JP6479069B2 - 信号機建植位置決定システムおよび信号機建植位置決定方法 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、信号機建植位置決定システムおよび信号機建植位置決定方法に関する。
鉄道会社の列車運行計画を支援するための装置として、信号機の位置の変更、追加、削除といった操作を受け付けて、変更(追加、削除を含む)後の信号機に関する時隔曲線を計算して表示するといった装置がある。信号機の位置を変更したり、追加したり、削除したりすることの目的は、時隔値をより小さいものにすることである。時隔値を小さくすることは、列車の運行密度の増大につながり、輸送力を増加することができる。
例えば、特許文献1の装置のように、作成済みの信号機データに基づいて時隔曲線を計算して画面に表示する装置がある。この装置は、信号機の位置を変更したり、追加したり、削除したりしたときに、時隔曲線を再計算して表示することができる。つまり、この装置は、利用者が信号機の位置を決めた状態で時隔曲線を計算して表示する。利用者は、表示された時隔曲線から信号機の位置の良し悪しを判断し、再検討が必要と判断した場合、信号機の位置を変更する。信号機の位置を変更すると、時隔値が再計算されて時隔曲線が表示されるので、利用者は、表示された時隔曲線から信号機の位置の良し悪しを改めて判断する。この装置においては、このような作業の繰り返しにより、利用者が望ましいと判断する信号機の位置が決定される。
また、特許文献2の装置のように、利用者が信号機位置を決めるのではなく、前方の信号機の位置を基点とし、基点となる第1の信号機から次に設置されるべき後方の第2の信号機までの距離を算出して、信号機の位置を決定する装置がある。より詳細には、この装置は、第2の信号機が低速現示へ遷移した場合にその低速現示の制限速度以下に減速するための制動距離を基に、第1の信号機から第2の信号機までの距離を算出して、第2の信号機の位置を決定する。この装置は、決定した信号機を次の基点として、さらに次の信号機の位置を決定するという処理を繰り返すことで、信号機の位置を自動的に決定する。また、この装置は、決定した信号機の位置に関する時隔値を計算し、目標とする時隔になっていない場合、位置を決めた信号機と基点となる信号機との間に新しい信号機を追加する。
ところで、特許文献1の装置では、信号機の位置の変更、追加、削除による時隔値への影響は自明なものでないため、必ずしも信号機の位置の変更、追加、削除による効果が、時隔値を有利にするばかりではなく、かえって不利な値を生じさせる場合がある。そのため、利用者の経験に基づき、試行錯誤による検討を繰り返す必要があり、多大な労力と時間を要する。また、利用者の経験に基づいた試行錯誤が必要という特性から、利用者は、信号機の位置を決定するための知識や経験を有する専門家に限られる。すなわち、利用者には高いスキルが求められる。また、専門家であっても、保持する知識や経験は人により異なるため、利用者ごとに異なる検討結果が生じて、得られる結果の品質にばらつきが生じ得る。また、あらかじめ信号機の位置を決めておいた状態で時隔計算を行う必要があるため、信号機が存在しない新しい路線では、信号機の位置の検討ができない。
一方、特許文献2の装置では、基点の信号機の位置から、低速現示に対する制動距離を求め、制動距離を信号機間の間隔として次の信号機の位置を算出しているが、現在のディジタル化された信号機では低速現示という概念がなく、停止目標に対する制動曲線が信号となるディジタル化された信号機には利用できない。仮にディジタル化された信号機に利用した場合、制動距離を信号機の間隔とすると、信号機の間隔が大きくなるため時隔値が大きくなってしまう。また、現示速度の差に対するブレーキ距離により信号機位置を求めるため、目標とする時隔値に対して最適な配置にはならず、ある場合には必要以上に多くの数の信号機を作成し、初期投資や保守の費用が大きくなってしまう。さらに、時隔値を満たさない場合は信号機と信号機との間に新しい信号機を追加する処理により、区間全体に対する時隔値を縮小する効果に対して、信号機数が増えることによる悪影響が生じるため、やはり初期投資や保守の費用が大きくなってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、人力による信号機の位置の検討の繰り返し等を必要とすることなく、目標とする時隔値を実現するための信号機の配置を効率的に決定することができる信号機建植位置決定システムおよび信号機建植位置決定方法を提供することである。
実施形態によれば、信号機建植位置決定システムは、取得手段と、建植位置決定手段と、を具備する。前記取得手段は、出発駅または到着駅における先行列車と続行列車との時間的な間隔として指定される目標時隔値と、距離と速度とを座標軸とする列車の運転曲線に関する運転曲線情報と、前記運転曲線に対応する、距離と時間とを座標軸とする列車の先頭位置の時間曲線および列車の終端位置の時間曲線に関する時間曲線情報と、線路に関する線路情報と、列車の性能に関する列車性能情報とを取得する。前記建植位置決定手段は、第1の信号機の位置を基準として列車の進行方向とは逆の方向に建植する第2の信号機の位置を決定するものである。前記建植位置決定手段は、前記先行列車の前記終端位置の時間曲線と、前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線とを、前記出発駅または前記到着駅において前記目標時隔値分の間隔となるように配置し、前記先行列車の前記終端位置の時間曲線に基づき、前記先行列車の終端が前記第1の信号機の地点に位置する第1の時刻を取得し、前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線に基づき、前記第1の時刻において前記続行列車の先頭が位置する第1の位置を取得すると共に、前記続行列車の前記運転曲線に基づき、前記第1の位置における前記続行列車の第1の速度を取得し、前記線路情報と前記列車性能情報とに基づき、距離と速度とを座標軸とする、前記第1の位置を前記第1の速度で走行する前記続行列車の制動曲線を取得し、前記続行列車の速度が所定の値となる第2の位置を、前記第2の信号機の位置に決定する。
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の信号機建植位置決定システムの構成を示すブロック図である。
この信号機建植位置決定システムは、先行列車の時間曲線(距離−時間曲線)と続行列車の時間曲線とを指定された時隔値(目標時隔値)に応じて配置し、与えられた運転曲線、線路情報および列車性能情報に基づき、基点となる信号機に隣接する信号機の位置を効率的に決定することを可能としたシステムである。また、この信号機建植位置決定システムは、指定された信号機の建植区間において、基点となる信号機に隣接する信号機の位置を決定する処理を繰り返し実行することで、その建植区間について指定された時隔値を実現することができる信号機の位置(信号機の数を含む)を決定することを可能としたシステムである。
図1に示されるように、この信号機建植位置決定システムは、サーバ100へネットワークN経由で操作端末200が接続されるネットワークシステムとして構築される。図1では、操作端末200を1台のみ示しているが、操作端末200は、例えば、複数の鉄道会社に設置され得るコンピュータであって、また、各鉄道会社に複数台設置され得る。サーバ100は、例えば、鉄道会社向けに信号機建植位置決定の支援サービスを提供するサービス提供会社に設置され得るコンピュータである。サーバ100も1台のみ示しているが、複数台のサーバ100で機能や負荷を分担するようにしてもよい。サーバ100と操作端末200との間の通信は、例えば、HTTP(HyperText Transfer Protocol)規格に準じて行われる。
操作端末200は、入力部201、表示部202、端末側データ送信部203および端末側データ受信部204を有している。操作端末200には、キーボード211、ポインティング装置212および表示装置213が外部接続されている。
入力部201は、キーボード211またはポインティング装置212による利用者からの情報入力処理を実行する。表示部202は、表示装置213による利用者への情報出力処理を実行する。また、端末側データ送信部203は、入力部201により入力された情報をネットワークN経由でサーバ100へ送信するための通信を実行する。端末側データ受信部204は、サーバ100から操作端末200へ送信される、表示部202が表示装置213へ画面を表示するための情報をネットワークN経由で受信するための通信を実行する。端末側データ受信部204により受信される情報は、例えば、HTML(HyperText Markup Language)ファイルである。または、この情報は、表示画面用の画像データであってもよい。表示部202が表示画面を作成する機能を有する場合には、例えばCSV(Comma-separated value)ファイルを受信して、CSVファイルに含まれる情報を用いて表示画面を作成するようにしてもよい。
一方、サーバ100は、建植処理部101、距離時間曲線配置部102、制動曲線計算部103、信号機位置計算部104、サーバ側データ受信部105およびサーバ側データ送信部106の各種データ処理部と、運転曲線情報格納部111、距離時間曲線格納部112、線路情報格納部113、列車性能情報格納部114、制動曲線格納部115および信号機情報格納部116の各種データ格納部とを有している。各種データ処理部の一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)として構成され、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置からメインメモリにロードされてCPU(Central Processing Unit)により実行されることで具現化される。各種データ部は、外部記憶装置上に構成され、メインメモリを介して、CPU、即ち、各種データ処理部からアクセスされる。
まず、各種データ格納部が格納する情報について説明する。
運転曲線情報格納部111は、列車の運転曲線(距離−速度曲線)および時間曲線(距離−時間曲線)に関する情報を含む運転曲線情報を格納する。運転曲線情報は、時隔値を計算する際に参照される情報である。時間曲線(距離−時間曲線)は、1つの運転曲線(距離−速度曲線)に対して、列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)と、列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)との2種類が存在する。
