以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に関わるカメラシステムの構成を示す図である。図1に示すカメラシステムは、カメラ100とカメラ100に着脱可能に装着されたレンズユニット200を有している。まず、カメラ100とレンズユニット200内の構成について説明する。
マイクロコンピュータCPU(以下、カメラマイコン)101は、カメラ100の各部を制御する制御部である。
メモリ102は、カメラマイコン101に接続されているRAMやROM等のメモリである。
撮像素子103は、赤外カットフィルタやローパスフィルタ等を含むCCDやCMOS等の撮像素子であり、レンズユニット200によって撮影時に被写体の像が結像される。
シャッター104は、非撮影時には閉じて撮像素子103を遮光し、撮影時には開いて撮像素子103へ光線を導く。
ハーフミラー105は、非撮影時にレンズユニット200より入射する光の一部を反射しピント板106に結像させる。
表示素子107は、PN液晶等のAF枠を表示するための表示素子であり、光学ファインダーを覗いたときに撮像領域内のどの位置にピントを合わせているかをユーザーに示す。
図2に表示素子107に表示されるAF枠の配置の一例を示す。PN液晶では、カメラマイコン101からの指示で選択されたAF枠の液晶が拡散し、AF枠が表示される。また複数の測光領域が点線で示されている。
測光センサ108は、CCD、COMS等の撮像素子であって、測光だけでなく顔検出や被写体追尾に用いられる。
ペンタプリズム109は、ピント板106の被写体像を測光センサ108及び光学ファインダーに導く。
焦点検出回路110は、レンズユニット200より入射し、ハーフミラー105を通過した光線の一部をAFミラー111で焦点検出回路110内のAFセンサに導き焦点検出を行っている。焦点検出の結果である焦点検出情報は特に限定されず、位相差検出方式のAFで用いられる位相差情報やコントラスト方式のAFで用いられる評価値情報などAFの方式に対応する情報であればよい。
CPU(以下APUと呼ぶ)112は、測光センサ108の画像処理・演算用のCPUで、ここで測光センサ108で取得した画像信号に基づいて、顔検出処理、被写体追尾処理、測光処理のための各種演算を行う。また、測光センサ108で撮像を行い得られた画像信号に対するゲインを設定したり、設定したゲインを画像信号に適用したりする。
メモリ113は、APU112に接続されているRAMやROM等のメモリである。
なお、上記のカメラシステムでは、APU112のように測光センサ専用のCPUを用意したが、カメラマイコン101等で処理を行ってもよい。
CPU(以下LPUと呼ぶ)201は、レンズユニット内のCPUで、レンズ情報や被写体との距離情報等をカメラマイコン101に送る。また、LPU201は、カメラマイコン101からの要求に応じてレンズユニット200内のレンズを駆動させる。
以上で図1に示すカメラシステムの構成図の説明を終わる。
次に、図3を使ってカメラ100の状態に応じた測光方法について説明をする。
まず、カメラ100が測光をしていない状態から測光を開始する場合に最初に行う際の測光を初回測光とする。この初回測光は、例えば、カメラ100の起動時、レンズ交換後といった、被写体の明るさがわからない状態から短い時間で明るさの状態を測るための測光方法である。初回測光の1回目及び2回目は素早く測光を行うため、測光センサ108で受光できるすべての画素を使わない蓄積S、読出Sを行う。この2回の測光結果により測光の3回目は蓄積時の蓄積パラメータを算出し、測光センサ108で受光できるすべての画素を用いて蓄積A、および読出Aを行う。この蓄積A、読出Aで得られた画像信号は顔検出を行うために十分な画素を使うことを特徴とし、後に説明するSW1測光、見切り合焦測光、最終合焦測光といった顔検出で必要とする測光でも同様の方法が使われる。なお、測光演算処理のアルゴリズムについては説明を省略するが、図2に示すような測光領域を所定の数のブロック領域ごとに分け、ブロックごとに測光値を演算することで、全体の明るさを測定することができる演算である。また、この演算では明るさを測った上で、次に取得する画像信号の明るさが適切になるような蓄積パラメータ、例えば蓄積時間、ゲイン、読出モードなどの決定も行う。
