には配列番号3で表されるアミノ酸配列が1または複数連結したアミノ酸配列を用いることが好ましく、脊髄組織内のミクログリアを特に標的化したい場合には配列番号4及び5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列が1または複数連結したアミノ酸配列を用いることが好ましい。
また、該(1−1)において、前記アミノ酸配列の両末端にはそれぞれ少なくとも1つのシステイン残基が直接連結している。該連結は、本発明のペプチドが脊髄組織を標的化できることを限度として特に制限されないが、好ましくは前記アミノ酸配列の末端にペプチド結合によって直接連結しているものが例示される。両末端のシステイン残基数は、本発明のペプチドが脊髄組織を標的化できることを限度として特に制限されず、また、両末端のシステイン残基数は同じであってもよく異なってもよく、例えば各末端においてそれぞれ1〜3個、好ましくは1〜2個、より好ましくは1個が挙げられる。
また、本発明のペプチドは、脊髄組織を標的化できることを限度として特に制限されず、直鎖状、ループ状などの任意の形態が挙げられるが、好ましくはループ状であり、より好ましくは前記両末端のシステイン残基において片端のシステイン残基が他端のシステイン残基とジスルフィド結合を形成してなるループ状が例示される。本発明を限定するものではないが、ループ状にあるペプチドのモデル形態は図1のように例示できる。図1は、両末端に1つずつシステイン残基が連結した、合計9つのアミノ酸残基からなるループ状にあるペプチドのモデル形態であり、Cはシステイン残基を示し、X〜Xは脊髄組織を標的化できる前述のアミノ酸配列を示す。本発明においてペプチドは、アミノ酸残基の数によってはオリゴペプチド、ポリペプチドと称されるものも含む。
該(1−1)においてペプチドのアミノ酸残基数は本発明のペプチドが脊髄組織を標的化できることを限度として特に制限されないが、好ましくは9〜23個、より好ましくは9〜16個、更に好ましくは9〜14個、特に好ましくは9個が挙げられる。該(1−1)において9個のアミノ酸残基からなるペプチドの例示としては、配列番号1〜5のいずれか1種で表されるアミノ酸配列の両末端にそれぞれ1つのシステイン残基が直接連結してなるペプチドが挙げられる。
前記(1−2)において、「1または複数のアミノ酸」の範囲は、該(1−2)に記載されるペプチドが脊髄組織を標的化できることを限度として特に制限されないが、例えば1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、更に好ましくは1または2個、特に好ましくは1個が挙げられる。特定のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸を欠失、置換及び/または付加させる技術は公知である。なお、このように欠失、置換及び/または付加されたアミノ酸配列として、「配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸配列」に対して57%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ、脊髄組織を標的化できる配列が例示される。また、該アミノ酸配列として、アミノ酸の同一性は好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、更に特に好ましくは97%以上、一層好ましくは98%以上である。
本発明のペプチドは、従来公知の化学合成法や遺伝子工学的手法などによって作製できる。例えば、本発明のペプチドをコードするアミノ酸配列やヌクレオチド配列の情報に従って、本発明のペプチドを従来公知の化学合成法により合成、精製して取得してもよい。なお、化学合成法には、液相法や固相法によるペプチド合成法が包含される。また、本発明のペプチドは後述の実施例に基づいて作製できる。このほか、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをベクター等に挿入し、次いで、該ベクターが組み込まれた形質転換体を培養したのち、所望のペプチドを取得してもよい。
本発明において「脊髄組織標的化」、「標的とする」とは、本発明のペプチドが他の組織と比較して脊髄組織に高い親和性を有する、あるいは脊髄組織を高効率で認識できることを意味する。特に、本発明のペプチドは、他の組織や細胞と比較して、脊髄組織全体、脊髄組織内のアストロサイト及び脊髄組織内のミクログリアからなる群より選択される少なくとも1種の脊髄組織に高い親和性を有する、あるいは脊髄組織を高効率で認識できることを意味する。
本発明のペプチドを用いて脊髄組織を標的化するにあたって、その方法は特に制限されず、該ペプチドを脊髄組織に接触させればよい。また、本発明のペプチドによる標的化はin vivo、in vitro及びex vivoのいずれであってもよい。例えば、本発明のペプチドをin vitroやex vivoで標的化させる場合、脊髄組織や脊髄組織を含む対象物に該ペプチドの適当量を接触させ、また、必要に応じてインキュベートすればよい。また、本発明のペプチドをin vivoで標的化させる場合には、組織への直接注入、静脈、皮下、筋肉または腹腔への注射をはじめ、髄腔内(脊髄腔内を含む)投与、経口投与、吸入投与、経粘膜投与等により本発明のペプチドを投与すればよい。本発明のペプチドの適用対象(対象物)は本発明の効果が得られる限り制限されず、ヒトやヒト以外の霊長類をはじめとする哺乳動物、またこれらに由来する脊髄組織に適用される。