距離時間曲線格納部112は、後述する、距離時間曲線配置部102により、指定された時間の間隔で配置された、先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)と続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)とに関する信号機位置建植用の時間曲線情報を格納する。信号機位置建植用の時間曲線情報は、信号機位置を計算する際に参照される情報である。
線路情報格納部113は、駅情報(駅の位置等)、勾配情報(勾配の位置、勾配の大きさ等)、曲線情報(曲線の位置、曲線の半径、方向等)、トンネル情報(トンネルの位置等)、速度制限情報(速度制限の位置、制限速度)等を含む線路情報を格納する。線路情報は、運転曲線や制動曲線を計算する際に参照される情報である。
列車性能情報格納部114は、重量、列車長、加速性能、減速性能、走行抵抗係数等を含む列車情報を格納する。列車情報は、運転曲線や制動曲線を計算する際に参照される情報である。
制動曲線格納部115は、後述する、制動曲線計算部103により計算された制動曲線に関する情報を格納する。この制動曲線に関する情報は、信号建植処理にて信号機位置の候補を決定する際に参照される情報である。
信号機情報格納部116は、信号機の名称、位置等を含む信号機情報を格納する。信号機情報は、制動曲線や時隔値を計算する際に参照される情報である。また、信号機情報格納部116は、後述する、建植処理部101により求められた信号機情報を格納する。
次に、各種データ処理部の概要について説明する。
建植処理部101は、後述する自身の個別的な処理の実行に加えて、この信号機建植位置決定システムの全体的な制御を実行する。換言すると、他のデータ処理部は、建植処理部101の制御下で動作する。また、建植処理部101は、操作端末200が画面表示を行うための情報、例えばHTMLファイルを作成する機能を有している。操作端末200の表示部202によっては、建植処理部101は、表示画面用の画像データを作成するようにしてもよいし、表示画面の作成に必要な情報を含むCSVファイルを作成するようにしてもよい。
距離時間曲線配置部102は、運転曲線情報格納部111に格納されている先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)に関する情報と続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)に関する情報とを取得し、それらの間隔が指定された時隔値となるように配置し、その配置を含む2つの時間曲線に関する情報を距離時間曲線格納部112に格納する。時隔値は、操作端末200側の表示装置213に表示される画面に応じた利用者によるキーボード211およびポインティング装置212の操作により指定される。この時隔値の指定を含むユーザインタフェース全般については後述する。
制動曲線計算部103は、建植処理部101からの計算実行の指示に従い、線路情報格納部113に格納されている線路情報および列車性能情報格納部114に格納されている列車情報を参照して、順方向または逆方向の制動曲線を計算し、その制動曲線に関する情報を制動曲線格納部115に格納する。
信号機位置計算部104は、運転曲線情報格納部111に格納されている続行列車の運転曲線(距離−速度曲線)に関する情報と、距離時間曲線格納部112に格納されている先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)および続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)に関する情報と、信号機情報格納部116に格納されている信号機情報と、制動曲線格納部115に格納されている制動曲線に関する情報とを用いて、基点となる信号機に隣接する信号機の位置を決定し、その信号機情報を作成して信号機情報格納部116に格納する。信号機位置計算部104は、必要となる制動曲線に関する情報が制動曲線計算部103に格納されていない場合、建植処理部101に制動曲線の計算を要求する。
建植処理部101は、信号機情報格納部116に格納されている信号機情報と、入力部201を通して指定された(サーバ側データ受信部105により受信される)開始信号機および終了信号機とから計算範囲を特定する。また、建植処理部101は、入力部201を通して指定された時隔値の間隔となるように、距離時間曲線配置部102に時間曲線(距離−時間曲線)の配置を指示する。また、建植処理部101は、計算範囲内の信号機を削除すべく、信号機情報格納部116の信号機情報を更新する。また、建植処理部101は、信号機位置計算部104に信号機情報の作成を指示する。また、建植処理部101は、信号機位置計算部104が信号機情報の作成中に制御曲線の計算を要求してきた場合、制動曲線計算部103に制動曲線の計算実行を指示する。また、建植処理部101は、信号機位置計算部104による信号機情報の作成処理が終了したら、信号機情報格納部116に格納されている信号機情報を取得し、(サーバ側データ送信部106経由で)表示部202を通して信号建植処理の結果を表示装置213に表示する。
サーバ側データ受信部105は、操作端末200からサーバ100へ送信される、操作端末200側のキーボード211またはポインティング装置212の操作により入力された情報をネットワークN経由で受信するための通信を実行する。
サーバ側データ送信部106は、画面表示用の情報(例えば建植処理部101により作成されるHTMLファイル)をネットワークN経由で操作端末200へ送信するための通信を実行する。
前述したように、この信号機建植位置決定システムは、第1に、先行列車の時間曲線と続行列車の時間曲線とを目標の時隔値を間隔とする位置に配置して、基点となる信号機に隣接する信号機の位置を決定し、第2に、その信号機の位置の決定を、計算範囲において順番に繰り返し行うことで、その計算範囲について目標の時隔値を実現することのできる信号機の位置(信号機の数を含む)を決定する。そこで、まず、時隔値の求め方について説明する。
時隔値の求め方を説明するにあたり、まず、運転曲線について説明する。
図2は、列車の運転曲線(距離−速度曲線)を表した図である。
図2では、横軸が距離を表し、縦軸が速度を表す。図2の左側が出発駅側で、右側が到着駅側となる。
図2中、21は、列車の運転曲線(距離−速度曲線)である。運転曲線は、線路条件および列車性能を基に計算することが可能である。本実施形態の信号機建植位置決定システムでは、運転曲線に関する情報が、あらかじめ計算されて運転曲線情報格納部111に格納されていることを想定する。
また、22は、信号機を表す図形である。図2では、出発駅から到着駅の間に9個の信号機が設置された状態を表している。信号機は、図形が配置されている位置に存在するものとする。なお、信号機の位置は、等間隔に限られず、隣接する2つの信号機の間隔の最小値と最大値との制約の下、任意の位置に設置することができる。
次に、時間−距離曲線について説明する。
運転曲線は、距離に対して速度が対応する情報であるが、同時に、距離に対して時間を対応づけることができる。図3は、1列車についての時間−距離曲線を表している。
図3では、横軸が時間を表し、縦軸が距離を表す。図3の下側が出発駅側で、上側が到着駅側となる。
図3中、31は、列車の先頭位置を基準とした時間−距離曲線を表す。32は、列車の終端位置を基準とした時間−距離曲線を表す。図2で横方向の距離軸に沿って並んでいた信号機は、図3では縦方向の距離軸に沿って並ぶ。時間−距離曲線のことを、単に時間曲線と呼ぶこともある。
次に、運転曲線を用いて、後方を走行している列車(続行列車)が運転曲線通りに走行できる限界の地点の求め方について説明する。
図4は、続行列車が運転曲線通りに走行できる限界の地点の求め方を説明するための図である。
図4中、41は、続行列車の運転曲線(距離−速度曲線)である。42は、先行列車を表し、43は、続行列車を表す。また、44は、ある信号機(信号機Aとする)を表し、45は、信号機A44の1つ出発駅側の信号機(信号機Bとする)を表す。
図4では、先行列車42が、信号機A44を過ぎて、その終端が信号機A44の位置にある状態が表されている。
隣接する2つの信号機間を1単位として先行列車と続行列車との間に1単位以上の間隔が確保されていることが求められる1へいそくを前提とすると、先行列車42が信号機A44の位置にある場合、続行列車43は、信号機B45の位置までに、決められた速度に減速しなければならない。ここでは、この速度を0km/hとして説明する。なお、本実施形態の信号機建植位置決定システムは、1へいそくに限定されず、0へいそくの場合においても適用可能である。0へいそくの場合、先行列車と続行列車との間に1つ以上の信号機が介在していることが求められる。
46は、続行列車43に関する制動曲線を表しており、信号機B45の位置からの制動曲線となっている。制動曲線も距離−速度曲線で表すことができる。
47は、制動曲線46と(続行列車43の)運転曲線41との交点を表す。この交点47が、先行列車42の終端が信号機A44に位置する場合において続行列車43が運転曲線通りに走行できる限界の地点であり、図4の先行列車42と続行列車43との位置関係が、2列車が近づくことのできる限界を表している。
仮に、先行列車42が信号機A44の位置にある場合に、続行列車43が交点47よりも前方(図4では右側)に位置する場合、信号機による速度制御により、信号機B45からの制動曲線46に従って減速した状態となっていなければならないことになる。そうなると、続行列車43の速度は、(続行列車43の)運転曲線41の速度よりも低い速度となってしまい、計画された運転曲線通りの走行ができなくなる。そのため、交点47が、続行列車43が先行列車42に近づくことのできる限界の地点となる。
先行列車の位置に対して、続行列車が、信号機によるブレーキをかけることなく、計画された運転曲線で走行できる限界を、図4のように求めることができるが、これを、ある駅における先行列車と続行列車との時間の差で表すことができる。この時間の差を時隔と呼び、その値を時隔値と呼ぶ。
図5は、図4の2列車の位置関係を時間曲線(時間−距離曲線)で表した図である。
図5中、51は、先行列車の先頭位置の時間曲線を表し、52は、先行列車の終端位置の時間曲線を表す。53は、続行列車の先頭位置の時間曲線を表し、54は、続行列車の終端位置の時間曲線を表す。
55は、図4の状態の時刻における先行列車を表し、56は、同じ時刻の続行列車を表す。57は、信号機Aを表し、58は、信号機Bを表す。また、59は、続行列車の運転曲線と信号機Bの位置からの制動曲線との交点(続行列車が運転曲線通りに走行できる限界の地点)を表す。