次に、初回測光が終わり、図1に不図示の撮影ボタンが押下されることで開始される測光をSW1測光とする。このSW1測光は、前述の蓄積A、読出Aにより得られる画像信号から測光演算により、各測光領域の測光値を演算する。さらに、SW1測光は、単に測光値を演算するという他に、今後の撮影に関わる様々情報を取得するために、蓄積A、読出Aとは異なる動作をする。本実施形態では、交流電流の周期に基づいて周期的に点滅を繰り返す蛍光灯など、いわゆるフリッカの点滅周期を判断するため、蓄積F、読出F、で得られた画像信号からフリッカ情報を取得するフリッカ検知演算を行うものとする。蓄積F、読出F、フリッカ検知演算については、本発明の特徴とは関係がないため詳細な説明を省略するが、例えば、蓄積Fの期間にフリッカの点滅周期よりも短い蓄積時間で取得した複数の画像信号の信号レベルを比較してフリッカ点滅周期などを測定する。
次に、顔検出を行って検出された顔に対して優先的にピントを合わせるように焦点制御を行うモード(以下、顔検出AFモードとする)において、合焦直前に顔検出のために行う測光を見切り合焦測光とする。この見切り合焦測光は、カメラマイコン101があと一度のレンズ駆動で合焦すると判断した際に行う測光で、前述の蓄積A、読出Aによる画像信号に基づいて撮像領域内に人物の顔があるかどうかを判断する顔検出演算を行ったのち、測光演算を行う。なお、顔検出AFモードは、カメラマイコン101が、測光センサ108から取得した画像信号に基づいて自動的に設定しても、ユーザーが不図示の操作部を操作したことに応じて設定してもよい。
次に、最終的に合焦した際に行われる測光を最終合焦測光とする。この最終合焦測光は前述の蓄積A、読出Aによる画像信号に基づいて測光演算を行うことにより、合焦後の最終的な被写体の明るさを測定する。
以上で図3の本発明の実施例に関わる測光の種類の説明を終わる。
次に、図4のフローチャートを使って、本発明の実施形態に関わる顔検出AFモードにおけるAPU112の処理について説明をする。
まず、ステップS401では、カメラマイコン101から初回測光要求があるか判断を行う。もしなければステップS401を繰り返し、ある場合にはステップS402の初回測光処理を行う。初回測光処理については、図3を使って説明した処理を行う。次にステップS403に進む。
ステップS403では、カメラマイコン101からSW1測光要求があるか判断を行う。もしなければステップS403を繰り返し、ある場合にはステップS404のSW1測光処理を行う。SW1測光処理については、図3を使って説明した処理を行う。次にステップS405に進む。
ステップS405では、カメラマイコン101から見切り合焦要求があるか判断を行う。もしなければ、ステップS403に戻る。ある場合にはステップS406の見切り合焦測光処理を行う。見切り合焦測光処理については、図3を使って説明した処理を行う。次にステップS407に進む。
ステップS407では、カメラマイコン101から最終合焦測光要求があるか判断を行う。もしなれければステップS407を繰り返し、ある場合にはステップS408の最終合焦測光処理を行う。最終合焦測光処理については、図3を使って説明した処理を行い、本フローチャートを終了する。次に、図5のタイミングチャートを使って、顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理のタイミングについて説明をする。
まず、初回測光を行うために、カメラマイコン101からAPU112に対し初回測光要求を出す。その際、カメラマイコン101はフォーカス情報1をAPU112に対して送る。フォーカス情報とは、カメラマイコン101が焦点検出した際に、どれだけAF枠に対応する被写体に対してピントが合っているかを(AF枠に対応する被写体に対するレンズのフォーカス位置の正しさ)点数で表現している情報のことである。フォーカス情報は、LPU201からカメラマイコン101に対して送られるレンズ情報及び焦点検出回路110で得た焦点検出情報に基づいてカメラマイコン101により演算される。このフォーカス情報についての詳細な内容、およびその演算方法については特に限定されないが、本実施形態では、数字が高いほどピントが合っている(合焦度が高い)ことを示し、0〜10点で表現するものとする。