本発明のペプチドはこのように脊髄組織を標的化できるので、脊髄組織の観察や診断等に有用である。該ペプチドは例えば医薬分野において、脊髄組織の分子イメージング、脊髄組織における疾患の予防、軽減または治療、オーターメード医療、創薬、疾患の原因解明、また、疾患の治療効果を評価するためのツールなど様々な用途に用いることができる。また、本発明のペプチドは、単独で優れた脊髄組織標的化能を示すので、被送達物質の脊髄組織への送達に好適に使用される。また、本発明のペプチドをこのように医薬分野で使用する場合、例えば後述する医薬組成物としても使用され得る。
このように本発明のペプチドによれば脊髄組織を効率良く標的化できる。このため、本発明のペプチドと被送達物質とを併用することによって、脊髄組織に被送達物質をより効率よく送達することができる。また、このような本発明によれば被送達物質の脊髄組織への運搬をより高効率で行うことができることから、被送達物質に起因する有用作用を脊髄組織において効率良く発揮させることができる。また、このような本発明によれば、脊髄組織以外の他組織や他細胞への副作用を軽減あるいは回避することができる。また、本発明のペプチドの利用においては複雑な工程を必要とせず、組み合わせる被送達物質も自由に選択でき、汎用性が非常に高い。従って、本発明によれば、前述のように脊髄組織の分子イメージング、脊髄疾患の病状観察、被送達物質による疾患治療などを一層効果的に行うことができる。また、本発明によって脊髄組織の様子を一層明らかにすることによって、疾患の診断方法、予防方法、治療方法、また、オーダーメード医療、創薬、疾患の原因解明などにおける更なる進展につながる。
2.ポリヌクレオチド
本発明は、更に脊髄組織標的化ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明においてポリヌクレオチドは、前記脊髄組織標的化ペプチドをコードするポリヌクレオチドである限り制限されず、以下のポリヌクレオチドが挙げられる;
(2−1)前記(1−1)及び(1−2)のいずれかに記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(2−2)前記(2−1)のポリヌクレオチドの相補鎖に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、脊髄組織標的化ペプチドをコードするポリヌクレオチド。
ここで、前記(2−1)のポリヌクレオチドは、当業者であれば前記ペプチドのアミノ酸配列に基づいて、従来公知の手法に基づき容易に解析、入手することができる。本発明を制限するものではないが、配列番号1〜5のいずれかで表されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号6〜10のいずれかで表される塩基配列が例示される。配列番号6は、配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。同様に、配列番号7は配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、配列番号8は配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、配列番号9は配列番号4で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、配列番号10は配列番号5で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。そして、これらをはじめとする前述のアミノ酸配列をコードする塩基配列の両末端にそれぞれ少なくとも1つのシステイン残基をコードする塩基配列を設けたものが、前記(1−1)及び(1−2)のいずれかに記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドとして例示される。これらの塩基配列に従って前記(2−1)のポリヌクレオチドを従来公知の手法に基づき解析、入手してもよく、また、システイン残基をコードする塩基配列も公知である。
前記(2−2)において「ストリンジェントな条件」とは、例えば65℃で5×SSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)中でハイブリダイズさせ、更に0.1%のSDSを含有する0.5×SSC溶液で65℃で洗浄する条件を意味する。ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションの各操作は、「Molecular Cloning (Third Edition)」(J. Sambrook & D. W. Russell, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)に記載されている方法など、従来公知の方法で行うことができる。通常、温度が高いほど、また、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高くなる。