先行列車55の終端が信号機A57の位置にあるとき、続行列車56の先頭は、交点59の位置にある。つまり、その2つの列車がこれらの位置にあるとき、同一の時刻上(同じ縦線上)にある。
60は、図5で示される先行列車55と続行列車56との位置関係において、最も接近できる2列車の間隔を表す線分である。これを縦棒と呼ぶ。
61は、到着駅において、先行列車55と続行列車56とが満たさなければならない時間の間隔を表す。即ち、前述の時隔値である。信号機ごとに時隔値を区別する場合、信号機Aの時隔値というように呼ぶ。
図4および図5を用いて、駅の途中の2個の信号機(信号機A、信号機B)による時隔値を説明したが、駅間の信号機の個数は実際には2個よりも多い。各々の信号機による時隔値を求めて、その中の最も大きい時隔値を2列車の時隔または単に時隔と呼ぶ。
図6は、時隔を説明するための図(時間−距離曲線図)である。
図6に示されるように、2列車の時間曲線の位置関係は、駅間の全ての信号機の時隔値を求めて、2列車の間隔が最大の時隔値となるように決められる。
先行列車、続行列車とも、時間−距離曲線は、先頭と終端とを表す2本ずつが表示されている。
先行列車の終端を表す時間−距離曲線から、先行列車の終端が位置する信号機位置での縦棒がそれぞれ表示されている。信号機62に対応する縦棒を65、信号機63に対応する縦棒を66、信号機64に対応する縦棒を67で表示している。このうち、信号機63に対応する縦棒66の続行列車側が、続行列車の先頭を表す時間−距離曲線と接した状態である。続行列車が運転曲線通りに走行するためには、2列車はこれよりも近づくことはできない。
この位置関係にあるとき、到着駅での先行列車と続行列車との時間の差を最大時隔と呼び、図6では、68で示された時間となる。
また、図7は、図6(時間−距離曲線図)とは別の表現方法で時隔を表した図(距離−時間曲線図)である。
図6では、横軸を時間、縦軸を距離とした、時間−距離曲線図を使用した。時隔の表現方法としては、時間−距離曲線図以外に、図7に示されるように、横軸を距離、縦軸を時間とした、距離―時間曲線図も使用され得る。
なお、信号機ごとに最も接近できる2列車の間隔を、時間−距離曲線図では縦棒で表現していたが、距離−時間曲線図では横棒となる。
図7中、69は、先行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)であり、70は、先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)である。また、71は、続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)であり、72は、続行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)である。
以上で、時隔値の求め方を説明した。
次に、この信号機建植位置決定システムの処理の詳細について説明する。
ここでは、この信号機建植位置決定システムにおける信号機の位置の変更を説明するために、次のように、記号を定義する。
n:開始信号機と終了信号機との間に作成する信号機の個数
S(j):信号機(j=0,1,2,…,n,n+1)
dmin:隣接する信号機の間隔の最小値の制約(最小間隔)
dmax:隣接する信号機の間隔の最大値の制約(最大間隔)
(dmin≦信号機の間隔≦dmax)
dminとdmaxとは、隣接する信号機間の距離の制約であり、列車の長さ、ブレーキの原理および性能、路線の最高速度、駅間の距離等の物理的な特性、市街地/郊外の違い、目標とする輸送力等の環境面、設備保全の予算等の経済面、将来の輸送力等の計画面等の特性を総合的に考慮して人為的に設定される値である。
S(j):信号機(j=0,1,2,…,n,n+1)
dmin:隣接する信号機の間隔の最小値の制約(最小間隔)
dmax:隣接する信号機の間隔の最大値の制約(最大間隔)
(dmin≦信号機の間隔≦dmax)
dminとdmaxとは、隣接する信号機間の距離の制約であり、列車の長さ、ブレーキの原理および性能、路線の最高速度、駅間の距離等の物理的な特性、市街地/郊外の違い、目標とする輸送力等の環境面、設備保全の予算等の経済面、将来の輸送力等の計画面等の特性を総合的に考慮して人為的に設定される値である。
なお、作成する信号機の個数nは、この信号機建植位置決定システムの処理の途中では不明な値であるが、この処理の説明において終了信号機の1つ手前の信号機をn番目の信号機として表すために、便宜上、使用する。
信号機情報格納部116に格納される信号機情報について説明する。
まず、最終的に作成する信号機の個数をnとすることで、開始信号機はS(0)と表され、終了信号機はS(n+1)と表される。
なお、両端のS(0)とS(n+1)を除いたS(1)からS(n)の信号機を意味する場合は、S(j)と区別するために、以下のようにS(k)と表すものとする。
S(k):信号機(k=1、2、…、n)
図8は、この信号機建植位置決定システムの処理全体の流れを表すフローチャートである。また、図9は、図8のステップS4の出発側信号機作成処理の詳細を表すフローチャートであり、図10は、図8のステップS5の到着側信号機作成処理の詳細を表すフローチャートである。
図8は、この信号機建植位置決定システムの処理全体の流れを表すフローチャートである。また、図9は、図8のステップS4の出発側信号機作成処理の詳細を表すフローチャートであり、図10は、図8のステップS5の到着側信号機作成処理の詳細を表すフローチャートである。
まず、図8を参照する。
ステップS1において、建植処理部101は、開始信号機S(0)と終了信号機S(n+1)とに関する情報を得る。より詳細には、建植処理部101は、信号機情報格納部116に格納されている信号機情報を(サーバ側データ送信部106経由で)表示部202を通して表示装置213により利用者に提示し、利用者によるキーボード211またはポインティング装置212の操作により、つまり入力部201を通して指定される開始信号機S(0)と終了信号機S(n+1)とに関する通知を(サーバ側データ受信部105経由で)受信する。
ステップS2において、建植処理部101は、信号機情報格納部116に格納されている信号機情報について、指定された開始信号機S(0)と終了信号機S(n+1)との間に含まれる信号機を削除する。
図11は、ステップS2の範囲内の信号機の削除処理を実行後の信号機を運転曲線図上で表している。
ステップS3において、建植処理部101は、運転曲線情報格納部111に格納されている運転曲線情報に含まれる、先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)および続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)を抽出し、2つの時間曲線の間隔が入力部201から得た目標時隔値となるように配置して、このように配置された2つの時間曲線に関する情報を距離時間曲線格納部112に格納する。
先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)と、続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)とは、利用者の指示により、出発駅で目標時隔値の間隔で配置する場合と、到着駅で目標時隔値の間隔で配置する場合とのいずれかとなる。
図12は、出発駅での時隔値を目標値とする場合の先行列車および続行列車の時間曲線(距離−時間曲線)の配置の例を表している。出発駅での時隔値を目標値とする場合、出発駅の位置において、先行列車の時間曲線(距離−時間曲線)と続行列車の時間曲線(距離−時間曲線)との時間の間隔が目標の時隔値になっている。ここで、指定された時間の間隔で配置された先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)と続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)とに関する時間曲線情報が距離時間曲線格納部112に格納される。
図13は、到着駅での時隔値を目標値とする場合の先行列車および続行列車の時間曲線(距離−時間曲線)の配置の例を表している。到着駅での時隔値を目標値とする場合、到着駅の位置において、先行列車の時間曲線(距離−時間曲線)と続行列車の時間曲線(距離−時間曲線)との時間の間隔が目標の時隔値になっている。ここで、指定された時間の間隔で配置された先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)と続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)とに関する時間曲線情報が距離時間曲線格納部112に格納される。
ステップS3にて、時間曲線(距離−時間曲線)に関する情報が距離時間曲線格納部112に格納されたら、信号機建植位置決定システムの処理は、ステップS4の出発側信号機作成処理に進む。
ステップS4において、信号機位置計算部104は、出発側信号機作成処理を行う。ステップS4の出発側信号機作成処理の詳細な説明は、後述する。ステップS4の処理を実行することにより、出発側に信号機を作成しないか、あるいは1個の信号機を作成することになる。ステップS4が終了したら、信号機建植位置決定システムの処理は、ステップS5の到着側信号機作成処理に進む。
ステップS5において、信号機位置計算部104は、到着側信号機作成処理を行う。ステップS5の到着側信号機作成処理の詳細な説明は、後述する。ステップS5の処理を実行することにより、信号機建植位置決定システムは、終了条件を満たすまで、到着側から出発側に向かって信号機を順に作成することを繰り返すことになる。ステップS5が終了したら、信号機建植位置決定システムは、処理を終了する。
次に、図9を参照して、図8のステップS4の出発側信号機作成処理の詳細を説明する。
図8のステップS4の出発側信号機作成処理では、信号機位置計算部104は、続行列車の出発位置と開始信号機S(0)との間に信号機が1つもない場合に、開始信号機S(0)の次に信号機S(1)を作成する。図8のステップS4の出発側信号機作成処理を実施する理由は、開始信号機が続行列車の出発を制御する信号機である場合には、その信号機が進行を意味する状態とならない限り発車できないことと、信号の変化時に特別な付加時分を付加することによる影響を、信号機位置の決定処理に反映するためである。
ステップS101にて、信号機位置計算部104は、運転曲線情報格納部111の運転曲線情報より出発駅における続行列車の出発位置を取得する。また、信号機位置計算部104は、信号機情報格納部116の信号機情報を取得し、続行列車の出発位置と開始信号機S(0)との間に信号機が存在するかどうかを確認する。存在しない場合、信号機位置計算部104は、判定をYESとしてステップS102に進む。一方、存在する場合、信号機位置計算部104は、判定をNOとして、ステップS4の出発側信号機作成処理を終了し、ステップS5に進む。
