以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
例えば、血圧、心拍、脈拍などの生体情報を測定する際には、測定される対象者、つまり、被検体が誰であるかを初めに特定することが多い。特に、生体情報を健康管理や病気の有無の判断などに利用する場合においては、生体情報を測定する際に本人確認を行い、生体情報を取得する対象者を特定した上で、生体情報の測定を行う。
例えば、脈波による個人認証は、なりすましを防止するための本人確認手段として有用である。以下では、生体情報を測定する際に適用可能な本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る個人認証装置10の一例を示す構成図である。
個人認証装置10は、脈波検出装置11、生体情報測定装置13、報知装置14とそれぞれ接続可能に構成される。
脈波検出装置11は、被検体の脈波を検出する脈波検出センサを備える。脈波検出センサは、例えば圧電式センサや光学式センサなどである。
生体情報測定装置13は、被検体の生体情報を測定する装置である。生体情報とは、例えば血圧、心拍、脈拍などである。
なお、測定される生体情報が脈拍である場合、生体情報測定装置13により測定された脈拍を用い、脈波検出装置11を設けないこととしてもよい。
報知装置14は、生体情報測定装置13における被検体の生体情報の測定状態、例えば、測定の開始または終了を報知する。報知装置14は、例えば、ディスプレイやブザー、ランプなどであり、具体的な報知方法としては、ディスプレイへの表示やブザーからの音の出力、ランプからの発光による報知が挙げられる。
個人認証装置10は、第1脈波メモリ111、特徴抽出部113、脈波照合部114、制御部115を備える。個人認証装置10は、更に検出タイミングメモリ117も備えていてもよい。検出タイミングメモリ117を備える場合については、第1の実施形態の変形例において詳しく説明する。
個人認証装置10は、脈波検出装置11が検出した脈波と、第1脈波メモリ111に記録してある情報に基づいて個人認証を行う。
第1脈波メモリ111には、脈波に基づいて被検体を特定するための評価点の算出に用いられる第1の判定条件、および、第2の判定条件が記憶されている。例えば、第1の判定条件および第2の判定条件は、脈波検出装置11によって検出された脈波から特徴抽出部113が抽出した特徴を参照して設定される。
第1の判定条件は、個人認証がなされる被検体の脈波の条件であって、脈波の多少のばらつきを考慮して一定の幅をもった値である。
ただし、脈波は、健康状態によって変動するため、第1の判定条件が被検体の健康時の脈波に基づいて定められた条件である場合、健康を害している状況では同一人物であっても脈波が第1の判定条件を満たさなくなる可能性がある。
そこで、被検体が健康を害している場合であっても被検体が本人ではないと判定されないようにするため、第2の判定条件が設定される。
この第2の判定条件は、第1の判定条件として設定された範囲の近傍の値を含む範囲である。第2の判定条件として設定された範囲には、健康状態が変化しているために第1の判定条件の範囲内に含まれないが、本人である可能性を示す脈波の値が含まれている。すなわち、第2の判定条件は、健康状態が異なる本人、または、脈波がその本人に似ている他人と判定される範囲である。
第1の判定条件、および、第2の判定条件の組み合わせは1以上であり、各組み合わせにおいて、第1の判定条件、および、第2の判定条件にはそれぞれ評価点が割り当てられている。そして、本人か否かが判定される被検体の脈波の特徴が第1の判定条件、または、第2の判定条件を満たした場合に、被検体に評価点が割り当てられる。
また、第1脈波メモリ111には、上述した評価点の合計値に基づいて被検体が本人か否かを判定する際に用いられる第1の範囲と第2の範囲が記憶されている。なお、評価点の合計値の算出、および、その合計値に基づく判定は、後述する脈波照合部114によって行われる。
第1の範囲とは、被検体が本人と判定される評価点の合計値の範囲である。第2の範囲とは、被検体が、健康状態が異なる本人、または、脈波の特徴がその本人に似ている他人と判定される評価点の合計値の範囲である。
ここで、脈波の特徴を抽出する処理の一例について説明する。
図2は、脈波波形の一例を示す図である。図2(a)は、被検体が健康な場合の脈波波形であり、予め登録する被検体の脈波情報の基となる脈波波形である。図2(b)は、被検体が健康を害している場合の脈波波形である。図2(c)は、登録されている被検体とは異なる被検体の脈波波形である。
本実施形態において抽出される脈波波形の特徴は、脈波波形のプラス側の頂部付近における変曲点の数、脈波波形のマイナス側の頂部付近における変曲点の数、脈波波形の周期、振幅、および、オフセットである。
以下では、ある脈波波形xから抽出される脈波波形のプラス側の頂部付近における変曲点の数をPxで表わす。例えば、図2(a)、図2(b)、図2(c)の脈波波形をそれぞれa、b、cとすると、プラス側の頂部付近における変曲点の数はPa、Pb、Pcと表わされる。
また、ある脈波波形xから抽出される脈波波形のマイナス側の頂部付近における変曲点の数をQxで表わす。例えば、図2(a)、図2(b)、図2(c)の脈波波形a、b、cのマイナス側の頂部付近における変曲点の数は、それぞれ、Qa、Qb、Qcと表わされる。