初回測光時のフォーカス情報1は、例えばカメラ100の起動時などレンズのフォーカス位置が不定の状態かつ、カメラマイコン101が焦点検出を開始した際の情報であり、高い点数であるケースは少ない。そこで、本実施形態では、すべてのAF枠のフォーカス情報が0点であるものとする。
APU112が初回測光をしている間に、カメラマイコン101は焦点検出1を行い、検出結果に応じてLPU201に対してレンズ駆動1を要求する。
APU112が初回測光の際に撮像したものが測光画フォーカス情報1で示した測光センサ108で得られた画像信号に基づく画像(測光画)、およびフォーカス情報1を表している。図3で説明したように、初回測光時は1回目、2回目で被写体の明るさを短時間で測光し3回目で取得する画像信号の明るさが適切になるように、蓄積Aの蓄積パラメータを調節するが、3回目で取得する画像信号の明るさが適切にならないケースが存在する。そのような例として、本実施形態では人物が極端に逆光である例を示している。
APU112が初回測光結果をカメラマイコン101に送信したあと、次にカメラマイコン101はSW1測光要求を行う。その際、カメラマイコン101は、フォーカス情報2をAPU112に対して送る。SW1測光時のフォーカス情報2は、初回測光時に焦点検出1とレンズ駆動1の結果から、フォーカス情報1よりも高い点数になる。本実施形態では、人物の顔付近のAF枠であるFocus5が5点、胴体付近のAF枠であるFocus4が6点であるものとする。図5では、カメラマイコン101がAPU112に対してSW1測光要求を出したのと同時にフォーカス情報2を送るように表現しているが、フォーカス情報2を送るタイミングは図5に示したタイミングに限定されない。例えば、レンズ駆動時間が短い場合は、焦点検出とレンズ駆動を細かく行ってもよいし、レンズ駆動が長い場合は、総駆動時間から、SW1測光要求を出すその時点での点数が何点になるのかをカメラマイコン101が演算してもよい。
次に、カメラマイコン101からSW1測光要求を受けたAPU112は、蓄積A1を行う。図3でも説明したように、この蓄積A1で設定される蓄積パラメータは、初回測光で演算されたものを用いる。蓄積パラメータには、蓄積時間、ゲイン、蓄積方法などあるが、本実施形態では特にゲインについて、図6を使って、測光画とフォーカス情報を使ってのゲイン決定方法について説明をする。
図6は測光画に対して、図1で説明した測光領域、AF枠を重ねた図である。また、その測光画を撮影した際のフォーカス情報を表している。図6の例ではフォーカス情報は、AF枠であるFocus5が5点、Focus4が6点であるため、Focus4、5付近にピントが合いはじめて、測光画ではFocus4、5付近に多少なりともピントの合った画像が撮影されていることがわかる。一方、それ以外のAF枠の点数は0点であるため、まったくピントが合っておらず、測光画にはFocus1、2、3にはピントの合ってない画像が撮影されていることがわかる。このピントが合っている(合焦度が所定値以上)AF枠付近の測光領域をEf領域とし、ピントが合っていない(合焦度が所定値未満)AF枠付近の測光領域をEa領域とする。また、Ef領域の測光結果をEfとし、Ea領域の測光結果をEaとする。ここで、Ef−Eaをすることにより、Ef領域とEa領域の明るさの差分を演算することができる。つまり、ピントのあっている付近の画像とピントの合っていない付近の画像の明るさの差分がわかる。このEf、Eaの演算方法については特に限定されない。例えば、Ef領域に含まれる各測光領域の測光値を平均した測光値をEf、Ea領域に含まれる各測光領域の測光値を平均した測光値をEaとする。その他、各測光領域の測光値の加重加算値、最大値、最頻値などを代表測光値としてEf、Eaとしてもよい。ここで、仮に明るい値を大きな数、暗い値を小さい数とした場合、Ef−Eaがマイナス時には、ピントが合っている領域が暗いと判断できるので、逆光であることが判断できる。そのため、次回の測光時にはピントが合っているFocus4、5付近が適切な明るさになるように蓄積パラメータとしてのゲインを上げる判断をする。