このステップS101の判定は、出発側信号機作成処理において信号機S(1)を作成するかどうかを判定するものである。判定がNOとなる、続行列車と開始信号機との間に信号機が存在する場合は、ステップS4では信号機S(1)を作成せず、判定がYESとなる、続行列車と開始信号機との間に信号機が存在しない場合は信号機S(1)を作成することになる。
図14は、ステップS101にて、続行列車の出発位置と開始信号機S(0)との間に信号機が存在しておらず、YESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、以降の処理で出発側に信号機S(1)を作成することになる。信号機位置計算部104は、ステップS102に移る。
図15は、ステップS101にて、続行列車の出発位置と開始信号機S(0)との間に信号機が存在しており、NOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、出発側に信号機を作成することは行わず、ステップS4の出発側信号機作成処理は終了し、信号機建植位置決定システムの処理は、ステップS5の到着側信号機作成処理に移る。
図16は、出発側信号機作成処理のステップS102からステップS104の処理を説明するために用いる距離−時間曲線図である。
ステップS102にて、信号機位置計算部104は、距離時間曲線格納部112に格納されている続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)に関する情報を参照し、続行列車の出発時刻から付加時分だけ前の時刻を求める。続行列車の出発時刻より付加時分だけ前の時刻は、図16の距離−時間曲線図では下側となる。
付加時分とは、実際の列車制御において、先行列車の位置を検出してから続行列車の制御が開始されるまでにかかる時間を意味する。付加時分には、信号の伝送時間や、転てつ器の切り替えにかかる時間や、運転士が信号変化を見てから操作するまでの反応時間、等が含まれる。この信号機建植位置決定システムでは、付加時分を事前に設定済みの設定値として取り扱う。なお、ステップS102にて、信号機位置計算部104は、付加時分を考慮せず、続行列車の出発時刻そのものを求めるようにしてもよい。
ステップS103にて、信号機位置計算部104は、距離時間曲線格納部112の先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)に対して、ステップS102で求めた時刻における位置(距離)を求める。このとき、距離時間曲線格納部112に格納されている時間曲線情報で示される先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)と続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)とは、目標時隔値の間隔で配置された状態である。
ステップS104にて、信号機位置計算部104は、ステップS103で求めた位置を候補位置とする。
ステップS105にて、信号機位置計算部104は、候補位置と、信号機情報格納部116の信号機情報の開始信号機S(0)との間隔を求める。
ステップS106にて、信号機位置計算部104は、候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最小間隔dmin以上であるかどうかの判定を行う。候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最小間隔dmin以上である場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS107に進む。候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最小間隔dminより小さい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS110に進む。
図17は、候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最小間隔dmin以上であるため、ステップS106をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS107に進む。
図18は、候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最小間隔dminより小さいため、ステップS106をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS110に進み、最小間隔dminの位置に信号機S(1)を作成することとなる。
ステップS107にて、信号機位置計算部104は、候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最大間隔dmax以下であるかどうかの判定を行う。候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最大間隔dmax以下である場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS108に進む。候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最大間隔dmaxより大きい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS109に進む。
図19は、候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最大間隔dmax以下であるため、ステップS107をYESと判定する状況を表している。なお、このとき、ステップ106にて候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最小間隔dmin以上と判定しているため、候補位置と開始信号機S(0)との間隔は、最小間隔dmin以上、最大間隔dmax以下となっている。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS108に進み、候補位置に信号機S(1)を作成することとなる。
図20は、候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最大間隔dmaxより大きいため、ステップS107をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS109に進み、最大間隔dmaxの位置に信号機S(1)を作成することとなる。
ステップS107の判定がYESの場合、信号機位置計算部104は、ステップS108の処理を行う。
ステップS108にて、信号機位置計算部104は、候補位置に信号機S(1)を作成し、その信号機S(1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。ステップS108を処理したら、図8のステップS4は終了し、信号機建植位置決定システムの処理は、図8のステップS5に進む。
ステップS107の判定がNOの場合、信号機位置計算部104は、ステップS109の処理を行う。
ステップS109にて、信号機位置計算部104は、開始信号機S(0)から最大間隔dmaxの位置に信号機S(1)を作成し、その信号機S(1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。ステップS107の判定がNOとなる場合とは、候補位置と開始信号機S(0)との間隔が最大間隔dmax以下でなければならないという制約を満たせない状況にある場合である。そのため、ステップS109にて、強制的に最大間隔dmaxの位置に信号機S(1)を作成するという方法を取っている。これは、目標時隔値を満たすことができなくなることを意味するが、与えられた目標時隔値の設定に問題があることが原因である。便宜上、ここでは、このまま以降の処理を継続するものとして説明する。
また、以降の処理の説明においても、ステップS109と同様に、最大間隔dmaxや最小間隔dminの位置に信号機を作成する状況が生じる。その場合も、制約を満たせない状況となっており、強制的に信号機を作成して処理を継続するとして説明している。
なお、ステップS109や以降の説明では、信号機位置を強制的に最大間隔dmaxや最小間隔dminの位置に強制的に信号機を作成して処理を継続するものとするが、最大間隔dmaxや最小間隔dminの設定値を適切な値に見直し、または、利用者に別の適切な目標時隔値を入力してもらうことで、ステップS1から再実行するようにしてもよい。
ステップS109を処理したら、図8のステップS4は終了し、信号機建植位置決定システムの処理は、図8のステップS5に進む。
ステップS110にて、信号機位置計算部104は、開始信号機S(0)から最小間隔dminの位置に信号機S(1)を作成し、その信号機S(1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。
ステップS110を処理したら、図8のステップS4は終了し、信号機建植位置決定システムの処理は、ステップS5に進む。
ここで、ステップS4の出発側信号機作成処理の結果、開始信号機S(0)の次に信号機は作成されないか、開始信号機S(0)の次に1個の信号機S(1)が作成されるか、のいずれかの状態となる。
以降の説明で、開始側の信号機という名称を用いるが、開始側の信号機とは、ステップS4の出発側信号機作成処理にて信号機が作成されなかった場合は、開始信号機S(0)を意味するものとし、ステップS4の出発側信号機作成処理にて信号機S(1)が作成された場合は、その信号機S(1)を示すものとする。
図21は、ステップS4の出発側信号機作成処理で信号機が作成された状態の例を表している。この場合、後に「開始側の信号機」が示す信号機は、作成された信号機S(1)となる。
図22は、ステップS4の出発側信号機作成処理で信号機が作成されなかった状態の例を表している。この場合、後に「開始側の信号機」が示す信号機は、開始信号機S(0)となる。
次に、図10を参照して、図8のステップS5の到着側信号機作成処理の詳細を説明する。
図8のステップS5の到着側信号機作成処理では、終了信号機S(n+1)から出発側へと、列車の進行方向とは逆方向に、S(n)、S(n−1)、S(n−2)と順番に信号機を作成する処理を行う。