また、ある脈波波形xから抽出される脈波波形の周期、振幅、および、オフセットを、それぞれ、Tx、Wx、および、OFTxと表わす。例えば、図2(a)の脈波波形aの周期、振幅、および、オフセットは、それぞれ、Ta、Wa、および、OFTaと表わされる。図2(b)の脈波波形b、図2(c)の脈波波形cの場合も同様である。
第1の範囲を決定する際には、図2(a)に示したような脈波波形のデータから個人認証する対象となる被検体の脈波波形の周期、振幅、および、オフセットが抽出される。
具体的には、周期、振幅、オフセットの情報は、脈波波形xをサンプリングしたデータから抽出される。
ここで、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)などにより、サンプリングの結果得られたデジタル値に対して、ノイズ除去やサンプリングの折り返し除去を目的としたフィルタリングが行われる。
そして、周期Txは、サンプリングされた脈波波形におけるピーク間の間隔から検出される。また、振幅Wxは、サンプリングされた脈波波形の最大値、および、最小値の差から検出される。さらに、オフセットOFTxは、サンプリングされた脈波波形の最大値と最小値の和を2で割り算することにより検出される。
次に、脈波波形の頂部付近(波線の円で囲んだ部分)における変曲点の数を検出する方法について説明する。
増加、減少する脈波波形の時間的な位置や期間は、上述のようにフィルタリング処理を実行しながら順次デジタル値を比較することによって検出することができる。さらに、所定時間における脈波波形の増加、減少を計測することにより、変曲点の数を検出することができる。
次に、脈波波形の頂部付近(波線の円で囲んだ部分)における変曲点の数を検出する方法について、図3、図4を用いて説明する。図3は、脈波波形をデジタル変換した後のデータを概念的に示す図である。図4は、図3に示すデジタル変換した後の各サンプル点の値とその時間変動を示す図である。
脈波波形は電流値として検出され、ADコンバータにより、所定のサンプリング周期Tsでサンプリングがなされる。例えば、図3には、脈波の1周期ごとに34回のサンプリングがなされた場合が示されている。
サンプリングは、脈波波形の1周期内での変動を正確に捉えるため、十分短い時間間隔で行われることが望ましいが、図面を見やすくするとともに説明を簡略化するため、図3においてはサンプリング周期Tsを大きくしている。
また、図4に示すように、サンプリングにより得られるAD変換値は、時間と共に順次記憶され、前値比較によって増加、減少が検出され、さらに、その絶対値によって基準点Oに対する極性が検出される。
ここで、脈波波形は通常の正弦波ではなく、個人個人によって脈波波形に現れる変曲点の数が変化する。このようなことから、短時間で繰り返される増加から減少へのAD変換値の変化、また、減少から増加へのAD変換値の変化を検出することにより変曲点の数が算出され、その情報が個人認証に用いられる。
例えば、図3、図4に示されるように、脈波波形のプラス側の頂部付近では、AD変換値が増加し、減少し、増加し、減少するという変化を示している。この場合、変曲点の数は2となる。一方、脈波波形のマイナス側の頂部付近では、AD変換値が減少し、増加し、減少し、増加するという変化を示している。この場合も、変曲点の数は2となる。なお、AD変換値が増加した後、変動せず、また増加した場合や、減少した後、変動せず、また減少した場合は、変曲点の数は1となる。
さらに、脈波波形の曲率Rを検出することも可能である。例えば、脈波波形において所定の値から値が増加し、その後減少して前述の所定の値まで戻る時間を計測すれば、曲率Rに相当する値を算出することもでき、これによっても特徴的な形状を検出できる。
このようにして、毎日行われる測定毎に算出される脈波形状の情報は、第1脈波メモリ111に登録される。
図2(a)は、前述のように、被検体が健康な場合の脈波波形の一例である。図2(a)の例では、プラス側の頂部付近の変曲点の数Paは3個、マイナス側の頂部付近の変曲点の数Qaの変曲点も3個である(図2(a)の黒点を参照)。また、図2(a)には、周期Ta、振幅Wa、オフセットOFTaが示されている。
図2(b)は、前述のように、被検体が健康を害している場合の脈波波形の一例である。ここで、周期Tbは、周期Taよりも短くなっている。一方、振幅WbおよびオフセットOFTbは、振幅Wa、オフセットOFTaと比較して、ほとんど変化はみられない。
また、図2(b)において、プラス側の頂部付近の変曲点の数Pbは、図2(a)では現れていた変曲点がほとんど表れていないため、結果として、変曲点は2個に変化している。一方、マイナス側の頂部付近の変曲点の数Qbは3個である。
図2(c)は、前述のように、登録されている被検体とは異なる被検体の脈波波形の一例である。図2(c)の例では、周期Tcは周期Taよりも短く、振幅Wc、オフセットOFTcについても、振幅Wa、オフセットOFTaと比較して変動が見られる。また、プラス側の頂部付近の変曲点の数Pcは2個、マイナス側の頂部付近の変曲点の数Qcは1個に変化している。
次に、第1脈波メモリ111に記憶されている前述の第1の範囲、第2の範囲について説明する。図5は、第1脈波メモリ111に記憶されている情報の一例を示す図である。
