JP6474573B2 - 植物栽培装置及び植物栽培装置用の空調装置 - Google Patents
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Description
また建屋内に設置される植物栽培装置もある。建屋内に設置される植物栽培装置についても、一つの部屋の全体が植物育成空間となっているものや、独立した装置であって部屋の中に設置されるものもある。
太陽光型植物工場は温室の一種であり、太陽光を室内に取り入れて植物に光合成を行わしめる。また太陽光型植物工場は、通気用の窓を有し、窓を開閉して植物育成空間の温度を調整する。
特許文献1には、閉鎖型植物工場の一例が開示されている。
また特許文献2には、太陽光型植物工場の一例が開示されている。特許文献2に開示された発明は、ミスト発生装置を備え、ミスト発生装置で加湿して植物育成空間内の湿度を調整することができる光合成促進システムである。
特許文献2に開示された光合成促進システムは、温室に適用されるものであり、太陽光型植物工場と言える。即ち特許文献2に開示された光合成促進システムは、原則的に天然光を利用して光合成を行わしめるものである。また特許文献2に開示された光合成促進システムは、定期的に換気を行って室内の温度上昇を抑制するものであり、この点でも閉鎖型植物工場ではない。さらに特許文献2に開示された光合成促進システムは、冷房機能を持たない。特許文献2に開示された光合成促進システムは、ミスト発生装置によって湿度を調整するものであるが、除湿する機能を持たない。
また夜間の環境を作り出すために、人工光を停止するが、この場合には植物育成空間の温度が降下する。そのため閉鎖型植物工場には、暖房装置を備え、暖房装置を運転して植物育成空間の温度を適正な温度に上昇させる構成を採用するものがある。
ここで植物の成長の良否には、温度だけではなく湿度も大きな要素となる。植物の成長に関わる湿度条件としては飽差が重要視される。飽差とは、ある温度と湿度の空気に、あとどれだけ水蒸気が入る余地があるかを示す指標であり、空気1立方メートル当たりの水蒸気の空き容量をグラム数で表す。即ち飽差は、現状の空気中に含み得る水蒸気量をグラム表示したものである。
より正確には、飽差は次の式で定義される。
一般に植物の生育に適する飽差は、3g/m3 から6g/m3 (グラムパー立法メートル)であると言われている。
例えばレタスの栽培に使われる代表的に温度は、明期(昼間の環境)が摂氏23度であり、暗期(夜間の環境)が摂氏18度である。この状態における相対湿度及び露点温度の関係は、次の表の通りである。
これに対して夜間の環境が作られている際には、植物育成空間の湿度が過剰に高くなり、過度に飽差が小さくなってしまう傾向がある。
ただし、冷房によって植物育成空間内の水蒸気が過剰に凝縮してしまう場合があり、冷房運転によって飽差が大きくなり過ぎる場合がある。
しかしながら、空調装置は暖房運転が行われており、湿度を低下させることができない。そのため、夜間の環境が作られている際には、植物育成空間の湿度が過剰に高くなり、過度に飽差が小さくなってしまう場合がある。
即ち請求項1に記載の発明は、植物育成空間を有する植物栽培装置用の空調装置であって、圧縮機と、膨張手段と、複数の熱交換器を含む冷媒循環回路を有し、当該冷媒循環回路内に相変化する冷媒を循環させる空調装置において、前記植物育成空間内を目標温度に維持し且つ飽差が所定の範囲となるように前記圧縮機と前記膨張手段を制御するコントローラを有し、前記複数の熱交換器は、前記植物育成空間と連通する位置に配される熱交換器と、前記植物育成空間と連通しない位置に配される熱交換器を有し、前記コントローラは、前記植物育成空間と連通する位置に配される熱交換器内の冷媒の蒸発温度と、前記植物育成空間内の飽差との関係を記憶又は演算するものであって、当該熱交換器内の冷媒蒸発温度が前記植物育成空間内の飽差が前記所定の範囲内となる蒸発温度になるように前記膨張手段を制御するものであることを特徴とする植物栽培装置用の空調装置である。