ステップS201にて、信号機位置計算部104は、信号機情報格納部116の信号機情報の終了信号機S(n+1)を参照し、終了信号機S(n+1)を基準の信号機とする。以降の説明では、処理が進むにつれて基準の信号機が変わっていくので、基準の信号機をS(k)と表す。
ここで、まず、図23を参照して、目標時隔値を実現すべく、基準の信号機S(k)から信号機S(k−1)の位置を決定する一般的な手法の一例を説明する。
まず、信号機S(k−1)を仮配置する(図23のa1)。信号機S(k−1)を仮配置したら、信号機S(k−1)からの制動曲線を求める(図23のa2)。次に、求めた制動曲線と運転曲線との交点から、先行列車の終端が信号機S(k)の位置にある状態で続行列車が運転曲線通りに走行できる限界の地点を求める(図23のa3)。ここで、先行列車と続行列車との位置関係が求まるので、先行列車と続行列車との時間的な間隔(時隔値)を評価し、信号機S(k−1)の位置を調整する(図23のa4)。この手順を、満足な結果が得られるまで繰り返す。このような手順によるため、高いスキルを有する専門家の多大な労力と時間を要し、かつ、最適な結果が得られるとは限らない。
一方、図24は、本実施形態の信号機建植位置決定システムにおいて基準の信号機S(k)から信号機S(k−1)の位置を決定する手法を説明するための図である。これは、図10の到着側信号機作成処理のステップS202からステップS205までの処理に相当する。
ステップS202にて、信号機位置計算部104は、基準の信号機S(k)の位置と距離時間曲線格納部112に格納されている時間曲線情報が示す先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)との交点から、先行列車終端が信号機S(k)の地点に位置する時刻を求め、その時刻に対して付加時分だけ後の時刻を求める(図24のb1)。なお、出発側信号機作成処理と同様、ステップS202にて、信号機位置計算部104は、付加時分を考慮せず、先行列車終端が信号機S(k)の地点に位置する時刻そのものを求めるようにしてもよい。
ステップS203にて、信号機位置計算部104は、ステップS202で求めた時刻と、続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)との交点から、その時刻における続行列車の先頭位置を求める(図24のb2−1)。また、信号機位置計算部104は、運転曲線情報格納部111に格納されている続行列車の運転曲線(距離−速度曲線)に関する情報から、続行列車の先頭位置における速度を求める(図24のb2−2)。
ステップS204にて、信号機位置計算部104は、ステップS203で求めた続行列車の先頭位置と速度の座標を通る順方向の制動曲線を建植処理部101に要求する(図24のb3)。建植処理部101は、制動曲線計算部103に、制動曲線の計算を指示する。制動曲線計算部103は、線路情報格納部113に格納されている線路情報と、列車性能情報格納部114に格納されている列車性能情報とから、続行列車の先頭位置と速度の座標を通る順方向の制動曲線を計算し、計算した制動曲線に関する情報を制動曲線格納部115に格納する。制動曲線計算部103は、建植処理部101を経由して、信号機位置計算部104に対して、制動曲線の計算が行われた旨を通知する。
ステップS205にて、信号機位置計算部104は、制動曲線計算部103から、続行列車の先頭位置と速度の座標を通る順方向の制動曲線を参照し、速度が0となる位置を求めて、信号機の候補位置とする(図24のb4)。
このように、この信号機建植位置決定システムでは、(先行列車の終端位置の時間曲線と続行列車の先頭位置の時間曲線とを目標時隔値の間隔で配置して用いることにより)高いスキルを有する専門家の多大な労力と時間を要することなく、最適な結果を効率的に得ることができる。
なお、ここでは、制動曲線の速度0となる位置を候補位置としたが、対象とする信号機や列車の性能や、信号制御の方法により、速度を0より大きい値としたり、さらに候補位置に余裕距離を付加したり、等の調整を行う場合もある。その場合は、調整後の位置を候補位置として扱い、以降の処理を実施すればよい。
ステップS206にて、信号機位置計算部104は、候補位置と、基準の信号機S(k)の位置とを比較する。
ステップS207にて、信号機位置計算部104は、候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最小間隔dmin以上かどうかの判定を行う。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最小間隔dmin以上の場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS208に進む。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最小間隔dminより小さい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS216に進む。
図25は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最小間隔dmin以上であるため、ステップS207をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS208に進む。
図26は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最小間隔dminより小さいため、ステップS207をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS216に進み、基準の信号機S(k)から最小間隔dminの位置に次の信号機S(k−1)が作成されることとなる。
ステップS208にて、信号機位置計算部104は、候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最大間隔dmax以下かどうかの判定を行う。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最大間隔dmax以下の場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS209に進む。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最大間隔dmaxより大きい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS217に進む。
図27は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最大間隔dmax以下であるため、ステップS208をYESと判定する状況を表している。なお、このとき、ステップS207にて候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最小間隔dmin以上と判定しているため、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔は、最小間隔dmin以上で、最大間隔dmax以下となっている。
図28は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最大間隔dmaxより大きいため、ステップS208をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS217に進み、候補位置を基準の信号機S(k)から最大間隔dmaxの位置に変更することとなる。
ステップS209にて、信号機位置計算部104は、候補位置と開始側の信号機の位置とを比較する。
ステップS210にて、信号機位置計算部104は、候補位置が開始側の信号機の位置よりも到着側かどうかの判定を行う。候補位置が開始側の信号機の位置よりも到着側である場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS211に進む。候補位置が開始側の信号機の位置よりも出発側である場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS5の到着側信号機作成処理を終了する。
図29は、候補位置が開始側の信号機の位置よりも到着側となるため、ステップS210をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS211に進む。
図30は、候補位置が開始側の信号機の位置よりも出発側となるため、ステップS210をNOと判定する状況を表している。なお、図30では、左側が出発側で、右側が到着側となっている。この場合、ステップS5の到着側信号機作成処理は終了する。
ステップS211にて、信号機位置計算部104は、候補位置と開始側の信号機との間隔が最小間隔dmin以上かどうかの判定を行う。候補位置と開始側の信号機との間隔が最小間隔dmin以上の場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS212に進む。候補位置と開始側の信号機との間隔が最小間隔dminより小さい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS218に進む。なお、ステップS211をNOと判定する場合は、これ以上、出発側の信号機と作成した信号機との間に、新たな信号機を作成することができなくなるため、信号機位置計算部104がステップS218を処理した後、信号機建植位置決定システムは、ステップS5の到着側信号機作成処理を終了することとなる。
図31は、候補位置と開始側の信号機との間隔が最小間隔dmin以上であるため、ステップS211をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS212に進む。
図32は、候補位置と開始側の信号機との間隔が最小間隔dminより小さいため、ステップS211をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS218に進み、基準の信号機S(k)から最小間隔dminの位置に次の信号機S(k−1)が作成されることとなる。
ステップS212にて、信号機位置計算部104は、候補位置に信号機S(k−1)を作成し、信号機S(k−1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS213に進む。
ステップS213にて、信号機位置計算部104は、作成した信号機S(k−1)と開始側の信号機の位置とを比較する。