この第1脈波メモリ111には、前述の第1の判定条件、第2の判定条件に加えて、第1の範囲、および、第2の範囲の情報が登録されている。第1の判定条件には、図2(a)に一例を示したような健康な被検体の標準的な脈波波形を基に、一定のばらつき、または、誤差を考慮した範囲が予め登録されている。
そして、この第1の判定条件を基に、健康状態が悪化した場合を想定して、第1の判定条件より緩やかな条件であって、脈波のばらつきを考慮した条件が、第2の判定条件として予め登録されている。
図5に示す例では、被検体が本人か否かの判定を速やかに実行できるように、第1の判定条件、および、第2の判定条件として、プラス側の変曲点の数Px、マイナス側の変曲点の数Qx、振幅Wx、周期Tx、オフセットOFTxに関する条件が設定されている。
例えば、第1の判定条件は、図2(a)に示したような被検体が健康な場合の脈波波形の特徴(例えば、変曲点の数Pa、Qa、周期Ta、振幅Wa、オフセットOFTa)に基づいて設定される。また、第2の判定条件は、図2(b)に示したような被検体が健康を害した場合の脈波波形の特徴(例えば、変曲点の数Pb、Qb、周期Tb、振幅Wb、オフセットOFTb)に基づいて設定される。
なお、第2の判定条件は、図2(a)に示したような被検体が健康な場合の脈波波形の特徴(例えば、変曲点の数Pa、Qa、周期Ta、振幅Wa、オフセットOFTa)に所定の幅を設けることにより設定されることとしてもよい。
そして、各条件には、重要度に応じて重み付けされた評価点が割り当てられており、各条件を満たした被検体に各条件に対応する評価点が付与される。
ここで、変曲点の数Px、Qxは、個人において最も特徴的なものであるので、ばらつきの範囲を狭く設定し、評価点の重みを大きくする。
例えば、図5に示されるように、第1の判定条件は、変曲点の数Px、QxがそれぞれPa個、Qa個から1個変動すれば満たされなくなるように設定される。第1の判定条件が満たされた場合に被検体に付与される評価点は6点である。
また、第2の判定条件は、変曲点の数Px、QxがそれぞれPb個、Qb個から2以上変動すれば、第2の判定条件が満たされなくなるように設定される。第1の判定条件が満たされず、第2の判定条件が満たされた場合に被検体に付与される評価点は3点となる。
なお、変曲点の数Px、QxがそれぞれPb個、Qb個から2以上変動すれば、第1の判定条件、および、第2の判定条件が満たされなくなるので、被検体に付与される評価点は0点である。
同様に、振幅Wx、周期Tx、オフセットOFTxについても、第1の判定条件、第2の判定条件、および、それらに対する評価点が設定される。ここで、振幅Wx、周期Tx、オフセットOFTxに対する第1の判定条件、および、第2の判定条件は、測定誤差や日々の計測におけるばらつきがあるため、緩やかに設定され、評価点の重みも小さくされる。
そして、上述した被検体の各特徴が、各特徴に対応付けられた第1の判定条件を満たすか否かが判定され、第1の判定条件を満たす場合、第1の判定条件に対応する評価点が被検体に付与される。
上述した被検体の各特徴が、各特徴に対応付けられた第1の判定条件を満たさない場合、各特徴が、各特徴に対応付けられた第2の判定条件を満たすか否かが判定される。そして、第2の判定条件を満たす場合、第2の判定条件に対応する評価点が被検体に付与される。
上述した被検体の各特徴が、各特徴に対応付けられた第2の判定条件を満たさない場合、評価点は被検体に付与されない。
その後、被検体に付与された評価点が合計され、合計値が第1の範囲に含まれるか否かが判定される。合計値が第1の範囲に含まれる場合、被検体は本人であると判定される。合計値が第1の範囲に含まれない場合、合計値が第2の範囲に含まれるか否かが判定される。
そして、合計値が第2の範囲に含まれる場合、被検体が、健康状態が異なる本人、または、脈波がその本人に似ている他人であると判定される。合計値が第2の範囲にも含まれない場合、被検体は、他人であると判定される。
図5の例では、第1の範囲が15点以上と設定されており、第2の範囲が7点以上と設定されている。
例えば、検出された脈波波形xのプラス側の変曲点の数Pxが2であり、第1の判定条件がPx=3、第2の判定条件が1≦Px≦3である場合、第2の判定条件が満たされるので、評価点は3点となる。
また、脈波波形xのマイナス側の変曲点の数Qxが3であり、第1の判定条件がQx=3、第2の判定条件が2≦Px≦4である場合、第1の判定条件、および、第2の判定条件の両方が満たされるが、第1の判定条件が優先され、評価点は6点となる。
さらに、脈波波形xの振幅WxがWa、Wbとほぼ等しい場合、第1の判定条件、および、第2の判定条件の両方が満たされるが、第1の判定条件が優先され、評価点は2点となる。
また、脈波波形xの周期TxがTaの80%以下で、Tbにほぼ等しい場合、第2の判定条件を満たすので、評価点は1点となる。
また、脈波波形xのオフセットOFTxがOFTa、OFTbとほぼ等しい場合、第1の判定条件、および、第2の判定条件の両方が満たされるが、第1の判定条件が優先され、評価点は2点となる。
よって、評価点の合計は14となり、この値は第2の範囲に含まれるため、被検体が、健康状態が異なる本人、または、脈波がその本人に似ている他人であると判定される。
また、図2(c)と同様の脈波波形xが検出されたものとする。この場合、脈波波形xのプラス側の変曲点の数Pxが2であり、第1の判定条件がPx=3、第2の判定条件が1≦Px≦3であるので、第2の判定条件が満たされ、評価点は3点となる。