前記相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、通常、前記(2−1)のいずれかのヌクレオチド配列と一定以上の同一性を有し、その同一性は例えば57%以上が例示され、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、更に特に好ましくは98%以上、一層好ましくは99%以上である。ヌクレオチド配列の同一性は市販のまたはインターネット等の電気通信回線を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、例えばFASTA、BLAST、PSI−BLAST、SSEARCH等のソフトウェアを用いて、計算、決定できる。
ここで「脊髄組織標的化」とは前述と同様に説明され、また、前記ポリヌクレオチドを用いて作製されるペプチドは他の組織と比較して脊髄組織に高い親和性を有し、あるいは脊髄組織を高効率で認識できる。特に、前記ポリヌクレオチドを用いて作製されるペプチドは、他の組織や細胞と比較して、脊髄組織全体、脊髄組織内のアストロサイト及び脊髄組織内のミクログリアからなる群より選択される少なくとも1種の脊髄組織に高い親和性を有し、あるいは脊髄組織を高効率で認識できる。前記ポリヌクレオチドからのペプチドの作製は、当該分野において従来公知の化学合成法や遺伝子工学的手法などを用いて行えばよく、前述の通りこれは当業者にとって容易である。
また、本発明のポリヌクレオチドも、従来公知の化学合成法や遺伝子工学的手法などを用いて作製できる(Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 78, 6613 (1981);Science, 222, 778 (1983);Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press(1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)等参照)。例えば、配列番号1〜5のいずれかで表されるアミノ酸の配列情報や、配列番号6〜10のいずれかで表されるヌクレオチドの配列情報に基づいて、従来公知の化学的合成法により作製、取得すればよい。
3.医薬組成物
本発明は、前記ペプチドを含有する医薬組成物を提供する。すなわち、本発明は、前記(1−1)及び(1−2)からなる群より選択される少なくとも1種の脊髄組織標的化ペプチドを含有する医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物は、脊髄組織に対して脊髄組織標的化ペプチドを標的化させるために使用されるものであり、該ペプチドは前述の通りである。本発明の医薬組成物における前記ペプチドの含有量は、該医薬組成物を用いることによって前記ペプチドを脊髄組織に対して標的化できる限り制限されず、該医薬組成物の形態、使用態様、接触される脊髄組織の重量、種類、状態などによって当業者が適宜設定すればよい。例えば、後述の実施例では前記ペプチド15μgを静脈投与することで脊髄組織を標的化することが可能であり、該ペプチドの含有量等は該適用量に基づいて、当業者が適宜設定すればよい。
本発明の医薬組成物には必要に応じて更に被送達物質が含有されていてもよい。被送達物質としては脊髄組織に送達させたいものであれば何ら制限されず、目的に応じて当業者が適宜決定すればよい。被送達物質として例えば、蛍光物質、siRNA、miRNA、アンチセンスRNAなどのsmall RNAやDNAをはじめとするオリゴヌクレオチドなどの核酸、ペプチド、タンパク質、薬物などが挙げられる。被送達物質を前記ペプチドと共に用いることによって、被送達物質を脊髄組織に効率よく送達できる。
被送達物質を脊髄組織に更に効率よく送達する観点から、被送達物質は前記ペプチドと連結していることが好ましい。該連結は被送達物質が前記ペプチドと連結しており、且つ、被送達物質の有する有用作用と前記ペプチドの有する標的化能を阻害しないことを限度として制限されない。この限りにおいて、前記ペプチドと被送達物質は、直接またはリンカーを介して連結されていればよく、例えば静電気的結合、塩基性アミノ酸を介した結合、グリシンを介した結合、アミノカプロン酸を介した結合などが例示できる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明を制限するものではないがこれらの連結について例示すると、例えば被送達物質が脊髄組織の細胞内等に働きかけて有用作用を発揮するような場合には、前記ペプチドにより脊髄組織が標的化された後に、被送達物質が前記ペプチドから離れることにより細胞内で効率良く有用作用を発揮することが考えられる。このような場合には、被送達物質は、前記ペプチドの脊髄組織への標的後に被送達物質が前記ペプチドから分離可能な状態で、前記ペプチドに連結されていることが好ましく、例えば静電気的結合が例示される。また、例えば被送達物質が負電荷を帯びているものであれば、被送達物質は正電荷を帯びたリンカーを介して前記ペプチドに連結されていてもよく、正電荷を帯びたリンカーとしてはアルギニン、リジン及び/またはヒスチジンなどの塩基性アミノ酸を含むリンカーが例示される。このようなリンカーの長さは本発明の効果が得られる限り制限されず、当業者が適宜設定すればよい。また、本発明を制限するものではないが、被送達物質の細胞内への導入効率を高める観点から、リンカーは被送達物質の細胞内への導入効率を高める作用を有しているものが好ましく、このようなリンカーとして正電荷を有するリンカーが例示される。