しかし、図5の測光画フォーカス情報1から図6で説明した演算を行う際、フォーカス情報がすべて0点なので、Ef領域を判断することができない。したがって、次回の測光時にはピントが合っている部分を明るくするような、蓄積パラメータのゲインを決めることができない。
そのため、SW1測光要求が来た際に行う蓄積A1および読出で得られる測光画は、図5の測光画フォーカス情報2に示したような測光画、つまり被写体部分が暗いままの測光画となる。この測光画を得た際のフォーカス情報2からEf領域とEa領域を判断し、この測光画に対応する画像信号に基づいてEf−Eaの演算が行われる。これにより、次回測光する際の蓄積パラメータのゲインが決められる。以降は図3で説明した処理を行う。
一方、カメラマイコン101は焦点検出2を行い、レンズ駆動2をすることで見切り合焦、つまりあと一度のレンズ駆動で最終合焦ができるか判断を行う。もしレンズ駆動2が長く、SW1測光が終了する時間を超えるようなら、カメラマイコン101は見切り合焦をタイムラグなくAPU112に要求できる。しかしながら、図5に示すようなレンズ駆動2が短い場合、SW1測光が終わるまで見切り合焦要求は待たされ黒太線で示すようタイムラグが生じる。
APU112でSW1測光が終わると、カメラマイコン101は見切り合焦測光要求を出す。その際、カメラマイコン101は、フォーカス情報3をAPU112に対して送る。見切り合焦測光時のフォーカス情報3は、SW1測光時に焦点検出2とレンズ駆動2の結果からフォーカス情報2よりも高い点数になる。
カメラマイコン101から見切り合焦測光要求を受けたAPU112は、蓄積A2を行う。この蓄積A2で設定される蓄積パラメータは、前述のSW1測光のEf−Eaから決定したゲインとする。見切り合焦測光要求が来た際に行う蓄積A2及び読出で得られる測光画は、図5の測光画フォーカス情報3に示したような測光画、つまり被写体が明るくなった測光画が撮影される。図3で説明したように見切り合焦測光では測光センサ108で取得した画像信号に基づいて顔検出演算を行う。顔検出演算のアルゴリズム詳細はここでは詳細に述べないが、画像信号から顔を判断する際に、適正な露出で得られた画像信号を用いることは顔検出精度を高める。これは画像信号から目や鼻、口などの特徴点を判断するためで、特徴点が暗すぎるとその形状を判断することができないためである。
APU112は、顔検出演算の結果をカメラマイコン101に送り、以降は図3で説明した処理を行う。顔検出演算の結果を受けたカメラマイコン101は、見切り合焦時のフォーカス情報3と顔検出演算結果から、AF枠再選択演算を行い、再度レンズ駆動Exを行う。本例では、フォーカス情報3ではFocus4が9点と最も点数が高かったが、顔検出結果により、Focus5に対してフォーカスを合わせるようにレンズ駆動Exを行う。その際、カメラマイコン101は、APU112に対して最終合焦測光要求を出して、以降は図3で説明した処理を行う。
以上で図5の本発明の実施形態に関わる顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理のタイミングについて説明を終わる。
(第1の実施形態)
以上のように、顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理を行うと、レンズ駆動2が短い場合にタイムラグが生じる。そこで、本実施形態では、レンズ駆動2が短い場合に生じるタイムラグを低減するように、顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理を行う。
図7は、本実施形態の顔検出AFモードにおけるAPU112の処理についてのフローチャートである。
まず、ステップS701では、カメラマイコン101から初回測光要求があるか判断を行う。もしなければステップS701を繰り返し、ある場合にはステップS702の初回測光処理を行う。初回測光処理については、図3を使って説明した処理を行う。次にステップS703に進む。
ステップS703では、初回測光処理の蓄積Aにより得られた画像信号をメモリ113に記憶する測光画像情報記憶処理を行いステップS704に進む。ステップS704では本実施形態の特徴であるSW1測光中断見切り合焦測光処理を行う。
SW1測光中断見切り合焦測光処理については、図8を使って後に説明をする。次にステップS705に進む。