また、脈波波形xのマイナス側の変曲点の数Qxが1であり、第1の判定条件がQx=3、第2の判定条件が2≦Px≦4であるので、第1の判定条件、および、第2の判定条件の両方が満たされず、評価点は0点となる。
さらに、脈波波形xの振幅WxがWa、Wbの0.6倍である場合、第2の判定条件が満たされるため、評価点は1点となる。
また、脈波波形xの周期TxがTaの80%以下で、Tbにほぼ等しい場合、第2の判定条件を満たすので、評価点は1点となる。
また、脈波波形xのオフセットOFTxがOFTa、OFTbの0.5倍である場合、第1の判定条件、および、第2の判定条件の両方が満たされないので、評価点は0点となる。
よって、評価点の合計は5となり、この値は第1の範囲にも第2の範囲にも含まれないため、被検体は本人でないと判定される。
図1の説明に戻ると、特徴抽出部113は、図3、図4を用いて説明したような方法で、脈波検出装置11が検出した脈波から、個人認証に使用する特徴を抽出する。この特徴は、例えば、上述した変曲点の数Px、Qx、振幅Wx、周期Tx、および、オフセットOFTxなどである。
脈波照合部114は、特徴抽出部113が抽出した特徴から第1の判定条件および第2の判定条件に基づき、上述したような方法で評価点を決定する。また、脈波照合部114は、評価点の合計値を算出し、その合計値が第1の範囲、または、第2の範囲に含まれるか否かを判定する。
制御部115は、個人認証装置10が備える各部の動作の制御を行うとともに、個人認証装置10に接続される生体情報測定装置13の測定動作、および、報知装置14の報知動作などを制御する。
例えば、制御部115は、脈波照合部114により評価点の合計値が第1の範囲に含まれると判定された場合は、被検体が本人であると認証して生体情報測定装置13に生体情報の測定を実行させる。
また、制御部115は、脈波照合部114により評価点の合計値が第2の範囲に含まれると判定された場合は、被検体が通常時と体調が異なる本人の可能性があると認証して生体情報測定装置13に生体情報の測定を実行させる。
さらに、制御部115は、脈波照合部114により評価点の合計値が第1の範囲にも第2の範囲にも含まれないと判定された場合には、被検体が他人であると判定して生体情報測定装置13に生体情報の測定を実行させない。
ここで、評価点の合計値が第1の範囲、または、第2の範囲に含まれる場合は、生体情報測定装置13が生体情報を測定するよう制御部115が制御するが、その合計値が第1の範囲に含まれるか、または、第2の範囲に含まれるかによって報知装置14の動作に違いがある。以下、これについて説明する。
報知装置14には、生体情報測定装置13が生体情報の測定を開始してから報知装置14が測定の終了を報知するまでの時間が設定される。この時間は、評価点の合計値が第2の範囲に含まれる場合のほうが第1の範囲に含まれる場合よりも長くなるように設定される。あるいは、制御部115が報知装置14を制御して上記時間を設定してもよい。
このように、評価点の合計値が第2の範囲に含まれる場合に、第1の範囲に含まれる場合よりも、測定終了の報知までの時間を長くすることにより、仮に被検体が他人になりすましている場合に、途中でなりすましをあきらめさせる効果が期待できる。
また、制御部115は、評価点の合計値が第2の範囲に含まれる場合に、第1の範囲に含まれる場合よりも、生体情報を実際に測定する時間が長くなるように生体情報測定装置13を制御してもよい。これにより、体調に変化がある場合に、より精密に生体情報の測定をすることもできる。
次に、図1に示した各構成が実行する生体情報測定処理の処理フローについて説明する。図6は第1の実施形態に係る生体情報測定処理の処理フローの一例を示す図である。
まず、脈波検出装置11は、脈波を検出する(ステップS101)。
次に、特徴抽出部113は、脈波から特徴を抽出する(ステップS102)。例えば、特徴抽出部113は、脈波波形のデータをサンプリングし、脈波波形の最大値、および、最小値を検出することによって、脈波波形の周期Txや振幅Wx、オフセットOFTxを算出する。さらに、特徴抽出部113は、サンプル値の増加、減少の変化を検出して、前述したように脈波波形の頂部付近における変曲点の数Px、Qxを抽出する。
そして、脈波照合部114は、第1脈波メモリ111に記憶されている第1の判定条件および第2の判定条件と、脈波検出装置11が検出した脈波から特徴抽出部113が抽出した脈波の特徴から、評価点を算出し、さらに評価点の合計値を算出する(ステップS103)。
その後、脈波照合部114は、算出した合計値が第1の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS104)。
ここで、合計値が第1の範囲に含まれる場合は、被検体が本人であると認証されたこととなり、制御部115は、生体情報測定装置13に生体情報の測定を開始させる(ステップS105)。
生体情報測定装置13による生体情報の測定が終了すると、報知装置14は、測定が終了したことを報知し(ステップS106)、この生体情報測定処理は終了する。
ステップS104において、評価点の合計値が第1の範囲に含まれないと判定された場合、脈波照合部114は、合計値が第2の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS107)。