また、本発明を制限するものではないが、例えば被送達物質が前記ペプチドから分離されることなくその有用作用を発揮させたい場合には、前記ペプチドの脊髄組織への標的後に被送達物質が前記ペプチドに連結されたままとなっていることが好ましく、この場合には化学的な結合が例示される。また、後述の実施例に示されているように、リンカーは、グリシンリンカー等の別のリンカーを介して更に連結されていてもよい。
また、前記被送達物質または前記リンカーは、被送達物質が有する有用作用と前記ペプチドの有する標的化能を阻害しないことを限度として、前記ペプチドの任意の部分に連結させればよいが、前記ペプチドの前記末端のシステイン残基に連結させることが好ましい。また、本発明の効果が得られる限り制限されないが、被送達物質は片端のシステイン残基のみに連結していてもよく、両端のシステイン残基に連結していてもよい。例えば、後述の実施例のように、被送達物質として蛍光物質と核酸とを用いる場合には、蛍光物質と核酸の有用作用の相違、電荷、物理的な障害等を考慮して、片端のシステイン残基には蛍光物質を、他端のシステイン残基には核酸を連結させてもよい。
本発明の医薬組成物における前記被送達物質の含有量は、脊髄組織において被送達物質の有用作用が発揮される限り制限されず、該医薬組成物の形態、使用態様、脊髄組織の重量、種類、状態などによって当業者が適宜設定すればよい。本発明を制限するものではないが、例えば、後述の実施例では前記ペプチドと被送達物質とは重量比3:1で併用することにより脊髄組織を標的化し、また、被送達物質に由来する有用作用を発揮させることが可能であり、該被送達物質の含有量等は、該適用量に基づいて、更に使用する被送達物質を鑑みて当業者が適宜設定すればよい。
また、本発明の医薬組成物には必要に応じて薬学的に許容可能な担体が含有されていてもよい。担体としては本発明の効果が得られる限り制限されないが、精製水、緩衝液、生理食塩水、RNase free水、DNAse free水、プロテアーゼフリー水、グルコース水溶液、等張化剤、賦形剤、希釈剤、増粘剤、安定化剤、緩衝剤、保存剤等が例示され、使用形態に応じて当業者が適宜決定すればよい。
本発明の医薬組成物を脊髄組織に接触させることによって、前記ペプチドによって脊髄組織を標的化でき、また、例えば前記被送達物質を併用する場合には標的化された脊髄組織に該被送達物質が効率良く送達される。本発明の医薬組成物はin vitro、ex vivo及びin vivoのいずれにおいて使用されてもよい。例えば、本発明の医薬組成物をin vitroやex vivoで標的化させる場合、脊髄組織や脊髄組織を含む対象物に該医薬組成物の適当量を接触させ、また、必要に応じてインキュベートすればよい。また、本発明の医薬組成物をin vivoで標的化させる場合には、組織への直接注入、静脈、皮下、筋肉または腹腔への注射をはじめ、髄腔内(脊髄腔内を含む)投与、経口投与、吸入投与、経粘膜投与等により本発明の医薬組成物を投与すればよい。
このことから本発明の医薬組成物の製剤形態は本発明の効果が得られる限り制限されず、液剤(シロップ等を含む)、点滴剤、注射剤などの液状製剤;ゲル剤などの半固形製剤;凍結乾燥製剤、ドライシロップ剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)などの固形状製剤が例示される。また、本発明の医薬組成物が固形製剤である場合は、使用時に注射用蒸留水、滅菌水などを加えて再度溶解して使用してもよい。
また、本発明の医薬組成物が適用される疾患または症状は脊髄組織が関与しているものである限り制限されない。脊髄組織と疾患または症状の関係については当該技術分野において公知である。また、本発明の医薬組成物の適用対象(対象物)は本発明の効果が得られる限り制限されず、ヒトやヒト以外の霊長類をはじめとする哺乳動物、またこれらに由来する脊髄組織が好ましく例示される。
本発明の医薬組成物によればこのように脊髄組織を標的化できるので、該医薬組成物は脊髄組織の分子イメージング、脊髄組織における疾患の予防、軽減または治療、オーターメード医療、創薬、疾患の原因解明、また、疾患の治療効果を評価するためのツールなど様々な用途に用いることができる。
このように本発明の医薬組成物によれば脊髄組織を効率良く標的化できる。また、本発明の医薬組成物が被送達物質を更に含有する場合には、脊髄組織に被送達物質をより効率よく送達することができる。また、このような本発明によれば被送達物質の脊髄組織への運搬をより高効率で行うことができることから、被送達物質に起因する有用作用を脊髄組織において一層効率良く発揮させることができる。また、このような本発明によれば、脊髄組織以外の他組織や他細胞への副作用を軽減あるいは回避することができる。また、本発明の医薬組成物の利用においては複雑な工程を必要とせず、組み合わせる被送達物質も自由に選択でき、汎用性も非常に高い。従って、本発明によれば、脊髄組織の分子イメージング、脊髄疾患の病状観察、被送達物質による疾患治療などを一層効果的に行うことができる。また、本発明によって脊髄組織の様子を一層明らかにすることによって、疾患の診断方法、予防方法、治療方法、また、オーダーメード医療、創薬、疾患の原因解明などにおける更なる進展につながる。