ステップS214にて、信号機位置計算部104は、作成した信号機S(k−1)と開始側の信号機との間隔が最小間隔dminの2倍より大きいかどうかの判定を行う。作成した信号機S(k−1)と開始側の信号機との間隔が最小間隔dminの2倍より大きい場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS215に進む。作成した信号機S(k−1)と開始側の信号機との間隔が最小間隔dminの2倍以下の場合、信号機位置計算部104は、NOと判定する。この場合、ステップS5は終了し、信号機建植位置決定システムの全体の処理が終了する。ステップS214の判定は、基準の信号機と開始側の信号機との間に新しい信号機を作成するためには、新しい信号機が、基準の信号機とも、また、開始側の信号機とも、最小間隔dmin以上の間隔を確保できなければならないことを意味する。
図33は、作成した信号機S(k−1)と開始側の信号機との間隔が最小間隔dminの2倍より大きく、ステップS214をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS215に進み、作成した信号機を基準の信号機とすることとなる。
図34は、作成した信号機S(k−1)と開始側の信号機との間隔が最小間隔dminの2倍以下であり、ステップS214をNOと判定する状況を表している。この場合、ステップS5は終了し、信号機建植位置決定システム全体の処理が終了することとなる。
ステップS215にて、信号機位置計算部104は、作成した信号機S(k−1)を新たに基準の信号機とし、ステップS202に戻り、以降の処理を繰り返し実行する。
ステップS216にて、信号機位置計算部104は、基準の信号機S(k)から最小間隔dminの位置に信号機S(k−1)を作成し、信号機S(k−1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。ステップS216を処理したら、信号機位置計算部104は、ステップS213に進む。
ステップS217にて、信号機位置計算部104は、候補位置を、基準の信号機S(k)から最大間隔dmaxの位置に変更する。ステップS217を処理したら、信号機位置計算部104は、ステップS209に進む。
ステップS218にて、信号機位置計算部104は、開始側信号機から最小間隔dminの位置に信号機S(k−1)を作成し、信号機S(k−1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。ステップS218を処理したらステップS5は終了し、信号機建植位置決定システム全体の処理が終了する。
以上で、信号建植処理の詳細な説明を行った。
このように、この信号機建植位置決定システムは、指定された範囲において目標の時隔値を実現することのできる信号機の位置(信号機の数を含む)を決定することができる。
次に、この信号機建植位置決定システムの信号建植処理により、信号機情報が作成される状況の例を図35から図39を用いて示す。
図35は、図8のステップS2の処理により範囲外の信号機が削除され、図8のステップS3の処理により時間曲線(距離−時間曲線)の配置が行われた状態の例を表している。
図36は、図8のステップS4の出発側信号機作成処理により信号機S(1)が作成された状態の例を表している。
図37は、図8のステップS5の到着側信号機作成処理において、図10のステップS212が1回だけ処理されて、到着側に信号機S(n)が作成された例を表している。
図38は、図8のステップS5の到着側信号機作成処理において、図10のステップS212の2回目の処理により、到着側信号機作成処理で到着側に信号機S(n−1)がさらに作成された例を表している。
図39は、図8のステップS5の到着側信号機作成処理において、図10のステップS214でNOと判定されたか、図10のステップS218が処理されて、到着側信号機作成処理で到着側に最後の信号機S(2)が作成された状態の例を表している。
次に、操作端末200に外部接続されるキーボード211、ポインティング装置212および表示装置213を介して本実施形態の信号機建植位置決定システムが提供するユーザインタフェースについて説明する。
信号建植処理では、先行列車の運転曲線と続行列車の運転曲線とを指定する。運転曲線を指定するために、建植処理部101は、サーバ側データ送信部106に対して、運転曲線情報格納部111に格納されている運転曲線情報を表示するための情報(例えば、自身が作成したHTMLファイル)をネットワークN経由で操作端末200へ送信することを指示する。この情報は、操作端末200において、端末側データ受信部204により受信され、表示部202により、表示装置213上に表示される。この表示に対して、利用者が、例えばポインティング装置212により先行列車の運転曲線と続行列車の運転曲線とを選択すると、この選択を示す情報が入力部201により入力され、端末側データ送信部203によりネットワークN経由でサーバ100へ送信される。この選択を示す情報は、サーバ100において、サーバ側データ受信部105により受信され、建植処理部101へ供給される。この情報を受けた建植処理部101は、サーバ側データ送信部106に対して、選択された先行列車の運転曲線と続行列車の運転曲線とを表示するための情報をネットワークN経由で操作端末200へ送信することを指示する。以下、キーボード211またはポインティング装置212の操作に伴う操作端末200からサーバ100への情報伝達の流れと、表示装置213による画面表示のためのサーバ100から操作端末200への情報伝達の流れとについては、その記載を一部簡略化する。
図40は、選択された先行列車の運転曲線と続行列車の運転曲線とを表示装置213に表示した状態を表している。図40中、401は、先行列車の運転曲線であり、402は、続行列車の運転曲線である。
次に、信号建植処理では、信号機の建植を行う範囲の両端の信号機を指定する。信号機を指定するために、建植処理部101は、運転曲線情報格納部111に格納されている運転曲線情報と、信号機情報格納部116に格納されている信号機情報とを表示するための情報を操作端末200へ送信する。この情報による表示装置213上の表示に対して、利用者が、例えばポインティング装置212により両端の信号機を選択すると、この選択を示す情報がサーバ100へ送信され、建植処理部101へ供給される。
図41は、表示装置213に先行列車の運転曲線と続行列車の運転曲線とが表示された状態において、ポインティング装置212により、両端の信号機が指定された状態を表している。
利用者は、両端の信号機の指定後、目標とする時隔値を入力する。利用者は、目標とする時隔値を指定するために、例えばキーボード211を使用する。キーボード211により目標とする時隔値を入力すると、その時隔値を示す情報がサーバ100へ送信され、建植処理部101へ供給される。
図42は、目標とする時隔値を指定する画面を表示装置213に表示し、キーボード211により時隔値が入力された状態を表した図である。利用者により、先行列車の運転曲線および続行列車の運転曲線と、両端の信号機と、目標とする時隔値とが指定されたら、建植処理部101は、信号機建植処理を実行する。信号機建植処理が実行中である状態を利用者に示すため、建植処理部101は、計算途中である旨を表示するための情報を操作端末200へ送信する。
図43は、信号機建植処理が実行中である旨を表示装置213に表示した状態を表した図である。図43中のキャンセルボタンは、信号機建植処理の途中で処理の中断を指示するためのボタンである。
建植処理部101は、信号機の配置を決定したら、その結果を表示するための情報を操作端末200へ送信する。図44は、運転曲線および時隔曲線と決定した信号機の配置とを表示装置213に表示した状態を表した図である。
以上のように、本実施形態の信号機建植位置決定システムにおいては、与えられた運転曲線図、線路情報、列車性能情報、両端の信号機、目標とする時隔値に基づき、先行列車と続行列車の距離−時間曲線の間隔を時隔値で配置し、出発駅側と到着駅側から必要な時分と列車の制動曲線を考慮して隣接する信号機位置を決定する処理を繰り返し行うことで、目標とする時隔値を実現する信号機の位置を決定することが可能となる。
なお、以上の説明では、この信号機建植位置決定システムの各種データ処理部をサーバ100に搭載する例を示したが、その一部を操作端末200に搭載するようにしてもよい。また、図45に示されるように、信号機建植位置決定システムを単独の情報処理装置300上において構築することも可能である。
(変形例)
以上の説明では、信号機建植位置決定システムが、信号機を到着側から建植する例を説明したが、続いて、変形例として、信号機を出発側から建植する例を説明する。
以上の説明では、信号機建植位置決定システムが、信号機を到着側から建植する例を説明したが、続いて、変形例として、信号機を出発側から建植する例を説明する。
図46は、信号機を出発側から建植する場合における信号機建植位置決定システムの処理全体の流れを表すフローチャートである。また、図47は、図46のステップS7の駅間信号機作成処理の詳細を表すフローチャートである。
図46のステップS1からステップS4までは、図8のフローチャートと同一であり、ステップS7が異なる。ステップS7において、信号機位置計算部104は、駅間信号機作成処理を行う。図47を参照して、図46のステップS7の駅間信号機作成処理の詳細を説明する。
図47のステップS7の駅間信号機作成処理では、開始側の信号機から出発側へと、列車の進行方向に、S(1)、S(2)、S(3)と順番に信号機を作成する処理を行う。
ステップS301にて、信号機位置計算部104は、信号機情報格納部116の信号機情報の開始側の信号機を参照し、開始側の信号機を基準の信号機とする。開始側の信号機はステップS4の処理の結果により、S(0)またはS(1)のいずれかである。以降の説明では、処理が進むにつれて基準の信号機が変わっていくので、基準の信号機をS(k)と表す。
図48は、実施形態の信号機建植位置決定システムの変形例において基準の信号機S(k)から信号機S(k+1)の位置を決定する手法を説明するための図である。これは、図47の駅間信号機作成処理のステップS302からステップS305までの処理に相当する。
ステップS302にて、信号機位置計算部104は、基準の信号機S(k)の位置の速度0の地点からの逆方向の制動曲線と続行列車の運転曲線(距離−速度曲線)との交点を求め、その交点位置を続行列車先頭位置とする(図48のc1)。
ステップS303にて、信号機位置計算部104は、ステップS302で求めた続行列車先頭位置と、続行列車の先頭位置の時間曲線(距離−時間曲線)との交点から、続行列車の先頭位置における時刻を求める(図48のc2−1)。さらにその時刻から、付加時分だけ前の時刻を求める(図48のc2−2)。