請求項2に記載の発明は、植物育成空間を有する植物栽培装置用の空調装置であって、圧縮機と、膨張手段と、複数の熱交換器を含む冷媒循環回路を有し、当該冷媒循環回路内に相変化する冷媒を循環させる空調装置において、前記植物育成空間内を目標温度に維持し且つ飽差が所定の範囲となるように前記圧縮機と前記膨張手段を制御するコントローラを有し、空気温度検知手段と湿度検知手段を有し、前記コントローラは、前記空気温度検知手段と前記湿度検知手段の検知信号を用いて現状の飽差を演算し、現状の飽差が所定の範囲となるように制御するものであることを特徴とする植物栽培装置用の空調装置である。
請求項3に記載の発明は、前記複数の熱交換器として、凝縮・蒸発兼用熱交換器と、蒸発・凝縮兼用熱交換器と、補助熱交換器を有し、さらに流路切替え手段を有し、前記蒸発・凝縮兼用熱交換器及び前記補助熱交換器は前記植物育成空間と連通する位置に配され、前記凝縮・蒸発兼用熱交換器は前記植物育成空間と連通しない位置に配され、前記植物育成空間の温度を上昇させる暖房運転と前記植物育成空間の温度を降下させる冷房運転とを実施可能であり、前記冷房運転時においては、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記凝縮・蒸発兼用熱交換器から前記膨張手段を経て前記蒸発・凝縮兼用熱交換器に至らしめて前記圧縮機に戻し、前記暖房運転時においては、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記蒸発・凝縮兼用熱交換器から前記膨張手段を経て前記凝縮・蒸発兼用熱交換器に至らしめて前記圧縮機に戻し、さらに前記暖房運転時に、前記蒸発・凝縮兼用熱交換器から吐出される冷媒の一部を前記補助熱交換器を介して前記圧縮機に戻すことが可能であって前記補助熱交換器の表面温度を低下させ前記植物育成空間を除湿することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培装置用の空調装置である。
即ち請求項3に記載の空調装置は、ヒートポンプ回路を構成する熱交換器として、凝縮・蒸発兼用熱交換器と、蒸発・凝縮兼用熱交換器を有している。そして冷房運転時においては、圧縮機で圧縮した冷媒を凝縮・蒸発兼用熱交換器から膨張手段を経て蒸発・凝縮兼用熱交換器に至らしめて圧縮機に戻す。その結果、圧縮された冷媒が凝縮・蒸発兼用熱交換器で凝縮され、膨張手段を経て蒸発・凝縮兼用熱交換器に入り、蒸発・凝縮兼用熱交換器の表面温度を低下させる。
蒸発・凝縮兼用熱交換器は、植物育成空間と連通する位置に配されているから、蒸発・凝縮兼用熱交換器の表面温度を低下させることによって植物育成空間が冷房される。また必要に応じて植物育成空間を除湿することもできる。
一方、暖房運転時においては、圧縮機で圧縮した冷媒を蒸発・凝縮兼用熱交換器から膨張手段を経て凝縮・蒸発兼用熱交換器に至らしめて圧縮機に戻す。その結果、蒸発・凝縮兼用熱交換器の表面温度が上昇する。前記した様に、蒸発・凝縮兼用熱交換器は、植物育成空間と連通する位置に配されているから、蒸発・凝縮兼用熱交換器の表面温度を上昇させることによって植物育成空間が暖房される。
また本発明の空調装置は、通常のヒートポンプ回路を構成する熱交換器に加えて補助熱交換器を有している。
補助熱交換器は、蒸発・凝縮兼用熱交換器から吐出される冷媒の一部を補助熱交換器を介して圧縮機に戻すことが可能であり、蒸発・凝縮兼用熱交換器で凝縮された冷媒を蒸発させることができる。その結果、補助熱交換器の表面温度を低下させ植物育成空間を除湿することができる。そのため本発明の空調装置によると、暖房運転を実施している際においても、植物育成空間内を除湿することができる。
本実施形態の植物栽培装置1は、閉鎖型植物工場と称されるものであり、建屋2の略全域が植物育成空間3となっている。
植物育成空間3には、多層に棚5が設けられている。そして各棚5の上部側には、人工照明6が設けられている。人工照明6は、LEDや蛍光灯等の照明装置である。
各棚5には、栽培パレット7が載置されている。栽培パレット7は、レタス等の作物8を水耕栽培するものであり、内部に栽培用水(図示せず)が溜められている。また栽培パレット7に栽培用水を供給する供給配管10や、栽培用水を排出する排出用管が設けられている。
通気口にはフィルターが設けられており、フィルターによって異物や虫等が除去された空気のみが植物育成空間3に入り得る。