4.方法
本発明は、更に、前記脊髄組織標的化ペプチドまたは前記医薬組成物を対象物に投与する工程を含有する、対象物中の脊髄組織を標的化する方法を提供する。また、本発明は、更に、前記被送達物質を含有する医薬組成物を対象物に投与する工程を含有する、被送達物質の脊髄組織への送達方法を提供する。
これらの方法において、脊髄組織標的化ペプチド、医薬組成物、被送達物質、対象物、投与、標的化、被送達物質の脊髄組織への送達方法等については前述と同様に説明される。本発明の対象物中の脊髄組織を標的化する方法を実施することによって、脊髄組織を効率良く標的化できる。また、該方法において医薬組成物が被送達物質を含有している場合には、あるいは、前記被送達物質の脊髄組織への送達方法によれば、脊髄組織に被送達物質をより効率よく送達することができ、従って、被送達物質に起因する有用作用を脊髄組織において効率良く発揮させることができる。また、これらの方法によれば、脊髄組織以外の他組織や他細胞への副作用を軽減あるいは回避することができる。従って、これらの方法によれば、脊髄組織の分子イメージング、脊髄疾患の病状観察、被送達物質による疾患予防、軽減または治療などを一層効果的に行うことができる。また、これらの方法によって脊髄組織の様子を一層明らかにすることによって、疾患の診断方法、予防方法、治療方法、また、オーダーメード医療、創薬、疾患の原因解明などにおける更なる進展につながる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試験例1:脊髄組織標的化ペプチドの作製
配列番号1で表されるアミノ酸配列(LHQSPHI)の両末端にそれぞれ1つのシステイン残基がペプチド結合により連結し、片端のシステイン残基が他端のシステイン残基とジスルフィド結合することによってループ状を形成してなるペプチドを、化学合成により作製した。これを、ペプチド1とした。すなわち、ペプチド1は、9つのアミノ酸残基(C−配列番号1−C;Cはシステイン残基)からなる。
同様に、配列番号2〜5のそれぞれで表されるアミノ酸配列(それぞれPTNNPRS、LNSSQPS、HHSSSAR、NTGSPYE)についても、各アミノ酸配列の両末端にそれぞれ1つのシステイン残基が連結し、片端のシステイン残基が他端のシステイン残基とジスルフィド結合することによってループ状を形成してなる4種のペプチドを、化学合成により作製した。これらを、それぞれペプチド2〜5とした。ペプチド2〜5も、それぞれ9つのアミノ酸残基(それぞれC−配列番号2−C、C−配列番号3−C、C−配列番号4−C、C−配列番号5−C;Cはシステイン残基)からなる。
試験例2:脊髄組織標的化ペプチド(ペプチド1及び2)の脊髄組織への標的化評価
1.手順
M13ファージのコートタンパク質をコードする遺伝子(PIII)に前記ペプチド1をコードするDNA配列(tgt−配列番号6−tgc)を組み込むことにより、ペプチド1を特異的に発現可能なM13ファージを作製した。次いで、このように作製したM13ファージを1012個含有する50mM Tris-Buffered Saline(TBS)溶液(100μl)を調製した。
同様に、M13ファージのコートタンパク質をコードする遺伝子(PIII)に前記ペプチド2をコードするDNA配列(tgt−配列番号7−tgc)を組み込むことにより、ペプチド2を特異的に発現可能なM13ファージを作製し、次いで、これを1012個含有するTBS溶液(100μl)を作製した。また、同様に、ランダムにペプチドを発現するライブラリー由来のDNA配列(商品名Ph.D.-C7C Phage Display Peptide Library、ニューイングランドバイオラボ社製)を組み込んだM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)を調製した。
調製した各溶液100μlをそれぞれ別々のC57BL/6マウス(ジャクソンラボラトリー社製、8週齢以上のadultマウス)に尾静脈経由で投与した(n=3)。投与5分後にマウスを脱血し、PBSにて経心臓的に還流を行い、臓器を摘出し重量を測定した。次いで、プロテアーゼ阻害剤(商品名protease inhibitor cocktail、シグマ社製)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で脊髄、脳、心臓をそれぞれホモゲナイズし、得られた溶液を大腸菌と混合してファージを大腸菌に感染させ、これをLB寒天培地(0.7%アガロース)に混ぜ込み、あらかじめ固めておいたLB寒天培地(1.5%アガロース)に重層し、37℃で一晩静置培養してファージのプラーク形成を確認した。プラーク数を数えることにより各臓器に含まれていたファージのタイターを求め、臓器重量あたりに計算して比較した。結果を図2に示す。
2.結果
図2から明らかなように、ペプチド1またはペプチド2を用いた場合において、脳や心臓と比較して、脊髄におけるファージ力価が高かった。このことから、ペプチド1またはペプチド2によれば脊髄を非常に高効率で認識できることが分かった。
試験例3:脊髄組織標的化ペプチド(ペプチド1及び2)の脊髄組織への標的化評価
1.手順