ステップS304にて、信号機位置計算部104は、ステップS303で求めた時刻と、先行列車の終端位置の時間曲線(距離−時間曲線)との交点から、その時刻における先行列車の終端位置を求める(図48のc3)。
ステップS305にて、信号機位置計算部104は、ステップS304で求めた先行列車の終端位置を、信号機の候補位置とする(図48のc4)。
ステップS306にて、信号機位置計算部104は、候補位置と、基準の信号機S(k)の位置とを比較する。
ステップS307にて、信号機位置計算部104は、候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最小間隔dmin以上かどうかの判定を行う。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最小間隔dmin以上の場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS308に進む。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最小間隔dminより小さい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS316に進む。
図49は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最小間隔dmin以上であるため、ステップS307をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS308に進む。
図50は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最小間隔dminより小さいため、ステップS307をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS316に進み、基準の信号機S(k)から最小間隔dminの位置に次の信号機S(k+1)が作成されることとなる。
ステップS308にて、信号機位置計算部104は、候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最大間隔dmax以下かどうかの判定を行う。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最大間隔dmax以下の場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS309に進む。候補位置と基準の信号機S(k)の間隔が最大間隔dmaxより大きい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS317に進む。
図51は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最大間隔dmax以下であるため、ステップS308をYESと判定する状況を表している。なお、このとき、ステップS307にて候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最小間隔dmin以上と判定しているため、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔は、最小間隔dmin以上で、最大間隔dmax以下となっている。
図52は、候補位置と基準の信号機S(k)との間隔が最大間隔dmaxより大きいため、ステップS308をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS317に進み、候補位置を基準の信号機S(k)から最大間隔dmaxの位置に変更することとなる。
ステップS309にて、信号機位置計算部104は、候補位置と終了信号機S(n+1)の位置とを比較する。
ステップS310にて、信号機位置計算部104は、候補位置が終了信号機S(n+1)の位置よりも到着側かどうかの判定を行う。候補位置が終了信号機S(n+1)の位置よりも出発側である場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS311に進む。候補位置が開始側の信号機の位置よりも到着側である場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS7の駅間信号機作成処理を終了する。
図53は、候補位置が終了信号機S(n+1)の位置よりも出発側となるため、ステップS310をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS311に進む。
図54は、候補位置が終了信号機S(n+1)の位置よりも到着側となるため、ステップS310をNOと判定する状況を表している。なお、図54では、左側が出発側で、右側が到着側となっている。この場合、ステップS7の駅間信号機作成処理は終了する。
ステップS311にて、信号機位置計算部104は、候補位置と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dmin以上かどうかの判定を行う。候補位置と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dmin以上の場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS312に進む。候補位置と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dminより小さい場合、信号機位置計算部104は、NOと判定し、ステップS318に進む。なお、ステップS311をNOと判定する場合は、これ以上、終了信号機S(n+1)と作成した信号機との間に、新たな信号機を作成することができなくなるため、信号機位置計算部104がステップS318を処理した後、信号機建植位置決定システムは、ステップS7の駅間信号機作成処理を終了することとなる。
図55は、候補位置と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dmin以上であるため、ステップS311をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS312に進む。
図56は、候補位置と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dminより小さいため、ステップS311をNOと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS318に進み、終了信号機S(n+1)から最小間隔dminの位置に次の信号機S(k+1)が作成されることとなる。
ステップS312にて、信号機位置計算部104は、候補位置に信号機S(k+1)を作成し、信号機S(k+1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS313に進む。
ステップS313にて、信号機位置計算部104は、作成した信号機S(k+1)と終了信号機S(n+1)の位置とを比較する。
ステップS314にて、信号機位置計算部104は、作成した信号機S(k+1)と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dminの2倍より大きいかどうかの判定を行う。作成した信号機S(k+1)と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dminの2倍より大きい場合、信号機位置計算部104は、YESと判定し、ステップS315に進む。作成した信号機S(k+1)と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dminの2倍以下の場合、信号機位置計算部104は、NOと判定する。この場合、ステップS7は終了し、信号機建植位置決定システムの全体の処理が終了する。ステップS314の判定は、基準の信号機と終了信号機S(n+1)との間に新しい信号機を作成するためには、新しい信号機が、基準の信号機とも、また、終了信号機S(n+1)とも、最小間隔dmin以上の間隔を確保できなければならないことを意味する。
図57は、作成した信号機S(k+1)と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dminの2倍より大きく、ステップS314をYESと判定する状況を表している。この場合、信号機位置計算部104は、ステップS315に進み、作成した信号機を基準の信号機とすることとなる。
図58は、作成した信号機S(k+1)と終了信号機S(n+1)との間隔が最小間隔dminの2倍以下であり、ステップS314をNOと判定する状況を表している。この場合、ステップS7は終了し、信号機建植位置決定システム全体の処理が終了することとなる。
ステップS315にて、信号機位置計算部104は、作成した信号機S(k+1)を新たに基準の信号機とし、ステップS302に戻り、以降の処理を繰り返し実行する。
ステップS316にて、信号機位置計算部104は、基準の信号機S(k)から最小間隔dminの位置に信号機S(k+1)を作成し、信号機S(k+1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。ステップS316を処理したら、信号機位置計算部104は、ステップS313に進む。
ステップS317にて、信号機位置計算部104は、候補位置を、基準の信号機S(k)から最大間隔dmaxの位置に変更する。ステップS317を処理したら、信号機位置計算部104は、ステップS309に進む。
ステップS318にて、信号機位置計算部104は、終了信号機S(n+1)から最小間隔dminの位置に信号機S(k+1)を作成し、信号機S(k+1)に関する情報を信号機情報格納部116に格納する。ステップS318を処理したらステップS7は終了し、信号機建植位置決定システム全体の処理が終了する。
以上で、信号機を出発側から建植する場合における信号建植処理の詳細な説明を行った。
このように、この信号機建植位置決定システムは、信号機を出発側から建植することによっても、指定された範囲において目標の時隔値を実現することのできる信号機の位置(信号機の数を含む)を決定することができる。
次に、この信号機建植位置決定システムの開始側からの信号建植処理により、信号機情報が作成される状況の例を図59から図63を用いて示す。
図59は、図46のステップS2の処理により範囲外の信号機が削除され、図46のステップS3の処理により時間曲線(距離−時間曲線)の配置が行われた状態の例を表している。