空調装置20は、ヒートポンプ式空調装置であり、公知のそれと同様のヒートポンプ回路を構成する主回路11が形成されたものである。
主回路11は、図2において太線で表示する冷媒循環回路である。主回路11は、図2の様に、圧縮機21、凝縮・蒸発兼用熱交換器22、膨張弁群23(冷房用膨張弁及び暖房用膨張弁 いずれも膨張手段)、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び流路切替え弁(流路切替え手段)26を有し、これらが環状に接続されてなるものである。
即ち圧縮機21、凝縮・蒸発兼用熱交換器22、膨張弁群23、及び蒸発・凝縮兼用熱交換器25がこの順序に環状に接続されており、圧縮機21と凝縮・蒸発兼用熱交換器22及び蒸発・凝縮兼用熱交換器25の間に流路切替え弁26が介在されている。
また流路切替え弁26のポートCは、凝縮・蒸発兼用熱交換器22に接続されている。ポートDは、蒸発・凝縮兼用熱交換器25に接続されている。
流路切替え弁26は、圧縮機21の吐出側を凝縮・蒸発兼用熱交換器22に接続するか、あるいは蒸発・凝縮兼用熱交換器25に接続するかを切り換えることができる。流路切替え弁26を切り換えて、圧縮機21の吐出側を凝縮・蒸発兼用熱交換器22に接続した状態の際には、蒸発・凝縮兼用熱交換器25が圧縮機21の吸い込み側に接続される。また流路切替え弁26を切り換えて、圧縮機21の吐出側を蒸発・凝縮兼用熱交換器25に接続した状態の際には、凝縮・蒸発兼用熱交換器22が圧縮機21の吸い込み側に接続される。
バイパス回路35であって暖房用膨張弁31よりも蒸発・凝縮兼用熱交換器25側の位置に、開閉弁33が設けられている。開閉弁33は電磁弁である。
補助除湿回路40は、主回路11の膨張弁群23と蒸発・凝縮兼用熱交換器25との間が分岐され、圧縮機21の吸い込み側に至る回路であり、開閉弁41、補助膨張弁(補助膨張手段)42及び補助熱交換器43を有している。なお開閉弁41は流路切替え手段の一つである。開閉弁41は電磁弁である。
また各膨張弁はいずれも電子式膨張弁であり、開度を調節することができる。即ち冷房用膨張弁30、暖房用膨張弁31及び補助膨張弁42はいずれも電子式膨張弁であり、開度を調節することができる。
主回路蒸発温度検知手段45は、蒸発・凝縮兼用熱交換器25の近傍であって圧縮機21側に設けられており、空調装置20を冷房運転した場合における蒸発・凝縮兼用熱交換器25内の冷媒の蒸発温度を検知するものである。
補助回路蒸発温度検知手段46は、補助熱交換器43内の冷媒の蒸発温度を検知するものである。
即ち植物栽培装置1には、植物育成空間3と連通する空調ダクト50があり、当該空調ダクト50に、蒸発・凝縮兼用熱交換器25と補助熱交換器43が内蔵されている。また空調ダクト50には送風機51が配されており、空調ダクト50を通風状態とすることができる。
前記した空調ダクト50は、両端が植物育成空間3と連通しており、植物育成空間3との間で循環空気路を形成している。本実施形態では、植物育成空間3内の空気が図面下側の空気導入口53から空調ダクト50内に導入され、空調ダクト50内を通過した空気が図面上側の空気吐出口55から植物育成空間3に戻される。
主コントローラ60は、表示機能と設定機能と制御機能を備えている。主コントローラ60には、空気温度検知手段56と湿度検知手段57の検知信号が入力される。また主コントローラ60から、電子膨張弁コントローラ61,62に対して制御信号が出力される。
電子膨張弁コントローラ61には主回路蒸発温度検知手段45から蒸発・凝縮兼用熱交換器25内の冷媒蒸発温度が入力される。そして電子膨張弁コントローラ61によって冷房用膨張弁30、暖房用膨張弁31の開度が制御される。
電子膨張弁コントローラ62には補助回路蒸発温度検知手段46から補助熱交換器43内の冷媒蒸発温度が入力される。そして電子膨張弁コントローラ62によって補助膨張弁42の開度が制御される。
主コントローラ60には、空気温度検知手段56の検知温度が入力され、植物育成空間3内の温度が目標温度に一致する様に、圧縮機21、冷房用膨張弁30、暖房用膨張弁31がPID制御される。