前記試験例2で調製した、ペプチド1を特異的に発現可能なM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)を、C57BL/6マウスに尾静脈経由で投与した(n=3)。投与5分後にマウスを脱血し、パラフォルムアルデヒドにて経心臓的に還流固定を行った。次いで脊髄を取り出して切片を作成し、抗ファージ抗体(商品名rabbit anti-fd Bacteriophage antibody、シグマ社製)及び二次抗体(商品名Anti-Alexa Fluor(登録商標)488 Rabbit IgG Antibody、 モレキュラプローブ社製)にて免疫染色を行った。
前記試験例2で調製した、ペプチド2を特異的に発現可能なM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)、ランダムにペプチドを発現するライブラリー由来のM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)についても同様にしてマウスに投与し、脱血、パラフォルムアルデヒドによる固定を行った後に脊髄の切片を作成し、抗ファージ抗体及び二次抗体にて免疫染色を行った。
染色後、各切片を共焦点レーザー顕微鏡(商品名C1si、ニコン社製)にて観察した。結果を図3に示す。
2.結果
図中、下段の写真はそれぞれ上段の写真を拡大したものである。図3から明らかなように、ペプチド1またはペプチド2を用いた場合において、脊髄部分において抗ファージ抗体由来の蛍光が特異的に観察された。一方、ライブラリーを用いた場合には、このような特異的なシグナルは観察されなかった。このことから、ペプチド1またはペプチド2によれば脊髄を選択的に認識できることが分かった。
試験例4:脊髄組織標的化ペプチド(ペプチド3)の脊髄組織への標的化評価
1.手順
前記試験例2と同様にして、ペプチド3をコードするDNA配列(tgt−配列番号8−tgc)を用いて調製したペプチド3を特異的に発現可能なM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)を、C57BL/6マウスに尾静脈経由で投与した(n=3)。投与5分後にマウスを脱血し、パラフォルムアルデヒドにて経心臓的に還流固定を行った。次いで脊髄を取り出し切片を作成し、前述と同様に抗ファージ抗体及び二次抗体にて免疫染色を行った。また、前述と同様にして調製したランダムにペプチドを発現するライブラリー由来のM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)についても同様にしてマウスに投与し、脱血、パラフォルムアルデヒドによる固定を行った後に脊髄の切片を作成し、抗ファージ抗体及び二次抗体にて免疫染色を行った。染色後、各切片を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。結果を図4に示す。
2.結果
図4から明らかなように、ペプチド3を用いた場合において、脊髄部分において抗ファージ抗体由来のシグナルが特異的に観察された。一方、ライブラリーを用いた場合には、このような特異的なシグナルは観察されなかった。このことから、ペプチド3によれば脊髄を選択的に認識できることが分かった。
試験例5:脊髄組織標的化ペプチド(ペプチド3)の脊髄組織への標的化評価
1.手順
末端システイン残基の一方にアミノカプロン酸を介してFITC(fluorescein isothiocyanate)を連結させたペプチド3(15μg) を含有する5%ブドウ糖液(100μl)をC57BL/6マウスに尾静脈より静脈注射した(n=3〜5)。投与5分後にマウスを脱血し、パラフォルムアルデヒドにて経心臓的に還流固定を行った。次いで脊髄を取り出し切片を作成し、アストロサイトマーカーである抗GFAP抗体(商品名rabbit anti-GFAP antibody、プロメガ社製)及び二次抗体(商品名Anti-Alexa Fluor(登録商標)555 Rabbit IgG Antibody、 モレキュラプローブ社製)にて免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。FITC由来のシグナルは励起波長488nmで観察し、抗GFAP抗体由来のシグナルは励起波長561nmで観察した。結果を図5に示す。
2.結果
図中、左の図はFITC由来のシグナルを示し、前記ペプチド3の存在を示す。真ん中の図は抗GFAP抗体由来のシグナルを示し、脊髄組織内のアストロサイトの存在を示す。右の図は、該左の図と真ん中の図を重ね合わせた図である。これらの図から明らかなように、前記ペプチド3は脊髄組織を認識し、特に脊髄組織内のアストロサイトを認識していることから、前記ペプチド3によれば脊髄を認識でき、なかでも脊髄組織内のアストロサイトに対する特異性が高いことが分かった。
試験例6:脊髄組織標的化ペプチド(ペプチド4及び5)の脊髄組織への標的化評価
1.手順