図60は、図46のステップS4の出発側信号機作成処理により信号機S(1)が作成された状態の例を表している。
図61は、図46のステップS7の駅間信号機作成処理において、図47のステップS312が1回だけ処理されて、信号機S(1)が作成された例を表している。
図62は、図46のステップS7の駅間信号機作成処理において、図47のステップS312の2回目の処理により、駅間信号機作成処理で信号機S(2)がさらに作成された例を表している。
図63は、図46のステップS7の駅間信号機作成処理において、図47のステップS314でNOと判定されたか、図47のステップS318が処理されて、駅間信号機作成処理で到着側に最後の信号機S(n)が作成された状態の例を表している。
このように、この信号機建植位置決定システムは、人力による信号機の位置の検討の繰り返し等を必要とすることなく、目標とする時隔値を実現するための信号機の配置を効率的に決定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100…サーバ、101…建植処理部、102…距離時間曲線配置部、103…制動曲線計算部、104…信号機位置計算部、105…サーバ側データ受信部、106…サーバ側データ送信部、111…運転曲線情報格納部、112…距離時間曲線格納部、113…線路情報格納部、114…列車性能情報格納部、115…制動曲線格納部、116…信号機情報格納部、200…操作端末、201…入力部、202…表示部、203…端末側データ送信部、204…端末側データ受信部、211…キーボード、212…ポインティング装置、213…表示装置、300…情報処理装置、N…ネットワーク。
Claims (5)
- 出発駅または到着駅における先行列車と続行列車との時間的な間隔として指定される目標時隔値と、距離と速度とを座標軸とする列車の運転曲線に関する運転曲線情報と、前記運転曲線に対応する、距離と時間とを座標軸とする列車の先頭位置の時間曲線および列車の終端位置の時間曲線に関する時間曲線情報と、線路に関する線路情報と、列車の性能に関する列車性能情報とを取得する取得手段と、
第1の信号機の位置を基準として列車の進行方向とは逆の方向に建植する第2の信号機の位置を決定する手段であって、
前記先行列車の前記終端位置の時間曲線と、前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線とを、前記出発駅または前記到着駅において前記目標時隔値分の間隔となるように配置し、
前記先行列車の前記終端位置の時間曲線に基づき、前記先行列車の終端が前記第1の信号機の地点に位置する第1の時刻を取得し、
前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線に基づき、前記第1の時刻において前記続行列車の先頭が位置する第1の位置を取得すると共に、前記続行列車の前記運転曲線に基づき、前記第1の位置における前記続行列車の第1の速度を取得し、
前記線路情報と前記列車性能情報とに基づき、距離と速度とを座標軸とする、前記第1の位置を前記第1の速度で走行する前記続行列車の制動曲線を取得し、前記続行列車の速度が所定の値となる第2の位置を、前記第2の信号機の位置に決定する建植位置決定手段と、
を具備する信号機建植位置決定システム。 - 前記取得手段は、信号機の建植区間に関する建植区間情報をさらに取得し、
前記建植位置決定手段は、建植する位置が決定された前記第2の信号機を前記第1の信号機とすることにより、前記建植区間の終端側から前記第1の信号機とする信号機を列車の進行方向とは逆の方向に順次変更していきながら、前記第2の信号機とする信号機を建植する位置を決定していき、前記建植区間内に建植する2以上の信号機の位置を決定する、
請求項1に記載の信号機建植位置決定システム。 - 前記建植位置決定手段は、
前記第1の時刻として、先行列車の終端が前記第1の信号機の地点に位置する時刻に対して所定の時間分追加した時刻を取得し、
前記出発駅における前記続行列車の出発位置と前記建植区間の先頭との間に信号機が存在しない場合、前記建植区間の終端側から列車の進行方向とは逆の方向に信号機を建植する位置を決定していく前に、前記建植区間の先頭側から列車の進行方向に信号機を建植する位置を1つ決定し、
前記第1の信号機の位置と前記第2の位置との間隔が第1の閾値よりも小さい場合、前記第1の信号機の位置から前記第1の閾値の地点を前記第2の信号機の位置に決定し、前記第1の信号機の位置と前記第2の位置との間隔が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも大きい場合、前記第1の信号機の位置から前記第2の閾値の地点を前記第2の信号機の位置に決定し、前記第2の位置と前記建植区間の先頭側に存在する信号機との間隔が前記第1の閾値に2を乗じて得た値よりも小さい場合、前記建植区間における処理を終了する、
請求項2に記載の信号機建植位置決定システム。 - 出発駅または到着駅における先行列車と続行列車との時間的な間隔として指定される目標時隔値と、信号機の建植区間に関する建植区間情報と、距離と速度とを座標軸とする列車の運転曲線に関する運転曲線情報と、前記運転曲線に対応する、距離と時間とを座標軸とする列車の先頭位置の時間曲線および列車の終端位置の時間曲線に関する時間曲線情報と、線路に関する線路情報と、列車の性能に関する列車性能情報とを取得することと、
前記建植区間内に建植する2以上の信号機の位置を決定することと、
を具備し、
前記2以上の信号機の位置を決定することは、
前記先行列車の前記終端位置の時間曲線と、前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線とを、前記出発駅または前記到着駅において前記目標時隔値分の間隔となるように配置することと、
前記出発駅における前記続行列車の出発位置と前記建植区間の先頭との間に信号機が存在しない場合、前記建植区間の先頭側から列車の進行方向に信号機を建植する位置を1つ決定することと、
第1の信号機の位置を基準として列車の進行方向とは逆の方向に建植する第2の信号機の位置を決定することであって、
前記先行列車の前記終端位置の時間曲線に基づき、前記先行列車の終端が前記第1の信号機の地点に位置する時刻に対して所定の時間分追加した第1の時刻を取得し、
前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線に基づき、前記第1の時刻において前記続行列車の先頭が位置する第1の位置を取得すると共に、前記続行列車の前記運転曲線に基づき、前記第1の位置における前記続行列車の第1の速度を取得し、
前記線路情報と前記列車性能情報とに基づき、距離と速度とを座標軸とする、前記第1の位置を前記第1の速度で走行する前記続行列車の制動曲線を取得し、前記続行列車の速度が所定の値となる第2の位置を取得し、
前記第1の信号機の位置と前記第2の位置との間隔が第1の閾値よりも小さい場合、前記第1の信号機の位置から前記第1の閾値の地点を前記第2の信号機の位置に決定し、前記第1の信号機の位置と前記第2の位置との間隔が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも大きい場合、前記第1の信号機の位置から前記第2の閾値の地点を前記第2の信号機の位置に決定する、
ことを、前記第2の位置と前記建植区間の先頭側に存在する信号機との間隔が前記第1の閾値に2を乗じて得た値よりも小さくなるまで、建植する位置が決定された前記第2の信号機を前記第1の信号機とすることにより、前記建植区間の終端側から前記第1の信号機とする信号機を列車の進行方向とは逆の方向に順次変更していきながら、前記第2の信号機とする信号機を建植する位置を決定していき、前記建植区間内に建植する2以上の信号機の位置を決定することと、
を具備する信号機建植位置決定方法。 - 出発駅または到着駅における先行列車と続行列車との時間的な間隔として指定される目標時隔値と、距離と速度とを座標軸とする列車の運転曲線に関する運転曲線情報と、前記運転曲線に対応する、距離と時間とを座標軸とする列車の先頭位置の時間曲線および列車の終端位置の時間曲線に関する時間曲線情報と、線路に関する線路情報と、列車の性能に関する列車性能情報と、信号機の建植区間に関する建植区間情報とを取得する取得手段と、
第1の信号機の位置を基準として列車の進行方向に建植する第2の信号機の位置を決定する手段であって、
前記先行列車の前記終端位置の時間曲線と、前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線とを、前記出発駅または前記到着駅において前記目標時隔値分の間隔となるように配置し、
前記線路情報と前記列車性能情報とに基づき、距離と速度とを座標軸とする、前記第1の信号機の位置における前記続行列車の速度が所定の値である前記第1の信号機の位置からの前記続行列車の逆方向の制動曲線を取得し、その制動曲線と前記続行列車の前記運転曲線との交点で示される前記続行列車の先頭が位置する第1の位置を取得し、
前記続行列車の前記先頭位置の時間曲線に基づき、前記続行列車の先頭が前記第1の位置にある時刻に対して所定の時間分差し引いた第1の時刻を取得し、
前記先行列車の前記終端位置の時間曲線に基づき、前記第1の時刻において前記先行列車の終端が位置する第2の位置を取得し、前記第2の位置を、前記第2の信号機の位置に決定する建植位置決定手段と、
を具備し、
前記建植位置決定手段は、
前記出発駅における前記続行列車の出発位置と前記建植区間の先頭との間に信号機が存在しない場合、前記建植区間の先頭側から列車の進行方向に信号機を建植する位置を1つ決定し、
建植する位置が決定された前記第2の信号機を前記第1の信号機とすることにより、前記建植区間の始端側から前記第1の信号機とする信号機を列車の進行方向に順次変更していきながら、前記第2の信号機とする信号機を建植する位置を決定していき、前記建植区間内に建植する2以上の信号機の位置を決定し、
前記第1の信号機の位置と前記第2の位置との間隔が第1の閾値よりも小さい場合、前記第1の信号機の位置から前記第1の閾値の地点を前記第2の信号機の位置に決定し、前記第1の信号機の位置と前記第2の位置との間隔が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも大きい場合、前記第1の信号機の位置から前記第2の閾値の地点を前記第2の信号機の位置に決定し、前記第2の位置と前記建植区間の終了信号機との間隔が前記第1の閾値に2を乗じて得た値よりも小さい場合、前記建植区間における処理を終了する、
信号機建植位置決定システム。
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