即ち空調装置20を冷房運転し、植物育成空間3内の温度が特定の温度となっている場合、蒸発・凝縮兼用熱交換器25内の冷媒の蒸発温度をどの程度の温度とすれば、植物育成空間3内の飽差が適正範囲に収まるかが、主コントローラ60によって記憶あるいは演算される。
即ち空調装置20を暖房運転し、植物育成空間3内の温度が特定の温度となっている場合、補助熱交換器43内の冷媒の蒸発温度をどの程度の温度とすれば、植物育成空間3内の飽差が適正範囲に収まるかが、主コントローラ60によって記憶あるいは演算される。
なお冷媒の蒸発温度と、植物育成空間3内の飽差との関係は、実験によって求められる。
そして電子膨張弁コントローラ61及び電子膨張弁コントローラ62によって、冷房用膨張弁30、暖房用膨張弁31、補助膨張弁42の開度が制御され、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43内の冷媒蒸発温度が調節される。
また蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度は、冷媒の蒸発温度に依存し、冷媒の蒸発温度は暖房用膨張弁31及び補助膨張弁42の開度と関連する。即ち暖房用膨張弁31及び補助膨張弁42の開度を絞ると冷媒の蒸発温度が低下し、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度が低下して除湿量が増大する。逆に暖房用膨張弁31及び補助膨張弁42の開度を広げると冷媒の蒸発温度が上昇し、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度が上昇して除湿量が低下する。 そこで本実施形態では、暖房用膨張弁31の開度を制御して蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43内の冷媒蒸発温度を調節し、除湿量を調整して植物育成空間3内の飽差を適正範囲に調整する。
植物栽培装置1は、人工照明6が設けられており、人工照明6を点灯することによって昼間の環境を作ることができる。また人工照明6を消灯することによって夜間の環境を作ることができる。
さらに空調装置20によって植物育成空間3の温度及び飽差を一定の範囲に収めることができる。
季節によって相違はあるものの、昼間の環境が作られている際には、人工照明6の発熱によって植物育成空間3内の温度が上昇傾向となる。そのような場合には、空調装置20を冷房運転する。
冷房運転時における冷媒の流れは、図3の通りである。
即ち流路切替え弁26を切り換えて、圧縮機21の吐出側を凝縮・蒸発兼用熱交換器22に接続した状態とする。この際には、蒸発・凝縮兼用熱交換器25が圧縮機21の吸い込み側に接続される。またバイパス回路35に設けられた開閉弁33を閉じ、暖房用膨張弁31(膨張手段)に冷媒が流れることを防止する。同様に補助除湿回路40に設けられた開閉弁(流路切替え手段)41を閉じ、補助膨張弁42及び補助熱交換器43に冷媒が流れることを防止する。そしてこの状態において、圧縮機21を運転する。
その結果、蒸発・凝縮兼用熱交換器25の表面温度が低下し、植物育成空間3の温度を低下させる。
即ち主コントローラ60には、空気温度検知手段56の検知温度が入力され、且つ圧縮機21はインバータ制御されており、圧縮機21から供給される冷媒量を増減することができる。本実施形態では、植物育成空間3内の温度が目標温度に一致する様に、圧縮機21の回転数が増減される。
前記した様に、冷房運転を実施している場合には、冷房によって植物育成空間3内の水蒸気が過剰に凝縮してしまう場合がある。本実施形態によると、冷媒蒸発温度が監視され、過剰に除湿されることが防がれるので、植物育成空間3内の飽差を適切な範囲に収めることができる。
なお、除湿量を少なくするためには、冷媒蒸発温度を高めにする必要があり、現状の環境の温度と蒸発・凝縮兼用熱交換器25の表面温度との差を小さくする必要がある。そのため蒸発・凝縮兼用熱交換器25は、熱交換量を確保することを目的として、空気との接触面積が大きいものを採用することが推奨される。例えば、凝縮・蒸発兼用熱交換器22、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の内では、蒸発・凝縮兼用熱交換器25が最も大きい接触面積を有するものとする。