ステップS705では、カメラマイコン101から最終合焦測光要求があるか判断を行う。もしなれければステップS705を繰り返し、ある場合にはステップS706の最終合焦測光処理を行う。最終合焦測光処理については、図3を使って説明した処理を行い、本フローチャートを終了する。
図8は、本実施形態におけるSW1測光中断見切り合焦測光処理についてのフローチャートである。
まず、ステップS801ではカメラマイコン101からSW1測光要求があるか判断を行う。もしなければステップS801を繰り返し、ある場合にはステップS802で蓄積A処理を行う。蓄積A処理については、図3を使って説明した処理を行う。次にステップS803に進む。
次にステップS803では、カメラマイコン101から見切り合焦要求があるのか判断を行う。もしなければ、ステップS804に進み、ある場合にはステップS810に進む。
ステップS804ではステップS802の蓄積Aが完了したかどうかの判定を行う。もし蓄積が完了したと判断すれば、ステップS805に進み、完了したと判断しなければ、ステップS803に戻る。次に、ステップS805〜ステップS809は、SW1測光に関わる一連の処理を行う。このSW1測光の一連の処理については、図3を使ってすでに説明しているので説明は省略する。
ステップS810では、カメラマイコン101からのSW1測光要求によりステップS802で開始した蓄積A処理を中断する処理を行う。中断処理について詳細は述べないが、測光センサ108の蓄積を中断し、蓄積を最初から再開ができるような状態にする処理を行う。
次に、ステップS811では、図7のS703で記憶した測光画像情報をメモリ113から取得する処理を行い、ステップS812に進む。ステップS812では、ステップS811で取得した前回の測光画に対応する測光画像情報と、ステップS801にてカメラマイコン101から送信されたフォーカス情報2を用いて、蓄積パラメータであるゲインをEf−Eaに基づいて決定する処理を行う。本来であれば、ステップS802で蓄積Aを行い得られる画像信号とフォーカス情報2を使って、Ef−Eaからゲインを求めることが望ましいが、蓄積Aが完了していない時点で見切り合焦が要求されたため、蓄積Aによる画像信号は得られていない。そこで、前回得られている画像信号とフォーカス情報とを使うことで、蓄積Aを完了するまで待機することなくゲインを求めることができる。
次に、ステップS813〜ステップS818は、見切り合焦測光に関わる一連の処理を行う。この見切り合焦測光の一連の処理については、図3を使ってすでに説明しているので説明は省略する。
次に、図9のタイミングチャートを使って、顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理のタイミングについて説明をする。
初回測光からSW1測光要求までは前述した図5のタイミングチャートと同様に行う。
APU112では、初回測光で得た測光画に対応する画像信号と焦点検出2を行ったときのフォーカス情報2を前回測光画フォーカス情報2としてメモリ113に記憶する。
次に、焦点検出2を行った後、カメラマイコン101は見切り合焦要求をAPU112に対して要求する。
図5ではカメラマイコン101はSW1測光が終わるまで、見切り合焦要求を出さない、もしくは待たされるタイミングチャートであった。一方、図9ではAPU112は、SW1測光として蓄積A1を行っているが、カメラマイコン101からの見切り合焦要求を受けると、蓄積A1処理を中断した上で前回測光画フォーカス情報2からゲインを決定する処理を行う。そして、最初から見切り合焦測光の蓄積A2を行う。
通常であれば、蓄積A1の中断処理により、蓄積A2での蓄積パラメータのゲインが決定できないため、読出された測光画フォーカス情報3の測光画は、被写体部分が暗いままの測光画となる。しかしながら、本実施形態では、蓄積A1を中断しながらもゲインを決定できるため、測光画フォーカス情報3の測光画は被写体部分が明るい測光画となる。
APU112は顔検出演算の結果をカメラマイコン101に送り、以降は図3、および図5で説明した処理を行う。以上で、蓄積の中断処理を行う前に得ている画像信号を用いる場合の、顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理のタイミングについて説明を終わる。