ステップS107において、評価点の合計値が第2の範囲に含まれる場合は、被検体が通常時と体調が異なる本人の可能性があると認証されたこととなり、制御部115は、生体情報測定装置13に生体情報の測定を開始させる(ステップS108)。
生体情報測定装置13による生体情報の測定が終了すると、報知装置14は、測定が終了したことを報知し(ステップS109)、この生体情報測定処理は終了する。
ここで、前述したように、ステップS108において生体情報の測定が開始されてからステップS109において測定の終了が報知されるまでの時間は、ステップS105において生体情報の測定が開始されてからステップS106において測定の終了が報知されるまでの時間よりも長くなるように設定されている。
ステップS107において、評価点の合計値が第1の範囲にも第2の範囲にも含まれない場合には、被検体が登録された人物ではないと判定されたこととなり、制御部115は、生体情報測定不可と判定する(ステップS110)。この場合、生体情報測定装置13は生体情報の測定を行なわず、この生体情報測定処理は終了する。
以上のように、評価点の合計値が第1の範囲に含まれるのか、第2の範囲に含まれるのか、それともいずれの範囲にも含まれないのかを判定することにより、体調の変化を考慮して個人認証することが可能となる。
(第1の実施形態の変形例)
本変形例では、脈波の検出と個人認証を複数回行う場合について説明する。
この場合、個人認証装置10は、図1に示したように、検出タイミングメモリ117を利用する。検出タイミングメモリ117は、脈波検出装置11が被検体の脈波を複数回検出する際のタイミングのパターンを少なくとも2つ以上予め記憶している。
図7は、検出タイミングメモリ117に記憶されているタイミングのパターンの一例を示す図である。
検出タイミングメモリ117には、図6に示したステップS105、または、ステップS108で生体情報の測定を開始した後に、再度ステップS101〜S104、S107と同様の個人認証処理を開始するタイミングの組がパターン1、パターン2のように複数登録されている。
制御部115は、検出タイミングメモリ117に記憶されているパターンのいずれかに基づいて脈波検出装置11を制御し、再度脈波検出装置11が脈波を検出する際の検出処理の実行開始のタイミングを設定する。
例えば、パターン1が選択された場合、生体情報測定開始から3秒後および10秒後に、再度ステップS101と同様の脈波検出処理が実行され、その後、ステップS103やステップS104、ステップS107の処理と同様の処理が実行される。
具体的には、ステップS104と同様の処理において、前述の評価点の合計値が第1の範囲に含まれないと判定され、さらにステップS107と同様の処理において、合計値が第2の範囲にも含まれないと判定された場合、制御部115は、生体情報測定不可と判定し、生体情報の測定が終了する。
一方、ステップS104と同様の処理において合計値が第1の範囲に含まれると判定された場合、または、S107と同様の処理において合計値が第2の範囲に含まれると判定された場合、そのまま生体情報の測定が継続される。
このように、いくつかの個人認証処理の実行パターンを備え、個人認証処理を実行するタイミングが一定とならないようにすることで、被検体が途中で他人と入れ替わることを防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図8は、第2の実施形態に係る個人認証装置50の一例を示す構成図である。
個人認証装置50は、脈波検出装置51、指紋検出装置52、生体情報測定装置53とそれぞれ接続可能に構成される。
脈波検出装置51は、被検体の脈波を検出する脈波検出センサを備える。脈波検出センサは、例えば圧電式センサや、光学式センサなどである。
指紋検出装置52は、被検体の指紋を検出できる指紋検出センサを備える。指紋検出センサは、例えばCOMSセンサや静電容量検出センサなどである。
生体情報測定装置53は、被検体の生体情報を測定する装置である。生体情報とは、例えば血圧、心拍、脈拍などである。
なお、脈波検出装置51と指紋検出装置52は、1つのデバイスから構成されていてもよい。例えば、脈波検出センサが光学式センサの場合、センサの検出面に指先を接触させ、光を照射して反射した光の強度を光学式センサが測定し、血流量の変化を検出することによって、脈波波形などの情報を取得する。その際、その指先を接触させている検出面において、撮像素子が指先の画像を取得し、その画像情報から指紋情報が取得されることとしてもよい。
また、測定される生体情報が脈拍である場合、脈波検出装置51により測定された脈拍を用い、生体情報測定装置53を設けないこととしてもよい。
個人認証装置50は、第1脈波メモリ511、第2脈波メモリ512、特徴抽出部513、脈波照合部514、制御部515、条件決定部516、指紋照合部521、指紋メモリ522を備える。
個人認証装置50は、更に検出タイミングメモリ517も備えていてもよい。検出タイミングメモリ517を備える場合については、第2の実施形態の変形例において詳しく説明する。
第1脈波メモリ511には、脈波に基づいて被検体を特定するための評価点の算出に用いられる第1の判定条件や第1の範囲、第2の範囲が記憶される。第1の判定条件、第1の範囲、および、第2の範囲は、第1の実施形態に係る第1脈波メモリ111に記憶される第1の判定条件、第1の範囲、および、第2の範囲と同様のものである。