前記試験例2と同様にして、ペプチド4をコードするDNA配列(tgt−配列番号9−tgc)を用いて調製した、ペプチド4を特異的に発現可能なM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)をマウスに尾静脈経由で投与した。投与5分後にマウスを脱血し、パラフォルムアルデヒドにて経心臓的に還流固定を行った。次いで脊髄を取り出し切片を作成し、前述と同様に抗ファージ抗体及び二次抗体にて免疫染色を行った。また、前記試験例2と同様にして、ペプチド5をコードするDNA配列(tgt−配列番号10−tgc)を用いて調製した、ペプチド5を特異的に発現可能なM13ファージを1012個含有するTBS溶液(100μl)についても同様にしてマウスに投与し、脱血、パラフォルムアルデヒドによる固定を行った後に脊髄切片を作成し、抗ファージ抗体及び二次抗体にて免疫染色を行った。染色後、各切片を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。結果を図6に示す。
2.結果
図6から明らかなように、ペプチド4や5を用いた場合においても、脊髄部分に抗ファージ抗体由来のシグナルが特異的に観察された。このことから、ペプチド4や5によれば脊髄を選択的に認識できることが分かった。また、ここには結果は示さないが、ペプチド4や5は、脊髄組織のなかでもミクログリアに対する特異性が高いことが分かった。
試験例7
本試験は、遺伝的にhuman superoxide dismutase 1(SOD1)の変異型hSOD1(G93A)を発現することにより、運動機能の低下、致死性を示すマウス(hSOD1(G93A)tg筋萎縮性側索硬化症モデルマウス)を用いて行った。具体的には、hSOD1(G93A)tgマウスとして、hSOD1(G93A)1Gur/Jマウス(ジャクソンラボラトリー社製、8週齢のadultマウス)を用いて行った。
このマウスは、SOD1遺伝子(正常型も変異型も含む)の発現を抑制することにより、症状の進行や致死性が抑制されることが報告されており、siRNA-SOD1-396により、SOD1遺伝子の発現が抑制させることが報告されている。このことから、本試験では被送達物質としてsiRNA-SOD1-396を用い、また、前記ペプチドを用いて脊髄組織を標的化し、その治療効果を検討することにより、その有用性を検証した。なお、siRNA-SOD1-396 は配列番号11の3’末端にチミン(TT)を備え、また、配列番号12の5’ 末端にチミン(TT)を備え、これら2塩基TTにおいてそれぞれオーバーハングを形成して対になっている。siRNA-SOD1-396のモデルを図7に示す。
本試験例では具体的には、前記ペプチド1のN末端側のシステイン残基にアミノカプロン酸を介してFITCを連結させ、また、前記ペプチド1のC末端側のシステイン残基に、3つのグリシン残基(G)からなるリンカーを介して、9つのアルギニン残基(R)からなる陽性に荷電したリンカーを連結させた。これに陰性荷電のsiRNA-SOD1-396を静電的結合作用により連結させて複合体を作製した。前記ペプチド2についても同様にしてsiRNA-SOD1-396との複合体を作製した。このようにして得られた複合体のモデルを図7に示す。図中、A〜Gは配列番号1または2で表されるアミノ酸配列を意味する。
このように連結させた複合体について電気泳動を行ったところ、図8に示すように、FITCやリンカーを連結させた前記ペプチド1または2と、siRNA-SOD1-396との重量比を、例えば3:1とした複合体において電気泳動パターンの変化が認められ、すなわち前記ペプチド1や2にsiRNA-SOD1-396が十分に結合していることが確認された。
前述のようにしてFITCやリンカーを連結させた前記ペプチド1(15μg)とsiRNA-SOD1-396 (5μg)とを連結させた複合体(5%ブドウ糖液、100μl)を、週に1または3回尾静脈よりhSOD1(G93A)tgマウスに投与した(n=3〜5)。該投与は、マウス週齢8週より、運動機能が廃絶するまで継続し、運動機能テストを毎週行い、評価した。運動機能テストは、ロータロッドテスト(5rpm/min-50rpm/min(acceleration 9rpm/min2)、Max 5min、(ウゴバジレ社製))を用いて行い、マウス1匹あたり3分以上のインターバルで5回施行し、得られた中央値3つを平均することによって評価した。
前記ペプチド2を用いた複合体についても同様に投与し、評価した。また、コントロール群として、これらの複合体を投与していないhSOD1(G93A)tgマウスについても同様に評価した。
その結果、前記ペプチド1、前記ペプチド2のいずれの複合体を用いた場合においても、コントロール群と比較して、1〜2週の運動機能低下の進行遅延が認められた。
また、前記運動機能評価の終了後、各マウスの脊髄組織より抽出したタンパク質を用いて、抗hSOD1抗体によるウエスタンブロットを行った。具体的には、各マウスより深麻酔下に脊髄を摘出した。摘出した脊髄組織を、プロテアーゼ阻害剤(商品名protease inhibitor cocktail、シグマ社製)を添加したRIPA buffer(150 mM NaCl, 2 mM EDTA, 1% nonidet P-40, 1% sodiumdeoxycholate, 0.1% sodium dodecyl sulfate (SDS), 50 mM NaF, 20 mM Tris-HCl buffer, pH 7.4)でホモゲナイズ後、溶液中のタンパク質濃度を測定し、タンパク質濃度をサンプル間で合わせて、sample buffer(×2)(2% SDS, 10% glycerol, 0.1% bromophenol blue, 10% b-mercaptoethanol, 0.5 m Tris-HCl, pH 6.8)を等量加えてボイル(100℃、5分)した。