以上のように、本実施形態では、レンズ駆動2が短い場合に生じるタイムラグを低減しつつ、精度よく顔検出を行うことができる。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について説明をする。第1の実施形態では、カメラマイコン101から送信されるフォーカス情報とは異なるタイミングに対応する画像信号を保持し、前回測光画フォーカス情報として見切り合焦測光のためのゲインを決定した。しかしながら、ゲインの決定に用いる画像信号に対応する蓄積を行ったときの被写体の位置と、ゲインの決定に用いるフォーカス情報との差異が著しくなるケース、例えば、被写体が動いた場合には、適正なゲインとならない場合がある。本実施形態では、そのような場合を考慮してゲインの決定を行う。
図10は、本実施形態における顔検出AFモードにおけるAPU112の処理についてのフローチャートである。
まず、ステップ1001では、カメラマイコン101から初回測光要求があるか判断を行う。もしなければステップS1001を繰り返し、ある場合にはステップS1002の初回測光処理を行う。初回測光処理については、図3を使って説明した処理を行う。次にステップS1003に進む。
ステップS1003では、図7のステップS703と同様に測光画像情報記憶処理を行い、ステップS1004に進む。ステップS1004では、本実施形態の特徴であるSW1測光中断繰り返し見切り合焦測光処理を行う。SW1測光中断繰り返し見切り合焦測光処理については、図11、図12を使って後に説明をする。次にステップS1005に進む。
ステップS1005では、カメラマイコン101から最終合焦測光要求があるか判断を行う。もしなれければステップS1005を繰り返し、ある場合にはステップS1006の最終合焦測光処理を行う。最終合焦測光処理については、図3を使って説明した処理を行い、本フローチャートを終了する。
図11は、本実施形態におけるSW1測光中断繰り返し見切り合焦測光処理1についてのフローチャートである。
ステップS1101〜ステップS1116までの処理は、図8のステップS801〜ステップS816と同様の処理を行う。
ステップS1117では、再顔検出処理を行う。再顔検出処理の詳細なフローは図12を用いて説明する。前述のように、ゲインの決定に用いようとしている画像信号に対応する蓄積を行ったときの被写体の位置と、ゲインの決定に用いようとしているフォーカス情報との差異が著しくなるほどほど被写体が動くなどして顔が見つからない際に、顔検出を再度行う。
次にステップS1118、S1119に進む。ステップS1118、ステップS1119は、図8のステップS817、ステップS818と同様の処理を行い、本フローチャートを終了する。
図12は、図11における再顔検出処理についてのフローチャートである。
ステップS1201では、顔検出ができたのかどうかの判断を行う。もし、顔が検出できたと判断すれば終了する。顔検出できていなければ、ステップS1202に進む。
ステップS1202では測光演算処理を行い、前述のEf、Eaから次回の蓄積パラメータのゲインを決定する。
ステップS1203では、蓄積A処理を行う。この蓄積Aでは、S1202で決定した蓄積パラメータを用いて蓄積を行い、ステップS1204に進む。
ステップS1204では蓄積が完了したかどうかの判断を行い、完了していなければS1204を繰り返す。完了していると判断すれば、ステップS1205の読出処理を行う。
ステップS1206では、顔検出演算処理を行い終了する。
なお、本フローチャートでは顔が検出できない場合、追加で一度の蓄積を行うように説明したが、複数回の蓄積を行ってもよい。また、その際、ステップS1202で決定した蓄積パラメータのゲインが、前回と同様である場合には、蓄積A処理で得られる画像は同じ測光画になるため、ゲインの値の変化で、繰り返す、繰り返さないという判断を行ってもよい。
さらに、図1に不図示の操作部により、ユーザーが設定した撮影モード、例えば人物撮影モード、風景モードといった情報により、繰り返す回数を可変にしてもよい。
次に、図13のタイミングチャートを使って、被写体が移動した場合の、顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理のタイミングについて説明をする。