空調装置20は、前記した様にヒートポンプ式の空調装置であるから、流路切替え弁(流路切替え手段)26を切り換えることによって、暖房運転を行うことができる。
暖房運転時における冷媒の流れは、図4の通りである。
即ち流路切替え弁26を切り換えて、圧縮機21の吐出側を蒸発・凝縮兼用熱交換器25に接続した状態とする。この際には、凝縮・蒸発兼用熱交換器22が圧縮機21の吸い込み側に接続される。またバイパス回路35に設けられた開閉弁33を開き、暖房用膨張弁31(膨張手段)に冷媒を流す。
その結果、圧縮機21で加圧された冷媒が、蒸発・凝縮兼用熱交換器25に導入され、蒸発・凝縮兼用熱交換器25の表面温度が上昇する。そして植物育成空間3の温度が上昇する。
前記した様に補助除湿回路40は、主回路11の膨張弁群23と蒸発・凝縮兼用熱交換器25との間が分岐されたものである。そして暖房運転時においては、当該部分に液状の冷媒が流れている。
即ち暖房運転時においては、圧縮機21で加圧された冷媒が、蒸発・凝縮兼用熱交換器25に導入され、外部に熱を奪われて液化する。従って蒸発・凝縮兼用熱交換器25から吐出される冷媒は、液相であり、液相状態の冷媒が、補助除湿回路40に導入される。補助除湿回路40に導入された冷媒は、補助膨張弁42及び補助熱交換器43に入り、蒸発して周囲から熱を奪う。その結果、補助熱交換器43の表面温度が低下する。補助熱交換器43は、植物育成空間3と連通する位置に設けられているから、植物育成空間3内の空気に含まれる水蒸気を凝縮し、飽差を大きくする。
また以上説明した実施形態では、暖房運転時における補助熱交換器43内の冷媒の蒸発温度と、植物育成空間3内の飽差との関係を記憶あるいは演算させた。そして暖房運転時には補助熱交換器43内の冷媒の蒸発温度を監視し、適切な蒸発温度となる様に補助膨張弁42の開度を制御した。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、植物育成空間3内の飽差や湿度を直接フィードバックして空調装置20を運転してもよい。
本実施形態(変形例)の空調装置20では、主コントローラ60に空気温度検知手段56と湿度検知手段57の検知信号が入力され、これらのデータから、現状の飽差を演算することができる。また主コントローラ60によって、圧縮機21、冷房用膨張弁30、暖房用膨張弁31及び補助膨張弁42がPID制御される。
即ち空気温度検知手段56の検知信号と目標温度を比較し、圧縮機21の回転数と、冷房用膨張弁30、暖房用膨張弁31が制御され、植物育成空間3内の温度が制御される。
即ち除湿量は、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度に関係し、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度と現状の環境における露点との差に応じて除湿量が変わる。
また蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度は、冷媒の蒸発温度に依存し、冷媒の蒸発温度は冷房用膨張弁30及び補助膨張弁42の開度と関連する。即ち冷房用膨張弁30及び補助膨張弁42の開度を絞ると冷媒の蒸発温度が低下し、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度が低下して除湿量が増大する。逆に冷房用膨張弁30及び補助膨張弁42の開度を広げると冷媒の蒸発温度が上昇し、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43の表面温度が上昇して除湿量が低下する。ただし冷房用膨張弁30及び補助膨張弁42の開度を広げると、蒸発・凝縮兼用熱交換器25及び補助熱交換器43に導入される冷媒の量が増加するので、空気を冷却する能力は増大する。
また暖房運転時において、現状の環境における飽差が小さく、除湿する必要がある場合には補助膨張弁42の開度を絞って補助熱交換器43の表面温度を低下させる。逆に飽差が大きく、除湿する必要が無い場合には、冷房用膨張弁30の開度を開いて蒸発・凝縮兼用熱交換器25の表面温度を上昇させるか、あるいは開閉弁41を閉じて補助熱交換器43に対する冷媒の導入を遮断する。