また、第2脈波メモリ512には、脈波に基づいて被検体を特定するための評価点の算出に用いられる第2の判定条件が記憶される。第2の判定条件は、第1の実施形態に係る第1脈波メモリ111に記憶される第2の判定条件と同様のものである。
ここで、第2の判定条件は、第2脈波メモリ512に予め記憶されているとは限らない。第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されていない場合、後述するような方法で第2の判定条件が新たに第2脈波メモリ512に記憶される。
特徴抽出部513は、脈波検出装置51が検出した脈波から、個人認証に使用する特徴を抽出する。この特徴は、例えば、第1の実施形態で説明した変曲点の数Px、Qx、振幅Wx、周期Tx、および、オフセットOFTxなどである。
特徴抽出の方法については、第1の実施形態で記載したのと同様である。具体的には、特徴抽出部513は、図3、図4を用いて説明した方法と同様の方法で、変曲点の数Px、Qxを抽出する。
また、特徴抽出部513は、周期Txを、サンプリングされた脈波波形におけるピーク間の間隔から検出し、振幅Wxを、サンプリングされた脈波波形の最大値、および、最小値の差から検出し、オフセットOFTxを、サンプリングされた脈波波形の最大値と最小値の和を2で割り算することにより検出する。
脈波照合部514は、第1の実施形態で説明したような方法と同様の方法で、特徴抽出部513が抽出した特徴から第1の判定条件、および、第2の判定条件に基づき、評価点を決定する。また、脈波照合部514は、評価点の合計値を算出し、その合計値が第1の範囲、または、第2の範囲に含まれるか否かを判定する。
なお、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されていない場合、脈波照合部514は、第1の判定条件のみに基づき、評価点を決定する。そして、脈波照合部514は、評価点の合計値を算出し、その合計値が第1の範囲に含まれるか否かを判定する。
条件決定部516は、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されていない場合に、脈波検出装置51が検出した脈波に基づいて、第2の判定条件を決定する。脈波は、健康状態によって変動するため、例えば、被検体が健康なときの脈波に基づいて第1の判定条件が定められたものであれば、被検体が健康を害している場合には同一人物であっても脈波が第1の判定条件を満たさなくなる可能性がある。
そこで、一定の条件を満たすときには、条件決定部516が、健康時とは状態が異なる本人の脈波から被験者が本人である可能性があると判定できるように、第2の判定条件を決定し、第2の判定条件を第2脈波メモリ512に記憶する。
一定の条件とは、脈波が第1の判定条件を満たさないが本人確認がとれたときであり、例えば、指紋検出装置52が検出した指紋が本人の指紋であると認証された場合である。
すなわち、条件決定部516は、脈波検出装置51が検出した脈波が第1の判定条件を満たさず、指紋検出装置52が検出した指紋が本人の指紋であると認証された場合に、第2の判定条件を決定し、第2の判定条件を第2脈波メモリ512に記憶する。
第2脈波メモリ512に保存された第2の判定条件は、次回個人認証が行われる際に、第1脈波メモリ511に記憶してある第1の判定条件とともに、個人認証に利用される。
ここで、第1の判定条件、および、第2の判定条件の決定方法の一例について、図2を用いて説明する。第1の実施形態で説明したように、図2(a)は、被検体が健康な場合の脈波波形であり、第1脈波メモリ511に予め登録する被検体の脈波情報の基となる脈波波形である。図2(b)は、被検体が健康を害している場合の脈波波形である。図2(c)は、登録されている被検体とは異なる被検体の脈波波形である。
第1の判定条件、および、第2の判定条件は、このような脈波をサンプリングし、脈波の特徴を抽出して決定される。
まず、第1の判定条件の決定方法について説明する。第1の判定条件を決定する際には、図2(a)に示したような脈波波形のデータから、個人認証の対象となる被検体の脈波波形の周期Ta、振幅Wa、および、オフセットOFTaが検出される。
具体的には、特徴抽出部513が、周期Taを、サンプリングされた脈波波形におけるピーク間の間隔から検出し、振幅Waを、サンプリングされた脈波波形の最大値、および、最小値の差から検出し、オフセットOFTaを、サンプリングされた脈波波形の最大値と最小値の和を2で割り算することにより検出する。
また、脈波波形の頂部付近(波線の円で囲んだ部分)における変曲点の数が検出される。具体的には、特徴抽出部513が、図3、図4を用いて説明した方法と同様の方法で、変曲点の数Pa、Qaを抽出する。
ここで得られた特徴に、一定のばらつき、または、誤差を考慮して幅を持たせることにより第1の判定条件が決定され、第1の判定条件が第1脈波メモリ511に予め登録される。
次に、第2の判定条件の決定方法について説明する。前述のように、図2(b)は、被検体が健康を害している場合の脈波波形である。第2の実施形態では、指紋認証により、図2(b)に示したような脈波波形が本人の脈波波形であると判定される。そして、この脈波波形は、第2脈波メモリ512に登録される被検体の脈波情報の基になる。