その後、SDS-PAGEにて二次元展開し(アクリラマイドゲルにてサンプルを泳動)、PVDF膜に転写後、10% milkにてブロッキング後、抗hSOD1抗体(商品名rabbit anti-human SOD1 antibody、ミリポア社製)にて一晩インキュベーションし、その後、HRP標識の二次抗体(ECL Anti-Rabbit IgG, Horseradish Peroxidase linked whole antibody、GEヘルスケアUK社製)、更に使用説明書に従いECL regent (商品名Western Lightning Plus-ECL、パーキンエルマー社製)を用いて発光し、フィルムに感光した。
その結果、図9に示されるように、ペプチド1及び2のいずれにおいても前記複合体を投与したマウスにおいて変異型hSOD1タンパク質の発現が有意に抑制されていることが認められた。
また、前記運動機能評価の終了後、各マウスより脊髄を摘出し、脊髄切片を作成した。次いで、抗hSOD1抗体及び二次抗体(商品名Anti-Alexa Fluor(登録商標)555 Rabbit IgG Antibody、モレキュラプローブ社製)、DAPI(4’,6-diamidino-2-phenylindole)にて染色後、Vectashield Mounting Medium with DAPI (ベクターラボラトリーズ社製)を用いて使用説明書に従いマウントし、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。FITC由来のシグナルは励起波長488nmで観察し、抗hSOD1抗体由来のシグナルは励起波長561nmで観察し、DAPI由来のシグナルは励起波長408nmで観察した。結果を図10に示す。なお、コントロールとして、前記複合体を与えていないマウスから同様にして作成、染色した切片についても観察した。
図10において、上段はコントロール群の結果を、中段はペプチド1を用いた複合体を投与した結果を、下段はペプチド2を用いた複合体を投与した結果を示す。また、図10において、左の図はFITC由来のシグナルを、真ん中の図は抗hSOD1抗体由来のシグナルを、右の図はFITC、抗hSOD1抗体、DAPI由来のそれぞれのシグナルを重ね合わせた図である。
図10から明らかなように、コントロール群の切片では抗hSOD1抗体由来のシグナルが明らかに認められ、すなわち、脊髄において変異型hSOD1(G93A)の発現が確認された。これに対して、ペプチド1を用いた複合体やペプチド2を用いた複合体を投与したマウスから作成した切片では、FITC由来のシグナルやDAPI由来のシグナルが認められるものの、抗hSOD1抗体由来のシグナルがほとんど認められなかった。この結果は、前記複合体によって、変異型hSOD1(G93A)の発現が効果的に抑制されていることを示す。
これらのことから、前記ペプチド1などの脊髄標的化ペプチドによれば脊髄組織を標的化でき、また、siRNAといった被送達物質を脊髄組織に効率よく送達できるとともに、該組織において被送達物質に由来する有用作用を効果的に発揮できることが分かった。このことから、前記脊髄標的化ペプチドは、医薬組成物としても有用であることが確認された。

Claims (8)

  1. 以下の(1−1)で表される脊髄組織標的化ペプチド;
    (1−1)配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列の両末端にそれぞれ1つのシステイン残基が直接連結してなるペプチド。
  2. 前記両末端のシステイン残基において、片端のシステイン残基が他端のシステイン残基とジスルフィド結合を形成している、請求項1に記載のペプチド。
  3. 脊髄組織が、脊髄組織全体、脊髄組織内のアストロサイト及び脊髄組織内のミクログリアからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載のペプチド。
  4. 以下の(2−1)で表されるポリヌクレオチド:
    (2−1)以下の(1−1)に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (1−1)配列番号1〜5からなる群より選択される少なくとも1種で表されるアミノ酸配列の両末端にそれぞれ1つのシステイン残基が直接連結してなるペプチド。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のペプチドを含有する医薬組成物。
  6. 更に被送達物質を含有する、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のペプチドまたは請求項5及び6のいずれかに記載の医薬組成物を対象物に投与する工程を含有する、対象物中の脊髄組織を標的化する方法(但し、人間に対する医療行為を除く)。
  8. 請求項6に記載の医薬組成物を対象物に投与する工程を含有する、被送達物質の脊髄組織への送達方法(但し、人間に対する医療行為を除く)。
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