初回測光から見切り合焦測光要求までは前述した図9のタイミングチャートと同様に行う。図9では被写体が動かずに最終合焦まで行う例を示したが、図13では、初回測光からSW1測光に移行する際に被写体が動く例を示している。
前回測光画フォーカス情報2に示すように、初回測光で得た測光画は中央のAF枠5に顔がある状態である。しかしながら、被写体が動くことにより、SW1測光を行うタイミングでの被写体はAF枠2付近に移動をして、カメラマイコン101からのAPU112に対して送信されるフォーカス情報2では、Focus1が7点、Focus4が8点となる。
次に、焦点検出2を行った後、カメラマイコン101は見切り合焦要求をAPU112に対して要求する。APU112は見切り合焦要求を受けることで、蓄積A1処理を中断した上で、前回測光画フォーカス情報2からEf−Eaによりゲインを決定する処理を行い、最初から見切り合焦測光の蓄積A2を行う。しかしながら、被写体が動いていると前回測光画に対応する蓄積を行ったときの被写体の位置とフォーカス情報2には差異があるため、Ef−Eaにより適正なゲインが求められない。
図14は、前回測光画に対して、図1で説明した測光領域、AF枠を重ねた図である。また、その測光画を撮影した際のフォーカス情報を表している。フォーカス情報2は、AF枠であるFocus1が7点、Focus4が8点であるため、Focus1付近にフォーカスが合いはじめていることを示唆しているが、前回測光画はFocus5付近に人物の顔がある。
フォーカス情報2の示唆するAF枠付近の測光ブロック領域をEf領域とし、ピントが合っていないAF枠付近の測光ブロック領域をEa領域とする。また、Ef領域の測光結果をEfとし、Ea領域の測光結果をEaとする。ここで、被写体の移動によりEf領域と測光画において人物の顔が存在すると想定される領域とに差異が生じる。そのあめ、Ef−Eaを求めても、人物の顔が存在すると想定される領域の明るさに対して適正なゲインを求めることはできない。
上記の理由により、蓄積A2で得た画像信号に対して適正でないゲインが適用されるため、蓄積A2を行って得られる測光画は、測光画フォーカス情報3の測光画に示したような被写体部分が暗いままの測光画となる。
前述のように、測光画から顔を検出する際に顔が暗すぎると顔を検出できない。図13では、顔検出の結果により、顔が見つからないと判断された場合、蓄積A3を行う。この蓄積A3で得られた画像信号に対して適用されるゲインは、測光画フォーカス情報3を用いて求めたEf−Eaに基づいて決定されたゲインである。そのため、この蓄積A3および読出で得られる測光画は、図13の測光画2フォーカス情報3に示したような被写体部分が明るくなった測光画となる。これにより、測光画2フォーカス情報3の測光画では、検出できなかった顔が検出できる。以降は図3、および図5で説明した処理を行う。
次に、図15を用いて、本実施形態におけるSW1測光中断繰り返し見切り合焦測光処理2について説明する。図15に示すフローチャートと図11に示すフローチャートとは、前回測光画を用いてゲインを決定するかどうかを判断するステップを有する点が異なる。
ステップS1501〜1519までの処理は、図11のステップS1101〜ステップS1119と同様の処理を行う。
ステップS1520では、ステップS1510の中断処理を行った際に、ステップS1511、ステップS1512を行うかどうかの判断をしている。
これは、前回測光画の被写体の位置とゲインの決定に用いるフォーカス情報との差異が大きい場合には、適正なゲインを求められない場合があるためである。前回測光画を用いて適正なゲインを求められない場合にはゲインを決定する処理を行う分だけ不要な処理に時間を費やすことになる。そこで、ステップS1520では、例えば、前回測光画に対応する蓄積が完了したタイミングと最新の焦点検出情報を得るタイミングとの時間差が閾値以上かどうかを判断し、閾値以上であれば前回測光画を用いたゲインの決定処理を省略する。あるいは、最新のフォーカス情報とその前のフォーカス情報とを比較して、変化量が所定値以上であれば前回測光画を用いたゲインの決定処理を省略する。その他、被写体が移動する可能性が高いスポーツモードでは前回測光画を用いたゲインの決定処理を省略し、被写体が移動する可能性が低い風景モードでは省略しない、というように撮影モードに応じて判断してもよい。撮影モード設定に関しては、カメラマイコン101が、測光センサ108から取得した画像信号に基づいて自動的に設定しても、ユーザーが不図示の操作部を操作したことに応じて設定してもよい。