例えば、特徴抽出部513は、上述したような方法で、図2(b)に示したような脈波波形のデータから個人認証の対象となる被検体の脈波波形の周期Tb、振幅Wb、オフセットOFTb、および、変曲点の数Pb、Qbを検出する。
そして、条件決定部516は、ここで得られた特徴に、一定のばらつき、または、誤差を考慮して幅を持たせることにより第2の判定条件を決定し、第2の判定条件を第2脈波メモリ512に登録する。この幅は、例えば、第1の判定条件において設定された幅をさらに所定値だけ広げたものとされる。
なお、条件決定部516は、2回以上検出した脈波を用いて第2の判定条件を決定してもよい。例えば、第2の判定条件は、2回以上検出した脈波の特徴の平均値に、一定のばらつき、または、誤差を考慮して幅を持たせることにより第2の判定条件を決定してもよい。
指紋メモリ522には、予め被検体の指紋情報が記憶されている。この被検体は、第1脈波メモリ511に脈波の特徴が第1の判定条件として記憶されている人物と同一人物である。
指紋照合部521は、指紋メモリ522に保存されている指紋情報に、指紋検出装置52が検出した指紋の特徴が合致するか否かを判定することにより、指紋メモリ522に指紋情報が保存されている人物と被検体とが同一人物であるか否かを判定する。
制御部515は、個人認証装置50が備える各部の動作の制御を行うとともに、個人認証装置50に接続される生体情報測定装置53の測定動作、および、指紋検出装置52の検出動作などを制御する。
例えば、制御部515は、脈波照合部514により評価点の合計値が第1の範囲に含まれると判定された場合は、被検体が本人であると認証して生体情報測定装置53に生体情報の測定を実行させる。
また、制御部515は、脈波照合部514により評価点の合計値が第2の範囲に含まれると判定された場合は、被検体が通常時と体調が異なる本人の可能性があると認証して生体情報測定装置53に生体情報の測定を実行させる。
さらに、制御部515は、脈波照合部514により評価点の合計値が第1の範囲にも第2の範囲にも含まれないと判定された場合には、被検体が他人であると判定して生体情報測定装置53に生体情報の測定を実行させない。
また、制御部515は、脈波照合部514により評価点の合計値が第1の範囲に含まれないと判定された場合、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されていない場合、または、脈波照合部514により評価点の合計値が第2の範囲に含まれないと判定された場合に、指紋照合部521に被検体の指紋認証処理を実行させる。
次に、図8に示した各構成が実行する生体情報測定処理の処理フローについて説明する。
図9は、第2の実施形態に係る生体情報測定処理の処理フローの一例を示す図である。
まず、脈波検出装置51は、脈波を検出する(ステップS201)。
次に、特徴抽出部513は、脈波から特徴を抽出する(ステップS202)。例えば、特徴抽出部513は、脈波波形のデータをサンプリングし、脈波波形の最大値、および、最小値を検出することによって、脈波波形の周期Txや振幅Wx、オフセットOFTxを算出する。さらに、特徴抽出部513は、サンプル値の増加、減少の変化を検出して、前述したように、脈波波形の頂部付近における変曲点の数Px、Qxを抽出する。
そして、脈波照合部514は、第1脈波メモリ511に記憶されている第1の判定条件、および、第2脈波メモリ512に記憶されている第2の判定条件と、脈波検出装置51が検出した脈波から特徴抽出部513が抽出した脈波の特徴から評価点を算出し、さらに評価点の合計値を算出する(ステップS203)。
なお、第2の実施形態では、評価点を算出する際に第2の判定条件が第2脈波メモリ512に記憶されていない場合がある。その場合には、例えば、第1脈波メモリ511に記憶されている第1の判定条件のみを考慮して評価点が算出される。
その後、脈波照合部514は、算出した合計値が第1の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS204)。
ここで、合計値が第1の範囲に含まれる場合は、被検体が本人であると認証されたこととなり、制御部515は、生体情報測定装置53に生体情報の測定を開始させる(ステップS205)。
ステップS204において、評価点の合計値が第1の範囲に含まれないと判定された場合、脈波照合部514は、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されているか否かを判定する(ステップS206)。
ステップS206において、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されている場合には、評価点の合計値が第2の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS207)。
ステップS207において、評価点の合計値が第2の範囲に含まれる場合には、被検体が通常時と体調が異なる本人の可能性があると認証されたこととなり、制御部515は、生体情報測定装置53に生体情報の測定を開始させる(ステップS208)。