3 植物育成空間
6 人工照明
11 主回路(冷媒循環回路)
20 空調装置
21 圧縮機
22 凝縮・蒸発兼用熱交換器
23 膨張弁群(膨張手段)
25 蒸発・凝縮兼用熱交換器
26 流路切替え弁(流路切替え手段)
30 冷房用膨張弁
31 暖房用膨張弁
33 開閉弁
40 補助除湿回路
41 開閉弁
42 補助膨張弁(補助膨張手段)
43 補助熱交換器
46 補助回路蒸発温度検知手段
45 主回路蒸発温度検知手段
Claims (5)
- 植物育成空間を有する植物栽培装置用の空調装置であって、圧縮機と、膨張手段と、複数の熱交換器を含む冷媒循環回路を有し、当該冷媒循環回路内に相変化する冷媒を循環させる空調装置において、
前記植物育成空間内を目標温度に維持し且つ飽差が所定の範囲となるように前記圧縮機と前記膨張手段を制御するコントローラを有し、
前記複数の熱交換器は、前記植物育成空間と連通する位置に配される熱交換器と、前記植物育成空間と連通しない位置に配される熱交換器を有し、
前記コントローラは、
前記植物育成空間と連通する位置に配される熱交換器内の冷媒の蒸発温度と、前記植物育成空間内の飽差との関係を記憶又は演算するものであって、当該熱交換器内の冷媒蒸発温度が前記植物育成空間内の飽差が前記所定の範囲内となる蒸発温度になるように前記膨張手段を制御するものであることを特徴とする植物栽培装置用の空調装置。 - 植物育成空間を有する植物栽培装置用の空調装置であって、圧縮機と、膨張手段と、複数の熱交換器を含む冷媒循環回路を有し、当該冷媒循環回路内に相変化する冷媒を循環させる空調装置において、
前記植物育成空間内を目標温度に維持し且つ飽差が所定の範囲となるように前記圧縮機と前記膨張手段を制御するコントローラを有し、
空気温度検知手段と湿度検知手段を有し、
前記コントローラは、前記空気温度検知手段と前記湿度検知手段の検知信号を用いて現状の飽差を演算し、現状の飽差が所定の範囲となるように制御するものであることを特徴とする植物栽培装置用の空調装置。 - 前記複数の熱交換器として、凝縮・蒸発兼用熱交換器と、蒸発・凝縮兼用熱交換器と、補助熱交換器を有し、さらに流路切替え手段を有し、前記蒸発・凝縮兼用熱交換器及び前記補助熱交換器は前記植物育成空間と連通する位置に配され、前記凝縮・蒸発兼用熱交換器は前記植物育成空間と連通しない位置に配され、前記植物育成空間の温度を上昇させる暖房運転と前記植物育成空間の温度を降下させる冷房運転とを実施可能であり、前記冷房運転時においては、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記凝縮・蒸発兼用熱交換器から前記膨張手段を経て前記蒸発・凝縮兼用熱交換器に至らしめて前記圧縮機に戻し、前記暖房運転時においては、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記蒸発・凝縮兼用熱交換器から前記膨張手段を経て前記凝縮・蒸発兼用熱交換器に至らしめて前記圧縮機に戻し、さらに前記暖房運転時に、前記蒸発・凝縮兼用熱交換器から吐出される冷媒の一部を前記補助熱交換器を介して前記圧縮機に戻すことが可能であって前記補助熱交換器の表面温度を低下させ前記植物育成空間を除湿することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培装置用の空調装置。
- 前記蒸発・凝縮兼用熱交換器と前記補助熱交換器とを結ぶ流路に補助膨張手段が設けられ、前記補助熱交換器内における冷媒の蒸発温度を検知する蒸発温度検知手段を有し、当該蒸発温度検知手段で検知された冷媒蒸発温度が所望の温度となる様に前記補助膨張手段が制御されることを特徴とする請求項3に記載の植物栽培装置用の空調装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の植物栽培装置用の空調装置を備えた植物栽培装置。
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