以上で、被写体が移動した場合の、顔検出AFモードにおける最終合焦までの各CPUの処理のタイミングについて説明を終わる。
以上のように、測光センサ108の蓄積の中断処理の前に得た画像信号と最新のフォーカス情報とに基づいて、顔検出に用いる画像信号に適用するゲインを決定することで、測光センサ108の蓄積の中断処理を行っても精度よく顔検出を行うことができる。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について説明をする。
第1、第2の実施形態では、AF枠再選択演算処理において、カメラマイコン101はAPU112からの顔検出情報とフォーカス情報からレンズ駆動Exを行い、顔検出情報に顔がある場合はできるだけ顔付近のAF枠を選択するようにしている。
しかしながら、顔付近のAF枠のフォーカス情報の点数が低い場合、つまり顔以外にピントを合わせようとしている場合、レンズ駆動Exの時間が長くなったり、ピントが正しく合わない状態で合焦判断をしてしまう可能性がある。
図16は第3の実施形態におけるAF枠再選択演算のカメラマイコン101の処理についてのフローチャートである。
ステップS1601ではAPU112から受けた顔検出情報から顔情報を解析しステップS1602に進む。ステップS1602では、顔が存在するかどうかの判断を行う。
もし、顔が存在しないと判断した場合、ステップS1603に進む。ステップS1603ではフォーカス情報の中で最も点数が高いAF枠を選択する処理を行い、ステップS1604に進む。ステップS1604では、選択されたAF枠に対して、レンズ駆動Exを行って終了する。
一方、ステップS1602で顔が存在すると判断された場合、ステップS1605に進む。ステップS1605では顔付近のフォーカス情報の点数を判断する処理を行うステップS1606に進む。ステップS1606では、顔付近のフォーカス情報の点数がある任意の閾値より低いと判断すれば、ステップS1603に進む。ある任意の閾値以上と判断すれば、ステップS1607に進む。
ステップS1607では、顔付近にあるAF枠を選択する処理を行いステップS1604に進み、選択されたAF枠に対して、レンズ駆動Exを行って終了する。
次に、図17のタイミングチャートを使って、本発明の第3の実施形態における顔検出AFモードの最終合焦までの各CPUの処理のタイミングについて説明をする。
カメラマイコン101はレンズ駆動nにより、見切り合焦測光をAPU112に要求する。この際、Focus5付近の大きな被写体の点数が8点と最も高く、Focus3付近の顔は点数が1点と低い。APU112は見切り合焦測光により、測光画フォーカス情報nの測光画から顔検出演算を行うことで、顔検出情報として顔があったことをカメラマイコン101に送信する。
カメラマイコン101はAF枠再選択演算を行い、Focus3付近に顔があるが、その点数が低いため、Focus5に合焦するようにレンズ駆動Exを行い終了する。
以上のように、本実施形態では、顔検出の検出結果を用いることで精度よく焦点制御を行うことができない場合には顔検出の検出結果を用いないことで、精度よく焦点制御を行うことができる。
なお、上記の実施形態では、ゲインをEf−Eaから決定しているが、Ef領域の明るさが顔検出可能なレベルとなるゲインであればよいため、少なくともEfに基づいて決定すればよい。例えば、Efと予め設定された所定値とを比較して、Efが所定値となるようなゲインとすればよい。
また、上記の実施形態で説明した処理は、それぞれの実施形態を組み合わせることも可能である。
また、上記の実施形態では、測光センサ108で得た画像信号に基づいて顔検出処理を行う構成を説明したが、撮像素子103で得た画像信号に基づいて顔検出処理を行う構成であってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。