ステップS206において、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されていなかった場合、または、ステップS207において評価点の合計値が第2の範囲に含まれなかった場合には、制御部515は、指紋検出装置52を制御し、被検体の指紋の検出を実行する(ステップS209)。
そして、指紋照合部521は、予め登録されている指紋情報に、ステップS209において指紋検出装置52が検出した指紋の特徴が合致するか否かを判定することにより、指紋情報が登録してある人物と被検体とが同一人物であるか否かを判定する(ステップS210)。
ステップS210において、指紋情報が登録してある人物と被検体とが同一人物でないと判定された場合、生体情報測定装置53は、生体情報の測定を開始しない(ステップS211)。
ステップS210において、指紋情報が登録してある人物と被検体とが同一人物であると判定された場合、制御部515は、生体情報測定部53に生体情報の測定を開始させる(ステップS212)。
また、制御部515は、脈波検出装置51に更に追加で脈波を検出させる(ステップS213)。
そして、特徴抽出部513は、追加で検出された脈波から特徴を抽出する(ステップS214)。
その後、条件決定部516は、ステップS214において抽出した特徴に基づいて、上述したような方法で第2の判定条件を決定する(ステップS215)。
前述したように、第2の判定条件として決定される特徴の幅は、例えば、サンプリングされた脈波から抽出された特徴に、第1の判定条件として設定された特徴の幅をさらに所定の幅だけ広げたものとされる。
そして、制御部515は、条件決定部516が決定した第2の判定条件を第2脈波メモリ512に記憶する(ステップS216)。
本実施形態では、被検体が確実に本人であるとの認証を可能にする第1の判定条件を第1脈波メモリ511に記憶している。もし、測定された脈波が予め登録された第1の判定条件を満たさない場合は、脈波の特徴が第1の判定条件として予め登録された人物と被検体とが同一人物であっても、健康状態が変化することを考慮して更に指紋による本人認証が行われる。
その結果、被検体が本人であると認証できれば、そのときに脈波から抽出された特徴に基づいて決定された第2の判定条件が、次回からの本人認証のために第2脈波メモリ512に記憶される。
なお、第2の判定条件は、1つに限られず、複数登録されてもよい。また、図9におけるステップS213、および、S214の処理を省略することとしてもよい。この場合、ステップS215では、ステップS202で抽出された脈波の特徴に基づいて第2の判定条件を決定すればよい。
上記のように、脈波情報のみで本人認証ができない場合に、指紋認証を組み合せ、確実に本人であると認証するとともに、体調が変化した場合の本人の脈波情報も登録していくことで、次の生体情報の測定の際に再び指紋認証を行わなくとも、本人認証をすることができる。
(第2の実施形態の変形例)
本変形例では、脈波の検出と個人認証を複数回行う場合について説明する。
この場合、個人認証装置50は、図8に示したように、検出タイミングメモリ517を利用する。検出タイミングメモリ517は、脈波検出装置51が被検体の脈波を複数回検出する際のタイミングのパターンが少なくとも2つ以上予め記憶している。
検出タイミングメモリ517に記憶されているタイミングのパターンは、図7に示したものと同様である。
検出タイミングメモリ517には、図9に示したステップS205、ステップS208、または、ステップS212で生体情報の測定を開始した後に、再度ステップS201の実行を開始するタイミングの組が、図7に示すパターン1、パターン2のように複数登録されている。
制御部515は、検出タイミングメモリ517に記憶されているパターンのいずれかに基づいて脈波検出装置51を制御し、再度脈波検出装置51が脈波を検出する際の検出処理の実行開始のタイミングを設定する。
例えば、パターン1が選択された場合、生体情報測定開始から3秒後および10秒後に、再度ステップS201と同様の脈波検出処理が実行され、その後、S204やS206、S207の処理と同様の処理が実行される。
具体的には、ステップS204と同様の処理において、前述の評価点の合計値が第1の範囲に含まれれば生体情報の測定が継続される。ステップS204において、評価点の合計値が第1の範囲に含まれなければ、ステップS206の処理が実行される。
ステップS206において、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されていれば、ステップS207の処理が実行され、ステップS207において、評価点の合計値が第2の範囲に含まれれば、生体情報の測定が継続される。
一方、ステップS206において、第2脈波メモリ512に第2の判定条件が記憶されていなかった場合には、ステップS209およびステップS210の処理が実行される。
そして、ステップS210において、予め指紋情報が登録してある人物と被検体とが同一人物でなければ、生体情報の測定が終了する。一方、ステップS210において、予め指紋情報が登録してある人物と被検体とが同一人物であれば、生体情報の測定が継続されるとともに、ステップS212〜ステップS216が実行される。
このように、いくつかの個人認証処理の実行パターンを備え、個人認証処理を実行するタイミングが一定とならないようにすることで、被検体が途中で他人と入れ替わることを防止することができる。